産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルWG 中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会 第54回合同会議 議事録

日時

令和3年5月24日(月)1000分~1143

場所

web会議

議題

1.自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)について

2.その他

議事録

○三牧自動車課課長補佐  それでは、定刻になりましたので、これより産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルワーキンググループ及び中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会の第54回合同会議を開催いたします。

 私は、経済産業省事務局の自動車課の三牧でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、開催に当たりまして事務的な事項を御案内、御報告申し上げます。

 本合同会議は、両審議会合わせまして27名の委員で構成されております。本日は24名の委員にオンラインにて御出席いただいております。

 産業構造審議会自動車リサイクルワーキングにつきましては14名の委員に御出席いただいておりまして、定足数である過半数に達していることを御報告させていただきます。

 なお、中央環境審議会自動車リサイクル専門委員会につきましては定足数の規定はございません。

 続きまして、委員の構成変更及び出欠について御報告いたします。産業構造審議会におきまして、日本自動車工業会の環境技術・政策委員会委員長の三部委員に代わりまして大津委員が着任されておりますが、本日は御欠席の御連絡をいただいております。そのほか、細田委員、島委員から御欠席の御連絡をいただいております。

 また、今回も両座長にも御了解をいただいた上で、JARCの阿部専務理事にもオブザーバーとして参加いただいておりますので、御紹介いたします。

 続いて、配付資料の確認をいたします。配付資料につきましては、事前に御案内させていただいた経済産業省、環境省ホームページにて掲載させていただいておりますので、回線の関係上、このSkype会議の画面上には表示いたしませんが、委員の皆様にはそちらから御確認いただければと思います。資料は、資料1から資料3ということになってございます。

 また、本日もSkypeでの審議会ということでございまして、基本的には発言をされる場合を除きましてマイクをミュートにしていただき、ビデオもオフにしていただければと思いますけれども、御発言の際にはビデオをオンにしていただければと思います。

 なお、本審議会はオンラインによるライブ配信をさせていただいております。

 それでは、早速、議事に入らせていただきたいと思います。これ以降の議事進行については村上座長にお願いいたします。

○村上座長  それでは、早速、議題のほうに入らせていただきたいと思います。本日も厳しい状況の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日の議題ですが、資料1の議事次第のところにございますとおり「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)について」ということになってございます。資料3にございますとおり、事務局がこれまでの審議会での議論を踏まえて報告書(案)をまとめていただいておりますので、これらの御説明をいただいた後、皆さんから御意見を賜りたいというスケジュールになってございます。

 それでは、事務局のほうから、まず資料3の説明をどうぞよろしくお願いいたします。

○三牧自動車課課長補佐  それでは、事務局より御説明申し上げます。昨年8月からこれまで、この合同会議において委員の皆様に御議論いただきました内容を踏まえまして、事務局のほうで資料3のとおり報告書(案)を一案準備いたしました。つきましては、私のほうから資料3に基づいて報告書(案)の御説明を申し上げ、委員の皆様から御意見を賜れればと考えております。

 資料3の2ページ目の目次を御覧いただければと思います。報告書(案)の構成は、こちらに記載のとおり全部で4章構成ということになってございます。

 まず第1章において、自動車リサイクル制度の現状ということで、自動車リサイクルを取り巻く環境ですとか、自動車リサイクル運営におけるデータ、またこれまでの取組についての整理をしてございます。第2章では、制度に対する評価ですとか、今後の検討に係る基本的な方向性について要約的に示しておりまして、第3章では、各個別の論点について課題と、それに対する対応の方向性ということでまとめてございます。最後に、第4章では、将来に向けた留意事項、検討課題というところでまとめておりまして、全体はこのような形の構成で整理してございます。

 それでは、早速、資料の具体的な中身の説明に移らせていただきます。

 3ページ目を御覧ください。こちらは、はじめにということで、今回の評価・検討に至るまでの経緯や報告書の趣旨について説明したものでございます。不法投棄・不適正保管が増大する懸念に対応するために平成17年に自動車リサイクル法が施行されたわけでございますが、この制度は特に処理に費用を要する3品目について自動車製造業者等が処理の義務を負い、その費用負担について自動車所有者に求めるということで、法施行前から存在した自動車リサイクルルートが機能する状況を創出することを目指したものでございます。

 自動車リサイクル法が施行され運用される中で、施行後の5年目と10年目において、本審議会で法の施行状況について評価・検討を行っていただき、その中で提言された内容に基づいて関係主体においてこれまで取組を進めてまいりました。今回15年目ということで、昨年8月から関係者のヒアリングや意見交換を通して制度の評価・検討を行ってまいりましたが、本報告書はこれらの意見を踏まえ整理したものでございまして、制度の施行状況ですとか、さらなる発展に向けた対応の方向性について提言するものとしてまとめたものでございます。

 5ページ目ですけれども、こちらから第1章の制度の現状ということでお示しした内容になります。

 1.は自動車リサイクルを取り巻く環境ということでデータを示しておりますが、自動車保有台数が右肩上がりで増えていることですとか、自動車の平均使用年数が毎年増えていること、また不法投棄や不適正保管台数が法施行により大幅に減少したことなど、この1.の数字から読み取ることができます。

 7ページ目、8ページ目を御覧いただければと思いますけれども、こちらでは電動車関係の数字を掲載してございます。

 図5ですけれども、新車時預託台数における電動車の推移ということで示しておりまして、新車として販売される台数のうちハイブリッド車の割合が令和元年度で25%程度になっておりまして、電気自動車ということですとまだ2万台程度、全体の0.3%程度でしかないというところでございます。廃車ということで、使用済自動車として引き取られる電動車の台数になりますとさらに少なくて、ハイブリッド車でもまだ1%程度、電動車に至っては令和元年度の1年間でまだ400台程度しかない状況でございまして、電動車がリサイクルルートに本格的に乗ってくるのはこれからであることが数字からも分かるかと思います。

 13ページ目からは2.ということで、自動車リサイクル制度の運用の状況について記載してございます。13ページでは、登録・許可を受けている解体業者ですとか、破砕業者が数として減少傾向にあることが見られます。

 15ページからは、ASRの処理の状況ということでまとめてございます。法施行後、ASRの再資源化率は上昇してきておりますけれども、直近では海外の雑品スクラップ等の受入れ停止ですとか、再資源化施設のトラブル等の影響によって若干減少しているところでございます。

 18ページからは、フロン類、エアバッグ類の処理についてお示ししたものでございます。フロン類についてはCFCからHFCへの転換が進んだということで、見かけ上はCO2削減効果が低減しているところでございますが、HFCの引取台数は安定しているところでございまして、一定のCO2削減効果は出ているところでございます。

 エアバッグ類については、1台当たりのエアバッグ類の増加ということで20ページにありますように、台数ベース、個数ベースともに処理量が増加しているところでございますが、それらが制度の中で安定的に処理されているということでございます。

 21ページ目からは、リサイクル料金に係るお金回りについてお示ししたところでございます。リサイクル料金の預託がしっかりとなされていて、安定的に運用されている状況がこちらで確認できるかと思います。

 続きまして、26ページ目から、3.平成27年の報告書を踏まえた取組の状況ということで御説明申し上げます。

 まず(1)自動車における3Rの推進・質の向上ということでございまして、解体業者とメーカーとの環境配慮設計等のための意見交換などが行われたこと、その中で自動車リサイクル設計事例集が令和3年4月に公表されたことをまとめてございます。また、ユーザーインセンティブについても検討がなされてきたところで、こちらに記載してございます。

 また、リサイクル部品の規格化ということで、これまで検討ですとか試行が進められてきたことや、リサイクルの質の向上に向けた検討が行われてきたことなどを、こちらに記載してございます。

 続いて、27ページの(2)ということで、安定的・効率的な自動車リサイクル制度への発展というところでございます。情報発信・共有の在り方等に関する検討会が行われ、情報発信や共有の在り方について意見がなされて、まとめられたことなどを記載しておりまして、また自治体懇談会や自治体研修を通じて不法投棄や不適正処理等への対応を強化してきたことですとか、28ページには、廃発炎筒の処理における安全性を確保する観点から省令改正を行ったことなどをまとめてございます。

 それからJARCの運営に係る費用の見直しですとか、特預金の使途の検討、またメーカーにおける費用の内訳の公表、J-FARの設置など料金に関わる取組についても、この項目において記載してございます。

 最後、29ページ目以降、(3)変化への対応と国際展開ということで、電池の回収スキームなど変化への対応に関する取組や国際展開に向けた取組について、こちらに記載してございます。

 31ページ目でございます。次に、第2章ということになりまして、こちらで制度の評価ですとか、今後の検討の基本的方向性をまとめてございます。

 まず1.制度の評価ということで、法施行から15年が経過する中で不法投棄・不適正保管が大幅に減少して、またエアバッグ類やASRの再資源化目標も達成されるなど、制度として一定の成果が見られると考えてございます。また、料金についても使用済自動車になる前におおむね預託され、安定的に運用されているところでございますし、環境配慮設計についても取組が進められて、また再生資源の活用等に向けた技術開発ですとか、検討・取組も進められているところでございまして、制度としてはおおむね順調に機能していると評価してよいのではないかなということで整理してございます。

 一方で、海外のプラスチックですとか、雑品スクラップの輸入規制の影響による廃車ガラの滞留ですとか、不法投棄・不適正保管の残存ですとか、15年経過して個々の課題が残って存在しているところでございまして、それらの課題への対応が求められている状況であると記載してございます。

 2.でございます。自動車リサイクルに関連する施策の動向をまとめているところでございます。自動車リサイクルに関連する施策は大きく動いている状況でございまして、まず平成27年9月の国連サミットにおいて定められたSDGsについて記載しておりますが、持続可能な社会の実現を目指した取組が求められているところでございます。

 また、昨年10月には日本として2050年カーボンニュートラルの実現を目指すと宣言いたしまして、これを受ける形でグリーン成長戦略が策定され、自動車としてもライフサイクル全体のカーボンニュートラルを目指すとされてございます。資源循環分野においても、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄型の線形経済から循環社会への移行に向けた取組が進められておりまして、プラスチックの資源循環についても戦略という形で出されているところでございます。

 自動車もまた百年に一度の変革期ということで、CASEというところが進展してございますし、海外においても自動車の急速な電動化の動きの中で欧州ELV指令ですとか、バッテリー規則といったところの見直しが行われるなど、自動車を取り巻く環境は大きく変革しようとしている状況であると認識してございます。

 これらの動向を見据えて、将来の環境下における自動車リサイクル制度のあるべき方向性について、検討を進めることが必要だと考えてございます。そのような中、現時点において取り組むべき基本的方向性について3.に記載してございます。

 まず自動車リサイクルが安定的に、また効率的に運用されることが大前提であると考えておりまして、その上で3Rの推進・質の向上、また変化への対応や発展的要素に係る取組を進めていくことで、大きく3つの柱に沿って整理してございます。詳細は第3章において説明いたします。

 それでは、34ページ目を御覧いただければと思います。安定化・効率化ということで1つ目の項目ですけれども、ASRの円滑な再資源化でございます。先ほども触れさせていただいたとおりASRの再資源化をめぐる状況ですが、外国の輸入規制ですとか、再資源化施設の事故の発生等により変化しているところでございまして、それらがASRの直接埋立てですとか、単純焼却、あるいはASRの引取時期の調整といった形で出てきているところでございます。ASRの引取りが滞ることは自動車リサイクル全体に支障を生じるということでございまして、ASRの差配に万全を期すことが必要ですし、またASRの発生を抑制するなど、方策を検討するべきという形で整理してございます。

 具体的には、四角囲みの2つの矢尻で記載してございます。

 1つ目として、法第31条に基づく全部再資源化の取組を促進する方策を検討するべきとしております。2つ目の矢尻に、解体・破砕段階においてプラスチックやガラス等の素材を回収するための解体インセンティブ制度の具体化に向けて、令和3年度中に検討を開始すべきというように記載させていただいております。また、その際には制度参加者の特性ですとか、地域特性への配慮をすること、インセンティブが不適切な形で与えられない仕組みの工夫が求められる旨、記載してございます。

 続いて、35ページを御覧いただければと思います。リサイクル料金の適切な管理・運用ということでございます。指定3品目のリサイクル料金ですけれども、こちらは自動車製造業者等が料金設定をしているところでございますが、十数年後を見据えて料金設定することが困難であることもございますし、あとコスト削減ですとか利息の発生というところがございまして、令和元年度ベースでは約41億円の黒字が発生している状況でございます。これに関連してメーカー等は料金の値下げを行ってきたということでございまして、また同時に、余剰部分の活用策として個社の事業ですとか、J-FARへの拠出等も行ってきたところでございます。

 一方で、今回余剰部分についてより所有者に直接的に還元するという観点から、当該黒字をメーカーが受け取らずにJARCで特預金に位置づけて、所有者の負担の軽減に活用するという提案が自工会よりなされたところでございます。

 このような動きの中で、四角囲みの中に記載のとおり整理してございます。

 1つ目として、メーカー等が実費のみを請求する方式に変更することを検討し、具体化に向けて令和3年度中に検討を開始すべきと記載してございます。2つ目として、実費請求方式を実施するに当たっては黒字を受け取らないことになりますが、一方で、赤字部分はメーカー等が自ら負担するということでありますので、料金を高めに設定するのではなく適正に設定するように、その適切性を国に説明するなどして確認していくことが必要ではないかということで記載してございます。

 最後に、実費請求方式により特預金が増加するということでございまして、またそれに加えて、今後とも毎年一定程度の特預金が発生するということでございますので、資金管理料金、情報管理料金の割引など特預金の使途について検討を行うべきである旨、記載してございます。

 36ページ目は、JARCへの費用負担についての論点でございます。自動車メーカー等は、制度創設当初から自動車リサイクル制度における中心的な役割を果たすべき存在として、自主的にJARCのコストを負担してきたところでございます。こちらの負担について、先ほど御説明した実費請求方式などにより特預金が増加する状況も今後見込まれる中で、費用負担の在り方をこの状況を鑑みて改めて整理してというところでございます。

 四角囲みの中に記載のとおり、特預金が留保すべきと考えられる額を超えて相当程度存在する場合は、当該特預金をJARCのコストに充てて、メーカー等の自主的な拠出を休止することが適当であるということで記載してございますし、またその中でも、自動車製造業者等の制度に対する中心的な役割は引き続き存在するということで、JARCの安定的な運営に支障が生じると判断される場合は自主的な拠出を再開することが適当であると整理してございます。

 続きまして、37ページ、各種セーフティネット機能の点検でございます。自動車リサイクル法においては、指定3品目について自動車所有者の料金を充てて再資源化等を行うことで、使用済自動車の逆有償化を防いでいるということでございます。ただ一方で、一般の商流では生じない離島からの海上輸送費ですとか、車台番号が不明な車両の処理費用ですとか、こちらは逆有償化するリスクが存在する場合がございます。自動車リサイクル法においては、このようなリサイクルに対してもきちんと費用的な支援をする旨規定しており、そのような形でセーフティネットを整備しているところでございます。

 また、近年の大規模災害の発生に伴う被災自動車もそのリスクの1つでございます。引取先の調整等により被災地の復興が滞るようなことのないように、平時から自治体や関係者において体制整備をしていくことが必要でございまして、このために国やJARCは自治体に対して被災自動車処理のための手引書・事例集の作成や周知の支援をしていくということでございます。

 それから、ユーザーから料金を徴収していないタイヤ、発炎筒、鉛蓄電池、LIBについても、逆有償化を防ぐために業界団体による自主的な共同回収スキームが構築されているところでございます。

 また、今後自動車が変革していく中で新たな部品や素材が出てくることも考えられますので、それらのセーフティネットということでもきちんと整備していく、考えていく必要があるということでございます。

 したがって、四角囲みの2つ目の矢尻に記載してございますが、セーフティネットが適切に機能しているか、引き続き本審議会においてフォローアップするべきということで整理してございます。

 また、その中でも被災自動車の処理については解体業者等が負担して行っているというお話もございましたので、1つ戻って、1つ目の矢尻に記載しておりますけれども、それらの負担については、まず実態把握をした上で必要な方策を検討するべきであるという形で整理してございます。

 続きまして、38ページ目でございます。自動車リサイクル法の適切な執行ということでございます。こちらは法の適切な執行に当たって、関連業者に対して直接指導を行う自治体の取組が非常に重要になってくるということでございまして、基礎知識研修ですとか、ステップアップ研修を通じた自治体担当者に対する支援ですとか、また不法投棄・不適正保管対策に関する試行的財政支援拡充事業などを行っているところでございます。

 また、エアバッグ類のインターネットオークションでの流通ですとか、ヤードと称した無許可で解体する事業者の問題もございますし、解体自動車の全部再資源化ということで原材料として輸出するような方法についても、不適正な輸出が行われないようにするべきというお声もございました。

 このような点について四角囲みの1つ目でございますけれども、課題をしっかりと把握をして、自治体研修や対応事例の横展開、自動車リサイクル情報システムでの対応等により、自治体等による指導監督の強化の方策を講じるべきということで整理してございます。

 また、日本語が分からない外国人事業者に対する指導に苦慮しているという御意見もありました。こちらは法令遵守の啓発のためのガイドラインの多言語化等の支援について検討するべきということで、2つ目の矢尻に記載してございます。

 3つ目として、優良事業者の育成は非常に重要な課題だということでございまして、自動車リサイクル機構における自動車リサイクル士の講習制度など、業界団体による取組を充実させていくことが重要であるということで整理してございます。

 続きまして、39ページを御覧いただければと思います。ここでは情報システム活用を通じた効率化について整理してございます。自動車リサイクル情報システムですけれども、自動車リサイクル制度を運用していくための非常に重要な社会インフラということでございまして、制度開始以降、大きな事故なく安定的に稼働してきたものと理解してございます。

 他方、制度開始から長い期間がたちまして、情報技術ですとかセキュリティ技術は発展しておりまして、さらなる効率化・利便性の向上、また信頼性・安全性の向上などが求められている現状だというように理解してございます。令和8年1月を目標にシステムの大規模改造ということで、現在作業に着手しているところでございまして、その中で、例えば紙で発行することが基本になっているリサイクル券の電子化なども検討が進められておりまして、自動車所有者の利便性の向上だけではなくて引取業者や解体業者等の業務効率化の観点からも、様々検討していくべきだと考えてございます。

 それだけではなくトレーサビリティの拡大・強化、また自動車リサイクルの高度化といった資源循環の観点からも、システムの付加価値をさらに高めることも念頭に置いた改造を行っていくべきと記載させていただいてございます。またこれらの改造に当たって、自動車リサイクルを取り巻く環境の変化の動きに可能な限り対応できるように、拡張性にも考慮する必要があると考えてございます。そのような観点で大規模改造における対応の方向性について、四角囲みの中にまとめさせていただいているところでございます。

 続きまして、41ページ目を御覧いただければと思います。普及啓発全般についてまとめたものでございます。自動車リサイクル法においては、自動車所有者はリサイクル料金を負担することや、自動車を長期間使用すること、再資源化等の実施に配慮して製造された自動車を選択すること、また修理時にリユース・リビルド部品を使うことなどに努めるように、法の中で規定されているところでございます。自動車所有者がそのような点に努めることができるように、関連主体がそれぞれの役割の中で自動車所有者に情報提供を行い、動機づけしていくことが求められてございます。

 具体的に申しますと、その下に記載しておりますけれども、例えば自動車製造業者等による環境配慮設計に関する情報の提供により、そのような車両をユーザーが選択するように促すとか、自動車販売業者がリサイクル料金について情報提供し、自動車を購入する方がリサイクル料金を適切に支払うことを促すとか、そういった形で情報提供の動機づけをしていくということでございます。

 このような関連主体の情報提供を円滑に行うために、自動車所有者に限らず子供なども含めて、自動車リサイクルについて広く認識を高めていくことが重要であって、そのような目的のためにJARCですとか、関係団体においても普及啓発が行われているところでございます。JARCの調査によると、自動車所有者であってもリサイクル料金を支払ったという認識がまだ6割程度でございまして、自動車所有者の担うべき役割の認識については、さらに向上させる必要があると考えられます。

 したがって、四角囲みの中に記載のとおり、自動車所有者の理解促進のための一層の情報発信を行うべきであるということで整理してございます。

 続きまして、42ページでございます。こちらからは2つ目の柱、3Rの推進・質の向上についてでございます。

 まず、(1)再資源化の高度化でございます。循環型社会形成推進基本法における基本原則としては、再使用できるものは再使用し、再使用できないものは再生利用、再生利用もできないものは熱回収、それらの循環的な利用ができないもののみを処分することとされておりまして、プラスチック資源循環戦略においてもプラスチックの使用について再生資源等に切り替えることで、3RRenewableという基本原則が打ち出されているところでございます。これを踏まえて自動車リサイクルにおいても、自動車への再生資源の利用を拡大していくなど、3R+Renewableを進めていくことが重要だと考えております。この合同会議でも議論させていただいたとおり、プラスチックやガラスの収益性の低い素材の多くは解体・破砕段階で回収されずにASRとして熱回収されている現状がございますので、ここのリサイクルの質を高めていくことは非常に重要なことだと認識しております。

 また、設計・製造段階での易解体設計など環境配慮設計の取組や技術実証なども重要なことでございまして、それらの観点で43ページの最初の四角囲みに記載のとおり、方向性を示してございます。

 また、部品のリユースの促進も重要な論点でございます。部品リユース促進のためには、リユース・リビルド部品が自動車所有者にとって信頼して選択できるものであることが必要だと考えておりまして、そのための情報発信や規格化についての課題の整理等を行っていく必要があるということで、まとめてございます。

 そのほか、ASRの円滑な再資源化のパートでも申し上げた解体インセンティブのところも、素材のリサイクルの高度化につながるものとして重要だということでございまして、また、戦略的な資源確保の観点から金属の回収やリサイクルを推進することも重要な観点であるところで、こちらに整理させていただいております。

 続きまして、45ページ目を御覧ください。有害物質の適切な対応についてDeca-BDEの議論が国際的にも継続している状況でございまして、今後決定されるDeca-BDELPCを踏まえて、有害物質管理、再生資源の活用としての両立のための方策を検討すべしということで、整理させていただいております。

 46ページ目でございます。3つ目の柱、変化への対応と発展的要素のうちカーボンニュートラルの実現や、それに伴う電動化の推進や車の使い方の変革への対応ということで記載してございます。2050年カーボンニュートラルの実現を目指すに当たって、自動車リサイクルにおいては、カーボンニュートラルに対応した電動化、自動車の変革に対してリサイクル側として対応していく話と、自動車リサイクルスキームそのものにおいて排出の削減を進めていく。この両方を進めていく必要があると考えてございます。

 自動車については、これまで内燃機関のみを用いた自動車では使われなかった部品、特に電子部品などが増えてくることが見込まれますし、また新素材なども増えてくることを考えると、それらの変化に制度として対応する必要が出てくるということでございます。また、駆動用電池についてはコバルトですとか、ニッケルといったレアメタルが多く含まれるということでございますので、戦略的な資源確保の観点からもリユース・リサイクルは重要なことになってきます。

 また、電池のリユースの活性化のためには、電池の価値の評価手法の確立が重要なポイントになってきますし、また電池の回収の在り方というところもございます。

 その下、リサイクルの面のところに書いていますけれども、自動車製造業者等によるLIBの共同回収スキームが稼働しているところでございますけれども、今後電動車の増加により処理すべき電池の数が多くなってくることですとか、国際的な電池リサイクルの在り方の検討が今行われている、それらの状況を踏まえて自動車リサイクル制度上、蓄電池をどう扱うべきか検討していくことが求められるところでございます。

 また、自動車の廃棄段階ということで47ページに記載してございますが、そちらでの温室効果ガスの排出削減としては、解体・破砕段階で回収される部品・素材等を含む使用済自動車全体での資源循環について評価をする必要があると記載してございます。特にASRの大部分は熱回収されておりまして、温室効果ガスを発生させていることがございますので、再資源化の在り方について改めて検討が必要であるということで、整理させていただいております。ここについて資源循環分野全体の動きがございましたので、それらの動きとも整合を取りつつ、検討を進めていく必要があるということでございます。

 まとめとして四角囲みに記載のとおり方向性を示しておりまして、御覧いただければと思います。

 まず回収、リユース・リサイクルのための技術開発ですとか、体制整備が必要であるということでございまして、その中で新しい部品や素材の使用が出てきたときに、環境配慮設計の考え方も重要だということで整理させていただいております。

 また、電動化の推進や車の使い方の変革により部品など変化が生じる中で、現在の市場を活用したリサイクルにも大きな変化が生じる可能性がございますので、その影響を把握していくことが大事だと思いますし、今後そういったところを検討していく必要があると考えております。

 3つ目の矢尻に記載しておりますけれども、自動車リサイクルスキームそのものにおける温室効果ガス削減について現在の排出実態を早急に把握して、使用済自動車全体での排出削減対策について施策を講じていく必要があるということで記載してございます。

 最後に、48ページ目、4つ目の矢尻でございますが、今後カーボンニュートラルや電動化の動きの中で、必要なタイミングで自動車リサイクル法の見直しも含めた制度の在り方を検討するべきという形で整理させていただいております。

 続きまして、49ページ目を御覧ください。国際貢献に向けた取組ということでまとめてございます。新興国においてはまだ自動車リサイクル制度が整備されていない国も多く、それらの国と政策対話等を通じて我が国の知見を伝えていくことですとか、我が国の自動車リサイクル事業者が海外進出するところの支援をするなど、国際支援の在り方について検討していくことが重要なことだということで整理してございます。

 このように、これまで御説明したような形で第3章においては個別の課題や、それに対する検討、対応の方向性についてまとめてございますけれども、50ページでは第4章ということで、将来に向けた留意事項について記載してございます。

 今回の評価・検討に係る合同会議の議論においては様々御意見いただきまして、例えば料金の様々な用途への活用についてですとか、中古車輸出時の預託金や利息の返還、また大きくは他車充当方式というお話、そちらも御意見いただきました。

 ただ、それらの事項は制度の全般的な見直しの検討が必要となるものもございまして、そういったところで本日、何度もこれまでちょっと御説明させていただきましたけれども、自動車を取り巻く環境が大きく変化している中で、それに伴い既存の市場原理を活用した現行制度の在り方を含めて、全般的な制度の見直しを考える時期がいずれ到来すると考えられますので、いただいた大きな御意見は、その検討の動きと併せて検討するべきだということで整理させていただいてございます。

 51ページでございます。おわりにというところでまとめてございますけれども、この報告書で示された方向性に基づいて今後検討して対応していくことになりますけれども、審議会の中でも定期的にフォローアップを行っていくものと考えております。また、これまで5年ごとに本審議会において制度の評価や検討を行ってきたということで、5年、10年、15年とやってきましたけれども、自動車を取り巻く変革の動きを鑑みたときに、必要と判断される場合は速やかに検討を行うことが適当であると考えておりまして、その旨、記載させていただいてございます。

 以上、報告書(案)についての内容の御説明でございました。

 私からの説明につきましては以上になります。

○村上座長  ありがとうございました。

 それでは、今御説明いただきました報告書(案)につきまして皆様から御意見、御質問をいただきたいと思います。御発言を御希望される場合はSkypeのメッセージ機能で、まずお名前の御記入をお願いしたいと思います。御記入いただいたお名前を見ながら、順次指名させていただきたいと思います。こちらから指名させていただきましたらマイクのミュートを解除しまして、ビデオオンということで御発言をいただければと思ってございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 自治労・高橋委員から、まずお願いいたします。

○高橋委員  発言許可をいただきまして、ありがとうございます。自治労の高橋でございます。

 本日の報告書(案)の第3章になるのですけれども、38ページの(4)自動車リサイクル法の適切な執行の部分なのですが、最初のほうに「令和2年度には不法投棄・不適正保管対策に関する試行的財政支援拡充事業を行っている」と、今後についても「不適正事案への対応に活用する」というような形で書いていますし、その後、第2パラグラフでも「国及び自治体、業界団体等が連携し、こうした不適正事案を是正するための取組を実施」するというようにお書きいただいています。

 まさにそのとおりなのですけれども、今後の検討事項ということで、矢尻の1点目の最後に書いていただいています「自治体等による指導監督の強化の方策」ということとともに、やはり不法投棄や不適正保管といったものに対応するための財政支援については、さらに拡充していく。そういう事業として拡充していくということ。それから、それに対応するマンパワーの問題についても支援いただくことを引き続きお願いしたいなと思っております。

 さらに、(5)情報システム活用を通じた効率化の中の第3パラグラフの最後になりますが、「引取業者や解体業者等の業務の効率化」というように表現いただいております。私どもこれについて、ここに「販売店」という表記が必要なのではないかと考えております。やはり現場で排出されるのは多くの場合、買替えが多いと考えておりまして、その点では実際にユーザーと接点があるという意味で販売店の役割は非常に重要だなと考えております。そういう意味で検討事項で書いていただいているように、担い手の中で手続についての簡素化であるとか効率化というような表現がありますけれども、実際にこれから制度が円滑に運用されるために非常に重要だと考えておりますので、ぜひこの点についても御留意いただければと思います。

 以上、2点でございます。

○村上座長  ありがとうございました。

 それでは、次、鬼沢委員、お願いいたします。

○鬼沢委員  鬼沢です。ありがとうございます。

 私は43ページのところなのですけれども、幾つかの項目で令和3年度中に検討を開始すると、しっかり書かれていることは非常にいいと思います。

 それで43ページの上のほうの2つ目の矢尻のところに「情報発信等の消費者の選択を促すための方策」、このフレーズも非常に大切だと思います。それを考えますと、情報発信のところにも「消費者の選択を促すための情報発信」というフレーズがあってもいいのではないかと思います。そのことは三牧さんの説明の中ではしっかりおっしゃっていましたけれども、単なる情報発信だけではなくて、その情報をしっかり消費者、ユーザーが受け取って行動の変革を起こしていくという意味では、消費者の選択を促すための情報発信をしていかないといけないと思いますので、その一言を情報発信の部分にも入れていただいていいのではないかと思います。

 以上です。

○村上座長  どうもありがとうございます。

 それでは、続きまして井岡委員、お願いいたします。

○井岡委員  井岡でございます。お世話になります。

 今回おまとめいただいた内容は多様な問題に対する御配慮が大変なされて、これでよろしいかと私は感じます。前代未聞の急激な変化の中で、このようなおまとめは大変な御苦労がおありだったと思います。特に内容について付け加えることはないですが、私が重要と考える2点、情報交換と現場を大切にしてほしいということをお伝えしたいと思います。

 1つ、情報交換については、まず製造業者と解体業者さんとの間の情報交換、2つ目が地方自治体との情報交換ということで講習などにより、さらに不適正保管が減ることを希望したいと思います。

 2つ目の現場についてですが、先ほどもお話があったようにユーザーがリサイクル券を受け取るときの御説明です。唯一御説明していただける現場も大切にしていただきたい。もう1つの現場としては、解体業者さんの現場です。これも今後急激に変わっていくと思われる車体に関しての変化の対応は、素早いものが求められると思います。そして自動車リサイクル士さんの資格の普及。それによる解体業者さんへのレベルアップ、底上げと差別化です。できれば外国人労働者の方も資格を取る機会があれば、行く行くは国際貢献にもつながっていくのではないかと考えました。

 まとめといたしましては、ペーパーレス、ASRの処理、他車充当など、制度全てにおいて5年を待たず変革に柔軟に対応していくことが大切だと考えます。

 以上です。よろしくお願いします。

○村上座長  ありがとうございます。

 それでは、続きまして自動車リサイクル機構・酒井委員、お願いいたします。

○酒井委員  自動車リサイクル機構の酒井です。ありがとうございます。

 今回の報告書(案)につきましては今後に向けたいろいろな角度からの議論ができたと思いまして、内容についてもいろいろ出た意見が反映されていて、基本的にいいのではないかと思っております。

 報告書(案)にもあるように、カーボンニュートラルとか社会的には非常に重要なポイントかと思いまして、カーボンニュートラルの2050年という期限、それから触れられていますがEU指令もちょっと遅れているようですが、間もなく改正された案が今年か来年かにはまとまるのではないかというようなことも聞いておりますので、自リ法の内容を総合的に見直していくようなことも提案いただいて、記載いただいているのですが、これはもう継続的にやっていくぐらいのことでないと時間的に急ぐべきポイントなのではないかなと思いまして、5年を待たずにというような表記はありますが、全般的な見直しはもう継続的に検討していくべきなのではないかと思っております。

 それから、私ども自動車リサイクル機構といたしましては、一連の合同会議の中で提案させていただきましたポイントといたしまして、法改正とは直接関わりがないと整理いただいているポイントが幾つかありまして、そのうちの1つが中古車段階の売買におけるリサイクル料金、外出しにせずに中古車価格に含んでいくような、そういう商流をぜひ書いていただきたいということや、あとは法施行後、見直しがされていないフロンやエアバッグ回収の作業料金といったものの改定。これも法改定ではないという整理ですので、ぜひ継続してお願いしたいところであります。

 あと、リサイクルシステムの大規模改修のスケジュールが決まっているわけですけれども、これらリサイクルシステムだけではないですがリユースの促進です。この部分を目指したいろいろな制度であるとか、それからリサイクルシステムも、例えば適正に処理される車の部品がリユースされるために必要な部品情報。これからどんどん次世代自動車になっていくと部品がコンピュータ化していって、ブラックボックス化していくところがリユースを促進することとトレードオフの関係になりかねないと我々の業界は見ておりまして、それを促進するための、リユースすることができるための情報を、例えばリサイクルシステムから取れるとか、そのようなこともぜひ含んだ拡張性を持ったシステムを考えていただきたいと思っております。

 それから報告書からも、井岡委員からも触れていただきましたが、私どもが運用しております自動車リサイクル士の講習会のシステムですが、全許可業者の中から見るとまだまだ受講者数が多くない現状なのですが、これだけ皆さんから応援いただく制度ですので、私たちも業界が自分の力で自分たちを高めていくつもりで頑張っていきたいと思っておりますので、関係の皆様にはぜひこの制度の後押しをお願いできたら非常にありがたいなと思っております。

 以上です。

○村上座長  ありがとうございました。

 今の段階でチャットにお書きいただいている皆さんまで一気に、そのあと乗田委員の話をお伺いしておりますので、そこまでお伺いして回答とさせていただきたいと思います。

 それでは、続きまして武藤委員、お願いいたします。

○武藤委員  武藤です。

 報告書について一通り読ませていただきまして大変よくまとまっていると思っていますが、些細なことなのですが41ページ、(6)普及啓発のところの1行目ですが、「自動車リサイクル法において、自動車保有者は、リサイクル料金を負担しており」、この「負担」という意味は、新車の場合はリサイクル料金を支払うわけですが、中古車になると預託金を負担していただくことになるので、用語として「負担」が一番よろしいかと思うのですが、10行目に、同じように「自動車所有者が適切にリサイクル料金を支払うよう」と書いてあるので、ここも「負担」というように一応統一したほうがいいのかなというのが1点目です。

 2点目は、46ページを開いていただくと(1)でカーボンニュートラルの話が出てくるのですが、今カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会というのがありまして、そこでもいろいろ議論しているのですが、LCAの観点に基づいてカーボンニュートラルの議論を進めるのが大きな流れというのですか、皆さんの意見になっていることも踏まえて、ここでいきますと第2パラグラフのところに「自動車リサイクルとしては、温室効果ガス排出の」とあるのですが、その前に「LCAの観点に基づいて自動車リサイクルとしては」というように続けていただくと、今のLCAとカーボンニュートラルの関係がかなり明確になるのではないかなと、これは提案としていかがでしょうかということです。

 以上です。

○村上座長  どうありがとうございました。

 それでは、続きまして赤穂委員、お願いいいたします。

○赤穂委員  取りまとめ、ありがとうございました。基本的に案には賛同したいと思います。その上で幾つか意見を述べさせていただきます。

 まず、やはりJARCの役割が重要になります。それを改めてどこかにしっかりと書く必要があるのではないかと思います。今回自動車メーカーからの資金拠出がなくなることになります。JARCの独立運営体制となります。JARCが資金を管理するという役割、とても大事なのですけれども、それだけではなくてリサイクルに関するあらゆる情報、いいことも悪いこともJARCに集まってきます。そうした情報をしっかり精査して、必要ならメーカーや解体事業者さんなど、関係者に適切な指摘をする役割を担っていくのだという高い志で運営を行っていただくことを期待したいと思います。そういう意味でも、JARCの果たすべき役割をどこかに明記しておく必要があるのではないかと思います。

 また、自動車リサイクルは順調に機能していると言えますけれども、資源の有効利用が世界的に課題となっています。自動車リサイクルについても、さらなる進化を続けていかなければならないと思います。ASRのプラスチックやガラスなどの再資源化を進めるためのインセンティブ制度の創設が今後導入されます。制度が円滑に進むには、公平で公正な仕組みであることが大前提になると思います。その上で解体事業者さんが意欲をもって取り組める、事業として成り立つような仕組みを今後しっかりと考えていく必要があると思います。

 また、自動車メーカーさんには製造段階からリサイクルのことを考えて、車の設計や素材の選択を行うという考えをさらに徹底していただきたいと思います。例えば鉄からアルミや炭素繊維。CFRPなど様々な素材が使用されていきます。添加剤もたくさん使われていきます。また、蓄電池にはレアメタルやレアアースも多数使われております。これらの素材がリサイクルの段階でどんな影響があるのか。再利用する上でどんな問題が生じる可能性があるのか。こういったことを設計段階から考えることを徹底して、できる限り開示をしていくことが必要だと思います。

 また最後に、リサイクルとカーボンニュートラルの関係についてですが、先ほど武藤委員もおっしゃいましたが、自動車のLCA、ライフサイクル全体で排出されるCO2を把握する必要があると思います。これまで自動車メーカーさんが自社だけでなくて、一次サプライヤーとか二次サプライヤーさんを含めた製造段階の排出量についてはかなり把握されつつあると承知していますが、廃車後のリサイクル段階の排出状況については、現時点では誰もきちんと把握はできていないと思います。リユースした場合とか、サーマルリサイクルをした場合など、それぞれで温室効果ガスの排出にどんな影響を及ぼすのかを把握することが重要ではないかと思います。それらを何らかの形で情報を集約していく必要があるのではないかと思います。

 以上です。

○村上座長  どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして大塚委員、お願いいたします。

○大塚委員  大塚です。

 とてもよくまとまっておりまして、ありがとうございます。関係者に敬意を表したいと思います。

 2点だけ申し上げさせていただきますけれども、1つは、43ページのところでリユースの話が出てきますが、先ほど酒井委員がおっしゃったこと。つまりリユースのため部品についての情報を充実させていくことは、非常に重要だと思っております。サーキュラーエコノミーのEUの議論の中でも修理のところの問題が結構重視されていまして、修理の権利が消費者にあることも2020年の第2次のアクションプランでは結構強く打ち出されています。これは安かろう悪かろうという製品は排除していくことも含めていまして、産業政策も中に入っているということでございますので、そういう観点を日本でも入れていく必要がサーキュラーエコノミーとの関係で非常に重要になってきているのではないかと思います。リユースについて書いてある修理のところに関しても、もう少し記述を充実させていただけると大変ありがたいと思います。

 最後の50ページのところですけれども、他車充当の話も出ていますが、他車充当に関しては、1つは、拡大生産者責任の観点からするとそこから乖離していってしまいますので、環境配慮設計の観点から問題があるということ。2つ目に、その時々の自動車メーカーのシェアの違いによって、メーカーの負担が公平でなくなる問題があるということ。3つ目に、既に存在している8,600億円のリサイクル料金の返却が問題になりますが、それ自体非常にコストがかかりますので現実的でないことなどがございますので、将来的な課題にはなっていますけれども、慎重に扱っていただけるとありがたいと思います。

 以上でございます。

○村上座長  どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして織委員、お願いいたします。

○織委員  織でございます。発言の機会をありがとうございます。

 私もほかの先生方と同じように、15年間のまとめとして包括的に非常によくまとめられているかと思います。

 ただ、2点ほどもう少し足していただければなと、強調していただければなと思っていることがあって、この15年の間にどの程度、実際に自動車の廃棄物が減量化されたのか。あるいは、設計変更による長寿命化が進んだのかということについて、もう少し具体的なデータを入れていただいてもいいのかなと思っています。というのは、自動車リサイクル法第3条の事業者の責任の中で、制度設計変更による長寿命化というものが責任の一端として書かれております。この15年の間にいろいろな取組の工夫が現実になされていると思いますので、できましたら今からアジア等に向けてジャパンモデルを普及していくに当たっては、自動車メーカー全体で取り組んできた制度・設計変更によって長寿命化、廃棄物の減量がどのように進んできたのかということも具体的に入れていただきたいと思います。というのは、この報告書全体においてリサイクルの高度化のところにはすごく焦点が当たっているのですけれども、減量化ですとか、あと先ほど大塚先生が言っていたリペアですとか、長寿命化という点がやや具体性に欠けているような気がしますので、そこのところについて補充していただければなと思います。

 もう1点は、現行の法律の限界といいますか、今4章のほうでも話されているように、いろいろ自動車をめぐる状況というのはすごく変わってきています。そうした中で今の法律で資金の使い方ですとか、あるいはJARCの役割というのがなかなか柔軟に現状に対応できない。どうしても限られたシステム拡大といったものにしか使えない。もっともっと自動車リサイクル、あるいは循環型に向けて自動車製品を考えていく上に当たって、費用を投入すべきところは本当のことを言うと幾らでもあるのだと思うのです。それが法律によって規定されているがゆえに動きがすごく鈍くなっているところは、先ほど説明の中でも今後の議題としてというようにおっしゃっていましたが、重ねて現行の法律の規定によって柔軟に、あるいはチェンジに対応できないところについては、その規定を改正していく方向で議論が進んでいくことを望みます。

 以上です。

○村上座長  どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして松八重委員、お願いいたします。

○松八重委員  発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。東北大学の松八重です。

 皆様が冒頭されていますように、私自身も今回の報告書は非常によくまとまっていると感じております。ただ、少し補足といいますか、コメントをさせていただきたいと思います。

 39ページにあります情報システムの活用のところについてですが、比較的自動車リサイクルのみならず、何となくこの辺りは全体的に苦手な感じの分野かなと感じております。特に自動車のように製造時から廃棄段階まで10年、15年というような長い時間を要するような製品に関しましては、製造段階で意識していたリサイクルで求められる要素というのと、それから実際廃棄・解体・再資源化をする際に求められる社会状況、世界的な状況なども変わってきますので、管理すべき対象などが変わってくることもあろうかと思います。もちろんそういったことを意識しながら、ものづくりに皆さん携わっておられることを意識してはいますけれども、例えば製造段階でQRコードですとか、バーコードですとか、何か統一した、この場所に確実に、その当時で考え得る解体の方法。しかも、それがアップデートできる形で管理していくとか、あるいは今の段階で回収に気をつけるべき元素ですとか、素材といったものがどこにあるのかという情報も集約するような、そういった業界をまたいだ情報共有のスキームみたいなものもあってよいのかなと思っております。

 トレーサビリティですとか、ペーパーレス化という言葉は確かにここには書いてあるのですけれども、何となく比較的受け身というような印象を受けます。自動車リサイクルも長年培われてきた知見というものがありますが、そろそろ受け身ではなくてリサイクル側から製造側といいますか、そういった人たちともう少しうまく協調しながら、どのようにこういったリサイクルに関わるような情報を共有すべきなのか。次の10年、20年を見据えて提案するといいますか、目指すといいますか、そういったことも少し書いていいのではないかなと思います。特にここは環境省さんだけではなくて経産省さんも入っているような場所ですので、この辺りの強調というものも、もう少しこの中に含めてもいいのではないかなというように、ちょっと感じております。

 もう1点、46ページ辺りです。カーボンニュートラルを目指した自動車リサイクルというのは、もちろん重要なことだと考えております。ですが特にASRのような非常に処理が困難なものも含めて、日本のきめ細やかな自動車リサイクル、結構小規模のELVのリサイクル業者さんがいるところもかなり強みだと思っています。この辺のところで非常に管理がしづらいといいますか、ここで議論をされておりますガラスやプラスチック、繊維等々そうなのですけれども、報告書に書かれているのは比較的大きな規模で実施できるような技術に、それをもう少し拡大していくべきだというような示唆はあるのですけれども、きめ細やかなリサイクルを実現していくような小規模のELV業者。地域で利用可能なスキームですとか、あるいは技術支援も重要だということも、この中で少し示唆されてもよいのではないかと感じております。

 この点につきましては先ほど武藤さんから御意見もありましたけれども、LCA的な立場で見たカーボンニュートラルの自動車リサイクルのスキームというものも提案していくべきだというように、LCAという言葉を追記していただく必要があることを言っていただいて、それはLCAに携わる人間として非常に心強く感じておりますが、一方でLCAが対象としているのは必ずしも炭素だけではなくて、ほかの様々なサプライチェーンリスクが懸念されるような対象物質に関しましても、ライフサイクルで見た管理が重要だということを示唆してございます。資源循環の高度化という言葉の中に一部含まれておりますが、もう少し踏み込んで優先的に見てサプライチェーンリスクの最小化を目指すようなシステム提案というように書いていただきますと、温暖化だけではなくて様々なリスクの高い資源調達、その循環の重要性みたいなものも文章の中に含めることができるのではないかと感じておりますので、その辺りについても御検討いただければと思います。

 発言は以上です。

○村上座長  どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして根村委員、お願いいたします。

○根村委員  NACSの根村でございます。今日はお世話になります。よろしくお願いいたします。

 今回の報告書(案)につきましてですが、おまとめいただき、ありがとうございました。何年度中に検討を開始するなどということまで一部触れていただきまして、本当に恐れ入ります。ありがとうございます。

 申し上げたいのは1点でございます。ほかの委員の方から御指摘もございましたし、また47ページの一番下の矢尻にも書かれていることでございますけれども、使用済自動車全体の資源循環における有効利用については、リサイクルのLCAなどの分析・評価をぜひお進めいただきたいと思います。そして、その結果を42ページにも章立ててございます、「3Rの推進・質の向上」というところにつなげていっていただければと思っております。松八重先生からも御指摘がございましたが、炭素だけではなくてほかの部分もLCAからは計測できるということでございますので、ぜひそういった結果というものを評価に加えながら、特にASRなどについても考えていっていただきたいと思っております。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○村上座長  どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして佐藤委員、お願いいたします。

○佐藤委員  佐藤でございます。

 今回の報告書を、まとめいただきありがとうございます。全体として課題も、それから今後取り組む事項も明確にしてあり、現在の到達点、それから今後の方向性についても明確にできた点について、大変高く評価したいと思います。

 今回の審議会の中で私が非常に重要だと思ったのは、メーカーの請求が実費精算方式へ転換する。それからシュレッダーダストの減量リサイクルについての方向性が固まった点です。

 また、第4章で、今後の課題も集中して書いていただいております。メーカーの請求が実費精算請求になったことにより、自車充当方式の内容は大きく変容していると思います。自車充当と他車充当は対立概念ではなくて、段階的に様々な制度設計が可能だと私は思いますので、今後も柔軟な制度設計、それからリサイクルに資した対応というのをお願いしたいと思います。

 特にバッテリーへの対応は重要だと思います。今後は減少傾向にあると思いますが、鉛バッテリーについて、それから今後増加すると思われる電気自動車の蓄電池のリユース・リサイクルは大きな課題です。環境負荷の低減と資源回収等が進むよう、ぜひ自動車リサイクル法の対象とするということを私は強く希望したいと思います。

 以上です。

○村上座長  どうもありがとうございました。

 それでは、最後ですが乗田委員、どうぞよろしくお願いいたします。

○乗田委員  鉄リサイクル工業会・乗田でございます。

 今回の報告書を読ませていただいて、本当に我々としても長年お願いしておりましたASR削減のためのビフォアシュレッダーのマテリアルリサイクルが正式に議論されるようになり、昨年来インセンティブの分科会、それからガラスの勉強会等にも参加させていただいて、議論が進んでいるということは大変ありがたく感謝しております。

 ただ、そうした中で鉄リサイクル工業会会員の破砕業者の中で議論して、その中における問題点といいましょうか、課題について、まず2点、指摘させていただきたいと思います。

 私、不勉強で、廃ガラス、カレットのマーケットについてほとんど知りませんでしたけれども、いろいろ皆様の御報告を聞いていると自動車から出る廃ガラスはもちろん再利用可能ではあるけれども、価格がとても安い。ですから、解体業者の段階で取り外してリサイクルに回していく費用、コストに見合うだけの売上げが立たず、実際に取り外しを行うことがなかなか難しい。それをインセンティブで賄おうとすれば、果たして今ASRの処理費用と、それが削減されるだけのコスト減でガラスのリサイクルが出来るのだろうかという素朴な疑問が出てまいりました。

 2点目につきましては、廃プラスチック、廃ガラスを取り外すときの数量管理でございます。今回の報告書(案)には出ておりませんが、幾つか試案があった中で我々破砕業者がコンソーシアムの中で、数量管理をするという案があるわけですが、御承知のとおり我々破砕業者にELVが来る段階では、何らの形でプレス加工したものが入ってまいります。そうした中でどれだけ廃ガラス、廃プラスチックが取り除かれているかというのが、どうやって検証されるのかという素朴な疑問が出てまいりました。この件について、今後皆様との間で議論を深めさせていただきたいと思っております。

 次に、31条の全部利用についてでございます。各委員の方から御指摘ありましたけれども、世界的なカーボンニュートラルの動き。CO2削減。製鉄業というのは、御承知のとおりCO2を大量に排出する産業なのですが、そうした中で鉄スクラップを利用する製鉄というのは、鉄鉱石を利用しての製鉄業に比べてCO2の排出量が非常に少ない。3分の1から4分の1というように言われておりまして、これも皆様御承知かと思いますが、最近、中国が鉄スクラップの使用について積極的に検討を進めている。また、日本の高炉メーカーも同様の議論を進めていることが最近のニュース等で報道されております。その一方で、31条のAプレス品の購入を取りやめている大手電炉が出てきております。いろいろな事情があるようですが、Aプレスの使用を拡大していくことが難しい理由があるようです。そうした中で、この審議会の中でもスクラップのエンドユーザー、最終需要家である電気炉メーカーの御意見も、ぜひ経産省、環境省のほうで聴取していただければと思います。でないと法律だけは拡充していくのだけれども、実際Aプレスの使用がなかなか進まない状況になることを危惧いたします。

 最後になりますが、再資源化施設の見直しは報告書の中でも何か所かにわたって指摘されておりますけれども、一昨年から昨年にかけて再資源化施設のトラブルによって、いわゆるASRの流通といいますか、差配が滞った。そうした中でAプレスその他諸々、自動車リサイクルに関わる物流が停滞した時期がございました。今は大分改善しておりますけれども、将来的に最終処分場は絶対的に不足いたしますし、それから再資源化施設につきましても、キャパを確保して自動車リサイクルを円滑に進める下地をつくっていく研究を行う必要があるのではないかと思っております。

 鉄リサイクル工業会からは以上でございます。失礼いたしました。

○村上座長  どうもありがとうございました。

 それでは、一旦、ここで御意見を頂戴するのを止めさせていただきまして、事務局のほうから、特に御質問というのはなかったかなと思います。回答できる分についてお願いしたいと思います。

○鳥居リサイクル推進室室長補佐  環境省の鳥居でございます。

 本日はいろいろと御意見いただきまして、ありがとうございました。

 先に環境省から回答を申し上げますと、最初、高橋委員から自治体への財政的な支援、あるいはマンパワーの支援といったところについて御意見いただいております。自治体、現場のほうでいろいろと御苦労されていると思いますし、今回のヒアリングの中にもございましたけれども、自治体の方々から具体的にどういう課題があって、どういう支援が必要なのかというところを早目に御確認しまして、具体的な支援につなげていきたいと考えているところでございます。

○藤岡自動車リサイクル室長  続いて、経済産業省自動車課の藤岡でございます。

 各委員の皆様にはいつも活発な御議論、御指摘いただきまして、誠にありがとうございます。御意見をたくさん頂戴いたしました。一個一個お答えできるかどうか分かりませんが、項目に触れながら、どちらかといいますと御指摘いただいたことを私どもしっかり受け止めるということで、ちょっと繰り返しをさせていただくこともあるかもしれませんが御容赦ください。

 鬼沢委員のほうからは、消費者の選択を促す観点が非常に大事だということでございまして、2か所ありますけれども、ここら辺をしっかり整理してくださいという御指摘をいただいたかと思います。全体の文脈を見ながら少し検討させていただければと思います。

 井岡委員のほうからは、情報交換、それから現場を大事にということでございます。リサイクルというのは、もう全体を通してそうなのですが、どこかの分野が積極的にやったから成し得るというものではございませんで、これも釈迦に説法でございますけれども、メーカーさん、あるいは輸入業者さんもそうですし、解体業者さん、破砕業者さん、そして自治体の皆様、それから消費者の皆様の御理解と全てにおいてうまくいかないと回っていかないということだと思っております。したがって、ここら辺の情報交換。いわゆるどういったものが、どのように効果があるのかという点も含めてより一層、広報の面にも関連してくるかと思いますが、しっかりやらせていただければと思っているところでございます。

 特にメーカーさんのほうでリサイクル士という話が出ましたが、いずれの団体でもリサイクル士を始め従業員の方々の技能向上といいましょうか、そういった点には御配慮されていらっしゃるということでございますので、業界の皆様方のスキルアップにつながるよう私ども国、それからこれはJARCさんとも協力していくことになると思いますが、しっかりやっていきたいと考えているところでございます。

 それから自リ機構の酒井委員から、この話は今日で終わりではなくて、むしろこれから大変なのだよと、継続的に議論していく必要があるねという御指摘もいただきました。第4章に記載しておりますとおり、必要であれば速やかにというのは我々まさにそういうつもりでございまして、ここで一旦終わりということではなく、むしろここに書いてありますことは全て次へつながっていく形の文章かと思ってございますので、今の御発言もしっかり受け止めながら、状況もしっかり見極めながら、必要な際には議論させていただきたいと思っております。

 また、細かな点についてもお話がございました。この審議会の中で料金の外出しの話ですとか、それからエアバッグの料金の精査という話もございましたが、こちらについては、また改めて関係の皆様と少し御相談の機会を持たせていただければと思っておりますし、中身が大きな話になれば、あるいは皆様方に知っていただければいいことについては、しっかりと審議会のほうに御報告もさせていただくということで、今後臨んでいきたいなと考えているところでございます。

 次、武藤委員のほうから、報告書で何点か細かい文言のチェックをいただきました。ありがとうございます。しっかり読ませていただいて、統一させていただく方向で整理させていただきたいと思ってございます。

 それから、LCAの観点ということでございます。これについては御指摘もそうかと思いますが、もう少しいろいろな意見をお持ちの先生、あるいは座長からも少し御指導もいただきたいと思っておりますので、本日の議論を含めた段階で、その後申し上げさせていただきたいと思っております。

 赤穂委員からは、JARCの役割をしっかりということでございます。逆に心強いエールをいただいたということでございます。ちょっと書きぶりについても、基本的にはしっかりと法律の中で指定3法人というものが書かれておりますので、そこら辺をベースとしながらとは言いつつも、これだけ車も変わっていき、それから制度も動いてきている中で、いま一度踏み込んでという御指摘もあったかと思います。少し文言を検討させていただきたいと思います。

 大塚委員のほうからは、リペアの話ということだと思っております。自動車リサイクル制度が縦割りだというように言われるかもしれませんが、引き取ってから解体・破砕という形になっていて、修理の段階へとなっていきますと、これはもう整備業者の皆様との協力関係になろうかと思います。ただ、いずれにしましても、修理の段階でリユース・リビルドの部品を使っていく観点において、当然のことながら部品を取った解体の皆様からの情報提供のやり方が非常に重要かと思っておりますので、ここら辺も念頭に入れながら報告書の書きぶりをしっかりと、ちょっと検討させていただければと思います。

 織委員のほうから、削減と長寿命化についてもう少し明らかにしてほしいというお話もございました。ちょっと持ち合わせておりますデータとの関係がありますので、どこまで書き切れるかはまだ検討せざるを得ないということだと思います。

 長寿命化については、1つには、これはあくまでも自動車リサイクル制度の中で使用済自動車が出てきた、新車からの経過年数というものは出していて、そこのところは順当に上がってきているということで、そのもので言い切れているかどうかはちょっと微妙ではございますが、傾向としては捉えられるのかなとも感じておりますし、またASRのことについても再資源化率という形で公表もさせていただいておりますので、まずはそちらからかなと思いますが、温暖化、脱炭素という観点も含めていきますと、サーマル依存のところについてもこのままでいいわけでもございませんので、ここら辺は指標の取り方にどういったものがあるかも含めてちょっと整理させていただいた上で、判断させていただければなと思っているところでございます。

 それから、現行の法律の限界という話もございました。仰せのとおりでございます。資金の使い方等々については、これは自動車リサイクル法で特預金の使途がかなり厳格に定められている中で、運用面でいろいろな点を工夫しながらやってきたということでございますが、そろそろここら辺のところもどうかなというようなお話だと思っております。

 この辺については佐藤委員からも御指摘ございましたように、まさに自動車リサイクルの高度化のあるべき姿として、資金の使い方をどうやっていくのか考えどころですよねと、そういう御指摘かと思います。一応今回の報告書では第4章の中で問題意識としては書き込みをさせていただきましたけれども、ここら辺も電動化の動きとして、そう遠くないところでいろいろな面を議論しなければならないことがやってくるという認識でおりますので、その際にも検討の中の1つとして加えさせていただく。これは報告書でも書いてございますけれども、その方向で考えさせていただければと思っております。

 松八重委員からは、情報システム、期間の関係。15年という長い間で最初に取ってきた情報と、それから出すときの情報が変わっていく中でなかなか難しい問題があるけれども、受け身から今度は少し積極的に発信する形に出ていったらどうかというような御指摘だったかと思います。ここら辺は自動車リサイクル情報システムの大改造を進めております。この中のつくり込みの中でどういう情報を載せられるかというのが本当に肝だと思っておりますので、今御指摘いただいた内容を踏まえてJARCとの間でもしっかり検討しつつ、本当はJARCと国だけが相談してということでもなく、関係の皆様とよくよく相談していかなければいけないと思っておりますので、残された時間はそんなに多いわけではございませんけれども、ここ1年の間で早急に決めつつ、かつ載せられる情報、発信できる情報も意識しながら、みんなで知恵を絞ってみたいなと思っているところでございます。

 佐藤委員からは、鉛、それからリチウムイオンバッテリーのお話をいただきました。両方については、環境負荷の観点から法対象にすることもあるのではないかというような御意見もございました。全体的な議論の中で、その必要性についても、いずれ議論させていただくことになるだろうと考えてございます。

 乗田委員のほうから解体インセンティブについての、いわゆる現場感覚ということで、細かな点についての御懸念という御発言も頂戴いたしました。いただいたものについては、本当に実務ベースでもいろいろ御相談させていただいておりますけれども、いろいろな方面から、やはり初めてということもありますし、また現実の価格その他を見たときに、さあ、どこまではまるのだろうかというような御心配の声を聞くのも事実でございます。こちらのほうも令和3年度から検討開始ということで報告書の中にも明確に書き込みをいたしておりますので、しっかりと皆様方と御相談させていただきたいなと思っております。

 補足を環境省のほうでお願いいたします。

 経産省からは以上でございます。

○鳥居リサイクル推進室室長補佐  続きまして、松八重委員や根村委員から使用済自動車全体の資源循環について、炭素以外の分野についても検討すべきという御意見をいただいたかと思っております。今年度、使用済自動車について、こちらの報告書にも記載しましたように、部品や素材なども含めて資源循環はどうなっているか。実態把握等行っていきたいと思っておりますので、炭素以外のところの資源効率性の観点も踏まえて調査を行いまして、今後の対策等検討していきたいと考えております。

○村上座長  ありがとうございました。

 それでは、もう一度、再び少しだけ時間がございますので今まで御発言いただいていない方も、2周目という方も結構ですので前回と同様に、またチャットのところにお名前をお書きいただければと思います。御意見おありの方、どうぞよろしくお願いいたします。――よろしいでしょうか。特におありの方、おられませんでしょうか。

 それでは、皆様からの御意見はこれまでとさせていただきまして、最後、終了の時間が近づいてございます。中環審側の酒井座長から御意見をいただければと思いますので、酒井先生、どうぞよろしくお願いいたします。

○酒井座長  村上座長、どうもありがとうございます。

 今日御意見を聞かせていただきまして、またここまでの報告書(案)の作成、事務局にお付き合いいたしまして、数点、痛感したことを含めて発言させていただきたいと思います。

 まず、昨年秋に報告の検討を始めた時期から大きく状況が変わったのは、日本のカーボンニュートラル宣言というところが非常に大きいと思います。この自動車リサイクルも、その大きな流れからは極めて重要な対象分野になりますので、そこを意識した形での最終取りまとめは必要になったということになろうかと思います。ただ、現時点で見通せることはどこまでかというのはまだ極めて難しいところですので、今回のような変化への対応と発展的要素というところで、現時点での原則で間違いなかろうというところを原案にしていただいているという理解でおります。

 そういった中で、今日の合同会議でいただいた御意見の中で、特にライフサイクル的観点からの検討の重要性ということの御指摘があったかと思います。武藤委員、松八重委員、赤穂委員等、多くの委員から聞かせていただきました。本日の御意見を受けて最終案に向けての修正作業を両事務局と作業できるのであれば、しっかりと加筆すべきところは加筆していくということで作業にお付き合いをしたいと思っています。

 その方向で皆さんがおっしゃるLCA的観点、あるいはライフサイクル的観点からということで、炭素以外のものも視野に入れてはどうかということであります。この辺りがどこまで視野に入れられるかというのは現時点の情報、あるいは今後の解析見通し等を視野に入れていかないといけないと思いますが、少なくとも脱炭素という観点から見ますと、ライフサイクルということを言われれば言われるほど現在の化石燃料中心の世界で背負っている炭素というのは、その多くは使用段階で主に化石燃料に由来するもののウエートが極めて大きい。かえってリサイクル分野の負荷というのはそう多くない。こういう結果になってくるのではないかと見ております。

 ところが、これが電動車という世界になってきますと、かえって使用段階の負荷というのは小さくなる。うまく電化がリニューアブル、再生可能エネルギーに転換していけることが前提となりますけれども、それが出された段階では、基本的には温室効果ガスとして背負っていくところは、使用段階ではなく素材とか製造という段階になってくると思います。加えて、そうなりますとますます再使用であれ、リサイクルであれ、循環の部分が極めて重要になってくることは、もう容易に予見される世界になるのだろうと思っております。そういうことを含めて、ライフサイクル的観点をどう考えるかということが今後の大きな課題。ですから、その大きな課題を含めてLCA的観点ということで捉えていかなければならないだろうと思っております。ということで、ライフサイクル的観点を大切にせよという委員からの御意見、十分に聞かせていただきましたので、今後事務局、あるいは村上座長とまた相談させていただきたいと思っております。

 もう1点、今のLCA的観点も重要なのですけれども、少なくとも大きな流れとして、現在の自動車の構造ではない構造というのがもう目の前に見え始めておりますので、電気自動車、場合によっては燃料電池車のリサイクル技術、あるいは関連するシステム開発は、やはり相当に力を入れる、かつ急がなければならないと思っております。

 長寿命の耐久材であるという御指摘もございましたが、中長期的戦略からいくと、やはりロックイン構造に陥りやすい長寿命製品になると、ここの取組はできるだけ早いほうが望ましいということが言えるかと思います。その点で今回一番最後、おわりにのところで「遅くとも5年後をめどに、かつ、必要と判断される場合には速やかに、評価・検討を行うことが適当」、こう書き込んでいただいているところは経産省、環境省両事務局、もう精いっぱいの表現を取っていただいておりますけれども、ここはできるだけ前倒しした早い時期が望ましいのではないかと思っております。これは若干個人的な思い入れの部分もございますけれども、そこの戦略の策定というのは急ぐべきであることを、最後に一言申し添えたいと思っております。

 村上座長、以上でございます。

○村上座長  どうもありがとうございました。

 それでは、私からもほんの少しだけ、もう既に酒井先生からきれいにおまとめいただいたところでありますけれども、今回改めておっしゃっていただいたとおりですが、比較的大局観から中長期的なお話のところまで、逆にまた現在の問題までいろいろなコメントをいただいたところかなと改めて認識してございます。そういった意味でも、これまでどうしても廃棄物リサイクルの話は出てから対応するような側面が強かったと思ってきておりますが、それがだんだん変わっていくような状態に入ってきて、ちゃんと実際に現実の場に出てきているということで、非常に望ましい変化の過程にあるのかなと改めて感じた次第です。そんなところでもございますので引き続きということになるかと思いますが、最後の5年というくだりもございましたし、皆様にはこれからもお世話になっていくのだろうと思っておる次第です。

 今日いただきました御議論を受けまして感じたところといいますか、今酒井先生のコメントにもあったところですが、LCAという発言もありましたし、ほかの部分もございましたので、一旦、今回いただきました御意見の取扱いという意味では酒井座長と私の2人に御一任をいただき、事務局と併せて調整させていただければと思っております。その上でパブリックコメントへ進みたいと考えてございますが、それで皆様いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

     (「異議なし」の声あり)

 どうもありがとうございます。もし何かございましたらチャットのほうに入れていただければと思います。――よろしいですか。

 それでは、特に異議はなかったということで、どうもありがとうございます。そのような方向でぜひ進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、最後になりますが、事務局から報告書(案)や本日の議事の取扱い、また今後の実施の見込み等々含めまして御説明をいただければと思います。

○藤岡自動車リサイクル室長  藤岡でございます。事務局の経済産業省のほうから御説明します。

 事務的な御連絡に先立ちまして、私のほうから一言申し上げたいと存じます。法施行15年ということでございまして、昨年8月から議論を始めさせていただき、これまで本日を含めまして計7回の合同会議を開催させていただきました。関係団体の皆様には現状についての御説明や御要望を頂戴いたしましたし、また各委員の皆様からは大所高所から様々な御意見を頂戴いたしました。どれも今後の自動車リサイクルを円滑に実施させていただくための貴重な御意見、御要望であったと認識しているところでございます。

 ただいま、委員の皆様方からも報告書の取りまとめに向けた御了解をいただきました。この後、国民の皆様にもパブリックコメントという形で御意見をいただきつつ、その状況、結果も報告させていただきながら、そして本日いただきました御意見も念頭にした形で、しっかりと報告書の取りまとめを今後とも進めてまいりたいと思ってございます。委員の皆様には引き続き御指導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 詳細、事務的な話につきましては、事務局・三牧が代わりまして御説明させていただきます。

○三牧自動車課課長補佐  改めまして、経済産業省の三牧でございます。

 本日はお忙しいところ闊達な御議論及び円滑な進行に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。本日いただきました御意見につきましては両座長とも御相談させていただいた上で、しかるべく報告書(案)に反映させていただきまして、準備が整い次第、経済産業省、環境省の両省によりパブリックコメントに付すこととさせていただければと思います。パブリックコメント終了後、パブリックコメントの意見等を取りまとめて、さらにその時点で第1章の各種データ。こちらは令和元年度ということになっていますので、最新のものにアップデートした上で改めて審議会を開催させていただきまして、最終的な報告書の取りまとめ、御了承いただく回を設けさせていただければと考えてございます。

 パブリックコメントの実施期間ですとか、次回審議会開催日時については追って事務局より御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 また、本日の議事録につきましては後日、各委員に御確認をいただいた上でWebサイトに公開させていただきますので、御了承いただければ幸いです。本日は誠にありがとうございました。

○村上座長  それでは、これで本日の会議は終了ということにさせていただきたいと思います。活発な御議論をいただき、どうもありがとうございました。

 それでは、終了させていただきたいと思います。

                 ――了――