産業構造審議会産業技術分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルWG中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会 第49回合同会議 議事録

日時

令和2年9月25日(金) 14:00~16:30

場所

Web会議

議題

1.指定法人に対するヒアリング

2.自動車製造業者等に対するヒアリング

3.消費者団体に対するヒアリング

4.その他

議事録

○鳥居リサイクル推進室室長補佐  環境省側事務局の環境再生資源循環局総務課リサイクル推進室の鳥居でございます。定刻になりましたので、これより産業構造審議会産業技術分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルワーキング及び中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会の第49回合同会議を開始いたします。

 開催に当たり、事務的な事項を御案内、御報告申し上げたいと思います。本合同会議は、両審議会を合わせまして27名の委員で構成されております。本日は、現時点で23名の委員にオンラインにて御出席頂いております。産業構造審議会自動車リサイクルワーキングについては15名の委員に御出席を頂いており、定足数である過半数に達していることを報告させていただきます。なお、中央環境審議会自動車リサイクル専門委員会につきましては定足数の規程はございません。

 続きまして、委員の出欠について報告をいたします。

○三牧自動車課課長補佐  まず経済産業省事務局から御報告いたします。産業構造審議会におきましては、荒居委員、奥地委員より御欠席の連絡を頂いております。

 また、松八重委員におかれましては15時頃に退席されるとお聞きしております。

 また、所委員におかれましては15時頃から遅れて御出席という御連絡を頂いております。

○鳥居リサイクル推進室室長補佐  中央環境審議会におきましては高橋委員から御欠席の連絡を頂いております。

 続いて配付資料の確認をいたします。配付資料につきましては事前に御案内させていただいたように、経済産業省、環境省のホームページにて掲載させていただいておりまして、回線の関係上、このSkype会議の画面上には表示いたしませんが、委員の皆様にはそちらから御確認頂ければ幸いです。

 資料は、資料1から資料6-2となっております。

 また、本日はSkypeでの審議会ということで、基本的には発言をされる場合を除き、マイクをミュートにしていただき、ビデオもオフにしていただければと思います。御協力のほどよろしくお願いいたします。

 なお、本審議会は、事前に傍聴の希望を頂いた方にはYouTubeにより同時公開とさせていただいております。

 それでは早速議事に入らせていただきたいと思います。これ以降の議事進行については酒井座長にお願いいたします。

○酒井座長  承りました。京都大学の酒井でございます。中央環境審議会の自動車リサイクル専門委員会の座長を仰せつかっております。

 前回、8月19日の開催以来、約1カ月でございますが、前回はリサイクル制度の現状、そして運用の実態等を事務局、経済産業省、環境省より報告を頂きました。

 今回と次回にわたりまして、様々な報告と御意見を聞かせていただくということでのヒアリングの場を用意頂いております。それでは、さっそく議題に入らせていただきたいと思います。

 本日の議題は、資料1の議事次第のとおり、自動車リサイクル法関係団体へのヒアリングということになっております。

まず、本日のヒアリングの内容について、事務局より資料3に基づきましてヒアリングの進め方についての説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○鳥居リサイクル推進室室長補佐  それでは資料3を御覧ください。「ヒアリングの進め方について」、こちらは前回御説明した資料から変更はございません。前回の審議会の中で九つの検討の観点についての御説明を申し上げましました。今回のヒアリングにおきましては、こうした観点を踏まえながら、本日、指定法人、自動車製造業者等、消費者団体からのヒアリングを行います。

 続きまして、来週30日に引取業者、解体業者、破砕業者、地方公共団体からのヒアリングを行いたいと考えております。

 以上となります。

○酒井座長  ありがとうございます。それでは早速ヒアリングに入らせていただきたいと思います。

 ヒアリングの進め方は、各説明者から御説明頂き、その後、質疑の時間を設けます。さらに、全ての説明が終わった後に、全体を通して再度質疑の時間を設ける予定といたしております。

 それでは、まず資料4に基づきまして、公益財団法人自動車リサイクル促進センターから説明をお願いいたします。

○JARC・阿部専務理事  JARCの阿部です。画面も音声もよろしいでしょうか。

○酒井座長  はい。よく聞こえております。どうぞお願いいたします。

○JARC・阿部専務理事  それでは早速ですが、資料4、自動車リサイクル促進センター活動実績及び今後の活動について御説明いたします。

 1ページは本財団の概要を示しております。指定法人は、下に示します3法人となります。

 次のページは本日御報告する内容になります。本財団の組織図を左側、本日の報告内容を右側に示しています。

 ページをおめくりください。この表はJARCを運営するための費用の分担を示しています。ユーザーからのリサイクル料金、自動車メーカー等の御負担と、一部特預金を活用する形となっています。

 ページをおめくりください。まず1番目としまして、これまでの財団の活動実績を説明します。5ページ目になりますが、まず資金管理法人の実績です。リサイクル料金の収受の状況に関してですが、2019年度の新車購入時における預託収入は、左のグラフに青の棒グラフで示すように、法施行後最も少ない506億円となりました。新型コロナウイルス感染症の拡大等を背景として期末に新車販売台数が減少したほか、リサイクル料金の徴収額が低減されたこと、自動車リサイクル法対象外の新冷媒を搭載した新車が増加したことなどが背景にございます。

 また、右のグラフに示します引取時における預託は年々減少の傾向にございます。

 ページをおめくりください。リサイクル料金の運用についてですが、JARCでは基本として元本が確保できる債券での資金運用を実施しております。最近の金利の低迷やマイナス金利などの状況から、安定運営を基本としたESG投資を2018年度から開始し、地方債と財投機関債の新規取得を再開しました。

 右の図に示すように、運用収益及び資産全体の利回りについては、低金利環境下のため低下しており、21年度以降も低下傾向が継続すると見込んでおります。

 ページをおめくりください。図に示すように、JARCは発行体に対するESG投資を通じて循環型社会の実現とSDGsの達成に貢献することを目的として投資先の見直しを行っていきます。

 次の8ページですが、2019年度までのESG投資の額を記しております。JARCは2019年度までに、右の表に示すような債券に対して22億円を投資いたしました。今後も適切な債券に対してはさらに投資額を拡大していく予定です。

 ページをおめくりください。このページではリサイクル料金の払渡しと返還について説明します。左のグラフに示すように、自動車メーカー等へのリサイクル料金の払渡額はおおむね330億円程度で推移しております。

 一方、右のグラフに示します中古車輸出に伴うリサイクル料金の返還は年々増加しており、2019年は、法施行後最も多い、元本だけで177億円となりました。また、払渡時に付している利息の額は年々増加しております。

 ページをおめくりください。特預金についてですが、昨年度までの特預金の残高の実績及び今後の残高の推移をグラフに示しております。2022年度に残高は大きく減少する予定ですが、その後は再び増加し、2024年度からは、いわゆる最終車検から20年たっても請求がない車両の料金、20年時効が発生し、特預金に組み入れられ、さらに増加することが見込まれております。

 次に11ページからは指定再資源化機関の実績です。1号業務の小規模製造・輸入業者、2号業務の義務者不存在車等の再資源化業務の実績です。小規模なメーカーや輸入業者からの委託を受けて、3物品の再資源化等を行うこと、また、並行輸入車など、再資源化等を行うべきメーカーや輸入業者のいない車の3物品の再資源化等を行っています。グラフが示すように、メーカーなどの合併により販売台数が増え、小規模業者から外れるメーカーが出てきています。これにより、10年間減少の傾向にある状況でございます。

 ページをおめくりください。離島対策支援事業についてです。指定再資源化機関の業務としまして、離島における使用済自動車の海上輸送費に対して金銭的な支援を行っています。下の図に示すように、2011年度に震災の影響で少し実績が落ち込みましたが、その後、回復しています。このような活動により、離島での不法投棄、不適正保管の削減に貢献しております。

 ページをおめくりください。使用済自動車の不法投棄・不適正保管への対応ですが、毎年状況調査を実施し、また、使用済自動車を自治体が行政代執行にて処理する際にも支援を行っております。図に示すように、全国の不法投棄・不適正保管の状況は法施行後に大きく減少し、直近の10年間を見ても減少傾向にあります。

 自治体が行政代執行にて処理した際の支援、すなわち不法投棄等対策支援事業については、これまで下の表に示す3事案の実績がございます。

 ページをおめくりください。本財団では国及び自再協と連携して、自動車リサイクルに関する自治体向けの研修を行っています。実績については資料のとおりで、これまで延べ1,200名近い方々に参加していただいており、研修内容については自治体担当者から一定の評価を頂いております。今年度は新型コロナウイルス感染症対応としてオンラインでの開催を計画しております。

 ページをおめくりください。残存する不法投棄・不適正保管事案を抱える自治体に対し、対応を促すための取組として、国が主体となって不法投棄・不適正保管対策に関する試行的財政支援拡充事業というもの、通称モデル事業というものを行っております。本財団はこの事業に協力しており、2019年度に支援対象の自治体が決定し、本年度支援を推進中です。

 ページをおめくりください。16ページになります。本財団では大規模な災害により発生した被災自動車について、自治体が適正かつ迅速に対処できるよう、適宜情報提供や協力を行っています。2017年度からの5カ年計画を立てており、自治体向け手引書の作成・配付や被災自動車の発生台数の推計、研修回答を中心に活動しております。

 また、環境省が主催する災害廃棄物対応に関する会議体であるD.Waste-Netにも参加し、情報提供を行っています。

 次の17ページからは情報管理センターの実績です。電子マニフェストの維持・管理の状況です。移動報告の引取件数は、左のグラフに示すように、直近3年間は年間330万台で推移しています。特徴としましては、オレンジで示す軽自動車の引取報告件数が増加傾向にあることが挙げられます。

 右のグラフは、使用済自動車が引取られてから処理されるまでの通過日数を示しています。このグラフからリサイクル工程の流れを見てみますと、例年3月の期末に使用済車両台数の増加に伴う通過日数の増加が見られます。最近の状況としては、2017年の中国廃プラ輸入規制後に徐々に通過日数が増加していること、また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、今年度に入ってから、やや通過日数が減少している傾向となっています。しかし、新型コロナウイルス感染症が収まった後には工程日数の高止まりが予想されるため、適切な対応の検討が必要だと思われます。

 ページをおめくりください。JARCでは自動車ユーザー及びリサイクル事業者の問い合わせ等への対応及び関連する事務処理を行うコンタクトセンターを開設・運営しております。その運営費用を左のグラフに示してあります。効率化施策を都度適用し、コスト低減を図っております。オレンジで示す中古車輸出返還に対する業務は書類の手続等があり、費用の比率が高くなっています。また、近年の中古車輸出台数の高止まりに比例して中古車輸出業務に関わる運営費用は高い水準となっております。

 右のグラフは応答率及び満足度調査の結果を示しております。コンタクトセンターの利用者に対するサービスレベルの向上施策にも取組んでおり、電話のつながりやすさ、電話応対に対する満足度とも近年右肩上がりの高い水準を維持することができております。

 ページをおめくりください。19ページからはユーザー向けの理解活動の実績です。情報発信等については、これまでの4年間、関係者の皆様の御協力を得て様々な取組を行ってきました。この場をお借りして関係者の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございます。

 取組のポイントは二つです。2014年の合同会議の提言を踏まえ、検討会が開催され、方向性が示されました。それに基づき、JARCでは2017年度から取組をスタートしています。一つ目は、自動車リサイクルのさらなる発展に向けて情報発信、共有の取組の方向性を検討し、取りまとめを行いました。二つ目は、その検討内容を踏まえ、JARC内に新たな情報発信の組織として広報・理解活動推進部を立ち上げ、理解活動に取組んでいます。

 ページをおめくりください。こちらのグラフは年に一度JARCが行っている、ユーザーを対象とした自動車リサイクルについての認知状況の推移を示しています。結果は御覧のとおり、年々認知度は低下傾向にあります。その中でも、30歳未満の若年層の認知度は他年代と比べて顕著に低下している状況にあります。原因は、自動車リサイクル法施行時のテレビなどを活用した広報活動の効果が薄れ、また、新規ユーザーとなる若年層が情報に接する機会が少ないためだと見ています。JARCでは若年層をターゲットとした施策として、教習所でのPR活動などを実施すると共に、各ターゲット層に合わせた施策を推進しています。認知度向上には即効性が見られないため、継続して効果の検証と改善に努めてまいります。

 ページをおめくりください。21ページはユーザー理解活動の取組の考え方と具体的な施策例をまとめたものです。ひとえにユーザーといっても自動車リサイクルへの関心・態度は様々なため、ターゲット層を整理して認知度向上に努めています。JARCは関係者の皆様の御協力を得て、自動車ユーザーのための理解活動に積極的に取組むこととしています。

 次のページ以降で具体的な実施例を紹介します。ページをおめくりください。まず、例1の情報の質を高め、わかりやすくする取組として、各種イベントの出展状況などの情報をJARCのホームページで発信しています。写真や絵などのグラフィックを使い、わかりやすい情報へと身近なところから改善を行っています。

 右側は例2のニュースリリースの積極的配信です。2017年度から2019年度までの3年間、各種イベント情報やESG投資の内容などのニュースリリースを65件配信しました。結果、インターネットメディアに記事が3,594件転載されました。

 ページをおめくりください。例3は、地方公共団体と連携した地域イベントの情報発信です。2017年度から2019年度までの3年間、主として地方公共団体が主催する地域イベントに34件出展しました。地域ユーザーの理解普及に取組み、33,445件のアンケートを回収しました。今年度はコロナ禍で各地のイベントが中止になってきており、オンラインでの情報発信の仕組み作りの検討を進めています。

 ページをおめくりください。例4の関係者の皆様と共に取組む小学校教育に資する情報発信です。関係者と共に、小学生とその保護者を対象とした体験学習を3年間で10回実施いたしました。そのコンテンツを活用して、自動車ユーザーの関心喚起に向けた取組を推進しています。今年度はコロナの影響で小学生の参加を取りやめましたが、映像コンテンツなどを作成し、代替策を進めております。

 右側は例5の「クルマのリサイクル作品コンクール」の件です。両省や関係団体の御協力を得て、2017年度から2019年度までの3年間で全国から22,399件の作品を受領いたしました。そして関係団体を交えて入賞作品を選定し、入賞者の表彰式を実施しております。このように、小学生などの将来のユーザーになり得る方々への早い時期からの情報発信と、御父兄などの幅広い方々に興味を持てていただけるイベントも展開しております。

 次に、今後の本財団の活動について2点ほど御紹介いたします。26ページを御覧ください。自動車リサイクル情報システムは、自動車リサイクル制度を公平、適切、円滑に実施していくための重要な社会インフラでございます。2005年の運用開始から長期間経過して顕在化した課題の解決や、より利用者の業務効率を向上できるシステムにしていく必要性があると考えております。

 右下の指標に示すとおり、2026年1月をターゲットにシステムの大改造を計画しております。主要検討課題としては、利用者の業務効率性の向上、新技術への対応とコストの抑制、将来のリサイクル環境変化を見据えた拡張性の担保と捉えております。

 既に検討を開始し、自リシステムに関わる事業者の皆様や有識者の方々の意見をお聞きし、参考とさせていただきながら、今年度末を目途にシステムの将来構想案を策定していく計画としております。

 ページをおめくりください。自動車リサイクル法施行10年の評価で、国の国際貢献について、途上国に我が国の知見を伝えること、学術研究面の交流、政策対応による国際協力の推進を課題として整理しました。

 JARCは、このような定義に基づき、自らの強みを生かせる新たな事業として、途上国における仕組み作りの支援と知見の提供による国際協力の検討を始めました。検討に当たっては、本年2月から4月にかけて独自に予備調査を行い、三つの課題を確認しました。

 課題の一つ目ですが、継続性の点では幾つもの国際協力調査事業が行われたものの、その多くが調査期間終了後にパイロット事業につながっていないこと。

 二つ目は、情報の一元化の点では、国際的な自動車リサイクルに関する多くの研究成果、調査の成果、統計情報等がばらばらに存在していて、体系立てた課題整理をする際に効率的に情報が集めにくい状況になっていること。

 三つ目は、人的ネットワークの点では、国際的かつ中長期的な視野で研究者が交流をできる場が存在しないため、共同研究等で局所的に人的交流が発生するにとどまっている状況であること。

 これらの課題を踏まえて、JARCによる国際貢献を具体化するに当たっては、自動車リサイクルのテーマを包括的に取扱う国際貢献に資する情報プラットフォームの設置の検討を進める必要があることが認識されました。

 情報プラットフォームの備える機能は、図1に示しました五つの活動を想定しています。今後は有識者や専門家の助言を得ながら2021年度に情報プラットフォームを立ち上げて、2022年度には国際貢献の推進方法の検討化を本格化するスケジュールで取組む予定でございます。

 次のページになりますが、3.まとめとなります。ページをおめくりください。29ページに、財団全体としての管理料金や手数料などの収益及び運営費用の推移を示してあります。本財団は業務の効率化に努めており、費用削減分については料金等の引下げを随時行っております。

 下のグラフは10年間の費用実績の推移となります。2019年度はデータセンターの更新の効果も含めて前年度に比べて3億円の費用削減を実現しており、年間約40億で運営しております。

 ページをおめくりください。最後になりますが、JARCは2000年に設立され、20年が経過することとなります。これまで国や自動車関連団体との連携・協力を得て、自動車リサイクル制度の確立及び安定運用の達成に尽力してまいりました。本日の資料では、指定法人業務等の活動実績と今後の取組について説明させていただきました。

 今後も自動車リサイクルシステムの安定運用に関わる指定法人業務を確実かつ効率的に実施していくと共に、将来を見据えて、ステークホルダーへ、より高い質のサービスを提供していくことを通じ、循環型社会の実現に向けて貢献していく所存でございます。

 御報告は以上となります。

○酒井座長  阿部専務、どうもありがとうございました。この後の質疑応答の進め方につきまして御説明申し上げたいと思います。御意見や御質問のある方は、Skypeのメッセージ機能をお使い頂いて、設定されている番号、お名前、発言希望と記入をしてください。順次指名させていただきます。指名された方はマイクのミュート機能を解除し、ビデオをオンにして御発言頂ければと思います。

 すぐにはメッセージが入ってこないと思いますので、JARCの御発表と、この後の自工会、そして輸入組合の3者の御説明を頂いた後、質疑、質問をお受けするという形に微修正をして進めさせていただきたいと思います。阿部さん、しばらくお待ち頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○JARC・阿部専務理事  ありがとうございます。

○酒井座長  この間、阿部さんへの御質問、御意見がある方はメッセージを入れていただけますようよろしくお願いいたします。

 続きまして、資料5-1に基づきまして、一般社団法人自動車工業会より説明を頂きます。その後、日本自動車輸入組合からも御説明を頂きます。その後に質疑応答の時間を設けるということで進めさせていただければ幸いでございます。

 それでは自工会の嶋村部長、どうぞ御説明をお願いいたします。

○嶋村委員  よろしくお願いいたします。自動車工業会嶋村でございます。問題なく聞こえていますか。

○酒井座長  はい。聞こえております。クリアです。よろしくお願いいたします。

○嶋村委員  それでは、資料に基づきまして自工会から御説明をさせていただきます。まず1ページをめくっていただきまして、目次でございます。本日はAからGのこれらを御説明させていただきますのでよろしくお願いいたします。

 それでは次のページへお進みください。まずAのリサイクル料金関連でございますが、御承知のとおり、現在、リサイクル料金につきましては、新車時に支払われた後、資金管理法人さんのほうで約15年程度管理され、支払われたその車両が廃車になるときに充当されるという仕組みになっております。当時の基本的な考え方といたしまして、下の1)から3)がございました。

 まず1)徴収時期でございますが、不法投棄防止の観点から新車時徴収にしようということになりました。

 2)管理主体につきましては、当初、リサイクル料金や促進センターのいろいろな経費も全て車両価格に内部化して、お客様から全て頂いているお金で積み立てておいて、それを支払うというのが、資金管理法人といった組織を新たに作る必要もなく、非常にシンプルでコストも安くできるので、そういったことを少し想定しておりましたが、費用の見える化という御意見があったり、国税の見解で、メーカーが集めた金額は課税対象になるということになりまして、結果的に外部委託の方式になりました。

 また、3)の設定単位につきましては、よりリサイクル料金の安い車両をお客様に選択していただけるよう、車種ごとの設定にしようということになりました。

 4ページ目を御覧ください。そのような考え方で、具体的な徴収・充当方式でございますが、当時は大きく二つの考え方がございました。

 まず案1)は、当時は、いわゆる年金方式とも呼んでおりましたが、今年お支払い頂いたリサイクル料金で翌年のリサイクル費用を賄うというような方式でございます。これは処理にかかる実費分を回せばいいだけですので、金額もそうぶれることもなく、非常に仕組みとしてもシンプルなものでございましたが、これをメーカー別に管理すると、メーカーごとの過去の販売台数と現在の新車販売台数との差異に当たる部分、割戻しの関係がございまして、それによって料金が異なりまして不公平感が出るのではないかということから、結局、当時、案2の今の形ということで、採用されることになりました。

 ページをおめくりください。5ページです。こうした現行制度の評価でございますが、まず新車時徴収のほうは、御承知のとおり不法投棄の大幅減少ということで非常に大きな効果はあったものと考えております。

 次に②の充当先でございますが、やはり15年後のリサイクル料金を予想してお支払い頂くという仕組みでございますので、どうしても15年後に差が発生すると。メーカー収支の黒字も出るなど、ユーザーに必要な分の費用だけをお支払い頂くことがなかなか難しい、構造的な問題を内包する仕組みであったと考えております。また、そうした部分も、記載のとおり、リサイクル料金を長期にわたって管理いたしますので、システム面がコスト高にもなるという点もございます。

 次のページをおめくりください。6ページ目、管理主体に関しましては、一部撤退メーカーもございましたが、問題なく、資金管理法人での管理ということでよかった面もございますが、一方で、特預金のほうが、当時はここまで発生するとは想定していなかったということもあって、ユーザーの支払うリサイクル料金とか手数料とか、そちらのほうに関連する仕組みが現状ではまだない状況でございます。そうした部分は、重複いたしますが、システムコスト、管理コストが、やはり高くついたというところでございます。

 ページをおめくりください。7ページにつきましては、リサイクル料金の設定単位ということでございますが、先ほども申し上げた車種別設定ということにしておりますが、書いておりますとおり、車種間のリサイクル料金の差は数百円から2,000円、3,000円と、国産車の中ではということでございますが、そういった違いしかなく、数百万円の商品を購入する消費者の選択行動に影響を与えるということは極めて少ないということがわかっております。

 下のグラフにつきましては、昨年度実施しました自工会のアンケート調査結果でございます。上のグラフは、そもそもリサイクル料金を比べましたかと、リサイクル法の認知度は結構ありますが、リサイクル料金を比べたかという質問をいたしまして、赤丸をつけておりますが、9割以上のお客様は、リサイクル法は知っていても、そもそもその料金自体を比べることはあまりないという結果になっております。

 また、その下のグラフでございますが、さらに突っ込んで、幾らリサイクル料金が違えば比較対象の別の車を選択するかという質問でございまして、こちらも、右の赤丸部分で、幾ら安くても変更しないお客様ということと、あり得ませんが、5万円以上、リサイクル料金に差があれば考えるというお客様が合わせて7割以上ということで、ほぼリサイクル料金の数百円からの違いでは、料金に差をつける効果はないということがわかりました。

 次のページにつきましては、各社の実際の料金の差でございます。御覧のとおり、数百円から2,000円程度の差ということになっております。ちなみに、全車型に、法定処理費用の実費自体は、上の赤字部分にもございますとおり、ほぼ9,000円程度ということで、大きさによって、エアバッグのついている個数とかもございますが、ASRの量も変わってまいりますので、大きさによって料金が少し変わってくるというところでございますが、メーカー、車種によってそれほど大きな差はないというところでございます。

 続きまして9ページ目は、参考までに家電の料金関係でございます。家電さんのほうでは料金体系も非常にシンプルでございまして、料金も各社個別につけていらっしゃるということではありますが、結果的に同じような金額になっておりまして、大変シンプルな形になっているというところでございます。

 次の10ページでございますが、今まで御説明した課題のまとめをしております。一つ目がユーザーの料金、手数料等の低減ということ。二つ目はシステム費用の低減。三つ目は、独占禁止法の関係から、メーカー各社内での検討ということにはなりますが、料金設定方法の見直しというところかと思っております。

 特に一つ目、二つ目に関しましては、次の11ページ目でございますが、今回、上の基本的な考え方にありますとおり、2025年のシステム大改造に合わせて仕組みを一部変更してはどうかと考えております。具体的には、下の図にもございますように、メーカー収支が黒字の際は、リサイクル費用の実費分のみ、収支報告のほうで毎年各社公表しておりますが、そこに記載の実費分を資金管理法人から費用を頂いて、残った黒字分につきましては、センターの特預金として、リサイクル料金の資金や情報管理料金といった手数料の値下げ等にてユーザーさんのほうに還元するという仕組みでございます。

 詳細な仕組みの運用方法等は今後検討していけばよいかとは思いますが、こういった仕組みの変更によって、今までメーカーの収益になっていた収支の黒字分というのが少しでもユーザーへ還元されるということになりますので、こういったユーザーさんの負担のさらなる軽減となります仕組みへの変更をぜひ提案させていただきたいと考えております。

 続きまして12ページ目をお開きください。自工会の促進センター支援の話でございます。まず経緯から少し御説明させていただきますが、(1)にありますように、促進センターのほうは2000年に自工会が中心となって設立をいたしました。そして2005年に法律が施行されるまでの間、自工会を始め、ほかの関係団体も一致団結いたしましてシステム構築等、各種体制を整備してまいりました。この間、システム開発だけで自工会は約200億円を拠出させていただいております。

 ただ、(2)にあります通り、法律がスタートしても、初めての取組ということもございますので、促進センターさんの収支等もある意味では不透明で、いきなり資金ショートというようなことに陥ることはないでしょうが、ランニングコストの一部を自主的に拠出することを申し出て、センターの安定立ち上げということにも寄与してまいりました。

 そして、(3)にありますように、先ほども御説明がありましたが、設立から20年、センターさんのほうでは非常に安定運営も図られ、近年は貢献拡大ということで一層の取組の充実も図られているところでございます。

 一方で、次の13ページでございますが、収支面では毎年約20億円レベルの特預金が発生しておりまして、累計では約200億円ということで、センターの設立から20年を経過いたしまして十分に収支安定化することはできましたが、実はランニングコストの一部はまだ自工会等のほうで、これは結局、お客様売上げから払っているというところではございますが、拠出をさせていただいているという状況でございます。

 下のグラフは拠出額の推移でございますが、直近では自工会として約10億円前後、累計では250億円ということになりまして、法施行前と合わせれば累計で500億円近い拠出をこれまでセンターさんのほうにさせていただいております。

 こういった取組は、国内でほかのどの業界、また、グローバルに見ましても、こういったセンターの運営の安定化のために自動車メーカーが非常に大きな役割を果たすことができたのではないかと考えております。

  次の14ページは自工会の今後の対応ということでございます。記載のとおり、センターの体制面、運営面の安定化のみならず、20年を経過いたしまして、収支面でも毎年20億円レベルの特預金の発生といったことや、先ほど御説明いたしましたメーカー黒字分の繰入れということで安定的な運営は既に十分自立して可能というふうに見込まれますので、自工会等の自主的な拠出は終了させていただければと考えております。

 ただ、二つ目のポツにもありますとおり、いきなり来年から終了ということでは促進センターも混乱いたしますので、各種準備期間といたしまして、少々長めに準備期間を置かせていただいておりますが、4年後、ちょうど法施行から20年という節目となります2025年に終了とさせていただきたいと考えておりますので、この間に具体的な対応の御検討を頂ければと考えております。

 なお、当然ながらこれによってユーザーさんの手数料値上げ等の負担増はなく、特預金のほうで十分賄えるかというふうには思っております。

 一方で、これまでも全面的に促進センターさんを自工会は汗をかいてバックアップしてまいりましたが、ここの部分につきましては当然引き続きセンターさんを全面的にバックアップしてまいる所存でございます。

 次のページにつきましては、センターさんの収入・支出等の金額をまとめたものでございますので御参照頂ければと思います。

 続きまして16ページ目からはフロンでございます。フロンに関しては一部義務違反が疑われる事業者もいらっしゃいますが、おおむね順調に全体的には運用中でございます。また、新フロンへの切替えにつきましても粛々と対応しているところでございます。

 そういった中で次の17ページでございますが、課題としましては一部の回収義務違反が疑われる事業者への取締りの強化ということではございますが、そこに記載のとおり、促進センターさんのシステム大改造に今回合わせて、自治体の御担当者の方が運用しやすいような、例えば遅延報告の仕組みの見直しであったり、そういったシステム面の改良というところであったり、自工会も参加しております自治体の職員研修や、そういった自治体さんへのサポートの実施というところを続けていければと思っております。

 もう一つは、新フロンへの切替えに伴いまして、現行フロンの再利用について、今後の逼迫等の様子も見つつ、中長期目線で、対応を少し検討してはどうかということを考えております。

 次の18ページは、少し専門的な内容となりますので本日は割愛させていただきますが、また御覧頂ければと思います。

 次の19ページ目は、お忙しい自治体の職員の方が自動車リサイクルについていつでも学べるようにということで、こういったものを作って、自治体さん等への支援をさせていただいているという御紹介でございます。

 続きまして、20ページ目、エアバッグでございます。エアバッグにつきましても、一部で法律違反が疑われる事業者もございますが、全体としてはおおむね順調に稼働していると考えております。

 次の21ページでございます。課題としましては、フロンと同様でございますが、自治体の取締りのさらなる強化というところでございますが、自治体におかれましては、なかなか使用済自動車の判断が難しいということもございますので、そういったところをさらなる容易化であったり、全損事故を起こしてエアバッグはもう装備なしということで取外し等をされないというケースもございますが、そういった場合については何らかのエビデンスを移動報告で添付できるようにするというように、そういった自動車はまれでございますので、それほど多くの工数がかからずにできるような方法をうまく考えて、そういったことが証明できるような形を、システム面で、何とか抑止対策ということで検討を行って、自治体の方の負荷に配慮した取組ができないものかということで、その辺りを考えていければと思っております。

 続きまして22ページ目はASRでございます。御承知のように廃プラ問題等の影響でASRのリサイクル施設が逼迫しているような状況でございますが、破砕事業者等の関係者に多大なる御協力も頂きながら、何とか車両ベースでは99%というところを維持しております。

 ASR自体につきましても95%以上、若干下がってはございますが、何とか高い95%以上というところは何とか踏ん張って維持をさせていただいていると思っております。

 ただ、そういった中で、次のページでございますが、今後の課題としましては、やはり根本的にASRを減らす施策を検討しようと考えております。具体的には①にございますように、解体段階等で樹脂部品などを、例えば10キロ分外した場合、ASRの処理施設のほうに10キロ分は行かなくなりますので、処理費用は10キロ不要となります。その分の費用が浮くわけでございますが、その分を樹脂等の取外し費用ということで、解体業者等へのインセンティブとしてお支払いできるような仕組みを作るといった促進策が考えられます。この仕組みにつきましては、大きな課題の一つであるコスト低減に向けた輸送効率向上のために、粉砕装置等を解体業者さんのほうへ導入しようといったことも考えられるのではないかと思っております。

 これらの取組自体は、右の点線の中にも記載のとおり、自工会では既に取組み済みでございますが、有害物質等の非含有部品の取外しにおいて、品質面では大きな問題はないということがとりあえずわかっておりますので、解体段階での採算性向上による供給量の拡大ということにこういった取組が寄与できるのではないかと思っているところでございます。

 また、②の全部利用につきましては、そもそもASRを発生させない仕組みということでございまして、これを何とか大幅に拡大したいということで、現在、自動車リサイクル高度化財団でも効率化の実証事業を関係者のほうで行っているところでございます。この結果がよければ、こういったことの促進をぜひ検討していただきたいということで考えております。

 続いて24ページ目のリチウムイオン、LiBでございます。御承知のとおり自主取組としまして2018年10月から稼働開始をしておりまして、これまで順調に運用をさせていただいております。この間に採用拡大が今後想定されます始動用のLiB、今使っております鉛バッテリーが今後LiBに変わっていくだろうということで、まだほとんど発生自体はございませんが、早めに自主的に対応していこうということで、来年度からリサイクル可能となるよう現在準備を進めております。

 そういった中で、次のページの今後の課題ということで書かせていただいておりますが、一つは、下にメーカーのマークがございますが、これらのメーカー以外は当リサイクルシステムには御加入頂いておりません。本文に記載のとおり、今後、新興のEVメーカーであったり、電動車企業さんであったり、いろいろな業種、業界からEV車両等も発売される可能性がございますので、将来的に、使い終わった後のLiBの処理が自治体さんのほうで困難になったりということにならないように、適切なリサイクルをあらかじめ想定した上でそういった車両の販売がなされるように、行政指導のような形も含めた何らかの規制的な対応を検討してはいかがかと考えております。

 次に26ページ目でございますが、先ほど始動用LiBの回収を始めると申し上げましたが、現状は産廃扱いのLiBを前提にしたリサイクルシステムということで仕組みを構築しております。これが始動用になりますと本当に小さいものになります。これにつきましてはお客様が御自身で交換される可能性ということもございます。そうしますと、御承知のとおり、お客様が廃棄される場合は、一般ユーザーさんになりますので、一般廃棄物扱いということになります。そうなりますと、非常にシステム運営が困難な状況になることが考えられるということで、以下にございますように、広域認定制度の規制緩和というところをぜひともお願いしたいというところでございます。

 具体的には、一つはお客様からの回収拠点の管理の問題、実際は、自動車の販売・整備事業者は恐らく10万くらいございます。この10万を1社1社、管理をしないといけないというのは実質的に不可能というところでございますので、ぜひこの点は何とぞお願いしたいというところです。

 二つ目は、一般廃棄物として、今頼んでいます事業者の皆様は産廃の処理業ということで産廃処理設備をお持ちですが、一般廃棄物を扱うことになりますと、設備の設置許可というものが必要になります。もちろん幾つかの事業者はお持ちですが、設置許可の部分について、全く同じものであるにも関わらず出どころが違うというところで許可は分かれてしまうということで、ここも何とぞ御配慮を頂きたいと思っております。

 また、※のところに少し書いておりますが、これは一般、産廃共通でございますが、不利益処分による欠格要件というものが非常に長期にわたりまして、安定的なインフラの運営が困難な点もございます。実際に関東で一部施設が契約直前にこれに該当いたしまして、それはそれで不利益処分を受けるだけの理由があったということで仕方がない面はございますが、欠格要件は5年ということで非常に長いということがございますので、そこの部分は何とぞ御配慮を頂きたいと考えているところでございます。

 いずれにしても、こういった規制緩和につきまして自主取組が円滑にできますように御配慮を頂きたいということで、重ねてお願い申し上げます。

 続きまして27ページは海外リサイクル対応でございます。御承知のとおり、新興国の一部におきましては自動車リサイクル法の検討がなされている状況でございますが、矢印の部分にも記載のとおり、なかなか自動車リサイクルそのものの知見が乏しいとか、インフラも脆弱である、財務状況も脆弱であるというところで、なかなか法制化がいつまでたっても進まないというような国もあるようでございます。一方で、解体事業者の方などが、現地に進出される場合も、法整備がなかなかない中で適正な解体事業をやろうとしてもなかなか厳しいものがあるというところも聞いているところでございます。

 次のページへお進みください。そのような対応の方向性として、相手国のもちろん要望や実情に合わせてということではございますが、下に書いております①から③のような、官民が協力して御支援できるような、まずは受け皿作りというようなところから検討してはどうかと考えております。具体的な支援メニューとしましては、①で書いておりますが、国内解体業者等の現地進出をバックアップさせていただくことで、実務を担うリサイクルインフラ・技術の提供といった面での御支援であったり、②で書いてありますように、現在、大改造中の促進センターのリサイクルシステムのほうを、多言語化まではできるかどうかわかりませんが、英語等にできるようにして、現地の実情に合わせて若干のカスタマイズのようなことは必要かもしれませんが、システムをある程度御提供できれば、現地側で、お金のかかるコンピューターシステムを一から開発するということになると財務面でも非常に大変でございますので、そういう面で、そういったコンピューターシステムは、国が違っても使い方は一緒でございますので、そういった面での御協力を例えばするとか、そういったこともあるのではないかと。また、③のほうは、自工会も、以前より、現地政府、関係者が来日された際に協力しておりますが、法制度構築の御支援をすることでノウハウ不足というところをソフト面から支援できるのではと考えております。

 いずれにしましても、まずは受け皿作りから官民協力して始めて、具体的な支援メニューを、できることからこつこつと検討していけばいいのではないかと考えております。

 最後の29ページでございます。まとめとして、この中にも少し書いておりますが、自工会といたしましては、今後とも自動車リサイクルの安定運用とさらなる高度化・効率化を目指しまして、自主取組を含めて、積極的に取組む所存でございますが、法施行15年目を機に、さらなる制度の高度化を目指しまして、今まで御説明させていただきました下の①から⑥の事項の検討が必要ではないかということでまとめさせていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 長くなりましたが、自工会の発表は以上でございます。御清聴、誠にありがとうございました。

○酒井座長  どうもありがとうございました。

 それでは引き続きまして、日本自動車輸入組合より御説明を頂きたいと思います。入野専務、御紹介をよろしくお願いいたします。

○入野委員  入野でございます。聞こえますか。

○酒井座長  はい。聞こえております。どうぞよろしくお願いします。

○入野委員  それでは資料に基づきまして御説明を始めたいと思います。資料5-2でございます。

 日本自動車輸入組合JAIAでございますが、まずJAIAにつきまして簡単に御説明させていただきますと、1965年、昭和40年に輸出入取引法に基づく法人として設立されたところでございまして、現在の会員構成は、4輪が28社、2輪が10社となっているところでございます。

 活動にも関連しておりますが、実際の新車販売台数、ELV台数を2005年と2019年で比較させていただきました。新車販売台数は全体の6%、ELV台数は全体の3%とわずかではございますが、確実に法的に対応しているわけでございます。15年間で、新車販売台数は5万台から1.2倍、ELVは現在3万台増えているということでございます。

 続きまして5ページに移りますが、JAMAからも御説明がございましたが、企業の分社ですとか合併、あるいは海外の企業の撤退等が発生することがございますが、JAIAは関係機関と緊密に連携をとらせていただきまして、自動車リサイクル制度に空白といったものが起こらないようにしっかりと努めてまいりました。下段にJAIA会員の変遷の事例がありますので、御参考までに御覧頂ければと思います。

 JAIA及びJAIAの会員は自動車リサイクルシステムの安定稼働に15年間貢献させていただいてきていると思っております。当初は、JAIAはJARC様に対しまして人的な貢献もさせていただいておりました。また、金銭的な貢献におきましても、JAMA、メーカー及び、先ほど御説明がございましたが、JAIAも金銭的にも260億の内数として10億円をJAIAの会員が貢献させていただいているところでございまして、下段に年度毎の額の推移をつけさせていただいております。

 7ページからは事務局から御説明頂いた資料3にあります項目に従いまして、我々の活動を御説明させていただきたいと思います。

 8ページでございますが、ASRの円滑な再資源化ということに関しまして、国産メーカー、それからJARC再資源化支援部と共同で効率的にリサイクル実務を実施しております。JAIAメンバーの大手8社と小規模のJAIA会員17社によってそれぞれ対応は異なりますが、それぞれ連携してリサイクル実務を実施しているところでございます。

 続きまして、リサイクル料金の適正な管理・運用に関してでございますが、リサイクル料金に関しましては、処理費用や委託料金の実勢に合わせまして、JAIAメンバーのインポーターが適宜リサイクル料金の見直しを行っております。黒字の会社におきましてはおおむね値下げ済みでございまして、一例ではございますが、表に各社の例を示させていただいておりますので後ほど御覧頂ければと思います。そういった面でしっかりと対応しているということの一例として御紹介させていただきました。

 次の10ページでございますが、リサイクル料金に関しまして、輸入車は国産車に比べましてエアバッグの個数が多く、ASR重量も大きいため、どうしてもリサイクル料金が高くなる傾向がございます。しかし、エアバッグ類に関しましても、解体事業者の作業時間を短縮していただく、また、安全を確保するためにもISO一括車上作動対応車の導入なども積極的に進めさせていただきまして、ユーザーの皆様のリサイクル料金の負担軽減に努めさせていただいているところでございます。

 参考までに、下段に輸入車のエアバッグの装着例として、22個が、どの部分にエアバッグが入っているかをお示ししたものでございます。

 次の11ページに参ります。有害物質の適切な対応ということで、こちらの点については適切に対応しているというのが結論でございますが、鉛、6価クロム、水銀、カドミウムの4物質、日本国内に輸入される車両につきましても、各国の指令に従い、欧州ELVの指令に従いまして、要件に従った形での対応を行っております。

 また、Deca-BDEにつきましても欧州、米国でそれぞれ使用全廃、廃止がされておりますので、そうした結果、日本に新車が輸入される際には、そういったものが一切使用されていないということを11ページで御説明させていただいております。

 続きまして12ページの新冷媒、それからリチウムイオン電池関係でございますが、新冷媒につきましてはフロン排出抑制法に従い、2023年度を目標年度として各社切替えを進めているところでございます。

 14ページにつきましてはJAMAさんからもいろいろと御説明がありました。インポーター各社におきましては、取外しマニュアルを解体事業者にしっかりと提供し、共にJAMAさんが構築したリチウムイオン電池共同回収システムへの参加に向けて準備を進めており、前回の審議会でも回答させていただきましたが、本年度にも参加者が出てくる予定でございます。

 先日もJAIAは回収システムに関する説明会を、自動車再資源化協力機構様の協力の下、開催させていただきまして、JAIA会員の理解促進と加入促進に努めているところでございます。

 課題をいろいろと御説明させていただきましたが、JAIAは2004年の9月、環境・技術委員会の下部組織でございましたリサイクルワーキンググループをリサイクル委員会に格上げいたしまして、JAIA会員の法令遵守と自動車リサイクル制度の安定稼働に取組んでまいりました。今後とも新たな課題が発生しました場合にもリサイクル委員会で課題解決に向けてしっかり議論し、取組んでいくつもりでございますし、15年レビューの諸課題や提言についても同委員会で審議・検討していくことにしております。

 最後になりますが、一例として御紹介させていただきたいと思います。14ページでございます。再生材の活用例でございますが、近年、車両軽量化、燃費性能向上への対応として樹脂の活用が進んでおります。欧州メーカーはCO2削減や環境負荷低減をねらいまして、再生材や天然由来素材を増やしております。この14ページに示されている事例が一例でございますので、御参考にしていただければと思います。

 以上で私からの説明を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○酒井座長  どうもありがとうございました。

 JARC、自工会、輸入組合からそれぞれ御説明を頂きました。それでは質問の宣言を頂いている委員の方々から順番に御意見を頂いて、そして関連の方から御回答を頂くという流れで進めてまいりたいと思いますが、酒井康雄委員、大塚委員、織委員、そして鬼沢委員から頂いております。それ以外の方で御質問のある方は、Skypeのメッセージのほうに御記入をお願いいたします。

 それではまず酒井委員、どうぞ御発言を頂ければと思います。

○酒井委員  日本自動車リサイクル機構の酒井でございます。ありがとうございます。

 促進センターと自工会さんに一つずつ御質問させていただきたいのですが、よろしいでしょうか。

○酒井座長  どうぞ、両方の質問をしてください。

○酒井委員  はい。それではまず促進センターさんのほうからですが、資料の10ページの特預金の残高の推移に関連してお伺いしたいのですが、20年時効ということで、2024年以降に特預金が時効によって発生してくるということがありますが、20年で時効を迎えるという車に関しては、最終消費者に対して何かしら確認作業のようなものをされることはあるのでしょうか。

 また、20年の時効を迎えてくる車の中に、我々解体業界としての感覚からすると、違法な処理を既にされてしまった車が結構あるのではないかということが想像されるところがありますが、この車の発生の原因に対して促進センターはどのようにお考えかというところを併せてお聞かせ頂ければと思います。

 それから自工会さんへの質問ですが、資料の5ページ、6ページ辺りに、今までの現状の分析の中で、1台ずつの車台番号へのひもづけをして、15年後に廃車時の費用を加味しながら設定することの難しさであるとか、それから管理面のコストのかかるところであるとかに触れられていますが、私たち解体業界としても、その部分については1台ずつにひもづけて管理をしていくというやり方については、今回、議論をすべきポイントになるのではないかという意見もあります。このことについては、問題提起というか、ありますが、それについて自工会さんとして何かしら提案するというような内容が提案の中にはないように思われましたが、何かしらお考えのところがあるかどうかというところをお伺いしたいと思います。

 以上です。

○酒井座長  はい。酒井委員、ありがとうございました。

 それではもう少し御質問をお聞きしてまいりますので、質問のあった方はまとめて後で御回答を頂ければと思います。

 では引き続いて大塚委員、よろしくお願いいたします。

○大塚委員  大塚ですが、聞こえますか。

○酒井座長  はい。聞こえております。

○大塚委員  ありがとうございます。自工会さんについて質問でございますが、とてもわかりやすく説明していただいてありがたかったのですが、21ページのエアバッグのところで、全損扱いにして移動報告を省略しようとする解体業者さんが中にはいらっしゃるということですが、そこでは使用済自動車の判断基準の検討が必要ということをお書きになっていますが、これは具体的に、例えばどういう判断基準をお考えになっているかということを教えていただければと思います。

 それから二つ目ですが、26ページの辺りのところと関係いたしますが、始動用LiBに関して、10万の回収拠点が必要になるということで、自主的管理が不可能ということは、ある意味でよくわかりますが、ただ、全く何も管理しないというわけにはいかないと思いますが、どういうことをお考えになっているかということを教えていただければと思います。

 意見としては、結構賛成するところが多くて、リチウムイオン電池関係の一般と産廃の許可の関係は前回も私も指摘させていただきましたし、25ページの海外メーカーとかベンチャー企業との関係での規制の必要に関しても賛成でございます。

 ただ、意見が違うところも二つあって、一つは12ページのところで、現在、自動車リサイクル促進センターに関してのランニングコストに関しての拠出をおやめになりたいということですけれども、ここはどのように考えるかということについては御意見がいろいろとあると思いますが、自動車リサイクルに関しては、永田先生もおっしゃっていましたが、当初から自動車メーカーは統括的仕組みを作られるということだったので、そこを変えることになるのではないかということが心配ではあるので、こういうことは、本当は法律で誰が負担するかということを決めておいたほうがよかったと思いますが、そういう心配があるということは申し上げます。

 それから、8ページ、9ページのところで、現在、メーカーごと、車種ごとにリサイクル料金が違っているのをできるだけ一括化したいという御趣旨かと思います。多分、御面倒なのだろうと思っていますが、家電リサイクルに関しては、結果的に一括化されているだけで、実は製品の種類によって変えるべきだという議論は結構行われているところもございまして、家電リサイクルが必ずしもいいということではないというのは多分役所のほうでもお考えだと思いますが、どうしても車種ごと、メーカーごとに違う料金を設定していただかないと、全部まとめてしまうと、この種のものは拡大生産者責任が若干関係してくるものですから、DfEがしにくいということになりますので、おっしゃるように消費者にこれでインセンティブがあるかという話はそれほど大してはないだろうということはわかりましたが、そうはいっても、DfEということを考えると、これはやはり続けていただく必要があるのではないかということがございまして、面倒なことを言って申しわけありませんけれども、私の意見として申し上げさせていただきます。

 以上でございます。

○酒井座長  大塚先生、どうもありがとうございました。

 続きまして、織委員、どうぞ。

○織委員  織です。私のほうではJARCと自工会に一つずつお願いしたいと思います。まずJARCさんですけれども、アンケート等、大変興味深く拝見させていただきました。若年層への普及が十分でないので、教習所等でのPR活動ということでしたけれども、私は実はこの年になって、つい4日前に免許を取ったばかりです。自動車教習場に通いました。通って思ったのですが、何としても講座の中に「自動車と環境」という1科目をぜひ入れていただきたいと思いました。というのは、彼ら18歳とか22歳の子があれほど必死になって勉強するのは教習所くらいです。ですので、そこでリサイクルとは何かとか、大気汚染と自動車などということを勉強すると、卒業検定に向けて物すごく頑張ってくれるので、これを何とか教習所でのPRなどではなく、科目に入れるように、環境省のほうでもぜひ強くやっていただきたいと思った次第なので、これは御提案ということになります。

 そして国際的な取組についてはありがとうございました。ついにJARCさんもこちらに踏み込んでいただいて本当にありがたいと思っておりますので、ぜひそれを頑張っていただきたいと思っております。

 自工会さんについては、先ほど大塚先生がおっしゃったように、拠出金の自主的なところの取りやめというのは、自動車業界の関与性というものを、これから先も自主的に応援するという形で積極的にはやっていくとおっしゃっていましたが、この拠出金がなくなることによって関与性がなくなってしまうのではないかという懸念が私もあります。ですので、法的にある程度責任を明確化するというような形がない中で、自主的なもの、拠出金を取りやめて本当に大丈夫なのか、いいのかというところは議論の余地があるかと思っています。

 最後に、リチウムについては非常によい御指摘だと思っておりますが、これについてはもうちょっと幅広い観点から、再生可能エネルギーをどのように使っていくのかということや、SDGsを含む広い視点からの議論もできるのではないかと思います。処理という形ではなく、どうやってリサイクルしていくかという、もう少し政策提言的な話にもつながっていくのではないかと思いました。

 以上です。ありがとうございます。

○酒井座長  どうもありがとうございました。

 それではもうおひと方、鬼沢委員からお話を頂いて、それぞれ御回答を頂きたいと思います。鬼沢委員、どうぞ。

○鬼沢委員  鬼沢です。自工会の嶋村さんに幾つか御質問と確認ですが、1枚目のスライドの②、「ユーザーに還元」とあるのは、今ユーザーから預託されている資金管理料金と情報管理料金の大幅な値下げをするということでしょうか。

 それから、14ページにあります、今お2人とも御発言されていましたけれども、「自主的な拠出は終了する」となっていますが、自動車リサイクルシステムの一番の便益性をこうむっているのは、やはりメーカーや関連事業者ではないかと思いますので、特預金がたくさんあるからといって、ユーザーが負担した特預金で全てのセンターの運営を賄うというのは、もう少し議論が必要なのではないかと思います。

 それから17枚目のスライドで、「フロンの中長期的な検討」とありますが、これはいつ頃からの検討を考えていらっしゃるのかと、今すぐなのか、まだ5年後くらい先でもいいのかというところをお聞きしたいと思います。

 それから、28ページにあります海外への対応というのは、JARCのほうでもありましたけれども、非常に大事なことだと思いますが、日本のような登録システムや車検システムがない海外で、促進センターにも管理システムの提供というのはなかなかすぐには難しいのではないかと思いますので、例えば、今、本当に資源に困っているようなアジアの小さな島国で、いろいろな事例を作ってそれを応用していくということから始めたほうが、少しはすぐに役立つことができるのではないかと思います。

 以上です。

○酒井座長  鬼沢委員、どうもありがとうございました。

 それではJARCの阿部さんと自工会の嶋村さんから、それぞれ御質問に御回答頂きたいと思います。まずは阿部さんからお願いいたします。

○JARC・阿部専務理事  まずは酒井代表から20年時効の件ですけれども、実際にユーザーに確認するのは非常に難しいと。いろいろな情報が途切れ途切れになっていたりしておりますし、そういう状況なので、ほぼ無理であろうと想定しています。ですので、JARCとしましては、きちんと関係者に対して周知をして、それで推進をするというような形をとらざるを得ないと考えています。

 また、20年時効が発生する車は、酒井委員が言われたように、いろいろと違法な処理をされたり、当然ながら盗難車とか、もしかしたら不適正保管などをされている車というようなところに入っている可能性もありますので、その辺がどのような形になっているかということは、少しウォッチングしながら進めていきたいと考えております。

 続きまして、織先生から、若年層の件で、教習所の科目に入れてほしいと。私どももぜひそのようになればいいと思っておりますが、なかなかいろいろな問題といいますか、ある意味で障壁がございまして、対応できていません。今、教習所のテキストにPRのページを入れさせていただくというようなことで進めさせていただくということと、あとは、教習所で、休み時間などに流しているPR動画を作成し、今年度と来年度も含めて展開しようということで、若者にとにかく普及するという方法をやっていきたいと思います。

 ただ、科目に載るというのは、両省のお考え等もございますので、そちらとの連携が必要になると考えております。

 また、鬼沢先生からは国際貢献のところでお話がありまして、自工会の嶋村さんも言われていましたけれども、私どもの一つのテーマとして、御指摘のあった島嶼国をどうしていくかということをやはり考えていく必要があると思っております。ただ処理して終わりではだめで、継続して処理ができるインフラとか規制とかいろいろなものが整わないと意味がないので、性急にやるのではなく、やはり相手側の意向を踏まえて、どのように進めたらいいかということを、今後、情報プラットフォームのメンバーの方々と議論していきたいと考えております。

 私からは以上です。

○酒井座長  はい。阿部専務、どうもありがとうございました。

 それでは嶋村さん、どうぞお願いいたします。

○嶋村委員  嶋村でございます。まずは財団の酒井代表からの御質問で、車台番号のひもづけでの管理というところに関して、これはおっしゃるとおり非常に煩雑な側面はあると思っておりますが、ここを具体的にどのようにやめて管理をしていくのかというところは非常に難しいところかと思っておりますので、特にここのひもづけをやめるという考えはとりあえずございません。そういったところで御回答かと思っております。

 続きまして、大塚先生からのお話で、エアバッグの全損扱いの判断基準は具体的にどういったイメージかという御質問だったかと思いますが、自動車の査定の世界におきましては、例えば屋根がひしゃげていたら基本的には全損とか、全損の基準というのは中古車の業界ではある程度ございますので、それに従うというところは一つの方法論としてはあるのではないかと思います。この辺りにつきましては、そういった専門のところと相談しながら考えていけばよいのではないかと思います。

 続きまして、始動用LiBの回収拠点の話でございます。具体的には、各種団体さんに御加入の事業者さんもいらっしゃると思いますので、団体ベースでLiBのシステムに例えば加入していただくというような方法もございますし、法律の第何条かは失念してしまいましたが、対象外になっている自動車部品で鉛バッテリーというものがたしか対象外になっていたかと思います。それと同様な形での規制緩和をしていただければ非常に助かるというところではございます。

 続きまして三つ目で、車種ごとの料金の統一化というところでございますが、自動車工業会としてはメーカー間で料金を統一しようということは一切考えておりません。各メーカーの中で検討を頂ければいいのではないかと考えております。また、料金を変えることに関しては、ほかにも方法論はないのかというところも思ったりもいたします。

 そういったことで、リサイクル料金の部分につきましては各メーカー毎の決定事項でございますので、メーカー間で料金を統一化するというつもりはございませんというところでございます。

 そして、鬼沢先生の話でございますが、まず一つ目にフロンの中長期的な検討というところでございますが、そこに関しては恐らく2030年くらいに現フロンが逼迫する可能性がひょっとしたらあるかもしれないというところでございますので、2025年を過ぎた辺りから、市場の逼迫状況というところも見ながら検討してはどうかと考えております。

 二つ目に海外の話でございますが、車検登録システムが確かにない中で、海外での取組というのは非常に難しいというのはおっしゃるとおりかと思います。島国というお話も出ましたが、本当に小さい国で小さく試してみるという方法論もあるのではないかと思いますので、こういった受け皿作りをした上で、そういった要望のある国で、車検登録システムがあれば一番いいのですが、そういったことも含めて、日本の仕組みをうまく説明をしまして、現地側で導入できる部分は導入していただくというところで考えていけばいいのではないかと考えております。

 また、大塚先生、織先生、鬼沢先生からも頂いておりますセンターの話でございますが、これにつきましては種々御説明をさせていただきましたが、自動車工業会としましては、センターの設立から実際の法施行後まで、非常に中心的な役割の一つとして、その間に500億円ということで御支援をこれまで申し上げてまいりました。重複しますが、これは他業界と比較しても非常にこれまでに十分に役割を果たしてきたのではないかと考えております。

 そういう面で、今回終了させていただくというところでございますが、これはあくまでも自主的な取組ということでやらせていただいてまいりました。その面で、法制化するということも考えていただいてもいいのかもしれませんが、少し書いておりましたが、メーカーの役割という部分につきましては、本来の役割の本質的な目的は何かということを考えますと、やはりセンターの安定運営への貢献ということだと考えております。センターさんの運営費用の負担、負担といってもお客様のお金ですが、負担というところに関しましては、センターの安定運営への貢献ということで、それがメーカーの果たす中心的な役割の一つというところで考えておりました。

 センターの運営費用の一部を負担するというところにつきましては、安定運営への貢献という目的達成のための手段です。手段と目的を混同されがちですが、これは明確に分けて考えるべきだと考えております。

 そういう意味で、立ち上げ期を経て、設立から20年を経過しまして、そういう意味では十分に促進センターさんは収支面では安定していらっしゃるということで、中心的な役割という面では、この法律においては、基本的には3物品の引取りとリサイクル及びリサイクルの高度化というところ、そこの部分が基本的な大きな役割というふうには認識しておりますが、センターさんの安定運用という部分につきましても、そういう面では費用の部分で役割を果たしてまいりましたが、中心的な役割を果たすという部分は変わりませんが、この役割の本質的な目的の部分は十分に達成されたということで、その部分に関しての役割は終了したと考えております。

 そういったことで、今回、終了させていただくということで、自主的な取組ということでございましたが、その目的は十分に達せられたのではないかと考えておりますので、何とぞその点は御理解を頂ければと思っております。

 以上でございます。

○酒井座長  嶋村さん、どうもありがとうございました。

 ほかに数名の委員から質問があるという宣言を頂いております。丁寧に質問、御回答を頂いていることもあって、ちょっと時間が押しぎみでございます。恐縮ですけれども、質問は要領よく端的にお願いできれば幸いです。

 続きまして根村委員、お願いいたします。

○根村委員  NACSの根村でございます。JARCさんと自工会さんに質問させていただきます。まず、JARCさんの部分ですが、特預金の残高についてお伺いします。2022年にリサイクル料金の割引を実施するために資金総額を確保するということで、126億円が予定されていますが、これは、いわゆるインセンティブというものと考えてよろしいでしょうか。その場合、早い場合は2022年度くらいから引下げが行われるということをイメージしていてよろしいでしょうか。それがJARCさんへの質問です。

 それから自工会さんに質問させていただきます。今後の自動車リサイクル促進センター支援の対応方針についての部分です。神経質と思われるかもしれませんけれども、今後もリサイクルシステムはきちんと回っていくのかとか、あるいはユーザーの負担が著しく増えることはないのかというような不安の声が上がっております。その辺りはどのように考えたらよいか、お答え頂きたいと思います。

 以上です。

○酒井座長  どうもありがとうございます。

 赤穂委員、どうぞ。

○赤穂委員  ありがとうございます。JARCさんと自工会さんに質問があります。まずJARCさんには、26ページのシステムの改造のところですけれども、大まかで結構ですが、イニシャルコストとかランニングコストがどのくらいかかると想定されているのかお伺いしたいと。

 それと、今後の電子化の対応、特にリサイクル券の電子化などについてどういうお考えで臨むのかということがもし決まっていれば教えていただきたいです。

 それから自工会さんには、資料11ページにありました、メーカー側に余剰金を残さずに全てJARCに渡すということですが、逆に考えると、かかった費用をそのままもらえるということになると、リサイクルをするコストを引下げるインセンティブがなくなるのではないかと懸念します。基本的にこの新しい仕組みでいいかと思いますが、いかにしてリサイクルを引下げていくのかということについて、メーカーとしての何かコミットをしていただければと思います。

 それから、ASRの減量についてですが、やはり前回もありましたが、設計段階から減量を意識したものにしていくことがとても大事だと思っています。そこについての記述がなかったことが少し残念かと思います。次回、何かそういう取組を紹介する機会があれば、設計段階から減量化の取組でどういうことをされているのかということを伺うことができればいいかと思います。

 以上です。

○酒井座長  ありがとうございました。

 引き続いて佐藤委員、お願いいたします。

○佐藤委員  佐藤でございます。自工会の発言について幾つかコメントをしたいと思います。まず、そもそもの制度設計時の出発の点としてリサイクル費用の内部化を目指していたけれども、結局は非常に複雑な制度での1対1対応をしたという点についてです。私も今後、長期的には、特預金の積み重なりとか行方不明の車というものが出てくることを考えると、どこかの時点でリサイクル費用を内部化し、年金方式に変えていく方が合理性があるのではないかと思います。ですから、今回はそういう提案は出ていませんけれども、そういう提案もいつかは必要だと思っています。

 それから、個別の考え方については、まず11ページのユーザー管理をするということには私は賛成でございます。

 12ページに関し、メーカーとしてのコストの実質的な拠出を今後は見直していくという話ですが、これはもともとのスタートが、JARCが経済的に困るというリスクをヘッジしたからだと思ったのですが、現在はそういうリスクがございませんので、またそういう必要があったときに再開するということで、現在は必要ないのではないかと思います。そのかわりに、自動車業界にはもっといろいろなことを努力してほしいと思っています。

 例えば16ページのフロン、それから20ページのエアバッグ、こういったものの不適正処理が疑われる事案、こういったものについては、自治体頼みでやるというのは、自治体の職員にとっては過剰な負担となることを危惧しています。自治体の方はただでさえ非常に忙しくたくさんの業務を抱えているわけですから、JARCと自動車工業会が、こういうところに、一種の拡大的な排出者責任というのでしょうか、自主的に点検をして監査をし、コンプライアンス体制を改善してもらうように指導、勧告、助言というようなものを直接することによって不適正事案を減らすことができるのではないか、同時に自治体の方々の負担を軽減するのではないかと思います。そういったことで、自動車会社の技術的な経験に基づいた不適正処理の防止ということに努力していただきたいと思います。

 それから22ページのASRについては、長期的な国のプラスチック戦略の中での整合性があると思いますので、いずれは長期的な戦略を作っていただきたいと思います。一方、全部利用というのは非常にわかりやすいやり方ですので、こういうやり方もぜひ開発をしていただきたいと思います。

 それからリチウムイオン電池についてですけれども、これは非常に重要な課題です。リチウムイオン電池の不適切な取扱いは、火災のリスクがあり、確実な対処と処理が必要ですけれども、現在インフラが十分ではありません。広域認定制度というのは、製造者の責任ではなく自主的取組になっているので、普及が困難であると同時に、実務的に煩雑な制度になっています。特にメーカー及びその委託先が不利益処分を受けると5年間の欠格要件の対象となるというのは、製造業としては常識では考えられない要件です。例えば通常の製造業を行っていて上場もしている会社が、適正処理の能力を発揮できないということは大変なことだと思います。

 大手の物流会社、セメント会社、製錬会社、製鉄会社、こういう大きなインフラを活用しないと、今後の広域的なインフラは築けないと思います。欠格要件を見直すと同時に、運搬、積替え保管といったところの広域処理システムを全面的に合理化するということが必要だと思っています。

 以上です。

○酒井座長  どうもありがとうございました。

 では引き続いて井岡委員、どうぞ御発言ください。

○井岡委員  お世話になります。自工会さんに質問と1点少し述べさせていただきます。まず一つ目に20ページのエアバッグのところで、左下の図ですけれども、引取り台数の上昇に比べてエアバッグの引取り個数がそれほど伸びていない。先ほども別の方から御説明がありましたが、エアバッグは今、非常に車載されている数が増えていて、国産車でも最大15個ついているというお話を伺っておりますが、この数がどうしてかということをお聞きしたいと思います。

 それから自主的なお金の拠出のことでございます。こちらは消費者の立場としましては、どちらにしても消費者が負担していたお金ではないかという感じもいたします。

 それと、JARCさんですが、今の自動車のリサイクルのシステムが、不正な車も激減いたしまして特預金も増えてはいますが、これは成功していることを示しているのではないかと思います。ただ、このリサイクルのシステムが15年たったということで、ちょうど今、車の寿命が平均15年ですので、やっと一回りしたところではないかと思います。自動車業界さんが今、大きな変化を迎えていらっしゃって、いろいろと大変かと思いますが、この点についてはぜひ慎重に考えていただきたいと思っております。

 消費者としては、ここのところのSDGsとかエシカルということがとてもよく聞こえてきて、意識が高まり、また、今年はレジ袋の有料化ということで、さらに身近にリサイクルということを考える関心が高くなり、意識が向上しています。そういったところでぜひメーカーさんへの御協力をお願いしたいと思います。安定的なものということで、適切で公平なお金の使い方ということで、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。

 以上です。

○酒井座長  どうもありがとうございます。

 それでは最後に乗田委員、どうぞ。

○乗田委員  もう時間もないようですので、来週の私どものプレゼンテーションのときにお答え頂いてもよろしいのですが、JAMAのプレゼン資料の22ページ、23ページのASRについての記載で質問させていただきたいと思います。

 30日の次の会議で私どもは破砕業担当として鉄リ工業会からプレゼンテーションの時間を頂いておりますが、私どももASRの量の削減ということはぜひ実現したいと思っております。ただし、私も法的な考えはよくわかりませんが、場合によっては法律改正、自動車リサイクル法自体の改正も必要になるのではないかと思います。やはり破砕前の部材の取外しをぜひ実現できないかということで、我々は過去においても合同会議の場で御提案させていただきました。

 23ページに図がございますが、自工会として、現在、具体的なアイデアがおありなのかどうか、教えていただければ幸いです。

 ただ、時間の都合もございますので、これは30日の私どものプレゼンテーションのときに議論させていただいても構いません。以上でございます。ありがとうございます。

○酒井座長  どうもありがとうございました。

 それでは今、5名の委員から、さらに質問、意見を頂戴いたしました。JARCと自工会それぞれに頂きましたので、可能な範囲でお答え頂きたいと思いますが、一つは、拠出金に関しては、前も3名の委員の方からも御意見を頂きまして、嶋村さんからも相当の回答を頂いたところでございます。ということで、今日のところは、この拠出金に関するこれ以上の質疑は控えさせていただきまして、事務局のほうで、これまでの拠出金の議論の経緯を再整理をしていただいた上で、論点を再度整理していただいて、機会を改めてこの話についての方向性を取りまとめるという整理でどうかと思いますが、どうでしょうか。

○鳥居リサイクル推進室室長補佐  環境省の鳥居でございます。酒井座長から御提案頂きましたとおり、まず事務局のほうで整理させていただきまして、次回以降に御説明をさせていただきたいと思います。

○酒井座長  ということで、この後のJARC、自工会の御回答のところでは、拠出金関連のところは省いていただいて結構でございます。

 それではまた阿部さんからお願いいたします。

○JARC・阿部専務理事  はい。まず根村委員から、特預金が2022年度に減額になる内容は、おっしゃるとおりユーザーインセンティブで約100億程度というようなことが言われております。

 次に赤穂委員のJARCのシステム大改造のコストですけれども、これは入札が絡むものでして、金額は明確にお答えすることができないという状況です。ただ、先ほどJAMAからもありましたけれども、最初に作ったときは200億円がかかっていますが、それよりはどう下げるかというようなことも検討しながら進めていくという状況にあります。

 また、リサイクル券の電子化についても種々検討しております。一部、車検も電子化されるということで、それに対して何かができるかを検討しています。こちらは国土交通省との連携等もありまして、役所側でいろいろと交渉していただく必要があります。現在はリサイクル券を電子化した場合にどういうことができるかということをまずまとめるということをJARCの中で進めている状況になります。

 私からは以上です。

○酒井座長  どうもありがとうございます。

 それでは嶋村さん、よろしくお願いいたします。

○嶋村委員  嶋村でございます。それでは幾つか御質問にお答えさせていただきたいと思いますが、まず赤穂委員からの御質問でございますが、かかる実費を頂けるということであれば、コスト低減のインセンティブがなくなるのではないかという御質問でございました。自動車メーカー的には、そこの部分は一切関係なく、常にコスト低減を進めるのは普通のこと、当たり前のことということで、コスト低減への手を緩めるとか、そういったことは基本的な行動パターンとしてはない行動パターンになりますので、今回、この仕組みがどうなろうが、コスト低減は継続して進めるということに関しましては間違いない部分でございますので、十分にコミットのできる話かと思います。これはもう習い性で、自動車メーカーの常でございます。

 もう一つ、ASR減量につきまして、設計段階からいろいろと取組をというお話だったかと思いますが、以前も少し御説明したことがあるかもしれませんが、100グラム以上の材料には種別を刻印させていただいたり、内装パネルなどには取外しやすい爪や切り込みを入れたり、そういった細かい設計段階からの取組というものはしておりますので、それはそれで、また御紹介する機会がもしあれば御紹介させていただければと思っております。

 佐藤先生からはフロン、エアバッグの取締りに関わる部分で、自工会のほうでというところでございますが、こういったことも、なかなか法律関係の話もありますので、どのようにできるのかということは、具体的には両省と御相談をしないといけないということではあろうかと思いますが、こういった点で今後考えていけばいいかと思っているところでございます。

 ASRにつきましては、減量をしっかりやっていきたいと思っておりますし、ASRの長期的な戦略というところでございますが、これは今後検討していく必要があろうかというふうに自工会の中では内々に話をしているところではございます。

 広域認定制度関係については、御意見ということで承りました。

 井岡委員からのお話で、20ページの引取り台数が少ないのではないのかという話ですが、斜めの斜線が入っているのは引取りの廃車の台数で、引取り個数はエアバッグの個数ということになりまして、昔はドライバー席とパッセンジャー席にしかついていませんでしたが、先ほど、輸入組合さんのわかりやすい絵もございましたが、今はサイドエアバッグなど、いろいろなところにエアバッグもついていますので、そういった車がそろそろ廃車になってきておりますので、1台当たりについているエアバッグの個数自体は右肩上がりで増えているという意味合いでございますが、こういった御回答でよろしいでしょうか。

 乗田委員のお話に関しましては、また次回ということでございますので、私からは以上でございます。

○酒井座長  はい。それでは先ほどのASRに関する乗田委員とのやりとりの部分は次回ということにさせていただきましょうか。極めて大事な部分でございますので、しっかりと次回に議論していただくようによろしくお願いしたいと思います。

 それでは相当多くの質問と御意見、またそのやりとりを頂きました。それぞれ質問を出された委員の方々、また、お答え頂いた委員の方々、どうもありがとうございました。時間も押しておりますので次に進めさせていただきます。

 引き続きまして資料6の関係で、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会のほうから説明を頂きます。NACSの根村副委員長から御説明を頂き、引き続いて元気ネットの鬼沢理事長から説明を頂きたいと思います。両者の御説明の中で御質問がございましたら、メッセージへの記入をよろしくお願いいたします。

 それでは根村委員、どうぞよろしくお願いいたします。

○根村委員  公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会環境委員会の根村と申します。「ユーザーの視点から見た自動車リサイクル制度」について述べさせていただきます。

 最初に、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)についてご説明させていただきます。私どもは1988年6月に設立され、現在は、消費生活アドバイザー、消費生活コンサルタント、消費生活相談員の約2,500名で構成されております。全国7支部の会員が、消費者利益と企業活動の調和を図り、社会に貢献しようと活動しております。私は本部委員会の一つである環境委員会に所属しております。

 目次にお進みください。本日は、まず2015年にまとめられた「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」の中の「あるべき姿」の実現に向けた取組のうち、ユーザーと関わりのある3点に関して述べさせていただきます。

 続いて前回の合同会議に出された今後の議論に向けた検討の観点について述べたいと存じます。なお本日ですが、公益財団法人自動車リサイクル高度化財団の2017年度自動車リサイクルに関する周知活動支援事業に応募し、そこで行いましたアンケート調査などをもとに述べさせていただく部分がございます。補足資料を適宜御参照ください。どうぞよろしくお願いいたします。

 スライド4に移ります。環境配慮設計や再資源活用の取組が行われていることは、カタログや各社ホームページの記載情報を詳しく見れば気づくことができます。しかし、その各社の情報が、購入時の選択に活用できるようなユーザーに寄り添った記述になっているとは言いがたいように思われます。カタログやホームページにおいては、事例を挙げてのわかりやすい解説、そして販売時点での個々のユーザーに合わせた説明が効果的であると考えます。環境に関するメッセージには、もともと関心の高い燃費やGHGガス削減などに加え、3Rの推進・質の向上にも目を向けるような、わかりやすい内容が必要です。

 スライド5に移ります。一般ユーザーの場合、車検以外での部品交換の経験はあまりなく、修理依頼時には、安全性や経済性、効果などを総合的に判断し、最適な修理を提案してくれるものと期待しています。情報の格差もあり、自らリサイクル部品の使用を申し出ることは難しいと言えます。

 私どものアンケート1によれば、リサイクル部品を選択できることを知っていたのは、自宅に自動車がある場合でも20.7%でした。

 アンケート2によれば、リサイクル部品を使った自動車の安全性、品質や保証への不安は、各3割ほどありました。ほかにも、どのような自動車から取った部品かわからないといった漠然とした不安も挙げられました。資源の有効利用につながるとしながらも不安があるという現状がわかります。

 まずリサイクル部品が信頼されるものとなること、そして修理に際しては選択できるということを含め、不安を緩和するための正確な情報提供が必要と言えるでしょう。

 スライド6に移ります。実際には使用済みにした経験を持つことが少ないユーザーが自動車リサイクルを知るのはどのタイミングでしょうか。お金を支払うときではないでしょうか。私どものアンケート3からは、自動車リサイクルに関する説明が販売時にされることへの期待が読み取れます。

 JARCさんの「自動車ユーザーへのアンケート調査結果」によれば、「Q5クルマを購入する際、販売店(販売者)から『リサイクル料金』の説明を受けましたか。」に対し、「説明を受けた」という答えは、2019年で38%、2018年に33%、2017年は39%となっていました。ユーザーのリサイクル制度への理解のためには、その目的や仕組み、料金について、販売時点での丁寧な説明をお願いしたく存じます。

 スライド7に移ります。続きまして、今後の議論に向けた検討の観点のうち、制度の安定化・効率化に向けて申し上げます。

2026年1月より稼働予定の新自動車リサイクル情報システムにおいては、現行の使用済みの手続に伴う複数の行政機関にかかる申請などがワンストップで完了するようなシステムになることを期待します。

 逆有償化を防ぐための取組は今後も継続されることを期待します。

 スライドへの記載はございませんが、リチウムイオンバッテリーの回収に関しましては、自動車リサイクル法など個別物品の特性に応じた規制とせず、廃棄物処理法及び資源有効利用促進法の下での横断的なリサイクル、廃棄の定義や対応の検討が必要なのではないかと思われます。

 スライド8に移ります。再資源化の高度化への期待についてです。廃プラスチックの国内処理増加に伴い、ASRの再資源化施設の受け入れが逼迫している状況の改善はすぐには難しいのではないか、その対応策の検討が必要と思われます。プラスチックやガラスなどの素材では、経済的にも適正な技術が確立され、破砕・選別の精度を上げるために最適なタイミングで取外され、マテリアルリサイクルが進むことを期待しています。

 スライド9に移ります。次世代自動車への期待についてです。2030年次世代自動車普及目標を考えますと、新しい部品、素材の技術整備に時間的余裕はあまりなく、よりスピードをアップすることが望ましいと考えています。

 そのほかといたしまして、物流におけるこん包・包装資材の削減と、その資源の有効利用などにも御配慮をお願いしたく存じます。

様々な技術がときにトレードオフとなり、単純に進むものではないのかもしれませんが、国際的な視点に対応する自動車リサイクルであることを期待しております。

 以上となります。御清聴ありがとうございました。

○酒井座長  根村さん、どうもありがとうございました。

 それでは引き続きまして元気ネットの鬼沢理事長から、御発言を頂ければと思います。お願いいたします。

○鬼沢委員  持続可能な社会をつくる元気ネットの鬼沢です。資料6-2の2枚目のスライドを御覧ください。1996年から、ごみをテーマに、連携・協働よる課題の解決に向けての活動を続けてまいりました。

 3枚目のスライドを御覧ください。その中で、自動車リサイクルに関する問題意識として、左上にあります七つの項目が、今、一番問題なのではないかという思いで、この数年間、活動してまいりました。その中の一つに、2014年に自動車リサイクル制度の見直しが行われたときに、EUへの視察とマルチステークホルダー会議を開催して、こちらの委員会でも発言させていただきました。

 それから2017年、2018年の2年間は、高度化財団の普及啓発事業として2年間実施いたしました。自動車リサイクル制度に関して知っているということと正確に発信するということには大きな隔たりがあるという思いから、2年間の事業においては、意欲を持って正確に発信できる人を増やしたいという思いで活動してまいりました。

 4枚目のスライドを御覧ください。2014年には、ドイツ、オランダ、フランスの3カ国5都市6組織を訪問して、自動車リサイクルに関するヒアリングを行いました。特にプラスチックのリサイクルに関しては関心が高かったものですから、フランスのGallooのプラスチック部門を訪問いたしました。

 この視察訪問に先立ちまして、第1回のマルチステークホルダー会議を視察の前に行いまして、そのときには自工会、自動車部品協議会、損害保険会社、リサイクル事業連合会と鉄リサイクル事業者の方に御参加頂き、課題の共有を行いました。写真は、訪問先のそれぞれの写真です。

 5枚目のスライドを御覧ください。こちらが高度化財団で2年間実施した体験型普及啓発のための研修です。1年目の2017年には、全国から地域で活躍している環境リーダーの方20名にお集まり頂いて、見学と研修を行いました。このときの講師は環境省さんにお願いしました。

 様々な活動をしている皆さんから出た質問は、主なキーワードとして八つ挙げておりますが、リユース部品の市場と品質保証とか、特預金のユーザーへの返還についてとか、JARCの情報システムとか、様々な質問が出ました。

 リサイクル制度に関して新鮮だったことに関しては、やはりリサイクル率の高さとか、特預金の存在、使われ方、あるいはメーカーが製造責任を感じられるよい制度であるという感想がありました。

 この研修に関して全体の感想としては、全国から様々な活動をしている皆さんにお集まり頂いた関係で、多面的な参加者の質問やコメントも多岐にわたっていて非常に刺激されたとか、あるいは資源循環の仕組みやあり方について深く考え、システムやその技術に信頼ができたという感想がありました。

 6ページ目を御覧ください。この事業を始めるに当たって、制度をより簡単に知っていただくための普及啓発用の小冊子を作ったのですが、その小冊子を用いて説明をさせていただきました。

 2年目の2018年にはこの体験型の研修を愛知県と北九州市で開催いたしました。

 愛知県においては、解体事業者さん、それからプラスチックのリサイクル事業者さん、それから高度リサイクルの施設という、一連の流れがわかる施設の見学ができたのですが、移動に時間がかかった関係で、学び合いの研修時間がちょっと少なくなってしまいました。このときは自工会の嶋村さんに講師をお願いいたしました。

 そして北九州で行ったときには、学び合いの時間をもう少し多くとりたいという思いで、施設見学を1カ所にして、九州エコタウンの会議室をお借りして十分な情報提供と質疑の時間を設けました。

 下のグラフは、そのときの北九州で行ったアンケートの結果です。元気ネットで作りました小冊子に関しては、やはり特預金のことに関して印象的・新鮮と感じたという回答がありました。

 それから2年目には、ごく普通の一般の消費者に対する認知度調査を行いました。3R推進キャンペーンのイベントにおいて、場所は新宿駅西口のイベント広場だったものですから、環境に関心がなくても、ただふらっと立ち寄ったという方が圧倒的に多かったのですが、自家用車の有無で区別し五つの質問をして回答を得ました。特に特預金の使われ方や、特預金の存在に関しては9割近くが知らないと答えていただいておりましたが、使われ方に関しては非常に好意的であるということがアンケート結果からわかりました。

 それから、自動車リサイクル制度に関してだけの普及啓発をする機会というのは実はあまりありません。3Rや資源循環とか温暖化防止などの講師をする機会は非常にありますが、そういったときに、少し時間を割いて自動車リサイクルのことも話していただきたいという思いで、時間に応じたマニュアルの作成も行いました。

 7枚目のスライドを御覧ください。左が最初の年に作成した小冊子に記載した11項目です。ぜひユーザーの方に知っていただきたいと思うことを1行ポイントでノートに記載して皆さんにお知らせいたしました。その件に関しての感想は、右の部分ですが、一番大切だと思われるのが、この1行ポイントの吹き出しは、短文で効果的で、意味や背景をさらに知りたくなったという感想です。新しい情報を得ることで次の一歩につながるという感想が見られました。これは、意識も変わり、行動に変化が現れたということではないかと思います。

 8枚目のスライドを御覧ください。二つの地域で開催するに当たりまして、元気ネットだけで参加を募集をするのではなく、地域で積極的に普及啓発の機会がある方、あるいは関心の高い方に参加していただきたいという思いから、地域事務局を設けました。その地域事務局を担ってくださった方の開催前と開催後の変化です。この中で一番重要な行動意識の変化の部分では非常にたくさんの感想を寄せていただきました。大切なことではないかと思う点は、使用済自動車は適切に資源循環が行われるべきだと考えるようになったとか、ユーザーの1人として資源循環に対する責任が明確に芽生えたなどという感想がございました。

 特に、資源を有効利用するためには、消費者としてリサイクル料金を最初にお支払いするということは当然であると考えるようになったなどという感想がありました。

 最後のページを御覧ください。これは、これまでのリサイクル施設見学や体験研修会から見えてきたことですけれども、今、発言したように、工場見学と学習会を同時にすることによって参加者の意識が変わり、情報発信する機会のある方は自ら発信するという行動に至っています。それがイコール人材育成にもつながっていると思いますし、意識の変化、行動の変容を起こすような情報提供がすごく大切なのではないかと思います。

 それから、リサイクル制度ができたときから見ますと、車の素材の多様化ということもありますので、そういったことへの対応にも非常に皆さんは関心がありましたし、そういったところは今後重要ではないかと思います。

 7番目にありますが、自動車リサイクル制度をよく知ることで、循環型社会形成へ一人一人が貢献しているという意義を感じられる制度であるということから、正しく理解して知っていただきたいという思いで活動を続けてまいりましたし、今後も必要なことではないかと思います。

 以上です。

○酒井座長  鬼沢さん、どうもありがとうございました。

 根村委員と鬼沢委員、それぞれからそれぞれの事例を御紹介頂きました。この段階で、メッセージ欄には御発言の意思は頂いていませんが、ございませんか。

 それでは私のほうから若干聞かせていただきたいと思います。

 まずは根村委員ですけれども、途中で若干聞き逃したかもしれませんが、情報システムの効率化への期待ということで、ワンストップサービスの必要性ということを口頭で説明されたかと思いますが、この辺りは今まさに政府が進めようとされているデジタル化とも極めて関係の深いところになっているかと見ています。もう少し追加で説明を頂ければというのが私の希望でございます。

 それから、鬼沢委員からの取組の紹介では、特に体験型の普及啓発といったところで、受講する時間と皆さんの努力というのは相当なものがあるのだろうと見ていますが、1行のポイント吹き出しでの説明が効果的だったというところですけれども、それを認識されて、そしてどのような形で参加された方々の意識が変わっていったかといった辺りで、そこを少し総括的に考えてみて、どうだったかというところを追加で説明頂ければと思います。

 それでは根村委員から、情報システムについて少し追加で説明頂けませんか。

○根村委員  かしこまりました。私はもともと早口なところもありまして、わかりにくくて申しわけございません。ワンストップサービスは、ユーザーの立場から考えたシステムに対する希望でございます。今回、新型コロナウイルスで外出がままならない中で、インターネット、デジタル化で手続きが進められるとよいといったところからの発想でございます。例えば税金などの還付申請をすることになるかと思いますが、そういったところにつながっていくようなシステムがよいのではないかということです。もちろん難しいと理解はしておりますが、デジタル化で、また省庁を超えてということができれば、ユーザーとしてはありがたいということで一言述べさせていただいております。

○酒井座長  どうもありがとうございます。まさにおっしゃるとおりで、こういう大きなシステムをどう考えていくかということは本当に大事な課題だと思います。

 鬼沢委員、いかがでしょうか。

○鬼沢委員  ありがとうございます。高度化財団の事業のときに作成した普及啓発用の冊子に、1行ずつの本当にワンポイントの吹き出しでコメントを入れました。これはやはり、課題だったり、ぜひユーザーの方に知っていただきたいというところを割と簡単な文章で入れましたが、これに対しての質問がすごく出ました。

 例えば、離島からの運搬費に特預金が使われているとか、そういったシステム全体を知ること、個別のことを知ることによって、すごくいいシステムだという理解がすごく進んだと思います。

 例えば、1台当たり、車の20%から30%がリユース部品としてちゃんと取られて使われているということは、そういう細かいところまで皆さんは知る機会がなかったと思いますので、そういった点で、1行ポイントに対して非常に質問が多かったことと、それに対しては全ての回答を全員が共有する形で事後にお送りしたりしたことが非常によかったのではないかと思います。

○酒井座長  どうもありがとうございます。

 大塚先生から、質問、御発言の希望を頂いております。大塚先生、お願いいたします。

○大塚委員  どうもありがとうございます。質問ということではありませんが、鬼沢委員の御報告との関係でちょっと意見が出てきたので申し上げたいと思います。

 7ページの辺りで、概念が少し難しいものがあるといった話が出ていたと思いますが、日本のリサイクル関係の法律も、EUなどに比べると、わかりやすさという点では若干問題があるケースも多いのではないかと思っておりまして、これは役所のほうにお願いすることですけれども、国民にわかりやすい制度にするというところもぜひ心がけていただけると大変ありがたいかと思います。

 どうしても、細かいことを、まさにこうした会議などで決めていって、それがどんどんつけ加えられていって、法律は変わらないのに中身は少しずつ変わってしまっているけれども、国民に対してわかりやすく説明ができるのかというような問題が多分出てきているのではないかと思いますので、一般的なことで恐縮ですが、心がけていただけるとありがたいと思いました。

 自動車リサイクルは、私が見るところ、日本の個別リサイクル法の中でもかなり成功しているほうではないかと思っておりまして、環境省・経済産業省の方々の御努力のおかげでございますし、特に自動車メーカーにおかれましては大変な御努力を頂いているということが先ほども伝わってきましたけれども、これをまさに維持・発展していただけることが非常に大事なのではないかと思っております。

 また1点、先ほどのことと関係しているので一言申し上げたいのですが、フロンとの関係で、鬼沢委員の御質問に対して嶋村さんがお答え頂いた件ですが、2030年くらいにフロンが逼迫する可能性があるということで、2025年過ぎから検討するという話ですけれども、法改正の見直しの時期は5年に1回しか来ないので、2025年までゆっくり待っているということではなく、役所におかれては、問題が起きそうになったら法改正を少し早くやるということも含めて、ぜひ御注意を頂けるとありがたいと思います。

 以上でございます。

○酒井座長  大塚先生、どうもありがとうございました。

 では、今の御意見に関しては、また事務局でも検討を頂くといったことで扱わせていただく、そういう扱いにさせていただきたいと思います。

 お約束の時間がほぼ近づいてきております。最初のお三方の説明の後のやりとりではとても終わらないと思って心配していましたが、何とかいい時間になってきていると思っております。

 終了時間が近づいておりますが、産構審のほうの村上座長から御意見を頂きたいと思います。村上座長、どうぞ。

○村上座長  ありがとうございます。細かいところは数多くの御指摘を頂いているのでわざわざ振り返ることもないかと思っております。一つ大きなところで気になりましたのは、JARCへの自工会さんの支援の話については、少なくとも、大塚先生の御意見とも重なるところがあると思っておりますが、黙ってしっかりと御協力を頂いて、いろいろなことをしていただいているという話も多分あちらこちらにあるのだろうと思っております。

 他方で、昨今の資源利用に関する話に最近首を突っ込む機会があって、見ていますが、その中で企業の評価みたいところにも、サーキュラーエコノミーのところにどのくらい貢献しているのかのような話も出てくると。また、消費者団体のお2人からの御説明にもあったように、伝わっているところと伝わっていないようなところがあるという話もあるので、やはり全体的に透明性を上げていかざるを得ないところというのがどんどん増えてくるのではないかと思いますので、いろいろなことを考えるときに、先ほど大塚先生がおっしゃっていたとおりで、説明しやすいような形に、パッチワーク的に、わかりにくくならないように気をつけながら進めることが必要なのではないかと思った次第であります。

 また、一つだけ、前回の座長からの積み残しで、前回に松八重先生から素材産業に対するヒアリングをという御希望があったのがどうなったかということについて、一言で構わないので御説明を頂けたらと思います。

 以上です。

○酒井座長  今、村上先生から素材産業の扱いについて質問がありましたので、回答をお願いします。

○藤岡自動車リサイクル室長  経済産業省自動車課藤岡でございます。今日はいろいろとありがとうございます。村上座長からお話を頂戴した件について、御報告させていただきます。

 次回、9月30日はもう1回ヒアリングの日とさせていただきますが、その後、11月中旬で、皆様方に予定の確認をさせていただいていると思います。その日程で、ASRの削減、それからマテリアルリサイクルの促進ということで、少し御意見を頂戴したいと思っておりまして、その際に素材系の皆様にも御出席を頂いて、現状なり受け入れに当たってのお考えなりということもお伺いするようなイメージでおります。

 今、プラスチック関係の方々、それからガラス関係の方々については、一応お越し頂けそうだという状況でございます。また、正式に決まりましたところで御報告、御案内をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○酒井座長  どうもありがとうございました。村上先生、そういったことでよろしいでしょうか。

○村上座長  結構です。ありがとうございました。

○酒井座長  また素材関連のヒアリングの機会も得られるということでございます。

 それでは、ほぼ時間でございますので、今日の議論の途中で、自工会のほうからの拠出金の話に関しては改めて経緯等を整理した上で論点整理を行って、再度御議論を頂くという整理にさせていただいております。この点は御了解を頂ければと思います。

 それから、次回に積み残しということになった点が、ASRの削減という点で、鉄リ工業会の乗田委員から御意見を頂戴しております。また、ほかの委員からもASR削減の重要性に関してはほぼ一致した見解を頂けているのはないかと思っております。そういった意味では、ASR削減は今後も必要といったところに関しては、ほぼ現時点で共通認識であると思えてきております。そういった意味で、今後どう実行するかという議論に進んでいくことができればありがたいと思っております。

 次回、9月30日のときにも非常に重要な場面になるかと思いますので、どうぞやりとりを頂きますようにお願いをしたいと思います。

 それでは、本日は大変有意義な御意見を多数頂戴しましてありがとうございました。

 最後に事務局から、議事の取扱い等につきましての説明、また、追加で何かアナウンスがございましたらよろしくお願いいたします。

○鳥居リサイクル推進室室長補佐  環境省の鳥居でございます。本日はお忙しいところを活発な議論及び円滑な進行に御協力を頂きまして誠にありがとうございました。頂きました御意見等につきましては、拠出金の件を含めて事務局のほうで整理してまいりたいと思います。

 本日の資料につきましては既にwebサイトにて公開させていただいております。また、本日の議事録については、御発言者が特定されない形で議事概要を早々に公表させていただくと共に、後日、各委員には詳細版を配付し、内容を御確認頂いた上で、同じくwebサイトにて公開をさせていただきますので御了承ください。

 次回の審議会につきましては、来週9月30日9時半からの開催を予定しております。

 それでは本日の会議は終了とさせていただきます。活発な御議論を頂き、誠にありがとうございました。

○酒井座長  どうもありがとうございました。失礼いたします。

-了-