中央環境審議会循環型社会部会(第21回)議事録
日時
平成29年6月22日(木)13:00~16:00
場所
TKPガーデンシティ永田町 バンケットホール1A
議題
(1)第三次循環型社会形成推進基本計画の見直しについて(ヒアリング)
テーマ:万全な災害廃棄物処理体制の構築
適正処理の更なる推進
対象者:東京農工大学農学部環境資源科学科 高田秀重教授
熊本県
三重県
株式会社富山環境整備
(2)第三次循環型社会形成推進基本計画の見直しについて(ディスカッション)
(3)その他
議事録
午後1時00分 開会
○企画課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会循環型社会部会を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、御多忙中にもかかわらず御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。私、本日司会進行を務めさせていただきます企画課長の小野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、現時点で委員の定足数を満たしておりまして、部会として成立しておりますことをあらかじめ御報告をさせていただきます。
また、今回の部会には、ヒアリングの関係で、東京農工大学農学部環境資源科学科教授の高田秀重様、それから、熊本県環境生活部環境局循環社会推進課災害廃棄物処理支援室の馬場室長、それから、三重県環境生活部廃棄物対策局廃棄物監視・指導課の地域指導班長の春日井様、それから、三重県環境生活部廃棄物対策局廃棄物・リサイクル課リサイクル推進班の班長代理の山下晃様、株式会社富山環境整備代表取締役社長の松浦英樹様にお越しいただいております。後ほどヒアリングの際にどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、事務局を代表いたしまして、廃棄物・リサイクル対策部長の中井より御挨拶を申し上げます。
○廃棄物・リサイクル対策部長 委員の先生方におかれましては、御多忙の中お集まりいただきまして、厚く御礼申し上げます。
まず、本部会で御議論いただきました意見具申の内容を踏まえました廃棄物処理法とバーゼル法の改正案が、6月9日に国会におきまして可決成立いたしました。また、平成27年に答申をいただきました内容を踏まえた水銀廃棄物対策に関する関係省令も先日公布されました。改めて御礼を申し上げます。施行に向けまして、引き続き全力を尽くしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さらに、本部会でも御議論いただきました食品廃棄物の不正転売事案につきましては、環境省として再発の防止、追加的な対策の必要性につきまして、課題と対応を取りまとめたものを今週火曜日に公表いたしてございます。本日、委員の先生方の机の上にも配付させていただいているところでございます。
さて、本日の部会でございますが、今日は4回目のヒアリングとなります。「万全な災害廃棄物処理体制の構築」と「適正処理の更なる推進」をテーマに、東京農工大学の高田教授、熊本県、三重県、株式会社富山環境整備の皆様にお越しいただいております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。また、関連する国の取組につきましても御紹介させていただきます。さらに、新たな循環計画策定のための具体的指針につきましても御議論いただく時間を設けておりますので、委員の先生方におかれましては、本日も忌憚のない御意見をいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、よろしくお願いいたします。
○企画課長 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
次に、お手元の配付資料の確認でございますが、議事次第の下に資料一覧がございます。ちょっと大部になっておりますけれども、資料1から8まで、それから、参考資料が1から5まで配付させていただいております。
それから、委員の先生方の机上には現行の循環基本計画を配付させていただいておりますが、いつもどおり、会議が終了いたしましたら、そのまま机の上に残しておいていただければと思います。
資料の不足がございましたら、事務局にお申しつけいただければ幸いでございます。
さらに、部会終了後には、発言者名を示した議事録を作成し、先生方の御確認、御了解をいただいた上で公開させていただくこととしております。
それでは、以降の進行につきましては、酒井部会長にお願いしたいと思います。部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○酒井部会長 それでは、本日の審議に入らせていただきたいと思います。
第三次循環型社会形成推進基本計画の見直しについてのヒアリングでございます。先ほど中井部長から御紹介のあった方々からのヒアリングをまずさせていただきたいと思います。
その進め方でございますが、本日、高田先生に次の御予定があると承っておりますので、まず高田先生にマイクロプラスチック汚染に関する紹介、プレゼンテーションをいただき、さらに、海洋ごみ対策に関する国の取組を紹介いただきます。この関係の質疑を先に20分程度行わせていただきたいと思っております。
その後で、熊本県、三重県、そして、株式会社富山環境整備の順に、それぞれ15分程度で御説明をいただきまして、あと一括して30分程度の質疑の時間を設けるということで進めさせていただければと思っております。その後にまた関連する国の取組を紹介していただくと、こういう手順でいきたいと思います。
それでは、早速でございますが、高田先生からの御説明、どうぞよろしくお願いいたします。
○東京農工大学(高田) どうも御紹介ありがとうございます。東京農工大学の高田と申します。
資料2に沿って説明申し上げたいと思います。マイクスプラスチック汚染の現状、対策、国際動向ということでお話します。
めくって1ページ目になりますが、プラスチックというのはもともと石油からつくられておりまして、年間3億トンのプラスチックが生産され、その生産のために8パーセントの石油が使われているということになります。つくられたプラスチックのうちの約半分は容器包装ということで、陸上での廃棄物管理を受けますが、その管理から漏れたもの、廃棄物処理を漏れたものが河川を通して最終的に海洋へ流入しております。
その次のスライドをお願いします。漏れたものがあるということで、たくさん使えばそれだけたくさんプラごみも出るということになります。この写真は荒川の河口から3キロ遡ったところの河原の様子ですが、プラスチックのごみが大量に漂着しているのがおわかりになると思います。そのうちの大半がペットボトルということになります。
ペットボトルは、皆さんも御存じのように製品ごとに見た場合一番リサイクル率の高い製品になりますが、ここ数年は八十数パーセント程度で推移しております。ということは、100%ではないので、たくさん使えば使うだけリサイクルされずに環境に出てきてしまうという現状になっておりますので、まずは削減が第一であるということが、こんな簡単な写真からもわかってくるということになります。
プラスチックの汚染の特徴ですが、その次のページを御覧いただくとわかるように、発生源から離れた場所まで浮いて長距離輸送されるというのが、プラスチックの汚染の一つの特徴でございます。
その次のスライドになりますが、浮いて遠くまで流れていく間に、当然、海面あるいは砂浜の上で紫外線を浴びてだんだんに劣化して小さな破片になり、更に小さな破片がより小さくなり、5ミリ以下になってきますと、それはマイクロプラスチックと呼ばれるものになっていくということです。
次のスライドに示しますように、現在、世界の海では5兆個のプラスチックが漂っているというふうに幾つかの観測から推定されております。重さにして27万トンのプラスチックが世界の海を漂っていると推定されております。
このプラスチックの何が問題かというのが次のスライドになります。海の生物が餌と間違えて、あるいは、餌と一緒に取り込んでしまうことが問題になります。
端的で昔から知られている例はその次のスライドになります。ウミドリがプラスチックを摂食するということで、これは1970年代から明らかになっていたことですが、1980年代の初頭にはほぼ全てのハシボソミズナギドリという鳥がプラスチックを摂食していることが報告されております。
その次のスライドを見ていただくと、大きなプラスチックというのは比較的大きなプラスチックに取り込まれていきますが、海でどんどん小さくなったプラスチックというのは小さな生物に取り込まれていきます。
その例が、次のスライドにありますが、東京湾のカタクチイワシから我々が調べ検出したマイクロプラスチックということになります。大きさが10センチから13センチぐらいの魚の内蔵から、ポリエチレンとかポリプロピレンというようなマイクロプラスチックが見つかっています。調べたイワシのうちの約8割からプラスチックが検出されております。我々が食にする海産物からマイクロプラスチックが検出されるということで、食の安全性への懸念が生じてまいりますし、これは日本だけではなくて、世界的にそういう観点から懸念が広がっております。
対策上重要になりますのが次のスライドになります。イワシから検出されたマイクロプラスチックを、形状ごと、それから、ポリマーのタイプごとに見てみたのがこのスライドです。化学繊維、それから、マイクロビーズというものも確かにプラスチックの中から出てまいりますが、量的にはマイナーなものになっておりまして、大部分はプラスチックの破片ということになります。もともとは大きなプラスチック製品であったものの破片ということになりますので、この点はマイクロビーズの規制、それから、化学繊維に対する取組よりも、まずはプラスチックの廃棄物の対策が、このマイクロプラスチック汚染を考える上で大事だということがわかってくると思います。
次のスライドをお願いします。海の生物に取り込まれてしまうプラスチックというのは、単なるプラスチック、物理的なプラスチックのごみというだけでなくて、それらは有害な化学物質の曝露源となってまいります。
その次のスライドをお願いします。化学物質の構造が幾つか書いてあるものです。これは我々が太平洋を漂流しておりますプラスチックから検出した化学物質になります。もともとのプラスチックに入っている添加剤由来のもの、その中には有害なものもございますが、添加剤もプラスチックに残留してくるということが最近の研究からわかってまいりました。
そもそも添加剤がそんなに入っているのかということで、次のスライドをお願いします。次のスライドは、ペットボトルのふたの中のノニルフェノール、いわゆる環境ホルモンの検出を示しております。日本も含めていろいろな国のペットボトルのふたはポリエチレン製ですが、この中のノニルフェノールを測ってみますと、半分ぐらいの国のペットボトルのふたから環境ホルモンが検出されるということがわかってまいりました。こういうように製品中に含まれているものは、製品が破片になって海洋に流入した後もまだ製品中に残留しているものもあります。
当然、海水に脱着、溶け出していくものもありますが、プラスチック中に残留しているものもあるということが、その次のスライドでの研究からわかってきております。こちらに示しましたのは、太平洋、大西洋を漂流しているプラスチック、それから、海岸に漂着したプラスチック中の各種の有害化学物質の濃度を示しております。赤枠で囲ってある部分が添加剤由来のものになりますし、特に赤で丸を付してあるNPというのは、前のスライドで示しました環境ホルモンの疑いのある物質です。こういうような有害な化学物質、添加剤が、プラスチックが破片になって海に流入しても残留しているということが最近の研究からわかってきております。
それに加えて、添加剤だけでなくて、海水中では、海水中に存在します微量の残留性有機汚染物質をプラスチックが吸着することがわかってまいりました。
それが、次のスライドに模式的に描いてある図になります。プラスチックというのは、固体状の油になりますので、非常に親油性の高い媒体になります。ですから、親油性の高い残留性有機汚染物質(POPs)は、プラスチックに高濃度に吸着、蓄積してくるということがわかってきております。
室内実験はもとより、野外の観測からもそれは明らかになっておりまして、それがその次の世界地図にたくさん緑のバーが立っているスライドになります。このバーの高さは、各地の砂浜で採取されたマイクロプラスチック中に含まれておりますPCBの濃度を示しております。代表的なPOPsの一種であるPCBの濃度を示しております。もともとPCBを含まないようなプラスチックが、環境中でPCBを吸着することによって、有害化しているということが世界的な規模で起こっているということがわかってまいります。
次に懸念されることが、次のスライドに幾つか論文を紹介しておりますが、プラスチックに有害化学物質が含まれている、そのプラスチックを野生生物が摂食することになりますと、野生生物への影響が懸念されます。
まずは野生生物の体内にプラスチック経由で曝露された化学物質が移行・蓄積してくるということがポイントになります。そのポイントについては、ここ数年の研究で悪い方向にクリアされてまいりまして、確かにプラスチックに含まれている化学物質は、それを摂食した生物の体組織、脂肪とか肝臓に蓄積してくるということが明らかになってまいりました。
その次に懸念されてくることが次のスライドになります。化学物質がプラスチック経由で生物に蓄積してくるということは、生物への目に見えた有害な影響が出るのかどうかということがポイントになってまいります。野外の生物については、今のところプラスチック経由で曝露された化学物質による悪影響というのは観測されておりません。
しかし、室内実験では、こちらのスライドに示しますように、観測されております。有害化学物質を吸着したプラスチックを曝露した生物に、肝機能障害が起こってくる、あるいは、肝臓に腫瘍ができる等のことが報告されておりますし、類似の研究はほかにも幾つか報告されております。ただし、ここで曝露しているプラスチックの量というのが、今、環境中で見つかるプラスチックの量に比べると、かなり量の多いものになります。
ですから、現状では野外の生物でこういう有害な化学物質による影響というのは観測されていないわけですが、逆に言うと、これから環境中のプラスチックの量が増えると、室内実験で観測されたようなことが起こる可能性があるということを、これらの研究は暗示しております。
では、これから増えるのか、あるいは、そもそもプラスチックは増えているのかどうかということを知ることが大事になりまして、それがその次のスライドになります。我々は東京湾の海底の泥の中にたまっておりますマイクロプラスチックを測りました。毎年泥が蓄積してまいりますので、プラスチック汚染史が泥の中に刻まれております。歴史が刻まれておりますので、この泥を分析することで汚染が進んでいるのかどうかということがわかってくるということになります。
その結果が次のスライドになります。泥の中のマイクロプラスチック量ということで、泥の深い部分から表面に向かって、マイクロプラスチックの数が増えているというのがおわかりになると思います。泥の深い部分、すなわち過去から泥の表面、すなわち現在に向けて、マイクロプラスチックの汚染が進行しているということが、この結果からわかってまいります。世界のほかの場所でも幾つか行いましたが、アジア・アフリカでもこういう傾向は観測されております。
では、将来どうなるかということについては、別な研究者が全く別な手法を使って将来の予測を行っていまして、先週来日したジャン・ベックが、『サイエンス』で2年前に報告した論文によりますと、もしこのまま我々が何も手を打たなければ、海へ流入するプラスチックの積算量というのは、20年後には10倍になるということが推定されております。
これまで増えている、そして、これからも何も手を打たなければ増えていくであろうというような予測があるということで、その次のスライドにありますように、国際的には予防原則に基づいて対応がとられております。なぜ予防原則に基づいて対応がとられているかというと、今まで申し上げましたように、プラスチックは何も手を打たなければ増えていくということ。
海洋環境中では非常に安定ですので、投入量が増えれば海の中の量も増えてしまうということ。それから、汚染の影響が顕在化した段階で取り除こうと考えても、非常に小さいので取り除くこともできないということ。では、今の段階からできる限りプラスチックの海への投入量、流入量を減らしていこうということで、各国では予防原則に基づいて対応が進んできております。
その例を次のスライドで幾つかお示しします。アメリカでは2015年12月にマイクロビーズの配合を禁止する連邦法が成立しております。そして、カリフォルニア州等ではレジ袋禁止の法律が3年前に成立しておりますし、EUでも同じように対策を各加盟国に求めている。それから、イギリスでもレジ袋に課税が行われ、現在では世界の20カ国以上で規制が行われているという現状になります。
レジ袋だけではなく、その次のスライドにありますように、ペットボトル、あるいは、フランスではプラスチック製の使い捨て容器による食品の提供、あるいは、飲料の提供を禁止する法律ができまして、2020年からそれが施行されるという動きになってきております。
なぜ影響が顕在化していないのにこれだけの動きが各国であるのかというと、次のスライドにありますように、石油からつくられたプラスチックが循環型の仕組みの中に乗ってこないということから、循環型でない以上、まずはそれを減らしていくことをしなければいけないということで、各国で対策が進んでいる。別な言い方をすると、温暖化対策にもつながるということで、まずはプラスチックの削減という方向で国際的に動きが進んでおります。
例えば、その下にあります2011年のUNEPのイヤーレポートには、このプラスチックの問題が既に取り上げられております。
また、次のスライドになりますが、昨年、国連本部で会議が行われ、マイクロプラスチック国際条約について議論も行われております。先月はオーシャン・カンファレンス(海洋会議)でSDG14を進めていくには海洋プラスチック汚染を解決しなければいけないということで、会議が行われてまいりました。このSDG14海洋会議で話されたことも含めて具体的な対策として紹介したいのが、海洋プラスチック汚染低減のための具体的な対策ということです。
3枚先を見てください。海洋会議で言われたことも含めて書いております。使い捨てのプラスチック(特にレジ袋)の使用規制、それから、再使用・リサイクルが容易になるような商品、包装を生産者や流通業者が取り組むように指導・規制していくということ、それから、紙や木などどのバイオマスの高度利用の促進、バイオマスベースのプラスチックの利用促進、そもそものリサイクルを推進するような社会的なシステムの開発と実装が必要であると考えております。特に、生分解プラスチックの改良と、陸上での処理装置の開発等、分解促進も重要なことだと考えられます。食品包装へのバイオマスベース生分解性プラスチックの適用とコンポスト化の促進等々の具体的な対策が考えられます。
たくさん書きましたが、どんな将来像なのかということで、その次のページにポストプラスチック社会の将来像ということを書いております。プラスチックの削減がまず優先される社会であるべきで、紙や木の利用も促進していくということ。なるべくプラスチックの使用を減らして、それでも減らない、特にリサイクルできないプラスチックについては食品包装等に必要なものがあると思います。食品包装等に必要なリサイクルできないプラスチックについては、現行の石油ベースのものからバイオマスベースのものに変換していき、かつ、生分解性のプラスチックに置き換えていって、それらを食品残渣とともにコンポスト化して、農地に還元するということが、ほかのSDG、あるいは、ほかの環境問題の解決ともリンクする有効な策だと考えております。
その例を東京湾の窒素循環のところで示しておりますが、フードロスあるいは食品残渣の解決にとっては、あるいは、東京湾の富栄養化、海岸の富栄養化、それから、地下水汚染の問題を考えても、食品残渣とともにバイオマスベースのプラスチックをコンポスト化するのは有効なことだと思います。
最後にマイボトルの給水器の写真を示しております。これは何かと申しますと、ニューヨークの海洋会議で泊まったホテルに、一昨年は設置されていなかったんですが、今年設置されていたマイボトルの給水器です。マイボトルを持ってきた人がここで給水すると、右上にあるように、「あなたの貢献で使い捨てのプラスチックのボトルを何本減らすことができましたよ」という、かなり強力なメッセージが書かれております。こういう形でぜひ環境省のほうでも使い捨てのプラスチック削減を最優先にして、多様なアイデアを採り入れて、行政のイニシアチブを発揮していただければと思います。
時間を超過してしまい申し訳ありませんでした。以上です。
○酒井部会長 高田先生、どうもありがとうございました。多くの資料を用いて現状を御説明いただきました。
引き続きまして、海洋ごみ対策に関する国の取組について説明をお願いいたします。
○海洋環境室長 環境省海洋環境室長の中里と申します。資料6に基づきまして御説明させていただきます。
1枚おめくりいただきまして、海洋ごみ対策についてでございますけれども、まず国際動向を書かせていただいております。先ほど高田先生からも御紹介ございましたけれども、国連SDGs14は海洋の部分でございます。ここでは、「2025年までに海洋ごみや富栄養化を含むあらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」ということがうたわれてございます。
昨今の動きでございますけれども、G7等の非常にハイレベルな政治的な会合の中で、この海洋ごみが取り扱われております。G7の伊勢志摩サミットとか、G7富山環境大臣会合、また、先日行われましたG7ボローニャ環境大臣会合でも、海洋ごみ、とりわけマイクロプラスチックについて懸念を改めて表明ということで、これらを減らすということが強く意識されております。
続きまして次のページでございます。こういった国際動向を踏まえまして、どういった対応をしているかということでございます。左上に「地球規模の連携 G7環境大臣会合」とございまして、四角の中にございますけれども、東アジア等の海洋ごみ主要排出国へのアウトリーチ。ここで廃棄物管理のためのワークショップを開くとか、モニタリング手法の標準化・調和の取組とございます。
こういった課題がございまして、それに向けて、右のほうではTEMM、これは日中韓三カ国国の環境大臣の会合でございますけれども、こういう取組を進めること。NOWPAPというのは国連の機関でございまして、ロシア、中国、韓国、日本が入っておりますけれども、そこで海洋ごみの対策を進めていくということ。あと、広域的な国際的な枠組みとして、先ほどのAPECとかG20、FAO、IMO、こういったところでも海洋ごみに対応していくということがうたわれております。
具体的な施策でございますけれども、次のページでございます。海洋ごみに関する国内対策ということです。これは特に漂着したもの、海底にあるものなどが主体でございますけれども、都道府県を通じてこういったものを回収するということでございます。こういったことによって海洋ごみを減らす、また、マイクロプラスチックになる前のごみを減らすということをしております。
続きまして、次のページでございます。ごみの実態を正確に把握することは難しい部分がございまして、今も鋭意調査をさせていただいております。中段の四角囲みで示しておりますが、漂着ごみの調査、漂流ごみ、海に浮かんでいるもの。あと、右側に海底ごみというのがございます。そのほか、マイクロプラスチックも調査をさせていただいております。
特にマイクロプラスチックは、次のページに書いてございますけれども、先ほどの高田先生の御説明にもございましたが、2つございまして、最初から小さいものを一次的マイクロプラスチックと言いまして、マイクロビーズなど、最近は使われないようになってきましたけれども、市販のスクラブ剤、洗顔剤などに使われていたということがございます。あと、大きなものが分解されて5ミリ以下になったものが二次的マイクロプラスチックというものでございます。
これらについて、次のページで調査した結果を示させていただいています。これは、これまでの調査のまとめでございますけれども、左側は調査地点、右側がどの程度発見されたかというものでございます。この調査のときにこういう結果が出たということで、常にこれだけの量が出るかは不明ですが、おしなべて日本全国でマイクロプラスチックが観察されているところでございます。
その次のページでございますけれども、特に内湾について調べたものでございます。丸の大きさはマイクロプラスチックの量を示しておりまして、その中でも赤いものは調査地点でマイクロビーズがあったところを示しております。このように東京湾とか内湾ではマイクロビーズは発見されております。ただ、ならすと大体マイクロプラスチックの中の1%以下の割合だったということでございます。
○リサイクル推進室長(循環型社会推進室長併任) それでは、続きまして、9ページを御覧ください。
特に、この円グラフの周りに黒い太字で「日本由来」と書かせていただいておりますが、太平洋側の鹿児島、兵庫、茨城などの調査ポイントを見ますと、海洋漂着ごみはほぼ日本由来でございます。また、その中で個数について着目すると、4から6割ぐらいが容器包装を占めるのではないか。このため、循環対策、温暖化対策のみならず、海洋ごみ対策としても発生抑制など3Rの取組が重要であるということがわかります。
リデュースの取組の例として、自治体と小売事業者のレジ袋有料化協定の締結状況についてでございます。左下2つの都道府県、政令市などの協定締結の取組を見ますと、都道府県では青の4割、政令市でも同じく4割が協定の締結を管区内で取り組んでいるということでございます。また、右の5つの円グラフのうち、赤で囲っている部分を見ていただきますと、都道府県での取組をどういう主体と有料化で協定を結んでいるかということでございますが、スーパーマーケット、生協、農協、ドラッグストアにおいて有料化の取組が進んでいるのに対して、コンビニや百貨店での取組は遅れているということがわかります。
11ページでございます。全国の不法投棄監視ウィークの取組でございます。未然防止対策として、平成19年度より、5月30日からの全国ごみ不法投棄監視ウィークについて、国、都道府県、政令市、市町村、それから、関係団体とともに事業に取り組んでおります。一番下のところでございますが、海洋ごみに係る取組例を見ますと、保安庁と地元小学校との海岸清掃、漂着ごみ調査、あるいは、環境省地方事務所と自治体による海上パトロールなどの取組が行われております。また、資料には含まれておりませんが、容器包装リサイクル法に基づく取組として、例えばペットボトルについては9割以上のところで取組が進んでいるところでございます。
以上でございます。
○酒井部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの高田先生、そして、海洋環境室からの説明に御質問等のある方は名札を立てていただければと思います。高田先生の次の御予定を考えまして、15分強で質疑ということにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、今日は左のほうから回したいと思います。細田先生からお願いいたします。
○細田委員 私は簡単な質問一点で、タイヤの磨耗等から発生すると思われる廃プラスチックが海に行く量というのはどれぐらいあるか教えていただければと思います。
○酒井部会長 まとめて御回答いただきますので、一通り質問を聞かせていただきます。
それでは、次、白石先生、お願いいたします。
○白石委員 マイクロプラスチックはいろいろな汚染物質を吸着するというお話なんですけれども、これはマイクロプラスチックばかりではなくて、環境生物がいるわけで、その環境生物とマイクロプラスチックの濃度の関係という点。それから、そもそもプラスチックに吸着された物質というのは、生物利用可能性が大分少なくなっていて、毒性は余り発現しないのではないかと思うんですけれども、その点でいろいろ研究なさっているんですけれども、特にマイクロプラスチックに吸着したものの毒性について懸念があるメカニズム等がありましたら、教えていただきたいと思います。
○酒井部会長 崎田委員。
○崎田委員 ありがとうございます。
御提言の中にレジ袋なども含めた使い捨てプラスチックを削減するという明確な御提言をいただきまして、ありがとうございます。きちんと学んでいきたいと思っております。
その中に、バイオマスベース、かつ、生分解性プラも非常に大事だという話がありましたが、確認なんですが、この辺は海に出たときにはマイクロプラスチックになっていくと、いわゆる海の中に行っては別に溶けないわけですので、海の中に行ってしまえば同じ問題は持っているという理解でよろしいんでしょうか。
申し訳ありません、よろしくお願いいたします。
○酒井部会長 ありがとうございます。
大塚委員、どうぞ。
○大塚委員 大変興味深いお話、ありがとうございました。2点お伺いしたいと思います。
一つは、容器包装が魚とか野生生物の中でプラスチックとして出てきているものの中の何割ぐらいを占めているかということです。さっき環境省のほうから御説明いただいたのだと、海洋漂着ごみだと4割から6割という話ですが、野生生物あるいは魚についても同様と考えてよろしいのでしょうかというのが一点。
もう一点は、崎田委員が聞かれたこととも関係しますけれども、生分解性というのは陸上での生分解性を考えているようなので、現在、海の中で溶け出してもまた困るのかもしれませんけれども、対応できるようなプラスチックを、分解しやすいということだと思いますけれども、つくることを、今後技術開発をしていく必要があるということだと思うんですけれども、その技術開発の可能性とか、どのぐらいでできそうかというようなことがもしおわかりでしたら、教えていただければと思います。
○酒井部会長 大熊先委員、どうぞ。
○大熊委員 ありがとうございます。
先ほど各国が使い捨てプラの規制に動いているというお話がありました。その中で、先進国についての幾つかの例を御紹介いただきましたけれども、2週間前にセブでIOCNアカデミーの会合がありまして、そこでマンダウエ市長が昨年からマンダウエ市も使い捨てプラ袋の禁止条例を発したということで、プラの削減がセブのような海洋国にとってはとても重要なんだというお話をされており、また、会場で使われているストローも全て紙ベースのストローになっているなど、マイクロプラの問題は排出削減という方向でいかないと、有効な対策が打てないという認識が途上国も含めて、特に海洋国家では進んでいるように思われます。その方向でぜひ日本も排出削減ということを考えていかなければならないと思うわけですが。
先ほどの環境省の御説明への質問なんですけれども、10ページのレジ袋削減の取組のお話があり、主に自治体の取組なんですが、これが経年的にどうなっているのか。感覚的には頭打ちのような感じもするんですけれども、劇的に進んでいるという状況があるのかどうかということをお伺いしたいと思います。自主的な協定締結ということで、どの程度まで経年的に進んでいるのかをお聞きしたいと思います。
以上です。
○酒井部会長 それでは、御回答をお願いしたいと思いますが、私のほうから一つだけ追加させてください。
途中でマイクロビーズの御紹介がございましたが、日本での生産市場の現状というのはどういう状況にあるのか。高田先生からでも環境省からでも結構でございますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず高田先生のほうからお答えいただける範囲でお願いできますでしょうか。
○東京農工大学(高田) いただいた順番で、重複するものもあるので、まとめつつお答えしたいと思います。
まず、タイヤの磨耗なんですが、これはマイクロプラスチックの研究者の中でも最近非常にトピックになって、これもやらなきゃいけないんじゃないかというふうに考えられているんですが、タイヤに入っているプラスチックと天然のゴムの区別も曖昧であるということで、測定法がまだうまくできていないので、それをどうするべきかというところまで考え方も進んでいないというところです。これからそのあたりも測定法を含めて考えていかなければいけないと考えております。
それから、プラスチックは確かに化学物質を吸着するけれども、天然の、例えば動物プランクトンも吸着するので、それとの兼ね合いはどうなんだということになりますが、単位重量当たりの吸着量でいうとやはりプラスチックのほうが多いんですが、ある魚なら魚をターゲットにしてどれくらいプラスチックとプランクトンから化学物質が、例えばPCBが曝露されるかというのを考えますと、圧倒的にプランクトンのほうが量が多いですので、現状のプラスチック量では、プラスチックからだけ入ってくるわけではなくて、もともとの天然のバックグラウンドもあるというのが大きなところになっております。
ただ、途中で申し上げましたように、プラスチックの怖い点は、浮いて遠くまで運ばれてしまうので、バックグラウンド汚染が低いようなところにプラスチックが有害化学物質を運んでいってしまうという点で、汚染されたところよりもその周辺の地域、あるいは、遠隔地で問題になる可能性があるというふうに考えております。そのあたり、今、環境省さんからの委託事業等で研究を進めているところです。
それから、プラスチックに入っている添加剤はそんなに生物利用性が高くないんじゃないかということ。もちろん、そのとおりでございます。水への脱着はなかなか起こりにくいんですが、生物は消化管の中に脂状のものを持っている場合があります。人間でも脂っぽいものを食べる場合もありますし、ウミドリでもストマックオイルというような形で脂を含んでいるものがあります。そういうところで溶かし出しが促進されるようなこともあると考えており、その辺もまだ研究途上のところになります。
それから、生分解性のプラスチックが海に出てどうなるかということですが、生分解性のプラスチックはもともと土壌微生物を使った分解を前提につくられておりますので、海に出ますと、土壌微生物の密度は極端に落ちますので、残ってしまい、かつ、ゆっくり分解して、マイクロプラスチックになりやすいと思います。特に対策上考えていきたいのは、生分解性のプラスチックと石油ベースの難分解性のプラスチックを混ぜたような製品をつくってしまうと、それが海に出るとよりマイクロプラスチック化しやすいので。確かに温暖化対策としては混ぜるのも多少の温暖化ガスの削減効果はあるのかもしれないんですけれども、混ぜずに、仕方なく使うならプラスチックだけで使うほうがよく、対策として混ぜるのはやめたほうがよろしいかと思います。
それから、僕らは海底で生分解性と言われるプラスチックを検出しているので、確実に残ってくるものだと思います。生分解性プラスチックとバイオマスベースのプラスチックが混同されることがあるんですけれども、バイオマスベースのプラスチックを私のほうで推奨している理由は、それは石油ベースではないので温暖化への寄与がないということです。
私が最後のほうで「コンポスト」と言いましたのも、陸上で土壌微生物がいるような閉鎖的な環境で、生分解性プラスチックが食品残渣と一緒に分解してコンポストにしてやるということで、陸上で処理する。しかも、閉鎖的なところで処理するのに、この生分解性プラスチックは使うべきであろうと考えています。生分解性だからむやみにどんどんどこでも使っていいということであると、逆に海洋汚染を促進する効果があるかなと思います。生分解性プラスチックの技術自体はかなり進んでいると伺っていますので、むしろ閉鎖系で分解するような装置の開発とか、そういうものの普及のあたりに開発の中心を置くべきではないかと考えております。
あとはマイクロビーズのところでしたかね。マイクロビーズが、容器包装由来のものが魚の中とか環境中で、水の中で、海岸と同じような割合で出てきているのかどうかということについては、今のところまだ破片のオリジナルが何かまで特定できる技術がないのでできておりません。ただ、マイクロビーズと化学繊維が少ないと、確かに存在するけれども、少ないということだけはわかっております。破片の元が何だったかというところについてはまだわからないというところです。
○海洋環境室長補佐 酒井部会長御質問のマイクロビーズですが、環境省の資料の6ページ目、「マイクロプラスチックについて」という説明の中の①の一次的マイクロプラのところに書いております。日本では業界団体が28年3月に実施規制の呼びかけを通知されておりまして、その後、主要な企業では既に使用をやめたと公表されているところもありますし、例えば今年、来年までに使用をやめるという企業が出てきている状況です。ですので、方向としてはこれまで使われていた企業でも使わない、代替のものを使うという流れになっていると認識しております。
○リサイクル推進室長(循環型社会推進室長併任) 大久保先生から御質問いただいた、レジ袋の協定を結んでいる自治体の割合については、ここ数年横ばいになっておりまして、先日取りまとめいただいた進捗状況の点検結果の中にも、マイバック持参率、レジ袋のチェーンストアのところで辞退する率というのが、平成15年から21年まで10%台になった後、21年度から26年度までに一気に2割から5割まで増えたんですが、26年度から27年度、28年度は1%ずつぐらいの増加にとどまっているという状況でございます。
○酒井部会長 どうもありがとうございました。
これでほぼ質問にお答えいただいたと思いますが、これでよろしいでしょうか。
すみません、マイクロビーズについて重ねてですが、自主規制はされていると。その流通量等に関する客観情報、過去遡っての判断できる数字はあるんでしょうか。
○海洋環境室長補佐 今、環境省のほうでそのデータは持ち合わせておりません。
○酒井部会長 わかりました。
それでは、このあたりで、高田先生は次の御予定がございますので、御退席ということになります。丁寧な説明、そして、質疑、どうもありがとうございました。
それでは、次のヒアリングに移らせていただきたいと思います。
次は、熊本県のほうから御説明をよろしくお願いいたします。
○熊本県(馬場) 皆さん、こんにちは。熊本県循環推進課災害廃棄物処理支援室長の馬場でございます。
説明の前に、今般の熊本地震に際しましては、災害廃棄物処理に多大な御協力をいただきまして、大変ありがとうございます。まだ道半ばでございますけれども、今、継続して頑張っているところでございます。
それでは、資料3に基づきまして、現在の取組状況につきまして、御説明を申し上げます。
まず、おめくりいただきまして、4ページ、地震の概要から、皆さん御承知かと思いますけれども、御説明を差し上げます。
今回の地震は先例がない前震、本震という、1日明けまして最大震度7という地震が発生いたしました。そこの地図に落としておりますけれども、赤の一番大きい箇所が日奈久断層帯と布田川断層帯の交わる部分の益城町とか西原村というのがあるところでございます。報道でよく知られています益城町が二度の震度7に見舞われたところでございます。まさに断層帯と重なって震度が大きいところが並んでいるという状況にございます。
次のページをお願いします。被災の状況でございますけれども、5月2日時点で人的被害は2,919名、住家被害は19万棟を超えるという被害が出ております。避難所につきましては、11月18日に全て閉鎖しておりまして、仮設住宅等々次へのステップを見ているところでございます。右下の枠内でございますけれども、最大時の避難者数としましては、18万人を超えているという状況でございました。本震がありました翌日が最大時という状況でございます。
次のページをお願いいたします。これは益城町等の被災状況でございまして、道路がふさがれて、緊急車両が通行できないような状況に陥っているところでございまして、熊本市に次ぎまして益城町が倒壊家屋が多かったという状況にございます。
倒壊家屋以外にも、廃棄物処理施設の被害も出ております。一般廃棄物処理施設としましては、県内の73施設のうち23施設が被災をしまして、うち13施設が一時稼働を停止したという状況にございます。また、産廃処理施設につきましても、2施設が被害をこうむりましたけれども、いずれにしましても既に復旧いたしているところでございます。
このような災害に対して我々がどう処理を進めてきたかということでございます。9ページになりますけれども、循環社会推進課内に災害に特化した専従の職員はおりませんで、最初のうちは課員全員で対応に当たっておりました。そのうち、7名が相談窓口とか仮設トイレの設置、その管理の手配とか、災害対策本部会議の調整役ということで、課内の電話が鳴りっぱなしというような状況でございました。
約1カ月ほどがたった時に、処理支援チームということで専属の職員を8名ほどつけたという状況でございます。そして、2カ月ぐらいたってやっと課内に専属の室を設置するということでございました。災害廃棄物処理だけではなくて、あらゆる部局が人員を欲しがっていまして、すぐには対応に当たれないという状況でございました。
組織体制としましては、課内に室を設けまして、計画・解体支援班ということで、災害廃棄物処理実行計画の進捗管理、それから、今回、東北大震災、阪神に次ぎまして3例目ということで、公費による住宅の解体が認められたということで、解体の支援班ということで1つの班、それから、災害廃棄物の処理を推進していく班ということで、2班体制で設置したところでございます。
次のページをお願いいたします。熊本県におきましても、災害が起きた市町村においてもノウハウとか経験がある職員がおりませんから、御助言をいただいて一番助かったのが、1番にあります国のプッシュ型応援派遣というもので、環境省の職員の皆さん、それから、専門家チームであるD.Waste-Netの応援派遣が前震の翌日から熊本県にお出でいただきまして、ノウハウがない部分の、どれだけ災害廃棄物が発生するのか、仮置き場の運営、補助金申請、公費解体、こういったことについて助言をいただいたところでございます。
それから、ありがたかったのは、岩手県とか宮城県とかの経験のある皆さんが入れ代わり立ち代わりプッシュ型で応援いただきました。その中で、仮置き場の設置のあり方、今後の処理のあり方、財源の確保、こういったもろもろのことについて詳しく御指導いただいたということでございます。それと時間をおきましては、全国の知事会を通じまして、和歌山県、富山県、鹿児島県、広島県の4県から、長期にわたり派遣をいただいたということでございます。
それから、発災後、応援協定を結んでいる、いわゆる産業資源循環協会、これは旧産廃協会ということになりますけれども、災害が発生したときの支援協定を結んでおりましたので、市町村から災害廃棄物処理の要請がくると、県が調整役に入りまして、すぐ手配ができたということがございます。
それから、先ほど説明しましたように、一般廃棄物の焼却施設が停止したものですから、日常の生活ごみとか発災後の片づけごみ、いわゆる一般廃棄物の焼却ごみがあふれ返ったということがございまして、市町村によっては自治体ごとの応援があったということでございます。
それから、災害廃棄物の処理の前に、し尿の問題が一番最初にクローズアップされました。避難所が開設されますと、し尿処理をどうやっていくかということで、県では事前に環境事業団体連合会と協定を結んでおりましたので、この辺はスムーズにいったのかなと思っております。ただ、国のほうからもプッシュ型で仮設トイレとかの応援・派遣がありましたので、その辺の管理が課題かなというところでございます。
次のページは、今御説明しました支援協定の協力要請の流れを簡単に書いております。発災しまして、処理実行計画をまず策定いたしました。
14ページをお願いします。処理実行計画でございますが、災害においても適正な処理をいかに迅速に進めていくかということを定めなければいけないということで、6月20日に最初に策定したところでございます。下のほうの基本方針が、全市町村において統一的に目標を掲げたところでございます。処理期間を発災後2年以内に終了すると。それから、可能な限り再生資源と減量化を図り、埋立処分量を削減する。再生利用率70%以上を目標に掲げました。
今年に入りまして、今月6月9日に第2版ということで改訂をいたしました。改訂の中身は、当初策定しました実行計画においては、損壊家屋の解体はまだ進んでおりませんでしたので、解体計画は載せておりませんでした。3月までに概ね市町村の解体申請の受付が終了しました関係で、解体想定棟数が概ね固まってきたと。3万5,000棟余の解体が必要ということになりまして、公費解体計画を市町村ごとに定めていただきまして、追加したということでございます。この計画によりますと、全市町村において平成30年3月まで、今年度一杯で概ね解体か終了するという計画になっております。
次のページをお願いいたします。公費解体ということでございますけれども、県民の皆様の災害廃棄物の処理が進んでいるかというと、物自体の処理率というよりも解体の進捗率が全て報道されるものですから、それが復興の第一ステップというようなメルクマールになっていると。公費解体というのは所有者に代わって市町村が解体・撤去を行うという制度でございます。今回の熊本地震においては半壊以上の判定について公費解体の対象とされたということでございます。
3万5,000棟という規模だったものでございますから、公費解体に着手するに当たって一番苦労した点が17ページでございまして、いかに一斉に多数の解体班を設置していくかということで、45市町村の中で27市町村が被害をこうむって解体に取り組んでおります。そのうち11市町村が、ここに掲げているように、熊本県内にあります解体工事業協会、それから、熊本県建設業協会の連携のもとに、400班から500班ぐらいをつくらないと2年以内に終わらないんじゃないかというような試算をしました。
今現在、先ほど説明しましたように処理実行計画を改訂しまして、次の18ページになりますけれども、当初は、2万1,000棟ぐらいの被害状況のときに実行計画を作成しまして、195万トンぐらいではないかと推計いたしておりました。ところが、先ほど申し上げましたとおり、3月ぐらいまでに罹災証明書の発行とか公費解体申請の受付が市町村で概ね終了したものですから、289万トンというところで見直しております。ですから、この289万トンを2年の目標に向かっていくために、その後、解体班数をかなり増やしまして、現在は800班ほどの解体班数で解体を進めているところでございます。
289万トンへの改訂に当たりましては、19ページになりますけれども、3月までの廃棄物処理量と公費解体の棟数の実績から、1棟当たりの発生トン数を導き出しまして、それぞれの品目ごとのパーセンテージを導き出して、こういった推計をしていったところ、289万トンになるであろうという推計値を出したところでございます。
次のページをお願いいたします。2年間でやりたいということでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、当初は2万1,000棟で推計いたしまして、400班ぐらいはできるだろうと。それで計算しますと、1班当たり一月に2棟から3棟の解体ができはしないかと推計しまして、2年間で可能だろうということでございました。それと、先の大震災の事例を見まして、発生量と処理期間を見比べて、熊本の場合、最初195万トンでございましたけれども、東北とか阪神の大震災に比べれば少ないということもありまして、2年間でやりたいという方針を固めたところでございます。
発生後、市町村が処理主体になりますので、市町村の仮置き場の設置状況がどうだったかということが21ページに書いてございます。現時点では31カ所まで減ってきまして、整理されているところでございます。
次のページをお願いします。発災当初の仮置き場の状況、それから、次のページもそうですけれども、熊本市とか一部の市によっては、ごみステーションに生活ごみあるいは片づけごみが置かれまして、これを収集するのに大変苦労されたところがございます。
それから、23ページの上段は、仮置き場の分別がまだ整然となされない状態のまま、混合廃棄物の状態で全てが入って、仮置き場がパンクするというような状況が発生し、地元の焼却場にも持っていけずということで大変苦労されたということでございます。現在は、概ね1カ月後の仮置き場と書いてありますけれども、D.Waste-Netとか、環境省の皆さんの御指導のもと、整然と分別して搬入できるという状態でございます。
24ページになりますけれども、熊本県では、解体現場で全て分別して仮置き場に搬入すると。これが処理の近道なんだと、リサイクルの近道なんだということで、現場での分別を徹底しておりまして、仮置き場には分別された状態でスムーズに搬入・搬出をやっているということでございます。それと、分別することによって、衛生面とか安全管理、あるいは、処分費用の抑制とスピードアップ、そういったことの取組ができているんだろうということでございます。
25ページでございます。実行計画を当初つくるときに、発災後どういった品目をどこで処理できるのかということで、業者のほうに余力があるのかないのか、県のほうで許可をしている業者の方々のところに電話で確認をしました。そこに受入品目のフローがありますけれども、コンクリートがらとかセメント瓦類については、破砕処理することで土木資材とかに利用できるだろうと。また、木くずについても破砕処理は県内でできると考えておりました。
ただ一点だけ、混合廃棄物の、解体残渣を含めますけれども、選別処理につきましては、県内だけでは能力が足りないということで、一部は県外処理も必要だと考えておりました。
それから、最近になりまして、瓦の中の粘土瓦につきましては、最初のほうでは強度の検査とか溶出検査、公共事業で使うのか使わないのかというようなところもありまして、ようやく4月から県内の土木資材での再生利用に取り組んでいるところでございます。こういったことで、再生利用率70%以上を確保しているということでございます。
それから、熊本地震による一つの特徴としまして甚大な被害がありました。市町村からの事務委託を7市町村からやりまして、県のほうで仮置き場を整備して、27ページに記載しています二次仮置き場に整理しまして、県が一部事務を代行して処理を進めているところでございます。
30ページをお願いします。現在の公費解体と廃棄物処理の進捗状況はどうかと言いますと、申請棟数は全市町村で3万4,400余棟ということで、解体の進んだところが2万3,000棟ございます。今、68%の進捗率でございます。
32ページをお願いいたします。県のほうでは公費解体の進捗が廃棄物処理の進捗につながるということで、市町村ごとに進捗管理を行っているところでございます。
廃棄物処理の進捗状況につきましては、33ページに記載しておりますけれども、4月末時点で177万7,000トンということで、61.4%の処理率ということでございます。
まだ処理の道半ばということでございますけれども、36ページ、37ページにこれまでの課題を抽出しております。大きく人材育成と確保、県と市町村におけるノウハウがない、知識不足ということでございます。
それから、市町村が前もって災害廃棄物処理計画の策定をしておかないといけないということでございます。特に仮置き場の選定に時間を要すると、町中に廃棄物があふれ返りますので、この辺の事前の準備が必要だということでございます。
再生利用の面から考えますと、先ほど言いました廃瓦等の再生利用が当初なかなか進まなかったというところがございまして、その辺はやり方、処理先といったところをあらかじめ整理していく必要があるんだろうと。
それから、広域的な体制づくり。実は熊本県では発災前の3月に災害廃棄物処理計画をつくっていたんですけれども、それを市町村に周知する間もなく発災を受けてしまって、広域的な考え方を整備する前に地震が起きたということでございました。この辺を今後取り組んでまいりたいと思っております。
それから、アスベスト飛散・曝露防止対策ということで、解体の際のアスベスト含有建材の対応が完全に徹底されていないというところもありまして、機会あるごとに周知をしてまいっておりますけれども、現在も進行中でございますので、この辺につきましては徹底してこれからも取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
早口になりましたけれども、説明は以上でございます。
○酒井部会長 どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、三重県のほうから御説明をよろしくお願いいたします。
○三重県(春日井) 三重県のほうから発表させていただきます。
資料4になります。前半の1点目、2点目につきましては、私、春日井のほうから、3番目の災害廃棄物につきましては、山下のほうから説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
2ページ目に三重県が図示されております。北のほうは愛知、名古屋等の大都市で、西側は大阪というようなところが近くございまして、産業廃棄物が県外から三重県内に入ってくる量が大変多うございます。また、不法投棄もされやすい中山間地を抱えているような状況でございます。
では、4ページを御覧いただきたいと思います。近年の産業廃棄物の不法投棄は大変巧妙化しておりまして、4ページにありますような、周りは山に囲まれているとか、ため池があるような場所とかで、地上からはなかなか発覚しにくいような場所に不法投棄がされていたり、5ページにありますように、幹線道路の空地等に夜中にこっそりと捨てに来るというような感じで、近所の人からも見られずに捨てられるというようなことがございます。
6ページでございますけれども、上の地図にあるように、一見は普通の砂利道になっているような状況なんですが、埋めたよという通報がありまして、掘り起こしてみると、中から木くずとかミンチくずなどが現れてくるといったような状況もございます。
7ページが、昨年も発覚しましたダイコーによる食品廃棄物でございます。ダイコーの倉庫は全部で6つございまして、三重県にもそのうちの1つの倉庫が、いなべ市という場所にありました。三重県の場合は、ダイコーに対しては収集運搬業の許可しか出しておりませんでして、倉庫の中に入れられてしまっていたということで、中間処理業をやっていれば立入もあったんでしょうけれども、収集運搬業だけということでございまして、近所の方からもわかるようことはなく、こういう倉庫に入れられてしまったといったものでございます。
幸い、三重県の場合は、中に入れられていた食品が腐敗しにくいようなガムとかグミ、また、甘いチョコレートとか、そういったものが入れられておりましたので、夏場になっても臭いが出てきたりということはそんなにございませんでした。
8ページの上の部分は、7ページにありました食品廃棄物を全て撤去した後の状況でございます。ただし、倉庫の中には食品廃棄物のほかに、畳が首都圏を中心に2万枚が入っておりました。また、食品ではございませんけれども、肥料・飼料が約70立米残っておりまして、これについては、右の写真に写っている方がこの倉庫の所有者でございまして、ダイコーに倉庫を貸していたということで、この方に所有者責任を果たしてもらって撤去を指導するというふうにしております。この倉庫所有者も、ダイコーに倉庫を貸したことによっておおよそ2,000万円ぐらいの利益を得ていますので、そういった部分の所有者責任といったものは県として果たしていただくという形で進めております。
9ページが、全国の不法投棄とか職員数の経緯でございます。
三重県の場合、産廃特措法に基づきます環境修復事業というのを4件、支援をいただいてやっております。1つの県で4つも事案があるというのはなかなか少ないんですけれども、10ページから13ページにありますような事案が4つありまして、全部合わせますと約200億円の事業費をもって対策を進めているところでございます。
三重県としましては、そういった不適正事案が起きないように、14ページのような様々な取組を行っております。通報制度としまして、電話、ファックス、メール、また、ここには書いておりませんけれども、テレビのデータ放送、また、ラジオによりますCM等もさせていただいているところでございます。
また、産業廃棄物、一般廃棄物のどちらが捨てられているかわからないようこともありますので、県内の全市町の職員に、一般廃棄物だけではなく産業廃棄物に係る立入権限を付与しているというような状況でございます。
また、民間業者による民間パトロール、定点での撮影により、ごみが増えていれば直ちに発見できるような体制をしております。また、民間事業者ということで、例えば森林組合とか宅配業者とか現在19事業者ございますけれども、そういった方々との協定を締結していまして、仕事の中で不法投棄を見つけたら通報していただくことにしております。
また、関係機関、市町村、土木・農林・税務、あるいは、警察と連携した撤去指導も行っております。
それから、県としまして、15ページにありますように、監視カメラの設置、また、県の防災ヘリを使ったスカイパトロールということで上空からも廃棄物を監視しております。
また、16ページにございます資機材の活用ということで、今年度の予算でドローンによる測量を開始いたしたいと思っております。ドローンも一度撮れば廃棄物の量の変化がわかりやすくなるという形になります。
また、17ページ、人材育成ということも大変重要でございますので、職員の専門知識の獲得などをしております。
また、立入検査等の権限行使もきっちりとやっていくということで、昨年は三重県内で30件を超える行政処分を実施しました。先ほど申し上げました4事案のようなことが再び起こらないようにしていきたいと思っております。その30件の中には、県の外郭団体も行政処分をいたしましたし、県内で一番大きい一般廃棄物処理業者についても取消という形をとっております。そういうことによって、悪質な業者については産廃業界から御退場いただくということで、優良な業者さんを育成していきたいと考えております。
続きの災害廃棄物について、山下のほうからお願いします。
○三重県(山下) それでは、説明させていただきます。
市町と連携した災害廃棄物処理計画の策定、民間事業者様との連携体制の構築ということでございます。
19ページを御覧いただきまして、三重県では、南海トラフ地震発生の緊迫性が高い、また、東日本大震災以上の発生の可能性も高いという状況の中で、平成27年3月に県として「災害廃棄物処理計画」を策定し、災害廃棄物処理対策に積極的に取り組んでいるということでございます。その計画も実効性が高く、災害廃棄物処理が円滑に進むようにという趣旨で内容等も充実したものということでございます。
そういった計画策定の中で、災害廃棄物の処理という部分につきましては、原則、一般廃棄物であるということから、一義的には市町村が処理の責任を担われるということでありますけれども、県としましても、発生したときの市町、近隣府県、民間事業者等との支援・協力体制の整備など調整機能を担っていく、そういった取組とか人材育成の取組をしておりますので、そちらの御紹介をさせていただきます。
20ページを御覧ください。三重県の主な取組という形で、幾つか取組をさせていただいております。まずは人材育成に係る研修の取組、平成24年度以降のものの御報告なんですけれども、これも県だけではなく県内の市町の方、民間事業者等の方を対象に研修を行ったり、その次は災害廃棄物処理に関する連絡会という形で、いわゆる県内の災害廃棄物に関連するステークホルダーの方々にお集まりいただいて、日ごろから情報共有を行うという取組をしたり、あと、市町の災害廃棄物処理対策、実際に処理をされる自治体様の計画の策定がなかなか進んでいないという中で、県として集中的に取組をしたということでございます。
21ページを御覧いただければと思います。取組の中で教育訓練、「図上演習」というふうに私どもは言っておりますけれども、災害等を想定して、そういったものを模擬的に参加者に体験していただいて、実際に災害が発生したときにどのような形で対応していくのかということの演習と実習をしております。県としましては、各種マニュアル等の作成ということで、災害廃棄物処理に当たって、処理が難しいものについてはマニュアル等もつくりながら対応しているということでございます。
それでは、少しく詳しくそれぞれについてお話させていただければと思います。
22ページ、人材育成に係る研修ということでございます。県、市町、民間事業者の方々を対象に、例年数回の研修会、セミナー等を開催しております。特に28年度からは、災害廃棄物処理に精通した地域の指導的立場となる人材の育成・確保を目指しまして、県と市町の職員を対象に、本県において「災害廃棄物処理スペシャリスト人材育成講座」という講座を設けまして、座学のような形の講座が6日間、実地研修、これは熊本県庁様等にも御協力いただいて開催させていただきましたけれども、トータル9日間という長期に及ぶ研修を開催いたしまして、県・市町の職員20名に受講していただきました。
次の23ページでございます。災害廃棄物処理に関する連絡会ということで、平時から災害廃棄物処理を迅速に行うことを見据えて、関係機関との連携を深めることを目的に連絡会等を開催しております。
構成団体としましては、県は廃棄物の部局以外にも防災、土木、健康福祉というふうに複数の部局が入っておりますし、市町、民間事業者の団体という形で、県の産廃協会さんとか三重県清掃事業連合会、三重県環境保全事業団、太平洋セメントさん等にも御参加いただいて、日ごろから災害時の廃棄物処理などについて情報共有等をしております。
参考に、24ページには、県が応援協定を締結しているものを添付させていただきましたので、後ほど御覧いただければと思います。
25ページを御覧いただければと思います。県で災害廃棄物処理計画を策定しましたが、市町の計画の策定を進めていただきたいという思いの中で、市町の皆様につきましては、災害時の廃棄物処理への対応の必要性であったり、計画をどのように策定すればいいのかわからないとか、複数の自治体でも共通かと思うんですけれども、多様な業務を担当されて手が回らないという中で、県が市町の皆様の災害廃棄物処理計画の策定に係る技術的助言を行うという形で、27年度には計5回で計画全体を網羅するような形の開催をいたしました。その結果、開催前は新しい災害廃棄物処理対策の指針に基づいた計画の策定市町が2つであったのが、29年6月時点では21市町まで拡大しているという状況でございます。
26ページを御覧いただきますと、図上演習というものでございます。こちらも災害等を想定した、災害を模擬的に体験していただく中で、どのように対応すべきかということを経験いただくということでやっております。こちらの取組も27年度から開催してございまして、27年度、28年度ともに県内の自治体の皆様ほか民間事業者団体様等を含めて約70名程度の御参加をいただいております。
27ページを御覧いただければと思います。いわゆる役割分担、ロールプレイイングをしながら、いろいろな問題が発生したときにどういった対応をしていくかということを、グループをつくって皆さんで体験してもらうということでございます。
こういった取組をしていく中で、県としての今後の取組ということですけれども、県の災害廃棄物処理計画の見直しというのは、先ほど申し上げましたように、県内の自治体の皆様の災害廃棄物処理計画の策定が進んできたということもございますし、熊本の地震とかそれ以降の最新の知見等を踏まえて、現行の計画の見直しの検討とか、それから、人材育成につきましては、行政等であればどうしても人事異動ということがございますが、継続的な取組をこれからも進めていきたいと考えております。
あと、県、市町及び民間事業者等との災害廃棄物処理体制の強化という部分については、先ほど申し上げた連絡会等を通じて、日ごろから顔の見える関係づくりをしていきたいと考えております。
あと、環境省さん、近隣自治体との連携強化という形で、三重県の場合は中部ブロックに位置しておりますので、そういったところとの連携強化を今後も引き続き図っていきたいということでございます。
以上、御清聴ありがとうございました。
○酒井部会長 どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、富山環境整備からの御説明、どうぞよろしくお願いいたします。
○株式会社富山環境整備(松浦) 富山環境整備の松浦です。よろしくお願いします。
1ページ目の左手に赤でくくっておりますが、これは上空から撮った写真です。面積は約75ヘクタールありまして、下のほうにハウスが見えます。これは農業の部分で、真ん中に青い屋根の工場がありますが、ここがリサイクル工場であります。その上が管理型の最終処分場になっております。右手奥に廃棄物発電があります。
2ページ目をお願いいたします。まず廃棄物が入りますと、①のところに持っていきます。年間約30万トンの廃棄物を当社では取り扱っておりますが、この①のところには、容器包装リサイクル法に伴う再商品化事業者としての工場、それから、建設系混合廃棄物の選別プラントがあります。ここで分けられたものが、プラスチックの場合、まず②のところに持っていって、プラスチックの製品を製造したり、あるいは、単一素材化して分けてありますので、それぞれの素材によって販売いたしております。建設系混合廃棄物の場合、可燃物と不燃物と分けまして、③の焼却エリアに持っていって、廃棄物発電を行って、その電気を全て農業のほうへ供給し、周年生産を行うことになります。そして、③で焼却灰が出てきますので、⑤の管理型最終処分場で埋めるという、ワンストップサービスを提供するということで、排出事業者の皆さんにいただいております。
続きまして、3ページ目は会社の経営方針ですが、経営理念は、感謝、共生、公益のもと、4つの経営方針を立てて現在行っております。
4ページ目になります。課題は全部読まないことにして、下の基本的方向性とコンセプトでありますが、とにかく廃棄物を徹底的に資源化し有効利用する、とりわけ容器包装のプラスチックですが、最新のソーティング技術を取り入れた、自分で言うのも何ですが、高度処理をやっていると。
2番目は、最終処分場跡地を利用した、世界に打って出る次世代施設園芸です。雪の多い富山において周年生産できるということと、後に説明しますが、ICTを活用した農業をやっております。
3番目は、一部しか廃棄物発電を行っておりませんが、もっと廃棄物発電を増やして、災害に備えた技術分散型エネルギー源の確保を目指してまいりたいと思います。
5ページからは、実際の写真を用いて説明します。左上、廃棄物の搬入路、廃棄物を搬入してきましたら、まず計量いたします。そして、そこにスタッフがいまして、トラックの荷台の上から内容物をチェックし、その上の事務のところでマニフェストと中身等が一致しているかを確認いたします。
次の6ページでありますが、建設系混合廃棄物、許可能力は1日で1,000トンございますが、ここで可燃物と不燃物に分け、不燃物は埋立処分いたします。可燃物はリサイクルに回す分と、RPFとか熱回収、廃棄物発電のほうに回します。
続いて7ページでありますが、ここは焼却処理であります。焼却処理は平成20年12月に許可をいただきまして、処理能力144トン。PCBについては後ほど説明しますので、省きますが、ロータリーキルン式で設備費が全部で55億かかっております。ボイラータービンの発電で、1,500キロワット発電いたしております。
次に8ページですが、ここは管理型の最終処分場ですが、私どもは昭和61年からこの地において最終処分場をやっておりまして、今年で35年目になります。平成14年から管理型最終処分場を所有し、平成28年に一度変更許可申請をさせていただいて、現在、面積が23万平米、容量にいたしますと、およそ900万立米ございます。外観はこのような外観で、白い部分が5層構造の遮水シート等の貼ってある管理型の最終処分場です。
次、下のほうにいきまして、先ほどトラックの上から荷物を見ましたが、実際に開けて本当に書いてあることと合っているかをチェックして、それを無線で報告しながら、合っているかどうかを確認する。そして、その右手にいきまして、コンパクター、これは60トンありますけれども、転圧をしながら廃棄物をならす。そして、その日のうちに覆土をして、また重機等で転圧を行うということになります。
9ページに参りまして、高度選別処理センター。これは光学式選別機を用いた、当社は全部で19台所有しておりますが、一番最近つくった工場では最大10種類、単一素材に分けております。PP、PE、PS、PET、PVCで、PP、PE、PSにおいては、硬質系のものとフィルム系のものと分けてペレタイズしております。ペットボトルも同様に、これは粉砕した状態で販売いたします。PVCも、これは少しだけですけれども、とれてきます。そのあとは燃料として販売するということで、ここでは年間に処理できる容器包装の能力は8万6,000トンございます。これは多分日本ではトップクラスの処理能力だと思います。特にPP、PEは品質がよくなっており、高く売れているんじゃないかと思っております。
続きまして、10ページは選別をする際の主な構成設備です。比重選別技術というのは、下から振動を用いながら風を飛ばしてやるわけですが、ここでは硬質系のプラスチックと軟質系のプラスチックを分けます。特にポリエチレンの場合、硬質系と軟質系でかなり物性が違いますので、分けてペレタイズしたほうがより高く売れるということがわかっております。
真ん中の機械は光学式選別機で、3種選別を行って先ほどの10種類を分けることになります。最後にペレタイズ、ペレタイザーで、レーザーフィルターというのが特徴なんですが、1平方センチメートル当たり80メッシュの格子を通して異物を除去した製品、ペレットをつくっております。
11ページになりますが、分析センターを有しております。ここでは、最終処分場を有しているものですから、水のチェック、あるいは、プラスチックも単一素材でやっておりますので、プラスチックの品質もNMR等で測ってチェックしているところであります。
続きまして、12ページでありますが、地域資源エネルギーを利用した次世代施設園芸。これは農水省さんの事業を利用させていただいたわけですが、先ほど言いましたが、廃棄物発電から1,500キロワット、全部ハウスへ持ってきます。全部で28棟ありまして、10棟が花、18棟がトマト・ミニトマトを栽培しております。トマトの収穫量が右下に書いてありますが、25年、26年で整備して、27年から定植を始めて、一月ずつずらしてやることによって、雪の降る富山でも周年、1年間ここで栽培ができるという、大変画期的なことではないかと思っております。
13ページにつきましては、ICTを活用した高付加価値農業です。この18棟あるトマトのハウスの1つに500個のセンサーをつけて、外部の環境がある状態のときに内部の状態を全部データとしてとって、今やっと3回目を入れたわけですが、もっともっと回数を増やすことによって、外部環境に合わせた内部環境の制御を自動で行えるようにしていくということを考えた農業です。ここで働いている人たちははっきり言って最初は素人ですが、現在のところ北陸に約30%、関東に30%、関西に30%ずつ、販売させていただいております。左下にトマトの品質が出ていますけれども、同じ品質のもので、土耕・水耕栽培より、糖度、グルタミン酸ナトリウム、GABA、リコピン、これは抗酸化物質になるわけですが、これらが全て3倍ぐらいあるということになります。
14ページは、地元紙の紙面に出たものでありますが、富山県は野菜の出荷が非常に少ない県でございまして、首都圏に出荷した2億1,600万のうち、富山環境整備のトマトが約7割を占めていたということです。
続きまして、15ページですが、低濃度PCB無害化処理になります。平成24年6月7日、環境大臣認定を受けまして、左下にありますPCB汚染物処理物の日認定量が52.8トン、固定床炉が日14.56トンございます。
続きまして、これはPCBの搬入状況です。このように搬入されて、分解し、抜油して無害化するというふうになります。
17ページに参りまして、低濃度PCBの年間処理したものが約3,000トンあります。累計では24年から始めて1万1,000トン。トランスコンデンサーに至っては1万4,000台を処理いたしました。右のほうは能力と実績のグラフになっております。
続きまして、災害廃棄物です。次のページに団体の詳しいことを書いてありますが、熊本県発注の災害廃棄物処理事業に、熊本県の産廃業者様とJVを組ませていただいて、災害廃棄物の処理に当たったと。この中心的な社団法人は日本災害対応システムズと言いまして、平成28年2月に設立しております。ここの特徴は、真ん中の赤い印のところに書いてあるとおり、強い分能力、特に焼却、1日に6,700トン、埋立に至っては3,700万立米の埋立能力を有する。それから、運搬能力としては、海上、鉄道、道路の上を走る、これだけの能力を持って構成して、災害があった場合に迅速に処理に当たるという団体をつくりました。
次の20ページは、ビジネスモデルと言いますか、左のほうから-40円、-40円というのは廃棄物処理費です。例えば、容器包装で言えば、50円で売った場合、90円で商売をしていこうという考え方です。
最後になりますが、21ページは、今後の展開といたしまして、安心・安全な廃棄物処理と資源循環、廃棄物発電などの創エネルギー、次世代施設園芸などの農業経営、雇用創出、地域活性化などを行ってまいります。
以上です。どうもありがとうございました。
○酒井部会長 どうもありがとうございました。お三方からそれぞれ御説明をいただきました。
質問のある方、また名札を立てていただければと思います。質疑の時間は約30分程度を見込んでおります。
それでは、順番に、今回は大久保先生のほうからいきましょうか。大久保委員、どうぞ。
○大久保委員 三重県の方にお伺いしたいと思います。最初だとちょっとお伺いしにくいんですけれども、三重県は様々な独自のリサイクル・廃棄物対策をこの十数年以上行ってこられて、その中で災害廃棄物税とかリサイクル製品の認定制度を取り入れる中で、申し上げにくいんですけれども、フェロシルト事件も経験されまして、各種の制度改革をされてきていると思います。
今日はそのお話とは別の観点から不法投棄対策をお話しいただいたんですけれども、県全体の政策の中で、今までの政策から学んだことと言いますか、フェロシルト後、税の検証、それから、認定製品制度の改革も含めてやって、こういう新たな政策と組み合わせていらっしゃると思いますので、全国の自治体が失敗からも学んで何がポイントかというところを、今回のことと合わせて教えていただけましたら、大変ありがたいと思います。
○酒井部会長 大熊委員、どうぞ。
○大熊委員 同じ三重県の不法投棄対策で教えていただきたいと思うんですけれども、4件の不法投棄の関係があって、事業者自体はもう既に破産の状態になってしまっているのかということと、これだけ費用がかかるんですか。これの求償の関係がどのようになっているのかということを教えていただければと思います。
もう一つは、熊本さんの関係でございますけれども、本当に大変な御苦労をされたと思います。一つやはり難しかったのではないかと思うのが、自治体が支援にいろいろ入っているということと、熊本県の中における民間の団体・事業者さんたちの支援もあったということですけれども、その辺の役割分担みたいなところと、その関係で苦労されたことがあれば、お教え願いたいと思います。
以上でございます。
○酒井部会長 ありがとうございます。
大迫委員、どうぞ。
○大迫委員 まず、熊本県さん、大変御苦労されて、まだ途中かと思いますけれども、頑張っていただければと思います。途中ではあるんですけれども、広域自治体としての市町村に対する技術支援とか、あるいは、周りの様々な産廃協会さんとかいろいろなセクターとのコーディネート役だとか、いろいろと経験してみて、広域自治体として役割は具体的にこういうふうに強化していくべきじゃないかというような御意見があればお伺いしたいと思います。
それから、三重県のほうなんですけれども、三重県のほうはまさに広域自治体として先進的な取組を様々されていると理解しております。御質問は細かい点なんですが、人材育成で人事異動との関係が難しいということをおっしゃっておられましたけれども、県の内部あるいは市町村の人材力を継続的に高めていく中での、人材異動を前提にしながらも、こういうふうに工夫していったほうがいいんじゃないかというようなところがあれば、お考えをいただければと思います。
それから、熊本県、三重県さんどちらもお聞きしたいのは、D.Waste-Netが災害時あるいは平時からもいろいろと貢献が求められるところなんですけれども、国の支援のあり方も含めて何か御意見なり御期待があれば、教えていただきたいというところです。
それから、富山環境整備さん、大変興味深く先進的な取組を聞かせていただいたと思っております。質問は細かい点が一つ。農業との連携という中で、事業形態が御社自ら主体でやっておられるのか、あるいは、新聞の報道だとほかと連携しながらやっているような事業形態なのかなと思ったので、そこを聞きたいということ。
それから、迷惑施設というように見られがちなんですけれども、当初からこういった形で進めていく中で、地元との信頼関係がどのように醸成されてきたのかということ。
最後は、今、産廃が中心だと理解したんですけれども、一廃は受け入れておられるのか。あと、一廃への戦略的展開ということに対する何かお考えがあるのかということをお聞かせいただければと思います。
以上です。
○酒井部会長 大塚委員、お願いいたします。
○大塚委員 三重県さんに三点お伺いしたいと思います。
一点は先ほど大久保委員が聞かれたことと関係いたしますが、不法投棄に関して現在4件ほど事案があるということでございますけれども、これはもちろん地理的な関係とか産業がなお発展している愛知県に近いとか、いろいろな問題があると思うんですけれども、先進的な対策をとられたことと、今のこの4件が出てきているというところとの関係というのは、時間軸を含めてどういうふうに分析されているかというあたりをお伺いしたいと思います。災害廃棄物税はある意味非常に先進的な対応だったと思いますけれども、とり方によってはいろいろな影響を及ぼす可能性もあるというところもございますので、その辺を含めて、対策をとられてきたことと不法投棄の関係がどういうふうになっているかというあたりを分析されていたら教えてください。
あと二点は細かい話ですけれども、スライドの8にある、先ほど倉庫の所有者に撤去していただいたという話ですが、これは指導でしょうか、何らかの条例上の根拠があるのかということをお伺いしたいのと、同じような話ですけれども、14ページの県内の29市町に産業廃棄物に係る立入権利を付与したと、これは何か条例上の根拠があるのでしょうか。その辺も教えていただければありがたいと思います。
以上でございます。
○酒井部会長 小林委員、どうぞ。
○小林委員 ありがとうございます。
富山環境整備さんに御質問です。廃棄物や創エネルギー、農業経営と、幅広い事業をされているということだと思いますが、この絵を見る限りでも、初期投資や運営費用がかなりかかっているのではないかなと思います。その部分で、国もしくは県行政からの補助金等の御支援があったのかどうか、それを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○酒井部会長 崎田委員、どうぞ。
○崎田委員 ありがとうございます。
私は災害廃棄物の対応に関して熊本県さんと三重県さんに教えていただきたいんですが、私は以前から、災害が起きたときには、地域の住民の皆さんも本当に驚いたり、びっくりしたりで、どうしていいのかなかなかわからないところが大変多いと思っています。そういうときに自治体から適切な情報が来て指示が行き届くとか、そういう対応がうまくいく、その辺がうまくいくときに大変重要なのではないかと思っています。
今回、熊本県の場合は、住民の方との対応とか情報共有に関して、何か課題とか、事前にこういうふうにしておけばよかったとか、そういう知見があればぜひ教えていただければありがたいと思っております。
三重県さんには、そういう視点で事前の計画づくりという段階で、住民との情報共有に関して、どういうふうに組み込んでおられるのか、その辺を教えていただければありがたいと思いました。
あと、富山環境さんにぜひ伺いたいのは、エネルギーを農業のほうにうまく活かしておられますけれども、業務の中にバイオマス系のものは扱っておられないんですが、いわゆる肥料とか飼料とかいうものもつくって、そういうものも農業に活かすとかいうふうには全く考えておられないのか、その辺の確認をさせていただきたいと思っております。
よろしくお願いします。
○酒井部会長 白石委員、どうぞ。
○白石委員 熊本県さんにお伺いしたいんですけれども、アスベストの飛散防止策のところなんですけれども、飛散防止対策が徹底されていなかったとか、危険調査を実施したが体制が不十分だったとかいうことが書かれているんですけれども、実際のところ突然災害が起こって廃棄することになるんですけれども、そのときにオーナーの方は、アスベスト、その捨てられるほうを、そもそも認知しておられたのかどうか、あるいは、知らなくて、後からわかったような問題なのか。すなわち問題のポイントですね、要点、どういったところが問題であったのかということを教えていただきたいと思います。様々な認知活動をされているようなんですけれども、思うようにいかなという理由をお知らせいただきたい。
○酒井部会長 新熊委員、どうぞ。
○新熊委員 私も三重県さんにお尋ねしたいと思います。先ほども何人かの委員の方が質問さておられましたけれども、4件の不法投棄事案について御説明いただきましたけれども、この4件も含めまして、一般に不法投棄の原因者というのはバレたら破産してお終いという意識が強く働いているのかということをお尋ねしたいと思います。
それに関連して、これは環境省さんにお尋ねしたいんですけれども、全国規模で行政代執行の額が今どれぐらいあるのか。そして、そのうち、どれぐらいが原因者から回収できていないのかということを、今おわかりでしたらお願いします。
○酒井部会長 高岡委員、どうぞ。
○高岡委員 ありがとうございます。
それでは、まず熊本県にお聞きしたいんですけれども、災害廃棄物の中でも適正処理困難物とか、有害廃棄物というのはどうしても出てきてしまっていると思うんですけれども、それの処理、処分をどのようになされているのかというのを一点お聞きしたいと思います。
また、三重県につきましては、質問がかぶってしまうんですけれども、本日の資料では全国の件数のトレンド、不法投棄とかをお示しされましたけれども、三重県のトレンドとか、今日御紹介のあった建築廃棄物の不法投棄とか、4つの事案というものとの関係はどうなっているのかということをお聞きしたいということです。それから、大久保先生とも重なりますが、フェロシルトの問題以降のリサイクル認証制度がどのように変えられたと言いますか、改善されたかということを教えていただきたいと思います。
最後、富山環境整備さんですが、本日の資料で焼却炉の運転管理コストが書かれていると思うんですけれども、これは低濃度PCBの処理も含んでいると思うんですけれども、低濃度PCBを入れることで、例えば運転管理コストがかなり上がったとか。この運転管理コストの中身をお聞きしたいのと、農業のところに排熱を供給されているということですが、これは25年からのプロジェクトでわざわざ改めて引かれたのか。それとも、最初から、24年に焼却炉をつくられたときから、配管を通じて排熱を供給されていたのか。そのあたりをお聞きしたいと思います。
○酒井部会長 三浦委員、どうぞ。
○三浦委員 熊本県に質問があります。災害廃棄物はいかに分別するかということが重要だというのはまさにプレゼンのとおりだと思いますが、これはなかなか難しいことだと考えます。解体現場の中で分別するのか、富山環境整備さんのように混廃の分別設備を新たに設置するという方法もあると思いますが、経験された中で工夫されたことと、今後の参考になることがあれば教えていただきたいと思います。
○酒井部会長 見山委員、どうぞ。
○見山委員 ありがとうございます。
富山環境整備さんに質問がございます。近隣住民との関係性というところで、この事業所の立地状況とか立地環境とかの関係性もあると思うんですが、これがどのような立地環境にあるかということをまず一点教えていただければと思います。
あと、御説明があったかどうかちょっと失念してしまったんですが、事業の中で飲料水の製造事業を別エリアでやられているとあるんですけれども、しばしば水源地域とこういった処理施設のコンフリクトの問題というのは起こりがちなんですけれども、立地環境をどういった地域でやられているのかということを、併せて教えていただければと思います。
以上です。
○酒井部会長 森口委員、どうぞ。
○森口委員 災害廃棄物の件を中心に幾つかお尋ねしたいと思います。
D.Waste-Netの支援も含めて、東日本大震災での経験を今回かなり組織的に熊本県さんで御活用いただいたかと思うんですけれども、初期においては情報伝達が難しい部分がかなりあったのではないかと思っております。先ほど崎田委員から情報共有というお話もありましたし、今日の資料の中でも初期においては仮置き場の管理等も含めて情報伝達が行き届きにくかったところがあると思うんですけれども、住民とか、あるいは、支援に駆けつけるボランティア団体、あるいは、県内の市町村とか、それぞれの断面はあるかと思いますけれども、せっかく知見があっても現場に伝わらないとなかなか活かされないというところがありますので、そのあたりで何か教訓としてお聞かせいただけるところがあればと思います。
もう一点、熊本県さんにお尋ねしたいのは、処理が進んで再生利用等も進み始めているかと思うんですが、再生利用の行き先と言いますか、需要、受け先がどの程度あるのか。これは東日本大震災の時にも課題になっていたかと思いますし、公共事業なんかの活用においては、東日本大震災の時と熊本地震とは災害のタイプがかなり違いますので、そのあたりもし何か今日の時点でお聞かせいただけることがあればお願いしたいと思います。
三重県さんにつきましても、災害廃棄物関係で極めて具体的な質問なんですが、市町さんのほうで仮置き場を事前に現時点で確保と言いますか、場所選定が具体的にどの程度進んでいるのかということ。
もう一点は人材育成に関して。これは受け入れ側との関係で難しいところはあると思うんですけれども、机上でということだけじゃなくて、現場の経験、極めて具体的には三重県さんとして今回熊本のほうに人を派遣して、現場で見られるということをお考えになったかどうか。あるいは、熊本県さんにもお尋ねしたいところではあるんですけれども、東日本大震災の時に広域処理の問題がありますので、一時期、視察ラッシュで自治体がそちらに忙殺されるという事態もあったので、足手まといになってはいけないという部分もあるかと思うんですけれども、現場での経験をされるということは、人事異動等があるとしても非常に重要なことかと思いますので、そういう話があったかどうかお聞かせいただければと思います。
富山環境整備さんについては、プラスチックの話もあったので、それはお聞きしたいところでもあるんですが、恐らく今日の本題ではないので、それは控えまして。災害廃棄物についてもお触れになっているんですけれども、破砕選別等の処理のところを主に処理業としては担当されるわけですが、さっき熊本県さんにお尋ねしたことと若干かぶるんですけれども、それの資材の需要先という点で、日常時からその処理をされている中で、行き先に関して何らかの形で、民対民あるいはそれ以外もあると思いますけれども、そういう点での知見と言いますか、そういうところで災害廃棄物由来の資材の有効利用という点で、何か業界として展開される可能性があるかどうか、そのあたりをお教えいただければと思います。
以上でございます。
○酒井部会長 今回のヒアリングも非常にたくさんの質問を頂戴いたしました。可能な範囲で結構でございますので、順番に御回答いただける範囲で御発言いただければ幸いでございます。
では、熊本県からお願いいたします。
○熊本県 それでは、メモできる範囲でお答えしたいと思います。
まず、一点目の民間業界団体の支援の受け皿の中での苦労話、あるいは、自治体の支援の中での苦労、どういったことがあったのかということがあったかと思います。一番最初は、災害廃棄物まで行き着かないときに、市町村も混乱する我々も混乱する中で、プッシュ型の、例えばし尿処理の仮設トイレであれば、市町村から何基欲しいという依頼があって何基手配する、あるいは、それとは別に国のほうからもあそこに何基置いたよということがあると、業界団体の管理が及ばなくなるというか、そこでかなりの混乱が出たことがございました。
それから、自治体の支援というか、熊本県がこういった技術職員が欲しいといっても、マッチングに時間がかかって、各県送りたいんだけれども、そういうところで時間がかかるとか、そういったことがありました。特に痛感したのは、災害廃棄物処理で事務系の職員だけでいいのかなと思っていたら、やっぱり技術系、土木の技術とか、仮置き場を設置するときに土工士とかが必要になるものですから、そういった設計の知識もないしといったことで、事務系の職員はかなり苦労して。若干タイムラグがあって他県から派遣されて、もうピークを過ぎたころに来ていただくということで、ありがたいんですけれども、ちょっとマッチングしないというところがございました。
それから、広域処理体制についてのお話があったかと思うんですけれども、今、環境省さんがそれぞれブロック単位で広域処理のお話が出ています。九州でもありまして、プッシュ型でいく際には窓口を一本化して、受援体制を期待してもらうと、被災している市町村なり県は正直言いまして受援体制が整っていない、こういうのをやってもらいたいというように構えて受け入れる体制ができないんです、実際は。ですから、来るほうがこれとこれをやるよとかいうことで来てもらわないと、なかなかうまくいかないんじゃないかなと思っております。
それから、D.Waste-Netさんには、技術的な支援で、知識不足、経験不足な面が多いものですから、非常にお世話になったというのが率直な意見でございます。
それから、自治体から住民への情報伝達のお話があったかと思うんですけれども、実際は避難所に皆さんが来ていればいいんですけれども、今回は、避難所外の、公共施設の広い駐車場の車の中で寝泊まりされている方が何人おられて、そこにどういった方々がいらっしゃるのかというのがわからないものですから、そういう情報が伝わらない。あるいは、市町村のホームページに上げたよと言っても、田舎は高齢者の方が多いですので、SNSを利用されていない方がほとんど、そういった人に限って要支援なんだということ。そういったことで情報の伝達がなかなか伝わりにくいということがございました。
市町村が災害廃棄物処理計画を策定して、防災訓練ではありませんけれども、そういった訓練なり何なりを日ごろから住民とともにやっていかないと、事前の準備と言いますか、心の持ちようができないのかなと思っております。
それから、アスベスト問題がございましたけれども、今回、公費解体ということで市町村経費で解体を進めておりますけれども、周りの方はつぶれているところにすぐ発注すればいいじゃないかと言うんですけれども、公費解体の流れは所有者の確認とか権利関係とか、事前のアスベストのあるなしとか、そういったのが終わらないと解体に着手できないというのがありまして、そういった専門のアスベストの主任作業員がいる解体業者もしくは建設業の許可を持った、解体業の許可を持った業者をいかにそろえられるかというのが、ポイントでございまして、そこの周知徹底とかというのに大変苦労したということでございます。
それと第1に飛散防止、それと曝露防止対策を第一義的に考えて、今、取り組んでいるということで、ちょっと再生利用率のほうが、アスベスト含有の建材とか、そういったところがちょっと進んでいないというのが、今後の課題かなというふうに思っております。
それと、適正処理困難物、今回、困難物であったのが、太陽光パネルの、きれいなやつはそこの処理先に、専門業者に持っていけたんですけれども、既に破砕、破損した太陽光パネルあたりをどうするかということで、今、業者と相談しながら、専門業者と打ち合わせを今、やっているところでございます。
ただ、幸い余りつぶれたところといいますか、太陽光パネルが乗っているところは比較的新しい建物といいますか、そう数多くは出ていないと。きれいなままのところは処理ができているというところでございます。それと、例えば薬品とか農薬とか、あと蛍光灯とか、そういったところも仮置き場に分別して、搬入させまして、専門の業者のほうに渡しているという状況でございます。
それと、分別を解体現場でやるのか、仮置き場でやるのかということですけれども、仮置き場でやり出すと、結局、仮置き場が回らなくなりますので、解体が止まってしまうと。今、解体業者の人に話を聞きますと、分別して、搬入するまでのなれるまでに、結構時間はかかったんですけれども、最近はもう2週間から1週間、10日ぐらいで1棟解体できるようになりましたよということで、解体業者のほうがなれたこともありまして、解体現場でやっぱり分別して、運ばないと、うまく全体の処理までのローテーションが回らないというのは、もう間違いないのかなと思っております。
それと、処理先について、どれぐらいあるかという、具体的な数はちょっとここに、数字的なところはありませんけれども、品目で一番処理先が多いのは、やっぱり木くずになります。バイオマスであるとか、あと電気です。発電に回すとか、そういったことで、かなり県外も含めて、セメント会社さんとか、そういったところに搬出して、木くずの搬出先が一番多いという状況にございます。
それと、最後にありましたのが視察への対応ということでございますけれども、最近はもう1日何回も県が整備しております仮置き場のほうに視察のほうがありまして、もう県だけでは対応できないものですから、専門的なところを聞きたいということであれば、もうJVのより専門の人たちにお任せするようなことじゃないと、うちのほうはちょっともう回っていかないという状況ぐらい、皆さんに視察をいただいているような状況でございます。
大体、以上でございます。
○酒井部会長 どうもありがとうございました。
それでは三重県のほうから御回答をお願いいたします。
○三重県(山下) それでは、災害廃棄物のほうから最初にお話をさせていただきたいと思います。
まず人事異動等との関係の中で、県としてというか、行政として工夫をというふうな部分なんですけれども、どうしても行政は人事異動という形で、例えば組織にもよりますけれども、数年に1回異動がございます。異動により経験とか知識が継続されていかないというふうなことは、以前からいろいろと御指摘もあるところ、としては、28年度から始めた災害廃棄物の自治体のスペシャリスト等の講座の中では、講習を受けていただいた方のリストを整理しまして、それを県内の全ての自治体の方に情報共有を行い、例えば実際に災害発生時にはそういった方々が地域のリーダーになるというふうなこともありますし、例えば近隣で災害が起こった場合については、被災した地域を御支援するというふうなことも期待して、人材のリスト化及び共有をしてございます。
そういった取組をしていく中で、それを具体的に派遣ができるかというふうな形になると、そういった部分については、例えば私ども廃棄物部局だけではなかなか難しい対応がございまして、人事担当部署との協議等というふうなことも必要になってきますので、そういったところは、まだまだこれからの課題なのかなと考えております。
今回、災害スペシャリスト人材の研修はこのような非常に長期、9日間にわたる長期の研修というのは、実際、初めてで、環境省様とか、国環研様にお伺いしても、全国的にも初めての取組という形の中で、実際、D.Waste-Net様等の構成員である環境省様や国環研様などに講師であったりとか、カリキュラムの御相談とか、そういったところの部分で、大変御協力をいただいたところでございます。
そういう意味で、平時からの部分では、やはり技術的な支援について、これからも引き続きお願いをしたいなというふうなところでございますし、実際、研修等を受けている中で、自治体、市町村の方にとって、非常に関心が高いのは確かに災害廃棄物の処理の対応という部分もあるのですが、実際にそれを処理するときに、どのような財政的な支援があるのかと、そういったところにも非常に関心が高い部分がございますので、財政支援的な制度のお話等というふうな部分でも、適宜情報共有等もしていただければと思っているところでございます。
住民等の情報の部分では、実際に第一義的なところでいきますと、自治体の方々が対応されていくという部分ですが、例えば県内でいきますと、幾つかの自治体では地元の自治会等とも情報共有をしながら、災害廃棄物処理計画の策定をしたりというふうな部分もございます。としましても、県民の方を対象にした出前講座というふうなものを設けておるんですけれども、そういった中で、災害廃棄物対策ということを一つテーマに設けてございます。昨年度も、件数は少のうございましたけれども、数件、御要望がある中で、県としての災害廃棄物の対策の考え方の周知をさせていただいたりとか、あと最近でしたら、自治体の方々が、防災訓練を住民の方を対象にされております。そのときに、その訓練の一環として、参加された住民の方を対象に、災害廃棄物対策とはどういったものが必要なのか、心構えという部分をテーマにして訓練を実施している自治体様がおります。そういったときに、県が講師としてお邪魔させていただいて、例えば熊本地震での対応のお話の紹介をしたりとか、災害時にどういった形の心構え、住民と自治体との関係をどのように強化を深めていくべきかということを説明するなどの取組もしているところでございます。
あと仮置き場の選定は、これは災害廃棄物処理計画とも密接に関係する部分なんですけれども、災害廃棄物処理計画において重要な内容として、やはり仮置き場をいかに選定をするというところが必要な部分になってございます。ですので、先ほどの説明の中で、現在、三重県内、29のうち21の自治体が、災害廃棄物処理計画をつくっていただいております。その中には、仮置き場の選定として、リストを挙げていただいております。ただ、大部分が自治体等が管理されている土地が概ねリストとして公表がされておるというふうな部分でございます。では、それ以外の土地の部分はあるのかというと、民間の土地であるとか、候補として考えられるような土地については、行政がリストとして保有するなど、整理検討しているという状況と我々は聞いておるところでございます。
あと最後なんですけれども、研修という形の中で、今回のスペシャリスト人材育成研修は、座学だけではなかなかわからないというか、習得しにくい中で、やはり百聞は一見にしかずということから、このカリキュラムを組む中で、実地の研修は必須だろうということでカリキュラムを組ませていただきました。そのときに、研修先として、今回もお話をいただいております、熊本県庁様にも御協力をいただきましたし、まさに被害が一番大きかった益城町の方々、そういったところにも御協力をいただきました。実地研修としましては、2泊3日で実施しました。そこの中で、災害廃棄物、仮置き場の運用の状況であったりとか、災害廃棄物処理対策で御苦労されたお話等をお伺いして、それを実際に身に感じていただいて、その実地研修の後に後期講座も実施しました。研修全体としては前半で座学を実施し、その後に実地研修、そして後期の座学という形で実施しました。後期の座学では、実地研修で得た知識のほかに、これまで勉強したことも含めたものが、全て確認、理解できるような形の部分で、構成するようなことを配慮しながらしたということでございます。
以上、ちょっと災害廃棄物の部分については終了させていただきます。
引き続いて。
○酒井部会長 では三重県の後半、一番質問の多かったところですので、どうぞよろしくお願いします。
○三重県(春日井) 産業廃棄物の関係で、いろいろ御質問いただいたことについて御説明させていただきます。
三重県の場合、産廃税につきましては、もう15年ほど前から産廃税として、全国に先駆けて導入したりしておりまして、その他、認定リサイクル推進条例というものも制定しまして、環境先進県という形で進めていたんですけれども、大久保委員も御発言ありましたように、石原産業によりますフェロシルト事件が、平成16、17年あたりに発生しまして、愛知、岐阜、三重、京都とか、そういったところに、そういったリサイクルと偽った不適正な土が埋められていたというようなことが、全国的に発信されたところでございます。また、その他、4事案と言われます産廃特措法のものも、平成10年あたりから随時発覚しておりまして、この事案、全体も含めてなんですけれども、ダイコーの倉庫もそうなんですが、場合によっては、土地の所有者さんとか、権利を持っている方がちょっとお金に目が眩んで、そういった部分を見逃しておったり、実際には助けておったりする場合もございます。それで、そういった部分はやはり最終的に、生活環境保全上の支障がありましたら、そういった措置命令とかいう部分でかけられますけれども、改善命令で、例えば法人に発出した場合に、最終的にその会社が破産してしまうとか、例えば個人事業主でやっておって、もうその方が死亡してしまったというような形になりますと、産廃がその土地にそのまま残されてしまうということになります。
もちろん有害物質が入っておるとか、そういった対応をしなければならない場合には、行政代執行等の手続を踏まえてやっていくんですけれども、全くそういう周辺に影響がない場合につきましては、そのまま残置されるということになりますので、やはりそこは、土地所有者さんの責任を一定、果たしていただく必要があるのかなという形に考えております。
その後、県も認定リサイクルにつきましては、平成17、18年あたりに制度も変えまして、例えば原材料に含むものが、特別管理産業廃棄物はもう駄目ですよというような対応をしたり、事業者からの自社の製品が、そういった安全性が担保されているかについての、毎年、1回の状況報告を求めたり、あと品質管理についての、どのようにやっていくんだと、年に何回分析して、その数値は幾つまでというような形をきちんと計画に基づいて確認していくというような対応もしております。
不適正事案、現在の状況なんですけれども、一昨年につきましては、まだ三重県も全国でワースト、一番悪い数値の不法投棄量だったと思います。それが一昨年ですかね。昨年は不法投棄ではありませんけれども、不適正処理でも全国で下から2番目というような状況でありまして、こういった4事案のような大規模のものはほぼ起こらないんですけれども、小規模なものはやはりまだ続いておるということで、様々な対応をもって、早期発見、早期是正を図らせておるというような形でございます。
あと、今までの状況から対応として学んで、どのようにしているのかというところもありましたけれども、4事案の行政検証の中でも触れられておりますけれども、やはり県の職員も一定のレベルを持った職員が対応しないと、場合によっては不適正な部分を見逃してしまうというようなことがございます。ですので、現在の県としましては、私どもの課長は、一応警察のほうから出向していただいておりますし、また、県警本部を辞められたOBさん、県警経験者のOBを実際に班に組み込んで、あと単独でそういったことを見逃さないような形で各事案を回る場合には、県職員も複数のセットで回るような形にしておりますし、各、県を大きく3つに分けておりますけれども、それぞれのチームリーダーにはそれなりの責任と能力を持った人間を充てておるというような感じで、まだ経験の浅い職員が回っていった場合には、きちんとその辺を早期に指導できるような体制をとっておるというような形になっております。
あと大塚委員からもありましたような、ダイコーの倉庫への法的根拠というのが先ほどの、そういった部分の責任を持っていただくということで、法的な根拠は特にございません。
あと市と町の職員への権限付与でございますけれども、市、町については、一般廃棄物しか今のところやはり、法律上の立入検査権限がございませんので、県と市、町で要綱というか、協定を結びまして、それに基づいて、市、町の職員に県職員を兼務させるというようなことで行っております。ただ単に権限を付与するだけではなくて、市、町の職員には、県のほうから廃掃法の根拠とか、そういった不適正事例にはどうやって対応するのかという教育も一緒に行っておるというような状況でございます。
以上でございます。ありがとうございます。
○酒井部会長 どうもありがとうございました。
4県の不法投棄に関する事業者の現状といいますか、あるいは求償がどうなっていたかという非常に具体的な質問がありましたけれども、これはどうでしょう。
○三重県(春日井) すみません、ちょっと忘れておりまして。
求償のほうは、きちんと行っておるところではございますけれども、求償できる人がおる場合には、おさめていただいているところでございますが、その額は、本当に少額でございまして、場合によっては、あと200年かかるんちゃうかとかいう場合もあって、それはもう生きとらんよなという場合もございますけれども、とれるところはきちんととっておるというような対応をしてございます。
○酒井部会長 どうもありがとうございました。
それでは、富山環境整備さん、お願いいたします。
○株式会社富山環境整備(松浦) ちょっとたくさんあったものですから、覚えている限り説明させていただきます。
まず農業についてですが、これはコンソーシアムを組んでおりまして、富山県富山市初め様々な団体が入っていますけれども、主体は生産管理も販売も、全て富山環境整備が主体で行っております。
それと、地元の皆さんとの関係、関連して幾つかありましたので、廃棄物最終処分場にしろ、焼却施設にしろ、これは住民の御理解をいただくのは非常に難しいわけでありますが、最終処分場を最初に開設した昭和61年のときは、私の先代が父親に当たるわけですが、やはり5年以上かけて、御理解を得るために説明をし、また、いろいろなところを見に行って、皆さんに御理解をいただくこと、それで、一番大事なのは、やはりそれを継続していって、今まで約35年間やってきたわけですが、常に膝と膝と突き合わせて話し合う、この一言に尽きると思うんです。疑問があれば見に来ていただく、そういうことを行って、地元の皆さんと、今、連携といいますか、協議会もつくって、年に3回から4回は協議会で話し合いをしております。例えば廃水の濃度とか、大気の監視項目とか、そういうものの報告をしたり、次にこういうことを計画しておるとかいうことです。
それと、補助金関連につきましては、農水のほうから次世代施設園芸拠点整備事業というものをいただいております。それで、環境省様のほうからPCB処理するときに、グリーンニューディールの補助金をいただいております。
それから農業について、もう一つ忘れておりましたが、バイオマス系の肥料ですけれども、私どもは、ちょっとウェット系の廃棄物といいますか、それは扱っていなくて、普通にある肥料なんですけれども、もう限りなく水の要らない、使わない農法を選択しております。それはなぜか、どなたか言われたかと思いますけれども、水の事業、ボトリングの事業は、これはあくまで水道水を利用して、富山市の水道水って全国的にもおいしいとか言われているんですけれども、それをろ過して、水道水ですから、水道法にのっとっていろいろ添加されるわけですけれども、それを全部取り除いて、原水のままにしたものをボトリングしたのがここに持ってきたわけですけれども、そういうことで、まず水源が違うということと、最終処分場は御承知のとおり、やはり水道水源の上流にあっては、これはならんわけで、今、私どもの立地しているところは、下流域については水道水源もないし、漁業権もない河川に流れているという立地状況になっております。
続きまして、一般廃棄物についてですが、現在、もう既に富山市広域圏から焼却灰等、二、三の市から焼却灰を受け入れしております。これからも、今までの知見とノウハウを最大に利用して、一般廃棄物の分野にも廃棄物インフラビジネスとして、取り組んでまいりたいというふうに考えております。
それから、焼却炉を建てたのは、このハウスありきかというような感じだったかと思いますが、そうではありません。ハウスを考えたのは、あくまで廃棄物最終処分場の跡地は、結局、課題にも書きましたが、なかなか普通だったら公園とか、そういうものにしか利用できないんですけれども、ちゃんとそこで産業ができるんだということを示すために出てきたわけで、最初の焼却炉は全くそのエネルギー源にするためにつくったわけではございません。
PCBのコストにつきましては、12億円かかっていますけれども、混合処理いたしておりますので、ロータリーキルンというやつはなかなか維持管理がかかります。それから、当然PCBをやりますと、人件費も増えますので、その分で増えていくわけで、これくらいかかるものだというふうに考えております。
以上です。
○酒井部会長 どうもありがとうございました。
1点、環境省への御質問があったと思いますが、お願いします。
○産業廃棄物課長 新熊先生からの代執行の金額ということで御質問をいただきました。国全体としての額というのは、手元にちょっとないところでございますけれども、恐縮ですけれども、資料の6を先に見て、開いていただきまして、28ページを見ていただきますと、現在、国によります代執行への財政支援というものがございまして、大きく2つ仕組みがございます。
1つが平成10年以降の不法投棄案件に対する支援ということで、こちらは基金を設けておりまして、産業界からの拠出もいただいて、支援をしているものでございます。こちらが新しく発見されたものということでございますので、事業費ベースで、最近の金額を申し上げますと、平成26年ですと、3件、1.2億円、平成27年度ですと、4.4億4件、平成28年度ですと、5件6.5億、平成29年度、現在予定でございますけれども、3件となってございます。ですので、若干変動がございますけれども、数億円規模で国の対象となるものは推移しているということでございます。全体では、都道府県から伺ってございますのは、残存件数、100件ほどあると。27年度末で100件ございまして、特措法でそのうち支障除去をしているものが27年度末ですと10件、廃掃法のこの先ほど申し上げました数字のものが5件ということですので、その他のものについては県単独ですとか、行為者などによる撤去を求めているというような状況になってございます。ただ、量的には圧倒的に特措法による事案というものが多くて、特措法事業で大体、量としては4分の3を占めているという状況になります。
特措法に基づきます支援というものも、まだ継続して行ってございまして、こちらの資料で申しますと、29ページに特措法による支援スキームがございまして、案件も載っけてございますけれども、補助金ベースでやっているものが赤字のもので、青字のものが記載特例によりまして行っているものでございます。
補助金によるものについては、こちらのほうで把握してございまして、香川県の手島の事案が現在、支援している額としては非常に大きいということで、平成28年度には28億円、全体としては支援しているという状況になってございます。事業費ベースでは、香川県の手島は特に大きくて、521億円が総事業費としてはかかったということになってまいります。ちょっと全体の額、集計してございませんで、大変恐縮ですが、以上のような状況です。
○酒井部会長 どうもありがとうございました。
それでは、非常に多くの質問に対して丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。熊本県の馬場室長から三重県の春日井班長、そして、山下班長、それと、富山環境整備の松浦室長、どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、国の取組について御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○廃棄物対策課長 それでは、まず災害廃棄物の対策について説明させていただきます。お手持ちの資料の資料6、12ページからでございます。
1ページ、めくっていただきまして、13ページでございますけれども、先ほど熊本県の馬場室長からもありましたように、災害廃棄物の処理というのは、災害時の復興の第一ステップということで、政府全体でも認識をしておりまして、災害対策に関する主な法律や基本計画といったフレームワーク、また、災害が起こった場合の対応の検証においても、必ず取り上げられます。政府内においては、災害廃棄物対策というのが、処理施設、あるいは処理体制の強化などが重要な施策として、既に位置づけられているところでございます。
14ページに災害対策をめぐるヒストリカルな動きを示させていただきました。東日本大震災以降、制度的な対応を進めておりまして、取組の進展を見ますに、平成27年に廃棄物処理法改正、災害対策基本法と併せて改正をしていただきまして、災害が起こった場合の、廃棄物処理の迅速化、柔軟な対応を可能とするような措置を位置づけていただきました。この法律が制定された以降に、熊本地震が発災いたしまして、その重要な措置を発動したところでございます。
1ページめくっていただきまして、16ページに飛んでいただきます。災害廃棄物対策、国においては、3つのレベルの取組があろうということで、この3つを重点的に進めております。
まず第1が、全国レベルの取組でございます。災害廃棄物処理のノウハウの蓄積や検証、あるいは廃棄物処理体制の整備、ブロック間の連携の推進などでございます。三重県さんからございました財政支援、廃棄物処理、災害廃棄物の処理の財政支援や技術に関する情報の共有なども、こういったところに入ってくるかと思います。
それから、2つ目が地域ブロックレベルの取組、これはブロック協議会という形で、自治体の方々に集まっていただきまして、災害廃棄物処理に関するノウハウの共有、また、セミナーや人材交流などの人材育成などに取り組んでおります。
3番目が、自治体レベルでの取組でございます。災害廃棄物処理計画の策定が平時の備えとして非常に重要ということを、今日御列席の方々も御指摘をいただいておりますが、こういったものの策定、あるいは事業継続計画の策定など、こういった自治体レベルでの取組、こういったものを支援するというものも国の役割というふうに思っております。
17ページに参りまして、それでは、災害廃棄物処理計画の策定状況でございます。熊本県さんは早期に着手をされ、また、三重県さんにおかれても早期に着手の上、市町村を巻き込んで、計画を策定していただいているところでございますけれども、前回の部会で大塚先生から御指摘がありましたが、市区町村で単独の災害廃棄物の処理計画を策定したところは、まだ21%にとどまっておりまして、この災害廃棄物の処理計画を策定していただくと、それを支援していくというのが、私どもの施策の一つとなっております。
18ページに参りまして、具体的にその処理計画をつくっていただく際に、どういった支援をしておるかということでございます。
環境省は財政的な措置を使いまして、モデル事業として、3つの支援をしております。1つは災害廃棄物の処理計画の策定です。ある一定の災害を想定し、災害廃棄物の発生の規模、それから、仮置場に関する事項として、どの程度の面積の廃棄物、仮置場が必要になってくるか、あるいは地形条件などを考慮して、あるいは道路網の整備状況などを想定いたしまして、候補地をある程度選定していただくやり方、また、その他関連事項として、関係の皆様とどう連携していくかといったこと、こういったことを自治体の方々と一緒に荒ごなし、検討するというモデル事業でございます。
それから、2つ目には処理困難物の適正処理です。地域によりましては、例えば津波被害によって水産物のストックが、冷凍できずにそのまま放置されるようなケース、あるいは漁網、自動車の廃棄物が出てくるといったことが想定されます。そういったものが、どんな種類があるか、あるいは発生量がどれぐらいかということを検討するモデル事業、また、三重県さんにおいては、どんどん進めていただいておりますけれども、災害廃棄物処理の図上演習、模擬体験を通じて、処理体制の課題を検討するといったことを進めております。
1ページめくっていただきまして、19ページ目、20ページが地域における取組でございます。私どもの地方環境事務所を中心といたしまして、自治体様に御参集いただきまして、地域ブロック協議会というものを立ち上げ、また、検討を進めております。平時の備えとして、地域ブロック別の廃棄物、災害廃棄物の対策行動計画の策定、あるいは共同訓練の開催といったことを通じて、各自治体さんが行われる取組を促進するというものでございます。
20ページ目に対策行動計画の策定の状況ということで書かせていただきました。特徴という欄がありますように、これは国というか、本省のほうから画一的にこうせよというものではございませんで、各地域、あるいは参集されました自治体の方々と御相談の上、どんな計画が必要かという点から御相談をしていただいております。その計画の策定よりも図上演習、あるいは災害廃棄物の対応シナリオの策定の部分からもっと協議したいというような地域は、計画の策定は後にし、実質的な合同訓練を優先される地域もございます。
次のページをめくっていただきまして、21ページ目、22ページ目からが国レベル、全国レベルのものになります。21ページ目は地域ブロック協議会の役割でございますが、これは全国レベル、私どものほうで設置いたしました有識者会議で、こういった事項が地域ブロックで検討されるといいのではないかという方向性なども示していただいています。
また、今日いらしていただきました熊本県さん、三重県さん、また、富山環境整備さんからも御紹介いただきましたけれども、災害が発生いたしましたときに、その専門家として動いていただく方々を災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste-Net)として組織いたしまして、環境省が事務局になりまして、初動・応急対応の支援、また、復旧・復興対応の支援をしております。
1ページめくっていただきますと、23ページ目、メンバーでございます。拡充をしてきております。初動・応急対応のところは、アカデミア、国立環境研究所、あるいは廃棄物資源循環学会の先生方、あるいは専門機関、また、一般廃棄物の関係団体としては、全都清様、あるいはほかの団体、復旧・復興の段階に参りますと、こういった研究機関、学会の方々に加え、廃棄物処理に関係していただいている団体の方々、セメント協会さんですとか、今日御紹介があった日本災害対応システムズさん、こういったところに御参画をいただくということでございます。
活動実績もございまして、常総市の関東・東北豪雨などに始まり、様々な災害の大きさに応じて対応をしております。
1ページめくっていただきまして、25ページ、26ページでございます。大規模災害に備えた技術やシステム検討ということを国レベルでも進めております。
まず、振り返りが必要なので、東日本大震災など、過去に発生した災害の検証を行っています。さらにその成果をまとめて災害ごとに記録誌を作成します。記録誌の作成は備忘録ではございませんで、必ず次の、もし災害があった場合に、何をやらなければいけないのかという課題についても書いていただく。これを災害に遭われた地元の自治体、それから、ブロック協議会をもちます地方環境事務所のほうで作成をしております。
それから、26ページ目に参りまして、今後のあり方と進め方でございます。私ども、昨年、大変災害が多い年でございまして、熊本地震、また、台風10号による岩手、北海道地域の豪雨、水害、そういったもの、こういったものをノウハウ、教訓として、検証して、蓄積をし、他省庁とも連携をしながら万全の対応をしていきたい、備えをしていきたいというふうに思っております。
災害廃棄物対策の推進支援体制というふうにありますが、自治体さん、あるいは民間事業者の方々と一緒に一般廃棄物の処理に関して、BCPのガイドラインをつくったり、人材育成のプログラムを作成するといったこと、地域ブロック単位で、情報伝達のための訓練も含めた訓練を行っていくこと、また、全国レベルでは技術として、人工衛星などを活用しました、早期の災害推計手法の構築などにも取り組んでおります。
また、災害に備えた廃棄物処理施設の整備、運用ということで、早期の復旧事例の作成、あるいはどんなところに傷みが生じたかといった振り返りなども進めております。
最後になりますけれども、昨年、災害の多い年でございました。今年も雨の季節になりまして、台風が来る季節にもなりますので、万が一ということでございますけれども、関係の自治体の皆様方、団体の皆様方、アカデミアの先生方、あるいは事業者の方々、引き続きの御協力と御支援をお願いいたします。
災害対策については以上でございます。
○海洋環境室長 引き続きまして、国の不法投棄対策等の取組でございます。時間もないので、ちょっと項目の御紹介程度にとどめさせていただければと思います。
28ページ、29ページが、不法投棄等の制度関係でございます。こちらは先ほどの説明とも重複いたしますので、省略させていただければと思います。
30ページ、31ページがダイコーの関係で不適正転売事案の関係でございます。先ほど部長からも御発言がございましたように、食品廃棄物の不正転売事案につきまして、事業の全容が概ね明らかになったことを踏まえまして、総括として、課題と対応を取りまとめさせていただいてございます。県の立入検査なども行われてございました。また、排出事業者におかれましては、現地確認などもされていたところでございますが、今回、見抜けなかったということがございます。県として、職員の能力向上のため、国や都道府県などによる研修を充実させていくということが一つ課題として挙がってございます。排出事業者におきましても、発行が難しいことが明らかなものなども委託されていたというようなこともございます。しっかりリスクについて十分認識していただくことが必要かと思いますし、また、環境省といたしましても、今週の火曜日、総括に併せまして、排出事業者が果たすべき責務をチェックリストとしてまとめところでございますので、その周知徹底、指導を強化していきたいと考えてございます。
また今回、4ポツの事案の発覚後の対応でございますけれども、夏場を迎えて悪臭などの発生が懸念されるということで、迅速性を旨として対応が行われまして、措置命令、行政代執行などは行われなかったということがございます。今回、排出事業者責任が果たされるようなインセンティブが働かなかったということもございますので、そのようなインセンティブが働くように、今回の撤去は前例とすべきではなく、廃棄物処理法に基づく厳格な行政対応というのがやはり必要だろうと考えてございます。
また、代執行がしやすいように、著しく不衛生な状況などの事案について、措置命令を発出するいとまがないときの運用要件につきまして見直し作業ということを行っていきたいと考えてございます。
32ページ以降が有害化学物質対策ということでございます。PCBが33ページから40ページほどにございます。34ページを見ていただきますと、今、PCBの高濃度のものにつきましては、北九州事業対象地域の変圧器、コンデンサーが、処分期間、本年度末までとなってございまして、この掘り起こしが急務となっているところでございます。資料、特に新しいものはないので、40ページまで飛んでいただきますと、当面の課題といたしまして、高濃度につきましては、掘り起こし調査の完了、また、来年度からは処分の見込めないものについては、改善命令、代執行していくことが必要になるということで、その準備作業に今、取り掛かっていくことが必要という状況にございます。
また、低濃度につきましては、様々な検討課題がございまして、正確な全体像を把握するための検討ですとか、また、今日、富山環境整備さんからも御説明がございましたけれども、無害化認定施設の整備などが進んでいるところでございまして、また、処理体制の充実、多様化にはまた引き続き取り組むということが課題になってまいります。
41ページからが、POPs関係でございます。
42、43は背景でございますので、44ページを見ていただきますと、ストックホルム条約の指定物質が、近年、追加されてございまして、それが制度的な担保が必ずしもなされていないということがございます。昨年の9月から酒井先生を座長といたします検討会におきまして、検討を行っていただいてございまして、方向性といたしましては、必要なものについては特管物に指定する。また、上乗せ処理基準をPOPs含有産業廃棄物として規定しまして、規制していくということがございます。その内容につきましては、引き続き専門的な検討が必要という状況にございます。
45ページが水銀ということでございます。8月16日に水銀に関する水俣条約が発効するということで、こちらにつきましては、今年の6月9日に省令などを交付させていただきまして、廃水銀等の特管物関係につきましても、埋立処分を行う場合に、あらかじめ硫化・固形化することなど、また、水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじんなどの処理基準の強化などにつきまして、盛り込ませていただいたところでございまして、10月1日から施行されるということでございますので、その周知をしっかり図っていきたいと考えてございます。
46ページがそのほかの有害化学物質関係の課題ということでございます。制度専門委におきましても、御検討いただきましたけれども、廃棄物中に含まれる化学物質の情報伝達、現在、WDSということで行われてございますけれども、より適切に伝達がされるべきということが課題としてございます。また、最近POPsとして追加されているもの、POPs条約の指定物質となっているものに、自動車や電気電子機器のプラスチックに使われる難燃剤などがございまして、ライフサイクル全体を通じたリスク削減が求められているという状況にございます。
視点といたしまして、国際動向を踏まえて適正に処理をするということ、適正処理と資源循環の両立のあり方をしっかり考えるということ、また、ライフサイクルを通じた管理ということを既存のシステムなども有効活用しながら考えていくということ、さらに、過去に製造されたストック型の廃棄物について、これまでの廃棄物処理の知見、経験を活かしていくと、こういうような視点に基づきまして、方向性として5つほどございます、適正な処理の推進、また、化学物質の情報伝達のあり方を含めた管理の仕方ということ、さらに、一定の他法令などで有害性のあるものにつきましては、情報伝達の義務化についても検討すべきということ、また、他部会にまたがる検討が必要になってくることもあろうかと思います。ライフサイクルを通じた有害化学物質管理につきまして、製品分野における検討との連携というものも必要になってくるかと思います。
また、燃焼工程や化学物質の製造工程などからも非意図的に生成してくるものもございますので、そういったものの実態の把握というものも、これは環境省内でも他部局とも連携した取組というものが必要になってくると考えてございます。
最後に産業廃棄物処理業の振興方策に関する提言ということでございます。ちょっと資料48ページから最後まで、また、A3、1枚紙ということで、資料を多くつけさせていただいてございますが、まず48枚目、ごくポイントだけと思います。細田先生に座長として務めていただきまして、産業廃棄物処理業が地域と共生しながら持続的な発展を図るための方向性を探っていこうと、そのために国、地方公共団体、排出事業者等、関係者とが何をしていくべきかということについておまとめいただいたものでございます。その検討の過程におきましては、産業廃棄物処理業界など、多数の御意見などもいただきまして、まとめさせていただいてございまして、富山環境整備様にはシンポジウムにも登壇いただきまして、誠にありがとうございました。
その後、49枚目からは最近の社会経済動向ですとか、産業廃棄物処理業界の実態などをつけてございます。処理業界、許可業者で申しますと、11万社でありますけれども、52ページを見ていただきますと、主業者として、兼業でやられている方も多いということで、メーンに主業としてやられている方が約1.2万ということになってまいります。市場規模は53ページにございますけれども、5.3兆円、あと54ページから55ページを見ていただきますと、やはり中小企業がかなり多いという実態を見ていただけると思います。
56ページを見ていただきますと、その中でもかなり大きく100億を超える事業規模のもの、企業の方も育ってきているという状況になりまして、57ページを見ていただきますと、最近、競争力強化のための取組、高度なリサイクルですとか、トレーサビリティーの確保に向けた取組、あと個社ではできない強みを生み出すための企業間連携ですとか、M&A、さらに地域との共生、人材育成、確保といった取組も最近、特に活発に行われているところでございます。
業界が抱える課題といたしましては、59ページを見ていただきますと、これはどこの業界でもあるかと思いますけれども、業界内での競争が激しくなっていまして、特に人材の確保が厳しいということがございます。また、処理業が増加している事業者と減少した事業者の2極化が進んでございまして、また、最低賃金につきましては、1,000円未満が約64%ということで、雇用条件が必ずしもよくないという状況がございます。
国や自治体などへの要望といたしましては、60ページになりますけれども、優良な産廃処理業者が評価される仕組みづくり、また、排出事業者の責任の徹底ということが非常に多いという状況になります。
61ページ以降が今回の御提言の肝でございますけれども、やはり競争が激化しているということで、一部にコンプライアンスの遵守を求める動きもございますけれども、適正な評価軸が欠如したまま安直な価格競争に陥りかねないというリスクも引き続きあるのではないかということが指摘されてございます。
62ページを見ていただきますと、個別の企業といたしましても、成長と底上げの両立というものが必要ではないかと、これまでの家業としての安定経営というものが続いていくと。ゆでガエルシナリオというような、なかなか企業としての存続が厳しくなるというような状況にもなりかねないということが出されてございます。
それを、個社単位では63ページになりますけれども、やはり成長戦略、底上げ戦略、そういったものの両方を、個社の状況に応じて取り組んでいただくということが必要だろうということでございます。
64ページが産業廃棄物処理業界の役割というものを再整理したものでございます。もちろん環境を守り産業を支えるという社会インフラでございまして、さらに、循環型社会構築という重責も担っているということで、地域産業として存立しつつ、循環資源さらには再生可能エネルギーの供給などの新たな役割を果たしていくことも求められているということでございます。
これを後押しする振興方策といたしまして、4つの柱に65ページでまとめていただいてございまして、先進的優良企業の育成、排出事業者の意識改革、意欲ある企業の支援体制の整備、優良先進事例のPR情報発信ということになります。
個別の施策につきましても、具体例をもって、御提言いただいてございまして、そちらはA3のほうでまとめていただいてございますので、時間のあるときに御覧いただければありがたいと思います。
○酒井部会長 どうもありがとうございました。
最後に御説明いただきました、産業廃棄物処理業の振興方策に関する提言、検討を細田委員を座長とする検討会で進めていただきました。
細田委員から補足を一言お願いできれば幸いでございます。
○細田委員 ありがとうございます。時間の制約もありますので、簡単に述べさせていただきます。もう既に御説明いただいたとおりなんですが、産業廃棄物の排出量は、マキシマムと比べて、約5,000万トン減っておりまして、今、3億7,000万トンぐらいということで、単なる今までと同じ産廃のビジネスをしていただけでは付加価値はとても取ることができない。一方で労働者の確保も今、非常に大変です。ドライバーをいかに確保するかも大変でございます。ということは、今までの経営を脱皮して、より成熟化し、斬新なビジネススタイルをとって、技術革新に果敢に挑むということが求められていると思います。特徴的なワーディングとしましては、家業からの脱却ということで、家業から企業への脱却をしなければいけない。ただ、これは必ずしもオーナー企業が駄目だとか、そんなことを言っていることではなくて、例えば今日の富山環境整備さんみたいに、非常に技術革新に貪欲で、さらに農業と産業廃棄物処理をバインディングして、新しいビジネススタイルを目指そうとしている。まさにそういう、企業として脱皮しなければいけないということを、ここで強調させていただいています。個別の施策も具体的なものを、国の役割、地方公共団体の役割、業界の役割と、個別に書いておりますので、ぜひ御参照いただければと思います。
環境省のウエブに行きますと、この概要版というのがありまして、これが非常に見やすくなっておりますので、ぜひ御参照いただければと思います。ありがとうございました。
○酒井部会長 どうもありがとうございます。
それでは、時間の関係もございますので、国の取組に関する質問がございましたら、次の議題のディスカッションの際に併せてお願いできれば幸いでございます。
ということで、次の議題2といたしまして、第3次循環型社会形成推進基本計画の見直しについてに入りたいと思います。
まず事務局から資料の説明をお願いしたいと思いますが、今日お約束が午後4時まででございますが、本日、この新たな基本計画策定のための具体的な指針について、御説明をいただき、そして、御意見を十分頂戴したいと思いますので、若干、延びることを御容赦いただければ幸いでございます。ぜひ本日、十分な意見をいただきたいという趣旨でございますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。
それでは、説明をよろしくお願いいたします。
○リサイクル推進室長(循環型社会推進室長併任) 資料7を御覧願います。新たな循環型社会形成推進計画策定のための具体的な指針の素案でございます。
2ページ目からを見ていただきたいのですが、1、2、3、4と柱立てがございます。これは昨年度の点検報告の今後の方向性をベースにした柱立てとなっております。また、内容につきましてでございますが、6月6日の指針案の論点案について御議論いただいたときに、何々の施策を示すべきではないかというふうに提示させていただいたものを、今回、何々の施策について示すというような形に書きかえさせていただきました。
また、6月6日の資料、若干長い、重複しているような記述もありましたので、そこについては、合体させるような工夫をさせていただいております。
2ページ目から、1のところが、低酸素社会、自然共生社会など持続可能な社会づくりとの統合的取組、2が多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化、3がライフサイクル全体での徹底的な資源循環、3ページを飛びまして、4ページ目が適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開の推進、5ページ目が万全な災害廃棄物処理体制の構築、6が適正処理の更なる推進と環境再生、7番として、循環分野における技術開発、人材育成、情報発信等について取りまとめたものでございます。
また、資料8を御覧いただければと思います。今後、秋に向けて循環型社会形成推進基本計画について、指標のほうを秋に御議論いただければと考えております。資料8の1のところに書いてございますように、物質評価指標、それから取組指標、表の1を見ていただきたいと思いますが、説明のところ、経済社会におけるものの流れ全体を把握するような物質フロー、それから2、3が項目別について、具体的指針の素案の項目ごとに物質フローの状況を把握できるような指標、それから具体的な取組の進捗度を測ることができるような指標について、検討を進めたいと考えております。
表の2が循環型社会の全体像を表す物質フロー指標、今、ここに書いてあるのは、現行の計画に書いてある指標を新しい項目になると、どこに当てはまるのかというのを整理したものでございます。
それから、2ページ目については、具体的な指針素案の項目ごとに、物質フロー指標、取組指標ごとに、これも現行の計画で既に規定されているものについて、整理、移動させるとこのようないイメージになるというのを例示させていただいたものでございます。秋からの審議に向けて、こういった指標について御議論いただけるよう準備を進めたいと事務局では考えております。
以上でございます。
○酒井部会長 資料7は今の説明でよろしいですか。若干、中身を説明いただいたほうがいいのではないかと思いますが。
○リサイクル推進室長(循環型社会推進室長併任) 資料7についてでございますが、2ページ目の1のところでは、SDGsや富山物質循環フレームワークに基づき、環境・経済・社会課題の統合的解決に向けて、循環型社会形成を推進する施策を具体的に示す。
2の地域循環共生圏のところについては、最初の丸のところでございますが、地域の循環資源、再生資源等の活用、それから、森・里・川・海が生み出す自然的なつながり、そして、資金、人口等の経済的なつながりを深めていく地域循環共生圏の実現に向けた施策を示す。
3のライフサイクル全体での徹底的な資源循環、最初の丸でございますが、上流での取組を強化し、各主体が連携してライフサイクル全体で効果的、効率的な資源循環を徹底するための施策について示す。2つ目の丸、資源生産性の高い産業や2Rに関する産業を育成していく。
4ページの4、国際的な資源循環体制の構築、(1)の2つ目の丸でございます。バーゼル法、あるいは政省令の改正を通じて、国内外で発生した二次資源について、日本の環境技術の先進性を活かしつつ、適正かつ着実にリサイクルを進めるための施策について示す。
(2)国際展開、最初の丸、質の高い環境インフラの一つとして、廃棄物発電や生活排水処理等に関する制度・システム・技術などをパッケージとして国際展開を図る。
5ページの5、災害廃棄物処理体制については、災害時における生活ごみ、し尿、災害廃棄物等の収集、適正処理を迅速にするため、市町村、地域ブロック、全国レベルで重層的にシステムの強靱化を進める施策を進める。
6番、適正処理、2つ目の丸でございます。優良産業廃棄物事業者の育成や電子マニフェストの加入率の向上などにより、循環分野における全体としての健全化、振興を図る。
(2)の汚染された環境の再生で、海洋ごみや散乱ごみに関して国際的な連携を進めつつ、実態把握、それから発生抑制のための施策をする。東日本大震災からの環境再生についても、放射性物質によって汚染された廃棄物を関係者と連携しつつ、政府一体となって着実に進める。
6ページでございますが、最初の一番上でございます。高度な技術、新たなサービスを開発、導入、上から3つ目の丸、地域における資源循環を担う幅広い人材、幅広い分野での総合的な人材育成、主体間連携の促進、その下の丸でございますが、人々の高い意識が実際の3R行動に結びつくような情報発信、仕組みづくり。
そして、8でございます。物質フロー、取組指標の検討と、透明性のあるフォローアップを示すというように取りまとめていただきます。
○酒井部会長 どうもありがとうございます。
それでは、ただいま事務局から示されました、この指針の素案、あるいは関連する指標、この関連で議論を賜れればと思います。御意見のある方、同じくお札を立てていただければ幸いでございます。お願いいたします。
それでは、山田委員のほうから順番に回していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山田委員 ありがとうございます。
それでは、今のことについて幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。1つは廃棄物処理分野における情報の電子化の推進についてです。この今の御説明の中には、情報の電子化の推進について触れた部分がなかったのですが、ぜひこの中に盛り込んでいただければと考えております。
2つ目は人口減少です。資料の中には、高齢化社会の進展というのが、一番大きなベースでありますけれども、加えて、人口減少という問題も加えるではないかと考えています。というのは、先ほど来からの様々な議論がございますが、特に地方自治体におきましては、財政難によっていろいろなサービス、特に廃棄物処理のサービス等が人口減少によってこれまでと同じようなサービスができにくいところが結構出てきているかなと肌で感じています。
したがいまして、その人口減少についての記載もどこかに加えていただければと思っております。併せて、民間の能力の活用ということを、一言入れていただければと考えています。
最後でございますけれども、これまで経団連を初め、私たちの中では、廃棄物の最終処分場の確保というのが、これまでも、議論の中にどこかの片隅に入っていました。どんなにリサイクル、リユース、リデュースの3Rがどれだけ進んだとしても、必ずどこかに最終処分場の確保というのが必要であると考えていますので、この点についても記載していただければと思います。
最後に、既に国の取組の中で入ってございますので、屋上屋を重ねるような言い方になるかもわかりませんが、PCBの廃棄物の処理というのは、時間の限られた問題かと思います。どこかに期限内に着実に処理を進めなければならない課題でございますので、ぜひそこは改めて項目を立て、どこかに述べていただければと考えます。
以上でございます。
○酒井部会長 ありがとうございます。
お隣、森口委員、お願いいたします。
○森口委員 資料7につきまして、1点だけ申し上げたいと思います。
3ポツでライフサイクル全体での徹底的な資源循環と書かれています。循環と書くと、やはりリサイクルのイメージが非常に強いわけですけれども、3Rの最初のほうにあるリデュースを含め、全体をやっていくんだということが、より明確に伝わるようにしなければいけないかなと思います。特に本日、冒頭にマイクロプラスチック問題で高田先生からのお話を拝聴したわけですけれども、その中で、使い捨て用途のプラスチックの削減ということで、国際的なかなり動きがあるということもございますので、マイクロプラスチック問題そのものについては、ほかの場所に書かれておりますけれども、そういったこととの結びつきも含めて、特にプラスチック等の使い捨て製品のリデュースといったところにつきましても、この3のほうでもより明示的に書いていただくといいのではないかなと思います。
○酒井部会長 ありがとうございます。
三浦委員、お願いいたします。
○三浦委員 まずコメントですが、前文にバックキャスティング的に検討とございます。これは以前も申し上げたのですが、ゴールの姿を明確にするということはなかなか難しいと思います。また、このように国として、目標年次を掲げて設定すべきなのかということに対しても疑問に思います。このような分野に関しましては、関係者の自主的な取組を基本として、目指すべき方向性に向かうための政策のあり方を通常の政策検討の中で、関係者のコンセンサスを得てまとめていくということが必要なのではないかと思います。
また記述、表現についての意見ですが、例えば2ページの下から4行目、「利用拡大など上流側での取組を強化し」や、3ページ目の上から4行目に「拡大責任者責任の適用」という表現は、とりようによっては、いたずらに一部の関係者の責任や負担を強化したり、関係者の実勢や主体性を損なうように感じられることもありますので、この辺は御配慮いただきたいと思います。
最後に、指標について1点、質問がございます。経団連としては、資源生産性というのは、国民、企業の努力だけで改善できる性質のものではなく、内外の経済情勢や資源価格、為替等の外部の変動要因によるものが大きいと考えており、指標として数値目標を設定することに疑問を持っています。
この指標というのは、現在まとめております試案とは切り分けて、今年度一杯かけて検討するというのかどうか、スケジュールを確認させていただきたいと思います。
以上、2つのコメントと1つの質問でございます。
○酒井部会長 高岡委員、お願いいたします。
○高岡委員 ありがとうございます。
私からは5ページの6のポツの最後のところに、廃棄物処理施設の整備のことについて書いていただいております。廃棄物処理の広域化について書いていただいておりますが、ここももちろん入れていただいたらいいと思うんですが、ぜひとも2の多種多様な地域循環共生圏の形成というところでも、やはり対処施設というか、そのあたりの施設の有効利用といいますか、そこもシェアリングのところにも共通するようなコンセプトがあると思いますので、ぜひともそこにも入れていただきたいなというふうに思います。
それから、4ページの真ん中少し上のところに「温暖化対策等により新たに普及した製品や素材」というところで、太陽光発電設備、蓄電池などの低炭素製品の3Rと書かれておるんですけれども、最初のリデュースというのが何となく余りこれに当たらないというか、そういう感じがいたしますので、少し文言等を整理されたほうがいいかなと思います。
最後は、廃棄物物流というような話が余り入っていないと思いますので、どこかでそういうところに触れていただけたらというふうに思います。
以上です。
○酒井部会長 新熊委員、どうぞ。
○新熊委員 資料7について、ちょっとコメントさせていただきたいと思います。8つの項目につきまして、具体的な政策を念頭に入れて書かれていて、そういう意味では非常にいいと思うんですけれども、その前に、具体的な政策に言及する前に、やはり一般的な考え方、アプローチについての言及があってもいいのかなというふうに思いました。例えばですけれども、1の低炭素社会について、ここで一般的な考え方、アプローチについての言及、例えば具体的には次のような文言が必要かと思うんです。申し上げますと、政策評価するに当たり、これまでの一次資源投入量、リサイクル率といった、資源循環指標に加えて、温室効果ガス排出削減量を評価基準に加えるといった、そういった一般的な考え方が、明言が明記されることがあっていいと思うんですね。
理由ですけれども、例えば、ここの1ポツの冒頭に挙がっているこの内容です。廃棄物発電を中心としたサーマルリサイクルを推進するというような内容なんですけれども、例えばこれをすごく進めてまいりますと、どこかでマテリアルリサイクルとバッティングする、そういう局面があるわけですね。ですから、どこまでそれを進めていけばいいのかというのを判断するのが、例えば温室効果ガス排出削減量といった新機軸であるわけです。
もう一つの例を申し上げますと、例えば3Rについて、このいかなる場面でもリデュース、リユース、リサイクルと、そういう順番で唱えておりますけれども、果たしてそうだろうかと、この温室効果ガス排出削減量といった新機軸で評価したら、違う側面が見えてくるかもしれないし、そういうわけで、この新機軸を評価基準に加えて考えていくんだという明言がちょっとあっていいのかなと思います。
以上です。
○酒井部会長 白石委員、お願いいたします。
○白石委員 資料6の46ページで資源循環分野における化学物質管理の新しい課題と今後の取組というのを示していただいたんですけれども、ここに今後の具体的な取組の方向性というのが書かれていて、情報伝達も含めていろいろ書かれておるんですけれども、これはこれで進めていただくととてもありがたいのですが、資料7にそれを置き換えてみると、いろいろなところにやはり分散してしまっているというところがございます。例えば、プラスチックの多様な製品に含まれる素材のライフサイクル全体での資源循環とか、5ページの6ポツで言うと、リサイクル原料への有害物質の混入といったような問題への取組みたいなことに分かれております。
いみじくも説明の中で、他部局との連携みたいなのが必要ですよという事務局側からの御指摘がございましたけれども、今、参考資料1にあるように環境基本計画で横ぐし的に取組を進めていきましょうという動きがあるようですので、その方面で循環部会からも、その創生部会のほうにインプットしていただければ、この分野、ありがたいという。これはお願いでございます。
○酒井部会長 崎田委員、どうぞ。
○崎田委員 ありがとうございます。
前回いろいろ発言させていただいた点、かなりいろいろ入れていただいていると思います。ありがとうございます。それで、特に2ページの2番目、多種多様な地域循環共生圏形成というところがありますが、ぜひこれを肉づけしていくときに、やはり地域の特性を活かして、元気な地域をつくっていくという、そういうところが非常に今回、この部分で大事なところだと思いますので、やはりこの地域循環共生圏、こういうような視点の中でこれからの社会づくりをしていくというあたりを強調していっていただければありがたいなというふうに思います。
なお、次の3ページのところなんですけれども、先ほど森口委員が、プラスチックのところで御発言をされたことと、私、同じような認識を持っておりますが、海ごみ対策、海ごみのマイクロプラスチック対策に関しては、5ページのほうに一応項目が入っておりますけれども、このプラスチックの項目のところに、ぜひ、やはり特にプラスチックの使い捨て型の容器などに関して、しっかり検討していくというようなことを明示していただいていいのではないかと私も考えております。
あと5ページのところなんですけれども、災害廃棄物処理のところがありますけれども、今、ここに先ほど質問させていただいたように、住民の方への情報共有ということも、実際の災害時には大変重要なことだと思いますので、そういうところも大事な項目として入っているんだということが、少し押さえていただければうれしいというふうな感想を持ちました。どうぞよろしくお願いいたします。
○酒井部会長 ありがとうございます。
小林委員、どうぞ。
○小林委員 ありがとうございます。
資料7についてでございます。全体的に各委員の色々な意見をまとめていただいた指針だと思っております。その中で1点コメントさせていただきます。一、二行目の「中長期的な方向性を設定し、そこからバックキャスティング的に検討」というところの表現が、少し違和感があると思っております。
先ほどの三浦委員からの御指摘と重なる部分があろうかと思いますけれども、できることの積み上げにより方向性を決めることであれば、合意できるかなと思います。この場合の決め方としては、各主体や、各事業者の実行の可能性、具体的には、ヒト・モノ・カネのリソースや、その地域の特性等を十分に加味いただくことが重要ではないかと思っておりまして、その結果として、実質的な取組の推進にもなり、結果的に目標達成につながると考えております。
以上です。
○酒井部会長 ありがとうございます。
大塚委員、どうぞ。
○大塚委員 では4点指摘させていただきます。
1つはプラスチックの問題でございますけれども、既に御意見がございましたように、3ページのプラスチックのところは使い捨てプラの発生抑制とか、あるいは先ほど御議論があったところとの関係で言えば、バイオプラスチックのほうに転換していっていただくようなことを書いていただければと思います。
同じような問題について、5ページのほうの、6の(2)のところについては、使い捨てプラの規制に関しては、既に諸外国に幾つかの規制がございますので、そういうことも参照しながら、展開していくことを兆しだけでも買いていただければというふうに思っております。
それから、2つ目でございますけれども、4ページの太陽光とかの発電設備とか、蓄電池のところと関係しますけれども、電池の問題は、蓄電池だけの問題ではなく、温暖化対策等と関係する問題だけではないと思いますので、特にリチウムイオン電池の火災の問題とかがございますので、回収のときの問題点がありますので、これは生産者のほうに配慮していただくことが必要な問題になってくるかと思いますけれども、ボタン電池等も含めて電池の問題をもう少し大きく取り上げていただく必要があるのではないかと、環境配慮のところを含めて、取り上げていただく必要があるのではないかということを申し上げておきたいと思います。
それから、3点目でございますけれども、5ページの6の2つ目の、(1)の2つ目の丸のところで、優良産廃処理業者の育成の問題が書かれています。これは非常に重要でございまして、ただ、さっきの資料6では、それほど重点を必ずしも置いていただいていないような感じがいたします。今回の廃掃法の改正のところの委員会とかでも、若干、関与させていただきましたが、この点については、省令で優良産廃処理業者の認定の制度があるだけで、法律には規定がございませんので、ということもあり、法律の改正とは直結しなかったわけですけれども、ちょっと問題がなお残っているのかなという気がいたします。
つまり、その認定制度については、非常にいい制度だと思っていますが、メリットは許可の期間が5年から7年になるとか、非常に、それほど大したものではないんですけれども、他方でしかし、排出事業者さんから見ると、優良な産廃処理業者に委託したいというふうに思ってくださる方は結構多いと思うので、もっとこの認定制度が活用されてもいいんじゃないかというふうに思っているところなんですけれども、たしか私が記憶しているところだと、今でも全国の産廃業者の1%ぐらいしか認定されていないんですね。今言ったように、法的な意味でのメリットはそんなに多くないんですけれども、ただ、多分、処理業者さんにとっても、排出事業者から委託を受けようと思えば、もっと認定してもらう方向に流れていってもよさそうなものだと思うんですけれども、その辺は環境省はどういうふうに分析されているかというところもちょっとお伺いしたいところではありますが、いずれにしても、ちょっとここのところはもう少し深掘りをして書いていただく必要があるかなというふうに思っております。
4点目でございますけれども、2ページの地域循環共生圏の最後の丸のところで、最適な規模の循環を形成させるということが書いてあって、これでいいんですけれども、この内容としては、前には結構議論されていたと思いますけれども、循環についても、リサイクルのことを特に考えると、広域循環というのもあるので、地域といっても結構広いところの地域ということが考えられることもありますので、2層、3層みたいな感じで、広いのと、狭いのとか、いろいろあると思いますので、広域認定制度とか、まさにそういうことを考えていると思いますが、ここはだから、地域の循環といっても、いろいろな層があるんだということを、もう少し明確に書いていただけるとありがたいかなと思います。最適な規模の循環というのは、そういうことを意味しておられると思いますけれども、もう少し明確に書いていただけるとありがたいかなと。
以上でございます。
○酒井部会長 大迫委員、どうぞ。
○大迫委員 ありがとうございます。
幾つかございますが、まず資料の7の3ページのところで、ベースメタル、レアメタル等の金属というところで、小型家電のところが書かれてあるわけですが、様々な廃棄物、あと、例えば残さ系も含めて、いろいろとそこからのベースメタル、レアメタルのいろいろな回収ということも今後さらに強化が必要かと思っておりまして、その際に、やっぱり静脈産業である産廃業の方々の前さばきの機能でありますとか、あといろいろな非鉄、鉄、また、セメントも含めた素材産業の連携とか、そういう産業間ネットワークをより高度に活用して、資源循環システムをつくっていくというようなことも重要ではないかというふうに思っております。
それから、今日のヒアリングの話題のところの5ページのあたりでございますけれども、これはちょっと細かいところで、災害廃棄物に関しましては、この2行目の市町村レベルというのは、これは都道府県も含めた自治体レベルと書くのが、先ほどの環境省の資料ではそういうふうな言葉になっておりましたので、訂正いただきたいと思います。
それから、国民の理解の醸成ということが、やはり必要ではないかというふうに思っておりますので、この災害廃棄物の分野でも何かそういったことも書き込んでいったほうがいいかなと思っています。
それから、廃棄物の有害物質の対策というところで、今日、資料の6で中尾課長のほうからも触れられていましたけれども、やはり廃棄物における有害物質対策ということにとどまらず、やはり関連する上流側対策でありますとか、あと媒体ということでいうと、水、大気、土壌といったこととの連携ということも含めて、先ほど白石委員からもありましたけれども、環境基本計画との関係も含めて、環境省内でよく連携をとって、検討いただきたいというふうに思います。
それから、これは資料の記載に関してということじゃないのですが、先ほど委員から御発言のあった中で、私もちょっとつけ加えたい部分がありますので、先ほど山田委員のほうからも民間の活用というところが大変重要だということは、これは私も同感でございます。その一方、例えばやはり排出者責任でありますとか、あるいは自治体の一般廃棄物をいろいろな事業者が扱っていく場合の自治体の処理責任でありますとか、そういうこの処理責任の果たし方を明確化していく中で、そういう民間活用が図られていくということが大変重要かなというふうに思っております。
それから、もう一方、三浦委員のほうから、上流側での取組に関する強化というところの表現ぶりも含めてというところがあったんですけれども、これに関しては、上流側の取組というのは、既にもう自明のことであるといいますか、現行の循環計画の中にも記載されておりますし、先日来の点検報告書の中でも、現状、いろいろと横ばい、資源生産性等が横ばいになっているところの中での取組強化をすべきというようなところは、もう既に記載されて、その方向は自明かなと思いますので、さらに頑張っていくという意味では、必要な記載かなというふうに思っております。
以上です。
○酒井部会長 ありがとうございます。
大久保委員、お願いいたします。
○大久保委員 3点ありますが、まず第1点目は、プラスチック対策ですけれども、これはもう既に何人かの委員からも発言があり、私も最初に指摘いたしましたので、この点、もう少し丁寧に書いていただければと思います。
2点目は、災害廃棄物対策ですけれども、仮置き場の決定というものが、基本的にやはり計画作成ではキーとなってくるかと思いますが、この点について、基本は公有地が想定されているかと思いますけれども、やはり国有地について、国のもう少し積極的な役割というのは何らか書き込めないのかということがございます。
といいますのは、基本的に自治体の中でも、山梨県を初めといたしまして、国有地の公務員宿舎の空地などを、そういうものに使っていこうという協定を結んでいるところがありますが、そのままにしておきますと、もう公務員宿舎などの空地は行政財産から普通財産になって、普通財産になれば、売り払いというのが基本的なルートになりますので、ここのところはこういう自治体の特性にもよりますけれども、各地域の状況によりまして、やはり仮置き場、あるいは仮設の用地として、非常に重要になってくる部分があるかと思いますので、国としても、国有地の活用のあり方をもう少し災害対策、そして、その場合のゆとりという、すぐ立ち上げるためのゆとりとしてどこかを確保しておくということの観点から、国有地管理をしておくということが、売り払ってしまったら、もう民有地ですから、大切ではないかと思いますので、そういう観点を少し国のイニシアチブとして書いて、計画作成のインセンティブとして出していくという方策があるのではないかと思います。
それから、最後ですけれども、これは有害物質対策ですけれども、これももう既に何人かの委員から御指摘があるとおり、もうリサイクルの推進といっても、有害物質が入っているかもしれない。リスクがあるということになりますと、やはり災害廃棄物のみならず、普通の廃棄物であっても、リサイクルの推進ということが滞る主要な要因になってくるかと思いますので、この点につきましては、5ページの6の4ポツだけではなくて、2ページの一番最初の「低炭素、自然共生など、持続可能な社会づくりとの」というところにやはり大気・水・土壌といった公害対策部分との連携ということを、あるいは化学物質管理全体との関係というところを、やはり書き込んだほうがいいと思いますし、同様に3のところの最初の丸ポツも有害物質対策などというのも、その上流側の対策の一つとして、きちんと書き込んでおくことが必要ではないかというふうに思われます。それで、それを同時に循環計画だけでは済まない部分だと思いますので、他の基本計画も含めた、他の計画との整合を図っていくということが必要かと思われます。
以上でございます。
○酒井部会長 どうもありがとうございます。
この資料7の指針案につきまして、御意見を頂戴いたしました。
ここで委員間で意見を戦わせていただくことを含めた議論をぜひ進めたいところなんですが、時間が既に30分、超えておりますので、今日のところはこの意見を最終案に反映していただくために御意見をお聞きしたということでとどめておいてよろしいでしょうか。
ただ、今お聞きした中で、事務局のほうからお伝えいただいたほうがいい点がございましたら、追加で発言いただくといたします。私が聞いた範囲では、特に省内の他部局との連携、あるいは他省との連携といった側面で、特に今日は有害化学物質についての御指摘、3名ほどの委員からいただいたかと思います。この点は十分意識していくこととして、連携という点では、やはり温室効果ガス対策というところで、先ほどプラスチック対策の中でのバイオマスプラスチックというところの御指摘もございました。有害物質のみならず、他の政策でも連携的観点というのは多くあろうかと思いますので、その辺は十分に意識をしながら、最終の指針案ということに持っていくことができればというふうに意見をお聞きしながら、感じたところでございます。
では、事務局のほうから何かございましたら、一言、どうぞ。
○リサイクル推進室長(循環型社会推進室長併任) 1つ、バックキャスティングのところのお話がありましたけれども、これについては、まず現行の計画の中で、中長期的な方向性というのを定性的に書かれておりまして、まずこのバックキャスティングというのが、何か定量を前提とするものではなく、かつ、バックキャスティングの観点もというのは、今の点検報告書の中にも書かれているようなことですので、そのような理解で書かせていただいているものでございます。
また、上流側の話については、先ほど大迫委員から補足いただきました拡大生産者責任についても、現行計画にも書いてあるということでございます。
それから、指標についての検討というのは、まさに秋から計画策定が終わるまで、来年の春に向けて御議論いただくということで、今後、作業を我々のほうで、それに向けて進めていきますということの御紹介ということで、本日は資料を出せていただいたものでございます。
また、例えば太陽光パネルについて、長く使ってもらうことによって、最終処分場に入っていく量をコントロールするというのも、リユースやリサイクルとともに、今、モデル事業等をやっているところでございますので、そこでちょっと3Rという広目の言葉を使わせていただいたところでございます。
私のほうからは以上でございます。
○酒井部会長 それでは、ただいまの説明、よろしいでしょうか。
それでは、闊達な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。指針の取りまとめに向けた今後スケジュールについて、事務局から説明をお願いいたします。
○リサイクル推進室長(循環型社会推進室長併任) 参考資料1のA4の紙、横紙を御説明させていただきます。
左側が中環審総合政策部会における環境基本計画の来年の春に向けたスケジュール、右側が本部会における循環計画の準備でございます。6月の、右側の22日、本日の部会で指針の案について御議論いただきました。6月29日には左の欄にございますとおり、総合政策部会で環境基本計画の中間取りまとめに向けた審議がございますが、それに先立つ形で、酒井循環部会長より、総合政策部会に対して、循環計画の審議の状況、具体的には本日の資料の指針案、それから指標もこれから議論していきますということを中心に御報告をお願いできればと考えております。
また、8月2日には、本循環部会で、この本日いただいた御意見を受けて、指針の案を取るための御議論をまたいただき、8月からパブリックコメント、そして、実際に秋には、その案の取れた指針について、環境大臣に意見具申をいただき、環境大臣から秋の審議に向けた諮問をさせていただくということで考えております。
以上でございます。
○酒井部会長 ただいま田中室長から御説明がございましたとおり、今月29日に総合政策部会、環境基本計画を審議されている総合政策部会が開催されます。本日の資料7及び8を用いて、私のほうからこの循環型社会部会の検討状況を報告させていただければというふうに思っております。また、次回の循環部会におきまして、パブコメ案が提示できるよう、本日の委員からの御意見を踏まえまして、事務局にて指針素案の修正をお願いいたします。
最後に事務局のほうから何かございましたらよろしくお願いいたします。
○企画課長 長時間にわたりありがとうございます。
先ほどございましたように、次回の部会については、8月2日を予定いたしております。詳細な時間、場所については、改めて事務局から御連絡をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。
午後4時33分 閉会