中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度小委員会(第4回)
開催日時
令和7年4月25日(金) 15:00~17:00
開催場所
対面会議:TKP新橋カンファレンスセンター ホール14F
Web会議:Webex使用
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議題
(1)資源循環の推進に向けた制度的取組
・ヤード環境対策の制度的措置の検討
・資源循環ネットワーク形成・拠点構築に向けた調査事業について
(2)PCB廃棄物に係る制度的措置の検討
(3)その他
・ヤード環境対策の制度的措置の検討
・資源循環ネットワーク形成・拠点構築に向けた調査事業について
(2)PCB廃棄物に係る制度的措置の検討
(3)その他
資料一覧
【資料1-1】ヤード環境対策検討会の取りまとめの報告について
【資料1-2】ヤード環境対策の制度的措置の検討について
【資料1-3】資源循環ネットワーク形成・拠点構築に向けた調査事業について
【資料2-1】今後のPCB廃棄物等の適正な管理及び処理について
【資料2-2】PCB特措法におけるPCB廃棄物の処理に関する制度的措置の検討について
【参考1】中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度小委員会名簿
【参考2】令和6年度ヤード環境対策検討会報告書
【参考3】今後のPCB廃棄物等の適正な管理及び処理について(報告書)
【資料1-2】ヤード環境対策の制度的措置の検討について
【資料1-3】資源循環ネットワーク形成・拠点構築に向けた調査事業について
【資料2-1】今後のPCB廃棄物等の適正な管理及び処理について
【資料2-2】PCB特措法におけるPCB廃棄物の処理に関する制度的措置の検討について
【参考1】中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度小委員会名簿
【参考2】令和6年度ヤード環境対策検討会報告書
【参考3】今後のPCB廃棄物等の適正な管理及び処理について(報告書)
議事録
午後3時00分 開会
○廃棄物規制課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第4回廃棄物処理制度小委員会を開催いたします。
最初に、進行を務めます環境省の廃棄物規制課長の松田と申します。よろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、ご多忙にもかかわらずご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、こちらの会場とウェブ会議システムのハイブリッド方式により開催させていただいております。
会議の運営についてのお願いでございますが、ご発言いただく際にのみ音声をオンとして、それ以外の時間はミュートとしていただきますようにお願いいたします。また、ビデオは、ご発言の際のみオンにしていただければと思います。
ご発言される際には挙手ボタンでお知らせいただきまして、小委員長からの指名を受けてからのご発言をお願いいたします。また、会場の声が聞こえにくいなど何かございましたら、チャット機能等でお知らせいただければと思います。
会議の模様につきましては、環境省YouTubeでの同時配信により公開をしております。
それでは定足数の確認ですが、本日は、委員総数18名のところ、17名の委員の方にご出席いただき、小委員会として成立しておりますことをご報告させていただきます。
次に、資料の確認ですけども、お手元の資料について議事次第の後ろのほうに、資料1が、資料1-1から1-3まで、その三つのもの。また、資料2については、資料2-1、2-2の二つの資料。また、参考資料が三つございます。資料は、事務局で画面に投影しますけども、必要に応じて、あらかじめお送りしたファイルをご覧いただければと思います。
それでは、以降の進行は大塚委員長にお願いしたいと思います。大塚委員長、よろしくお願いいたします。
○大塚委員長 どうぞ、本日もよろしくお願いいたします。
まず、事務局から本日の議事につきまして、簡単にご説明をお願いいたします。
○廃棄物規制課長 本日は、まず前半部分におきまして資源循環の推進に向けた制度的取組と題して、主にヤード環境対策の制度的措置の検討についてご審議いただければと思います。併せて、資源循環ネットワーク形成・拠点構築に向けた調査事業についても関連するものとして、説明いたします。その後に、議題の二つ目としてPCB廃棄物の処理に関する制度的措置の検討について、事務局から説明をさせていただいて、委員の皆様にご審議いただければと考えております。
○大塚委員長 ありがとうございます。
それでは、まず議題の(1)資源循環の推進に向けた制度的取組について、資料の1-1、1-2及び1-3に基づきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
○廃棄物規制課長補佐(山田) ありがとうございます。
それでは、まず資料1-1について説明いたします。こちらのヤード環境対策検討会の取りまとめの報告ということで、昨年から寺園委員に座長を務めていただき、有識者検討会を開催してきたところです。この3月にこちらの取りまとめが出てまいりましたので、そちらについてまずご紹介いたします。
ページをおめくりいただき、2ページ目です。検討会の概要として、背景の一つ目です。
平成29年に廃掃法が改正されまして、有害使用済機器保管等届出制度が創設されました。この対象は廃棄物ではないものとして、家電リサイクル法、それから小型家電リサイクルの対象の機器、こちらを保管する場合に届出が義務づけられた制度になっています。
一方で、こういった法の施行後も幾つかの金属スクラップ等の不適正な保管が発生しており、③番、一部の自治体におきまして、廃棄物でも有害使用済機器でもないもの、こういったものを再生資源物として保管する条例が幾つか制定されてきているという状況です。
次のページ、3ページ目です。
背景の二つ目として、令和6年、昨年の8月に「第五次循環型社会形成推進基本計画」が閣議決定され、循環経済が国家戦略に位置付けられたというものです。この基本計画の中でも金属資源を中心として、製造業の原料として再生物の供給をしていくことの重要性が指摘されたところです。その中で③番として、こういったヤードに対応し、関係省庁と連携をして、雑品スクラップの管理、不適正輸出の防止、環境対策の強化、必要に応じて制度的措置を講じるというところが指摘をされたというものです。
これらの背景を受け、平成29年の廃掃法改正施行から5年の点検の時期が今年、令和7年ですので、有識者検討会を開催し、その結果を取りまとめたというものです。
下に、主な検討事項というのを4点挙げてございます。
検討会の中では、一つ目として有害性の観点を踏まえた規制のあり方。二つ目として規制対象物品のあり方。三つ目といたしまして有害性の高い物品(廃鉛蓄電池等)の解体を行うための規制。4番目として不適正輸出を防ぐ仕組みについて、整理をいただいたところです。
めくっていただき、4ページ目です。
今有識者検討会においても、ヒアリングをさせていただいています。小委員会第2回目においても、有識者の方、千葉県、それから事業者団体、ほかに三重県等からもヒアリングをさせていただきましたが、その検討会の中でのご意見をご紹介させていただければと思います。
千葉県からは、廃掃法の廃棄物該当性を判断していく中でも、実際の現場でのそういった枠組みから漏れてしまう事情があるといったことですとか、事業者団体からは、現行制度の実効性が期待できないというようなご意見もいただいたところです。
また、三つ目ですが、自治体に実態調査をさせていただき、その結果も取りまとめたというところであり、現行制度に不十分な点があると感じられている自治体の数が都道府県・政令市合わせて129のうち108、8割強に上ったという結果も得ています。具体的には、対象品目の拡大についてもご指摘をいただいたという結果になっています。
次の5ページ目、お願いします。
自治体への実態調査の結果の概要がこちらでして、事業場の数、こういった再生資源物を保管している事業場、この数について自治体にお伺いした結果です。
結果としては3,260ということで、有害使用済機器保管等届出制度の元の届出が612であり、それに比べても大幅に多いという結果が得られたというところです。うち関東地方が一番多く約2,000の事業場がありました。この数については、129のうちまだその事業場を把握していない自治体もありましたので、実数してはここからさらに多いことが予想される数となります。
めくっていただき、6ページ目です。
実態調査の結果の続きです。再生資源物の保管の実態ということで、どういったものが保管をされているかをお伺いしたところ、雑品スクラップ、金属スクラップ、プラスチック等々、多種多様なものが保管されているとご回答いただいたところです。③番として、生活環境保全上の支障、どういったことが発生をしているのか把握している状況をお伺いしたところ、200件以上、211件の支障の発生の報告があり、騒音・振動、飛散・流出、火災といった事例がありました。一番下の④番としまして、その中でも廃鉛蓄電池・廃リチウム電池、この取扱い状況をお伺いしたところ、場外に排水の鉛の基準超過があった事例もありました。また、鉛蓄電池に起因する火災等もあったという結果を得たところです。
次のスライド7ページ目が、その際にいただいた状況の写真です。
めくっていただき、8ページ目です。
こういったことを踏まえ、先ほど紹介した四つの観点に則り、取組の基本的方向性を取りまとめたのがこちらになります。
8ページ目の1ポツのところ、有害性の観点を踏まえた規制のあり方というところで、こちら生活環境保全の観点から、廃鉛蓄電池等の有害性の高いもの、それにとどまらず有害使用済機器や、金属・プラスチック等の雑品スクラップ、そういったものについて実効性を担保できるような制度を検討すべきではないかということをいただいています。
二つ目として、そういったものについても、今、条例では様々な規制の強度で届出制・許可制がありますので、そういった地域的な偏在についても配慮すべきであろうということが二つ目です。
三つ目として、そうした中で規制制度導入に当たり、例えば届出の場合、「計画変更命令付き届出制」を導入するということですとか、流通フローを把握するための帳簿の義務づけ、そうした実効性の観点での制度的措置を検討すべきであろうということをいただいています。
次に、二つ目です。
規制対象物品のあり方です。まず一つ目に記載しているのは、廃棄物に該当するかどうかを最初に総合的に判断をしていただき、ヤードに保管されているものについても、廃棄物に該当するのであれば廃掃法に基づき、厳格に対応するということがまず基本であると考えます。
一方で、その中でも有価物に該当するものということで、今回金属スクラップ等の雑品スクラップについて、保管・分別の過程で環境負荷が生じる可能性ということが報告されていたので、そういったものへの規制が必要ではないかと考えます。その中でも、その対象物品の考え方として、なかなか個別指定は難しいということから、包括的に規制できる仕組みがいいのではないかということをいただいています。
三つ目としても、こちら地域の実情に応じた規制のあり方を配慮すべきということをいただいています。
次の9ページ目、お願します。
3点目、有害性の高い物品(廃鉛蓄電池等)の解体という観点です。
こちらは、ヤードにおいては解体を行わず、選り分けを行うのみにするということが必要ではないかと。生活環境保全上の配慮がなされた事業場でのみ、解体や処分をさせる仕組み、こういったものを検討すべきではないかといただいています。
四つ目として、不適正輸出を防ぐ仕組みということで、廃鉛蓄電池等の有害性の高い物品は国内での解体を優先させ、こうした不適正な輸出を未然防止できるように、廃棄物の輸出に関する手続に準じた実効性のある制度を検討してはどうかといただいています。
これらを通じて、適正なヤード事業者が公平な競争環境のもとで環境保全対策を実施し、健全な資源循環、これを後押ししていただければと取りまとめていただいたものです。
続きまして、資料1-2、ご確認ください。この検討結果も受け、本小委員会の中で制度的な措置としてご検討いただきたい事項を取りまとめています。
まず一つ目が有害性の観点を踏まえた規制のあり方です。
次のスライド3ページ目をご覧ください。
現状と課題として、廃掃法の指導監督は困難な状況にある中で、現在、条例が幾つか制定されており、その多くが許可制を導入しているというのが一つ目の現状と課題に書いています。二つ目のとおり、その一方で、行政コストというところも、自治体ではマンパワーに限りがあるというご意見をいただいています。また、三つ目として、事業者団体からは、罰則が緩い場合に事業者に対する法令遵守・実効性、こういったものを担保できないので罰則の引上げや規制強化というご意見もいただいたという背景があります。
取組の基本的方向性は、先ほどと重複しますので省略し、次のページをおめくりください。
4ページ目の有害性の観点を踏まえた規制のあり方ということで、対象物品としてはこちらの絵にあるように、金属スラップ、雑品スクラップ、有害使用済機器、それから廃鉛蓄電池、廃リチウム電池、このようなものを想定し、検討事項の①対象物品の有害性に応じて、行政の関与が大きい許可制、登録制、届出制という使い分けがあってもよいのではないかというのが一つ目です。
二つ目として、届出制の場合にでも、情報を適時アップデートしていくことで、定期的な届出や、要件を満たさない場合の是正措置という観点から計画変更命令付きの届出、また操業停止命令の制度、こうしたものを構築して実行性を担保してはどうかというのが二つ目です。
三つ目として、許可制、登録制の場合ということで、こちらも更新を義務づけてはどうかというところです。
四つ目として、地域によってのヤードの問題の深刻性が違うため、地域に応じた柔軟な制度も念頭に置いてはどうかというのが四つ目です。
五つ目として、こうしたヤードで解体をした場合に出てきた残渣、廃棄物も発生するかと思いますが、そのようなものについて適正処理の確実性を高めるような仕組み、トレーサビリティの仕組みも必要なのではないかというのがこちらです。また帳簿の記載、それから実効性の担保のための罰則の強化ということも考えてはどうかというのが、1点目です。
5ページ目、参考となっていますが、許可・登録・届出制、それぞれにつき、その制度の性質等について整理をしたものです。
次、おめくりいただき、6ページ目です。規制対象物品のあり方です。
7ページ目、現状と課題を見ていただければと思いますが、実態調査の結果として、全国に3,000か所以上の事業場がある中で、こういったところに多種多様なものが保管をされていると。そこで再生資源物を起因とするような生活環境保全上の支障ということで、年間200件以上の報告があったというところです。
一番下のポツですが、「なお」というところで、ここは有害使用済機器ということで、いわゆる「機器」でありますので、「機器」が解体されたことで発生する部品や原料、こういったものに対しては現状規制がかかっていないと、そういった状況にあるというようなことが課題、現状として整理できると思います。
おめくりいただき、8ページ目です。
これを受けた検討事項として、収集された金属スクラップ、雑品スクラップ、こういったことは集積されることにより環境負荷が生じるおそれがあるのではないかということで、集積物の保管・処分に関する基準を設け、業として行うものを規制対象としてはどうかというのが一つ目です。
二つ目として、そうした集積量が少量であるという場合や、鉱石やリサイクル原料から金属を取り出すという行為をする前段としての集積、こうしたことに対して過度にならないような配慮というのもいるのではないかというのが2点目です。
3番目の、有害性の高い物品の解体のための規制です。
めくって10ページ目をご覧ください。
現状と課題の二つ目に書いていますが、廃棄物に該当しないということで、廃鉛蓄電池が集められて解体処理されている中で、周辺環境に問題が生じているという事案が指摘を受けているというところです。また、その周辺の排水から鉛が出る、廃リチウム電池についても失活の過程で出た排水、こういったものへの環境への影響、そういったものに起因するヤードの火災というような懸念の声もあります。
次のページめくっていただき、3番目の有害性の高い物品の解体という観点の検討事項というところです。
こうした有害性の高い廃鉛蓄電池、廃リチウム電池等の物品は、有害性に着目した形で保管・処分に関する基準を設け、これらを業とするものを規制対象としてはどうかというのが一つ目です。
こうしたヤードは、保管する場所ということで、保管に加えて「選り分け」を行うと。こうしたことに限定してはどうかというのが二つ目です。
三つ目として、生活環境保全上の配慮がなされた事業場においてのみ、「解体」、「製錬」、「中和等」の処分を行う、このようにしてはどうかというのが三つ目の検討事項とお示しをしています。
めくっていただき、4番目不適切輸出を防ぐ仕組みというところです。
現状と課題を見ていただき、不適正ヤードから不適輸出への温床になっている可能性も指摘をされたところでして、鉛原料が違法に輸出されている状況も指摘されました。
現在のバーゼル法・外為法では予備罪や未遂罪がありませんので、そうした違法輸出を未然に防ぐ、実効性のある制度が必要ではないかというご指摘もいただいたところでございます。
めくっていただきまして、14ページ目です。
こちらは検討事項として、こういった鉛蓄電池等の有害性の高いものについては廃棄物と同等に、生活環境保全の支障を未然に防止するために国内処理の原則を適用してはどうかというのが1点目です。
二つ目として、有害性の高い物品の不適正輸出を未然に防止するための措置を講じてはどうかというのが2点目です。こちらは下に参考として、廃掃法の中では廃棄物の輸出に対して未遂・予備罪というものが存在しますが、バーゼル法ではこうした規定がありませんので、実際に輸出が行われるまで罰則等が適用されないという現状にあります。このような未然防止の措置を廃掃法を参考にできないかというのが最後のポイントです。
以上、資料1-1と1-2のご説明であり、続きまして、資料1-3を説明します。
○資源循環ビジネス推進室長補佐(塚原) それでは、資源循環ビジネス推進室より説明いたします。資料1-3をご覧ください。
資源循環ネットワーク形成・拠点構築に向けた調査事業についてご説明いたします。
本調査事業は、第1回の本委員会において頭出しをさせていただきましたが、今回は調査の開始に当たり、事業の概要と進め方についてご説明いたします。
本調査の問題意識としては、2ページ目の左下の図のように、現在再生材の市場が未成熟であるということがあります。こちらの図は概念図ですが、国内資源循環の現状であり、リサイクル可能な資源が焼却や埋立に回ってしまったり、海外に流出したりという状況にあります。また、説明にあったとおり、不適正ヤードを経由した輸出も懸念されており、一方でe‐scrapなどは海外からの輸入も促進しなければならない状況です。本来は、この緑色のフローを製造段階に戻していきたいところですが、様々な競合する流れ、この図の中では灰色の流れになりますが、そういったものに阻害されているとも言える状況かと思います。さらに、リサイクルされた場合でも、質・量両面における課題があり、カスケードリサイクルになる場合も多く、水平リサイクルでまた戻ってくるのは僅かであるとみています。さらには、再生プラや、もしくは油のように再生材が海外に輸出されているケースもあります。本事業の目指す姿としては、需要と供給の創出も進めながら、国内外一体の資源循環を実現し、国内で太い再生材供給のサプライチェーンをつくっていくことにあります。そのためには、このページの背景の2ポツ目にあるように、資源循環産業と製造業をつなぐネットワークの形成やリサイクル拠点の構築を行うことが必要となります。
そのイメージの図は右下のとおりです。これまで培ってきた適正処理・リサイクルの基盤も生かしつつ、リサイクルの規模を大きくしていくということも重要ですし、そのためのロジスティクスも非常に重要と考えています。
本調査の対象とするものですが、循環資源、つまり廃棄物にとどまらず様々な有用なものを想定しています。国内外の動向も踏まえ、循環経済への移行の加速、そして資源安全保障の観点からも緊急性の高いものについて、12のカテゴリーにわたるケーススタディを行うべく準備を進めているところです。12のカテゴリーですが、こちらに掲載していますように、まず循環資源の10品目、廃プラスチックから金属スクラップ類、鉄、アルミ銅、e‐scrapとしていますが、加えて廃食用油そして複合材から成る製品、例えば自動車とかリチウムイオン電池・太陽光パネル・風力発電設備などとしています。さらに、物ではなくてエリアを指定して港湾設備等も活用しながら複合的な循環資源を取りまわして製造業を供給するようなモデルケースを2件、北九州市と室蘭市を想定して行うこととしており、計12カテゴリーとしています。なお、北九州市はエコタウンのアップデート、室蘭市はPCB処理施設の跡地の活用ということを想定しています。港湾施設の活用については、12カテゴリーの多くに関連があると考えており、国土交通省が進めているサーキュラーエコノミーポートの選定や活用についての取組と連携をしてまいります。
次のページ、3ページ目をご覧ください。
本調査事業の進め方についてご説明いたします。今年度行おうとしていますのは、この赤枠の中の部分です。まず、12のカテゴリーごとに時間軸も含めて目指す姿というのを描きつつ、再生材の供給拡大に向けた課題やニーズの洗い出しを行い、解決策を検討するためのケーススタディを行います。机上調査と並行し、関係者や関係施設等へ職員が足を運んでヒアリング等の深掘りの調査を行っていく計画です。また、抽出した課題は相互の因果関係などもあると考えられ、構造的な分析も行いつつ、12のカテゴリーを横並びにし、共通的な課題やカテゴリー特有の課題など分析をしたいと思います。
その上でこちらの赤枠内の右側ですが、政策的な打ち手の検討を行い、制度的・予算的な対応などの政策の検討へつなげていきたいと考えています。
その先の姿としまして右側、それぞれの循環資源に応じて全国に適正なスケールのバリューチェーンを描き、ネットワーク拠点を戦略的に構築し再生材流通量を拡大するとともに、新たな資源循環ビジネスの機会を創出し、サーキュラーエコノミーの移行を加速化していきたいと考えています。
1枚おめくりください。4ページ目ですが、本調査に関しては本ページの中段以降にあるような様々な観点から進めたいと考えています。詳細は割愛しますが、マテフロ分析から始まり、経済、技術、物流、立地・インフラやエネルギー、トレサビなどのデータの活用、そして材料を集めて供給先を確保するといった出口・入り口の議論、関係する法令や環境価値の訴求のための評価方法等としています。
詳細の12カテゴリーの概要は、5ページ目・6ページに掲載しています。詳細は割愛させていただきますが、カテゴリーごとにケーススタディの主な対象エリアというのを整理しています。既に先行的な取組が進んでいる地域を中心に、そこでどういった課題にぶつかっているかということを調査していくという意味合いでして、記載されているエリア以外にも想定するサプライチェーン上には保管や前処理、リサイクルに至るまでの幾つかのハブとなる施設、そしてそれをつなぐ物流ネットワークが必要となりますので、この調査ではサプライチェーン全体を捉えていくつもりです。調査を進める中で、様々な新しい情報を得ることもあると思いますので、ここに掲げているエリアに限らず、他のエリアについても調査範囲を広げていくことも想定しています。
次のページは飛ばし、最後7ページ目をご覧ください。
最後に今後の進め方についてご説明いたします。
本調査事業ですが、既に非公開の検討会を設置しており、この調査の設計・進め方・分析の方法などを右の表に掲げております有識者の方々からご意見をいただいて進めています。座長は東海大学の細田先生にお願いをし、大塚委員にもご参画いただいています。昨年度末に第1回を開催し、この12のカテゴリーの設定について検討しました。今年度は、引き続き2回程度開催し、年度末にはケーススタディを総括した報告書を取りまとめて公表し、その先の検討につなげてまいりたいと考えています。なお、令和7年度の検討会には、右側の表の下に掲載のとおり、産業界からのご参画もお願いしたいと考えており、現在、個々に相談しているところです。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございました。
それでは、ヤード環境対策検討会の座長を務められました寺園委員からも、検討会の検討結果についてご発言をいただきたいと思います。
寺園委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○寺園委員 寺園です。それでは、ヤード環境対策検討会の座長として、先ほど山田補佐からいただいたご説明で十分かと思いますが、3点ほど補足をさせていただきたいと思います。
まず、1点目は有害使用済機器保管等届出制度の導入経緯についてです。
2017年の廃棄物処理法改正のときも、関係する検討会の委員として私も関わっておりました。当時からヤードにおいて、内部に有害物質が含まれ本来の用途で使用を終了した電気電子機器等の不適正な取扱いが行われ、一部は輸出されるという状況でした。これらが雑多なものと混ぜられた金属スクラップ、いわゆる雑品スクラップなどの形で環境保全措置が十分に講じられないまま、破砕や保管されることにより、火災の発生や有害物質の漏出等、生活環境保全上の支障が生じる事例が発生しておりました。
それで、2017年の廃棄物処理法改正により、有害使用済機器届出制度ができたわけですが、2点目としては、そのときに規制対象物品が家電4品目及び小型家電28品目に限定された経緯がありましたのでご説明いたします。
当時は取引の全体像に関する実態把握が一定程度なされているリサイクル法の対象であります家電4品目及び小型家電28品目を規制対象としていました。いわゆる雑品スクラップの定義が困難である以上、こうした機器の指定で行うという考え方はやむを得ないとする意見がありました。
一方で、今のその4+28品目につきましては基本的には家庭由来であるもので、業務用のエアコンなどは除外するとともに、識別が難しいものについては含めるということでありましたが、やや家庭由来ということで限定されることにもなっており、鉛蓄電池が含まれないですとか、あとは当時の検討会の報告書などを見直しても、給湯機器や、UPSですとか、様々な農機具ですとか、いろいろなものがまだちょっと含めにくいので、そこまでは含めないという結果になっていました。当時、有害性や輸出実態を含む使用済機器としての流通実態を踏まえて対象機器を考えていたわけですが、当時の検討会の報告書の中では有害ということと機器ということの両方の用語を狭く捉えないようにすべきであるということで、有害については油の流出やフロンの放出リスク、それから火災リスクなども含めた有害ということを考えるべきであると。また機器についても、機器という言葉がゆえに鉛蓄電池は機器ではなく部品だということで対象から外れてしまったのですが、それで不十分であれば含めるような方向もあり得るというような形で報告書が作られていました。いわゆる当時は隙間をできるだけ解消するということになっていて、将来的な改正の可能性も含めた形で取りまとめていました。したがいまして、今回のような検討に至っているものであります。
三つ目としては、今回のヤード環境対策検討会における取りまとめの経緯として、先ほど説明がありましたように環境省が実態調査をした結果、規制対象外の再生資源物を保管するヤードが3,000を超え、直近1年間で200を超える生活環境保全上の支障が発生していました。2017年の法改正によって、有害使用済機器の届出先が都道府県となって、都道府県が立入検査や報告徴収を行えるようになったので、一旦はそれで対応できるということではありましたが、やはり実際、都道府県の中でもそれで対応が難しいということが出てきました。それで、自治体及び事業者団体のいずれも有害使用済機器保管等届出制度では不十分であるという意見をいただいたのは、先ほどご紹介されたとおりであります。
このような実態調査やヒアリングを踏まえ、先ほどの四つの論点を中心に議論を深めまして、本検討会の報告書を取りまとめた次第です。
以上です。
○大塚委員長 どうもありがとうございました。
それでは、これから質疑応答に移りたいと思います。ご質問、ご発言のご希望ある方は挙手ボタンにてお知らせください。また、本日も多数の委員にご参加いただいておりますので、十分な議論の時間を確保するために、1人当たり約2分でのご発言をお願いしたいと思います。対面でご出席の方は、どうぞ名札を立てていただければと思います。
室石委員、お願いします。
○室石委員 室石です。1点だけ絞ってご意見を述べさせていただきたいと思います。
資料の1-2の4ページ目のところですが、この中の検討事項の④のところ、地域によって異なるということで地域の実情に応じた柔軟な制度をということです。これ自体は賛成なのですが、その結果として恐らく、例えば規制が緩いところに規制が厳しくなっているようなところから流れていくような、つまりその状況は変化していくのではないかと思いますので、この地域の実情に応じた柔軟な制度という言葉では少し足りないのかなと思います。状況の変化があった場合にも、その状況の変化に応じられるというような柔軟なというところをも考えていただければと思いました。
以上です。ありがとうございます。
○大塚委員長 重要な視点をご指摘いただきましてありがとうございます。
大橋委員、お願いします。
○大橋委員 説明ありがとうございます。
質問は二つございまして、一つ目は、同じ資料の4ページの先ほどの室石委員がおっしゃった場所と同じですが、私は逆にこの地域の実情に応じた柔軟な制度的措置というものがどういうふうな手法でできる可能性があるのか。その所見、知見を環境省にご説明いただきたいと思います。
もう一点は、包括的な規制など漠然とした表現がこの検討事項の中に多々含まれています。これを具体的な制度設計をしていく検討をこれから進めるのだと思いますが、この後どのように具体的な制度設計に向けての議論を進めていくという想定でいるのかを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○大塚委員長 我々が考えていくことでもありますが、後で環境省にお答えいただきます。
では、高岡委員、お願いします。
○高岡委員 ありがとうございます。私も同じ資料の11ページ目です。
ここで、三つ目のところで生活環境保全上の配慮がなされた事業場においてのみ、今後この「解体」・「精錬」・「中和」を行うこととしてはどうかと。これはそのとおりで私も賛成なのですが、この生活環境保全上の配慮がなされた事業場というのは、この新しい制度の中で規定されるというような理解でよいのか。あるいは、既に水濁法や大防法等の様々な法律があると思いますが、そういった法律で規定されるものなのか。そこをお聞きしたいと思いお尋ねします。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。
では、奥委員、お願いします。
○奥委員 ありがとうございます。
資料1-1にも、最初のお二方がご指摘された地域の実情や特有の課題に応じて柔軟に対応できる規制のあり方や、規制制度を導入している自治体の取組にも配慮することが望ましいといったことが8枚目のスライドにも出てきています。
私の理解では、これは廃掃法の改正がなされてヤードに対する規制強化がなされたとしても、必要に応じて自治体が条例で上乗せ・横出しができるというところを担保する趣旨であると理解をしています。そうであるとしたら、それは望ましい方向性だろうと考えていますが、既に条例を持っている自治体にとっても、国のほうである意味必要最小限のところ、ナショナルミニマム的なところを法律でカバーしてくれれば、そもそもわざわざ条例で規制制度を導入するということの必要性もなくなりますし、国の一律的な制度の下でそれを適切に執行運用していけばいいということにも移行できますので、最低限のところはしっかりと国の法令レベルで担保し、さらに地域が追加的に規制等が必要だと判断した場合には、それを許容するような、条例制定の範囲を許容するような制度設計が望ましいと思います。
それと質問なのですが、有害性の高い物品という言葉が何度も出てきていますが、これは廃鉛蓄電池と廃リチウムイオン電池、この2品目だけを想定して使われている言葉なのでしょうか。それとも、まだほかにもそれに該当し得るものというのがあり得るのかどうか。最終的には、どのようにそれを定義づけしていくのかというところにつながりますので、確認させていただきたいと思います。
また、その実効性担保をいかにしっかりとしていくかといったときに、許可制や届出制、登録制、三つのパターンが示されましたが、その場合、他の法令の仕組みとのバランスももちろんありますが、より高い実効性が期待できるのは許可制であると私は考えておりまして、その選択肢をより議論できればと思います。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。
最後の点に関しては、特に奥先生とか識先生にはご意見伺いたいところですが、必ずしもこの問題に関してマンパワーが割けない自治体においては、許可制をすることに対してかなり批判もあるので、そこをどうするかも考えないといけないところの一つであるとは思います。ありがとうございます。
それからもう一つ、奥先生が言ってくれた第1点のところも重要なのですが、この問題で結構苦しんでおられる自治体の方は法律でも厳しいことを対応することを望んでいて、自治体で対応できればそれで済むというふうには関心を持っていないところがあるので、その辺の事情も寺園先生とか、環境省のほうから何かお話しいただければ、さらにありがたいと思います。
では、村上委員、お願いします。
○村上委員 どうもありがとうございます。
概ねもう出てきているかなと思いますが、今ちょうど映っている四つ目の地域の実情に応じた云々というのは皆さんおっしゃることに全くもって賛成です。
その下、今の④の話ですね。⑤のところも、最近この手の話をすると、概ねトレサビの話とかというので出てくる話ではあり、それ自体は反対するものでは全くなくむしろ進めていただきたいと思っていますが、様々なところで色々な制度の話をして、それぞれでこの手の話が出てきています。場所によって何か一々違う仕組みをつくると大変なことになるので、その辺はきちんとほかのものと横串を刺していただきたいなと思いました。
あとはほかの委員の方とかぶっていると思いますので以上で結構です。ありがとうございます。
○大塚委員長 ありがとうございます。
では、浅利委員、お願いします。
○浅利委員 ありがとうございます。資料1-3も今コメントしてもよろしいでしょうか。
○大塚委員長 どうぞお願いします。
○浅利委員 まず1点目、少し細かい点なのですけど、2スライド目の左の下の図で、すごく細かくて、もし今後検討していただけるならという意味ですが、海外流出という表現と不適正ヤードからの流出という記載がありますが、おそらくこの不適正ヤードからの流出は本当に環境流出みたいなものをイメージするのかなと思いますが、海外流出は輸出という意味なのかなと思っています。少し流出の意味合いが、特にプラ等で考えるときに違ってくるかもしれないので、単語の選び方を考えてもいいのかなと思ったというのが一つです。
次が有機系の廃棄物も対象にということで、ここでは括弧して「廃食用油等」と書いていますが、実際のケーススタディの対象を見ると、「等」ではなくて「のみ」になっていまして、ほかの生ごみ・食品廃棄物にも拡張する余地があるのかということもお聞きしたいなというのが2点目です。
あと最後3点目で、エリアを指定した複数の循環資源の組合せとあり、基本的にエコタウンが例示されていますが地域循環共生圏その都市と農村であったり、地方との関係性のような観点も大事なのかなと思いまして、その辺りの検討の余地があるのかお聞きしたいと思いました。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。
では、対面のほうの先生方に移りたいと思いますけども。
では織委員、どうぞお願いします。
○織委員 ありがとうございます。非常によくまとまっていると思います。
この問題は、環境負荷ということは環境影響もある一方で、やはり労働災害の部分についても重要な点があると思います。より適切に分別して資源循環に回す一方で、事故を減らしていく、環境影響を減らしていくというための制度的枠組みをつくっていくということですが、今示されているのが有害性の特性に応じた規制の枠組みという整理が必要と、このアプローチ自体は非常によく分かるのですが、実際一体型となりリチウムイオンが入り込んでいる炊飯器で、ゲーム機器なんかも含めて、こうしたものを有害性できちんと分けていくということになってくると、どのように使用されているのかといった製品の情報をどうやってこの廃棄物の管理の中に一緒に考えていくのかという、そうした流れも入れていく必要があると思います。というのもこの20年来、私はNITEで事故の調査の幹事をしているのですが、非常に中国製品の蓄電池による事故が増えてきて、純正品でないのも使用されてきているという実態もあり、どんどん変わってきています。そういったものがこの大きな枠組みの中で、実態に沿った中で、より事故が少ない、あるいは環境影響が少ないものにしていくためには、製造者からの情報が自治体などにもきちんと流れていくシステムをつくっていくことが必要なのではないかということが1点です。
それからもう一点、許可制と届出制の関係なのですが、実質上、届出と言いながらもここで提示されているのは水濁法と同じように、変更命令付や、操業停止命令ということになると、実質上届出を超え、より許可に近づいてくることになります。そうであるとすると、それほど用語として届出であるとか、許可であるということにこだわらず、むしろある程度シンプルなものにしていったほうがいいのではないかという印象も受けています。
以上です。
○大塚委員長 シンプルにするというのは許可制にしたほうがいいということ。
○織委員 そういう感じです。しかし、今おっしゃっていた自治体の負担ということも、そこは考えられると思います。
○大塚委員長 色々な問題を考えなくてはいけないですね。
では、酒井委員、どうぞお願いします。
○酒井委員 ヤードに関してのご指摘、非常に多く出ておりますので、拠点について質問を含めて発言させていただきます。
先ほど浅利委員から、エリア指定的なところで11番、12番、つまり北九州、室蘭のことを念頭に置いて質問されたかと思うのですが、北九州はエコタウンという実績もありますが、両地域ともPCB事業を支えられてきた地域です。そういった意味で、やはりPCB事業を支えた地域に対する感謝の念を全国民的に持たねばならないという意味では、展開上ぜひそういう観点は含めてうまくやっていくようにしていただきたい、これは希望です。
この両地域に対しての質問なのですが、複合型・統合型拠点という整理をされていますが、複合型・統合型ということで主張ができる具体的な核となる事業はどのようなものが見え始めているのかご紹介いただきたいというのが質問です。
2点目がこの資料の4ページ目のところで対象とするカテゴリー、そのための観点ということで多くの観点を提示されています。網羅性はよく考えられた観点になっていると思いますが、最後の環境面の評価方法というところで、脱炭素化などの環境面、脱炭素化が掲げられていますが、ここについて意見を申し上げておきたいと思います。今後必要なこういう構想の中ですと、この循環資源をどう確保するか、それをどういうものにしていくか、こういうところがこういうFS上の非常に重要な観点かと思います。併せて有害物質管理の観点、ここをしっかりビルトインしていくことが大事であると思います。今後、循環型社会形成が有害物質の同じ循環につながることはあってはならないという、こういう観点をぜひ含めていただきたいという意味で、環境的側面が脱炭素化[倫長1] [s2] などという「など」でくくっていていいかというところはもう少し深刻に考えていただきたいという意味で申し上げています。化学物質制御[倫長3] [s4] の観点というのが具体的に入ってくる。それは各地域が何にどう貢献できるのか。どういう事業でもって何をどう制御できるのかというところでいくと、先ほど申し上げた二つの複合型拠点だけでなくて、ほかの例えば高品質の鉄スクラップ製造といったところで、今後相当の効果を発揮していける可能性がデザインできると思います。そういった意味での結果としての分解や制御につながるプロセスあるいはシステムを、このFS上でもよく考えていっていただきたいということで、ここは意見として申し上げておきます。
○大塚委員長 ありがとうございます。
では、勢一委員、お願いします。
○勢一委員 ご説明ありがとうございました。勢一です。
私もあまり重複しないところだけと思いますが、酒井委員から指摘された拠点の戦略的構築のところ、私はまだ十分この事業の想定を理解していないのですが、これは廃棄物とそうでないものを両方扱うという想定なんでしょうかというところを教えていただければと思います。
この点は、今日のテーマになっていて、ヤード規制との関連もそうなのですが、やはり廃棄物でないものが混ざってくるところが大きなポイントになっており、それを実態として受け入れているのが不適正ヤードなのだろうと思っています。ここを適正なものに受入場所をつくってあげるということが、この拠点の戦略的構築の趣旨なのかなと思って伺っていたのですが、そういう趣旨なのかどうかを確認したいです。
もしそうだとすると、結構、法の本質的な課題で、廃掃法の中で廃棄物でないものをどうするのかという問題が出てくることになると思います。私は海外の制度や、ドイツ法なども研究していますが、ドイツの法律は廃棄物と循環資源が一つの法律に入っているので、そういうことがやりやすいのですが、日本の場合はこの法律の壁を超える仕組みをどういうふうに制度として組むのかという課題があるのかなと感じたところですので、その辺りのお考えとかもありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。
地域性を考慮した対応ということで、何人かの委員からも出ていましたが、当然各地域が法律の規制で足りないところはプラスをしていくのは、地方自治の考え方として大前提だと思いますが、今回の廃掃法の議論はこれだけ立法事実が出てきたので、法のレベルで一定範囲はしっかりやりましょうということだと思います。ただし、そのときの制度設計で、既に条例を制定し現場を持っているところが、新しい法律ができたことで、今までの体制で動くことが非常に大きな支障になるようなことがあってはいけないので、そこは立法の段階でしっかり対応をすることが必要だと思います。そういう意味で、この趣旨がどういう含みなのかを今の段階で確認をさせていただきたいと思います。特に、事業場を把握していない自治体が結構あるということでしたので、そうだとすると地域の実態がまだ十分明らかになっていない部分もありますので、制度設計に当たっては十分把握していないところがどういう事情で把握していなくて動いているのかということにも、ぜひ目配せしていただきたいと思います。
一応、許可制・登録制・届出制ということで比較の表を出していただきました。見た目として、確かに届出制のほうが、基本的に行為が一般的な禁止をされているものではないので、マイルドな手法にはなります。そういう意味で、公害規制のときには届出制が取られたということだと思いますが、計画変更命令がついているので、実態としてはそこで規律はできるというスキームです。ですが、基本的な考え方として、この対象行為が基本的には自由にできるというところをまずは想定されているので、そのような想定でいいのかどうか。登録制も基本的にはそれに近い発想です。
それに対して許可制は、そういう意味で非常に強い規律になっていまして、一般的な禁止行為の例外的な解除と書いてありますが、こうした性質のものとしてヤード規制を位置づけるのかどうか。それは法の本質的な考え方の違いだと思います。環境法の中では廃掃法は数少ない許可制を持っている強い法律なので、許可制を追加することは法律の立てつけとしては苦しくないのではないかと思いました。
登録制・届出制についても、結局本当に登録をされた届出をされた内容で事業がされているのかというところをフォローアップするのはマンパワーがかかりますので、これは現場の負担感はどこまで変わってくるのか、執行トータルとして考える必要があると思います。
以上です。
○大塚委員長 勢一委員、マンパワーの点ではどれがいいということになりますかね。
○勢一委員 どれも相応にマンパワーがかかるので、必ずしも事前の登録とか届出のほうが少し軽いからそっちのほうが負担感が少ないかというと、そうでもないのではないかというのが私の考え方なので、トータルとしてどうかというところなのかなと思いました。許可制を入れるなら入れても構わないかなとは思います。ただし、環境省のこれまでの立場からするとどうなのかなというところまでは私は分かりませんが、ということです。
○大塚委員長 はいどうも。
ヤードの数が少ない都道府県が届出制のほうがいいと思っている可能性がありますが、そこも含めてどう考えるかということがございます。
三井委員どうぞ。お願いします。
○三井委員 ありがとうございます。
まず、全てのヤードを私は否定するつもりはないのですが、私は容器包装のリサイクル事業をやっておりまして、プラントがあり、それに付随して前処理をしたり、製品のヤードであったり、残渣のヤードであったりということをやっている立場から言いますと、今議論されているヤードは、私からするととてもヤードとは思えないというのは前提で話をいたします。
この書かれているとおり、規制を強化するというのは大賛成です。これは環境の保全という論点と国内で資源を循環させるという論点から言っても、この規制を強化するということは非常に大事だと思っていまして、まず対象品目を拡大する、あるいは許可制にするということで対象品目を増やしたり、許可制にすることによって、県や市町村の方が判断しやすくなるということが大事なのだろうと思っています。その中で、県とか市町村の負担、マンパワーや県の条例との整合性と、こういう議論が何個か書かれていましたけれども、これは何に重きを置くかということを議論していただければおのずと答えは出てくるのではないかと思います。
併せて、規制ばかりではなく、やはり資源循環ネットワーク形成と拠点構築というのが非常に大事なことになってくるんだろうと。これは循環系であり、国内の資源循環にとっては非常に重要なポイントになると私は思います。その中で大事なことは、やはり市場原理のみでこれをやろうとすると無理がかかるということも事実ではないかと、これをどう解決していくかということも大事だと思います。
最後に、小さい話になりますが、小型家電というのがあって、リサイクル法が25年にできて12年経つ中で、小型家電リサイクル協会が約65万トン年間で出ており、そのうち24万トンが鉄、アルミ、銅、貴金属、レアメタルであり、金額に直すと約844億円になると最初提示されていましたが、環境省のデータを見ると、約10万トンしか集まっておらず、6分の1しか集まっていない。ということは、あとの700億円はどこに行っているのだろうという。小さい話をすればこういうものも本当はちゃんと国内で回収できるはずですが、何かが弊害になっていて回収できていないということを回収できるようにするということも、そういう取組を強化するということも一つ大事であると思います。
以上です。
○大塚委員長 はい。高野委員、どうぞお願いします。
○高野委員 産業界より二つ要望をお伝えしたいと思います。
まず、ヤード環境対策に関しては、制度的措置を講じるということが非常に重要だと認識しております。そのうえで、十分ご認識いただいていると思いますが、改めて、国内での循環経済ビジネスの促進につなげる視点を重視していただきたいというのが1点目の要望となります。
2点目は、資源循環ネットワーク形成についてです。その取組の成果には大変期待しているところですが、それぞれの拠点が地域における資源循環のハブとなり、循環経済ビジネスの振興を通じて地域住民のウェルビーイングにもつながることを十分意識していただくことが重要なのではないかと思います。
よろしくお願いします。
○大塚委員長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
では、環境省にご回答いただいてよろしいでしょうか。お願いします。
○廃棄物規制課長 それでは、事務局のほうからお答えいたします。
先ほどからお話のあったところで、条例の関係でどうなんだという話が奥先生や勢一先生や大塚委員長のほうからもお話があり、また室石委員からもお話がありました。
我々とすれば、これまで寺園委員からもお話がありましたが、やはり立法事実としてかなり今の規制では物足りないというのは明らかですから、雑品、スクラップのようなものが集積されたもので色々な問題が起きており、環境対策を講じるための必要な規制は法律の中ででき得るのではないかと我々としては考えています。廃棄物処理法の中で有害使用済機器という制度があり、廃棄物以外のものについても規制をするということができるという中で、今回、廃棄物処理法の規制の範疇を広げられるかどうかというところを追及していきたいと思っています。その上で、もう既に勢一委員からもお話がありましたが、今回の小委員会でヒアリングに出ていただいた千葉県が特に代表なのですが、千葉県は全国の中でも一番ヤードが非常に数多く集積されているところで、千葉県の実情を踏まえた形での厳しい許可制度を導入していると。これは既に制度として動き始めていますので、我々がつくるナショナルミニマムの規制がまさに千葉県さんが行っている取組の障害になってはいけないということもあり、その上で、奥委員からお話のあった上乗せ横出し的な条例が共用できるような仕組みというのも、我々としてはやはり追及せざるを得ないというところが一つあるのだろうと思います。
一方で、やはりアンケートを行っても温度差が相当あり、条例をつくっている特に関東圏の自治体とそれ以外の自治体では、実態把握もできていないところも非常にあります。あまり許可も登録も届出もそれほど変わらないのではないかという先生方のご意見は受け止めるにしても、いろいろな自治体のお考えというのも我々は念頭に置かなければいけません。今既存の国内の事業者さんのお考えもしっかり考えた上で、どういった手続の仕組みがいいかという点について、この小委員会でも引き続き議論していただきたいというところが一つございます。
また、勢一委員のほうからお話がありましたが、拠点の12のエリアについて、よくないヤードは資料1-2に示した形で規制強化をしていくが、いいヤードはできるだけ整備をしていくという部分について、考え方は分かるのだが、同じ仕組みの中で考えることが、今の廃棄物処理法の枠組みの中ででき得るかというところのお話であったと思います。我々とすれば、この廃棄物処理法の中で規制を進めるものについては、まさに資料1-2に示すヤード規制に関する部分と思っていまして、拠点の部分は、まずFS調査を実施し、12のエリアでどのような拠点整備をしていくか、加えてその際にはどういう支援措置、それは予算的なものもあれば、制度的な支援というのもあるだろうということで、今後しっかり詰めていこうと思っています。
まずは今我々として、この小委員会の第1回のときに、主な論点として拠点整備についても挙げましたが、ここはじっくり今日お話しさせていただいた別の委員会でも議論していければと思っていますので、今の時点で、少し規制する部分と支援する枠組みというのは少し違うものだということでお話しさせていただければと思います。
酒井委員から、12の拠点についてPCB処理設備を受け入れていただいた自治体へのその点についての配慮について、その点も当然のことながら我々はしっかり受け止めていかなければならないと思っています。北九州に関して言えば、今もう過去に整備されたエコタウン事業がありますから、様々な産業が、資源循環産業が集積していますので、そういったものをアップデートしていく中で、新しいつながりができ得ればということで、複合的な事業だと考えています。室蘭に関して言うと、これは北九州と実情が違い、製鉄の町ですから、これまでは日本製鋼と日本製鉄で成り立ってきた町なんですけれども、そういった今の鉄の生産事業とも連携しつつ、プラスチックなどの既存の、最近の課題になっている素材というものも組み合わせた事業が今後でき得るかどうかという点について、今、室蘭で経済連携会議も立ち上げていますので、そうした枠組みを活用しながら中身を詰めていければと思います。
○廃棄物規制課長補佐(山田) 続きまして、それ以外にご質問いただいた点についてお答えさせていただきます。
大橋委員からいただいた対象の物品の2ポツのあり方についてですが、こちらについては、現状で家電、小型家電のリサイクル法に定める物品になっている、機器になっているというところが、今制度上なかなか執行面で困難を伴っているのではないかという観点から、物品という形で、機器を個別に指定するというわけではなく、素材やその材料に着目した形で包括的な規制の対象にできないかと、そういう趣旨で今考えています。
その辺りの法律上の規定ぶりは、我々もこれから勉強してきちんと整備していかないといけないと思っていますが、今問題となっているものがきちんと含まれるような形の規定ぶりを、よく検討していきたいと思います。
同じく物品の考え方として、奥委員から、有害性の高い物品して、鉛、蓄電池、リチウム電池以外に何か考えているかというご質問をいただきました。現状は、全体として先ほど申し上げたような包括的な形で対象にした上で、その中でも優先度が高いものとして、今現状念頭に置いているのはこの2品目ということになりますが、もちろん、引き続き我々も現状把握に努めてまいりますので、必要があればそこに追加をしていくということもあり得ると思います。
高岡委員から頂いた、資料1-2の11ページの生活環境保全上の配慮がなされた事業場というところです。こちらは、今回新しくそういう事業場を特定するということも対応としてはあり得ると思っています。
一方で、例えば11ページに書いているような中和等を行う施設、これは廃棄物処理施設になると思いますので、既存の廃掃法で既にそういった許可を必要とするようなところに持って行くということであれば、きちんとそこに物が持ち込まれるような形での規定ぶりということも考えています。
一方で、この解体、精錬などをどこまで今回の制度で措置していくのかと、例えば、精錬まで入れるのか、解体にとどめるのか、そういった選択肢もあるのかなと思っていますから、より今後詳細に詰めていきたいと思います。
村上委員からいただいたトレーサビリティについてです。ご指摘のとおり、色々な制度が出てしまうと、こちらも大変困るというか、使う側のほうにすると不便を感じるというところもあろうかと思います。ここは、残渣ということで廃棄物を念頭に置いており、現状トレサビのシステムとしてマニフェスト制度がありますので、そうしたところにきちんとヤードから排出されるものについてもフォローされるようにすることは最低限必要なことだと思います。
続きまして、織委員からいただいたリチウム電池、それからNITEの制度情報で事故情報等をよく把握されているというご指摘をいただきました。ご指摘いただいたとおり、今こういったところも今後よく研究をし、当然中身の基準を決めていく際にもこういった情報がないとなかなか基準を決めていけないと思いますので、勉強して対応していきたいと思います。
三井委員のほうからいただきましたが、小型家電の回収については、こういったところも今後小型家電リサイクル法の検討と併せて、我々でも検討していきたいと思います。
高野委員からいただいた、ヤードのほうがビジネス促進につながる視点というところです。今現状も当然不適正なヤードだけじゃなくて、適正に営まれているヤードがあり、そこが資源循環の一役を担っていると我々も認識していますので、きちんと資源循環全体として、それがうまく機能していくように目配せしながら進めていきたいと思います。
すみません。ヤード関係は以上でございます。
○資源循環ビジネス推進室長補佐(塚原) 資料1-3の拠点・ネットワーク調査に関してお答えいたします。
今、松田課長からもありましたが、本調査はケーススタディを通じた課題の洗い出しをこれから進めてまいります。
まずは、浅利委員からご指摘いただいた2ページ目の左下の図ですが、ご指摘いただいたのが不適正ヤードからの流出の「流出」はどういう意味かというところ。こちらの記載はあくまで輸出を意図しておりました。環境流出という問題はもちろんありますが、紛らわしいと思いますので、表現ぶりを検討したいと思います。
それから、有機系の廃棄物につきましては「廃食用油等」と4ページ目に書いていますが、検討段階では「等」ということで考えていたのですが、ご指摘のとおり、12カテゴリーには廃食油からのSAFしか書いてございませんので、そちら、「等」というのは間違いでございます。大変失礼いたしました。廃食用油に対して、今年度は行ってまいりたいと考えています。
それから、二つのエリアに関してもご質問をいただき、一部を松田課長から回答済みですが、6ページ目の図、表の下のほうにあるような循環資源を現在想定しているところです。北九州市につきましては様々なものを扱っておりますが、特に今お話を聞いているのは、リチウムイオンバッテリー、プラスチックや太陽光パネル等を検討していると。これらのところはリサイクラーと製造業が近いとか、港が使えるとか、動静脈連携の一つのモデルとして横展開も含めて検討をしていけるのではないかと思いますので、この二つの事例をまずは深堀りしながら考えてまいりたいと思っています。
また、地域創生のような目線や、高野委員からもウェルビーイングの視点等についてご指摘いただきました。環境基本計画においてもウェルビーイングについて触れられておりますが、そういった様々な重要な視点も含めて、考えながら検討してまいりたいと思っております。
それから、酒井委員からご指摘いただいた調査の観点につきまして、4ページ目の一番下ですが、環境面の評価について、脱炭素化以外にもありますよというご指摘ありがとうございます。おっしゃるとおりでございます。ここの脱炭酸化と書いてあるところですが、再生材の議論をするに当たって、やはりScope3が重要だと考えており、そうした意味でも評価がしっかりされるべきだというのが、まずこの資料上での意図です。また、加えて、有害物質とリサイクルとの関係も国際的にも議論が始まろうとしているところですし、十分留意してまいりたいと思います。その他、GCPでの国際指標の議論もありますので、こうした脱炭素化以外の指標、様々なものも視野に入れながら、しっかり研究、勉強してまいりたいと思います。
また、勢一委員からの指摘で、今松田課長からもお答えいただきましたが、本調査の対象として、循環資源と、廃棄物等の重要なものというものを想定しています。金属など廃棄物として流通していないものでも、我々環境省としてはリサイクルを促進していく場面において技術開発など支援等を行ってきているところです。ただ、金属製錬や素材産業など様々な製造分野が関わってまいりますので、経済産業省との連携を密にしているところです。
私からは以上です。
○大塚委員長 どうも、ご回答ありがとうございました。
では、いただいた意見につきましては、今後の小委員会における検討に当たってご参考とさせていただきます。ありがとうございます。
では、次に、議題の(2)に移ります。
PCB廃棄物の処理に関する制度的措置の検討につきまして、資料の3及び4に基づきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
○廃棄物規制課長補佐(切川) ありがとうございます。
それでは、資料2-1のご説明いたします。
今後のPCB廃棄物の適正な管理及び処理についてということで、副題で記載していますが、JESCO事業終了後の高濃度PCBの対応と、特に使用中の低濃度PCBの対応を中心にご議論いただいてまとめていただいています。
参考資料のところに委員名簿がありますが、酒井委員、織委員、オンラインで参加の高岡委員、経団連にも委員に入っていただき、特に制度の観点から報告書を取りまとめていただいており、その内容をご説明いたします。
まず、スライドの1枚目をご覧いただければと思います。
PCBの概要を記載しています。PCBは五十数年前に製造中止になり、その後処理をしようということで立地を試みたのですが、処理に至らず、長期間保管されることとなったというのが歴史的な背景となってございます。
その次のスライドの2枚目をご覧ください。
PCBに関しては、世界的にも規制がされているというものであり、ストックホルム条約の中で、参考の3ポツの中に記載していますが、50ppmを超えるものに関しては規制されており、令和7年までで使用の廃絶、令和10年までに適正な管理、そして適正な処理が求められています。
その次の3枚目をご覧ください。
日本国内では、このPCBに関しては高濃度と低濃度に分け、真ん中に5,000ppmと書いていますが、これを一つの線引きとし、濃度が高いものに関してはJESCO事業で、国策事業で処理しており、濃度が低いものに関しては都道府県、政令市の許可施設もしくは環境大臣の認定施設で処理されています。
次のスライドの4枚目をご覧ください。
2001年にPCB特措法ができまして、その後、5自治体のご理解・ご協力の下で処理が開始されました。平成28年にPCB特措法を一度改正し、そのときに処分期間を超えた使用中の高濃度にはみなし処理の規定や、代執行の規定が入りました。今年度末、令和8年の3月にはJESCO事業が終了し、再来年度、令和9年の3月末が低濃度PCBの処理期限となっているところです。
その次のスライドの5枚目をご覧ください。
これがJESCO事業での考え方になっており、全国を5つの事業エリアに分け、それぞれに処分期間を設定して、期限内の処理を求めていくことで処理を促進してきました。
次のスライドの6枚目をご覧ください。
参考で、現在での処理の進捗状況を示しています。PCB特措法で届けられ、JESCOに登録されているものに関してはほぼ処理が終わっている状況になります。
その次の7枚目をご覧ください。
PCBの今後の対応の方針です。上のほうに書いていますが、これまで大量に保管されていたものを国策事業で処理するというところに関しては概ね進んでいまして、今後、少量ずつ散発的に覚知される段階に変わっていくというところで、新たな処理体制の確保が課題となっています。それに対応しまして、主要な検討事項として、ア)ですけれども、新たな処理体制の構築の検討をしていくというところと、イ)で、先ほどのヤードのほうで議論がありましたが、一定の期限内での無害化処理を義務づけていくことを主な検討事項としています。
その次のスライド8ページ目が検討会の報告ということで、まとめていただいた方針となります。ア)ですが、今後の処理体制としましては、既に運用実績にもある既存の無害化処理認定施設、こちらでの処理を念頭に置き、既存の焼却炉や溶融炉によって付加する形での前処理工程の検討を進めてはどうかとされています。この前処理工程について、具体的には次に書いていまして、変圧器やコンデンサー等の絶縁油が多く入っている機器に関して、小型のものが中心となるので、それを抜油、解体して、実証試験やリスク等評価を踏まえ、安全かつ効率的に無害化処理ができるような方法を考えていきます。4つ目の丸のところですけれども、そういった確立された技術をガイドラインを取りまとめ、それに基づいた認定制度を考えてはどうかという整理をいただいています。
その次のスライドが、現在検討を進めている実証試験等のスケジュール感です。
その次のスライドの10枚目をご覧いただければと思います。
制度の見直しの観点ですが、先ほどのア)無害化認定の制度に向けてというところで、前処理技術が実証試験の評価により確立されると判断できたとなれば、廃棄処理法に基づく環境大臣の無害化認定制度、こちらを改正し、安全に処理ができる仕組みをまずは構築できればという方針をまとめていただいています。
さらに、イ)ですが、PCB廃棄物の処理を速やかに、早期処理を求めていくというところが重要な観点になりますので、今後も覚知後一定期間内に安全かつ確実に処理することを義務づけていくことと、届出制度により管理していくことを整理いただいています。
先ほどの、ヤードでも議論になりましたが、自治体の負担を低減していくことも重要になりますので、イ)の2つ目の丸に書いていますが、自治体によるJESCO事業での処理計画の策定や数量管理、それに伴う行政指導といった、負荷が大きい事務に関しては、併せて見直しも検討したらどうかということでまとめていただいています。こちらが高濃度の方向性になります。
続いて、スライドの11枚目をご覧ください。
ここから低濃度です。低濃度に関しては、低濃度PCB廃棄物を令和9年3月までの処理期限に向け、ここには処理実績を書いていますが、累積で10万台以上の電気機器等の処理が進んでいる状況ですが、下に米印で書いていますけれども、電気事業法で管理されている電気工作物や、橋梁等の塗膜を中心にいまだ使用中のものがあるということで、この期限後の対応を考えていかないといけない状況です。
参考に、スライドの12枚目に現在の処理体制をお示ししています。先月3月に先ほど酒井委員からご指摘がありましたJFE条鋼、電気炉を使った無害化処理施設も認定を新たに実施し、現在認定施設が24か所、許可施設が2か所、洗浄施設が7か所といった体制になっています。
その次の13ページ目をご覧ください。
今後の方向性というところで、低濃度PCBの使用機器に関して、まず廃棄物に関してはこれまでどおり令和9年3月までの処分期間に向けて、適切に処理いただくことになりますが、低濃度PCBを含む使用製品に関して現時点では規制がありません。適正処理の確保が課題となっておりまして、その主な検討事項としまして、その下に書いていますが、低濃度PCBの使用製品に対する届出を義務づけたらどうかというところで、高濃度に関しては処分期間を超えた場合に廃棄物とみなす規定が設けられていますが、低濃度にはその規定がありません。低濃度に関してどうするかという議論で、使用中の製品に関して、紛失したり、PCBが漏えいしたりしないような管理基準の設定といった仕組みを導入したらどうか、また、使用中の低濃度のPCB機器に関し、使用を止めて廃棄するときには一定期間の処理を義務づけてはどうか、さらに自治体の事務の効率化に関しても検討したらどうかという整理をいただいております。次のスライドの14ページ目をご覧ください。
具体の制度の見直しに向けた検討の方針として、ア)が電気機器を中心とした製品、イ)が建築物と設備に塗られている塗膜で整理をしております。ア)ですが、ストックホルム条約での環境上適正な管理及び処分を確実に実施しいていくというところが重要になりますので、この使用中の機器に関して所有者に対して製品を届け出ていただいて、管理を強化し廃止後の廃棄までのトレーサビリティの確保のためのPCB特措法の見直しをするために、二つ矢羽根を書いています。
一つ目の矢羽根ですが、使用中の低濃度PCB含有製品及び同疑い製品に関する届出を義務化と、基準の設定、基準を遵守する仕組みの導入。二つ目の矢羽根ですが、一定の期間内、原則3年以内と記載しておりますが、その確実な処理を義務づけるとともに、処理後の自治体への報告も義務化できないかということを整理してございます。
また、2つ目の丸と書いてございますが、処理責任者が不存在の場合の対応に関しても検討したらどうかということを記載しています。
イ)は塗膜になります。こちらに関しては建物だとか設備の管理者に塗膜の管理計画・処理計画の提出を求めていくことで、ア)の製品と同じような対応ができないかということを整理しています。
最後15ページ目は、参考として、廃棄物処理法とPCB特措法との関係性を整理していますが、資料2のほうの最初にありますので、そちらでご説明いたします。
○廃棄物規制課長補佐(山田) 続きまして、資料2-2をご覧ください。
先ほど報告のあった有識者検討会を受け、環境省としてこうしてはどうかということで、整理をしたものとなります。
めくっていただきまして、2ページ目です。
今後のPCB特措法に関する制度検討の方向性についてというところです。廃棄処理法とPCB特措法の関係をお示ししており、廃棄物処理法の中でPCB廃棄物を含む廃棄物の処理、業の許可、施設設置の許可、処理基準、こうしたものを決めています。PCB特措法の中で処理期限等を決め、それから処理責任等を決め、これまで処理をしてきたところですが、今後処理期限を踏まえ、またJESCOでの処理が終了することを踏まえて、所要の改正を行ってはどうかというところです。
次のページ、3ページ目です。
最初に、高濃度PCB廃棄物に関してこちらの検討です。課題のところに書いています。PCB特措法に基づき届けられている高濃度PCB廃棄物の処理、こちらについては、今年度末で完了できる見込みとなっています。今後は建物等の解体に伴い、新たに少量ずつ散発的に発見されるといった事態が想定されています。
めくっていただきまして、4ページ目です。
これらを受け、高濃度PCB廃棄物に関して、以下の内容を検討してはどうかというところです。
まず一つ目、届出制ということで、新たに発見されました高濃度PCB廃棄物につきましても、保管や処分の状況を都道府県に届けていただくことで、自治体による監督の対象としてはどうかというのが一つ目です。
二つ目として、一定期間内の処理義務ということで、現行の処理期限、こちらを廃止するのですが、保管事業者等は高濃度PCB廃棄物に該当すると知った日から一定期間内に処分をいただくという形で義務づけてはどうかと考えています。下に米印が書いていますが、高濃度PCB使用製品は引き続き従来どおり廃棄物とみなすという形で取り扱ってはどうかと考えています。
三つ目、処理体制の確保です。前処理技術の実証試験と、こちらの結果を踏まえる必要があると思いますが、廃棄物処理法に基づく無害化認定制度の対象として、高濃度PCB廃棄物を追加し、必要な前処理技術の基準も追加してはどうかというのが3点目です。
次、めくっていただきまして、5ページ目をご覧ください。
低濃度PCB廃棄物に関する規制です。先ほどもご紹介したとおり、課題としては、現行のPCB特措法に基づき、令和9年3月末までの処分が義務づけられているところです。課題としては、低濃度PCBを含む使用製品には規制がないという現状ですので、それに対応するということで、めくっていただき6ページ目です。
検討事項として、届出制で低濃度PCBの使用製品等の所有事業者に対して、その管理状況等について届出を義務づけてはどうかというのが一つ目です。低濃度PCB使用製品等という形で「等」をつけているのは、その疑い製品も含むという形で整理してはどうかと考えています。
二つ目として、管理基準の適用ということで、こうした低濃度PCB使用製品等を所有している方について、管理のための基準を設けてそれを遵守いただくこととしてはどうかというのが二つ目です。
三つ目として、一定期間内の処理義務ということで、この使用製品を使わないと、もう廃棄をするという段には、届出をしていただいた上で、一定期間内に処分いただくということを義務づけてはどうかというのが3点目です。
7ページ目をお願いいたします。
低濃度PCBを含有する塗膜は下の写真のとおり、橋梁や、またタンク、こうしたところにさび止めとして使われているという現状です。こうしたインフラ等の設備に使われているということで、すぐに撤去するというのは難しい状況にあります。
一方で、これを計画的に処理していただくことも大変重要ですので、下の検討事項のところをご覧いただき、こうした設備等を所有する方に、低濃度PCB含有塗膜等の管理計画の策定を義務づけたらどうかと考えています。この計画に基づき、施設のインフラの更新等のタイミングで適切に処理を進めていただきたいと思います。
続きまして、8ページ目をご覧ください。
自治体の事務負担軽減です。これまで、高濃度PCB廃棄物が大量にあり、それを期限内に計画的に処理をしていかないといけない状況から、今後散発的に少量ずつ発生するという段階に移りますので、そのタイミングで、行政による事務内容についても見直しをしたいと思います。
検討事項をご覧ください。
まず一つ目といたしまして、今政府でPCB廃棄物処理基本計画というものを定めていますが、こちら計画の制度を見直し、今後の処理方針を定めるという形にできればというのが一つ目です。
二つ目といたしまして、この基本計画に沿い、都道府県等でPCB廃棄物処理計画を策定いただいています。また、PCB廃棄物の保管・処分の状況を公表いただいていますが、先ほどのような状況の変化を含め、こうした制度を廃止してはどうかというのが二つ目です。
また、その他といたしまして、JESCOによるPCB処理事業、これが処理完了となり、今後は施設解体が主な業務になっていきますので、JESCO法の関係規定の見直しも検討してはどうかというのが一つ目。
二つ目が、処理責任者が不在の低濃度PCB廃棄物につきまして、これが発見された場合に備え、行政代執行の規定も検討したらどうかというのが二つ目です。
資料の説明は以上でございます。
○大塚委員長 どうもありがとうございます。
それでは、PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会の委員を務められました高岡委員からも、検討会の検討結果についてご発言をいただきたいと思います。
高岡委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○高岡委員 ありがとうございます。
ただいま環境省のほうからご説明があったとおりですが、私からも少しお話をさせていただきたいと思います。
この制度小委員会においても、第1回の会議で事務局から検討状況の説明、第2回の会議で経団連と兵庫県から現状と課題の説明等がありました。現在、このPCBは、先ほどご紹介がありましたように、早稲田大学の永田先生が座長で、PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会で議論をしております。この委員会におきましては、福岡大学の浅野先生、それから本委員会の委員を務められております酒井先生、織先生も委員をされています。また、私もその委員をしており、さらに座長として低濃度PCBに関する検討会を取りまとめています。
先ほどご紹介ありましたように、高濃度PCB廃棄物は平成28年度のPCB特措法の改正で、使用中の機器も処分期間後には廃棄物とみなす規定を置くなど、処理が推進し、もう今は最終段階に来ています。ただ、このJESCO事業が終了しますので、その後、少量かつ散発的に出てくるPCB廃棄物、高濃度PCB廃棄物がどうしても存在するということになります。その処理体制の検討、それから覚知されたものの処理期限について検討して取りまとめたところです。
また、低濃度PCBについて、こちらは使用中の機器にまだ使われているもの、それからそれが疑われるものもあります。ただ、これは使用中ということですので、令和9年3月までの処理期限には廃止されないという課題もあり、永田先生の下で業界や行政の意見を聞きながら議論を重ね、制度検討の報告書が取りまとめられました。
このPCBの廃絶に向けて、今後も安全かつ適正に処理するために、これまでの思想を踏まえた制度的な手当てが必要と考えています。例えば、低濃度PCBについても、ストックホルム条約の規定を踏まえ、高濃度PCBと同じように使用中の機器や疑い物の管理体制を強化し、廃棄物となった後は、原則3年以内に処理を義務づけるなど、制度的な手当てが必要だと考えております。この委員会でよろしくご審議のほどお願いしたいと思っています。
以上になります。
○大塚委員長 どうもありがとうございました。
それでは、これから質疑応答に移ります。
ご質問、ご発言をご希望の方は、挙手ボタンまたは名札を立てていただければと思います。
なお、十分な議論の時間を確保するために、今回も1人当たり約2分でご発言をお願いいたします。
では、斉藤委員、お願いします。
○斉藤委員 ご指名ありがとうございます。斉藤です。
細かいところで1点お伺いしたいのが、資料の2-2の7ページで、低濃度の話を少しお伺いのですが、インフラ等、PCB含有塗膜等の話をされていたかと思います。
こちらについては今すぐどうこうできるわけではないので、補修・更新の際ということだと思うのですが、現状でどのぐらいあるのかという数値的なものを把握されているのかなというところが気になりました。今後、前回のアスベストの話もそうだと思いますが、建築物等に使われている有害なものについて、いずれ何らかの形で処理しなくてはいけませんが、どのぐらい把握できているのかということがとても重要かだと思っています。建築物等のものの場合には動かせませんので、それがどこにあるのかを正しく管理できるのかという気がしますが、仮にこれが低濃度のもので動かせるものについてもどのぐらい把握できるのかということが重要です。どこにあるかが分からないと結局その後、トレースもできないような状態になってしまいますのでもちろん今まで様々な形で把握をされているのだとは思いますが、現段階でどの程度それが把握できていて、どこが把握できていないのかという点について教えていただければと思います。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。
では、高野委員、お願いします。
○高野委員 それでは、経団連として発言いたします。
検討委員会の取りまとめ結果及び本日示された制度措置の検討について、賛同したいと思います。産業界はこれまでも国や自治体との協力のもと、高濃度および低濃度PCBの無害化処理に着実に取り組んできました。低濃度PCB廃棄物については処理期限までに処理を完了する計画であるとともに、使用中の低濃度PCB使用製品および疑い製品の調査・分析と処理について鋭意検討を進めております。
また、届出制度の導入についてのご説明がありましたが、そのとおりであると考えます。処理期限以降に低濃度PCB廃棄物として発生しうる使用中の低濃度PCB使用製品及び疑い製品に関する制度見直しにおいては、中小企業等を含めて裾野が広い問題でありますので、社会全体での適切な管理・処理を進めていくための届出制度を導入し、合理的で実効性のある制度とすることが重要と考えます。
産業界としては、引き続き、環境上のリスクを極力低減する措置を徹底する所存でございます。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。
対面の先生方、まとめてお願いしようと思います。勢一委員、お願いします。
○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。
私も、先ほど斉藤委員が指摘したところ、同じように気になっています。どのくらいのボリュームが想定されているのかというところです。当然、それにより自治体への届出制というご提案をいただいていますが、どのくらいの事務が発生するのかというところに関わるのだろうと思います。
また、届出制が採られた場合、自治体は情報を把握できますが、把握した後どうするのかというところもあると思います。どのくらいのスパンでその機器が使用されるのか、製品が使用されるのかによって、それをずっと監視を続けていくのかということと、その辺りの制度設計を時間的スパンと併せてどうするのかというところ、また、移動する可能性がある場合に、県境を越えていく可能性があり、知事への届出制で機能するのかどうかは気になるところです。デジタル化の時代ですから、環境省でデータベースなどをつくり、そこで把握していただくというのも一つの方法だと思いました。以上です。
○大塚委員長 では、酒井委員、お願いします。
○酒井委員 ありがとうございます。
今回、資料2-2で、制度的措置への検討までしっかり踏み込んだ提案にしてくれていることで非常にうれしく思います。加えて、先ほど高野委員から産業界としても基本的に賛同する、特に届出制のところに関しての賛同の意見も得られましたので、この後うまく進んでくれるということを期待しております。
その中でですが、一つ、自治体の負担軽減を最後のページでしっかりと触れられていることも、これまでの業務の軽減化というところを図るということで、よい方向だと思います。その中で一つ、低濃度製品への届出制を置くということですが、逆にどの程度の事務量が発生して、それへの対応がどういう見通しなのかということについて、今分かっていること、今後調べていくことを、ご説明いただければと思います。
もう一つは、この使用中製品対応ということがこれまでのPCB処理の中でも非常に悩ましい点であったということは事実であり、今日は具体的に説明はありませんでしたが、やはり電気事業法との関係、既存政策との関係の中で、そこを規定する制度とは綿密な協調関係は必要だと思います。そこに対して非常にご苦労されてきたという事実は十分に認識をしていますが、今後より改善されたいい協調関係ができることを願っています。
併せて、こうした製品管理との関係は、環境省が今後進められる循環資源利用の中で、あらゆる制度が関係してくる話だろう認識しています。そうした意味で、製品管理という側面での重要な先進事例ということになりますので、この経験を大事にしていただければという希望を最後に申し添えます。
以上でございます。
○大塚委員長 ありがとうございます。
織委員、お願いします。
○織委員 ありがとうございます。
ここまでようやく来たなという気が本当にしています。高濃度の目途がつき、これからちょこちょこ出てくる高濃度をどうするかという問題から、薄く広く広がっている低濃度についてどのように製品管理、さっき酒井委員がおっしゃったように製品管理していくのか、あるいはどのように情報収集をしていくのかというところで、高野委員のほうで事業者としても協力をしていくというお話しでしたが、多分中小企業がどのようにしていくのかというところをいかに業界団体としてもサポートしていくのかと、今までの情報普及のところのリソーセスを環境省としてもサポートのところにどうやっていくのかという、そうした具体的な支援策がないと、なかなか広く薄く広がっている低濃度について中小企業の方が製品の管理をしながら処理に回す、届出をしていくというのは、現実にはなかなか大変なことなのではないかと思います。
高濃度と違って、中小企業をどうやって巻き込んでいくかというところをぜひご検討いただきたいということと、自治体の負担軽減のところが、先ほど酒井先生もおっしゃったところ、非常に重要なところだと思います。計画、単発処理のみで計画表にしていくという、ここは非常に重要なところだと思います。
一方で、今まで高濃度についてこれだけ処理が進められた背景には、自治体の方が見つけ出してくださったという、そういったご努力や、地域に密着したところがあったと思いますので、また低濃度でも色々ご協力いただけるような形でしていければなと思います。
改めて、7拠点、高濃度の皆さんの地域の環境委員会も含めて、ここまでやってきたこととして、この制度まで落とし込んできたことについて感謝したいと思います。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。そのとおりですね。
寺園委員、お願いします。
○寺園委員 ありがとうございます。
斉藤委員ほか、数名の委員がご指摘されたように、低濃度PCBの所在把握と、あと自治体等の負担軽減について、少し重なりがありますけれども、私もアスベストのことも念頭に置きながら発言をさせていただきます。
今回はPCBが対象で、低濃度PCBの所在把握ということについて、社会の中にストックとして有害物が存在しているということの把握と、管理責任をこれからどうやっていくかということで、一つの方向性が出されたのだと理解しています。そのときに、自治体の負担軽減も重要ですが、所有者についても、色々と検討されてきているのだと思いますが、見落としですとか、わざと出さないとか、そういうことがないような所有者と自治体双方の負担軽減についてご検討いただきたいと思います。
また、その把握と管理責任が一定程度できたら、そうしたものは災害時にも把握できるようにしていくことが必要だと思います。
最後、1点ですが、低濃度PCB含有塗膜について、即座に全部取るということは難しく、使用を継続するということもあるのは理解するのですが、上から重ねて塗装するということが不十分な管理の状態で行われると、結局後でどうなったか不明になってしまうということもありますので、再塗膜については慎重に考えていただき、技術的、財政的に可能であれば、取れるときは除去するということも含めて考えていただきたいと思います。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。では、オンラインのほうに移ります。
大橋委員、どうもお待たせしました。
○大橋委員 ありがとうございます。
私のほうから3点。まず、資料の2-2の5ページをお願いします。
低濃度PCB使用製品等について届出制をもって処理までの工程を確認するというのは非常に重要なことだと思います。ただ、この低濃度PCB使用製品の一部なのか、多くなのか、電気事業法でも、先ほど委員の先生からもありましたが、電気事業法での届出も既になされているものもあると思います。改めて、これで届出制度を設けると、2方向に届け出るなど煩雑になるのではないかと思っていますので、できるだけ申請者が複雑にならない、また進捗管理が複雑にならない方法に工夫する必要があると思います。
次、7ページをお願いします。
塗膜についてですが、本県でも橋梁の塗膜に含有されていないかという分析をここ数年やっています。ただし、これは分析をしないと含有しているかどうか分からないということがありますので、この計画の策定を義務づけるという方向性はよいと思いますが、計画策定の義務対象者であるかどうか、対象の建築物であるかどうかということをきちんと判別させる工夫が、その前段で必要であると思います。
最後、8ページをお願いします。
事務負担の軽減について、いろいろご検討いただき大変ありがたいと思います。ただ、一番最後、その他の二つ目のポツにあります代執行は、こうしたこともやっていかなければいけないというのは理解しています。この代執行に関しては、自治体も事務的にも、財政的にも負担としては小さくないものですので、これを制度化するのであれば、改めて国の技術的な、財政的な支援も併せて検討していただけるとありがたいと思います。
以上です。
○大塚委員長 ほかにはよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
では、事務局のほうからご回答をお願いいたします。
○廃棄物規制課長 ご質問、ご意見ありがとうございます。
電気事業法の話が酒井委員と大橋委員からございました。今、高濃度PCBの使用製品につきましては、PCB特措法の第20条において、高濃度電気工作物に関するもので電気事業法が適用されるものは、経済産業省の地方の経産局のほうに届出をする仕組みもあります。こうした既存の仕組みも念頭に置きながら、経済産業省とも今後の制度の見直しの方向も踏まえてどうしていくのか、我々もよく考えていきたいと思います。
PCB使用製品の部分については、電気工作物に関するものがかなり多いと思います。先ほどから自治体の事務の部分で勢一委員からもお話があり、ボリューム感が一体どうなんだというところありますが、こうした電気工作物のようなものの扱いをどうしていくのかという部分が、いわゆる電気事業法によるものは、手続は電気事業法によるものとなっていけば、業務量自体は大分変わっていくと思いますので、大橋委員からのご指摘はそういった点も含まれていると思いますので、よく考えていきたいと思います。
低濃度PCBの使用製品について所在をどうするか、データをどういった形で管理していくかというお話しもありました。この点も、できるだけこれまでの高濃度PCBの取組というのも参考にしつつ進めていきたいと思います。高濃度PCBについてはデータベースも持っていますので、こうしたものも活用しながら、届出情報について環境省のほうでも管理していくことができるかどうかということも含め、今後我々としても考えていきたいと思います。
また、大橋委員からありましたは、代執行に関する自治体の負担について、この点については従前より廃棄物処理法においても不法投棄、不適正処理が行われた後の行政代執行に対して基金事業で支援を行う、加えて、高濃度PCBの廃棄物についても代執行規定がPCB特措法でありますが、それについてもPCBの基金で対応してきたという経過もありますので、こうした点も念頭に置きながら、制度設計と併せてこうした支援措置が考えられるのかどうか、考えていきたいと思います。
○廃棄物規制課長補佐(切川) 塗膜を使用しているものの把握に関してですが、原因究明の中で、昭和41年から49年の9年間に建造されたり、塗膜の塗り直しがされたものというのが対象とされており、それが全国に3万強の建物がございます。そのうち2万5千までは調査が終わっているところでして、調査の結果によると、2割ぐらいの建物からPCBが検出されている状況です。残りが5千ほどあり、それらは今計画的に調査を進めていっていただいています。その中でも特に橋梁が多いのですが、橋梁以外にも水門、船舶、タンク、そういったものがこの塗膜を使用しており、中央省庁、自治体、業界団体の皆様にもご協力いただき、令和元年から調査を進めている状況であり、毎年現状を把握しております。
もう一点、使用中の機器がどれぐらいあるかという御質問ですが、変圧器やコンデンサーなどの製造台数と国内流通量、平均使用年数から、数年前に試算したときには30万台ぐらいあるのではないかという試算があります。その後処理が進み、また、PCBの検出率がどれくらいあるかというデータの蓄積も実施しておりますので、改めて昨年度行いました実態把握も含めて、ボリューム感を改めて推計していくのかなと考えています。
移動の観点もありましたが、特に大企業さんで使われている機器に関しては、受電設備や、大きな機械を制御するための装置に使われているものがあり、同じ装置を長く使われている事例が多いと聞いています。そういったものも実態把握しながら、対策はしっかり検討していきたいと考えています。
以上になります。
○大塚委員長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
では、いただいたご意見につきまして、今後の小委員会における検討に当たってご参考とさせていただきます。どうもありがとうございます。
次に、議題の(3)その他につきまして、事務局からお願いいたします。
○廃棄物規制課長 特にございません。
○大塚委員長 ありがとうございました。
本日の議事は以上となりますので、進行を事務局にお戻しいたします。
○廃棄物規制課長 次回の小委員会につきましては、事務局から改めてご連絡させていただきます。
以上で、本日の小委員会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
最初に、進行を務めます環境省の廃棄物規制課長の松田と申します。よろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、ご多忙にもかかわらずご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、こちらの会場とウェブ会議システムのハイブリッド方式により開催させていただいております。
会議の運営についてのお願いでございますが、ご発言いただく際にのみ音声をオンとして、それ以外の時間はミュートとしていただきますようにお願いいたします。また、ビデオは、ご発言の際のみオンにしていただければと思います。
ご発言される際には挙手ボタンでお知らせいただきまして、小委員長からの指名を受けてからのご発言をお願いいたします。また、会場の声が聞こえにくいなど何かございましたら、チャット機能等でお知らせいただければと思います。
会議の模様につきましては、環境省YouTubeでの同時配信により公開をしております。
それでは定足数の確認ですが、本日は、委員総数18名のところ、17名の委員の方にご出席いただき、小委員会として成立しておりますことをご報告させていただきます。
次に、資料の確認ですけども、お手元の資料について議事次第の後ろのほうに、資料1が、資料1-1から1-3まで、その三つのもの。また、資料2については、資料2-1、2-2の二つの資料。また、参考資料が三つございます。資料は、事務局で画面に投影しますけども、必要に応じて、あらかじめお送りしたファイルをご覧いただければと思います。
それでは、以降の進行は大塚委員長にお願いしたいと思います。大塚委員長、よろしくお願いいたします。
○大塚委員長 どうぞ、本日もよろしくお願いいたします。
まず、事務局から本日の議事につきまして、簡単にご説明をお願いいたします。
○廃棄物規制課長 本日は、まず前半部分におきまして資源循環の推進に向けた制度的取組と題して、主にヤード環境対策の制度的措置の検討についてご審議いただければと思います。併せて、資源循環ネットワーク形成・拠点構築に向けた調査事業についても関連するものとして、説明いたします。その後に、議題の二つ目としてPCB廃棄物の処理に関する制度的措置の検討について、事務局から説明をさせていただいて、委員の皆様にご審議いただければと考えております。
○大塚委員長 ありがとうございます。
それでは、まず議題の(1)資源循環の推進に向けた制度的取組について、資料の1-1、1-2及び1-3に基づきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
○廃棄物規制課長補佐(山田) ありがとうございます。
それでは、まず資料1-1について説明いたします。こちらのヤード環境対策検討会の取りまとめの報告ということで、昨年から寺園委員に座長を務めていただき、有識者検討会を開催してきたところです。この3月にこちらの取りまとめが出てまいりましたので、そちらについてまずご紹介いたします。
ページをおめくりいただき、2ページ目です。検討会の概要として、背景の一つ目です。
平成29年に廃掃法が改正されまして、有害使用済機器保管等届出制度が創設されました。この対象は廃棄物ではないものとして、家電リサイクル法、それから小型家電リサイクルの対象の機器、こちらを保管する場合に届出が義務づけられた制度になっています。
一方で、こういった法の施行後も幾つかの金属スクラップ等の不適正な保管が発生しており、③番、一部の自治体におきまして、廃棄物でも有害使用済機器でもないもの、こういったものを再生資源物として保管する条例が幾つか制定されてきているという状況です。
次のページ、3ページ目です。
背景の二つ目として、令和6年、昨年の8月に「第五次循環型社会形成推進基本計画」が閣議決定され、循環経済が国家戦略に位置付けられたというものです。この基本計画の中でも金属資源を中心として、製造業の原料として再生物の供給をしていくことの重要性が指摘されたところです。その中で③番として、こういったヤードに対応し、関係省庁と連携をして、雑品スクラップの管理、不適正輸出の防止、環境対策の強化、必要に応じて制度的措置を講じるというところが指摘をされたというものです。
これらの背景を受け、平成29年の廃掃法改正施行から5年の点検の時期が今年、令和7年ですので、有識者検討会を開催し、その結果を取りまとめたというものです。
下に、主な検討事項というのを4点挙げてございます。
検討会の中では、一つ目として有害性の観点を踏まえた規制のあり方。二つ目として規制対象物品のあり方。三つ目といたしまして有害性の高い物品(廃鉛蓄電池等)の解体を行うための規制。4番目として不適正輸出を防ぐ仕組みについて、整理をいただいたところです。
めくっていただき、4ページ目です。
今有識者検討会においても、ヒアリングをさせていただいています。小委員会第2回目においても、有識者の方、千葉県、それから事業者団体、ほかに三重県等からもヒアリングをさせていただきましたが、その検討会の中でのご意見をご紹介させていただければと思います。
千葉県からは、廃掃法の廃棄物該当性を判断していく中でも、実際の現場でのそういった枠組みから漏れてしまう事情があるといったことですとか、事業者団体からは、現行制度の実効性が期待できないというようなご意見もいただいたところです。
また、三つ目ですが、自治体に実態調査をさせていただき、その結果も取りまとめたというところであり、現行制度に不十分な点があると感じられている自治体の数が都道府県・政令市合わせて129のうち108、8割強に上ったという結果も得ています。具体的には、対象品目の拡大についてもご指摘をいただいたという結果になっています。
次の5ページ目、お願いします。
自治体への実態調査の結果の概要がこちらでして、事業場の数、こういった再生資源物を保管している事業場、この数について自治体にお伺いした結果です。
結果としては3,260ということで、有害使用済機器保管等届出制度の元の届出が612であり、それに比べても大幅に多いという結果が得られたというところです。うち関東地方が一番多く約2,000の事業場がありました。この数については、129のうちまだその事業場を把握していない自治体もありましたので、実数してはここからさらに多いことが予想される数となります。
めくっていただき、6ページ目です。
実態調査の結果の続きです。再生資源物の保管の実態ということで、どういったものが保管をされているかをお伺いしたところ、雑品スクラップ、金属スクラップ、プラスチック等々、多種多様なものが保管されているとご回答いただいたところです。③番として、生活環境保全上の支障、どういったことが発生をしているのか把握している状況をお伺いしたところ、200件以上、211件の支障の発生の報告があり、騒音・振動、飛散・流出、火災といった事例がありました。一番下の④番としまして、その中でも廃鉛蓄電池・廃リチウム電池、この取扱い状況をお伺いしたところ、場外に排水の鉛の基準超過があった事例もありました。また、鉛蓄電池に起因する火災等もあったという結果を得たところです。
次のスライド7ページ目が、その際にいただいた状況の写真です。
めくっていただき、8ページ目です。
こういったことを踏まえ、先ほど紹介した四つの観点に則り、取組の基本的方向性を取りまとめたのがこちらになります。
8ページ目の1ポツのところ、有害性の観点を踏まえた規制のあり方というところで、こちら生活環境保全の観点から、廃鉛蓄電池等の有害性の高いもの、それにとどまらず有害使用済機器や、金属・プラスチック等の雑品スクラップ、そういったものについて実効性を担保できるような制度を検討すべきではないかということをいただいています。
二つ目として、そういったものについても、今、条例では様々な規制の強度で届出制・許可制がありますので、そういった地域的な偏在についても配慮すべきであろうということが二つ目です。
三つ目として、そうした中で規制制度導入に当たり、例えば届出の場合、「計画変更命令付き届出制」を導入するということですとか、流通フローを把握するための帳簿の義務づけ、そうした実効性の観点での制度的措置を検討すべきであろうということをいただいています。
次に、二つ目です。
規制対象物品のあり方です。まず一つ目に記載しているのは、廃棄物に該当するかどうかを最初に総合的に判断をしていただき、ヤードに保管されているものについても、廃棄物に該当するのであれば廃掃法に基づき、厳格に対応するということがまず基本であると考えます。
一方で、その中でも有価物に該当するものということで、今回金属スクラップ等の雑品スクラップについて、保管・分別の過程で環境負荷が生じる可能性ということが報告されていたので、そういったものへの規制が必要ではないかと考えます。その中でも、その対象物品の考え方として、なかなか個別指定は難しいということから、包括的に規制できる仕組みがいいのではないかということをいただいています。
三つ目としても、こちら地域の実情に応じた規制のあり方を配慮すべきということをいただいています。
次の9ページ目、お願します。
3点目、有害性の高い物品(廃鉛蓄電池等)の解体という観点です。
こちらは、ヤードにおいては解体を行わず、選り分けを行うのみにするということが必要ではないかと。生活環境保全上の配慮がなされた事業場でのみ、解体や処分をさせる仕組み、こういったものを検討すべきではないかといただいています。
四つ目として、不適正輸出を防ぐ仕組みということで、廃鉛蓄電池等の有害性の高い物品は国内での解体を優先させ、こうした不適正な輸出を未然防止できるように、廃棄物の輸出に関する手続に準じた実効性のある制度を検討してはどうかといただいています。
これらを通じて、適正なヤード事業者が公平な競争環境のもとで環境保全対策を実施し、健全な資源循環、これを後押ししていただければと取りまとめていただいたものです。
続きまして、資料1-2、ご確認ください。この検討結果も受け、本小委員会の中で制度的な措置としてご検討いただきたい事項を取りまとめています。
まず一つ目が有害性の観点を踏まえた規制のあり方です。
次のスライド3ページ目をご覧ください。
現状と課題として、廃掃法の指導監督は困難な状況にある中で、現在、条例が幾つか制定されており、その多くが許可制を導入しているというのが一つ目の現状と課題に書いています。二つ目のとおり、その一方で、行政コストというところも、自治体ではマンパワーに限りがあるというご意見をいただいています。また、三つ目として、事業者団体からは、罰則が緩い場合に事業者に対する法令遵守・実効性、こういったものを担保できないので罰則の引上げや規制強化というご意見もいただいたという背景があります。
取組の基本的方向性は、先ほどと重複しますので省略し、次のページをおめくりください。
4ページ目の有害性の観点を踏まえた規制のあり方ということで、対象物品としてはこちらの絵にあるように、金属スラップ、雑品スクラップ、有害使用済機器、それから廃鉛蓄電池、廃リチウム電池、このようなものを想定し、検討事項の①対象物品の有害性に応じて、行政の関与が大きい許可制、登録制、届出制という使い分けがあってもよいのではないかというのが一つ目です。
二つ目として、届出制の場合にでも、情報を適時アップデートしていくことで、定期的な届出や、要件を満たさない場合の是正措置という観点から計画変更命令付きの届出、また操業停止命令の制度、こうしたものを構築して実行性を担保してはどうかというのが二つ目です。
三つ目として、許可制、登録制の場合ということで、こちらも更新を義務づけてはどうかというところです。
四つ目として、地域によってのヤードの問題の深刻性が違うため、地域に応じた柔軟な制度も念頭に置いてはどうかというのが四つ目です。
五つ目として、こうしたヤードで解体をした場合に出てきた残渣、廃棄物も発生するかと思いますが、そのようなものについて適正処理の確実性を高めるような仕組み、トレーサビリティの仕組みも必要なのではないかというのがこちらです。また帳簿の記載、それから実効性の担保のための罰則の強化ということも考えてはどうかというのが、1点目です。
5ページ目、参考となっていますが、許可・登録・届出制、それぞれにつき、その制度の性質等について整理をしたものです。
次、おめくりいただき、6ページ目です。規制対象物品のあり方です。
7ページ目、現状と課題を見ていただければと思いますが、実態調査の結果として、全国に3,000か所以上の事業場がある中で、こういったところに多種多様なものが保管をされていると。そこで再生資源物を起因とするような生活環境保全上の支障ということで、年間200件以上の報告があったというところです。
一番下のポツですが、「なお」というところで、ここは有害使用済機器ということで、いわゆる「機器」でありますので、「機器」が解体されたことで発生する部品や原料、こういったものに対しては現状規制がかかっていないと、そういった状況にあるというようなことが課題、現状として整理できると思います。
おめくりいただき、8ページ目です。
これを受けた検討事項として、収集された金属スクラップ、雑品スクラップ、こういったことは集積されることにより環境負荷が生じるおそれがあるのではないかということで、集積物の保管・処分に関する基準を設け、業として行うものを規制対象としてはどうかというのが一つ目です。
二つ目として、そうした集積量が少量であるという場合や、鉱石やリサイクル原料から金属を取り出すという行為をする前段としての集積、こうしたことに対して過度にならないような配慮というのもいるのではないかというのが2点目です。
3番目の、有害性の高い物品の解体のための規制です。
めくって10ページ目をご覧ください。
現状と課題の二つ目に書いていますが、廃棄物に該当しないということで、廃鉛蓄電池が集められて解体処理されている中で、周辺環境に問題が生じているという事案が指摘を受けているというところです。また、その周辺の排水から鉛が出る、廃リチウム電池についても失活の過程で出た排水、こういったものへの環境への影響、そういったものに起因するヤードの火災というような懸念の声もあります。
次のページめくっていただき、3番目の有害性の高い物品の解体という観点の検討事項というところです。
こうした有害性の高い廃鉛蓄電池、廃リチウム電池等の物品は、有害性に着目した形で保管・処分に関する基準を設け、これらを業とするものを規制対象としてはどうかというのが一つ目です。
こうしたヤードは、保管する場所ということで、保管に加えて「選り分け」を行うと。こうしたことに限定してはどうかというのが二つ目です。
三つ目として、生活環境保全上の配慮がなされた事業場においてのみ、「解体」、「製錬」、「中和等」の処分を行う、このようにしてはどうかというのが三つ目の検討事項とお示しをしています。
めくっていただき、4番目不適切輸出を防ぐ仕組みというところです。
現状と課題を見ていただき、不適正ヤードから不適輸出への温床になっている可能性も指摘をされたところでして、鉛原料が違法に輸出されている状況も指摘されました。
現在のバーゼル法・外為法では予備罪や未遂罪がありませんので、そうした違法輸出を未然に防ぐ、実効性のある制度が必要ではないかというご指摘もいただいたところでございます。
めくっていただきまして、14ページ目です。
こちらは検討事項として、こういった鉛蓄電池等の有害性の高いものについては廃棄物と同等に、生活環境保全の支障を未然に防止するために国内処理の原則を適用してはどうかというのが1点目です。
二つ目として、有害性の高い物品の不適正輸出を未然に防止するための措置を講じてはどうかというのが2点目です。こちらは下に参考として、廃掃法の中では廃棄物の輸出に対して未遂・予備罪というものが存在しますが、バーゼル法ではこうした規定がありませんので、実際に輸出が行われるまで罰則等が適用されないという現状にあります。このような未然防止の措置を廃掃法を参考にできないかというのが最後のポイントです。
以上、資料1-1と1-2のご説明であり、続きまして、資料1-3を説明します。
○資源循環ビジネス推進室長補佐(塚原) それでは、資源循環ビジネス推進室より説明いたします。資料1-3をご覧ください。
資源循環ネットワーク形成・拠点構築に向けた調査事業についてご説明いたします。
本調査事業は、第1回の本委員会において頭出しをさせていただきましたが、今回は調査の開始に当たり、事業の概要と進め方についてご説明いたします。
本調査の問題意識としては、2ページ目の左下の図のように、現在再生材の市場が未成熟であるということがあります。こちらの図は概念図ですが、国内資源循環の現状であり、リサイクル可能な資源が焼却や埋立に回ってしまったり、海外に流出したりという状況にあります。また、説明にあったとおり、不適正ヤードを経由した輸出も懸念されており、一方でe‐scrapなどは海外からの輸入も促進しなければならない状況です。本来は、この緑色のフローを製造段階に戻していきたいところですが、様々な競合する流れ、この図の中では灰色の流れになりますが、そういったものに阻害されているとも言える状況かと思います。さらに、リサイクルされた場合でも、質・量両面における課題があり、カスケードリサイクルになる場合も多く、水平リサイクルでまた戻ってくるのは僅かであるとみています。さらには、再生プラや、もしくは油のように再生材が海外に輸出されているケースもあります。本事業の目指す姿としては、需要と供給の創出も進めながら、国内外一体の資源循環を実現し、国内で太い再生材供給のサプライチェーンをつくっていくことにあります。そのためには、このページの背景の2ポツ目にあるように、資源循環産業と製造業をつなぐネットワークの形成やリサイクル拠点の構築を行うことが必要となります。
そのイメージの図は右下のとおりです。これまで培ってきた適正処理・リサイクルの基盤も生かしつつ、リサイクルの規模を大きくしていくということも重要ですし、そのためのロジスティクスも非常に重要と考えています。
本調査の対象とするものですが、循環資源、つまり廃棄物にとどまらず様々な有用なものを想定しています。国内外の動向も踏まえ、循環経済への移行の加速、そして資源安全保障の観点からも緊急性の高いものについて、12のカテゴリーにわたるケーススタディを行うべく準備を進めているところです。12のカテゴリーですが、こちらに掲載していますように、まず循環資源の10品目、廃プラスチックから金属スクラップ類、鉄、アルミ銅、e‐scrapとしていますが、加えて廃食用油そして複合材から成る製品、例えば自動車とかリチウムイオン電池・太陽光パネル・風力発電設備などとしています。さらに、物ではなくてエリアを指定して港湾設備等も活用しながら複合的な循環資源を取りまわして製造業を供給するようなモデルケースを2件、北九州市と室蘭市を想定して行うこととしており、計12カテゴリーとしています。なお、北九州市はエコタウンのアップデート、室蘭市はPCB処理施設の跡地の活用ということを想定しています。港湾施設の活用については、12カテゴリーの多くに関連があると考えており、国土交通省が進めているサーキュラーエコノミーポートの選定や活用についての取組と連携をしてまいります。
次のページ、3ページ目をご覧ください。
本調査事業の進め方についてご説明いたします。今年度行おうとしていますのは、この赤枠の中の部分です。まず、12のカテゴリーごとに時間軸も含めて目指す姿というのを描きつつ、再生材の供給拡大に向けた課題やニーズの洗い出しを行い、解決策を検討するためのケーススタディを行います。机上調査と並行し、関係者や関係施設等へ職員が足を運んでヒアリング等の深掘りの調査を行っていく計画です。また、抽出した課題は相互の因果関係などもあると考えられ、構造的な分析も行いつつ、12のカテゴリーを横並びにし、共通的な課題やカテゴリー特有の課題など分析をしたいと思います。
その上でこちらの赤枠内の右側ですが、政策的な打ち手の検討を行い、制度的・予算的な対応などの政策の検討へつなげていきたいと考えています。
その先の姿としまして右側、それぞれの循環資源に応じて全国に適正なスケールのバリューチェーンを描き、ネットワーク拠点を戦略的に構築し再生材流通量を拡大するとともに、新たな資源循環ビジネスの機会を創出し、サーキュラーエコノミーの移行を加速化していきたいと考えています。
1枚おめくりください。4ページ目ですが、本調査に関しては本ページの中段以降にあるような様々な観点から進めたいと考えています。詳細は割愛しますが、マテフロ分析から始まり、経済、技術、物流、立地・インフラやエネルギー、トレサビなどのデータの活用、そして材料を集めて供給先を確保するといった出口・入り口の議論、関係する法令や環境価値の訴求のための評価方法等としています。
詳細の12カテゴリーの概要は、5ページ目・6ページに掲載しています。詳細は割愛させていただきますが、カテゴリーごとにケーススタディの主な対象エリアというのを整理しています。既に先行的な取組が進んでいる地域を中心に、そこでどういった課題にぶつかっているかということを調査していくという意味合いでして、記載されているエリア以外にも想定するサプライチェーン上には保管や前処理、リサイクルに至るまでの幾つかのハブとなる施設、そしてそれをつなぐ物流ネットワークが必要となりますので、この調査ではサプライチェーン全体を捉えていくつもりです。調査を進める中で、様々な新しい情報を得ることもあると思いますので、ここに掲げているエリアに限らず、他のエリアについても調査範囲を広げていくことも想定しています。
次のページは飛ばし、最後7ページ目をご覧ください。
最後に今後の進め方についてご説明いたします。
本調査事業ですが、既に非公開の検討会を設置しており、この調査の設計・進め方・分析の方法などを右の表に掲げております有識者の方々からご意見をいただいて進めています。座長は東海大学の細田先生にお願いをし、大塚委員にもご参画いただいています。昨年度末に第1回を開催し、この12のカテゴリーの設定について検討しました。今年度は、引き続き2回程度開催し、年度末にはケーススタディを総括した報告書を取りまとめて公表し、その先の検討につなげてまいりたいと考えています。なお、令和7年度の検討会には、右側の表の下に掲載のとおり、産業界からのご参画もお願いしたいと考えており、現在、個々に相談しているところです。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございました。
それでは、ヤード環境対策検討会の座長を務められました寺園委員からも、検討会の検討結果についてご発言をいただきたいと思います。
寺園委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○寺園委員 寺園です。それでは、ヤード環境対策検討会の座長として、先ほど山田補佐からいただいたご説明で十分かと思いますが、3点ほど補足をさせていただきたいと思います。
まず、1点目は有害使用済機器保管等届出制度の導入経緯についてです。
2017年の廃棄物処理法改正のときも、関係する検討会の委員として私も関わっておりました。当時からヤードにおいて、内部に有害物質が含まれ本来の用途で使用を終了した電気電子機器等の不適正な取扱いが行われ、一部は輸出されるという状況でした。これらが雑多なものと混ぜられた金属スクラップ、いわゆる雑品スクラップなどの形で環境保全措置が十分に講じられないまま、破砕や保管されることにより、火災の発生や有害物質の漏出等、生活環境保全上の支障が生じる事例が発生しておりました。
それで、2017年の廃棄物処理法改正により、有害使用済機器届出制度ができたわけですが、2点目としては、そのときに規制対象物品が家電4品目及び小型家電28品目に限定された経緯がありましたのでご説明いたします。
当時は取引の全体像に関する実態把握が一定程度なされているリサイクル法の対象であります家電4品目及び小型家電28品目を規制対象としていました。いわゆる雑品スクラップの定義が困難である以上、こうした機器の指定で行うという考え方はやむを得ないとする意見がありました。
一方で、今のその4+28品目につきましては基本的には家庭由来であるもので、業務用のエアコンなどは除外するとともに、識別が難しいものについては含めるということでありましたが、やや家庭由来ということで限定されることにもなっており、鉛蓄電池が含まれないですとか、あとは当時の検討会の報告書などを見直しても、給湯機器や、UPSですとか、様々な農機具ですとか、いろいろなものがまだちょっと含めにくいので、そこまでは含めないという結果になっていました。当時、有害性や輸出実態を含む使用済機器としての流通実態を踏まえて対象機器を考えていたわけですが、当時の検討会の報告書の中では有害ということと機器ということの両方の用語を狭く捉えないようにすべきであるということで、有害については油の流出やフロンの放出リスク、それから火災リスクなども含めた有害ということを考えるべきであると。また機器についても、機器という言葉がゆえに鉛蓄電池は機器ではなく部品だということで対象から外れてしまったのですが、それで不十分であれば含めるような方向もあり得るというような形で報告書が作られていました。いわゆる当時は隙間をできるだけ解消するということになっていて、将来的な改正の可能性も含めた形で取りまとめていました。したがいまして、今回のような検討に至っているものであります。
三つ目としては、今回のヤード環境対策検討会における取りまとめの経緯として、先ほど説明がありましたように環境省が実態調査をした結果、規制対象外の再生資源物を保管するヤードが3,000を超え、直近1年間で200を超える生活環境保全上の支障が発生していました。2017年の法改正によって、有害使用済機器の届出先が都道府県となって、都道府県が立入検査や報告徴収を行えるようになったので、一旦はそれで対応できるということではありましたが、やはり実際、都道府県の中でもそれで対応が難しいということが出てきました。それで、自治体及び事業者団体のいずれも有害使用済機器保管等届出制度では不十分であるという意見をいただいたのは、先ほどご紹介されたとおりであります。
このような実態調査やヒアリングを踏まえ、先ほどの四つの論点を中心に議論を深めまして、本検討会の報告書を取りまとめた次第です。
以上です。
○大塚委員長 どうもありがとうございました。
それでは、これから質疑応答に移りたいと思います。ご質問、ご発言のご希望ある方は挙手ボタンにてお知らせください。また、本日も多数の委員にご参加いただいておりますので、十分な議論の時間を確保するために、1人当たり約2分でのご発言をお願いしたいと思います。対面でご出席の方は、どうぞ名札を立てていただければと思います。
室石委員、お願いします。
○室石委員 室石です。1点だけ絞ってご意見を述べさせていただきたいと思います。
資料の1-2の4ページ目のところですが、この中の検討事項の④のところ、地域によって異なるということで地域の実情に応じた柔軟な制度をということです。これ自体は賛成なのですが、その結果として恐らく、例えば規制が緩いところに規制が厳しくなっているようなところから流れていくような、つまりその状況は変化していくのではないかと思いますので、この地域の実情に応じた柔軟な制度という言葉では少し足りないのかなと思います。状況の変化があった場合にも、その状況の変化に応じられるというような柔軟なというところをも考えていただければと思いました。
以上です。ありがとうございます。
○大塚委員長 重要な視点をご指摘いただきましてありがとうございます。
大橋委員、お願いします。
○大橋委員 説明ありがとうございます。
質問は二つございまして、一つ目は、同じ資料の4ページの先ほどの室石委員がおっしゃった場所と同じですが、私は逆にこの地域の実情に応じた柔軟な制度的措置というものがどういうふうな手法でできる可能性があるのか。その所見、知見を環境省にご説明いただきたいと思います。
もう一点は、包括的な規制など漠然とした表現がこの検討事項の中に多々含まれています。これを具体的な制度設計をしていく検討をこれから進めるのだと思いますが、この後どのように具体的な制度設計に向けての議論を進めていくという想定でいるのかを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○大塚委員長 我々が考えていくことでもありますが、後で環境省にお答えいただきます。
では、高岡委員、お願いします。
○高岡委員 ありがとうございます。私も同じ資料の11ページ目です。
ここで、三つ目のところで生活環境保全上の配慮がなされた事業場においてのみ、今後この「解体」・「精錬」・「中和」を行うこととしてはどうかと。これはそのとおりで私も賛成なのですが、この生活環境保全上の配慮がなされた事業場というのは、この新しい制度の中で規定されるというような理解でよいのか。あるいは、既に水濁法や大防法等の様々な法律があると思いますが、そういった法律で規定されるものなのか。そこをお聞きしたいと思いお尋ねします。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。
では、奥委員、お願いします。
○奥委員 ありがとうございます。
資料1-1にも、最初のお二方がご指摘された地域の実情や特有の課題に応じて柔軟に対応できる規制のあり方や、規制制度を導入している自治体の取組にも配慮することが望ましいといったことが8枚目のスライドにも出てきています。
私の理解では、これは廃掃法の改正がなされてヤードに対する規制強化がなされたとしても、必要に応じて自治体が条例で上乗せ・横出しができるというところを担保する趣旨であると理解をしています。そうであるとしたら、それは望ましい方向性だろうと考えていますが、既に条例を持っている自治体にとっても、国のほうである意味必要最小限のところ、ナショナルミニマム的なところを法律でカバーしてくれれば、そもそもわざわざ条例で規制制度を導入するということの必要性もなくなりますし、国の一律的な制度の下でそれを適切に執行運用していけばいいということにも移行できますので、最低限のところはしっかりと国の法令レベルで担保し、さらに地域が追加的に規制等が必要だと判断した場合には、それを許容するような、条例制定の範囲を許容するような制度設計が望ましいと思います。
それと質問なのですが、有害性の高い物品という言葉が何度も出てきていますが、これは廃鉛蓄電池と廃リチウムイオン電池、この2品目だけを想定して使われている言葉なのでしょうか。それとも、まだほかにもそれに該当し得るものというのがあり得るのかどうか。最終的には、どのようにそれを定義づけしていくのかというところにつながりますので、確認させていただきたいと思います。
また、その実効性担保をいかにしっかりとしていくかといったときに、許可制や届出制、登録制、三つのパターンが示されましたが、その場合、他の法令の仕組みとのバランスももちろんありますが、より高い実効性が期待できるのは許可制であると私は考えておりまして、その選択肢をより議論できればと思います。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。
最後の点に関しては、特に奥先生とか識先生にはご意見伺いたいところですが、必ずしもこの問題に関してマンパワーが割けない自治体においては、許可制をすることに対してかなり批判もあるので、そこをどうするかも考えないといけないところの一つであるとは思います。ありがとうございます。
それからもう一つ、奥先生が言ってくれた第1点のところも重要なのですが、この問題で結構苦しんでおられる自治体の方は法律でも厳しいことを対応することを望んでいて、自治体で対応できればそれで済むというふうには関心を持っていないところがあるので、その辺の事情も寺園先生とか、環境省のほうから何かお話しいただければ、さらにありがたいと思います。
では、村上委員、お願いします。
○村上委員 どうもありがとうございます。
概ねもう出てきているかなと思いますが、今ちょうど映っている四つ目の地域の実情に応じた云々というのは皆さんおっしゃることに全くもって賛成です。
その下、今の④の話ですね。⑤のところも、最近この手の話をすると、概ねトレサビの話とかというので出てくる話ではあり、それ自体は反対するものでは全くなくむしろ進めていただきたいと思っていますが、様々なところで色々な制度の話をして、それぞれでこの手の話が出てきています。場所によって何か一々違う仕組みをつくると大変なことになるので、その辺はきちんとほかのものと横串を刺していただきたいなと思いました。
あとはほかの委員の方とかぶっていると思いますので以上で結構です。ありがとうございます。
○大塚委員長 ありがとうございます。
では、浅利委員、お願いします。
○浅利委員 ありがとうございます。資料1-3も今コメントしてもよろしいでしょうか。
○大塚委員長 どうぞお願いします。
○浅利委員 まず1点目、少し細かい点なのですけど、2スライド目の左の下の図で、すごく細かくて、もし今後検討していただけるならという意味ですが、海外流出という表現と不適正ヤードからの流出という記載がありますが、おそらくこの不適正ヤードからの流出は本当に環境流出みたいなものをイメージするのかなと思いますが、海外流出は輸出という意味なのかなと思っています。少し流出の意味合いが、特にプラ等で考えるときに違ってくるかもしれないので、単語の選び方を考えてもいいのかなと思ったというのが一つです。
次が有機系の廃棄物も対象にということで、ここでは括弧して「廃食用油等」と書いていますが、実際のケーススタディの対象を見ると、「等」ではなくて「のみ」になっていまして、ほかの生ごみ・食品廃棄物にも拡張する余地があるのかということもお聞きしたいなというのが2点目です。
あと最後3点目で、エリアを指定した複数の循環資源の組合せとあり、基本的にエコタウンが例示されていますが地域循環共生圏その都市と農村であったり、地方との関係性のような観点も大事なのかなと思いまして、その辺りの検討の余地があるのかお聞きしたいと思いました。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。
では、対面のほうの先生方に移りたいと思いますけども。
では織委員、どうぞお願いします。
○織委員 ありがとうございます。非常によくまとまっていると思います。
この問題は、環境負荷ということは環境影響もある一方で、やはり労働災害の部分についても重要な点があると思います。より適切に分別して資源循環に回す一方で、事故を減らしていく、環境影響を減らしていくというための制度的枠組みをつくっていくということですが、今示されているのが有害性の特性に応じた規制の枠組みという整理が必要と、このアプローチ自体は非常によく分かるのですが、実際一体型となりリチウムイオンが入り込んでいる炊飯器で、ゲーム機器なんかも含めて、こうしたものを有害性できちんと分けていくということになってくると、どのように使用されているのかといった製品の情報をどうやってこの廃棄物の管理の中に一緒に考えていくのかという、そうした流れも入れていく必要があると思います。というのもこの20年来、私はNITEで事故の調査の幹事をしているのですが、非常に中国製品の蓄電池による事故が増えてきて、純正品でないのも使用されてきているという実態もあり、どんどん変わってきています。そういったものがこの大きな枠組みの中で、実態に沿った中で、より事故が少ない、あるいは環境影響が少ないものにしていくためには、製造者からの情報が自治体などにもきちんと流れていくシステムをつくっていくことが必要なのではないかということが1点です。
それからもう一点、許可制と届出制の関係なのですが、実質上、届出と言いながらもここで提示されているのは水濁法と同じように、変更命令付や、操業停止命令ということになると、実質上届出を超え、より許可に近づいてくることになります。そうであるとすると、それほど用語として届出であるとか、許可であるということにこだわらず、むしろある程度シンプルなものにしていったほうがいいのではないかという印象も受けています。
以上です。
○大塚委員長 シンプルにするというのは許可制にしたほうがいいということ。
○織委員 そういう感じです。しかし、今おっしゃっていた自治体の負担ということも、そこは考えられると思います。
○大塚委員長 色々な問題を考えなくてはいけないですね。
では、酒井委員、どうぞお願いします。
○酒井委員 ヤードに関してのご指摘、非常に多く出ておりますので、拠点について質問を含めて発言させていただきます。
先ほど浅利委員から、エリア指定的なところで11番、12番、つまり北九州、室蘭のことを念頭に置いて質問されたかと思うのですが、北九州はエコタウンという実績もありますが、両地域ともPCB事業を支えられてきた地域です。そういった意味で、やはりPCB事業を支えた地域に対する感謝の念を全国民的に持たねばならないという意味では、展開上ぜひそういう観点は含めてうまくやっていくようにしていただきたい、これは希望です。
この両地域に対しての質問なのですが、複合型・統合型拠点という整理をされていますが、複合型・統合型ということで主張ができる具体的な核となる事業はどのようなものが見え始めているのかご紹介いただきたいというのが質問です。
2点目がこの資料の4ページ目のところで対象とするカテゴリー、そのための観点ということで多くの観点を提示されています。網羅性はよく考えられた観点になっていると思いますが、最後の環境面の評価方法というところで、脱炭素化などの環境面、脱炭素化が掲げられていますが、ここについて意見を申し上げておきたいと思います。今後必要なこういう構想の中ですと、この循環資源をどう確保するか、それをどういうものにしていくか、こういうところがこういうFS上の非常に重要な観点かと思います。併せて有害物質管理の観点、ここをしっかりビルトインしていくことが大事であると思います。今後、循環型社会形成が有害物質の同じ循環につながることはあってはならないという、こういう観点をぜひ含めていただきたいという意味で、環境的側面が脱炭素化[倫長1] [s2] などという「など」でくくっていていいかというところはもう少し深刻に考えていただきたいという意味で申し上げています。化学物質制御[倫長3] [s4] の観点というのが具体的に入ってくる。それは各地域が何にどう貢献できるのか。どういう事業でもって何をどう制御できるのかというところでいくと、先ほど申し上げた二つの複合型拠点だけでなくて、ほかの例えば高品質の鉄スクラップ製造といったところで、今後相当の効果を発揮していける可能性がデザインできると思います。そういった意味での結果としての分解や制御につながるプロセスあるいはシステムを、このFS上でもよく考えていっていただきたいということで、ここは意見として申し上げておきます。
○大塚委員長 ありがとうございます。
では、勢一委員、お願いします。
○勢一委員 ご説明ありがとうございました。勢一です。
私もあまり重複しないところだけと思いますが、酒井委員から指摘された拠点の戦略的構築のところ、私はまだ十分この事業の想定を理解していないのですが、これは廃棄物とそうでないものを両方扱うという想定なんでしょうかというところを教えていただければと思います。
この点は、今日のテーマになっていて、ヤード規制との関連もそうなのですが、やはり廃棄物でないものが混ざってくるところが大きなポイントになっており、それを実態として受け入れているのが不適正ヤードなのだろうと思っています。ここを適正なものに受入場所をつくってあげるということが、この拠点の戦略的構築の趣旨なのかなと思って伺っていたのですが、そういう趣旨なのかどうかを確認したいです。
もしそうだとすると、結構、法の本質的な課題で、廃掃法の中で廃棄物でないものをどうするのかという問題が出てくることになると思います。私は海外の制度や、ドイツ法なども研究していますが、ドイツの法律は廃棄物と循環資源が一つの法律に入っているので、そういうことがやりやすいのですが、日本の場合はこの法律の壁を超える仕組みをどういうふうに制度として組むのかという課題があるのかなと感じたところですので、その辺りのお考えとかもありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。
地域性を考慮した対応ということで、何人かの委員からも出ていましたが、当然各地域が法律の規制で足りないところはプラスをしていくのは、地方自治の考え方として大前提だと思いますが、今回の廃掃法の議論はこれだけ立法事実が出てきたので、法のレベルで一定範囲はしっかりやりましょうということだと思います。ただし、そのときの制度設計で、既に条例を制定し現場を持っているところが、新しい法律ができたことで、今までの体制で動くことが非常に大きな支障になるようなことがあってはいけないので、そこは立法の段階でしっかり対応をすることが必要だと思います。そういう意味で、この趣旨がどういう含みなのかを今の段階で確認をさせていただきたいと思います。特に、事業場を把握していない自治体が結構あるということでしたので、そうだとすると地域の実態がまだ十分明らかになっていない部分もありますので、制度設計に当たっては十分把握していないところがどういう事情で把握していなくて動いているのかということにも、ぜひ目配せしていただきたいと思います。
一応、許可制・登録制・届出制ということで比較の表を出していただきました。見た目として、確かに届出制のほうが、基本的に行為が一般的な禁止をされているものではないので、マイルドな手法にはなります。そういう意味で、公害規制のときには届出制が取られたということだと思いますが、計画変更命令がついているので、実態としてはそこで規律はできるというスキームです。ですが、基本的な考え方として、この対象行為が基本的には自由にできるというところをまずは想定されているので、そのような想定でいいのかどうか。登録制も基本的にはそれに近い発想です。
それに対して許可制は、そういう意味で非常に強い規律になっていまして、一般的な禁止行為の例外的な解除と書いてありますが、こうした性質のものとしてヤード規制を位置づけるのかどうか。それは法の本質的な考え方の違いだと思います。環境法の中では廃掃法は数少ない許可制を持っている強い法律なので、許可制を追加することは法律の立てつけとしては苦しくないのではないかと思いました。
登録制・届出制についても、結局本当に登録をされた届出をされた内容で事業がされているのかというところをフォローアップするのはマンパワーがかかりますので、これは現場の負担感はどこまで変わってくるのか、執行トータルとして考える必要があると思います。
以上です。
○大塚委員長 勢一委員、マンパワーの点ではどれがいいということになりますかね。
○勢一委員 どれも相応にマンパワーがかかるので、必ずしも事前の登録とか届出のほうが少し軽いからそっちのほうが負担感が少ないかというと、そうでもないのではないかというのが私の考え方なので、トータルとしてどうかというところなのかなと思いました。許可制を入れるなら入れても構わないかなとは思います。ただし、環境省のこれまでの立場からするとどうなのかなというところまでは私は分かりませんが、ということです。
○大塚委員長 はいどうも。
ヤードの数が少ない都道府県が届出制のほうがいいと思っている可能性がありますが、そこも含めてどう考えるかということがございます。
三井委員どうぞ。お願いします。
○三井委員 ありがとうございます。
まず、全てのヤードを私は否定するつもりはないのですが、私は容器包装のリサイクル事業をやっておりまして、プラントがあり、それに付随して前処理をしたり、製品のヤードであったり、残渣のヤードであったりということをやっている立場から言いますと、今議論されているヤードは、私からするととてもヤードとは思えないというのは前提で話をいたします。
この書かれているとおり、規制を強化するというのは大賛成です。これは環境の保全という論点と国内で資源を循環させるという論点から言っても、この規制を強化するということは非常に大事だと思っていまして、まず対象品目を拡大する、あるいは許可制にするということで対象品目を増やしたり、許可制にすることによって、県や市町村の方が判断しやすくなるということが大事なのだろうと思っています。その中で、県とか市町村の負担、マンパワーや県の条例との整合性と、こういう議論が何個か書かれていましたけれども、これは何に重きを置くかということを議論していただければおのずと答えは出てくるのではないかと思います。
併せて、規制ばかりではなく、やはり資源循環ネットワーク形成と拠点構築というのが非常に大事なことになってくるんだろうと。これは循環系であり、国内の資源循環にとっては非常に重要なポイントになると私は思います。その中で大事なことは、やはり市場原理のみでこれをやろうとすると無理がかかるということも事実ではないかと、これをどう解決していくかということも大事だと思います。
最後に、小さい話になりますが、小型家電というのがあって、リサイクル法が25年にできて12年経つ中で、小型家電リサイクル協会が約65万トン年間で出ており、そのうち24万トンが鉄、アルミ、銅、貴金属、レアメタルであり、金額に直すと約844億円になると最初提示されていましたが、環境省のデータを見ると、約10万トンしか集まっておらず、6分の1しか集まっていない。ということは、あとの700億円はどこに行っているのだろうという。小さい話をすればこういうものも本当はちゃんと国内で回収できるはずですが、何かが弊害になっていて回収できていないということを回収できるようにするということも、そういう取組を強化するということも一つ大事であると思います。
以上です。
○大塚委員長 はい。高野委員、どうぞお願いします。
○高野委員 産業界より二つ要望をお伝えしたいと思います。
まず、ヤード環境対策に関しては、制度的措置を講じるということが非常に重要だと認識しております。そのうえで、十分ご認識いただいていると思いますが、改めて、国内での循環経済ビジネスの促進につなげる視点を重視していただきたいというのが1点目の要望となります。
2点目は、資源循環ネットワーク形成についてです。その取組の成果には大変期待しているところですが、それぞれの拠点が地域における資源循環のハブとなり、循環経済ビジネスの振興を通じて地域住民のウェルビーイングにもつながることを十分意識していただくことが重要なのではないかと思います。
よろしくお願いします。
○大塚委員長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
では、環境省にご回答いただいてよろしいでしょうか。お願いします。
○廃棄物規制課長 それでは、事務局のほうからお答えいたします。
先ほどからお話のあったところで、条例の関係でどうなんだという話が奥先生や勢一先生や大塚委員長のほうからもお話があり、また室石委員からもお話がありました。
我々とすれば、これまで寺園委員からもお話がありましたが、やはり立法事実としてかなり今の規制では物足りないというのは明らかですから、雑品、スクラップのようなものが集積されたもので色々な問題が起きており、環境対策を講じるための必要な規制は法律の中ででき得るのではないかと我々としては考えています。廃棄物処理法の中で有害使用済機器という制度があり、廃棄物以外のものについても規制をするということができるという中で、今回、廃棄物処理法の規制の範疇を広げられるかどうかというところを追及していきたいと思っています。その上で、もう既に勢一委員からもお話がありましたが、今回の小委員会でヒアリングに出ていただいた千葉県が特に代表なのですが、千葉県は全国の中でも一番ヤードが非常に数多く集積されているところで、千葉県の実情を踏まえた形での厳しい許可制度を導入していると。これは既に制度として動き始めていますので、我々がつくるナショナルミニマムの規制がまさに千葉県さんが行っている取組の障害になってはいけないということもあり、その上で、奥委員からお話のあった上乗せ横出し的な条例が共用できるような仕組みというのも、我々としてはやはり追及せざるを得ないというところが一つあるのだろうと思います。
一方で、やはりアンケートを行っても温度差が相当あり、条例をつくっている特に関東圏の自治体とそれ以外の自治体では、実態把握もできていないところも非常にあります。あまり許可も登録も届出もそれほど変わらないのではないかという先生方のご意見は受け止めるにしても、いろいろな自治体のお考えというのも我々は念頭に置かなければいけません。今既存の国内の事業者さんのお考えもしっかり考えた上で、どういった手続の仕組みがいいかという点について、この小委員会でも引き続き議論していただきたいというところが一つございます。
また、勢一委員のほうからお話がありましたが、拠点の12のエリアについて、よくないヤードは資料1-2に示した形で規制強化をしていくが、いいヤードはできるだけ整備をしていくという部分について、考え方は分かるのだが、同じ仕組みの中で考えることが、今の廃棄物処理法の枠組みの中ででき得るかというところのお話であったと思います。我々とすれば、この廃棄物処理法の中で規制を進めるものについては、まさに資料1-2に示すヤード規制に関する部分と思っていまして、拠点の部分は、まずFS調査を実施し、12のエリアでどのような拠点整備をしていくか、加えてその際にはどういう支援措置、それは予算的なものもあれば、制度的な支援というのもあるだろうということで、今後しっかり詰めていこうと思っています。
まずは今我々として、この小委員会の第1回のときに、主な論点として拠点整備についても挙げましたが、ここはじっくり今日お話しさせていただいた別の委員会でも議論していければと思っていますので、今の時点で、少し規制する部分と支援する枠組みというのは少し違うものだということでお話しさせていただければと思います。
酒井委員から、12の拠点についてPCB処理設備を受け入れていただいた自治体へのその点についての配慮について、その点も当然のことながら我々はしっかり受け止めていかなければならないと思っています。北九州に関して言えば、今もう過去に整備されたエコタウン事業がありますから、様々な産業が、資源循環産業が集積していますので、そういったものをアップデートしていく中で、新しいつながりができ得ればということで、複合的な事業だと考えています。室蘭に関して言うと、これは北九州と実情が違い、製鉄の町ですから、これまでは日本製鋼と日本製鉄で成り立ってきた町なんですけれども、そういった今の鉄の生産事業とも連携しつつ、プラスチックなどの既存の、最近の課題になっている素材というものも組み合わせた事業が今後でき得るかどうかという点について、今、室蘭で経済連携会議も立ち上げていますので、そうした枠組みを活用しながら中身を詰めていければと思います。
○廃棄物規制課長補佐(山田) 続きまして、それ以外にご質問いただいた点についてお答えさせていただきます。
大橋委員からいただいた対象の物品の2ポツのあり方についてですが、こちらについては、現状で家電、小型家電のリサイクル法に定める物品になっている、機器になっているというところが、今制度上なかなか執行面で困難を伴っているのではないかという観点から、物品という形で、機器を個別に指定するというわけではなく、素材やその材料に着目した形で包括的な規制の対象にできないかと、そういう趣旨で今考えています。
その辺りの法律上の規定ぶりは、我々もこれから勉強してきちんと整備していかないといけないと思っていますが、今問題となっているものがきちんと含まれるような形の規定ぶりを、よく検討していきたいと思います。
同じく物品の考え方として、奥委員から、有害性の高い物品して、鉛、蓄電池、リチウム電池以外に何か考えているかというご質問をいただきました。現状は、全体として先ほど申し上げたような包括的な形で対象にした上で、その中でも優先度が高いものとして、今現状念頭に置いているのはこの2品目ということになりますが、もちろん、引き続き我々も現状把握に努めてまいりますので、必要があればそこに追加をしていくということもあり得ると思います。
高岡委員から頂いた、資料1-2の11ページの生活環境保全上の配慮がなされた事業場というところです。こちらは、今回新しくそういう事業場を特定するということも対応としてはあり得ると思っています。
一方で、例えば11ページに書いているような中和等を行う施設、これは廃棄物処理施設になると思いますので、既存の廃掃法で既にそういった許可を必要とするようなところに持って行くということであれば、きちんとそこに物が持ち込まれるような形での規定ぶりということも考えています。
一方で、この解体、精錬などをどこまで今回の制度で措置していくのかと、例えば、精錬まで入れるのか、解体にとどめるのか、そういった選択肢もあるのかなと思っていますから、より今後詳細に詰めていきたいと思います。
村上委員からいただいたトレーサビリティについてです。ご指摘のとおり、色々な制度が出てしまうと、こちらも大変困るというか、使う側のほうにすると不便を感じるというところもあろうかと思います。ここは、残渣ということで廃棄物を念頭に置いており、現状トレサビのシステムとしてマニフェスト制度がありますので、そうしたところにきちんとヤードから排出されるものについてもフォローされるようにすることは最低限必要なことだと思います。
続きまして、織委員からいただいたリチウム電池、それからNITEの制度情報で事故情報等をよく把握されているというご指摘をいただきました。ご指摘いただいたとおり、今こういったところも今後よく研究をし、当然中身の基準を決めていく際にもこういった情報がないとなかなか基準を決めていけないと思いますので、勉強して対応していきたいと思います。
三井委員のほうからいただきましたが、小型家電の回収については、こういったところも今後小型家電リサイクル法の検討と併せて、我々でも検討していきたいと思います。
高野委員からいただいた、ヤードのほうがビジネス促進につながる視点というところです。今現状も当然不適正なヤードだけじゃなくて、適正に営まれているヤードがあり、そこが資源循環の一役を担っていると我々も認識していますので、きちんと資源循環全体として、それがうまく機能していくように目配せしながら進めていきたいと思います。
すみません。ヤード関係は以上でございます。
○資源循環ビジネス推進室長補佐(塚原) 資料1-3の拠点・ネットワーク調査に関してお答えいたします。
今、松田課長からもありましたが、本調査はケーススタディを通じた課題の洗い出しをこれから進めてまいります。
まずは、浅利委員からご指摘いただいた2ページ目の左下の図ですが、ご指摘いただいたのが不適正ヤードからの流出の「流出」はどういう意味かというところ。こちらの記載はあくまで輸出を意図しておりました。環境流出という問題はもちろんありますが、紛らわしいと思いますので、表現ぶりを検討したいと思います。
それから、有機系の廃棄物につきましては「廃食用油等」と4ページ目に書いていますが、検討段階では「等」ということで考えていたのですが、ご指摘のとおり、12カテゴリーには廃食油からのSAFしか書いてございませんので、そちら、「等」というのは間違いでございます。大変失礼いたしました。廃食用油に対して、今年度は行ってまいりたいと考えています。
それから、二つのエリアに関してもご質問をいただき、一部を松田課長から回答済みですが、6ページ目の図、表の下のほうにあるような循環資源を現在想定しているところです。北九州市につきましては様々なものを扱っておりますが、特に今お話を聞いているのは、リチウムイオンバッテリー、プラスチックや太陽光パネル等を検討していると。これらのところはリサイクラーと製造業が近いとか、港が使えるとか、動静脈連携の一つのモデルとして横展開も含めて検討をしていけるのではないかと思いますので、この二つの事例をまずは深堀りしながら考えてまいりたいと思っています。
また、地域創生のような目線や、高野委員からもウェルビーイングの視点等についてご指摘いただきました。環境基本計画においてもウェルビーイングについて触れられておりますが、そういった様々な重要な視点も含めて、考えながら検討してまいりたいと思っております。
それから、酒井委員からご指摘いただいた調査の観点につきまして、4ページ目の一番下ですが、環境面の評価について、脱炭素化以外にもありますよというご指摘ありがとうございます。おっしゃるとおりでございます。ここの脱炭酸化と書いてあるところですが、再生材の議論をするに当たって、やはりScope3が重要だと考えており、そうした意味でも評価がしっかりされるべきだというのが、まずこの資料上での意図です。また、加えて、有害物質とリサイクルとの関係も国際的にも議論が始まろうとしているところですし、十分留意してまいりたいと思います。その他、GCPでの国際指標の議論もありますので、こうした脱炭素化以外の指標、様々なものも視野に入れながら、しっかり研究、勉強してまいりたいと思います。
また、勢一委員からの指摘で、今松田課長からもお答えいただきましたが、本調査の対象として、循環資源と、廃棄物等の重要なものというものを想定しています。金属など廃棄物として流通していないものでも、我々環境省としてはリサイクルを促進していく場面において技術開発など支援等を行ってきているところです。ただ、金属製錬や素材産業など様々な製造分野が関わってまいりますので、経済産業省との連携を密にしているところです。
私からは以上です。
○大塚委員長 どうも、ご回答ありがとうございました。
では、いただいた意見につきましては、今後の小委員会における検討に当たってご参考とさせていただきます。ありがとうございます。
では、次に、議題の(2)に移ります。
PCB廃棄物の処理に関する制度的措置の検討につきまして、資料の3及び4に基づきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
○廃棄物規制課長補佐(切川) ありがとうございます。
それでは、資料2-1のご説明いたします。
今後のPCB廃棄物の適正な管理及び処理についてということで、副題で記載していますが、JESCO事業終了後の高濃度PCBの対応と、特に使用中の低濃度PCBの対応を中心にご議論いただいてまとめていただいています。
参考資料のところに委員名簿がありますが、酒井委員、織委員、オンラインで参加の高岡委員、経団連にも委員に入っていただき、特に制度の観点から報告書を取りまとめていただいており、その内容をご説明いたします。
まず、スライドの1枚目をご覧いただければと思います。
PCBの概要を記載しています。PCBは五十数年前に製造中止になり、その後処理をしようということで立地を試みたのですが、処理に至らず、長期間保管されることとなったというのが歴史的な背景となってございます。
その次のスライドの2枚目をご覧ください。
PCBに関しては、世界的にも規制がされているというものであり、ストックホルム条約の中で、参考の3ポツの中に記載していますが、50ppmを超えるものに関しては規制されており、令和7年までで使用の廃絶、令和10年までに適正な管理、そして適正な処理が求められています。
その次の3枚目をご覧ください。
日本国内では、このPCBに関しては高濃度と低濃度に分け、真ん中に5,000ppmと書いていますが、これを一つの線引きとし、濃度が高いものに関してはJESCO事業で、国策事業で処理しており、濃度が低いものに関しては都道府県、政令市の許可施設もしくは環境大臣の認定施設で処理されています。
次のスライドの4枚目をご覧ください。
2001年にPCB特措法ができまして、その後、5自治体のご理解・ご協力の下で処理が開始されました。平成28年にPCB特措法を一度改正し、そのときに処分期間を超えた使用中の高濃度にはみなし処理の規定や、代執行の規定が入りました。今年度末、令和8年の3月にはJESCO事業が終了し、再来年度、令和9年の3月末が低濃度PCBの処理期限となっているところです。
その次のスライドの5枚目をご覧ください。
これがJESCO事業での考え方になっており、全国を5つの事業エリアに分け、それぞれに処分期間を設定して、期限内の処理を求めていくことで処理を促進してきました。
次のスライドの6枚目をご覧ください。
参考で、現在での処理の進捗状況を示しています。PCB特措法で届けられ、JESCOに登録されているものに関してはほぼ処理が終わっている状況になります。
その次の7枚目をご覧ください。
PCBの今後の対応の方針です。上のほうに書いていますが、これまで大量に保管されていたものを国策事業で処理するというところに関しては概ね進んでいまして、今後、少量ずつ散発的に覚知される段階に変わっていくというところで、新たな処理体制の確保が課題となっています。それに対応しまして、主要な検討事項として、ア)ですけれども、新たな処理体制の構築の検討をしていくというところと、イ)で、先ほどのヤードのほうで議論がありましたが、一定の期限内での無害化処理を義務づけていくことを主な検討事項としています。
その次のスライド8ページ目が検討会の報告ということで、まとめていただいた方針となります。ア)ですが、今後の処理体制としましては、既に運用実績にもある既存の無害化処理認定施設、こちらでの処理を念頭に置き、既存の焼却炉や溶融炉によって付加する形での前処理工程の検討を進めてはどうかとされています。この前処理工程について、具体的には次に書いていまして、変圧器やコンデンサー等の絶縁油が多く入っている機器に関して、小型のものが中心となるので、それを抜油、解体して、実証試験やリスク等評価を踏まえ、安全かつ効率的に無害化処理ができるような方法を考えていきます。4つ目の丸のところですけれども、そういった確立された技術をガイドラインを取りまとめ、それに基づいた認定制度を考えてはどうかという整理をいただいています。
その次のスライドが、現在検討を進めている実証試験等のスケジュール感です。
その次のスライドの10枚目をご覧いただければと思います。
制度の見直しの観点ですが、先ほどのア)無害化認定の制度に向けてというところで、前処理技術が実証試験の評価により確立されると判断できたとなれば、廃棄処理法に基づく環境大臣の無害化認定制度、こちらを改正し、安全に処理ができる仕組みをまずは構築できればという方針をまとめていただいています。
さらに、イ)ですが、PCB廃棄物の処理を速やかに、早期処理を求めていくというところが重要な観点になりますので、今後も覚知後一定期間内に安全かつ確実に処理することを義務づけていくことと、届出制度により管理していくことを整理いただいています。
先ほどの、ヤードでも議論になりましたが、自治体の負担を低減していくことも重要になりますので、イ)の2つ目の丸に書いていますが、自治体によるJESCO事業での処理計画の策定や数量管理、それに伴う行政指導といった、負荷が大きい事務に関しては、併せて見直しも検討したらどうかということでまとめていただいています。こちらが高濃度の方向性になります。
続いて、スライドの11枚目をご覧ください。
ここから低濃度です。低濃度に関しては、低濃度PCB廃棄物を令和9年3月までの処理期限に向け、ここには処理実績を書いていますが、累積で10万台以上の電気機器等の処理が進んでいる状況ですが、下に米印で書いていますけれども、電気事業法で管理されている電気工作物や、橋梁等の塗膜を中心にいまだ使用中のものがあるということで、この期限後の対応を考えていかないといけない状況です。
参考に、スライドの12枚目に現在の処理体制をお示ししています。先月3月に先ほど酒井委員からご指摘がありましたJFE条鋼、電気炉を使った無害化処理施設も認定を新たに実施し、現在認定施設が24か所、許可施設が2か所、洗浄施設が7か所といった体制になっています。
その次の13ページ目をご覧ください。
今後の方向性というところで、低濃度PCBの使用機器に関して、まず廃棄物に関してはこれまでどおり令和9年3月までの処分期間に向けて、適切に処理いただくことになりますが、低濃度PCBを含む使用製品に関して現時点では規制がありません。適正処理の確保が課題となっておりまして、その主な検討事項としまして、その下に書いていますが、低濃度PCBの使用製品に対する届出を義務づけたらどうかというところで、高濃度に関しては処分期間を超えた場合に廃棄物とみなす規定が設けられていますが、低濃度にはその規定がありません。低濃度に関してどうするかという議論で、使用中の製品に関して、紛失したり、PCBが漏えいしたりしないような管理基準の設定といった仕組みを導入したらどうか、また、使用中の低濃度のPCB機器に関し、使用を止めて廃棄するときには一定期間の処理を義務づけてはどうか、さらに自治体の事務の効率化に関しても検討したらどうかという整理をいただいております。次のスライドの14ページ目をご覧ください。
具体の制度の見直しに向けた検討の方針として、ア)が電気機器を中心とした製品、イ)が建築物と設備に塗られている塗膜で整理をしております。ア)ですが、ストックホルム条約での環境上適正な管理及び処分を確実に実施しいていくというところが重要になりますので、この使用中の機器に関して所有者に対して製品を届け出ていただいて、管理を強化し廃止後の廃棄までのトレーサビリティの確保のためのPCB特措法の見直しをするために、二つ矢羽根を書いています。
一つ目の矢羽根ですが、使用中の低濃度PCB含有製品及び同疑い製品に関する届出を義務化と、基準の設定、基準を遵守する仕組みの導入。二つ目の矢羽根ですが、一定の期間内、原則3年以内と記載しておりますが、その確実な処理を義務づけるとともに、処理後の自治体への報告も義務化できないかということを整理してございます。
また、2つ目の丸と書いてございますが、処理責任者が不存在の場合の対応に関しても検討したらどうかということを記載しています。
イ)は塗膜になります。こちらに関しては建物だとか設備の管理者に塗膜の管理計画・処理計画の提出を求めていくことで、ア)の製品と同じような対応ができないかということを整理しています。
最後15ページ目は、参考として、廃棄物処理法とPCB特措法との関係性を整理していますが、資料2のほうの最初にありますので、そちらでご説明いたします。
○廃棄物規制課長補佐(山田) 続きまして、資料2-2をご覧ください。
先ほど報告のあった有識者検討会を受け、環境省としてこうしてはどうかということで、整理をしたものとなります。
めくっていただきまして、2ページ目です。
今後のPCB特措法に関する制度検討の方向性についてというところです。廃棄処理法とPCB特措法の関係をお示ししており、廃棄物処理法の中でPCB廃棄物を含む廃棄物の処理、業の許可、施設設置の許可、処理基準、こうしたものを決めています。PCB特措法の中で処理期限等を決め、それから処理責任等を決め、これまで処理をしてきたところですが、今後処理期限を踏まえ、またJESCOでの処理が終了することを踏まえて、所要の改正を行ってはどうかというところです。
次のページ、3ページ目です。
最初に、高濃度PCB廃棄物に関してこちらの検討です。課題のところに書いています。PCB特措法に基づき届けられている高濃度PCB廃棄物の処理、こちらについては、今年度末で完了できる見込みとなっています。今後は建物等の解体に伴い、新たに少量ずつ散発的に発見されるといった事態が想定されています。
めくっていただきまして、4ページ目です。
これらを受け、高濃度PCB廃棄物に関して、以下の内容を検討してはどうかというところです。
まず一つ目、届出制ということで、新たに発見されました高濃度PCB廃棄物につきましても、保管や処分の状況を都道府県に届けていただくことで、自治体による監督の対象としてはどうかというのが一つ目です。
二つ目として、一定期間内の処理義務ということで、現行の処理期限、こちらを廃止するのですが、保管事業者等は高濃度PCB廃棄物に該当すると知った日から一定期間内に処分をいただくという形で義務づけてはどうかと考えています。下に米印が書いていますが、高濃度PCB使用製品は引き続き従来どおり廃棄物とみなすという形で取り扱ってはどうかと考えています。
三つ目、処理体制の確保です。前処理技術の実証試験と、こちらの結果を踏まえる必要があると思いますが、廃棄物処理法に基づく無害化認定制度の対象として、高濃度PCB廃棄物を追加し、必要な前処理技術の基準も追加してはどうかというのが3点目です。
次、めくっていただきまして、5ページ目をご覧ください。
低濃度PCB廃棄物に関する規制です。先ほどもご紹介したとおり、課題としては、現行のPCB特措法に基づき、令和9年3月末までの処分が義務づけられているところです。課題としては、低濃度PCBを含む使用製品には規制がないという現状ですので、それに対応するということで、めくっていただき6ページ目です。
検討事項として、届出制で低濃度PCBの使用製品等の所有事業者に対して、その管理状況等について届出を義務づけてはどうかというのが一つ目です。低濃度PCB使用製品等という形で「等」をつけているのは、その疑い製品も含むという形で整理してはどうかと考えています。
二つ目として、管理基準の適用ということで、こうした低濃度PCB使用製品等を所有している方について、管理のための基準を設けてそれを遵守いただくこととしてはどうかというのが二つ目です。
三つ目として、一定期間内の処理義務ということで、この使用製品を使わないと、もう廃棄をするという段には、届出をしていただいた上で、一定期間内に処分いただくということを義務づけてはどうかというのが3点目です。
7ページ目をお願いいたします。
低濃度PCBを含有する塗膜は下の写真のとおり、橋梁や、またタンク、こうしたところにさび止めとして使われているという現状です。こうしたインフラ等の設備に使われているということで、すぐに撤去するというのは難しい状況にあります。
一方で、これを計画的に処理していただくことも大変重要ですので、下の検討事項のところをご覧いただき、こうした設備等を所有する方に、低濃度PCB含有塗膜等の管理計画の策定を義務づけたらどうかと考えています。この計画に基づき、施設のインフラの更新等のタイミングで適切に処理を進めていただきたいと思います。
続きまして、8ページ目をご覧ください。
自治体の事務負担軽減です。これまで、高濃度PCB廃棄物が大量にあり、それを期限内に計画的に処理をしていかないといけない状況から、今後散発的に少量ずつ発生するという段階に移りますので、そのタイミングで、行政による事務内容についても見直しをしたいと思います。
検討事項をご覧ください。
まず一つ目といたしまして、今政府でPCB廃棄物処理基本計画というものを定めていますが、こちら計画の制度を見直し、今後の処理方針を定めるという形にできればというのが一つ目です。
二つ目といたしまして、この基本計画に沿い、都道府県等でPCB廃棄物処理計画を策定いただいています。また、PCB廃棄物の保管・処分の状況を公表いただいていますが、先ほどのような状況の変化を含め、こうした制度を廃止してはどうかというのが二つ目です。
また、その他といたしまして、JESCOによるPCB処理事業、これが処理完了となり、今後は施設解体が主な業務になっていきますので、JESCO法の関係規定の見直しも検討してはどうかというのが一つ目。
二つ目が、処理責任者が不在の低濃度PCB廃棄物につきまして、これが発見された場合に備え、行政代執行の規定も検討したらどうかというのが二つ目です。
資料の説明は以上でございます。
○大塚委員長 どうもありがとうございます。
それでは、PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会の委員を務められました高岡委員からも、検討会の検討結果についてご発言をいただきたいと思います。
高岡委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○高岡委員 ありがとうございます。
ただいま環境省のほうからご説明があったとおりですが、私からも少しお話をさせていただきたいと思います。
この制度小委員会においても、第1回の会議で事務局から検討状況の説明、第2回の会議で経団連と兵庫県から現状と課題の説明等がありました。現在、このPCBは、先ほどご紹介がありましたように、早稲田大学の永田先生が座長で、PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会で議論をしております。この委員会におきましては、福岡大学の浅野先生、それから本委員会の委員を務められております酒井先生、織先生も委員をされています。また、私もその委員をしており、さらに座長として低濃度PCBに関する検討会を取りまとめています。
先ほどご紹介ありましたように、高濃度PCB廃棄物は平成28年度のPCB特措法の改正で、使用中の機器も処分期間後には廃棄物とみなす規定を置くなど、処理が推進し、もう今は最終段階に来ています。ただ、このJESCO事業が終了しますので、その後、少量かつ散発的に出てくるPCB廃棄物、高濃度PCB廃棄物がどうしても存在するということになります。その処理体制の検討、それから覚知されたものの処理期限について検討して取りまとめたところです。
また、低濃度PCBについて、こちらは使用中の機器にまだ使われているもの、それからそれが疑われるものもあります。ただ、これは使用中ということですので、令和9年3月までの処理期限には廃止されないという課題もあり、永田先生の下で業界や行政の意見を聞きながら議論を重ね、制度検討の報告書が取りまとめられました。
このPCBの廃絶に向けて、今後も安全かつ適正に処理するために、これまでの思想を踏まえた制度的な手当てが必要と考えています。例えば、低濃度PCBについても、ストックホルム条約の規定を踏まえ、高濃度PCBと同じように使用中の機器や疑い物の管理体制を強化し、廃棄物となった後は、原則3年以内に処理を義務づけるなど、制度的な手当てが必要だと考えております。この委員会でよろしくご審議のほどお願いしたいと思っています。
以上になります。
○大塚委員長 どうもありがとうございました。
それでは、これから質疑応答に移ります。
ご質問、ご発言をご希望の方は、挙手ボタンまたは名札を立てていただければと思います。
なお、十分な議論の時間を確保するために、今回も1人当たり約2分でご発言をお願いいたします。
では、斉藤委員、お願いします。
○斉藤委員 ご指名ありがとうございます。斉藤です。
細かいところで1点お伺いしたいのが、資料の2-2の7ページで、低濃度の話を少しお伺いのですが、インフラ等、PCB含有塗膜等の話をされていたかと思います。
こちらについては今すぐどうこうできるわけではないので、補修・更新の際ということだと思うのですが、現状でどのぐらいあるのかという数値的なものを把握されているのかなというところが気になりました。今後、前回のアスベストの話もそうだと思いますが、建築物等に使われている有害なものについて、いずれ何らかの形で処理しなくてはいけませんが、どのぐらい把握できているのかということがとても重要かだと思っています。建築物等のものの場合には動かせませんので、それがどこにあるのかを正しく管理できるのかという気がしますが、仮にこれが低濃度のもので動かせるものについてもどのぐらい把握できるのかということが重要です。どこにあるかが分からないと結局その後、トレースもできないような状態になってしまいますのでもちろん今まで様々な形で把握をされているのだとは思いますが、現段階でどの程度それが把握できていて、どこが把握できていないのかという点について教えていただければと思います。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。
では、高野委員、お願いします。
○高野委員 それでは、経団連として発言いたします。
検討委員会の取りまとめ結果及び本日示された制度措置の検討について、賛同したいと思います。産業界はこれまでも国や自治体との協力のもと、高濃度および低濃度PCBの無害化処理に着実に取り組んできました。低濃度PCB廃棄物については処理期限までに処理を完了する計画であるとともに、使用中の低濃度PCB使用製品および疑い製品の調査・分析と処理について鋭意検討を進めております。
また、届出制度の導入についてのご説明がありましたが、そのとおりであると考えます。処理期限以降に低濃度PCB廃棄物として発生しうる使用中の低濃度PCB使用製品及び疑い製品に関する制度見直しにおいては、中小企業等を含めて裾野が広い問題でありますので、社会全体での適切な管理・処理を進めていくための届出制度を導入し、合理的で実効性のある制度とすることが重要と考えます。
産業界としては、引き続き、環境上のリスクを極力低減する措置を徹底する所存でございます。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。
対面の先生方、まとめてお願いしようと思います。勢一委員、お願いします。
○勢一委員 ありがとうございます。勢一です。
私も、先ほど斉藤委員が指摘したところ、同じように気になっています。どのくらいのボリュームが想定されているのかというところです。当然、それにより自治体への届出制というご提案をいただいていますが、どのくらいの事務が発生するのかというところに関わるのだろうと思います。
また、届出制が採られた場合、自治体は情報を把握できますが、把握した後どうするのかというところもあると思います。どのくらいのスパンでその機器が使用されるのか、製品が使用されるのかによって、それをずっと監視を続けていくのかということと、その辺りの制度設計を時間的スパンと併せてどうするのかというところ、また、移動する可能性がある場合に、県境を越えていく可能性があり、知事への届出制で機能するのかどうかは気になるところです。デジタル化の時代ですから、環境省でデータベースなどをつくり、そこで把握していただくというのも一つの方法だと思いました。以上です。
○大塚委員長 では、酒井委員、お願いします。
○酒井委員 ありがとうございます。
今回、資料2-2で、制度的措置への検討までしっかり踏み込んだ提案にしてくれていることで非常にうれしく思います。加えて、先ほど高野委員から産業界としても基本的に賛同する、特に届出制のところに関しての賛同の意見も得られましたので、この後うまく進んでくれるということを期待しております。
その中でですが、一つ、自治体の負担軽減を最後のページでしっかりと触れられていることも、これまでの業務の軽減化というところを図るということで、よい方向だと思います。その中で一つ、低濃度製品への届出制を置くということですが、逆にどの程度の事務量が発生して、それへの対応がどういう見通しなのかということについて、今分かっていること、今後調べていくことを、ご説明いただければと思います。
もう一つは、この使用中製品対応ということがこれまでのPCB処理の中でも非常に悩ましい点であったということは事実であり、今日は具体的に説明はありませんでしたが、やはり電気事業法との関係、既存政策との関係の中で、そこを規定する制度とは綿密な協調関係は必要だと思います。そこに対して非常にご苦労されてきたという事実は十分に認識をしていますが、今後より改善されたいい協調関係ができることを願っています。
併せて、こうした製品管理との関係は、環境省が今後進められる循環資源利用の中で、あらゆる制度が関係してくる話だろう認識しています。そうした意味で、製品管理という側面での重要な先進事例ということになりますので、この経験を大事にしていただければという希望を最後に申し添えます。
以上でございます。
○大塚委員長 ありがとうございます。
織委員、お願いします。
○織委員 ありがとうございます。
ここまでようやく来たなという気が本当にしています。高濃度の目途がつき、これからちょこちょこ出てくる高濃度をどうするかという問題から、薄く広く広がっている低濃度についてどのように製品管理、さっき酒井委員がおっしゃったように製品管理していくのか、あるいはどのように情報収集をしていくのかというところで、高野委員のほうで事業者としても協力をしていくというお話しでしたが、多分中小企業がどのようにしていくのかというところをいかに業界団体としてもサポートしていくのかと、今までの情報普及のところのリソーセスを環境省としてもサポートのところにどうやっていくのかという、そうした具体的な支援策がないと、なかなか広く薄く広がっている低濃度について中小企業の方が製品の管理をしながら処理に回す、届出をしていくというのは、現実にはなかなか大変なことなのではないかと思います。
高濃度と違って、中小企業をどうやって巻き込んでいくかというところをぜひご検討いただきたいということと、自治体の負担軽減のところが、先ほど酒井先生もおっしゃったところ、非常に重要なところだと思います。計画、単発処理のみで計画表にしていくという、ここは非常に重要なところだと思います。
一方で、今まで高濃度についてこれだけ処理が進められた背景には、自治体の方が見つけ出してくださったという、そういったご努力や、地域に密着したところがあったと思いますので、また低濃度でも色々ご協力いただけるような形でしていければなと思います。
改めて、7拠点、高濃度の皆さんの地域の環境委員会も含めて、ここまでやってきたこととして、この制度まで落とし込んできたことについて感謝したいと思います。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。そのとおりですね。
寺園委員、お願いします。
○寺園委員 ありがとうございます。
斉藤委員ほか、数名の委員がご指摘されたように、低濃度PCBの所在把握と、あと自治体等の負担軽減について、少し重なりがありますけれども、私もアスベストのことも念頭に置きながら発言をさせていただきます。
今回はPCBが対象で、低濃度PCBの所在把握ということについて、社会の中にストックとして有害物が存在しているということの把握と、管理責任をこれからどうやっていくかということで、一つの方向性が出されたのだと理解しています。そのときに、自治体の負担軽減も重要ですが、所有者についても、色々と検討されてきているのだと思いますが、見落としですとか、わざと出さないとか、そういうことがないような所有者と自治体双方の負担軽減についてご検討いただきたいと思います。
また、その把握と管理責任が一定程度できたら、そうしたものは災害時にも把握できるようにしていくことが必要だと思います。
最後、1点ですが、低濃度PCB含有塗膜について、即座に全部取るということは難しく、使用を継続するということもあるのは理解するのですが、上から重ねて塗装するということが不十分な管理の状態で行われると、結局後でどうなったか不明になってしまうということもありますので、再塗膜については慎重に考えていただき、技術的、財政的に可能であれば、取れるときは除去するということも含めて考えていただきたいと思います。
以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。では、オンラインのほうに移ります。
大橋委員、どうもお待たせしました。
○大橋委員 ありがとうございます。
私のほうから3点。まず、資料の2-2の5ページをお願いします。
低濃度PCB使用製品等について届出制をもって処理までの工程を確認するというのは非常に重要なことだと思います。ただ、この低濃度PCB使用製品の一部なのか、多くなのか、電気事業法でも、先ほど委員の先生からもありましたが、電気事業法での届出も既になされているものもあると思います。改めて、これで届出制度を設けると、2方向に届け出るなど煩雑になるのではないかと思っていますので、できるだけ申請者が複雑にならない、また進捗管理が複雑にならない方法に工夫する必要があると思います。
次、7ページをお願いします。
塗膜についてですが、本県でも橋梁の塗膜に含有されていないかという分析をここ数年やっています。ただし、これは分析をしないと含有しているかどうか分からないということがありますので、この計画の策定を義務づけるという方向性はよいと思いますが、計画策定の義務対象者であるかどうか、対象の建築物であるかどうかということをきちんと判別させる工夫が、その前段で必要であると思います。
最後、8ページをお願いします。
事務負担の軽減について、いろいろご検討いただき大変ありがたいと思います。ただ、一番最後、その他の二つ目のポツにあります代執行は、こうしたこともやっていかなければいけないというのは理解しています。この代執行に関しては、自治体も事務的にも、財政的にも負担としては小さくないものですので、これを制度化するのであれば、改めて国の技術的な、財政的な支援も併せて検討していただけるとありがたいと思います。
以上です。
○大塚委員長 ほかにはよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
では、事務局のほうからご回答をお願いいたします。
○廃棄物規制課長 ご質問、ご意見ありがとうございます。
電気事業法の話が酒井委員と大橋委員からございました。今、高濃度PCBの使用製品につきましては、PCB特措法の第20条において、高濃度電気工作物に関するもので電気事業法が適用されるものは、経済産業省の地方の経産局のほうに届出をする仕組みもあります。こうした既存の仕組みも念頭に置きながら、経済産業省とも今後の制度の見直しの方向も踏まえてどうしていくのか、我々もよく考えていきたいと思います。
PCB使用製品の部分については、電気工作物に関するものがかなり多いと思います。先ほどから自治体の事務の部分で勢一委員からもお話があり、ボリューム感が一体どうなんだというところありますが、こうした電気工作物のようなものの扱いをどうしていくのかという部分が、いわゆる電気事業法によるものは、手続は電気事業法によるものとなっていけば、業務量自体は大分変わっていくと思いますので、大橋委員からのご指摘はそういった点も含まれていると思いますので、よく考えていきたいと思います。
低濃度PCBの使用製品について所在をどうするか、データをどういった形で管理していくかというお話しもありました。この点も、できるだけこれまでの高濃度PCBの取組というのも参考にしつつ進めていきたいと思います。高濃度PCBについてはデータベースも持っていますので、こうしたものも活用しながら、届出情報について環境省のほうでも管理していくことができるかどうかということも含め、今後我々としても考えていきたいと思います。
また、大橋委員からありましたは、代執行に関する自治体の負担について、この点については従前より廃棄物処理法においても不法投棄、不適正処理が行われた後の行政代執行に対して基金事業で支援を行う、加えて、高濃度PCBの廃棄物についても代執行規定がPCB特措法でありますが、それについてもPCBの基金で対応してきたという経過もありますので、こうした点も念頭に置きながら、制度設計と併せてこうした支援措置が考えられるのかどうか、考えていきたいと思います。
○廃棄物規制課長補佐(切川) 塗膜を使用しているものの把握に関してですが、原因究明の中で、昭和41年から49年の9年間に建造されたり、塗膜の塗り直しがされたものというのが対象とされており、それが全国に3万強の建物がございます。そのうち2万5千までは調査が終わっているところでして、調査の結果によると、2割ぐらいの建物からPCBが検出されている状況です。残りが5千ほどあり、それらは今計画的に調査を進めていっていただいています。その中でも特に橋梁が多いのですが、橋梁以外にも水門、船舶、タンク、そういったものがこの塗膜を使用しており、中央省庁、自治体、業界団体の皆様にもご協力いただき、令和元年から調査を進めている状況であり、毎年現状を把握しております。
もう一点、使用中の機器がどれぐらいあるかという御質問ですが、変圧器やコンデンサーなどの製造台数と国内流通量、平均使用年数から、数年前に試算したときには30万台ぐらいあるのではないかという試算があります。その後処理が進み、また、PCBの検出率がどれくらいあるかというデータの蓄積も実施しておりますので、改めて昨年度行いました実態把握も含めて、ボリューム感を改めて推計していくのかなと考えています。
移動の観点もありましたが、特に大企業さんで使われている機器に関しては、受電設備や、大きな機械を制御するための装置に使われているものがあり、同じ装置を長く使われている事例が多いと聞いています。そういったものも実態把握しながら、対策はしっかり検討していきたいと考えています。
以上になります。
○大塚委員長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
では、いただいたご意見につきまして、今後の小委員会における検討に当たってご参考とさせていただきます。どうもありがとうございます。
次に、議題の(3)その他につきまして、事務局からお願いいたします。
○廃棄物規制課長 特にございません。
○大塚委員長 ありがとうございました。
本日の議事は以上となりますので、進行を事務局にお戻しいたします。
○廃棄物規制課長 次回の小委員会につきましては、事務局から改めてご連絡させていただきます。
以上で、本日の小委員会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
午後4時56分 閉会