産業構造審議会産業技術環境分科会資源循環経済小委員会自動車リサイクルWG中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会 第59回合同会議 議事録
開催日時
令和6年11月14日(木)15時00分~17時38分
開催方式
Web会議併用のハイブリット方式
議題
(1) 自動車リサイクル法の施行状況について
(2) 自動車リサイクル制度をめぐる各種取組状況について
(3) その他
(2) 自動車リサイクル制度をめぐる各種取組状況について
(3) その他
議事録
○伊藤補佐 それでは、定刻になりましたので、これより産業構造審議会イノベーション・環境分科会資源循環経済小委員会自動車リサイクルワーキンググループ及び中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会の第59回合同会議を開催いたします。
経済産業省側事務局の製造産業局自動車課の伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、開催に当たりまして、事務的な事項を御案内、御報告申し上げます。本合同会議は、両審議会を合わせまして、23名の委員及び4名のオブザーバーで構成されております。本日は、21名の委員及び1名のオブザーバーの方に対面及びオンラインにて御出席いただいております。
なお、産業構造審議会自動車リサイクルワーキンググループにおいては、9名の委員に御出席をいただいており、定足数である過半数に達していることを御報告いたします。
なお、中央環境審議会自動車リサイクル専門委員会につきましては、定足数の規定はございません。
続きまして、委員の構成変更及び出欠について御報告いたします。
まず、産業構造審議会におきまして、日本自動車工業会の大津委員に代わりまして、伊藤委員が着任されております。
中央環境審議会におきまして、川崎市廃棄物指導課長の入江委員に代わりまして木下委員が、日本自動車リサイクル機構の酒井委員に代わりまして石井委員が、日本自動車連盟の島委員に代わりまして野津委員がそれぞれ着任されております。
大変恐縮ながら、新たに着任されました委員におかれましては、一言御挨拶をお願いいたします。まず、伊藤委員からお願いいたします。
○伊藤委員 皆さん、こんにちは。自工会環境技術政策委員会で委員長をやっております伊藤でございます。よろしくお願いいたします。このような場で様々な議論ができることを本当にうれしく思います。よろしくお願いいたします。
○伊藤補佐 ありがとうございました。それでは、木下委員、よろしくお願いいたします。
○木下委員 御紹介いただきました川崎市役所廃棄物指導課課長の木下と申します。本日はよろしくお願いいたします。ウェブ出席となりますが、活発な御議論、参加させていただくことをうれしく思っております。よろしくお願いいたします。
○伊藤補佐 ありがとうございます。それでは、石井委員、お願いいたします。
○石井委員 日本自動車リサイクル機構の石井浩道と申します。本日、これからどうぞよろしくお願いいたします。
○伊藤補佐 ありがとうございます。では、野津委員、お願いいたします。
○野津委員 日本自動車連盟の専務理事の野津真生と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○伊藤補佐 ありがとうございました。
なお、産業構造審議会におきまして、日本自動車整備振興会連合会の島オブザーバーが新たに着任されておりますことを併せて御報告いたします。
続いて、出欠について御報告いたします。全日本自治団体労働組合の木村委員、三重県環境生活部の中島委員、日本自動車販売協会の荒居オブザーバー、全国軽自動車協会の板崎オブザーバー、日本自動車整備振興会の島オブザーバーから御欠席の御連絡をいただいております。
なお、オンラインでの参加の所委員におかれましては、所用のため途中で一度退席され、再度参加されると伺っております。
それでは、第59回合同会議の開会に先立ちまして、経済産業省製造産業局自動車課長の伊藤より一言御挨拶申し上げます。
○伊藤課長 経済産業省製造産業局自動車課長の伊藤政道と申します。よろしくお願いいたします。
委員、オブザーバーの皆様におかれましては、大変御多忙のところ、今回の産業構造審議会及び中央環境審議会の第59回自動車リサイクル合同会議に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
自動車リサイクル制度は2005年に法制度化されて以来、既に20年近くたっておりますけれども、これまでフロンやエアバッグ等の指定品目の回収とともに、自動車破砕残渣の再資源化、また、これに伴い不法投棄や不適正処理の大幅な減少といったことを実現して、制度として順調に機能してきたということだと思っております。これもひとえに本日お集まりの委員、オブザーバーの皆様をはじめといたしまして、自動車リサイクル制度に関わる関係団体の皆様の日頃からの御尽力の賜物であり、この場をお借りして改めて御礼を申し上げたいと思います。
近年、サーキュラーエコノミーへの移行ということが我が国の重要戦略の1つとして位置づけられてきております。本年8月2日には、我が国のサーキュラーエコノミーへの移行の指針を定める第五次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定されたところでございます。
サーキュラーエコノミーへの移行は、気候変動、生物多様性の保全、環境汚染の防止といった環境面の課題と地方創生や質の高い暮らしの実現、あと産業競争力の強化や経済安全保障といった課題、これらの同時解決にもつながっていくものであると考えております。我が国の国家戦略としても着実に進めていく必要があるのだろうと考えているところでございます。
国際的にも、欧州を見てみますと、新車のリサイクル材含有要件を含む規制の導入が検討されていると承知しております。日本国内でも経産省の産業構造審議会資源循環経済小委員会において、プラスチック等の再生材利用義務について検討するという方針が示されているところでございます。
本合同会議におきましても、自動車リサイクル制度の高度化、とりわけプラスチック、樹脂のリサイクルの取組を推進するため、本日の主な議題として取り上げさせていただきました。自動車リサイクル制度では、使用済自動車の解体・破砕過程において、樹脂、ガラスの資源回収を強化することを目的といたしまして、資源回収インセンティブ制度の検討を進めているところでございます。
本日、経産省より本制度の準備状況、今後の方向性について御報告させていただくとともに、環境省からは自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアムなどの取組について御説明させていただく予定としております。
委員、オブザーバーの皆様におかれましては、サーキュラーエコノミーへの移行を念頭に置きつつ、自動車リサイクル制度の高度化に向けて、活発な御議論を賜れればと思う次第でございます。
このほか、日本自動車工業会、自動車リサイクル促進センターからも自動車リサイクルに係る各種取組について御報告いただく予定となっております。
本日は、長時間にわたる御議論となってしまいますけれども、ぜひともよろしくお願いいたします。
○伊藤補佐 引き続きまして、配付資料の確認をいたします。
配付資料につきましては、事前に御案内いたしました経済産業省、環境省のホームページに掲載しております。資料は1から6、参考資料は1から4がございます。
対面で参加の委員におかれましては、机上のiPadに資料が格納されておりますので、御覧ください。お手元にiPad操作方法の紙を配付しておりますが、操作が分からない場合はお近くの職員にお尋ねください。
オンライン参加の委員の皆様におかれましては、御発言をされる場合を除きマイクをミュートとし、ビデオもオフとしてください。御発言の際にはマイクのミュートを解除し、ビデオをオンにして御発言をお願いいたします。
なお、本審議会はYouTubeによるライブ配信をさせていただいております。
それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。
これ以降の議事進行につきましては、山本座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございます。ただいま御紹介いただきました山本でございます。昨年度より産構審側で座長を仰せつかっております。
今年度、久々に対面も併用ということで、多くの皆さんのお顔が見られて大変うれしく思っております。同時に、テクノロジーも駆使して、効率的な議論をできればと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
では、早速議題に入らせていただきます。本日の議題ですけれども、資料1、議事次第にありますとおり、自動車リサイクル法の施行状況についてと、自動車リサイクル制度をめぐる各種取組状況についてとなっております。
初めに、事務局より資料3について、議題1の説明をいただきます。
続けて、議題2につきまして、サーキュラーエコノミー推進の観点から、自動車分野における樹脂リサイクルの推進について、事務局及び日本自動車工業会より資料4を用いて御説明いただきたいと思っております。
その後、続けてになりますが、事務局よりカーボンニュートラルと3R検討会について御説明いただくように考えております。
本日、御出席の委員及びオブザーバーの皆様におかれましては、資料3及び資料4について御質問、御意見があれば、その後、御発言をいただきたいと考えております。それ以外につきましては、議事進行の都合もございますので、最後に自由討議の時間を設けております。その際に回答するようにしますので、少しお待ちいただければと思います。
では、まず事務局から資料3の説明をよろしくお願いいたします。
○仲野補佐 環境省資源循環ビジネス推進室の仲野と申します。私から資料3の御説明をさせていただきます。
まず、お手元の資料3の2ページを御覧いただけますでしょうか。2ページ目が全体の施行状況の概要となっております。この資料3自体が長いため、ポイントを絞って御報告させていただきます。
まず、 (1)再資源化等の実施状況でございます。
令和5年度の使用済自動車の引取台数としましては273万台ということになりまして、令和4年度の274万台から1万台減っております。自動車リサイクル法が施行されて以来、一番低い数字となっております。
②に自動車リサイクル法で再資源化義務を課している3品目の引取状況がございまして、いずれも240万件程度ということで、ここは前年度と同様の数字となっております。
再資源化の状況でございますけれども、リサイクル率としまして令和5年度実績、シュレッダーダストでは製造業者によって多少ずれますが、96から97.3%、エアバッグ類については96から97%となっております。
この2つの品目につきましては、自動車リサイクル法で再資源化の基準を設定しておりますけれども、いずれも長期間にわたって基準はクリアしているというような状態が継続しております。
(2)に移りまして、法律に基づく事業者の登録、許可の状況でございます。
全体の登録許可事業者が3万7,000者弱になっていまして、令和4年度末から比べますと1,000件程度減少しております。引取業者でマイナス850、フロンでマイナス150といった程度、全体としてマイナス1,000というような状況でございました。
(3)リサイクル料金の預託状況でございます。
令和5年度としましては、新車登録時の預託台数として453万台、金額としましては約480億円という形になっております。令和4年度はそれぞれ439万台、450億円でしたので、昨年度よりは増加しているというようなところでございます。
②のところは令和5年度末時点での預託台数と預託金額の残高になっております。預託台数としましては8,118万台程度、預託金額の残高としては約8,580億円ということになっております。
③輸出返還の状況でございますけれども、国内でリサイクルされないということで、リサイクル料金が返ってくるわけですが、輸出における返還台数が令和5年度で157万台で、金額的にいいますと200億円程度となっておりました。令和4年度は129万台で、令和4年度に比べると増加しているというような状況でございます。
このページ、最後になりますけれども、(4)不法投棄、不適正保管、離島対策の状況でございます。
まず、①としまして不法投棄、不適正保管の車両ですけれども、4,613台ということで、前年度からは164台減少しております。そのうち100台以上のものを大規模案件と呼んでおりますけれども、大規模案件、令和4年度末では4件あったところ96台減りまして、残り3件、663台というような状況でございます。
②の離島対策の実績としまして、離島における使用済自動車の本島への海上輸送費の8割を補助しているところでございますけれども、令和5年度の実績としましては約2万2,000台、金額にして1億2,000万円程度の補助をしております。事前に計画を各市町村から出していただくのですけれども、その計画では令和6年度は83市町村において2万6,000台程度の処理を見込んでいるというようなところでございます。
続きまして、3ページへ移動していただけますでしょうか。使用済自動車の使用年数自体は、令和5年度は16.7年ということで、右肩上がりで使用年数が伸びてきているというような状況でございます。
続きまして、4ページですが、中古車登録台数としては643万台、オークション流通台数としては770万台といずれも前年度と比較して増加しているというような状況でございました。
続きまして、少し飛びますが、8ページをお願いできますでしょうか。⑤シュレッダーダストの処理状況、(ア)のところですが、一番下のASRの再資源化率というところを見ていただきますと、全体の再資源化率としては96.6%となっております。熱回収を除いたASRのマテリアルリサイクル率も令和元年度からは算出しているところでございますが、令和5年度の状況としましては28.8%というような状況でございました。
続きまして、9ページをお願いいたします。(エ)の自動車由来の最終処分量ですけれども、ASR自体は安定的に処理されておりまして、表の中の③埋立施設に直接投入されたASR重量は近年、継続的にゼロとなっております。1台当たりの最終処分量を見ますと、令和5年度としては7キロとなっております。より細かく見ると6.7キロということで、四捨五入して7キロということでございます。
(オ)全部利用の状況でございます。全部利用、ASRが発生しない処理方法ということでございますけれども、表の真ん中辺り、認定全部利用の件数を見ていただきますと約15.4万件、令和4年度と比べると101.7%ということで、少し増加したというような状況でございました。
続きまして、16ページまで進んでいただけますでしょうか。④の特定再資源化預託金等の発生状況でございます。令和5年度におきましては、約19億円発生しております。事故であったりですとか、非認定全部利用といったリサイクル料金がユーザーに返らない、再資源化にも回らないというときに特定預託金になりますけれども、そういったところが19億円程度発生したというような状況でございます。
資料が非常に多い中、駆け足で御説明させていただきましたけれども、全体としての状況は以上でございます。
○山本座長 ありがとうございます。それでは、続きまして、資料4の自動車リサイクル制度の各種取組状況についての御説明をお願いいたします。
○仲野補佐 引き続き、資料4―1につきましては、仲野から御説明させていただきます。
資料4―1の1ページ目をお願いできますでしょうか。資源循環を取り巻く状況として、最近の動きについて御説明させていただきます。
まず、循環型社会形成推進基本計画についてでございます。この計画は、循環型社会の形成に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために定めるものでございますけれども、令和6年8月に第五次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定されております。今回の計画の大きなポイントは、循環経済への移行を国家戦略に位置づけたということでございます。
循環経済の概念図がございますけれども、循環経済への移行は、その図の下、緑の枠で囲っておりますが、ネットゼロですとかネイチャーポジティブ、産業競争力強化、経済安全保障、地方創生といったところに資するものであって、ウェルビーイングを実現するために重要なツールでございます。
また、循環基本計画の中に自動車に関する記載がございまして、大きな点としましては、自動車のライフサイクル全体での脱炭素化、また、ライフサイクル全体での資源循環をうたっております。
続きまして、次のページに行っていただきますと、再資源化事業等高度化法の御説明でございます。こちら廃棄物処分業者による再資源化事業等の高度化の取組を促進するために、令和6年5月に公布されたものでございます。
まず、3つの緑の枠ですけれども、基本方針の策定、再資源化の促進、再資源化事業等の高度化の促進を主な措置事項としております。まず、目指すべき基本的な方向性を国が示しまして、これを実現するための関係者の取組の方向性を示すこととしております。その上で、再資源化の実施を促進するための措置を講ずることによって、高度化を促進する下地を形成することをねらいとしております。
また、先進的な取組を促進するため、の枠で囲っております3つの類型に該当する事業、事業形態の高度化、技術の高度化、工程の高度化といったところを環境大臣による認定制度を創設しまして、生活環境の保全の措置を講じた上で、廃棄物処理法上の特例を措置するというようなことを建付けとしております。
これらの措置を通じて脱炭素化の推進と循環経済への移行に通じる効果を目指しております。
資料4―1につきましては、以上でございます。
○塚原補佐 それでは、資料4―2に関しまして御説明させていただきます。
自動車リサイクルに関連する取組といたしまして、自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアムを11月20日に立ち上げを予定してございます。
次の7ページから御説明いたします。冒頭、伊藤課長からも御挨拶がありましたとおり、欧州におきまして、自動車の製造における再生プラスチックの利用を義務づける法律の案が出ております。昨年の7月にこちらが発表されまして、まだ欧州議会では議論中なのでございますが、施行されましたら6年後から欧州で販売する自動車の新車製造において、再生プラスチックを25%以上利用することが義務化される動きがございます。25%のさらにその25%は廃自動車由来ということで、自動車における水平リサイクルが促されるという方向での規則でございます。
国内でも再生材の利用に係る議論がなされているところでございますが、国内で利用されている再生プラスチックは非常に限られておりまして、量、質ともに不足しております。
そこで、環境省では日本としての戦略的な対応を進めるための産官学によるコンソーシアムを立ち上げる予定でございます。
立ち上げの背景ですけれども、今申し上げましたような国内外での動き、それから、そもそもプラスチックの資源循環に関しまして、国としても取り組んでいるところ、現在、排出されている廃プラスチックの6割が熱回収されているということや、国内でリサイクルされているものに関しましても、その7割が輸出されているということで、国内で再生材を活用する市場が立ち上がっていないというところに課題を見いだしております。
特に自動車という高品質の再生材が求められる業界に向けて再生材を供給していくために、その流通量を拡大し、動静脈の連携した取組が必要と考えています。
進め方に関しましては、2030年前半を見据えて、サプライチェーンを横断する業界団体10団体の参画を得て、今年度2回程度行う予定でございます。本日、ここに御参加いただいている団体の方々や専門家の先生にも御参加いただいていますが、さらに樹脂に関するリサイクラーであったり、廃棄物処理に関わる団体にもお声がけをしてございます。
製造業とリサイクル業の連携によって、どのような取組を行うか、それに対して、さらにどのような支援を国が行っていくかということについて検討いたしまして、今年度中にアクションプランを取りまとめる予定でございます。
資料4―2に関しましては以上です。
○角田補佐 続きまして、資料4―3、資源回収インセンティブ制度について、経済産業省自動車課の角田から御説明させていただきます。
資料をおめくりください。これまでの審議会では、資源回収インセンティブ制度の背景や概要について御説明させていただきましたが、今回はそれに加えて、現在の進捗状況についても御説明させていただきたいと思います。
まず、インセンティブ制度の経緯ですが、諸外国の廃棄物の輸入規制をきっかけに、2018年から2019年にかけて、国内の廃棄物処理施設での廃棄物の受入れが増加しました。それによってASRの処理が逼迫するということが一部で生じまして、それに伴ってASRの処理費用も上昇するということが発生いたしました。
ASRの引取りが滞ったり費用が上昇することは、自動車リサイクル制度の円滑な運営に支障が生じる可能性がございますので、ASRの発生量を減量させることと、再資源化を高度化させることを目的としまして、素材の回収に取り組む解体業者や破砕業者に対して、預託されたリサイクル料金を原資としてインセンティブを付与する制度が検討されることとなりました。
当時は、こうした経緯により検討を行っていたのですけれども、先ほど環境省から説明があったように、昨今、サーキュラーエコノミーへの移行が国の重要な政策課題となっておりますので、自動車リサイクルの分野においても樹脂のリサイクル、素材のリサイクルを推進していくことが求められております。
経済産業省としましても、環境省とか関係団体等と連携をしながらインセンティブ制度を活用した取組を進めてまいりたいと考えております。
インセンティブ制度の取組を円滑に進めるために、令和2年度の審議会において、事務局よりインセンティブ制度の概要を提案させていただきました。その後の検討を踏まえて、制度の基本的事項をまとめたインセンティブガイドラインの中間取りまとめを作成しまして、令和4年度の審議会で報告をさせていただきました。
今回の審議会では、中間取りまとめからの修正点を御報告させていただき、本審議会の終了後にガイドラインの最終取りまとめとして、両省のホームページ上で公表させていただく予定です。
次のページをお願いします。次に、制度の概要になりますが、図の上の部分を御覧ください。通常の使用済自動車の処理のスキームになるのですけれども、使用済自動車は引取業者、解体業者、破砕業者を経てASRとなります。それが最後、ASR再資源化施設で処理されているというのが現状になります。
次に、図の下段を御覧ください。インセンティブ制度のスキームになりますが、これまでASRになっていた樹脂やガラスを解体業者、破砕業者に取り外してもらった場合、その取り外した分だけASRが減量しますので、減量されて浮いた再資源化費用を取り外した解体業者等にインセンティブとして付与することになります。そうすることで、ASRとなる前の使用済自動車から資源を回収していくことにつながると考えております。
次のページをお願いします。これまでのスライドでは、制度の背景と概要を御説明させていただきましたが、これ以降は制度の進捗状況について御説明させていただきます。
まず、インセンティブガイドラインの中間取りまとめからの修正点についてですが、令和4年度の審議会において中間取りまとめを公表後、カーボンニュートラルや国内における資源循環の推進の観点から、関係者と検討を進めてまいりました。
まず、カーボンニュートラルの観点になりますが、環境省が主体となって進めてきました自動車リサイクルのカーボンニュートラル及び3Rの推進・質の向上に向けた検討会において検討された結果を踏まえて、自動車リサイクルにおける回収インセンティブの取組は、自動車リサイクルプロセスにおける温室効果ガスの排出削減、ひいてはカーボンニュートラルの実現にもつながり得るものという文言を追加いたしました。この後、本検討会については環境省から説明がございます。
次に、国内における資源循環の観点です。回収したプラスチック等を国内で循環させることが重要でありますので、インセンティブ制度に参画する場合には、解体業者や破砕業者、再生材業者等でコンソーシアムをつくってもらうことになっていますが、そのコンソーシアムをつくる際の要件の1つとして、回収した資源は国内を中心として資源循環を行う事業者に引き渡すことという要件を追加いたしました。具体的には、回収した廃プラスチックを国内でペレット化することまでを求めております。
なお、当該記述については、独占禁止法や公正取引委員会の指針等の観点から問題がないかということを公正取引委員会に念のため確認しまして、この内容については問題がないという回答を得ております。
以上がガイドラインの修正点となります。
次のページをお願いします。続きまして、制度導入に向けた広報・周知について御報告いたします。
まず、自動車リサイクル促進センターのホームページにおいて、資源回収インセンティブ制度の特設サイトを開設しております。ここには動画を用いた制度説明であったり、QAを掲載しておりまして、これまでに200以上の事業者に登録をいただいております。今後も実証事業であったり取組事例の紹介といったことでコンテンツの拡充を図っていく予定になっております。
続きまして、両省の取組になりますが、各地域での関係業界であったり事業者の方々に制度周知をしていくとともに、案件の掘り起こしにも取り組みたいと思っております。
そのために、まず経済産業省と環境省の出先機関である経済産業局と環境事務所に対して、インセンティブ制度の説明会を行いました。今後は、そういった出先機関とも連携しまして、各地で制度参画者を増やせるように取り組んでいきたいと考えております。
続きまして、解体業者の業の許可権限を有する地方自治体に対してもインセンティブ制度のことを紹介しておりまして、自治体担当者の理解と協力を促していくということに取り組んでおります。
次のページをお願いします。次は、自動車リサイクルシステムの対応状況についての説明になります。資源回収インセンティブに対応するために、自動車リサイクルシステムにおいても改修を行っているところです。
解体業者や破砕業者が回収した素材の重量をASR重量から差し引く機能であったり、ASRチームがインセンティブの支払額を計算する機能、参画事業者の登録、管理機能、重量の妥当性をモニタリングするための機能などの開発を完了したところでございまして、現在、自動車リサイクル促進センターにおいて機能検証が行われているという状況でございます。
次のページをお願いします。次に、実際にコンソーシアムを形成するための実証事業について御紹介させていただきます。
現在、日本自動車リサイクル機構JAERAにおいて、自工会とJARCと連携の上で、中小事業者が制度に参画しやすくなるよう、中小事業者によるコンソーシアムのモデルケースであったり、インセンティブ制度の実際の作業内容等を取りまとめるためのトライアル実証事業を行っております。
インセンティブ制度の課題の1つになりますが、大手の解体業者やプラスチックの破砕機を保有している大規模な解体業者が参入の主体となるといった可能性がございますので、そこは事業規模に関係なく、幅広い事業者に参画いただけるような環境づくりが必要だと思っております。
解体業者を取りまとめられている業界団体のJAERAが旗を振りまして、自工会やシステムを管理するJARCと連携してモデルケース等をつくることで、幅広い事業者の参画につながることを期待しているところでございます。
次のスライドをお願いします。次に、制度の手続に係る部分になりますけれども、ASRチームによる提案審査トライアルも予定されております。コンソーシアムの受付であったり、審査、契約に係る事務手続については、ASR再資源化施設の認定であったり、全部再資源化スキームの認定に係る事務手続を行っておりますASRチームが担当することになっておりますが、制度開始当初の円滑な手続の実施を目的として、解体、破砕業者の協力の下、申込みの受付から提案内容の審査、契約までの一連の手続についてトライアル検証を実施することとなっております。
具体的に申し上げますと、各手続の書類を実際に使用しまして、情報の抜け漏れやそれにかかった工数、さらには現地審査の方法などについて検証しまして、検証結果を実際の申込書類や審査要件、監査方針に反映していく予定になっております。
なお、当該書類であったり方針を決定する際には、両省においても公平性などが担保されているかといった点については確認を行う予定になっております。
次のスライドをお願いします。最後に、今後のスケジュールについて御説明いたします。
まず、インセンティブガイドラインについては、本日の審議会を経て公表をする予定となっております。
案件の掘り起こしであったり、特設サイトの拡充など、制度周知については今後順次行っていく予定でして、制度開始以降も鋭意取り組んでいきたいと思っております。
コンソーシアムの受付になりますが、各種トライアル検証を経て、2025年度の第1四半期をめどに受付を開始しまして、制度開始までに契約等の事務手続を行っていくという段取りになっております。
説明が長くなりましたが、以上が資源回収インセンティブ制度の御説明になります。
続きまして、日本自動車工業会より再生材活用の取組を御説明いただきますので、資料6―Ⅲに飛んでいただきまして、そちらを御覧ください。それでは、自工会の嶋村様、よろしくお願いします。
○嶋村委員 日本自動車工業会の嶋村でございます。
それでは、私から本年9月に公表させていただきました再生材の自主取組の内容につきまして御説明させていただきたいと思います。
次のページをお願いいたします。下の図に関しましては、昨年度の審議会の合同会議で少し御説明させていただきましたが、右下の緑のところがASRのサーマルリサイクルにおけるCO2の発生量ということで、御覧のとおり6割ぐらいがASRのサーマルリサイクルということでございますので、ここを何とかマテリアルリサイクルへ持っていくことが重要と考えてございます。
次のページをお願いいたします。これをマテリアルリサイクルに持っていくに当たって、自動車メーカーだけではなかなか難しいというところもございますので、下の絵に描いてありますとおり、解体業者さん、破砕業者さんから、先ほど御説明がありました資源回収インセンティブという制度もございますので、何とかASRの発生量を減らすということで、樹脂等を事前に選別していただくということが重要になりますし、右側のところ、ASRリサイクル業者においても、なるべくサーマル処理をする量を減らすということで、樹脂の選別をしていただくということで、自動車メーカーのみならず、各関係事業者の方々が各領域で取り組んでいただくということが必要になるのかなと思ってございます。
次のページをお願いいたします。サーキュラーエコノミーの視点におきましても、御承知のとおり、経産省さん、環境省さん、先ほど話がありました欧州のELV規則といったようなところで各種取組が活発化しているというところでございます。
次のページをお願いいたします。こういったことを受けまして、自工会では2050年の長期ビジョン及び中長期ロードマップ、自主目標値も含めて策定いたしました。目的のところに書いてございますとおり、自動車関係の各事業者のみならず、産業界全体の再生材の供給、活用を自動車産業が積極的に牽引していきたいといった思いでございます。
次のページをお願いいたします。2050年の長期ビジョン、長期的に目指すありたい姿でございますが、供給側と需要側、2つの側面があると考えております。需要側でございます自動車メーカーといたしましては、供給側と連携した動静脈一体の取組が非常に重要と考えてございます。
すなわち、左側の供給サイドのところに書いてございますが、供給サイドのリサイクラーさん、素材メーカーさん等が国内のみならず、海外においても各社が品質面、コスト面で圧倒的なグローバル競争力をしっかり持っていただくということが非常に重要かなと。それでもって最小のカーボンフットプリント、CO2で量的にも十分に生産、供給できているという絵姿を2050年に目指していきたいと考えております。
供給サイドでこのような姿になれば、需要サイド側、我々自動車メーカー等においても、再生材活用率の高い車両を低コストで生産、販売でき、低CFPとも合わせて圧倒的なグローバル競争力を持っているということで、供給サイドのほうで、まずはしっかり品質コストで圧倒的なグローバル競争力を持っていただくということがなければ、我々需要家側でもグローバル競争力をなかなか維持できないということで、一体となった取組ということで、下のところに矢印で書いてございますが、母材確保の支援であったりとか、再生材の規格化であったり、国の補助金の支援であったり、こういった各種支援をしながら動静脈一体でやっていきたいと考えてございます。
次のページをお願いいたします。こちらが中長期のロードマップでございまして、期間を主に3つに分けてございます。
2030年までにつきましては、あと5年程度ということもございますので、まずは供給の基盤をしっかりつくろうと考えております。それによって2030年、再生プラの供給量、約2万トンを目指そうと考えてございます。
2035年、2040年にそれぞれサステナブルプラスチックの利用率15%、20%という数字を置かせていただいてございます。
その下に小さい字で少し書いてございますが、現在でも金属に関しましては、可能な範囲でかなり使っておりますが、今後、例えばアルミの展伸材からまた展伸材に戻すとか、電炉の鉄を鋼板に使うとか、ここら辺になりますと、供給側の精錬会社さんの技術開発になりますので、そういった技術進展をにらみながら、2030年ぐらいに再生金属類の目標値の設定を検討したいと考えてございます。
当面、プラスチックでございますが、取組事項の品質のところに書いてございますが、再生材の規格づくりを早速自工会で進めてございます。こちらをリサイクラーさんに広く提示させていただくことによって、いろいろなリサイクラーさんが再生材の市場に参入しやすいように、ひいては供給量の増加に向けて再生材の規格づくりを現在進めているところでございます。
また、供給の母材のところでございますが、先ほど来、御説明がありました資源回収インセンティブの参画企業を何とか増やしていこうという話であったり、ASRのマテリサをやっていただく企業を増やしていこうというような取組であったりとか、自動車はポリプロピレン、PPというプラスチックが中心なのですが、それ以外にも増やせないかということを検討したりということで、何とか供給量を少しでも増やせるように自動車業界としてできることをやっていこうと考えているところでございます。
次のページをお願いいたします。こちらは目標値をまとめたものでございますので、割愛させていただきます。
次のページをお願いいたします。目標値の適用条件でございます。
対象車両につきましては、2035年以降の国内生産、発売される新型の乗用車ということで置いております。対象素材につきましては、再生プラに関してはマテリサ品、ケミカルリサイクル品、バイオプラ、工程内端材、マスバランス品も含めてということで、考え方といたしましては、あらゆるリサイクル段階、素材関連業界の取組促進を何とか図っていきたいということで、対象素材もこのような幅広い形にさせていただいてございます。
次のページをお願いいたします。こちらは先ほど少し申し上げました2030年に約2万トンというところでございます。こちらにつきましては、先ほどインセンティブ制度等の周知も図って、現状だと1万トンぐらいかなとはじいておりますが、その計算方法につきましては、下のほうに算出根拠を書いてございますが、解体業界の方々、破砕業界の方々に取組促進を図らせていただいて、この実施率、マテリサ普及率を何とか倍増の2万トンを目指そうという考え方でございます。
次のページをお願いいたします。そのための取組ということで、この資料自体、昨年度の審議会にも出させていただきましたが、赤枠のところでインセンティブ制度での解体、樹脂リサイクラーのコンソーシアムづくり支援ということで、自工会も積極的にサポートしていきますと御説明をさせていただいたところでございます。
次のページをお願いいたします。ということで、実は本年3月に両省、JAERAさん、鉄リ工業会さんの御協力をいただきながら、事業者向けの取組マニュアルを自工会のほうで作成させていただきまして、説明会も開催させていただいたところでございます。
右側のJARCの話につきましては、先ほど角田補佐からいただいた話と同様でございます。
このような形で、自工会のみならず、JAERAさん、鉄リ工業会さんとも一緒になって事業者の方々のインセンティブ制度の活用というところで、何とかマテリアルリサイクルを拡大していきたいという取組をさせていただいております。
次のページをお願いいたします。2035年、40年の目標でございますが、15%、20%ということで数字を置いて少し試算をしております。一番上が必要量、真ん中が供給量、一番下が不足量と置いておりますが、必要量のところ、2035年、新型車3万6,000トンを入れていきます。翌年も新型車、約3万6,000トンと。あっという間に2040年には20万トン以上が必要になってくると。これが2045年になりますと、2040年に20%引き上げますので、約30万トン必要になってくるという試算になっております。
これに対しての供給量は、先ほど申し上げました促進策等をやって現時点で最大限はじいても、現時点で自動車業界内では約10万トンで3分の1ぐらいしか集まらないということで、不足量が約20万トンと。これに欧州規則の25%の数字がどうなるか分かりませんが、数万トンの不足分が出てきますと、二十数万トンから30万トン、再生プラの供給不足という状況になります。
ということで、環境省さんにおいては、コンソーシアムみたいなのも設定していただいて、国内供給側の取組強化を関係業界を含めて検討していこうということで、ここは必須かなと。ここの部分をしっかりやっていかないと、再生プラも海外依存というような話になりまして、これはこれで経済安保の問題も出てくるというところで、国内供給をどうしていくかというのが極めて重要な課題でございまして、産官学を挙げて取組を検討していただければと考えてございます。
次のページにつきましては、今申し上げました数字の算出与件も公開しております。こういった細かい算出与件も公開して、ほかの業界も含めて、こういった需要と供給はしっかり数字を出して、国内にどれだけ供給が足りないのかというところを明示すべきではないのかという思いもあり、今回、算出与件を細かく開示させていただいているところでございます。
嶋村からの御説明は以上でございますが、本日、自工会の伊藤委員長も出ておりますので、補足をいただければと思います。よろしくお願いします。
○伊藤委員 改めまして、自工会の伊藤です。よろしくお願いいたします。
今、嶋村さんから説明がありましたけれども、自工会としても再生材の取組をかなり積極的に進めております。そういった中で、言うまでもなく、我々循環型の社会になるための議論をこういった場を通じてしっかりと課題に取り組むということを考えております。
そういった中で、今、環境省からも御説明がありましたけれども、欧州におきましては、再生プラの法制化の議論が進んでおりまして、やっと日本でも議論が始まったというところで、重要なのは、こういった再生プラスチックが経済合理性を持って、しっかりと社会実装されることだと考えております。その上で必要な対策を打っていくというところを考えていきたいと思っております。
例えば、再生プラスチックの需要と供給のバランス、今2030年の2.1万トンという話がありましたけれども、それは今の供給量を倍増するということでありまして、そういった供給側の実力を勘案せずに海外の再生プラスチックの規制を導入しますと供給バランスが崩れまして、再生プラスチックの価格上昇、あるいは海外製の再生プラスチックの大量流入が考えられるということで、目指す姿と異なる結果が危惧されます。
したがいまして、データに基づいてバランスを見極めながら、日本の再生プラスチックの供給基盤を盤石なものにしていくというところが肝要かと考えております。
さらには、御存じのとおり、日本のリサイクル業界には多くの企業が存在するということで、こういった企業様によって日本のリサイクルは支えられているわけですけれども、海外のリサイクラーも日本の質の高い材料については非常に注目しているということで、今後、日本のリサイクラーさんは海外のリサイクラーさんとの競争にさらされるということで、こうした市場で勝ち残っていける、そういった国際競争力を持った国内リサイクラーさんの強化が喫緊の課題だと考えております。
また、日本からの資源流出も非常に大きな問題と認識しておりまして、再生プラスチック原料だけではなくて、例えばリチウムイオンバッテリーなど、これら様々な資源が部品、あるいは廃車という形で海外に流出しているということで、中には違法に輸出されるケースもあります。
例えば、リチウムイオンバッテリーにおきましては、梱包が適切な姿で輸出されないといけないのですけれども、それがなされていない場合、発火や爆発による洋上火災が懸念されるということで、そういった適切な輸出管理も資源回収、国内に資源をとどめるという観点では大事かなと考えております。
最後になりますけれども、本審議会の委員の先生方、経産省、環境省の方々に自工会の取組を御理解いただきながら、当然ながら効率的かつ経済合理性のある資源循環の形成に御協力いただければと考えております。よろしくお願いいたします。
○仲野補佐 それでは、最後、資料4―4について御説明させていただきます。こちらは樹脂のリサイクルの促進とは話が変わりまして、自動車リサイクルのカーボンニュートラル及び3Rの推進・質の向上に向けた検討について御説明させていただきます。
令和3年7月に本会議から出されました自動車リサイクル制度の評価・検討に関する報告書において、自動車リサイクルにおける排出実態を早急に把握し、排出削減対策等の必要な施策を講じるべきとの提言を受けまして、令和4年度から環境省が主体となって検討会を開催しております。自動車リサイクルの温室効果ガス排出実態を踏まえた削減方策ですとか、資源回収インセンティブ制度によるGHG削減への貢献を議論してきたところでございます。
次のページ、検討会での検討成果としては大きく2つあると考えておりまして、まず1つが、グラフにありますように、自動車リサイクルの各工程における温室効果ガス排出量を排出起源別、GHGガス種別に試算しまして、この結果を基に各工程の事業者にヒアリングを実施して、解体、破砕工程に関して、事業者の行動変容を促すための解体、破砕業者向けGHG排出量削減の手引を作成いたしました。
次のページに行っていただきますと、もう一つが、先ほどの経産省からの説明にもありましたけれども、資源回収インセンティブ制度を通じたカーボンニュートラルへの貢献についての考え方を整理したところでございます。
ガイドラインの最終取りまとめにおいても、このインセンティブ制度が温室効果ガスの排出削減、またカーボンニュートラルの実現にもつながり得るということを記載したというような御説明があったかと思いますが、さらにもう一つとしましては、国がカーボンニュートラルへの貢献を明らかにするよう検討に努めるということを追記しております。
これは実際にどういうことかということですけれども、次のページに行っていただきまして、これも検討してきた温室効果ガス排出量ですとか削減効果の試算方法を活用して、資源回収インセンティブ制度に参画するコンソーシアム単位で、資源回収量実績に応じた温室効果ガス排出量削減効果を当初は簡易的ではございますけれども、試算できるように今年度の検討会で準備を進めていくような予定としております。
また、これまでの検討結果を取りまとめまして、各自動車リサイクルに関わる皆様のカーボンニュートラルに向けた取組検討に当たっての参考情報とするために、事業者、業界団体、国を含めた関係者のカーボンニュートラルに向けた取組状況、また、取組予定を一覧化して整理する予定としております。
資料4の説明は以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、ここまで資料3及び資料4について御説明いただきましたが、皆様から御質問、御意見いただきたいと思います。
御発言を希望される際は、会場参加の皆様、オブザーバーの皆様は名札を立てていただくようお願いします。また、オンラインの方は挙手機能をお使いいただき、お知らせください。順番に指名していきたいと思っております。また、オンラインの方はビデオオンでの御発言をお願いできればと思っています。
初めに、オンラインの所委員、途中退席と伺っていますが、もし今都合がよければ、いかがでしょうか。
○所委員 今のタイミングで発言させていただければ大変ありがたく思います。ありがとうございます。
膨大な資料をおまとめいただきまして大変勉強になりました。特に自工会さんからいただいた、これからどれだけ不足があるかという定量データをいただいたことは大変イメージしやすくて、勉強になりまして、お礼申し上げます。
その観点から、これから自動車のサーキュラーエコノミーを推進していくためには、足りない再生材をいかに強く日本に集めてくるかということが改めて大切だと思うのですけれども、その点から環境省さんのコンソーシアムは非常に興味深いと思っておりまして、X to Carとも言われるようなケミカルリサイクルを促進していく1つの大きな取組になっていくと思います。
ただ、ケミカルリサイクルをするためには、ケミカルリサイクルのための技術も大切ですが、そもそもどうやって集めて、どうやってしっかり前処理していくかというところが非常に大切ですので、途中で御発言ありましたとおり、リサイクラーであるとか、前処理の専門家なども交えて、より組織を強化して進めていただければと思っています。
2点目、インセンティブ制度も非常に興味深くて、こちらは樹脂やガラスを資源化していくというところで、また非常に重要な取組だと思うのですけれども、こちらも現状は、まずインセンティブ制度が定着していくというところで進めていただければと思うのですが、近い将来的には、もう少し内側のインセンティブなども考えていってもいいのかなと思っています。内側のというのは、サーキュラーエコノミーのループの内側という意味なのですけれども、例えば易解体設計であるとか、易分解マテリアルであるとか、トレーサビリティがしっかりと取られているものが使われているとか、よりサーキュラーエコノミーの勝ち筋とも言われる内側のループに対するインセンティブというのも、定着してきたときには少しずつ拡大していくことを考えていってもいいのかなと感じました。
私からは以上です。
○山本座長 ありがとうございます。お三方ぐらいまとめてから事務局に御回答をお願いしたいと思いますが、続きまして、オンラインのほうで織委員、お願いいたします。続いて、松八重委員、お願いいたします。
○織委員 ありがとうございます。上智大学の織でございます。
非常に膨大な説明ありがとうございました。私がちょっと気になっているのは、リサイクルの市場が足りないということで、システムをどのようにしていこうかということが大きな議論になっていて、いろいろ資料も御提供いただいているのですけれども、要はリサイクル素材を使うことの安全性、品質確保をどこで議論していて、どのように確保していくのかという議論をこのサーキュラーエコノミーの議論の中にどのように入れていくのかという、ここの安全性確保、素材、または統一的な品質という部分についての自工会なりの取組をぜひ教えていただきたいということが1点です。
これに関連して、やはりリサイクルプラスチックを使うということは、化学物質とリサイクルの関係をどのように捉えるかという議論を業界団体でどのようにしていらっしゃるかということもお伺いしたいと思います。つまり、今、化審法がそもそも想定している状況ではない化学物質がリサイクル素材として使われているということで、そうした場合、化審法の対象外の混合物ですとか添加物を自動車のリサイクルの中でどのように検討していくのか、新たな枠組みを決めていくのかといった議論も1つ出てくるのではないかと思っています。
あと、電気自動車バッテリー、リチウムの話は今こちらでしてもよろしいでしょうか。それとも、これは後半に回したほうがよろしいでしょうか。
○山本座長 取りあえず、後半に回していただいてもよろしいですか。
○織委員 分かりました。では、取りあえず今のところはそこで止めておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございます。では、続いて松八重委員、続いて根村委員までで一旦区切りたいと思います。
○松八重委員 ありがとうございます。非常に膨大な資料を取りまとめいただきましてありがとうございます。
先ほど所先生からもコメントがありましたように、こういったコンソーシアムの取組は非常に興味深く、こういったことが立ち上がることは、循環型の資源供給を安定化させるという意味でも非常に重要かなと思っております。
資料4のスライド7番目のところにあります量と質の確保というところにマテリアルフロー分析があって、こちらに補正予算で17億円というところが記載され、内数とありますが、これがそのままダイレクトに行くわけではないと承知はしておりますが、今回の再生材利用拡大に向けた取組の中で、プラスチックが非常に重要な位置づけにあって、この部分を深めていくのは非常に重要だと分かってはいるのですけれども、マテリアルフロー分析のところで、再生利用可能な廃プラの発生源、量、流通を把握するための廃プラのマテリアルフロー分析と書いておりますが、廃プラスチックのリサイクルの高度化は、恐らくその向こう側には、プラスチックのリサイクルを行う手前の段階で、いろいろな異物を除去するですとか、もちろん含まれている金属資源に関しても丁寧な、精緻な分別、選別が行われた上で再生プラスチックの利活用が行われるので、恐らく付随する金属資源の利活用は手前の段階にあるのだと考えてはいるのですけれども、こういった廃プラのマテリアルフロー分析と書かれてしまいますと、そういった付随的な希少な資源のフローについては、この部分の調査から漏れるのではないかと、こういったものを深読みしてまで予算配分は行われないのではないかというところを少し懸念いたします。
ですので、廃プラのリサイクル分析、マテリアルフロー分析をやっていただくことは、もちろん基礎的な情報としてリサイクルを高度化する意味では非常に重要だと思うのですけれども、付随物で何が随伴していて、廃プラのリサイクルを高度化することによって散逸していた資源をうまく活用できているといった副次効果についても明らかにしていただけるようにお願いしたいと思っております。コメントです。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。では、根村委員、よろしくお願いします。
○根村委員 ありがとうございます。根村でございます。2点申し上げたいと思います。
まず1つ目、インセンティブ制度についてなのですけれども、リサイクル事業者さんの反応はいかがなものでしょうか。すごく積極的に参加していきたいという感じなのか、あるいは足踏みされているというような感じなのか、そういった御様子を教えていただけますとありがたいと思います。
それから、2点目としまして、再生プラの安定的な供給というところなのですけれども、これ、すごく必要なことだと思っているのですが、織先生のお話にもありましたけれども、質、特に安全性が非常に気になるところでございますので、それについてもお考えなど教えていただけると大変ありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございました。では、ここで一旦切らせていただきまして、事務局から御回答いただければと思いますが、まずは経産省側からでよろしいでしょうか。
○角田補佐 御質問ありがとうございました。まず、経済産業省の方でインセンティブについてお答えさせていただきたいと思います。
まず、所先生から御質問、御意見いただきましたインセンティブ制度の将来についてですが、これから定着していくべく我々も努力しているところでございますが、まずは樹脂、ガラスで始めていきまして、いろいろな事業者の方々に参加していただきたいと思っております。それがうまく回り始めたらほかの素材であったり、あとは先生がおっしゃっていたように、CEの内側の部分、易解体とかトレサビがちゃんとしているかというところに対しての新しいインセンティブの考え方については行く行く考えていきたいと思っておりますので、貴重な御意見として承ります。ありがとうございます。
続きまして、根村委員からいただきましたリサイクル事業者の制度に対する感触については、この制度に前向きに参加しようとしているリサイクル事業者もたくさんいらっしゃいまして、実際に解体業者さんや破砕業者さんと既に連携を取られているというところもあると聞いております。
ただ、やはり再生材を扱っているリサイクル事業者からは、自動車由来のものだと異物が多くついていて、異物がついているものをまた再生材に戻すというところが1つ課題になってきているという御意見もいただいておりますので、そうした事業者にも制度について御理解いただきまして、少しでも参加をいただくべく周知活動に取り組んでいくというところだと思っております。
○山本座長 取りあえず、それでよろしいですか。ありがとうございます。
続きまして、環境省さんからもし補足があればいただくのですが、特になければよろしいのですけれども、その後、自工会の嶋村さんにお願いしたいと思います。
○塚原補佐 では、所委員、松八重委員から御指摘ございましたマテフロのところや前処理等の重要性につきまして、おっしゃるとおりでございます。
特に様々な由来のプラスチックから自動車にというところに関しましては、混ざっているとか汚れているということから、マテリアルリサイクルもケミカルリサイクルも難しいということで、その結果として焼却されていたりとか、もしくは国内の需要に見合わないために輸出されているという現状がございます。まず、出てきた状態から分別され、解体され、選別されると。その過程のためのガイダンスだったり技術だったりが欠けている部分もありますので、そうしたところの支援等も必要と捉えております。
また、そのプロセスそれぞれのところに関わっていただく方々のためのインセンティブが欠けている側面もあると思いますので、そういった制度的な議論も重要と考えます。
松八重委員から御指摘の金属資源はどうなっているかというところなのですが、金属は今回環境省が取り組んでいるプラスチックに関するマテフロ分析では、スコープの外になります。金属のほうが価値が総体的に高いので、車の解体等の現場でも回収はされていると思うのですけれども、例えばハーネスみたいに分解されずに輸出されているような部分もあります。環境省の施策として金属資源をどう国内循環させていくかといったような議論もございますので、総合的に取り組んでまいりたいと思います。
○山本座長 ありがとうございます。先ほど織委員からリサイクルの質の担保で化審法の話がありましたけれども、何か環境省さんからございますか。
○塚原補佐 経産省から回答を御願いします。
○角田補佐 化審法の関係については、織委員御指摘のとおり、化審法のところで再生材という概念の議論がまだまだできていないところがあるというのは承知しております。そこについては、経済産業省の中で化審法を担当している部署がございますので、そこと少しずつ議論を進めているところでございます。
状況については以上になります。
○山本座長 ありがとうございます。では、自工会の嶋村さん、お願いいたします。
○嶋村委員 ありがとうございます。織委員と根村委員からいただきました質の安全性、化学物質関係の話だと存じますが、これは非常に重要な話だと思っておりまして、自工会でも現在、中に化学物質関係のタスクフォースをつくって、再生材において具体的にどう考えていくかというところの検討を始めたところでございます。
基本的には、リサイクラーさんの出口のところでしっかり管理をしていただいて、そういったものが含まれていないものを出荷いただくと。含まれていないものをといったときに検査が必要になるのですが、リサイクラーさん、必ずしもそういった設備を従来お持ちではない事業者さんも多いので、そういった検査設備もどこまで必要かとか、それによってお金も大分変わってくる部分もありますので、そこら辺の国の支援みたいなところもぜひお願いしたいところではございますが、まさにするどい御指摘で、御指摘のとおり、今後ここの部分をどうしていくかというところを総合的な対策として国と一緒に考えていきたいと思っているところでございます。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。では、続きまして、対面のほうで井岡委員、お願いいたします。
○井岡委員 ありがとうございます。井岡でございます。
資料3の2ページ目の下のほうにありますリサイクル料金の輸出返還について少々気になっておりまして、先ほどから将来の材料の不足とか、そういうことが問題になっておりますが、国内のリサイクル材料の確保という面でも大変難しい問題とはお聞きしておりますが、少し輸出返還についての見直しを進めていただく必要もあるのかなと考えております。よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございます。続きまして、オンラインの大塚委員、お願いいたします。
○大塚委員 ありがとうございます。先ほど来、活発な議論をしていただいていると思いますけれども、私も2点ほど簡単に確認させていただきたいことがございます。1つは化学物質とか添加剤等の関係については、経済産業省さんのほうでも情報伝達の仕組みとしてCMPのようなことをお考えになっていると思いますけれども、CMPと今までの電子マニフェストを結合したような情報伝達システムを考えていると思いますが、今日、あまり話が出てきていないのですが、多分これと関連させて再生材のプラスチックに関しては検討を進めていくことになると思いますけれども、この点を確認をさせてください。多分そういうことだろうと思っておりますが。
それから、もう一つの点ですけれども、先ほど所委員がおっしゃってくださった易解体設計のような話は、資料4―2の20ページの⑤―a、環境配慮設計及び再生可能資源の利用方策等の検討という辺り、これにさっきのインセンティブを使うかというような話になっていくのではないかと思って伺っていました。これから御検討なさるということなので、そうしていただければと思います。
ちょっと細かいことかもしれませんけれども、同じ資料4―2の12ページのインセンティブ付与のところで、素材産業のところにASR20キロ削減に係る経済的インセンティブという話が出てきていますが、この後、自動車製造業者等にこれが移転して、再生されたASRがプラスチックなどとして使われていくというところについてのインセンティブはなくてもいいのですかということがよく分からなかったので、教えていただければと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○山本座長 ありがとうございます。では、続きまして、対面で鬼沢委員、高井委員の順で御発言いただきまして、また一旦切りたいと思います。
○鬼沢委員 ありがとうございます。まず、最初の資料3の不法投棄のところ、100台以上の案件が減ったというのはよかったと思うのですけれども、100台未満の案件でまだ4,613台あるというのは、かなり長年ずっとこういう状態が続いていると思うのですけれども、この解決がどうしてなかなか進まないのかということと、なるべく早くに処理をしていく必要があるのではないかと思います。
それから、資料4―2の8ページに、リサイクルプラが海外に7割が輸出されているということなのですが、これは経済原理でそういうことになっていると思いますので、今後もこのままの状態で行くのか、今後ますます国内でのプラスチック再生材の利用を高めていくために、より国内で回収する量を増やしていく必要がありますが、経済原理だからそのままということなのか、そこをお聞きしたいと思います。
それから、4―3の資料でインセンティブ制度に中小企業の参画をなるべく増やしていきたいという御提案でしたけれども、それは非常に重要なことだと思いますが、中小になると、このときに人的な問題が非常に大きなハードルになるのではないかと思うのですが、具体的に中小企業の参画を増やすためにどんなことをされているのかということをお聞きしたいと思います。お願いいたします。
○山本座長 ありがとうございました。では、高井委員、お願いいたします。
○高井委員 日本鉄リサイクル工業会の高井と申します。私どもは、破砕工程を担当しています破砕業者が会員として入会している会でございます。
質問というか御報告、意見なのですけれども、資源回収インセンティブ制度に関しましては、私どもは早々に2021年の夏に対象の破砕業者にアンケート調査をした経緯がございます。そのときは、たしか6割以上の方がインセンティブ制度に前向き、興味があるという回答が出てきました。先ほどリサイクル業者の姿勢はどうかという質問がありましたけれども、その時点でもそういう状況でございます。
その後、2022年の秋にJARCさんの協力も得まして、私ども北海道から九州、沖縄まで全国7支部あるのですけれども、そこで説明会を企画しまして全国行脚をした経緯がございます。そのときには、地域差はございますけれども、おおむね制度には理解を示していたというのが実態でございます。
その後、私ども、JARCさんや経産省の制度案内を関係者に配信するなど周知を進めてきました。なるべく早くコンソーシアムの組成が具体的に行われるなど、制度が実際に立ち上がることを望んでおりますので、関係の皆様の御指南をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。では、一旦ここで切らせていただきまして事務局から御回答いただきたいと思いますが、申し訳ございません、輸出返還の件は資料3と4からちょっとずれているということで、最後の自由討議で回答ということにさせてください。それでは、経済産業省からでよろしいでしょうか。
○角田補佐 御質問、御意見ありがとうございました。まず、大塚委員から化学物質の関係で、経済産業省におけるCMP構想について、御意見いただきました。こちらは経済産業省の資源循環経済課や化学物質管理課が担当しているところでして、CMPにおいては化学物質管理について検討することに加え、再生材等の資源循環の情報追加についても検討を行う予定と認識しております。
あと、大塚委員からいただきましたインセンティブのところですが、こちらは再資源化費用をユーザーから預託いただきまして、そちらが自動車リサイクルシステムで運用されまして、廃車になったら自動車製造業者を経由して処理費用として支払われるというものとなっております。インセンティブとして支払われたASR20キロの削減分については、解体業者であったり、破砕業者であるコンソーシアムに支払われるということになりますので、製造業者側に移っていくということはないと考えております。
続きまして、鬼沢委員からインセンティブ制度に係る中小事業者の人的リソースについての御意見がありました。具体的にどうするかというところは、まだこれからの検討事項かと思いますが、まずはJAERAや自工会がやっておりますコンソーシアムの形成に係る実証事業でモデルケースをつくっていただいて、中小事業者の皆様がどういうところだったら入りやすいかな、どういう人たちとだったら組みやすいかなというものをまずイメージしてもらうというところが大事かなと思います。
コストについても、こういった方々と組めば自分たちのコストの範囲内でできるのではないかという示唆になるものと思っておりますので、まずはこの実証事業の報告書が、中小事業者の方々の参加するきっかけになればと考えております。
経済産業省からは以上になります。
○山本座長 ありがとうございます。環境省さんからも何かございますか。
○仲野補佐 鬼沢委員からいただきました不法投棄の件数ですが、4,613台、なかなか減っていかないのではないかというような御指摘でございますけれども、当然、自動車リサイクル法施行当時から比べると大分減ってきているところ、残存しているものにつきましては、原因者とのコミュニケーションが取りづらいというところは非常に大きな要因になっております。
前面に立っていただくのは自治体の皆様でございますけれども、今日お越しいただきのJARCの皆様等々にも協力していただきながら、少しずつ減らしていっているというような状況でございます。なかなか過去からの積み上げとなってきますと、10年、15年前の事象ですと、既に原因者が亡くなっていたりとか、そういった指導対象者に接触することすら困難になってきているような状況も聞いているところでございます。
それぞれ現場の状況は違いますので、各状況に応じて、これまでの経験、各自治体やJARCの知見を生かしながら、そういったものを各自治体、困っているところに展開していって、少しずつでも減らしていけるように、というのは引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
もう一つのコンソーシアムのところで、再生材の海外輸出でございますが、まさしく国内循環を目指すというところが1つ大きな市場構築というところでのコンソーシアムの目的ではございますので、このコンソーシアムの場で再生材、そもそもなぜ国内で循環に回らないのかというところもあろうかと思いますけれども、そういったところの議論を進めて、国内資源循環で海外に出ていったものが国内に返ってくる、国内でとどまるというようなところを進めていけるようにしたいと考えております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。私の時間管理が悪くて時間が押しているのですけれども、今、挙手いただいている野津委員、袖野委員、大変恐縮ですが、2分ぐらいの御質問でお願いできればと思います。では、野津委員からお願いいたします。申し訳ございません。
○野津委員 日本自動車連盟の野津です。私ども、ユーザー団体という性格を持っていますので、ユーザー負担という観点で2つほど御質問させてください。
1つは、資源回収インセンティブ制度で、資料4―3の11ページ、12ページでは、預託されたリサイクル料金を原資としますということで、システムの改修といいますか対応も必要で、恐らくコストも発生するのだと思いますけれども、一方で資料4―4、22ページのほうでは、目的にASRの円滑な再資源化の促進やリサイクル料金の低減という文言もありまして、この辺り、リサイクル料金を上げなくてはならないということにはならないのでしょうかという質問が1点。
それから、2つ目は、再生材活用の取組を今後一層向上していった場合に、リサイクル料金でありますとか、自動車の販売価格に影響が出るのかどうか、当然ユーザー団体としては、なるべくそれが出ないように経済合理性のある形で制度が回るということを望むわけでありますけれども、その2点、御質問させてください。
○山本座長 ありがとうございます。では、続いて袖野委員、よろしくお願いいたします。
○袖野委員 御説明どうもありがとうございました。3点、質問、コメントさせていただきます。
まず1つ目は、動静脈のニーズの理解というところでございます。サーキュラーエコノミーを推進していく中で、本日の御説明を聞いても、まだまだそのループが細いのだなとお見受けしましたけれども、産廃業者さんとお話をしていますと、プラについてもどれぐらい分別しないといけないのかとか、添加物、こういうのが入っていてすごくリサイクルしにくいとか、そういった声を聞いておりまして、一方、メーカー側もこれくらいのレベルのプラが欲しいというのがあるにもかかわらず、お互いのニーズがコミュニケーション不足だというところがありますので、コンソーシアムについては非常に期待しているところでございます。
2点目は、解体、破砕過程におけるプラの分別のレベルアップという点です。インセンティブ制度は非常にいいなと思っているのですけれども、プラをいい状態で分別していただくためには、解体、破砕業者さんが非常に重要なアクターであるというところで、優良事業者さんに物が流れるような仕組みが重要であろうかと思います。産廃業界では優良事業者が分かるようにホームページでお示ししたりとかしているのですけれども、そういった優良事業者さんが分かるような工夫があってもいいのかなと。
その中で、環境配慮設計の話にもつながりますけれども、本当だったらどこまで分別できるのか。分ければ分けるほど経済インセンティブがあるわけですけれども、メーカーさんのほうで分解の実証などもやっておられるというような話も聞いているのですが、家電の業界などですとリサイクラーさんと家電メーカーさんが一緒になって分解実験などをやっていますので、そういう形で、本当だったらここまできれいに分解できるというトップレベルの水準をお示しいただけると、目安になっていいのかなと思います。
3点目も環境配慮設計につながるのですけれども、素材のリサイクルというところで、電炉もCO2をたくさん排出いたしますので、リサイクルに回らずリユース、プリンターなどでは部品レベルでのリユースなどもありますが、部品レベルでうまく解体すれば、またループに戻っていけるというような可能性も追求すべきではないかと思いました。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。では、経済産業省から回答ございますか。
○角田補佐 ありがとうございました。まず、野津委員からいただきましたインセンティブにおけるリサイクル料金についての御質問だったかと思います。インセンティブ制度については、預託を受けている既存のリサイクル料金の中で賄っていく予定でございますので、リサイクル料金がその分増加するとか、そういったことはありません。今後、状況が変わってきて、現行とは異なる別の追加原資について検討事項に上がってくる場合があるかもしれませんが、現状の制度では、リサイクル料金がインセンティブ制度によって上がるということはありません。
続きまして、袖野委員からいただきました優良事業者の観点です。委員ご指摘のとおり、今後、そういった優良事業者、トップランナーみたいなことも重要だと考えており、コンソーシアムを組んだ事業者がそういう役割を担っていくのではないかと思っております。インセンティブ制度に参加するためにはASRチームと契約をしていただくことになりますので、優良事業者という観点でもインセンティブ制度がうまく活用されていけばよいと考えております。
あと、リユースの観点についても、既に業界の中では、解体業者によって使える部品は多くリユースされていますし、部品のリビルトについても業界で積極的に取り組まれているものと認識しておりますので、そういった取組も引き続き推進していきたいと思います。
経済産業省からは以上です。
○山本座長 ありがとうございました。環境省さんのほうでいかがでしょうか。
○仲野補佐 袖野委員から幾つか御指摘いただいたところ、まさしくこれから検討していきたいと考えております。
また、野津委員からありました再生材の利用で販売価格が上がるか、そこは経済合理性で、特にメーカーで御判断されると思いますけれども、上がることがないように考えられていくのだと環境省としては期待しているところでございます。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、時間も押しておりますので、一旦ここで切らせていただきまして、最後の自由討論という時間もございますので、次に進ませていただければと思います。
まずは、自動車リサイクル促進センターの取組について、それから、自工会さんの取組について、資料5、6について御説明をお願いしたいと思います。JARCは永井専務理事、続いて、自工会の嶋村リサイクル廃棄物部会長の順でよろしくお願いいたします。10分程度とお伺いしておりますので、申し訳ありませんが、時間厳守でお願いできれば幸いでございます。では、永井専務理事からよろしくお願いいたします。
○永井 永井でございます。よろしくお願いします。資料5に基づきまして、当センターの実績及び今後の取組について御報告いたします。
報告内容は、2ページに記載のとおりになっておりまして、リサイクル制度の安定化・効率化の取組や、リサイクルの高度化等の対応をまとめております。
3ページをお願いします。最初は、リサイクル制度の安定化・効率化の取組です。
4ページをお願いします。まず、リサイクル料金の適切な管理・運用についてです。
2023年度は新車購入時における預託台数が前年度比103%の454万台となりました。預託収入は前年度比107%の482億円となっており、引取時の預託は引き続き減少傾向にあります。
5ページを御覧ください。左側の円グラフがリサイクル料金の債券投資の状況を示すポートフォリオです。
2023年度末における保有債券の額面残高は8,654億円となりました。運用収益及び利回りは、市場金利の上昇に伴って若干の改善傾向にあります。
6ページを御覧ください。こちらは保有債券の中でESG債の比率を示したものです。
諮問委員会での承認を得た上で、2018年度から取得を開始したESG債の残高は302億円となり、保有債券に占める割合は3.5%となりました。
7ページを御覧ください。再資源化預託金等、特預金の状況です。
2023年度末における再資源化預託金のストックは、前年度末から20億円減少し9,233億円となりました。また、そのうち235億円は特預金でして、2023年度においては、リサイクル情報システムの大改造、離島対策等支援事業や大規模災害に対して21億円の出捐を行いました。
続いて、指定再資源化機関の実績です。8ページの自動車リサイクル法の適切な執行を御覧ください。
不法投棄、不適正保管等に関する自治体への情報、知見の提供として、国及び自再協と連携し、基礎知識研修とステップアップ現場研修を実施しています。
令和6年度から基礎知識研修はeラーニング方式とし、現場研修は年4回の定例開催に加え、自治体単独での開催を追加し自治体固有の課題に対応できるようにしています。
また、現場研修には国から自治体への研修項目で立入検査のチェック項目を追加しています。自治体単独の現場研修につきましては、現在、千葉県から申込みいただき、8月に開催しております。
9ページを御覧ください。不法投棄、不適正保管事案解消のための自治体及び関係団体との連携では、国のモデル事業への協力で得られた知見を他の自治体に情報展開するとともに、解体、破砕業者と協力して現場立入り等、撤去を促し、事案の解決に貢献しています。
2023年度は5自治体160台、そんなに多くないのですけれども、関係者と調整しながら削減の努力をしております。
2024年度は後半を中心に継続案件の残台数300台の撤去処理を推進してまいります。
10ページを御覧ください。不法投棄、不適正保管事案解消のための新たな自治体支援策として、多様な事業者の適正化に資する多言語でのサポート研修を実施しています。
新規許可申請中の外国人事業者を対象に研修会を開催しています。カリキュラムは法制度概要や許可要件、解体実務作業実演、リサイクルシステムの操作及び適正な手順を受講者に合わせた言語、テキスト、現在4か国語になりますが、それと通訳を用意して実施しています。
23年度、千葉県でトライアル開催しまして、24年度から研修を軌道に乗せて、10月、千葉県で現在3回実施し、29名が受講しています。今後、他県にも展開を行い、開催に向けて連携を進めていきます。
次は、11ページを御覧ください。大規模災害における被災自動車撤去、処理対応です。
令和6年能登半島地震からの復興に向けて、JARCでは被災自動車の撤去、処理に対してリサイクル法に則した対応要領や知見を提供し、円滑な対応につなげています。
能登の地震では、輪島の朝市で大規模な火災が発生しまして、複数の車両が全焼し、リサイクル処理をするための資産価値を失った状態で残ってしまいましたが、環境省、輪島市、JAERAと朝市地区の焼損車81台限定に公費による撤去、解体スキームを構築しまして、それが9月に完了しております。
今後、能登半島につきましては、地震の被災車両の撤去処理の完遂並びに9月の豪雨土砂災害の被災車両の処理を国、自治体、事業者と連携して実施していきます。
また、被災車両の処理の経緯が今後の災害処理の知見となるため、講じたノウハウを今後手引書、事例集に掲載し、自治体災害研修会に反映させていきます。
続いて、情報システム活用を通じた効率化について報告します。12ページを御覧ください。
2026年1月稼働目標の情報システム大改造は、24年上期までに設計からプログラム開発工程を完了し、2024年下期よりシステム機能及び負荷テストを開始し、さらに利用者に対する周知活動、マニュアル策定を行っていきます。
13ページをお願いします。現時点、計画どおりにシステム設計、あと詳細設計、プログラム開発の単体テストは完了して、結合テストに移行しております。
14ページをお願いします。新システムの画面は、事業者様からの意見集約や実作業によってのフィードバックに基づいて改造しております。同一画面で引取り、フロン、解体、破砕入力をプルダウン選択式でできるようにするとか、タブレットが使用可能とするなどの工夫をしております。
15ページをお願いします。システム大改造においては、多くのシステム利用者に対して、このシステムの改造の周知をある意味、改造前にやることが非常に重要になりますので、2024年度は計画策定、先行周知まで行い、コールセンターの体制も意識した準備を行っております。
続いて、ユーザー向け理解活動の実績を報告します。16ページの関係主体と共に取り組むユーザー向け情報発信を御覧ください。
情報システム制度における指定法人の役割を踏まえ、幅広い観点からユーザーの普及啓発に取り組んでいます。資料では、全国地域イベントの出展、小学生向け現場見学会、小学生の作品コンクールを掲載しています。この場をお借りして皆様に御礼を申し上げます。
17ページを御覧ください。年に一度、全国の自動車購入者を対象とした自動車リサイクル法のユーザー認知度調査を行っています。これまで小学生、若年層向けに力点を置いて取組をした結果、30歳未満の認知が向上しておりまして、認知度も一定の水準で推移しております。引き続き、免許センター及びメディアの力も組み合わせて情報発信に取り組んでまいります。
次をお願いします。次に、自動車リサイクルの高度化、変化への対応について2点報告します。
19ページをお願いします。1点目は、先ほども話がありました資源回収インセンティブ制度の検討状況、今後の予定です。
JARCとしては、資源回収インセンティブ制度については、業務フロー等を整理して開発ベンダー、システムの機能追加の基本設計と開発を実施しております。
さらに、先ほど経産省さん、自工会さんからもありましたが、制度周知を図るべく、特設ウェブサイトを開設したり、事業者を訪問して情報交換などを現在行っているところでございます。
2点目は、20ページになります。リサイクルの高度化、国際化への対応です。こちらの3つの活動をしています。
まずは、1、リサイクルの関係者のニーズに応じた情報発信です。23年12月に自動車リサイクル会議を、資源循環をテーマとして開催しまして、細田理事長をはじめ、有名な、著名な先生方、事業者の方に登壇いただきました。石井委員にも出ていただいております。
その際、関係者のアンケートをいただいているのですけれども、今後のリサイクル高度化のニーズはやはり樹脂関係が結構多くて、諸外国の政策動向とか、国内外の樹脂のリサイクルの取組、あと樹脂素材メーカーのリサイクル材活用の取組についての情報が欲しいといただいております。
本ニーズに応えるため、24年度はSNSやリサイクル会議、現場勉強会等を行って、ページ右側にあるような諸外国のサーキュラーエコノミー政策動向と海外リサイクラーの取組事例とか、リサイクル会議の再生樹脂の循環実現をテーマとした情報発信、あと他業界のベンチマーク情報を展開していきます。
現在進めている資源回収インセンティブを活用した樹脂の循環事業に事業者が取り組んでいただける企画での情報を展開したいと考えております。
21ページをお願いします。さらに、本件、有識者からの資源循環に向けた寄稿を3件発信しています。
2項目ですけれども、リサイクル情報システムの管理データを利用した自治体ユースケースの対応です。こちらは被災自動車の円滑な処理のために、地域における自動車保有台数、使用済自動車の発生状況を地域のハザードマップにマッピングしまして、自治体の災害時に活用できる取組を実施しています。
続いて、3項目、海外関係者に日本の自動車リサイクルを紹介する国際貢献活動です。
23年度は、JICAによるタイ国におけるリサイクル制度検討に協力しました。24年度は、これに続きまして、JICAによるタイ国のELV適正管理に向けた制度構築プロジェクトに参加するために、日本のリサイクルの制度説明資料を準備中です。
さらに、ベトナム、フィリピン、マレーシアにつきましても、学術機関の要請に基づいて、関係者に向けた日本のリサイクルの知見の情報を提供しております。
最後に、23ページのまとめに記載のとおり、本財団は今後もリサイクル制度の中心的役割を担う立場として、様々な事業に取り組んでまいります。
以上をもちましてJARCの報告とさせていただきます。ありがとうございました。
○山本座長 ありがとうございました。続いて、嶋村委員、お願いいたします。
○嶋村委員 それでは、自工会から自動車メーカーの取組についてということで簡単に御説明させていただきます。
次のページをお願いいたします。こちらは目次になっておりまして、本日、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳを中心に、自工会の新しい取組ということでございますので、御説明させていただきます。
次のページをお願いいたします。自工会の取組の全体まとめということです。
次のページをお願いいたします。こちらは毎年載せさせていただいておりますが、自工会は中心的な役割を果たすという考え方の下、真ん中の目的のところ、こういった目的を達成するための方策として各種取組をやっておりますというところでございます。
次のページから、過去の取組も含めて細かく実施している内容を網羅しております。
それでは、8ページ目まで飛んでいただきまして、自リ法対象外車両のリサイクルシステムの構築についてということで、新しい取組として御説明させていただきます。
次のページをお願いいたします。まず、取組の背景でございますが、左側に書いてございますとおり、1人乗りの4輪自動車とか電動キックボードとか電動車椅子とか、そういったものは自動車リサイクル法の対象外になってしまうということでございます。
そうしますと、例えばフロン、エアバッグみたいなものを積んでいたら、自動車リサイクル法のシステムに乗らないので、途端に困ってしまうと。車両本体も、例えば一般ユーザーさんから出てくるものは一般廃棄物になりますので、自治体に処理責任があるということで、一般ユーザーさんが自治体さんに粗大ごみで処理してくださいというように言われても、自治体さんもさすがに処理に困られるだろうというところもございます。
といったことも含めて、右側に書いてございますが、今後、多様なモビリティ社会と言われておりますが、そういったときにちゃんとリサイクルのところも含めた健全な市場の育成に自工会としては貢献したいという思いから、2021年からそういったリサイクルの仕組みができないかということを検討開始しておりました。
次のページをお願いいたします。具体的につくったシステムがこちらのようになっております。
左側、排出者、各種事業者と書いてございますが、環境省さんから産廃の広域認定をいただくことができました。今後、一廃につきましても、環境省さんに多大な御協力をいただいているところでございますので、取っていこうということで準備を進めているところでございます。
排出者から、真ん中の自再協認定解体事業者と書いてございますが、次世代モビリティリサイクラーということで、解体業者さんのところに車を持ち込んでいただいて、そこで普通に廃車と同じように必要な処理をしていただいて、右下のシュレッダー事業者のところに普通の廃車ガラと一緒に持っていってもらうという仕組みをつくりました。
真ん中のところにLiB・フロン・エアバッグシステムとございますが、自再協は全体の運営をやるということで、リチウムイオンバッテリーもフロンもエアバッグも自再協で引取関係の差配業務をやっておりますので、それとセットでこちらもやっていくというところでございます。
次のページをお願いいたします。今回のシステムの特徴なのですが、まずポイントの1つ目ですが、左上のところにありますとおり、リサイクル費用につきましては、廃車時徴収も一応可能な仕組みということにしております。新車の販売時に必ずしもリサイクル費用を徴収していないメーカーの場合、広域認定ですので、メーカーの参画は必ず必要になりますので、メーカーが参加できなくなるということもございますので、まずお客様の立場から考えると、お金は払うので、この粗大ごみを誰か持っていってほしいというケースも当然にあると思われますので、廃車時徴収もできるようなしつらえを置いております。
ポイントの2つ目は、JAERAさんの御協力をいただきまして、自再協の認定解体事業者さんということで、優良な解体業者さんを全国に配置することができましたというところでございます。
ポイントの3つ目でございますが、こちらは鉄リ工業会さんの多大な御協力をいただきまして、通常の廃車ガラと一緒にシュレッダー事業者さんへ持ち込むことで輸送費、コストが大幅に削減できるということで、関係団体、JAERAさん、鉄リ工業会さんとも協力しながら、次世代モビリティの適正なリサイクル促進に取り組んでございます。
次のページをお願いいたします。こちらは次世代モビリティリサイクラーの配置状況ということで、ゼロの都道府県がございますが、近県が取りあえずカバーするということになっております。こちら、今後も拡大していこうと考えてございます。
次のページをお願いいたします。こちらは次世代モビリティリサイクラーさんの認定制度の概要ということで、JAERAさんの認定の自動車リサイクル士制度がございますので、まずはこの資格を持っていらっしゃることというのが前提になりまして、リチウムイオンバッテリー等も搭載しておりますので、電気自動車等の整備業務に係る特別教育を修了している事業者さんといったところの認定基準を設けて取組を進めさせていただいてございます。
自リ法対象外車両につきましては、以上でございます。
ページを飛んでいただきまして、28ページ目、モーター磁石のリサイクルへの取組についてということで御説明させていただきます。
次のページをお願いします。29ページ目は、また見ていただければと思うのですが、右側の絵で何を言っているかといいますと、縦軸は自動車の生産台数でございまして、2035年時点の生産台数、電動車100%ということであれば、800万から900万台生産しないといけないのですが、300万台レベルの廃車しか出てきませんということで、リサイクル材は結局3分の1程度しか出てこないというところ。
しかも、②で書いてございますが、平均車両は16年と先ほどありましたが、それが16年後になってくるということは、何がポイントかといいますと、真ん中に楕円で囲んでおりますが、2035年に向けて急激に生産が増える段階で出てくる工程内端材とか、不良品とか、ここをいかにしっかりリサイクルして、リサイクル技術、コストを磨いていくかというところが重要になりますという資料でございます。
次のページをお願いいたします。右下の図は、保有が多い間は中古部品がよく出ますので、中古部品の母材価格で引き取られます。その間は材料リサイクルで仕入れようと思っても、材料価格では買えませんということを言っています。ですので、保有台数が少なくなって、廃車台数が増えて逆転した時期になって初めて材料価格で母材が買えるようになります。ただ、そのときもモーターは金属の塊ですので、買取り競争が当然起きますということで、先ほど申し上げました工程内端材とかそういったものが出ているところで、何とかリサイクルコストをしっかり磨き上げて、量産効果のある海外企業の低コストなリサイクル企業に対抗していかないと、また国内から資源が流出しかねないといった問題意識ということでございます。
次のページをお願いいたします。自工会の対応の方向性ということで、磁石リサイクル連絡会というのを自工会が中心となって今回設立いたしました。
次のページをお願いいたします。具体的な概要でございますが、メンバーにモーター関連の部品素材メーカーさん、磁石メーカーさんも入っていただいて、技術的な部分もありますので、メンバーを限定して非公開でやっていこうと考えてございます。自動車課さんと金属課さんにも入っていただいて、年に1回開いていこうというところでございます。
次のページをお願いいたします。モーターが本格的に出てくるのは、恐らく2030年以降かなと思いますが、今現在、リチウムイオンバッテリーを回収している仕組み、なるべくリチウムイオンバッテリーと同時に、同じトラックで回収して輸送効率を上げていくということで考えてございます。
左下のところでモーターリサイクル施設、磁石リサイクル施設と書いてございますが、ここがやはり肝で、競争力ある磁石の取り出し、リサイクル技術開発、施設設置、ここの部分をしっかり検討していく必要があるということで、2030年に向けてこちらの連絡会で検討してまいりたいと考えてございます。
次のページをお願いいたします。リチウムイオンバッテリーのところを簡単に変わった点だけ御説明いたします。
42ページまで飛んでいただきまして、こちらは変わっておりませんが、先ほど伊藤委員長からも話がございましたが、昨年も申し上げました不適正荷姿輸出への対応の必要性ということで、この1年もリチウムイオンバッテリーが燃えたというニュースをいろいろなところで聞いているところかと思います。やはりコンテナに裸で中古のバッテリー、どういう状態なのかもよく分からないバッテリーが無梱包で積まれて、船舶で輸送されている可能性があるということで、船舶火災につながる可能性がありますので、これは税関さんになるのかもしれませんが、水際チェックでしっかり防いでいただくということが重要ではないかと思っておりますので、引き続き国のほうで御検討をお願いいたします。
次のページをお願いいたします。こちらが数量でございまして、昨年度、1万個をようやく超えました。本年度、1万5,000個までは行かないと思いますが、1万2,000から1万5,000ぐらいの間かなと考えてございます。
続いて、46ページまで飛んでいただけますでしょうか。こちらは現在の会員状況ということで、右側、赤字で書いてございますところが、昨年度、新たに10月までに入られた輸入車メーカーさんということで、アウディさんとEVメーカーのビーワイディーさん、ヒョンデさんが入られてございます。
リチウムイオンバッテリーの御説明は以上でございまして、51ページまで飛んでいただきまして、新冷媒への切替え状況というところでございます。
次のページをお願いいたします。下に書いてございますとおり、目標値GWP150以下をおかげさまでしっかり達成することができましたということで、23年度までに切替え完了というところの御報告でございます。
自工会からの御説明は以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、資料5及び資料6につきまして皆様から御質問、御意見を頂戴したいと思います。
御発言御希望の方は、先ほどと同じように名札を立てていただくか、オンラインの方は挙手機能でお知らせをお願いいたします。いかがでしょうか。織委員、お願いいたします。
○織委員 御説明ありがとうございました。今のLiBのリサイクルのシステムについて、大変いろいろな取組をなさっていて、興味深く聞かせていただきました。
こういったリサイクルの取組をしていくときに、何が一番ネックになっているのかということをぜひお伺いしたいと思っています。
あとは、海外と比べて日本の取組が遅れているのか進んでいるのか、そのバランス感覚というか、相場観というのはいかがなものかなということが1点と、先ほど水際の火災の話も出てきていたのですけれども、やはりバッテリー、リチウムイオン電池も含め、取扱いによっては火災事故等が非常に起こりやすいというのは廃家電などのときでも実証済みなのですが、そこについての事故事例ですとか、そういったものが上がってきているのか。そういったものに対して、どのようにリサイクルシステムを回していく上でケアなさっていらっしゃるのかという辺り、ちょっと教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございます。では、後ほど自工会の嶋村さんに御回答をお願いしたいと思います。それでは、対面の井岡委員、その後、オンラインで根村委員、ここで一旦切りたいと思います。では、井岡委員、お願いいたします。
○井岡委員 ありがとうございます。井岡でございます。
資料5の8ページなのですが、JARCさんは地方自治体の研修にもかなり力を入れていらして、コロナの後はかなり進んでいらっしゃると思っております。今年の1月1日の能登は、私が石川県出身なものですから、すごく身近に感じているのですけれども、そのことも含め、能登は9月の大災害もあったものですから、多分、ほかの自治体さんも人ごとではないと感じていらっしゃるのではないかと思います。研修を引き続き推進していただきたいと思います。
次に、10ページの外国人への研修も大変重要なことだと思うのですが、パーセント、例えば外国人の事業者がどれぐらいあって、今どれぐらい出席がされているのかというところが、もし分かりましたらお願いいたします。
次に、資料6ですが、次世代モビリティリサイクルについて、大変すばらしいと思います。この中で優良解体事業者さんを認定していくのは、とても有効だと思います。特に私が注目したいのは、自動車リサイクル士資格について、自動車リサイクル機構さんは、これを認定していらっしゃるわけですが、今調べさせていただきましたら、現在580事業者で1,264人全国にいらっしゃるということが分かりましたけれども、ぜひこれも進めて、このリサイクル士さんの増加が自動車リサイクルのレベルアップ、行く行くは材料の確保へもつながっていくのではないかと思いまして、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。では、続いて根村委員で一旦切りたいと思います。
○根村委員 ありがとうございます。根村でございます。資料の御説明ありがとうございました。
自工会さんの資料の42ページにございました不適正荷姿輸出への対応の必要性について改めて申し上げたいのですが。昨年も御対応をお願いしたいとここの席で申し上げたようにも思います。たまたま昨日、LPガスの専航船からの陸揚げを見る機会があったりもしまして、やはり船舶火災はあってはいけないことだと思いますので、ぜひ御対応についてお進めいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。では、織委員の質問には自工会さんから、井岡委員の外国人の事業者についてはJARCさんから、次世代モビリティは自工会さんから、最後、根村委員のコンテナ船の話は取りあえず自工会さんから何かいただいて、その後、両省から補足があればお願いしたいと思います。それでは、まず織委員の件からお願いいたします。
○嶋村委員 御質問ありがとうございました。こういったシステムをつくるとき、何が一番ネックかというところは、コストをどうやって低減していくか、コスト効率をどうやって図っていくかというところが非常に工夫しないといけないところかなと思っております。輸送は合い積みになるようになるべくためるとか、そういった工夫ポイントがいっぱいあります。そういうコスト低減に関しましては、自動車メーカーは一番得意中の得意分野でございますので、一生懸命やるというところしかないかなと思っております。
あとは、業許可関係でございますが、いろいろハードルは高いのですが、いつも環境省さんに多大な御協力をいただいておりますので、何とかスムーズにいっているというところでございます。
海外と比較してどうかという御質問がございましたが、海外でその国の自動車メーカーが共同でこういった仕組みをつくっているというのは聞いたことがございません。リチウムイオンバッテリーの自工会の回収システムは世界でも日本だけ、次世代モビリティといったものも世界で日本だけということで、そういう面では、日本の自動車会社は御承知のとおり、二輪も含めたら全部で14社ありますので、個々に一社一社やっていると14個の広域認定を取るとか、そういう話になったりとか、個々にトラックを仕立てて回収しないといけないという面ではコストも高くなるというところで、日本はメーカー数が多いというところもありますので、共同でやるのに一番いい土壌ではあるのかなと思っております。
○山本座長 ありがとうございました。もしよろしければ、永井専務理事からも、JARCの外国人向けの研修の件で質問がありましたので。
○永井 ありがとうございます。外国人研修はおっしゃるとおり、なかなかこういう教育の場がないということが大きな課題と捉えておりまして、JARCとしても貢献できるのではないかということで取り組んでおります。
申請の方が何人いて、そこが何%カバーできているか、実は我々も把握できていないのです。今回、千葉県も、自治体から申請した外国人業者に声をかけていただきまして、その方に受けていただいて、最後、理解度テストもやっているのですけれども、そんな中で、実際に通しで全部教育してくれる場は結構大事だということが分かったのです。リサイクラーさんの申請の方は結構独立する方がいらっしゃるのです。実際にやっていて独立する方とか、そういう方は、知っていると思っても全部知らないとか、そういう意味ではこの辺の重要性が非常にあるところでして、今後も自治体さんともっと協力をしなくてはいけないし、さらには、これを通して資格も得て、許可取得のほうに今後将来進んでいけばいいと思っているのですけれども、まだ始めたところだというところになりまして、御質問に答えるほど何%までいかない状態ということは御理解いただけると幸いでございます。ありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、続きまして挙手があります……
○嶋村委員 すみません、ちょっとまだお答え全部できていなかったので。
○山本座長 そうでした。失礼しました。
○嶋村委員 織先生と根村先生からございました不適正荷姿とか火災の事故事例とかの話ですが、私が聞いている範囲では、船舶の火災での事故事例は聞いておりません。環境省さんで何か把握していらっしゃれば補足いただければと思いますが、右側に写真が出ておりますのは鉛バッテリーです。鉛バッテリーですら、こういったコンテナ火災があるとは聞いてございます。
そういった不適正荷姿輸出をすると、こういう可能性が出るというところではございますが、ここの対応状況はまた環境省さんから補足いただければと思いますが、火災自体にどう対応するかという部分につきましては、実は自動車リサイクル高度化財団で、自工会も協力しておりますが、マテックさんが主体となりまして、そういった火災に遭った電池とか損傷した電池の解体業者さんでの適切な取扱い方法、最終的には解体事業者さん向けのマニュアルづくりというところで、今後、電動車が増えてくれば必ず一定の割合で残念ながら事故は起きてしまいますので、事故が起きたときの変形した電池とか異常電池をどのように解体業者さんで処理すればいいのかといったマニュアルづくりのための実証事業を今、高度化財団の支援事業でやらせていただいておりますので、そういったところのマニュアルもつくって解体事業者さんのほうで対応していただくということかなと思っております。
嶋村からは以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。環境省さんから本件で補足はありますか。
○塚原補佐 海外輸出の対応は、環境省では規制課で対処しておりまして、詳細には把握していないのですが、以前からスクラップ等を積んだ船から火災が起きるという事例はたくさん起きておりますし、今後のLiBの輸送に関しましても注意が必要だということは認識してございます。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、現在、挙手いただいておりますオンラインの大塚委員、それから鬼沢委員の順番でお願いいたします。これで一旦切らせていただきたいと思います。
○大塚委員 大塚です。
自工会様からのお話と特に関係しますが、現在、リチウムイオン電池との関係で、ブラックマスに関して日本から海外のほうにかなり出ていってしまっているという話はあると思うのですけれども、先ほどお話しいただいたように、非常に精緻に対応していらっしゃると思っていて、国内循環のこともかなり気にしていただいているので、大変いいなと思っているのです。しかし、他方で輸出もかなりされているのではないかと思うのですが、その点に関してはどのようにお考えになっているかというのを教えていただければありがたいと思います。ブラックマスの湿式精錬工場に関して、日本はまだ対応が遅いのではないかというような問題もあるかもしれませんが、その辺も含めて教えていただけるとありがたいと思います。ありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございます。続いて、鬼沢委員、お願いいたします。
○鬼沢委員 自工会さんがリチウムイオン電池のリサイクルシステムを構築されて、回収が進んでいるというのはすごくいいと思うのですが、これは廃棄物としての回収システムだったと思うのです。やはり安全に回収していく。でも、本来リチウムイオン電池は廃棄物ではなくて、資源として非常に有効だと思いますので、嶋村さんの説明で飛ばされたのですけれども、素材のリサイクルとかリビルトの対応が今後すごく重要になってくると思います。そうなると、回収システムと素材のリサイクル、リビルトのところをもう少しオーバーラップするような形で今から準備しておいたほうが資源としての有効利用が国内で進んでいくと思いますし、リチウムイオン電池のセルのそれぞれがまだどのぐらい有効かというのは高度化財団の公募事業でもやられていますので、その辺りもしっかりと連携していくことが重要ではないかと思います。
○山本座長 ありがとうございます。では、自工会さんから簡単に御回答をお願いいたします。
○嶋村委員 ありがとうございます。ブラックマスをつくる部分でございますが、リチウムイオンバッテリーも2030年以降、本格化するということで、2030年を見据えて精錬メーカーさんも技術開発して、多分、富士山でいうと8合目から9合目ぐらいまで来ているのかなと。国からの御支援もいただいて、ブラックマスから国内で精錬できるように進めようとしていらっしゃるということで、自動車メーカーも、それに合わせて2030年ぐらいをターゲットに今進めようとしております。現時点、国内で精錬できませんので、海外に出ているというのはやむを得ないかなとは思っておりますが、2030年ぐらいを目標に頑張っていければいいかなと思ってございます。
鬼沢先生からのお話でございますが、まさにおっしゃられる御指摘のとおりと考えておりまして、40ページのところでございます。例えば電池リビルトに持っていくものも、電池のリサイクルをするものも、同じトラックで運んで、ラストワンマイルを電池リビルト施設に持っていくのか、素材リサイクル施設に持っていくのかというようなことで分けて、なるべくこういうことをすることによってコスト低減をしっかり図っていこうということで、鬼沢先生の御指摘ポイント、非常に重要なところでございまして、そのような形でやっていこうと我々も考えているところでございます。アドバイス、ありがとうございました。
○山本座長 ありがとうございました。皆様の御協力のおかげで最後の話題に移ることができます。ありがとうございます。
これから自由討議ということになるわけなのですけれども、その前に、最初に井岡委員が前半で御指摘いただきました輸出返還の件、事務局からまず一言御回答をお願いします。その後、自由に全体を通じて御発言をいただきたいと思いますので、御発言される方は名札を立てるか挙手にてお知らせください。
○原企画官 経済産業省から御回答させていただきたいと思います。
井岡委員から御指摘いただいた件につきましては、この審議会合同会議でもこれまでも何度か論点となっているところでございます。15年目のレビューをする際にも、報告書を検討する中で活発な御議論があったと承知しております。
原則論を申し上げますと、御承知のようにリサイクル料金は新車購入時に自動車所有者から預託金という形で預かった、そういったものでございまして、国内で処理をされなかった費用については、リサイクル券の所有者に払い戻すといったことが原則となっている点をまず御理解いただければと思います。
加えまして、御指摘の点は、本日御説明させていただいたような樹脂リサイクルをどう進めるかといった議論の際に、そもそも使用済自動車の引取台数が少ないのではないか、海外に中古車として流れているので確保できる量が足りないのではないかといった御意見だと承知しております。使用済自動車の引取台数が少ないとする状況の下で、国内資源循環をどのように進めていくのかについては、先ほど環境省から御説明ございましたけれども、産官学のコンソーシアムなどでも議論が進められていくものと思います。基本的には、リサイクル料金制度のみの問題ではないと思いますので、関係団体の皆様や有識者の方々の御意見、中古車や廃車の取引の実態を踏まえながら、この問題を考えていく必要があるのではないかと思います。
また、直接的な御回答にならず大変申し訳ないのですけれども、制度の根本的なお話でございます。15年目見直しの報告書には、「自動車の在り方の変革の中で、制度の全般的な見直しの検討を行う中で、中古車輸出時のリサイクル料金取扱いの観点も踏まえて検討する」ということになっておりますので、この中で、先ほど私が申し上げました法的な原則論も踏まえながら考えていきたいと思います。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、石井委員、井上委員の順でお願いいたします。
○石井委員 日本自動車リサイクル機構の石井です。
我々自動車リサイクラーのためというわけではないと思うのですけれども、このように多くのすばらしい方々が、こうした議論を繰り返して行ってくれているのだなということを今日肌で感じることができまして、非常にありがたいなと。我々のやる仕事は、とても意義があって大きなことなのだと改めて責任を感じているところです。
ただ、今すぐにどうのこうのできる話ではないのですけれども、我々、現状抱えている大きな問題としては、不適正業者との不当な競争の改善が本当にありまして、私もJAERAの代表理事になりまして全国をブロック会議とかで回るのですが、代表、仕事がないんだよ、どうしたらいいんだという話ばかりです。
思い返してみると、私が入社した頃は500万台を超えるような使用済車両の量があったのですけれども、今年は多分250~260万台まで下がってしまうのではないかというところで、肌感覚でいうと我々業者は、どこに行っても4割、ひどいところでいうと5割減になっています。ただ、幸いなことにして仕入れの部分に関しては資源高というところもあるので、弾不足で仕入れ高という局面はあるのですけれども、何とかこらえているという状況です。
そんな中で、この場でどうのこうのできる問題ではないと思いますが、現在の外国人事業者の実態調査、JAERAが5、6年前に行った調査では既に4分の1が外国人事業者になっています。この間、群馬県のある同業者から聞きましたけれども、新規登録者は全て外国人だったということです。
なので、今、我々が検討していただきたいと思っていることに関しましては、現状としては、解体業の許可は行政書士さんにお願いすればできてしまうのです。今日の議論でも上がっていましたけれども、ぜひ許可の更新の際に、その会社に自リ士が在籍していることを条件にしていただきたいと。そこの認定機関をJARCさんにお願いしたいと思っております。そうすることによって、日本語が分かる、日本の法律が分かる、適正処理が分かる、ありとあらゆる工程が分かる人がその会社にいるということになりますと、当然、同じ土俵に上がって勝負していただいているという最初の一歩になってくると思いますので、これはぜひぜひ自動車リサイクル法2巡目の見直しに向けて前向きに取り組んでいただきたいと思っております。
あと、今、中古車輸出が最大の問題というか、これは特に問題ではないのですけれども、廃車寸前の車が海外に出て、向こうで不適正な処理で地球全体の温暖化につながっているという懸念があります。これについては、当然、経済合理性、ビジネスですから止めることはできませんけれども、もう一つ考えていただきたいのは、やはり経済安保であったりとか、輸送安全上の観点からハイブリッド、EVの輸出の禁止は御検討いただけないでしょうかというところです。
それから、駆動用バッテリー、先ほどもありましたけれども、嶋村さんの資料の46ページにありましたけれども、ここの海外メーカーのところに米国の一番大きなEVのメーカーが入っていなかったのです。うちの同業者の中でも、やはり燃えてしまった車が非常に大きな問題になっています。燃えてしまった車の処理が、不適正にはやらないのですけれども、結局それを取り外したところで、どう処分していいか分からないというところもありますし、プラス工程で火災が発生してしまいまして、消防車が何台も来ても火災が止まらなかったという事案も出ていますので、この辺、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
それから、これだけ我々静脈が重要な立ち位置になってくると、やはり動脈側のものづくりが立ち行かなくなるというのを本当にひしひしと肌で感じさせていただきました。それを動かす心臓が、ここにいらっしゃる国の方々であったり、有識者の先生たちだと思いますので、皆様と共に知恵を振り絞って、我々業界がしぼんでいかないように、もっと言うと5年後、気づいたら全部――外国人の方が全て悪いというわけではありません。もちろん、真面目にやっていらっしゃる外国の方も大勢いらっしゃいますけれども、不適正業者だけで、ものづくりが全く立ち行かなくなってしまったということにならないように、ぜひ皆さんと共に検討していきたいと思っております。
最後に、リサイクル料金の年金型他車充当方式、これまでも主張してまいりましたけれども、ユーザーの費用負担削減の観点からもぜひ検討していただきたいということ。あとは、一時抹消で放置されてしまっている車、これは国交省さんの管轄になってくると思いますけれども、これは我々の手配する会社に関しては全て永久抹消までやっております。永久抹消することによって全て完結です。ところが、不適正処理の会社に回ってしまったり、一時抹消のまま車が放置されてしまいますので、一体全体、これどうなっているのといったところは非常に不思議というか、懸念しているところでございます。
話が長くなってしまって恐縮ですけれども、以上、よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございました。法令遵守の企業についてお話ありがとうございました。続きまして、井上委員、お願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。井上でございます。時間の関係もありますので、私からは手短にインセンティブ制度について述べさせていただければと思います。
ASRの削減及び再資源化の高度化を目指して導入されるインセンティブ制度は、経済的インセンティブ付与の仕組みが分かりやすく興味深い制度であるという印象を受けましたが、現状の課題は、どのようにして中小企業を取り込んでいくかということだと思います。
そこで、やはり重要になってくるのがコンソーシアムなのでしょうが、実際にJAERAさんが実施されているトライアル実証事業から、どのようにコンソーシアムが形成されていくのかという部分は次第に明らかになってきていることと思います。実際には、ある程度の体力がある解体事業者などが核となり、その周辺の中小の企業にお声がけしてコンソーシアムが形成されていくのではないかと推測しますが、そのようなコンソーシアムの核となる企業を増やしていくことがこの制度への中小企業の参加を促す上で鍵となるのではないかと思います。現在は地域を限ってトライアルを実施していらっしゃると思いますが、今後は全国にそのような核となる企業を増やしていく取組が重要になってくると感じております。
具体的な取組については、これからさらに実行に移されると思いますが、例えばJARCさんが実施されている、具体的な業務の流れを明確化し、それを情報共有していくことは、企業にこの制度に関する理解を促し、参加しやすい環境づくりにつながるのではないかと感じております。今後も積極的な取組を期待しております。
○山本座長 ありがとうございました。では、続きまして、入野委員、お願いいたします。
○入野委員 どうもありがとうございます。バッテリーリサイクルに関しましては、JAIAも非常に重要な課題として捉えておりまして、JAIA内においてもバッテリーリサイクルタスクフォースのチームを組織しております。先ほど嶋村さんから御説明ございましたけれども、自工会ともいろいろ連携を取らせていただいて、今年も3社ほど共同回収システムのメンバーにならせていただいております。JAIAとしては、個々のバッテリーリサイクルの事業者とも連携を深めることも重要であると認識しております。個別には個社がいろいろと自社で工夫を凝らしながらやっています。安全性ということにつきましては、非常に重要な課題だと我々は認識しております。我々の組織全体の取組としては前向きにいろいろやらせていただいているということだけ御説明させていただきました。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。現時点でほかに挙手をされている方はいらっしゃらないと思いますが、よろしいでしょうか。――それでは、事務局から今の御意見について簡単に御回答をお願いできればと思います。
○原企画官 まず、経済産業省から回答させていただきたいと思います。
石井委員から使用済自動車をめぐる実態、現状はどうなっているか、事業者の皆様がどのように考えているかということについて御発言いただきました。貴重な御意見に加え、状況がどうなっているかという情報提供をいただきましてありがとうございました。
その中には、廃車寸前の使用済自動車も輸出されているというような実態のお話もございました。こういった話をお聞きして思ったことは、まず、御指摘いただいたような取引の状況など実態を把握するということではないかと思いましたので、環境省とも連携の上で、御指摘いただいた点について検討したいと思います。
それから、井岡委員に御回答したものと内容が少しかぶってしまいますが、自車方式から他車方式の変更についての御発言がございました。これにつきましては、繰り返しになるのですけれども、現行のリサイクル料金制度は、自動車の所有者が新車購入時に、将来、国内で廃車となる場合の費用として、自らが購入した車に対して法律に基づいてリサイクル料金を預託したものでございます。
自動車所有者の立場に立つと、自車充当方式から他車方式に仮に変更した場合には、自車を廃車するために預託した費用を他車に変えてしまうことになり、強制的に充当させてしまう法的な妥当性などいろいろな論点も踏まえて検討しなければいけないものと考えます。
実務上の問題としても、現在、自動車リサイクルシステムでは自車方式が前提になっておりますけれども、他車方式に切り替えるためにはシステムの大改造も必要ですし、様々な検討課題があると思いますので、こちらにつきましても先ほど申し上げましたように、15年目見直し報告書のような方向性で検討することになるのではないかと思います。
取り急ぎ私から回答させていただきました。
○角田補佐 補足になります。井上委員からいただきましたインセンティブのところですが、おっしゃるとおり核となる企業が大事になってくると思っております。ガイドラインにも示させていただいておりますが、コンソーシアムをつくる際に、管理会社定めていただきます。その管理会社はどの事業者が担当してもよく、大手の解体業者でもいいですし、その地域を取りまとめている破砕業者でもいいと思いますし、再生材業者であったり、あとは商社が担当するというケースもあるかと思っております。
そのような核となる事業者を増やしていくということは非常に重要でして、そうした観点でもJAERAにやっていただいているコンソーシアム形成の実証事業は重要な取組だと思いますし、今後、両省においても地方の出先機関とも連携しながら、そういった核となる事業者の掘り起こしをやっていきたいと思っておりますので、また審議会の場などで御報告をさせていただければと思います。
私からは以上です。
○山本座長 ありがとうございました。環境省さんから何か補足ございますでしょうか。
○仲野補佐 多岐にわたる御意見いただきまして、法制度に絡むこともございますので、引き続きしっかり議論させていただきたいということと、その中でできることはしっかりやっていきたいということで、簡単ではございますが、回答させていただきます。
○山本座長 ありがとうございます。それでは、最後になってしまい恐縮なのですけれども、ここで中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会の酒井座長から御意見を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。
○酒井座長 山本先生、ありがとうございます。御意見というよりは、今日の議論を聞かせていただいての方向性としての発言をさせていただきます。
まず、今日冒頭、経産省の伊藤課長から、今日の議論は資源回収インセンティブと再生材利用に向けてのコンソーシアムの2点を新しく提供して、これらの観点を中心に意見をいただきたいという宣言がございました。
そういった中で、まず再生材利用の方向につきましては、今回、自工会が2050年長期ビジョンということで事前公表された資料をここで紹介されたという位置づけになっているかと思います。そういった意味で、相当に練られた1つの方向性を明示され、そして、そこに定量性を持って相当強く訴えられているということは見てとれるかと思います。まず、こういう取組をされていることに関しては敬意を表したいと思います。
ただ、自動車リサイクルというのは非常に多くのステークホルダー、関係者が集まったシステムで出来上がっています。そういった意味で、今後は国としてのベクトルをどういう方向にどう持っていくのかをしっかりと考えなければならないというステージに入っていくのだろうと思います。その意味での合同部会も役割があると思いますし、また、今日、各省から紹介された再生材利用のコンソーシアムという議論の場でさらに練られていくということになろうかと思います。今後どういう方向で、どうジャパンがまとめるかということで、非常に大事なステージが来るのではないかと思っております。また期待したいと思います。
そういった中での資源回収インセンティブでありますけれども、今日、骨格をしっかりと経産省、環境省からお示しいただいて、始められるという実感を持っていただいたのではないかと思っております。
そういった意味で、今日いただいた御意見の中には、相当先の観点を提示いただいたものもある。例えば、所委員から資源利用としての内側のインセンティブという言葉を使われましたけれども、これは非常に意味深い言葉でして、いわゆる環境配慮設計的なファクターをどう入れるのだという指摘があったり、また、松八重委員からはメタルのフロー把握ということと、メタルに対してのインセンティブをどうするのだという点、極めて大事な観点を提供いただいていますので、十分に頭にとどめさせていただきたいと思います。
まずは、2026年に向けてしっかりと始めること、そして根づかせることがやはり重要かと思っておりますので、しばらくそういうところに注力していただきたいという意味では、今日、鉄リの高井委員から御紹介のあった組織への期待という御発言は非常に重く共有させていただいたらどうかと思いました。また、井上委員からは具体的にそういう中での課題ということで、コアとなるべき解体事業者の役割という指摘もございました。こういったところは、今、目の前、現実に走らせるための非常に重要なポイントかと思いますので、そういうところを念頭に置いて進めさせていただきたいと思います。
何よりこういうシステムを始められるというのは、この自動車リサイクルのしっかりした制度を日本が持っていること、加えて、それに対しての財源的な裏づけが一定額あるということで初めてできることであろうと思っています。今日も特預金の御紹介が途中でございましたけれども、そういう使える財源があるというのは、ある意味、日本全体でありがたいと思う、そういう観点も必要かなと思っています。
今日、改めて参考資料にある資源回収インセンティブのガイドラインを拝見していたのですけれども、そこの関係主体の役割ということで、国、自動車製造事業者、解体事業者、破砕事業者、あと情報管理センターとか、ずらっと並んでいるのですが、残念ながら自動車の所有者とか国民、市民といったところがみえていません。これは鬼沢委員から意見が出てもよかったのではないかと思っているのですが、代わって発言をしておきます。やはり所有者の理解が一番根幹であると思いますので、こういった点には常に配慮して、ここでの議論を進めさせていただければと思います。
以上でございます。
○山本座長 どうもありがとうございました。最後に、私のほうでもまとめをしろということなのですけれども、今、酒井先生からおまとめいただいてしまったので、1つだけ。
この手の話をすると、いつも需要側がとか供給側がという話になってしまうと思うのですけれども、昔、偉い経済学者の人が、需要側と供給側は、はさみの上の刃と下の刃と一緒だという話をされまして、その紙を切ったのは上の刃か下の刃かというのは議論してもしようがないのではないかというお話をされたというのを今思い出していたのです。なので、今回、コンソーシアム、その他いろいろな取組を経産省さんも環境省さんもされていて、この中で、ばらばらのはさみがちゃんと上も下もくっついてやっていただければ、きっとうまいこといくのではないかと思いましたので、私のまとめとさせていただきます。
時間が過ぎてしまいまして申し訳ございません。本日は、本当に有意義な御意見を多数いただきましてありがとうございました。
最後に、事務局から議事の取扱いなど、その他説明をお願いいたします。
○伊藤補佐 ありがとうございます。山本座長、委員並びにオブザーバーの皆様、本日はお忙しいところ闊達な御議論をいただきまして誠にありがとうございました。
本日の資料につきましては、既にウェブサイトで公開させていただいております。また、本日の議事録については、後日、各委員に御確認をいただいた上で、ウェブサイトに公開させていただきますので、御了承くださいませ。
最後に、環境省環境再生・資源循環局総務課資源循環ビジネス推進室長の河田より一言御挨拶を申し上げます。
○河田室長 ただいま御紹介にあずかりました環境省の河田と申します。手短に私から最後に挨拶を申し上げたいと思います。
本日は、委員の皆様においては御多忙の中お集まりいただき、熱心な御議論及び貴重な御意見をいただきました。誠に御礼を申し上げたいと思います。
また、自動車リサイクル制度については、順調に機能していると考えている一方で、欧州ELV規則案の対応であったり、CASE、MaaSといった革新的な技術やサービス、また、カーボンニュートラルの対応など、よく100年に一度と言われる大きな変革期を迎えているのがまさに自動車産業の置かれている状況かと思います。
そのような中、来年は自動車リサイクル法が本格施行されて20年の節目を迎えるということもありまして、改めて自動車リサイクル制度の施行状況を評価するとともに、さらなる発展に向けた対応の方向性についての検討も行っていきたいと考えてございます。
環境省としましても、本日いただいた様々な御意見を踏まえて、自動車のライフサイクル全体の脱炭素化であったり、電動化の進展や使い方の変革等に対応した自動車リサイクルの在り方、また、ライフサイクル全体での資源循環に向けた取組について、経済産業省や関係団体とよく連携、協議しながら、産官学コンソーシアム等の場も生かしながら検討を深めてまいりたいと思います。
委員の皆様においては、引き続き御協力を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
○伊藤補佐 それでは、本日の会議はこれにて終了とさせていただきます。ありがとうございました。
経済産業省側事務局の製造産業局自動車課の伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、開催に当たりまして、事務的な事項を御案内、御報告申し上げます。本合同会議は、両審議会を合わせまして、23名の委員及び4名のオブザーバーで構成されております。本日は、21名の委員及び1名のオブザーバーの方に対面及びオンラインにて御出席いただいております。
なお、産業構造審議会自動車リサイクルワーキンググループにおいては、9名の委員に御出席をいただいており、定足数である過半数に達していることを御報告いたします。
なお、中央環境審議会自動車リサイクル専門委員会につきましては、定足数の規定はございません。
続きまして、委員の構成変更及び出欠について御報告いたします。
まず、産業構造審議会におきまして、日本自動車工業会の大津委員に代わりまして、伊藤委員が着任されております。
中央環境審議会におきまして、川崎市廃棄物指導課長の入江委員に代わりまして木下委員が、日本自動車リサイクル機構の酒井委員に代わりまして石井委員が、日本自動車連盟の島委員に代わりまして野津委員がそれぞれ着任されております。
大変恐縮ながら、新たに着任されました委員におかれましては、一言御挨拶をお願いいたします。まず、伊藤委員からお願いいたします。
○伊藤委員 皆さん、こんにちは。自工会環境技術政策委員会で委員長をやっております伊藤でございます。よろしくお願いいたします。このような場で様々な議論ができることを本当にうれしく思います。よろしくお願いいたします。
○伊藤補佐 ありがとうございました。それでは、木下委員、よろしくお願いいたします。
○木下委員 御紹介いただきました川崎市役所廃棄物指導課課長の木下と申します。本日はよろしくお願いいたします。ウェブ出席となりますが、活発な御議論、参加させていただくことをうれしく思っております。よろしくお願いいたします。
○伊藤補佐 ありがとうございます。それでは、石井委員、お願いいたします。
○石井委員 日本自動車リサイクル機構の石井浩道と申します。本日、これからどうぞよろしくお願いいたします。
○伊藤補佐 ありがとうございます。では、野津委員、お願いいたします。
○野津委員 日本自動車連盟の専務理事の野津真生と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○伊藤補佐 ありがとうございました。
なお、産業構造審議会におきまして、日本自動車整備振興会連合会の島オブザーバーが新たに着任されておりますことを併せて御報告いたします。
続いて、出欠について御報告いたします。全日本自治団体労働組合の木村委員、三重県環境生活部の中島委員、日本自動車販売協会の荒居オブザーバー、全国軽自動車協会の板崎オブザーバー、日本自動車整備振興会の島オブザーバーから御欠席の御連絡をいただいております。
なお、オンラインでの参加の所委員におかれましては、所用のため途中で一度退席され、再度参加されると伺っております。
それでは、第59回合同会議の開会に先立ちまして、経済産業省製造産業局自動車課長の伊藤より一言御挨拶申し上げます。
○伊藤課長 経済産業省製造産業局自動車課長の伊藤政道と申します。よろしくお願いいたします。
委員、オブザーバーの皆様におかれましては、大変御多忙のところ、今回の産業構造審議会及び中央環境審議会の第59回自動車リサイクル合同会議に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
自動車リサイクル制度は2005年に法制度化されて以来、既に20年近くたっておりますけれども、これまでフロンやエアバッグ等の指定品目の回収とともに、自動車破砕残渣の再資源化、また、これに伴い不法投棄や不適正処理の大幅な減少といったことを実現して、制度として順調に機能してきたということだと思っております。これもひとえに本日お集まりの委員、オブザーバーの皆様をはじめといたしまして、自動車リサイクル制度に関わる関係団体の皆様の日頃からの御尽力の賜物であり、この場をお借りして改めて御礼を申し上げたいと思います。
近年、サーキュラーエコノミーへの移行ということが我が国の重要戦略の1つとして位置づけられてきております。本年8月2日には、我が国のサーキュラーエコノミーへの移行の指針を定める第五次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定されたところでございます。
サーキュラーエコノミーへの移行は、気候変動、生物多様性の保全、環境汚染の防止といった環境面の課題と地方創生や質の高い暮らしの実現、あと産業競争力の強化や経済安全保障といった課題、これらの同時解決にもつながっていくものであると考えております。我が国の国家戦略としても着実に進めていく必要があるのだろうと考えているところでございます。
国際的にも、欧州を見てみますと、新車のリサイクル材含有要件を含む規制の導入が検討されていると承知しております。日本国内でも経産省の産業構造審議会資源循環経済小委員会において、プラスチック等の再生材利用義務について検討するという方針が示されているところでございます。
本合同会議におきましても、自動車リサイクル制度の高度化、とりわけプラスチック、樹脂のリサイクルの取組を推進するため、本日の主な議題として取り上げさせていただきました。自動車リサイクル制度では、使用済自動車の解体・破砕過程において、樹脂、ガラスの資源回収を強化することを目的といたしまして、資源回収インセンティブ制度の検討を進めているところでございます。
本日、経産省より本制度の準備状況、今後の方向性について御報告させていただくとともに、環境省からは自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアムなどの取組について御説明させていただく予定としております。
委員、オブザーバーの皆様におかれましては、サーキュラーエコノミーへの移行を念頭に置きつつ、自動車リサイクル制度の高度化に向けて、活発な御議論を賜れればと思う次第でございます。
このほか、日本自動車工業会、自動車リサイクル促進センターからも自動車リサイクルに係る各種取組について御報告いただく予定となっております。
本日は、長時間にわたる御議論となってしまいますけれども、ぜひともよろしくお願いいたします。
○伊藤補佐 引き続きまして、配付資料の確認をいたします。
配付資料につきましては、事前に御案内いたしました経済産業省、環境省のホームページに掲載しております。資料は1から6、参考資料は1から4がございます。
対面で参加の委員におかれましては、机上のiPadに資料が格納されておりますので、御覧ください。お手元にiPad操作方法の紙を配付しておりますが、操作が分からない場合はお近くの職員にお尋ねください。
オンライン参加の委員の皆様におかれましては、御発言をされる場合を除きマイクをミュートとし、ビデオもオフとしてください。御発言の際にはマイクのミュートを解除し、ビデオをオンにして御発言をお願いいたします。
なお、本審議会はYouTubeによるライブ配信をさせていただいております。
それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。
これ以降の議事進行につきましては、山本座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございます。ただいま御紹介いただきました山本でございます。昨年度より産構審側で座長を仰せつかっております。
今年度、久々に対面も併用ということで、多くの皆さんのお顔が見られて大変うれしく思っております。同時に、テクノロジーも駆使して、効率的な議論をできればと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
では、早速議題に入らせていただきます。本日の議題ですけれども、資料1、議事次第にありますとおり、自動車リサイクル法の施行状況についてと、自動車リサイクル制度をめぐる各種取組状況についてとなっております。
初めに、事務局より資料3について、議題1の説明をいただきます。
続けて、議題2につきまして、サーキュラーエコノミー推進の観点から、自動車分野における樹脂リサイクルの推進について、事務局及び日本自動車工業会より資料4を用いて御説明いただきたいと思っております。
その後、続けてになりますが、事務局よりカーボンニュートラルと3R検討会について御説明いただくように考えております。
本日、御出席の委員及びオブザーバーの皆様におかれましては、資料3及び資料4について御質問、御意見があれば、その後、御発言をいただきたいと考えております。それ以外につきましては、議事進行の都合もございますので、最後に自由討議の時間を設けております。その際に回答するようにしますので、少しお待ちいただければと思います。
では、まず事務局から資料3の説明をよろしくお願いいたします。
○仲野補佐 環境省資源循環ビジネス推進室の仲野と申します。私から資料3の御説明をさせていただきます。
まず、お手元の資料3の2ページを御覧いただけますでしょうか。2ページ目が全体の施行状況の概要となっております。この資料3自体が長いため、ポイントを絞って御報告させていただきます。
まず、 (1)再資源化等の実施状況でございます。
令和5年度の使用済自動車の引取台数としましては273万台ということになりまして、令和4年度の274万台から1万台減っております。自動車リサイクル法が施行されて以来、一番低い数字となっております。
②に自動車リサイクル法で再資源化義務を課している3品目の引取状況がございまして、いずれも240万件程度ということで、ここは前年度と同様の数字となっております。
再資源化の状況でございますけれども、リサイクル率としまして令和5年度実績、シュレッダーダストでは製造業者によって多少ずれますが、96から97.3%、エアバッグ類については96から97%となっております。
この2つの品目につきましては、自動車リサイクル法で再資源化の基準を設定しておりますけれども、いずれも長期間にわたって基準はクリアしているというような状態が継続しております。
(2)に移りまして、法律に基づく事業者の登録、許可の状況でございます。
全体の登録許可事業者が3万7,000者弱になっていまして、令和4年度末から比べますと1,000件程度減少しております。引取業者でマイナス850、フロンでマイナス150といった程度、全体としてマイナス1,000というような状況でございました。
(3)リサイクル料金の預託状況でございます。
令和5年度としましては、新車登録時の預託台数として453万台、金額としましては約480億円という形になっております。令和4年度はそれぞれ439万台、450億円でしたので、昨年度よりは増加しているというようなところでございます。
②のところは令和5年度末時点での預託台数と預託金額の残高になっております。預託台数としましては8,118万台程度、預託金額の残高としては約8,580億円ということになっております。
③輸出返還の状況でございますけれども、国内でリサイクルされないということで、リサイクル料金が返ってくるわけですが、輸出における返還台数が令和5年度で157万台で、金額的にいいますと200億円程度となっておりました。令和4年度は129万台で、令和4年度に比べると増加しているというような状況でございます。
このページ、最後になりますけれども、(4)不法投棄、不適正保管、離島対策の状況でございます。
まず、①としまして不法投棄、不適正保管の車両ですけれども、4,613台ということで、前年度からは164台減少しております。そのうち100台以上のものを大規模案件と呼んでおりますけれども、大規模案件、令和4年度末では4件あったところ96台減りまして、残り3件、663台というような状況でございます。
②の離島対策の実績としまして、離島における使用済自動車の本島への海上輸送費の8割を補助しているところでございますけれども、令和5年度の実績としましては約2万2,000台、金額にして1億2,000万円程度の補助をしております。事前に計画を各市町村から出していただくのですけれども、その計画では令和6年度は83市町村において2万6,000台程度の処理を見込んでいるというようなところでございます。
続きまして、3ページへ移動していただけますでしょうか。使用済自動車の使用年数自体は、令和5年度は16.7年ということで、右肩上がりで使用年数が伸びてきているというような状況でございます。
続きまして、4ページですが、中古車登録台数としては643万台、オークション流通台数としては770万台といずれも前年度と比較して増加しているというような状況でございました。
続きまして、少し飛びますが、8ページをお願いできますでしょうか。⑤シュレッダーダストの処理状況、(ア)のところですが、一番下のASRの再資源化率というところを見ていただきますと、全体の再資源化率としては96.6%となっております。熱回収を除いたASRのマテリアルリサイクル率も令和元年度からは算出しているところでございますが、令和5年度の状況としましては28.8%というような状況でございました。
続きまして、9ページをお願いいたします。(エ)の自動車由来の最終処分量ですけれども、ASR自体は安定的に処理されておりまして、表の中の③埋立施設に直接投入されたASR重量は近年、継続的にゼロとなっております。1台当たりの最終処分量を見ますと、令和5年度としては7キロとなっております。より細かく見ると6.7キロということで、四捨五入して7キロということでございます。
(オ)全部利用の状況でございます。全部利用、ASRが発生しない処理方法ということでございますけれども、表の真ん中辺り、認定全部利用の件数を見ていただきますと約15.4万件、令和4年度と比べると101.7%ということで、少し増加したというような状況でございました。
続きまして、16ページまで進んでいただけますでしょうか。④の特定再資源化預託金等の発生状況でございます。令和5年度におきましては、約19億円発生しております。事故であったりですとか、非認定全部利用といったリサイクル料金がユーザーに返らない、再資源化にも回らないというときに特定預託金になりますけれども、そういったところが19億円程度発生したというような状況でございます。
資料が非常に多い中、駆け足で御説明させていただきましたけれども、全体としての状況は以上でございます。
○山本座長 ありがとうございます。それでは、続きまして、資料4の自動車リサイクル制度の各種取組状況についての御説明をお願いいたします。
○仲野補佐 引き続き、資料4―1につきましては、仲野から御説明させていただきます。
資料4―1の1ページ目をお願いできますでしょうか。資源循環を取り巻く状況として、最近の動きについて御説明させていただきます。
まず、循環型社会形成推進基本計画についてでございます。この計画は、循環型社会の形成に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために定めるものでございますけれども、令和6年8月に第五次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定されております。今回の計画の大きなポイントは、循環経済への移行を国家戦略に位置づけたということでございます。
循環経済の概念図がございますけれども、循環経済への移行は、その図の下、緑の枠で囲っておりますが、ネットゼロですとかネイチャーポジティブ、産業競争力強化、経済安全保障、地方創生といったところに資するものであって、ウェルビーイングを実現するために重要なツールでございます。
また、循環基本計画の中に自動車に関する記載がございまして、大きな点としましては、自動車のライフサイクル全体での脱炭素化、また、ライフサイクル全体での資源循環をうたっております。
続きまして、次のページに行っていただきますと、再資源化事業等高度化法の御説明でございます。こちら廃棄物処分業者による再資源化事業等の高度化の取組を促進するために、令和6年5月に公布されたものでございます。
まず、3つの緑の枠ですけれども、基本方針の策定、再資源化の促進、再資源化事業等の高度化の促進を主な措置事項としております。まず、目指すべき基本的な方向性を国が示しまして、これを実現するための関係者の取組の方向性を示すこととしております。その上で、再資源化の実施を促進するための措置を講ずることによって、高度化を促進する下地を形成することをねらいとしております。
また、先進的な取組を促進するため、の枠で囲っております3つの類型に該当する事業、事業形態の高度化、技術の高度化、工程の高度化といったところを環境大臣による認定制度を創設しまして、生活環境の保全の措置を講じた上で、廃棄物処理法上の特例を措置するというようなことを建付けとしております。
これらの措置を通じて脱炭素化の推進と循環経済への移行に通じる効果を目指しております。
資料4―1につきましては、以上でございます。
○塚原補佐 それでは、資料4―2に関しまして御説明させていただきます。
自動車リサイクルに関連する取組といたしまして、自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアムを11月20日に立ち上げを予定してございます。
次の7ページから御説明いたします。冒頭、伊藤課長からも御挨拶がありましたとおり、欧州におきまして、自動車の製造における再生プラスチックの利用を義務づける法律の案が出ております。昨年の7月にこちらが発表されまして、まだ欧州議会では議論中なのでございますが、施行されましたら6年後から欧州で販売する自動車の新車製造において、再生プラスチックを25%以上利用することが義務化される動きがございます。25%のさらにその25%は廃自動車由来ということで、自動車における水平リサイクルが促されるという方向での規則でございます。
国内でも再生材の利用に係る議論がなされているところでございますが、国内で利用されている再生プラスチックは非常に限られておりまして、量、質ともに不足しております。
そこで、環境省では日本としての戦略的な対応を進めるための産官学によるコンソーシアムを立ち上げる予定でございます。
立ち上げの背景ですけれども、今申し上げましたような国内外での動き、それから、そもそもプラスチックの資源循環に関しまして、国としても取り組んでいるところ、現在、排出されている廃プラスチックの6割が熱回収されているということや、国内でリサイクルされているものに関しましても、その7割が輸出されているということで、国内で再生材を活用する市場が立ち上がっていないというところに課題を見いだしております。
特に自動車という高品質の再生材が求められる業界に向けて再生材を供給していくために、その流通量を拡大し、動静脈の連携した取組が必要と考えています。
進め方に関しましては、2030年前半を見据えて、サプライチェーンを横断する業界団体10団体の参画を得て、今年度2回程度行う予定でございます。本日、ここに御参加いただいている団体の方々や専門家の先生にも御参加いただいていますが、さらに樹脂に関するリサイクラーであったり、廃棄物処理に関わる団体にもお声がけをしてございます。
製造業とリサイクル業の連携によって、どのような取組を行うか、それに対して、さらにどのような支援を国が行っていくかということについて検討いたしまして、今年度中にアクションプランを取りまとめる予定でございます。
資料4―2に関しましては以上です。
○角田補佐 続きまして、資料4―3、資源回収インセンティブ制度について、経済産業省自動車課の角田から御説明させていただきます。
資料をおめくりください。これまでの審議会では、資源回収インセンティブ制度の背景や概要について御説明させていただきましたが、今回はそれに加えて、現在の進捗状況についても御説明させていただきたいと思います。
まず、インセンティブ制度の経緯ですが、諸外国の廃棄物の輸入規制をきっかけに、2018年から2019年にかけて、国内の廃棄物処理施設での廃棄物の受入れが増加しました。それによってASRの処理が逼迫するということが一部で生じまして、それに伴ってASRの処理費用も上昇するということが発生いたしました。
ASRの引取りが滞ったり費用が上昇することは、自動車リサイクル制度の円滑な運営に支障が生じる可能性がございますので、ASRの発生量を減量させることと、再資源化を高度化させることを目的としまして、素材の回収に取り組む解体業者や破砕業者に対して、預託されたリサイクル料金を原資としてインセンティブを付与する制度が検討されることとなりました。
当時は、こうした経緯により検討を行っていたのですけれども、先ほど環境省から説明があったように、昨今、サーキュラーエコノミーへの移行が国の重要な政策課題となっておりますので、自動車リサイクルの分野においても樹脂のリサイクル、素材のリサイクルを推進していくことが求められております。
経済産業省としましても、環境省とか関係団体等と連携をしながらインセンティブ制度を活用した取組を進めてまいりたいと考えております。
インセンティブ制度の取組を円滑に進めるために、令和2年度の審議会において、事務局よりインセンティブ制度の概要を提案させていただきました。その後の検討を踏まえて、制度の基本的事項をまとめたインセンティブガイドラインの中間取りまとめを作成しまして、令和4年度の審議会で報告をさせていただきました。
今回の審議会では、中間取りまとめからの修正点を御報告させていただき、本審議会の終了後にガイドラインの最終取りまとめとして、両省のホームページ上で公表させていただく予定です。
次のページをお願いします。次に、制度の概要になりますが、図の上の部分を御覧ください。通常の使用済自動車の処理のスキームになるのですけれども、使用済自動車は引取業者、解体業者、破砕業者を経てASRとなります。それが最後、ASR再資源化施設で処理されているというのが現状になります。
次に、図の下段を御覧ください。インセンティブ制度のスキームになりますが、これまでASRになっていた樹脂やガラスを解体業者、破砕業者に取り外してもらった場合、その取り外した分だけASRが減量しますので、減量されて浮いた再資源化費用を取り外した解体業者等にインセンティブとして付与することになります。そうすることで、ASRとなる前の使用済自動車から資源を回収していくことにつながると考えております。
次のページをお願いします。これまでのスライドでは、制度の背景と概要を御説明させていただきましたが、これ以降は制度の進捗状況について御説明させていただきます。
まず、インセンティブガイドラインの中間取りまとめからの修正点についてですが、令和4年度の審議会において中間取りまとめを公表後、カーボンニュートラルや国内における資源循環の推進の観点から、関係者と検討を進めてまいりました。
まず、カーボンニュートラルの観点になりますが、環境省が主体となって進めてきました自動車リサイクルのカーボンニュートラル及び3Rの推進・質の向上に向けた検討会において検討された結果を踏まえて、自動車リサイクルにおける回収インセンティブの取組は、自動車リサイクルプロセスにおける温室効果ガスの排出削減、ひいてはカーボンニュートラルの実現にもつながり得るものという文言を追加いたしました。この後、本検討会については環境省から説明がございます。
次に、国内における資源循環の観点です。回収したプラスチック等を国内で循環させることが重要でありますので、インセンティブ制度に参画する場合には、解体業者や破砕業者、再生材業者等でコンソーシアムをつくってもらうことになっていますが、そのコンソーシアムをつくる際の要件の1つとして、回収した資源は国内を中心として資源循環を行う事業者に引き渡すことという要件を追加いたしました。具体的には、回収した廃プラスチックを国内でペレット化することまでを求めております。
なお、当該記述については、独占禁止法や公正取引委員会の指針等の観点から問題がないかということを公正取引委員会に念のため確認しまして、この内容については問題がないという回答を得ております。
以上がガイドラインの修正点となります。
次のページをお願いします。続きまして、制度導入に向けた広報・周知について御報告いたします。
まず、自動車リサイクル促進センターのホームページにおいて、資源回収インセンティブ制度の特設サイトを開設しております。ここには動画を用いた制度説明であったり、QAを掲載しておりまして、これまでに200以上の事業者に登録をいただいております。今後も実証事業であったり取組事例の紹介といったことでコンテンツの拡充を図っていく予定になっております。
続きまして、両省の取組になりますが、各地域での関係業界であったり事業者の方々に制度周知をしていくとともに、案件の掘り起こしにも取り組みたいと思っております。
そのために、まず経済産業省と環境省の出先機関である経済産業局と環境事務所に対して、インセンティブ制度の説明会を行いました。今後は、そういった出先機関とも連携しまして、各地で制度参画者を増やせるように取り組んでいきたいと考えております。
続きまして、解体業者の業の許可権限を有する地方自治体に対してもインセンティブ制度のことを紹介しておりまして、自治体担当者の理解と協力を促していくということに取り組んでおります。
次のページをお願いします。次は、自動車リサイクルシステムの対応状況についての説明になります。資源回収インセンティブに対応するために、自動車リサイクルシステムにおいても改修を行っているところです。
解体業者や破砕業者が回収した素材の重量をASR重量から差し引く機能であったり、ASRチームがインセンティブの支払額を計算する機能、参画事業者の登録、管理機能、重量の妥当性をモニタリングするための機能などの開発を完了したところでございまして、現在、自動車リサイクル促進センターにおいて機能検証が行われているという状況でございます。
次のページをお願いします。次に、実際にコンソーシアムを形成するための実証事業について御紹介させていただきます。
現在、日本自動車リサイクル機構JAERAにおいて、自工会とJARCと連携の上で、中小事業者が制度に参画しやすくなるよう、中小事業者によるコンソーシアムのモデルケースであったり、インセンティブ制度の実際の作業内容等を取りまとめるためのトライアル実証事業を行っております。
インセンティブ制度の課題の1つになりますが、大手の解体業者やプラスチックの破砕機を保有している大規模な解体業者が参入の主体となるといった可能性がございますので、そこは事業規模に関係なく、幅広い事業者に参画いただけるような環境づくりが必要だと思っております。
解体業者を取りまとめられている業界団体のJAERAが旗を振りまして、自工会やシステムを管理するJARCと連携してモデルケース等をつくることで、幅広い事業者の参画につながることを期待しているところでございます。
次のスライドをお願いします。次に、制度の手続に係る部分になりますけれども、ASRチームによる提案審査トライアルも予定されております。コンソーシアムの受付であったり、審査、契約に係る事務手続については、ASR再資源化施設の認定であったり、全部再資源化スキームの認定に係る事務手続を行っておりますASRチームが担当することになっておりますが、制度開始当初の円滑な手続の実施を目的として、解体、破砕業者の協力の下、申込みの受付から提案内容の審査、契約までの一連の手続についてトライアル検証を実施することとなっております。
具体的に申し上げますと、各手続の書類を実際に使用しまして、情報の抜け漏れやそれにかかった工数、さらには現地審査の方法などについて検証しまして、検証結果を実際の申込書類や審査要件、監査方針に反映していく予定になっております。
なお、当該書類であったり方針を決定する際には、両省においても公平性などが担保されているかといった点については確認を行う予定になっております。
次のスライドをお願いします。最後に、今後のスケジュールについて御説明いたします。
まず、インセンティブガイドラインについては、本日の審議会を経て公表をする予定となっております。
案件の掘り起こしであったり、特設サイトの拡充など、制度周知については今後順次行っていく予定でして、制度開始以降も鋭意取り組んでいきたいと思っております。
コンソーシアムの受付になりますが、各種トライアル検証を経て、2025年度の第1四半期をめどに受付を開始しまして、制度開始までに契約等の事務手続を行っていくという段取りになっております。
説明が長くなりましたが、以上が資源回収インセンティブ制度の御説明になります。
続きまして、日本自動車工業会より再生材活用の取組を御説明いただきますので、資料6―Ⅲに飛んでいただきまして、そちらを御覧ください。それでは、自工会の嶋村様、よろしくお願いします。
○嶋村委員 日本自動車工業会の嶋村でございます。
それでは、私から本年9月に公表させていただきました再生材の自主取組の内容につきまして御説明させていただきたいと思います。
次のページをお願いいたします。下の図に関しましては、昨年度の審議会の合同会議で少し御説明させていただきましたが、右下の緑のところがASRのサーマルリサイクルにおけるCO2の発生量ということで、御覧のとおり6割ぐらいがASRのサーマルリサイクルということでございますので、ここを何とかマテリアルリサイクルへ持っていくことが重要と考えてございます。
次のページをお願いいたします。これをマテリアルリサイクルに持っていくに当たって、自動車メーカーだけではなかなか難しいというところもございますので、下の絵に描いてありますとおり、解体業者さん、破砕業者さんから、先ほど御説明がありました資源回収インセンティブという制度もございますので、何とかASRの発生量を減らすということで、樹脂等を事前に選別していただくということが重要になりますし、右側のところ、ASRリサイクル業者においても、なるべくサーマル処理をする量を減らすということで、樹脂の選別をしていただくということで、自動車メーカーのみならず、各関係事業者の方々が各領域で取り組んでいただくということが必要になるのかなと思ってございます。
次のページをお願いいたします。サーキュラーエコノミーの視点におきましても、御承知のとおり、経産省さん、環境省さん、先ほど話がありました欧州のELV規則といったようなところで各種取組が活発化しているというところでございます。
次のページをお願いいたします。こういったことを受けまして、自工会では2050年の長期ビジョン及び中長期ロードマップ、自主目標値も含めて策定いたしました。目的のところに書いてございますとおり、自動車関係の各事業者のみならず、産業界全体の再生材の供給、活用を自動車産業が積極的に牽引していきたいといった思いでございます。
次のページをお願いいたします。2050年の長期ビジョン、長期的に目指すありたい姿でございますが、供給側と需要側、2つの側面があると考えております。需要側でございます自動車メーカーといたしましては、供給側と連携した動静脈一体の取組が非常に重要と考えてございます。
すなわち、左側の供給サイドのところに書いてございますが、供給サイドのリサイクラーさん、素材メーカーさん等が国内のみならず、海外においても各社が品質面、コスト面で圧倒的なグローバル競争力をしっかり持っていただくということが非常に重要かなと。それでもって最小のカーボンフットプリント、CO2で量的にも十分に生産、供給できているという絵姿を2050年に目指していきたいと考えております。
供給サイドでこのような姿になれば、需要サイド側、我々自動車メーカー等においても、再生材活用率の高い車両を低コストで生産、販売でき、低CFPとも合わせて圧倒的なグローバル競争力を持っているということで、供給サイドのほうで、まずはしっかり品質コストで圧倒的なグローバル競争力を持っていただくということがなければ、我々需要家側でもグローバル競争力をなかなか維持できないということで、一体となった取組ということで、下のところに矢印で書いてございますが、母材確保の支援であったりとか、再生材の規格化であったり、国の補助金の支援であったり、こういった各種支援をしながら動静脈一体でやっていきたいと考えてございます。
次のページをお願いいたします。こちらが中長期のロードマップでございまして、期間を主に3つに分けてございます。
2030年までにつきましては、あと5年程度ということもございますので、まずは供給の基盤をしっかりつくろうと考えております。それによって2030年、再生プラの供給量、約2万トンを目指そうと考えてございます。
2035年、2040年にそれぞれサステナブルプラスチックの利用率15%、20%という数字を置かせていただいてございます。
その下に小さい字で少し書いてございますが、現在でも金属に関しましては、可能な範囲でかなり使っておりますが、今後、例えばアルミの展伸材からまた展伸材に戻すとか、電炉の鉄を鋼板に使うとか、ここら辺になりますと、供給側の精錬会社さんの技術開発になりますので、そういった技術進展をにらみながら、2030年ぐらいに再生金属類の目標値の設定を検討したいと考えてございます。
当面、プラスチックでございますが、取組事項の品質のところに書いてございますが、再生材の規格づくりを早速自工会で進めてございます。こちらをリサイクラーさんに広く提示させていただくことによって、いろいろなリサイクラーさんが再生材の市場に参入しやすいように、ひいては供給量の増加に向けて再生材の規格づくりを現在進めているところでございます。
また、供給の母材のところでございますが、先ほど来、御説明がありました資源回収インセンティブの参画企業を何とか増やしていこうという話であったり、ASRのマテリサをやっていただく企業を増やしていこうというような取組であったりとか、自動車はポリプロピレン、PPというプラスチックが中心なのですが、それ以外にも増やせないかということを検討したりということで、何とか供給量を少しでも増やせるように自動車業界としてできることをやっていこうと考えているところでございます。
次のページをお願いいたします。こちらは目標値をまとめたものでございますので、割愛させていただきます。
次のページをお願いいたします。目標値の適用条件でございます。
対象車両につきましては、2035年以降の国内生産、発売される新型の乗用車ということで置いております。対象素材につきましては、再生プラに関してはマテリサ品、ケミカルリサイクル品、バイオプラ、工程内端材、マスバランス品も含めてということで、考え方といたしましては、あらゆるリサイクル段階、素材関連業界の取組促進を何とか図っていきたいということで、対象素材もこのような幅広い形にさせていただいてございます。
次のページをお願いいたします。こちらは先ほど少し申し上げました2030年に約2万トンというところでございます。こちらにつきましては、先ほどインセンティブ制度等の周知も図って、現状だと1万トンぐらいかなとはじいておりますが、その計算方法につきましては、下のほうに算出根拠を書いてございますが、解体業界の方々、破砕業界の方々に取組促進を図らせていただいて、この実施率、マテリサ普及率を何とか倍増の2万トンを目指そうという考え方でございます。
次のページをお願いいたします。そのための取組ということで、この資料自体、昨年度の審議会にも出させていただきましたが、赤枠のところでインセンティブ制度での解体、樹脂リサイクラーのコンソーシアムづくり支援ということで、自工会も積極的にサポートしていきますと御説明をさせていただいたところでございます。
次のページをお願いいたします。ということで、実は本年3月に両省、JAERAさん、鉄リ工業会さんの御協力をいただきながら、事業者向けの取組マニュアルを自工会のほうで作成させていただきまして、説明会も開催させていただいたところでございます。
右側のJARCの話につきましては、先ほど角田補佐からいただいた話と同様でございます。
このような形で、自工会のみならず、JAERAさん、鉄リ工業会さんとも一緒になって事業者の方々のインセンティブ制度の活用というところで、何とかマテリアルリサイクルを拡大していきたいという取組をさせていただいております。
次のページをお願いいたします。2035年、40年の目標でございますが、15%、20%ということで数字を置いて少し試算をしております。一番上が必要量、真ん中が供給量、一番下が不足量と置いておりますが、必要量のところ、2035年、新型車3万6,000トンを入れていきます。翌年も新型車、約3万6,000トンと。あっという間に2040年には20万トン以上が必要になってくると。これが2045年になりますと、2040年に20%引き上げますので、約30万トン必要になってくるという試算になっております。
これに対しての供給量は、先ほど申し上げました促進策等をやって現時点で最大限はじいても、現時点で自動車業界内では約10万トンで3分の1ぐらいしか集まらないということで、不足量が約20万トンと。これに欧州規則の25%の数字がどうなるか分かりませんが、数万トンの不足分が出てきますと、二十数万トンから30万トン、再生プラの供給不足という状況になります。
ということで、環境省さんにおいては、コンソーシアムみたいなのも設定していただいて、国内供給側の取組強化を関係業界を含めて検討していこうということで、ここは必須かなと。ここの部分をしっかりやっていかないと、再生プラも海外依存というような話になりまして、これはこれで経済安保の問題も出てくるというところで、国内供給をどうしていくかというのが極めて重要な課題でございまして、産官学を挙げて取組を検討していただければと考えてございます。
次のページにつきましては、今申し上げました数字の算出与件も公開しております。こういった細かい算出与件も公開して、ほかの業界も含めて、こういった需要と供給はしっかり数字を出して、国内にどれだけ供給が足りないのかというところを明示すべきではないのかという思いもあり、今回、算出与件を細かく開示させていただいているところでございます。
嶋村からの御説明は以上でございますが、本日、自工会の伊藤委員長も出ておりますので、補足をいただければと思います。よろしくお願いします。
○伊藤委員 改めまして、自工会の伊藤です。よろしくお願いいたします。
今、嶋村さんから説明がありましたけれども、自工会としても再生材の取組をかなり積極的に進めております。そういった中で、言うまでもなく、我々循環型の社会になるための議論をこういった場を通じてしっかりと課題に取り組むということを考えております。
そういった中で、今、環境省からも御説明がありましたけれども、欧州におきましては、再生プラの法制化の議論が進んでおりまして、やっと日本でも議論が始まったというところで、重要なのは、こういった再生プラスチックが経済合理性を持って、しっかりと社会実装されることだと考えております。その上で必要な対策を打っていくというところを考えていきたいと思っております。
例えば、再生プラスチックの需要と供給のバランス、今2030年の2.1万トンという話がありましたけれども、それは今の供給量を倍増するということでありまして、そういった供給側の実力を勘案せずに海外の再生プラスチックの規制を導入しますと供給バランスが崩れまして、再生プラスチックの価格上昇、あるいは海外製の再生プラスチックの大量流入が考えられるということで、目指す姿と異なる結果が危惧されます。
したがいまして、データに基づいてバランスを見極めながら、日本の再生プラスチックの供給基盤を盤石なものにしていくというところが肝要かと考えております。
さらには、御存じのとおり、日本のリサイクル業界には多くの企業が存在するということで、こういった企業様によって日本のリサイクルは支えられているわけですけれども、海外のリサイクラーも日本の質の高い材料については非常に注目しているということで、今後、日本のリサイクラーさんは海外のリサイクラーさんとの競争にさらされるということで、こうした市場で勝ち残っていける、そういった国際競争力を持った国内リサイクラーさんの強化が喫緊の課題だと考えております。
また、日本からの資源流出も非常に大きな問題と認識しておりまして、再生プラスチック原料だけではなくて、例えばリチウムイオンバッテリーなど、これら様々な資源が部品、あるいは廃車という形で海外に流出しているということで、中には違法に輸出されるケースもあります。
例えば、リチウムイオンバッテリーにおきましては、梱包が適切な姿で輸出されないといけないのですけれども、それがなされていない場合、発火や爆発による洋上火災が懸念されるということで、そういった適切な輸出管理も資源回収、国内に資源をとどめるという観点では大事かなと考えております。
最後になりますけれども、本審議会の委員の先生方、経産省、環境省の方々に自工会の取組を御理解いただきながら、当然ながら効率的かつ経済合理性のある資源循環の形成に御協力いただければと考えております。よろしくお願いいたします。
○仲野補佐 それでは、最後、資料4―4について御説明させていただきます。こちらは樹脂のリサイクルの促進とは話が変わりまして、自動車リサイクルのカーボンニュートラル及び3Rの推進・質の向上に向けた検討について御説明させていただきます。
令和3年7月に本会議から出されました自動車リサイクル制度の評価・検討に関する報告書において、自動車リサイクルにおける排出実態を早急に把握し、排出削減対策等の必要な施策を講じるべきとの提言を受けまして、令和4年度から環境省が主体となって検討会を開催しております。自動車リサイクルの温室効果ガス排出実態を踏まえた削減方策ですとか、資源回収インセンティブ制度によるGHG削減への貢献を議論してきたところでございます。
次のページ、検討会での検討成果としては大きく2つあると考えておりまして、まず1つが、グラフにありますように、自動車リサイクルの各工程における温室効果ガス排出量を排出起源別、GHGガス種別に試算しまして、この結果を基に各工程の事業者にヒアリングを実施して、解体、破砕工程に関して、事業者の行動変容を促すための解体、破砕業者向けGHG排出量削減の手引を作成いたしました。
次のページに行っていただきますと、もう一つが、先ほどの経産省からの説明にもありましたけれども、資源回収インセンティブ制度を通じたカーボンニュートラルへの貢献についての考え方を整理したところでございます。
ガイドラインの最終取りまとめにおいても、このインセンティブ制度が温室効果ガスの排出削減、またカーボンニュートラルの実現にもつながり得るということを記載したというような御説明があったかと思いますが、さらにもう一つとしましては、国がカーボンニュートラルへの貢献を明らかにするよう検討に努めるということを追記しております。
これは実際にどういうことかということですけれども、次のページに行っていただきまして、これも検討してきた温室効果ガス排出量ですとか削減効果の試算方法を活用して、資源回収インセンティブ制度に参画するコンソーシアム単位で、資源回収量実績に応じた温室効果ガス排出量削減効果を当初は簡易的ではございますけれども、試算できるように今年度の検討会で準備を進めていくような予定としております。
また、これまでの検討結果を取りまとめまして、各自動車リサイクルに関わる皆様のカーボンニュートラルに向けた取組検討に当たっての参考情報とするために、事業者、業界団体、国を含めた関係者のカーボンニュートラルに向けた取組状況、また、取組予定を一覧化して整理する予定としております。
資料4の説明は以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、ここまで資料3及び資料4について御説明いただきましたが、皆様から御質問、御意見いただきたいと思います。
御発言を希望される際は、会場参加の皆様、オブザーバーの皆様は名札を立てていただくようお願いします。また、オンラインの方は挙手機能をお使いいただき、お知らせください。順番に指名していきたいと思っております。また、オンラインの方はビデオオンでの御発言をお願いできればと思っています。
初めに、オンラインの所委員、途中退席と伺っていますが、もし今都合がよければ、いかがでしょうか。
○所委員 今のタイミングで発言させていただければ大変ありがたく思います。ありがとうございます。
膨大な資料をおまとめいただきまして大変勉強になりました。特に自工会さんからいただいた、これからどれだけ不足があるかという定量データをいただいたことは大変イメージしやすくて、勉強になりまして、お礼申し上げます。
その観点から、これから自動車のサーキュラーエコノミーを推進していくためには、足りない再生材をいかに強く日本に集めてくるかということが改めて大切だと思うのですけれども、その点から環境省さんのコンソーシアムは非常に興味深いと思っておりまして、X to Carとも言われるようなケミカルリサイクルを促進していく1つの大きな取組になっていくと思います。
ただ、ケミカルリサイクルをするためには、ケミカルリサイクルのための技術も大切ですが、そもそもどうやって集めて、どうやってしっかり前処理していくかというところが非常に大切ですので、途中で御発言ありましたとおり、リサイクラーであるとか、前処理の専門家なども交えて、より組織を強化して進めていただければと思っています。
2点目、インセンティブ制度も非常に興味深くて、こちらは樹脂やガラスを資源化していくというところで、また非常に重要な取組だと思うのですけれども、こちらも現状は、まずインセンティブ制度が定着していくというところで進めていただければと思うのですが、近い将来的には、もう少し内側のインセンティブなども考えていってもいいのかなと思っています。内側のというのは、サーキュラーエコノミーのループの内側という意味なのですけれども、例えば易解体設計であるとか、易分解マテリアルであるとか、トレーサビリティがしっかりと取られているものが使われているとか、よりサーキュラーエコノミーの勝ち筋とも言われる内側のループに対するインセンティブというのも、定着してきたときには少しずつ拡大していくことを考えていってもいいのかなと感じました。
私からは以上です。
○山本座長 ありがとうございます。お三方ぐらいまとめてから事務局に御回答をお願いしたいと思いますが、続きまして、オンラインのほうで織委員、お願いいたします。続いて、松八重委員、お願いいたします。
○織委員 ありがとうございます。上智大学の織でございます。
非常に膨大な説明ありがとうございました。私がちょっと気になっているのは、リサイクルの市場が足りないということで、システムをどのようにしていこうかということが大きな議論になっていて、いろいろ資料も御提供いただいているのですけれども、要はリサイクル素材を使うことの安全性、品質確保をどこで議論していて、どのように確保していくのかという議論をこのサーキュラーエコノミーの議論の中にどのように入れていくのかという、ここの安全性確保、素材、または統一的な品質という部分についての自工会なりの取組をぜひ教えていただきたいということが1点です。
これに関連して、やはりリサイクルプラスチックを使うということは、化学物質とリサイクルの関係をどのように捉えるかという議論を業界団体でどのようにしていらっしゃるかということもお伺いしたいと思います。つまり、今、化審法がそもそも想定している状況ではない化学物質がリサイクル素材として使われているということで、そうした場合、化審法の対象外の混合物ですとか添加物を自動車のリサイクルの中でどのように検討していくのか、新たな枠組みを決めていくのかといった議論も1つ出てくるのではないかと思っています。
あと、電気自動車バッテリー、リチウムの話は今こちらでしてもよろしいでしょうか。それとも、これは後半に回したほうがよろしいでしょうか。
○山本座長 取りあえず、後半に回していただいてもよろしいですか。
○織委員 分かりました。では、取りあえず今のところはそこで止めておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございます。では、続いて松八重委員、続いて根村委員までで一旦区切りたいと思います。
○松八重委員 ありがとうございます。非常に膨大な資料を取りまとめいただきましてありがとうございます。
先ほど所先生からもコメントがありましたように、こういったコンソーシアムの取組は非常に興味深く、こういったことが立ち上がることは、循環型の資源供給を安定化させるという意味でも非常に重要かなと思っております。
資料4のスライド7番目のところにあります量と質の確保というところにマテリアルフロー分析があって、こちらに補正予算で17億円というところが記載され、内数とありますが、これがそのままダイレクトに行くわけではないと承知はしておりますが、今回の再生材利用拡大に向けた取組の中で、プラスチックが非常に重要な位置づけにあって、この部分を深めていくのは非常に重要だと分かってはいるのですけれども、マテリアルフロー分析のところで、再生利用可能な廃プラの発生源、量、流通を把握するための廃プラのマテリアルフロー分析と書いておりますが、廃プラスチックのリサイクルの高度化は、恐らくその向こう側には、プラスチックのリサイクルを行う手前の段階で、いろいろな異物を除去するですとか、もちろん含まれている金属資源に関しても丁寧な、精緻な分別、選別が行われた上で再生プラスチックの利活用が行われるので、恐らく付随する金属資源の利活用は手前の段階にあるのだと考えてはいるのですけれども、こういった廃プラのマテリアルフロー分析と書かれてしまいますと、そういった付随的な希少な資源のフローについては、この部分の調査から漏れるのではないかと、こういったものを深読みしてまで予算配分は行われないのではないかというところを少し懸念いたします。
ですので、廃プラのリサイクル分析、マテリアルフロー分析をやっていただくことは、もちろん基礎的な情報としてリサイクルを高度化する意味では非常に重要だと思うのですけれども、付随物で何が随伴していて、廃プラのリサイクルを高度化することによって散逸していた資源をうまく活用できているといった副次効果についても明らかにしていただけるようにお願いしたいと思っております。コメントです。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。では、根村委員、よろしくお願いします。
○根村委員 ありがとうございます。根村でございます。2点申し上げたいと思います。
まず1つ目、インセンティブ制度についてなのですけれども、リサイクル事業者さんの反応はいかがなものでしょうか。すごく積極的に参加していきたいという感じなのか、あるいは足踏みされているというような感じなのか、そういった御様子を教えていただけますとありがたいと思います。
それから、2点目としまして、再生プラの安定的な供給というところなのですけれども、これ、すごく必要なことだと思っているのですが、織先生のお話にもありましたけれども、質、特に安全性が非常に気になるところでございますので、それについてもお考えなど教えていただけると大変ありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございました。では、ここで一旦切らせていただきまして、事務局から御回答いただければと思いますが、まずは経産省側からでよろしいでしょうか。
○角田補佐 御質問ありがとうございました。まず、経済産業省の方でインセンティブについてお答えさせていただきたいと思います。
まず、所先生から御質問、御意見いただきましたインセンティブ制度の将来についてですが、これから定着していくべく我々も努力しているところでございますが、まずは樹脂、ガラスで始めていきまして、いろいろな事業者の方々に参加していただきたいと思っております。それがうまく回り始めたらほかの素材であったり、あとは先生がおっしゃっていたように、CEの内側の部分、易解体とかトレサビがちゃんとしているかというところに対しての新しいインセンティブの考え方については行く行く考えていきたいと思っておりますので、貴重な御意見として承ります。ありがとうございます。
続きまして、根村委員からいただきましたリサイクル事業者の制度に対する感触については、この制度に前向きに参加しようとしているリサイクル事業者もたくさんいらっしゃいまして、実際に解体業者さんや破砕業者さんと既に連携を取られているというところもあると聞いております。
ただ、やはり再生材を扱っているリサイクル事業者からは、自動車由来のものだと異物が多くついていて、異物がついているものをまた再生材に戻すというところが1つ課題になってきているという御意見もいただいておりますので、そうした事業者にも制度について御理解いただきまして、少しでも参加をいただくべく周知活動に取り組んでいくというところだと思っております。
○山本座長 取りあえず、それでよろしいですか。ありがとうございます。
続きまして、環境省さんからもし補足があればいただくのですが、特になければよろしいのですけれども、その後、自工会の嶋村さんにお願いしたいと思います。
○塚原補佐 では、所委員、松八重委員から御指摘ございましたマテフロのところや前処理等の重要性につきまして、おっしゃるとおりでございます。
特に様々な由来のプラスチックから自動車にというところに関しましては、混ざっているとか汚れているということから、マテリアルリサイクルもケミカルリサイクルも難しいということで、その結果として焼却されていたりとか、もしくは国内の需要に見合わないために輸出されているという現状がございます。まず、出てきた状態から分別され、解体され、選別されると。その過程のためのガイダンスだったり技術だったりが欠けている部分もありますので、そうしたところの支援等も必要と捉えております。
また、そのプロセスそれぞれのところに関わっていただく方々のためのインセンティブが欠けている側面もあると思いますので、そういった制度的な議論も重要と考えます。
松八重委員から御指摘の金属資源はどうなっているかというところなのですが、金属は今回環境省が取り組んでいるプラスチックに関するマテフロ分析では、スコープの外になります。金属のほうが価値が総体的に高いので、車の解体等の現場でも回収はされていると思うのですけれども、例えばハーネスみたいに分解されずに輸出されているような部分もあります。環境省の施策として金属資源をどう国内循環させていくかといったような議論もございますので、総合的に取り組んでまいりたいと思います。
○山本座長 ありがとうございます。先ほど織委員からリサイクルの質の担保で化審法の話がありましたけれども、何か環境省さんからございますか。
○塚原補佐 経産省から回答を御願いします。
○角田補佐 化審法の関係については、織委員御指摘のとおり、化審法のところで再生材という概念の議論がまだまだできていないところがあるというのは承知しております。そこについては、経済産業省の中で化審法を担当している部署がございますので、そこと少しずつ議論を進めているところでございます。
状況については以上になります。
○山本座長 ありがとうございます。では、自工会の嶋村さん、お願いいたします。
○嶋村委員 ありがとうございます。織委員と根村委員からいただきました質の安全性、化学物質関係の話だと存じますが、これは非常に重要な話だと思っておりまして、自工会でも現在、中に化学物質関係のタスクフォースをつくって、再生材において具体的にどう考えていくかというところの検討を始めたところでございます。
基本的には、リサイクラーさんの出口のところでしっかり管理をしていただいて、そういったものが含まれていないものを出荷いただくと。含まれていないものをといったときに検査が必要になるのですが、リサイクラーさん、必ずしもそういった設備を従来お持ちではない事業者さんも多いので、そういった検査設備もどこまで必要かとか、それによってお金も大分変わってくる部分もありますので、そこら辺の国の支援みたいなところもぜひお願いしたいところではございますが、まさにするどい御指摘で、御指摘のとおり、今後ここの部分をどうしていくかというところを総合的な対策として国と一緒に考えていきたいと思っているところでございます。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。では、続きまして、対面のほうで井岡委員、お願いいたします。
○井岡委員 ありがとうございます。井岡でございます。
資料3の2ページ目の下のほうにありますリサイクル料金の輸出返還について少々気になっておりまして、先ほどから将来の材料の不足とか、そういうことが問題になっておりますが、国内のリサイクル材料の確保という面でも大変難しい問題とはお聞きしておりますが、少し輸出返還についての見直しを進めていただく必要もあるのかなと考えております。よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございます。続きまして、オンラインの大塚委員、お願いいたします。
○大塚委員 ありがとうございます。先ほど来、活発な議論をしていただいていると思いますけれども、私も2点ほど簡単に確認させていただきたいことがございます。1つは化学物質とか添加剤等の関係については、経済産業省さんのほうでも情報伝達の仕組みとしてCMPのようなことをお考えになっていると思いますけれども、CMPと今までの電子マニフェストを結合したような情報伝達システムを考えていると思いますが、今日、あまり話が出てきていないのですが、多分これと関連させて再生材のプラスチックに関しては検討を進めていくことになると思いますけれども、この点を確認をさせてください。多分そういうことだろうと思っておりますが。
それから、もう一つの点ですけれども、先ほど所委員がおっしゃってくださった易解体設計のような話は、資料4―2の20ページの⑤―a、環境配慮設計及び再生可能資源の利用方策等の検討という辺り、これにさっきのインセンティブを使うかというような話になっていくのではないかと思って伺っていました。これから御検討なさるということなので、そうしていただければと思います。
ちょっと細かいことかもしれませんけれども、同じ資料4―2の12ページのインセンティブ付与のところで、素材産業のところにASR20キロ削減に係る経済的インセンティブという話が出てきていますが、この後、自動車製造業者等にこれが移転して、再生されたASRがプラスチックなどとして使われていくというところについてのインセンティブはなくてもいいのですかということがよく分からなかったので、教えていただければと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○山本座長 ありがとうございます。では、続きまして、対面で鬼沢委員、高井委員の順で御発言いただきまして、また一旦切りたいと思います。
○鬼沢委員 ありがとうございます。まず、最初の資料3の不法投棄のところ、100台以上の案件が減ったというのはよかったと思うのですけれども、100台未満の案件でまだ4,613台あるというのは、かなり長年ずっとこういう状態が続いていると思うのですけれども、この解決がどうしてなかなか進まないのかということと、なるべく早くに処理をしていく必要があるのではないかと思います。
それから、資料4―2の8ページに、リサイクルプラが海外に7割が輸出されているということなのですが、これは経済原理でそういうことになっていると思いますので、今後もこのままの状態で行くのか、今後ますます国内でのプラスチック再生材の利用を高めていくために、より国内で回収する量を増やしていく必要がありますが、経済原理だからそのままということなのか、そこをお聞きしたいと思います。
それから、4―3の資料でインセンティブ制度に中小企業の参画をなるべく増やしていきたいという御提案でしたけれども、それは非常に重要なことだと思いますが、中小になると、このときに人的な問題が非常に大きなハードルになるのではないかと思うのですが、具体的に中小企業の参画を増やすためにどんなことをされているのかということをお聞きしたいと思います。お願いいたします。
○山本座長 ありがとうございました。では、高井委員、お願いいたします。
○高井委員 日本鉄リサイクル工業会の高井と申します。私どもは、破砕工程を担当しています破砕業者が会員として入会している会でございます。
質問というか御報告、意見なのですけれども、資源回収インセンティブ制度に関しましては、私どもは早々に2021年の夏に対象の破砕業者にアンケート調査をした経緯がございます。そのときは、たしか6割以上の方がインセンティブ制度に前向き、興味があるという回答が出てきました。先ほどリサイクル業者の姿勢はどうかという質問がありましたけれども、その時点でもそういう状況でございます。
その後、2022年の秋にJARCさんの協力も得まして、私ども北海道から九州、沖縄まで全国7支部あるのですけれども、そこで説明会を企画しまして全国行脚をした経緯がございます。そのときには、地域差はございますけれども、おおむね制度には理解を示していたというのが実態でございます。
その後、私ども、JARCさんや経産省の制度案内を関係者に配信するなど周知を進めてきました。なるべく早くコンソーシアムの組成が具体的に行われるなど、制度が実際に立ち上がることを望んでおりますので、関係の皆様の御指南をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。では、一旦ここで切らせていただきまして事務局から御回答いただきたいと思いますが、申し訳ございません、輸出返還の件は資料3と4からちょっとずれているということで、最後の自由討議で回答ということにさせてください。それでは、経済産業省からでよろしいでしょうか。
○角田補佐 御質問、御意見ありがとうございました。まず、大塚委員から化学物質の関係で、経済産業省におけるCMP構想について、御意見いただきました。こちらは経済産業省の資源循環経済課や化学物質管理課が担当しているところでして、CMPにおいては化学物質管理について検討することに加え、再生材等の資源循環の情報追加についても検討を行う予定と認識しております。
あと、大塚委員からいただきましたインセンティブのところですが、こちらは再資源化費用をユーザーから預託いただきまして、そちらが自動車リサイクルシステムで運用されまして、廃車になったら自動車製造業者を経由して処理費用として支払われるというものとなっております。インセンティブとして支払われたASR20キロの削減分については、解体業者であったり、破砕業者であるコンソーシアムに支払われるということになりますので、製造業者側に移っていくということはないと考えております。
続きまして、鬼沢委員からインセンティブ制度に係る中小事業者の人的リソースについての御意見がありました。具体的にどうするかというところは、まだこれからの検討事項かと思いますが、まずはJAERAや自工会がやっておりますコンソーシアムの形成に係る実証事業でモデルケースをつくっていただいて、中小事業者の皆様がどういうところだったら入りやすいかな、どういう人たちとだったら組みやすいかなというものをまずイメージしてもらうというところが大事かなと思います。
コストについても、こういった方々と組めば自分たちのコストの範囲内でできるのではないかという示唆になるものと思っておりますので、まずはこの実証事業の報告書が、中小事業者の方々の参加するきっかけになればと考えております。
経済産業省からは以上になります。
○山本座長 ありがとうございます。環境省さんからも何かございますか。
○仲野補佐 鬼沢委員からいただきました不法投棄の件数ですが、4,613台、なかなか減っていかないのではないかというような御指摘でございますけれども、当然、自動車リサイクル法施行当時から比べると大分減ってきているところ、残存しているものにつきましては、原因者とのコミュニケーションが取りづらいというところは非常に大きな要因になっております。
前面に立っていただくのは自治体の皆様でございますけれども、今日お越しいただきのJARCの皆様等々にも協力していただきながら、少しずつ減らしていっているというような状況でございます。なかなか過去からの積み上げとなってきますと、10年、15年前の事象ですと、既に原因者が亡くなっていたりとか、そういった指導対象者に接触することすら困難になってきているような状況も聞いているところでございます。
それぞれ現場の状況は違いますので、各状況に応じて、これまでの経験、各自治体やJARCの知見を生かしながら、そういったものを各自治体、困っているところに展開していって、少しずつでも減らしていけるように、というのは引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
もう一つのコンソーシアムのところで、再生材の海外輸出でございますが、まさしく国内循環を目指すというところが1つ大きな市場構築というところでのコンソーシアムの目的ではございますので、このコンソーシアムの場で再生材、そもそもなぜ国内で循環に回らないのかというところもあろうかと思いますけれども、そういったところの議論を進めて、国内資源循環で海外に出ていったものが国内に返ってくる、国内でとどまるというようなところを進めていけるようにしたいと考えております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。私の時間管理が悪くて時間が押しているのですけれども、今、挙手いただいている野津委員、袖野委員、大変恐縮ですが、2分ぐらいの御質問でお願いできればと思います。では、野津委員からお願いいたします。申し訳ございません。
○野津委員 日本自動車連盟の野津です。私ども、ユーザー団体という性格を持っていますので、ユーザー負担という観点で2つほど御質問させてください。
1つは、資源回収インセンティブ制度で、資料4―3の11ページ、12ページでは、預託されたリサイクル料金を原資としますということで、システムの改修といいますか対応も必要で、恐らくコストも発生するのだと思いますけれども、一方で資料4―4、22ページのほうでは、目的にASRの円滑な再資源化の促進やリサイクル料金の低減という文言もありまして、この辺り、リサイクル料金を上げなくてはならないということにはならないのでしょうかという質問が1点。
それから、2つ目は、再生材活用の取組を今後一層向上していった場合に、リサイクル料金でありますとか、自動車の販売価格に影響が出るのかどうか、当然ユーザー団体としては、なるべくそれが出ないように経済合理性のある形で制度が回るということを望むわけでありますけれども、その2点、御質問させてください。
○山本座長 ありがとうございます。では、続いて袖野委員、よろしくお願いいたします。
○袖野委員 御説明どうもありがとうございました。3点、質問、コメントさせていただきます。
まず1つ目は、動静脈のニーズの理解というところでございます。サーキュラーエコノミーを推進していく中で、本日の御説明を聞いても、まだまだそのループが細いのだなとお見受けしましたけれども、産廃業者さんとお話をしていますと、プラについてもどれぐらい分別しないといけないのかとか、添加物、こういうのが入っていてすごくリサイクルしにくいとか、そういった声を聞いておりまして、一方、メーカー側もこれくらいのレベルのプラが欲しいというのがあるにもかかわらず、お互いのニーズがコミュニケーション不足だというところがありますので、コンソーシアムについては非常に期待しているところでございます。
2点目は、解体、破砕過程におけるプラの分別のレベルアップという点です。インセンティブ制度は非常にいいなと思っているのですけれども、プラをいい状態で分別していただくためには、解体、破砕業者さんが非常に重要なアクターであるというところで、優良事業者さんに物が流れるような仕組みが重要であろうかと思います。産廃業界では優良事業者が分かるようにホームページでお示ししたりとかしているのですけれども、そういった優良事業者さんが分かるような工夫があってもいいのかなと。
その中で、環境配慮設計の話にもつながりますけれども、本当だったらどこまで分別できるのか。分ければ分けるほど経済インセンティブがあるわけですけれども、メーカーさんのほうで分解の実証などもやっておられるというような話も聞いているのですが、家電の業界などですとリサイクラーさんと家電メーカーさんが一緒になって分解実験などをやっていますので、そういう形で、本当だったらここまできれいに分解できるというトップレベルの水準をお示しいただけると、目安になっていいのかなと思います。
3点目も環境配慮設計につながるのですけれども、素材のリサイクルというところで、電炉もCO2をたくさん排出いたしますので、リサイクルに回らずリユース、プリンターなどでは部品レベルでのリユースなどもありますが、部品レベルでうまく解体すれば、またループに戻っていけるというような可能性も追求すべきではないかと思いました。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。では、経済産業省から回答ございますか。
○角田補佐 ありがとうございました。まず、野津委員からいただきましたインセンティブにおけるリサイクル料金についての御質問だったかと思います。インセンティブ制度については、預託を受けている既存のリサイクル料金の中で賄っていく予定でございますので、リサイクル料金がその分増加するとか、そういったことはありません。今後、状況が変わってきて、現行とは異なる別の追加原資について検討事項に上がってくる場合があるかもしれませんが、現状の制度では、リサイクル料金がインセンティブ制度によって上がるということはありません。
続きまして、袖野委員からいただきました優良事業者の観点です。委員ご指摘のとおり、今後、そういった優良事業者、トップランナーみたいなことも重要だと考えており、コンソーシアムを組んだ事業者がそういう役割を担っていくのではないかと思っております。インセンティブ制度に参加するためにはASRチームと契約をしていただくことになりますので、優良事業者という観点でもインセンティブ制度がうまく活用されていけばよいと考えております。
あと、リユースの観点についても、既に業界の中では、解体業者によって使える部品は多くリユースされていますし、部品のリビルトについても業界で積極的に取り組まれているものと認識しておりますので、そういった取組も引き続き推進していきたいと思います。
経済産業省からは以上です。
○山本座長 ありがとうございました。環境省さんのほうでいかがでしょうか。
○仲野補佐 袖野委員から幾つか御指摘いただいたところ、まさしくこれから検討していきたいと考えております。
また、野津委員からありました再生材の利用で販売価格が上がるか、そこは経済合理性で、特にメーカーで御判断されると思いますけれども、上がることがないように考えられていくのだと環境省としては期待しているところでございます。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、時間も押しておりますので、一旦ここで切らせていただきまして、最後の自由討論という時間もございますので、次に進ませていただければと思います。
まずは、自動車リサイクル促進センターの取組について、それから、自工会さんの取組について、資料5、6について御説明をお願いしたいと思います。JARCは永井専務理事、続いて、自工会の嶋村リサイクル廃棄物部会長の順でよろしくお願いいたします。10分程度とお伺いしておりますので、申し訳ありませんが、時間厳守でお願いできれば幸いでございます。では、永井専務理事からよろしくお願いいたします。
○永井 永井でございます。よろしくお願いします。資料5に基づきまして、当センターの実績及び今後の取組について御報告いたします。
報告内容は、2ページに記載のとおりになっておりまして、リサイクル制度の安定化・効率化の取組や、リサイクルの高度化等の対応をまとめております。
3ページをお願いします。最初は、リサイクル制度の安定化・効率化の取組です。
4ページをお願いします。まず、リサイクル料金の適切な管理・運用についてです。
2023年度は新車購入時における預託台数が前年度比103%の454万台となりました。預託収入は前年度比107%の482億円となっており、引取時の預託は引き続き減少傾向にあります。
5ページを御覧ください。左側の円グラフがリサイクル料金の債券投資の状況を示すポートフォリオです。
2023年度末における保有債券の額面残高は8,654億円となりました。運用収益及び利回りは、市場金利の上昇に伴って若干の改善傾向にあります。
6ページを御覧ください。こちらは保有債券の中でESG債の比率を示したものです。
諮問委員会での承認を得た上で、2018年度から取得を開始したESG債の残高は302億円となり、保有債券に占める割合は3.5%となりました。
7ページを御覧ください。再資源化預託金等、特預金の状況です。
2023年度末における再資源化預託金のストックは、前年度末から20億円減少し9,233億円となりました。また、そのうち235億円は特預金でして、2023年度においては、リサイクル情報システムの大改造、離島対策等支援事業や大規模災害に対して21億円の出捐を行いました。
続いて、指定再資源化機関の実績です。8ページの自動車リサイクル法の適切な執行を御覧ください。
不法投棄、不適正保管等に関する自治体への情報、知見の提供として、国及び自再協と連携し、基礎知識研修とステップアップ現場研修を実施しています。
令和6年度から基礎知識研修はeラーニング方式とし、現場研修は年4回の定例開催に加え、自治体単独での開催を追加し自治体固有の課題に対応できるようにしています。
また、現場研修には国から自治体への研修項目で立入検査のチェック項目を追加しています。自治体単独の現場研修につきましては、現在、千葉県から申込みいただき、8月に開催しております。
9ページを御覧ください。不法投棄、不適正保管事案解消のための自治体及び関係団体との連携では、国のモデル事業への協力で得られた知見を他の自治体に情報展開するとともに、解体、破砕業者と協力して現場立入り等、撤去を促し、事案の解決に貢献しています。
2023年度は5自治体160台、そんなに多くないのですけれども、関係者と調整しながら削減の努力をしております。
2024年度は後半を中心に継続案件の残台数300台の撤去処理を推進してまいります。
10ページを御覧ください。不法投棄、不適正保管事案解消のための新たな自治体支援策として、多様な事業者の適正化に資する多言語でのサポート研修を実施しています。
新規許可申請中の外国人事業者を対象に研修会を開催しています。カリキュラムは法制度概要や許可要件、解体実務作業実演、リサイクルシステムの操作及び適正な手順を受講者に合わせた言語、テキスト、現在4か国語になりますが、それと通訳を用意して実施しています。
23年度、千葉県でトライアル開催しまして、24年度から研修を軌道に乗せて、10月、千葉県で現在3回実施し、29名が受講しています。今後、他県にも展開を行い、開催に向けて連携を進めていきます。
次は、11ページを御覧ください。大規模災害における被災自動車撤去、処理対応です。
令和6年能登半島地震からの復興に向けて、JARCでは被災自動車の撤去、処理に対してリサイクル法に則した対応要領や知見を提供し、円滑な対応につなげています。
能登の地震では、輪島の朝市で大規模な火災が発生しまして、複数の車両が全焼し、リサイクル処理をするための資産価値を失った状態で残ってしまいましたが、環境省、輪島市、JAERAと朝市地区の焼損車81台限定に公費による撤去、解体スキームを構築しまして、それが9月に完了しております。
今後、能登半島につきましては、地震の被災車両の撤去処理の完遂並びに9月の豪雨土砂災害の被災車両の処理を国、自治体、事業者と連携して実施していきます。
また、被災車両の処理の経緯が今後の災害処理の知見となるため、講じたノウハウを今後手引書、事例集に掲載し、自治体災害研修会に反映させていきます。
続いて、情報システム活用を通じた効率化について報告します。12ページを御覧ください。
2026年1月稼働目標の情報システム大改造は、24年上期までに設計からプログラム開発工程を完了し、2024年下期よりシステム機能及び負荷テストを開始し、さらに利用者に対する周知活動、マニュアル策定を行っていきます。
13ページをお願いします。現時点、計画どおりにシステム設計、あと詳細設計、プログラム開発の単体テストは完了して、結合テストに移行しております。
14ページをお願いします。新システムの画面は、事業者様からの意見集約や実作業によってのフィードバックに基づいて改造しております。同一画面で引取り、フロン、解体、破砕入力をプルダウン選択式でできるようにするとか、タブレットが使用可能とするなどの工夫をしております。
15ページをお願いします。システム大改造においては、多くのシステム利用者に対して、このシステムの改造の周知をある意味、改造前にやることが非常に重要になりますので、2024年度は計画策定、先行周知まで行い、コールセンターの体制も意識した準備を行っております。
続いて、ユーザー向け理解活動の実績を報告します。16ページの関係主体と共に取り組むユーザー向け情報発信を御覧ください。
情報システム制度における指定法人の役割を踏まえ、幅広い観点からユーザーの普及啓発に取り組んでいます。資料では、全国地域イベントの出展、小学生向け現場見学会、小学生の作品コンクールを掲載しています。この場をお借りして皆様に御礼を申し上げます。
17ページを御覧ください。年に一度、全国の自動車購入者を対象とした自動車リサイクル法のユーザー認知度調査を行っています。これまで小学生、若年層向けに力点を置いて取組をした結果、30歳未満の認知が向上しておりまして、認知度も一定の水準で推移しております。引き続き、免許センター及びメディアの力も組み合わせて情報発信に取り組んでまいります。
次をお願いします。次に、自動車リサイクルの高度化、変化への対応について2点報告します。
19ページをお願いします。1点目は、先ほども話がありました資源回収インセンティブ制度の検討状況、今後の予定です。
JARCとしては、資源回収インセンティブ制度については、業務フロー等を整理して開発ベンダー、システムの機能追加の基本設計と開発を実施しております。
さらに、先ほど経産省さん、自工会さんからもありましたが、制度周知を図るべく、特設ウェブサイトを開設したり、事業者を訪問して情報交換などを現在行っているところでございます。
2点目は、20ページになります。リサイクルの高度化、国際化への対応です。こちらの3つの活動をしています。
まずは、1、リサイクルの関係者のニーズに応じた情報発信です。23年12月に自動車リサイクル会議を、資源循環をテーマとして開催しまして、細田理事長をはじめ、有名な、著名な先生方、事業者の方に登壇いただきました。石井委員にも出ていただいております。
その際、関係者のアンケートをいただいているのですけれども、今後のリサイクル高度化のニーズはやはり樹脂関係が結構多くて、諸外国の政策動向とか、国内外の樹脂のリサイクルの取組、あと樹脂素材メーカーのリサイクル材活用の取組についての情報が欲しいといただいております。
本ニーズに応えるため、24年度はSNSやリサイクル会議、現場勉強会等を行って、ページ右側にあるような諸外国のサーキュラーエコノミー政策動向と海外リサイクラーの取組事例とか、リサイクル会議の再生樹脂の循環実現をテーマとした情報発信、あと他業界のベンチマーク情報を展開していきます。
現在進めている資源回収インセンティブを活用した樹脂の循環事業に事業者が取り組んでいただける企画での情報を展開したいと考えております。
21ページをお願いします。さらに、本件、有識者からの資源循環に向けた寄稿を3件発信しています。
2項目ですけれども、リサイクル情報システムの管理データを利用した自治体ユースケースの対応です。こちらは被災自動車の円滑な処理のために、地域における自動車保有台数、使用済自動車の発生状況を地域のハザードマップにマッピングしまして、自治体の災害時に活用できる取組を実施しています。
続いて、3項目、海外関係者に日本の自動車リサイクルを紹介する国際貢献活動です。
23年度は、JICAによるタイ国におけるリサイクル制度検討に協力しました。24年度は、これに続きまして、JICAによるタイ国のELV適正管理に向けた制度構築プロジェクトに参加するために、日本のリサイクルの制度説明資料を準備中です。
さらに、ベトナム、フィリピン、マレーシアにつきましても、学術機関の要請に基づいて、関係者に向けた日本のリサイクルの知見の情報を提供しております。
最後に、23ページのまとめに記載のとおり、本財団は今後もリサイクル制度の中心的役割を担う立場として、様々な事業に取り組んでまいります。
以上をもちましてJARCの報告とさせていただきます。ありがとうございました。
○山本座長 ありがとうございました。続いて、嶋村委員、お願いいたします。
○嶋村委員 それでは、自工会から自動車メーカーの取組についてということで簡単に御説明させていただきます。
次のページをお願いいたします。こちらは目次になっておりまして、本日、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳを中心に、自工会の新しい取組ということでございますので、御説明させていただきます。
次のページをお願いいたします。自工会の取組の全体まとめということです。
次のページをお願いいたします。こちらは毎年載せさせていただいておりますが、自工会は中心的な役割を果たすという考え方の下、真ん中の目的のところ、こういった目的を達成するための方策として各種取組をやっておりますというところでございます。
次のページから、過去の取組も含めて細かく実施している内容を網羅しております。
それでは、8ページ目まで飛んでいただきまして、自リ法対象外車両のリサイクルシステムの構築についてということで、新しい取組として御説明させていただきます。
次のページをお願いいたします。まず、取組の背景でございますが、左側に書いてございますとおり、1人乗りの4輪自動車とか電動キックボードとか電動車椅子とか、そういったものは自動車リサイクル法の対象外になってしまうということでございます。
そうしますと、例えばフロン、エアバッグみたいなものを積んでいたら、自動車リサイクル法のシステムに乗らないので、途端に困ってしまうと。車両本体も、例えば一般ユーザーさんから出てくるものは一般廃棄物になりますので、自治体に処理責任があるということで、一般ユーザーさんが自治体さんに粗大ごみで処理してくださいというように言われても、自治体さんもさすがに処理に困られるだろうというところもございます。
といったことも含めて、右側に書いてございますが、今後、多様なモビリティ社会と言われておりますが、そういったときにちゃんとリサイクルのところも含めた健全な市場の育成に自工会としては貢献したいという思いから、2021年からそういったリサイクルの仕組みができないかということを検討開始しておりました。
次のページをお願いいたします。具体的につくったシステムがこちらのようになっております。
左側、排出者、各種事業者と書いてございますが、環境省さんから産廃の広域認定をいただくことができました。今後、一廃につきましても、環境省さんに多大な御協力をいただいているところでございますので、取っていこうということで準備を進めているところでございます。
排出者から、真ん中の自再協認定解体事業者と書いてございますが、次世代モビリティリサイクラーということで、解体業者さんのところに車を持ち込んでいただいて、そこで普通に廃車と同じように必要な処理をしていただいて、右下のシュレッダー事業者のところに普通の廃車ガラと一緒に持っていってもらうという仕組みをつくりました。
真ん中のところにLiB・フロン・エアバッグシステムとございますが、自再協は全体の運営をやるということで、リチウムイオンバッテリーもフロンもエアバッグも自再協で引取関係の差配業務をやっておりますので、それとセットでこちらもやっていくというところでございます。
次のページをお願いいたします。今回のシステムの特徴なのですが、まずポイントの1つ目ですが、左上のところにありますとおり、リサイクル費用につきましては、廃車時徴収も一応可能な仕組みということにしております。新車の販売時に必ずしもリサイクル費用を徴収していないメーカーの場合、広域認定ですので、メーカーの参画は必ず必要になりますので、メーカーが参加できなくなるということもございますので、まずお客様の立場から考えると、お金は払うので、この粗大ごみを誰か持っていってほしいというケースも当然にあると思われますので、廃車時徴収もできるようなしつらえを置いております。
ポイントの2つ目は、JAERAさんの御協力をいただきまして、自再協の認定解体事業者さんということで、優良な解体業者さんを全国に配置することができましたというところでございます。
ポイントの3つ目でございますが、こちらは鉄リ工業会さんの多大な御協力をいただきまして、通常の廃車ガラと一緒にシュレッダー事業者さんへ持ち込むことで輸送費、コストが大幅に削減できるということで、関係団体、JAERAさん、鉄リ工業会さんとも協力しながら、次世代モビリティの適正なリサイクル促進に取り組んでございます。
次のページをお願いいたします。こちらは次世代モビリティリサイクラーの配置状況ということで、ゼロの都道府県がございますが、近県が取りあえずカバーするということになっております。こちら、今後も拡大していこうと考えてございます。
次のページをお願いいたします。こちらは次世代モビリティリサイクラーさんの認定制度の概要ということで、JAERAさんの認定の自動車リサイクル士制度がございますので、まずはこの資格を持っていらっしゃることというのが前提になりまして、リチウムイオンバッテリー等も搭載しておりますので、電気自動車等の整備業務に係る特別教育を修了している事業者さんといったところの認定基準を設けて取組を進めさせていただいてございます。
自リ法対象外車両につきましては、以上でございます。
ページを飛んでいただきまして、28ページ目、モーター磁石のリサイクルへの取組についてということで御説明させていただきます。
次のページをお願いします。29ページ目は、また見ていただければと思うのですが、右側の絵で何を言っているかといいますと、縦軸は自動車の生産台数でございまして、2035年時点の生産台数、電動車100%ということであれば、800万から900万台生産しないといけないのですが、300万台レベルの廃車しか出てきませんということで、リサイクル材は結局3分の1程度しか出てこないというところ。
しかも、②で書いてございますが、平均車両は16年と先ほどありましたが、それが16年後になってくるということは、何がポイントかといいますと、真ん中に楕円で囲んでおりますが、2035年に向けて急激に生産が増える段階で出てくる工程内端材とか、不良品とか、ここをいかにしっかりリサイクルして、リサイクル技術、コストを磨いていくかというところが重要になりますという資料でございます。
次のページをお願いいたします。右下の図は、保有が多い間は中古部品がよく出ますので、中古部品の母材価格で引き取られます。その間は材料リサイクルで仕入れようと思っても、材料価格では買えませんということを言っています。ですので、保有台数が少なくなって、廃車台数が増えて逆転した時期になって初めて材料価格で母材が買えるようになります。ただ、そのときもモーターは金属の塊ですので、買取り競争が当然起きますということで、先ほど申し上げました工程内端材とかそういったものが出ているところで、何とかリサイクルコストをしっかり磨き上げて、量産効果のある海外企業の低コストなリサイクル企業に対抗していかないと、また国内から資源が流出しかねないといった問題意識ということでございます。
次のページをお願いいたします。自工会の対応の方向性ということで、磁石リサイクル連絡会というのを自工会が中心となって今回設立いたしました。
次のページをお願いいたします。具体的な概要でございますが、メンバーにモーター関連の部品素材メーカーさん、磁石メーカーさんも入っていただいて、技術的な部分もありますので、メンバーを限定して非公開でやっていこうと考えてございます。自動車課さんと金属課さんにも入っていただいて、年に1回開いていこうというところでございます。
次のページをお願いいたします。モーターが本格的に出てくるのは、恐らく2030年以降かなと思いますが、今現在、リチウムイオンバッテリーを回収している仕組み、なるべくリチウムイオンバッテリーと同時に、同じトラックで回収して輸送効率を上げていくということで考えてございます。
左下のところでモーターリサイクル施設、磁石リサイクル施設と書いてございますが、ここがやはり肝で、競争力ある磁石の取り出し、リサイクル技術開発、施設設置、ここの部分をしっかり検討していく必要があるということで、2030年に向けてこちらの連絡会で検討してまいりたいと考えてございます。
次のページをお願いいたします。リチウムイオンバッテリーのところを簡単に変わった点だけ御説明いたします。
42ページまで飛んでいただきまして、こちらは変わっておりませんが、先ほど伊藤委員長からも話がございましたが、昨年も申し上げました不適正荷姿輸出への対応の必要性ということで、この1年もリチウムイオンバッテリーが燃えたというニュースをいろいろなところで聞いているところかと思います。やはりコンテナに裸で中古のバッテリー、どういう状態なのかもよく分からないバッテリーが無梱包で積まれて、船舶で輸送されている可能性があるということで、船舶火災につながる可能性がありますので、これは税関さんになるのかもしれませんが、水際チェックでしっかり防いでいただくということが重要ではないかと思っておりますので、引き続き国のほうで御検討をお願いいたします。
次のページをお願いいたします。こちらが数量でございまして、昨年度、1万個をようやく超えました。本年度、1万5,000個までは行かないと思いますが、1万2,000から1万5,000ぐらいの間かなと考えてございます。
続いて、46ページまで飛んでいただけますでしょうか。こちらは現在の会員状況ということで、右側、赤字で書いてございますところが、昨年度、新たに10月までに入られた輸入車メーカーさんということで、アウディさんとEVメーカーのビーワイディーさん、ヒョンデさんが入られてございます。
リチウムイオンバッテリーの御説明は以上でございまして、51ページまで飛んでいただきまして、新冷媒への切替え状況というところでございます。
次のページをお願いいたします。下に書いてございますとおり、目標値GWP150以下をおかげさまでしっかり達成することができましたということで、23年度までに切替え完了というところの御報告でございます。
自工会からの御説明は以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、資料5及び資料6につきまして皆様から御質問、御意見を頂戴したいと思います。
御発言御希望の方は、先ほどと同じように名札を立てていただくか、オンラインの方は挙手機能でお知らせをお願いいたします。いかがでしょうか。織委員、お願いいたします。
○織委員 御説明ありがとうございました。今のLiBのリサイクルのシステムについて、大変いろいろな取組をなさっていて、興味深く聞かせていただきました。
こういったリサイクルの取組をしていくときに、何が一番ネックになっているのかということをぜひお伺いしたいと思っています。
あとは、海外と比べて日本の取組が遅れているのか進んでいるのか、そのバランス感覚というか、相場観というのはいかがなものかなということが1点と、先ほど水際の火災の話も出てきていたのですけれども、やはりバッテリー、リチウムイオン電池も含め、取扱いによっては火災事故等が非常に起こりやすいというのは廃家電などのときでも実証済みなのですが、そこについての事故事例ですとか、そういったものが上がってきているのか。そういったものに対して、どのようにリサイクルシステムを回していく上でケアなさっていらっしゃるのかという辺り、ちょっと教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございます。では、後ほど自工会の嶋村さんに御回答をお願いしたいと思います。それでは、対面の井岡委員、その後、オンラインで根村委員、ここで一旦切りたいと思います。では、井岡委員、お願いいたします。
○井岡委員 ありがとうございます。井岡でございます。
資料5の8ページなのですが、JARCさんは地方自治体の研修にもかなり力を入れていらして、コロナの後はかなり進んでいらっしゃると思っております。今年の1月1日の能登は、私が石川県出身なものですから、すごく身近に感じているのですけれども、そのことも含め、能登は9月の大災害もあったものですから、多分、ほかの自治体さんも人ごとではないと感じていらっしゃるのではないかと思います。研修を引き続き推進していただきたいと思います。
次に、10ページの外国人への研修も大変重要なことだと思うのですが、パーセント、例えば外国人の事業者がどれぐらいあって、今どれぐらい出席がされているのかというところが、もし分かりましたらお願いいたします。
次に、資料6ですが、次世代モビリティリサイクルについて、大変すばらしいと思います。この中で優良解体事業者さんを認定していくのは、とても有効だと思います。特に私が注目したいのは、自動車リサイクル士資格について、自動車リサイクル機構さんは、これを認定していらっしゃるわけですが、今調べさせていただきましたら、現在580事業者で1,264人全国にいらっしゃるということが分かりましたけれども、ぜひこれも進めて、このリサイクル士さんの増加が自動車リサイクルのレベルアップ、行く行くは材料の確保へもつながっていくのではないかと思いまして、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。では、続いて根村委員で一旦切りたいと思います。
○根村委員 ありがとうございます。根村でございます。資料の御説明ありがとうございました。
自工会さんの資料の42ページにございました不適正荷姿輸出への対応の必要性について改めて申し上げたいのですが。昨年も御対応をお願いしたいとここの席で申し上げたようにも思います。たまたま昨日、LPガスの専航船からの陸揚げを見る機会があったりもしまして、やはり船舶火災はあってはいけないことだと思いますので、ぜひ御対応についてお進めいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。では、織委員の質問には自工会さんから、井岡委員の外国人の事業者についてはJARCさんから、次世代モビリティは自工会さんから、最後、根村委員のコンテナ船の話は取りあえず自工会さんから何かいただいて、その後、両省から補足があればお願いしたいと思います。それでは、まず織委員の件からお願いいたします。
○嶋村委員 御質問ありがとうございました。こういったシステムをつくるとき、何が一番ネックかというところは、コストをどうやって低減していくか、コスト効率をどうやって図っていくかというところが非常に工夫しないといけないところかなと思っております。輸送は合い積みになるようになるべくためるとか、そういった工夫ポイントがいっぱいあります。そういうコスト低減に関しましては、自動車メーカーは一番得意中の得意分野でございますので、一生懸命やるというところしかないかなと思っております。
あとは、業許可関係でございますが、いろいろハードルは高いのですが、いつも環境省さんに多大な御協力をいただいておりますので、何とかスムーズにいっているというところでございます。
海外と比較してどうかという御質問がございましたが、海外でその国の自動車メーカーが共同でこういった仕組みをつくっているというのは聞いたことがございません。リチウムイオンバッテリーの自工会の回収システムは世界でも日本だけ、次世代モビリティといったものも世界で日本だけということで、そういう面では、日本の自動車会社は御承知のとおり、二輪も含めたら全部で14社ありますので、個々に一社一社やっていると14個の広域認定を取るとか、そういう話になったりとか、個々にトラックを仕立てて回収しないといけないという面ではコストも高くなるというところで、日本はメーカー数が多いというところもありますので、共同でやるのに一番いい土壌ではあるのかなと思っております。
○山本座長 ありがとうございました。もしよろしければ、永井専務理事からも、JARCの外国人向けの研修の件で質問がありましたので。
○永井 ありがとうございます。外国人研修はおっしゃるとおり、なかなかこういう教育の場がないということが大きな課題と捉えておりまして、JARCとしても貢献できるのではないかということで取り組んでおります。
申請の方が何人いて、そこが何%カバーできているか、実は我々も把握できていないのです。今回、千葉県も、自治体から申請した外国人業者に声をかけていただきまして、その方に受けていただいて、最後、理解度テストもやっているのですけれども、そんな中で、実際に通しで全部教育してくれる場は結構大事だということが分かったのです。リサイクラーさんの申請の方は結構独立する方がいらっしゃるのです。実際にやっていて独立する方とか、そういう方は、知っていると思っても全部知らないとか、そういう意味ではこの辺の重要性が非常にあるところでして、今後も自治体さんともっと協力をしなくてはいけないし、さらには、これを通して資格も得て、許可取得のほうに今後将来進んでいけばいいと思っているのですけれども、まだ始めたところだというところになりまして、御質問に答えるほど何%までいかない状態ということは御理解いただけると幸いでございます。ありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、続きまして挙手があります……
○嶋村委員 すみません、ちょっとまだお答え全部できていなかったので。
○山本座長 そうでした。失礼しました。
○嶋村委員 織先生と根村先生からございました不適正荷姿とか火災の事故事例とかの話ですが、私が聞いている範囲では、船舶の火災での事故事例は聞いておりません。環境省さんで何か把握していらっしゃれば補足いただければと思いますが、右側に写真が出ておりますのは鉛バッテリーです。鉛バッテリーですら、こういったコンテナ火災があるとは聞いてございます。
そういった不適正荷姿輸出をすると、こういう可能性が出るというところではございますが、ここの対応状況はまた環境省さんから補足いただければと思いますが、火災自体にどう対応するかという部分につきましては、実は自動車リサイクル高度化財団で、自工会も協力しておりますが、マテックさんが主体となりまして、そういった火災に遭った電池とか損傷した電池の解体業者さんでの適切な取扱い方法、最終的には解体事業者さん向けのマニュアルづくりというところで、今後、電動車が増えてくれば必ず一定の割合で残念ながら事故は起きてしまいますので、事故が起きたときの変形した電池とか異常電池をどのように解体業者さんで処理すればいいのかといったマニュアルづくりのための実証事業を今、高度化財団の支援事業でやらせていただいておりますので、そういったところのマニュアルもつくって解体事業者さんのほうで対応していただくということかなと思っております。
嶋村からは以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。環境省さんから本件で補足はありますか。
○塚原補佐 海外輸出の対応は、環境省では規制課で対処しておりまして、詳細には把握していないのですが、以前からスクラップ等を積んだ船から火災が起きるという事例はたくさん起きておりますし、今後のLiBの輸送に関しましても注意が必要だということは認識してございます。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、現在、挙手いただいておりますオンラインの大塚委員、それから鬼沢委員の順番でお願いいたします。これで一旦切らせていただきたいと思います。
○大塚委員 大塚です。
自工会様からのお話と特に関係しますが、現在、リチウムイオン電池との関係で、ブラックマスに関して日本から海外のほうにかなり出ていってしまっているという話はあると思うのですけれども、先ほどお話しいただいたように、非常に精緻に対応していらっしゃると思っていて、国内循環のこともかなり気にしていただいているので、大変いいなと思っているのです。しかし、他方で輸出もかなりされているのではないかと思うのですが、その点に関してはどのようにお考えになっているかというのを教えていただければありがたいと思います。ブラックマスの湿式精錬工場に関して、日本はまだ対応が遅いのではないかというような問題もあるかもしれませんが、その辺も含めて教えていただけるとありがたいと思います。ありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございます。続いて、鬼沢委員、お願いいたします。
○鬼沢委員 自工会さんがリチウムイオン電池のリサイクルシステムを構築されて、回収が進んでいるというのはすごくいいと思うのですが、これは廃棄物としての回収システムだったと思うのです。やはり安全に回収していく。でも、本来リチウムイオン電池は廃棄物ではなくて、資源として非常に有効だと思いますので、嶋村さんの説明で飛ばされたのですけれども、素材のリサイクルとかリビルトの対応が今後すごく重要になってくると思います。そうなると、回収システムと素材のリサイクル、リビルトのところをもう少しオーバーラップするような形で今から準備しておいたほうが資源としての有効利用が国内で進んでいくと思いますし、リチウムイオン電池のセルのそれぞれがまだどのぐらい有効かというのは高度化財団の公募事業でもやられていますので、その辺りもしっかりと連携していくことが重要ではないかと思います。
○山本座長 ありがとうございます。では、自工会さんから簡単に御回答をお願いいたします。
○嶋村委員 ありがとうございます。ブラックマスをつくる部分でございますが、リチウムイオンバッテリーも2030年以降、本格化するということで、2030年を見据えて精錬メーカーさんも技術開発して、多分、富士山でいうと8合目から9合目ぐらいまで来ているのかなと。国からの御支援もいただいて、ブラックマスから国内で精錬できるように進めようとしていらっしゃるということで、自動車メーカーも、それに合わせて2030年ぐらいをターゲットに今進めようとしております。現時点、国内で精錬できませんので、海外に出ているというのはやむを得ないかなとは思っておりますが、2030年ぐらいを目標に頑張っていければいいかなと思ってございます。
鬼沢先生からのお話でございますが、まさにおっしゃられる御指摘のとおりと考えておりまして、40ページのところでございます。例えば電池リビルトに持っていくものも、電池のリサイクルをするものも、同じトラックで運んで、ラストワンマイルを電池リビルト施設に持っていくのか、素材リサイクル施設に持っていくのかというようなことで分けて、なるべくこういうことをすることによってコスト低減をしっかり図っていこうということで、鬼沢先生の御指摘ポイント、非常に重要なところでございまして、そのような形でやっていこうと我々も考えているところでございます。アドバイス、ありがとうございました。
○山本座長 ありがとうございました。皆様の御協力のおかげで最後の話題に移ることができます。ありがとうございます。
これから自由討議ということになるわけなのですけれども、その前に、最初に井岡委員が前半で御指摘いただきました輸出返還の件、事務局からまず一言御回答をお願いします。その後、自由に全体を通じて御発言をいただきたいと思いますので、御発言される方は名札を立てるか挙手にてお知らせください。
○原企画官 経済産業省から御回答させていただきたいと思います。
井岡委員から御指摘いただいた件につきましては、この審議会合同会議でもこれまでも何度か論点となっているところでございます。15年目のレビューをする際にも、報告書を検討する中で活発な御議論があったと承知しております。
原則論を申し上げますと、御承知のようにリサイクル料金は新車購入時に自動車所有者から預託金という形で預かった、そういったものでございまして、国内で処理をされなかった費用については、リサイクル券の所有者に払い戻すといったことが原則となっている点をまず御理解いただければと思います。
加えまして、御指摘の点は、本日御説明させていただいたような樹脂リサイクルをどう進めるかといった議論の際に、そもそも使用済自動車の引取台数が少ないのではないか、海外に中古車として流れているので確保できる量が足りないのではないかといった御意見だと承知しております。使用済自動車の引取台数が少ないとする状況の下で、国内資源循環をどのように進めていくのかについては、先ほど環境省から御説明ございましたけれども、産官学のコンソーシアムなどでも議論が進められていくものと思います。基本的には、リサイクル料金制度のみの問題ではないと思いますので、関係団体の皆様や有識者の方々の御意見、中古車や廃車の取引の実態を踏まえながら、この問題を考えていく必要があるのではないかと思います。
また、直接的な御回答にならず大変申し訳ないのですけれども、制度の根本的なお話でございます。15年目見直しの報告書には、「自動車の在り方の変革の中で、制度の全般的な見直しの検討を行う中で、中古車輸出時のリサイクル料金取扱いの観点も踏まえて検討する」ということになっておりますので、この中で、先ほど私が申し上げました法的な原則論も踏まえながら考えていきたいと思います。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。それでは、石井委員、井上委員の順でお願いいたします。
○石井委員 日本自動車リサイクル機構の石井です。
我々自動車リサイクラーのためというわけではないと思うのですけれども、このように多くのすばらしい方々が、こうした議論を繰り返して行ってくれているのだなということを今日肌で感じることができまして、非常にありがたいなと。我々のやる仕事は、とても意義があって大きなことなのだと改めて責任を感じているところです。
ただ、今すぐにどうのこうのできる話ではないのですけれども、我々、現状抱えている大きな問題としては、不適正業者との不当な競争の改善が本当にありまして、私もJAERAの代表理事になりまして全国をブロック会議とかで回るのですが、代表、仕事がないんだよ、どうしたらいいんだという話ばかりです。
思い返してみると、私が入社した頃は500万台を超えるような使用済車両の量があったのですけれども、今年は多分250~260万台まで下がってしまうのではないかというところで、肌感覚でいうと我々業者は、どこに行っても4割、ひどいところでいうと5割減になっています。ただ、幸いなことにして仕入れの部分に関しては資源高というところもあるので、弾不足で仕入れ高という局面はあるのですけれども、何とかこらえているという状況です。
そんな中で、この場でどうのこうのできる問題ではないと思いますが、現在の外国人事業者の実態調査、JAERAが5、6年前に行った調査では既に4分の1が外国人事業者になっています。この間、群馬県のある同業者から聞きましたけれども、新規登録者は全て外国人だったということです。
なので、今、我々が検討していただきたいと思っていることに関しましては、現状としては、解体業の許可は行政書士さんにお願いすればできてしまうのです。今日の議論でも上がっていましたけれども、ぜひ許可の更新の際に、その会社に自リ士が在籍していることを条件にしていただきたいと。そこの認定機関をJARCさんにお願いしたいと思っております。そうすることによって、日本語が分かる、日本の法律が分かる、適正処理が分かる、ありとあらゆる工程が分かる人がその会社にいるということになりますと、当然、同じ土俵に上がって勝負していただいているという最初の一歩になってくると思いますので、これはぜひぜひ自動車リサイクル法2巡目の見直しに向けて前向きに取り組んでいただきたいと思っております。
あと、今、中古車輸出が最大の問題というか、これは特に問題ではないのですけれども、廃車寸前の車が海外に出て、向こうで不適正な処理で地球全体の温暖化につながっているという懸念があります。これについては、当然、経済合理性、ビジネスですから止めることはできませんけれども、もう一つ考えていただきたいのは、やはり経済安保であったりとか、輸送安全上の観点からハイブリッド、EVの輸出の禁止は御検討いただけないでしょうかというところです。
それから、駆動用バッテリー、先ほどもありましたけれども、嶋村さんの資料の46ページにありましたけれども、ここの海外メーカーのところに米国の一番大きなEVのメーカーが入っていなかったのです。うちの同業者の中でも、やはり燃えてしまった車が非常に大きな問題になっています。燃えてしまった車の処理が、不適正にはやらないのですけれども、結局それを取り外したところで、どう処分していいか分からないというところもありますし、プラス工程で火災が発生してしまいまして、消防車が何台も来ても火災が止まらなかったという事案も出ていますので、この辺、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
それから、これだけ我々静脈が重要な立ち位置になってくると、やはり動脈側のものづくりが立ち行かなくなるというのを本当にひしひしと肌で感じさせていただきました。それを動かす心臓が、ここにいらっしゃる国の方々であったり、有識者の先生たちだと思いますので、皆様と共に知恵を振り絞って、我々業界がしぼんでいかないように、もっと言うと5年後、気づいたら全部――外国人の方が全て悪いというわけではありません。もちろん、真面目にやっていらっしゃる外国の方も大勢いらっしゃいますけれども、不適正業者だけで、ものづくりが全く立ち行かなくなってしまったということにならないように、ぜひ皆さんと共に検討していきたいと思っております。
最後に、リサイクル料金の年金型他車充当方式、これまでも主張してまいりましたけれども、ユーザーの費用負担削減の観点からもぜひ検討していただきたいということ。あとは、一時抹消で放置されてしまっている車、これは国交省さんの管轄になってくると思いますけれども、これは我々の手配する会社に関しては全て永久抹消までやっております。永久抹消することによって全て完結です。ところが、不適正処理の会社に回ってしまったり、一時抹消のまま車が放置されてしまいますので、一体全体、これどうなっているのといったところは非常に不思議というか、懸念しているところでございます。
話が長くなってしまって恐縮ですけれども、以上、よろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございました。法令遵守の企業についてお話ありがとうございました。続きまして、井上委員、お願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。井上でございます。時間の関係もありますので、私からは手短にインセンティブ制度について述べさせていただければと思います。
ASRの削減及び再資源化の高度化を目指して導入されるインセンティブ制度は、経済的インセンティブ付与の仕組みが分かりやすく興味深い制度であるという印象を受けましたが、現状の課題は、どのようにして中小企業を取り込んでいくかということだと思います。
そこで、やはり重要になってくるのがコンソーシアムなのでしょうが、実際にJAERAさんが実施されているトライアル実証事業から、どのようにコンソーシアムが形成されていくのかという部分は次第に明らかになってきていることと思います。実際には、ある程度の体力がある解体事業者などが核となり、その周辺の中小の企業にお声がけしてコンソーシアムが形成されていくのではないかと推測しますが、そのようなコンソーシアムの核となる企業を増やしていくことがこの制度への中小企業の参加を促す上で鍵となるのではないかと思います。現在は地域を限ってトライアルを実施していらっしゃると思いますが、今後は全国にそのような核となる企業を増やしていく取組が重要になってくると感じております。
具体的な取組については、これからさらに実行に移されると思いますが、例えばJARCさんが実施されている、具体的な業務の流れを明確化し、それを情報共有していくことは、企業にこの制度に関する理解を促し、参加しやすい環境づくりにつながるのではないかと感じております。今後も積極的な取組を期待しております。
○山本座長 ありがとうございました。では、続きまして、入野委員、お願いいたします。
○入野委員 どうもありがとうございます。バッテリーリサイクルに関しましては、JAIAも非常に重要な課題として捉えておりまして、JAIA内においてもバッテリーリサイクルタスクフォースのチームを組織しております。先ほど嶋村さんから御説明ございましたけれども、自工会ともいろいろ連携を取らせていただいて、今年も3社ほど共同回収システムのメンバーにならせていただいております。JAIAとしては、個々のバッテリーリサイクルの事業者とも連携を深めることも重要であると認識しております。個別には個社がいろいろと自社で工夫を凝らしながらやっています。安全性ということにつきましては、非常に重要な課題だと我々は認識しております。我々の組織全体の取組としては前向きにいろいろやらせていただいているということだけ御説明させていただきました。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。現時点でほかに挙手をされている方はいらっしゃらないと思いますが、よろしいでしょうか。――それでは、事務局から今の御意見について簡単に御回答をお願いできればと思います。
○原企画官 まず、経済産業省から回答させていただきたいと思います。
石井委員から使用済自動車をめぐる実態、現状はどうなっているか、事業者の皆様がどのように考えているかということについて御発言いただきました。貴重な御意見に加え、状況がどうなっているかという情報提供をいただきましてありがとうございました。
その中には、廃車寸前の使用済自動車も輸出されているというような実態のお話もございました。こういった話をお聞きして思ったことは、まず、御指摘いただいたような取引の状況など実態を把握するということではないかと思いましたので、環境省とも連携の上で、御指摘いただいた点について検討したいと思います。
それから、井岡委員に御回答したものと内容が少しかぶってしまいますが、自車方式から他車方式の変更についての御発言がございました。これにつきましては、繰り返しになるのですけれども、現行のリサイクル料金制度は、自動車の所有者が新車購入時に、将来、国内で廃車となる場合の費用として、自らが購入した車に対して法律に基づいてリサイクル料金を預託したものでございます。
自動車所有者の立場に立つと、自車充当方式から他車方式に仮に変更した場合には、自車を廃車するために預託した費用を他車に変えてしまうことになり、強制的に充当させてしまう法的な妥当性などいろいろな論点も踏まえて検討しなければいけないものと考えます。
実務上の問題としても、現在、自動車リサイクルシステムでは自車方式が前提になっておりますけれども、他車方式に切り替えるためにはシステムの大改造も必要ですし、様々な検討課題があると思いますので、こちらにつきましても先ほど申し上げましたように、15年目見直し報告書のような方向性で検討することになるのではないかと思います。
取り急ぎ私から回答させていただきました。
○角田補佐 補足になります。井上委員からいただきましたインセンティブのところですが、おっしゃるとおり核となる企業が大事になってくると思っております。ガイドラインにも示させていただいておりますが、コンソーシアムをつくる際に、管理会社定めていただきます。その管理会社はどの事業者が担当してもよく、大手の解体業者でもいいですし、その地域を取りまとめている破砕業者でもいいと思いますし、再生材業者であったり、あとは商社が担当するというケースもあるかと思っております。
そのような核となる事業者を増やしていくということは非常に重要でして、そうした観点でもJAERAにやっていただいているコンソーシアム形成の実証事業は重要な取組だと思いますし、今後、両省においても地方の出先機関とも連携しながら、そういった核となる事業者の掘り起こしをやっていきたいと思っておりますので、また審議会の場などで御報告をさせていただければと思います。
私からは以上です。
○山本座長 ありがとうございました。環境省さんから何か補足ございますでしょうか。
○仲野補佐 多岐にわたる御意見いただきまして、法制度に絡むこともございますので、引き続きしっかり議論させていただきたいということと、その中でできることはしっかりやっていきたいということで、簡単ではございますが、回答させていただきます。
○山本座長 ありがとうございます。それでは、最後になってしまい恐縮なのですけれども、ここで中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会の酒井座長から御意見を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。
○酒井座長 山本先生、ありがとうございます。御意見というよりは、今日の議論を聞かせていただいての方向性としての発言をさせていただきます。
まず、今日冒頭、経産省の伊藤課長から、今日の議論は資源回収インセンティブと再生材利用に向けてのコンソーシアムの2点を新しく提供して、これらの観点を中心に意見をいただきたいという宣言がございました。
そういった中で、まず再生材利用の方向につきましては、今回、自工会が2050年長期ビジョンということで事前公表された資料をここで紹介されたという位置づけになっているかと思います。そういった意味で、相当に練られた1つの方向性を明示され、そして、そこに定量性を持って相当強く訴えられているということは見てとれるかと思います。まず、こういう取組をされていることに関しては敬意を表したいと思います。
ただ、自動車リサイクルというのは非常に多くのステークホルダー、関係者が集まったシステムで出来上がっています。そういった意味で、今後は国としてのベクトルをどういう方向にどう持っていくのかをしっかりと考えなければならないというステージに入っていくのだろうと思います。その意味での合同部会も役割があると思いますし、また、今日、各省から紹介された再生材利用のコンソーシアムという議論の場でさらに練られていくということになろうかと思います。今後どういう方向で、どうジャパンがまとめるかということで、非常に大事なステージが来るのではないかと思っております。また期待したいと思います。
そういった中での資源回収インセンティブでありますけれども、今日、骨格をしっかりと経産省、環境省からお示しいただいて、始められるという実感を持っていただいたのではないかと思っております。
そういった意味で、今日いただいた御意見の中には、相当先の観点を提示いただいたものもある。例えば、所委員から資源利用としての内側のインセンティブという言葉を使われましたけれども、これは非常に意味深い言葉でして、いわゆる環境配慮設計的なファクターをどう入れるのだという指摘があったり、また、松八重委員からはメタルのフロー把握ということと、メタルに対してのインセンティブをどうするのだという点、極めて大事な観点を提供いただいていますので、十分に頭にとどめさせていただきたいと思います。
まずは、2026年に向けてしっかりと始めること、そして根づかせることがやはり重要かと思っておりますので、しばらくそういうところに注力していただきたいという意味では、今日、鉄リの高井委員から御紹介のあった組織への期待という御発言は非常に重く共有させていただいたらどうかと思いました。また、井上委員からは具体的にそういう中での課題ということで、コアとなるべき解体事業者の役割という指摘もございました。こういったところは、今、目の前、現実に走らせるための非常に重要なポイントかと思いますので、そういうところを念頭に置いて進めさせていただきたいと思います。
何よりこういうシステムを始められるというのは、この自動車リサイクルのしっかりした制度を日本が持っていること、加えて、それに対しての財源的な裏づけが一定額あるということで初めてできることであろうと思っています。今日も特預金の御紹介が途中でございましたけれども、そういう使える財源があるというのは、ある意味、日本全体でありがたいと思う、そういう観点も必要かなと思っています。
今日、改めて参考資料にある資源回収インセンティブのガイドラインを拝見していたのですけれども、そこの関係主体の役割ということで、国、自動車製造事業者、解体事業者、破砕事業者、あと情報管理センターとか、ずらっと並んでいるのですが、残念ながら自動車の所有者とか国民、市民といったところがみえていません。これは鬼沢委員から意見が出てもよかったのではないかと思っているのですが、代わって発言をしておきます。やはり所有者の理解が一番根幹であると思いますので、こういった点には常に配慮して、ここでの議論を進めさせていただければと思います。
以上でございます。
○山本座長 どうもありがとうございました。最後に、私のほうでもまとめをしろということなのですけれども、今、酒井先生からおまとめいただいてしまったので、1つだけ。
この手の話をすると、いつも需要側がとか供給側がという話になってしまうと思うのですけれども、昔、偉い経済学者の人が、需要側と供給側は、はさみの上の刃と下の刃と一緒だという話をされまして、その紙を切ったのは上の刃か下の刃かというのは議論してもしようがないのではないかというお話をされたというのを今思い出していたのです。なので、今回、コンソーシアム、その他いろいろな取組を経産省さんも環境省さんもされていて、この中で、ばらばらのはさみがちゃんと上も下もくっついてやっていただければ、きっとうまいこといくのではないかと思いましたので、私のまとめとさせていただきます。
時間が過ぎてしまいまして申し訳ございません。本日は、本当に有意義な御意見を多数いただきましてありがとうございました。
最後に、事務局から議事の取扱いなど、その他説明をお願いいたします。
○伊藤補佐 ありがとうございます。山本座長、委員並びにオブザーバーの皆様、本日はお忙しいところ闊達な御議論をいただきまして誠にありがとうございました。
本日の資料につきましては、既にウェブサイトで公開させていただいております。また、本日の議事録については、後日、各委員に御確認をいただいた上で、ウェブサイトに公開させていただきますので、御了承くださいませ。
最後に、環境省環境再生・資源循環局総務課資源循環ビジネス推進室長の河田より一言御挨拶を申し上げます。
○河田室長 ただいま御紹介にあずかりました環境省の河田と申します。手短に私から最後に挨拶を申し上げたいと思います。
本日は、委員の皆様においては御多忙の中お集まりいただき、熱心な御議論及び貴重な御意見をいただきました。誠に御礼を申し上げたいと思います。
また、自動車リサイクル制度については、順調に機能していると考えている一方で、欧州ELV規則案の対応であったり、CASE、MaaSといった革新的な技術やサービス、また、カーボンニュートラルの対応など、よく100年に一度と言われる大きな変革期を迎えているのがまさに自動車産業の置かれている状況かと思います。
そのような中、来年は自動車リサイクル法が本格施行されて20年の節目を迎えるということもありまして、改めて自動車リサイクル制度の施行状況を評価するとともに、さらなる発展に向けた対応の方向性についての検討も行っていきたいと考えてございます。
環境省としましても、本日いただいた様々な御意見を踏まえて、自動車のライフサイクル全体の脱炭素化であったり、電動化の進展や使い方の変革等に対応した自動車リサイクルの在り方、また、ライフサイクル全体での資源循環に向けた取組について、経済産業省や関係団体とよく連携、協議しながら、産官学コンソーシアム等の場も生かしながら検討を深めてまいりたいと思います。
委員の皆様においては、引き続き御協力を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
○伊藤補佐 それでは、本日の会議はこれにて終了とさせていただきます。ありがとうございました。