静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会(第2回)議事録

開催日時

令和5年9月27日(水) 10:00~12:00

開催場所

対面会議及びWeb会議を併用し実施

議題

① 脱炭素型資源循環システムの構築に向けて推進すべき政策
② その他

資料一覧

【資料1】資源循環分野で直面する課題と検討の方向性
【資料2】脱炭素型資源循環システムの具体化に向けて

議事録

午前10時00分 開会
○廃棄物規制課長 それでは時間になりましたので、ただいまから静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会を開催いたします。
 最初に、進行を務めさせていただきます環境省の廃棄物規制課長の松田と申します。どうかよろしくお願いいたします。
 委員の皆様におかれましては、ご多忙にもかかわらず、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。今回は対面とオンラインでの実施になります。どうかよろしくお願いいたします。
 会議の運営についてのお願いでございますけども、会場でのご出席者は、ご発言される場合は名札を立てていただきまして、オンラインでのご出席者の皆様は、挙手ボタンでお知らせいただき、小委員長からの指名を受けてからご発言をお願いいたします。
 会議の模様につきましては、事前に公表しておりますとおり、YouTubeでの同時配信により公開をしております。
 それでは、開催に当たりまして、定足数の確認をいたします。本日は、委員総数17名のところ、16名の委員の方にご出席いただいております。小委員会として成立しておりますことをご報告いたします。なお、斉藤委員は途中からオンラインにより参加される予定です。
 次に資料の確認ですけども、お手元の資料でございますが、資料1と2がございます。資料につきましては事務局にて、画面にて投影しますけども、必要に応じてお手元の資料または事前にお送りしたファイルをご覧いただければと思います。
 なお、前回の議事に関しましては、議事概要として環境省ホームページに公開しております。適宜、ご確認いただければと思います。
 それでは、以降の進行は酒井小委員長にお願いしたいと思います。酒井小委員長、よろしくお願いいたします。
 また、メディアの皆様は、引き続き傍聴される方を除きまして、ご退出をお願いいたします。
○酒井小委員長 松田課長、承りました。以後の進行を務めさせていただきます。酒井でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 今日用意いただいている議題は、脱炭素型の資源循環システムの構築に向けて推進すべき政策ということでございます。事務局から資料1と資料2の準備をいただいておりますので、この資料に沿って説明をいただき、そしてご審議いただければというふうに思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。
 では、早速説明をお願いいたします。
○環境省 環境省の栗栖と申します。よろしくお願いいたします。
 資料1についてご説明させていただきます。資料1としまして、資源循環分野で直面する課題と検討の方向性ということで、資料をご準備しております。
 まず、最初でございますけれども、今回、第2回目の小委員会ということでございますので、第1回目の小委員会で様々なご意見を賜りましたので、それを簡単に整理したものをご紹介させていただきたいと思います。
 事務局のほうで分類を行いまして、振り返りも兼ねて幾つかご紹介いたします。まずビジョン的なものといたしまして、経済安全保障、あるいは重要鉱物資源としての確保が重要であること。それから、サーキュラーエコノミーの重要性は認識するけれども、議論の前提として、廃棄物処理の適正処理を担保することが必要だといったご意見。それから、上に書いていますような、循環の輪を小さくゆっくり回すことが大事と。こういった、様々なご意見をいただいたところでございます。
 国際につきましても、EUの人権・環境デューディリジェンスをはじめ、様々な状況を捉えた上で、今後の施策を考えていくべきだというご指摘をいただきました。
 技術面といたしましても、CCUSを進めていくための環境整備といったご指摘をいただいたところでございます。
 国内市場整備と括っていますが、国内の循環資源についても、国内に留め置くような何がしかの方法というのも必要ではないかというご指摘をいただきましたし、また、国内での商流をつくるということも必要ではないかというご指摘をいただきました。
 それから、動静脈連携と括っていますが、やはり企業や業種の垣根を越えた連携が必要だろうと。そのときには、動脈企業同士、あるいは動脈と静脈、あるいは静脈と静脈も含まれていると思いますけれども、そういった企業の間で協調とか、あるいは目標の共有というのが不可欠だというご指摘や、あるいは自治体や消費者といった方も入るような形で、消費者についても、自身の役割やライフスタイルをどうやって変えていけばいいのか、そういったことが見える仕組みが必要ではないかとご指摘をいただきました。
 次のページですけれども、同じく続きで、前回での議論の内容を簡単にまとめたもので、静脈産業の強靱化ということで、産官学の横のネットワークをつくっていくべきだというご意見や、あるいは産廃業界の強靱化を進めていくことも必要だというご指摘をいただきました。
 立地対策としても、将来的なCCSやCCU等を考えますと、今までの広域化というよりは、もっと大胆な発想の転換も必要だろうというご指摘をいただきました。
 資金支援の部分では、やはりGX経済移行債を活用した資金支援は重要だというご指摘をいただきました。
 それから廃掃法の関係、手続のところですけれども、広域認定などを参考に、廃掃法の手続の緩和というのは考えたほうが良いというご指摘をいただいたというところでございます。
 情報についても、前回一つの柱として立てさせていただきましたけれども、静脈産業をアピールするためにも、積極的な情報発信が必要だということと、その時は電子マニフェストの利活用も検討すべきだという話をいただいたところでございます。
 また、その他として書いておりますけれど、リマニュファクチャリングやリユース、長期使用といったことも考慮すべきではないかとご指摘を賜ったところです。
 こういったご指摘や、第1回目の中で事務局からご提示をさせていただきました資料も踏まえまして、こういった方向性で今後考えていくのがよいのではないかということを、お示しをさせていただきたいと思っております。それが次のページです。
 基本的な方向の案ということでお示ししておりますけれども、柱は大きく二つ分けてございます。一つ目が、資源循環を促進することで、環境面や経済面、それから社会面での課題を解決することにつなげていくことが必要なのではないか思っております。
 一つ目の四角に記載しておりますとおり、我が国の強みはいろいろあると思っております。動脈・静脈も併せた高い技術力ですとか、あるいはこれまでの様々な廃棄物、資源循環に関する経験がありますので、そういった制度も踏まえ高度な資源循環を行い、サーキュラーエコノミー、それからカーボンニュートラルの実現に貢献していくということが必要だと思っております。
 また、二つ目の四角に書いていますけれども、資源循環を通じて、いろいろなところへの波及があると思っております。まず、動脈側からの視点として再生材の今後の用途の拡大につながるのではないかとを思っております。次に、静脈側も再生材を活用することで収益の向上等につながるのではないかと思っております。この点は動脈側にも同様のことが言えるのではないかと思っております。
 それから市民・消費者としましても、再生材に対する新たな価値を見いだすことに寄与をいただきたいと思っております。きちんと再生材を使うことで産業競争力の強化にもつながるということを、基本的な方向性として考えていくべきではないかと思っております。
 そのほか、サプライチェーンの強靱化による経済安全保障への貢献、あるいは、もう既に様々な取組をされていると承知しておりますが、地方での取組を通じて、地域での活性化や個性のある地域づくりへの貢献ということができるのではないかと思っております。
 こちらが一つ目の大きな柱でございます。
 二つ目に大きな柱としておりますのが、情報という切り口でまとめたものです。気候関連の情報開示のニーズが高まっておりますし、ヨーロッパなどで様々な法規制ができています。その他、標準化についてもISOの中でもいろんな議論がなされていますし、市場を作っっていかなければならないという前回もご指摘いただいたことを踏まえますと、情報を通じて多様な主体が連携していく形が、基本的な方向性としてあり得るのではないかと思っているところです。
 この方向性に関しまして、それぞれ具体的にブレークダウンをして、今後の課題、それから検討の方向性を考えていきたいと思っております。
 一つ目の柱でございました資源循環の推進という観点からいいますと、まず真ん中に書いておりますが、やはり我が国には既に強固な廃棄物処理の仕組みがあります。それは法律といった制度面のみならず、市民の方もいろいろ分別にご協力をいただいているような状況がありますので、こういった強みがあると考えております。さらに、リサイクルに関する技術やものづくりの技術もあります。
こういった強みは、やはり十分に活用していくのがよいと思っていることと、また、こういった資源循環を取り巻く状況として、先ほども少し言及しましたけれど、再生材の使用の義務づけといったことが海外で発生していることや、そういった法制度になっていないものでも、主要な企業が自分たちのサプライヤーに再生材の使用を求めていくような動きが例えば米国企業などでも行われていることがあります。消費者の意識の向上もあろうかと思っておりますので、こういった状況も踏まえると、サーキュラーエコノミーのマーケットはこれから大きく拡大をしていくであろうことも踏まえなければならないと思います。
 さらに、こうしたサーキュラーへの対応が遅れると、将来的にグローバルなサプライチェーンから我が国の企業が排除されてしまうおそれもあると思っておりますので、これも大きな問題意識として持っています。
 こうしたことを踏まえると、今後の検討の方向性といたしまして、我が国がこれまで蓄積をしてきた様々な知見、地域にあったり、あるいは動静脈それぞれの企業にあったりするノウハウを、最大限活用した資源循環が必要だろうと思っています。
 加えて、まず廃棄物を排出する動脈の企業、それから処理を行った上で、新たに再生材として価値を付加していく静脈企業、これらがきちんと連携をして、社会に求められる再生材を、質・量ともに充足する形で届けていくことが必要ではないかと思っています。
 さらに、適正処理を前提としつつ、再生利用や広域的な資源循環についてこれまでのいろんな知見がございますので、制度的に後押しができることがあるかというような点は、やはり検討をしていく必要があるのではないかと思っております。
 続きましてカーボンニュートラルへの対応ということで、ご案内のとおり2050年カーボンニュートラル目標がある中で、一つ目としてやはり考えるべきは、まず廃棄物分野での脱炭素化に向けた取組を進める必要があるだろうと思っております。その上で、さらに資源循環を通じて動脈産業側のカーボンニュートラルにも貢献する、そういった仕組みが必要ではないかと思っております。二つ目としましては、国が呼び水としての支援を行うことで、動脈・静脈それぞれの資源循環や脱炭素に対応する民間投資を引き出すことが重要ではないかと思っております。
 その下の項目ですけれども、産業競争力あるいは経済安全保障への対応も必要でして、例えばこれから世界的需要も増える重要な資源が色々あります。そういったものの供給をできる国などが限られている中で、調達リスクを減らしていく必要がありますので、資源循環というものを通じて、重要資源の安定確保に資するようなことが必要ではないかと思っております。
 その下は、地方の観点から記載をしておりますけれども、地域の循環資源の活用や、あるいはサーキュラーエコノミーを試行しているような先進的な地域、これは新しいものに限らず、これまでもエコタウンなどで色々ありましたけれども、そういった知見・知識・経験があるということと、それから、これから大きな課題であります我が国の人口減少や高齢化に伴い、廃棄物の質・量、両面からの変化もありますし、あるいは前回もご指摘いただいた、廃棄物処理業界での人材確保の必要性、こういったようなことを考えますと、地方自治体、リサイクルの技術を有する事業者、それから地域の処理業者、こうした様々な方が連携をして取組を進めていただくことで、地域、地方への活性化に対して貢献をしていただく。それから、いろんな地域も課題をお持ちなので、そういった課題の解決にもつなげていけないかと思っております。
 資料1の最後になりますけれども、もう一つの柱であります情報という観点から、今後の方向性を整理させていただきました。
 サーキュラーエコノミーの推進という点で考えますと、資源循環を積極的に行うような事業者を選びたいというニーズはあると承知しておりますが、その具体的な方法が必要だということや、再生材のニーズの高まり等を踏まえますと、やはりトレーサビリティーの確保が必要と思っております。そういうことを考えますと、下の囲みで書いていますような、資源循環の促進につながる情報を、排出事業者責任を有する動脈企業と資源循環を行う静脈企業の間で共有して、情報を通じて動静脈の連携をより強固にすることができないかと思っております。
 それから、中間処理業者も既に様々な情報を把握しておられますので、そういったことを最大限活用することで有益な情報開示ができると思っておりますが、その際にどういった情報を開示するのか、考え方整理をしていく必要があると思っております。
 その下、カーボンニュートラルへの対応ですけれども、GHGの排出量の算定の具体的な方法とか、あるいはGHGの少ない事業者をどうやって選べばいいのかと。こういった様々な課題が動脈・静脈それぞれあると思いますので、目指すべきはライフサイクル全体でのGHGの削減になりますけれども、それに向けて、資源循環をすることでどれだけGHGの削減効果があったのかという評価や、その評価の前提となるGHGの排出量の把握などについて、技術的な支援が必要ではなかろうかと考えておりますので、より詳細については次回以降の小委員会の場でご議論いただければと思います。
 資料1、私のほうからは以上でございます。続きまして、資料2についてご説明をさせていただきます。
○環境省 環境省の山田でございます。
 それでは、続きまして資料2に基づきご説明させていただきます。脱炭素型資源循環システムの具体化に向けてということで、資料をご用意してございます。
 先ほど資料1のほうで、資源循環分野で直面する課題と、それから検討の方向性という形で整理をさせていただきましたけども、こういったところを少しイメージして、関係性を整理いたしまして、目指すべき脱炭素型資源循環システムのイメージという絵を作成いたしました。先ほど課題の整理の際に、動脈、静脈、地方自治体、市民・消費者という観点で、それぞれタグづけをしておりましたが、その関係の中で、それぞれの取り巻く状況を踏まえまして、この絵にあります①から④の後押しをしていくことによって、脱炭素型の資源循環システムの構築ができないかと、こういったイメージになっております。
 今申し上げた①から④番、こちらを次のスライドでご説明いたします。もちろん①から④以外にも資源循環の形として様々なパターンが考えられますけれども、今整理をした中で、我々として後押しをしていくべきものを、事務局の案としてお示ししたとお考えいただければと思います。
 ①番といたしまして、動静脈連携の構築ということで、企業・業種の垣根を越えまして、動脈・静脈が目標を共有しながら、素材・物品の性質に応じた循環の輪を形成するというパターンを整理させていただきました。
 ②番といたしまして、官民の連携処理システムの確立ということで、地方自治体が中心となり、地域の特性を生かしながら、市民とか消費者の方と一緒に民間活力を活用して資源循環をリードしていくというパターンを二つ目とさせていただきました。
 それから③番、静脈産業のカーボンニュートラル化ということで、廃棄物処理業といったところで省エネ型の廃棄物処理設備の導入・改修の際に、これを応援することによって資源循環の脱炭素化を進めていただくというパターンを三つ目としております。
 ④番といたしまして、カーボンニュートラルに対応する資源循環体制の構築ということで、こちらは高度な分離・再資源化の技術を用い、今後増加する再エネ設備、例えば太陽光パネル等の、今大量導入が進んでおり、今後の大量廃棄が見込まれるものですとか、重要資源の循環利用を支援するパターン。
 この四つを今事務局として、案として書かせていただきました。
 一番下に点線で囲ってございますけども、それぞれの分野に応じたプレイヤーの取組に対して国が認定等を行い、廃棄物処理法の各種手続の迅速化ですとか、GX実現に向けた設備導入の支援、こういった各種支援策を検討し、脱炭素型資源循環システムの具体化を進めていけないだろうかと考えています。
 次のスライドから、①番~④番のそれぞれを、少し詳細にご説明させていたします。
 ①番といたしまして、動静脈連携の構築ということで、静脈産業側で必要な量・質の再生材を確保して、動脈産業に供給するような「動静脈」の連携の構築ということで、脱炭素に貢献していくことをイメージしております。
 期待される効果としては、動脈側の天然資源投入量の削減が見込まれることと、動脈・静脈それぞれのGHGの排出の削減につなげられないだろうかと。また、動脈側としては、こうした再生材を使い、世界的に求められます再生材の利用のニーズへの対応をすることによって、収益の確保につなげていけないだろうかということ。また、静脈側にとっても、再生材の流通・価値向上によって収益の確保につなげていけないだろうかと。こうした効果を期待するものです。
 一方で、実施に当たりまして、やはり確認すべき事項もあるということで、再生材の利用率の目標設定や妥当性をきちんと見ていく必要はあるということや、環境配慮設計ですとか再生材の品質確保、ライフサイクル全体を通して見込まれるGHGの削減効果がいかほどかということも、確認をしていく必要があると思います。
 また、こういった動静脈の連携にあたりまして、トレーサビリティーをきちんと確立し、再生材をきちんと追いかけていくということですとか、動静脈の間でデータの連携をして、その辺りの担保を取っていただくというところが重要なポイントかなと考えております。
 少し事例を紹介させていただきますと、プラスチックリサイクル材料の製造ということで、静岡県にありますプラスチックのリサイクル会社では、選別技術を使い、自動車ですとか、家電製品由来、それから家庭で使用される製品のプラスチック、こういったものを原料として、再び自動車部品とか家電の原材料に使っていただくようなリサイクルを試行して、今、事業をされているということですとか、下にございますのがリマニュファクチャリングということで、重機、自動車、OA機器といった、こういった製品をメーカーで再び回収をして、使えるものはもう一度使う、使えないものについては部品を交換して、また新たに製品として流通をさせると。そういったところの取組をされているものです。こういった取組は、リースといったビジネスの新しいモデルにも、非常に親和性があるのかなと思っております。
 次のスライドです。プラスチックのケミカルリサイクルということで、川崎市では、従前から市内のケミカルリサイクル施設でプラスチックリサイクルを取り扱ってされていたということもあり、今後「川崎カーボンニュートラルコンビナート構想」を策定し、廃プラスチックのリサイクルの拡大の取組をさらに進めようとしている取組ですとか、下にございますのが、今はまだ実証事業中ですけれども、岩手県久慈市において化学メーカーが、微生物を活用して可燃ごみからエタノールを作る事業をされています。今は実証事業の中で、その技術の検証等をしている状況と聞いております。
 次に、二つ目の官民の連携処理システムの確立についてご紹介させていただきます。
 このコンセプトとしましては、一つの自治体では資源循環が難しい場合に、自治体が主導しながら、官民が連携し処理をして、地域特性を踏まえた資源循環を進めるものをイメージしています。
 期待される効果としては、少量だが様々な種類が出てくるような、まだ今は使えていない未利用の廃棄物の資源循環の促進につながるということと、そういった未利用の廃棄物も、複数の自治体を束ねると量の確保ができる可能性があると思っております。そういったことにより資源循環の効率化を図り、資源循環につながればというものでございます。また、資源循環を通じ、GHG排出削減が困難な産業にも貢献をしていくこともあると思っております。
 一方で、この実施に当たり確認すべきこともあると思っております。地方自治体の一般廃棄物処理と民間でどういったことを具体的に連携して処理しようとしているのかということや、そういった取組を通じ、地域課題の解決や暮らしの質の向上にどうつながっていくのかということ、また、地方自治体が扱う一般廃棄物も対象にしていますので、この事業の継続性の確実性というところも非常に重要なポイントと思っております。さらに、ライフサイクル全体を通しどの程度GHGの削減効果があるのかということも、確認する必要があると思っております。
 同じく、こちらも事例をご紹介しますと、福岡県南部の南筑後地方で、平成25年から研究会を設置されて、複数の自治体で広域的にプラスチックのリサイクルをされているというものです。その中に含まれます大木町では、生活ごみの回収拠点を設け、そこで常にいろんなものを分別しながら、住民の方に持ってきていただく施設を造ったりですとか、バイオガスプラントを設置し、出てきたバイオガスを活用したり、意見を活用したりですとか、そういう循環のまちづくりも進めているということで、まさしく地域の課題に対応しながら民間とも連携をして取組を進めている事例をご紹介しています。
 下が真庭市の例でございますけども、真庭市でも未利用の広葉樹ですとか耕作放棄地に早生樹をつくり木質バイオマス施設を造ったりすることで、地域エネルギー自給率100%を目指すという目標を立てられたりですとか、それから生ごみの資源化施設でバイオガス発電をするといったことで、地域での資源循環システムを構築されようとしている取組です。
 次のスライドです。こちらは三豊市でされているトンネルコンポスト方式で、一般廃棄物を民間に委託しまして固形燃料を地域の産業に使っているという例です。
 また、下にご紹介しているのが使用済みおむつのリサイクルということで、今後、高齢者人口の増加により紙おむつの排出量が大きく増加していくと全国的に予想されますけども、この処理が大変難しく、大きな負担になっていく中で、メーカー、それから自治体でいろいろ取組をされていて、使用済み紙おむつのリサイクルについても取組が行われているという事例です。
 次のスライドが地方自治体と、地域の産業との連携という例ですけども、鹿児島市さんの例ですが、厨芥、紙などのメタン発酵によりバイオガスを得まして、そこからCOを除去して地域の都市ガスの会社に原料としてガスを売っている事例ですとか、また、廿日市市ですけども、ごみの焼却排熱を都市ガス工場の温水による熱供給をしましてLNGの気化の熱として使っている事例でございます。
 次に、三つ目のパターンですけれども、静脈産業のカーボンニュートラル化、静脈産業で処理施設の脱炭素化ということで、焼却施設にCOの分離回収設備を設置する等、設備自身の省エネ化ということで、既存施設の脱炭素化を進めていただくようなものをイメージしています。
 期待される効果としては、製品のライフサイクル全体の脱炭素化に貢献するとともに、最新の設備を導入していただくことによって、その施設のエネルギー起源COの削減にも寄与し、また、最新の設備ということで処理効率の向上にもつながればよいと思っております。
 この際に確認すべき事項としまして、同種設備と比較をしてGHGの削減率の確認ですとか、生活環境への影響が従前のものと比べて同等以下になっているかどうかと、こういった確認は必要になってくると思っております。
 こちらも事例を少しご紹介させていただきますと、AIの選別自動ロボットの開発というところが幾つか進んでおりまして、廃棄物の選別工程において、画像や近赤外線センサーといったものより得られた情報を基に、AIで素材、形状、色を識別して後段のロボットで選別をするというところの開発でしたり、導入が進んでいると聞いています。こういったところの課題としては、さらに選別精度を向上するというところも課題としてはあると聞いています。
 また、もう一つ事例といたしまして、廃棄物由来COの分離回収ということで、佐賀市で焼却施設に分離回収設備をつけまして、そこから回収したCOを周辺のビニールハウス等に供給し農業のCOとして活用されていると、こういった事例もあると聞いています。
 こういった既存の施設にCOの分離回収設備を後からつけるという場合に、こういった制度を使っていただき導入を進めていただくことも考えられるのではないかというイメージです。
 また、四つ目でございます。カーボンニュートラルに対応する資源循環体制の構築ということで、カーボンニュートラルに向け、普及がどんどん進んでいる太陽光発電をはじめとする再エネ設備やリチウム電池、こうしたリサイクルは今後、将来必要になってくると思いますけども、そういったリサイクルの際にも高度な分離ですとか再資源化という技術が必要になってまいります。こうしたところに対応する、導入を促進する必要があるというところがこちらです。
 期待される効果としましては、こういった設備のリサイクルにより得られた再生資源の、安定供給に資すればというところと、そこに含まれる重要資源の国内循環にも寄与できるのではないかと。また、そういったものが一時的に大量に廃棄されると処理システムにかなり大きな負荷がかかりますので、そういった再エネ設備の処理を円滑化するという準備も込めて、そういう施設の整備が要るのではないかと。また、そこで得られた知見から革新的なリサイクル技術を開発しまして、その得られた知見を世界に打って出るということも、一つ、今後考えられる道筋ではないかと思っております。
 実施に当たって確認すべき事項としましては、循環資源の計画的な利用ですとか技術の革新性と、こういったところの確認も同時に必要になってくると思っております。
 次の事例といたしまして取組事例を二つ、ここのページで紹介しております。太陽光発電設備のリサイクルについて、太陽光パネルに用いられているカバーガラスと、セルを含むバックシートを物理的に処理し、分離した部品をマテリアルリサイクルに回していくという取組が進んでいるというご紹介です。
 また、下の風力発電設備のリサイクルでは、FRPでできている風力発電のブレード、非常に大規模なものであればブレードも大きなものになりますけども、処理できる施設というのはなかなか限られますし、それを有効に再生利用しているところも、現状、限られているというところ、そういったリサイクルに向けた取組も、今進んでいるといったご紹介です。
また、最後のスライドになりますけども、事例としましてE-waste・E-scrapというところで、家電等に使われているE-wasteや、家電等から取り出されたE-scrapについて、今、製錬施設においてリサイクルシステムが構築をされてますけれど、国内だけではなくて国外からもこういったE-waste・E-scrapを回収してリサイクルするような流れをつくるですとか、また、今、利用が進んでおりますリチウム電池といったものについても、コバルト、ニッケルの回収を含めたリサイクルの一貫処理の実証というものが実施をされていると認識しております。
以上、事務局として、今後支援すべきというところで①から④番のパターンをご紹介させていただきました。
ご説明は以上でございます。
○酒井小委員長 どうもありがとうございます。資源循環分野が直面する課題と検討の方向性並びに具体化方法の類型的な整理とご提案をいただいたと理解をしております。
 それでは、この後、ただいまの説明に対しますご質問・ご意見をお聞きしていきたいと思います。対面でご参加の方は、冒頭、松田課長からお話がありましたとおり名札をお立ていただきたいということと、それからオンラインで参加の方は挙手ボタンで意思表示をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速、多くの方から挙手をいただいておりますが、左から順番に、じゃあ、高岡先生からずっと回してまいりたいと思います。よろしくお願いします。
○高岡委員 ありがとうございます。
 ご説明ありがとうございました。基本的な方向性は大変よく整理されていて、いいものだと認識をいたしました。私のほうからは、まず1番目の動静脈連携の構築を。資料2の4枚目のスライドになるでしょうか。ここで再生材の品質確保を、今後実施に当たって確認すべき事項と挙げられています。
もちろん、これは当然やっていただきたいのですがが、非常に広く再生材をこれからいろんな方が使うためには、やはり再生材の規格というものをはっきりとして、誰でも使えるようにしていかないといけないと思います。
 それとともに、現在ですと特定の動脈産業と特定の静脈産業がそれぞれの技術に応じて、こういう品質をというようなことを行っていますが、規格化ができれば、より広く需要と供給のマッチングができますので、これは前回の市場をつくることにも関わってくると思いますので、こういったマッチングをつくる動きもぜひとも推進をしていただきたいと思います。
 こういう規格とかマッチングに関しては、やはり、それをある意味、監視するような機関も必要であろうと思いますので、そういう審査の機関というものもやはり整備しておく必要があるのではないかと思います。
 それから、この中の図で動静脈間のデータ連携は大変重要で、トレーサビリティーの確立も大変重要なんですけれども、一旦動脈が作ったものを消費者が使って静脈に流れて、そこから廃棄物としてトレーサビリティーという流れになりますが、消費者もデータを確認できるシステムに是非していただきたいと思います。これは、どちらかというと今後の情報のほうのことに入るかもしれません。
 それからもう一点は、3番目の静脈産業のカーボンニュートラル化です。ここでCCUSということですが、回収したCOをどう使うのか、どこに貯留するのかというのは、なかなか個社とか各事業者で、もちろん見つけることができるものもあるかもしれませんが、大変難しい問題だと思いますので、この辺りは実施に当たって確認すべき事項に入れておいてもいいのではないかなと思いました。
 以上になります。
○酒井小委員長 ありがとうございます。
 それでは、引き続いて末吉委員どうぞ。
○末吉委員 はい。ご説明どうもありがとうございました。
 私も方向性は賛成です。ありがとうございます。
私からは資料2の3ページ目の四つのパターンについて、それぞれ意見を申し上げたいと思います。特に①は重要でして、前回の小委員会でも申し上げたとおり、やはり保管基準の緩和を含めたリサイクラー側の生産、輸送効率の向上施策というものが1の枠組みの中で各種優遇措置として盛り込まれるといいのではないかと考えています。きちんと取り組んでいるところが、例えば収集運搬業許可ですとかあるいは保管容量の上限拡大など、第三者機関によって認定事業体に付与される立てつけになると、動脈側も自社の生産原料として再生資源をコミットした分はきちんと活用しなくてはいけないことになりますし、そこに原材料を提供する静脈側も、都道府県ごとに許可を取るのではなくて保管量も限定されずに効率生産、それから輸送が可能になって、相互にとってメリットがある状況が整えられるのではないかなと思います。それによってリニアからサーキュラーになっていく状況が担保されるのではないかなと。
あと②もとても重要であると考えておりまして、日本こそローカル、地域でのサーキュラリティーを目指す必要があると思います。ローカルな特性のあるものはローカルで、そしてナショナルに最適化すべきものはより広域でという前提の中で、小規模自治体が自前の焼却炉の老朽化に伴って新たな焼却炉を自らまたは周辺の自治体と連携して新設しようとしているタイミングだと思いますので、既存の産業廃棄物処理施設などを活用して、そこで一般廃棄物も処理できるようにすることがローカルな最適化への第一歩になるのかもしれないと考えています。
これも1と同様に、やはり第三者機関によって認定事業体に各種優遇措置が付与される立てつけになるのがいいかもしれません。地域の生活者としては、ローカル特性はローカルに、ナショナルな生活者はナショナルに脱リニアの実現を期待する、かつ市民自らも主体的にその輪を広げ、強めていくということがとても大事であると思います。
 それから、排出される生活系のごみというもののローカル特性も大事なのですけれども、やはり出口に関するローカル特性もとても大切だと考えています。それを肥料化するのか飼料化するのかはローカルな産業構造に大きく依拠すると思いますので、都市部などでは、私がスウェーデンのマルメ市で見てきたように、市民の生ごみのバイオガス化を通じて公共交通などで活用するといったような、入り口から出口のそれぞれの特性を生かすことが肝要だと思います。入り口から出口まで見える化されると、消費者、生活者が簡単に正しいことができるような仕組みが必要になってきて、市民の人たちが手元にある資源を出やすくなるようなサポートですとか仕組みが非常に重要になってくると思います。
 あと、日本の自治体で既にさまざまな取組されていると思うんですけれども、せっかく取り組んでくださっているのであれば、取り組みを始めてから市民がどのような意識や行動の変容、変化があったのかということも、きちんと追跡しながら調べていく必要があると感じています。
 ③については、前にも申し上げたとおり、一定の基準を満たし第三者機関により認定された場合は、施設の変更許可のみなし手続がなされるようになればいいと思っておりまして、④についても同様であると考えています。なので、いずれも一定の基準、すなわち経産省のほうでも議論されていますけれども、LCAの評価ですとか、あるいはそれらのDPP化を含む情報公開などが前提になるということは言うまでもないと思います。
 長くなって申し訳ないのですけれども、もう二点。サーキュラーという以上、やはり日本が偏重してきたサーマルリサイクルという状況を打破するためにも、例えば、先ほど申し上げた認定などについては、マテリアルリサイクルを最重要視して次にケミカルリサイクル、そして、どうしようもない場合はサーマルリサイクルを認めるといったような、初期の容器包装リサイクルに組み込まれていたリサイクルの優先順位制の確保というのがとても重要になってくるのではないかなと思います。
 最後に、消費者に再生材を新たな価値として感じてもらえるかどうかという点についてですけれども、やはり日本の消費者がどんな製品だったら再生材が使われていても問題なく使用するのか、逆に、どんな製品だったら許容できないのかなども、もっと調査や分析が必要だと思っています。これは世代によって全く許容度なども違うと思いますので、分析を進めていくべきだと考えます。
 以上になります。
○酒井小委員長 ありがとうございます。
 では、岡村委員、どうぞ。
○岡村委員 はい。ご指名ありがとうございます。
 私も、資料1の基本的な考え方と検討の方向性には賛同です。サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルの両立を進めながら、産業競争力強化や経済安保につなげていくという方向性をお示しいただいておりますが、これは非常に重要なことだと思います。
 脱炭素型の資源循環システムを目指す上では、末吉委員と少しニュアンスが異なるかと思いますが、資源の循環的利用としてのエネルギーリカバリー、サーマルリカバリーは、今後もやはり不可欠であろうと思っております。もちろんリユースやマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルを推進していく必要はありますが、どうしても処理困難なものは残りますので、その場合にサーマルリカバリーを使っていくことは大事だと思っております。もちろん、ある程度のエネルギー効率を確保することが前提になると思いますが、サーマルリカバリーも脱炭素型の資源循環システムの中に位置づけるという方向性を示すことが重要だと思います。
 また、資料2に示されている通り、焼却の手法をしっかり活用しながらCOの分離回収を行い、カーボンニュートラル化させることは大変重要だと思います。資料には「既設施設の脱炭素化を促進」と書いてありますけれども、既設施設に限らず、今後の処理の広域化を踏まえて支援の対象を考えるべきと思っております。
 加えて、COの分離回収は必ず必要になります。もちろん焼却炉だけでなく、私が属しているセメント分野や、石炭火力などの分野でもCOの回収は必ず進んでいくと考えております。そのため、先ほど高岡委員もコメントされていましたけれども、COをどう循環させるか、どう活用していくかが大きなポイントになると思います。貯留を含め、COを資源として、しっかり循環させるという視点は非常に重要だと思っております。
 関連して、回収したCOが将来、副産物になるのか廃棄物になるのか、現時点では決め難いとは思いますが、いずれにしても、先ほど申し上げた通り、しっかり循環させていくことが必要です。この点を踏まえると、脱炭素型の資源循環システムは、廃棄物だけを対象とするのか、副産物も対象にするのか、どの範囲を議論の対象にするのか考えるべきかと思います。もちろん副産物のほうが循環させやすいので、廃棄物と同じ対応ではなく、差をつけて考えていくことが必要になろうかと思いますけれども、重要な視点ではないかと考えております。
 私からは以上です。
○酒井小委員長 岡村委員、ありがとうございました。それでは、続いて粟生木委員、どうぞご発言ください。
○粟生木委員 はい。ありがとうございます。資料のほうも包括的にまとめていただいてありがとうございます。
 私からは、資料2の1、2、3に全体的に係る話なのですが、静脈産業の技術であるとか、動脈と再生材に向けて製品情報をトレーサビリティー等でつなぐというお話はいただいているのですけれども、物理的に動脈産業・静脈産業から再生材として資源を運ぶという視点が若干見えてこないなという印象がございます。
 運ぶという行為そのものによる脱炭素も重要と思っておりますし、それに当たって第1回の意見にも、よりよい資源の質・量での確保のためのネットワークを含めた循環も考える必要があるという意見がありますけど、川崎の事例だとか筑後の事例をいただいていますけど、静脈産業と動脈産業をどう効率的に物理的に結びつけるのかといった考え方も今後いただけるといいと思っています。
 加えて、運ぶという点での制度的な課題であるとか、質を確保するためにおいては環境配慮型設計でのばらつきを減らすということも重要なのですが、例えば、静脈側での分別分類をどのように取りまとめるかといったところも重要と考えています。
 以上です。
○酒井小委員長 ありがとうございました。
 それでは、対面でご出席の委員の方々からのご意見を伺いました。あとはオンラインで参加いただいている方からも挙手いただいております。事務局で挙手順ということで確認いただいているところで、所委員、崎田委員、村上委員、関口委員、曽根川委員、室石委員、この順番でご意見をお聞きしたいと思います。
 では、最初に所委員から、よろしくお願いいたします。
○所委員 所です。ありがとうございます。
 1点だけ、私から発言させていただきたいと思います。全体の方向性は賛同しておりますけれども、これから順位づけをして迅速にやっていかなければいけないと思います。特に迅速にやっていかなければいけないなと感じている点がございまして、欧州の、産業側でいろいろな部品などに再生材の使用を求めてくるという波が、思ったより早く日本にも来ているのではないかと感じています。要するに、新しい製品にリサイクル材を何%のものを入れなさいとか、再生材を何%使いなさいというような規制が、かなり早いスピードで日本のものづくり産業に影響を及ぼし始めていると感じております。
日本の中でも、GHG削減も非常に大事ですけれど、再生材の利用率をどのように定義していくか、また、再生材の利用率を対外的に公表できるためのトレーサビリティーの確保。トレーサビリティーの確保には、もちろんGHGを削減していくためのデータ取りというのも大事なのですが、再生材の利用率を明らかにしていくためのトレーサビリティーの確保のためのいろいろなデータ戦略、こういったものはかなりスピード感を持ってやっていく必要があると足元で感じておりますので、発言させていただきます。
以上です。
○酒井小委員長 所委員、ありがとうございます。では、引き続いて崎田委員、お願いいたします。
○崎田委員 崎田です。ありがとうございます。
 それでは、様々なご意見が既に出ましたので、私のほうからシンプルに3点ほどお話をしたいと思います。今回、資料1と2があり、2は具体的にかなり明確にまとめていただいていると思いますので、こういう方向性をどうしっかりと定着させていくかというところが課題だと考えています。
 そこで1点目ですけれども、資源循環を促進する動静脈連携、先ほどからビジネスマッチングということがありますけれども、そういうときに、やはり消費者をどう巻き込んでいくかということに私は大変関心を持っています。そういう意味で、消費者の消費選択と、使用の際の修理含めたリユースや、分別排出して資源に回すという大変重要な役割がありますので、まず動脈の皆さんがしっかりと製品表示で、どのような再生材を使っているのか、あるいは、リユースや修理、今後の使用・資源分別など、リサイクルに対してどういう配慮が必要なのか、そういうことをきちんと表示していく大枠の全体の仕組みを、明確に、早い段階で決めたほうがいいのではないかと思っています。
 なお最近、紙の商社が、繊維として使えなかったオーガニックコットン素材を50%配合した、オーガニックコットンペーパーという紙を開発したという情報を拝見しました。やはりいろいろなマッチングの成果で新しいものが出てくる、そういう新しいところにいろんな仕組みをできるだけ早く作っていくことが大事なのではないかなと思いました。
 2点目なのですけれども、このような資源の循環を身近なところでできる限り回していくと、個性ある地域づくりや地域循環共生圏の創造に明確につながってくると思っています。そういう動きが大事だと思いますが、一方で、リサイクル率が上がらない理由として、地域の市民が自分たちの分別した資源が何どのような再生資源や製品に生きているかがよく分からない、という課題が言われています。そういう意味で、どういうものにリサイクルする形に持ってくのかを、みんなで考えたり、情報共有したりできるようになることが大切だと思います。
 その際、一つ、今、地域には脱使い捨てプラスチックの取組を推進するために、ここ10年ぐらい3R推進協議会などが非常に多くの自治体でできてきています。レジ袋など使い捨てプラスチックをなくしていこうという大きな流れは定着してきましたので、今後どう活動していくかという転換期にあるところが多いと思います。そこに地域の動脈産業の方が入ってくだされば、動脈と市民と静脈、自治体の連携の輪がすぐできると思いますので、そういうところも活用していただいたらいいのではないかなと思います。
 もう1点だけ申し上げますと、電子マニフェストは次回の話題になるとのことですが、どう再生されるのかという全体像を把握するには、電子マニフェストの内容を明確な形にしていくことが大事だと思います。その辺は次回の検討のときに、皆さんとしっかりと意見交換できればと思っております。よろしくお願いします。
○酒井小委員長 はい、どうも、崎田委員、ありがとうございました。
 では続いて、村上委員、お願いいたします。
○村上委員 はい、どうもありがとうございます。村上でございます。
 まず、これまであった意見、あまり重複するものは言わないようにしようとは思いますが、岡村委員からあった、この脱炭素と称しているところが今回の話でどこまで入るのかというところは、私も気になりましたのでご説明いただければと思います。
 それに関連するところだと思いますが、私も過剰にサーマルの優先順位を下げるのはどうかと思っております。ISO等々をしていて、やはり欧州の皆さんが考えておられるところで出てくるサーマルを下に下げちゃうところというのは、ある種、彼らが思っている技術のレベルがちょっと我々のところと違っているんだと思っていまして、単純にエネルギー効率的な側面でいっても大分レベルの低いものを想定して、あんなものは駄目だとおっしゃっている方がかなり多いような気もするので、その辺、何が正しいのか少し冷静に考えてやるべきだと思います。というのが一つ目です。
 今、崎田委員がおっしゃっていたところと若干かするのですが、動静脈連携のところで、やはり市民の巻き込み方というか、必ずしも市民を巻き込む必要はないんだと思いますが、例えば事例としてリマニュファクチャリングの事例とかを入れていただいたと思うんですが、多分リマニュファクチャリングをやるという行為自体は動脈側の企業、日本の場合はできる方はたくさんいらっしゃるんだと思っていまして、そうすると、実際リマニュファクチャリングした製品をどうやって買ってもらって使ってもらうのかという話なんだと思っています。その辺も含めて、本当にそれを売り込みに行っていただくというところをどうするのか、そこに対して何がしかの支援ができるのかみたいな話が大きいのかなと思うところです。
 先ほど、これも再生材利用率に近い話ですが、その情報を取らせるという意味で言うと、静脈を担っておられる皆さんがかなり正確に情報を取っていただかないと、どのくらいきちんと回ったのかというのは実は分からないというふうに思っています。そこは多分動脈の皆さんも必ずしも把握しておられないところだと思うので、そこの情報を取っていただかないといけないわけですが、必ずしも大企業ではない皆さんが静脈になっておられるケースも多いと思っていまして、その辺、情報を取るというのを、多分今の電マニより少し細かいレベルが必要になるし、有価物に対しても取らないといけないという話になりますので、その辺、ちょっとどういうふうに支援をされるおつもりなのかといった辺りがもし何かあるのであれば、ご見解をお聞かせいただきたいというのは質問でもありますし、また、それが今後の議論に当たるのだというのであれば、それは議題にしていただくべきだと思っております。
 その辺の情報の話を含めて、最初のほうで規格という話もあったかと思いますが、規格認証といった話に対して、日本は若干人手が足りていないような印象を、最近ISOとかをやっている中でしみじみと思っています。その辺の人材育成も必要かなというのは、ちょっと外れトピックですが、でもこの辺でしておくべきかと思いますので、一応コメントとして申し上げたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○酒井小委員長 村上先生、どうもありがとうございました。多くご意見をいただいたと思います。では引き続いて、関口委員、お願いします。
○関口委員 ご指名ありがとうございます。
 私も基本的な考え方については賛同いたします。その上で、細かい点ですが、2点ほど留意すべきと感じた点を申し上げたいと思います。
 1点目は、再生材についてです。資料1の5ページに、「求められる品質・量の再生材を再び動脈に届ける仕組みが必要ではないか」との問いかけがございます。これはそのとおりだと思いますが、加えて、価格の要素がどうしても入ってくるのではないかと思います。実態を考慮すると、再生材だから高く買っていただけるということはあまり想定するべきではないと思います。いかに国際競争力のある価格で再生材を届けられるかが大きなポイントの一つになると考えます。また、再生材の供給を増やしていくには、やはり追加のコストが相当かかると思います。現在の商流からすれば、どうしても静脈側に負荷がかかりがちですので、いかにその負荷を緩和していくかという、支援策もいずれ考える必要が出てくると思います。
 2点目は、GHG排出の削減についてです。資料2の4ページに、期待される効果として「GHG排出の削減」が挙げられています。社会全体、国全体としてはGHG排出の削減効果があるのかもしれませんが、例えば、資料2の最終ページに事例として挙げられているE-scrapの処理に関しては、追加のエネルギーを投入しないと完全なマテリアルリサイクルにはなりません。再生材を作る事業者側にとっては追加のエネルギーの投入が必要なため、様々な技術開発を進めているところではありますが、現在の技術ではCOの排出量が増えることになります。したがって、トータルでのGHGの排出削減といっても、個別に見ていくと、排出量が増える事業者がいる一方で、再生材を使うことでGHG排出の削減への寄与が評価される事業者もいます。事業者ごとにかなり差が出てくるという点は、よく留意しておく必要があると思います。
 以上です。
○酒井小委員長 関口委員、ありがとうございました。それでは引き続きまして、曽根川委員よろしくお願いします。
○曽根川委員 ありがとうございます。
 皆様、こんにちは。日本環境保全協会の曽根川と申します。本日はよろしくお願い申し上げます。今回、この委員会で初めて発言させていただきますので、最初に私どもの一般社団法人日本環境保全協会の団体につきまして紹介をさせていただきましたのち資料1,2について申し述べさせていただきたいと存じます。また、このような場所でご発言させていただきますことに、厚く御礼、感謝申し上げます。
 私ども日本環境保全協会は、昭和36年に日本初の一般廃棄物処理業者の全国団体として設立して以来、60年以上の長きにわたり、全国津々浦々で市町村行政に積極的に協力し、ごみ・し尿・生活排水の適正な処理に関する一般廃棄物処理業者の健全な発展のため全会員一致団結の下に事業の推進を図ってまいりました。
 次に資料1についてでございますが、私どもは、日本が直面する人口減少、高齢化とか、都市への人口集中、地方の衰退などの構造的課題と向き合いまして、社会の要請にしっかりと応えるという観点から、課題として整理された点につきまして、私どもといたしましても、しっかりと時代の変化に対応し、ご協力をさせていただきたいと思っております。
 中でも、特に一般廃棄物処理は、その公共性から継続的かつ安定的な適正処理の確保が極めて重要でございます。私どもは地域に根差した専門企業集団として、環境への負荷の低減、資源循環、脱炭素を図るために、食品リサイクル事業や容器包装プラスチック資源循環促進等、各種リサイクル事業に積極的に取り組んで、地域の環境の保全と地域創生に一層の貢献をしております。さらなる資源循環の取組の推進は、私どもの思いとも共通するものでございますが、ぜひ地域で一般廃棄物処理をする専門家集団として取り組む私どものような事業者が力を発揮できるよう検討していただきたいと思っております。
 また、資料2につきましては、事務局様からご提案いただきました脱炭素型資源循環システムのイメージにつきまして、特に②の官民の連携処理システムの事例に挙げていただいているように、私どもの目指す地域の環境の保全と地域創生という思いの下で、これまで市町村行政と長きにわたり今日まで積極的に協力させていただき携わってまいりました事業者といたしまして、地域を知り尽くした一般廃棄物処理事業者が、今後将来一層の脱炭素の取り組みに向けての活用、活躍できるような場面が大いにあるのではないかと考えております。
 また、私どもの会員の中にも、これまでも各種リサイクル事業を営み、ノウハウを持つ会社が数多くございます。国における認定もご検討されているようでございますけれども、実施に当たりましては、そういったこれまでの専門家集団の取組を評価していただきまして、仕組みも検討していただければと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○酒井小委員長 曽根川委員、どうもありがとうございました。続きまして、室石委員お願いいたします。
○室石委員 全産連の室石です。
 私のほうからは、まずお示しいただいた脱炭素とか資源循環の方向性について、全くそれでよろしいんではないかと思うのですけれども、ただし、くどいようですけども処理基準等の遵守が前提になってくるというのは、前回も申し上げたような気もしますけれど、よろしくお願いしたいなと思います。
 あるいは、その産廃業者のうち優良業者の優遇や、新たな優良事業者の条件づけとして脱炭素も考えていただければよいのではないかと思いました。
 それから、制度的な後押しという部分ですが、それ自体は別に反対するところではないのですが、自治体独自で上乗せ的な許可条件を入れたりすることで施設を造りにくくしているというところにも注目していただければなと思いました。
 それから、関口委員からご意見がありましたけれども、動脈側での再生資材の受入れというのが非常に質・価格ともに厳しいということは全く同意見です。もっと緩い条件で受け入れていただくのが望ましいと思いますけれど、何かそういうものに対しての静脈側への支援をいただくというのもよろしいかと思いました。
 それから、再生利用という点については様々な地域差があるということで、排出量や供給される再生材の量、利用先の数や受入量とも非常に違うわけです。建設工事の分野でいくと、再生資材と建設工事という関係でいけば、需要も供給も大都市に集中していて、全国融通も重たさから困難であり、地方で再生を頑張るとなった場合に中小企業への支援はすごく大事だろうなと。それから、再生資源化しやすいものから手がついていっているというのは仕方がないことですけれど、複合建材みたいに再生資源化しにくいものもあるわけです。そういう難しいものが取り残されていくというのも全体的にはよくないことだと思いますので、支援については、例えば難しいものを優先して支援していくという、そういう発想もあっていいと思いました。
 それから、これも前回、様々な方からもご意見がありましたが、再生資材の材料を再生エネルギーが優先して使われる仕組みや定量目標を設定するとか、公共での率先的な取組、事業発注する際での使用を義務化等、様々なことを仕掛けていっていただければありがたいなと思いました。
 それから最後ですけれども、これもどなたかからかもう既に言及があったかもしれませんが、カーボンキャプチャーは非常に重要ですけれど、例えばストレージであれば、海のどこかの場所とか地域的な制約が非常にかかってきて、誰でも彼でもストレージできるわけではないとすると、個社での取組に限界があることは私も全く賛成で、カーボンキャプチャーに関するいろんな意味での取組のやり方というか、社会全体での仕組みについて、早めに国で方向性を考えていっていただければなと。それを見て、民間でいろいろ施設に入れていくという促しになると思いますので、よろしくお願いしたいと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
○酒井小委員長 はい、室石委員、ありがとうございました。
 それでは引き続きまして、橋本委員、お願いいたします。
○橋本委員 ありがとうございます。私も検討の方向性について賛同したいと思います。
 その上で1点コメントと1点質問なんですけれども、コメントは資料2の2ページ目の図、あるいは7ページ目の図のところです。ここでは静脈と地方自治体が手を結んでいるような形になっていますが、10ページ目でバイオメタンや熱供給も事例として挙げていただいていて、この辺は自治体と動脈産業が直接リンクするようなケースになっていないと思います。その観点で、先ほどからカーボンの話が出ていますけど、カーボンリサイクルという将来的な像を考えたときに、ここの連結もやはり重要になると思いますので、この点も少し図の中に反映できるといいんのではないかと思いました。
 質問は、3枚目のスライドのところで、主に認定を行いながらそこに対して支援をしていくと理解しているのですけど、この国が認定等を行うことによりという、この「等」のところに込められたものがありましたら、少しご紹介いただければありがたいなと思います。
 以上です。
○酒井小委員長 ありがとうございます。
 それでは途中からですが、斉藤委員が参加されておられます。そして挙手いただいていますので、斉藤委員、どうぞ。
○斉藤委員 ありがとうございます。斉藤でございます。遅くなって申し訳ありませんでした。私から2点ほどお話したいと思います。
 一つは、サーキュラーエコノミーを進めていくに当たっては、やはり適正処理を大前提として進めていかなければ好ましくない状況になってしまうと思いますので、これまでも熱心に取り組まれてきたところですが、そういったベースとしてのこの適正処理をさらに強化していくということが今後重要なのではないか、かつ、カーボンニュートラルのことなども踏まえて考えますと、その中で脱炭素化も踏まえてどう進めていくのかというのが前提として重要なのではないかと感じております。
 もう一つは、その動静脈を連携させていくことになったときに、やはりその情報がどうなのかということが非常に重要になってくるかと思います。その情報に関する需要と供給、どういう情報が求められているのか、あるいは、どのようにすればその情報を積極的に発信するようになるのか、特に情報を発信するということについては、そういう仕組みがないとなかなか出しづらいところもあるでしょうから、そういったところも含めて何か考えていく必要があるのではないかなと感じております。その意味では、この資料のところで幾つかの事例なども出されていますが、そういったものも精査しながら、今後、議論を進めていきたいと感じました。
 私からは以上です。
○酒井小委員長 斉藤委員、ありがとうございました。それでは最後に、大塚委員、どうぞ。
○大塚委員 先ほど、所委員がおっしゃった話と室石委員がおっしゃった話と少し関係するのですが、室石委員がおっしゃったこととの関係では、処理基準の遵守はしっかりしてくださいというお話だったんですが、許可制というのは生活環境保全のためにしているところがあるので、今回こういう形で規制緩和していくのは、ある意味重要なことだと思いますが、他方で、生活環境保全のために許可制としていることも、忘れないでいただく必要があると思います。あと今回、結構大盤振る舞いをして許可制をなくしてしまうところが増えると、その先もまだカーボンニュートラルなど再生材の活用に関して環境省が政策を打っていくときに玉がなくなってしまうかもしれないので、全体として私は賛成ですけども、お気をつけいただいたほうがいいかなということを少し申し上げておきたいと思います。
 それとの関係で、今までの広域認定やプラ新法の様々な認証が同じようなことをすることになると思いますけど、今回、第三者認証が極めて重要になると思います。環境省はこれだけのことをおやりになって、きちんと動静脈に関して対応ができているかを自分でチェックすることは、人の問題からほとんど不可能だと思いますので、第三者認証が極めて重要だと思います。今までやっている第三者認証がどのぐらい効果を発揮しているかに関して気をつけてチェックをして、できるかどうか、どうなっているかを検証していただけるとありがたいと思います。
 動静脈連携をしているというのは、実際に動脈で対応していただいていることが極めて重要になりますので、その辺はきっちり見ておく必要があるということを申し上げておきたいと思います。それが第一点です。
 それから、第二点ですけど、所委員がおっしゃった話と少し関係しますけども、欧州の動きが結構激しいので、再生材の利用をしないとそもそも販売できない状況が生まれつつある、これは自動車等がそうですけども、そういう極めて迅速性が要求されているものと、我が国自身の対応として、消費者との関係を考えながら進めていくものとは、スピード感がやや違うかもしれませんので、その辺は、むしろ産業の話と関係しますけども、環境省におかれましても、全部が一つで動いていくというわけでは必ずしもないというのは、どこかでお気をつけいただいたほうがいいかなという気はいたします。
 また、デジタルパスポートを作るとすると、そこに挙げる項目に関しては、先ほどご議論がありましたけども再生材の使用率のようなものは結構重要だと思います。あと、私はプラスチックの添加剤のその中身についての情報も結構大事だと思っていますが、この④に関しては、例えば太陽光パネルについては、現在別に検討されていますけれども、再生材の使用率をすぐに上げるという話はどうも出てこないので、そちらとの関係の問題もあると思います。私はできるだけ早い時期に上げたほうがいいと思っています。
 どうもありがとうございました。恐れ入ります。
○酒井小委員長 はい、どうもありがとうございました。それでは三井委員、どうぞ。
○三井委員 私も方向性については賛同しております。あとは大事なのは、これを具体的に下へ落とし込む、具体策やシステムをつくるときが非常に重要なポイントになってくるのではないかと思っています。
 資料1につきまして、我々、全国清掃事業連合会は、固形一般廃棄物の収集運搬業者の全国業界団体です。今回課題として整理いただいたもののうち、社会変化の対応については、日常の業務を通じて特に危機感を持っております。我々はこれまでも、高齢化社会への対応としてふれあい収集の推進、またローカルSDGs、地域カーボンニュートラルにも全清連として取り組んでおり、地域の存在価値を示すべく活動をしてまいりました。本資料においても、地域の処理業者の連携に言及されていますが、大変重要な視点だと考えています。資源循環をより効率的に進めていくためには、我々処理業者もこれまで以上に横のつながりを意識し、得意な分野をお互いカバーし合い、さらに大きな存在価値を示すことができるのではないかと考えています。こういった取組を通じて、動脈との連携もよりスムーズになるのではないかと思いますので、ぜひこの点に光が当たるような検討を進めていただければと思います。
 また、私は約20年、容器包装プラスチックのリサイクルにも取り組んでおります。プラスチックのリサイクルに当たっては、回収時の異物の混入の排除やリサイクル工程での分別などを通じて再生材の質の向上に取り組んでまいりました。その経験を踏まえて申し上げますと、動脈の皆さんは、再生材を資源として使う側でもありますが、排出事業者として廃棄物を出す側でもあります。さらなるリサイクルの高度化については、それぞれの製品・商品ごとに違うとは思いますが、動脈と静脈との間でお互いにできることとできないことは何なのか、必要最低限共有すべき情報は何なのか、具体的な意見交換が必要ではないかと思います。これは双方向であるべきと思いますので、ぜひ検討に当たって配慮いただければ幸いです。
 資料2につきましては、前回の発言を受けて、適正処理について記載しご配慮いただき、感謝いたします。
 それに関連して少し具体的なお話をしますと、国の認定などを想定されているとのことですが、手続がどうであれ、生活環境の保全という観点から、処理基準の遵守が前提になると考えています。これまでの廃棄物の不適正処理の事例を見ましても、その復旧には多額の費用と多くの時間が費やされてきております。これまで廃棄物処理法が幾多の改正を経て、不適正処理が起きにくいよう、多大な努力を払われてきたと考えています。やはり廃棄物を扱う以上は、これまでの経験を生かし、処理基準の遵守をはじめとした廃棄物処理において不適正な事案を防ぐための措置を講じていただくことが重要だと思います。
 財政的支援についても言及いただきありがとうございます。昨今、資材や人件費が相当高騰しております。廃棄物処理施設の整備にはこれまで以上に費用がかかる状況にあります。加えて、これまでやってこなかった先進的な事業はどうしてもリスクが大きく、見積りが難しい傾向にあります。こういった先進的な事業については、初期の段階で結構ですので、特に環境保全上の支障がないよう、運転のために必要不可欠な環境に配慮した設備が適正に整備されるよう、支援の内容を検討いただけると幸いです。
 最後に、我が国において、廃棄物処理関係におけるCO排出量は約3%と言われておりますが、だから脱炭素への取組をやっても仕方ないではなく、熱回収の最小化を目指し「私たちにできる範囲のことはやり切る」を実行していきたいと考えております。
 以上です。
○酒井小委員長 はい、どうも、三井委員、ありがとうございました。
 それでは最後に、武本委員、どうぞ。
○武本委員 はい、ありがとうございます。私も方向性としては賛成です。
 私からは、1番目の動静脈連携に関して、大手企業さん同士の動静脈連携はすごくやりやすいとは思うのですけど、どうしても中小企業同士だと情報のやり取りが難しかったり、今ですら適正処理の基準が守られていない状態で、この動静脈連携のところで何がネックになっているのかというのを、もう少し現場の声の情報収集が必要かと思います。ただ、その再生材を活用していく、そのパーセンテージを上げていくに当たって、これは海外向けとか投資家向けのPRにもつながってくるだろうとは思うのですけども、それに合わせたサスティナブル指標というものが出てきていますので、静脈産業のほうもそれに合わせた指標を何かつくるべきかと思います。これは今ある優良認定だけではなく、自治体と連携していく中でも、継続的な事業をできるのかどうか、どれだけその地域循環共生圏とかを意識した行動が取れるのかといったところの補完という意味で認定制度をつくるにしても、そういった指標は必要かなと思います。同じように官民連携の自治体との連携のところもそうかなと思います。新しい認定制度をつくるにしても処理基準の徹底ということと、今まで培われてきた、積み上げてきたノウハウもありますので、ここで動脈側から静脈側に参入してこられても、うまくいかないのではと危惧しているところもあるんですね。そのため、情報も大切なんですけども、コミュニケーションという部分もやはり何かしら考えていかないといけないかなと。今、そのコミュニケーションがうまく取れていない。産廃も一廃もそうなのですけど、業者間でのコミュニケーションもなかなか取れていない中で、消費者を巻き込んでいくとか、動脈を巻き込んでいくというところで、うまくコミュニケーションが取れていくのかなと思っています。
 3番、4番に関しては、もう実際に、廃棄されるものからエネルギー化という流れがある中で、静脈産業もそのフローの中に入っていくという形がいいのかなと。そこで、大型の設備投資が必要になってくると思うので、そこでの国からの支援をいただくという形で実現できていくのではないかなと思います。
 以上です。
○酒井小委員長 はい、ありがとうございました。
 これでほぼ全員のご意見を伺うことができたかと思います。今後の作業に生かしていただければという点が多くございますが、質問的な事項もございましたので、1回事務局にマイクを渡したいと思いますので、その中でご発言いただければと思います。よろしくお願いします。
○廃棄物規制課長 委員の皆様方、非常に多くの有益なご意見、また、ご指摘をいただきましてありがとうございます。今回我々がお示しした内容に沿った形で、今後もっと深掘りをしていくためのヒントをいただいたと思いますので、その点についてお礼を申し上げたいと思います。
 まず最初に、色々やはり多くの議論があったところについて少し触れますけども、3R原則との関係をどう考えればいいかというところがございました。委員によってお考えも少し差異はあったとは思うのですけれども、基本的にはマテリアル、ケミカル、サーマルという順番で進めてほしいということで我々も言ってきたところではありますけれども、基本的にはサーマルを別に排除するものではないわけですね。この点について、リサイクルするものにより、恐らく状況というのがいろいろ変わってくると思いますので、少しLCA的な観点も入れて、物によって少し考え方に差異をつけるというのはあり得るのかなと感じたところです。今日は基本的な考え方をお示ししたところですけど、この点については今後、認定制度をつくる中で非常に大事な要素だと思いますので、しっかり考えていきたいと思います。
 また、動脈企業側の取組の部分についても、環境配慮設計の話や再生材の利用率の話、デジタルプロダクトパスポートの活用の話など、多くのご指摘がありました。この点について、動静脈連携を進めていく上では、やはり国が認定をして、ある意味廃棄物処理法の手続の部分について一定の緩和をしていくという以上は、やっぱりそれなりにしっかりした取組をやっていただく必要があると思っています。この点について、国際的な動向も見ていく必要もございますし、また別途、経済産業省でも審議会を立ち上げ、サーキュラーエコノミーの部分で動脈企業側がどういう取組をしていくかというところの議論もされているところですので、しっかり連携を取りながら、どこまでの内容を求めていくのかという点について考えていきたいと思います。
 加えまして、やはりこういった動静脈連携を進めていくに当たっては、動脈企業側と静脈企業側の、持っている情報や現状、そういったもののすり合わせをしていく場が必要ではないかというご指摘もいただきました。この点については、具体的にやはり物によって、また、業種によって色々状況が違うと思いますので、そういった議論をする場や、そういった中で情報をそれぞれ出し合うようなマッチングのような仕組みといったものも、今日の議論をお聞きして必要なのかなと理解をしましたので、ちょっと我々もどういった取組ができ得るか、ご指摘いただいた規格の点も踏まえ、今後、制度設計の中でどういうことができ得るか考えていきたいと思います。
 また、それに当たっては、環境省直営では難しいのではないかという大塚委員や多くの委員の方々からご指摘もありましたけど、認証機関を活用する場合、どういった機関で行ったほうがいいかどうかとか、なかなかやはり動静脈連携を進めていくにあたっての情報の扱いであったりする部分もございます。認定事務を国の代わりに一定程度の補助を行う場合であれば、ある程度公的な役割を持ったところでなければいけない部分もあるのかもしれませんので、その点も含めて、今日いただいたご指摘も踏まえて検討していきたいと思います。
 データ連携等の情報の扱いについても議論いただきました。この点も、今日は基本的な考え方をお示しした程度で、次回、デジタルプロダクトパスポートと電子マニフェストの関係をどう考えるか、また、どういった情報を出していただいたほうがいいのかといった点も整理をして、次回、具体的な内容をお示しできるようにしていきたいと思います。
 また、CCUSの議論も多くの先生からいただいたところです。確かに、今、個社でこういった取組を行っていただきたいというのは難しい部分もありますので、この辺の技術的な動向も含めて、この扱いをしっかり考えていきたいと思います。
 また、認定制度に基づいた四つのパターンごとに、それぞれに応じたご意見もいただいたところです。認定をするためには、そのために守るべき、遵守すべき条件も4つのパターンごとに違うと思いますし、対象者に対してどのような廃掃法の手続の緩和をしていけばいいかというのは実情がそれぞれ変わってくると思います。それぞれのパターンに応じて今日いただいたご指摘も踏まえて、さらに我々、考えていきたいなというふうに思います。
 加えて、多くの方からご指摘いただきましたけれども、こうした認定制度に当たっては、廃棄物処理法は基盤となる仕組みですので、処理基準の適用等、これまである意味、適正処理のための基盤となっている仕組みというのは、その点は引き続きしっかり適用させるような形を取っていきたいと思いますので、その点もしっかり明記できればと思います。
 私のほうから基本的な話はしましたけども、残りは事実関係の部分等を事務局から。
○環境省 ありがとうございます。
 もう大体回答させていただいたかと思いますけれども、村上先生、それから岡村委員のほうから、具体的な対象について、どういったところまで今回の中で見ようとしているのかというご指摘をCCUSの話とも絡めてご指摘をいただいたと思います。今回、先ほど松田が申し上げましたように、基本的な方向をお示ししたところですので、具体的な対象としているものの外延を現時点で我々として明確に示していないところでございます。その辺は今日いただいたご意見ですとか、あるいは、資源循環の形も様々なパターンがあると思っておりまして、それぞれごとに制度的な対応の必要性も異なると思いますので、そういったものを精査した上で、今後制度化を行うとなると、もう少し深掘りをして検討させていただきたいと思っております。
 資料2では橋本委員から、認定等の「等」は何かという話をいただきました。これも先ほどの話と関連するところですけれど、今回大枠・基本的な我々の考えをお示しさせていただいたところでございまして、その具体的措置を制度的な対応として考えていくときには、認定というような形まで取らずともできるという可能性があると思っておりますので書かせていただいたところでして、その辺を制度等の具体的な検討を進めることより明確にお示しできるようになると思っております。
 私からは以上でございます。
○環境省 続きまして、同じく事務局です。いただいたご質問ご意見の中で、松田のほうからもありましたけども、CCUSを個社で活用先を見つけていくのは難しいのではないかと、高岡先生をはじめご意見をいただいております。その点は全くご指摘のとおりかとは思うのですが、現在CCUSを廃棄物分野でも進めるべく技術開発も進められようとしている状況ですので、そういったその技術開発の状況を見ながら、こういう施設に実際に導入していく際に制度が障害にならないような形で、こういう制度が活用していければよいと考えております。
 以上です。
○酒井小委員長 はい、どうもありがとうございます。
 事務局、松田課長を含めて、相当に踏み込んでご発言いただいたと思っています。特にマッチングの必要性を認識し、今後考えていくといったことや、あるいは、認証の組織的な在り方も考えてまいりますというところまで、踏み込んでご発言をいただいておりますので、今後の検討に期待をしたいと思っております。
 今日ご提示いただいた、基本的な認証に向けての4類型に関するご異論は特になかったという理解をしておりまして、個別個別の深掘りの法則に関しての様々なご意見を頂戴したところですので、今後の作業の中でこの四つの類型に基づいてしっかりと、どう制度設計していくのかということをお考えいただく、そういう整理に今日の段階はさせていただいていいのではないかと理解をさせていただきました。今の点、もしご異論があれば、ご発言いただければと思います。
 それから、途中でもう一点、温室効果ガスの削減効果といった指標的なところで、さらにリサイクル過程でのエネルギー消費とか、あるいは温室効果ガス排出という点があり得るということで、そこへの注意というご発言もあったかと思います。これは前回もご意見をお聞きしたかと思いますが、やはり部分的な最適と、それから全体システム、それもライフサイクルを通じての最適性というところが、まだ現状の議論はきれいにかみ合っていないというところが本質的な問題かと思います。ベクトルとして間違いのない方向は何かという点をしっかりと意識しながら検討を進めていくということかと思います。
 そのときに温室効果ガスだけじゃなくて、やはりこれは資源の保全効果という観点も非常に大事な点、特に経済安全保障という点を念頭に置かれて経産省とも協調されていくという方向になってくれば。やはり資源保全効果というところも少し目を配りながら、定量化できるものは定量化していくというところは必要なのかなと思い、今日は意見を聞かせていただきました。無理のない範囲で検討を進めていただければというふうに思います。
 ということで、若干、整理的な発言をさせていただきましたが、ほぼ時間が来ておりますが、第二ラウンドでのご意見の要請のある方がございましたらお願いいたします。
 大塚委員、どうぞ。
○大塚委員 どうも、先ほど松田さんのほうからとても的確に答えていただきました。ありがとうございます。酒井先生から今、おまとめいただいたのはそのとおりだと思っています。
 一言だけ申し上げておきたいのは、公害の関係の工場、事業所に対する許可制についても、日本は基本的に事後変更命令付の届出制を取っているのでそれが当たり前になっていますが、欧米に行くと、許可制を取っていないことに関して「日本は遅れているね」みたいな言い方をされることすらあるという状況が実はございます。
そういう意味で、それはそれで日本で日本は独自に考えていけばもちろんいいのですけれど、許可制をなくすのが当然だ、あるいは、そちらの方向があるべき姿だ等と、もし環境省さんが思っておられるとすると、必ずしもそういうことではないと思います。もちろんそんなことは思ってらっしゃらないと思いますが、ちょっとそのベースになる考え方が欧米とは少し違ってきている可能性もありますので。
もう一つ言っておくと、日本は大型家電のリサイクル法以来、この種の方向にリサイクルに関しては進んできているところがありますけども、あれは小型家電リサイクル法からの傾向になっていますので、すみません、余計なことを言ったかもしれませんが、ちょっと一言申し上げておいたほうがいいかなと。
要するに、先ほど室石委員がおっしゃったような、あるいは松田さんもお答えいただいたようなその処理基準の遵守というのは当然の前提になるので、そこは外さないようにしていただきたいということは一言申し上げたほうがいいかなと。もう少し言うと、その動脈との関係できっちり連携ができているからこそ規制緩和をするんだというところは、きっちり押さえていただくとありがたいなと思いました。
○酒井小委員長 どうしましょう。時間を置いて整理いただくのも一つだと思いますし、今日のところはご注意としてお聞きしておくという。
○大塚委員 注意していただければ結構です。
○廃棄物規制課長 これまで長い期間にわたって大塚委員からご指導いただいているところでありますので、当然その点は忘れずに、廃棄物の適正処理が大前提で、今回さらに動静脈連携も含めたサーキュラーエコノミーを進めていくということだと思いますので、大塚委員のご指摘をしっかり受け止めて、今後考えていきたいと思います。
○酒井小委員長 ありがとうございました。ほかには委員の方から追加のご発言はございますでしょうか。
 (委員発言希望なし)
○酒井小委員長 それでは、今日の議題1、システムの構築に向けて推進すべき政策ということでの議論を終了させていただきたいと思います。
 では次に、議題2その他について、事務局から何かございますでしょうか。
○廃棄物規制課長 特にございません。
○酒井小委員長 ありがとうございました。本日の議事は以上となりますので、進行を事務局にお返ししたいと思います。
○廃棄物規制課長 今日はありがとうございました。
 次回の小委員会につきましては、事務局から改めてご連絡させていただきます。
 以上で本日の小委員会を閉会させていただきます。誠にありがとうございました。
午前11時52分 閉会