静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会(第1回)議事録

開催日時

令和5年7月28日(金) 15:00~17:00

開催場所

WEB 会議システムにより開催

議事次第

(1)脱炭素に向けた資源循環をとりまく状況
(2)その他 

資料一覧

資料1    中央環境審議会循環型社会部会静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会の議事運営について
資料2    中央環境審議会循環型社会部会静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会委員名簿
資料3    脱炭素に向けた資源循環をとりまく状況
参考資料   静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会の設置について 

議事録

午後15時02分 開会
○廃棄物規制課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会を開催いたします。
 最初に進行を務めさせていただきます環境省の廃棄物規制課長の松田と申します。どうかよろしくお願いします。
 委員の皆様におかれましては、ご多忙にもかかわらずご出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日はWeb会議で開催させていただいておりますが、よろしくお願いいたします。
 会議の運営についてのお願いでございますが、ご発言いただく際にのみ音声をオンとして、それ以外の時間はミュートとしていただきますようお願いいたします。ビデオにつきましては、ご発言の際のみオンにしていただければと思います。ご発言される際には、挙手ボタンでお知らせいただきまして、小委員長からのご指名を受けてからご発言をお願いいたします。会議の模様につきましては、環境省のユーチューブでの同時配信により公開をしております。
 まず、開催に当たりまして、環境省環境再生資源循環局次長の角倉より一言ご挨拶申し上げます。
○環境再生・資源循環局次長 ただいまご紹介いただきました環境省環境再生資源循環局で次長を務めております角倉と申します。
 本日、ご参画の先生方、委員の方々におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。また、日頃より環境行政の推進にご理解、ご尽力いただいておりますことを、改めて御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
 現在、政府におきましては、2050年カーボンニュートラルに向けた取組をあらゆる分野で進めているところでございます。さらに、このカーボンニュートラルは、もちろん政府を挙げて取り組む重要な課題であるわけでございますけれども、本日ご議論いただきます資源循環につきましても、カーボンニュートラルと同様に、極めて重要な政策課題であろうと、私どもは考えております。
 カーボンニュートラル、それから、資源循環、この二つは切り離して考えられるものではなくて、相互に深く関係する政策課題であろうと考えております。
 例えば、一つの試算によりますと、我が国のCO排出量の36%は、資源循環の取組が排出削減に貢献することが可能ではないかと考えられる部門からの排出である、こうした試算も出ているところでございまして、私ども環境省といたしましては、資源循環の取組、カーボンニュートラルの取組、これらに一体的に取り組み、さらアクセルを踏んでいきたいと、このように思っているところでございます。
 こうした中で、去る6月に閣議決定されました、いわゆる骨太の方針におきましても、動静脈連携による資源循環を加速し、中長期的にレジリエントな資源循環市場の創出を支援する制度を導入するという大きな方針が示されているところでございます。
 この制度の具体化に向けた議論を、私どもとしては早速始めさせていただきたいと、こういうふうに考えておりまして、そうした観点で、今回、本小委員会を立ち上げ、委員の皆様方のご議論を賜りたいと考えております。
 小委員会におきましては、年内を目途にご意見を取りまとめていただければと考えておりまして、この小委員会でのご議論を踏まえる形で、私どもとして、資源循環の取組を加速化し、思いっきりアクセルを踏んでいけるように頑張っていきたいと考えておりますので、本日はどうかよろしくお願いいたします。
○廃棄物規制課長 ありがとうございました。
 続きまして、本小委員会の委員のご紹介に移ります。
 委員の名簿につきましては、あらかじめ中央環境審議会循環型社会部会の酒井部会長からご指名をいただいております。こちらの名簿につきましては、資料2にお名前をつけておりますので、ご参照いただければと思います。
 また、定足数の確認です。
 本日は、委員総数17名のところ、16名の委員の方にご出席いただいております。1名ご欠席ですが、こちらは全都清の専務理事の金澤委員でございますけれども、金澤委員を除きまして全員出席していただいているということで、小委員会として成立しておりますことをご報告いたします。
 次に、議事に先立ちまして、小委員長からご挨拶を賜りたいと存じます。
 酒井小委員長、よろしくお願いいたします。
○酒井小委員長 松田課長、ありがとうございます。
 この小委員会にお付き合いさせていただく酒井でございます。一言ご挨拶申し上げます。
 先ほど角倉次長のほうから、政府内の方針に沿った今回の小委員会であるということのご紹介があったところでございます。6月5日の中央環境審議会の循環型社会部会で、この小委員会の設置が承認されたところでございます。循環型社会を形成、実現するために必要な静脈産業の脱炭素型の資源循環システム、これを構築するための具体的な施策の在り方、これについて審議することを求められております。
 背景に関しましては、角倉次長からお話しいただきましたとおり、カーボンニュートラル、それと、資源循環、その相互接合も考えた中での制度の在り方ということでございますが、この行く先には、線形的な経済から循環経済への転換という中での新産業の展開、あるいは、地域社会におけます地域、あるいは、暮らしの脱炭素化へつながる側面、こういったところがあるのではないかというふうに思っております。
 相当に幅の広い検討内容になるのではないかというふうに思っておりますが、年内をめどに議論をまとめるようにという要請もあったところでございますので、今日ご参加の委員の方々と実りある議論になりますように努力をしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○廃棄物規制課長 酒井小委員長、ありがとうございました。
 それでは、資料の確認に入らせていただきます。
 資料につきましてですけども、議事次第にもございますけども、資料、本資料は1から3、また、参考資料1つでございます。
 資料につきましては、説明する際に事務局にて画面に投影いたしますが、必要に応じてあらかじめお送りしたファイルをご覧いただければと思います。
 それでは、以降の進行は、酒井小委員長にお願いしたいと思います。酒井小委員長、よろしくお願いいたします。
○酒井小委員長 はい。承りました。松田課長、ありがとうございます。
 それでは、まず事務局のほうから今日準備いただいた資料1の説明をお願いしたいと思います。
○環境省 では、1につきまして、ご説明させていただきます。
 今回の議事の運営についてでございます。
 今回の会議でございますけれども、公開とさせていただきたいと考えております。また、記載のとおり、出席者につきましては、基本的には代理の出席は認めないとさせていただいておりますけれども、小委員長が必要と認めた場合には、欠席する委員等、または専門委員の代理の方を説明員として会議に出席させることができるとさせていただいてございます。
 また、会議録等につきましても、記載のとおり会議の構成員にご確認いただいた後に配付をするということや、会議録のほうも公開をさせていただくということ、それから、最後にその他といたしまして、1から3に書いていること以外のことにつきまして、必要なものについては、小委員長が定めることとさせていただきたいと思ってございます。
 私のほうから、資料1の説明は以上でございます。
○酒井小委員長 それでは、ただいまの資料1につきまして、特段のご質問はございますか。もしございましたら、挙手ボタンで意思表示をお願いいたします。
 それでは、ないようでございますので、早速、今日の議題1脱炭素に向けた資源循環をとりまく状況の審議に入りたいと思います。
 よろしければ、早速、事務局のほうから準備いただいた資料3に沿って説明をお願いいたします。
○環境省 それでは、引き続きまして、資料3のご説明をさせていただきます。
 まず、背景・問題意識として、我々が考えているところをご紹介させていただきたいと思っております。
 一つ目でございます。今回の小委員会の中で検討をお願いいたします、背景や問題意識を振り返らせていただきたいと思ってございます。
 最初に、環境的な側面の状況ということで整理をさせていただきました。これまでの資源循環の状況ということで、今回お示しをしてございますが、資源循環は、入口側の指標としましてここに記載のとおり資源の生産性を、循環の指標としまして入口側の循環利用率、出口側の循環利用率ということ、それから出口については最終処分量の推移ということで把握をしてまいりました。
 これまでの資源循環の施策の取組の結果、入口や出口の指標については順調な経緯を見せていると思っておりますけれども、循環利用率のほうについてはさらなる改善が必要なところでございますので、こういった意味でも、循環的な利用ということは、今後さらなる取組が必要になってくると考えてございます。
 そういった問題意識の下で、昨年の9月に循環経済工程表というのを取りまとめいただきました。これは、今回の小委員会の親部会である循環型社会部会で取りまとめをいただいたところでございます。
 その中では、素材別、製品別のアプローチということを打ち出したり、2030年までの循環経済関連ビジネスを80兆円にするという目標や、あるいは、2050年に脱炭素と資源循環の両立を実現するという方向性をお示しさせていただいたところです。
 この循環経済工程表の議論はいったんまとまりましたが、引き続き、来年の6月の閣議決定を目標としまして、循環基本計画の見直しもご議論を賜っているところでございます。
 同じく環境基本計画のほうも、今現在、見直しを行っているところでございまして、その中では、環境・経済・社会の統合的な向上という形で、持続可能な社会をどうやって実現していくかというご議論をいただいているところでございます。
 ここから国外の話をさせていただくと、今年の4月に札幌でG7の気候・エネルギー・環境大臣会合が開催されたところでございます。循環経済分野も一つの重要な分野でございまして、そこの主な循環経済分野での合意事項というのをまとめたものが資料になっております。
 上のほうに書いておりますとおり、重要鉱物等の国内・国際の回収のリサイクルを強化するということですとか、あるいは、少し後ほどお示しをさせていただきますけれども、循環経済及び資源効率性の原則、CEREPと呼んでいますけれども、そういったものが採択をされ、民間企業の方が循環経済などに取り組んでいただくための行動指針となるものを策定したところでございます。
 それから、廃棄物分野での脱炭素に向けた努力というのを強化するということですとか、バリューチェーンでの循環性の測定ですとか、あるいは、情報というキーワードで情報の共有・活用と、こういったことがG7の気候・エネルギー・環境大臣会合のほうで合意をされたという状況です。
 こちらがCEREPの概要でございますけれども、ちょっと今日は時間の都合上説明は割愛させていただきます。
 そういった気候・エネルギー・環境大臣会合の結果も受けまして、その翌月の5月に広島で開催されましたG7サミットの中でも、この資源循環関連も取り上げられております。赤字で書いておりますが、ネット・ゼロ、それから、循環型でネイチャーポジティブな社会の経済に転換していくということにコミットすることが掲げられてございますし、また、中ほどに書いてございますCEREPを支持するということが合意されているところでございます。
 以上がG7周りに関する説明でございますが、そのほか、関連する状況といたしまして、ここから数枚のスライドは、資源循環分野と特に関係が深い国際的な動向を幾つかご紹介させていただきたいと思っております。その一つ目が、今お示ししている特定有害廃棄物等の輸出入に関する国際的な規制動向ということで、いわゆるバーゼル条約に関するところでございます。
 バーゼル条約は、既によくご承知の先生方も沢山おられるかと思いますが、欧米諸国を中心とした先進国から途上国に廃棄物が流れていって、そこで環境汚染が生じたという問題を契機にできたものでございますが、そういったバーゼル条約の規制対象の拡大が近年行われております。
 2019年には、COP14が開催をされまして、廃プラスチックを新たな規制対象物に加えるという改正がなされたということがございます。それから、最近の動きといたしましても、2022年にCOP15におきまして、従前から規制の対象であった有害なe-waste、電気・電子機器廃棄物に加えまして、非有害なe-wasteにつきましても規制対象とするという動きが出てきているという状況です。こういった動きは、国内外の資源循環に影響を与えるものですので、状況として十分に把握をしておく必要があると思っております。
 それから、海洋プラスチックの関係でございますが、こちらももう先生方色々ご存じであると思いますので詳細は省略させていただきますが、現在、次のスライドに書かせていただいているとおり、条約の策定に向けた交渉が進展しているという状況でございます。直近の2023年の5月から6月にかけて、INC2が開催されて、次のINC3までに条文案を作成するといった取り決めがなされていると承知しており、このプラスチックの汚染に関する分野でも、このように色々な動きがあるという状況と認識しております。
 以上が、資源循環や、その資源循環に特に関連の深いバーゼル条約、あるいは、プラスチック関連のご紹介でしたけれども、そのほかの環境的な側面といたしまして、温室効果ガスを取り上げたいと思います。これはもうデータの紹介でございますが、2021年に我が国で11億7,000万トンの温室効果ガスを排出しているもののうち、廃棄物分野から出されるもの、例えば、非エネルギー起源のCOやメタンなど、そういったものが3.2%を占めているという状況があります。また、このように廃棄物分野だけを考えると3.2%ということになりますが、我が国全体の排出量のうち36%は、資源循環を実現することで排出削減に貢献できる余地がある分野と考えております。
 したがいまして、循環経済を実現することは、脱炭素の実現に向けて大きなポテンシャルがある分野と思っておりますので、今後、3Rや3R+Renewableなどといった、これまで資源循環で議論してきた取組を進めることで、GHGの排出削減にも貢献していきたいと考えているところです。
 これに関連して、定量的な検討も過去に循環型社会部会のほうでやってきておりましたので、その内容を簡単にご紹介させていただきます。2年前ですが、廃棄物・資源循環分野の中長期シナリオ(案)をお示しさせていただきました。この中では、2050年に温室効果ガスの排出実質ゼロに向けて、どういった取組を、どういった方向性で進めていくのがよいのかということをご議論いただきました。16ページのスライドでお示しをしているように、定量的な分析を元に検討を行いました。例えば、廃棄物処理施設からの排ガスの中の炭素の大半がバイオマス由来となり、また、CCUSというものを最大限実装することで、ネガティブエミッションということで廃棄物・資源循環分野の排出を実質ゼロ、さらに実質マイナスにできる可能性があるということが定量的に分析を示されたところでございますが、それに向けた対策というのは、これまでの対策の延長という形では必ずしも十分ではないということが明らかになっておりますので、やはり相当の野心を持って、この資源循環分野の脱炭素に取り組んでいく必要があると考えております。
 こうした検討は、既に廃棄物行政の中でも活用させていただいております。
 先月、6月末にまとめた廃棄物処理法の基本方針、あるいは、廃棄物処理法に基づく廃棄物処理施設整備計画の中でも、脱炭素に関する取組を取り上げております。また、そのほかにも、廃棄物処理法基本方針では、廃棄物処理施設の広域化・集約化を進めるといったことや、あるいは、動静脈連携を進めること、こういったことも記載したところでございます。
 以上が、資源循環分野において、環境面というキーワードでどのような取組がなされてきたかのご紹介でございました。今度は経済的な側面について、少しご紹介をさせていただきたいと思ってございます。
 こちらの資料に書いてございますとおり、この資源循環というのは、経済成長にも貢献できる分野と思っております。循環経済関連ビジネスを成長のエンジンとすることを目標として掲げて、循環経済の取組を主流化していくということが、経済成長の面でも不可欠なのだろうと考えてございます。
 こちらは、参考までにご紹介をさせていただきますが、IEAの報告では、リサイクル支援は、探鉱・生産・イノベーションの促進に係る施策の一つとして、ヨーロッパ、それから米国をはじめとする多くの国で採用されているとまとめられてございます。
 また、下の右にありますが、地域別・技術別の各国の蓄電池のリサイクルの能力をお示ししたグラフがこのようになっております。様々な国で蓄電池のリサイクルが今後進められ、資源循環が強化され始めているのではないかと考えております。
 こういった動きを見ても、やはり資源循環を進めることで、産業競争力の強化や経済安全保障の強化といったものに貢献をすることが可能なのではないかと思っております。
 続きまして、国内外の資源を活用した資源循環の促進というスライドですが、資源循環施策を進めていくときには、当然ながら、国内外の政策、あるいは市場などの影響も受ける分野だと思っておりますので、素材や製品の流通実態などを踏まえた、より現実的で効果的な対策を取ることが不可欠と思っております。
 既に経産省をはじめ、いろいろな分析がなされており、左下にお示しするような詳細なマテリアルフローなども出されております。こういったデータも踏まえた上で、国内の資源を最大限活用しつつ、例えば、我が国の高度なリサイクル技術を活用して、アジアを中心とした他国ではなかなか資源化が進まない資源についても、金属資源として再び活用するといった取組が進められないかということを考えております。そして、こういった資源循環に関する取組は、2枚前のスライドでもお示しをさせていただきましたとおり、我が国だけでやっているわけではなくて、諸外国が、今競って行っている状況かと思っております。
 そこで、そうした諸外国の取組の中でも先進的と考えられるヨーロッパの状況をご紹介させていただきます。欧州グリーンディールを実現するために、欧州新産業戦略や新たな循環型経済行動計画など、こういった色々な施策が立てられていると考えております。それらは、右のほうに幾つか記載させていただいておりますが、エコデザイン規則案という形や電池規則案という形で、より具現化されていると思っております。
 それから、一番下のところですが、重要原材料に関する行動計画も取りまとめられており、それを受けて、重要原材料規則案という形で具体化されているものもございます。このように、資源循環に関する取組は、EUでも積極的に行われていると承知をしております。
 アメリカでも、国家リサイクル戦略というものがつくられたり、あるいは、インフレ抑制法の中で電気自動車の税額控除に重要鉱物の国内調達が取り上げられたりと、様々な取組がなされていると承知をしております。このように、循環経済という分野は今後非常に重要な政策分野だと思っているところでございます。
 それからもう一つ、関連する情報といたしまして、循環経済の国際標準化についてもご紹介させていただければと思っております。
 2018年9月に、フランスの提案で、ISOのTC323というものが立ち上がりまして、循環経済に関する規格化について議論されていると承知をしております。いくつかのワーキンググループも立ち上がって議論されており、国内でも、経産省と環境省で国内委員会に参加させていただきながら、この議論を注視しているところです。
 このように、環境をよくしながら経済成長にもつなげるということは、もちろん我が国でも進められています。既にご案内かと思いますが、GXの基本方針が取りまとめられており、その中では資源循環が脱炭素の取組を進める一つの分野として位置づけられております。そして、その中では、循環経済の確立に向けて、動静脈連携を加速するといったことを打ち出しております。
 こちらのスライドが、GXの実現に向けた促進策のイメージとなりますが、非化石エネルギーの推進ですとか、あるいは省エネといったものの並びで、赤枠のとおり、資源循環というものを位置づけており、今後10年間の政府支援額20兆円の一翼を担えるように、取組を進めていきたいと考えているところです。
 こちらのスライドが今後の道行きを示したものになってございまして、中ほどに記載のとおり、動静脈の連携とか、資源循環加速のための投資などを位置づけでございます。
 このGXの基本方針を受けまして、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針の2023の中でも、動静脈連携というのが位置づけられております。また、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画の中でも、同様に、地域の動静脈連携といったものを打ち出しております。まさに政府一体となって、資源循環の実現に向けて取り組んでいるところでございます。
 こちらの資料は、経済産業省で、今年3月に成長志向型の資源自律経済戦略というものを取りまとめられたものです。そして、その中では、リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーといったことや、サーキュラーエコノミーを通じた新しい成長といったことを打ち出されていると承知しております。
 また、脱炭素を実現していく上では、技術開発的な分野も重要だと考えておりまして、このGI基金を用いて、真ん中のほうに書いておりますプロジェクト①、②、③について技術開発の提案を行っております。このように、技術開発なども進めながら、その社会実装を行っていく、こうした取組を両輪にしながら脱炭素を進めているところでございます。こちらがGI基金におけるプロジェクトの研究開発項目の詳細でございますが、説明は割愛させていただきます。
 最後に、資源循環による社会的側面への効果ということで、地域への貢献という切り口でまとめをさせていただきました。
 現在、我々が把握している限りにおいても、幾つかの自治体で、単なる廃棄物処理の計画ではなく、サーキュラーエコノミーの実現とともに、地域のビジネスを盛り上げて地域の活性化していくといった文脈で計画を立てておられると承知しております。
 また、これもいくつかの例かと思いますが、市町村と民間企業とが資源循環に関する協定を結んで、色々な取組を進めておられると承知しております。そういう意味でも、資源循環で地域活性化という動きが出てきているのだろうと考えております。
 環境省でも、資源循環による地域活性化という観点から、取組を進めております。脱炭素と地方創生を同時実現すべく、地域脱炭素の推進のための交付金というのを設立いたしまして、これまで62件選定しております。その中には、例えばバイオガス発電をするとともに液肥を農業で利用しますとか、あるいは、未利用バイオマスを活用していきますといった資源循環の取組も含まれております。このように資源循環を通じて、脱炭素や地域の経済の活性化といったものを実現している事例というのも複数あります。それから、第4回の脱炭素先行地域の公募に当たっては、生物多様性・資源循環との統合的な取組も重点的に選定するというふうなことを進めております。
 これも一つの事例の紹介でございますが、真庭市で、未利用の広葉樹を用いた木質バイオマスの発電所の増設などを行っており、これにより地域のエネルギーの自給率の100%を目指されておられます。また、メタン発酵して得られた液肥を市内で活用するといった取組も行われていると承知しております。
 こういった資源循環で環境を守りつつ、地域の振興を行うといったアプローチは新しいものではないと認識をしております。これまでもエコタウンという形で、我が国でも実現をしてまいりました。例えばということで、下に北九州市の事例を書かせていただいておりますけれども、北九州市の試算では、エコタウン事業を通じて、雇用者が約1,000名、総投資額863億円が実現というようなこともありますので、環境保全と産業振興というのを両立する事例というのはもう既に我が国にあるので、こういった取組も踏まえながら、地域の脱炭素や環境にプラスとするとともに、地域の活性化にもつなげていくことが重要と思っております。
 こちらも参考までに、富山環境整備という産廃業者も、高度な選別を行いつつ、焼却するものについてはその排熱を農業に利用するという取組を行っております。
 こちらはバイオガスの関係で、バイオガス化で処理をして、得られたバイオガスを都市ガスの原料に活用したり、複合ビルの中でメタン発酵によるバイオガス化の取組をされている事例もあると承知しております。
 こうした取組を各地で増やしていくことを通じて、資源循環、脱炭素、地域の活性化、これらを同時に達成していくことが重要かなと思っているところです。
 これまでの御説明で、資源循環を取り巻く様々な状況についてご紹介させていただきましたが、ここからは、これまでの我が国の取組を簡単に振り返らせていただきたいと思います。
 こちらの資料ですけれども、資源循環分野の基本、廃棄物行政の原点となるのは、やはり適正処理と考えております。ともすればぞんざいに扱われてしまう廃棄物を、適正に処理するということが基本として大事だと考えております。そのために、これまでにも、ここに示しているような、いろんな法律、個別リサイクル法から廃棄物処理法、資源有効利用促進法、循環基本法、こういったツールで取組を進めてまいりました。
 こちらは、もう詳しくはご説明しませんが、廃棄物処理法の概要であり、一般廃棄物、産業廃棄物それぞれについて、色々な取組を進めていたということがございます。
 また、廃棄物処理法の中でも、生活環境の保全は大前提としつつ再生利用を進めていくために、再生利用認定制度を設けたり、あるいは拡大生産者責任の考え方にのっとり広域認定制度を進めたりする等、様々な取組をこれまでも行ってまいりました。
 また、資源有効利用促進法でも、特定省資源業種や特定再利用業種などを決めて、資源のリデュース、リユース、リサイクルの促進をやってきたところもございます。
 また、過去、産業廃棄物の施設の確保が著しく困難であったときもあり、そうした状況に対応するために、今お示ししている産廃の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律といったようなものも設けながら、産業廃棄物の処理を進めてきたこともございます。また、新しいものですと、プラ新法を通じて、プラスチックに係る資源循環の促進も進めております。
 以上が法制度に関する御説明でございますけれども、続いて静脈産業の状況として一般の廃棄物処理の状況を御説明させていただきたいと思います。
 一般廃棄物処理業の状況としましては、従業者数でお示ししておりますけれども、地方公共団体の従業者数は減少傾向ですけれども、一方で、民間の一般廃棄物処理業者の事業者数は増加傾向にあると承知しております。また、一般廃棄物の施設整備の関連で申しますと、ダイオキシンの対策が必要になったときに、更新需要が集中したということがあり、それを踏まえると、今後、そのときに建てられた施設の更新需要が増大すると考えてございます。一般廃棄物処理施設は地域のごみ処理にとって重要な施設でございますので、今後、こういった需要にどういう対応していくのかということも重要な政策課題だと思っております。
 今度は、産業廃棄物のほうでございますけれども、経済センサスでみますと、産業廃棄物処理業の事業所数、従業者数、売上、いずれも増加傾向にある状況が見てとれますが、右の円グラフにありますように、従業員が10名未満の企業が6割を占め、小さい規模の事業者が多いという状況にあると思ってございます。
 こういった実態も踏まえつつ、産廃処理施設の整備につきましても、色々な支援をこれまでも実施しております。こちらの資料もご参考ですが、これまで色々な設備導入に対する支援ですとか、実証事業への支援を行わせていただいております。
 ここからは動静脈が連携をすることの必要性として、我々の方で把握している動向をご紹介させていただきたいと思っております。冒頭のほうで、欧州のグリーンディールに係る色々な取組をご紹介させていただきましたが、様々な製品について、再生材の利用に係る定量的な目標などが決められつつある状況が進んでいると承知しています。
 下に二つ書かせていただいておりますけれども、自動車分野でも、再生プラスチックの最低含有率といったことが議論されていると承知をしておりますし、包装材のほうでも同様に、再生材の最低使用要件といったものが議論されていると承知しております。
 こういったヨーロッパでの動きは、当然ながらヨーロッパだけの話ではなく、サプライチェーンがグローバルに及ぶ我が国の企業にとっても非常に大きな課題となっていると認識しておりまして、今後良質な再生材の確保というのが不可欠になってくるだろうと考えております。
 以上がプラスチックに関する話でしたが、金属に関しても動きがあると承知しています。左のほうに書いておりますが、これから、世界全体でカーボンニュートラルを実現していくことを考えますと、再エネ機器あるいはEVなど、金属資源を使う需要が増えてくると考えております。最近出ましたIEAのレポートを拝見しても、その中で色々なシナリオ分析をされておられますが、いずれのシナリオでも需要が増えていく見立てが出されております。他方で、そうした需要に供給が追いつけない状況が出てくるものもあると思っており、需給が逼迫することもあると思っています。こうした課題について、資源循環を通じてその解決に貢献していくことが必要と思っております。
 また、これも最近の動きといたしまして、ヨーロッパのほうでバッテリー規則が採択され、金属資源の最低の使用割合といったものを決める動きがあると思っておりますので、再生材のニーズというのは金属分野でもこれから増えてくるのではないかと考えております。
 それから、我々が調べた中でも、今お示ししているようにいろいろな分野で再生材のニーズというのは高まっていると承知しております。こちらのスライドも、いろんなアパレルメーカーが先行して、自主的にいろんな取組を進めておられることの例で、ご紹介でございます。
 こういった再生材の需要が高まっていくというふうに考えますと、トレーサビリティをどうやって確保するのかというのも非常に重要な課題になっております。
 これまで廃棄物処理の分野では、マニフェストを活用して、トレーサビリティを確保してきたというところがありますので、そのマニフェスト制度をご紹介させていただいております。この制度は我が国の廃棄物処理法の中に位置づけられ、きちんと運用されているものですが、ヨーロッパでは、ここに示すデジタル製品パスポートといったものの検討が進められていると承知しております。こういった仕組みを使って、トレーサビリティを確保するということがヨーロッパでも進んでいると承知しております。
 こういったデジタル製品パスポートの分野は、これから詳細な議論が進展するところであります。我が国でも内閣府が中心となった、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)というものがあり、その対象分野の一つにこのサーキュラーエコノミーを取り上げていただいております。その中で、こういったデジタルプラットフォームなどの検討も進めていただいていると承知をしております。また民間企業でも、デジタル製品パスポートがヨーロッパで今後具現化した際に、どういった取組が求められるのか、我が国としてはどういう取組が必要かという点から、実証的な取組も進められていると承知しております。
 こちらの資料が内閣府の取組を紹介したものでございます。また、こちらが民間企業の取組ということで、旭化成のBLUE Plastics、それから、ジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(J-CEP)という54社の企業体で進められているデジタルプラットフォームといったものに関する検討をそれぞれお示ししています。
 ここからは少し話が変わりまして、情報という切り口で少しご紹介をしたいと思っています。
 資源循環、あるいは脱炭素を進めていくにあたりまして、情報を活用するというのは非常に大事なことだろうと思っております。足元の状況といたしまして、産廃の処理に関する情報は、下に書いていますが、「さんぱいくん」ですとか、「優良さんぱいナビ」、それから「行政情報検索システム」、こういったシステムで、既にいろいろ情報を公開させていただいております。
 また、後ほどご紹介させていただきますけれども、産廃処理振興財団でも、各事業者が取り組んでおられる資源循環に係る取組が、本当に適切な情報なのかどうかを確認されるような認証制度を新たに開始されたと承知しております。こちらが産廃振興財団の資源化等情報適正開示施設で、こういった取組を進められているというふうに承知をしてございますし、また、例えばということで、ペットボトルの水平リサイクルに関する関心の高まりを受けまして、そういったペットボトルの水平リサイクルの対応の可能な産廃業者の情報というのを神奈川が取りまとめをされ、公表しているという事例もあります。
 このように、情報を出すという形で、資源循環を促進するというアプローチが一つ重要な点と思っております。こうした話は、これも参考情報でございますが、温暖化の分野だと同じように算定・報告・公表制度というのがあって、情報を公開することで、その情報を出した人に気づきを与えるとともに、それを見た人にも色々な情報を分かってもらうという取組が進められておりますし、同じく、PRTR制度というものもございます。情報の活用というのは、今後考えなければいけない重要なテーマかなと思っております。
 その情報に関してですが、情報開示は静脈産業だけに求められているわけではなく、動脈産業のほうにも求められていると思っております。動脈産業のサプライチェーンで、どれだけの温室効果ガスを排出しているかというScope3への対応も積極的に進めていただいていると思っております。Scope3の一つの代表的な分野が製品の廃棄の分野でございまして、こうした分野での排出が、まさに静脈産業での温室効果ガスの排出ということになりますので、その把握をきちんとして、その情報を公開していくということが大事なのだろうと思っております。
 こういった情報の開示をすることで、ここでISSBということでご紹介させていただいておりますが、投資家を含めた様々な方の目に触れて、より環境的に優れた取組により資金が集まるようなESG投資にもつながる分野なのかなと思っておりますので、今後、我々が脱炭素型の資源循環を考える上では、こういったことも当然念頭に置きながら進めていく必要があると思っております。
 最後でございますが、脱炭素の進展に伴い出てくる製品ということで、例えば太陽光パネルを一つ取り上げさせていただいております。今後、脱炭素が進むと、太陽光パネルの大量廃棄が見込まれますので、そうしたことへの対応も必要ということで、既に環境省、経産省が共同事務局となって取組を進めている部分もございます。また、蓄電池に関しましては、今後世界的なマーケットも拡大をいたしますし、国内で製造基盤をつくるといったことが目標とされておりますので、国内製造基盤に循環資源を供給するという意味でも重要かと思っております。また、例えばリチウムイオン蓄電池につきましては、既にいろんな支障が生じてございますので、対策が非常に求められている喫緊の課題なのかなと思っているところでございます。
 長くなりましたが、最後にご議論いただきたい事項を取りまとめてございます。
 一番上にポイントを書いてございますが、これから脱炭素と資源循環を統合的に加速していくためにはどういった制度、あるいは支援が必要かという点について、ぜひ、委員の皆様のご意見を賜りたいと思っております。
 また、その際には、今日、我々からお示しをした幾つかの論点がございますが、そういったものに加えて、ほかにどんなことも考慮していく要因があるのかといったことを、国内、国際を問わずお知恵を賜りたいと思っております。さらに、静脈産業の脱炭素化の取組として、特に注目すべき取組としてどんなものがあるかという点についてもご知見を賜れればと思ってございますし、あるいは、情報というキーワードの下で、どういった情報をどのように発信していくことが必要かという点についても、ぜひご知見を賜れればと思っております。
 長くなりましたが、私のほうからのご説明は以上でございます。
○酒井小委員長 栗栖さん、どうもありがとうございました。資料3は大部の資料でございましたが、説明をいただきました。
 それでは、ご質問、あるいは、特に最後の論点に関するところのご意見等がある方は、挙手ボタンをお願いしたいと思います。
 順次、ご指名をしてまいりますので、一通りご意見を伺ってから、事務局のほうからお答えいただけるところはお答えいただく、あるいは相互の議論を行うという順番でまいりたいと思います。
 それでは、早速、所先生から手が挙がりました。所先生、お願いします。
○所委員 ありがとうございます。
 現状を取り巻く状況を適切におまとめいただいたと思います。それで、この議論の事項の①番について、まず申し上げたいのですけれども、私は、特に分離技術などを専門にしておりますが、昨今、資源循環のためのいろんな技術が、国内でも、国際的にも技術開発がされていますけれども、一番考えるのは、例えばリチウムイオン電池もそうですし、プラスチックもそうですが、国内にきちんと無理やりにでも市場をつくる、商流をつくるということを先にやらないと、どんどん日本は諸外国に置いていかれてしまう。技術が完成したときには、既に諸外国に商流ができてしまっていて、なかなか国内ではもう集まらないという状況ができてしまうのではないかということを非常に危惧しています。それだけ、国際的に二次資源を、商流をつくるという動きが、日本に比べて早いということだと思います。
 なので、特に考慮しておくべき状況として、戦略的なもの、例えばリチウムイオン電池、あるいは、プラスチックなのではないかと思うのですけども、こういったものは、まずはやや国策的にでも日本に市場をつくる、商流をつくるというところを着手しなければいけないのではないかということを考えているのが①番です。
 それから、特に3番目なのですけれども、今、資源循環は非常に大事ですので、静脈産業はどんどん育成されている、あるいは分離技術をつくっているところだと思いますけれども、その状況を見ますと、やはりより加速するために、発信力を上げるために、産官学の彼らの連携というのが今以上に必要なのではないか。個社、個社の努力によって、分離技術を高度化していく、技術を上げていくということだけではなくて、産官学の横のネットワークをしっかりとつくって、加速的に国内の静脈産業をより育成、力をつけていくということが必要なのではないかと、そう感じています。
 以上です。
○酒井小委員長 どうも所先生ありがとうございました。引き続いて、高岡先生お願いします。
○高岡委員 ありがとうございます。
 私のほうからも、主に①番に関して、意見を述べさせていただきたいと思います。
 まずは、今日も情報のところのお話がありましたが、今、様々なところで情報プラットフォームをつくるというようなことが行われつつあると思います。私は少し、SIPのほうも関与しておりますけれども、そちらのほうでも情報プラットフォームをつくるという話が出ておりますので、例えばマニフェストがどのようにリンクし、誰がどのようにそれをつくっていくのか。そういったところは、やはり非常に重要ではないかなと思っております。特に考慮しなければならないと思っています。
 それから、本日ご説明もありましたが、やはり静脈系の事業者というのは零細なところが多いというところを改めて理解いたしました。
 ただ、ここを強化していくという意味では、やはり連携とか組合とか、幾つかまとまってやっていかないといけないというところからしますと、連合会でありますとか、まとめるところが先導を取ってDX等に対応していく必要があるのではないかと思っております。
 それから、やはりこの資源循環を進めていく上で、立地はとても重要だと思っております。ですので、これは一般廃棄物にしても産業廃棄物にしても、立地問題は難しいところはあると思うのですが、何らかの立地の誘導策というようなものを、今後、制度支援という意味では何かできないのかというところは考えておかなければならないと思っております。
 最後は、国際的な状況として、EU、アメリカ、あるいは中国というようなところのご紹介がありましたが、もう少し、例えば東南アジアとか、アジアというようなところも教えていただければ幸いかと思いますので、今後、情報提供いただければと思います。
 以上になります。
○酒井小委員長 ありがとうございます。それでは、岡村委員、お願いいたします。
○岡村委員 ご指名ありがとうございます。岡村です。
 まず、このページのどのような制度支援が必要かという問いかけは非常に重要であり、民間事業者にとってありがたいものです。
 経済安全保障の確保や産業競争力強化を前提として、資源循環、脱炭素を実現させていくためには、政策面での支援や、資源循環ビジネスの環境整備が非常に重要だと思っております。
 そうした中で、技術開発や社会実装、また、設備投資への支援等に関し、GX先行投資支援策として2兆円の額が明記されたとのご説明がありましたので、ここを実行に移していくことが非常に重要だと思っております。
 もう一点、申し上げておきたいのは、廃掃法の中で様々な規制があることです。再生利用認定制度や広域認定制度のご説明も本日ございましたが、そのほかにも、業許可の取得などの手続きには非常に時間がかかりますので、そうした事業者側の事務手続きの負担軽減も含め、今後の施策は非常に重要ではないかと考えております。
 最後にもう一点、74ページの①番と②番に共通した意見かと思いますが、これから脱炭素に向けた取組を進めていく上では、COの回収が欠かせません。私の属しておりますセメント業界もそうですし、鉄鋼、化学、火力発電などでも共通するかと思いますが、今後、回収したCOが非常に大量に出てきます。その中で、COを資源としていかに循環させていくかが重要なことと考えております。そのために、炭酸塩化ですとか、メタネーション、e-fuel、CCSをいかに進めていくか検討し、環境を整えていくことが非常に重要です。また、③番に関係するかと思いますが、そのような取組の情報をしっかり発信していくとともに、それが社会に受け入れられるようにしていくための施策をぜひ考えていくべきと思っております。
 私からは以上です。
○酒井小委員長 岡村委員、どうもありがとうございました。続いて末吉委員、お願いいたします。
○末吉委員 ご説明どうもありがとうございました。
 私からは、今出ている三つの観点に広くわたる話を少しだけお話させていただきたいと思うのですけれども、まず、先日の部会でも発言をさせていただいていて、こちらの小委員会でも同じことを冒頭に少し申し上げておきます。それが何かといいますと、まず循環とかサーキュラリティを語るときに、主に入り口と出口の利用率とか循環率だけを見るのではなく、投入量そのものを減らしていくことで持続可能性を向上していく必要というのがある。巨大な物資の資源が早く回っていくのではなく、小さな輪をゆっくり回していくことが大事であると考えています。
 それを踏まえて、今回の中でまず申し上げたいのが、釈迦に説法ではありますけれども、静脈産業の積極的な取組なしには、この循環の輪というのは成り立たないと思っています。
 ただし、先ほど岡村委員もおっしゃっていましたけれども、現状として、廃棄物処理法がやはり厳格であるがゆえに、静脈産業が積極的に循環型社会の構築ですとかサーキュラーエコノミーの実現のために貢献したいと思っていらしても、なかなかそのパフォーマンスを発揮できなかったり、経済的に報われないようなことが起きていると。ここ最近私もリサイクルの業者の方などと話すときにもそのようなことが起きているというふうに理解しています。これを踏まえて、例えばですけれども、各都道府県での許可の申請ですとか、保管の期間など、認定を受けた業者のみ適用除外などにしていくなどといった対策もあり得るのかなと。きちんとやってきた業者、あるいはやっている業者を認定していく制度をつくっていくことも十分に考えられるのではないかなと思います。
 そうすることで、ある一定の基準をクリアした認定業者にとって、例えば運輸面なども含めて非常に効率的になると思いますし、またリサイクルすることがコストに見合うようになっていくはずだと思います。あと、基準の中に情報開示というものをしっかりと入れておけば、おのずと業者の方たちの情報開示にもつながっていくのではないかなと考えています。
 私の理解ですと、今まで静脈産業の方たちは表に出てくることもあまりなく、また光を浴びてこなかったと感じています。そういった静脈で頑張ってくださっている方たちがいなければ、この循環型社会というのは実現していかない。そういった意味でも、B to Cの企業やブランドだけが消費者に向けて、私たちは自分たちが出したごみや廃棄物はしっかりと処理していて、それらを有効活用しています、とアピールするだけではなくて、静脈産業の方たちにも消費者にアピールできるような文化をつくっていく必要があると考えています。
 正直、消費者、生活者にとっては、こういった話は無関係ではなくて、ごみの話、ごみがどうリサイクルされているのか、その裏側を知る機会に、もっと生活者、消費者はアクセスできるようにすべきだと考えています。
 具体的な細かい話になってしまって申し訳ないのですけれども、例えば、子供たちに社会科見学などで静脈産業で頑張っている方たちの取組なども見てもらうとか、そういうことをすることで、もっと生活者や消費者にも循環の価値ですとか、あるいは再生材の価値というものを感じてもらえるのではないかなと思っています。
 開示に関してですけれども、静脈産業に求めるだけではなくて、例えば、ごみを排出して、それを産廃業者の方に処理をしてもらっている。つまり、ごみを出す企業とかブランド側も、業界基準の単価を支払っているのかどうかが分かるように、例えばトン当たりの単価の情報などの開示を求めていくということも必要になってくるのではないかと思っています。
 抽象的なお話で申し訳ないのですけど、人間というのは、自分の体に流れる静脈とか動脈は意識することなく一つのシステムの中で動いているので、やはりサーキュラーエコノミーも、本当は静脈と動脈と分けることがないような一つのものになっていく必要があるなと思っています。なので、静脈側にも光を当てて、表に出てきてもらって消費者とつながりをつくっていくことで、この循環の輪の一部になっていることを認識していただいて、それに誇りを持っていただくようなことが起きると、きっと輪を完成させていくことにつながるのではないかなと思います。
 長くなって申し訳ないのですけれども、最後に1つだけ。
 循環型社会を語っていくときに、私たちはこの循環型社会を実現したときに、どんな社会を求めていきたいのか、どんな社会をつくっていきたいのか。あるいは実現したときにどんな社会が待っているのかというのを、もっと国として、ビジョンを生活者、消費者にも伝わるように見せていく必要があると感じています。
 すみません、長くなりました。以上です。ありがとうございます。
○酒井小委員長 どうもありがとうございます。続いて室石委員ですね。お願いいたします。
○室石委員 はい。どうもご指名ありがとうございます。
 今日は第1回ということなので、意見というよりは議論に関係する現状という感じで幾つか述べさせていただきたいと思います。
 まず、①の関係ですけれども、まず循環ということを考えるにしても、材料である廃棄物を確保するということが一番重要だろうと思います。地方では特に量を集めにくいという、そういう制約がかかる場合もあります。プラにしても、プラはマテリアルリサイクルするにしても、バイオからSAFを作っていくにしても、そこを、材料を集めるということがネックになるだろうと思いますので、そういう場合に、量を集められない地域でどうしていくかということも考えなければいけないのではないかと思います。固形燃料にしていくとか、別のやり方をしていくとか、そういう話もあるかもしれません。
 それから、リサイクル品をバージン材に優先して使っていくというお話は非常に大事だと思いました。資料にも挙げられていますけれども、そういう世の中にしていかなければいけないと思います。ただ、コスト差を埋めるような何かが、制度としているのではないかと思います。
 それから、②のほうですけれども、当業界では、この10年ぐらいなかなか排出量の削減が進んでいないという、排出量というのは炭素という意味ですけれども、炭素の排出量削減が進んでいない状況にあります。
 一つには、当業界が受注者というか、受身側、排出者の依頼を受けているという立場であるというのもありますが、例えば、コロナで有名になった感染性廃棄物ですけれども、焼却処理なんていうのは、病院といった排出側から感染性廃棄物については必ず焼却をしてくれというふうに指定されてしまうということもあるので、そういったものは燃やす代わりにリサイクルするというような、そういう選択肢が取れないという状態があります。
 また、当面CCSが期待できないという話もありますので、そういった状況を考慮していただいた上で焼却代替ということを考えていかなければならないのかなというふうに思います。上下流ともにというか、排出者、それから上流側の生産者ともにメリットが出るような何か、そういう支援が必要なのだろうと思います。
 それから、①、②共通というか、業界の抱える根本的な話として、まずは優良事業者が活躍できるようにしていくというのが大事だろうと思います。
 人材不足ですね、昔からですけれども、この業界はある種忌避されるような部分がないとは言えない部分がございました。そういった人材不足の話。リサイクルなんかでも重要な選別作業は人手に頼らざるを得ないというところがあります。本当に熟練した方だとプラを見ただけで分別できるというか、きちっと材料別に仕分けられるという、そういうテクニックもあります。そういった人手をどうやって確保していくかという話があります。
 それから、根本的なところで適正処理というお話がありますが、最終処分という最後に支える部分については、レジリエントという言葉が冒頭でもございましたけれども、非常に脆弱な部分があるということを皆様にちょっとご理解いただきたいというか、結局、埋立てというのは、最終処分を引き受けたときに料金を頂くだけになりますので、そういう意味で、埋立終了後に、例えば環境基準とか排出基準が厳しくされると、お金を頂いている範囲でプラスアルファの問題にも対応していかなきゃいけないということがございますし、昨今、災害が非常に頻発しておりますけれども、災害なんかが起こって災害廃棄物を一気に受け入れると、処分場の容量が一気に埋まるみたいな。一方で、最終処分場を確保するというのは10年以上かかるような大仕事になる、そういった問題がございます。レジリエントになりにくい脆弱な、そういう最後の砦みたいなところもご考慮いただいた上でご議論いただければと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
○酒井小委員長 室石委員、ありがとうございました。引き続いて粟生木委員、お願いします。
○粟生木委員 包括的なご説明をありがとうございました。
 私からは、大きく2点お話させていただきたいと思っております。
 まず1点目ですけれども、高岡委員からもありました立地の問題でございます。
 資料の中でも設備ですとか技術に関する支援のご説明等ありましたけれども、そういった技術とか設備をどのように、今後、制度的に資源循環をせざるを得ない状況が起きてくるということを考慮して、よりよい資源を、量と質、両方を確保するとともに、そのプロセスをどう低炭素化していくかというところですけれども、資料の中にもエコタウンですとか、昨日の循環部会でもリサイクルポートのお話をいただきましたけれども、そういった量、質を確保する上で、また、そういった再生資源の物流というところで低炭素化していく上での改めてのネットワークというものを考える必要があるのではないかと思っております。これは、もはや県単位といったところだけではなく、例えば地方事務所単位ぐらいの大きさのレンジでお考えいただくということがいいと思っております。
 2点目についてですけれども、規制排出物、下水汚泥も含めた規制の排出物のメタン発酵のお話もありましたけども、そういったところでの脱炭素化をいかに効率よく図っていくかというところが重要かなと思っております。既にいろいろ事例をいただいておりますけれども、国として、昨日の循環部会でも農水省からのお話、国交省からのお話等もありましたけれども、国としてどのように有機性の排出物を扱っていくかという点が重要ではないかと思います。
 以上です。
○酒井小委員長 粟生木委員、どうもありがとうございました。橋本委員、お願いします。
○橋本委員 私のほうからは、2点ほど申し述べさせていただければと思います。
 1点目は③のところで、情報というのは非常に重要だと思います。その観点で、マニフェストについてはご説明いただいたのですけれども、このマニフェストの制度をどのように発展させていくか、あるいは情報を伝達する仕組みとして変革していくかというところが重要なのではないかと思います。
 せっかくできているシステムですので、廃棄物をトラッキングするというだけではなくて、そこで集められている情報もありますし、さらに、廃棄物の種類のもう少し細かな情報でありますとか、品質でありますとか、そういった情報も載せていくことによって、より資源循環に活用可能なデータになっていくということも思われます。
 さらに、Scope3の計算に関わるようなGHGの排出の情報を載せていくということをしていくことによって、よりシステムとして発展していけるのではないかと思います。
 また、この集めた情報を廃棄物の統計の情報として使っていくようなことまで含めて考えていけると非常に有益なのではないかなと思っています。マニフェスト制度の位置づけ自体を変えていくことになっていくわけですけども、そういった議論も必要なのではないかなというふうに思います。
 2点目は、②に関連するところで、先ほどの粟生木委員、それから高岡委員のコメントとも若干関連しますけれども、エネルギーの産業での大規模な利用では、将来的なCCSあるいはCCUみたいなことを考えていくと、これまでの広域化みたいなことの発想よりもかなり大胆に発想を変えていかないといけないのかなと思っています。
 フェニックスは処分場を、複数の多くの自治体で確保しているわけですけども、そのくらいの発想の転換をして、かなり大規模な焼却施設を産業の近くのところに立地をしていって、その熱を利用し、さらにCCを行って利用につなげていくというようなことを誘導していくようなことを考えていく必要があるのではないかと思います。以上です。
○酒井小委員長 橋本委員、ありがとうございました。村上委員、お願いします。
○村上委員 どうもありがとうございます。村上でございます。
 非常に幅広い範囲の資料をご提供いただいて、私も頭の整理が進みました。ありがとうございました。簡単に3点ほど申し上げたいと思います。
 まず1点目ですが、所委員から商流をというお話があったと思うのですけども、私も、割と天然資源側の話を長らくやってきている身として、重要なものについて、天然資源開発においては行政がはっきりそれを支援する、確保することを支援するということがあり得るのだから、循環資源についても、必要なものは留め置くような方向というのを何がしかの形で支援するというのは重要な点であろうと思います。そこはためらうべきではないと思いますというのが一つ目です。
 2点目ですが、資料全般に拝見していって、リマンだとかリユースだとか、もっと言えば製品の長期使用化みたいな話というのは、多分、循環経済という言い方をしてしまうと非常に重要な論点になってくるのだろうと思う一方で、今日の、ここの小委員会のスコープとしてどうかというところがあるのだとは思いますが、そこは合わせて考えるべきものであって、特に③番目の情報の話みたいなところとか、途中でありました動静脈連携みたいな話を考えるときには、全体のバランス感として見ざるを得ないと思いますので、その辺も合わせた整理が重要ではないかなと思いましたというのが2点目です。
 あと、最後3点目になりますが、今出ているスライドでも③点目の情報のところでありますけれども、私自身、ISO/TC323、エキスパートで参加させていただいたりもしていますが、情報の関連のところで、当たり前ですけれども、非常に重要になるのは、例えば評価をしたりする際にグリーンウォッシュをさせないことである。なので、情報をきちっと取ることが重要だというところに話が展開するのだと思います。他方で、特に静脈に関して、その中核をある種担っておられる中間処理をしておられるみなさんであったり、素材産業のみなさんに対して、カーボンはまだ分かるのですけれども、サーキュラリティに関連するような情報を発信することの価値が、その辺のプレーヤーのみなさんにとってどこにあるのかというのが分かりにくいというか、実際にそんなに直接的に価値に結びつかない状況にあるのではないかと思っています。
 価値を生まないのにお金をかけろと言われるのはいささか難しいところだと思っていますし、そこで何かを強要することで、逆にその小さいプレーヤーのみなさんの競争阻害になるというか、そこに投資できない人が外されていくような世界というのをあまり美しいとも思いませんので、それはどう解決するかという。義務化するというのも一つあるのでしょうけれども、どちらかといえば、そこの情報を出すことが価値につながるような社会システムをつくる。それを支援するような施策をお考えいただくというのが多分あるべき姿だと思います。
 抽象的なことの発言になってしまって申し訳ありませんが、そこは多分、非常に重要な点だと思いますので、ぜひご返答いただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○酒井小委員長 村上委員、ありがとうございました。続いて大塚委員どうぞ。
○大塚委員 どうも恐れ入ります。
 4点か5点ほどあったのですけど、今、村上委員がおっしゃったことは私も気になっていたことと若干関係していて、ISOにするのはフランスがもともとやろうとしていたのだと思いますけれども、最終的な目的が何なのかというのが、ヨーロッパ、フランスは特にですけれども、非常に戦略的だと思うので、どういう目的なのかというのを、むしろ村上委員に教えていただきたいところかもしれませんが、ご説明いただけるとありがたいと思います。前からこれは注目していますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 今、村上委員がおっしゃってくださったことと若干関係するかもしれませんが、今回、経済産業省のほうで成長自立型の資源循環というのをおっしゃってくださって、私も似たようなことは考えていたりしたものですから大変心強く思っていますが、そうした中で、環境省のほうとしては、特に静脈産業をさらに強靭化していくということが重要だということを打ち出していっていただければと思います。それは、この①のところと関係する話ですね。
 特に、成長自立型の資源循環という発想は、結局、資源を確保するという発想なので、さっき所先生がおっしゃってくださった、リチウムイオン電池とか、特にレアメタル等が大きいですが、そういうものがまず問題になってくるということかと思いますので、様々な金属も問題になってくるし、プラスチックも関係してくると思いますが、その辺にまず着目していただく必要があると思います。
 それとの関係でいうと、途中のスライドの中で、19ページ辺りに例えば出てきていますけども、リサイクル支援をするのは、あらゆるリサイクルを支援するということでは必ずしもないので、経済安全保障の項目に上がるものを特に支援するという発想なので、その辺も環境省にも、そういう認識でいいと思うのですけどコメントしていただけると大変ありがたいと思っています。
 この種の支援は、経済安全保障関係のほうではずっと支援していくということになるのかもしれませんが、支援し始めた後、自立していただくことが必要になってくるので、これは地域との関係の話とかもまさにそうですけども、最終的に自立していっていただけるようなことを目指すことが大事で、ずっと支援し続けることは多分できないと思いますので、その辺の観点も結構重要ではないかというふうに思っています。
 それから、いろんなサーキュラーエコノミーが広がっていて、大変いいことだと思っているのですけども、私自身が最終的な起爆剤になっているものと思っているのが、スライドの54のところにある再生材のシェアを決めていくという発想で、さっき栗栖さんはオブラートに包んでおっしゃいましたけど、日本企業にこれが何で関係してくるかというと、人権環境のDue Diligenceというのを、今、指令案をEUはつくっていて、これが指令になっていくと。すぐにということではないのですけども、将来的にこういうことを、サプライチェーンを通してある種の義務化をしていくということをEUがやり、それがサプライチェーンを通して日本企業にも影響してくるということがあるので、そこが最後に最大のネック、ポイントになることで、自主的な取組とかという話では多分全然なくなってしまうので、この人権環境Due Diligenceの話は、どういうふうに環境政策として活用するかということも含めてご検討いただく必要があるかなと思いますし、そこは最終的な一番のポイントになってしまうということを申し上げておきたいと思います。
 それとの関係であと1点だけですけども、我が国の循環基本法の循環型社会と、それからサーキュラーエコノミーとは若干の違いがありますので、目的としているものはかなり近いし、我が国がやってきたこととまさに関連しているのですけども、若干の違いがありますので、これは循環経済の工程表のときにも議論して入れていただいていますけれども、その確認を常にしておく必要があるのではないかということを一言申し上げておきます。そういうスライドを入れてくださいという話です。
 すみません、雑駁ですが、恐れ入ります。
○酒井小委員長 大塚先生、ありがとうございました。それでは、引き続いて関口委員、お願いできますか。
○関口委員 はい。ありがとうございます。
まず、本日ご説明いただきました論点につきましては、経団連が本年2月に取りまとめました「サーキュラー・エコノミーの実現に向けた提言」の内容とおおむね平仄が合っているということをまず申し上げておきたいと思います。
 その上で、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、企業や業種の垣根を越えた連携が必要ということについては、どなたも異論はないところだと思います。資源循環への取組を進める上では、これまでの廃棄物の適正処理という範疇を超えた形で、サプライチェーン全体、あるいはバリューチェーン全体を俯瞰して、動静脈産業間や、動脈産業同士の連携、協調、目標の共有を深めていく必要があると考えております。ある意味、新しい経済の枠組み作りに等しい取組が求められているものと考えております。
 今後、動静脈産業連携等の促進を図っていく上では、そのターゲットとする資源によって、国内でほぼ完結できるものや、一定規模の経済圏の中で新たな体制を構築していく必要があるものなど、幾つかの違いが出てくるかと思います。
 育成すべき点、規制すべき点の捉え方については、資源によってかなり変わってくると思いますので、特に政府や各省庁におかれましては、経済界全体というより、むしろ業界ごとに近い形で意見を聴取していただいて、的確な現状把握を進め、その上で必要な政策立案をしていただきたいと考えております。
 また、卑近な例で恐縮なのですが、当社が携わっている非鉄金属の分野でお話を申し上げます。当社が関わっている事業は銅や亜鉛、金、銀といったメタルの生産であり、いずれも現代社会を維持発展させるために必要な、非常に重要な資源です。
 日本はこれらの非鉄資源、主に天然資源の貿易取引において、実は30年前までは、世界の主たるプレーヤー、買手という立場でした。一方、20年ほど前から中国の需要が急速に高まり、中国が巨大な需要家として台頭してきたことに加え、10年ほど前には、国際的な取引価格を決めている取引所も中国資本の傘下に入ってしまいました。現状、中国が非常に大きなパワーを持っているということになります。
 このように、いずれ幾つかの資源については国際的に獲得競争が非常に激しくなります。過当競争に巻き込まれるリスクについては考えておかなければいけないと思っております。
 この点、先ほど何人かの先生からもご指摘がありましたとおり、経済安全保障と極めて密接にリンクする部分がかなりあると考えております。経済安全保障をベースにした日本の外交政策にまで踏み込むことも意識しなければいけない部分もあると思います。包括的な資源政策という一面を考えながら、めりはりをつけた論点整理をこれからしていただきたいと思っております。
○酒井小委員長 関口委員、どうもありがとうございました。
 では、続いて崎田委員お願いします。
○崎田委員 崎田です。よろしくお願いします。
 私は長年、3Rの普及啓発などに取り組んできたのですけれども、有限な資源をしっかりと効率的に活用するというこの大きな流れをどうつくるかという、今回の委員会は大変重要だと感じています。
 それで、コロナの前ですけれども、EUの廃プラスチックの再資源化工場を視察したことがあるのですけれども、そのときに、その再資源化工場の経営者の方は、どういう製品に使うか、そこと協議をしながら、よりよい質の再生品を作っているということに大変プライドを持ってお話をしてくださっていたのが印象深かったのですね。その後、2022年にエコデザイン規制とかいろいろと出てきて、日本はどう対応していくのか大変関心がありました。
 そういう意味で、資源を静脈と動脈をつないで連携の輪をつくっていくということが大事だという、いろいろな委員のご指摘がありましたけれども、その連携の環の中に、必ず自治体も入ってくると思いますが、それだけでなく、消費者、市民も必ずその環に入るような形で、消費者自身がどういう役割に取り組むことが大事なのか、どういうふうに自分たちのライフスタイルを変えていくのか、そういうことを一緒に考えていけるような、そういうような形でこれからの仕組みづくりを考えていくことが大事なのではないかなと思っています。
 そのときの循環の輪をどうつくっていくか。まずは小さめにつくるというのが大事だと思うのですが、そういう意味で、今回、資源循環による地域活性化という事例が大変たくさん出ていました。私は、まずこのような自分たちの地域でできること、あるいは少し周りと連携しながらできることを考えていくことが、静脈の方も動脈の方、そして自治体も市民も非常に大事なところだと思っています。
 そのときに、環境省のこれまでの政策、施策の中で、エコタウンとか、SDGsまちづくりとか、ゼロカーボンまちづくりとか、いろいろありますけれども、トータルに地域循環共生圏というような言い方を明確にしながら、みんなでそれぞれ個性ある地域をつくっていくという大きな流れを支援するような施策を、そういう取り組みやすいようなところをしっかりと見直していく、あるいはつくっていくということが大事だと思っています。
 最後にもう1点だけお話ししたいのですが、資源循環の輪をもう少し大きくつくるというときには、情報をしっかりつなぐということが大事だと思います。
 デジタル製品パスポートなどもしっかりと情報をつないでいかなければできないわけですけれども、そういう中で、例えばいろいろなリサイクル法がありますけれども、一般廃棄物に関わること、あるいは事業系一般廃棄物に関わるところも、リサイクル法で取り扱った後の多様な資源化の情報とか廃棄と資源の情報をどう公開していくのかとか、そのようなことも考えていくことが必要だと思います。
そして、産業廃棄物の場合にはマニフェストという制度がありますので、きちんと数字は把握されていますけれども、今そこに、処分の方法とか処分の後の再資源化物の量とかが入っていないわけですので、そういう情報もプラスするという提案をさせていただきたいです。
今、電子マニフェスト化も非常に進んでおり、ちょうどいい時期だと思いますので、しっかりと情報を集めながら、この新しい流れをつくっていくということが大事だと思っています。よろしくお願いします。
○酒井小委員長 崎田委員、ありがとうございました。引き続いて武本委員、お願いできますか。
○武本委員 ありがとうございます。
 まず、私も産業廃棄物処理業者側の人間として、製造業者と動静脈連携を進めていく中で感じていることがあります。
 それが何かというと、法律的な話にはなるのですけど、一般廃棄物と産業廃棄物の区分がある以上、この資源循環というのがすんなりいかない気がしています。
 一般廃棄物と産業廃棄物の区分をなくせと言っているわけではなくて、資源循環を進めていく中、サーキュラーエコノミーを進めていく中で、その辺の区分と、あと、有価物であったりとか、専ら物であったりとか、そういった分け方をどうしていくか、緩和させるかとか、そういったことを考えていかないといけないというところと、あと、国内と海外を比べたときに、ヨーロッパとかアメリカとか、国民の意識のレベルの高さが違うと思うのですね。環境というか、資源循環をするというところの意識レベルが違うというところと、あと、日本の場合は衛生目的でもともと廃棄物処理法という法律がつくられていますので、なので、そこのところが大ざっぱなところが外国の人たちの中にはあるのではないかと思っています。そこの国民の意識レベルや文化を考慮した上で、資源循環の制度を考えていかないといけないというところは思います。
 次に、静脈産業の脱炭素化の取組についてなんですけど、最終処分場であったり、最終処分をするところがだんだん少なくなってきている。しかし、ごみ処理場を造るというと住民の方の同意が必要ですので、そういった反対意見ですとか、なかなか進まなかったりとかする中で、地域の資源循環を考えて住民の方にも理解していただく。焼却をすれば何か自分たちの生活に悪いものが発生させられるのではないかという意識が、イメージが大きいと思うのですけど、そうではなくて、自分の住んでいる地域のエネルギーに変わるというような情報発信の仕方であったり、あとは鹿児島県の大崎町みたいに、自治体とそこの住民とで、そこにいる事業者さんたちみんなで協力して地域丸ごとサーキュラーエコノミーということを意識して取り組んでいくことを、特に地方はやっていかないといけないと思うのですね、人口も減ってきますし、資源も少なくなってくるので。
 最後に、静脈産業はどういった情報をどのように発信することが必要かというところなのですけども、情報は発信しているのですけども、動脈の方たちはみなさん興味がないのか関心がないのか届かないですね。なので、それをどう届けていくのかというのを考えていかなければならないということと、連合会でも、人材育成システム、仕組みをつくっています。検定試験とか、そういったものも、所委員がおっしゃっていた産官学の連携が必要というところで、これからミレニアム世代がもう3年後には私たちの世代よりも上回ると言われているので、やはり新しい感覚、意識を持った方たちにどう発信していくかというところを含めると、今まで業界団体だけで取り組んでいた人材育成や情報発信のところを、産官学の連携を持ってやっていくことが必要だと思っています。
 あと、電子マニフェストについては、本当に小規模、零細な事業者にとっては、なかなか進めにくい制度だったりもするので、こちらも制度の見直しとまではいかなくても、そういった零細事業者も取り組みやすいものに変えていくなり、そういったものを開発するなりしていく必要があると同時に、優良事業者認定も、今の制度のままではなくて、どちらかというと地域にどれだけ貢献しているか、環境保全に向けてどれだけ再資源化した、その出口の部分ですね、そういったものを見える化しているかというのを、報告書だけで認定するのではなくて、誰もが分かりやすいスコア制とか数値化とか、そういったもので見せていくことが大事なのかなというものを感じました。
 私からは以上です。
○酒井小委員長 武本委員、どうもありがとうございました。では、杏林大学 斉藤委員、お願いします。
○斉藤委員 はい。ありがとうございます。斉藤でございます。
 ご説明いろいろとありがとうございました。他の委員と重なるところがあるかもしれないですけれども、私から幾つか意見を述べさせていただきたいと思っております。
 今後、脱炭素化と資源循環の統合を加速していくということを考えていったときには、やはり動静脈の連携を強めていくということが非常に重要と思っておりますが、その中で、それを具体的に進めていくにあたって、それがスムーズにいかない障害があるとまずいかなというところを懸念しております。
 そういった意味で、現在、廃棄物処理法の下で、かつて廃棄物を適正に処理をしていく、それをいかに進めていくのかという観点で法律がつくられておりますけども、他の委員なども指摘されているように、これからこのまま動静脈の連携を強化していくということになったときに、それが何かの障害になってしまって、スムーズに進まないということになってくると好ましくないのかなという気がいたしますので、そこのところを検討すべきではないかと思っております。
 また、そのことに関連して、いかに動静脈の連携を進めていくとか、資源循環を進めていくということを考えていくと、いろいろな主体が関わってくる形になりますので、その中でちゃんとその情報を把握していく、あるいはトレースしていくということも今後ますます重要になってくるのではないかというふうに思っております。
 さらにもう一つ、あと1点だけなのですが、脱炭素化と資源循環の統合を加速していくということを考えていったときには、全体として資源投入を抑えていくということも重要になってくるのかなと思います。ストックを有効活用していくとか、そういった観点も必要なのではないかなというふうに思いますので、そういったことも含めて議論させていただければと思っております。
 私からは以上です。
○酒井小委員長 斉藤委員、どうもありがとうございました。三井委員、どうぞ。
○三井委員 このたびは発言の場を与えていただきありがとうございます。
 私どもは現場に携わる業界団体として、若干抽象的な話になると思いますが、意見を述べさせていただきます。
 私ども全国清掃事業連合会は、固形状一般廃棄物の家庭ごみの委託、事業ごみの許可の収集・運搬、並びに 選別 保管の委託を受ける業者の全国業界団体として、市町村、市民とともに地域に密着して活動しております。
 行政や市民、顧客に対しての存在価値を示すこと、付加価値の最大化ができなければ我々の事業は縮小するという強い危機感の下、人口減少など、地域が抱える大きな問題の中で、地域の一般廃棄物処理を取り巻く課題解決への貢献の一環として、地域のカーボンニュートラルやローカルSDGsに全清連として数年前から取り組んでいます。
 例えば、約800万トンの廃プラの排出量に対して、その半分の約400万トンが一般廃棄物のプラスチックとして排出されております。そこに関わっている立場ということからも、プラ資源循環促進法を成長の機会と捉えまして重要事業の一つとして取り組んでいるところです。
 既に会員の中には、容リプラの登録事業者として事業を行っていますが、プラ資源循環促進法の法施行を機会に、市町村、業界を問わず、全清連主催の勉強会を各地で開催し、一定の地域内処理が効率的という観点からも、設備投資も含めて、地元市町村と連携・協力し、会員の方々が積極的にその事業に関与していくことを今進めております。
 併せて、各市町村を訪問し、分別収集の在り方や、どのような設備であれば確実に材料に生まれ変わるか、概算の処理費等を説明し始めたところです。
 また、現在の容リの残渣はセメント原燃料等として有効利用されていますが、さらに石炭の一部代替品としての利用ができないかと関係者と検討に入ったところであります。各市町村には、まだまだ温度差があり、課題や悩みがあるのが実態でありまして、丁寧に粘り強く対応していく必要があると感じています。
 また、資源循環の名のもとに、本当にそれが資源循環や脱炭素に貢献するか疑わしい事例も聞きます。世界的な課題であるとは理解しつつも、環境省におかれましては、実際の政策を考える上では、現場の意見を丁寧に酌み取っていただき、引き続き地に足のついた制度設計を求めたいと思います。
 今後ますます世界的な資源制約が高まる状況において、我が国の資源循環は、限りある資源の有効活用というだけではなく、経済安全保障の一翼を担う活動であると認識しており、今回の検討の重要性や意義を大いに感じているという点は改めて申し添えておきたいと思います。
 最後に、資源循環推進の重要性を認識しつつ、環境省におかれましては、議論の大前提として廃棄物の適正処理を担保することで初めて真の資源循環が成り立つことを忘れずにいただきたいと考えています。
 以上です。ありがとうございます。
○酒井小委員長 はい。三井委員、どうもありがとうございました。貴重な現状を紹介いただいたと思っております。
 それでは、あと10分強の時間がございますので、現時点で事務局からご回答いただくということで、一旦、事務局のほうにマイクを回したいと思います。お願いします。
○廃棄物規制課長 事務局ですけども、出席していただいた委員の方から多くの意見をいただきまして、ありがとうございました。
 今回、この委員会を行うに当たっては、政府の方針として、やはりGXを進めていく中で、金属やプラスチックなど、重要な資源については、経済安全保障の観点から資源循環をもっと進めていかなければいけないという命題の中で、今回この会議を設置しているところですので、本日お話をいただいた中で、特に廃棄物処理法の部分について、もちろん適正処理は大前提という中で、こういった資源循環をもっと進めて、動静脈連携をどう進めていくかという点について、もう少し我々も深掘りして、今後さらに中身を考えていきたいと思っております。
 また、先ほどから、主に地方自治体の一般廃棄物に関して、地域活性化の観点でのご意見も出てきております。この点について、小さな輪での循環を進めるというところもございますし、また、三井委員からもお話がありましたけど、民間事業の活用といったところもあろうかと思います。そのほか、一部の大都市でのCCUSについての意見もございましたが、地域によってどういった取組が必要なのかという点について、我々も深掘りをして考えていきたいと思います。
 また、主に産廃事業者の脱炭素型の設備導入といったような、さらなる全体の底上げのようなご指摘もいただいたところです。この点についても、優良事業者の認定制度のお話もございましたけども、どういう仕組みとすることによって、産廃業者がこの脱炭素型の取組をもう少し進められるようにしていくかということを我々も少し考えてやっていきたいと思います。
 また、データ活用についても多くのご意見をいただいております。この点についても、デジタルプロダクトパスポートのようなものを、どのような形で今後の政策に生かしていくかというところもございますし、また、電子マニフェストのような既存の情報、こういったものを活用しつつ、どのような形で見える化をしていけばいいのか。また、中間処理業者の見える化を行うだけではなくて、排出事業者がどういった形でそれを活用していくのか。また、消費者の方がどういった形で、そういった静脈産業の方の取組をさらに理解をして、自分の生活、ライフスタイルを変えていくか。こういったことも含めて、我々はどのような政策が考えられるかという点について、中で検討をして、また次回以降に議論を深めていただければなと思っております。
 事務局からは以上です。
○酒井小委員長 どうも、松田課長、ありがとうございました。
 今日いただいた意見を受けての方針発言をいただけたかと思っております。
 若干、今日、質問的な話で、大塚委員のほうからISOの循環経済の目的は何かという質問がありましたが、これは事務局のほうから何かお答えは可能ですか。
○環境省 ありがとうございます。
 ISOのほうも、初期の頃も循環経済という概念をどうやって標準化をするかということについて様々な議論があったというふうに承知しておりますが、その背景にあったのは、欧州でのお示ししたような様々な動きがあったと承知をしておりますけれども、詳しくは改めて確認をした上でご回答したいと思ってございます。
○酒井小委員長 はい。どうもありがとうございます。
 では、今日のところは今のやり取りというところまでにさせていただきたいと思います。
 あとお約束の時間まで7分というところですけれども、一回いただいたご意見で、今日どうしてもというご発言がございましたら、ここで再度手を挙げていただければと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、この段階で次の手は挙がりませんので、今日いただいたご意見、これを今後の小委員会で議論すべき点として十分整理いただきまして、次回の小委員会ということにしていただければと思います。
 それでは、議題の1につきましては、これで終了したいと思います。
 それでは、議題の2、その他につきまして、事務局からお願いいたします。
○廃棄物規制課長 特にございません。
○酒井小委員長 そうですか。ありがとうございます。
 それでは、本日の議事は以上ということにさせていただきたいと思います。進行を事務局にお返しいたします。
○廃棄物規制課長 本日は長時間にわたってご議論をありがとうございました。
 次回の小委員会につきましては、事務局から改めてご連絡させていただきます。
 以上で本日の小委員会を閉会させていただきます。ありがとうございました。
午後16時54分 閉会