産業構造審議会イノベーション・環境分科会資源循環経済小委員会自動車リサイクルWG中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会第60回合同会議 議事次第・資料
開催日時
令和7年9月5日(金) 13:00~15:15
開催方式
Web会議併用のハイブリット方式
議題
(1) 自動車リサイクル制度の評価・検討について
(2) その他
(2) その他
議事録
○河田資源循環制度推進室室長 それでは定刻になりましたので、これより、産業構造審議会 イノベーション・環境分科会 資源循環経済小委員会 自動車リサイクルワーキンググループ、及び中央環境審議会 循環型社会部会 自動車リサイクル専門委員会の第60回合同会議を開催いたします。環境省側事務局の環境再生・資源循環局資源循環課資源循環制度推進室長の河田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず開催に当たり事務的な事項を御案内、御報告申し上げます。
本合同会合は両審議会を合わせまして22名の委員及び4名のオブザーバーで構成されてございます。本日は20名の委員及び3名のオブザーバーの方に対面及びオンラインにて御出席をいただいてございます。なお、産業構造審議会自動車リサイクルWGにおいては7名の委員に御出席をいただいておりまして、定足数である過半数に達していることを御報告いたします。なお、中央環境審議会自動車リサイクル専門委員会におきましては、定足数の規定はございません。
続きまして委員の構成変更及び出欠についての御報告をさせていただきます。まず産業構造審議会におきまして、日本自動車工業会の伊藤委員が退任されてございます。中央審議会におきまして三重県資源循環推進課長の中島委員に代わりまして窪田委員が着任されてございます。川崎市廃棄物指導課長の木下委員が退任され、名古屋大学教授の内記委員が着任されてございます。
大変恐縮ながら、本日新たに着任されました委員におかれましては一言、御挨拶をお願いいたします。まず窪田委員からお願いいたします。
○窪田委員 では、座って失礼します。三重県庁の窪田と申します。自動車リサイクル関係の法律を所管している部署におりまして、廃棄物処理全般を担当しておるところになります。自治体から私一人になってしまっておりますので、忌憚のない議論をさせていただければと思っております。よろしくお願いします。
○河田資源循環制度推進室室長 続きまして、内記委員、お願いいたします。
○内記委員 名古屋大学の環境学研究科から参りました内記香子と申します。環境学ですけれども、私自身は通商や貿易が元の専門で、経産省の産構審の貿易分科会で去年まで10年ぐらいお世話になっておりました。環境省とのこういう合同の委員会は初めてですけれども、通商や産業関係もやっていたということで、いろいろな側面から議論できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○河田資源循環制度推進室室長 続いて出欠について御報告いたします。早稲田大学の所委員、日本自動車連盟の野津委員、日本自動車整備振興会の島オブザーバーから御欠席の御連絡をいただいてございます。なお、オンラインで参加の織委員におかれましては、所用のため14時半頃に退席される予定でございます。
それでは、第60回合同会議の開会に先立ち、環境省環境再生・資源循環局資源循環課長の相澤より一言、御挨拶を申し上げます。
○相澤資源循環課課長 環境省の相澤でございます。着座にて失礼させていただきます。
皆様におかれましては、日頃より環境行政に御理解、御協力をいただきまして、また本日は非常に足元が悪い中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。審議会開催に当たり一言、御挨拶をさせていただきます。
環境省では循環経済の推進に向けて今年7月に組織を再編させていただきました。そして新たに資源循環課という課を設けさせていただいて、その課の下に自動車リサイクル制度を所掌する資源循環制度推進室という室を設置いたしました。資源循環課の課長を私が、資源循環制度推進室の室長を河田が務めさせていただいているところでございます。
おかげさまで自動車リサイクル制度は今年で施行から20年という節目を迎えさせていただきました。私も自分自身は直接携わってはいないのですけれども、法施行して1年ぐらいたったときに当時のリサイクル推進室に着任しまして、隣で自動車リサイクル制度が動いていくのを見て、こういうふうに自動車リサイクルは進んでいくのだというのを当時も見ていた覚えがあって、感慨深く思っております。この20年、自動車リサイクル制度はその機能を一定程度、果たしてきたと考えております。
ただ、いろいろ国内外の状況が最近、目まぐるしく変わってきています。CASEやMaaSといった産業側の動き、技術革新、我々も非常に関係しているネットゼロの実現に向けた対応。また、欧州がELV規則案を今、出して議論に入っているところでございます。そういった資源安全保障の観点なども含めた大きな動きがある状況だと思っております。
環境政策は、昔はどちらかというと環境省が行っていく専門分野的なイメージがありましたけれども、今年の夏が非常に暑かったということが御記憶にあるかと思います。暑かったというか、まだ暑いというのが現状ですけれども、平均気温が平年比2.36℃を超えて、日本最高気温を記録したということが話題に上がっております。脱炭素や気候変動の影響も出てきております。だから、逆に今やらなければいけないのが分かっているからこそ、脱炭素にしろ、資源循環にしろ、生物多様性の保全にしろ、それをビジネスにして産業と環境を両方とも併せて進めていくという状況になって、むしろ成長の源としてどう使っていただくかという時代になっていると思っております。ですから、環境省としましても安全保障や産業振興の観点をちゃんと頭に置いて、経済産業省とも連携して政策を進めていかないといけないと思っているところでございます。
今年の審議会の場では、こういった環境変化も踏まえまして、自動車リサイクル制度の在り方について見詰め直して、そしてよりよい制度となるような御議論をいただければと思っております。委員の皆様におかれましても、様々な観点から忌憚のない御意見を賜れればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございます。
○河田資源循環制度推進室室長 続いて、資料の確認をいたします。資料は1から7、参考資料についても1から7がございまして、事前に御案内いたしましたとおり、経済産業省、環境省のホームページにて掲載をしてございます。対面で参加の委員におかれましては、資料1から7を印刷して配布させていただいておるところでございます。
オンラインで参加の委員の皆様におかれては、御発言をされる場合を除きマイクをミュートとして、ビデオもオフでお願いいたします。御発言の際にはマイクのミュートを解除しビデオをオンにして御発言をお願いいたします。
なお、本会議はYouTubeによるライブ配信をさせていただいてございます。
それでは早速、議事に入らせていただきたいと思います。これ以降の議事進行については酒井座長にお願いいたします。
○酒井座長 ただいま御紹介いただきました酒井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今回のこの自動車リサイクル合同部会の背景は、今、相澤資源循環課課長から御紹介があったとおりでございますが、この部会の運営の立場からいたしましても、例年行っている自動車リサイクル制度のモニタリングとしての機能、その機能としての合同部会の位置づけに加えまして、20年経過のこの制度のレビューという側面も強くあろうかと思っております。世界の循環経済や脱炭素への取組との関係でこの制度をどう見ればいいのかという観点も重要ということで、運営に努めたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、本日の議題でございますが、資料1の議事次第のとおり、「自動車リサイクル制度の評価・検討について」となっております。令和3年7月に取りまとめられましたこの制度の施行状況の評価・検討に関する報告書の中で、この自動車リサイクル制度について5年後をめどに評価・検討を行うことが適当であるとされておりました。本日の合同会議から数回にわたり議論を行うこととなりますので、よろしくお願い申し上げます。本日は関連する資料について事務局から説明を行っていただき、委員の皆様方から御意見をいただければと思っております。
それでは、資料3から7までそれぞれ、資料3でこの制度の評価・検討について、資料4で制度の現状、資料5で制度の施行状況の評価・検討に関する報告書のフォローアップ状況、資料6でこの自動車リサイクル制度の評価・検討における主な論点案を事務局のほうで準備いただいております。さらに資料7で今後のヒアリングの進め方について、順に事務局より説明をお願いいたします。御質問につきましては、この資料4から7の説明が一通り終わった後にまとめてお願いいたしたいと思っております。
それでは、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○髙倉自動車課課長補佐 それでは早速、資料3から順を追って事務局から説明させていただきます。
まず資料3を御覧ください。「自動車リサイクル制度の評価・検討について」という資料になります。
今般こちらの合同会議におきまして、自動車リサイクル法制定20年のレビューを実施いたします。先ほど座長からも御説明がありましたとおり、今回この検討・評価を行いますのは、前回15年レビューの報告書におきまして、遅くとも5年後をめどに速やかに評価・検討を行うとされておりまして、今般これに基づきまして以下の内容で検討を実施いたします。
まず1つ目の項目、「検討のスケジュール(案)」ということで、本日第1回目のキックオフとしまして、ここに記載しております3つの項目について事務局から報告し、特にその中でも3つ目の「自動車リサイクル制度の評価・検討における主な論点」という資料につきまして御議論いただきたいと考えております。その後、次は10月になりまして、「義務者・関連事業者等へのヒアリング」となっておりますが、こちらのヒアリングを行います。さらにその後、「論点整理、方向性についての検討/報告書とりまとめ」と続けていきまして、最大で8回程度の会議を開催したいと考えております。
次に「2.主な論点(案)」ということで、前回15年レビューでは、自動車リサイクル制度の発展に向けて関係者が行うべき取組について議論・提言をしていただきましたが、今回の20年レビューの検討におきましても、引き続き、自動車リサイクル制度の安定的な維持・発展に向けて、以下の3つの項目に基づいてヒアリング及び検討を行います。
1つ目が、制度の安定化・効率化、2つ目が、国内資源循環の推進、3つ目が、変化への対応と発展的要素、という項目になります。これらの各項目につきまして、それぞれの内容に基づいて、さらにその下にありますように、関係者の方々からヒアリングを行う予定としております。今申しました3つの項目の詳細、それからヒアリングの詳細に関しまして、この後、改めて説明させていただきます。
それでは、続きまして資料4の御説明に移ります。資料4を御覧ください。
今御覧いただいておりますように、「自動車リサイクルの現状」ということで、この後、議論いただきますが、それに関係しますデータやファクトなどをこちらの資料4で整理しております。大変恐縮でありますが、時間の関係もありますので、全ページの説明は割愛させていただきまして、主に、この後、出てきます今回の論点に関係するページだけ説明させていただきたいと思います。
次のページを御覧いただきます。目次です。こちらの1、2、3の3つの項目で整理しておりますので、これに沿って御説明いたします。
3ページをお願いします。まず1つ目、「自動車リサイクルを取り巻く環境」ということで、こちらから説明に入ります。
6ページに飛ばせていただきます。「使用済自動車の発生台数」という統計になります。自動車リサイクル法制定前は、使用済自動車の台数としまして400万台程度を想定しておりましたが、実際にここ数年間、こちらのグラフで御覧いただけますように減少傾向にありまして、直近の昨年度では256万台という落ち込みを見せている状況です。
次に8ページをお願いします。「中古車の輸出台数」という統計になります。平成20年度、21年度辺りはリーマンショックの影響で一次減少しておりますが、その後、回復しまして、昨年度はさらに記録を更新して、中古車の輸出台数は過去最高の184万台という台数になっております。
10ページをお願いします。「自動車の長期使用の状況」ということで、自動車の長寿命化の影響で、こちらの数字は毎年、伸びている状況です。昨年度は17.0年という長寿命に達しているという状況を表しております。
11ページをお願いします。こちらは「全国における不法投棄・不適正保管の状況」ということで、自リ法施行の直前からこういった不法投棄等の車両の整理が進みまして、さらに法律の施行によりまして使用済自動車の流通価格が上昇しましたために、引取業者への適切な引渡しが進み、こういった車両の台数が大幅に減少しております。近年は引き続き約5,000台程度の数字で推移している状況が御覧いただけるかと思います。
次に14ページをお願いします。大きな柱の「2.自動車リサイクル制度の状況」について御説明いたします。
16ページをお願いします。「登録・許可の状況」というデータになります。自動車リサイクル法では、引取業・フロン類回収業は自治体への登録が、解体業・破砕業は自治体の許可が必要となっております。これらの事業者数は、御覧いただけるように全体的に減少傾向になっておりまして、令和6年度の解体業の許可事業者数は4,100事業者、破砕業者数が1,000事業者という数字となっております。
17ページをお願いします。「自治体の行政処分の状況」ということで、関係事業者の不適正な処理等は、都道府県や保健所設置市等が法に基づく行政処分等により対応しておりますが、こちらは平成21年度以降、減少しているという状況が見ていただけるかと思います。
19ページをお願いします。次に「ASRのリサイクル率」ということで、ASRはマテリアルリサイクルとサーマルリサイクルの2つが行われておりまして、こちらのリサイクル率という数字はこの2つのリサイクルの両方を合わせたものの割合となっております。平成19年度以降リサイクル率は年々上昇傾向がありまして、平成29年度に98%を超えた後は、平成30年度から少し減少しまして、THとARTの2つのチームがございますが、近年では両チーム共に96%前後という数字になっています。
22ページをお願いします。次もASRに関しまして、「ASRの再資源化の状況」です。右側の表が、令和6年度の実績を示す表ですが、御覧いただけますとおり、マテリアルリサイクルが28.8%、熱回収(サーマルリサイクル)が67.8%となっています。左側の表、平成25年度の状況に比べまして、マテリアルリサイクルとしては、セメント類が大幅に引き上げて推移しているという状況が見ていただけるかと思います。
25ページをお願いします。こちらは「全部利用による処理状況」のデータです。廃車ガラの全部利用には、認定全部利用者や、認定を受けずに電炉に投入する事業者、輸出を行う事業者などの非認定全部利用者の2つがございます。これらのうち、最後に申しました輸出を行う業者への引渡しが、下のグラフの黄緑色のところですが、増加傾向にあるというところが見ていただけるかと思います。
次に36ページをお願いいたします。「リサイクル料金返還」についてです。自動車リサイクル法の規定に基づきまして、リサイクル料金が預託されている自動車の所有者は、自動車の輸出をした場合に、預託金を取り戻すことができるという規定になっております。こちらに基づきまして、令和6年度は204億円が返還されているという状況を示しております。
次に37ページをお願いいたします。「特預金の発生状況」についてです。例えば事故でエアバッグが展開してしまった場合、再資源化の処理が不要となりますので、そういった場合ですと、その分の預託金が特預金として扱われるという規定になっております。令和6年度末時点で、利息も含めた特預金の残高が240億円になっているという状況を示しております。
最後ですが、38ページをお願いします。「移動報告の遅延発生状況」です。使用済自動車の引取り・引渡しを行った際は、自動車リサイクルシステム(JARS)で移動報告を行っておりますが、その報告に遅延が発生した件数が令和6年度で27万件となっているという状況をこちらで示しております。
この後、「3.自動車リサイクル関連取組の状況」という項目がありますが、大変恐縮ですが、こちらは割愛させていただきます。
駆け足となり恐縮ですが、以上を資料4の説明とさせていただきます。
続きまして、資料5です。今御覧いただいております資料5の説明を続けてさせていただきます。こちらも、大変恐縮ですが、特にこの後の議論、論点で重要な点だけをピックアップして簡単に御説明させていただきます。
まず表紙です。「自動車リサイクル制度の更なる発展に向けた具体的取組とフォローアップ」ということです。こちらの資料は5年前の15年レビューのときの評価・検討報告書において御提言をいただきました各内容に対して、その後この5年間で行ってきた取組・成果などにつきまして取りまとめたものとなっております。
次のページ、1ページが目次です。15年レビューのときも見ていただいていますように、3つの大きな柱と、その中の10個の論点を整理しております。今からこのそれぞれの成果についてかいつまんで御説明いたします。
2ページをお願いします。まず1つ目の大きな柱です。「1.自動車リサイクル制度の安定化・効率化」ということで、ここでは法律の施行以来、継続的に運用されています自動車リサイクル制度そのものに関する課題や解決していくべき問題について取り扱っております。6つの課題をここでは挙げております。
そのうちの1つが、このページの「(1)ASRの円滑な再資源化」です。全部再資源化の取組の基本といたしまして、解体・破砕段階においてプラスチックやガラス等の素材を回収することで、ASRの量を減らすことができるという考えの下に、ASRのリサイクル料金を原資として事業者にインセンティブを与える制度を開始すべきであるという御提言をここではいただきました。
それに対しまして、その後の対応として、下から2番目の段落以降に書いていますが、資源回収インセンティブ制度というものを立ち上げました。こちらの制度設計を行って、実務関係者との対話、ガイドラインの作成等をこの5年間で進めてまいりまして、実際にこの制度を来年4月から開始する運びとなっております。
次に5ページをお願いいたします。「(2)リサイクル料金の適切な管理・運用」になります。これにつきましては、再資源化等預託金の余剰部分を所有者の負担軽減に活用するために、自動車メーカーが預託金の払渡しを請求する際に、全額を請求するのではなく実費分のみを請求し、その余剰部分を特預金に位置づける方式を検討すべきではないかという御提言でありました。
これに対しまして、現在、来年1月から稼働予定のJARSのシステム大改造を進めておりまして、これに合わせまして、先ほど申しました全額請求ではなく実費分のみの請求ということに関する必要な法整備等を進めるべく今、具体的な検討を進めている状況になります。
次に10ページをお願いいたします。「(4)自動車リサイクル法の適切な執行」になります。これは不法投棄や不適正保管車両への対応、廃車ガラ等の不適正な輸出等に対応すべく、自治体の指導監督を強化すべきではないかという御提言に基づいております。
こちらの御提言を受けまして、令和6年度には5つの自治体で173台の不適正車両等の撤去を完了いたしました。また、自動車リサイクル法の実態を把握するために例年行っております自治体向け調査がございますが、こちらで自治体の指導・助言に関する追加調査の実施などの取組を行ってきております。
続きまして16ページをお願いいたします。2つ目の大きな柱になります。「2.3Rの推進・質の向上」ということで、この2.では、国内外におけるサーキュラーエコノミー、すなわち資源循環経済へと向かう社会全体の動きを見据えまして、自動車リサイクル制度が対応していくべき方向性を提言していただきました。その中の1つ目が、「(1)再資源化の高度化」になります。ここでは、技術的にリユースやリサイクルが可能となるような環境配慮設計や、Car to Carリサイクル等の再生資源利用の推進など必要な技術開発等を進めるべきではないかとの御提言をいただきました。
これに対しまして、自動車リサイクル設計事例集の作成や、自工会におけるサスティナブルプラスチック利用率の自主目標値の設定、産官学コンソーシアムの立ち上げ、サーキュラーパートナーズ自動車領域WGの開催などをしてきております。
次に19ページをお願いします。ここではリユース・リビルド製品の利用促進等の方策を検討すべきとの御提言を受けて、それに対応したものになります。
業界団体であります日本自動車リサイクル部品協議会におきましては、加盟11団体のシステムをつなぎまして、リユース・リビルド部品の大規模な流通取引を実現しております。
さらに、新たな団体を加えることで、12団体・約500社という規模で在庫商品情報を共有化した、ARPN(オールリサイクルパーツネットワーク)という大システムを稼働させております。そういった成果を上げております。
次に22ページをお願いいたします。3つ目の大きな柱になります。「3.変化への対応と発展的要素」になります。この3.は、1つ目の柱、2つ目の柱とはさらに違う観点から、今後、カーボンニュートラルの実現や電動車の推進、さらに国際貢献などの将来を見据えた活動に取り組んだ成果となっております。
1つが、ここにございますように、今後の電動化により自動車の蓄電池が一層活用されることを受けまして、それらを適切に処理できる回収・リユース・リサイクルのための技術開発や体制整備を検討すべきではないかとの御指摘をいただきました。
それに対して、1つは、自工会において、使用済LiBの共同自主回収スキームをセーフティネットとして立ち上げまして、実績として令和6年度には1万3,200個の使用済LiBを回収したという成果を上げております。
以上、駆け足で大変恐縮ですが、15年レビューのときの御提言に対する成果の御説明をさせていただきました。以上、資料5の説明とさせていただきます。
○河田資源循環制度推進室室長 続いて資料6の御説明に入らせていただきたいと思います。資料6は、自動車リサイクル法施行20年目の評価・検討において、委員の皆様に御議論いただきたい主な論点案についてまとめたものでございます。
まず2ページを御覧ください。自動車リサイクル法は、資料4で御説明等がありましたけれども、適切に執行され順調に推移してきたという背景はございますけれども、前回の評価・検討における提言、並びに近年の資源循環をめぐる国内外の動き等を踏まえた上で、「1.制度の安定化・効率化」、「2.国内資源循環の推進」、「3.変化への対応と発展的要素」という大きく3つの柱につきまして、10項目の論点を提示させていただいております。これから個別に御説明させていただければと思います。
3ページ目を御覧ください。1つ目の柱、「制度の安定化・効率化」につきまして、1つ目は、「使用済自動車にかかる動向把握」ということで、オートオークション等における解体業者の取引動向も含むということになってございます。使用済自動車の発生台数については、令和6年度は約256万台となってございます。これは、制度開始後のピークである平成21年度の392万台から見ると35%の減少という形になっています。令和に入ってから毎年、減少する傾向になってございます。解体・破砕業界にとって使用済自動車の入手が大きな課題となっているのが現状になってございます。これは、国内の新車販売の減少、並びに円安による中古車の輸出増加等、こういったことが背景にあると認識してございますけれども、また中古車輸出に加えて、廃車ガラの輸出も増加しておりますし、右下の写真のように、一部には法令違反が疑われるものもございます。このような動向に加えて、外国人事業者の増加や、解体業者が主にオートオークション経由で使用済自動車を入手しているといった近年の状況を踏まえ、まずは今年度、実態把握として解体業者の操業実態や廃車ガラの輸出実態、またオートオークションの取引実態に関する調査を行うこととしてございます。使用済自動車の減少は、許可を受けた解体・破砕業者の数・規模に影響するものと考えられることから、自動車リサイクル制度の適切な執行にも影響を与えるものであると認識してございます。調査によりまずは実態を把握した上で、必要な対策について議論をすべきではないかという論点になってございます。
次の4ページには、中古車輸出台数や廃車ガラの輸出台数の動向といった参考資料を掲載してございます。適宜、御参照いただければと思います。
続きまして5ページを御覧ください。2つ目の論点として、「不適正な解体業者等の実態把握と対応の検討」でございます。左下のグラフで、自治体による指導・助言件数の推移を示してございますけれども、解体業者への指導件数が多い状況は続いております。また、右下のグラフに示しておりますとおり、自動車リサイクルシステム上で移動報告のミスや遅延が発生していることも問題になっています。先ほど御説明しましたとおり、解体業者の操業実態に関する調査を実施することにしておりますので、まずは実態把握を行った上でございますけれども、なぜこのような状況になっているのかということをしっかりと分析し、必要に応じてではございますが、自動車リサイクル法でも廃棄物処理法と同様に、例えば許可基準に知識・技能要件を設ける等の対応が必要ではないかという議論を進めてまいりたいと考えてございます。
続きまして6ページ目を御覧ください。3つ目の論点になりますけれども、「リサイクル料金の適切な運用と検証」についてございます。国内でリサイクルされずに海外に中古車として輸出する場合、リサイクル料金が最終所有者である輸出業者に返還される仕組みになってございます。①で御説明しましたオートオークションにおいて、解体業者については最終所有者兼引取業者となりますので、リサイクル料金を負担して応札している一方で、輸出業者には中古車輸出によりリサイクル料金が還付されるという状況になってございまして、解体業者が使用済自動車を入手することが難しくなっているという声が上がってございます。昨年度は輸出返還の総額が200億円を超える状況になっております。輸出返還につきましては、前回の評価・検討の中でも論点になっておりましたが、輸出返還をやめる場合においてはリサイクル料金制度を大きく変える必要があるということで、実現が難しいということから、前回見直しの際には見送りとなってございます。自動車リサイクル法ができて20年間続いている制度でもありますので、この輸出返還自体をやめることは難しいのではないかというのは変わらないとは思いますけれども、引き続き見直しを求める声があるというところで論点として提示させていただいてございます。オートオークションにおける競争の平等性を確保するという問題の本質に立ち返って議論が進められればと考えてございます。
では、次の7ページ目を御覧ください。こちらは、預託されたリサイクル料金のうちリサイクルの過程で使われなかったものについては、「特定再資源化等預託金(特預金)」について、自動車リサイクル促進センターが、離島対策支援や情報システムの改修等に活用してございます。特定再資源化等預託金の使途として、今後どのようなものが考えられるかということについて皆さんの御意見をいただければと思っております。
続きまして8ページ目を御覧ください。4つ目の論点になりますけれども、「不法投棄・不適正保管車両及び被災車両の適正処理」についてということでございます。自動車リサイクル法ができた経緯として、不法投棄・不適正保管車両の問題がございました。法施行当初から比べると約98%減少したところでございますが、不適正保管車両等が近年、約5,000台ということで横ばいが続いておる状況でございます。また、災害の増加に伴い、被災車両の処理についても問題となっておりまして、昨年発生しました能登半島地震においても、焼損車を関係者が連携して、環境省の補助金を活用しての処理をやりましたけれども、今後も被災車両が発生し得ることから、不法投棄・不適正保管車両と併せて円滑な処理のためにはどのような対応が必要かということを論点とさせていただいてございます。
続きまして9ページを御覧ください。5つ目の論点となりますけれども、「情報システムの効率的な活用」でございます。現在、自動車リサイクルシステムの改修を行っておりますけれども、来年1月にリリースが予定されてございます。自動車リサイクル制度のさらなる発展のために、こういったシステムに蓄積された情報の利活用を進めるべきではないかという論点でございます。
では、続いて10ページをお願いいたします。2つ目の柱、「国内資源循環の推進」に移ります。6つ目の論点になります。「自動車リサイクルの高度化」についてでございます。ASRの再資源化率が95%以上で順調に推移しており、法の目標を達成しているところでございますけれども、熱回収が約7割を占めており、プラスチックのマテリアルリサイクル率は1.5%にとどまっているという状況になってございます。自動車リサイクル法は、熱回収とマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルといったものが同等に位置づけられているところではございますが、他の個別リサイクル法を並べてみても、熱回収が再資源化の定義には含まれていないという状況もありますし、プラスチック資源循環法においては、マテリアルリサイクルは熱回収よりも上位に位置づけられておるという状況でございます。こうした状況で、我が国は循環経済への移行という国家戦略を掲げており、循環経済への移行に向けて、次ページ以降でまた御説明しますけれども、再生プラスチックの流通量拡大に向けた様々な取組を進めているところでございます。こうした取組が進められていることを考慮して、さらに代替熱源の確保にも十分留意しつつ、リサイクルの高度化に向けた取組をさらに評価していくにはどのような対応が必要かという点について議論を進めていきたいと考えてございます。
続きまして11ページ目を御覧ください。7つ目の論点になります。「再生プラスチックの流通量拡大」のうち、「資源回収インセンティブ制度・地域特性等を踏まえた資源循環の推進」についてでございます。御存じのとおり、資源回収インセンティブ制度が来年4月から開始される予定となっておりまして、環境省では破砕機や分析機の設備補助といった支援を行っております。また、経済産業省においては、モデル地域を3地域ほど選定し、地方経済産業局のネットワークを活用して、地域の特性や産業集積状況等を踏まえたコンソーシアムの形成を推進するような調査事業を行うこととしてございます。
続きまして12ページを御覧ください。引き続き「再生プラスチックの流通量拡大」のうち「自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアムの推進」についてということでございます。昨年、環境省では、経済産業省や関係団体と連携して、高品質な自動車向けプラスチックの再生材流通量を拡大し再生市場を構築するための産官学コンソーシアムを立ち上げてございます。そして本年3月には、自動車向け再生プラスチックの等の供給量目標を掲げたアクションプランを策定してございます。こちらのページは、再生プラスチックの流通量拡大に向けて、今御紹介しましたような取組を着実に推進していく必要があるのではないかという論点になってございます。
続きまして13ページを御覧ください。8つ目の論点になりますけれども、「リユース可能な部品の流通促進」でございます。これまでリサイクルの高度化に関する論点を御説明させていただきましたけれども、3Rの優先順位を考えますと、自動車をリサイクルする前にリユースすることが推進されており、部品のリユースをさらに促進していくとともに、次の論点で御説明させていただきます使用済LiBについても、リユースも拡大していく必要があるのではないかという論点になってございます。
次の14ページを御覧ください。3つ目の柱、「変化への対応と発展的要素」に移りまして、9つ目の論点といたしまして、「使用済自動車由来の車載用蓄電池(LiB)の再資源化の推進」についてでございます。解体業者が取り外したLiBは、リユースできるものや資源価値のあるものについては販売されて、廃棄物として処理する場合においては、自動車製造業者等が、自動車再資源化協力機構に委託している共同回収スキームにて回収され、共同回収スキームに入っていない自動車製造者等が製造したLiBについては自主回収されて、それぞれ処分が進められております。しかし、EV用LiBの収集・運搬・処分には多額の費用を要するとも言われております。また、事故車については発火の危険性があることや回収を行っていない自動車製造業者等もいること、資源価値の高い三元系から資源価値の低いリン酸鉄系へ市場が徐々に移り変わっていることも踏まえて、今後、使用済LiBの排出量が増加することは確実視されているわけでございますけれども、製造業者等が処理費用を全額負担しているこの自主的な取組で問題がないかということについて御議論をいただきたいと考えてございます。この自主的な取組について仮に議論せずに、解体業者が使用済LiBの処理費用を負担するようなこととなりましたら、引取拒否や不法投棄が起こるという心配などがございますので、将来に向けて重要な論点であると考えてございます。
次の15ページ目は、環境省にて廃棄物処理法の制度見直しを行っておりまして、鉛蓄電池等の不適正処理を防止するための対応について議論していることから、自動車リサイクル制度との連携を図っていく必要があるのではないかということになってございます。こちらは参考でございます。
最後に16ページ目を御覧ください。「CN・3Rの高度化」ということで、カーボンニュートラルについてもしっかり見ていく必要がある。環境省では昨年度までCN・3R検討会を開催いたしまして、関連事業者向けの手引きの作成等を行ってございます。引き続きカーボンニュートラルに向けた取組を推進していく必要があるのではないかという論点になってございます。また、LiBに加えて、CFRPといった新素材やメタル等の効果的なリサイクルについても、引き続き検討していく必要があるのではないかという論点になってございます。
以上、事務局として提示させていただきましたこちらの10項目の論点案について、委員の皆様には今回の見直しで検討すべきものについて御議論をいただければと考えてございます。
引き続き資料7についての御説明に入っていきたいと思います。
こちらは「ヒアリングの進め方について」となってございまして、先ほど提示させてもらった10個の論点について、今後のヒアリングの予定が記載されてございます。2.の予定のところを見ていただければと思いますけれども、第1回、第2回ともに日付をフィクスさせていただいておりまして、現在、時間を調整中という形になってございます。ヒアリング対象としましては、ここに記載されているとおりでございますが、それぞれの先ほどの主な論点について、テーブル表の右側に並べてございますので、それと突き合わせて参照いただけたらと思います。また改めて時間等が決まり、調整がつきましたら、委員の皆様には御連絡を差し上げたいと思ってございます。
以上、事務局から資料の説明でございました。
○酒井座長 資料の説明をどうもありがとうございました。経済産業省から、そして環境省から説明をいただいております。
それでは、説明いただきました点につきまして、御質問、御意見をお願いしたいと思います。なお、御質問、御意見のある方は、会場参加の方は名札を立てて発言の意思表示をお願いいたします。また、オンラインで御参加の方はシステムの挙手機能で意思表示をしていただければと思います。順次、御指名させていただきます。なお、オンラインで参加の方は指名の後、マイクのミュートを解除しビデオをオンにして御発言いただければと思います。多くの御参加者がおられまして、時間の制約もございますので、お一方、ほぼ2分程度をめどで御発言をいただければ幸いでございます。
それでは、御発言の意思表示をよろしくお願いいたします。それでは、会場から順に回してまいりたいと思いますが、窪田委員から手が挙がりましたので、窪田委員、お願いいたします。
○窪田委員 では、私から法の安定的な運用という観点から2点ぐらいお願いをさせていただきたいと思います。
まず1点目は、今、経済産業省の説明にありましたように、解体自動車が解体業者に回ってこずに、オークションを通じてしか入ってこないということが起こっておりまして、県内の解体業者についても、車が入ってこなくてなかなか事業が成り立っていかないということが起こってきているような状況です。今のこうした状況がつづくのであれば、解体業者がいなくなっても輸出等で県内でもうまく車自体の廃棄等の処理は回っていくかと思うのですが、将来を見据えると、今ここで解体業者が解体事業をやめてしまうと、将来において使用済自動車の適正な処理が確保できないということが想定されますので、そういった点は考慮していただきたいということがまず1点です。
もう1つは、許可についてですが、どうしても海外から来られた方が解体業者では非常に多い状況になっておりまして、申請においては行政書士が申請書を作成し標準作業手順等を日本語で作って出してくるのですが、現実においてはそれを自らの意思で運用することが能力的になかなかないような状況ですので、資料6の5ページにあるように、許可に関しては一定の能力の基準は必要ではないかと我々としても思っております。特にJARCのシステムを使っていくにしても、システムの扱いが非常に難しくなっておりまして、日本人でも高齢の方はなかなか難しい状況ですので、そういったシステムや取り扱いが一定理解できて、日本語は読むことができるとか、そういったものは必ず必要になってくるのではないかと思います。
それと、今、特に解体作業場所について、施設の基準は法が施行されたときに、既存の解体業者についても一定、事業を継続いただけることが必要だったためだとは思うのですが、風雨にさらされるような状態でも、構造基準的には油水分離槽などで排水などをトラップするような方法で適合しますが、現実的には今の温暖化の影響の中でゲリラ的な豪雨など極端な現象が続く中ではなかなか対応がし切れない状態になっております。そのため新たにこれから許可を取得するような場合には、構造基準をもう少し、例えば屋根や囲いが必要であるとすることは、騒音、振動、油の流出などの観点からも必要になってくると思います。機会があるときにはぜひ見直していただきたいと思っております。
以上です。
○酒井座長 ありがとうございます。それでは、引き続いて会場のほうから、鬼沢委員、お願いいたします。
○鬼沢委員 資料6に関していくつかコメントと、希望、意見がありますので、発言させていただきます。
まず最初に説明がありましたネットオークションですが、リサイクル料金が戻ることを前提に安い価格で入札をすれば当然、国内のリサイクル事業者が、今も御発言があったように、使用済自動車を入手することは困難になってくるわけで、そういうことを考えると、今後の国内の資源循環の阻害要因にこれからもきっとどんどんなっていくのだろうと思いますので、その辺は今回しっかり検討して、何か方策を取る必要があるのではないかと思います。
それから、スライド7にありました特預金の使い方の中に、大規模災害事前対応が2017年からあって、それは非常にうまく運用されてきたと思うのですが、今回の能登半島の地震のようにこういった火災車両が出てしまったときには当然、資源循環をするに当たっても価格的にはすごく抑えられるし、本当に資源循環ができるのかどうかということもあると思いますので、事前だけではなくて災害が起きたときにはすぐにこの特預金をしっかり使って対応する。また、地域の解体業者も当然、被災しているわけですから、そういうところの対応を、特預金をうまく利用して早めに処理をする。地域の人たちにとってこういう車両が目の前にずっとあることは精神的な負担が非常に大きいと思いますので、そういったことからも、なるべく早い段階で処理ができる仕組みを作っていくべきではないかと思います。
10枚目の熱回収について、20年間で社会は大きく変わったと思いますし、廃棄物の処理に関しても熱回収が順位としてはだんだん低くなっているはずなのに、自動車リサイクルにおいては70%も占めているというのは、少し残念だなという気がしますので、今回、熱回収の位置づけをもう1回、検討する必要があるのではないかと思います。
スライド11にあります国内資源循環で、スキームの横展開は実はすごく重要ではないかと思っております。ただ、このスキームの横展開は、まずは事業者や地域でできない状況の地域にお任せでは、なかなか進んでいかないと思います。次のスライド12にあります産官学コンソーシアムの中での検討が、それに向けての非常に大きな進展になるのではないかと思いますので、この産官学コンソーシアムの中で、どういったことが阻害になっていて、横展開をするにはどうしていったらいいかということを本当に具体的に早急に検討していく必要があるのではないかと思います。
あとは、自工会がLiBの共同回収スキームをされていて、これは今、非常にうまく何とか回っていると思いますが、今後、経済的に非常に困難になることも出てくるのではないかと思います。そうなったときに、資源価値に左右されない、20年後にも持続可能なシステムにしていかないと、20年後には大量にLiBの処理が出てくるわけですから、そういったことを今から検討していく必要があるのではないかと思います。
以上です。
○酒井座長 ありがとうございます。それでは、会場で高井委員から手が挙がっておりますので、高井委員までマイクを回させていただきます。その後、オンラインで挙手いただいている方々に回すようにさせていただきます。高井委員、どうぞ。
○高井委員 日本鉄リサイクル工業会の高井でございます。質問ということではなくて御報告をさせていただいて、私どものことを改めて知っていただきたいという意図もございます。
日本鉄リサイクル工業会は、約700社の鉄リサイクル業者が集まる業界団体です。その中で破砕業者、使用済自動車を破砕している人たちも会員になっているわけですけれども、使用済自動車を破砕する破砕業者は、私どもで51社、事業所にして75事業所がございます。これは日本の自動車を破砕する破砕業者全てではありませんが、過半数が私どもに会員として登録されております。
現在の最大の課題は、先ほども説明がありましたけれども、母材である使用済自動車が大きく減少しているということです。これは、本日御説明もありましたけれども、使用済自動車の減少、輸出の増加、解体業の段階で新興の外国系に取られていくことなどが考えられます。一方、これは余談ですけれども、日本の鉄鋼生産の減少から一般の鉄スクラップも扱い量が減少しています。そういうことで、各社とも非常に苦しくて、家業を維持するのが大変ですけれども、必死に努力しているところです。
もう1つは、先ほども御説明がありましたけれども、破砕段階でのASRからのプラスチックのマテリアルリサイクルということが、私どもの大きな課題となっております。解体段階に比較すると回収量・率ともに少ないとは思うのですが、皆様の御指導をいただいてしっかり進めていきたいと思っております。
最後に、資源回収インセンティブ制度の御説明がありました。私どもはこれに注力していきたいと思っていまして、ちなみに、今週からは経産省のアンケート調査に協力させていただいております。過去には2022年にJARCの協力を得まして、この制度が発足するときに、北海道から九州まで全国7支部で説明会を企画し、全国行脚をいたしました。今後もタイミングを見てそのような行脚を行うこともやぶさかではございませんし、今後この制度の正しい、そして早期の実現に協力していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○酒井座長 どうもありがとうございました。それでは、オンラインのほうにマイクを回します。鈴木委員、室石委員、木村委員、織委員、袖野委員、松八重委員、大塚委員の順で回してまいりたいと思います。それでは、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 日刊工業新聞の鈴木です。
今の質問に関連するところで、資源回収インセンティブ制度についてですけれども、来年4月のスタートに向けて地方の経産局を中心にいろいろ周知を進めていると思います。中小事業者の参画が鍵を握ると思いますけれども、中小事業者に対する周知の進捗状況、並びに今後、産業障壁を引き下げるような取組等があれば教えていただきたいと思います。
以上1点になります。
○酒井座長 ありがとうございます。では、続きまして、室石委員、どうぞ。
○室石委員 全産連の室石でございます。2点、申し上げたいと思います。
1点目は、資料6のページ3で、ほかの方も既にいろいろおっしゃっておられますけれども、制度を守るため、あるいは国内循環をしっかりやるなど、いろいろな観点を考えても、このグラフにあるように発生台数が減っているというのは非常に大変なことだと思います。特に令和3年7月の報告書のときの状況だと、横ばいのような感じで受け取っていた時代だと思いますが、それが急激に減ってきているという今回の点検、検討に当たって、ぜひとも解決しなければいけないところに当たると思いますので、ここの方向性にありますように、しっかりと実態をまず把握していただいて検討していくことが非常に大事だと思います。
次にページ8ですけれども、全産連は産廃業者の団体ではございますけれども、災害廃棄物を取り扱っている方は多いものですから、そういう意味でもここにあります被災車両のてこ入れを、ぜひ対策として考えていただくことをお願いしていきたいと思います。
以上2点です。よろしくお願いいたします。
○酒井座長 ありがとうございます。それでは、続きまして木村委員から御発言いただきます。木村委員から御発言いただいた段階で一旦、事務局、経産省並びに環境省に、質問事項への回答を含めてマイクをお渡ししたいと思いますので、よろしくお願いします。では、木村委員、お願いします。
○木村委員 お疲れさまです。自治労の木村と申します。主な論点案について、自治体で働く者の立場から2点、お伝えしたいと思います。
1点目は、先ほどほかの委員の方からもございましたが、スライド5の不適正な解体業者等への対応についてであります。今回の論点においては、許可基準に知識・技能要件を設けるなど制度面からの検討が示されています。一方で、自治体の現場では、立入検査や、不法投棄・不適正保管への対応を行う際の課題としまして、ノウハウや人材の不足という運用面での課題に関する声が多く寄せられています。制度面の検討と併せて、運用面における課題の解決、制度がよりよい実効的なものとなるよう、御検討いただきますようにお願いいたします。
2点目につきましては、スライド12の「再生プラスチックの流通量拡大」についてです。国内外の情勢を踏まえて、自動車向け再生プラスチックの流通量の拡大が図られてきていますけれども、そこで課題となる自治体におけるプラスチック回収の実態を共有させていただきたいと思います。自動車向け再生プラスチック市場構築アクションプランでは、廃プラスチックの多くがリサイクル向けに利用・分別されていないという課題が挙げられています。「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」によって、徐々に住民の間に分別やリサイクルの意識が浸透しつつあることも事実でありますけれども、一方でリサイクルが可能となるルートの確保が困難な自治体も多いということもあります。例えば東京23区では、人口が多いため廃プラスチックの量も多く、回収量が多いことから、既存の処理施設で対応できない、あるいは入札金額が見合わず収集の民間業者が札を入れないため実施できていないという実態もございます。また、地方の自治体では、回収ルートに伴う中間処理施設や、分別に伴う費用がないため、燃えるごみとして回収し直すところもあるとお聞きしております。自治体の状況や財政によって運用ルールが決まることのないような対策が必要であるとも考えております。そうした実態や課題も踏まえて、全ての自治体におけますプラスチック回収の実施に向けて検討が必要だとも考えております。現状と課題について共有していただき、推進、検討をお願いしたいと思います。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○酒井座長 それでは、先ほどアナウンスいたしましたとおり、この段階で事務局に一旦マイクをお渡したいと思います。それでは、まず経産省からどうぞ御発言ください。
○宮越自動車リサイクル室長 経産省の宮越と申します。非常に多くの御意見、御指摘をいただき、ありがとうございます。
まず論点①として御指摘いただきました使用済自動車の減少に関わる問題は、先ほど委員からも御指摘があったとおり、国内資源循環の阻害要因になるということもありますし、国内解体業者への影響も非常に大きいものと考えております。他方で、国内の要因としては円安、新車販売の減少などいろいろありますし、さらに外国人事業者の参入、あるいは法令違反が疑われるような廃車ガラの輸出などいろいろあるわけですけれども、これらの個々の要因についてここまで十分な現状把握・分析ができていないという問題がまずございます。こちらについて、委員からも御示唆がありましたとおり、まず現状把握として廃車ガラ輸出の実態調査、あるいは解体業者の実態把握、また使用済自動車が最終ユーザーから解体業者に至るまでの流通経路でどういう実態があるか、さらにはオートオークションでの取引条件などのマーケットレベルの話まで含めて、総合的に調査・分析して、まずそこで実態を把握する。さらには、それについて輸出返還の話もありましたけれども、それ以外にも方法がないか、つまり、仮の話ですけれども、例えば解体業者が落とした場合にリサイクル料金を払わなくてよいなど、いろいろな制度の工夫によってまず対応していけないかということを検討していきたいと思っておりますので、活発な議論をお願いできればと思っております。
それと、論点②について、解体業者の問題として不適正保管など自治体の指摘がいろいろあって、不適正な実態があるということで、まず廃掃法では多くの自治体がJWセンターでの研修を受けているという事実がありますが、自動車リサイクル法においては、今JAERAで民間の資格制度として自動車リサイクル士制度がございます。あるいは、JARCで県レベルで連携した研修制度など、いろいろ取組が行われているわけですけれども、他方で公的資格、公的許可要件は現時点ではないのが現状でございます。これについては、御意見をいろいろいただいたとおり、例えば地方自治体に対して解体業者が新規または更新の許可申請を行うときなどに、こういった自動車解体に関する必要な知識や技能を有することを許可の要件とする、あるいは知識・技能要件と皆さんおっしゃっていただいていますが、そういった要件を制度の中に盛り込んでいけないか、あるいは法の中でそういったものを、法にもいろいろレベルがありますけれども、何かしらの形で工夫してできないかということを検討していきたいとも思っております。こちらも引き続き重要な論点として議論していただければと思います。
特預金の話は、後ほど環境省から御回答いただければと思います。
資源回収インセンティブのお話がございましたけれども、これまで資源回収インセンティブについてはいろいろな場面で、例えばJARCのホームページ、あるいは地方自治体のホームページでも周知してまいりましたし、特設サイトという形で周知していました。また地方の経産局や地方環境事務局でも説明会を実施したり、あるいは自工会でも取り扱いマニュアルを作成していただいて説明会をしたりするなど、いろいろな周知活動をやってきた結果として、徐々にいろいろと地方にも浸透していってはいます。ただ、他方で、まだ制度は分かったけれども、その先の、これはビジネスとして成り立つのか、あるいはどういったケースでうまくいくのかというところが、事業者の方々もビジネスとして見る上において、投資するか、しないかという判断において、そこは重要なファクターですが、まだそこに進んでいない。その要因としては当然、ベストプラクティスがまだできてきていないわけですから、まずはベストプラクティスを積み上げて、それをショーケースとしていろいろ広めていくということが重要だと考えております。それにおいて、今年から経済産業省では地方経産局と連携して、今始めたばかりですけれども、委託調査をやって、今回は北海道、中部、中国地方をまず対象に、その地域それぞれの特性が、物流、集積具合などいろいろありますけれども、そういったものを分析して、どういう形であれば、どういうデバイスがあればコンソーシアムがうまく組めていけるかということを調査して、それを次に横展開していくという形で周知していくことで、先ほど申し上げましたけれども、ベストプラクティスを積み上げていくことを、まず最初のステップとして考えております。
論点⑨で、LiBについて御示唆がありましたけれども、こちらの現状を申し上げますと、今、自主回収スキームによって全体の約20%が適正処理されていますし、それ以外のLiBについても、今、国内でリユース、あるいは資源化される形で処理されていますし、一部は材料もしくはリユースの形で海外に輸出されているという実態がございます。ですので、言い直すと、現時点でネガティブコストにはなっていないわけですけれども、先ほど委員からも御指摘いただきましたとおり、この先この共同回収スキームがちゃんと機能していくのか、あるいは新しいメーカーが出てきた場合に、この共同スキームと同じようにちゃんと適切な処理がされるのかという現時点の懸念があるというのも事実でございます。これに向けて今後も、自主回収スキームの外にある人たちをどうやって中に入れていくか。これは、既にJAIA(日本自動車輸入組合)でも働きかけを行っておりますけれども、さらにこのスキームについて何かしらインセンティブの仕組みなりを与えて、うまく取り組んでいってリスクをなくすという方法ができないかということも1つあります。仮にこれらに何かしらの形でストッパーをかけるとしても、産業界に与える影響も非常に大きいわけですから、その辺りのタイミングも含めて検討していければと思っております。
以上、全ての質問にまだ答え切れていないと思いますけれども、残った論点について環境省に御回答いただければと思います。
○河田資源循環制度推進室室長 そうしましたら、環境省から、ほか、御指摘があった部分について御回答申し上げたいと思います。
まず論点④で、特預金に関する被災車両へのてこ入れということがございましたけれども、こちらについて、まず事実関係、現状について少し御報告させていただきますと、被災自動車の処理については車体番号やナンバープレートが確認でき、所有者のリサイクル料金の預託状況を確認できる場合と、当該状況を確認できない場合の2つに分けられてございます。前者については、原則、所有者が処理の責任を負うということになってございますので、引取業者に連絡しての処理を依頼してございます。一方、後者の場合、自動車メーカーや輸入業者が存在しない使用済自動車と同様に、一律、いわゆる義務者不在というみなしがされますので、自リ法106条2項において残物品の処理費用はリサイクル料金の特預金から拠出するということになってございます。東日本大震災の際にはこのようなケースが大変大規模に発生し、JARC、自再協、JAERAが協力して対応していただいたところでございます。その後、発生した激甚災害においても同様の対応を行うようにしてございますし、自治体向けの被災車両の処理手引書作成や説明等についても行っているところでございます。一方で、被災車両の撤去・運搬にかかる費用については、現状ではいわゆる特預金の出捐対象になっていないということでございます。被災車両のスムーズな適正・適切な処理のためにどのような対応が必要になるかということについて、今後議論していきたいと思ってございます。
続いて論点⑥で、熱回収の位置づけをどうするかということでございます。こちらについては、説明の中でお話しさせていただきましたけれども、プラスチック資源循環法においても熱回収に対して、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルが上位に位置づけられておるということで、今後、循環経済への移行に向けてどういった取組を強化していくことが必要になるかということを、繰り返しになりますけれども、しっかり議論していくことが必要だろうと考えてございます。また、サーマルリカバリーについても技術は確立していると思いますし、国内のセメントなどの製造工程においてはそれなりに役割をこれまで担ってきたという側面はございますので、そういった位置づけについてきっちりと、両立、環境への配慮、国内産業への影響などを十分に検討していく必要が当然あると思ってございます。その上でという形になりますけれども、ASRからのプラスチックを高効率に回収するための予算的な措置や実証事業もございますし、人材の確保も今後必要になってくることは承知しておるところでございます。また、当面の取組ということでございますけれども、資源回収インセンティブ制度が来年4月から動きますが、これを着実にすることと、コンソーシアム形成への投資、またベストプラクティスの積上げを通じて、ASRの削減やリサイクルの高度化を図っていくことになろうかと考えてございます。
次いで、論点⑦で、経産省からも御回答があった部分ではありますけれども、木村委員からもプラの回収について、自リ制度というよりは自リ制度の外にはなるのですが、プラをいかに回収するかということについて、いろいろな俯瞰した見方、制度の対策は必要だろうというコメントをいただいてございます。この自動車リサイクル法の審議会とは別に、先ほど御紹介させてもらったような産官学コンソーシアムでも議論・検討を進めておりますので、そういうところを活用しながら、こういった御指摘への対応は進めていきたいと考えてございます。
以上でございます。
○酒井座長 ありがとうございます。前半でいただいた御質問、御意見への御回答を両省から的確にいただけたかと思います。
後半に移らせていただきます。それでは、後半はオンラインから、織委員、袖野委員、松八重委員、大塚委員の順でよろしくお願いいたします。それでは、織委員、どうぞ。
○織委員 ありがとうございます。私のほうは3点あります。
まず法的な安定化のところですけれども、国内解体システムの崩壊のリスクについて、先ほど委員の方もおっしゃっていましたが、これは非常に重要な問題だと思っています。解体業者数が継続的に減少していて、リサイクル還付金のインセンティブが枠外にあること、オートオークションの不公正な競争、外国資本の台頭など、国内の自動車解体システムが本当に崩壊する危機に瀕していると思います。この問題についてメーカー側の関与が20年ほど前から大きく変わっていないと思っていて、ここが一番問題なのではないかと思います。国内の自動車解体システムが崩壊していけば、それは結局、リサイクル全体のシステムの基盤を揺るがせていくとともに、自動車メーカー自体のブランド価値が損なわれることにつながっていくと思います。ですから、ここについては、メーカーが解体システムを自社の問題として捉えて、その維持・発展をバックアップしていくためにはどういったことができるのか、そういったことをぜひ議論していただきですし、そこについてメーカー側としてはどう考えていらっしゃるかという御意見をお伺いしたいと思います。具体的には国内の解体業者をいかに支援・育成していくかについて、優先的な入札制度など、検討する方法はペットボトルのときと同じようにいろいろあると思うのですけれども、それについてぜひメーカー側でどのようにバックアップ体制をしていくのか、そのことについてどう考えていらっしゃるのかという御意見を伺えればと思います。
2点目はリサイクルの問題です。現在の自リ法は、リサイクル法となっていますが、実際は適正処理を目的としている制度になっていると思います。そうした中で、プラスチックリサイクルの高度化など、戦略がつくられていますし、EUの再生材利用規制などの動きもあります。熱回収にとどまらないプラスチックの高度な資源化、マテリアルリサイクルに向けて具体的にどうやっていくかということは、これもまた結局、自動車のメーカー側の技術、あるいは再生材を使うことの安全性と資源循環をどう捉えていくのか、そのバランスをどう考えていくかというのは、まさにメーカー側から発信していただかないと制度的にもつながっていかないというところがあると思います。その再生材、マテリアルを使っていくということについて、安全性、品質、検査体制、例えば認定制度も含めて、そういったことに対してメーカーは自社の製品の組成やコストを、欧州の規制などを考慮してどう考えていらっしゃるかということについてもぜひ御意見を伺いたいし、そこが積極的な関与が必要なエリアになっているのではないかと思います。
3点目に、特預金の活用方法は、鬼沢委員もおっしゃっていましたが、すごく重要で、長年の懸念事項だと思います。今まで法律の規制があり、なかなか柔軟に対応できなかったのですけれども、制度20年の見直しという今回の機会を捉えて、規則改正にとどまらず法律改正が可能であれば、より柔軟な運用ができるような検討がされて、不法投棄対策や災害対応など、ニーズに即してその場で対応できるような形に変えていただくよい機会なのではないかと思っています。
私はついこの間までモンゴルのノモンハンに行ってきました。80年前の戦場の中で、残っている戦車や自動車は全部ロシア産でした。そこにほかの外国車では難しい道なき道を日本のメーカーの車が走っていると、モンゴルの方が「日本の技術のすばらしさがこの80年の間にこうなってくるというのは、土の中で眠っている戦士の人たちもびっくりするでしょう」とおっしゃっていたのですが、まさにこの80年というか、戦後、技術が非常に促進されています。それをリサイクルや解体業者のバックアップという中にどうやって生かしていけるのか。その辺の御意見を伺えればと思います。
以上です。
○酒井座長 ありがとうございます。では、引き続きまして、袖野委員、よろしくお願いします。
事務局、音声は大丈夫ですか。
○松下資源循環制度推進室主査 すみません。袖野委員、音声が聞こえないようですが、マイクはオンになっておりますでしょうか。
○酒井座長 それでは、事務局、確認してください。袖野委員、後でまたお願いします。次に松八重先生から御意見をお願いいたします。
○松八重委員 ありがとうございます。それでは、私も資料6の14ページ、「変化への対応と発展的要素」のところで、LiBのことで少しコメントをさせていただきます。
LiBのリサイクルに関しましては非常に重要だということで、特に不法投棄につながるようなところに関してはそれを避けるべきだということで配慮いただいていることは非常にありがたいと思っております。さらに、こういった投棄だけではなく、最近のように電気自動車がどんどん入ってきますと、以前よりもさらに希少資源の宝庫という側面が強まってきているかなと思っております。一方で、資源安全保障という側面で見たときには、この手の資源調達には今、非常に注意が払われているわけですけれども、循環資源としてこれを見たときに、国内での資源循環を考えたときに、必ずしも素材として回収してリサイクルするものばかりではなくて、国内でとどめおいてそれをリユースする、また自動車ばかりではなくて定置用の電池として再生可能エネルギーの蓄電池用としての活用を促進するという要素もあろうかと思います。ですので、自動車リサイクルにとどまらない視点で、もしかしたら関係団体との連携というところに含まれているのかもしれませんが、ぜひ長く国内でこういった資源をとどめおいて活用するというスキームも併せて御検討いただけるとありがたいかなと思っております。この辺りについて既に御検討されているのでしたら、ぜひ教えていただければと思っております。
電池に関してだけではなくほかの資源に関しましても、自由貿易の中では、解体した後、様々な部品が外に出ていくということもあろうかと思うのですが、世界的には今、資源は国際貿易の中でもかなり取り合いの状態でございますので、そういった使える資源、戦略物資として国内にとどめおくべきものに関しましては、積極的に中でうまくとどめおいて活用するリサイクルのスキーム、あるいはリユースのスキームにとどめおくような仕掛け、仕組みをつくっていくことが重要ではないかなと思っております。ほっておくと、使いやすい、価値のあるものがどんどん出ていって、使いづらいものだけが国内にとどめおかれて、廃棄物処理にコストをかけるということになってしまうことを恐れておりますので、その辺りの仕組みづくりもぜひ考えていただければと思っております。この辺りでの取組について何かお考えがありましたら、ぜひお知らせいただきたいと思います。
以上です。
○酒井座長 松八重委員、ありがとうございます。では、続きまして、大塚委員、お願いいたします。
○大塚委員 恐れ入ります。5点ほどあります。
1つは、今、松八重委員が御指摘されたことと関係しますが、LiBに関しては、省資源や経済安全保障の観点が重要ですけれども、何といっても火災が起きるという話も、今日はあまり出てきていないですが、重要です。これは拡大生産者責任との関係で、環境負荷ではないですが、重要な外部不経済として項目に挙げられる要素だと思います。そういう意味では回収スキームをつくることについて理由があるというケースになるのだろうと思います。LIBについては、三元系から、資源価値の低いリン酸鉄系に変わりつつあるのだと思いますが、日系のメーカーに関しては三元系のものが多いようですので、資源価値があるという観点からも回収を進めていただくことにメリットがあるのではないかということも申し上げておきたいと思います。
2つ目は、再生プラスチックの問題ですが、織委員も言われましたが、EUのELVの規則案ですと、6%はCARtoCARの再資源化をしなければいけないということになります。今後、EUにおいて量的に、より緩和される可能性もありますけれども、恐らく6%が少し減ってもそれは残るのだろうと思われますので、最低限それに対する対応は、今回の制度化に関して考えておく必要があるのではないかと思います。もちろんコンソーシアムのほうで自主的にやっていただければいいのですが、それで大丈夫なのかというのは、私はマテリアルリサイクルも大変でなかなか難しいと思っていますので、ここは制度化が必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。また、資源回収インセンティブ制度は、今回始まることになって大変いいと思ってはいるのですが、私が見るところ、恐らくEUのELV規則案には対応してはおらず、タイミング的にそれより前に検討されたものと考えていまして、そこのタイムラグのせいでEUのELV規則案に対応できていないのではないかということが気になりますので、この点も申し上げておきたいと思います。
それから、資料6の5ページで、先ほど来、御指摘があります解体業者の許可基準に知識・技能要件を設ける等の規律強化は、必要ならぜひやっていただく必要があると思っています。ここはどういうふうに考えるか議論があるかもしれませんが、日本語を理解できる人がそのチームに1人はいるような要件を入れられるかというのは、ぜひ検討していただければと思います。恐らく自治体が指導監督されるときに、外国人の方ばかりですと──外国人の方でももちろん日本語をしゃべっていただければいいわけですが──日本語が理解できなくて指導監督できないということにならないとも限らないので。差別とかそういうことにはならないようにもちろん気をつけていただいたほうがいいと思いますが、許可要件の中にそういうものを入れることが可能かどうか、ぜひ検討していただければと思います。
第4点になりますが、先ほど来、解体業者が使用済自動車を入手しにくくなっているという問題で、オークションとの関係等もございますが、1つ大きなポイントになるのが、輸出還付金をどうするかということだと思います。これは自動車リサイクル制度をつくったときから、自車充当であっても輸出還付までやるのかに関しては、実は相当議論があったところです。結局、輸出還付をすることになってしまっていますけれども、輸出に関しては国内の話だけではないので、また輸出に関する手続等もございますので、この点を別に扱うことは、自車充当を維持するとしても可能ではないかということをぜひ御検討いただきたいと思います。さらに、現在、利息に関してはユーザーのほうに返っていないということですので、少なくとも利息に関しては別扱いをすることは可能ではないかということを申し上げておきます。
第5点ですけれども、特預金に関しては、たくさんの方がおっしゃっていただいたように、私も災害の事前対策や災害対策などに使っていただくことを、法改正などをしてやっていただくことが必要だと思われるということを申し上げておきたいと思います。
声がおかしくて申し訳ありません。
○酒井座長 大塚委員、どうもありがとうございました。それでは、先ほどマイクの調子でお聞きできなかった袖野委員、いかがでしょうか。
○袖野委員 大変失礼いたしました。芝浦工大の袖野です。私からは3点、申し上げたいと思います。
1点目は、不適正輸出のことです。委員の方からも発言がありましたとおり、国内循環体制を維持していくというところで、廃プラスチックの輸出が問題となったときのと似ていると思っております。あのときもプラがどんどん海外へ出ていって、国内の循環体制が維持できなくなる恐れがあったわけですけれども、不適正ヤードへの立ち入りと併せて、輸出のところの水際対策も強化してしかるべきかなと思っております。ですので、バーゼル部局や税関との連携というところで、どういったものが不適正輸出に当たるのかということを明確に示して、不適正な輸出をより難しくしていくという対応が必要ではないかなと思います。窪田委員からも最初のほうで御指摘がありましたけれども、解体業者の優良化についても併せて進めていただければと思います。
2点目は、車載用蓄電池についてです。こちらも多くの意見がございましたけれども、今メーカーの自主回収という形で特に問題は起きていないという御説明がございました。EPR(拡大生産者責任)の観点で、蓄電池の再資源化技術の発展、また環境配慮設計に反映していくという観点からも、メーカーが強く関与していくことは非常に好ましい方向性かなと思っております。太陽光パネルのときに、普及に合わせて廃棄のときの問題をどうするのかというのが大きな問題になりましたけれども、EV車も今後どんどん普及していく中で、出口についてもセットで普及できるような形が望ましいと思いますので、今の段階でしっかり今後の方向性について示す、制度化していくという方向性は重要かなと思います。ですので、ここもぜひメーカーによる回収ルートも選択の1つとして残していただくような方向で制度化を検討いただければと思います。
3点目は、ヒアリングについてです。EUなどの動向で、再生プラスチックの使用義務化というお話などもございますし、国外動向についてもぜひお伺いしたいと思います。特に明示的に示されておりませんが、入っているのかなと思うのですが、自工会なのかもしれませんが、ぜひ国外の動向についてもヒアリングできればよい機会かなと思っております。
以上です。
○酒井座長 どうもありがとうございます。オンラインのほうからは5名の委員に御意見をいただきました。あと、会場のほうから3名、手が挙がっておりますので、順に御指名していきたいと思います。井岡委員、内記委員、町野委員の順でお願いいたします。井岡委員、お願いします。
○井岡委員 消費科学センターの井岡と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず資料6の最初の「20年目における評価・検討の主な論点」ということで10項目、挙がっておりますが、これはよく把握されておりまして、この10項目に、幅広く御検討していただくことを御提示されておりますが、これは適正と感じております。
あと残り2つだけ申し上げたいと思います。1点につきましては、まず資料4のスライド11に不法投棄と不定性保管が5,000台ということで、20年前よりははるかに減ってきているわけですが、ここのところ底を打って5,000台がずっと続いております。そのうち、右側の表にあります不定性保管が令和6年に少し増えているということで、ここでは各自治体がいろいろな御努力をしていらっしゃることは存じておりますし、その大変さも存じておりますが、ここはもう1つ、不法投棄ではなくて不適正保管ということは結局、業者絡みということになるのかなと思いまして、ここをもう一度見直して減らしていただきたいと思っております。
もう1つですが、資料6のスライド3で、外国人事業者の国内参入ではいろいろな問題が大きくなっているということですが、最近、外国人の在留資格が厳格化されて改正案が出ておりまして、これとどうリンクするかというのはまだ難しい問題だとは思うのですが、既存の外国人の事業者をどう適正化していくかということは、先ほどの資料6の5ページにありますような基準、知識・技能要件を設けるなどの規律もこれから必要なのではないかと思います。国内の循環を増やしていくためにも、そういう御検討もお願いしたいと思います。
以上です。よろしくお願いします。
○酒井座長 井岡委員、ありがとうございました。それでは、内記委員、お願いいたします。
○内記委員 名古屋大学の内記でございます。多くの委員から既に御指摘がありましたが、再生プラとLiBの点ですけれども、環境の問題というだけではなく、希少価値のある資源を使っていくという意味でもすごく大事だなと思っています。委員の中からも、欧州の動きとしてPPWR、バッテリー規則、エコデザインの話などもありましたけれども、1つ新しい観点からすると、欧州の流れのベースには、製品関連のデータを原料からリサイクル廃棄の中で活用していこうという産業界やメーカーの大きなメリットがあると思います。今データのマネジメントをしていく中でリサイクルや再資源化をしていく。そのデータ基盤がないと、単にコストのようになってしまうと思います。サプライチェーンの上流のほうのデータづくりは今、多分、日本の中でも、経産省でもバックアップされていろいろされていると思います。それをリサイクル、再資源化、廃棄された後とつなげて、ループを閉じるようなデータの流れにまでしていくのはすごく大変だと思うのですが、多分そこにメーカーの本当の価値が出てくると思うので、データとして見ていくという視点もあったらいいかなと思いました。コメントです。
以上です。ありがとうございます。
○酒井座長 ありがとうございます。それでは、町野委員、そして石井委員から手が挙がっていますから最後にお回ししますが、ほかはよろしいでしょうか。時間の関係もありますので、御発言の意思のある方は今、手を挙げておいてください。嶋村委員、やはり挙がりましたね。そう思って最後に聞きました。では、町野委員、どうぞ。
○町野委員 3点、申し上げます。
まず1つ目が、オートオークションの話は、ほかの委員の方も皆様おっしゃっておられましたけれども、少なくとも現状、放っておいていい問題ではないということで、これも市場で買い負けるということで、何もしなければこの状況は当面、変わらないということですので、輸出還付金の話のところにあるのか、あるいはメーカーでもっと何かやったほうがいいのか、いろいろ方向性はあると思うのですが、どこに今この現状があるのかということをもう少し分析いただいた上で適切な対策を取っていただく必要があると思います。
2つ目が、資料の5ページの「不適正な解体業者等の実態把握と対応の検討」というところで、ここは私も規律強化等について検討をぜひしていただきたいと思っておるところですけれども、一方で、参考の資料についておりますとおり、これは廃棄物処理法の関係だと思うのですが、ヤード業者の対策を並行してやっておられるところだと思いますので、自リ法の許可業者と無許可業者と両方のパターンがあると思いますし、両方あるということで資料には書かれていますけれども、どちらがより問題で、どちらの法律で対応すべきなのか。両者のすみ分けが私もいま一つよく分かっていないところもあるのですが、実態を把握した上で、法適用でそこが混乱しないような形にぜひしていただきたいと思います。
3点目はマテリアルリサイクルで、資料でいうと10ページですが、これも皆様おっしゃっていただいているとおり、自動車リサイクル制度はうまく動いているようですけれども、マテリアルリサイクルの率は上がっていかない。2025年度との比較で見ると、金属類などリサイクル率がむしろ下がっている状況にあるので、これはマテリアルリサイクルをもっと促進していくべきだということ自体は賛成ですけれども、それをどうやってやるのかというところはなかなか難しいところもあります。現行の自動車リサイクル法では、ASRとエアバッグとフロン類の3つが対象で、具体的にガラスやプラスチックなど個別の品目についての回収などの義務は課されていないので、マテリアルリサイクルはメーカーの自主的な取組に基本的にはゆだねられている状況です。そこで自主的取組でどこまでやっていけるのか、あるいは自主的取組をもっと促すような法制度にするのか、それとも新しく制度化して義務を課すのか、どこまでやればうまくいくのかということを見極めていく必要があるのではないかと思います。
以上です。
○酒井座長 どうもありがとうございました。それでは、石井委員、どうぞ。
○石井委員 自動車リサイクル機構の石井と申します。このような多くの方々が我々自動車リサイクラーのために多くの議論をしていただきまして、本当に心強く、ありがたく、うれしく思っております。
本当に我々は来年、再来年、生き残っているかどうかという同業者が今、多い状況です。オークション会場が悪なのではなくて、オークション会場から車を我々は中古車として買って、リサイクル料金を負担してというのが今できています。リサイクル料金の還付のことが議論されているのですが、今のところ鉄相場などが以前に比べると高くなっていまして、まだオークションで買える状況です。ただ、鉄や非鉄がもし下がってしまうと、完全に中古車輸出業者に買い負けるので、中古車輸出はさらに増えるといった状況になってくると思います。
我々は中古車の輸出が駄目だとは全く言っていなくて、いい車が中古車として輸出されるのは当然、相手方の国にも恩恵があることだと思っていますし、いいことだと思うのですが、廃車寸前の車が輸出されているのが問題です。これは資源安保の観点からもそうですし、相手国での日本車ブランドの失墜にもつながりますし、相手の国で交通事故、あるいは整備不良によって日本車のブランドのイメージが失墜するということで、いいことはありません。なので、ぜひ中古車輸出の点検など、中古車輸出をする前に、車検レベルとは言わないですが、ぜひそういったことをやっていただけないかなと。車検と同じレベルで中古車輸出をする前にやっていく。そういった点検をしていただきたい。そうすることによって、仮に8万円、10万円のコストがかかって、それで安全を担保するということになれば、当然、中古車輸出で安価な使用済に近い車は輸出されなくなる。それによって国内の整備業者も百何十万台の仕事が増えるというところもありますので、ぜひそこはやっていただきたいなと。
あとは、よくEV車が輸送途中に燃えて大きな問題になっています。ですので、できましたらEV車の、ハイブリッドは難しいかもしれませんが、輸出の禁止をやってもらえればよろしいのではないかと思います。
それと、我々と不適正事業者との戦いですけれども、一番の問題は我々の同業者が不適正ヤードと戦うことを諦めています。というのは、全然もうからない仕事は誰もやらないわけです。では、なぜもうからない仕事を彼らができるかというと、コストが全然違います。我々は、当然ですけれども、社会保険を払って、税金を払っているわけですけれども、彼らはもうける必要がなくて本国でもうかっていればいい話ですし、当然、社会保険も加入している方々がほとんどいないということで、コストが全然違う。ですので、同じ土俵にのって正々堂々と戦っていただきたいというところで、先ほど来あります知識・能力要件、自動車リサイクル士、日本語理解。大塚委員からも出ていましたけれども、日本で仕事をされるのですから、当然、日本語が理解できて当たり前だと思います。そういった方でないと当然、不法投棄や不適正処理、環境汚染につながりますので、ぜひそこはやっていただきたいと思います。
あとは、ASRチームのワンチーム化をぜひお願いしたいと思います。今回の資源回収インセンティブ制度でも我々はTHチームとARTの両方の監査を受けることもありますので、ぜひここをワンチームでやっていただきたいと思っております。
あとは、先日出た、認定解体業者に関してはリサイクル料金の負担が要らなくなるということに関してですけれども、本当にそうやってくれたらありがたいなと思います。なので、資源回収インセンティブ制度は、全部利用もそうですけれども、そういった認定業者に車が集まる大きなモチベーションになりますし、そういうことであれば、こぞって認定業者になりたい同業者も増えてくると思います。それによって我々同業者の士気が上がってくれば、また大分違うのかなと思っております。
そういった形で、オークション対応ですけれども、今、外国人の方々が全然違うIDカードでオークション場に入って、「○○自動車商会」のIDで応札しているという事例もあるようなので、オークションの入場の厳格化や審査の部分も、細かい話で申し訳ないのですが、オークション協議会は対応していただきたいと思っております。
先ほど来、不法投棄の話で、ここのところ5,000台近辺で止まっているということですけれども、どこかで台風が来たりして、誰も何も言わないのに、こぞって業者が行って水没車を片付けるのを皆さんも御承知だと思います。これはなぜかというと、お金になるからです。今回、能登の地震で丸焦げになった車を、なぜ誰も片付けないのか。当然、車の車体番号が分からないということもあったとは思うのですが、これは鉄くずにしかならない。なので、収集・運搬費用や解体費用を考えたときに、もうからないわけです。だから、やらない。先ほど言った水没車に関しては、まだ修理したり部品を取ったりしてお金になるから、みんなこぞって片付けたり、買い付けに行ったりするわけです。なので、もうからない車だからやらないというのはずるいという話になるかもしれないのですが、丸焦げになった車は処理が本当に大変です。車体番号の特定も、焦げてしまっていて見えなくて本当に大変で、現場の声としてはそういったことを届けたいと思います。なので、ぜひ特預金をうまく活用していただけるのであれば、そこもぜひ皆さんのお知恵をかりて改善していただければと思います。
ありがとうございました。
○酒井座長 それでは、最後に嶋村委員にお回ししたいと思います。3時までのお約束のところですが、すみませんが、10分ほど延長をお願いいたします。
○嶋村委員 御指名、ありがとうございます。本日は御説明いただきまして、ありがとうございました。非常によくまとめていただいて分かりやすいと思いました。
いろいろお話がございましたが、LiBに関しましては、毎年御説明はさせていただいておりますが、次回いま一度丁寧に御説明をさせていただければと思います。
織委員から国内解体業崩壊の危機でメーカーのお考えをということですが、御承知のとおり、自動車リサイクル法ができるときにメーカーの関与をどうするかということがございました。欧州ではメーカーが廃車そのものを引き取るというやり方だったのですが、日本においては既存の解体業者が御商売をされていらっしゃるということで、メーカーはそういう面では関与しないと決まったところでございます。ですので、自動車メーカーに廃車の所有権自体は全くございませんので、そういう面で市場の取引に対して自動車メーカーが関与することがなかなか難しいということは御理解をいただければと思います。
例えば新車のディーラー、系列のディーラーに、オークションに出さずに解体業者に出しなさいということを言えば、これは独占禁止法でいう優越的地位の濫用にもなりますので、法的になかなかできません。何か支援するという話になると、それはそれで今度は税法の問題だろうという話もございますので、ここはなかなか関与ができないということは御理解いただければと思っております。そういった直接的な部分ではなくて間接的な部分で、日頃からJAERAさんとはいろいろお話もさせていただきながら、インセンティブ制度にしてもそうですが、御支援は申し上げているつもりでございます。
自工会からは3点。リサイクルの高度化のお話がございましたが、これはASRの高度化をさらに強化すべきということで、自工会も方向性としては賛成でございますし、従来から高度化に向けてインセンティブ制度の提案もさせていただくなど推進もしております。自動車メーカーは、現在でも30%のマテリアルリサイクルを維持していると思っております。
といいますのは、委員の先生方でASRの現物を見られたことのある方がどれだけいらっしゃるのかなと思うところでございます。現物があればいいのですが、次回、準備させていただければとも思っていますけれども、現物を見ていただけると、これをマテリアルリサイクルするのは技術的になかなか容易なことではないということは御理解いただけるかなと思っております。この辺は、鉄リ工業会さんでも非常に御苦労されていらっしゃるところかなとは思いますが、技術的になかなか難しいところもありまして、ようやく技術が少し出てきているところでございます。ただ、マテリアルのみならずケミカルリサイクルもありますので、そういう面でいいますと、お金さえかければできる可能性はございます。
では、そのお金は何なのかというと、それはリサイクル料金ということで、ASRの料金、ユーザーの御負担ということになります。したがいまして、メーカーとしては、これまで20年間、お客様の御負担が最小限になるようにマテリアルリサイクルも取り入れつつ、そこのバランスを非常に見ながら高度化も進めてきたところでございます。今回議論していただくのは非常によいと思いますし、自工会はさらなる高度化に努めたいということで、御承知のとおり自主目標も出させていただいておりますし、供給促進に向けて再生材の規格のような目線の数字も出させていただいております。この辺りも次回10月に御説明させていただきますが、そういったユーザーの負担増につながる可能性もある話だということを十分踏まえながら、環境側面のみならずそういったことも踏まえて慎重に検討してまいりたいと考えてございます。
2点目に、15ページのヤード対策の関連でございますが、2年前から、中古のLiBを梱包せずに裸でコンテナに積んで輸送されると船舶火災につながる危険性があるということを審議会の場でも再三、問題提起させていただいております。これは、今後発生量が増える中で早期に対応しないと、現状、ある意味、野放し状態ということで、人命に関わる重大、かつ早期対応が必要な話かと思っております。これは、2年前に環境省さんから、御検討されると審議会の場で御回答いただいたと思うのですが、省庁をまたがってなかなか難しいということかとは思いますが、ぜひ御検討いただければと思います。
3点目は、情報システムの効率的な活用のページにも関わるのですが、記載のとおり来年1月から、促進センターの御尽力によって新システムが何とか稼働にこぎ着ける予定でございます。前回5年前の見直し審議会を受けて、例えばインセンティブ制度のようなこともシステムに盛り込むということで、5年かけて促進センターで構築しております。この構築においては、それこそ莫大な費用をかけて、この影響を受けるメーカー側も実はシステム構築、システムの大改修をしておるところです。その関連の促進センターのも含めて、ベンダーも含めると1,000人規模で、この5年間、対応しておるところです。販売店、ディーラーにおいても、システムに影響があるディーラーもありますので対応しているところでございます。
この促進センターのシステム大改造費用については、メーカーも出している部分はあるのですが、基本的にはユーザーの費用であるということを踏まえていただく必要があるかなと思っております。今回の見直し審議会で、喫緊ですぐに対応しないといけない致命的な影響があるような、例えば先ほど申し上げたLiBの船舶輸送など、ああいう人命に影響があるようなものは、システム上で改造が必要であれば、それはそれでやむを得ないと思いますが、そうではないものに関しましては、大改造してリリースしたばかりのシステムに影響があるような見直しは極力最小限にとどめていただいたほうが、資金の効率、今回の大改造した費用の効率的な話につながるということです。もちろんシステムに影響しない話は、法改正も含めてぜひ前向きにやればいいと思っておりますが、システムへの影響がないかということについては、ぜひ頭の片隅に置いて御議論いただければと思います。
すみません。長くなりましたが、以上でございます。
○酒井座長 ありがとうございました。あとお一方、オンラインから手が挙がりましたので回します。井上委員、どうぞ。井上委員、手が挙がっているようですが、いかがですか。
○井上委員 ありがとうございます。皆様のご発言と重複する部分があり、挙手は取り下げたつもりでしたが、では、最後に私から2点ほどお話しさせていただきたいと思います。まず、自動車リサイクル法施行から20年ということで論点をまとめていただき、ありがとうございました。大変重要な観点が整理されていると思いました。
1点目としてリサイクルに関してですが、熱回収の割合が非常に高い点は課題であると感じます。マテリアルリサイクル率は約30%程度で、プラスチックに限ると1.5%にとどまっており、極めて低い水準です。例えば再生プラスチックに関しては、事業採算性が低いということもあってなかなかうまく進まない面もあるのでしょうが、その率を上げていく仕組づくりが急務だと思います。設計段階で回収しやすい構造にしていくなどの取組も今後さらに重要になってくるのではないかと感じております。
2点目ですが、資源回収インセンティブ制度が2026年4月から開始されます。以前にも申し上げましたが、より多くの中小企業を取り込んでいくことが今後ますます重要になってくると思います。そのためにも、コンソーシアムのまとめ役となる企業を増やしていく取組が大切となってきますが、現段階でどの程度進んでいるのか、進捗状況をもう少し示していただけるとありがたいと思いました。以上です。
○酒井座長 どうもありがとうございました。それでは、時間が押しておりますけれども、後半も非常に重要な御意見をいただいていますので、今度は環境省・河田資源循環制度推進室室長から、そしてその後、経産省にマイクをお渡ししたいと思います。よろしくお願いします。
○河田資源循環制度推進室室長 そうしたら、環境省からまずコメントさせていただきます。非常に多くの御意見やコメントをいただいたと思っておりますが、前半に答えさせていただいた話と重複する部分がたくさんあると思いますので、それ以外の部分について1点、触れておきたいこととしましては、嶋村委員からありました、LiBの船舶輸送について、事務局から検討の進捗等を御報告させていただきたいと思います。車載用のLiBに限らず、LiBの火災事故は今、非常に社会問題化しているところもあります。そうしたものであるという認識はしっかりとしていく。一方で、船舶輸送における発火を防止するために関係規定に基づき適切に梱包等をすることが必要だということでございます。これまでに啓発用のチラシの作成等を行っておりますし、関係機関との情報共有に適切に対応してまいりたいと考えてございます。引き続きそれにとどまらず、この取組についてはどんどん強化していくことが必要になろうかと思いますし、船舶輸出のみならず、LiBが将来もたらすであろうことについては、しっかりと今回の見直しの中で議論させていただければと考えてございますので、引き続き皆様の御協力をお願いしたいと思ってございます。
以上です。
○酒井座長 では、お願いします。
○宮越自動車リサイクル室長 ありがとうございます。時間の関係上、全てにお答えできないことを、まずおわび申し上げますが、貴重な御意見として全て参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。何点か、いただいた点について御回答させていただきます。
まず不適正解体業者に対する知識・技能要件について、外国事業者に対する対応ができるようにという御指摘でしたけれども、既にJARCでも多言語に対応したガイドラインをつくっていただくなど、非常に多くの言語で対応していただいているわけですが、ここを今後要件の中に取り入れるかどうかというのは、ほかの条件等も考えて事務的に、また運営的に可能かということを併せつつ、ぜひ検討させていただきたいと思います。
それと、先ほどバッテリーについて自動車以外への活用という話がございました。これは当然、広く自動車向けに、例えば定置用など、そういった方向への活用も世の中でいろいろ議論されているわけですが、他方で取り外したLiBを車載以外の用途に転用する場合、いろいろとリスクもありまして、当然、発火のリスクや、製造者責任の関係もありますし、なかなか難しい問題もあるかと思っております。あくまで再利用側での安全性の知識なども不可欠になりますので、そういった視点を踏まえて議論・検討していければと思っております。
それと、ASRチームの件について統合というお話がありました。この問題は自リ法が始まった当初からの問題と認識しておりまして、途中で統合することについて独禁法上の問題がないかなど、いろいろあるのですが、これは資源回収インセンティブを進めていく上でも、あるいはほかの問題についても、非常に重要な問題と思っておりますので、もう一度事実関係も、また公取、当局との関係も含めて整理しつつ、検討していきたいと思っておりますので、どうぞ議論をよろしくお願いいたします。
すみません。以上になります。ありがとうございました。
○酒井座長 どうもありがとうございます。後半の御意見、御質問に関しては十分に対応し切れないところがあろうかと思います。次回の合同会議に向けて両省、御準備いただきますので、それで御了承いただければと思います。
それでは、今日の議論の全体をお聞きいただいて、産構審の自動車リサイクルWGの山本座長から御意見を承りたいと思います。お願いします。
○山本座長 どうもありがとうございました。時間もないと思うので一言だけ。
資料6の2ページにある主要な論点は非常に重要かなと思っています。その中であえて濃淡をつけるとすれば、最初の①「使用済自動車にかかる動向把握」が非常に重要かなと思っていまして、その後の商流をつかんでいくという意味で、ここの部分が分かると、例えばその下の解体業者の実態把握や、隣の自動車リサイクルの高度化、再生プラスチック流通量拡大など、いろいろな点が前向きになるのではないか。とりわけ800万台以上つくっている自動車が200万台しか残らないのが、ASRからのマテリアルリサイクルを増やすということよりも、ここで最初に輸出される自動車が減るということになって国内で処理されれば、再生材として自動車由来のプラスチックが10%でも20%でも増えれば、随分違うのではないかと思います。ぜひ①の動向把握をやっていただければと思っています。
以上です。
○酒井座長 どうもありがとうございます。
それでは、初回ですが、私も委員の御意見を聞いた中で1点だけ所感を述べさせていただきます。
途中で嶋村委員から、この委員の中でASRを見たことがある人がどれだけいるかという御指摘がございましたが、相当多くの方は実際に直面して、そして悩んで、取り組んでこられている方々だと理解しております。そういった意味では、現状のリサイクルを前提に今後のリサイクル制度をどう考えていくのかということが問われているのではないかという思いも持っております。その中の取組の1つが、資源回収率ということで、前段で資源回収率の高いものをできるだけどう回収していただいて活用するかという取組と理解する側面も持たねばならない。さはさりながら現状のASRの排出を適正に処理していくという観点も必要である。こういう立ち位置かと思いますので、この辺りはできれば委員共有の見方として議論させていただくことができればありがたいと思っています。これが最後の私からの希望でございます。
それでは、時間が押して申し訳ございませんでしたが、この辺りにさせていただきたいと思います。本日は大変有意義な御意見を多数いただきまして、ありがとうございました。議事進行を事務局にお返ししたいと思います。
○河田資源循環制度推進室室長 本日はお忙しいところ、活発な御議論及び円滑な進行に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
最後に、諸般の事情でオンラインからになりますけれども、経済産業省製造産業局自動車課長の伊藤より一言、御挨拶を申し上げます。
○伊藤自動車課課長 経済産業省自動車課長の伊藤でございます。本日、車関係で、日米関係等でいろいろ動きがあった関係でリアルでの出席がかないませんでした。オンラインということで御容赦いただければと思っております。
酒井座長、山本座長をはじめ委員、オブザーバーの皆様におかれましては、本日、本当に長時間にわたって御出席、また貴重な御議論をいただきまして、ありがとうございます。自動車リサイクル制度施行から20年ということで、制度の安定的な運用もやってまいりましたけれども、その上で使用済自動車の不法投棄・不適正保管車両の大幅な減少、ASRの再資源化率の向上など、主要な課題に対して着実な成果を上げてきたということは、まずこれまでのところで1つ言えるだろうと思っています。関係者の皆様の継続的な御尽力のたまものだろうということで、改めて深く感謝を申し上げたいと思います。
一方で、本日、多々御議論いただいているかと思いますけれども、目下の課題といたしまして、国内での使用済自動車の減少、それに伴う解体・破砕業界への影響、使用済自動車の不適正処理への対応、こういった自動車リサイクル制度のもともとの根幹に関わる課題が顕在化しているということだと思っています。加えまして、制度のさらなる高度化に向けて、再生プラスチックの流通拡大、電動車への対応、そういった中長期的な視点での取組も求められているところでございます。こうしたことがカーボンニュートラル、あるいはサーキュラーエコノミーの実現に向けた重要なステップだと思っていますので、制度の進化を求められる機運に今この自動車リサイクル制度はあるのだろうというのが我々の認識だということでございます。
こうした制度の改善、あるいは高度化を図っていく上で、動脈と静脈の連携の下で国内における循環経済市場の形成、産業化・競争力強化の2つをいかに両立させていくかということが重要な課題なのだろうと思っております。とりわけ地域に根差した中小企業等の事業者が制度の変化から取り残されることのないように、誰もが参加しやすくて持続可能である仕組みづくりと支援体制が求められていくのだろうと思っております。経済産業省、環境省が連携いたしまして資源回収インセンティブ制度の導入、資源有効利用促進法の改正などを通じて、制度の高度化を図るとともに、多様な事業者が対応できる事業性の高い施策の執行、支援を続けてまいりたいと考えているところでございます。
ぜひ本日の議論を起点といたしまして、今後数か月にわたって委員の皆様の幅広い視点と御知見をいただきながら、制度のさらなる発展に向けて検討を進めていきたいと思っております。長丁場となっていきますけれども、引き続き皆様の御協力と御指導を賜りますよう、よろしく申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
○河田資源循環制度推進室室長 ありがとうございました。
本日の資料につきましては、既にウェブサイトに公開させていただいております。また本日の議事録につきましても後日、各委員に御確認いただいた上でウェブサイトにて公開させていただきますので、御了承をお願いいたします。次回の審議会については、説明をさせていただきましたけれども、関係団体へのヒアリングということで、来月14日13時というのが1つ予定されてございます。
それでは、本日の会議はこれにて終了とさせていただきます。ありがとうございました。
まず開催に当たり事務的な事項を御案内、御報告申し上げます。
本合同会合は両審議会を合わせまして22名の委員及び4名のオブザーバーで構成されてございます。本日は20名の委員及び3名のオブザーバーの方に対面及びオンラインにて御出席をいただいてございます。なお、産業構造審議会自動車リサイクルWGにおいては7名の委員に御出席をいただいておりまして、定足数である過半数に達していることを御報告いたします。なお、中央環境審議会自動車リサイクル専門委員会におきましては、定足数の規定はございません。
続きまして委員の構成変更及び出欠についての御報告をさせていただきます。まず産業構造審議会におきまして、日本自動車工業会の伊藤委員が退任されてございます。中央審議会におきまして三重県資源循環推進課長の中島委員に代わりまして窪田委員が着任されてございます。川崎市廃棄物指導課長の木下委員が退任され、名古屋大学教授の内記委員が着任されてございます。
大変恐縮ながら、本日新たに着任されました委員におかれましては一言、御挨拶をお願いいたします。まず窪田委員からお願いいたします。
○窪田委員 では、座って失礼します。三重県庁の窪田と申します。自動車リサイクル関係の法律を所管している部署におりまして、廃棄物処理全般を担当しておるところになります。自治体から私一人になってしまっておりますので、忌憚のない議論をさせていただければと思っております。よろしくお願いします。
○河田資源循環制度推進室室長 続きまして、内記委員、お願いいたします。
○内記委員 名古屋大学の環境学研究科から参りました内記香子と申します。環境学ですけれども、私自身は通商や貿易が元の専門で、経産省の産構審の貿易分科会で去年まで10年ぐらいお世話になっておりました。環境省とのこういう合同の委員会は初めてですけれども、通商や産業関係もやっていたということで、いろいろな側面から議論できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○河田資源循環制度推進室室長 続いて出欠について御報告いたします。早稲田大学の所委員、日本自動車連盟の野津委員、日本自動車整備振興会の島オブザーバーから御欠席の御連絡をいただいてございます。なお、オンラインで参加の織委員におかれましては、所用のため14時半頃に退席される予定でございます。
それでは、第60回合同会議の開会に先立ち、環境省環境再生・資源循環局資源循環課長の相澤より一言、御挨拶を申し上げます。
○相澤資源循環課課長 環境省の相澤でございます。着座にて失礼させていただきます。
皆様におかれましては、日頃より環境行政に御理解、御協力をいただきまして、また本日は非常に足元が悪い中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。審議会開催に当たり一言、御挨拶をさせていただきます。
環境省では循環経済の推進に向けて今年7月に組織を再編させていただきました。そして新たに資源循環課という課を設けさせていただいて、その課の下に自動車リサイクル制度を所掌する資源循環制度推進室という室を設置いたしました。資源循環課の課長を私が、資源循環制度推進室の室長を河田が務めさせていただいているところでございます。
おかげさまで自動車リサイクル制度は今年で施行から20年という節目を迎えさせていただきました。私も自分自身は直接携わってはいないのですけれども、法施行して1年ぐらいたったときに当時のリサイクル推進室に着任しまして、隣で自動車リサイクル制度が動いていくのを見て、こういうふうに自動車リサイクルは進んでいくのだというのを当時も見ていた覚えがあって、感慨深く思っております。この20年、自動車リサイクル制度はその機能を一定程度、果たしてきたと考えております。
ただ、いろいろ国内外の状況が最近、目まぐるしく変わってきています。CASEやMaaSといった産業側の動き、技術革新、我々も非常に関係しているネットゼロの実現に向けた対応。また、欧州がELV規則案を今、出して議論に入っているところでございます。そういった資源安全保障の観点なども含めた大きな動きがある状況だと思っております。
環境政策は、昔はどちらかというと環境省が行っていく専門分野的なイメージがありましたけれども、今年の夏が非常に暑かったということが御記憶にあるかと思います。暑かったというか、まだ暑いというのが現状ですけれども、平均気温が平年比2.36℃を超えて、日本最高気温を記録したということが話題に上がっております。脱炭素や気候変動の影響も出てきております。だから、逆に今やらなければいけないのが分かっているからこそ、脱炭素にしろ、資源循環にしろ、生物多様性の保全にしろ、それをビジネスにして産業と環境を両方とも併せて進めていくという状況になって、むしろ成長の源としてどう使っていただくかという時代になっていると思っております。ですから、環境省としましても安全保障や産業振興の観点をちゃんと頭に置いて、経済産業省とも連携して政策を進めていかないといけないと思っているところでございます。
今年の審議会の場では、こういった環境変化も踏まえまして、自動車リサイクル制度の在り方について見詰め直して、そしてよりよい制度となるような御議論をいただければと思っております。委員の皆様におかれましても、様々な観点から忌憚のない御意見を賜れればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございます。
○河田資源循環制度推進室室長 続いて、資料の確認をいたします。資料は1から7、参考資料についても1から7がございまして、事前に御案内いたしましたとおり、経済産業省、環境省のホームページにて掲載をしてございます。対面で参加の委員におかれましては、資料1から7を印刷して配布させていただいておるところでございます。
オンラインで参加の委員の皆様におかれては、御発言をされる場合を除きマイクをミュートとして、ビデオもオフでお願いいたします。御発言の際にはマイクのミュートを解除しビデオをオンにして御発言をお願いいたします。
なお、本会議はYouTubeによるライブ配信をさせていただいてございます。
それでは早速、議事に入らせていただきたいと思います。これ以降の議事進行については酒井座長にお願いいたします。
○酒井座長 ただいま御紹介いただきました酒井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今回のこの自動車リサイクル合同部会の背景は、今、相澤資源循環課課長から御紹介があったとおりでございますが、この部会の運営の立場からいたしましても、例年行っている自動車リサイクル制度のモニタリングとしての機能、その機能としての合同部会の位置づけに加えまして、20年経過のこの制度のレビューという側面も強くあろうかと思っております。世界の循環経済や脱炭素への取組との関係でこの制度をどう見ればいいのかという観点も重要ということで、運営に努めたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、本日の議題でございますが、資料1の議事次第のとおり、「自動車リサイクル制度の評価・検討について」となっております。令和3年7月に取りまとめられましたこの制度の施行状況の評価・検討に関する報告書の中で、この自動車リサイクル制度について5年後をめどに評価・検討を行うことが適当であるとされておりました。本日の合同会議から数回にわたり議論を行うこととなりますので、よろしくお願い申し上げます。本日は関連する資料について事務局から説明を行っていただき、委員の皆様方から御意見をいただければと思っております。
それでは、資料3から7までそれぞれ、資料3でこの制度の評価・検討について、資料4で制度の現状、資料5で制度の施行状況の評価・検討に関する報告書のフォローアップ状況、資料6でこの自動車リサイクル制度の評価・検討における主な論点案を事務局のほうで準備いただいております。さらに資料7で今後のヒアリングの進め方について、順に事務局より説明をお願いいたします。御質問につきましては、この資料4から7の説明が一通り終わった後にまとめてお願いいたしたいと思っております。
それでは、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○髙倉自動車課課長補佐 それでは早速、資料3から順を追って事務局から説明させていただきます。
まず資料3を御覧ください。「自動車リサイクル制度の評価・検討について」という資料になります。
今般こちらの合同会議におきまして、自動車リサイクル法制定20年のレビューを実施いたします。先ほど座長からも御説明がありましたとおり、今回この検討・評価を行いますのは、前回15年レビューの報告書におきまして、遅くとも5年後をめどに速やかに評価・検討を行うとされておりまして、今般これに基づきまして以下の内容で検討を実施いたします。
まず1つ目の項目、「検討のスケジュール(案)」ということで、本日第1回目のキックオフとしまして、ここに記載しております3つの項目について事務局から報告し、特にその中でも3つ目の「自動車リサイクル制度の評価・検討における主な論点」という資料につきまして御議論いただきたいと考えております。その後、次は10月になりまして、「義務者・関連事業者等へのヒアリング」となっておりますが、こちらのヒアリングを行います。さらにその後、「論点整理、方向性についての検討/報告書とりまとめ」と続けていきまして、最大で8回程度の会議を開催したいと考えております。
次に「2.主な論点(案)」ということで、前回15年レビューでは、自動車リサイクル制度の発展に向けて関係者が行うべき取組について議論・提言をしていただきましたが、今回の20年レビューの検討におきましても、引き続き、自動車リサイクル制度の安定的な維持・発展に向けて、以下の3つの項目に基づいてヒアリング及び検討を行います。
1つ目が、制度の安定化・効率化、2つ目が、国内資源循環の推進、3つ目が、変化への対応と発展的要素、という項目になります。これらの各項目につきまして、それぞれの内容に基づいて、さらにその下にありますように、関係者の方々からヒアリングを行う予定としております。今申しました3つの項目の詳細、それからヒアリングの詳細に関しまして、この後、改めて説明させていただきます。
それでは、続きまして資料4の御説明に移ります。資料4を御覧ください。
今御覧いただいておりますように、「自動車リサイクルの現状」ということで、この後、議論いただきますが、それに関係しますデータやファクトなどをこちらの資料4で整理しております。大変恐縮でありますが、時間の関係もありますので、全ページの説明は割愛させていただきまして、主に、この後、出てきます今回の論点に関係するページだけ説明させていただきたいと思います。
次のページを御覧いただきます。目次です。こちらの1、2、3の3つの項目で整理しておりますので、これに沿って御説明いたします。
3ページをお願いします。まず1つ目、「自動車リサイクルを取り巻く環境」ということで、こちらから説明に入ります。
6ページに飛ばせていただきます。「使用済自動車の発生台数」という統計になります。自動車リサイクル法制定前は、使用済自動車の台数としまして400万台程度を想定しておりましたが、実際にここ数年間、こちらのグラフで御覧いただけますように減少傾向にありまして、直近の昨年度では256万台という落ち込みを見せている状況です。
次に8ページをお願いします。「中古車の輸出台数」という統計になります。平成20年度、21年度辺りはリーマンショックの影響で一次減少しておりますが、その後、回復しまして、昨年度はさらに記録を更新して、中古車の輸出台数は過去最高の184万台という台数になっております。
10ページをお願いします。「自動車の長期使用の状況」ということで、自動車の長寿命化の影響で、こちらの数字は毎年、伸びている状況です。昨年度は17.0年という長寿命に達しているという状況を表しております。
11ページをお願いします。こちらは「全国における不法投棄・不適正保管の状況」ということで、自リ法施行の直前からこういった不法投棄等の車両の整理が進みまして、さらに法律の施行によりまして使用済自動車の流通価格が上昇しましたために、引取業者への適切な引渡しが進み、こういった車両の台数が大幅に減少しております。近年は引き続き約5,000台程度の数字で推移している状況が御覧いただけるかと思います。
次に14ページをお願いします。大きな柱の「2.自動車リサイクル制度の状況」について御説明いたします。
16ページをお願いします。「登録・許可の状況」というデータになります。自動車リサイクル法では、引取業・フロン類回収業は自治体への登録が、解体業・破砕業は自治体の許可が必要となっております。これらの事業者数は、御覧いただけるように全体的に減少傾向になっておりまして、令和6年度の解体業の許可事業者数は4,100事業者、破砕業者数が1,000事業者という数字となっております。
17ページをお願いします。「自治体の行政処分の状況」ということで、関係事業者の不適正な処理等は、都道府県や保健所設置市等が法に基づく行政処分等により対応しておりますが、こちらは平成21年度以降、減少しているという状況が見ていただけるかと思います。
19ページをお願いします。次に「ASRのリサイクル率」ということで、ASRはマテリアルリサイクルとサーマルリサイクルの2つが行われておりまして、こちらのリサイクル率という数字はこの2つのリサイクルの両方を合わせたものの割合となっております。平成19年度以降リサイクル率は年々上昇傾向がありまして、平成29年度に98%を超えた後は、平成30年度から少し減少しまして、THとARTの2つのチームがございますが、近年では両チーム共に96%前後という数字になっています。
22ページをお願いします。次もASRに関しまして、「ASRの再資源化の状況」です。右側の表が、令和6年度の実績を示す表ですが、御覧いただけますとおり、マテリアルリサイクルが28.8%、熱回収(サーマルリサイクル)が67.8%となっています。左側の表、平成25年度の状況に比べまして、マテリアルリサイクルとしては、セメント類が大幅に引き上げて推移しているという状況が見ていただけるかと思います。
25ページをお願いします。こちらは「全部利用による処理状況」のデータです。廃車ガラの全部利用には、認定全部利用者や、認定を受けずに電炉に投入する事業者、輸出を行う事業者などの非認定全部利用者の2つがございます。これらのうち、最後に申しました輸出を行う業者への引渡しが、下のグラフの黄緑色のところですが、増加傾向にあるというところが見ていただけるかと思います。
次に36ページをお願いいたします。「リサイクル料金返還」についてです。自動車リサイクル法の規定に基づきまして、リサイクル料金が預託されている自動車の所有者は、自動車の輸出をした場合に、預託金を取り戻すことができるという規定になっております。こちらに基づきまして、令和6年度は204億円が返還されているという状況を示しております。
次に37ページをお願いいたします。「特預金の発生状況」についてです。例えば事故でエアバッグが展開してしまった場合、再資源化の処理が不要となりますので、そういった場合ですと、その分の預託金が特預金として扱われるという規定になっております。令和6年度末時点で、利息も含めた特預金の残高が240億円になっているという状況を示しております。
最後ですが、38ページをお願いします。「移動報告の遅延発生状況」です。使用済自動車の引取り・引渡しを行った際は、自動車リサイクルシステム(JARS)で移動報告を行っておりますが、その報告に遅延が発生した件数が令和6年度で27万件となっているという状況をこちらで示しております。
この後、「3.自動車リサイクル関連取組の状況」という項目がありますが、大変恐縮ですが、こちらは割愛させていただきます。
駆け足となり恐縮ですが、以上を資料4の説明とさせていただきます。
続きまして、資料5です。今御覧いただいております資料5の説明を続けてさせていただきます。こちらも、大変恐縮ですが、特にこの後の議論、論点で重要な点だけをピックアップして簡単に御説明させていただきます。
まず表紙です。「自動車リサイクル制度の更なる発展に向けた具体的取組とフォローアップ」ということです。こちらの資料は5年前の15年レビューのときの評価・検討報告書において御提言をいただきました各内容に対して、その後この5年間で行ってきた取組・成果などにつきまして取りまとめたものとなっております。
次のページ、1ページが目次です。15年レビューのときも見ていただいていますように、3つの大きな柱と、その中の10個の論点を整理しております。今からこのそれぞれの成果についてかいつまんで御説明いたします。
2ページをお願いします。まず1つ目の大きな柱です。「1.自動車リサイクル制度の安定化・効率化」ということで、ここでは法律の施行以来、継続的に運用されています自動車リサイクル制度そのものに関する課題や解決していくべき問題について取り扱っております。6つの課題をここでは挙げております。
そのうちの1つが、このページの「(1)ASRの円滑な再資源化」です。全部再資源化の取組の基本といたしまして、解体・破砕段階においてプラスチックやガラス等の素材を回収することで、ASRの量を減らすことができるという考えの下に、ASRのリサイクル料金を原資として事業者にインセンティブを与える制度を開始すべきであるという御提言をここではいただきました。
それに対しまして、その後の対応として、下から2番目の段落以降に書いていますが、資源回収インセンティブ制度というものを立ち上げました。こちらの制度設計を行って、実務関係者との対話、ガイドラインの作成等をこの5年間で進めてまいりまして、実際にこの制度を来年4月から開始する運びとなっております。
次に5ページをお願いいたします。「(2)リサイクル料金の適切な管理・運用」になります。これにつきましては、再資源化等預託金の余剰部分を所有者の負担軽減に活用するために、自動車メーカーが預託金の払渡しを請求する際に、全額を請求するのではなく実費分のみを請求し、その余剰部分を特預金に位置づける方式を検討すべきではないかという御提言でありました。
これに対しまして、現在、来年1月から稼働予定のJARSのシステム大改造を進めておりまして、これに合わせまして、先ほど申しました全額請求ではなく実費分のみの請求ということに関する必要な法整備等を進めるべく今、具体的な検討を進めている状況になります。
次に10ページをお願いいたします。「(4)自動車リサイクル法の適切な執行」になります。これは不法投棄や不適正保管車両への対応、廃車ガラ等の不適正な輸出等に対応すべく、自治体の指導監督を強化すべきではないかという御提言に基づいております。
こちらの御提言を受けまして、令和6年度には5つの自治体で173台の不適正車両等の撤去を完了いたしました。また、自動車リサイクル法の実態を把握するために例年行っております自治体向け調査がございますが、こちらで自治体の指導・助言に関する追加調査の実施などの取組を行ってきております。
続きまして16ページをお願いいたします。2つ目の大きな柱になります。「2.3Rの推進・質の向上」ということで、この2.では、国内外におけるサーキュラーエコノミー、すなわち資源循環経済へと向かう社会全体の動きを見据えまして、自動車リサイクル制度が対応していくべき方向性を提言していただきました。その中の1つ目が、「(1)再資源化の高度化」になります。ここでは、技術的にリユースやリサイクルが可能となるような環境配慮設計や、Car to Carリサイクル等の再生資源利用の推進など必要な技術開発等を進めるべきではないかとの御提言をいただきました。
これに対しまして、自動車リサイクル設計事例集の作成や、自工会におけるサスティナブルプラスチック利用率の自主目標値の設定、産官学コンソーシアムの立ち上げ、サーキュラーパートナーズ自動車領域WGの開催などをしてきております。
次に19ページをお願いします。ここではリユース・リビルド製品の利用促進等の方策を検討すべきとの御提言を受けて、それに対応したものになります。
業界団体であります日本自動車リサイクル部品協議会におきましては、加盟11団体のシステムをつなぎまして、リユース・リビルド部品の大規模な流通取引を実現しております。
さらに、新たな団体を加えることで、12団体・約500社という規模で在庫商品情報を共有化した、ARPN(オールリサイクルパーツネットワーク)という大システムを稼働させております。そういった成果を上げております。
次に22ページをお願いいたします。3つ目の大きな柱になります。「3.変化への対応と発展的要素」になります。この3.は、1つ目の柱、2つ目の柱とはさらに違う観点から、今後、カーボンニュートラルの実現や電動車の推進、さらに国際貢献などの将来を見据えた活動に取り組んだ成果となっております。
1つが、ここにございますように、今後の電動化により自動車の蓄電池が一層活用されることを受けまして、それらを適切に処理できる回収・リユース・リサイクルのための技術開発や体制整備を検討すべきではないかとの御指摘をいただきました。
それに対して、1つは、自工会において、使用済LiBの共同自主回収スキームをセーフティネットとして立ち上げまして、実績として令和6年度には1万3,200個の使用済LiBを回収したという成果を上げております。
以上、駆け足で大変恐縮ですが、15年レビューのときの御提言に対する成果の御説明をさせていただきました。以上、資料5の説明とさせていただきます。
○河田資源循環制度推進室室長 続いて資料6の御説明に入らせていただきたいと思います。資料6は、自動車リサイクル法施行20年目の評価・検討において、委員の皆様に御議論いただきたい主な論点案についてまとめたものでございます。
まず2ページを御覧ください。自動車リサイクル法は、資料4で御説明等がありましたけれども、適切に執行され順調に推移してきたという背景はございますけれども、前回の評価・検討における提言、並びに近年の資源循環をめぐる国内外の動き等を踏まえた上で、「1.制度の安定化・効率化」、「2.国内資源循環の推進」、「3.変化への対応と発展的要素」という大きく3つの柱につきまして、10項目の論点を提示させていただいております。これから個別に御説明させていただければと思います。
3ページ目を御覧ください。1つ目の柱、「制度の安定化・効率化」につきまして、1つ目は、「使用済自動車にかかる動向把握」ということで、オートオークション等における解体業者の取引動向も含むということになってございます。使用済自動車の発生台数については、令和6年度は約256万台となってございます。これは、制度開始後のピークである平成21年度の392万台から見ると35%の減少という形になっています。令和に入ってから毎年、減少する傾向になってございます。解体・破砕業界にとって使用済自動車の入手が大きな課題となっているのが現状になってございます。これは、国内の新車販売の減少、並びに円安による中古車の輸出増加等、こういったことが背景にあると認識してございますけれども、また中古車輸出に加えて、廃車ガラの輸出も増加しておりますし、右下の写真のように、一部には法令違反が疑われるものもございます。このような動向に加えて、外国人事業者の増加や、解体業者が主にオートオークション経由で使用済自動車を入手しているといった近年の状況を踏まえ、まずは今年度、実態把握として解体業者の操業実態や廃車ガラの輸出実態、またオートオークションの取引実態に関する調査を行うこととしてございます。使用済自動車の減少は、許可を受けた解体・破砕業者の数・規模に影響するものと考えられることから、自動車リサイクル制度の適切な執行にも影響を与えるものであると認識してございます。調査によりまずは実態を把握した上で、必要な対策について議論をすべきではないかという論点になってございます。
次の4ページには、中古車輸出台数や廃車ガラの輸出台数の動向といった参考資料を掲載してございます。適宜、御参照いただければと思います。
続きまして5ページを御覧ください。2つ目の論点として、「不適正な解体業者等の実態把握と対応の検討」でございます。左下のグラフで、自治体による指導・助言件数の推移を示してございますけれども、解体業者への指導件数が多い状況は続いております。また、右下のグラフに示しておりますとおり、自動車リサイクルシステム上で移動報告のミスや遅延が発生していることも問題になっています。先ほど御説明しましたとおり、解体業者の操業実態に関する調査を実施することにしておりますので、まずは実態把握を行った上でございますけれども、なぜこのような状況になっているのかということをしっかりと分析し、必要に応じてではございますが、自動車リサイクル法でも廃棄物処理法と同様に、例えば許可基準に知識・技能要件を設ける等の対応が必要ではないかという議論を進めてまいりたいと考えてございます。
続きまして6ページ目を御覧ください。3つ目の論点になりますけれども、「リサイクル料金の適切な運用と検証」についてございます。国内でリサイクルされずに海外に中古車として輸出する場合、リサイクル料金が最終所有者である輸出業者に返還される仕組みになってございます。①で御説明しましたオートオークションにおいて、解体業者については最終所有者兼引取業者となりますので、リサイクル料金を負担して応札している一方で、輸出業者には中古車輸出によりリサイクル料金が還付されるという状況になってございまして、解体業者が使用済自動車を入手することが難しくなっているという声が上がってございます。昨年度は輸出返還の総額が200億円を超える状況になっております。輸出返還につきましては、前回の評価・検討の中でも論点になっておりましたが、輸出返還をやめる場合においてはリサイクル料金制度を大きく変える必要があるということで、実現が難しいということから、前回見直しの際には見送りとなってございます。自動車リサイクル法ができて20年間続いている制度でもありますので、この輸出返還自体をやめることは難しいのではないかというのは変わらないとは思いますけれども、引き続き見直しを求める声があるというところで論点として提示させていただいてございます。オートオークションにおける競争の平等性を確保するという問題の本質に立ち返って議論が進められればと考えてございます。
では、次の7ページ目を御覧ください。こちらは、預託されたリサイクル料金のうちリサイクルの過程で使われなかったものについては、「特定再資源化等預託金(特預金)」について、自動車リサイクル促進センターが、離島対策支援や情報システムの改修等に活用してございます。特定再資源化等預託金の使途として、今後どのようなものが考えられるかということについて皆さんの御意見をいただければと思っております。
続きまして8ページ目を御覧ください。4つ目の論点になりますけれども、「不法投棄・不適正保管車両及び被災車両の適正処理」についてということでございます。自動車リサイクル法ができた経緯として、不法投棄・不適正保管車両の問題がございました。法施行当初から比べると約98%減少したところでございますが、不適正保管車両等が近年、約5,000台ということで横ばいが続いておる状況でございます。また、災害の増加に伴い、被災車両の処理についても問題となっておりまして、昨年発生しました能登半島地震においても、焼損車を関係者が連携して、環境省の補助金を活用しての処理をやりましたけれども、今後も被災車両が発生し得ることから、不法投棄・不適正保管車両と併せて円滑な処理のためにはどのような対応が必要かということを論点とさせていただいてございます。
続きまして9ページを御覧ください。5つ目の論点となりますけれども、「情報システムの効率的な活用」でございます。現在、自動車リサイクルシステムの改修を行っておりますけれども、来年1月にリリースが予定されてございます。自動車リサイクル制度のさらなる発展のために、こういったシステムに蓄積された情報の利活用を進めるべきではないかという論点でございます。
では、続いて10ページをお願いいたします。2つ目の柱、「国内資源循環の推進」に移ります。6つ目の論点になります。「自動車リサイクルの高度化」についてでございます。ASRの再資源化率が95%以上で順調に推移しており、法の目標を達成しているところでございますけれども、熱回収が約7割を占めており、プラスチックのマテリアルリサイクル率は1.5%にとどまっているという状況になってございます。自動車リサイクル法は、熱回収とマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルといったものが同等に位置づけられているところではございますが、他の個別リサイクル法を並べてみても、熱回収が再資源化の定義には含まれていないという状況もありますし、プラスチック資源循環法においては、マテリアルリサイクルは熱回収よりも上位に位置づけられておるという状況でございます。こうした状況で、我が国は循環経済への移行という国家戦略を掲げており、循環経済への移行に向けて、次ページ以降でまた御説明しますけれども、再生プラスチックの流通量拡大に向けた様々な取組を進めているところでございます。こうした取組が進められていることを考慮して、さらに代替熱源の確保にも十分留意しつつ、リサイクルの高度化に向けた取組をさらに評価していくにはどのような対応が必要かという点について議論を進めていきたいと考えてございます。
続きまして11ページ目を御覧ください。7つ目の論点になります。「再生プラスチックの流通量拡大」のうち、「資源回収インセンティブ制度・地域特性等を踏まえた資源循環の推進」についてでございます。御存じのとおり、資源回収インセンティブ制度が来年4月から開始される予定となっておりまして、環境省では破砕機や分析機の設備補助といった支援を行っております。また、経済産業省においては、モデル地域を3地域ほど選定し、地方経済産業局のネットワークを活用して、地域の特性や産業集積状況等を踏まえたコンソーシアムの形成を推進するような調査事業を行うこととしてございます。
続きまして12ページを御覧ください。引き続き「再生プラスチックの流通量拡大」のうち「自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアムの推進」についてということでございます。昨年、環境省では、経済産業省や関係団体と連携して、高品質な自動車向けプラスチックの再生材流通量を拡大し再生市場を構築するための産官学コンソーシアムを立ち上げてございます。そして本年3月には、自動車向け再生プラスチックの等の供給量目標を掲げたアクションプランを策定してございます。こちらのページは、再生プラスチックの流通量拡大に向けて、今御紹介しましたような取組を着実に推進していく必要があるのではないかという論点になってございます。
続きまして13ページを御覧ください。8つ目の論点になりますけれども、「リユース可能な部品の流通促進」でございます。これまでリサイクルの高度化に関する論点を御説明させていただきましたけれども、3Rの優先順位を考えますと、自動車をリサイクルする前にリユースすることが推進されており、部品のリユースをさらに促進していくとともに、次の論点で御説明させていただきます使用済LiBについても、リユースも拡大していく必要があるのではないかという論点になってございます。
次の14ページを御覧ください。3つ目の柱、「変化への対応と発展的要素」に移りまして、9つ目の論点といたしまして、「使用済自動車由来の車載用蓄電池(LiB)の再資源化の推進」についてでございます。解体業者が取り外したLiBは、リユースできるものや資源価値のあるものについては販売されて、廃棄物として処理する場合においては、自動車製造業者等が、自動車再資源化協力機構に委託している共同回収スキームにて回収され、共同回収スキームに入っていない自動車製造者等が製造したLiBについては自主回収されて、それぞれ処分が進められております。しかし、EV用LiBの収集・運搬・処分には多額の費用を要するとも言われております。また、事故車については発火の危険性があることや回収を行っていない自動車製造業者等もいること、資源価値の高い三元系から資源価値の低いリン酸鉄系へ市場が徐々に移り変わっていることも踏まえて、今後、使用済LiBの排出量が増加することは確実視されているわけでございますけれども、製造業者等が処理費用を全額負担しているこの自主的な取組で問題がないかということについて御議論をいただきたいと考えてございます。この自主的な取組について仮に議論せずに、解体業者が使用済LiBの処理費用を負担するようなこととなりましたら、引取拒否や不法投棄が起こるという心配などがございますので、将来に向けて重要な論点であると考えてございます。
次の15ページ目は、環境省にて廃棄物処理法の制度見直しを行っておりまして、鉛蓄電池等の不適正処理を防止するための対応について議論していることから、自動車リサイクル制度との連携を図っていく必要があるのではないかということになってございます。こちらは参考でございます。
最後に16ページ目を御覧ください。「CN・3Rの高度化」ということで、カーボンニュートラルについてもしっかり見ていく必要がある。環境省では昨年度までCN・3R検討会を開催いたしまして、関連事業者向けの手引きの作成等を行ってございます。引き続きカーボンニュートラルに向けた取組を推進していく必要があるのではないかという論点になってございます。また、LiBに加えて、CFRPといった新素材やメタル等の効果的なリサイクルについても、引き続き検討していく必要があるのではないかという論点になってございます。
以上、事務局として提示させていただきましたこちらの10項目の論点案について、委員の皆様には今回の見直しで検討すべきものについて御議論をいただければと考えてございます。
引き続き資料7についての御説明に入っていきたいと思います。
こちらは「ヒアリングの進め方について」となってございまして、先ほど提示させてもらった10個の論点について、今後のヒアリングの予定が記載されてございます。2.の予定のところを見ていただければと思いますけれども、第1回、第2回ともに日付をフィクスさせていただいておりまして、現在、時間を調整中という形になってございます。ヒアリング対象としましては、ここに記載されているとおりでございますが、それぞれの先ほどの主な論点について、テーブル表の右側に並べてございますので、それと突き合わせて参照いただけたらと思います。また改めて時間等が決まり、調整がつきましたら、委員の皆様には御連絡を差し上げたいと思ってございます。
以上、事務局から資料の説明でございました。
○酒井座長 資料の説明をどうもありがとうございました。経済産業省から、そして環境省から説明をいただいております。
それでは、説明いただきました点につきまして、御質問、御意見をお願いしたいと思います。なお、御質問、御意見のある方は、会場参加の方は名札を立てて発言の意思表示をお願いいたします。また、オンラインで御参加の方はシステムの挙手機能で意思表示をしていただければと思います。順次、御指名させていただきます。なお、オンラインで参加の方は指名の後、マイクのミュートを解除しビデオをオンにして御発言いただければと思います。多くの御参加者がおられまして、時間の制約もございますので、お一方、ほぼ2分程度をめどで御発言をいただければ幸いでございます。
それでは、御発言の意思表示をよろしくお願いいたします。それでは、会場から順に回してまいりたいと思いますが、窪田委員から手が挙がりましたので、窪田委員、お願いいたします。
○窪田委員 では、私から法の安定的な運用という観点から2点ぐらいお願いをさせていただきたいと思います。
まず1点目は、今、経済産業省の説明にありましたように、解体自動車が解体業者に回ってこずに、オークションを通じてしか入ってこないということが起こっておりまして、県内の解体業者についても、車が入ってこなくてなかなか事業が成り立っていかないということが起こってきているような状況です。今のこうした状況がつづくのであれば、解体業者がいなくなっても輸出等で県内でもうまく車自体の廃棄等の処理は回っていくかと思うのですが、将来を見据えると、今ここで解体業者が解体事業をやめてしまうと、将来において使用済自動車の適正な処理が確保できないということが想定されますので、そういった点は考慮していただきたいということがまず1点です。
もう1つは、許可についてですが、どうしても海外から来られた方が解体業者では非常に多い状況になっておりまして、申請においては行政書士が申請書を作成し標準作業手順等を日本語で作って出してくるのですが、現実においてはそれを自らの意思で運用することが能力的になかなかないような状況ですので、資料6の5ページにあるように、許可に関しては一定の能力の基準は必要ではないかと我々としても思っております。特にJARCのシステムを使っていくにしても、システムの扱いが非常に難しくなっておりまして、日本人でも高齢の方はなかなか難しい状況ですので、そういったシステムや取り扱いが一定理解できて、日本語は読むことができるとか、そういったものは必ず必要になってくるのではないかと思います。
それと、今、特に解体作業場所について、施設の基準は法が施行されたときに、既存の解体業者についても一定、事業を継続いただけることが必要だったためだとは思うのですが、風雨にさらされるような状態でも、構造基準的には油水分離槽などで排水などをトラップするような方法で適合しますが、現実的には今の温暖化の影響の中でゲリラ的な豪雨など極端な現象が続く中ではなかなか対応がし切れない状態になっております。そのため新たにこれから許可を取得するような場合には、構造基準をもう少し、例えば屋根や囲いが必要であるとすることは、騒音、振動、油の流出などの観点からも必要になってくると思います。機会があるときにはぜひ見直していただきたいと思っております。
以上です。
○酒井座長 ありがとうございます。それでは、引き続いて会場のほうから、鬼沢委員、お願いいたします。
○鬼沢委員 資料6に関していくつかコメントと、希望、意見がありますので、発言させていただきます。
まず最初に説明がありましたネットオークションですが、リサイクル料金が戻ることを前提に安い価格で入札をすれば当然、国内のリサイクル事業者が、今も御発言があったように、使用済自動車を入手することは困難になってくるわけで、そういうことを考えると、今後の国内の資源循環の阻害要因にこれからもきっとどんどんなっていくのだろうと思いますので、その辺は今回しっかり検討して、何か方策を取る必要があるのではないかと思います。
それから、スライド7にありました特預金の使い方の中に、大規模災害事前対応が2017年からあって、それは非常にうまく運用されてきたと思うのですが、今回の能登半島の地震のようにこういった火災車両が出てしまったときには当然、資源循環をするに当たっても価格的にはすごく抑えられるし、本当に資源循環ができるのかどうかということもあると思いますので、事前だけではなくて災害が起きたときにはすぐにこの特預金をしっかり使って対応する。また、地域の解体業者も当然、被災しているわけですから、そういうところの対応を、特預金をうまく利用して早めに処理をする。地域の人たちにとってこういう車両が目の前にずっとあることは精神的な負担が非常に大きいと思いますので、そういったことからも、なるべく早い段階で処理ができる仕組みを作っていくべきではないかと思います。
10枚目の熱回収について、20年間で社会は大きく変わったと思いますし、廃棄物の処理に関しても熱回収が順位としてはだんだん低くなっているはずなのに、自動車リサイクルにおいては70%も占めているというのは、少し残念だなという気がしますので、今回、熱回収の位置づけをもう1回、検討する必要があるのではないかと思います。
スライド11にあります国内資源循環で、スキームの横展開は実はすごく重要ではないかと思っております。ただ、このスキームの横展開は、まずは事業者や地域でできない状況の地域にお任せでは、なかなか進んでいかないと思います。次のスライド12にあります産官学コンソーシアムの中での検討が、それに向けての非常に大きな進展になるのではないかと思いますので、この産官学コンソーシアムの中で、どういったことが阻害になっていて、横展開をするにはどうしていったらいいかということを本当に具体的に早急に検討していく必要があるのではないかと思います。
あとは、自工会がLiBの共同回収スキームをされていて、これは今、非常にうまく何とか回っていると思いますが、今後、経済的に非常に困難になることも出てくるのではないかと思います。そうなったときに、資源価値に左右されない、20年後にも持続可能なシステムにしていかないと、20年後には大量にLiBの処理が出てくるわけですから、そういったことを今から検討していく必要があるのではないかと思います。
以上です。
○酒井座長 ありがとうございます。それでは、会場で高井委員から手が挙がっておりますので、高井委員までマイクを回させていただきます。その後、オンラインで挙手いただいている方々に回すようにさせていただきます。高井委員、どうぞ。
○高井委員 日本鉄リサイクル工業会の高井でございます。質問ということではなくて御報告をさせていただいて、私どものことを改めて知っていただきたいという意図もございます。
日本鉄リサイクル工業会は、約700社の鉄リサイクル業者が集まる業界団体です。その中で破砕業者、使用済自動車を破砕している人たちも会員になっているわけですけれども、使用済自動車を破砕する破砕業者は、私どもで51社、事業所にして75事業所がございます。これは日本の自動車を破砕する破砕業者全てではありませんが、過半数が私どもに会員として登録されております。
現在の最大の課題は、先ほども説明がありましたけれども、母材である使用済自動車が大きく減少しているということです。これは、本日御説明もありましたけれども、使用済自動車の減少、輸出の増加、解体業の段階で新興の外国系に取られていくことなどが考えられます。一方、これは余談ですけれども、日本の鉄鋼生産の減少から一般の鉄スクラップも扱い量が減少しています。そういうことで、各社とも非常に苦しくて、家業を維持するのが大変ですけれども、必死に努力しているところです。
もう1つは、先ほども御説明がありましたけれども、破砕段階でのASRからのプラスチックのマテリアルリサイクルということが、私どもの大きな課題となっております。解体段階に比較すると回収量・率ともに少ないとは思うのですが、皆様の御指導をいただいてしっかり進めていきたいと思っております。
最後に、資源回収インセンティブ制度の御説明がありました。私どもはこれに注力していきたいと思っていまして、ちなみに、今週からは経産省のアンケート調査に協力させていただいております。過去には2022年にJARCの協力を得まして、この制度が発足するときに、北海道から九州まで全国7支部で説明会を企画し、全国行脚をいたしました。今後もタイミングを見てそのような行脚を行うこともやぶさかではございませんし、今後この制度の正しい、そして早期の実現に協力していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○酒井座長 どうもありがとうございました。それでは、オンラインのほうにマイクを回します。鈴木委員、室石委員、木村委員、織委員、袖野委員、松八重委員、大塚委員の順で回してまいりたいと思います。それでは、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 日刊工業新聞の鈴木です。
今の質問に関連するところで、資源回収インセンティブ制度についてですけれども、来年4月のスタートに向けて地方の経産局を中心にいろいろ周知を進めていると思います。中小事業者の参画が鍵を握ると思いますけれども、中小事業者に対する周知の進捗状況、並びに今後、産業障壁を引き下げるような取組等があれば教えていただきたいと思います。
以上1点になります。
○酒井座長 ありがとうございます。では、続きまして、室石委員、どうぞ。
○室石委員 全産連の室石でございます。2点、申し上げたいと思います。
1点目は、資料6のページ3で、ほかの方も既にいろいろおっしゃっておられますけれども、制度を守るため、あるいは国内循環をしっかりやるなど、いろいろな観点を考えても、このグラフにあるように発生台数が減っているというのは非常に大変なことだと思います。特に令和3年7月の報告書のときの状況だと、横ばいのような感じで受け取っていた時代だと思いますが、それが急激に減ってきているという今回の点検、検討に当たって、ぜひとも解決しなければいけないところに当たると思いますので、ここの方向性にありますように、しっかりと実態をまず把握していただいて検討していくことが非常に大事だと思います。
次にページ8ですけれども、全産連は産廃業者の団体ではございますけれども、災害廃棄物を取り扱っている方は多いものですから、そういう意味でもここにあります被災車両のてこ入れを、ぜひ対策として考えていただくことをお願いしていきたいと思います。
以上2点です。よろしくお願いいたします。
○酒井座長 ありがとうございます。それでは、続きまして木村委員から御発言いただきます。木村委員から御発言いただいた段階で一旦、事務局、経産省並びに環境省に、質問事項への回答を含めてマイクをお渡ししたいと思いますので、よろしくお願いします。では、木村委員、お願いします。
○木村委員 お疲れさまです。自治労の木村と申します。主な論点案について、自治体で働く者の立場から2点、お伝えしたいと思います。
1点目は、先ほどほかの委員の方からもございましたが、スライド5の不適正な解体業者等への対応についてであります。今回の論点においては、許可基準に知識・技能要件を設けるなど制度面からの検討が示されています。一方で、自治体の現場では、立入検査や、不法投棄・不適正保管への対応を行う際の課題としまして、ノウハウや人材の不足という運用面での課題に関する声が多く寄せられています。制度面の検討と併せて、運用面における課題の解決、制度がよりよい実効的なものとなるよう、御検討いただきますようにお願いいたします。
2点目につきましては、スライド12の「再生プラスチックの流通量拡大」についてです。国内外の情勢を踏まえて、自動車向け再生プラスチックの流通量の拡大が図られてきていますけれども、そこで課題となる自治体におけるプラスチック回収の実態を共有させていただきたいと思います。自動車向け再生プラスチック市場構築アクションプランでは、廃プラスチックの多くがリサイクル向けに利用・分別されていないという課題が挙げられています。「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」によって、徐々に住民の間に分別やリサイクルの意識が浸透しつつあることも事実でありますけれども、一方でリサイクルが可能となるルートの確保が困難な自治体も多いということもあります。例えば東京23区では、人口が多いため廃プラスチックの量も多く、回収量が多いことから、既存の処理施設で対応できない、あるいは入札金額が見合わず収集の民間業者が札を入れないため実施できていないという実態もございます。また、地方の自治体では、回収ルートに伴う中間処理施設や、分別に伴う費用がないため、燃えるごみとして回収し直すところもあるとお聞きしております。自治体の状況や財政によって運用ルールが決まることのないような対策が必要であるとも考えております。そうした実態や課題も踏まえて、全ての自治体におけますプラスチック回収の実施に向けて検討が必要だとも考えております。現状と課題について共有していただき、推進、検討をお願いしたいと思います。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○酒井座長 それでは、先ほどアナウンスいたしましたとおり、この段階で事務局に一旦マイクをお渡したいと思います。それでは、まず経産省からどうぞ御発言ください。
○宮越自動車リサイクル室長 経産省の宮越と申します。非常に多くの御意見、御指摘をいただき、ありがとうございます。
まず論点①として御指摘いただきました使用済自動車の減少に関わる問題は、先ほど委員からも御指摘があったとおり、国内資源循環の阻害要因になるということもありますし、国内解体業者への影響も非常に大きいものと考えております。他方で、国内の要因としては円安、新車販売の減少などいろいろありますし、さらに外国人事業者の参入、あるいは法令違反が疑われるような廃車ガラの輸出などいろいろあるわけですけれども、これらの個々の要因についてここまで十分な現状把握・分析ができていないという問題がまずございます。こちらについて、委員からも御示唆がありましたとおり、まず現状把握として廃車ガラ輸出の実態調査、あるいは解体業者の実態把握、また使用済自動車が最終ユーザーから解体業者に至るまでの流通経路でどういう実態があるか、さらにはオートオークションでの取引条件などのマーケットレベルの話まで含めて、総合的に調査・分析して、まずそこで実態を把握する。さらには、それについて輸出返還の話もありましたけれども、それ以外にも方法がないか、つまり、仮の話ですけれども、例えば解体業者が落とした場合にリサイクル料金を払わなくてよいなど、いろいろな制度の工夫によってまず対応していけないかということを検討していきたいと思っておりますので、活発な議論をお願いできればと思っております。
それと、論点②について、解体業者の問題として不適正保管など自治体の指摘がいろいろあって、不適正な実態があるということで、まず廃掃法では多くの自治体がJWセンターでの研修を受けているという事実がありますが、自動車リサイクル法においては、今JAERAで民間の資格制度として自動車リサイクル士制度がございます。あるいは、JARCで県レベルで連携した研修制度など、いろいろ取組が行われているわけですけれども、他方で公的資格、公的許可要件は現時点ではないのが現状でございます。これについては、御意見をいろいろいただいたとおり、例えば地方自治体に対して解体業者が新規または更新の許可申請を行うときなどに、こういった自動車解体に関する必要な知識や技能を有することを許可の要件とする、あるいは知識・技能要件と皆さんおっしゃっていただいていますが、そういった要件を制度の中に盛り込んでいけないか、あるいは法の中でそういったものを、法にもいろいろレベルがありますけれども、何かしらの形で工夫してできないかということを検討していきたいとも思っております。こちらも引き続き重要な論点として議論していただければと思います。
特預金の話は、後ほど環境省から御回答いただければと思います。
資源回収インセンティブのお話がございましたけれども、これまで資源回収インセンティブについてはいろいろな場面で、例えばJARCのホームページ、あるいは地方自治体のホームページでも周知してまいりましたし、特設サイトという形で周知していました。また地方の経産局や地方環境事務局でも説明会を実施したり、あるいは自工会でも取り扱いマニュアルを作成していただいて説明会をしたりするなど、いろいろな周知活動をやってきた結果として、徐々にいろいろと地方にも浸透していってはいます。ただ、他方で、まだ制度は分かったけれども、その先の、これはビジネスとして成り立つのか、あるいはどういったケースでうまくいくのかというところが、事業者の方々もビジネスとして見る上において、投資するか、しないかという判断において、そこは重要なファクターですが、まだそこに進んでいない。その要因としては当然、ベストプラクティスがまだできてきていないわけですから、まずはベストプラクティスを積み上げて、それをショーケースとしていろいろ広めていくということが重要だと考えております。それにおいて、今年から経済産業省では地方経産局と連携して、今始めたばかりですけれども、委託調査をやって、今回は北海道、中部、中国地方をまず対象に、その地域それぞれの特性が、物流、集積具合などいろいろありますけれども、そういったものを分析して、どういう形であれば、どういうデバイスがあればコンソーシアムがうまく組めていけるかということを調査して、それを次に横展開していくという形で周知していくことで、先ほど申し上げましたけれども、ベストプラクティスを積み上げていくことを、まず最初のステップとして考えております。
論点⑨で、LiBについて御示唆がありましたけれども、こちらの現状を申し上げますと、今、自主回収スキームによって全体の約20%が適正処理されていますし、それ以外のLiBについても、今、国内でリユース、あるいは資源化される形で処理されていますし、一部は材料もしくはリユースの形で海外に輸出されているという実態がございます。ですので、言い直すと、現時点でネガティブコストにはなっていないわけですけれども、先ほど委員からも御指摘いただきましたとおり、この先この共同回収スキームがちゃんと機能していくのか、あるいは新しいメーカーが出てきた場合に、この共同スキームと同じようにちゃんと適切な処理がされるのかという現時点の懸念があるというのも事実でございます。これに向けて今後も、自主回収スキームの外にある人たちをどうやって中に入れていくか。これは、既にJAIA(日本自動車輸入組合)でも働きかけを行っておりますけれども、さらにこのスキームについて何かしらインセンティブの仕組みなりを与えて、うまく取り組んでいってリスクをなくすという方法ができないかということも1つあります。仮にこれらに何かしらの形でストッパーをかけるとしても、産業界に与える影響も非常に大きいわけですから、その辺りのタイミングも含めて検討していければと思っております。
以上、全ての質問にまだ答え切れていないと思いますけれども、残った論点について環境省に御回答いただければと思います。
○河田資源循環制度推進室室長 そうしましたら、環境省から、ほか、御指摘があった部分について御回答申し上げたいと思います。
まず論点④で、特預金に関する被災車両へのてこ入れということがございましたけれども、こちらについて、まず事実関係、現状について少し御報告させていただきますと、被災自動車の処理については車体番号やナンバープレートが確認でき、所有者のリサイクル料金の預託状況を確認できる場合と、当該状況を確認できない場合の2つに分けられてございます。前者については、原則、所有者が処理の責任を負うということになってございますので、引取業者に連絡しての処理を依頼してございます。一方、後者の場合、自動車メーカーや輸入業者が存在しない使用済自動車と同様に、一律、いわゆる義務者不在というみなしがされますので、自リ法106条2項において残物品の処理費用はリサイクル料金の特預金から拠出するということになってございます。東日本大震災の際にはこのようなケースが大変大規模に発生し、JARC、自再協、JAERAが協力して対応していただいたところでございます。その後、発生した激甚災害においても同様の対応を行うようにしてございますし、自治体向けの被災車両の処理手引書作成や説明等についても行っているところでございます。一方で、被災車両の撤去・運搬にかかる費用については、現状ではいわゆる特預金の出捐対象になっていないということでございます。被災車両のスムーズな適正・適切な処理のためにどのような対応が必要になるかということについて、今後議論していきたいと思ってございます。
続いて論点⑥で、熱回収の位置づけをどうするかということでございます。こちらについては、説明の中でお話しさせていただきましたけれども、プラスチック資源循環法においても熱回収に対して、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルが上位に位置づけられておるということで、今後、循環経済への移行に向けてどういった取組を強化していくことが必要になるかということを、繰り返しになりますけれども、しっかり議論していくことが必要だろうと考えてございます。また、サーマルリカバリーについても技術は確立していると思いますし、国内のセメントなどの製造工程においてはそれなりに役割をこれまで担ってきたという側面はございますので、そういった位置づけについてきっちりと、両立、環境への配慮、国内産業への影響などを十分に検討していく必要が当然あると思ってございます。その上でという形になりますけれども、ASRからのプラスチックを高効率に回収するための予算的な措置や実証事業もございますし、人材の確保も今後必要になってくることは承知しておるところでございます。また、当面の取組ということでございますけれども、資源回収インセンティブ制度が来年4月から動きますが、これを着実にすることと、コンソーシアム形成への投資、またベストプラクティスの積上げを通じて、ASRの削減やリサイクルの高度化を図っていくことになろうかと考えてございます。
次いで、論点⑦で、経産省からも御回答があった部分ではありますけれども、木村委員からもプラの回収について、自リ制度というよりは自リ制度の外にはなるのですが、プラをいかに回収するかということについて、いろいろな俯瞰した見方、制度の対策は必要だろうというコメントをいただいてございます。この自動車リサイクル法の審議会とは別に、先ほど御紹介させてもらったような産官学コンソーシアムでも議論・検討を進めておりますので、そういうところを活用しながら、こういった御指摘への対応は進めていきたいと考えてございます。
以上でございます。
○酒井座長 ありがとうございます。前半でいただいた御質問、御意見への御回答を両省から的確にいただけたかと思います。
後半に移らせていただきます。それでは、後半はオンラインから、織委員、袖野委員、松八重委員、大塚委員の順でよろしくお願いいたします。それでは、織委員、どうぞ。
○織委員 ありがとうございます。私のほうは3点あります。
まず法的な安定化のところですけれども、国内解体システムの崩壊のリスクについて、先ほど委員の方もおっしゃっていましたが、これは非常に重要な問題だと思っています。解体業者数が継続的に減少していて、リサイクル還付金のインセンティブが枠外にあること、オートオークションの不公正な競争、外国資本の台頭など、国内の自動車解体システムが本当に崩壊する危機に瀕していると思います。この問題についてメーカー側の関与が20年ほど前から大きく変わっていないと思っていて、ここが一番問題なのではないかと思います。国内の自動車解体システムが崩壊していけば、それは結局、リサイクル全体のシステムの基盤を揺るがせていくとともに、自動車メーカー自体のブランド価値が損なわれることにつながっていくと思います。ですから、ここについては、メーカーが解体システムを自社の問題として捉えて、その維持・発展をバックアップしていくためにはどういったことができるのか、そういったことをぜひ議論していただきですし、そこについてメーカー側としてはどう考えていらっしゃるかという御意見をお伺いしたいと思います。具体的には国内の解体業者をいかに支援・育成していくかについて、優先的な入札制度など、検討する方法はペットボトルのときと同じようにいろいろあると思うのですけれども、それについてぜひメーカー側でどのようにバックアップ体制をしていくのか、そのことについてどう考えていらっしゃるのかという御意見を伺えればと思います。
2点目はリサイクルの問題です。現在の自リ法は、リサイクル法となっていますが、実際は適正処理を目的としている制度になっていると思います。そうした中で、プラスチックリサイクルの高度化など、戦略がつくられていますし、EUの再生材利用規制などの動きもあります。熱回収にとどまらないプラスチックの高度な資源化、マテリアルリサイクルに向けて具体的にどうやっていくかということは、これもまた結局、自動車のメーカー側の技術、あるいは再生材を使うことの安全性と資源循環をどう捉えていくのか、そのバランスをどう考えていくかというのは、まさにメーカー側から発信していただかないと制度的にもつながっていかないというところがあると思います。その再生材、マテリアルを使っていくということについて、安全性、品質、検査体制、例えば認定制度も含めて、そういったことに対してメーカーは自社の製品の組成やコストを、欧州の規制などを考慮してどう考えていらっしゃるかということについてもぜひ御意見を伺いたいし、そこが積極的な関与が必要なエリアになっているのではないかと思います。
3点目に、特預金の活用方法は、鬼沢委員もおっしゃっていましたが、すごく重要で、長年の懸念事項だと思います。今まで法律の規制があり、なかなか柔軟に対応できなかったのですけれども、制度20年の見直しという今回の機会を捉えて、規則改正にとどまらず法律改正が可能であれば、より柔軟な運用ができるような検討がされて、不法投棄対策や災害対応など、ニーズに即してその場で対応できるような形に変えていただくよい機会なのではないかと思っています。
私はついこの間までモンゴルのノモンハンに行ってきました。80年前の戦場の中で、残っている戦車や自動車は全部ロシア産でした。そこにほかの外国車では難しい道なき道を日本のメーカーの車が走っていると、モンゴルの方が「日本の技術のすばらしさがこの80年の間にこうなってくるというのは、土の中で眠っている戦士の人たちもびっくりするでしょう」とおっしゃっていたのですが、まさにこの80年というか、戦後、技術が非常に促進されています。それをリサイクルや解体業者のバックアップという中にどうやって生かしていけるのか。その辺の御意見を伺えればと思います。
以上です。
○酒井座長 ありがとうございます。では、引き続きまして、袖野委員、よろしくお願いします。
事務局、音声は大丈夫ですか。
○松下資源循環制度推進室主査 すみません。袖野委員、音声が聞こえないようですが、マイクはオンになっておりますでしょうか。
○酒井座長 それでは、事務局、確認してください。袖野委員、後でまたお願いします。次に松八重先生から御意見をお願いいたします。
○松八重委員 ありがとうございます。それでは、私も資料6の14ページ、「変化への対応と発展的要素」のところで、LiBのことで少しコメントをさせていただきます。
LiBのリサイクルに関しましては非常に重要だということで、特に不法投棄につながるようなところに関してはそれを避けるべきだということで配慮いただいていることは非常にありがたいと思っております。さらに、こういった投棄だけではなく、最近のように電気自動車がどんどん入ってきますと、以前よりもさらに希少資源の宝庫という側面が強まってきているかなと思っております。一方で、資源安全保障という側面で見たときには、この手の資源調達には今、非常に注意が払われているわけですけれども、循環資源としてこれを見たときに、国内での資源循環を考えたときに、必ずしも素材として回収してリサイクルするものばかりではなくて、国内でとどめおいてそれをリユースする、また自動車ばかりではなくて定置用の電池として再生可能エネルギーの蓄電池用としての活用を促進するという要素もあろうかと思います。ですので、自動車リサイクルにとどまらない視点で、もしかしたら関係団体との連携というところに含まれているのかもしれませんが、ぜひ長く国内でこういった資源をとどめおいて活用するというスキームも併せて御検討いただけるとありがたいかなと思っております。この辺りについて既に御検討されているのでしたら、ぜひ教えていただければと思っております。
電池に関してだけではなくほかの資源に関しましても、自由貿易の中では、解体した後、様々な部品が外に出ていくということもあろうかと思うのですが、世界的には今、資源は国際貿易の中でもかなり取り合いの状態でございますので、そういった使える資源、戦略物資として国内にとどめおくべきものに関しましては、積極的に中でうまくとどめおいて活用するリサイクルのスキーム、あるいはリユースのスキームにとどめおくような仕掛け、仕組みをつくっていくことが重要ではないかなと思っております。ほっておくと、使いやすい、価値のあるものがどんどん出ていって、使いづらいものだけが国内にとどめおかれて、廃棄物処理にコストをかけるということになってしまうことを恐れておりますので、その辺りの仕組みづくりもぜひ考えていただければと思っております。この辺りでの取組について何かお考えがありましたら、ぜひお知らせいただきたいと思います。
以上です。
○酒井座長 松八重委員、ありがとうございます。では、続きまして、大塚委員、お願いいたします。
○大塚委員 恐れ入ります。5点ほどあります。
1つは、今、松八重委員が御指摘されたことと関係しますが、LiBに関しては、省資源や経済安全保障の観点が重要ですけれども、何といっても火災が起きるという話も、今日はあまり出てきていないですが、重要です。これは拡大生産者責任との関係で、環境負荷ではないですが、重要な外部不経済として項目に挙げられる要素だと思います。そういう意味では回収スキームをつくることについて理由があるというケースになるのだろうと思います。LIBについては、三元系から、資源価値の低いリン酸鉄系に変わりつつあるのだと思いますが、日系のメーカーに関しては三元系のものが多いようですので、資源価値があるという観点からも回収を進めていただくことにメリットがあるのではないかということも申し上げておきたいと思います。
2つ目は、再生プラスチックの問題ですが、織委員も言われましたが、EUのELVの規則案ですと、6%はCARtoCARの再資源化をしなければいけないということになります。今後、EUにおいて量的に、より緩和される可能性もありますけれども、恐らく6%が少し減ってもそれは残るのだろうと思われますので、最低限それに対する対応は、今回の制度化に関して考えておく必要があるのではないかと思います。もちろんコンソーシアムのほうで自主的にやっていただければいいのですが、それで大丈夫なのかというのは、私はマテリアルリサイクルも大変でなかなか難しいと思っていますので、ここは制度化が必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。また、資源回収インセンティブ制度は、今回始まることになって大変いいと思ってはいるのですが、私が見るところ、恐らくEUのELV規則案には対応してはおらず、タイミング的にそれより前に検討されたものと考えていまして、そこのタイムラグのせいでEUのELV規則案に対応できていないのではないかということが気になりますので、この点も申し上げておきたいと思います。
それから、資料6の5ページで、先ほど来、御指摘があります解体業者の許可基準に知識・技能要件を設ける等の規律強化は、必要ならぜひやっていただく必要があると思っています。ここはどういうふうに考えるか議論があるかもしれませんが、日本語を理解できる人がそのチームに1人はいるような要件を入れられるかというのは、ぜひ検討していただければと思います。恐らく自治体が指導監督されるときに、外国人の方ばかりですと──外国人の方でももちろん日本語をしゃべっていただければいいわけですが──日本語が理解できなくて指導監督できないということにならないとも限らないので。差別とかそういうことにはならないようにもちろん気をつけていただいたほうがいいと思いますが、許可要件の中にそういうものを入れることが可能かどうか、ぜひ検討していただければと思います。
第4点になりますが、先ほど来、解体業者が使用済自動車を入手しにくくなっているという問題で、オークションとの関係等もございますが、1つ大きなポイントになるのが、輸出還付金をどうするかということだと思います。これは自動車リサイクル制度をつくったときから、自車充当であっても輸出還付までやるのかに関しては、実は相当議論があったところです。結局、輸出還付をすることになってしまっていますけれども、輸出に関しては国内の話だけではないので、また輸出に関する手続等もございますので、この点を別に扱うことは、自車充当を維持するとしても可能ではないかということをぜひ御検討いただきたいと思います。さらに、現在、利息に関してはユーザーのほうに返っていないということですので、少なくとも利息に関しては別扱いをすることは可能ではないかということを申し上げておきます。
第5点ですけれども、特預金に関しては、たくさんの方がおっしゃっていただいたように、私も災害の事前対策や災害対策などに使っていただくことを、法改正などをしてやっていただくことが必要だと思われるということを申し上げておきたいと思います。
声がおかしくて申し訳ありません。
○酒井座長 大塚委員、どうもありがとうございました。それでは、先ほどマイクの調子でお聞きできなかった袖野委員、いかがでしょうか。
○袖野委員 大変失礼いたしました。芝浦工大の袖野です。私からは3点、申し上げたいと思います。
1点目は、不適正輸出のことです。委員の方からも発言がありましたとおり、国内循環体制を維持していくというところで、廃プラスチックの輸出が問題となったときのと似ていると思っております。あのときもプラがどんどん海外へ出ていって、国内の循環体制が維持できなくなる恐れがあったわけですけれども、不適正ヤードへの立ち入りと併せて、輸出のところの水際対策も強化してしかるべきかなと思っております。ですので、バーゼル部局や税関との連携というところで、どういったものが不適正輸出に当たるのかということを明確に示して、不適正な輸出をより難しくしていくという対応が必要ではないかなと思います。窪田委員からも最初のほうで御指摘がありましたけれども、解体業者の優良化についても併せて進めていただければと思います。
2点目は、車載用蓄電池についてです。こちらも多くの意見がございましたけれども、今メーカーの自主回収という形で特に問題は起きていないという御説明がございました。EPR(拡大生産者責任)の観点で、蓄電池の再資源化技術の発展、また環境配慮設計に反映していくという観点からも、メーカーが強く関与していくことは非常に好ましい方向性かなと思っております。太陽光パネルのときに、普及に合わせて廃棄のときの問題をどうするのかというのが大きな問題になりましたけれども、EV車も今後どんどん普及していく中で、出口についてもセットで普及できるような形が望ましいと思いますので、今の段階でしっかり今後の方向性について示す、制度化していくという方向性は重要かなと思います。ですので、ここもぜひメーカーによる回収ルートも選択の1つとして残していただくような方向で制度化を検討いただければと思います。
3点目は、ヒアリングについてです。EUなどの動向で、再生プラスチックの使用義務化というお話などもございますし、国外動向についてもぜひお伺いしたいと思います。特に明示的に示されておりませんが、入っているのかなと思うのですが、自工会なのかもしれませんが、ぜひ国外の動向についてもヒアリングできればよい機会かなと思っております。
以上です。
○酒井座長 どうもありがとうございます。オンラインのほうからは5名の委員に御意見をいただきました。あと、会場のほうから3名、手が挙がっておりますので、順に御指名していきたいと思います。井岡委員、内記委員、町野委員の順でお願いいたします。井岡委員、お願いします。
○井岡委員 消費科学センターの井岡と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず資料6の最初の「20年目における評価・検討の主な論点」ということで10項目、挙がっておりますが、これはよく把握されておりまして、この10項目に、幅広く御検討していただくことを御提示されておりますが、これは適正と感じております。
あと残り2つだけ申し上げたいと思います。1点につきましては、まず資料4のスライド11に不法投棄と不定性保管が5,000台ということで、20年前よりははるかに減ってきているわけですが、ここのところ底を打って5,000台がずっと続いております。そのうち、右側の表にあります不定性保管が令和6年に少し増えているということで、ここでは各自治体がいろいろな御努力をしていらっしゃることは存じておりますし、その大変さも存じておりますが、ここはもう1つ、不法投棄ではなくて不適正保管ということは結局、業者絡みということになるのかなと思いまして、ここをもう一度見直して減らしていただきたいと思っております。
もう1つですが、資料6のスライド3で、外国人事業者の国内参入ではいろいろな問題が大きくなっているということですが、最近、外国人の在留資格が厳格化されて改正案が出ておりまして、これとどうリンクするかというのはまだ難しい問題だとは思うのですが、既存の外国人の事業者をどう適正化していくかということは、先ほどの資料6の5ページにありますような基準、知識・技能要件を設けるなどの規律もこれから必要なのではないかと思います。国内の循環を増やしていくためにも、そういう御検討もお願いしたいと思います。
以上です。よろしくお願いします。
○酒井座長 井岡委員、ありがとうございました。それでは、内記委員、お願いいたします。
○内記委員 名古屋大学の内記でございます。多くの委員から既に御指摘がありましたが、再生プラとLiBの点ですけれども、環境の問題というだけではなく、希少価値のある資源を使っていくという意味でもすごく大事だなと思っています。委員の中からも、欧州の動きとしてPPWR、バッテリー規則、エコデザインの話などもありましたけれども、1つ新しい観点からすると、欧州の流れのベースには、製品関連のデータを原料からリサイクル廃棄の中で活用していこうという産業界やメーカーの大きなメリットがあると思います。今データのマネジメントをしていく中でリサイクルや再資源化をしていく。そのデータ基盤がないと、単にコストのようになってしまうと思います。サプライチェーンの上流のほうのデータづくりは今、多分、日本の中でも、経産省でもバックアップされていろいろされていると思います。それをリサイクル、再資源化、廃棄された後とつなげて、ループを閉じるようなデータの流れにまでしていくのはすごく大変だと思うのですが、多分そこにメーカーの本当の価値が出てくると思うので、データとして見ていくという視点もあったらいいかなと思いました。コメントです。
以上です。ありがとうございます。
○酒井座長 ありがとうございます。それでは、町野委員、そして石井委員から手が挙がっていますから最後にお回ししますが、ほかはよろしいでしょうか。時間の関係もありますので、御発言の意思のある方は今、手を挙げておいてください。嶋村委員、やはり挙がりましたね。そう思って最後に聞きました。では、町野委員、どうぞ。
○町野委員 3点、申し上げます。
まず1つ目が、オートオークションの話は、ほかの委員の方も皆様おっしゃっておられましたけれども、少なくとも現状、放っておいていい問題ではないということで、これも市場で買い負けるということで、何もしなければこの状況は当面、変わらないということですので、輸出還付金の話のところにあるのか、あるいはメーカーでもっと何かやったほうがいいのか、いろいろ方向性はあると思うのですが、どこに今この現状があるのかということをもう少し分析いただいた上で適切な対策を取っていただく必要があると思います。
2つ目が、資料の5ページの「不適正な解体業者等の実態把握と対応の検討」というところで、ここは私も規律強化等について検討をぜひしていただきたいと思っておるところですけれども、一方で、参考の資料についておりますとおり、これは廃棄物処理法の関係だと思うのですが、ヤード業者の対策を並行してやっておられるところだと思いますので、自リ法の許可業者と無許可業者と両方のパターンがあると思いますし、両方あるということで資料には書かれていますけれども、どちらがより問題で、どちらの法律で対応すべきなのか。両者のすみ分けが私もいま一つよく分かっていないところもあるのですが、実態を把握した上で、法適用でそこが混乱しないような形にぜひしていただきたいと思います。
3点目はマテリアルリサイクルで、資料でいうと10ページですが、これも皆様おっしゃっていただいているとおり、自動車リサイクル制度はうまく動いているようですけれども、マテリアルリサイクルの率は上がっていかない。2025年度との比較で見ると、金属類などリサイクル率がむしろ下がっている状況にあるので、これはマテリアルリサイクルをもっと促進していくべきだということ自体は賛成ですけれども、それをどうやってやるのかというところはなかなか難しいところもあります。現行の自動車リサイクル法では、ASRとエアバッグとフロン類の3つが対象で、具体的にガラスやプラスチックなど個別の品目についての回収などの義務は課されていないので、マテリアルリサイクルはメーカーの自主的な取組に基本的にはゆだねられている状況です。そこで自主的取組でどこまでやっていけるのか、あるいは自主的取組をもっと促すような法制度にするのか、それとも新しく制度化して義務を課すのか、どこまでやればうまくいくのかということを見極めていく必要があるのではないかと思います。
以上です。
○酒井座長 どうもありがとうございました。それでは、石井委員、どうぞ。
○石井委員 自動車リサイクル機構の石井と申します。このような多くの方々が我々自動車リサイクラーのために多くの議論をしていただきまして、本当に心強く、ありがたく、うれしく思っております。
本当に我々は来年、再来年、生き残っているかどうかという同業者が今、多い状況です。オークション会場が悪なのではなくて、オークション会場から車を我々は中古車として買って、リサイクル料金を負担してというのが今できています。リサイクル料金の還付のことが議論されているのですが、今のところ鉄相場などが以前に比べると高くなっていまして、まだオークションで買える状況です。ただ、鉄や非鉄がもし下がってしまうと、完全に中古車輸出業者に買い負けるので、中古車輸出はさらに増えるといった状況になってくると思います。
我々は中古車の輸出が駄目だとは全く言っていなくて、いい車が中古車として輸出されるのは当然、相手方の国にも恩恵があることだと思っていますし、いいことだと思うのですが、廃車寸前の車が輸出されているのが問題です。これは資源安保の観点からもそうですし、相手国での日本車ブランドの失墜にもつながりますし、相手の国で交通事故、あるいは整備不良によって日本車のブランドのイメージが失墜するということで、いいことはありません。なので、ぜひ中古車輸出の点検など、中古車輸出をする前に、車検レベルとは言わないですが、ぜひそういったことをやっていただけないかなと。車検と同じレベルで中古車輸出をする前にやっていく。そういった点検をしていただきたい。そうすることによって、仮に8万円、10万円のコストがかかって、それで安全を担保するということになれば、当然、中古車輸出で安価な使用済に近い車は輸出されなくなる。それによって国内の整備業者も百何十万台の仕事が増えるというところもありますので、ぜひそこはやっていただきたいなと。
あとは、よくEV車が輸送途中に燃えて大きな問題になっています。ですので、できましたらEV車の、ハイブリッドは難しいかもしれませんが、輸出の禁止をやってもらえればよろしいのではないかと思います。
それと、我々と不適正事業者との戦いですけれども、一番の問題は我々の同業者が不適正ヤードと戦うことを諦めています。というのは、全然もうからない仕事は誰もやらないわけです。では、なぜもうからない仕事を彼らができるかというと、コストが全然違います。我々は、当然ですけれども、社会保険を払って、税金を払っているわけですけれども、彼らはもうける必要がなくて本国でもうかっていればいい話ですし、当然、社会保険も加入している方々がほとんどいないということで、コストが全然違う。ですので、同じ土俵にのって正々堂々と戦っていただきたいというところで、先ほど来あります知識・能力要件、自動車リサイクル士、日本語理解。大塚委員からも出ていましたけれども、日本で仕事をされるのですから、当然、日本語が理解できて当たり前だと思います。そういった方でないと当然、不法投棄や不適正処理、環境汚染につながりますので、ぜひそこはやっていただきたいと思います。
あとは、ASRチームのワンチーム化をぜひお願いしたいと思います。今回の資源回収インセンティブ制度でも我々はTHチームとARTの両方の監査を受けることもありますので、ぜひここをワンチームでやっていただきたいと思っております。
あとは、先日出た、認定解体業者に関してはリサイクル料金の負担が要らなくなるということに関してですけれども、本当にそうやってくれたらありがたいなと思います。なので、資源回収インセンティブ制度は、全部利用もそうですけれども、そういった認定業者に車が集まる大きなモチベーションになりますし、そういうことであれば、こぞって認定業者になりたい同業者も増えてくると思います。それによって我々同業者の士気が上がってくれば、また大分違うのかなと思っております。
そういった形で、オークション対応ですけれども、今、外国人の方々が全然違うIDカードでオークション場に入って、「○○自動車商会」のIDで応札しているという事例もあるようなので、オークションの入場の厳格化や審査の部分も、細かい話で申し訳ないのですが、オークション協議会は対応していただきたいと思っております。
先ほど来、不法投棄の話で、ここのところ5,000台近辺で止まっているということですけれども、どこかで台風が来たりして、誰も何も言わないのに、こぞって業者が行って水没車を片付けるのを皆さんも御承知だと思います。これはなぜかというと、お金になるからです。今回、能登の地震で丸焦げになった車を、なぜ誰も片付けないのか。当然、車の車体番号が分からないということもあったとは思うのですが、これは鉄くずにしかならない。なので、収集・運搬費用や解体費用を考えたときに、もうからないわけです。だから、やらない。先ほど言った水没車に関しては、まだ修理したり部品を取ったりしてお金になるから、みんなこぞって片付けたり、買い付けに行ったりするわけです。なので、もうからない車だからやらないというのはずるいという話になるかもしれないのですが、丸焦げになった車は処理が本当に大変です。車体番号の特定も、焦げてしまっていて見えなくて本当に大変で、現場の声としてはそういったことを届けたいと思います。なので、ぜひ特預金をうまく活用していただけるのであれば、そこもぜひ皆さんのお知恵をかりて改善していただければと思います。
ありがとうございました。
○酒井座長 それでは、最後に嶋村委員にお回ししたいと思います。3時までのお約束のところですが、すみませんが、10分ほど延長をお願いいたします。
○嶋村委員 御指名、ありがとうございます。本日は御説明いただきまして、ありがとうございました。非常によくまとめていただいて分かりやすいと思いました。
いろいろお話がございましたが、LiBに関しましては、毎年御説明はさせていただいておりますが、次回いま一度丁寧に御説明をさせていただければと思います。
織委員から国内解体業崩壊の危機でメーカーのお考えをということですが、御承知のとおり、自動車リサイクル法ができるときにメーカーの関与をどうするかということがございました。欧州ではメーカーが廃車そのものを引き取るというやり方だったのですが、日本においては既存の解体業者が御商売をされていらっしゃるということで、メーカーはそういう面では関与しないと決まったところでございます。ですので、自動車メーカーに廃車の所有権自体は全くございませんので、そういう面で市場の取引に対して自動車メーカーが関与することがなかなか難しいということは御理解をいただければと思います。
例えば新車のディーラー、系列のディーラーに、オークションに出さずに解体業者に出しなさいということを言えば、これは独占禁止法でいう優越的地位の濫用にもなりますので、法的になかなかできません。何か支援するという話になると、それはそれで今度は税法の問題だろうという話もございますので、ここはなかなか関与ができないということは御理解いただければと思っております。そういった直接的な部分ではなくて間接的な部分で、日頃からJAERAさんとはいろいろお話もさせていただきながら、インセンティブ制度にしてもそうですが、御支援は申し上げているつもりでございます。
自工会からは3点。リサイクルの高度化のお話がございましたが、これはASRの高度化をさらに強化すべきということで、自工会も方向性としては賛成でございますし、従来から高度化に向けてインセンティブ制度の提案もさせていただくなど推進もしております。自動車メーカーは、現在でも30%のマテリアルリサイクルを維持していると思っております。
といいますのは、委員の先生方でASRの現物を見られたことのある方がどれだけいらっしゃるのかなと思うところでございます。現物があればいいのですが、次回、準備させていただければとも思っていますけれども、現物を見ていただけると、これをマテリアルリサイクルするのは技術的になかなか容易なことではないということは御理解いただけるかなと思っております。この辺は、鉄リ工業会さんでも非常に御苦労されていらっしゃるところかなとは思いますが、技術的になかなか難しいところもありまして、ようやく技術が少し出てきているところでございます。ただ、マテリアルのみならずケミカルリサイクルもありますので、そういう面でいいますと、お金さえかければできる可能性はございます。
では、そのお金は何なのかというと、それはリサイクル料金ということで、ASRの料金、ユーザーの御負担ということになります。したがいまして、メーカーとしては、これまで20年間、お客様の御負担が最小限になるようにマテリアルリサイクルも取り入れつつ、そこのバランスを非常に見ながら高度化も進めてきたところでございます。今回議論していただくのは非常によいと思いますし、自工会はさらなる高度化に努めたいということで、御承知のとおり自主目標も出させていただいておりますし、供給促進に向けて再生材の規格のような目線の数字も出させていただいております。この辺りも次回10月に御説明させていただきますが、そういったユーザーの負担増につながる可能性もある話だということを十分踏まえながら、環境側面のみならずそういったことも踏まえて慎重に検討してまいりたいと考えてございます。
2点目に、15ページのヤード対策の関連でございますが、2年前から、中古のLiBを梱包せずに裸でコンテナに積んで輸送されると船舶火災につながる危険性があるということを審議会の場でも再三、問題提起させていただいております。これは、今後発生量が増える中で早期に対応しないと、現状、ある意味、野放し状態ということで、人命に関わる重大、かつ早期対応が必要な話かと思っております。これは、2年前に環境省さんから、御検討されると審議会の場で御回答いただいたと思うのですが、省庁をまたがってなかなか難しいということかとは思いますが、ぜひ御検討いただければと思います。
3点目は、情報システムの効率的な活用のページにも関わるのですが、記載のとおり来年1月から、促進センターの御尽力によって新システムが何とか稼働にこぎ着ける予定でございます。前回5年前の見直し審議会を受けて、例えばインセンティブ制度のようなこともシステムに盛り込むということで、5年かけて促進センターで構築しております。この構築においては、それこそ莫大な費用をかけて、この影響を受けるメーカー側も実はシステム構築、システムの大改修をしておるところです。その関連の促進センターのも含めて、ベンダーも含めると1,000人規模で、この5年間、対応しておるところです。販売店、ディーラーにおいても、システムに影響があるディーラーもありますので対応しているところでございます。
この促進センターのシステム大改造費用については、メーカーも出している部分はあるのですが、基本的にはユーザーの費用であるということを踏まえていただく必要があるかなと思っております。今回の見直し審議会で、喫緊ですぐに対応しないといけない致命的な影響があるような、例えば先ほど申し上げたLiBの船舶輸送など、ああいう人命に影響があるようなものは、システム上で改造が必要であれば、それはそれでやむを得ないと思いますが、そうではないものに関しましては、大改造してリリースしたばかりのシステムに影響があるような見直しは極力最小限にとどめていただいたほうが、資金の効率、今回の大改造した費用の効率的な話につながるということです。もちろんシステムに影響しない話は、法改正も含めてぜひ前向きにやればいいと思っておりますが、システムへの影響がないかということについては、ぜひ頭の片隅に置いて御議論いただければと思います。
すみません。長くなりましたが、以上でございます。
○酒井座長 ありがとうございました。あとお一方、オンラインから手が挙がりましたので回します。井上委員、どうぞ。井上委員、手が挙がっているようですが、いかがですか。
○井上委員 ありがとうございます。皆様のご発言と重複する部分があり、挙手は取り下げたつもりでしたが、では、最後に私から2点ほどお話しさせていただきたいと思います。まず、自動車リサイクル法施行から20年ということで論点をまとめていただき、ありがとうございました。大変重要な観点が整理されていると思いました。
1点目としてリサイクルに関してですが、熱回収の割合が非常に高い点は課題であると感じます。マテリアルリサイクル率は約30%程度で、プラスチックに限ると1.5%にとどまっており、極めて低い水準です。例えば再生プラスチックに関しては、事業採算性が低いということもあってなかなかうまく進まない面もあるのでしょうが、その率を上げていく仕組づくりが急務だと思います。設計段階で回収しやすい構造にしていくなどの取組も今後さらに重要になってくるのではないかと感じております。
2点目ですが、資源回収インセンティブ制度が2026年4月から開始されます。以前にも申し上げましたが、より多くの中小企業を取り込んでいくことが今後ますます重要になってくると思います。そのためにも、コンソーシアムのまとめ役となる企業を増やしていく取組が大切となってきますが、現段階でどの程度進んでいるのか、進捗状況をもう少し示していただけるとありがたいと思いました。以上です。
○酒井座長 どうもありがとうございました。それでは、時間が押しておりますけれども、後半も非常に重要な御意見をいただいていますので、今度は環境省・河田資源循環制度推進室室長から、そしてその後、経産省にマイクをお渡ししたいと思います。よろしくお願いします。
○河田資源循環制度推進室室長 そうしたら、環境省からまずコメントさせていただきます。非常に多くの御意見やコメントをいただいたと思っておりますが、前半に答えさせていただいた話と重複する部分がたくさんあると思いますので、それ以外の部分について1点、触れておきたいこととしましては、嶋村委員からありました、LiBの船舶輸送について、事務局から検討の進捗等を御報告させていただきたいと思います。車載用のLiBに限らず、LiBの火災事故は今、非常に社会問題化しているところもあります。そうしたものであるという認識はしっかりとしていく。一方で、船舶輸送における発火を防止するために関係規定に基づき適切に梱包等をすることが必要だということでございます。これまでに啓発用のチラシの作成等を行っておりますし、関係機関との情報共有に適切に対応してまいりたいと考えてございます。引き続きそれにとどまらず、この取組についてはどんどん強化していくことが必要になろうかと思いますし、船舶輸出のみならず、LiBが将来もたらすであろうことについては、しっかりと今回の見直しの中で議論させていただければと考えてございますので、引き続き皆様の御協力をお願いしたいと思ってございます。
以上です。
○酒井座長 では、お願いします。
○宮越自動車リサイクル室長 ありがとうございます。時間の関係上、全てにお答えできないことを、まずおわび申し上げますが、貴重な御意見として全て参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。何点か、いただいた点について御回答させていただきます。
まず不適正解体業者に対する知識・技能要件について、外国事業者に対する対応ができるようにという御指摘でしたけれども、既にJARCでも多言語に対応したガイドラインをつくっていただくなど、非常に多くの言語で対応していただいているわけですが、ここを今後要件の中に取り入れるかどうかというのは、ほかの条件等も考えて事務的に、また運営的に可能かということを併せつつ、ぜひ検討させていただきたいと思います。
それと、先ほどバッテリーについて自動車以外への活用という話がございました。これは当然、広く自動車向けに、例えば定置用など、そういった方向への活用も世の中でいろいろ議論されているわけですが、他方で取り外したLiBを車載以外の用途に転用する場合、いろいろとリスクもありまして、当然、発火のリスクや、製造者責任の関係もありますし、なかなか難しい問題もあるかと思っております。あくまで再利用側での安全性の知識なども不可欠になりますので、そういった視点を踏まえて議論・検討していければと思っております。
それと、ASRチームの件について統合というお話がありました。この問題は自リ法が始まった当初からの問題と認識しておりまして、途中で統合することについて独禁法上の問題がないかなど、いろいろあるのですが、これは資源回収インセンティブを進めていく上でも、あるいはほかの問題についても、非常に重要な問題と思っておりますので、もう一度事実関係も、また公取、当局との関係も含めて整理しつつ、検討していきたいと思っておりますので、どうぞ議論をよろしくお願いいたします。
すみません。以上になります。ありがとうございました。
○酒井座長 どうもありがとうございます。後半の御意見、御質問に関しては十分に対応し切れないところがあろうかと思います。次回の合同会議に向けて両省、御準備いただきますので、それで御了承いただければと思います。
それでは、今日の議論の全体をお聞きいただいて、産構審の自動車リサイクルWGの山本座長から御意見を承りたいと思います。お願いします。
○山本座長 どうもありがとうございました。時間もないと思うので一言だけ。
資料6の2ページにある主要な論点は非常に重要かなと思っています。その中であえて濃淡をつけるとすれば、最初の①「使用済自動車にかかる動向把握」が非常に重要かなと思っていまして、その後の商流をつかんでいくという意味で、ここの部分が分かると、例えばその下の解体業者の実態把握や、隣の自動車リサイクルの高度化、再生プラスチック流通量拡大など、いろいろな点が前向きになるのではないか。とりわけ800万台以上つくっている自動車が200万台しか残らないのが、ASRからのマテリアルリサイクルを増やすということよりも、ここで最初に輸出される自動車が減るということになって国内で処理されれば、再生材として自動車由来のプラスチックが10%でも20%でも増えれば、随分違うのではないかと思います。ぜひ①の動向把握をやっていただければと思っています。
以上です。
○酒井座長 どうもありがとうございます。
それでは、初回ですが、私も委員の御意見を聞いた中で1点だけ所感を述べさせていただきます。
途中で嶋村委員から、この委員の中でASRを見たことがある人がどれだけいるかという御指摘がございましたが、相当多くの方は実際に直面して、そして悩んで、取り組んでこられている方々だと理解しております。そういった意味では、現状のリサイクルを前提に今後のリサイクル制度をどう考えていくのかということが問われているのではないかという思いも持っております。その中の取組の1つが、資源回収率ということで、前段で資源回収率の高いものをできるだけどう回収していただいて活用するかという取組と理解する側面も持たねばならない。さはさりながら現状のASRの排出を適正に処理していくという観点も必要である。こういう立ち位置かと思いますので、この辺りはできれば委員共有の見方として議論させていただくことができればありがたいと思っています。これが最後の私からの希望でございます。
それでは、時間が押して申し訳ございませんでしたが、この辺りにさせていただきたいと思います。本日は大変有意義な御意見を多数いただきまして、ありがとうございました。議事進行を事務局にお返ししたいと思います。
○河田資源循環制度推進室室長 本日はお忙しいところ、活発な御議論及び円滑な進行に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
最後に、諸般の事情でオンラインからになりますけれども、経済産業省製造産業局自動車課長の伊藤より一言、御挨拶を申し上げます。
○伊藤自動車課課長 経済産業省自動車課長の伊藤でございます。本日、車関係で、日米関係等でいろいろ動きがあった関係でリアルでの出席がかないませんでした。オンラインということで御容赦いただければと思っております。
酒井座長、山本座長をはじめ委員、オブザーバーの皆様におかれましては、本日、本当に長時間にわたって御出席、また貴重な御議論をいただきまして、ありがとうございます。自動車リサイクル制度施行から20年ということで、制度の安定的な運用もやってまいりましたけれども、その上で使用済自動車の不法投棄・不適正保管車両の大幅な減少、ASRの再資源化率の向上など、主要な課題に対して着実な成果を上げてきたということは、まずこれまでのところで1つ言えるだろうと思っています。関係者の皆様の継続的な御尽力のたまものだろうということで、改めて深く感謝を申し上げたいと思います。
一方で、本日、多々御議論いただいているかと思いますけれども、目下の課題といたしまして、国内での使用済自動車の減少、それに伴う解体・破砕業界への影響、使用済自動車の不適正処理への対応、こういった自動車リサイクル制度のもともとの根幹に関わる課題が顕在化しているということだと思っています。加えまして、制度のさらなる高度化に向けて、再生プラスチックの流通拡大、電動車への対応、そういった中長期的な視点での取組も求められているところでございます。こうしたことがカーボンニュートラル、あるいはサーキュラーエコノミーの実現に向けた重要なステップだと思っていますので、制度の進化を求められる機運に今この自動車リサイクル制度はあるのだろうというのが我々の認識だということでございます。
こうした制度の改善、あるいは高度化を図っていく上で、動脈と静脈の連携の下で国内における循環経済市場の形成、産業化・競争力強化の2つをいかに両立させていくかということが重要な課題なのだろうと思っております。とりわけ地域に根差した中小企業等の事業者が制度の変化から取り残されることのないように、誰もが参加しやすくて持続可能である仕組みづくりと支援体制が求められていくのだろうと思っております。経済産業省、環境省が連携いたしまして資源回収インセンティブ制度の導入、資源有効利用促進法の改正などを通じて、制度の高度化を図るとともに、多様な事業者が対応できる事業性の高い施策の執行、支援を続けてまいりたいと考えているところでございます。
ぜひ本日の議論を起点といたしまして、今後数か月にわたって委員の皆様の幅広い視点と御知見をいただきながら、制度のさらなる発展に向けて検討を進めていきたいと思っております。長丁場となっていきますけれども、引き続き皆様の御協力と御指導を賜りますよう、よろしく申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
○河田資源循環制度推進室室長 ありがとうございました。
本日の資料につきましては、既にウェブサイトに公開させていただいております。また本日の議事録につきましても後日、各委員に御確認いただいた上でウェブサイトにて公開させていただきますので、御了承をお願いいたします。次回の審議会については、説明をさせていただきましたけれども、関係団体へのヒアリングということで、来月14日13時というのが1つ予定されてございます。
それでは、本日の会議はこれにて終了とさせていただきます。ありがとうございました。
(了)