産業構造審議会産業技術分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルWG中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会 第47回合同会議 議事録

日時

令和元年9月10日(火) 13:30~16:30

場所

大手町サンスカイルーム E室

議題

1.自動車リサイクル制度をめぐる各種取組状況等について

2.自主取組の進捗状況について

3.その他

議事録


○佐川リサイクル推進室室長補佐 これより産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄
物・リサイクル小委員会自動車リサイクルワーキンググループ及び中央環境審議会循環型
社会部会自動車リサイクル専門委員会の第47回合同会議を開催いたします。
本日はご多忙のところをご出席いただきまして誠にありがとうございます。本合同会議
は、両審議会を合わせまして26名の委員で構成されております。本日現時点で21名の委
員にご出席をいただいております。
産業構造審議会自動車リサイクルワーキンググループにつきましては、委員数17名に対
して15名の出席をいただいておりまして、定足数である過半数に達していることをご報告
させていただきます。
なお、中央環境審議会自動車リサイクル専門委員会につきましては定足数の規程はござ
いません。
続きまして、委員の変更についてご報告いたします。産業構造審議会におきましては、日
本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の大石委員に代わりまして根村委員
でございます。中央環境審議会におきましては、本日はご欠席のご連絡をいただいておりま
したけれども、三重県環境生活部の井村委員に代わりまして有冨委員、川崎市環境局生活環
境部加藤委員に代わりまして井上委員でございます。
次に、本日の欠席委員の報告をいたします。有冨委員、井上委員、また、杣谷委員、寺師
委員、所委員におかれましてはご欠席のご連絡をいただいております。また、細田委員にお
かれましては16時ごろの退席となっております。
次に、事務局を代表いたしまして、環境省環境再生・資源循環局長の山本より一言ご挨拶
を申し上げます。
○山本環境再生・資源循環局長 皆さん、こんにちは。委員の皆様方におかれましては、
お忙しい中を本日はお集まりいただきまして誠にありがとうございます。大体年に1回と
いうような形になっていますが、自動車リサイクル制度の全体の取り組み状況についてご
報告し、ご審議を賜り、さらにはさまざまな自主取り組みについてご報告をし、ご審議を賜
るということで、ご意見を伺いながら、自動車リサイクル制度を経済産業省とともに進めて
まいりました。
ちょうど今年が終わって来年になりますと、自動車リサイクル法が施行されて15年とい
う大きな節目ということになりまして、その間、先生方のご指導もいただきながら自動車リ
サイクル制度を着実に進展してきているのではないかと受け止めております。
ただ、全体として、プラスチックの問題も含め、あるいは有害物質の問題も含め、あるい
は自動車自体がさまざまな新しい波がありますので、そういったことに的確に対応して、次
の時代に向けてまたさらにこの制度を進化させていく、あるいは取り組みを進化させてい
くということは非常に重要でございますので、本日、また今までの取り組み状況のご報告を
お聞きいただいて、忌憚のないご意見を賜りまして、また来年以降にそういった制度に対す
る評価を加えていくことになると思いますので、それに向けて事務局としてもしっかりと
対応してまいりたいと思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○佐川リサイクル推進室室長補佐 次に、事務局側に変更がございましたのでご紹介い
たします。
まずは環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課長の成田でございます。
○成田廃棄物規制課長 成田でございます。よろしくお願いいたします。
○三牧自動車課課長補佐 続きまして、経済産業省製造産業局自動車課課長補佐の平山
でございます。
○平山自動車課課長補佐 よろしくお願いいたします。
○三牧自動車課課長補佐 そして私は同じく自動車課長補佐の三牧でございます。よろ
しくお願いいたします。
なお、経済産業省製造産業局自動車課長の河野につきましては、所要のため途中から出席
する予定でございます。
○佐川リサイクル推進室室長補佐 引き続きまして配付資料の確認をいたします。委員
の皆さんには、座席に端末を置かせていただいております。使用方法につきましては、配付
しております「タブレットの使用について」という1枚紙をご覧下さい。資料はスマートデ
ィスカッションというフォルダに格納されております。既に資料一覧をご覧いただける状
態にしておりますので、そちらをご参照いただければと思います。使用方法等、ご不明な点
がございましたら事務局までお声がけをいただければと思います。
それでは資料を確認させていただきます。配付資料は資料1から6-8、さらには参考資
料として1から15ということで、資料3、4、5に対応した形で参考資料をご用意してお
ります。不足等ございましたら事務局までお知らせいただければと思います。
それでは早速議事に入らせていただきたいと思います。なお、冒頭のカメラ撮りはここま
でとさせていただきます。
これ以降の議事進行につきましては永田座長にお願いしたいと思います。
○永田座長 皆さん、こんにちは。お忙しい中、また厳しい暑さの中をご出席いただきま
してありがとうございます。それでは早速議事に入ります。
本日の議題は資料1に記載のとおりでございます。1つ目が自動車リサイクル制度をめ
ぐる各種取り組み状況等について、2つ目が自主取り組みの進捗状況について、最後にその
他といたしまして3番が用意されております。以上、3つでございます。
まず議題の1番目につきまして、事務局、それから関係団体に説明をしていただきます。
その後、ディスカッションをしてまいりたいと思いますのでよろしくお願いします。
○佐川リサイクル推進室室長補佐 それでは資料3-1をご覧ください。自動車リサイク
ル制度をめぐる各種取り組み状況についてということで、こちらの10年見直しの報告書、
ここで挙げておられました三つのテーマ、具体的には3Rの推進・質の向上、より安定的か
つ効率的な制度への発展、自動車リサイクルの変化への対応と国際展開と、3つの柱に従っ
てご説明をさせていただきます。
おめくりいただきまして、3スライド目をお願いいたします。環境配慮設計の進捗評価・
活用方法の検討ということで、こちらも3つの柱がございました。1点目が環境配慮設計の
推進とその活用、2点目が再生資源の需要と供給の拡大、3点目が全体の最適化を通じた質
の向上ということでございました。今年の新しいトピックを中心にご報告をさせていただ
きたいと思います。
おめくりいただきまして4スライド目です。解体業者と自動車製造業者等の相互コミュ
ニケーションということで、平成28年より意見交換を進めてまいりました。下から2つ目
の●ですけれども、今年の8月に第4回の意見交換を開催いたしまして、効率的、また非効
率的な解体事例をまとめた事例集というものの制作にかかる提案がなされ、前向きな意見
交換がございました。
おめくりいただきまして、5スライド目です。インセンティブということで、再生プラス
チックを使った車にかかるリサイクル料金を値下げするという、インセンティブ制度の検
討が行われてまいりました。骨子ということで、2年前の合同会議でまとめました。
おめくりいただきまして6スライド目です。この骨子におきまして、以下のとおり進める
ということになっておりました。自動車由来のプラスチックについては品質面、コスト面の
課題があるということで、実証事業を行うとなっておりまして、下から3つ目の○ですけれ
ども、実証事業の進捗について毎年合同会議に報告し、その都度制度開始の可否を判断する
となっており、今年、すなわち2019年の審議会以降でこれを判断するということになって
おりました。一番下のブルーのところですが、今年の7月に作業部会を開催いたしまして、
フォローアップということを行いました。
おめくりいただきまして、7スライド目が実証事業の報告になります。まずは高度化財団
事業ということで、4つをご紹介いたします。矢野経済さん、ハリタ金属さん、西日本オー
トリサイクルさん、マテックさんということで、一番上の矢野経済さんが、プレシュレッダ
ーということで、部品を取り外してそこからプラスチックをリサイクルするという実証で
す。評価といたしましては、品質・コスト面での改善が必要となっております。
ハリタ金属さんのものにつきましては、試験装置を開発した段階だということで、引き続
き実証化に向けて事業を行っていく。
西日本オートリサイクルさんは、実際に処理設備は立ち上げましたので、今後は集荷量の
拡大ですとか異材の選別作業の生産性向上ということを図っていきます。
マテックさんにつきましては、バンパーのポリプロピレンのリサイクルを目指して、塗膜
除去の方法を検討し、機器の選定を行いました。
おめくりいただきまして8スライド目が、矢野経済さんのコストに関する評価になりま
す。右下になりますが、120円/kgというところが目標コストになっておりまして、真ん中
のコンパウンドメーカーで既に60円から70円、破砕・洗浄で40円程度、解体で20円から
60円ということでございますので、引き続きコスト低減が必要だという評価になっており
ます。
おめくりいただきまして9スライド目が日産自動車さんの自主事業ということで、プラ
スチック関係のテーマを4つ掲げております。一つ目がVeoliaさんです。こちらはASR
からのプラスチックリサイクルということで、実証事業は完了ということで、この後にスラ
イドをご用意しておりますが、事業化に向けて着手されております。
福岡大学さん、三井化学さん、慶應大学さんにつきましては、開発フェーズにかなり近い
ということで、まだ継続という状況になっております。
10スライド目にお進みください。Deca-BDEという臭素系難燃剤の対応についてもフォロ
ーアップを行っております。Deca-BDEはPOPs条約において廃絶すべき物質ということにな
りました。ただ、下線を引いておりますが、含有量が少ない場合には環境上適正な他の方法
で処分、こちらにリサイクルが含まれるということで、一定基準以上であれば処分しなけれ
ばいけない、以下であればリサイクルもできるといった考え方になっております。その濃度
水準についてはバーゼル条約のガイドラインで決められることになっておりましたが、今
年の5月の会議におきまして決定に至らなかったという状況でございます。現状ではまだ
基準については複数案がある状況でありまして、2021年のバーゼル条約の会議において議
論されることとなっております。
おめくりいただきましてロードマップの見直しですけれども、そういった実証事業の状
況、Deca-BDEの状況がございますので、今年の会議ですぐに制度開始可否を判断するとい
うことではなく、2年程度判断を後ろ倒しして、引き続きそうした状況を注視してまいりた
いと、そのように考えております。
おめくりいただきまして12スライド目は、ご紹介になりますが、先ほど申し上げました
プラスチックリサイクルの事業化ということで、Veoliaさん、日産さん、また環境省の実
証の結果を踏まえまして、右下に太字で書いておりますが、環境省の補助金でこういったリ
サイクルの事業化に向けてスタートしております。仕組みとしましては、比重選別によるプ
ラスチックのリサイクルということになっております。
おめくりいただきまして13スライド目はバイオマスプラスチックの技術開発動向です。
インセンティブ制度は、基本的には再生プラスチックのリサイクルのための制度でござい
ますが、バイオマスプラスチックは焼却時のCO2がカーボンニュートラルであるという
ことで、こういったものについても今後採用を検討するということになっておりました。
具体的に4つを掲げております。DURABIO、XecoT、エコニコールは既に開発が進んで実用
化されているものでございまして、一部、車にも使われております。右側のバイオポリプロ
ピレンですが、車に使われるプラスチックの多くはポリプロピレンということですけれど
も、現在これについては実証中いう段階になっております。
14スライド目に進んでいただきますと、リサイクル部品の規格化についてとなります。
昨年、JIS化に向けた検討と、一旦TS原案として取りまとめるということについてご報
告をさせていただきましたけれども、今年ご報告することにいたしましたのが一番下の●
になります。リサイクル部品やリビルド部品の信頼性向上に向けた以下のような民間の取
り組みというものについて進んでおります。一部企業における共通情報の表示に向けた取
り組みですとか、日本規格協会さんのJSA‐Sの開発検討の開始ということが始まって
おります。
おめくりいただきまして、15スライド目以降が安定的かつ効率的な自動車リサイクル制
度への発展というパートになります。
まず16スライド目ですが、情報発信・共有の在り方に関する取り組み状況ということで、
検討会を過去実施しておりまして、JARCが中心となって関係団体に対するヒアリング
を実施し、取り組みを整理しております。
おめくりいただきまして17スライド目ですけれども、不法投棄・不適正保管の未然防止・
解消に向けた課題整理、対応方法の一般化・周知ということで、状況としては昨年度と大き
くは変わっておりません。法施行時の約20万台というところから昨年度末には5,000台程
度に減少いたしましたが、下げ止まりという状況が続いております。
これにつきましては研修等を行うともに、3つ目のポツに書いておりますように自治体
に対する協力依頼ということをするとともに、自治体のニーズに応じたモデル事業という
ことで、以下の3点のような支援メニューをご用意し、対策を強化してまいりたいと考えて
おります。
18スライド目です。災害対応についてでございますが、昨年来災害が続いておりまして、
そのたびに事務連絡を発出いたしまして自治体に注意事項を周知しております。加えまし
て、3つ目の●ですが、JARCがD.Waste-Netという環境省が事務局を務めます災害廃棄
物処理支援ネットワークのメンバーになりましたので、自治体の支援という観点でもパワ
ーアップを図っていきたいというところでございます。
おめくりいただきまして、19スライド目につきましてはエアバッグ、フロンです。こち
らについては自治体向けの情報提供、研修を行っております。
さらに20スライド目にお進みいただきまして、JARC運営の効率化に向けた取り組み
ということで、新しい情報といたしましては下段の2つ目の●になりますが、コンタクトセ
ンターという問い合わせ窓口と輸出返還事務センターという2つの窓口がございましたが、
それを統合いたしました。さらには、その下の●ですけれども、振込先の銀行について手数
料の低いものに選定をし直したということなども行っております。引き続きPDCAを回
しつつ、運営の効率化について一層の改善に努めていきたいところでございます。
21スライド目の下は特預金の使途に関する検討についてです。こちらにつきまして、下
の矢じりの2つ目ですけれども、既に大規模災害への対応などについて新たな事業を実施
しておりまして、さらに20年時効に伴う特預金の増額、将来のシステム大改造経費の試算、
さらには発生抑制のための発生要因分析ということを行いました。こういったことを含み
つつ、新たな使途の検討を引き続き行ってまいりたいと思います。
続きまして、22スライド目については余剰部分の管理です。先ほどの特預金がリサイク
ルされなかった費用でありますが、余剰金は、リサイクルをしたものの、当初預託された預
託金に対して実際のリサイクル費用が低かったことで発生する余剰部分ということでござ
いまして、①、②、③、すなわち中長期収支均衡を目指した管理に加え、高度化財団による
研究開発事業、さらにはメーカーによる自主事業ということを進めているところでござい
ます。
今年、中長期的な収支均衡について各社にアンケート調査を行いましたので、そちらにつ
いてご報告させていただきます。23スライド目が全体像になっております。ポイントとい
たしましては、各社、黒字が発生しているところもあれば、赤字というところもあり、かつ
黒字の会社についても規模の大小がございます。
24スライド目にお進みください。余剰金の発生理由ですけれども、大部分は利息だとい
う結果が出ております。利息以外の原因といたしましては、エアバッグやASRの処理費用
の低減ということが挙げられます。エアバッグについては、法施行当時は、6割程度は車上
作動ということでございましたけれども、現状9割程度が車上作動となっており、こうした
ことによって費用の低減が図られました。さらにはASRの処理施設が増加したことによ
る価格競争、さらにはセメント系の処理施設での処理ということによって価格低下が起き
ました。逆に赤字が出ているところですけれども、こちらは指定3品目についての処理費用
は赤字ではないものの、引き取り台数が少ないということで、固定費用が影響して赤字にな
ってしまったというところでございました。
25スライド目にお進みください。既に行っている調整取り組みといたしまして、値下げ
を各社で行っております。どう値下げしたかということでございますが、3点矢じりがござ
います。利息分が発生することを考慮した料金設定、さらにはエアバッグの車上作動の比率
を上げた料金設定などを行っているところでございます。
26スライド目にお進みください。今後どうしていくのかという観点ですけれども、まず
は足元の状況といたしまして、まず金利の下落、さらにはASR処理料金の上昇、消費税の
変更、人件費の上昇、システム回収費用という状況がありますので、収支は基本的には今後
下振れをする、すなわち黒字幅が縮小するということを想定しておりますが、こちらの状況
を見据えながら引き続き調整を行っていく。さらに中長期的な収支均衡につきましては各
社必要性を認識しているというところに加えて、8割の会社さんが2025年から2030年ご
ろにかけて単年度の収支を均衡させるということにしております。また、即効性のある取り
組みといたしましては、高度化財団や自主事業というものを活用したユーザーへの還元と
いうところもございます。
最後に、経済産業省、環境省といたしましては、このリサイクル料金の余剰はそもそもユ
ーザーから預託された公益性の高い資金であるということ、他方、廃車が発生する10数年
後を見据えて料金を設定するという制度の性質上、どうしても赤字や黒字というものが発
生してしまう点、技術の進歩や外的要因といった点を踏まえながら、各社の取り組みを踏ま
えつつ、料金の適正性の確保について状況を注視しつつ、必要に応じて指導するといったこ
とをしてまいりたいと考えております。
以上が中長期の収支均衡についてですけれども、今、申し上げました高度化財団、さらに
は各社による自主事業について、どういう考え方と取り組みをしているかということを各
社からご報告をさせていただきたいと思います。
説明者席から、資料3-2及び3-3についてご紹介をいただきたいと思います。
○自動車リサイクル高度化財団・井口氏 公益財団法人自動車リサイクル高度化財団よ
り発表いたします。私は事務局の井口と申します。よろしくお願いいたします。
財団概要についてご説明します。(1)財団の理念・目的と取組の考え方、1)財団の理
念・目的。自動車リサイクルの高度化等に関する学術的・実践的調査・研究を行うとともに、
資源の有効活用や環境保護等に関する研究及び事業への助成等を行い、もって将来の地球
環境の保全、自然環境の保護・整備と循環型社会の推進に資することを目的とする。2)目
指す方向に向けた取り組みの考え方。財団においては、自動車メーカー等から出えんされた
基金をもとに、以下のカテゴリーにて事業を展開。
①公募事業。自動車リサイクルの高度化等を目的に、民間会社、各種団体、大学等におい
て行われる各種技術研究、開発、実証等の事業や、周知啓発活動の中から、公募により、よ
り実現性、事業性が高いと想定されるシーズ等を幅広く発掘し、支援。得られた成果は財団
ホームページや関係業界の広報誌等により広く公表することで、自動車リサイクルに関連
する事業の活用・普及に役立てる。
②自主事業。自動車リサイクルの高度化等の推進において、ベースとなるインフラの調
査・整備を始め、重点的に対策すべき課題が存在。これらに対応するため、財団にてテーマ
等設定し、事業内容を企画、委託先団体等と調整し、事業を実施。得られた成果は公募事業
と同様に活用に役立てる。
続きまして、組織概要につきましては時間の関係で割愛させていただきます。
3ページ目、組織関係図。財団運営は全て規程に基づき、透明性をもって理事会・評議員
会等にて検討・決定され、情報も広く公開しております。財団に関係する諸団体との関係は
ご覧のとおりです。
シート番号4番、ご参考として、自動車メーカー等からの寄附の状況は以下のとおりでご
ざいます。2017年度は8社から24億7000万円、2018年度は8社より27億4000万円の寄
附をいただいております。
5ページ目、事業の状況まとめについてご説明いたします。これまでの公募自主事業は下
表のとおり公募事業8件、自主事業3件の計11件でございます。公募事業のうち、実証研
究が6件、うち樹脂に関するものが5件、ガラスに関するものが2件です。株式会社マテッ
クは樹脂とガラス双方の事業に着手しているため、件数が重複しております。
樹脂に関するこれまでの成果としては、品質面では自動車での活用の可能性があること
がある程度判明したものの、コスト面には課題あり。供給面では今後さらなる検証が必要と
の報告結果となっております。
ガラスについては、品質面ではグラスウール原料として利用可能であることを確認。コス
ト面では、三菱UFJリサーチ&コンサルティングでは破砕にてサイドガラスは効率的に
回収可能との報告を受けている一方で、マテックでは、効率的に回収するための器具の開発
や回収ルールの確立等が必要との報告があり、さらなるコスト低減が課題となっておりま
す。また、供給面では解体事業者による協力拡大が課題という報告結果となっております。
6ページ目の公募事業のうち、普及啓発に関しては2件。元気ネットは今年3月で事業終
了となっております。
自主事業は、調査事業が2件、実証事業が1件の計3件あります。テーマとしては3R高
度化に向けた取り組みのベースデータとして、解体業界の概況及び部品取り外し状況との
実態把握をする調査、LiB適正処理促進に向けた全国のリサイクル可能施設のインフラ
の調査、CFRP適正処理促進に向けた、CFRPの基礎燃焼特性等の基礎研究と実証の3
つのテーマに取り組んでおります。事業者ごとの詳細な説明は7ページから17ページに記
載しておりますので、後ほどご参照ください。
簡単ですが、これで公益財団法人自動車リサイクル高度化財団の実施事業概要報告を終
了いたします。
○佐川リサイクル推進室室長補佐 続きまして、資料3-3①に基づきまして本田技研工
業さんよりご説明いただきます。
○本田技研工業・橋本氏 本田技研工業の橋本からご報告させていただきます。
資料2ページ目、自動車リサイクル法の制定により、事前回収物としてリチウムイオン電
池とニッケル水素電池が廃棄物として処理責任が発生することとなっております。その中
でもリチウムイオン電池というものは処理が難しくて非常に高額ということになってしま
いますので、私どもとしましては、リチウムイオン電池の処理費を低減して、将来にわたり
自動車ユーザー様にメリットのある処理インフラを構築するというねらいで取り組んでま
いりました。
次のページをお願いいたします。リチウムイオン電池の処理の現状でございます。2つ処
理方法がございまして、まずは焼成、破砕を経て溶媒抽出をし、ニッケル、コバルトを抽出
するという複雑で高コストな処理、もう一つは、焼却、溶解を経てスラグ化するという、資
源活動としては不十分な処理が主流となっております。
そこで、4ページ、私どもの実施内容でございますが、焼却をせずに部品をリユースし、
含まれている、ハイブリッド型ですと約1キロのレアメタルがありますが、含有金属の再資
源化というものを研究内容として実施してまいりました。
5ページをお願いいたします。運用面でも開発をしております。もともとの輸送回収の部
分でいいますと、重量物を長距離で拠点に運び、最終的な焼却処理に持っていくというもの
に対しまして、今回は、重量物は近い距離に運んで一旦そこで解体処理をし、軽いものにし
て再資源化の部分に持っていくというような処理の方法で、重量物の輸送費の削減という
部分も検討させていただいております。
6ページでございます。開発の効果です。金属の回収になりますと、2030年時点で60ト
ン、ニッケル、コバルトになりますが、処理費にして3.9億円の圧縮というものが見積もら
れております。
7ページでございます。昨年度、2018年度の取り組み内容でございます。処理フローを
ご覧いただきたいと思います。強制放電から合金化までの処理に関しまして、リチウムイオ
ン電池を焼却せずにリサイクルするという基礎技術の検証を実施しました。
8ページ、その体制でございます。東北大学の学術指導を得ながら、回収リサイクルを得
意とする松田産業、それから合金メーカーの日本重化学工業様等が共同で推進するという
ことで既存のテスト設備などを活用します。そして、本田技研としましては拡大生産者責務
の観点で、本事業の運営管理及び推進を行って、私どもも発生した開発費用は余剰金とは別
枠で自己負担をしてやらせていただいております。
9ページ、成果でございます。解体から合金化までの工程の中で、今回は5工程の中で成
果を出すことができております。
10ページ目、まずは放電でございます。放電に関しましては、安全、高品質を確保でき
る放電プロセスを可能とし、作業性の大幅な向上を図っております。
続きまして、11ページです。セルケースの解体でございます。回転盤を用いて自動化す
ることで安全で確実に開封できる技術を確立しました。セル違いのリチウムイオンバッテ
リーも対応可能となっております。
次に12ページ目です。集電体から電極を切り離すという部分も、高精度に切り離すこと
ができています。
13ページ目でございます。取り出されました4層の巻いた状態の電極という部分から非
常に薄いフィルムの分離装置を試作しまして、ニッケル、コバルトが含まれております正極
部のみを単体で回収するという方法を実証できております。
14ページ目でございます。昨年度、実験機でやっておりました合金化の部分は、小型炉
に通しまして、それでも収率は90%以上、それから合金化という部分と、それから高純度
化、さらには非常に安いコストという部分で手法を見出しております。
そういったことで大規模化の方向性を決定し、再資源化材料の高付加価値化も可能にな
りました。
昨年度に活用させていただきました金額をここに示しております。日本重化学工業様、松
田産業様として、これだけ活用させていただきました。別途私どもは自費で開発費用として
6000万を自己負担しております。
16ページでございます。ホンダは解体事業者と連携した取り組みをしまして、リチウム
イオンバッテリーの資源活用、それから廃棄時の環境負荷と自動車ユーザー様の間接的な
費用負担という部分の軽減を実現し、リチウムイオン電池の処理の社会環境を改革すると
いうことを目指していきたいと思っております。
最後に17ページでございます。本年度はご覧の金額を活用させていただき、日本重化学
工業様のほうには合金化を大量生産できる技術の開発、それから松田産業様におきまして
は、レアメタルを回収する実用設備化の技術の開発を進めたいと考えております。別途ホン
ダとしましても開発費用6000万円を自己負担でやらせていただきたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
○佐川リサイクル推進室室長補佐 資料3-3②に基づきまして、日産自動車さんよりご
説明をいただきます。
○日産自動車・宮下氏 それでは日産自動車の宮下からご説明をさせていただきたいと
思います。
それでは2ページをお願いいたします。リサイクル高度化支援事業について、まず取り組
みの方針でございます。平成30年度、2018年度の合同審議会後、自工会の基本ルールの見
直しと両省との相談により、以下の方針といたしました。
一つ目としては、個社の支援事業、特に技術アイテムにつきましては、既継続アイテムに
ついて、基礎実験成果の刈り取りの観点で継続させていただくというところでございます。
2) 以降の高度化支援の取り組みは、高度化財団(J-FAR)を通じて実施していく
ということにいたしました。
取り組みの意義でございますが、2つございます。1点目、事業に向けた、より効率的な
リサイクル技術開発には、具体的な技術開発の目標設定が必要となり、材料要求の特性、部
品要求特性、コスト目標、供給性等、自動車会社の有する情報、ノウハウ等が必要である。
2つ目として、早期、事業化、実採用に向けて、サプライチェーンの取りまとめには、技
術開発の段階から自動車メーカーが参画することが必要であるという認識でございます。
次のページをお願いします。その結果、自主取り組みの成果といたしましては、まず一つ
目に、自工会の基本ルールに基づき、両省と相談を実施し、公益性を担保することができま
した。
2つ目に、実施内容の公開、業務の委託先での他社活用、学会発表等により、リサイクル
技術開発情報の開示の推進を図ることができました。
今後の活用といたしましては、リサイクルの技術開発の成果については、次のステップの
事業化に向けて、高度化財団へのハンドオーバーをして、さらなる実用に向けてアドバイザ
ーとしてのサポートを今後はしていくという形でございます。
次のページをお願いします。FY18と19のリサイクルの支援事業です。一番上は、J-
FARへの寄附状況ということで、18年度は9300万円、19年度は4億円です。
2段目は自社リサイクル支援事業の金額ですけれども、18年度は3億6700万円、19年
度は2億2400万円です。
アイテムとしては、以下の表にありますように3つのカテゴリーからなっております。一
つ目がシュレッダーダストの再生利用で4件、2つ目は軽量車体のリサイクル技術開発で
2件、3つ目は電動ユニットのリサイクル技術開発で3件の合計9件でありまして、18年
度では2件完了しまして、19年度では7件のアイテムを続行中でございます。それでは少
し詳しくご説明します。次のページをお願いします。
5ページが、一つ目のカテゴリーでありますASRの再生利用でございます。4件ござい
ます。一つ目、ASR回収樹脂からのリサイクルプロセスの最適化ということで、こちらは
Veoliaさんとのもので、高度選別、そして自動車向けのリサイクルPPの製造プロセスの
確立ということで、実用化に向けての課題開発をしてきて、18年度で一応完了ということ
で、19年度以降は事業化に向けてのフェーズを本件の支援先にて取り組むという形で進め
てまいります。
2つ目はASR回収のプラスチックのアップグレードリサイクル技術の研究ということ
で、これは福岡大学とタイアップで、環境省の支援研究の成果を受けて、これを実際に樹脂
への応用ということで、物性の向上、品質の安定化の検証を進めてまいりました。その結果、
物性の回復の処理効果があるということがありましたので、今後19年度は継続実施しまし
て、物性の回復効果の最適化をするための検討をさらに続けてまいります。
3つ目は自動車廃プラスチック油化技術の開発ということで、こちらは三井化学との共
同です。こちらは油化プロセスによるマテリアルリサイクル技術の検証ということで、ナフ
サにかわるものとしての油ということで、少し取れることがわかってまいりましたので、こ
ちらは継続して、油化条件の最適化及びそれぞれの精製油の調整、回収率の最適化及び不純
物の除去というところを今後実施していきます。
4つ目は微生物によるPPリサイクル技術の研究ということで、こちらは慶応大学との
ものです。内容といたしましては、成分分解機能を持つ微生物を見出していって、環境負荷
の少ない生分解によってリサイクルのプロセスを検証するということで、FY18で見つか
った石油分解菌によってPPのバイオリサイクルシステムの検討を今後進めていくという
形であります。
6ページ以降につきましては、時間の関係もありますのでアイテムのみの説明とさせて
いただきます。自動車アルミパネル高度選別技術開発ということで、マテックさんとやって
おります。こちらは19年度継続アイテムです。
2つ目はCFRPのCar to Carのリサイクルへ向けた実証ということで、デロイト・ト
ーマツとの研究ということで、19年度も継続です。
次のページをお願いいたします。7ページ目が3つ目のカテゴリーでありまして、電動ユ
ニット希少資源の有効活用ということで3つございます。一つ目が駆動用モーター磁石か
らのレアアース回収技術の開発ということで、こちらは早稲田大学と継続研究をやってお
ります。
2つ目はリチウムイオンバッテリー(LiB)の寿命延長技術の開発ということで、非破
壊による寿命診断ということで、Internal Geometory Scienceさんとの共同ということで、
こちらは18年度で完了しております。
最後になりますが、容量低下リチウムイオンバッテリーの再生技術の研究ということで、
こちらは関西大学FM-labとの共同という形で19年度も継続させていただいておりま
す。
次のページが最後のページになりますが、こういったアイテムにつきましては、弊社のホ
ームページに掲載させていただいて、広く皆さんに見ていただけるように準備をしており
ます。あわせて、下の段にありますが、学会での発表ということで、9月19日からの廃棄
物資源循環学会においても、こういった活動の一部を紹介させていただく活動を進めなが
ら、技術の公開というところに努めております。
簡単ではございますが、日産からは以上です。よろしくお願いします。
○佐川リサイクル推進室室長補佐 ありがとうございました。最後に、資料3-3③に基
づき、スズキさんよりご説明をいただきます。
○スズキ・徳田氏 スズキ株式会社の徳田がいたします。当社は主に2点、自動車リサイ
クル高度化事業の拡大と小型リチウムイオン電池リユース技術開発を個社自主事業として
取り組んでいます。
ページをめくっていただきまして2ページ目をごらんください。最初に各事業の目的に
ついて簡単にご説明いたします。最初の自動車リサイクル高度化事業の拡大といいますの
は、具体的にはスズキ財団を活用したリサイクル研究への助成でございます。リサイクル高
度化につながる技術開発の裾野を広げ、中長期的には自動車リサイクル高度化の事業実現
の充実を図ることを考えております。スズキは2017年度の収支から本事業に1000万円を
拠出しております。
2番目の小型リチウムイオン電池リユース技術開発の目的は、性能が十分に残っている
回収リチウムイオン電池をリサイクルの前にリユースするための技術開発を端的に行って
いくと考えております。
それでは一つ一つについて説明いたします。3ページ目、リサイクル高度化事業の拡大に
ついて、当社はリサイクル高度化事業の拡大に向け、リサイクル高度化につながる技術開発
の裾野を広げるため、資金や運営面での透明性や、大学等への助成実績等からスズキ財団を
活用したリサイクル研究への助成を行います。スズキ財団の概要については記載のとおり
でございます。
ページをめくっていただきまして4ページ目です。本事業の実施体制と役割、実施フロー
でございます。2018年度は応募活動を行いまして、2018年度末に助成3件を決定いたしま
した。2019年度におきましては、決定した3件の研究実施、それから成果の公表、同時に
次の年の応募を続けてまいります。現在は2019年度のリサイクル研究を募集しております。
ページをめくっていただきまして5ページ目です。2018年度に決定した助成3件の内容
でございます。1件目の八戸工業高等専門学校については、アルミニウムのスクラップ研究
で、アルミの高度なリサイクルをテーマにしております。残り2件、静岡理工科大学と千葉
大学につきましては、リチウムイオン電池からレアメタルを回収する研究が2件でござい
ます。この内容で2018年度は採択しております。
2019年度の募集につきましては、最初に拠出した1000万円の残りを使って募集を継続し
ます。2020年度以降もスズキ財団が拠出した資金で募集を継続していく予定でございます。
ページをめくっていただきまして、2つ目のテーマ、リユース技術開発です。小型リチウ
ムイオン電池のリユース技術開発の概要についてご説明します。弊社は、2012年初めにエ
ネチャージという非常に小さく安価なハイブリッドシステムをワゴンRに搭載し、それ以
降、広く軽自動車などに搭載してきております。既に市場には230万個以上の小型リチウム
イオン電池が流通しています。これらはいろいろなスペックがあるわけですけれども、今、
回収されているリチウムイオン電池の9割がこのタイプになっています。弊社は率先して
小型リチウムイオンバッテリーのリユース技術開発に取り組み、循環型社会に向けたリユ
ース市場を開拓することを目指しています。
ページをめくっていただきまして7ページ目、本事業の実施体制と実施内容でございま
す。本事業は電池リユース活動に取り組む豊田通商と連携して共同で事業を実施します。
実施のスケジュールにつきましては、ページをめくっていただきまして、2019年度から
3年間の予定で進めてまいります。2019年度費用は、2019年度リサイクル収支余剰金から
2700万円を充てる予定でおります。研究の成果についてはスズキのホームページで公表し
ます。本事業で得られた成果は他の小型リチウムイオン電池への応用が可能になるため、リ
ユース実現化に向けたモデル実証実験に活用されていきます。モデル実証に活用されてい
くことは、循環型社会に向けたリユース市場を開拓することにつながっていくと考えてお
ります。
説明は以上でございます。
○佐川リサイクル推進室室長補佐 ありがとうございました。以上が余剰金に関するこ
とになりますが、戻っていただきまして資料3-1の27スライド目でご説明させていただ
ければと思います。ASRの再資源化をめぐる状況ということでご説明をさせていただき
ます。
いわゆる中国ショックということで、2017年以降、固体廃棄物の輸入について中国政府
は制限をしております。プラスチックが非常に有名ではございますが、第1弾に続いて第2
弾ということで、プレスされた廃車ですとか、廃電子機器、廃モーター、廃電線等も輸入の
規制がかかっております。
自動車への影響ということでまとめましたのが28スライド目になります。左下に図を書
いておりますが、解体業者から破砕業者に回る廃車ガラの量は当然変わりません。破砕から
再資源化へ行くASRの量も変わりません。他方、雑品スクラップと呼ばれるものが増え、
そこから出てくるSR、シュレッダーダストが増え、さらに廃プラスチックの量も増えて、
その行き先である施設が、焼却ですとか溶融、さらにセメントということで、共通であると
いうことによって処理容量が圧迫していると。さらに事故事例と書いておりますが、今年に
連続して事故がございましたので、そういったことによって遠距離化ということで、ASR
の運搬距離が平均して15%ほど伸びたというデータがございます。
さらに、上に書いておりますが、埋め立て処分場に直接挿入されるASRが約5年ぶりに
発生したということ、さらには再資源化比率が若干下がったといった状況がございます。
メーカー等においては、引き続き再資源化施設の新規認定を検討しているというところ
でありますが、国においても対策をとっているというのが29スライド目になります。プラ
スチックの国内処理体制を構築するため、以下の短期、中期、長期といった対応をとってお
ります。さらに、非鉄金属のリサイクル設備の導入補助ということもやっております。短期
的には広域的処理に向けた手続の合理化ですとか、既存の施設における受け入れ促進、中期
的には整備の促進ということで、本年度90億円規模の補助金を設けております。長期的に
は、技術の高度化、人材育成ということによって、プラスチックの国内処理体制というもの
を築いていくというところでございます。
さらに、プラスチック資源循環戦略というものを策定いたしました。それが30スライド
目です。基本原則、3R+Renewableということで、リユース、リデュース、リサイクルに加
えて、再生材ですとか再生可能資源由来の素材を活用するということでマイルストーンを
設定し、強力にリサイクルの体制を強化していく。こういったことによって中国ショックへ
の対応、さらには冒頭に申し上げましたインセンティブのような再生プラスチックの活用
ということを図っていくということにしております。
続きまして、31スライド目が最後のテーマになりますが、変化への対応と国際展開です。
32スライド目、33スライド目で、環境省の実施しておりますバッテリー等の実証事業につ
いてご紹介をさせていただいております。今年度は5億円という予算規模でやっておりま
したけれども、来年度については予算概算要求段階で35億という形で要求をさせていただ
いております。
おめくりいただきまして34スライド目です。国際の関係です。国際については、既にJ
ICAさんですとか、JETROさん、経済産業省、環境省、さらには民間ベースでのリサ
イクルシステムの構築へ向けた取り組みというところが進んでございます。G to G、ガバメ
ント・トゥ・ガバメントというところも活用しつつ、こういった状況をフォローアップしつ
つ、推進を図ってまいりたいと。
35スライド目については、フィージビリティースタディー調査についてのご紹介になっ
ております。インドネシア、マレーシア等においてフィージビリティースタディー調査を実
施しております。
最後になりますが、36スライド目において、タイにおける取り組みということで、NE
DOさんですとかトヨタグループの取り組みということで、豊田通商さんですとか現地法
人を通じた実証事業というところについてご紹介をさせていただいております。
以上、大変駆け足でございましたけれども、資料3-1、3-2、3-3についてのご説明
でありました。
○三牧自動車課課長補佐 それでは続きまして、資料4についてご説明申し上げます。資
料4をご覧ください。2ページ目でございますが、自動車リサイクル法の施行状況というこ
とで概要が書かれております。(1)①使用済自動車の引き取り台数につきましては、平成
30年度は338万台ということになっておりまして、微増ということでございます。
②3品目の引き取り状況でございますが、フロンが297万件、エアバッグ類が276万件、
ASRが301万件でございました。
③再資源化状況でございますが、シュレッダーダストは97から98%、エアバッグ類が
94%となっておりまして、いずれも法令に定められた目標を達成しております。
(2)事業者の登録・許可状況でございますが、業者は全体的に減少傾向でございまして、
合計として4万4000事業者ということになっております。
(3)リサイクル料金の預託状況でございます。ほぼ新車購入時に預託がなされておりま
して、昨年度の新車購入時の預託が約527万台ということになっておりまして、預託金額は
537億円でございました。
(4)不法投棄対策、不適正保管や離島対策の状況でございます。①全国の不法投棄・不
適正保管車両は4977台、前年度比で222台の減少となっております。100台以上の大規模
案件につきましても、10件、1530台ということになっております。
②離島対策の実績でございますが、30年度は86市町村で2万4504台ということで、ほ
ぼ例年どおりでございます。
3ページをご覧ください。3ページ以降はそれぞれの項目についての詳細について記載
しておりまして、かいつまんでご説明させていただきたいと思います。
③中古車販売台数は、30年は696万台で前年比微増となっております。
④オークションの流通台数につきましては、30年度は747万台ということで、こちらも
微増ということになっております。
⑤中古自動車の輸出状況でございますが、昨年度は168万台ということで、増加でござい
ました。
続きまして、5ページをご覧ください。③の自動車メーカー等のリサイクル率でございま
すが、シュレッダーダストは若干の減少、エアバッグ類は横ばいということになっておりま
す。
7ページをご覧いただければと思います。シュレッダーダストの処理状況でございます
が、(エ)自動車由来の最終処分量につきまして、一番左側の③埋立施設に投入されたAS
R重量ということでございますが、先ほど資料3-1でも説明させていただいたとおり、埋
め立てについて2013年以来の発生ということになっておりまして、79トンということにな
っております。
9ページをご覧ください。①行政処分等の状況ということでございますが、関連事業者に
対する指導・助言が若干増ということになっております。②の停止・取消処分の事例につき
ましては、平成30年度は取消処分が3件ございました。
12ページをご覧いただければと思います。リサイクル料金の払渡しの状況でございます。
平成30年度の合計が約1230万件ということになっておりまして、合計の料金が374億円
ということになっております。
14ページをご覧ください。④特定再資源化預託金等の発生状況でございます。平成30年
度を見ていただきますと、約15億8800万円ということになっております。
⑤の特預金の出えん状況につきましては、平成30年度は約2.5億円の出えんということ
になっております。
15ページをご覧ください。リサイクルシステムの稼働状況でございますが、平成30年度
は安定稼働率100%ということで安定的に稼働しているということでございます。
②はコンタクトセンター稼働状況でございますが、問い合わせ件数は事業者からの問い
合わせが若干減少しているというような状況であります。
続きまして、17ページをご覧ください。⑤工程内平均処理日数でございますが、破砕工
程において若干の増になっております。
⑥は遅延報告発生状況ございますが、こちらも同様に破砕工程において遅延発生が増え
ているというような状況でございます。
続きまして、18ページをご覧ください。①不法投棄・不適正保管の状況でございますが、
全国で4977件ということでございます。
続きまして、②大規模案件の推移ということでございますが、大規模案件は100台以上で
ございますが、3件減少して新規が2件発生ということになっております。
最後に20ページでございますが、最初に少しご説明しましたとおり、離島対策というこ
とにつきましては、86市町村に対して30年度は海上輸送費を支援したということになって
おります。
駆け足でございますが、資料の説明は以上でございます。
○永田座長 どうもありがとうございました。それでは次に資料5に基づきまして、特預
金等を活用した取り組み事例ということで、JARCから説明をお願いします。
○自動車リサイクル促進センター・阿部氏 それでは資料5をご覧ください。説明は自動
車リサイクル促進センターの阿部が行います。
まず1ページですけれども、自動車リサイクル促進センターで行っている特定再資源化
預託金等にかかる取り組みです。以下の5項目になっています。まず、大規模災害への対応。
Ⅱとしまして、再資源化等業務対応、Ⅲとしまして情報発信等の拡充、Ⅳ特預金の発生要因
の分析、最後に新たな特預金の使途についてでございます。各項目について次に説明してま
いります。
まず2ページ、Ⅰ.自治体における大規模災害事前対策に向けた情報提供・協力事業とい
うことで、本検討では環境省による巨大災害発生時における災害廃棄物対策のグランドデ
ザインに示された巨大災害発生時における対策のあるべき方向に足並みをそろえて、被災
自動車の処理について下表の3項目をポイントに情報提供を行っております。
計画は、その下の5年間の計画のとおりというところになりまして、3項目で推進してお
ります。手引書・事例集の作成と普及、被災自動車推計、環境省・自治体との連携というこ
とで、こちらは先ほどご説明がありましたD.Waste-Netというものに加入しております。こ
れは2015年9月に環境省が発足しました有識者、自治体、関係機関の技術者、関係業界団
体等で構成された、災害廃棄物処理の知見・技術を有効に活用する仕組みということで、J
ARCは2018年の12月19日に環境大臣より任命を受けてメンバーとなっております。
次に3ページでございますが、その具体的な各種取り組みです。自治体と自動車リサイク
ル関連事業者等の連携等に資する情報提供、協力ということで、2018年度に被災自動車の
処理にかかる手引書・事例集をリリースしまして地方自治体に配布しております。
2番目として、南海トラフ地震の被害予測に基づく被災自動車の自治体仮置き場移動台
数推計を実施して提供しております。
3番目としまして、被災自動車対応の自治体向け説明会、研修会を開催しておりまして、
13県1市2ブロックで開催しております。
4番目としましては、大規模災害時にはD.Waste-Netのメンバーとして、関係各組織に被
災自動車関連の情報を提供しております。具体的な例は下の図にございます。
次に、不法投棄・不適正保管に関する情報収集、状況把握になります。全国の自治体に対
しまして、自治体による不法投棄・不適正保管への対応状況について毎年確認しております。
自治体との意見交換を実施して、確認結果を整理して国に報告をしております。
2番目として、不法投棄・不適正保管に関する自治体への情報・知見の提供ということで、
自治体の担当者に対しまして、下の表の3項目につきまして、研修機会を通じて実務、必要
な情報、知見を提供しております。
3番目に離党対策支援事業としまして、2018年では86市町村、2万4504台で、出えん
金額約1億円強の支援を実施しております。
次に5ページとなりますが、こちらは参考資料としまして関係主体の役割を説明してお
りますので、ご参考にしてください。
次に6ページになりますが、3番目の項目の関係主体とともに取り組むユーザー向け情
報発信ですが、JARCは平成28年9月の合同会議の結果を踏まえて、自動車リサイクル
のさらなる発展に向けて関係主体間の連携を図りながら、自動車ユーザーのための理解活
動を積極的に取り組んでおります。左上の図のほうに、各ステークホルダーと連携しまして、
右側に示します5項目に関して情報発信に取り組んでいます。その取り組み内容を以降で
説明いたします。
7ページになりますが、まず例1としまして、情報の質を高め、わかりやすくする取り組
みということで、わかりやすい情報へと身近なところから改善ということで、問い合わせが
増えている海外対応の一環として英訳した広報ツールを作成し、これをホームページに掲
載してあります。
また、例2としまして、ニュースリリースの積極的配信ということで、インターネットメ
ディアの露出を高めるために、ニュースリリースの配信を合計24件実施しております。そ
の結果、インターネットメディアに1370件の記事が掲載されたという状況です。
8ページ目の例3になりますが、映像メディアを利用した情報発信ということで、自動車
ユーザーを含む、国民一人一人の関心を高め、そして共感を得るために映像と音による分か
りやすいメッセージを作成しました。また、これをBSのデジタル放送などで放映を実施し
ております。
例4としまして、運転免許教習所に通う将来のユーザーに対して、リサイクル料金の支払
いやその使途など、車社会における自動車リサイクルへの関わりについて若年層の認知を
高めるために、運転免許学科教本79万部に掲載しております。
次に9ページになりますが、例5としまして、全国環境イベントでの情報発信ということ
で、下表に示しますように北は北海道から南は九州までの全国11カ所、主として自治体が
主催する環境イベントに出展し、来場者及び地域の方々の理解普及活動に努めております。
次に例6になりますが、小学校の学校教育と連動した情報発信ということで、自工会や解
体業者さんや破砕業者さんらと連携しまして、小学生に向けた体験学習の場を提供してお
ります。小学生やその保護者の認知向上と理解促進に取り組んでおります。そしてこれらの
取り組みで得られたコンテンツを自動車ユーザーへの情報拡散及び理解普及活動に活用し
ております。
例7としまして、車のリサイクル作品コンクールを実施しております。それによりまして、
7357件と非常に多くの作品の応募を受けまして、関係者の協力を得ながら選定した入賞作
品の表彰式を行っております。これによりまして、保護者やそのまたおじいちゃんおばあち
ゃん、親類からなど非常に多くの関心が集められておりまして、自動車リサイクルの認知度
向上が図れたと考えております。
次に、4番目として特預金の発生要因の分析ということで、年間約10億円程度発生する
特預金、これは利息を除いておりますが、JARCで発生事由ごとに分析を行いまして、そ
の発生抑制の可能性について検討を行っております。下の5項目ですが、この中で一番上の
項目はJARCとして対応を取りますが、下のほかの4項目については非常に難しいとい
う状況でございます。
まず1番上のものは自動車輸出取り戻し請求権の時効ということで、輸出をしたのに自
動車リサイクル料金の請求がないという状況になります。こちらに関しては、対応としまし
て、輸出返還自体を知らない業者の方もいらっしゃる可能性があるということで、税関や運
輸支局、輸出団体等にチラシの配布を開始しております。これは今年の5月からですけれど
も、それによって認知度向上を図るという活動をスタートしております。
次に、金額の多い2番目、解体自動車の非認定全部利用です。これは、解体自動車を輸出
した場合に輸出返還の請求がない場合で、これが6.3億円ほどございます。これはガラ輸出
ですけれども、マテリアル、鉄鋼材料として輸出する場合もありますし、あとは、部品取り
的にハーフカット等で輸出されてしまうものがあります。それに関しては請求がなされな
いということで、これが特預金に回ってしまうということがあります。
また、一番下になりますが、少し金額が大きいもので6.6億円です。これは、事故等によ
ってエアバッグ、フロン類の処理が行われないということで、搭載されていないということ
になってしまいます。こういうものの特預金が発生してしまうことが大きな要因となって
おります。
次に、5番目、新たな特預金の使途についてということですが、これも2015年に開催さ
れた第43回合同会議における方向を踏まえて、JARCでは新たな特預金の使途として、
下記の使途案について検討してきました。今後も継続して検討を行っていきます。
2016年から2017年の検討では、このように不法投棄、大規模災害、データセンターの安
定稼働等に関しての支出が考えられるということと、あとは、先ほども説明がありましたプ
ラスチック関係のインセンティブへの支出が考えられます。
2018年は、自動車リサイクルシステムの安定化、円滑化への対応ということで、大規模
な震災等が起きたときに指定法人の事業所が罹災した際に対する留保資金ということで、
1億程度を追加で見込んでいるという状況になります。
次に13ページ、最後になりますが、新たな特預金の使途についてということで、前のペ
ージの新たな使途案を反映した今後の特預金の実質残高の推移イメージを下記に示してお
ります。ご覧いただけますように、2021年までは増加する方向で、2022年には、先ほど言
いましたインセンティブやいろいろなシステムの安定化のための資金が使われるというよ
うに考えております。その後、また増え出しまして、この中にグレーで書いてある部分があ
ると思いますが、これが、いわゆる20年時効というものになりまして、※印で書いてあり
ますが、再資源化預託金等が預託されている自動車が最後に自動車検査証の交付または自
動車検査証の返付を受けた日から起算して20年を経過する日までの間に当該自動車にかか
る特定再資源化等物品にかかる再資源化等預託金または情報管理預託金の払い渡しの請求
がない場合は特預金となるということです。車検を受けて20年が経っても何の請求もない
ものは時効となり、20年経ったら特預金に回ってしまうという事象が、2005年から事業が
スタートしましたので、2024年ごろから出てきてしまい、特預金の増加が見込まれるとい
うような状況でございます。
説明は以上になります。
○永田座長 以上で前半部分に説明いただく内容は終了でございます。それでは、この後
は質疑応答を約1時間弱行いたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
コメント、あるいは質問等がある方、ちょっといろいろな資料があるのでしにくいかと思
いますが、まず資料番号を言っていただいて、コメント、質問をしていただければありがた
いと思います。いかがでございましょうか。
それでは左から森谷さん、お願いします。
○森谷委員 最初にご指名をいただきましてありがとうございます。資料3-1の30ペ
ージ、全国産業資源循環連合会のモデルですが、30ページにはプラスチックの資源循環戦
略を参考としてつけていただいておりますが、これは自動車関係のリサイクル品やリビル
ド品も含めての話ですが、プラスチックの戦略を見ますと、マイルストーンの②に、2025年
までにリユース・リサイクル可能なデザインに、④2035年までに使用済みプラスチック
100%リユース・リサイクル等により有効利用と書いてありますので、自動車に限ってこの
ようなマイルストーンを今後考えられることをご検討されているのかということが質問で
す。
以上です。
○永田座長 どうもありがとうございます。少し質問を受けてからご回答に回させてい
ただきます。
細田先生、どうぞ。
○細田委員 資料4の6ページ、7ページのASRの表を見ると、リサイクル率が今まで
はずっと上がってきたのに、今回平成30年度は97.6%と下がって、その次のページでは、
先ほどご説明がありましたけれども、直接埋め立てが今回初めてここに入ってしまってい
るので、いろいろと特殊事情があるかもしれませんが、両省は、今後はどのような見通しを
持っておられるのか、もしこれが続くようであればまずいのではないかということが1番
目です。
2番目は、先ほど中国の話がありましたが、それと関係しますが、SRとASRのバッテ
ィングがあって、ASRは、自動車リサイクルがありますから優先されても仕方がありませ
んが、SRがはじかれていろいろな問題が起きているやに聞いていますが、それをどのよう
にお考えになっているのか。
それとの関連で、SRに余裕があると何が起こってくるかというと、あるシュレッダー屋
さんをヒアリングしましたら、廃車ガラは全部上流で取られてしまっているからおいしく
ない、有価金属が入っていないと。ミックスメタルのほうがおいしいものが入っているから
本当はもう廃車ガラをやりたくないといった話も聞くので、SR、ASRの関係もいろいろ
なところに飛び火をするので、両省はそのあたりをどのように把握されているかお伺いし
たいと思います。
以上です。
○永田座長 はい。それでは乗田さん、どうぞ。
○乗田委員 鉄リサイクル工業会の乗田でございます。資料3-1のスライド28、29くら
いかと思いますが、2017年ごろから雑品スクラップの規制、それから中国ショックの影響
で、まさに私どもリサイクル現場において、直接的間接的に大きな影響が出ています。特に
自動車リサイクル法に関しましては、再資源化処理施設の不足によるASRの差配におい
て、現場でかなり混乱が起きており、お願いがございます。
最近になって差配先が遠隔地になっており、125キロ以上は運賃補助がありますが、昨今、
ご存じのとおりトラック不足と、ドライバーの不足が顕著となっており運賃が非常に高騰
しています。かつ、なかなか運転手さんが遠隔地まで行ってくれないということで破砕業者
は苦労しております。自動車リサイクル工業会の破砕業会員に対し、ASRの差配について
7月にアンケートをとりましたところ、やはり運賃面で苦労しているという点が指摘され
ました。
将来的に再資源化施設がそれほど増えるとは思えませんし、どんどん事態が深刻化する
ことが予測されますので、関係者の皆様で、その点についてご検討いただきたいと思ってお
ります。
○永田座長 ありがとうございます。乗田さんに追加で言っておきたいのですが、資料4
の17ページに遅延報告書が載っています。先ほどの報告書にもありましたように、前から
問題はありますが、特に平成30年度は大幅といいますか、伸びてしまっているという状況
もあって、先ほどのお話にこういったものがどう絡んできているのか説明していただける
とありがたいのですが。
○乗田委員 先ほどもご質問の件に少し触れようかと思ったのですが、差配についての
み報告しました。これは30日ルールに関することですが、今、細田先生からのご指摘もあ
りましたけれども、我々の破砕現場ではSRとASRと双方が出てきますが、まさにSR、
ASRの処分が非常に滞っておりまして、シュレッダーの稼働率が落ちています。どうして
かというと、ダストが処分できないので、シュレッダーを稼働させたくても十分に稼働させ
ることができない。ダストが処理できた量だけを明日また破砕することを余儀なくされ、今、
私どもの破砕現場においても、ソフトプレス、Aプレスの在庫量が増えております。
また、破砕行程の一つ上工程、後で酒井委員からもご報告があるかと思いますが、ELV
の解体の現場でも在庫は増えているとお聞きしています。その前のディーラーさんからも、
直接的、間接的に、もっと廃車を引き取ってくれという依頼がございます。私どもも作業を
滞らせているということはないと思っていますが、シュレッダーの稼働率が上がらずに、今、
座長からご指摘があった遅延がふえている。これも経済産業省、環境省にはご報告いたして
おります。
○永田座長 ありがとうございます。佐藤さん、どうですか。
○佐藤委員 資料3-1の5ページについて伺いたいのですが、リサイクル料金について、
優良な場合にはインセンティブを与えるというお話がありますが、この実施についての実
施予定があるのか、あるいはヨーロッパ等でこういったリサイクル料金の割引についての
インセンティブ制度が導入される予定があるのか、そういったハーモナイゼーションのよ
うなものがあるのかということを伺いたいと思います。
○永田座長 よろしいでしょうか。では酒井さん。
○酒井(康)委員 去年までは日本ELV機構という組織名で参加させていただいており
ましたが、日本自動車リサイクル機構というふうに名称が変わりました。よろしくお願いし
ます。
先ほど細田先生や乗田委員からお話があった、3-1の27、29あたりの中国ショックとい
うところにやや関連したところでの質問というか、現状、委員の皆さんにぜひ知っていただ
きたいという状況ですが、現実として、石垣島ですが、使用済自動車の逆有償が発生してい
ます。これはかなり由々しき事態だろうと思っておりまして、ここは確かに特殊な事情があ
って、我々は使用済自動車からリユース部品を取って販売するというのが実は資源と並ん
だビジネスの大きい柱ですが、資源価格が低迷している。今年になって急に30%、40%と
資源価格が下がっています。そういった中で、離島、特に石垣島の話は、部品マーケットが
ないので、資源に頼ったビジネスをせざるを得ないということで、その資源が大幅に値下が
りをしたというところで、特殊ではありますが、今まで逆有償にはならずに来ていたところ
が逆有償に入らざるを得なくなったという状況が、事情があるにせよ発生しているという
状況で、これが中国ショックという言葉で29スライドでしたかにありましたけれども、そ
ういう状況が来ているというところを、ぜひ委員の皆さんにはご理解をいただきたいと思
いますのでご紹介させていただきます。
また、いろいろな方法でSR、ASRの処理を進めるという観点で紹介されているのが、
29スライドでしょうか、去年に実は私もお願いした件ですが、合わせ産廃処理というとこ
ろの各地方への呼びかけがなされたということが報告の中にありますが、この件について
もまだ実際に、私自身の範囲ですけれども、どこかで廃棄物を受け入れてもらったという話
は聞こえておりませんので、そのあたりの状況は引き続きよろしくお願いしたいと思いま
す。
もう1点、大規模災害に関しての件です。特に我々の自動車解体業者のレベルですと、災
害現場から土砂・がれきの詰まった車を引き上げてくるということが当然ありますが、車の
形をした物の中に土砂・がれきが入っているという状況ではなく、だんご状態になったよう
な車を引き上げてくるという状況が実際にあります。我々は当然それを処理はしますが、そ
の中で土砂・がれきの処理費用については、ひょっとしたら特預金の中で出えんされるよう
な可能性あるのかと資料を見せていただきましたけれども、具体的な処理の方法として、エ
アバッグの処理が非常に困難です。これは一括作動をするか取り外しをするかということ
になっていますが、当然土砂にまみれた車ですから一括作動はできませんので取り外しと
いうことですが、実際にはまともな取り外しはほとんどできません。費用だけではなく、そ
の方法論、実は東日本大震災のときはニブラという重機を使って外していいという判断が
最終的に出まして処理が進んだという経緯がありますが、去年の西日本の豪雨の際にはそ
ういう判断がなかなか出なくて現場は非常に困ったということがありまして、そのあたり
については、そういう災害が出た際には速やかに解体方法に関しても指示を出していただ
けるような形をとっていただければと思っております。よろしくお願いします。
○永田座長 酒井先生はいかがですか。
○酒井(伸)委員 私からは専ら資料3-1について質問とコメントをいたしたいと思い
ます。一つ目はインセンティブ制度、10ページのところで、バーゼル条約のデカブロモジ
フェニルエーテルの低濃度基準が決まらないので2年延期だという趣旨の説明であったか
と思いますが、この要因だけが2年延期の理由では恐らくないと理解していますが、そうい
う理解でよろしいかどうかということを確認したいと思います。
また、これを主たる理由として挙げられる限りは、さまざまなリサイクル高度化支援事業
を実施されておられますが、そういった中で、難燃剤対応ということに関してはどのような
取り組みがなされて、今、何ができるようになってきているのか、あるいはその見通しはど
うなのかといったところをご説明いただければと思います。
2点目は、その数ページ後にバイオマスプラスチック4種の紹介がございましたが、こう
いう取り組みが積極的になされていること自身は非常に結構なことだと思っております。
ただ、基本的にはほとんど利用されていないという説明であったかと思いますが、今後の見
通しはどのように耳に入っておられるのか、概要のみでもご紹介いただければ幸いです。
それから、先ほど日本自動車リサイクルの酒井さんからお話のあった災害との関係です
けれども、資料18ページのほうで、JARCさんがD.Waste-Netに加盟されたこと自体は
極めて結構だと思いますが、最終的に、実際に冠水車両の引き上げですとか、あるいは被災
車両の受け入れ体制については、「自主的に」という枕詞で制限されていますが、その実績
というのはどの程度あって、主にはどういう方々が自主的に受け入れていただいているの
かといったところを可能であればご紹介いただければと思います。もし酒井委員のほうで
そのあたりの情報をお持ちでしたら、ぜひ皆さんにご紹介いただければと思います。
○永田座長 鬼沢さん、どうぞ。
○鬼沢委員 資料3-1で、インセンティブ制度のリサイクル料金割引の件ですけれども、
今、酒井先生がおっしゃったように、2021年、あと2年後の結果を待ってどういう判断を
するかということだけではないような気がしていまして、そこのネックは具体的に今、高度
化財団でやっている実証事業だけで判断ができる状況なのか、あるいは、インセンティブ制
度がリサイクル料金の割引ということでこういう状況になっていますが、リサイクル料金
割引以外にもインセンティブ制度が考えられるのではないかと思いますが、そういう検討
は今後されていくのかということ。
もう一つ、16ページにあります情報共有のあり方ですけれども、ブルーの中の3番目に
あります関係主体による自主的かつ発展的な対応というのは、その下の括弧にあることだ
けなのか、もう少し具体的に、どういうことをおっしゃっているのか知りたいと思います。
○永田座長 嶋村さん、どうぞ。
○嶋村委員 自動車工業会でございます。2点ございまして、1点目は、先ほど来、少し
話が出ておりますリサイクル率及び中国ショックの話でございます。リサイクル率につき
ましては、自工会のほうでは、基本的にはよりリサイクル率の高い施設へ持っていこうとい
う考え方でこれまでもやっておりました。これからも基本的にはそういう形でやっていき
たいと思っておりますが、中国ショックの関係でなかなかそこがうまくいかないというこ
ともございまして、先ほど率が少し下がっていると、埋め立てもあるというところで、こち
らにつきましては日本鉄リサイクル工業会さんのほうに非常にご協力をいただきながら、
逼迫する中で何とか回しているというのが実態でございまして、そのあたりをどうかご理
解いただきたいと思います。
あわせまして、資料3-1の29ページに、環境省様のほうでかなりいろいろと具体的な対
応を一生懸命やっていただいているというところに非常に感謝をしておりますが、これは
自動車業界のみの問題ではなく、産業界全体の問題でございますので、ぜひこの取り組み、
対応を引き続き実施していただきたいと思っておりますが、その際に、リサイクルといって
も、マテリアルリサイクルもあれば、ケミカルも重要だと思っておりますし、社会的にはサ
ーマルリサイクルというのはもう避けて通れないというところがございますので、マテリ
アル、ケミカル、サーマルも含めて、こういった施策を今後とも継続してやっていただきた
いと思います。
昨年、非常に騒がれましたが、一過性の対応に終わることなく、来年度以降も引き続きこ
ういった支援制度をぜひ継続していただきたいというお願いでございます。
以上でございます。
○永田座長 ありがとうございます。大塚先生、どうぞ。
○大塚委員 2点ございますが、1点目は同じようなことですけれども、インセンティブ
制度のことで、先ほどおっしゃっていただいたように2年延期をしていただいていますが、
しっかりとした制度にするためには延期した方がいいと私は思っているところですが、
Deca-BDEなどの難燃剤の話については情報の伝達の話が結構重要だと思いますが、酒井先
生や鬼沢委員がおっしゃった話とも関係しますが、これについてはどのくらい議論が進ん
でいるかということをおっしゃっていただけるとありがたいということが1点です。
もう1点は資料4の18ページの不法投棄の件ですけれども、大規模事案が減ってはいま
すが、まだ10件も残っているので、これはどういうことが理由になっているか、どういう
対策が可能かということに関して教えていただければと思います。
以上です。
○永田座長 ありがとうございました。赤穂さん、どうぞ。
○赤穂委員 コメント一つと質問2つをお願いします。まず資料3-1の4ページにつ
いてコメントですけれども、解体事業者さんと自動車メーカーさんの話し合いの結果で、自
動車リサイクル設計事例集というものをつくるという提案があったということで、これは
とてもいい取り組みではないかと思っております。特に、非効率な事例というものがどうい
うものであるのかということを、具体的に車種を明示する形で、こういう設計、またはこう
いう素材を使うと解体しづらいということがわかれば、メーカーの設計の担当の方にも環
境配慮設計をさらに進めるという意味で背中を押すような取り組みになるのではないかと
思っておりますので、ぜひ進めていただければと思っております。
質問は、ホンダさんと日産さんにお伺いしたいのですが、ホンダさんにはリチウムイオン
電池のリサイクルの取り組み、相当処理がしんどいとおっしゃっていましたが、実際に得ら
れた有価物、金属と水素吸蔵合金などで得られるプラスの面と処理コスト全体を見たとき
に、収支の割合はざっくりとどのくらいかということがもしわかれば教えていただきたい。
全体の1割しか回収できないのか、8割くらいはいけるのかとか、目処があれば教えていた
だきたい。
それから、日産さんについてはいろいろと外部の企業さんや大学さんと委託でリサイク
ルについて取り組まれている中で、唯一事業化の目処が立っているVeoliaさんとの取り組
みですが、19年度以降に事業化に向けて進み出すということですので、もし現時点で今後
の計画等、言えることがあればお教えいただきたいと思います。
以上です。
○永田座長 どうもありがとうございました。それでは、今までのご質問等について、ま
ず環境省のほうからお願いします。
○佐川リサイクル推進室室長補佐 環境省です。まず森谷委員からご指摘をいただきま
したプラスチック戦略におけるマイルストーンと自動車リサイクルにおけるプラスチック
の目標のようなものという関係についてですけれども、現時点で何か決まっていることで
すとかご紹介できるところはございません。ただ、自動車もプラスチックをたくさん使って
おりますので、考え方、理念というところを共有しつつ、今後とも対策を進めていきたいと
考えております。
続きまして、ASR、SRの関係について、ご指摘、ご質問、ご意見をいただきました。
まず28スライド目に書いてあることでございますが、ASRの流れで、まず去年の中国シ
ョックの影響が出始めたところから製造業者に関するヒアリングなどを行ってきまして、
実際にどうなのかといったところを伺ってまいりました。その中で、先ほど嶋村委員からも
紹介があったような、かなり厳しい状況というところは聞いておりました。それにさらに事
故が重なって、先ほど乗田委員のご指摘もございました滞留といったことが実際に発生し
たというところではございました。
ただ、ASRとSRではかなり状況が違うというところもまた事実でございました。SR
については普通の産業廃棄物ということで、普通の排出事業者責任の中で処理先を探さな
ければいけないという状況ですが、ASRについては、費用という面については、ユーザー
が新車購入時に預託した預託金を原資に、かつ破砕業者と再資源化施設の間を、メーカーが、
15年間の関係などもありながら、差配先を見つけているという意味で、SRとASRで、
厳しさという意味では、正直に申し上げてかなり違うというところが経済産業省、環境省の
受け止め方でもございます。
その中で、破砕業者さんへのご迷惑をお掛けしている部分というものもあるということ
も事実かと思いますので、そこについては、厳しい状況ではありながら、引き続き差配とい
うものをしつつ、遠距離化の数字を出させていただきましたけれども、こういう状況なども
踏まえつつ、差配先を見つけていく。
埋め立て処分量や再資源化率が下がったという点もございますが、まず昨年度の状況に
ついては報告を受けておりまして、そのときにも再資源化率が下がってしまう部分につい
ては、なかなか仕方がないとは言いづらい部分はありますが、それよりもまずはASRを流
す、自動車リサイクルの流れをとめないというところがまず第一だということは申し上げ
たところでございます。
今年度の状況ですけれども、なかなか厳しい状況が続いているというふうには理解をし
ておりますが、なるべく再資源化率を高めるという意味で、年度末だったかと思いますが、
新たな認定ということもさせていただいておりますので、そういうところを通じて、処理能
力の向上というところにかなり強い問題意識を持って図っていかなければいけない。繰り
返しになりますが、まずは流れを止めないというところを第一に置いて状況を注視してい
るところでございます。
酒井委員から石垣島での逆有償についてご指摘がございましたけれども、経済産業省、環
境省も状況把握をしておりまして、実はやや違った見方をしているのではないかという部
分があったかと思います。確かに、離島であるということでの輸送費、部品としてリユース
しづらいというところがございます。それに加えて、沖縄県では破砕業者が2社しかないと
いうところがございまして、そういったところもあって逆有償になったと理解しておりま
す。中国ショックとの関係はそれほど強くないというのが我々の分析ではございますが、厳
しい状況ということについては変わらないと思いますので、ここも注視しているところで
ございます。石垣島ということで申し上げましたけれども、さらにそこからの離島というも
のもございますので、そこはJARCの輸送費補助といったものも活用しつつ、セーフティ
ーネットという観点でしっかりと状況を注視して対策を講じてまいりたいと考えておりま
す。
以上がASR、SRについてですけれども、もう一つ、細田委員からご指摘がありました、
ほかの廃棄物がはじかれているのではないかということですけれども、そこは何とも言え
ない部分がございます。やはり市場経済といいますか、高いもののほうが高く買われるとい
うところではございますが、全国的に見て、まだ廃車ガラ中国ショックを理由に逆有償にな
っているという状況にまでは至っていないという理解でございますので、そこはしっかり
と注視していきたいと考えております。
災害についてもご指摘をいただきましたのでお答えさせていただきます。まず土砂の関
係でございますが、土砂まじりの車について追加的費用がかかっているという面につきま
して、今、明確な支援スキームはございません。そこについては、昨年の状況なども踏まえ
つつ、関係者のお話を伺って、できることとできないことを整理して、しっかりとスムーズ
に被災自動車が流れていくというところを図っていきたいと認識はしているところでござ
います。
もう1点、エアバッグにつきまして、東日本大震災のときにニブラで取り外すというとこ
ろを認めさせていただきました。昨年度も最終的には認めさせていただきましたけれども、
かなり時間がかかってしまい、現場にご迷惑をおかけしてしまったというところは事実で
ございます。今後は、被災自動車が発生した際には、ニブラにおけるエアバッグの取り外し
というものへの対応についても早期にご相談に乗っていけるようにしていきたいというふ
うに認識をしております。
次にインセンティブにつきましては、ご指摘をいただきましたのは2年延長というもの
についてどういう考え方かということでございます。確かにDeca-BDEの数値基準が決まる
こと自体に意味があるというよりも、有害物質の拡散を防ぐというところが大目的でござ
います。私の説明で後ろ向きの部分があったとしたら誤解を与えてしまって申し訳ないと
思っておりますが、あくまでインセンティブ制度に関しては前向きに捉えておりまして、あ
くまで慎重に議論をするべき点については慎重に議論をするという趣旨でございまして、
実際に分析をしていって、例えば50ppmというのが少ない基準ですけれども、その基準と照
らして、実際に自動車はどうなのかとか、もっと深掘りしていく部分、さらにトレーサビリ
ティーを他方でどう担保していくかとか、さまざまな論点がございますので、そういった点
を踏まえながら、ポイントとしては有害物質の拡散を防ぐという観点を大目的として検討
してまいりたいというところでございます。
また、特預金をユーザーへのインセンティブ以外の用途に使えないかという点について
も鬼沢委員からご指摘をいただきましたけれども、こちらについては今後の課題として捉
えてまいりたいと考えております。
現状の法律上、ユーザーに還元するという手法が一つございますので、そこが取っかかり
であったわけではございますが、大目的といたしまして、再生プラスチックの活用という観
点で何ができるか、そういった観点については議論させていただきたいと考えております。
あとは、不法投棄の関係で大塚委員からいただいたご指摘についてですけれども、残って
いる案件はなぜ残っているのかというところで、こちらについても関係者とともに調査を
一部行いまして、なかなか申し上げにくい部分もございますが、端的に申し上げると、市場
原理に従わない部分があると。もともと自動車リサイクル法をつくったことによって、AS
R等、費用を充てることによって廃車が有価で回っていくという状況をつくり出したわけ
でございますが、有価であっても手放したくないという方がいらっしゃるというところが
大きな理由ではないかと考えております。
また、バイオプラスチックについてご質問をいただいておりましたのでお答えさせてい
ただきたいと思います。バイオプラスチックにつきましては、13スライド目でバイオポリ
プロピレンが上市されていないことはご紹介させていただきましたが、環境省で今年度か
ら行っておりますバイオプラスチックの技術実証事業で三井化学さんのバイオポリプロピ
レンの実証事業を採択しております。そういったことを通じて、国としても実用化に向けた
支援をさせていただきたいという状況でございます。
○永田座長 よろしいでしょうか。
先ほどのインセンティブ制度との関係で、なぜ2年遅らせるかということにつきまして
は、デカブロモジフェニルエーテルの関係もないわけではないかもしれませんけれども、ど
ちらかというとプラスチックのリサイクル技術そのもの問題がかなりのウエートを持って
いるのではないかと思っています。
一方で、プラスチックに関しましてはもう少し積極的な対応が求められるので、インセン
ティブ制度を待ってやるという話ではなくてもいいわけで、その点については鬼沢さんか
らご指摘があったとおりだろうと思っております。少し考えさせてください。
それから、水没車両とか特殊な車両についてのリサイクル等に関しまして、たしか前回も
ご指摘をいただいて、環境省のほうでの対応がありましたけれども、こういったものは酒井
先生の方でいろいろとやっていただいている大規模災害のときには必ず発生してくるし、
現実には東日本大震災の関係もあるわけです。そういうものをきちんとルール化して定め
ておいて、いつでも適用できるという状況をつくっていかなくてはいけないだろうと思っ
ております。
具体的にはJARCで検討してもらうことがいいのではないかと思っていますが、その
あたりのところも含めて、それから先ほどの沖縄の逆有償も、特殊な事情のときにはそうい
うことが、瞬間的という言い方は極端かもしれませんけれども、ある時期に起きる可能性も
ないわけではない。ただ、それが長期化することはないだろうし、何かうまい方法でそうい
うものを解消していくようなことをきちんと考えていかなくてはいけない。そのあたりの
事情もきっとJARCの方では把握されているのではないかと思いますので、それも聞か
せてもらうということと、それからJARCに対しても質問がありましたので、その部分も
あわせて答えていただければと思います。
それから自動車メーカー各社にも、赤穂さんから質問があったかと思いますので、お願い
いたします。
○自動車リサイクル促進センター・阿部氏 まず、大規模な災害の対応については両省と
もいろいろと話をして、適切な方法に関してはいろいろな形でJARCの資金を出えんし
て対応しようということで検討しております。ただ、法的に問題ない形というものを担保し
ながらということで検討を進めております。
○永田座長 あんまり個別の小さな話に対して時間をとる、あるいは環境省や経済産業
省に面倒を見てもらうということではなく、そのあたりの想定される事態はわかりますか
ら、そちらで検討材料として挙げておいてもらって、進めてください。
○自動車リサイクル促進センター・阿部氏 わかりました。検討項目として挙げさせてい
ただきます。
また、石垣島離島の件はこちらも把握しておりまして、先ほどご説明がありましたように、
沖縄の2社しかない破砕業者さんで1社が自動車に対して処理量を減らしているという事
情がありまして、これに関してはヒアリングを行って今後対応を進めたいと考えておりま
す。
もう一つは、鬼沢さんから情報共有のお話がありましたけれども、各団体が個別に行って
おりまして、取り組み状況がありますが、私どもJARCとしては、各団体とも話をしまし
て、ベストプラクティス的なところを吸い上げて展開していくということも考えていきた
いと思っております。
以上でよろしいでしょうか。
○永田座長 わかりました。それではホンダからお願いします。
○本田技研工業・橋本氏 ホンダからリチウムイオンバッテリーのコストに関してご報
告いたしたいと思います。資料の3ページ、4ページになりますが、従来の焼却溶解処理の
コストに対して私どもが取り組んでいる技術に関してかかるコストというのは、半分くら
いを目標に開発を進めております。処理費として半分減ることを目指して開発しておりま
す。
以上でよろしいですか。
○永田座長 はい。続けてお願いします。
○日産自動車・宮下氏 それでは先ほどのVeoliaさんとの事業化に向けての活動ですけ
れども、今日は実際に活動に取り組んでいる服部が来ておりますので、そちらからご説明さ
せていただきたいと思います。
○日産自動車・服部氏 Veoliaとの実証事業ですけれども、資料の3-1の12ページに
書いてありますインセンティブ(リサイクル料金割引)制度の実施に向けた取り組み状況⑥
というところの、リサイクル設備導入補助事業という資料に具体的には記載されています
が、2017年、2018年に日産自動車でいろいろと実証事業をやった結果をVeoliaさんの方で
投資判断をされて、環境省さんのリサイクル設備補助事業に応募されて、実際に工場の建築
に入っております。今年、2019年に土地を取得して、2021年3月の稼働を目指して、来年、
工場を建設するということで、実証が現実のものとなっているという状況で、今、進んでい
る状況です。
○永田座長 どうもありがとうございます。追加で、できるだけ手短に質問をお願いでき
ればと思いますが、いかがでしょうか。もしありましたら名札を立てていただいて。
○嶋村委員 質問ではなく回答になるかと思いますが、京大の酒井先生と大塚先生から
ございました難燃剤関係の対応というところを少し。財団の方でやられております事業に
関しまして、自工会の方がアドバイザーということで入っておりまして、難燃剤につきまし
ては何に使っているかということを車種別にどうのこうのということを調べても現場では
全然使えませんので、何に使っていないのか、どの部品を外せばいいのかというところを自
工会の中で検討いたしまして、実証事業の中で部品名等のご提示をいたしまして、それを外
していただいていると。実際にそれをDeca-BDE等の臭素系難燃剤の数値を計ったらほとん
ど出ていないということで、そのやり方で、ある程度Deca-BDEを何とか避けながら樹脂の
リサイクルを高めていくという方法が今、見えてきているかというのが財団での取り組み
の状況でございます。
以上です。
○永田座長 よろしいでしょうか。
どうぞ。
○酒井(伸)委員 せっかく嶋村さんに答えていただいたので追加で質問いたしますが、
リバースリストの考え方は非常に結構だと思います。それが全部品の中でどの程度の割合
になるのかということが次のステップで非常に大事になると思いますが、そのあたりはい
かがでしょうか。
○嶋村委員 樹脂部品の割合の中で、入っていないものの割合のほうであれば、重量ベー
スでは恐らく9割以上は入っていないということになろうかと思います。
○酒井(伸)委員 9割抑えることができるということは、大概のことができますね。
○嶋村委員 あとは、取り外しのコストやそのあたりの、外した後に異物をどのくらい外
さなければいけないかとか、塗膜の除去をどうしないといけないかといった、品質のところ
とコストのところ、あとは供給の体制の問題、この3つプラス臭素系難燃剤への対応という
4つをクリアしないと、なかなか車に再生材が使えないということで、この4つを何とかク
リアすべく、今、財団のほうで実証事業を行っているというのが現状でございます。
○酒井(伸)委員 再生材利用活用の方からいけば今のような考え方になるだろうと思い
ます。結局、将来の車もしっかりした難燃性のものが必要なことは事実であるわけでして、
必要な部位に必要な物をしっかりと使っていっていただく、それをしっかりと回収して回
していただくという取り組みも大事だと思いますので、両側面からぜひ考えていただけれ
ばと思います。
○永田座長 どうぞ。
○吉田委員 質問というか、コメントですけれども、先ほどプラスチック戦略に関しての
ご意見や回答があって、現在のプラスチック戦略の場合は、海ごみ等に関連した使い捨ての
プラスチックですけれども、車で使われているのは、工業のものとしてきちんとリサイクル
されているとは思いますが、特にこういうものでもきちんと、あるいは開発が行われている
といった広報、情報提供をされていくと、今、プラスチックが大きな問題になっている中で、
リサイクルの取り組みというものがもっと理解されていくのではないかという気がしまし
た。
もう一つ、不法投棄ですけれども、人工衛星などによる宇宙からの監視やセンシングとい
ったものが盛んになっていて、いろいろなベンチャー企業も使っていますし、環境監視とい
う意味で、自動車の不法投棄といったものを一つのテーマに、そういうベンチャー企業であ
ったり、あるいは一般の人に、どのようにすれば画像から自動車の不法投棄を見つけること
ができるか、あるいはモニター画像を取り組みの一つとして情報提供するといったことも
されるといいのではないかと思います。
○永田座長 ほかにはよろしいでしょうか。
私から今後検討していただきたいことを申し上げておきます。前回にも申し上げたリサ
イクル料金の余剰部分の管理の問題でございまして、私だけかもしれませんが、ちょっと考
え方に違いがあると思っていますのは、中長期的に均衡させるという方向性で検討してい
ってもらうということになって、平成28年度のこの場で審議していただいた内容かと思っ
ています。その中では、年度ごとにでこぼこもあるでしょうと、プラスになったりマイナス
になったりすることもありますから、短期で均衡させるということではなく、もう少し何年
か、10年ということもあるかもしれませんが、その中での収支均衡を図っていってもらう
というような趣旨だったのではないかと私は理解しています。
26ページに、収支均衡を目指していくと書いてありますが、中長期的という話ではない
ので、その下を見ていくと単年度の収支を均衡させるとありますが、この話ではないのでは
ないか。それが25年や30年にできるということですけれども、既にお金をいただいてし
まっているものに対して、この段階で処理が出てくるという話ですから、きっと無理なので
はないかと思っておりまして、このあたりの考え方の整合性がとれていないのではないか
という気もいたしております。
もともと、この収支均衡の話については、各社ごとに考え方をきちんと把握してほしい。
今回は環境省、経済産業省が調査をかけて回答をいただいたという格好になっていますが、
本来的には、このお金はユーザーからいただいたお金です。その使途に関してもう少しきち
んとした対応をしていくと、そして法律に盛り込まれているのは中長期的な収支均衡、法律
に盛り込まれているというと言い過ぎかもしれませんが、報告書の中で了承されているの
はそういうことなので、それに対応するような対応をぜひ実施していき、各社がそれぞれど
う考えているのかということを示していただきながら、その中でいい考えがあればほかの
会社でも採用していただく、全体的には皆さんにチェックしていただくという流れをきち
んと作っていってほしいと思っております。
それから余剰金の使途ですが、これについては今申し上げたようにユーザーからいただ
いたお金だという厳しい目で使用を考えてほしい。特預金については、数年前に特預金の使
途を、優先順位でこのように使っていくことを原則とするということをまとめてきました
が、今回、特預金の使途、各社でやられている事業、あるいは高度化財団でやられている事
業を見ても、その中に原則論がないような気がします。もう少しこのあたりをきちんと整理
して、これからの使用に当たってはこういう原則で対応していくということで、お金を出し
てくれた方々に納得してもらえるような使い道を考えていってほしいと思っています。
例えば、高度化財団のほうでは、プラスチックのリサイクル絡みのところは、かなり長い
期間、4年とか、中には5年くらいのものもありましたでしょうか、そのくらいの期間で研
究も一段落をつけようということがありますが、先ほど話のあったインセンティブ制度を
実現していくには果たしてそれで間に合うのかという気もしますし、一方で、そういう長い
ものは途中でその研究開発なりが適正に行われているかというチェックをしていく、それ
から、終わった後には必ずフォローアップしていく、そういう手続きも作って、それをお金
を払ってくれた方々に見せていくという努力は必要だろうと思っています。
長くなりましたが、前回から問題意識を持っているところをもう少しきちんと対応して
いってほしいというところをお願いしておきます。
ほかにはよろしいでしょうか。
それでは前半部分は以上で終わりにさせていただきまして、本来的にはもう再開してい
るはずの時間になっていますので、済みませんが、5分くらいでいいですか。それでは今が
30分なので35分に再開ということでよろしくお願いいたします。

休憩

○佐川リサイクル推進室室長補佐 それでは35分になりましたので議事を再開させてい
ただきたいと思います。ご着席いただきますようお願いいたします。
○永田座長 短い時間で申しわけありませんでした。それでは会議を再開します。
議題の2番目、自主取り組みの進捗状況についてということで、資料6-1から6-4に基
づきまして日本自動車工業会、それから一般社団法人日本自動車車体工業会より説明をお
願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○日本自動車工業会・下野氏 それでは資料6-1重金属4物質の削減に関する自主取り
組みの進捗状況について自工会よりご報告いたします。それでは資料に沿ってご説明いた
します。まずは1.経緯・まとめと2.削減目標設定の考え方でございますが、例年ご説明さ
せていただいているものから変わりはございませんので、割愛させていただきます。
表1をご覧ください。縦軸に対象となる削減物質、鉛、水銀、6価クロム、カドミウム、
横軸に目標と実績を記載しております。2018年、新型乗用車16モデル全てにおいて重金属
4物質の削減目標を達成しています。それぞれの物質の状況につきまして、次ページの3.
進捗状況のまとめでご説明いたします。
(1)鉛削減への取り組み実績と課題でございます。図1をご覧いただくとわかりますよ
うに、2006年以降、1台当たりの平均使用量は100グラム前後で推移しております。引き
続き鉛フリー化を進めていくとともに、現時点で技術的な対応ができないか、高融点ハンダ
の鉛についても関連部品業界と連携して技術開発を進めてまいります。
次に、(2)水銀、6価クロム、カドミウムの使用禁止の状況でございます。新型車の全
てのモデルで使用禁止を達成しております。また、水銀については、液晶ディスプレーなど
現時点で除外とされている部品においても水銀フリーを達成しています。
最後に4.今後の自主取り組み達成状況の公表についてでございます。引き続き、自動車
ユーザー様や関連業界様へのよりわかりやすい情報公開に努めてまいります。
ご報告は以上でございます。
○嶋村委員 続きまして、資料6-2に基づきまして、次世代車の適正処理・再資源化の
取り組み状況ということで、昨年度にご説明をさせていただきました内容と変更点を中心
にご説明をさせていただきます。
2ページは自工会の基本的な考え方と取り組み事項ということで、本日は、2.取り組み事
項の適正処理及び3R高度化のA、B、C、Dの4つについてご説明をさせていただきます。
4ページからご説明させていただきます。まずはリチウムイオン電池のリサイクルシス
テムの検討状況でございます。6ページに昨年度の回収状況ということで、昨年度は約2000
個強の回収をリチウムイオン電池の方はさせていただいております。まだまだほんのわず
かな数字というところでございます。
9ページのリサイクルシステムフロー図でございます。真ん中上のところに書いており
ますように、解体業者さんのところからの回収を昨年の10月から開始させていただいてお
り、整備事業者さんは今年の4月から回収をさせていただいております。これまで特に問題
なく順調に進んでおります。
12ページに進んでいただきまして、昨年度は、電池リサイクル施設は7カ所とご説明さ
せていただきましたが、右下に書いておりますとおり、この7カ所以外の大手リサイクル施
設2社プラスアルファでございますが、実証を実施中でございまして、2020年度よりリサ
イクル体制の増強を一部していく予定でございます。まだまだ発生台数は非常に少ない状
況ではございますが、今後も増えていくことが目に見えておりますので、順次増強をしてい
きたいと考えております。
続きまして、13ページです。こちらは昨年10月に始まってから、今回のこのシステム自
体が廃掃法の広域認定をいただいたシステムでございます。したがいまして、法遵守という
ものを我々はかなり厳格に求めようということで運用をしております。ということで、抜き
打ちの監査も含めて、輸送事業者、リサイクル施設の方に監査をするという仕組みを構築い
たしまして、運用をし出したところということでございます。
14ページは今後のスケジュールということで、輸送業者も含めて2020年4月から少し新
体制で臨みたいということで、今、入札等をしているところでございます。
続きまして、15ページはCFRPの適正処理の検討状況ということでございます。16ペ
ージに炭素繊維の特徴ということで、軽い、強い、炭素特有の特性ということで、車におい
ては軽量化への期待ということで有望視されていると。
17ページでは、車以外にもいろいろなものに使われているという例が書いております。
18ページのところでは、そういった廃CFRP、まだ実際には車のものは量的には少な
いですが、将来的にはマテリアルリサイクルということかもしれませんが、まずはサーマル
リサイクルをしっかりと確立することが重要と考えております。
19ページはそれに向けての課題ということで、CFRP、以前からご説明させていただ
いておりますが、燃え切りにくいという特性がございますので、そういった未燃CFが存在
するということから、全てのASR処理施設では対応できない場合があるということで、C
FRPの燃焼というところを科学的に解き明かして現処理施設への応用を検討するという
研究コンソーシアムを、昨年も少しご報告させていただきましたが、実際に立ち上げており
ます。
その設立の目的と概要が20ページに書いておりますが、概要としましては、基本的には
CFRPを作る、使う、処理する、これにかかわる業界業者が一堂に会して、廃CFRPの
適正処理に関する基礎研究を、一体となって協力して実施して得られた基礎データ等を広
く世の中に公表するという目的で体制を組んでおります。
21ページが体制図で、具体的に何をするのかというところが22ページでございまして、
基本的にはCFも含めてCFRPの基礎燃焼特性というものを把握して、どういう条件で
どのように燃えるのかといった燃焼マップをきちんと作成していくということを中心にや
っていこうと考えております。
23ページは推進計画でございまして、21年度まで3年計画で取り組みを進めております。
24ページは新冷媒への切りかえ状況ということで、25ページに書いております。自工会
では2023年までに新車への新冷媒ということで、現在15車種というところでございます。
参考で輸入車さんのほうは26モデルと聞いております。
続きまして、樹脂リサイクルということで27ページです。本年度、自工会のリサイクル
廃棄物部会の下部組織に樹脂リサイクル技術ワーキングを設置いたしました。こちらは、樹
脂にかかわる材料的、化学的知見を有する自動車メーカーの専門家で構成する専門組織と
いうことで、先ほども申し上げておりましたが、高度化財団の樹脂リサイクル実証事業への
各種アドバイス、メーカーの採用側からとしての各種アドバイスをさせていただくという
ことと、先ほどCFRPの研究というところで活動を始めたところでございます。
既にこの4月に環境省様、経済産業省様にもご同席をいただきまして、こういった実証事
業の報告会というものもやっておりますし、8月には事業者の現場の装置を視察しまして、
装置に関して少しアドバイスをさせていただいたり、そういった形で、メーカーの視点とし
て、どういった条件できちんと選別しないと自動車には使えないのかというところを意見
交換の中で提示していくということを対応しております。
今後とも高度化財団の事業者さん等と各種意見交換を実施していくということでやって
いきたいと考えております。
長くなりましたが、ご説明のほうは以上でございます。
○永田座長 資料6-3も続けてください。
○日本自動車車体工業会・伊東氏 商用車架装物リサイクルに関する自主取り組みの進
捗状況について、日本自動車車体工業会環境委員会リサイクル分科会の伊東より報告いた
します。
トラックの架装物につきましては、シュレッダー業者で処理されることが少なく、乗せか
えや別用途での再利用が多いため、自動車リサイクル法の対象外とされました。しかし、架
装物におきましても適正に処理されることが、ごみを減らし、資源を無駄にしないリサイク
ル型社会の構築のために必要なことであり、継続して活動を行っております。その取り組み
4項目についてそれぞれ概要を報告いたします。
1.リサイクル設計の推進。易解体性バンの開発及び製品化を推進しており、バン型車全体
に対し90.5%になっております。また、架装物をどのように解体することが適切かを記載
した解体マニュアルを作成し、各会員及び車体工業会のホームページに掲載されておりま
す。昨年度は9件を新たに作成し、累計201件となりました。
また、環境基準適合ラベル貼付につきましては、目標80%に対して2018年度は90.3%
と目標を達成しております。
2.重金属4物質の使用削減。鉛、水銀、6価クロム、カドミウムの使用削減及び使用禁止
を行い、それぞれの目標を達成しております。毎年、会員会社に調査を行い、目標を達成し
ていることを確認しています。
3.リサイクル適正処理の推進。解体で発生した処理困難物質や、残液分析、洗浄などを処
理できる事業者を掲載した協力事業者制度参加事業者一覧を作成し、毎年記載内容を確認
した上で4月に配布しております。昨年度は156社を掲載しております。
4.情報提供、啓発活動の推進。架装物の解体業者と協力して我々製作業者が解体作業現場
を見学するとともに、解体業者にはシャシや架装メーカーの製造現場の見学会を実施し、お
互いに業務を理解し、情報を交換する場となっております。
以上で、商用車架装物リサイクルに関する報告を終わります。
○日本自動車工業会・大門氏 続きまして、2018年度の二輪車リサイクル自主取り組み
のご報告でございます。要点のみとさせていただきます。
まず2019年3月時点での参加事業者は16社で、これは昨年からメンバーに変更はござ
いません。
1.運用実績です。(1)2018年度の引き取り実績です。年間で2130台を引き取りまして、
これは増加傾向にはございますが、昨年秋の台風21号の被災車344台を引き取ったことが
その理由です。45の自治体から約500台を引き取りましたが、新たに19の自治体がリサイ
クルシステムを活用した点がトピックスです。
次のページをおめくりください。全施設の平均再資源化率は97.5%で、2013年度以降、
継続して95%を上回っています。
(2)周知広報活動です。業務委託先のJARCを通じて、自治体広報を経由した住民へ
のリサイクルシステムの周知及びモーターショーでの周知広報活動を継続実施しておりま
す。成果としましては、ウェブサイトで本システムを案内している自治体の数は468まで増
加しました。また、イベント会場での認知度調査での「知っている」という回答は約55%
でございます。
(3)その他です。使用済み二輪車流通実態把握のため、2018年度に全自治体対象のア
ンケート調査を実施いたしました。5年前の前回調査と比較しますと、フロー自体には大き
な変化はございません。詳細につきましては、お時間のあるときに別紙の4枚目の資料をご
らんください。
2.2019年度の取り組みでございます。周知広報活動の継続、再資源化率の向上について
は引き続き取り組んでまいります。
今年度は、リチウムイオン電池を搭載した廃棄二輪車を指定引き取り場所で引き取れる
ようシステムを修正する予定です。
以上です。
○日本自動車輸入組合・石田氏 続きまして、資料6-5のご説明をさせていただきます。
輸入車の現在の重金属4物質等の削減・使用廃止に関する対応状況についてということで、
日本自動車輸入組合から説明をいたします。
現在の対応状況という枠囲みのところをご覧いただきたいのですが、私ども日本自動車
輸入組合では、会員ポーター及び海外の関係団体を通じまして、海外の自動車製造業者に対
し、日本国内に輸入される車両が欧州ELV指令の要求に適合し、鉛、6価クロム、水銀、
カドミウムの重金属4物質に関する削減量、使用廃止などの要件に従っていることを確認
しております。
また、過去に難燃剤として使用されておりましたDeca-BDEにつきましても、現在新車へ
の使用がないことを同様に確認しております。
資料下半分から4ページにかけて記載されております附則Ⅱと書いてあるものが何かと
いうことですが、欧州のELV指令で適当な代替品がないなどの理由で適用除外とされた
材料、または構成部品として、その適用除外の期限を定めた一覧表ということになっており
ます。こちらは2017年11月に改正された最新版をお付けしております。
簡単ですが、以上でございます。
○永田座長 どうもありがとうございました。それでは続いて鉛蓄電池再資源化協会よ
りお願いします。
○鉛蓄電池再資源化協会・石川氏 ただいまご紹介をいただきました一般社団法人鉛蓄
電池再資源化協会の石川でございます。使用済自動車用鉛蓄電池・リサイクルシステムの運
用状況についてご説明いたします。
最初のページのシステムの概要につきましては従前から変わっておりませんので割愛さ
せていただきたいと思います。
次のページ、2.排出事業者の登録状況でございます。このシステムは、当初2000事業所
強でスタートいたしまして、昨年、1856増加し、現在1万406事業所になっております。
業種別の表が隣にございますが、赤い点が増えておりまして、順位の入れかわりがござい
ます。一番変わりましたのがホームセンター・ディスカウントショップです。これは全国規
模の大型のDIYホームセンターが加盟したことにより増加しております。その他、いろい
ろなところが増加しておりましてこのようなグラフになっております。ホームセンター、そ
れから電装店等、それからガソリンスタンドが増えてきております。この結果1番がホーム
センター、2番が部共販、3番がタイヤショップとなりまして、合わせて64%という割合
は変わっておりませんが、上位の入れかえが起こっております。
次のページは昨年の運用実績でございます。排出事業者数は、先ほども申し上げたように
1万406件、処理件数が2万5427件、処理重量9522トン、処理費用としましては4億1010
万円となっております。
次のページでございます。棒グラフになっておりますが、これは電池の処理推移でござい
ます。平成25年をピークに右肩下がりになってきておりましたが、昨年は底をついた感じ
で落ちついてきております。これは、廃バッテリーの高値が解消されたためと考えておりま
す。
また、処理費用の負担につきましては前回にご説明させていただいた内容と同じでござ
いますが、SBRAが委託先に払う回収輸送費用、それから電池解体費用、これに加えまし
てSBRAの情報システム開発・保守・運用費を含む事業運営費、これらを含めて30年度
の処理費用は約5億円でございます。その内訳は、回収輸送費が2億1400万円、解体費が
1億9500万円、事業運営費が7600万円となっております。こういった費用につきまして
は、SBRAの会員の電池メーカー等が自動車用鉛蓄電池の前年度の販売出荷に応じて前
月に発生した費用を払っていただくことで賄っております。また、各電池メーカーの回収と
拠出は、自主的な取組であり、個社の判断で実施されているものです。 次に今後の取り組
みでございます。当協会が行っている使用済み鉛蓄電池のリサイクルは、不法投棄を防止す
ることを目的したセーフティーネットであることから、安定して活動が継続できるように
維持管理を行うことと考えております。また、将来のさらなる運用の効率化を見据えて、管
理情報システムの再構築を行うことを考えております。
○永田座長 どうもありがとうございました。日本保安炎筒工業会よろしくお願いいた
します。
○日本保安炎筒工業会・引地氏 発炎筒メーカー2社が実施する廃発炎筒処理システム
について、主に周知広報面で協力している日本保安炎筒工業会よりご報告いたします。
本処理システムは、資料2ページに記載のとおり、廃発炎筒の排出者である解体業者、破
砕業者、整備事業者などの排出しやすさを考え、発炎筒メーカー2社が自社間の競争を阻害
しないよう配慮しつつ、廃発炎筒の回収から処理・再資源化までの仕組みを共通化させたも
のです。当会はこの2社が行うシステムに協力し、廃発炎筒セーフティー・マネジメント・
プログラム、略称SMaPとして関係者事業者に対する安全のための周知広報活動、実績取
りまとめなどを行っております。
13年1月より開始した本システムの概要は資料3ページより6ページに掲載しておりま
す。
資料7ページをご覧ください。18年度引き取り総本数は約696万本で、うち使用済自動
車処理段階からの引き取り本数は96万本弱でした。引き取り後の処理・再資源化は、処理
槽重量644トン、うち外装容器マテリアルリサイクル43トン、焼却残渣再生利用71トン
でした。処理に伴う熱回収量は約1億3000万キロカロリーでした。
周知広報活動では、使用済自動車処理段階からの排出者を対象に、関係団体に対してチラ
シ配布をしました。
次に、資料8ページ、課題及び取り組みについてご報告します。課題1として、事故防止
対策の実施を挙げました。これに関しては資料9ページ、参考をご覧ください。19年4月
に、廃発炎筒運搬時に発火事故が発生しました。幸い人的被害、物損などはありませんでし
たが、ご関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけしました。大変申し訳ございませんでした。
発火原因は、本体にダメージを受けた廃発炎筒が、ケースが組みつけられないまま箱に収
納され、運搬中に何らかの衝撃を受けたためと考えております。この事故を踏まえ、今後の
取り組みとして事故防止対策の実施を第一としました。具体的には排出者向けシステム利
用マニュアルの改訂、周知徹底、利用者登録制度の修正、適切な排出方法周知のための排出
事業者訪問活動を実施します。利用者登録制度については、登録前審査を行い、整備、また
は使用済自動車由来の廃発炎筒の排出者以外の利用がないよう徹底します。また、廃棄専用
箱などに事故防止策を講じるべく検討しております。
そのほかの取り組み課題は、使用済自動車処理段階からの廃発炎筒の回収促進と再生利
用取り組みです。
課題2は周知広報です。18年度は、システム利用者が前年度比27社増の231社でした
が、さらに検討を実施し、利用者数を拡大したいと考えております。周知活動につきまして
は、自治体などのご協力を得られればありがたく存じます。
課題3の再生利用の取り組みですが、製品の特性上、火薬類取締法及び技術上の制約があ
りますが、安全を確保しつつ、可能な範囲で廃プラスチックのマテリアルリサイクルを進め
てまいります。
最後に資料10ページです。本システムの費用構造が抱える課題を掲載しております。幸
いにして現在のところは納入先のご理解を得ており、大きな問題は生じておりません。
ご清聴ありがとうございました。
○永田座長 どうもありがとうございました。
○日本自動車タイヤ協会・赤松氏 タイヤ協会です。タイヤ業界におけるリサイクルへの
取り組みということでご説明させていただきます。
資料2ページです。タイヤ業界といたしましては、業界の活動、つまりタイヤ業界共同で
行っている活動として、会員企業一丸となって、廃タイヤの適正処理及びリサイクルに取り
組んでおります。会員企業は、ここに書いてあります正会員、準会員合わせて6社です。
活動の内容といたしましては、廃タイヤの適正処理の推進ということで、廃タイヤの場合、
一般廃棄物については適正処理困難物ということで、タイヤ業界、すなわちタイヤ販売店で
引き取るという形になっておりますので、引き取りを行うタイヤ販売店に対して廃タイヤ
の適正処理に関する法的な研究会を実施してこれを徹底しているというのが活動の一つで
す。
2番目といたしましては、その処理状況、適正に処理されているかどうかということを、
リサイクル状況及び不法投棄の状況を調査・公表しているというのが2番目の活動です。
3番目の活動といたしましては、不法投棄タイヤの撤去推進ということで、原状回復支援
制度を運用しております。
続きまして、3ページ、2.概況というところですが、これにつきましては後で個々に説明
いたしますので、赤い字のところだけを説明いたします。
リサイクル状況といたしましては、2018年のリサイクル率は97%という形になっており
ます。不法投棄の調査結果といたしましては、2019年2月の調査として、前年比14件減少、
8094トン減っております。
それから原状回復支援制度につきましては、2018年度の運用実績はございません。
次が廃タイヤの処理回収ルートというところですが、この図にございますように、一般廃
棄物につきましては廃棄物処理法6条の3に基づいて、タイヤ販売店が新品タイヤを売る
際に引き取るという形で引き取っております。これを廃棄物処理業者に委託して、再生利用
先、処分先において適正処理されております。
続きまして、廃タイヤの発生量及びリサイクル状況です。廃タイヤは毎年100万トンほど
発生しておりますが、そのうち9割以上、昨年度は、先ほど申し上げましたように97%が
リサイクル利用されております。内容としましては熱利用が主体で、廃タイヤの場合にはマ
テリアルの利用というのは非常に用途が限られるということで、パーセンテージ的には6
割以上が熱利用という形でずっと推移しております。
次のページは、廃タイヤ切断品輸入品の輸入量ということで、こちらにつきましては先ほ
どまでの国内で発生した数量の廃タイヤの使用ではなく、それとは別立ての輸入品です。石
炭の代替燃料として使う廃タイヤを海外から購入しているという状況です。概況のところ
にも書きましたが、このような状況で、廃タイヤの需要自体は、依然として代替燃料、石炭
の代わりに使用される需要が高いですが、先ほどからいろいろとお話が出ておりますよう
に、廃プラスチックのだぶつきによって、燃料としての廃タイヤの価格は非常に下落してお
りますので、その関係で処理費は上昇傾向にあるという状況になっております。
続きまして不法投棄の状況です。これにつきましては毎年2月に調査しております。去年
までと特に集計方法は変わっておりませんが、名前の部分だけ、今まで不法集積と呼んでい
たのは、不法に投棄された廃タイヤのうち行為者が特定されているものというふうに集計
の名前だけを変えております。従来は不法集積と不法投棄という2つの集計の名前にして
いましたが、廃棄物処理法では、自分の土地に積んであっても不法投棄だということで、法
律に合わせた言い方のほうが、誤解がないだろうということで、今年から、名称だけ、分類
の名前だけを変更しておりますが、内容について集計方法等は変わりません。
次のページは年度別の不法投棄の推移です。ここには従来でいうところの不法集積と不
法投棄が入っております。今年は冒頭に申し上げましたように、かなり減っておりまして、
減った理由について地方自治体に確認しましたところ、中央省庁から何か働きかけがあっ
たという情報はありましたけれども、具体的な内容までは我々としてはつかんでおりませ
ん。
次は原状回復支援制度です。タイヤ業界が独自に運用している制度で、全体の撤去費用の
総額の3分の2で3000万円以下という限度で自治体を支援するという形になっております。
この運用実績が次のページに入っておりまして、2005年から運用している内容ですが、今
までの支援額で約3億6000万円という実績になっております。昨年度はございません。
また、添付でお付けしているのは、今年2月に調査したときの各都道府県別の従来でいう
不法集積と不法投棄の一覧表になっております。
簡単ですが、以上です。
○永田座長 以上で現況報告は終わりでございます。細田先生、退席される前に何かあれ
ばコメントをお願いします。
○細田委員 自工会の資料の6-2の3ページのCFRPの問題ですけれども、CFRP
は強くて燃費をよくするのでいい面があるけれども、リサイクルが非常に難しいというこ
とで、現行でどのくらい使われているかという把握をされているかどうか、そして自工会さ
んとしては、今後CFRPが増えた場合にどういう対処の方針があるのか、これは解体業者
さんも非常にやりにくいと思いますが、そのあたりについてお伺いできればと思います。
○永田座長 それでは後でチェックさせていただきます。
○細田委員 ありがとうございます。
○永田座長 ほかの方はいかがでしょうか。鬼沢さん、どうぞ。
○鬼沢委員 自工会さんに質問します。セーフティーネットがしっかり機能していると
いうご報告をいただいて安心しましたけれども、18ページの地図を見ると、関東近辺が1
カ所しかなくて、発生するとその施設に運んでいるということでしたが、今は運搬費が非常
に高騰していたり、先ほど来、運搬が非常に困難になっているという報告がありましたけれ
ども、そうすると非常に割高の運搬になっているのではないかと思いますが、それは今後何
か施策があるのでしょうか。
○永田座長 それでは佐藤さん、どうぞ。
○佐藤委員 鉛バッテリーについて、排出者の登録は増えたけれども、処理量がそれほど
増えていないということですが、輸出の量がどうなっているのでしょうか。それから今後は、
広域認定で処理する量は足元で増えているかどうかということを伺いたい。
それからタイヤについて、資料6-8の最終ページを見ると、相当の不法投棄の件数があ
って、去年は支援実績がないということですけれども、今後支援の実績ができるのか、ある
いはそれが進まない理由は相手から要請がないということなのか、そのあたりを伺いたい
と思います。
○永田座長 ありがとうございます。森谷さん、どうぞ。
○森谷委員 CFRPについては細田先生と同じような関心を持っているところですが、
感想ですけれども、先ほど資料3-1で海外における自動車リサイクルにかかる国際協力と
いうご説明があって、フィージビリティースタディーなどを述べられておりますが、いずれ
は次世代の、今議論になったリチウムバッテリーとかCFRPも視野に入れられた方がい
いのではないかと思いました。
以上です。
○永田座長 それでは吉田さん、どうぞ。
○吉田委員 リチウムイオンについてですけれども、ここではリサイクルという項目で
ありますが、性能が劣化したものを、住居であったり事業であったりでのリユースというこ
とも考えられているやに聞きますが、全体を含めてどういった状況になっているのか伺い
たいと思います。
○永田座長 それでは赤穂さん、どうぞ。
○赤穂委員 先ほど吉田委員もおっしゃったように、リチウムイオン電池についてはリ
サイクルももちろん考えないといけませんが、リユースを何よりも考えていくべきだと思
っています。使って使って使い倒した上で、その後にリサイクルをどう回していくのかとい
うことを考えていただければと思います。
また、CFRPについて、資料の6-2の18ページ、処理フローのところで、サーマルを
確立したいということで、ぜひこれは進めていただきたいですが、なぜかうっすらと埋め立
て処分のところが点線と写真が残っているのも気になっていまして、埋め立て処分に回ら
ないようにやっていただきたいということで、サーマルと、さらに樹脂メーカーなどは、マ
テリアルリサイクルとかケミカルリサイクルについても今技術開発を進めていると聞いて
いますので、そういうところもメーカー側と情報を共有して、よりよいリサイクルをやって
いただきたいと思います。
○永田座長 大塚先生、どうぞ。
○大塚委員 鉛蓄電池についてお伺いしておきたいのですが、先ほどご説明いただきま
したけれども、輸出に関してはどういう状況になっているかということです。前は韓国への
輸出が非常に多かったと思います。
それから、有害使用済機器には鉛蓄電池は入っていませんが、それについて何か支障はな
いかということを教えていただければと思います。
○永田座長 どうぞ。
○松八重委員 ありがとうございます。東北大学の松八重です。LiBに関してと、最初
の議論にありましたインセンティブと絡めてですけれども、先ほどのご発言にもありまし
たように、バッテリーのリユースは恐らく大事だろうと思います。バッテリーに限らず、リ
サイクルですけれども、やはり出るものを少なくするという意味では、その手前の段階での
リユースですとか、リマンですとか、リビルドですとか、そういったものの制度設計と、そ
れを充実させるための技術開発ですとか支援ですとか、そういったものも非常に重要であ
ると感じます。
このあたり、自動車のリサイクルの現場で、先ほど、預託金をどうするかといったところ
のインセンティブの付与にどう絡めていくかというところはなかなか悩ましい。リサイク
ルの話をするのか、それともリユースの制度設計の話をするのかというのは、一緒に話すべ
きところであるとは思いますが、先ほど来のお話を聞いていますと、何となく出てきたもの
をリサイクルするようなところのお話に結構注力があって、その手前の段階で、出るものを
少なくするための技術ですとか、そういったものを実現するための素材の導入ですとか、そ
ういったものに対するインセンティブ付与というものがあんまり議論されていないような
気がしますので、LiBの話だけではありませんけれども、LiBに関してはリユースの部
分をどう支援するのかといった話と、現実はどうなのかといったところと、インセンティブ
の付与の話とどうつながっているのかというようなところについてお聞きできればと思い
ます。
○永田座長 どうぞ。
○酒井(康)委員 自動車リサイクル機構の酒井です。自工会さんにお伺いしたいことが
1点あります。次世代車の適正処理の資料をいただきましたが、その中に新冷媒に関しては
言及がありますが、エアバッグの処理方法を我々の段階では今、一括作動方式、JAMA方
式という日本独自の展開方式をとっております。それがISO方式に変わっていっており
ます。そのことについては資料がありませんが、JAMAからISO方式への転換の進捗状
況であるとか、今後の普及状況といいますか、どのような具合になりそうかというところが
おわかりになれば教えていただきたいと思います。
○永田座長 以上でよろしいでしょうか。
それでは、先ほどのインセンティブ制度の中での3Rの考え方とか、そのあたりの話はで
きると思うし、タイヤの話で、何か官のほうでやったのではないかということがありました
が、説明をお願いします。
○佐川リサイクル推進室室長補佐 まずタイヤについてですけれども、特にタイヤのた
めにという大きなアクションはこの1年ではありませんけれども、これまでいろいろと不
法投棄対策等を周知してきたところを指しているのではないかというふうには理解をして
おります。
インセンティブについてですけれども、バッテリーを含めてリユースというところはか
なり大きなテーマになっておりますので、実証事業を含めてリユースの促進ということは
やっております。
○小岩廃棄物規制課課長補佐 鉛バッテリーについては韓国で不適正処理が行われたこ
とを踏まえて強化をしておりまして、その結果として今、輸出はゼロになっています。
○永田座長 それでは次に業界ごとにお答えをいただきます。まずは自工会からお願い
します。
○嶋村委員 まずは細田先生からのご質問でございますが、正確にはどの車でどのよう
に使っているかというところまでは、各社にて把握はしておろうかと思いますが、特に自工
会としては集計をしておりません。
CFRPの処理の基本的な考え方ですが、先ほど少し申し上げたかもしれませんが、基本
的にはASRとして従来のやり方でそのまま処理をするということがきちんとできるよう
にするということがまず第一と考えております。その次に、高い素材でもございますので、
マテリアルリサイクルというところも、それはそれであろうかと考えております。
続きまして、鬼沢先生から関東近辺が少ないというところがございました。ご指摘のとお
りで、関東近辺のリサイクル事業者は現時点ではまだ少ないと。発生量自体がまだ2000個
くらいしか出ておりませんので、まだ何とかこの処理業者の数でも十分に回るという面は
ございますが、これもご指摘のとおり輸送費がかかるというところもございますので、絶対
量が少ない間は絶対額としては少ないですが、輸送費の低減ということも考え合わせて、再
入札ということで今行っております。今後ともリチウム電池の処理業者の調査事業という
ものを財団のほうでやられるということで、ここに自工会が各種サンプル提供等の無償協
力をさせていただくということになっておりますので、こういった形でリサイクル事業者
さんを増やしていくことと輸送費の低減も図っていきたいということで進めていきたいと
考えております。
続いて吉田先生からのご質問で、赤穂先生のご質問もほぼ一緒かと思いますが、リユース
に関しましては、今回の自工会のシステムとしましては、自工会の共同回収システムという
ことで、セーフティーネットというところでございます。
リユース等に関しましては経済産業省さんのやっていらっしゃる自動車新時代戦略会議、
あちらのほうでしっかり考えていくというふうに聞いております。その中の一つの物流ル
ートとして、このリサイクル施設のフロー図をうまくリユースのほうに、これは結局、持っ
ていき先が電池リサイクル施設ではなく、例えば電池リユース施設というところに輸送先
の差配を変えればいいだけでございますので、あとはお金のやりとり等の個々の細かい部
分はあろうかと思いますが、せっかくつくりましたシステムをうまく活用してリユースを
していただいてもいいですし、独自で物流を一からつくられても結構かと思いますが、いず
れにしましても、新時代戦略の方にも協力しながら、リユースを第一に考えていただいて、
最後にセーフティーネットとしてリサイクルを進めるといったことで進めていければと考
えております。
最後に、リサイクル機構の酒井先生から、ISO方式への転換率ということで、14年以
降の新車に関しましてはISO方式に変わっております。したがいまして、既存の14年以
前のものと合わせて2030年くらいまでには、半々かISOがちょっと増えるかというくら
いの形で段々と切りかわっていくと考えております。
以上でございます。
○永田座長 どうもありがとうございます。先ほどから幾つか質問があったリチウムイ
オンのリユースの話ですが、9ページのものは、先ほどおっしゃったのは、これはセーフテ
ィーネットだという話で、リユースのルートというのは各社ごとに対応しているというふ
うに理解していいわけですね。その対応の仕方が、ちょっと私が気になっているのは、解体
事業者等から出されるときに、安全性の問題等があるからメーカーに出しなさいと、かなり
強い文言が入っています。リユースを育てていくということになったら、この部分はもう少
し競争が入り込む余地をつくっていく、そのためにはメーカーサイドがどういう形なら安
全なのかということをもう少しきちんとした形で示していかなければいけないだろうと。
不安だから、問題があるから全部引き受ける、ただ、それはメーカーの裁量でまた有効利用
を図っているということでは、これを出される方々に対して説明がつかないという気もし
ていますので、このあたりの考え方も少し整理していただけますか。
あとは、順次関係するところで答えていただけますか。
○鉛蓄電池再資源化協会・石川氏 SBRAの石川でございます。鉛の輸出でございます
が、事務局からお話がございましたように、現時点ではほぼゼロとなっております。この傾
向は、一昨年だったかにバーゼル法の適用が厳しくなりまして、国内の輸出業者に対してラ
イセンスをおろす条件が厳しくなったことを受け、昨年の暮れくらいから大幅に減少して
います。 これまで韓国に輸出されていたものが国内でどうなったかというと、産業廃棄物
に回る分はほとんど変わっておらず、有価物として国内で流通し、結局は製錬メーカーに集
まっているというのが現状かと思います。ですので、輸出の量は底を打って今後増えていく
という感じにはなっておりません。
○日本自動車タイヤ協会・赤松氏 タイヤ協会です。タイヤの原状回復支援制度の件で佐
藤先生からご質問をいただきましたが、タイヤ協会としましても、原状回復支援制度をせっ
かく作っているので使っていただきたいところですが、最近特に申請がございません。ただ、
我々としましては、毎年各地区の全自治体を回って、こういう制度があることはPRしてい
ます。ですから、PR不足かという思いもございますが、どういう理由かということでござ
いましたが、今年、各自治体にうちの制度を利用しない理由を確認してきまして、来年、こ
の席で報告させていただいた上でご意見をいただきたいと思いますのでよろしくお願いい
たします。
○永田座長 よろしいでしょうか。
不法投棄の話は、タイヤ、それからELVも似たような状況になっているのではないかと、
特に困っている自治体などが使いやすい制度、使いやすいシステムにはどうしていけばい
いのか、おっしゃったような、何で使わないのかと聞いていただくことも単刀直入でいいか
と思いますが、それが出てきたときにはもう少し工夫が必要だということになろうかと思
いますので、ぜひ対応していってください。両方が共通で洗い出していくともう少し効率的
に進むのではないかと思っています。
それから、自工会のほうで先ほどCFRPの話が出てきましたが、CFRP以外のプラス
チックに関してはかなり消極的な印象を受けました。サポートを高度化財団に対してやっ
ていくという話ですけれども、先ほどもありましたプラスチック戦略からすると、もう少し
積極的にメーカーサイドの対応をして、独自の取り組みも進めていってほしいと思ってい
ます。6-2の資料の最後では不満が残りました。
それから、発炎筒の関係ですが、毎回もう少しコストデータ等も含めて、最後のところで
厳しい状況があると、劇的な変化が起きた場合には処分費用を確保できないおそれがある
と書かれて、かなり警告的な内容が盛り込まれていますが、今どういう状況にあるのか、2
社での競争をきちんと維持していかなければいけないということで、なかなか示しにくい
ところもあるのかもしれませんが、全体的な動きとして、数年前と比べてどういう状況にな
っているのかというような相対的な表示方法であれば示すことができるのではないかと思
います。そういう状況をきちんと示していきながら、それがどういう状況に達したときには、
あるいは、このシステムを個々に関係している人たち皆さんできちんと対応していかない
と、従来、ある一定量を確保できれば、量の効果でそれなりの処理費で賄えていたものが、
そうではなくなっていくような、そういうシステムや、あるいは製品もこれからは出てくる
のではないかと思います。そういうときにどう考えていくのかということを議論する、そう
いう準備をしておいたほうがいいし、させてもらえるような状況をそちらの方からデータ
として出していってほしいと思います。それを少し考えておいてください。
以上で2番目の議題も終わりにしたいと思います。全体をまとめて何かご意見等があり
ましたらお聞きしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは最後に事務局にお返しします。事務的な取り扱いについて
説明してください。
○佐川リサイクル推進室室長補佐 本日はお忙しいところ、闊達な議論及び円滑な進行
にご協力をいただきましてありがとうございました。
本日の資料につきましては既にウェブサイトに公開させていただいているところでござ
います。また、本日の議事録については後日各委員に配付し、確認が取れた上で同じくウェ
ブサイトにて公開させていただきますのでご了承ください。
次回の審議会についてですけれども、来年1月には法施行から15年を迎えることになり
ます。リサイクル制度の評価、今後のあるべき方向性との議論をさせていただければと思い
ます。開催時期につきましては、改めて各委員の皆様にご案内をさせていただきますのでよ
ろしくお願いいたします。
それでは事務局を代表いたしまして、経済産業省製造産業局自動車課長の河野より一言
ご挨拶を申し上げます。
○河野自動車課長 経済産業省の自動車課長の河野でございます。本日は長時間にわた
りまして活発なご議論をいただき、誠にありがとうございます。
これまで自動車のリサイクル制度につきましては、色々と論点はございますが、おおむね
円滑に運用されていると考えておりまして、これはひとえに皆様方のご理解、ご協力のたま
ものでありまして、この場をお借りして心より御礼申し上げたいと思います。
本日、委員の皆様方から、この自動車リサイクル制度のさらなる今後の発展に向けて、さ
まざまなご示唆に富むご意見をいただきました。自動車産業そのものは100年に一度の大
変革云々と言われておりますが、当然先ほどの電池のリサイクル・リユースの話などもその
典型だと思いますが、それに合わせてリサイクル制度そのものもいろいろと変革していく
という検討すべき課題は多いと考えております。事務局からもご案内しましたとおり、来年
1月で自動車リサイクル法の法執行から15年目という節目になります。そういった時代の
変化のようなものも、技術的な変革も含めてしっかりと議論をさせていただいて、引き続き
委員の皆様方、関係業界の皆様のご意見を賜りながら、今後の自動車リサイクルのあるべき
姿についてさまざまな議論を進めていきたいと思いますので、今後ともご指導のほどよろ
しくお願いしたいと思っております。
本日は長時間誠にありがとうございました。
○佐川リサイクル推進室室長補佐 最後に、長きにわたりまして中央環境審議会の本専
門委員会の座長として大変ご尽力をいただいております永田先生におかれましては、今回
をもって中央環境審議会の本専門委員会の座長及び委員を退任されます。大変ありがとう
ございました。ぜひ先生からご挨拶をお願いしたいと思います
○永田座長 一言ご挨拶申し上げます。お手元に資料を配付させていただきましたので、
そちらを参考にしながら、少しお時間をちょうだいしたいと思います。
自動車リサイクル法の制定以来、審議会関係の委員会につきましては委員長等をさせて
いただき、皆様からのご協力を得ながら、私からはかなり無理といいますか、私自身としま
しては、思いはありますが、勝手に聞こえる様なこともあったかと思います。ご協力をいた
だきましてありがとうございました。
先に書きましたように、自動車リサイクル法は平成17年に本格施行されましたが、その
3年くらい前から検討が始まっております。現在15年目に入っております。この法律の制
定に対しても大きな影響を与えました豊島の産業廃棄物問題というものがございます。現
在も私も関わっております。豊島のそれほど小さなスペースとは言いませんが、島の中で、
ASRを中心として産業廃棄物が不法投棄され、それが大きな問題になったわけでござい
ますが、ようやく廃棄物の撤去が完了しまして、現在は平成5年の3月に特措法の延長期限
が切れるものですから、それに向けて地下水の浄化をやっているところでございます。
豊島問題の発端から約40年が経ちます。その間、地域の住民には不安や苦痛や苦悩を与
えてきたわけでございます。また、国の税金、それから県費も使いまして、数百億円という
お金をかけて処理をしてきたところであります。廃棄物の出口での不適切な対応がいかに
長期的で、かつ重大な問題を引き起こしてしまうのかという教訓になるものでございます。
1997年から今までずっとこの問題に関与しておりますが、この問題を踏まえまして、以下
の3点に要約する形で、自動車リサイクル法の今後の発展、成長を願って挨拶としたいと考
えております。
1番目は今後の自動車リサイクル法の成長への期待でございます。自動車リサイクル法
は、先ほどもご案内があったように個別リサイクル法の中では比較的うまく動いているの
ではないかという評価をいただいているだろうと思います。これからはさらに当初目標と
していたが達成されていない、先ほども話題になっております不法投棄・不適正保管の問題、
それから現状でも、あるいは今後もさらに問題が大きくなるであろうプラスチック、それか
ら次世代自動車といった問題への対応について、できるだけこれまでの経験を生かしなが
ら、先行的に、それから他の廃棄物問題やリサイクル問題に対して先導的に対応していただ
くということを願っております。
それから課題解決への共創と監視の重要性ということです。豊島問題の対応は共創の理
念で進めております。共創は、そこに書きましたように、目標を同じくする主体的関係者、
これをステークホルダーと呼びますが、ともに参加、共同して、新たな関係や価値観を創っ
て、問題を解決したり、目標を達成するという思想でございます。この合同会議でも、共創
の理念については再三触れてまいりました。本会議への参加者、あるいは関係者は、こうし
た自動車リサイクル法のより一層の成長に責任と権能を持っていらっしゃるステークホル
ダーです。ステークホルダーとして、より一層この問題に貢献していただきたいと考えてお
ります。
それから、合同会議の学識経験者や市民の代表者の方には監視の役割を強調しておきた
いと思います。監視というのは言葉としてあんまりいい印象で受けとめられませんけれど
も、参加の非常に重要な形態でございます。こうして継続した監視というものが緊張関係を
持続させて、物事や、あるいは組織を成長させるということにつながっていくわけでござい
ます。学識経験者や市民の代表者には、ユーザーを代表して、ユーザーというのは費用負担
をしていただいた、非常に重要な役割を担っている方々です。一方で環境保全や環境配慮に
対して非常に関心を持っていらっしゃる国民に対して、その代表として監視の役割を果た
していってほしいと思っています。
環境、あるいは安全といった問題も、ビジネスの中に取り込まれていくと結構容易に堕落
していくといいますか、無視されるような状況になっていく。昨今でも燃費問題とか免震装
置の偽装問題とか、色々とそうした点が出てきているのだろうと思いますが、そういう点に
対しては、監視のシステムといいますか、これもどうやって作っていくかということも一つ
重要な問題です。そうした点を自動車リサイクル法の中でも実現できれば、他でも参考にな
るかと思っております。
最後に、EPRの最終責任と資源循環での上流対応での重要性ということで、EPRの理
念の中で私は重要だと思っているのは、最終責任とか、あるいは明示的責任とか、第一義的
責任と呼ばれている責任でございます。最終責任というのは、製品連鎖、あるいは工程連鎖
の中でイニシアチブをとる責任者は誰かということであり、論理的にはそれはプロセス全
体に影響力を持つ主体であります、自動車リサイクル法では自動車製造業者、それから輸入
事業者であります。
一方で、資源循環の中では、必ず上流側の対応の重要性ということが強調されています。
個別リサイクル法というのは、本来的には上流側の対応の重要性を強調した3R法だとい
うことが言えるわけでございまして、自動車リサイクル法では、今の製品連鎖、工程連鎖の
源流にいるのは製造業者、それから輸入事業者であります。したがいまして、両者にありま
しては今後も自動車リサイクルの成長にイニシアチブを発揮して貢献していただく、その
ことを強く望んでおきます。
以上で私の退任の挨拶といたします。ご清聴ありがとうございました。
○佐川リサイクル推進室室長補佐 永田先生、ありがとうございました。
それでは本日の会議を終了とさせていただきます。長時間にわたり、活発なご議論をいた
だき、どうもありがとうございました。

──了─