中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会(第3回)議事録

1.日時

令和2年6月23日(火)9:00~11:00

2.議事次第

(1) プラスチック資源循環に関する関係者ヒアリング

(2) その他

3.配布資料

資料0 議事次第

資料1 全国地域婦人団体連絡協議会

資料2 名古屋市

資料3 日野市

資料4 すかいらーくHD

資料5 日本チェーンストア協会

資料6 ライオン

資料7 パナソニック

資料8 りそなアセットマネジメント株式会社

参考資料 プラスチックを取り巻く国内外の状況 <参考資料集>

4.議事録

〇冨安室長 それでは定刻になりましたので、ただいまより、「中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ 合同会議」を開会いたします。

委員の皆様におかれましては、ご多忙なところご出席を賜り、誠にありがとうございます。

事務局を務めます環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室の冨安と申します。どうそよろしくお願いいたします。

はじめに、本日の合同会議につきまして、中央環境審議会の委員数8名のうち8名のご出席いただいております。また、産業構造審議会の委員数8名のうち7名ご出席、湊元委員がご欠席でございますが、代理として石井照之様にご出席いただいております。いずれも定数である過半数に達しており、両会議とも成立しておりますことをご報告いたします。

プラスチック資源循環戦略策定省庁より、消費者庁、農林水産省にもオブザーバーとしてご出席をいただいております。

なお、この会議はオンライン会議で開催しております。事前に傍聴希望をいただいた方に同時配信により公開をしておりますので、よろしくお願いいたします。

また、円滑な議論のために、委員はじめ参加される皆様には可能な限りカメラをオンにしていただくようお願いをしておりますが、システムの都合上オフにしている場合がございますことをご了承いただければと思います。

資料につきましては、資料の1から8までと議事次第と参考資料の合計10種類の資料をご用意いたしております。

最後に、議事に入る前に、前回の第2回の会議におきまして、ご紹介できませんでした質疑についてご報告を申し上げたいと思います。森口委員より3点ご質問をいただきました。1つ目の質問として、飲料業界において、自動販売機とセットでペットボトル回収機を導入された事例があるか。2つ目といたしまして、消費者としてはプラスチックが何にリサイクルされるか認証制度等で明らかになればリサイクルにご理解がいただけるかどうか。3つ目といたしまして、ケミカルリサイクルの安定供給に向けて、中国の禁輸措置により産業廃棄物のプラスチックの行き場が失われているという背景もあり、調達がしやすくなっているのではないかといったご質問をいただきました。これらの回答といたしまして、まず1つ目に対し、全国清涼飲料連合会様より、セットで導入している事例はないとのご回答がございました。2つ目に対しまして、NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット様より、認定や表示があれば、消費者の理解も得られやすいとのご回答をいただきました。3つ目に対しまして、日本化学工業協会様より、産業廃棄物のプラスチックがどこから発生するかわからない等の実務的な課題があり、調達しやすくなる仕組みがあればありがたいとのご回答をいただいております。以上でございます。

それでは、ここから議事の進行を酒井委員長にお願いいたします。

〇酒井委員長 承りました。本日はプラスチック資源循環に関わる環境省等からのヒアリングとして出席していただいている8団体の皆様よりご意見を伺います。ご意見を伺った後、まとめて質疑応答を行います。まず、各団体にヒアリングをお願いした趣旨について、事務局から簡単に紹介をさせていただきます。

〇冨安室長 それでは、各団体の皆様のご紹介も兼ねてご説明いたします。まず、全国地域婦人団体連絡協議会の岩田様より、市民の生活の中で、市民の目線で行われている環境問題の取組について、ご紹介いただきます。2番目に、名古屋市の竹内様より、政令指定都市規模の自治体でのプラスチックごみ削減に関する施策についてご説明をいただきます。3番目といたしまして、日野市の福田様より、日野市という人口約20万規模の都市における、具体的なごみ減量や資源化率の向上に向けた、プラスチック類の分別収集に係る様々な取組をご紹介いただきます。次に、すかいらーくホールディングスの伊藤様より、3,200店舗を展開する外食企業として行われる、ワンウェイプラスチック削減に向けた様々な取組について、その中でも特に、リデュースや素材転換等についてご紹介いただきたいと思います。次に、日本チェーンストア協会の松田様より、消費者のフロントに立つ小売業として行う、資源の店頭回収等といったプラスチック削減の取組をご紹介いただきます。その次に、ライオンの岡野様より日々の生活で使用することの多い消費財の容器包装に係る3R+Renewableの取組をご紹介いただきます。特に、最近では、自治体や全国の消費者を巻き込んだ取組もあったと伺っておりますので、ご紹介をいただきたいと考えております。また、パナソニックの石田様からは、モノづくりの場面でプラスチックの循環・使用量の削減に関する取組をどのように行っているかについてご説明いただきます。最後に、りそなアセットマネジメント株式会社の松原様より、投資家の取組としてESG投資等ある中で、プラスチックの資源循環に関して、当社が企業と行われているエンゲージメント、対話に関する取組のご紹介をいただきます。

事務局からは以上でございます。

〇酒井委員長 冨安室長、ありがとうございました。それでは、早速ヒアリングに移らせていただきたいと思います。まず、全国地域婦人団体連絡協会の岩田会長からのご説明をお願いいたします。

〇岩田会長 岩田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。全地婦連は、持続可能な婦人会づくりのテーマのもと、一人ひとりが地域を担い、互いに支えながら地域の課題を積極的に捉えて、具体的な実践活動をしていることが誇りでございます。地域の女性たちが手を結び合い、行動と実践力、連携と実績を積み上げ、次の時代へ渡していきたいと思っております。全地婦連によるプラスチック削減の取組としては、まず、ちふれ化粧品の取組推進が挙げられます。今では当たり前になっております化粧品の詰め替えを、日本でいち早く、会員の声を基に始めたものでございます。併せて、包装削減やバイオマスプラスチックの採用にも努めております。その他、毎年全国大会、また、全国を7ブロックに分けてブロック会議を実施し、ネットワークを活用したプラスチック削減に関する情報交換・発信を行うとともに、消費者向けガイドブックの作成にも努めております。続きまして、傘下団体の取組をご紹介申し上げます。東京都地域団体婦人連盟では、ふろしき持参運動により容器包装削減を推進し、エシカル商品の普及にも努めております。奈良県地域婦人団体連絡協議会では、上流域に住む消費者として、環境美化活動を実践しております。また、生活に密着した身近なところからプラスチックの削減、削減に向けた意識啓発の取組を進めております。その他、鳥取県連合婦人会では、ペットボトルキャップ回収運動、群馬県地域婦人団体連合会では、簡易包装商品の選択運動の呼びかけを通してプラスチック削減とリサイクル推進の実績を上げております。婦人会と言えば資源回収と言われる程、こうした活動を積極的に実施しており、婦人会の歴史と共に息の長い活動のひとつであります。富山県婦人会では、平成19年に県に働きかけ、レジ袋削減推進協議会を立ち上げ、消費者・事業者・行政と、3社連携して検討し、全国初となる県内全域でのレジ袋無料配布廃止が決定いたしました。また、富山県婦人会のみならず、富山県の女性団体が連携して進めてきたマイバック運動の歴史は、長く、ひと言で言いつくすことはできませんが、地道な活動の継続が社会を変えることができたと振り返っております。今年の7月には、この取組を参考に全国で有料化が始まりますが、大変嬉しく思っております。平成25年には、とやまエコ・ストア協議会を設立し、レジ袋無料配布廃止の取組を更に一歩進め、店頭での資源回収等に取り組む事業者をとやまエコ・ストアとして登録し、応援する事業を展開いたしております。婦人会は、事業者応援や登録審査を担当しており、現在では72社、1,077店舗がエコ・ストアとして登録され、プラスチックの回収量が大きく増えていることを感じております。例えば、クリーニング店では使用済みハンガーを自主回収し、洗浄して、再使用したり、ハンガーの原料に再生したりしている。花屋さんでは、プランターを回収して再生プラスチック原料にするなどといった多様な取組が進んでおります。一方で、家庭に溢れるプラスチックトレーに対して、レジ袋の時と同様に、どうにかしたいという思いがあります。リサイクルより一歩進み、プラスチックの排出削減やエコな代替トレーへの転換について、まさに主婦の目線から取り組むことを、議論しております。とやまエコ・ストア連絡協議会が実施したアンケートでは、消費者の9割以上が、野菜や果物等はノートレーで良いと考えており、また、約7割の人はトレーの削減・転換について、5~10円程度の負担増であれば協力できると考えております。今後、スーパー等でのモデル実証事業を踏まえ、とやまエコ・ストア連絡協議会で、課題整理や展開簿策の検討等を進めたいと思っております。レジ袋と同様に、消費者・事業者・行政の3者会談が最も重要であると考えております。全国地域婦人団体連絡協会では、70年の歴史と共に、足元から環境保全の取組を続けております。レジ袋削減等の身近な取組をきっかけに、今後消費者のライフスタイル変革がさらに進めばと考えております。

〇酒井委員長 岩田会長ありがとうございました。続きまして、名古屋市の竹内環境局長から説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

〇竹内局長 名古屋市環境局長の竹内でございます。本日は名古屋市におけるプラスチックごみの現状と課題について説明いたします。まず、本市のプラスチックごみに関する主な施策をご紹介いたします。リデュースに関する取組といたしまして、本市では平成19年からレジ袋有料化に取り組んでおり、現在年間1,500トンを削減しております。その他、マイカップ・マイボトル運動の展開にも取り組んでおります。分別・リサイクルに関しましては、平成12年度の容リ法制定時から分別回収を開始しており、現在の資源化量は、プラスチック製容器が年間22,000トン、年間ペットボトルが7,000トンとなっております。また、プラスチックリサイクルの現状といたしまして、ペットボトル以外のプラスチック総排出量は11.2万トンでございます。そのうち、23%に至る2.6万トンを資源化しておりまして、残りの8.6万トンはごみとして焼却しております。リサイクル率は年々低下しており、現在はピーク時より23ポイント低下し、44%でございます。これは、平成23年度の容器包装以外のプラスチック製品を不燃ごみから可燃ごみへ分別ルールを変更したことに伴い、容器包装も可燃ごみとして扱っても良いと市民の誤解を招いてしまい、急激にリサイクル率が低下した結果となっております。なお、分別収集に係るコストは、収集、選別・梱包を合わせ年間19.5億円となっております。続いて、プラスチック資源循環に向けた課題でございます。まず、リサイクル率の向上については、同じプラスチックでも容器包装は資源、製品は可燃ごみに区分され、市民にとってわかりにくいことが課題となっております。また、市民アンケートでは、3割の市民が資源を分別しても焼却されていると誤解されていることが明らかになり、正確な情報提供が必要であることがわかりました。また、容リ法対象外のプラスチックごみにつきましては、現在可燃ごみとして区分され、焼却処理をしております。また、分別排出に必要な指定袋が異物とされており、選別家庭で取り除いて、年間1,000トンを焼却処理しております。一方で、事業者から排出されるプラスチック容器は現状ではリサイクル対象外であり、可燃ごみと整理されております。職場と家庭で分別ルールが異なることが分別意識の低下の一因になっているのではないかと考えております。ここからは、本市におけるプラスチック削減の取組をご紹介したいと思っております。まず、環境デーなごやというイベントを開催しており、昨年度はプラスチックの袋や飲食容器を不使用にする、また家庭に余ったエコバックをシェアするといった取組を行いました。次は、啓発物品の調達に係る取組でございます。本市が率先して使い捨てプラスチックを削減するために、調達に関する方針を策定いたしました。原則、使い捨て製品や容器包装を伴うものは調達しないようにいたしました。基準に該当する啓発物品の提案を民間から募集、カタログ化して庁内で共有いたしました。昨年度は啓発物品の約8割である38,000個が方針に基づいて調達されました。また、先進企業の取組といたしまして、大手配食事業者が名古屋圏域で弁当容器の自主回収・リサイクルを開始いたしました。現在では、名古屋だけでなく、他地域へも拡大しております。最後に、プラスチック一括回収の実証事業についてでございます。平成30年、環境省が実施されましたプラスチック製容器包装とプラスチック製品を一括回収してリサイクルする実証事業に本市も参加いたしました。結果として、資源回収量が15%増加し、市民からもわかりやすい、一括で回収してほしいといった回答をいただきました。

〇冨安室長 通信が途切れてしまっておりますので、次の方に順番を回していただきますようお願いいたします。

〇酒井委員長 はい、承りました。それでは日野市環境共生部の福田参事よりご説明をお願いいたします。

〇福田参事 日野市環境共生部参事の福田と申します。よろしくお願いいたします。それでは、日野市の第2次ごみ改革、とりわけプラごみの資源化についてご説明をさせていただきます。資料の最初に記載させていただいている日野市の概要につきましては、後ほどご覧になっていただければと思います。それでは、日野市のごみ行政の課題についてでございます。日野市は平成12年の10月より、ごみ減量を目的に、これまでの無料のダストボックス収集から戸別収集によるごみ処理の有料化を実施しております。その結果、ごみ量をかなり減らすことができました。その後もごみ量は減り続けておりますが、ここ数年は減り方が弱くなっており、ごみ処理の有料化から20年経過した現在、再度ごみ減量の意識を上げていく必要性を感じております。また、資源化率につきましては、多摩地区の30市町村中21位であり、これまでは、かなり低い水準となっております。最後に、可燃ごみの協働処理に関しては、今年の4月よりすでに本格稼働しておりますが、新施設を建てる際、地元要望によりごみ焼却処理施設規模を既設のごみ焼却炉と同程度としました。こうした状況の中で、焼却ごみ量を削減するため、プラスチックごみの分別を前倒しして推進しております。これらの課題を解決していくために第2次ごみ改革を実施したところでございます。第2次ごみ改革では、ごみ減量、資源化率向上を目標に各施策を実施しております。施策といたしましては、プラスチック類ごみの分別収集が一つの大きな柱となっているところでございます。続いて、日野市のプラスチックごみの状況についてでございます。プラごみ分別収集を始める前の状況でございますが、日野市では不燃ごみとしてプラごみを収集しており、不燃ごみの約6割がプラスチックでございました。その中、マイバック運動やお返し大作戦といった施策を展開してきております。まず、マイバック運動につきましては、平成20年度に市民、スーパーなどの事業者、行政で構成するレジ袋無料中止に向けた協働会議を立ち上げており、市内全店でのレジ袋無料配布中止を合意いたしましたがその後のリーマンショック等の影響で実現には至りませんでした。しかし、取組の流れを受け、各店舗でレジ袋配布削減に取り組んでいる状況でございます。7月からの有料化に伴っては、全店が有料化する予定と聞いております。容器包装お返し大作戦は、製品を購入した店舗に容器包装をできるだけ返すことを推進している施策でございます。市民への啓発と共に、ペットボトルとトレーの行政回収の頻度を減らし、推進を図っております。その結果、行政回収量は、ペットボトルは24.8%、トレーは29.6%を削減することができております。店頭回収の割合は、ペットボトルは40%、トレーは30%となっております。今後は、ペットボトル50%、トレー40%に引き上げていきたいと考えております。更なるプラスチック削減に向け令和2年1月からプラごみの分別収集を開始しております。取組開始にあたっては、分別方法が市民にわかりやすいように、容器包装と製品を一括収集する点を考慮いたしました。その結果、プラごみの分別収集に伴うごみの出し方は、不燃ごみで排出していただいていたプラごみを分別してそのままプラごみとして排出していただくといった単純な変更になりました。先ほども申し上げた通り、市民にとってわかりやすい分別方法とすることでプラごみの分別排出をより一層進めると同時に、製品プラスチックの分別収集によって焼却ごみを削減する目的でそのようにいたしました。効果の検証のために試算も行っております。平成30年度は、プラごみのリサイクルは実施しておらず、ペット・トレーのみを分別収集しており、リサイクル率は7%でございましたが、平成30年度にプラを分別していたらという仮定で試算をしております。その結果、リサイクル率は容器包装のみの場合は22%、製品プラも含めると49%に至る結果となりました。この数値は、可燃ごみとして排出されていたプラの10%、不燃ごみとして排出されていたプラの90%が分別収集された場合でございます。今後リサイクル推進のため、適正な分別排出の徹底を市民に更に呼びかけたいと考えております。また、行政としてもSDGs未来都市として、率先してプラスチック削減に取り組んでいく予定でございます。以上でございます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。続きまして、すかいらーくホールディングスのCEOオフィスディレクター伊藤様よりご説明を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

〇 伊藤様 すかいらーくHDの伊藤でございます。よろしくお願いいたします。当社は、国内外に約3,200店舗を展開する外食企業でございます。こうした規模で運営をしている中、事業を通じたSDGsへの貢献を重要な課題として位置づけ、社会価値増大を実現するため、様々な取組を実施しております。その中でも、プラスチックによる広域的な海洋汚染や漂着ごみによる問題が深刻になっている中、当社の社会的責任の上で、ワンウェイプラスチック製品の削減に、力を入れて取り組んできました。まず、ファーストステップとして、2018年8月に、ドリンクバーにおけるプラスチック製ストローの廃止を取締役会で決定いたしました。2020年のオリンピックまでの完全導入を目標に掲げましたが、お客様の理解もあり、1年前倒しで達成をしております。その後、ストロー以外のレジ袋、宅配・テイクアウトのカトラリー、容器等にも削減をすべく、部門横断プロジェクトチームを立ち上げ、全社を挙げて検討を進めてきたところでございます。それにより、レジ袋、カトラリーのバイオマスプラスチック製品への移行はすでに完了しています。今後の取組としては、割り箸のビニール袋、弁当容器の削減や代替素材への転換を推進するための準備を進めております。これからも安全・安心な食の提供を通じて社会に貢献するとともに、廃棄物やエネルギー問題に関して、お客様と社会の期待や関心が今後も継続していくことを踏まえ、更なる地球環境保全に取り組んで参ります。もう少し具体的にお話しさせていただきますと、ドリンクバーに常備していたストローの廃止につきましては、先ほど申し上げた通り、グループ全業態において、オリンピックまでにドリンクバーの石油由来のプラスチック製ストローを廃止したいと考え、2018年8月に取組を立ち上げました。まず、約1,300店舗を展開している主要ブランドのガストよりストロー廃止を開始し、他ブランドにも展開し、2019年7月までに全ブランドにて廃止を完了いたしました。これにより、年間1億本のストローを削減することができ、ガストでは、年間CO2を143トン、約67%の削減ができました。これに関しましては、ウミガメの鼻にストローが刺さってしまっている衝撃的な報道の提供も受け、お客様の理解をいただくことができ、当初は丁寧に説明しながら2年かけて進めていく予定であったものが1年前直しで実現することができました。次いで、レジ袋及び宅配・テイクアウトのカトラリーをバイオマスプラスチックに変更することに関しましては、家庭内にはカトラリーや箸等があることから、カトラリーを配布する中には、無駄になるものがあるのではないかと考えました。そのため、お客様が不要であれば、カトラリーをお渡ししない運用を選択できるようにいたしました。具体的には、宅配注文サイトにて、カトラリーの提供について要・不要を選択できるようにしたというところでございます。こちらによって、10%削減をしており、更なる削減も可能と考えております。また、今後の取組といたしましては、箸袋の紙製への変更について、今年中に導入を見込み進めております。弁当容器においても、石油由来以外の素材に変更予定であり、従来容器以上の安全性や利便性を確保した上での導入の準備を進めております。以降には、これらの取組に関連した当社の発表資料を載せておりますが、2018年12月10日の資料では、当社のプラスチック製ストロー廃止とバイオマスプラスチックストロー導入についてお客様にご理解いただくために、テーブルに置いたご案内のPOPやテーブルや店舗の入り口等でもご案内したことを紹介しております。2019年の11月27日の資料では、現在導入しておりますバイオマスプラスチックを活用したレジ袋、カトラリーを紹介しております。当社からのご報告は以上となります。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続き、日本チェーンストア協会の執行理事増田様よりご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〇増田理事 日本チェーンスト協会の増田でございます。まず、日本チェーンストア協会の説明させていただきます。当協会では、総合スーパー、食品スーパー、ホームセンター等がメンバーであり、現在56社、2019年の売上高は、12兆2,866億円となっております。環境問題への取組につきまして、当協会では1997年1月にチェーンストア業界の環境保全自主的行動計画を定めまして、環境問題に積極的に取り組むことといたしました。この計画では、基本3原則である、1)自らの問題として、できることから着実に実行する!、2)しなければならないことを明確にした上で、責任をもって取り組む!、3)産業界・行政・お客様との連携で進める!といった考え方の基で、地球温暖化防止と循環型社会の構築の2つの行動の柱を立て、各企業店舗において可能なことから取り組んで参りました。また、昨年度においては、経団連の循環型社会形成自主行動計画において、業種別プラスチック関連目標を2030年度までに、プラスチック製買物袋の辞退率80%を目指すと掲げております。次いで、容器包装の簡素化・減量化についてでございます。当協会では、1972年に容器包装の簡素化・減量化に係る要網を定め、自主的な包装の改善を進めてまいりました。プラスチックトレーにつきましては、品質保持等の観点からやむを得ないものを例示し、削減に努め参りました。その他、野菜のばら売りの推進、リサイクル商品や詰め替え商品の積極的な展開、メーカー様と協働し、環境にやさしい容器の開発や使用促進等にも取り組んできたところでございます。会員企業の取組事例といたしましては、PB商品において、容器の高さを低くすることで重量を削減する、あるいは包装資材の重量を軽量化したという事例がございます。また、詰め替え商品やノートレー商品、野菜のばら売り、トレーの素材変更の取組の事例もございます。店頭回収の推進に関しましては、店頭に回収ボックスを設置し、資源回収に積極的に取り組んでおります。回収された資源は、店舗に設置するベンチ、フラワーポット、トイレットペーパー等に再利用されております。次に、会員会社における店頭回収量の推移でございます。協会の事情による会員社の入退会等や当時のデータをお預かりできなかった等の理由による数値の変動がございますので、その点につきましてはご理解いただきますようお願いいたします。ご参考までに、2018年は32社、2019年では28社の回答実績となっております。続いて、会員社が店頭回収したペットボトルとボトルキャップのリサイクルの事例でございます。次は、会員社が店頭回収をしました資源のリサイクルの実績をお示しした資料でございます。最後に、一層の店頭回収を促すにあたっての問題点について、会員社からの話も受け、4点お話しをさせていただければと思います。1点目は、回収ボックスへの異物混入や不分別による再分別や資源としてリサイクルできず、結果として従業員に負荷がかかっている現状でございます。2点目につきましては、回収量増加による回収ボックスの増設及び設置場所の確保、回収頻度の変更、回収するための人員を増加による回収コストの増加が問題となっております。一例といたしまして、年間売上高が30億クラスの会員社においては、回収袋の費用、回収ボックス修繕費等で年間4,000万円弱のコストの負担になっております。こうした状況をご理解いただきまして、店頭回収の実施においてはインセンティブの付与についてご検討いただければと存じます。3点目でありますが、地域によっては、リサイクル業者が存在しない、あるいは、設備等によって契約できないという声がございますので、こうした状況もご理解いただきたいと思っております。最後に、回収した資源の運搬に際しまして、自治体によって解釈が異なるところがございます。是非とも国で一律した考え方を示していただいて、全国一律での運用が可能となるようお願いしたいと思っております。以上で終わりにさせていただきます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。それでは、引き続きまして、ライオンの取締役の岡野様よりご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

〇岡野様 ライオン株式会社の岡野でございます。私からは当社がECO FIRST企業としてどのような環境配慮の取組を進めているか、また進めるに当たり、私自身が感じている課題認識についてお話しをさせていただきたく存じます。まず、弊社はSDGs、パリ協定の実現を目指し、昨年LION Eco Challenge 2050を策定し、公表させていただきました。これは、脱炭素社会と資源循環方社会の実現を目指し、脱炭素、プラスチック、水資源の課題解決に取り組むためのものでございます。次に、そのスキームを記載しておりまして、チャレンジ1、チャレンジ2は炭酸ガス、チャレンジ3にはプラスチック関連目標を掲げております。プラスチックに関しましては、再生プラスチック及びバイオマスプラスチック使用量の倍増を目指していくことをお約束させていただいております。その他、水資源も重要であると認識しております。本日はプラスチックに関する取組をお話しさせていただきますが、基本的なスタンスとしては3R+1でございます。リデュース、リユース、リサイクル、そしてリニューアブルを徹底してやり抜く方針でございます。具体的なリデュース、リユースの取組事例及び実績をご紹介させていただきます。まず、リデュースといたしましては、最もわかりやすいことは使用量の削減でございます。洗剤に関しまして、今では2、3倍濃縮することによりボトルのプラスチック使用量の大幅な削減が実現できております。おおよそ、現状として洗剤分野における濃縮製品の割合は半分を超えてきております。また、詰め替えもお客様のご理解をいただいて進んでおりまして、洗剤分野の約8割がパウチ等の詰め替え用品となっており、プラスチックの大幅なリデュースが達成できたと考えております。これらに関しては、メーカーの一方的な努力ではなく、生活者の皆様とどのように共感しながら推進していくかを考えていくことが大変大切であると常々実感しております。次いで、リサイクルとリニューアブルの事例についてご紹介させていただきます。まだ一部ではございますが、台所用洗剤のペットボトルの一部に再生PETを使わせていただいており、洗剤の詰め替えパウチの一部にはバイオマスプラスチックを活用させていただくような取組を開始しております。これらに関しましては、今後樹脂の安定的な供給がどこまでできるか、コスト増大をどのように埋めていくかといった大きな課題もございます。また、昨今の施策事例として、歯ブラシのリサイクルについて記載さていただきました。弊社は歯ブラシのトップメーカーとしてワンウェイのプラスチックには当てはまらないと認識しておりますが、無駄にしないためにはリサイクルできた方が望ましいという考え方の基、CSRの観点より、数年前からテラサイクルと一緒に取組を推進しております。また、本年度から墨田区にご協力をいただいて学校や公共施設の場面を通じてCSVとして自主還元できるような取組を始めております。まだ始めて間もないものでありまして、実績といたしましては、テラサイクルとの取組においては620,550本、墨田区との取組は計画ベースで40,000本の回収量を見込んでおり、全体の歯ブラシ供給量である数億本の単位から考えると一部に過ぎないところではございます。しかし、リサイクル活動はいかに生活者ないしは自治体の協力を得て、認知を高めながら回収量を高めるところが課題であると日々痛感しているところでございます。最後に、弊社はCLOMAの取組にも積極的に参加し、私がリデュースのワーキンググループリーダーも務めております。プラスチック削減を考えていく上では、技術開発だけではないと考えております。まず、品質等の面から、プラスチックは善である前提で考えております。昨今のコロナ騒動においても一部プラスチックの重要性が再認識されておりますが、必要なところには使うべきであると考えております。但し、品質の維持しながら進めるべき分野における新素材や構造の開発は重要であります。一方で、競争の観点より一部過剰品質になっている部分がある可能性もあるため、品質や流通、保証期間を見直す必要もあると考えております。また、お客様と一緒になって新しい行動作っていくことが大変重要であると考えております。これらの取組に関しましては、個社だけでは限界ありますので、オールサプライチェーンを通じた業界を挙げた基準作り、法規制緩和、場合によっては新産業の創出も必要であると考えております。また、我々のできる大きな責任といたしまして、生活者への啓発活動にもメーカーとして貢献できるところがあると存じますので、関連して取組を積極的に実施していきたいと考えております。以上でございます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、パナソニックの石橋様からご説明をよろしくお願いいたします。

〇石橋様 パナソニックの石橋でございます。本日はパナソニックにおけるプラスチック循環の取組について紹介させていただきます。弊社は2010年に投入資源の削減、循環資源の活用、リサイクル推進を柱とする循環型モノづくりを打ち出し、プラスチックの循環に力を入れて取組を進めて参りました。10年目となる昨年は、新たにサーキュラーエコノミーのコンセプトを打ち出しました。この取組は、お客様の使用の変化を取り入れ、設計、調達、生産、使用のフロー全体をエコデザインの観点で設計し、新たなビジネスモデルの創出を視野に、資源の有効活用と顧客価値の最大化を目指します。本日は、これまでの循環型モノづくりを中心とした取組と今後の取組に関する考え方をお話しさせていただきます。弊社の環境に対する取組を進める上で、環境行動計画を策定し、具体的な推進を図ってまいりました。特に、プラスチック循環については数値目標を設定、リサイクル工程における選別技術、リサイクルの原材料から異物除去、強度や寿命を回復させる使いこなし技術の開発に力を入れて参りました。その結果、2014年度から2018年度までの5年間で累計79.4千トンのプラスチック循環を実現することができました。これらの技術について、もう少し詳細にご紹介させていただきます。まず、リサイクル工程時の選別技術について説明いたします。弊社では2014年に、シュレッターダストから用途や物性の異なる弊社製品に使用される主要3種類の樹脂であるPP、PS、ABSを同時に選別できる技術を確立いたしました。プラスチックの種類を近赤外線センサーにより特定した後、形や大きさの異なるプラスチックをコンベアから空中に飛ばす気流制御技術、プラスチックを吹き落とすためのエア吐出技術、秒速3メートルで飛ぶプラスチックを、700本以上のノズルで連続して吹き落とすための高速信号処理技術の3つの技術により実現いたしました。また、製品に使用されるための使いこなし技術としては、製品の部位・部材が求める特性と個々の再生材の特徴を見極め、コンパウンド時に酸化防止剤等を添加することで回復処理し、新機材に匹敵する物性と寿命を実現しております。これらの取組のマッチングにより、主要用途を拡大して参りました。続いて、プラスチック使用量削減のための新たな技術について紹介いたします。弊社では、近年、植物由来のセルロールファイバーを添加した複合樹脂の開発にも力を注いで参りました。2018年には軽さと強度を求められるコードレススティック掃除機に複合樹脂を適用いたしました。昨年は、さらに高濃度に高める技術を開発し、アサヒビール様と協働で、環境配慮型リユースカップの展開を開始したところです。弊社の技術では、間伐材からのセルロールだけでなく、植物廃材からのセルロースも利用可能です。最後に、今後の取組についてお話しいたします。ひと口にプラスチックと言っても、ご存知のように、大きくは熱可塑性と熱硬化性に分けられ、更には個々の物質構造を考えると数多くのプラスチックが存在します。その主要用途も様々であり、使用期間も短期から長期に渡ります。これらのプラスチックを有効かつ効率的に循環させていくにはその種類に応じた特徴や製品での使われ方を見極めて材料としての循環だけでなく、プラスチックを使用した製品や部品レベルでの循環も考えていくことが必要であると考えております。これらの取組は、個社だけでは実現困難です。今後、社外との協業も視野に入れ、一人ひとりの使用方法に焦点を当てたユーザーエクスペリアンス、デジタルトランスフォーメーションとの技術を融合したビジネスモデルの確立や解体に適した製品設計、そして循環に適したサプライチェーンマネジメントの構築よりこの3つの循環に取り組んでいきたいと考えております。私からの説明は以上でございます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、りそなアセットマネジメント株式会社執行役員の松原様よりご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

〇松原様 りそなアセットの松原と申します。私からは投資家の立場といたしまして、プラスチック課題に取組につきましてご説明をさせていただきます。まず、弊社のご紹介でございますが、1962年に設立され、18兆円、直近は23兆円の資金をお預かりしております。そして、210名のスタッフで運用している運用機関でございます。弊社は、主に企業年金、公的年金のお客様から資金をお預かりして、約半分は国内・海外株式、残りの半分は国内・海外債券に投資をしております。続きまして、昨今注目されている言葉でもあるESGは、グローバルネットワークでありますPRI(国連責任投資原則)から出てきた言葉でございます。直近の署名機関数は3,000、運用規模は100兆ドル、日本円に換算すると1京を超える程に成長しております。PRIは年次総会がございまして、2019年にはパリで開催されました。テーマはESGそれぞれにございますが、Eに関しましては、気候変動、脱炭素回に向けた取組、そしてプラスチック問題を掲げております。続きまして、国内の投資家の動きでございます。運用機関の約98%がESG重視しており、特に気候変動、また、気候変動には及びませんが資源循環や排出問題に関心を寄せる投資家が多い実態でございます。こうした投資家を取り巻く環境意識の基、りそなアセットにおけるプラスチックに関連する取組ついてご説明させていただきます。りそなアセットが目指す社会像をお示しておりますが、二つの外部性と一つの内部性を取り上げております。2つの外部性とは、SDGsを目指す社会とサーキュラーエコノミーでございます。内部性としては、企業のパーパスを挙げさせていただいております。二つの外部性に関する取組と関しましては、海洋プラスチック問題を取り上げ企業との対話をさせていただいております。具体的な活動といたしましては、海洋プラスチック問題に関して企業との対話、エンゲージメントを進めさせていただいております。具体的には、NGOのステークホルダーダイアログを通じて問題の本質を理解しまして、消費者に近いセクターを中心に活動をしております。但し、エンゲージメントは実施を依頼するのではなく、エンゲージメント方針とエンゲージメントプロセスを設定いたしまして、企業のサポートを行うものでございます。このエンゲージメントは単年度で終わるものではございません。海洋プラスチックに関しましては、2018年度から進んでおりまして、複数年度にかけてこの問題に対して企業と向き合い、取組をサポートするところでございます。更には、国内のみに留まらず、海外の投資家、国際機関投資家とも協同をいたしまして、プラスチックのサプライチェーンに向けた取組をローカルな企業との会話も進めさせていただいております。私からのプレゼンテーションは以上でございます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。8団体からヒアリングをさせていただきました。先ほど、名古屋市の発表が最後の部分で通信が途切れてしまいましたので、この段階で名古屋市のご説明を賜りたいと思いますが、いかがでしょうか。

〇平野室長 通信環境が悪く、申し訳ありませんでした。局長は所用がございまして、減量推進室長平野が代わりました。よろしくお願いいたします。名古屋市では平成30年度に環境省が実施いたしました実証事業に参加をさせていただいております。結果といたしまして、プラスチック資源回収量が増加をいたしまして、多くの市民から分別がわかりやすかった、今後の同様な方法で回収してほしいといった回答が寄せられております。また、本市で行っております選別作業が合理化されることよりコストの削減が期待されるところでございます。このようなプラスチックの資源循環を促進する環境整備に期待しておりますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。8団体からのヒアリングは以上でございます。ご説明いただいた内容につきまして、ご質問や、ご意見等を委員の皆様よりいただきたく存じます。ご質問のある方はチャットにて挙手を示していただくか、挙手ボタンを押していただければと思います。いかがでしょうか。

早速挙手ボタンが上がっております。それでは、石川委員からお願いいたします。

〇石川委員 この度は、様々なセクターから先進的な取組についてご説明いただき、大変勉強になりました。その中でも、メーカーであるライオン様とパナソニック様のご発表の中にありました個社ではできないため、業界・社会全体での取組を強化すべきというご指摘に関しては同意しております。特に、消費者の観点からは、メーカーやブランド別の回収や分別することはあまり意味がないと考えております。そのため、サプライチェーンは、同業他社とも協働していただかなければ、消費者の理解を得ることも困難である考えおります。メーカー側の発表者の方々に、同業他社と協働について、どうすれば成功できるかのアイディアがございましたら教えていただきたい。そして、実現のため求められる支援についてもご意見をお伺いしたいです。

〇酒井委員長 ありがとうございました。それでは、引き続きまして、坂田委員、お願いいたします。

〇坂田委員 日本化学工業協会の坂田でございます。コメントが1点、質問が2点ございます。まず、コメントはライオン様の発表についてでございます。容器の再資源化につきまして、私は実際台所洗剤を購入しておりますが、再生PET樹脂が使用されていることを認識しておりませんでした。認識をしていれば、より意識を持って購入することができたと考えております。これに関しましては、化学業界、特に素材産業として、ケミカルリサイクル等に取り組む際、素材の中にケミカルリサイクル素材が活用されていることをどのように消費者に認識していただくかについて検討しているところでございます。また、消費者に最も近い全国地域婦人団体連絡協議会様の発表からも、リサイクルの技術面のみならず、認識を広めていくことは極めて重要であると改めて考えた次第でございます。続いて、日本チェーンストア協会様に質問をさせていただきたく存じます。資料に記載されていた店頭回収量の推移につきまして、2015年から2016年にかけて、発泡スチロールトレーの回収量が落ちているように見えますが、理由があれば教えていただきたいです。また、回収した資源の運搬に際し、自治体の解釈が異なる点について、詳細を教えていただきたいと思っております。廃プラのリサイクルにおいて、いかに廃プラの十分な供給量を確保するかに関しては、化学業界としても非常に重要であると捉えておりますが、それに関係する点でもございますので是非教えていただきたく存じます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、森口委員、どうぞ。

〇森口委員 プラスチックの分別回収とその後の資源化に絞りまして、自治体及び日本チェーンストア協会様にお尋ねしたいと思います。まず、名古屋市の発表でもご説明いただいた実証事業につきまして、消費者にとってはすべてのプラスチックが有効活用されるといった点ではわかりやすいと考えております。また、現在の容リ法の基では、自治体の選別と事業者での選別が重複するという議論もある中、効率的であるとも考えられますが、リサイクル事業者側で異物の混入等による選別の問題の有無について、情報として把握しておられる場合にはご教示いただけますと幸いです。また、日野市のように製品を含めてプラスチックを全て集めた上で容リ法に適合するように、容器包装だけを選別しておられる例は、通常より長い選別ラインとなり、手間とコストがかかると認識しております。容器包装でなければ、リサイクルに適したものが排出されても、容リ法の対象外であるため除外する必要があるため、負荷がかかっていると考えられます。日野市の場合、焼却の削減という目的には寄与しておりますが、消費者としては違和感を覚えるところもあり、プラスチックの有効利用の観点からは改善の余地もあると思っております。自治体としては国の制度に従わざるを得ない側面もございますが、容器包装と製品の分別よりは、再資源化の用途に適した分別も可能であると考えておりますので、自治体としてのご意見があればお伺いしたいと思います。日本チェーンストア協会様につきましては、店頭回収についてお伺いいたします。他委員からのご質問とも関連しますが、店頭回収の行き先がないケースがある点について、自社でリサイクルセンターを持っている企業、場合によっては業界他社でのリサイクル実施可能性についてお伺いしたいです。また、店頭回収された資源が、安定する調達を求めている企業にわたるようなBtoBの仕組みが、業界間の連携を含めて推進していくことが望ましいと考えております。従来より困難な課題とされておりますが、関連業界様との、協力の余地があるかについてのご意見をお伺いしたいところでございます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、崎田委員、どうぞ。

〇崎田委員 まず、地婦連の積極的な取組の中で、最近では、レジ袋有料化をきっかけに、使い捨て容器包装の削減について取り組まれているとお聞きしましたが、これに関して一層広めていくためのポイントについて具体的に教えていただきたいと存じます。次に、名古屋市と日野市のご発表の中で、容器包装プラスチックだけでなく、製品プラスチックも一緒に集めることが大変大事になると考えておりますが、他自治体からは回収量増加に伴うコスト増大を問題としているご意見もございます。両市におかれましては、消費者の分別しやすさ、資源化率の向上、ごみ削減といったメリットの方が大きいと考えておられる理解でよろしいでしょうか。また、すかいらーく、ライオン、パナソニック様につきましては、消費者とのつながりに関してお伺いしたいです。消費者との共感が重要であり、啓発活動に積極的に取り組まれるとのことですが、代替素材や再生材の利用拡大に向け、認定マークの活用などのように消費者との関係性をどのように密にすれば良いかに関するご意見をいただきたいです。日本チェーンストア協会には、地域の団体と連携し、消費者啓発をするような新たな取組について、検討されているのであれば教えていただきたいです。最後に、りそな様には、ESG投資拡大の中でも現状では気候変動への関心が中心であるとご発表資料でございましたが、資源循環等への関心の拡大を図るために求められる取組等についてご意見があれば教えていただきたいと存じます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、大熊委員、お願いいたします。

〇大熊委員 日野市様にご質問がございます。容器包装と製品プラを一括収集し処理する取組は非常に素晴らしいと考えております。一方で、森口委員や崎田委員からのご指摘があったように、一括回収をすることで、中間処理で容器プラと製品プラを更に分別することになりますので、全体としてのコストは、従来より増大していると思います。容器プラだけ収集することで、コスト削減ができると考えられます。そこで、全体のコストが増大するにもかかわらず政策的な判断をした背景や過程について教えていただければと思います。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、佐藤委員、どうぞ。

〇佐藤委員 名古屋市と日野市のリサイクルについて、リサイクル率を上げるために、具体的にどのような手法でリサイクルをされているかについて教えていただきたいです。RPFに頼っていらっしゃるか、もしくは他の多様なマテリアルリサイクル手法の使用を目指しておられるのかについて持続可能性とコストの観点からのお考えをお伺いしたいです。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、柳田委員、どうぞ。

〇柳田委員 りそな様にESG投資についてお伺いしたいです。ファイナンス分野でも、気候変動から徐々にプラスチックの廃棄物が注目されているという中、手法として、現在はエンゲージメントを採用しているとお伺いしました。PRIでもプラスチックの関連グループが立ち上がり、レポート等も出されているとお聞きしております。こうした状況の中で、プラスチック対策は、広範な手法がございますが、これらを評価するための評価手法や基準、最終的には投資インデックスや企業レーティングにつながるような手法を作っていく、あるいは企業を評価していくといったことはございまでしょうか。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、髙村委員、お願いいたします。

〇髙村委員 私からはコメント1点、質問を2点させていただきます。まず、コメントといたしましては、ライオンの岡野様のご報告にあったCLOMAのリデュースの考え方に関してでございます。リデュースを基本として置いた上で、必要不可欠なプラスチックがあることを前提として、削減していく考え方を明確にされていることは非常に重要であると考えております。こうした技術革新、消費者との協力といった考え方については、資源戦略の中で政府が明確にすべきであろうと思います。1点目の質問といたしましては、日本チェーンストア協会の増田様へのご質問です。メーカーを含め、企業、あるいは分野を超えた連携の重要性に関するご指摘がございました。本日のご報告を伺いまして、小売事業者の役割の重要性について考えました。消費者の窓口であると同時に、供給側であるメーカーに対して消費者のニーズを伝える役割であり、非常に重要であると考えました。一部ご紹介いただきましたが、様々な回収・リサイクルの取組と同時に、取り扱われる商品についてプラスチックの削減等のメーカーとの連携可能性におけるお考えや会員社の取組についてお伺いしたいと考えております。この点につきまして、小売事業者にとっては、サプライチェーン・バリューチェン全体の気候変動対策、資源循環対策として非常に重要であると考えております。質問の2点として、りそなの松原様へのご質問でございます。柳田委員からのご質問にも関わりますが、プラスチック資源循環に関わる事業や活動に民間のファイナンスを呼び込むことが非常に重要であると考えております。日本企業の価値を高めることにつながるような民間のファイナンスへの呼び込みを促進するために国の政策として必要な点に関してご意見を伺いしたいと思います。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、青野委員、どうぞ。

〇青野委員 2点、ご質問させていただきます。まず、全地婦連の岩田様へのご質問でございます。富山県において平成19年に協議の場を設けられたとお伺いいたしますが、協議会設立の経過を教えていただきたいです。また、平成25年からの取組におかれましても、規模を拡大されるための工夫や議論についてお聞きしたいです。もう一点は、日野市様のご発表において、可燃ごみの共同処理、地元要望による施設規模を縮小されたかとお伺いしましたが、製品プラを含めた選別をした後、どのような処理をしているか確認させていただきたいです。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、大塚委員、どうぞ。

〇大塚委員 まず、日野市において、ごみ減量が目的あろうかと存じますが、他自治体ではあまり行われていない取組でありますので、製品プラと容器包装プラの一括回収をするようになった背景について教えていただきたいと思います。また、パナソニック様に関しましては、大変素晴らしい取組をされていると考えております。特に、PPとPSを識別できるようにすることは、今後プラスチックのリサイクルを推進する上で非常に重要であると考えますので、敬意を表します。ライオン様に関しましては、バイオマスプラスチック活用するに当たり、コスト増大のため、それを埋める必要があるとのご指摘がございましたが、表示をして環境に良いものを消費者に購入してもらうということもひとつあるかと思いますが、具体的にどのような施策を検討されているのか、お考えがございましたら教えていただきたいと思います。そして、店頭回収につきましては、様々なご意見がございましたが、国が店頭回収を推進させるための対応をしていくべきであることを意見として申し上げたく存じます。最後に、りそな様の発表に関しましては、柳田委員・髙村委員と同様に、どのようにプラスチックに関する取組を評価し、民間のファイナンスを増やしていくかについての検討が重要であると考えておりますので、私からも、関連する示唆をいただきたく存じます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、馬場委員、お願いいたします。

〇馬場委員 私からは大きく二つ質問を申し上げたいと思っております。一つ目は、全地婦連様、名古屋市様、日野市様に、10代~20代の若年層、日本の世帯の3割強に至る単身世帯への働きかけの状況についてお伺いしたいです。こうした世帯は、プラスチック利用量の削減や資源循環の入り口である分別や排出の段階において、適切な行動ができているかに関して、課題があると考えております。特に、若手の単身者が必要な情報に接する機会が少ないと認識しております。一方で、近年学校では環境やSDGsに関する教育が進んでおりまして、企業が若い世帯へ情報を提供しているといった啓蒙が進んでいるケースもございますので、改めて課題等について教えていただきたいと思っております。二つ目といたしましては、りそなアセットマネジメントの松原様よりご指摘がありましたように、企業の資源循環に関わる取組がESG投資で評価されるようになり、業界によってはイノベーションに関する投資が集めることや廃棄物を巡るレピュテーションリスクを投資家のエンゲージメントを通じて企業が再評価するといったプロセスが非常に大事であると思っており、多様な投資家に関心を持っていただきたいと考えた次第です。そこで、企業が資源循環の取組、特に技術開発やイノベーションのような新しいチャレンジに投資を集める働き方をするために、企業と投資家のコミュニケーションで課題がございましたら教えていただければと思います。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、湊元委員の代理である石井様、お願いいたします。

〇石井様 全国地域婦人連合会の岩田様のご発表についてご質問がございます。地域の消費者、事業者、行政の3者協力が最も重要である点はおっしゃる通りと思います。特に、富山県の取組に関しまして、取組事業者数が着実に増加していますが、どのような点が事業者数増加のポイントになったのか、特に、中小事業者等も相当程度含まれるかと思いますが、参画を得るための工夫等があれば教えていただきたいと思います。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、長谷川委員、どうぞ。

〇長谷川委員 3点質問させていただきす。まず、名古屋市と日野市における一括回収につきまして、リサイクル費用の負担はどのように試算されているのか教えていただきたいと思います。一括回収を実施するに当たり、回収後に選別が必要であると認識しておりますが、選別のステップ係る費用を含めご教示いただければと思います。2点目は、ライオン様への質問でございます。ご発表の中で法規制の緩和についてご指摘がありましたが、具体的にご意見があればお聞きしたいです。最後3点目は、りそなアセットマネジメント様へのご質問でございます。エンゲージメントを段階的に推進されているとお伺いいたしましたが、実際の投資判断の中で、プラスチック資源循環の取組について投資家がどのような判断をされているのか、教えていただきたく存じます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、宮澤委員、どうぞ。

〇宮澤委員 2点、コメントさせていただきます。まず、日野市さんの資料にございましたプラスチックのリサイクルについてでございます。容器包装プラスチックに加え、製品プラスチックも回収してリサイクルをしている事例につきまして、都内では規模の大小はございますが合計11自治体で実施しております。この取組は、プラスチック資源循環に向けた独自の先進的な取組であると理解しております。一方、製品プラスチックをリサイクルする際には、持ち込み先の事業者を自治体が自ら探す必要があるなど、財政負担が大きいのが現状でございます。今後プラスチック資源循環を進めるためには、リサイクルのコストダウンを図ること、そして多様なリサイクル先の構築とマッチングを図ることが必要であると考えております。2点目でございます。日本チェーンストア協会さんの資料にございました、回収された資源の運搬に際して、自治体によって解釈が異なるとのご指摘についてでございます。こちらにつきましては、過去の中環審・産構審の合同会議でも何度も指摘された点でございまして、2015年度の閣議決定で店頭回収されたペットボトル等の廃棄物処理法上の法的取扱の明確化について、都道府県等に対し、検討し結論を得ることとされておりました。その後、環境省から通知が出されましたが、未だに自治体におきまして十分に対応されていない面があると認識しております。東京都におきましては、再生利用指定ということで既に基準は設けておりますが、都道府県をまたがる物流が多いというのが現状でございますし、店頭回収された資源は帰り便で運搬できることが望ましいと考えております。こうしたご指摘につきましては、都道府県を含めまして自治体のより一層の対応が必要であると受け止めております。

〇酒井委員長 ありがとうございました。ほぼ全ての委員から質問、コメントを頂戴いたしました。いただいた質問、コメントは8団体全てに行き渡っていると思いますので、8団体の方から各自質問内容を整理しながら回答、あるいは考え方を提示していただきたいと思っております。それではまず、全国地域婦人団体連絡協議会の岩田会長よりご質問を踏まえたご発言をお願いいたします。

〇岩田会長 富山県の成功要因が皆様の大きな関心であると認識しております。富山県においては、消費者、事業者、行政の3者で協議会を設立したことは成功要因であると考えております。もちろん当初は、事業者側の参加も少なく、なかなか平行線のままで進みませんでした。ただただ意見の言い合い、こちらの思いをぶつけるばかりでしたが、我々の活動は10年以上前から進めてきており、地球温暖化の現状とそれに対し我々ができることを理解していただきたいということを、最後の会議で私より意見を伝えたところ、皆様の理解を得られ、びっくりするほど前進したと思っております。とにかく、CO2問題、地球温暖化の現状を理解し、その問題を考えてほしく、そこに結び付くのだということを申し上げました。それが成功の要因ではないかと思います。その後、県と協力して協議会を設立いたしました。また、若い世帯を巻き込むためには、平成7年ころから、地元の世話をしており、常に活動の中では、子供を連れて施設見学をするですとか、親子で施設の見学に行くですとか、若い世代と巻き込んで行って参りました。そこで子供たちに作文を書かせたり、お母さんの思いも書かせていただいて、進めてきたところでございます。

〇酒井委員長 中小事業者との関係性構築に関するご質問もございましたが、いかがでしょうか。

〇岩田会長 中小事業者におかれましては、商売上の都合の悪いところなど事業者の希望を受け入れ、行政の支援の下、取組を推進してきているところでございます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、名古屋市の平野様、どうぞ。

〇平野室長 まず、森口委員からご質問いただきました実証実験における収集プロセスの支障はございませんでした。また、崎田委員等から質問いただいておりますが、名古屋市は一括回収を実証実験でしか実施しておらず、通常は、製品プラは可燃ごみとして処理しておりますことをお伝えいたしたいと思います。容リ法に基づいて収集したプラスチックは、容リルートに乗せておりますが、通常15%程度が残渣としてRPF等になり、残りの85%程度はマテリアルもしくはケミカルリサイクルされている状況でございます。そして、若い世代等への取組に関しましては、名古屋市内の大学、短大、もしくは専門学校等の入学説明会の際に、名古屋市の分別をご紹介いただけるように協力していただいております。市内の大学祭等に、職員が出向きまして普及啓発等を行っているところでございます。最後に費用負担につきましては、実証実験を除き、通常は約26,000トンのプラスチックを回収しておりますが、その選別費用は7億1,000万円程かかっている状況でございます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。引き続きまして、日野市の福田様よりお願いいたします。

〇福田参事 まず、製品を集めていることに関してご質問をいただきました。日野市は、先ほど申し上げた通り、ごみ減量、資源化率の向上のため第2次ごみ改革を進めてきているところでございます。その大きな1つの柱であるプラスチックの分別収集・資源化につきまして、容器包装はリサイクル協会に引き渡しております。製品につきましては、RPFになりますが、今後更に一つのプラだけを分別してリサイクルできる可能性についても検討を進めております。また、リサイクルコストに関しましては、プラ施設の運転費は年間1億7,500万円程度になります。そして、単身者等への働きかけにつきましては、小学生から環境学習としてクリーンセンターの職員が出向いてごみの分別方法等について説明をしております。広報やごみ情報誌を提供し、プラの分別の開始にあたっては分別ガイドも全戸配布しております。プラスチック分別収集開始にあたりまして、希望を受けた様々な地域グループの会合等に出前授業を実施いたしました。その中では、単身者向けの社員寮も含まれております。最後に、施設の運転費についてはご説明いたしましたが、従来別途集めていたトレーや不燃ごみ収集日を組み替えることで、収集費用については、特段大きな負担増大はございませんでした。

〇酒井委員長 ありがとうございました。続きまして、すかいらーくの伊藤様よりお願いいたします。

〇伊藤様 崎田委員よりいただいた、消費者との共感が大事で、どういう関係性を持つべきかという点についてございます。先ほどマーク等のアイディアについても紹介されておりましたが、これは有効であると考えております。特にファミリーレストランですので、小さいお子様にも親しみやすく、全ての世代がそのマークで取組実施が分かるというようなものがあるのは望ましいと考えております。また、取組を実施していく上で困難であったこととしては、日本チェーンストア協会様からもお話しがございましたが、自治体によって分別や回収のルールが異なっており、例えば店長が転勤するたびに、それらの把握に苦慮するということがございますので、統一的なルールがあった方が望ましいと考えております。

〇酒井委員長 ありがとうございました。それでは、日本チェーンストア協会の増田様、お願いいたします。

〇増田様 まず、店頭回収量の急減つきましては、加盟企業の退会、あるいは従来の会員企業よりデータ入手ができなかった可能性がございますが、詳細は確認後、改めて事務局にご連絡いたします。また、森口委員のご質問にも被りますが、自社便を現在使われている企業もございますが、自治体によっては許容されず、産廃の事業者に委託が必要になる場合がある。自社便を使うためには、改めて許可を取得する必要があり、解釈の違いによりそれぞれ確認が必要になっているという状況でございます。また、森口委員よりいただいた協働の在り方につきましては、以前から申し上げている通り推進したい意志はある一方、要件等を含めて厳しい現状でありますので、緩和いただければと思っております。地域との団体との連携につきましては、ご指摘の通り、現状の関与者のスキームの中で、従来よりは取組の実現可能性は高まってきているようでありますので、引き続きより一層の対応ができるように推進していきたいと思っております。そして、髙村委員よりご指摘ありました小売の重要性につきましては他に色々な方からもご意見いただいているところでございます。生活者、お客様の意見をメーカー様に伝える、あるいはそうした情報を共有するというところを含めまして、我々としても一層の勉強をしながら前に進めさせていただければと考えております。

〇酒井委員長 ありがとうございました。髙村委員からの質問の中に、商品のプラスチック削減についてメーカーとの調整有無に関するご質問もございましたが、その点に関してはいかがでしょうか。

〇増田様 申し訳ありませんが、具体的な取組に関しましては、現在手元に情報がありませんので、確認後に改めてご連絡させていただきます。

〇酒井委員長 はい、それではよろしくお願いいたします。 続きまして、ライオンの岡野様、どうぞ。

〇岡野様 まず、石川委員・坂田委員からご指摘いただいた同業者との協業についてはご指摘の通りでございまして、生活者にメーカー別に分別することを求めることはできないと考えております。まだ具体的な取組にはなっておりませんが、ある意味、健全な競争の軸の一環として、例えば、捨てやすいことがお客様にとってメリットになる競争軸になるといったこともあり得ると考えられます。一方では、リサイクルの場面においては弊社であれば花王様やP&G様と協力することも可能と考えておりますので、健全な競争と良い協働を進めていきたいと思っております。また、サプライチェーンにおいては、自社だけでは回収から再利用といった全てのループを実現することはできませんので、今後再生材の安定供給や産業化のためにできることは実施していきたいと思っております。例えば、きれいなごみを作るための努力も考えておりますので、何が課題かを共有しながら解決を図っていきたいと考えております。また、大塚委員や崎田委員からのご質問に関するお客様との向き合い方につきましては、コストをお客様に求めることはできないと想定しております。詰め替え商品が普及できた理由も、お客様にとって、価格が高くなかったから、むしろ安かったことが大きな要因であると個人的には考えております。そういう意味では、リニューアブル素材等を使用するプロセスにおいて、自社としてどのようにコストを吸収していくか、例えばコンパクト化によって流通コスト等、別の場面のコストを吸収することも考えられますし、ベルマークのようにお客様にとってメリットのある仕組みにするにあたり、より捨てやすいものという要素はひとつあり得ると考えております。こうした取組も、自治体やお客様との向き合い方次第でありますので、健全な競争軸の作り方になろうと思います。長谷川委員からのご質問いただいた具体的な法令緩和の事例につきましては、必ずしも容リ法や廃掃法をイメージしているわけではございません。例えば、薬機法などで、表示の簡素化やQRコード化によって、ラベルが小さくできてプラスチック削減できるなど、また、薬機法のようなものを緩和することにより、有効成分さえきちんと保持できれば、容器を薄くしてもいいといった道も生まれてくるのではないかといったように、あまり関係のないと思われている法令を見直すことで新たな資源循環の余地を生まないかという視点からのご提案でございます。最後に、髙村先生からリデュースにおいて、思想的なことを提示するのは非常に大切だと仰っていただいたのは、涙が出るほど嬉しい点であった旨をお伝えしておきます。

〇酒井委員長 ありがとうございました。それでは、パナソニックの石橋様、どうぞ。

〇石橋様 弊社がいただいた質問は大きく2点あると捉えております。まず、1点目として、今後のパートナシップ、アライアンス等の協働につきましては、リサイクルにおいて解体する際の設計に係るノウハウに関しては情報共有が困難でございますが、組み立て情報等は今後ブロックチェーン等でプラットフォームが構築され、解体しやすさが進められると捉えております。また、リサイクル時に生じた材料をどのように再資源化するメーカーに渡せるかについても売手と買手のマッチングができるプラットフォームもできれば良いと考えております。現在、工場の排出物としてのプラスチックは処理が難しくなっているという状況もございますので、そうしたマッチングがあると、排出物処理の観点でもプラスになるのではないかと考えております。2点目である、消費者とのつながりにつきましては、資料に循環材の顧客価値創出に関して記載させていただいております。これは、環境や材料そのものが顧客にとって価値というようには見えにくい現状であると考えております。現在、二子玉川の蔦屋書店のショールームにて「いかすくらし展」を6月より開始しました。工場より排出された部品より作られた製品、アイロン台の底板の規格外のものをブックエンドにしたり、炊飯器のお釜を照明の傘にしたような物を展示している。展示に伴い、訪問者へアンケートをしているが、アンケート結果より、環境に良いからと言って興味を持つという場合はほとんどなく、共感を覚えてくださるポイントは、活動の背景にあるストーリーやデザイン性がより関心を引けることがわかりました。お客様が商品を手にとって初めて、循環のループが成立すると思いますので、お客様にとってのより良い価値、いいねと思っていただけるような価値の創出への取組を進めていければと考えております。

〇酒井委員長 ありがとうございました。お約束の時間は過ぎおりますが、5分程度延長させていただきたく存じます。最後に、りそなの松原様、よろしくお願いいたします。

〇松原様 私からは皆様からのご意見を踏まえて一点ご説明をさせていただきます。現在、投資家・資本市場においては企業の取組の可視化、見える化を目指しております。同時に、資本市場がその可視化による価値化を目指す動きが広まっております。昨今の気候変動に対する取組につきましては、TCFDといった大きなフレームワークがございます。プラスチック資源循環につきましても、環境省と経産省がサーキュラーエコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会を立ち上げ、フレームワークの構築等を推進しており、弊社も介しているところでございます。可視化につきましては、企業の取組が地球環境にとって良いだけではなく、結果としてグローバルサプライチェーンに入れない、あるいはそういった動きに背を向けることで将来的にファイナンスが得られないという危機感、つまり、財務リスクや経営リスクに長期的には直結しかねないというものであることを共有したいと思っております。逆を言えば、これを乗り越えることで競争優位性が高まり、企業のサステナビリティも高まると考えております。つまり、社会のサステナビリティの高まりを、どう企業のサステナビリティに自分事として乗り越えていくことが非常に重要であります。そうした意味では、企業がプラスチック循環にどのように取り組んでいくかではなく、プラスチック循環が企業の価値にとっていかなる意味があるかという課題に対して、どのように答えていくかを、ストーリーを持って可視化をしていただくことが資本市場にとって必要であると考えております。投資家はエンゲージのステージに入っておりますが、まだ気づきの段階でございます。ダイベストメントという動きはまだまだ先の段階です。その中で、こうした取組が企業の資本コスト削減や収益機会につながる動きとして認識されつつありますので、投資家の動きをぜひご理解いただくとともに、こうしたEUを含めた海外のサステナブルファイナンスの動きに目を向けていただく、資金調達の観点からはグリーンボンド、サステナブルボンドというものが出てきておりますので、こうした取組を意識して、資金供給の1つ力にしていただければと思っております。

〇酒井委員長 ありがとうございました。それでは、本日は非常に多くの質問・コメントを頂戴し、ひと通り、回答に関する発言もお聞きできたかと思います。本日は活発なご議論ありがとうございました。事務局に進行をお返ししたいと思います。

〇冨安室長 本日は大変有意義かつ活発なご議論頂戴いたしましてありがとうございました。次回の合同会議は、基本的方向性の取りまとめに向けた議論の場とさせていただければと思っております。日程につきましては、決まり次第委員の皆様にお知らせをいたします。本日の議事録につきましては、委員の皆様にご確認いただいた後、経済産業省及び環境省サイトに掲載する予定でございます。次回の会議の詳細が決まりましたら、事務局より改めてご連絡させていただきます。それでは、時間を超過し恐縮でございましたが、以上を持ちまして本合同会議を閉会いたします。どうもありがとうございました。

(了)