食料・農業・農村政策審議会食料産業部会第27回食品リサイクル小委員会 中央環境審議会循環型社会部会第25回食品リサイクル専門委員会 第25回合同会合 議事録

開催日時

令和5年12月19日(火) 15時00分~17時00分

開催場所

AP虎ノ門
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階 会議室A)

開催方式

対面及びWEBのハイブリッド方式

議題

(1)食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針の一部改定について
(2)その他

議事次第

議事録

午後3時01分 開会
〇松﨑課長 定刻になりましたので、ただ今から食料・農業・農村政策審議会 食料産業部会 食品リサイクル小委員会、及び中央環境審議会循環型社会部会 食品リサイクル専門委員会の第25回合同会合を開催させていただきます。環境省環境再生資源循環局廃棄物適正処理推進課長の松﨑でございます。よろしくお願いいたします。委員の皆さま方におかれましては、お忙しい中、会場へのご参加、またWebでのご参加をいただき誠にありがとうございます。
 本合同会合の事務局および議事進行は、農林水産省と環境省で持ち回りとさせていただいております。今回は環境省が事務局を務めさせていただきます。従いまして、今回の座長につきましては、中央環境審議会循環型社会部会 食品リサイクル専門委員会の石川座長にお願いいたします。
 ここで、交代のございました委員の方をご紹介させていただきます。全国知事会栃木県環境森林部資源循環推進課長 大橋委員でいらっしゃいます。
 
〇大橋委員 はい。栃木県の大橋です。よろしくお願いいたします。
 
〇松﨑課長 ありがとうございます。本日の委員の出席状況でございます。両審議会の委員数は合計20名ですが、うち16名の委員のご出席の予定となっております。中央環境審議会循環型社会部会 食品リサイクル専門委員会では委員数15名のうち13名のご出席予定でございます。また、食料・農業・農村政策審議会につきましては、農林水産省からお願いいたします。
 
〇熊田室長 はい。熊田です。本日もよろしくお願いいたします。食料・農業・農村政策審議会 食料産業部会 食品リサイクル小委員会では、委員数10名のうち7名がご出席予定となっております。
 
〇松﨑課長 ありがとうございます。一部遅れて出席される委員の方がいらっしゃいます。その方々は、入ることができ次第、ご参加いただくこととしております。それでは、以降の議事進行を石川座長にお願いいたします。座長、よろしくお願いいたします。
 
〇石川座長 どうもお忙しいところありがとうございます。それでは早速議事に入りたいと思いますが、まず資料の確認をお願いいたします。
 
〇松﨑課長 はい。それでは資料の確認をさせていただきます。本日は資料として、議事次第、委員名簿、資料1、資料2、参考資料1、参考資料2がございますが、それぞれPCの端末にお配りしてございます。不足等ございましたら事務局までご連絡いただければと思います。資料は会議の進行に併せまして画面にて投影させていただきます。なお、本日の資料につきましては、原則全て公開とさせていただきます。
 また、合同会合終了後には、発言者名を示した議事録を作成し、各委員に配布・ご確認いただきました上で、公開をさせていただきたいと存じます。ありがとうございます。
 
〇石川座長 それでは、ここから議事に入りたいと思います。本日は食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針の一部改定についてご議論いただきたいと思います。まず内容について、農林水産省のほうからご説明をお願いいたします。
 
〇月岡補佐 農林水産省食品ロス・リサイクル対策室の課長補佐の月岡でございます。よろしくお願いいたします。私のほうから、まず資料1でございます。PC端末上の資料ナンバーですと04となってございますが、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針(案)」ということについてご説明をさせていただきます。
 前回の委員会におきまして、「今後の食品リサイクル制度のあり方について」ということで、規制実施計画の基本方針への盛り込みも含めまして報告書を作成させていただいて、ご承認いただきました。その上で、今回は基本方針に盛り込むことといたしまして、エネルギー利用の推進と、それから焼却・埋立ての削減目標と、社員食堂等からの食品廃棄物の削減の重要性の3点につきまして、基本方針の改定案を作成いたしました。
 まずはページナンバーの1ページの下段から2ページにかけてでございます。1ページからは、現下の状態につきまして記述がございますけれども、前回基本方針を定めた後、食品ロス削減推進法が施行されたという記述を追加してございます。
 また、エネルギー利用の推進につきまして、これまで委員会の中で、まずはカーボンニュートラルの考え方、それから食料安全保障の観点というものをきちっと考え方として盛り込むべしということがございましたので、こちらの前文に書いています。2ページの5行目のところからですけれども、「食料の多くを輸入に依存する我が国は、気候変動等による世界的な食料生産の不安定化や、世界的な食料需要の拡大に伴う調達競争の激化等により、食料安全保障の強化が重要課題となっており、生産資材の国内資源への代替転換の推進に資する食品循環資源の再生利用等の取組のより一層の促進を求められている」という記述をしています。
 その上で、「二〇二〇年十月、政府は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言した」とし、併せて、前回も議論がございましたように、「二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的で野心的な目標として、二〇三〇年度に温室効果ガスを二〇一三年度から四十六パーセント削減する目標等を定め、その目標達成のための対策・施策の一つとして3R(リデュース・リユース・リサイクル)等を推進する旨が記述されており、食品循環資源の再生利用等を通じて温室効果ガスの排出削減にも貢献することが求められている」という状況の説明を記述しています。
 この上で、まず基本方針に書くべきエネルギー利用の推進につきましては、ちょっとページが飛んで恐縮なのですけれども、6ページの下段です。こちら、再生利用についての考え方を記述しているところでございますけれども、前回までの議論の中で、特に再生利用手法に寄らない形で全体としてエネルギー利用の推進を目指すべきというお話がございましたので、今申し上げました背景の話も含めまして、「また、食品循環資源の再生利用を行うに当たっては、この基本方針で定める再生利用等の優先順位を維持した上で、エネルギー利用の推進も含めた食品循環資源の再生利用の促進を通じてカーボンニュートラルにも貢献することが重要である」ということで、記述をしています。
 それから2点目の焼却・埋立ての削減目標につきまして、10ページをご覧ください。記述自体は9ページから始まっていますが、再生利用等の実施率に関する目標でございます。再生利用等の実施率に関する目標につきましては、皆さまご存じのとおり、以前策定した基本方針の中におきまして、現下の数値に踏まえて定めてございます。前回から引き上げたもの等々もありますので、9ページの下段から10ページにかけて記述がございますが、食品製造業にあっては95%、それから食品卸売業にあっては75%、小売業にあっては60%、それから外食産業にあっては50%という目標値を定めています。
 前回までの議論の中で、焼却・埋立ての削減の目標というものが、ほとんどがこの再生利用等目標との裏返しというもので、どこまで意義があるのかというようなご議論もありましたけれども、まずは参考値という形で示すことにも意義があるということでございました。
 現下の再生利用等の実施率につきましては、令和3年度のデータでございますけれども、製造業、卸、小売、外食産業で、96、70、55、35という数字です。現下の目標と併せて、100%から引いた値で参考値として示させていただいています。10ページの20行目からでございますが、「なお、再生利用等を実施していない食品廃棄物等は、おおむね焼却・埋立てがなされている」、「このような再生利用等を実施していない食品廃棄物等の存在を認識することで、これらの焼却・埋立てを削減し、実施率を高めようとする意識がより働くようになることから、参考値として焼却・埋立ての削減目標を定めるものとする」ということです。「具体的には」ということで、「焼却・埋立てを実施する量を焼却・埋立て実施率に換算するものとし、二〇二四年度までに、食品製造業にあっては全体で五パーセント、食品卸売業にあっては全体で二十五パーセント、食品小売業にあっては全体で四十パーセント、外食産業にあっては全体で五十パーセントをそれぞれ下回ることを参考目標とする」としております。
 3つ目でございますが、少しお戻りいただいて、4ページでございます。社員食堂等の食品関連事業者以外の者から出る食品廃棄物の削減についての重要性につきまして、昨年の9月に議論いただいた際にも特に異論はないということで、前々回の今年の9月にもご議論いただいたときにも、その方向でおおむね記述するという形でございました。4ページの15行目でございます。既に「学校給食用調理施設、直営の社員食堂において」というような記述はあるのですけれども、その前段として、大枠として再度位置づけさせていただいております。「食品循環資源の再生利用等の促進を通じて環境への負荷の少ない循環を基調とする持続可能な社会を構築していくためには、直営の社員食堂等の食品関連事業者以外の食品廃棄物等にかかわる多様な主体の参加の下、社会全体で食品廃棄物の削減に取り組むことが重要である」という記述を追加させていただいています。
 このほかにつきましては、先ほどの食品ロス削減推進法の制定以外に、肥料に関する法律名の改正ですとか、あと、修正を体裁上加えさせていただいていること、あとは年次上の登録再生利用事業者の数ですとか、リサイクルループの認定数ですとか、そういった数字の更新を行った形でございます。内容につきましての説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
 
〇石川座長 はい、どうもありがとうございます。ただ今ご説明いただきました内容は、これまでの合同会合でご議論いただいた意見を反映させたものになっています。ご説明いただいた内容について、ご意見とかご質問がございましたら、対面参加の委員の方は名札を立ててお示しいただきたいと思います。また、Webで参加されている委員の方は、ミュートを外してご発言いただいても結構ですし、画面をオンにしていただいて挙手であるとか、またチャットに書き込んでいただいても結構です。それではよろしくお願いいたします。どなたかご意見・ご質問、ございますでしょうか。
 
〇堀尾委員 よろしいでしょうか。
 
〇石川座長 堀尾委員、お願いします。
 
〇堀尾委員 全体、特に内容については特に異論はございません。きちんと反映していただいていると思っております。ただ、一つだけ表現について気になりましたので申し上げます。17ページの9という項目がございますが、「研究開発の促進」という、サブタイトルというんですか、タイトルがついております。で、この研究開発の促進という項目に書いてあることの後半部分はですね、現在あるIT技術を積極的に活用しようじゃないかという、そういう内容だと思いますが、やや急いで通り過ぎて読んでしまう方にとってはですね、そこが見落とされて、研究開発をやるんだというふうに捉えられかねないなという気もしましたので、例えばそのタイトルに「研究開発」というだけじゃなくて、例えばその後に、「およびIT技術採用の促進」とかですね、そういったような表現ができないのかなというふうに思いましたので発言させていただきました。
 
〇石川座長 はい、どうもありがとうございます。内容は確かにそうだなと思うところがありますので、検討させていただきたいと思います。ほかに何かご意見はございませんでしょうか。はい、どうぞ。
 
〇田村委員 フードサービス協会の田村でございます。13ページの、(3)の「外食事業者」というところです。外食の食品ロス削減に関しては、「調理」と「提供」、この2つがあるということはこのとおりですが最後の2行のところです。「外食事業者には、食品ロスの削減に係る地方公共団体と連携した」と、こう書かれています。外食の場合は最終消費者と接点を持っている業界であるので、できれば食品関連業界を加えて頂きたい。外食だけ単独では食品ロス削減はできません。当然調理するには一から調理する場合と、食品メーカーさんのような加工食品の商品を利用して調理するという2つのケースがありますので、例えば「外食事業者には、食品ロス削減に係る食品関連業界および地方公共団体と」という表現を付け加えていただければありがたいと思います。
 
〇石川座長 はい、ありがとうございます。それも確かにご指摘いただくとそうだったなあと思うところであります。検討させていただきます。ありがとうございます。
 ほかに何かお気づきの点はございませんでしょうか。もし特にないようでしたら、時間はいっぱい取ってあるんですけど、次に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異論等なし)
 
〇石川座長 はい、それでは議題の2のほうに移りたいと思います。基本方針の一部改定につきましては、この後、これはいただきましたご意見を検討して、反映させるべきは反映させた上で、パブリックコメントという手続きに入ると思います。その段階で、修正するところと、語句の修正とか表現の修正だと思うんですけれども、それとパブリックコメントへの対応に関しては、時間も限られていますので、もしよろしければ両座長に、渡辺座長とともに一任していただけると大変ありがたいと思うんですが、いかがでしょうか。
(異論等なし)
 
〇石川座長 はい、ありがとうございます。それでは基本方針の一部改定については、いただきましたご意見を反映させまして、パブリックコメント手続きに入りたいと思います。
 それでは今日の議事の2のほうで、その他、というものですけれども、こちらに入りたいと思います。これは、そもそもはここで、特別な事情がなければ議論する話じゃなかったんですが、前回の合同委員会でご説明があったとおり、発生抑制目標、これ、省令で決まっているものですけれども、これが期限が今年度末になっておりまして、ここで見直しておかないと空白期間ができてしまうという、まずいことがあります。それでこの場をお借りしまして議論していただきました。それについて月岡補佐からご説明をお願いいたします。
 
〇月岡補佐 すみません、そうしましたら続きまして私のほうから、資料2でございます、令和6年度以降の基準発生原単位(発生抑制の目標値)の設定につきましてご報告を申し上げたいと思います。資料2の1ページ目からめくっていただいて、1ページ目、表紙の次でございます。「基準発生原単位の法令上の位置づけ」となります。
 まずは上の一番最初のポツにございますように、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する食品関連事業者の判断の基準となるべき事項を定める省令」ということで、食品リサイクル法にございます。今、座長からもご説明いただきましたリサイクル法の中にある省令の第3条第2項に基づきまして、食品廃棄物等の基準発生原単位を期間ごとに定めてございます。どういうふうに記述されているかといいますと、真ん中にありますように、第3条第2項でございます。「食品関連事業者は、食品廃棄物等の発生の抑制を促進するため、主務大臣が定める期間ごとに、当該年度における食品廃棄物等の発生原単位が主務大臣が定める基準発生原単位以下になるように努めるもの」というところでございます。
 こちらにつきましては、今、食品リサイクル法の毎年の定期報告で、100トン以上の多量発生事業者の方におかれましては発生量をご報告いただいているのですが、それと併せて、こちらにございますように、当該年度における売上高、製造数量といった、その発生量と密接な関係を持つ値も同時にご報告いただいて、発生原単位という形でご報告いただいています。こちらにつきましては業種によってですね、発生の抑制につきましてはさまざまでございますとともに、事業者の規模につきましてもまた異なりますので、密接な関係を持つ値で除したものを定めているところでございます。
 1ページの一番下にございますように、その単位当たりの発生原単位というものを出しまして、それの業種・業態ごとに定める基準発生原単位以下になるように努めていただくというところでございます。
 ちょっと1ページ目の上の四角の2つ目のポツに戻っていただきますと、今、座長からご説明いただいたのですが、これまでおおむね5年を期間として定めていたのですが、現行の期間は2019年度から2023年度までとされているところでございます。ですので、今年度内に事務局のほうで新たな計算をさせていただきまして、新しい数値という形でお示しをして、来年度以降適用させていただくと考えてございます。今日はそちらの計算結果につきましてご報告をさせていただきます。
 3番目のポツでございますけれども、「基準発生原単位というのは、定期報告で報告されている75業種区分について検証を行い、設定」をしているというところでございます。
 2ページ目でございます。現行の基準発生原単位につきましては、このようになっています。四角の中にございますように、75の業種区分において検討しておりますが、現行は34の業種区分について基準発生原単位を設定しているというところでございます。この色分けしてオレンジ色になっているところが、前回、単位設定も含めて、新しく基準発生原単位を設定した、2019年に新しく設定した4つでございます。青いところが、前回に数値をさらに深掘りをして、基準発生原単位を引き下げた数値でございます。これらと同じように今回につきましても、新設ないし深掘りというものをどうするかということを検討させていただきました。
 3ページでございます。どういうふうに計算をしているかということなのですけれども、まずは新設という形ですが、基本的に引き下げにつきましても同様の設定の仕方でやっています。3ページの一番上のポツにございますように、基準発生原単位につきましては、2007年に食品リサイクル法が改正されて、定期報告の仕組みというのがその翌年度からご報告いただくようになりまして、2年ほどデータが集まってきた段階で、2012年の1月に本合同会合の下に設置された「食品廃棄物等の発生抑制の目標値検討ワーキンググループ」において取りまとめられた方法に基づいて検討されて設定をしたというところでございます。
 少々細かくなるのですが、その下の青い枠で囲っている部分が、どういうふうにやったかということの方法論でございます。手順としては大きく3つございまして、まず①ということで、業種区分ごとの食品廃棄物等の発生量と密接な値の相関関係を分析いたします。で、それぞれの事業者の方におかれましては、それぞれの発生原単位というものがあって、過去と比較することが可能なのですけれども、まずその業種区分の中で、一定程度の相関が取れて、一定の目安を示すことが可能なのかというものをまず見る形です。相関関係の分析につきましては、(1)から(4)でございまして、(1)は2つの値の相関係数が0.7以上かどうか評価をすると。(2)については本来相関がないのに偶然相関が取れていないか、これはちょっとワーキンググループの表現をそのまま持ってきているのですけれども、要は相関係数0.7以上というものだけではなくてですね、きちっと統計的にt検定で相関関係を評価をするという形でございます。それから、(3)でございますけれども、散布があって相関が取れたとしても、外れ値が出てしまって、それによって相関関係が疑似的に出てしまっているような場合があるのではないかということで、その外れ値としての大規模事業者などが影響を与えないか、それを外してみても相関係数が0.7以上かどうかで偶然でないかを検証し、その外れ値を除外した上で標本数が8以上である業種を設定対象とするというところでございます。
 その上で、相関関係ができた場合には候補値を算出するということで、②でございます。①の分析の結果として、相関が認められた場合、発生抑制の実施率が低い企業の底上げを図るべく、7割の事業者が達成している水準として基準発生原単位の候補値を算出いたします。形としましては、下にございますように、平均値に標準偏差を加味した範囲で、平均値+標準偏差×0.5で候補値を算出するという形でございます。右にあるイメージ図が、またワーキングに付いていたものなのですけれども、イメージとしてはこういう形で、横軸に売上高、それから縦軸に発生量を置いております。平均値がこの太い黒い実線になるのですけれども、それと標準偏差を0.5でマイナスとプラスしたのがこの青い点線と赤い点線になるのですが、右下にいくほど発生抑制が進んでいるという形になりますので、7割の事業者が達成していると平均値より少しだけ、標準偏差×0.5分だけ上振れしたもの、この赤い点線で基準発生原単位というものを置かせていただいて、この丸で囲った部分の事業者においては発生抑制に特に努力すべき事業者という形で、基準発生原単位の候補値を算出させていただきます。
 その上で、③でございますけれども、基準発生原単位を設定するかの最終評価ということでございまして、②の候補値を算出した上でですね、以下の特徴が認められる場合は、基準発生原単位の新設はしないということでございます。1つ目のポツですけれども、食品廃棄物等のほとんどが商品として市場を形成している場合、これは生産と一体的にもう出てきてしまうような、そういうものでございますので、候補値の設定はその生産の抑制ととられかねないので設定をしないという形でございます。それから2つ目のポツでございますけれども、食品廃棄物等のほとんどが製造に伴い必然的に発生する不可食部である場合、現行の最新値の可食部・不可食部調査で不可食部がほぼ全てを占めているという場合には、発生抑制には製造ラインの見直しですとか、新技術・新商品の開発が必要となり、短期間のうちに発生抑制の取組を行うことは難しいということで、設定をしないという形でございます。
 このような形で計算をしまして、新設につきまして、まず検討させていただきます。4、5、6ページが新設についての候補値の算出を行った計算結果でございます。75業種区分のうち、これまで設定されていない、75引く34ということで、41の業種区分につきまして、先ほどの①の相関分析と相関が認められた場合の分析・検討の方法②を使って候補値を算出してございます。まず4ページでございますと、これら業種の中でレトルト食品製造業でございます、密接な関係を持つ値は売上高で、サンプル数が39で、外れ値の数が2つありましたので、それを除いた上で、相関係数が0.720で、t検定を行った結果、それが優位という形でしたので、サンプル数39全体としての候補値の算出というのを127として出しているというところでございます。
 4ページでレトルト食品製造業がございまして、5ページでは甘しゃ糖製造業、それから6ページでは、少し増えてきますが、鮮魚小売業、それからぶどう糖・水あめ・異性化糖製造業、小麦粉製造業、動植物油脂製造業(食用油脂加工業を除く。)、でん粉製造業、ビール製造業、単式蒸留焼酎製造業という形でございます。こちらについて出てきたものにつきまして、最終評価は③という形で行います。
 7ページでございます。41の業種区分につきまして、候補値を算出した9つ業種区分があったのですけれども、③の先ほどの最終評価という形を行っております。7ページの真ん中辺りにございますが、36番の小麦粉製造業については、食品廃棄物等のほとんどが商品として市場取引が確立されているということで、こちらにつきましては、従前のワーキングのときもそういう議論があったのですけれども、設定をしないという形でございます。
 それから23、31、34、37、38、39、41といったものは、7ページの下の※でございますが、最新の農水省で行っています食品関連事業者における食品廃棄物等の可食部・不可食部の量の把握等調査の報告書に基づきまして、最新の可食部率が1%に満たない、ほとんどが可食部ということですので、こちらも最終評価上設定をしないという形でございます。
 こちらの結果といたしまして、最終的にレトルト食品製造業が売上高100万円当たりの127kgという形の基準発生原単位を新設するという形の計算結果となっているところでございます。
 それから8ページでございます。次は現行で定められている基準発生原単位をどういうふうに扱うかというところでございますけれども、既に基準発生原単位が定められている34の業種区分についてもワーキングで取りまとめられた方法に基づいて、分析・検討の方法①の相関分析を行い、相関が認められた場合は分析・検討の方法②に従って候補値を算出した上で、候補値と現行基準発生原単位の検証を行って、要すれば見直しを行うというところでございます。
 手順としましては、①の相関分析と②の候補値の算出は同じでございます。先ほど説明させていただいたのと同じなのですが、相関分析をまず現行の最新値、令和3年度の廃棄物発生量でございますけれども、そちらで相関分析を行ったところ、過去に新設されていたので相関は取れていたはずなのですけれども、現行、相関が取れない場合というところがaというところになるのですが、こちらの場合は一定程度発生抑制の取組が進んだりしたことで、基本的に、先ほどのイメージ図で言うと、ばらつきが大きくなって、相関が0.7以上でなくなった場合というのもございますので、その場合は現行の基準発生原単位のままとするという形で考えてございます。
 それから、相関が取れた場合の候補値が出てきた場合は、現行の基準値と比較をする形でございます。候補値のほうがbでございますけれども、候補値が現行の基準発生原単位より低い値が出た場合は、こちらは新しい基準発生原単位という形で採用するという考え方でございます。cのように候補値が現行の基準発生原単位より大きくなってしまった場合ですけれども、こちらにつきましては、ちょっとaと似ておるのですが、基本的な取組が進んだ事業者もいれば、引き続き進んでいないような事業者もいらっしゃるということで、どうしても、先ほどのイメージ図にございますように、標準偏差、ばらつきが大きくなると、値というのは上振れしてしまうところがありますので、その場合は現行値のままという形にしたいというふうに考えているところでございます。
 9~10ページが見直しの検討結果でございます。aという形でそのままとしたのが6つ、それからbとして引き下げたのが9つ、それからcとしてそのままとしたのが17の業種ということで、結果的に引き下げに至った業種というのは9業種区分ございました。この青で色塗りしたところでございますけれども、牛乳・乳製品の製造業、それから野菜漬物製造業、味そ製造業、食酢製造業、パン製造業、それから10ページにいっていただいて、各種食料品小売業、食肉小売業の卵・鳥肉を除くもの、それからコンビニエンスストアと、持ち帰り・配達飲食サービス業の給食事業を除くものという形でございます。
 以上の計算結果をまとめたものが11ページでございます。新たな基準発生原単位という形でございます。分析の結果、先ほど申し上げたように、新たな一つの業種区分について基準発生原単位を設定し、9つの業種区分については基準発生原単位を下げるということとし、35の業種区分について新しい基準発生原単位を設定したいというふうに考えているところでございます。年度につきましては、これまでもおおよそ5年間と定められておりましたので、来年度2024年度から2028年度までの期間という形で定めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
 今日お示しさせていただいた計算結果というものを、今後また告示に落とし込んだ形で、来年度からの皆さんの目安としていただくという形で、広く周知を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。資料2の説明につきましては以上でございます。
 
〇石川座長 はい、どうもありがとうございます。ちょっとテクニカルな内容なので、よく考えないといけないかもしれませんが、ご意見・ご質問がございましたらいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 酒井先生、お願いいたします。
 
〇酒井委員 どうも、石川先生、ありがとうございます。
 この発生抑制目標の基準発生原単位、2012年から約10年運用されてきているわけですが、ここの業種ごとのこの設定、私、何回か申し上げてきているんですが、世界の中でも本当に独特、独特と言うといけないですね、先進的な取組で、非常に高く評価していいシステムだというふうに思っています。で、今回、これまでの34業種から、このレトルト食品製造業、これを追加して35業種とすることの方針、この方針も賛成をしたいと思います。
 ただ、約10年間運用しているわけですが、全75業種のうち約半分の業種に対しての目標設定ということになっており、多くの業種で、いわゆる可食部を持たないが故に、この発生抑制目標の設定にふさわしくないという業種がやはり半数以上あることも認識せねばならない。そういうことでいけば、こういう発生目標としてのデザインのみでいいのかということも、少し検討するべき時期にきているのではないかということで、発言をさせていただいています。すなわち、この後、同じやり方でいったとしても、追加業種がそう多くは現れてこない、そういう見通しになっていくということの中での、再検討の時期にきているのではないかという趣旨です。
 では、この原単位が意味がないのかというと、決してそうではなくて、不可食部であったとしても、それは後の再生利用ということでの資源的な利用という方向の価値はあるわけです。それを今後、再生利用のモニタリングをするためにも、この原単位は有効に活かせる場面があるでしょうから、使う場面を少し拡大させるという方向の検討をしてもいいのではないかというふうに思っています。
 これは今日ここですぐそれは議論してほしいという話ではございませんので、また検討していただければということで、意見を申し上げておきます。
 それと、発生抑制という意味では、この基準設定の議論も非常に大事なんですが、ここの合同会議は、この目標の個々の審議ということもあろうかと思います。ぜひ、業種ごとのモニタリングといいますか、発生傾向が実際にどうなっているのか、業種ごとの傾向とかですね、といったところもまた一度整理して、報告いただきたいということを希望として申し上げておきます。そうすれば、うまくやっていただくことが前提になると思いますが、発生抑制としての独特の貢献をしているとか、非常にユニークな方法で減らしているとか、そういったところのいい事例を紹介していただくことでもって、全国展開のときに参考にしていただくという、そういう場面も出てくるのではないかなという気がしております。はい、以上です。
 
〇石川座長 はい、どうもありがとうございます。非常に大事な点を幾つかご指摘いただいたかなと思います。特に発生量の相関分析をすると、非常に相関が高い業種、どことは申し上げませんが、工業化されているようなところですね、大規模な、そういうところって、もう何で取ったって相関は非常に高くて、一方で、それが不可食部ということになっているので、ここでの発生抑制の対象にはなっていないわけですが、そのこと自体は私は、月岡補佐がご説明いただいたとおり、そこを無理やり減らそうとするというのは無理ですから、構わないと思うんですが、ご指摘のとおり、それはいったいじゃあどうしているのというところにつながっていない。で、これは大規模排出事業者の報告義務化、それから集まってきたデータを有効利用、活用するということで生まれた、初めて成立している制度で、ここまではそれが有効にいっているんだと思うんですね。
 で、酒井先生のご指摘のとおりですね、これをさらに、発生抑制というところだけではなくて、それがじゃあそれぞれ飼料化にどのぐらい行っているか、肥料化にどのぐらい行っているか、もしくは不可食部だから、捨てているということはあまりないと思うんですが、そういうことが行われているのかということにつないで分析をする。これはデータとしては大規模排出事業者の報告義務がかかったものなので、それをいったいどういうふうにしているのかという情報も確かあったはずだと思うんですね。そういう意味では、さらにこれを、まあ発生抑制を拡大するのか、それとも新しい何かを考えるのかというのは別な話ですけれども、どちらでも非常に有効に活用できる可能性があるだろうなというふうに思いました。
 で、酒井先生のご発言の後半でおっしゃっていたような、業種別にもっと分析せよというふうな話は、そういうところを踏まえた上で、一方で、目立つような業種があれば分析していけば、役に立つ情報が多分たくさん出てくるんだろうなと思いました。はい、どうもありがとうございます。いかがでしょうか。ほかの委員の方、何かご意見、ございませんでしょうか。
 よろしいですか。
 今、酒井先生にいただいたご意見は大変重要な次のステップになり得る話かなというふうに思いました。
 ほかに、私、ちょっと、事務局のほうでそれぞれの委員の方にご説明いただいて質問が出たような項目の中でちょっと気になるのが一つあって、気になるって、悪いという意味では全然ないんですけれども、結果的にこの原単位は発生量に最も密接な関係があってモニタリングしやすい量ということで、ほとんどの業種で売上が選ばれているんですね。で、売上は当たり前で、会社として最も重要な値で、きちんと管理されているから使いやすいと思うんです。そういう意味で、それは問題はないんですけれども、一方で、売上ということになると、これは物量ではないので、発生抑制とかリサイクルというところは物量の世界の話のはずで、ある委員の方から、これは物価の影響を受けているだろうという、そういうご指摘がありました。幸いにしてかどうかわかりません、この10年、20年の間って物価はほとんど変わってないので、大きな影響はないとは思うんですが、経済学者としてご指摘いただくと、確かにそうだなと思うところもありまして、今後、仮にアメリカのような状況になると、これはちょっと考えたほうがいいと思うんですね。年間インフレで、数パーセント、4~5%ですっていうふうな話になると、5年間固定ということになると、10%では効かないぐらい効くんですね。理論的にはこれは物価補正すればいいので、できないわけではないです。テクニカルにはできると思うんですね。どこまで細かくどの程度やるかという話だけだと思います。ただしこれは、一方で、ちょっとわかりにくくなるかもしれないなという懸念はかなりあるんですよね。実際使う側からいって、例えばの話、2026年ぐらいにここで決まった100万円当たりというのが出されたときに、この100万円は2023年度価格ですよって言われて、現実の企業経営者の方がそれを正しく計算できるだろうかっていうのは、かなり面倒くさいんじゃないかという心配もあるので、それはちょっとペンディングで考えておいたほうがいいかもしれませんね。それはちょっと感じました。
 ほかに何かございませんでしょうか。
 もしご意見がないようでしたら、これはご報告いただいたということで、深刻な間違いだとか、そういうことは、ご指摘はなかったと思いますので、本日のご議論いただきたい内容のコンテンツはこれで終わりかなと思いますが、よろしいでしょうか。どうぞ、入江先生。
 
〇入江委員 すみません、今の酒井先生のご意見に、本当にそうだなと思っていて、事前に話を伺ったときにもですね、ここですごく精緻な統計資料とかを挙げていくことって、本当にそれぞれの業種の方、企業の方にとっても、とても手間なことではあると思うんですけれども、一方で活用の仕方というところを、こちらでというか、皆さんともっと議論していくことっていうのは、本当にそれ以上にとても大切なことで、何をもって成功事例とするかというのはちょっとあるんですけれど、より効率の良い、コスト的にすごく効率よく減らせている事例とか、なんかこれはお互いに秘密にしておくことではなくて、共有していくと、この取ったデータがもっと生かせるような場が、数値だけを取ることとか、ほかの国と比較してとか、国内でどこが一番、例えば減らしやすいんだとか、そういうことではなくて、同じ業種間であれば共有する意味ってとってもあると思うので、そういう情報共有、サイトというのがいいかわからないですけど、何かそういうものも、こちらのほうで把握された中であったら挙げていくとかということをしていくと、より良い統計資料というか、活用法になっていいのかなというふうには強く感じております。
 
〇石川座長 どうもありがとうございます。酒井先生のご意見も、入江委員のご意見も、多量排出事業者から集めているデータ、蓄積されていて、今後も提出されてくるデータ、これはもっと活用できるんじゃないかということなのかなというふうに伺っておりました。これの活用方法については今後、ここではないんでしょうけれども、両省でお考えいただいて、ぜひもっと活用できるように、さらにその結果が実際に経営されている方に使いやすい役に立つデータになるように検討していただきたいと思います。どうもありがとうございます。
 ほかに何かご意見ございますでしょうか。もしよろしいようでしたら、本日の議論はここまでとさせていただいて、事務局にお返ししたいと思います。
 
〇松﨑課長 石川座長、ありがとうございます。また、委員の皆さまにおかれましては、本日はさまざまな観点からご指摘・コメントいただきまして、改めて感謝申し上げます。
 今後の進め方について事務局からご説明いたします。本日の合同会合でご審議いただきました基本方針の改定案につきましては、途中で座長からお話がございましたとおり、この後、パブリックコメントを行うことといたします。今日のご指摘の点については、両座長にご確認いただいた上で、パブリックコメントにより広く国民からの意見等を募集させていただきます。その際、この基本方針の改定案のパブリックコメントと併せまして、先般の合同会合で取りまとめていただきました報告書において盛り込まれております、登録再生利用事業者制度における実績要件の一部合理化について、報告書の内容を反映させた食品リサイクル法の関係省令の一部改正案についても併せてパブリックコメントを行うこととしております。このパブリックコメントで意見等が出された場合には、両座長とご相談させていただいた上で対応を決定し、委員の皆さまにはメール等でご連絡・ご報告させていただきたいと思います。その後ですが、両審議会の食料産業部会および循環型社会部会におきまして、この基本方針の改定案についてご審議いただき、両省の審議会で答申をいただいた後に、基本方針の改定・公布という流れとなります。
 今後の進め方、流れについては以上でございます。私から申し上げた内容につきまして、ご質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
(特にご意見なし)
 
〇松﨑課長 はい、ありがとうございます。基本方針案等のご意見をいただき、これを踏まえ、次の段取りに進めさせていただくことといたします。本日委員の皆さまには、ご出席、またご意見、コメント、ご示唆いただきましたことを改めて感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。もしほかに何もないようでしたら、これで本日の合同会合を終了させていただきたいと思います。本日は誠にありがとうございました。
午後3時50分 閉会

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