産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会小型家電リサイクルワーキンググループ(第7回)中央環境審議会循環型社会部会小型電気電子機器リサイクル制度及び使用済製品中の有用金属の再生利用に関する小委員会(第20回) 議事録

日時

令和元年12月10日(火)13:00~15:10

場所

経済産業省本館 地下2階 講堂

議題

1.前回審議会におけるご指摘事項について

2.今後の小型家電リサイクル制度の在り方について

3.その他

議事録

午後1時00分 開会

○経産省立石補佐  定刻になりましたので、ただいまから産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会小型家電リサイクルワーキンググループ及び中央環境審議会循環型社会部会小型電気電子機器リサイクル制度及び使用済製品中の有用金属の再生利用に関する小委員会、合同会合を開会いたします。

 委員の皆様方には、御多忙のところ御出席賜りまして、誠にありがとうございます。

 冒頭、議事に入りますまでの進行をしばらく務めます、経済産業省資源循環経済課の立石でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本合同会合の事務局及び議事進行は、経済産業省と環境省が持ち回りとさせていただいておりますところ、今回は経済産業省が事務局を務めさせていただきます。

 なお、本会議につきまして、カメラ撮りは冒頭のみとしておりますので、報道陣の皆様におかれましてはあらかじめ御了承いただきますようお願いいたします。

 まず、委員の皆様の出席状況でございますが、産業構造審議会につきましては15名の委員の先生方のうち現時点で10名の御出席、また、中央環境審議会につきましては、24名の委員の先生方のうち18名の委員の方に御出席をいただいておりまして、共に定足数である過半数に達していることを御報告させていただきます。

 続きまして、両省を代表して、環境省大臣官房審議官の松澤より一言御挨拶を申し上げます。

○環境省松澤審議官  本日は、年末のお忙しい中、委員の皆様方にはお集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 先月8日に、第19回で小型家電リサイクル制度の課題、対応の方向性について御議論いただきました。その御議論の結果を踏まえまして、本日は両省事務局で報告書(案)を御用意させていただきましたので、この報告書(案)について御議論をお願いしたいと思います。小型家電のリサイクルについて、こういう新しいジャンルを設けまして、都市鉱山、金属回収ということで一定の成果を上げてきていると思います。一方で、逆有償化の傾向がみえてきていたり、こういう中でどう効率的に家電リサイクルの回収と再資源化を継続していくかというのが課題の一つではないかと思います。また、リチウムバッテリーが内蔵されている小型家電製品も出てきておりますし、新しいタイプの小型家電も出てきているのではないかと思います。こういう新しいディメンションといいますか、課題も併せて議論していただく必要があるのではないかと思っております。

 なお、最近、事務所から出てきておりますハードディスクのディスクドライブのデータが漏えいするという事件が報道されております。この事業者は、小型家電リサイクルの認定事業者でもございますので、現在両省におきまして、小型家電リサイクル制度の中で、大丈夫であったかどうかという事実関係の確認を行っていこうと、こういうことにしております。

 本日は、活発な御議論をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○経産省立石補佐  それでは、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。

 委員の皆様には、iPadを座席に置かせていただいております。資料は「File Explorer」に格納されており、既に資料一覧が御覧いただけるようになっているかと思います。使用方法等御不明な点がございましたら、事務局までお声かけください。

 それでは、資料を確認させていただきます。

 配付資料は、議事次第と資料1から資料3まで、あと、東浦委員からの提出資料として全部で5つ入ってございます。資料に不足等がございましたら事務局までお申しつけください。なお、東浦委員提出資料につきましては、直前に提出されたため、現状、委員の皆様の手元だけとなっております。傍聴の方におかれましては、御理解いただけますと幸いでございます。

 なお、本日の資料につきましては、東浦委員提出資料以外は既に公開させていただいております。また、議事録につきましては、本会合終了後、各委員に御確認いただいた上で公開させていただきますので、あらかじめ御了解お願いいたします。

 御発言の際は、ネームプレートをお立てください。座長からの御指名の後、マイクをお持ちしますので、順次御発言いただければと思っております。

 これ以降の議事進行は中村座長にお願いしたいと思います。

 冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。これ以降のカメラ撮りは御遠慮ください。

 それでは、中村先生、よろしくお願いいたします。

○中村座長  本日は、御案内のとおり、事務局にて前回の審議会の宿題とされていた事項への回答、それと皆様方の御意見を踏まえて報告書(案)を作成されていらっしゃいます。事務局から説明の後、内容について御議論いただければと思っております。

 小型家電リサイクル制度の更なる推進に向けて、両審議会の委員の皆様の忌憚のない御意見をお願いいたします。

 それでは、まず、議事次第に沿ってまいります。

 議題の1番目、前回審議会における御指摘事項について、事務局から御説明をお願いいたします。

○経産省立石補佐  私の方から、資料に基づき説明させていただきたいと思います。

 資料2、「前回審議会におけるご指摘事項について」を開いていただければと思います。こちら、両省で準備した資料を御説明させていただきます。

 1ページ目でございますが、目次になってございます。「1、電池含有製品への対応について」、「2、災害廃棄物中の小型家電について」とありますが、1ポツは経産省から、2ポツは環境省から御説明させていただきます。

 おめくりいただきまして、3ページから御説明させていただきます。

 リチウムイオン電池等の処理過程における発火のおそれでございます。こちら、前回も類似の資料を提出させていただいておりますが、リチウムイオン電池は処理過程において圧縮されることで、ショート・発火するおそれがございます。既にリチウムイオン電池やリチウムイオン電池使用製品の回収・処理過程において、容リ協さんのデータでございますけれども、2018年度に発火・発煙したトラブルが発生しているということでございます。

 4ページ、「リチウムイオン電池等の回収・処理の流れ」でございます。

 リチウムイオン電池を排出する際には、消費者のほうで大きく2つのパターンがあると思っております。1つは、製品から取り出してリチウムイオン電池として排出されるパターン。もう1つは、リチウムイオン電池が機器の中に入ったまま、機器ごと排出されるパターンです。

 まずは、リチウムイオン電池として排出される場合でございますけれども、こちらに関しては、市町村によって危険物等として回収されているか、若しくは小形二次電池の製造事業者によって回収されております。例えば、JBRCさんによる回収がここに該当すると思っております。

 また、小形二次電池の使用製品若しくはその電池が入ったままの製品につきましては、市町村による回収とか、小型家電リサイクル事業者による直接回収、若しくは資源有効利用促進に基づく小形二次電池使用機器の製造事業者による回収が行われていると承知しております。

 この市町村による回収においては、可燃ごみ、容器包装プラスチック等の市町村として意図していない分類に混入して排出されている場合が存在しており、こういったところで発火リスクがあるというふうに認識しているところでございます。

 また、JBRCでございますけれども、協力販売店等を通じて消費者から直接回収している外に、小型家電リサイクル法の認定事業者が分別した小形二次電池とか、市町村が分別回収した小形二次電池の一部も回収してございます。

 5ページです。リチウムイオン電池が使用されている小型家電の例でございます。リチウムイオン電池使用製品は、特殊な機器や方法等を用いなければ取り外しが困難なもの。左下の「電池一体型の例」で書かせていただいていますけれども、普通のドライバーとかでは解体できず、写真のように工具を用いてこじ開けたりしているような事例でございますが、こういった製品と、電池の取り外しが容易にできる製品と大きく2つに大別されると承知しております。電池取外可能型の製品ですが、右下のようにガラケーといわれるような携帯電話とか一部のゲーム機でございますけれども、簡単に外れるというものと承知しております。

 電池一体型につきましては、外殻の強度で機器全体の安全性・防水性等を確保していて、軽量化・小型化等の省資源化を実現した製品とされ、電池を含め、消費者による解体というのは安全性を損なう可能性があることから、製造事業者等を含めて推奨されていないということになっております。このため、電池一体型は製品のまま排出していただく必要があると認識してございます。

 また、電池取外可能型の電池を排出する際には、理想的には消費者が電池を取り外し、短絡による発火を防ぐために絶縁して排出するということが望ましいというふうに考えてございます。

 1枚おめくりいただきまして、6ページです。ここからは環境省のほうで9月に実施したアンケートの結果でございます。「消費者の電池含有製品及び電池の処分方法」ということで、電池の取り外しが可能な家電製品を手放した際に、実際どういうふうに廃棄されましたかということを聞いており、青枠が一次電池、赤枠が二次電池の回答となっております。約4割の方が、家電製品の中に入ったまま手放しているという回答でございました。では、取り外した電池についてどうしているのかということについては、大多数の方はごみ集積所等の「電池」「危険ごみ」等の区分に出したとか、販売店とか公共施設に設置される電池回収ボックスへ入れたと御回答をいただいているのですが、やっぱり一定数は可燃ごみ等の区分に出した、プラスチック等の区分に出したという方がいらっしゃるということです。

 1枚おめくりください。7ページでございます。こちらにつきましては、捨てるときに電池を取り外そうとしましたかということと、捨てる際は誰の指示で排出しましたかということを聞いた結果になってございます。基本的には大多数の方は電池を取り外そうとしなかったという回答をしております。また、手放すときに誰の指示で手放しましたかということにつきましては、自治体の指示で手放したという方が一番多かったということではございますが、そもそも最も多いのは、誰の指示も受けずに自分の判断で捨てたという方でございます。こういった方にどういう適正排出をしていただくかというところが一つポイントになるのではないかというふうに思っております。

 8ページ、「電池を手放した際の絶縁の有無」でございます。こちらにつきましては、小型家電から電池を取り外した場合と、電池そのものを排出した場合、それぞれに対して、電池を捨てる際に絶縁しましたかということを伺っております。どちらも傾向は大きく変わらないのですが、皆さんおおむね8割程度の方は絶縁せずに捨てたということでございます。絶縁せずに排出した場合には、電池等にもし残量が残っていればショートして発火するおそれがあるということだと認識しております。

 消費者のアンケートの話はここまでで、9ページからは、では実際に市町村とか認定事業者といったリチウムイオン電池を受け入れる側でどうしていますかということを書かせていただいています。

 1つ目が市町村による小型充電式電池の回収でございます。リチウムイオン電池の発火事故防止のために、これは前回御説明させていただいた登別市と狛江市の例ですが、もう二次電池については「有害ごみ」として回収するというようなことをやっている、分別回収を実施する自治体が出てきているということでございます。登別市のほうであれば、「有害ごみ」として回収した上で回収後はJBRCへ引き渡しております。また、リサイクル協力店、まさにJBRCのボックスでの回収も可能としております。また、市のホームページでは絶縁をしっかりしてくださいというお願いをしている事例となってございます。

 1枚おめくりいただいて、10ページです。「資源有効利用促進法に基づく製造事業者による小形二次電池等の回収・再資源化」でございます。

 資源有効利用促進法では、再生資源の有効な利用の促進を図る観点から、小形二次電池や小形二次電池使用機器の製造事業者等に対して、小形二次電池を自主回収して再資源化するということを求めてございます。                

 真ん中に、「資源有効促進法における責務」ということで整理させていただいております。大きくは、自主回収、再資源化、環境配慮設計、リサイクルマークの表示義務ということでございますが、横に小形二次電池の製造事業者、輸入事業者にどういう責務がかかっているのかということと、小形二次電池使用機器の製造事業者、輸入事業者にどういう責務がかかっているのかということを整理させていただいております。

 まず、自主回収ということでございますが、こちら、自主回収をする場の指定とか、回収ボックスの設置などの措置を講じて自主回収するものとされておりまして、小形二次電池については製造事業者・輸入事業者ともに、小形二次電池使用機器についても製造事業者・輸入事業者に対して自主回収の責務がかかっております。

 小形二次電池使用機器のところに「※1」とつけさせていただいていますが、ここでいう自主回収の責務というのは、小形二次電池の回収の責務であって、使用機器の回収責務ではないというところに注意が必要かなと思い、「※1」をつけさせていただいております。

 また、再資源化の責務ということに関しましても、小形二次電池については製造事業者・輸入事業者両方に責務がかかっておりまして、小形二次電池使用機器の製造事業者・輸入事業者には「△」ということにさせていただいています。こちらについては、再資源化義務はないのですが、自主回収で引き取った電池を製造事業者にお返しすると、引き渡す義務があるということで、結局、小形二次電池使用機器の方々が引き取った電池についても電池の製造事業者で再資源化されるという意味で、責務がないというわけではないので「△」とさせていただいているところでございます。

 また、環境配慮設計のところにつきましては、電池そのものには環境配慮設計というものは余りないということで「-」を付けてございます。また、小形二次電池の使用機器については、こちらは製造事業者に対しては責務がかかっておりますが、輸入事業者には資源法上は責務はかかっていないという状況になってございます。

 また、リサイクルマーク等の表示義務については、小形二次電池については電池本体にリサイクルマークを表示する義務があり、また、小形二次電池使用機器の製造事業者に対しても表示の義務があります。

 また、資源法でいう小形二次電池使用機器なのですが、全ての小形二次電池使用機器が対象になっているわけではなくて、下で書かせていただいている29品目が対象となっているところでございます。

 次のページをお願いいたします。11ページにつきましては、資源法に基づく製造事業者の責務を果たすために、小形二次電池の製造メーカーや電池の使用機器メーカー等が会員となっているJBRCにおいて、排出拠点から回収した電池とか、一般の消費者から排出された電池などをリサイクルされております。このJBRCにつきましては、廃棄物処理法に基づく広域認定を活用して回収されております。

 1枚おめくりください。12ページです。こちら、認定事業者による小型家電製品中の電池の回収でございます。こちらにつきましては、前回でもいろいろ資料を出させていただいておりますが、認定事業者に集められた小型家電製品中のリチウムイオン電池というのは、製品から取り外されて、引き渡し、処分されております。認定事業者につきましては、防火対策の例として防爆装置をつけるとか、絶縁テープを巻いて保管とか、スプリンクラー付きの倉庫で保管などをされていると伺っております。取り外された電池につきましては、電池の種類や事業者によって処理委託となる場合や有償売却のケースが混在しており、また、同じ事業者でも委託処理の場合と売却の場合の双方があるということで、市況等によってこの処理、取扱いの状況は大きく変わっているというふうに認識しております。

 1枚おめくりください。ここまでまとめさせていただきますと、リチウムイオン電池等に係る問題というのは、リチウムイオン電池等がプラスチックなど他の廃棄物と分別されずに混在して廃棄され、その結果、回収または処理の過程において発火するということだと認識してございます。

 リチウムイオン電池に由来する発火事故のリスクを低減するためには、リチウムイオン電池が適切な回収ルートに排出されて処理されることが必要です。そのためには、消費者による適切な分別のための効果的な周知・情報提供といったことや、消費者が排出しやすい回収ルートの整備・維持が重要であると認識してございます。

 下の図のとおりでございますけれども、まずは消費者に行く前の段階で消費者への情報提供ということで、製造事業者等による分別排出に向けた表示や説明、小売事業者による分別排出に向けた周知・注意喚起を行っていただき、消費者には理解いただいた上で適切な分別をしていただければと。また、消費者から排出される場合の回収ルートとして、まずは市町村においてしっかり分別回収の実施とか、電池はこうやって捨てるんだよというところをしっかりアピールしていただくということだと思っております。また、認定事業者による直接回収で管理されて回収されるとか、若しくは資源有効促進法に基づく責務がある製造事業者においては、JBRCや、若しくは独自の回収という形でしっかりと回収されるということが重要だと思ってございます。

 以上のように、小型家電の分別排出や認定事業者によるリチウムイオン電池の使用製品の適切な管理や処理は、金属回収のみならず、市町村の通常のごみ処理における発火等の事故抑制にも寄与するというふうに考えております。小型家電リサイクルは、こうした総合的な価値を考慮した上で、関係者が支えることが重要だと認識してございます。

 14ページにつきましては、資源法の制度の概要でございます。こちらのほうは割愛させていただきますが、基本的には「リデュース」「リユース」「リサイクル」という3Rでございますが、それを促進する業種や品目というものを指定させていただき、それぞれに対して製造事業者等が取り組むべき事項を規定している法律となってございます。

 以上でございます。

○環境省今井補佐  続きまして、環境省から、災害廃棄物中の小型家電についてということで御説明を申し上げます。

 おめくりいただきまして、16ページ目でございます。「災害廃棄物処理のおおまかな流れ」ということでお示しをしているところでございます。被災現場で発生したものにつきまして解体・撤去いたしまして、仮置場におきまして順次分別をしており、それから適切な処理施設に運んでいって、減容化なり安定化、焼却も含むでございますけれども、リサイクルですとか、さらには最終的に埋め立てをされるという形で、順次処理をされるという形の一般論として御説明をしているところでございます。

 17ページ目を御覧いただきまして、分別例ということでお示ししております。そこに書いてありますとおり、災害廃棄物中の小型家電製品につきましても、できる限り仮置場において可能な限り分けて管理をしまして、リサイクルできるものはリサイクル業者に引き渡すなど、できる限り再資源化することが望ましいというふうにしております。

 ただ、一般的に、近年の災害における分別の状況を申し上げますと、やはり左側の写真でありますように、いわゆる家電4品目に関しては、リサイクルプラント等で分別して処理をされることも多くございますので、分別されている例が多いというふうに認識をしておりますが、小型家電につきまして、不燃物と分けて、この形で分別をされている例というのはそこまで多くはないと。例としては、今回の災害でもあるところではございますが、必ずしも多くはないというふうに思っているところでございます。この辺りにつきましては、やはり災害廃棄物に関しては一刻も早く適正に処理をしていくということが第一義になってまいりますので、復旧・復興の観点を優先しつつ、できる限りリサイクルの観点も入れていくと。また、さらに早く処理ができるという観点であれば、そういう形の分別を進めていくということもあるということでございまして、そういう観点からの小型家電のリサイクルの可能性というのもあると考えているところでございます。

 環境省からは以上でございます。

○中村座長  ありがとうございます。

 それでは、事務局から御説明があった内容について、質疑応答に入らせていただきます。皆様から御説明いただいた内容につきまして、御意見、御質問のある方は、いつものように名札を立てていただければと思います。なるべく簡潔にまとめて御発言いただければと思います。

 それでは、崎田委員。

○崎田委員  ありがとうございます。では、コメントを1つと質問を1つさせていただきたいと思います。

 今回、発火事故などが多かったということで、いろいろとデータをしっかりと集積していただいたわけですけれども、やはりここから見えてくることは、リチウムイオン電池を内蔵した小型家電の回収を徹底する、あるいは分解して分けられるものは分けて回収することを徹底するということなのですが、8割の人は取り外さなかったという、そういうアンケートも出てきていますので、やはりここはメーカーの方の表示の仕方とか、販売店の方の店頭での説明とか、情報発信の仕方、そして自治体の普及啓発、例えば消費者が自分事として考えるような形での普及啓発をするという、その全体像が非常に大事だというふうに思っております。

 そういうことで、前回会議の資料で、コミュニケーションのためにマルチステークホルダーの輪が必要だという図が書いてあったのですが、その中に「消費者」ということが書いていなかったのがずっと引っ掛かっているのですが、やはり関係者全体が連携するときには、消費者にわかりやすく伝わっているかどうかというところも大変重要なのではないかなと思って、あえて申し上げました。

 もう一つ、質問なのですけれども、今回、認定事業者が合計してどのくらい集めているかという数字が12ページですか、出ていました。30年度が204トンということで、リチウムイオン電池の回収ですね。非常に増えています。ですが、例えば今、リチウムイオン電池を使っている小型家電の生産量がどのくらいで、その中のどのくらいのトン数を回収対象にしたほうがいいのか。その総量のデータというのをそろそろ推計していただくとか、明確にしていただいて、その中でこれだけ回収している、あるいはこれだけしかまだ回収できていないという、そういう状況が明確になるような数値の推計や公表を考えていただければ、関係者の方々のやる気につながるのではないかなと思いました。よろしくお願いいたします。

○中村座長  ありがとうございました。

 それでは、大熊委員、お願いいたします。

○大熊委員  どうもありがとうございます。前回も議論が出ていたようでございますけれども、やはり発火に関して幾つかの自治体に状況を聞きました。今年度、実は、有償で小型家電を認定事業者のほうに出していた業者が、リチウムイオンが発火したことによってラインが燃えて、作業ができなくなって、1ヵ月ぐらいとまってしまったということです。予算的には、当然有償だったので、そのつもりでいたのですが、その事業者のほうから、今後はリチウム電池等を受け取るには逆有償でなければ受け取りませんという事態に陥ったという例がございます。

 やはり発火することによってすごくいろいろなところで負担、損害が生じて、それを補修しなければいけないというような事業がありますので、今のは小型リサイクル法の中での話なのですけれども、その外にも指摘をされているのですけれども、例えば容リプラのリサイクル業者、自治体の中でも粗大ごみとして集めたものを破砕するというところがございまして、そこでも発火をしています。リチウムイオンによる発火。あるいは、不燃物として集めたものを埋めるため、あるいは、減容化するために破砕ということが必ずついて回ります。自治体の処理の中には、もちろん100%そのリサイクルのルートに回ればいいのですけれども、必ず100%とはいかないので、自治体の処理ルートの中に入ってきてしまうということは、現実として避けられないということをメーカーの方も理解していただいて、できれば、破砕してもこれが発火しないものを発明していただければ一番いいわけですけれども、そうでなくても、少なくとも一体型のものについては取り外して、どこかの過程でそちらのルートに流せるようなものにしていただくと、よりそういう危険が少なくなるのではないかと思っております。

 もう一つは、小型家電リサイクル法と資源有効利用促進法の対象になっていないもの、対象外のリチウムイオン電池を使った製品です。これについては自治体としても結局リサイクルに流すルートがありませんので、先ほどいった普通のルートに流れざるを得ないわけです。そうすると、やはりそれらについては発火の可能性がどんどん増えてくるので、やはり自主的にメーカーのほうで回収ルートを構築していただければ一番いいのですが、そうでなければ、やはりどちらかの法律の対象にしていただいて、そのリサイクルルートに流れるようなシステムを検討していただければと思っております。

 以上でございます。

○中村座長  ありがとうございました。

 それでは、大塚委員、お願いします。

○大塚委員  前回指摘させていただいたことについて、こういうペーパーを出していただいて大変ありがたく存じます。

 スライド10ページ目のところで、資源有効利用促進法に基づく小形二次電池等の回収・再資源化について表を作っていただいて、先ほど御説明いただきましたが、既に御認識いただいたように、小形二次電池使用機器について、環境配慮設計とリサイクルマーク等の表示義務について、輸入事業者のところが空いていますので、ここは埋めていただくことになると思うんですけれども、一言お願いを申し上げておきたいのは、残念ながら国産の機器ばかりではなくなってきているものですから、輸入業者に関して同じような対応をしないと競争上条件が同じにならないというような問題もございますので、今までと違った状況が残念ながら生まれていますので、それに対する対応というのは多分ここだけではないので、国のほうにおかれましてはそのような対応を是非よろしくお願いします。

 以上です。

○中村座長  ありがとうございました。

 それでは、佐藤泉委員、お願いします。

○佐藤(泉)委員  資料をありがとうございました。

 まず、9ページの、市町村による小型充電式電池の回収についてですが、大変よい取組だというふうに思っております。こういう取組が日本全国の市町村に広がるように、環境省として推進策がないかということをちょっとお伺いしたいと思います。

 それから、もう一つは災害廃棄物についてなのですが、これも大変な状況の中での御苦労だとは思いますが、災害廃棄物の分別について、災害の規模にもよると思いますが、標準手順のようなものがあるのかということを伺いたいと思います。

○中村座長  ありがとうございました。

 それでは、御回答をお願いできますでしょうか。

○経産省横手課長  御意見ありがとうございます。

 まず、崎田委員おっしゃられたように、メーカーだけが頑張っても、販売店だけが頑張っても、自治体だけが頑張ってもしようがなくて、やはり消費者、我々を含めてですけれども、消費者一人一人も、これはリチウムイオンバッテリーを含むものなのか否かというところを日々意識しながら、ちゃんとごみとして排出する、若しくはリサイクルルートに乗せるということを、ここをしっかりしていかなければいけないというのは、正におっしゃるとおりだと思っています。そこはしっかりと、普及啓発もそうですし、コミュニケーションもそうですけれども、しっかりとやっていく必要があろうと思っています。

 その上で、出荷量のところ、今どれぐらい流通しているかという点。すみません、今手元に持ち合わせてございませんが、国内での製造量という意味でいうとデータはありますが、先ほど大塚先生おっしゃられたように、海外から相当量入ってきているということもあって、なかなか全体像は我々としてもつかみ切れていないというところが正直なところでございます。来年度、環境省さんと一緒に調査もしていくわけですけれども、そういった中で、どういった製品に含まれているのか、もう一度、実態把握をしっかり進めていきたいと思っております。

 あと、大熊委員のほうから、自治体にいずれにしろ流れ込んでしまうという前提で物事を考えていかなければいけないと。おっしゃるとおりで、メーカーが自主的に回収をしていくようなルート、これが望ましいというのはそのとおりだと思います。その上で、この資源法であるとか小電法あるとか、こうした既存のリサイクルの枠組み、回収の枠組みというのをどう使っていくのか、これは我々としても考えていきたいと思いますが、1点悩ましいのは、前回も佐藤先生のほうから御指摘ありましたように、法目的との兼ね合いで、何がどこまでできるのか、若しくはやってもらうべきなのかというところ、ここはしっかりと今後検討していきたいと思ってございます。

 輸入業者について、大塚先生おっしゃられましたけれども、資源法の世界では、小形二次電池そのものにはリサイクルマークの表示義務というものがかかっていますけれども、使用機器のほうにはかかっていないというのが現状です。また、表示に関しても、では製品本体なのか、若しくは箱なのか、さらには説明書なのか、いろいろなパターンがございます。これまではそれでもそこまで問題は生じてこなかったところですけれども、足元、こうやってリチウムイオン電池を起因とした発火というものが発生しているという現状も踏まえながら、我々としてもここの執行面、しっかりやっていかなければならないと、今思いを強くしているところでございます。

 小型家電、正にリチウムの関連で言えば、御質問のところは以上かなと思っています。

○中村座長  環境省さんのほうで何か。

○環境省名倉課長  災害受入れでございますけれども、こういう手順を標準的な手順にというお話でございました。環境省では、おおむね災害時にこれぐらいに分別してくださいというものとして12分別ぐらいというのを呼びかけているところでございまして、その中に「廃家電等」というのがございますので、その「廃家電等」の中にこういう小型の家電類も入れていただくような方向で促していくのかなというふうに考えております。

○環境省今井補佐  あと、もう一点、自治体のほうの分別回収の推進ということで御指摘がありまして、これは確かにおっしゃるとおりでございまして、一つの優良事例でございますので、推進をしていきたいと思っております。ただ、恐らく自治体によっていろいろな形での収集が適切な場合と、そのほかの方法がいい場合といろいろあるとは思いますので、その辺りを見極めながらやる必要があると。例えば、量販店さんなどで、JBRCさんを含めていろいろ直接回収をされているところが多く拠点としてある場合は、そちらのほうが身近な場合等もあると思っておりますので、いろいろ回収の場、分別回収するときちんと周知をできるかとか、様々な自治体特有の課題がございますので、そういうところも踏まえながら、我々としては優良事例としていろいろ推進をしていきたいというふうに思っているところでございます。

○中村座長  ありがとうございました。

 それでは、議題1について何か御質問、御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、議題2のほう、「今後の小型家電リサイクル制度の在り方について」に移りたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。

○経産省立石補佐  資料3について御説明させていただきたいと思います。資料3のほうをお開きください。こちらのほうは、「小型家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)」でございます。

 1枚おめくりいただきまして、目次のほうが掲載されておりますが、第1章で「小型家電リサイクル法の施行状況」というものをまとめさせていただいております。また、第2章で、それを踏まえまして「目指すべき方向性」、どうしていくのかということを整理させていただき、第3章で「具体的な方策」ということを記載させていただいてございます。第4章のほうでは、小型家電リサイクル制度では年の回収量目標として14万トンを掲げていまして、その目標をどうするのかというところを整理させていただいてございます。

 では、中身のほうを御説明させていただきたいと思います。

 「はじめに」のところまで、1ページでございますが進んでいただければと思っております。

 電気電子製品は、社会にとって必要不可欠なものということでございますが、金属資源の供給に関しては、途上国における不適正な天然資源の採掘や廃棄物からの有用金属の抽出等に伴う環境破壊とか健康被害の拡大といった発生が懸念されております。そのため、循環型社会の形成という観点から、使用済製品に含まれる有用金属については、回収、リサイクルし、循環的に利用することが重要であるというところでございまして、我が国では家電リサイクル法等の個別リサイクル法等によって、金属含有製品の分別回収や金属の再資源化が進められてきております。

 含有する素材の市場価値が高い製品につきましても、経済合理性を有する範囲で金属回収が行われてきたという経緯がございます。一方で、市町村で収集されている製品につきましては、鉄やアルミといった金属については回収されてきたところでございますが、それ以外のベースメタルや貴金属の回収というのは進んでこなかったと。さらに、小型家電には、ベースメタルや貴金属に加えて、レアメタルも一定程度含有することが知られておりました。

 こういった経緯を踏まえて、使用済製品中の有用金属の循環利用や最終処分量の削減といったことを達成するために、小型家電のリサイクルを促進するための制度的な枠組みを導入する必要性があるというふうに、法律をつくるときに整理されてございます。

 こういったことを踏まえまして、資源確保、有害物質管理、廃棄物減量化を含む循環型社会形成の推進を目的として、平成25年4月1日に小型家電リサイクル法が施行されてございます。

 本制度につきましては、広域的に使用済製品を引き受け、解体、破砕、選別等を行い、製錬事業者等へリサイクル原料として引き渡す者を認定事業者として国が認定することを中心とした促進型の制度として導入されてございます。ほかの個別リサイクル法が環境負荷の低減を主眼としているものであるのに対して、本制度は資源確保の観点も踏まえて、一つの方法に限定するのではなく、関係者が協力して自発的に回収方法やリサイクル実施方法を工夫しながら、それぞれの実情に合わせた形でリサイクルを実施していくという点を特徴とした制度となってございます。

 本制度が施行されてから約6年半が経過しております。これまで認定事業者で53の事業者が認定されておりまして、9割を超える市町村が小型家電の回収に取り組んでいただいております。さらには、家電量販店による小型家電の店頭回収も実施されておりまして、それ以外にも認定事業者が設置する回収拠点での回収や宅配便による回収など、消費者のニーズに対応した多様な回収ルートの整備が進んでいるところでございます。

 また、「都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト」と連動した普及啓発施策や、それ以外にも関係者による主体的な普及啓発が進められており、これらの取組によって平成30年度は約10万トンの小型家電が回収され、認定事業者によって金属資源が回収されているところでございます。

 また、小型家電には密閉形蓄電池や蛍光灯、フロン類等の有害物質、処理困難物の回収を通じて、廃棄物処理システムの更なる適正化が図られてきております。

 ただ、他方で、回収量の目標値として制度開始時に設定した年14万トンはいまだに達成されていないということでございます。また、小型家電リサイクルを取り巻く状況として、中国の輸入禁止措置に伴う廃プラスチック類の処分費用の上昇、資源価格の変動、リチウムイオン電池による発火リスクの顕在化といった、外的要因による課題へも対処する必要があります。

 小型家電リサイクル法においては、「この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」とされておりまして、これを受け、平成31年3月から本合同会合において小型家電リサイクル制度の評価・検討を行ってきております。本取りまとめは、これまでの合同会合における検討を通じて明らかにされた小型家電リサイクル制度の現状と課題を整理し、目指すべき方向性と具体的施策について提言するものとして整理させていただいております。

 1枚おめくりいただきまして、3ページ目からは小型家電リサイクル法の施行状況となってございます。こちらのほう、前回の審議会のほうでも資料等で御説明させていただいたところでございますけれども、認定事業者につきましては令和元年11月末時点で53事業者となっておりまして、これらの認定事業者の回収エリアは全国的に拡がっており、複数の認定事業者が全ての県において小型家電の収集を一人で受けている状況になってございます。

 図1は認定事業者の分布状況ということでございまして、また、図2は認定事業者のエリア別の認定事業者数ということで整理させていただいております。

 4ページのほうに行かせていただきまして、市町村による小型家電リサイクル制度への参加の状況でございます。こちらも従来説明させていただいていますとおり、市町村数ベースで約9割を超える93%、人口ベースで97%に達しているということでございます。

 参画する市町村の取組内容につきましても、ボックス回収とかステーション回収、ピックアップ回収などの多様な回収方式が採用されているというところでございます。

 また、1枚おめくりいただきまして、5ページでございます。こちらは認定事業者の直接回収でございますが、小型家電を販売する小売店における店頭回収というのは、制度開始以降順調に増加しており、特に家電量販店における回収店舗数というのは平成30年度末で2,251店舗に上っております。

 また、小売店における店頭回収以外にも、認定事業者が自ら回収拠点を設置し、消費者から小型家電を回収する方法や、インターネットで回収を受け付け、宅配便を活用し回収する方法というものが行われているという状況でございます。

 小型家電の回収量につきましては、平成30年度で約10万トンというところで増加しているというところでございます。

 6ページ、次へ行かせていただきまして、ここでは金属再資源化量でございますが、小型家電リサイクル法に基づく認定事業者による金属の再資源化量というのは、図7のとおり、平成30年度には約4万5,000トンというところまで達しております。小型家電リサイクル制度では、密閉形蓄電池やフロン類等の有害物質等について回収量を報告していただいておりますが、その処理も着実に実施されているというふうに認識しております。

 6ページ下のところでございますが、小型家電リサイクル制度の下、国、市町村、認定事業者等の各主体が、協力、自発的に回収方法やリサイクル実施方法を工夫しながら、それぞれの実情に合わせた形でリサイクルを実施しているという状況でございます。

 「都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト」では、東京2020大会でアスリートに授与される入賞メダルを使用済小型家電から製造するために、自治体や認定事業者だけではなくて、小中学校、小売業者といった方々にも連携していただき、回収を実施しております。この取組につきましては、2017年4月から2019年3月の2年間で、大会に必要な約5,000個のメダルに相当する金属量を集めることに成功したという取組でございます。

 おめくりいただきまして、7ページでございますが、ここからは小型家電リサイクル制度を取り巻く状況の変化というところでございます。

 まず、1つ目は、使用済プラスチックの処理に係る状況の変化ということでございます。中国を初めとした諸外国において、使用済プラスチック等の輸入禁止措置など実施されておりまして、これらの影響として国内で処理される廃プラスチック類等の量が増大したと。そういったことによりまして、国内の廃棄物処理施設が逼迫しており、廃プラスチック類などの廃棄物処理に支障が生じているという声が寄せられております。

 産業廃棄物処理業者に対して実施したアンケートによりますと、約7割の産業廃棄物の中間処理業者が廃プラスチック類に係る産業廃棄物の処理料金を値上げしたと。また、廃プラスチック類の受入制限を行っている中間処理事業者も一定数存在しているという状況になっておりまして、こうした状況は、認定事業者にとって使用済小型家電から処理した後の残さを処分する際のコストを増加させ、採算性を悪化させる要因となっているというふうに認識しております。

 また、資源価格の変動ということでございますが、小型家電から金、銀、鉄、銅、アルミニウムといった金属が回収されておりますが、こういった資源の売却益というところが認定事業者にとっての採算になっております。ただ、その資源価格というのは常に変動してございまして、例えば小型家電リサイクル制度では回収された金属回収量を金額換算すると、金、鉄、銅で全体の9割を占めているという状況でございます。その金、鉄、銅を、表2の下の表で見てみますと、例えば金なんかについてはほぼ横ばい若しくは堅調に増加していると言えるのですが、鉄に関しましては平成23年度、制度検討当時の金額から見ると、平成28年度には約半分以下にまで一回価値が下落していると。ただ、またその2年後の平成30年度には、平成23年度当初を上回る金額まで上昇しているということで、こういった資源価値の上下動というのは認定事業者の採算性を予測しにくい状況にさせているというふうに認識しております。

 1枚おめくりいただきまして、リチウムイオン電池使用製品の普及と発火事故の発生ということでございます。

 リチウムイオン電池につきましては、小型家電リサイクル制度を初めとした廃棄物の回収・処理の過程において、強い衝撃が加わって発火するおそれがあるということでございます。近年、リチウムイオン電池を使用する製品が普及しておりまして、廃棄物量も増加していくことが想定されております。実際、市町村の可燃ごみや容器包装プラスチックごみといった分別区分に混入してしまい、ごみ収集や中間処理の過程において発火・発煙する事例が報告されているところでございます。

 認定事業者は、破砕処理を行う前に集められた小型家電の中から電池が使用されていると思われる製品を選別して、手解体等による電池の取り外しを行っております。さらに、認定事業者の中には、防爆機能付きの破砕処理機の導入等もしているという方もおりまして、こうした取組は認定事業者にとってコストを増加させる要因となっているというふうに認識しております。

 制度開始当初、市町村から認定事業者への小型家電の引渡しは多くが有償ではございましたが、プラスチックの処理費の高騰とか資源価格の変動、リチウムイオン電池の対策が必要となっているといった事情もありまして、認定事業者への逆有償での引渡しが増加しております。また、輸送費を市町村が負担することで見かけ上は有償の引渡しに見えているものも、実質的には逆有償の引渡しを行っている事例もあるというふうに認識してございます。

 1枚おめくりいただきまして、10ページでございます。

 新製品と指定品目との関係というところで、小型家電リサイクル法につきましては、できる限り多くの品目を対象とすることが望ましいという観点から、一般家庭で通常使用されるような電気電子機器のうち、既に義務的なリサイクル法が存在していた家電リサイクル法対象品目以外のものについて幅広く対象とするということで整理されてございます。その結果、28品目を指定したところでございますが、近年、電気電子製品の多様化に伴いまして、この28品目に該当しない、または該当するかどうか容易に判別がつかない新製品の排出が始まっております。

 また、プラスチック等の添加剤として使用される臭素系難燃剤であるデカブロモジフェニルエーテルにつきましてですが、こちら、2017年に残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約におきまして廃絶物質に追加されてございます。今後決定される濃度水準以上のデカブロモジフェニルエーテルを含むものにつきましては、一定時期以降、焼却処理等の不可逆的処理が求められるということになってございます。

 こちら、平成30年度に環境省において実施した先行調査におきまして、認定事業者4社の施設から廃小型家電由来のプラスチック片をサンプリングして分析したところ、一部のサンプルからデカブロモジフェニルエーテルが検出されており、今後決定される濃度水準次第では、処理施設において対応が必要となる可能性があるというところでございます。

 ここまでが認定事業者の現状というところでございます。

 続きまして、11ページのところから、以上を踏まえまして「目指すべき方向性」を整理させていただいております。

 現状を踏まえた課題の整理といたしまして、小型家電リサイクル制度は、資源の確保、最終処分量の削減及び有害物質の管理等の観点から、小型家電リサイクルを通じて廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用を図り、生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とさせていただいております。

 制度開始以降、参画市町村の増加等、一定の成果がみられてきたというところではございますが、回収量の目標は達成しておらず、引き続き、できるだけ多くの小型家電を回収することが重要であるというふうに認識してございます。

 また、認定事業者の行う再資源化事業につきましても、事業採算性を高めることで逆有償化の傾向を緩和していくことが重要であると。加えて、リチウムイオン電池等の新たな製品の普及、新たな化学物質規制といった社会の変化に対応し続けていくことが重要であるというふうに認識しております。

 小型家電リサイクル法が制度の目的を達成し、社会の要請に応え続けるためには、使用済小型家電の回収量を更に増加させ、認定事業者による効率的なリサイクルを推進するとともに、新たな課題への対応に向けた方策を講じるべきであると記載させていただいてございます。

 では、具体的施策の方向性として何をしていくのかということにつきましては、市町村回収の拡大に向けた課題の整理ということでございます。既に述べたとおり、平成30年度末時点で小型家電リサイクル制度に参加いただいている市町村の数というのは全市町村の9割以上を占めているにもかかわらず、いまだ回収量の目標値である年間14万トンには達していないということでございます。

 この目標達成の目安につきましては、1人当たり1キログラムの回収量というのがあるのですが、この1人当たり1キログラムの回収量を達成している市町村というのは全体の25%にとどまっていると。こちら、図11のところで示されているとおりでございますが、一方で、0.1キログラムの、ほとんど回収していない自治体というのが約4割ぐらいを占めているというところでございまして、市町村間で取組の状況の差が大きいという状況になってございます。

 おめくりいただきまして、12ページでございます。取組状況の市町村間の差につきましては、基本的には導入している回収方法の違いによるものと考えられております。単一の回収方法を採用している市町村のうち、ボックス回収を採用している自治体では、1キログラム以上の回収を達成しているのは約5%程度の市町村にとどまっており、ほとんど3分の2以上の自治体につきましては1人当たりの回収量が1キログラム未満となっております。他方、ステーション回収とかピックアップ回収等を実施している自治体につきましては約半数が1キログラム以上の回収を達成しているということでございまして、また、複数回収を組み合わせている市町村でも、図12の右側でございますけれども、ステーション回収又はピックアップ回収を行っている市町村というところの回収量が多いということで、そうでない市町村との間では有意な差が認められているという現状でございます。

 ステーション回収、ピックアップ回収に関しては、コストや人員といった追加的負担とかスペースの都合によって直ちに導入することを躊躇している場合があるということが明らかになっております。具体的にはでございますが、ステーション回収につきましては分別区分の新設に係るコストや周知のための人員の確保が困難といった意見が挙げられていることや、また、ピックアップ回収につきましては、スペースの都合上実施が困難であるといったことや、ごみ量が多くピックアップする人員が足りないといった意見が挙げられてございます。

 市町村による回収量の増加のためには、ステーション回収やピックアップ回収といった効果実績の高い手法が採用されていくことがまずは重要であるというふうに認識しております。こうした流れを加速化させるためには、収集・運搬コストの軽減など、財政的な負担やその不安を緩和していくことが重要と考えられております。

 また、一方で、スペースの都合等により、どうしてもステーション回収等の実施が困難な市町村につきましては、持込回収等の他の方法による回収や、認定事業者の直接回収へ排出を促すなど、地域の特性に応じた効果的な回収量向上策を導入することが重要であります。

 また、認定事業者が効率的なリサイクルを実施することによりまして、認定事業者の事業採算性の向上が期待されます。これにより、市町村等からの引取価格の上昇とか、または処理料金の値下げにもつながり、市町村にとっての財政的メリットを大きくさせ、間接的に回収量の増加にも寄与するということが期待されております。回収量が増加するということは、有用貴金属回収、有害物質管理といった制度の目的を満たすということにも寄与することになります。

 また、小型家電リサイクルは、排出、回収、破砕・選別、再資源化、商品化段階といったような様々な段階がございます。必ずしもその段階間、業種間の連携が活発ではないというふうに認識しておりまして、再資源化事業のサプライチェーンにおいて、リサイクルシステム全体の最適化に向けて関係者によるWin-Winな関係構築が重要であると。したがって、認定事業者の効率的なリサイクルを推進していくため、技術の実証とか開発、効率的な設備の導入を推進するということや、業種間のコミュニケーションを促進することが重要であると認識してございます。

 また、新たな課題への対応としましては、リチウムイオン電池使用製品の排出増加、該当性が不明確な新製品の上市及び排出、臭素系難燃剤の廃絶に向けた国際的な動きといった新たな課題に対して、制度として円滑に対応していく必要がございます。特にリチウムイオン電池を起因とした火災防止対策は喫緊の課題でございまして、小型家電のみならず、廃棄物処理システム全体の課題となってございます。社会のニーズに応えられるよう、法施行時に想定されなかった新たな課題については柔軟に対応していくことが重要であるということを記載させていただいております。

 14ページ、おめくりいただいて第3章でございます。ここからが、では今までのような目指すべき方向性に向けて何をしていくのかというところを整理させていただいてございます。

 まずは、小型家電の回収量を増加させていくというところでございます。小型家電の回収量を増加させていくためには、主となる市町村回収を進めるとともに、それを補完するものとしての認定事業者の直接回収を促進し、それ以外にも違法な不用品回収業者への対応とか、消費者の小型家電リサイクル制度の認知向上を図っていくということが必要だと認識しております。

 まず、1つ目、市町村の回収量の増加に向けてどうしていくかというところでございます。小型家電は主に生活ごみとして排出されるということでございますので、市町村が重要なステークホルダーだと認識してございます。市町村の回収量を拡大していくためには、ステーション回収、ピックアップ回収などの回収量の多い方法というのをまず進めていくということが重要であると。一方で、これらの回収方法については、追加的コストや人員、スペースの確保が難しいということを理由として実施することを躊躇する市町村が存在してございます。このため、収集運搬コストの低減に向けた優良事例の横展開を図るとともに、小型家電の回収・再資源化に係る費用とか便益の可視化を促進して、数値化しづらい便益を整理することによってステーション回収の実施を促進していくと。なおもスペース等の都合によりピックアップ回収等を実施できない市町村につきましては、ほかの回収法もあわせて検討するとともに、市町村回収を補完するものとして小売業者等との連携や認定業者の直接回収の周知により力を入れるといった方法の実施を促して、全体として回収していくということを促していきたいと思っております。

 また、優良事例の周知とか市町村コンサルティング事業を通じて、市町村による地域の特性に応じた取組の促進に向けたオーダーメイド型の自治体支援を実施していきたいということでございます。

 まず、1つ目として、コスト低減に向けた方策でございます。リサイクル全体のコストを低減するためには、小型家電の収集・運搬を効率化させることが重要だと認識しております。効率的な収集・運搬スキームの開発・実証や、優良事例の横展開を推進する必要があるというふうに認識しておりまして、矢羽根のところで、以下それぞれ、主体に応じてどういったことを求めていくのかということを整理させていただいております。

 国は、効率的な収集・運搬の社会実装に向けた支援を行うとともに、優良事例の横展開に向けた事例の整理や周知に取り組むべきである。市町村は、コスト低減に向けた新たな技術やシステムの導入について積極的に検討すべきである。認定事業者は、市町村等と協力し、優良な事例の創出やその横展開、導入検討に取り組むべきであるということを記載させていただきました。

 また、「見えづらい便益の可視化」というところでございます。先ほども何度か申し上げておりますが、ステーション回収やピックアップ回収が進まない要因の一つとしては、追加的な回収や選別作業に関するコスト面の課題が指摘されているというところでございますが、そこにつきましては焼却灰の重金属対策費用の削減等といった、可視化しづらい、見えないコストというのがあるというふうに認識しております。通常の処理費用と比較した場合、例え逆有償であったとしても通常の処理と比べると安価であるといった事例も見られるということでございますので、こうした見えづらい便益やコストを可視化するために、環境省においては「市町村における小型家電リサイクルの費用便益分析ツール」というのを作成して公表してございます。しかしながら、同ツールの利用実績は十分でないということで、同ツールを活用して費用または便益を算出した市町村数というのは317市町村と少ない状況になってございます。そのため、このツールの活用を促進することにより、同ツールを活用してコスト評価を行うことで、ピックアップ回収やステーション回収の実施に、コスト面に対する取り組めていない市町村の後押しをしてはどうかということでございます。

 具体的には、国は市町村に対して費用便益分析ツール等を周知し、活用を促すとともに、同ツールの改良に努めるべきであると。また、市町村につきましては、費用便益分析ツールを活用すること等により、使用済小型家電の回収に伴う財政的メリットを評価するよう努めるべきであるということを記載させていただいてございます。

 また、財政的に評価しづらいメリットの整理及び周知でございますが、市町村による小型家電リサイクルの実施には、最終処分量の削減による最終処分場の延命とか、電池を含む小型家電による発火リスクを低減するといった、定量評価しづらいメリットも存在するというふうに認識しております。

 小電を分別排出した場合につきましては、電池使用製品が含まれている前提で取り扱われ、また、認定事業者に集約することにより、一元的にリスクを管理することができるのではないかと。認定事業者等における安全対策の実施が前提ではあるものの、分別排出は、地域の廃棄物処理システム全体のリスクを低減させることができるというふうに考えられると整理させていただいてございます。

 これを踏まえまして、国は市町村に対して、財政的メリットのみならずこのようなコストを評価しづらいメリットを改めて整理、周知するべきであると。また、市町村につきましては、財政面以外のメリットについても積極的に評価し、回収方法の採用可否について総合的に判断するべきであるというふうに記載させていただいてございます。

 また、スペースの都合によりステーション回収、ピックアップ回収が困難な場合があるということも何度か説明させていただいておりますが、このような場合につきましては、清掃工場への持込回収等の他の回収方法での効率的な回収方法を検討するといったことや、補完的位置付けとして認定事業者や小売業者と連携して回収量の拡大を推進していくことが重要であると思っております。一部の自治体では、市の協力店に対してステッカーの配布とかのぼりの設置などを行って、消費者との接点が多く排出の利便性が高い小売店と連携した取組を実施していると認識してございます。

 こういったことを踏まえまして、国はこのような優良事例を横展開し、市町村や小売店との連携を更に推し進めていくべきであるといったことや、市町村は地域特性に応じて最適な回収方法を選択するとともに、認定事業者や小売店等の連携についても検討するべきであると。また、認定事業者や小売業者は、自発的な取組に加えて、市町村の取組に対しても可能な範囲で協力するべきであるということを記載させていただいております。

 また、市町村支援事業の活用ということでございます。環境省では、市町村の実情を把握し、小型家電回収の改善に向けたコンサルティング事業を実施しております。こうした取組を通じて事例集も作成しているところでございます。国は、引き続き自治体に対するオーダーメイド型の支援としてコンサルティング事業を実施していくべきであること。また、コンサルティング事業の実施に当たっては、回収量の増加につながる優良事例の分析結果や、地域別・拠点別の直接回収量など、法施行後に蓄積されているデータの分析及び活用を推進すべきであること。また、事例集を拡充し、市町村の多様なニーズに応えられるようにするべきであることを記載させていただき、また、市町村につきましてはコンサルティング事業の活用を検討し、小型家電の回収量増加に努めるべきであるということを記載させていただいております。

 ここまでが市町村の回収量拡大についてでございまして、次から直接回収の拡大というところでございます。認定事業者の直接回収につきましては、約5割の事業者が現在取り組んでいるというふうに認識しております。認定事業者が設置する回収拠点に消費者が小型家電を直接持ち込む拠点回収とか、小売店における店頭回収、宅配便による回収など、消費者のニーズに対応し、様々な回収方法が広がっているというふうに認識しております。認定事業者は、回収方法の多様化、回収拠点等の拡大など、直接回収の拡大に努めるべきであると。また、小売業者は、認定事業者の取組に対し、可能な範囲で協力すべきであるということを記載させていただいてございます。

 違法な回収業者の対策ということでございますが、基本的には廃棄物の回収ということにつきましては、業の許可を得て実施することとなってございますが、許可を得ずに消費者から不用品を回収している違法な回収業者が存在しております。こうした違法な回収業者が回収した廃家電が不法投棄されている事例が散見されていることや、また、違法な回収に限らず、集められた廃家電が不適正にスクラップ処理され、海外に輸出される事例等が確認されていることから、これらの違法な業者への対応というのは引き続き必要であるというふうに考えております。

 したがいまして、国は、引き続き、改正廃棄物処理法及びバーゼル法を着実に施行するとともに、施行状況についてもフォローアップするべきである。また、セミナーを引き続き実施し、自治体の指導力向上に努めるべきであると書かせていただいております。また、自治体は、積極的に取締りを実施することに努めるべきである旨記載させていただいています。

 続きまして、消費者の認知向上でございます。小型家電リサイクルにおける回収量を増やしていくためには、小型家電を排出する消費者が小型家電リサイクル制度を適切に認知し、適切な方法で廃棄するということが重要でございます。現在、小型家電リサイクル制度の認知度は約6割程度ということで、更なる認知度の向上が必要であるというふうに考えてございます。

 したがって、国は「都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト」の成果を国内外に発信するとともに、その成果をレガシーとして活用し、自治体、認定事業者等との連携の下、小型家電リサイクルの更なる普及啓発を進める「アフターメダルプロジェクト」を推進すると。また、学校との連携・取組を図るなど、消費者の認知向上に努めるとともに、消費行動の分析や消費者に伝わりやすい用語の整理を進めるなど、効果的な周知に努めるべきであると記載させていただいております。

 また、自治体、認定事業者その他の関係主体は、引き続き、その得意分野を生かした普及啓発に取り組むべきである。特に、市町村につきましては、小型家電の排出方法等についてごみカレンダーにおいて掲載することなどにより、消費者に小型家電の排出方法を周知すべきであると。また、消費者につきましては、小型家電リサイクル制度の趣旨を理解し、小型家電の分別排出に協力すべきであると書かせていただいております。以上を踏まえまして、小型家電の回収量の増加に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 また、認定事業者の事業性向上及びリサイクルの質の向上を図っていくために、研究開発や設備導入補助を活用したリサイクル技術の高度化といったことや、業種間の連携促進を通じたリサイクルの効率化・高度化を推進してまいりたいと思っております。

 小型家電のリサイクル技術の高度化ということについては、小型家電のリサイクルの経済性を高め、回収対象金属を拡大させるため、リサイクル技術の向上が重要であるというふうに認識しております。現在、国では高効率な資源循環システムを構築するための技術開発とか、非鉄金属等による高精度な分別を可能とするリサイクル設備の導入補助などを実施しておりまして、認定事業者にも活用されているというふうに認識してございます。したがって、国は、引き続き、リサイクル技術の高度化に向けた事業を実施していくべきであるということ。また、認定事業者につきましては、継続的に技術の高度化や高度な新技術の導入に取り組むべきであることを書かせていただいております。

 効率的なリサイクルのためのコミュニケーションの促進でございますが、小型家電リサイクル制度は、市町村、認定事業者など多くの主体がかかわり、それぞれが得意分野を生かしながら創意工夫や自主的な取組を促進するものでございます。それぞれの取組が個別最適に偏らず、全体の最適化に寄与するものであるために、共通のゴールを目指した相互の取組の連携が欠かせないというふうに認識しているところでございます。

 したがいまして、認定事業者、市町村、製造業者その他の各関係主体は、リチウムイオン電池等の安全確保、リサイクルを阻害する要因の共有等、小型家電の回収、再資源化の効率化に向けたコミュニケーションに努めるべきであると。国は、上記趣旨に鑑み、関係主体間での効率的なリサイクルに向けたコミュニケーションの在り方を検討するべきであると書かせていただいてございます。

 また、ここからは新たな課題への対応というところでございます。

 1つ目が、リチウムイオン電池の発火リスクへの対応ということでございます。リチウムイオン電池を排出段階で分別することによりまして、その運搬において発火の原因となり得る強い衝撃を与えるおそれのある通常の可燃ごみとか、不燃ごみ、プラスチック容器ごみへの混入を減らすことができ、発火リスク低減策を講じている者、例えば認定事業者でございますが、において適切に処理を実施することができるというふうに考えてございます。このような適切な管理により、廃棄物処理システム全体におけるリチウムイオン電池等による発火リスクを低減することができ、間接的に市町村にとって財政的メリットをもたらす可能性があるというふうに認識してございます。

 こういったあるべき姿を実現させるためには、1つ目としては消費者による適切な分別のための効果的な周知・情報提供、また、2つ目としては消費者が排出しやすい回収ルートの整備・維持であるというふうに考えてございます。

 1つ目の、適切な分別のための効果的な周知ということでございますが、排出段階で分別するためには、消費者がリチウムイオン電池が含まれている製品を正しく認識するとともに、適切な排出ルートを選択できるということが重要だと認識しております。

 したがいまして、市町村は、リチウムイオン電池等を分別して回収するために、ごみカレンダー等において掲載することにより、消費者にリチウムイオン電池等の排出方法を周知するべきであると。また、リチウムイオン電池使用製品の製造業者等は、消費者がリチウムイオン電池を使用している製品かどうかを判別できるように、製品本体、取扱説明書、ホームページ等へ表示・記載するように努めるべきであること。また、小売業者につきましては、リチウムイオン電池等の廃棄方法に係る消費者への周知・注意喚起に協力するべきであること。また、消費者につきましては、リチウムイオン電池等による発火リスクを認識し、リチウムイオン電池等の分別排出に協力すべきであることを記載させていただいております。

 なお、リチウムイオン電池使用製品でございますが、先ほども御説明したように、特殊な機器や方法等を用いなければ取り外しが困難なものと、電池の取り外しが可能なものとに大別されてございます。電池一体型の製品につきましては、外殻により安全性や防水性を確保しており、消費者による解体が推奨されておりません。したがいまして、こういった製品につきましては、リチウムイオン電池は取り出さずにそのままの状態で廃棄することとするべきだと考えております。

 また、一方で、電池取外可能型の製品につきましては、電池を取り外して廃棄することが望ましいというふうに考えております。

 続きまして、2つ目の、消費者が排出しやすい回収ルートの整備・維持でございます。リチウムイオン電池等の排出時に、小型家電や電池の回収チャネルにアクセスできない場合には、可燃ごみとか不燃ごみといったところに混入するリスクは大きくなってしまいます。このため、消費者が排出しやすい回収ルートの整備や既存ルートの維持というのは非常に重要だと考えております。

 一義的には、資源法に基づいて責務があるものにつきましては、その製造業者等が自主回収に取り組むことが求められており、これはJBRCやそれ以外の方々によって回収体制が構築されているというふうに認識しておりますが、製品が多様化して、新たな製品が次々と上市されている状況下におきましては、認定事業者としてリチウムイオン電池等を安全に処理できる体制を構築し、消費者が排出しやすい回収ルートを整備していくことにつきましては、市町村の通常のごみ処理における発火等の事故抑制に寄与すると考えられ、社会的な意義があるのではないかと。また、小型家電リサイクル制度の下、こうした総合的な価値を考慮した上で関係者が支えていくことが重要なのではないかと記載させていただいております。

 したがいまして、国としては、リチウムイオン電池の排出量や安全対策等の実態把握を進め、その成果や各関係主体の取組状況を踏まえて、必要に応じて適切な対策を講じるべきであると。また、認定事業者は、引き取った小型家電について適切に取り扱えるよう、事前選別や適切な解体・取り外し、防火設備の設置等の適切な火災防止対策を講じるべきであると。また、市町村につきましては、小型家電及び電池の回収について、分別区分を明確化するなどにより回収を促進するべきであると。また、分別されたリチウムイオン電池等を他の製品と分けて回収することができる適切な収集・運搬体制を構築するべきであること。また、小型家電の分別回収を通じた、収集・運搬、処理過程における作業員の安全や設備の保全といった廃棄物処理システム全体にもたらす付加価値について総合的に考慮するべきであること。また、製造業者等につきましては、資源有効利用促進法に基づきまして、回収体制の構築や再資源化の実施に取り組む必要がある。また、リチウムイオン電池等を自主回収する必要がある者が、会員による負担で運営されているJBRCの回収及び再資源化の実施体制を利用しようとする際には、適切なコストを負担すべきであること。また、小売業者は、市町村、認定事業者、製造業者等と連携の下、小型家電や電池の店頭回収に協力するよう努めるべきであるということを書かせていただいております。

 また、新たな製品への対応ということでございます。近年、家電製品の多様化に伴って、家電リサイクル法の対象品目及び当初設定した28品目に該当しない、又は該当するかどうかが容易に判別がつかないものが出てきております。こういったものにつきまして、指定品目への該当性を明確化していくとともに、対象品目の指定趣旨に照らして、必要に応じて対象品目へ追加するということを検討していきたいと思っております。

 したがいまして、国としては、法施行後に新たに上市された製品について指定品目への該当性を明確化するとともに、対象品目への追加の必要性について検討し、必要な措置を講ずるべきであると書かせていただいております。

 また、臭素系難燃剤含有プラスチックの問題につきましては、国は現在使用されている小型家電に係るデカブロモジフェニルエーテルの含有量の更なる調査を進めつつ、国際的な動向を踏まえながら、デカブロモジフェニルエーテルを含有するプラスチックの管理の在り方について検討するべきであるということを書かせていただいております。

 1枚おめくりいただきまして、第4章の「目標」のところでございます。こちらは前回も御説明させていただいているとおりでございますが、平成30年度、年間14万トンとすることを掲げていたところでございますが、実際は10万トンにとどまっているという状況でございます。当初の目標である14万トンにつきましては、小型家電リサイクル制度がその目的である資源回収とか廃棄物減量化といったことを達成するために、安定的・継続的にリサイクルされるように、広域的な回収等によるリサイクルの効率化、静脈物流や中間処理における規模の経済を働かせるということを考えると、一次答申でございますが、その試算の結果では回収率は最低でも20~30%を目指すべきとされ、平成23年の排出量推計では65.3トンの約20%に相当する14万トンを目標として掲げたところでございます。第3章の1で述べたとおり、回収量の更なる拡大に向けて取り組む余地は十分にあると考えられることから、引き続きこの14万トンを目標として設定させていただきたいというふうに考えているところでございます。

 14万トンを引き続き目指すものとして、今回の評価・検討の5年後である令和6年度を目途に改めて本制度の評価を行うこととして、また、目標年度については、評価・検討の際に改めて回収量目標も評価するため、回収量の目標年度を評価・検討の前年である令和5年度とするということを書かせていただいています。

 また、現在の回収量目標を設定した際の前提となっている条件につきましては、制度当初から大きく変化しているというふうに認識してございまして、今後、排出量推計やマテリアルフローを見直していくということが必要となっております。回収量以外の目標値や効果測定指標の在り方については、制度がその目的を達成し、役割を果たしているかと、社会の変化に即して必要性を含めて今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 終わりにつきましては、今まで言ったような内容を整理させていただいているところでございまして、割愛させていただければと思いますが、最後のところ、今後、消費者を含めた関係者が引き続き協力・連携して、自発的に回収方法やリサイクルの実施方法を工夫しながら、それぞれの実情に合わせた形で小型家電リサイクルの一層の推進がなされるよう、国としましても国際的な資源循環の状況等、制度を取り巻く変化を見据えて、本取りまとめに掲げられた施策の具体化に取り組んでいこうというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。長くなりまして申しわけございません。

○中村座長  ありがとうございました。それでは、質疑応答に入らせていただきますが、まず、東浦委員から提出された資料がございますので、事務局からご説明をお願いいたします。

○環境省今井補佐  環境省のほうから、本日御欠席であられます全国産業資源循環連合会の東浦委員からの御意見をいただいているものを御紹介いたします。最後、資料として付けさせていただいているものでございます。

 該当箇所といたしまして、新たな課題への対応、リチウムイオン電池の発火リスクへの対応というところについていただいております。

 意見といたしまして、2段落目からでございますが、リチウムイオン電池等の発火事故の防止のためということで、小型充電式電池使用製品の外面に、充電式電池を内蔵している旨及びその種類を表示するよう、使用製品製造者に義務付けるべきであるという御意見をいただいております。加えて、処理を委託する産業廃棄物に小型充電式電池及び小型充電式電池使用製品を混入せず、排出段階で分別するよう、排出事業者に義務付けるべきであるということで御意見をいただいておるところでございます。

 以上でございます。

○中村座長  ありがとうございました。

 それでは、以降、皆様からの御意見を承りたいと思いますので、報告書(案)につきまして御意見、御質問のある方はネームプレートを立ててお願いします。何かございませんでしょうか。

 それでは、桂川委員。

○桂川委員  すみません、亀岡市長の桂川ですが、今回のこの、正に小型家電のリサイクルを進めていくためには、全国の自治体がやはり取組を強化すれば大体14万トンというのはすぐ達成できるのではないかというふうに思っております。現状、この報告を見させていただきますと、やはりボックス回収を多くの自治体が採用しているという状況があって、また本格的なこの小型家電のリサイクルに至っていないという状況だと思っています。

 それは、やはりオリンピックにかかわります「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」、これで各自治体が取り組んで、実質93%の市町村が取り組んだということになったのではないかというふうに思っております。これを、逆に言えばこれを一つのきっかけとして、これからより一層本格的に進めてもらうために、ピックアップ回収、そしてステーション回収を進めていけるような制度をつくっていくことが必要ではないかというふうに思っています。

 しかし、市町村の置かれている今の現状は大変厳しくて、やはりごみについてもいろいろな意味で右肩上がりになっている中で、その経費としての費用も、やはり分別、そして運搬・回収をするに当たってお金がかかるという状況があるわけであります。これをどのようにそこのところをコストダウンを図っていけるかというところが大変重要だと思いますし、特にやはり、ここにもありますように収集運搬にお金がかかるということと、今まででしたら多少これらが資源として金属価格によって販売できたということもありましたが、今は全てがやはり下落状況にある中で、それをやればやるほど税金を使わなければいけないという状況にあるというふうに思っています。

 その辺で、やはり市町村も多様なごみの実態がありますから、そういう面では、できればここに市町村コンサルタント事業の活用ということを書いていただく中で、環境省なり経産省のほうで取り組んでいただけるということでありますから、これをもっと進めていきながら、その地域ごとのモデル的な市町村をつくっていき、それをしっかりアピールしていくことが必要だというふうに思っています。

 そして、できればこれもより多くの事業者が活用できるような予算措置も必要ではないかと思いますし、問題はオリンピックが終わってから、その後、ここにも「アフターメダルプロジェクト」というのがありますが、そういうものをうまく位置付けながら、引き続きこの小型家電のリサイクルを進めていけるような制度をしっかりと定着させていくような取組を国で進めていただけると市町村にとってもそれはありがたいことだと思いますので、是非ともそのような形で進めていただきたく思います。

 以上です。

○中村座長  ありがとうございました。

 それでは、名札を立てていただいている委員の方々、大変ありがたいのですけれども、実は、西尾委員がちょっと早目に御退出の可能性があるということで、先にちょっと御意見をいただければと思います。

○西尾委員  すみません、勝手を申しまして。ちょっと大学に戻らなくてはいけないので、先に意見を申し述べさせていただきます。

 資源有効利用促進法の趣旨がほかのリサイクル法とどう違うか等が明確に書かれていてとてもよいと思います。その趣旨ですが、冒頭に、小型家電リサイクル法の目的は資源確保の観点、それから関係者が協力して自発的に回収方法やリサイクル実施方法を云々とあるんですね。この「関係者」に、消費者が含まれているのかどうかが気になります。

 消費者も関係者だと思いますが、それについては、17ページの「消費者の認知向上」と「リチウムイオン電池等による発火リスクを認識し」の19ページ、「消費者は……発火リスクを認識し」のわずか2ヵ所しか出てこないんですね。

 実は、リサイクルの出発点は消費者が担っています。消費者が対象とする財をごみとして廃棄してしまうのか、あるいは、リサイクルルートに正しく出すかによって、リサイクルが進むかどうかは決まってしまいます。自治体がいろいろな回収方法を設けても、小売店舗が回収場所を設けても、消費者がそれを理解し、適切に出してくれなければ効果を発揮できません。是非とも、消費者の役割を具体的に明記すべきだと思います。

 それから、もう一点、消費者はリチウムイオン電池の発火リスクを認識し適切に分別に協力しなければならないというようなことが書いてありますが、「リチウムイオン電池の発火リスクを認識し」といわれても実際にはそれを正しく理解することは困難だと思います。どのようにしたら正しく理解してもらえるか、そのための施策も必要だと思います。

 なぜなら、この報告書は、小売や製造業者あるいは回収業者、リサイクル業者あるいは自治体だけではなくて、消費者にも読んでもらわなければいけないものだと思います。是非ともこれらの点について検討していただきたいと思います。

 以上でございます。

○中村座長  ありがとうございます。

 それでは、名札のこちらのほうからまいりたいと思います。今井委員。

○今井(佳)委員  ありがとうございます。小型家電リサイクル認定事業者協議会としましては、本報告書(案)の第3章「具体的な方策」に記述されております、認定事業者としての取組事項に対し、両省と協力して積極的に取り組んでいく所存です。特に18ページに記載されております「効率的なリサイクルのためのコミュニケーションの促進」を少しでも早く実現していただきたいと考えております。我々協議会としましても協力は惜しみませんので、何とぞよろしくお願いいたします。

 以上です。

○中村座長  ありがとうございます。

 それでは、大塚委員、お願いいたします。

○大塚委員  現状においてよくまとめていただいたと思っておりまして、特に異存はございませんが、2点ほど申し上げさせていただきたいと思います。

 1つは、19ページ辺りからのリチウムイオン電池のことでございますが、先ほど来御議論があるように、発火リスクに関してどうするかということについて、消費者への周知とか、分別とか、あと認定事業者のほうにできるだけ回していくとか、いろいろなことが出されていて、そのような方向で是非進めていただければと思いますが、これで100%解決ということには多分ならないので、更に検討が必要ではないかということは申し上げておきたいと思います。

 ここは結局、最終的には、やはり電池一体型の製品をどうするかということも考えなくてはいけないと思うのですけれども、これは制度のほうの、そして我々が利便性を得ているような話と関係してくるので、なかなか微妙な問題ではあるのですけれども、できるだけ電池一体型をやめる方向にインセンティブを働かせたほうがいいかなということだけは、どこかで念頭に置いていただけるとよろしいかと思いますが、とりあえず当面はこういう方法で行くしかないというふうに私も思っております。

 それから、スライド20ページの臭素系難燃剤含有プラスチックへの対応については今後検討されると思いますので、是非検討を進めていただければと思いますが、これも私がさっきお話ししたことと実は関係するので一言だけメンションさせていただきますけれども、やはり小型家電も日本製だけでは全然なくなってきているので、この臭素系難燃剤含有プラスチックに関して何らかの対応をしようと思えば、自主的な取組でやっていても海外メーカーはいうことを聞いてくださらないと思いますので、そこは何らかの規制が、まあ、すぐかどうかはわかりませんけれども、お考えにならないと、日本の生産者に対してかえって競争上マイナスになるということを申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○中村座長  ありがとうございました。

 それでは、崎田委員、お願いします。

○崎田委員  ありがとうございます。今回このまとめは、本当にこれまで話し合いをしてきた中での内容を非常にしっかりと詳細にまとめていただいているというふうに考えております。

 その中で、やはり先ほどもちらっと申し上げました、あれはリチウムイオン電池のところだったのですが、やはり消費者にきちんと回収の詳細が伝わっているのか、その辺伝わるような情報の出し方をしているのか、そういうのを常にみながら、仕組みをもう一回見直していただくことが大事なのではないかなというふうに思いました。

 特に、今回、使用済小型家電の回収率アップを考えるときに、自治体の取組だけではなくて、スーパーなど小売店とか家電製品を扱う小売店とか認定事業者さんの取組、そういうことが非常に増えてきており、やはりこれはとてもいいことだと思うので、是非多様な、柔軟な仕組みづくりというのを広げていただきたいと思うんです。けれど逆にそうなってくると、多くの市民の方、消費者の皆さんは、自治体の回収に出すのと店頭で出すのとあると、例えば大型家電四品目はリサイクルの仕組みが決まっているけれど小型家電はどうなっているのかしらと、きちんと情報を受けないと逆に迷う方もいらっしゃるかもしれません。その辺きちんと、小型家電に関しては、いろいろみんなで地域ごとによりよいやり方をやっていけばいいんですよと、そういう促進法というか、みんなで協力してつくっていくやり方の法律なんですよというような、そういうことをちゃんと伝えていくということも大事なのではないかなというふうに思います。

 なお、ここのところ、私、食品ロス削減にも随分かかわるようになったのですが、そういう中で、若い大学生の方が食品ロスに関するアプリを開発するとか、アプリを開発する企業と連携をするとか、そういう取組で、例えばどこかで注文を受けたのだけれどもお客さんが来なくて余ってしまったものを、「すごく安くしますよ。1時間で買いに来てください」と発信するとパッと欲しい人につながるとか、何かいろいろな動きが急激に広がっているなという感じがするんです。是非この分野も、自分たちがいろいろ使っていた家電とか、電子機器とか、音楽用品とか、いろいろなことで、これを使い終わったというか、故障してもう修理しないのだったらどこにもっていくかみたいなことを、若い世代の人たちに自分たちで考えてもらいながら、この制度の中での新しい在り方を提案してもらうような、何かそういう新しいムーブメントが出てきてもいいのではないかなという感じもしました。是非、そういう広く社会をどうやって巻き込んでいくかということも考えながらやっていただければありがたいなというふうに思っています。よろしくお願いします。

○中村座長  ありがとうございました。

 それでは、佐藤委員、お願いいたします。

○佐藤(泉)委員  ありがとうございます。いろいろな課題を挙げていただいて、とてもわかりやすいと思います。

 第3章の2の(2)の「効率的なリサイクルのためのコミュニケーションの促進」という点ですが、この問題では非常に重要だと思います。効率的なリサイクルには、効率的な回収が不可欠です。それから、この記載場所が、認定事業者が主体となってコミュニケーションを推進するような印象を受けるのですけれども、コミュニケーションを認定事業者のほうから持ちかけるというのはなかなか難しい状況だと思います。コミュニケーション促進の方法は非常に重要だと思いますので、ここの位置ではなくて新しい項目をつくるかした上で、コミュニケーション推進の具体策がないでしょうか。コミュニケーションは、必要だというのはいいけれども、誰が主体なのか、予算があるのかという点が重要です。

 それから、先ほど崎田先生のお話にもありましたが、IT化の時代ですので、こういうコミュニケーションの促進にはIT技術も使うことがよいと思います。雇用の促進、新しい技術の開発等も考えて、自治体の人が非常に御苦労な中で残業が増えるようなことがないような新しい方法が必要ではないかと思います。

 それから、「新たな課題への対応」なのですけれども、私はここの中に、災害廃棄物増加、少子高齢化等の社会の変化の中で、この法律が果たす役割が十分あるのではないかと思います。1番の(3)に、違法な回収業者への対策というので取締りを強化するというふうに締めくくってあるわけですが、一方、高齢者、空き家、引っ越し困難者のような方々が増加しているのは事実であり、ここに対する十分な手当がないままに取り締まると、違法な業者を取り締まることは必要ですけれども、それなら誰に頼めばいいのかということが今非常に大きな社会問題になっていると思います。この点、この小型家電だけの問題ではないのは承知しているのですけれども、小型家電の切り口でもそういうところに手が差し伸べられるようなことが必要ではないかというふうに思っています。

 以上です。

○中村座長  ありがとうございました。

 それでは、白鳥委員、お願いします。

○白鳥委員  すみません、ありがとうございます。何年か前にこの法律ができたころを思い返すと、促進法ということで始まったわけなのですけれども、皆さん御承知のように、そのときには資源価格が結構高かったので、意外とお金の話とか、どうやったら利益が上がるとかという話が主で、何となく違う方向に行ってしまったような気がしていました。今回の報告書では、今の時代の諸事情を踏まえて、自治体をベースに、民間と一緒に頑張ろうよという、もう一回、もとのイメージに戻ったかなということで、どちらかというと、ここからやはり社会システムとしてこの促進法をどうやって定着させていくかということのスタートラインなのかなということで、全体感としてはすごく評価したいと思います。佐藤先生と同じで、少し、誰がやるかというのがよくわからないところが、少し謎なところがあるのですが、全体のイメージはすごくいいと思いました。

 もう一つなのですが、実は、この前、容リ法のプラントというのにたまたま行ったのですが、やはり電池はすごく入っているんですね。どういうことを言われたかというと、皆さんが捨てるときに悩む。そこの市町村は、実は「有害物」という区分はないのですけれども、そこで悩んで、プラスチックが(見た目に)多いよねということで容リプラのリサイクルの中に入れてしまう。同じようにライターもプラスチックとしていっぱい入っているんですよね。要するに、何が問題かというと、皆さんすごく考えてやってくれている。日本人だから、これは燃えるごみ、燃えないごみ、資源になるごみって考えているのだけれども、出す場所がないんですよね。「(出す場所が)わからない」これがやはり一番問題だと思います。みんなすごくまじめに悩んでいるんだけれども、(出す場所が)わからない。今ここの報告書にも「そうしなければいけない」と書いてあるのですけれども、これ、具体的な方法をもうちょっとちゃんと示すというのが大事かなと思います。

 あと、もう一つは、(排出場所設置の地域に対する)濃度ですよね。排出先がわかっていても、10キロ先といわれたらちょっと二の足を踏むわけですから、やはりそれが近いところにあるというのがわからなければいけないということですね。そうすると、リチウムイオン電池が危険あるため皆さんにリチウムイオン電池が含むかどうかわかるように(製品の)箱とかに書かなければいけないのではないかと、まとめの文章には書いてあるのですけれども、それが一番問題ではなくて、多分、皆さん国民全体的には、「リチウム電池がもし間違った捨て方をしたら危険である」、というのを一番認識してもらわなければいけないということですね。そこを認識してもらわないと、リチウム電池が入っていても今度は(どうしたらいいか)困る。それから、「どこに行けばそれは処理してもらえるか」というのを、やはり時間をかけて社会がちゃんと作っていかなくてはならないので、なるべく早く(このような周知を)始めたほうがいいかなというふうには思います。

 なぜかというと、容リ法のところで一番問題になっていて危ないといわれていたのは電子たばこなのですけれども、電子たばこというのは、まだ5年くらいですよね、ほんとに出てきたのが。それから、モバイルバッテリーにしても多分5年ぐらい。今、(報告書(案)で)品目を精査するという話がありましたけれども、こういう場で品目を精査している暇は多分ないと思うんです。順をおって早くやらないと、みんなが5年間、決まるまで悩むと思いますね。だから、やはり、言い方は非常に難しいのですけれども、はっきり言うところは言ったほうが良くて、リチウム電池はもし変な捨て方をしちゃうと危ない場合がありますよということと、それから、小型家電一つ一つの品目としてどうとかではなくて、やはり電化製品はみんな小型家電と一回考えてくださいよと言ってしまうことができたら何となくいいのかなと思います。まあ、お金がかかるとかいろいろあるのですけれども、それを踏まえて、それが達成できるようなシステムにしていかなければいけないなというふうには考えます。

 以上です。

○中村座長  ありがとうございました。

 新熊委員、お願いします。

○新熊委員  ありがとうございます。私のほうからは、小型充電式電池の回収・リサイクルにつきまして、製造者責任と国の役割につきましてもう少し踏み込んだ書き方をしてもよいのではないかということを思いましたので、その点につきましてコメントさせていただきたいと思います。

 製品から取り外しが非常に困難な電池も実際にあって、市町村が回収して、費用負担も実際に発生しております。現実には、市町村回収とJBRCによる回収が混在し、あるべき回収システム及び費用負担の分担の在り方も曖昧である一方、小型充電式電池の回収を市町村が積極的に行うことが市町村に大きなメリットがあるということが非常に強調されており、しわ寄せが市町村側に一方的に押しつけられているような印象すらもちます。

 市町村と製造事業者との間で回収と費用負担の分担の在り方を明確にしていくという、今後国が果たしていくべき役割について、報告書の中でももう少し踏み込んだ書き方をするべきだと思います。現行ではどうなっているかと申しますと、資料2の19ページの一番下のところでございますけれども、「国は、リチウムイオン電池の排出量や安全対策等の実態把握を進め、その成果や各関係主体の取組状況を踏まえ、必要に応じて、適切な対策を講じるべきである」というのみであります。やはり「制度的な措置を採る」などの少し踏み込んだ表記にすべきではないかというふうに思っております。

 以上です。

○中村座長  ありがとうございました。

 それでは、花村委員、お願いします。

○花村委員  評価報告書のほうは、ちゃんと御説明いただいてよく理解できましたので、この内容につきましてではなくて、これをどうやって広めて、小売店の方々にそういった意識喚起と、消費者に対して意識喚起をしていくかというところにつきまして少し述べたいと思います。

 この評価報告書は、出された後、どういう形で各セクターとか各分野の方々に御説明をされるのでしょうかというのが質問です。なぜかというと、拝見して、中身については非常に極めて真っ当というか、妥当な内容かと思うんですけれども、結局これを見て小売店は何をすればいいのと。消費者は何をするのという部分の具体がありませんので、そこをどういう形で補って、この報告書の中身を読んでくださいね、あるいは、こういう形でやってくださいねというような協力というのが必要になるのかなと思います。

 環境省さん側でいくと、エコファースト制度というのがあるんですけれども、例えばビックカメラさんは小型家電リサイクルの点はちゃんと明文化していますから、まあ得られると。では、ほかの家電さんは、やっているだろうけれども、どんなふうにやっているのかはわからない。これ、ポップでいいのか、それとも販売をしている販売員が、例えばこれ、買換えであれば、「お持ち込みいただければこちらで回収しますよ」という一言があるだけでも、ポップの威力よりは全然違うんじゃないのと。

 それから、実際に買換えをする場合というのは、在庫としてある一定期間家庭に眠る場合と即時で使う場合は全く違う。今、年末にかかって、皆さんの家庭もそうでしょうけれども、大掃除の時期になったときに多分ごみが一斉に出てくるのですけれども、そのときに、前回も申し上げました、少なくとも杉並区では小型家電の分野と燃えないごみの中に小型家電リサイクルの28品目がそれぞれ混在していると。結果的に、では消費者に適正廃棄と適正区分を求めているのですけれども、前回も申し上げましたように、そこをもって小型家電リサイクルに貢献しているということを言いたいのか、それとも、まず自治体さんの適正区分に則して適正廃棄をすることで小型家電リサイクル法に寄与しているというふうに消費者に言っていくのか、どっちのアプローチで消費者に伝えていくかによっても、消費者の行動は変わってきます。それと、さっき申し上げた時間軸でも変わってきます。この辺が、せっかくまとめた報告書に対してどうやって使うかという使われ方次第で、先ほどの回収量の増加とか目標に効くのではないかなと思いましてお伺いしておりました。

 以上です。

○中村座長  ありがとうございました。

 それでは、御回答できる部分がございましたら事務局よりお願いいたします。

○経産省横手課長  多様な意見を頂戴いたしましてありがとうございます。

 順番に、まず、桂川委員のほうからは、地域の事情も勘案した上で、市町村コンサルタント事業であるとか、そういったものも活用しながら、うまく回る仕組みにしていっていただきたいという御指摘だったと理解しています。環境省と協力しながら、また認定事業者とも協力しながら、そういうサステーナブルな仕組みになるよう努めてまいりたいというふうに思ってございます。

 西尾委員のほうからは、消費者の役割というところ、これをもっと強調すべきというお話だったと思っています。とりわけ、発火リスクですね。これをどうわかってもらうのかというところの伝え方の問題というところも御指摘があったと思っています。そこの消費者の役割のところ、記載ぶりは検討したいというふうに思いますけれども、発火リスク、これまた廃棄後の話ではなくて、これはもしかしたら以前の小電ワーキングの場でも申し上げたかもしれませんが、例えば製品安全みたいな世界で申し上げても、モバイルバッテリーの発火、これは別に廃棄後だけではなくて、使用中の発火みたいなものを問題になっているところでございまして、当省は、そういう製品安全行政にも責任をもっている立場として普及啓発というところ、例えばそれはNITEという独法がありますけれども、そういったところから、発火のメカニズムであるとか、そういったリスクというものを常に発信をしたりとか、そういうものもやっておりますので、こうした情報なども使いながら、しっかりと消費者に対する啓発というところをやっていきたいと思ってございます。

 大塚委員からは、電池一体型をやめる方向にインセンティブをという御指摘だったと思いますが、一方で、一体型にするがゆえに製品としての堅牢性を維持しながらリデュースにつながっているというところもあろうかと思いますので、必ずしもこれはやめる方向がいいのかというと、まだまだ議論があると思ってございます。いずれにせよ、取り外すのか、取り外さない一体型のものとして捨てるのか、こういったところがしっかりとわかりやすく伝わり、かつ、それが適切なルートに乗っていくようにしていくということがまずは大事であろうと思っているところでございます。

 あと、Deca-BDEのところは、すみません、環境省さんから補足なり御説明をいただければと思いますが、基本的には化学物質としてのDecaBDEそのものは、条約にのっとって、国内制度的にも──これも当省の制度ですけれども、化学物質審査、化審法、こういったものの中で適切に、こういうのを製品に入れるなであるとか、輸入も同じく、そういう製品としての一定の規制というのは入ってきているところと理解していますので、そういった中で輸入業者というところも一定の責務を負いながら、一方でもう既に投入されているような製品は多々あるのだと思いますので、こういったところの適切な廃棄物処理、これは環境省さんとも連携しながらしっかりと検討していく必要があろうと思っています。

 崎田先生からは、消費者の巻き込み方というところで、例えば若い世代に自分事として考えてもらえるような、正にどういう回収ルートがあり得るのかというところ、こういうことを考えてもらってもいいのではないかという御指摘がありました。これは前回の審議会の場でも、容リ法の分別排出の観点で、なかなかリサイクルマークの認知がされていないとか、若い世代ほど認知されていないのではないかとか、そういうようなデータも出てきたりしているところもありまして、正にいま一度若い世代の方々に認知してもらうというところ、我々としてもこれは別に小型家電に限らず、リサイクル全体として考えていかなければならないと思っています。

 佐藤先生も、コミュニケーションの主体、誰がやるのかというところ、ここの御指摘だったと思っています。これも、国もそうですし、認定事業者もそうですし、確かに認定事業者が積極的にこういうステークホルダーとの間でのコミュニケーションを展開していくというところ、一定の限界もあろうかと思います。しっかりと国なり、製造メーカーなり、自治体なり、各ステークホルダーがどのように連携しながらコミュニケーションをやっていくのかというところ、ここはしっかりと考えていきたいと思っていますし、あともう一点いただいたIT技術、これは本当にもっと導入していければなというふうに思います。たしか環境省さんの事業の中でそういった実証事業もやられていると認識していますので、こういったものも活用しながら、より効率的な回収ができる仕組みにしていく必要があろうと思っています。

 あと、白鳥委員のほうからは、容リ法のプラントでも電池が入ってしまっていて、しっかり考えているのに出す場所がよくわからないというところの具体例を頂戴していたと思っています。正にそこが今の一番の悩みだとも思っていますので、先ほど西尾先生もおっしゃっていましたけれども、やはりどれだけ制度なり仕組みなり表示なり全部整備したところで、消費者一人一人がいかにこれを理解してちゃんと分別排出をするのかというところ、これにかかってくるかと思いますので、そこの具体的な伝え方、具体的な排出の仕方、こういったところというのは考えていかなければならないと思っています。

 あと、新熊先生からは、リチウムイオン電池に関連して、生産者責任と国の役割というところについて踏み込んでというお話がございました。この報告書の書きぶりそのものは、自治体にしわ寄せをしているということでもなくて、むしろ、社会的なコストを全体として下げていく観点から、関連するステークホルダーというのが一定の役割を果たしていくべきであろうという中で、元々、先ほどもどなたかから御指摘がありましたけれども、この小型家電リサイクル法そのものは、基本的には有価性の高いレアメタル等々を効率的に回収するということを目的にしている制度でございまして、ただ一方で、こういう効率的な回収というところによって社会的なコストを下げていく。すなわち、認定事業者のような専門性の高い事業者がこういう回収なりリサイクルを負うことによって、全体として社会コストを下げていくということに寄与するのではないかというところが前回までの御意見として頂戴していたところだと思います。こういったところを認識しながら、正に市町村だけではなくて、認定事業者と連携する形で、うまく回収・リサイクル等を構築することで、それが社会全体の便益につながっていくであろうということだと思っています。ただ、御指摘のとおり、その上で生産者であるとか国がもっと考えていくべきではないのかというところ、そこは表示を含めてしっかりと考えていかなければならないと思っています。

 あと、最後、花村委員のほうからは、確かに消費者はこのままでは何をやればいいのかわからないということですね。説明の仕方としても、消費者がこうやって協力することで何に貢献できるのか、何に寄与するのかというところ、ここをしっかりと明確にした上で発信をしていくべきだと理解しました。正におっしゃるとおりだと思いますので、そういったところはしっかりと、今後普及啓発に当たって考えていきたいというふうに思ってございます。

 取り急ぎ、以上になります。

○中村座長  ありがとうございました。

 環境省さんも是非お願いします。

○環境省今井補佐  環境省でございます。おおむね経産省のほうからもお答えしたとおりでございますが、少し被るところも含めて、補足を含めて御説明を差し上げます。

 桂川市長からいただきました御意見につきまして、市町村の厳しい条件につきましては、我々としても、一般廃棄物を含めて廃棄物行政をあずかる立場として非常に重く受けとめたいというふうに思っているところでございます。一方で、非常に積極的にやっていただいているところもありまして、そういった取組が、我慢してリサイクルをするということをこの法律に基づいて強いたいということは全くございませんので、そういった中でしっかりとメリットを見出していただきながら、それを効率的にやっていただくということをしっかり我々としても支援して進めていくということかと思っております。

 また、委員おっしゃられたとおり、オリンピックを契機といたしまして、組織委員会がやっておりましたメダルプロジェクトに環境省としても小型家電リサイクルの推進の立場から参加をさせていただきまして、これだけの自治体の方々の参加をいただけたというところがあると思っています。この流れをこのまま生かしていくと。まさにメダル製作に必要な金属は昨年度末までで回収は終了したのですが、来年度、正にオリンピックが開催をされまして、その場でメダルを授与されるという場面が登場すると。こういうところで、しっかりと組織委員会なりとも連携を図って、日本においてこういう世界で初めてのプロジェクトができたというところを、一般的な周知の観点からも国内外に発信していくというところを環境省としても取り組みたいと思っておりますので、その辺りは是非自治体の皆様とも協力をしてやっていきたいと思っているところでございます。

 それから、今井委員から、認定事業者協議会との御協力ということでありました。コミュニケーションの促進に関しましては佐藤委員からも具体策をということで御指摘があったところでございますが、この辺りは様々な主体とのコミュニケーションがあり得るというふうには思っているところでございますが、認定事業者から持ちかけるのは難しいというのは、先ほど経産省からも御指摘があったとおりで、我々としても同じことを思っておりますが、ある意味、認定事業者側だからこそわかること、そういうリサイクラーだからこそ認識していることという、その付加価値をできるだけ発信できるように環境省としても一緒に取り組んでいきたいと思っているところでございます。

 大塚委員の御指摘のありました電池一体型をやめるという話は、我々の認識としては直ちにということはできないということを全体にした上で、やはりそういう状況に基づいて、現状はこういう形で分別なりをしっかり取り組んでいくしかないと。もちろん、将来的に、こういう形ではない別の形の電池が本当に将来出てくればそういうことが必要なくなるかもしれませんけれども、現状はそういうリスクがあるので、現状は今回の報告書に記載をしているような形で、きちんと分別なりに取り組んでいかなければいけないという御指摘だというふうに受けとめさせていただければと思っているところでございます。

 佐藤委員のほうからもう一点いただいておりました新たな課題のお話でございまして、我々もその点に関しては廃棄物行政全体の問題として認識をしているところでございます。なかなか小型家電だけの問題がというのはもちろんあるとは思っておりますけれども、少しどういう形でやっていくかということを考えたいと。不用品回収業者の皆さんに関していうと、いろいろな形がありまして、地域でニーズがあるところを捉えてしまっているところというのももちろんあるのですけれども、明らかにリサイクルのいいところを中抜きしてもうけているような業者もいるわけなので、その辺り、その取締りと並行しつつ、そういった課題についても考えるというスタンスが必要ではないかというふうに思っているところでございます。

 それに加えまして、最後、花村委員のほうからいただいていた御意見でございます。どうやって実現するかという話は、今後は報告書をおまとめいただいた以降ということのお話になるとは思っておりますが、報告書をおまとめいただいて、これを世に公表してそれで終わりということは役所側としてはなくて、当然ながらこれをどう具体化するかというところが、今後様々な法令関係の改正とか、若しくは法に基づく基本方針の改正とか、若しくは自治体に対する周知とか、更にもっと細かく言うと関係団体の皆様への説明とか具体的な要請とか、そういう形の行政措置になっていくという流れになるというふうに理解をしておりますので、現時点ではっきりしないという御指摘については重く受けとめつつ、御指摘を踏まえて、しっかりと各主体に対しては具体の措置として、両省が協力して取り組んでいくということを申し上げておきたいと思っているところでございます。

 取り急ぎ、以上でございます。

○中村座長  よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。

 大塚委員。斉藤委員も。

○大塚委員  さっきの私の発言のDeca-BDEの話は、別にDeca-BDEの添加を規制するという、製造のときに規制する話ではなくて、リサイクルのときにですね、それを取り除くとかのことをガイドラインでやるのではなくて、規制でやらないと海外メーカーとの関係では難しいのではないですかというお話なので、ひょっとしたら製造のときに入れるなというふうに聞こえたかもしれませんが、そんなことはいっていませんので。すみません、誤解を招いたかもしれません。

○中村座長  斉藤委員。

○斉藤委員  すみません、手短にさせていただきます。

 これまでは、たくさん集めたら認定事業者の採算が合うのかみたいなことに結構こだわってきたけれども、いろいろ状況が変わったので、社会的コスト等を考えて適正コストを見ていきましょうというふうに今回流れが変わったと理解しています。白鳥委員の説明からもあったように、報告書については非常にバランスよくまとめていただいたかなというふうに思っています。

 今手を挙げたのは、追加資料でいただいた東浦委員からの御意見についてのコメントが誰からもなかったので、意見をお伝えするためです。リチウム電池について消費者への啓発という話がありましたけれども、消費者に危険性を認識してもらうための啓発よりも、非常に簡潔で、かつ低コストで行えるという意味で、リチウム電池の内蔵有無をすぐに識別できる仕組みが望ましく、特にパッケージや取説よりも、使い終わったときにも存在している製品そのものにわかりやすいマークをつけていただくという御意見に大賛成ですので、それを一言申し上げたかった次第です。ありがとうございます。

○経産省横手課長  ありがとうございます、斉藤先生。先ほどの議題の資料2のほうで同趣旨のことをお答えしたので、すみません、今回はあえて東浦委員の提案書そのものにはお答えしなかったわけですけれども、正に先ほど申し上げたとおりでして、資料2のほうにありましたように、一応今の資源有効利用促進法の中で、小形二次電池そのものには、製造事業者及び輸入事業者は表示をしなければならないという義務がかかってございます。また、その小形二次電池を使用している製品についても、少なくとも国内の製造事業者には義務がかかっていると。確かに輸入事業者が抜けているというところ、これは何とか考えていかなければいけない問題ではありますけれども、一定の制度的な構えはできているということです。その中で、基本的に正に製品本体への表示であるとか、これが基本なのですけれども、やはり同じような目的で正に説明書であるとかパッケージであるとか、そういうことでも同等の効果が達成されるのであれば構わないという形になっていたのですけれども、確かに近年の状況をみたときに、やはりこの制度をつくったころとは、小形二次電池そのものがもたらす問題が変わってきているところがありますので、そこは我々としても考えていく必要があるというふうに思っています。

 一方で、これはなかなか悩ましくて、例えばこれは容器包装リサイクル法のほうのパッケージの話なんかでもそうなのですけれども、例えばリサイクルマークもつけるし、でも一方で食品表示とかの安全性の観点の表示もいっぱいしなければならないしということで、結構表示しなければいけない事項がどんどん増えていっているというのが今の現状でして、結果として、結局その分ラベルを大きくしなければいけなくなってくると、これまたリデュースにも反するみたいなところもあって、表示というところがなかなか最後まで万能なのかというところを考えていく必要もあろうかと思っています。もちろん、まずはわかりやすく伝わるようにというところで、表示をまずやらないと始まらないということだと思いますけれども、うまい表示の仕方みたいなところは、これは本気で考えていかなければいけないかなと思っていまして、これもすみません、余り関係ありませんけれども、たしかアメリカでやっていたのはバーコードみたいなものですね。まさにバーコードだけつけて、そのバーコードをスマホで読むと、そこに別に、リサイクルの話も安全性の話も、いろいろ関連するような情報が一覽性のある形でみえるようなサイトに飛ぶとか、たしかそんなようなものも許されていたような気もしますので、これはすみません、このリサイクルの話ではなくて、むしろバイオの世界で私がかつて見た話ですけれども、例えばそういったものも含めて、うまく消費者が簡便にわかる形でどうやって伝えていくのかというところは、我々も製造事業者と一緒になって考えていきたいというふうに思ってございます。

○環境省今井補佐  すみません、環境省でございます。東浦委員の後段の御指摘について、併せてちょっとお答えをしておこうと。申しわけございません。

 排出者の産廃に当たりますような小型家電若しくは電池に関して排出者に分別を義務づけるという話でございまして、この点に関しましては、そもそも産業廃棄物の関係でいうと、当然ながら廃棄物処理法に基づいて委託契約なりマニフェストなりの規制がありまして、そういうときには当然廃棄物を、どういうものかというのを明確にした上で委託をするということを前提にした上で、当然ながらその上での分別、混入の防止という対策をきちんと求めるという趣旨というふうに認識をしております。この辺りについては、その実態を踏まえてと申しますか、どういったものにどう混入していくかということはかなり、一般廃棄物と産業廃棄物で少し出方が違うという部分もあると思っておりますので、その辺りは少しこちらとしても受けとめて検討していくということを考えておりますが、「義務付け」というところの言葉の意味をどう捉えるかによってちょっといろいろ措置が変わってくるというふうに思っておりますので、その辺りを踏まえて対応したいというふうに考えております。一般廃棄物の場合は、ほぼ、家庭から出てくるリチウムイオンが入っているようなものについては、モバイルバッテリーを除けば小型家電にほぼほぼ入ってくるというのが我々の認識ではありますけれども、産廃の場合はまたちょっと違う世界があるというふうに認識していますので、ちょっとその排出形態を踏まえて検討するということが必要と思っております。

○中村座長  よろしいですか。ほかに。時間がそろそろまいっておりますが。

 では、非常に簡潔にお願いいたします。

○崎田委員  すみません、最後にいろいろ意見交換があった中でふと思ったのですけれども、私、最初のリチウムイオン電池の報告のときに質問させていただいた中に、全体量をどういうふうに、製品の含有量とか、そういう全体の把握をそろそろきちんとして、推計するなりしていただいたほうがいいのではないかという事を申しました。それを発言するに当たっていろいろと海外の様子などを調べてみると、やはりかなりそういうのを推計する国が増えてきていて、その中では産廃扱いだと100%リサイクル、産廃ではなかったら50%ぐらいとか、そういう目標値を決めている国までありますし、やはりそろそろそういう全体像をしっかりと把握していくということは大事なのではないかなというふうに思いました。

 なお、もう一つ。先ほどから私も消費者の目線のことをいってきたのですが、実は自宅にある家電など、小型家電を見ていて、主人がいつも使っているシェーバーなどにちゃんとリチウムイオン電池のマークが小さく付いていて、使い終わったらリサイクルしてくださいと書いてあるんですけれども、その際に必要なプラスドライバーが本当に1ミリか2ミリで、普通の家庭にあるわけがないようなドライバーなんですね。取扱説明書をみると、ドライバーであそこを開けて出してくださいとか、もうそれだけ書いてある。もう一歩親切なほうがいいのではないかとか、いろいろなことが思えてきて、仕組みはできているのだけれどもそこに魂がこもっているかという、そういう思いもありました。そういう事も考えながら、やはり消費者目線もちゃんと入れて進めていくことで、そういうことがきちんと現実に実践できる制度づくりにつながるのではないかと思って発言しました。よろしくお願いいたします。

○中村座長  ありがとうございました。何かありますか。

○経産省横手課長  御指摘のとおりだと思います。私もシェーバーに付いているかなと見てみて、正に付いているのですけれども、確かに開けにくい構造にはなっていて、シェーバーという濡れたところで使うという、そういう構造を念頭に非常に開けにくい構造になっているというところ、この辺、痛しかゆしで、安全性とリサイクル性能と、そういったもののバランスを採りながらだと思いますが、おっしゃるとおり、いずれにしろ魂を込めていかなければいけないというところはそのとおりだと思いますので、しっかりと製造事業者と検討していきたいと思います。

○中村座長  ほかによろしいでしょうか。これで全般的な御意見、御質問をいただいたということで、どうもありがとうございました。おおむね皆様方の御意見は重々理解できるようなところで、いかにコミュニケーションをとるかということ、これを使う側のほうが非常に重要かなと思っております。

 それでは、細田委員長、何か。

○細田委員長  どうもありがとうございます。本当に御議論ありがとうございました。

 今日の議論を聞かせていただいて、私もいろいろ考えておりましたけれども、この小型家電リサイクル法をつくった当時の状況と比べて、そのときの関係各主体のあり方、それから製品と、今の状況が随分変わってきました。今日の御議論は、小型家電リサイクルの当初の問題とは違うといったら変ですけれども、対応できないところがある。今の小型家電リサイクル法の想定外のようなところ、あるいは境界を越えたところのような問題があって、それがいい悪いではなくて、対応し切れていないのかなと逆に思っております。例えば表示の話でもそうですけれども、経済学で新熊先生はよく御存じで、情報って与えられれば与えられるほどいいというものではなくて、実は、ある境界条件を越えてしまうとユーザーは判断できなくなってしまうんですよね。これは有名な問題がありまして、3つか4つかならいいけど、それ以上与えてくれるとわからなくなっちゃう。それで何が起きるかというと、もういいやとなる。というような状況も働くとか、様々な状況が働いてくるということもあるかと思います。その中で、どうやって消費者が、例えばうまく排出しやすくてよく集められるかということを今後は考えていかなければいけない。

 それから、有償、逆有償の問題もありましたとおり、これも伸縮性のある制度ということで小型家電リサイクル法ができたのですけれども、本当にそのままでいいのかなというのもありますし、新熊委員の御指摘にもありましたように、生産者の責任と制度的な措置をつくる措置があるのかもしれない。だけど、家電リサイクル法は自動車リサイクル法と違いまして、もう完全競争のような状態で、もう生産者が特定できない状況でどうやって生産者責任をつくれるのかというのは、これはもうすごく難しい問題です。

 さらにリチウムイオンバッテリーの、今日の議論の後半から、この審議会後半から盛り上がってきた問題です。この問題も実は小型家電に限った問題ではなくて、リチウムイオンバッテリーは非常に環境問題を解決するという意味ではノーベル賞をもらったみたいですけれども、こちらからしてみると、いやあ、コバルトはどうするんですか、マンガンに代替しますかと。マンガン団塊と言うけれども、そんな簡単にマンガン団塊はとれませんよという調達の話から捨てるときの話まで、実はリチウムイオン電池って環境問題を解決なんかしていないんですよね。吉野先生は偉い先生ですから、「いや、解決していません」とちゃんとおっしゃった。すごいなと思ったんですけれども、我々はそのことも、製品、小型家電に収まらないリチウムイオンバッテリーの問題も考えなければいけないということで、非常に、一言で言うと境界条件をどこで考えるかという大きな問題はちょっと今回はし切れなかった。ですから、是非、まあ、これは小型家電リサイクル法だけに限らない問題で、廃棄物処理法に係る。さっきの東浦委員の最後の後段のもの、排出方の問題ですよね。だから、広がりがすごく大きくなってきたということで、今後少し間口を広げて考える必要があるのかなという印象をもちました。ただ、今回の場合は限られた状況の中でのことですので、私は基本的にはこの骨格で行くのがいいのかなと思いますけれども、将来には、今日いただいた意見を考えて、相当間口を広げて考える必要があると、このように思っております。どうもありがとうございました。

○中村座長  どうもありがとうございます。今、細田先生言われたとおり、リサイクル法とか、こういうものを考えると、廃製品と素材の間の関連をきちんととるというのは大変難しい。もう、どんなものでもそうです。そういうところもございますし、誰が作ったのかということが、輸出・輸入まで考えるとどうにも制御ができないというか、ちょっと考え方を変えなきゃいけないような状況にもなっております。そういう中で、この小電法の改正そのものはよくまとめていただいているのではないかなと思います。ただ、次の5年間は十分に検討する必要がございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、ここで時間も来ましたので、本日の会議は終了とさせていただき、事務局にお戻しいたします。

○経産省立石補佐  本日は多数の貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。

 本日いただきました御意見を踏まえまして、以降は中村座長、細田委員長に一任とさせていただきまして、両座長と御相談の上、報告書(案)を修正して、年内を目途にパブリックコメントに付したいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 また、本日の会議の議事録につきましては、後日、各委員の皆様に送付させていただきますので、御了解いただいた上で公開する予定としております。

 次回の会議の日程につきましては、改めて事務局より御連絡させていただきます。

 それでは、以上をもちまして本合同会合を閉会いたします。長時間にわたりまして誠にありがとうございました。

午後3時10分 閉会

                                ――了――