中央環境審議会総合政策部会環境情報専門委員会(第4回)議事録

日時

平成20年9月24日

議事内容

午前9時30分 開会

○細野企画調査室長 それでは、お時間になりましたので、ただいまから中央環境審議会総合政策部会第4回環境情報専門委員会を開催させていただきます。
 私は、環境省の企画調査室長をしております細野でございます。よろしくお願いいたします。
 まだお見えでない先生もおられるようでございますが、いずれお見えになると思いますので、始めさせていただきたいと思います。
 なお、筑紫委員につきましては、10分くらい遅れて出席されるというご連絡をいただいております。
 本日は、お忙しい中、お集まりいただきましてまことにありがとうございます。
 なお、和気委員、植田委員、関川委員、高岡委員につきましては、本日はご都合によりご欠席とのご連絡をいただいております。
 本日の専門委員会でございますが、お手元の議事次第にもございますように、まず初めにヒアリングを行いまして、引き続き専門委員会といたしまして、戦略の骨子案についてのご議論をいただきたいと思っております。
 また、本日は、福井専門委員及び東京大学大学院情報学環の坂村教授に、ヒアリングのご発表をお願いしております。よろしくお願い申し上げます。
 まず、お手元の配布資料の確認をさせていただきたいと思います。この議事次第の下の部分に配布資料一覧というのがございますので、それに沿ってごらんいただければと思います。まず、資料の1として、この専門委員会の委員の名簿でございます。それから、座席表がございまして、資料2 福井専門委員の発表資料につきましては、一番下に置かせていただいております。それから、資料3 坂村先生の発表資料につきましては、本日はパワーポイントでご説明いただきまして、資料は後日いただくことになっておりますので、よろしくお願いいたします。それから、資料4 環境情報戦略の骨子案というのがございます。それから、資料5といたしまして、今後のスケジュール案がございます。次に、参考資料1から4まで、まず参考資料の1は、この専門委員会におけます議論の概要をまとめさせていただいたものでございます。参考資料の2は、本日のようなヒアリングを既に2回行っておりまして、それぞれのヒアリングにおける議論のポイントをまとめたものでございます。それから、参考資料の3といたしまして「作成手法・分野から見たデータベースの整備概況」でございます。参考資料4が、「環境統計の整備について」という資料でございます。
 皆様のお手元にございますでしょうか。もし、お手元にない資料がございましたら、事務局のほうにお伝え願えればと思います。
 それでは、まず第3回のヒアリングの趣旨につきまして、簡単にご説明をさせていただきたいと思います。環境情報の収集や発信などを行っているさまざまな関係者の皆様方にヒアリングを行わせていただきまして、特徴ある取り組みについてご報告いただきますとともに、ご意見を伺いまして、今後の戦略をつくる際の参考とさせていただきたいと思っております。
 そこで、今年度は既に2回のヒアリングを行わせていただいておりますが、本日3回目におきまして、テーマとしましては、「環境分野に関するITの開発・普及状況と導入の可能性」というテーマでお願いしてございます。
 まず、1番目の意見発表者でございます福井専門委員より、「環境分野に関するITの開発、普及状況と導入事例」について、20分程度のご報告をいただいた後、委員の皆様や事務局からの質問を5分ほど想定しております。以後、同様な流れでございまして、2番目の意見発表者をお願いしてございます東京大学大学院の坂村先生につきましては、「ITタグなどユビキタスコンピューティング技術の環境分野における導入可能性」について、ご発表いただくこととしております。最後に50分程度、皆様でご議論をいただければと存じております。
 進行につきましては、この後は浅野先生にお願いしたいと思っております。では、浅野先生、よろしくお願い申し上げます。

○浅野委員長 皆さん、おはようございます。今日は早朝からありがとうございました。坂村先生にも、朝早くからお越しいただきまして、まことにありがとうございます。 それでは、早速、まず第1のご報告者であります福井委員からのご報告を承りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○福井委員 それでは、慶應大学の福井ですが、私もともと地球科学が専門でして、いただいた題は環境分野に関するITの利用の現状ということで、最も進んだ利用として地球環境の問題に関してデジタルアースという試みがあります。これを中心にして、少し本日はご紹介をしたいと思っています。
 次お願いします。今日の骨子ですが、デジタルアースを構築をして地球の危機管理にそれを使っていこうというわけです。ご存じのように地球というのは、人間系、自然系、生態系、こういった3つのサブシステムのトータルシステムですので、これらが複雑に絡み合った状況をできるだけ動的に可視化をして政策支援に使っていこうということです。
 特に、地球の危機管理といったようなことについて、Watch and Warningという言葉を使っていますが、地球をモニタリングをして警告を出していこうというような利用の仕方、あるいはそのために必要になるような地球データベースとしてデジタルアースという試みがあって、これが実際に提唱されたのは、今からちょうど10年ぐらい前、アル・ゴアが提唱した構想なんですが、その後10年ITが進んで、現状どのような状況にあるかということを本日お話を申し上げて、この利用についての具体的なアクションプランについても少しお話をしたいと思っています。
 それでは、次をお願いします。私、30年ぐらい前に地球科学科というところを卒業したわけですけれども、そのときに、地球というのは、トータルなシステムで、物理系、生態系、人間系からなっているという、こういう3つのEarth Science、Ecology、Economyといったような、このカップリングシステムが相互に依存し合っているということで、これをできるだけ縫い目のない自然を取り扱うためには、相互運用可能な情報システム、いろいろなドメインサイエンスで行われているシステムを融合して使うことが重要だというわけです。
 次をお願いします。最近は、GEOSSという取り組みがなされていますが、そこでも同じように地球というのは、複雑系で複数のシステムが絡み合ったシステムだというふうに言われています。こういうシステムを取り扱う際には、情報というのが非常に重要だということで、これをどういうふうに相互に運用するかが課題になります。
 次をお願いします。本日の議論にも、少し書かれていますが、例えば環境情報という枠組みを考えるときに、人間活動に伴って環境に変化が起きて、それに対して人間がどういうふうに対応していくかという、いわゆるDPSIR(DFPSR)という、こういったようなフレームのワークの中で包括的にとらえるために必要なさまざまなステージでの環境情報というのが必要になります。
 次をお願いします。そこで、環境情報を究極的にはどういうふうに使うのかということなんですが、環境の変化をとらえるというのが環境情報ですけれども、現実は非常に複雑な地球のシステムなので、なかなかわかりづらいわけですが、できるだけモデル化をして再現可能なような仕組みをつくって、それに対して適応制御をどのようにしていくかということが重要になります。環境変化に応じた最適な制御、これをここでは適応制御といっていますが、これをとらえるために環境情報が必要になってくるというわけです。先ほど、3つのEという話をしましたが、生態学あるいは人間安全保障、市場経済、こういったところの要素が環境には不可欠ですので、さまざまな情報を取り扱う必要があるというわけです。
 次をお願いします。例えば、IPCCで取り上げられた、こういったシミュレーションとして、次をお願いしますが、よくこの絵が出てきます。50年前の気温の温度上昇は、人間的な要素を入れないと説明がつかないということをもって、IPCCは9割以上の割合で人間の影響が関係しているというようなことを言っているわけですが、これもシミュレーションの結果でありまして、この前提条件が変わればシミュレーションは変わるというわけで、こういったことを一般の人はいろいろな感度分析の結果が十分に把握できないために結論だけがひとり歩きをしてしまうということがあって、さまざまな議論が今起こっていますが、こういった中でもできるだけこの過程をわかりやすく伝えるためには、環境情報というのが必要になるというわけです。
 次をお願いします。さらに、こういうふうにシミュレーションの結果がマッピングされますと、それぞれの地域のイメージがより明確になってくるので、こういった空間的な情報というのがより物事を具体性をもって理解するのに役立つというわけです。
 次をお願いします。よく学術会議では、認識科学と設計科学というような取り組みをしていますが、我々が最初に学んだのは地球科学、これは認識科学なんですけれども、ここ30年を経て、設計科学としての地球設計学というのが必要になってきて、適応制御の可能性を探るといったようなことが重要になってきます。
 私がついたボスは島津康男という人なんですが、彼は1970年に「地球を設計する」という本を書いているんですけれども、これ以降ITが進み、いろんな観測データが蓄積されて、いよいよ本格的に地球設計が可能な時代になってきたのではないかというふうに考えています。
 次をお願いします。今日、私が言いたいポイントは、地球はこのように複雑なシステムなので、できるだけ複雑なシステムをわかりやすくほかの情報コミュニティに伝えることができるかということが、環境情報の利用の1つのポイントではないかと思っています。
 さらに、先ほどのIPCCのシミュレーションにあるように、不確実性を含んだモデルにおいて、モデルの中身あるいは再現可能な感度分析の結果を、これが伝えられることによっていわゆるリスク情報影響というのが発生して、社会にさまざまなフィードバックを与えている。例えば、今環境省で進めようとしている低炭素社会というのも、例えば赤祖父地球物理の先生がおっしゃるように、仮に人間的な影響が5分の1程度であるという、COの二酸化炭素の影響というのは5分の1程度だというふうなことが事実だとすると、こういったことも変わってくる可能性があって、こういうことをできるだけわかりやすく伝え、意思決定を支援することができるかというのが、キーポイントになろうかと思っています。
 次をお願いします。さらに、慶應でグローバルセキュリティ研究所というのをつくったわけですが、これから新しいリスク対応のリスク社会が迫っていて、同時多発テロとかいろいろな感染症の問題とか、最近の金融危機、こういったような問題は時間において突発的あるいは急速に波及をするというわけです。空間において、瞬く間に地域のことがグローバルに発展するということで、このような問題をとらえるというのがまさに環境問題についても必要で、データの動的な可視化ということを今後重要になってくると思っています。
 次をお願いします。例えば地球環境で言いますと、エルニーニョという現象がありますが、これはリモートセンシング衛星画像によって、ある程度early warningが、early detectionすることによって可能ではないかというように考えられていますが、この種の早期に兆候を伝えて警告を発するというような取り組みが環境情報については必要だというわけです。
 そこで、次をお願いします。今日は、そのために一体どんなデータベースが必要かということで、デジタルアースの取り組みをご紹介をしたいと思っています。
 次をお願いします。私のドメインは、ジオインフォマティクスということで、バイオインフォマティクスとか、いろいろなドメインのインフォマティクスがありますが、私たちの空間を1つの重要な要素と考えていて、環境空間を認知をして、これはGISを使うわけですが、この場合GIシステムを使って、さらにモデルシミュレーションを行う。GIサイエンスを使って、さらにその結果を動的に可視化をして政策立案に使っていくというGIサービスを使っていこうというわけです。
 このように空間情報は、次をお願いしますが、見えないものを可視化して、空間的な文脈で物事をとらえて、情報を統合化するというわけです。
 次をお願いします。これは、後ほど坂村先生のお話になると思いますが、ユビキタス社会でこういう空間情報は非常に基盤的な情報の1つだというふうに考えられています。
 次をお願いします。さらに、この情報というのは、モバイルな環境でタイムリーにセンシングをして解析をして使っていくということで、いわゆるどこでもいつでもだれでもが空間的な文脈でサービスを受けることができる、こういったことを国交省などは空間情報社会というふうに呼んでいます。
 これを進めていって、次をお願いしますが、地球の現状を知って将来を考える道具ということで、デジタルアースという取り組みがあります。
 次をお願いします。デジタルアースというのは、もともと98年に一瞬だけ大統領になったアル・ゴアが言った言葉なんですけれども、カリフォルニアでサイエンスパークが開所式を行ったときに、彼は多解像度で3次元で表現された地球を一種の共同実験室にして、これにアクセスをしながら地球の行く末を考えようという、こういう構想を打ち出しました。
 次をお願いします。人間と環境の相互作用を理解するプラットフォームとして、それをコミュニケーションのプラットフォームとして使っていこうということで、後ほどお話ししますがGoogle Earthとか、NASAのWorld windとか、さまざまなこの構想を実現するプラットフォームが現在出てきています。
 次をお願いします。クリントンの政権の時代には、こういうようなポンチ絵があって、NASAにヘッドクオーターが置かれて、デジタルアースという取り組みがなされたんですが、ブッシュになってからこの言葉自身は消えてしまいましたけれども、それぞれの個別技術については開発が進んだというわけです。
 そこで、次をお願いしますが、デジタルアースというのは3次元の地球をデジタルな空間に構築をして、そこに実世界の情報をタグづけをしていこうというわけです。それを統合してシームレスに見られるように可視化をしていこうというものです。ですから、現実の地球の多種多様な情報をどのようにサイバー空間に移動して、そして可視化していくかということが重要になります。
 次から、この10年間、構想が1998年ですからちょうど10年たったわけですけれども、どういった動向があったかということを簡単におさらいします。
 次をお願いします。地理空間情報の整備というのが進んでいます。日本では、国土空間データ基盤、スペシャル・データ・インフラストラクチャーと呼ばれていますが、メタデータをつくり、カタログデータをクリアリングハウスに入れて、ポータルサイトとして空間情報を提供していこうという取り組みです。これはGSDI、グローバルにも取り組んでいこうということ、あるいはヨーロッパのようにEUがリージョナルにINSPIREというプロジェクトを行っていたり、国連のスペシャル・データ・インフラストラクチャーをつくるという動きもあります。
 いずれにしてもこの10年、OGC、Open Geospatial ConsortiumとかISOといったような標準化団体を通じて、地理空間の情報標準が高まって、空間情報サービスが提供されるようになりました。
 2つ目は、ジオグラフィーを通じた情報の統合化が非常に進んだというわけです。デジタルアース的な取り組みとして、最近ではジオブラウザという言葉があらわれていますが、Google EarthとかMicrosoftのVirtual Earth、あるいはNASAが開発したWorld windとか、ESRIというGISメーカーがつくっているArcGIS Explorer、ArcGlobeといったようなものを通じて、利用者はデータを見るだけではなくてAPIを簡単なプログラムインターフェースからデータを登録して、データを共有していこうという取り組みが行われています。
 これらの4つの仕組みを通じて、今や1,000万ぐらいの人間がこのプラットフォームから情報を提供し合っているというふうに言われています。
 それを検索をして、統合するためにデータが使われているわけですが、商用的なサービスが、Google Earthを代表とした、これは非常に使い勝手がいいもので、皆さん使われていると思いますが、公的なサービス、国がこのサービスを使っていくというような例もあらわれています。
 次をお願いします。デジタルアースというのは、単にファンシーなそういうインターフェースがあって、それが大量の地球に関する1つのデータベースにアクセスできるというのではなくて、次の絵にありますように、いろいろなインターネット上に点在しているリソースを相互に運用して、1つのバーチャルな地球をつくっていこうという試みです。
 さらに、この10年どんなことが起きたかということなんですが、次をお願いしますが、世界の多様ないろいろな情報のジオセンシングというのが非常に進んできました。代表的なのは、先ほど申し上げたGEOSSという取り組みですけれども、地表を地球観測衛星でとらえて、あるいはさまざまなセンサーが物理的な気温、あるいは湿度といったそういった情報を伝えたり、あるいは地震といった現象を伝えたり、人間がどのように経済活動を行っているかといったような情報を統合して使える素材となるようなジオセンシングが進んでいます。
 特に、これは坂村さんがお話しになると思いますが、ワイヤレスセンサーネットワーキングといったような形で、非常に高解像度、時間と空間において高解像度な情報センシングというのが進んできました。さらに、センサー自身が予見的にセンシングをしたり、環境に順応してセンサーが埋め込められたりといったようなことが可能になっています。
 さらに、重要な動きとしては、1つのセンサーとして市民が機能をするというわけです。Web2.0という参加のインターネット上のメカニズムを通じて、最近ではVGIと呼ばれていますが、Voluntary Geographic Informationという、こういう参加型の空間情報の提供ということが進められてきました。環境情報のストックとか地域の知能集積に、こういった仕組みが使われようとしています。さらに技術的には、さまざまなIT技術が使われてきています。
 次をお願いします。ジオでは、先ほど地球は複雑系で、そのためいろいろなセンサーを配置して、次をお願いしますが、幾つかの社会的な実利用にそれを使っていこうというわけです。
 次をお願いします。センサーというのは、どこにでも点在をしていて、センサーウェブというようなコンセプトがありますが、次をお願いしますが、GEOSSあるいはNASAでもいろいろなセンサーをインターネット上で結合する、ワイヤレスネットワーキングセンシングをするというわけです。
 次をお願いします。例えば、グローブというプロジェクトを皆さんご存じだと思いますが、学校を1つのセンサーにして、学校を通じてデータを集めようというわけです。
 次をお願いします。そして、集められたデータを空間的に配置をすると、今日の地表の温度がどうだったかというようなことがわかるというわけです。
 以上が、デジタルアース関連の最近の技術の動向をまとめたものが、次ですが、先ほど申し上げたように、この10年、空間データ基盤という情報のプラットフォームが進んできました。ジオブラウザという形で、Google Earthを代表とした民間セクターが大衆を相手にいろいろな空間情報をタグづけして交換し合うということが行われています。あるいは、GEOSSという取り組みが研究者を中心にして情報政策が進められています。さらに、VGIといったような個人、グループがソーシャルネットワーキングのシステムでデータを提供しているというわけです。
 次をお願いします。例えば、災害とか、安全、安心の分野でこれは非常に進んでいますが、地域情報共有のプラットフォームをつくっていって、それでさまざまな地域の情報を取得をして、安全、安心な社会をつくっていこうというわけです。
 次をお願いします。我々は藤沢を本拠にしていますが、例えば藤沢市にもeコミュニティプラットフォームという、こういう仕組みがあって、空間情報の取得をVGI、こういった仕組みでとっています。
 最後になりますが、具体的に一体環境情報として、どんなアクションプランを今後やっていくべきかというわけで、1つは自然社会科学の各ドメインオントロジーの情報、こういった自然、社会科学の両方のデータを相互に運用するためにドメインオントロジーを構築をして、相互に連携をしてデータを融通して使っていこうというのが1点です。
 次をお願いしますが、例えばDIASという取り組みが行われていますが、データ統合解析システムというものですが、次をお願いします。いろんなところに環境に関するデータが発生をしているわけですが、そのデータをオントロジーを媒体にして、データの内容定義あるいは構成を関連づけていこうというわけです。そのためには、ドメインオントロジーと呼ばれている、次をお願いしますが、語彙間の意味連関、こういったようなものを各分野ごとに明確に定義をして、これを1つの鍵にして、空間データあるいはいろいろなセマンティクスの情報を統合化していこうというわけです。
 例えば、環境という領域ですと、次をお願いしますが、具体的に実際には、例えばこれも少し複雑ですけれども、環境を定義しているさまざまなワーディングがありますが、これを上位、下位とか関連性をベースにして1つの語彙体系にして、この語彙体系をベースにしていろんな情報を統合化していこうというわけです。
 次をお願いします。これを軸とした、例えばいろんな意見が交わされますが、出てきた言葉の関連性からタイムリーにそれに関連する情報を提供してあげるとかといった、コミュニケーションの基盤ツールとして使おうというわけです。
 次をお願いします。例えば、データの意味の関連だけではなくて、データそのものの定義というのも非常に重要になります。例えば、地球の森林といった場合に、森林の面積が一体どれぐらいあるのかということで、例えば体面積当たり何%が緑被であれば、そこを森林と呼ぼうといったときに、その閾値を10%あるいは90%とるかによって、世界の森林の面積が非常に大きく変わるというわけです。このようなデータ定義の合意がとても重要ということになります。
 例えば、次をお願いしますが、いろんな地球規模の取り組みがありますが、現在森林という面積についても、それぞれのプロジェクトによって定義が異なっていて、一様ではないというわけで、このあたりをグローバルあるいは地域の問題をとらえるためにも、とても重要になります。
 次をお願いします。さらに、社会的なデータとなぜリンクが必要かといいますと、いわゆるリスクの源泉であるハザードから私たちはリスク情報に返る必要があるわけですが、そのためには単に、どこに活断層があって、そしてその活断層がどれぐらいの確率で動く可能性があるといったようなことだけではなく、そこに一体どれぐらい脆弱性の高い建物があるのか、あるいはそこにどれだけ人が住んでいるのか、弱者が住んでいるのかといったようなことを総合して初めてリスク評価が可能になるので、こういうリスク評価が可能な情報システムに変える必要があるというわけです。
 あと、最後になりますが、アクションプランとして、もう一つは地球環境問題あるいは地域の環境問題もそうですが、そういうワンストップポータルをつくろうというわけです。
 次をお願いします。特に、ご存じのように地球温暖化といったような問題についても、さまざまな見解があり、地球規模危機管理が必要になるわけですが、そのために必要な情報データベースを、先ほど申し上げたような相互運用可能なデータベースとしてつくっていこうというわけです。
 次をお願いします。分散して存在する多様な組織の環境情報をいかに相互運用するかということが重要になります。
 実際に、行動計画として最後のスライドですけれども、Watch and Warningというわけで、今後、この日本の環境情報戦略ということですが、この中にはアジアとか地球といったスケーラビリティがあるわけですけれども、さまざまな分野に関する情報、特にリスク情報が重要になるということと、データの相互認証、データポリシーといったようなことが、実際の行動においては重要になるというわけです。
 以上、今日はデジタルアースという取り組みを簡単にご紹介をさせていただきました。こういったものを活用して、地球環境のワンストップポータルをつくっていく試みというのが、アジアあるいはグローバルに支持される環境省の今後の取り組みではないかというふうに考えています。どうもありがとうございました。

○浅野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ご質問あろうかと思いますが、坂村先生お待たせしておりますので、先に坂村先生のお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○坂村教授 ご紹介いただきました坂村です。
 20分ぐらいというお話ですので、20分ぐらいでユビキタスコンピューティングという、私が今進めております――これはICTの技術なんですけれども、それとエコロジーとどう関係するかというお話を簡単にさせていただきたいと思います。
 今の福井先生のお話はマクロにこういろいろ見ていこうというお話だったと思うんですが、私の「ユビキタス」はミクロにいろいろなものをとらえていくということに役に立つのではないかと思います。「ユビキタス」という言葉は現実のいろいろな世界の状況をいわゆる自動認識することによって、人間の入力とか判断の負荷を最小限にして、最適制御を行う技術というふうに定義するのがいいのではないかと、私は思います。
 今の情報の技術は、どちらかというとバーチャル、仮想世界と言っていますように、すべては情報の世界であって、現実の世界とはどちらかというと乖離していて、情報は情報、現実は現実と、こうあるわけで、その要するに現実と仮想のずれがあるためにいろいろなトラブルも起こってくるわけです。例えば、よく言われている例で言うと、在庫管理をするときに、実際には何個倉庫に入っているかというのは、人間が数えて入力しているので、実際数えてみたらコンピューターの中に入っている数と違うというのどうやってもなくせない。正確に一致させようとすると、倉庫に物を入れたときに自動的にその物の個数というのを、何か自動的にはかってコンピューターのデータベースを更新するようにしなければいけないわけです。
 そういう意味で、倉庫に物が何個入っているのかから始まって、温度が何度とか、湿度が何度とか、そういう現実の世界の状況を自動認識する技術の総体につけられているのが、このユビキタスというテクノロジーであります。
 じゃあ具体的にどうやってそれやるんだといったときに、遍在的――要するにあらゆるところにという意味ですが、コンピューターの要素を配置するんです。先ほどのお話にもありましたセンサーとかもコンピューターの要素の1つですけれども。それを環境中にばらまくことによって、そういう自動認識するような環境をつくり上げようと、それをユビキタスコンピューティングと、こう呼んでいるわけです。
 そういうことをやろうとしたときに、よく出てくる話として電子タグとかセンサーという、要するに、これは何ですかとか、温度とか湿度とか、そういうような加速度とか、いろいろな方位とか、いろんなものがあるんですけれども、そういうようなアナログ状況を認知して、それをデジタルデータに変えてコンピューターがわかるようにするような、そういう装置です。あと、状況操作のためにアクチュエーターです。状況がわかって――わかっただけではおもしろくないので、例えば雨が降ってくると窓を自動的に閉めるという応用を実現するには、雨が降ってきたというのはセンサーがあれば自動的にわかるわけですけれども、先ほどから言っているように人間の負荷を減らそうとしていますから、そうすると自動的に窓が閉まらなければいけないとなると、窓にモーターを入れなければいけない。そのモーターがしかもコンピューターでコントロールされていなければいけない。そういうのをアクチュエーターとかエフェクターといいます。
 それから人間がそういう指示を出すために、こういう端末だか、音声認識のマイクだか、指示をするための何らかの道具がいるわけです。
 もちろん、それを判断するためのコンピューターというのは、分散されているコンピューターがみんなネットワークで結ばれて、そういうことを判断するわけです。簡単な例で言えば、この建物の周りにセンサーがたくさんあって、窓の開け閉めも全部自動的にできて、空調のコントロールも自動的にコントロールできるようになっていれば、雨が降ってなくて、気持ちのいい風が吹いているなら、窓を開けて風を通し、雨が降ってきたり風がなくなったら、自動的にそれを察知して窓を閉めて空調を動かすなんていうことがプログラミングするだけでできるようになるわけです。当然人がいないところの空調や電灯は自動的に消すとか、そういう省エネも当然できるようになるわけです。
 この状況認識の中で、そういうセンサーというのは結構前からあったんですが、環境のデータで温度とか湿度とか今言ったような風が吹いているとか、そういうこともおもしろいんですけれども、現実の世界の状況を認識しようとすると、それだけではなくて、ここに机があったり、椅子があったりするわけです。そういう物が何があるかということも認識しないと、単に温度が何度だけでは不十分ではないかという、そういう話がここのところ数年に情報の分野で非常に注目されています。そのために、さっきの倉庫の話のように、物にいろいろ認識するために小さなコンピューター要素をつけようという話が出てきたんです。これをタギングといいます。
 後でお話ししますけれども、物が認識できるようになると環境問題を話すときは非常にいいことが出てきまして、物のライフサイクル通しての管理ができるようになります。例えばこういう机が今ありますけれども、この机を使っているときはここに机があるということを知るために、ここにコンピューターをつけるというのは非常に意味があるんですけれども、この机を処分しようといったときに、どうやって処分するのかもそこについているコンピューターからいろいろなことがわかるようになります。生産から廃棄までいろいろ使えるのではないかというようなことで、物のライフサイクル管理というようなことで、タギングが今、非常に注目されています。
 それともう一つ、最近「食」の事故がものすごく起こっていますけれども、いわゆる食品トレーサビリティにもタギングが重要です。特に重要なのがバックトレースで、食品から、一体だれがつくったんだ、いつつくったんだと、食べて平気なのかというようなことを、そこについているタグから情報をたぐって判断できるようになります。
 タギングによって、インターネットの中にあるいろんな情報と現実の世界にある物がつながるようになるわけです。食品トレーサビリティを初めとして、薬品から建築部材までいろいろの分野の物に関するトレーサビリティもみんな同じ考え方で可能です。
 当然なんですけれども、トレーサビリティにおいて個体識別ということは非常に重要になります。今、自動認識技術で言うと、例えば店で売っているペットボトル飲料を見るとラベルに商品バーコードというのがついています。この商品バーコードというのは、POSレジスターのためにつくられた技術で、これたかだか20年ぐらい前の技術なんですが、ここで注目したいのは、POSという技術によって、今のスーパーマーケットを初めとして小売店でのお金の計算が自動的にできるようになったんです。しかし、個体識別ができないから、食品トレーサビリティには使えないんです。
 例えばペットボトルが100万本生産されても全部同じバーコードしかついていないんです。商品の種別しかわからない。これは何でかといったら、小売店でのお金計算のためにつけているものだからです。だけれども、食品トレーサビリティをやろうと思ったら、個体識別ができなければだめで、100万本つくったら100万本全部が区別できないとできないんです。何工場でいつ作られたという生産ロットがわかるだけでも進歩ですが、たとえば輸送過程で炎天下裸で運ばれたものと、冷蔵コンテナで運ばれたものは、同じロットのペットボトルでも変質して別のものになっているかもしれない。だから、見た目が同じペットボトルでも一本一本を別のものとして認識できないといけないのです。
 それで、いわゆる個体識別IDをつける――一個一個全部別の番号をつけようということが、最近非常に注目が高まっているわけです。
 これも後でご紹介しますけれども、最近私やろうとしているのは、物だけではなくて、場所も一緒ではないかということで、あらゆる場所に同じこのID番号を振ることによって認識しようということです。場所についてはいろいろな表現の仕方があって、衛星を使ったGPSみたいに地球上の絶対座標を知るということやり方もあるんですけれども、タギングすることによって、必要な解像度でそこの場所を指示することにもこのアイデアは使えるのではないかというようなことを言っています。
 このIDの話は非常におもしろくて、たとえで言うと、それを世界レベルで標準化することに成功すると、1つは、物につけた場合には、全世界共通製造番号になりますし、もう一つ、場所につけることに成功した場合には、全世界共通郵便番号ということになるわけで、いろいろなおもしろい展開が出てきます。先ほどのお話の中にありましたように、いろんな物をシームレスに情報をつなげていくということは、今、世界中の大きな関心の1つの対象になっていますので、標準化ということは非常に重要です。
 センサーネットワークですけれども、センサーネットワークというのは、超小型のセンサーを環境中に大量に配置することによって、現実の状況を知るというわけで、ここでは余り細かな具体例は言いませんけれども、EUなんかでも非常に注目しているのは、小さな環境センサーを町中に入れることによって、たくさんのセンサーをつけて、要するに局地的な天気予報をしようというような応用です。
 それとアクチュエーターとエフェクターですけれども、今さっき言いましたように、照明、ドア、窓、空調、ロボットなど状況操作できる機器を、状況がどうなっているかを知るだけではなくて、さらにフィードバックをかけることによって制御して、環境全体をオートメーションシステムにしようという、そういうような話で、「スマート・エバイロンメント」という呼び方がございます。
 先ほど言いましたように、端末が重要になるというのは、そういう「賢い環境」に対して、何か指示を与えるために何らかの装置がいるんです。とにかく人間からの要求を受け取ったり、人間に情報を与えるために何らかのインターフェースがいるんですけれども、このインターフェースが非常に重要だと思います。
 特に、モバイル端末が非常に重要だと思っています。もちろん、端末なしにそれこそセンサーを使って環境が個人をモニターするというようなこともできるんですが、人間のモニターはよっぽど気をつけてやらないと、セキュリティ、プライバシーの問題の大きな壁が出てきて、本当はコンピューターのほうからいったら人間にも全部タグつけて全部モニターしてしまうというのが一番簡単なんですが、要するに刑務所に入っている人にタグを埋め込んで、どこにいるかわかるようにするというのを一般の人に全部つけるのかなんていうことになって、とんでもないということになってしまう。やっぱり人間にタグをつけるのは余りよくないのかなとなると、逆に人間が環境をモニターするという考えならどうかというような発想になりまして、そうなると人間が端末持つしかないということになるわけです。
 そういうことで言うと、もう一つは、人間が持っているモバイル端末というのは非常に重要だと思うのは、それがエージェントなんですよね。環境が個人のことを知っているのは気持ち悪いけど、今の携帯の電話帳機能にプライバシー情報を入れても気にならないように、自分の端末なら自分ことを知ってもらうのはかまわない。自分の味方だからです。で、そのユーザーのことを知っている端末が、賢い環境とネゴシエーションして、ユーザーのために調整してくれるというイメージです。代理人、要するにコンピューターとそういう環境と人間とをインターフェースする代理人に端末がなってくれて、代理人を通してそういうコンピューターシステムに接続するという考えになると、何らかのやっぱり個人持ちの装置がいるということになるわけです。
 残りのほうで、ユビキタスでエコロジーということなんですけれども、1つは広範な社会プロセスの効率化ということはやっぱり求められていまして、エコロジーのための直接作業の省力化、自動化、この自動化は非常に重要だと思います。どうやって自動化するのかということをこれ考えないとだめで、後でも言いますけれども、自動化はすごく重要です。
 ミクロな情報とマクロな情報があると言ったときに、どちらも重要なんですけれども、やっぱりミクロの情報の集積が非常に重要で、例えば数時間後の非常に確度が高い電力消費予想ということができれば、発電所を止めることをできます。今ご存じのように発電所を止めるとなると、ある程度の単位のブロックで止めなければいけないので、これは結局精密な需要予測ができないために必要以上に余裕を持って動かしていて、それが結構環境に負荷を与えていると思うんですが、正確に予測できるようになれば、使わないときは発電所を止めるということできるでしょう。しかし、それをやろうとすると、マクロ予測ではなかなか限界があるのではないかなということで、やっぱりミクロのアプローチを入れないと難しい。グローバルなものというのは、こう言っては何ですけれども、終わった後にそのグローバルに見て、ああどうだったのねとか、大きく見ていく目にはいいんですけれども、そういう政策立案するときなんかにはいいと思うんですけれども、日々何かこうエネルギーを落とそうなんていうことを思ったときには、もうミクロにやるしかなくて、それはもういろんな実験結果で出ているんですけれども、たとえば、最近のタスク・アンビエント空調照明ですね。
 タスク・アンビエントというのは、空調をこう大きくどっとやるのではなくて、例えばもう極端なことを言うと、大きなオフィスで、それぞれの働いている人の机のところから空調がひょんひょんとこう出てくるとか、照明も全体照明をやめて、全部自分の机のところだけにしようといって、それで使っている人と使っていない人をきめ細かく、さっき言ったようにセンサーをつけておいて、いすに座っていないんだったらもう空調を止めて、ここにだれか座っているか、さっきも言いましたように、ユビキタスコンピューティングというのはそういう技術ですから、だれが座っているか座っていないか全部わかる。究極のユビキタスというのは、そういうことです。この部屋でいすがあっても、どこに座っていて、どこに座っていないかわかれば、空調機を決め、しかももう一つ重要なことは、空調機がきめ細かくなっていなければだめなんですけれども、きめ細かくなっていれば、止めてしまうことができるわけです。ですが、いわんや人がいない部屋だったらもう全部止めてしまえばいいわけですし、全部電気切ってしまえばいいわけです。
 それを何度も言うように、人間がやるのは無理です。そんなこと人が余っている国なら、ばっと空調を止めるだけの係とか、電気を消すだけの人ということを配置して、ぱかぱかやればいいかもしれないけれども、日本でそんなの絶対無理ですから、そうなるともう自動化するしかない。さらに根本的な設計方針を変える。要するに、タスク・アンビエント照明になるような建物にしなければだめで、今みたいにこう全部がついていないとだめというような話になってしまうと、これできないんですけれども、そういうことに例えば変えていく。
 それやった場合、どのぐらい効果があるのかというのは、いろんな実験が今行われているんですけれども、大体半分ぐらい減るんじゃないという、そういう話が出ていて、結構いけるかもしれない、そういうきめ細かくコントロールするというのは結構いくかもしれない。
 それと、もう一つさっき言ったように、エコロジーのための直接作業をできるだけ省力化して、自動化しなければだめなんです。これは重要で、ストレスフリーということでやらない限り、まず無理だと。人に負担をかけるようなことをやった場合こういう先進国でそれを強制するのはなかなか難しくなります。
 それで、例えばこういう例があるんですけれども、パロアルトで、これはアメリカの例ですけれども、ごみ収集するときに、リサイクルごみのガラス瓶、缶とか、プラスチックとか、新聞、雑誌とか、いろんな分別の収集というようなことを、これどこの国もみんなやるんですけれども、フランスもやるし、イギリスもやるし、日本もやっているし、みんなやるんです。
 おもしろいデータが出ていて、日本人は世界で最高に分けるらしいです。それで、もう全然分けないイギリスとか、そういう言うことを聞かないフランスとかいろいろあるんだけれども、やっぱりアメリカも余り言うことを聞かなくて、じゃ思い切って分別やめようと言って、そういうことを言って、例えば巨大なプラスチック製の標準ごみ箱というのを各家庭に配って、とにかく分別する必要ないからリサイクルできそうなものはこの中全部入れてくれというふうに変更したらかえってリサイクル率が上がった。それをさらに進めるためには、ごみを自動分別する装置の開発をして、そういうものをちゃんとごみ収集所につけなければだめです。
 そのときに製品にはじめからタグがついていれば、ごみになって捨てられたものを集めてベルトコンベアを流しながらそのタグの情報を読みとって分別を自動的に行うごみの自動分別工場みたいなものをがつくれる。とにかく、市民に努力を強いるかわりに機械で効率化するといったことが非常に重要で、効果と結果重視の実践的なそういう意識的アプローチが私は重要だと思います。日本の分別率は確かに高いのですが、どうやっても100%近くになることは不可能です。そうなると、結局分別工程をなくすことはできません。だとしたら、むしろ個々の家庭では「リサイクルできそうか」という基準で仕分けてもらう程度の気軽さにして、むしろちゃんと出してもらうことを優先する――その方が全体の効率が上がったというのがパロアルトの結果です。
 日本は、どちらかというと正しい振る舞いを重んじる精神主義的アプローチの国ですが、精神主義だけでは限界があるのではないかなというのがありまして、そういう人間にやってもらうときに効果がありそうなのが、環境負荷の「見える化」です。見える化は重要で、これは先ほどの福井先生の話の中にも可視化するということが非常に重要だという話がありましたけれども、私も全くそう思います。
 「レコーディング・ダイエット」――1年ぐらい前かな、そのときに「レコーディング・ダイエット」というのがあったので、本当かと思ってやってみたら、10キロ減りませんけれども、3キロ減りました。
 だから、やっぱり記録する――見える化するというのは、人間の意識へのフィードパックになかなか効果があるようです。精神的にやるのなら見える化は大事です。だけれどもやっぱり人間のやることには限界がある。だからその先に行くには、もうちょっと直接的効果をねらうんだった実践主義的アプローチをある程度とるしかないということになるわけです。
 ユビキタスのときに何が必要かというんですけれども、問題になるのはコストで、コストの削減に重要なのは、オープンでユニバーサルな標準基盤です。さっき言ったようなことで、いろんな機械があって、きめ細かに空調して電気消すとか、外のデータが雨が降っているか降っていないかといったときに、これ電気機器メーカーとか機器開発メーカーがばらばらにいろいろな目的のセンサーをつけられたら、これたまったものではなくて、もうセンサーだらけになってしまいます。
 ですから、そうなると、例えば町につくるセンサーはやっぱり標準化する必要が出てきます。建物についているセンサーも標準化して、でてくるデータも標準化して、空調とか電灯とかいろいろな設備とつなげて、一つのセンサーをいろいろな目的に使えるように標準化をしておかないと。今、日本で一番いけないのは、例えばホームオートメーションが何で普及しないかというと、ある電器メーカーがつくったものは、全部自分のところの電気製品につながない限り連動しないようになっていたりするんです。そんな人いないですよ。電気製品を特定の会社のものだけにする人というのは少ないと思います。やっぱり、電気冷蔵庫はA社、テレビはB社、それから何かデッキはC社とかというふうに、みんなが別々のものを買うわけであって、どこか1個のメーカーのものだけしか使わないなんていう人はいないです。
 そうするとやっぱり、標準基盤というのをつくらなければいけない。私の端末はN社だからM社のビルでは効果が出ないというのは困る。例えばそういう端末持っている人が来たら、その端末でもこの部屋のコントロールができるようにするには、やっぱり標準化ということが必要です。
 一言で言えば、オープンでユニバーサルであるということが重要で、このセンサーは防犯用だから照明制御に使えないでは困るんです。日本の法律では、大体消防防災関係のセンサーの端末利用に制限をつけているというのが問題で、やっぱり直ちにこういうことは変えなければいけない。だから、これはもう法律が非常に重要だと思います。同じようなセンサーを消防用は消防用、環境制御は環境制御となるから二重投資になってコストも上がるんですよ。やっぱり、これからは低コストでいろいろなものを標準化を進めることによって、センサーつけるんだったら多目的なものにしなければいけないと思います。
 ということで大体おしまいです。ここから後は、具体的に言うとucordという、私が5年ほど前から国際標準にしようとしてきたものの話です。こういうタグとかセンサーをユビキタスシステムの中でどう標準化するかということを考えると、それらを抽象化する層が必要で、そのためにuIDアーキテクチャとか、いろいろな実際の端末をつくって、省エネに使えるとか物のトレースに使えるとかという実験を繰り返しています。興味おありの方は、ここを見ていただいたり、私の岩波書店から出している新書であるんですけれども、『ユビキタスとは何か』というのをちょっと見ていただけると参考になると思います。ありがとうございました。

○浅野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、お二方からお話を伺いましたので、ご質問あるいはご意見、もう特に区別をするのはむだなことですので、お二方に対してご発言があればお願いをしたいと思います。では森口委員、どうぞ。

○森口委員 両先生の話題で、大変な勉強になったんですが、両先生ともまとめて今ご質問させていただいてよろしいでしょうか。先に、福井先生に1問と、坂村先生には多分二、三になってしまうかと思うんですけれども、質問といいますか、お考えを教えていただきたいと思います。
 坂村先生のお話の中で、現実と仮想という話をおっしゃったことは非常に印象に残っているんですが、福井先生がプレゼンされた中で、特に地球環境の場合というのは、なかなか現実を我々知ることができない、直接その現場に触れることができないので、ああいう画像情報なんかの中で、合成したものを見ていくと。これは非常に有効だと思うんですが、一方でやはりそういうプロセスの中で、現実と仮想との区別が受け取り手にとって非常にわかりにくくなっているかもしれない。特に、地球温暖化の将来のシミュレーション画像などは、我々も扱うこと多いわけですけれども、こういったことの中で、どこまでが現実でどこまでが非常に不確実な予測なのかということを、やはり画像情報なんか、特にメディアなんかを通じて流れると、そこの区別が非常につきづらくなっている。
 それが場合によっては、その受け取り手の誤解を生む、あるいはそういったものがその意思決定に使われる段階で、情報のつくり手が意図しないような使われ方をするおそれがあるのではないかなということを、非常に最近気になっておりまして、そういった観点で、今日お話になったそのデジタルアースなんかのメリットも大いにあると思うんですけれども、そういったものがつくられたときのその受け手側のリテラシーみたいなものとのマッチングがうまくいくのかどうか、そのあたりちょっと教えていただければなと思います。
 それから、坂村先生がお話しになったことは、いろいろ私自身も、例えばライフサイクル管理ということですと、今廃棄物・リサイクルのところを専門にやっておるものですから、特にこれは重要だと思っておりまして、それに関して言いますと、例えば自動車だとか家電なんかというのにはリサイクルの法律がありまして、自動車の場合は、日本は車検制度がありますので個体管理をしているんですが、家電製品ですら実は個体管理ができていない。個体管理をしないとなかなか料金の管理なんかができないので、そのための間接コストが非常にかかってしまうというような議論をしているものですから、RFIDなんかがついていくとか、非常にこれは便利だと思うんですが、ちょっと気になっておりますのは、自動車ですら個体識別番号を偽装というか、削り取るような犯罪行為があるわけです。
 もう家電なんかだと、簡単に今、リサイクル券なんて張っているわけですが、あれを張りかえるというような悪質な行為がある。ペットボトルなんかになると、その個体の例えばタグをつけられたとしても、それが本当に個体についたままに、本当にその個体とタグとを切り離さない、その悪意のある人からのそういう行為をどうやって防止するのかというのは、やっぱりイメージがわかないところがあるんです。やはり、生き物の遺伝子みたいなものであれば、最後までついて回りますけれども、そこまでのところに果たして技術で何か高め得るのかどうかというのが気になって、そこのところ、もし見通しがあればお教えいただきたいなと思います。
 長くなって恐縮ですが、質問もう1問だけにしますが、見える化ということに関して言えば、まさに今環境省でもCOの見える化という話をやっておりまして、私もかかわっておりまして、そういう意味では、そのいろんな商品へのそのラベル、商品情報をいろいろ統合していくということがあると思うんですが、今おっしゃった食品であるとか、食品の成分であるとか、環境関係のラベルであるとか、いろんなラベルが今、ある意味では乱立していて、それこそ商品に表示する場所がなくなってくるのではないかと、こんな議論まであるわけで、それをやっぱりRFIDなんかに持っていくと非常に有効だと思うんですけれども、そういうことの中で言うと、これは役所の審議会ですのであえて申し上げるんですが、いろいろ各省でやってこられたそれぞれの独自の世界があって、やはりユニバーサルでないということの原因は、1つはそこにあるのではないかなと思うんです。先生いろいろやってこられた中で、こういういわゆる縦割り的なものが障害になっているのがあるかどうか、そこはどうやれば突破できるのかということも、この際もしできればお考えをお聞かせいただければと思います。先生には、2点でございます。

○浅野委員長 ありがとうございます。
 二、三ご質問をまとめてさしあげて、それからお答えをいただくことにしたいのですが、ほかにご意見、ご質問ありますか。遠慮なくどうぞ。恒川委員、何かありますか。

○恒川委員 今日も大変勉強になりました。
 質問をお二人にしたいと思います。今、森口先生言われたように、温暖化とかごみの問題に、ユビキタスとか、あるいはデジタルアースとかというものが役に立つというような話だったと思います。自然環境を専門とする側からすると、自然環境の側に対して、あるいは自然のエコロジーに対してユビキタスがどういうふうに役立つのか。あるいは、福井先生に対しては、このデジタルアースが生態系の保全管理というものにどういうふうに役に立つのか、そういう具体的な事例を教えていただけるとありがたいというふうに思います。

○浅野委員長 それでは、筑紫委員どうぞ。

○筑紫委員 大変ありがとうございました。お二人のプレゼンテーションで、本当に目が開かれる思いですが、とても基本的なことを伺いたいんですが、坂村先生、もしそういうユビキタスの社会になって、私たちの人間の判断の負担を減らしてくれたら、じゃ人間は何を考えたらいいんでしょうか。どんな社会になると思いますか。ちょっと先生のイメージを教えていただければと思います。本当にいいことだけを考える社会になるでしょうか。

○浅野委員長 いろんな専門委員がおりますので、しかしかなりおもしろい話かもしれません。惠委員、どうぞ。

○惠委員 お二人の先生、ありがとうございます。私は、市民社会がデータの発信者となるというVGI、参加GISの福井先生のお話の中で、ボランティアとして情報が出せるかどうかという、例えば水質調査とか、生き物調査とか、そういうものに参画をして情報を出すという市民が、私たちの出す情報はある意味ではセンサーとしては正確ではないかもしれない。しかし、あるなしだけでも発信するのはいいのではないかという、そういうスタンスで動いているところもあるんですが、その情報の精度などについて、もし何かお考えがおありでしたら、いろんなレベルがあると思うんですが、市民はどうやってかかわっていったらいいかなということをお尋ねしたいと思います。ありがとうございます。

○浅野委員長 質問の名宛人はどちらに。

○惠委員 できればお二方にお答えいただけるとありがたいです。

○浅野委員長 お二人とも答えていただきたいということですね。わかりました。
 藤田委員、どうぞ。

○藤田委員 お二人の話題提供、ありがとうございました。非常に勉強になりました。私自身、自治体の環境センシングシステムという、これを実際に議論をしている中で、お二人のお話をいただいて非常にまさに目を開かれたわけなんですが、1点ずつ先生方にご質問させていただければと思いますが、まずは坂村先生のほうには、1つは、マクロとミクロからとおっしゃいましたが、実は都市までのセンシングネットワークは可能だとおっしゃっていただきました。
 その際に、その観測装置なり観測システムなりユビキタスシステム、それを標準化することも、これは重要だと思うんですが、例えば出てきた、いろいろなところから計測された廃熱とか排水とか廃棄物、それが都市単位でやっぱり検証されて、まさにその福井先生が総称されたマクロな部分で検証するシステムが、これがないとその個別のユビキタスなセンシングなりモニタリングというのが認証されなくて、それが大きな政策に展開できないような印象があるんですが、そうした視点で、その環境上ユビキタスな環境情報を公共財化するための方策等について、もし先生お考えのところがあれば教えていただければと思います。
 福井先生のほうには、実際にデジタルアースの大きな枠組みから、実際に藤沢でおやりになってらっしゃるようなプラットフォームまでお示しいただきまして、恐らくそのワンストップポータルというのは、そういう国土スケールでの情報提供からその都市スケールの情報提供まで、それぞれの階層的なポータルをおつくりになるというご提案だと思ったんですが、実際の自治体との方々と、あるいは市民の方とお話をすると、データまではいいんですけれども、どうもサイエンスとかあるいはサービスというと、その瞬間にコミュニケーション不能に陥る状況がありまして、このあたりで先生のご経験から、こうした方法があるというようなことをご示唆いただければと思います。ありがとうございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。小林局長、先にご退席なさるお聞きしておりますが、何か、よろしゆうございますか。
 それでは、ここら辺、質問がある程度たまりましたので、どちらからにしましょうか。では、福井先生から、どうぞ。

○福井委員 非常に多くのことを聞かれたので、なかなかすべてお答えできるかわからないんですが、まず環境情報を見える化をして、それで例えば地球温暖化のシミュレーション予測というのがありますが、これについても、例えば今ネット上で地球の温度変化がどうだったのかということを見ようとすると、なかなか個別のデータに当たることが難しい状況です。
 例えば、アメリカのそのアカデミープレスの中に最近出た、地球の温度に関する情報があって、そこには1枚のチャートがあるだけで、それで実際には具体的にそれぞれのデータがどういうデータソースからつくられたのかいったようなことがわかりやすく検証できない可能性があるので、このあたりをうまくシミュレーションをやれば、感度分析の結果を1枚の絵ではなくて、実際にそのある条件を変えたらどのように分布が変わるのかという、そういう感度がわかりやすく見えるような仕組みをつくる必要があるし、個別のデータについては、データのソースについて、それぞれどれぐらいの確からしさがあるのかといったようなことが、科学的な検証ができるような仕組みを、今のITを使えばある程度できると思われるので、そういったところを今後充実をさせていく必要があるのではないかと思っています。
 市民社会が、実際に今の例えばGoogle EarthのAPIを使って、いろんなデータをタブづけをして提供していくわけですが、それについては、ある種の専門家集団が介在するという仕組みがネット上でうまくつくることができないだろうか。例えば、ある生態系の基礎調査をやったときに、どこにどういった動物種がいるかとか、あるいはそういったことが、市民からここで発見をしたというような情報が伝わったときに、そういう情報を集めてきて、専門家がうまくそれに対して応答をする仕組み、あるいはそれを認証していく仕組みといったようなものが、ネット上でつくれる可能性があるのではないかというふうに考えています。
 そういう過程を経て、公共財としてスクリーニングされたデータが、ある一定の確からしさを持って流通していくのではないかというふうに考えています。
 それから、具体的に私たちも、例えば資源エネルギー庁の高レベル放射性廃棄物の処分事業ということで、全国に1カ所、これから地層処分という形で最も迷惑な施設をどこかにつくっていかなければならないわけですが、そういったときにこういう空間情報とか、あるいは意見の交換の仕組みが、ネット上でうまく継続的に実験ができないだろうかという実験をここ数年やっているんですけれども、これについても、まだまだネット上からアクセスをする人が非常に少ないということと、現実のコミュニケーションとどう融合してやっていくかといったようなことの仕組みが、うまく社会実験として実証されていくと使われる仕組みになっていくのではないかというふうに考えています。
 以上、少し簡単ですけれども、回答させていただきました。

○浅野委員長 藤田委員のご質問についてはよろしいですか。

○藤田委員 市民社会においてそうしたジオインフォマティクス的な構造をどのように展開していくか。多分、最後におっしゃったことがその部分なんだろうという理解をさせていただいたんですが。

○浅野委員長 では、坂村先生、どうぞお願いいたします。

○坂村教授 幾つかご質問いただいたのでお答えしたいと思うんですけれども、まず順不同になるかもしれませんけれども、先ほど森口さんの言われていたどこまで現実なのかというのは、私も非常におもしろい、そう思いました。
 先ほど、福井先生のあれを見ていても、森林がどのぐらいあるかというのをパーセンテージを変えたことによって多くなったり少なくなったり、こうわっといくらでも違うイメージになってしまうんです。
 ですから、わかっている人がそういうことをやればいいんだけれども、逆に言うと情報というのは操作すると、何か特定の意図を持った人が何かそういうものをうまく利用してしまうというのは、これはやっぱりなかなか難しい問題で、もう一つ、先ほど惠さんもおっしゃっていたボランティアのいろんな情報の精度というのは、これ非常に私は重要だと思うんですけれども、そこでもやっぱり同じことが言えて、いろんな環境をオープンにしていろいろな人が意見を言えるよと言ったときに、これはネットの世界で今起こっていますけれども、その情報が正しいのか正しくないのかとか、玉石混淆で出てくるわけです。いいもの悪いものも全部出てくるわけです。そういう問題もあったりして、結局、情報に対してある程度のレベルを設けないと、いろんな情報が玉石混淆で出てくると、これなかなか難しいんです、ちゃんとレベルがないと。その判断のためには、だれが出したのかということをちゃんと明快にしておかなければだめです。
 センサー情報もそうで、いい加減なセンサーから高精度なセンサーまでありますから、合っているか当たっていないかというのは、そのセンサーがどういうセンサーなのかというようなことで、どういうセンサーの情報が集まったものかということを明快にしないと、やっぱり正しくないんです。ですから、情報で重要なのは、やはりだれがどのぐらいの精度でどうだということを、ちゃんと情報の出し方に対してのルールを標準化しないと、出せばいいというわけにはいかないということなんです。
 ただ、さっき言ったボランティア情報みたいなものというのは、私は非常に重要だと思っていまして、今やネット社会になってわかってきたことというのは、1人では何もできないです、結局。いくら国家が強くても、国家だけでやるというのはなかなか難しいということがわかってきて、いろんな人のもつ現場の情報が役に立つんです。
 それを利用しないとどうしようもないというのは、先ほどのエコロジーの話がちょっとあったんですけれども、私は国土交通省の河川局の社会資本整備委員会の河川をITでどう管理するかという委員会に出させていただいていて、そこでも出ているんですけれども、川が氾濫するのかしないのかと、もちろんユビキタス技術のセンサーをたくさんつくってモニタリングすればいいんですけれども、現実的に全部の川に必要なだけセンサーがつくのかといったら、やっぱり最後はつくかもしれないけれども、そこまでずいぶんかかる。そうするとやっぱり、その川の近くに住んでいる人が目で見て川がこうあふれてきていますよという情報というのは絶対重要なんです。
 ですから、すべてを自動化するのでなく、そういう人間系の情報もやっぱり一緒に入れないと現実的ではなくなってくるんです。ですから、それをどう標準データの中に入れるんだということも出てくる。エコロジーにもこれ関係するんですけれども、やっぱり川の生態がどうなっているかというのを知ろうと思ったとき、やっぱり住んでいる人って重要なんです。ですから、大学の先生が調査とか行くことももちろんやるんだろうけれども、やっぱりそこに住んでいる人というのはずっと住んでいるわけだから、やはり貴重な情報を持っている。もちろんセンサーネットは役に立つんだけれども、そういう人間とそういうコンピューターシステムを融合させることをどうするのかというようなことが、非常に重要になってきました。
 そうなってくると、センサーに関しても、やっぱり多目的に使っていくということが重要で、何かだけというわけにいかないです。また、さっき言ったように情報にレベルをつけるということは非常に重要だし、そういうセンサーもみんなが使えるというふうにしないとやっぱり社会に受け入れてもらえない。これがさっきから言っている標準化とオープンということなんですけれども、それが重要で、例えば今、国土交通省と一緒に自律移動支援プロジェクトという、町中に埋め込んだコンピューターで障碍者を助けようというようなことを言っているんですけれども、それはどういうことをやるかというと、市町村が例えば段差があるというようなデータをそこの埋め込まれたタグのところに来るとわかるというような情報を出そうというんですけれども、これも限界があって、すべての段差、すべての道の全部なんていったって、なかなかできない。だけれども、親切な人がいて、自分のうちの前の道のところに穴があいているといったら、その情報がやっぱり発信できるようにして、ほかの人がそこで転ばないようにしようといったら、やっぱり市民参加ということは絶対に重要になってくるんです。ですから、そのあたりが、私はどうやってみんなを巻き込んでいくかという制度をつくるかが大事だと思いました。
 ほかに抜けちゃったものだけ言っていきますと、ライフサイクルの個体管理をするときに、個体から取ってしまうのをどうするのか。これ絶対的な解はないです。やっぱり、これはもう、私は言っているんですけれども、法律つくるしかない。食品トレーサビリティでも全く同じで、いくらタグつけて食品トレーサビリティでこれはだれがつくって、いつつくって、どうやって運んできたかがわかるといったって、一番最初の状態から全くうそをついてるというものはどうしようもない。開き直るわけではないけれども、コンピューターでそれをやることはできない。だって、それはもう最初の段階でどこか別の国から持ってきた牛肉を国産牛といってしまったものが本当は何かわかるというのは、それは無理です。それに関しては法律が出てくるしかない。なにもかも無理やり科学技術で解決するなんてことをやっておったら莫大な金がかかってしまうので、もうそこは法律をつくるしかないんです。ルールをちゃんとつくるしかないです。ですから、絶対に法制化しないとだめで、かなり厳しい法律をつくって、やっぱりペナルティを与えないと、やっぱりいろんな人がいますから無理だと思います、それに関しては。
 それから、2番目に縦割りの話なんですけれども、全くそうおっしゃるとおりで、なかなか日本人ってイニシアティブを世界的にもとりにくい、そういう願望はあるんだけれども、なかなかとれないです。何でとれないかというと、やっぱり標準化が下手なんです。標準化というのは人にある程度自分が決めた方法をやってくれというわけです。そういうのがだめなんです。国内でもだめなんですよ、なかなか。だから、どこかのだれがやったら、同じようなことを、わざと別にやるとか。ここに限らず、いろんなものが結構だぶってしまっているものが随分あるんです。ですから、それをやろうとすると、だれかが仕切って、説得して、必要なら圧力をかけてそれで標準化しなければだめなんだけれども、それがものすごく重要だと思います。
 特に、センサーとかRFIDとか、さっきの個体識別番号なんていうのは、1回決めればみんな同じに使って絶対使えるんです。それをわざわざ、例えば番号体系つくったものを別の番号体系なんかにされたら、いろんな違う体系のものが幾つも幾つも出てきてしまいます。それはやっぱり困るんです、そういうことやられると。
 それと、だから例えば簡単な例で言うんだったら、みんなが重さというのはグラム、キログラムでやろうと言っているのに、そのときにやっぱりポンド変えないなんていう人が今いるけれども、やっぱり困るので、やっぱりキログラムでやって、みんながだってISOで決めたんでしょうというのに、そういうことをやっぱり決めたものを標準化するということに対しての意識をやっぱり高めるべきだと思うんです。
 ユビキタスに関して言うと、私のところだと、さっきのuIDアーキテクチャというのが、おかげさまで5年ぐらいやって、ITU、インターナショナル・テレコミュニケーション・ユニオンというところの標準化をとったので、やっと総務省も使ってくれたり、国土交通省も使おうとか、経済産業省もこれ使ってみようとか、いろんな省庁が、どこかの省庁がつくったというのでなかったのがよかったのかもしれないですけれども、番号振るときのルールは少なくともucordという私のものでやりましょうというようなことをやってくれたので、そういうことを環境の世界でもやるときにはucordを使っていただけるとなると、今日来たかいがあったなという感じがあって、浅野先生にお願いしに来たんですけれども、それがございます。
 それから、あとちょっと抜けたところで、人間が何するは難しいので一番最後で、ボランティア情報は重要だと思いました。
 それから、藤田さんのおっしゃったユビキタスの標準化が、これがマクロにつながっていくことも絶対事実で、やっぱりマクロとミクロというのは両方なければだめなので、これは非常に全くおっしゃるとおりで、あらゆるところで標準化できるものは標準化できるようにして、例えば廃熱とか、それでそういうものをミクロな例えばビル単位、うち単位でやったときに、出してくれないと困るんです、その情報を。それをどうやって出してもらうのかというので、情報をどこまで出すのかというのが、よくディスカッションしないといけないと思います。そんなの嫌だと言われると、やっぱりマクロ統計データをとれなくなってしまいます。余計なお世話だとか、どれだけごみ捨てているか言いたくないとか、またそういうことをやっぱり言ってもらわないとだめで、そういうのはディスカッションなさったほうがいいと思いました。
 それから、これ一番難しいんです。オートメーション化していったときに人間がどうなるかというようなお話が筑紫さんのほうからありましたけれども、いつもこういう問題について答えるんですけれども、やることたくさんあるんですよ、人間。だって昔、例えば江戸時代に言われていて、かご屋さんがいて、かごでもって東京から大阪行くまでものすごい時間かかって、それで行っていたのが、自動車になってどうなるんだといっても、そんなに急いでどこ行くという話があの当時出ていたんですけれども、どうもならなかった。もっと、エンターテインメントが広がりましたし、楽しみは広がったし、文化は栄えたし、だから人間ってとにかくやることたくさんあって、例えば食べることしかなくなってしまったら、フランス料理見ればわかるように、いろんな工夫をして、ここまでやるかといろいろなものをやるわけです。
 ですから、そういう意味でいくと、そういうような話と、ローマ帝国のときなんて、もうずっと楽しんでいたというし、私もつい二、三日前、源氏物語1,300年というので、宇治のほうのあそこで見てきて思ったんですけれども、あの時代、平安時代なんて400年弱ぐらい続いてしまって、割と平和な安定していた時代だったので、やることなくなったかといったら文化が栄えて、いろんなことをやっているんです。
 だから、そうなると、早くつまらないことから解放されて、そういう時代になったらいいなと。私はやりたいことたくさんありますから、早く今のやめて、もっと楽しみたいというふうにいつも思っています。
 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 それでは、金藤委員、亀屋委員、ご質問がおありでしたらどうぞ。

○金藤委員 お二人の先生ありがとうございました。
 感想ですが、今のようなお話を伺うと、環境情報が爆発してしまうのではないかと思われます。まさにこれらの情報をどの様に整理・処理するのかということになってくると思いました。福井先生に1つ質問があります。リスク社会への対応ということを述べられておられました。リスクというのは非常に捉えるのが難しい概念だと思います。それは、分野や立場によってその捉え方が異なるからです。例えば、製品の製造者側のリスクとその利用者側のリスクの捉え方が違います。そこで環境分野において、これをどう捉えていくのかということを教えていただければと思います。
 以上です。

○浅野委員長 それでは、亀屋委員どうぞ。

○亀屋委員 お二人の先生ありがとうございました。
 福井先生のところで可視化と、坂村先生のところで見える化ということで、環境情報の活用を考える上で、1つの理念といいますか、方向性として、私は化学物質の管理をやっているんですけれども、非常に弱い部分なんです。それを示していただきまして、その辺のこれからの考え方の柱の1つとしては、非常に重要だなという認識を持たせていただきました。
 ただ、その中で、その可視化することをいかにユビキタスを使って自動化していくかというところが、技術として必要なのかなというふうにも感じております。
 それから、福井先生のところでは、リスク情報ということがあったんですけれども、例えば私が今やっております化学物質の世界が、リスク情報といったものが、果たしていろんな環境情報がある中で、可視化しやすい世界なのか、しにくい世界なのか、その辺も自分たちできちんと考えていかなければいけないというふうに感じました。
 それから、坂村先生のところの個体識別というところなんですけれども、私がやっております化学物質の世界ですと、物が最終製品でも必ずしもなくて、物がガス状であったり液体であったり、流れているものであったりとか、一時期タンクの中に入っているとか、袋に入っているとか、そういった中間産品的なものであったりするわけなんですけれども、そういったものに何か個体識別的なトレーサビリティ的な何かやる方策というのがあるのかなと。そういった意味で、タグというのも非常におもしろいなと思うんですが、そのタグの中身にどういった情報まで含めるのか、そのタグというのはそこに物があるなしということだけをその情報として入れるようなものなのか、あるいはもっとそのタグの中にいろんな環境情報ありますけれども、それに関連するようなたくさんの情報が入るようなものなのか、その辺のことを少し教えていただきたいと思いました。
 それから、そういった中で、特に化学物質のところにつきましては、最近ポジティブリスト的なルールといいますか、例えば残留農薬であれば、これ以外の農薬は使っていませんというような考え方を導入をして、ある意味これはタグではないんですけれども、きちんと記録を残したりするようになっております。
 それから、ヨーロッパでもその化学物質の管理で、そのポジティブリストということで、登録された物質以外は使わないというような形で進んでいるんですが、そういった社会における情報提供であるとか、先ほど言いましたタグの中身になるのかもしれないんですけれども、そういったところのその提供の義務というのを社会制度化する必要があるのではないかなということも感じました。
 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 では、多田委員どうぞ。

○多田委員 大変示唆に飛んだご発表を聞かせていただいて、本当にありがとうございました。
 もう時間もあれなので、単純なことを福井先生にお聞きしたいんですけれども、私のところは環境のNGOなんです。それで、いろんな情報ソースから情報をとってきて、日本で優れた環境だとかサスティナビリティの情報を英語にして、メールといわゆるウェブで流しているんですけれども、非常に手間がかかる。もう300人ぐらいのボランティアを使った人海戦術で、非常に原始的なやり方をしているんですけれども、何とか今のところは成り立っているんですが、この提唱されているデジタルアースみたいなものが、こうプラットフォーム化して世界的に機能し始めると、そういう市民レベルでのある種の情報がいろんなところにだぶっているところからとってきて加工して英語にして載せるみたいな、そういう原始的な、ある意味では人間がやることはほかにもいっぱいあるので、ほかにいっぱいやれることのほうに専念できるような環境ができていくのかどうか、その辺のところを少しお伺いしたいと思うんですが、よろしくお願いします。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 それでは、事務局もおそろいですが、松本さん、満塩さん、西田さん、何かありましたらどうぞ。どうぞご遠慮なく結構ですよ。よろしいですか。
 それでは、今また3名の方から質問のようなコメントのようなというのが出てきたわけですが、特に化学物質に現実に取り組んでいる立場から言うと、なかなかつらいものがあって、どうしましょうなんていう話をやっている最中ではあるわけですが、何かこれについてはコメントをお二方からいただければと思いますが、今の3人の方のご質問コメントにつきまして、どうぞ。

○福井委員 リスク情報って非常にハザード情報とは違って、確率的な概念であって、しかも人間的な影響とか、あるいは生態的な影響というと、なかなか客観的なデータがないところで話をしないといけないということになると、やっぱり基本的には情報ソースを明確にして、多様な議論が見えるような形にしておくことが一番重要ではないかと思っています。
 特に、社会的なインパクトにどうかかわってくるのかということで、実際に守るべきものが人の生命とか、あるいは生態系というふうに明確にエンドポイントが明らかになった時点で、実際にどのような影響があるのかということまでを含めた情報提供でないと、確率の概念で終わってしまうと、非常に具体的に考えにくいのではないかと思っている。
 例えば、都市計画なんかのときに、よくこういう参加型のGISのメカニズムを我々何度かやるんですが、そうすると、マスタープランを議論するといったときに、テキストベースで議論をする、あるいはここにこんな事例があるというようなことを議論するということもとても重要なんですけれども、話がどうしても抽象化されすぎて、具体的な次のアクションにつながらないということになってしまう。ところが、具体的に自分の住んでいる町のここがこのように問題だという、そういう映像とか画像とか、より具体的な自分の身近に知り得る情報が媒体として発せられると、そうするとそのいろいろな議論がすぐ非常に具体的な話になる。そういう映像とか、実際のリアルな情報をどのように話の中に組み入れていくかというのが、とても重要だと思っています。
 最後に、多田さんがおっしゃられた、環境が一体どうなっているのかということで、私たちが今少しやっているのは、例えば実際の地球の姿を明らかにするというときに、衛星画像とかいろいろなセンシング情報の生のデータをできるだけ客観的に見せるというのは、デジタルアースの1つの側面なんですが、もう一つは、そういった環境の変化を人々がどう受け止めたかというのは、やはりいろいろな団体が発する、そういうニュースになるというわけです。
 社会のニュースソースをできるだけネットの中から集めてきて、例えば今、共同通信社とやっているのは、世界でニュースを発している英語のニュースソースが基本的に第一段階として中心なんですけれども、共同が、ここは比較的タイムリーに客観的なニュース報道をしているというような、ある種の少し専門家がスクリーニングをして、50サイトぐらいを世界中から選び出して、それは地域的な偏在をできるだけ排除してということなんですが、それで、毎日そのニュースサイトをクロールという形で数分おきに見に行って、新しいニュース記事が入っているとそれを集めてくるという、そうすると1日大体5,500件とか、多いときでもう少し上がるという、5,000件ぐらいのニュースソースが出てきて、それでそのニュースの中に先ほど言ったオントロジーのようなもので、自然言語処理をしてどういう言葉が含まれているかといったようなことを解析をして、それである1日というタイムスケールで、固有表現と呼んでいますが、人名とか組織名とか地名とか、そういったものが一緒ですと、これは同じことを言っているニュースだというふうにしてニュースをグルーピング化して、それをわかりやすくマッピングをしたり、記事データベースとして提供することで、人々がどういうふうに受け止めたかということができるというわけです。
 これは、もともとEUがヨーロピアンメディアモニタという形で、EUが統合して、それでそれぞれの出先あるいはそれぞれの国に実際に新聞のスクラップをやっているセクションがいっぱいあって、それをできるだけITを使って統合化してやっていこうという試みで、ジョイントリサーチセンターというところがやっているんですけれども、そういうその実際の生の情報と人々がどう受け止めたかというニュースリソースをできるだけ客観的に出していくような仕組みが相互に補完されると、よりどこまで現実かということが明確になってくるのではないかというふうに考えています。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 では、坂村先生、どうぞ。

○坂村教授 先ほどのガスとか液体とか、そういうものなんですけれども、そういうのにも私たち個体識別番号をつけようとしていまして、個体識別番号というのは必ずしもタグに入れるという必要はないんです。もっと言うと、区別したいまとまりに番号を振るというようなことで、それが私のuIDアーキテクチャとかucordの特徴で、極端なことを言うと概念にまでucordを振っています、最近は。
 ですから、そういうことをやって、すべて区別したいものにucordを振ったときに、そのucordの関係からいろんなものをデータベースで推論するんです。いろいろどういう関係にあるかというのは。そういう研究を最近やっていまして、ucordとucordからまたucordができると。これはいろいろあって、いきなり違う例になってしまうんですけれども、食品をつくるときに材料が1個のものはないので、もとの材料が例えば、お豆腐をつくるときに大豆にもucordが振ってあって、そのほかににがりとか塩とか、そういうものにもucordを振って、それも一応袋に振るんですけれども、それがどのぐらい合わさったかで、またお豆腐というのができるというようなことで、そこにucordを振ると。
 そういうことをやっていったり、その例えばCOの濃度とか温度をやるときにはどうしているかというと、時間はucordなんです。それをどのぐらいの精度でやるかなんですけれども、1分、1秒とかいうことで、どんどん個体識別で違っていってしまいますから、それもucordというふうに考えて、時間とucordのちゃんとルールがあります。
 それとあと場所です。これはさっき言いましたように、国交省となんかとやっているんですけれども、GPSなんかだとものすごく精度が粗くて、10メートルぐらい誤差があるんですけれども、例えばタグをつけるとか、いわゆる赤外線のIrDAというのでやったり、もうちょっと正確なセンサータグをつけると、ジャストこのポイントというようなこういうことができるので、そことその時間と、要するに空間の場所と時間がわかればそこのエリアがわかって、そこのある程度の範囲が指定することができれば、そこのときの温度とかCOの濃度とか、そういうことを、さっき言ったように情報に幾つかレベルがあるんですけれども、それにもucordをつけて、そこに全部入れておくと、ucordだけで計算するといろいろなことがわかるはずだという、そういう理論の研究では、ちょっと細かな話になってしまうんですけれども、そういうことをやっております。
 そうなると、一体何を区別しなければいけないのかということになってきて、例えばそういう意味でいくと、化学物質というのがあったら、区別できる化学物質には全部ucordを振ろうとか、そういうことをこちらは今、いろいろな専門の方たちと組んでやろうとしています。自分たちでできないので、その内容的な、いわゆるコンテンツと私たち呼んでいるんですけれども、そういう内容的な話になっていくと、何を区別するかというのはその専門の方に聞かないとわからないから、専門の方に意見を聞いて、これはこう区別したほうがいい、区別するものは区別しようとか、例えばこれおもしろいんですけれども、違う例でいきますと、例えば漢字の問題にもucordを振っているんですけれども、例えば漢字って日本で大体10万個ぐらいあるんですけれども、ある学者に言わせると、これはこういう形の漢字で、別の人はいや、こういう形だと言ったときは、面倒くさいから両方にucordを振って、これとこれはもめていますというので、このucordとucordはもめるという関係のucordをつくって、このucordとucordはもめているという、そういうことがわかるようにするとか、とにかく現実世界のものをコンピューターの世界とつなごうとすると、現実の世界のことが記述できなければだめなんです。
 そういうことになると、先ほどからオントロジーの話が出ていますが、あれなかなか難しくて、なかなか言葉を1個にしようと言っても多分全部もめているようになってしまうのではないかと思うんです。ところ今コンピューターはすごくて、言葉で表現されなくても識別さえできれば、あとはもう超高速に検索したり、いろいろどうなっているかというのが出てきますから、いろんなものでこう区別したいものにucordを振るというのをやっています。
 極端なことを言うと、理科年表全部でどこを区別したらいいのかということについて、まず僕らにできることだと、全部区別するものを区別しようということをやっている。
 ですから、さっき言ったタグの中に入れるというよりは、タグというのは、非常に小さなタグもあって、直径0.5ミリなんていうのもあるんです。そこで、もうRFIDというRadio Frequency Identification Technologyって非常に進んでいまして、例えば砂粒みたいなタグがあるんです。それはコンピューターの一応メモリなんです。そんな小さいものにどうやって情報を取り出すんだというと、電波を使うんですけれども、その粒みたいなものに電波を当てると、電波を使って電磁誘導で電気が生まれてそれで回路を動かして中の情報を読むことができるんです。
 ところが、非常に小さいので、そこにすべての情報を入れるというのは大体無理なんです。それで、さっき言ったように、現実の空間につけるタグには、とにかくIDを入れるだけなんです、私たちの考えは。その情報というのは全部コンピューターの中に入っていますから、コンピューターのほうの世界に来ると、これはネットワークに外部化する、意味は外に持つという、そういう意味なんですけれども、ネットワーク外部化と言っているんですけれども、そういうことをやることによって、入れたいものはいくらでも入ります。今のコンピューターのいいところというのは、昔だとコンピューターの容量が非常に少なかったので、どういう情報をコンピューターに入れるかというので標準化、標準化というとそういうことだったんです。大体、全部入らないから、どれを入れようという話です。今はもうそんなことを考えることは全くなくて、もう入れたければいくらでも入れてくれという感じです。
 ucordに関してもそうで、区別したいものに番号をつけるといったら、番号に制限あるんじゃないですかというんですけれども、ucordって128ビットあるんです。さらに、延長可能になっているんですけれども、128ビットというのは、2の128乗のものが区別できますから、1日に1兆個のものを区別したいものに番号振ることを1兆年続けることを1兆回繰り返しても平気なぐらいの番号空間です。何て呼んでいいのかわからない、1兆掛ける1兆掛ける1兆以上の空間があるんです。
 そうなると、もう無限に情報を入れるということができるようになってくるので、やっぱりいろいろコンピューターが今、一番僕は進化したなと思うのは、やっぱり記憶容量が無限になってきたということと、速度はやっぱり限界あるんですけれども、記憶しようとするものだったらいくらでも記憶することができるようになってきているので、かなりおもしろい展開してくるかなということで、何を入れたらいいかが、なかなかそこが難しいと思うんですけれども、人間で言うんだったら、生まれたときから死ぬまで飲んでいた薬を全部記憶しておくとか、どういうところにどういたのか、何食べたかまで記憶しようと思えば記憶できるぐらいの記憶容量をパーソナルに持つことができるぐらいの時代になってきていますから、ちょっと違った展開をしてくるかなというふうに思います。
 そうなるとますます、マクロにどう情報を見るかが重要になると思いますけれども、このミクロだけだとたまらないという感じになってしまう。

○浅野委員長 亀屋委員、よろしいですか。何かヒントになるかもしれませんが。
 森口委員、重ねてさらにどうぞ。

○森口委員 坂村先生からの、特に2度にわたるリアクションをお聞きしていて、ますますいろいろ啓発されるところが多かったんですが、最後におっしゃったことが非常に私自身は気になっていて、その機械のほうはどんどん進化するんですけれども、どうもだんだん人間がそれに追いついていけなくなって、私自身、非常に自分自身は、そこの限界を最近感じておるところでございます。
 それは個人的な弱音として、1回目に私がお聞きしたこと、福井先生にお聞きしたことに関して、坂村先生リアクションいただいたこと、やっぱり非常に大事かなと思っていまして、情報が玉石混淆だというようなお話をされたことですね。それから、多分いろんな人がいるので、多分その法律的なものみたいなものが介入しなければいけないみたいなお話もあったと思うんですけれども、その後で、もめごとだらけになるというお話もあったんですが、私、今ちょっと自分が現実にそういう立場に近いところにおりまして、結局のところ、その玉と石とをだれが区別するのかという問題がやっぱり残ってしまうと思うんです。そこに、やはりある種の権力みたいなものが介在してくる可能性があって、やっぱり法律つくるということになると、その政府なり権力に対する信頼性みたいなものが非常に重要になってくると思うんですけれども、結構そこのところが、特に今の日本社会で揺らいでいる部分があるように感じております。
 ですから、そういう意味で巨大な情報が集積されたときに、それがその社会全体を、良い、正しい意思決定のほうに導くのかどうかというところのモデルが、私自身うまく見出せずにいて、筑紫先生が、みんながやってくれて、人間が考えなくなったときにどうなるのかみたいな話と、比較的これは実は近い問題なのかなと思っているんですけれども、どうもその情報をうまく、たくさん情報があったときに、より正しい意思決定ができるように我々なっているんだろうかというところの、その結構根本的なところが、ちょっと私自身は今、自信を持てなくなっているようなところがありまして、そういったところに何か……

○浅野委員長 私も福井先生がさっきおっしゃっていたオントロジーの話は、結局だれがやるかということで、全然意見が分かれてくるので、我々みたいに専門家ユーザーであれば見てわかるからいいんだけれども、ある意味ではそういうことが十分わからないと所与の前提になってしまう。
 特に今の状態を考えていて、怖いなと思うことは、全く営業ベースでそれぞれの民間ではもう既に動きはじめてしまっていて、本当にそれが正しいかどうかという点の検証なしに、はじめられている事柄が当然の前提となって世の中が動いてしまうということに怖さを感じております。といって、私は森口委員と同じ意見でございまして、そんなものは法律で縛れる世界ではないと思っておりまして、やっぱり不都合なものはどこかで自然に淘汰されていくという形でいかざるを得ないだろうと思うのですが、それにしても、さて、どうやったらこれを情報戦略の中で考えられるのかなという悩みがございます。筑紫委員、どうぞ。

○筑紫委員 すみません、先生の今の概念にタグをつけるというお話が出たので興奮してしまって、どうしてもお願いしますと、今発言をお願いして申し上げるんですが、私は金融の人間なので、つまりある概念を社会化するときに、お金をどう動かすかということで、つまり戦争をなくせるようなファンドができないかと思って今研究していまして、そうすると紛争のucordとか、戦争のucordとか、それから戦術のucordとか、あとそんなに戦争が割に合わないとか、戦争の環境負荷の数量化とか、そういうことも一応技術的にというか理論的には可能ですか。私たちは、今手でやっているんです。一生懸命、古今東西の戦争のあれを分析しているんですが、それできますか。

○坂村教授 できます。

○筑紫委員 ありがとうございます。

○坂村教授 できますよ、それは。大変だと思うけれどもできると思います。ついでにいいですか。さっきの話を聞いていて思ったんですけれども、確かに大量の情報があって、ともすると絶望的になるんです。これはだれでもそうで、これだけ大量の情報があったら絶望的になるだろうなと思うんですけれども、私は違うと思って、たくさん出てくれば出てくるほど、もっと楽観的になったほうがいいのかなという感じがするです。
 といいますのは、本当に大量の情報があって、自分1人しかいないんだったらこれはもう絶望です。だけれども今、すごいことに、世界中がネットワークされた力というのはやっぱり強くて、三人寄れば文殊の知恵ではないんですけれども、一人で気がつかないことでもたくさんの人が見るとだれかが気がつくということがあるんです。コミュニケーションの手段を持ったということによって人間は生き延びてきたとすれば、周りにいる人たちとだけしかコミュニケーションできなかったものが、今、全世界の人とコミュニケーションできる環境というのが、いやしくもできてきましたから、インターネットが十分かどうかは別としても、デジタルコンピューターネットワークの発展を最大にうまくどう使うかということだと思うんです。
 そのときに、どう使うかということで、私は非常に重要だと思うのは、やっぱり絶対はないということなんです。非常に不安定な時代になってきて、科学技術もいまだに進歩していますから、今の時点でもって正しいと思われたやり方も10年たったら違うとなるかもしれないんです。
 そういうようなことというのは、どんどんこれからも起こると思います。絶対というのはないです。技術が進歩すれば、やっぱり変わるんですよね、世の中が。特に、日本がこれ一番まずいと思うのは、やっぱり日本というのはどちらかというと変わりたくないという人たちが多い国なんですよね、ここ。変わりたくないという人たちが多いところで、こういう変わる世の中に対してどう対応するかというのは、本当に難しいと思います。
 ですから、その根性を変えないとだめなんです。要するに、それはやっぱり政府も変えなければいけないし、国民みんながやっぱり変えていくということになって、権力がすべてを決めるのではないというのはもう今や明らかになってきて、ただだれかが仕切らなければいけないから、役割は変わってもやっぱり政府は必要だと思うし、緩やかに、本当に緩やかだと思うんですけれども、緩やかに分散化が進んでいるんです、やっぱり。ですから、だれかが絶対だと言ったって、それはうそだということが出て、昔はマスコミも権力だったと思うけれども、そういう集中的な権力が今や非常に薄れてきている時代です。
 ですから、情報爆発に対応するにはやっぱりそういう判断の分散化を促進させて、そのためにはすべての情報をやっぱりオープンにしなければいけない。これは、もうやっぱりみんなで話し合うための絶対条件です。情報をクローズするというのがだめなんです。昔は、クローズすることによって権力を得ようとしていました。やっぱり、オープンにしなければだめです。
 ですから、僕は政府の情報というのも、基本的にはすべてオープンにすべきだという考えで、秘密はないんです。安全保障関係以外は、全部本当に何でもオープンでいいのかもしれない。その辺だけ除けばあとはもうすべてオープンということで、やっぱり安全、安心の国をつくるために、すべてオープンで衆知でディスカッションできるという体制を整えるのが重要だと思いますけれども。

○浅野委員長 政府のというか、役所の中の秘密というのは、ほとんどの場合が他省庁に対して知られたくないというようなことが中心のようにも思えますが……惠委員どうぞ。

○惠委員 大変おもしろいと思っているんですが、先ほど森林の面積の図がありましたけれども、あのように物差しそのものがレンジを動かして見られるという、そういう情報の出し方が非常に重要で、それがある意味でシミュレーションを一般の人たちの常識化するというか、ここまで行ってしまったらこんなに危ないねというようなことが目で見られるという、そういうところが非常に動かせることが、要するに今までは白書なども白書の委員会が決定して、閣議決定してからしかオープンにできなくて、それで、これは国が決めた何年の情報だからという確定情報になってからしかオープンにならなかったです。
 ですから、そちらもやはり、今のところはこういう動かし方もできますという、そういう情報の動かし方がすごくいるのかなということと、もう一つ、シミュレーションの中で、例えば市民が何を食べて、タグが外れてしまったかどうかは別として、タグのついたものを完璧に食べる集団というのをモデルでつくっておいて、その人の胃の中にもタグが入っていて、その人がどんな病気になるかとか、そういうところも逆に言えばロボットでもいいんですけれども、そういうことがシミュレーションの中に入って、だからこういうトレースしていって、こういうまずいオリジンのものはやめたほうがいいよという、そのタグをつける理由の説明というのが、いろんな形でシミュレーションできるといいかなと思いました。

○浅野委員長 ありがとうございました。このご発言は委員のコメントということにしておきましょう。
 ただ、白書についていうと、特別に委員会を作って準備しているものでもなく担当の方、具体的には細野室長が中心となって、数人のスタッフが取りまとめているだけです。事実は明らかにしておかないといけません。もっとだから危ないのかもしれませんが・・・・。
 それでは、福井委員及び坂村先生、本日は本当にお忙しいところ、有益なお話を聞かせていただいてありがとうございました。我々に与えられていつのは、環境情報戦略をつくるという仕事ですが、本日のお話を今後の検討の中で、ぜひ生かしていきたいと思います。

○坂村教授 ありがとうございました。ぜひ、頑張ってください。

○浅野委員長 それでは、この後、今日の議題の2でございますけれども、環境情報戦略の骨子案についてということでございます。
 まず、事務局からこれまでの委員会及び専門家ヒアリングの結果概要について、説明をいただいた後で、骨子案についての説明をいただきたいと思います。
 いよいよこれから先、環境情報戦略をつくっていかなければいけませんので、現段階で事務局が考えています最終仕上がり品の枠組みのようなものをとりあえずお示ししようということでありまして、今日はこれについてご自由にご意見をお出しいただいた上で、次回以降さらに内容を詰めていくと、こういう手順を考えております。
 それから、スケジュールについても、資料に記してあるわけですが、我々もエンドレスでやるというわけにはいきませんで、一応年度内ということを考えているわけです。どこかでこの専門委員会報告を取りまとめたものを総合環境政策部会に挙げまして、そこでオーソライズをしていただいた上で、政府が戦略をつくるという段取りになります。
 そこで、専門委員会の報告を最終的に部会に出す前には、パブリックコメントをやらなければいけないということもございまして、これもできれば年度内にということを期待はされておりますので、ある程度これから先は少しスケジュールをタイトに進めていかなければいけないかもしれません。
 それでは、事務局からまず説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。一括して説明を全部してください。

○細野企画調査室長 それでは、まずこれまでの議論の概要について、駆け足になるかと思いますけれども、参考資料の1から4に沿ってご説明したいと思います。
 まず参考資料の1ですが、前回の専門委員会に出させていただきました検討事項のペーパーというのがございまして、その中身のうち、各委員からのご指摘の事項をまとめた部分につきまして、第3回の委員会で出たご意見あるいはその後のヒアリングで出たご意見を補足させていただく形でまとめさせていただいたものでございます。全部、丁寧にご説明できるといいのですが、時間的な都合もございまして、ポイントだけのご説明とさせていただきたいと思います。
 まず、参考資料1でございますけれども、この委員会の場での議論を大きく2つに分けておりまして、環境に関する情報が、持続可能な社会づくりのために果たす役割として、1つは政策立案や実施に必要な情報を十分に確保し活用するという面、もう一つは、さまざまな主体に対しまして、必要な情報が内外や各層に必要なタイミングで提供されるという、提供という面と、この2つの面から議論を整理させていただいています。
 1番目の政策立案と実施に必要な情報の収集から保存までということでございますが、基本的な考え方といたしましては、冒頭の2つのポツに書かれているような考え方がありまして、政策形成に欠けている情報を明らかにして情報の作成に努める。あるいは、政策づくりのコアとなる情報の収集分析は、しっかりとやらなくてはならないということです。
 こういった幾つかのご指摘があったのに対し、さらに委員会の場で出た意見といたしましては、基本計画や立国戦略などのシナリオやビジョンをもとに、足りない領域を明らかにしていくことが正当ではないかといったご意見。あるいは、2つ飛ばしますけれども、環境情報の分類や体系化について、もう少し調べた上で、やり直したほうがよいというご意見などがありました。
 次に、大きな意見のくくりといたしまして、ポータルサイト的にワンストップで情報源がわかるような仕組みの構築が必要ではないかということで、先ほどもちょっと議論が出ておりましたけれども、省の縦割りに関係ない統合的な情報の提供が不可欠というのがまず一般的なご意見でありましてこれに対し、人間活動に伴う環境影響に関する情報も含めて、関係省庁との連携については環境省がイニシアティブをとるような姿勢が必要ではないかといったご意見をいただいたところでございます。
 次に、特にどういう分野で情報が不足しているかということについて、やはり環境と経済社会活動に関する情報収集を足りないのではないかというご指摘が多くございまして、その中身につきましては、さらに人間活動が環境に与える影響について、環境省で既存の統計調査の中に盛り込むことも含めて、グローバルな情報として収集していいのではないかといったご意見がありました。
 それから、情報アーカイブの構築ということですが、まず過去2回の委員会を通じての基本的意見としては、政策づくりのためにも過去の評価は不可欠で、過去のデータの蓄積はしっかりなされなければならないというご意見があったのですが、それに対し、さらに、アーカイブの構築に当たっては、内外のネットワーク化している情報も含めてのアーカイブが必要であるといったご意見が出されているということでございます。
 それから、環境情報の収集から提供についての国際ネットワークの構築ということにつきましては、2つ目のポツでございますように、国境を越える環境問題や原因・対策が国境を越えるものについて、情報収集の国際協力ネットワークを構築するというのが基本的なご意見がありまして、それに対し、非常に多くのご関心に基づくご意見があったわけですけれども、特に地球観測サミット以降、国際的に協力して地球観測ベースとして客観的な情報をつくり出していく体制ができており、将来に向けても重要なので戦略でも明記してほしいといったご意見、また、外国への情報の発信の担い手については、全体としての連関性が確保されるとよいといったご意見が出されているところでございます。
 それから、6番目、3ページになりますけれども、環境情報の収集、共有に関する行政プラットフォームを構築すべきだという意見がございました。
 また、IT関係では、環境行政に対するITの戦略的な活用が必要であるといったことや、インターネットの特徴を生かして既存情報のリンクという形でも十分ではないか、ブログ情報を取り込むならRSSをつけ足すという形でも済むといったご意見がございました。
 以上が、行政の中での情報の収集から保存に関する問題でございますが、もう一つ大きな柱でございます、さまざまな主体に対する情報の収集、提供、保存といったことにつきまして、整理をさせていただいたところを申し上げますと、まず利用主体別のニーズに応じた提供が必要であるというところでございまして、基本的な意見としては、一番最初のポツにございますように、情報の提供主体の関心・都合で情報を提供するのではなくて、取り組んでいかなければいけない課題やそれを必要とするグループ、関心ごとに応じた情報の提供が重要であるといったことや、経済社会、生活のあらゆる面で環境を意識してもらうことが必要であるといったご意見がございました。
 それに対し、さらに網羅性を詰めるよりも、既存情報の再整理等によって、社会の環境リテラシーを上げることを考えていかないといけないのではないかといったようなご意見などがございました。
 次に、最新のITの活用、情報提供の面でのITの活用につきましては、利用勝手の悪い情報が多く、ITを積極的に活用するといったこと、その中で、特に情報が入手しやすくする検索などの技術の活用、またそのための情報間の関連分析が不可欠であるといったご意見がまず基本としてございました。それに対し、さらに、環境省でよりよい環境の理解を進めるためにも、植生図とリンクする形での衛星写真の利用などについて、他府省との連携も含めてリーダーシップをとって実施していくべきではないかといったご指摘等がございました。
 また、最後のポツになりますが、企業が集めた情報について、特に購買時点の意思決定に反映する仕組みづくりがあれば、企業の中で環境情報の収集をコストをかけて実施する意味が出てくるといったご意見も、出ておりました。
 それから、海外に対する情報発信の強化ということでございますが、内容的には日本の発展の部分と公害経験をあわせてミックスして伝えたほうがいいのではないかというご意見ございまして、基本的な意見としては、日本がやってきたことが正しく普及すべきと考えないほうがよいといった意見などもございました。また、アジアにおける持続可能な社会構築に関するビジョンが必要といったご意見がございました。その他、経済活動等の面につきましては、日本国債での海外での格付けに響くなど、我が国の取り組みを海外に発信することが不可欠になっており、きっちりした評価をしてもらえる情報の提供を考えるべきだといったご意見をいただいているところです。
 それから、情報提供の面では、まず情報を集める段階で情報提供を意識した取り組みを実施すべきであるという点について幾つかご意見をいただいております。基本的なご意見としては、2ポツにございますが、活動に結びつくような情報のつながりはしっかりと再構築するべきといったご意見があったわけでございます。それに対しましては、1ポツにございますように、だれがどういう目的でデータを使うのか、ユーズケースを分析して、情報提供に関するシナリオをつくって、それに基づく提供の仕方を考える必要があるといったご意見などが多く寄せられてございます。
 最後、5ページ目でございますが、標準的フォーマットによる提供情報の信頼性、正確性の確保といった点につきましてもご意見が出されておりまして、データの品質管理と認証の仕組みが必要であり、戦略でも言及する必要があるといったご意見があり、具体的な中身につきましては、環境データの質の保証については、一般的に述べることは難しいですけれども、公開情報に対する比較可能性を検討する、それを担保するために必要なフォーマット、あるいは投稿規定的なものを考えていく必要があるといったご意見がございました。
 また、最後の(6)環境情報の提供に関するプラットフォームの構築ということにつきましては、さまざまなご指摘がございましたけれども、政府に期待することとしては、やはり企業間や地方行政、外国政府、あるいは国際関係とのパートナーシップに向けた情報提供の礎になってほしいといったようなご意見等々がございました。
 これは専門委員会でのご指摘をまとめさせていただいたものでございます。
 参考資料の2につきましては、過去2回実施させていただきましたヒアリングのポイントをまとめさせていただいているものでして、その中の一部は先ほどの参考資料1にも整理させていただいているものでございます。
 第1回のヒアリングは4月4日にございまして、生物多様性センターの鳥居センター長と国立国会図書館の田中電子情報企画室長からご報告をいただきました後、森口委員から総括的にご指摘をいただいております。環境に関わる情報の量は比較的増えているけれども、二次情報が増えている面が多く、一次情報はそれほど増えていないのではないかといったようなご指摘などもいただいたところでございます。
 また、第2回ヒアリングは、参考資料2の(2)になりますが、1ページめくっていただきますと、7月30日の日に開かせていただきまして、NPOの代表的なご意見の1つといたしまして、東アジア環境情報発電所の廣瀬代表からと、あと企業のCSR関係を含めてのご意見を伺うということで、富士フィルムホールディングス株式会社の五所グループ担当課長からお話を伺っております。ここにも書かせていただきましたように、さまざまな観点から具体的な政府への要望も含めまして、ご意見をいただいておりまして、それに対し多様なご指摘、ご意見があったということでまとめさせていただいております。
 次に参考資料の3でございますが、これは第2回の委員会に、環境省でまとめております環境総合データベースの中からデータベースの内容について作成主体、作成手法の面と、分野ごとに整理をさせていただいたものでございますが、これにつきましては、各府省で出されているものも含め、できるだけ充実させてまとめていただきたいというご要望を受けまして、まとめさせていただいたものでございます。注にも書かせていただいておりますように、私どもの課において、既存の資料、環境総合データベースのほか、環境統計集や国立環境研究所のデータベースなどを参考に、とりあえず整理をさせていただいたものでございます。
 以前の資料に比べまして、多くの分野でさまざまなデータベースがつくられていることが、私どもも知らなかった範囲も含めまして、たくさんございまして、さらにこの全体像をしっかりまとめるような作業が今後必要になってくるとは思いますが重複とかそういった面も含めまして、いろいろ調べてまいらなければいけないなという思いをさらに深くしているところでございます。
 参考資料の4でございますが、環境統計の整備ということで、1ページ目に書かせていただいておりますように、昨年5月に統計法が60年ぶりに改正され来年の4月から施行されますけれども、その中で政府は公的統計についての基本的な整備計画を定めなければならないこととされております。
 環境統計につきましても、経済統計の今後のあり方を議論するワーキンググループの中で報告がまとめられており、それを踏まえた委員会答申が今年内に取りまとまる予定となっております。その中身につきましても、ここの委員会で議論していただいた中身が幾つか反映された面もございますので、あわせてご報告させていただきます。
 2ページ目にございますように、環境統計につきましては、経済社会の変化などに対応した統計の重点的な整備というなかでまとめることになっており、新たに整備をすることが必要な統計分野として、統計委員会の議論としましては、環境と観光に関する統計についての指摘がございました。そのうち、環境統計につきましては段階的な整備を進める必要があるということで、特に既存の経済統計などの活用・改善により必要な関連した情報が入手し得る事項に絞って検討をしていただいており、特に、温室効果ガス問題と廃棄物、副産物の把握などを対象とした検討がなされております。
 地球温暖化につきましては、下から3つ目のポツにありますように、家計のCOの排出量を正確にとらえるために、全国消費実態調査などにおいて、今後普及が見込まれる自家発電機器などの項目の追加をするなど、COの排出に対して、他府省で実施しております統計の充実といったことも進められることになっております。
 廃棄物につきましても、3ページの具体的な対応等に書かせていただいていますように、廃棄物・副産物の把握に関する統計をいかに整備するか、関係省庁は速やかに検討をする場を設けるといったようなことが盛り込まれております。
 あと環境分野につきましての産業連関表の作成等について、方針がまとめられる予定となっているものでございます。
 以上、非常に駆け足になってしまいまして恐縮でございますが、これまでご議論いただいた中身のレビューといたしまして、ご理解をいただければと思います。
 続きまして、資料の4に基づきまして、環境情報戦略の骨子案につきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。
 骨子案をまとめるに当たりまして、まず情報の整備に関する現状という課題ということで、ただいまご説明させていただきました参考資料の1を中心に現状を情報の収集整理と提供の2つに分けてまとめさせていただいております。先ほども出ておりましたが、個別の事業や組織単位ごとに情報が出されている現実に対しまして、事業や組織を超えた政策課題ごとの情報整理がなされていないといった問題点をご指摘いただいたところをまとめさせていただいております。
 情報の提供につきましては、非常に情報が増えている中で、情報利用者、政策立案者のほか、投資家の方々、教育者の方々、一般国民の方々のニーズに合わせた情報提供がされていないので、必要とされる情報が得がたい状況にあるというようなことを指摘させていただいております。また、特に情報の信用性の問題については、委員の先生方からのご指摘もありましたが、具体的な問題といたしまして、下から3つ目のポツにございますように、古紙パルプ配合率の偽装などによる問題点で信頼が揺らいでいるということも強調した形で入れさせていただいております。
 2番目としまして、こういった現状に対しましていろいろご意見もいただいているわけですが、そのご意見を踏まえて、我々として、環境情報のあるべき姿や仕組みというものをまずお示しする必要があるだろうということで書かせていただいておりまして、基本計画にも書かれておりますように、本戦略では、情報立脚型の合理的な環境行政を実現するということと、情報がだれでも入手できるようにすることによりまして、ライフスタイルや環境問題の取り組み、参加といったことを促進すると。そういう社会を目指すということを言っております。また、情報の中身につきましても、一連の流れといたしまして、OECDなどにより指標の体系として示されている負荷等の駆動力、状態、社会的対策といったことを意識して取りまとめていくということでございまして、それをさらに局面ごとに分けて[1]から[5]までまとめさせていただいております。
 次に、戦略の3項目としまして、特に情報戦略の中身として、だれに対する、どういう情報を対象に議論をしようとしているのかを明らかにすることが必要ではないかということで、基本的枠組みという形でまとめさせていただております。本戦略が対象とする情報利用者等々につきまして、第1回専門委員会で議論していただきましたことを中心に、情報利用者については、内外の政府、研究機関、ほか幅広く参加していただくということです。本戦略の想定する情報提供者といたしましては、NPOや民間の方々の情報提供ということも期待するところもございますが、主には政府機関と研究機関、地方公共団体を情報提供者と想定して、その中でまたNPOの方々との連携といったことも取り上げさせていただくような形に今回は整理させていただこうかと思っております。あと、情報の中身または使われ方の例につきましても、第1回委員会でいろんな主体ごとに皆様方から出していただきましたご意見も踏まえまして、まとめさせていただいているものでございます。
 4番目といたしまして、取り組みに当たっての留意点ということでございます。特に横の連携や情報の重複を避けて、計画的な整備、維持、更新を図るといったことや、3ページにございますように、さまざまな主体が必要な情報を、特に行動の選択に際して参照していただけるような形で提供するといったこと。また、整備方法につきましては、情報の信頼性の確認できる仕組みを考えるといったことや、収集から保存まで一体的に整備するといった方向など、10点をまとめさせていただいております。
 当面、優先して取り組む施策というものをさらに5に整理させていただいております。、4に記載させていただきました取組に当たって留意点を踏まえながら、実現性も勘案して、当面優先して取り組む施策の基本的方向、何をやりたいかということを、[1]から[5]としてまとめさせていただいております。まだ、省内で提案して調整している段階ですけれども、ここで一度ご披露させていただきたいと思い書かせていただいております。
 まず[1]でございますが、環境省のホームページを、我が国の環境行政のホームページにしたいということです。端的に言ってしまいますと、そういうことでございますが、政策課題ごと、あるいは利用主体別のニーズに応じた情報内容の拡充と機能の強化を図るということでして、そのためにここに書かれておりますようなITの利用も進めていきたいというのがまず第1点でございます。
 第2点としまして、情報の中身につきまして、各分野ごとにも新たに計画なり、戦略がつくられて、その中でも情報に関する施策が位置付けられるようになってきておりますが、全体として見た場合には、やはり環境と経済社会活動に関する情報が不足していると思われますので、その収集、整理、提供を強化するということでございます。一方、自然環境の関係につきましても、長期的にモニタリングを続けてきているわけですが、予算状況等を踏まえ、その体制の強化をしていく必要があるということを入れております。
 3番目といたしましては、本戦略を推進するに当たりましては、関係府省や自治体、研究機関、関係団体の協力を得ることが不可欠でございます。その協力を得てプラットフォームづくりをしていくということを入れております。
 4番目といたしましては、情報アーカイブを構築するということでございます。過去の公害経験などの情報の保存、あるいはそれをもとにした中国、韓国、東南アジア地域への提供を図るためのアーカイブの構築というのを入れております。
 それから、5番目といたしまして、標準的なフォーマットによるデータやメタデータの整備により、情報収集の時点から情報提供のあり方を検討できるようにしていく方法により、収集から保存までの流れを円滑化できないかということです。また、情報についての信頼性や正確性というものも、そういったフォーマットづくりなどを通じて確保できないかということを入れております。
 これら施策について、さらにまず行政の中で行政を対象にやるべきことと、それからさまざまな主体の情報利用の方々のニーズに応じて考えるべきことと、大きく2つに分けております。その上で、さらに具体的な施策を書いてまいりたいと思っております。
 また、具体的な中身につきましては、当面取り組むべき課題と、これから検討しながら実現を図っていきたい課題、つまり、優先的に取り上げなければならないですが、まだ検討課題が多いものというふうに分けて、項目ごとに整理しているところでございます。
 まず、政策立案と実施の面での情報の収集から保存につきましては、当面取り組む課題といたしまして、環境省のホームページにつきまして、環境政策に関する統一的な情報サイトとして構築していくということでございます。例えば、低炭素社会ですとか循環型社会、こういった大きな政策課題につきまして、まず統一的な情報サイトを整備し、そこからさらに全体のサイトの横割りでの体系化を実現できないかということを書いております。
 また、環境省のみならずほかの自治体の関連ホームページ、関係府省のホームページなどとのリンク、今は、組織のホームページ同士のリンクはございますけれども、もう少し関連するページ同士のリンクも緊密に実施することなどで、ワンストップでの情報提供サービスの実現に近づいていけないかということを書いております。まず、それが第1点でございます。
 第2点が環境と経済社会活動に関する情報収集の強化でございます。現在、環境省……

○浅野委員長 そろそろ時間がないので、これもう今日は見出しでいいので。

○細野企画調査室長 はい。説明を再開します。現在、環境経済研究所をつくるという検討をしている中で環境と経済社会活動に関する情報収集の強化を図っていきたい。また、先ほどご説明させていただきました環境統計の整備の着実な実施ということにも取り組んでいきたいと思っております。
 あと、国土の自然環境に関する情報提供の強化ということで、自然関係、基礎調査の一層の推進といったことを考えております。
 また、アーカイブの構築につきましては、先ほど申しましたように政策づくりのほか、内外への発信のためのサイトづくりを図書館の電子化といったこともあわせて進めていくといったことも検討しております。
 そのほか、情報収集の整理から提供についてのネットワークの強化といったこと。
 さらに、関係府省などとの会議などの場を持つことによりまして、プラットフォームを構築していくといったこと。
 ITの活用につきましては、情報検索技術などを使って情報収集を強化するようなことを課題としていきたいと思っております。
 また、提供の面につきましても……

○浅野委員長 もういいですよ。

○細野企画調査室長 はい。

○浅野委員長 それでは、時間が余りありませんので、この辺で説明を終わりにします。
 今まで議論してきたことの整理と、それからヒアリング、今日もやったわけですが、概要を整理していただきました。
 今日は、スケルトンということでお出しをしているわけですが、座長として私の責任で申し上げておきたいのは、やはりどこをエンドポイントとしてこの戦略を考えるかということでありまして、欲をいえばきりがないのですが、余りにも広げすぎてしまうと全く収拾がつかなくなる。とりあえず第一段階としては、3の(2)にあるように、政府機関というところと政府の研究機関のようなところが情報提供者であって、そこから発信される情報を中心に考えてみてはどうかと考えてみました。ただし、当然のことですが、NPOであるとか、あるいは企業などからの環境情報発信ということが当然あり得るわけですけれども、それらを全部この戦略の中で組み込んでしまうと、ものすごく絵がかきにくくなって、混乱を起こすのではないかなと言う心配があります。
 ですから、イメージとしては、環境報告書に関する法律の枠組みのイメージですけれども、環境報告書は政府の三セクとか国立大学法人などの環境報告書について法律で義務づけをして、そのために出されているガイドラインが、言ってみればほかの民間部門などの環境報告書にもはね返る、誘導の素材となるいうような構造になっているんですけれども、そういうような形をある程度イメージしてつくってみてはどうかと考えました。
 できれば、これをもとに、例えばNPOに対しての情報に関するガイドラインのあるものはつくれないかとか、あるいは企業が公益に資するような情報を発信するためのガイドラインをこんなふうにやってほしいというのを出せないだろうかということをあわせて考えてみようということです。しかし、この中に一緒たくにしてしまうのはちょっと作業も難しいということを考えるので、あえてこのような整理をさせました。ここは座長の判断ですということを申し上げておきます。
 それでは、残り15分しかないのですが、とは申しますものの、忌憚のないご意見をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 では亀屋委員、どうぞ。

○亀屋委員 すみません、範囲を座長のほうで限定されたということなんですが、国際というその言葉が余り入っていないように見受けられます。国際動向の収集というのは非常に重要だというふうに認識しておりまして、それを国からも地方行政からも、やはり情報発信をきちんと整理したものをする必要があるのではないかなというふうに、これ1点だけ感じました。
 以上です。

○浅野委員長 それは、そのとおりですね。
 藤田委員、どうぞ。

○藤田委員 まだその整理された、中心的な情報としての政府機関系ということが、これはよくわかりますが、恐らく、ただ今日の議論の中でもある程度確実性なり、あるいは制度に応じてやっぱりどうも情報って階層化されてくると。ボランタリーな情報であるとか、民間からの、市民から、国民からの自発的な情報というのは、これは恐らく確実性が低いんですけれども、それを将来的には見なくていけないだろうというのは、今日の前半の議論であったような気がしますので、そこをこれ階層的にお示しいただいて、私たちは視野には入れているけれども、まず確実性の高い、精度の高いところからまずシステム化していくということをお示しいただくというのが、これが一番と。
 もう一つは、この施策というものが、当面優先させて取り組む施策というのが、今日余りお話をいただく時間はないとは思うんですが、この構造がどのように、全く並立されると、じゃ国際的なものであるとか、その情報のブラウザ的なものを示すのか、あるいはもう少し福井先生がおっしゃったみたいな、そういうサイエンスから社会のサービスまでつなげるものなのか、そういった構造化をして、この1から5あるいはそれ以外の重点課題ということを示さないと、何か我々の、あるいはこの戦略として目指すべきところの構図が見えにくくなるような、そんな印象がありました。

○浅野委員長 ありがとうございました。これは、多分役所の都合で書いている面があるので、こうなったのかもしれません。
 では惠委員、どうぞ。その後、森口委員お願いいたします。

○惠委員 3ページの当面の取り組みの[1]で、文章の後半のGISのことが書いてあって、今GISで市民がベースマップに使いたいと思うと、非常に大きなボリュームなので、そのあるエリアとか流域とか切り取りたいなという、そういう切り取り操作のようなことが国土地理院で可能になってくると、もう少し市民の操作性がよくなるのではないかなと思うので、利用者の側で全国データというはもちろんあるかもしれないんですが、その中で切り取りたいというニーズも、他との連携によってうまくオーバーレイしやすい仕組みがあるといいと思っています。

○森口委員 座長が最初におっしゃったことで非常にクリアになったんですが、私も限定的すぎるのかなと思ったんですが、いきなり全部やるわけにはいかないということで、これが多分現実的なんだろうなということは、よくわかりました。
 その上で、この3の(2)の、本戦略が想定する情報提供者の中で、政府機関、地方公共団体と、研究機関というか、この並びでさらっと入っているんですが、実はここは余りさらっと流しにくい事情も、多分本当はあるんだと思うんです。例えば、研究機関と書かれているんですが、学術研究機関、例えば大学は入るのか入らないのかとか、研究機関と書いてあるんだけれども、これはいわゆる国研みたいなところを想定しているのか、民間機関も入っているのか。
 そういったことと、3ページ目の上のほうにある(4)で、情報の信頼性について確認できる仕組みを設けるという話が書かれていまして、このあたり前半坂村先生との間で議論したことのかなり本質的なところであって、主体が行政になるということと、中身に関して行政といいますか、ある種のあえて権力と申し上げますけれども、それが確認をとるということとは、かなり微妙な位置関係にあると思うんです。
 ですから、研究機関の中でも、私ども国立環境研究所でも、今日松本情報センター長が隣にいらっしゃいますが、研究をやっている部分と研究機関として情報提供業務をやっている部分と実は2つある。後者に関しては、明らかにここに入ると思うんですけれども、前者に関してその信頼性云々という話をどういう議論をしていくのか、だれがどういう仕組みでチェックするのか、かなりセンシティブな議論をはらんでおりますので、そのあたりぜひご留意いただければなと思います。

○浅野委員長 わかりました。まず、研究機関って書いてあります。それから地方公共団体も実を言うと、今の地方分権が強調されるの時代にはものすごく書きづらい面が、本当を言うとあります。それから、研究機関ということでここで、意識しているのは、明らかに国環研のようなものであるわけですが、信頼性に関しては、行政が出すから信頼できると言っているよりも、むしろ行政がきちっと信頼性について、ランキングをして情報発信をしなければいけないんだろうという問題意識だというふうに考えてください。
 ですから、とりあえず行政が出すことによって、行政なら信頼できるだろうからそこからやりますと、それ以外のものは信頼できないから扱いませんというつもりではなくて、ともかく戦略でくくれるのはここがスタートだろう。だから、そこで情報を集めて発信するものが、やっぱり信頼性についてはちゃんとそれなりに責任を持たなければいけないので、やっぱり国環研の広報部門が出すものと現実に研究サイトから出てくるものというのは、ウエートの違いが当然あるだろうというのはおっしゃるとおりだと思うので、そこはだからどういう工夫をすればいいか、またもうちょっと考えますけれども、ご指摘のとおりです。それは意識しているつもりです。
 それでは、ご発言のない方、順次、福井委員、恒川委員、多田委員の順にお願いします。

○福井委員 やっぱり、さっきの議論で情報の提供だけではなくて、認証とかあるいは精度保証をする仕組みをどのように設定をするかということが、基本的枠組みの中に明確にないといけないのではないかということで、そこをもう少し何か突っ込んで書かれるといいかなという気がします。
 それから、3の(4)で、想定する情報の使われ方で、従来の環境行政でやっている環境アセスメントとか、あるいは戦略アセスメント、あるいはODAに絡んだアセスといったようなことに対して、具体的に実効ある使われ方をする、あるいは効率的な経済的コストの低い使われ方をするといったようなイメージが、ここの中にあるといいのではないかと思いました。
 それから、最後やっぱり国際的な対応ということで、4ページの検討課題の中に入っているんですが、これから地球規模の環境問題に対して、ポスト京都プロトコルを含めて、我が国がどういう立場でどのように考えていくかということをするためには、国際的な協力ネットワークが不可欠で、その中で、特に最初に森口委員もおっしゃっていましたけれども、案外二次的な情報は多いけれども、一次的な情報は少ないという。それで地球規模の環境問題についても、一次的な情報を、日本がアジアと協力をして信頼できる情報ソースを用意をするという、例えばヨーロッパで進められているGMESのようなプロジェクトのアジア版をリーダーシップをしてやっていくというようなことは、当然重要ではないかと思うので、国際的な協力ネットワーク、ここの部分が今後充実されることを望みます。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 最後の点は、ちょっとまだ関係の部局との調整が全然できていないので、地球局の研究室のところである程度やっていますし、その情報はまだインプットされていないようですね。ですから、それをきちっとインプットしていくことによってカバーできるという気もしますし、あるいはそこはまだカバーできていないかもしれないし、調べさせます。
 では、恒川委員。

○恒川委員 3点申し上げたいと思います。
 1つは、今日信頼性という点で大きな議論があったと思うんですけれども、そういう中で、私は、以前霞が関で科学技術政策を担当していたことがありますが、学界、アカデミーとの関係性、あるいはそれをこの戦略の中でどういうふうに位置づけていくのかが、1つ大きな要素だと思います。
 さっき、森口委員から国環研の中での話もありましたけれども、学界に対する信頼性も揺らいでいるというのが現状なのかもしれませんけれども、例えば論文とリンクをしたりとか、その根拠になるもの、それを学問の世界からどういうふうに提供していくかと。そこら辺の書きぶりが今回の戦略の中では抜けているので、そこら辺を考える必要があるのかなと。
 それから、2点目は、今日福井委員からデジタルアースの話がありましたが、衛星観測、特に地球環境の観測の中で宇宙利用技術をどう位置づけていくのか。急に大きな話になってしまうんですけれども、将来の地球観測、特に人工衛星を利用した観測は、行政の大きな役割だと思います。人工衛星による地球観測を戦略の中でどう位置づけていくのかということが2点目です。
 それから、3つ目は、戦略に加えて、より具体的な話をどこかで考えなければいけないと思います。たとえばどういうデータをだれがつくるかといった話を、さらに煮詰めていかなければいけない。そうするといわゆるプラン・ドゥー・シーといいますか、マネジメントサイクルを考えて、計画をつくって実行して、さらにそれを見直してというようなサイクルを考えていかなければいけないと思います。この戦略をつくった後のそういうプラン・ドゥー・シーみたいなものをどういうふうにお考えなのかというのも、お考えをお聞かせいただければと思います。

○浅野委員長 わかりました。最後の点は、項目としてこの戦略の進め方というようなこと、ただ進行管理と書いてありますけれども、もうちょっときちっとこれは厚みを持ったものにさせます。
 多田委員、どうぞ。

○多田委員 じゃ、私も3つほどごく簡単にコメントします。
 1つ目は、骨子ということで、スケルトンということなので、多分今日間に合わなかったんだと思うんですけれども、やっぱり絵にすると非常に骨格が見やすくなるので、次回は今日の意見も踏まえて絵を描いてみていただきたいなというのが1点目です。
 それから、2点目は現状と課題の分析が1番にあって、2番にそのあるべき姿、仕組みということで、ある意味目標ですね、が出てくるんですが、これ、目的の記述がないような感じがするんです。最後のほうで、いわゆる(1)、(2)という形で出てくるのが恐らく目的に近い項目かなと思うんですが、この辺、細かいことかもしれませんけれども、ある種の組みかえをしたほうがわかりやすくなると思います。
 それから、最後3点目に、当面優先して取り組む施策で、やっぱりホームページがかなり大きな課題として出ているんですけれども、これは前から言っている主張の繰り返しですけれども、海外でヨーロッパ、アメリカでもいいですけれども、やっているホームページのストラクチャーを少しベンチマークされると、それをまねすればいいという意味では全くないんですけれども、より精度も高く、かつ国際的に通用するものに近くなっていくのかなというふうに思いますので、コメントさせていただきます。
 以上です。

○浅野委員長 ありがとうございました。
 亀屋委員、何かご意見がおありですか。いいですか。
 それでは、金藤委員。

○金藤委員 1点だけ。情報をダブルチェックする観点が現状では抜けていると思います。つまり、いろんな面で各データの精度とかというふうに言われていますけれども、むだをあえて言うと、結果として別の機関が2つデータを出すようなこともやってもいいのではないかと考えます。その点をご検討いただきたいと思います。

○浅野委員長 わかりました。
 では、筑紫委員。

○筑紫委員 私のほうは、2ページの3の(2)ですが、本戦略が想定する情報の提供者は、政府機関と研究機関と地方公共団体。しかし、使う人は(1)です。(1)は使う人に投資家で、私たちはこれなんですが、あるんですが、投資家は企業の情報が欲しいので、この2のところに企業は入らないんでしょうか。なぜかというと、企業は社長がかわったり、それからお金がなくなると、すぐ情報を出し惜しみし始めて、国なら出すけれどもというようなのとか、あとは、投資家といったっておたくはまだ額が少ないでしょうとか、出し渋るんです。
 ここを国が、それは政府機関がまとめてくだされば、私たちはとてもありがたいんですので、ここに3の(2)のところに企業というのも入れることは可能なんでしょうかということです。使い勝手はとてもいいんです。

○浅野委員長 わかりました。ただ、それを入れていくと、どういう情報とかいうような話がいろいろでてきてしまうものだから、とりあえず今回はこの、だから後のほうの投資家が利用するというところが現実にこの政府から出てくる情報でどこまで利用可能性があるかという、ご指摘としては受け止めますので、もう一遍それはよく検討させます。
 ということで、とても時間がないので、申しわけありません、皆様のご発言を急がせてしまいましたが、骨子については、でも結構見落としていた点をいろいろご指摘いただきまして、ありがとうございました。これをもとにさらに事務局で検討をさせまして、次回、もっとこれをちゃんとしたものにしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、さらにお気づきの点ございましたら、どうぞ事務局あてにメモでも結構ですから、お出しをいただければと思います。
 それでは、事務局から連絡事項がありましたら、どうぞお願いいたします。

○細野企画調査室長 今後のスケジュールでございますが、資料5に書かせていただいておりますように、できましたら10月末に先生方のご都合のいい日に第5回を開かせていただきまして、今回の骨子をさらに肉づけしたものでご審議をいただきたいと思っております。詳しい日程につきましては、また後ほど連絡調整をさせていただきたいと思っております。
 あと、12月にもう一度委員会を開かせていただきまして、戦略案をパブリックコメントにかけさせていただきたいと思っております。その後、1月頃に委員会でパブリックコメントの結果報告をさせていただき総合政策部会でも報告をさせていただきたいと思っております。また、関係府省の会議での戦略案の合意を得るということで進めさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

○浅野委員長 今後のスケジュールは、今のスケジュールは事務局の願望のあらわれということなので、これから準備をしていて間に合わなければもうちょっと後にずれるかもしれませんが、これは事務局としての決意のほどを述べたと、こんなふうに考えてください。
 それでは、本日の専門委員会はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。

午後0時00分 閉会