第7回 環境基本計画点検小委員会議事録

日時

平成21年7月28日(火)

場所

環境省 総合環境政策局 環境計画課

議事内容

午後2時00分 開会

○小森計画官 それでは、定刻でございますので、おくれていらっしゃる方もいらっしゃいますけれども、今から第7回環境基本計画点検小委員会を開会いたします。私、総合環境政策局環境計画課計画官の小森と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入ります前に、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。
 配付資料一覧にございますけれども、資料1-1、重点点検分野(大気分野)に係る主な取組状況等、資料1-2、重点点検分野(大気分野)に係る関係府省の自主的点検結果(調査票)、資料2-1、重点点検分野(水分野)に係る主な取組状況等、資料2-2、重点点検分野(水分野)に係る関係府省の自主的点検結果(調査票)、参考資料といたしまして1番でございますが、第三次環境基本計画の進捗状況の第3回点検の今後のスケジュール、参考資料2で第三次環境基本計画の進捗状況の第3回点検の進め方について、参考資料3、中央環境審議会総合政策部会名簿・環境基本計画点検小委員会名簿、参考資料4、第三次環境基本計画の進捗状況・今後の展望について。
 足りない資料などがございましたら、事務局までお申しつけいただければと存じます。
 なお、マイクをお使いいただきます際には、スタンドにありますスイッチを押してからご発言ください。同時に4本までしか使用できませんので、ご発言が終わりしたら、随時、スイッチを切っていただきますようお願い申し上げます。ご協力をお願いします。
 7月の人事異動により総合環境政策局の幹部の交代がございましたので、議事に先立ち、新任の幹部をご紹介いたします。
 総合環境政策局長、白石順一でございます。

○白石総合環境政策局長 白石でございます。

○小森計画官 大臣官房審議官、三好信俊でございます。

○三好審議官 三好でございます。よろしくお願いいたします。

○小森計画官 総合環境政策局総務課長、川上尚貴でございます。

○川上総務課長 川上でございます。よろしくお願いいたします。

○小森計画官 総合環境政策局環境計画課長、正田寛でございます。

○正田環境計画課長 正田でございます。よろしくお願いします。

○小森計画官 それでは、白石総合環境政策局長からごあいさつを申し上げます。

○白石総合環境政策局長 ご紹介いただきました白石でございます。委員の皆様のおかれましては、平素より環境行政の推進についていろいろご指導を賜りまして、本当にありがとうございます。また、今日は暑い中、また、ご多忙の中、ご出席を賜りましてまことにありがとうございます。
 ご案内のようにこの小委員会、それから総合部会におきましては、本年は第三次環境基本計画の進捗状況の第3回点検ということをお願いしてございます。毎年、中央環境審議会がこの点検を行いまして、その後の政策の方向を政府に報告するということで、大変大切な役割でございますが、この3回目の点検は小委員会におきましては各府省、今日も参っておりますが、そのヒアリング、それからアンケート調査、環境シンポジウムの結果報告を予定しております。また、引き続きます総合政策部会におきましては、この小委員会でのご指摘等を踏まえて作成いたします点検報告書案についてのご審議、取りまとめをお願いすることになっております。また、今回のご審議におきましては、スケジュール的には来年の第4回の点検終了後に次の計画、第四次の環境基本計画の策定といったことも視野に入れましたご意見をちょうだいできればありがたいというふうに考えております。
 盛りだくさんで恐縮ではございますけれども、ぜひよろしくご審議のほどお願いを申し上げて私のあいさつといたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○小森計画官 本日、白石局長、川上総務課長は途中退席させていただきますが、あらかじめご了承くださいますようお願い申し上げます。
 本日の環境基本計画点検小委員会は、本年1月の中央環境審議会委員の改選後、最初に開催する小委員会でございますので、本小委員会の任務につきまして、まずご説明申し上げます。
 本小委員会は、総合政策部会を補佐するため、環境基本計画の点検に関する事務のうち、主として個別の分野の点検に関する審議を行うこととされております。本年行う第3回点検の進め方につきましては、本年3月23日に開催いたしました第49回総合政策部会において、参考資料2のとおり決定されておりますので、適宜、ごらんいただければと存じます。
 今回の第3回点検では、第三次環境基本計画に定める10の重点分野政策プログラムのうち、「都市における良好な大気環境の確保に関する取組」、「環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組」、「市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」、「長期的な視野を持った科学技術、環境情報、政策手法等の基盤の整備」及び「国際的枠組みやルールの形成等の国際的取組の推進」の5分野を重点点検分野として位置づけ、それぞれの分野について総合政策部会として特に関心が高い事項を重点調査事項として設定しております。重点調査事項につきましては4ページ以降に記載しております。
 なお、今回の重点点検分野は一昨年の第1回点検時の重点点検分野と同じでございます。したがいまして、今回の点検では第1回点検時における指摘内容を踏まえた取組状況のフォローアップも行うこととしております。重点調査事項②及び③が第1回点検時の調査事項でございます。
 本日の小委員会では、「都市における良好な大気環境の確保に関する取組」及び「環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組」の2分野について、関係府省の取組状況を事務局から報告させていただきます。その後、委員の皆様から関係府省に対する質疑を行っていただくとともに、今後の政策の推進に向けて提言すべき内容等についてご意見を賜ればと存じます。
 今後の点検のスケジュールについては、委員の皆様には既にご案内を差し上げているとおりでございますけれども、参考資料1のとおりとなっております。また、参考資料4として一昨年の第1回点検時に作成した点検報告書をお配りしておりますが、11月に開催いたします総合政策部会において、これと同様の報告書を取りまとめることを予定しております。
 それでは、今後の進行は鈴木委員長にお願いいたします。

○鈴木委員長 それでは、早速ですが、議事に入らせていただきたいと思います。
 今、小森計画官のほうからご説明がありましたように、第三次環境基本計画で取り上げております10の重点分野政策プログラム、これを5分野ずつ、毎年、点検をさせていただくということで、既に3年目に入って3回目になりますので、第1回目に取り上げました5分野がまた今年、ここで検討の対象となっていると、そういうことでございます。その5分野のうちの2つを今日はとりあげ、各省の方々からお話を伺う、そういうことになっておりまして、「都市における良好な大気環境の確保に関する取組」、そしてもう一つは「環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組」、この2つのプログラムにつきまして点検を進めさせていただくということになります。
 それでは、最初に重点点検分野といたしまして「都市における良好な大気環境の確保に関する取組」、これから進めさせていただきたいと思います。警察庁、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省及び環境省がヒアリング対象の府省となっております。
 では、初めに概要につきまして事務局のほうから説明をお願いいたします。

○小森計画官 それでは、ご説明させていただきます。
 環境基本計画の点検に当たっては、関係府省による自主的点検として、それぞれの府省における取組状況等を記した調査票を提出していただいております。大気分野の調査票は、お手元の資料1-2にまとめてございます。これをもとに事務局におきまして大気分野の取組状況等を整理した資料1-1を作成しております。この資料は、点検報告書に各重点調査事項に係る主な取組状況として盛り込む記述のたたき台として作成したものであります。これに沿いまして関係府省の取組状況等を総括して説明させていただきます。
 大気分野につきましては、資料1-1の表紙にございますとおり、新たに設定した重点調査事項として、固定発生源からの大気汚染物質の削減に向けた取組が、また、第1回点検後、ご指摘を受けましてのフォローアップ事項として、環境的に持続可能な交通システム実現のための取組、及びヒートアイランド対策のための取組につきまして調査いたしました。
 表紙をめくっていただきますと、環境基本計画に定められた指標に基づく大気環境の状況に係るデータがございます。光化学オキシダントを除きまして、環境基準の達成率はおおむね高い値となっております。なお、SPMと光化学オキシダントの原因物質の一つでもある揮発性有機化合物の排出削減に向けた取組については、後ほどご説明いたします。都市域の30度C超の高温時間数及び熱帯夜日数につきましては、ばらつきはあるものの、平成19年度は平成18年度より増加しているところでございます。
 次に、各府省による主な取組の状況についてご説明申し上げます。
 1枚めくっていただきまして、初めに固定発生源からの大気汚染物質の削減に向けた取組についてでございますが、この項目はさらに揮発性有機化合物(VOC)について事業者による自主的な排出削減の取組の促進、及び建築物の解体現場等アスベストの発生源における大気環境中への飛散防止対策に分けられます。
 VOCにつきましては、平成16年2月の中環審の意見具申等を踏まえ、平成17年の大気汚染防止法改正により、ベストミックスによる対策が進められることになり、平成22年度を目標年度としてVOC排出量を平成12年度比で3割削減することが目標とされています。また、目標年度終了後には法律の施行状況等を評価し、必要に応じて法規制と自主的取組の組み合わせを見直すこととされています。法規制につきましては平成17年、大気汚染防止法が改正され、平成18年から施行されていますが、この点検では次に説明する自主的取組のほうを中心として扱うことといたします。
 自主的取組を進めるための支援措置についてでございますけれども、VOCの排出を抑制する設備等の設置に関し、所得税、法人税等の軽減優遇措置が講じられているほか、日本政策金融公庫ではVOC排出抑制に資する設備等を取得する際の貸し付けに関し、貸付利率の特例が設けられています。
 また、経済産業省におきましては、業界や企業が自発的に計画を検討・立案し、対策を実施する仕組みを構築しています。これは、参加企業を包含する形で事業団体がVOC排出抑制に係る自主行動計画を策定し、経済産業省に提出することと、経済産業省が全事業団体に係る自主行動計画を取りまとめ、毎年度、全計画に係る削減目標等を公表するという制度でございます。
 この計画には、各企業が行ったVOC排出の実績も盛り込まれており、経済産業省に報告のあった実績は産業構造審議会において検証されております。平成20年度の計画を集計いたしますと、参加企業全体の平成22年度の排出削減目標値は平成12年度比で41%となっており、平成19年度の実績も平成12年度比で既に35%削減となっております。自主行動計画に取り組む企業については、既に目標とする3割削減を上回る取組が進められているところでございます。
 自主的取組の推進に向けた普及啓発につきましては、経済産業省が事業者等による「VOCの自主的取組促進のための指針」等を作成・公表しているほか、環境省が「産業洗浄等に係る自主的取組を促すマニュアル」を作成し、その普及を図っています。また、VOC排出抑制技術に係る実態調査等も行い、その成果を公表しているほか、対策を率先して行っている事業者等の活動に対し、表彰も行っています。
 自主的行動計画に基づく取組を進める事業者に限らない、すべてのVOC排出量につきましては、環境省が排出インベントリーを推計し、結果を取りまとめています。平成19年度のVOC排出量は平成12年度比で既に23%削減されており、各種取組が一定の成果を上げていると評価できるものと思われます。
 次に、アスベストでございますけれども、平成17年以降、アスベスト問題に関する関係閣僚による会合が設けられておりまして、同年12月にはアスベスト問題に係る総合対策が取りまとめられました。また、平成19年度以降、毎年度、アスベスト対策関係予算一覧が作成されており、飛散防止対策は着実に進められています。
 法令上の措置といたしましては、大気汚染防止法においてアスベストを発生・飛散させる施設の設置、解体等の作業について一定の基準を設け、作業従事者に基準の遵守を義務づけており、アスベストを発生させる施設及び作業については、都道府県への届け出を義務づけております。施設については平成19年末までにすべて廃止されており、届け出件数は0件となっております。作業の届け出件数についても減少してきております。
 アスベストの除去・飛散防止等に係る支援措置につきまして、学校施設については文部科学省、社会福祉施設については厚生労働省といったように、施設の種類ごとにアスベスト除去等に係る費用への補助が行われております。また、国土交通省におきましては、他の補助対象になっている公的施設を除く建築物のアスベストの除去等に要する費用への補助も行われています。このほか、日本政策金融公庫では中小企業によるアスベストの発生・飛散防止等に必要な設備・投資等に係る貸し付けに関し、貸付利率の特例が設けられています。
 普及啓発につきましては、国土交通省が「目で見るアスベスト建材」を、環境省が「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル」等を作成し、飛散防止等の普及、啓発等を進めています。
 他分野とのかかわりということでございますけれども、この会議の冒頭でも申し上げましたとおり、今回の点検から環境基本計画における事象面で分けた重点分野に係る点検については、他分野とのかかわりについても取り上げることとされております。
 VOCにつきましては、その対策を進めることが化学物質による環境リスク低減につながるという側面と、VOC排出削減のための低VOC塗料や水性化塗料の使用が新たな化学物質による環境リスクの増加につながるという側面、すなわち、プラス面とマイナス面の双方で化学物質分野と関連することとなります。また、アスベスト関係では、アスベスト除去時に使用する薬剤による新たな環境リスクの増加が化学物質分野と関連するほか、アスベスト除去による廃棄物の増加が物質循環分野と関連いたします。
 7ページに入りましてESTでございます。第1回点検後のフォローアップ事項として、EST実現に向けた取組についてご説明いたします。ここでは、第1回点検時の指摘事項であるESTの全国への普及についてご説明させていただきます。
 ESTについては前回の点検でも扱ったとおり、平成16年度から18年度まで警察、国交、環境の3省庁でEST実現を目指す先導的な地域をESTモデル地域として指定し、平成17年度から21年度まで集中的に支援を行うESTモデル事業が実施されています。最終的に全国で27の地域が指定されましたが、事業の成果は本年度に取りまとめられ、分析・検証が行われ、インターネットを通して発信することとなります。
 この事業とは別に、平成20年度から国土交通省と環境省が連携し、より積極的かつ自主的にESTの普及推進に取り組む地域を新たにEST普及推進地域として選定し、支援を行っています。平成20年度は全国で3地域が指定されています。このほか、環境省では本年度からモビリティマネジメントによるエコ通勤に取り組む企業等に対して支援することにより、モビリティマネジメントの普及促進を図る事業も進められています。
 公共交通機関の利用促進の観点では、警察庁が公共車両優先システムの整備等を進めまして、バス専用・優先レーン等の設定やバス優先の信号制御等を進めています。また、信号機の集中制御化・高度化等も進めています。PTPSについては全国40都道府県で既に運用されているほか、集中制御化・高度化された信号機の基数もふえています。加えて、国土交通省では地域公共交通活性化再生総合事業等を進め、地方鉄道、路線バス、コミュニティーバス等の活性化、利用促進の取組等により、環境負荷の少ない公共交通機関活性化・再生に向けた取組を各地で積極的に推進しています。
 他分野とのかかわりについては、ESTの実現がCOの排出削減、すなわち地球温暖化問題に対する取組にもつながることが挙げられます。
 次に、第1回点検後のフォローアップ事項として、ヒートアイランド対策についてご説明いたします。ここでは第1回点検時の指摘事項を踏まえ、地球温暖化対策との関係の説明・体系化、ヒートアイランドのメカニズム解明等の研究の推進、対策効果の評価方法の確立、指標のわかりやすい提示についてご説明いたします。
 ヒートアイランド対策につきましては、ヒートアイランド対策大綱により、人工排熱の低減、地表面被覆の改善、都市形態の改善、及びライフスタイルの改善の4つを柱として進められており、また、同大綱に基づく点検も毎年行われているところでございます。地球温暖化との関係については、環境省が自治体向けに作成しているガイドラインにおいてわかりやすく説明し、施策の体系化・重点化を促進することとされています。また、京都議定書目標達成計画においても、ヒートアイランド現象に関する観測、調査、研究で得られた知見を活用し、総合的に対策を進めることで都市の低炭素化を推進することが掲げられております。
 ヒートアイランド現象のメカニズム解明に関しましては、気象庁が実態把握やメカニズム解明に関する調査を行い、平成16年度以降、ヒートアイランド監視報告として取りまとめています。また、国土交通省におきましてもシミュレーション技術を開発し、地域の実情に合った対策の選択・組み合わせ等についての検討が行われています。このほか、環境省におきましても、関東、中部、近畿において熱環境のシミュレーションを実施しているほか、都市の気温上昇が及ぼす人や環境への影響について調査を行い、知見の蓄積を進めています。
 ヒートアイランド対策の効果の評価については、環境省が環境技術を活用したヒートアイランド対策の検証による対策効果の測定・検証等の結果を踏まえ、評価方法を確立していくこととしております。指標につきましては、環境基本計画において掲げられた指標をもとに、毎年、データが公表されておるところでございますけれども、環境省ではヒートアイランド現象緩和に関する指標の提示に向け、暑さ指数の観測、予測値の提供を行うとともに、予測値の精度向上にも取り組んでおります。
 他分野とのかかわりという点では、さきにご説明申し上げましたとおり、地球温暖化対策分野との関係を考慮していく必要がございます。
 最後になりましたけれども、資料1-1におきましては各取組の記載の末尾に担当省庁名も記載しておるところでございます。関係府省より説明者も参っておりますので、適宜、ご意見、ご質問を賜ればと思います。
 以上で大気分野に係る概要説明を終わらせていただきます。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 それでは、今、環境省のほうでまとめてご説明をいただいたわけですが、これにつきまして、委員の方々からご質問、ご意見をいただきたいと思いますが、その前に各府省のご出席の方々から今の説明につきまして、特にこの段階で補足あるいは追加等のご説明がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、それぞれの点につきましてご質問をいただく中で、また、追加補足をお願いすればと思っております。
 委員の方々、ご質問あるいはご意見をお持ちの方は、名札を立てていただけますでしょうか。よろしいですか。それでは、こちらから順番にまいりましょうか。一回り、ご質問、ご意見をいただきましてから、後で整理してそれぞれの府省からご説明をお願いしたいと思います。
 では、浅野委員。

○浅野委員 今回はよくまとまった資料をお出しいただいていますから、何かいかにもこれが点検報告書案のように見えてしまいます。しかし、そうではなく、これはあくまでも各省庁、府省の取り組まれたことについて整理をされたというだけの資料ですから、審議会としてはこれに基づいてさらにこういう点はどうなのかとか、ここは不足ではないかといったようなことを書き足していかなければ点検にはならないわけです。それで、ここが足りないとか、あそこが足りないというようなことを申し上げてもいいわけですが、とりあえずはまずご質問を幾つか申し上げたいと思います。
 VOCについて自主的取組が着実に進められており、自主行動計画が成果を上げたという経済産業省からのご報告でございます。それはそれとしてよく理解できるわけで、自主行動計画では既に目標を達成しており、41%ぐらいに削減ができたということになっておりますけれども、環境省のインベントリーでは23%が削減の実績ということですから、結局のところ、自主行動計画がどの程度の事業者をカバーしているのかが問題だと思われます。自主行動計画が、どの程度のカバー率なのかということを定量的に把握しておられるかどうか、この点をぜひ知りたいと思います。
 それから、アスベストに関してですが、今回はちょっと関係府省への質問は、大気環境中への飛散防止対策ということに絞って問い合わせをしていますので、これはこれで回答としてはいたし方ないと思うんですが、アスベスト問題のもう一つの側面としては、アスベストが建材等に使われている施設があってそこに近づく機会があったということだけで、不安感が生じているという現実がありますから、この辺をどう解きほぐしていくのかということも一つの課題ではないか。
 既に製造過程などでの飛散というような事態はなくなっているということはわかるわけなので、これから先はむしろ既に存在する建築物その他の中に使われているアスベストがどうなるかということですが、解体のような場合に飛散の可能性があるわけですから、そのときにきちっとした管理ができているということをしっかり国民が理解できること、それから安定した状態に置かれている限りは、それ自体が直ちに中皮腫等の原因になるというようなことはないのだと私は理解をしているのですが、もしそうであるならば、そういう事実をきちんと国民に知らせる努力はどういうふうになっているのか。
 不幸にも今日のヒアリング対象になっている環境省の担当課も、その所管ではないと言われる可能性があるわけですが、この辺がちょっと気になります。飛散防止対策マニュアルの作成をしていますということでとまっているのですが、それだけで国民の不安感の解消をはかることができているのだろうか、すなわちリスクコミュニケーションという観点からの対策が、ここでどういうふうに行われているのかが気になります。これが今回の新規の取組事項に関する点です。
 それから、ESTについて、私は国交省がおつくりになった地域公共交通活性化の法律は、大変いい法律だということで高く評価をしているわけですが、法律ができてからの運用の状況がどうなっているのかがこのペーパーではよくわからない。ここにあるESTモデル事業というのは前から行われていたものだと承知していますので、これと新法に基づく新たな地域での取組というものとのつながりがどうなっているかということ、あるいはつくられた法律の運用状況がどうなっているかをぜひ知りたいと思います。
 それから、今日いる府省にここで言ってもしようがないことかもしれませんが、昨日のある政党のマニフェストを見ますと高速道路の無料化ということが出ていますし、それから暫定税率廃止というのが出ているわけで、こういうお話は一体本当に我々の環境基本計画で考えているESTの考え方からいうと、かなり問題があるんじゃないかなという気がいたします。もしそういう政策が具体的に実施されるようなことが起こったとき、一体我々はどう考えたらいいんだろうということを、審議会としては議論しておかなければいけないのではないかなと少々心配をしているところです。
 新しい政策の導入に際しては、環境面からどうなるだろうかということをちゃんと戦略アセスのような観点からも議論をしていただきたいものですが、一方では戦略アセスをやれと言いながら、一方では全くそんなこと関係なしに、環境に大きな負荷を与える可能性があるような政策が出されてくるということについては、少々怖いという気がしないでもありませんが、これは蛇足です。

○鈴木委員長 では、大塚委員。

○大塚委員 ありがとうございます。
 1点だけちょっと質問させていただきたいと思います。VOCにつきまして3ページにありますように35%削減とか、先ほどは41%削減とか、あるいは全体として23%削減という数字が出ているんですが、ちょっとおくれてきてしまってすみませんでしたが、最初のほうの環境基準達成率のところを見ると、Oxについては環境基準達成率ゼロという状況のようですが、もともとVOCの規制は、あるいは自主的取組というのは光化学スモッグ(O)のために対策をとっているわけですけれども、VOCを減らしたことがOxの環境基準達成に余り影響していないのかとか、この間の関係はどういうふうに見るか、あるいはOについて環境基準を達成するためには、新たに何をすべきかというような問題が出てきているようにも思われますけれども、この辺について環境省さんだと思いますけれども、どのようにお考えなのかということをご指摘いただければありがたいと思います。
 以上でございます。

○鈴木委員長 では、河野委員。

○河野委員 2点あります。
 一つはVOCのことなんですが、自主的行動計画の対象外の事業者につきましては、自主的取組を進めていけば対象外事業者も現在のPRTR制度その他で排出量が下がっていくのか、やっぱり何かそれなりの対応をとる必要があるのではないかということが1点であります。
 それから、もう一つはESTのことでありますが、ご報告というか、説明では既存の交通システムを改善することによって、持続可能な交通システムをつくり上げるというような印象がありますが、新たに例えば次世代型路面電車といいますか、高齢化社会に向けても大規模都市にとっては、望ましいシステムではないかというふうに個人的には思っているんですが、こういう新しいシステムの導入等について考慮に入れているのか、入れていないのか。考慮に入れているような内容の書き方にもなっているように思えますが、その辺についてご説明いただければと思います。後の分は環境省と国土交通省にかかわりがあるんでしょうか。
 以上です。

○鈴木委員長 永里委員。

○永里委員 ありがとうございます。
 ちょっと前置き的ですが、オゾンホール対策では特定フロン等の代替により、特定フロンの大気濃度が縮小に向かっているということが測定結果で明らかになっています。ところで、平成18年4月から施行された大気汚染防止法の改正は、揮発性有機化合物(VOC)を低減することによって、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質、いわゆるSPMによる大気汚染を改善することが目的でした。これまで光化学オキシダント濃度の測定やSPM濃度の測定が行われていますが、測定の結果、これらは法改正の目的に沿って着実に改善されていますかというのが私の質問です。というのは、中国からの越境とか、その他の理由で所定の目的ほど減少していないんじゃないのかとか、因果関係ははっきりしているんだろうか、その辺は浅野委員とか大塚委員が別の言い方でなさっていますけれども、私はここについてちょっと質問したいと思います。
 以上です。

○鈴木委員長 長辻委員。

○長辻委員 ヒートアイランドでお尋ねしたいと思います。配っていただいた調査票のほうの14、15、これを開いてみますと、左側は環境省、右側は国交省。環境省のほうでは「ヒートアイランド対策効果の評価方法の確立等に向けた調査研究を行い」というふうになっています。、これからやる、進行中という表現なんですけれども、国交省のほうを見ると、「ヒートアイランド対策評価のためのシミュレーション技術を開発し」というふうに既に進んでいるという表現になっています。この辺の食い違いがどうして起きるのかということを知りたいと思います。それから、私は職場が大手町なんですけれども、高いビルの上から見ますと、ほとんどのビルで屋上緑化と言われていますが、進められているところを見たことがありません。この実態の把握というのはどの程度進んでいるのか。
 どのビルの屋上がどうだというのはなかなか難しいのですが、高いところから見ればかなり一目瞭然で見えて、言われているほどには進んでいないという、そういう実感を持っております。18年度からヒートアイランドの対策予算を講じていろいろ進められておりますが、その割にはなかなか進行が遅いなという印象を持たざるを得ません。実際、やってみると大変なことはいろいろ多いと思いますが、感触としてはなかなか改善されないなという、そういう印象を持っております。その辺をあわせてお尋ねしたいと思います。

○鈴木委員長 では、林委員。

○林委員 ESTとヒートアイランドについて意見とご質問をしたいと思います。ESTについては、最初にOECDでESTというプロジェクトが始まって、それが日本に持ち込まれて、こういう具体のモデル地域というのができまして、環境に優しい交通の考え方を広めるには大変役に立ったと私は思います。たまたま、私は環境省の当初の国内の委員会を立ち上げたときの委員長をさせていただいていましたし、それからOECDのほうの委員もさせていただいていましたので、大変関心を持っていましたが、具体の成果が出たと思います。
 一方で、実際の政策実施は、まだまだ個別であります。先ほど質問にも出ましたが、やはり例えば高速道路の1,000円しても何にしても、突如としてそういう政策が出てきて果たしていいのかと皆さん思っているわけです。やはりトータルとして低炭素交通体系とその指針が必要で、あくまでも総合交通体系としてどういうふうに低炭素化していくか、というものが重要なわけですね。
 EUでは非常に積極的にこういうことを進めておりまして、航空輸送についてはご承知のように、EU発着の飛行機についてはエミッショントレードをきちっとかけて、チャージをしていくということを始めようとしているわけでありまして、放っておいても日本に入ってくるわけですね。だから、それを手をこまぬいて待っていてはいけないわけで、日本が一体どうするかということを国際交通も含めてきちっと関係省庁が把握し、そういう方策を確立しないといけないと思います。
 例えば自動車の関連の税について、大きな軽減をしたために低燃費車が普及しました。EUでは、航空輸送がのエミッショントレード・システテムに組み込まれます。それに対して日本が今度、炭素繊維を用いて非常に軽くてエミッションの低い新しい航空機をつくるなんていうことになってきまして、そういうものがマーケットにどうやって浸透していくかということにも影響が出てくる。これは経産省あたりの関係かもしれませんが、環境というものが次のビジネスにも非常に大きな影響を与えていくんじゃないかということで、これのプラス回転をどういうふうにつくるかという仕掛けをESTという考え方を中心につくっておく必要があろうかと思います。この辺のお考えがもしありましたらお聞かせいただきたい。
 ヒートアイランドについてなんですが、これもいろんな対策が打たれているんですが、一つ私は根本的に忘れられていることがあると思います。民地の中のヒートアイランド対応をどうするかということであります。つまり、例えば東京とロンドンあたりを比べていただければいいんですが、都市の中心部の住宅のつくり方ですね。街区を中心として街区の内部になるべく大きな庭をつくるような、そういう都市計画のルールを持っているわけです。それによって内部に非常に大きな庭ができるものですから、各の庭の所有者は違っていてもトータルとしてオープンスペースが非常に大きくなって、緑がたくさんできると。それによって、かなりヒートアイランドが緩和されているんじゃないかと思います。
 ドイツなんかはそれを連ねて、風の道と言っているわけでありますが、風の道というのは公共がつくる森林でもってつくるだけではなくて、民地がどう連なってできるかということをこれからやっていかなければいけないと思っております。そういう意味で、街区を中心として建物の建て方についてのルールをきちっとやっていくと。これは環境負荷という観点からも非常に重要なものでありまして、ぜひ関係省庁の特に都市計画関係が積極的に推進していくべきじゃないかと思っています。
 以上です。

○鈴木委員長 
 佐々木委員。

○佐々木委員 これだけまとめをされたということに関して大変敬意を表します。2つ質問させていただきます。
 一つは、私は学校現場にいた人間としてアスベストにかかわる件でお話しさせていただきます。例えば保護者への対応だとか、それから区への対応だとかについて実に大変なかかわりをしました。校長としては学校管理者としてその対応は非常に重大な任務でもありますので、そのあたりが学校現場としてはどうであったかということを教えていただければありがたいと思います。
 それから、2つ目はこれも学校現場のことでありますけれども、ヒートアイランドにかかわって芝生化が随分うたわれておりますけれども、例えば江戸川区の場合ですと、今年度、一つの学校だけです。どんな状況で進んでいるのか、もう少しコマーシャルも含めて啓発事業が必要なのではないのかなということを常に思っております。2つ目は芝生化のことについて質問させていただきました。
 以上です。

○鈴木委員長 善養寺委員。

○善養寺委員 ヒートアイランドの件ですが、先ほど長辻委員も林委員も言われましたが、ヒートアイランドについての屋上緑化に関しても、車と同様に、今はエコポイントでエアコンの買いかえ促進がされておりますが、1台の買いかえで考えると確かに古いやつよりは効率が上がるんですけれども、逆にエコポイントを配ることでエアコンを増設する機会を大量に与えているのではないか。そうすると、室外機による排熱と緑化の効果というものを数量的にきちっと学術的に出して、それの相殺される量がどのぐらいなのかちゃんとシミュレーションされているのかどうか。
 屋上緑化とビルの排熱も同様だと思います。屋上の一部の何十%かで緑化をしたことでのヒートアイランド抑制効果と、そのビル1棟が新設されることで排気されるヒートポンプの排熱との相殺バランスというものも、あらかじめ明確にしておかないと、新築ビルの場合、屋上緑化すれば何か免罪符が配られるような状況はおかしいと思うんですね。そこが明確になっていればヒートポンプをエアでやるのか、地中熱でやるのか、そういうところまで議論の対象になってくると思います。
 そして、あと住宅地における民地の緑化、都市計画における緑化効果という単体での効果だけを一部とってみれば、確かに屋上緑化も街路樹緑化もヒートアイランドの抑制効果はあるんですけれども、やはり建築も含めた面で捉えたときに、どのぐらいの緑のボリュームがないと抑制効果にならないのかは明確にやはり数字を出して、今後、どういう政策として都市計画をやっていくかをつくっておかないと、なるべく緑化してくださいとか、とりあえず屋上緑化をしてくださいとか、何かあたかもそれをやればすべてが解決するかのようですが、解決するなりの根拠をきちっと示す必要があるのではないかなと思いますので、どこまでシミュレーションされているのか、伺いたいと思います。

○鈴木委員長 よろしいですか。
 それでは、ちょっと私からも一つ。いろいろと施策の実施例が挙げられています。例えばアスベストなんかですと、どのくらいの事業がなされたかということはここにあるんですが、今、浅野委員からもありましたでしょうか、インベントリーとして今どれくらい残っていて、それが今のペースで進んでいったとして、いつ問題が解決することになるのか、あるいはアスベストの場合に、固定して飛散を防止するというような方法も一部とられているわけですが、今度の竜巻みたいにいろんな災害によって、余り今までのやり方が適切ではないというようなことも生まれてくるんじゃないか。その辺のところも含めて、アスベストに関してどういうふうに考えておられるか。これは国土交通省なのか、あるいは学校ですと先ほど佐々木委員からもありましたように文科省のほうが把握しておられるのか、いろいろだと思います。
 ヒートアイランドなんかに関しても、要するに定量的に対策の効果が環境的な面から評価されるのかという、その辺のところも指標の問題と絡んで、今後、重要になってくると思いますので、お答えいただける範囲で結構ですのでお願いしたいと思います。
 いろいろとご意見も含めてご質問が出ましたのでどういたしましょうか。こちらから順番にいきましょう。まず、環境省。

○環境省 環境省の自動車環境対策課長の内藤でございます。ESTに関してのご質問で、国交省あてのものではないところを簡単にお答えしたいと思います。
 浅野先生から、高速の無料化その他についてもっと議論が必要なのではないかと、こういうご指摘を受けているところでございますが、先般の高速道路休日上限1,000円割引のときにも、私どものほうでもどういう状況になったのかというのを簡単に調べておりますが、通常ですと、一般国道を走っている自動車が高速道路に移るというような現象が起こっていまして、高速道路のほうは多少渋滞がふえるわけですが、一般道路のほうはむしろ渋滞が解消されるというようなことも起こっているようでございます。ですが、そう単純に無料化するとどちらに振れるというのは言いがたい状況のようでございまして、いずれにしろ、定量的にきちんとさらに知見を深めてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、新技術を用いたESTについて河野先生からご質問があったと思いますが、新技術を用いるというとなかなかハードルが高いわけでございますが、例えば私どものほうではモビリティマネジメントによるエコ通勤社会実験というものを今年度から行っております。この中で、電池会社のジーエス・ユアサさんのほうで電動バイクを自社開発されまして、これを用いてエコ通勤の実験をしたいと、こういうことがございまして、今、私どものほうでモデル事業として採択いたしまして進めているところでございます。新技術というとハードルが高いわけですが、そのような形で積極的にそういうものを取り上げてまいりたいと考えているところでございます。
 そのほかの点については国交省のほうですね。
 以上でございます。

○環境省 ヒートアイランド対策につきまして大気生活環境室でございます。
 まず、資料1-2の14ページ、15ページにわたりまして、環境省、そして国土交通省が行っております施策を書かせていただいておりますが、その中でご質問がございましたが、この評価方法の確立というものについてでございます。目指す方向としては同じ方向で連携をさせていただきながらやっておりますけれども、環境省におきましては主に自治体の中での取組、特に街区であるとか、かなり限定された地域でヒートアイランド対策を行った場合に、どれぐらいの効果があるのかということをより定量的に評価をするための手法を今自治体と連携をしながら、実測もしながら開発をしているというところでございます。
 2つ目のご質問でございましたが、民地での取組、特に都市のつくり方というところでございますが、関係府省でつくりましたヒートアイランド対策大綱の中の柱の一つといたしまして、都市形態の改善というものを掲げさせていただいておりまして、その中では都市の緑地の活用というものもございますが、さらには長期的な視点といたしまして、コンパクトで環境負荷の少ない都市の構築を推進するということを書かせていただいておりまして、関係府省で個別具体的な施策を随時推進しているというところでございます。
 あと、エコポイントによるエアコン等の推進等の関係でございますが、残念ながら、今、手元にどれぐらいのエアコンが浸透して、それがどのような場所にあるのかということは、ちょっとデータがございませんので、関係するエコポイントの担当などと連携をしながら、情報をとって検討してみたいと思います。
 以上でございます。

○環境省 1点だけ、先ほどの高速無料化等の件で補足いたしますと、先ほど例示で先般の暫定的な高速料金休日上限1,000円割引にするときの話を例に挙げて応対しましたが、暫定的な短期間の話でございますので、また、長期的なことになるとまた状況は変わってくるかと思いますので、その辺も含めて定量的にきちんと議論をしていく必要があるかなと思っているところでございます。

○環境省 VOCの削減につきまして、オキシダントの削減に寄与しているかということについて、委員お二方からご質問があったところでございますけれども、これにつきましては委員からもご指摘のありましたとおり、大陸からの寄与ということについても無視できない、むしろ大きな要因として残っているところでございますが、中央環境審議会の大気環境部会の中の揮発性有機化合物排出抑制専門委員会、VOCの排出抑制専門委員会というところで、毎回、VOCの排出インベントリーということで取りまとめておるところでございますが、VOCの排出量につきまして今のところ順調に削減されているということでございます。
 加えまして、その委員会の中でVOCをどれくらい削減したら、オキシダントの削減に効果があるのかというところにつきましては、シミュレーションをしてみているところでございますが、22年度末ということで、今、効果を検証しているところでございます。これにつきましてはまだ今後、いろいろと見ていかなければいけないわけですが、大陸からの寄与分を除いて日本の中でVOCを削減して、どれくらい効果があるのかというところについても、きちんと検証しているところでございます。ですので、もう少し長期的にいろいろと知見を重ねていかなければいけないというふうに考えております。

○鈴木委員長 では、国土交通省ですか。

○国土交通省 国土交通省総合政策局環境政策課の平川と申します。ESTについて幾つかご質問がございましたので、順にお答えしたいと思います。
 まず、浅野委員の地域公共交通活性化法の運用について、この法律はご存じのとおり平成19年10月から施行されまして、地域の足であります公共交通を存続させること、活性化させることを目的にしております。まず、ESTの関係でいいますと、やはり公共交通ということで環境に優しい交通ということでございますが、当然公共交通が活性化して、皆さん、乗っていただければ、その分、マイカーが減って削減につながるという面で、法の運用は大事なものだと考えております。
 一方、運用の面ですけれども、平成19年10月から施行されて、現在、350カ所程度がこの計画の認定を受け、順次、事業を実施しているところでございます。公共交通には、鉄道、バス、タクシー、船、いろいろございます。それらが一体となって足りないところを補って、公共交通をより活性化して普及させていくように、順次、実施しているところでございます。認定されると、計画策定を行い、次に補助になるのですけれども、計画は基本的には3年計画となっております。今は施行して2年目ですけれども、順次、実施しているというところでございます。
 次に、路面電車とか、新しい技術を考慮しているかという点でございます。当然、特に最近ですけれども、電気自動車が市販されるとか、そういう新しい技術がどんどん普及しているところでございます。これに伴いまして、恐らく都市の交通の形で順次変わってくるのではないかと考えています。
 LRTなどもいろいろ「つくる」、「つくらない」と議論している都市も幾つかございます。これに対してもやはり考慮して、もし、つくって乗らないんだったら全く意味がない話でして、当然、関連部局と連携して利用を見込んだり、土地柄というものがございますので、そういうのを見きわめて順次導入を推進していきたいと考えております。
 3点目が林委員から、ビジネスにつながるかというお話が1点ございました。なかなか難しいところではございますが、やはり先ほど申しましたように次世代自動車やLRTなどについて、実際に富山の例では、LRTを入れてお客が倍に増えたという事例もございますし、次世代自動車に関しましては当然グリーン税制などを利用しまして、普及に今努めているところでございます。そういうところで当然ビジネスにつながると考えておりまして、関連省庁と連携し、どう普及させるかということを考えていきたいと思っております。

○国土交通省 続きまして、ヒートアイランドに関連いたしまして、私、総合政策局の鈴木からお答えさせていただきます。
 まず、調査票の14ページと15ページで表記が違う件について、国土交通省の施策の実施状況ではいずれも行った、確立したという終わった形で書いておりますけれども、いずれもすべて完了しているというわけではなくて、引き続き継続的に調査をしていくべきものがあると考えておりますので、継続中という意味では環境省と同じような状況であると認識しております。
 それから、屋上緑化が進んでいるかどうかという点について、複数の委員からご質問がございましたが、屋上緑化につきましては継続的に把握をしておりまして、先日、公表させていただいており、これまで屋上緑化につきましては累計242ヘクタールなされております。また、壁面緑化につきましても24ヘクタールの施工実績がございます。単年度の実績は多少の増減はありますけれども、比較的増えており順調に推移しております。まだ十分な量かどうかということには異論はあろうかと思いますけれども、このような状況となっております。
 それから、国土交通省の調査票では屋上緑化や交通の削減、保水性舗装、高反射率塗料の塗布等のそれぞれの対策効果を評価できる手法を確立したと書いておりますけれども、これも善養寺委員からご指摘があった点に十分にお答えできるほどのレベルのものではございません。例えば一つの地区において緑被率を現状2割のものを3割にしたらどうなるかといったような条件で計算ができるという程度の状況でございます。それから、都市計画という観点からは水と緑のネットワークといったような施策に加えまして、緑地地域制度、地区計画等緑化率条例などを推進しているところでございます。

○国土交通省 国土交通省の都市計画課の村田と申します。都市計画の面からヒートアイランドで街区との形態等についても、積極的な方針を示すべきではないかというようなご指摘だと思うんですけれども、実際、いろんな壁面の位置とか、後退とか、いろんな制度的なツールというのはあるわけでございますが、そういったものをどうやって使っていくかということについて、低炭素都市づくりガイドラインという、これはヒートアイランドだけではなくて、もっと緑地とかCOとか、全体を含めたガイドラインですけれども、そういったものを都市計画サイドでもつくるということで、素案を今つくっておるところでございます。そういったところで、そういう風の道を配慮した街区の連続性といったようなことについても考え方を示しながら、また、街区レベルでの簡単なシミュレーションソフトみたいなものも開発しておりますので、そういったルーツも提供していきたいというふうに考えております。
 以上です。

○国土交通省 アスベストの対応について答えさせていただきます。建築物へのアスベスト、吹きつけアスベストだけですけれども、国土交通省では民間建築物のうち大規模なもの、おおむね1,000平米以上の建築物につきまして調査をいたしております。調査対象27万棟のうち、報告していただいているものは約22万9,000棟といった状況であります。露出してアスベストが吹きつけられている建築物が約1.6万棟、対応済みのものが約9,000棟、対応率約60%といった状況になっております。インベントリーとしてのアスベスト量という、施工されているボリューム、今後、廃棄物として出てくるボリュームという点では手元に資料がありませんので十分なお答えになっていないと思いますけれども、こういった民間建築物における利用状況の調査等を進めているところでございます。
 それから、もう1点、戻って申しわけございません、ヒートアイランドにつきまして建築物を含む面的な対応が必要といったご指摘がございましたが、国土交通省では建築物総合環境性能評価システム、いわゆるCASBEEと呼ばれているものの一環といたしまして、街区でのヒートアイランド対策に資するという観点での性能評価ツールの普及等を進めているところでございます。
 以上です。

○鈴木委員長 
 それでは、経済産業省、お願いいたします。

○経済産業省 経済産業省でございます。VOCの自主行動計画について幾つかご質問をいただいております。
 まず、VOCの捕捉率と、カバー率というふうに浅野先生がおっしゃったところでございますけれども、これについても自主行動計画の進捗と同様に弊省に報告いただきまして、産業構造審議会のほうに報告させていただいております。その数字は、タイミングの関係で一つ前の平成18年度の数字での比較になりますけれども、環境省のインベントリー調査における平成18年度の排出量が117.0万トンのところ、自主行動計画における排出量というのが35.8万トンになってございます。これは30.6%の捕捉率というふうになってございます。一方、削減量でございますが、平成18年度で比較しますと12年からの削減量ということでございますけれども、これが30.2万トンのところ、自主行動計画は16.2万トンということで、削減量だけ注目すると53.6%の捕捉率となっておるという状況でございます。
 ただ、今後、この捕捉率がどうなっていくかというところでございますが、まず、定点観測的に平成12年度の排出量で比較しますと、19年度に報告させていただいたものと20年度、昨年末に報告させていただいたものを比較すると、捕捉率は先ほどの環境省のインベントリー調査におきましては、平成12年度では147.2万トンのところ、自主行動計画の参加企業の排出量を合わせると52.0万トンであったということでございます。これは35.3%でございますけれども、1年前のものと比べると1年前は51.0万トンということで、捕捉率は34.8万トンということでございまして、捕捉率でいえば1年たつと0.5%ほど上がっているという状況でございます。
 こういった状況はどういったメカニズムで起こっているかと申しますと、19年度、新たに接着剤業界が自主行動計画にご参加されているということ、あと、今後、どうなっていくかということでございますけれども、日本金属ハウスウェア工業組合ですとか、あと、全国楽器協会、社団法人日本釣用品工業会、日本金属洋食器工業組合、こういった4団体が今度、自主行動計画に参加されるというふうに予定されているところでございます。したがいまして、自主行動計画そのものの捕捉率は今後、徐々にではございますけれども、上がっていくものと考えております。
 あと、一方、河野委員のほうから自主行動計画に参加されていない対象外の方に対しても、一定程度の取組を促すべきでないかというようなご指摘をいただいております。これにつきましても弊省といたしましては非常に重く受けとめておりまして、おっしゃるとおり、PRTRの届け出事業者に対しては自主的取組あるいは法制度そのもののあり方、今現在の状況、それを普及啓発するべくセミナー等を開いて、そういった我々はアウトサイダーと呼んでございますけれども、自主行動計画に今現在参加されていない企業さんに対して情報を提供して、今後の取り組むべき道筋をお示し申し上げているところでございます。
 経済産業省からは以上でございます。

○鈴木委員長 よろしいですか。
 それでは、農林水産省。

○農林水産省 アスベストの件について、資料1-2の7番のところに農林水産省のほうで取り組んでいます特定農業用管水路等特別対策事業という、これは吹きつけアスベスト施設または石綿管の撤去、除去に関しての事業でございます。吹きつけアスベストにつきましては、この事業は18年度と20年度に限りまして調査もできるシステムでやっておりました。
 18年度にいわゆるクボタショックがありまして、早急に調査を行いまして、ほぼ吹きつけアスベストに関しては、含有しているものについてはすべて把握したということだったんですけれども、20年度にまたトレモライトと別の種類のアスベストが見つかったということで、また、急遽、20年度も調査をしたということでございます。それで、いわゆる建物に吹きつけられています吹きつけアスベストで飛散のおそれのある吹きつけアスベストについては、含有状況等はほぼいわゆる農業・農村整備施設としては把握をしました。それで、一部、まだ撤去しなければいけない施設が若干残っていますけれども、そこについては今後、鋭意、やっていきたいと思っております。
 それから、石綿管につきましては、すぐに飛散のおそれがあるというわけではございませんので、なかなかこの対策については進んでいないと、老朽化、破損等の障害が生じれば、必ずいわゆる石綿管ということでかんがい用水施設としての機能が損なわれますので、ほかの塩化ビニール管とか、そういったものに代替していくということなんですけれども、まだ管としての機能があるときに、なかなか事業実施主体のほうで手を挙げてきていないというのがちょっと実情でございまして、石綿管についてはまだ撤去等の作業がおくれているというような状況でございます。
 以上です。

○鈴木委員長 では、厚生労働省。

○厚生労働省 厚生労働省でございます。私のほうからは社会福祉施設のアスベストの調査の関係で、先ほどございました結果報告はどうしたのかとか、あとアスベストの使用量的なものがどのくらいあったのか、あと不安感を解消させるための取組はどういうことをやっているのかということについて、ちょっとお答えをさせていただきたいと思っています。
 20年5月にアスベストに対します調査というものをやりまして、その調査結果につきましては同年9月に公表させていただいております。さらにそれをフォローアップするということでフォローアップ調査というものを行っていまして、まだ、ちょっと集計が終わっていませんが、現在、集計をしているという状況でございます。
 20年9月の公表に合わせまして、都道府県に対しまして通知を発出したという形をとっております。その際、調査では約10万施設ぐらいに対して調査をした結果、約8万程度の回答が来まして、その中でアスベストを使用されているという施設が約4,500ほどの施設がございました。その中で暴露のおそれがないとか、既に撤去済みというものを除くと、未措置の施設が約112施設ほどございまして、そこについて通知の中で直ちにアスベストの除去とか、あるいは封じ込めとか、囲い込みといったものを法令に基づいて、適切に対応するようにという指導をさせていただいてございます。それで、先ほど未回答のところもあるんですけれども、そこに対しましては調査協力が得られるように、継続的に協力要請を都道府県にお願いをしてございます。また、分析中という形でまだ回答がないところがございましたので、そこは適宜確認してご回答くださいということでお願いをしているところでございます。
 それと、調査結果の公表に伴っていわゆる各施設で利用されている方、あるいは施設利用者の関係者といいますか、家族、そういった方々に周知をしていただこうという観点から、吹きつけアスベスト等の存在があるかないかとか、使用場所がどういうところにあるのかとか、あるいは立入禁止といったような措置をしている、どうしたかとか、今後、どう対応しようと考えているかいうことにつきまして、施設側に必要に応じて説明会をやっていただきたいということを我々のほうからはお願いを差し上げているところでございます。
 以上でございます。

○厚生労働省 同じく厚生労働省医政局でございます。病院関係の吹きつけアスベストの使用実態調査につきましてご説明させていただきます。
 平成20年9月に、実態調査の公表をさせていただきまして、そのフォローアップといたしまして平成21年3月にも、調査結果を公表させていただいております。直近の平成21年3月の公表結果でございますが、調査の対象となる病院が7,135ほどございまして、回答率は100%、すべての病院から回答をいただいております。
 その中で、暴露のおそれのある場所を有する病院が75病院ほどございましたので、その病院につきましては速やかに除去の作業をするようにと、その措置を講じるまでの間は立入禁止とか、管理上、立ち入る際には防じんマスクの着用等、暴露を回避するための措置の徹底を指導させていただいております。今回、回答率は100%だったんですが、まだ分析調査中という病院が418病院ほどございましたので、そちらにつきましてはまた再度のフォローアップ調査をして、すべての病院で調査結果が出るようにしていきたいというふうに思っております。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 文部科学省、お願いします。

○文部科学省 文部科学省の文教施設企画部、山本と申します。学校施設のアスベストの状況についてのご質問ですけれども、資料1-2の4ページにも記載しておりますが、平成17年度から吹きつけアスベストの使用の実態調査を行っております。学校関係は14万機関ほどありまして、状態面についても確認をしておりまして、暴露のおそれがあるものと封じ込め等で建物の裏側にあるものというものを把握しているところです。暴露のあるものが幾つかありまして、それは一応使用禁止という措置をしていただいております。
 ただ、残念ながらまだ建物保有するものがまだありますので、毎年1回、フォローアップで定期的に実態調査を実施して管理していただくという措置をしております。今後の措置ですけれども、下のほうに書いていますけれども、早期の処分等の実施を要請しておりますし、引き続き補助等の実施を行っております。また、会議等でもアスベスト対策について継続的に周知しているところでございます。
 それから、もう一つヒートアイランドに関する学校の芝生化における質問でございますけれども、芝生化については基本的には設置者がご判断すると、効果とか運用面を考えて採用するということになると思いますけれども、平成9年からエコスクールパイロットモデル事業という補助制度を設けておりまして、その中に屋外環境の措置ということで学校の芝生化等の補助制度を設けており、そういう推進をしているところでございます。
 以上でございます。

○鈴木委員長 警察庁のほうは特にございませんか。公共交通機関なんかの関連で幾つかご指摘もありましたが、もしよろしければ。

○警察庁 警察庁交通局交通規制課の角田と申します。資料1-2の整理番号12番と13番で掲げてありますとおり、12番ではESTに関連するというところで公共交通機関であるバスの通行の優先、信号機を青に切りかえることでバスを優先的に通行させるというような公共車両優先システム、これの導入を図っておりまして、19年度、最初の報告にあったとおりの路線総延長という形になっております。引き続きこれを推進することによって、自動車から公共交通機関の利用促進という形で進めていきたいと考えております。
 一方、自動車の利用者に対して実際に渋滞による環境負荷、これの低減を図るために交通信号機あるいは高度道路交通システム、こういったものを整備することによって交通渋滞の緩和策という形で、これは整理番号13のほうに記載してありますけれども、これを引き続き推進していくというところでございます。
 以上です。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 今、一通り、お答えをいただいたわけですが、もし、これに対しましてまたご質問等がございましたらお願いしたいと思いますが、低炭素交通体系であるとか、あるいは温暖化対応あるいはヒートアイランド対応の都市の街区の設計であるとか、各省にまたがる大きな問題は多分環境基本計画を超える問題として、きちんと各省間でお考えいただかなければいけいないと思いますが、何しろ先ほどからもありましたように暫定税率をゼロにして、高速道路乗り放題ということになりますと、何がどうなるかわからないような状況でもありますので、そういうところにもきっちりと評価を、ある種のアセスをして、いろんな意味での検討をしておく必要があるんじゃないか。それはこの基本計画の点検をある意味では超えることかもしれませんが、どこかで考えておかなくてはいけないだろうと思います。
 いかがでしょう、何か特に加えていただく……では、岩村委員。

○岩村委員 すみません、ちょっと途中から来たので申しわけなかったですが、ESTの絡みで今、座長のご指摘があったんですが、今回やっている1,000円の話というは景気対策として暫定だという話になっているんですね。それでも例えば今までであれば車で行かないようなところまで車で来ている、既に新幹線のお客さんが減っちゃったとか、いろんなところに影響が出ています。
 別に新幹線が減ったから悪いと言っているんじゃなくて、やはり先ほど一般道がすいたから、そこら辺は高速道路に乗っているんだから、環境負荷がそんなに変わらないというご指摘もあったんだけれども、そういう面もあるけれども、逆に言うと今まで乗らなかったような長距離の輸送が車になっていたり、いろいろありますので、やはりこれがさらにただになったときにどうなるのか、欧米というか、ヨーロッパなんかはほとんどただに近いものですから、結構長距離の車の移動というのがあるんですが、そういったことをやはりどうやってとるのか、数字のとり方は大変難しいかと思いますが、座長がご指摘のようにきちっとそういう把握をしないと、ただ安ければいいとか、便利だからいいじゃないかという景気対策と違った面が今度は出てきますので、やはりそういう評価をきちっと、評価というか、評価の手法をきちっとしておく必要があろうかというふうに思います。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 さらに、今回の点検はこの分野に関しましては第2回目ということになっておりますが、来年、残りの5分野に関しましての点検がありますが、その後はいよいよ第四次の環境基本計画の策定に向けて、また検討が重ねられていくことになります。その段階で現在のヒアリングを含めて、この基本計画の検討の結果が生きていく、あるいはこれまでの第三次の計画であるいは積み残してある問題といいますか、新しい問題が生まれてきて、第四次環境基本計画の策定の段階でこういうことを組み入れていかなくてはいけないというようなことに関しても、多分、いろいろなご意見があるのではないかと思いますので、その辺をお願いしたいと思います。
 では、浅野委員。

○浅野委員 ヒートアイランドの対策は、今回の環境基本計画で前面に出したものですが、最初からわかっていたことですけれども、総合的・統合的な取組をしない限り、解決できない問題である。そういう意味では水循環の大気版というような感じもするわけです。今まで以上に各省の連携が必要であるとか、まちづくりそのものが根本に問われるという問題だろうと思います。ですから、これについては今のところまだ何となく個別施策の積み上げであったり、あるいはデータをどううまくつかまえて、解析するのかということに終始しているようですけれども、それだけではだめではないか。やっぱり仮説でもいいからやることをやってみると。
 多分、ヒートアイランド対策がそのまま効果があるかは別として、そこでやったことが低炭素社会の形成・推進ということもつながっていく可能性があるわけですから、そういう意味では、この施策はこの点からも効果を上げるだろうというようなものについては大胆に、定量的なデータがないから把握できるまでやらないと言わずにちゃんとやるとか、それから、さっき言われたように余りにも断片的な施策だけが並んでいると、善養寺委員が言われたように何となくビルをつくるのは自由だから、屋上緑化さえすればやってもいいみたいな話になってしまうので、やっぱりそれが全体としてどのぐらいの熱負荷を与えるのか、それに対してこのビルはどういう対策を立てているんだというようなことが、はっきりわかるような施策を出していかないといけないのではないかと思います。
 それから、持続可能な交通システムの実現も、同じような意味では総合的な取組が必要であるわけです。しかし、何となく大都会の公共交通機関の利用促進ということだけが強調されているように見えます。計画をつくった側の気持ちとしてはそうではなくて、既に低炭素社会のさまざまな検討の中でも明らかなように、農山村地域には農山村地域らしいやり方がある。それぞれの地域特性に応じて何をやらなければいけないかということもはっきりしていきているので、それをちゃんと重点的にやらなければいけないということになっているわけです。さっき地域公共交通の活性化について、高い評価をしたというのはそういう理由からなのです。つまり、何となく自動車はだめだから電車に乗れみたいな言い方をしたって、そんな話は公共交通機関が充実していない片田舎ではもたないわけですから、そこではどうするんだという話だろうと思います。
 このことは同時に地域活性化ということにつながっていきますから、ただ単に環境対策であるとか、交通対策という話だけではない。そういう認識も持たなければいけない。これが環境基本計画の強力なメッセージだと考えていますので、これは次の第四次計画の中でも多分引き続き取り組まなければいけないし、総合化を図り、地域の活性化というような視点からの課題ということになってくるのだろうと考えます。

○鈴木委員長 まさにそろそろ環境基本計画から、サステーナビリティ基本計画か何かに移っていかなければいけない時代なのかもしれない。そうすると、もちろん環境だけではなくて、交通の問題であればサステーナブルモビリティはどうあるのか、街区づくりはどうなっていくのかと、非常に大きな問題にかかわっていくことになると思いますが、どこかがそこをやはりスタートしなければいけない。そういう意味で、各府省の間の連携をどういう形で今後とっていくのかという問題もありますが、第四次基本計画では若干、その辺に踏み込んでいかざるを得ないかなというような感じを持っております。これは大気の問題だけではなくて、次に検討いただく水の問題も全く同じでありますし、そのほかの環境基本計画で取り上げている問題は、ほとんどそこにつながっていくのではないかと思っております。
 特にご発言……林委員、どうぞ。

○林委員 若干の補足なんですが、例えば地域間交通に関してということですけれども、やはり環境基本計画から見て、一体、地域間でどういうシステムの組み合わせが低炭素なのかをきちっと出していく必要があると思いますね。例えば私どもでもいろんなところと協力して鉄道と航空、どっちがどうなのかという研究をやっておりますが、新幹線と航空機のどっちがLCA-CO負荷から見て有利なのかという、需要レベルごとに異なる分岐点距離が求められています。
 一方で、航空業界と鉄道業界をどういうふうに育てていかなくてはいけないかという観点はまた別にありますから、それはそれでやる必要があると思いますけれども、この審議会に関連して環境基本計画というのに基づいてやったときに、一体、どうなのかという、考え方と数値をきちっと追求して、国全体としてどういうバランスの経路をたどっていくのかということ示す必要があります。これは都市計画についても同じだと思います。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 それでは、大気分野に関しましてはこれでよろしいでしょうか。
 長辻委員、どうぞ。

○長辻委員 すみません、一つだけ確認させてください。先ほど屋上緑化で242ヘクタールという数字が出ましたけれども、これはどういうふうにして調べていらっしゃるんですか。立ち入りですか、それともアンケートですか、それとも航空写真ですか。質問する意味は、ビルから見ていますと、屋上を緑のペンキで塗ってあるところが結構あるからです。本来の緑化の意図を間違えているとは思わないんだけれども、それを例えば航空写真なんかで調べるとカウントすることがあるんじゃないかと思って、どういうところからこの数字が出てきたのか、それを確認しておきたいと思います。

○国土交通省 お答えいたします。手元に詳しい資料がないのでわかりませんが、毎年度の施工量とその累積という形で公表しておりますので、施工実績には緑に塗ったようなものは入らないと考えております。緑化を施工した量の累積値として242ヘクタールになっているというデータになっております。

○長辻委員 それは確認をされていないわけですね。要するに申告の数値を積み上げているということになるわけですか。

○国土交通省 業者等にアンケートをしてということ……。

○鈴木委員長 その辺はちょっと精査していただいて、また必要があれば……。

○浅野委員 要するに着工されたものの累積ですから、その後のメンテがどうなっているかは全く計算外ということですね。

○国土交通省 それはわかっておりません。

○鈴木委員長 何らかの段階で、その辺ももう少し精度を上げていただくといいかもしれませんね。ありがとうございました。
 それでは、時間になりましたので、大気分野に関しましてのヒアリング点検につきましては以上とさせていただきたいと思います。
 次は環境保全上健全な水環境の確保ということになりますが、この重点点検分野に移ります前に10分ほど休憩を入れさせていただきたいと思います。したがいまして、15時45分から再開させていただきます。
 どうもありがとうございました。おいでいただいた各府省の方々もどうもありがとうございました。

午後 3時33分 休憩

午後 3時42分 再開

○鈴木委員長 それでは、皆様おそろいいただきましたので、第2番目の重点点検分野に移らせていただきたいと思います。
 「環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組」、これにつきましてはヒアリングをさせていただく省といたしましては、農林水産省、経済産業省、国土交通省及び環境省と、こういうふうになっております。
 では、この水分野につきまして、事務局のほうから説明をお願いいたします。

○小森計画官 それでは、ご説明させていただきます。
 水分野につきましても、大気分野と同様、水分野の調査票をまとめております。資料2-2をもとに、点検報告書に各重点調査事項に係る主な取組状況として盛り込む記述のたたき台として、事務局において資料2-1を作成いたしております。この資料2-1に沿いまして、環境省の取組状況等をまず私より総括して説明させていただきます。
 水分野につきましては、資料2-1の表紙にございますとおり、新たに設定した重点調査事項として、ノンポイントソースによる水質汚濁に対応するための取組が、また第1回点検後のフォローアップ事項として、閉鎖性水域における環境改善のための取組及び流域における水循環改善のための取組につきまして、調査いたしました。
 表紙をめくっていただきますと、環境基本計画に定められた指標に基づく水環境の状況に係るデータを載せてございます。COD及び全窒素、全リンを除き、環境基準の達成率はおおむね高い値となっております。COD及び全窒素、全リンにつきましては、特に海域よりも湖沼において達成率が低くなってございます。
 次に、各府省についての主な取組の状況についてご説明いたします。
 1枚めくっていただきまして、初めにノンポイントソースによる水質汚濁に対応するための取組について、でございます。
 ノンポイントソースは、点源としては特定できない面源である汚濁水の発生源のことでございまして、詳しくは注1として15ページに記しておりますけれども、ノンポイントソースによる水質汚濁は窒素、リン等による有機汚濁が中心となるため、その対策は次の重点調査事項でございます閉鎖性水域における環境改善のための取組にも位置づけられております。このため、次の閉鎖性水域における環境改善のための取組では、ここで取り上げる対策以外の対策を中心に第1回点検後のフォローアップを行うという形で、この両項目の関係を整理しております。
 ノンポイントソースによる水質汚濁に対応するための取組は、大きく湖沼に係るものと閉鎖性海域に係るものとに区分されます。湖沼については、水質汚濁防止法の特別法として定められております湖沼法において、ノンポイントソースによる流出水対策の推進に係る制度が設けられてございます。これは湖沼法の対象となる指定湖沼に関し、流出水対策を進める必要がある地区を都道府県知事が流出水対策地区として指定し、対策推進に向けた計画を策定する制度でございます。平成17年の法改正によって創設され、これまで11の指定湖沼のうち、8つについて対策地区が指定され、計画が策定されております。その内容は資料の2ページの表のとおりでございます。
 閉鎖性海域につきましては、水質汚濁防止法に濃度規制のみでは対応困難な水域と地域を環境大臣が指定し、水の汚濁負荷量の総量により規制を行う水質総量削減制度が設けられております。現在の指定水域は東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の3水域となってございます。この制度は水質総量削減方針に基づいて進められていますが、現行の方針が本年度、つまり平成21年度を目標年度としておりまして、環境省では現在次期方針策定に向けた検討調査を進めているところでございます。この中でノンポイントソースによる負荷の削減等の諸施策を最適に実施することを目指すこととされております。
 法制度以外のノンポイントソースによる水質汚濁対応に係る取組としては、第1回点検の際の閉鎖性水域における環境改善のための取組として掲げられたものも含め、資料に記載してございます。
 具体的には、農業環境規範の普及促進、エコファーマーの認定・支援等の有機農業推進に向けた取組等が着実に進められているほか、農地から閉鎖性水域へ流入する汚濁負荷量の削減に係る事業がさきの流出水対策地区について、一層推進することとされております。このほか、市街地排水に係る取組として、雨水貯留浸透施設等の整備が促されております。これらの取組について、定量的に把握できる実績の例は資料の4ページに記載しておるところでございます。
 また、家畜の糞尿等による水質汚濁については、家畜排せつ物の処理、保管施設に係る農林水産大臣による管理基準の策定等の取組が進められており、平成20年12月時点でほぼすべての管理基準対象農家は管理基準に適合しています。
 他分野とのかかわりでは、農業排水による水質汚濁に対する取組や家畜排せつ物による水質汚濁に対する取組が窒素循環等、自然界における物質循環とかかわることから、物質循環分野との関係を考慮する必要があります。
 次に、6ページになりますけれども、第1回点検後のフォローアップ事項として、閉鎖性水域における環境改善のための取組についてご説明申し上げます。
 ここでは、第1回点検時の指摘事項を踏まえ、総合的、重点的な施策の推進とともに、里海の創生に向けた取組についてご説明いたします。
 まず、湖沼についてですが、指定湖沼については湖沼法に基づき都道府県知事が湖沼水質保全計画を策定し、水質保全に資する事業や規制その他の措置について定められております。第1回点検以降につきましては、平成19年12月に新たに八郎潟が指定湖沼として指定され、秋田県により湖沼水質保全計画が策定されましたが、ほかの10の指定湖沼も含め、さまざまな事業の取組が計画に定められております。詳しくは本資料の末尾に付しています別紙をごらんいただければと思います。
 また、指定湖沼以外の水環境の悪化が著しい湖沼等につきましては、水環境改善緊急行動計画等により、流域内の関係者が一体となりまして、水環境改善に資する施策が総合的、重点的に実施されているところでございます。
 次に、閉鎖性海域につきましては、ノンポイントソースのところでもご説明いたしました水質総量削減制度がその中心となりますが、本年度まで総量削減は着実に実施されてきております。
 なお、本制度が創設された昭和54年以降、3つの指定水域におけるCOD、窒素及びリンによる負荷量を資料の8ページに記載しております。負荷量が着実に低減しているということでございます。
 本制度につきましては、さきに述べました次期水質総量削減方針の策定に向けた調査、検討が進められているほか、今後30年程度の間に目指すべき水環境の目標とその達成に向けたロードマップを明らかにする閉鎖性海域中長期ビジョンの策定に向けた検討が進められているところでございます。
 また、本年2月には、環境大臣から中環審に対しまして、第7次水質総量削減のあり方についての諮問が行われたところでございまして、今後中環審においても検討を進めていただくということとなっております。
 このほか東京湾、大阪湾、伊勢湾、広島湾につきましては、関係省庁、関係地方公共団体が連携して、水質改善のための行動計画を策定しています。また、漁港や漁場の生産力回復等に向け、水産資源の生息環境の保全・創造に資する水域環境保全創造事業等も実施しているところでございます。加えて、下水道では窒素及びリンについての排出権取引制度とも言うべき高度処理共同負担制度が平成17年の下水道法改正により導入されております。国土交通省では、平成19年、同制度の普及及び活用促進を図るためのガイドライン等を作成しております。
 里海の創生に向けた取組としては、環境省が平成20年度より里海創生支援モデル事業を選定し、里海創生の支援等を行っています。選定事業につきましては、10ページに記載しておるところでございます。他分野とのかかわりでは、里海の創生に向けた取組について、生物多様性の保全のための取組との関係も考慮していく必要がございます。
 次に、流域水の循環でございます。
 ページ番号11ページでございますが、ここでは第1回点検時の指摘事項を踏まえて、流域全体をとらえた連携・協力の推進、水循環改善のための取組の評価、気候変動を考慮した取組についてご説明申し上げます。
 健全な水循環系の構築に関する取組につきましては、情報交換、意見交換、施策の相互連携や協力を進めるほか、従前より健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議が設けられているところでございます。このほか平成21年には、国内外の水に関する問題について情報交換、意見交換、施策の相互連携、協力を進めるため、水問題に関する関係省庁連絡会が設けられてございます。
 個々の取組については、山間部では森林の整備、保全による水源涵養、農村部では集落排水事業等による水質保全、水源涵養、都市郊外部及び都市部においては、再生水の利用や雨水貯留浸透等の促進、地下水については、地下水管理に係る手引きの作成・普及等、上流から下流までさまざまな取組が着実に実施しているところでございます。また、取組の評価については、各種森林施業による水源涵養効果の定量的評価に向けて、森林水文観測等が実施されておるところでございます。
 水資源分野につきましては、水資源施設等の老朽化への対応、安全な飲料水、豊かな環境への要請等、さまざまな課題が顕在化されていることを踏まえまして、昨年国土審議会において、「総合水資源管理について」が取りまとめられております。概要は13ページに図示しておりますが、ここでは流域単位で流域総合水資源管理協議会を設置し、マスタープランを策定することは必要とされているところでございます。
 地球温暖化への対応という観点では、昨年社会資本整備審議会が「水災害分野における地球温暖化に伴う気候変化への適応策のあり方について」を策定しており、増大する降水量に対し、流域での対応を重層的に行うことを目指すこととされたほか、環境省におきましては、気候変動による水質等への影響に関する適応策のあり方について、検討を進めることとしております。
 他分野とのかかわりでは、水循環の改善が生物多様性の保全にもつながるとともに、水源涵養のための森林整備が森林吸収源対策という観点で、地球温暖化問題にもかかわります。また、下水道や農業集落排水において発生する汚泥の活用は物質循環とかかわります。このように、流域における水循環改善のための取組というのは、ほかの幅広い環境分野とかかわりがあるところでございます。
 以上で水分野に係る概要説明を終わらせていただきます。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 これは大気の分野同様、重点調査事項として3つが挙がっておりますが、最初の1つは今年度新規設定された事項、あとの2つは2年前に一度点検を受けたところのフォローアップと、こういうことになっております。この3つのテーマともある意味ではそれぞれリンクしているといいますか、関連している部分もございますが、今まとめてご説明いただきましたことに関しまして、各府省からご出席いただいている方々のほうから、何かこの段階で補足、あるいは追加していただくようなことがございますでしょうか。もしなければ、委員の方々からご質問いただいて、それにお答えいただく段階で補足していただくことも可能ですが、よろしいでしょうか。
 それでは、今のご説明につきまして、各委員の方々、ご意見、ご質問おありの方は名札を立てていただければと思います。
 では、今回はそちらのほうから回りましょうか。
 長辻委員からまず。

○長辻委員 それでは、これは資料2-1の13ページに総合水資源管理の体系というところ、先ほどご説明いただきましたが、その下のところで地球温暖化に伴う気候変化への対応という文脈の中で、「増大する降水量に対し」と言う表現があります。気候温暖化が進んでいる現在、日本全体の降水量は減りつつあるので、この表現では誤解を招く可能性がありますので、これは例えば「集中豪雨等により、短期的に増大する降水量に対し」という、そういう文言を補っておいたほうがいいだろうと思います。今の激しい雨の降り方を見ていると、世の中一般の方々は、降水量がふえていると思いがちです。日本の降水量は、この100年間減る傾向にあるはずですから、そこのところを確認しておいてください。
 それと、この資料2-2のほうで、整理番号13番で農林水産省にかかわるところ。これは以前にも別の場で少しお尋ねしたことがあるんですが、間伐が随分進んでうまくいっているという表現をなされているんですけれども、しかし、これは聞くところによりますと、間伐材がそのまま現場に放置されている、切り捨て間伐が今非常に問題になっているということです。これを解決しない限り、間伐本来の効果は出ないと思いますので、ここのところも間伐をやったというだけじゃなくて、そのサイクルということ、これを考えていただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木委員長 では、永里委員。

○永里委員 水循環のためには、まさしく、水源対策としての森林の保全というのは非常に重要ですが、聞くところというか、大分言われていますのは、中国から水源森林をいわゆる材木用として買いに来ているということで、それに対して後継者を養成できない森林地主が売っているということです。これを阻止するためには、新たな法整備が必要だと思いますが、そういう動きがあるんでしょうかという質問です。

○鈴木委員長 今のご質問は農水省に対すると考えて宜しいでしょうか。

○永里委員 これは実は多岐にわたるんですね。ですから、主として農水と思っていいんですが、国交省も絡んでくるしと思いますけれども、農水だと思います。

○鈴木委員長 お答えは一回りご質問をいただいてからにしたいと思います。
 では、田中委員。

○田中委員 私は2点ございまして、1つは資料2-1のほうのこれは取りまとめ資料の9ページの、これは国土交通省が下水道に絡めて、いわば高度処理共同負担制度が導入されていると、これはなかなかおもしろい仕組みで、以前ちょっと伺ったこともありますが、具体的にこの活用の状況がどうなっているか、取組状況がどうなっているかということを教えていただきたい。これは単純な取組の状況についてのお尋ねです。
 それから、もう一つは、これは主に環境省のほうに係ると思うんですが、こちらの資料2-2のほうの整理番号の22番、ページでいくと24ページということで、流域の水循環改善の取組の中の一つに気候変動、いわゆる温暖化によって水質への解明、影響解明というテーマがあります。
 これは今年度、21年度から始まるということで、一応その予算組みがなっているようですけれども、この今の時点で考えられているこの内容について教えていただきたいということです。つまり今後緩和策を行ったとしても、一定程度の気温上昇が見込まれていると、2度から4度ぐらいでしょうか、日本社会で。そうすると、このことは水質に非常に影響が与えるし、もちろん水文環境にも降水の降り方とかって影響を与えてくる。そのことがまた水質に影響が変わるし、また場合によっては閉鎖性水域の内部生産なんかにもかなり影響が係ってくるんではないかと思いますので、そういう点どういう枠組みでご検討をされようとしているのか、ちょっとその点についてお尋ねしたい。この2点でございます。

○鈴木委員長 河野委員。

○河野委員 ありがとうございます。
 3つあります。
 1つは、閉鎖性水域の水質の改善でございます。
 この件につきましては、滋賀県の環境生活協同組合の藤井委員がおられれば御意見があるんじゃないかというふうに思っています。現行の施策を実施すると着実に水質が改善されるという話でございますが、湖沼については改善が今1つというご指摘もありました。説明資料の図を見ますと湖沼は50%ぐらいというようなことになっています。
 琵琶湖につきまして、聞くところによりますと、下水道がかなり普及しているにもかかわらず、一向に改善の傾向が見られないということがある会合で議論になりました。そのときに高度処理とか超高度処理しても、窒素、リン等の下水道の水質改善というのは余り見込めないというような指摘もありました。この点について、どうか。整理番号の9、水質改善に関わる環境省の取組のところですけれども、従来の取組をしていて水質改善ができるのかどうか、国土交通省のほうでは面源対策をするということでありますが、それの効果等、お聞かせ願えればというのが1つでございます。
 それから、2番目につきましては、整理番号13番の農林水産省の森林の整備でございます。これも既にご指摘がありましたが、森林の有する水源涵養とか温暖化対応とか生物多様性から森林の保全は非常に重要と思います。この整理番号13の内容から見ますと、保安林制度を適切に運用するというふうなことが書かれておりますが、保安林以外に民間林、あるいはその他の国有林の整備が非常に重要かと思います。
 整理番号13の15ページで「適切な間伐等による人工林の整備や治山施設の設置等を行い、下層植生や樹木の根の発達の促進」云々ということが述べてあって、森林整備を進めてきたということでございますが、こういう整備を進めてきたところの総体的な面積はどれくらいか。未だどれぐらいの面積が放置されているのか。整備を進めているのはたしかだと思いますが、進めていないところがかなり大きくて、日本全体で森林について危機的状況にあるのではないかという認識がございます。それが2点目であります。
 それから、3点目が18ページの国土交通省絡みのところですが、雨水貯留浸透の促進というところです。特に再生水利用及び雨水貯留浸透ということの、後者に絡めてですが、雨水の貯留浸透により、地下水の涵養とか、そのことが緑化につながるということで、結構なことかと思います。18ページの下のほうに国庫補助による効果のところがございますが、そこでは雨水貯留浸透の促進が図られているとあります。これは具体的に目標年次とか、あるいは目標の面積、あるいは施設及び浸透ますの数とか、何かそういう具体的な目標という数値があるのかというのが3番目の質問です。
 以上です。

○岩村委員 質問なんですが、閉鎖性海域のところの話なんですが、大阪湾の再生行動計画とか東京湾の再生行動計画が進んでいるという表現がありますが、大阪湾について言うと、今あるのかどうか、ここら辺もちょっと教えてほしいんですが、以前瀬戸内に関して、瀬戸内海の関係の法律があって、あっちでも結構厳しい規制をかけていたと思うんですが、それとこれの関係というのはどういうふうになっているのか、これは単なる質問でございます。

○鈴木委員長 では、大塚委員。

○大塚委員 4点簡単にお伺いしたい点がございます。
 全体的に言って、定性的な話が実は結構多いと思いまして、ただ対策を進めていく上では、できるだけ定量的にしていく必要があると思いますけれども、なおその点に関して十分でないところがなかなか難しいことだと思いますけれども、あるのではないかと感じています。
 まず、第1にノンポイントソースについてですけれども、1ページに書いてございますように、基本は窒素、リン等の有機汚濁が中心となるというふうに書かれていますが、これによると結局ノンポイントソース対策が十分になされたと言えるためには、一体何をすればいいのかということですけれども、窒素、リンの汚濁負荷量を減らすということを目標にするという、そういうお考えなのかというところをちょっとお伺いしたいところがございます。もしそうだとすると、8ページの指定地域における汚濁負荷量の推移とかというのがそれに関連してくることになるとは思われますけれども、それだけでいいのかというような問題もあるかと思いますので、これは非常に基本的なことですけれども、お伺いしておきたいと思います。ノンポイントソースは、どうしても閉鎖性水域の問題等もかかわりますので、この2つの関係というのは非常にオーバーラップするところが多いわけですが、ノンポイントソース自体の目標として何を掲げるべきかという、それがわからないとどういうふうに対策をとっていくかということもはっきりしないものですから、非常に基本的な話ですけれども、お伺いしたいと思います。
 それから、第2点でございますけれども、各省の健全な水循環構築に関する関係省庁の連絡会議というのがございますが、これは大分前から行われているものなんですけれども、ここに設けられていますというふうにただ書いてあるんですけれども、それから水問題に関する関係省庁連絡会議というのも設けられているということですが、これはどのぐらい開催されていて、どのぐらい実際に動いているのかということは、重要な問題だと思いますので、設けられているだけでは動かないものですから、ちょっとこの辺についてどこにお答えいただくかという問題があると思いますけれども、環境省さんにとりあえずお願いしますけれども、お答えいただいて、もし余り動いていないのであれば、もう少し積極的に活用していただけると大変ありがたいと思います。
 それから、9ページでございますけれども、先ほど田中委員も聞かれたところですが、高度処理の共同負担制度に関して書いていただいて、どうもありがとうございました。これは前に水環境部会でも浅野委員からご質問があったところにも関連いたしますので、どういう効果があらわれているかということについてぜひお伺いしたいところでございます。
 それから、第4点でございますけれども、13ページのところでございますが、この流域総合水資源管理協議会の設置とか、流域単位での計画の策定に関して、必要とされていますということですけれども、どのぐらい動いているか、どのぐらいの数ができていて、どのぐらい活用されているかということに関して、ぜひお書きいただけるとありがたいと思います。
 以上でございます。

○鈴木委員長 浅野委員。

○浅野委員 まず、1つは省庁間の連携がどうなっているのかということです。
 幾つか材料はあるわけですが、例えば里海というキーワードで環境省がモデル事業をやっておられます。大した予算額でもないので、別にどうでもいいような気もするんですが、しかし里海というときには、恐らく水産業といったようななりわいとのかかわりを無視してその議論はできないはずですから、こういうことをやるときに一体農水省、あるいは水産庁とどういう連携の中でこういうモデル事業が動いているのか、さっぱりわからない、この点が気になります。
 それから、これは例外的な現象かもしれないのですが、公共事業の監視・評価などの仕事をしておりますと、例えばダム湖の汚染が大変ひどいので、国交省が一生懸命になって水車か何か回して浄化事業をやっているが、かたわらでは畜産団地があって汚水が流れ込んでいる。こんなことを何で農水省のほうでしっかりやってくれないものを国土交通省が下流のほうで一生懸命になって浄化をやらなきゃいかんのかと疑問に思うような事例にでくわすことがあります。こういうそれぞれの場所でポイント、ポイントでの連携というのは一体どういった発想になっているのだろうか、こういう点をたびたび指摘はするのですが、どうもはかばかしいお答えに接することが少なくない。どうも変だなと思うわけです。
 ですから、さっきの流域の全体の協議会もさることながら、各府省の地方支分局の間での連携であるとかといったようなものが問われているんじゃないかなという気がするんですが、この辺はどう考えたらいいのかということです。つまり省庁間連携についてマクロ、ミクロ、いろいろな断面で気になることが多いので、これは環境省に代表的にお答えいただいていいのですが、お答えいただければと思います。
 それから、私も注目しておりますのが高度処理共同負担制度で、これはほかの委員からも質問がありましたから、私のほうからは同じ質問は繰り返しませんけれども、こういう発想は大変いい発想です。ですから、さっきの話だって、実際のところは国交省の予算でダムの浄化をやっているのですけれども、これは共同で何かやって、費用負担を公平に分担するというようなことがあったっていいじゃないかということも、国交省の委員会では申し上げることがあるんですが、応用可能性はあるんではないかなという気がします。つまりどこでやるのが一番効果的なのかということで、一番コストの安いところでやるならそれもいいわけですから、こういうことはもっと広げる余地があるだろうという気がいたします。
 それから、もう一つ国交省の報告の中にありました水災害分野においての温暖化への適応策は、本当に重要なことをやっておられます。お聞きしたところによれば従来の100分の1とか50分の1という、そういう計算が全く将来的には通用しないということが既に明らかになっているのだろうと思われます。
 そういう事実をきちっと踏まえて、今後の公共事業のあり方というものを考えておかないといけないのではないか、その辺の発信が不足だから、公共事業がすべて悪であるかのような議論になってしまっている。これは怖いことです。だったら、公共事業をやらなかったら、そういう50分の1で整備をしているつもりが10分の1になってしまうような問題について、どうするのだということをせっかく勉強しておられるのに、どうしてしっかり発信しないのか、不思議でしようがないわけです。ちゃんと発信するともに、環境省地球環境局のやっている施策との連携が必要だと思うんですけれども、それが余り見うけられないです。これも残念なことだと思います。ぜひ両省のご意見をお伺いしたいと思います。

○鈴木委員長 佐々木委員。

○佐々木委員 大塚委員とリンクするかもしれませんですけれども、第1回の点検における指摘内容の中に、科学的、定量的な評価が十分とは言えません。そんなふうに表記されていますけれども、私は具体的に何が不十分だったのか、具体的に伺いたい。そして、この反省に生かして、どう変わっていくのか、変わっていこうとしているのか、それを教えていただきたいと思います。

○鈴木委員長 林委員。

○林委員 流域の水循環のところですけれども、2点あります。1つは、上流の農業とか林業の疲弊が随分起こっているんじゃないかと思いますが、それとこの流域の水管理というのは、どういうふうな関係として捉えているのか、これは農水省と国交省との両方が関連してくると思うんですが、どういうふうに考えられているかということをお聞きしたい。
 2点目は、気候変化による水災害が頻発し、ピークがだんだん高くなってきているようにも思います。今後、少子高齢化と経済成熟に伴って財源がどんどん減ってくるということを考慮しますと、根本的な土地利用対応というのをしなくちゃいけないんじゃないかと。つまり今まで住んでいたところに全部住むとか、あるいは産業を置いておくということを続けるということは不可能になるとすれば、それを早く見越して、河川を中心とするインフラのシステムの考え方を根本的に変えなくちゃいけない部分が出てくるんじゃないか。つまり、浸水を容認すべきであり、その場合には容認に必要なインフラづくりをもう少し積極的にやらないと間に合わない。そういう意味で、この土地利用というのは非常に根本的な問題かと思いますので、そのあたりをどういうふうに考えられているかということをお聞きしたいと思います。

○鈴木委員長 それでは、いろいろな各省にまたがるようなテーマといいますか、問いかけもあったと思いますので、なるべく要領よくお答えいただければと思います環境省のほうからまいりましょうか。

○環境省 環境省でございます。
 まず、大塚委員のほうからご指摘がございました1ページ、ノンポイントソース対策について、どのような目標を立てるべきかというご質問でございますけれども、もともと点源対策、排出源がわかっているものに対して、排出源がよくわからないということから、ノンポイントと呼ばれてきたものでございますので、結果としての環境基準の達成率というものはもともとわかっていた。その発生源について、よくわからないというところがございましたので、そういった意味で、このノンポイントのものをなるべく可視化できるような形でということで、湖沼法における排出源対策でございますとか、これから考えていこうとしております閉鎖性海域の面源対策といったようなものを検討していく、目標としましては、そういった計画の達成状況などで見るのかなということを考えておるところでございますけれども、まだまだ議論があるところなのかなと考えておるところでございます。
 それから、同じく大塚委員のほうからご指摘ございました12ページの水問題に関する関係省庁連絡会というものでございます。
 平成16年ごろにかなり突っ込んだ議論されておるわけでございますけれども、水循環計画の策定に努めるというような形で、各省で検討されている状況でございまして、近年での開催というのはちょっとございません。政府外部での水循環に関しての議論というのも、最近は起こっているところでございますので、そういった状況なども各省注視していることと思います。これにつきましては、また補足ございましたらお願いいたします。
 それから、すみません。資料2-2のほうで、田中委員のほうからご質問ございました気候変動による水質への解明状況という、今年度から調査を行うものでございます。まだ調査自体これからということでございますので、アウトラインでございますけれども、特に気温、それから水温の上昇ということで、水生生物に影響があるであろうという、まずそういったところの実態の情報整理から始めようと思っておりますけれども、これに加えて気候変動によって、水温の上昇によってどのような水生生物の層の変化があるか、あるいは水量の変化によって、どのような影響があるのかといったようなところを整理していこうということで考えております。

○環境省 省庁間の連携ということで、里海を一つ例として挙げていただきまして、質問いただきました件について回答させていただきます。
 里海の創生支援事業につきましては、里海の創生に係る持続的な施策の検討であるとか、今後里海を創生していくに当たり、どのような方策を行っていけばよいかということで検討会を実施しております。その検討会には、国土交通省や水産庁といった関連する機関からも参加していただきまして、その場でご意見をいただくということで連携を図っているところでございます。
 以上です。

○鈴木委員長 環境省、よろしいですか。
 それでは、国土交通省、お願いいたします。

○国土交通省 それでは、国土交通省河川局の藤田と申します。
 地球温暖化の適応につきまして、資料2-1の13ページのところで3点ほどご質問ございましたので、それについて回答させていただきます。
 まず、長辻委員から、中段のところで「増大する降水量」というところが年降水量とか、月降水量とか、そうした長期の降水量ということにもとらえられかねないということでご指摘いただきましたが、おっしゃるとおりでございます。ただ、短期集中型とすると、河川等で対応する降水量につきましては、例えば時間雨量や日雨量、もしくは長いものになると3日雨量といったものがございますので、例えば今の「降水量」という言葉を「日降水量や短時間、強雨などの大雨」に置きかえさせていただくような工夫をさせていただきたいと思います。
 それから、浅野委員から適応策のこの答申の内容につきまして、叱咤激励をいただいたという認識でおりますが、私どももこの重要性というのは非常に認識して、我々としてもPRしているつもりなのでございますが、まだまだ足らないということのご指摘だと思います。そういう意味で、各方面、関係省庁含めまして、こうした大雨の頻度が増えることによって、強度が増大することによって、当然河川が非常に危険になってくるということをもっと我々としてもPRをしていきますので、またお知恵をお貸しいただければと思っております。
 また、林委員からもそうした対応につきまして、財源が減る中で土地利用の観点からの検討が必要であろうということもご指摘いただきました。河川法に基づく河川整備基本方針では、当然目標とする流量を決めて、例えば100年に一回の洪水に対応するために整備をしていくということを決めているわけですが、そうした目標は当然河川整備の対応としては、最低限守るべきレベルとして決めているわけです。ただ、将来的に例えばそれが50年に一回程度まで安全度が下がってくるということが予測されてくると、将来的な50年に一回というところまでの施設というのは、やはり確保しなければいけないというのが基本的な部分ですけれども、それを超える部分をもっと考えていく必要があります。
 そこは先ほどのPRという面も含めまして、流域全体となって考えることが必要で、河川だけで洪水が流下できるというものでもなく、場合によってはあふれることもあります。あふれた場合にはこうなるといったことをわかりやすく紹介していくということが今後必要になってこようと思いますし、答申の中ではそうした考え方を整理させていただいているということで、我々としても引き続き各関係機関等も含めまして、ご協力をいただきながら検討してまいりたいと思っております。
 以上です。

○国土交通省 国土交通省下水道部でございます。質問どうもありがとうございます。
 当方への質問を整理させていただきますと、1つは田中委員、大塚委員からご質問がありまして、浅野委員からご意見のございました高度処理共同負担制度の話、それと河野委員からご質問のありました琵琶湖の高度処理と面源対策の話、それと浸透施設の問題についての話ということで回答させていただきたいと思います。
 まず、高度処理共同負担制度の話でございまして、田中委員のほうから質問のありました高度処理共同負担制度の活用状況の話でございますが、法制度から4年たっておりますが、申しわけないところでございますが、現在のところ適用事例はまだないところでございます。ただ、適用に向けて検討している箇所はございまして、そちらの適用に向けて尽力してまいりたいと思っております。
 それと、大塚委員からお話のありました効果の話でございますが、こちらもちょっと適用事例がないというところで、現状では効果が示せないところでございますが、今のところ高度処理の人口普及率自体が16%ということもありまして、そちらの普及率も上げることが大事だというふうに当方は認識しておりまして、普及率を上げるとともに、共同負担制度の適用も相まって、必要なところに適用して進めていきたいと、そうすれば効果があらわれるのではないかというふうに認識しております。
 そういう形で進めていきまして、高度処理共同負担制度を適用するところが望ましい箇所については、鋭意適用を進めていきたいと、そういうふうに考えております。
 あと河野委員からのご質問のありました話でございまして、琵琶湖でございますが、下水道が普及してきて、高度処理も導入してきているけれども、なかなか水質が改善していないというお話がございまして、今滋賀県自体の下水道普及率、ほぼ全量高度処理でやっておりますので、高度処理人口普及率もほぼイコールでございますが、大体八十三、四%ぐらいでございまして、かなり普及のほうは頑張っているところではございます。水質でございますが、すみません、はっきりとは覚えてないんですが、リンあたりはたしか多少でございますが、減少しているというふうに聞いているのでございますが、ただ劇的に減っているという状況ではないということは認識しております。
 ただ、当方としては、閉鎖性水域ということで、短期的にはなかなか、過去にたまっているものもありますので、効果はすぐにはあらわれないのかなというふうに認識をしておりまして、もう少し長期的に見る必要もあるのかなというふうに思っています。
 それと今CODにつきましては、滋賀県のほうで超高度処理に向けた取組も実験で行っておりまして、導入するかどうかは費用面の問題もあるのでございますが、場合によってはそういうものの適用もあるのかというふうに考えております。
 あと面源対策の効果ということで、資料2-2の整理番号7番でございますが、ページで言いますと7番でございまして、当方のほうでこの市街地のノンポイント汚濁負荷の対策として、国庫補助制度を設けさせていただいておりまして、滋賀県のほうでも何カ所かは適用したところでございます。
 この面源対策の効果というところでございますが、面積がなかなか広いところもありまして、これだけでは琵琶湖を浄化というのはなかなか難しい面もあるかと思いますが、高度処理とこの面源対策、あわせて必要な対策を講じて閉鎖性水域の浄化に努めてまいりたいと、そういうふうに考えております。
 あと浸透対策についての具体的な目標ということで、貯留浸透施設の具体的目標ということでご質問があったかと思いまして、これにつきましては自治体によっては定めているところはあるかと思いますが、全国的にこれぐらいとか、そういう具体的な目標を特に定めたというところはないところでございまして、現在自治体にこの貯留浸透施設を設置していただくよう、指導のほうをしているところでございますが、今年度はこの設置を進めていただくために、この浸透施設、維持管理が必要でございますので、維持管理のマニュアルを、下水道施設についてでございますが、整備しているところでございまして、こういうような必要な諸条件を整備した上で、推進をしていきたいと、また、必要に応じて、どこまで必要かという目標が定める必要がありましたら、それを定めていきたいということも考えていきたいというふうに考えております。
 以上です。

○国土交通省 水資源部の林でございます。
 先ほど大塚委員のほうから資料2-1の13ページの総合水資源管理の体系について、どのような協議会として取り組まれておるのかというようなご質問あったかと思いますが、この件につきまして、昨年10月、中間取りまとめということでまとめられたこの内容を今後それぞれ関係する主体の意見を幅広く聞きつつ、この大枠としてのものをまとめていきたいというところで今取り組もうとしておるところでございまして、現在1つの水系というところにおきまして、どのような課題が顕在化しているのかというようなところを今相互に確認しようということでの課題の整理をしておるという状況でございまして、そういう事例をもとにそれぞれ各水系のところで適用が可能かどうかというようなところを今後ともしっかり取り組んでいきたいという状況でございます。

○鈴木委員長 国土交通省、よろしいですか。
 では、経済産業省、お願いいたします。

○経済産業省 経済産業省でございます。
 他省庁との連携という文脈で申しますと、資料2-2の整理番号17番の19ページにございますけれども、経済産業省といたしましては、環境省と協力して、各事業所の工場排水、それの水質管理体制強化につながるよう、各工場のコンプライアンスの強化を念頭に置いたガイドラインを平成18年度に定めまして、今現在それを地方の説明会などを通じて普及、啓蒙を図っているというところでございます。今後ともこういう事業者の自主的な取組、あるいはコンプライアンスの確保を徹底いたしまして、水資源管理に貢献していきたいと考えております。
 以上でございます。

○鈴木委員長 それでは、農水省、いろいろとございましたが、よろしく。

○林野庁 林野庁でございます。
 ちょっともし抜けがありましたら、またご指摘いただければと思いますけれども、多数ご質問いただきましてありがとうございました。
 まず、間伐の話でございます。
 伐って捨ててしまうのではなくて、利用しなければ意味がないのではないかというご指摘ですけれども、今、川上、川下両面から対策を進めているところでございまして、特に川上については、搬出コストを低コスト化するということで、高密路網を作設するということで、特に力を入れているところでございまして、平成21年度は補正予算による追加措置も行っておるところでございます。
 また、山林所有者が非常に小規模で分散しているということで、今これを取りまとめて間伐などがまとめてできるような形にしようということで、森林施業のプランを山林所有者に提案するという森林施業プランナー制度というようなものを始めておりまして、今プランナーの育成を鋭意進めているところでございます。また、川下のほうにつきましても、流通加工体制の整備ということで、特に低コストで搬出された木材を実際に大量に使用するというようなことで、特に大規模合板工場だとか集成材工場だとか、そういったものを含めまして、特に重点的に地域指定をして流通加工体制を整備しているところでございまして、最近は少しずつ木材自給率も上がっているところでございます。最近の新聞報道では東北地方などは用材の国産材利用率が50%から80%近くまで上がってきているというような報道もされているところでございまして、各地域でそのような取組を進めているところでございます。
 それから、外国資本による水源地の森林の買収というお話があったところでございますけれども、これについてはいろいろなところで取り上げられており、最近では5月13日の産経新聞でも報道されたところでございます。林野庁としても水源地域の森林を保全する立場から、都道府県等を通じまして事実関係の把握に努めているところでございますが、特に報道があったところにつきましては、発信源でございます森林組合だとか、そういうところまでさかのぼって調査をしているところでございますけれども、現時点におきましては、実際に外国資本の民間企業が森林を買ったとか、あるいは民間企業が森林を購入したケースで外国資本が入り込んでいるというような事実は発見されていないところでございます。ただし、数年前にまだ景気がよかったころに中国の方が何か非常に高品質なケヤキだとか、そういうものがないかということで相談があったという話も聞いておりますけれども、現時点で水源を目的とした林地の売買が実際に行われたという事例はないということでございます。これにつきましては、引き続き都道府県等を通じまして事実関係の把握、そのようなことがないかどうかということについては監視をしていく考えでございます。
 それから、間伐をやると林野庁は言っているけれども、どのぐらい進んでいるのかという大塚委員からのご指摘でございますけれども、これにつきましては、林野庁としましては、人工林等の面積が全国で約1,140万ヘクタールこのうち間伐が必要なものが930万ヘクタール、さらにそのうち約400万ヘクタールは既に間伐が行われていると認識しております。これは平成18年度末時点の数字であり、残り530万ヘクタールの間伐を進めるということで、予算についても増額しまして、18年度以前は年間35万ヘクタールのペースで間伐を推進していたんですけれども、これを20万ヘクタール上乗せし、年間55万ヘクタールのペースで平成19から24年度までに330万ヘクタールの間伐を進めようということでやっております。あと残りの200万ヘクタールほどについては、奥地ということで、なかなか現地も行けないところというようなことで、引き続き路網の整備も進めているところでございます。
 それから、あと科学的、定量的評価ということで、佐々木委員のほうからあったと思うんですけれども、これは現行の環境基本計画の1回目の点検のときにご指摘のあった森林の水源涵養機能の定量評価のことであろうかと存じますけれども、これについては、森林土壌の働きによって、水が土壌中に貯留されまして、それが徐々に流れ出すということで、そういう機能があるということで言われているわけですけれども、上にある樹木の本数とか、土壌の状態、傾斜の程度、あるいは長期間にわたって雨が降っていたか、全然降っておらず乾燥していたときに雨が降ったかとか、いろいろな因子があるので、多数の事例を集める必要があるということでございます。現時点におきましては、まず森林総合研究所を中心に、森林水文観測を続けているということでございますけれども、それに加えまして平成21年度から森林総合研究所のほうでプロジェクトを強化いたしまして、実際に試験地を設定して間伐をしまして、その前後での水源涵養機能にどのような変化が出るかとか、そのようなことも事例を集めまして、定量的な評価ができるようにしていきたいと考えているわけでございます。
 それから、奥地の森林整備と水供給との関係についてということで、林委員のほうからお話しがありましたけれども、まずは森林整備の推進ということで、先ほども申し上げましたような間伐の強化対策だとか、そのようなことで林業生産活動を推進して取り組んでいきたいと考えておりますけれども、そういうことが難しいところで水源地として重要なところにつきましては、保安林指定も行い、治山事業により、本数調整伐だとか、あるいは下層植生を繁茂させるために枝打ちをするだとか、そういった対策も併せて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

○鈴木委員長 農水省はそれでよろしいですか。
 ご質問に関しましては、大体お答えいただきましたでしょうか。流域、あるいはノンポイントということになり、また閉鎖性水域ということになりますと、まさに各省の連携をどういうふうに考えていくのかというのは非常に大きな問題でありながら、永遠の課題みたいな感じでいつも議論されているという、これを一つの乗り越えなくてはいけないです。まさにサステイナブルな流域管理を達成していく上で重要な課題です。また、今回特に話題として比重が大きくなってまいりましたのは、適応策の問題かと思います。基本計画の時点に比べましても、災害がふえてきたということももちろんあるわけですが、ただ、適応策というと、何となくそれを口実に、単に従来型の公共工事がふえていくというようなことには、絶対してはいけないでしょう。流域全体として、土地利用をまさにどうしていくのかが問題でしょう。自然災害が、例えば100年に一度のレベルであったものが10年に一度生じる様に変わっていくとしたら、我々自身の生き方やライフスタイルも変えていく必要があるのかもしれないんですね。極端にいえば、洪水とともに生きるとか、何かその辺のところまで含めたパラダイムシフトを考えていく、流域管理をどうしていくのか、上流の森林のほうの整備もますます重要になっていくわけでもありましょうし、そういうことで今後に向けての課題というものも指摘いただいたのではないかと思います。
 ところで、森林のお話がありましたが、今お話しいただいたのは国有林ですね。これは民有林も含めて……。

○林野庁 流通対策だとか間伐の推進といった今説明いたしましたことは民有林が中心ですが、国有林についてもは事業量を増やして取り組んでおります。

○鈴木委員長 1,140万ヘクタールというのは、そうするとすべて含んで、公有林も。

○林野庁 そうですね。両方合わせた数字でございます。

○鈴木委員長 わかりました。
 以上のようなことで、また追加のご質問、あるいは第4次の基本計画に向けてどういうことを考えていくべきだというようなことについてのご意見をいただければと思います。
 じゃ、こちらから岩村委員から。

○岩村委員 さっきちょっとお伺いしたんですけれども、瀬戸内法との関係、昔あってもうないのかもしれない。そこも私はよくわからないんですけれども、そのことが一つ質問と。
 もう一つここの中で触れてない、そもそもこの審議会のマンデートを超えちゃっているのかもしれないんですが、最近何か話題になっているのは、結局自然に返らない、廃プラスチック、生活のそういうものが出てきている。それで、私も釜山なんかいくと湾内すごいんですね。雨の後は船が走れないぐらいそういうものが浮いている。日本にもたくさん流れ着いてくるんですね、海流で。そういったことについては、ここでの議論ではないのか。また、仮にそれが議論だとするなら、国際的なそういう協力なり、援助というのか、そんな話というのは議論にならないんでしょうか。
 2つお伺いしたいと思います。

○鈴木委員長 海洋ごみについては、多分ここというよりは廃棄物のほうで検討されることが……。

○岩村委員 そっちのほうでいいんですか。

○浅野委員 この国会では法律が通っているんですね。ただ、今回の点検の項目として明示で挙げてなかったので、報告が出てないということだろうと思います。議員立法も既に通っていますので、ですからこれから先はそれをどう動かすかの問題があると思います。

○岩村委員 そうすると、ここで議論することではないということでいいですか。

○鈴木委員長 膨大な予算もついたみたいですね、処理に対して。
 瀬戸内法については環境省の方から。

○環境省 瀬戸内法に関してですけれども、1973年に臨時措置法という形で成立いたしまして、1978年から瀬戸内海環境保全特別措置法ということで、現在も引き続き法律として存在しております。
 瀬戸内海環境保全特別措置法に基づきまして、瀬戸内海の環境の保全を推進するための基本計画ということで、10個の環境保全に対する目標が設定されております。こちらで言うところの大阪湾再生行動計画等々においても、整合が図られているというふうに伺っております。
 以上です。

○鈴木委員長 善養寺委員。

○善養寺委員 省庁間連携もありますが、それ以前の問題として、省内局別連携の重要性はあるのではないかと思うことが3つほどと。
 先ほど林委員が防災の観点から災害が起こりそうな流域のマンションの買い取り、立ち退き、そういうものも重要じゃないかと言われました。せんだって大雨で特別養護老人ホームの中に川ができてしまったという事件がありました。あれは鉄砲水が起こるであろうと予測できていて、砂防ダムが欲しいと要望していたが、建設が間に合わなかったと聞きましたが、そもそもあそこに建築許可をおろすこと自体に意味があったのか。あの建物をあそこに建てさせないことのほうが、はるかに砂防ダムをつくるより土地の買収から、施設を別に建てさせることのほうが安上がりではなかったかと思えます。危険だから河川に砂防ダムをつくるという部分的な視点だけではなくて、そこの流域の用途や何かをきちっと都市計画の中に落とし入れて、施設の更新をする際には立ち退いてもらうような施策を局間連携してやっていく必要があるのではないかと思います。このようなことは国内大量にあると思います。これから人口が減っていく状況からすれば、そういう集約型都市をつくる際に変なところに建てている建物、海や川の中に建てているような建物に関しては、更新とともに退いてもらう。お金を払ってでもやったほうが、結果的に安上がりではないかと思います。
 それと、上水について、せんだってどこかのテレビ局でも水の利用料の予測が間違えていて、それの負担金のためにそれほど高度処理をしないでいいような上水をやめて、負担金を捻出するために要らない水を買うというような状況が起こっているということが報道されておりましたが、水需要の予測が間違えていて、要らない水をわざわざエネルギーをかけて高度処理をしているのであれば、もう一度どうあるべきか考える必要があります。、今後の人口減、工場内での高度処理もできるようになってくると、水の利用が下がってきますので、過去の借金のために何かエネルギーをかけて水処理をし続けるほうを選択するよりは、一度リセットをしてあげてでも数字をあわせて今後の水対策ということを考えるべきではないか、そのときにどことの関係局として検討すべきなのかも考える必要があるのではないか。それはダム湖の汚染の話も同じだと思います。わざわざ砂をかき出して、ほとんど利用率のないようなダムを維持する必要はなく、壊していく、やめていくということも現状の利用量の把握から決めていって選択していく必要があるのではないか、それがあわせて管理費も削減できるようなことになるのではないか。
 それと、下水の処理の話ですが、下水処理に関してバイオマス化が進んでいないというか、割合が大変低いと伺っております。水をきれいにして出さなきゃいけないという下水処理の大事な仕事はあるのですが、これからのエネルギー問題を総合的に考えたときに、下水処理場でのバイオガス化とか、バイオマスとしての下水処理と考えるときには、省庁連携もそうですが、先ず、内部での連携も重要になってくると思います。
 以上。

○鈴木委員長 今の最後のところは下水汚泥の利用ということですか。

○善養寺委員 汚泥の利用と言えば、汚泥の利用は現在もあるのですけど、もっと戦略的に都市計画としてのエネルギービジョンとか、海外でしたら、下水処理場でのガスをどのぐらいつくって、公共バスをバイオガス化するかというトータル的な計画の中で下水場の存在というものを考えています。単なる今の処理の後に残ってしまう汚泥の処理という発想ではなくて、もっと戦略的なエネルギービジョンの中での下水処理場の存在というのもあるのではないか。それが処理場の5%程度しかバイオマス化できてないというのでは、問題があるんじゃないかと思っています。

○鈴木委員長 その辺はまた国土交通省のほうでお考えいただくとして、永里委員。

○永里委員 2つ申し上げます。
 これは国益という観点から申し上げますので、ちょっと気になる方はご容赦ください。
 先ほど農水省のほうから産経新聞の話を調査したところ、そういう事実はないということだったので、それは非常にほっとするというか、いいことだと思います。ただ、東京財団の報告書がありまして、これは6カ月前に出ているんですが、それにはそういう事実が書いてありました。私が言いたいのは、そういう事実があるかどうかの問題ではなくて、外国資本が単に経済的な理由から森林を買うと、要するに水資源の森林を買うということに関して、国土保全とか水資源対策としてこれを阻止するような法整備を考えてほしいと、こういうことを私は質問したわけで、このことについて難しいことかもしれませんが、そういうことを考えてほしいなというのが1点です。
 それから、もう1点ははさらにそれをちょっと膨らませた話で恐縮なんですが、水を持続的に活用できる社会、健全な水循環の構築のためには、昔から伝統的に決まっている、いわゆる水利権というのがございますが、この水利権などは国が一たん召し上げて、一元的に管理するぐらいの気構えがないとうまくいかないと私は思います。このためには、省庁の連携とか何とかおっしゃっていますけれども、そんなことではうまくいかないことがはっきりしていますので、一元管理する省庁を、このことに関してつくるような気構えでいてほしいと、ちょっと大言壮語しているように思いますが、それぐらいの気構えがないとうまくいかないんじゃないかということを申し上げたいのです。
 以上です。

○鈴木委員長 お答えをいただくようなことではないかと思いますが、水利権もそうですし、土地の例えば私有制に関しても、いろいろ議論し出すと切りがないかもしれません。この環境計画、基本計画の検討の中に組み込むべき、あるいは組み込み得ることはぜひいろいろご意見いただいたものを組み込んで、将来に対する課題といいますか、昨年から提言という形で基本計画に組み込む、それぞれのところでの問題点を組み込むようにいたしておりますので、その辺でどう取り上げるかということは、今後検討を進めることが出来ればと思います。
 何かまた。
 大塚委員、崎田委員、それでは。

○大塚委員 今後の展望のところについて、2点だけちょっと申し上げておきたいと思いますが、1つはノンポイントソースのところですと、先ほどのお答えとの関係で言うと、結局湖沼に関して例えばこの流出水対策地区の指定を場合によってはもう少しふやしていただくとか、あるいは計画について粛々と実施をしていただいて、計画の目標を達成したかについて、結果が出てくるのが大分後になってしまうと、環境基本計画との点検との関係では、なかなか困ると思いますので、そこをどうするかというようなことを考えていく必要があるのではないかと思います。
 それから、もう一つの点につきましては、健全な水循環との関係につきましては、先ほどお答えいただいたようなことでございますので、永里委員みたいに水利権の問題のところも本当はあると思いますけれども、ちょっとすぐには書けるようなことでは残念ながらないので、この連絡会議については、積極的に活用していただいて、健全な水循環に関して省庁の連携を図るというようなことは、ぜひ今後の展望として少なくとも入れていただけるとありがたいと思います。
 以上でございます。

○鈴木委員長 崎田委員。

○崎田委員 ありがとうございます。
 皆さんの発表をきちんと伺わずに大変申しわけございません。ただし、この健全な水循環というのは大変重要な分野だと思って伺いました。
 それで、3つほどあるんですけれども、1つは農業のところがかなり今回の新規に設定事項の中に出ていまして、この例えば整理番号の2番、3番などのこれからの農業環境規範の普及、啓発とか、持続的な農業生産方式の導入、その後の農地、水、環境の循環、有機農業の推進、こういうところは農業の皆さんの取組のようでいて、実際にそこをきちんとやっていただくと、生態系の多様性が図られたり、地域が本当にいい環境で保てたりという、本当に私たちの暮らしや日本全体に大変大きな影響があることですので、そういう意味で環境と農業の非常に近くなったところで水循環を大切にしていくという、今大きな転換点だというふうに思っておりますので、この辺のところをきちんと連携しながら見据えていくというような輪をきちんと起こしていくというのが大事な時期だというふうに考えております。
 なお、あと先ほど善養寺委員から下水処理のお話がありまして、下水処理のバイオマスの活用プラス一酸化二窒素対策とか、リンをしっかり回収するという、水循環を確保する上でのそういう循環型社会的な利用の方針というのも大変重要なところで、それはこの分野で大変重要ながらなかなか地方自治体が管理しているところで、なかなか進まないというところでもあると思いますので、いろいろな分野からここの課題を浮かび上がらせて、解決に導くというのは大変重要なポイントだというふうに思っています。
 どうもありがとうございます。

○鈴木委員長 林委員。

○林委員 今日のお話をずっと聞いておりますと、これまでこの基本計画等で出てきた低炭素社会でありますとか、最近では気候変化適応型社会というような言葉が出てきておりますけれども、まさに再び自然に抱かれて生きていく人間社会というような、そういう概念が必要なんじゃないかということで、まだ言葉は全然熟しておりませんが、「自然抱擁型社会」のような、何かそういうふうなものが次の第4次には概念として出てきてもいいのではないかと思いました。
 以上です。

○鈴木委員長 浅野委員。

○浅野委員 先ほど大塚委員がご指摘になったように、国の政府レベルでの省庁の連絡会議が重要だということはもちろん否定はしないのですが、それ以上に水循環の問題、水の問題は、地域で具体化していかなきゃいけないわけでありますから、自治体も入れる、それからいろいろと分権の議論の中で言われてはいるのですが、いい働きをしている地方支分局と自治体との連携、それも省をちゃんと超えた連携ということを常に意識してやっていかなくてはいけないと考えます。
 先ほど里海について、環境省の説明はやはり不満です。霞ヶ関で幾ら検討会をやったって、実際にモデル事業みたいなことで動いていくのは各地域ですから、そういうところでちゃんと各省庁が連携できているかどうかということが問われてくるのではないかと思います。だったら、それはそこでやってもらうときに、ちゃんと連絡をとってやってくださいとか、どういうふうになっているのでしょうかというようなことを言っておかないと、どうしても縦割りということになりかねないと思うので、この分野ではとりわけ地域の自治体も含めた省庁間連携とか自治体との協働ということの重要性があることを特にこの点検の中では指摘しておく必要があると思います。

○鈴木委員長 今日ご出席いただいております各府省側から何か追加のご発言ございますでしょうか。

○国土交通省 先ほどの下水汚泥に関するバイオマス利用の回答のほうですが、させていただいてよろしいでしょうか。

○鈴木委員長 では、簡潔に。

○国土交通省 先ほど善養寺委員と崎田委員から、下水のエネルギー利用の話がございましたが、確かにバイオマス利用のほうが二十%ぐらいと、バイオマスのエネルギー利活用については十数%ぐらいと、現状では余り進んでいないところでございまして、非常にいいご指摘をいただいたというふうに考えておりまして、国交省のほうでもここら辺のバイオマス利活用については、今後も進めていきたいということで、いろいろ施策を考えているところでございます。そのほかN2O対策についても温暖化対策として、あとリンにつきましても資源利用の循環ということで、非常に重要だと考えておりまして、これらの施策も鋭意進めているところでございます。
 以上です。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 いろいろご質問、あるいはコメント等々もいただきまして、水というのが大変皆さんのご関心が高いところでもあることはもちろんですが、安全保障の意味でも水というものは非常に重要なところであることは勿論です。言われ続けておりますように、各省庁でそれぞれがそれぞれの施策を極めて真摯におやりになっていながら、リダンダント(冗長)というんでしょうか、いろいろな意味で調整がとれてない形が出来てしまっている。これをそれではどういうふうに調整をとるかというと、何か水に関するそれなりのフォーラムができるとか、連絡会を作るというようなことで済むのかという問題ももちろんあるあります。大切なのは、考え方を変えていくという非常に大きな課題があるでしょう。わが国が、高齢社会に向かっていく、そしてまた温暖化が目前にといいますか、既に始まっている。そういうところで一体こういう急峻な山岳を持っている我が国がどういうふうに水とつき合っていくかという原点に立ち戻って本当は考えていかなくてはいけない。しかしながら、ここは基本計画の点検の場でもありますので、当面の基本計画の進捗状況をチェックすると同時に、次の課題というものをきっちりと出していき、次の基本計画に反映させていく。こういうようなことだろうと思います。
 例えば、ノンポイントとそれの受け皿となる閉鎖性水域、あるいは湖沼というようなことだけでも簡単ではない。ですから、先ほどから議論がありましたように、ノンポイントをどうやって整理をするのか、ということになると、環境基準の達成率だけ見ててもしようがないわけで、具体的な施策として一体どうするのか。それは土地利用、その流域におけるきっちりした管理、ある種のモデルに基づいて施策の結果の予測ができるような体制をつくっていかなきゃいけないんだろうと思います。
 非常に難しいわけですが、従来どおりの単にポイントか、ノンポイントかという話じゃなくて、まさに先ほど浅野委員からもありましたように、上流で畜産をやりながら、下流のダムのところで一生懸命水質浄化をしてもしようがない。一体どういうふうにするのが適切なのか。たとえば、上流に砂防ダムができると今度は下流の海岸域で砂浜がなくなっていくなんていう問題もあるわけで、全体として長期的視野に立ってどういうふうに国土を管理していくのかという、そういう問題に直結してしまうわけですね。
 しかしながら、ここは環境基本計画を点検する場で、そこまで拡大していくわけにはいきませんが、ぜひ、各省まさにご自分たちの問題としてそれぞれのところがお考えになっていることを、どういう形で今後連携に繋いでいくのか、それぞれの施策を構築される現場におられる方々の連携を深めていただくということぐらいしかこの段階では申し上げられないでしょう。しかしながら、これは長期的に非常に重要な問題ですので、今後とも基本計画は基本計画としてしっかりと機能させていかなきゃいけませんが、それをある意味では核にして、各省で共通の問題認識を持って進んでいただければと思います。
 いろいろいただきましたご意見をこの最後の基本計画の点検報告に今後まとめていくことになりますので、今日いただきましたご意見、ぜひ有効に活かして進めてさせていただきたいと思います。
 若干予定の時間をオーバーいたしてしまいましたが、一応本日の審議の予定としては以上ですが、あとシンポジウムの報告などはよろしいですか。
 事務局のほうからお願いいたします。

○小森計画官 それでは、連絡事項を申し上げます。
 次回の日程でございますけれども、第8回環境基本計画点検小委員会、あさって、7月30日、14時から17時、行います。場所は三田共用会議所4階第四特別会議室、ここでございます。議題につきましては、引き続きまして重点点検分野に係る関係府省ヒアリングということで、市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり、国際的枠組みやルールの形成等の国際的取組の推進の2点でございます。
 なお、鈴木会長からいただいた環境シンポジウムの報告でございますが、これは参考資料の1につけてございますけれども、8月20日にさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

○鈴木委員長 それでは、以上をもちまして本日の審議をすべて終了させていただきました。
 どうも各府省の方々もご参画いただきまして、ありがとうございました。
 これをもちまして終了いたします。

午後5時07分 閉会