第1回 環境基本計画点検小委員会議事録

日時

平成18年12月6日(水)10:00~12:06

場所

虎ノ門パストラル新館5階「マグノリア」

出席委員

鈴木基之委員長、浅野直人委員、天野明弘委員、大塚直委員、小澤紀美子委員、崎田裕子委員、田中充委員、長辻象平委員、山本良一委員
(総合政策部会からの出席委員)永里善彦委員、松原純子委員、森嶌昭夫委員

議事

  1. (一)環境基本計画点検小委員会の運営について
  2. (二)平成19年点検の重点調査事項について
  3. (三)その他

閉会

配付資料

資料1 環境基本計画点検小委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会議事運営規則
資料3 中央環境審議会総合政策部会の小委員会及び専門委員会の運営方針について
資料4 環境基本計画点検小委員会の設置について(案)
資料5 中央環境審議会総合政策部会の小委員会及び専門委員会の設置について
資料6 平成19年の重点調査事項(審議のための素材)
資料7 重点分野政策プログラムの指標一覧
参考資料1

第3次環境基本計画の点検の進め方について(案)
(平成18年11月22日総合政策部会資料1)

議事内容

平成18年12月6日 午前10時00分 開会

○佐山環境計画課計画官 定刻になりましたので、議事に入ります前に、お手元の配付資料の確認をお願いします。
 まず、議事次第。それから資料1、環境基本計画点検小委員会委員名簿です。資料2、中央環境審議会議事運営規則。資料3、中央環境審議会総合政策部会の小委員会及び専門委員会の運営方針について。資料4、これは「環境基本計画点検小委員会の設置について」というのが2行目に書いてあります。資料5、中央環境審議会総合政策部会の小委員会及び専門委員会の設置について。資料6、これは今回、「重点調査事項」ということで、審議のための素材になるものです。資料7、これは指標の関係なのですが、10枚ほどございまして、重点分野政策プログラム「地球温暖化問題に対する取組」の指標一覧ということで、指標の数字とかが入っているものです。
 それから、参考資料ということで、第3次環境基本計画の点検の進め方についてというものが入っております。
 本日は現時点で全委員12名のうち7人の委員にご出席いただいておりますので、過半数の定足数要件を満たしております。したがいまして、委員会として成立しております。
 それで、ちょっと委員の方に確認なのですが、任命書が封筒の中に入っております。机の上に置いてありますので、ご確認いただければと思います。
 それから、本日は総合政策部会より永里委員、松原委員、それから森嶌委員がご出席されております。         
 それでは、鈴木委員長、よろしくお願いします。

○鈴木委員長 それでは、ただいまから第1回環境基本計画点検小委員会を開催させていただきます。
 環境基本計画の点検は総合政策部会の主要な任務でございますが、そこで点検を進めるためのいわば叩き台のようなものを作っていく、そのために小委員会が設置されたわけでございます。
 早速議事に入りたいと思いますが、まず最初に、本小委員会の運営につきまして、事務局から配付資料に基づきまして説明をお願いいたします。

○奥主環境計画課長 それでは説明させていただきます。
 まずお手元の資料1でございます。これは、この前の総合政策部会におきまして、もうご了解いただきましたけれども、環境基本計画点検小委員会の委員名簿をお付けしてございます。
 資料2でございます。これは、中央環境審議会の議事運営規則でございまして、小委員会関係に係る規定といたしましては、1ページを繰っていただきまして、第8条、小委員会ということでございまして、ここに基づきまして小委員会が今回設置されまして運営されていくということでございます。
 2枚繰っていただきまして、資料3でございます。これは、先生方は既にご存じのことと思いますが、総合政策部会で決定されております総合政策部会の小委員会及び専門委員会の運営方針についてということでございまして、会議の公開及び会議録等に関しまして決められてございます。会議の公開につきましては、[1]のところでございますけれども、「公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合又は特定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合には非公開とし、それ以外の場合には公開するものとする」ということが原則となっております。代理出席は認めないということでございます。会議録等につきましては、小委員会の発言内容を精確に記載すると。(3)でございますが、特に公開のところでございますが、「公開した小委員会及び専門委員会の会議録は、公開するものとする」ということでございまして、この運営方針に基づきまして小委員会を運営していきたいと思っております。
 1枚繰っていただきまして、資料4でございます。今回の環境基本計画点検小委員会の設置についてということでございます。5.のところでございます。11月に開かせていただきました前回の総合政策部会におきましてご議論がありまして、幅広く委員の方々から総合政策部会の先生の方にご指摘いただける趣旨を明確にすべきということがございましたので、アンダーライン、見え消しのところでございますけれども、「委員長は、小委員会委員以外の総合政策部会委員又は臨時委員に対し、参考人として小委員会への出席を求めることができるものとする」といたしまして、「専門性」とかそういった言葉は全部、趣旨を明確にする観点から削除させていただきたいと思います。これにつきましては、最終的に12月20日に予定されています総合政策部会におきましてもう一度確認をいただきまして、ご了承いただきたいと考えております。事務局の案といたしましてはこのような形で趣旨を明確にしたということでございます。
 資料5は、前回の総合政策部会でご了解いただきましたけれども、環境基本計画点検小委員会の設置ということにつきまして、このように規定を改正したということでございます。
 以上でございます。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 先ほどの資料5等につきましては、次回の総合政策部会でファイナライズしていただくということになっております。
 それでは、委員の皆様には、今後主として個別分野の点検に当たりましてご審議をいただくことになりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 では、続きまして、早速重点調査事項につきますご審議をいただきたいと思いますが、平成19年度重点点検分野の重点調査事項につきましては、昨年第3次計画の策定に当たりまして、重点分野の主担当として携わっていただいた委員の方から案のご提案をいただき、それを本日ご議論いただくという形になっております。5分野ございますので、各分野につきまして20分程度の時間を割いてご説明、そしてご議論をいただきたいと思っております。5つの分野はここにございますが、国際的枠組みやルールの形成等の国際的取組の推進、市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり、長期的な視野をもった科学技術、環境情報、政策手法等の整備、都市における良好な大気環境の確保に関する取組、環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組、この5つでございますが、全体として10分野のうちの半分を今年度、残りの半分を来年度という形で、2年に1回回ってくるような仕組みで進むことが決められております。ただいま申し上げた順番は、ご出席いただく先生のご都合も勘案したものでございまして、この順番に従いまして進めさせていただきたいと思います。
 それでは早速ですが、資料6をご覧いただきまして、この順番で進めさせていただきたいと思いますが……。はい。

○森嶌委員 先ほどの資料4についてですが、前回の委員会では、「参考人として小委員会への出席を求めることができる」などということにはなっていなかったはずです。つまり、補佐する方が補佐される側に対して、「参考人として出席することを求めることができる」などというのは、考えてみたっておかしいはずです。そう思いませんか。ですから、これはなぜ小委員会を開くかというと、大所帯でやると迅速に開催できないので、そこで専門的に迅速にやるために小委員会でやることによって、定足数も満たして、迅速にやることができるということですから、そこで本来ならば総合政策部会でやるべきことなのです。ですから、本来やる人に「参考人として求めることができる」などというのは、一体事務局は何を考えているのかということです。ですから、実際に来られるかどうかではなくて、「総合政策部会の委員又は臨時委員」――それはどっちでもいいのですけれども――「は、小委員会に出席することができる」で十分です。そこで事務局は、常に出席案内を出して、出席されるかどうかを事前に調査をして、そしてこの定足数などのカウントは小委員会の委員の出席数でカウントされれば、それで結構であります。ですから、この間私が発言したこととも違うし、あそこで議論されたこととも全く違うことを事務局が勝手に作っておられる。その点で、私は資料4をそのままこの席に出されることについては、これには反対いたします。そこで、これこれの委員は「出席することができる」ということにするのが前回の趣旨に合うということで、もしもそうでないのだと、この小委員会も含めて、ここでこの間の議論の趣旨は「参考人として求めることができる」という趣旨であったという方がおられたら、ここで議論させていただきたいと思います。

○鈴木委員長 この文面につきましては、私も大変気がかりなところがございましたが、単に「総合政策部会委員、臨時委員が出席できるものとする」としますと、何のために小委員会を設置するのかというところとの兼ね合いが出てくる。こういう文案になってはおりますが、すべての政策部会の委員・専門委員の方に毎回参考人としてこちらから開催通知をお出しして、出席をなさりたい委員の方はご出席いただくという形を取ろうというようなことで、この文案になっているとご理解いただきたいと思います。

○森嶌委員 それではお尋ねしますけれども、本来補佐役が、何で総合部会の委員に対して、参考人として求めるのですか。

○鈴木委員長 そうですね。参考人というのは、要するに定員に加えないと、定足数の問題です。

○森嶌委員 そうだとすれば、先ほど私が申し上げたように、小委員会でやるわけですから、小委員会の正式のメンバーで、その運営は、定足数などは小委員会の委員の出席の定足数でやればいいのであって、総合政策部会の委員の出席は常に求めることができるのではなくて、出席しようと思ったらできる。しかし、出なくもいいと。

○鈴木委員長 そのとおりなのです。

○森嶌委員 それが法律的には正しい。自然科学者はどう考えるか知らないけれども。

○鈴木委員長 前回も私が申し上げましたのは、そういう趣旨に関しては多分合意が……。

○森嶌委員 いや、そういう趣旨だったら、そのように、ちゃんと法律的に見てもおかしくないように、文面をきちんとしてください。

○鈴木委員長 そうなのです。ですから、先生がおっしゃったように、総合政策部会の委員・専門委員の方は常に出席していただけるという形は、前回の総合政策部会で了解されたと思うのです。それをどういう文案にするかというところは、むしろ、ですから事務局と……。

○森嶌委員 ですから、事務局の文案がおかしいと。事務局なら事務局らしく、ちゃんと法律的に見てもおかしくないように書けと。補佐のくせにして、本人の方を「参考人として求めることができる」などというのは、事務局としてはおかしいではないかと。事務局なら事務局らしく、理系の会長ないしは部会長の補佐をしろと。補佐は補佐らしく、ちゃんとそういう文面をつくれということを私は申し上げているので、鈴木先生を非難しているわけではないわけで、鈴木先生は一生懸命ディフェンドされようとしておられるけれども、ディフェンドの仕方が極めて下手ですから、(笑)私は、鈴木先生を補佐して、事務局に対してちゃんとやれということを申し上げております。

○鈴木委員長 それでは、その辺は詰めていただいて。

○奥主環境計画課長 では、一つだけ補足させていただきたいと思います。小委員会の設置をいたしまして、小委員会のメンバーにつきまして正式にその定足数の関係から、参考人として……。

○森嶌委員 ですから、私はそこの文章などは何も文句を言っていないので、先ほどから事務局が直された「参考人として小委員会への出席を求めることができるものとする」という、その文章のことだけ申し上げているので、定足数を、全部を母数にして計算しろなどとは一言も申し上げておりません。先ほど申しましたように、小委員会の定足数でそれでおやりになればいいので、全体の委員については「出席することができる」と書けば、それで足りるということを申し上げたのです。

○浅野委員 この点については森嶌委員の言われるとおりだろうと思います。前回の議事録はまだ確定していませんが、少なくとも修正のために議事録案を読んだ限りでは今ご指摘のような議論が行われています。「参考人」という言葉には、あのときに原案が修正されたという経過からすれば、これに拘ってはいけないことになります。もともとどうしてこういう議論になったのかというと、前回少し専門性の要る仕事をするためにワーキンググループをつくってはみたものの、どなたでもご参加いただけると言ったばかりに、ものすごい大人数になってしまって全然議論ができないということがあったものですから、その反省があってこういう議論が一応出たことは事実ですけれども、しかしクローズドにすることはよくないというご発言が何人もの委員から出てきて、そのご意見を総合政策部会の部会長がそうだということで引き取られたわけですから、そういう意味では、この文面は前に計画を策定したときの、だれでも出てもいいと書いたあの文章に戻るということが部会の意思です。だから殊さら「参考人」などと書く必要はないわけで、今、森嶌委員が言われたように、「出席することができる」と書けばそれで十分なのです。あえてそれで「定足数は」云々と書かなくても、小委員会に出席することができるという部会の決定の意思をそのまま文章にすればよいというご主張であり、それはそのとおりだろうと思います。

○奥主環境計画課長 ちょっと弁明させていただきますけれども……。

○森嶌委員 弁明しなくていいです。この間決めたとおりに書き直しますとおっしゃれば、それで結構ですので。

○奥主環境計画課長 ただ、形式としては参考人という形にならざるを得ないということだけはちょっとご理解いただきたいと思います。

○森嶌委員 余りむだな時間を使わないで結構です。

○鈴木委員長 こういう形で残る文案は、先ほど森嶌委員からおっしゃっていただきましたように、「総合政策部会委員又は臨時委員は、小委員会へ出席することができるものとする」。これでよろしいのですね。それで特に不都合はないのですね。では、前回の総合政策部会の趣旨に沿って、そういう文案にさせていただきます。はい、どうぞ。

○松原委員 ちょっと今の事項に関連してなんですが、同じご指摘のあった文章の冒頭の部分なのですけれども、「分野ごとの専門性を補完する観点から」というのを今回取りましたと事務局からご説明があったのですが、確かに環境の分野は非常に広大ですので、分野ごとを全部入れるというのは非常に大変ですけれども、しかし、小委員会のメンバーを見たときに、十分に環境と人間の問題についてしっかりした専門性をカバーしているかというと、やはり必ずしも十分とは言えない面があろうと思うのです。ですから、メンバー全員じゃなくても、非常に討議する議題に関連のある専門性のある委員というのは、随時議論に参加するなり傍聴するなりすることができる機会を与えられて当然だと私は思っておりましたので、ちょっとこの専門性という観点からも、小委員会というのは十分に検討されてできたものではないので、随時保管できるという方が私はいいように思いましたので、この点についても、事務局の先ほどのご説明ですと、今回はこれは取るというお話でしたので、ここをちょっとご説明いただきたいと思います。

○奥主環境計画課長 取らせていただきましたのは、事務局といたしまして、この前の議論で、専門性とかそういうことを余り条件づけすると、いかにも閉鎖性、つまりクローズドになるのではないかという意見もあったかと思いましたので、ここはプレーンに総合政策部会の委員の方々は小委員会に出席することができるということとしただけでありまして、それは、何も専門性とかというものがあっても結構でございますけれども、総合政策部会の委員の方々は小委員会に出席できるというだけにしたということでございます。

○松原委員 専門性というのは環境問題においても非常に重要な面もありますので、この文章は生かしておいてもいいのではないかなと私は個人的に思いましたので、一言発言しました。

○鈴木委員長 もうこれは議論し出すと……。はい。

○森嶌委員 前回のコンテクストでこれを消したのですけれども、前回のコンテクストからいいますと、専門性のある人についてだけ委員長は出席を求めることができるとなっていたものですから、それはおかしいじゃないかということで、その頭は形容句が消えたわけですから、その意味で言えば、もしもあれでしたら、全員が出ることができるのですけれども、専門性がある人については特に出席してほしければ、エキストラに「先生、欠席しないで出てください」という事実上出席をお願いするということをすればいいわけで、そうでなくても各委員が万障繰り合わせてご出席なされば、この小委員会から見て、専門性がある者は一人もいないじゃないかといったら、自分で出て来られてやればいいのですけれども。そこまで義務づけたり、あるいは定員数を年中満たさなければならないので、それはもう前回というか、さんざん苦労しているのでこういう小委員会ができているというのは、私は十分知っていますので。ただし、だからといって、求めなければ委員が出られないというと、それはまたおかしいではないかというので、そういうあれですから、奥主さんのご苦労もよくわかるのですけれども、ちょっとそれを表現するには文章がおかしいということですので。

○鈴木委員長 この「分野ごとの専門性を補完する」という言葉を生かさなくても、それは十分にここに組み込まれているということを了解していただけば……。

○奥主環境計画課長 それは、「出席することができる」ということにしたいと思います。ただ、いろいろこちらのまさに事務的な整理で、一応参考人として出席していただくということはちょっと予算とかそれとの関係でせざるを得ませんので、そこは案内状には、参考人として出席していただきたいといった形で出さざるを得ないということだけはちょっと……。

○森嶌委員 余りまた余計なことを言わないで。委員が参考人としてというのは、それはどういう意味かということになるのです。ただ、全く別の人を呼ぶ場合は参考人でいいけれども、そこで小委員会の委員は委員だけれども、総合政策部会の委員は参考人だというのは、それはまたおかしいじゃないですか。だから、また余計なことを言うなというのはそういうことです。

○浅野委員 事務的な処理は事務的な処理で、淡々とやればいいわけですから……。

○森嶌委員 事務的な処理は、それは話は別だということです。予算が足りないときには、予算が足りないということでまたそれは別に考えろということです。

○鈴木委員長 では、よろしくお願いいたします。もうよろしいでしょうか。
 では早速、重点調査事項につきまして、まず国際的枠組みやルールの形成等の国際的取組の推進。これは、和気委員が今日ご欠席ですので、事務局の方から説明をお願いします。

○奥主環境計画課長 それでは、資料6でございます。
 重点調査事項といたしまして、重点点検分野名は、「国際的枠組みやルールの形成等の国際的取組の推進」ということでございます。
 審議のための素材といたしまして、和気委員の方から調査事項として2点ご提案されております。
 重点調査事項[1]といたしましては、国際的な経済連携・地域統合と環境の融合ということでございまして、調査内容希望項目欄に書いてありますけれども、そこの2つ目の

○のところでございますが、FTA/EPAを含む東アジア地域の貿易・投資の自由化の推進状況、この過程における環境分野の配慮の状況、東アジア地域の貿易と環境に関する連携枠組みの検討状況、環境配慮の内在化のための課題と今後の方向というところを調査してほしいということでございます。
 重点調査事項[2]といたしまして、NGO/NPOが地球環境保全において果たしている役割ということでございます。調査内容希望項目といたしまして、活動対象とする国・地域、分野の概要、傾向ということでございまして、NGO/NPOによる活動の内容、成果、あるいは政府や国際機関による取組との関係が1つでございまして、2つ目といたしまして、NGO等の活動強化のための課題と今後の方向ということでございます。
 以上でございます。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 この委員から提案されております調査事項は2つございますが、それぞれの分野について、後でご覧いただきますが、大体調査事項としては2つずつ提示されております。これはあくまでも議論のための素材ということなのですが、特に国際的枠組みやルール形成ということになりますと、これは横串の重点点検分野でもありますので、いろいろな分野にかかわる。他の分野でもまた国際的な取組に関しての調査事項の提案等もございますので、その辺も睨んで、ここのところで点検する事項としてはこういうことでよろしいかどうか、それをご議論いただければと思います。はい、浅野委員。

○浅野委員 重点的取組事項として掲げている項目がこの分野にも結構たくさんあるわけですけれども、あれもこれもと言い始めると切りがないわけで、どこかで割り切って絞りをかける以外には、この重点調査などはできっこないだろうと思うわけです。そしてまた、この重点調査事項は同時に地域でのヒアリングにも連動させるということがになっておりますので、地域でのヒアリングに余りなじまないようなことばかり並べるといささかまずいわけですが、原案を拝見しますと、NGO/NPOというのが出ていて、地域でも地球環境保全のために活躍している団体があるということは、前に国際戦略の専門委員会でブロックヒアリングをやりましたときにもわかったことでございますので、この形であれば、地域ヒアリングにもうまく結びつくのではないかと思います。
 それから、調査項目の1に関しては、基本計画の中にダイレクトにこういう形での書き込みが十分ではなかったという面があるわけですけれども、計画策定の段階でもこのような観点が重要であることは言われたにもかかわらず、なかなかうまく計画の中に書き込めなかった。表現として非常に表現しづらいといったことで入らなかった面があるわけで、観点としては極めて重要な観点ではないかと思われますので、このような切り口から重点調査項目ということとすることでいいのではないか。前から貿易と環境に関する問題というのはずっと言われ続けていたのですけれども、その意味ではちょっと計画本体の中にダイレクトに書き込まれていないことを調査すると言われると、調査される側が「何だ」と言ってくる危険性がないとも言えないのですけれども、こういうスタイルでやってみると。とにかく、今回が第1回目ですし、ここである種のスタイルを作っていくということでもありますから、余り計画の文章に拘って、その言葉を直接に取り上げて、この言葉のこの部分はといったやり方をしないで、もう一回計画の持っている意味を改めてこの中央環境審議会として再度表現し直すような形で点検するというのも一つの方法かと思います。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 そのほか。はい、どうぞ。

○天野委員 私も、こういう経済的な専門からいいますと、国際的な関係と経済関係と環境の関係、これは非常に重要な分野で、しかもこれまで余り議論がされてきていないということがありまして、基本計画の中でも一応「貿易と環境に関する世界的枠組みについて」云々という表現がありますし、このあたりはぜひ取り上げていただくのが適当であろうとは思っております。

○鈴木委員長 いかがでしょうか。では、崎田委員。

○崎田委員 遅くなりまして失礼いたしました。
 国際的枠組みのところなのですけれども、この項目が2つ、非常に明快に提案されているのは、大変素晴らしいと思っております。それで、少し配慮した方がいいなということで考えていることが、重点調査項目の1番、国際的な経済連携・地域統合のところなのですが、これは今、今回の重点には入らなかった循環型社会形成のところなども、国際的ルールでの位置づけを推進しようということは大変重要課題になっておりまして、3Rイニシアチブなど、あるいはいろいろなリサイクル法の関連で、アジアとの家電製品の連携とか、いろいろなことが今話題に出ているところで、きっとこういう調査をされているときに、循環資源の方の貿易というかやりとりの話とか、いろいろなことも関連して出てくるのではないかなという感じがいたします。それで、具体的にどういう部分にするかというのは、今後細目を決めるときにいろいろなご配慮があるかと思うのですが、とりあえず広い視点で考えておいていただくと、状況が非常によくわかるのではないかなという感じがいたします。
 あと、次のNGO/NPOというところで、こういう市民がアジア・アフリカあるいは外国のサステイナビリティーに関わっていくというのは大変重要なことですので、こういう視点を入れていただくのは大変ありがたいと思っております。なお、こういうものを把握するときに、外国だけを活動地域にしているような団体と、日本の団体が外国の地域と連携しながら相互交流をしていくような動きとか、幾つかいろいろなやり方がありますので、少し広い視点で把握していただければ大変ありがたいなと思っております。よろしくお願いいたします。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 資源循環は、実は来年度取り上げるテーマでもありますし、国際的な連携というと、もちろん地球環境レベルのいろいろな問題が国際的な連携でもあり、水の問題もあり、いろいろなところで関わってくるわけです。生態系の問題も関わってきますし。そういう全体像をどこかできちんと見ておいて、例えばODAの問題なども一体どのようにどこで取り上げるのか、どこかにちょっと司令塔みたいなものが必要ですね。その辺も含めて、これは具体的には、ここで認められ、総合政策部会でこれが認知されますと、質問票か何かが作られるわけですね。それを作る段階では、ここで議論することになるのですか、質問票は。

○奥主環境計画課長 今ここに重点調査事項に書かれているのがまさに質問票ということで、この項目を……。

○鈴木委員長 これだけがポッと関係府省に出ていくわけですか。

○奥主環境計画課長 はい。

○鈴木委員長 そうですか。なるほど。どうぞ、森嶌委員。

○森嶌委員 専門家というのは得てして、専門的ではあるけれども、非常に視野が狭いのと、自分の専門にだけ関心を持って、同じ領域の中でも他の専門には関心を持たないという、その意味では、本来環境基本計画というのは総合的に判断しなければならないのは、これは和気さんだけのことを言っているのではありませんけれども、全体をざっと見ますと、環境基本計画と重点項目とは一体どういう関係にあるのかということがちょっとよくわからないところがあります。そこでもう一回、またやや皮肉めいて申し訳ありませんけれども、何のために小委員会を拵えるのかと。専門家が、おれはこういうことを知っているということを言うためにやるわけではなくて、5年間に渉って少しずつ点検をしていくということは、各省庁の、あるいは国民の参加を得ながら環境基本計画を進行させるためであって、インディケーターをつくって、計画がここまで進んだ、進まないということを社会科学的に、あるいは自然科学的に分析する。そして、しかも自分の専門のところだけを掘り下げるためにやるのではなくて、むしろ、これを契機にどういう状況にあるかということを各省庁あるいは国民なりに知ってもらって、それではこうやろうかということのいわば動機づけにしてもらうためにやるわけです。環境省は、多くの事柄について実施する役所ではないわけです。多くの事柄について、ほとんどは各省庁なり、あるいは国民が、あるいは地方自治体がやるわけですから、そこで計画がうまくいかないと仮にします。しかし、だからといって、環境省が、例えば普通の会社でしたら、計画はここまで、売り上げはここまでしか進んでいないとなったら、それっ、20%売り上げを上げろと言って、部署に、予算をこれだけ出すから売り上げを上げろとか宣伝しろとかやれますけれども、それは環境省の中でできることとできないこととあって、ほとんどができないわけですから、むしろこうなっているのだということを各省庁は自覚して、それではこうやったらいいだろうということをやってもらわなければいけないわけです。
 そこで本題に戻りますと、そうだとすると、点検することは、環境基本計画の中で何が今アージェントにプライオリティーを持っているのか、そして各省庁にやってほしいのかということを重点的に取り上げていくので、この専門家が知りたいということを取り上げるべきではないと私は思うのです。この中にはもちろん、その意味で日本の環境政策にとってアージェントで、これを今からやっておかないと後で取り返しがつかないことになるということがありますけれども、私はこれを見ていると、必ずしもそうでない。今何となくジャーナリスティックに問題になったり、あるいはその人がアカデミックに関心を持っていることが重点項目として取り上げられているように思います。その意味で、私は今度の総合政策部会には外国に行っていて出られないのですけれども、ぜひそれまでにもうちょっと、何のために点検をやるのか、何のために小委員会にお願いしてちゃんと、定足数が満たなくて流れるようなことがないように、迅速にやっていこうとしておられるのか。せめて小委員は、自分が何のために出てきているのか、自己満足のために出てきているのではなくて、天下国家のためにではなくて、日本のために、将来の世代のために、この環境基本計画を迅速に進めていくために、そのための一つの手段として点検をするのだということをお考えいただきたいと思います。
 それで、その観点からこれを見た場合に、確かにこれはおもしろいですけれども、では点検して、これでどういうことが出てくるのだろうかということです。しかも、この[1]、[2]ですけれども、私は、もしもやるとしたら、重点調査事項の[2]は他のところでやって、その中で国際的にNPOが、何でも良いですけれども、例えば都市問題でも良いですけれども、都市問題とか、あるいはほかにあったかどうか知りませんけれども、水問題でも良いのですけれども、そこで日本のNPOはどういう連携をしているだろうといった形でやっても良いわけで、一般的・抽象的に、日本のNPOは何をやっているだろうと言っても、NPOのあり方というのはさまざまですから、何を取り上げるかによってNPOは全く違います。だからその意味で、これも理論的にはおもしろいですけれども、私は、ここからある程度の、後でこういうのが出てきて、そのことは単に文章として出てくるのではなくて、計画を進めていく上で、個々の計画の政策を進めていく上で、何かのインパクトを持つだろうという見通しがあって項目が出てくるのなら私はいのんですけれども、どうもここからは私はイメージできない。文章は書けるかもしれないけれども。という意味で、[2]については、この題目を取り上げるのはいいけれども、取り上げ方は別の取り上げ方があるのではないかと思います。
 それから[1]については、もしも取り上げるとしたら、これは来年取り上げられると言われたけれども、例えば崎田さんが言われた3Rというのを今環境省だとかUNEPだとかが取り上げてやっているわけですけれども、これは一般的に国際的な枠組みではなくて、今アジアの国は、日本が環境に関してリーダーシップを取るということをものすごく求めているわけです。そして、日本はODAなどを縮小すわけですけれども、それは環境の面でリーダーシップを捉えなければいけない。しかし、リーダーシップをとるということは、何もどこかの地域のように、おまえらはこれに従えとか、おまえらはこれをやれというのではなくて、一緒に共同しながらやることが日本の将来の生きていく道になるわけですから、そこで抽象的にどういう枠組みではなくて、日本がアジアの中で生きていくための国際的な枠組みづくり、つまり、リーダーシップというのは私は余り好きじゃないのですけれども、日本がイニシアチブを取りながら、アジアの国、特に中国とか東南アジアの国々と生きていく。そのために日本のもう残り少ないなけなしのODAを使ってどのようにやっていけばいいのだろうかといったことを具体的なところから切り込みながら、ではそのための経済協力というのは今ちゃんとやっているのかと。外務省は外務省で、常任理事国になるために、余計な金とは言いませんが、金をばらまいているし、環境省は一生懸命やっているけれども、金がなくてアイデアだけやっているから、金をくれるならやってもいいよといったことになっていますし、経済産業省はまた別にやっている。それで国際協力ではなくて国内協力さえできていないじゃないかと。その仕組みをやらない限り国際協力などはできないわけですから、そこを具体的に認識していくべきでしょうし、それならそこにNGOやNPOはどう絡んでくるのかという、これだって重点項目の1にして、その中に入ってきたっていいわけで、幾らでもやり方はあると思うのです。何かこのようにしますと、きれいな表はできますけれども、出てくる方向性が見えないわけです。だから、もしも調査事項でやるのなら、調査することによって結果的に出てくるか出てこないかはわかりませんけれども、この基本計画の中のプライオリティーのあるアージェントなことについて、5年先あるいはその先に向けて何を出そうとするのか、何に向けて発信しようとするのか、そのためにどの分野から切り込むのかということをある程度、私は戦略研究機関の理事長ですから、戦略的にあらかじめ持ってそれでやらないと、項目だけ立てて、さあ聞いてみましょうというのでは、私はこれはだめだと。
 これは、今たまたま1番目でしたけれども、文句を言えというなら全部やり玉に上げますけれども、ざっと見た限り、すべてについてそういう発想がないのではないかと思われます。まず、もう一度考えていただきたい。我々は、環境基本計画を採点するために、たったこれだけの人材でやるのではなくて、環境基本計画を進める、実施してもらうために、その点検というツールを使って各省庁にやってもらおうと、そのためにやるわけですから。そうだとすると、最もアージェントな課題について、それをうまく使って各省庁に「そうか、それなら」という、そっちへ向けていくように戦略的にこれを使っていただきたい。そのために皆さん専門的な知識をお持ちの、見識をお持ちの小委員を委員長はお選びになったとものと、私は固く信じて疑いません。
 以上です。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 大変重要なところだと思いますし、私もほぼ同感なのですが、アージェントな、あるいはプライオリティーを持ったという、それがあると同時に、5年後あるいは10年後に一体日本は国際的にどういう役割を果たそうとしていくのか、こういうものが環境基本計画の点検を通じて各省にもきちんと、環境分野に関してはこうなのだということがメッセージとして伝わるようなものにならなくてはいけないのだろうと思います。重点調査事項[1]と[2]がございますが、[1]の方は、これまでの環境ODAなるものを場合によってはきちんとレビューして、これから一体どう進むのかぐらいのことを本当はやっていただけないのかなと。[2]の方は、そういう意味では、それをバックアップするものとして、国際的な人材貢献みたいなものだろうと思うのです。そういうものをきちんと現状を把握しながら、これも5年後にはどういう目標に向かって進むのかといったことが示されるようなことになれば、それに対して外務省も、仕方なしかどうかわかりませんが、ちゃんと協力して進めていただける。そういう何かメッセージ性を、ごく一般的な国際的な枠組み、経済協力というのではなくて、環境の側から、あるいは将来のサステイナビリティーという面から環境省が発信できるようなものがあれば、それがすばらしいのかなという気がいたします。
 これをそういう形でポンとまた和気先生にお戻しして考えていただくということは可能でしょうか。それともIGESで……。そもそも問題は、日本国としての……。はい。

○森嶌委員 小委員ですから、和気先生に出していただいたわけですから、これを題材にして15人でお考えになったらどうですか。

○鈴木委員長 そうなのですね。本当はそれをしたいと思います。

○森嶌委員 あとは参考人ですから。私も参考人になりますけれども。(笑)

○鈴木委員長 問題は、我が国としてのそういう意味でのアジア戦略みたいなきっちりとしたものがないという、そこなのです。

○森嶌委員 いずれにしても、ないからこれが重点項目としてやれということですから。

○鈴木委員長 では、浅野委員。

○浅野委員 前回の部会のときに発言をしようと思っていて発言を引っ込めてしまったのが悪かったと思うのですけれども、和気委員がお考えになったという出し方は、小委員会への原案の出し方としてはおかしいわけです。それではもうその人の責任になってしまうわけです。それから、そういう形で出されたら、はっきり言ってなかなか文句はつけにくいということにもなるわけで、森嶌先生だから……。

○森嶌委員 いや、僕だからつけたのです。(笑)

○浅野委員 浅野先生だったら文句はつけにくいと。だけども、実際のところは和気委員が考えたのじゃなくて、主担当委員と事務局が相談して、前も原案を作ってやりましたという、その流れの中でやっているだけのことだから、余り和気先生、和気先生と言った言い方をされると、ご本人も迷惑だと思います。ですから、森嶌先生が……。

○森嶌委員 いや、僕は目の前にいる人みんなに文句をつけようと思っていたのです、次から次へと。天野先生にもやろうと思っていたし、山本さんにも言おうと思っていたのだけれども……。

○浅野委員 それで、むしろもともと私のこの進め方としての基本的な意見は、主担当委員が事務局と相談して叩き台は出すけれども、それはあくまでも叩き台なのだから、十分ここで議論をすればいいということをはっきりさせておく必要があったわけです。だから、出され方が何となく権威的に出てしまっていてということでは心配があるわけです。ただ、森嶌委員が今言われたことはよくわかるつもりではいるのですけれども、もともと環境基本計画の中に何を書いているかということを事務局もしっかり読んでこれを作っておられるだろうと思うのです。それで、例えばNGO/NPOのくだりも、これは確かに書き方は非常に平板で、私は、鈴木小委員長がこのまま各省にポンと投げるのかとおっしゃったことは、そのとおりだと思うのです。そのために小委員会で議論するのだから、小委員会の議論を踏まえて、投げるときはもっと丁寧に投げるとか、あるいは言葉はこういう言葉でやるけれども、実はその後鋭い質問をこういうところで突っ込まれるから、それはちゃんと準備しておいてもらわなかったら困りますといったことを別途また伝えるということが必要だろうと思うのです。
 それで、例えばNPOなどについても、環境基本計画の中ではどう言っているかというと、東アジアの国々の環境や経済社会の状況に応じて、政府のみならず、事業者、市民、国際機関等の多様な主体とのパートナーシップのもとに取り組んでいくといったことを言っていて、何のためにこんなことをやるのだということをきちんと書いているわけです。だから、そのことは当然このNGO/NPOという重点調査の中で生きなければいけないわけですから、ただ何をやっていますかということを調べるだけだったら、そんなものは科研費の研究テーマにすらならないぐらいの話になってしまう可能性があります。だから、その中身は何だ、こういう観点からこれをどうするのだということは、当然基本計画をベースにして議論していかなければいけないことだろうと思うのです。
 それで、1に関して言うと、本当にこれをきちんと議論しなければいけないことだろうと思うものですから、私はこれでいいと最初に申し上げたわけですけれども、その全体が、ただ単にこれを学問的に調べようというのではないので、施策の基本方針があり、中長期の目標がありという、その文脈の中でこの話が出てきているということをもう一遍確認して議論していかなければいけないのだろうとは思います。

○鈴木委員長 では、天野先生、山本先生の順番で。

○天野委員 順番から言えば、後でまた同じことを言われるような感じがしますので、ここで少し、どういうつもりで小委員がこういうものをつくったかという私なりの説明をさせていただきますが、基本計画がちゃんとあって、その中に各分野の重点項目があって、その重点項目についてどういう重点項目があるのかということが書かれているわけです。ですから、小委員はそういうものを見た上で、たくさんありますので、その中で特に重要だと思われるものを選んで、それで出てきている。ですから、和気先生の場合でも同じだと思われるのです。項目としてはこれはちゃんと基本計画に入っているものばかりでして、「NGO/NPO」というこの言葉そのものがあって、そして環境省はこの基本計画においてこういうことをしたいということを書いておられるわけです。ところが、こういうことがしたいということが書いてあるだけで、その情報が十分あるのかどうかというと、そうではないと。そうすると、こういうことをしたいときにはどんな情報が必要なのか、何を調べればいいのかということを小委員は考えて、これを作ったわけですから、全く重点項目をひとりで考えて、こういうことが今重要だからということを言うのであれば、もっと偉い先生方に考えていただいたらいいと思うのです。それは小委員の仕事ではないので、その辺でちょっと何か誤解があるような気がしたので、申し上げました。

○森嶌委員 私流の物の言い方をしたのであれですけれども、ですから天野先生に申し上げるとか山本先生に申し上げると言ったのはそういうことなので、決して小委員が恣意的になさったわけではないのですけれども、私が先ほど申しましたように、この点検を何のためにやるかというと、本当に自分たちが自分たちのやることの計画を立てて、どこまで進みましたというような点検ではなくて、人様がやるものを、どこまで日本の環境政策が進んでいるのかということをほかの人にこれから自覚してもらって進めていくわけですから、その意味では、重点項目でも、先ほどアージェントと申し上げたのは、もしかしたら目の前で一過性のという意味ではなくて、それこそ戦略的に見てどこをまず攻めていくとゴールに近いのかという、プライオリティーが何かというような、そういう面から見て、例えばですけれども……。

○天野委員 それはもう既に選ばれているわけですから。

○森嶌委員 いやいや、並んでいます。それを選ぶときに、例えばここをまず持ってくると、次に重点項目のこれが繋がってくる。そのことによって5年後には全体がこうあれするというような、そういう中のリンケージといいましょうか、そういうことまで全部ここで、その人がどう考えるとかではなくて、ここできちんと議論をしてやっていかないと、ここで平板に計画に書いてあるのをそのままポンポンポンとやったら、結局出てきて、これはこうやっていますでおしまいになってしまうわけです。だから、むしろ……。

○山本委員 よろしいですか、私、発言させていただいて。全く発言していませんので。

○鈴木委員長 はい、どうぞ。

○山本委員 一番最初に委員長がおっしゃられたように、我々のこの任務は、総合政策部会全体部会に叩き台を提案することが、私は重要な任務だと思っております。それで、今日は12時までにこれを終えなければいけないわけでありますから、あと1時間しかないわけでありまして、やはり私は理工系の人間としては、一般論ではなくて、具体的にきちんと叩き台をつくることに専念した方がいいと。それで、和気委員のこれは、貿易と環境の問題を一つとってみても、一般論で議論したら、これはもう全然時間が何時間あっても足りないくらいたくさんの議論があるわけでございまして、私はやはりフォーカスした方がいいと思うのです。ですから、一般的なことをたくさん各省庁に問うてみても、答えようがないのじゃないかと。ですから、なるべくフォーカスした質問をして、森嶌先生がおっしゃられるように、今の我々のアージェントなイシューで、環境改善とか、あるいはエコノミーが推進できるようなものを選び出して聞くべきだと私は考えております。私の方の次のところは、そのように選んだつもりでございます。
 以上です。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 この和気委員のといいますか、一番最初のところで大変時間をとらせていただいたのは、基本的にこれからの議論をどのように進めていくのかといった、その辺をある意味では共通認識を持っていただくという意味で題材にさせていただいた面もあります。環境基本計画は一応4月にでき上がったわけですが、これは決して完全なものではない。これを、どうやってこれからの5年間でさらにバージョンアップといいますか、中身を詰めてきちんとしたものにしていくか。特に指標の部分は非常に弱いわけです。その指標をもってこれからの管理をしていくということになると、甚だ頼りないものがある。したがって、そういう面でも基本計画そのものも、ここに書いてあることをただただ検証していこうということではなくて、これをベースにして、次にどういう方向へ向かっていくのか。そして、そのためにはどういう理念の上に指標をつくって、その指標で定量的な管理をするといったことができるのか。そんなことも、本来ですと、この点検業務、総合政策部会の一つの大きな役割だろうと思います。そういうことで、まず最初の国際的枠組みにつきましてはいろいろとご議論いただいた。これを、今、山本委員からもおっしゃっていただきましたように、どういう形で的を絞ってどのように絞り込むか、これをちょっと事務局と我々の方で、あと主担当委員の方々ともご相談させていただくということにしたいと思います。
 全く時間がございませんので、何か事務局から……。それでよろしいですか。

○奥主環境計画課長 今のを踏まえまして、委員長と、あと和気先生と事務局とでちょっと相談させていただきたいと思います。

○鈴木委員長 ご相談させていただいたものをさらにまた各関連府省にお出ししてご意見を伺ったものが20日の総合政策部会に出ていく。大変忙しいことになりますけれども、大丈夫ですか。

○奥主環境計画課長 はい、頑張りたいと思います。

○鈴木委員長 そういう形で進めさせていただきたいと思います。
 それでは、次の重点調査事項、山本委員の方から素材を提供していただいております。市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり、これにつきましても事務局の方から説明をお願いします。

○奥主環境計画課長 重点点検分野名につきましては、「市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」ということでございます。
 調査事項といたしましては2点ございます。地方公共団体のグリーン購入実施状況ということでございます。調査内容希望項目といたしましては、地方公共団体のグリーン購入を推進するための関連施策名及びその概要、あとその今後の課題、グリーン購入法を改正して、地方公共団体にもグリーン購入を義務づけたときの問題点と解決策というのがございます。
 2点目がSRI等の環境投資の拡大ということでございまして、調査内容希望項目欄といたしましては、SRI等の環境投資が欧米と比較して極端に少ないのはなぜかといったこと、SRI等の環境投資の拡大のための関連施策名とその概要、その進捗状況と課題、責任投資原則に従ってSRI等の環境投資を行うための機関投資家や一般国民への企業の取り組み情報の提供のあり方についてどう考えているかということでございます。

○鈴木委員長 はい、どうぞ。

○山本委員 これは、私の方から提案して、事務局に検討していただいて、それで提案させていただいたということでございますが、市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくりというのは、極めて経済と環境の好循環のために重要なポイントであります。特に、現状のように、外国経済がなかなか内部化されにくい、環境税とか排出権取引を日本国内で導入するのが大変難しい、困難な状況においては、このグリーン購入、グリーンな製品が優先的に使われていくとか、あるいはグリーン投資が非常に重要な案件になっていると私は思います。その中で、予備的なさまざまな調査報告書があるわけでございますが、政府本体のグリーン購入、グリーン調達は、132品目で95%以上の高い水準で行われている。国のグリーン購入によって、例えば炭酸ガスの排出が4万数千トン減少できたとか、この日本の取組は世界的にも大変高く評価されているわけであります。しかしながら、この政府本体の調達の金額というのは私の記憶では真水で20兆円ぐらいで、ところが地方公共団体は57兆円あると。ところが、この地方公共団体の方は、市町村レベルになるとほとんどこのグリーン購入が実施されていないという問題を抱えているわけでございます。そこで的を絞りまして、現行のグリーン購入法を改正して、地方公共団体にもグリーン購入を義務づけるという方向に進むべきだと私は個人的に思っているのですが、その前に地方のヒアリングあるいは関連省庁のお考えをお聞きしてみてはどうかということで、この重点調査事項の[1]を事務局とも相談して提案させていただいたわけであります。
 [2]のSRIというのは、Socially Responsible Investment――社会的責任投資の略でございますが、これがアメリカは240兆円、イギリスがやはり40兆円ぐらいある中で、日本は3,000億円ぐらいしかない。これは極端に少ない現状になっているわけです。これはさまざまな理由があると思いますが、一度きちんと分析をして、その上で施策を講ずるべきであると。それで、イギリス、ドイツ、スウェーデン等、ヨーロッパ各国は、機関投資家が社会的責任投資をしやすくなるようなさまざまな施策を打っているわけです。日本にはまだそういう施策がほとんど導入されていない。そういうことがございますので、関連省庁に、この問題についてどのようにお考えか、どういう施策を具体的に実施されているか、その辺の情報をきちんと整理した上で、次の環境基本計画あるいは環境省の政策に反映していただこうという趣旨でございます。ですから、極めて包括して現下の急務を私としては提案させていただいたということでございます。
 以上でございます。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 何かご質問、ご討論はございますでしょうか。では、崎田委員。

○崎田委員 今回、本当に環境と経済の好循環を具体化するというのは大変重要課題になっておりますので、この分野は大変重要だと思っております。特に消費市場のグリーン化と金融市場のグリーン化というのが大変重要だと思っておりますので、私はこの[1]が消費市場に将来的に関わってくるということを念頭に置いたご提案だと解釈しております。そういう意味で、政府というのはもういろいろと話は進んでいるわけですので、地方公共団体というところに的を絞ったというのは、消費市場にもうまくつながっていきやすいというところで、非常に戦略的な方法ではないかと思っています。なお、それを実現というか、うまく機能させるために、ヒアリング府省が省庁だけになっているというのがちょっと気になりまして、例えば関連だったら総務省とかそういうところと自治体などにちゃんとヒアリングをしていくとか、少しそのように広げていった方がいいのではないかなと考えております。
 あと2番目のSRI投資の方なのですけれども、今このようなことを活性化させるための金融のグリーン化とともに、そのための情報整備というのが今回の基本計画づくりでも大変問題になったと思うのですが、関連施策の進捗状況と課題というあたりがそういうところになるのかもしれないのですが、その辺をもう少し詳しく書き込んでいただくというのもいいのではないかなと思います。よろしくお願いいたします。

○鈴木委員長 森嶌委員。

○森嶌委員 テーマそのものとしては、山本先生も言われましたし、崎田さんも言われたので、私は非常に重要なテーマだと思うのですけれども、環境基本計画の点検ということで、そこが例えば今やっていないものの研究をこの点検の場でやれるのかということですけれども、あるいは地方公共団体からのヒアリングをやれるのかと。さらに言えば、インベスターあるいはSRIをやっておられる機関あたりになぜかというのですが、私は基本的にはこれは日本の税制の問題だと思っておりますけれども。それから、一つは環境マネジメントです、環境経営。ISO14001というのは、私はそんなにうまく働かないと思いますけれども、そうした環境経営とか、むしろ民の側にあってそれを助けるのはやはり税制だと思うのです。そういうものの組み合わせですから、本来環境基本計画の点検というのは、行政が何をやっているか。行政の政策ですから、将来どうあるかということについて研究を進めるというのは、研究のテーマとしては非常におもしろいのですけれども、ではこの点検にどういう形で向くのかという点は、もしもおやりになるのだったら、よく工夫をして、そして我々がここで点検の名において政策の立言をして、「各省庁はこれから大いにやってくれ」と言ったら、「ああそうですか、良いお話ですね」と言って、「ヨーロッパではそうなっているそうですから、そうですね」というようなことでお終いになることになりはしないかと私は恐れますので、これもテーマそのものについて私は反対はいたしませんが、ここでやることについてもう一工夫も二工夫もされることを私は望みます。もしもやるのでしたら、例えば政府のやっているラベリング、あるいはむしろ中央官庁のやっているグリーン購入はどこまで動いているのか、そっちからいって、それを地方公共団体に持っていったら、地方公共団体はどれだけ迷惑するかという。財政投資や何から、それから地方交付税などの面からいって、税の収入とか財政とかいろいろあるわけですから。むしろそっちからいかないと、「おまえさんがそれをやれよ、いいことだから」と。そして、民間がやらないのはなぜかといっても、学者としてはおもしろいのですけれども、なかなか皆さんはやってくれないだろうと思いますので、おやりになるのなら、ぜひ一工夫も二工夫もやってお考えいただきたいと思います。

○鈴木委員長 特に山本先生の方からは何かありますか。
 これはまた地方ヒアリングもあるわけですから、実際の具体的なヒアリングは地方自治体あるいは民間にもできるわけですね。

○浅野委員 ちょっと気になることがあるので。山本委員が言われるとおり、地方公共団体、特に市町村のグリーン購入の実施率が悪いことは、循環基本計画の実施状況の点検で既にデータが上がっているのです。ただ問題は、データの取り方そのものがおかしくて、一体何を役所の中のだれに聞いているのかが全然わからないのです。だから、たまたまアンケートに答える人が主観的に考えて答えてしまっている可能性があるのです。だから、ある年には「うちはやっています」、次の年に聞くと「やっていません」という答えが出てくることすらあります。そもそもこういうもののデータの取り方は、ここは施策を問うということですから、これでいいのだと思うのですが、実施率だけを追いかけていくと、全然正確なデータが取れないということになりますから、もっと実施の内容に入っていかなくてはいけないということが言えるのだろうと思います。ですから、森嶌委員が言われるように、一工夫も二工夫もと言われる点は、特に環境経済課にしっかり考えてもらわなければいけないし、それから省内に既にこの手のものについては調査をやっている部局があることを忘れてもらっては困るわけで、そういう経験を踏まえてきちんと実態を把握できるようにしておかないと、まともな点検にはならないと思われます。

○森嶌委員 それと同時に、グリーン・プロキュアメントをやるのでしたら、それはやっていますではなくて、それは経済にどういう影響を及ぼして、その結果環境経営なり何が、どういうサステイナブル・プロダクション、サステイナブル・コンサンプションにどうつながっているかという、そこまできちんと点検できなければ、「うちではそういう制度があります」というのは、「100も600もあります」と言ったって、そんなものは自己満足ですよ。だから、私が一工夫も二工夫もと言ったのは、グリーン購入をやっていますというだけではだめなので、グリーン購入の結果、何が起きているのか、何も起きていないのか、ただ買ってもらっただけなのか、どういう産業が振興しているのかという、そこまであるサンプルを取って調べられるような方法をぜひ事務局にお考えいただきたいと思います。

○鈴木委員長 はい、どうぞ。

○山本委員 森嶌先生にぜひ我々はグリーン購入ネットワークとか国際グリーン購入ネットワークの報告書を大量に提供しますので、読んでいただきたいと思います。これはもう十分に、サステイナブル・コンサンプションの方のデマンドサイドのグリーン化の運動がサステイナブル・プロダクションを引き起こしているというのは、もうかなり分析されているのです。

○森嶌委員 いや、これでやるのだったら、そういうことも含めてやらないと……。

○山本委員 それはおっしゃるとおりですが、我々はもう十分にそういうことは念頭に置いてやっているわけです。ただ問題は、先生の指摘のこの後半のSRIの方なのですが、こちらは私も、これは環境省がやれるのかどうかわからない。これは主な権限を持っていないのじゃないかなと思っておりますので。ですから、環境省が重要な施策の一つとしてこのSRIを普及促進するために、環境省としては何ができるかというところが、やはりこの点検の主たる目標になるかとは私は思うのです。それはおっしゃるとおり、一工夫、二工夫は必要かもしれません。

○鈴木委員長 その辺、いろいろといただきましたアドバイスを含めて、趣旨としてはこれでよろしいですね。
 では、事務局の方から。

○奥主環境計画課長 それでは、今のご指摘等を踏まえまして、実際に調査する際の答え方等については、またどんな資料をつけるか、ちょっと工夫したいと思います。一応、それぞれここにあります関係府省の方にこのような調査内容につきましていろいろ聞いていきたいと思います。

○鈴木委員長 では続きまして、長期的な視野をもった科学技術、環境情報、政策手法等の整備、これは天野委員から素材提供いただいているものです。事務局の方から説明をお願いします。

○奥主環境計画課長 重点点検分野名は、「長期的な視野をもった科学技術、環境情報、政策手法等の整備」でございます。
 重点調査事項[1]といたしましては、環境に関する情報の整備及び提供についての取組状況ということでございまして、調査内容希望項目といたしましては、3つございます。OECDが示している環境指標の3分類に合致した環境情報について、関係府省の保有状況及び政府内での統合的な整理管理体制の状況。あと、問題分野ごとに、環境圧力の背後にある経済活動等に関する統計情報や対応に関する統計情報を環境指標と関連させて収集する必要性があると思いますが、現状やその将来の方向性如何と。あと、その上記3分野の統計情報をいかに国民にわかりやすい形で公表しているかどうか、現状とその課題如何ということでございます。
 重点調査事項[2]といたしましては、戦略的環境アセスメントの取組状況ということでございます。調査内容希望項目としましては、2点ございます。先進国、途上国を含む諸外国並びにEU、OECDを含む国際機関におけるSEAの実施状況と、実施に至る歴史的経緯と、現行SEAの内容並びに課題に関する調査。あと、共通的ガイドライン策定等我が国における検討・実施経緯と今後の実施に向けた課題と対等の整理如何ということでございます。

○鈴木委員長 これにつきましては、天野委員。

○天野委員 これは基本計画の第9節の部分ですが、項目が4つありまして、そのうちから2つを選んでいます。外しましたのは、一番最初の科学技術の推進ということと、それから超長期的なビジョンに関するもの。これは、最後のものはほかのところで現在やっておりますので、ここではその真ん中の2つ、第2項、第3項を選びました。
 特にこの第2項は、これは先ほどの山本委員のお話とも関連するのですけれども、環境に関する情報というのは、他省庁に非常に係わる部分が多いわけです。ですから、環境省の集めるデータだけでは十分なことができない。先ほど森嶌委員がご指摘になったように、ある環境的な取組をしたときに、それが経済とか一般の生活にどんな影響を及ぼすかというのは、環境のデータでは分析できない。むしろいろいろな経済活動のデータが環境データと揃って出てこないと分析できないわけですから、そのあたりの取組をOECDの示しているようなやり方で各省庁がつくっているかどうか、それは非常に重要なことだと思うのです。特にプレッシャーというのがありますが、プレッシャーというのは多くの場合、民間の活動、特に経済活動が背後にあるわけですから、それと環境のデータがきちんと整合のとれた形でないと分析できないということでありまして、現在はほとんどそういうことが行われていない。だから、ある政策をやったときに、それがどうなるかというのはほかの方々が分析をしているのですけれども、そのほかの方々が分析するときに、環境省へ聞いてもどこへ聞いてもデータが手に入らない、こんな状況になっているわけです。それは、私はこの基本計画をする上では早急に改善する必要があるだろうと。それからもう1つは、これは諸外国でよくあることですけれども、環境の状況というのは国民には見えにくいわけです、非常に幅が広くて、内容がたくさんあって。しかし、それをだれでもわかるように、現在の状況と、これまでの経緯と、何ができていないかということと、そういう情報を非常にわかりやすい形で国民に提供するということが我が国で行われているか。環境省は大変努力していただいて環境統計集を出版されておりますけれども、あれを国民が見て、だれでも現在の環境がわかるかと。これは専門家が見てもわからないのです。ですから、ぜひそういうものをつくるための準備をしていただきたいということが1つ。
 それから2つ目は、これは第3項にあるのですけれども、その中で特に戦略的環境アセスメントの取組というのが、諸外国に比べても遅れておりますし、環境省は一生懸命努力はしているのですけれども、なかなか進まない。ただ、現在ある種の分野においてガイドラインづくりが進行しているということを手がかりにして、本格的な戦略的環境アセスメントができるような状況をつくるにはどういう情報が必要なのかといったあたりの調査をしていただきたいということで、作ったわけでございます。
 以上です。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。いつも同じ顔ぶれみたいなのですが、(笑)崎田委員、森嶌委員、お願いいたします。

○崎田委員 ありがとうございます。先にお話しさせていただきます。
 今、重点調査事項[1]の方について発言させてください。本当に、これからのいろいろなさまざまなこと、新しい研究とか技術、情報、政策手法、そういうことを発信するということは大事なことなで、私は特に生活者、地域の視点で活動していると、この

○の3番目、わかりやすい形で発信しているかどうかというのは大変重要だと思っております。なお、最近強く感じるのは、そういう発信された情報をうまく活用して環境負荷の改善に生かすという、その辺の活用する戦略というのが大変弱いのじゃないかということです。今この文書の中にどういう文言だったかなと思って、すみません、まだちょっと把握し切れていないのですが、今後点検の際には、そういう部分もかなり考えながら点検するということが必要なのではないかなと思っております。よろしくお願いいたします。

○森嶌委員 日頃から天野先生が言っておられるので、問題意識は十分にわかりますし、私自身も実は考えているのですけれども、このままで質問が出ないと思うのですが、むしろ、事務局は大変ですけれども、いろいろな政府からどんなデータ、統計が出ているかはもうわかっているわけですし、天野先生も年中文句を言っておられますから、この省庁からこういうのが出ているけれども、これとこれとは齟齬があるので、それを将来どうなさるおつもりかとか、このようになさるおつもりはないかとか、ある程度概括的にならざるを得ないと思いますけれども、むしろある程度、5年あるいはその先に誘導していくぐらいのつもりであれしないと、例えば統合的な整理管理体制をやりたいと言ったら、「我々もそうしたいと思います」と返ってくるのはもうわかり切っているわけです。その次に、わかりやすい形で公表になっていないとすれば、「そう努力する所存であります」というのは、これもわかっているのです。そして返ってきたら、もうそれでお終いということになりますから。だから、ぜひ少し事務局の方でやっていただいて、具体的にそういう形で出していただきたい。
 それから、2番目の戦略的環境アセスメントというのも、およそ定型的な、例えばOECDなどの戦略的アセスメント如何ではなくて、もう既にそれぞれの皆さんの政策の中にあるいは計画の中に環境的なものを組み込んでくれということを言っているわけですから、どれだけの環境的なものをどの段階で組み込みますかということを聞いて、これもある程度包括的に聞かざるを得ないと思いますけれども、それを戦略的アセスメントと言えるのか、単に格好だけつけたのかということを我々の方で評価すればいいので、「戦略的アセスをやっておられますか」とか何とか言うよりも、何をやっているのかということをむしろある程度ガイドラインなどを頭に入れながらお聞きいただくといった形で、なるべく出てくる答えを後で我々の方で評価できるような形にしていただきたい。「今は戦略的環境アセスメントをやっておりませんけれども、その方向で努力をしておりまして、いずれは実現することで、今検討しております」などという答えが出てくることは容易に想像できますので、「現在、研究会をつくっております」などということになるのではないかなと思います。

○鈴木委員長 どうぞ。

○天野委員 関係府省にはたくさん書いてありまして、特に財務省・金融庁もあります。これを書いたら環境省から質問が来まして、これはどういう関係があるのだと、先ほどの山本先生のような関係があるというのは環境省の方はご存じないのです。それにはちょっと驚きましたが、それは別にして、私がヒアリング府省として挙げているのは、環境省と総務省だけなのです。先生は我々のほうでとおっしゃいますけれども、私がこういうことを一番聞きたいのは環境省なのです。(笑)

○鈴木委員長 統計に関しては、国全体で国家統計も含めて今いろいろとあるべき姿を模索していて、そこにこの検討結果がフィードバックできるようになるといいですね。それをどういう形で進めていくのか……。はい、どうぞ。

○山本委員 私は昨年サステイナビリティーの科学的基礎に関する調査というのをやって改めて思ったのですが、専門家と専門家の間あるいはミニストリーとミニストリーの間という情報の受け渡しについて、信頼性の高い、はっきりと定義した、ちゃんとしたデータのやりとりというのは、これはもちろんそれがなければ物事が進まないわけですが、もう一つは、ミニストリー・トゥ・コンシューマーというか、シチズンというか、各省ごとにいろいろそういう情報のプラットホームをつくられていると思うのですが、今後を考えますと、社会全体で適切な意思決定を行うためには、国民がそういう非常にわかりやすい環境情報にアクセスしないと、そういう政策決定というか、意思決定ができていかないわけでありますので、ぜひこの環境情報を、指標だけにとどまらず、どういう適切な情報を与えればいいかをお聞きいただいてご検討いただきたいというのが私のお願いであります。JAXAという宇宙航空研究機構が今ホームページで、北極に浮かぶ北極海氷の写真をダイナミックなイメージを提供しているわけです。それを見ると、もう一目で、今北極海氷の中に巨大な穴があいてしまっている。それが、カナダの沖合のところに巨大な穴があいて、そこに今まさに温暖化のポジティブフィードバックが起きつつあるということが目で見てわかるわけです。ですから、そういうのを我々一般国民が日常茶飯事にリアルタイムでアクセスできるような社会が来れば、私はもうちょっと環境政策の効果も上がるのではないかなと考えております。
 以上です。

○浅野委員 戦略アセスメントについてですが、森嶌委員がご指摘になった点は、確かに、むしろ優先的に聞いておかなければいけないことだろうと思います。これの

○の上の方にあるものは、今さらわざわざ聞かなくたって、もうデータがある。これだったらもう何もやらなくても答えが出てしまうわけですから、手抜きと言われかねないので、むしろ大事なことは、森嶌委員の言われるとおりだろうと思います。ここは修正した方がいいと思います。というのは、「戦略的環境アセスメント」という言葉自体が、厳密には定義ができていないし、人によって思い入れがあり過ぎてしまって、理解がばらばらです。ですから、ある種のイメージでやっているとかやっていないという議論をされてもしようがないので、大事なことは、計画段階、もっと言えば政策の段階で環境配慮が行われるかどうかが重要なので、全く森嶌委員の言われるとおりです。ですから、そのことが今どうなっているのか。それをより具体的に、うちはこういうものはこのようにやっていますということを言ってもらえば、その中から、ではもう既にやっていますねという話になっていくはずで、これは現実に調べていても、この挙がっている府省の中ではやっていないところもありますけれども、やっているところはあるわけです。ですから、自分たちがやっていることが実は戦略アセスメントと言われているものに非常に近い関係があるのだということがわかるということは、大事なことだろうと思います。
 それから、厚生労働省も入れていただいているのですが、最近知ったことですが、健康アセスメント、ヘルス・インパクト・アセスメントというらしいのですけれども、国際的にもその動きがあるので、それを我が国でもという議論が始まっているようですが、それはSEA戦略アセスメントの目指すところと共通する面がありますから、そういう動きも踏まえておくというのは大事なことだろうと思います。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 では、その辺のところは若干修正していただいて、こういう形で進めていただければと思います。事務局。

○奥主環境計画課長 環境に関する情報の整備につきましては、今、森嶌先生とかいろいろ意見をいただきまして、環境省といたしまして、関係府省からどんな情報があるのか、全部データをもらいまして、一応環境省で取りまとめて報告をさせていただくということでございますので、その段階で今のご指摘等を考えながら資料をまとめていきたいと思います。
 あと総務省につきましては、統計制度所管省でございまして、今、統計制度の改正とかいろいろ議論されておりますので、そういう観点から環境情報についてどんな課題があるかとかをいろいろ聞いていただければ、または資料を求めたいと考えております。
 以上です。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 では、次に進めさせていただきます。都市における良好な大気環境の確保に関する取組、これは小澤委員に素材提供していただいております。では事務局の方から説明をお願いします。

○奥主環境計画課長 重点点検分野名は、「都市における良好な大気環境の確保に関する取組」でございます。
 2点でございます。まず重点調査事項[1]が、環境的に持続可能な交通を推進するための取組ということでございます。調査内容希望項目といたしましては2点ございまして、幹線道路ネットワークの整備等、交通流の円滑化を図るための関連施策の現状と今後の課題が1点、2点目といたしまして、物流のグリーン化を推進するための関連施策の現状と課題ということでございます。
 [2]といたしまして、環境的に持続可能な都市づくりを推進するための取組ということでございます。調査内容希望項目といたしましては、都市における緑化推進、緑地保全に関する施策の現状と今後の課題、3点目としまして、都市における空間利用にあたっての関連施策(環境負荷の小さな都市の構築に向けた都市計画制度の活用の推進等)の現状と今後の課題ということでございます。

○鈴木委員長 小澤委員。

○小澤委員 この第3次の環境基本計画におきましては、都市の構造ということが非常に大気の問題と絡んで出てきたと思います。命にかかわるアスベスト問題などはそれぞれ進捗していると思いましたので、大きく2点を取り上げております。
 1つは、基本的に都市の構造が大事だと思いますので、その中で交通網をどうしていくかということがあるのですが、交通の流れを円滑化するための幹線道路のネットワークなどが考えられるかなと思います。あと物流の推進、これも都市の構造とも関係してくる点だろうと思います。
 それから、[2]の持続可能な都市づくりを推進するということで、国交省さんの方でも持続可能な都市の形成ということで国土形成計画の方においても検討されていると伺っておりますけれども、その中でも一つ、3番目に書いてありますけれども、空間利用にあたっての関連施策が、さまざまな都市計画制度があると思いますけれども、そういったものがどう上位と下位とが連携されて行われているのかという点を私は伺いたいと思います。そして、特に大気の問題を考えますと、都市にどういう、微機構というのでしょうか、風が通るとか、そういったことも大事になってくるわけで、そうすると緑化、この中には水辺も含んでいると思います。そして、一方で団地などを見てきますと、風が通らないと、逆に暑くて大変だというので、どのように緑を保全しているかというところも対応が求められるのではないかと思いまして、この3つを挙げさせていただきました。
 以上です。

○鈴木委員長 いかがでしょう。では、山本委員、浅野委員。

○山本委員 これはコメントなのですが、これは大変結構だと思うのですけれども、例えば東京から大阪へ行くのに、実質的な移動時間は変わらないのに、非常に多くの方が今航空機を利用している。これは、JR東海の試算によると、年間炭酸ガスの放出で45万トンくらい違うわけです。ですから、新幹線で東京から大阪へ行っていただければ、クールビズで削減できたぐらいの炭酸ガスを削減することができる。この問題をどのように扱われるか。そこがちょっと私は、重点調査の[1]ですが、その辺は調査されないわけですか、これはぜひ国土交通省に聞いていただきたいと思うんですが。

○鈴木委員長 浅野委員。

○浅野委員 今の点は、環境基本計画のこの項目というよりもむしろ温暖化か何かのところで本当は取り上げることかもしれないなという気はしますが、どういう形で中に入れるかということは考えても良いかもしれません。私も申し上げたいのは、公共交通機関というのがかなり重要だろうと思うわけですが、このように網羅的に幹線道路ネットワークとか道路構造とかと書いていくと、恐らく国土交通省からは、機会あるごとに聞かされることですけれども、これをやります、これをやりますと並べてきて、何かそれで効果が上がったかのようになってしまうんですが、やっていることと効果とが全然つながっていないことが問題なのではないか。だから、さっきの山本委員の発想を借用するならば、もっと深掘りするというか、1点集中で攻めるという方が手っ取り早いかもしれないと思われます。例えば公共交通機関利用促進というキーワードで一体何をやっているのだとか、それから今回の基本計画の中には経済的手法等の活用というのがあるわけですけれども、この項目とこの公共交通機関利用促進とかというものと結びつけて何をやろうとしているのかという聞き方の方が、ただ単に漫然と持続的な交通システムの実現というところに書いてある上の何行かをつないで言葉を並べるよりも効果的ではないかという気がします。つまり、ここはもうちょっと絞ってもいいのではないかという気がいたします。
 それから、持続可能な都市づくりについても、小澤委員がおっしゃるとおり、今回このようなテーマに切りかえしたのは、ヒートアイランドのような新たな課題を意識してのことですから、都市構造は非常に重要だという関心があるわけですが、もうちょっとそこがはっきり表に出るような聞き方をしないで、一般的に緑化推進の施策とか緑地保全の施策とかとやると、通り一遍にすっすっと答えが出てきて、それで何かやられているかのようになってしまうという危険性を感じます。ですから、聞きたいことの本質をもっとクローズアップさせる。だから、3番目の

○のところをもっと具体的な表現をしながら、なぜ都市構造が大事なのか、それを我々が関心を持っているのだということがわかるような聞き方をしておいて、緑化推進とか緑地保全とかといったことをずっと並べてみても、何となく焦点がぼかされてしまうのじゃないかという気がしてしようがないのです。

○鈴木委員長 森嶌委員、崎田委員。

○森嶌委員 基本的には浅野委員のおっしゃることと同じなのですけれども、毎回と言うと語弊がありますけれども、これが全部ざーっと並んでくるのですが、問題は先ほども言いましたように、何にプライオリティーを置くかということで、確かにこれは大変いいのですけれども、では幹線道路ネットワークの整備を幾ら金をかけて何年後にできるのか、その間にどうなるのかということがありますので、例えば同じ金をかけても、大気環境の確保はより容易に短い時間でできる政策と、いつまでたってもできない、かけ声だけかけて、予算要求には非常に有効というか、出てくるかもしれないけれどもということがありますので、むしろ各省に聞くのでしたら、ずらずらっと仮に並べるのでしたら、その政策で何を出して、そしてそれによって今までどれだけの費用と時間をかけてどういう効果が上がってきて、将来それに向けてどのような政策をやっていくつもりかというのが、まさに点検の趣旨に合うわけです。そして、それぞれの省でプライオリティーをどうつけているのか。それからまた、国土交通省と警察庁とで、ばらばらとは言いませんけれども、それぞれが予算を出すために競い合っているわけで、環境省もやっているのかもしれませんが、そうだとすれば、それぞれ出していただければ、我々の方で、国土交通省はこれをやるよりは環境省がこれをやった方が計画としてはより有効ではないか、逆があるかもしれませんけれども、ということも言えるわけですから、できるだけ、あれもやっています、これもやっていますというのではなくて、これは過去にこういう形でこのようにやってこのようにと具体的に答えてもらえるような質問票をぜひつくってください。今までの点検も、あれもやっています、これもやっていますと、ざーっと並んでくるのです。ちょうど温暖化の大綱のときの施策というので、みんなざっと並んで、それがいつどれだけできるのか全然わからないということで、最近のものだと、いつできるのかわからないけれども、何%削減できる予定などと書いてありますけれども、これは幾らかかるのかというのは書いていないのですが。

○鈴木委員長 崎田委員。

○崎田委員 ありがとうございます。私も、今までの先生方のお話とほぼ視点は似ているんですけれども、ここの分野というのは、今後の気温の上昇を2度で抑えるという、50年後に50%ぐらいマイナスという、ああいう大きな将来的な方向性を見据えたときに、この都市づくりとか、都市の構造と先ほど小澤先生はずっとおっしゃっていたのですが、ここはきちんと変えていくというのが大変重要なところだと思っています。ですから、この点検[1]、[2]をできるだけ実効性あるようにしていくというのがとても重要だと考えます。
 特に私は、今[2]のところで、この項目の中でそういう新しい都市構造を変えていくぐらいのことを聞いているのだということがわかるようにというお話でありましたけれども、そういうことは大変重要だと思いますし、それとともに上の交通のところも、今そういう交通流対策で都市の中心部はできるだけ入らないようにして、周りの方からカーシェアリングとかいろいろな取組もありますが、少しそういう全体像が何か聞けるような状況にしておいたらいかがかなと思います。
 それともう1つ、実際にはやはり進み始めているのですが、省庁連携とか、地域では、政府と都道府県、区との管理の土地をどう一緒に連携させて対策をとるかというのが大変重要ですので、連携がどう進んでいるかとか、そういう視点もいかがかなと思います。よろしくお願いいたします。

○鈴木委員長 ありがとうございました。
 はい、天野委員。

○天野委員 先ほどの森嶌委員のご意見にもあったのですが、ある具体的な政策をやって、それが環境にどんな影響を及ぼしたかということが非常に重要なことだと思うのです。例えば、希望項目の最初ですと、緑化推進に関連する施策の現状と今後の課題、これは緑化推進という分野だけでどんな成果が上がったかということを聞く聞き方になっていると思うのですが、一般的な土地政策をやったときに、それが緑化にどんな影響を与えたのかということはまた別途聞く必要があるのかなと。そうなりますと、これは難しい話で、各省庁ともそれぞれプロジェクトをやるときには、ちゃんとそういう調査をやっているはずなのです。ただ、そのやっている中に、環境がどのくらい入り込んでいるかということが問題で、経費とか、住民の住みやすさとか、そういうことだけで調査をしていれば、環境が落ちてしまうわけです。だから、そのあたりの聞き方が難しいわけですが、こういうことを聞かれるときに同時に、全般的な都市政策の中でそれが緑化に対してどんな影響を与えましたかと、緑地保全に対してどんな影響を与えましたかということも一緒に聞かれるのかなということをちょっと考えました。
 以上です。

○鈴木委員長 いろいろご指摘いただきましたが、「環境的に持続可能な」というのが両方のまくら言葉についていて、非常にわかりにくいのです。要するにCO2排出削減といったところに的を絞るのか、あるいはここの基本計画にある騒音の問題であったり、あるいは大気汚染、一般的な汚染の問題を考えるのか、ここのところで何かもう少し[1]と[2]が先鋭的に、あるいは持続可能――サステイナブル・モビリティーというのはまさに都市づくりと重なっている面もありますし、その辺を一体どのように切り分けて、いろいろお話にありましたように、もう少し先鋭化して作っていただくのかなという気がいたしまた。崎田委員もおっしゃいましたが、将来的な都市というのは一体何なのか、どういう都市を我々は目指していくのか。交通の問題も含めて、一体どういうところを環境省としては5年後、10年後を目指していくのかぐらいのことが見えるものでないと、なかなか指標化もしにくいのではないかという気もするんですけれども、何か。

○小澤委員 いろいろとありがとうございます。何となく私としてはその辺がちょっと見えている部分というのか、国土交通省の方のいろいろと会議にも出ていて、この両方に絡んでいる今回ご提案したところの2つが見えているところもあって、端的に言いますと、BバイCのBのベネフィットをどう見ていくかというあたりを1つは端的に聞くということかなと……。

○鈴木委員長 それは確かに、まさに……。

○小澤委員 それが今までは利用者の満足とか、もちろんコストを削減してベネフィットを多くするという、そのBのところに多分そういう環境負荷軽減という項目を入れていただくという視点から、大きくはこの2点で聞いていくことかなと思って伺っておりました。
 それから、環境的にというあたりが、どうしても持続可能なということをやっていくと、環境教育の視点からいろいろな要素が入っていくので、つい書き加えているところ、前から書いているところがあって、環境教育ではいろいろな要素が入っていくというところがあって、それをどう施策をつないでいくかなというところでの思いがありますし、多分この第3次のところではそのように書いてきたのだろうと思います。そういうことで、どうもありがとうございました。

○鈴木委員長 それでは、事務局の方はよろしいですか。

○奥主環境計画課長 今いろいろご議論いただきまして、一つ、例えば重点調査事項[1]のところの持続可能な交通を巣員資するための取組というところで、どのような項目をそこで、浅野委員の方からは例えば公共交通機関、恐らくCO2か、あるいは大気汚染かと言われています公共交通機関の利用促進とそのための経済的手法の取組をどうするかというところがどうかというのが1つ。それから、森嶌委員の方からはいろいろな公共整備について、各省やっているけれども、どのようなプライオリティー付けをやって、今後どんな見通しを持っているのかというのをもう少し絞って聞いたらどうかというふうな……。

○森嶌委員 施策の効果。効果というのは、お金の面もありますし、時間の面もありますし、私はどうも、持続性などという余り漠としたのではなくて、どちらかといえばCO2が頭にあるのですけれども、この際はCO2削減という効果の面から見て、都市のいろいろな都市交通の施策がどういう効果を持っているのか、どれぐらいの費用がかかるのか、どれぐらいの年月がかかるのかといった観点からいろいろな政策を評価すると。浅野先生が言われるように、ある程度絞りながら、そういう手法でやったらどうかということです。

○浅野委員 先ほどの山本委員が指摘された点は、余り今まで考えていなかったのだけれども、確かに言われるとおりです。公共交通機関と十把一からげに括ってしまっているわけだけれども、本当に、では政府は公共交通機関の将来の分担をどのような方向で政策を立てようとしているのかというのははっきりしないでしょう。多分、国土交通省もそれぞれの局が自分の所管事項を中心に考えるのでしょうから、全体をどうしようかということになると方針が十分に明らかになっているとは言えないのじゃないか。そのことのご指摘だろうと思うのです。それも何かの形でこれからは関心事に入れていかなければいけないだろうと思いますね。

○森嶌委員 物流のグリーン化と言ったら、船も入れなくてはいけない。

○浅野委員 もちろんそうですね。

○鈴木委員長 緑化、緑地の問題も、ヒートアイランドに絞るのだったら、もうちょっと明快にヒートアイランド対応としての評価基準をつくるぐらいの……。何か緑被率などと言われると、またわけがわからなくなりますから。

○奥主環境計画課長 それで、とりあえず今の重点調査事項[2]の方はどのように絞るか。多分ヒートアイランド対策ならヒートアイランド対策の観点からどのように深掘りできるような議論をするかという話で、[1]の重点調査事項の方は、CO2とかになりますと地球温暖化等の分野になりますけれども、ここでは例えば大気汚染とか、あるいは騒音・振動とか、そっちに絞るのかどうかということなのですが……。

○鈴木委員長 いや、良いじゃないですか。ここは都市としてのCO2をこちらの方で取り上げておいて。ではその辺を検討していただいて。

○奥主環境計画課長 はい。

○鈴木委員長 大分駆け足であれですが、お待たせしました。大塚先生の、環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組。事務局の方から説明をお願いします。

○奥主環境計画課長 重点点検分野名としては「環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組」ということでございます。[1]は、閉鎖性水域における環境改善のための取組ということでございまして、調査内容希望項目欄といたしまして6点あります。いろいろありますけれども、主要な閉鎖性海域における汚濁負荷の削減に向けた取組の進捗状況。それと自然海岸、干潟、藻場等の再生、底質環境の改善に向けた取組状況でございます。あと湖沼計画による取組状況。あと閉鎖性水域における住民参加の状況。それと生物多様性の保全・回復に向けた取組状況ということと、調査研究の取組状況ということでございます。
 重点調査事項[2]といたしまして、世界の水環境問題の解決に向けた取組ということで、3点ございます。ODAを通じました開発・環境保護の支援の内容。それと水環境問題に関連する国際的取組への取組状況。あと総合的・戦略的な国際貢献を行う観点からの国内体制の検証ということでございます。

○鈴木委員長 大塚先生。

○大塚委員 重点調査事項[1]の方、閉鎖水域における環境改善のための取組でございますが、これは、最近湖沼法の改正がございましたのと、それから第6次の水質総量規制に係る総量削減計画が策定されましたので、それとの関係で閉鎖性水域に関する諸問題を調査事項に挙げさせていただきたいということでございます。
 1番目のものは、水質汚濁防止法の総量削減基本方針に基づく取組など、閉鎖性海域全般の汚染削減、汚濁負荷の削減の取組の進捗状況でございます。
 2つ目は、自然海岸とか干潟等の再生の問題で、これは環境基本計画の第3次の中で主要な閉鎖性海域の干潟面積というのが指標として挙がっていますので、それとの関係の問題でございます。それから、底質環境改善というのは、底質の環境が汚染されているので、今までに比べると中に新しく入り込んでいく汚濁の負荷というのは大分減っているわけですけれども、どうも底質の方が改善されていないので、なかなか閉鎖性水域の汚濁が解消されないというところがございますので、この底質環境の改善に向けた取組の状況が重要なポイントでございます。
 それから、1つ飛ばして、閉鎖性水域における住民参加の状況ですけれども、これは、環境基本計画第3章を見ると、あちこちに住民参加の話が出てきますので、しかし必ずしも十分に進んでいるかどうかわからないというところもございますので、これをぜひ調査事項に入れていただきたいということでございます。これも、水循環の構築に関する計画の作成・改定数については指標に入っているところでございます。
 それから、次は生物多様性の保全とか回復に向けた取組状況でして、最後の閉鎖性水域に関する調査研究の取組状況というのは、いろいろございますけれども、そもそも閉鎖性水域の汚濁負荷に関して、どういうものが入り込んでいるかに関して、必ずしも十分な調査は行われていないところがございますので、特に非特定汚染源からの汚濁物質の流入等についてはまだ十分でございませんので、その調査研究がぜひ必要ですけれども、その取組を見ていきたいということでございます。
 [2]は、世界の水環境問題の解決に向けた取組で、そこに挙げたようなものでございます。これ以外に重点点検分野の指標関連の施策としてモニタリングの問題等もありますので、ここには挙がっていませんけれども、例の三位一体改革に伴って環境基準項目以外の項目についての調査というのは最近だんだん調査ポイント等が減っていますので、これは先ほどお話がありました統計がなくなるということで、今後の環境政策にとって重大な危機だと思いますので、これは指標関連ということで、ここには挙げておりませんけれども、調査していただきたいということでございます。
 以上です。

○鈴木委員長 いかがでしょうか。では、こちらから浅野委員、崎田委員、永里委員、森嶌委員。

○浅野委員 1年目の点検の対象にされることを、それぞれの担当局は本当に嫌がって、みんな逃げてしまって、つかまったところだけが残っているという状況があることはよく知っていますので、なおかつそこでデータをどう掴まえるかということまで含めて考えると、大塚委員のご苦労のほどは実によくわかるし、そんなに強く文句を言う気はないのですけれども、やはり環境基本計画で引き続き水循環という大きな戦略を掲げているその心は何かというと、環境基本計画の中で国土保全とかその辺まで全部視野を広げて議論ができる土俵は、これしかないのですね。だから、それからいうと、あと2年後にもう一回また点検項目が上がってくるからいいという気もするのですけれども、ちょっと寂しいなという気もしますね。
 それから、世界の水問題のところは、これも各省困るのじゃないかなと思います。ここは、基本計画には何も書いていないのです。計画では日本の水循環でやったことの成果を世界に発信して、もって貢献するとかと言っているわけで、ここで聞いていることは基本計画と全然関係ないようなことを聞いているような気がしないでもない。それはあえて言わないのですが、どうもちょっと気になるなという気はするのです。特に森林の荒廃などはすごく深刻な問題で、それが水循環の中で非常に大きな問題だという点は、まさにプライオリティーが高い問題じゃないかなという気がするのですけれども、何となくこれは無難にこなせるテーマに絞り込まれているという印象が強いので。しかし、これを根本的に変えろというのは言いづらいし、森嶌先生ほど大胆ではないので、この程度の嫌みにしておきます。(笑)

○森嶌委員 全然嫌みになっていません。(笑)

○鈴木委員長 どうぞ。

○崎田委員 私も全く同じ視点だったものですから言いづらいのですけれども、私もこれを拝見して、あれっと思ったのです。閉鎖性水域の話も、もちろん本当に大事なことなのですが、今回の環境基本計画のこの水のところで一番重要な新しい視点は、流域全体の水循環を広い視点で考えて、山の部分と平地、そして海に流れ込む全体のことをきちんと視野に入れる。これが新しい総合的な視点ということで私たちが掲げたわけですので、やはりそこをきちんと項目に入れていかないと、今回の基本計画の点検というものにはちょっとならないのじゃないかなと思います。ちょっとご検討いただければうれしいなと思います。

○鈴木委員長 永里委員。

○永里委員 全く同じ意見なのです。実は、以下の視点が抜けているのじゃないかということを言いたかったのです。それは、環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組の分野なのですから、森林破壊の状況とか、あるいは造林・植林の取り組み方とか、そういう視点です。それから水田の荒廃も含めてよいでしょう。そういうことに関して、本来取り組むべきでしょう。それが無理であるならば、「閉鎖性水域における」という冠をかけて、森林破壊とか、あるいは水田の荒廃とか、そういうことを調査した方がいいのじゃなかろうかと私は思います。
 また、下の方の重点調査事項[2]については、世界の造水設備の状況、その設備投資額等が項目として考えられると思います。
 以上です。

○鈴木委員長 森嶌委員。

○森嶌委員 嫌みを言うのは私が専門家だということになりそうなので言わせていただきますが、閉鎖性水域、これは確かなのですけれども、これが重点調査の[1]などというのは、環境基本計画の中にもそこそこ書いてありますけれども、全体のあれからいうと、やっぱり水循環というのが抜けていて、それで先ほど浅野先生がこの程度の嫌みと言ったけれども、あれは全然嫌みになっていなくて、遠慮の塊みたいなものですけれども、2年後にやるとしたら、そのときの準備のためにも、各省あるいは環境省に、今度は段平が出てくるけれども、今回はなまくら刀だよというぐらいで、水循環をやるのだったら、森も出てくるし、海だって出てくるのだよと。そしてその間の里山から何からですけれども、どのようにして物質も流れ、そしてそれが林業や農業や漁業にどういう影響を及ぼして、それが将来の健康にも環境にも影響を及ぼしていくか、それを各省庁はどれだけの責任を持って考えているのかというぐらいのことを、予告編ですね。実を言うと、ついこの間「インコンビニエント・トゥルース」というのを見てきたのですけれども、「インコンビニエント・トゥルース」を水循環に関して何がトゥルースかということだけとりあえず示してもらうぐらいのことは15人のインテリジェンスを持った先生方にやってもらわないと、国民が浮かばれませんから。それは皮肉ではなくて、褒めて申し上げているんで。
 それから、[2]ですけれども、確かに日本はWWF3を京都で華々しくやりましたけれども、あれを今褒めるのはいいのですけれども、その後何をするかということで、環境省はWEPAなどというのをやっていますけれども、それもいいですけれども、少なくともプライオリティーを持ってやることではないと私は思います。これはやめましょうよ。それで、むしろ水循環を1.5にして、閉鎖性を重要項目の0.5ぐらいにして、これは1でもいいですけれども、それぐらいにしましょうよ。大塚さんの良心と知力と体力をもってすれば十分できますので、ぜひ考えてください。これでも皮肉のつもりですから、遠慮した皮肉ですけれども、どうぞ頑張ってください。

○鈴木委員長 流域管理というのは今後の極めて大きなテーマなのですが、閉鎖性も必ずその流域があるわけです。だから、閉鎖性のところで流域をきちんと位置づけて、これを拡大していくのがいいのか。あるいは、それを別に取り上げて、世界の水環境は……。これは、ただ環境省ではあれですが、国土交通省とか結構ほかのところは世界的にいろいろ活動している。それはやっぱり連携していくということは必要なので……。

○森嶌委員 それはやっているのですけれども、それを褒めるためにこんなことをやらなくたって、それはもう別のところで出してもらえば。

○鈴木委員長 それはそうかもしれない。

○森嶌委員 ここで15人集まって、よくやってるね、金出してるねと言って、その割合にフランスに結果を持っていかれているねなどということをやる必要はないのですよ。

○鈴木委員長 それは結構ですが、どうしましょうか。閉鎖性水域の中で流域も含めて取り上げると、これは膨大なテーマになっていくのですけれども、あるいは流域だけを別に……。ただ、この中でも住民参加の状況などというと、必ずアップ・ストリーム――上流の方の話が係わってくるでしょうし、まさに流域の問題が係わってくるのですね。これを1つ大きなテーマにするか、あるいは2つに分けるか、それは大塚先生に下駄をお預けして。

○森嶌委員 いや、個人が責任を負うのではなくて、小委員会が責任を負う。

○鈴木委員長 もちろんそうですが。

○大塚委員 先生方のおっしゃることは大変よくわかるつもりで、今ちょっと私がここで考えさせていただけると申し上げられるかどうかはちょっとわかりませんので、ちょっと検討させていただきますけれども、世界の水環境問題については、第3次環境基本計画の45ページに一応載っていますので、全く環境基本計画と関係ないことを挙げたわけではないわけですが、ちょっと検討させていただければと思います。
 先ほど森林の荒廃の話が浅野先生から出ましたけれども、これは閉鎖性水域における環境改善のための取組の中で1つ項目を挙げることは可能だろうと思っております。今、座長の方からもおっしゃっていただいたように、住民参加の状況というのは入れさせていただいておりますので、ある程度は先生方のご関心に答えているつもりではございますけれども、なお、必ずしも十分ではございませんが、重点調査事項の[2]についてはちょっと検討させていただければと思います。

○鈴木委員長 ちょっと待ってください。この世界の水環境問題に関しては、場合によっては最初のテーマの国際的な枠組みやルールづくりの方に、この問題も和気委員が提供しておられる、こちらの方でその辺を組み込むということもあり得ると思うのです。

○岡部総務課長 すみません、お時間をいただきまして。第3次環境基本計画の中で、いわゆる総合的な水循環の問題は大変新しい切り口をいただいたと思いまして、私どもも大変重要な政策の柱としてそれは位置づけております。他方、これは恐らく第3次環境基本計画に初めて取り入れられた切り口ではないかと認識しているものですから、では実際に各論としてのそういう切り口に合わせた分析道具がどのように揃っているのかというところにつきましては、今回の各先生のご発言につきましては、鈴木先生のご指導のもと、また環境計画課なり担当課とも調整をさせていただきますけれども、そういう実際の分析道具の揃い具合というようなことをまた少し冷静に見てみる必要もあるかなと思っておりますので、そうさせていただきます。

○鈴木委員長 妙な道具が揃ってしまう前に、(笑)環境省がイニシアチブを取るというのは、大事かもしれません。他のところでも。

○森嶌委員 いずれ本番の段平は2年後に。なまくらで一遍切ってみて、やっぱり段平が出てきたら、なおやられる方はだめという考え方もありますから。

○鈴木委員長 それでは、そんなところでご検討いただくということで、事務局の方から何か。よろしいですか。
 予定の時間をもうはるかにオーバーしてしまっておりますが、今日ご審議いただきました小委員会の案、これは12月20日の総合政策部会に諮ることになりますが、その前段階でこの案をまず固め、そして関係各府省に特段の事情がないかどうか、念のため事務局に確認をとっていただいた上で、20日の総合政策部会で議論させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局の方はよろしいですか。はい、どうぞ。今後の予定ですか。

○奥主環境計画課長 今後の予定でございますが、12月20日10時~12時で、虎ノ門パストラル新館6階「アジュール」で総合政策部会を開かせていただきます。そこで一応この重点調査事項案という形でかけさせていただきますので、それまでにいろいろ調整をいたしまして、先生方のところにご相談に伺いたいと思いますので、その際は、お忙しいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。

○鈴木委員長 それでは、本日の基本計画点検小委員会はこれで終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。

午後0時06分 閉会