中央環境審議会総合政策部会 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第15回) 会議録

日時

平成27年6月2日(火)16:00~18:30

場所

環境省 第1会議室

議題

  1. (1)新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略の素案について
  2. (2)その他

配付資料

資料1   中央環境審議会総合政策部会環境研究・技術開発推進戦略専門委員会委員名簿

資料2   中央環境審議会総合政策部会環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第14回)議事録

資料3-1 新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略について答申(素案)

資料3-2 新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略について答申(素案)参考資料(案)

資料4   新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略の策定に向けた今後の予定(案)

参考資料1-1 環境研究・環境技術開発の推進戦略について(平成22年6月22日中央環境審議会答申)

参考資料1-2 環境研究・環境技術開発の推進戦略 平成26年度総括フォローアップ結果

       (平成26年11月 環境政策局総務課環境研究技術室)

参考資料2-1 環境基本計画(平成24年4月27日閣議決定)

参考資料2-2 第四次環境基本計画の進捗状況・今後の課題について(第1回点検結果・抜粋)

参考資料3   低炭素・資源循環・自然共生政策の統合的アプローチによる社会の構築

        ~環境・生命文化社会の創造~(平成26年7月中央環境審議会意見具申)

参考資料4-1 科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定)

参考資料4-2 第4期科学技術基本計画フォローアップ(概要)

        (平成26年10月22日総合科学技術・イノベーション会議決定)

参考資料5   科学技術イノベーション総合戦略2014(概要)(平成26年6月24日閣議決定)

参考資料6   環境エネルギー技術革新計画(平成25年9月13日総合科学技術会議決定)

参考資料7   SDGs/ポスト2015開発アジェンダについて

参考資料8   Future Earthについて(日本学術会議パンフレット)

参考資料9   災害環境研究サマリー2014(国立環境研究所パンフレット)

参考資料10   循環型社会形成推進基本計画((第2章・第3章(一部)抜粋))

参考資料11   めぐみの星に生きる(生物多様性国家戦略2012-2020)

出席者

    委員: 安井 至委員、指宿尭嗣委員、岡田光正委員、白石寛明委員、高村典子委員、

        甲斐沼美紀子委員、塚原正徳委員、松藤敏彦委員、山口耕二委員、

オブザーバー: 一般社団法人国際環境研究協会 安岡善文研究主監

   環境省: 小林総合環境政策局長、中井審議官、吉川環境研究技術室長、

        宮下環境研究技術室主査、嶋田環境研究技術室調整係長


議事

【吉川室長】 定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会総合政策部会第15回環境研究・技術開発推進戦略専門委員会を開催いたします。

 本日は、お忙しいところ、ご出席いただきましてありがとうございます。

 本日は、大塚臨時委員、荻本臨時委員、谷口専門員、森本専門員の4名から欠席の旨をお伺いしております。

 それから、本日のオブザーバーといたしまして、環境省競争的資金プログラムディレクターであります一般社団法人国際環境研究協会の安岡善文研究主監に出席をいただいております。

 私どもの小林局長、中井審議官は、ちょっと遅れておりますが、追って入ってくると思いますので、進めさせていただきます。

 議事に入ります前に、お手元の配付資料ですが、頭の議事次第に一覧を記載しております。ですので、もし議論の途中で不足等がありましたら、その時点で申しつけいただ

ければと思います。

 このうち、資料2につきましては、前回の専門委員会の議事録です。既に皆様にご確認いただいておりますので、今回の配付をもちまして公開といたします。

 今回も参考資料をファイルにとじまして机上配付させていただいております。これは次回も使用いたしますので、委員会終了後には置いていっていただければ結構でございます。

 取材のカメラ撮りがある場合には、ここまでということでお願いいたします。

 それでは、これ以降の進行は安井委員長にお願いいたします。

【安井委員長】 今日は、いささか長丁場でございますのでよろしくお願い申し上げます。

 今日の議事は基本的に一つでございまして、議事の次第をご覧いただくように、新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略の素案ということでございます。

 やり方でございますけれども、今まで、いろいろとご議論いただいてつくられてきたものではございますが、事務局が文書をつくりましたので、それを、これでよろしいかということかと思います。

 大体のやり方でございますけれども、パートを1章・2章、それから3章、それから4章と三つに分けまして、大体1時間ずつをめどくらいで、それぞれを見ていきながら議論をさせていただくと、そんなことを繰り返して7時前には終わりたいなと、こんな感じでございます。

 それでは、特にご質問がなければ、いきなりでございますけれども、事務局から最初の部分、いろいろな政策動向とか、社会の現況、その他書かれておりますが、そういうところに関しまして、その説明をいただきましてからご意見をいただきたいと思います。

 では、ひとつ事務局からよろしくお願いします。

【嶋田調整係長】 それでは、資料3-1をご覧ください。もう一つ、3-2というものをつけておりますけれども、こちらの3-2は、これまでの専門委員会の資料からつぎはぎしてきたものでございますので、一度ご覧いただいているものでございますけれども、答申素案の参考資料として今回おつけしております。横目に見ながらご覧いただければなというふうに思っております。

 資料3-1に沿いましてご説明いたします。

 新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略について答申(素案)でございます。

 まず、4章構成になっておりまして、第1章は、環境を巡る政策動向や社会の現況というものを書いておりまして、4ページからの2章が環境研究・技術開発の戦略的な推進に向けたポイントということで、社会像や国の役割について書かれた部分でございます。

 今後5年間で重点的に取り組むべき課題は3章、更に競争的資金や、国立環境研究所等々に関する話は4章というふうに書いておりますので、それぞれパートごとにこれからご議論をしていただければと考えております。

 まず1章でございます。環境をめぐる政策動向や社会の現況ということでございまして、平成26年7月に中央環境審議会から意見具申をされておりました『低炭素・資源循環・自然共生政策の統合的アプローチによる社会の構築』において指摘されておりますように、我が国の経済社会というのは、化石燃料をはじめとする有限な地下資源の大量消費の上に成り立っている。この地下資源は、いずれ枯渇するということだけでなくて、その大量消費が、さまざまな環境負荷を生じさせているということで問題になっている。

 さらに、福島第一原子力発電所事故によって生じた放射性物質の汚染等による被害の解決に向けた取組というものも求められているという状況でございます。

 また、経済・社会の面では、化石燃料をはじめとする資源の大量輸入による国富流出、地域経済の疲弊、人口減少・超高齢化社会・コミュニティの衰退等々の諸課題に直面しているということでございます。

 平成22年の前の推進戦略が出てから5年がちょうど経過したところでございますけれども、それ以降、非常に大きな動向の変化がございました。第四次環境基本計画が24年4月にまとまり、この中で、2050年における温室効果ガス排出量を80%削減という方針が示されておりますとともに、持続可能な社会というものを、人の健康や生態系に対するリスクが十分に低減され、「安全」が確保されることを前提として、「低炭素」・「循環」・「自然共生」の各分野が統合的に達成され、健全で恵み豊かな環境が地球規模から身近な地域にわたって保全されている社会と定義されています。この部分の考え方を踏襲して、この答申案も全て構成されています。まず、大きなところでございます。

 この「安全」を前提とし、「低炭素」・「循環」・「自然共生」という分け方が後々まで続いてまいります。

 また個別領域の話で参りますと、地球温暖化の関連で、IPCCの第5次評価報告書が公表されたという部分でありますとか、ちょうど今朝方、地球温暖化対策推進本部が開かれたわけですけれども、2020年以降の温室効果ガス削減に向けた約束草案の議論というのも、まさに現在進められているというところでございます。

 このハッチがかかっておりまして、【P】と書いてある部分ですけれども、ここは今のところ、こういう書き方になっていて、あまりここから大きく動かさないかなと思っておりますけれども、約束素案の議論次第で、もう少し修正が入り得ると事務局で考えている部分でございます。

 資源循環の領域でございますけれども、平成23年3月に東日本大震災が発生したわけですけれども、それに伴って災害廃棄物の処理ですとか、津波堆積物の処理、再生利用等々が進められてまいりました。

 また、25年5月に第三次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定されまして、最終処分量の削減、廃棄物の量に着目した施策に加えて、循環の質にも着目した施策の方向性というのが示されております。

 自然共生の関連で申しますと、平成22年10月に生物多様性条約のCOP10と、バイオセーフティ関するカルタヘナ議定書第5回締約国会議が開催されておりまして、いわゆる愛知目標と名古屋議定書、名古屋・クアラルンプール補足議定書が採択されるということ、また研究の面で申しますと--ごめんなさい、2ページに行っております。

 研究の面で申しますと、24年4月にIPBESが設立をされて、今後いよいよ研究の展開が進められるということになっております。

 安全確保に関しましては、東日本大震災と、それに伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けまして、放射性物質による環境の汚染の回復ですとか、一般環境中に散ってしまった放射性物質の動態解明等の取組が進められております。

 また、平成25年10月には「水銀に関する水俣条約」が採択されております。

 研究の面で申しますと、平成22年度からエコチル調査が始まっているということでありますとか、かなり当時話題になりましたけれども、PM2.5等の越境大気汚染への注目といったこともございました。

 また、平成23年3月の東日本大震災以降、環境分野に限らず、科学者・科学技術に対する国民の信頼低下ということを指摘している文書もございます。これは前回ご説明したとおりでございます。

 また、国際的な環境研究の新たな枠組みとしまして、Future Earthが発足しております。まさに、こちらもこれから動き出すということでありますけれども、ある意味、ここで示されております研究助成機関、国際機関、産業界、市民社会、メディア等との協働、研究計画の協働企画、協働生産、協働提供、こういったさまざまな社会のセクターとの連携ということが広く打ち出されているということでもございますので、こういった観点を踏まえる必要があるであろうということを書いております。

 続いて、2章でございます。

 ここからは、5年間で取り組むべき課題を設定するに当たってのバックキャスティングのもとと申しますか、中長期的な社会像について書いております。

 まず、長期の社会像というのは2050年ごろのものを想定し、中期の社会像というのは2025年から30年ごろということで、これはちょうど前の答申から大体5年間後ろにずらした幅というふうにお考えいただければと思います。

 (1)長期的に目指すべき社会像ということでございますけれども、まず全般的な事項、①番でございますけれども、こちらは先ほどご紹介しました中央環境審議会から昨年7月に出ております意見具申から引用して整理した内容が記載されております。

 また、5ページ以降でございますけれども、領域別ということで、中環審意見具申はかなり概括的に、領域にまたがった記載ということが基調になっておりますけれども、もう少し個別領域で見たときに、こういったことが言えるのではないかということを、これまでのご議論等々を踏まえて事務局で作成したものでございます。

 6ページでございます。

 中期的に目指すべき社会像ということで、2025年~2030年頃を想定したものでございまして、まず、全般的事項に関しましては、こちらも中央環境審議会意見具申を参考に、まず、横串的な内容というのを記載しております。

 環境と経済の好循環、地域経済循環の拡大、7ページに参りまして、健康で心豊かな暮らしの実現、「国土の価値向上」、「あるべき未来を支える技術の開発・普及」、「環境外交」といったことが書かれております。

 また、こちらにつきましても、領域別に、これまでご議論いただいたことを整理しておりまして、低炭素領域が7ページから始まっておりますが、記載しております。

 3月の委員会のときに、低炭素領域の地域の社会像というところで、ちょうど約束草案の議論が並行して走っているのでというふうなご説明を申し上げましたけれども、7ページの下から5行目くらいですけれども、「2020年以降の」で始まっているところですが、この約束草案の内容が達成されているということで、ここもある意味、先ほど1ページ目のペンディングになっている部分と状況としては同じでございまして、最後にご説明しますけれども、この答申のスケジュールと約束草案の議論のスケジュールから考えまして、あまり踏み込んだ記載というのは話がそもそもまとまっていないであろうというような状況でもございますので、こういった記載になっております。

 8ページ以降、資源循環でございますけれども、資源循環領域に関しましては、循環基本計画の記載なども横目に見ながら整理いたしております。

 また、自然共生領域につきましては、愛知目標がちょうど2020年ということでございまして、少しこの2020年の目標よりもさらに後ろに、年代としてはいっているわけですけれども、愛知目標などを下敷きに文書を作成しております。

 9ページ中ほどから安全確保領域でございますけれども、こちらにつきましては、これまで論点整理などでまとめてまいりました記載内容ですとか、あとは環境基本計画の点検などをこれまでにも行っておりますので、そういった内容なども踏まえながら記載をしております。

 10ページでございます。

 ここまでが長期あるいは中期の社会像ということでございましたけれども、ここからは、環境研究・環境技術開発における国の役割と施策展開のあり方ということでございまして、前の戦略ですと、実はこの国の役割というのはあまりしっかり書いていなかったという事務局としての反省がございます。ですので、まず国の役割というものをこちらに記載をしております。下敷きにしておりますのは、前回4月の委員会でご議論いただいた内容でございます。

 まず、環境の保全の重要性ということで、環境基本法第3条を引用しながら、人類の存立の基盤であるということであると同時に、また人間活動によって豊かな環境が損なわれるおそれがあるということでございまして、環境問題の解決ですとか、問題を未然防止するというようなことに資する研究技術開発の成果というのは非常に重要であるということを挙げております。

 ただ、公共的な利益というのもあるんですけれども、企業収益に直結するとは限らないというような難しい側面もあるということを考えますと、国等公共セクターが果たす役割というのは大きいということをまず書いております。

 また、環境問題というのは、文明の発達に伴って新たに発生を、これまでにもしてきたわけですが、今後また発生する可能性のある問題でもございますので、科学的に未解明な部分というのも、いまだに、もちろん多くございます。

 環境基本法30条におきまして、国は、中ほどは少し略していますが、環境の保全に関する科学技術の振興を図るものとしておりまして、そのために試験研究の体制の整備、研究開発の推進及びその成果の普及等々、措置を講ずることというふうに求められておりますので、国が主体的に取り組むべきということを記載しております。

 ただ、一方で、研究の実施、研究技術開発の実施でありますとか、成果の展開でありますとかというところに関しまして、国単体で何でもできるかというと、もちろんそういうわけではございませんので、民間部門でありますとか、地方公共団体、一般国民等々との連携は不可欠であるということを記載しております。

 (2)でございますけれども、この部分で、環境分野の研究・技術開発に関して、国は民間部門、地方公共団体等との連携を緊密にしていくということが重要ということを踏まえておりまして、11ページに参りますけれども、この戦略では、まず今後5年間において重点的に取り組むべき課題、ここで(重点課題)というふうに申していますが、重点課題を明示します。

 また、今回設定する重点課題の解決に資する研究・技術開発の推進のための制度的な改善、取り組みというようなことを効果的な推進方策として提示するという2段構成にする。この構成自体は、前回の答申と大きくは変わっていないですが、そういった構成にするということを説明して、この章としては閉じております。

 駆け足でしたが、事務局としては以上でございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 最初の段階で、ここから行くのがいいのか、ちょっと順番はわからないんですけど、いずれにしても、ここで問題があればご指摘を全ていただきたいと思います。

 時間は、最長40分くらいですかね。ですから、どんどんご指摘をいただければと思いますけれども、いかがでございましょうか。なければ。

 どうぞ。

【岡田委員】 質問というか確認ですが、例えば、長期に目指す社会像というのが、後ろのほうの中期も同じなんですが、①全般というのがあって、②領域別となっていますね。

 この①と②は、基本的に独立している。①に書いてあることは、②に書かないのか。①に書いてあるように受け取られるんですけど、①に書いているけども、それぞれ領域別に縦横みたいに、網目のように書こうとしているのか、それはどっちですか。

【嶋田調整係長】 事務局で文書を作成したときには後者のほうで考えておりました。明確に、意見具申で書いてある全般のほうにちょっとでも書いてあったら、それはもう個別の領域には載せないということには必ずしもしていなくて、個別領域で重要ということは、多少全般で重なっていることも書いていることにしています。

 全般のこの内容をみますと、比較的、低炭素の記載がやや多いのかなというような感じがしておりますので。

【岡田委員】 4ページの全般の環境面のところに、例えば安全的なことは全く入っていないんですよね。

 それは、もともとは、あっちのほうが入っていなかったからということでいいのか、後ろのほうには突然、個別領域には出てくるということで、確信犯だったらいいと思うんですが、そういうつくり方に、これはもうしようがないと。

【嶋田調整係長】 はい。

【岡田委員】 はい、わかりました。

 そうすると、似たようなことを申し上げて恐縮なんですが、もう一度確認ですが、一番最初の1ページ、2ページのところに、例えば、後のほうから出てくる水循環基本計画にかかるような記述は全く入っていないんですよね。これは、これでいいと。

 基本法ができたばかりで、計画を今つくっている段階ですよね。中途半端だから、やめることにしたんだっけ。

 でも、後ろのほうの実際の研究内容には、水循環に関係することがいっぱい出てきているわけですね。そうすると、何となく違和感を感じないでもない。

【吉川室長】 1章に書いてあるところについては、書くこと、書かないことというのを、そこまでしっかり詰めているわけではないと言っていいと思います。

 水循環については、重要な論点であるということは、この委員会でも、ワーキングでも繰り返し出てまいりましたので、2章、それから4章にも国環研絡みで出てきております。

 そこまで重視しているのであれば、1章でも、まだ未確定な要素もあるけれど、まずそういう法律をつくっている、そういう動きがあるということは掲げたほうが、むしろいいんじゃないかということもあります。

 そこは、あえて落としているわけではありません。

【岡田委員】 わかりました。じゃあ、ご検討いただいて、私も個人的には、入ったほうがあとの読みがわかりやすくなるからいいかなというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 まずは以上です。

【安井委員長】 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【甲斐沼委員】 今の答弁ともちょっと関連しますが、全般的なところでコメントしておけばよかったのですが、低炭素領域というところで、例えば長期的なところの低炭素領域、5ページ目のところの低炭素領域というところで、低炭素というのが、炭素の低いことだけが強調されているような印象があります。低炭素領域では、低炭素社会が実現されているというのが大きな目標なので、例えば、最初のポツのところでは、経済的に豊かな暮らしが確保されているとは書いてありますが、全体的な概念として、豊かな暮らしが確保される低炭素社会が実現されているというような形で、概念を入れたほうが良いように感じました。

 それと、低炭素のところ、全体的にいろいろと前のところで書いてくださっているので、ここでは多少文章が短くなっているのかなという印象がありますが、2ポツのところで他の領域との関係、グリーン成長や里山についての関係がもう少し明確な文章になったほうがいいのかなという印象があります。

 以上です。

【安井委員長】 どうだろう。今のはいいですか、注文が。クリアですかね。

【吉川室長】 今のご指摘は、例えば、長期的社会像の低炭素領域の領域別のところで、例えば、グリーン成長が、いわゆる低炭素社会の前提であるというようなところをもっと強調するべきであるとそういった趣旨でいいですか。

 すみません、ちょっと理解が悪くて。

【甲斐沼委員】 この文章だけだと炭素のところ、炭素を低くするというふうに--5ページのところの表現ですけども、もっと早くコメントしておけばよかったのですが、今、全体をぱっと見せていただいて感じたのが、社会というよりも、炭素の排出を低くするということに重点が置かれているような印象があります。むしろ低炭素領域で研究的にやろうとしていることは、炭素も少なくして、低炭素社会というようなことを実現するというのが本来の低炭素領域の意義だったと理解しています。

【小林局長】 むしろ、前段と後段があるので、低炭素社会の注意事項みたいな感じじゃないかな。活発な経済が低炭素社会の実現の条件みたいな考え方で、むしろ、「確保されていて、低炭素社会が実現する」みたいに書いたほうが。

【吉川室長】 ここの1ポツのところが「80%削減している社会においても、経済活動や豊かな暮らしが確保されている」という、ここの表現が何か妙ということですかね。

【甲斐沼委員】 いや、妙ではないですが、多分こういうことに関係していない方が読まれることを考えて、むしろ低炭素社会ということを入れておいたほうが一般にはわかりやすいかなと思います。

【吉川室長】 CO削減量が先にありきみたいな記述が、本末転倒している感じだということですかね。

【甲斐沼委員】 そういうことだと思います。

【吉川室長】 じゃあ、ここはよりよい文案を考えたいと思います。

【安井委員長】 今のお話はごもっともなんだけど、結局2050年で80%削減すれば終わりというわけじゃないんですよね。それから先、2080年くらいにゼロにしなきゃいけないという、結局、その先もまだあるよというのをどこかで書いておいたほうがいいんじゃないかな。

【甲斐沼委員】 多分、地球全体で将来的に排出量をゼロにしなければならないということをFuture Earthでは検討しているのではないでしょうか。

【安井委員長】 これだと、結局80%削減が目標で、目標でそこまでいけば全部オーケーみたいに読めちゃうんだけど、多分そうではなくて、さらに厳しい脱炭素化をしなきゃいけない。それを目指して何かをやっているということを書かないと。全般に書くべきかもしれないし。

【甲斐沼委員】 はい。ここは2050年ごろを想定とは書いてありますが、これだと80%削減で、先生がおっしゃったように、終わりという印象があります。

【安井委員長】 何となく、これを見ると、ここで終わってしまって、80%削減でうまく軟着陸しちゃえば終わりみたいに読めるのがちょっとなとは思っているんですけど。

 ほかにどうぞ。順番に、片っ端からどうぞ。

【白石委員】 非常につまらないことで申しわけないんですが、1ページ目の1パラグラフ目の文章が少し読みにくいかなと思いまして。

 例えば5行目かな、「その大量消費は、採掘の過程で大きな環境負荷を生じさせ」という、何か変な感じがして、もともと意見具申のほうにこのまま引いてあるので、引き方の問題なのかもしれませんけども、「採掘の過程で大きな環境負荷を生じさせ、その大量消費は」云々かんぬんになるのかなと。

 あと、「また」以下の要約がうまくいっていないのかなという感じがして、「PM2.5や光化学オキシダントの発生」はいいとして、「水循環の変化に伴う渇水、」点、ポツなのかわからないけど、その辺ですね。「渇水や洪水」その後につながらないので、水質汚濁はまた別の問題だし、生態系劣化等の課題もあるというので、その後に「健全な大気や水の循環」と引いてありますけども、もともとの意見具申だと「すんだ空気、健全な水循環」となっているので、その辺を、うまく文章を整理していただきたいと思います。

【安井委員長】 確かに変かもしれませんね。

 その辺、今のご指摘の文章は、やっぱり私もおかしいなと思っていて、どういうふうに直すかちょっと考えなきゃいけないなと思っていますけど。

 最近、化石燃料は、枯渇する前に環境限界が来て使えなくなると言われているので、この辺の認識が正しいのか。

 甲斐沼さんは、どちらだと思いますか。

【甲斐沼委員】 IPCCの第5次評価報告書には、人類が2度目標を達成するためには、あとどれくらいの温室効果ガスが排出可能かということが書かれていますが、排出可能なCOよりも、かなり大量の化石燃料が存在しているとされています。

【安井委員長】 少なくとも石炭の8割は余るという人もいるので、そうなっちゃうと、だから、この書き方そのものがよくないかもしれない。要するに、金属系の鉱物資源と、それから炭素資源とをごちゃごちゃに書いてあるのがよくない、まずこの文章は。

 それから、何か。

【高村委員】 自然共生のところですけど、4ページの生物多様性条約関連では、前半の、環境面の一番下の「生物多様性の損失が止まるとともに」云々ということで、大体うまく表現されていると思います。

 経済面のところで、「市街地外縁部分の自然再生と、再生可能エネルギーの拠点化が進展している」と書いてあるんですが、おそらく低炭素の文脈で書かれたように思うのですが、具体的にどういうことなのかがわかりづらいです。再生可能エネルギーの拠点化をすると、生物多様性の保全と矛盾するようなことも出てくるので、誤解のない書き方を考えていただいたほうがいいと思います。

 「市街地外縁部分の自然再生」というのは、市街地外縁部分を自然再生しないといけないという認識なんですか?「再生可能エネルギーの拠点化が進展している」というのは、そこを拠点化しようという意図があるんですか?そのように読めてしまいます。

 生物多様性の保全のほうから見ると、矛盾する面もあるので、少し書き方を、くふうしてください。

【嶋田調整係長】 この部分は、意見具申を、形を変えて、文末表現とか少し変えていますが、基本的にほぼ引用で全部書いているところでありまして、意見具申のほうも、長期の社会像のところというのは、事細かに書いているわけではないところであります。

 この文章の中ですと、後ろのほうで、市街地外縁部と直結するところはあれですけれども、「多くの里山に人が戻り」みたいなことも並行して書いてあるということで、場所によりけりということだろうという気はしておりまして、何でもかんでも市街地外縁部は自然に戻す--戻したのが自然なのかどうかという問題もありますけれども、戻すというわけでは必ずしもなくて、ということが進んでいる地域があればということなんだろうと。そんなにものすごく強い意志でというわけではないと。

【高村委員】 文章のある部分だけを切り出したときに、文脈がかわる可能性があるので、誤解のない表現にしてください。

 社会面で「多くの里地・里山地域に人が戻り」と書いてありますが、人が戻るということは、本当にそういうふうにしたいと思っているんですか、50年後に。

 人口はどんどん減ってきて、一方では都市化が進んでいますので、人が戻らないところも出てくると思います。人が戻らないところの管理手法は今後の研究課題になると思います。

【嶋田調整係長】 省内でも、実はいろいろと議論している中で、まず、立てつけとして、先ほどの岡田先生のご意見にも若干関連しますけれど、意見具申からまず引っ張ってくる、あまり手を加えずに、まず引っ張ってくることとしています。

 その上で、そこだけではなかなか見えてこない部分だとかというのを、これまでのご議論の中で先生方にいろいろとご指摘をいただき、あとは環境基本計画の点検ですとか、そういったものをもとに書き出している状態では今ありますけど、整理の仕方として、もし、意見具申からそのまま借りてくるだけだと、やはりいろいろミスコミュニケーションになってしまうみたいなことがあるようであれば、ここの記載の仕方は事務局でまた考えてみたいと考えております。

【高村委員】 そうですね、領域の、6ページの3ポツの自然共生領域のところで「人の働きかけがなくなった奥地里山については」どうのこうのというふうに書き足しているわけで。

【嶋田調整係長】 ええ、そうですね。

【高村委員】 それは、意見具申のところでそういうふうな記述がなかったので、今回書き足したのであるなら、全体を読んで、意味をなすように文章を作成しなおす必要があるようです。

 7ページの「あるべき未来を支える技術の開発・普及」というところで、真ん中ポチが多過ぎて、後半部分を素人が読むと、どういうふうに繋がるのかわからなかったので、書き変えていただいたほうがいいかなと思います。

 「国土の多様性」というのが幾つも出てきますが、それは国土の生物多様性のことですか。それとも、国土の生態系の多様性を言っているのかがわかりませんでした。

【嶋田調整係長】 もう少し事務局のほうでも書き方を工夫してみたいと思いますが、多くの場面では生態系多様性という書き方で書いていると思います。

 ただ、生物多様性と言ってしまいますと、人間活動とのかかわりみたいなものをどう織り込むのかみたいな、国土という考え方からすると、多分そちらもあると思いますので、生物多様性と言い切ってしまうと、またそれはそれでもしかするとイメージが違うという可能性はあるので、国土の多様性という言い方をしてはいるんですが、ただ、今、先生がおっしゃったように、ちょっとわかりにくいというのはあるかと思いますので、作文を考えてみたいと思います。

【高村委員】 はい。じゃあ、よろしくお願いします。

【岡田委員】 9ページの一番下から五、六行目に「河川の源流から河口」何とか、「国民が将来にわたり水を享受できる」と書いてあるんだけど、「水の恵み」か、何か言葉が入っていたんじゃないかと思うんで、これは確認してください。

【安井委員長】 じゃあ、山口委員からどうぞ。

【山口委員】 10ページについて、先ほどのご説明で、国の役割については今回充実したということで、それはそれで非常にいいと思うんですけども、読んでいて、これを見て、一つ、なぜここの文章だけに環境基本法を引用されているのか、何かちょっと違和感を感じる。

 別に環境基本法は国のためにあるわけではなくて、もっと広い範囲であると思いますので、なぜここの章だけに環境基本法を引用されたのか、何となく、なじみにくいというか、わかりにくい点がありました。

 それから、もう一つ、国の役割というのは、もっとグローバルな視点があってもいいのではないかなと。例えば、途上国とか等に環境技術を移転する。それによってグローバルな視点での環境問題に国は役割を果たすんだと。そういう、もうちょっと大きなところでないと、例えば、2.の(1)の一番下の「一方」って4行ございますね。一方、連携を図るべきだと。むしろ、国は、それよりも、やはり日本の先進的な環境技術をもっともっと世界レベルで活用して、それによって日本のスタンスを高めていく。そういうこともあってもいいのかなということで、もうあと一歩グローバルの視点を入れてほしいという気は強くしました。

 以上でございます。

【安井委員長】 基本法は、多分、岡田さんが一生懸命やってくださっているような、ああいうレビューとか、ほかの省庁へのとか、新しい仕組みを考える上で、基本法の枠組みでやると、あれは一応、ほかの省庁も縛るんですよ。それの象徴として何か書きたいという意味があるので、うまく書くべきだとは思うんですけど、まあ、ちょっと書き方がまだ十分でないのかもしれません。

 今、レビューなんかをやって、どういう研究があるかみたいのをやっていますけど、やっぱり、そこだとなかなかほかの省庁は相手にしてくれないんですけど、環境基本法の点検の一部だよというとやらざるを得ないので、向こうも。そういう意図があるんだと思います。

 どうぞ、松藤委員。

【松藤委員】 4ページ、5ページにちょっと戻りますけれど。

 5ページで、全体の印象は大きなものと小さいものが交じっているというような印象があって、例えば、5ページの上から3行目ですよね。観光で観光客。これは、話としては大きな目標には見えないような、私は気がしますし、5ページの3番目のポチですね。これについても、先ほどご意見があったように、市街地の個人再生って、これもまた特殊な場合が入っているような気がするという、大きなものと小さなもの混合。

 それから、4ページの下から2番目の黒丸も、これも全体の大きな話じゃないような気もして、一部の手法のように見えてしまうんです。

 その辺の整理が少しいるかなと思うことと、もう一つは、ちょっとマイナーかもしれませんけど、環境と経済と社会の分類の問題がやはりあるような気がします。

 例えば、5ページの上から3番目。これは経済かというと、社会のつくりかもしれない、都市のスプロール化の問題ですね。と思いますし、その二つ下の「豊かな自然」の云々というのも、最後に「財政危機」と書いてあるので経済に入ったかもしれませんけど、中身としては社会だと思うんですよね。

 それから、社会面の3番目。「伝統文化、伝統産業」って、どうしてここに入ってくるのかがよくわからなくて、環境政策の中に、ですね。ちょっとこれは違うんじゃないかなという感じがする。

 その辺の、大きな重みと小さなところと分類を少し整理されたらいいかなと思いました。

【安井委員長】 私も、ちょっとあれですけど、2ページ目ですけど、2ページ目の後半、下のほうに、科学者の信頼性がないという話が書いてあるんだけど、これは一体、この文章全体がどういう最終的に役割を果たすためにこれを書かれたのかなというのがちょっと意味不明で、それで、ある意味のぼやきだと思えば確かにそうなんだけど、ぼやきだったら書かなくてもいいんじゃないかという感じと、それから、あと、例えば環境に重要であるというのは、50%から40%に落ちたというのが、科学が信頼できる、できないとは余り関係ないんだと思うんです。要するに、それまでは、どちらかというと、自然災害が平穏な何百年を過ごしてきたのが、突然、自然災害というものが相当突きつけられた。それゆえに多分、環境の重要性が起こったと私なんかは思っているんですけどね、実は。

 だから、確かに気候変動は重要かもしれないけど、やっぱり目前で島から全員避難しなきゃいけないなんて事態が本当に今回も起きているわけですけど、ああいうことが目の前に突きつけられたがゆえに、ちょっと重点度が下がっただけという解釈もできるので、何か、余り書かなくてもいいんじゃないかという気もするんだけど、どうでしょうか、そのあたり。

【甲斐沼委員】 安井先生のご意見に賛成です。ここの2ページの下から2番目のパラグラフですが、ここが何を言いたいのかよくわからないというか、その次とのつながりが。ここだけ妙に細かいというか、ここだけ引用レポートが書かれていて、ほかのところの文章には何も、こういった特出しで引用されていないので、このレポートがすごく重要との印象を受けます。

 50%が40%に減少したということが、国民の理解を今後もっと醸成していかなければいけないということを言いたいのか、ただ、そのためには、それよりももっとほかに書くべきことがあると思います。ここも、もちろん必要ですけども、ここまで細かく書かなくてもいいのかなという印象があります。

【吉川室長】 ここのところの意図なんですが、2ページの真ん中から二つの段落、それから、3ページの3行が我々の認識としては一塊と考えているわけです。ですから、最終的にこの部分で言いたいのは、3ページの3行なんですね。

 だから、「環境分野の研究・技術開発に向けて、国民の理解を醸成して、様々な主体と連携することが求められる」ということで、そういう世論調査の結果というか、Future Earthでは、そういうCo-Design、Co-Production、Co-Deliveryが提唱されているという、こういう二つのトレンドがある。

 さらに、そういう主体との連携が必要であると言いたかったわけですが、そうすると確かに、委員長からご指摘あったように、科学者、科学技術に対する国民の信頼の低下ではなくて、環境技術政策に対しての話でないと、ちょっとミスリードな気はしますね。

 ですので、ここの科学技術白書の一連の引用は、持っていきたい議論に対しては、ちょっとずれた例証をしているかもしれないです。

【安井委員長】 確かに、言いたいことはわからんではないんだけど、例えば、この50%から40%に、私のさっきみたいな解釈で、しかも、国環研が東日本大震災の廃棄物の云々いろいろやってみたりして、災害というよりも、一つのある意味、環境ネタになってしまったわけです。

 ですから、何か、そういうことを言うのであれば、例えば新しいニーズとして、災害系のものを環境の分野に組み込まれてきたみたいなことを書いたほうが、むしろよいのではないか。

【吉川室長】 むしろポジティブに書く。

【安井委員長】 ポジティブに書いたほうが。

 大体、これから災害があって、その災害と生物多様性をどうやってなんていう話だって、そのうち問題になるかもしれないし、今まで平穏だったゆえに、災害系が割合と余り重視されていなかったのは事実なんだけど、それがやっぱり大きな問題となってクローズアップされたみたいなことを書いておいたらいいんじゃないかな。

【吉川室長】 なるほど。

【安井委員長】 Future EarthはFuture Earthで、それはいいと思うんだけど、Future Earthも、しかし、結局これもなかなか書き方としては難しくて、何と書くのがいいかな。

 Future Earthというのは、人によって言い方がいろいろなんだけど、私自身は、やっぱりIPCCが余りうまくいったものだから、理学部の先生が、こういうのもいいなと思ったというのが私の解釈なんで、それで、結局、理学部、いや、工学系というか環境研究というのは、もともと社会と一体でやっているんだよね、日本なんかは。もともと公害というものが原点にあるこの社会ゆえに。

 だから、理学部が変わっていたんだと私は思っているんだ、実は。

 いや、安岡さんなかも頷いているから。

 どうぞ。

【嶋田調整係長】 今の原発による災害とか、それだけじゃなくて、たしか、新しく災害による、起こる環境問題というのが後ろのほうに触れられているので、それをうまく、この中にもう一つ入れると、原発の事故もぎらぎらしないで、多分、科学技術への信頼というのも、そういうのが積み重なっていると思います。工場で結構事故が頻発するというのも、そういうように聞いていますし、その辺のことを少し入れておけば、文章としてはまとまるのではないかなと思います。

【安井委員長】 Future Earthの書き方は、後でまた少し考えましょう。

 あと、ほかに何かございましたらば。

 ちょっと細かいところで、私から、恐縮ながら。

 5ページの一番下の資源循環のところの段落の一番上のポツですけど、物質の循環はいいんだけど、エネルギーの循環って何。エネルギーというのは循環しない、一方的に劣化するだけで。

【嶋田調整係長】 ここでイメージしているのは、恐らく熱なんではないかなと思いますが。

【安井委員長】 熱。熱は有効利用でしかないね。

【嶋田調整係長】 書き方が妙ですね。有効利用ですね。熱は結局そうですよね。

【安井委員長】 物質の循環やエネルギーの有効利用ならそれは十分だと思いますね。あるいは、物質の循環に自然エネルギーなどが使われるというほうが実を言うと理想的なのかもしれない。そうすると、エントロピーが余りふえないで、物質の循環は回るようになる。

 それから、あとは約束草案の話が、これも1ページから出てくるんですけど、1ページはペンディングになっていますが、今日私の手元に政府案が届いたんだけど、あれってそれでいいんですか。

【小林局長】 温暖化対策本部で、案を政府として決めた。

【安井委員長】 決めたと。

【小林局長】 ええ。ただ、これからパブコメということです。

【安井委員長】 そうですよね。だから、どう書いたらいいのかな。それは適切に、適当にお書きいただければいいと思いますが。

 それから、あとは何だろうな。こんなもので大体いい時間かな。

 それでは、一応。はい、どうぞ。

【高村委員】 5ページの3行目に観光が出てくるのが唐突だというのは、私も同感です。ここは、自然資源が何らかの価値づけをされて経済の中に入ってくるとか、そのような流れで、そのうちの一つが、例えば豊かな自然資源を活かした観光というように書いたほうがいいんじゃないかなと。

 4ページの下のほうで、「環境付加価値が財・サービスに適切に反映され」というのは、広く読めば、ただ(経済コスト)であった自然資源、それを内部化していくというようなことが実現していかないと、長期的に持続していかないという部分を、少し文面を入れていただければ、いいのではないかと思いました。

【安井委員長】 一番最後に言うべきかもしれないけど、これで次まとめるまでに皆さんからのご意見を何か後でいただく話は出るんでしたっけ。特にそうではないのかな。事務局の修正作業が来て。

【吉川室長】 今後の流れとしまして、総合政策部会が6月26日にありまして、そこで諮りますので、まだ時間がございますので、本日ここで言い足りなかったところについて、追加で言っていただくというのは可能です。あまり長い時間はとれないですが、数日くらい。

【安井委員長】 ということのようでございますので、ぜひ、もし、もう一遍読み直していただけるのであれば、またお気づきの点は事務局にご連絡をいただきたいということで、次に行っちゃいましょう。

 それでは、次の3でございますけれども、3に関しまして説明をいただいて、また議論したいと思います。

 お願いします。

【嶋田調整係長】 12ページからでございます、3章でございます。

 今後5年間で重点的に取り組むべき環境研究・環境技術開発ということでございます。統合領域という領域があって、更に個別領域というような設定の仕方を今回させていただいたわけですけれども、個別領域に関しましては、3月の委員会の時点で1回論点整理をさせていただいております。

 そこから、更に記載内容を充実いたしまして、今回、統合領域というのを初めてきっちり書き起こしたものでございます。3月の委員会のときには少しだけエッセンスはお示ししましたけれども、書き起こしたのは今回がほぼ初めてでして、事務局も悩みながら書いた部分もございますので、特に統合領域についてご意見があれば、ご意見いただければ幸いでございます。

 まず、1番、領域及び取り組むべき課題の設定に関する基本的な考え方ということでございまして、「脱温暖化社会」「循環」「自然共生」「安全が確保される社会」に加えて、前の答申ですけれども「全領域共通」と「領域横断」という分野の設定の仕方をしておりましたが、その後、その環境基本計画において、「低炭素」「資源術環」「自然共生」「安全確保」というような区分けになっているということでございます。

 環境基本計画ですとか、あとは意見具申でありますとかというところの領域設定を見ますと、この四つということになっております。

 また、従来の推進戦略においても、「全領域共通」ですとか「領域横断」といった考え方自体は、実は先にできておったわけですけれども、それに相当する部分というものを統合領域という、統合的アプローチということが意見具申の中で言われているということもございますので、統合領域ということで設定いたしました。

 統合領域のイメージですけれども、どちらかというと、全領域共通がそのままほぼ統合になっているというようなご認識でいていただければと思います。

 領域横断はどこへ行ったかということですけれども、領域横断に関しては、前の戦略で書いてあるものとして、例えば、低炭素技術の3Rみたいなことが書かれていて、二つの領域にまたがるような話題というようなことが書かれていたのですが、例えば、低炭素技術の3Rといった場合に、それは循環で拾う話に結果として研究開発の中ではなるということが多うございますので、結局、真ん中にある課題というのは、それぞれゆかりの深い領域に寄せてしまうという整理の仕方を今回しました。

 ですので、そうではないものについて統合領域、前に全領域共通と言っていたものを主に統合領域に引っ越しをした上で、領域横断といっていたものについては、それぞれの領域に吸収させるような整理の仕方をしております。

 まず、統合領域について、中環審意見具申において「統合的アプローチ」ということが提唱されていたりということでありますとか、この後に出てまいりますけれども、ポスト2015年の開発アジェンダというような、国際的な理念・ビジョン、環境教育でありますとか、リスクコミュニケーション、環境の経済的価値等、環境分野全体に関連する課題でありますとか、あとは、引き続き対応が求められております災害・事故に関連する課題といったものをこの統合領域で設定をいたしました。

 まず、重点課題の①番でございます。

 持続可能な社会の実現に向けたビジョン・理念の提示ということでございまして、ここの部分は、低炭素・資源循環・自然共生の各領域の統合ということで、安全確保がそのベースになっているわけですけれども、統合が求められる。そうした持続可能な社会の実現のあり方、そこに至るまでの道筋等、環境・経済・社会の動向を蹄まえながら不断に追究することが重要である。

 これは、実は前の答申におきましても、同じような重点課題が設定されておりましたので、それを引き継いでいるというものでございます。

 動いていることとしては、2015年9月に採択される予定のポスト2015年開発アジェンダ等、国際的な動きが少し変わっているということでもございますので、そういったところへの知的貢献というのも求められますし、環境分野の知見を基に国土の価値向上、先ほど、ちょうど高村先生から少しご議論ございましたけれども、国土価値向上を目指した政策連携でありますとか、そういったことを研究していくということをイメージしております。

 研究・技術開発例として三つ設定いたしております。

 この研究・技術開発例でございますけれども、これ以降も基本的に同じ構成になっているので、ここでまとめてご説明いたしますが、まず、重点課題のゴシックになっている課題のタイトルがありまして、その課題の設定した意図でありますとか、説明というのが「持続可能な」で、ここは始まっておりますけれども、その文章でございます。

 さらに、研究・技術開発例ということで、例えば、こういう研究テーマが考えられるということを、それぞれの重点課題ごとに提示しております。

 前の戦略ですと、ここはサブテーマという言い方になっておったわけですけれども、実際、前の戦略では、サブテーマが、その重点課題のサブテーマになりきれていないといいますか、1個の重点課題に1個のサブテーマしか設定されていなかったものがございまして、ちょっと整理として美しくなかったわけです。

 一方で、サブテーマというものをあまり打ち出してしまうと、研究者がサブテーマのほうばかりを見てしまうという側面があるように見受けられましたので、今回は例示を出すということで、研究者の方に、こういう課題が求められているんだということをもう少し伝わりやすくするために、サブテーマという言い方ではなくて、研究・技術開発例という言い方になっております。

 これ以降の項目は、課題によっては結構例が多くなっている部分もありますが、意図としてはそういった形で書いております。

 13ページでございます。

 重点課題の2でございます。持続可能な社会の実現に向けた価値観・ライフスタイルの変革ということで、環境教育・ESDでありますとか、リスクコミュニケーションの話、あるいは合意形成の話ということで、この後、実は、それぞれの個別領域に書いてあるところもございますが、こういったハードサイエンスというよりはソフトな研究、環境政策を展開していく上で非常に重要な手法ですけれども、そういったところを書いております。

 この領域は、教育学・心理学・社会学・経済学等の分野の研究コミュニティとの連携が望まれているということでございますので、従来からも、この後に出てまいります推進費の研究でも、こういったものも、若干ですがあったわけですけれども、そういったものというのは引き続きこの重点課題にしっかり掲げる必要があるのではないかと、事務局としては考えた次第でございます。

 重点課題の3番でございます。

 環境問題の解決に資する新たな技術シーズの発掘・活用ということで、ここは、実は前の課題、推進戦略では全く言われていなかった部分というのを今回新たに設定いたしました。これまで技術開発というと、最先端技術をより磨いていくという方向に、どうしても走りがちであって、そこは引き続き重要ではありますが、それだけではなくて、国内外における地域最適技術ということで、研究・技術開発例に書かせていただいておりますけれども、ややもすると、ローテクと言われるかもしれませんが、それをもう少し工夫することによって、意外と、その地域ではそれで実装しやすかったりということが、あり得るのではないかということを考えまして、技術を磨いていくというか、実装するための改良ということも、それも立派な環境研究・技術開発であろうということを考えまして、この地域最適技術を例示で書かせていただいております。

 また、これまでにも蓄積が、もちろんございますが、温室効果ガスのインベントリでありますとか、生物多様性、生態系の機能に関する情報といったようなデータでありますとか、あとは、少し切り口が変わりますけれども、材料工学ですとか、生態系の機能を活用・模倣するような技術というような、近年、新しい技術シーズというのが少しずつ出てきているということでもございます。

 従来の環境研究ですと、素材というのも注目していないわけではないはずですけれども、環境研究の側からメッセージを打ち出すということによって、環境の研究の外にいらっしゃると思われているような研究者の方にも少し振り向いてもらいたいということを事務局としては意図して、設定したものでございます。

 重点課題の4番でございます。

 先ほどもちょうどご議論がございましたけれども、災害・事故に関する話でございます。

 東日本大震災からの復旧・復興に貢献するためということで、放射性物質に汚染された災害廃棄物等の適切な処理・処分の方法、除染に伴い生じた除去土壌等の適切な保管・減容・再生利用・処分の方法、あるいは環境中における放射性物質の動態解明・将来予測等々ということで記載いたしております。

 また、東日本大震災における知見を、今後想定される大規模災害の対応を想定して、技術を磨くということもさることながら、積極的に情報発信をしていくことが求められるであろうということで書かせていただいております。

 研究・技術開発例としまして、放射線の計測、除染廃棄物に関する技術・影響評価を放射性物質の環境動態、除去土壌等の減容化、再生利用、環境配慮型の地域復興等々ということで記載しております。

 東日本大震災への対応というのは、もちろん引き続いておりますが、そこから得た知見、特に、一応、放射性物質にあまり絡んでいない災害廃棄物の処理というのは、ほぼ終了しているわけでございますので、そういった知見というのは、ぜひ、ほかの将来起きてしまうかもしれない災害にも役立てていくという情報発信も同時に書いているというような重点課題でございます。

 続きまして(2)低炭素領域です。ここから個別領域の議論に入ります。

 低炭素領域でございます。2050年までの温室効果ガス排出量80%削減ということ、またこれまでにもIPCCなど、国際的な学術コミュニティへの貢献ということもございましたので、それを引き続き、さらなる充実を図るというような意図で書かせていただいております。

 この後の内容は、大きく実は3月の委員会からは枠組み自体は変わっておりませんので、少し駆け足でご説明いたします。

 重点課題の1番でございますけれども、まずシナリオづくりということで設定させていただいております。

 長期・中期の社会像に基づきまして、環境と経済の好循環、ストックとしての国土価値向上に向けまして、地域の課題解決に資するようなモデル事業、社会変革の駆動力となり得るような価値を打ち出すということでございます。国内だけではなくて、途上国への環境協力といったことも見据えまして、シナリオづくり、また、そのシナリオを実現するために必要な技術ということも視野に入れていくということで書かせていただいております。

 15ページでございます。

 重点課題の2番でございまして、緩和策の話でございます。

 気候変動の緩和策に資する研究・技術開発ということでございまして、技術開発例でございますが、省エネルギー・再生可能エネルギーの高度化・低コスト化、また、再生可能エネルギーの活用拡大に向けた技術開発ということで、これまでにも、委員会でエネルギーをためる技術というのが恐らくボトルネックになるのではないかといったご意見をいただいておりましたので、こういったことを記載させていただいております。

 また、地域の熱利用ということで、循環のほうにも実は少し触れられていますが、循環という視点よりは、下水道等の廃熱有効利用というふうに、ここでは書かせていただいておりますが、熱利用ということも添えるべきではないかと考えました。

 また、フロンの話でありますとか、二酸化炭素の材料としての利用という、これなかなか難しく、今、ちょうど人工光合成の話題というのもございますけれども、こういったことも例として書いておくほうが望ましいのではないかというご意見もございましたので、記載しております。

 また一番下のL2-Techに関してなんですけれども、これは個別の技術開発もさることながら、情報発信も兼ねているものでございまして、先導的低炭素技術をリスト化して民間企業等々に導入しやすくする取組でもございますので、そういったところに資する技術開発もやっていくべきではないかということを書かせていただいております。

 重点課題の3番でございます。

 適応策の話でございます。

 適応策は、実は次の重点課題4番と、ある意味、同時に説明したほうがいいのかもしれませんが、4番が、地球温暖化現象の解明・予測・対策評価ということで、こちらはどちらかというと、やや気象学に寄っておりまして、それを受けて適応策を実施して、いかにそれを評価していくかが、重点課題の3であるという構成になっております。

 続きまして、16ページの中ほどから資源循環の領域でございます。

 ここに関しまして、循環基本計画等々も参考にしながら記載しております。

 まず一つ目、重点課題①3Rでございます。

 循環基本計画における方向性に基づきまして、枯渇性の天然資源利用から循環資源の利用に抜本的な転換を図るということでございます。

 リサイクル等の3R要素技術の研究・開発でありますとか、個別技術開発もさることながら、社会システムと消費者行動、地域特性を踏まえて検討していくということを記載しております。

 17ページに、まだ続いておりますけれども、その視点から、規制的手法・経済的手法・情報的手法・自主的手法等々ということで、さまざまな政策手段を使ってやっていくような部分でも、研究に資する部分があるのではないかということで書かせていただいております。

 重点課題の2番でございます。

 適正処理の話題でございます。

 循環基本計画における取組の方向性に基づきまして、3R後の、更に残ってしまう廃棄物の適正な処理、環境負荷の少ない処理ということですとか、ちょうど今、国会で水銀に関する法案が審議されていますけれども、アスベスト・水銀等の有害廃棄物の適正処理でありますとか、あとはインフラの老朽化ということが言われていますが、廃棄物処理施設に関しても、もちろん長寿命化に資する技術開発というのは、今後さらに求められるであろうということを記載しております。

 重点課題の3番でございます。

 バイオマス等廃棄物関連、エネルギー回収でございます。

 内容は18ページに続いておりますけれども、低炭素社会、自然共生社会とも統合された持続可能な社会の形成というものを目指した研究・技術開発ということでございまして、地域の特性に応じた未利用バイオマス等廃棄物エネルギーの回収システムの構築、地域のエネルギー供給拠点、エネルギーネットワーク化等に関する研究ということで書かせていただいております。

 続きまして、18ページの中ほどから、自然共生の領域でございます。

 自然共生は重点課題が二つでございます。

 一つ目が生物多様性で、二つ目が森・里・川・海ということで、里山二次的自然というような分け方にしております。

 まず、生物多様性の部分でございますけれど、愛知目標を踏まえて、我が国では生物多様性国家戦略が策定されているところでございますので、それに資する研究・技術開発というものが期待されております。鳥獣保護管理、外来種の防除、水際対策、絶滅危惧種の保全等々、また、遺伝資源の喪失のリスク評価等の経済学的なアプローチ、海外遺伝資源の利用から生じる利益の適切な配分、この辺りはちょうど名古屋議定書の運用に係るイメージでありますけれども、そういったところの研究も必要であろうと。さらには、気候変動の適応策といったところにも目を向けるべきであるということを記載しております。

 19ページ、重点課題2でございます。

 森・里・川・海のつながりの保全ということで、流域というような視点で見ていってはいかがかということで書かせていただいております。

 ここでキーワードになるのは、やはり生態系サービス、あるいは生態系機能を活用するというようなことが大きく柱になりますけれども、人文社会系の領域の研究者の方とも連携して、都市と農山漁村の有機的な連携に関する研究・技術開発を進めていくべきであるということで、これまで生物多様性の研究ですと、都市というのは、やや注目が薄かった部分というのがあるというご指摘もいただいておりましたので、「都市」ということも、ここではっきりと書かせていただいております。

 また、自然災害の増加への対応ということで、海岸林でありますとか藻場等、本来有する生態系機能ですとか防災機能といったことも着目しまして、国土デザインに活用していくような研究ということが期待されるというふうに書いております。例が、20ページの最初のほうまで続いている状態でございます。

 続きまして、20ページ、(5)安全確保領域でございます。

 安全確保領域は、それぞれの領域の目標を達成するための基礎でございます。化学物質に関する取組ですとか、PM2.5等の大気汚染、有害物質、水質汚濁等々、東日本大震災からの復興などというようなことを記載しております。また、環境汚染が深刻な新興国、アジア地域への技術の展開といったことも記載をしております。

 重点課題を二つ設定しておりまして、一つ、①は化学物質等、もう一つは、21ページにございますけれども、大気・水・土壌等の環境管理というような構成にしております。

 重点課題の1番でございます。

 化学物質等の包括的なリスク評価・管理ということでございまして、人々の健康及び環境・生態系への影響、災害事故への対応、化学物質等のリスク評価・管理手法に関する研究が想定されるということで記載しております。委員会の中でも議論になっておりました複合暴露といったことも目出しをいたしております。

 21ページでございます。

 重点課題の②大気・水・土壌等の環境管理・改善のための対策技術の高度化及び評価・解明ということで書かせていただいております。いわゆる公害関係ということですけれども、従来、5年前の戦略ですと公害対策的な記載がほとんどだったわけですけれども、ちょうどこれは自然共生の部分と重なってくるところではありますが、研究・技術開発例の上から三つ目のところで、閉鎖性水域における良好な水質、生物多様性の確保、気候変動による影響把握等ということでございまして、単に有害物質を削減していけばいいというわけでは、どうもないということが、水循環基本法、基本計画等々の議論で言われているところでございますので、そういった色合いというのを少し強めて、今回は記載しております。また、引き続き黄砂・PM2.5・水銀等の環境汚染に関する対策、途上国への展開といったことも記載しております。

 駆け足になりましたが、以上でございます。

【安井委員長】 ありがとうございます。それでは、何かございますか、どうぞ。

【岡田委員】 さっきと同じような質問をして恐縮ですが、もう一度見てみると、例えば、今回の重点課題というか、統合領域に幾つかのテーマが出ていて、これはこれで理解できるんですが、このテーマと、長期とは言わないけど、中期的に目指すべき社会像との関連が、何となく言葉が合っているような、合っていないようなところがあって、この関連はどういうふうに整理していくべきなのか。

 例えば、細かく見て、安全領域は比較的合っているんです。後からぐちゃぐちゃ言って追加したからかどうかわからないけども、割とフェーズが合っているんですが、特に統合領域は、合っていると言えば合っているんだけど、ちょっと違うように見えるところもあるし、そこは恐らく整理しておいたほうが、後々わかりやすいし、混乱を招かないんじゃないかというふうに思います。

 どうするかという答えは、すみません。今のところないんですが、作文を見直せばすぐできるんじゃないかと、人ごとみたいに言って怒られるけれども、とりあえずコメントです。

【安井委員長】 ほかに何かございましたら。

 誤解を恐れずに言ってしまえば、こうやって具体例がいろいろと出てきているおかげで、割合と、旧来型の、また提案が出てきそうなのが、やはり安全確保領域なんだな。

 それで、せっかく統合的アプローチとか、幾つかの複合的なアプローチというようなことの重要性を述べながら、それに対する縛りが、この安全確保領域にほとんどないので、それで、むしろ、やはり環境省がやる、例えば重点課題の化学物質等の包括的なリスク評価・管理云々というんだけど、ピュアに、例えば厚労省の研究者、病理学者がやるようなものは、本当は、やっぱりそっちでやってほしいわけです。

 環境省は何をやるのかというと、ある場を特定したときにこういう問題があるよという、例えば家庭における台所と風呂場というふうに格付けすると、そういうものがあるよと、こういう地面に足がついていないといけないんじゃないかと私は思うんです。

 というのは、例えば新しい物質ができました。それではリスク評価をやってくださいというのは、環境省の課題なのかということなんです。新しい物質のリスク評価をやるのは、むしろ経産省かもしれないし、厚労省かもしれない。環境省がこれをやらなきゃいけない理由というのは、やっぱり、そういうものに人間なり、あるいは生物なりが暴露されて、それで物が、何らかの悪いアドバシーフェクトが出てくるということゆえに、やらなきゃいけないんじゃないかなと思うんだけど、その辺、岡田さんのところで出てくるわけでしょう、これの審査は。

【岡田委員】 割と、そういうふうにグレーゾーンがありますよね。要するに、もちろん毒性もあるんだけれども、環境動態をみんなはかった上で、これは大したことないとか、やっているわけですから。一応そういうセンスにはなっていると思うんですけどね。

【安井委員長】 なっているかね。だけど、その辺を、もう少し縛りを入れた記述をしないで大丈夫かな。

【岡田委員】 じゃあ、これは譲ります。

【白石委員】 その辺は、1ポツのところで読まれているんだと思うんですけども、環境中の化学物質で、特定な一つの物質のリスク評価ではなくて、さまざまな、似たようなメチル基がついていたり、ついていなかったり、さまざまな多種の、あるいは新規の化学物質も、あるいは、別途の用途を開発したときに、どのような暴露をするかみたいなことは、今のお話ししたものの一番初めの丸の1ポツで書いてあるんですけども。

【安井委員長】 1ポツが、だから2以下を縛るというのならいいんだけど、とても読めないので。

【白石委員】 そうですね。具体的にインパクトが書いてあるので。

【安井委員長】 例えば、3番辺りが一番大きいかなという気がするんだけど、やっぱり、この辺というのが、環境経由というのは基本的に、例えば化審法だって、環境省というのは、環境経由のやつをやっているわけで、だから、そういうことであれば、環境経由とか、そんな何かキーワードを入れたいんだけども、そういうのってだめかな。

【白石委員】 3番目も難しい用語が書いてあるんですけど、これも、多分過敏症とか、そういったものも念頭に置きながら書いてあるとは思うんですが、それを明示的に書くのは少しあれというので、割と縛りがないような。

【安井委員長】 むしろ、この文章の中に書いちゃえばいいんじゃないか。これは当たり前だと言えば、そのとおりなんだけど。

【岡田委員】 いや、環境経由はもう当然だと思って、つくっていると僕は理解しているんで、一応念のため明示しておくと、違うんだということですね。

【安井委員長】 そうです。

【岡田委員】 わかりました。それは大丈夫です。

【安井委員長】 大丈夫ですか。安全確保領域の中に、だから、環境経由というキーワードがもっと。

【岡田委員】 わかるように。

【安井委員長】 わかるように。

 だから、これだけ読むと、例えば新規化学物質も、こっちのほうでは環境動態と書いてあるから縛られるんだけど、そうでない、だから、新規化学物質の生態高次機能への影響と言われちゃうと、ちょっと何かという気がする。

【岡田委員】 そうですね。

【安井委員長】 そんなところが一つ。

 どうぞ。

【安岡PD】 今の安全確保領域で、私は書きぶりが非常にいいなと思ったのは、(領域)と書いてある、その下の文章に、「国際的な連携を強化し世界をリードすることが強く求められている」とか、そのさらに5行下に「とりわけアジア地域への管理手法・技術の展開や社会実装に関する研究が期待される」と、明確に、日本がこれからアジアとか、そこでやっていくんですよというのが出ているんです。ほかの領域ではそれが書かれていない。前半もそうなんですけど。

 これは、ある種の強いメッセージを出しているような気がして、今の安井先生からの提案の部分は、ぜひ書き加えていただいたほうがいいと思いますが、それを日本の技術をベースにして貢献していくんだというところが、この領域だけ書かれているんです。

 ほかのところは、むしろ、このぐらい強いメッセージを書いておいたほうがいいんじゃないかと思ったぐらいで、1章、2章もそうなんですが、その意味では、私はこの領域は非常によく書かれている。

 ほかのところもぜひトーンをあわせていただいたらいいんじゃないか。せっかく1章でFuture Earthをリファーしていただいているわけなので、1章かな、2章だったですか、「環境外交」という言葉も使われているんですが、やや国際的な位置取りが曖昧になっている部分があって、ここの部分だけが非常に明快に書かれているんで、ここはぜひ生かしていただきたいという印象を持ちました。

 以上です。

【安井委員長】 ここは、なぜか、一番歴史が古いからかもしれないね、日本が。

【岡田委員】 多分。

【安井委員長】 多分そんなことなんじゃないかな。

【安岡PD】 そうでしょうね。ただ、もう今の時代だと、やっぱりあり得ると思いますけどね、ほかの領域でも。循環型社会はぜひやってほしいと思いますけど。

【安井委員長】 自然共生だって。

【安岡PD】 自然共生だって、むしろあると思いますけど。

【高村委員】 生き物に関しては、ヨーロッパや北米に比べ、アジアはデータが不足しているので、もっと、情報と研究が必要です。

【岡田委員】 だから、アジアに行って、メコン川とかいっぱい研究しているわけでしょう、現実に。

【安井委員長】 あと、ほかに何か具体的に。

 ご自分の領域で、別に、これで研究ができないということはないと思いますけれど、もう少し、例えばどういった方向に研究がシフトすると望ましいかとか、そんなこともお考えいただいて。

【岡田委員】 じゃあ細かいところで。

 前半の中・長期ビジョンのところには、里地・里山、それから安全確保だと里海という言葉が出ているんですが、研究課題のほうからは、その言葉が、つながりはあるんですが何となく抜けている。これは多分、安全確保領域だけではなくて、自然共生領域のほうも見た感じではあまりよく見えない。

 だから、確信犯で、なくてもいいということならいいんですが、多分違うんだろうと思うので、検討していただきたい。

 同じように、安全確保領域のイントロダクションのところに、やっぱり水循環の話があまり出ていなくて、最後の技術開発例とか、具体的な説明のところには水循環が入っているんで、これも文章を少し整理していただければと思います。

 ついでに、つくりとしての質問なんですが、例えば、今20ページの安全確保領域を見ているんですが、どこの領域も多分同じことですが、20ページの上に(5)安全確保領域とあって、ずっと最後に、さっき安岡先生がおっしゃったアジア地域の何とかと書いてありますよね。

 この話と両重点課題1と2というのは、どういうつながりをイメージされて書いたんですか。両方に共通のところを取り出して書いたということなのか。

【安井委員長】 そうじゃないかな。

【嶋田調整係長】 そうです。基本的には、例えば安全確保ですと、重点課題①②に共通するような、イントロ的な内容を書いているということです。

【岡田委員】 ですから、重点課題①の化学物質のところにも、一応説明文がありますよね。これが実際の内容か。

【嶋田調整係長】 はい。

【岡田委員】 だから、これをまとめたものが上にあると。

【嶋田調整係長】 ええ。

【岡田委員】 わかりました。

 そうすると、①②③と、いろいろあるところのキーワードというか、重要なものはここにある程度入っているべきだと考えていいわけですね。ちょっと確認してください。

【安井委員長】 前回の戦略を考えるときに、キーワードを別途抽出した表をつくっちゃったじゃない。あれがよくなかったんだよね。今回はあれをつくるのかな。

 一覧表をつくって、それでそこにキーワードを書き込んじゃった。そうしたら、そのキーワードを書けばいいという感じの申請が、どうもいっぱい目につくんだ。

 だから、なるべく不親切なほうがいいんじゃないかと思うんだけど、ああいう親切なまとめをするかどうか。別表がどうなっているか。

【嶋田調整係長】 ちょうど委員長がおっしゃった話は、こちらの厚みのあるほうのファイルの資料1-1が今の答申でございますけれども、そのゴシック体のページ番号で、25ページから始まる部分でございます。

 明朝体の25ページがさらに後ろに続くんですけれども、ゴシック体のほうです。

【安井委員長】 これではないんだ。これも近いかもしれないな。

【吉川室長】 これじゃないですね。

【安井委員長】 これではないかもしれないな。でも、これしか出てないか。でも、ここでもそうなんだな。だから、ここに書かれたやつだけ見て、それで後は読まないで書いてくるという感じなのかな。

【嶋田調整係長】 重点課題が、このときは17設定されておりましたが、そこはあまり注目されずに、重点課題の下のサブテーマが大体50個ぐらいございますが、こちらばかり注目されてしまったというところでございます。

【安井委員長】 そうそう。それで具体的に書いてくる。

【嶋田調整係長】 事務局の反省であります。

【安井委員長】 示し方がちょっと重要なのかもしれないですね。

【嶋田調整係長】 なので、この答申の、例えばゴシック体の11ページ以降、実はこの重点課題に相当する部分が書いてあるわけですが、本文では非常にあっさりとしか実は書いておりませんでした。説明文は、ほぼないというのが実は前の答申の書き方でした。

 それを補うために、この参考資料1-1の後半部分、ページ番号がゴシック体から明朝体に切り替わるところがありまして、ゴシック体が26ページで実は終わっていますが、その26の後ろから、明朝体の1ページが始まりまして、このときには本文があまりにもあっさりしているので、研究・技術開発例というのは、後ろにくっつけるというやり方をしておりましたが、後ろに持っていくと、やはりあまり目に触れないということがございましたので、今回イメージとしては、この後ろに書いてあります詳細事項の例に近いような内容を、頭に持ってきてしまおうと、本文に書き込んでしまおうということで書いております。

 また、詳細事項の中ですが、5年後に到達するべき目標というのも、書いてありますけれども、この目標も、5年前に設定したときは結構むちゃな目標が書いてあるということもございましたので、ここは一旦、重点課題に対応する目標を立てるということは、今回の答申では、それほど明確にはしておりません。

 目指すべきところの方向としては、中期的な社会像だとか長期的な社会像を前半部分で書いておりますので、それに向けた研究・技術開発というような構成に、今回はしているというのが、特に重点課題の関連では違っているところでございます。

【安井委員長】 ぜひご覧いただいて、ここに研究・技術開発例と書くと、それだけぱっと見て申請が来る可能性が高いので、本当にこういう記述でいいのかどうかもぜひ見直していただきたいと思いますが。

 ほかに何かございませんか。

 13ページの一番下の重点課題の4なんですけど、これは先ほどちょっと申し上げたように、今後、やっぱり今まで我々が想定していない災害みたいなものに対する研究というものを、もう少し包含するようなイメージにして、ここだとやっぱり、その一番頭に来ているように、東日本大震災からの復旧・復興に貢献するためというんだけど、これをまだあと5年使うとなると、これが一番先頭にあるべきかどうかから検討したほうが、本当はいいんじゃないかという気がするんだけど、どうでしょう、その辺りは。

 政治的に書かざるを得ないのかもしれないんだけど、その辺りは政治的判断をしていただかなきゃいけない。もし、だけど10年後に見ると、これがあと5年有効だとすると、果たしてどうだろうか。

【岡田委員】 この間、特措法の委員会で吉川室長がご説明した責任をどうするかということに絡むと思うんですけど、あまり明快な答えは出ていない。よくやっていますねということで、この間は終わっていると思うんですけど。もっとやれということですよね、これを見ると。

【安井委員長】 やや放射性物質がボリュームとして強過ぎるかもしれないので、もう少し新たな災害辺りを意識したようなテーマをまぜ込んだほうがいいんじゃないかなという気もするんだけど。

【吉川室長】 そうですね。14ページに研究・開発例が8つ書いてありますが、多分上の4つは放射線絡みですので、東日本大震災、福島にかなり特化した話なんです。後ろの4つは福島契機でやっているところが、特に4つのうち上の3つには多いんですけれど、それだけにとどまらないという話ではあるんです。ただ、分量として前半の福島対応のところが多くを占めているというので、いいんだろうかということですよね。

【安井委員長】 そういうこと。

【吉川室長】 それは、私どもとしては、ここは、ゆるがせにできないところだとは思うのですが、ただ、確かにこれが5年間あることを考えますと、もうちょっと、そこからの新しい展開、学の展開とか政策の展開というところを、総体的に多く書き込んだほうが適切かもしれません。書きぶりをもうちょっと工夫する余地があるかとは思いますけども。

【安井委員長】 ここに書いてある話は、研究要素は終わっているけど、後はどうも対人要素が非常に難しい、コミュニケーションが大変だというところでとまっているような気がする。

 それに比べると、重点課題の3がちょっと寂しいかもね。13ページは3つしかなくて。何か考えたほうがいいですね。何かありますか。どうぞ。

【白石委員】 今、重点課題3の、文章が長いのに例示が3つしかないという、文章に書かれていることも例示されていないので、例えばビッグデータの活用とか、その辺も追加されたらいいと思います。

 ビッグデータの活用って、ほかにも多分たくさんあるんだと思われるので、化学物質もそうだし、水の循環でもそうでしょうし。

【岡田委員】 いつも気になるんだけど、ここに書かれていることは、どこからどこまでが引用で--引用というのは、例えば重点課題3を見ると、統合的アプローチの意見具申に書かれている内容が全てあるんでしたっけ、よく覚えていないんだけども。多分、部分的だと思うんです。

 その後のところは何を根拠に出しているのか。もちろんエスパート・ジャッジメントで入れるということだったら、それはそれでいいと思うんですが、全体を通じて、僕はいつも同じことを申し上げて恐縮ですが、きちんと引用文献が示されるものと、示されないものが、ある程度わかっていたほうが、責任問題になったときにいいんじゃないかという。ずるいようですが、いつも思うんですけど。その辺をもう少し確認していただけるとありがたいんですが。全てというわけにいかないことは、百も承知だけれども。

【安井委員長】 責任問題云々だと、最後は、ここは最終的にとらざるを得ないと同じなんです。

【岡田委員】 そう、それはしようがない。

【安井委員長】 だから結局は。

【岡田委員】 ただ、わかっていたほうがいいんで。

【安井委員長】 確かにね。意見具申の中にあったから、100%認めるというのもちょっとどうかと思うね。

【岡田委員】 でも、あれは一応認められた文書ですから。

【安井委員長】 それは、ただ、こういう用途に本当に向いているかどうかというのはわからないので。

 どうぞ。

【指宿委員】 今の関連で、もう一つ重要なのは、重点課題というのをどういう予算でやるかというのを確認したいと思うんですけど、後のほうで推進費の話が出るんですが、それだけを想定して、非常に対策としてかなりお金のかかりそうな重点課題が出ているとなると、それをどうやって担保していくかという。

【岡田委員】 誰が審査するのか。

【指宿委員】 今同じで、引用する法律と同じで、使用する予算と絡んで確認をしておいたほうがいいだろうなと思ったんですが。

【安井委員長】 審査は別途行われるので、ここが、このとおり書いたからって審査を通るとは限らないんですけど、だから、ここにないものを新たにつくり出すぐらいの人がいないと全くだめなんだけど、それも書いておくべきかもしれないね。

【指宿委員】 だから、他省庁が使うお金もここに入ってくるんだというふうに読むのか、読まないのかというので、大分違うなと思ったんです。

【安井委員長】 とりあえずの用途は、まさにPDが主催しているというか、やっているそこでの環境省予算の震災用に使われると思っていただいて、8割方は合っていると思います。ただ、これを見て、予算を文科省側に申請する人もいないとは限らないですね。

【岡田委員】 いる。

【吉川室長】 委員長のおっしゃるとおりで大体認識はいいと思うんですが、重点課題は推進費だけのものではないですので、環境研究・技術開発上、今後5年で重要だと思うこと、思われることが書いてあるというものだと思います。

 ただ、その実施手段として直接的に使えるのは、推進費の今の53億ですので、それで採択される課題として適切な内容を書くと、大き過ぎないかとか小さ過ぎないかという観点は確かにあるかと思います。ただ、ここに書いてある、例えば技術開発例の全てを、53×5年間の間に網羅しないといけないとも思っておりませんので、重要だというものをここで明示した上で、実際にどんなものが応募されてくるか。採択のときにどうするかというのは、また、そこでの絞り込みというのはあるかと思います。

【安井委員長】 あくまでも、ちゃんと「研究・技術開発例」と書いてあるので。

 どうぞ。

【中井審議官】 競争的試験の部分というのがメーンですが、低炭素に偏りますけど、エネルギー特会の財源というのがかなり使えまして、推進費の53億円以外に旗を立てて、個別にエネ特で仕組むというのはあるので、そこはかなり、実は昔より広がっている部分もあるというところがございます。

 そういうのを、自然共生なりうまく使えるのかという、その工夫ができるかというのは、なかなか難しいところがあるんですけれども、低炭素ということであれば、COのところに絡めて、エネ特というのは、大分大きい世界が広がっています。

【安井委員長】 まだ増えるか。

【中井審議官】 もう1回、今年、28年4月に。

【安井委員長】 ご自分の秘蔵のテーマを出せとは申し上げませんが、何か追加等もあればぜひお考えいただいて、今日だけではないので、ここ1週間以内ぐらいであれば。今週中ならいいということでございますので、ぜひ、新たな追加をできたらお願いしたいと思います。

 さて、それでは、次に行くのに手ごろかもしれませんので、それでは3回目の説明をお願いいたします。

【吉川室長】 最後のパートになります。第4章、22ページからでございます。

 ここは推進方策について記述するところでございます。

 1ポツにありますとおり、具体的には競争的試験制度であります推進費、それから国環研の研究といったものが主なものになりますが、それ以外にも、例えば地方環境研究所、地方環境研究機関の役割強化ですとか、例えば、環境研究の社会実装の国際展開、それから、一般国民の理解を深めるといったような軸を、ここで記載いたします。

 2ポツにありますとおり、まず推進費の改善についてここで記載をしたいと思っております。推進費のこれまでの流れですとか、もともとの性格につきまして、22ページの2ポツの最初の2段落に書いてあるところでございます。

 経緯があり、それなりの成果が出てきているわけですが、さらに以下の改善を検討すべきであるという提言を、ここに書いています。

 まず、(1)で民間企業との連携、領域融合課題の取組を促す課題設定、課題設定の仕方をさらに改善しようとします。

 まず、21ページまでずっと出てきたように、統合的アプローチというのをしっかり実現させていこうというところですので、課題設定も、人文科学・社会科学を含むような領域にまたがる研究課題の設定、それから、環境から必ずしも外れているというか、従来、なかなか研究分野が違うと思われていたところからやってくるような政策課題の解決にも貢献するような課題設定を行うべきである。

 また、特に応用研究につきましては、応用ですので、できれば大学と民間企業がコンソーシアムを組んで実施するのにふさわしいような、最終的に社会実装するのに道筋がつくような、そういった課題設定を工夫すべきであるというものです。

 それから、23ページ、(2)効率性と運営主体の専門性の確保を両立させる運営体制のあり方の検討。

 ちょっと長いですが、運営体制のあり方について、一段落目に従来のやり方を書いています。環境省の推進費は環境省の中で行政ニーズというのを形成しまして、それを提示して、また、執行も環境省が実施しているというところです。

 これでやってきたわけですけれども、研究・技術開発の内容というのは幅広いものがございます。必ずしも残念ながら環境省の職員で、研究者の方の持っていられる知見ですとか、研究の方向性をカバーし切れていないかもしれません。

 逆に、行政ニーズを役所から提示するわけですが、それがどういうものであって、どういうことを期待されているかというところは、研究者に十分理解していただけているというのも、なかなか言いがたいところです。そこにはコミュニケーションのギャップがありますが、そこは制度として工夫して乗り越えるべきじゃないかという問題意識がございます。

 それから研究課題を採択した後にも、進捗管理とか、今の政策動向はこうであるといったところを、きちんと研究者にお伝えしていく、それによってちゃんと採択後もマネジメントをさせていただくという体制が必要じゃないかということでございます。この辺は、最終的な研究成果というのをよいものにして、実際に社会に実装できるものにするために、これに力を入れていく。

 23ページの真ん中辺に書いてありますが、具体的には、運営体制について、他省庁の研究試験制度の運営状況を、文科省を初め、いろんな資金がございますが、それを参考にしながら、例えば配分機関を役所の外に置いてあるような制度を置きますと、その資金を扱うエキスパートとして独立行政法人の職員なり、そこに関わっている研究に詳しい人材などが、そういったつなぎを行う。あるいは、研究者にとってみれば予算の柔軟な執行といった利便性の向上も期待できる、そういったところも参考にしながら、運営体制のあり方について検討することが望まれるというふうに書いております。

 私どもも、これについてはいろんな政府間内の決定などでも、こういった方向性が期待されているところですので、役所の中でもこの方向をどうするかということを考えているところでございますので、ぜひこの答申の中でもこういった問題提起がいただければと思っております。

 それから三つ目、23ページ真ん中から、国環研の役割についてです。

 これは都合2ページ強くらい、以下書かれているんですが、国立環境研究所につきましては、今年度で現在の中期計画が終わりまして、28年度から新しい中・長期計画が始まるということで、今後新しい中・長期で何を社会に打ち出していくかという議論を本格化させていきますが、それに先立って中環審から四つほど提起をいただくというのを考えています。

 まず、23ページにございますように、国環研は我が国の環境科学分野において牽引的な役割を担い続けていただきたい。あわせて環境政策の決定において有効な科学的知見を提示し、政策の具体化、実施の場面において科学的側面からリーダーシップを発揮していただきたい。ここは揺るがないところかと思っています。

 これを実現するために四つほど提言をできればと思います。

 24ページからですが、まず、(1)が政策提言、レギュラトリーサイエンスに資する科学的知見の提供等の推進です。

 国立研究開発法人に今年から移行しまして、法人の目的が研究・開発成果の最大化というものになっております。なかなかわかりにくい概念ですが、従来の一般的な研究じゃない独法と一くくりになって、費用対効果の最大化みたいな、決められたお仕事をするのにいかに安く上げるかみたいなところではなくて、研究成果をマキシマムにせよというものが、新たなここでの目標になっています。

 それを踏まえますと、環境研究所ですので、環境の観点から社会にアプローチする、社会実装を通じて環境問題の解決に資するというものかと思います。

 ですので、まず創造的、先端的な科学の探求を行うと、これはもう研究所ですので生命線ではあるわけですが、そうしながらも課題の解決につながるような研究・技術開発に重点的に取り組んでいただきたい。

 「例えば」にあるのは、この例示も何を挙げるかということなんですが、一つは評価手法に関する研究です。この辺は、いわゆる規制の基準をつくったり、あるいは計測など、そういった評価手法のところ。これについては、まさに国立研究機関とか、公立の研究・開発法人が担ってきたところだし、やっぱり担う必要があるだろうと、その客観性とか。

 ということで、ナショナルセンターとしての役割を、ここについては担う必要があるというものです。

 それから二つ目が、経済・社会的な課題の解決を見据えた統合的な研究の先導、また「統合」が出てくるわけですが、国環研にもここをぜひ力を入れていただきたい。将来を見据えて経済、社会の問題解決にも資する研究・技術開発を先導していただきたい。ここは研究所の中で、どういう組織体制を組むかとか、プロジェクトをどういうふうに組むかというところを、これを念頭に置いていただくということになるかと思います。

 それから、24ページ下のほうにございますが、災害環境研究の中核機関であるというのが新たにミッションとして加わっているわけですが、それ以外にも温暖化ですとか、地球規模の水循環といった、従来に関しても国環研がその全域をカバーしていない社会経済問題も含めた課題となるかと思います。そういったところにも貢献をしていただくというような取組をぜひお願いしたいと思います。

 25ページ、(3)ですが、連携の強化です。

 大学や民間企業との連携強化です。これは従来からうたっているところですが、例えば地球環境モニタリングなどのデータについてです。これを、例えば解析ツールを整備したり、それを発信したりするというような形で、GOSATによるデータ、あるいはエコチルのデータといったように、さまざまなデータが国環研は集積しているというところでございます。これをうまく分析・解析して提供するような体制が、せっかくですので必要であろう。それ以外のさまざまな環境データについても、国環研は中核になれるであろうと思います。

 それから、後半ですが、そういう大学や民間との連携強化のために、近年ではクロスアポイントメント制度などが、独法に対しては導入が期待されているところですので、そういった検討を行う。

 それから、国環研の研究課題の設定におきましても、これはまさにFuture Earthで言っているCo-Designの考え方なんですが、各主体との連携を意識して意見を集めるような取組というのを考えたらどうか。

 それから、(4)国際的な連携の推進。

 ここは従来から国環研はそういう役割をかなり果たしてきているところですが、引き続き、国際的な研究活動や研究交流を推進いただきたい。それから、最後のほうでございますが、国際ルールづくりに向けた貢献ですとか、環境技術の海外への代表展開に資するような研究・技術開発を進めていただくべきである。ここは、あまり新しい論点が、実は入っていないんですが、現行のものから引き続き推進いただきたいと思います。

 それから、25ページ、4ポツです。国環研から離れまして、地域の環境研究拠点の役割強化です。

 地方環境研究所や地方大学というのは、地域の環境問題の解決に大きな役割を果たす主体なわけですが、なかなか近年では、特にお金の問題とか人材の問題で苦労しているところでございます。

 ここは、ぜひ、その役割というのは引き続き重要ですので、だから国環研と地環研の協力体制などを踏まえて取り組む必要がある。特に有害物質モニタリングとか、災害時の対応といった緊急モニタリングの役割というのが、今後出てくるであろうというか、従来からあったわけですが、そこを再認識することになってございます。

 それから、26ページですが、これを具体的にどうやってサポートするかというものにつきましては、例えば競争的資金、推進費の課題設定や審査等における工夫、現在では自治体から行政ニーズの提案というのもいただくように、去年からしておりますが、そういった工夫があります。そういったことをしている。

 それから一番下にございますが、民間企業や地方大学との連携としまして、従来の研究・技術開発にとどまらない取組を主体的に進めることが求められる。

 これは、例えば民間企業の環境技術の開発に対してサポートしてあげるですとか、環境教育のサポートをする、あるいは、地方の適応計画といった、地方自治体が今後行っていく、しかも科学技術的なファクトをちゃんと踏まえて進める必要があるような、そういった仕事に対して貢献するといったところがあるので、そこら辺を主体的に進めていただくというところをお願いしたいと思います。

 それから、5ポツですが、国際展開。

 国際展開につきましても、これは、これまで何回も何回も出てきているわけですが、再度お伝えしておきます。社会実装と国際展開です。

 社会実装の重要性ということで、国や地方公共団体においては、まず研究・技術開発の成果を環境生活に反映すると、一方的に研究者に役立つものをやってくれというんじゃなくて、まず、そういう科学技術のファクトをちゃんと踏まえて、国や地方公共団体は政策を行えということ、これをまず踏まえた上で、一方で、その研究サイドも、政策動向を踏まえていただくというのを期待したいというところです。それができるように、そういう審議ですとか、国環研のテーマ設定とかもしていく。

 あとは、ちょっと繰り返しが多いので飛ばして、6ポツですが、基盤的な情報の整備です。

 前段でありました、そういった研究・開発成果を国内外に発信していく。これは、従来から、例えば推進費の成果などは報告書を公表しておりますが、そういった「オープンサイエンス」の流れに沿ったような取り組みを引き続き進めていくということ。

 それから、27ページに参りまして、環境分野の情報知見というのは、研究者だけではなくて行政、企業、国民、いろんな方が、いろんな場面で使うことが想定されるので、それに応じた活用しやすい形で、適切に提供を行う仕組みの構築が求められる。

 ここは、国環研のところと繰り返しになる部分もあるかと思いますが、国環研だけではなくて、例えば文部科学省といろんな主体で、そういう環境データの収集と提供をしているわけですが、それをお互いに連携したりしながら、アクセスのいいような情報提供を考えていくということです。

 それから、7ポツですが、国民へのアウトリーチの強化。

 これは、繰り返しの部分が多いところですが、例えば、後半にございますが、研究・技術開発の着手時にシンポジウムを開催するなどして、さまざまなステークホルダーの観点を研究・技術開発に取り込むような取組を進めるべきであるですとか、アウトリーチが条件に、だんだん、いろんな研究費のものになっていますので、それに、みんな研究者が疲れてしまうということがありますので、事務部門でそういったことを助けてあげる、支援体制の整備というのが同時に求められる。

 例えば、それは研究費の中で、間接経費なりで、ちゃんとそういうところを担保してあげるというのが必要になってきます。

 最後は、フォローアップです。

 フォローアップについては、毎年やるといったことは、今回は書かずにおきまして、適切にフォローアップを行いましょうと。詳しいフォローアップの仕方については、また答申後に関係者とご相談しながら考えていきたいと思っておりますが、今回も、これについてはご意見をあわせていただければと思います。

 それから答申の改定というのは機動的に行う必要があるであろうと。特に、第5次環境基本計画の改定が間もなく行われてまいりますので、そこの中で、あるいは基本計画のフォローアップの仕組みと、戦略のフォローアップの仕組みをどういうふうに連携させていくかといったところで、例えば、次の基本計画の改定時に、この環境技術推進戦略を位置づけてしまうということも、一つの案としては考えられると思います。

 そういったことで、5年を待たずに、そういった議論を行うタイミングがあるかと思っております。そういったことを記載しております。

 ちょっと冗長になりましたが、以上でございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 国環研の方は、かなりいろいろと発言が必要なものがあるかもしれませんが。どちらからでも結構でございますが、いかがでしょうか。

 今のアウトリーチ等も、確かに支援というのは、ほかのところは物によってはいいんですよね。特にJSTでいいかな。ですから、そういうふうにするには、でも、大変ですよ、結構真面目に。

 JSTは、大体あそこは何人いるんだ。正規職員は300台かな、400いないかな。でも、そのぐらいいるんです。ですから、結構、もっと多いかな。いや、正規職員はそんなものだと思います。

 ですから、もっとも、やっていることは全然規模が違いますから、あれですけど、多分、本当に、何十人と雇わないと、できないんじゃないかという気がする。本気でやるとしたら結構大変だと思います。その辺は本当に、ここに「真面目に考える」と書いちゃうと、やらなきゃいけなくなっちゃう。

【岡田委員】 同じことを、またここで書いたことは、やる、やらない、どういうふうにするかというのは、どこでイニシアチブをとってやるんですか。

 環境省にもうお任せしておけばいいのか、例えば部分的には地環研の何とかだと、環境省の競争資金制度、要するに安岡先生のところで地環研と地方大学向けの、今もあると言えばあるんだけども、もう少し強化するというのを、今度、応募する新しい仕組みをつくるのか。今は、地方枠というのはあるんだけど、あまり明確に生きていないですよね。何か違うような感じ。

【安岡PD】 その額を決めて枠をつくっているわけではないです。

【岡田委員】 ない。きちんとプロモーションしているわけでもないし、あまり言うと叱られるけど、ある程度、特定の力を持ったところの地方は出してくるけども、ほかのところは、ほぼ全滅といっていいぐらい、できない。

【安岡PD】 出せない。

【岡田委員】 それを、こういうふうに書いちゃうと、もうちょっと、安岡先生が音頭をとって頑張っていただければということなのか、どうするんだろうという、これを見ながら思ったんですが、すみません。

【吉川室長】 まず、一般論として申しますと、これは答申ですので、事務局が思いを入れて原案を書いたところもありますが、基本的には役所に対して中環審が意見をぼんと出すという形です。それを受け止めて、実現させる、させないというのは役所側の責任です。

 ただ、役所としては当然答申を尊重しないといけませんので、いただいた提言の中で進んでいないもの、なかなか手がつけられていないものというのは、きちんとフォローアップにおいて反省する。できるだけやる、尊重する。

【岡田委員】 フォローアップをやる。

【吉川室長】 それで、地環研の今の話で申しますと、地方環境研究所の理事会などで、私もこの辺りの話を提起するわけですが、地環研においては、かなりこの10年で機関ごとに体制が変わってしまいまして、県の直轄機関であるところもあれば、地方の独立行政法人になっていたり、本当にいわゆる民間の財団になっていたり。

 ですので、例えばじゃあモニタリングをしようといっても、モニタリングの実施できる機材とか人員がもうないというところもございます。

 なので、一律にここに書いてあることを全てできるというバックグラウンドは、もう失われているという事実は、残念ながらございます。ですので、地環研の役割を、それぞれの自治体の実情に応じて見出していくという方向性が強いかとは思います。

 その中で、研究分野については、地方行政ニーズを出していただいて、それで研究を、まさに競争的資金を取ってやっていくところもあるでしょうし、国環研の共同研究の枠の中だったら研究も引き続きできる。例えばPM2.5のモニタリングだったら、まだ力があるよという機関もあるでしょうし、また、それもちょっとつらいという機関も実態としては出てくるかもしれません。

 そこは、全都道府県の地環研が同じというのはちょっと難しいかとは思っています。

【安井委員長】 これは、国環研について、こういうことを書いてあることは、結局、受け取るのは、環境省が受け取って、国環研にこうしろよというメッセージを投げろということ。

【吉川室長】 国環研との流れでは、この答申をいただいて、国環研が次の中・長期計画をつくる際に、環境省が方針を示したり、最終的に中・長期計画の承認を大臣が行うわけですので、そこで、こうしてくださいという意見を出すことになります。

 ただ、国環研もあまり無理な話は、何でもかんでも受け入れますという話じゃないです。そこは、やっぱり生産的にお互いに対話をしていく必要があると思います。

【安井委員長】 それはもちろん。そうすると、次期目標辺りというので、今度は研究開発法人だから、でも、やっぱり目標はつくるんでしたっけ。目標をつくって、それに反映させるということですか。

【吉川室長】 法律上、計画期間は5年から7年の間で設定できるようになっています。まだ、次の計画期間は決めておりません。

【安井委員長】 決まっていないんですか。そのときに、とにかく何か書かれると。

 だから、24ページの1で、「レギュラトリーサイエンスに資する」と書いてあるんだけれど、今、国環研の研究で、政策提言、レギュラトリーサイエンスに資する科学的知見というのは、国環研が出している知見のうちの何%ぐらいあるんだろうな。どうですか。

【岡田委員】 確かに、やっているというのはありますけどね。典型的な多分ウエットという生物検定のやつは法律にしようとしてやっているし、事実、研究しています。

【安井委員長】 確かに。だけど、情報量としては、それ以外が圧倒的に多いような気がするけど。

 もっともレギュラトリーサイエンスというものも、だから定義次第で、例えば、今回の約束素案に関わるようなデータとかなんとかまで、レギュラリトーサイエンスだと言えば、それはもっとずっと多いけど、あの辺って、しかしレギュラトリーサイエンスと言うのかな。レギュラトリーサイエンスは、やっぱり、どうも私の感触だけかもしれないけど、規制行政に資すると読めちゃう、実は。

【岡田委員】 そう思います。

【安井委員長】 この言葉がいいかどうか。政策提言があるからいいのか。

【安岡PD】 レギュラトリーサイエンスという言葉から来るのは、もうちょっと広い意味だと思いますけど。

 規制だけでは決してないんですが、現実問題としてどうかというところを言われると、確かに、しかも、それは環境省の研究課題というふうに捉えられたときに、どういうイメージを持つかというと、今、安井先生がおっしゃったようなことになる可能性はあります。

【安井委員長】 定義なしに使えば、適当な定義だからいいのかな。

【安岡PD】 私が答えるわけにはいかない。

【安井委員長】 ここに、例えば「行政施策の執行に必要となる評価手法等に関する研究・開発を」と書いてあるけど、かなり書かれているから。

【安岡PD】 ちょっときついかもしれない。

【安井委員長】 やっぱり、かなり行政施策なんだな。これだけ読むと環境省は、もう少し真面目に我々を助けるようにと言っているようにも見えるけど、それで本当にいいのかな。

【甲斐沼委員】 環境研のほうでも意見をいただいて、事務局のほうに提出しました。ここの(1)の最後の辺りというか、(1)のところを読むと、今、安井先生がおっしゃったように、そういう政策的なことに直接資する研究といって、環境省のほうがトップダウンになってくるので、一応、その中でも、やはり先端的研究の、ちょっと文面は忘れましたが、独自性を考慮して行うべきだというような一文をつけてほしいというご意見なので、これを読むと、かなり環境省向けの研究というようなイメージがあると、研究者の中にはそう捉えてしまうというような意見があります。

【安井委員長】 だから、結局、国立研究開発法人という枠組みになったけど、そうはしないよとも読めるところで、実は。

 国立研究開発法人であれば、自分たちで多分研究のプランをつくってやっていいよという感じになるんで、だから、要するに、私どもとしたらNITEは完全に行政執行法人になったわけで、それに近い部分もちゃんとやれよと言っているようにも見えるんだけど。

 だから、その辺がどうなのかな、よくわからない。国環研がいいと言えば、いいような気がするけどね。これでいいと言えば。

【吉川室長】 そうですね。行政執行法人的なことは結構書かれているという気は、確かにそういう目で見るとありますね。さっきのデータの整備とか発信といったところも、その要素が強いような気がします。それ自体は多分研究ではないですので。

 ここは、いろいろとご意見のあるところなので、私があまり言うところではないかもしれませんが、そういった役割も果たしながら、世を先導するような先端的な研究もしていただくという要素があまり書いていないというところはあると思うんです。

 基礎研究といいますか、科学としての研究をどう進めるかというところは、要素としてほとんどない。

【安井委員長】 さっきの話とも絡むんだけど、Future Earth的に、やはりCo-Designとか、ああいう格好で、研究者が本当に興味だけでやっているんじゃ、やっぱりだめなんだよということを、だから順番を少し変えることによって、例えば、さっきのFuture Earthみたいな話があるから、社会との連携性は非常に大切にしろよと、研究をやるのはいいけどねと。環境研究はそういう方向性だぜというのをまず書いて、それで、あとは順番を適当に変えながら、一番最後に政策提言、レギュラトリーサイエンスに対しても助けてよねという順番にすると違うかもしれない。

【安岡PD】 私が言うのも何ですが、私が環境研の理事をやったときには、レギュラトリーサイエンスは一つの分野であるというのは、もう間違いない、環境研の中で。ただ、それは広い範囲のことでありますので、ここにある行政施策の執行に必要となるというところのナショナルセンターというふうに言うと、これは、かなりきつい制限になるんです。

 レギュラトリーサイエンスのナショナルセンターという意味で言えば、むしろ逆に、大学とかだとあまりやっていませんので、ナショナルセンターとして、環境研のように、位置づけは非常に明確になろうと思います。

【安井委員長】 この定義は、やっぱりちょっときついかもね。

【安岡PD】 ナショナルセンターの前に、レギュラトリーサイエンスとしてのナショナルセンターと書けば、まあまあいいんだろうと思うんですけど。

【甲斐沼委員】 ちょっといいですか。環境研の研究者からも「大筋ではよいと思いますが、科学の健全性についても十分な配慮が必要であるといった文章を入れてもよいのでは」といった意見をいただいています。ご参考までに。

【安井委員長】 これは、やっぱり環境省と国環研が相談をして、もうちょい、ちゃんと書いてよというのが我々の意見だな。

【安岡PD】 いいですか。ちょっと前半での提案で、PDとして質問させていただきたいんですが。

 22ページで環境研究総合推進費の改善というところの、下のほうに(1)と書いてありますが、例えば、下から6行目で「政策課題の解決にも貢献するような研究課題の設定を行うべき」、それから下から2行目「企業の実用化研究と大学の学術研究を融合させたコンソーシアム型の研究課題を設定する」。この研究課題の設定というのは、その前に、ずっと3章等で書かれていた重点課題とか、こういうものをある種引っ張った課題という言葉になるんでしょうか。

【吉川室長】 ここはちょっとワードが甘いですね。

【安岡PD】 甘いね。

【吉川室長】 ここで言うとしたら、行政ニーズになるんですよね。公募のときの。

【安岡PD】 それならわかりますけどね。

【吉川室長】 研究課題というと、1個1個の研究課題になりますし。

【安岡PD】 3章を引っ張る形になってしまうんです。

【吉川室長】 そうですね。

【安井委員長】 研究課題じゃないね。

【安岡PD】 少し一般的に書いていただいたほうが。

【吉川室長】 そうですね。

【安岡PD】 というか、研究課題と書かれてしまうと、今から研究をやらなきゃいけないから。

【安井委員長】 本当にそうなっちゃうね。

 確かに、これはやっぱり行政ニーズなんだね、きっと。

 だから、行政ニーズを明確にこういった方向で出すことという感じかな。それって、しかも難しいな。この文章は、だから、環境省に対して提言するんだから、環境省の書く限界に対してこういう注意を払えという文章として書くべきなのかもしれないね。

【安岡PD】 そうですね。ですから、推進費の公募のときというか、公募採択も含めてですけど、運用上のそういう観点を持って研究課題の誘導を行えということなんですけど、ちょっと表現は見直したいと思います。

【安井委員長】 そうね。

【安岡PD】 特に「民間企業との」というのが入っていますので、これを仕組み的に変えろというふうに理解すると、なかなか、今からきちっと仕組みをつくっておかなきゃいけないので、ちょっと文言を考えてみたいと思います。

【安井委員長】 今だって、それは民間企業--民間といっても、製造業ではなくて、例えばゼネコンが入っていたでしょう。

【安岡PD】 もちろん民間企業が入ることには、全然。

【安井委員長】 それは構わないですよね。

【安岡PD】 ええ。疎外していませんので。

【安井委員長】 それはそれでいいんですよね。だから、こういうものをやっていないわけではないので、そういうものが課題を設定するという、そういう課題が採択されるように、行政ニーズに、何かうまくやれよというような感じなんだろうな。

 どうぞ。

【松藤委員】 社会実装について、26ページ。

 例えば、いろんな研究をやって、それが自治体で使うということを考えたときに、最初からプロジェクトに入っていれば、それは入りますけども、5の2段落目のように、日ごろから研究・技術開発等を注視ということは、ほとんど難しい話であって、どうするかというと、それをどうやって伝えるかだと思うんです。

 そうすると、アウトリーチの一部として書くか、あるいはアウトリーチの結果を注視してとか、そういった書き方にしていかないと、現実には多分起きないと思うんです。こんなことがあるから皆さん使ってくださいというふうに広めるのが、広まる。社会実装の一番いい利用法だと思います。

【安井委員長】 そうですね。まさにアウトリーチというか、今は、国・地方公共団体なんだな。

【吉川室長】 そうですね、先生がご指摘のように、地方公共団体は、なかなか難しいかもしれないです。

 それは、アウトリーチのほうで、むしろ地方公共団体等に対しても、そういう情報をうまく加工して出していくというのは、それは、研究者の側なのか、それとも国の側なのかが工夫して出していくということだと思います。

 あとは、国が研究・技術開発動向を注視して、環境施策に反映するという記述は、それは私は維持していいと思います。

【安井委員長】 それは維持すべきだと思います。

【吉川室長】 それはいいと思うんですけど。

【安井委員長】 そうね。

【吉川室長】 自治体はもう無理だと。自治体にやってくださいというふうに言わないと、これは進まないと思います。

【安井委員長】 確かに。

 ほかに何かございますか。ここで、もし議論がなければ、宿題で持って帰っていただくほうが効率的かもしれない。30分早くやめるんで、30分間お宅で読んで。そうしましょうか。

 というわけでございますと、これで、それじゃあ、今後の予定に関しまして、ご説明をいただきましょう。

【嶋田調整係長】 今後の予定でございます。資料の4でございます。

 まず、大きなところから申しますと、6月26日金曜日、午後でございますけれども、第79回総合政策部会がございます。こちらにおきまして、新たな推進戦略に関する専門委員会での検討状況に関して、ご報告を申し上げることになっております。

 本日答申の素案についてご議論いただきましたけれども、この素案について、まさに今日いただいたご意見等々を踏まえまして、また事務局で修正作業を進めてまいりますけれども、この場において、もう少しバージョンアップした素案というものを提示する運びになるかと思います。

 6月26日の部会の後でございますけれども、会議としましては、7月16日ということで以前にアナウンスをさせていただきましたが、7月16日木曜日16時~18時でございますけれども、16回目の専門委員会の開催を予定しておりまして、こちらで最終的な案について審議をいただくことを考えております。

 7月16日の委員会の前までにパブリックコメントを予定しておりまして、実は正味2週間ぐらいなんですけれども、この間でパブリックコメントを実施したいと考えております。

 なぜこれほど急ぐかと申しますと、80回の総合政策部会が、今、7月下旬で日程調整が進んでおりますが、これを逃しますと、次の総合政策部会は恐らく10月から11月の開催になりまして、推進費の次の課題公募に間に合わないという実務的な理由もございます。

 ですので、7月下旬の総政部会というのは、実は本当のリミットでございまして、それまでに専門委員会としての議論を何とかまとめていただきたいというために、事務局も頑張ってまいりますが、そうしたいと考えております。

 少しずつ引き寄せて考えますと、本日いただいたご意見につきまして、また事務局で、できれば今週中と先ほど申しましたけれども、またお持ち帰りいただいてご意見があればメール等々でいただきたいと思っておりますが、それを踏まえまして、また省内で検討した上で、この26日の総合政策部会の前の段階で、一度、本専門委員会の委員の皆様にメールベースで照会させていただきたいと考えております。

 委員会としましては開催できる場がもうございませんので、そういったご依頼を今後差し上げるという旨、ご理解いただけますと幸いでございます。

 また、この総合政策部会における審議を踏まえまして、パブリックコメントをスタートするというようなことになりますので、この進め方につきましてもご理解いただけますと幸いでございます。

 このパブリックコメントの結果並びに最終案をもって、7月16日、次回の専門委員会に運びたいというふうに考えております。

 スケジュールとしましては、以上でございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 ほかに何か、ご質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、これで終了させていただきますけれども、またお願いでございますが、30分早くやめますので、ご自宅で30分間お読みいただいて、ぜひ何らかのレスポンスを事務局にお願い申し上げます。

 室長、何かありますか。

【吉川室長】 私からも、よろしくお願いいたします。

 本日の議事録は、まとめまして確認をまたメールで送りますのでお願いします。

 多分、次の専門委員会をもって公表になるんじゃないかと思います。ホームページにまた載せることになります。よろしくお願いします。

【安井委員長】 というわけで、本日は終了させていただきます。どうもありがとうございました。