環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第14回)  会議録

日時

平成27年4月20日(火) 17:01~19:04

場所

環境省 第2・3会議室

議題

  1. (1)環境研究・環境技術開発が目指すべき方向性について
  2. (2)環境研究・環境技術開発の効果的な推進方策について
  3. (3)その他

配付資料

資料1 中央環境審議会総合政策部会環境研究・技術開発推進戦略専門委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会総合政策部会環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第13回)議事録
資料3 環境研究・環境技術開発が目指すべき方向性に関する論点について
資料4 研究資金制度について
資料5 国立環境研究所の果たしてきた役割と次期中長期計画の検討状況
資料6 独立行政法人改革について
資料7 新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略の策定に向けた今後の予定(案)
参考資料1-1 環境研究・環境技術開発の推進戦略について(平成22年6月22日中央環境審議会答申)
参考資料1-2 環境研究・環境技術開発の推進戦略 平成26年度総括フォローアップ結果(平成26年11月 環境政策局総務課環境研究技術室)
参考資料2-1 環境基本計画(平成24年4月27日閣議決定)
参考資料2-2 第四次環境基本計画の進捗状況・今後の課題について(第1回点検結果・抜粋)
参考資料3 低炭素・資源循環・自然共生政策の統合的アプローチによる社会の構築~環境・生命文明社会の創造~(平成26年7月中央環境審議会意見具申)
参考資料4-1 科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定)
参考資料4-2 第4期科学技術基本計画フォローアップ(概要)(平成26年10月22日総合科学技術・イノベーション会議決定)
参考資料5 科学技術イノベーション総合戦略2014(概要)(平成26年6月24日閣議決定)
参考資料6 環境エネルギー技術革新計画(平成25年9月13日総合科学技術会議決定)
参考資料7 SDGs/ポスト2015開発アジェンダについて
参考資料8 Future Earthについて(日本学術会議パンフレット)
参考資料9 災害環境研究サマリー2014(国立環境研究所パンフレット)
参考資料10 循環型社会形成推進基本計画((第2章・第3章(一部)抜粋))
参考資料11 めぐみの星に生きる(生物多様性国家戦略2012-2020)

出席者

委員: 安井 至委員、岡田光正委員、白石寛明委員、高村典子委員、
荻本和彦委員、指宿尭嗣委員、谷口 守委員、松藤敏彦委員、
森本幸裕委員、山口耕二委員
参考人: 原澤国立環境研究所理事
オブザーバー: 一般社団法人国際環境研究協会 安岡善文研究主監
環境省: 小林総合環境政策局長、中井審議官、上田総務課長、
吉川環境研究技術室長、近藤環境研究技術室室長補佐、
宮下環境研究技術室主査、嶋田環境研究技術室調整係長、
寺西環境研究技術室調整係員

議事

【吉川室長】 定刻を回りましたので、ただいまから中央環境審議会総合政策部会第14回環境研究・技術開発推進戦略専門委員会を開催いたします。

 本日は、お忙しい中、ご出席をいただき、ありがとうございます。

 本日は、大塚先生から、あらかじめご欠席の旨をお伺いしております。

【嶋田調整係長】 塚原先生からご欠席の連絡を先ほどいただきました。

【安井委員長】 そうですか。

【吉川室長】 まだいらっしゃらない先生がいらっしゃいますが、追ってお着きになると思いますので、進めさせていただきます。

 本日は、参考人といたしまして、国立研究開発法人国立環境研究所の原澤英夫理事にご出席をいただいております。

 また、オブザーバーといたしまして、今年度から環境省競争的資金プログラム・ディレクターに就任いただきました、一般社団法人国際環境研究協会の安岡善文研究主監に出席いただいております。

【安岡PD】 安岡でございます。よろしくお願いいたします。

【吉川室長】 また、年度が変わりまして、事務局に若干異動がございましたので、紹介をさせていただきます。

 環境研究技術室に寺西が新たに加わっております。新人です。

 議事に入ります前に、お手元の配付資料でございますが、一番冒頭に資料一覧がございます。議論の中で足りないものがあったら、その都度、指摘いただければ、事務局から足りないものをお届けいたします。

 資料2が前回の専門委員会の議事録です。これは既に皆様にお送りして、事前に確認いただいておりますので、今回の配付をもちまして、公開ということにさせていただきます。また、毎回そうですが、参考資料について机上配付しております。大きなファイルになっておりますが、これは次回以降も使いますので、本日終わりましたら席上に残しておいていただければ、次回また用意いたします。

 撮影はここまででございます。よろしくお願いします。これ以降の進行は安井委員長にお願いいたします。

【安井委員長】 それでは、よろしくお願い申し上げます。時間が時間でございますので、効率的に進めてまいりたいと思っております。

 これまでに引き続きまして議論をしていただきますけれども、前回の委員会では各領域の論点というものを示しまして、それについて、現状とか問題意識についてご議論をいただいたところでございますが、今回はまたちょっとそれを離れるというよりも、今後の答申の具体化に向けました大きな方向性、大体どういった格好、どういう基本的な理念で、この答申をしていくのかというような形で議論をさせていただきたいと思っております。

 初めに事務局から説明をいただきまして、それからかなり長い議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【嶋田調整係長】 それでは、資料3に沿いまして、ご説明をいたします。

 表紙をめくっていただきまして、まず環境研究・環境技術開発における国の役割についてという資料でございます。こちらは、現在、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議におきまして、次の第5期科学技術基本計画に関する議論が始まっておりますが、そこにおいても国の役割というのが議論されておりまして、環境分野において国の研究開発の役割はどこにあるのかということを事務局なりに整理をした資料でございます。

 まず、内閣府の議論における考え方が、最初の項目にございます。国が推進する研究開発とは、中長期的に我が国の雇用や所得の水準を向上させ持続的な成長に資する、国民の生命・身体・財産の安全を確保する上で重要である等の公共的な意義があり、リスクが高くチャレンジングなために民間部門のみでは対応できないような研究開発ではないかということになっております。

 片や環境分野に特化してこの部分をどのように考えるかということですけれども、大きく三つのパーツに分解できるのではないかなと考えました。一つは、環境は健康で文化的な生活に欠くことのできないものであり、かつ人類の存続の基盤であることから、環境問題の解決に資する研究開発は公共的な意義が極めて高いと、これは環境基本法第三条の抜粋を記載しておりますけれども、まさにこういったフレーズが出ていますので、公共的な意義が極めて高いということです。

 次に、環境問題は科学的に未解明な部分がいまだに多くございますし、また、研究開発の成果が公共的な利益をもたらすものの、企業収益には直結しないという面も往々にしてあります。ですので、国が主体的に取り組むべきであるというふうに位置づけられるのではないかと考えました。

 一方で、研究開発の成果を社会実装、この社会実装というのはまた色々な意味を含んでいるわけですけれども、片や行政貢献という意味もあり、また片や環境配慮製品と申しますか、環境対策製品の市場展開みたいなことも当然入るわけなんですが、そういったことを通じた環境問題の解決につなげていくためには、民間部門、地方公共団体、一般国民等が果たす役割も極めて大きいわけですので、研究開発段階から各主体と連携するということも不可欠であろうというふうに考えたところでございます。

 これは事務局案として今回整理させていただいたわけですけれども、本日のご議論の中で、こういった視点が抜けているというようなご意見をいただければというふうに考えております。

 次が3ページでございますけれども、この大きな国の役割というのを踏まえた上で、環境研究・研究技術開発をどのような方向で進めていくかということの論点を整理させていただきました。この3ページの論点の参考となるものが次のページ以降続いているという資料構成になっております。

 まず、大きく企業、一般国民など、多様なステークホルダーの観点を強く意識し、環境問題の解決に貢献する課題設定を進めるべきではないかということと、環境分野の期待・関心を踏まえた情報発信や研究者と国民との対話の場を設けるべきではないかということで、これまでにも研究が終わった段階での広報といいますか、情報発信みたいなものはかなり多くございますけれども、もう一歩踏み込んだ、例えば、研究を開始するタイミングでありますとか、あとはもう少し開催する形式を変えてみるですとか、あるいは課題設定のときに、もう少し工夫をするということが考えられるかもしれませんが、そういった形で研究者のコミュニティの外の視点を何らか入れられないかというようなのがこのパートでございます。

 次の三つ目でございますけれども、中環審の意見具申(平成26年7月)に出ておりますが、そこにおける「統合的アプローチ」の考え方を踏まえまして、人文・社会科学を含む複数領域にまたがるテーマでありますとか、環境分野以外の政策課題、環境分野以外、従来の環境研究・技術開発の範疇のやや外にあると思われているような課題の解決にも資するような課題設定等を行うべきではないかということでございまして、例として災害・防災、地方創生、東京オリンピック・パラリンピックなど書かせていただきましたが、そういったところの研究開発の課題解決にも資する研究開発ということでありますとか、資金制度にも少し関わってきますけれども、課題を採択するときの審査体制の話、あるいは課題そのものの設定の仕方の話といったことが考えられます。

 さらに研究開発の成果を社会実装を進めるための施策も打つべきではないかということで、成果の実用化、事業化のための調査でありますとか、資金調達の支援策、あるいは必要な体制の整備といったことが論点として考えられます。

 4ページに参りまして、現在の内閣府の議論を示しましたポンチ絵でございます。第5期科学技術基本計画の策定に向けた、今、大きな考え方は、このポンチ絵に描いてあるようなもので進んでおります。

 具体的には左隅にありますように、未来の産業創造・社会変革に向けた取組ということで、「スマート社会」というのがキーワードになっておりますけれども、あらゆる技術、知見をシステム化してつないでいくというようなことがまず言われていて、次に、右側でございますけれども、経済・社会的な課題への対応ということで、こちらが従来の科学技術基本計画でも見られた、どの分野を重点化するかというような議論の続きのような部分です。

 エネルギー・資源・食料、超高齢化社会等々出ておりまして、環境分野ですとエネルギー、この中に省エネ、再エネが入ってきたりするわけですし、あとは国及び国民の安全・安心の確保ということで、化学物質対策、公害対策といったものがここに入ってきますし、地球規模課題ということで、これは気候変動であったり、生物多様性であったり、話題がこのぽつの中に入ってくるということになっておりますが、実は内閣府の議論で今回特徴的なのは、この下にございます、先行きの見通しが立ちにくい大変革時代を先導する人材、知の基盤の強化ということで、個別のテーマで何を重点化するかというよりかは、例えば、環境分野を考えると研究機関をどうする、この後、国立環境研究所についてもご説明ございますけれども、研究機関をどうする、あるいは資金制度をどうするといったことにかなりの議論の時間を割いております。正直、半分以上の議論の時間を実はそちらに割いているというのが実態でございますので、この環境研究・環境技術開発の推進戦略の議論においても、そういったところに何らか踏み込むべきではないかなと考えております。

 次のページでございますけれども、こちらは、今何をやっているのかというのをまとめた資料でございまして、実は2月の専門委員会に示した資料とほぼ同じでございますけれども、現行の推進戦略において何に取り組んできたかというものを簡単にまとめたものでございます。すみません、ちょっと時間の関係で、こちらは詳細な説明は割愛させていただきます。

 6ページでございます。Future Earthにおける“協働”の考え方ということで、Future Earthという全世界的な環境研究に関する動きがあるというところの中で、特徴的なのが文章の3行目から出てきますけれども、協働企画、協働生産、協働提供ということで、さまざまなステークホルダーの国際機関、中央・地方政府、ファンディングの機関、産業界、市民社会、メディア等々という人たちに初めから研究に加わっていただくという大きな考え方があるという中で、ではこういう考え方を踏まえて、日本の環境研究、技術開発の形はいかにあるべきかというところがご議論いただきたいところというふうに考えております。

 7ページでございます。国際研究、環境研究総合推進費でもやっていますし、国環研でももちろん取り組まれているわけですけれども、国際研究の目指すべき方向性ということで、意見具申の中では我が国の経験・実績を生かした国際的なルールづくり、ちょうど水銀条約の話がいよいよ本格的になっているところでございますけれども、そういったものでありますとか、優れた研究技術を途上国を中心に展開をするということでありますとか、環境規制に係る制度づくりと人材育成支援といったことが意見具申の中で言われております。また、今年の2月に閣議決定されました開発協力大綱、「ODA大綱」とよく呼んでいるものですけれども、そちらの中でもこちらに記載のようなかなりさまざまな環境関係の取組の観点というものが示されておりますので、こういったところの出口をしっかり見据えた課題を採択できるような仕組みにする、あるいはそもそもの課題設定をしっかりやるということが必要ということではあると思うのですが、ではどのように取り組めばよいかということをご議論いただければと思っております。

 8ページでございます。これ以降は実は環境分野に対する国民の意識に少しフォーカスをしてみたものでございます。8ページ、9ページは実は2月の専門委員会でお示ししたものと同じでございまして、平成24年版の科学技術白書から借りてまいりました、科学技術全般に対する国民の意識でございます。震災以降、科学者に対する信頼度というのは相対的に落ちているというところの資料が二つ続いております。

 10ページに進んでいただきまして、こちらは統計数理研究所というところが継続的に調査をしているものでございまして、かなり多岐にわたった項目を聞いているのですが、そのうち環境問題に関する質問を抜き出したものです。

 「環境保護はあなたにとってどれぐらい重要ですか」という問いに対する回答ということで、この赤で示しました「非常に重要である」という回答が20年間で10%減少しているというところでございまして、大体赤いところが5割あったものが4割弱ぐらいになっているというところになっております。ただ、「非常に重要である」と、オレンジ色で示した「重要である」を合わせると9割を超えていて、この水準はあまり変わっていないということになっております。

 もう一つ、地球環境と自分たちの生活との関係について、①②の意見がありますが、どちらに近いですかということで、①は多少不便になっても、地球環境を守るためにひとりひとり努力すべき、②はまだまだ便利にすべきだということなんですけれども、この「ひとりひとり努力をすべき」というのは実は80%をほぼ超えていて、横ばいであるという状況でありますので、非常に重要であるという認識は少しずつ下がっているものの、「ひとりひとり努力をすべき」という意識はあまり変わっていないというのがどうやらこの調査から見たところの国民の心理であるということでした。

 次に、11ページでございまして、国民の心理も横目に見ながらですけれども、環境分野においてどういったアウトリーチ、成果の発信でありますとかの取り組みの例でございますけれども、この後説明ございます環境研究総合推進費では、研究課題ごとの対話を行ったりですとか、研究成果の公表でありますとか、環境省主催の成果発表会を行ったりと、また、国立環境研究所では、年に2回、公開のイベントを行ったりですとか、随時一般見学を受け入れていたり、あるいは講演会を東京・大阪で開催している等々の取組を行っているわけなんですけれども、この辺りについても、例えば、新しくこういった取組をというようなことがあればご意見をいただければなというふうに考えております。

 以上でございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 今ご説明をいただいたとおりでございますけれども、かなり基本的な考え方がいろいろと提示をされていると思います。

 これを我々がこれからつくります推進戦略の中にどうやって生かしたらいいか、どういう方向性を持たしたらいいかというご議論をいただいて、完成する推進戦略の骨格を今日議論しようみたいな、こんな感じかと思っておりますが、どういたしましょうか。最初に全部、もうどこからいただいてもよろしいんですけど、いろんな考え方はあると思うんですけれど、やはりそれぞれの情報につきまして、ある程度、反映をしていかないわけにはいかないかなというぐらい重要なものかと思っています。

 最初のほうでおまとめいただいた環境研究の話と、それから、4ページ目までの第5期の科学技術基本計画の話なんですけど、実を言いますと、今日も私はそちらで資源配分の議論をしていたんですけど、結局、第3期と第4期があまりにも方向が違っちゃったよねという、そういう反省に基づいているということは多分事務局は言えないので、それでやっぱり第3期というのは8分野といって、それぞれの分野が勝手にやれという、こういう感じだったんです。それが第4期になった瞬間に、出口、要するにクリーン・イノベーション、イノベーションという出口にほぼそれが固定をされてしまって、それで個々の分野が何をやるかという議論はほとんどされなくなっちゃったんです。それで、要するに何でもいいから、手段は問わないから出口、それはイノベーション、それを出せと、そういうのが第4期だったと。今回、第5期は、第3期と第4期はちょっと両方とも極端だったよねというので、ごく普通に両方を合わせるという、一言で言えばそういう戦略になっているんだと思います。

 結局、「知の基盤の強化」と書いている、それぞれの分野の重要性と、当然、出口を見ていく、出口も第4期のときには「イノベーション」という、金もうけ的なものにちょっと偏り過ぎたかなという反省も一方じゃあって、とにかく何らかの問題解決ぐらいまで意識が落ちていると思います。要するに、企業収益というものばかりじゃないよという感じに最近の議論ではなっているような気が個人的にはします。というようなことでございますので、とにかくしかし出口志向であることは間違いない。しかしながら、それぞれの分野の知の基盤の強化というのは考えられていないこともないという、そういうことかと思います。

 あとは中環審の委員も何人かおられるかな、意見具申の話、この間もちょっとぶつぶつ申し上げましたように、すみません、戻って3ページですけど、意見具申はこれ読み方が結構難しくて、ここに書いてある文章も3番目のぽつですけど、中環審意見具申における「統合的アプローチ」の考え方を踏まえて、人文・科学を含む複数領域にまたがるテーマや、「や」が結構解釈が難しいんです。環境分野以外の政策課題の解決にも、この「にも」もまた解釈が難しいんですけど、こういうような話で、一体この「や」をどう見るかなんですけど、結局、どうも複数領域をまたがるテーマが望ましいと私には読めてしまうんですけど、皆さんどういうふうにお読みになるか。

 だから、要するに実際環境省がやっている環境研究・環境技術開発というのは、多分ある特定のテーマだけに非常に特化したような細いテーマじゃなくて、どちらかというと、今、この前の戦略では基盤に安全があって、それで上に三つの社会が重なっているような絵が描かれているんですけど、そういった四つの分野だとすると、四つの分野に複数の領域にまたがるようなテーマ設定をしなさいよということをどうも私には読めてしまうんですけど、そういうふうには読めるでしょうか、読めないでしょうかみたいなこともちょっとお考えをいただきたいと思う次第でございます。

 あと、国際研究も結構問題意識としてはありますが、要するに国際研究も日本にはない研究の場でおもしろかったよという、それだけでいいのか。やはり出口志向なのか、その辺も含めて議論をしなさいというのが今日の事務局の資料にまとめられていることかと思います。

 それから、アウトリーチも、今までの取組ですと、Future Earthが言っているみたいな、いわゆる研究のCo-Designというところまでは行けていない。要するにどんな研究をやる、どんなアウトカムを出すべきかというところから、ステークホルダーを巻き込むというところまではまだ残念ながら行けていないというのが現実かな、というぐらいですか。

 というわけでございまして、どういうご意見をいただけるかでございますけれども、かなりご自由にこういったようなことについて、将来、今からつくります戦略は5年間ぐらい、ひょっとすると我々を拘束する可能性があるので、その5年後まで想定をしていただいて、ご議論はしていただければと。ちょっと長くなりました。すみません。

 というわけで、もし意見がなければ、また順番に回しちゃうぞという乱暴なやり方をやるかもしれませんが、多分岡田先生は何か最初に言ってくださりそうな気がする。名札を立てていただければありがたいと思いますが、いかがでしょうか。では、よろしくお願いします。

【岡田委員】 気がついたところだけ、ぱっと選んだところが1点か2点。

 まず、国際研究の7ページなんですが、ここに書いてあることはもちろんいいんですが、これはここの環境研究技術開発ですることと、実際に少なくとも私が携わっている環境省の行政そのものが途上国支援とかいっぱいやっているわけです。それはある意味で単に支援じゃなくて、ある程度、研究しなきゃいけないような、割と中間的なものがあるわけです。

 あまり具体的には言いにくいところ、言えないところがあるんですが、例えば、ここでこの①②③というのを今回の推進戦略の報告書にはどんな感じで言えることがイメージになるんでしょうか。

【安井委員長】 だから、それはご提案いただきたいと。むしろ、逆に。

【岡田委員】 まあそうでしょうね。今まではこういうものはあまり明示的にはなかったんですよね。

【安井委員長】 明示的にはないです。

【岡田委員】 ないですよね。そうすると、どういう研究テーマになるのかなという。例えば、行政ニーズとこれはどういうふうにリンクするからいいんですか。行政の事業とこの枠でこっちが研究するという、そんなイメージのことになると考えていいんですか。

【安井委員長】 多分やっぱり行政ニーズというのは出口の1個なので、だから行政ニーズというものが正しいかどうかという議論はあまりやらないで、行政ニーズはあるということであれば、それが出口の一つとして認識されるんじゃないですか。それは全体としては……。

【岡田委員】 比較的、短時間の話になりますよね。ここでは割と比較的に長期の議論と短期の議論を。

【安井委員長】 ただ、研究そのもののスコープを長期間にしろということは特にどこにも書かれていないような気がするんです。だから、今つくっているのは5年間有効だから、5年後に出てくる研究まで、それが何か影響を与えることまで考えてくださいというだけで、非常に長期的な研究をやれとはどこにも書かれていないような気がするんですが。

【岡田委員】 むしろ、やっぱり委員長がおっしゃるように、ここでどういうふうにするかをちゃんと考えて提案しろと。そう言われると何も言えなくなるんですが。

 あと一つ、つまらないことで、Future Earthで協働何とかというのがありますね。これも例えば、私は例のフォローアップを今までさせていただいたことからすると、協働をどういうふうにしたかというのもフォローアップのターゲットに当然なるということですね、今度。

【安井委員長】 フォローアップが、だから逆に言うと研究実施段階は当然なんですけど、その研究そのものを誰がどうやって立案したというところが問われちゃうのかもしれない、そこまで。

【岡田委員】 そうですよね。

【安井委員長】 これだと要するにCo-Productionというか、Co-Design、Co-Production、特にCo-Designのほうは研究計画までステークホルダーの意見を聞いたというような話になっちゃうかもしれない。

【岡田委員】 これも言うと叱られると思うんですが、例えば、Co-Designというのはどのレベルまでやればいいかというのももちろん決まっていないし、当然、そういう考え方でやっていただいて、それを評価しながらどの程度であるべきかというのは今後考えていくと、こういうことですね。

【安井委員長】 おっしゃるとおりで、だってこんなもの、基準を決めようがないじゃないですか。

【岡田委員】 そうですね。

【安井委員長】 だから、せめて申請書の中に「Co-Designを意識し」ぐらいを一言入れろというぐらいだよね。

【岡田委員】 すみません。とりあえず、以上です。

【安井委員長】 ほかに何かございませんでしょうか。白石委員、どうぞ。

【白石委員】 Co-Designのところで、2ページ目なんですけど、2ページ目の二つ目のぽつの一番下のバーのところです。

 研究開発段階から各主体と連携する、ここの読み方が難しくて、研究開発段階じゃなくて、研究計画段階なのかと、こう思って、研究開発段階というのか、ここをきちんとする必要があるのかなという気がしました。Co-Designといっても、民間部門、地方公共団体、大学と行政とか、一般国民含めてさまざまな関係者がいるので、それ全部をまとめてCo-Designするのは非常に難しいんじゃないかなという気がします。例えば、官と民とか医療と何とかとか、ある程度、範囲を、全部ができれば理想ですけど、区切りながら、Co-Designを、私は計画段階から研究をつくっていくのがいいのかなという気がします。

 出口も、ここは環境省も多分私は全体像を言っているんですが、全体とすると、いろいろとあると思いますけども、推進費絡みで言えば、やはり政策ニーズというのが一つの大きな柱、one of themかもしれませんけど、一つの大きなものであるべきだろうというふうに感じます。

【安井委員長】 なるほど。その辺もどこまで求められているかというのは、これからの多分ご議論のような気がします。Co-Designというのもステークホルダーに実際いっぱい集めましたというところまで求められているのかどうかというのはなかなか難しくて、特に参画する研究者が非常にその辺のステークホルダーと普段からよくコンタクトをとっている人であれば、その人が代表してCo-Designをやるという代理だってあり得るわけです。ですから、Co-Designをやっているということは、要するに社会的ニーズをちゃんと酌み上げているというのが結果なので、その結果が満たされていればそれでもいいというところまで落とせるかどうかじゃないですか。

 すみません、指宿委員、お願いします。

【指宿委員】 3ページ目に非常に興味深いことを書いているから、ここは難しい論点かなと思ったんですが、一般論として、いろんなステークホルダーを意識して、環境問題の解決に貢献する課題設定というのは非常にわかりやすんですけれども、一方で、中環審の意見具申のほうに書いてある中で、例えば、公の研究者も従来の専門分野に捉われない研究技術開発を促進すると、これは何なのだろうかなという疑問が出たんですが、これは専門分野同士にこもらないで、いろんな優遇をして研究開発の種ですとか、あるいはそういう技術開発をやっていくという、そういうことを意識するということなのかなと思いますが、そういう意味で言うと、今もそうですけれども、三つの分野があって、下に安全・安心というふうな分け方をしていると。そうすると、安全・安心と、例えば、資源循環というのは当然関わってきて、それぐらいの協働であればいいのか、あるいはそうではなくて、全く違う研究群、例えば、縦割りで言うとナノテクノロジーとか、横割りですか、そういうようなものとの協働を考えるとか、そこがちょっとそういう意味で先ほどの個々の研究者、従来の専門分野というところが非常におもしろいなというふうに思うし、ここをうまく考えていくと、いろんな展開ができるのかなというふうに思います。

 もう一つは、環境分野での研究技術開発を社会実装するという、やはり研究開発の内容によって社会実装というのは変わってくると思うんです。社会実装の一つに政策課題の解決があるんだというふうに割り切ってしまえば、環境省がやる研究開発をかなり読むことができるし、一方で、経済産業省とか国交省がやる研究の中で、政策課題だけではなくて、やはり社会実装しないと意味がないというようなこともあって、この辺については各省庁の分担というか、そういうものを考えていく必要があるんじゃないかなというふうに感じました。

 とりあえず、そんなことを思いました。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 多分解釈の細かいところは、各人まだそれを完全一致させるというところまでやらなくてもいいような気がしますので、どうなのかな、その辺りも含めてご意見をいただければと思いますが。

 それじゃあ、谷口委員、お願いします。

【谷口委員】 2点ございます。今ちょうどその議論をいただいている一つ目は、統合的アプローチの3ページのところなんですが、これ災害・防災、地方創生、東京オリンピック・パラリンピックと書いてあって、テーマをと書いてあるんですが、この三つのテーマをよく見ると、実はどれもイベントと解釈できると僕は思います。今までの環境分野と違うような、そういうものを食いにいきましょうというふうに、僕はすみません、読めるんですけれども、そうなったときに環境の研究というのは、今までの守るイメージとは違って、外に攻めていきましょうというふうに読めると思うんです。

 そうなったときに、これを誰がやっていくのかということがポイントになると思います。ここにいらっしゃる先生方から見て、顔の見える方、すなわちよく環境の研究者としてご存じの方がやるのか、そうじゃなくて新しい人が入ってくるのか、人ベースで見たときに誰がやるんだろうかというふうなことが若干気になっています。恐らく新しいテーマであれば、外からの人がやるとした場合に、そういう方が環境ベースのことをきちんと理解されていて、お金を出しても大丈夫な研究をしてくださるかどうかみたいなことというのはやっぱり評価のポイントに一つなってくるのかなというのが気になったところです。それが1点目です。

 あと2点目が、同じページの上の二つ目のアウトリーチです。国民との対話、情報発信で、5ページでも6番目の国民のわかりやすい発信とかあります。ちょっと研究ベースとは違うかもわからないんですけれども、いろんなところでお手伝いさせていただいていて気になることは、やっぱり国はともかくとして、地方行政が結構環境分野はそれほど強くなくて、国民と直に対話されるのは地方で現場対応されている方々なので、そういうところ、地方の行政の中で、それこそ4番と関係するかもわかりません、5ページの。地域レベルの研究開発の強化みたいなものを、各地方でやってくださっている方とか、行政の担当者の方とかということの底上げみたいなものをやっていかないと、結局、これ以上の発信というのは結構大変なんじゃないかなというふうに感じています。

 以上、雑駁で申し訳ありません、2点です。

【安井委員長】 大変重要なお話なんですけど、人ベースで誰がやるのかというのは、多分我々がどこまで意識するかなんですけども、例えば、そういう新しい推進戦略ができたときに、こういう乗りでもいいのかと思う人が出れば、それで我々の役割は終わっているような気も一方ではすると。だから、そういう、ここに来るとおいしいかもよというのが、推進戦略を読んでわかれば、それである程度かな。

 それから、地方行政の現場対応は、確かにおっしゃるとおりなんですが、文科省の、例えば、温暖化の適応の研究は、完全に自治体を巻き込んでいくような方向性に今なっちゃっているんです。だから、環境省であれば、よりその方向をとっても全くおかしくはないような気がします。あれはどうやって相手を見つけているか、ちょっと私もよく知らないんですけど、それでもやはりある種の何か恐らくキーパーソンがいる自治体が選ばれているような気がしますので、キーパーソンを育てるというのは環境省の仕事の一つなのかもしれない。例えば、ここにしばらく出向してもらうというようなことをしていくのがそうなのかもしれませんということかもしれません。

 それから、高村委員、お願いします。

【高村委員】 3枚目の意見具申のところの「統合的アプローチ」なんですが、人文・社会科学の定義についてはいささか曖昧ですが、それはさておき、Future Earthの議論や、IPBESもソーシャルサイエンスが重視されるという方向にあるので、この方向性は入れていかざるを得ないのじゃないかと思います。すぐできるかどうかというふうなことは別にして、そういう方向性に進めるべきかなと考えます。

 環境研究は進展しましたが、実際に環境をよくするためには、制度とか仕組みとかがボトルネックになる場合が多々あります。特に生物多様性保全の分野では、評価は科学的にはできるようになってきましたが、それを社会に実装する際に、制度・仕組みの問題がやはりネックになっています。森本先生も言われました法律の問題ですとか、経済の問題というふうなことを加えていかないと、実装されないというところがある、それをやっていかないといけないということがあります。

 あとは他省庁も環境の問題はやっているわけで、事業官庁として環境に配慮するやり方というのは国交省も農水も今までやってくださっているわけです。それは、もしかすると環境省よりも実装に近い分野でやってくださっているわけなので、そこのところとの連携をもう少し、情報共有もあまりやられていないわけで、そこはきちんとやっていったほうがいいんじゃないかなというふうに思います。

 あと、国際のところで少し気になったのは、まとめてくださった7ページ、この意見具申のところに書いてあるのは、従来の公害研究で培った技術とか、それらを途上国に技術移転をしましょう、従来日本で開発したすぐれた技術を途上国に移転しましょうというのがメインだなというふうな印象を受けました。

 国際研究ではIPCCとかIPBESとか、国際条約に貢献するというのが日本の環境研究の立ち位置としては大切ですが、ここであまり書かれていないので、少し文章を加えていただければと思います。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 あえて弁護するわけじゃありませんけど、今一番おっしゃった7ページの①の国際ルールというのは、多分IPCCみたいなのを含んでいるんじゃないかな、そんな印象なんですけども、どうなんでしょうか、その文を書かれた方に聞かなきゃいけないのかもしれないけども、そんな解釈でもいいような気もします。

 あとは特にないですか。じゃあ山口委員、お願いします。

【山口委員】 やはり環境省さんとしてのポジションというのは、私は非常に大事だと思うんです、今になって。

 例えば、国交省ですと環境という切り口で社会インフラをやりますと、非常にわかりやすいんです。経産省ですと産業の育成、競争力アップのために「環境」というキーワードを使いますと、これも非常にわかりやすい。それから、農業ですと環境を考慮した農業育成というの、非常にわかりやすい。すると、環境省としてのレゾンデートルというか、何をやるかというのは非常に大事になってくるのかなと、そういうふうに思うんです。

 具体的に言うと、例えば、3ページとか11ページに「対話」という言葉が出ているんですけど、言いかえれば社会のニーズの発掘が非常に大事なキーワードではないかなと。間違っても経済界、産業界のニーズを聞く必要は私はないと思うんです、環境省さんとしては。やはり国民のニーズ、もしくは地域のニーズ等々を聞くという、そこら辺が環境省さんとしての役割ではないかなと。

 したがって、社会実装そのものも、別に環境省さん、国環研さんが何かやられて、それを社会に実装、私はしなくてもいいと思うんです。実装できるようなベースをつくると、そういうテクノロジー論とは違って、どちらかというと、先ほど先生もおっしゃっておりましたように、社会的な研究という、ソーシャル的な研究をもっとやられてもいいのかな、そういう気が強くするんです。

 ですから、環境省さんとしてのレゾンデートル、環境技術でのレゾンデートルは何か。私は対話だと思っています。対話を吸い上げて、それをいかにして基礎研究をするか、実装研究するかということなのかなと。ちょっと生意気な言い方になってしまうんですが、環境というのはあまりに幅が広いために、何でもできますということになってしまうと発散してしまう。ですから、環境省さんらしさというか、そういうのが何か光ることが、私はこれは対話だと、ステークホルダーとの対話であり、国民との対話ではないかなと、そういう気がいたしました。

【安井委員長】 大賛成なんですけど、研究を実施する人間にとっては結構大変です。多分対話をしなきゃいけないということを条件というわけにもいかないかもしれません。とにかく、そういう方向性は非常に重要だと思いますので、事務局が何という文書を書いてくれるかにちょっと期待かもしれないという気がいたします。

 あとはご発言、森本委員、どうぞ。

【森本委員】 最初の1ページは大変同感するところが多いんですけど、ちょっと言葉が足りないかなと思うところを指摘させていただきます。

 一つは、中環審の意見具申等を含め、統合的アプローチで複数領域とか課題テーマ、課題解決とかいう、政策を主に解決する、これに含まれていると言えば含まれているんですけど、常に環境関係、あるいは特に環境省絡みで言うと、生物多様性の国家戦略というのが一応ちゃんとあって、それなりの長期の課題というのは定式化されているわけです。

 それから、国際的にも愛知ターゲットというのがあって、長期目標も短期目標もあります。奥山自然地域や里地里山など、いわゆる土地条件の違いに対応したグランドデザインも抽象的に描かれてますけど、じゃあそれに向かってどうしていくのかという、目指す方向性というのがもうちょっと具体的に書いたほうがいいのではないか。

 要するに目標というんですか、方向性だけではなく、ゴールみたいなのがあるとよりまとまるのかなという感じがしました。それはいわゆる土地利用的な観点、デザインみたいな、あるいは技術的な観点、いろいろとあるんですけど、社会の仕組みというか、ソフトな仕組み、規制だとか経済の仕組みだとか、あるいは法律だとか、つまりデザインと社会の両方の面を意識したゴールを目指していくというのがあればいいなと思うんです。

 高村先生がおっしゃったような国際的な観点でいいますと、IPBESに対する日本の貢献というのはもっとあってもいいのかなというのがあって、それから、もう一つは、特に都市関係ではすごくプレゼンスが少ないんです。スウェーデンのストックホルム・レジリエンス・センターでは実践的なところもやっています。たとえばシティ・バイオダイバーシティ・アウトルック(CBI)というような、世界的なアセスメントをまとめたりしているんですけど、その日本の貢献というのはもう一つ見えてきていない。その辺の国際研究というのだとちょっと弱いかと考えていたところです。

 以上です。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 国家戦略があるんですから、そうすると、それは明らかに。あれって何年にと書いてありましたっけ。

【森本委員】 一応、2020年となっています。

【安井委員長】 じゃあもう年限まで設定されていると。それに向かって研究しないのは変ですね。ありがとうございました。

 どっちが先だったかな。荻本委員か。前から行きますか。じゃあお願いします。

【荻本委員】 後から来て乗り切れていないかもしれませんが、環境というのを考えたときに、人間の営みというところに働きかける云々と、それから、技術であるとか工学的なプロセスというような、いわゆる技術の面が二つあるかなと思っています。その間にもしかすると人間や技術を規定する制度とか企画・基準というような、そういうものがちょっと間に挟まっているという構造を私は思い出します。

 例えば、空調というのを見ても、どんなにいいエアコンをつくるのかという面があって、ただ同じエアコンを人間がどんなに有効に使うのかという話があって、またはある制度があって、エアコンのよさを引き出したり引き出せていなかったり、またはそれと人間の行動を規定しているような面もあると思うんです。

 ということで、私自身はここの分野というのは、技術というのはほかのところにも非常にたくさんあるんですけれども、ここの特色というのは人の営みであるか、ライフスタイルがあって、技術と組み合わさっていて、真ん中にルールのようなものがあると、この構造をある程度意識して、国内についてもやることができると思いますし、海外への視点というのも同じように見ることもできるかなというふうに感じました。

 以上です。

【安井委員長】 どうやって反映するか難しい発言なんですけど、確かにその辺はこういうふうに理解しているというような文書を書いておくべきという気がします。

 それじゃあ松藤委員、お願いします。

【松藤委員】 「社会実装」という言葉をずっと聞かされていて、切磋しながらその判定をしているんですけど、でも社会って何だろうと考えると、どうも現状の社会が規定のままであって、それを何とかしろという、そこからスタートしているような気がしてしようがないんです。前の戦略のときに「持続可能な社会」というのがあって、低炭素と循環型、あれですっきりしたと思ったんですけど、じゃあ持続可能な社会は一体何だろうというのが、どうもよくわからなくて、今、幾つかご意見あったように、環境省にとって考えたときの社会というのは、技術が生きるだけの社会、科学技術社会ではなくて、やはり人であったり、本来の社会、本来人の集まりとしての社会、そういったものがターゲットになっていないとおかしいんじゃないか。

 制度が障害になっているという例は私もたくさん知っていて、例えば、エネルギーについても、ユーザがなかなか見つからないというのは、逆に考えれば、どういう社会にするかと考えたときに、そういう制度にしなきゃいけないんですけども、縛ってしまっているというのをいつも見ているんです。ですから、随分前、循環型社会っていうんでしょうか、あのころに環境白書に随分書かれましたよね、こういった社会を目指すと。それがいつの間にかなくなってしまって、「科学技術」という形になってきてしまったような気がしています。

 それと、先ほどの協働ということですけども、実際に例えば、研究をやるときにこれを全部考えなさいというのはとても困難でありまして、それをやっているだけでも時間を取られてしまうということが起きてしまう。私の感覚は、こういった協働の意識を持つ、これは決して方向ではありません。これは目的ではなくて、こういったマインドだと思うんです。そういったものを装ってやるというのが、方向と目的を分けないといけないような気がいたします。

 以上です。

【安井委員長】 おっしゃるとおりなんです。ですから、そういうマインドを持ってやれよということになると思います。ですから、マインドを持っている実証として、どういう行動をしたかということなのかもしれませんけど、そんな感じだと思いますが。

 これで一回りいたしましたが、ほかに何かご意見が追加いただければと思いますけど、いかがでしょうか。どなたか。よろしいでしょうか。

 全体的な感想としてはあまり大きな方向性に対する反対はなかったように思いますが、ただ、今、最後に松藤先生がおっしゃってくださったように、一体それをどこに求めるのか。例えば、環境省がファンドをする研究のどこにそれを求めるのかというのは本当に具体的に考えなきゃいけなくて、そこを、だから担保するだけの何かやはり戦略という文書をどうやってつくるかと、これかなりテクニカルに難しいかもしれないけど、それにチャレンジしろという、これ多分私は作文はしないですので、事務局がしっかりやってくれればいいかなという気がいたしますが、事務局がしっかり頑張ってくだされば、だから、事務局から、こんなことを言われてもわからないというようなことがあったら、今のうちに言っていただいたほうがいいような気がしますけど。すぐには出ないかもしれませんが。

 どうぞ。

【上田課長】 総政総務課です。今回の資料をつくるに当たって、技術室と意見のやりとりをしたので、少しやりとりの中で今日のご質問があったところの関係するところもあるかなと思うんで、その点だけ言わせていただきます。

 特に資料のやりとりをしたのは3のところの2ページ、3ページ辺りのところ、技術室と非常に議論していただきました。もともとは2ページ辺りの資料はなかったんですけれども、2ページをつけ加えたほうがいいんじゃないかとか、3ページのところは少し論点をクリアにしたほうがいいと。その背景としては、我が国全体の研究、科学技術というのは、文部科学省のほうでも巨大な推進費とか研究、そういう体制がある中で、あえて環境だけ、後で出てきますが推進費をつくって、専門の研究所があってというのは何のために特別にそういったものがあるんだろうというところに立ち返って、そこから役割とか期待されるものというのが出てくるのではないかというふうに考えたところです。

 その議論で出てきたのが、やはり目の前に喫緊の課題があって、なかなかそれは民間の動きとか民間の研究ではそういうものが課題になってこない、取組体制になっていかないので、積極的に我々として行政側としては問題を解決する手段としての研究、問題を解決する手段としての技術開発というのが、一定の役割があるからこそ、全体の研究推進とか科学技術の開発という中で、環境も自由に競争してとってもらうというんじゃなくて、あえて枠をとってやるということが必要なんだろうということで、その辺りのところがわかるように、2ページとか3ページにも書いていただいたというので、常に政策の求めるもの内で、研究が解決にどう貢献するのかというのを意識しながら、ただ、それは研究によって大きく濃淡はあるんだと思います。

 非常に薄い、ここの分野は従来ベースで掘り込んでいかないといけないというものもあれば、その他の領域というのも、少し認識しながらいかないと解決にならない、その濃淡はあるんだと思うんですが、そういうところが特殊性としてあるんだろうなと。もちろん、一般的な研究というのはあって、それは例えば、文科省の科研費の中で応募して、そっちでやって行こうとかというものもあるかもしれませんし、ただ環境と切ったところで、そういう特殊性もあるんだろうなというところで、先ほどこれはどういうことだろうかというので、3ページの真ん中の統合的アプローチというものがある意味少し説明できるのかなと思って、ちょっとご紹介させていただきました。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 今日、午前中、実を言うと環境エネルギーという、文科省の環境エネルギーの科学委員会があって、今年度第1回だったもので、似たような議論をやっていたんです。

 そこの中で、結局、しかしFuture Earthみたいなものがあるので、やはり社会との対話とかCo-Designとか、そういう話が出てきて、特に環境研究、エネルギー研究というのはかなりが問題解決型なんだろうなというところは共通認識を持ちつつも、やはり一部の領域では、特に理学系の領域では、社会との対話でなく、地球をつくった神との対話でもって学問をやっていくというスタンスもある程度あるんだろうねと。恐らく環境省の研究の場合には神との対話はないのかもしれないなと、今、その話を伺いながら、そういう気がしました。そんな感じなのかもしれません。

 ほかに何かございますか、吉川さん、何かコメントありますか、いいですか。安岡オブザーバー、何かご意見があれば。

【安岡PD】 振っていただきましたので、ご挨拶がてらに一言、Future Earthに関してお話しさせていただきます。

 私は2年前に文部科学省とFuture Earthをいかに推進するかという委員会ができたときに委員長をやらせていただき、まとめさせていただきました。今、Future Earthに関するファンディングをJSTがやっておりますけれども、その委員長もやらせていただきまして、その関係でFuture Earthに関して、環境省さんが行われようとする環境研究と非常に密接な関係があるということで、1点だけ、確認の意味で発言させていただきます。

 Future Earthは、ご存じのようにICSU、それから、ベルモントフォーラムというような、世界のファンディング・エージェンシーがお金を出して、この研究を進めようとしています。IGBPIHDP、WCRP、DIVERSITASという国際プログラムを終了させる予定で、WCRPを除いて、ほかは全部、今年の末に事務局が消えます。全部、この研究プログラムはなくなります。それがFuture Earthに変わることになります。

 この背景はなぜかといいますと、ファンディング・エージェンシー、それから、ICSUを中心として、これだけ多くのお金をかけてきて、非常に多くの論文が出て、非常に多くの知見が集まった。しかしながら、課題は解決していないという、ここが一番大きな点だというふうに思っています。

 そうすると、課題を解決するためには何をしなきゃいけないか、何が足りなかったのかというところがFuture Earthの一番大きなポイントになってきます。ここはかなりの部分が環境研究とオーバーラップすることになります。Future Earthに関していいますと、そこの課題解決をするために何が足りなかったかというところに一番焦点をあわせて、仕組みづくりをやってきています。

 その一つが、科学委員会と並行して、これはエンゲージメント・コミッティーと呼ばれていますが、ステークホルダーの会議を作ります。これまでのプログラムは全部科学委員会だけで立案をしてきたわけですけれども、科学委員会に、エンゲージメント・コミッティーというのを横に並列に置いて、そこにステークホルダーを全部集めて、協働企画というふうにCo-Design、先ほどから議論がありますけど、これをやろうとしています。これは設計というところに一番大きな意味があると思います。

 これまでの科学技術がややもすると分析に偏っていたわけですが、そこに設計という概念を入れないことには課題は解決しないと。その設計の一つに政策があるわけです。行政ニーズというのももちろんあります。ここにどうやってつないでいくかが重要なポイントだろうと。先ほどからお話を伺わさせていただいていまして、まさにそこの部分が、この委員会で議論したところの接点だろうなという気がいたしました。Future Earthがやってきたということで、その視点から少しコメントさせていただきました。どうもありがとうございました。

【安井委員長】 だから、そこで何が論点かというと、結局、文科省も一部分はFuture Earthにかなり乗ってくる。ただ、そこで新しい研究費が出るというわけでも多分あまりはないと思うんで、JSTに若干出るかもしれませんけど、そういうことになったときに、環境省の研究は文科省のFuture Earth的な研究から、さらにどっちに行くのということになると、先ほどの3ページ、意見具申に書かれているように、統合的アプローチというのはやっぱり鍵なのかもしれないという気もしないでもないです。だから、その辺をどういうふうに書くのかなみたいなところはあって、Future Earthだよといってやってきて、Co-Designするけど、でもやっぱりやるのは割合と単眼的な研究も、多分Future Earthはあるのじゃないかなと、問題の解決とか。

 そればっかり集めてもできない部分を、環境省は主たる担当部門として考えるところまであるのかどうかぐらいかな。そこも、だからそうだと言い切るほど自信はないので、その辺をどういうふうに思われるかです。国環研の研究は幸いにして拝見するチャンスがあるんですけども、国環研も昔に比べるとはるかにそういう複合的な研究チームが動いていて、統合的アプローチはできている、これから多分原澤さんはそういうお話をされるんだけど、ちょうどいい時間になってきたので、多分そういう時間なんですけど、そういうことなのかもしれないという気がしますので、その辺をだからどのぐらいの強さで統合的アプローチみたいなものを、環境省も文科省と対比的にしたときに乗るものであって、書くのか書かないのか、その辺がちょっと難しいところだなという気がします。私は書いてしまってもいいかなと思っています、個人的には。

 いかがでしょうか、反論があれば、今のうちに。どうぞ。

【岡田委員】 ちょっと質問です。課題解決というときに、課題をどうやって設定、誰がどういう手順で設定するのかというのが、非常に気になるんですが、Future Earthだったら誰がどういう責任で課題を設定することになるんですか。それと同じことは、今度はこっちがどうするかということになると思うんですけど。

【安岡PD】 Future Earthの枠組みの中では、課題の設定を両方でしましょうという枠組みです。

 従来はサイエンス・クエスチョンという言い方で、サイエンス・コミュニティと言われている、科学者の集まりがやっていたんですが、そこにステークホルダーという関係者を全部入れて、一緒に課題設定をしますということで、設計自身はそうなっています。ただ、どうやって課題を見つけるかというところが非常に難しい問題で、その議論がされています。ただ、解は今のところまだ見つかっていません。方法論もまだ確定したものはありません。これは非常に重要な課題だというふうに思っています。

【岡田委員】 その辺がはっきりしないと、Future Earthの議論と、こっちの話が妙にオーバーラップする危険性も当然あるわけです。そうすると、いろいろまずいことになるんで、うまくきちんと分けないと、約束的な言い方をすると変ですが、ちょっとリスクかなという感じを受けたものですから。

【安井委員長】 むしろ文科省側のほうがリスキーなのかもしれないですね。

【安岡PD】 そうですね。

【安井委員長】 だから、そっちにあまりFuture Earth的に振れてしまったときに、これは文科省がやる研究なのと言われるほうがリスキーかもしれない。どっちかわからない。

 さて、そんな感じでございますが。どうぞ。

【小林局長】 どうも事務局に難しい宿題ばかりなので、ちょっと今後の頭の整理のために言っておきます。

 統合的なアプローチというのは非常にある種魅力的なというか、何か模索している中の一つの答えなのかなということで、今、環境省もかねてから統合的なんていうことを言っているんですが、実際具体的に模索をし出して、スタートラインというような感じもあります。

 そのときに何かご意見があれば伺いたいということなんですが、一つは課題なり目標としていくものが、もちろん環境省ですので環境をよくということだったんですが、割と昔はとにかく環境をよくしたいということで単純だったものが、経済との関係、あるいは社会的課題とがかなり複合的であって、非常に理想的に言うと三つとも絡めて見ていくことによって全部のいい答えが出てくれば一番いいなというような感じがあって、そっちのほうに答えがあるような感じもしているものですから、ターゲットあるいは課題を設定していくという意味で、統合的に見ていくということを模索している部分が一つあります。

 もう一つは、物事だけするときのアプローチとして、非常に同じことになっているかもしれませんが、どういうツールなり、分析あるいは解決策を見出していくかという、迫り方の問題として、環境だけじゃなくてもうちょっと経済面とか社会面から見ていくとか、あるいは経済的な手法とか社会的な手法も、従来の環境を手がけてきたものに加味していくともうちょっといい答えが出てくるかという、本当はもうちょっとありそうな感じもしているんですが、そういうものをないまぜになって統合的アプローチといっていて、我々の中で議論をしていても混在して出てくるような感じもあって、これはこの科学技術というので見ていくときにどう考えていけばいいのかなというようなこと、何か今日伺っていて、少し疑問としてわいてきているんですが、もしご示唆があれば伺えればありがたいと。

【安井委員長】 難しいです。なかなか答えはないんです。

 特に実を言うと、さっき文科省がリスク云々と言ったときに、JSTというのは結構リスクが高い。というのは、やっぱり開発でNEDOに随分近寄ったので、ALCAなんて結構NEDO的なエネルギー系というか、そういう研究をやっていて、それでどこまでなんだろうな、中間の悲しさみたいなところは、多分JSTが一番しょっているような気がする。だからJSPSは多分ほかに動きはなくて、NEDOはやり方は問題かもしれないけど、反対側にいるから問題はあまりなくてということで、環境省もだからしたがって環境というスタンスでやっている限りにおいてはそれなりに、しかし政策に役に立つというところは多分縛りになってくるというのは、まず間違いはない。だから文科省がFuture Earthに乗って、どんどん出口志向になったときに、多分若干のリスクはむしろ文科省側にあるような気がしないでもない。どうぞ。

【指宿委員】 ちょっと蛇足になるといけないかとは思うんですが、例えば、2ページで、一方で研究開発の成果を社会実装しというふうに書いてあるんですが、この民間・地方公共団体・一般国民が協働するということが重要と書いてあるんですけど、成功事例としては、日本が公害対策でそれを解決するために、やっぱり企業だけじゃなくて、もちろん政府だけでもなくて、そういうところが一緒にやったからうまくいったんだという成功事例があると思うんです。

 一方で、地球環境問題で言うと、成層圏のオゾン層問題が、科学者がフロンは危ないぞと警告したのをきっかけに、これもやっぱり非常に総合的なアプローチ、統合的とは言いませんけども、いろんな技術の面もあるし、それから、経済的な面もあって、かなり協力、協働して解決していったんじゃないかなと、そういうところから考えていくとわかりやすい解が出てくるような気も、今、議論をお聞きしていて、しました。そんな考え方をするのが一つの方向かなとも思いました。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 何かございますか。そうすると、ちょっと時間がそろそろあれなんですけど、さっき松藤さんがおっしゃっていた「持続可能」という言葉、あれがいまだに実を言うと生きているんです。

 というのは、私は持続可能はわからん、わからんと昔から言っているんですけど、例えば、地域レベル、広域、それから、国、地球というふうに、レベルによって全く話が違っているんですけど、みんな「持続可能」という言葉でまとめられちゃうんです。フィジカルにも全く違う話なんだけど。

 上の狭い領域ほどヒューマンファクターが大きい。下は物理的なファクターが大きい。それをみんな一言の「持続可能」で言うというのは、これは国際社会がそうなっちゃっているからなかなか否定はできないんだけれども、やっぱり再定義しなきゃだめなんじゃないですかと思っているんですけど、これ再定義すると、また結構大変なもめごとになるかもしれないんで、今回こういう場でやるべきかどうかは、ちょっと考えちゃっているんですけど。そんなことでございます。

 というわけで、一応、宿題として事務局は今皆さんおっしゃったことを全部メモをしてくださったと思いますので、このぐらいにさせていただきたいと思います。

 それでは、次に行かせていただきまして、ちょっと10分ほど遅れておりますが、環境研究・技術開発の推進でございます資金制度、それから、あと中核的な研究機関のことの技術環境研ということにつきましてご議論させていただきたいということでございますので、事務局並びに国環研原澤理事からご説明をいただければと思う次第でございます。よろしくお願いします。どうぞ。

【近藤室長補佐】 そうしましたら、お手元の資料4のほうで、まず研究資金制度について、環境研究総合推進費のほう、事務局のほうから説明させていただきます。

 1枚めくっていただいて、環境研究総合推進費とはということで、ここに書いていますけれども、既にご存じの方が多いと思いますけども、少し内容について補足しながら説明させていただきます。

 環境研究総合推進費、競争的研究資金制度、環境省が抱えている制度でございますけども、目的のほうは研究開発により環境政策への推進に寄与させるということで、環境政策の推進にとって不可欠な科学的知見の集積や技術開発の促進ということで、文科省の科研費等の基礎研究、こういったところと差異化しているということでございます。それから、対象分野ですけども、大きく循環型社会、安全が確保される社会、脱温暖化、自然共生型社会と、この四つにそれぞれの領域を横断的にやるとか、共通にやる、あるいは重点的に研究を行う戦略研究プロジェクトと、こういったところが対象になっております。

 特徴でございますけども、ここに書いてあるとおり行政ニーズに合致する研究開発を採択しているということで、環境省が研究テーマを提示して公募しております。それから、外部委員の評価による制度運営の透明性・公平性・効率性を確保しているといったところが特徴ということになっています。

 次のページの3ページのほうに、環境研究総合推進費の流れを少し時間軸とともに書いてありますけども、一番左下のところに行政ニーズ提示ということで、環境省の各部局の行政ニーズ提案を踏まえて、行政ニーズの検討会を審議した中身で新規公募に当たる行政ニーズというのを決定して、これを提示しながら9月~11月に新規公募を行っています。以降その審査の過程ですけども、事前審査、これは書面、ヒアリング、それぞれ11月~12月、1月~2月。それから、採択になって以降は、中間評価ヒアリングを7月~8月、これは研究開始して3年の研究ものですと2年目、5年の研究ものですと3年目といった形で評価を受けることになります。

 それから、研究が終了しましてからは、事後評価、書面評価になりますけども、3月末で研究を終えて、5月、6月、書面評価を行っていくということで、それぞれ評価委員会としては右下のところに書いていますけども、外部専門家、有識者によって構成された委員会等で審査を行うという形になっております。以上が推進費のフローでございます。

 次のページに具体的な予算とかテーマとか、こういったところを記載させていただきました。平成26年度の予算の総額としては55億1,000万円ですけども、27年予算額としては53億円を予定しております。それから、研究開発の実施のところで、平成27年度の継続研究、それから、新規研究ということで、主な分野のタイトルを書かせていただいています。

 まず、戦略的研究開発領域でございますけども、これは年間の予算約3億円ということで、研究期間5年、そのままやりますと総額の研究費として15億円程度ということで、大きな非常にテーマになりますけども、気候変動の緩和策と適応策の統合的戦略的研究、これが新しく27年度から始まったということになります。あと環境問題対応型のほうには、それぞれ書いていますけども、1件当たり数百万円から、大きいもので1億円、研究期間も3年以下というような形です。

 例えば、共通横断分野ですと、アジアの民生用エネルギー需要構造と将来予測に関するプラットホーム構築といったような形になっていますし、脱温暖化の分野でございますと、国の気候変動対策の努力度を比較・評価する新たな指標開発、こういったものがそれぞれ循環分野、自然共生分野、安全確保分野、安全確保分野はPM2.5の混合状態、粒子形状、酸化能とそのモデル予測、こういったところが具体的な研究テーマとなっております。

 次の5ページにいきまして、実は推進費のほうは昨年平成26年が5年目ということで、制度評価を実施しております。これは制度が目的どおり運営されているかとか、どういった改善が必要かといったところについて、昨年1年間、外部の委員を加えて審議いただきました。

 ここに書いてありますのは、26年度の評価報告書より抜粋した大きな中身ですけども、まず1点目、環境政策への貢献、反映を目的とした行政ニーズ主導の研究資金制度であるというのが一つの特徴です。それから、対象領域、先ほども申しましたけども、四つの分野、それから、その環境問題の統合的解析、こういったところが対象である。

 あと三つ目にトップダウン型、トップダウンというのは戦略研究のほうは、環境省がある程度、大枠のテーマを決めて、そのサブテーマを公募により選べるということのトップダウン型、それから、問題対応研究ということで、ここには若手枠も含んでいますけど、3年以下の制度と、それから、委託研究費と補助金による資金という形があります。

 それから、四つ目、PDと書いています、これはプログラム・ディレクター及びプログラム・オフィサーが配置されて、効率的な適正なプログラム運営ということで、今日4月から新しくプログラム・ディレクターになられました安岡先生に来ていただいていますけれども、PDが1名、それから、POが推進費の場合ですと8名ということで、POのほうは研究課題ごとの管理と進捗を支援するという形です。

 評価のほうは、先ほどのフローの中で説明したとおりでございますけども、課題終了から4年後に、追跡評価という形でテーマの追跡の評価も行っているということ。それから、六つ目に年1回にアドバイザリーボード会合というのを研究代表者が開催するということで、ここにプログラム・オフィサー、それから、行政担当者が参加しまして、採択の時点だけでなくて、研究中も行政とコミュニケーションをとりながら研究を行うという形をとっています。

 この制度評価のいろいろなデータは、この資料のページの14ページ以降に、いろいろ出させていただきました。例えば、15ページですと、実施課題の規模、戦略プロジェクトで、平成25年度でいくと15億円、問題対応で19億円、こういったデータを次のページの年間研究費、これは1課題当たりどれぐらいの平均研究費であるかとか、所属機関とか、後ほどここでは詳しく説明しませんけども、いろいろご審議いただく中で、この辺のデータも参考にしていければなというふうに思います。

 それから、次のページ、6ページにいきまして、推進費の制度的課題と対応、これ制度評価の中で提言という形で出されたものが左側に書いております。

 まず、行政担当者とPOの役割ということで、研究者と行政担当者の間には、実は大きなギャップがありまして、行政担当者はそんなに研究の内容を理解していませんし、研究者のほうも行政のニーズといったところを、そんなにコミュニケーションよく共有しているわけではありません。そういった中で、POが行政と研究者を結びつけるような形の役割をしていく必要があるとか、研究者が行政ニーズを理解するように導くとか、こういったところのコミュニケーションが必要じゃないか。

 それから、戦略研究のほうでは、研究構成が応募者に理解される、特に戦略というテーマとボトムアップ型の行政ニーズに対するコンペを行った研究課題と、2種類ありますので、この辺の理解をしていただくようにしないといけないということ。それから、戦略研究の実施に当たって、FS、戦略研究の候補の研究を戦略研究実施する前に行う。この辺のやり方を検討する必要がある。それから、運用に関しても推進費の中に委託費補助金、こういった過去の沿革を背負っていろいろなやり方があるわけですけども、こういったところは運用を統一して、いろんなやり方を推進費という制度の中で実施していく必要があるという形の提言が出されております。

 右側に対処方針を書かせていただきました。これ短期的な対処方針で、細かくは説明はしませんけども、行政担当者、例えば、POの役割ですと、行政ニーズ選定プロセスをどうやって明確化していくかとか、こういったところについて提言いただいた内容を、徐々に趣旨に沿うように制度を改善していくような取組を書かせていただきました。

 それから、次のページにいきまして、7ページでございます。研究課題の事後評価における評点の状況ということです。これは研究課題終了したところに書面審査、冒頭のページであるというふうに紹介させていただきましたけども、評価としてはSからDまでの5段階で実施しているということで、この表の一番下のほうにS、A評価の課題数比率というところで、それぞれ平成23年度39%から平成26年度52%まで挙げています。これは当初研究の目標を計画以上の成果が出たというところが、Aという形で目安になっているということです。例えば、評価Bですと、ほぼ研究計画を達成したというような、定性的な表現で言うとこうなりますけども、上位二つが大体目標が60%以上と設定していますけども、実際には平成26年度でも52%程度という形になっております。

 それから、次のページにいきまして、研究開発成果の環境行政への反映状況ということがあります。これは追跡評価、研究課題終了後4年後に、研究者にアンケート調査をしたところでございますけども、それぞれ平成24年度ですと50%、何らかの形で行政に施策として、あるいは今後反映見込みであるといったものを足して、50%前後、あるいは平成25年だったら36%、こういった比率で環境行政に何らかの形で貢献しているという資料でございます。

 それから、9ページにいきまして、例えば、どんな事例がありますかというのを、推進費による環境行政の反映というところで記載させていただきました。二つしか選んでいませんけども、日本のPM2.5とオゾン補正に関わる全球的な汚染源寄与を解明といったテーマが上がっていまして、これはPM2.5の関東以西での国内の寄与が20~50%、中国大陸から来るものが40%~60%、こういった大気汚染源の原因となるところを明快にして、削減のための施策への貢献、知見の集積、こういったのが環境行政に反映の一つの事例です。二つ目もREDD+推進のための技術的な支援を行って国際的に貢献ということで、この研究で得られた成果はREDD+のための技術解説書、「REDD-plus Cookbook」ということで、世界で広く利用されていると、こういった事例が環境行政に貢献ということでございます。

 それから、次のページにいきまして、研究開発成果の社会実装の状況でございます。これは先ほども社会実装とか行政貢献と、広義的には同じところに含める事例もあるとは思いますけども、ここでは区分していまして、研究成果が何らかの形で実用化あるいは実用化見込み、こういったものをアンケート調査しています。それぞれ平成24年度に半分の50%が社会実装されています、あるいは見込みですよということで、このグラフだけを見ると、徐々に下がっているようにも見えるんですけども、平成26年度、34%ということで、概ね3分の1から2分の1ぐらいの研究テーマが、何らかの形で社会実装しているというようになります。

 11ページに、じゃあどんな社会実装の例がありますかということで、2点だけ記載しております。一つは廃棄物の処分場や不法投棄現場、震災廃棄物の仮置き場等における安全性確保ということで、斜面崩壊のおそれを簡易に調査・評価する方法を開発・提示したということで、仮置き場等による安全性確保に貢献しているといった事例です。それから、外来種の防除に貢献ということで、駆除方法が確立されていない外来動物について、効果的・効率的な防除手法、これを開発して実用化しているということで、この結果、従来不可能であった外来種の防除を進展して、生物多様性の保全に貢献していると、こういった社会実装の事例がございます。

 続きまして、次のページに研究成果の社会実装……。

【安井委員長】 ちょっと短めにしていただけませんか。6分ぐらいオーバーしているので。

【近藤室長補佐】 わかりました。

 社会実装を促す仕組みということで、これ他府省の事例で挙げさせていただいています。研究成果だけじゃなくて、多段的に社会実装に向けた支援を実施している事例でございます。

 それから、最後の論点のところ、現状の制度の目的は適切かと、それから、目的を実現するための現状の枠組み、社会実装に向けた多段階の支援制度が必要じゃないか、戦略研究、制度の効率性・公平性・信頼性、こういったところの視点の観点から取り上げられるということです。

 事務局からは以上です。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、原澤理事から国環研の資料幾つですか。

【原澤理事】 それでは資料5に基づきまして、国立環境研究所の果たしてきた役割と次期中期計画の検討状況ということで、ご説明いたします。

 参考資料といたしまして、2月20日の会合で環境研の概要等については説明があったと思いますが、オーバーラップする部分もありますが、新しく用意した資料に基づいて説明したいと思います。

 1枚おめくりいただきまして、こちらが国立研究開発法人の国立環境研としての憲章で、2006年につくったものを2期、3期、これを憲章という形で掲げてきております。今年4月1日に国立研究開発法人という形になりましたが、第3期中期計画が1年残っておりますので、新しいタイプの研究開発法人になりつつ、第3期の5年目をやるという形での1年ということであります。

 3ページですけれども、これは現在の中期計画のミッションということで、5点書いてあります。一つは中核的研究機関であること、2番目が環境研究について8分野を設定して推進するということでありますれけども、ご存じのように2011年3月、ちょうど中期計画が始まる直前に東日本大震災がございましたので、その後災害と環境に関する研究を鋭意進めてきておりまして、2年前に中期計画に位置づけたという状況であります。

 3番目が国内外の連携をとって研究を進めること、4番目が学術研究だけではなくて、政策貢献も進めるという形であります。最後のポイントとしまして、成果を出しつつ、環境情報の提供を行っていく、そういった機能をミッションという形で掲げております。

 4ページですけれども、こちらは研究内容に関する評価です。毎年12月に外部研究評価をやっていただくということで、8分野の研究について、どんな評価を得ているかということでお持ちした資料であります。この場合は5段階評価で平成23年度(初年度)から4年度目までの評価でありまして、5点満点で、ばらつきはございますけれども、だんだん評価はよくなっているということであります。例えば、災害と環境に関する研究についても評価をいただいていると思います。その下には、評価のコメントが書いてございますけれども、比較的いい評価をいただいていると自負している次第であります。

 5ページにいっていただきまして、こういった研究評価を踏まえて、いわゆる研究所のマネジメント、全般について評価をいただくということで、毎年7月に環境省の独法評価委員会の評価結果として、継続的にはAをいただいているということであります。今年度につきましては、環境省に新しくできる評価のための委員会(審議会)で評価をいただくということになってございます。

 6ページに参ります。こちらについては既に予算、特に交付金の推移についてはお示ししていたわけですけれども、収入の構成について紹介したいと思います。交付金につきましては、GOSATとエコチルといった大きな研究事業がありますので、少し変化がありますけども、自己収入の方は競争的資金、政府業務委託が中心ですけれども、傾向といたしまして、競争的資金等が若干減りぎみで、一方政府業務委託が増えているということで、トータルはそれほど変わりません。また第2期中期計画に比べてもほぼ同じようなレベルであるということであります。

 次の7ページでございますけども、産官学連携など、環境研における橋渡し機能ですけれども、1番目が産官学連携の推進ということで、共同研究については企業18件等々が進んでおりますし、受託研究、交流協定、これは大学の場合は連携大学院の場合ですけれども、20件ということです。これは業務実績報告書といったものをもとにしましたので、平成25年度の実績になります。2番目が、外部との連携を図りつつということで、連携研究グループをつくったり、240名に及ぶ客員研究員の方と一緒に研究をしたりということを進めております。あと3番目ですけども、環境研究機関連絡会を設置して、主導的な役割を果たしてシンポジウム等を行っておりますし、4番目ですけども、基本的には基礎から応用までの環境研究をシームレスかつ総合的・学際的に推進し、社会実装研究も実施ということで、この辺は一気通貫の研究を進めてきております。

 8ページに参ります。社会実装の一つの例といたしまして、福島県新地町と協定を結びまして、大震災以降の復興まちづくりにこれまでの研究成果を生かしつつ、まちの中に入りまして、いろいろなことをやっているという例でお持ちしたものであります。まだ新地町だけですけれど、こういった形の社会実装をやりつつ、研究を進めているというプロジェクトの例です。

 続きまして9ページ、若手・女性・外国人研究者支援ということで、細かな点になりますけれど、若手研究者につきましては海外派遣制度を使って、毎年1~2人が外国研究機関に行って勉強してくるという話とか、新しい研究課題を見つけるというようなテーマで、所内公募型の研究も進めております。こちらについては中期計画始まって以降、やはり新しいことにチャレンジするような研究を進めていることが特徴と思います。あと女性研究者、外国人研究者の研究しやすくなるような環境をつくるということを書いてございます。

 10ページに参ります。地方環境研究所との連携ということで、新しく国立研究開発法人では「連携」が非常に大きなキーワードになってまいりますが、環境研といたしましても、地方環境研と、これまでも密接な関係で共同研究を進めてきております。上のほうにタイプがございますが、Ⅰ型共同研究といいますのは、環境研と地環研の研究者が予算を持ち寄って進めるような共同研究、例えばWETの排水リスク評価を進めております。

 Ⅱ型共同研究は、多数の研究機関を巻き込んだ形で進める研究でありまして、8課題162機関が関わっているということであります。具体的にはPM2.5の短期的/長期的な研究です。こういった研究ネットワークと研究の蓄積がございましたので、2年前にPM2.5が社会問題になったときも、すぐこういったネットワークを活用して、かつ研究知見を生かした形での対応ができたということがあります。

 その下にありますのが全国環境研協議会で、こちらについては67機関との連携を進めているということであります。毎年1回シンポジウムをやっておるわけですけども、今年は「湖沼・沿岸海域の水質と生態系の観測・監視・評価」という形で、毎年テーマを決め、こういったシンポジウムで意見交換をしているという状況であります。

 11ページに参りますが、地方環境研究所との共同研究の具体例ということで、これは先ほどご紹介したPM2.5の例でありまして、単に各機関が集まって議論ということだけではなくて、この場合は57機関が集まっておりますけども、それぞれの課題ごとにワーキンググループをつくって、本格的な研究を進めております。ワーキンググループは、まだ始まったばかりなので、成果は少し時間がたってからだと思いますけれども、こういった形でネットワークを生かしつつ、地域に根差した研究も進めているということであります。

 12ページに参りますが、国際連携、先ほども国際研究という話がありましたけれども、環境研はそういった国際的な研究をずっと続けてまいっております。特に新しい研究を進める際の芽出しですとか、キャパシティ・ビルディング等を進めるために、こういった国際戦略調整費を設けて、予算をつけながらやっているという話が1.であります。2.は研究活動ですが、GCPオフィス(グローバルカーボンプロジェクト)でありますとか、インベントリオフィス等々、事務局的な機能を持つような研究プロジェクトを進めているということであります。GOSATに関連しましては、23か国、85件の研究が、この時点は25年度ですけども、進んでいるということであります。

 3.は、国際機関の活動への参加ということで、IPCCをはじめ、さきほどご紹介があったIPBES、またCOP20等にもサイドイベントや広報を毎年やる形で、研究成果の周知、あるいはそういった新しい課題を取り込むこともやってきております。以上が国際連携でございます。

 続きまして、13ページは次期中期を今、どう考えているかということでございますけども、具体的に言いますと、平成25年9月ごろから次期中期についての検討を行っております。図の真ん中の平成26年4月、昨年度ですけれど、いろいろなテーマに絞り込んでワーキンググループをつくって検討しているということであります。

 真ん中より下のほうに、研究開発成果の最大化に関する検討ワーキングということで、これが新しい独法に課せられた課題だということで、具体的にどうするというような議論をしております。まだ今検討中でありますので、戦略と歩調をあわせながら検討を進めているということであります。今年度に入りまして、さらに検討を進めていることもありますので、ちょうどタイミング的には、こちらの推進戦略が出るころにほぼ中期計画の中身が固まるという時点ですので、内容については勉強させていただくという形になってございます。

 それでは14ページに参ります。あと時間もないので研究開発成果の最大化のポイントということで、この辺が一番頭が痛いところではすが、過去の蓄積も生かしながら進めていくということで、研究レベルの一層の向上、これは研究所としては当たり前のことでありますけども、先ほどもご紹介した基礎研究から社会実装まで、これは「繋ぐ」というキーワードにしております。また幅広い研究分野における研究者の総合力を発揮、これは「束ねる」というキーワード、さらに国内外の他機関との広い連携ということで「結ぶ」、さらに進むべき方向を示しながら引っ張っていくというような、そういったキーワードで検討を進めているということであります。

 15ページですが、研究所のミッションということでまとめております。現在の中期計画のミッションを踏まえた上で、研究開発成果の最大化にまとめ上げるというところから議論を始めまして、基本的には各研究分野を対象にするとか、基礎から政策貢献、社会実装までシームレスな研究を行うといったようなことを繰り返しになりますけれども、そういったものを重要視しているということであります。さらに一番最後には情報発信・提供も、今まで以上に重要ということで、かなり議論をしております。

 その結果が16ページの情報発信力の強化のための方策ということで、環境研究に一番重要なモニタリングのデータですとか、そういったデータをいかに活かしていくか、もちろん研究に活かすという方向と、それをもとに科学的な知見を得て政策に活かすということです。データもオープン化が期待されていることもありますので、現段階でどんなデータがあって、どう活かしていくかという議論も、ワーキンググループをつくって検討してきたということであります。

 下のほうには、セキュリティーの問題とか、技術的な問題がありますけども、データベースあるいはデータを提供するに当たっては、そういった点もよく検討していかなきゃいけないということで、記載しております。

 次の17ページでございますけれども、ちょっと複雑な図でありますが、左端に現在の推進戦略の項目立てを書いております。真ん中に研究所が進めております研究プログラムと、研究分野を書いておりまして、右端に環境省の政策体系を書いてあります。ほぼ推進戦略にも対応した形で研究を進めているということでありますし、環境省の政策体系にもほぼ対応した形で進んでいるという理解をしております。今後こういった関係性も検討しながら、中期計画を詰めていくということにしてございます。

 18ページに参りますが、基本方針ということで、基本8分野についてはこの分野分けでいいんではないかと、それに加えて災害環境研究、計9分野を次期中期でも進めるということでございますし、より社会ニーズに対応した実行可能・有効なソリューションにつながる研究を進めようということです。

 その検討中の構想というかミッションを、19ページに書いてございます。こちらについては読ませていただきますと、組織の体制としては、ほぼ8センター構想でやってきたんですけども、研究のほうが少し変わってくるということで、一部改組を検討しております。災害環境研究グループについては既にご紹介があったと思いますけれども、平成28年度に福島県環境創造センターができまして、そちらのほうに福島支部として新しい組織ができます。災害環境研究をしっかりやっていくということであります。また研究プログラムを現在の5つの重点研究プログラムと5つの先導研究プログラムの計10個あるということで、若干多いということもありますので、6つぐらいにまとめる形にしたらどうか。その際、低炭素社会ですとか、3社会統合といったような、こちらで議論されているようなキーワードが重要になってくるんではないかと思います。

 それとGOSAT、エコチルなど、これまでは研究と表裏一体となって進めてきた事業型の研究もございますが、こちらについて研究事業連携部門という形でつくっていったらどうかというような議論が進んできております。

 あと研究の例をいくつか持ってきたんですけれども、20ページは「統合モデル」ということで、これは20年来環境研が進めている研究でありまして、もともと統合評価モデルというもので、こういったモデルの開発をいたしますと、いわゆる政策のいろいろなシミュレーションができる。先ほど来ご議論があった統合といったようなときには使えるということで、これについてはまた次期中期でもさらに進めていくという予定でございます。

 21ページにつきましては、水循環研究例ということで、これは水循環基本計画が今策定中ということでもありますので、そういった中で研究テーマも出てきておるわけですけれども、こちらについてもグローバルでありますけども、水循環の研究を進めているという話であります。

 22ページが個別技術の開発ということで、具体的に言うと環境技術についても進めております。さらに計測技術、モニタリング技術、モデリング技術、水処理技術など、環境技術といってもかなり幅広に捉えておりますけれども、そういった形で今後とも研究を進めていくということになりますし、実証とか社会実装といったところにもつながるような研究になっていくと思っております。

 23ページ、最後でございますけども、イノベーションとはという話で書いてはみたのですけれども、なかなかこの辺が難しくて、一応今の段階ではかなり幅広に捉えてイノベーションを考えていく、さらに幅広に捉えて橋渡しも考えていくということで検討しておりますし、具体例として先ほどご紹介したような新地町の例を挙げましたけれども、やはり地元に寄り添う形での研究というのも今後進めていく必要を考えている。

 大体環境研の果たしてきた役割と次期中期の検討状況ということで、ご紹介させていただきました。以上でございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。それでは吉川さんどうぞ。

【吉川室長】 時間も押していますので、端的に。

 資料6を見ていただきます、開くと2ページと3ページが出てきますが、独法改革が行われまして、新たな国立研究開発法人という仕組みができたんですが、ポイントは原澤理事からも何度もおっしゃっられましたが、研究開発成果を最大化するというのを、国立研究開発法人の目的にした。それから主務大臣の関与を強化して、政策と密着した任務を行うことになっております。

 ただその手段として、3ページにあるようないろんな取組をしていこうということで、具体的には1枚めくりまして4ページ、5ページになりますが、4ページにありますような人材の法人と大学、あるいは企業との間の流れをよくしようということで、例えばクロスアポイント制度を導入していこう。それから5ページにありますような橋渡しというのをやっていこうと、大学や企業との間をつなぐ役割もする。まずは産総研とNEDOにおいてそういう取組が先行して進んでおりますが、それぞれの独法の機能、特性に応じて順次他の独法でもそれを展開していくということになっておりまして、国環研におきましても、先ほど理事からお話ございましたように、研究成果の最大化とは国環研にとって何か。それから国環研らしい橋渡し機能とは何かにつきまして、ご議論、ご検討いただいているところでございます。

 以上です。

【安井委員長】 ありがとうございました。あとあまり時間が残っていない、15分ぐらいしかないんですけど、どこからでも結構でございます。ご意見をいただければと思います。何かございますでしょうか。特にコメントがなくて困りますので、ちょっと時間をつないでいます。

 原澤先生のご説明の中で、例えば17ページ、大学同士をつなげるとおっしゃっていただきましたが、この真ん中が国環研なんですね。中期計画があって、それでグループプログラムがいっぱい書かれておりますが、プログラムのところから矢印が何本前のほうにつながっているかと見ると、1本しかつながっていないのが三つあるんです。こういう例えば統合的アプローチというものをやれというような話になってしまうと、こういったところはかなり苦しいということになりますかね。

【原澤理事】 統合的アプローチ、さっきご紹介したのは温暖化の分野の統合的なアプローチになりまして、例えばそれとリスクとの関連とか東アジアとの関連とか、その横のつながりという意味では、いわゆる統合、分野横断、あるいは横の連携みたいな話というのがあって、ちょっとその部分は簡単に書いたんですが、具体的にはもう少し参考資料の25ページに、今8センターがございまして、それぞれが各分野を担当するというような話で、その横にございますのは青が研究プログラムという形で、かなり線が入れ込んであったりするわけですけども、そういう意味では環境研の一つの特徴として、いろんな分野の研究者がいると、その中で先ほど来出ました人文社会系が、少し人数が少ないということがあるんですけども、そういう意味では各分野、あるいはセンターを越えた研究活動をやっているということであります。17ページ、今ご指摘のあった簡単な線というのは、ちょっと簡略化して書いたということでありますが、以前に比べると研究所内の各分野間の連携は進んできているんではないかなと考えておりますし、またそういうような方向で、例えば三社会統合といったような温暖化と循環型と自然共生など、これはそれぞれの分野でそれぞれやりながら、統合というような形の新しい研究のアプローチが必要かと思います。ただ言うは簡単でなかなか難しい課題だと思いますが、新しい国立研究開発法人としてはやっていかねばならない課題と考えております。

【安井委員長】 なるほど。ありがとうございました。どうぞ谷口委員。

【谷口委員】 筑波大の谷口守です。筑波大で連携大学院で大変に普段からお世話になっておりまして、この場をかりて感謝申し上げたいと思います。筑波に国環研いてくださることで非常にプラスになっているなということで、日ごろから大変ありがたく思っております。

 あとちょうど17ページが出ているので、やっぱり国のこういう機関としては、政策評価体系として研究されていることは、対応しているということには書かざるを得ないとは思うんですが、どの研究機関の方も、今やっぱりかなりお忙しくて、ちょっとフリーに国の政策評価とは関係ないようなことを自由にやれるような部分というのは、本当はあったほうが将来的には国の政策につながるような感じがしていて、そういうことが若干国の政策評価に縛られている部分があるんじゃないかなというのは、ちょっと気になったところです。

 あとこれは全く個人的な希望なんですけれども、特にAIMとか、そういうモデルをやられたときに、国環研の藤田社会環境システム研究センター長とも話をさせていただいて思ったのは、都市とか交通とかの分野でかなり苦労されているみたいで、先ほど森本先生もおっしゃいましたけれども、もし可能性があるならば、そういう分野にもっと展開していただければありがたいなという個人的希望を持っているということです。すみません。

【安井委員長】 どうぞ。

【原澤理事】 国に縛られているという表現……。

【谷口委員】 すみません。僕の言い方が悪かった。申しわけない。

【原澤理事】 いえ、最初にお褒めの言葉、どうもありがとうございました。次期中期では、やはり国のいろいろな施策が動いていて、科学技術基本計画とか環境基本計画とか、そういう意味でここはニーズに対応した研究という、そういう意味合いもあって、体系図を書かせていただいたんですけれども、これを見ていただくとやはり地球温暖化から、放射性物質はちょっと特殊ではありますけども、そういった形で社会ニーズをある程度代弁する形で国の政策が進んでいるということであるならば、やはりそれに対応した研究をしていく必要があるだろう。

 ただ先ほども紹介しましたけれども、基礎研究とかモニタリングとか、やはり環境研究として非常に重要なフェーズの研究もあったりするんで、そこは大事にしていかないといけない。一方では実装とか実践というようなキーワードが出てきたので、その分非常にスペクトルが広くなってきて、限られた人数で本当にそこまでできるかとなると、不安なところがあるんで、そこは筑波大の谷口先生や、いろんな分野の研究所の方々と連携をとりながら進めていくことが必要と思います。

 都市の話は、おっしゃるとおりまだグループが小そうございまして、ただ福島ではやはりそういった都市レベル、地域レベルの研究が必要になってきておりますし、交通も少ないながらも研究者がいたりしますので、この辺については今後しっかりと連携をとりながら進めていくことが必要と思います。それらが全部合わさって総合的に都市の環境になっていくんだと思いますので、その辺についてはまたいろいろご助言、ご支援いただければと思います。

【安井委員長】 ほかに何かありますか、どうぞ。

【荻本委員】 なかなか分野の広い世界だなというのを本当に思いまして、何をやっているかということも本当に大切なんですが、何がやられていないのかということが見つかればいいな。それはないものを見つけるのは大変なので、やはり国外を含めて一流の同業者が、どういうところに目をつけてやっているのかということで、それをやっているからいいというわけでもなく、やっていないから悪いというわけでもないんですが、そのようなレビューをする仕組みというのをつくってはどうかというふうに、国環研さんの資料については思いました。

 それと、また同じ話ですが、総合推進費のほうもやはり何人かの場をつくれば、その場に合ったものをとりたくなるというのは、これはそのようにしておいたらそれでいいと言えばそれまでなんですが、何が足りないのかというものをフィードバックするというのは、とても大切じゃないかなと思うんです。

 最後に、すみません、1点だけ。さっきも私もAIMモデルというのは大変すばらしいモデルだと思っているんですけれども、だんだんやってくると巨大なものになって、なかなか維持運営が難しいというのも事実だと思いますので、こんなにいいんだと言わず、ここが足りない、先ほどありましたけど、ここがまずいというようなもので予算をつけたり、人員を配置したり、そんなようなことをやっていただければいいかと思います。

 以上です。

【原澤理事】 どうもありがとうございます。特にレビューで足りないものを探すというのは非常に重要と思っています。何となくこれを見ると、対応している感じもするんですけど、細かく見ると先生がおっしゃったみたいなところがあるんじゃないか。

 特に国際的にということで、この8月には、外国人研究者による研究評価をやろうということで、今その準備を進めております。これまでも来所した外国の研究者にいろいろレビューをいただいて、ご指摘いただいてます。その中には、例えばゲノム解析が弱いんじゃないかということで、そこについてはここにいらっしゃる高村委員を中心として、環境ゲノムについて次期中期ではしっかり考えていったらどうかというような検討もされておりますので、まさにやっていないことについて、少し目配りをしつつあるということであります。

 あとAIMのモデルは、もう20年やっています。やることがなくなるんじゃないかという感じもするんですけれども、ただいろんなレベルのアプリケーション(応用)があって、グローバルから福島県に適用できるような地域AIMモデルをつくったり、あとはグローバルですと水だけじゃなくて食料とか、さらに環境、安全保障みたいな、そういったところにもアプリケーションできるようなモデル化というのはあります。ただ、若い人がモデル研究をやると、なかなかモデルでは論文書けないようなところがあったりするものですから、悩ましいところではあるんですが、ただ政策ツールとしては非常に有用なので、統合化、あるいは総合化といった意味で、非常に重要な位置づけは、次期中期も変わらないんではないかと考えます。どうもありがとうございました。

【安井委員長】 どうぞ。

【高村委員】 すみません、OBとして発言させていただきます。統合化をこれから図ることですとか、ソーシャルサイエンスの部分を入れ、出口を意識し、実装するということが要求されると、研究のプログラムの実施自体に、大変大きな努力が必要になると思います。一方で第5期科学技術基本計画に書いてございますように、やはり先行きの見通しが出しにくい、大変革時代を先導する人材、知能、基盤の強化というふうなことは重要で、推進費が3年ないし5年ですが、国環研はもう少し長期的に考えた研究、若い研究者がぜひここで研究をやりたいと思い、意欲的ないい人材が来る魅力的な研究所に、環境省のほうにもご理解いただいて、国環研の研究を展開させていただきたいというふうに考えています。

【安井委員長】 お返事なしでいいですか。

【吉川室長】 そうですね、まさにここがそういうリンクするかと思いますので、ご意見を皆様からいただいて、それを答申に反映させつつまた予算や次期中期に反映させていきたいと思います。

【安井委員長】 環境省が支援するというよりも、多分それこそ独立行政法人という、「独立」がちょっと今回なくなっちゃったんですけど、独法だからできるはず。もっと全体金よこせというのはどうか難しいかもしれないけど、それはなるはずです。

 私もちょっと一つだけ質問があるんですけど、申し訳ないですけど事務局がつくられた資料を読んだんですけど、論点という13ページ、現状の制度の目的が適切かというところに、科学的真理の究明というのが書いてあるけども、これの意味がよくわからなくて、環境行政の貢献から科学的真理の究明に至る全領域カバーというつもりで書かれているのか、何なのかちょっとよくわからない。

【吉川室長】 直接的には環境行政への貢献があるんですけれども、この研究という意味の貢献では科学技術の真理の究明ということも、一つの要素としては成り立つかなということで書かせていただきました。

【安井委員長】 多分文科省との研究の差別化という意味から言うと、これはあまり書かないほうがいい。

【吉川室長】 そうですね。推進費の公募要領やパンフに載せている事業目的ではこうは言っていなくて、研究開発によって環境施策の実施に寄与するんだと、目的を規定しています。成果の評価のときには科学研究として意味があるかと、成果が役に立つかをフィフティ・フィフティで見ているので、そこら辺の意味合いでちょっと提起をしてみたんですが、ご指摘の趣旨はわかりました。

【安井委員長】 ですから、科学的真理が追及できている人がやる研究というのが重要なので、それは別途見ていただくというのは研究者の能力として。だけどやっぱりあくまでも「科学的真理の究明」と書くと文科省の研究と同事業で、差別化をせっかくやろうとしているのが、これで一発でぶっ壊れちゃうような気がする。

 研究というのはやっているうちに、必ず真理の究明ができちゃう部分というのがあって、結果として出ちゃうのはしようがない。その結果として出ちゃったやつは、それは有効活用するのもこれしようがないというか、それは当然のことなので、JST辺りでも結構やっている、ターゲットがしっかりした研究でも、科学的真理が出てきたら、それはある種のアウトカムとして尊重するというのは当たり前な話なんで、わざわざ書くことはないと私は思います。

 あと何かございますか、どうぞ。

【安岡PD】 すみません、一つ。私のほうからお願いをさせていただきたいと思います。

 先ほどPDという立場よりも、それまでFuture Earthに関係していた立場として、お話しさせていただきましたが、PDとしてぜひお願いしたいのは、今安井先生がまさにおっしゃったとおり、地球推進費というのが、幾つかのインターフェースもございますが、一つはもちろん文科省の研究費です。もう一つは環境行政そのものです。研究費ではありますが、行政の費用として使ったらどうですかというような話が片方で出てくる可能性がありますので、ここではぜひ、行政ニーズに資する研究ということの意味づけというのを議論していただきたいと思います。

 行政ニーズは必ずしも短期的なものではなくて、長期的なニーズとしてあるはずです。ここの部分をきちっと書き込むことによって、ある程度の基礎研究までできます。IPCCへの貢献というのは私は長期的な行政ニーズだというふうに思いますが、そこにもぜひここで理論武装していただいて、私ももちろん協力させていただきますが、そこの部分もぜひお願いしたいなというふうに思います。以上です。

【安井委員長】 すみません、どうも遅れておりまして、そろそろ終わらなきゃいけないんですけど、何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それではちょっと早目でございますが、次の最後でございまして、最後は今後の予定、その他でございますが、今後の予定、お願いします。

【嶋田調整係長】 本日、ご議論いただきましてありがとうございます。

 最後に資料7でございます。今後の予定を記載しております。本日4月20日の委員会でございました。次回第15回でございますけども、6月2日火曜日の16時~19時、3時間でお願いできればと考えております。

 この場で、新たな推進戦略のたたき台についてご審議をいただきたいというふうに考えておりますが、この間5月の間にも、ちょっと委員の皆様ともご相談をさせていただいてということでお願いできればと思っております。また取りまとめの時期なんですけれども、6月2日の後、もう一回程度と考えています。当時は6月の下旬予定しておりましたが、ちょっともろもろ事情がございまして、7月にずれ込む見込みなっております。また委員各位におきましては、日程調整等させていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。

【安井委員長】 ありがとうございました。それでは、もう最後のまとめでよろしいですか。

 ということで、今日ご議論いただきまして、多分事務局は相当悩んであの作文をすると思いますので、ひとつまたご協力をお願いしたいと思います。では室長。

【吉川室長】 本日はどうもありがとうございました。先ほど説明ありましたとおり、これまでの議論を踏まえまして、これから早速書いていく段階でございますので、またいろいろご意見をいただきながら、案文していきたいと思います。

 本日の議事録ですが、また同じように後日確認いただきまして、ホームページに公開する流れになりますので、よろしくお願いします。

【安井委員長】 ありがとうございました。それでは、これで閉会とさせていただきます。