中央環境審議会総合政策部会 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第10回) 会議録
日時
平成22年4月8日(木)15:00~17:06
場所
環境省第1会議室
議題
環境研究・環境技術開発の推進戦略の改定について
配付資料
資料1 | 新「環境研究・環境技術開発の推進戦略」の考え方 |
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資料2 | 新「環境研究・環境技術開発の推進戦略」における重点課題(案) |
資料3 | 中長期的に実現すべき社会のイメージ・重点課題(各WGにおける検討結果) |
資料4 | 研究・技術開発の推進に当たって留意すべき事項 |
資料5 | 新「環境研究・環境技術開発の推進戦略」構成(案) |
資料6 | 新「環境研究・環境技術開発の推進戦略」の改定に係る今後のスケジュール(案) |
(机上配付) | |
参考資料1 | 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会委員名簿 |
参考資料2 | 環境研究・環境技術開発の推進戦略について(平成18年3月中央環境審議会答申) |
参考資料3 | 環境研究・環境技術開発の推進戦略の実施方針の総括フォローアップ結果(平成21年9月) |
参考資料4 | 第三次環境基本計画の進捗状況・今後の政策に向けた提言について (平成21年12月中央環境審議会)抜粋 |
参考資料5 | 平成22年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針 (平成21年10月総合科学技術会議) |
参考資料6 | 新成長戦略(基本方針)~輝きのある日本へ~(平成21年12月閣議決定)抜粋 |
参考資料7 | 超長期ビジョンの検討について(報告)(平成19年10月)抜粋 |
参考資料8 | 総合科学技術会議 アクションプラン関係資料 |
参考資料9 | 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第9回)議事録(案) |
出席者
- 委員:
- 安井至委員長、鈴木基之委員、大塚直委員、岡田光正委員、中杉修身委員、西岡秀三委員、指宿堯嗣委員、藤田正憲委員、三村信男委員、山口耕二委員
- 環境省:
- 白石総合環境政策局長、三好大臣官房審議官、川上総務課長、秦環境研究技術室長、東調整係長、金井係員
議事
【秦室長】 皆様こんにちは。それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会総合政策部会環境研究・技術開発推進戦略専門委員会を開催させていただきたいと思います。本日、森本委員からご欠席の旨をいただいております。また、大塚委員についてはちょっと遅れておられるようでございます。
それでは議事に入ります前に、お手元の配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
(資料確認)
では、以後の進行につきまして、安井委員長にお願いいたしたいと思います。
【安井委員長】 それでは、本日もよろしくお願い申し上げます。
本日の議題は、そこにございますように一つでございますが、前半・後半と二つに分けて進行してまいりたいと思っております。背景でございますが、WGが一通り開催をされまして、そしてその重点課題の内容につきまして、ある程度の案が上がってきたという状況でございますので、これについて簡単な説明を事務局からしていただき、1時間ぐらいのフリーディスカッションをする、これがメインでございます。その後、推進戦略のまとめ方に関しまして、研究開発を行う上での留意事項であるとか、あるいはまとめそのものの全体の構成等につきましても議論いただきます。それが後半部分の20~30分ぐらいです。このように議事を進めてまいりたいと思っております。
それでは、初めの前半でございますが、重点課題につきましてWGの議論の結果を踏まえまして、事務局側から整理をしてご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【東調整係長】 (資料1~資料3について説明)
【秦室長】 すみません、ちょっと3点ばかり補足説明をさせていただきたいというふうに思います。
まず1点目でございますけれども、今回お出ししているこの資料2でございますが、そのベースとなりますのは、先ほどご紹介申し上げた総合科学技術会議のアクションプランへ打ち込んだ資料、これをベースに各WGにおいてご議論いただいたという格好になっております。
この総合科学技術会議のアクションプランを打ち込んだ資料でございますが、これは省内の各部局と調整をいたしまして、政策的に重要だと思われる項目についてピックアップし、なおかつそれぞれに対応する技術開発として、どういうものが要るんだろうか、必要なんだろうかということを整理した上で、4領域ごとのWGにお諮りをして、ご議論をいただき、その成果を取りまとめたのがこの資料2ということでご理解をいただきたいというふうに思います。
それから2点目でございますけれども、資料2のIIで領域横断という領域がございます。ここの考え方なんでございますけれども、複数領域に関わるものにはいろいろあるわけでございますけれども、複数領域でいずれの領域のウェートも大きいということが一つの考え方としております。
例えば環境対応車といった場合には、もちろん騒音を抑えたりだとか、あるいは排ガスが少なかったりといったようなことはあるかと思いますけれども、主に温暖化関連のウェートが大きいだろうということで、そういったものについては温暖化関連のところに入れております。従いまして、この領域横断で挙げさせていただいたテーマは、いずれの領域にもウェートが大きいと、なおかつ課題として重要なものといったものを挙げさせていただいたところであります。
それから3点目でございますけれども、重点課題、左から二つ目の欄でございますが、全部で18課題ということでございます。今後のフォローアップにつきましても、また後で出てまいりますけれども、この重点課題ごとにフォローアップをしていくというのが合理的なのかなというふうに思っております。サブテーマとして[1][2]というふうに挙がっているのは、これは数えると全部で50ちょっとございまして、再掲されているものもあるので、全部で50ちょっとなんですが、このサブテーマにつきまして、環境に関しての動きは、非常に今、早くなっておりますものですから、いろいろここ2、3年でまた動きも出てくるだろうと、プライオリティが変わったり新しいものが入ったりと、いろいろ出てくるだろうということも想定いたしまして、この重点課題、18ごとのフォローアップという形で進めていきたいなというふうに考えております。
補足は以上でございます。
【安井委員長】 ありがとうございました。まず議論に入ります前に、WGの座長をお務めいただきました各委員に何か補足をいただけたらと思います。なければないでよろしいんですけど、どなたかございますでしょうか。特に今この段階でなくても、それは可能でございますけれども、この段階の方がよろしければ伺いますが、よろしゅうございますか。それじゃあ、また何かあればまた後でということにさせていただきたいと思います。
ご説明いただきましたが、今日のアウトカムといたしましては、資料1でいろいろと中期的・長期的なイメージがまとまっております。これがまずいいのかと、こんな帰結でいいのかと、こういうものが足りないんじゃないか。それから資料2が具体的に戦略の方のベースになるものでございますので、大体議論の大部分はこちらにいくかなと思いますが、資料2においてこんなものが抜けているとか、こんなものが入っているのはおかしいとか、そういったようなご議論になるか、あるいはもう少し全般的なご議論になるか、あるいはもっと一般的なご議論になるかわかりませんが、資料2を重点的に、資料1にも目配せをしていただいて、ご議論いただきたいと思います。
ということでございます。特にどこからということもございませんので、どうぞ何かございましたらお願いします。どうぞ岡田委員。
【岡田委員】 各WGのご報告という話と意見の中間ですので、ここで発言させていただきます。
私、自然共生型社会の座長を務めさせていただきました。そこで出たことで、結果的に入っているからいいんですが、環境教育みたいなものの重要性が、もともとにあったアクションプランに加えて、生態系の関連の先生から特に強調されました。理由は、地球温暖化と言えばみんなよくわかっているが、生物多様性ということがわからない人が多いんじゃないかと。テーマに入っているからいいんですが、特に2010年が終わったら、だんだんまた忘れ去られるんじゃないかという危機感が表明されました。
あと、生物多様性はどちらかというと種という単一の生物にかなり重点が置かれているように一見見られます。それに対して(1)の生物多様性の確保に対して(2)の国土・自然資源の持続的な利用、この辺はどちらかというと生態系という全体の場が入っているので、バランスとしてはいいかなということで、生態系の場という概念を少し強調させていただきました。
それであと最後に健全な水・大気の循環のところまでよかったんですが、後でよくよく考えると、ここからはWG終わった後の私の感想ですが、健全な水・大気の循環というのは、自然共生型社会に入ると同時に、下の方の安全が確保される社会、どうもこの共通の方が座りがいいのではないかというふうに思います。
それが一つと、それからもともとの資料1の例えば中期的の姿というところを見ていただきますと、自然共生型社会の中にも、それから安全が確保される社会の中にも、健全な水・大気の循環というのがなかなかよく見えない。
ただ見方によっては、健全な水・大気の循環というのは、その上にある国土・自然資源の持続的な利用と、当然のことながら深く関わっていますので、こちらに入ってもいいし、当然、国土・自然資源の持続的な利用ですと、例えば水資源の今度は安全性みたいなことで安全が確保される社会にも入るというような両面性を持ちますので、この辺の座りを例えば中間に入れるとか、整理していただくと同時に、2020年の社会のところに、「健全な水・大気の循環等」の言葉が入った方が整合性が取れるのではないかというふうに思います。内容自身で重要、重要でない議論を申し上げるわけではなくて、論理的なつながりでお願いしたいと思いました。以上です。
【安井委員長】 ありがとうございました。今の点でございますが、4.安全が確保される社会の(3)に水・大気の安全性の確保というのがあるので、これとどういうふうにバランスとるかですので、また中杉委員辺りからもご議論いただければ。
【中杉委員】 基本的には、先ほど領域横断という話になって、それを中に入れなかったのをどっちかに入れてしまっているというだけの話なんですよね。だから、資料2と資料3を比べると、整合がとれていないんですよ。資料2のような整理というのは一つの考え方だと思うんで、それを整理するのなら資料3もそれにあわせたような形で整理しないとおかしいんだと思うんですよね。
これ、どちらにするかというのは非常に難しい話なんで、領域横断というふうな形で作るのか、まさに横断というどっちか難しいところの話なんだと思います。それをどちらにするか、考え方の整理だけです。ただ資料2と資料3が整合がとれていないので、これはちょっと整理が必要です。
【岡田委員】 私が申し上げたのは、資料1との整合も若干浮いているというところがあったので。
【東調整係長】 すみません。資料2と資料3についてですが、確かに今中杉委員がおっしゃられたとおりでございまして、資料3につきましては、WGの中で領域横断的なところとして議論いただいたところについて、どちらかというとそのまままとめて入れてしまっているところでございますので、おっしゃられるとおり今後この推進戦略の取りまとめに当たって、具体的にそれぞれの重点課題に沿った形でやっていくに当たっては、この資料2に、今日ご議論いただいて、また変わってくるかとも思いますけれど、あわせて整理していきたいというふうに考えております。
【安井委員長】 そんな整理について意見があればどうぞ。
【中杉委員】 健全な水・大気の循環のところの一番上の[1]と[2]がちょっと違うんです。また性質が違う話です。[1]の部分については、まさに生物の話で、化学物質も絡むんですけど、自然共生型社会の中に入れていただいても結構かなというふうに思いますけども、そういう整理をしてしまうなら。[2]はまたちょっと性質が違う話なので、これまで入れるのかどうかというのは一つ議論があるかと思います。
それから別な話でいいですか。資料2で、ちょっと違和感があるのは重点的サブテーマ、例えば温暖化領域の(1)の[1][2][3]があって、その研究・技術開発事例の一つなんですよね。サブテーマが三つあって、研究・技術開発の例が一つというのはおかしいから、本末転倒じゃないか。逆にこれが研究・技術開発の例が、重点課題サブテーマに来て、その研究・技術開発の例が[1][2][3]じゃないのか。そうしないと、これは論理的におかしい話になる。これは他にも幾つかあるんですけども。これはあくまでも研究開発の例であれば、それはこのそれぞれの細かいものが書かれるべきだろうというふうに思います。とりあえず全体のところについてのコメントです。
【安井委員長】 どうぞ、鈴木委員。
【鈴木委員】 なんか前回と少し時間が経ったこともあるかも知れません。その辺がどうなったのかわからないんですが、前回確か安全というものは、やはり他の三つとは質が違うんだと、そういうようなことで話が進んでいたところが、これはまた1、2、3、4が並列となっており、先祖帰りをしちゃったようなところがある。従って、4.安全というのはもういろんなところに関わってくるわけですよね。前回の趣旨でも、例えば循環型社会にも関わってくるでしょうし。安全を一つの領域として主張されると、何のために前回議論したのかよくわからなくなっちゃうような気がするんですが。
それからもう一つは、資料2の表の重点課題というのは、資料3で言うと、長期的な、40年後を想定して設定してあるんでしょうね。このサブテーマというのが10年後と、そういう意味ですか。研究・技術開発例が5年の間に何をするかと、こういうふうに読み取っていいんでしょうかね。
要するに、何を申し上げたいかというと、一つは重点課題というのが40年後だとすると、本当にどういう社会を達成するのかという、総合的なプランがあって、これはまさに西岡委員のような方が考えておられるロードマップなんかとも整合性がとれていて、最終的な着地点があって、そこへ向かうために10年の間に具体的に何をするのかというようなものがあって、さらにそれをブレイクダウンして、今、当面5年間で何をするかというのがその研究・技術開発例となっている、そういう構造と考えてよろしいのかなと思って伺っていたんですけど、そうではないんですかね。
何となく全体を拝見して、バックキャストされていないんですよ。今の問題点についてただボールを投げているだけという、昔ながらのこの重点課題の作り方がこの表になっているのかなという、そういう心配がちょっとありまして、お考えになったWGの方々にぜひその辺のご議論、ご意見を伺いたいと思います。
【安井委員長】 事務局からどうぞ。まず先に。
【秦室長】 こちらで重点課題、サブテーマ、技術開発例と挙げているのは、いずれも5年後でございます。それとは別に、中長期的に実現すべき社会のイメージということで2050年と2020年というのを資料1の方で挙げさせていただいているというふうにご理解いただければと思います。あとはちょっとまだ資料間の整合性が十分取れておりません。
【鈴木委員】 整合性が取れていないわけ。こっちはこっち、こっちはこっちですか。そうなっています、ということ。
【秦室長】 2050年、2020年を見据えて5年後にどういうことをやらなければいけないかという観点でまとめたものでございます。
【鈴木委員】 いや、ですからその40年、10年ということを考えるときに、やはりきっちりとした40年後の社会目標があって、それを達成するための重点課題というようなものが決められていないと、今考えられている問題点がずらっと挙がって、それを整理するとこうなりますという感じじゃあ、ちょっと困るわけです。わかりますか、私が言いたいこと。
要するに重点課題というのは、やっぱり重点なんだから、40年後の社会に到達するためには、こういうところを重点化しなければいけないという、そういうものが先にあって、それに到達するために現状、当面10年後はこう、5年間ではこれと、こういう形って構造化されるのがバックキャスティングですよね。そういう感じではないんですかね。
【秦室長】 まさにこの専門委員会の中においても、中長期的にどういった社会を実現すべきなのかというのをご議論いただきつつ、じゃあこの5年間に何をしていかなければいけないのかという観点で、各WGの方にもご議論いただいた上でこのような形で出させていただいておるものでございます。
【安井委員長】 例えば重点課題を40年後、そのサブテーマを10年後というものでは多分ないなという気はします。やっぱりこれはかなりフラットな、べたな、現時点における課題であろうかと思いますが。その先に40年後が透けて見えているかどうかということじゃないかと思うんですけど。そこが必ずしも透けて見えないというのであれば、もう少しその辺の透けて見え方を構造的に組み込まなきゃいけないかということかと思うんですけど。どうぞ。
【三村委員】 その40年後を透けて見えるようにするというので、脱温暖化であろうと、循環型社会、自然共生であろうと、40年後のあるべき持続可能な社会を目指して、そこをはっきりさせるためにはどういう研究をしなきゃいけないかというのが全領域共通としてセットされています。個々の領域ごとの分野ごとの研究はそれが後ろについている形で、この全領域共通がセットされたというのが非常に重要だと思います。
そのときにこれを見ると、[1]から[3]までは、社会のあり方に関するものなわけです。後で大塚委員のようなご専門の方にもいろいろ意見を伺いたいと思うんですが、人間がどういう活動をしているかという社会とか経済の活動のあり方に関するテーマが、[1]から[3]まであるのですが、同時にそのときに日本の国土だとか自然資源利用がどういう姿をしているかという、空間の姿が全領域共通のところにはっきり見えていないんじゃないかと思います。
例えば超長期のビジョンの検討なんかでも、2050年には人口が減って、世帯数はこういうふうになって、それで人の住む領域はどんどんシュリンクして、そのときに森林や国土利用の姿はどうなっているということが書いてあるわけです。じゃあそういうことが起こるときに、国土管理だとか、あるいは国土や自然資源の利用や、土地利用というのはどういう姿になっているべきだろうかというのは、非常に大きなテーマだと思います。そういうテーマをこの全領域共通の中に一つ立てた方がいい、その透けて見えるという意味ではそう思いました。
このテーマは今どこに入っているかというと、例えば領域横断の(3)の気候変動による生態系への影響の解明とか、あるいは脱温暖化の(1)[5]の低炭素で気候変動に柔軟に対応する国土のあり方とか、それから3.自然共生型社会の(2)国土・自然資源の持続的な利用とか、そういうところに散らばって入っているわけです。それらとどういう関係にするかちょっとわかりませんが、将来日本の人口とか社会のあり方が変化するときに、じゃあ我々はどういう姿の国土の中に住んでいて、どういう自然条件を確保しているのかということも、非常に大きな共通的な部分だと思います。
【安井委員長】 なかなか言葉としては難しいところですね、それは。どうまとめるかですが、全領域共通のサブテーマの[1]でビジョンというと、ちょっとあまりにも弱い。ですから、ビジョンというのでもないんだな。何かどうぞ。
【西岡委員】 今のビジョンという話でもないという話なんですけれども、これは資料の1の2とか3とかに40年後、10年後のビジョンが一応イメージといいましょうか、ありますよね。これがこの資料2の表のどこに当たるんだろうかと、先ほどちょうど鈴木委員のご指摘がありましたように、重点課題のタイムスパンというのは一体どれぐらい考えているんだろうかと。先ほど鈴木委員は40年とおっしゃったけど、事務局の方は5年ということで、ちょっと乖離があり過ぎるなという感じがします。
本来その間ぐらいをちょっと取って2020年ごろのイメージが、この左側にずっとそれぞれに書かれていて、それが重点課題とどういう具合に結びついていくか、それは一つ、二つ、一つのイメージに対して三つ、四つやらなきゃいけないことがあって、矢印の方向としては一杯出て複雑な形になると思うんですけれども。そういう面でイメージを持っていて、あとそれを実現していく課題というのはどういうのがあるんだろうかというような整理の方がひょっとしていいのかなと、より混乱させたかも知れないですけど。
【安井委員長】 なかなか何せ領域と時間軸、両方あるものですから、この紙の厚みの方はなかなか見えない。どうぞ。
【指宿委員】 検討に参加していて思っていたんですが、持続可能な社会というのを一つでばんと定義するのは、なかなか難しいというのがまず前提にあって、そのために、じゃあそれを構成する社会というのがどうあるのかと、四つの社会を考えて検討しようというふうになったと思うんです。
今回の作業はやはり、それぞれの個々の社会について、2020年、2050年ということで、事務局の方が整理されて出てきたもので、重点課題については5年後を目指してやるべき課題ということで、そういう意味ではそれを合意して我々作業したかなと思うんですが。今日いきなり資料2がぽんと入ったので、その前の四つの社会の関係とか、それの結果としての持続可能な社会というものが少し薄らいで見えているという。今、皆さんがご議論をされたことで、少しそれが浮かんできたかなというふうに思っているんですが。検討の順番として、どちらが時間的に可能なものなのかなという辺りを議論するべきじゃないかなと思ったんですけども。
【安井委員長】 なかなかお答えするのは難しいんですよね。結局、完成図としては一体何が求められているかというと、結局とりあえずはまたこれ5年なんですよ。ですからこの推進戦略の5年というものを書いたときに、さっき申し上げたように、その先このままやっていくとやっぱりこの前の資料1の10年にちゃんと到達するようにロジックが組まれているかどうか、ここぐらいです。それをだからどうやって担保するかというところ。それからさらに、それから先はよりぼんやりしていて見えないんですけど、2050年までそれがつながらないとは言えない程度のシナリオになっているということだろうと思うんですけど。
だから鈴木委員のおっしゃるバックキャストで2050年をある意味、今現在、日本社会を縛っているのはCO280%削減ということぐらいですよね。それでそれがある意味の目標値。それ以外の部分で、例えば産業構造がどうなっているかとか、そういうようなことっていうのは、実を言うとまだ皆目わからないわけです。
ですから、そういう状況の中で、2050年を先に議論するというのは多分、いささか難しいということになると。とりあえずこれが今、我々を縛っているであろうCO280%削減ということにこのまま行って行けるのというのが、どのぐらい見えるかじゃないかと私は個人的には思っているんですけど、皆さんもう少し別のイメージかも知れないけど。鈴木委員ももう少し多分、違うイメージだったと思うんですよね。
【藤田委員】 多分この四つの領域の持っている大きさが少しずつというよりも、実は低炭素の方があまりにも大き過ぎるので、我々例えば循環型社会というふうに言っていますけど、ほとんど取り込まれてしまうと言えば、取り込まれてしまうわけです。それが一つあると思います。
それともう1点は、我々の場合、循環型社会のWGでいろんな議論をしたんですけれども、非常に技術論、あるいは技術開発とか研究開発だけで考えると、非常にわかりやすい分野ではあるんですね。だから逆にWGなんかでまず最初に出てきたのが、かなり技術開発が蓄積されて、ほぼ、言えば見えてきたなというところまで来ているんではないでしょうかと、かなり技術としても飽和しつつあるだろうということが一つ議論されたわけです。
そうしますと、例えばその中でも、じゃあ、その技術をどう実現するのかというところがむしろこの循環型社会では求められているんだと。だからちょっと違ってくるんですね、今の話からいくと。多分、今の80%になってくると、本当にもうブレイクスルーするような技術を開発しないといけないのかも知れませんし。だけど循環型社会だけで行けば、恐らくほぼラインナップされて出揃っているし、それをどう実現するのかと言えば経済の問題と引っかかってきますので、問題が出てくるだろうなということで。多分コメントあるいはこの文章に書いていただいているのも開発をするというふうに書くんじゃなくて、強化するとか実装するとか、なんかそういうふうな言葉にちょっと変えていただいていると思います。
ただ、そこのところが我々今全体に非常に大きな問題で、10年、40年後の話をしているんですけど、ちょっと循環型社会の場合その辺のところは逆にWGではあまり十分な議論をしなかったというのは一つ言えると思います。
それともう1点、これは自然共生のところでうまく拾っていただいたと思うんですけれども、海外への環境対策技術、システムの展開というところですね。これ実は循環型社会は、本来これをもっと出すべきだったなというのを私は今、反省しているところです。恐らく循環型、特に3Rとかを含めたそういう技術というのは、非常にたくさんの蓄積を持っているんだけれども、それが必ずしも十分海外に展開されているとは言えない。それは逆にここで拾っていただいているので、ここに収まりがいいのかどうかは別としまして、少なくともこれは非常に重要なご指摘であるというふうに感じています。以上です。
【安井委員長】 恐らくWGでも、いろいろ議論のやり方が多分、前提が違ったのかなという感じがいたします。多分2050年ということを本気に考えると、恐らく場合によっては、日本国内ですべての資源が循環的に回っていて、そのエネルギーを除くのかも知れないんだけれども、それ以外の3Rに関わるような資源に関しては、場合によったら全部自国内で回るぐらいのことを言わなきゃいけないのかも知れないですよね。だから、それがこれが透けて見えるかということになってくるんだけど。どうぞ。
【鈴木委員】 もちろん、私もこれで2050年の具体的な姿が見えるとはとても思ってはいないんですけども、明らかにその時代になったときに整えておかなきゃいけないCO2は80%、これはもう当然として、それから今おっしゃったようにレアメタルを含め、資源はすべて循環していく。それから中国、海外の力がものすごく変わっていくわけです。そういう中で一体日本はどうなっていくのかという、まさに日本の持続可能な国家像みたいなものを、環境省以外で考えているところがあるのか。
要するにエネルギー戦略に関しては、資源エネルギー庁が一生懸命それに応じて多分対応してくるでしょう。だけどそれにしたって石油、化石燃料がどういう状況になっていって、原子力がどういうふうに配置されて、再生可能エネルギーがどうなっていくかといえば、これはある種の仮説を立てなきゃいけないでしょう。
でも、そういうような社会は明らかに具体的な産業構造がどうなるかということは別にして、それは後でついてくると思うんです。それは別にして、ともかく極めて厳しい状況に向かって我々は進んでいく。そのための持続可能な社会に向けて、要するにサスティナビリティを考えている構造的な部分が我が国にはないんですよ。それはやっぱり環境省がそこをいかに早く走るかということが大事だろうと思っているので、当面の問題解決みたいなものをまた束ねて、それで重点はこれですなんて言われても迫力がないでしょう。そういうところがちょっと、せっかく推進戦略とおっしゃっているんだから、個別の廃棄物処理の技術等よりも、やはりそういう意味での理念的な高い目標をしっかりと立てるべきです。
【安井委員長】 山口委員どうぞ。
【山口委員】 先生方のお話というのは、よく理解はできるんですけども、私の感覚ですと2050年、2020年のあるべき姿、こういう姿になってほしいなということで、私はそれなりの評価をしているんです。今考えられる姿としては、こういう姿になってほしいと。するとこの資料2はその姿に現時点で考えられる範囲で近づけるため、達成するためにはどういう技術開発、どういう研究開発をしなくちゃいけないよということだと思うんです。
従って、事務局の言われた重点課題では5年タームを見ているよというのが、私は現時点では理解ができるんです。結局このあるべき姿を落とし込む際に、技術的な視点で落とし込む、もしくはシステム開発の視点で落とし込む、さらには製品開発の視点で落とし込む、そういう意味でも重点課題と考えれば、確かにこんなことを鈴木委員のように今要らないんじゃないかとはおっしゃいますけれども、これはステップではないかなと、あるべき姿に到達するための現在考えられるステップではないかなと思っているんで、こういう感じではないかなというふうに私は個人的に思います。
【安井委員長】 他に、どうぞ。事務局も、適当なところで割り込んで下さい。
【中杉委員】 安全の分野は他の分野と並びが違うんじゃないかというお話がありましたが、これについては前回の最後に分科会でやるということで私がしつこく確認をさせていただいた部分なんで、独立したものとしてやるんだというふうな理解を得たので、私はその方向でやらせていただいています。別な形でやるのであればメンバーを少し変えた形でやらなきゃいけなかったというふうに思っています。
それからもう一つは、参考資料8のアクションプランで出されているものというものが、ある意味では前提にあって我々議論したということであります。例えば4.安全(1)の小児の脆弱性を考慮したリスク評価・管理に関する研究というのは、場合によっては(2)の中に取り込んでしまってもいいのかも知れない。バックキャストでどんどん戻ってくるという形であれば、そういう整理もできただろうというふうに思いますけども、でも一応、四つの項目があるということを前提で議論を始めていますので、そこら辺のところはもう一回見直すんだということであれば、この辺を全面的に見直してやり直すことが可能だというふうに思いますけれども。
【安井委員長】 どうぞ事務局。
【秦室長】 2050年あるいは2020年を見据えてということで、ここの具体的なあるべき姿というのをきっちり示していくというのは、恐らくそう短期間ですぐできるようなものではないんだろうというふうに思っています。我々としてはこれまで議論してきていただいた中で、領域横断分野というのをしっかりやっていくんだということを共通認識として進めてきたというふうに思います。
その最たるものがIの全領域共通の部分でございまして、要するに今後持続可能社会というのはどうあるべきかということを、主に研究をしていくということでございますから、ある意味長期、あるいは中期を目指した研究というのを、この推進戦略の中で内在化をしているというふうにも理解をいたしております。
従いまして、こういった全領域共通の研究の中で、そういった2050年あるいは2020年といった中長期とのリンクというのを、今後5年間でよりしっかりやってまいりたいというふうに思っております。
【安井委員長】 今おっしゃっていただいたことの理解がもし間違っていなければですが、結局、全領域共通の辺りに2050年に対する思いがこもっていると。それで場合によっては領域横断のところは2020年の辺りに思いがかなり強いと。それで個別領域は5年後だよという、そういう解釈なのかも知れないですね。
確かに今いろいろご議論していくと、思い当たる節もなきにしもあらずで、例えば領域横断のところの(2)の[3]温暖化対策製品の3R技術の開発と書いてあるけれど、実際にはこの辺りになってくると3R技術だけじゃないんだけれども、要するに超省エネ型3R技術というものを、やはり多分目指していなきゃいけないんだよね、多分ね。そういうようなことをもう少し明示的に幾つか付け加えて、特に領域横断辺りはそういう制約を強く意識したものを書き込むということなのかも知れないですね。
他に何か。どうぞ。
【三村委員】 さっきも言ったことなんですが、この1の全領域共通というのがあるのが、今回の非常に大きな特色だと思います。現在の計画を見てみたら、最初にすぐ脱温暖化領域から始まっていると。つまり個別の脱温暖化社会、それから循環型社会と自然共生社会と安全社会というのが、日本の中に四つの別の社会があるわけじゃないんで、一つにまとまったら一体どういう姿になるんだというのが、先ほど鈴木委員がおっしゃった国家像というか、サスティナビリティをどういうふうに確保するかというところだと思います。
そうすると、環境分野を超えて国の経済のあり方とか、あるいは国際的な関係のあり方なんかも含めて環境とともに研究するという領域を置くというのが、大きなポイントなんじゃないかと思います。
じゃあ下の個別領域は個別技術を開発すればいいのかですが、そういう大目標に向かって、それを社会に実装したりするときの課題は個別の領域でやるのか、それとも領域横断のようなところでやるのか、そういう点はちょっとはっきりさせる必要があるんじゃないかなと思います。
それ以外に、海外への展開が先ほどから4の安全社会の一番最後に置かれているのですけども、それも全領域共通の中にあってもいいと思います。今は[4]にあると言えばあるんですけど、もっと明確にする必要があります。そういうどの部分が全領域共通として強調すべきことなのかをはっきりさせれば、このストラクチャの中でもある程度対応できるんじゃないかと思いますけれども。
【安井委員長】 割合とソリューションを見せて下さっているような気がいたしますが。
他にどうぞ。
【鈴木委員】 前回も確か水のところで申し上げたと思いますよ。多分他の領域に関わりがない、独立したテーマなんかほとんどないと思うんですよ。ですから全領域というのは、これは理念の部分を一番でおやりになるのはいいかも知れないけれども、すべてのテーマをやはり他の領域との関連でどう考えていくのか。例えば循環型社会だって、これからはやっぱり自然資源をどう使っていくのかという、そういう循環になっていきますよね。バイオマスなんかの利用もそうですし。
だからそういうようなところの観点が、ここには全く挙がっていなくて、低炭素社会と云々というところに無理して入れれば入るのかも知れませんが、もっとやっぱりまさに三村委員がおっしゃったように森林をこれからどういうふうに管理・維持していくのか、そういう中でバイオマスをどう利用した社会がそこに作られていくのかというような、そういう視点というのはやっぱり、今からもう準備しておかなきゃいけない、そういうようなところであるとか、先ほどのコベネなんかもそういう意味では、すべてに関わってくるかも知れないし、計測にしたって安全だけで切り離して議論されるというのは、非常に違和感がありますし、海外漂着物なんかにしても、なぜ自然共生に入っているのか、非常にわかりにくい。
あともう一つ大きな特に共通するテーマとして、先ほど委員長がおっしゃった環境教育というか、ESDですよね。サスティナブル・ディベロップメントのための教育、それから国際展開、国際戦略をどういうふうに考えていくのか。そういうようなものに対する海外展開に当たっての最適化というのとは、またちょっと違うと思うんだけれども、40年、20年後だって随分変わっていくでしょう。そういう国際戦略をどういうふうにこの、こういう技術開発だから、そこでは要らないとおっしゃるのかも知れないけれど、それにしたってアジア向けの環境技術の提供であり、あるいは支援でありというようなことを考えると、その辺の変化をどうしたって無視するわけにはいかない。だから、そういうところもやっぱりきっちりと、どこかで具体化しておくことが必要なのかなという気がしますけど。持続可能なところの[3][4]だけでは、ちょっと弱いのかなという気がします。
【安井委員長】 先ほど申し上げたようなことも含めて、やはり、I.全領域共通というのはかなり国際とか、そういう要するに空間の拡大、それから及びその年限もかなり長期にわたる拡大をやっぱりしっかりカバーせいという話のようですね。ですから未来をしっかりカバーすると同時に、高領域あるいは場合によっては全領域をカバーせいと、もうアジアしかないけど、ここは。そういうようなことなのかも知れない。
あと何か改良点といいますか、改良点だらけなんで細かい点を含めて、いろいろご指摘いただければ。どうぞ。
【中杉委員】 資料3の各項目での書き方が随分違っているんで、少し整合をとらないといけないだろうなと思っているんですけど。特に、5年後に到達すべき地点・目標というところが、私が関わっている安全のところもコメントをしたんですが、十分直っていないんでなんですけれども。「何々をやる」としか書いていなくて、やるというのは目標でも何でもないんで、高度化とかいっても、どこまで高度化するか。多分、具体的には、一番望ましいのは政策なりにどこまで反映しているか、そこまでいかなくてもどこまでやっているかということを書く必要があるだろうと。文章にならないと体裁もそうですけども、もう少し書き込む必要があるだろうと。
安全のところで細かいところはまた事務局と話をしますけども、実際に安全のWGで話をしたときに、十分な事務局の方から情報がなかったために残ったものがあるんですが、実際に酸性沈着なんかの例を見ても、高度化すると書いていて、今までずっと酸性沈着の話はやってきて、改めてまた高度化するのが5年後の目標だったら重点化は要らないんじゃないかというようなことも思いますし。そういう意味では少し切り落とすものもあるかなと。
土壌の浄化技術についても、調査対策技術についても、これも非常に重要なことなんですけれども、もうかなり長いことやっていて、今さら実証するといっても、もう実証はずっとやってきているんですから、そういう5年後の目標であれば、これもすっぱり落としてしまうということが必要だろうなと思います。
そういう意味で、少し十分議論を出せるだけの、できるだけの材料がなかったために残ってしまったというものがありますので、そこら辺のところについてはもう少し整理をしたいというふうに思っています。
【安井委員長】 ただ資料3といいますのは、実を言いますとWGでの審議の過程の記録みたいな性格を持っていて、これが最終的な文書に付属してくるかどうかというのはまた別問題ですよね。
【秦室長】 現時点で資料3は委員長おっしゃられたような形で、WGでの議論の、現時点での成果ということに過ぎませんので、これについてはさらに先生方からもご議論、ご意見をいただきつつ、まとめていきたいというふうに思っています。
後でご紹介いたしますけれども、全体の答申の、特にこういった細かい話も含めて参考資料というような形で付属させたいというふうに思っていますので、それまでの間にさらに詰めていきたいというふうに思っています。
【安井委員長】 それでいいんですよね。ですから要するにこの資料3に関しては、この資料1及び2が決まった段階で、それに沿った形でリバイスされるというふうに考える。
どうぞ。
【中杉委員】 リバイスするときにそこら辺まで目配りをしていただく必要があるだろうということを申し上げて、そういうコメントをWGの後に事務局にさせていただいたんだけど、十分直っていないので、改めてコメントさせていただいたということです。
【岡田委員】 ファイナルになる前にちょっと確認しておきたいんですが、資料1の中期的、長期は大変だとしても、中期的なこの姿って、これはどちらかというと行政的な話ですよね。我々が例えばWGでやった資料2の話はアクションプラン、これも行政的な話ですよね。
ですから言いたいことは、中期的な話とアクションプランと資料2の関係が、まだもやもやしているということ。WGの議論はあくまでもアクションプランを基本的に議論としてやっていますよね。ところがこの資料1の方はアクションプランと同じじゃないような気もするところがあるため、いろんな議論が混乱したのではないかというのが非常に心配になる。これはどうするのか。例えばアクションプランをここにぽんと入れてくれば話はつくんですが、それだとこの委員会のミッションと少し違うんですが、そこのところがよくわからない。
【安井委員長】 これまた極めて微妙なところなんだけど、結局アクションプランといったって、実を言うとこれは環境省案なんですよ。
【岡田委員】 それは知っています。
【安井委員長】 従って出してしまったけど、それに責任を持つものではない。だから向こうもまだちょっと不定形状態で、形がしっかりわかっていない段階で、それをありきでやっちゃうといささかという感じじゃないでしょうか。
【岡田委員】 言い訳になりますが、作業は一応それをベースにしてさせていただきました。もちろんそれだけにとどまらない部分はあるんですけどね。多分、中杉委員も同じことをおっしゃったんで、そうだと思います。
【安井委員長】 たたき台として一つお使いいただいたという、そういう感じなんだけどね。だからそれありきではない、そこの中ということでなければいいですけどね、踏み台にしてどんどん広がっていただければそれでよかったと。
【岡田委員】 そうすると、この中期的、長期的な話とアクションプランはまたインディペンデントということね。
【鈴木委員】 ちょっと私の理解が違うのかも知れないんですけど、アクションプランというのは要するに平成23年度概算要求のためでしょう。科学技術基本計画が6月に出ていく。それじゃ間に合わないので今アクションプランみたいなものを作っていく。だから来年になれば忘れられるものかも知れない。
【岡田委員】 多分そうですね。
【鈴木委員】 これを下敷きにして、こちらのこういう戦略を立てるというの、ちょっと主客転倒じゃないかという気がするんですよね。むしろここできっちり議論したことをアクションプランに盛り込んで送ってあげるということがなきゃいけなかったんでしょうけど、時間的な考え方ですね。
【秦室長】 アクションプランに我々環境省がこれは重要な政策であろうというふうに考えて打ち込んだものをベースに議論をしていただいているだけなので、アクションプランそのものとは今回の議論は別ではあるんですね、WGでご議論いただいたものとは。
ただ、推進戦略として取りまとめていくものにつきましては、今後の科学技術基本計画等に反映すべき努力をしていくということかというふうに思っております。
【安井委員長】 ただ今のお話ですけど、次の基本計画の期間が何年になるかもよくわからないけど、普通にやれば5年ぐらいになるわけですから、ちょうどそこに5年間というタイムスコープであるこの資料2というのはできたら一致したい、一致すると環境省としてはハッピーということになるのかも知れない。それはしかしどうなんだろう、また別途打ち込むのかね。そういうことなんだろうね。だから次こちらで書いていく、今月末ぐらいまでにでき上がってくるものがまた向こう側に打ち込まれていくと、そういうことだと思っていただければいいかも知れない。
【中杉委員】 それは合意というふうにしてよろしいですか。確認ですけど。安全のところは少し整理をしたい。重点個別項目、重点課題自体から少し整理をし直したい。そういう観点であれば、それはオーケーだということでよろしいですか。
【安井委員長】 全く、じゃあそのプロセスに関しては実を言うとあまり考えていないんです。というのはWGを再度開くということを意味されるんですか。そうではないか。だから今日の議論をもとにこう変えたいとおっしゃっていただければ、まずは事務局レベルから調整してください。
【中杉委員】 ということであれば、4.安全の(1)と(2)はまとめてしまうんだろうというふうに思いますけども。要は、小児等の脆弱性についても、化学物質等の未解明な環境リスクの評価・管理及び新たなリスク評価手法の開発の中の非常に重要なテーマではあるけれども、それが独立したものではない。他とあわせるともう少し表現も変えた方がいいのかも知れませんけど。これは特に大きなテーマなので、ぼんと出てきているという、予算が大きいという意味かどうかわかりませんけども、大きなテーマなので出てきているという意味で飛び出しているというふうに私は理解をしているんですけども。
【安井委員長】 多分そうだと思いますので、その辺りの書きぶりに関しては、中杉委員と事務局で詰めていただくという感じだと。
【秦室長】 そういうことで結構です。
【西岡委員】 ちょっとまだうまくフォローできていないところがあるんですが、先ほどのお話しに戻るんですけれども、今、私のまず認識では環境ということがいろんな技術の非常に重要なキーになっているという認識は、まずはっきりさせなきゃいけないと。であるから、これから日本が例えば食っていくにしても、そういう面で技術を開発していかなければならないし、また温暖化だけの話になりますけれども、アジアの途上国に何とかいい技術をトランスファーしていかないと、この話は収まりがつかないとか、あるいは日本自身は80%であったものが25%、要するに大幅削減でいいんですけれども、そういう目標があるということをまず認識してもらうパートがあって、そしてそれじゃあ日本はどういうビジョンで行きたいからという、今幾つかお話をしたような話があって、それにどうこの一つ一つ物が結びついているかという流れのところが、今この資料1、2、3で全然おっしゃったように結びついていないものですから、なんかある見方から言うと、今あるものを並べただけじゃないかと言われる可能性もあって、それじゃ確かに私もつまらないと思う。むしろそっちの方向に向けて、それぞれがどう役立っているかということを、何かの形でつなげていただきたいなと思っております。
僕は、この資料3はまだこれからだという話ですから、あえて申し上げなかったんですが、一番最初に僕らもこれがWGで提示されたときに、僕らが狙っているのはこういうレベルとちょっと違うのかなと思ってはいたんです。だけど今の作業から行くとこういう形で行くんだろうということで、それに低炭素部分につきましては、かなりトップダウン的なところからもつながりがあるような形では書いてあるとは思いますから、ある程度、妥協しているところはあるんですけれども。ぜひやっぱり資料1と2と3とをうまくつなげてやっていただきたい。一種のこれトップダウンかも知れませんけれども、なんかこういうので日本は勝負していくんだというのを頭に欲しいなという感じですね。それにどう今の技術がつながっているかという観点でやっていただくとありがたいなと思います。
【安井委員長】 実を言いますと、本日の次の課題にかなり入り込んでいるような部分がございます。最終的な推進戦略の形ですよね。ただ今回、事務局案としてはあまり膨大な文書にはしたくないとのことです。というのは、時間的にそれを仕上げている暇がなくて、先ほど申しましたように打ち込む相手がいて、打ち込む相手のタイミングがやっぱり限られていて、恐らく4月中あるいは5月の頭までぐらいには入れなきゃいけないということになると、そんなに膨大な文書は書けないということでありまして、その辺りをどうするかということでもあるんです。
事務局的にはどんなタイムスケールをお考えかを、ちょっとこの辺りで少しリークしていただいて、それに対して対応をとった方がいい。そうすると次の議論に絡むのかも知れないので、場合によってはそれでも結構ですが。
【東調整係長】 (資料6について説明)
【安井委員長】 という説明でございますので、これにタイムスケジュールを合わせていくと。ただし先ほどの基本計画への打ち込みというのはこことは関係なく、要するに公式な答申になる以前から出せるんですよね。ですから、そういう意味ではこのパブコメあるいは総政部会での答申に必要な実質の議論が次回の第11回で終わっていればいいという感じで、だからそこまでに事務局は非常に大部の説明資料を美しく仕上げることはどうだろうという感じはするんですね。そんな感じでございます。
ちょっと話題がずれてしまいましたが、これを前提にお話を戻していただければ。
【三村委員】 今の何をターゲットにするかは、ちょっともう一度確認してほしいんですけど、出てきた言葉が三つあって、一つはアクションプランと、2番目は資源配分の方針というのと、今、基本方針とおっしゃったのはそうかも知れませんけど、3番目が第四期科学技術基本計画ですか。
【安井委員長】 2番と3番は同じ。
【三村委員】 同じですか。事務局に確認をしたいんですが、実は私、アクションプランの方のグリーン・イノベーションの委員を仰せつかりますが、そっちの方の検討もしているんですけど、それの説明ではいつも6月に資源配分の方針を出したのでは、もう既に各府省の概算要求がおおよそ決まっているので、2カ月ぐらい前に出さないと、府省の概算要求に反映してもらえない。だからアクションプランという形でやるんだと。平成23年度に向けた概算要求の重点分野としては、グリーン・イノベーションとライフ・イノベーションの二つの分野を特定してやるんだけれども、これだけだということじゃなくて、試行的にやってみるということなので、鈴木委員がおっしゃるとおり来年になったら別の分野も含めて、また何とかイノベーションというのが出てくる可能性はあるということだと思います。
それでグリーン・イノベーションというのは、ここで議論している全部の分野が入るということではなくて、低炭素社会、CO2の25%削減と気候変動への適応というのを二つの柱にしようということですから、幾らここでいろいろな議論をしても、もう受け取る側がある程度領域を決めているので、そこに向かって入れるというのは、ほとんど意味がないことになります。それはもう先日、話をされたこの打ち込みで、十分伝わっていると言えば伝わっているということだと思います。
そうだとすると、今、急いでまとめようとしているのは、先ほどおっしゃった第四期科学技術基本計画の議論の中にそれを入れていこうということなんですかね。それであればこの委員会で当初やりましょうと言っていた議論のターゲットと合っていると考えていい。ちょっとその辺を確認していただけませんか。
【秦室長】 この委員会では当初から科学技術基本計画の基本方針のタイミングを見据えて、それに照準を合わせてスケジュール的に組んできたという経緯がございますので、基本的にはもうそういう考えでよろしいということでございます。
【安井委員長】 タイミングについてはまずそんなこと。
どうぞ大塚委員何か。議論を戻していただいても何でも結構でございます。どうぞ。
【大塚委員】 若干細かい話で、ちょっと資料3とかに戻りますけれども、レアメタルの回収のことが挙がっているんで、これはこれでやらなくちゃいけないことだと思いますけど、今の水銀条約の締結ができるかどうかというのが多分問題になっていて、日本は水銀に関しては水俣病のこともあるので、かなりリーダーシップを発揮して検討されているわけですが、それをやったときに日本で今、水銀の回収をしていますけれども、回収した後の水銀の管理というのが問題になると思いますので、それの技術的な検討というのもぜひしていただけるとありがたいと思います。
それから先ほど来のご議論、非常に刺激的に伺っていましたが、私も鈴木委員がおっしゃるように、別に環境分野だけではないということになると思いますけど、日本のサスティナブルな国家像というのは、ぜひ検討していただきたいし、これは環境省だけで検討するものでは全然ないので、環境省はそういうものを政府全体で検討するようにお願いしていただくということだろうと思いますけれども。
2050年を考えたときには、日本だけで存立しているわけはないので、外国との関係のことも考えながら、望ましい国家像を考えないと、ゴールになるものがちょっとはっきりしないものだから、多分あまり、それぞれがばらばらの議論をしているようなところがある。議論が分かれた結果、それぞれ各自ばらばらの検討をするということになる可能性があると思いますので、そうは必ずしもならないように持っていっていただけるとありがたいと思います。
それからこれは環境省の問題では恐らくないだろうと思いますけれども、2050年までを多分メタハイドレードの開発とかいう話が出てきて、これがまた温暖化に関してはむしろマイナスになるので、それに関してCCSと似たようなことを考えなくちゃいけないんじゃないかと思うんですけども。これはどっちかというと資源エネルギー庁とか経済産業省の話かも知れませんが、そういうのも環境問題にもちろんなるので、考えた方がいいと思います。多分この5年という話にはならないんですけども。
中長期的な課題としては、恐らく私なんかが申し上げるよりもご存じの方はたくさんいらっしゃると思いますけれども、長期的な見通しをするのであれば、まだ加わるものはたくさんあるのではないかという気がします。
それからバイオについては、先ほど鈴木委員もおっしゃったように、日本だと森林の木材を使うということがあるんですけれども、今回ロードマップで検討したところでは、やはり効率性の観点からすると、糖分とか、サトウキビとかああいうものの方が効率がいいものですから、これは放っておくと安井委員長がちょうどご懸念なさっているようなブラジルから移入するというようなことの方がむしろ主になってしまう可能性もあって、できるだけエネルギーの受給率を上げるという観点からは、必ずしも望ましくないものですから、そういう意味では木材を使って効率を上げるにはどうしたらいいかというようなこととかもご検討いただけるとありがたいのですが、ちょっと限界があるのかも知れませんけども、もしその辺ただこの13ページに並べてあるだけなので、バイオはしかもあまり入っていないようですので、例というだけだと思いますけれども、ご検討いただけるとありがたいと思いました。
さらに洋上風力につきましては、既に実証研究が国環研等も含めて進んでおられるので、ぜひ続けてやっていただきたいと思いますが、その附帯式の洋上風力に関しては、どのぐらい意味があるのかとかいう議論もあり、さらにこの洋上風力に関しては、もちろんご検討されていると思いますけど、日本の場合、台風が来るので、それとの関係でヨーロッパと同じ議論はしにくいということがありますので、台風にも耐えられるような洋上風力というのをぜひご検討いただきたいと思います。以上です。
【安井委員長】 かなり具体的なご提案をいただいたと思いますが。他に何か。どうぞ。
【藤田委員】 実は循環型社会の中でも議論があって、この資料2では(2)の熱回収効率の高度化というふうな形で、どちらかというと焼却とかそういうことによる熱回収の効率をここに挙げているわけですけれども。現実の問題としては実は廃棄物系の例えばメタン発酵とか、あるいはエタノールを作るとかを含めた技術も循環型社会の中で当然入ってくる技術だと思います。
ただ、それにつきましては当初、私の記憶では脱温暖化社会の領域の中にかなり盛り込まれていたように思ったので、実は循環型社会の方ではあまりその議論には入らず、そういうふうな形になっております。
従って、もし抜けているのであれば、例えば脱温暖化の中の例えばエネルギー需要分野、あるいはエネルギー供給システムの低炭素化技術の推進なのか、どこかその辺りでやはり一つはそういう形での取り上げ方はあり得るのかもわからないと思います。
【安井委員長】 今のお話ですが、廃棄物発電・熱回収は実を言うと両方に出ていますよね。横断領域にも出ていて、その辺りをですからもう少し別の表現にするなり、いろいろなものを少しII.領域横断の方はもう少し広くとれるような表現にすると、いろいろあり得ると思うんですね。
【藤田委員】 読めば、ないことはないんですけどね。
【安井委員長】 そのただもっと読めるように書く方がいいと思いますので。
他に何かございますか。
もうこれまた確認ですけど、ここで書かれたことというので、本当に先ほどの鈴木委員の話で、環境省が主体として考える。しかし、ここに載ったから環境省の研究費が確保できるとは限らない。
【秦室長】 もちろん研究費には限りがございますし、それからここに並べてあることは、それは環境省がすべて必ずしも全部やるというものでもないというふうに思っていますので、我々としてはプライオリティを考慮しつつ、重点配分をしていくというやり方で、競争的資金なり、あるいはその他の施策なりという形で反映させていくということだと思っています。
【鈴木委員】 今の件は事務局がおっしゃるとおりだと思うんです。環境省が持っている研究費の範囲内で何をやりましょうかというようなことを、ここで検討しておられるわけではないんでしょう。やっぱり国としてサスティナビリティに向かって何をどうすべきかというようなことをまとめて、それを科学技術基本計画に反映させるという、そういうことなので。
私がぜひ事務局かどこかにお願いしたいのは、各府省で環境を頭につけて、多額のお金を使ってこれまでおやりになった研究のきっちりとしたサーベイをしていただいて、例えば一体NEDOは何をやってきたのかというようなこと等を整理して、テーブルに乗せていただくといいと思うんですよね。そういうようなことがあって、さらにその上にここできっちりとした中期、長期を含んだ当面の戦略を出していく、こういうようなことがないと科学技術基本計画に反映させたとしたって、せいぜいSABCのときに嫌みを言うぐらいしかできませんから。やっぱり、きっちりその辺関連府省とも連携をとりながら、実現するような体制を考えたらいかがかと思います。
【安井委員長】 なかなかごもっともではございますが難しい。
さて、先ほどちょっと気になっていることで、中杉委員から、サブテーマが複数まとまって一つの研究・技術開発例というふうに、例の方が数が少ないのはおかしいという意見がございました。そのお話は結構根幹に関わる話なんで、その辺りもう少し詰めなきゃいけないなという感じはしますよね。その辺でそうなってくると例えば脱温暖化社会領域で、その1(1)[1][2][3]の研究・技術開発例が1個にまとまっていたり、ここ幾つかその次のも二つまとまっていたりするんですけど、この辺りの粒立ちの大きさについて西岡委員辺りに伺いたいんですけど、どんな感じなんですかね。
【西岡委員】 確かにこの部分は論理的におかしいから、ひっくり返せばいいような話で、個別にものづくりだとか技術づくりだけど、環境の問題であり、かつ生活に関連する分野、どうしても地域に関連するものがあって、ロードマップの方でもものづくり、それから日常の暮らし、そして地域づくりと、こうなっていまして、そういう面では地域づくりというのは一つの大きな柱ですから、それをこっちへ持ってきて、あと細かいのここに入れてもいいかなとは思いますけど。それぞれ何が違うのかというふうにまとめていいんじゃないんですかね。どうでしょう。ひっくり返して。
【安井委員長】 ということのようですね。他のところにも若干そういうのがなきにしもあらずですけど。生物多様性のところも若干なきにしもあらずですね。その辺りは事務局とご相談いただいて、妥当な格好にするということでよろしいですかね。今日、全部結論が出るわけではどうもない。
【秦室長】 引き続き各WGの座長と相談しながら、整理をしていきたいと思います。
【安井委員長】 わかりました。そうすると、全領域は分担ですけども、WGに入っていない委員は誰だということになると、鈴木委員はWGに入っていますか。
【秦室長】 安井委員長、鈴木委員、大塚委員になります。
【安井委員長】 一応分担をしていただけるかということになろうかと思います。
従いまして、ここで最後あとそう時間があるわけじゃありませんが、ご自分で初めて見る、よそのWGに関して違和感のある部分をぜひご指摘をいただいた上で、さらに検討を進めたいと思うんですけど、いかがでございましょうか。ご自分の領域に関わらないところ。
【中杉委員】 全体のところの話で、資料3の2ページのところで環境リスクの意識に関する研究というところで、前から議論になっているのは、いわゆる環境リスクと化学物質のリスクの話に矮小化してとらえると思うので、そうではないんだということを少し話していただく必要があるのかなと思います。西岡委員が言われるように、地球温暖化も含めて「リスク」という言葉がいいのかどうかわかりませんけれども、ちょっとそこら辺がわかるような形にしていただいて。いわゆる化学物質のリスクの話だったら、全領域の話ではないという感じがしますので。ちょっとこの文書だけだとその辺がわかりにくいと思います。
【安井委員長】 リスクというのは極めて広範な概念ですから、それをそういうふうに定義するのかしないのかですね。多分広範だというんだと思いますけど。
他の領域に関しまして、ぜひアドバイスをいただければと思います。
【指宿委員】 さっき話題になったんですけれども、健全な水・大気の循環が自然共生に入っていて、安全の方に水・大気の安全性確保というふうに入っているんですが、中身を見ると自然共生の方は水なんですよね。安全の方は大気がほとんどというふうになっているんですが、これはやっぱり2領域横断のところで整理するのか、もう割り切って水と大気にしちゃうのかという。
【安井委員長】 さっきある程度お答えが出ていました。
【指宿委員】 そうですか。
【中杉委員】 多分、ここは健全な水・大気の循環の確保ということで、安全の方にこの自然共生型社会の(3)[1]は引き取らせていただいて、そちらの方に入れて整理をしてしまった方がいいように私は思いますけど。岡田委員、いかがですか。
【岡田委員】 多分、いや私は真ん中の方がいいかなと思うんですけどね。というのは健全な水循環システムの構築ということによって何が得られるかというと、一つは安全な水の確保ということ。あと一つはやはり水を含む生態系の保全が入ってきますので、どちらかというと水循環システムの構築は手段であると。ですから目的である二つの、その手段が両方にかかっているというふうに考えたいと思うんですが。
【中杉委員】 実は安全の方に人の健康と環境という言葉を使ってますけど、生態系の安全というのは含まれているんです。そこをどうするかなんです。
【岡田委員】 その議論を始めると。
【鈴木委員】 4.安全を一つの領域として、他の三つの領域と並んでいるというのはおかしいんですよ。
【岡田委員】 やっぱり無理があるね。そういうことだとね。
【鈴木委員】 それがそもそも無理なんでね。
【安井委員長】 ただそこに関しましては、やっぱりかなり強い意見があって、やはりある程度独立性を出すということだったようには思うんですね。
【岡田委員】 そんなことを言われていたら、何の議論かわからないじゃないですか。
【安井委員長】 今の水の話に関して言いますと、やっぱり化学物質の生態系への悪影響じゃなくて、単にピュアで安全な水でも循環というのはないと生態系にとっちゃつらいという意味だから、私はこれもしやるんだったらやっぱり領域は両方かな、中間かなという気もするんですけども。大気の循環というのがどうかと言われると、これまたあれですけど。
【鈴木委員】 水の循環は温暖化とも絡みますよね。循環型社会なんてまさに水を考えないといけないんで。
【安井委員長】 なるほど。海岸漂着物というのはちょっと浮き気味なんですけど、このポジションですかね。
【岡田委員】 海岸漂着物とか、実はあと海底ごみ等いろいろあるんですが、WGの中でも最適な落ちつきどころを見出しておりません。すみません。国際の方がいいかも知れない。
【三村委員】 海岸のところが、海岸漂着物対策となっているんですけど、日本の海岸というのは陸上の開発のしわ寄せを受けたみたいなところで、自然環境の保全がいろいろ問題になっているわけですよね。その一環として今非常に注目を浴びているような漂着物のものがあると。
だから、漂着物対策そのものを取り上げるんだったら今行われたような議論だし、あるいはここを健全な水・大気の循環の中に移すのであれば、健全な海岸環境の保全として、干潟や砂浜の保全とか、それから漂着物対策だとか、そういうふうに少し枠を広げるのがいい。海岸の分野では統合的な沿岸域管理というのが、解決策だというような考え方があるんですが、最終的にはそういうものの研究に結びつくような、少し広い枠組みでいくという考え方はあると思います。
【岡田委員】 多分また同じ議論に入ってくるんだと思うんですが、今おっしゃったことはそのとおりで、その話は、3.(2)[2]里地・里山・里海等の二次的保全とか、あとどこかあちこちに入っていることは入っているんです。ですから海岸漂着物の話は3.(2)に入れてもいいのかも知れません。海底も含めて。これやり出すとやはり全部に関係しますよというところになるんで、そこそこにしておかないと切りがない。
【三村委員】 そうですね。どこで切るか。
【安井委員長】 最終的というか、究極の解は多分ないので、適当なところで妥協ということだと思いますが。
あとぜひ全領域共通及び領域横断の切り方に関しても、ちょっと最後見ていただいて、この複数領域を殊さらWin-Winとトレードオフに分けた、この辺りもどうですかね。要するにコベネフィットとそれからトレードオフに分けた辺り。どうぞ。
【岡田委員】 ちょっといいですか。確認させていただいてもいいですか。今のごみの話のところは海岸として、三村先生がおっしゃるような形で、国土自然資源の持続的な利用の方に入れちゃうということでいいですか。
【三村委員】 いいです。
【岡田委員】 三村委員はそういう趣旨ですよね。私もそれ賛成ですのでよろしいですか。ありがとうございます。
【西岡委員】 今の領域横断で二つあるんですけども、一つはご説明のときに、これを性格で分けたとおっしゃっているんですね。ちょっと例えばビジョンというのを念頭にあって、それに直接線を結ぼうとすると、ここはなかなか結びにくいなと思います。そこのところでちょっと表示を変えるか、あるいはどこかに入れておいて問題点としてやるのかという取り扱いをちょっと変えた方がいいのかも知れません。それが第1点。
第2点ですけれども、今トレードオフという話とも関連があるんですが、先ほども問題になりました温暖化対策製品の3R技術の開発というと、製品を分解しやすい、やるというような意味になってはいるんで、そういったと思うんですけれども。今むしろ問題になっているのは、物の流れ自身とエネルギーの流れをどうくっつけて評価していくかということで、非常に国際政治的な問題になりつつあるので、例えばそういう話をぜひどこかに入れておいてもらいたいなと思ったんですけど。
【安井委員長】 その辺りは、マテリアルフローを研究しているグループ辺りとちょっと連携を図るべきですね。
【鈴木委員】 この辺り、循環型社会でできるんじゃないですかね。
【安井委員長】 循環型社会に入れるのか、それとも。
【鈴木委員】 マテリアルフローの話でしょう。
【安井委員長】 そうでもなく、エネルギーフローとマテリアルフローの話。
【鈴木委員】 エネルギーフローなしのマテリアルフローなんていうのは。
【安井委員長】 ないない、それはそのとおりです。だけどそれをその二つに入れるかどうかですね。というのは特に省エネ型ということを考えたときのマテリアルフローのあり方をどう扱うか。
【鈴木委員】 これどうすればいい。我々委員が整理するか。
【安井委員長】 まずは、あとで事務局に整理していただきましょう。
【鈴木委員】 全部組みかえたっていいんでしょう。
【安井委員長】 いいと思いますよ。なかなか大変ですけどね。事務局にぜひまとめていただくという形で。
あと全領域に関してもちょっとやはり少し先を見ている感じでビジョンとか、その辺の言葉になんかちょっといまいちぴんとこない部分があるんですけど、何かございましたら。どうぞ。
【藤田委員】 ちょっと戻るんですけど、いいですか。この多分具体例かあるいは重点の課題テーマのサブテーマのところになると思うんですけど、特に循環型社会のWGで議論になったのは、これまで2年か3年にわたってフォローアップしてきて、その中でいろいろな研究テーマを分野別に割り振っていって、かなり完成した部分については実は落としているテーマが幾つかあります。それは例えば先ほどアジアにおけるマテリアルフローの話がひょっと出たところなんですけど、じゃあなぜ入っていないのかというのは、その研究なんかはかなり前回、この5年間でできただろうということで落としていっている。ただし資料3の中にはきちっと位置づけはしているという、そういうふうなことで、この具体例は先ほど山口委員も言われたような形で、我々としてはやはりこの研究テーマが抜けているのでこれをやって積み上げていくと、中期的なところに到達するだろうとか、そういうふうな形で構成をしたということです。
だから従って、そういう意味では実はいろんな循環型社会の中でも幾つか抜けたのもあるとは思いますが、実は一番大きな抜けているのは、極端に言えば3Rを意識したものづくりというのがあるんですけど、もうこれは研究テーマから落とそうということを言っております。それは何かといいますと、恐らくそういうことはもう各企業が当然やっている、逆に言えば企業のノウハウだから、研究テーマにならないだろうということで、実際過去4年のフォローアップでもそのテーマに関してはその成果を全く拾うことができなかった。そういうことで落としたのもあります。現実にはそれは非常に重要な点なんですけれども、研究テーマとして、重点課題としては落としていったという、そういうふうな経緯がありますので、ちょっと一言申し添えます。
【安井委員長】 今おっしゃった企業がやっていくだろうということで、全く落としていいかどうかというのは、またこれ難しいところで、方向性を示すという意味では例えば3Rよりもとにかくロングライフの方がいいんだとか、そういうことはあるわけです。山口委員どうぞ。
【山口委員】 そこら辺で、先ほどの西岡委員のお話とどうも関係するんですけども、従ってこの3Rの概念を、資源というマテリアルという意味での3Rももちろん今までやっているわけですけども、それに低炭素の考え方、つまりエネルギーの考え方を入れ込む必要もある。ということで、循環型社会の(1)の[4]で、低炭素と資源循環の両立のビジョンも考える必要があるよねということで謳ってございますので、今後はこれをもう少し具体的なテーマに落とし込んでいけば、多分、西岡委員のおっしゃったような姿が見えてくるのかなと思っております。
【安井委員長】 大変難しい、今日議論をしていたものですから、大分時間がなくなってきております。
どうぞ。
【大塚委員】 ちょっといいですか。今の点は、領域横断のところのトレードオフ解消のところに入りそうな気もするんですけども、これは分類の問題だから、私はどちらでもいいですが、トレードオフ解消の問題にもなるかなというふうにも思います。それどうなんでしょうかね。
【安井委員長】 おっしゃるとおりで、多分それ究極の解なんですね。ですからそこにイメージ的にロングライフ型と書いてしまうやり方もあるかなという気はします。ロングライフ型というのは実を言うとごみにならないということであり、リデュースであるという言い方もできるけれども。
【大塚委員】 リサイクルにエネルギーがやっぱり必要なので。
【安井委員長】 必要です。
【大塚委員】 温暖化の方にむしろ寄与してしまうという当たり前の問題ですね。それをいかに減らしていくかというようなこと。
【安井委員長】 おっしゃるとおりです。ですからさっき製品のと書いてありますけど、温暖化対策というとそれは両立するみたいな格好にした方がいいということは間違いない話です。
あと何か具体的なところ。資料全体でも結構です。そろそろ実を言うとまだ本当は議題が1個残っているんですけど、方向性ということに関して、ですから全体の話をどうしますか、資料6以外に説明しますか。じゃあちょっと説明していただいて。
【東調整係長】 (資料4、資料5について説明)
【安井委員長】 ありがとうございました。あまり時間もないんですけど、何かご注意いただく点。
どうぞ。
【山口委員】 一つだけ。資料4で(5)の二つ目のポツ、「その成果を活用した環境規制や低炭素技術」、ここの文言だけがちょっと他のところと比べて違和感があるので、ここのところはどうでしょうか。環境規制はこの項目では不要で、むしろ上のポツで十分ではないかなというのが私の感じでございます。
【三村委員】 今日の前半の議論で、我々がどういうような社会の実現に向かって研究しなきゃいけないかとか、長期的には持続可能な国家像とか、日本のサスティナビリティをどういうふうに確保するのか、それがアジアや世界との関係でどうなのかということを明確にして、研究に取り組む必要があるということが強調されたわけです。
ところが資料5の目次だと、そういうようなのがあまり出てこないので、2.のところに2.(1)が果たすべき役割、(2)が目指すべき中長期的な社会像であれば、(3)に目指すべき中長期的な社会像を実現するための研究はどうあるべきかといった項が必要ではないか。
実は(1)果たすべき役割というところがそうなんだということであれば、この(1)と(2)を逆転するとか、この戦略では何に向かって研究することを提案しているのかについて、明確にしたらいいんじゃないかと思います。
【安井委員長】 難しいですけど、ごもっともですね。
ちょっと具体的な話で恐縮ですけれども、資料4の(4)、地方レベルの研究開発の強化について、前回はそれを書いたんだけど、それからまた情勢が変わっている。むしろちょっと考え方を変えて、「地方」という言葉を「地域」に変えるのはどうですか。
【三村委員】 そのほうがいいですね。
【安井委員長】 ただ後の方も少し説明変えて下さいね、そうなると。
どうぞ。
【西岡委員】 これは今のところは、環境省としては確かに地方の環境研究所なんだけど、地域にとってはよく私いつも言っているのは、大学等との協力もしてやっても、要するにこれは環境省の言っている話じゃなくて、国民がこうしたいんだから、全力を挙げてそれに取り組むというスタンスで書いてもらえればありがたいなと。
【安井委員長】 他に何かございますか。
【中杉委員】 ちょっと前の方に戻ってしまって、資料2の4.安全のところにある(4)の海外への環境対策技術・システムの展開というのは、これは藤田委員も言われたように、廃棄物も含めて絡む話なので、これは領域横断という形で整理するのはどうか。
【安井委員長】 別だし、横出しですか。
【中杉委員】 横出しで。だからそちらの方に出していく。そうすると、越境の話も実はこっちに抜き出しされているので、そういうふうに整理してもらった方がいいかなと思います。
【安井委員長】 それも賛成ですね。どちらかというと個別のところからちょっとレベルを上げると。
【秦室長】 II(1)の[1]ですね、コベネフィット型技術・システムの展開というところとかなり密接に絡んでまいりますので、ちょっとそこは整理をしたいと思います。
【鈴木委員】 この七つの項目、反対することは全くないという、そういうことでいいんでしょうが、やっぱり例えばアジアとの連携というようなときに、環境省が具体的にどういう国際的な仕組みを作って何をどうしていくのか。地域レベルもそうですよね。これだけ地域がいろいろと疲弊しているときに、環境省としてはどうしていくのかという、そういうものもやっぱりどこかに込めて書いておかないといけないんじゃないですか。それはこれから書いていただけるということなのですか。
【秦室長】 そこら辺も含めて拡充をしていきたいと思います。
【鈴木委員】 拡充で大丈夫ですか。
【安井委員長】 どうぞ。
【中杉委員】 資料4の(4)地方レベルの研究開発の強化の話については、いろんな審議会、委員会で出てくる話なんですよね。個別に必ずといっていいほどこれが出てくるんだけど、これをメインテーマとして取り組んでいかないとどうにもならん話なので、そこら辺のところは決意のほどというか、なんかやっぱり書いていただく必要があるんだろうと思うんです。ある県の地方の研究機関の総合評価をやれということでやったことがあるんですけども、非常に厳しい状態にある。これはもう環境だけではないかも知れないけど、環境が特に一番厳しい状態にあるので、これはもう抜本的に一つの大テーマとして取り上げて、環境研究技術室の重要な課題だと思いますので、そういうふうな意味合いも含めて書き込んでいただければというふうに思います。
【秦室長】 実は紹介できればよかったんですが、昨年度地方の環境研究機関の今後のあり方どうあるべきかということで、岡田委員を座長といたしまして検討をやりまして、地環研の方にも入っていただいて、地環研の置かれている現状だとか課題とか、その辺りを整理をいたしまして、今後こういった道があるんじゃないのかなという提言集というのを取りまとめさせていただきました。これにつきまして今年度から各地環研の方に紹介を進めてまいります。全環研という機関がありますので、そういったところで紹介する等をして、それぞれの地環研で自分たちどうやっていくのかというのを、これを機にしっかり考えていただければありがたいなというふうに思っております。
【山口委員】 それに関連して二つお願いがあるんですけども、一つは安井委員長のおっしゃった、地方というのは広域で考えるという見方が一つ。
それと、環境だから環境省ということではないんですね。例えば、地方には環境研もございますし、工業技術センターもありますし、そういう環境省・経産省・国交省、おのおの研究機関を持っているわけです。この辺も少しでも何か統合できるような仕組みにすれば、かなりいい意味での環境技術が、環境研究ができるのかなと思いますので、これはむしろ岡田委員にお願いした方がいい。ちょっと地方もダブりが強く感じられるような気がいたしました。
【岡田委員】 じゃあ一言だけ。今ご指摘いただいたような点は、その委員会で一応議論しました。ただ残念ながら、事務局はおっしゃりにくいでしょうが、きっちりとした結論が出るまで十分審議できなくて、委員会の結論としても、今委員の皆様がおっしゃったような点をもっともっときちんと検討すべきであると。予算のこともありますので、すぐにはいかないかも知れませんが、もっときちんとやらなきゃいけないというのが最終的な結論になっております。
【中杉委員】 山口委員が言われる統合という話がありましたけど、必ずしも統合は前提ではなくて、お互いに地環研、先ほどお話しした地方の研究所のあり方の検討の協力をさせていただいたときに、お互いの間の連携が全くないんです。そこら辺のところが非常に問題。これは単に国の機関もそうなのかも知れないけど、やっぱりそういうところは考えていかなきゃいけないんだろうと思います。地環研がやっぱりそういうふうなところを全体で考えていって、場合によっては統合する。場合によったらそこまでいかなくても連携をとるという、うまくやっていくということが必要だろうというふうに思いました。
【安井委員長】 省の問題、あるいは地方事務所の問題等々、いろいろと政治問題でもございますので、なかなか書きにくいところがあるのですが、とりあえず多分書けることは、今日の議論だけだと地環研ばっかりですけど、地域、大学とかその場の企業とか、そういうものまで含めてもっと広範にやらなきゃだめよということは書けると思いますので、その辺りを含めて少しご検討いただくと。
3分オーバーですね。今日、十分な時間がなかったものですから、事務局からもう1点、追加意見照会のeメールを出していただいて、各委員から、何か指摘事項を出していただくか、宿題一つ、二つは必ずやれというような形で、ひとつお願いのeメールを出していただきたいと思います。
もしよろしければ、これでそろそろ結論にしたいと思いますが、これから先ですが、事務局が一生懸命これで作文に入ると思うんです。それと並行して、資料2のリバイスをぜひぜひ、それぞれのWGでお願いをしたい。資料2のI、IIに関しては鈴木委員、大塚委員と私ですね。どうやって相談するか難しいところですけれども、それを何とかするという形で対応をとらせていただきたいということでございます。
そんなところで何とか進めますかね。まだちょっと全力で走れるまで行けていないかも知れないけど、とにかく一歩走れるようになれば、今日の委員会は一応よろしいということかと思いますが。事務局いいですか、これで。
【秦室長】 今日のご議論も踏まえて、また委員長からのご提案のあったように、さらに各委員のご意見も聞きつつ、事務局案を整理していきたいというふうに思っておりますので、できるだけ早い時期に新たな事務局案を各委員にお送りできればいいかなというふうに思っております。
いろいろご議論いただきましたけれども、少しずつまとまってきているかとは思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
【安井委員長】 それでは以上をもちまして、専門委員会閉会させていただきます。ありがとうございました。