中央環境審議会総合政策部会 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第5回) 会議録

日時

平成19年7月5日(木)10:02~12:06

場所

環境省 第1会議室

議題

(1)
環境研究・技術開発の推進戦略の実施方針のフォローアップについて
(2)
その他

配付資料

資料1 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会委員名簿
資料2 環境研究・環境技術開発の推進戦略の実施方針の平成18年度実施状況等について 簡易フォローアップ結果(案)
資料3 環境関連の最近のトピックス
資料4 実施方針の横断的方策 実施状況
(机上配付)
参考資料1 実施方針のフォローアップ手法
参考資料2 21世紀環境立国戦略(平成19年6月1日閣議決定)
参考資料3 環境研究・環境技術開発の推進戦略の実施方針(平成19年3月30日)
参考資料4 環境研究・環境技術開発の推進戦略について(答申)
参考資料5 重要課題毎の補助資料(マップ素案)
参考資料6 実施方針の横断的方策 他府省における関連施策等
参考資料7 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第4回)議事録

出席者

委員 :

安井 至委員、鈴木基之委員、中杉修身委員、指宿堯嗣委員、岡田光正委員、西岡秀三委員、藤田正憲委員、三村信男委員、山口耕二委員

環境省:

総合環境政策局 室石環境研究技術室長、山根環境研究技術室長補佐、豊住調整専門官

議事

【室石環境研究技術室長】 定刻になりましたので、ちょっと遅れている方もいらっしゃるようですが、始めさせていただきます。
 それでは、ただいまから第5回の中央環境審議会総合政策部会環境研究・技術開発推進戦略専門委員会を開催いたします。
 本日は、大塚先生と森本先生の方からご欠席というご連絡をいただいております。11名中9名のご出席ということで過半数を超えております。
 本日、科学技術担当の審議官の石野が所用がございまして、あいにく出席できず申し訳ございません。かわって、手短にですが私の方からごあいさつさせていただきます。
 前回、第4回のときに実施方針をご議論いただきまして、どうもありがとうございました。振り返りますと、昨年の3月の末に答申をいただいておりまして、政府全体でも第3期科学技術基本計画が策定されたりと、あるいは、環境省全体でいきましても、新しい環境基本計画ができたりということで、新しいステージに入ったという、こういうことであろうとは思います。一方で、昨年もいろいろ動きがありました。イノベーション25がつくられたり、あるいは21世紀の立国戦略がつくられたりというようなことで、あるいは来年は日本でサミットが開催されると、そういったようないろんな動きがあるということも踏まえながら、また、実施方針のフォローをしていかなければいけないのではないかというふうに思っております。
 ただ、予算は非常に厳しい状況が続いておりまして、昨年の暮れの要求のときを思い出しましても、結局、第3期の科学技術基本計画の方で25兆と言っておりますけれども、19年度の予算としては政府全体の科学技術関係予算としては若干マイナスに仕上がりました。金額だけではなくて中身が大事だという話もあるわけですけれども、そういう厳しい情勢もあるという中で、環境省の科学技術関係予算は総枠的に少し伸びたということもございます。これから、答申を受けた実施方針、そのフォローアップをご審議いただくわけでございますけれども、いろいろな情勢も見据えながら活発にご議論いただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に、お手元の配付資料を確認させていただきます。(資料確認)
それと、事務局側の人の関係でございます。(異動者紹介)

【山根室長補佐】 7月1日付でこちらの方の担当になりました、山根と申します。よろしくお願いいたします。

【室石環境研究技術室長】 それでは、以降、議事進行を委員長の安井先生にお願いいたします。

【安井委員長】 それでは、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議題の1に入らせていただきたいと思いますけれども、今、室長の方からご説明があったとおりでございますが、皆様、委員の先生方お忙しくて、この委員会で何をやるべきかというのをもう一遍確認した上で議事に入らせていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、本日の主要議題は1つしかございませんが、お手元の資料の2というものに関しましてご審議をいただくということになっております。
 第1回目でございますので、まずは事務局からご説明をいただきたいと思います。

【豊住専門官】 はい。それでは、本日の本体の資料になります資料2のご説明に入ります前に、フォローアップにつきまして、再度確認の意味も込めまして説明をさせていただきたいと思います。(参考資料1,資料2の1.について説明)

【安井委員長】 ありがとうございました。
 ここで質疑応答の予定になっておりますが、きょうの議論のやり方をもう一遍振り返らせていただきますと、1の環境に係る国内外の状況についてでございますが、そこに今後何かを強化するとかというようなことがずっと出てきておりまして、本当を申しますと、その次の2番目の、重点的に推進すべき領域ごとの実施状況がわかってからじゃないと本当は議論ができないという構造にはなっております。2番に関しましては、実を言いますと、ワーキンググループで一応いろいろとおやりいただいたので、大部分の委員の方はおわかりですが、そこに参加していない方々はひょっとするとわかっていないという可能性もありますので、とりあえず、ここの最初の質疑応答はできるだけ短めにして、後で総合討論をさせていただく方がよろしいかと、今ちょっと方針の転換をさせていただきました。
 ということでございまして、ここで1に関しまして何か、例えば、現状認識、そんなのじゃだめだとか、そういうようなことが今ございましたらば、ご意見いただいて。
 どうぞ。

【中杉委員】 5ページのところで、化学物質のリスクのところですけれど、今後本領域について必要とされる環境研究・環境技術開発で上の2つが対応するものがないというのは、これは明らかに誤りですので、後で事務局と調整をしたいと思いますけど、例えば、一番上の隙間のない化学物質リスク監視体制の構築というのは[11]にかかわりますし、それだけじゃなくて、ほかにもかかわると思います。小児の環境保健に関する研究というのは、まさに2の重点課題のメーンのテーマですので、ちょっとそういう意味では、ここは別な形で評価するというのは、少し、いささかおかしいなというふうに思います。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 また、後でちょっとその整理の仕方を考えさせていただきたいと思いますが、何かほかにございませんでしょうか。
 鈴木先生、よろしゅうございますか。

【鈴木委員】 このフォローアップ結果という文章というか文面が一体どういう意味を持つのかがよくわからなかったんですが、いろんな国内外の状況についても、特に自然共生型社会に関して、来年のCBDのCOP10招致も受けるということで、立国戦略の中で里山というキーワードが非常に重要視されてきました。これに関しては全く触れられていないように見えます。里山というコンセプトをきちんと整理して、国際的にこれをどう発信していくかというのは、非常に今、重要な課題になっていると思うんですね。何となく、里山というのをローマ字に直すと国際化したような気になっているということではどうしようもないでしょうから、その辺、自然局の方とかかわりもあると思うんですが、何らかの形でここへちゃんと位置づけておかれる方がいいんじゃないかと思います。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 何かほかにご注意ございませんでしょうか。
 どうぞ。

【西岡委員】 まだ、全体の構造を理解していないので。今、ここの1章で書かれている後半部分で、各節の後半部分の、「本領域で必要とされる環境研究・環境技術開発」というのはどういうことを意味しているんですか。今、里山とかそういう重要な点がカバーされていることが今大切なんですかという質問なんですけれども。ちょっとここの位置づけがよくわからなかった。

【豊住専門官】 18年3月30日におまとめいただきました答申と、それから、昨年度まとめました実施方針の中で、重要課題はかなり網羅的に挙げておるわけでございますが、やはり、フォローアップにおきまして、環境についてはいろいろ情勢の変化が激しいということで、重要課題の見直しが必要かどうかといった観点を基本的なポイントとして、1のところは記載をさせていただいております。そういった中で挙がってきた課題といったものが、よく見れば、実施方針で挙げられております重要課題がかなり広い研究内容を対象にしておりますので、その中で強化できるというふうに考えられるものは、後ろの方に括弧書きで重要課題名とともに挙げられているというものでございます。

【西岡委員】 後での議論になると思いますが、そうしますと、ここで情勢の変化に応じて、もう少しこういう課題があってもいいんじゃないかというのが議論のポイントですね。わかりました。

【豊住専門官】 そうです。まず、重要課題として大きく抜けている場合に、特に実施方針の変更といったことが必要になってくると思います。重要課題の追加もあると思いますし、社会的にいろいろ変化があって、これまで重要とされていた課題が必要なくなるというようなことがあればそれは削除していくことになろうかと思います。

【安井委員長】 実を言いますと、昨年度の最後、3月だったですかね、このフォローアップのやり方を決めたときに、その辺をどういう形でクリアに書くかということが決まっていないものですから、これを第1回で、今は、今までの現況の認識のところに改良案みたいなものがついでに書かれているというような状況なんですね。本当は結論という章を別に設けるべきかもしれないです。ですから、それに関しましても後で少しご議論いただければと思います。
 ということぐらいで、それでは、次の2.のご説明をいただきまして、それで、各委員からちょっとご紹介をいただこうと思っております。よろしくお願いします。

【豊住専門官】 では、まず初めに、私の方から、2.重点的に推進すべき領域ごとの重要課題の実施状況のまとめのプロセスというか、そういったものを中心にご説明をいたしたいと思います。
 まず、前回、専門委員会におきまして、それぞれの重要課題につきまして俯瞰的に分析をする必要がある、と助言いただきました。それに当たりましては、やはり専門的な観点からの分析が必要であるといったご意見をちょうだいいたしまして、事務局の方で本委員会からそれぞれ領域お二人ずつご協力をいただき、加えてその各領域に委員会以外からお二人ずつご協力いただける専門家をお願いいたしまして、分析をいたしました。
 そして、環境省が、政府が行っております研究課題を公開資料等から抽出、リストアップをいたしまして、そういったものを見ながら、各領域の重要課題それぞれにつきまして構成要素を分析していただいて、それを軸としまして課題をマップ化いたしました。これは実施方針のフォローアップ手法の中では補助資料と呼んでおりまして、机上配付の資料、先ほどカラー刷りでご紹介いたしましたけれども、参考資料5がマップの案となっております。
 そして、それぞれの課題の分析結果のまとめに当たりましては、マップを見ながら専門家の皆様の直観的な分析なども加えていただきながら、これを記載していただいております。
 事務局では、いただきました案につきまして、全体のバランスなどを見て若干の修正はしておりますけれども、内容につきましては、専門家の方のご意見をできる限りそのままの形で載せております。
 ご担当いただきました先生方は、ほとんどご出席をいただいておりますけれども、脱温暖化社会の構築領域では西岡委員と三村委員、循環型社会の構築領域では藤田委員と山口委員、自然共生型社会の構築領域では、岡田委員と、本日ご欠席ですけれども森本委員、それから、安全・安心で質の高い社会の構築領域では中杉委員と指宿委員にそれぞれお願いをいたしました。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 ということでございまして、内容に関しましては、それぞれの委員の方から若干のフォローアップをいただこうかと思っております。ここの事務局で用意していただいた順番ですと、西岡委員、三村委員からそれぞれ3分ずつ。どちらでも結構でございますが。

【西岡委員】 はい。どれぐらいの、簡単かどうかわかりませんけれども。

【安井委員長】 1人3分。

【西岡委員】 1人3分。わかりました。それでは、6ページ、2-1、脱温暖化社会の構築領域というところです。
 まず最初に全体の考え方でございますけれども、本当はこのお手元の図表の方を見ていただけばわかるんですけれども、やはり横軸の方が観測、それから予測評価、そして対策という、従来型の横の並びにして考えたということがあります。
 [1]でございますけれども、ガスモニタリングの体制の強化ということでありますが、既にネットワークができているんですけれども、まだ東南アジア等々、言ってみれば空白域があるだろうということが1つ。それから、相変わらずエアロゾル関係というのがまだ十分モデルに組み入れられていないということもございまして、これの観測が必要だと。それから、問題といたしまして、今後はフィードバックの問題が非常にクローズアップされると思います。そういうことをちょっと念頭に置いた観測が要るだろうということが[1]です。
 [2]が気候変動影響モニタリングということで、これは上の温室効果ガス以外のいろんな意味でのモニタリングを全部含んでいるわけですけれども、まだ、海上に対してはアルゴといったようなものでいろいろはかっているところもございますけれども、まだ十分整合性がとれた観測がなされているとは、残念ながら考えられないということがある。それから、今後大切なのは、いろんな観測が出てきたときに、それを統一したデータのフォーマットでまとめていくとか、シミュレーションみたいなものが必要になってくるだろう。それから、既にAPN等々のネットワークがあるので、大いにそういうところの協力を得てやっていく必要があるだろうということでございます。
 [3]は三村先生のところですから[4]に移りますが、7ページ、デザイン研究ということで、2050研究等がございまして、一応はあるんですけれども、しかしながら、非常にまだ底が浅いということがあって、今後は2050年、断面の姿にどう持っていくかというロードマップ研究あるいはそれぞれの要素研究、さらには、この脱温暖化社会というのは環境面だけでなくいろんな面での広がりがあるだろうから、そういうところまで視野に入れた研究が要るんではないかということです。
 それから、再生可能エネルギー導入でございますけれども、特にバイオマスにつきまして最近の状況からいいますと、非常に、ある意味での、別な意味での制約条件、食糧との競合等ございますので、そういうところもきちんと評価していくこと。あるいは、アジアでの研究が要るだろうということ。それから、いろんな再生可能エネルギーをグリッドに乗っけるといったシステムの研究についても、もう少しやる必要があるんではないかということであります。
 [6]が電池の関係ですけれども、全体のこれもシステム研究の方が重要ではないかということを言っております。
 それから、[10]が、私、次のページになりますが担当したことでございます。炭素の固定・貯留、森林等の吸収源というのは、現在、インベントリーについてはかなりしっかりしてきたわけでありますけど、土壌を中心とするあたりがまだ足りないんではないかということです。
 それから、[11]、これは[5]の重要課題とも関連するんですけれども、どうやって入れていくという政策研究ですけれども、今後はかなりこれを強めていく必要があるんではないかということで[11]を書いてあると。
 以上です。

【三村委員】 西岡先生と半々に分けてやりましたので、まだら模様の報告で申し訳ありませんが、6ページの[3]に返っていただきまして、[3]は気候モデル、影響予測、リスク管理、適応策と、非常にブロードな話題ですが、まず、気候モデルにつきましては、文科省の方で「人・自然・共生プロジェクト」、それから本年度から「21世紀気候変動予測革新プログラム」という地球シミュレータを使った大きな研究を継続していただいておりまして、その成果が期待されると。今後は、大気・海洋系だけではなくて、陸上生態系、人間活動のフィードバックを含めた、より総合的な地球モデルというようなものに発展していくことが展望されるということです。
 影響評価は、環境省の総合推進費やあるいは農水省の方で非常に力を入れてやっていただいておりまして、徐々に進んできているんですけれども、日本に対する影響の全体像を定量的に見せる、そういうようなことにはまだ至っていないと。したがって、世界規模で温暖化の危険な水準を特定するというところには、まだ、力不足であるということです。
 適応策は、非常に大きな対策の一つとして注目されているんですが、まだ研究は始まった段階ということです。
 次は[7]にまいりまして、これはCDM関係ですが、全体的な認識は、実施段階に移りつつあると。世界的にはもう相当数のCDMプロジェクトが走っているわけですが、経済合理性に基づくと、発電事業やあるいは代替フロン関係の対策が中心で、途上国を対象にした省エネルギー・新エネルギーあるいは小規模CDM等の制度を、より簡素化して実施に移しやすいものにするというような面での検討が必要であるということです。
 続きまして、[8]は、これは個々の技術ではなくて、技術開発、その導入、それを社会システムにつなげていくという部分なんですが、今まで上に述べましたように、個々の技術開発の課題はそれぞれ進展が見られる。しかし、エネルギー部門とかあるいは交通部門などで非常に大きな炭酸ガス排出削減のポテンシャルがあると言われているんですが、それを実際にシステム、インフラとして確立するためには長いリードタイムを要するので、そういう点に結びつけるような研究が必要であるということです。
 8ページにまいりまして、省エネ、カスケード利用技術・システムの導入。これも同様な認識でございまして、個々の省エネ技術は民間企業等を中心に進められているわけですけれども、そのバリアがいろいろとある。どうしても最初の値段が高くなる。そういう部分がありますので、経済的なインセンティブ、そういうようなものを含めた、あるいは地域的な冷暖房システムの導入、面的な利用というようなものが必要である、と。
 それから、最後、[12]で炭酸ガス以外の温室効果ガス対策についてですが、ここに書いてありますように、メタン、NOについてはそれぞれ研究が進んできており、それから、代替フロン等についても今進められているところですけれども、これについては必ずしも削減というふうには言っていない部分もあるので、今後しっかり監視をしていく必要がある、と。そういうことでございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 何かご意見はございますか。よろしゅうございましょうか。

(なし)

【安井委員長】 では、よろしければ、それでは次にいかせていただきますが、次は循環型社会でございまして、藤田委員、山口委員からご報告をお願いいたします。

【藤田委員】 循環型社会構築領域ですが、これも先ほどと同じように[1]から[6]までは私の方が分担して、[7]から[12]を山口委員の方が分担しておりますので、私の方から先にお話をさせていただきます。
 9ページに[1]から書いてありますけれども、できれば参考資料のマッピングといいますか、それも参考に見ながらお話を聞いていただくとわかりやすいと思います。もちろん、このマッピングに関しまして、縦軸、横軸、かなり議論をしましたので、必ずしも全体としてそれが正解がどうかということは別ですけども、我々の中で決めた縦軸、横軸というふうにご理解ください。
 1番目の3R技術・社会システムによるアジア地域における廃棄物適正管理システムの研究ですけれども、これに関しましては、3Rイニシアティブ等、まだ、言われて時間がたっていないということもありますので、研究の段階としましては物質循環のフロー、あるいは3R政策の比較研究、その辺の段階にとどまっていると。多分、今後それらの成果が出始めてくると、次の適正管理システム等への政策提言、それらに結びついてくるであろうということで、そのあたりのところが今後見守っていく必要があるというふうに結論をしております。
 2番目の循環型社会への変革を進めるための経済的手法の件ですけれども、これに関しましては、全体としまして、かなり研究そのものは順調に進んでいるというふうに評価しております。あとは、これらの成果を基礎にした政策提言の効果がどのような形であらわれてくるのかということを見ていきたいということで、特にここで、研究とは少し離れるかもわかりませんが、コメントとして、特に大都市でごみの有料化の流れが始まっているわけですけど、それらが真のごみの減量に貢献しているのかどうか。ここではちょっと、言外に述べておりますのは、例えば、ごみを有料化したことによって、結果としてはどちらかに流れてしまっているのではないかという、そういうことを含めた追跡がやはり必要ではないかというふうに書いております。
 [3]の循環資源に関するリサイクル技術及びシステムの高度化ですけれども、この技術に関しましては、単体技術及びシステム技術の開発に関しては、非常に幅広く展開しておりますので、そのあたりについては今後成果が期待されるということですが、ただ、実用化という点に関しましては必ずしも十分ではないということで、今後の実用化に向けた取り組みが望まれると評価しております。
 [4]の有害性の観点を含めた再生品の件ですが、これに関しましても、やはりまだ分析とかあるいは一部技術開発、それの除去のための技術開発が行われておりますけれども、残念ながら十分な段階には来ていないので、ここに書いてありますように、それらを使った製品の実用化、使用に関する環境への影響モニタリングを行うことは、今後とも必要であるというふうにしております。
 最終処分場の適切な土地管理と活用に関する研究ですが、これに関しましては、実は研究はもうほとんどが管理型処分場を対象とした研究であって、安定型処分場に関しましては、一応、研究の課題からいけば何となく終わっているように見えるんですけれども、やはり安定型処分場におきましては、跡地利用も含めた、もう少し総合的な研究を進めていただきたいということでコメントも書いております。
 それから、[6]のLCAを踏まえた循環度の評価手法の確立ですが、システム全体にかかわるLCAの研究がメーンに行われているのが現状であって、やや机上の評価が多い、と。特に具体性あるいは実用性ということでいきますと、ある特定地域への実用化を目指して、少し具体的な研究を進めていくことによって、その評価手法が検証されるのではないかということで、このあたりのところにつきましては今後に期待していきたい。すなわち、科学的知見の蓄積をしながら、評価手法を確立する。それと同時に、国際間での協同ということにも目を向けていただきたいというふうに評価しております。
 以上です。

【山口委員】 それでは、[7]のLCA評価に基づく容器包装の再商品化手法の評価からご説明いたします。
 まず、[7]につきましては、お手元の資料にもございますが、残念ながら、提案課題がございません。ただ、これは提案課題がないということは、決してLCA手法の導入並びに実用化が遅れているとか、技術開発が遅れているとか、そういうことではございませんで、むしろ、これまで経済産業省それから環境省さん等がLCAの手法確立、それから、データベースの構築、さらにはその実用化と、さまざまな活動をされておりますので、その成果が出たがゆえに具体的にご提案がなかったと、このように考えております。
 したがいまして、LCA評価につきましては、今後、企業の自主的な活動で進んでくると思いますので、ある程度、企業の自主的な活動が進んでいる中で、今後、国としてどういう新たな取り組みが必要になってくるのか考えていく必要があるのかなと、このように考えております。
 次に、[8]の3Rを一体化させた設計・生産技術の開発・普及でございますけども、これにつきましては、むしろ、具体的、個別の製品設計というよりも、社会システムをいかにすべきか、その社会システムをいかに長寿命化を図るかという意味で、建物の構造的な問題もしくは土地の利用のあり方、そういう視点でのテーマが出ております。そういう意味では、これまではどちらかと申しますと技術開発が中心でありますけども、今後は普及段階の研究が出てくればいいのかなと、このように思っておる次第でございます。
 次に、[9]の最終処分場のひっ迫と不適正処理・処分解消のための技術開発と。これにつきましては、今後新たな最終処分場をつくるための技術開発というよりも、むしろ、既にある既存の最終処分場の延命策、さらにはそれに付随する浄化の方法等々の中心の技術課題が挙げられておりました。具体的には、浄化等の技術としては、バイオを中心とした内容が出ております。それから、個別テーマといたしましては、アスベスト関係のテーマも、随分と、時の流れと申しますか、多くの研究課題が出ておりました。
 次に、[10]の不法投棄等による汚染地の原状回復技術の開発並びに高度化と。これにつきましては、不法投棄の汚染状況の現状把握がなかなか難しいという側面もございますので、したがって、原状回復をするための具体的な課題もなかなか出にくいと。そういうことではございますけども、ここにございますような国立環境研さんとか、あと、文科省さん等々からの技術課題が出ております。ただ、特徴的なものとしては陸域に限定をされておる次第でございます。
 それから、[11]、有害廃棄物に関する安全安心確保技術の高度化と。これにつきましてはかなりの多くのテーマが出てきておりまして、基本的にはアスベスト、ダイオキシン、さらには重金属及びその他の有害物質ということで、まさに安全安心を議論する上で、まさに議論されております化学物質が網羅的に取り上げられておりまして、適切ではないかなと、このように思っております。ただ、これにつきましては、今後はこのテーマの安全安心な社会の質を向上すると、ここら辺との連携も今後考えていきながら研究を進めていけば、より社会に貢献できるような形の成果が期待できるのかなと、このように考えておる次第でございます。
 それから、最後の[12]、地域における最適な資源循環システムの開発並びにその評価。これにつきましても非常に多くのテーマが出ておりまして、特に、今回の地域における資源循環システムにつきましては、技術開発の視点それから実証実験の視点、さらにはその影響評価段階における視点と、各々の視点で網羅的に課題が抽出されておりまして、そういう意味では非常に適切な状況なのかなと、このように思っております。
 それからもう一つ、この具体的な課題といたしましては、下水関係それからバイオ関係が地域に密着したテーマとして取り上げられていると。ということで、非常に適切な状況なのかなと、このように思っている次第でございます。
 以上でございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 何か、ご質問等ございますでしょうか。どうぞ。

【中杉委員】 [5]の最終処分の話のところの跡地管理活用ということで活用の話が中心になっていますけれども、廃掃法が改正されて、廃棄物の跡地の形質の変更についてはという、かなり厳しいといいますか実質かなり難しいような形になってきていて、それをうまくやる方法というのはあるんですけれども、むしろ、長期的にどう管理していくかという話と、過去の規制とどんどん規制が厳しくなってきて、過去では適正に行われていたのが残ってしまっている。それをどういうふうに管理していくかという話が、今の指定区域にして形質変更の届けをしなさいというだけでは多分済まないだろうと。そこら辺のところの研究というのがもう少し欲しい。それはもう、安定型も管理型も同じ話だろうと思いますので。ちょっとそこら辺が、ここでも書かれているようには思うんですけれど、少し、多分、スパンとしてはかなり長いスパンですね。逆に言うと、今の埋立処分地は、どこら辺まで想定しておけば、埋立処分地の構造的な安定性はどこまで考えているかというような話は、私、前から気になっているんですけども。ずっと先のことを考えたときに、そういうものが十分かどうかという研究は余りなされていないんですね。

【藤田委員】 安定型が、ほんと、ぽこっと抜けてしまっているところがありますので、おっしゃるとおりだと思います。

【山口委員】 今の点は、実は、具体的な別の例で申し上げますと、フロンとか塩素系有機溶剤、これも、使っているときは、まさにこんなすばらしいものはないということで、産業界挙げて、塩素系有機溶剤が除限度が1000ppmで、若干毒性があるのでフロンに切りかわったと。ほっとしていると、実は思いもよらないところで障害が出たと。そういう意味では、今、中杉先生がおっしゃるように、いかに長期的に見るかという意味では、結果はなかなか出にくいかもわからないですけれども、そういう研究そのものをやっておくというのは、なかなか重要なことだなと、このように、適切なコメントだと思っております。
 ありがとうございました。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 そういったコメントをどうやって後でこの報告書に生かすかは、また、これ、議論させていただかなくちゃいけないんですけど、ありがとうございました。
 どうぞ。

【指宿委員】 1つ。[6]のLCAを踏まえた循環度の評価手法ということで、「特にアジアとの協調は精力的に行われている」というふうに書かれているんですけれども、これに関する研究・開発というのが全く抜けているみたいなんですが。これはそういう意味で言うと、どこから出てきたのかなと思ったんですが。

【藤田委員】 [6]、マッピングをちょっと見ていただいたら。

【指宿委員】 はい。

【藤田委員】 実は、これ、文科省の21世紀COEプログラムの、いわゆる循環、環境省はセラミックス科学の世界拠点とか、例えばその上もそうだと思いますが、循環型社会への戦略的廃棄物マネジメント、研究の、多分、文科省ですから、どっちかというと研究がメーンだと思います。しかし、かなり幅広くはやっているということで、こういうふうな評価にはしておりますが、例えば、実用化とかそういうことになれば、全くまだ先の話ということになると思います。

【指宿委員】 ちょっと私、関係したことがあるんですけど、アジアの方にLCAの手法というか、LCAの考え方とか、そういうことを具体的に移転していくというプロジェクトがJETROでやられているんですよね。その辺を入れると、もう少し具体的になるのかなと思って、ぜひ、それを入れられたらいいんじゃないかなと思うんです。

【安井委員長】 おっしゃるとおりかもしれませんですね。これのカバレッジというのは、どこまでいっているのかなといったら、要するに省庁ダイレクトまでしか入っていないんですよね。一旦バウンスしちゃうと入っていなかったりするので、そのあたり、どこまでカバレッジをやるかは難しいですね。

【指宿委員】 特に、国際的なというところが結構抜けちゃっていると思います。

【安井委員長】 かもしれませんね。それはまた、長期課題ですね。もっと広範に予算の執行をもっと広げていくのは、これは大変かもしれませんが。ありがとうございました。
 それでは、また後でご意見を、総合的なご討論のときにご意見をいただければと思いますが。
 それでは、次、岡田先生、お願いします。

【岡田委員】 森本先生がきょうはいらっしゃらないので、両方一緒に報告させていただきます。
 まず、マッピングの方を見ていただきたいと思います。我々、自然共生社会の構築において、まず、マッピングの横軸、縦軸をどうするかということを議論したんですが、最終的に、必ずしもすきっとした形でまとまっておりません。申し訳ございません。
 ただ、横軸、右側の方に、左から右へ行くところは、もともとの指示というか、アイデアがIPCCの科学的な知見、それから、影響評価、対策技術、実用化、モデリングと、これを使うということになっていましたので、かなり無理してそれを使っております。この4つの軸が研究というか、いろんなことの全体を網羅しているという前提に立っているというふうにしましたので、無理してこれを入れて、ここで抜けているものがこの研究で欠けているという、こういう認識の仕方をとっております。そうしないと、マッピングする意味はないということで、かなり無理して、しています。そのかわり、もともとの研究が、例えば、1ページを見ていただきますと、1ページのアジア地域の大気環境のところ、そこの、縦軸のご説明をしておりませんが、汚染物質の発生源インベントリーの改良と高精度化と、こういう研究があるとすれば、それは汚染物質の発生源インベントリーですから、人間もしくは生態系に対する影響評価とか、対策技術の開発はもともと目的としていないので、ここにバツをつけると。こういう作業のやり方をしております。そういう意味で、今までのご報告とスタンスが違うかもしれません。ここでバツがついているところはもともとやる必要がないので、これについては、いい、悪いという議論は必要ない、と。
 では、縦軸をどうするかということですが、縦軸は、もともとの推進戦略に書かれている幾つかのテーマ、これをできる限り持ってきています。それを外れるものは一切無視しています。というのは、まず、つくった目標についてどこまでやっているかというのを評価するのが目的であって、今の現状に対して、合っている、合っていない、だからあれもやれ、これもやれという議論をしていくと、それは切りなく、ターゲットをどんどんどんどん勝手に変えていって、やるべきことを忘れていくという、非常に目的なしの議論になりかねないので、あえてそれはやっていません。
 同時に問題になったのは、縦軸がこれでいいかどうか。非常にわからないことばっかりでした、正直言いまして。例えば、これで十分かどうかは、我々の専門から見てもちょっとおかしいなと思いましたところがあるんですが、それは一切無視しています。一旦決めたことですから、それについて評価する、と。こういうスタンスをとっております。それから、ダブっているところなんかもありますが、これはしょうがないかなということで、とりあえず、字面をそのまま使っているという問題はありますが、それをともかく、こういうことをやると書いてあるので、それを、じゃあ、具体的に科学的な知見の整理収集の段階でちゃんとやったのか、最終的に実用化モデリングを目指してやっているのかという評価をした結果をここに書いております。
 ですから、[1]を見ていただきますと、このマッピングで見ますと、シナリオを作成するということを最初の研究計画でお約束しているわけですね。それに対して、それに対応する研究の内容が見当たらないと。したがって、空欄がございます。したがいまして、シナリオ作成に関する科学的な知見からモデリング、これはやっていないということが、例えば、11ページの[1]のアジア地域の大気管理何とか云々のところに、最後に書かれております。すべて基本的なスタンス――まあ、そうでないところもあるんですけれども、なかなかうまくいかないので、そういかないところもありますが、基本的にはそういうスタンスで書かれております。
 [2]の全国レベル・アジア地域レベルの生態系観測ネットワーク云々の高度化というところですが、それはマッピングを見ていただきますと、これはちょっと、まだあいまいなところが残っているんですが、私が今申し上げました理念どおりにいきますと、空欄がこれだけありますから、ほとんどやっていないと。こういう判断をするのが本来は正しいと思いますが、その辺は、あとは専門家のエキスパート・ジャッジメントという怪しいやり方を使いますと、熱帯雨林や湿地というところが欠けているというようなことがあります。
 それから、生態系機能の変化予測手法の高度化というのは、下の方にございます生態系サービスと文化的側面、生態系サービスの変化予測に関する研究投資がやや不足気味であるということで、右側の方のところが欠けております。ただ、生態系サービスをこの縦軸の3つのプロビジョニングとレギュレーティングとカルチュアルでとらえることが妥当であったかどうか。もともとその研究が、ここで意図した研究がそこまで明確にやっているかどうかというところは、なかなか議論のあるところでございます。
 もちろん生態系ですから、対象生態系は、熱帯雨林、砂漠からツンドラから普通の温帯林から湖沼、海洋、いっぱいあるわけですが、それを1個1個挙げていって、この分野がやっていない、例えば、内海、内湾が欠けているというのは簡単ですが、もともと目指していないんだから、それはやらないと。評価しないというか、やっていなくても仕方がないと。本当はやるべきだというと、もともとの研究計画が悪かったんだということを言わないとしょうがないので、何というんですか、大学の評価みたいなやり方をやっていて恐縮ですけれども、最初に約束したことがどこまでできているかという評価しかしないという、そういうことにしております。その辺が妥当かどうかという議論は後でご指摘いただければというふうに思います。
 [4]の自然共生型都市・流域圏云々ということですが、マッピングを見ていただきますと、かなりよく埋まっているということで、これは1つでも何かの研究が埋まっていたら、まあ、やっている方だと。要するに、これは10個なければいけないとか、1つでは少ない、3つだったら多いというクライテリアがない議論ですから、1つでもとりあえず埋まっていたらオーケーと、こういうことでやりますと、[4]のところは、地下水を適正に管理するための技術開発、対応技術の開発がすぽっと抜けておりますので、これがない、と。こういう判断をしております。
 [5]の広域・越境大気管理のところも、マッピングを見ていただきますと、最終目標としてのデータベースの構築、要するに実用化モデリングのところがすぽっと抜けておりますので、これがない、と。こういう評価をさせていただいております。
 それから、[6]の生物多様性、これはマッピングを見ていただきますと、いろんなことが欠けているということで、この辺は投資が行われていないと。あとは専門家としてのジャッジメントで、国内のデータベースの統合化、それから、世界データベースのリンクが必要というようなことが書かれております。
 それから、[7]の生物多様性・生態系の変動モデルの構築ということになりますが、ここでは変動予測モデルの構築を各種生態系においていろいろやっていくことが必要であるということをうたっております。
 それから、[8]、必須物質等の循環の解明云々というところでございますが、ここではC、Sの、炭素とそれから硫黄の循環の研究が相対的に不足しているというのは、これはマッピングを見ていただければ、そこのところが空欄になっておりますから明らかであるというふうに思います。ただ、当然のことながら、炭素という視点のところは、脱温暖化の課題も含めて検討していかないと、一見空欄ですが実際はやっているということになるかもしれません。
 それから、その次の[9]、水・物質循環に関するモニタリング云々というところは、マッピングを見ていただきますと、ほとんどのところが埋まっております。数もそれなりにあります。そういう点で、一応網羅しているという意味においては、やっているというふうに判断させていただきました。
 その次の[10]、自然共生化技術の統合化云々と。これは一応網羅しているということですが、これは網羅はしているけれども政策目標を十分達成できるかなというところでの、これは内容に関する疑問というのがここに書いております。それから、統合化・システム化のまとまった投資が少ないという評価をさせていただきました。
 それから、[11]、自然共生型社会の対策技術・社会シナリオということになっています。これはもう最初から対策技術・社会シナリオというふうに銘打っておりますから、ここだけは、ちょっと異様でございますが縦軸を2つにしてあります。一応、一定の研究が行われていると、こういう評価をさせていただきました。
 要は、ちょっと時間的なこともありましたけれども、どういうスタンスでやるかというところでなかなか苦労したというか、とりあえずやりましたというのが現状です。
 すみません。以上です。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 何か、ご意見、ご質問等ございますでしょうか。かなり評価慣れした手法だったように思いますので。
 どうぞ。

【中杉委員】 [4]のところの地下水の適正管理手法で、対策技術の開発というのがというのは、これ、マップの中にないという意味ですか。実際にどういうものが想定されるんであろうかなと。具体的には、地下水涵養については、これまでかなりいろんな工夫はされている。ここはあくまでも、提案課題の中にそういうものは見当たらないという意味合いで書かれているんでしょうか。

【岡田委員】 それだけです。ですから、あくまでも研究の評価枠組みに従って、たまたまないものはない、と。もちろん、ないことが妥当だということをきちんと議論すれば、僕はそれでいいというふうに思っています。ここではそういう、外形的、何というんですか、形の上での評価を試みました。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 この評価をいただきました評価の意味につきましては、また後で総合的にご議論いただこうと思っております。
 ほかに何か。よろしゅうございますか。

(なし)

【安井委員長】 それでは、次に、中杉先生、お願いします。

【中杉委員】 安全・安心のところ、指宿先生と、それから、それぞれ2人の委員の方をお願いしてお助けをいただいて、時間がなかったものですから、全体をどうも調整するということができてなくて、やりました。それで、考え方が、岡田先生の考え方と大分やり方を変えています。変えていますというより、横軸は大体研究の流れ、研究がどういう順番で進んでいって、最後は実用的あるいはどこかで適用されるというようなことが必要だろうということで、その流れにしていますけども、それぞれに応じて研究のフローというのは違ってくるので、横軸が少し、つくり方は変えています。縦軸は対像ごとに分けているということで、大体こんなことが必要ではないかというようなことを入れていますけれども、全部必ずしも入って、これが必要かどうかというのは疑問のところがございます。例えば、一番最初のところで、物性、挙動によって、簡易迅速な試験運用の方法、これは必要かなというような感じがありましたけれども、一応、枠をつくってしまっているという形です。それと、もう一つ最初にお断りしておかなくてはいけないのは、ここのマップに載っているからどうかということではなくて、マップ以外に実際にどういう状況にあるかということを、少し眺めながら整理をしております。そういうことを少しお断りしておいて、必ずしも全体にここが抜けているという表現で全部のあれが統一できていないので、申し訳ないんですけれども。
 [1]につきましては、私の方で分担しましたものをご説明しますけれども、最初のものについては、試験法によるものはいろんなものが開発されつつあるということで、これはとても実用のところまではなかなかいっていないのではないかというような整理をしてございますけども、こういうふうなものが開始されているという整理にしています。
 構造活性相関の、実はここの中では個々に幾つかのテーマはあるんですが、実際に化学物質の審査の場面では、もう、分解・蓄積の物性だとか生態毒性については、手法についての比較検証というようなことを実際の場でやっているというところがありますので、そこら辺を少し書いています。
 ヒト健康につきましては、変異原性についてはそういう段階まで届いているんですが、これ自体、ほかのヒト健康について、構造活性相関がそもそもできるのかどうかという議論が一部にございまして、ここの部分については余り研究の進捗が十分でないというような整理をさせていただいております。
 [2]のところは[11]とちょっと関連があるテーマでございますけれども、先ほどの小児期・幼児期の健康影響についてというのが中心でございます。これだけではないんですけれども、そういうものについて未確立の環境影響・健康影響中心でございますけれども、それついてどう行われているかということで、これも実用化というところまでなかなか行き着けてはいないだろうという評価をしております。国際的バリデーションというようなところまでという点で、これが実用化に入るかどうかというのはちょっとあれがありますけれども、いろんなことが取り組まれているということで、ただ、1つ最後に書いてありますのは、疫学的な調査が必要なんだけれども、疫学的調査というのはなかなかお金がかかるというか大変なことになるので、その部分が必要だろうというふうなことが書き込まれています。
 それから、[3]の水域・陸域生態系につきましては、水域については、水域だけではなくて陸域についても、これは実はOECDでテストガイドラインをどんどんつくっています。これは国際的に協議をしてテストガイドラインを作成しているので、そういうふうなことがやられていますし、一部で事前審査や環境基準の設定などのところでも、手法を開発して決めてきています。そういう意味では、個々についてはできていて、陸域についてというのは、基準の設定だとか事前審査の段階で使われるところまで進化はしておりませんけども、一応、研究は進んでいるという状況であります。ただ、個々の生物についてのリスク評価の段階にとどまっていて、それが生態系全体のリスク評価というのは、一部で産総研の中西先生たちの提案みたいな研究もありますけども、それが社会的な合意を得て実用化に至るまでにはまだ至っていないだろうという話でございます。
 [4]は指宿先生のご担当ですのでお任せしまして、[5]は化学物質のデータベース化ですけれども、目的に応じて、これまでも非常に多くのデータベースが運用されてきました。それに搭載するデータの取得も国際的な協力のもとに進められていまして、日本でも事業者の方の協力を得て、さらにデータを充実していこうという段階にあります。このスピードが速いか遅いかという議論はありますけれども、そういう方向に行っておりますし、また、各省庁間でばらばらに構築されているデータベースも、一応、統合したような形にしようというところまで動いているということでございます。そういう意味で、データベースのつくり方の進み方は、若干の、遅い、速いの議論はあるかと思いますけど、そういう方向に動いているので、どんどん進めていただければと思うんですが、一方で、データベースはつくったけどそれをどう活用するかというところに関しては、余り十分ではない。もう一つは、データの提供方法というのは、誰が使うかということもあるんですけども、そこについての検討が必要であろうというふうな整理をさせていただいています。
 [6]のところは、緊急対応ということで、今挙げられているものについて、問題にされているものについてということで整理をさせていただきますけれども、POPs条約については、埋設農薬だとかPCB廃棄物について、我が国では、一応、処理方法は確立されて運用されているというところであります。それから、もう一つの問題としてありますのはアスベストですけども、アスベストについては、除去技術、処理技術、飛散性のものについては除去技術が開発されて、これはもう実用化を進めないとどうにもならない段階ですので、実用化に入っています。それから、もう一つ次の課題ですが、さっきの廃棄物、循環型のところにも絡むんですけれども、非飛散性のアスベストの処理についても多様な技術の開発が進められていて、これは簡易・的確なモニタリング技術開発というようなところも進められているというところで、ここは緊急対応の必要な安全・安心確保技術というと、じゃあ、次に緊急対応が必要なものは何かということを、今の段階で予測することができないものですから、こういうふうな整理になっております。
 それから、[8]の環境試料の長期保存については、既にタイムカプセル事業で国立環境研究所の方で事業が進められている。その中でいろんな試料を集めていますということですけれども、そのあれに加えて、絶滅生物、絶滅危惧種、具体的に言うとトキなんですけども、トキあたりの遺伝子を、細胞を保存して種の復元をしようというふうな研究も進められていると。これはどこまでやらなきゃいけないという話は難しいんですが、一応、そういうシステムがつくられて運用はされているというふうに考えております。これもさらに対象を広げていく必要があるのかと思いますけども。
 それから、[9]が――これは指宿先生の方でしたっけ、私の方でしたっけ。これは東南アジアの環境中の化学物質のモニタリングのモデリング事業ということで、POPs条約対応ということで、ストックホルム条約と書いていますが、POPs条約対応ということで、東南アジアの国々と一緒に訓練をしながらモニタリングをして、データの蓄積を図っていこうというふうなことを今進めているところでございます。これは先ほどの自然共生の方のモデルの話と若干ダブってくるようなところがございます。
 それから、[11]が人や動植物の幼児期のばく露に応じた過程に応じたばく露評価手法ということで、これも先ほどの[2]と絡むんですけれども、胎児期とか乳児期・小児期のばく露というのは、これは開発が必要とされているんですが、まだ十分、なかなか難しい問題で、やり切れていないというか、もう少し充実する必要があるだろうというふうなことで、そこまでちょっと書き切れておりませんけど、そういうふうに考えてございました。
 オゾン層破壊については、一応、対策はやっているので、あと、その対策効果がしっかりうまくいっているかどうかという意味での観測が必要だろうということと、影響の部分については、もう少しこれから出てくるおそれがありますので、そういう意味での研究は諸外国で多く行われているだろうから、そういうものを収集整理して、我が国が具体的にやるべき課題がどこにあるのかということをはっきりさせる必要があるだろうというふうな整理にしてございます。
 それから、[15]はグローバルな観点からのPOPs・有害重金属の排出抑制策の技術的検討ということでございますけれども、有害重金属の管理については、国際的な動きもあって、排出面でもマテリアルフローの開発が進められていて、我が国で開発された技術を国際的に普及するということが行われ始めております。もう一つの問題としてあるのは、こういう流れの中で課題として残っているのは、鉱石って、これ、ちょっとミスプリントでございまして、化石燃料等に含まれる不純物に含まれるものなどの実態調査が十分進んでいない。この辺のところは意外と見過ごされるんですけども、鉱石として入ってくるものより化石燃料に含まれて入ってくるものの方が多くなってくるのがこれからの実態だろうと、そういう部分をしっかり抑えなきゃいけないというふうなコメントにしてございます。
 それから、リスクコミュニケーションは、実はマップを見ていただいても、ほとんど何もないという状況でございます。ただ、リスクコミュニケーションについては、研究自体になりにくいところが非常に多くて、実際には学問レベルでという表現をしておりますけれども、大学レベルでは非常に数多くの研究がなされています。ただ、このマップの中では、ほとんどそういうことが見えてきておりません。ここで言われているのはツールの開発だとか人材の育成みたいなことがやられていますけれども、しかしながら、これまでリスクコミュニケーション、今、大きく事例がやられているようになってきましたので、その解析から、効果的にリスクコミュニケーションを促進するような方法論というのは、まだそこの研究というのは十分できていないのではないかと。個々にやられ始めていて、活発にやられていますけれど、じゃあ、こうやればうまくいくんだというのは、なかなか確立できていないというふうな評価をさせていただいています。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 何かご意見等ございますか。どうぞ――そうか、失礼、飛ばしてしまいました。指宿委員の方から。

【指宿委員】 若干、簡単に私の分担だったところを。13ページの[4]が製品の全ライフサイクルを通じた化学物質の環境リスク低減手法ということで、これについては、話題になっている化学物質についてはマテリアルフロー解析を進めている研究があるということなんですが、まだ、そういう意味では十分ではないということで、LCAなんかでいろいろな研究成果が出ていますので、そういうものとあわせて解析する有害物質の数を増やしていくということが必要かなと。製品のライフサイクルにおけるばく露の影響評価というのはまだまだ十分に進んでいないということで、その辺の研究・開発の促進が重要だろうという書き方にいたしました。
 それから、次のページですが、[7]の環境計測・分析技術、こちらについては、有害物質ということで、機器分析の高機能化とか簡易化、これは結構投資がなされていて、実用化に近いものもある、と。一方で、先ほどもちょっと最初の方で出ていましたけど、バイオ技術とか、そういうものを使ったセンサー類が研究開発の段階で、これを実際の実試料に適用して使っていけるかというあたりをきちんとやらないといけないかなと思います。
 あと、そのほか、いろいろな技術開発が必要かと思いますけれども、もう一つは標準物質の関係の開発というのが、もう少し網羅的にやられるといいんじゃないかなという、そういうことで書いてございます。
 それから、[10]の広域・高精度の大気汚染物質ばく露モデル、これ、ちょうど光化学スモッグが中国から移ってくるとか、そういう話題もあったんですけれども、日本での都市大気モデルというのは非常に高度化が進んでいて、むしろ、それの妥当性検証を総合的に進める段階だろうという書き方でございます。そういった意味で、固定発生源ですとか道路近傍、そういう狭い場所での拡散・移動モデルというのもでき上がってきていますので、これらを積極的にばく露評価に使っていくということが、今後、重要であるというふうに書いてございます。
 それから、[14]のBAT/BEPの考え方を踏まえた有害物質処理技術という点について、マップを見てみますと、POPsについては環境浄化という技術開発、それから、VOCとかそういうものについては排出抑制中心の技術開発が進められているというところで、そういう意味ではそれらを進めるということになると思うんですが、重金属等についても、EUのRoHS指令等の規制に対応した対策が進められている。これを着実に進めることが必要かなと。ただ、技術の実用化と普及という面がなかなか十分でない部分もあるので、そこを促進するということが望まれるという、そういう書き方をいたしました。
 簡単ですが。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 何かご質問等ございますでしょうか。

【鈴木委員】 ディスカッションは……。

【安井委員長】 ディスカッションの前に次の3に行ってしまおうかと思っていますけれども、いかがでございますか。ディスカッションの進め方に関しましても、あれでございますが。後で全体的なこの報告書の構成について、実を言いますと、専門委員の思いといいますか作業も、いささかちょっと違ったメンタリティーで行われたところもないわけではないので、どうまとめるかというような議論をさせていただきたいと思いますが。
 もし、よろしければ、とりあえず3.の横断的事項についての実施状況というのを。これは事務局文書ですよね。これをチェックをしていただいて、それで、また先頭に戻って議論させていただこうかと思っておりますが、よろしいですか。
 それでは、3.で。

【豊住専門官】 それでは、17ページからの3.横断的事項についての実施状況について、資料に関しましてご説明をいたします。こちらは資料4、実施方針の横断的実施状況とあわせてご説明をいたします。(資料2の3.、資料4、参考資料6について説明)

【安井委員長】 ありがとうございました。
 比較的短めの文章でございますが、何かご意見等ございますか。
 割合とやられているという、そういう文章になっていますけれども、もう少し何かをしなければいけないとか、そういったことがございましたら、ご指摘いただけたらと思いますが。
 どうぞ。

【西岡委員】 多分、後の部分とも非常に関連すると思うんですけれども、全体の方針として18年3月に出たものとして、やはり、我が国が目指すべき長期的な将来像ということがあって、それに対して本当にこいつがどう向かっているかということが一番の上位の評価概念ですね。今やったのは、そういうことはちょっと置いておいて、ちゃんと穴が埋まっているかといった意味なんだろうけども、全体として、そういう意味でのチェックを今後やっていくべきであるという意味のことがあってもいいかなとは思うんですけれども、今は実施状況についての報告ですから、多分この後に、もう一つ、4というのができるんではないかなと期待はしておりますけれども。

【豊住専門官】 はい。この点につきましては、目標に向けた取り組みの状況につきましては中間の調査で行うということで、フォローアップ手法の段階を3段階にしておるんですが、その中での中間調査の主たる部分が目標に向けた取組状況になってございます。事務局といたしましては、その段階で、今のような視点でのフォローアップをしていきたいというふうに考えてございます。

【安井委員長】 そのあたりがですか。どうぞ。

【鈴木委員】 いいですか。ディスカッションに関して。

【安井委員長】 これに関して、3に関してはよろしいですか。それでは3に関しまして。

【藤田委員】 1つ。17ページのちょうど真ん中辺になるんですけれども、「地方環境研究所については財団法人化や統合がなされるなど大きな変革の中にあり、地域におけるその役割を一層明確に示すことが必要である」と、これはよく理解できるんですけれども、もう一方で、もう一つ上の方のフレーズ、「環境測定分析の精度の維持向上のための支援を続けている」というところなんですけれども、実際に地方の、いわゆる地環研ですね、ここなんかですと、実は世代交代を含めますと、技術力の低下というのをどう支援するのかというのは、結構重要な課題になるのではないかなと。というのは、ほとんどの場合に、やはり、全国的な意味での環境モニタリングというのは地方にかなり依存している部分があると思うので、そこのところ、これで表現ができているというのか、あるいは、もう一層支援というところが、実はそこにもう意味が含まれているというのか、人材の育成を含めた支援なのかどうか、その辺のところをちょっとお聞きしようかと思いまして。

【安井委員長】 いかがでございますか。

【豊住専門官】 技術力の維持といった観点からの支援といったものがされているかどうかというところで、そういった観点で修文可能かどうか考えてみたいと思っております。ただ、人材育成といった観点になりますと……。

【藤田委員】 人材育成というより技術力の維持、あるいはその向上かね。

【豊住専門官】 はい。こちらの施策を担当しているところとも相談させていただきまして、修文を考えてみたいと思います。

【安井委員長】 ほかは何かございますでしょうか。

(なし)

【安井委員長】 それでは、そろそろ3を終わりまして、全体の議論をさせていただきたいと思いますが、一応、前提として、もう一度、先ほど事務局からもご説明がございましたように、今回、簡易調査ということになっておりまして、簡易調査は、お手元のどの資料ですかね、参考資料1のところの2ページの表にございますように、「実施方針の円滑な実施のため、社会的状況変化の把握や資源配分状況を継続的にモニターする」となっておりまして、その「モニターする」というのが目的でございまして、モニターでこういうふうに足りないよというのは言えるんですが、足りないから進めるのかどうなのかということに関しては、なかなか微妙というようなところでございますし、それから、社会的状況の変化をどのように、例えば、次の年の資源配分状況に反映するかというのも、これもまた、かなり微妙な状況になっております。ということをお考えいただいた上で、本報告書、簡易フォローアップ結果をどのような形で出していくべきかということに関しまして、何か全体的なご意見をいただけたらと思いますけど。
 鈴木先生、何か。

【鈴木委員】 どう出していくかというような話ではないんですが、そもそも簡易調査というのは何なのかというのが、よくわからないところがあって。まず、これは国のお金を使って環境研究・環境技術開発をどう推進するか、これがやっぱり基本なんですね。ですから、先ほど西岡委員からもありましたが、国として一体何が、どういうニーズがあるのか。特に、施策の面からの政策的なニーズというのは一体どこにあるのかと。これはきちんとアイデンティファイされていなくてはいけない。そもそもの、3月に出された戦略も、その辺の議論がどれくらいされていたのか、ちょっと、私、不安なところがあります。もし、そういうところがきっちりわかっていれば、それに対してそれぞれの研究テーマのセレクションができたんだろうと思うんですが、何となく無邪気に競争型資金ということで皆さん応募いただいて、それをここでマップに当てはめれば、空白ができるのは当たり前のことで、それをもって何をどうしようという議論を始めると、これは本来の趣旨と違うんじゃないか。やっぱり、一体、他省庁のテーマも含めて、いろいろここで議論しているわけですが、いずれも国のお金を使って、こういうところを埋めていく。それぞれのところで、やはり目標、政策にどう最終的に反映できるか。これをやっぱり評価しなきゃいけないんだろうと思います。何か基礎研究があり、実用化にどう結びついてなんていう話は、ここでやらなくてもいいんじゃないかというのが、ちょっと私の感じで。
 多分、評価に加われた方々は非常に大変な作業をされたと思いますし、悩みに悩んだ末、結局は達成度評価みたいなものにならざるを得ないというのも非常によくわかるんですが、やはり達成度評価をするためには、研究の出発点において目標がしっかり決められていないと、達成度評価をしてもしょうがないんですね。だから、そこのところをもう少しちょっと見直される――まあ、今、予備的な調査、簡易調査ですか。ということは、結局そういう評価のやり方も含めて、ここで色々な、たとえば目標設定の仕方も含めて、議論をするいい機会なのかなという気がしますので、余りともかくこの、大きなA4判の紙が4枚あるので、それに従って云々ということにこだわらなくてもいいのかなという気がいたします。
 それから、環境省の方での横断的な部分、クロスカッティングな部分なんかについてのお話があったんですが、やっぱり横断的な部分、どういう国際的な戦略をもって環境省が環境部門において、特にアジア地域の問題についてアプローチをしていくのかというようなことに関しても、きっちりとしたコンセプトと施策をつくり上げて、そういう面から誘導していくようなことをしないと、今、たまたま挙がっている研究テーマについて、「国際的に」というキーワードがついているので、それは大変結構ですというような話じゃないだろうと思います。
 「地域」に関しても、そういう意味では、政策的に、いろんなところにそういうものを埋め込んで、地域も活性化するというようなことも必要だろうと思うので、ぜひ、その辺のところを考えていただきたいと思います。
 申し上げたいことはいっぱいあって切りがないんですが、時間が限られていますので、もう一つだけもうしあげます。環境省の中で、これも前から申し上げているんですが、いろんな研究費があるわけですね、ここにも挙げられているように。廃棄物もあれば、地球環境もある。これはやっぱり、省の中でもう少し整合性をきちんととる、と。これはいずれFA化のところでそういうことに必ずなってくるのでしょうが、それをぜひお願いしたい。そして、そういうものを研究者に対して、学会なんかの場を借りて、ぜひ、パブリサイズしていただいて、どういうようなことを環境省が目指していて、それに向かって、こういうアプリケーションを大学の側からもきちんとしてもらいたいというようなことをおっしゃっていただかないと、質のいいものが集まらないというようなことがあると思いますので、それもぜひお願いしたいと思います。
 一番最初のところで、前回、私がくどく申し上げたんですが、要するにプロジェクト評価ではなくてプログラムの評価。そうしましたら、今回はプロジェクト評価から少し進化しましたが、何か重点課題ごとに俯瞰するみたいな形に、ちょっと変わっていったところがあります。私が申し上げたプログラム評価というのは、やっぱり施策の評価なんですよね。どういうふうに環境省がテーマを誘導して、こういうものを達成しようとしていったか。施策ニーズを明確に出して、それに対して、それがちゃんと実効が上がったかという、いわば立体的な評価をしていただきたいと思ったんですが、何かきょうのところは二次元的な評価に終わってしまっております。これは簡易調査ですから、今後、ぜひ、お考えいただきたいと思うところです。

【安井委員長】 はい。毎度ながら、かなり高度な要求が出ているようで。
 どうぞ。

【三村委員】 3点あるので、手短にやりたいと思います。
 1つは、このフォローアップがどういう目的に使われるのかというのをちょっと、後で教えていただきたいと思います。来年の資源配分なんかにこれが使われる、基礎的な資料に使われるのかどうかということですね。目的がはっきりしている方が議論がしやすいとうこと。
 それから、2番目は、やっぱり第4章というか全体の結論というところをつくった方がいいんじゃないかというのが私の印象で。というのは、国際的な状況の変化と各分野における評価と、それから、全体的な横断的なものの評価を踏まえて、だから各分野ごとにどうだったかとかいう評価結論みたいな、そういう章があった方がいいんじゃないかというのが2番目です。
 それから、3番目に、そういうふうに考えて気候変動のところをちょっと考えてみると、これは、今、西岡先生とか鈴木先生がおっしゃったことに若干関係するんですが、私の認識では、ちょっと大げさに言うと、現在の温暖化研究は科学研究が政治に追い越されちゃったような感じがちょっとしていまして。というのは、今まではいろいろ科学者の側が、危ない危ないとか、こんなことが必要だと言っていたのを全然聞いてくれていなかったんだけど、一遍にサミットで2050年に50%以下だと言われたら、それを逆に科学の方が、え、そんなこと、どうやったらできるのというようなところがあって。ですけど、それは非常にいい方向なので、この間の非常に大きな変化は、一つはサミットでそういうことが出たことと、それから、環境立国戦略が出たということだと思うんですね。そうすると、科学の側は、それを実現するような方法はどうやったらいいのかということをちゃんと答えるということが課題になってきていると思うんですよね。
 そういうことを考えると、現在ある気候変動研究の12の課題の中で、これらをそれぞれ必要なものだから着実にやるという視点と、特に急変した、そういう世界の政策的なものに対応するという意味で、例えば、脱温暖化社会のデザイン研究とか、あるいは気候変動リスクの管理手法とか、そういうようなところをもっと強化するとか、それから、対アジアの関係でも、CDMや技術移転だけじゃなくて、もっと相対的な科学技術外交というか、そういうような視点で総合的に打ち出していくとか、少し重点が変化するという部分が何かあるんじゃないかなと思うんですね。ですから、最後の結論のところに、そういう社会の変化、それから、今までやっていることの評価、そういうものを踏まえて、今後の方向というようなものがちょっと入ってくれば、評価の報告書としてはかなり整合的なものになるんじゃないかというふうに思います。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 西岡先生、どうぞ。

【西岡委員】 全く今のお話をフォローするような話になると思います。
 1つは、大きな流れがちょっとここのところ大分変わったんじゃないかなということがあって、そのことについて触れないでこのまま平坦に書いておいていいかなと、ちょっと心配なところがあります。
 全体として大きな流れが、今までいろいろと言われていたんですけれども、ここでは持続可能な社会にむけてという部分ありますけれども、このほかに、ストック型の経済にしなきゃいけないとか、定常化社会だとか、いろんな言い方で方向が全体として見えてきたということを、ちょっと再認識しておく必要が、多分一つはあるだろうということであります。
 例えば、私、IPCCの方で見てみて、自然環境、第4番目の野生生物あるいは多様性に対する研究というのが徹底的に遅れているなと思ったのは、結局、IPCCが幾ら野生生物が減りますよと言っても、それが社会にどういう関係があるのということになって、全部こういうことは無視されていて、ほとんどが、いわゆる経済価値のあるものだけのコストベネフィットで計算されてしまうといったところがあって、大きな流れの中では、自然環境の部分というのは非常に弱いなというふうに、例えば思います。
 それから、自然の流れだけから言いますと、これは循環型と関連ありますけど、聞き及ぶところによりますと、種々のレアメタル等々を含めた金属等々の枯渇というのはもう目の前にあるとか、そういうこともわかってきたし、もちろんエネルギーの話はあります。そういう大きな流れがある中で、もう少しその方向についても配慮しているよということがあってもいい。それが第1点です。
 それから、第2点ですけれども、やはり、環境省が資源配分をするというときのスタンスを、だんだん僕は、ここのところの競争的資金の論議でわかってきたのは、大学の方は、もう、かなり逆の方向に向きつつあるんですね、私の見たところ。非常に基礎的なところというところを非常に強調した形に、私は移りつつあると思います。いろんな審議会に出ておりますと、必ず従来の学問のところにもう一度回帰しなきゃいけないというところがどうしても出てきている。それに対応しましてというか対抗しましてというわけじゃないんですけれども、やはり、これ、我々が研究と言ったときには、非常に目的志向でやっているんだよと。政策志向ということをおっしゃいましたけど、そういうことを、もう、立場上はっきりした方がいいと思う。いろいろと文科省の方も頑張って、環境問題について相当お金を投じるようになってきたものですから、それはそういう資源配分を前提として、目的研究に向かってどうやるかという視点を入れていく必要があるだろうと。
 なお、環境の研究につきましては、例えば、予防原則って非常に重要なので、そういう観点から予防的に研究がなされているかと。いわゆる最先端のところをいくだけではなくて、きちんとしたデータ整備、それから、安全な社会に向けての研究がなされているか、あるいは、アーリー・ウォーニングであるとか、あるいは、里山の話がございましたけれども、地域自立な話といったものが明快な一つの方向として出ているかといったこともあるかと思います。
 それから、先ほどCDMの話がございました。ここでCDMの研究の話をたまたま聞く機会があったんですけれども、CDM自身というのは余りにも私は矮小化している、これ、CDM自身がどうなるかわからないような感じで、もう少し大きな枠で途上国との海外協力におけるテクノロジートランスファーなど、どういう有効な枠組みがあるだろうかといった意味での研究に広げていかなきゃいけない。もう少し、また大きな枠組みもあるかと思います。そういった視点もはっきりしながら示していただくと、評価がやりやすいんではないかなというふうに思っています。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 山口委員、どうぞ。

【山口委員】 私、実はこの委員会に初めて出るもので、若干、今までの議論を聞いていないということで、的が外れているかもわからないんですけれども、一つ、このフォローアップの目的が、いま一つ、ちょっと私自身の理解度が中途半端になっているもので、確認しておきたいんですけども、この資料2にあるように、既に動いている、平成18年度に実施しているテーマの実施状況そのものを評価するのではないというふうに僕は理解しているんですね。
 したがって、しかし、既に18年度実施しているテーマについて、社会的な状況の変化、もしくは、資源配分がいいのかどうか、そういう国内外の社会的な変化、それから、他の省庁のいろんな研究テーマ、この4つの項目に対して、他の省庁でも当然のことながら研究を、技術開発をされていると。それを見ながら、平成19年度もしくはそれ以降、今後、環境研究並びに環境技術にどういうところリソースを投入すべきかということを提案するフォローアップなのかなというふうに感じたんですね。
 とすると、この先ほどの3.の横断的な事項について、いろいろと必要があるとか、早急に確立しなくちゃいけないという提案をしているわけですから、ここについて、もうちょっと踏み込んだ形でのフォローアップの結果をまとめた方がいいのかなと。そうしないと、何となく何か消化不良に終わってしまって、来年度以降につながらないような気がいたします。
 それから、もしも、既に動いている平成18年度の施策のフォローアップであれば、場合によっては、既に動いているけども軌道修正をしていただきたい、もしくは、資源配分を見直していただきたいと、そういうコメントも、場合によってはあってもいいのかなと。なぜならば、やはり社会の変化、先ほど西岡先生もおっしゃっていましたけども、社会がいろんな変化をしていますので、1回決めたものをいつまでも、ずっと走ってもいいというわけでもないと。
 ということで、私のコメントとしては、資料2の3.もいろいろとご提案をされておりますので、そこについてもうちょっと踏み込んだコメントが4.でつけばいいのかなと、このように思っております。

【安井委員長】 いろいろと積極的なご意見をいただいておりますが、これにどこまで事務局が対応できるか、これから検討してもらわなきゃいけないんですけど、先ほど申しましたように、要するに資源配分の状況と社会的な状況変化をモニターすると書いてあるんですが、モニターしつつ、やっぱりモニターしたら何かそれをどう書くかというのが非常に微妙なんですよね。ですから、そこを、特に、三村先生におっしゃっていただきましたけも、本当に地球温暖化に関しましては、何か方向が180度変変わっちゃったかなみたいな状況があって、その中で本当にいいのかみたいな話がありますので、今回、恐らく事務局側としてはかなり努力をされて、いろいろインパクトのある誘導策を盛り込むとちょうどいいかなということかと思います。私の個人的な意見でございますけど。
 どうぞ。

【中杉委員】 先ほどからご発言を聞いて、そのとおりだろうと思いますけど。一つだけ、西岡先生が言われた環境省の研究の方向性といいますか、何を目的にするのかと。環境省と言わないんですが、行政の研究の方向性、ここでマップに入っていますよという話、マップから抜けていますよという話は、そこは本当に、国の中でやらなきゃいけないのかとか。今、私も環境省も含めて、いろんなところの応募研究の審査をやらされているんですけれども、必ず出てくるのは、学問的な意義づけと社会的な実用性。学問的な意義づけというのと社会的な実用は、必ずしも一致しないんですよね。例えば、極端な話をすると、特許を何本とるかとか、学術論文を何本発表するかというところが評価の項目に入っているんですが、特許は幾らでもとれるんですよ。だけど、それが実際に使えるかというと、全然使えないものがある。それはどっちに焦点を絞るかによって、そこら辺も少し考えていかなきゃいけない。僕はいつもやらされていて、両方は評価が全くうまく合えば、それは非常に美しいんですけれども、それはイーブンにやられてしまうというようなところが非常に。そこら辺を少し明確にするべきだろうと。だから、これはここの環境研究・技術開発の言っているところの対象は、そこら辺のところをどういうふうにするのかというのは、かなり重要なポイントだろうというふうに、私は一つ思いますが。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 ますます難しい注文がいろいろ出ておりますが、ほかにいかがでございましょうか。
 藤田先生、どうぞ。

【藤田委員】 1つ。循環型社会の分野だけでしかコメントはできませんけれども、先ほど山口委員と、実はマッピングの軸の話もしました。そのあたりのところをずっとまとめてきて、もちろん、拾い上げてきた研究課題につきましては、すべてが網羅されているかどうかという話は先ほども指摘されましたけれども、少なくとも、重要課題を見てみる限りでは、かなりしっかりとその部分が研究されているというのが見えてくる。あるいは、全く抜けてしまっている部分があって、それは、抜けている場合には2つの理解――1つはもう既に終わっているという意味で抜けているのと、もう一つはやはり今後やっていただきたいという部分が出てくると思います。ただ、先ほど中杉先生が言われた実用化のところは、確かに我々も、特に循環型社会ですから、実用化って非常に大事なところで、実は軸の中に入れたんですけれども、それはもしかすると、研究の段階を離れているから、逆に企業等がむしろ積極的にそこに入るべきではないかという情報だけでいいのかなという気もしました。
 そういう意味では、特に参考資料で出ていくと思うんですけれども、こういうマッピングを世の中に示すことは、少なくとも研究者にとっては、この部分がむしろ今後必要であるという一つ情報を得るという意味では重要ではないかなというふうには思っております。

【中杉委員】 今の実用化の部分ですけど、私の考え方は実用化自体は、それはもうこの研究の中でやる話じゃないんですけど、実用化に向けてやることは多分あるだろうと。例えば、手法の相互比較評価というようなことは、ここでは、化学物質リスクのところでは、そこを実用化のための研究というふうな形で位置づけて、書いているつもりでございます。

【安井委員長】 どうぞ。

【鈴木委員】 ちょっと細かいことになりますが、全体の3のところで、国際的取組の戦略的展開というところがあって、こんなところに役に立ちました、こういうことをやりますということが書いてあるんですが、今、総合科学技術会議で、要するに科学技術の国際化というか、科学技術外交、国際的な戦略を持って日本が科学技術の面でどういうふうに外へ出ていくかと、これがこれから求められていくと思うんです。そのときに、やはり環境面での科学技術に関して、日本がどういう国際戦略をきちんと持つかということは非常に重要なことなんです。要するに、環境という分野ですと、ほかの科学技術よりも、はるかに抵抗なく国際化が進められます。こういうものをやはりきちんと環境省で核をつくっていただいて、それが国環研になってもいいと思いますが、どこかでやはりキチンと考えていただくことが必要なのかなと。ですから、総合科学技術会議の非常に短い文章ですが、その辺もどこかに位置づけておかれて、やはり全体としての環境省の国際戦略をきちんと考える。それは視野に入れていただきたいと思います。

【安井委員長】 今のお話は、科学技術大綱の絡みですね。短い文章が出ていますよね。わかりました。ということでございます。
 大体時間でございますが、今回、フォローアップというのは初めてやって、大体どういうふうにやるのかわからないまま議論させていただきまして、また、その前に、マップづくりという、これまた初めての作業をおやりいただきまして、専門委員会の委員の方には大変ご苦労をおかけいたしまして、ありがとうございました。
 きょうありますのは、これは案ということでございますが、これをどうやってまとめていくかは、まだ多少ちょっと、最終的には、委員長、事務局預かりにするのか、そうでなく、それよりもまた委員にお願いをして、何かちょっと補正をしていただくのを含めて、ちょっと検討させていただきたいと思っております。
 あと、私も個人的な質問なんですけれども、資料は報告書に添付されると思った方がいいんですか。資料1、資料4とか、この辺の。ほかの資料もございますが。

【豊住専門官】 本文はあくまで資料の2ということで、他は本文の別添という形にするという手もあろうかと思います。

【安井委員長】 それも含めて、また……。

【豊住専門官】 はい、またご相談を。
 なお、マップの方につきましては、環境省の方で一つの調査の中でやっておりますので、その報告書という形で後ほどお出ししたいと思います。

【安井委員長】 それはまた、別ということですね。わかりました。ありがとうございました。
 ということで、本日は貴重な意見をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、事務局側から何かおまとめをいただけると。

【室石環境研究技術室長】 きょうは、どうも大変ありがとうございました。もともと、昨年3月末の戦略の答申をいただいたところで、従来こういった5年分の答申というのを、さらにさかのぼると5年間ごとに二度ぐらいいただいていると思うんですけれども、ただ、つくりっ放しだったという話もあって、昨年3月の答申のときには、フォローアップをしなさいというのが初めて入って、実施方針をつくりなさい、それでそのフォローアップをしなさいというのが初めて入ったと。ということで、実施方針をつくって、フォローアップをしたという最初の試みになるわけでございまして、今、委員長おっしゃいましたように、なかなか、マップをつくって、また、それをチェックしていただくという非常に膨大な作業をやっていただきまして、本当にありがとうございました。
 ただ、きょう、一応、前回の委員会のときに、1年目は簡易作業だというご説明はしておったんですが、やはり、きょう聞いておりますと、せっかく1年見たわけですので、そこから出てくる将来の方向性とか軌道修正の話をいただいたわけですので、そこは4番というものをつくってやっていった方がいいんじゃないかというふうに思いました。
 ただ、そのときに、やり方としては、やはり、ちょっとまた、各分野それぞれもう一度、事務局で少しきょうの意見を踏まえたものを考えまして、また、ちょっとそれぞれの先生にご相談させていただいて、4番の原案をちょっとつくらせていただいて、4番のためだけにもう一度集まっていただくかというのは、また、ちょっと、もう一度考えたいと思いますが、構成としては3番だけでは足りなかろうということではなかったかと思います。
 それとあと、最後の方で出ました、学問と社会の要請の話が違うと。特に特許の話について議論ございましたけれども、答申の内容を思い出しますと、フォローアップのやり方あるいは指標を考えるときに、特許の数というのも1つの例になるというようなことがたしか答申にも書いてあったと思うので、そういう点では非常に難しい面があるなと。多分、総合科学技術会議の方なんかからの、要するにお金をちゃんと有効に使ったかという、そういうフォローアップ調査なんかでも、そういう特許数を出せというのは必ず来るというふうに思えるので、非常に難しい――すみません、時間もあれですが、その辺は我々もよく考えたいと思います。
 以上でございます。

【安井委員長】 そういうことでございまして、初回、フォローアップの最初ということで、これがいい例になって、来年はもう少しスムーズに、効果的なフォローアップができるとよろしいかと思っております。ということで、いろんな記録を残してまいりたいと思っております。ということでよろしいですかね。
 その他は聞いていないんですけど、一応、ないんですよね。
 ということで、本日は、専門委員会をこれで閉じさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。