中央環境審議会総合政策部会 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第3回) 会議録

日時

平成18年1月26日(木)18:00~20:00

場所

環境省 第1会議室

議題

  1. (1)専門委員会報告書(案)について
  2. (2)その他

配付資料

資料1 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会報告書(案)
資料2 検討スケジュール(案)
参考資料1 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会委員名簿
参考資料2 「科学技術基本政策答申(案)について」(第51回総合科学技術会議資料)
参考資料3 第3期科学技術基本計画に係る分野別推進戦略案における研究開発の選択と集中の作業方針(総合科学技術会議 ナノテク・材料分野推進戦略PT資料)
参考資料4 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会報告書(案)概要版
参考資料5 前回専門委員会議事録(案)      (机上配付)

出席者

委員  :

安井 至委員、指宿堯嗣委員、岡田光正委員、鈴木基之委員、
中杉修身委員、藤田正憲委員、森本幸裕委員、山口耕二委員

参考人:

上智大学 柳下正治教授

環境省:

総合環境政策局 桜井審議官 宇仁菅環境研究技術室長 中根環境研究評価調整官 
上田調整専門官

議事

【宇仁菅環境研究技術室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会総合政策部会環境研究・技術開発推進戦略専門委員会を開催いたします。
 議事に入ります前に、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。(資料確認)
 以後の進行は、安井委員長にお願いいたします。

【安井委員長】 本年もよろしくお願い申し上げます。
 本日、報告書の案が出ておりますので、できるだけ時間を割きまして、よいものにしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 前回の議事録はまだご確認頂いておりませんが、後ほどご確認を頂きまして、もしコメント等がございましたらば事務局にコンタクトをとっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思いますが、議事は一つとその他でございまして、まず、(1)の専門委員会報告書(案)についてということで議事に入らせていただきたいと思います。
 まず、事務局側からのご説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

【上田専門官】 まず報告書本体の説明に入ります前に、周辺の状況について2点ご説明させていただきます。
 1点は、資料は特にご用意しておりませんけれども、昨年12月28日から1月16日まで、3週間弱にわたって期間を設けましてパブリック・コメントの手続を行いました。その結果、事務局に寄せられた意見はゼロということで、ご意見はなしです。このため、報告書(案)につきましては、前回の専門委員会で頂いたご意見、あるいは表現の適正化ということで、比較的軽微な修正を行ったという作業状況でございます。
 それから、2点目ですけれども、参考資料になりますが、総合科学技術会議における審議の状況について、ごく簡単にご説明させていただきます。
 参考資料の2と3ですが、2が科学技術基本政策答申(案)ということで、これは、まさにこの答申が閣議決定されると科学技術基本計画になるというもののエッセンスをまとめた資料でございます。
 9ページのところにまとめということで第3期計画のポイントが書いてございます。投資の選択と集中の徹底をするというのを非常に色濃く打ち出しております。参考資料2の基本政策の答申(案)というのは昨年の12月27日に総合科学技術会議決定ということで決定をされておりますけれども、それを受けて、今、各重点分野の重点分野別の推進戦略が総合科学技術会議側でも検討が始まっております。これは3月31日までに決めるという予定で検討が進められていますけれども、その際の研究開発の選択と集中の作業方針を、参考資料3として本日つけております。これも総合科学技術会議の資料でございます。(参考資料3を説明。)
 総合科学技術会議もかなり検討が進んでおりまして、非公式に事務局同士では情報交換を盛んにやってはおりますけれども、なるべく早目にインプットしていきたいと考えているところでございます。
 以上2点が周辺状況でございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 周辺状況のご説明を頂きましたところで、何か、もしご質問があればここで伺いたいと思いますけど、よろしゅうございましょうか。
 総合科学技術会議の方は、まさに今、進行中でございますので、しかも、大分固まってきましたけど、かなり揺れておりますので、今はこんなところだということでよろしいと思います。
 それでは、本題に移らせていただきたいと思います。それでは、ご説明をよろしくお願いします。

【上田専門官】 それでは、ご説明させていただきます。
 前回、第2回の専門委員会で、重点領域の議論と、それから報告書本体の議論と2段階に分けるようにと安井先生からご指示がありまして、今回もそれにのっとって、まず重点領域ごとのところをご説明したいと思います。(資料1の参考資料3-1、3-2を説明)

【安井委員長】 ありがとうございました。
 ご議論の方向性ですが、参考3-2は、字数も多いですし、これで確定というわけではなく、この部分だけは、まだ少し時間をかけてよいものにしていきたいと思っております。ですから、今日、ここを見ていただきまして、何か大きな抜け落ちがあるか、あるいはこんな書き方がいいのかどうかというご議論がございましたら、ぜひおやりいただきたいです。
 本日、主としてご意見を頂きたいのは、その手前の参考3-1の4枚の絵でございまして、この絵が本日の議論の中心的なところになると思います。
 先ほどご説明がありましたように、幾つかの課題が重要課題と重点投資課題に分かれて書かれておりますが、この重点投資課題と、総合科学技術会議側の課題が必ずしも一致していなくてもいいと思っています。といいますのは、あちら側は、本当に研究要素が高くて、集中的にこの5年間で投資をして、それで成果を出すもの。こちら側は、必ずしもそうでなくてもいい。総合科学技術会議もだんだん態度が明確になってまいりましたので、基盤的にじっくりと長く時間をかけてやる課題は総合科学技術会議の方には出てこないという認識になってきておりますが、それはこの環境省レベルの方では重要であるということがあっても一向に構わないと思っております。
 今日のご議論といたしましては、この4枚の絵を中心に、そして参考3-2のテーブルの方に関しましては、書き方がおかしい、あるいはこんな形式で書いてはいけないとか、少し包括的なご議論が頂ければと思います。
 できましたら温暖化、循環型という順番でご覧頂きまして、お気づきの点がございましたら、よろしくお願いいたします。これで大体ファイナルにしてしまいたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。

【岡田委員】 この図の中には「重要課題」となっていて、19ページのところは「重要研究課題」となっていますが、同じことですか。

【上田専門官】 はい。同じ意図でございます。ご指摘ありがとうございます。

【中杉委員】 最初に確認ですけれども、先ほどの化学物質のお話のところで上田さんからお話を頂いたリスクコミュニケーションを、重要課題に変えたという話で、意味合いを誤解されると非常に困ります。重要課題と重点投資課題の性格づけ、お金がたくさんかかるところは重点投資課題だけども、重点投資課題の方がより重要だということを言っているわけではないというところは確認をして、どこかに書き込んでおいてもらう必要がある。そうしないと、えらい批判を浴びかねないと思います。

【安井委員長】 環境省としての重点投資課題、重要課題の整理をどこかへ書いておかなくてはいけないかもしれません。総合科学技術会議は、それなりの分け方があって、やはり、この5年間でお金を重点的につぎ込んで、成果を出して、すぐ何かに反映できるものが、あちらの戦略重点科学技術ですから、こちらはこちらでこう書いたというのは、どこかに書いていただいた方がいい。
 ほかに、何かございますか。

【岡田委員】 19ページに書いてあるのは、そういうことと考えていいですよね。

【上田専門官】 はい、そういうことです。

【岡田委員】 なかなか抽象的で、重要研究なのか、単なる重要課題なのか。あくまでも研究ですよね。

【上田専門官】 はい、基本的にはそうです。

【安井委員長】 基盤的なもの、着々と粛々と進めるようなものに関しては重点投資にはしなかったということだと思います。それは5年間に限った話ではないというスタンスです。

【岡田委員】 だから、重要研究課題は環境分野として長期的に重要である。ただし、投資課題はすぐ5年間でやらなきゃいかんと、こういう感じでいいですか。

【安井委員長】 はい。だから、5年間で、かなりの金額を投入して、成果が出て、すぐ社会に還元できるというものだと思います。
 あと、何かございますか。各論に入っていただいてもよろしいかと思います。
 4枚を並べてみますと、1枚目、2枚目、3枚目、4枚目で、奇数番号のものは矢印が全部ついていますが、偶数番号のものは矢印が少ない。特に自然共生型は、この5年間ではほとんど問題の解決ができないということを意味する、温暖化もそうですけど、そういうことでいいですか。

【上田専門官】 そういう解釈もできると思います。矢印がなくても、別に5年間で切るという意味ではないですけれども、基盤的に、5年間に限らず、ずっと必要なものは点線で矢印を引いていまして、5年後以降も明らかに引き続き必要だということがわかり切っているものが実際の矢印を引いているという感じではありますけれども、ないからといってやらないという意図でもないので、その辺が曖昧にはなっております。

【森本委員】 自然共生型社会の構築ですけれども、昔、サルとかクマとかシカとかの問題の話も見たように思いますけども、消えています。実は重要なキーワードで、野生動物との共生問題をどうするかという、総合的、統合的な技術開発が求められているということ。もう一つは、里地・里山を利用して、自然共生型社会をつくっていくということ。それから、もう一つ外来生物問題は、データベースとか、あるいは変動モデルの構築という形では入ってくるけども、どう対応していくのかという対策技術のところでも、割合短期的に考えていかないといけない問題があると思う。その辺がキーワードとして皆落ちている。里地・里山、野生動物との共生問題、それから侵略的外来種の問題、外来生物の問題は、どこかで出した方がいいと思う。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 まず、どこかで読めるかということが一つありまして、それとあと、先ほど申しましたテーブル側はできるだけ包括性を見たいと思っておりまして、キーワードが落ちていない方がいいと思います。

【上田専門官】 現状は、確かにテーブルにも、例としては挙がっていない状況です。

【安井委員長】 そうしますと、どこへどう入れ込むか、それが絵にどう反映されるのか。

【森本委員】 自然共生化技術の開発で、例として、環境と経済が好循環という技術政策オプションがありますけども、抽象的な書き方ではなくて、もう少し具体化したものを例えば表のところに入れるなり、どこかで出てきた方がいいです。環境省としても、外来生物法をつくったり、あるいは里地・里山の大きな事業をやっておられますので、そういうことを実際にサポートする研究はやった方がいいと思う。

【安井委員長】 今おっしゃっていただいたところと、その上に外来生物というキーワードは出ています。ですから、野生生物絡みの話も、今おっしゃったところに入れればいい。読み取れれば、実害はないと思う。

【上田専門官】 確かに、例えば56、57ページ表の中にも、比較的、自然生態系の部分は、具体例が出ていない一般的な書き方になっているのは、おっしゃるとおりだと思いますので、そこをもう少し具体例が挙げられるよう検討したいと思います。

【森本委員】  もう一つ、要するに、研究面でデータベースであるとか変動モデルという面もありますけれども、対策技術をうまく高度化していくのも、これから課題だと思う。その辺の視点が欠けていると思いますので、入れていただきたいと思います。

【上田専門官】 具体的にはどこに入れるのがいいでしょうか。

【森本委員】 どこに入れるのがいいのか、もうひとつわからないです。昔、その中に入っていたので安心していたので。

【上田専門官】 この専門委員会ではなくて、その前身の検討会のときには、非常にビビッドな書き方をしていたのですが、専門会報告となると省内でもかなり固い意見が出てきまして、一般化した表現に落ち込んできているというところがございますので、そういった具体例が読み取れる書きぶりにしたいと思います。

【森本委員】 抽象的な話で何とでも読めるという言い方もいいけども、キーワードがあるとほかの人にもよくわかるので、里地・里山はあった方がいいと思う。

【鈴木委員】 これは、特性解明とかシステムの開発という話が多いけど、どこに生態系、生物多様性の保全とか回復という話を盛り込んでいくのかが見えない。自然共生化技術というと、自然再生法に対応した部分になる。だから、環境の統合的管理あたりで、その辺のところも含み込めるのか。これになると、また流域圏みたいな話になる。

【宇仁菅環境研究技術室長】 生態系については、カテゴリーで上から2番目の生態系機能・生物多様性特性の解明というのがありますけれども、そこが中心になって、成果例もそうですけれども、その次の5年間の課題は、検討して、いい形にしたいと思います。

【鈴木委員】 生物多様性の国家戦略の見直しが始まるわけで、その辺と、うまく整合性がとれるようにしていただきたいと思います。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 ほか、どうぞ。山口委員。

【山口委員】 45ページと46ページで見比べて見ていたのですけれども、46ページでは一番上のコラムに、循環型社会基本計画に基づいて2010年に廃棄物の半減目標がございます。具体的に申し上げますと、53ページには、さらに循環型社会基本計画に求められた指標に対して、例えば資源生産性は39万円/トンと書いてございます。同じ視点で見ますと、温暖化社会の方も同じ目標があるわけです。京都議定書目標達成計画、2012年に6%の削減という大きな目標が閣議決定されているわけです。したがいまして、45ページに、なぜ目標値が書いていないのかということと、なぜ上の枠の中に京都議定書目標達成計画という、国の温暖化にかかわる計画の文言が入っていないのか。46ページには、廃棄物につきましては入っているわけです。したがって、45ページの上のマスの中で「京都議定書目標達成計画」という文言を入れるのかどうか。さらに、入れた場合には、2012年にマイナス6%に削減するという目標がありますと書くのかどうか。同じような扱いをした方がいいと思います。
 すると、この枠は全く矢印の位置が違うわけです。一番上の矢印は、もっと後ろに来なくてはいけないわけです。2012年と申しますと、大体、今後5年間の終わりの辺になるわけです。京都議定書目標達成計画は、それに向かって産官民あわせて、今、努力しているところでございますので、もう少し正確に記述された方がいいと思いました。

【上田専門官】 目達計画という言葉を書いていなかったのは、意図があったわけではなく、45ページの表上に「京都議定書発効」が2005年にありますけれども、これで包含されているというので、その後、リバイスをしていなかったということですので、反映したいと思います。

【安井委員長】 どうぞ。

【柳下参考人】 細かいことですが、「アジア」と「東アジア」という言葉があちこちで混在している。温暖化だと、アジアとの関係が整理されています。循環型だと、アジアと書いてみたり東アジアと書いてみたりで、一番右側を見ると、目標が東アジアになっている。それから、自然共生型のところで今度はアジアが出てくる。化学物質の方へ行くと、今度は東アジアが出てくる。ここはそれぞれ微妙な意図があったのでしょうか。

【安井委員長】 多少意図はある気がします。循環型のところで東アジアというのは、今の現状だと中国中心です。化学物質だと、物量からいって中国なので、東になったと思う。

【上田専門官】 そこまでの統一がとれていなかったので、そういう目でもう一度見直したいと思います。

【安井委員長】 どうぞ。

【中杉委員】 化学物質のところで環境試料の保存の話が入ってきて、手法の検討で、それだと5年間ぐらいの話だと思いますけれども、ここら辺はこういう予算の中でやっていかないとできない話です。だから、技術的検討・○○があって、そのあと、点々々みたいな話がある。その先の点々々の話とか矢印が少ないというのを見て眺めていたら、ここもないと手法はできたけど後はつながらないという話になりかねないと思いました。

【安井委員長】 その矢印の意図を、もう少し意味付けをやらなくてはいけない。点線の矢印も、必ずしも合意されているわけでもないです。

【上田専門官】 環境試料の長期保存に関しましては、この48ページの上では研究開発要素的なところを書いて、本体の方では、基盤的なところで、つまり、この領域ごとではなくて全体共通的な話で環境試料の保存は重要だと別途書いてございます。そちらの方で書いてあるということで対応できると認識をしております。

【中杉委員】  それと、もう一つ。「日本海」のキーワードを入れていただいているのですが、私が申し上げた「日本海」のキーワードはもう少し広い話で、富栄養化の問題だけではなくて化学物質の問題、今、それこそニトロベンゼンが流れているという話も含めて、広域大気汚染も環日本海的な意味合いでとらえられるし、ごみの話でも、リサイクルの物が流れるのも、これも実際には中国を含めて言えば環日本海という見方ができるという意味で、何か全体を横に通す一つの串といいますか、表に掲げる看板みたいな話として使えると考えています。この前、そういう趣旨で、その一つの例としては日本海が富栄養化していくという話があると申し上げたので、ここだけに「日本海」と出てくると私が申し上げた趣旨が少し矮小化されている感じでとられる感じがします。

【上田専門官】 そういう意味で申し上げますと、本体の方策に国際的取組という項目が別途ございます。そこには「日本海」と書いておりまして、その書き方が十分かどうかは、また、後ほどご議論頂ければと思います。

【中杉委員】 後ろの方で、何でここだけ「日本海」と出てくるのかをとらえられると、前との対比で見ていったときには、ここしか見えてこないという感じがします。

【安井委員長】 今のお話ですが、少なくともテーブル、3-2のどこかに、化学物質のところで「日本海」を入れれば少し整合性がとれてくると思いますので、どこか考えて入れさせていただきます。入るとしたら、東アジアモニタリングのあたりに入れておくのが無難という気もします。

【鈴木委員】 ここで「日本海」をわざわざ打ち出すというのは、どういう意図ですか。「東アジア」でカバーできないのですか。

【中杉委員】 「東アジア」でも結構です。だから、それは、どう表現するかという話です。環日本海として売るのか、東アジアとして売るのか、どちらがいいかというだけの話ですから、東アジアで整理することもできます。環日本海はもう少し場所を明確にすると一つ見えてくる。東アジアというと、中国が入って、化学物質のモニタリングは、東アジアだと、東南アジアまで入り込んできていると思う。

【鈴木委員】 むしろ、環境省がどういう戦略を持つかを、先に、整理する必要がある。
 APNとか、アジア地域でのネットワークの枠組みもある。その辺をどう切り分けて、どう整理するのか。

【柳下参考人】 よく、北東アジア地域と東南アジア地域を足して「東アジア」い呼ぶ。「日本海」というと韓国がすごく嫌がるので、使わないようにしてきている。

【森本委員】 地図に「日本海」と書いてあると、怒られます。

【鈴木委員】 でも、ここで頑張れば、意図がはっきり見えて、おもしろいかもしれない。

【柳下参考人】 酸性雨のときでも、北東アジア地域と言って、大気関係でも北東アジア地域と言って重点化する場合と、もう少しとらえて東アジアという場合とよく使い分けしていますので、それは意図によって、意図がそこの表現に出ます。

【宇仁菅環境研究技術室長】 おっしゃるとおりだと思いますので、特別な意図がなければ、「アジア」で統一したいと思います。課題によって、もっと限定というのがあれば、「東アジア」なりにしたいと思います。

【安井委員長】 キーワードとしての「日本海」は、どうしますか。

【中杉委員】 先ほどの韓国がどう言うかという話も含めていくと、余り出さない方がいい。

【鈴木委員】 いや、それはいいのではないですか、日本の報告書ですので。

【中杉委員】 それはいいですか。そこは気にしなくても。

【藤田委員】 それは日本のレポートですから、いいのではないですか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 報告書全体としては、横串でアジアと言っています。

【中杉委員】 それを横串にするのを、どういう表し方をするかだけだと思います。だから、アジアでも全般に満遍なく広げていくのか、その中に特に絞り込んだ形で当面考えるというふうにいくのであれば、もう少しそこを明確にした方がいい。私が考えたのは、「日本海」というと、一般の人も含めてイメージが湧きやすいだろうという意味合いで申し上げていました。表現だけの話で、実質的にはどちらの表現でも構わないと思います。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 ほかに。どうぞ。

【岡田委員】 「日本海」と入れるのはいいですけど、入れるのならば、少なくとも現状と課題とか、その辺のところに「日本海」というキーワードが明確に出てこないと、何で日本海が急に出るのかという話になるので、どこかに入れておいていただければよろしいと思います。日本海を特定して、問題認識がうまく書き込めるかどうか。

【中根調整官】 報告書全体の横串としてはアジアということでやっているので、「日本海」というキーワードが重要な課題というのがあれば、そこにということでしょう。そういう意味で、富栄養化のところは、そういうことであるので入っている。ほかにも「日本海」というキーワードが非常に重要な課題があれば、ご意見を頂きたい。

【鈴木委員】 日本海のごみとか。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 あとは、何か。どうぞ。

【藤田委員】 委員長が矢印の意味ということで指摘されましたので、例えば循環型社会と安全・安心もそうですけど、特に循環型社会の場合に、今後5年間の技術開発を考えると、それなりに、20年、30年の将来につなげなくてもいい課題も幾つかあると思います。ただ、3Rを一体化させた設計・生産技術の開発・普及を、環境省がどう生産技術へフィードバックするかというのを除いて、これを課題に挙げるとすれば、20年、30年の将来の話である。
 環境省から、積極的な情報を与えていくことが非常に大事だと思いますので、ここは落とす必要は全くないと思いますが、矢印は欲しい。そういう意味でいくと、LCA、要するに再商品化もそういうふうに入る。ただ、下の方の規格化・基準化は、逆に、もう少し短期間でやってもいい技術だと思う。その辺のところ、全体を見ていただければと思います。

【鈴木委員】 今のところに関連するのですが、その上に「個別循環資源に関する」というのがくっついて、「リサイクル技術やシステムの高度化・実用化」とありますが、「個別循環資源」は、何を言いたいのか。要するに、今のお話の3Rを一体化させた設計・生産技術、これはまさに上の太枠で囲ったところを、3R技術やシステムの高度化・実用化、そこに開発も含めて非常に大きなテーマになります。それがむしろ大きな矢印で後へ残っていくという方が骨太でいいのではないか。「個別」というのは、アルミをどうするとかガラスをどうすると、そういう話ですか。

【指宿委員】 5年間でということで個別が入っていると思います。

【鈴木委員】 だとすると、「個別」を外して、3R技術・システム開発・高度化・実用化・評価が、ここへ入ってきていいのではないですか。その方が、二重丸をつけるにふさわしいと思う。突如、鉄はどうしましょうという話になると、二重丸にふさわしいかどうか。

【指宿委員】 場所は違うのですが、温暖化の方で、対策の下の方に「対策技術の導入・普及」があります。その上の方を見ると、それぞれのところに社会システム云々と、みんな、技術開発とダブって入っている。要するに、個別にみんな対策技術の導入・普及が書いてあって、さらに、ここにまた対策技術の導入・普及というのが別項目で立っていて、わかりにくいのではないか。例えば、例も、ハイブリッド自動車、太陽光発電等の導入が成果例に入っていて、それが技術開発目標の中にも入っていて、混在しているので少し整理をされた方がいい。
 あと、もう一つは、例えば炭素の固定とか貯留とか、そういうのも大事だと思うのですが、この技術が実際に導入されるためには、やっぱりアクセプタンスというか、パブリック・アクセプタンスをとっていかなくてはいけないという、そのキーワードが抜けている

【安井委員長】 ありがとうございました。
 どうぞ、柳下先生。

【柳下参考人】 上は完全に技術開発です。下の方は、社会がそれをもっと受け入れて普及させていく社会システムとか、そういう政策研究でやったり、社会システムの開発をやったり、それを言いたいと思う。例示を見ていると、うまく表現できていないので、何か違う表現の例示の方がいい。でも、過去の話だから、過去のことを今さら書きにくい。ただ、誤解を生むかもわからない。

【安井委員長】 しかし、社会システム研究というのは上にも下にもあって、整理が必要です。今のアクセプタンスの話は、それを言い出すと、全部に必要です。

【指宿委員】 それがないと、技術は普及していかないです。

【安井委員長】 それで、特に、今は化学物質のところは明示的に書いてあるけれども、あとのところは、本当は必要ですが、どうしますか。テーブルの中に入れておくか、あるいは、総論のところに書いてあったか。

【中根調整官】 今のご趣旨は、温暖化対策技術、技術開発で温室効果ガスの発生を減らすということについては、パブリック・アクセプタンスはコスト以外では問題ない。ただ、COの貯留の話、地中に埋める、海にという話になると、パブリック・アクセプタンスの問題が特にあるというご趣旨だと思う。

【安井委員長】 それが、例えば、本当に5年間で果たして重要かということです。

【指宿委員】 無理だと思います。ですから、そういうところは矢印が伸びていって全然構わない。

【安井委員長】 そうですが、先ほどの中杉委員の話とも絡みますけど、その辺のパブリック・アクセプタンス的な研究に、本当に、重要課題ではあるけど、別に、ずっとやらなければいけないものは必ずしも書かなくてもいい。それがどうなのか、その辺はまさに環境省の問題ですから、その辺をお考えいただいてもよろしいかと思います。
 どうぞ。

【中杉委員】 細かいところで、矢印の話になりますけど、循環型社会の構築のところで跡地管理・活用、埋立地の管理・活用は、実際には埋立処分地がどうなるかという経験を、我々がそこからの知見を持つというのは、今後5年間では終わらない。ずっと続く話で、何十年という、今までの過去のことをずっと調べてみてもまだ追いつかないと思うので、そこで切れるのはいかがなものか。少なくとも、点々々ぐらいはついていていいのではないか。

【安井委員長】 どうぞ。

【山口委員】 46ページで、先ほど鈴木先生がおっしゃった、この3R技術の開発のところの個別循環資源に関するリサイクル技術やシステムの高度化・実用化は余りに狭い領域になってしまいますので、私も、ぜひとも「個別循環資源に関する」というのを外した方がいいと思います。
 それから、「DfE(環境適合設計)の普及」が例で入っていますけれども、この本文の20ページの重要研究課題には、そういう言葉は入っていない。ですから、この例題は、別の例をお入れになった方がいい。
 それから、リサイクル技術や、システムだけだとイメージがわからないので、社会システムとか物質循環システムの高度化・実用化と、そういう言葉をお入れになると、かなり具体的なイメージがつかめる。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 あとは、何かいかがでございましょうか。どうぞ。

【鈴木委員】 温暖化のところで、再生可能エネルギーが左側にありまして、そこから、その上に各種省エネ技術、対策関連のところで、ここに技術シナリオ策定、ロードマップ云々ということが書いてあって、その下に「バイオマス利活用技術、廃棄物からの………」とある。これはむしろ、再生可能エネルギーの下の方に結びつく、要するに、これを使うためには社会システムの制度研究が物すごく重要です。こちらの方の左側の再生可能エネルギーは、PVと風力しか書いていない。これまでは、確かにそういうことでいいのでしょうけれど、今後、再生可能エネルギーを環境省がどう力点を置いていくかということにかかわると思う。バイオマス利活用を、こちらへ持ってきたらどうでしょうか。環境省が力点を置いて、推していかれたらいい。

【安井委員長】 その下の方にバイオ燃料大量普及というのがあります。

【鈴木委員】 バイオ燃料大量普及だけでは十分ではない。このために、やっぱり社会システムも、もう極度の分散型ですから、これをどう動かしていくのかという問題もある。いずれにしろ、上と下は関連しているわけです。どう整理をするかという問題かもしれません。

【中根調整官】 ここの技術シナリオ策定、ロードマップ云々は、下全体にかかる包括的なものなので、例のところに、残ってしまったもので、再生可能の方に移す、下に持っていった方がいい。

【安井委員長】 例をとって、下へ持っていく方がいいか。これは左側の対策技術云々にかかっているわけですか。

【上田専門官】 はい。左側のカテゴリーで見ていただきますと、対策技術の開発/実用化というのがその下四つにかかっているという構造になっています。技術シナリオ策定、ロードマップ云々というのは下四つにかかっているという構造になっています。
 それで、バイオマス利活用技術とか廃棄物からのエネルギー生産技術というのは、まさに今おっしゃったとおり、社会システムといいますか、あるいは関連のインフラの整備が重要だということで、全体にかかる、そういう制度設計が重要だということで一番上の例に残しているという分け方をしていますが、確かに、見えにくいのはおっしゃるとおりだと思います。

【安井委員長】 工夫をお願いしたいと思います。絵というのは解釈が難しいです。
 あと、何かございませんでしょうか。絵の4枚の方はこのあたりにさせていただいて、そろそろよろしゅうございましょうか。
 それでは、報告書の本体の方の概略のご説明をお願いいたします。

【上田専門官】 (資料1本文説明)

【安井委員長】 ありがとうございました。
 それから先のスケジュールにつきましても、今、言及しておきますと、まだ、若干の時間はありますので、今日の会議終了後も最終的な修正に関しましては、座長預かりとさせていただいて、もうしばらくですが、できると思っております。

【鈴木委員】 検討スケジュールには専門委員会の予定しか書いていないですけれども、科学技術基本計画に反映させるときは、オフィシャルな報告書を出さなくてもいいのですか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 できるだけ早く、専門委員会の報告書としてはまとめたいと思っております。答申にしていただく予定ですけども、そこは総政部会の日程とも関係してきますので、答申になっていない段階でも報告書は使わせていただきたいと思っております。

【鈴木委員】 そうすると、やっぱりここで重点を二重丸か何かで絞るのは、これを向こうに反映させなければ、意味がない。
 だから、最初に座長がおっしゃったのが気になっているのですけども、環境省としてはというのではなくて、これはあくまでも科学技術基本計画にこの二重丸を反映させなければいけない。

【安井委員長】 そのあたりになりますと、今はその作業を向こう側でやっているのですけれども、検討している人間がオーバーラップしていることもありまして、反映できると思っています。

【鈴木委員】 私もそれはよくわかります。だとしたら、余りここに何でもかんでも太枠にしないで、向こうで大体セレクションされているものを、きちんとこちらでもしておいた方がいい。20%なら20%に絞っておいたらどうですか。

【安井委員長】 それはまた、まさにポリシーにかかわるというか、これをどういう意味付けでつくるかにかかわります。

【鈴木委員】 ここでいっぱいつけておいたからって、省内の予算がつくわけではない。むしろ、矢印がどこまで伸びるか、そっちの方でしょう。

【安井委員長】 総合科学技術会議側は、割合と読めるような文章をつくっていまして、その数がまた違うのです。例えば化学物質絡みだと課題数が八つぐらい。こちら側はちょっと数が違いますが、その辺も、向こうは無理やり数を減らしているところがありまして、わかりにくいということもありますので、余り整合性をとると読み切れない報告書になってしまうのではないか。

【鈴木委員】 ですから整合性をとる必要はないけど、二重丸がついているものは両方で共通する必要はある。
 総合科学技術会議ではついていないけれども環境省としては自前のお金でやるというのがあれば、ここへ意思表示をしたらいいと思うけど、太枠にしておきながら省内にもお金はありませんというのはかっこ悪い。

【宇仁菅環境研究技術室長】 今のご指摘は、完全に一致させるべきだということであれば、私どもとしてはかなり重い課題でして、総合科学技術会議の方にも先生方がおられて、意見を聞きながら内閣府が取りまとめておるということですけども、完全に一致させるのはなかなか難しいと思います。

【鈴木委員】 だから、完全に一致、文言まで一致するわけはない。ただ、この分野は重要だということは両方にオーバーラップしている。あるいは、オーバーラップしていないものをこちらが二重丸にするなら、それなりの覚悟でここへ二重丸をつけていいと思う。総合科学技術会議でCがつこうが何をしようが、環境省はこれが大事だと思うから省内のお金でやるという意思表示になると思う。

【安井委員長】 私としては、そちらの路線と思っています。例えば化学物質ですと、総合科学技術会議にインプットしているのは環境省だけではなくて、厚生労働省あり、文科省もあり、経済産業省は当然ありという格好ですから、農水省もあり、国土交通省もありという格好で、その中で割合と各省から重要だと言ってくれそうなアイテムが上がってくる枠組みをつくっているところがあります。ただ、それだけではない、環境省は、やはりそれと若干ずれていてもここは重要だと思うというメッセージが別途あった方が、私はいいと思っている。そのあたりは、いかがでございましょうか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 できる限り、こちらとして重要と考えていることを主張はしたいと思っております。

【桜井審議官】 ご承知のように、総合科学技術会議の方も今その検討を進めているわけですので、ある意味、安井委員長からもお話がありましたように、各省庁それぞれ、いろんな意味で、考えを総合科学技術会議の方に話をしている段階でございますので、最終的な姿として全部すり合わせをするよりは、環境省あるいは中環審の立場としてはこうだということをはっきり出していくことが重要だと思います。最終的に総合科学技術会議の方の形ができ上がったときに、あるものは環境省ないしは中環審の立場では重点投資課題としたけれども向こうではそうなっていないものが出てくるということは、それはあり得るだろうと思っております。

【鈴木委員】 それはよくわかるのですが、その場合に、環境省として省内のお金を、ほかを削ってもそれに重点化するという覚悟を見せることが、大事です。余りにも二重丸的なものが多過ぎて、こんなにたくさん持ち切れますか。

【桜井審議官】 これは向こう5年間ということですので、5年間の予算の状況は明確でないところもありますけれども、今、各局も含めて議論をして案をつくっているところでございますので、この委員会のご意見も踏まえながらそれを決めていこうということでございます。総合科学技術会議と全く離れたところでやるというわけにはまいりませんが、やはり、中環審としてのご意見をまとめられたものは、環境省としては、それを受け止めて、環境省予算の中でできる限り反映していくということになると思います。

【鈴木委員】 具体的には、いろんな推進費なんかにこれを反映させていくということですか。

【柳下参考人】 特に、例の3Rイニシアティブで、予算、また、枠ができます。
 だから、ああいう中で生かすことができれば。額の問題はそんなに大きくないと思うけれども、レベルが違っても、でも重点化しようと思えばできるものがあるはずです。

【宇仁菅環境研究技術室長】 総合科学技術会議の方にできるだけ反映するよう努力しますけれども、仮にあちらで重点投資にならなかったとしても、少ないですけども省内あるいは私どもの予算で、一括計上とか推進費もありますので、そういうところで対応していきたいと、フォローとしては考えています。

【森本委員】 個別の問題ですけど、12ページの自然共生型社会の構築というところを拝見していまして、新しく入ったところの半分ぐらいは、むしろ、循環型社会とかあるいは脱温暖化にふさわしいことだと思いました。都市交通システムとか、あるいは、環境負荷の小さい事業活動と生活様式なんかは、そちらの方かと思っています。
 生物多様性の線の上に生物多様性の保全・回復の注釈で「世代を超えた長期的な効率性、安全性に寄与する」ということがありますけど、それ以外にも新・生物多様性国家戦略で割合格調高いことが出ていますので、それに出ているキーワードをもう少し入れた方がいい。そこには、長期的な効率性、安全性があります。それ以外に、例えば資源的な意味合いもありまして、それからもう一つ、豊かな文化の根源であるという位置付けがあったと思います。そういう格調の高いやつを、こういうところで書いておいた方がいいと思いました。
 上の2行目ぐらいに二次的自然環境の維持管理というのがあるので、入っていますけれども、里地・里山の問題、いわゆる三つの危機と指摘されていますけど、その2番目の危機が里地・里山の危機で、3番目が侵略的外来種のようなものの危機というのがありますので、そういう意味で言うと3番目の危機がここに書かれていないというのが一つの問題と思います。

【鈴木委員】 自然共生型のところにも書いてある「世代を超えた長期的な効率性、安全性」ですが、安全性はいいけど、効率性は何を意図していますか。環境効率というのは環境基本計画にも使われていて、非常に気になる。効率が1の場合にはどうなるのですか。効率というのは、ゼロから1。何かベストな解があって、それにどれくらい近づいたかということで、ベストな解とは何か。投資効率ではない。

【森本委員】 これは汚染だとか、いわゆる外部不経済の話とか、もっとエントロピーの話であるとか、割合哲学的な話も入っていると思います。いわゆるLCAとかも踏まえつつ、例えば持続可能なエネルギーかどうかも踏まえて、かなり長期的なことを考えられていると思う。だから、そういうときに「効率性」という言葉を使うのがいいのかどうかは議論があると思う。

【鈴木委員】 特に生物多様性や、あるいは生態系保全というときに、LCA的な発想を持ち込んで、外部不経済の中で生態系の劣化みたいなものをどう評価するという話を始めたら、もろもろと崩れていくと思う。まさに哲学・理念で、最初からこれはもう保全しなければいけないという立場からスタートしないともたない。

【森本委員】 この辺はかなり難しい。

【安井委員長】 根本的に、エコシステムサービスみたいなものが基本にある。
 先ほど鈴木先生がおっしゃった、もう最初から価値があるみたいな、前にいろいろな議論があった、コンサベーションなのかプリザベーションかどっちかみたいな話になると、生態系の機能という感じが強くて、そういったことを表すキーワードとして「効率性」というのが単に使われている。だから、効率性がいわゆる生産性みたいな意味とは全く違う。

【鈴木委員】 例えば、英語で書いたら何ですか。エフィシェンシーですか。エフェクティブネス・ファクターか。

【柳下参考人】 エフェクティブネスの方ではないですか。

【中根調整官】 エコシステムサービスのことが頭にあっての記述だと思いますけど、一方で生物多様性が高いほどエコシステムサービスが高いという相関があるということで、それは矛盾するものではなくて、要するにWin-Winの関係というか、それは伴うものだということを、環境研の研究者もそういう話をしておりますし、文化の根源という意味では多様性の方が根源になっていると思いますけれども、その両方が両立するということです。ただし、ここではエコシステムサービスの側面を指して効率性を書いてあるのだと思う。

【岡田委員】 多様性の維持・回復を、「多様性を保全・回復」とわざわざ書いてある理由は何ですか。多様性を保全する。保全というと、イメージでは自然界を利用するというイメージが伴うので、「多様性を保全」というと、個人的には違和感がある。「維持」だったら、すんなり理解できる。何か、特段の理由はありますか。

【上田専門官】 これは省内の意見で変えたところでございますが、意図としては、現在の生物多様性というのは満足すべき状態にないから「維持」ではだめだということだと思われます。

【岡田委員】 だから、それは「回復」でいいでしょう。

【上田専門官】 レベルとしては「維持」という言葉がそもそもよくなくて、そこは保全しつつ回復もするということだと思います。

【鈴木委員】 英語だと何を使うのですか。「保全」というとコンサーブです。「維持」はプリザーブを意図していたと思う。コンサーブというと、人間がそこへコミットして、何か利用しながら、というイメージです。その保全のデフィニションを環境省内でしておかれるといい。

【岡田委員】 今、森本先生からご指摘のあった、今の下の「水環境に関しては」という文章は、違和感を私も覚えますけれども、この文章はもうどこかでオーソライズされていて変えにくいと考えていいのか、変えていいのか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 もちろん変えても構わないですけれども、もともとは、今はまだ検討中ですけれども、環境基本計画の中でも水環境あるいは大気環境についてこうしようというのはありますので、そこからは引用しております。

【岡田委員】 そうですか。「水環境に関しては、望ましい社会・経済像を見据え、」と、これが目標になります。この中に、水環境を考えていく場合に、水環境というか水に関する自然環境というか、そういうのが必ずないとおかしいわけです。それが人間のことばかりずらずらずらっと書いてあるから、最後の「社会の構築を目指す」ということで、対象になる守りたい水環境なり水に関する自然が全く欠落しているので、ここにあるのはおかしいという印象を受けると思います。そこを直していただければ、先生がご指摘の点は少し緩和するという気がします。

【中根調整官】 ここの文章を置いておいて、自然共生のことと大気・水の関係に関してですけれども、健全な生態系を可能にするにはきれいな水・大気の実現というのが必要で、それを行うことによって人間が自然と共生するという関係だと思います。

【岡田委員】 結構です。それが明確にわかるようなれば、抵抗感はないと思います。

【安井委員長】 はい。何かお気づきの点がございましたら今のうちによろしくお願いします。
 それでは、これからの最終的なデッドライン、スケジュール等、ざっとご説明をこの段階で頂けますか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 お手元に資料2というのをお配りしております。検討スケジュールについてという資料でございますが、ここにありますように、本日1月26日ですが、この後、できるだけ早く報告書を確定させたいと考えています。それは、先ほどご指摘がありましたように、総合科学技術会議に対して活用するためというのがございまして、できるだけ早く確定させたいということでございます。その後になりますけれども、中環審の総政部会の方で報告しまして了承を得て、最終的には答申としたいと考えています。
 日程は未定ですけれども、この後の予定では1月30日に総政部会がございますが、そこで経過報告をさせていただいて、最終的には3月末に了承を得て答申という形にしたいと思っております。
 ということで、この報告書については、1週間程度、来週中くらいに本文あるいは参考資料について、ご意見があれば頂きたいと思っております。ただ、安井委員長がおっしゃったように、参考3-2につきましては、もう少し長く時間をとりたいと思いますので、2月いっぱいまででご意見を頂ければ、修正をしたいと思っております。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 ということでございまして、本文の方は比較的急いで大体1週間ぐらいということだそうでございますので、今日もぜひご覧頂きたいと思います。それから、3-2の方は今のお話ですと約一月、2月末ぐらいまでということで、こちらはやはりキーワードが落ちていない方がいいと思いますので、いろいろな方に、身近な方にご覧頂いて、ぜひキーワードのつけ足し等は積極的に行っていきたいと思っております。余り統一がとれていなくてもいいと思っています。キーワードが網羅されている方が重要と思っております。

【柳下参考人】 今回アンダーラインを引いてあるところで、趣旨あるいは意図を確認したいのですが、31ページ、ここの前の(6)の人材育成・組織等の基盤整備で、いいことが非常にたくさん書いてあるわけですが、分野融合的な人材を育成するとか、さまざま書いてある中で、環境省において、こういう点について配慮することが重要だということが真ん中に出ています。具体的に何か特定のことを意図して、これは書いているのですか。これからの何か目標を書いているのか。

【鈴木委員】 これは決意表明だと思って、すばらしいと思っています。

【上田専門官】 この報告書そのものは、環境省に限らず環境分野全体、環境省を中心にということになりますけども、環境分野全体がこうあるべきというもので、その中でも産学官連携を環境省は頑張りたいといいますか頑張るべきだといいますか、今、鈴木先生が決意表明とおっしゃってくださいましたけれども、まさにそれが意図でございます。

【藤田委員】 実は、同じことを考えていました。それは前の方、8ページで、これは、あくまで現状、取り巻く課題ということで人材の不足を書かれていて、柳下先生と同じところで、これの答えがない。答えがないなら、ただ単に課題だけを抽出したと思うと、下に、民間企業とかNPO法人型の新たな研究機関には期待すると書いているから、環境省がどうされるのかが見えない。それと今の31ページと合わせると、まさに今、鈴木先生がおっしゃるこれが環境省の決意で、それにしたら、少し答えがやや甘いという気がします。

【中根調整官】 8ページは「期待する」で、31ページは決意表明だというところが、コンシステンシーがないということでしょうか。

【藤田委員】 もし、そう読めれば問題はないです。

【柳下参考人】 必要ないと言っているのではないです。こういうことができればいいけれども、具体的にどういう措置が考えられるのか。

【桜井審議官】 決意表明の割に具体策までは書いてございませんが、例えば、今進んでおります国環研の非公務員型の独立行政法人に移行するというのは、民間との人材交流をよりやりやすくする、あるいは大学との関係でもそうですけれども、国立大学も今は、非公務員型の法人になっていますので、そういったところもあります。これは国環研の体制だけではございますけれども、そんな話もありましょうし、あるいは共同研究的なものは推進費の中でそういったものを重点的に見ていくとか、環境省が持っているツールでも、幾つか、とり得るものはあろうと思います。5年間の課題でございますので、今後さらに中身を充実させることも、検討を引き続きやっていきたいと思っております。

【安井委員長】 今の問題ですけど、その前の方の1あたりには、例えば、これまで環境省は、学協会とちゃんとしたコンタクトを余りとってこなかったということもあるように思いますので、そのあたりをうまく使う枠組みとかが考えられます。教育を直接担当していない省庁ですから、直接的な手法はないと思うので、そこにもありますけど、例えば人材交流とか何らかの触媒的作用ぐらいしかあり得ないと思いつつも、いろいろアイデアを出せば少しは起きると思ってはいます。大学に直にというのは、研究費を出しているのは出しておりますけれども、それが果たして人材育成になっているかというのは観点が違うので、そんなことかと思っています。

【藤田委員】 前の方で、地方環境試験研究機関と書いています。これは、現状の問題点を指摘されている。それに対する答えが、例えばNPO法人型の研究機関、あるいは民間のそういう試験研究機関にある程度補完してもらいなさいということを言っているのか。地方にいると、やはり深刻にその辺のところはとらえられている。ただ、この報告は基本的には人材育成の報告ではないので、ただ単に問題点の指摘だけでも結構です。

【宇仁菅環境研究技術室長】 地域といいますか地方の研究機関については、27ページにも書いていますけれども、これは地環研を中心とした地域における研究能力は、さらに強化をすべきであるというのが第一の主張であります。それに加えて、役割分担ですとか業務の選択とか、あるいは連携の方策といったことも検討すべきであるという趣旨で書いているつもりです。

【鈴木委員】 地域の問題のときに、最近できてきた地方環境事務所を拡充して、そういうところを生かすということは余り考えにくいですか。現状では、とてもそこまで行かないのはよくわかりますが。

【宇仁菅環境研究技術室長】 その点は27ページに、国の地方試験研究機関それから各省地方事務所が連携の調整役としての役割を担うことも重要であるということで、入れておるつもりですけれども、不足であれば、またご指摘頂ければと思います。

【鈴木委員】 今お話しのように、他省庁では地方でお金を持っているところはいろいろあります。そういうものを、環境関連のプロジェクト等々で地方事務所が主導できて、そこに地方大学の先生方でいろんな研究者を巻き込むことでの人材育成というかキャパシティービルディング、既に存在する研究者を、いかにこちらへ巻き込んでということでしょうから、少しねらいを定めておいた方がいい

【上田専門官】 お答えというよりは現状の説明になってしまいますが、現状、まさにおっしゃるとおり、環境省の地方事務所はできたばかりですし、科学技術という切り口で必ずしも職務を今のところ余り行っていないということがあります。ただ、これは内閣府の主導で、今、地域科学技術クラスターということで、各地域ブロックごとにも連携をして、地方事務所がコーディネーターとなって一生懸命地方でも頑張っていこうという動きがあります。そのときに、地方事務所にそんなことができるのかと言いながら、励ましながらそこの地域ブロック協議会にも入ってもらって、つまり、うちの事務所の人々のキャパシティービルディングをやっているような状況でございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。
 大分時間も迫ってきておりまして、先ほどご報告を頂きましたように、大体、本文の方に関しましては1週間程度、特に、絵の方は、変えるのに結構議論が要りますので、できるだけ早い機会にしていただきたいと思います。
 ということで、もし、よろしければ1週間以内に具体的な提案、要するに文案もしくは具体的な変更ということでご提案を頂ければと思う次第でございます。ここはおかしいよと言われても、どう直したらいいかというのはなかなか難しいところがありますので、具体的な改正、改案、改稿の方向を、ぜひお示し頂ければと思います。それからあと、3-2に関しましては2月いっぱいということでございますので、身近におられる研究者の方に、ぜひチェックをお願いしたいと思う次第でございます。
 よろしければ、私の方はこれで閉めてしまって、ご挨拶を頂く手はずぐらいかなと思っておりますが、よろしゅうございますか。

【桜井審議官】 それでは、私の方からご挨拶をさせていただきます。
 本委員会は大変短い期間に集中的な議論をお願いいたしまして、この間、先生方には本当にいろんなご意見を頂戴し、熱心にご議論頂きまして、ありがとうございました。まだ、全部、お礼を申し上げるまでにまとまっておらないところがございますので、先ほど委員長からお話がありましたように、さらにこれをブラッシュアップすべく、よくお目通しを頂いた上でご意見を頂いて、また個別にご相談するなりご相談をしながら、まとめをしていきたいと思っております。
 先ほど来お話がありますように、総合科学技術会議の方も、今、検討の最中でございます。今までも非公式なベースで総合科学技術会議の事務局の方とも意見交換をしておりますが、さらに本日の議論も踏まえて総合科学技術会議の方とも意見交換といいますか、中環審の考え、環境省の考えということでお話をさせていただきたいと思っております。
 短い期間に、大変、本日は特に、こんな夕方のお時間までお集まりを頂きまして、本当にありがとうございました。まとめに向かいましても、引き続きよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

【安井委員長】 それでは、以上をもちまして閉会とさせていただきたいと思います。
 本当にありがとうございました。