中央環境審議会 総合政策部会 公害防止計画小委員会 第23回会合

議事内容

午後1時02分 開会

○矢田計画官 定刻を過ぎておりますので、まだ1名お見えになっていらっしゃいませんけれども、まもなく見えると思いますので、ただいまから第23回公害防止計画小委員会を開催させていただきます。
 本日、太田委員、山下委員がご都合により欠席となりましたけれども、委員及び臨時委員のうち、6名中5名ご出席いただいておりますので、定足数を満たしております。
 議事に入ります前に、配付資料について確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第の下に資料1、資料2。資料1は、今後の公害防止計画制度の在り方について(意見具申)(案)、資料2は、公害防止計画のうち公害防止に関する事業に係る部分の同意基準について、という資料。それから、参考資料1が中央環境審議会総合政策部会への審議状況の報告について、参考資料2が公害防止計画制度に係る参考資料という4つの資料を配らせていただいております。もし足りない資料がございましたら、事務局のほうへお知らせください。
 それでは続きまして、今回が初めてご出席となります委員をご紹介申し上げます。
 全国市長会廃棄物処理対策特別委員会委員長で、北広島市長の上野正三委員でございます。

○上野委員 上野正三でございます。私の町は北海道北広島市と申しまして、千歳空港から20分、札幌から15分のところに位置しておりまして、広島県人が開拓した町であります。どうぞよろしくお願いいたします。

○矢田計画官 また、前回と同様、今年3月に報告書を取りまとめていただきました「公害防止計画制度のあり方に関する検討会」座長の財団法人ひょうご環境創造協会顧問、小林悦夫様にオブザーバーとしてご出席いただいております。

○小林座長 よろしくお願いします。

○矢田計画官 それでは、議事の進行については、小林委員長にお願いいたします。

○小林委員長 それでは、議事に入ります。
 本日の運営についてでございますが、オブザーバーの小林さんには適宜ご発言いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 議事次第にございますように、本日2つの議題が予定されております。最初は、今後の公害防止計画制度の在り方についての意見具申(案)を取りまとめることでございます。
 2つ目は、意見具申を踏まえました制度改正がなされたことを想定いたしまして、円滑な法制度施行に向けまして、知事から公害防止計画が提出され、環境大臣が同意をする際の基準につきまして、あらかじめ議論を開始をしたいと思います。
 まず、意見具申(案)について議題といたします。
 前回、9月7日の公防小委におきまして、在り方に関する論点ペーパーに基づき議論が行われ、公害財特法を延長すべきとのご意見が非常に多かったものと受け止めております。また、総合政策部会の鈴木部会長から要請がありまして、本小委員会にける審議の状況につきまして、9月24日の総合政策部会において私が報告し、審議の状況について了としていただいたと理解をしております。その後、本小委員会の意見を踏まえつつ、事務局のほうで公害財特法を所管いたします総務省、財政を担当いたします財務省、個別の事業を所管する関係省庁との調整が行われたところであります。
 本日は、前回の小委員会での議論と政府部内の調整を踏まえまして、作成をされました意見具申の案につきまして、ご審議いただければと思います。できれば、本日の会合をもちまして、意見具申(案)を取りまとめたいと思います。
 それでは、意見具申と参考資料1の部会での状況につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○矢田計画官 それでは、私のほうから、まず参考資料1としてお配りをさせていただきました、「中央環境審議会総合政策部会への審議状況の報告について」をご報告させていただきたいと思います。
 前回、この小委員会の会合、9月7日でございましたけれども、その9月7日までの審議状況につきまして、9月24日に開催されました中央環境審議会の総合政策部会のほうに報告を行っております。
 2つ目のマルにございますように、小林委員長のほうからご報告をしていただきました。
 用いました資料といたしましては、9月7日の資料1に参考資料のページ等を付記したものと、それから参考資料、これも9月7日にお配りしました参考資料、また今日も参考資料2としてお配りしているものと同じでございますけれども、それを配付させていただいております。
 審議状況といたしましては、公害財特法によります国の財政上の特別措置の規模でありますとか、計画作成の主体でありますとか、公害対策の進捗状況についての評価等の質疑がございましたけれども、全体として公害防止計画小委員会での審議状況をご了解いただいたという状況でございます。
 続きまして、資料1と参考資料2に基づきましてご説明をさせていただきたいというふうに思います。今小委員長のほうからお話がございましたとおり、この資料1の意見具申(案)をできますれば本日取りまとめをいただきたいというものでございます。これは前回、9月7日に要点素案という形でお配りしたものに、適宜、加筆修正等を行ったものでございます。特に前回お配りしたものと変わっていないところについては、簡単に説明をさせていただきたいと思っております。
 まず、おめくりいただきまして1ページ目でございますけれども、1.といたしまして公害防止計画制度の意義と成果ということで説明をしております。
 初めに(1)公害防止計画制度の意義ということで、まず最初の段落につきましては公害防止計画制度の概要について説明をしております。参考資料でいいますと、2ページ目から4ページ目が該当するかと思います。
 ここでのポイントといたしましては、公害防止計画制度は環境大臣が関係都道府県知事に対して策定を指示し、それを受けて都道府県知事が計画を作成して、環境大臣に協議をして同意を得るという仕組みになっているというところがポイントでございます。この点については、後ほど見直しの中身が記載されております。
 それから、2つ目の段落、「昭和45年以来」というところでは、これまでの計画の策定状況等と現在の策定地域数等について記載をしているとともに、その次の段落では、公害防止計画制度の機能として3つを紹介しているということになってございます。
 一つ目といたしまして、関係機関が連携して公害防止に関する施策を総合的かつ計画的に実施することによって、施策が効果的に推進されるということ。それから、2つ目といたしましては、公害財特法による財政上の支援があることによって、事業の実施が促進されること。それから、3番目といたしましては、都市計画法等との他法令との整合が規定されておりまして、公害防止対策の配慮が他計画の推進に当たってもなされると。この3つが法律上の機能と位置づけられているところでございます。
 1ページ目の下、(2)公害防止計画制度の成果というところでございますけれども、最初の段落におきましては、公害防止計画の対象地域で、環境基準等の達成率が向上してきていること、また、全国における達成状況との乖離も解消してきているということについて記載をした上で、地域的に見ても、前回の公害財特法が延長された10年前と比較して、4地域が策定地域の対象から外れたり、あるいは140市区町村が指示対象から外れるというような形で成果が上がっているということについて記載をしております。
 その後、1つ段落を飛ばしまして、「その一方で」という3つ目の段落でございますけれども、残された課題ということで、なお環境基準の超過が多くの見られる項目があったり、あるいはPM2.5、あるいはカドミウムに関する土壌環境基準といった、今後とも対策が必要なものがあるというようなことを記載させていただいております。
 続きまして、2.でございますけれども、公害防止計画の課題ということで、主としてこの答申案で議論しております課題を3つ掲げております。
 まず1つ目が、地域主権改革の観点からの課題ということでございまして、参考資料でいいますと35ページのほうに地域主権の閣議決定が記載されております。ここでのポイントといたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、関係都道府県の公害防止計画の策定に関する規定、現在、先ほど申しましたように環境大臣の指示によって都道府県知事が策定をするということになっておりますが、これについて廃止、または「できる」規定化、または努力義務化するということで、環境大臣が知事に対して策定を指示するということについての見直しが求められております。
 それから、2つ目といたしましては、作成をいたしました公害防止計画について、環境大臣が同意をするという仕組みについて、公害財特法に基づく支援措置の対象となる部分についてのみ同意というものを残し、それ以外のものについては廃止するべきだということが記載をされております。
 続きまして、3ページ目のほうに移っていただきまして、課題の2つ目といたしまして、公害財特法の期限の到来ということが指摘されております。財特法については、参考資料の22ページ以下に資料が載っております。
 中身といたしましては、公害防止計画に基づいて実施されます公害防止に関する事業について、本文記載のとおり[1]から[3]の財政支援が行われる。国庫補助金の補助率のかさ上げ、地方債の起債の特例、地方債の元利償還経費について基準財政需要額への算入の特例といった措置が講じられるというものでございます。
 この公害財特法につきましては、附則において23年3月31日、今年度いっぱいで効力を失うということが法律上規定をされておりまして、その扱いについてが課題の2つ目ということでございます。
 3つ目といたしましては、より効果的かつ効率的な制度とする観点からの課題ということでございまして、まず最初の段落のところに現在の公害防止計画についての記載がございます。現在の公害防止計画につきましては、公害防止上の主要課題について記載することはもちろんでございますけれども、典型七公害すべてに対する対策を網羅的に記載するということと、公害対策の観点から廃棄物対策、あるいは自然環境対策、地球環境の保全等についても記載するというようなことになっております。
 一方、地方公共団体では環境基本条例等に基づきまして、自ら地域環境基本計画をつくっていたり、あるいは廃棄物処理法、地球温暖化対策推進法、生物多様性基本法に基づく地域計画というものも定めたり、あるいは努力義務として求められているということになっておりますので、かなり重複感がある作業になっているという指摘がなされておりまして、その点について記載をいたしております。
 それから、3ページの一番下の「また」以下の段落でございますけれども、現行制度の運用上、公害防止上の主要課題であるか否かにかかわらず、財特法上の支援措置が講じられることについて、必ずしも効果的な運用になっていないという指摘があることについても記載をいたしております。
 さらに1ページめくって4ページでございますけれども、3.公害防止計画制度の在り方についてということで、今、2.のところで申し上げました3つの課題について、それぞれ見直しの方向性について記載をいたしております。
 まず、(1)といたしましては、地域主権戦略大綱を踏まえた見直しということでございまして、基本的には地域主権戦略大綱を踏まえまして、見直しを行いながら公害防止計画制度を存続させるということで書いてございまして、まず1つ目、公害防止計画の策定については環境大臣の指示を廃止いたしまして、計画を策定するかどうかについては知事の自主判断とするということが1つ目でございます。2つ目といたしましては、公害防止計画の環境大臣の同意協議につきまして、財特法上の特別措置の対象となる公害防止に関する事業に係る部分に限定をし、同意を求めるかどうかを含めて都道府県知事の自主判断とするという見直しの方向性を記載をいたしております。
 それから、(2)が公害防止計画の内容の重点化ということでございまして、先ほど申し上げました課題を踏まえまして、公害防止計画の内容を公害防止という本来の役割に立ち戻って限定的にするべきだという趣旨で記載をいたしております。主要課題に特化して取り組むことによって、効果的かつ効率的な取り組みの促進が図られるという形で、網羅的に記載をするというところから主要な公害課題に特化した計画とするという見直しの方向を記載をいたしております。
 以上、4ページまでにつきましては、実は前回、9月7日にお配りいたしました要点素案と、細かい文言上の修正はございますけれども、記載等については変更はございません。
 5ページ目に入りまして、公害財特法について、9月7日以降、関係省庁との調整等を踏まえまして、新たに修正を加えたものを本日提案させていただいております。
 まず、公害財特法の今後についてでございますけれども、前回9月7日の資料におきましては、延長の是非について検討することが適当であるという形の要点素案になっておりましたけれども、この小委員会で延長を求める意見が大多数であったこと等を踏まえ調整を行いまして、この2段落目の最後のところをご覧いただければと思いますが、公害財特法については、これを10年延長することが適当であるという形に結論を記載をいたしております。
 1つ目の段落につきましては、特に現在行われている事業を中心にさらに引き続き支援が必要だという地方公共団体等から寄せられている意見を記載するとともに、2つ目の段落では、残された課題等に対して対応することが必要だという公害の現状等を踏まえて記載をしておりまして、結論として10年延長することが適当であるという形に記載をいたしております。
 一方、今回の延長について議論する過程でも指摘されていたことでございますけれども、昭和40年代の重大な公害という、この公害財特法ができた当時の状況とはかなり異なってきているというような指摘を踏まえまして、将来に向けての検討課題ということで記載をさせていただいておりまして、まず考慮すべき点を3つ記載をいたしております。
 まず、1つ目といたしましては、今私が申し上げました公害財特法の趣旨というものが立法当初と変わってきているという点について記載をしております。公害財特法は立法当時、産業等が集積した地域において発生していた激甚な公害等への対処としてということで、国として財政援助を行う必要性が高かったものについて、期間を限って導入されたものであるという立法当初の趣旨を記載するとともに、現在の趣旨といたしましては、環境基準の達成に向けた公害防止に関する事業の促進のための支援という性格に変わってきているということを記載をいたしております。
 それから、2つ目でございますけれども、環境基準の達成・維持のために、国と地方公共団体が協力して取り組むことは当然である一方で、公害財特法という法律を用いまして、国の財政資源を公害防止関係事業一般に優先して投入するという仕組みをいつまで存続させて、国の通常の財政支援措置、あるいは個別制度による対応というところに、いつまでに移行することが適当かについては、制度の在り方、あるいは事業の進捗状況、環境基準の達成率等々とあわせて、国家財政全体の見地からの判断も必要になるということを記載をいたしております。
 1ページめくっていただきまして、3つ目の視点でございますけれども、今回私どもとして延長が必要だということの1つの中心的な課題といたしまして、公害防止に関する事業の推進でありますとか、あるいは公害防止計画制度に基づいて実際に事業を実施している地方公共団体の財政に予測できない支障を生じさせることがないようにする必要があるという、この3つの観点を記載いたしております。その3つの観点を踏まえまして、延長後の在り方について、次の8行ほどの段落で記載をいたしております。
 今回、延長された場合に、延長された公害財特法に基づいて、財政上の特別措置が適切に実施されれば、現在予定されております公害防止事業の相当程度が終了し、環境基準の達成率も向上することになることが見込まれますので、その後については再延長しなくても、通常の支援措置、あるいは個別制度等による対応によって、地方公共団体の公害防止事業を円滑に推進できるような状況になることが期待をされると。そのために、国と地方公共団体が一体となった精力的な取り組みを行う必要があるということで、国と地方が10年後、再延長しなくてもいいような状況になるように精力的な取り組みを行う必要があるという形で、この10年間の方向性というものを記載いたしております。
 以上の1)の部分が前回から主に修正された点でございます。
 次の2)のところで、公害財特法の対象となる事業ということで、対象範囲について言及をいたしておりますが、そのうちの[1]廃棄物処理施設設置事業につきましては、前回の要点素案と基本的に記載内容は変わっておりません。廃棄物処理施設設置事業につきましては、平成17年の当小委員会におきまして、基本的には補助率かさ上げを講ずるような理由はないというふうに整理をされまして、17年度までに定められた公害防止計画に基づく事業について、経過措置的に対応するということで、それ以降のものについては経過措置的な対応に止まるという形で整理をされておりますので、今回の延長の対象には含めないことが適当であるということで、7ページの上から3行目のところで記載をさせていただいております。この部分については、先ほど申しましたとおり、前回と中身は変わっておりません。
 次の[2]でございますけれども、この部分は前回から追加になった部分でございます。この廃棄物処理施設設置事業以外にも、現在の公害財特法の中で余り使われていないメニューがございます。そうしたものについては今回延長要望する中で少し対象を整理することが適当ではないかということでございます。ここに記載しておりますように、今後の活用件数や額の見込みが少なく、かつ公害の原因そのものへの直接的な対応ではなくて、財政上の特別措置の必要性、優先度が低くなっているものについては、公害財特法の対象から除外することもやむを得ないという形に記載をさせていただいております。
 3)が課題の3つ目についてでございますけれども、前回と基本的には変わっておりません。現行の公害防止計画制度の運用上、主要課題のいかんを問わず財特法による支援措置が講じられているところでございますけれども、今後につきましては、実際に未達成、または未達成となるおそれが高い環境基準項目であって、公害防止計画において主要課題として設定されたものについて、財特法上の支援措置を講ずることとすべきだということが記載されております。
 最後、7ページ目の4.のところでございますが、これにつきましては今回新しく記載をしたところでございます。今後の公害防止に関する施策における国の役割についてということでございまして、大きく内容としては2点ございます。
 まず、1つ目のポイントが、前回、浅野委員から書面でいただいた意見を踏まえて記載をしたものでございまして、下から2行目をご覧いただけますでしょうか。今回の見直しによりまして、環境大臣の策定指示というものが廃止されることになるわけでございますけれども、複数都道府県にまたがる公害の場合など、環境省がリーダーシップを発揮することが必要な場合も引き続き想定されますことから、環境基本法第40条の趣旨を踏まえまして、国と地方公共団体の協力の一環として、必要な場合には環境省が都道府県に対して公害防止計画を作成するよう要請することが望まれるという形で記載をいたしております。
 それから、2点目でございますけれども、これも同じく公害防止計画制度に関わります国と地方の関係が見直されることを踏まえてでございますけれども、今後国が公害防止に関し果たすべき役割というものを整理して記載しております。上から10行目ほどのところに「環境基本法第二章の規定を踏まえると」と書いてございますけれども、現在の環境基本法の中で既に国の役割として定められているもののうち、公害の対策と考えられるものについて、主なものとして[1]から[7]まで列挙させていただいております。
 1つ目といたしまして、環境影響評価制度の適切な運用と必要な制度見直し、2つ目といたしまして、大気汚染物質等の排出、あるいは振動、地盤沈下の原因となるようなさまざまな公害の原因となる行為を行う事業者について、遵守すべき基準を定めること等によって、公害を防止する規制制度の構築と必要な見直しというものでございます。
 3つ目は、環境省というよりは広く政府全体ということだと思いますが、土地利用に関して、公害防止のために必要な規制制度、あるいは公害の原因となる施設の設置に関し、公害を防止するために必要な規制制度の構築、必要な見直しということでございます。
 4番目が経済的措置でございますが、税制上の措置、あるいは助成措置等の実施によって、環境に負荷を与える事業活動を行う者について、負荷低減のための措置をとるように助長するような仕組みを講ずること。あるいは、税制上の措置によって、環境負荷低減に努めることになるよう誘導するような措置というようなことの経済的措置の実施というものが4番目に記載をいたしております。
 5番目といたしまして、しゅんせつ等の事業、あるいは下水道や公共交通機関等の公害防止のために必要な公共施設の整備の推進等に係る措置でございます。
 6番目といたしまして、低公害車の購入等のグリーン購入、7番目といたしまして国の普及啓発、あるいは情報の提供といったことを掲げさせていただいております。
 最後、9ページのほうにまいりまして、この[1]から[7]に対しまして地方公共団体が果たす役割というものを簡潔に記載しております。[1]から[3]につきましては、国の定めた制度に基づいて、地方公共団体はその制度を運用する立場であることに加えまして、条例に基づく独自の制度の構築・運用。[4]の税制に関していいますと地方税関係の措置や独自の助成制度の実施、[5]につきましては事業や施設整備の実施、[6]につきましては地方公共団体によるグリーン購入の実施、[7]の情報提供等につきましては、環境教育等の実施や公害の状況の監視などというような形で記載をさせていただいております。
 最後の段落につきましては、国と地方公共団体が協力をして、公害防止に関する施策が進むように本意見具申を踏まえて取り組むべしということを記載いたしております。
 以上、簡単ではございますけれども、公害防止計画制度の在り方についての意見具申(案)につきましてご説明をさせていただきました。

○小林委員長 それでは、資料1の意見具申(案)及びただいまの説明につきまして、ご質問あるいは確認事項あるいはご意見がございましたら、いただきたいと思います。
 どうぞ、浅野委員。

○浅野委員 前回は欠席いたしましたが、前回の議論を踏まえ、さらにその後の関係省庁との調整を経て出されました今回の意見具申(案)の内容については、これで適当ではないかと考えます。これまでかなりの時間をかけて公防計画を今後どうするかという議論をしてきたわけですが、最終的には公害というものが完全になくなったと宣言できる状態にはなかなかなり得ないわけでありますので、なお公害防止計画の必要性はあるという認識は共通の認識であったかと思います。
 この意見具申(案)の表現を直せというつもりではないのですが、少なくとも議事録にはとどめておかなければいけないと思って発言をさせていただきたいますが、今回新たに付け加えられました国の役割について、前半で私の意見を入れていただけたことは大変ありがたいと思います。後半にはさらに国の役割ということで、国が今後講ずべき施策ということが出ております。基本的にはここに並べられていることでいいわけですけれども、例えば[1]、8ページの中ほどですが、環境影響評価制度の適切な運用と必要な制度見直しと出ています。これは現にアセス法の改正案が国会で継続審議中でありますので、それとの関係を申しますと、あたかも今回の改正案は不十分であると当小委員会が言っているということになるのでは困るわけで、これは少なくとも中環審でこれでよろしいという答申を出し、それに基づいて法案が出ているわけでありますから、そういうことではないということを確認をしておかなければいけないだろうと思いますし、それから公害規制に関してもたびたび改正が行われており、さきの通常国会でも大防法・水濁法の改正が行われておりますので、そういうようなことがなお不十分だという趣旨ではないのだということは確認しておかなければなりません。しかし、問題は常に見直しておかなければいけないので、不断に見直すということが必要だということをここで述べていると理解をしなければならないと思います。
 公害防止に関しても環境基本法をつくったときとかなり大きく事情が変わってきている面がある。ある意味では1993年当時以上に現在では公害に対する危機感が薄らいでしまっているということなどはそれだと思います。これは大防法・水濁法の改正の議論の中で出てきたことですが、言ってみれば現場の技術者がほとんどコンピューターの画面を見て仕事をするようになってしまって、現場を歩かないものですから実感がない。公害というのはもう起こるはずがないという前提の下で仕事をしてしまうという傾向があって、ある意味では危機的な状況だったときの経験が承継されていないという問題があるのではないか。だから、例えば記録の改ざんなどということが問題になるのですけれども、これも決して悪意でやっているわけではなくて、余り事の重大性を考えずに、これは異常値だと思って数字を直してしまっているというほうが実態ではないかというような議論がありまして、やはり経験の継承をしっかりやっておかないといけないという議論があったわけです。そういったようなことは、どうも環境基本法をつくったときとは違う、新たな今日的な現象でありますので、そういうことも今後ちゃんと考えて仕事をしていかなければいけないと思っております。
 そういう意味では、ここに書いてあることを、あえて直す必要はないのですけれども、今日的になお問題が残っているんだということは確認をしていく必要があると思いますし、審議会の部会間で言っていることが違うというのは、余りよろしいことではありませんので、そんな趣旨ではありませんということは議事録にとどめておきたいと思って発言いたしました。

○小林委員長 ありがとうございます。最初の国の役割につきましては、この意見具申が部会を通り、審議会として出されるわけでございますので、その審議会としてこの意見具申でもって現行制度は不十分、あるいはこう直せと言っているのではないというのは、関係方面でもご理解いただけるのではないかと思います。
 2番目の、現場を踏まえて、実情を踏まえて、今後公害防止計画をつくるというのは、非常に大切なポイントだろうと思いますので、何らかの形でこの小委員会としてもそういう目で提出された公害防止計画を見ていきたいと、こういう扱いでいかがかと思います。
 ほかにございましょうか。どうぞ、石川委員。

○石川委員 この小委員会でも財政上の特例措置が公防計画にとっては必要かつ十分な条件であるということで強い意見が出されておりましたけれども、事務局のご努力でこのような特例措置を講ずることとすべきであるということで、概ね当局間の合意ができたということについては敬意を表したいと思います。
 その中で確認でございますけれども、交付税措置、あるいはかさ上げ等については、事業の種別は限られてくるということだと思うんですが、この7ページの上のほう、[1]の最後の部分で、廃棄物処理事業に関して既発行の元利償還の基準財政需要額の算入の特例については経過措置的な対応が必要であるということは、要するにこれまで発行した分については何とか面倒を見ようという趣旨だと理解するわけですが、廃棄物はそれでいいんですけれども、これから10年続く事業についての基準財政需要額の関係については、今後10年間に新たに起こした事業の起債償還については同様に経過措置が認められると理解してよろしいでしょうか。

○小林委員長 経過措置と、改正のいわば本筋として対象にするという点も含めて、説明いただきましょうか。

○矢田計画官 他の委員のご理解のためにも申し上げますと、公害財特法というのは3ページのところにもございますように、[1]から[3]まで3つの支援措置がございます。このうち[1]と[2]については、まさにその事業を行った年度に対する支援措置ということになるわけでございますけれども、[3]地方債の元利償還経費に係る基準財政需要額への算入の特例につきましては、地方債を発行した後、これは例えば30年償還であれば、30年間かけて地方債を返していくわけでございますので、実際に事業を行ってから30年間支援を受けると、地方交付税の上乗せを受けるという形になるわけでございます。今のご質問は、今回廃棄物についてはそういう措置を経過的に講ずるということが書いてあるけれども、それ以外のものについてはどうなのかというご趣旨だというふうに思います。
 まず、ご説明申し上げますと、6ページから7ページのところにございますように、今回廃棄物処理施設設置事業については法律の支援対象から削除するという形になりますので、今回削除が決まったわけでございますので、これまで発行した地方債について、引き続き地方交付税上の支援を行うということの経過措置が必要だということで、このただし書きが記載をされているわけでございます。一方、これからも財特法本体の支援事業ということで継続して支援の対象となるものについては、今後とも地方債の発行が行われ、また地方債の償還が行われるということになるわけでございますが、これについては経過措置が必要かどうかというのは、仮に10年後に延長されないということになれば、その時点から償還についての支援があるかないかというようなことが重要になるという形になっております。そういう意味でいいますと、必ずしもこの10年後に延長されるかしないかということについては、延長しないように引き続き取り組む必要があるというところにこの意見具申(案)はとどまっておりますので、10年後に必要な経過措置については、あえてこの答申(案)そのものには盛り込んでいないということでございます。
 ただ、ご心配いただきました経過措置的な対応が行われるか否かということについては、今回総務省のほうで公害財特法の延長について条文化の作業を検討していくということが、今度の通常国会に提出する検討を進めていくことになるわけでございますが、その中でこの廃棄物処理施設設置事業や、あるいは[2]のところで削除されるものも含めて、今回延長されるもの、これら全体について、元利償還経費についての基準財政需要額への算入の経過措置を講ずることになる方向で検討するということになるというふうに聞いております。

○小林委員長 よろしゅうございますか。浅野委員。

○浅野委員 今後のことについては、今事務局がお答えになったとおりだと思いますが、この小委員会としての考え方は明確に6ページの[3]で示していると思います。つまり、財特の取り扱いについての考慮すべき要素ということで[3]が出ていますから、この考え方は引き続き、10年後になお消滅するわけではないので、小委員会は今、石川委員がご指摘になったようなことが仮に起こった場合には、同様の措置を講ずべきだということをあらかじめ述べているという理解でよろしいのではないかと思います。

○小林委員長 ありがとうございます。
 ほかにございましょうか。石坂委員、お願いします。

○石坂委員 内容については、実現性を踏まえて答申にまとめ得たということで評価をしておりますし、これでいいのだろうと思います。この案文については特段の意見はございません。それからさっき浅野先生がおっしゃっていたことですが「今後とも国が講ずべき公害の防止に関する施策として」ということですから、極めて漠としたことで、余りご懸念になる必要はないんじゃないかという気がします。
 それから、もう一つ、ちょっと気になっておりますのは、地球温暖化とか、生物多様性とか、言ってみれば目玉みたいに今議論されている問題がございます。そうした中で公害問題のほうはあらかた解決したんだという意識が強いような気がするのです。しかし、そんなことはないので、公害問題というのはいつでも誰かが起こす可能性のある、そういう問題でありますし、それからここにも書いてありますように、閉鎖性水域の問題とか、光化学スモッグとか、化学物質の問題とか、いわゆる公害問題というもので解決をしていかなければならない問題、手当てをしていかなければならない問題は、財特法の問題ということを離れて、公害防止計画に何を含めて県知事さんが策定するかわかりませんけれども、まだまだたくさん残っているし、これからも起こってくると思うのです。
 そういう意味で、この答申はこれでいいんですけれども、公害問題に対する注意喚起といいますか、そういうものにこれから常に対応していかなければならないのだということは、改めて強調をするような何らかの、この報告の扱いがどうなるのかわかりませんけれども、そういうときにそういう言葉も添えておっしゃるようにしていただければと思います。

○小林委員長 ありがとうございます。
 典型七公害にとらわれず、新たな事象に対しても積極的に公害防止計画に取り組むべきだと。その気持ちは、この最後の9ページの下から4行目ぐらい、「現に生じている公害及び今後新たに生じ得る公害に対し」に気持ちとしては込められているんじゃないかと思います。
 ほかにお気づきの点はありましょうか。杉原委員、お願いします。

○杉原委員 地方公共団体の立場として、これは答申そのものに対する意見ではございませんが、申し上げたいのは、現実問題として、事業を実施する際に10年間で終了しない事業があったり、あるいは今回対象事業を縮小する方向ですが、地方が実際に事業を執行する際に円滑に行われるよう、よく地方の意見を聞いていただきたいということです。事業については今後細かく選別されると思いますが、そのときには地方の意見をきちんと踏まえた形でやっていただきたいなということでございます。
 それから、もうひとつが、先ほど委員の方々からもお話が出ましたけれども、今後新しい公害が発生するかもしれないということも考えられなくもないものですから、そういったときにはきちっと国は責任を持って地方と連携した上で、財政措置を含めた対策を講じていただきたいという、これは今後法が10年間延長されることに際してのお願いでございますけれども、そういった観点からもよろしくお願いしたいなということでございます。

○小林委員長 ありがとうございました。地方の意見も十分聞いて、新しい事態等について協議をしながら公害防止計画を策定し、あるいは運用していくというご意見でございます。これは運用に当たって、我々及び事務局が留意しながら進めるということでお願いをしたいと思います。
 ほかにございましょうか。小林オブザーバー。

○小林座長 今回の意見具申を取りまとめいただきまして、本当にありがとうございます。内容的には検討会で議論させていただいた内容がほぼ100%入っているというふうに思っております。そういう意味で、皆様のご検討ありがとうございました。
 また、先ほど浅野委員のほうからご指摘がありましたように、やっぱり地方財政、地方自治において、今いろいろ問題が発生しております。一番大きいのは、地方分権という中で、国と地方との役割分担というのが少し不明確になってきていると。今までですと、いわゆる環境省なりが、公害防止計画の中でもありましたように、直接指示をする、または関与するというのがあったわけですが、それが少し稀薄になってきたという部分がございまして、そういう点ではもう少し環境省なり国の関与というのを是非お願いしたい。なかなか地方だけでは処理できない問題、特に先ほどお話のあった閉鎖性海域のような広域的な部分については関与をぜひお願いしたいと思います。
 それからもう1点は、地方分権の中で税源移譲が円滑にいっていると私自身は思っておりません。現実に税源移譲の中で、一部の大きな都道府県については問題ないんですが、それ以外の都道府県はほとんどのところが財政上困窮の状況になってきています。そんな中で、地球温暖化対策等々、いわゆる今までのような公害と言われない環境問題に対して手が大分割かれてしまったために、今浅野委員にご指摘いただいたように、現場を見るということが相当手薄になっています。そういう意味で、もう一度現場を見直すということが地方の大きな仕事ではないかと考えてございます。その辺についてぜひまた地方をご指導いただきたい。
 もう1点は、最近起こっておりますのは地方と国との情報交換がうまくいっていない。これは何もどちらが悪いということではないんですが、財政的な問題で環境省の方々が地方になかなか行けない。逆に、都道府県、または市町村の職員が環境省に出向いて来れないという問題が起こっているわけです。この辺の中で、何か工夫をぜひお願いしたい。その中で、地方事務所がもう要らないということも言われていまして、これではどうにもならないなというのが本音でございます。そういう意味で、ぜひ国と地方との情報交換をもっとやっていただくような措置をお考えいただければと考えてございます。よろしくお願いします。

○小林委員長 ありがとうございます。ほかにございましょうか。それでは、小委員会といたしまして、この資料1にございます意見具申、これを案といたしまして部会に上げ、部会から審議会会長に上げ、大臣に意見を申し上げると、こういう段取りで進めていただくことにしたいと思います。

○浅野委員 部会に上げるのですか。

○小林委員長 部会長に上げ、部会長から審議会の会長に上げ、会長から大臣に意見具申をすると、こういう流れだろうと思います。
 本件につきまして、事務局から最終的なコメントはございましょうか。よろしゅうございましょうか。それでは、そういう形で進めさせていただきたいと思います。
 次に、議題2、同意基準でございます。
 法律改正が行われたという前提のもとに、新しい制度に基づきまして公害防止計画が策定をされ、環境大臣が同意をすると、こういうプロセスが予定されているわけでございます。同意の基準につきまして、あらかじめ小委員会の意見を聞いておきたいと、こういう要望でございますので、まず同意につきましてのご説明をお願いしたいと思います。

○矢田計画官 それでは、資料2に基づきましてご説明をさせていただきます。
 先ほど意見具申の説明の際にも申し上げましたけれども、従来の公害防止計画制度につきましては、環境大臣が都道府県知事に対して基本方針を示した上で公害防止計画の策定の指示をするという形になっておりました。これが廃止をされて、今後は都道府県知事が自ら計画をつくり、そのうち財政支援を求めるものについて、環境大臣の同意を求めるという形に制度が改まるわけでございます。実は、9月7日の公防小委におきましては、個別に策定指示を行わないという形に制度が変わるものですから、個別の基本方針は定めないものの、全体としての計画の基本方針を定めて、その中でこういう計画であれば同意をするということを定めようかというふうに考えておりまして、そういう意味で基本方針案という形で提示をさせていただいたのですけれども、その後いろいろ調整を行っていく過程におきまして、基本方針という形で国が一律に計画の中身といいますか、内容を定めるということにつきましては、今回の地域主権で制度改正を行うという趣旨に必ずしも合致しないのではないかというご指摘がございました。そういうことを踏まえまして、基本方針として中に盛り込むことを予定していたものにつきまして、今回同意基準という形でもう一回整理をし直しまして、改めてご意見をお伺いするという形にしたものでございます。
 それでは、中身のほうに入らせていただきまして、まず1.のところに今私が申し上げました同意基準の趣旨ということが書いてございます。今回の意見具申に基づきまして、環境基本法及び公害財特法について改正がなされた後でございますけれども、公害防止計画のうち財政支援を受ける公害防止に関する事業に係る部分につきまして、都道府県知事から環境大臣への協議がなされて、公害対策会議、これは環境大臣をトップといたしまして関係大臣で構成される会議でございますけれども、その議を経た上で環境大臣が同意をするという形になるわけでございます。このように都道府県知事から協議を受けて、国、大臣が同意をするというものにつきましては、地方自治法の250条2という規定に基づきまして、どういう場合に同意をするのか、あるいは同意をしないのかという、同意の判断基準を定めて公表するということが努力義務として求められております。
 環境省としましては、基本的に努力義務として求められているものでございますので、同意基準という形で定めて公表をする必要があるだろうというふうに考えているわけでございまして、概ね以下の2.の内容を基本としてつくっていきたいと。その場合には、公害対策会議の議を経て同意をするということになりますので、関係省庁との調整を行った上で、同意基準を環境省として決定をするということになるものでございます。
 では、この同意基準と公害防止小委員会との関係というのがどういうふうになるかということでございますけれども、従来は公害防止計画について協議があった場合、公害防止計画小委員会において審査をいただいて同意をしていたということになるわけでございますけれども、今後は公害防止計画全体ではない形になるわけで、公害防止対策事業に関する協議ということになるわけでございますけれども、今後についても同様に、公害対策会議にかける前に本小委員会において、この公害に対してこの事業を行うことが有効かどうかといったことについてご審議をいただいて公害対策会議にかけていくと、その上で同意をしていくという形にしていきたいと思っているわけでございます。1.はそういう趣旨のことが書いてございます。
 2.の同意基準の案でございますけれども、大きく(1)と(2)の2つに分かれております。(1)は協議の対象である事業そのものではないわけでございますけれども、公害防止計画がどういうふうに策定されているかというところについてチェックすべき項目という形で、[1]から[6]まで記載をさせていただいております。
 まず[1]が環境基本法の該当条文を対象としているかどうかということでございます。これはまさに公害が著しいか、または著しくなるおそれがあるかどうかという環境基本法に定める公害防止計画の対象区域の要件に合致するかどうかということでございます。これについてはまた後ほど裏面のほうでご説明を補足したいと思います。
 2つ目の[2]でございますけれども、環境基準が未達成または未達成となるおそれが高いもののうち、重点的に取り組む必要のあるものについて主要課題として設定していることというのが2つ目の条件でございます。
 3つ目は、その主要課題について、過去の施策の実施状況、それらの効果、あるいは残っている課題等について分析評価を行っていること。
 4番目は、そうした分析や環境への負荷量の状況を踏まえつつ、どういう対策を講じるのかという施策を総合的に記載をしていること。
 5番目といたしましては、適切な計画期間を設定するとともに、その期間内に環境基準をどの程度達成するかという目標についても記載をしていること。
 6番は、その計画について適切な進行管理を行って、計画の効果的かつ着実な推進が図られるものであること。
 ある意味、計画行政として事業を行うに当たって当然のことではあると思いますけれども、[1]から[6]まで列挙しているという形でございます。
 続きまして、(2)でございますけれども、これが同意を求める事業についての要件でございます。
 まず[1]といたしまして、公害財特法2条3項各号、あるいは第4条2項に規定する下水道関係の事業ということで、法律の支援対象の事業であることというのが1つ目の条件でございます。
 2つ目が、公防計画の対象地域において、計画期間内に実施される事業であること。
 3番目が、主要課題に係る対策として実施される事業であって、その主要課題に係る環境基準の達成、あるいは健康もしくは生活環境に係る被害の防止に資すると認められること。いわば効果が上がる事業であるということです。
 4番目が、事業の実施主体、実施場所、期間、内容ということで、いつ、どこで、誰が、何をするのかということを明確に記載をしていること。
 5番目といたしましては、計画全体について協議、同意をするということではなくて、一部について協議を受け、同意をするという形になりますので、同意を受ける部分について、他の部分と区分をして記載をしているということで、同意の対象を明確にするという趣旨でございます。
 以上の[1]から[5]まで、これもある意味当たり前のことで共通的な話ではありますけれども、こういったことを基本として同意基準を定め、公表をしていきたいというふうに考えておりますので、ご意見を頂戴したいと思います。
 続きまして、裏面でございます。別紙という形で、公害が著しいことの判断基準と書いた紙がございます。これは実は10年前、平成13年に公害財特法を延長する際に、公害が著しいか否かの判断基準が不明確ではないかということがございまして、その際につくったものでございまして、その判断基準を基本的に踏襲しているという形になってございます。
 下のほうの表にいろいろ点数が書いてございますけれども、基本的には環境基準が設定されている項目等について、それぞれ2点とか1点とかという点数を積み上げまして、公害が著しいというふうに判断されるものについては原則9点以上、また延長の場合については原則7点以上というものについて著しいというふうに判断をするという形になるわけでございます。
 現時点では、そういう複数項目にわたる公害があることをもって著しいというふうに判断するというのを原則にしておりますけれども、仮にもし特定の項目について濃度が非常に高いでありますとか、あるいは基本的、広域的に広がっているということ、これは現時点では余りそうした事例があるわけではないわけでございますけれども、もしそうした事業がある場合についてコメントさせていただきますと、今回延長対象となるしゅんせつでありますとか、土壌汚染等の事業についていいますと、そうした場合にはこの法律の適用があるかないかという点について申し上げますと、総務大臣指定事業という形で、一定の判断基準のもとで、そうしたものを法律上の支援対象にするということが可能になるということとあわせて、下水道についていえば、そうした状況が生じた場合には、原則9点以上の場合でありますとか、あるいは汚染等の広がりや被害の程度と地域の実情を勘案して判断するという形の中で、果たして公害が著しいというふうに言えるかどうかということについて、個別ケースとして判断させていただくということで考えております。これにつきましては、原則として10年前に判断したものについて、そのまま引き続き公害が著しいの判断基準にしたいというふうに考えているものでございます。
 なお、PM2.5でありますとか、幾つかこの10年間に環境基準が新たに設定されたもの等につきましては、この表の中に追加して記載をしているところが10年前とは変わっているというところでございます。
 以上でございます。

○小林委員長 ありがとうございます。
 同意基準につきまして、ご意見がございましたら自由にいただきたいと思います。

○杉原委員 地方の立場から再度意見を申し上げますけれども、今回地域主権改革に基づきまして、同意をするということで、その心は地方自治体自らが決定し、実施をするということだろうと思います。そういう基本がある中で、こちらにありますような同意基準で、これからいろいろ関係省庁と協議されたりして、内容が変わることも予測されますが、そういった中にあっても、地域主権改革の趣旨と実質的に合わないような形になるようなことだけは避けていただきたいということで、自治体自らが決定し、実施するという改革の趣旨を踏まえた形で、この同意基準についてはつくっていただきたいというお願いでございます。

○浅野委員 その趣旨はここに入っているというように読んでよろしいのではないでしょうか。つまり、ほとんど何も規制的なことは言っておりませんし、今までこうあってほしいと考えていたことが書かれていて、特に今までよりも急に厳しくなったというわけではありません。しかしさりとて何もなしということでもないということですから、あとは現実には多分ご意見は、運用面で余りぐちぐちと規制的に言わないでほしいということだろうと思いますが、この努力基準というのはまさにそういうことのためにつくられているので、このとおりやっていく分には構わないのではないかと思います。
 恐らく一番財政当局との関係の中で言われそうだなと、ちょっと私自身が危惧していますのは、今回財特の事業に関してのみ同意ということになりますから、そこを財政当局の立場で余りぎりぎり言われると、かなり今までよりも財特の対象としての措置を受けにくくなるという危険性がありますから、そこはやはり総務省、環境省としては、従来よりも厳しくなってしまわないように配慮してほしいということだろうと思います。
 だから、どっちかというと、もっと自由にやらせてくれということを強調しても、お金の話だけということになりますので、それはどうぞ自分のお金でおやりくださいということになってしまいますから、むしろ今までの対策できちっとやりやすいようになっていたことが、やりにくくならないようにしてほしいということのほうが、小委員会からの要望としては重要ではないかと思います。

○小林委員長 ありがとうございます。今回の制度は公害防止計画あり、主要な課題事業あり、それから財特法の対象事業あり、かなり複雑で、従来の同意というのは全体として同意をして、財特法でどこまで見るかというのは、予算なり、貼り付けなりで判断をしてきた事柄だろうと思います。今回3段階に分けて、非常に財特法の同意というのを前面に出しましたので、その辺の運用がどうなるかというのは気がかりな点ではございます。全体として、考えとしてはわかるにしても、具体的にどういう内容になるかというのは、少し具体に即して見させていただかないと、最終的にはなかなか判断しにくいなと、こんな印象を受けております。
 お話がございましたように、この同意というのは、ぎしぎしな、地方を縛るということでなくて、自由度の高い制度として運用されるようにというご意見だろうと思います。
 ほかにご意見ございましょうか。どうぞ。

○小林座長 この同意基準につきましては、今ご意見がありましたように、同意基準というのは外してほしいというのが地方側の意見だったんですが、やはり今ありましたように財特法の特別措置という国の制度を利用するために、国側である一定の基準をつくるということはやむを得ないだろうということで、これについては了解をしたい。ただ、いわゆるこれは公害防止計画策定のための基準ではない。策定は地方自治体が勝手にやればいいので、ただ財特法のお金をもらうための基準だというふうに理解をしています。
 ただ、この中で点数で実は一番気にしていたのが、例えば今例示にありますように閉鎖性海域をもし取り上げた場合、実は閉鎖性海域だけに限定すると、この財特法の対象にならないんです。BOD、COD、海ですと、海の窒素、リン、それからCOD、3つだけですから、3点しかなり得ない。つまり対象にはなり得ないということになってしまうんです。そういう点については少し問題があるなということは議論されていたんです。それから、もう1点は、1項目だけで土壌汚染が起こる、1項目だけで河川底質の汚染が起こると、この場合どうなるんだというのが1つ大きな課題だったんですけれども、それについては先ほどお話がありましたように、総務大臣の特別措置ということがあるので、そちらに回せるということで、何とか了解できるのではないかということで、今のところやむを得ないという判断でございます。

○小林委員長 ありがとうございます。

○浅野委員 ここはこういう解釈はできないのですか。要するに、同意を求める部分に係るポイントが7点でなければいけないというと、おっしゃるようにほとんどすべての案件がアウトですね。だから、やっぱり公防計画としては自主的につくるにせよ、それは公害が著しい、あるいは著しくなるおそれがあるということをきちっと踏まえた公防計画であるかどうかということは、一応見せていただきます。そのときの基準としては、従来どおり7点ということを考えます。それでまず公防計画は玄関から中に入れました。玄関から入ってきたものについて、次は財特についてどうかというときに、その財特の支援要件を満たしているかどうかが、(2)のところに書かれている内容でチェックされて、それでオーケーということになれば財特が出ますと。こういうことでないと。余り厳しくやり過ぎると、おっしゃるように(2)のところだけで7点なければいけませんということでは困る。それは私がさっき申し上げたことで、財政のほうの都合だけで厳しくすることはよくないということだと思います。

○小林委員長 ありがとうございます。ほかにご意見ございましょうか。
 それでは、この同意につきましては事務当局でさらに検討され……。

○細見委員 ちょっと確認というか、質問だけなんですが、この点数は評価点がありますけれども、土壌に関して、あるいは地下水のみに関しては2点ということで、あとの公共用水域とか、大気に関してはそれぞれ項目があれば、その項目分に点をかけるという、そういう理解でよろしいんでしょうか。今までどういうふうに運用されていたのか。

○浅野委員 要するに、今までの運用をちょっと説明してください。

○小笠原課長補佐 「下表の評価方法について」というところで書いておりますとおり、地下水汚染、土壌汚染については、普通項目で基準値を超過した場合にあっても評価点2として評価するということです。5項目あっても2点という、そういう評価を地下水と土壌汚染についてだけは行っております。

○細見委員 大気とか公共用水域、表流水というか、そういうところでは項目×評価点2点になるわけですね。

○小笠原課長補佐 そういうことでございます。

○細見委員 その個々のというか、そういうふうに運用されてきたと思うんですが、その意味は一体、例えば土壌汚染というと複合汚染であるという、ほぼそういう認識があったんでしょうか。

○浅野委員 というよりも、土壌汚染の場合にはどっちかというとピンポイント的な現象が多いのです。それに対して、大気とか公共水域の水の場合は面的に広がりがありますので、それで面的な広がり、なおかつ測定ポイントで見た場合に環境基準をオーバーしていれば、それはかなりひどいと考える。これに対して土壌の場合は、やはり1ポイントで全域全部の汚染がひどいという事例はなかなか考えにくいので、そこで評価点としてこれを他の項目と同じように扱っていくと、たまたま3ポイント、4ポイント汚染値がある中で、一発でクリアということになってしまうので、よくないという判断をしてきたわけです。

○細見委員 だから、規模というか、その影響の大きさというか甚大さというのが一応評価項目のつけ方に反映されているということで、よく理解いたしました。どうもありがとうございました。

○小林委員長 どうぞ、石川委員。

○石川委員 もう一度再確認したいんですけれど、公防計画をつくりたい、要は勝手ですからつくれると。つくるときの基準は9点とか7点はもう全く関知しないということでもよろしいんでしたか。

○浅野委員 それはそうです。それは構わないと考えるべきです。

○石川委員 だから、1点だろうがつくりたいところはつくると。まずそれが1つあって、次に同意に至るようなものについては、最低9点か7点かはまず入り口で必要ですよと。その中で、9点なんだけれども、自分のところはこれとこれは外して、主要課題はこれだけに限りますというのは、それはそれで結構だと。9点のうち3点分だけ主要課題で頑張りますというのは、それはそれでいいと。そのうち財特法でこの分を拾ってくださいというのを書けば、それはそれでいいということでいいですね。わかりました。

○小笠原課長補佐 概ねそういうことで。非常に細かな点で1点だけ。1点でも2点でもいいかというところは、そこは基本的には著しい公害というのをどのように自治体のほうで判断されるかというところの問題であって、一応法律上は著しい公害のところについて策定するのが公害防止計画だということになっているということだけ、一応念のために言わせていただきます。

○小林委員長 よろしゅうございましょうか。それでは、この同意基準につきましては、環境省におかれては関係方面とも折衝されて、作業を進めるようでございますので、また小委員会等の機会があれば議論を継続したい、そう思います。
 それでは、本日予定しております議題は終了したわけでございます。これで年を越すわけでございますが、小委員会について特にご発言があればいただきたいと思います。
 それでは、ここまでに来ますまでの検討会での報告及び環境省ご当局のご苦労に小委員会としても敬意を表して、本日の審議は終わりたいと思います。皆さん方のご協力、ありがとうございます。
 それでは、環境省から最後のご挨拶があるようでございます。

○加藤審議官 審議官の加藤でございます。一言ご挨拶申し上げます。
 本来であれば局長がご挨拶申し上げるところでございますが、この時期でございますので、予算等で今国会のほうに行っております。私から代わって一言御礼申し上げます。
 公害防止計画制度の在り方につきましては、平成19年から6回にわたりまして精力的にご議論いただきまして、その間、公害防止計画制度の在り方に関する検討会からもご報告を頂戴しております。これまで小林委員長、それから委員の先生の皆様、検討会の小林座長、いろいろお力添えを賜りまして、大変深く感謝をするところでございます。
 今後、私ども、意見具申の内容を着実に実施すべく関係法令を国会に出しまして成立を期し、完成後の制度の円滑な施行に向けて取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。
 また、法施行後におきましても、新たな公害防止計画の国への協議がなされた場合には、また先生方のお力添えも賜りたいというふうに思っているところでございます。
 本当に長きにわたりご議論賜りまして、取りまとめをいただきました。改めまして先生方に感謝申し上げまして、簡単でございますが、一言ご挨拶申し上げました。ありがとうございました。

○小林委員長 それでは、本日の小委員会はこれにて終了とさせていただきます。どうも大変ありがとうございました。

午後2時13分 閉会