中央環境審議会 総合政策部会 公害防止計画小委員会 第22回会合

議事内容

午後1時56分 開会

○小森計画官 それでは、まだ定刻前でございますけれども、委員の先生方は皆さんおそろいでございますので、これより第22回の公害防止計画小委員会を開催させていただきます。
 本日は、太田委員につきましてはご都合により欠席という連絡をいただいております。
 議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、それから資料1「公害防止計画制度のあり方に関する検討会報告書」、資料2といたしまして「公害防止計画の策定手順について」、参考資料1といたしまして、「中央環境審議会総合政策部会公害防止計画小委員会の委員名簿」、参考資料2としまして「公害防止計画制度における意見整理」、参考資料3として「環境基本法(抄)」、それから、参考資料4といたしましては「公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」。足りない資料はございませんでしょうか。足りない資料がございましたら、事務局までお申しつけください。
 なお、このほか委員のお席には公害防止計画制度に係る参考資料を別とじファイルの形で置かせていただいてございます。こちらのほうのファイルにつきましては、会議終了後はそのままお席に置いておいていただければと存じます。
 本小委員会は公開とさせていただきたいと存じます。
 また、小委員会終了後に発言者名を示した議事録を作成し、委員の皆様方にご確認をいただいた上で、環境省ホームページで公開させていただきたいと存じます。
 それでは、議事に先立ちまして、当省の総合環境政策局長より一言ごあいさつ申し上げます。

○白石局長 本日はお忙しいところご出席賜りまして、ありがとうございます。
 ご案内のように、昨年12月だったと思いますが、検討会にいったん場を移させていただいて、公害防止計画制度のあり方に関しまして検討会を開いておったわけでございますが、この度その報告書が取りまとめられましたので、改めてその報告書の内容も踏まえまして、来年度からの制度の見直しに向けて、今日を含めまして何回かこの小委員会においてご議論賜りまして、でき得れば意見具申という形で取りまとめをしていただければということでございます。また、説明の中にいろいろな関連する関係各省の動きなどの説明も必要に応じて加えさせていただこうと思いますけれども、ぜひその公害防止計画をどうするかという立場からいろいろご意見を賜ればと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○小森計画官 引き続きまして、新任の委員をご紹介申し上げます。
 原山和巳専門委員が退任されまして、新たに杉原弘敏様に専門委員に就任いただきました。

○杉原委員 杉原と申します。どうぞよろしくお願いします。

○小森計画官 また、本日は公害防止計画制度のあり方に関する検討会において座長を務めていただきました財団法人ひょうご環境創造協会顧問の小林悦夫様にもご出席いただいております。

○小林検討会座長 小林です。よろしくお願いします。

○小森計画官 それでは、議事の進行につきましては、小林委員長にお願いしたいと思います。小林委員長、お願いいたします。

○小林委員長 それでは、これから議事に入らせていただきます。
 先ほど局長さんからごあいさつがございましたとおり、この小委員会では公害防止計画制度見直しについての議論を行いまして、前回平成21年3月6日の小委員会についてお手元にございます参考資料2のとおり、意見整理を行ったところでございます。環境省におかれましては、公害防止計画制度のあり方に関する検討会を設置され、検討をいただいておりまして、私どもの意見整理も含めて議論をいただき、3月30日付で報告書を取りまとめていただいたところでございます。
 そこで、本小委員会では検討会の成果につきまして、座長を務められました小林座長からお話をお聞きして議事に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。

○小林検討会座長 小林でございます。
 それでは、私のほうからご説明をさせていただきたいと存じます。
 先ほど小林委員長からご紹介いただきましたように、私ども検討会では公害防止計画のこれからのあり方につきまして、この小委員会で認識されておられる状況、課題を含めまして、さらには多面的に検討するようにとの依頼を委員長及び環境省から受けまして、昨年の12月に局長の私的諮問機関として検討会が設置されたわけでございます。以来、この3月まで計3回検討を行ってまいりました。検討の経過においては、地方公共団体を対象に行われましたアンケート結果等も参考にさせていただいております。
 検討会のメンバーでございますが、報告書の末尾にございますように、環境の専門家の方々のほか、地方自治体のOBの方、それから現職の方にもご参加いただいております。
 まず、私のほうからは結論のみをポイントを絞って、ごく簡単にご説明申し上げ、詳細な説明につきましては、本検討会の事務局を務めていただきました環境省においてご説明をお願いしたいというふうに考えてございます。
 結論を端的に申し上げますと、公害防止計画を単に終了するというのは不適当であり、当面の対応としましては、都道府県知事の裁量を高め、地域において総合的な対策を講じやすい計画制度に移行すべきであるということでございます。
 具体的に申し上げますと、1つ目は環境大臣の指示がなくとも都道府県知事が主体的に公害防止計画を策定することができるようにする。2つ目は、計画の内容として網羅的な内容にするのではなくて、対象地域において重点的な対策を講じる内容のみにとどめるということ。それから3つ目は、公害防止計画において講ずべき内容を地方自治体の環境基本計画において定める場合は、そのことをもって公害防止計画を策定したものとみなすということでございます。それから、4つ目でございますが、公害防止計画策定について国が示す基本方針は、公害防止計画を策定することが望ましい場合や記載事項についての目安等を示した全国一律のものをつくるということでございます。
 ただ、この内容につきまして国の関わりについて否定されるものではなく、国は広域的な課題、国民の健康に深刻な影響を及ぼすような課題等につきましては、公害防止計画の策定を要請する仕組みとすることと検討を進めるべきではないかと考えております。
 以上につきまして、当面の対応といたしましては、法の改正が必要なものにつきましては来春、法整備が予定されております地方分権一括法の中で盛り込み、その他のものにつきましては、運用で来年度から、この来年というのは今年度になるわけでございますが、実施していただければと考えるわけでございます。
 また、公害防止計画制度と関わりの深い財政上の特例措置につきましても、この具体的な取り扱いについては政府において検討されるべき事項ではございますが、検討会におきましては、公害防止計画制度の目的の達成状況、それから公害防止事業に与える影響等を勘案して配慮すべきであるというふうに考えます。
 さて、将来的な計画の姿を現行法にとらわれずに考えた場合でございますが、公害防止計画と地域の環境基本計画の2つの関係をどう考えていくべきかという問題がございます。最初に申し上げましたように、地方自治体のアンケートでも地域の環境基本計画を公害防止計画にかわるものとすればよいという意見もございました。これにつきましては、検討会といたしましては、地域の環境基本計画は地方自治体が自由度を持って策定しているのに対しまして、公害防止計画は必要な範囲で適切に国が役割を果たす等の必要があるとするものでございます。そういう意味から、同一の計画にするか、また別の計画にするかにつきましては、簡単に結論が出せないという状況にあると考えております。そういうことから、こういった留意点を示して、さらに検討を進めるべきであるという結論に達したわけでございます。
 以上でございます。私のほうからの説明はいったんこれで終わらせていただきまして、引き続き事務局のほうから報告書の構成に従って説明をしていただければと考えてございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○小森計画官 それでは、引き続きまして報告書に沿いまして事務局よりご説明申し上げます。
 本報告書は必ずしも大部ということではございませんので、括弧や注などについては適宜省略しつつも、基本的に本文については読み上げの形でご報告させていただきたいと思います。
 公害防止計画制度のあり方に関する検討会報告書~今後の公害防止計画制度のあり方について~。
 表紙をめくっていただいて目次でございますが、本報告書の構成は「はじめに」、それから現行の公害防止計画制度について、地方公共団体に対するアンケートについて、公害防止計画制度の見直しの必要性、公害防止計画制度の見直しの方向性、「おわりに」という柱立てになってございます。
 1ページ目の「はじめに」の部分でございますが、本検討会の報告書作成に至るまでの背景、経緯につきまして記載してございます。読み上げさせていただきます。
 はじめに。公害防止計画制度は、創設当時に見られた激甚な公害の解消を念頭に置いて創設された制度であり、昭和45年の運用開始以来、現に公害が著しい地域等において、国、地方公共団体、事業者等が連携を図りながら公害防止施策を総合的、計画的に講ずるための制度的枠組みとして用いられてきた。そして、汚染物質の排出規制の強化や徹底、公害対策事業の集中的実施等により、今日まで、公害防止計画地域における典型的な公害問題は改善してきたところである。
 しかしながら、現行のすべての公害防止計画は、平成22年度限りで期限を迎えることとなっており、また、公害防止計画制度に係る財政上の特例措置を定めた公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、いわゆる財特法でございますけれども、これも平成22年度限りで期限を迎えることとなる。加えて、公害防止計画制度は、運用が開始された昭和45年以降約40年が経過していることから、現時点において、これまでの実績や効果を踏まえつつ、公害防止計画制度のあり方を検討することが必要となっていると考えられる。
 このほか、平成21年10月に地方分権改革推進委員会により示された第3次勧告では、公害防止計画制度に係る国の関与についても勧告されており、この勧告に関する法整備は、平成23年の通常国会で行われると見込まれている。
 このような様々な状況を踏まえ、環境省は、公害防止計画制度のあり方に関する検討を行うため、平成21年12月に本検討会を設置した。そして、本検討会の設置に併せ、中央環境審議会総合政策部会公害防止計画小委員会から本検討会に対し、同小委員会で認識している状況と課題を含め、公害防止計画制度のあり方について多面的に検討することが要請されたところである。
 以上のような背景のもと、平成21年12月以降3回開催された本検討会においては、今後の公害防止計画制度のあり方について検討を進めてきた。本報告書は、この検討の結果を中央環境審議会総合政策部会公害防止計画小委員会委員長に報告するため、本検討会が作成したものである。
 次に、2ページ目に入りまして、現行の公害防止計画制度についてでございます。読み上げさせていただきます。

 

1.現行の公害防止計画制度について。

 

はじめに、今後の公害防止計画制度のあり方について検討を進める前提として、現行の公害防止計画制度の概要、目的、計画の策定状況等について、改めて整理することとする。

 

(1)公害防止計画制度の概要。

 

「はじめに」に記したとおり、公害防止計画制度は、創設当時に見られた激甚な公害の解消を念頭に置いて創設された制度であり、昭和45年の運用開始以来、現に公害が著しい地域等において、国、地方公共団体、事業者等が連携を図りながら公害防止施策を総合的、計画的に講ずるための制度的枠組みとして用いられてきた。
 公害防止計画の策定手続は環境基本法第17条に直接法定されているが、具体的には、

  1. [1]現に公害が著しい又は人口及び産業の急速な集中その他の事情により公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域について、環境大臣が、関係都道府県知事に対し、その地域において実施されるべき公害の防止に関する施策に係る基本方針を示して、その施策に係る計画の策定を指示する。
  2. [2]関係都道府県知事は、環境大臣から指示を受けたときは、基本方針に基づき計画を策定し、環境大臣に協議し、その同意を得る。
  3. [3]環境大臣は、関係都道府県知事への計画策定の指示及び同意をするに当たっては、あらかじめ、公害対策会議の議を経なければならない。
  4. [4]環境大臣は、関係都道府県知事への計画策定の指示をするに当たっては、あらかじめ、関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。とされており、公害防止計画に基づき、地方公共団体等は、発生源等に対する各種規制、環境影響評価、立地指導、土地利用の適正化等の施策を講ずることになるほか、下水道整備、廃棄物処理施設整備、公園・緑地等整備等の事業を推進することとなる。
 

3ページには、これを図示してございます。

 

4ページに入りまして、

(2)公害防止計画制度の目的。

 

公害防止計画制度は、(旧)公害対策基本法において法定され、平成5年に制定された環境基本法に引き継がれた制度である。
 しかし、本制度の目的については、制度創設以来基本的に変更はない。即ち、公害の問題の態様に応じて講じられている個別の規制等の措置等個別的な施策だけではなく、公害対策を総合的に講じなければその解決を図り難い地域や、今後人口や産業の急速な集中が予想され、諸施策を総合的に講じなければ同様の事態に陥るおそれのある地域について、公害防止施策を総合的に実施することを目的としている。

 

(3)環境大臣から都道府県知事に対する公害防止計画の策定指示等。

 

公害問題は地域性が強い面もあることから、地域の実情を把握している都道府県知事が公害防止対策を講ずることが効果的であり、また、その対策の権限も都道府県知事に委ねられている場合が少なくない。このため、現行の制度では、公害防止計画は関係都道府県知事が作成することとされている。しかしながら、公害防止対策の中には、国の施策に直接関わる問題も少なくなく、また、公害防止計画は、公害から人の健康の保護を図る等ナショナルミニマムを確保するための施策であって国としても大きな関心を有するものであることから、環境大臣が基本方針を示し、関係都道府県知事に対する公害防止計画の策定を指示する制度が設けられている。
 このように、環境大臣による都道府県知事に対する公害防止計画の策定指示は、公害防止対策の中に国の施策に直接関わる問題がある。公害から人の健康の保護を図る等ナショナルミニマムを確保する施策である。という2点を踏まえて設けられた制度である。
 なお、都道府県知事が策定した公害防止計画について、環境大臣の同意制度が設けられている点も、同じく上記2点を踏まえたものと解される。
 5ページに入ります。

 

(4)公害防止計画制度のこれまでの見直しの経緯。

 

公害防止計画制度については、昭和45年の初の計画策定以降、昭和57年、昭和62年、平成4年、平成9年及び平成13年の5回にわたり、「公害防止計画制度の今後のあり方」の検討が行われ、中央環境審議会(又は公害対策審議会)より、それぞれ意見具申又は答申が示されている。これらの意見具申及び答申に基づき、公害防止計画制度は、その都度、経済社会状況の変化、環境問題の態様の変化等を踏まえた運用面での改善が図られてきた。
 これまでの見直しの内容は、概ね以下のとおり整理できる。
 昭和57年、「公害防止計画の今後のあり方について」、公害防止計画に湖沼等の富栄養化対策、交通公害対策、廃棄物対策等を追加。昭和62年、「社会経済条件及び公害の態様の変化に対応した公害防止計画のあり方について」、重点課題を明確化した主要課題方式の採用、広域公害へ的確な対処のため、計画地域が連たんする大都市圏における計画の同時策定等を導入、環境影響評価の導入。平成4年、「社会経済条件及び環境問題の態様の変化に対応した公害防止計画のあり方について」、重点的に取り組むべき過大として化学物質対策、地球環境保全の観点等が追加。平成9年、「環境基本計画に対応した今後の公害防止計画のあり方について」、広域的取組に関する連携体制等について計画に位置付け、地域の総合的な公害対策を推進、環境影響評価等に基づく施策を計画に位置付け、地域における独自の地域環境計画と公害防止計画の連携による環境保全施策の実施を期待。平成13年、「公害防止計画制度の運用の見直しについて」、策定指示の要件を明確化、基本方針の見直し。

 

6ページに入りまして、

 

(5)公害防止計画の策定状況。

 

公害防止計画は、昭和45年12月から昭和52年1月までの間に、全国の主要な工業都市及び大都市地域のほとんどについて策定された。また、平成15年度に2地域が策定され、これまでに52地域について策定されてきたところである。一方で、地域の見直し、隣接する地域の統合等もあり、平成21年4月1日現在では、全国30の地域について、24の都府県知事が公害防止計画を策定している。具体的には、以下のとおりである。として下に公害防止計画策定地域図を示してございます。
 7ページには公害防止計画策定状況一覧の表と、公害防止計画の地域数及び市区町村数の推移のグラフをつけてございます。

 

8ページに入りまして、

 

(6)公害防止計画の法的効果。

 

公害防止計画策定の法的効果は、大きく以下の2つに整理できる。
 1)財政上の特例措置。財特法に基づく公害防止事業に係る国の負担又は補助の割合の特例措置の適用等。2)他の法令に基づく地方計画制度との整合確保。都市計画法に基づく都市計画、河川法に基づく河川整備計画等、各種地方計画が、公害防止計画と適合したものとなる。このうち、財政上の特例措置の内容は、次の頁のとおりである。として9ページに表をつけてございます。
 8ページに戻りまして、なお、財政上の特例措置のうち、公害防止計画に基づく公害防止事業に係る事業費及び補助の嵩上げ額の推移を見ると、以下のように、近年減少しており、公害防止計画制度に基づく財政上の特例措置の活用は漸減傾向にあると考えられる。ページの下にグラフをつけているところでございます。
 10ページに入ります。

 

(7)公害防止計画制度の成果。

 

公害防止計画の個々の対象地域においては、公害防止計画の策定のみならず、様々な公害対策が講じられている。このため、公害防止計画の策定による環境改善効果のみを抽出することは困難である。
 しかしながら、すべての公害防止計画の対象地域を対象として主な環境基準等の達成状況を整理すると以下のグラフのとおりとなり、公害防止計画の対象地域において、典型的な公害問題は、改善してきていること、また、全国民の環境基準等の達成状況との乖離が解消してきていることが把握できる。ただし、湖沼及び海域のCODについては、全国の環境基準との乖離が解消してきているとはいえない。
 10ページ下から11ページにかけまして、浮遊粒子状物質、二酸化窒素、河川BOD、湖沼COD、海域CODに関しての環境基準達成率の推移の図をつけているところでございます。
 12ページに入ります。

 

(8)地方分権改革推進委員会の第3次勧告。

 

平成21年10月に地方分権改革推進委員会により示された第3次勧告では、公害防止計画制度に係る国の関与について、以下のとおり勧告されている。
 この勧告に関する法整備は、平成23年の通常国会において、地方分権に関する一括法を定める形式で行われると見込まれている。
 環境大臣への同意付き協議。財特法による税制・財政上の特性措置に係る部分、法制度上当然に、国の税制・財政上の特例措置が講じられる場合、同意を要する協議を許容。その他の部分は同意付き協議の廃止。
 公害防止計画の策定。計画等の策定及びその内容に係る規定そのものの廃止。法制度上、国の税制・財政・法制上の特例措置が講じられる計画等の場合、特例措置に係る内容の義務付けの存置を許容した上で、計画等の策定に係る規定の「できる」規定化又は努力義務化。
 13ページに入ります。

 

2.地方公共団体に対するアンケートについて。

 

本検討会における検討に資するため、環境省は、平成21年12月、公害防止計画を策定している24都府県及び総務大臣指定事業を実施している10県市を対象に、公害防止計画制度の見直し方針及び財特法の期限切れに関するアンケート調査を実施した。
 本アンケートの結果を見ると、公害防止計画制度については、地域の実情に応じた公害対策を講じられるような制度とすべきとの回答が多く、また、財特法の期限切れについては、現状では特に支障がないとする回答も一部ある一方で、期限切れにより特定の公害防止事業の実施に支障が生じる又はそのおそれがあるとの回答が多く見受けられた。
 結果の詳細は別添のとおりであり、その概要をとりまとめると、以下のとおりとなる。報告書の後半部分にアンケート調査結果のアンケート回答そのものを載せてございます。それをまとめた表がこの13ページ下の表でございます。
 公害防止計画制度の見直しに係る地方公共団体に対するアンケート調査結果(概要)。
 1.制度の見直し方針は定まっていませんが、以下のような選択肢があり得ると考えています。具体的に、環境の保全等の観点からどのような見直しをすべきと考えますか。(現状の制度に対する評価、以下の各選択肢のような見直しを行うことへの見解も含めお答えください。)というのが問いの1でございます。
 あと、ここで補足させていただきますと、ここで書かれている意見の(1)から(4)の順番でございますが、これにつきましては、回答の多かった順に並べてございます。
 意見。(1)現行制度の必要性は低くなりつつあるが、地域の実情に応じた公害対策が講じられるような制度とすべきであり、地方自治体の環境基本計画を公害防止計画に代わるものとするか又は地域の重点課題に絞り込むなどして、公害財特法の財政措置を受けるかたちが望ましい。(2)といたしまして、廃止も含めて抜本的な見直しが必要である。(3)としまして、今後も現行の計画制度が必要である。(4)といたしまして、都道府県知事による策定に加え、政令指定都市長等による策定も可能とすることや公害財特法の財政措置拡充を行っていただきたい、という回答がありました。
 2といたしまして、仮に公害財特法の期限が延長されなかった場合、何らかの問題が発生しますか。発生するとすれば、具体的にはどのような問題ですか。
 意見。(1)下水道事業の進捗等に大きな支障が出る。(2)港湾のしゅんせつ事業又は河川しゅんせつ事業を行っており、今後の事業実施に支障をきたす恐れがある。(3)といたしまして、廃棄物処理施設整備事業を行っており、大きな支障が生じる。(4)これまで行ってきた事業などにより、一定の成果をあげていることから、ただちに問題が発生することはないが、今後新たな課題が発生した場合、対応等に遅れが生じる恐れがある。(5)といたしまして、土地改良事業を行っており、事業継続が困難となる。また今後のカドミウム汚染濃度の基準が下がれば、新たな公害防止対策事業が必要となる地域が増えることが予想される、という回答がありました。
 14ページに入ります。

 

3.公害防止計画制度の見直しの必要性。

 

以上、1.においては、現行の公害防止計画制度の概要、目的、計画の策定状況等について改めて整理するとともに、2.において、公害防止計画制度の見直し方針及び財特法の期限切れに関する関係地方公共団体の意見等について整理したが、ここでは、これらの整理も踏まえつつ公害防止計画制度の見直しの必要性について本検討会において検討した結果を整理する。

 

(1)公害防止計画制度の見直しについて。

 

「公害対策を総合的に講ずる」という公害防止計画制度の目的を踏まえた今後の公害防止計画制度の見直しについての本検討会の認識は、以下のとおりである。
 公害が著しい地域においては、公害防止計画制度により公害対策が総合的に講じられ、典型的な公害問題は改善してきている。公害防止計画制度は、これまでの我が国の公害対策として十分な役割を果たし、その目的は相当程度達成されてきた。
 公害防止計画制度に基づく財政上の特例措置の活用は漸減傾向にあると考えられ、一部には、公害防止計画の財政上の特例措置の効果が必ずしも効率的に発揮されていないと考えられる事例もある。
 しかし、閉鎖性水域における富栄養化、底質の悪化等の問題が残り、またPM2.5、ダイオキシン等の化学物質による環境汚染等新たな形態の公害への対応等も必要である。それゆえ、必ずしも「公害対策を総合的に講ずること」の必要性が否定されるものではなく、公害防止計画制度の存続を求める地方公共団体の意見も多い。
 このような認識のもと、本検討会としては、公害防止計画を「単に終了する」のは不適切であり、制度趣旨に即した適切な公害対策に資する制度への改正が必要と考える。
 なお、本検討会においては、これに関連し、「公害」の概念をより明確化すべきという意見があった。
 15ページに入ります。

 

(2)国と地方の役割分担について。

 

現行の公害防止計画の策定手続において、環境大臣による策定指示や同意の手続が設けられている背景には、公害防止対策の中に国の施策に直接関わる問題があり、また、公害から人の健康の保護を図る等ナショナルミニマムを確保するという考え方があったが、このようなこれまでの考え方等も踏まえた、今後の公害防止計画制度に係る国と地方の役割分担についての本検討会の認識は、以下のとおりである。
 公害防止対策の多くは、基本的に、地域ごとに、個別の公害分野ごとの制度の運用の中で対応しているが、PM2.5等広範に影響を及ぼす公害への対応等もあり、国の役割の必要性は否定されるものではない。
 このような認識のもと、本検討会としては、公害防止計画制度における国と地方の役割分担については見直すことが必要であり、地方公共団体の主体的な計画策定を前提として、必要な範囲内で適切に国が役割を果たす仕組みが必要と考える。

 

(3)公害防止計画の効果について。

 

現行の公害防止計画策定の法的効果は、財政上の特例措置及び他の法令に基づく地方計画制度との整合確保の2つに分類できるが、これを踏まえた新たな公害防止計画制度における計画の効果についての本検討会の認識は、以下のとおりである。
 財政上の特例措置については、具体的に当該地域で問題となっている公害以外の公害への対応にも適用されるため、その効果が必ずしも効率的に発揮されていないと考えられる事例があるという意見がある一方で、総合的な公害対策を講ずる上で何らかの財政措置が必要という意見もある。
 他の法令に基づく地方計画との整合確保については、運用上の課題や効果について問題視する意見はなく、引き続き必要と考えられる。
 このような認識のもと、本検討会としては、上述した公害防止計画制度の目的の達成状況、現在実施している公害防止事業に与える影響等を勘案して、財政上の特例措置について検討することが必要と考える。
 また、他の法令に基づく地方計画との整合確保についての制度的担保は、引き続き必要と考える。
 16ページに入ります。

 

4.公害防止計画制度の見直しの方向性。

 

近年、典型的な公害問題は改善してきているが、今後も、公害防止計画制度には、これまでの公害問題が再燃することのないよう、各分野の公害の悪化を総合的に抑止する効果や、新たな形態の公害が発生した場合、地域ごとに、既存の各分野の公害への対応との関係も踏まえつつ、地域全体として、改めて総合的・効果的に公害対策を講ずることに資するという効果、さらには、公害問題に関わりがある各事業の実施主体との連絡・調整を経ることにより、各主体の公害対策に向けた認識の共有・統一ができるといった効果も期待できるところである。
 本検討会においては、3.(1)~(3)に記したとおり、制度趣旨に即した適切な公害対策に資する制度に公害防止計画制度を改正した上で、引き続き同制度を存続すべきとの結論に至ったが、ここではさらに、具体的な公害防止計画制度の見直しの方向性についての本検討会の検討の結果を整理する。
 なお、「はじめに」に記したとおり、財特法は平成22年度限りで期限を迎える。また、公害防止計画制度に係る国の関与についての地方分権改革推進委員会第3次勧告に関する法整備は、平成23年の通常国会において行われると見込まれている。このため、本検討会においては、公害防止計画制度の見直しの方向性について、平成22年度末までの間に講ずべき当面の対応と、将来的な対応とに分けて整理することとした。
 それぞれの検討結果は、以下のとおりである。

 

(1)当面の対応として、都道府県知事の裁量の高め、地域において総合的な対策を講じやすい計画制度に移行するべきである。

 
1)計画の枠組み関係。
 

環境大臣が都道府県知事に対して公害防止計画の策定を指示する際に策定する基本方針は、環境基本法第17条第3項の規定に基づき、環境基本計画を基本として策定することとされていることを踏まえ、環境基本計画にある項目内容を網羅的に盛り込む形となっており、このような基本方針に基づき策定された個々の公害防止計画も、同様に、環境基本計画にある項目内容を網羅的に盛り込む形となっている。
 しかしながら、環境基本計画を基本とすることは、同計画に沿って、地域の実情に応じた取組を重点的に進めるものと解して運用することが妥当であり、今後の公害防止計画については、このような網羅的な内容ではなく、対象地域において重点的な対策を講ずる内容のみを定める計画とすることに検討を進めるべきである。
 17ページに入ります。
 また、公害防止計画において講ずべき内容を、地方公共団体の環境基本計画において定める場合は、そのことをもって公害防止計画を策定したと見なすような弾力的な運用を行いうるものとすることについても検討すべきである。
 計画策定手続については、計画に記載する事業の実施主体とも十分連携した手続となるよう検討を進めるべきである。

 
2)国と地方の役割分担関係。
 

地方分権改革推進委員会の第3次勧告に従った措置が必要である。
 「公害対策を総合的に推進する」ことを目的とした計画である限り、都道府県知事が主体的に公害防止計画を策定することができることとし、環境大臣による策定指示については、あらかじめ、国として地方公共団体が公害防止計画を策定することが望ましいと考える場合や記載項目についての目安等を示した全国一律の基本方針を策定した上で、広域的な課題、国民の健康に深刻な影響を及ぼす課題等について策定を要請できる仕組みとすること等について検討を進めるべきである。
 対象地域が政令市及び中核市の範囲内に限られる公害防止計画については、計画の策定権限を都道府県知事から政令市及び中核市の長に委譲することについて検討を進めるべきである。

 
3)計画の効果関係。
 

地方公共団体の関心が高い財政上の特例措置については、上述した計画の枠組みや国と地方の役割分担の見直しの方向性を踏まえ、財特法の期限切れへの対応も含め、現在実施している公害防止事業や農用地土壌汚染対策事業等個別の対策が必要な事業の取扱い等具体的な措置について検討することが必要である。その際、その対象の明確化や、その効果の効率的な発揮の観点からも検討すべきである。
 他の法令に基づく地方計画との整合確保は、引き続き必要である。
 新たな形態の公害が発生した場合、地方公共団体がきちんと対応できるよう、地方公共団体に対する技術支援、組織体制上の支援等についても検討を進めるべきである。
 18ページに入ります。

 

(2)将来的には、地方公共団体の環境施策に関する基本的な計画、以下「地域環境基本計画」と呼びますが、この制度の創設も視野に入れ、以下の観点から検討を進めるべきである。

 
1)計画の枠組み関係。
 

新たな公害防止計画と地域環境基本計画とを同一の計画とするか別の計画にするかについて、検討を進めるべきである。
 なお、公害防止計画制度の必要性が依然として認められる中、公害のみならず幅広い環境施策の基本的な内容を定める地域環境基本計画は、公害防止計画とは別の計画とすることも考えられるが、その際は、重複を避けるため、一方の計画の一部を他方の計画の一部と見なすなどの弾力的な運用を行うことについても検討すべきである。
 地域環境基本計画は、地球温暖化対策の推進に関する法律、生物多様性基本法等環境分野の法令に基づく各地域計画(戦略)の上位に位置付けられる基本計画とする形も考えられる。
 地域環境基本計画制度についての検討に当たっては、地方公共団体の地域環境基本計画に係る条例との整合に留意する必要がある。
 地域環境基本計画制度についての検討に当たっては、地方公共団体における当該計画の策定状況にも留意する必要がある。

 
2)国と地方の役割分担関係。
 

地域の環境基本計画は、既に一部の地方公共団体が自由度を持って策定しているという実態がある。
 新たな法制度として地域環境基本計画制度を設ける場合、その自由度を制約しない、地方の裁量をベースとした制度とする必要がある。
 この場合において、国の権限に属する事項に関し、国の施策との連携、調整を可能とする仕組みを定めることが必要であり、さらに、地方公共団体相互の施策の連絡、調整の仕組みが必要である。

 
3)計画の効果関係。
 

環境分野に係る地域計画のほか、環境に関わりを持ちうる各行政分野の地域計画との整合を確保したものとする形も考えられる。
 各地方公共団体の裁量性の高い地域環境基本計画制度を創設する場合であっても、地方公共団体に対する技術支援及び関係主体による施策の協調した実施等について十分な検討を行う必要がある。
 20ページに入ります。
 「おわりに」。
 以上、公害防止計画制度の今後のあり方について、本検討会における検討の結果を整理した。
 今後、中央環境審議会総合政策部会公害防止計画小委員会において、本報告書の内容を踏まえつつ、公害防止計画制度の今後のあり方について、さらに具体的な検討が進められることを期待する。
 以下、この報告書では注釈、それから別添として公害防止計画制度の見直しに係る地方公共団体に対するアンケート調査結果、末尾に公害防止計画制度のあり方に関する検討会検討員名簿、公害防止計画制度のあり方に関する検討会審議経過がございますが、読み上げは省略させていただきます。
 以上で私からの説明を終わらせていただきます。

○小林委員長 ありがとうございます。検討会の報告書の内容についてご説明をいただきました。小林座長、それから本小委員会からご参加いただいた浅野委員ほか委員の皆さんのご努力に対して、小委員会としてもお礼を申し上げたいと思います。
 これからの進め方でございますが、まず、小委員会としてこの報告書の内容を十分に理解する必要があると思いますので、報告書についての質疑あるいはコメントがございましたら、まずいただきたいと思います。
 2番目に、この報告書を受けてどういう制度が想像できるかという点、事務局で整理をしていただいておりますので、報告書に基づくこれからの制度についての概要についてご報告を受け、検討したいと思います。
 3点目に、小委員会として公害防止計画のこれからのあり方についてどう考えるか。これからの方向についてのまとめができれば、今回はそこまでの審議としたいというふうに思っております。
 では、まずご説明いただきました報告書につきましてご質問あるいはご意見がございましたらお願いをいたしたいと思います。これからのあり方に関する部分につきましては、先ほども整理しました第3番目、後半で扱いたいと思いますので、まずは報告書を中心にしてのご発言をお願いしたいと思います。
 はい、どうぞ、石川委員。

○石川委員 地域の環境基本計画との関係については、もう少し工夫するなり何なりというようなことで、どっちにしようというようなことがはっきりわかっていないんですが、1つ、16ページで公防計画が網羅的になっていると。環境基本計画も網羅的になっていると。網羅的だから、そこを重点的に絞れば、それはそれでいいんじゃないかというような書き方になっているんですが、仮にそういうことだとして、ほかの法令でこの地域については、例えば大気汚染の問題についてばい煙の総量規制だとか、水質については水質の総量規制とか、そういう特別の計画をつくるのがありますよね。要するにそれで代替できるということでもよろしいんですか。

○小森計画官 総量規制とかいろいろな計画はあるんですが、それと公害防止計画との関係につきましては、この報告書としては触れられていません。特に議論があったのは、地域環境基本計画との重複があるのではないかというようなことがあったので、そこについては報告書で触れられているんですが、総量規制計画との関係では特にこの報告書では触れられていないし、そういう議論も検討会の場では出なかったということでございます。

○浅野委員 ちょっと補足させていただいてよろしいですか。

○小林委員長 はい、どうぞ。

○浅野委員 総量規制に関しては、もともと最終的には個々の発生源に対する法的規制というところにつながっていくわけです。それに関連する形で、確かに直接的に規制がかけられないような、例えば水質に関して言うならば生活系とかいうようなものについては行政ごとに施設計画などを立てて総量規制及び環境基準の達成を目指すということが書かれてはいるわけですけれども、それと公害防止計画とはかなり性格を異にするもので、公害防止計画の考え方をそういう個別法での総量規制に係る例えば総量規制達成のための方策というようなもので代替できるかと言われると、それは無理だと思います。

○小林委員長 ありがとうございます。石川委員、よろしゅうございましょうか。

○石川委員 意見はありますが、そういう解釈だということはわかりました。

○小林委員長 ほかにございますか。
 それでは、少し先に進みまして、この報告書に基づいて制度を構築したとすればどんなイメージになるかという点について事務局で作業をしていただいていますので、その点に進みたいと思います。お願いをいたします。

○小森計画官 それでは、資料2につきましてご説明いたします。
 これらは公害防止計画制度のあり方に関する検討会報告書の内容を踏まえて制度見直しを行った場合に、具体的内容としてはこのようなものになるのではないかということを環境省において整理したものでございます。
 まず、資料2の1ページ目の公害防止計画の策定手順をご覧ください。
 現行の制度では、詳しくはこの資料の3ページ目に添付してございますが、公害防止計画の策定地域を国が環境基準の超過項目などをもとに特定し、当該地域であれば公害防止計画の策定を義務づけ、当該地域以外では策定ができないという形になっております。新規であればこの3ページ目のところで、9点を超えるとつくりなさい、そうでなければ仮につくったとしても、それは公害防止計画とは呼ばないというような形となっておりました。
 また、策定すべき内容につきましても、地域ごとに国が基本方針を示し、それに基づき都道府県が計画を作成することといたしておりました。
 これに対しまして、見直し後においては、国はあらかじめ全国統一的な基本方針を策定し、その中で策定が望ましい地域を示して、該当地域を含む都道府県等に連絡すると。策定地域を含んでいたとしても、公害防止計画を策定するかどうか、最終的には都道府県の判断ということ。また、当該地域以外でも策定は可能とするという形になろうかなというところでございます。
 なお、公害防止計画の策定については、都道府県の任意としたとしても、公害財特法が延長されるなど、法制度上当然に財政上の特別措置が講じられる場合、すなわち国費の上乗せが行われる場合に限り、それについては公害防止計画の同意を必要とする。すなわち策定の段階でなく、同意の段階で国のチェックをかけることとしております。
 2ページ目はこれを基本方針の内容の観点から表の形で整理したものでございます。
 繰り返しになりますが、基本方針を地域ごとでなく、事前に全国一本で作成し、その基本方針の中で公害が著しく、策定することが適当と考えられる場合を国として目安を示しますが、それに沿って策定するかどうか、言いかえれば公害が著しいかどうかの判断を最終的には都道府県にしていただく。計画の内容も地域事情を踏まえ、重点的な対策を講ずる内容を定めることとし、計画期間も個々の公害対策事業のスパンを考慮するなどして、地方で決められるようにしようとするものでございます。
 そして、1ページ目の説明において先ほど国費の上乗せが行われる場合に限り、策定の段階でなく、同意の段階で国のチェックをかけると申し上げましたが、その同意基準も基本方針の中であらかじめ明らかにしていくということにしたいと考えてございます。
 以上、策定手順と表について申し上げましたが、この策定手順と表につきましては、政府見直しのアウトラインをお示ししたものでございまして、見直し案のすべてを網羅したものではございません。例えば報告書の中では都道府県知事が主体的に公害防止計画を策定することができるとした一方で、国が広域的な課題、国民の健康に深刻な影響を及ぼす課題等について策定を要請できる仕組みとすること等について検討するべきとされているところでございます。この小委員会で報告書の内容について仮に了承されれば、私どもとしてもしっかりこの表のみならず、そういう報告書全般の内容に沿って制度の見直しを行ってまいりたい、政令市、中核市などについても一括この中で対応できるところがあれば、そのようにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上で私からの説明を終わらせていただきます。

○小林委員長 ありがとうございます。報告書の中でもいろいろ選択肢が示されていまして、必ずしも1つに絞った報告書にはなっていないというふうに理解をしております。資料2では、その中の一つを取り上げて、必ずしも報告書のいろいろな選択肢についてケースを想定したものではないだろうと思います。資料2で国の関与のあり方、これは現在の公害防止計画の骨格をなす部分でございますが、これをどう扱うか、こういう整理でスタートしていいかどうか、スタートの点から多少議論もあろうかと思いますが、報告書を受けて具体の策定手順、計画の性格等につきまして一つの案が示されましたので、しばらくはこの案に沿いましてご発言をいただきたいと思います。
 はい、どうぞ。

○石川委員 今の図で、右のほうで公害防止計画の同意のところの説明書きの上の3行なんですが、公害財特法が延長されるなど云々ということが講じられた場合と、そういう場合にはということですけれども、その前に公防計画と財特法というのは、従来は表裏一体になっていて、13ページの各公共団体のアンケートでも財特法の延長、要するに財政措置を受けられる形でならばやってほしいと。それが必要だというところが一番多いんですよね。やめるというのもあるし、そのまま今の制度というのもあるんですけれども、要するに一番多い回答が、そういう財政措置をうまく絡めて続けてほしいというようなご意見なので、その前提でやるしかないんじゃないかなと思うんですけれども、その財特法はあきらめたと。あきらめたんだけれども、公防計画だけは続けますというのでは公共団体の希望に沿っていないんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

○小林検討会座長 実はその辺が一番問題点で、議論をさせていただいた。大きな問題はその財特法を延長できるかどうかというのが大前提で、要するに地方自治体にとっては財特法による何らかのメリットがあるというのが前提であろうということで、アンケートをとる段階でもこの財特法がなくなれば公防計画はもう要らないという方向でまとまってくるのではないかというふうに私どもも実は想定していたんですね。特に財特法の中にある補助金制度が実際に地方分権の中で補助金制度がなくなってしまった場合、いわゆる特別交付金的な配慮しかなくなってしまうという問題から、そういう公防計画そのものの存在価値がないというお答えが来るんだろうというふうに思っていたことが結構アンケート結果では、それでも公害防止計画は必要だというお答えが出てきているわけですね。
 このお答えが出てきた最大の理由は何かというと、お金だけの問題ではなくて、例えば地方自治体が自由に環境基本計画、地域の環境基本計画をつくった場合、その施策の中に国の事業が入ってきた場合、その国の事業を地域というか都道府県がつくった計画で国が事業としてやってもらえるかどうかという問題が1つ出てきたわけですね。
 それともう一つは、他府県とかいわゆる複数の府県にまたがるような公害問題に関して、いわゆる地方自治体の計画だけで対応できるのかというようなことから、やはり国が制定した公害防止計画が必要ではないかというお答えが結構多かったというので、実は検討会の報告書がそちらの方向にまとまっていったという経緯があるということでございます。

○小林委員長 ありがとうございます。
 はい、どうぞ石坂委員。

○石坂委員 今おっしゃっていたこの財特法、地方に財源を付与するかどうかというのは、1つの公防計画の重点です。それは果たして補助金とか交付金とかその制度がどうなるかということは別としましても、そういう公害防止のための財源を地方に付与するのかどうかということは、必要であるとすればこういう理由でこういうものに必要なんだと。新しく制度、これ延長が切れちゃうわけですから、つくるならば、つくる必要性があると、それはこういうものに限定して必要なんだということは主張すべきだと思いますね。それを組み込んだ上でどういうふうに制度設計をするかということは一つの論点だろうと思います。
 今の小林さんのご説明にもありましたように、そういうことを離れてもやっぱり要るんじゃないかという意見が大勢だったというのは、非常に大切なことなんですね。ですから、そっちの論点からどういうふうにこれは構成していったらいいんだろうかということは、やはりこの小委員会の意見としてまとめる必要があると思うんです。新しい問題もいろいろ起きてきていますし、それから、1つの地方では解決できない問題もでている。そういうものに対してどう対応していくのか。地方ベースでどういう計画をつくっていくのか、その前提となる、国の公防計画がなければいかんと思うんです。それは公害の定義をどうするかということにも関わるんですけれども、温暖化とか、あるいは生物多様性とか、そういうものは別途できているわけですね。それから、循環についてもできている。公害基本計画、公害基本法ができて、それ以来環境省のレゾンデートルであった公害問題について、環境基本法、基本計画の中に書いてあるんですけれども、ほかにそれぞれ基本計画なり基本法ができている中で、公害についての基本法、基本計画というものが改める必要なのではないか。そういうものとの関係の中で、この地方のいわゆる公害計画というものを位置づけていけば、地方の計画の意味とか位置づけとか何を書くかということがはっきりしてくるんだろうと思うんです。ですから中央の公害基本計画みたいなものが要るんじゃないかと思います。
 地方の計画をつくるに当たっても、そういうものを前提として考えていくと大分はっきりしてくる。例えば今ここに書いてあることだけを取り上げて考えてみましても、策定が望ましい地域の特定とかいうことがありますけれども、この策定が望ましい地域の特定をどうやってするんだと。どういう地域を特定したのかということがオープンにならなければ意味がないわけですね。地方の勝手に「自分のところはここだけしかやらない」、「こっちはやらない」というふうな話では、その全体としての環境の改善には資さないわけです。地方が策定するのは自由である。それでいいと思うんですけれども、一方、そういう計画を策定せずにはおかれませんよというふうな状況をつくり出すということが必要だと思います。そういう世論をつくり出していくというのがこの基本方針なり、さっき私が申し上げた公害基本計画なりの役割じゃないかと思うわけです。
 この問題についてはこれだけですけれども、さらにもう一つ言うと、そのことと環境基本計画あるいは環境基本法とのつながり、それをどう考えるかというのがもう一つの大きな問題としてあるんですね。それは今その場じゃありませんから申し上げませんけれども、そう思います。

○小林委員長 ただいま2点ご指摘がございました。1つは財政措置、公害対策に対する財政措置の話がございました。財政措置について言いますと、いわゆる一般的な補助、助成制度にプラスしてかさ上げで特定地域、特定事業について公防計画を根拠にして手当する必要があるかと。そのかさ上げの必要性のところも少し見極める必要があるというふうに思います。
 2点目は、国の総合的な公害防止計画、これが法律に基づく制度あるいは実態として現在のところ存在をしていないと、こういうご指摘でございますが、これは現状の認識としてはそういう制度に至っていないという理解でよろしいでしょうか。

○浅野委員 その点に関しては、石坂先生のご指摘はかなり当たっているとは思うわけですが、程度問題ではあれ、環境基本計画には1編、2編があって、2編のほうにかなり教科書的に並べられている個別項目部分というのがあるにはあります。この部分はあまりにも戦略とか重点項目というものの影に隠れてしまっていて、審議会で十分にこの各論部分についての議論がないままに、通常は担当課が出してきたものをそのまま載せて終わりというような実態になっていることが問題だと思うわけです。もうこの場ではその議論をやる場じゃないという石坂先生のお言葉を借りればこれ以上は発言しないほうがいいのかもしれませんが、確かに今あまりにも基本計画、基本法が増え過ぎてしまっていて、一番の本件の環境基本計画が何をやるんだという問題は総合政策部会のかなり重要な課題になってくるだろうという認識をしております。そこで、全体を見渡すものとしての現在の重点項目という部分で哲学をしっかり示すということと、今は各論の形になっている部分で、個別の基本計画ではターゲットになっていないような政策事項については、もっと強化しないといけないという認識がございますので、その部分で今、石坂先生のおっしゃったような点がカバーされることは十分に必要だろうと思うわけでございます。
 公防計画のこの議論、現段階の議論というのは非常に悩ましいものがあるわけですが、例えば今後どういうふうに世の中が動いていくのかということがはっきりわかっていて、アジェンダまでできていればあまり苦労はないのですけれども、例えば道州制の行方も必ずしも透明ではない。あるいは地方支分局の話も廃止などが言われてはいるけれども不透明で、国の地方における直轄事業のようなものがどうなるのかというような問題がいろいろあるわけです。確かに現在のこの検討会の提案は、どちらかというと現状追認型のものであることは間違いないわけで、どう考えても国の直轄事業について公防計画的枠組みがないと、どんなに地方公共団体が何かやってほしいと思っても動いてもらえない。だから、このような枠組みの有用性があるのではないかという議論に一応なっているわけです。
 ですから、確かに悩ましいといえば悩ましいのですけれども、これは単にお金の問題ではないという認識を、むしろ私ども以上に自治体が持っておられたということがわかってきたものですから、そこでかなり正直言うと、検討会は方向転換をしているわけです。やめろという方向で議論を始めてみたら、アンケートが全くそうじゃなかったものだから、これはいけないということで、慌てて軌道修正しているといえるのですが、もう一つはやっぱり分権の動きの中で、これまでのような環境大臣による知事さんへの策定命令というやり方はどうにももたないだろうということが一方でございます。そのこととの調整をどうするかと、この点にかなり苦慮していたということでございます。
 もう一つ、今回のアンケートが直接には計画策定を義務づけられている都道府県と、それからもう一つ何でしたか。熊本市なんかで今行われている・・・。

○小森計画官 総務大臣の指定事業。

○浅野委員 というのがあって、そういう事業を実施している市にだけに問い合わせをしているのですが、現実にはもうちょっと丁寧にアンケートをするのであれば、この中にもありますように、1の政令市のみに適用される公防計画というのが現実には結構あるわけですが、そういう場合にどちらかというと都道府県側の負担感がすごく重いようですね。実際には政令市が事実上準備作業はやってくれているのに、国に行って説明しなきゃいけないのは都道府県。内容はよくわからないのに説明をさせられるというような不満がありそうだという印象は結構受けていますので、政令市だけでおさまるものは政令市がやるんだということは、この中では検討すべきと書いてあるのですがこれは、実際に必要だろうと思っております。そこで今後策定命令という形はとれませんから、自発的におやりください。しかし、それだけでは困るので、環境大臣が必要と認めた場合は要請ができるというような二本立てかなというふうに思うのですけれども、そのときの対象区域が広域的なものであれば当然広域でお願いしなくてはいけないのですけれども、政令市の中だけでできるような問題は政令市にお願いできるというような構造になってくるべきだろうと思っていまして、これだけでも実現すれば、県の負担が軽くなるのではないか。実際その計画で動いていかなくてはいけない政令市にとっても、自分たちの自由度が増すというようなことになるでしょうから、こういうことは制度を見直す場合に考慮する必要があるというような議論をしております。

○石坂委員 政令市のほうですよね。当然のことだと思いますね。そのことは全く異論ありませんけれども、地域環境計画をもって充てると。これは、それでは国は環境基本計画をもって充てると、こういうことになるんですよね。それでいいのかという話が1つあるんです。特に地方の場合には、そんなに幾つも計画をつくるのは大変だ。だから、地域環境計画というのは非常に網羅的なもので、公害問題も入っていれば地球温暖化も入っていれば何でも入っていると、そういう計画をつくって、この公害の部分についてだけはここに載るんだと。こういう話なんでしょうけれども、しかし、一体制度としてそういうものは成り立つのかなという気もしないでもありません。
 それから、国に対して言えば、確かに浅野先生がおっしゃるように環境基本計画に書いてあるんです。そもそも公害問題というものが環境問題の原点なんですから、それは随分改善しました、間違いなく。だけれども、後追いでいろいろ出てきている。新しい公害問題は出てきているんです。そういうものに対する取組がちょっと最近おざなりじゃないかという気がしてならないんです。

○浅野委員 その点についても追加いたしますと、この中にも書いてあるのですが、公害の概念をもう一回原点に戻って見直せということを書いているわけです。つまり公害対策基本法の公害の概念は、元来、その後に理解されてきている概念より広いのだということを再認識し、今日抱えている環境問題は本来の公害という概念で、つまりこれは少なくとも公害は起こってしまってからの問題にならなくて、被害が生ずることを言うのだと橋本道夫先生から教えられているわけで、その未然防止というのがむしろ大事なのだということを言っていることを含めて、もう一度考える必要があるということは認識しております。その点も先生ご指摘のとおりであろうと思っています。

○石坂委員 地域環境基本計画ですか、それでもいいんだよと言っちゃっていいのかな、という気はするんですけれどもね。

○小林検討会座長 よろしいでしょうか。
 1つ大きな問題は、その地域環境計画で偏らないでできないかというご意見が大分あったんですが、ただ、これは国の環境基本計画もそうなんですが、地域の環境基本計画のほとんどがあるべき論しか書いていないんですね。こうあるべきだというのが書いてあって、具体的に何をするかが書いていないんですよね。ところが、公害防止計画の場合は、具体的にこういう施策をするというのがはっきり書いてあるんですね。この辺が基本的に違うので、単に地域計画に置きかわるという話じゃなくて、実は私が承知しております兵庫県の場合も地域環境基本計画そのものの中に具体的に毎年施策をフォローアップするような方法をとれという指示が委員会の中から出まして、現在は毎年その基本計画をフォローアップする形で、今年はこういう施策をやりますというのを打ち出すような方向に持っていているんですが、全都道府県がそういう形になっているかというとなっていなくて、その辺が実際には基本計画よりも公害防止計画のほうが実効性があるというふうに判断されている地方自治体は多いと思います。

○浅野委員 この議論は前からいろいろと試行錯誤の議論の中にあったものではあるわけで、一時期ちょっと立ち消えになっていたものがまたあるところから強く出てきたものだから、これを報告書に入れたという経過があるわけです。つまり公防計画を法定計画としているので、地域環境計画をそれにかわるものとして法定計画ができないだろうかというお話があったので報告には載せてはいるのですが、検討会報告のニュアンスをご覧いただくとわかりますように、やはりそれぞれの自治体の自由度を束縛するようなことはいかがなものかということも言えそうです。だから、その方向が全面的によろしいとして書いているつもりではなく、やるとすれば結構検討課題があるので、ここは慎重にという趣旨であり、まだ先の課題として残している面がございます。
 それから、地域の環境計画という場合でもいろいろ小林先生おっしゃるように、濃淡があると思うのですが、たとえば福岡市では、環境基本計画はどっちかというとやっぱり理念、哲学のような大綱を定めていて、それに基づく部門計画をむしろ重視しようとしています。博多湾というようなところを区切って、それについての環境計画を立てるとか、自動車公害というような部門に焦点を絞って計画をたてるとかいうやりかたで、部門計画のほうに具体のことを書いているというやり方をとっているのです。そんなやりかたの地域環境計画がこの公防計画に代替できるとは到底思えませんので、おっしゃるとおりだと思います。

○石坂委員 だから、ここで想定している新しくつくろうとしている公防計画は、こういうものであるというイメージをはっきりさせれば、代替させようと思えばそういう内容を持った地域基本計画をつくらなきゃいけないわけですから、それによってクリアできるんでしょうけれども、どういうものが必要なんだという概念図をクリアにすれば、この問題はクリアできると思うんですけれども、ただ、一般的に代替できるなんて言っちゃいますと、ちょっと問題じゃないかなと思うんです。

○正田環境計画課長 ご指摘の点は、基本方針、今回は枠組みだけお示ししているところでございますが、この中で、我々が考える公害防止計画制度というものはこのようなものですよというのを今後ご指導いただきながら詰めていきたいと思います。当然、今ある計画が自動的にそうなるものではなく、基準として盛り込んでいくというものを基本方針という中で今後詰めていきたいと思ってございます。ご指摘ありがとうございます。

○小林委員長 ありがとうございます。計画の対象の部分で公害からスタートしているんですが、それが非常に時代によって増えてきたこと。世の中一般でいいますと公害を環境に置きかえる概念といいますか、要望そのものも大きく変わっている中で、これからの公害防止計画、どういうものを対象にするかという点。検討会の報告書は必ずしも明確に割り切っているわけでもないだろうと思います。石坂委員のご指摘のように、これから国が何らかの形で関与していくとすれば、対象をどうするかという点は一つ議論としてテーマを立てる必要があるだろうと思います。
 ほかにお気づきの点、ございましょうか。

○浅野委員 杉原委員はいかがでしょうか。分権との関係をこういうふうに整理しているのですが、知事会のお立場ではいかがですか。

○杉原委員 私ども、全国知事会にはエネルギー環境問題特別委員会というものがありまして、会長は茨城県知事ですが、その構成都道府県から意見を聞いたりしております。基本的にこの公害防止計画につきましては、やはり財政措置との関係というのが一番メーンでございます。確かに公共事業は減小しているので、呼応しながらやっているんですけれども、それなりの地域性のある財政措置はやはり必要だということの表れだろうと思います。
 それともう一つ、分権の流れがあります。地方公共団体にはいろんな計画がありますが、既に計画倒れしているというのも実情でございます。この辺りをもっとすっきりとさせ、自治体の自主性で重点的にやれればなというふうな気持ちがこの報告書に込められているのではなかろうかと思います。こういった地方が主体的に決める、重点的にといった考え方は、非常に助かるんだろうと思います。
 なお、財源問題につきましては、確かに一括交付金等の議論があり、将来どうなるか、また、今まで一般財源化等により、地域の特性に応じた直接的な支援というのがかなり薄まってきているという実情もございますので、そういったものがここに表れているのかなというふうに理解しております。
 さらに、やはり市町村ですね。こちらのほうは県と大きな市ということでアンケートをされていますけれども、下水道や、廃棄物対策を行っている市町村の立場もありますので、そういった意見もお聞きいただければなという気はいたします。計画自体は県で作るということが前提になっておりますけれども、その辺りも考慮しなければならないことなのかなという気がいたしております。

○浅野委員 ありがとうございました。

○小林委員長 はい、どうぞ、香川委員。

○香川委員 法的なことは私の専門外ですが、これ大気汚染、それから水質汚濁、土壌汚染と項目が分かれておりますけれども、発生源の方面から考えての対策を考えますと、水質汚濁とか土壌汚染とか、こういったものというのはここに書いてある地域環境基本計画の中に盛り込みやすいと思うんですね。でも、大気汚染の場合というのは今、ほとんど問題になっているのは移動発生源で、それがもう6割とか7割を占めておりますので、そういう大気汚染対策を地域の中でやっていくとしたら、せいぜい道路環境をどうするかとか、そういうことになってくるので、ここで何か評価点数の合計ということで過去にはやられておりますけれども、一律に私は大気汚染を水質汚濁とか土壌汚染と同じような観点から点数をつけて評価するのはどうかなと思う時代になっているんじゃないかと思うんですけれども。

○小林委員長 ありがとうございました。課題の地域的な広がりという点でどうだろうというご発言でございます。

○小林検討会座長 よろしいでしょうか。今言われたことは事実でございまして、まず自動車公害対策で一番問題は道路整備と一定の交通規制なり、いわゆる自動車単体対策になって、これ地方自治体が基本的にほとんど手を出せない部分ですね。NOX・PM法で地域計画をつくるんですが、地域計画に書いてある施策の内容が地方自治体でやれないことばかりが出てきてしまって、本当は大変つらい部分があって、この辺が逆に国の関与が大変必要な部分というふうに思っています。
 それからもう一点、水とか大気汚染のほうについては、特に大気はあまりないんですが、水質汚染の関係では、いわゆる水質というよりはそれの結果として出てくる土壌汚染とか、それから海とか川の底質汚染、これに対する対策というのが大変重要でございまして、この辺も実際上は地方自治体だけでは対応し切れないということで、国の関与が重要になってくる。この辺の財政措置が相当必要だというのがアンケートの中でも出てきておりますね。

○浅野委員 カドミの基準ですが、今回変わりました。これは検討会の中でも強く指摘があって、恐らく今後事業が増える可能性が大きいということです。一方ではこれについて財政措置がなくなっていくということは、自治体にとっては困るんだという意見もありまして、今日は担当課長からもその点は強く言ってくれと言われてきたわけです。

○小林委員長 はい、どうぞ。

○香川委員 この資料1のほうの17ページが当面の対応と、それから18ページのところに地域環境基本計画絡みのことがあるんですけれども、この両方とも計画の効果関係という項目がそれぞれあって、ちょっとこれ読んでもどこが似ていて、どこが違うのかよくわからないのですが。私は、計画の効果関係というのは、いわゆるコストベネフィットのことを言っているのか、それとも今、欧米で特にアメリカが言っているアカウンタビリティですね。対策に見合った効果、特に健康とか環境影響評価をするという枠組みづくりのことを言っているのか、ちょっとこれ読んで何をどうするのかということがわからないのですが。

○浅野委員 これは、確かに報告書のまとめ方の問題であって、見出しのつけ方が悪かったのかもしれませんが、枠組みについてはこんなことが問題である、それから、役割分担についてはこんなことが問題である、計画を効果的に実現していくためにはこういうことが課題である、というつもりで書かれているので、その意味では全部同じような文脈で書かれているわけですから、費用対効果とかという結果的にこの計画はどういう効果を持つのかではなく、効果的に実現するためにどうしたらいいのか、検討課題は何であろうかということが書かれているということです。たしかに表題が悪かったと思います。
 それから、16ページ以下のところで、言ってみれば短期的な課題とか、短期的にやること。それから、18ページ以下は、中長期的に時間をかけて検討することを記しています。ですから、あえて言いますと、この検討会報告で当面、今年度やらなくていけないのは16、17ページに書いてあることだけでして、18ページはもうちょっと先に考えましょうということが書かれていると、そういう並びになっています。

○小林委員長 概ねよろしゅうございましょうか。
 それでは、これから小委員会として検討を進める上で特に気をつけようと、あるいはこういう論点を深めようではないかという小委員会の審議の進め方あるいは方向性についてご意見がありましたらいただきたいと思います。

○石坂委員 いいですか。

○小林委員長 はい、どうぞ。

○石坂委員 私はこのあり方報告書のとおり、地域の公防計画を新しい形で存続させるという意見については賛成です。ですから、そういう方向でまとめていくということについては賛成です。ただ、そのときに附随してさっき申し上げたような論点ですね。今まで魅力であった財源の話を一体どう考えるのか。それから、国との関係、国の計画というものをどう考えて構成していくのか。そういったことは避けては通れないと思います。
 中身とかそういう点について特にこの報告のおっしゃっていることに異論はありませんけれども、地域が自主的につくる、それから、環境大臣が要請すると2つ道があるんですけれども、それも賛成ですけれども、地域が自主的につくるということになる以上、いわゆるベースとなる情報ですね。これをオープンにする必要があると思うんです。いかに自主的につくるとはいえ、公害を防止すべき水準にありながら計画はつくらないというふうな県があるとすればですよ、今時そういう県はないと思うんですけれども、それはおかしいじゃないかという世論が起こることが可能なように、そのためにはいろんな指標とかそういうものが公表されて、誰でも見るということができるようにしておく必要があると思いますから、そういう配慮が必要だろうと思います。

○小林委員長 間を縫いまして、これからの審議の進め方でどんな流れが想定できるか。最初にごあいさつありましたように、諮問答申という形でなくて、意見具申という形でまとめようというのが今までの流れだったようでございますが、そういうまとめ方及びタイミングですね。これらについてちょっとご説明いただいて議論を続けたいと思います。

○小森計画官 10年前のことも参考にしながらスケジュールを考えますと、次回の、まだ本日の審議は終わらないのに次回の予定というのも、なんなのですが、秋ごろに本日のご議論を踏まえた形で、もし仮にこの検討会報告書に沿った、ないし何らかのご意見があって、こういう条件つきでとかこういうものもつけ加えるべきというのがあれば、それらについての資料、それから制度についてのもう少し詳細に進めてはどうだろうかといったような資料を出させていただく。最終的に冬、これが10年前ですと11月末ごろであったんですけれども、政府内において一方で財特法、非常に公害防止計画制度に関わりの深い財特法の議論、そこら辺についての政府内での検討というのももう少し進んでまいると思いますので、そこら辺も踏まえてその財特法についてどうするべきかといったことも10年前はかなり踏み込んで延長すべきであると、延長する必要が強いというようなことを言っておりますので、そこら辺について触れられるか、触れられないのか。必ずしも10年前と同じような形で予算のスケジュールが進むわけでもございませんけれども、直近の情報も入れた形で意見具申案のようなものを事務局からそれまでの議論を踏まえて整理させていただいて、ご意見を賜ればというふうに考えてございます。

○浅野委員 ちょっとスケジュールとしてはどうですしょうか。先ほど石坂先生がおっしゃったように、財特について絶対にこれがないともう公防計画は成り立ちませんということばかりでもないと思うのですが、要望が強いということは事実です。そうであるならば、そのような提案が12月、1月ぐらいに審議会の名前で出てきてもあまり迫力がないような気がいたします。むしろそういうようなことに関しては、場合によっては切り離して意見具申をしておいてもいいのではないでしょうか。それは当然前提として考え方をきちっと整理してということですが、通るか通らないかは別です、審議会は自由にものを言えるのですから、要するにこういう考え方が必要なのだということをもっと早い段階で言えるものなら言ってしまったらいいと思うわけです。さらにもう一つ、平成22年をもって公防計画は一応全部期間終了になってしまうわけですから、そうすると、23年からどうするのだということについて、各自治体にお任せしますというときに、自治体には早い段階で23年以降、自分たちが考えなければいけないんだという情報を流しておかないと、そんなのんびりと12月、1月ごろにやったら、1年間完全にどの自治体だって穴があいてしまうし、それはもう小林先生だっておわかりだと思いますが、どこの自治体でも大体夏には次年度の予算の話が始まるわけですから、これはやらなくてはいけないという話は、国がこういう方針なのだから、もう国の公防計画在来型のものは、22年はあるけれども、本県あるいは本市は23年からさらに自前で続ける、あるいは1年間空いたにしても、23年は計画策定のために準備をさせてほしいということを言えるようにしておかないと困るのではないでしょうか。そうしないと下手をすると間が2年あきます。だったらもっとスピード感は持ってやるべきじゃない。夏の終わりぐらいまでには何らかの整理をしてしまうとか、中間の取りまとめをするとかですね。国がやりますというのならまだいいのですが、今度は国がやりますではないわけですから。

○小林委員長 前回までと違って、外回りの条件が非常に複雑に絡んでいますから、この小委員会だけなかなか判断がし切れない部分があるんだろうと思います。今、浅野委員のご指摘がございましたように、検討を一本でやるのか、財特法と公防計画と二本立てで、場合によっては意見具申を別々に行うとか幾つかあると思いますが、どうでしょうか。そのためだけに小委員会を開くのは大変ですから、事務局で今後の進め方についてどういうことが考えられるか素案をつくっていただいて、小委員会に送っていただいて、メモで意見を提出して、それに基づいてこれからのスケジュール、大まかなところをかためて、次回秋以降、具体的な審議に入ると。この間に一つ入れるということにどうでしょうか。

○浅野委員 今日も検討会の報告については特段大きな異論があって、こんなのだめだという声は上がらなかった。方向は大体決まってというか、大体かなり支持されているとするならば、夏にでもどんどん議論したらいいのではないですか。

○正田環境計画課長 1つは公害防止計画の制度の枠組みにつきまして、小委員会のほうでこの報告書を踏まえて具体的に検討を進めなさいと、こういうような受け止め方を本日いただければ、まずこの仕組みにつきましては、我々もまた必要なご指導とか各省の意見も聞きながら詰めていくという作業が一つあろうかと思います。

○浅野委員 早くその自治体に方向性、こんな議論の方向になっているということを伝えておかないと自治体は動けないのではないですか。

○正田環境計画課長 あと財特法の絡みにつきましては、これはなかなか難しい問題がございまして、いろいろ所管の総務省を始め、各省と調整してまいります。その状況もまた踏まえながら、ご相談をさせていただければと思っております。まず、公害防止計画の仕組みの方は、ご提言いただいたこの報告書の線で本日おまとめいただけるということでございましたら、そちらのほうは作業をまず進めていきたいというふうに考えております。

○浅野委員 当面よくわからないというご意見が結構あったのは後半部分。中長期見通しのところはちょっと、もっと議論する余地があるよと言われているので、ここは中長期なんだからもっと引き続き議論する余地もあると思いますが、前半の当面というところに関しては、あまりご異論がない。分権のほうも少なくとも最終のものが出てくるとすれば、それに乗り遅れたら何もできなくなる。だから、我々はちゃんとわかって反応していますということを中環審としては示していかなければいけないと思うというわけです。

○小林委員長 ありがとうございます。締めはちょっと置きまして、公害防止計画そのものについて、全般あるいはこれからのあり方について、追加でご発言があったらいただきたいと思います。
 よろしゅうございましょうか。
 それでは、小委員会としては報告書の内容を理解し、概ねこの報告書に沿ってこれからの方向を検討すると、こういうことでほぼ意見の一致を見たと。具体の点につきましては、外回りの条件の動き等がございますから、タイミングを失しないように、小委員会としての中間報告なり意見具申の案をまとめていきたいと。それに当たりましては、計画の理念あるいは具体、財特法のあり方等につきまして、かなり詰めた議論が必要でございますので、なるべく議論の時間をとった形で小委員会を開催させていただきたいと、こんなことでよろしゅうございましょうか。
 それでは、次回の開催がもし秋以降というようなことになるようでしたら、その中間の検討状況等を文書で委員に流していただいて、委員の意見も反映できるような形で整理をしていただきたいと。特に財特法関係で言いますと、補助金と交付金をどう使い分けるか。今までの経緯でいきますと、補助金から外れて交付金になれば財特法の対象から外してきたわけでございますが、今の政府の動きからいくと、そういう制度でいいかどうか、技術的な問題もまだかなり残っているだろうと思いますので、なるべく素材を用意していただいて議論を深めたいというふうに思っております。
 はい、どうぞ。

○石川委員 今の財特法絡みで補助金から交付金になるので、補助率のかさ上げというのももうかなり厳しい状況になると思うんですが、先ほど下水道事業でという例が挙がりましたけれども、元利の償還のところで少し返りもよくされるという仕組みになっているところが一番大きいみたいなんですね。この公共団体のアンケートを見ましても。だから、その辺を少しぐっと実態をつかんでどうしたらいいかというのを考えていただけたらと思うんですけれども。

○正田環境計画課長 おっしゃるとおり、補助金の部分と地方財政措置の部分がございます。後者については、正直我々もなかなか把握しにくいところがあるんですが、実はその部分が、財特法の効果としては、かなり大きいのではないかと。そういうふうに認識をしております。
 そういう意味では、事業を所管している省庁からの具体に今どんな事業をやっていて、仮にどんな影響が出そうかと、このことを今いろいろ意見交換しているところでございます。そういったことを踏まえながら検討を進めていきたいと思っています。ご指摘、ありがとうございます。

○小林委員長 ほかに事務局から連絡事項ございましょうか。

○白石局長 ちょっとよろしいですか。

○小林委員長 はい、どうぞ。

○白石局長 今、課長からお答えしたとおりでございますが、加えるならば何となく特に財特法の行方がよくわからないものですから、とりあえず様子を見て秋口までにという心づもりではおったのですが、今、先生方のご議論を踏まえますと、そういう待ちの姿勢だけだと、かえって自治体に迷惑もかけかねないということもございますので、もうちょっと柔軟にいろいろな情報は前広にとりまして、先生方にもお流しをし、また、それに基づいていろんな資料をお送りするということで今、小林委員長のほうからは大体秋が目処かなというお言葉もありましたけれども、場合によってはもうちょっと早いこともあり得るべしというふうなことでやらせていただこうと思います。いろいろご指摘、ありがとうございます。

○小林委員長 ありがとうございます。非常に能率よく議論が進みまして、ちょっと予定より早いんですが、本日の審議会の議事はここまでとさせていただきます。
 どうもありがとうございます。

午後3時33分 閉会