中央環境審議会 総合政策部会 公害防止計画小委員会 第19回会合

議事内容

平成20年3月26日 午後 2時00分 開会

○弥元環境計画課長 それではまだお見えでない委員いらっしゃいますけれども、定刻になりましたので、これより公害防止計画制度に関する論点整理についての審議会を開かせていただきたいというふうに思います。
 議事に入ります前に本日の資料の確認をさせていただきたいと思います。
 資料1で委員会の名簿でございます。資料2、公害防止計画制度に関する意見整理(案)というものでございます。それから資料3、前回ご欠席になられました委員からのご意見をちょうだいしておりますので、それを書かせていただいたものでございます。
 参考資料に入りまして、枝番で1-1から1-9までございますけれども、これはいつもおつけしている参考資料でございます。参考資料2以下が今回新しくつくったものでございますが、参考資料2、激甚公害発生時期における環境基準等達成状況、参考資料3、「公害」の範囲について、それから参考資料4、環境保全に関する主な地域計画等の策定状況、参考資料5、公害苦情の状況についての資料、参考資料6、地方分権に係るこれまでの経緯について、参考資料7、規制的手法を含めた環境保全のための政策手法の1枚紙でございます。
 不足しているものはございませんでしょうか。
 それでは、小林委員長よろしくお願いいたします。

○小林委員長 それでは、昨年12月21日の第1回の検討に続きまして、第2回の検討に入りたいと思います。
 本日も公害防止計画につきまして、あり方を含めまして制度の持っております課題及び論点につきまして忌憚のないご意見をお願いをしたいと思います。
 本日、午後4時を終了のめどにしておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日の進め方でございますが、2枚目の配付資料一覧をごらんをいただきたいと思います。
 まず、資料3にございます前回ご欠席の委員からメモをいただいておりますので、補足を含めてこれのご紹介をいただきたいと思います。続きまして、参考資料2から7が前回の宿題に当たる部分でございますので、まず参考資料の2から5まで、どちらかといいますと事実関係、実績のような部分を中心にして事務局から補足をいただき、議論をし、さらに次のくくりとして参考資料6と7、どちらかというと制度にかかわる補足資料でございますので、それをまとめていきたいと思います。その後に、資料2、本日の本題でございます意見整理に入りたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、前回ご欠席の香川委員、太田委員から資料3のメモが出ておりますが、このメモに追加をして両委員からご発言がありましたらお願いをいたします。
 まず、香川委員、補足のご意見がございましょうか。

○香川委員 ありません。

○小林委員長 太田委員どうですか、メモで補足することがございましたら。

○太田委員 特にございません。

○小林委員長 それでは、こういうご意見がありましたということで第1回の議論の足並みがそろったということで、本日の議論に入りたいと思います。
 まず最初に、前回宿題となりまして引き続きの検討になりました参考資料2から参考資料5までのテーマにつきまして、事務局から簡潔な説明をいただいて確認をしたいと思います。
 お願いいたします。

○弥元環境計画課長 まず参考資料2でございます。
 宿題といたしましては、昭和40年代から昭和50年代の激甚公害に対して公害防止計画はどのような役割を果たし、どのような効果があったのかという事項でございました。
 ここに整理をいたしましたのは、昭和51年、56年、昭和61年という3つの時期を切り出しまして、それぞれの時期における環境基準の適合状況を大気環境ということでSOxとNOxを代表としてピックアップし、水質環境ということでBOD、CODを指標として見てみたものでございます。
 地域は東京と大阪と愛知という3つでございますけれども、ごらんいただきますと東京のページ、CODが途中までいったんよくなったように見えますけれども、61年でがくんと下がっているという状況でございます。やはりこの時期を思い出しますと、都市生活型公害あるいは生活排水対策が必要だというようなことが言われていた時期でありまして、このCODのがくんと下がったところを見て、湖沼水質保全特別措置法もできたというような時期でございました。
 それから大阪地域でございますが、大気のSOx、NOxは順調に改善を見ているとほぼ言えると思いますけれども、水質関係、BODもCODも横ばい、CODは若干下がっているという経過をたどっております。大気環境の改善には効果があったけれども水質環境の改善には大きな効果が上がっていないと。ほうっておけばどんどん悪くなったところを、ここの横ばいで済ませたというところに効果があったという評価もあるかもしれません。
 それから愛知でございますが、SOx、NOxにつきまして大気環境の改善は見られていると。NOxなどは一番下からぐんと上がっている形になっております。41分のゼロが62分の62という形になっております。一方で、やはりCODはいったんよくなったかに見えましたけれども、61年には下がっているということで、この当時、やはり閉鎖性水域の水質保全対策をしっかりやらなければいけないというようなことが課題として提示されていた時期でございます。
 それから参考資料3でございます。
 公害の範囲はどこまでなのか。生活環境まで含むものとして考えられているのか。その定義を問うというものでございます。
 環境基本法から定義の規定に書かれております公害の部分について抜き出してみました。実は、この公害の定義の前に地球環境保全ということについての定義がございまして、それに続けて公害ということについての定義がございます。入り口は「事業活動その他人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質汚濁」云々と、いわゆる典型7公害が原因で、これによって「人の健康又は生活環境に係る被害が生ずること」を公害と定義しております。生活環境が括弧書きで、人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境も含むという形で、生活環境に対する被害が生じている場合も公害ということで対策を講じていくんだということが見てとれる形になっております。
 続きまして、生活環境の位置づけということで、解説からピックアップした部分も紹介させていただいております。先ほどの定義で人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境といったようなところで、例えばということで、農作物や漁業の対象とされている魚介類に被害が生じるといったようなこともあるじゃないですか。だからということで生活環境についても含めてある。あるいは家具や商品が腐食するといったようなことも公害の定義の中の被害ということで含めて書かれているわけでございます。したがいまして、当然、そういったものに対して、公害対策という形で対策を講じていくことが期待されているというものでございます。
 下の図で示した形をとっておりますけれども、環境基本法を制定した際に環境への負荷を減らしていこうという概念を導入いたしました。環境への負荷が積もり積もって環境の保全上の支障になるんだと。それを防止していくために負荷を減らしていかなければいけないという考え方、環境保全上の支障の中の一部に典型7公害が原因で人の健康または生活環境に被害が生ずるといった状況が生じる、これを公害と称して、公害等の被害の防止を行っていこうということで考えてきておるところでございます。
 公害防止計画の策定に当たりましては、この帯で示しました真ん中のところ、公害等の被害の防止を必要とする地域について策定を指示する。つまり、この公害等の被害の防止を行うんだということが公害防止計画策定の発動要件になっているところでございます。この発動要件を受けて策定の指示が行われますと、公害防止計画の策定内容といたしましては、右の方の清浄な水や大気、静けさを確保するためにいろんなことをやっていくというところまで書いてもよろしいということになっております。発動要件は狭いと言えば狭いんですけれども、事業を行っていくための計画として策定する内容は、いろんなことを盛り込み得ると。それで、いろんなことが盛り込まれたものに対して財政上の特例措置も適用になるといった制度でございます。
 参考資料4でございます。
 前回示したものと今回の違いは、主に一番右の列、策定状況の列を追加した点でございます。前回、策定状況の列がない形でお示しいたしましたけれども、それに対しまして、いろんな計画を自治体でつくっているねと。その中で、どの地域にも必ず策定されている計画と特定の地域にしか策定されていない計画と仕分けをしてほしいという話でありました。あまり仕分けをびしっとやると左の項目が2つに分かれてしまうものですから、表は前回使ったものをそのまま使いまして、右に策定状況を書かせていただいた形になっております。
 例えば上から2つ目、都道府県、市町村の環境基本計画がございますけれども、策定の義務づけなのか任意なのかといいますと、真ん中の中に義務等という欄で任意でございますけれども、実際には全47都道府県で策定されておりますと。政令市も17、市区町村はさすがにちょっと少なくて524というような、都道府県レベルで見ますと全都道府県で策定されている。次のいわゆるグリーン購入の方針につきましても、これは努力義務でございますけれども、都道府県、政令市は100%制定されているという状況でございます。
 以下、同様にごらんいただければ47都道府県と書いてあるところは、それが策定の義務があるからなのか任意なのかを問わず、一応全自治体で必要な計画だということで計画が策定されているという形でございます。
 逆に地域の数が少ない、限定されているものについては、中身とセットでごらんいただかなければいけませんけれども、例えば同じ1ページの下の方、ばい煙関係、窒素酸化物関係の総量削減計画につきましては、当然、指定地域で策定せよということになっておりますので、地域の数はSOxについては24、NOxについては3地域というような形になっておるところでございます。
 以下、大気系のもの、水質保全対策系のもの、3ページ目のところで下の方に3つ確認中と並んでおりますけれども、所管が環境省ではなかったりするものですから、所管に現在確認しているという状況で、まだ途中段階のもので恐縮でございます。
 それからダイオキシンまで含めて、その後、廃棄物・リサイクル系のもの、循環型社会形成推進基本計画等につきまして、都道府県レベルで見ますと47、どこでも制定されている。それから都道府県が策定すべき廃棄物処理計画、これは法律上の義務でございますけれども、当然、47都道府県において策定されているといったような形のもの。その次、一般廃棄物、それから個別の廃棄物関係の計画。それから容器包装、これは市町村レベルですが全国ほぼすべてという状況です。それから容器包装の都道府県における分別収集促進計画、47都道府県すべて。それから建設廃材の再資源化に関する指針につきましても47都道府県というようなことでございます。
 あと、自然保護関係。自然保護関係は場合によっては策定する必要がないというようなところもあるようでございますが、それぞれ47都道府県全部であったり、必要な地域において策定されているというそれぞれの状況でございます。
 それから一番最後のページで、地球環境ということで2つだけ挙がった形になっておりますけれども、地球温暖化防止のための対策計画ということで、地方公共団体がみずからを事業者ととらえて、その事務事業から排出される温室効果ガスを削減するんだという、これは都道府県と全市町村に対する法律上の義務づけのある計画でございますけれども、都道府県は47、市区町村は663。これは数字が実は若干古いかもしれません。本年度末の状況でどうだというのは、現在、調べをしているところでございまして、幾らかふえるというふうに聞いております。
 一番最後、地球温暖化対策に関する地域推進計画でございますが、これは上の実行計画が自治体みずからの事務事業に関しての削減計画であったのに対しまして、地域全体、都道府県でありますと都道府県全域、市区町村でありますと市区町村の区域全域について、住民、事業者を含めた主体がどういう取り組みを行うことによって、あるいは自治体がどういう施策を講ずることによって温室効果ガスの削減を進めていこうかというと、策定の義務づけとしては任意の策定のものでございますが、策定している自治体は47都道府県。それから市区町村ですと60と書いてありますが、これもふえているという状況でございます。
 それから参考資料5でございます。
 環境基準の適合状況だけではなくて、公害苦情についても指標として使えるのではないか。調べてみろという宿題でございました。
 1枚目のペーパーは全体を取りまとめた公害等調整委員会の資料でございます。横の軸に大気汚染、水質汚濁、土壌汚染といったようないわゆる典型7公害と典型7公害以外という分野を示し、縦に公害苦情件数の仕分けでございますけれども、発生原因を並べてどういう原因で、例えば一番上、焼却施設における焼却が苦情の原因行為となって、大気汚染についての苦情が2,917件上がってきたという取りまとめの結果でございます。
 これは18年度のものでございますけれども、推移として見たものが次のページのグラフでございます。昭和41年からございますけれども、取りまとめの定義が途中で変わっておりまして、変わったことでグラフがちょっと断裂しております。それからもう一つ大気汚染について、グラフ上は途中で平成8年あたりからぐんと伸びた形になっておりますけれども、これはこのときに廃棄物の野焼きが原因で大気汚染についての苦情が上がってきた件数を大気汚染として含めたものですから、件数としてグラフがぐんとはね上がっているという状況でございます。若干、一気にはね上がらないで2年ぐらいかけて上がっていますのは、この集計は自治体が行っておりますけれども、その自治体に対して今後は大気汚染の中に野焼きが原因で出てきた大気汚染苦情も含めるんですよというのを周知するために必要だった期間ということでございます。
 もう1枚おめくりいただきますと、これは当方の行っている調査の結果でございます。
 苦情が出てきたので、自治体が現地に急行して測定を行った。その結果、規制基準を超えている根拠のある苦情だったんだなというのが何件ぐらいあったのかというものでございます。全数測定を行っているわけではございませんが、例えば札幌で見てみますと騒音の苦情があったうち、現地に急行して測定を行ったのが17件。そのうち7件は規制基準を超過していたというものでございます。至るところに測定ポイントがあって測定を行っているわけではございませんので、こういった苦情が出てきた場合に現場に急行して測定を行うということも、環境基準あるいは規制基準の達成状況の補足資料となるものというふうに考えております。
 参考資料の5まで以上でございます。

○小林委員長 前回、委員からご指摘がありまして、議論を続けるために補足してほしいという要望のありました前半の部分を事務局が大変苦労してまとめていただきました。いただいた資料で議論が続けられましょうか。あるいはもう少し補強しないと議論が進まないという部分が残ってましょうか。
 どうぞ、村岡委員。

○村岡委員 簡単な質問なんですけれども、参考資料の4で非常に細かくまとめていただいているみたいですが、ここに土壌汚染関係、都市型の土壌汚染ですね。これがないというのは、ちょうど先ごろ土壌汚染対策法ができて丸5年になります。その見直しも含めて現在いろいろと問題点を懇談会で整理されていると聞いておりますけれども、これがないということは、条例などはいっぱいあるということは聞いているんですけれども、測定計画とか地域計画的な意味での数が上がってこない、あるいはやっていない、ないということを意味しているんでしょうか。

○浅野委員 土対法は、それ自体はこういう法定計画的なものを用意していません。ここでは法定計画を拾ってもらっているので出てきていないということではないでしょうか。個別に土対法で実際に対策を行った例というのが、たしか懇談会報告に出ていましたし、現実には法定外にも多くの対策例があるというのも出ています。ですけれども、全部それぞれの場所ごとの事案ごとに対策を講じるというやり方になっていて、しかも土壌汚染そのものは地下水のように測定計画があって測定するという仕組みになっておりませんで、その都度問題があったときに調べさせるというやり方しかありません。
 だから、地下水汚染のほうのデータから推測することは可能かもしれませんが、そうじゃなくて純粋に巻き上げ型の土壌汚染については、この種の計画で把握できていないという理解じゃないでしょうか。

○村岡委員 農用地の方は出ておりますね。

○浅野委員 農用地は農用地の土壌汚染対策計画をつくらなきゃいけないようになっており、かなり面的な広がりの中で対策を講じますので、こういうことになるんだと思います。

○村岡委員 わかりました。

○小林委員長 浅野委員の説明でよろしいですね。
 ほかにお気づきの点ありましょうか。

○浅野委員 環境基準達成状況を公害防止計画の効果判定として使えるかということになるとなかなか難しいものがあります。例えばCODは数字が悪くなっているわけですけれども、これはポイント数を見ても数が変わってきていますね。東京の場合、8ポイント中3ポイント、3ポイント中2ポイント、5ポイントで1ポイント。だから違ってきていますので、全く同じところで定点観測的にやっていればもっと違った数字になる可能性があるだろうと思われます。大気の方は環境基準を達成できているわけですが、どうも全体として公防計画がどういう効果を上げたかということに関しては、余りこれまでもフォローアップしていませんね。
 延長するということしか関心を持っていないから、むしろ公防計画の指定地域がどのぐらい外れてきているかという卒業の件数みたいなものがむしろ正確に効果をあらわしていくということになるのかもしれません。ですから、環境基準達成状況で公防計画の効果をはかるということにはちょっと無理がある。これにもう一つ卒業状況というのを加えていくというようなやり方しかないんじゃないでしょうか。
 それから参考資料の3ですが、かつて橋本道夫先生から教えていただいたことですが、「被害が生ずることをいう」という2条の定義、これはもともと公害対策基本法の定義なんですが、公害対策基本法で定義を定めたときに、意識的に「被害が生じる」と書いて、「生じた」とは書かなかったというのが橋本先生のご説明でした。つまり被害が生じる可能性があるものも全部含めるんだ。起こってしまったものだけを公害と言っているわけじゃないんだというご説明を伺ったことがあります。そういうわけで、この「生じる」という表現は大事にしていかなきゃいけないんだろうと思います。
 それからもう一つは、生活環境という言葉の中に、「人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。」ということが入っていて、全く人と無関係な場所をということは考えられないという書きぶりにはなっていますけれども、人の生活に密接な関係があるものの密接度というのは、人が住んでいるすぐ真横であるということは必ずしも意味しないということも伺ったことがあります。全く人が住んでいないような場所であっても、それは人の生活に関係があるということが言い得るんだという説明を聞いたことがあります。ですから、常識的に公害という言葉は人が被害を受けることだという理解をしがちですが、必ずしもそうではないということをもう一度確認をしておかなきゃいけないんだろうと思います。
 そして、基本法解説という公定本の中には生活の快適性を維持することも含まれているという説明があるわけですから、なおさら常識的に公害という言葉を使って何となく理解していることと、法令上の公害という言葉の間には少しずれがあって、もっと広い。すなわち環境基本法ができる前は公害対策基本法しかなかったんですから、それで可能な限り多くの問題を抱え込むというつもりもあって、相当広目に言葉を使ってきたと思うんですね。それが環境基本法に環境保全上の支障という言葉が出てきたので、何となく公害は狭い範囲をカバーすればいいという印象を受けるのですが、必ずしもそうでもないんだろうという理解はありそうな気がいたします。
 清浄な水や大気や静けさの確保に支障が生ずることはどちらも公害だということも言えるでしょうし。それから被害という言葉も、すぐ財産上の被害、物質的な被害ということを被害と言ってしまうんですけれども、民法の被害の概念というのは精神的被害、非財産的被害もみんな含むわけですから、快適さに対する被害という場合には非財産的な被害も被害であっていいわけで、不快感を覚えるというぐらいのことでも公害だということになり得るはずです。こういうことをしっかり押さえて議論をしていく必要がありそうです。
 直ちに被害が生じない。例えばリスクレベルの問題も、生じることという概念の中で言えば含め得るわけです。現に公害防止計画の中では、そこまで含めてこれまで取り扱ってきたということになると思います。
 さらに、生活環境という言葉の説明として使っている「動植物及びその生育環境」というのは、化審法で特定物質の範囲を広げて生物影響しかないような場合でも、化審法の対象にしましょうというときに、説明の道具としてはほかにやりようがなかったという面もあるんですけれども、「動植物及びその生育環境」という言葉を使って定義をしていますから、そういう化学物質のリスク管理に関して人間に直接被害が生じない場合でも、この生活環境概念を突っかい棒にしながら射程距離を広げてくることをやってきた歴史は、はっきりと押さえておかなきゃいけないんだろうと思います。

○小林委員長 ありがとうございます。
 1点目の公害防止計画が果たした効用といいましょうか、いわゆる事後評価に当たる部分につきまして、環境基準だけでは不十分であると。もう少しいろいろの要素で評価をすべきだということで、これは論点のほうに引き継いでということでお願いをいたします。
 それから2点目の公害の理解、範囲につきましても、法律は法律としましてその解釈が時代とともにかなり変わってきているということがあるようですから、この委員会としても論点整理の中で新たにもう1回公害あるいは環境というのを見詰め直してみるという作業を引き継ぎたいと思います。
 それでは、ちょっと時間がございますので、残っておりますのは後ほど発表いただくことにいたしまして、宿題で残っております地方分権あるいは環境に対する政策手法、この部分について説明をいただきたいと思います。

○弥元環境計画課長 参考資料の6でございます。
 地方分権の資料でございますが、これは国と地方が協力して何かやらなければいけないという枠組みというのは、分権が進んでいってもあるメルクマールをクリアしたものについては必要だということで残っていくものであろうと。今、分権の議論の中でどういったものは必要なものとして残し、こういったものは地方の自由に任せるべきだというような形で議論が進んできているのか、経緯をたどってみてほしいということでございました。
 地方分権に係るこれまでの経緯についてということで、まず平成10年の時点の話を挙げてございます。これは自治体が行う自治事務について、国がどのような関与をすることなら認められるのかということを整理したものでございます。
 下に点線で囲った枠組みの中にメルクマール、(a)、(b)、(c)、(j)、(k)、(l)とありますけれども、これは(1)同意ということで、公害防止計画は策定した後、同意を得なければならないという形になっておりますので、こういった国が同意をしなければ計画として認められない、成立しないというようなものはどのような場面で認められるのか。こういった関与はどのような場面ならば認められるのかということで、公害防止計画の場合メルクマール(c)に該当するということで了解を得ているところでございます。個別の法律における必要性からは、特別に同意が必要とされる場合と。似たような場合で(a)に該当するのかというようなこともありますけれども、公害防止計画の場合、法律上当然に財政上の特例措置が講じられているというものはございませんが、実質上、財政上の特例措置とセットて動くという制度でございますので、必要性があると、特別に同意が必要とされる場合なんだということで認めていただいているところでございます。
 それから策定を行う最初の段階で、国から策定を指示する地域を指定しまして策定を指示するという手続が行われますけれども、自治体が自発的に自由に計画をつくればいいじゃないかというふうに考えられるわけですけれども、そうでなくて公害防止計画のように国から指示を出すというような場面がどういう場面で認められるのかということにつきまして、公害防止計画の場合は、メルクマールの(j)に該当する。国民の生命、健康、安全に直接関係する事務の処理に関する場合なので、国から自治体に対して指示を出すと。自治体が言うなれば怠けていたのではいかんよということで、国から指示を出すということが認められているところでございます。
 それから1ページめくっていただきまして、これは現在進行形の話でございます。
 今、言われております整理は国が自治体に対して法律でもって、例えば計画の策定を必ずつくらなければならないというふうに義務づけている場合に、それをすべて認めるわけではなくて、見直しを行った上で必要のないもの、義務づけるべきでないものは法改正をしてでもその義務づけを解除、削除していこうという動き、整理の作業が今行われているところでございます。
 分権委員会からこういう作業依頼が現在各府省に来ておりまして、環境省でも環境省の所管している法律に基づく自治体に対するさまざまな義務づけ、たくさんございますけれども、それをこの3ページ目のメルクマールに沿って整理をしている最中でございます。
 このメルクマールごらんいただきますと、環境省の多くの義務づけにおいて使えそうなメルクマールとしては5番と6番。5番は国民の生命、身体等への重大かつ明白な危険に対して国民を保護するための事務であって、全国的に統一して定めることが必要とされる場合は義務づけを維持することとしてよろしいと。
 6番のメルクマールは、広域的な被害のまん延を防止するための事務であって、全国的に統一して定めることが必要とされる場合。これに該当するのであれば義務づけを維持することも認められるというメルクマールでございます。
 公害防止計画につきましても、この5番と6番のメルクマールに該当しているということで、引き続き指示をした場合には策定しなければならないという法律に基づく公害防止計画の策定義務づけを維持したいというふうに考えているところでございます。
 こういった地方分権の流れの中で、まだ今後年度明けからもヒアリングが行われたりして、分権委員会と議論をしていくことになっております。環境省の所管しておりますさまざまな法律に基づく自治体への義務づけ、あるいは枠づけ、関与といったものについても、その分権委員会との議論の中で、今後また整理されていくということになるわけでございますので、そのあたりも見ながら、この公害防止計画を今後どうしていくか考えていきたいというふうに思っているところでございます。
 ちなみに、あまりここで細かく紹介はいたしませんけれども、最後のページ、分権委員会から環境分野について幾つか宿題が出されておるところでございます。
 総量削減計画、大気のもの、水質のもの、ダイオキシン類についてのもの、いろいろあるけれども、策定時に国への協議、同意が義務づけられていると。協議だけで足りるんじゃないかと。同意は廃止すべきだろう。
 2つ目、公害規制事務の権限移譲、国の環境大臣の権限を地方公共団体、知事の権限におろし、さらに一定の規模以上の、あるいは行政能力のある規模以上の市におろしたりしておるところでございますけれども、これがばらばらと大気の場合は中核市までを原則とし、水質の場合は特例市といったようなちくはぐな形になっていますねと。
 それからもう1点の別の観点からは、都道府県が自分の事務権限を独自の条例を制定して市に権限移譲している。そういった例もありますと。この辺を整理すべきでしょうと。整理すべき方向としては、関連する法律間の整合を図るということとともに、政令による個別のいわゆる政令市の制度を廃止して、権限移譲すべき市町村の範囲を拡大すべきだというような指摘がございます。
 それから循環型社会形成推進交付金につきましては、これはもともと補助金だったものを三位一体改革の中で交付金という形にして補助金は廃止というものでございましたけれども、それの執行に当たりまして、地方環境事務所と都道府県と市町村の3者で構成される循環型社会形成推進協議会をつくって、そこで計画を策定していただいて、その計画に基づいて執行していくというような形をとっているんですが、こういった協議会をつくり、計画を策定して執行していくというようなやり方を速やかに廃止せよというふうな宿題でございます。
 それから地方環境事務所のあり方として、これは最後のところ引き続き検討ということになっておりますけれども、地方環境事務所が行わなくても自治体がみずからの責任においてやれば済むような、そういった事務が多いのではないかということで引き続き整理、検討を行うという宿題が出ているところでございます。
 それから参考資料7でございます。
 環境基本計画の中にも環境政策を進めいくためにはいろんな手法がありますという記述がございますので、その部分をピックアップして整理して資料にしたものでございます。
 規制手法に続きまして枠組規制的手法ということで、例えばPRTR法による届け出制度でありますとか、有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質を明らかにした上で、事業者にみずから状況把握した上で排出抑制等に努めてもらうといったような枠組みを提示して、みずから目標を立てたりして対策をとっていきなさいというような手法。
 それから、前から言われておりますが、経済的手法。経済的なインセンティブあるいはディスインセンティブを与えることによって取り組みを進めていこうというような手法。
 それから自主的取組手法とあえて分けて書いてありますが、事業者などが自分で例えば下に例示として書いてありますのは、自主行動計画を立てたりして地球温暖化対策を進めていっているといったような、こういったことを促進するという手法も一つございます。
 それから、情報的手法。情報をどんどん開示、与えるという形でもって、言うなれば誘導していく政策でございます。情報的手法は、最近は心理学的手法と言ったりしている人もいるようでございますけれども、そういったようなライフサイクルアセスメント、情報を提供する。最近で言えば、見える化。地球温暖化対策などでよく言われていますけれども、見える化を進めていこうといったようなことも、こういうところに入ろうかと思います。
 それから手続的手法ということで、環境影響評価制度あるいは戦略的環境アセスメントの制度を例示として挙げておりますけれども、こういったような手法もございます。いろんな手法を縦横分野ごとに整理をしてみようとも思ったんですが、それぞれの分野でもう既にここにお示ししましたような手法をいろいろ用いて、今政策が行われているところでございます。
 公害防止計画も策定指示を受けて策定するに当たりましては、内容としてはこういったいろいろな手法を、これをやる、あれをやるということで計画として書き、実行していくということは可能な、そういった制度的な枠組みとなっておるところでございます。
 以上でございます。

○小林委員長 ありがとうございます。
 地方自治体と国の関係につきましては、現在、議論が進んでおります道州制はまだ視野に入れなくてもよろしいんでしょうか。

○弥元環境計画課長 道州制も視野にあるようでございます。
 総務省あるいは国交省などで、今、道州制と銘打ってはおりませんけれども、都道府県域を越えるような広い範囲でのいろいろな計画づくり、対策推進みたいなものが進められようということで、まだ検討段階ではございますけれどもそういったような芽も政府の中にございます。

○小林委員長 ありがとうございます。この委員会としても、いつまとまるかによりますけれども、状況によってはそこまで視野に入れながらということでお願いをしたいと思います。
 ただいま2つのテーマにつきまして説明がございましたが、追加しての質問あるいはこれの発展方向等、ご意見ございましょうか。
 それでは、論点整理の中でこれを引き継ぐことにいたしまして、前回のご意見も入れまして論点整理として出されました意見を羅列したものを事務局で用意をしていただいております。相反する意見がございますけれども、それらまだ整理するという段階でございませんで、それぞれ気のついたことを羅列して、まず並べてみようという作業でございますので。
 本日、最初のスタートラインということで資料2を説明をいただいて、それから柱が1、2、3と立っておりますので、とりあえずは、この1、2、3の順に議論をして、4番目にその他あるいは総括ということで進めたいと思います。よろしくお願いします。

○弥元環境計画課長 資料2でございます。
 前回ご議論いただきましたときにいただきました意見をもとに、これまで何回か行ってきた論点整理を示したりさせていただきましたけれども、そういったものも含めて整理をしてみたものでございます。ただ、中心は前回いただいたご意見でございますので、論点整理と銘打ちたかったんですが、実はこれは意見整理だなということで表題にさせていただいております。
 柱書きのところに前回の日付と今日の日付が入っておりますけれども、これは今日のご議論も踏まえて、まだ中身をつくり直すということを含めた枠としてとってある枠の柱書きでございます。
 1.公害防止計画制度を取り巻く主な現状認識について。(1)、(2)、(3)、(4)、(5)というふうに5つに小分けさせていただきました。
 (1)公害防止計画に基づく対策の着実な実施。
 これまで激甚な産業型公害の解決を念頭に進めてきたわけですが、45年の制度発足以来、中心的な制度として機能してきたという位置づけが1つ。それからその結果、地域における大気汚染等の状況の改善が進んで、先ほどご指摘ありましたけれども公害防止計画の策定地域数、どんどん卒業してきておりまして年々減少してきていると、これが効果が上がったことをあらわしているというものととらえられます。ただ、効果が上がった卒業の要件も、実は恐らく吟味してみる必要があって、最近は点数制度をとっておりますけれども、この点数になるものと点数にカウントされないものとがありまして、これで本当にいいのかということは、改めて吟味してみなければいけないというふうに思っております。
 それから(2)環境問題をめぐる状況の変化ということで、産業型公害から都市生活型公害へと対応が変化しつつあるといったようなこと。あるいはダイオキシン、アスベストなどに加えまして、地球温暖化対策や生物多様性の保全といったような環境問題として課題の広がりが見られます。
 それから香川先生にご指摘いただきましたけれども、より健康な都市づくりあるいは予防的な見地から妊婦や子供など次世代の人たちが健やかに育つことができる環境づくりといったような、いわゆる都市づくり、地域づくりといったような観点が最近、大きく課題として上がってきております。
 (3)公害防止に係る他の制度の整備の進展と課題。
 公害防止計画の創設以来、さまざまな法律に基づきまして、例えば大気汚染防止法に基づく総量規制制度の導入といったようなものや、湖沼法それから自動車NOx法といったようなものに基づく各種の法定計画制度がどんどん立ち上がって導入されてきております。そういったことがまず第1点。
 それから一方で、これらの法定計画の導入だけでは不十分で、特に都市生活型公害を防止するためには、住民一人一人がそれぞれ環境に優しいライフスタイルを実行していくという意思を持たせるための教育や啓発を行っていくということが必要になってきているということでございます。工場、事業所だけで対策を講ずるのではなくて、住民一人一人もそれぞれ取り組みを行っていただかないと、近年の課題とされている環境問題の解決に近づかないということでございます。
 (4)目標年度・期限の到来。
 これは前から言わせていただいておりますけれども、22年度が1つの区切りになりそうだというスケジュール観でございます。
 (5)国と地方の関係の変化。
 先ほど地方分権の状況、経緯を紹介させていただきましたけれども、国と地方公共団体が補助金等を介して公害防止のための事業実施を介して一緒に問題解決に当たるという、それだけでは足りないのではないかと。検証が必要だという、ちょっと簡単な紹介にとどまっておりますけれども、ここを膨らませていただいても結構でございます。
 2.公害防止計画制度の必要性についてでございます。
 (1)公害防止計画の果たしてきた役割の評価といたしまして、これは検証する必要があるというご指摘でございます。
 (2)の必要性というところにおきましては、異なる意見があったものですから、両論併記ふうに書かせていただいております。公害防止計画の役割はほぼ終わったのではないかと、前回そういうご意見もいただきました。いったん終わった上で、必要になればまた新たにつくってもいいんじゃないかという意見と、それから公害問題はやはりその人の活動あるいは事業活動が集中するところでは必ず起こり得る、今、一生懸命対策を講じているから抑え込んでいるだけであって、その対策を怠けると、またわっと問題化するといったような状況にもございます。したがいまして、総合的な取り組みの制度としての枠組みは存続していくべきではないかといったようなご意見もいただいております。
 それから次のページでございますが、廃棄物や化学物質、光化学オキシダントといったような自治体、特に都道府県を見たときにも、県境をまたがるもっと広域な原因と被害地の関係にあるような問題が多発しております。複数の地方公共団体が連携して取り組むための広域的な制度的な仕掛けといったものとして公害防止計画を残すということもあるんじゃないか。
 それから地球温暖化、循環といったような概念は国が基本的な取り組みの方針を示すものであると。その上で、個々の公害で未解決の問題や都市の新たな環境問題など、地域において国が連携するというような、支援するというような形で取り組みを進めていくやり方は残すべきではないか。
 3.これからの時代の公害防止計画制度のあり方についてということでいろいろご意見をいただきましたものを何点かにまとめております。
 (1)公害の状況を評価する指標のあり方。公害防止計画策定指示の要件、あるいは卒業の要件と言ってもいいんだと思いますけれども、そのあり方でございます。
 今の環境基準を指標として達成している、達成していない。したがって、策定を指示する、あるいは卒業とするといったような仕組みというのが本当に適切なのか、十分なのかということでございます。例えばということで、健全な水循環といったことを評価しようとしたときに、現在の環境基準というだけでは不十分なので、そういった健全な水循環といった指標を評価できるようにするという方法も一つあるのではないかということでございます。
 それから光化学オキシダントや自動車公害といったような根本的な問題や対策手法、それから効果がやはり環境基準に係る指標ではとらえにくいのではないか。
 それから次は、定量化が難しいものにまで指標の対象を広げるということは、やっぱり客観性が乏しくなるということで、再び不公平が生じることにもつながるのではないかといったようなこと。
 いずれにしましても、指標のあり方について議論する必要があり、「公害」とかぎ括弧でくくっておりますけれども、先ほどご意見にもありましたように、「公害」という定義を吟味した上で、法改正の──これは公害防止計画の制度は環境基本法に規定されておりますので、必要とあらば環境基本法を改正するということになるわけですけれども、公害の定義を吟味した上で、法改正の要、不要についても議論する必要があるんじゃないかということでございます。
 それから、(2)これからの制度のあり方ということで、まずは公害行政手法の考え方、インセンティブでございます。
 さまざまな公害防止のための手法がございます。不特定多数の者が介在する日常生活や通常の事業活動に起因する都市生活型公害を対象に、これを改善していこうということなものですから、さまざまな手法があり得るわけでございます。例えばということで真ん中から書かせていただいておりますけれども、閉鎖性水域の環境改善といった分野は規制行政だけでは限界があると。地域の環境改善を行う上では、ソフトな対策や公害以外の課題もあわせて考える必要があるのではないかというご指摘でございます。
 それから1ページめくっていただきまして、引き続き公害という言葉を改めて、要するに公害にはおさまり切らないものを取り込んでいこうということで制度を組み立て直すということも検討すべきではないかと。これは公害ということでどこまで読めるか、どういう公害という概念が機能を持ち得るかということを吟味した上でということになろうかと思います。
 それから、公防地域に指定されますと必要性の有無にかかわらず、策定指示のときの主な課題として掲げられていたものでなくても計画の内容にはどんどん書き込むことができると。書き込んだ上で公害財特法の適用を受けるということも可能になるものですから、制度としてどうも無駄が生じていたのではなかろうかということ。
 それから別の観点ですが、国からの支援策は補助金以外にも地方交付税交付金あるいは地方債の起債措置といったようなもの、さらにそれ以外の支援策といったような支援もありますので、こういったさまざまな支援策に広げた新たな制度を考えていくということも1つあるのではないかというご指摘でございます。
 それから交通公害関係はほぼすべての地域で課題だということになっておりますが、交通公害対策を進めていくための対応する財政措置が今の公害財特法のメニューの中にないんじゃないでしょうかというご指摘と、それから公害防止計画をつくるということで、取り組みの関係部局などの総合調整機能があるんだと言っているわけですけれども、形式的なものにとどまっているのではないかと。しっかり調整を実質化、意味を持たせるための仕掛けを考えていくべきではないかと。場合によってはインセンティブ、罰則を与えるといったようなことも考えていくべきではないかといったご指摘でございます。
 それから他の行政計画との関係、上位計画との整合性でございます。
 先ほど、前回もお示ししました6ページもの地域計画がたくさんあるわけですけれども、こういった計画について調整を図るための上位計画といったような発想で公害防止計画の今後の姿を考えていくというような考え方の方向も1つあるのではないかと。その際、各地域で必ず策定している計画について1つに束ねるような、そういった上位計画というのを考えてみるというのも一つありそうだなという方向でございます。
 それから、現行の公害防止制度は書き方のパターンが一応示されておりまして、そのパターンに従って書いていくことになるものですから、内容をいろいろ書けるとはいうものの、書き方としては自由度が低いということなので、その書き方について自由度を高めてもいいのではないかと。
 それから、特例市以上の地方公共団体において地球温暖化対策を推進するためということで、地方公共団体のみずからの率先実行計画の策定を義務づけております。これに加えて、地域全体の計画の策定も現行では任意、努力義務となっておりますけれども、これもあわせて義務づけるという内容の温暖化対策推進法の改正案が閣議決定されたところでございますけれども、この地球温暖化対策はいろんなところに影響する、あるいはいろんなほかの分野での対策がコベネフィットで地球温暖化対策にもなるといったような関係から、場合によってはこの地域全体の取り組みを進めていくための実行計画をベースにして、これにほかの地域環境計画をあわせて連携させ、あるいは統合していくといったような発想の方向もあり得るのではないかというご指摘でございます。
 それから、合理的な土地利用計画を策定していくこと。これを通じて公害を防止していくという方法も以前から言われております。都市計画法とか公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律などにおきましても、法律上、公害防止計画に適合したものでなければならないと、させなければならないといったような義務、規定があるわけでございますけれども、実際に機能しているのかということでございます。実質的には余り土地利用の適正化の観点からのアプローチが機能してこなかったのではないかと。ここをさらにしっかり進めていくという方向も1つあるのではないかというご指摘でございます。
 それから環境基準未達成の大気汚染問題やいろいろ例示挙げてございますけれども、いわゆる自動車交通に絡む環境問題につきましては縦割りを排して総合的、計画的に戦略をつくり、対策を進めていくといったようなことがますます重要だと。都市計画も含めまして、中長期的あるいは横断的に取り組む計画制度といったものが自動車環境問題を取り扱っていく上では必要なのではないかというご指摘でございます。
 それから、国と地方の役割ということで、総量削減計画あるいは湖沼水質保全計画といったような個別の公害防止制度がどんどん整備されてきております。それに伴いまして地域の特性に応じた地方公共団体の独自性というものが公害防止計画の中で発揮しにくくなってきているのではないかと。地域の特性に応じたものは、どんどん個別法のほうで行われておりますので、公害防止計画の中では、なかなかさらに改めて独自性を発揮するということが難しいのではないかという状況を踏まえて、例えば国から策定指示という形で主な課題はこれとこれというような形で策定の指示をするのではなくて、ガイドライン方式に変更するといったようなこと。あるいは必要な要素が入っていれば、あとは書きぶりや計画期間といったようものは自由というふうにしてもいいのではないかというご指摘でございます。
 それから、地域環境計画が十分策定されていない地域については今のガイドラインでいいのではないかというのではなくて、むしろ逆にそういった地域は国の策定指示という形を維持する。それによって計画策定を進めていくという方法もあるのではないかというご指摘でございます。
 それから、各省の地方支分部局がまだまだ連携していない、連携が不十分だ。国の支援体制が不十分であるということで、環境省の、まだできたばかりといえばできたばかりなんですけれども、地方環境事務所がそういった関係する省庁の地方支分部局を統合、調整する、そういった役割を果たすべきではないかというご指摘。
 それから最後でございますけれども、1つの市町村を対象にした地域環境計画は地方に任せてもいいのではないかと思われる一方で、国は複数の地方公共団体に関係するものや、酸性雨あるいは黄砂といったように外国との関係で取り組むべき課題。1つの自治体では十分な対策が構築できない分野に関与をしていくべきではないのかということでございます。国が旗を振って地方と共同して取り組む課題としてどのようなものがあるかを整理した上で、そこをねらって公害防止計画制度、あるいはそれの修正された制度が使えるかどうかといった検討を行う方向も検討すべきではないかというご指摘でございます。
 以上、ちょっと整理が悪いところもあるかもしれませんが、一応一つの整理としてまとめ、整理してみたものでございます。

○小林委員長 ありがとうございます。
 公害防止計画制度を検討するに当たりまして、あらかじめ念頭に置くべきこと、あるいは課題として指摘しておくべきことを羅列する作業でございます。下線を引いてあります1、2、3のグループごとにご意見をいただきたいと思います。
 最初に1の現状認識につきまして、補足すべき点あるいは追加すべき点、あるいは明らかに不適切な点、表現不十分、何なりとご発言いただきたいと思います。
 どうぞ、石川委員。

○石川委員 1の(5)の国と地方の関係の変化の中に入れていいのかどうか、この辺しかないのかなと思うんですけれども、地方公共団体、要するにこの計画をつくる立場の公共団体の視点に立って考えてみると、最近公務員の定数削減とかどんどん人減らしが進んできていると。その中で彼らもかなり過重な仕事をしつつあるわけですけれども、そういう中でこの環境問題の中で彼らとしても選択と集中が必要な時期になっているんですよね。ですから、そういうのも踏まえてどこに重点を置いたらいいのかということまで含めて考えなければいけないのかなと。要するに公共団体の事務事業の整理合理化にも少し手助けになるような方策が必要ではないかというふうに思います。

○小林委員長 ありがとうございます。
 公害防止計画を策定するための作業量といいましょうか、それがどの程度の負担あるいは効果に照らして適切かどうか。それから地方自治体での環境政策に対する取り組みの中でこの公害防止計画をどの辺に位置づけるかという、それにつながるご指摘だと思います。
 ほかにございましょうか。

○浅野委員 今の石川委員のご意見は、現実に自治体の現場で人が足りないとか事務量がふえているということを踏まえてのご意見としてはわかるわけですが、例えば職員が15人しかいないような小さな村を考えれば、当然そういうご意見が出てくるのは当たり前なんでしょうけれども、少なくとも都道府県あるいは政令市レベルでかなりしっかり環境行政を進めているというところから言うと、もう既に法定計画を超えて任意のさまざまな計画ができているとか、あるいは地域環境計画を基本に据えてさまざまな施策を進めてきているということがあるわけです。
 ですから、はっきり言ってしっかりやっている自治体だったら、公防計画つくれと言われたってさほど大変だ、ゼロからスタートということはないはずです。既存の計画をずっとピックアップして整理して、この仕様に書き直しさえすればできてしまう面もあるわけです。例えば、環境基本計画に基づいて部門計画をかなりしっかり持っている政令市であれば、湾の水の問題と自動車排出ガスの問題が重点だと言われたら、その部分をさっと取り出して公防計画仕様に合わせればまとめられるような面もある。そういう現実も一方ではあるわけです。
 ですから、甚だ迷惑な仕事を押しつけられているという印象しかないという自治体があるとすれば、そもそも環境については何にも仕事していない場合なら、そういう迷惑だという反応になるんだろうという気もしますから、必ずしも一概には言えないのではないかという気はするわけです。無論、確かに補助金というものが突っかい棒になるというこれまでのやり方は、これは今はあり得ないことですし、それから現実に今我々が何でこんな議論を始めたかというと、財特がなくなる、すなわち補助金かさ上げというようなやり方でのあめがなくなるわけですから、だからどうしたらいいかという議論をやっていることは間違いないことですね。
 ですから、必ずしも事務的な負担ということだけで、だからもうやめてしまえという話にはならないだろうという気はするわけですし、新たな知恵の出し方というのは当然あっていいという気もするわけです。ですから、そういう意見もあるということをちょっと申し上げておきたいなと思います。

○小林委員長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 この1を見てまして、(1)か(2)かどちらかですけれども、いわゆる典型7公害、それの延長上の未解決の課題、まだかなり抱えているわけですね。光化学スモッグ、あるいは閉鎖性水域の水質問題、騒音等、そのいまだに解決できていない課題も抱えているというのは、この段階でやっぱり指摘しておく必要があるんだろうと思います。
 1のグループでお気づきの点ありましょうか。
 それでは、2のグループに入りまして、制度の必要性についての部分はいかがでしょうか。

○浅野委員 これまでの議論をずっと整理していくとこうなるという事務局のお話で、それはそれでわかるわけです。もう少し踏み込んだ議論を今日改めてやらなきゃいけないと思うのは、仮に制度を廃止するということになった場合には、環境基本法に規定があるわけですから、環境基本法の条文を削るか、それとも条文はあるけれども実際は運用しないという、むちゃくちゃな運用になるわけだけれども、そういうことをやるか、どっちかということになるわけです。
 それから制度を続けるにしても、内容を変えていくという場合には、やはり変え方によっては法改正をしなきゃいけないということが出てくる場合と、それから法律を改正しないでも現行法の中で何とか解釈でぎりぎり動かせる変更というやり方との2通りがあるだろうと思います。あわせてこれはほとんど無理な話をすることは承知の上で言うわけですが、財特がなくなるんだけれども、別に何らかの財政支援というようなことを新たに獲得することができるかどうかはわかりませんが、頭の体操としてはその種のものをセットすることを強力に考えるというやり方と、それはもうあきらめて財政支援のようなものは一切外す形で改革を進めるということがあるわけです。
 ここで法改正するかしないかということとはちょっと別枠の話であるわけで、現実にできるのはどの辺かというのは、また別問題だろうと思いますけれども、一応頭の整理としては、そのことも考えておかなきゃいけないのではないか。そうすると、廃止論が仮に1とすると、存続論が2。2の中にも法改正をしなきゃいけないようなパターンの手直しという場合には、仮にこれを2の1と名づけておいて、運用でできるものは2の2というふうにする。出ている意見というのは、そうやって2の1と2の2のどれに当たるのかという議論をしなきゃいけないでしょうし、2の1、2の2のうちのどれをとるにせよ、財政支援的なものをもう一つくっつけるというのをAタイプとすれば、それをあきらめるのがBタイプというふうにして、1つずつにそのマークをつけてみるというようなことをやると、大分、事ははっきりしてくるのではないかと思われます。
 後の方に出てくるさまざまなご意見、これはアイデアをいろいろ述べただけですけれども、この中でどれはどのタイプのものであるということを今年度の整理をするときに、事務局としては考えて整理をすることが可能じゃないかなと思いますので、2の1タイプ、2の2のタイプとか、1タイプとかというふうにして整理をするというやり方もありそうですね。

○小林委員長 ありがとうございました。
 委員長といたしましては、環境基本法の改正まで踏み込めるかどうか。これはかなり難しい課題がございますので、それ1本で整理をするというわけにはいかないだろうと。現行法のもとで改善をして積極的に打って出るとすれば、どこまでどういう形で行けるかと。それから基本法の改正まで踏み込んでいくとすれば、どういう方向づけがあり得るかと。2段階の内容で整理をして報告を出すのが妥当でないかと。とりあえずはそんな思いでおります。
 客観情勢はいろいろ動いておるようでございますから、ほかの案件があって基本法を動かすという事態も想定できないわけではありませんけれども、この小委員会としては、それを前提としての報告というのは当を得てないんじゃないかと、こういう気持ちでおります。
 そんな点も含めまして、この2の部分についてご発言ありましょうか。

○石川委員 国民の視点に立っていろいろ考えますと、ここ数年の環境問題、例えば野焼きの問題とかダイオキシンの問題とか、あるいはビルをつくろうとしたら土壌汚染があったというようなときに、もう、すぐ何とかしろと、かなりせっかちになっているんですね。昔みたいに5年あるいはこれから法律つくってゆっくりやりますなんていえない、待っていられないというような感じになっております。
 要するに、今の国民の感じとしては、理念も大事だけれども、何か起きたときはすぐやってくれよというような期待をしているんだと思います。要するに個別具体の問題についてしっかりてきぱきとやってくれというように変わってきているんじゃないかということで、理念よりも実践。言ってみれば、家の中で床の間にきれいな掛け軸をかける前に、床の汚れをふき取るぞうきんを用意してくれというような感じじゃないかなと思いますので、その辺も含めて考えたらいいのかなというふうに思います。

○小林委員長 石川委員のご発言は、多少異論がありそうな気がするんですが。
 はい、どうぞ。

○石坂委員 なかなかこれは2と3と分けて議論するというのは難しいと思うんですけれども、2と3というのは一緒のような話ですから。ちょっと私が申し上げるのは3にもまたがると思うんですけれども。

○小林委員長 結構です。

○石坂委員 公害防止計画という現行の計画につきましては、これは1のところにもそういう意見が書いてありますけれども、一応役割は終了したということはそうなんだろうと思うんですね。あんまり手を挙げてくる地域もなくなっておりますし、それからもともと補助金というものをてこにしてやっていこうというふうなことでつくられておりますから、そういうものがなくなってくると手を挙げる人も少なくなってくる。
 一方、激甚公害みたいなものは影を潜めてきているわけですから。そういう意味で、現行の公防計画というのはもう役割は終わったと。だから、それはそれでいいと思うんですね。ただそれで、じゃ、公害に関する計画なり制度なりというふうなものが、公防計画がなくなって何にもなくなっていいのかということになるかどうかというところが、まさに問題なんだろうと思うんです。それは環境基本法とも関係がありますし、環境基本計画とも関係があると思うんです。公防計画がなくなったから、じゃ、それを削除して環境基本法を変えていいのかというと、そこはそう簡単じゃないと思うんですね。
 環境基本法の世界というのは環境基本計画の世界でもあるんですけれども、これはそもそも環境基本計画自体がいろんな問題を生じさせていると私は思っているんです。といいますのは、環境基本法ができて環境基本計画が最初につくられたころには、生物多様性もなければ、地球温暖化もなければ、循環の法律も計画もなかったんですね。ですから、そういうものを全部含め、さらに公防計画も含んだものとしてその基本法というものを観念し、基本計画というものを観念するということができたわけですけれども、今、世の中が進んでかなり変わってきてしまっているわけですね。
 さっき申し上げた地球温暖化にしても循環にしても生物多様性にしても、みんな哲学を持った立派な長期計画、中期計画ができているわけです。それを含めたものが基本計画だと言ってみても、では一体、基本計画って何なんだということにもなるわけですね。基本法は全部カバーしていてもいいんでしょうけれども。その中に、やはり公害の問題も当然入ってくると思うんですけれども。したがって、環境基本計画そのものをどうするんだという議論をする中で、この公害の問題をどういうふうに計画として位置づけていくかという議論が行われていくべきなんだろうというふうに私は思います。
 恐らく、先走ったことを申し上げると、この温暖化とか生物多様性とか循環とか、それはそれぞれの計画があってきちっとしたものをやっているわけですから、それはそれぞれその世界に任せたらいいと思うんですね。ただ、そういうものを全体を通じて、日本の環境全体をどう考えるんだという展望なり哲学的な問題というものは必ずあると思うんです。そういうものは環境基本計画として、ただ、これは計画というのか、展望というのか、哲学というのか、計画という言葉ではなかなかカバーできないんじゃないかと思うんですけれども、そういうものとして環境基本計画の中に書き込んでいくんだろうと。
 そうすると、実態的に環境基本計画の中で計画として書いていかなきゃならないものは何かというと、まさに公害問題なんですね。もともと環境の原点は公害ですから、公害の問題もだんだん、だんだん範囲が広くなって解釈されてくるようになってきていますけれども。したがって、そういう中で公害問題、そして公害に関する計画というものとして環境基本計画を観念していくと。環境計画の具体的な部分は公害分野なんだというふうに考えていくことにならざるを得ないんじゃないかなという気がするんです。
 ただ、その場合に公害に関する計画というものがどういう内容なんだということになりますと、これはなかなか難しいんですね。いろんな個別法が公害についてもありますし、新しく問題が起きれば、それについてのそれぞれ個別立法も行われて、緊急に対応していく。先ほど石川委員がおっしゃったように、急いで対応するという対応が今の行政として求められていますから、必ずそういう対応になっていくわけですね。それを計画の中に書いてあるかどうかという問題じゃなくて、それよりも待ったなしに対応しなきゃらならないというふうな、そういうスタイルになってきているわけですよね。
 ですから、そういうことを含めて、これからの公害問題というものをどう考え、どう対応していくとかいう、その基本ラインなり、公害問題全体に対するとらまえ方とか、そういうふうなものが書いてあるような計画というものとして考えていくんじゃないのかなと。非常に漠然としたものですけれども、そういう感じがしておりまして、今の公防計画というものとは全く様相の違ったものになるんじゃないかなというふうな感じが私はしております。

○小林委員長 ありがとうございます。
 環境基本法あるいは環境基本計画全般の中で、この計画をどう見るかというアプローチの仕方というのは、私もそのとおりだろうと思います。ただ、一方で財特法の期限がありますので、それにどう対応するかという非常に期限つきの差し迫った課題を持っておりますので、その両方の要素をどう見ていくかというので議論を続けさせていただきたいと思います。

○浅野委員 2つ整理の仕方があるだろう。くり返しになりますが、つまり現行法の解釈の中でできることはどうかということと、それから法律を改めてまで変えるということができるかどうかという2つはきちっと考えなきゃいけないというふうに思うわけです。
 現行法の枠組みがどうなっているかというのは、よくよく資料の1-2を見ればわかるわけです。まず、環境の保全に関する基本的な施策としてどういうことを国がやらなきゃいけないのかという章の中に、経過はともかくも現実に今の法体系で言えば、特定地域における公害の防止については、この公害防止計画をつくるということが書かれていて、若干迷惑だなと思うのが、都道府県知事に対する策定指示というのが現行法では若干、今の時代になってみると迷惑な規定ではあるわけですが、ここは何とかいかようにも読みようがある面もあるので、何とか読み込んでいくとすると、特定地域というか、要するに地域にブレイクダウンしてこういう環境汚染の問題について総合的な取り扱いをするために計画をしっかりやらなきゃいけない。
 しかも、その計画というものが、あとは運用の問題かもしれませんけれども、自治体任せにしないで国も必要な仕事をしていくんだということが、これまでの運用ではあったわけでありますから、ここは将来的に地方、出先のようなものが全部消えうせたときにどうなるかということはさておき、現状では国の直轄事業のようなものが環境汚染防止のために十分に役立つ、あるいはそれが協力しない限りうまくいかないという場面がありますので、現状ではそれもこれありと。将来的に道州制になって地方財政計画がなくなってしまったら、またそのときに考えればいいんだろうと思います。そういったような地域における計画というものがあるんだろう。その上に今、石坂委員がおっしゃったように、環境基本計画はどこまでをカバーするのかというときに、確かに温暖化があり、循環があり、生物多様性が別計画があるわけですから、それら全部を束ねる意味の哲学的な部分プラス固有の分野というのは環境汚染分野だろう。今おっしゃるとおりだろうと思いますから、そういう全体としての計画体系の中で、それを地域に落としていったときにどうなるかというのがこの部分だろうと、こんなふうに整理することが可能ではないでしょうか。
 他方、個別法がさまざまな計画を義務づけ、あるいは任意の計画がつくられるという現状があることは、きょうの資料でも明らかになったわけですから、こういうものは厳然として残っていくわけです。そうすると、結局のところ一番問題なのは、個別法に基づいてつくれと言われているようなものと、それからこの公害防止計画の中で掲げなければならないこととが、実は二重に重なって出てきているんですね。つまり策定をしろと言われている地域については、言うと2つやらなきゃいけないということになる。だったらいっそのこと一本化してしまうというのは一つの考え方になるんでしょうから、今ある個別法のさまざまな諸計画というものを全部この中に入れてしまって、これでワンパッケージにすることが、だから、ちょうどパソコンで言えばサービスパックみたいなのがあって、それを1つ入れたら全部入りますよみたいなことに持っていくことはできるような気がするわけですね。
 だから、1つの選択肢ではあるわけですけれども、ばらばら、ばらばらあるものをどうやってきちっとつないでいくんだということが、環境汚染の防止という分野についてもあり得るわけだと思われます。それをうまく整理するために、ある意味じゃ格好の機会ということになるのかもしれません。従来の公害防止計画の持っていた制度的な内容というものは一遍自由にしてしまっても、この法的な枠組みそのものはなお生かせるかもしれません。つまり、ここに書いていないわけですから。今のように公害防止計画で箱物をしっかりつくっていかなきゃいけないなんていうことは何も書いていないわけですから。それはたまたま公害対策基本法以来、伝統的にやってきたことがそうだったというだけであって、それを変えることは法をいじらなくてもできるわけです。
 そうすると、現行法の法的表現の中に書かれている範囲で最大限模様がえをするという可能性はあるんだろうというふうに私は思っていて、石坂委員がおっしゃっていることとこれと2つ合わせるというのは、可能な今後の検討の道筋ではないかと思います。

○小林委員長 ありがとうございます。
 地域として総合化という点で、すぐ頭に浮かびますのは大気汚染と水質汚染というのはリンクしておるわけですけれども、現在の体系のもとではそれをリンクしてとらえるという作業なり計画はないわけであります。それを地域でとらえるとすれば、確かに地域で総合的な公害対策を見きわめるという、空白で残されている部分というのはありそうな感じがいたします。
 それらに関しまして、ちょっと3のグループに入っても結構でございますので、3まで含めましてご発言いただきたいと思います。

○山下委員 大変うまく事務局でまとめていただいているのでわかりやくすなったんですけれども、この中で、私、毎度申し上げていることで、エデュケーション、環境教育ということに関して、これからの課題、いわゆる今後の制度運営の方法の中に一つもっと強く明記しなきゃ。書いてないわけじゃないんです。1行だけちょこっと書いていただいているんですよ。環境教育というのはマナーとかモラルの問題にかかってきましてね、個人個人に要求される個別的な環境要素だということはこの文書の中で論議されているんですけれども、もっと強く教育ということについて環境教育ですか、何かうまい名前があったら考えていただきたいんですけれども。

○小林委員長 ちょっとお聞きしたいんですが、対象はあれでしょうか、環境教育というと何となく小・中学生ですが、一般も含めての。

○山下委員 もうちょっと普通のおじさん、おばさんも含めて。モラルという点で、例えばごみの分別収集が今、大分進んでいますね。実際にそういったものは効果が上がっていると聞いています。私は騒音、振動の、あんなもの1回驚けばどこかに行ってしまうので、余り確たる証拠があって物を言っているわけではないんですけれども、時間の流れの中でパフォーマンスがあって、1回びっくりしちゃうとそれで終わりだという、苦情だけが残るというようなことがありますと、静かに朝早く走るのよそうよとかですね。
 きょう整理していただいている2のところにも関連するかもしれないけれども、書き込むとすれば3のところじゃないかなと。これからの公害防止制度のあり方という中で、エデュケーショナルな問題。モラルの向上というのをねらって、上位計画の中で論じるかどうかはまた行政的な難しい課題があるんでしょうけれども、もうちょっと明確に書き込んでいただけるとうれしいなと思って拝読していました。難しいんでしょうか。

○小林委員長 ありがとうございます。
 今のような視点をさらに評価をしてということでございます。

○浅野委員 村岡委員のご専門の領域になると思うんですけれども、閉鎖性水域の環境改善というのを考えれば、いや応なしにその地域を越えて広域的な取り組みがない限りどうにもなりませんね。例えば博多湾の場合でしたら、背後にある都市圏全部の排水からマネジメントしなければどうにもならないとか、あるいは河川流域でしたら、流域圏全部で考えなきゃいけないという問題が必然的に出てきますから、そういったようなところはどう考えても特定の自治体任せではどうにもならないということになります。そのときに自治体の方でちゃんと話し合って連携をして自治体連合のような形でうまくやれれば、それはそれでいいんでしょうけれども、やれる地域とやれない地域があると、そこに差が出てきてしまいますから、枠組みとしてそういう広域的な取り組みができるような枠組みとしてこれを生かしていくということがどうもありそうな気がするんです。村岡委員のご意見をお聞きしたいんですけれども。

○小林委員長 村岡委員お願いいたします。

○村岡委員 おっしゃるとおりだと思うんですけれども、総量規制に絡んで、やっぱり考えないといけないのは流域なんですよね。だから、大阪湾にしても東京湾にしても入っていくのは陸域であって、流域ということになります。現在は、大阪湾の場合ですとそれに関連する府県がそれぞれの総量規制の計画を立ててやっているんですけれども、その段階で横の調整はやっていることはやっているんですね。例えば大阪府と兵庫県でやっているとか。でも、それは制度化されていないものですから、それをどういうふうにまとめていくかというのは今後の問題ではないかというふうに思いますね。
 先ほど小林委員長が言われたように、大気圏というものと水圏というもののリンクというのも、考えてみれば非常におもしろい機構なんですけれども。そこまで行けるかどうかはちょっと問題かもわかりませんし、地下水と水圏、水圏の中の地下水というものと、先ほど最初に問題になりました土壌汚染というものもやっぱりリンクしているんですよね。そういったものについて、要するに各自治体の個別の問題としてできるような、例えば土壌汚染だと動きませんのでそこで考えたらいいのかなと思いますけれども、水だと動くと、大気も動くと。特に水の場合は流域という1つの面的な枠組みがあるわけですから、その中で考えないといけないような問題が発生していくだろうと。だから、その辺はやはり総合的に今後どうやるかということは考えないといけない問題かなと思いますね。

○小林委員長 ありがとうございます。

○石坂委員 名前はともかく、今公害防止計画というのが環境基本法にあって、そしてそれを受けてこれができているわけですけれども、これは県別ですよね。ですけれども、これから先、公害問題に対する計画というものを考えていくときに、県別でいいのかという問題は当然あるんですよね。それは道州制の問題とか、そういう話を別にしましても当然あるわけで、ですから県別で済むような公害問題。土壌なんていうのは、恐らく県別で済む問題なんだろうと思うんです。そういう問題と、それから同じ公害防止計画といっても、例えば光化学スモッグとか、これは県別なのか、あるいは全国の問題なのかもしれないんですね。そういうプロジェクト別な、あるいは今もおっしゃっておられた閉鎖性水域の問題もプロジェクト別と。そういうふうな公害防止計画があってもいいわけですよね。
 そういうものについて、では一体どういう財政的な手法でそれを助成していくのか。あるいは規制的な手法なりインセンティブでもいろんなやり方があるでしょうけれども、方法で助成していくのかとか、県別ということにとらわれないで公害防止計画というものを考えていく必要があるんじゃないだろうかと。また、アドホックの問題もあると思うんですよね。石綿の問題だって、もうこういう次元で取り上げるとすれば、その石綿の公害防止計画をつくるということになるんだろうと思いますし、そういう今までとは違った形でこの計画というものを考えていく必要があると思います。
 むしろ環境基本法の世界で広く公害問題というものをつかまえて解決していく。そのための手段なり手法としてどういうものがあるんだろうかというふうな観点から、この計画というものを観念してつくっていく必要があるんじゃないかなと、そういう気がしております。

○小林委員長 ありがとうございました。
 制度として県別という縛りはなくて、運用として県単位あるいは県内の一地域という計画を立てた、こういう理解でよろしいでしょうか。どうも制度そのものに複数の県を対象にした計画はだめという規定はなかったように記憶しているんですけれども。

○弥元環境計画課長 複数の県はだめとは書いてないんですが、運用上そういうふうに都道府県知事に対して策定指示ということになっておりまして、例えば大阪湾なんか水質保全を図らなきゃいかんということで、その周辺のところに、例の卒業するかどうかの採点におきましても大阪湾の水質ということで点数加わっておりますので、そうしますと必要だとなれば、大阪府それから奈良県とか周辺のところに策定指示が飛ぶという形になって運用されてきております。

○小林委員長 ただいまの石坂委員のご指摘は、運用面も含めて県単位よりもさらに広域な対象での計画の必要性というご指摘と思います。
 ほかにございましょうか。

○村岡委員 今のように圏域といいますか、その環境域というか、そういうことの逆の方向から見ますと、やっぱり私、土壌汚染というものは特殊な存在であって、これに対してどういうふうに今後制度的に取り上げていくかということは、やっぱり考える必要があるのではないかと思うんです。
 初めの私の質問で、土壌汚染が現在の枠組みですと計画を立てて測定するというふうなことにはなっておりませんので、その範疇には入らないんですけれども、見えない汚染で、出てきて初めて問題になるというタイプの汚染ですよね。そのために5年間、これまで法を運用してきたわけですけれども、結果的に1つの問題として掘削土壌が多くなっているという現状があります。これは掘削して浄化するということで、国の法律の制度には入っていない部分なんですけれども。これがどんどんふえていきますと、やっぱり不法投棄みたいな形に結びつく可能性もありますし、そういう汚染土壌の浄化施設をどうするか。それに対する掘削土壌の置き場をどうするかとか、そういう問題になってきますので、やはり土壌汚染というのは典型7公害の一つでもあるし、そういう特殊な汚染について普通には見えない汚染についてこれからどういうふうに公防計画を立てていくかということを考えるのは一つの役目ではないかなと思いますね。

○小林委員長 ありがとうございます。
 事務局の宿題で持っておられるかどうか、ちょっとわかりませんけれども、土壌汚染について今後どういう方向、どういう進め方があるだろうかという材料をもし提供いただけますと議論がさらに進められるだろうと思います。

○浅野委員 たしか懇談会の取りまとめがペーパーで出ていますよね、既に。完成品ではないけれども論点整理みたいなものが。この間の第7回のときの分がかなりきちっとまとまったペーパーになっていますね。

○小林委員長 土壌汚染でしょうか。

○浅野委員 ええ、土対法の検討で。

○西尾総合環境政策局長 大分進んできていて、だからもうすぐまとまるはずじゃなかったかなと。すみません、ちょっと。

○浅野委員 水大気局の仕事のはずです。

○西尾総合環境政策局長 もうすぐ、まとめることにはなっているかと思います。

○浅野委員 前回までのPDFファイルの資料は、今手元に持っていますが。

○西尾総合環境政策局長 もうすぐだったと思うんですが、ちょっと私、まだその中身を見ていませんので、浅野先生の方が見ておられて申しわけないんですが。

○小林委員長 専門のところで検討が進んでいましたらその様子を聞かせていただいて、こことして引き続き考えたいと。

○浅野委員 知り得る限りのことを言うと、土壌汚染対策法をつくったときの本来の制度意図と、その後の世の中の動きにずれが大きく出ていってしまっているということです。それは一つ土壌汚染の対策法をつくったときの考え方が甘かったという意見もあるし、もう一つは、土壌汚染対策法の本来の制度趣旨が正しく理解されていないということも言える。両方の評価が言えると私は考えています。
 というのは、リスクマネジメントの法律をつくったつもりであって、財産の価値保全のための法律をつくった覚えはないのに、世の中では逆であって、土壌汚染があれば財産的価値が下がるからそれで騒いでしまう。それで徹底的に浄化しなきゃいけないというふうになる。
 それが実は一番恐れられていたことで、そんなことやってこの国の自然由来の汚染まで含めたら、莫大な金を突っ込んでもどうにもならない問題があるので。そこで最低限国民の生命、健康を守るために、リスクマネジメントはちゃんとやらなきゃいけないと言って制度をつくったはずなのに、実際には調べられている汚染土壌の法に基づいて調べられているのはたかだか数パーセントぐらいで、その他は全部自主的にやっておられて、しかもちょっとでも汚染があれば全部完全に浄化しなきゃいけないという発想が強過ぎるものだから、これは一方では、廃掃法の中で、土そのものを廃掃法でどう扱うかという問題があったものですから、ペンディングにしていた部分が、今、物の見事に裏目に出ていて、今、村岡委員がおっしゃるように不法投棄のおそれとか、処理し切れない汚染土壌が山のように積み上げられているということが起こってしまっているわけです。だから、そんなにまで浄化しなきゃいけないものかどうかというところから意識を変えていかなきゃいけないんだろうと思われます。

○小林委員長 ありがとうございます。
 ほかにございましょうか。

○太田委員 前回出席できませんでしたので、私の意見、交通のほうということで入れてありますが、多少補足といいますか、交通関係の方は私の意見、2つほど出したものがそのまま載っているようです。やはりこれが公防法の中でやるべきことなのかというのが、私、本当によくわかっていなくて、どういう形が一番いいのかわからないんですが。いずれにしましても総合的にある地域でやらなきゃいけない、そういう課題としてこういう問題があると。それからインセンティブとして今、財特法の話が出ましたが、ディスインセンティブというのも実はアメリカなんかではよくやっています。
 例の陸上交通の関係の法律、6年ごとのものがございまして、ここは例えば環境、大気汚染が非常にひどいところでは、連邦政府の資金による新しい高速道路の建設については、ちゃんとした対応策を示さない限りは予算の執行ができないということまで含めているわけですね。ですから、これがいわゆる日本で言う戦略的環境アセスとか、あるいは環境アセスでプロジェクトベースでチェックできれば、それはそれでいいんですが、事業全体として個別には何か環境アセスで通っちゃうんだけど、それを全体に合わせて見た場合に、少なくとも悪くなってしまう。あるいは事業としては別に悪くならないんだけど、自動車全体がふえちゃうとか、そのほかの土地利用との関係で、その地域の活動の状況全体が変化して環境問題といいますか、大気汚染問題がさらにひどくなると。そういった問題に対しては、いわゆるアセスメントは効果ないわけですよね。
 ですから、そういうものを含めた総合的に何かチェックするための枠としてあり得るのかという点ですね。この辺はそういう法律的な技術的なことはちょっとわかりませんが、そういう種類のことで対応できるんだったら、やはり環境サイドから物が言えるような枠組みを残しておくというのは意味があるんじゃないかというのが1つです。
 あとこれは全然別なんですが、環境というもの、あるいは公害の中身が非常に広くなってきているということで、ここに公防法かどうかというのは別の話かもしれませんけれども、交通との関係ではいわゆる景観問題ですよね。一番身近な道路わきの部分から始まって、それから自然景観を壊すような話ですよね。こういったものはばらばらの中でありますが、これからの美しい日本でしたっけ。いろいろなそういう大きな国策との関係もございますが、どこかでそういうものを含めてカバーするという一つの要因、新しい課題になりつつある問題。これを公防計画ということでやるかどうかは、もちろん別の話かと思いますが、一応そういうものも考えなきゃいけないかなという2点です。

○小林委員長 ありがとうございます。
 交通関係の計画の総合化という点と、地域計画において景観を一つの柱にした見方というご指摘でございます。

○香川委員 私は専門外なのでピント外れなことを申し上げるかもわかりませんけれども、この公害防止計画の作成で、参考資料の1-2の第17条のところに書かれている「現に公害が著しく」とか、それから何々が「著しく困難である」とか、二のところで「公害が著しく」とか、著しいという言葉は、この公害防止計画がつくられたのは、公害対策基本法のときにつくられたんだと思うんですけれども、そのときの公害の考え方と、今の環境基本法の中では生活の快適さとか、そういった今までにない、今までの公害という中にはそんな生活の快適さなどということは当時は考えていなかったと思うんですね。もっとレベルの高い被害を考えて。
 そうなってきますと、この「公害が著しく」というところの「公害」の中身が変わってきているんだから、例えば生活の快適さということを公害の基準に置いてくると、著しくというのは今も生きているんだと思うんですよね。だから、先ほどから何か制度を終了すべき、あるいは存続すべきかというところで、それを議論する前にそこをきちんと整理していけば、私は言いわけめいたことになるかもわからないけれども、意外にこのままで公害の概念が変わってきているんだから、ここの公害防止計画の定義はいじらなくても存続できるのかなという、これは全く私の専門外の素人的な考えなんですけれども。

○浅野委員 いえ、専門外の素人じゃなくて、おっしゃるとおりじゃないんでしょうかね。
 環境と経済と社会の統合的向上ということを言っている社会の向上というのの多分次のキーワードは健康だろうと思うんですね。健康というのは先生のご専門の領域なんですけれども。病気じゃないことを健康とは言っていないはずですから。だから、健康という概念が突っかい棒になっていくとすると、今、先生のおっしゃったことは全部裏づけができていくことになるんだろうと思うんです。
 ですから、本当に疫病がはやっていた時代の健康というのと、それから日本のような今の社会での健康というのは当然違ってくるわけでしょうし。昔からWHOが言ってきたことですから、それも1つの考え方としては使えるんだろうと思います。

○小林委員長 ありがとうございます。
 同じ言葉も時代によりまして、大分中身の理解が変わってきたというのは、あるいは理解を変えないとやっていけないというと変ですけれども、そういう状況ということだろうと思います。

○香川委員 私、以前にも申し上げたんですけれども、アカウンタビリティですね。直訳すれば説明責任ですか。やっぱりこういうお金を出した場合に、その費用を出した分に対してどういう効果があったという評価、そしてその評価をすることによって、また次の効果的な対策につなげる。それはアカウンタビリティというサイクルで描かれておりますけれども。そういった評価が、先ほど何かこの資料2の策定地域数が減少してきていることから、効果が上がっているとかという、これは物すごい原始的な指標だと思うんですけれども、もっと踏み入った費用効果の評価というものを、この公害防止計画の中に入れていくということはどこかにあるんでしょうか。

○小林委員長 この小委員会として都道府県の計画を審査するに当たりまして、事前に効果の判定を行うこと、それから中間的に評価をすること、それから終わった後、事後の評価をすることはぜひやってほしいという注文は、しばしば要望として出しているところであります。
 計画そのものの制度としては、現在、まだそういう評価とか事前のアセス的なものはないと見ていいでしょうか。

○香川委員 この間の会議のときに、私、最後に発言させていただいたんですけれども、例えば交通公害を減らすためにバイパスをつくる。バイパスをつくったことによって、従来の公害がどの程度減って、新たなバイパスをつくることによって、また新たな公害が起きているわけですから、そういった評価というものがなされていないですよね。
 そういうことというのは、私はすごく大事だと思うんですね。だから、話がそれますけれども、日本がいろんなところにお金を出していても、そういう評価をしない状況の中で投資をしているからいろいろな問題が起きてきている。だから、この場合もやはり投資をしているわけですから、それに対する評価というのはきちんとして次の投資をするという、ちょうど見直し時期に来ているのであれば、ぜひそういったものを考慮──その中に健康の問題もあるし、それから生態の保護とか、そういった総合的な評価も含めることがあると思います。
 たしか環境基本法の改正の時、有害大気汚染物質の基準設定を考えていく中で、生態系の保護という概念を新たに入れないと対応できなかったということで、たしか入れたと思います。ですから、生態系の保護という視点からもどの程度の効果があったのかとか、そういった枠組みをもし改正するんだったら入れていただければなと思います。

○小林委員長 ありがとうございます。
 どうぞ。

○弥元環境計画課長 策定地域の数が減ってきたということだけ文字として書いてあったものですから、とっても原始的とおっしゃられたんですけれども、策定地域、つまり卒業させるかどうかということにつきましては、毎年というか、地域ごとについて見るならば、最初と途中と終わった後という形で、環境基準を指標としてどれだけ対策の効果があったのかというのを見ております。その結果を踏まえて、この地域は卒業させてよしとか、引き続き計画を策定する必要があるという判断をしておるところでございまして、その結果としての策定地域数が減ってきているということでございます。
 観点としましては環境基準の達成状況、環境基準のない分野については、そういった指標を立てて、それの達成状況を見ながら効果が上がっているかどうかというのを見てきておるところでございます。

○小林委員長 ありがとうございます。

○香川委員 達成状況となりますと、やはりその地方の地形とか、社会経済的な要因とか、いろんなものが重なって達成しやすい地域と、しにくい地域があるので、そのしやすい地域としにくい地域をどうやって評価しているかという、そこは多分私、されていないと思うんですね。
 しにくい地域が結局問題になってくるんだろうと思うので、その辺のところの評価をどうするかということも、今後これを存続させるんだったらぜひ考慮していかないと、時代の要請に合わないと。

○小林委員長 評価の概念ですね、環境基準の達成に加えて投下した資本ですとか、マンパワーですとか、そういうインプットしたのとアウトプットと比較して効率的だったか、効果が出なかったとか、多面的な評価ということで受けとめていただきたいと思います。

○浅野委員 関連することだと思うんですが、きょうの整理のペーパーの中で、既得権益化しているものについての公平性維持のために定量的評価という言い方をしたことは事実なんですけれども、それは財特のようなかさ上げがあるということから出てくる話であって、財特を外してしまえば、公平性とか不公平性というのは、そんなに大きく問題にはなってこないのではないかと思われます。
 今後、仮に公害防止計画という枠組みを石坂委員のおっしゃるように違った形の計画の構想に持っていくとか、あるいは県にとらわれない発想もあり得るだろうし、プロジェクト別に公害防止計画という名のもとの計画をつくるということもあるだろうと、いろんなことをダイナミックに考えるときに、今後の検討課題としてぜひ忘れずに入れておかなきゃいけないのは、どういう基準でこの計画をつくる地域を選ぶのかとか、場所を選ぶのかということについて、何らかのメルクマールをつくらなきゃいけないということなんだろうと思います。
 あるいは全く発想を変えるのであれば、さっきの指示という言葉が非常につらい言葉だというふうに言いましたけれども、徹底的に地域との協議の中で手を挙げてくれない限りはどうにもなりませんということで、そちらの方からむしろ先に言ってもらうということにすると。そうすると、基準のようなものはなくても手を挙げてくればいいんですというふうになるわけですから、そのどっちを選ぶかというのがあるんでしょうけれども、多分両方は必要なんだろうな。何らかのメリットまで用意するということになると基準が必要になってくるかもしれませんから、今の香川委員のおっしゃった、これまでの評価の問題と今後どうするかというところと、2つ問題が重なってくるので、今後のあり方という議論の中では指標の問題をもう一回取り上げる必要があるかもしれません。

○小林委員長 ありがとうございます。
 1、2、3を通じまして、あるいはその他4に当たる部分でもいいんですけれども、全体を通しましてお気づきの点があったらご発言をいただきたいと思います。

○香川委員 前にも何回か言わせていただいたんですが、私、この公害防止計画、地方から出されてきているのを見ると、プライオリティーが見えないですね。やはりどんな問題でも先ほど言いましたように地方の地形、地理学的な問題、社会経済的な要因とか、いろんなものを総合的に評価した上で、お金も限られているわけですから、プライオリティーをちゃんと決めて、そして重点的に対策を進めていく方策を次から考えていただきたいなと思うんですね。

○小林委員長 ありがとうございます。
 なかなか難しい課題で、お金をたくさん積んで優先順位をつけろということはつけられるんでしょうが、お金はほとんど出さないで計画だけでプライオリティーをという議論に行けるかどうかという疑問はありますが、ご指摘として記録しておいてください。

○西尾総合環境政策局長 ちょっと土壌の方から今、どうなっているかということです。

○小林委員長 そうですか、どうぞ。

○細川環境計画課長補佐 先ほどお話に出ました土壌汚染対策の今後の見直しの方向性については、昨日局長諮問の懇談会の会議がありまして、若干の字句修正をした上で来週中に報告書を公表する予定となっております。
 内容としては、いろいろなリスクに応じた合理的な対策の実施ですとか、今の土壌汚染対策法が対象としているものの拡大が必要じゃないかとか、いろいろ多岐にわたるご意見をいただいているということで、環境省としてはできる限り早めに中央環境審議会の方に諮問をしていきたいということでございます。

○小林委員長 ありがとうございます。
 最後にご発言のある方、お願いをいたします。
 それでは、本日のところはここまでの議論といたしまして、事務局で整理をしていただいて、論点整理の中の意見の取りまとめという部分でまとめていきたいと思います。多少まだ土壌汚染を初め、残している問題はございますけれども、意見の羅列としてはとりあえずの作業は終わったということで、これからそれをどう集約し方向づけていくかという課題があるわけでございますけれども、今後の予定といいましょうか、進め方について事務局で案がございましょうか。

○弥元環境計画課長 本日いただきましたご議論を踏まえまして、資料2をまだ書きかえる必要があるというふうに思っておるところでございます。加えまして、先ほどの費用対効果のようなものも、どこまで細かく分析できるかわかりませんけれども、自治体から改めてかけた投資額とか聞きまして、財特法のどの部分が今現在もまだきいているのか、もうきいていないのかといったようなことも含めて分析をさせていただきたいというふうに思っております。
 そういったことを踏まえまして、また次回というふうになるわけでございますけれども、次回がいつ開くのかというのはまだ予定としてはございません。世の中どんどん日進月歩といいますか、状況が変わりつつありまして、今後半年ぐらいの間にも相当大きく変わるんだろうというふうに思っております。そういったものも見ながら今の費用対効果の分析も行いながら、夏か、あるいは秋ごろかというような形を考えているところでございます。

○小林委員長 ありがとうございます。
 ちょっと今後のスケジュールが立たないようでございますが、状況によりましてはその間を縫いまして、ことしの秋以降、指示あるいは同意の案件がございますので、また小委員会を開かせていただきたいと思います。そして定例的な会合のときに、きょうの議論の今後の進め方等についてご相談をしながら進めていきたいと思います。
 本日、大変貴重なご意見をいただきまして、事務局も大変膨大な作業をお願いをしまして、状況としてはかなり明確になってきたのではないかと思いますので、これから方向を見出していくのは、これはまたまたなかなかの難作業でございますが、小委員会としても積極的に取り組んでいきたいと思います。
 それでは、私の役はここまでといたします。

○弥元環境計画課長 どうも本日はありがとうございました。
 これにて終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

午後 4時02分 閉会