中央環境審議会 総合政策部会 公害防止計画小委員会 第17回会合

議事内容

平成19年12月21日 午後 3時00分 開会

○弥元環境計画課長 それでは、本日ご出席の皆様がおそろいでございますので、始めさせていただきたいと思います。
 議事に入ります前に資料の確認をさせていただきたいと思います。
 資料1、委員名簿でございます。それから資料2-1、公害防止計画制度の論点整理について、それから資料2-2、論点整理の基本的方向について、資料3が公害防止計画制度の役割・機能と課題の整理(案)でございます。それから参考資料といたしまして、1-1、公害防止計画について、1-2、環境基本法の抜粋でございます。1-3、公害防止計画策定手順、1-4、公害対策会議の組織、1-5、公害防止計画策定状況一覧、1-6といたしまして公害防止計画策定地域図でございます。1-7、公害対策事業に係る財政措置、1-8が総務大臣指定に係る公害防止対策事業、1-9が公害防止計画の策定指示の要件、参考資料2といたしまして、公害防止計画制度の運用に改善に向けた取組の経緯でございます。参考資料3、環境基準等の達成状況、参考資料4、公害防止対策事業に係る事業費及び補助嵩上げの推移、参考資料5といたしまして、環境保全に関する主な地域計画等の一覧でございます。
 足りない資料はございませんでしょうか。
 それでは、小林委員長、よろしくお願いいたします。

○小林委員長 それでは、第17回の小委員会を開かせていただきます。
 前回の小委員会で予告がございましたように、今後、公害防止計画制度をどのようにしていくべきかという議論に本日から入ることにしております。
 本日は、公害防止計画制度に関します論点につきまして自由なご意見をいただいて、次の作業につなげると、こういう小委員会でございます。
 公害防止計画制度は昭和45年に成立をいたしましてから、今まで大きな成果を上げてきました一方で、典型七公害から状況は環境問題全般に大きく変化をしておりまして、当初、予定をしておりませんでしたダイオキシンですとかアスベスト等の問題、あるいは地球温暖化の対策、生物多様性の保全など新しい広がりを見せてきているところでございます。それから、国、地方の役割につきましても地方分権あるいは三位一体改革等を通じまして、公害行政、環境行政の役割分担という点での議論も大きく進んできたようなところでございます。
 こうした中で、公害財特法も平成22年度で終期を迎えるということになりまして、先般、審議をいたしました公害防止計画は、平成22年度までという通常5年のところを4年で打ち切る計画をまとめたところでございます。財特法の期限ということもございますので、これからの公害防止計画の課題、論点につきまして、委員会として議論をしていきたいと思っております。
 本日は最初でございますので、なぜこういう論点整理あるいは検討に入らなければいけないか、それから具体的などんなスケジュールでいくか、全般のフレームのようなところを最初に議論をいたしまして、次に第1回目でございますので、公害防止計画とはどんなものであったか大ざっぱなおさらいをし、昭和45年以降今日まで、どういう経緯で検討がなされてきたか及び現在の状況を整理をしたいと思います。3番目に論点整理でございまして、事務局でとりあえずまとめていただいている案がございますので、それをごらんをいただきながら自由な議論をして次回以降につなげたいと、こんな予定でございますので、よろしくお願いをいたします。
 本日の小委員会は、午後5時半ということで予定をしておりますので、ご協力のほどよろしくお願いをいたします。
 それでは、最初のグループでございます今回取り上げる議題につきまして、事務局の考えあるいはスケジュール等を説明をお願いをいたします。

○弥元環境計画課長 資料2-1をごらんいただけますでしょうか。公害防止計画制度の論点整理についてという資料でございます。
 1番といたしまして、今回の論点整理の趣旨について書かせていただいております。公害防止計画制度は昭和45年に発足した制度でございまして、以降、40年弱が経過しております。当初、激甚な産業型公害を解決するんだということで、地方はもとより国としても力を入れて取り組んでいくということから、国の方でも体制を整備し、財政的な特別措置も盛り込んだ、そういった制度として立ち上げたわけでございます。さらに、かぶせるように環境庁公害対策本部、環境庁を設置してその推進を図るということで、国家的見地からも重要な事項は自治体だけではとても賄い切れないということで、国家の財政出動もするという制度として立ち上がったわけでございます。
 その後、40年弱が経過しておりまして、制度を取り巻きます環境問題や経済社会のあり方が大きく変化してきているところでございます。例えば(1)にございますように、公害防止計画に基づく対策を着実に実施してきたという実績によりまして、地域におきます公害の状況は公害防止計画策定地域数、それから市町村数は年々減少しているということから、公害の改善が進んでいるというふうに思われます。
 (2)にございますように、しかしながら、産業型公害から都市型公害への変化やダイオキシンやアスベスト等の生活に身近なところでの問題の発生、それから地球温暖化や生物多様性といったような問題など、環境問題は大きな広がりを見せてきているところでございます。
 (3)にございますように、地域における公害防止対策につきましては、公害防止計画以外にも法律に基づく形であるいは条例、あるいはそのまま計画ということもございますけれども、大気汚染防止法や水質汚濁防止法といった法律に基づく総量規制の制度、あるいは湖沼法に基づく湖沼水質保全計画、それから自動車NOX法に基づく総量削減計画など、さまざまな個別の分野における各種の制度が整備されてきているところでございます。
 (4)にございますように、公害防止対策の主要な一つでございますNOXやSPMの対策につきまして、その目標年度が平成22年度とされておるところでございますが、さらに公害防止計画に基づいて、財政上の特別措置を講ずる法律であります公害財特法の期限も平成22年度ということで、ここで一つの区切りという節目というふうに考えておるところでございます。
 (5)にございますが、国と地方の関係が変化してきているということでございます。地方分権あるいは三位一体の改革が進む中で、公害行政や環境行政における国と地方の関係がそれぞれの役割の分担、どういったところに役割を果たしていくのかといった関係が変化してきているところでございます。
 こういった状況を踏まえますと、制度のあり方を含めた議論を始めるべき時期に来ているというふうに考えたわけでございまして、そのスケジュールといたしましては裏にスケジュールとして非常に大まかなものではございますけれども、書かせていただいております。今年度中に論点整理という形で、別に意見具申ということではないんですけれども、取りまとめを一旦いただければというふうに思っておるところでございます。
 それで、23年3月と下に書いておりますけれども、22年度末でございますが、公害財特法が失効するという予定として立っております。ここまでの間に平成20年度以降ということになりますけれども、制度のあり方について検討をいただくというようなことが、また課題として上ってこようというふうに思っております。ただ、平成20年度、来年度といいますと洞爺湖サミットも控えておりますので、今度1年ぐらいでいろいろ動きがあろうと思っております。したがいまして、20年度にすぐ始めるというよりも、その辺の状況を見ながら、また改めて検討を立ち上げていくということになろうかと考えておるところでございます。
 以上です。

○小林委員長 今後のあり方を議論するに当たりましてのスタート点あるいは大まかなスケジュールにつきまして、ご質問あるいはご意見はございましょうか。
 それでは……どうぞ、石川委員。

○石川委員 ただいまのご説明ですと、20年度以降にあり方についてずっと検討を続けるような形になっているんですが、19年度に取りまとめて20年度にもう結論を出して、さっと決めた方がよろしいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。3年も検討を続けるというのはくたびれますよね。

○小林委員長 どうぞ。

○弥元環境計画課長 検討を続けるというか、20年度以降の時期に検討をまた行うというぐらいでありまして、ずっと続けるつもりはございません。

○小林委員長 よろしゅうございましょうか。
 それでは、次のグループといたしまして公害防止計画の現状につきまして、事務局からご説明をお願いをいたします。

○弥元環境計画課長 参考資料の1から4を使いまして、ご説明させていただきたいと思います。
 参考資料1-1以下、1-9までございますけれども、既に委員の皆様はご承知のことだというふうに思いますけれども、議論をスタートする上でのおさらいといたしまして、公害防止計画制度の説明をさせていただきたいと思います。
 資料1-1、公害防止計画は環境基本法に策定についての規定、財政支援についての規定がございまして、法定計画として策定されておるものでございます。現に公害が著しいまたは著しくなるおそれがあり、かつ公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ、公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域、こういった要件をかぶせまして、この地域については環境大臣が示す計画策定の基本方針に基づきまして、都道府県知事が計画を策定いたしまして、環境大臣が同意をすることで決定・策定されるという行政計画でございます。平成18年度末の策定状況を見ますと、全国では25都道府県、31地域において策定されているところでございます。都道府県の数もそれから地域数も、だんだんに減ってきているところでございます。
 こうして策定されました公害防止計画に基づきまして、国や地方公共団体、事業者は公害防止計画に位置づけられた各種の施策事業を総合的・計画的に実施していくということになってまいります。
 公害財特法に規定されました公害防止対策事業として掲げられております事業を実施する場合には、幾つかの財政上の特例措置がございます。1つは国の補助割合のかさ上げを行うことでございます。それから地方債の適用事業の拡大が行われるということでございます。それから地方債の元利償還金の地方交付税の基準財政需要額への算入を認めるといったような財政上の特別措置が講じられることとなっております。
 平成17年度で見てみますと、かさ上げ額の実績でございますけれども、公害防止対策事業費は全部で4,382億円でございましたけれども、かさ上げ額は246億円ということでございました。ただし、実は三位一体の改革によりまして、廃棄物処理施設整備への国庫補助金が廃止ということになりましたので、根っこがなくなってしまうということで、今後、この廃棄物処理施設整備についてのかさ上げというものが新規のものはなくなると、既存のものは引き続きございますけれども、既存のものはだんだん小さくなってまいりますので、かさ上げ額としてはだんだん少なくなると、いずれゼロになるという状況でございます。
 資料1-2でございます。これは先ほど出ました環境基本法の抜粋でございまして、第17条に公害防止計画をこういう方法で、手続で策定していくんだということ、それから39条には、地方公共団体に対する財政措置を講ずるというようなことが書かれておるところでございます。
 それから、資料1-3でございますが、公害防止計画の策定手順のフローを図にしたものでございます。環境大臣が策定の指示をするというのが真ん中あたりに書かれておりますけれども、公害対策会議を経た上で策定を指示し知事が案を作成して、また同じく公害対策会議の議を経た上で環境大臣が同意をするということによって計画として確定し、その計画に盛り込まれた施策事業が関係省庁協力のもと、強力に推進されていくというスキームでございます。
 参考資料1-4は、公害対策会議のメンバー表でございます。会長として環境大臣が座っておりますが、委員として内閣官房長官以下、関係大臣がずらりと顔をそろえるという形の組織が構成されているところでございます。こういった組織のもので関係省庁の協力を引き出し、また調整をしていくということでございます。
 参考資料1-5でございます。公害防止計画の策定状況の一覧でございます。横長の表でございます。先ごろ策定の指示をしていただいたところを、点々で4年間の計画を策定すべく策定指示をしたということで、図に書き込ませていただいております。残るところ、あと岡山・倉敷以下、3年間の計画を策定するという形になろうと思われるもの、それから2年間のもの、1年間のものというふうになっておりますけれども、実はこの3年間の計画策定、来年度の話でございますけれども、ここは一旦今年度末で計画が終了という形になりますので、来年度におきまして改めて3年間の計画の策定を指示するという形をとりたいというふうに思っております。それから残り2年のもの、1年のもの、これは来年度、この3年間の計画を策定指示する際に、2年残っているもの、1年残っているものにつきましては、延長ということであわせて措置をしたいというふうに考えておりますけれども、こういった一覧するとこういう形になるところでございます。
 参考資料1-6でございます。これは日本地図に落として、どんな地域で策定されているかが一目でわかるようにしたものでございます。やはり地域としては太平洋ベルト地帯に集中しているというふうに見えるところでございます。
 それから、参考資料1-7でございます。表になっております。公害財特法に基づく現在の財政措置の一覧でございます。いろいろ事業が並んでおりますけれども、事業名のところに、事業区分と書かれているところに、※4という記号を振ってございますけれども、これは公害防止計画の策定地域以外の地域であっても、この事業については総務大臣が指定を行うことによりまして、この事業はこういった財政特例措置を講じますよという、そういう事業でございます。しゅんせつと土地改良とダイオキシンの事業でございます。
 このような総務大臣指定に係ります公害対策事業として、現在、どのような事業が実際に進められているのかという一覧が次の参考資料1-8でございます。事業の実施年度を矢印の範囲で示させていただいております。しゅんせつ、客土、覆土あるいはダイオキシンの対策といったようなものが事業として実施されているところでございまして、これらに財政上の特例措置が適用されているというものでございます。今後、平成20年度以降も必要があれば、継続事業はもちろんですけれども、新規で指定される事業も幾つか出てこようというふうに見込んでおるところでございます。
 それから、参考資料1-9でございますけれども、公害防止計画の策定を指示するかしないか、いわゆる卒業させるかさせないかということを判断するために、実はこういう表をつくって採点をして、一定の点数以上でなければ、公害が改善されました、卒業ですという形で、これまで整理をして進めてきているところでございます。それぞれ環境基準等に照らして、オーバーしているもの、まだ改善されていないということで評価点2点とか1点とかいうようなことで足し上げて、判断の参考にしているところでございます。
 それから、参考資料2に続きます。公害防止計画制度は昭和45年に発足したわけでございますが、各地域の計画策定が一巡するのを機会といたしまして、当時、中央公害対策審議会や現在の中央環境審議会におきまして、制度の運用改善ということで意見具申や答申をいただいております。それらを並べてみたものでございますが、57年の意見具申におきましてはいまだ相当の汚染が見られるといったことや都市への人口集中が進んだということを背景に、湖沼等の富栄養化対策が必要だ、交通公害対策が必要だ、廃棄物対策が必要だといったようなことを意見としていただきまして、公害防止計画に積極的に取り上げるという形になったものでございます。
 それから、昭和62年の意見具申では、都市・生活型公害の顕著化が進んだことや公害の地域的な広がりが進んできたということ等を背景といたしまして、計画地域が連坦した地域において、公害防止計画を同時に策定するんだと、そういった方法が望ましいということで運用改善の方策として盛り込まれたところでございます。
 それから、平成4年にも意見具申をいただいておりまして、化学物質の利用拡大による土壌汚染等の問題が新たに発生した、それから地球環境問題や快適な環境の形成に関する国民の関心が高まってきたといったことを背景にいたしまして、土壌汚染対策や有害化学物質対策を公害防止計画の重要課題として位置づけるんだということにしたほか、地球環境保全やより快適な環境の保全の観点も含めた取り組みが求められたところでございます。
 それから、平成9年というのが29ページでございますけれども、平成9年は平成5年に環境基本法ができておりまして、その翌年、平成6年には環境基本計画の第一次計画が策定されたということを背景といたしまして、公害防止計画を策定する際には環境基本計画に配慮することが必要だというふうにされたほか、地球温暖化対策を公害防止計画の重要課題として位置づけるんだということ、地域における独自の地域環境計画と公害防止計画を連携させることによって、より一層効果的に対策を実施することなどが盛り込まれたところでございます。
 それから、平成13年の答申におきましては、都市生活型公害を解決するための施策が十分に盛り込まれていないということ、計画地域の固定化が進んでしまっているというようなこと、それから地域の課題と達成目標との関係がどうも不明確だということ等を背景といたしまして、策定指示の要件の明確化、それから策定指示の際に示す基本方針におきまして、課題や目標を明確化するといった運用改善方策が示されたところでございます。
 ちなみに、参考ということで公害財特法の経過と書いてありますが、過去3回、延長をされてきております。それで現在に至っておるわけでございますが、今回の第3回目の延長の後ろの期限が平成23年3月31日ということで、平成22年度末となっておるところでございます。
 それから、参考資料3でございます。成果がどのように上がっているのかということで、環境基準等に照らして達成状況を見てみたものでございます。平成10年度と平成17年度の数値を比較という形で資料を作成しておりますけれども、計画地域内の大気の状況につきましては、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質については改善が進んでいる。しかしながら、オキシダントについてはいまだ状況が改善されていないという結果になっております。それから水質の状況につきましては、河川、湖沼については改善が進んでおりますけれども、海域については逆に悪化している状況にあるというふうに考えられます。それから自動車騒音につきましては、計画地域の内外において改善が進んでいるというふうに考えられます。
 ただし、先ほどの公害財特法の表のときに注の4番ということでお話しいたしましたけれども、平成10年度には計画地域内にございました測定局が平成17年度には計画地域外になっていたり、測定局そのものが少なくなってきているという傾向がございまして、この表の数字を、実際には先ほども思われるとか、考えられるとか言いましたけれども、単純な比較はちょっとできないということにご留意いただければというふうに思います。
 それから、参考資料4でございます。これは公害財特法に基づきます財政上の特例措置が地方自治体にとってどの程度効いてきたのかということで、要するに金額としてどれだけかさ上げが行われたのかという数字を追っかけてみたものでございます。実はもう1枚、後ろにグラフで視覚的に見られるようにしておりますけれども、総額といたしましてかさ上げ額の総額のグラフでございますけれども、当初、だんだんふえてきているという傾向にあったものが、平成14年度以降減少しているという形になっております。背景といたしましては、ダイオキシン対策のための施設整備を平成13年度までに集中して行いました。なものですから、14年度以降は比較的その圧力がなくなったということで、金額が小さくなっているということも考えられますけれども、さらに平成18年度以降は先ほどの廃棄物処理施設整備の補助金そのものが根っこが廃止されたことになりましたので、今後、さらに少なくなっていくのではないかというふうに考えられます。
 33ページの表で数字を追っかけてみましても、一見して廃棄物処理施設整備のところの事業費もそうですが、かさ上げ額が3けた、4けたございますが、ほかのところは2けたとか1けたでございました。ずっと進んできて、最近でもやはり廃棄物処理施設整備のところがほとんどを占めております。そもそも補助率がちょっと低いということがありまして、かさ上げの額が大きくなっておりますけれども、ここがなくなるということでございますので、あと残ったものは数字としてはとても小さな数字、これが効果に結びつくわけではイコールではないでしょうけれども、こういったかさ上げ額で見る限りにおきましては、とてもこの制度の意味が小さくなってきているというふうに見えようかと考えられるところでございます。
 一応、現行の制度のおさらいみたいなものでございますけれども、以上でございます。

○小林委員長 ありがとうございます。
 ほぼ40年間をまとめていただきましたが、ただいまのご説明にご質問あるいはご指摘いただくような視点といいましょうか、ポイントはございましょうか。
 どうぞ。

○村岡委員 これまでずっと計画を立てて策定して、それで対策を練ってきたということでもって、全般的に公害の状態がよくなったという、そういう成果ももちろんあるわけですけれども、計画を策定する前の評価法というのが今説明いただいた参考資料1-9で見てもわかりますように、何か紋切り型であるような感じで、いわば評価の尺度がみんな同じでやってきたんじゃないかという気がするんですね。この1-9なんか見てみても、いわゆる環境基準を達成しているかどうかという点だけ、それだけじゃないんでしょうけれども、そういう評価法でずっとやってきたわけですが、ここのところ、何か問題があるような気がしてならないんです。
 というのは、重点項目というようなことで何年かごとに見直していますけれども、そういった立場から例えば私は水の関係なんですけれども、健全な水循環というふうな重要なキーワードが最近あるわけで、そういった点から見て、各地域の公害の状況が改善されているかどうかという、そういう指標というか、評価の仕方があったのかどうか、その辺がちょっとよくわからないわけですよね。
 公害から環境問題へという移行の中でも、やっぱりその地域が持っている特性というのが背景として非常に重要な対象になると思うんですが、それがどうやら環境基準だけの達成から見ると、何か形がみんな同じような結果になっているような気がするんですけれども、その点、これまでの反省も私自身は考えられると思うんですけれども、評価方法というのは参考資料1-9、この点数だけで今までやってきたんでしょうかね。

○浅野委員 経過を振り返ると、審議会からどういう意見を答申・具申してきたかという一覧表があります。その中で最初に手をつけたのが環境基本法と基本計画ができたときに、従来の公害防止計画を環境基本法、環境基本計画仕様に改めなければいけないという意見を出して、それで少し制度を改めたわけですが、基本的には法律そのものに問題があるというよりも、問題というよりも、もともと公害対策基本法を廃止して環境基本法を制定した際に、公害防止計画の制度と環境基準の制度だけは実体的な制度だから残さざるを得なかった。
 それで、どうしようかという議論をして、石野審議官や西尾局長もそのときに一緒に議論したお仲間ですからよく覚えているわけですが、別法ということも考えられなくはないという議論がちょっとありました。公害対策基本法の中の実体的な規定だけは別の法律にして、基本法は基本法ですっきりという案もあったのですが、自然環境保全法ほど実体的な規定の分量が多くないので別法にして残すものが余りない。それでしようがないので、これは環境基本法にそのまま残さざるを得ないということになって、それで基本法に入ったわけです。そのほか厳密に言うと公害対策会議というのが残ったわけですね。
 ですから、もともとこの部分は条文が環境基本法仕様に改められていなくて、現に公害が著しくとか、あるいは公害が著しくなるおそれがあり、かつといった、公害対策基本法の認めていた要件がそのまま残ったわけです。だから、そのときに思い切って変えることができなかったために、どうしても公害という言葉に縛られてしまうということになるわけです。
 ついでに、もう一つはこれも意見を述べたんですが、通らなかったんですけれども、環境基準という言葉もおかしいので変えたらどうかという意見を出した。実際は公害対策基本法の中の環境基準という言葉は、公害規制の前提としての環境基準でしかなかったわけですから、村岡委員がおっしゃるような広い水循環のことまで入る余地がなかった。それもそのまま引きずって歩いていて、しかも公防計画の枠組みが公害対策基本法そのままなものですから、どうしてもおっしゃるような形にならざるを得なかった。
 それでもやっぱりおかしいなというので、地域の要件についてはどうにも動かしようがないけれども、中身はせめて基本法、基本計画に合わせましょうよといって、自然とのふれあいなどという項目を公害防止計画になじまないなと思いながら入れたりいたしました。次に出てきたのが指定要件があいまいであるために公防計画策定地域が既得権化していると、それで、一遍指定されるとなかなかそのまま変わらないというのはまずいので、もうちょっと定量的に評価できないかということになり、ようやくこういう評価基準をつくって、点数制も設けてやりましょうということにしたわけです。
 しかし、これすら実は問題があることは確かです。1地点でも、環境基準をオーバーしていれば評価点がついて、複数の地点でのオーバーの場合と単一地点でにオーバーの場合で余り差別化できていない。そのために、例えば土壌汚染で1カ所ひどい汚染箇所があると、それでばっと点数が上がるというような矛盾があるんだけれども、それでもまだましだといってやってきたわけです。
 ですから、根本的な問題はやはり公害防止計画策定地域に関する要件というところにあると言わざるを得ないわけですけれども、ただ、そうはいうものの、公害の定義は割合フレキシブルであるわけです。例えば生き物系についても、公害という射程距離の中に入れる余地があるわけですから、それからいうと村岡委員がおっしゃるように、環境基準という物差しだけ唯一の物差しにするということがいいかどうかという議論はあると思います。ただ、広げてしまうと逆に定量化しづらくて、不公平が生ずるという危険性が出てくるものですから、そこが痛しかゆしですね。
 今後の見直しの方向を検討するときには、まさに今、村岡委員がおっしゃっている点はポイントの一つになると思うので、法改正をしないで、ぎりぎり現行法の読み方としてどこまで読めるかという議論も一つやらなければいけない、それから、それを踏み越えて何かやろうと思ったら、場合によったら法改正をしなければいけないということがあるかもしれない、という両面から考えていかなければいけないのだろうと思います。ちなみに、生活環境という概念は大変広い概念になっていますから、これは突破口として使えなくはないという気がしているのですが。

○小林委員長 ただいまの村岡委員と浅野委員の意見は、論点整理のところに繰り込みながら議論を続けさせていただきたいと思います。
 ただいまお話がございましたように、環境基本法の中で公害防止計画はなかなか座り心地が悪いのが現状でございますので、議論としては環境基本法の規定にとらわれずに、しばらくは自由に議論をしていきたいと、まとめをどうするかというのはいろいろの状況がございますので、その時点でご相談をするにしましても、論点としてはかなりフリーな立場でご議論をいただきたいと思います。
 それから、公害防止計画の果たしてきた役割の評価につきましては、前半部分ですと激甚公害に対して、これがどういう効果があったかということは、本当はきっちりまとめなくてはいけないんじゃないかと、後半になりますと環境基準とか、幅が広がってきておりますけれども、少なくとも昭和40年代から50年代前半というのは法律に掲げている状況に対して、どういう役割を果たしてきたかというのはまとめる必要があるだろうというふうに思います。
 これもちょっと後の宿題に残しまして、ほかに現在に至るまでの状況についてご発言はありましょうか。
 どうぞ。

○石坂委員 環境基本法の中に公防計画が入ったというのは、当時の情勢として私も関与しておりますけれども、そうするのが一番座りがいいなということであったんですね。ですから、今の時点で考えるとすれば、もっと自由な発想で考えていいと思います。この公害問題、激甚公害を解決する上において公防計画、公防計画がかかっているということによって公害の防止といいますか、公害問題の解決、それが非常にはかどったということは確かなんですね。
 そういう意味で、大きな効果があったことは間違いないと思います。補助金がなくなってきたという問題もありますけれども、公防計画が役割を終えたと、今日、全国一律の公害を防止するとか改善するという意味では終えたと思うんですけれども、ちょっと先に踏み込むかもしれませんけれども、それでは、公害問題が今後ないのかというと、そうではないんだと思うんですね。
 公害問題というのはこの世のある限り起こってくる問題で、幾ら注意していても起こってくるという場合もありますし、規制を破る人もいると思いますし、予想せざる公害が起きるということもあると思うんですね。そういうこれからの公害問題にどう対処するかというふうに、そういう視点に衣がえをして、新しいシステムを考えていくべきじゃないかというふうに私は思います。ちょっと先走ってすみません。

○小林委員長 ありがとうございます。
 ほかにご発言はありましょうか。
 どうぞ、山下委員。

○山下委員 公害という言葉がどうも余り好きじゃないというか、そろそろちんけになってきているんじゃないかなと思いながらご説明を伺っていたんですけれども、いわゆる地球環境の保全と快適な環境の形成という言葉が説明用語に出てきましたけれども、もう一歩引いて、生活環境の好ましい形を保全していくというコンセプトは法的には無理なんですかね。公害、公害って言葉が非常にまかり通っているのでいかがなものかと。そろそろ公害って言葉は卒業してもいいんじゃないかな、そんな気がしてお話を伺っていたんですけれども。

○小林委員長 ありがとうございます。
 これからはちょっと別にしまして、現在の法律でどこまで幅を広く読めそうでしょうか。
 どうぞ。

○西尾総合環境政策局長 今の公害の概念を拡張して読むか読まないかというところなんですけれども、環境基本法は基本的には、今、山下先生のおっしゃったようなことは、環境保全上の支障という言葉であらわしていると思います。その中で特定のものを公害だというふうにしてある。
 その二重構造の下の公害というのは要るのかねと、こういうことなんですが、そこはちょっといろんな人の理解で少しずつ違っていたので、私の理解としてはこの中に、参考資料1-2の17条の2号を見ていただくとわかりやすいと思うんですけれども、「人口及び産業の急速な集中その他の事情により公害が著しくなる」という概念は、高度成長期の社会構造の所産でありまして、結局、その事柄と公害が集中しているというのが多分くっついているものですから、今日的解釈をしたときに、公害という概念を広げるか広げないかだけじゃなくて、そもそもそういう高度成長で環境問題が集中する地域があるんだ、その地域対策をしなければいけないんだという概念も、実は環境保全上の支障と広げたときに再構築しないと、成立していないんじゃないかなというのが一番の、公害と環境保全上の支障の概念整理というよりは、むしろそこの構造の問題の方が枠になっているんじゃないかと私は思っておりました。
 また、いろいろご指導いただければと思います。

○浅野委員 多少、概念法学的な読み方をすると、「集中その他の」ですから、確かに集中というのは絶対に必要なような気もするんだけれども、ひょっとすると逆の現象が起こるかもしれないんですね。そういうことで公害がひどくなるかもしれないという問題ってあるかもしれない、物事によってはね。だから、それはあるかもしれない。
 それから、山下委員は公害という言葉から卒業しちまえと、こうおっしゃるんですけれども、少なくとも生ずることと書いてあって過去形じゃないから、これは橋本道夫先生が強調されたことで教えられたわけで、将来、起こるかもしれないということを当然意識しなければいけない。だから、予防的な観点ということはまだ残っていますから、これは石坂委員が的確にご指摘になったとおりでもう終わったと言い切ってしまう必要はないといえるでしょう。

○山下委員 ご説明よくわかりました。ありがとうございます。

○小林委員長 議論が少し論点の方に入り始めていますので、次の論点整理のポイントにつきまして、事務局で用意したものをお聞きをいただいて続けたいと思います。お願いをいたします。

○弥元環境計画課長 2つの観点からのアプローチが必要なのかというふうに考えておりまして、資料2-2でございますけれども、上の方、四角で囲んであります(1)と(2)が、それぞれ2つの観点ということで出させていただいておるところでございます。
 1つ目が現行の公害防止計画制度が果たしております、または制度に期待されている役割・機能を項目として出しました上で、それぞれ役割・機能ごとに制度が抱えております課題を抽出して整理をしていくというアプローチでございます。
 それから2つ目の観点は、地方分権改革等の推進によりまして国と地方との関係が変化しつつあるという、そういった中で現下の環境問題に的確に対応していくために、国と地方はそれぞれ何をしなければならんのかと、どういう任務、役割を負っているんだろう、あるいは今後、その役割、任務はいかにあるべきかといったような視点に立って、公害防止制度が抱える課題を整理していくというアプローチがあるのかなというふうに考えているところでございます。
 その整理をしていただきました上で、(3)、それらを整理するということで今後の望ましい制度のあり方を検討する上での整理として、まとめていきたいというふうに考えておるところでございます。
 資料といたしまして資料3ということで、横長の表を今の公害防止計画の役割・機能をそれぞれ柱として項目として出しながら、主な課題ということで左右に整理をさせていただいたところでございます。
 [1]、公害防止対策の総合調整という機能を期待されていたということでございます。国、地方が協同いたしまして、公害防止対策を総合的、計画的に実施するために総合調整を行う機能、それから、地域整備や開発計画等の他の行政計画に対して、公害防止上の措置を総合的に示す、言い方をかえれば上位計画という形を想定してきたわけでございますけれども、計画内容が環境質の全般について網羅的に記載されるようになってきておりまして、焦点がぼやけてきているのではないかという指摘もございました。それから、多くの課題を盛り込んでいるため、施策の範囲が広がり過ぎて、課題に対応した施策が十分盛り込まれていないのではないかと、重点と言いながら重点になっていないんじゃないかということでございます。
 それから、[2]、公害防止対策事業の推進といたしまして、公害財特法による財政上の特例措置を通じまして、事業を総合的、計画的に実施するんだという体系になっておるところでございますが、公防地域に指定されますと必要性の有無にかかわらず、先ほどの点数の表がありましたけれども、特に点数の入っていない項目でありましても、対策事業に財政上の特例措置が効いてくるという形になります。ちょっと言葉が悪いかもしれませんが、むだが生じていないかということでございます。
 それから、公害対策事業は幅広くいろんな分野、大気、水、廃棄物にわたって予定されておりますけれども、通常の補助率と特例の補助率の差が余りなくなったため、事業費の額が大きくてもかさ上げ額は余り多くない、効いていないのではないかということ、それから、これまで廃棄物処理施設関係のかさ上げ額が突出して大きかったわけですが、先ほど来の事情によりまして公害財特法による特例措置の効果、金額的には、小さくなってきたという状況でございます。
 土地利用の適正化でございます。都市計画、それから空港周辺整備計画におきまして、公害防止計画との整合を図るようにという規定、これは都市計画法の中にも公害防止計画が定められている地域においては、それを上位計画として公害防止計画に適合するように、都市計画を定めなさいというような形になっております。理念や考え方は調整されているんですけれども、実質的に土地利用の適正化の観点からのアプローチが本当に効いてきたのかというところが、計画論としては整理されていますけれども、それが本当に効果が上がったのかという課題でございます。
 それから、規制措置等の推進。地方公共団体独自の対策を国の施策とあわせて公害防止計画に位置づけることによりまして、その対策を国として承認して、そこにいろんな国の財政特例を含めた支援の手が差し伸べられるという機能でございますけれども、不特定多数のものが介在する日常生活や通常の事業活動に起因する都市生活型公害におきましては、ソフト的な対策も当然対策として必要なわけでございますし、幅広い政策手段を公害防止対策事業と有機的に連携して実施する必要があるわけですが、このような点について本当に十分な配慮が行われていないのではないかという、やっぱり金のかかる大きな事業が中心になってしまってはいないかということでございます。
 それから、[5]公害の未然防止というための機能。大都市周辺地域におきます人口集中や新産業都市、工業整備特別地域等における産業等の集積に当たりまして、公害を未然に防止するという機能でございます。有害化学物質による汚染といったような、そんな工場が集中している地域でなくても起こり得るような個別の問題が、公害防止地域以外にも多くなりつつありますけれども、これらには公害防止計画制度ではうまく対応できていないのではないかという課題でございます。
 それから、運用面ということで、公害防止計画の役割・機能といたしましては、計画課題を示して策定を指示するという形になっておるわけですけれども、重点的取り組みをこれとこれということで課題として掲げて、策定指示をしておりますが、でき上がってくる計画内容は、環境質改善のための網羅的な計画になって上がってきております。焦点がぼやけて不明瞭ということになっているのではないかという課題。
 それから、策定要件でございますが、計画の策定地域とそれから策定していない地域の間の汚染の程度は、そんなに大きくないのではないかというふうに思われるわけでございますけれども、一方では計画を策定する地域になり、他方では計画は策定しないという地域になるという結果が生じてしまうということ。それから、環境基準を超過していることを計画の策定要件としているわけですが、先ほどご指摘もありましたように環境基準だけで判断していいのか、ほかにも本当は指標として判断すべきものがあるのではないかということでございます。それから、関連性の乏しい複数の公害についてだけ考慮して判断しているのではないか。それぞれ公害環境基準超過ということではありますけれども、特に関連していないものが現象面として環境基準を超過しているだけではないかということでございます。
 それから、[3]対象地域の範囲でございますが、交通公害のように交通、自動車、広域にわたって移動する、あるいは拡散する、こういった公害について環境基準をオーバーしている地域については、その地域のみで対策を打ったのでは効果がないのではないかということ。それから光化学オキシダントもそうですが、大気の流れていった先で光化学オキシダントになるというような場合にも同じでございまして、光化学オキシダントが発生している地域で一生懸命対策を講じても対策にならないという指摘でございます。
 それから、計画目標といたしまして、環境基準が設定されていない環境問題については、公害防止計画に盛り込みにくいのではないか、何を目指して、何を目標として対策をどこまで、どれだけの量、講じるのかという計画をつくりにくいということでございます。それから、光化学オキシダントや自動車騒音につきましては、先ほどの[3]のところと同様に、対策を講じても効果があらわれにくいのではないかということでございます。
 それから、計画期間でございます。原則5カ年ということになっておりますけれども、やはり中長期的な観点から対策を打っていく必要がある、そういった課題もございますし、緊急的な対応を要する課題もございます。一律5カ年というのでは適切ではないのではないか、事業によっては、7年、8年かかるものもあるし、1年、2年でだっとやってしまわなければいけないものもあるのではないかということでございます。それから、計画期間中に計画内容を見直す必要があるような事態が発生した際の対応が不十分ではないか。
 それから、国の役割でございます。国と地方、[6]、[7]に出てまいりますけれども、公害対策会議の議を経て策定指示をし、同意をするという形になっていますが、そういった形での国の行政関与が、関与した支援体制が担保されてはいるんですけれども、関与した以上、支援するということにはなっておるんですけれども、どうも近年、慣例的な形になってしまってはいないかということでございます。
 それから、[7]、地方の役割でございますけれども、総量削減計画や湖沼水質保全計画といったような個別の公害防止制度、法律に基づく計画、それに基づく事業の実施といった制度が整備されてきたことに伴いまして、公害防止計画の中では、地域の特性の応じた公共団体の独自性を発揮しにくくなっているのではないか、発揮する場はむしろほかの個別法の方に移されているのではないかということでございます。公害防止計画の策定や実施における地方の役割が相対的に低下しているのではないかということでございます。
 それから、地域の環境の総合的な計画ということで、地域環境計画を自治体では策定しておるわけでございますけれども、公害防止計画が盛り込む施策の範囲をどんどん拡大してきましたことによりまして、条例等に基づいて策定されている地域環境計画の内容にどんどん重なってきている、オーバーラップしてきているにもかかわらず、地域環境計画と公防計画とで違うことが書かれているという、書かれている中身がうまく連携しているのかということでございます。
 参考資料の一番後ろに横長の表で、公害防止計画を初めといたしまして公害防止計画の周辺にいろんな法律に基づくいろんな計画をつくっておるんですけれども、どんな計画があるのかというのを表にして整理してみたものでございます。37ページ以降でございますけれども、例示でお話をさせていただきたいと思いますけれども、分野を分けて表をつくってみました。環境省の関与があるものをピックアップしたものでございます。
 環境一般と、全般的な計画ということで、公害防止計画を始め都道府県、市町村の環境基本計画というものも、これは任意ではございますが、ございます。それから、いわゆるグリーン購入、グリーン調達の推進のための方針でありますとか、環境教育、環境保全の意欲の増進、取り組みの推進になるような方針・計画づくり、いずれも努力義務としての計画策定でございます。
 それから、公害関係ということでは大気関係の総量削減計画、自動車でございますが、窒素酸化物総量削減計画、粒子状物質の総量削減計画もございます。それから水質汚濁物質の総量削減計画もございますし、生活排水対策の推進計画が策定されておりますし、水質の測定計画、それから湖沼水質保全計画、流出水対策推進計画が策定されています。
 以下、瀬戸内海、有明海、八代海の計画、それから水道原水の水質保全のために策定する計画、特定水道利水障害を防止するための計画、流域別の下水道の整備に係る総合計画、それから農用地土壌汚染対策計画、ダイオキシンの関係の計画。
 廃棄物・リサイクルの分野では、地域の循環型社会形成推進基本計画や都道府県ごとの廃棄物処理計画、それから市町村の一般廃棄物処理計画がございます。以下、PCBの廃棄物処理計画でありますとか、特定産業廃棄物に起因する支障の除去のための実施計画、容器包装の関係、次は自然保護の分野でも県立の自然公園保全地域における保全計画でありますとか国定公園の関係、あるいは景観計画でありますとか、鳥獣保護のための計画であります。法律上、計画的な施策を策定と書かれていることに対応して任意で策定されている地球温暖化対策に関する地域推進計画がございます。
 実際の具体の自治体におきましてどんな計画が策定されているのか、主なものについて、参考事例ということで45ページでございますけれども、福岡市の例を挙げさせていただいております。
 先ほどと分野の大きな分け方は同じでございますが、アイランドシティ環境配慮指針といったようなものもございますし、環境学習の計画もございます。公害関係のものとして自動車交通公害防止計画、大気環境改善のための短期戦略プログラム、沿道の環境改善、博多湾の水質保全、水循環型都市づくり基本構想といったようなもの、地球環境の分野、新エネルギービジョンを策定しています。それから一般廃棄物、処理基本計画、都市計画マスタープラン、交通基本計画、自転車利用、農林業、水産業、恐らくこれにはとどまらずもっともっと、たくさんあると思います。
 それぞれ地域のニーズに応じて計画をつくって、環境対策を進めていこうとされているという状況がうかがい知れるとふうに考えております。
 以上でございます。

○小林委員長 ありがとうございます。
 ただいま事務局で整理をいただきました公害防止計画制度の役割、機能、課題のいわば羅列的なメニューでございますが、お気づきの点、この点は十分でないよ、あるいはこういう点が抜けているよ、あるいはここは認識が少し甘いよと、しばらく自由にご発言をいただきたいと思います。
 どうぞ。

○石坂委員 ちょっと私、所用がありまして先に失礼させていただくので、すみません、先に発言させてください。
 今の説明は大変よくできた資料でよくわかりました。先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、いわゆる公害一般をなくするための、あるいは激甚なる公害を除去するための意味での公害防止計画というのは、ほぼ役割は終わったなという感じがするというのが1つと、もう一つは今ご説明いただいたように大きな個別の計画がたくさんあるんですね。それでかなりの部分が個別問題も救われているなという感じは確かにするんです。確かにするんですけれども、しかし、さらばといって、公害問題を取り上げた一般的な法制なり計画なりというものがなくなっちゃっていいのかなというと、そこは私はやっぱり要るんじゃないかなと思うんですね。特にこの計画は県、つまり地方公共団体とのコラボレーションということを主体としたものですから、そうしたシステムというのはやっぱり残しておくというか、衣がえをしてやっぱり要るんじゃないかなという気が大変するわけです。
 では、どうしてそれが要るんだということが、理由づけがなければできないわけですけれども、極めて象徴的に言いますと例えば県ですけれども、県をオーバーして県にまたがるような問題というのが多発していると思うんですね。そういう問題にどう対応するのかという視点はこれから必要だと思いますし、それから一つの県だとしましても、豊島の問題とかあるいは青森の問題みたいに、廃棄物で非常に大きな結局は公の負担にならざるを得ないという事件も、発生はしているわけですね。そういったものにどう対応していくのかというふうなこともありましょうし、それから、これから予想されるのは化学物質ですね、廃棄物に限らず、化学物質に対する問題とか、あるいは光化学オキシダントは依然として公防計画でも解決はしていないわけですけれども、そういった問題というのは依然としてあるんだろうと思うんですね。
 確かに補助金というものは、これから主役の座をおりてしまいますけれども、しかし、補助金以外にも幾らでも政策手段は、財政という点でも地方交付税もありますし、起債もありますし、それから、この財政面以外でもいろんな形で国からの支援というものはあり得ると思うんですね。そうしたものを取り込んだ新しい公防システムというものを、公防計画というんでしょうか、考えていく必要は依然としてあるんじゃないかなと思います。
 ちょっと先走った話ばかりで申しわけありませんが、ちょっと先に失礼するもんですみません。

○小林委員長 ありがとうございます。
 どうぞ。

○浅野委員 今、石坂委員がおっしゃったご意見に賛成いたします。ちょっと前にもアイデア的に申し上げたことがあるんですが、地域で法定その他の計画がどのぐらいあるか、一遍リストアップした方がいいだろうと申し上げて、本日は資料をつくっていただいたことは大変よかったと思うんですが、もうちょっと欲を言うならば、資料に掲げられている法定計画は全部が全部、すべての地域に策定されているわけではない。どの地域にも必ずあるものと、それから特定地域にしかないものというのの仕分けしてみて、各地域に必ずあるものというのをひとつ束ねるというか、そういうものの傘になるようなものという計画が本当は必要なのだろうという気がするわけです。
 そのときに、例えば福岡市の例を出していただいているのですが、福岡市の場合には環境基本計画が上位計画になっていて、その下にいろんな計画がぶら下がるということになっています。特に環境教育、自動車公害、それから博多湾の水質、今度は管理計画という名前に変えますけれども、それから温暖化と循環のまち・ふくおか、こんなのは全部、環境基本計画の下にぶら下がる部門計画という扱いにしてあります。その上で、つくるときも一体的につくるんですね。そういうやり方でやっていますので、相互の間の矛盾がないようなやり方になっているわけですが、経験から言うと、個別法でつくられているいろんな計画の間の、相互の矛盾がないようにするというための何らかの傘というのは、やっぱりあっていいはずだと思われます。
 ちょっと悩ましいのは現行の公防計画の枠組みだけでやっていくと、そこはかなり自由度が低いような面もあるということがありますから、石坂委員がおっしゃるように、かなり模様がえをしなければいけないということになるのかもしれません。
 例えば福岡市も、実はこの一覧表の中からは落っこちているのですが、法定計画としての公防計画があるわけです。しかし公防計画と環境基本計画というのは、書きぶりがまるっきり違うわけですね。公防計画は一つのパターンで書かなければいけないから、どうしてもそのパターンに縛られてしまう。それに比べて環境基本計画というのは思うように書けるわけですね。どういう構成にするか、どういうことを書くか、書きぶりも全く自由ですから、どうしても自治体としては、自由に書ける方に力が入ってしまう。はっきり言って、公防計画は博多湾の何とか計画とか自動車公害防止計画というのは、それの中から一切ぱっぱと写していけばでき上っていくわけです。
 それもちょっと寂しい話ではあるわけですから、もっと環境基本計画的な位置づけに置けるようなものがあるならば、本当は一番いいんだろうなという気がしますし、それから法定計画それ自体を思い切っていじくり直すなんていうのはなかなか難しいことではあるんでしょうが、しかし、やっぱりこんなにも多いと、いろんなものがばらばらに存在するということは、はっきり認識しておかなければいけないので、それの上位計画とは言わないけれども、何か調整を図るような仕組みが要るんだろうと思います。
 それから、まるっきり温暖化というのは公害とは別のことのように思われていますけれども、そうじゃなくて、やはりこれも環境に負荷を与えるという行為の最たるものだということからいうと、さっきの西尾局長の言葉をかりれば環境保全上の支障の最大の問題なので、そういうものがちゃんと中にくくれるようなものというのが必要なんだろうと思います。当面、とりあえずこの表の中でも温暖化についての地域推進計画というのは、現行制度では任意になっていますから余りいいことじゃないので、これもやっぱりちゃんと義務的な計画だというところにしていかなければいけないから、当面、何か個別法のレベルでいじれるならいじっておいて、そういうものを将来的には統合的な公防計画模様がえというときに、うまく全部中に入り込めるようなものをつくっていくというようなこともあるかもしれない。
 ひょっとすると、そっちの地域温暖化防止計画のできがよければ、それがベースになってほかの計画とのリンケージということがあるかもしれませんけれども、繰り返しになりますが、計画がばらばらに存在するという事実をはっきり認識して、それをもっと何か統合していくという方向をどこかでとらなければいけない。そのために総合環境政策局の役割があるんだろう。原局に任せっぱなしにしておくと、やっぱり原局の視野だけでばらばらにやっていくことになるわけで、まずいんじゃないかなという気がします。最低限、例えば循環計画と温暖化の計画と自然共生の計画のようなものというのが、地域にこれからどんどんできていくとするならば、それも統合するということをやらなければいけないことになると思います。
 問題と役割・機能、それから主な課題という整理も石坂委員がご指摘になったように、よくできている整理だという気はするわけですが、細かく見ていくと、まだもうちょっと書くべきことはあるのかもしれません。光化学オキシダント、自動車騒音が環境基準に係る指標ではなかなかとらえにくい。光化学オキシダントに関しては、そもそも根っこの光化学オキシダントの問題そのものの扱いが、非常に難しいということがあるのでしようがないんでしょうけれども、自動車騒音に関していうとシミュレーションなんかやってみると、単体対策が進んでいければ結構効果が上がってしまうという予測もできてしまっていて、そういうものと、個別の公防計画的発想あるいは地域自動車公害防止計画的な発想でやっている政策プログラムとの間に、ずれが出ているという面があります。ですから、なかなか苦しいところがあるんですけれども、指標にあらわれにくいとすぱっと言っているわけですけれども、もうちょっと指標にあらわれにくいということの奥にある問題点を洗ってみなければいけないのかもしれません。
 それから、確かに国の役割というところで支援体制が担保されているように見えるけれども、実際はそんなに担保されていない結果になりがちな理由は、地方出先機関が今問題になっていますけれども、各省の地方出先機関の連携というようなところにも問題があるのかもしれない。いきなり本省の問題じゃないのかもしれない。そうすると、公防計画所管の環境省としては地方環境事務所がそういうときにちゃんと統合、調整の役割を果たし得ているのかというようなことがあるかもしれません。それも考えていかなければいけないので、霞が関だけでやっていて、慣例的な調整だという問題でもないような気もいたします。実際に動くのはもっと下のレベルで動いていくわけです。そこを考えなければいけないのではないか。
 地方の役割という点についてはさっき私が申し上げたとおりで、公防計画の枠組みとか書きぶりの自由度が増していけば、もうちょっとここは解決できるのかもしれない。だから、将来の模様がえを考えるときは、やっぱり自主的策定をどこまで許すかということになるのだろうし、恐らく策定指示というようなおどろおどろしい手法がどこまでもつかということを考えると、むしろガイドライン方式に変えてしまって、これだけのエッセンスが入っていれば書きぶりは自由ですというようなことができるのかどうか、関係省庁の間で合意ができれば、それも一つの方法かなという気がしますね。それがうまくいけば、多分、地域環境計画との連携というのがもっとうまくいくのかもしれないと思われます。しかし、翻って地域環境計画がまともにできていない地域もあるわけですから、そういうところについてはひょっとするとこっち側の方が誘導的効果を発揮できるかもしれないわけですから、両方だろうと思うんですね。
 というようなことでしょうか。

○小林委員長 ありがとうございます。
 分野別の計画を地域でどうとらえ直すかという少し理念的な整理が要るんだろうと思います。それから、地球温暖化については地域として取り組める手段といいましょうか、これが広域的な計画というまとまりにいけるかどうかという、少し具体的な検討が要るんだろうと思います。
 ほかに。どうぞ、石川委員。

○石川委員 ただいま、浅野先生と石坂先生から公防計画の大方の役割は、一旦終わったのではないかという認識だということでございまして、私もその点については全く同感でございます。その後の考え方でございますけれども、私は一旦原点に戻るべきではないかと。といいますのは、今ある公防計画というのは本当に役割は終わったんだから、したがって、公防計画も終了に至るのがいいのではないかと。もし、必要であればまた検討すべきでございますが、ただいまの石坂委員、浅野委員のご発言ですと、何か残したいのでいろいろ考えようというようなニュアンスに受けとめられますので、無理して残すことまでは必要ないんじゃないかというふうに思います。
 要するに、今起きている公害といいますか、環境問題は個別・具体の話が圧倒的に多いわけですね。個別・具体の問題というのは今出てきました地域計画あるいは個別のNOX法だとか湖沼法とか、それぞれがきっちりできておりますから、そこで対応すべきだし、もし現在の考えられていないような公害あるいはひどい環境問題が起きた場合には、恐らく環境省も特別法をまたつくることになるはずです。というふうに考えますと、今の公防計画を模様がえをして何か残すというのはどうも問題があるのではないかと。
 それから、もう一つの切り口で考えますと、これをつくる行政事務といいますかね、その辺が皆さん方は余りわかっていないのではないかと。3月の小委員会のときに計画をつくりました県の方々に、どのぐらいの業務量だったのかというご質問をさせていただきましたけれども、相当大変でしたと、ただ、地域が少し市町村の数が減ったとかということで、前回よりは楽になりましたというようなご説明でございました。実態はやはり県だけではなくて、そこに含まれる市町村の方々も計画づくりのときには相当労力を使っているはずでございます。県なり市町村の方も次々に新たな行政ニーズが出てきているわけですね。その中で何を優先してやるべきかというので、大分苦労しているはずです。
 したがって、同じ環境問題でもその地域では次はこれが大変な問題だというようなことでやっているはずですから、できるだけ、そういう労力を集中させると、行政改革ということで組織を減らされたり、あるいは定員を減らされたりという状況は地方公共団体でも続いておりますので、極力、そういう手間はある問題に集中させるべきではないかというようなことを考えますと、一旦、これは終了して、そしてもう一度必要なことがあれば、別のもので考えるというふうにすべきではないかというふうに思います。

○小林委員長 ありがとうございます。
 昭和45年と大分状況が変わってきまして、特に都道府県の環境基本計画が出てくるようになりますと、そこでカバーし切れない課題があるのかというのが一つの攻め方だろうと思います。石坂委員が言われましたように複数の都道府県に関係するもの、これはやはり国の出番がありそうでございますが、現在のところ、複数の計画については水質の総量規制と、これはまだ数が余りないので、カバーし切れていないところが多いんじゃないかという感じはいたします。それから、対象でいきますと私は前々から申し上げているんですが、一つの市町村を対象にする公害防止計画の時代ではもうないだろうと、一つの市町村の計画というのはもう地方に任せていいでないかと、こういう印象は強く持っております。
 あと、ご自由にご発言いただけましょうか。
 それでは、もう一つ申し上げますが、掲げておられます中で、極めて広域的な特に外国との関係で取り組まなくてはいけない酸性雨ですとか黄砂ですとか、そういう問題については指摘がなかったといいましょうか、そこまで現在及んでいないというポイントだろうと思いますけれども、検討課題にはなるだろうと思います。

○浅野委員 公害防止計画をやめるといっても、法律に書いてあるわけですから、財特があるかないかということと公防計画をやめるということとは、自動的にはリンクしないんですよね。ですから、やめるとはっきり決めたら、基本法を改正して条文を削除するという手続を当然とらなければいけないわけです。
 ですから、石坂委員も同じことを言っておられるんですけれども、私は役割が終わったというよりは役割が変わってきたという認識を持つべきであるというふうに思っているので、こういう枠組み、つまり国と地方公共団体が協力して何かをやらなければいけないという枠組みは、どんなに分権が進んだとしても残るだろう、石坂委員は例示として区域を越える問題というようなことをおっしゃったわけで、例えば1つ例を挙げると、以前、岐阜県と愛知県の間で多分光化学オキシダント問題については、両方が協力しなければ何もできんでしょうねという話をして、両県の担当者もそうですという話をしていましたよね。
 この場合に取り上げるべきことは、自動車の問題から固定発生源の問題まで多岐にわたるわけですから、だから、そんなのは例えば光化学オキシダントという切り口を一つとってみても、かなり総合的な計画を立てていかなければいけないということになるわけですから、こういうメニューを二、三点探していくだけでも、やらなければいけないことがあるわけでしょうし、それから諏訪湖の計画を見たときに本当に矛盾を感じたのは、諏訪湖の周りを取り囲んでいる自治体がすべて指定区域じゃないものだから、こっち側の半分の自治体はやっても、こっち側の半分は何もしなくていいみたいな格好になっていて、変だねという話をした覚えがありますよね。だから、そんなようなところも今の湖沼法的な発想法だけで完全にカバーし切れないものがいっぱいあるはずなんですよね。
 だから、といって、さりとて湖沼法の方を膨らませるというのはなかなか難しいわけですから、やっぱりさっき言ったように総合調整的なものというのは残るんだろうなと。そのときに、特に国との協力関係の中でやる方が効率的だというものがある以上は、やはり一緒にやるというフレームは捨てるのはもったいないという気がする。だけれども、道路管理一つをとってみても、市町村の道路もあれば県の道路もあれば国の道路もあるわけですから、必ず道路管理者って入ってこなければいけないんですよ。
 一つの例を挙げると景観計画というのがあるんですね。必ず営造物管理者を中に入れなければいけなくなっちゃうわけですね。だから、どんなに市町村で景観計画をつくろうと思っても、営造物管理者には入ってもらわないといけないと。そこで協議会をつくるなんていう仕組みを景観法では無理矢理つくっちゃっているわけですけれども、そういうようなことは既にこの分野では公防計画の中に枠組みがあるわけですから、上手にその枠組みを利用する、利活用するというか、要するに既存の制度インフラというものは、利用できるものは極力利用するという精神の方がいいような気がするので、一遍廃止しておいてまた新しくつくるというのは至難の技なんですけれども、改正は比較的楽なんですね。
 ただ、私はちょっと石川委員とは意見を異にするので、どうせ法改正をするのだったら廃止のための法改正などという、そういう消極的な改正はしないで、利活用のための法改正をすればいいんだろうという気がしますね。もっとも自治体の意見もしっかり聞かなければいけないでしょうから、自治体がどう言っておられるかということはあるんでしょうけれども、事は国の法律なんですから、自治体の意見を聞きはしますけれども、十分に合意ができるなら、一番それがいいでしょうし、なかなか現在の自治体と国の関係は微妙でありますので、相当しっかり話していかないと、正しい理解を双方ができないということもあるかもしれませんね。例えば地方出先機関の役割なんかについては、肯定的にとらえれば、幾らでも肯定的にとらえることができるんですけれども、よく内容をわからずにハナから否定的に言われるという現象が現に起こっているということからいうと、ちょっと問題を感じたりもしますのでね。

○小林委員長 ありがとうございます。
 整理のやり方としまして、廃止どうこうという結論はしばらくおきまして、国が旗を振って地方と共同で取り組む課題がこれからどんなものがあるかという拾い出しを少ししてみて、そのための制度といいましょうか、それに公害防止計画あるいはそれの修正をした制度が使えるかどうかという取り上げ方も、入れていただければと思います。
 どうぞ。

○村岡委員 先ほど委員長が言われた黄砂の問題とか酸性雨の問題、これは大変地球環境問題として重要ではあるんですけれども、その発生源が日本にあって、その被害を受けるのも日本の国土の中であるというような問題と違って、よそに、日本以外に発生源があるような現象については、いわば観測体制ということにかかってくるように思うんですね。これはまたここで扱うべきものなのは、あるいは別途考えるべきものなのか、ちょっとよく私にはわかりませんけれども、そういったところの共同体制というのは国がいろいろと指導しなければいけないだろうと、そういうように私は思います。
 ただ、先ほど浅野委員が初めの段階で言われたような温暖化という現象は、やっぱり今や避けて通れない大きな地球問題であると同時に、我々の身の回りにかかわっている都市問題ですから、これは何かやらないといけない。それと循環という概念、この2つはやっぱり大きく国の指導によって何か方針みたいなもの、基本的なものを考えた上で、それで個々の公害でまた解決していない問題とか、あるいは都市の新たな環境問題とかいうふうなものにブレークダウンしていくというやり方は、やっぱり残さないといけないかなという気がいたしますね。

○小林委員長 事務局にお伺いしますが、前半にありました観測機器の整備、観測体制の整備というのは現行法でも取り上げているように思うんですが、いかがでしょうか。

○西尾総合環境政策局長 国内ですか。

○小林委員長 ええ。

○弥元環境計画課長 現行法でも水質の測定の関係は特にそうですけれども、法律に書かれていますけれども、計画をつくって測定項目も含め、どこで何を測定するかという計画を立てて進めなさいということで、計画をつくって実施するという形になっております。

○小林委員長 後半の部分は論点の方に織り込むということでお願いをいたします。
 どうぞ、山下委員。

○山下委員 観測という問題というのはちょっと気になるんですけれども、ほかの環境要素と違って私は音、振動関係なんですが、あっという間の出来事で時間軸の中で去っていってしまうものなんですね。それが今までの地方自治体からご報告を承りますと、ある日、あるとき、マイクロホンを道路の横におっ立てて、さあ、何デシベルだというような報告が来るだけで終わっているところを、やっぱりシステムとして霞が関からの指導が必要なんじゃないかなと思われる要素が多々ありますので、特に騒音振動のことについて申し上げますけれども、あんな時間的に日にちによっても違う、季節性もあれば、この間もちょっと長距離をすっ飛ばしてみたんですけれども、ガソリン代が高くなったので高速道路の交通量が減っているんですね。おもしろいですね。そうすると騒音も減っている。
 ちょっと伺っておきたいのは、これに関連して苦情というのかな、数値の問題だけを話していますけれども、テーブルの上に乗っかってきているのは数値の問題だけでした。実際の苦情というか、環境に対する不平不満というのはどういう形で上がってくるのかというのが、この場ではテーブルに上がってこないんでしょうか。

○浅野委員 指標としては使えると思うし、環境白書には苦情は整理されて載っているんですね。公害紛争処理法に苦情相談員の制度があって、そこで毎年、定量的にどういう分野について、どういう苦情があるのかというのは上がってきています。全国集計のデータも出ているんですが、ただ、問題は交通騒音系については必ずしもうまく実態と苦情が一致しない傾向がある。非常に困ったことなんですけれども、かなり騒音がひどいなという場所で苦情が出てこないんですね。

○山下委員 事務局に伺いたいのは、このテーブルにはそれが上がってくるのかこないのか。別に議論されているものだよというのも答えだと思うんですよ。

○浅野委員 でも、今の多分、山下委員がおっしゃっているのは公防計画の効果測定みたいなときでも、そういうものは使えるんじゃないのというご趣旨でしょう。

○山下委員 そうですね。

○浅野委員 それはありでしょう。今まででも地域の公防計画の中には騒音だったかな、苦情の件数とかいうのはたしか出ますね。一つの物差しとして出ていたような気がするので、使ってはいるのではないのかと思います。

○弥元環境計画課長 先ほどの策定指示をするかどうかを判断するときの基準にも騒音は入っております。

○山下委員 騒音がデシベルという値で入ってくるんですよね。そうじゃなくて、不平不満という形では何か難しいのかな。

○浅野委員 感覚公害的なものは苦情が意外と物差しになるかもしれません。だから、悪臭とか騒音とかね。だから、ただ物質の流量だけじゃだめというような面は確かにある。だから、それは大いにあるんだろうと思いますね。ただ、騒音というカテゴリーの苦情相談ですと、近隣の人間関係苦情みたいなのが中にはいり込んできて、数字がうまく分析可能でないという場合が出てくると、困ってしまうかもしれません。

○山下委員 かえって混乱するかもしれませんね。

○小林委員長 次回以降、苦情の推移とか性格とか、計画にどのくらい役に立つかというんで、少し整理をして提供いただけましょうか。

○西尾総合環境政策局長 一言いいですか。すみません、先生ご存じのように、ですから苦情とそれから瞬間的な特定の場所でのデシベルの間に、面的評価というのをやろうじゃないかということを入れたわけですが、面的評価をやるためには測定箇所を非常にふやさなければいけないというのと、それから沿道の状況をきちんと把握しなければいけない。大変お金がかかりますよというので実は自治体で進まないんですね。
 今現在、水大気局、そこで活路をどう見出しているかわかりませんが、ちょっと私がやっていた間は、そこがうまく活路が出ない間、三位一体改革で測定に関するバックアップというような補助というものがなくなっちゃったものですから、正直言って、ちょっと理屈の問題じゃなくて政策のプライオリティーとお金の問題で、多分、そこはひっかかっているんだろうと思いますね。ですから、ちょっとそういうことも含めて整理をして出してもらえばいいと思います。すみません。

○小林委員長 ありがとうございます。
 どうぞ、村岡委員。

○村岡委員 先ほど浅野委員が湖沼法の関連でちょっと言われましたけれども、私は総量規制に絡む問題で閉鎖性海域の環境改善ということで、府県レベルでの総量規制を決めるわけですけれども、これはもちろん国の基本的な考え方、指導によって、それに基づいてやっていますので、府県関係でもやっぱり調整しているようで、そんなに結果としては矛盾はないように思うんですけれども、問題はむしろ何か規制行政だけではもう閉鎖性海域はよくならないような不安が私の心の中にはあるわけですね。
 そうすると、そういった問題はそういう大阪湾、東京湾といった閉鎖性海域だけではなくて、ほかのそういう地域の環境改善にかかわって、規制行政の限界とまでは言わずに規制行政だけはもう無理で、もっとほかのことを考えないといけないという課題もたくさんあると思うんですね。そういった問題をちょっと総合的に整理してほしいなという気がいたします。
 今の総量規制でいきますと、実はもう規制行政のレベルを超えて予想でやっても、いろんなワークショップとかシンポジウムとか聞いて予想を立ててやっても、既に限界があるということはどうやら明らかなようで、そうすると解決の問題はむしろ流域の方にあったりして、それでさっきのソフト対策だとか、それからまた生物との関係でもう少し自然関係の問題をあわせて、何か考えないといけないような方向があるんじゃないかなと見えるんですよ。これは一例ですが、そういった問題で規制行政で考えられる課題というようなもの、今の時点でどういう問題があるのか、ちょっと整理してほしいなという気がいたします。

○浅野委員 今のご発言は大事なご発言でしょうね。どうやって土俵を広げていくかという話があるわけで、現下のマターではなくて、むしろまさに総合環境政策局としてのマターとして、一つ一つの問題についても少し洗ってみるとどこかで土俵が広がっていって、一つの着陸点が見ててくるだろうと、そういうことだと思うので、私も村岡委員のご指摘のとおりだと思いますね。博多湾での計画づくりが進んでいますが、博多湾の中だけを見て計画をつくっていたので、審議会では、周りの林から森からみんな見ろというような話が出てきて、担当者が今、それをどう取り入れようかと悩んでいるところなんですけれども、おっしゃるとおりの問題があるんですね。ですから、湾の中の水だけ幾らくんでみて調べてもだめです。

○小林委員長 どうぞ。

○西尾総合環境政策局長 わかりました。今の整理を少しします。というのは、さっき私もちょっと基本法のところでお話ししたように、公害が集中しているといったときに、公害の種類によって昔はどんぶりで、どれもこれも大変だという感じだったと思うんですが、大分水質であるなり、大気であるなり、騒音であるなり、物事に応じて大分様子が変わってきているんじゃないかという感じがしております。激甚公害といっても、何でも公害のデパートみたいな場所がありますよといったときと違ったような、一番そこは大きな点ではないかという気がいたします。
 それから、ご指摘があった後、そのままになっているのはちょっと申しわけないので、広域といいますか、アジア内の越境汚染のような議論でありますけれども、これはいきなり越境汚染だという議論で持ちかけたって動くわけはないということでありましたから、酸性雨の問題にしてもそれから黄砂の問題にしても、ご指摘のようにいろいろ教えていただきながら、観測のところからやっていこうじゃないかということで、だんだんとそういうステージをつくってきているわけですけれども、そこが今もっても非常にお互いにデータを出して、議論をしましょうねというふうに、なかなかそこまでいかないという現状があるのが、今、地球局でも非常に悩んでいると思います。
 ちょっとこれは地球局でどういうふうに解決していくのかということでありますので、わからないのでありますけれども、私個人的には、でもいずれにしても、それぞれの国で特に都市部での公害問題が大きくなってきて、それぞれ解決しなければいけないということが出てきますので、今、温暖化のところでもコベネフィットのようなことで公害対策を協力することで、少しでも温暖化のような方にも目を向けてもらえないだろうかということを展開しようとしていますけれども、これは同じように効くんじゃないかという気がいたしております。それぞれの自国の汚染問題について、だんだんとみんな急迫してくるわけでございますので、それをやっていけば、やっぱりだんだんとデータもそろいましょう、シミュレーションもしましょう。やっぱり少し遠回りでも、そういう道をたどらないと、どうもうまくモニタリングだけだからつき合ってくださいよといって、アグリーができるかというと、なかなかそこも難しいなというのが今最近特に感じていることです。

○石野審議官 酸性雨の関係で申しますと、EANETというのがございまして、東アジア地域、たしか10カ国ぐらいだと思うんですけれども、モニタリングをやりましょうと。共通の方法ではかつて、共通のデータベースをつくって、どこに原因があるかを明らかにして、そしてどういう対策に持っていくかと。長期的にいうと、それこそヨーロッパの越境大気汚染条約のようなものを地域で何か結べるというところまで届けば非常に正解だと思う。
 そこまでいくかどうかわかりませんけれども、原則はまず前提となる科学的データ、昔、公害対策が始まった時代に日本が苦労したようなデータをきちんとそろえる。そのための制度とか機会とか人とかいうのをどうやって育てるかというところから始めて、それでだんだん対策を積み上げていくという、そういう流れの中で我々が協力をしながら、どうやって全体のレベルアップに結びつけていけるかということを考えていきたいと思って、それをもちろん国もやりますが、同時に大きい力を持っている県とかあるいは政令市も協力してやっていますので、そんなことをまたこの検討の中で少し議論をしていただいて、それがまたこの仕組みの中にどのくらい反映できるかということをぜひご議論賜ればと思います。

○小林委員長 ありがとうございます。
 ほかにご発言はありましょうか。
 それでは、大変貴重なご意見をいただきまして、少しくどいようですが、もう一つ挙げますと、複数の都道府県と国が共同して、ともに働きながら取り組むべきこれからの分野、課題というような点で、どういう課題を想定できるかという作業も少し入れていただいて、それから先ほど来ご発言のございます中身を課題の整理の中でもう少し織り込んでいただいて、その整理の上に次回以降議論を進めたいと、こういうことでよろしゅうございましょうか。  本日の中で発言漏れ、最後に一言ということがありましたら。
 それでは、本日の議論はここまでといたしまして、整理をしていただいた上で、次回以降、検討を進めていきたいと思います。事務局の希望としては、この論点整理を本年度もう一回開いて中身を進めたいと、それからもう一つ公害防止計画の策定に関して一回小委員会を開きたいと、こういうことでございますので、来年になりましたら2回小委員会を開く予定にしておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、本日のところは私の進行はここまでといたします。

○弥元環境計画課長 どうもありがとうございました。
 今、委員長からおっしゃっていただきましたように、来年年明け以降、年度内に2回開催したいというふうに思っております。この論点整理の関係で2月半ばごろ、あるいは下旬になるかもしれませんが1回と、それから3月の上旬から中旬ごろに、公防計画の案についての同意に向けてもう一回と考えておるところでございます。改めて日程の調整をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 どうも本日はありがとうございました。

午後 5時16分 閉会