中央環境審議会総合政策部会環境研究技術専門委員会 第2回環境管理分科会 議事概要
日時
平成13年5月30日 14:00~17:00
場所
三田共用会議所 第3特別会議室
出席者
<委員側>
藤田副主査、岡田委員、橘委員、水戸部委員、和気委員
<環境省側>
松井環境研究技術室長、安藤環境管理局環境管理技術室長、内藤水環境部農薬環境管理室長他
議事
(1)総合科学技術会議の審議の状況について
事務局より資料2(総合科学技術会議の審議の状況について)を説明した。
(藤田副主査)
- ・自然共生型社会構築研究は都市以外、循環型社会構築研究は都市を対象としたものか
(松井環境研究技術室長)
- ・そうではない。循環型社会は廃棄物・リサイクル、自然共生型社会は自然、大気、水などの分野と考えている。統合化プログラムでどう組み込まれるかは未定。
(橘委員)
- ・科学技術基本計画が目指す「安心・安全で質の高い生活」には「快適性」は含まれないのか。
(松井環境研究技術室長)
- ・「質の高い」に含まれる。
(和気委員)
- ・循環型と共生型をどう見るかであるが、社会を産業・経済社会としてイメージしたほうが理解しやすいのではないか。
(2)第1回環境管理分科会論点について
事務局より資料3(環境研究技術専門委員会第1回環境管理分科会での主な論点)を説明した。
(橘委員)
- ・騒音、振動は古くから継続している問題であるが、資料はアクティブコントロール等の人目を引くが実現性乏しい先端技術が上げられているが、基礎的、工学的研究課題が重要。
(3)重点戦略プロジェクトのあり方について
内藤水環境部農薬環境管理室長より資料4(大気・水・土壌環境の管理分野の推進課題について(案))を説明した。
(和気委員)
- ・「システム」という言葉が多用され、どういう意味で使っているか不明瞭。可能なら違う言葉に置きかえるべき。
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・「システム」の使い方を精査したい。
(岡田委員)
- ・資料4と資料5、6の関係はどうなっているのか。
(松井環境研究技術室長)
- ・総合科学技術会議の統合化プログラムには環境管理分科会の議論をそのまま反映できる形になっていない。専門委員会の中間報告は総合科学技術会議へのインプットを中心としてまとめるが、最終報告ではそれ以外も含めた検討を行う。
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・資料4の各課題は関連する統合化プロジェクトに位置づけて行く予定。
(水戸部委員)
- ・環境管理分科会ではローカルな分野を対象にしているのか。環境管理という概念で全体を捉えた場合、他の分野と切り離すのは難しいのではないか。
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・気候変動については、地球分科会。本分科会では、環境省環境管理局の所掌に近いものを対象としている。ただし、中間報告案にあるように他の分科会の所掌分野との関連も意識している。
(松井環境研究技術室長)
- ・他の分科会委員からも、同様の指摘あり。
(藤田副主査)
- ・最終的には、専門委員会で縦割り的な部分を調整してまとめるべき。
(藤田副主査)
- ・資料4は、「今後の研究技術開発の方向」の記載内容と「当面の課題」の例示の展開に違和感あるので、整理が必要。
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・当面の課題は、各課室から具体的に予算要求をしていくものであり、各課室の所掌に制限されることはご容赦いただきたい。
(水戸部委員)
- ・資料4の16ページなどには、文章表現上の不具合が散見されるので精査が必要だ。
(藤田副主査)
- ・「環境情報」という言葉のイメージは何か。
(安藤環境管理局環境管理技術室長)
- ・ITを活用した情報管理をイメージしているが、具体性については未定。
(藤田副主査)
- ・化学物質の安全性に加え、微生物の安全性も必要ではないか。
- ・また、環境影響評価は、個々の案件で評価するが、一つ一つは影響が小さくても積み重なると影響が大きくなるという矛盾を感じる。
- ・プロジェクトに指導書や方法論は入ってこないのか。
(松井環境研究技術室長)
- ・ご指摘の他の分科会に関連するものの検討は、中間報告以降の課題としたい。
(橘委員)
- ・国際的取組に当たっては、途上国に教えるとの姿勢ではダメ。また、専門家がボランタリーに対応するのではなく、国家としてサポートすべき。
(水戸部委員)
- ・19ページに農薬散布技術が当面の課題として記載されているが、前後の構成から違和感がある
(岡田委員)
- ・肥料・農薬を出来るだけ使わないようにする技術を促進すべき。
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・リスク評価だけでなく使用方法も考えたい。
(藤田副主査)
- ・全体的に環境影響情報の収集や化学物質のモニタリングに関する方向性が弱い。
内藤水環境部農薬環境管理室長より資料5(自然共生型社会統合プログラム(案))、資料6(自然共生型社会統合プログラム(案))及び資料7(20世紀の環境上の負の遺産の解消プログラムについて(案))を説明した。
(岡田委員)
- ・資料中の「生態系」は、原生林等のコアエリア、又は人間活動に利用しつつ保全する地域を想定しているのか。
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・後者を想定。自然環境局では前者にウェイトが偏るが、現在調整中である。流域圏は後者に近い。
(橘委員)
- ・人間を一部として含めた生態系なのか、人間のための生態系なのかを整理すべき。
(和気委員)
- ・社会科学的にはコスト・ベネフィットで議論するが、環境の価値を主観的なものから社会の客観的なもので評価していくことが大きなテーマである。
- ・資料5の枠は、更に整理が必要。
(橘委員)
- ・例えば、スギ花粉症を考えた場合、人工的なスギ林は健全な生態系と言えるか。
- ・花粉症が顕在化しているため、対策を講じるべき。
(藤田副主査)
- ・木が生えていれば健全とは言えない。
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・花粉症には食べ物、大気汚染との関連も言われており、もう少し複雑な問題ではないか。
(藤田副主査)
- ・資料5の「大気・水・土壌をどのように管理すれば自然の循環に沿ったものになるか?」の問いは具体的にどういう姿を目指すものなのか。
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・ここでは、目指す姿ではなく、世の中を自然の循環により近く管理するためにどのような技術が必要かということで整理した。
(岡田委員)
- ・「生態系」という言葉の定義が曖昧。社会科学的にどういう自然に価値を見いだす視点もあるが、人間の都合で自然のあり方を決めて良いのかという倫理観の問題もある。
(水戸部委員)
- ・この議論は日本が自然豊かだから起こるのであろう。砂漠化する地域では砂漠化するしかない面がある。
(藤田副主査)
- ・藻場、干潟の回復は他府省にもまたがっており、今後調整するのか?
- ・化学物質のリスクが不明確なものの管理は「負の遺産」に含まれるのか?
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・必要に応じ調整する。化学物質のリスク管理は、化学物質分科会の扱いである。
(藤田副主査)
- ・過去の汚染はPPPが原則。汚染者が倒産したなどの時はどうするのか。
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・様々な場合を想定して土壌環境課で検討中。
(藤田副主査)
- ・資料7の4の技術の課題の各論はビジネスになりつつある。環境省が取り組む必要はないのではないか。
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・実用化されている技術もあるがコスト高。コストダウンの技術開発が必要。
(藤田副主査)
- ・カナダでは汚染土壌に関しては、汚染物質の挙動は調査するが、汚染浄化・修復は行っていない。人へのリスクがなければ良いとの考え方だ。リスク評価を行って、土地利用に合わせてケースバイケースで対応すべき。そうでなければ、我々の負担は耐えられない。
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・そのあたりも含めて検討中。
松井環境研究技術室長より資料8(フリーディスカッション用メモ)を説明した。
(橘委員)
- ・環境モニタリングが非常に重要。
- ・物理的・化学的計測だけでなく、シミュレーションが重要。
(藤田副主査)
- ・将来の予測のためには過去にさかのぼることが重要、そのためにも試料の収集・保存も重要。
(安藤環境管理局環境管理技術室長)
- ・計測データで政策の効果を評価できることに意味があるが、モニタリングの結果から原因を特定する手法はあるのか。
(橘委員)
- ・交通量から大気汚染物質、騒音の発生状況は分かる。ただし、気象が絡むと難しくなる。
(水戸部委員)
- ・CARBでは気象も入れたシミュレーションを行い、規制値を決めるようなことをしている。
(和気委員)
- ・IPCCでは2100年までのものを気象・社会経済などを含めてモデルを作成している。
- ・とにかく、情報交換の場が少ない。環境情報普及センターの情報は、最新ニュースや多面的情報を含んでおり、情報発信の際にはスクリーニングせず、使用者に選ばせればよい。
(藤田副主査)
- ・大気汚染に関しては地域の気象情報も重要。これらを簡単に使えるような情報交換の場作りは環境省の課題である。
(内藤水環境部農薬環境管理室長)
- ・風向、風速からの発生源の逆探知は環境庁初期の頃はやっていた。現在はこれらのノウハウがうまく伝えられていない。
- ・リンなどの物質循環、河川流量などのデータはすぐに利用できる形で整備されていない。
(村井技術評価専門官)
- ・環境の危機管理に、ITはどう活用できるか。
- ・原油流出では初期対応が重要。そのための情報整備はどうすればよいか?
(岡田委員)
- ・原油汚染では、自然・社会への影響を考えるべき。沿岸付近で起こったなら、砂浜や藻場などがあるか、希少生物がいるのか等で対策を変える必要がある。そのためのGISを作ろうとしている。
- ・環境技術情報はエンドオブパイプ技術の羅列でなく、負荷発生原因である製造過程にまで遡らないと本当の意味でのゼロエミッション社会、生産技術の推進になりえない。
(水戸部委員)
- ・データベースは目的を持って作成しないと機能しない。
- ・危機管理はシナリオを作らないと役立たないので、環境省がシナリオベースを作成すべき。
(藤田副主査)
- ・以前、環境省で酸性雨に強い地質の地図データを作成したが、このようなものが環境省が持つべき情報の一つである。
- ・国際貢献としての留学生の受入のため、スタッフが揃いきれない大学ごとに対応するのではなく、環境省で『環境大学』を設立してはどうか。
(和気委員)
- ・慶応大学では、国際技術移転として中国のSOx抑制に取組み、脱硫装置でなく、古い技術ではあるが、バイオブリケット利用促進を社会経済も含めて研究している。過去の研究技術をどう生かしていくかも重要。
(藤田副主査)
- ・国際貢献について、途上国の留学生は学位を取りにくるが、彼らはもっと基礎的な環境技術を学びたがっている。
(松井環境研究技術室長)
- ・ 第2回専門委員会は6月5日10時より三田共用会議所にて行う。
- ・ 各委員の追加の意見は、1日までにメールまたはFAXで回答願いたい。