中央環境審議会総合政策部会環境研究技術専門委員会 第1回環境管理分科会 議事概要
日時
平成13年5月16日 10:00~12:00
場所
合同庁舎5号館22階 環境省第1会議室
出席者
<委員側>
大聖主査、藤田副主査、浦野委員、岡田委員、水戸部委員、山田委員
<環境省側>
山田大臣官房審議官、松井環境研究技術室長、安藤環境管理局環境管理技術室長、
内藤環境管理局水管理部農薬環境管理室長、他
環境省挨拶
山田大臣官房審議官から挨拶を行った。
議事
(1) 分科会の運営について | |
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事務局より資料2(中央環境審議会総合政策部会環境研究技術専門委員会の各分科会の運営方針について)を説明した。 | |
(2) 第1回専門委員会の指摘事項及びこれを踏まえた追加的なコメントについて | |
事務局より資料3(第1回専門委員会における主な指摘事項)及び資料4(中間報告の目次及びその検討・記述方針(案))を説明した。 追加的なコメントは特になかった。 |
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(3) 重点戦略プロジェクトのあり方について | |
事務局より資料5(重点戦略プロジェクト等のあり方について(検討メモ))を説明した。 |
(岡田委員)
- ・現在又は未来のどちらに焦点をおくのか。 現在の解決も必要だが、将来を見越して、経済成長の予測や人間の生活のあり方を考えて行うべき。
- ・何が問題か、何が問題になりそうかは環境省が示すべき。
(浦野委員)
- ・資料は、現在起こっている問題の羅列が多い。
- ・他の分野も含めた横割りのQuestionとして次のとおり提案する。他の分科会でもQuestionを作り議論したらどうか。
- [1]現在及び将来の環境の状況を適切に把握できるのか。
- [2]将来の環境悪化を予測して、予防的な環境管理ができるのか。
- [3]人、動植物、生態系に与える影響を予測・評価できるのか。
- [4]当面緊急的な取組みが必要な課題について効率的に改善ができるのか。
- [5][1]~[4]について国民・社会全体の理解と連携が得られるのか。
(内藤農薬環境管理室長)
- ・通常の予算でやる調査研究と、研究・技術プロジェクトで特別に行うことを整理する必要がある。
- ・中・長期的に見据えて、ベーシックな技術構造のためにどういった技術が必要なのか。社会に対して何を提案していくかを考えて行きたい。
(浦野委員)
- ・この会議では、将来を見込んでどう取り組んでいくのかということが大切である。[4]の問題は議論するけれども通常に施策に入ってくることから、中心は[1]~[3]、[5]である。
(藤田副主査)
- ・将来の具体的な予測はすごく難しい。
- ・「環境試料の保管・保存」は非常に重要だ。データが膨らんでくれば将来予測に役立つ。
- ・どこかを探せば資料があるかの組織・システムを立ち上げたらどうか。
「ユニバーシティミュージアム構想」との連携もその一つである。 - ・情報を過去から積み上げることは非常に大切。
(水戸部委員)
- ・環境問題は非常に不確実性が高い。どういうシナリオを描くかである。
- ・気候変動と汚染の二つに整理して、議論してはどうか。
(浦野委員)
- ・環境技術研究は他の省庁もたくさん取り組んでいる。
- ・環境省としては、基本理念、評価の視点を打ち出すことが重要。
- ・評価する視点を明確に打ち出して他省庁に対しリーダーシップをとり、ものの考え方や枠組みを示すことが環境省としては非常に重要。
- ・国民の理解、連携というキーワードを入れたらどうか。
- ・また、環境サンプルの保存というのは環境省らしい。これは、将来の環境の予測のために、過去を明らかにする視点から必要。
(大聖主査)
- ・過去の環境試料のデータベース化は大切。早大建築学科では、地震に関するデータベースを構築し、世界の研究者も利用できるようにしている。個人が貯めているよりもずっと有効である。
(藤田副主査)
- ・そのとおり。
(浦野委員)
- ・基盤情報をいかに多く集積して、いかに使える形で提供できるが重要。
- ・どういう情報が必要であるのかという方法論としての研究も必要。
(大聖主査)
- ・各省が持っている情報を環境省で持ち、使えるようにしていくべき。
- ・他の研究機関等にどういった情報があるかというデータベース化は環境省がやるべき大きな仕事の一つではないか。
(内藤農薬環境管理室長)
- ・環境庁時代、規制対策であるとか、評価・調整業務がなされていた。環境省になって、もっと地に足がついたものができないかと議論されている。
- ・規制基準を作れば後は自動的に動くという言われ方もあるが、行政ツールとしては社会構造を変革させることが必要。エンドオブパイプからの転換が必要。
(山田委員)
- ・環境技術の話をする時、環境行政は大きな役割を担う。
- ・モニタリング情報など環境情報の公開を市民や企業を巻き込んだ仕組みにしていかなければならない。所沢のダイオキシンの結果も最近発表されたが、たまに公開するから問題になる。
- ・ITをどう活用していくのか、環境情報を市民にどう公開していくかが大切。
(浦野委員)
- ・社会や国民との関係を考えていく必要があるのではないか。
- ・具体的な予防的技術として、ヨウ素化・臭素化ダイオキシンの除去管理技術の促進というのもある。
- ・どのような管理手法があるのかといったことは他の省庁はやらない課題である。環境省では、将来管理できる予防的計測・管理技術を作っていくべきであり、現場との連携・大学との連携を図っていく必要がある。
(松井室長)
現在問題になっている分野については、まだやらなければならいないものもある。
(浦野委員)
それも分かるが、現在問題になっているものは各省でもできる。むしろ他省がやらなことを環境省で先導的にやっていくべき。
(山田審議官)
(科学技術の5年間の)予算が17兆から24兆に増えると言われているが、人文科学も入っており分母が違う。予算を増やすというのではなくて切らないということが大切。
(岡田委員)
重点プロジェクトによって予算は増えるのか。その予算はどこにいくのか。大学にいくのか。国環研にいくのか。
(松井室長)
環境省としてこういうものが必要だというメッセージを外部に発信していくとともに、平成14年度予算へも反映させたい。
(岡田委員)
他省庁の研究計画を見ると、環境省のやっていることを全く理解していないようなものもある。
(大聖主査)
他省庁のものを見ても将来の環境保全のために資するのか見えない。
(浦野委員)
全体像を示してメッセージを出して行き、長期戦略を見ながら環境省らしい予算を要求していく必要がある。
(松井室長)
省内でも、技術開発を進めていきたいという意見がある。
(浦野委員)
それは非常に良いことだ。
(浦野委員)
国民は化学物質など将来問題になりそうなことに不安を持っている。
(大聖主査)
監視する体制が必要。
(浦野委員)
柔軟な体制が必要。
(4) 関係分野における推進課題及び体制整備のあり方について | |
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事務局より資料6(環境管理分科会の関係分野等における推進課題及び体制整備のあり方について(検討メモ))、資料7(大気・水・土壌環境の総合管理イニシアティブ)及び資料8(環境研究・環境技術開発の推進方策(中間報告案))を説明した。 |
(藤田副主査)
- ・環境の負の遺産処理をどうするのか。 米国ではスーパーファンドなど支援する方の体制がある。
- ・住民への安全性の説明は環境省の役割ではないのか。
- ・枯渇資源のリンの回収はどう技術的に位置付けるのか。
(浦野委員)
- ・リンの回収、POPsは例としてはよいが、大きな話と具体的な話が混在している。
- ・中間的キーワードを出してはどうか。これらは、(その下の)例である。
(内藤農薬環境管理室長)
- ・本質的な問題を含んでいる。管理局としての責任を持つと、資料7となる。
(浦野委員)
二面性でうまく整理する必要がある。
(大聖主査)
研究体制の構築、社会構造の変革の議論が必要ではないか。
(浦野委員)
大程度から中程度というのが必要。そこに環境省が当面やるもの、各省・企業・大学がやるものという整理にすべき。
(岡田委員)
- ・資料7の中心の3つのターゲットには賛成。
- ・私は大学で、グリーンプロセス講座を担当している。危険な薬品・化学物質を使わないようにとか、変革していくための生産技術が必要ではないのか。 産業構造を変えるということも必要ではないのか。
- ・生態系保全については、自然環境分科会との整合も必要。
(山田委員)
- ・環境技術の基盤整備が必要。
- ・ITを使った意欲的な取組み、予測型シミュレーションやリスクマネジメントも必要。
- ・環境教育、啓発は控えめに打ち出されているが、もっと積極的に取り上げてもいいのではないか。
(浦野委員)
- ・NGOを含めて「国民の意見」をもっと吸い上げるべき。
- ・いかに情報を提供し、理解の促進するかのシステム作りが大切。
- ・他省庁と競っても予算は付かない。予算を増やすのは国民の要望である。
(大聖主査)
- ・規制の効果を予測し、それを発信していくことが重要。
- ・国民の生活を変えるような、産業構造、ライフスタイルを変えるという視点が必要。
(浦野委員)
- ・小泉内閣が「構造改革」を言っており、環境の視点でも構造改革が必要である。
(大聖主査)
- ・個別にブレークダウンするということも、分科会ではある程度必要となることを忘れずに願いたい。
(藤田副主査)
- ・焼却炉の解体問題が抜けている。
(浦野委員)
- ・PCB、フロン・ハロンは法律で施行段階なので解決した問題としてよいということか。 低濃度PCBの高濃度化技術などは解決していない課題だ。
- ・網羅的に書くのか。
(松井室長)
資料8についてのコメントは、FAX等で提出願いたい。
(大聖主査)
大きな枠組の話についてもやるということか。
(松井室長)
そういう認識で良い。
(大聖主査)
国際的な取組についてはどうするのか。
(松井室長)
分科会として指摘していただきたい。
(大聖主査)
国際的取組みの価値は大きい。
(藤田副主査)
- ・大学では、ベトナムとの交流をやっているが、大学だけでは対応しきれない。彼らは、大学で勉強するだけではなく、将来環境研究所を作らなければならない。
- ・ODAがらみのものは、とかく箱物優先である。中身をどうするのかというのは文科省でも出来ていない。
- ・彼らは、蓄積した技術を学びたいのだが、エンドオブパイプ技術では学位をおろせない。
- ・JICAの技術協力はモニタリングが中心である。
- ・援助の効果はその国の自己努力に任せるといった風潮がある。
(浦野委員)
- ・箱物としてガスクロを渡してもその途上国にはガスがないといった問題がある。
- ・簡易測定技術の開発が途上国にも貢献でき、日本でも使える。
(大聖主査)
- ・リーダー養成と途上国の環境をどうするかにギャップがある。国状を調査した上で支援するべきである。
- ・大枠の姿勢、考え方を明らかにして、ブレイクダウンしたときに何ができるかの両者を出すことが重要。
- ・環境省として他省庁の取組も包括的に評価し、成果が公開され、将来にその成果が生かせるようなシステムの構築が望まれている。
- ・環境省はお目付け役として機能するべきではないのか?
(松井室長)
- ・環境研究は政策との関係が深い。環境省と総合科学技術会議との連携が重要である。
- ・次回分科会は5月30日14時より三田共用会議所にて行う。
- ・資料8についての意見は、23日までにメールまたはFAXで回答願いたい。