環境と金融に関する専門委員会(第3回)議事録

日時

平成21年12月10日(木)9:30~11:45

場所

航空会館 7階

議事次第

  1. 開会
  2. 議題
    関係者からのヒアリング
    1.  (1)橋本 昌道氏 (日本商工会議所)
    2.  (2)岩井 良博氏 (三機工業株式会社)
    3.  (3)外石 正行氏 (株式会社ジャフコ)
    4.  (4)竹ヶ原啓介委員(株式会社日本政策投資銀行)
  3. 閉会

配付資料

議事内容

午前9時30分 開会

○末吉委員長 皆様、おはようございます。それでは、これから第3回環境と金融に関する専門委員会を開催いたしたいと思います。
 少し委員の方で遅れていらっしゃる方もいらっしゃいますけれども、時間ですので始めさせていただきます。
 皆さん、テレビや新聞でお聞きのとおり、コペンハーゲンのCOP15が大変議論が沸騰してまいりました。我々もその議論の外にいるわけではありませんので、一層熱のこもった議論がこれから展開できるんではないかと期待しております。
 今日は前回に引き続きまして関係者の皆様方からのヒアリングを行ってまいりたいと思います。前回は、金融機関、主として資金の供給側のお話を伺いました。今日はお三方、資金の需要者である事業者というお立場でいろんなご意見を賜りたいと思っております。
 まず、実際のヒアンリングをお聞きする前に、事務局のほうから趣旨等についてご説明いただきたいと思います。

○黒川環境計画課長補佐 では、説明いたします。
 本日は、外部からお三方、日本商工会議所さんと三機工業株式会社さん、あと株式会社ジャフコさんの3者をお招きしております。中小企業に資金が流れる仕組みが大切だというご意見は、この親の総合政策部会でも本専門委員会でも何度がご意見がございましたので、そういう中小企業の立場を代表する商工会議所さんから中小企業の環境の取組の現状と資金面の課題といったようなお話をいただければと思っております。
 次に、三機工業さんは、顧客の方に省エネルギーサービスを提供するという事業を行っておられます。省エネルギーという事業は初期投資がかかるんですけれども、ランニングコスト、エネルギーコストが下がると。長期的にはそれで埋まるというようなそういう性質を持っておりますので、そういう性質は融資になじむものでありましょうから、そういった省エネルギー事業の生の現場のお話をいただきまして、そういったものを金融という手法を使って拡大するにはどうしたらいいのかという議論のきっかけにしていただければと思っております。
 次にジャフコさん、ジャフコさんはベンチャーキャピタルの日本最大手の会社でございます。環境ビジネスを拡大ということを考えたときに、融資ですとか上場株式への投資ということもあるんでございますが、未上場企業へのリスクマネーの供給というのは欠かせない一つのピースでございます。ということでありますので、リスクマネーの供給を行っているという立場から、投資先としての環境ビジネスの魅力と課題といったようなお話をいただければと思います。
 そして、最後に竹ヶ原委員から、先の3者へのコメントなどもいただきつつ、幅広い観点で環境金融の概念といったお話から具体的な政策の提案といったお話までいただければと思っております。
 以上です。

○末吉委員長 黒川さん、どうもありがとうございました。
 それでは、早速ですけれども、日本商工会議所の橋本昌道様からお話を伺います。15分程度でできましたらお願いいたします。

○橋本氏 日本商工会議所の橋本でございます。
 先ほどお話がございましたように、本日、中小企業関係者ということでお声をかけていただいておりますので、私から、環境問題、環境対策に関する中小企業の意識や中小企業の現状等を中心に何点か関連するお話をさせていただければと思っています。
 初めに、日本商工会議所としても、中小企業が生産性の向上や経営基盤の強化を図っていくこと、そのために省エネルギーを推進し、「省エネ・低炭素経営」を促進すること、これは極めて重要な課題と考えております。現在、各地の商工会議所に対し、地域の事情に応じた形で環境行動計画を作成し、積極的に環境対策に取り組むことを要請しているところです。
 中小企業の製造業の2007年度のデータを見ますと、温室効果ガス排出量は7,600万トンで、全製造業のおよそ16%を占めています。我が国の地球温暖化対策を推進するため、この根底を支える中小企業について対策を促進することは本当に重要なことと認識しております。そのために金融機関等による資金面の援助、技術開発面等の支援、それから各地域における積極的な情報提供が非常に重要なことと考えております。
 資料の5ページ以下に何点かの資料をご用意しております。一番初めは2008年5月に東京商工会議所が実施した、会員の環境問題に関する意識実態調査です。中小企業はどういった形で環境問題をとらえているのかを調べたものです。
 資料の6ページに、自社の事業活動における環境問題の重要度について聞いた結果があります。調査の回答をいただいたのは私どもの会員企業の約1,000社で、その1,000社の構成は、従業員数300人以下の企業が全体の4分の3の730社ということで、大半が中小企業の回答であるとご理解いただければと思っています。まず、「重要度」について、どのような形で認識しているかというものですが、「地球温暖化(省エネ)対策」という項目が一番上にあります。地球温暖化(省エネ)対策が重要だというご回答は、「大変重要である」「重要である」を合わせると87.9%ということで、約9割が対策の重要性を認識しているという結果になっています。その下に廃棄物対策(3R)や企業内の環境教育が重要だという認識が示されています。
 7ページは、自社の事業活動において環境問題への対応をどういう形で実施しているかを聞いたものです。先ほどと同じ項目を並べておりますが、地球温暖化(省エネ)対策については59.6%、約6割が実施していますが、残りの4割は実施していない、あるいは検討中ということで、先ほどのグラフと見比べていただきますと、重要度の認識としてはかなり高いものがありますけれども、実際に実施しているかということになると、落差が出てきているのが現実かと思っています。
 8ページは、自社の環境対策を推進していくための課題という質問です。一番多いのが、対策のための情報入手です。どういう具体的対策があるのか、どういう機器に更新していったらいいのか、そういった具体的な情報をどこからどういう形で入手したらいいのかわからないということが課題として認識されているということを、約半数以上の企業が一番に挙げております。他に多いものを挙げてみますと、真ん中辺りの「取引先の理解」あるいは「業界内の意識向上」というものがありますが、この中で「対策のための資金確保」、それから下にあります「対策に対する税制優遇」が課題だと認識している企業もそれぞれ約3割あるというのが現状でございます。
 また、9ページに移らせていただきますが、自社の事業活動における地球温暖化対策の意識を聞いております。「負担がかかるとしても、積極的に取り組むべきだ」と「負担がかかるとしても、やむをえない」が多くなっています。それと、できる範囲でということがほぼ同じような数字になっていますが、こういった形でかなり地球温暖化対策の意識としても、積極的に取り組むべきだ、また取り組むべきだという意識はかなり浸透しているのかなと思っています。
 先ほど、重要度のところで、地球温暖化対策が大変重要と答えているところは、負担がかかってもやむを得ない、積極的にというのが約7割以上の数字になっていますので、その意識がより高くなっている状況がうかがえます。ただ、この中で、「対策は必要だろうが、取り組む余裕がない」というのが1割弱という形になっておりますが、これは2008年5月の数字です。したがって、その後の景気情勢の急激な悪化を考えますと、この「対策は必要だろうが、取り組む余裕がない」という数字がその後かなり高くなっているのかなということが推測されます。
 こちらのほうで積極的な意識は出ておりますが、10ページは、それでは具体的にどういった対策を実施していますかという質問です。左の黒いところが「積極的に実施している」、白いところが「実施している」という順になっております。ここでうかがえますのは、室内温度の適正管理、それから空調設備の適正管理と、新たな投資を必要としないソフト面の対策、これについては企業規模にかかわらずある程度実施率は高くなっていると考えております。
 一方、設備投資を伴う対策については、ここには出していませんが、企業規模間でかなりの濃淡が出てきております。例えば、その下にあります省エネ機器の設備の活用という部分においては、従業員100人以上の企業で約7割が何らかの形で実施しています。しかし、100人以下の企業に限って言いますと、実施はほぼ4割、実施予定なしとするのも4分の1に上っております。ということで、設備投資などのコストがかかる部分について、中小企業の実際の実施というところについては、意識はあるもののなかなか手がつかないというような傾向があるのではないかと読み取っております。
 私ども東京商工会議所が行った調査ですが、意識の面と実施の面でどういう状況にあるかというデータを、おさらいの意味で紹介しました。2008年の数字ですが、現在、同じような調査を行っており、ほぼ同様の傾向が出ております。まだ集計中ですので、はっきりしたことは申し上げられませんが、温暖化対策は重要だという意識は非常に高い。今回は9割以上の数字が出てきております。しかしながら、実施していますかという部分については現実との間にかなりのギャップが出ているのが実情かと思っております。
 ここまでが私どもの会員がどんな意識を持っているかというところですが、その後に、中小企業の業況等々のグラフを幾つか入れています。ご承知のように、急激な経済状況の悪化により、中小企業の現状を考えますとかなり厳しいものが出てきております。11ページは日本商工会議所が全国の商工会議所を通じて実施している景況調査ですが、その黒い線の部分が私どものいわゆるLOBO調査と呼んでいるものです。その業況感を見ていただきますと、ご説明する必要もないと思いますが、最近になって若干の上向きの傾向が読み取れますが、また最近停滞感が広がってきております。と同時に、今後の先行きに対して非常に不安を感じる声が徐々にまた広がってきているのが実情です。
 12ページは、私どもの調査ではありませんが、資金繰り判断DIと、資金繰りの状況を聞いたものです。一番下が中小企業の線ですが、ご覧のように水面下で推移し、かなり厳しい状況がうかがえます。年末、それから年度末に向けてどういう形で動いていくのか、商工会議所としても注視しているところです。こういった状況とともに、最近、雇用調整助成金等が拡大、要件緩和されておりますけれども、約200万人がまだ助成を受けているということで、その大半が中小企業という現状です。経営状況自体、経営の安定化を最優先の課題と受け止めているのが実情かなと思っております。そうした中で環境対策をどういう形で推進し、どういう形で機器を含めて導入していくのか、これは今の経済状況と絡み合わせてもかなり難しい面が多々あるのかなというのが率直な思いです。
 13ページに貸出残高の推移があります。これは飛ばします。
 14ページで、これは参考までの話ですが、経済産業省が実施した2007年の原油高のときの調査における中小企業の影響でございます。左側に原油価格の上昇に収益を圧迫されている企業が約9割を超えることが示され、右側に原油価格の上昇を価格転嫁できるかが示されています。中小企業にとって非常に価格転嫁が難しい状況が、このグラフでおわかりいただけるかと思います。こういった原油価格の上昇の影響をまともに受ける中小企業ですが、こういった状況にあるからこそ、省エネを進める一つのきっかけになるのではないかという意味で、逆読みもできるのではないかと考え、このグラフを入れさせていただいております。
 以上、商工会議所の会員の意識と現状を駆け足でお話し申し上げましたが、15~17ページに、国内クレジット制度について簡単な資料を二、三入れています。
 昨年の10月、中小企業の温暖化対策を促進するために、国内クレジット制度が発足しました。中小企業が大企業の協力を得て排出削減事業を行い、それによる二酸化炭素の排出削減量を大企業に売るという制度です。海外に資金を流出させることなく、日本国内において大企業と中小企業の連携をもとに温室効果ガスを削減する仕組みとして今後ますますその存在意義が大きくなるものと期待している制度です。そこで、皆さんご承知かと思いますが、ご紹介させていただきたいと思っています。
 15ページにありますように、いわゆる大企業の資金、技術等々を利用して中小企業で削減を行うと、それをクレジットとして売買できるという制度です。そのため、16ページに手続の流れがありますが、どういう形で事業計画をつくって削減をしていくかという手続を踏んで、大企業と中小企業の連携を深めていこうという制度でございます。申請、承認、認証件数については右側に書いておりますが、去年の10月に発足し、申請件数が今147件となっています。徐々にではありますが、増えてきています。
 日本商工会議所としましても、この国内クレジット制度の利用促進を図るためのソフト支援事業の受託をしており、今全国の18の商工会議所でこの推進を行っております。私どものスタッフも各地に説明等で回っているわけでございますが、こういった事業に対する関心は、まだ知らない方々も正直言って結構いらっしゃいますが、徐々にではありますが、高まってきていると思います。地域によって差もありますけれども、こういった制度、仕組みを今後ますます促進していくこと、これが中小企業の取組促進に強く結びついていくのかなと考えております。
 最後の18ページに「まとめ」として簡単に4行ほど書いています。一般論ではありますが、中小企業の環境対策促進に向けた基盤整備が必要であると思います。具体的にどういったことが考えられるかというと、資金調達の円滑化、国内クレジット制度の活用促進、それから設備・機器の適正運用のための支援強化、大きくはこういったものが考えられるのではないかと考えています。
 資金調達の円滑化ですが、先ほど駆け足でご説明させていただきましたけれども、中小企業の資金繰りは非常に厳しくなっていると認識しています。また、現実に中小企業の7割が赤字で、内部留保のある企業もだんだん少なくなってきております。という中で、環境対策に取り組むために資金を自力調達することは、非常に難しい状況になってきているかと思います。こうした中、それを打開するといいますか、何とかしていくために、いわゆる中小企業が高効率の設備投資を行ったり、環境対策を進めたりするための資金調達の円滑化、これに向けてどういったことができるのか考えていくことが必要かと思っています。
 それから、これはまだ私どもとして詰めたお話でも何でもありませんが、検討材料の一つにしていただければと思っておりますのは、資金を回すための保証制度の充実、例えば環境対策に特化した新たな信用保証制度というものは考えられないものかということを考えています。今、信用保証協会については中小企業の保証枠を広げておりますが、こうした厳しい中で環境対策を推進していくために、特別にこの部分にスポットライトを当てていくという方向があるとすれば、別途特化したようなものも考えていく必要があるのではないかなという、まだアイデア段階ですが、そんなことも考えています。
 それと同時に、中小企業といいましても、十把一からげにとらえることがなかなかできないところがありまして、中小企業は非常に厳しいというのが一般的なお話ですが、中には非常に信用力のある中小企業もあります。そういった企業を金融面で支援するため、自治体等で制度融資を行っているところもあります。こうした自治体等の制度融資の拡充も一つの検討課題かなという思いがあります。
 それと、先ほど申し上げました国内クレジット制度の活用促進ですが、今後ますますその意義が大きくなってくると私どもは期待しています。本制度を今後推進していくために、より中小企業に使いやすい制度にならないものかということを考えております。
 具体的に言いますと、小規模な排出削減量で、買い手がなかなか見つかりづらいという状況があります。削減の共同実施者の大企業が見つからないという事態もあります。ということで、中小企業が単独で削減する場合についても、量が少ない場合の対応として、一つは国あるいは第三者機関がそういった小規模なものを買い取ってクレジットをまとめて流通させるような仕組み、仕掛けができないものだろうかということを考えています。具体的にこれ以上の部分に踏み込んで、例えばという形で申し上げることはできませんが、中小企業の削減した量をまとめてある一つの量として流通させるというのも一つの手段かと考えています。
 国内クレジット制度に関連して、日本政策金融公庫等で環境エネルギー対策資金をご用意いただいています。これはお願いベースのお話ですが、今回この制度を利用するに当たっては、その排出削減効果が25%以上という一つのハードルがかかっていますが、このハードルについて、中小企業がもっと利用しやすいということを考える、これは一般の制度融資にも言えるお話かもわかりませんが、この辺のハードルを若干低く設定する方法等はないものだろうかということを考えています。
 もう一点、設備・機器の適正運用のための支援強化ということを書いていますが、中小企業において設備更新を行わず、設備の運用や改善、そういった小規模なチューニングで温室効果ガスの削減を図ることが可能と思っております。高効率な機器に設備更新を行ったとしても、適切な運用が行われなければ意味がないし、また実効性を高めていくことが必要だということで、この辺について金融機関等々から環境関連融資を行った際、そのモニタリングあるいは指導に力を入れた形で活動していただけないかという、これはお願いでございます。
 あともう一点触れさせていただきますと、現在実施されている国の省エネ無料診断がありますが、年間100キロリットル以上のエネルギー使用量がある企業が対象になっております。中小企業にとって、確かに意識はあるのですが、先ほど調査で申し上げたように、なかなか実施に結びつかない傾向があるということで、そのためには目に見える形で、中小企業の皆様に対して、これだけプラスになりますというような形でこの省エネ無料診断をもっと活用できるような仕組み、これは国も地方も同様と思っているのですが、こういった仕組みがある程度効果的だと考えておりますので、これが全国的に展開できるような形での仕組みの改善というのも考えていただければと思っています。
 ほぼ時間でございますので、最後に、今まで縷々申し上げてまいりましたけれども、中小企業の意識そのものに対しては結構高いものがあると思っています。それが本当に現実になかなか結びつかない。ここの部分をどういう形で埋めていくか、これが一つの大きな課題かと思っています。しかも、現下の厳しい状況の中だということがあります。日商としましても、今後先ほどの国内クレジット等々の利用促進、それから各地の環境行動計画策定を呼びかけておりますので、こうしたものを通じて情報提供等々この空間を埋めるための努力をしてまいりたいと思っておりますが、金融の面で今後ご検討いただく際、中小企業の存在は非常に大きなものがございますので、ここに対して、弱さもあることも踏まえ、十分配慮してご検討いただければ大変ありがたいと思います。
 雑駁なご説明で大変恐縮ですが、初めのお話とさせていただきます。ありがとうございました。

○末吉委員長 どうも、橋本さん、ありがとうございました。
 中小企業の皆さんの意識の高さと現実のギャップ、格差を踏まえて、幾つか具体的なご提案をいただいてありがとうございました。10時ごろご退席と伺っていますけれども、あと10分程度お時間をいただいてよろしいでしょうか。
 それで、まず初めに、私の勝手なんですけれども、佐藤さんから、お仕事上中小企業とのご関係は深いと思いますので、何かコメントとかいただけませんか。

○佐藤委員 日商様と私ども信用金庫、地域金融機関とはやはり中小企業の皆さんが対象ということで、お話を聞いて、全般的に非常に共通する事項が多いなとまず思いました。若干、関連する点といいますか気づいた点を少し述べさせていただきます。3ページのところですね、自社の環境対策を推進していくための課題ということで、やはりここを見させていただきますと、お話にもありましたけれども、中小企業では、情報不足、意識不足、この辺が大きな課題なのかなと思いました。実際に専門家の人材派遣とか相談窓口の充実とか、そういう声もあるわけなんですけれども、まだまだレベル的には情報をもっと欲しいというのがここにも出ているのかなと思いました。
 一方、地域金融機関としてこれらに対応していくのにどういった点が考えられるかと。例えば、環境対策のための費用とか、こうした点を実施していく場合のデメリット等の周知、あるいは補助金制度とか環境特別融資制度等の情報提供ですね。例えば、日商様等と連携して、地域金融機関と一緒にさらにPRしていくと、こういった点も必要なのかなと。また、こうした点、ポイントを絞ったリーフレット等をそれなりの機関さんがつくっていただければ、会議所さんと一緒に配布するというのも一つの手なのかなと思いました。
 それから、次の4ページのところで、温暖化対策の意識ということでお話にもありましたけれども、こちら8年の5月の調査ですが、私どもの上部団体の信金中央金庫というところが2008年の9月に環境問題で調査をしたことがございます。やはりここに書いてあるとおりの傾向でして、非常に環境問題の意識は高い。この時点では7割超が前向きであったわけですけれども、直近ですね、橋本さんのお話があったとおりその後の急激な変化がありました。たまたま今年の9月に地元信用金庫の調査をみますと、507社のサンプルなんですけれども、環境問題は社会的責任として位置づけて積極的に取り組みたいというのが約3割ある一方で、意識をしているが、もう費用負担を考えると取組に限界があると、こうした回答が約3割ということで、最近の状況を見ますと非常に企業格差が浮き彫りになっているのかなと。不況の関係で、環境問題の意識と実際の取組にかなり乖離があるのではないか。中小企業では、環境に費やす負担は極力抑えたいという方も結構いらっしゃるのかなと思いました。
 それから、10ページのところの国内クレジットの件なんですけれども、今、日商様のほうで各地で説明会を行い、先般、静岡でもやっていただきました。今非常に設備投資が厳しいときで、中小企業のお客様を見つけるのは難しいんですね、なかなか。こうした制度を我々ももう少しPRしていく必要があるのかなとお話を聞いて思いました。
 最後のところのまとめのところで、やはりこちらも共通する点だなと思ったんですけれども、資金調達の円滑化ということで、地域金融機関として考えてみますと、この点は非常に大きな関わりがある問題なのかなと。厳しいときですけれども、環境問題を新たなビジネスチャンスとして前向きにとらえる中小企業に、課題となるのは技術力の向上という点もあるかとおもいますが、こうした点にあると思うんですけれども、そのときにやっぱりかぎになるのが資金面ではないかなと思います。
 問題は、それをどうやってつけていくかですけれども、後半に支援強化ということはありましたけれども、今、環境省さんで環境配慮企業への利子補給金制度ですか、こちらをやっておられるかと思います。私どもも今これを申請しているところなんですけれども、無利子の制度で、モニタリングもして、CO2の削減をやっている企業に援助するという制度ですが、来年の3月までの期限です。こうした制度はぜひまた延長していただければと思いました。
 先ほどの調査の中で、行政への期待という項目があったんですけれども、公的な資金援助、税制面の優遇措置の拡充など、中小企業では、何らかの金銭的な補助を期待しているのが現状なのかなと思っております。
 以上です。

○末吉委員長 佐藤さん、どうもありがとうございました。
 情報ギャップのお話もありましたけれども、僕は特に中小企業に限った話ではなくて、日本の大企業も大金融機関も押しなべてもっと情報ギャップを埋めるようなことをしないといけないのではないかと思っているんですけれども、橋本さん、今の佐藤さんのコメントについて何かございますでしょうか。

○橋本氏 ご指摘いただいた点はそのとおりかと思っています。その情報ギャップをどうやって埋めるかというのは、言葉にするのは簡単なのですが、これがなかなか難しいのも現実です。日商としまして地域の金融機関との結びつきが非常に強いので、先ほどの国内クレジットと同様にその辺りを支援するスキーム、これは単独では無理かと思っていますので、皆さんとご協力しながらやっていきたいと考えています。

○末吉委員長 ありがとうございます。
 もう少しお時間をいただけるようですので、ほかの委員の方、何かございましたら。
 どうぞ、崎田さん。

○崎田委員 今お話を伺っておりまして、2点ほど感じたことがありました。1点目はやはり情報不足ということなんですけれども、今、私は地域密着型でいろいろ動いていることが多いんですけれども、各地の自治体で特に地域のCO2削減が遅れているということを大変課題意識を持っている自治体が、地域の環境に関心のある企業のネットワーク化を進めるという動きが強くなっています。そういうところで地域の商工会議所さんも連携していらっしゃると思いますので、何かそういう動きをうまく使いながらできるだけ情報を発信して、実際の講習会なども多様につくっていくとか、そういうところが大事なのではないかなと思いました。
 もう一点、やはり単に環境対策だけではなく、これから環境ビジネスを創出するとか、そういう動きを起こしていくためにも、今お話がありましたように資金調達の円滑化というこの辺が大変重要になってくると思います。先ほど、この辺の新しい環境に特化した保証制度をつくったらどうかというご提案をされましたけれども、私は今後この辺の検討というのは大変重要なことだと感じています。もう少しその辺を具体的に、皆さん、今業界の中でどんなふうにお話しになっているかという辺りを伺えればありがたいなと思いました。よろしくお願いいたします。

○末吉委員長 何かありましたらどうぞ。

○橋本氏 情報の部分についてはご指摘のとおりかと思います。その方向で私ども頑張っていきたいと考えています。
 先ほどの信用保証の制度ですが、現在の信用保証協会等々がありますけれども、現行制度にそのままオンすることはなかなか難しいだろうということで、実は今日はアイデアの段階でお話し申し上げたということで、あえて紙には書いていません。ですので、詰めたお話ではないのですが、今経済環境がかなり厳しい中で、環境の部分へスポットを当ててやっていこうという形になれば、今の中小企業の資金のフレームとはまた別の形で中小企業にスポットライトを当てた形の新たな信用保証を、財政事情がこういう状況ですので、すぐのお話ではないと思いますけれども、そういった形で保証をつけるというような方向が一つの検討課題にはなり得るのかなということで、問題提起の意味でご提案申し上げた次第です。

○崎田委員 逆に、それが大事だと思っておりますので、応援というか、そう思って質問しておりますので、ぜひそういう動きを進めていただければありがたいというふうに思っております。

○末吉委員長 あと、橋本さんのご提案の中で国内クレジット制度、これ、私は非常に重要だと思っているんですけれども、どなたか委員の方でコメントないし何かご意見いただける方いらっしゃいませんか。
 どうぞ。

○伊東委員 前回のときに私が発表させていただいた中でも、この国内クレジット制度に言及させていただいて、橋本さんのペーパーの12ページの中身についても私も言及して、そういった意味では、今日のお話と前回の私の話と全く方向感として一致していると思いました。
 国内クレジット制度では、大企業の技術を中小企業に伝播して活用するというところが条件としてついておりますものですから、そこのところがネックになりうるでしょうから、今日のご提案のように別に大企業ひもつきではなくて、一定の認証機関みたいなものをつくってやるというほうがより広がるのではと感じました。
 それから、先ほどのお話の中で、環境省の45億円上限の利子補給と関連した3月までの環境融資が出ましたが、私どもも11月末に商品を出しました。そして、この融資の対象となるゾーンの企業も、実は日商さんの会員企業ともかなりオーバーラップしています。そして、ここら辺のゾーンの企業というのは大体5億とかそれ以上の省エネ設備をするゾーンなんですけれども、大半の企業は既に省エネの計画ができていて、CO2を捕捉していけるゾーンなんです。
 それからもう一方で、CO2をモニタリングしていくほどの規模の企業ではないんですけれども、このゾーンの中小企業については典型的には、前回のとき私が申し上げましたけれども、エコアクション21のような、これは10万円ぐらいで取れる簡易な環境認証ですから、5,000万円ぐらいの融資でも金利を0.1とか0.2%金融機関も下げることで、その部分でとってくださいと融資先企業にお願いする。これは簡単にできますので、このゾーンの企業はCO2の捕捉をしなくても、エネルギー消費量という形で減っていくだろうと。こんなふうに中小企業のところも2つぐらいにセグメントを分けてやっていったらいいのではないかと感じました。
 以上であります。

○末吉委員長 伊東委員、ありがとうございました。
 今、COP15でも先進国と途上国の間の技術支援とか資金援助が大変大きなテーマになっておりますけれども、これはやっぱり国内で見ると、例えば大企業と中小企業との間、あるいは大都会と地方都市、こういったところでの同じような問題があると思うんですよね。その格差是正のために金融機関がこれから何ができるかですね。これは非常に大きなテーマだと思います。
 橋本さん、どうもお忙しい中を時間をいただきましてありがとうございました。

○橋本氏 どうもすみません。(拍手)

(橋本氏退席)

○末吉委員長 それでは、引き続きまして、三機工業株式会社の岩井良博様からお話を伺いたいと思います。申し訳ございませんけれども、また15分程度のお話にしていただければと思います。

○岩井氏 ただいまご紹介いただきました三機工業の岩井でございます。座ってご説明をさせていただきます。
 私ども三機工業の概要ということで、20ページに書いてございます。あまり知名度が高いというわけでもないので書かせていただいております。ここにありますように、建設設備部門ということで、先ほどのお話にありましたように、こういった空調設備ですとかビル設備、こういったところの省エネルギー提案等も実際に行っているところでございます。本日ご説明させていただきますトランスヒートコンテナとESCO事業と、こういったことも省エネルギー提案の一つと位置づけて、今活動を進めているところでございます。
 私どものこのトランスヒートコンテナというのは、いわゆる先ほどの削減方法論にあったような、大企業が中小企業さんに技術供与をしましょうというようなところも含めて今進めているところで、実際には自治体さんですとか地方の産廃業者さんですとか、こういったところに技術を供与しながら一緒にCO2の削減を進めていっているというものでございます。
 21ページに、技術の概要ということで簡単に書いてございます。お手元にお配りしていますこの丸いものです。最近はエコパック、ヒートパック、いろんな名前で出ていますけれども、再生可能懐炉ということで、使っていただいても、またもう一回なべで温めていただけると使えるというようなそういうものでございます。使い方は、後ろに簡単に、小さい字ですけれども、書いてございます。こういう酢酸ナトリウム三水和物が中に入っておりますが、こういったものが溶けたり凍ったりするときに熱エネルギーを効率よくため込むという性質を使って、廃熱をためて、これを遠方まで車で運んで使おうという、未利用エネルギーですとかこういったものに位置づけられる技術でございます。
 こういったところで、熱源側である焼却施設ですとか工場の廃熱をこういったものにためて、それを10キロ、20キロぐらい離れた遠方までオフラインで運ぶということで、非常に供給エリアが広がる。今まで廃熱源と利用側というのはオンラインで1対1に近かったんですが、オフラインで運ぶということで1対多の関係がつくりやすいということで、メンテナンス整備が非常にしやすいというような技術でございます。
 次の22ページのほうに書いてございますように、この技術、廃熱をベースに使っていますので、CO2の削減効果としては非常に大きなものがあるというところでございます。コンテナの容量は、今、日本の場合、車で運ぶときの重量制限がいろいろとあったりして、1メガワットアワーですとか1.5メガワットアワーというのが20トンとか25トンぐらいの重量になりまして、この辺が現実的な運べる重さということになります。このときの重油換算ですとか都市ガス換算の量ですとかCO2の削減量というのがここの表に書いてございます。例えば、1.5メガワットアワーの熱容量を持ったコンテナを1台運びますと、A重油に換算すると374キロぐらいのCO2の削減が現実的に行われるというような技術でございます。
 2003年に導入した設備なんですが、昨年、2008年からようやく実設備の導入が始まりまして、23ページにございますように、今、青森県八戸市内のほうで輸送型の事業として動いております。もう一方が定置型ということで、これはサントリー天然水株式会社様の工場廃熱を自分たちの中で使うという定置型ということで、この2カ所で今実際に運転をしております。八戸のほうは、実際に廃棄物焼却施設の廃熱を使いまして、青森県栽培漁業センターという20キロぐらい離れた海水を温める設備と、約10キロ離れましたメディカルコート八戸西病院という民間の201床の総合病院でございますが、こちらの給湯・暖房用に使っているという例でございます。
 24ページ目のほうに、青森県の例がもう少し詳しく書いてございます。ここでは、奥羽クリーンテクノロジーという廃棄物の中間処理事業を行っている焼却設備の廃熱を約140℃ぐらいの廃熱として温めまして、これをコンテナの中にため込んで運ぶというところでございます。持っていく先は、ここにございますように、アワビの稚貝を育成するための海水加温用に使っていると、こういう例でございます。昨年度の実績といたしましては、ここにございますように、年間で約90トンのCO2の削減ということで、実際に使われているものの10%ぐらいをこの廃熱を供給するということで賄っております。このときの実質の削減量ということで、タンク1台当たり300キロということで、熱を運んだり、取り出したり、供給したりするものを引いた上で、実質的に1台当たり300キロぐらいのCO2削減効果が得られております。
 もう一方が定置型というところでございまして、これがサントリー天然水さんの工場の中で昨年の4月から実際に営業運転をしております。ここでは、工場内の高圧の空気圧縮機ですとか、こういったところから出るいわゆる焼却ではない廃熱を熱源として使っております。これを生産エリアの中から80℃ぐらいの温水で回収してきまして、事務所の暖房に使うとともに、この廃熱と需要側のアンバランスです、時間的なタイムラグがあるときにコンテナにため込みまして、ため込んだり、不足する場合には加えてあげたりということで、不安定な廃熱を安定的に供給するということで有効な廃熱利用ということを実現しております。ここの導入効果といたしましては、2008年10月から9月までの1年間でございますが、CO2の削減効果としては318トンと。サントリー天然水さんで出ている廃熱の71.2%をこういったシステムを活用することで工場内で有効に使うことができたというところでございます。
 こういった熱輸送を事業化していく上での条件というのが26ページのほうに書いてございます。主に低温の熱をベースに使っておりますので、対象施設としては病院や福祉施設ということで、低温の熱利用量が多くて、現状の熱単価が割と高いようなところ、なおかつ年間365日、24時間運転しているようなそういったところがやはり事業の対象としては適しているというところでございます。
 契約といたしましては、廃熱をベースにしていますが、もともと捨てているものを使っているということで、コストの見返りというのはそんなに大きくないということもあって、長期契約でないとなかなか難しいというところがございます。あとは最低熱販売量の保証ですとか、従量料金プラス固定料金などの料金体系をうまくつくっていかないと、長期間の契約維持が難しいというところでございます。
 ここでは事業の実施方法例ということでざっと書いていますが、これは後でご説明をいたします。ESCO事業と同じような事業形態で実施をしていくというところでございます。実際の熱源設備と熱を供給する熱供給事業者、あと熱利用施設があって、その間の設備費等に関しては銀行さん等の金融機関等の資金援助をいただくというような例でございます。
 27ページが、事業の実際の収支の考え方をざっと書いてございます。従来のエネルギー費が原資でございまして、これに対して、こういうシステムを導入したときのエネルギーの従来使っていたものを削減できるエネルギー費と、導入したことによる設備費、運営費、あと実際に事業をする上での事業者の利益と。最後に残ったのが、利用者側の実際的な経済的なメリットということで、利用側の利益というのが残るというところでございます。
 実際に事業としての効果を試算した例がここにございます。ここでは、とりあえず540床程度の地方の市立病院の総合病院を大体イメージしております。540床程度の総合病院というところで、ここで使われる熱量の40%程度をこういった廃熱を使って供給した場合の事業収支をざっと計算してみたというところでございます。ここでは、従来の重油の金額ということで、単価60円、70円、80円という設定をしております。今現在はこの60円前後ぐらい、もうちょっと安くお買いのところは50円を切っているところもあると思いますけれども、60円前後ぐらいというのが経済ベースだと考えております。
 30ページのほうにざっと書いてございます。コンテナを、要はハードをたくさん持つと最初のイニシャルコストが高いんで、どうしても回収するための率が悪くなりますというところでございます。4台、5台、6台をおのおの持って同じ熱量を供給した場合に、重油単価が60円、70円、80円のときにどれだけエネルギー費の低減効果があるかといったところで結果だけをお示ししております。ここにございますように、60円で5台とか6台のハード、コンテナを保有すると収支的にはマイナスになるということで、経済的なメリットが出てこないと。せめて60円ぐらいの4台でぎりぎりの事業運営をしていかないと厳しいですという結果になっております。
 一方、こういった事業を導入することによって、年間1,300トンぐらいのCO2の削減効果が得られるということと、設備費といたしましては、ボイラーですとか吸収式冷温水機ですとか、こういったハードをこのコンテナで代替することでハードの削減効果が別途ございますというようなところでございます。
 以上がトランスヒートコンテナ関連でございまして、あとESCO事業ということで、実際私どもの会社でESCO事業を推進しております町田のほうから、以後説明をさせていただきます。

○町田氏 かわりに説明させていただきます。三機工業で省エネ推進しております町田でございます。同様に座ったままで失礼させていただきます。
 ESCO事業の仕組みということで次のページにございますが、皆様もご存じのとおり、ESCOにつきましてはEnergy Service Companyの略称ということで、日本で約もう五、六年以上進められている省エネの事業ということで、ここに書いてございますとおりこういうサイクルですね、診断から始まりまして、最終的には工事を経て省エネの実施と。その中に、やはり今日の議題でございます資金調達というのが非常に重要なウエートを占めております。
 ということでございまして、次のページをご覧いただきます。左側32ページでございますが、これが事業の開始から一連のフローを書かせていただいております。先ほど、中小企業においてというお話もございましたですが、まず、工場あるいは事業所を訪問するところから始まりまして、具体的に削減がどのぐらい生まれるだろうかという試算をステップの3、4で実施していくと。そこで実際に投資回収等この辺の目処が立てば、具体的に資金を伴いましてESCO事業契約ということに至って、工事改修、そして事業の開始ですね。あと保守、維持管理という一連のサイクルの事業でございます。この事業のサイクルというのは、基本的には投資回収の期間によって定められるのが通常でございまして、概ね短いもので5年、長いもので15年という期間の契約になっております。
 次のページは一応ターゲットということで、省エネ法上における第一種、第二種の指定工場という目安で、ちょっとこれは割愛させていただきます。ご参考までにご覧いただければと思います。
 ESCO事業の契約方式、次のページでございますが、大きくギャランティード・セイビングス契約ということとシェアード・セイビングスと2通りございまして、融資を伴うという意味ではこの右側にございますシェアード・セイビングス契約というところになろうかと思います。現状、非常に厳しい経済情勢下ですね、やはり自己資金を使うという契約よりも右側のシェアード・セイビングス、すなわちESCO事業者あるいは金融機関がお金を、省エネに関する費用を融通してお客様のほうにサービスを行うという契約の事例が増えております。
 この次のページの下に書いておりますスキームが具体的なESCO事業のスキームでございまして、概ね、ここに金融機関様と書いてございますが、現状ESCOに関わる融資はリース会社さんが我々のような設備関連、省エネのサービス企業とタイアップして顧客企業にサービスを展開すると。したがって、アセットはリース会社等でご保有なさって、顧客のほうは基本的にはアセットを持たないということで、サービス料を定期的にお支払いいただくというスキームになっております。右側の絵は先ほどご説明しましたので、一応こういう削減できたという削減減資をベースに返済、リース等契約の返済を行うというスキームでございます。
 先ほど来ちょっとご説明をしました、我々、トランスヒートコンテナあるいはESCO事業ですね、事業における課題というのをちょっと簡単に整理させていただきました。まず1番目は、当然ながら原油等の変動あるいは為替でエネルギーコストというのが非常に変化していくと。ここについては事業でやはりカバーし切れないと。変動リスクについてはカバーし切れない部分でございますので、当然ながらお客様のほうにヘッジさせていただかざるを得ないというのが実情でございます。
 2つ目は、気候の変動対応というところですが、これはあくまでも短期的な話で、毎年毎年の話でございますが、削減できるエネルギー量が気候等の影響を非常に受けると。これもやはり契約でなかなかカバーし切れない部分でございます。下の長期的な話としては、当然ながら昨今の渇水、それから豪雨等、こういった影響も事業にインパクトとして出てまいります。
 次が、未利用エネルギーのインセンティブと。削減CO2の国内クレジット及び熱源側への削減CO2の供与というところでございますが、特に中小企業様におきましては、やはりスケールメリットがなかなかその事業を成り立たせる上で出づらいというのが最大のネックでございまして、多数ご相談等々はちょうだいいたしますんですが、事業としてワークするという観点におきましては非常に厳しい話で、かつご自身で投資するというのがなかなか難しいという状況下で、なかなか契約に至るという例が少ないというのが実情でございます。
 もう一つは、先ほど来のお話にもございましたが、特に小規模の環境事業のリスク分散ということで、今申し上げました事業リスクプラス非常に一件一件の単位が小さいということで、それに伴う契約等々の手続というのは同様ということで、なかなか一件一件がまとまりづらい。要はスケールメリットということになってしまうんですが、この辺が小規模の事業をやる上でちょっとネックになっているというのが実情でございます。
 以上でございます。

○末吉委員長 岩井さんと町田さん、ありがとうございました。大変興味深いお話ありがとうございました。
 最後の課題を伺っていて思ったんですけれども、価格変動リスクとか気象の予測できない変化のリスクとか、あるいは規模の問題、あるいは信用リスク、これは必ずしもESCO特有じゃなくて、今既にあって、それぞれのところで対応の商品も実は生まれ始めているんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか、委員の方、何か。
 じゃ、竹ヶ原さん。

○竹ヶ原委員 大変おもしろいお話、ありがとうございました。
 特にトランスヒートコンテナというのは、コジェネレーションのファイナンスをやっていると必ずひっかかる制約、つまり、電気は良いとして、熱需要の日変動が非常に大きくて、結局熱の買い手が近くにいないとビジネスとして成立しないという制約があったと思うんですが、御社のサービスによってそこの立地制約というのは随分緩和してくる印象を持ちました。いわば風力発電の蓄電池みたいなイメージで、御社のトランスヒートコンテナで熱が自由に動けるようになると。この効果はすごく大きいと思った反面、もったいないなと感じたのは、これは途中で輸送が入りますよね。恐らく発生源、そして供給元でそれぞれCO2はかなり落ちるんですが、これが輸送に伴うCO2の排出により一部相殺されるように思います。トータルで見ても十分CO2は落ちているよという説明は可能なのでしょうか。そういうご説明はしていらっしゃるんでしょうか。

○岩井氏 先ほどの八戸の例ですと、実質的に1台当たり300キログラムというところです。輸送に伴う軽油を使ったCO2の発生量と熱を出したり供給したりするためのポンプの電力の動力、こういったものを差っ引いたものでございます。ですので、大体純粋だと三百三、四十キロぐらいなものから30キロから40キロぐらい引いた分で、ちょうど300キロぐらいが有効に削減できる分というところでございます。輸送に伴うのは距離の要素が出てきますので、八戸の例ですと、大体7%、8%ぐらいが輸送に伴うエネルギー消費というところでございます。

○末吉委員長 ありがとうございました。
 たしか川崎市で、東京電力から出る熱を地域の工場全体でもらうというようなのも動いていると思うんですけれども、そういう小規模だけじゃなくて、大規模もこれは可能なわけですね。

○岩井氏 少々車両が大きくなるんですけれども、先ほどの川崎市さんの例でも、一応参考ということで資料をご提出させていただいたりしております。大規模なエネルギーのネットワークシステムの中の一つの位置づけということではご提案をさせていただいております。

○末吉委員長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ、向畑さん。

○向畑委員 貴重なお話ありがとうございました。
 私からちょっと質問なんですけれども、このヒートコンテナのところのマーケットの見方についての質問なんですけれども、事業として今後拡大していくということについては、当然運営をうまくやると、コストも下げながらということも一つあると思うんですけれども、やっぱりマーケットの見方をどういうふうに見ているのかと。熱源の供給者側というか、工場とか産業プラントの会社で言うと、できるだけ自社で再利用しようという仕組みが当然検討されていますし、一方その需要家サイドでも、今太陽光のパネルをどんどん入れていこうと。仮に太陽光パネルがどんどんコストが下がっていけば、わざわざ外から持っていかなくても自社で据え置けば、要は初期投資がどんどん今後の大量生産によってコストが下がっていけば、需要者側のインセンティブというのも徐々に落ちていく可能性もあると思うんですけれども、その辺が逆に、熱源の供給者サイドも減っていくし、もし受け取る側もニーズが仮になくなっていくということであれば、逆に長期契約にすることがデメリットになりかねないというところもありますので、マーケットの見方についてちょっとご説明いただきたいなというふうに思います。

○岩井氏 熱源といたしましては、大企業、工場等の廃熱だけではなくて、いわゆる自治体さんがお持ちの一般ごみの廃棄物焼却施設、こういったところは各自治体さんでお持ちですので、各行政から考えると、10キロ以内ということでほぼすべての自治体さんが自分の熱源をお持ちになるということになります。
 あと、太陽光その他の件ですが、この技術自身は、主に200℃以下ぐらいの、本当に使えなくて捨てている熱をベースに使っていますんで、この熱エネルギー自身は今後太陽光発電云々かんぬんという電力需要に対する自然エネルギーの利用が増えていっても、廃熱というのはマスとしては減ってくると思いますけれども、確実に出るものだと思っております。
 今、実際にやっている八戸の例なんかでは、廃棄物の焼却等々もやっていますし、また、新たに九州・沖縄地区のほうで入るところもやはり廃棄物の焼却ということで、そういう意味では省エネルギーがどんどん進んで、工場の出てくる廃熱が減ってきてしまうと、民間からの部分というのは自分の中だけにクローズドになる可能性はあるんですが、公共事業ですとか廃棄物関連ですとか、こういったところから出てくる熱というのはそれなりのベースがきちんと残るかなというふうには考えております。

○末吉委員長 ありがとうございました。
 じゃ、あとお一方に。ごめんなさい、じゃ、先に藤井さん、どうぞ。じゃ、いいです、お二人に伺いますからどうぞ。

○藤井委員 すみません。今の同じような質問になるんですけれども、30ページのA重油の単価のフローの比較で言えば、現状でこれを自社でやった場合のコストとどれぐらいの今経済効果なのかということと、結局これはCO2を削減できるわけですから、将来我が国でも排出権取引等が出てくれば、クレジットが多分発生するということになるわけですね。それは今後さらにこの価格よりも下がるということ、実質的にはですね。あと、このフローではそうですけれども、この設備投資、長期的なですね、この低減効果が書かれていますけれども、要するに利用者側にとっての当面の負担にはなるわけですけれども、利用者側の反応として、フローの削減と長期投資の負担と、その辺のこの利用者側の経済的な負担軽減感と負担感、これはどんな感じで今あらわれていますか。

○岩井氏 今、現状の60円でこういった移動型で熱供給事業をするということで、イニシャルの分まで含めて考えるとかなり厳しいというのが実情です。ランニングで何とかとんとんに持っていけるかいけないかというのが正直なところです。今の60円前後の価格というところです。昨年、いっとき上がった100円だともう全然万々歳だったんですが、ここにありますように、大体70円から80円ぐらいに、経済的に事業としてそれなりにメリットが出てくる利益というのはその辺の位置にあるというところでございます。
 サントリーさんなんかの定置型ですと、車で運ぶという人件費がかからないんで、これは環境省さんの補助もいただいていますが、民間の投資ベースに乗ってくる条件も当然出てくるというところでございます。サントリーさんは、そういう意味では自分たちの社内基準の投資案件の条件にぎりぎり乗るということでご採用いただいているというところでございます。

○末吉委員長 ありがとうございました。
 じゃ、筑紫さん。

○筑紫委員 どうもありがとうございました。
 23ページに納入実績で、病院の鳥取大学というのがあったので非常に興味深く思ったんですが、つまり、このごろやはり病院債というのがありまして、新しい資金、SRIというか、私どもがやっているようなことのバリエーションなんですけれども、あさひ銀行にいらしたナカイさんという女性が開発したスキームで、いろいろな病院で今実績が出ているんですが、患者さんとかそれから病院の職員の方とか、あと地域の方なんですけれども、そういう方たちがどういう医療を目指すかとか、どういう病院であってほしいかということで、それに対してその人たちがボンドという形で、1件、1人100万円ぐらいなんで、数億円ぐらい調達するというのが一番ある姿なんですけれども、非常にこれが成功していて、いつもたくさん集まるといいますか、というようなミニ公募債みたいなところもあるんですが、それができています。厚生労働省のほうでも既に認めていますし、なので、こういったものも利用されたらどうでしょうか。非常にいいと思います。

○岩井氏 ありがとうございます。
 この病院のも環境省さんの一部補助をいただいております。これは業務部門率先対策補助事業ということで、民間ですけれども、こういった病院・福祉関係のものに出せるという、これは昨年度まででございましたけれども、昨年その適用を受けて、病院サイドで申請をしていただいて、2分の1の補助をいただいて施設整備を進めております。

○末吉委員長 岩井さん、町田さん、どうもご発言、ご説明ありがとうございました。
 それから、ジャフコの外石正行さん、お待たせしました。じゃ、また15分程度でご発表をお願いいたします。

○外石氏 ジャフコの外石でございます。本日はこのような場を与えていただきましてありがとうございます。
 今日は、環境ビジネスを活性化させて環境関連に資金を呼び込むために、民間のベンチャーキャピタルの活動あるいはその発想を知っていただく機会とさせていただければなというふうに思っております。今までのお話と違って、ちょっと毛色の変わったお話になろうかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、皆さんなかなかご存じないかと思いますんで、簡単に私どもジャフコという会社のプロフィールからご説明したいと思うんですが、お手元の資料の45ページに私どもの会社の概要が記載されてございます。73年4月に設立された会社でございまして、当時の社名は日本合同ファイナンスという社名でございました。野村證券、それから当時の三和銀行、日本生命、この3社で日本にそのベンチャーキャピタルというものを設立して活動を始めようということで、合弁でスタートした会社でございます。
 その後、三和銀行さんも、それから日本生命さんも独自のベンチャーキャピタルをつくられましたんで、現時点におきましては、私どもの株主構成、右下のほうに株主構成がありますように、野村グループのベンチャーキャピタルという位置づけでありまして、今現在東証一部に上場しているベンチャーキャピタルというようなスタイルになってございます。
 私どもの実績なんですけれども、上段真ん中辺りに投資情報というのが記載されてございます。今まで累計で3,600社ほどに投資をいたしまして、その中から現時点で上場を実現された会社が859社、これは9月末の時点でございますので、現時点でもう少し上乗せはされております。ここに、皆さんのお手元にはないんですけれども、今までジャフコが投資をして上場した会社の一覧表というものが手元にありまして、私、今ぱらぱら見ていたんですけれども、時間とともに投資のその対象、そして実現する上場会社の特質なんかも変わってきたなと感慨深く今見ていたんですけれども、例えば、今それこそナショナルブランドになりましたHISとかマツモトキヨシとかヤマダ電機とかソフトバンクとか、こういうような会社も実は上場する前はジャフコが資金を投入していた会社でございます。それから、製造業でいきますと、日本電産とかロームなんていう社名もこのリストに見ることができます。
 業種的に見ますと、やはりこういった製造業だけでなく、最近ですと介護関連の会社、ちょっと前になりますとホームセンターですとか、先ほどのディスカウンターですとか、カテゴリーキラーと言われるような業態、そして消費者金融ですとか商品取引ですとか、そういったような会社にも投資をして、そういった業種の中から上場企業が出てきたというようなことでございます。なかなか一般消費者に向けた仕事ではない分だけ、社名については皆さんご存じない方も多いかと思いますけれども、未上場の段階でそれぞれの会社の成長をその資金面から支援をすると、そういう存在がベンチャーキャピタルであるというふうにご認識いただければよろしいかと思います。
 それで、今日お話しすることなんですけれども、私、ベンチャーキャピタルの一般論ではなくて、やはり一企業でありますジャフコとしての個別論としてお聞きいただければなというふうに思っています。したがって、ベンチャーキャピタルはたくさんありますけれども、業界共通に言えるものではなく、私ども、バランス型のポートフォリオというものを目指しています当社の目線でお話しさせていただくことをご了承いただければと思います。
 それでは、ベンチャーキャピタルについての概論的なところをさらっと申し上げますと、ベンチャーキャピタルというのは一言で言うとファンドでございます。言葉としてのファンドは、皆さん、ちょっと前になりますと、村上ファンドですとかハゲタカファンドですとか、少し怖い、あるいはちょっとダーティーなイメージもついてしまったかもしれませんけれども、決してそういうものばかりではございません。ファンドというその目的は、それぞれの買収であったり再生であったり、あるいはテーマを持ったエコファンドであったり、さまざまなファンドが出ています。そのファンドという名前に隠れてしまっていますけれども、実はそのファンドのお金の出し手というのは、それぞれファンドに出資者がおりまして、それが不特定多数の企業であったり、あるいは単一の企業、あるいは個人であったり、それは形態はさまざまでございます。
 私どものベンチャーキャピタルについては、ファンドの投資対象というのは未上場企業、未上場のベンチャー企業が中心であるというようなところであります。こうした投資対象になりますような会社といいますのは、当たり前の話なんですけれども、証券取引所で売買されておりません。それから、規模で見ましても、マスメディアに現れるような会社というものはほとんどありませんので、どうやって探すのかというようなことが皆さん疑問に思われるかと思うんですけれども、これは後でちょっと触れますが、それこそどぶ板を踏んで、駆けずり回って有望なベンチャー企業を日々探している、これが私どものある意味真の姿というか実情でございます。
 リスクが高く、流動性の低い金融商品、このファンドは、特にベンチャーキャピタルファンドというのはそういった金融商品ではあるんですけれども、高度な技術ですとか、それからサービスを世に問い、社会に貢献したいという志の高いアントレプレナーに資金を提供するという非常に有意義なマネーがベンチャーキャピタルの資金でございます。当然、無担保、無保証でエクイティーに投資するというのが原則でありますんで、なかなか接する機会はないかと思いますけれども、そういう機関が存在するんだというようなことをちょっと頭に入れていただければなと思います。
 それでは、私どものファンドについては、どういう構成になっているのかというのをちょっと資料に沿ってご説明をさせていただきます。通しナンバーでいきますと39ページ、私の資料でいきますと2ページの資料をご覧ください。ここにファンドの出資者構成の推移というのがございますけれども、一番右のSV3というファンドをご覧ください。これは、現在私どもが運用中のファンドでございます。ここに数字がありますように、外部から888億集め、我々の自己資金を加えて、1,485億で設立したファンドが今現在運用中のファンドでございます。
 この出資者を属性別に色分けしましたものがこの円グラフでございます。ご覧いただきますように、この顔ぶれというのは日本を代表するぴかぴかの機関投資家はもちろんなんですけれども、最近は事業会社の出資者が増えてまいりまして、ここで事業法人と書いてあります31%金額ベースで私どものファンドに出資されているというようなところが特徴的なものでございます。この事業会社さんがベンチャーキャピタルファンドに出資するという目的なんですけれども、これはベンチャーキャピタルが見つけた有望なベンチャー企業の情報をいち早く握りたいんだと。そして、自社と関わりのある会社を発掘して、戦略的にいろいろとつき合っていきましょうというような意向が非常に強うございます。
 また、最近の関心分野としては、今日のテーマにありますように、環境ですとかクリーンテック、こういった言葉を掲げる会社が多くなってきまして、この事業会社の出資者は私どもに、投資先はもちろんなんですけれども、投資前の発掘段階の情報でも構わないから、そういった該当するような企業をどんどん持ってきてほしい、紹介してほしいというようなリクエストが届きます。
 それから、我々、投資した会社の成長を支援するためにさまざまな大企業さんとのビジネスマッチングなんかも企画をしているんですけれども、商社さんなどはこの分野にプロジェクトチームをつくって積極的に投資をしておりまして、我々とも定期的に情報交換を行っております。それだけ環境というのは今ベンチャーキャピタルでも投資の大きなテーマになっているんだというようにお考えいただいてよろしいかと思います。
 それから、累計のページでいきますと40ページになりますけれども、じゃ、我々の投資活動をもう少しご紹介いたしますと、集めたお金をどういうふうに振り向けているのかというようなことで、これを成長のステージ別、業種別、地域別でまた円グラフにしてございます。特に真ん中の業種別にご注目いただきたいんですけれども、私どもが運用しているファンドというのは、先ほど1,485億というふうに割と巨大なファンドを運用しております。それを特定の業種だけに特化して投資をするというんではなくて、幅広くさまざまな業種に分散投資をしてパフォーマンスを上げるということを考えております。ですから、エレクトロニクス、ソフトウエア、ITサービス、これをひっくるめれば我々IT関連と呼んでいますけれども、そういったIT関連、それからバイオ、サービス、さまざまな業種に偏ることなく満遍なく投資をしているというのが実情でございます。
 そして、環境はどうなのかというようなことなんですけれども、環境というくくりで業種を区切っておりませんが、例えばエレクトロニクスであったりサービスであったり、またはITサービスの中にも環境というような切り口でビジネスを行っている会社がございます。そういうものも別の視点でもって集計いたしますと、現在運用しているファンドの約3割ぐらいは環境関連というふうにも言えるのかなと。これは歴史的に見ましても、ジャフコの投資先の業種分類の中で、これだけ環境に投資をしてきたというのは直近のファンドが際立っているのかなというふうに感じております。
 ただ、経験論から申しまして、実はその環境銘柄というのはファンドとしてはどうだったのかということ率直に申しますと、過去あまり正直言って儲かりませんでした。それから、意外と投資する前のデューデリ、それから投資した後わかったことを含めますと、実はまがいものが多いのもこのセクターの特徴でもあります。そして、投資した後、成長させ、IPOを実現させる、あるいは別の事業会社さんなんかにトレードセールスでエグジットを迎えるということを考えるわけですけれども、時間がかかります。特に、一言で言ってしまいますと、お金と時間がかかる割に今まであんまり儲かってこなかったというのがこの環境関連の投資で言えることであります。
 ただ、今までの環境というくくりでの我々の投資の実績と、それから現在、そして今後の環境というものは少し視点を変えて見ております。我々は今までのこうした経験を踏まえて、現在、慎重かつ大胆に投資をしています。実際に、社内にクリーンテックプロジェクトという全社横断的な組織、投資推進組織を設けて、全社に号令をかけて、日本で生まれるこの環境クリーンテック、こういったものに該当するようなベンチャーは総ざらえしてまず情報を集めましょうと、当然未上場の会社なんですけれども。集めてきたその情報の中から精査して、投資を実行してきた結果、先ほど申し上げましたように現在運用中のファンドでは、環境関連というふうなくくりでいきますと、3割ぐらいが積み上がってきたなというのが現時点の途中経過でございます。
 例えば、お金がかかる、そして我々ベンチャーキャピタルもそうなんですけれども、あるいは日本のこういった環境に興味を持たれているインベスター、あるいは実際の事業会社さん、どういうふうな苦労をされているかということをちょっとここで紹介させていただきますと、一例で言いますと、太陽光の発電用の単結晶シリコンウエハーの製造では世界的なメーカーが日本にございまして、実はこれは未上場企業で、一言で言うとベンチャーであったんですね。ただ、設備投資につきましては、とてもベンチャーと言えないぐらいの巨額な設備投資金額がかかります。何百億というような工場が必要になったりするわけですね。そうすると、日本の金融機関ですとかあるいはその取引先、我々のようなインベスター含めて、やっぱりリスクも高いし、どうやって回収、キャピタルゲインを得るのかということを考えるとなかなかちゅうちょしてしまいます。
 そうしたちゅうちょしている中、ある会社は、台湾の液晶メーカーさんが1億ドル以上の金額をつぎ込んで傘下におさめてしまったと。我々が指をくわえて見ている間に、外国の会社が日本のベンチャーに入ってきて傘下におさめたと。これなんかは、国内のベンチャーキャピタルとしてはじくじたる思いがございます。収益化するまでの期間が長くて、投資額が大きくなりますクリーンエネルギー関連のベンチャーの投資というものは、似たようなケースでいきますと、バイオなんかに通じるものがあるんですね。ほんの数億入れて、立ち上がりが早く、身軽に上場していくようなITベンチャーとは違って、やはり目ききも必要になりますし、時間のコントロール、それから収益化に対するきちっとしたロードマップ、こういったものが非常に見通しにくいのも環境関連のベンチャーなのかなというふうに感じているところでございます。
 期待されるリスクマネーを支える施策という点では、我々どんなことを感じているのかということをこれから申し上げますと、例えばアメリカなんかでは、ベンチャー投資に関して創業時にはエンジェルと呼ばれる資金の出し手があります、これはメーンは個人なんですけれども。それを引き継ぐベンチャーキャピタル、さらには国の支援などがあって、ベンチャーを育てる土壌が整備されている一方で、日本ではまだリスクマネーを提供できる仕組みがまだまだ足りないかなというふうに感じています。この部分を国家戦略的な視点から支える仕組みがもっともっとあっていいんじゃないのかなと。
 例えば、基礎研究レベルから事業化に至るプロセスへ資金を提供するようなもの、そう言ってしまうと割とばらまき的なお金の使い方になってしまうというリスクもあろうかと思うんですけれども、ここの部分については我々のような民間のベンチャーキャピタルの目きき機能を利用していただくというものも一つの方法かなと。あるいは、できるかどうかはわかりませんけれども、例えば環境省の認定の企業に対して投資をVCが行った場合、もしそれが失敗した場合、損失額の一定部分を補てんされるというような制度があれば、もっともっと果敢に投資をしていけるのかなというふうに考えています。
 もう一つ申し上げると、国ですとかあるいは自治体でも構わないんですけれども、民間のベンチャーキャピタルファンドに積極的に資金を投入していただく、こんなことも環境関連、社会を変えてしまうような技術を生むようなところ、あるいは巨大な設備投資をするようなベンチャーに資金をスムーズに提供するということを考えたときには、そういったお金の入れ方ということが考えられるのかなと思っております。
 現時点のベンチャーキャピタルの環境を申し上げますと、実はリーマンショック以降、お金が民間ベンチャーキャピタルにはなかなか集まっておりません。幸い、私どもの今運用しているファンドはリーマンショックの前に設立されておりますので、幸か不幸かジャフコは極めて恵まれた状態で潤沢な資金はあるんですけれども、投資に関しては一社単独で行うというんではなくて、いろいろなインベスターを募って投資をするケースがほとんどです。そうしますと、ほかのVCさんがなかなか思い切った投資ができないというのが今ベンチャー投資の現場で発生しているところであります。共同で思い切った投資ができるように、資金量を持ったベンチャーキャピタルがもう少し出てくると、我々も思い切った投資がしやすくなってくるのかなというふうに感じております。
 それから、最近の代表的な組み入れ銘柄につきましては、どんなところに投資しているのかということをちょっとその業種だけ申し上げておきますと、例えば風力発電の会社、それから太陽光発電関連、定置型のリチウムイオンの電池開発の会社、それからちょっと軽目の会社で言いますと、排出権の取引であるとか、排出量の認証会社なんかにも投資をしています。あと、これは広義の環境という点でとらえますと、夢の新素材、こういうようなものを開発している大学発ベンチャーなんかが出てきています。木くずとプラスチックをまぜて、再生可能な素材をつくったり、それからクモの糸を人工的につくってしまうという、これはもう本当に宇宙産業で使われる素材にもひょっとしたらできるかもしれない。こんなような世界を変えてしまうような技術、こういったものが少しずつではあるんですけれども、投資の現場で現れてきているかなというふうに考えております。
 今日はちょっとベンチャーキャピタルの活動の一端だけをご紹介いたしました。リスクマネーを提供する機関としてこういうような機関が存在するというようなことだけお耳に入れればなというふうに考えております。
 ありがとうございました。

○末吉委員長 外石さん、ありがとうございました。
 ベンチャーキャピタルのメッカであるシリコンバレーが今やソーラーバレーとかグリーンバレーと呼ばれるという時代になっております。少しここで委員の皆さんから何かご意見、コメントをいただければ。
 じゃ、水口先生。

○水口委員 ありがとうございました。
 ベンチャー資金というんでしょうか、リスクマネーが必要だというのは全くそのとおりだと思いますので、その意味では大変賛同いたします。
 質問が幾つかあるんですけれども、1つは、かつての環境銘柄はうまくいかなかったということで、それは何でなのかなという、もしその理由がわかれば聞きたいというのと、それが1点目です。
 2点目は、今の環境銘柄は違うんだということなんだと思うんですけれども、どこが昔とは違うのかというのが2点目です。
 3点目は、そのベンチャーキャピタル、ただ国がベンチャーキャピタルのリスクを保証するというんでしょうか、つまり、もし失敗した場合に一定程度は国が保証するというのはどうかというアイデアがあったと思うんですけれども、私、これはちょっとはてなと思いまして、ベンチャーキャピタルだからこそ技術の目ききができるのであって、ベンチャーキャピタルで目ききのできない部分を果たして国が目ききできるのかと思うと、やはりそれは逆なのではないかと。マーケットがやるべきなのではないかという感じがする。しかし、そうだとすると、それではこのリスクマネーを増やす方法としてほかに何があるんだろうかというのが課題だと思うんです。アメリカではなぜリスクマネーが集まるのに、なぜ日本には同じようにマーケットの仕組みでリスクマネーが集まらないのかについてもお考えいただければと思います。

○外石氏 お答えします。
 質問が4点ほどあって、1つずつ的確に答えられるかどうかわからないんですけれども、まず1つ目の、どうして失敗したのかということなんですけれども、これは全般的に申し上げるよりも結局個別個別のお話になってしまいます。例えば一例で、廃棄物の処理というようなところで申し上げますと、この廃棄物処理というのは静脈産業として社会では必要であることには違いないんですけれども、このビジネスに関して申し上げますと、結構ジャフコも80年代後半から90年代頭にかけて投資を幾つかしてまいりました。ただ、やはり我々の出口というところを考えますと、当時はもうほとんどがIPOというような出口が中心だったわけですね。そうすると、IPOできるかできないかというところがサクセスの大きな分かれ道になるわけです。
 日本の上場制度というのは、なかなか一定の形式基準のみでもって上場できるわけではございません。さまざまな観点から社会的な意義も含めたところで判断され、実は事業者の個別個別の属性を含めて審査をされるというようなこともあって、なかなか上場できないようなケースがございまして、結局我々ファンドというのは10年のタームでもって最終的には清算、解散をいたします。10年間で上場できなければ、残高で持っている株式については結局どこかに売らなければならない、あるいはその社長に買い戻しをしなければならない。十分なキャピタルゲインが得られるような状態でエグジットを迎えるということができない中で、幾つかそういった未上場のままお戻しをしたというようなことを繰り返しておりましたんで、まずIPOマーケットで受け入れられるタイミングの見誤りというものが結構あったかなというような気がいたします。
 それから、じゃ、今までの環境ビジネスと今後の我々が投資対象としているビジネスとどこが違うのかというと、環境の定義といいますか、投資対象になってくるような領域がかなり広がったかなというふうに感じています。それと、アメリカのオバマ大統領の掲げたグリーンニューディールにもありますように、市場の期待というものも非常に大きくなってきているのも事実です。そしてイノベーション、これも10年前に比べると、さまざまな形でもって果敢にチャレンジをするような会社が出てきています。そういう意味では、我々はこの環境というものについても有望な投資エリアだというふうな認識を持って実行しているということでございます。
 それから、国の保証というのは、これはあくまでも本当に我々、クリーンテックプロジェクトというジャフコの社内横断的なプロジェクトの中で、まだ本当に思いつきベースで勝手に議論している話でございます。すぐにそういったものができるかどうかというようなこととは別にして、やはり本当に大きな資金を投入せざるを得ないようなときに、一定の何か基準を満たした会社であれば、これは国家の戦略、そして国富として有意義な可能性があるんであれば、そういった認定のもとに投資促進というような制度があったら、もう少し違った判断もしやすくなるんじゃないのかなというふうに感じております。
 それから、最後のリスクマネーの生成あるいは環境なんですけれども、アメリカには層の厚いエンジェル層というのがいます。成功したアントレプレナーはある意味莫大なお金を手にして、それを次世代のアントレプレナーに供給、提供することがある意味定着をし、またそれが尊敬をされるというふうな風土がございます。一方で、日本の場合、ベンチャーを立ち上げて、そして成功してキャピタルゲイン、創業者利潤を取ると、やっぱりまだまだやっかみと足を引っ張られる部分がどうしてもあるのかなと。個人のエンジェルというのがなかなか尊敬されるというよりも、ねたまれたりやっかまれたり、あんまり目立たないように目立たないようにどうしても皆さんしがちであります。そんなところがまず一つ層の厚さではあるのかなと思います。
 それと、企業の立場からすると、我々そのファンドを創成する際にいろいろな機関投資家さんや事業会社さんを回るんですけれども、やはりベンチャーキャピタルのファンドの特性上は通常の投資信託と違って流動性がないんですね。したがって、いつでも解約できて現金化できるというようなものではないものですから、事業会社さんも出資するに当たっては、余資運用ということよりも単純に戦略的な情報収集という観点で出してくるケースが多い。そういうニーズがないと、なかなか気軽にVCファンドに出資しようというところまでは至らないのかなというふうに感じています。一部、エンジェル税制ですとか何かというのはありますけれども、これについてはこの運用上まだまだ非常に煩雑なところがあって、個人のお金を集める制度にまではまだ成熟しておりません。
 一方、法人に際しても、流動性がなく、特にベンチャー基金というのは投資組み入れをしてから一定期間は、投資活動をしている間というのはなかなかリターンがないわけですね。投資が終了して1年ぐらいたってきて初めて早いところが上場したり売却できたりしてキャピタルゲインが発生するんですけれども、タイムラグというか時間差があって、我々、専門用語でJカーブと呼んでいるんですけれども、時間軸とそれからその純資産の増加額を縦軸にした場合に、最初のところでちょっと沈み込みがあります。そうすると、企業のほうでもそれを評価損を立てなければいけない、こんなようなこともありますので、なかなか大胆に資金を入れづらいというようなところはあるのかなと思います。この辺りは、我々なるべくファンドのパフォーマンスを上げるように努力をしながら、安心して入れていただけるようなところというのは我々サイドの努力も必要なのかなというふうには思っております。
 以上です。

○末吉委員長 外石さん、ありがとうございました。
 実は、もう一方発表をお願いしておりまして、すみません、ちょっと先へ進みたいんですけれども。簡単に、じゃ、はい。

○崎田委員 すみません、ありがとうございます。
 先ほど伺いましたジャフコさんのような投資集団が、日本にもう少し、すばらしいこういう集団が増えていって、特に環境分野のベンチャーに対して投資をして活性化するという、そういう方向になればいいなと期待をしています。先ほどお話をされたように、いい技術でもちゅうちょしている間に外国から契約の話が来たと、実はそういうようなお話を割によく聞くものですから、その辺のところをどういうふうにしたら早くできるのかと、やっぱりそういうところをきちんと考えていったほうがいいんじゃないかと感じています。
 それで、私は環境ビジネスで起業しようという、全国のいろんな人たちの新しい芽を発掘するためのビジネスコンテストの主催の一角に入っております。そういう中で、やはり何が問題なのかをぜひお話しいただければありがたいんですけれども、例えばそういう技術の方向性を担保するような情報とか、また、そこの技術とかアイデアをどう評価するかという評価システムの基本的なところがもうちょっとしっかりあればいいとか、やはりその辺の問題もあるんじゃないかと思うんです。
 それとか、そういう新しいベンチャーの情報がきちんとキャッチできるような場づくりとか、やはりそういうベンチャーキャピタルの投資市場みたいなものをはっきりつくるという方向性が必要なんじゃないかと常々感じているんですが、その辺に関して必要な要素を明確にお話しいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

○外石氏 私どもジャフコはエリアマネジメントをしいておりまして、約100名強の投資を担当する人間が、北海道、それから中部、関西、九州というふうなところに配置されております。まず、それぞれの担当エリアの中で発生する新規起業家、新規ビジネス、こういったものに関しては割ときめ細かく見ているつもりではあるんですけれども、何分人数が限られておりますんで、じゃ、十分キャッチできているかというとまだまだ足りない部分はございます。
 そしてもう一つ、大学とかあるいは国の研究機関から出てくるようなベンチャーについても、専門の、この辺については担当の投資部門を設けて日々発掘はしているんですけれども、これも限界というのがあるのかなと思います。ただ、今ご指摘にありましたように、それぞれのエリアで起業家がどんどん出てくるようなそういった場というものについては、我々もなるべく参加するようにしてはいるんですけれども、十分ではないのかなと。これは我々の課題として受け止めさせていただければなというふうに考えております。
 ただ、日々投資活動を行っているだけじゃなくて、実はいろいろなところから電話あるいはメールが来まして、こういうことを考えているんだけれども、お金を出してもらえませんかというのが来ます。ただ、残念ながら、申し込まれてきた方々の事業計画、ビジネスプランを見る限りにおいては、とてもではないけれども、投資をできるようなレベルに達していない。したがって、アイデアをいかにお金にかえていくのかというようなところについては、むしろ我々のほうがもう少し皆さんにわかりやすくメッセージをして、ビジネスプランのつくり方、マーケットにどうやって入っていくのかというようなことについては啓蒙を逆にしていかなければならないなと思います。
 割と、安易にお金を出してくれるんじゃないかなというようなことで来るんですけれども、我々、持ち込まれた案件でその投資をしたということはほとんどケースがない、少ないですね。やはりどぶ板を踏んで、頑固な経営者を口説いて、そして投資をする、そのほうがサクセスの比率というのは高いなというのが経験則ではございます。

○末吉委員長 どうも、外石さん、ありがとうございました。
 じゃ、竹ヶ原さんから、この環境関連ビジネスをどうやって増やしていくのか、拡大するのか、特に金融の仕組みや政策のあり方についてお話をいただきたいと思います。

○竹ヶ原委員 ありがとうございます。ちょっと時間も押していますので、早速入らせていただきます。
 今、多岐にわたるご講演をいただきましたので、なるべく反映しながらと思っておりますが、通し番号で48ページからです。今日、私のほうからは、次回以降の議論にもつなげる意味で、環境金融の果たすべき役割というものを今伺った話なんかもリファーしながらご説明したいと思っています。一応キーワードとして効率性というものを持ってきました。今、やりとりを伺っていて、多分この設定は間違っていなかったかなという印象を持っております。やっぱり資本の論理と環境を保全したいという思いとがどうしてもせめぎ合うのがこの点だと思います。
 それでは、環境金融を考える上でまず歴史をひもときたいんですが、49ページですね。これ、日本の環境金融の歴史ということで、若干手前みそですが、私どもDBJ、旧開銀の出融資の歴史を見たものです。下の縦棒グラフを見ていただきますと、ある程度トレンドが見ていただけると思いますが、一応過去40年にわたって3兆円程度環境分野で、これは狭義の環境分野の制度融資ということでお金を出していますが、一つのピークが70年代だったのはご覧いただけるとおりであります。これはまさに激甚な産業公害の時代で、このときの汚染者負担原則で規制を強化して、そこで行われるエンド・オブ・パイプの投資に政策金融を始めファイナンスで支援するというモデル、これが世界的にもある意味で評価された日本の公害対策だったわけであります。ここで一度、日本は環境金融を活用した歴史があるわけですね。
 ところが、時代が変わって、ページをおめくりいただいて、現在の問題は全く違うものであります。それはこの委員会のメーンテーマ、温室効果ガスを25%落とすためにどうすればいいのかという話です。これは固定排出源の公害問題とは異質な問題です。これはもう皆さんには釈迦に説法もいいところですけれども、これをやるためにはいろんな政策の組み合わせの選択になります。再生可能エネルギーも必要、原子力も必要、各セクターの伝統的な省エネも必要ですし、当然CDM、JIAを含めたクレジットも重要です。このバランスをどうとるかというのは政策の判断だと思うんですが、どういうバランスをとるにせよ、これらは、分解していくと最終的に個別のプロジェクトに還元されてきます。このプロジェクトをいかに加速して実現するか、それもなるべく財政負担の少ない仕組みで実現していくか、というのが期待されているわけです。
 さらに、温室効果ガスの排出というのはニアリーイコール経済成長ということになりますので、単純に「減らす」ことが自己目的になってはおかしいわけでありまして、この右側にあるようにもうちょっと複合的な視点、つまり雇用であるとか国際競争力であるとかエネルギーセキュリティー、こういうものと一体でやっていかなきゃいかんと。この辺はもう私が申し上げる話でもなく、皆さん共有で持っていらっしゃる認識です。
 問題は、ここで金融というものがどういう役割を果たせるのか、これが主題だと思うんですね。下のページ、51ページにいっていただいて、若干教科書的な整理で頭の整理をしておきますと、環境問題というのは市場の失敗だとされます。その市場の失敗を是正するためには、大きく分けて規制的な手法と経済的な手法があるけれども、効率的な意味で経済的手法に軍配が上がる。これは教科書に書いてある話であります。
 ただ、一言で経済的な手法といっても、これは税もあれば、課徴金もあれば、補助金もあれば、排出量取引もあり、いろんな選択肢がある。その中で、金融にフォーカスされる理由の一つというのは、やはり極めて効率的な金融市場というものが使えるからだろうということだと思うんですね。では、この金融市場というものの効率性を使って、どうやって環境問題を解決していくのか、そのために各金融機関に何ができるのかが論点なわけです。
 ここでちょっと効率性という言葉にこだわってみたいんです。52ページをご覧いただきたいのですが、一応腰だめで定義をします。環境金融の役割として、「適切な誘因で、金融市場というものを通じて、家計とか企業の行動を環境配慮に変えていくこと」だととりあえず考えてみたいと思います。ここで、やはりポイントになるのは「金融市場を使う」ということです。すなわち、その意味は金融市場の効率性を活用したいということだと。
 ここにいらっしゃる方々にとっては、どちらかというと、効率というと「環境効率」という用語が頭に浮かんでしまうと思うのですが、一般にファイナンスの世界でいう効率性はそれとは意味が違います。マーケットというのはあらゆる情報を既に織り込んでいる。だから、マーケットの価格を信用すればそれでいいんだ、というのが真の意味での効率性ですね。もし金融市場がそういう意味で真の効率的なものであるならば、そもそもこの場で議論しているように、環境というものだけを個別に取り出して議論する必要などないわけです。企業が環境対策をきちんと実施しておれば、それはもう資本コストの低減という形で株価なり調達レートなりに反映されているはずです。ですから、まさにジャフコの方がおっしゃったように、むしろパフォーマンスのいい会社を選んで適切にリスクマネーを流せば、結果的にそれが環境対策になるはずですし、それはある意味で理想の姿でありますね。ただ、現実がそうなっていないのは事実でありまして、じゃ、そこをどう補正していくのかという議論だと思います。
 ここでちょっと古典の例を引っ張ってきたんですけれども、53ページ、ご存じの方は、すみません、聞き流していただければと思いますが、持続可能な消費というものを考えてみましょうという話です。例えば貯金を考えていただいて、元本を減らさずに安定的に生活しようと思ったら、利息の範囲内で食っていくのが一番理想的です。説例が古いので、欧米人が書いていながら、ここではシロナガスクジラが預金になっています。7万5,000頭シロナガスクジラがいて、年間再生産されるのが2,000頭であると。持続可能な消費というのはこの2,000頭の中で食べていくことであり、そうすると、年間の市場価格で算出される収入というのは2,000万ドルになると。ところが、この7万5,000頭を今の段階で全部捕獲してマーケットで売りますと、キャッシュで7億5,000万ドル入ります。この7億5,000万ドルのキャッシュを5%で運用すると、年間収入が3,750万ドル。単純に効率性だけで追求すれば、どっちがいいかといえば後者が選択されてしまうんですね。これが資本の論理です。ここで抜けているのは、その結果、損失が生じる、生物の多様性なのか気候変動なのかわかりませんが、環境という要素です。この部分が入っていないからこういうことになると。この種の指摘はもう10年以上前になされています。
 次のページをおめくりいただいて54ページです。これはちょっと長いので割愛しますが、お時間のあるときにご覧いただければと思いますが、WBCSDが96年に出した本のなかに、金融市場というのが実は持続可能性と相入れないところがあるんだよという問題提起がなされています。2つだけ見ていただくと、2番ですね、環境効率を重視した経営というのは、実は将来的な発展可能性を選択するから、そうでない会社に比べて現在の収益は若干見劣りすると。つまり、外部性がある事業をやっているので、単純に利回りで見れば、環境に配慮していない企業よりも悪く見えるということです。
 6番、それを是正しようと思っても、実は金融市場には十分な情報が伝わっていないね、と。実は、これは今でも通用する議論だと思うんですね。つまり、マーケットというのが本来持っている効率性を発揮するのに十分な、環境に関わる情報というのがやっぱりまだまだ入っていないと。ここをどうやって補正していくか。金融機関に何ができるか、というところにフォーカスしたいと思います。ここで、だからまだまだ市場は、そういう意味で環境効率まで含めるほど効率的じゃないので、正しい選択をするために補正する必要があるだろうと。いろんな切り口があると思いますが、ここで2つ切り口を用意しました。
 1つは、環境ビジネスをどう見ていくかという点です。基本的に、先ほどのジャフコの方のご説明もそうだと思うんですけれども、結局、金融の判断基準というのは将来生まれてくる収益を予測して、それを現在の価値に換算して、それでいけるかいけないかを判断するということです。これは別に対象が環境であってもそうでなくても同じです。条件を満たせばファイナンスはつくし、満たさなければつかないということですね。割り切った言い方をしてしまえば、貸せるものは貸せるし、貸せないものは貸せないという論理になってしまう。ただし、それは、予測された将来のキャッシュフロー、期待利回りなんかが環境の要素なども全て織り込んでいれば、ということです。そこは多分、織り込めていないわけですから、やっぱり補正は必要なわけですね。
 次のページにいっていただいて、では、この点に関して金融機関は何ができるかです。まず、当然の対応として、自ら主体的にそうした環境関連のリスクをきちんと将来予測に反映しようとする努力があります。エクエータ-原則によるリスクヘッジでありますとか、そういった取組というのは金融機関自らが担うリスクヘッジの典型例だと思います。
 では、こうした取り組みを通じて織り込もうとしている環境プロジェクトに固有のリスクとはどのようなものでしょうか。色々な見方があると思いますが、その一つは環境ビジネスの多くがバックストップテクノロジーの性格を有していることによるリスク-期待収益のブレ-の大きさだと思います。先ほど三機工業様のご説明でも指摘がありましたが、やはり原油価格によって省エネ投資の経済性は大きく変わります。原油価格がジェットコースターのように極端な上下動を繰り返しますと、この市場リスクが増幅されて反映される環境ビジネスのリスクを負うのは難しくなってきます。前回、伊東委員のご説明にもありましたが、廃棄物リサイクル政策の動向によっては、同じようにリサイクル産業が価格競争力を失って立ち行かなくなることがあります。この辺はまさに環境ビジネス固有のリスクであります。こうしたリスクも含めて、ファイナンスの世界では、一つ一つ契約等で補正しながらプロジェクトを仕上げていくわけですが、どうしても時間と手間がかかるし、知恵を尽くしても出せないものは出せないという話になってしまうわけです。
 つまり、申し上げたのは、環境ビジネスを短期間に一気に拡大しようということで、こうしたリスクを補正する場合、必要になるのは政策なんだろうという点です。先ほど来、皆さんのお話でも随所でこの点が指摘されていたと思います。例えば、今まさに議論されております再生可能エネルギーの固定買い取り制度、フィードインタリフ、これが入るだけで再生可能エネルギーの将来キャッシュフローは一気に安定します。そうすると、金融市場から見ても投資対象たるものに見えてくるわけですね。同様に、拡大生産者責任というのを徹底して、リサイクルビジネスの集荷リスクを低減してあげれば、これだけでやっぱり金融市場というのはそこに目をつけて、投資の資金を回してくるわけです。ですから、金融市場を使って環境ビジネスをどんどん拡大していこうという場合、金融機関自身の取組もありますし、ある意味では、今申し上げた点をきちんと問題点として把握して提言していくということも含めて金融機関が果たせる役割は小さくないとは思いますが、どちらかというと政策に対する期待が高くなる領域なんじゃないかと思うんですね。金融機関の役割としては、やはり副次的なものという印象があります。
 効率性の補正の2点目が次のページであります。要するに市場が効率であれば、そもそも環境に配慮した経営というのがちゃんと価格に反映されて会社がメリットがあると、そういう展開になるわけですけれども、それがなっていないので、ここをどうやって補正できるかという話です。さっきも似たような話が出ておりましたが、恐らく対比すべきは研究開発投資だと思います。製薬会社やIT産業のすぐれた会社が研究開発投資を積極的に進めている場合、コスト増となって、短期的な収益で見ればむしろマイナスですが、プロの投資家の方がこれを忌避するかいえば、そうではないはずです。反対に、研究開発を怠り、パイプラインが細くなっていくような会社は恐らく投資対象にならないでしょう。同じことは、環境対策についてもいえるはずですが、現在同じような流れができているかというと、多分今はできていないんですね。環境にコストをかければかけるほど、下手すると投資対象から外れかねない話があるわけです。ここの補正が必要だということです。
 次のページにいっていただいて、恐らく、これは私見ですが、環境金融の本質というのは、この部分の補正にこそあるんだろうと思うんですね。企業がやっている環境に対する取組というのをきちんと評価して、これをまさにモニタリングしてマーケットに伝えていってあげる。その結果、正しいお金の流れ、環境に配慮すればきちんとしたお金が流れていくと。そういう仕組みをつくっていく、その能力というのは、実は金融機関というのは非常に持っているんだと思います。
 実際、その下の59ページですが、CO2の削減というと、エネルギー転換など大規模な投資はいろんな象徴的な例がありますけれども、これも皆さんご存じのとおり、大部分の企業で行われているCO2の削減というのはむしろコスト削減との表裏一体的な地味なものです。例えば歩留まりの改善。不良品をつくって大量の廃棄物を出す、これはエネルギーを大量に使用して廃棄物を生産することになる最悪の状態です。歩留まりを着実に改善していくこと、そして電力やエアなどの無駄を排除していくこと、段取りを変える、物流効率を改善する、廃棄物の発生を削減することなどなど、こうした、いわばコスト削減と表裏一体になった取組が実は環境経営そのものだったりするわけです。つまり、生産性の改善ニアリーイコールCO2の削減であると言ってもよろしいかもしれません。
 問題は、こうした取り組みを進めている会社に、その意識がなかったりするんですね。さっき、冒頭日商の方のご説明にありました、環境は大事だと思っているけれども、やれていることは少ないと。このギャップの中には、本当のギャップもあるんでしょうけれども、実は気づいていないだけというところもあるはずです。この辺をきちんと金融の世界の人間が意味づけをしてあげて、モニタリングしてあげられるかどうか、背中を押してあげられるかどうか、ここが私は環境金融の肝なんだと思います。
 60ページをご覧いただきますと、これはJABのアンケート結果なんですけれども、あなたは何でEMSをやっていますかという取得動機です。ご覧いただくとおり、企業規模が小さくなればなるほど、取引先から言われてやっているんだよというケースが多いんですね。こういう会社こそ実はやっていることはすごく立派なんですが、自身が環境経営をやっているという意識がなかったりする。ここにちゃんと意味づけ、動機づけをして、先ほど話にも出ていました、環境省の例えば利子補給制度であるとか、こういう経済的なインセンティブにちゃんとつないでいってやれるのは誰かといいますと、これは日々会社を訪問したり、社長さんと対話している金融機関だったりするわけです。ですから、こういう環境力をどんどん評価して、ニーズに結びつけてあげる努力、これが多分どんどん問われてくるんだろうと考えている次第であります。
 もちろん、61ページにあるように、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトですとか資産除去債務ですとか、環境経営の「見える化」というのはどんどん進んでいますけれども、大体世の中よくしたもので、「見える化」が進めば進むほど、見えないところとか見せたがらないところが気になるわけでありまして、ここがきちんと評価できるかどうかが多分肝になってくるんだろうということでもあります。
 手前味噌の話ですけれども、そういう問題意識で、次のページ62ページですが、当行では環境格付というものをこの6年ほど走らせております。これは、まさにそういった企業の環境への取組というのをできるだけ、しょせん銀行員という立場ではありますが、きちんと評価して、マーケットに伝えてあげたいという意識です。
 63ページにロゴマークがありますけれども、こういうものをつけて出すということ自体が一つのシグナリング効果になるんだろうということですね。さっき、国内CDMをどんどん活用しようというお話がありましたけれども、これもそうだと思います。国内CDMで大企業の技術を使って省エネができた、この事実が世間に出るということ自体、その中小企業の環境経営に対するシグナリング効果があると思うんです。方法は別にこれに限った話じゃないんですが、そういう情報をきちんと酌み上げて、どんどんマーケットにほうり込んでいくことがすごく大事なんだろうということです。
 64、65は実績を見たものです。この厳しい経済情勢下の中、むしろこんな面倒な制度が実績を伸ばしているという事実、加えてむしろ強調したいのは65ページでありまして、私どもだけが勝手にやっている話ではなく、実際にこの制度を使って民間金融の方とご一緒できる金額がすごく増えているんですね。日本は間接金融主体だから駄目だという議論がよくありますが、間接金融の一つのよさはモニタリングが効くということです。モニタリングをちゃんと効かせる間接金融の世界でこれだけ環境金融がどんどん広がっているというのは、またこの時代、新しい時代に即した、かつての産業公害の時代と違った意味で環境金融が広がっている一つの現れだろうという印象を持っております。
 最後のページは、実はこれを地域ベースでもう少し拡大したいと思っておりまして、幾つかの地銀さんに我々の持っているこういったノウハウといいますかスキルを紹介して、地域版、ご当地版の環境格付をつくって、今、地場で、全く気づいていない中小企業をもっと拾い上げて、光を当ててもらおうという取組を進めています。これもさっきお話が出ていましたが、そういった地域金融機関さんは当然都道府県ともつながっていますから、都道府県の信用保証でありますとか低利融資ですとか、この辺の制度融資と結びつけて独自の商品展開を図ろうとしています。こうやって環境金融の担い手の幅と広さをどんどん広げていって、草の根レベルでも中小企業の取組を拾っていけるようになれば、随分お金の流れが変わってくるんじゃないかという印象を持っております。
 最後、次回、今後の議論に向けての問題提起でございます。ちょっと私のご説明、組織の限界から本当はこの話、調達と運用と両方やらなきゃいけないんですが、調達の議論ができないものですから、むしろ今後の議論としてやっぱり調達へのインセンティブづけ、要するにエコ預金みたいな話と最後のエコ融資みたいな話をどう連動していくかというご議論をぜひお願いしたいという話と、あえて議論しませんでしたが、環境格付融資みたいなもの、大体これは値引くと、何ベース割り引きますというのが通例の姿ですが、何で値引くのかというところもやっぱりちゃんと議論が必要かなと。現状の理解は、環境リスクを企業が開示してくれることに対するプレミアムというふうに整理していますが、これはひょっとしたら、環境経営をちゃんとやれていることに対する合理的な資本コストの低減かもしれなくて、このところをきちんと整理していきたい、今後の議論の中でと思っています。
 この点をきちんと詰めていくと、冒頭、この第1回目でもご議論になっていましたが、例の環境経営と信用力あるいは成長力ですか、この何となく緩い、相関関係はありそうだけれども、本当に因果関係があるのかという神学論争も少し結論が見えてくるんじゃないかと考えている次第であります。
 ちょっと時間オーバーしまして申し訳ありません。以上でございます。

○末吉委員長 どうも、竹ヶ原さん、ありがとうございました。お陰様で大変頭の中がすっきりいたしました。
 本来であれば11時30分に終わる予定だったんですけれども、会場の皆さんを含めて申し訳ありません、45分まで時間を延長いたします。ということは、あと数分しか時間がないわけでありまして、そこで私の勝手なお願いなんですけれども、本郷委員、何かご意見いただけないでしょうか。

○本郷委員 今日は、皆さん大変貴重な話ありがとうございました。
 私が感じているのは、中小企業の環境の問題をちょっと考えていまして、それでうちのお客さんをこの前調べてみたら、かなり環境関連の中小企業が増えているんですね、お客さんで。大きいのは風力とかそういうやつもありますけれども、もっと細かいリサイクルまで含めて、ああ、やっぱり大分違ってきたなというのが私の最近の印象で、もうちょっとそこの収益を見てみようかなと思っているんです。いや、本当は見てなきゃいけないんですけれども、調べて統計をとってみようかなと思っていたんです。それが1つ。
 それと、先ほどジャフコの部長さんが言っていたのは、環境は実際儲からないとか、確かにまがいものが多い。確かに、私のところにもかなり来るんですが、こちらも評価ができないんですよね。本当にいいものか、まがいものか、そのあたりのサポートをやらないと、いいやつも逃しちゃうということを私感じるんですね。ですから、ここがもう民間じゃ無理なんで、どこかやっぱり、ベンチャーですから100のうち1つうまくいけばいいという発想で立てば、私、もうちょっとやらないと、とんでもない技術を逃すという。まがいものも多いかもしれないけれども、光るやつって、私も3年か4年前に、これはだめだろうと思っていたのが大化けしまして、だからそんなことをもうちょっと本気にしてやらないと、やっぱり日本の次の成長の機会を失うなという気は、今日の議論とちょっと関係ないんですが、そう感じました。
 ですから、やっぱり腹を決めて、エコ・エコノミーの本に書いたように、最大の投資機会でありますよね、環境はビジネスで。ですから、環境省が言うようにいわゆる環境保護ということじゃなくて、環境をもう一つ次世代のてこにするというような形、そこで金融をどうするかということを考えていかないと、やっぱりこのまま世界的に見ると、日本のビジネスは負けちゃうなというのが私の雑駁な意見なんですが、今日話す話でもなかったんですけれども。

○末吉委員長 ありがとうございました。
 やっぱり本当にいいものを手に入れるには必要なロスもあるんだというようなお話だと思います。どこかの国の事業仕分けの人に、ぜひそういう目ききを持ってほしいと思いますけれども。
 ほかにどなたか、あとお一人かお二人しかないと思うんですけれども。
 どうぞ、伊東さん。

○伊東委員 今日3名の外部の方からのお話を承りましたが、最初のお二人の方のお話を聞かせていただいてまず感じたことを申し上げます。
 やっぱり民生部門ですね、オフィス、学校、病院、それから中小企業、それから家庭、ここが1990年を100とすると、直近では140以上までCO2が上がっているわけですよね。ここを我が国としては何とかしなくちゃいけない。そこにまさにミートしているお話であったというふうに思います。
 それで、国内のクレジット制度というのがありますが、現状は大企業の技術との関係が入っていますけれども、そこの制約は取っ払ったほうがいいだろうなと。それから、排出量制度の詳細が今後決まってくるでしょうから、そうすると排出権という形で国内でそれが売却できれば、設備投資するほうから見ても、投資採算が向上してくるだろう、こういうような動きが出てくると思います。
 それから、法人でも個人でもクリーン電力の買取制度がもっと普及すれば、買取電力代金が現状の1キロワット当たり20円ちょっとが48円ぐらいまで、そして最終的には55円までいく計画のわけですから、そこら辺も見ながら金融機関としても、融資やリースといった様々な形態での制度設計をしなくちゃいけないのではと思います。
 ただ、そのときにマイナス25%を仮にやるとして、例えばそのうちの1割でも国内クレジットの分野でやろうみたいなことが政策的に決まってくれば、私どもの経験ですと、この分野では大体1トンCO2を削減するのに投資としては10万円ぐらいなんですね。そうすると、日本全体で年間4億トン強削減しないといけないわけですから、そのうちの1割やろうというだけでも、2010年から20年までの間の10年間で4兆円ぐらいの有望な投資の分野になるわけです。こういう問題意識を官民とも持って、やっていく必要があるんじゃないかなというふうに考えます。そうすると、10年間で4兆円の投資に対して、大体7割ぐらいは貸し出しに来るだろうとか、そうすると、我々の年間の業務計画も立てられる。そのうちの私どもの銀行のシェアを考えれば、これは結構な金額になるんです。このような考え方で今後ともやっていきたいと思います。
 それから、ジャフコさんからのお話を踏まえて2つ目としてお話ししたいんですけれども、このレジュメで言うと40ページのところですね。ここを見ますと、このアーリーステージ、それからシードの部分がありますから、これはどうしても貸し出しではできません。リスクマネーの供給という形では、こういう形でキャピタルに入れていかないといけないなと。
 ただ、その前の39ページを見ますと、お金を出しているのがみんな早い話が機関投資家並びにそれに準ずる企業ですよね。これに対してやっぱり今の日本の全体の状況を考えると、いわゆるハイネットワース、富裕層という言葉が的確かどうかわかりませんけれども、個人のマネーをここにうまく持っていって、投資リスクを一定の範囲に抑える仕組みとともにやっていく必要があるんじゃないか、金融としてはそこを考えないといけないんじゃないかなと非常に強く感じました。
 具体的には、金融商品取引法等もありますけれども、お客さまの総金融資産を見て、こうしたリスク性商品の投資割合は一定の比率以下で必ずやるということ、過半の部分をこういうものに充てないようなことをやらないといけない。それから、投資信託でもいいですし、銀行商品も証券商品でもいいですが、こうした商品に投資した際に、個人にとって、何らかの所得減税のスキームは必要だと思います。
 それから、商品が満期や解約した際に、最後に結果が出たときの損益通算ですね。それもほかの有価証券との損益通算ではなくて、所得との損益通算、こういったことを入れていかないと、相当、個人のお金を入れていく場合には、リスクにお金を供給してくれたわけですから、その見返りとして、投資した段階では一定部分の投資減税、場合によっては所得からある程度引いてあげてもいいのではないでしょうか。それから、支払い税金額からダイレクトに引ければもっと効くでしょう。つまり、損益が出た場合の、益が出た場合の減税、損が出た場合の所得との損益通算、ここら辺を整備していかないと、リスクマネーに個人のお金は回っていかないな、こんなふうに感じました。
 以上です。

○末吉委員長 伊東さん、どうもありがとうございました。
 ちょうどいい時間になりましたので、議論を打ち切りたいと思います。
 これで3回終わりましたけれども、私の印象では、金融がやらなきゃいけないこと、金融しかできないこと、金融が責任を持ってやること、と同時に、金融だけではできないこともたくさんあるというような感想を強く持った次第です。
 今日は、岩井さん、町田さん、外石さん、ご発表ありがとうございました。それから竹ヶ原委員もありがとうございました。
 じゃ、ここで事務局のほうにお渡しいたします。

○黒川環境計画課長補佐 次回の日程なんですけれども、まだ決まっておりませんが、1月終わりから2月頭辺りを考えております。今回まで2回目、3回目でヒアリングをやってまいりましたので、次からそれを踏まえて、個別の論点ごとの議論といったことをしたいと思っております。
 以上です。

○末吉委員長 じゃ、どうも私の不手際でちょっと時間が延びてしまいまして失礼いたしました。ぜひまた来年も引き続いていい議論をしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 会場の皆さんもありがとうございました。どうも皆さんありがとうございました。

午前11時45分 閉会