環境影響評価制度専門委員会(第4回)議事録

開催日時

平成21年11月18日(水)17:31~19:37

開催場所

大手町ファーストスクエアカンファレンス 2階会議室 Room A

議事次第

  1. 開会
  2. 議題
    1. (一)環境影響評価制度に各論点に係る議論
    2. (二)その他
  3. 閉会

配付資料

資料1 環境影響評価制度専門委員会委員名簿
資料2-1 前回までの指摘事項について(一覧)
資料2-2 前回までの指摘事項について(条例で風力発電所を対象とした事例における鳥類の種類について)
資料2-3 前回までの指摘事項について(政令指定都市の意見提出について)
資料2-4 前回までの指摘事項について(長期未着手事業について)
資料3 今後の環境影響評価制度の在り方についての主な意見と論点 その3
資料4-1 環境影響評価の内容及び環境影響評価技術について(評価項目の拡大について)
資料4-2 生物多様性オフセットに関する取組について
資料5 環境影響評価結果の審査について(審査会の活用について)
資料6 戦略的環境影響評価について
資料7 その他の課題について(不服申立・訴訟手続について)
資料8 全国ブロック別環境影響評価審査担当者会議を通じた地方公共団体に対するヒアリング結果について
資料9 環境影響評価制度専門委員会中間報告骨子(案)(第2回・第3回関係部分)
資料10 これまでの環境影響評価制度専門委員会における各項目毎の委員の意見概要(発言順)
資料11 不在委員からの書面意見

参考資料

参考資料1 環境影響評価法の仕組み
参考資料2 環境影響評価法の対象事業
(以下、委員限り)
参考資料3 環境影響評価制度総合研究会報告書

議事録

午後 5時31分 開会

○花岡課長 定刻となりましたので、これより第4回中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度専門委員会を開催いたします。
本日は、ご多用中にも関わらずご参集いただき、誠にありがとうございます。
本日、屋井委員、鷲谷委員は所用のためご欠席となっております。田中委員、吉田委員は所要のため、遅れてのご出席となります。
議事に入ります前に、本日の配付資料についてご確認いただきたいと思います。

○沼田補佐 では、お手元の議事次第及び配布資料一覧をご覧ください。
本日の資料でございますが、まず資料1が委員会委員名簿、資料2-1が前回までの指摘事項について(一覧)、資料2-2が前回までの指摘事項について(条例で風力発電を対象とした事例における鳥類の種類について)、資料2-3が前回までの指摘事項について(政令指定都市における意見提出について)、資料2-4が前回までの指摘事項について(長期未着手事業について)、資料3が今後の環境影響評価制度の在り方についての主な意見と論点その3、資料4-1が環境影響評価内容及び環境影響評価技術について(評価項目の拡大について)、資料4-2が生物多様性オフセットに関連する取組について、資料5が環境影響評価結果の審査について(審査会の活用について)、資料6が戦略的環境影響評価について、資料7がその他の課題について(不服申立・訴訟手続について)、資料8が全国ブロック別環境影響評価審査担当者会議を通じた地方公共団体に対するヒアリング結果、資料9が環境影響評価制度専門委員会中間報告骨子(案)(第2回・第3回関係分)、資料10がこれまでの環境影響評価制度専門委員会における各項目毎の委員意見概要(発言順)、資料11が本日の不在委員からの書面意見。また、参考資料としまして前回と同様に、参考資料1が環境影響評価法の仕組み、参考資料2が環境影響評価法の対象事業、また委員限りとしまして参考資料3番、環境影響評価制度総合研究会報告書をおつけしてあります。
お手元の資料に不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。

○花岡課長 これより先の議事進行につきましては、浅野委員長にお願いをしたいと思います。
プレス、報道の方々には冒頭のカメラ撮りはここまでということでお願いいたしております。よろしゅうございますか。
それでは委員長、議事の進行をお願いいたします。

○浅野委員長 それでは、今日は遅い時間からでございます。大変恐縮でございますがよろしくお願いいたします。
議事に入ります前にお願いがございます。毎回、議事録の確認のお願いをしておりますけれども、議論を速やかに公表する必要がございますので、委員の皆様方には議事録の確認については格段のご配慮をいただきまして、期日までにご確認をいただきたいと思います。もし期日までにご確認をいただけない場合には、ご意見なしということで、原案のまま公表するということにさせていただきますのでご了承いただきたいと思います。なお、公表後にどうしても困るという場合の修正はもちろんないわけではございませんけれども、よろしくお願いします。
それから、本日は遅れて来られる田中委員と吉田委員から書面でご意見をいただいておりますので、おいでになってからは直接ご発言をいただきますが、各論点の議論の際に私の方からご意見を紹介させていただくことにいたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。まず、今日は、主にこれまでの論点ごとの議論を進めてまいりました残る論点について議論したいのですが、まず、前回までにいただきましたご意見につきまして、その対応状況を説明させますので、事務局の説明をお聞きください。

○沼田補佐 それでは前回までの専門委員会における論点につきまして、対応状況を資料2-1から2-4をもとにご説明させていただきます。
まず、お手元の資料2-1をご覧ください。こちらが「前回までの指摘事項について(一覧)」でございます。この中には前回までに資料として報告済みの項目もございますが、この中で資料番号を太い線で囲んでいるものが今回資料としてご用意しているものでございます。1ページ目、上からまいりますと、まず吉田委員からご指摘の風力発電の条例事例でバードストライクの対策としてどういった種類の鳥をやっているか、これは資料2-2。また前回猪野委員から指摘がございました、事業者に対する知事意見に市長意見が反映されなかった事例があるか、これが2-3。1ページの下の方にまいりまして、未着手案件につきまして田中委員からご指摘がございました。条例手続のやり直し案件の掘り下げ、また、未着手案件と政策評価との関係、これが資料2-4です。
次のページにいっていただきまして、ページ下の方ですが、住民意見の意見聴取の強化につきまして、石田委員から意見がございました。公聴会を実施していない自治体で問題事例はあるのかについて、これは後ほど資料8の中で説明します。また、前回、田中委員からご要請がございました生物多様性オフセット等生物多様性関係の最新技術の動向。こちらは、今回資料4-2としておつけしております。
続いて、資料2-2をご覧ください。こちらは「前回の指摘事項について(条例で風力発電所を対象とした事例における鳥類の種類について)」でございます。まず1.が地域特有の鳥類を条例で規定しているかどうかでございますが、条例の中で風力発電を対象にしている地方公共団体は7つございますが、いずれも評価の対象として地域特有の鳥類を条例で規定している自治体はございませんでした。
次に、条例で実際に風力発電を対象とした事例ですが、条例に基づきアセスの手続が終了した6事例を対象に調べましたところ、全6事例におきまして、バードストライクの評価対象とした鳥類は全部で59種類でございまして、そのうち26種類が渡り鳥でした。また、全6事例のうち、渡り鳥を対象にした評価事例は5事例ございました。各事例の詳細はページの裏側の方に表としておつけしております。
最後に、バードストライク対策の内容ですが、対策としては鳥が衝突しないよう、構内ケーブルを地中に埋設するという事例が最も多く、このほかに航空障害標識の設置やブレード線などの着色、あるいは風車の設置位置の変更、あるいは設置の取止め、こういった事例がございました。以上が資料2-2でございます。
次に資料2-3、同じく「前回までの指摘事項(政令指定都市の意見提出について)」でございます。こちらは政令指定都市18市を対象に、法対象事業において知事意見に市長意見が反映されなかった事例について調査を実施いたしました。結果としまして、18市のうち知事意見に市長意見が反映されなかった事例があるという回答があったのは6市でございました。ほかには、意見が反映されていたというものが5市。法対象事業案件の経験がないというところが5市。法対象事業はあったが意見なしで回答したものが2市という内訳でございます。以上が資料2-3の調査結果でございます。
最後に資料2-4、こちらも「前回までの指摘事項」でございます、長期未着手事業についてご説明します。まず条例に基づき手続再実施をした長期未着手事業の事例でございますが、長期未着手の事業について行政による手続再実施の行政規定を置いている自治体は、62団体中39団体ございます。その中で実際に手続を再実施した、またはしている事例が2事例確認されました。各事例の詳細は1ページ、一番下の方に表としてつけてございます。
まず、事例1については、手続が終了してから再手続をするまでの間隔が14年。また、この県ではこれまで実績が61件ある中で、この1件のみ手続の再実施をしております。また、事例2の方ですが、こちらは一度県による条例手続が終わってから市の条例の方で手続を再実施するまでの間隔が約9年7か月、また、市の案件はこれまでに実績が6件ある中で、この1件について手続の再実施をしているという状況でございます。
次に2ページにいっていただきまして、未着手案件と政策評価法の事業評価との関係について整理をしております。まず、国土交通省の事業を例にとりますと、政策評価基本計画の中で新規事業採択時評価、再評価、完了後の事後評価を実施するとされておりまして、新規事業採択後5年が経過した時点で未着工の事業については再評価をすることになっております。環境影響評価手続が完了してから5年以上未着工の案件における再評価の実施でございますが、法の手続を完了してから5年以上未着工だった事業が15件ございます。このうち国交省所管の事業が14件ございまして、これら事業についてはいずれも新規事業採択時評価、あるいは再評価が実施をされています。各事業の評価実施時期の詳細は3ページに表としておつけしております。
なお、新規事業採択時評価よりも前に環境影響評価手続が実施されている場合にはアセス手続終了後5年を経過して未着工であっても再評価が実施されていない、こういう場合もございます。以上が資料2-1から2-4、前回までの指摘事項関係の資料でございます。

○浅野委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの資料について吉田委員から、ご意見が出ておりますのでご紹介申し上げます。吉田委員からは資料11の最初のページでございますけれども、その1)に記されたご意見です。
資料2-2について。調査をいただいてありがとうございます。影響を受けると考えられる鳥類は全国的、国際的な視点から配慮が必要な渡り鳥が多い。また留鳥であってもイヌワシ、クマタカなど全国的な視点からの配慮が必要になる種がほとんどであることから、風力発電施設の環境影響評価は法に基づく環境影響評価によって行われるべきであると考える。
こういうご意見をいただいております。
それでは、ただいまの資料の2-1から2-4までの事務局の説明に対してご意見、ご質問はございますか。
いかがでございますか。
特にございませんようでしたら、これは、今日は報告をお聞きしたということにしておきますがよろしゅうございましょうか。
政令市からの意見が反映されたかどうかという点に関する資料2-3については、どういう点がということまでは調べておりませんので、こういうふうな結論であったということでございます。ただ、前回申しましたように、反映されなかったという評価がどういう意味で「反映されなかった」かということとなりますと、多分濃淡があるのだろうと思います。つまり、その表現が政令市長の通りでなかったという場合もあるでしょうし、全く無視された、あるいは全く逆に扱われたということがあるかどうか知りませんが、恐らく逆に扱われたという例はないだろうと思います。丸められてしまって自分の話したとおりの意見が出ていないというので「反映されなかった」ということが多いのではないかと想像はしておりますが、これはわかりません。よろしゅうございますか。
それでは、この点については事務局にお調べいただきご報告いただいたということにいたします。
それでは、「環境影響評価の内容および環境影響評価技術について」。これについて、事務局から説明をいただきたいと思います。前回と同様に、資料3については、事務局からの説明を割愛させていただきますので、適宜お目通しをいただければと思います。その余の資料について事務局から説明をお願いいたします。

○沼田補佐 では資料4-1をご覧ください。評価項目の拡大について資料をご用意しております。まず、「1-1.主務省令において対応している事例」でございますが、基本的事項の参考項目に含まれていない項目につきまして、主務省令における参考項目として、こちら表形式で整理をしておりますが、日照障害、水温、流向、風速、あるいは温泉、こういった要素を取扱っている事例がございます。
次の2ページ目にいっていただきまして、「1-2.条例において対象とされている項目」を整理いたしました。法の評価項目ではないが環境影響評価条例において対象とされている項目としましては、文化財、光害、地域分断、安全性等、こういった項目がございます。この中で、特に多くの自治体が対象としております文化財につきましては、条例の中で独自に整理をしているか、あるいは文化財保護法で定められている文化財等を対象としているものでございますが、地域固有の文化財については条例において措置はされているという状況でございます。
なお、文化財保護法におきましては、資料2ページの下の方で列挙しておりますとおり、管理・保護に関する一定の水準ですとか、あるいは届出・登録制度による所有者による自主的な保護、こういった対策を規定しております。以上が資料4-1の内容でございます。

○竹本補佐 続きまして、資料の4-2「生物多様性オフセットに関連する取組について」ご説明いたします。まず、「我が国における環境影響評価制度に基づく代償措置」であります。生物多様性オフセットにつきましては、例えば後述の「ビジネスと生物多様性オフセットプログラム」では開発事業により引き起こされる生物多様性に対する悪影響を、それを低減するのに適切な措置を実施した後、それでもなお残存する悪影響を対象とした代償行為により得られる定量可能な保全の効果といっています。即ち、代償措置の一環ということが言えるかと思います。我が国の環境影響評価制度におきましては、基本的事項や主務省令におきまして規定がなされております。
国内の事例でございますけれども、(2)でございますが、動植物の移設・移植・播種、事業実施区域内における生息環境等の整備の代償措置が検討されることが多く、一部、事業実施区域外におけるものも見られます。その具体的事例は次ページの表の1に示させていただいております。詳細は割愛させていただきます。
続きまして、諸外国の事例として米国の動向についてご紹介をさせていただきます。米国におきましては、連邦政府の行為に関する環境影響評価を定めた法律は国家環境政策法であります。同法に基づく環境影響評価のプロセスにおきましては各種環境規正法等との整合性に考慮する必要があるということで、具体的にはこの表の2のように水質汚染防止法ですとか、内務省の定めた方針、こういったところにオフセットと同様の考え方を示した法令等の例がございます。
例えば、水質汚染防止法におきましては、湿地に影響を与える可能性のある連邦事業に対し、陸軍工兵隊の許可が必要とされていて、その際に事業による湿地の価値と機能の損失をゼロ、ノー・ネット・ロスとすることに努めることとされています。この場合、代償措置の検討におきましては事業実施区域に近接した場所で行う代償措置のほかにも事業実施区域から離れた場所、即ちオフサイトで行う措置も可能である。また、損失する生態系と異なるタイプの生態系を代償する措置、これはアウトオブカインドと呼んでおりますが、同じタイプの生態系を代償する措置、インカインドと並んで一応検討される。ただ優先順位としてはインカインドの方が優先するといったようなことが示されております。さらにミティゲーション・バンクといったものの利用も可能であるとされております。
ページをめくっていただきまして、4ページ、図1でございますけれども、今ご説明したアメリカで実施されているさまざまな代償措置のイメージでございます。この事例は、事業によって湿地が消失する。これに対して、さまざまなオンサイト、オフサイト、インカインド、アウトオブカインドというようなさまざまな措置が検討されております。
具体的な事例につきましてはこの表3のようにインターネット等で紹介されているものがありましたので、各種措置が実際に検討されているという事例でございます。ただ、具体的にどの程度生態系の損失をゼロにしているのかということについては確認することができませんでした。
ページをめくりまして6ページでございますけれども、代償措置の検討に係る生物多様性の評価につきましては、最初のパラグラフに書かれておりますがHEP(Habitat Evaluation Procedure)という手法が挙げられております。この手法の利点としましては第3パラグラフにございますように、環境保全措置の目標が定量的に明確化されるということで、その保全措置の内容や根拠がより具体的に示されるということですとか、その検討プロセスがわかりやすく示されるといったようなことがあります。
他方、次のパラグラフに挙げられておりますように、個々の生物ごとにモデルをつくっていく必要があるということとか、モデルの精度、地域的汎用性等の技術的課題、さらには社会的受容性があるかというふうに言われております。
次の4番目でございます。その他の国際的な動向でございます。冒頭ご説明しましたように、「ビジネスと生物多様性オフセットプログラム」、これは企業や政府、NGOを含む専門家による国際的パートナーシップでございまして、ここではそのさまざま普及等の活動がなされております。また、(2)でございますけれども、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向けまして、現在「生態系と生物多様性の経済学」、TEEBと呼ばれております。これについての研究が行われておりまして、生物多様性オフセットに関わる記載もなされているところでございます。
以上でございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。それでは、ただいま環境影響評価の内容及び環境影響評価技術について、この論点に関する資料のご説明をいただきました。資料4に関しては、田中委員と吉田委員からのご意見が出ておりますので、ご紹介申し上げます。まず田中委員からのご意見でございます。資料3及び資料4ということで田中委員からご意見が出ております。資料11をご覧いただきたいと思います。
評価項目の拡大について。評価項目に関しては、基本事項の参考項目以外にあっても事業者の特性に応じ、主務省令で独自の項目を定めているケースがある。日照阻害や水温等がある。また地方の環境アセスメント条例でも例えば文化財や地域分断、交通安全等を評価項目に追加している事例が見られる。このような場合、例えば文化財について、地域の文化的、歴史的環境の視点から地域独自の条例等で文化財を指定するケースがあり、何を文化財としてとらえるかという点は地域において差異がある。こうした環境影響評価の項目の追加は事業種に応じた工夫や地域固有の取組であって、全国一律に取り組むよりも各々の制度で対応した方がより適切な対応が可能である。現状でも地域や事業種の実態等を踏まえた柔軟な対応は可能であり、法制度で一律に対応することは避けた方がよいのではないかと考える。
これがまず1つ目であります。もう1点は、資料11の次の記述のとおりでございます。
温暖化や多様性保全など、問題の進展に伴い環境影響評価に求められる予測技術や評価技術が複雑化している。したがって制度の改正事項ではないけれども、制度運用面として環境影響評価に関する技術水準の確保や向上を図るために実務や行政面の研修、情報交流の取組を一層促進する必要があると考える。
これがこの点についてのご意見であります。それから、資料11の次のページでありますが、吉田委員のご意見です。生物多様性オフセットについてということでございます。
生物多様性2010年目標の反省点として、計量可能な目標でなかったこと、ベースラインがはっきりしなかったことの2点が挙げられる。HEPなどに基づいた生物多様性オフセットによって、1の問題については解決されるけれども、2の問題については懸念が残る。多くの場合、環境影響評価が実施される時点で既に生物多様性が大きく減少しており、生物系が分断されていることがほとんどである。環境影響評価時をベースラインとしてノーネットロスを原則としたオンサイト代償措置は最低限の環境保全措置ではあるけれども、必ずしも生物多様性国家戦略に基づく生態系ネットワークの回復にはつながらない。生態系破壊、外来種、温暖化などによって著しい被害を被る以前の状態をベースラインとした生態系ネットワークの回復を目指して保全措置がとられるのであるならば、オンサイトであれ、オフサイトであれ、プラスの評価がされるという環境影響評価制度を求めたい。
こういうご意見でございます。以上、お二方からのご意見をご紹介申し上げました。それでは、ただいまのご意見に加えて、さらに事務局からのご説明に対してご質問なりご意見なりがございましたらお出しいただきたいと思います。なお、資料3にもこの点に関しては論点とてして上がっております。今日は資料を出しておりませんが、リプレースの問題あるいは複数案の取扱いについての問題という論点も載っておりますので、ご参照いただきたいと思います。では、どなたからでも結構でございます。何かご意見がございますでしょうか。
では、大塚委員どうぞ。

○大塚委員 大したことではございませんが、資料4-2につきましては、私も第1回の会合のときに述べさせていただいたものでございますが、大変興味深いものでございますけれども、一方で技術的な事項を多く含んでおりますで、法律の問題というよりは基本的事項の問題になるかと思いますので、別に検討会等でご検討いただければ大変ありがたいと思います。これ自体はここで法律の問題として議論するということは必ずしも適当ではないのではないかと考えております。以上でございます。

○浅野委員長 というご意見です。
猪野委員、どうぞ。

○猪野委員 最初に資料4の方で、米国の動向として、HEPのご説明がございました。環境保全措置の目標を定量化するという目的があって、こういった手法が用いられているのだと思いますが、一方で現状においては、地域性の問題であるとか、定量的評価モデルの精度等に問題があるというご説明もありました。これはつまり手法が定着するにはもう少し時間や、経験が必要ということでよろしいのでしょうか。そのあたりをお教えいただきたい。それがまず1点です。

○浅野委員長 では、まず今の点、竹本補佐、どうぞ。

○竹本補佐 委員おっしゃいますように、ここに挙げられている課題がございますので、まず事例を積み重ねていくということが重要ではないかと思います。外国の事例ですとか、国内でも一部先進的に行われているものもございますので、事業者の方がもしやっておられるのであればそれを積み重ねて、その結果を踏まえて対処していくということが有効ではないかと考えます。

○浅野委員長 よろしゅうございましょうか。

○猪野委員 資料3の方でもよろしいでしょうか。

○浅野委員長 どうぞ、結構です。

○猪野委員 リプレース等への対応についてという論点がございました。前にもお話をいたしましたが、特に火力発電所等のリプレースの場合、CO2の削減にも資することであり、地球温暖化対策という観点からも、なるべく早く運用に供することがプラスになると考えます。リプレースの場合は現状非悪化であり、設備的、技術的にも性能が良いものが導入されていくことから、普通の手続よりも手続を短縮できるようなことを考えていただくことは非常に大事ではないかと思っております。

○浅野委員長 ありがとうございます。わかりました。
中川委員、どうぞ。

○中川委員 意見を申し上げる前に質問を1つします。この「リプレース等」という「等」というのは何があるのか。この研究会のときに議論がなされたのかどうか、ちょっと教えていただきたい。

○浅野委員長 海岸の埋立地のようなところに新たに工場をつくろうというような場合には、建て替えではないけれどもほとんど影響はないではないか、こういう類の話です。

○中川委員 そうすると私の意見も前提がちょっと崩れるかもしれませんが、まずリプレース等については、特に議論されておりますのは火力の発電所に限られると私は理解いたします。今おっしゃった後者のような例がどれぐらいあるのかにもよりますが、恐らく事例として挙がっております件数などの事例のほとんどは発電所絡みの話ではないかと思います。ベスト追求型という原則はあるのかもしれませんが、同時に効率的でメリハリのある評価ということもあるわけですので、こういう火力発電所のリプレースについては、今、猪野委員もおっしゃったように特別な扱いをするということは、そんなに違和感のあるものではないと私は思っています。
環境影響評価もこれからの方向としてはそれぞれの事業に合ったような環境影響評価をできるだけ追求していくということの方がより望ましいのではないかと思います。
事業のそれぞれの内容によって特別な扱いをするというものがほかに一切ないというのであれば、これは議論が分かれるかもしれませんが、事業の内容によって特別な扱いをするということはいろいろな項目においてあり得ると思われますので、手続の迅速化のために火力発電所のリプレースについて特別な扱いをする。特に早めて行うということについては私としては賛成でございます。それを法律上の制度にするということについても望ましいものではないかと思います。
2つ目の複数案の検討についてでございます。複数案を検討することを法律上義務づけるということについて、その効果の面でどれほどの意味があるのか、私としてはなかなか理解しにくいところでございます。現状の説明にもございましたように、8割については既に複数案の検討が行われているわけでございます。恐らく残りの部分については複数案の検討のあまり意味がなかった例なのではないかと思われますので、こういう現状を前提とすれば複数案の検討を前提とした制度に変更するという必要性は乏しいのではないかと思われます。
環境項目の拡大については、先ほどの田中先生の意見にもございましたように、地域においてそれぞれ独自の判断で条例による規制を行うことについては、それは当然尊重されるべきだと思われますが、全国一律のものとして環境影響評価制度、法律による制度の対象としては、やはり現時点においては環境基本法の射程範囲と整合性のとれたものとすることの方がより国民の意識に合致したものではないかと思われます。
もちろん環境の問題というのは日々刻々いろいろな状況変化があるわけですので、将来、今の状況がそのまま維持されるというわけではないと思いますし、その時点での検討はされるべきだとは思われますが、現状においてはやはり環境基本法の射程範囲と整合性のとれたものとすべきだと思います。危険性の排除とか安全の確保などは意見にも出ておりましたように個別の事業法、規制法で対応すべきではないかと思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。では崎田委員。

○崎田委員 ありがとうございます。私はまず、今いろいろご意見が出ていた評価項目の拡大について意見を申し上げたいと思います。私自身は歴史的、文化的な項目についても、できるならば今後きちんと検討していくような、そういう方向の余地をぜひ残していただきたいなというのが私の考え方です。
なぜかと申しますと、もちろん一律には難しいのかもしれませんが、地域の現状の中で、今その地域が、自分たちの地域が将来どういうふうな街になっていったらいいのかということを考えるときに、地域が持っている歴史的、文化的なものをきちんと反映させながら環境のいい街をつくっていくというのが、まず今の検討するときの立脚点だと感じております。
文化財に指定されているかどうかというよりはもうちょっと柔らかい、柔軟な意味だとは思いますけれども。そういう意味で、これから地域の環境影響を評価するときに、その地域独自の視点をきちんと考えていくようなことをぜひ、ケース・バイ・ケースできちんと考えていくような、そういう余地を残すようなことが盛り込まれれば、私は大変うれしいなと感じています。

○浅野委員長 ありがとうございました。では大塚委員どうぞ。

○大塚委員 リプレースの問題は前の検討会でもかなり議論になったところでございます。環境影響評価法の精神のようなものがございまして、立法のときからそうですが、ベスト追求という実行可能なことはできるだけやっていただくというのがございますので、その観点からすると手続を簡略化するとか省略するというのは難しいのではないかと思いますが、むしろ何を調査するかという調査項目を絞り込んでいただくというようなことを検討すればよろしいのではないかと思います。
そういう意味では法律の問題というよりも個々の事例でということになるのではないかと思いますが、例えば希少種がそばにいるかという話については、多分前からそこに発電所等がございましたが、大体わかっていることが多いのではないかと思います。
そういうこととか、あとは大気汚染、騒音の問題についてもわかっていることが多いのではないかと思います。環境影響評価の手続の期間の中でそういう調査項目の調査をしている期間というのがかなりの部分を占めていると思います。そういう調査項目をもし絞り込むことができれば、アセスの手続の期間が減るということにはなると思いますので、そういうことを個々の事例でやっていくというのが適切であると思う。

○浅野委員長 ありがとうございます。猪野委員どうぞ。

○猪野委員 複数案の件ですが、今、我々民間事業者が、競争環境におかれているということは皆さんご存じのとおりです。複数案検討を義務化した場合、事業戦略や重要な技術情報に関わるデータを公開せざるを得ないことが大いに懸念されます。公正な競争が阻害をされてしまう等の問題が出てくる可能性がありますので、複数案検討を一律に法で義務化することには無理があるのではないかと思っております。

○浅野委員長 ありがとうございました。では、崎田委員どうぞ。

○崎田委員 リプレース等への対応について一言。既に工業地帯などでリプレースへの環境影響がほとんどないような時点での火力発電所のリプレースに関して、もう少し柔軟に対応していくということ自体には私も賛成ですが、1点、最近、この影響評価で一番社会的課題になったのが福島県の火力発電所の新設の問題だったと思います。あれはリプレースではないのですが、ああいう新しいものが地域で建つときに法律の制限からはCO2の削減量はOKなんですけれども、将来的なことを考えるともっとしっかりとした目標値で建ててくれないと困るというような、ああいう知事意見とか大臣意見が盛り上がった案件ですが、あのようなときにきちんとチェックできるような体制が整っているという社会的な信頼関係は残しておいていただければうれしいな、そんな感じがします。

○浅野委員長 ありがとうございました。石田委員、御願いいたします。

○石田委員 評価項目の拡大に関連して1点だけですが、かなりの部分で書面で出された田中委員のご意見に賛成です。特に個別の制度で規定できることはそちらに任せるとか、地域性を柔軟にという点で非常に賛同です。ただ、同じような項目をたくさん評価することによって効率的でないような環境影響評価になるというような懸念がありますので、やはり環境基本法の射程範囲のスタンダードセットというのはきちっと位置づけておく必要があるのではないかと思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。大体ご意見は出揃ったようです。基本的には、まずHEPに関しては今後の積み重ねが必要だろう。定量的なと言っても、それについての信頼性の問題もあるので、直ちにこれを導入して全面的に法律の中に位置づけるというようなことにはならないという点では大体一致したと思います。
それから、リプレースに関しては柔軟な手続ができるものは柔軟にすることがよろしかろうという点ではあまりご異論はないのですが、それについて、では運用面で柔軟にするのか。あるいは制度的にどこか柔軟にできる部分があるのかという点に関しては、これはもう少し立法技術的な検討も必要かもしれません。しかし、総論的にはみんな同じようにやらなければならないということでもないだろう。しかしながら、それでは手抜きだと言われないような担保をどうするのかということは覚悟しなければいけないだろうという点で大体一致したと私は考えましたので、この点についてはこのような整理をしていきたいと考えます。
項目の拡大に関して、多少委員長としての意見を述べさせていただけるならば、環境基本法の枠内での関心事についてはアセスの対象にしても一向にかまわないと思うのですが、ただそうは言うもののアセスの性質上、どこかで評価の点で定量化を求められる。特にEIAの制度というのは定量化を求められるという面がかなり大きいので、それがあまりにも困難なような項目を入れてしまいますとEIAがうまく動かないというおそれが出てまいりますから、その意味では何でも入れるというわけにはいきませんし、地域性を考えての拡大ということであるならば中川委員がおっしゃるように各地域の条例によって判断をしてやっていくということが筋だろうということも言えるかもしれません。
ですから、この辺については現状の公害防止タイプの課題を念頭に置いたEIAといった固定的な観念にとらわれることはないということは今後の方向として言えるけれども、法改正としてどこまでこれを入れるのかということに関しては弾力的に考えていかなければならないだろうということだろうと思います。
それでは次へ進ませていただきたいと存じます。環境影響評価結果の審査についてでございます。この点について事務局から資料5がございますので、説明をお願いいたします。

○猪野委員 資料3は終わってしまうのでよろしいでしょうか。

○浅野委員長 まだございますか。

○猪野委員 ええ。

○浅野委員長 失礼しました。どうぞ。

○猪野委員 資料3の中で10番のところで戦略的環境アセスメント……。

○浅野委員長 それはこれからとりあげさせていただきます。

○猪野委員 そうですか。わかりました。

○浅野委員長 それでは評価結果の審査について資料の説明をお願いいたします。

○沼田補佐 資料5をご覧ください。審査会の活用について。まず1番目が海外における審査会制度について調査をしました。イギリス、カナダ、ドイツ等、全9カ国について外部の専門家で構成される審査体制の有無について調査をしました。結果は表1として整理しております。
専門家による審査体制を有している国は6カ国であり、そのうち政府とは独立した第三者機関を設置しているのがカナダ、オランダの2つの国でした。またドイツ、フランス、中国、この3つの国については外部の専門家による審査体制は有しておりませんでした。
2番が特殊案件等環境影響調査事例としまして、環境省ではこのような予算事業としまして、環境影響評価の審査にあたり、特に慎重な準備が必要とされるテーマにつきまして、外部の有識者の知見も得ながら調査を行っております。調査実績の詳細は2ページに表として掲載をしておりますが、過去5年間で17のテーマを選んでおりまして、扱っている項目としましては動植物や生態系といった生物関係、また水質、こういったところが多く選ばれております。
次に資料の3ページに行きまして、専門家の意見聴取を求めている他法令の事例としまして、国が事務を遂行するに当たって専門家の意見聴取を義務づけている、または意見聴取ができることを規定している、こういった法令の事例としましては、南極保護法あるいは外来生物法、こういった法律の事例がございます。以上が資料5の概要でございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。確認ですが、資料5の2ページ目の過去の実績という、このお話ですが、個々の案件にかなり特化した形で調べる例もあるし、包括的に抽象的、一般的に調べられる例もある、という理解でよろしいですか。
それから特殊案件等というのは、具体にある事案を想定して行われたものであるのかどうかという点はいかがですか。

○沼田補佐 基本的に具体事案を想定して、設定をしておりますが、委員長ご指摘のとおり個別案件を設定しているテーマもあれば、ある程度横断的に設定しているテーマも両方ございます。

○花岡課長 テーマごとにこの調査が当たっているというのではないですので、同じような課題がある場合にはそれを併せて。

○浅野委員長 適宜に。つまり計画的に年次を追って、何か勉強会をやっているというようなイメージではない。具体の審査案件に則してやるけれども、共通性のあるものがあれば共通性のあるものについてはまとめてやっている、とそういうことでしょうか。

○花岡課長 はい、そういうことでございます。

○浅野委員長 ということですね。

○花岡課長 はい。

○浅野委員長 それでは、この点に関して、審査についてということでございますが、特段何かご意見はございますか。今までの議論の流れの中でおわかりだと思いますが、国にも組織をつくってやるべきではないかというようなことに関するお話ということでございます。ちなみに研究会では必ずしも国が別立てに審査会をつくることが適切ではないのではなかろうかというような答えを出してはいるわけですが。
どうぞ、中川委員。

○中川委員 先ほどのお答えについての質問の続きですが、この特殊案件というのは、対象とするかどうかについて基準のようなものがあるのでしょうか。環境省ではお持ちなのでしょうか。

○沼田補佐 いえ。そのとき抱えている案件の内容などを踏まえて毎年設定をしておりますので、特定の共通基準があるわけではございません。

○浅野委員長 つまり困ったなと思うとやるということですね。(笑)よろしいでしょうか。
何かご意見はございますか。石田委員。

○石田委員 現状で特に大きな問題があるというより、むしろ例えば専門家の意見をいつどのような人からどういう理由で聴取して意見形成をしたかというような過程の透明性をもっと発信できるようにする、そういう運用上の工夫がかなり求められるのではないかと判断します。

○浅野委員長 ありがとうございました。大塚委員。

○大塚委員 今、説明していただいいた資料5を見ると、カナダとオランダだけです。これはアセスに関して非常に先進的な国ではあるんですが、まだ限定されているということは言えるかと思います。
それから、前の検討会でもございましたように、そこにも出ていますが、自治体の方で審査会をおつくりになっているところが多いものですから、それとの重複をするという可能性は否定できないということがあるかと思います。そういうふうに考えると国の方で審査会を恒常的につくるというのは効率性の面からどうかなと思いますが、資料5の3ページにもありますようにほかの法律でも学識経験者とか専門家の意見を聞いている例はございますので、例えば生物多様性のような話ですと、環境省だけでは必ずしもよくわからないということもおありかと思いますので、専門家に意見を聞くという手続を入れるというのが1つの方向性ではないかと考えております。以上でございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。中川委員。

○中川委員 環境大臣の意見を述べる際に有識者なりの意見をどう反映するかというのは非常に大きな課題の1つではないかと思います。社会的に十分に理解をしていただく意見という意味においては、やはり一定の手続を経た上で、特に有識者の意見を踏まえた上で意見を述べるということの方がより望ましいと思います。
ただ、一方では今までの例などを考えてみますと、すべてにそういう手続が必要かどうかということについては、私は相当疑問だと思っていますので、資料5の2にありますような特殊案件等の事例を参考にしながら一定の基準を設けた上で、一定の要件に合致する場合について有識者、学識経験のある者に意見を聞くというような仕組みを構築することは十分考えられていいのではないか。それは南極地域の環境の保護に関する法律にありますような、特定の場合について意見を聞くという仕組みをつくる、ただ、その特定の場合はあくまでも一定の客観的な基準ができるかどうかわかりませんが、それに沿った事例に限って行うというやり方の方が望ましいのではないかと思います。
2つ目の方の地方公共団体の審査会に関する取組については、報告書にあるとおりで、私も全くそのとおりだと思っておりますで、地方公共団体の審査に当たっての能力の向上等により積極的にこれから努めていく必要があると思われます。国においても一定の支援ということをやっていただく必要があるのではないかと思っております。
そこにありますような国と地方団体の担当部局との知見の共有、情報提供の促進などをさらに図っていく必要がある、このように考えています。

○浅野委員長 ありがとうございました。では崎田委員。

○崎田委員 私もこの審査会に関しては義務づけというのは少し負担が大きいということに同意いたします。ただし、先ほど石田委員がおっしゃったように過程の透明化というのが市民の安心にもつながる、信頼感にもつながるというように私も思います。
例えば国の場合、中央環境審議会あるいはその部会とかいろいろな委員会があるわけですので、地域の説明会などで非常に質問が多いとか、いろいろ意見が多い案件に関して、そういうところできちんと意見交換をしていく、状況を説明するとか、そういうようなことも採用すれば、透明性の確保につながるのではないかという感じもいたします。よろしくお願いします。

○浅野委員長 それでは、この件に関しては今不在の方からは特にご意見をいただいておりませんので、この程度でご意見をいただいたということにしたいと思います。
大体皆さんおっしゃったとおりでありますが、特に制度的に何かを構築するということを全件についてやるということにはかなり問題がありそうだという点では大体一致いたしました。
今日新たに出てきたキーワードは石田委員が言われた透明性ということです。ですから、この点については既に先行する法律があるということも考えながら透明性ということをいかに具体化するかということになりますので、立法的に解決すべき問題なのか、運用上の問題なのかということがありますが、多くの国民の目に触れるということで言うと、必要に応じて、やはり法律に書けるものは書いておいた方がいいと考えるならば、それはできるという規定を入れておくというやり方でも書くことがあるかもしれません。反対に、要件、効果に関係のないことは法律に書くことを嫌がる人がいますから、そうなりますとなかなか書きづらいということになるかもしれません。ただし、全件必ず委員会をつくってやらなければいけないというような方向は当専門委員会としても必ずしも賛成はできませんという点は、大体一致していると思いました。ありがとうございます。
それでは、次は先ほど猪野委員がおっしゃいました戦略的環境アセスメントについてでございます。では、この点については資料6を用意しておりますので、資料6に基づいての説明をお願いいたします。

○沼田補佐 資料6をご覧ください。資料6の5ページに別紙としてSEAの概念図をおつけしております。SEAは一般的には個別の事業の実施に枠組みを与える計画あるいは政策を対象とする環境アセスメントでございます。日本の取組としましては、環境省において一昨年4月に位置・規模等の検討段階における共通的なガイドラインを作成しております。これは図の方でも示しておりますが、今、ガイドラインで取り組んでいるのは事業の実施段階の1つ前の位置・規模の検討段階で、一般国民等による意見提出等の関与、複数案の比較評価、こういった観点を盛り込みながらの取組を推進しております。
資料本体に戻らせていただきます。資料6の1ページ目が地方公共団体における取組でございます。都道府県・政令市への調査の結果、条例または要項でSEAを導入済みという自治体が5団体、導入を検討中が25団体、公共事業について環境配慮指針を策定しているなど、関連する取組を実施しているところが18団体になりました。条例要項等を制定している自治体は1ページ下の表1に整理しているとおりでございます。
2ページにまいりまして、条例におけるSEAの事例でございますが、東京都では条例におい計画段階環境影響評価というものを規定しております。フロー図は2ページにお示しをしておりますが、東京都の条例の場合は計画段階において、一定の手続を経た事業については、その後の事業段階の環境影響評価の手続において、一部の手続を省略することが可能となっております。
東京都の条例の事例を別紙として資料の後ろにおつけしておりますが、詳細の説明は省略させていただきます。
次に資料の3ページです。事業種ごとの取組でございます。法対象事業種の法に基づく環境影響評価の実施前における取組を説明しております。国土交通省におきましては、国交省所管の公共事業に共通するガイドラインとしまして、平成15年に住民参加手続ガイドラインを策定しております。このような形で構想段階における住民参加の取組を進めているところでございます。
また、個別の事業種につきましても、こちらは表2に整理をしておりますが、関連ガイドライン等を策定しまして住民参加を進めているところでございます。
また、環境省所管の廃棄物最終処分場につきましても、一般廃棄物最終処分場におけるSEA導入ガイドラインを今年3月に策定して取組を示しているところでございます。
また、これらガイドライン等が策定されている事業種について、そのガイドラインの策定後にアセス法の方法書を公告している事業が28件ございますが、この中でアセス実施段階の前に何らかの公衆関与を実施している事例は約9割の25件ございました。
以上が資料6でございます。

○浅野委員長 それでは、まだお見えになりませんので代読をいたします。田中委員のご意見です。
SEAについては、資料6に整理されているように地方公共団体でも先行した取組がある。また多くの自治体でも導入に向けて検討が進められている中で知見も積み上がってきている。国レベルでも公共事業では数年前からPIガイドラインを運用して、住民参加について相当の実績がある。19年からは戦略的環境アセスメント導入ガイドラインを施行して適用事例も見られるようになった。したがって国の事業については、こういったSEAというものの実施事例の蓄積を踏まえて、今後、制度化に向けた積極的な取組が必要であると考えられる。
これが田中委員からのご意見であります。次は吉田委員のご意見です。
戦略的環境影響評価を実施する理由が2つある。複数案の選択肢がある事業の計画段階で実施することによって、環境影響評価の結果を事業の計画変更選択に反映しやすくなるだろう。同一地域に複数の事業が計画されるなど、個別の事業アセスで対応できない広域的、複合的影響に配慮することができる。条例によって戦略的環境影響評価が実施されることで、1の問題については解決されるけれども、2の問題については生物多様性保全上懸念が残る。なぜならば生物多様性に対する影響は広域的問題であることが多い。したがって生態系ネットワークの構築を目指すような環境保全措置は生物多様性国家戦略との整合性が求められるからだ。そのような理由から生物多様性基本法25条で事業の立案段階での生物多様性に係る環境影響評価の推進が規定されている。生物多様性2010年目標及びポスト2010年目標の実現のためにも戦略的環境影響評価を法制化し、全国的、国際的な視点から生物多様性の保全と事業の実施における適正な配慮が実施されることを望む。
以上のように、このお二方からご意見が出ております。さて、この点に関してご意見がございましたら、どうぞお願いいたします。
では、猪野委員どうぞ。

○猪野委員 最初に確認をさせていただいて、その後意見を言わせていただきたいと思います。
資料6の表1で、地方公共団体や事業種ごとの取組をご紹介していただきました。これはつまり民間事業に戦略的アセスメントを導入している事例はなく、あくまで公共事業に対して実施した実績を紹介したものであるという認識でよろしいでしょうか。
それから、もう1つは3ページにある廃棄物処分場の取組について、こちらはあくまでも自治体が策定する計画について適用されるものと認識していますが、よろしいでしょうか。

○浅野委員長 それでは、今のご質問の点についていかがでしょうか。

○沼田補佐 まず地方の条例等ですが、東京都の条例は東京都が計画主体の場合を対象としております。ほかの自治体の要項におきましても県・市などの実施する公共事業を対象としています。
また、国の方の取組につきましても、基本的に国が実施主体になる公共事業ですとか、あるいは廃棄物最終処分場につきましては、これは地方公共団体が実施主体になる場合を想定して地方公共団体宛てのガイドラインとして策定をされております。

○浅野委員長 3ページは違います。それは違っている。これは文字どおり上位計画としての処理計画をつくるときにという、そういう意味です。ですから、上位計画をつくるときに、その上位計画がSEAの対象として環境配慮がどのぐらいできているかということですから、これに基づいて実際に個別の事業になりますとEIAレベルでは民間事業も入る余地がありますが、このSEAレベルの話はもっと包括的な計画の話ですから、民間かどうかということには一切こだわっていません。ですから、おっしゃるように現在あるものについては直接に直截に民間事業にSEAという例がないかというご質問については、現状ではそのとおりということになります。

○猪野委員 その点からコメントさせていただきたいのですが、環境省の現行のSEAガイドラインにおきましては事業の位置とか規模等の検討段階において複数案の環境面の比較評価が求められておりますが、先ほども複数案のところでお話ししましたとおり、一般に競争環境にある民間事業では、位置・規模等の意思決定に当たっては環境的側面ばかりではなくて、技術的、社会的、経済的側面等いろいろな側面を勘案した上で決定をされることから、環境的側面のみを持って複数案の比較評価を行うというのは非常に難しいと考えております。
したがって、民間事業においてSEAを実施するということは、意思決定プロセスの途中でまさに経営戦略、事業の根幹である技術的ノウハウや重要情報の開示を求められること、また計画の公表によって投資計画の不確実性が増すことを意味し、これは民間事業者にとっては受け入れることは非常に難しいと考えております。また、だからこそ実際に、今国内外で民間事業者がSEAを行っている事例はないと認識しています。
要するに、民間事業においては税金を使う公共事業に求められるプロセスとは異なり、SEAの対象とすることは適切ではなく、現行の事業アセスをベースに取組を進めるべきであると考えております。
また、現行の環境影響評価においても今まで特に問題が生じているようには考えておりません。特に例として電気事業の場合をお話ししますと、発電所建設の意思決定をするためには、燃料の種類、出力、それから地点や発電方式、このような4つの重要なパラメータがあります。これらはお互いに関連しながら、最終的に1つの案に絞られていくわけです。ただし各パラメータについては、例えばエネルギーセキュリティ、需給動向、立地の制約等から選択肢が限定されてくるために、すべての条件を満たして複数のプロジェクト案をつくることは現実的には困難であり、複数案の検討は非常に難しいということです。
それから、この過程では環境面の文献調査や、環境の保全に関する検討も当然行っていきますが、地点選定に当たりましては地域の関係者の方々や、それからまた用地取得の見通しなども含めて総合的に判断して決定する必要があります。したがって、これらのプロセスが完了する前に計画案を公表してしまう場合、事業者としての正式な意思決定前の不確定な段階でご説明することになりまして、地域の皆様にも計画内容を正しくご理解いただくことが非常に難しくなる可能性があります。
さらに仮に計画が行き詰まってしまった場合には地域社会にも多大なご迷惑をおかけするばかりか、地域との信頼関係を損なうおそれも考えられ、電源立地を円滑に進める観点から問題が多いと考えております。
そもそも方法書の段階において事業の背景や経緯、必要性をできる限り明らかにすることになっており、それらに対する国や自治体、住民、専門家の方々の意見を基に必要に応じて計画が変更されることから、現行の事業アセスにおいても事業計画の早期段階から環境配慮は十分実施されているものと考えております。実際のアセスにおいても皆様のご意見を基に、計画を変更したケースもございます。したがいまして特に電気事業をSEAの対象とすることは適切ではないと考えております。

○浅野委員長 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 石炭火力発電所等について環境省の意見を聞いて、事実上ストップしているような例もありますので、将来的にはそういうことも考えなくちゃいけないのかなと私自身思っていますが、当面は、公共事業、自治体も入るかもしれませんけれども、に限ってこの構想段階での戦略アセスを入れていくというのが現実的な対応ではないかと思っています。
今、説明していただいた資料の3ページにもありますように、国交省の所管においては既に公共事業に関して、構想段階での住民参加手続を始めておられますので、そういう意味では、割と違和感なくこういうものが導入できると思われますので、規模段階でのSEAというのを当面公共事業に限って導入するというのが1つの方法ではないかと思います。
そのときに2ページに東京都の例が出ていますけれども、そこにもございますように、手続を何度もやるということが何か価値があるというわけでは必ずしもありませんので、後ろのEIAの手続おいてSEAの手続でやってしまったことがあれば、それを使っていくというティアリングという方法をとるということをぜひ同時にセットで行っていくという必要があると考えております。

○浅野委員長 ありがとうございました。
崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 今、大塚委員のお話を伺いまして、ほとんど私が申し上げようと思ったことと同じです。
ポイントとしては、とりあえず方向としては戦略アセスメントを取り入れていくというのは、私もぜひ必要だと思いますけれども、全体に取り入れるというのにはまだ無理がありそうですので、とりあえず国とか公共事業に対してはしっかりと取り入れていく方向でということに私も賛成いたします。
それを実施する際に、やはりそこでやったものに関しては、その後のアセスにうまく活用していくということも、もちろんインセンティブづくりという点で大事だと思います。
なお、1点、先ほど猪野委員のお話を伺いながら、電気事業者の皆さんに関しては、事業者としての検討段階ではなかなか難しいという話がありました。今後なんですけれども、私は市民の意見をできるだけ先に取り入れるというのは、長い目で見ると結果的には最初からいろいろな意見を聞いた上で、きちんと計画をつっていくということは、全部できてから反対運動が起こったりとか、そういうときのボタンの掛け違いとか、そういうことを考えると結果的には早くいくというようなことが多いのではないかというふうに感じております。
ですから、できるだけ早く市民参加の検討の場を整えて、その中でできた意見も入れながら物事を解決していくということを今後、試しにでもできるだけ早く取り入れて、そういう方向性を探っていただけると大変うれしいなというふうに感じました。よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 ありがとうございます。
中川委員、どうぞ。

○中川委員 戦略的環境アセスについて、法律上の制度として今後仕組んでいくということを検討するに当たって、公共事業だけに限定するという選択肢は私はないと思っておりまして、当然のことですが民間の事業にも対象とすることを前提として、制度化の検討が行われるべきだと思われます。
ただ、これまでの蓄積などを考えてみますと、望ましい手続などについて確立した方式を現時点において明確にするとか、あるいはそれに伴う法的な効果を明らかにするということは時期尚早ではないかという気がいたします。
したがって、今、行われようとしている公共事業についてのいろいろなガイドラインに基づく事例を積み重ねることがまず当面必要ではないかと思われます。
ただ、法律の規定をどうするかということについては、まだ別の見方と言いますか考え方があり得るかなと思っております。それは、やはり将来の方向性としてSEAの制度化が必要だということを宣言的に規定することは十分考えられていいんじゃないかと思います。
それによって、民間事業においても将来の課題として取り組んでいかなければならないという姿勢になっていくためにも、そういうふうな宣言的な規定を置くということは十分考えられていいというふうに思います。

○浅野委員長 石田委員、何かございますか。

○石田委員 まず、事例を積み上げていくということは非常に大事だと思っております。
民間か公共かという相違と影響度合いの大きさとはやはり本質的に違いますので、まずは事例をたくさん集めていって、その中で、本来もう一歩踏み出して規制すべきところが、法で規制してないがためにうまくいかなかったという事例をきちんと集めるべきだと思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。
この件に関して、ご意見をまとめさせていただきますが、まず、吉田委員の指摘されている点についてどう考えるかでございます。
複数案を検討することによって、柔軟な対応ができるだろう、これは現実にどんな事業をやる場合でも、概ねそれは内部的にはいろいろと検討されるということがあるわけですから、そうなりますとそれが表に出るか出ないかの違いだろうと思われます。
ところが、もう1つのご指摘の点である、複数の事業を計画されていて、EIAでは対応できない複合影響のようなものをどうやってちゃんと配慮するかという問題です。しかしながら、これは個別事業者にある種の義務づけをするというアセス法の枠組みの中で、どこまで効果的に実現できるかは課題が残ります。当然、関連する情報がもっとしっかり公的セクターから提供されなければわからないという部分があるわけです。ですから、そのような累積影響を明らかにするためにSEAは効果があるということはずっと言われてきて、私はそのようなご意見に対して決して反対をする気はないのですが、しかしこれを現在のEIAの法制度の枠組みの中にどこまで仕掛けとして組み込むことができるということになりますと、なかなか難しいなという感じがします。
ですから、そうなりますと今日のご意見の中では、中川委員がおっしゃるように宣言的に法の中にこういう仕組みが必要だということを入れることはあり得るだろうと思います。それからさらに、もう一歩進んで、既に実績を上げつつある国等が行う公共事業に関しては、何らかの仕組みをもっと前向きに、国民にわかるように、法律の中に入れていくということはあるべき方向ではないかというご意見が複数出ておりました。
しかしながら、直ちに民間事業についても今すぐ括って全部同じようにやるということについて積極的に進めるべきであるというご意見は、吉田委員のお話にしてみても必ずしもそういう趣旨ではないような気もします、ここの表現からはこういう点がポイントになるべきだよということをご指摘になっておりますので、そうなりますと当専門委員会としての取りまとめの仕方としては、SEAについて、ただ単に事例の積み重ねを待って、当分何もしませんという、そういう整理の仕方は必ずしもうまくいかないなと考えます。
総合研究会報告は若干、その辺慎重な表現であったのですが、より積極的に考えてもいいのではないかと思います。
しかしながら、直ちに全部の事業種をすべて括ってしまうというようなことは、現状では慎重に考える必要があるだろうということが今日のご意見の趨勢ではないかというふうに思います。
その上で、もう1つ、私自身気になっていますのは、SEAという言葉で何を意味するのかということについて社会の中で必ずしも完全な合意ができていないことです。
つまり、少なくとも早い段階で、環境配慮をしなければいけない。生物多様性基本法が言っているように生物多様性という観点から早い時期にそれについて配慮できる仕組みを何らかの形で入れておかなければいけないという、そのことをトータルにSEAという言葉で呼ぶのか、それとも個別具体的にあるシステムをイメージしてそれをSEAというのかでは随分話が違ってくるわけです。
ですから、今、猪野委員がおっしゃったことも早い段階で考えなければいけないということはわかってますとおっしゃったと、私は理解するわけです。今は、それは方法書の中でちゃんと明らかにしています。それで十分できるじゃないかというのが猪野委員のおっしゃったことだと思います。それはそれで1つのご意見として、そういう理解があるということは踏まえながら、SEAという用語についてまだ完全に1つのモデル・イメージが固まっているわけではないことにも留意する必要があります。
当委員会では、早期段階で配慮しなければいけないし、何らかの形で現在のEIAの制度にもう少し足していかなければいけないだろうということについては、了解できるけれども、それが直ちに特定のモデルを想定して全部民間事業まで一切合財含めてやるというところについては合意ができていない。むしろどちらかと言うと専門委員会としては今すぐにということはやや慎重をきすべし、というご意見が多かった。こんなような取りまとめでよろしいでしょうか。
猪野委員、よろしいですか。

○猪野委員 補足するという意味ではないのですけれども、公共事業と民間事業とでは、例えば経営的な決断も含めて、その進め方のプロセスが違うというのが1つあると思います。
例えば複数地点を2つ検討するとしても、まだ決定していないのに、地点名が公表されてしまった場合にどう対応するのか等、実際には大変難しい話が出てくるわけです。
このような問題がございますので、事業者として意志決定をした後に、事業を公表しなければならないことをご理解いただければと思います。

○浅野委員長 これはご意見としてお聞きしたということにしておきたいと思います。
いずれにせよ、公共事業だってある意味では似たような面があることは事実です。国交省のPIをやっておられたらかなりの決断の上でやっておられることは事実で、もともとEIAの制度を現在つくったときには、長物については勘弁してくれと、事後的にも公表したくない。ものすごくそういう声が強かったわけです。私は方法書に書いてはどうか、と申し上げたのですが、当時はそんなことは絶対に駄目だと言われたことがあります。
そんなことをやったら、用地買収ができなくなりますよと言われて、ある意味では引き下がった面があるのですが、現在、PIまで踏み込まれたというのは、その意味では随分踏み込んでおられ、それに至るまでのかなりのご努力とご工夫があるんだろうと思われます。しかし、今のところ直ちにこれでこの形でというふうになるほど成熟してないという面は確かにありますから、猪野委員のおっしゃるようなご意見も、ご意見としてありうるだろうと思います。
それでは、この点については、お二方が、まだ来ておられないので、来られたらご意見がおありになるかもしれませんが、後ほど、この結果については、今日、ご欠席の委員にはお伝えして、さらに補足的なご意見が書面で出れば、それも考慮しながらまとめていくということにしたいと思います。
それでは、この点については以上で、先に進めませていただきます。
次も、これも結構問題が多いのですが、その他の課題、訴訟制度等についてということで、これについて事務局からの説明をお願いいたします。

○沼田補佐 それでは、資料7番をご覧ください。
不服申立・訴訟手続について、としまして、まず海外における訴訟関連の規定を調査いたしました。アメリカ、カナダ、イギリス、オランダ、ドイツ、フランス以上6カ国について、環境影響評価に関する訴訟、提訴することが可能な法的規定の有無について整理しました。
まず6カ国中4カ国、アメリカ、カナダ、オランダ、ドイツ、こちらにつきましては、環境影響評価の手続の詳細を規定する法律の中では、訴訟の提起に関する規定は存在しておりませんでした。
これらの国につきましては、資料の中で挙げております行政手続法や連邦裁判所法、こういった行政機関に対する紛争の解決を求める訴訟手続を規定している一般法の中で、事業の許認可手続の意見提出者もしくは利害関係者が環境影響評価の関連訴訟を提起することが可能であるということになっております。
逆に、フランス、イギリス、こちら残りの2つの国につきましては、環境影響評価の詳細について規定している個別法令において訴訟提起に関して規定がされております。
次に、2点目が、国内における環境影響評価関連訴訟の代表的な事例でございます。
国内におけるアセスの手続や内容、こういったものが論点となった訴訟事例の中で、主だったものを資料の2ページ以降に表として整理しております。
事件の概要の詳細は、説明を省略いたしますが、いずれも環境影響評価の手続や内容が違法であるという判決が確定したことはなく、環境影響評価に関する論点については、最終的には棄却されております。
以上が、資料7の内容でございます。

○浅野委員長 それでは、この点については、田中委員のコメントがございます。
資料11でございます。
環境影響評価手続や評価に問題がある場合に、アセス制度に不服申立や訴訟手続を盛り込むべきという意見に対し、アセス手続や評価に関して、適正な執行を担保する措置と考える。
これについて、現行制度では事業者の手続や評価内容に不十分な点や誤り等が認められた場合には、環境大臣に意見の提出権がある。
また、許認可権者はそのことを踏まえて許認可権を行使する仕組みであるので、こうした制度をまずは適切に運用していくことが必要である。
特に、評価内容については、予測の不確実性等を踏まえて、必要によって是正する仕組みが重要である。その意味では事後調査の制度化が大きな役割を果たす。
仮に、環境アセスにおいて、訴訟制度を構築しようという場合には、当該事業の許認可に関して抗告訴訟の原告適格の要件を定めることは必要となるけれども、アセス法において原告適格の範囲を拡大した場合には、都計法に基づく意見提出のような類似の制度への影響も懸念される。訴訟手続については、このような他制度との整合性にも十分留意して、長期的課題として検討していくことが必要であろう。
以上が田中委員から出されたご意見でございます。
それでは、この件に関して、ご意見があればお出しください。いかがでしょうか。
大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 この点も前の検討会でもかなり議論になったところでございますが、田中委員がおっしゃっているように、一般法でやるというのが1つの方法なので、それは当然否定しないんですけれども、そこでも議論があったように、オーフス条約では環境保護団体の訴訟というのをかなり重視しているところがございますが、日本で今、環境保護団体が、これは抗告訴訟ということになりますけれども、原告適格が認められるかどうかについては、かなり難しいところがございますので、そういうことを考えれば、環境保護団体の訴訟というのを入れるということは、十分に検討に値すると思います。
なかなか反対のご意見も強いようなので、その辺は難しいところがあろうかと思いますけれども、一般法でいくか、環境影響評価法でいくか。一般法だと環境基本法ということもあり得るかと思いますけど、ということを今すぐか、かなり近い将来に検討すべきときに来ているのではないかと私自身思っております。

○浅野委員長 わかりました。
ほかにございますか。
猪野委員、どうぞ。

○猪野委員 環境影響評価法に訴訟手続を導入した場合、どちらかと言うと、環境影響評価法と直接関係がない、ある意味、事業の円滑な実施を妨げるような訴訟が増える可能性も十分考えられるのではないでしょうか。そういう意味では、少し慎重な議論が必要と考えております。
一方で、不服申立・訴訟手続を法制化することについては、場合によっては環境影響評価手続きを合意形成のプロセスとして規定していくような形になるのではないでしょうか。
現行法は情報提供を行うことを目的としており、不服申立・訴訟手続の法制化によってその趣旨が変わってしまうのではないかという点を懸念しております。

○浅野委員長 ありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。
中川委員、どうぞ。

○中川委員 私は、現状においては、環境影響評価法の中で、こういう訴訟手続を認めることについては、消極に思います。
理由としては、いろいろそこに書いてあることは、ほぼそのとおりだと思われます。
特に、原告適格をどう考えていくのかということについて、そう簡単に結論は出ないのではないかなという気がいたします。
もちろんいろいろな考え方が発展していく中で、将来において、全く道がないというところまでは思っておりませんけれども、現状においては大変に難しいのではないかと思います。

○浅野委員長 ありがとうございました。
この件に関しては、研究会の段階でも法律専門家の間でもっと議論しなければいけないという状況にあることは間違いないことです。
それで、大塚委員は積極的なご意見であるわけですが、近未来とおっしゃった。
それから、中川委員は、将来にはちゃんとやらなければいけないだろうというふうにおっしゃったわけです。
それから、猪野委員からは、不服申立制度をつくってしまうと、アセスの本質が変わってくるのではないかという、これはかなり本質的なご指摘だろうと思います。私もその点については、確かにそういうような点も考えなければいけないだろうと思います。
ただ、合意形成プロセスではなく、アセスというのがあくまでも手続法であると考えたとしても、手続法なら手続法としてその中で、ある種不服申立がないわけではないだろうという気がしないでもありません。そのことは必ずしも合意形成とは結びつける必要はないということではございます。いずれにせよ、時間を少しいただきたいというのが正直この部分について言えることであります。反対のための反対という言い方は適当ではないのですけれども、絶対これの事業は嫌だというご意見と絶対に事業を進めたいというご意見が激突する場としてアセスが使われることは、アセスの本来の機能でもないだろうということは事実でありますから、そうならないことが必要です。しかし他方で手続は適正に行われるということが必要であるとか、あるいは将来は国際水準として、オーフス条約が言うように、国民の意見が十分に環境政策に反映されるための手立てが必要だという国際的に確立しつつある考え方を生かしていかなければいけない。
そのために、ある意味では突破口としてアセス法が機能を果たすということは否定できない。これまでも情報公開制度にせよ、行政手続制度にせよ、みんなアセスが先鞭をつけてきたという面があるわけです。けれども、直ちにこの段階で具体的なことを具体的にというのはちょっと大変かなということでしょうか。
次の段階で、積極的に、あるいは真面目に、前向きに検討する必要があるだろう。しかし、いまのところは工夫が必要だということが今日のところのご意見ではないかと思いますので、そんなところでまとめさせていただいてよろしゅうございますか。
大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 座長がおっしゃるとおりだと思いますけれども、合意形成にちょっと否定的になるのではないかというのは、一見するとそういう感じもするんですけれども、今、座長がおっしゃってくださったように、これは手続の話なので、手続違反があるというときに、取消訴訟が起こせる、取消訴訟等の抗告訴訟が起こせるということを考えています。例えば裾切りの基準に違反して、アセスの手続をとらなくちゃいけないところを、とらなかったとか、評価項目の選定に誤りがあったとか、準備書の記載事項が欠けているとか、そういう手続を問題にして訴訟を起こすというケースなので、これによって合意形成が妨げられるということは多分ないのではないかと思っております。原告適格については、今、おっしゃっていただいたように、まだ法律上の利益に関しての議論というのは、個別的な利益を要求していますので、そこは限定的なんですけれども、だからこそこれはオーフス条約のこととかを考えると、立法的に拡張していかなければいけない、今すぐやったほうがいいと思いますが、もし反対が起きれば近い将来にはやらなくてはいけないことではないかと思っております。

○浅野委員長 ありがとうございました。
私が申し上げたのは、手続法の枠の中でも不服申立ということが、本来あるべきだろうということは私自身も考えていたことでありますので、それが適正に理解されることは必要だということも同時にあるだろうということでありました。
さて、それでは、少し急いで申し訳ないのですが、7時半に終わらなければいけないという時間的制約がございますので、先に進めさせていただきたいと思います。
ブロック会議の概要について、事務局からの説明をお願いします。

○沼田補佐 それでは、資料8番をご覧ください。
環境省におきましては、全国47都道府県、また18政令指定都市、合計65自治体を対象に環境影響評価制度の見直しに関して、特に地方公共団体と関わりの深い事項についてアンケート、またはヒアリングを行い、意見を整理いたしました。
アンケート項目は、資料の1ページ以降に書いておりますが、その結果の概要を説明いたします。
2ページに行っていただきまして、まず政令指定都市の意見提出についてですが、これは回答のあった自治体のうち53%に当たる合計33自治体におきまして、政令指定都市が直接意見を提出することについて肯定的な回答でございます。
一方で、デメリットがある、または不要と回答したのは、1自治体にとどまっております。
3ページに行っていただきまして、政令市の長が事業者に直接意見を出す場合の都道府県知事位置づけにつきましては、回答があったうちの23%の10自治体がどのような場合でも必要、33自治体が条件つきで都道府県知事の意見が必要という回答をしております。
次に資料の4ページです。
質問2-1ですが、現状で、環境大臣関与がない事業への環境大臣の関与につきましては、回答のあったうち64%に当たる40自治体が、環境大臣の関与が必要、または条件つきで必要と回答しております。不要という回答は、9自治体。約15%でございました。
4ページの下、風力発電施設を法対象とすることについてですが、これは回答があったうち40%に当たる25自治体で、風力発電を環境影響評価法の対象とすることについて、肯定的な回答でございました。
デメリットがあるという回答は、11自治体でございます。
次に、資料の6ページに行っていただきまして、方法書段階での説明会義務づけでございます。
方法書段階での説明会の義務づけにつきましては、メリットがあるなど、肯定的な回答が約51%の32自治体。デメリットがあるという回答が18自治体、約29%でございました。
肯定的な回答をした自治体からは説明会義務づけ導入に当たって、住民に対して方法書段階の説明の趣旨徹底を望む意見が多く述べられております。
7ページが、質問3、地方公共団体の意見形成のための公聴会の義務化でございます。
公聴会の義務化につきましては、肯定的な回答が13自治体で、約21%。一方で、デメリットがあるという反対の回答をした自治体が32自治体、52%でございました。
反対の理由としては、公聴会は条例で既に義務化をしているといった理由が挙げられていました。また手続を設けていない自治体について、公聴会がないことによる問題事例の有無を確認したところ、すべての自治体から特段問題がないという回答をいただいております。
8ページは、手続電子化についてです。
これについては、回答があったうち約半数の31自治体が手続電子化について肯定的な回答でございました。
デメリットがある、または不要という回答が約10%、6自治体でございました。
9ページに行っていただきまして、事後調査の関係でございますが、事後調査の義務づけを条例で行っている場合のメリットについて回答をいただいたところ、環境保全措置の確実な実施。予測・評価の検証、精度向上。こういったところを具体的なメリットとして挙げている回答が多く見られました。
10ページでございますが、これは条例の事後調査の結果、予測と異なる結果や追加措置が必要になった事例の有無を回答いただきました。
内訳としましては、事後調査が結果と異なったため追加措置を実施したという事例。あるいは希少動植物の発見による追加措置の実施といった回答が見られております。
実際に、どういった具体例が見られたかは10ページから11ページに記載しておりますが、詳細の説明は省略いたします。
資料の12ページ、事後調査結果が公表されないことの実務上の問題点ですが、多かった回答としては、住民の信頼確保が困難になる、制度への信頼性が低下する。あるいは環境保全措置の適切な実施が担保されない。こういった回答が多く見られております。
13ページです。
事後調査における環境省の位置づけでございますが、これは複数回答で回答いただきまして、内訳としては、環境省が事業者に意見、指導、助言できるようにするが、約38%。法手続において大臣が事後調査に関与すべき、という回答が25%、あるいは統一的な基準を策定すべきといった回答が多く見られています。
以上が、資料8、地方公共団体の意見聴取の結果の概要でございます。

○浅野委員長 ありがとうございました。
ただいま、資料8に基づいて、自治体のヒアリングの結果についてということで、報告をいただきました。
もう一回、確認したいのですが、ここに書いてあることは、基本的には書面によるご意見聴取が基礎になっていて、それに加えて、担当者会議で出てきたコメントが入っているということでしょうか。
定量的な数字になっている根拠は、どっちを中心にこれはまとめられているんでしょうか。

○花岡課長 基本的に書面のものが使われておりますが、例えば政令指定都市と都道府県の関係などは私は実際にブロック会議に行った場で、県もいらっしゃるし、市もいらっしゃるし、申し訳ないけれどと言いながら、本音を聞かせていただいて、そういう内容を反映させていますので、各ブロックでそのようにやっておりますから、どちらかの意見が無視されたという形にはなっておりません。

○浅野委員長 なるほど。定量的な整理は基本的には書面の回答が基になっているけれども、コメント等は後のご意見で補足されたという理解でよろしいですか。

○花岡課長 はい。

○浅野委員長 わかりました。
それでは、この資料8について、何かご感想なり、ご意見なりございましたら、お出しいただけませんでしょうか。
中川委員、何かございますか。

○中川委員 大体、予想どおりです。

○浅野委員長 予想どおりですか。わかりました。
ほかに委員から、何かございますでしょうか。
どうぞ、崎田委員。

○崎田委員 事後調査に関して、やはり事後調査をきちんとやったほうがメリットがあるのではないかというお答えが多いこと。あるいは、事後調査結果が公表されないことで、問題点を感じているというふうに感じてらっしゃる方が多いことなど。やはりこの辺は非常に重視すべき点かなというふうに思っています。
やはりせっかくこれだけのきちんとした事前の制度をとってくださっているんですから、最終的に事後調査をして、それを公表することで、信頼性を確保するという、そういう循環するサイクルをつくったほうがいいなというふうに大変強く思いました。
そういう話を以前しておりましたので、こういう結果からも裏打ちされたなというふうに感じております。
なかなかそこが非常に興味深いという感じがしました。

○浅野委員長 わかりました。
どうぞ、猪野委員。

○猪野委員 事後調査そのものは、前にもお話ししたとおり、現行法で十分に実施できる規定となっております。環境影響評価手続の中で、事後調査の実施及び報告を指示できるようになっていて、実際にやっているわけです。そういう意味では、現行法でできるのにも関わらず、十分運用されていないのかどうかといった点を良く整理して頂き、現行法で対応できるということならば、義務付けは不要ではないかと思います。

○浅野委員長 わかりました。
ほかにございますか。
中川委員、どうぞ。

○中川委員 資料3に戻って、1点だけ、7ページのところの地方公共団体の制度との関係等についてというのがございます。これは報告書にも載っているとおりなんですが、報告書でもよくわからなかったのは、「この法律の規定に反しないものに限る、」を削除すべきという意見があったということだけ記述されているので、その理由なり背景ということはよくわからないのです。もし現状において、条例でこの規定があるために、条例で定めようとしている事項において大きな支障が生じているならば、この点については、もっと積極的に検討すべきではないかと思われますが、そこの点については、ちょっとよくわかりませんので。

○浅野委員長 これは記憶をたどってみますと、研究会の中で、最後のほうでご意見として出てきたということですが、具体に何か支障があるという具体例を提示してのご意見ではなくて、何となく気分的にうっとうしいなと思っておられるというような印象を受けました。
ですから、中川委員がおっしゃるように、そのために現実に条例が大変制約を受けているというようなニュアンスではなかったのですが、やはり分権の時代、これは一体何なんだと、こういうようなことだったと思いますが。
事務局、そういう理解でよろしいでしょうか。ちょっと乱暴すぎますか。

○浅野委員長 これは、沼田補佐しかご存じない話で……。

○沼田補佐 これは、ヒアリングの際にNGO等からご指摘がありました。

○浅野委員長 委員の中からも意見があったようですが。

○沼田補佐 はい。ただ、あまり具体的な事例は上がっていなかったと記憶しています。
大塚委員、思いだしていただけますか。

○大塚委員 これは分権推進に反するということは全然ないと思います。これは法の手続と条例で追加する手続との関係を書いているだけなので、この条文だけを読むと何か分権に反しそうに見えるかもしれませんけれども、そういうことではなくて、法律と条例で手続が重複すると事業者のほうが困るものですから、その観点からの規定だと思いますので、私は特に問題はないと思います。

○浅野委員長 政府の分権推進委員会からはもっと積極的なご発言もありましたので、その流れから言うとまた違うかもしれませんが、とりあえずこの程度に……。

○中川委員 私の意見としては、実際に各地方公共団体で多くの問題がある、あるいは問題が発生しそうだということであれば、これはもっと前向きに検討してもらうべきだという意味で申し上げました。

○浅野委員長 わかりました。ありがとうございました。
それでは、現実に各地方公共団体からご意見をいただいたということは重く見なければいけないと思いますので、これについてさらにまた最終の報告書をつくる前にはよく解析をさせていただいて、可能なものは取り入れていくということにして、今日、これでどうだ、こうだという話ではございませんので、そのような取扱いにさせていただきたいと思います。
それでは、次でございますが、中間報告骨子が、資料9にございます。
これに関しては、委員長として事務局に準備するよう指示をしたということでございますので、最初に少し経過をご説明申し上げます。この専門委員会を総合環境政策部会で設置するに当たって、釘を刺されておりまして、専門委員会というのはあくまでも専門委員会であって、最終的には部会で決める。だから、ちゃんと途中で報告するようにと言われているわけです。
前にあることで、私が専門委員長をしたのですが、全く中間報告をしないで、いきなり報告を出して、今日、これを決めてくださいと言って怒られたことがあります。それでこりごりでございまして、今回は怒られたくないので、ちゃんと中間報告はいたしますと宣言いたしました。
ところが、思ったよりもスケジュールがタイトになったものですから、どうしても総合政策部会で中間報告をするとすれば、次の部会の機会に報告をせざるを得ないということでございますので、大変異例なことでございますが、今日のご議論を踏まえて本来はつくるべき中間報告骨子を見切り発車で、前回までのご議論を踏まえてつくったということでございます。
今日のご議論についても大体、大筋では合意ができたように思われますから、それに基づいて、これを足していくことになると思いますが、骨子を今日ここで出したのは、そういう意味でございます。
では、まずこの骨子について、事務局から説明をお願いします。

○沼田補佐 資料9、中間報告骨子案につきまして、順番に説明させていただきます。
まず、論点の1点目が、対象事業について、(1)国と地方の役割分担。我が国の環境影響評価制度は、法対象外の事業も含めまして、各地方公共団体が地域の状況も踏まえながら環境影響評価条例において対象事例としている状況にあります。
今後とも、現在の法と条例の役割分担を尊重すべきである。
(2)番が、法的関与要件です。
許認可等の法的関与要件を対象事業の条件の1つとすることは、現行制度の根幹であり、維持するべきである。
(3)番が、補助金事業の交付金化への対応。現在、交付金の交付対象となっている事業種には環境影響評価法の対象事業も含まれており、その中には許認可等の他の法的関与要件で捕捉することのできない事業種も含まれています。
補助金と交付金の違い等も考慮しつつ、交付金化された事業についても法対象とできるよう対応が必要である。
(4)が将来的に実施が見込まれる事業種への対応。放射性廃棄物最終処分場、あるいはCCSといった将来的に実施が見込まれる大規模な事業については、国の関与の下に、何らかの形で環境影響評価を行う仕組みが必要であるという意見がございました。
しかしながら、これら事業は現時点では、実証試験等の段階にあることから、法対象に追加するかどうかの検討は知見を蓄積し、実用化のタイミングを見た上で判断すべきである。
(5)が、条例等による環境影響評価が実施されている事業種への対応。
風力発電施設の設置に当たっては、一部の自治体が条例で対応しているほか、NEDOマニュアルよる自主的な環境影響評価が実施されております。
2ページに行っていただきます。
しかしながら、風力発電施設に対して、環境影響評価条例で対応している自治体は一部にとどまっており規模要件等にもばらつきがあること等から、環境影響評価法の対象事業として追加することを検討すべきである。
なお、風力発電施設は風況の関係から、適地も限られるため、条例やNEDOマニュアルに対応することが適切であるという意見や、あるいは自然公園地域内に条例が適用されている場合の規制の重複について整理が必要でないかという意見がございました。
次に論点2番目、スコーピング手続についてございます。
現行環境影響評価法では、説明会の開催は準備書の段階のみ義務づけられておりますが、一方で、方法書の平均的なボリュームが約170ページになっていることなどから、方法書段階の住民等意見には、調査方法ではなく方法書の趣旨内容の周知を求める意見が見られております。
方法書の目的について理解を深め、方法書段階でコミュニケーションを充実させる観点から方法書段階での説明会を導入するべきである。
なお、方法書段階での説明会開催は住民の求める情報とのミスマッチが生じ、説明会の形骸化のおそれを懸念する意見もございました。方法書段階での説明会の導入について検討する場合には、同時に方法書の位置づけを明らかにするとともに、環境省が運用上のガイドラインや一般的な用語解説をつくって事業者の負担軽減について併せて措置することが必要である。
論点の3は、国の関与でございます。
(1)が現状では環境大臣関与のない事業の扱いについて。
現行法では、許認可権者が地方公共団体である事業については環境大臣の意見提出の機会が設けられておらず、特に公有水面埋立事業については環境大臣の関与がないことが問題とされた事例も見られています。
このような許認可権者が地方公共団体である事業についても、環境影響評価手続において環境大臣の関与を設けることが必要である。この場合の環境大臣の関与の仕方については、全国的な視点から生物多様性保全や温暖化対策に関する意見はいつでも環境大臣意見を述べられる仕組みとすべきではあるが、地方分権の流れにも留意し、許認可権者である地方公共団体から求めがあった場合に環境大臣が助言を述べる仕組みとすることが適当である。
(2)が方法書段階での環境大臣の関与について。
現行法では、環境大臣意見は評価書の段階のみで述べられることになっていますが、環境大臣意見において方法書段階で述べられるべき内容が含まれ、長期間かかることが想定される事例が見られています。
方法書段階の仕組みや現行の仕組みで実行可能とする意見もありますが、事業者が主務大臣に助言を求めることができる現行法の規定を受け、その際に環境大臣も技術的見地からの意見を述べる仕組みが考えられる。
論点4番目が、地方公共団体の関与についてです。
(1)が政令指定都市等の意見提出です。
現行法では、地方公共団体の意見は関係市町村長意見を踏まえて、都道府県知事が事業者へ意見を述べる仕組みとなっています。
この点について、大半の政令指定都市が独自の環境影響評価条例を制定していること等を踏まえ、事業の影響が単独の市の区域内に収まる場合は事業者への意見提出権限の付与を行うことが必要である。
意見提出権限を付与する範囲については、政令指定都市か否かという点だけではなく、環境影響評価条例の制定の有無といった実態を踏まえた上で検討を行うことが必要である。
また、政令指定都市等に意見提出権限を付与する場合にも都道府県は広域的な観点から引き続き意見提出ができる仕組みが必要である。なお、政令指定都市と都道府県の意見の不整合等による事業者の混乱を回避することも必要であるという意見もございました。
(2)が複数の地方公共団体にまたがる事業の審査です。
複数の自治体にまたがる事業について、合同審査会の開催等により審査手続を効率化し、事業者の負担軽減を求める意見がございます。
こういった手続の効率化は、地方公共団体の判断により運用上対応することも可能であるが、そういった対応をとりやすくするよう、法律上何らかの規定を置くことも考えられる。
論点の5点目が、環境影響評価の事業への反映についてです。
まず、(1)が事後調査です。事後調査の実施状況についてアンケート及び環境省調査を実施した結果、事後調査の結果公表が一部にとどまっていました。
また、事後調査の結果を受けて追加措置を行った事例があり、事後調査には積極的な意義が認められました。
事後調査の実効性を高めるため、結果を行政や第三者が確認できるよう事後調査の法制度化が必要である。
事後調査を行う目的については、さまざまな考え方があり、事後調査の制度化を検討する場合は、その目的について整理する必要がある。
また、制度的に義務づけをする場合には、何年後に課すのか、事業主体が変わった場合の扱いをどうするのか、といった点についても整理が必要である。
また、事業者は供用後には環境法令等に基づく報告規定等があり、現行制度で問題はないという意見もございました。
(2)は許認可の反映についてです。
環境影響評価法の対象事業について許認可をした際に、環境影響評価結果をどのように考慮したかを公表する仕組みについては、他制度での類似の事例が少ないことや個別法で対応可能とする考え方もあることを踏まえて、慎重に検討する必要がある。
(3)が未着手案件の環境影響評価手続の再実施について。
手続終了後に未着手となっている案件の扱いについては、他の事業者による影響等も考えられることから、一定の期間が経過した案件について一律に再評価を義務づけることは困難である。
論点の6点目が、環境影響評価手続の電子化でございます。
手続の電子化については、地方自治体や法対象事業の事業者がそれぞれホームページなど電子的体制が整備されている状況下で、実際に電子化を行った事例について調査を行ったところ、電子化に伴う特段の問題が発生したという事例は見られていない。
希少種の生息地に関する情報や安全保障の観点からの情報点等の管理、電子公開を行う際のシステムの整備など、電子化に伴い想定される問題点について整理・議論した上で、環境影響評価図書縦覧等の手続電子化を推進するべきである。
その際、中小事業者の対応が困難であれば、国や自治体のシステムを利用することは考えられる。
最後に、論点の7、情報交流についてでございます。
(1)が公聴会です。環境影響評価手続における公聴会の開催については、都道府県・政令市62団体のうち51団体で手続が設けられており、そのうち45団体は法対象事業にも公聴会手続が設けられています。
このように既に多くの地方公共団体が条例で公聴会の開催を行っていることから、法での新たな義務づけは不要である。
最後に、(2)方法書意見への対応です。
準備書作成前に方法書に対する意見への回答を義務化することは手続の長期化につながるおそれがあるため、義務化は不要である。方法書段階での説明会や情報提供を充実させ、方法書の内容の理解を促進させることが優先課題である。
なお、方法書段階での住民意見が反映されるよう、準備書作成前に方法書に対する意見への回答を義務化すべきという意見がございました。
以上が、資料9の論点整理骨子案の概要でございます。

○浅野委員長 それでは、これまでの部分、こういう形で整理させました。ご覧いただいていてわかりますように、以前の研究会報告書は両論併記の色彩が非常に強くて、ある意味では無理に両論併記にしたような面もなきにしもあらずなんですが、今回は、それをちゃんと専門委員会ではまとめた上で、検討の方向性を示すために専門委員会が置かれていますので、私としては両論併記は避けたいと考えております。
最終報告をまとめる場合でも、部会でちゃんと審議していただけるように、提言を明確にしていきたいと思います。
ただし、十分おわかりのことだと思いますが、専門委員会は最終決定機関ではありませんので、その上で、また部会で強いご意見が出れば、それに基づく修正は部会長の判断で行われるということはあるべしと思っておりますので、そういうことでこの骨子案もあえて両論併記のようにはなっておりません。両論がある場合でもどちらがより多いかという考え方を示すということにしています。
このことも含めて、このような骨子案と書いてありますが、これが最終的には部会に出す中間報告ということになってくると思います。しかしながら現段階では中間報告はあくまでも中間報告でありまして、これ以上の文章をつけ加えて、膨大に分量が多いものにするという気は全くございません。むしろ淡々と経過を説明するだけで、それについて早い段階で部会からのさまざまなご意見を承って、我々の最終報告をまとめる参考にしたいという趣旨でございます。その点をお含みいただいた上でご議論をお願いしたいと思います。本日、出し方がちょっと悪くて、報告骨子案になっていますから、またこれがさらに膨らむという印象を与えることは本意ではございません。
では、ご意見ありましたら、どうぞお出しください。どなたからでも結構でございます。
猪野委員、どうぞ。

○猪野委員 表現で気になるところがあるので、指摘したいと思います。2ページの上から2つ目のポツのですけれども、その2行目で、「自然公園地域内に条例が適用されている場合、規制の重複についての整理が必要ではないかという意見もある。」とありますが、ここの表現がわかりにくいと思います。私がそのとき申し上げたのは、風力発電の適地がだんだん少なくなっていくと、場合によっては国立公園等の地域内に建設地点を、求めていかざるを得ない。そういった場合、それぞれの地域を管轄している法律、例えば自然公園法や、森林法等と風力アセスの際に求められる手続きで重複の規制になる部分が出てくるように思えますので、その点を重複しないよう整理できればという意味で申し上げました。この表現ではその意味が伝わりづらいと思います。

○浅野委員長 規制の重複についてというところが十分に猪野委員の意を尽くした表現になってないと、こういうことですか。

○猪野委員 自然公園地域内に条例が適用されている場合の規制の重複って、何かちょっとよくわからないので、そこら辺が気になったところです。

○浅野委員長 わかりました。

○猪野委員 あともう1つ、3ページの(1)事後調査のところで、一番下のポツで、供用後のことだけ書いてありますけれども、やはり現行法でもちゃんと事後調査の指示ができるということを追加いただければ非常にありがたいと思っております。

○浅野委員長 ご意見として承りました。
他にございますでしょうか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 すみません。遅くなりまして失礼いたしました。
2ページ目の3の(1)のところで、現状では環境大臣関与のない事業の取扱について、「許認可権者である地方公共団体から求めがあった場合に環境大臣が助言を求める仕組みとすることが適当である」というふうに締めくくっていますが、今日の都道府県のアンケートを見ますと、回答した自治体の64%が環境大臣の関与は必要、あるいは条件つきで必要と回答しています。生物多様性保全や温暖化対策など全国的な視点を必要とする案件については、環境大臣が意見を言わないとおかしいだろうと思います。締めくくりの文章は、「全国的な視点から生物多様性や温暖化対策に対する意見は、地方分権の流れにも留意の上、いつでも環境大臣に意見を述べられる仕組みとすべきである」としていただくといいのではないかと思います。

○浅野委員長 地方分権で留意することは全然異存がないので、それを削る気はないということですが、中川委員、いかがでございましょうか。

○中川委員 これは私が申し上げた意見が採用されたと思います。やはり制度の根幹としては、主導権を地方団体が持つという、そういう仕組みはやはり維持しておくべきだというように私は思いますので、この記述を支持いたします。
なお、表現の点だけ、1点ちょっと申し上げさせていただきます。研究会の段階からずっと、「国の関与」という言葉で全部来ているものですから、これを全部ひっくり返すというのはなかなか難しいんですが、特に、(1)の2つ目の・に、環境大臣の関与、環境省の関与という言葉がございますし、特に2つ目の・には、環境大臣の関与を設けることが必要であるという書き方は、こういう分権の時期でありますので、新たに関与を設けるのかというのは、私としては、耐えがたいところがございますので、例えば4のほうの地方公共団体の関与について、にありますように、意見提出権者の付与を行うというような書きぶりもありますので、例えば環境大臣が意見を提出することができる制度を設けることが必要であるとか、できればそういうような関与という言葉を外していただくほうが、私としてはより望ましいと思います。

○浅野委員長 わかりました。
ほかのご意見、ございますか。
大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 当然のことかもしれませんが、8から後は今日の議論を踏まえてまたこれを追加するということでよろしいですか。

○浅野委員長 そうです。

○大塚委員 それでは、それはよろしくお願いいたします。
3点ほどございますが、1つは、5の(1)のところで、行政というふうに書いてあるんですけれども、これはやはり報告を受けたりすることを考えるとすると、許認可等権者ということになると思いますので、行政という言葉を残していただいても構わないんですが、許認可等権者という言葉、どこかにやはり出てこないとまずいかなと思います。これは議論でも出てきたことですので、ぜひお願いします。
それから(2)のところですが、このままだと許認可をした場合に、公表する仕組みに関しては、慎重に、ということだとやらないと言うことになりそうなんですけれども、これについては、この許認可に反映するためにアセスというのはもともとやっているということを考えると、ぜひ考える必要があると思いますので、ほかの制度で例が少ないということがあるとすると、運用などで対応するとか、マニュアルをつくるとか、そういう対応をするということを検討してはいかがかと思います。
考え方もあることを踏まえ慎重に検討する、というのを、考え方もあることを踏まえ具体化の方法について検討するとか、何かそういうふうにもし変えていただけると大変ありがたいということでございます。
それから、もう1点でございますが、3の(1)のところについては、これは全国的なことを考えなければいけない、生物多様性なんかについては、自治体さんに対して環境大臣が意見をいわなければならないというのは、場合によっては、指導的に言わなければならないことがあるかもしれないと思いますので、私もここは吉田委員の意見に賛成でございます。
以上です。

○浅野委員長 田中委員、どうぞ。

○田中委員 私は、3点あります。1つは、スコーピング手続の2番のところです。
この方法書段階で、コミュニケーションを充実させて住民等の情報提供を積極的にしていくという、特に説明会の開催でしょうか。これについては、導入するべきという方向でまとめられておりますけれども、もう少し踏み込んで、義務化を考えるとか、義務化の方向で整理する、そういう趣旨に表現を強めたらどうかというのが1点でございます。
ここのところは、およそ前の検討会の中でも、本専門委員会の中でもおよそ合意ができたところではないかと思います。
同じような意味で、4ページの手続の電子化について、これも地方公共団体の意見等を聞き、また外国の事例等も調べた中で、現時点でも手続の電子化というのを推進するという方向で専門委員会としてもおよそ合意ができているように思います。ですので、一定の留保でしょうか、情報公開、電子公開を行う上でのシステム上の整備とか、そういう問題点の整理はするけれども、電子化手続を推進するべきではないか、その義務化を考えるべきではないかということです。
と申しますのは、ほかのところで、義務づけが不要であると、要らないものについては明快に書いてありますので、そことの並びで言えば、先ほど座長のお話のように積極的にすべきところはもう少し踏み込んでもいいのではないか、この2点がまず表現の話です。
それから、3点目は、事後調査の関係でございます。3ページの5番の(1)の3つ目の・のところに、事後調査を実効性を高めるため、結果を行政や第三者が確認できるように、これは、恐らく趣旨としては行政への報告とか第三者が確認できる、これは調査結果の公開の仕組みということだと思います。
先ほど、猪野委員から話がありましたが、現行法の中でも問題がないという意見もあったわけですが、その調査結果を公開することで、その結果が環境保全措置への対応をさらに促していく、それから技術的な水準を高めていく、予測技術の不確実性を担保するという、こういう意味があると思いますので、むしろ公表といったことをこの事後調査の法制度化に盛り込んでいく、そこが大事ではないかということを改めて強調と言いますか、つけ加えたいと思います。
以上でございます。

○浅野委員長 石田委員。

○石田委員 1点だけですが、3の国の関与についての(1)の2つ目の・です。4行目の、「・・・環境大臣意見を述べられる仕組みとすべきではある。」で区切って、前半と後半に分割することにより2つ目の・には、公有水面埋立のような、地方公共団体主導のものであっても、全国的に影響の及ぶ事項についてきちんと環境大臣意見を述べられるようにすべきだという趣旨を強調できると思われます。その上で、3つ目の・として、地方分権の流れを十分に留意した方向というのを出したらいいのではないかと思います。

○浅野委員長 ちょっとこの点は整理をさせていただきたいと思います。
大塚委員、今の点について。

○大塚委員 ご趣旨が、完全に把握できてないんですけれども、2つを3つに分けるというのは、どういうふうに分けられるんですか。

○石田委員 ちょっと言葉足らずで、2つ目の・のところをこの文章でいいんですが、4行目のところで、環境大臣意見を述べられる仕組みとすべきであると。つまり全国的な視点からのものは仕組みとすべきであると言い切って、3つ目の・として、地方分権の流れにも十分留意して、このままの、後ろにそのまま入れると。

○浅野委員長 わかりました。
今、一番議論になっているのが、求めがあった場合にしか述べちゃいけないという書きぶりなのか、それともそこはあえて言わないで、助言、要するに環境大臣が意見が出せるということでいいんじゃないかという、その点ですね。
吉田委員、あるいは大塚委員は、求めがあった場合しか出せませんというのはちょっと消極的だとおっしゃった、こういうご意見で、出したいときは出せるでいいじゃないのか。出さなきゃいけないとやられるとこれは困るだろうけれども、出したいときに出せませんというのはいかがなものか、というのが吉田委員のご趣旨でした。大塚委員もそれに賛成ということですね。
出したいものを出しちゃいけないというのはちょっと穏やかではないというご意見です。
確かに自治体のアンケートをとってみても、やはりこれは欲しいという意見が結構多いということがありますと、中川委員のご意見でございますけれども、出しちゃいけないという書きぶりではちょっと辛いかなと思っていますので、吉田委員、大塚委員の線でまとめさせていただいて、今、石田委員が言われたこともちょっと議事録をよく見てその趣旨を反映させるようにさせてください。
それから、中川委員が言われた国の関与というのは、確かにどういう表現がいいか、ちょっとこれは考えさせてください。これはずっと総合研究会をとおしてつかってきた言葉なものだから、なかなか我々、事務方とも、頭の整理ができないので、こういう言い方をしているんですが。

○中川委員 環境大臣の関与を設けることというのは、新設するのかという感じがします。

○浅野委員長 なるほど、そういう意図では全くないので、そこはちょっと表現を事務局と相談して、できるだけご趣旨に沿うように、見出しを直すかどうか別として、言われるような趣旨ではないということがわかるようにはしたいと思います。
それから、あと大塚委員が言われた細かい点については、検討して直します。
それから、田中委員が言われた義務化とはっきり書けということですね。これは今聞いてみると、確かに義務化すべきじゃないと言っていて、一方は、前向きにやりますでは、バランスが崩れるだろうというわけですが、少なくとも電子化に関しては、積極的に書かせていただいてよろしいでしょうか。
それから、説明会については……。

○猪野委員 これはちょっと、気になりますよね。

○浅野委員長 義務化といってしまうと、今度は逆にやらないと駄目というふうになっちゃう。手続違反ということになるので困る。どうしたって不可抗力でできない場合があるわけです。電子のほうはこれはやろうと思うとできるわけだから、義務化でもいいんだけれども、説明会について、ちょっとそこは最終的に微妙な面があって、やはり義務化、骨子だからとか、書くときはいいのですが、一旦書いてしまうとなかなか、それをひっこめると後退と言われるから、つらいのがあります。微妙な表現ですけれども、そこはちょっとお任せいただけませんでしょうか。
それと猪野委員が最初に言われた表現がよくわからんというというところはおっしゃるとおりで直します。
それから、事後調査については、現行法にも事後調査の規定があるということはもっと明言する必要があるというご指摘は、それはそうだろうと思いますから、何らかの形で入れます。ということでよろしゅうございますか。
あとその他の、今日、検討した論点についても、総合環境政策部会で報告しなければいけないのですが、この点についても先ほど私が一応整理させていただいて、ほぼ合意が得られるというところでまとめさせていただきましたので、これも私にご一任いただけますでしょうか。大変恐縮でございますが。よろしゅうございますか。
それから、中環審の委員の方は、また総合政策部会にお出になって、補足的にご発言になることについては、専門委員のくせに発言するなとは私は全く思っていませんので、いかようにでもご発言いただければと思います。
そういうことでお許しいただけますか。時間が足りないものですから、多分かなり過酷なスケジュールで事務方の作業をせざるを得ませんので、よろしいですか。

○崎田委員 1点。
先ほど、田中委員が、事後調査のところで、環境配慮を進める上で、ポジティブというか積極的なことにつながるんだとおっしゃった、そういう雰囲気を。

○浅野委員長 これは、積極的に意義が認められるという書きぶりにはなっているわけですね。そこでそういうふうに書いてあるわけです。
でも、実際、これをやるとなると、結構いろいろ考えなければいけないことがあるよね、という書きぶりですから、基本的に、積極的に意義があるという書きぶりになっていますので、よろしいですね。
では、大変恐縮でございますが、一任をいただきました。中間報告はあくまでも中間報告で、そこでまたご意見がでれば、当然それも受けなければいけません。最終的な報告は、これから大きくはずれることはなかなかやりづらいかもしれませんけれども、いずれにせよ最終的な報告というものは、パブリックコメントの結果を反映させる修正もあり得るということがありますから、いくら中間報告で書いたからといって、最後に出たものが全くこのとおりになるという保証はございません。
むしろ変えなければいけないし、全然変わらなければパブコメをやる意味がないといわれることがあります。私は全くそういうご意見に同感なので、必要な手直しが行われていくと思います。私にご一任いただいたということで、次の部会にはこの線で、中間報告とさせていただきます。
ありがとうございました。
それでは、議題のその他について、事務局から説明をお願いいたします。

○沼田補佐 次回の第5回の専門委員会でございますが、こちらにつきましては、各委員の日程調整をした上で、また改めてご連絡をいたします。よろしくお願いいたします。

○浅野委員長 よろしゅうございましょうか。
それでは、今日は大変申し訳ありません。7分ほど予定の時間を超過していますが、これで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。

午後 7時37分 閉会