中央環境審議会総合政策部会(第64回)議事録
開催日時
平成23年12月14日(水)14:00~17:05
開催場所
三田共用会議所 4階・第4特別会議室
議事次第
- 開会
- 議事
- (一)第三次環境基本計画の見直しについて
- 重点分野検討結果報告(報告分野)
-
- 「地球温暖化に関する取組」
- 「生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組」
- 「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」
- 「水環境保全に関する取組」
- 「大気環境保全に関する取組」
- 「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」
- (二)その他
- (一)第三次環境基本計画の見直しについて
- 閉会
配付資料一覧
【資料】
資料1 | 第四次環境基本計画策定における重点分野 「地球温暖化に関する取組」報告書 |
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資料2 | 第四次環境基本計画策定における重点分野 「生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組」報告書 |
資料3 | 第四次環境基本計画策定における重点分野 「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」報告書 |
資料4 | 第四次環境基本計画策定における重点分野 「水環境保全に関する取組」報告書 |
資料5 | 第四次環境基本計画策定における重点分野 「大気環境保全に関する取組」報告書 |
資料6 | 第四次環境基本計画策定における重点分野 「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」報告書 |
【参考資料】
参考資料1 | 中央環境審議会総合政策部会名簿 |
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参考資料2 | 第四次環境基本計画策定に向けた考え方(計画策定に向けた中間とりまとめ) |
議事録
午後2時00分 開会
○矢田環境計画課計画官 まだ遅れている方もいらっしゃいますけれども、定刻になりましたので、ただいまから第64回の中央環境審議会総合政策部会を開会いたします。
議事に入ります前に、お手元の配付資料の確認をお願いいたします。
配付資料といたしましては議事次第の下のほうに載っております。本日は地球温暖化、生物多様性、物質循環、水環境、大気環境、化学物質という6つの分野から報告を受けることとしておりますが、その資料を資料1から6という形で配付させていただいております。それから、参考資料といたしまして、部会の名簿と中間とりまとめをいつもと同じように配付させていただいております。もし不足している資料がございましたら、事務局までお申しつけいただきたく存じます。
また、ご発言をいただく際には、スタンドにありますスイッチを押してからご発言をお願いいたします。同時に4本までしか使用できませんので、ご発言が終わりましたら、スイッチを切っていただくようご協力をお願いいたします。
遅れていた方もいらっしゃいましたが、ちょうど今お揃いになったところでございます。それでは、過半数の委員にご出席いただいておりますので、定足数の要件を満たしておりまして、部会として成立していることをご報告申し上げます。
それでは、以降の進行は部会長にお願いいたします。
○鈴木部会長 それでは、第64回の総合政策部会になります。前回、1週間前に、全体として9つ立てました重点分野の内、いわば横串の部分につきまして報告をいただき、ご議論いただきました。本日はそれぞれ具体的な領域を持っている地球温暖化、生物多様性、物質循環、水環境保全、大気環境保全、化学物質、これらにつきましてそれぞれ担当されました委員の方からご報告をいただき、その6分野についてのご検討をいただくということにいたしております。
時間も大変限られておりまして、しかも、その内容が今日は大変多いということで、ご報告いただくに当たりましては主担当委員から15分以内ということで6件のご報告をいただき、それが終わった後に委員の方々からご質問、ご議論をいただければと思っております。
それでは、早速ですが、「地球温暖化に関する取組」から始めます。この主担当は私となっておりますが、本分野の報告につきましては、検討に加わっていただきました浅野委員からご報告をお願いしたいと思います。よろしくどうぞ。
○浅野委員 それでは、「地球温暖化に関する取組」に関する資料1についてご報告申し上げます。まず最初にお断りを申し上げておかなければなりませんが、この資料1は環境基本計画の策定のためにつくられた文書であると同時に、エネルギー環境会議に対して環境政策の面からの地球環境部会の意見という形で提出する文書を兼ねております。さらに、文書は、今後更に地球温暖化に関する施策の有り様を地球部会では継続審議をし、バージョンアップをしていくことを想定した文書でございまして、現段階において環境基本計画策定に資するために提供するということになっております。
そこで、申し訳ないのですが、例えば主体の役割というような記述がまだ入っておりません。地球環境部会から総合政策部会のほうに提出した段階でこの部会で手直しをすることについては既に地球環境部会でのご了承をいただいておりますので、そのようなことを前提としてご理解いただきたいと思います。 もう一点、地球部会ではこのペーパーをつくるに当たりまして、8月以来5回くらいの部会を開いて議論を重ね、それぞれ出されたご意見を基にこのペーパーがつくられてまいりましたけれども、残念ながら幾つかの点については全く意見の一致を見ませんで、部会としての一致した見解に至らずという部分がございます。特にエネルギー政策の有り様については、現在、政府で検討中ということでありますので、その結果を待たない限りはなかなかうまく整理ができないであろうというご意見や、そうではない、今の段階で強く意見を述べるべきであるというご意見など、様々ありまして意見が一致していない部分がございます。
そこで、地球環境部会では当面の報告書のあり方として、現在、政府がこのような考え方を中間的にせよ述べているということを基に文書をつくりまして、その後、環境基本計画に関しては、3月の段階で計画が閣議決定をされるまでの、その後の状況の変化があればそれを全部織り込んだ形で時点修正を行うということを前提にして、この報告書をこの総合政策部会に提出することが了承されていると、こういう経過でございます。この点もご理解いただきたいと思います。 その上で、内容でございますが、先ほど言いましたような経過とこの文書の目的がございますので、やや異例なことですが、大変長文の前文がついております。これはいちいち読み上げませんけれども、このテーマに関する課題がどういうものであるかということが書かれており、特に3ページの下から2番目のパラグラフでございますけれども、大震災、原子力発電所事故等を踏まえた認識なども記されております。これは既に8月に地球環境部会で意見具申を出しましたが、その意見具申の中にあるものを基にここに書かれております。そこで、環境基本計画の立場でも同じような問題意識を総論のところに記述することにいたしておりますから、環境基本計画には直接この文書の前文が載ることはないものと理解しております。
本論の部分になりますが、4ページをご覧いただきたいと思います。全体の構成は、「取組状況と課題」が4ページから9ページの頭のところまでございます。それから、「中長期的な目標」が9ページ、10ページに書かれておりまして、10ページ以下に「施策の基本的方向」、これが続きます。そのあと、18ページにまいりまして、「基本的な対策・施策」、こういう構成になっております。最後の部分でございますが、23ページに「取組推進に向けた指標及び具体的な目標」というのがございます。この一番最後の部分は、現段階では特に明確に示すことができないということになっておりますので、このような表現にとどめております。
それでは、もう一度前に戻っていただきまして、4ページでございます。これまでの取組状況と課題でございますが、これまでの取組状況については、科学的知見という面からの記述が4ページ、5ページにございます。
次に、5ページの中ほどのところで、国際的な対策の枠組について、京都議定書に始まりまして、これまでの重なるCOPでの議論などについての記述がございます。
6ページの後半には、国内における対策ということで京都議定書目標達成計画が記述され、それに基づいての実施状況の実績の数値が2009年までの段階で書かれております。2009年までの段階では少なくとも森林吸収源対策や京都メカニズムの活用を勘案すれば6%を超える削減になっているというのが、これまでの状況として書かれているものでございます。
7ページには課題がございまして、ここの認識は、基本的に温室効果ガスの大気中濃度を自然の生態系や人類に悪影響を及ぼさない水準で安定化させるために、早期に世界全体の排出量を半分以下にする必要があるという基本的な認識を課題として掲げまして、次の8ページに、そのためにどういうことが必要であるかということが出ております。
大変申し訳ないのですが、数日前に終わりましたCOP17の結果については、この文書には全く反映されておりませんが、基本的には我が国が交渉に当たって臨みましたカンクン合意に基づく取組を着実に実施する。すべての主要国が参加できる公平かつ実効性のある国際的枠組の構築が必要であるという姿勢を前提にこの文章がつくられております。ただし、原子力発電所の事故を受けて今後の目標達成がなかなか厳しいということが新たに出てきた課題であるという認識を示しております。
8ページの中ほど、「また」というところからでございますが、中長期的な観点から考えなければいけないこと、特に震災対策などに関しても、温室効果ガス排出量の高止まりを回避するための対策などを考えなければいけないといったような認識を示しております。
次は9ページでございますが、中長期的な目標でございます。ここが、先ほど申しましたように、特に中期の目標に関しては議論が分かれておりましたので、現在こういうようなことを掲げているという記述にとどめておりまして、3月までに大きな変化がございましたら、それを反映させるという合意ができております。
究極の目的は枠組条約をそのまま記しております。長期目標については、この点については地球環境部会でどなたからも全く異論がなかったのですが、2050年までに80%削減ということは堅持すべきだということでは意見が一致しておりました。中期目標については、先ほど言いましたようにいろいろご議論がありましたので、現在このような目標を掲げているということを客観的に記すということにとどめております。当面の目標でありますが、次期第四次計画は2012年を含みますので、その間は京都議定書の目標を確実に達成する必要があるということが当面の目的となりますので、その認識を示しております。
10ページでございます。施策の基本的方向でございます。ここにはまず考え方を記しております。大きな項目で言いますと3つの項目、すなわち長期的、継続的な温室効果ガスの排出削減についての考え方、18ページに飛びまして、全ての主体の参加・連携の促進ということに関しての考え方、そして、合意形成と評価・見直しプロセスの確立という点に関する考え方をまとめております。
11ページの一番最後の行から、長期的、継続的な温室効果ガスの排出削減に関しては、[1]から始まりますが、科学的知見、人材養成、次の12ページには新たな国際枠組の構築、そして、[3]で我が国の国際貢献、次の13ページには、[4]、持続可能な社会を目指した低炭素社会の姿を提示する必要があるといったようなことが出ております。このうち、[2]につきましては、先ほど申し上げましたが、今度のCOP17に向けての我が国政府の交渉姿勢を基にこれが書かれているということでございます。ですから、当然、次の段階ではCOP17の結果を踏まえた時点修正が必要であるということは申し上げておきたいと思います。
それから、[4]でございますが、ここでは地球環境部会がずっと継続的に取り組んでまいりました80%削減のためのロードマップをきちっと示していくことの必要性を改めて確認しておりまして、この点も部会では全く異論なく合意をみているところでございます。
さらに、現段階において入手できる政府の公式な見解は、13ページの下のほうの「今後は」と書かれているところでありますが、「『革新的エネルギー・環境戦略』策定に向けた中間的な整理」が閣議で8月に決定されておりますので、その決定に基づいてこの部分、あるいは、ちょっと前に戻りますと、10ページの後半部分にもそのことを記しておりまして、これについては直ちに全廃を強く書くべきであるというご意見や、なお重要性があるというご意見など様々なご意見の中で、当面はこのような政府の中間的な整理に沿って記述をしているということでございます。
13ページの最後のパラグラフからは、中長期的な国内対策の在り方として、省エネルギー、CO2排出削減の徹底した推進、次の14ページには、Bとしてそれを進めるための再生可能エネルギーの大胆な普及をしていかなければいけないということ、そして、15ページでは化石燃料のクリーン化、炭素資源の有効利用、そしてDは地域から低炭素社会をつくっていかなければいけない。この問題についての地域での取組の重要性を、16ページの中ほどにかけて記しております。
16ページの後半部分では、低炭素ビジネス振興による強靱な産業構造の実現、雇用創出、そして、森林吸収源の問題と続いております。
次は新たな取組の考え方でありますが、適応が重要であるということ。これも今回は地球部会で多くの委員から強調されまして、そのことについて従来以上に多くの行を割いて記しております。
17ページの最後には、[7]、革新的低炭素技術の開発と実証ということで、技術のことについて記しております。
18ページでございます。すべての主体の参加、それから、合意形成、考え方としてはこの2点についても項目としてつけ加えた上で、18ページの最後の部分からでありますが、3-2では基本的な対策・施策について記しております。ここでも、考え方で示したものを施策化するという形の書き方になっておりますが、18ページでは科学的知見の充実、19ページでは国際的枠組の構築、さらに温室効果ガスの排出削減、吸収に関する施策というふうに続いております。この部分につきましても、前の問題、考え方に記したことに沿って、[1]から[7]まで、21ページまで記されておりまして、低炭素社会の姿を提示することが必要であること、省エネルギー、CO2削減の徹底した推進が必要であること、再生可能エネルギーの大胆な普及が必要であること等々を記しております。
次に、21ページでございますが、基本的な対策・施策の4番目として、温室効果ガスの排出削減、吸収を推進するための仕組みの検討ということで、まず税制のグリーン化について記した上で、[2]には国内排出量取引について記しておりますが、ここも大変議論が分かれたところでございまして、結論的には現在の政府の方針を書いているだけであります。ですから、ここは「慎重に検討を行うこととしている」というまるで他人事のような書き方で、説明するほうも気持ちが悪い部分なのですけれども、こういうふうになっております。
次は、[3]のところで上記以外の施策・対策ということで、ここにあるようなことを記し、23ページの最後でありますが、適応策の推進、適応能力の向上について記すということでございます。
繰り返しになりますが、4では、具体的な目標について、「なお、今後の状況を見ながら具体的な目標を記述することになる」ということを記しているところでございます。
主体の役割につきましては、概ね第三次計画に記した役割をベースにそれを展開するという書き方になるだろうという認識を持っておりますけれども、本日はそれをお見せできないことは大変申し訳なく存じます。
以上、時間がありませんので、いちいち記載されていることを読み上げることはいたしませんで、大変申し訳ございませんでしたが、この項目についての報告を終わらせていただきます。
○鈴木部会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、「生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組」、これにつきましては、主担当の武内委員からご報告をお願いいたします。
○武内委員 資料2をご覧いただきながら、私の説明を聞いていただければと思います。
生物多様性の保全及び持続可能な利用に関して、この間大変大きな出来事というのは、言うまでもなく2010年10月の生物多様性条約の第10回締約国会議でございます。その際に、愛知目標という2020年まで、さらには2050年という長期を見据えた生物多様性保全及び持続可能な利用についての基本的な目標が定まったということ。それから、遺伝資源の公平なアクセスと利益配分をめぐって名古屋議定書というものが採択されたということ。こういう事態を受けて、環境基本計画の中でも生物多様性に関する記述を進めていかなければいけないと、そういう問題認識の下にこの報告を作成しております。
報告書のとりまとめに当たっては、検討会を2回開催して、集中的に議論をいたしております。以下、先ほどの浅野委員と同様、全部を読み上げる時間はございませんので、要点のみ、私のほうから説明をさせていただきたいと思います。
まず、取組状況と課題ということに関してでございますが、これについては、諸外国及び我が国における生物多様性を取り巻く状況についての記述を行っております。例えば、地球規模から見た生物多様性の状況について、IUCNが公表している絶滅危惧種数のデータなどを用いて、現在の生物多様性の状況を概説いたしております。
COP10に先立ってGBO3というものが公表されております。Global Biodiversity Outlookでございますが、その中で初めて使われた言葉として「ティッピングポイント」という言葉がございます。これはこれまで気候変動の議論の中では使われていた言葉でございますけれども、初めて生物多様性の分野でもその言葉が使われたということでございます。今後10年ないし20年の間の行動如何においては、生態系が臨界点を超えて、生物多様性の劇的な損失、生態系サービスの劣化が生じる危険性が高いという警鐘を鳴らしたものでございます。 また、地球温暖化による危機と関連しまして、海洋酸性化による生物への影響等についても非常に深刻な状況があるという指摘がございました。陸域に比べますと、むしろ海域のほうが劇的に変化をする可能性が大きいということから、私どもとしても海洋に注目していく必要があるという認識を示しております。
しかしながら、一方で、そうした危機的な状況にあるということを強調するのにとどまらず、これまで行ってきたことに加えてさらに様々な取組を講じることによって、生物多様性を豊かなものにしていくことも可能である、また持続可能な利用を行っていくことも可能であると。最近、ブループラネット賞を受賞されたアメリカのNOAA(米商務省海洋大気庁)のルビチェンコ博士の表現を借りますと、「センス・オブ・アージェンシー」と、もう一つ同時に必要なのは「センス・オブ・ホープ」ということでございますが、そういう認識をもってこの問題に取り組んでいくことが必要ではないかということを状況認識として盛り込んでおります。
これまでの取組については、先ほど申し上げたCOP10の成果をとりまとめていると同時に、生物多様性基本法の制定をはじめとした国内の取組状況についても書き込んでございます。
課題といたしましては、愛知目標、これは、日本がリーダーシップを発揮して世界の合意を取り付けたという非常に画期的なものでございますので、そうしたことから我が国は世界に先駆けてこの愛知目標の達成を実現していくことが重要な責務であるという認識を持つべきではないかということでございます。
愛知目標自身は、生物多様性の主流化といった人間の社会、生活に関わる根本的な課題への対応、生物多様性の損失をもたらす直接的な圧力の減少といった課題への対応、生物多様性の保全と状況の改善、生物多様性及び生態系サービスから得られる恩恵の強化、さらには参加型計画立案、知識管理、能力開発といった、いわゆるDPSIRに対応した5分野20目標からなる目標群でございまして、国際的にもこれを達成することが求められております。
私どもも報告書の最後のほうにつけておりますけれども、愛知目標をにらみながら、どういう指標が将来この愛知目標に使われそうか、あるいは、どういうところが指標として今欠けているかということのサーベイをいたしております。これは、この報告書の段階では成案としてまとめる時間がございませんでしたので、平成24年度に生物多様性国家戦略を愛知目標の関係で改定していくということを考えておりますけれども、その際に明確な指標を設定したいと考えております。
また、地球温暖化への適応策あるいは海洋酸性化への対応といった問題のほかに、とりわけ我が国においては人口減少の本格的な進行、さらには超高齢化社会への移行といった問題がございます。国土計画の議論の中でも居住地域の約2割が無居住地化されるという予測が出ておりますけれども、その際にそうした地域をどういうふうにして生物多様性の側で見ていくことができるのか。
例えば、再自然化するとか、あるいは、農林水産業の課題としてその辺のことを考えていくとか、いろいろなことがあり得るかと思いますけれども、そういうことも考えていく。さらに、その際には土地所有といったものをどういうふうにしていくか。今、里山で一番深刻なのは土地所有が誰かわからないということで、集約的な管理ができないということがありますけれども、そうした問題にも話を結びつけていくことが必要ではないかと考えております。また、外来種対策についても深刻化しておりますので、今後考えていく必要があるということについてここで書き込んでおります。
中長期的な目標については、愛知目標にふさわしい形で、2050年目標、それから、2020年目標という形で書いておりまして、2020年目標については、そこに書いておりますように、社会における生物多様性の主流化、それから、生物多様性の3つのレベルでの保全又は回復、さらには持続可能な利用による自然からの恩恵の強化ということでございます。
この重点分野ごとに、ほかの分野でもいろいろな中長期の目標が設定されているのですけれども、それらの年次がやや違っていたりするということもありまして、今後、分野間の連携を考えていくということであれば、むしろ総政部会でこの辺の調整をしていただくことがよろしいのではないかなと考えております。2020年を短期目標と言う人もいますし、中期目標と言う人もいまして、1つの省庁の政策の中で違う言葉が使われているのはやや問題ではないかと。これは私自身が大分以前に指摘した問題でございます。
それから、施策の基本方向で、今の愛知目標の話はそのぐらいにさせていただきまして、もう一つ特記すべきは、東日本大震災の教訓を生かした取組ということでございます。自然共生あるいは生物多様性ということを言いますと、ややもすると自然が持つ恵みの側面が強調されるわけですけれども、他方で自然が持つ脅威の側面を再評価し、そうした二面性を持つ自然と私どもが共に生きていくんだというスタンスから、国土の自然とのつき合い方について再度考えていく必要があるのではないかということを書いております。
そういう中で、この中で強調している言葉が「レジリエンス」という言葉でございまして、これを日本語にするのはなかなか難しいのですが、本来、生態系が有する回復能力(レジリエンス)、こういうふうに言っております。これは「しなやかで強靱な」という言い方もされておりますけれども、そのような社会づくりを通して自然共生社会をつくり上げていくことが重要であるということでございます。
もう時間も大分たっておりますので、次に主体ごとに期待される役割についてお話をさせていただきます。これについてはいろいろ議論がございまして、従来の主体の分け方というのは、生物多様性分野に関していうと少なくともあまりふさわしいものではないのではないかということで、特に国民の部分については農林漁業者、企業、民間団体、学術界、メディア等関係者、消費者というふうな分け方をしまして、それぞれの役割について記載しておりまして、これについても総政部会の方で他との関係でご議論いただくことが必要かもしれないという認識を持っております。
重点的な取組を8つ取り上げました。1つは、生物多様性の主流化に向けた取組の強化でございます。評価をどういうふうにしていくかということ、それから経済的手法も含めた生物多様性の主流化に向けた検討、それから広報・教育・普及啓発、認証制度、あるいは個人の消費やライフサイクルの転換について記載しております。
2番目は、生物多様性保全と持続可能な利用の観点からみた国土の保全管理ということでございます。愛知目標の関係でこの辺をどのように進めていくのかということについて、とりあえず現時点での考え方を示しております。
3つ目として海洋における生物多様性の保全。4つ目として絶滅危惧種への対応や鳥獣被害への対応といった野生生物の適切な保護管理と外来生物対策の強化。5つ目としては、物多様性に配慮した持続的な農林水産業の振興、エコツーリズムの普及、名古屋議定書の国内措置に関する検討などの持続的な利用を進めていくことについて記述いたしております。
6つ目としては、生物多様性分野における科学と政策のプラットフォーム、いわゆるIPBESと呼ばれているものですけれども、これの取組、さらには次回COP11、これはインドで開催されますけれども、そこの主要課題となる資金導入戦略等の課題の対応などの国際的な取組を進めていくということになっております。IPBESについては、当初から南ア政府と協力しながらアセスメント部分を担っていくことができるようになったものですから、我が国の国際的なプレゼンスということを考えますと、これからの取組が大変重要になってくると考えられます。
それから、7つ目として、自然環境データの整備。8つ目として東日本大震災からの復興・再生について示しております。
指標等については、先ほど既にお話しいたしましたように、愛知目標との関連で指標をさらに整理するということで、これも愛知目標と同様のDPSIRというフレームワークを使いながら、指標群を整理していくことが必要であろうかと思います。
また、この分野の取組、これまでは企業をはじめとした民間セクターとの連携協力が必ずしも十分議論されていないということがございますので、例えば、認証制度のような民間主体の取組、あるいは、企業活動のいわゆる生物多様性分野でのグリーン化、そうした指標等について今後検討していくことが必要だというふうに考えられます。いずれにしても、これについての具体的な展開については、先ほど申しましたように、今度改定する生物多様性国家戦略の中でより具体的に示していきたいということでございます。
以上です。
○鈴木部会長 ありがとうございました。
続きまして、「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組」、これも引き続きまして、武内委員が主担当をしておられます。
○武内委員 それでは、引き続きまして、循環型社会に関わる分野についてのご報告をさせていただきたいと思います。
循環型社会、ここでは「物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組について」ということになっておりますが、これについては、循環部会そのものがこの議論を受けてやっておりまして、その中に総政部会のご関心ある委員の方にご参加いただいて併せてご意見をいただくという形をやっております。このやり方をとっている一つの理由は、この環境基本計画の中で頭出しの議論をしておいて、それを具体的に施策として展開していく際には、次回の循環基本計画の見直しの中にそのことを反映させていくと、そういうローリングの仕組みを考えているということでございます。4回の部会を開催し、その中で重点分野の施策について検討してきたということでございます。それでは、中身に入らせていただきたいと思います。
1の取組状況と課題について、(1)で総論を記載しております。従来の社会がもたらしている非持続的な状況が物質の面でも非常に大きな問題になっており、これまでの循環基本計画に基づいて3Rの推進をしているということでございます。循環基本計画は、ご承知のように、資源生産性、循環利用率、最終処分量、この3つの数字で見ております。この3つの数字の持つメリット、デメリットについては様々な議論があるところですけれども、一貫してこの指標でこれまで見ているということでは、長期的にモニタリングできる指標だと私どもは考えております。
8ページにこの指標の推移について書いておりますけれども、これを見ていただきますと、循環型社会の形成はかなり順調に進んでいるということがご理解いただけると思います。循環利用率、最終処分量は見ていただいておわかりのように既に現時点で目標を達成しているといことですね。それから、資源生産性も目標に向かって順調に推移しているということです。
しかし、この状況をどう見るかということについては少し慎重な判断が必要だと考えます。と言いますのは、直近の年度についてはいわゆる世界金融危機の影響で生産量の減少が進んでいるということで、そうした景気の動向に関わらず本当に資源生産性が高まっているのかといったことについては、もう少し注意深く事態の推移を見極めていく必要があろうかと思います。
その上で、もっと量を減らすという方向にいくのか、あるいは、量を減らすのは物理的にこれ以上なかなか難しいという状況にきているのか、そういう見極めが必要でございますけれども、いずれにしても仮に量的に難しいという場合には、質的な面での循環型社会の質の向上ということが議論になってこようかと思います。
また、いわゆる化石性資源、これは低炭素社会の問題とも非常に関わりますし、それから、いわゆる希少資源ですね、稀少金属やレアアースといったものについては必ずしも生産性が上がっておりませんので、この点のことについては今後そうした質の面での循環性の向上が求められると考えられます。また、リユース可能な容器やリサイクル製品の積極的導入など、国民の3R活動についてもまだまだ不十分な点がございます。
(2)は循環資源の利用、つまりリサイクルについて記載しております。循環資源の利用については、必ずしも資源投入量の減少にはつながっておりませんで、またリサイクル費用も低減していないという問題があるということでございます。また、消費者の側からは分類した循環資源がどのように活用されているかということが見えにくいという問題、さらに使用済み製品からの有用金属の回収が必ずしも徹底されていない。そういう状況がございます。
(3)では国際的な取組について記載いたしております。2点ございまして、1点としては、開発途上国で資源需要と廃棄物排出量が増加しておりまして、うまくいくと資源循環になるのですが、途上国では必ずしも技術が十分発展していないということから、むしろ廃棄物が有害物質ということで健康影響などに問題を生じせしめるということが懸念されているということでございます。
2番目としては、資源循環の国際的な移動が増加しており、地球規模での環境負荷の軽減、それから、適正な資源循環の確保、こういうものが非常に重要であるということでございます。我が国としては、開発途上国をはじめとして3Rイニシアティブという形で、こうした国の資源循環性の向上に貢献していく必要があるということでございます。
(4)では安全・安心の確保について記載いたしております。東日本大震災において放射性汚染物質が非常に大きな社会問題になっておりますけれども、我々はこれまでは物質資源については循環を基本としてその促進を図るということを大前提にしていたわけですけれども、そういう中で安全・安心に関わる廃棄物については、循環利用というよりもむしろ適切な処理をするということが重要なので、循環型社会のベースにある安全・安心の取組についてこういう議論が環境行政の中に入り込んできたということもございまして、今後さらにその部分について推進、強化する必要があるということを記載いたしております。
2の中長期的な目標について、今回特に強調したいのは(2)でございます。今後、世界全体で化石系資源や有用金属などの資源制約が強まることが予想され、また、先ほど申しましたように、安全・安心が確保された循環の流れを構築することが重要であると。したがって、これからは量に加えて循環の質に着目した取組を行っていかなければいけないということでございます。
次に、3の施策の基本的方向について。この部分の構成は、(1)基本的な考え方、(2)各主体の役割、(3)重点的取組事項についての記載をいたしております。
(1)については、[1]で先ほどの循環の質の内容を記載しております。廃棄物等を貴重な国内資源としてとらえ、資源確保の観点を強化していくということ。循環型社会の形成に向けた取組が低炭素、自然共生社会づくりにも資するようなものとなるよう総合的な取組を進めていくということ。また、環境と成長の両立、グリーンイノベーションを推進し、循環資源を積極的に利用する、この分野での環境産業の確立、さらには有害物質の適正な処理、災害に強い廃棄物処理体制の構築など、安全・安心の観点からの取組を強化する。こういうことが質的な問題として記載されております。
また、[3]において廃棄物等の処理に関する優先順位を記載しておりますが、他方で、環境への負荷を低減できる場合には、この優先順位によらず、いわゆるリデュース、リユース、リサイクル、それからサーマル、そういうことを例えばエネルギー回収といったものの順位を場合によっては上げてもいいのではないかという考え方が、初期的な段階ではありますけれども、示されております。
それから、少し飛びまして、5ページ目の(3)において中長期的な目標及び施策の基本的な方向を受けた重点的取組事項を記載しております。アからキまでの7つの柱を立てております。今回の一番のポイントは質を重視するということでありますので、初めに質にも着目した循環資源の利用促進・高度化という柱を立てております。具体的には排出者責任・拡大者責任の徹底等を図ること。小型家電等からの有用金属の回収を促進するため新たなリサイクルシステムの構築を目指すこと。使用済み製品から同一種類の製品を製造する、いわゆる水平リサイクルのような高度なリサイクルを目指して、静脈産業と動脈産業の連携の促進。技術の開発・普及、こういうことを進めるということ。さらには、循環資源がどのように収集・活用されていくか情報発信を行っていくこと。こういうことが記載されております。
2つ目の柱である[2]では、統合的な取組についてということで、低炭素社会の観点からは3Rの取組、バイオマス系循環資源等の原燃料化、廃棄物発電等の推進を記載しております。自然共生社会との観点からは、資源の効率的な利用、持続的な農林漁業の推進、稲わら等未利用資源の活用を行っていくというふうにしております。
[3]では2Rを重視したライフスタイルの変革について記載いたしております。これまでリサイクルにつきましては一定の推進が見られているわけですけれども、リサイクルより優先度の高い2R、リデュース、リユースの取組が進む社会システムの構築を目指すとしております。
[4]では地域循環圏の形成について記載しております。私どもの頭の中では資源の種類によって循環に適した範囲が違っているということがあるのですけれども、必ずしも社会の中でそうすんなりとそのことを受けいれていただいていないという状況もございますので、その点の適正規模の地域循環圏の構築に向けた様々な取組を推進していくということにいたしております。 [5]、循環分野における環境産業の育成。これについての具体的な取組として、高度なリサイクルの定着に向けた取組を推進していくこと。優良産廃処理業者認定制度を普及すること。海外展開を支援すること等を盛り込んでおります。
[6]では安全・安心の観点からの取組の強化について記載いたしております。具体的には有害物質について最新の科学的知見に基づいて適正に処理するということ。全国の廃棄物処理施設のネットワーク化、それから、災害に耐え得る浄化槽の設置推進など大規模災害への備え。それから、リサイクル原料について有害物質の混入状況の基準策定等を行うこと等が盛り込まれております。
なお、放射性物質に汚染された廃棄物対応については、最後に東日本大震災への対応ということでまとめて記載いたしております。
最後に、[7]、国際的な取組の推進について。開発途上国では廃棄物の不適正利用による環境及び健康への悪影響の懸念が高まっていることから、循環資源についてできるだけ国内で利用促進を図っていくという基本方向を打ち出しております。このほか、循環資源の持ち去り対策の強化、我が国の高水準な資源回収技術を生かした廃棄物の輸入促進、水際対策の徹底、アジア3R推進フォーラムにおける合意形成、アジア各国国際機関の取組の支援といった内容を盛り込んでおります。
4では取組推進に向けた指標及び具体的な目標について記載いたしております。当初申し上げました物質フロー指標の目標達成に向けた取組を引き続き進めるとともに、今後は限りある天然資源の消費を抑制し、より具体的な資源利用を図る観点から、物質フロー指標の質的な改善を図っていくことが重要であるということを記載いたしております。 最後に、東日本大震災への対応について、破線の中で書いておりますが、こちらにつきましては、環境基本計画全体の中で構成を再検討し、項目立てをするというふうに伺っておりますので、別枠として盛り込ませていただいております。
内容としては、東日本大震災で生じた災害廃棄物の処理について、平成26年3月末までをめどに完了させること。放射性物質に汚染された廃棄物については、安全かつ迅速に処理を進めていくこと。大量に発生した災害廃棄物について、できる限り再生利用を図ること。循環資源が集中する中核的拠点としての東北地方の復興を図ること。それから、現在は福島第一原発の事故に限定して特別の立法がなされ、対応している状況でございますけれども、今後の事態に備え、放射性物質に汚染された廃棄物を適正に処理する枠組を整理すること。これは新たな環境政策の中での大きな課題というふうに認識しておりますが、そのこともこの中に盛り込んでおります。
以上でございます。
○鈴木部会長 ありがとうございました。 それでは、引き続きまして、「水環境保全に関する取組」、これにつきましては、大塚委員が主担当をされておられます。
○大塚委員 大塚でございます。「水環境保全に関する取組」についてお話させていただきたいと思います。
水環境保全に関する取組につきましては、水環境部会長の岡田先生を座長とします検討会合を3回開催いたしました。今回の報告案の構成のポイントとしては2点ございまして、現行の計画の違いといたしましては、第1に施策を進めるに当たっての考え方を提示したこと、第2に水環境保全施策として海洋環境と世界の水問題に対する取組という柱立てをしたということでございます。では、内容に入っていきたいと思います。
まず、1としてこれまでの取組状況と課題でございますが、これまでの取組状況といたしましては、水が生命の源であって、また河川とか湖沼に存在する淡水の量は地球上の水のわずか0.01%だということで、水が貴重であるということを指摘しています。
そして、1ページの後半部分で、これまで汚濁負荷の低減によって水環境の改善が図られてきましたけれども、これは場の視点からの取組でございまして、それとはまた別に流域の水循環全体を視野に入れた、いわば流れの視点からの取組も重要であるということを指摘しておりまして、このような取組に関して従来努力が行われてきたということですけれども、必ずしも十分なものではなかったという認識を示しています。
ページをめくっていただきまして、2ページでございますが、次に課題でございます。課題につきましては、新たな課題が浮彫りになっているということを申し上げていますけれども、それを水質、水量、水生生物等、水辺地のそれぞれについて書き込んでいます。
水質につきましては、底質に蓄積された汚濁物質による影響もあって改善が十分に進んでいないということ。それから、水質環境基準の達成状況に比べて、水環境に対する国民の満足度が低い状況にあるということを指摘させていただいています。また、事業場からの汚濁負荷の低減が進む中で、降雨時における市街地とか農地等の面源からの負荷が減少していないということも記載しております。
次に水量についてでございます。3ページの真ん中から下からのほうですけれども、地下水の共有資源としての性格に着目しまして、地下水を保全する動きが進みつつあるということを指摘しています。
また、水生生物等につきましては、COP10の愛知目標を視野に入れて生物多様性の保全を図る必要があるということを記載しています。
また、水辺地につきましては、単調な水際の整備が行われてきたところから、植生と相まって発揮されるような水質浄化機能が劣化していることとか、土砂の堆積によって河原が樹林化してきているという問題を記載しています。
海洋環境については、漂流・漂着ごみによって海岸環境が悪化しているということを書き込んでいます。
次のページの真ん中より少し上ですけれども、気候変動関係でございます。局地的な豪雨の頻発とか、気候変動に伴って生じる水温の上昇、水質の変化、土砂の流出の増加による汚濁負荷の増加、海洋の酸性化というものが、水環境の保全にとって重大な支障となるおそれがあるということを指摘しております。
そして、先ほど温暖化のほうでもご議論があったところですけれども、各種の適応策の検討に当たって水環境への影響を考慮する必要があるとしています。
2番として中長期的な目標でございますけれども、中長期的な目標については、水環境が保全され、持続可能な利用が図れる社会の構築を目指すとしています。
そして、水質とか水量等々について目標を立てているわけですけれども、新たに追加した目標といたしましては、水量に関して洪水等による適度な攪乱が確保されるということ。水生生物につきまして、豊かな生物多様性が保全されるということ。水辺地につきまして、水辺地周辺の環境と相まって保全される必要があるということを追加しています。これは、現行計画に比べて追加したということでございます。
次に、3として施策の基本的方向でございますが、3-1といたしまして、施策を進めるに当たっての考え方を5つ取り上げています。
まず第1に、地域の特性に応じた取組でございますが、地域によってふさわしい水環境の目標のイメージは異なっておりまして、地域の特性に応じた取組が重要であるということを書き込んでいます。
2つ目に、国際的な水問題への対応という柱立てをいたしまして、我が国が食料の輸入を通じて多くの水を世界に依存しているとともに、サプライチェーンのグローバル化が進行している。海外における水環境の悪化によって我が国の生活とか経済に影響が生じる懸念があるということを書き込んでいます。
ページをめくっていただきまして、海外の水環境が我が国の水環境と密接に関連があるということを認識して、今後はより一層国際的な視野に立って水環境の課題に取り組む必要があるということを盛り込んでいます。
3番目に生物多様性の保全についてでございますけれども、様々な生態系サービスの恩恵を持続的に享受していくために、生息地の連続性の確保が必要であるということを記述しています。また、海域とか湖沼において、生物多様性と併せて生物生産性についても考慮する必要があるということを指摘しております。
4番目は連携の強化でございます。持続的な水環境の保全を行っていくために、地域、流域、国など、取組の広がりに応じて望ましい水環境の姿を関係者で共有して、より一層の連携の強化をする必要があるということを指摘しています。この点は特に各省庁の連携も含めて非常に重要な点だと思います。
さらに、5番目には、東日本大震災を踏まえた対応をするということで、災害時の被害を最小にする減災の考え方に基づいて、災害に強い地域づくりを推進するということ。放射性物質につきましては、重大な環境汚染の一つとして取り組んで、国民の安全を確保し、不安を解消していくことが必要であることを盛り込んでおります。
次に3-2でございます。基本的施策として、まず第1に、我が国における水環境の保全をどういうふうに行っていくかということでございますが、水環境の保全を進めるに当たって、山間部、農村・都市郊外部、都市部など、地域の特性に応じた課題を取り込みつつ、展開すべきであるということと、閉鎖性の海域が課題となっており、陸域の流域だけでなく、河川の流入先である海域も含めて取組を展開するという視点を新たに打ち出しています。「河川の流入先である海域も含め」というところが従来にはあまりなかった点でございます。
それぞれの部分について若干ご説明することになりますけれども、まず流域に共通する施策といたしましては、降雨時を含めて地下水を含む流域全体の水循環や栄養塩類などの物質循環の把握を進める。そして、管理方策を検討するということを打ち出しています。地下水につきましては、先ほどもございましたけれども、共有資源としての性格に留意するということを書き込んでいます。
それから、化学物質の関係ですけれども、多種多様な化学物質による水環境への影響を低減するために、生物を用いて水環境への影響を把握する排水管理手法を検討するということを打ち出しています。
また、気候変動との関係では、これも先ほどの問題ですけれども、水環境への影響の把握と知見の蓄積を行って、想定される影響への適応策について検討を行うとしています。
また、水環境に精通した人材の育成とか環境教育などを通じて、水環境への関心の向上を図るということ。それから、災害に強く、エネルギー効率の高い適切な規模の水処理システムを構築すること。
また、放射性物質に関しては、水質とか底質のモニタリングを継続し、水環境への影響評価について検討するということを盛り込んでおります。
次に山間部でございますけれども、山間部については、森林が水源涵養機能とか生物多様性保全機能など、多様な公益的機能を持っているということを書き込み、渓畔林など水辺の森林の保全とか管理に当たって水環境の保全に配慮するということを打ち出しています。
農村・都市郊外部につきましては、地域住民を含めた多様な主体の参画を得て水環境の保全活動を推進するということを指摘しています。
都市部につきましては、下のほうですけれども、下水の高度処理水の利用とか、地中熱、下水熱の利用を推進するということを新たに打ち出しています。これはヒートアイランド対策などに役に立つということを考えているわけであります。
ページをめくっていただきまして、閉鎖性水域などにおける水環境の保全でございます。これにつきましては、特に底質環境における汚濁負荷の状況を把握する必要があるということを打ち出し、その改善に向けた取組を推進するということを考えています。また、自然生態系と調和しつつ、栄養塩類の管理などを通じて、高い生産性と生物多様性の保全と向上が図られる「里海」の創成に努めるということを新たに打ち出しているわけであります。
次に海洋環境でございますけれども、陸域からの負荷の削減、それから、海域を共有する関係各国の協力体制の構築、また、海岸漂着物とか海底ごみに関する対策を推進するということを記載しています。
次に(2)の世界の水問題に対する取組でございますけれども、これについては3点ほどの指摘がございます。まず第1に、我が国の水環境保全に関する技術と経験を生かして、制度の移転とか技術的支援など国際協力・連携を推進するということ。2つ目に、ウォーターフットプリントの策定に向けて積極的な役割を我が国が果たすということ。3つ目に、いわゆる水ビジネスの取組を推進するということ。この3点を世界の水問題に対する取組として打ち出しています。
次に各主体に期待される取組でございますけれども、住民、事業者、民間団体等につきましては、水環境の保全に向けた取組に積極的に参加し、適切な維持・管理の確保が図れるように具体的な行動を実践することが重要であるということを指摘しています。
次に自治体に求められる取組ですけれども、これは地域特性にふさわしい水環境の目標像を掲げて、その実現に向かって重要な役割を担うことになると言っておりまして、その上で、取組の実施に当たっては洪水、渇水など様々な変動による影響を含めて水環境の現状を把握する。
そして、東日本大震災からの復興に当たっては、地域が誇る豊かな水環境の復活によって、豊かな水環境の再生とそれを通じた自然との共生社会の創造に取り組むことが重要であるということを言っております。
自治体のところは「重要である」という言葉が結構多いのですけれども、これは自治体の自主性があるので、「重要である」という言葉が多くなっているようです。
それから、国の取組ですけれども、国民の実感に合った環境基準の見直しを図るため、底層における水生生物の生息や、水生植物の生育への影響に着目した環境基準について検討するということで、ここでは底層の溶存酸素濃度とか透明度ということが考えられているわけですけれども、そういう新しい環境基準について検討するということを打ち出しています。
4としまして、取組推進に向けた指標でございますけれども、指標自体は水質の環境基準の達成状況と健全な水循環の構築に関する計画の作成数、改定数が挙げられています。
さらに、検討課題でございますけれども、水質に関する指標だけでなく、水環境を総合的に評価するような指標、水量、水生生物等、水辺地についても、良好な状態を的確に表すことができる指標の検討を進めるということで、これは今回できていなくて恐縮ですが、この検討を進めるということでございます。
さらに、補助的指標としては、現行計画で6つの指標がございましたが、今回の報告案ではこれを大幅に増やして17に拡充しています。
最後に、現行計画の相違点について4点だけ申し上げておきますけれども、まず一つは、水環境保全に関しては、関係省庁が多く、また、地域での取組に関わる主体も様々でございますけれども、そういう中で水環境の保全に関する施策を展開する上での共通な考え方として、先ほど申しました5つの考え方を明らかにしたというのが第一の現行計画との違いでございます。 第二に、現行計画では陸域の流域を念頭に健全な水循環の構築を目指すということをしていたのに対して、海洋環境、さらには世界の水問題も含めて水環境の保全の施策としてとりまとめたということが、第二の相違点でございます。
さらに、第三の相違点としては、豪雨とか洪水の頻発のような最近の水環境の変化への対応について明らかにしたこと。
第四に、生物多様性の保全に当たって適度な攪乱とか、水辺地の周辺の環境も含めた生態系の保全が重要であるということを明らかにしたこと。
この4点が現行計画との違いと言えると思います。
以上でございます。
○鈴木部会長 ありがとうございました。
まだあと二点ございますので、なるべく能率よく進めさせていただきたいと思います。
「大気環境保全に関する取組」、これは主担当の小澤委員からお願いいたします。
○小澤委員 一番素人である小澤がまとめの検討会の座長を務めさせていただきましたけれども、委員としては、大気環境部会の坂本部会長先生、あるいは委員の方、それから、騒音振動部会の橘部会長さん、それから、この総政部会の中杉委員に化学の観点から出席いただいて、3回開催して、進めてまいりました。 資料5に基づいてご説明しますが、現行の計画との大きな違いは、まず第三次計画では都市の大気環境に対象を限定しておりましたけれども、今回のでは、特に都市部で大きな問題となっていましたNO2などによる大気汚染問題が概ね基準を達成しつつある一方で、公益的な問題が新たに出てきていることを踏まえまして、大気環境保全行政の原点に立ち返って、大気環境全般を広く対象として、オーソドックスに内容をとりまとめております。
それから、資料5全体の報告書の大きなポイントは4つあるかと思います。後で詳しく見ていきますけれども、第一点は、光化学オキシダント対策やPM2.5対策などについて、都道府県単位とか国単位を超えた広域的な取組を重視した対策について言及しました。特に光化学オキシダントにつきましては、環境基準値を基にした注意報などとは別に、環境改善効果を適切に示す指標についても検討を行い、結論を得ることを目指す旨を記述しております。
2番目は、従来の交通騒音につきましては、後で居住することになった方への交通騒音問題が非常に増えてきておりますので、交通施設とその沿道、沿線地域の土地利用との調和を図るということについて言及しております。
それから、3番目の騒音の問題につきましては、風力発電施設から発生する騒音とか低周波音などの、従来の環境基準とか騒音規制による規制を必ずしも適用できない、新しい騒音問題について科学的知見の集積及び対策を進めるということを記述しております。
4番目に、ヒートアイランド対策につきまして、ヒートアイランド現象の原因を削減する対策、緩和策につきまして、短期的に暑熱環境による人への影響を軽減する適応策についても進めていくということを記載しております。
資料5を見ていただきたいと思いますが、表紙を開けていただきまして、1ページでございます。まず取組の現状と課題でございますが、大気汚染につきましては5の項目で書かれております。現状については項目別に述べていきたいと思います。
まず大都市における大気汚染について、全体として改善方向にありますけれども、窒素酸化物につきましては、環境基準を達していない地点が引き続き残存しているということ、それから、SPMにつきましても、引き続き達成状況を監視することが必要な状況にあるということを記載しております。
2番目の光化学オキシダントにつきましては、主要な原因物質である揮発性有機化合物につきましては、排出量が平成22年度比で3割以上削減される見込みでありますけれども、光化学オキシダントの一般環境中の濃度に顕著な改善が認められておりません。その環境基準達成率は1%に満たないということで、具体的な数値を書いて喚起しているところです。そのために、光化学オキシダント濃度の動向などの実態把握及び生成機構の解明にさらに詳細な調査、新たな科学的知見の収集を推進していくという記載をしております。 3ページの[3]、PM2.5についても、常時監視体制を整備していくという記載になっております。それから、海外、特に東アジア地域からの広域大気汚染の影響も踏まえた対策の在り方の検討が必要であるという書き方になっております。
[4]、広域大気汚染ということで、東アジア地域における対策といったこと。
それから、[5]で、特にアスベスト問題ですね。これからもアスベストの主要排出源、民間建築物の解体は今後も引き続き増加していくということで、その件数は平成40年ころにピークを迎えると推定されております。ですから、今後ともアスベストの飛散・ばく露防止対策というものを徹底していく必要があるかと思います。また、東日本大震災の被災地における復興・復旧に伴う建築物の解体作業が本格化しますので、そういった対応も考えていかなければいけないということが記載されています。
それから、2番目の騒音などの生活環境につきましては、3つの項目でまとめております。1つは交通に起因する騒音問題でございます。この観点につきましては3つの発生源対策、それから、ばく露側の対策、それに加えまして、土地利用対策の3本の柱で実施してきているという記述になっております。そういう意味で、今後のまちづくりにおきましても、騒音問題の未然防止の観点から、交通施策と沿道・沿線地域の土地利用との関係をきちんと調和を図っていく必要があるのではないかという書き方になっております。
それから、先ほど申し上げました新しい騒音問題、特に従来の環境基準や騒音規制に規制を必ずしも適用できない騒音問題、例えば本来非常に静かな地域に風力発電施設が建っておりますので、そういった騒音、低周波の周辺への影響が問題になってきておりますので、健康影響との因果関係の解明がまだ十分ではありませんので、そういった意味での詳細な調査研究が求められていると思います。そういった書きぶりです。
そして、[3]に夏季における大気の熱ストレスの問題ですね。気温30℃以上を超える状況が長時間化してきておりますので、5ページにありますような、熱ストレスの増加による問題について対応を促している書きぶりになっております。
また、ヒートアイランド現象の原因を削減する緩和策につきましても、短期的に暑熱環境による人への影響を軽減する適応策も推進していく必要があるという旨を書いております。
それから、2番目の中長期的な目標につきましては、2つ、そこの○に書かれておりますように、環境基準を確実に達成・維持していくとともに、可能な限りさらなる大気に係る生活環境の改善に努めることと併せて、地球温暖化防止についても寄与していくという書き方をしております。
2番目は、大気に係る環境基準が維持された低炭素社会の実現に向けて、環境的に持続可能な都市・交通システムの実現を図るとともに、生活様式や経済活動について持続可能なものへ転換していくという目標を掲げております。
3番目の施策の基本的方向としては、まず全体的な方向性ということで、関連省庁の連携の下に政府全体で取り組んでいくということ。それから、3つ目のパラグラフにありますように、光化学オキシダント対策とかPM2.5、あるいは、東アジア対策における広域大気汚染対策につきましても、都道府県単位又は国単位を越えた広域的な取組がより一層重要になってくるかと思われます。
それから、2番目の環境的に持続可能な都市・交通システムにつきましても、先ほど申し上げたところに加えて、環境分野の技術革新などによる経済発展を目指すグリーンイノベーションの観点と、都市と交通システムが低炭素社会づくりに係る重要な要素であるという観点を記載しております。そうした意味での大気汚染、騒音に環境負荷の低減をしていくということで、個々の工場や交通機関に対する発生源対策、それから、緑地帯あるいは遮音壁などのばく露対策に加えて、それぞれの大気汚染や騒音の影響の大きい地域で緩衝地帯として機能する土地利用を行うなどの、未然防止対策をバランスよく実施することが必要ではないかということが書かれております。
それから、3番目に実態解明の推進。科学的知見に基づいて対応策を考えていくという視点から、ここに記載されています。
4番目に、先ほどから申しております東アジア地域での協力の推進ということが書かれています。
そして、7ページの[5]にあります生活様式や経済活動の見直しということにつなげて書かれています。
それから、(2)の主体ごとに期待される役割につきましては、4つに分けて、国民、事業者、地方公共団体、国の取組という形で記載をしております。
8ページの(3)、重点的な取組事項として4つの観点から記載しております。1つは排出ガス、騒音などの自動車に起因する環境負荷の低減をしていくということです。
それから、2番目に広域的な取組を重視した大気汚染対策ですね。そこでは、先ほどから何度も申し上げておりますような、東アジア地域における広域大気汚染対策、それから、科学的知見の充実を図って、戦略を考えていく。
それから、3番目に、後で居住、住居を求めた方たちの交通の騒音問題などに対応できるように、潜在的な住まい方というのでしょうか、居住地選定についても注意を喚起していくというような書きぶりをしております。
最後のページで、[4]として社会情勢の変化を踏まえた新たな課題への対応として3点記述させていただいております。1つはアスベスト対策です。それから、2番目は騒音・低周波音に係る科学的な知見の集積と対策の検討です。3番目がヒートアイランド対策の計画的実施の促進ということで記載されております。そして、具体的な取組に向けた指標、目標について、下段に書かれているような指標を検討してまいりました。
以上が大気環境汚染に関する取組でございます。よろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 ありがとうございました。
では、最後の1件になりますが、「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」、これは主担当の中杉委員からご報告をお願いいたします。
○中杉委員 化学物質関係の取組について担当させていただきました中杉でございます。「包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組」につきましては、化学物質というものは、いわゆる「化学物質」という言葉以外にもいろいろな言葉で、大気、水、廃棄物の分野で使われていますので、それらを合わせて取り扱うということで、ほかの分野、重点分野との調整を少し図らせていただきました。
そういう意味で、重複で記載はあるとしても、少なくとも考え方は変わらないように注意をいたしました。先ほど小澤先生からご説明いただいた大気の分野でアスベスト、VOCのものについては、調整の結果、大気のほうで扱っていただくと。こちらで扱ってもいいのかもしれませんけれども、そういうふうなことで調整を行いました。
そういうことで、委員会としましては、その関連分野の先生方に入っていただくのと、総政部会の先生方にもご参加いただいて、3回、検討会を開催しました。また、11月末に環境保健部会も開かれましたので、関連がありますので、そこでもご紹介をして、ご意見をいただいて修正をしてございます。以下、この資料に従って説明をしていきたいと思います。
まず最初に取組状況と課題でございます。この重点分野につきましては、ほかの分野と違って、修飾語がたくさんついております。「包括的な化学物質対策」という言葉がありますけれども、今回の第四次計画で化学物質対策のキーワードというのは「包括的対策」というものでございます。そういう意味で、総論の第2段落のところでは、ライフサイクルの各段階において様々な対策、手法を組み合わせた包括的なアプローチを戦略的に推進することが重要であると、基本的な考え方を示してございます。
また、第4の段落では、一つの国際的な約束事でございますWSSD2020年目標というのがございます。これは第三次基本計画の中でも位置づけられておりますけれども、第四次基本計画でも目標として重要でございますので、それについての説明を第4段落のところでしております。
次に、(2)以降は分野ごとに、これは第三次基本計画の取組に大体沿った形ですけれども、分けて記載してございます。一番最初の環境リスクの評価という面では、一番大きいのは化審法が改正されたということでございまして、化審法が改正されることによって、すべての化学物質についてリスク評価をしていくという仕組みがつくられました。これが第三次基本計画以降で最も大きな進展であったと思っています。
それ以降、2、3、4という段落で取組事項を個別に紹介しておりますけれども、第5段落のところでは、2020年目標の達成に向けた今後の課題として、2020年目標を達成するためにはすべての化学物質のリスク評価をしなければいけないということでございますので、化審法に基づいたリスク評価を一層加速化する必要があるということと、リスク評価手法が急いで始めなければならないということで、さらに高度化しなければいけない部分が残っていますので、それをやりながら進めていくということになります。そういうことが課題であるというふうにしております。
それから、(3)の環境リスクのところでございますけれども、これは「包括的な」という言葉の意味でライフサイクル全体。これは化学物質が製造、使用、廃棄、あるいは、非意図的生成から最後までというふうな意味合いですけれども、そのライフサイクル全体をカバーすることが必要であるということでございます。
この部分については、取組事項としては第1から第3段落のところまで、製造、使用、排出、それから、環境に残留する化学物質問題についての取組を紹介してございまして、第4段落のところでは、今回のライフサイクルの中でも一つの重要な柱と考えております廃棄リサイクル段階のリスク管理を取り出して書いてございます。ここでは、循環計画の中の拡大生産者責任という考え方も絡めながら対応していくべきだろうということを記述してございます。
これらを踏まえまして、第1段落のところでは、今後の課題として、様々な法令下で化学物質を管理しておりますので、それらが関連して円滑に運営されること、それからもう一つは、法規制の下だけでは十分な管理ができませんので、事業者による取組が一層必要であると。こういうことを踏まえて、制度等の連携を図る必要があるということを課題として入れてございます。
それから、(4)の安全・安心の確保につきましては、第三次基本計画の中でも安全・安心の確保という形で重点取組事項にしていたわけでございますけれども、残念ながらまだ十分な取組ができておりません。そういう意味では、今回は「一層の」という言葉を入れてございます。
第1段落のところでは、リスクコミュニケーションでこんなことをやりましたということを紹介していますけれども、世論調査の結果などを見るとなかなか理解が深まったというふうには考えにくいということ。第2段落ではこういうふうな理解を得にくい、「不安」という中には化学物質の問題がすべて解明されたわけではないところがあるだろうということで、未解明の問題への対応が必要だということを入れてございます。3段落目のところでは震災の話を少し入れてございます。4段落目のところでは、課題として、あまり代わり映えがしないというような感じもするのですけれども、わかりやすい情報提供とリスクコミュニケーションの一層の推進をしなければいけないということを課題としてございます。
それから、国際的な対応という面では、第1段落、第2段落のところで、国際的な協力で達成することでございますWSSDの目標達成に向けた国際的な枠組としてSAICMというのがございますが、これについての、あるいは、水銀条約というものを国際条約として締結しようとしています。それから、国際機関への参加などという問題がございますので、そういうところに積極的に参加していくということ。
それから、第3段落では、アジアとの問題が重要だろうと。第4段落のところでは、これらを含めて引き続き国際的な観点に立った化学物質管理に積極的に取り組むことが必要であるということを挙げてございます。
中長期的な目標の中では 化学物質対策の最終的な目標は、化学物質の環境リスクをゼロにするということはできませんので、できるだけ低減することによって国民の安全を確保し、国民が安心して生活できる社会を実現することであるというふうにしまして、この目標に向けて4つの中長期的な目標を設定しています。
最初に申し上げましたWSSD2020年目標の達成が一つ大きな目標でございます。2つ目が国民の健康と環境を守るとの視点に立って、製造から廃棄に至るライフサイクル全体を通した環境リスクの低減、あるいは、未解明問題への対応等を含めて、様々な対策手法を組み合わせた「包括的な化学物質対策」の確立と推進を図ること。これは表題になっているところでございますけれども、こういうことが必要だろうと。これを実現することが目標というふうにしてございます。3番目で、リスクコミュニケーション関係、4番目で国際関係という形で目標を掲げてございます。
施策の基本的方向性の中では、今挙げました4つの目標の中で、2番目を未解明の問題と環境リスクの低減の2つを分けまして、5つの柱を基本的方向性として示してございますが、明快にするために簡単な記述にしてございます。
それから、主体ごとの役割というのは、第三次基本計画では、事業者、国民、国及び地方公共団体という3項目で記述しておりましたけれども、環境保健部会でのご意見を踏まえて、第四次では新たにNGO、NPO、いろいろな関連主体のつなぎ手という位置づけでございますけれども、そういう項目を設ける。あるいは、地方自治体が地方独自の状況を踏まえた対応をしていただくということで、地方自治体も独立させた形で役割を記載させていただきました。
それから、(3)が重点的取組事項でございましてが、基本的な方向性に沿ってそれぞれ記載してございます。科学的なリスク評価の推進につきましては、化審法が中心でございますけれども、農薬取締法でも行われていますので、それを着実に遂行していくこと。それから、もう一つ、化審法とか農薬取締法では対象にならないものは落ちこぼれてしまいますので、それらについてリスク評価を実施していかなければいけないということを記載してございます。
それから、もちろん大気、水の環境基準・指針値等についても必要に応じて設定をしていかなければいけないということを記載してございます。
ライフサイクル全体に対するリスク評価ということでは、ライフサイクルそれぞれについて段階別に記載をしてございまして、第1段階では化審法、第2段階では排出抑制のところ、第3段階では環境にたまっている汚染物質についての対応、第4段階で特に重要だと考えておりますリサイクル、廃棄の段階について、拡大生産者責任の徹底や製品製作の段階での環境配慮設計の更なる推進を図ることを打ち出してございます。これにつきましては、循環計画と書きぶりを合わせなければいけないのですが、まだそこら辺は十分調整がとれてございませんので、そこの書きぶりと合わせることによりまして少し記述を見直す必要が出てくるかもしれません。
それから、3番目の未解明の問題につきましては、いわゆるエコチル調査というのですか、化学物質が子どもの健康に与える影響、それから、内分泌攪乱作用の問題、それから、最近少しずつ議論がなされています、いろいろな化学物質に複合ばく露されたときの影響、あるいは、生物についても、生物個体群でリスク評価をしていますけれども、それを生態系、生物多様性に広げてリスク評価ができないか、あるいは、新しい物質としてナノ材料のリスク評価。こんなものを今後取り組むべき課題としてございます。
そのほか、安全・安心の一層の推進につきましては、そのため情報収集が非常に重要だと。安全・安心を得ていただくために情報を提供しなければいけない。それで情報をしっかり集めましょうということ。それから、その情報をいかに消費者に伝えるか。ここら辺のところは、今、事業者間の情報を伝える仕組みはできているのですけれども、国民に伝えるというところまで広がっていませんので、そこをうまく伝えることが重要である、そこを何とかしたいということで重点取組としてございます。
国際協力・協調の推進につきましては、先ほど挙げたような項目を着実に推進していかなければいけないということにしております。
それから、4の取組に向けた指標でございますけれども、化学物質対策の観点からいきますと視点が非常に多くございます。今回はとりあえず4で挙げているような5点を現在想定される指標として例示をさせていただきました。これについてはほかの方法はないかということをもう少し考えていきたいと思っております。
以上で報告は終わりでございますけれども、最後に二点だけ申し上げたいと思います。少し奇異に感じられた方がおられるかと思いますけれども、放射性物質の問題でございます。放射性物質は化学物質のリスクと見えるかもしれません。これについてはどうしたらいいかということを、部会長代理とご相談をさせていただいて、全体として記述するということを伺いましたので、化学物質のほうでは特段取り上げて議論はいたしませんでした。
また、震災については、有害物質のモニタリングのところを記載してございますけれども、これについても、全体の中で記載がなされていくのではないかということで、あまり深い記載はしてございません。
最後に、環境保健部会の審議の際に、震災の対応につきましては、基本計画の中で独立の項目ということで、一括して記述するにせよ、重点分野で個別に記述するにせよ、もう少し踏み込んだ記述をしたほうがいいというご指摘を受けたことをご紹介しておきます。
以上でございます。
○鈴木部会長 ありがとうございました。
6分野につきましてご報告をいただいたわけですが、開会いたしまして1時間半ほど経過いたしました。さすがに各主担当の先生方15分以内でぴったりとご報告いただきました。ここでちょっと休憩を10分ほどとらせていただきまして、後ろの時計で3時40分に再開させていただきたいと思います。いろいろと多様な分野にわたりご報告いただきましたので、その間にぜひご質問、ご意見をまとめておいていただければと思います。
それでは、10分間休憩いたします。
午後3時31分 休憩
午後3時40分 再開
○鈴木部会長 それでは、時間となりましたので、再開させていただきたいと思います。
6つの重点分野につきましてのご説明がございました。特に順不同ということでよろしいかと思います、時間も限られておりますので。ご意見あるいはご質問おありの方は名札を立てていただきますようにお願いいたします。
では、こちら側からまいりましょうか。浅野委員。
○浅野委員 まず、前回と今回で計画のうちの重点的取組み事項について通しで見たわけでございますが、前回、第三次計画をつくったときは、結構バラバラ個別に見ていて、全体を通して一度に全部を見るということがなかったものですから、よくよく見ると第三次計画もスタイルがバラバラであったり、順番がバラバラであったりということがあるわけです。今回はたまたま2回で重点事項の全部を通して見たものですから、バラツキが非常に目立つという大変不幸な日程設定になっているわけですけれども、前回、森嶌委員からご発言がありまして、環境基本計画は国の計画、すなわち政府の計画であるとそのことをきちっと踏まえて書くべきであるというご意見がございました。私もそれはそのとおりだろうということで、そのご意見に賛意を表したわけでございます。
そういう目で見てまいりますと、例えばこれは編集をさせていただくということでいかがかというご提案なのですが、各主体の役割の部分でも、「期待される役割」という書き方になっているのですが、国に期待される役割を政府が閣議で決定するというのは変な話でありますから、国の役割は国の役割だと、各主体については政府からお願いする筋ですから、期待される役割という書き方でいいだろうと。そこはちゃんと書き分けをしなければいけないということに気がつきました。
さらに、重点的な取組事項についても、これは基本的には国が取り組むことであると。あるいは、各主体にやっていただかなければいけないようなことについては、国がそのためにどうするのだということを書けというのが森嶌先生のご意見でありましたが、そのとおりだと思いますので、どこまで具体的に書けるどうかは別として、そういうニュアンスがちゃんとわかるような修正をする必要があるだろうと思います。
それから、各主体の役割や主体の上げ方については、武内委員からも自分のところはちょっと違うのだがどうかというようなご発言があったのですが、私、前回も申し上げたと思いますけれども、それぞれのテーマに即してどういう主体を表に出すべきかということには多少の違いがあってもいいと思いますので、機械的に全部何々と4つぐらいに分けて書くというよりも、それぞれ自由度があってもいいのではないかと考えておりますが、並べ方に関しては、例えば国が後にきたり前にきたりバラバラになっていまして、これはやはり統一したほうがいいのではないか。
先ほど申し上げましたように、国がこれをやるべきだ、こうするのだということをまず最初に書いておいて、その次に各主体にこういうことを期待するというのであれば、NPO、市民、国民を前に書くのは、国が先に出てきておかしいのではないかというニュアンスのご意見もある中で、前回の基本計画でも書きぶりとしては国が後になる場合が多かったのですけれども、今度は国の役割は国の役割なのだと、あとは期待される役割であるということであるならば、国だけは全部頭にそろえるということもあるのではないかと、そんなことを考えておりました。今のような考え方で、それぞれの項目について少し統一を図ることが許されるのであれば、統一をさせていただきたい。事務局にその仕事をさせていただきたいというお願いでございます。 なお、前回、横断的な項目について調整を図るべしというご意見がございました。これにつきましては、本日、1時間ほどしっかり時間をかけまして、長さの調整とか、目標と書くべきものなのか、それとも基本的考え方と書くべきものなのか、仕分けをもう少し丁寧にして、少し整理をするということを話し合いまして、主担当がそれぞれ今後事務局にその作業をしてもらうということになりましたので、ご報告申し上げます。
○鈴木部会長 それでは、崎田委員。恐れ入りますが、3分ぐらいをめどにお願いできますでしょうか。
○崎田委員 ありがとうございます。大丈夫です、もうちょっと短くいきます。二点ほど。地球温暖化のところなのですけれども、将来のエネルギーのことなど非常に大事な課題があっていろいろ書いてあります。そこは調整をされたということで、このまま出していただきたいと思うのですが、20ページ、21ページあたりの今後のところを拝見していると、技術力と生活者、消費者の意識改革やライフスタイルの転換とか、そういうことできちんとやっていくとは書いてあるのですが、連携・共同してハードとソフトの相乗効果を上げていくというようなことを明確にして、そのための誘導政策をきちんと打つというようなことをもうちょっと明確にして、全員参加型で温暖化対策をするのだと、その辺を強調してもよいのではないかという気がいたしました。
もう一点なのですけれども、今回の放射線対応についてはまとめて書くということだったのですけれども、循環部会のほうでは廃棄物の整理の方向性など項目出しをしているのですけれども、除染に関してもどういうことが必要かという項目出しぐらいは明確にして、中間整理をしたほうがよいのではないかという気がいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 佐和委員、どうぞ。
○佐和委員 3つ質問申し上げます。1つは、地球温暖化に関連することですが、一番最後のページに「環境効率性を示す指標」という表現がございますね。これはエネルギー起源CO2排出量当たりGDPというような書き方をしていますが、これは資源生産性の場合にこういう比率が使われるわけですが、これとはむしろ逆でありまして、CO2を分子にとって、GDPを分母にとる、つまりCO2のGDP原単位というのが普通の表現の仕方だと思います。エネルギー消費量をEで表わすと、CO2/GDP=(CO2/E)×(E/GDP)となります。
結局、CO2/Eは原子力や再生可能エネルギーの割合を増やすことを意味します。つい先ごろまでは、「だから原子力が温暖化対策の切り札だ」と言われていたわけです。それから、E/GDPのほうは、今後、サービス産業化が進むこと、製造業の中でも素材型産業から加工組立型産業へのシフトにより、これはおのずから減るだろうけれども、より一層、減らすためには何をすればいいのか等について、もう少しきちんとまとめていただければと思います。 2つ目は、生物多様性に関してですが、7ページの2行目に「経済的手法も含め、生物多様性の主流化に向けた方策について検討を進める」と書いてありますが、どんな経済的手法を具体的にお考えなのかと教えていただきたい。 3つ目は、物質循環に関してですが、最後のところに、原発事故に関連して、意味がよくわからない点があります。「今後の事態に備えて」とありますが、「今後の」というのは近未来なのでしょうか。それとも、もっと長期的なことを考えておられるのでしょうか。言い換えれば、今回の事故の処理に関してという意味なのか、それとも、もっと長期的なことを意味しておられるのか。
それから、「枠組を整備する」というのは、法制度を意味しておられるのか。それとも、原子力発電所をつくる企業などに対して、フランスなどで行われているように製造物責任みたいなものを意識させる、いざという時のための機器や装置をスタンバイさせるというようなことも含めておっしゃっているのか。つまり、「枠組」とは何を意味するのか教えて下さい。
以上です。
○鈴木部会長 では、太田委員。
○太田委員 少し遅れてきたので、説明があったのかもしれませんが、1つの質問と1つの意見ということでしたいと思います。
資料1の温暖化の関係の16ページとか21ページ、私は交通の専門家なので交通について非常に気になるということなのですが、16ページで「低炭素なスマートモビリティ等を活用したコミュニティ」という言葉が。21ページも同じような、「スマートモビリティ」という言い方ですね。これはまだ一般化されていない用語だろうと思うのです。ですから、その内容が何かということなのですが。
私がぱっと見たときにはいろいろな意味にとれまして、徒歩、自転車を利用した新しい低炭素、あるいは、モーターを使わない交通手段というものもあるし、公共交通のように効率的に使うという意味もあるし、あるいはまたITSを使った先進型の効率的な自動車交通というような考え方もありますし。きちんと概念を明らかにすることと、地域からということになりますと、身近な徒歩、自転車を含めた形での表現のほうがいいのではないかということで、質問と併せて意見が1つです。
それからもう一つ、大気汚染のところ等と合わせてこの辺が関連するのですが、こういった交通の問題というのは都市計画なり市街地の空間構造と一体的なのですが、その辺の表現が今回の資料であまり見られないように思いました。人口が減少していく局面で、都市をどうやって、市街地をどうやって縮退していくか、縮退している仕方と、そのときに歩いて暮らせるまちづくりのような、今までのような車的なものを使わない、あるいはバスを使わなくてもいいと、もう少し減らしてもいいという種類のことが重要になると思いますので、ぜひその辺をきちんと関連のところで指摘しておいていただきたいという意見です。
以上です。
○鈴木部会長 では、木下委員、どうぞ。
○木下委員 ありがとうございます。水環境保全に関する取組の5ページについて一点申し上げたいと思います。水量について、「洪水等による適度な攪乱が確保されること」という記述がございますけれども、閉鎖性水域において台風とか洪水等によって水量が確保される、あるいは、撹拌等によって水質が確保されるということは知られている事象ですけれども、これらについて、中長期的な目標でなくて、あくまでも結果として生じる事象ではないかなと思いますので、「洪水等による」というのをもう少し適切なワーディングはないかということについてご意見を申し上げたいと思います。 以上です。
○鈴木部会長 では、佐々木委員。
○佐々木委員 ありがとうございます。私は感想を1つと、意見を3つお願いしたいと思います。
感想は、全体を通してですけれども、現状の部分におきましては、文末が「不可欠である」、「重要である」、「必要である」。実際の施策の基本的な方向として、そのことに対応して「進める」、「目指す」、「図る」、「示す」、「取り組む」と、きちんと表現してくださっているので、意思がはっきり感じることができる感想を持ちました。 それから、意見ですけれども、例えば大震災への対応ですけれども、学校教育における対応そのものも今躍起になってやっているところだろうと思います。例えば文科省の教則本も各学校に配られ、放射性物質のことについても学んでいますので、そのあたりを表記する方法はないのだろうかと、思います。
そのことと関連して、1週間前の会議のときにはESDのこととか環境教育のこと、かなり用語も多く活用されておりましたけれども、今日のこの中身につきましては、いわゆる環境の学びや環境教育に関わる中身が少ないのではないのかなと私は思っております。今日提示された6領域の中にすべて、環境教育が非常に重要な部分も一領域あるのかなと思って聞いておりましたので、そのあたり法改正もきちっとされているわけですから、学校としての役割、それは各主体の役割、ちょっと下位目標になるかもしれませんけれども、その役割をきちんと表明することはできないのだろうかと、そんなふうに思います。
それから、たくさんの用語が出てまいりますので、読み手を想定した表記が大切だと考えます。これは学校教育の中でも十分に活用できる報告書になるだろうと思いますときに、子どもが用語から学習しなければならないということは、学習効率の上から見ても効率がよくありませんので、最低限の用語解説はしていただけるものかなと思っております。
○鈴木部会長 末吉委員、どうぞ。
○末吉委員 ありがとうございます。私は地球温暖化に関する取組に関連して、意見ないしお願いであります。
例えば、4ページの下の部分の「地球温暖化に関する科学的知見」というところに、IPCCの第四次評価報告書が書いてあるわけですけれども、地球温暖化や生物多様性の劣化に関する現実及び今後どうなっていくのか、それに関連してどういったデータとかレポートを引用するのか、これは非常に重要だと思うのですね。特に私が思いますのは、新しいレポートやデータほど危機感を我々に要求する、強い対応を要求するものになっているはずです。ですから、アップデートができないと何となく生ぬるい地球温暖化の現状認識、危機感になってしまうのを恐れております。
その危機感こそ政策をより練っていく原動力になりますし、練られた政策の実行に対するエネルギーがそこから生まれると思うのです。ですから、ぜひ地球温暖化やその他の環境問題、あるいは生物多様性についても、現状がどう悪くなってきているのか、もちろんよくなっているところもあるのでしょうけれども、さらに悪化、劣化がどこまでどういうスピードで進んでいくのか、そのことが何をインパクトとして我々に与えてくれるのか。そういったものをよく認識できるようなデータとレポートのアップデートをぜひぜひお願いいたします。
○鈴木部会長 善養寺委員。
○善養寺委員 2つほど。資料3の物質循環の項目の7ページですが、重点分野の中で丸付き数字で取組の表題をつけてあるのですが、[5]の「循環分野における環境産業の育成」という項目の中のCの中で、「優良事例の情報発信を強化する」の後に、「また、廃棄物等適正な処分の確保を図るとともに、廃棄物などの発生」など、電子マニフェストの普及の話を書いてあるのですが、企業の育成の中でこれをここに入れるべきなのか。この「また」から後の項目は、どちらかというと⑥の安全・安心のほうでもいいのではないかと思えます。
というのは、ここで言いたいのは各企業に電子マニフェストを入れろだけなのか。電子マニフェストの意味というのは、全国ネットワークというか、全国で統合システムにすることによって、不法投棄などを瞬時にわかることができることに価値があるので、ここの項目に入れているだけですと、電子マニフェストの一層の活用といってもこれでは各会社に経理ソフトを入れてくださいぐらいの話で。
本来だったら、安全・安心の観点から国の取組強化として、廃棄物の適正処分を図るために、全国ネットワークの電子マニフェストのシステム統合などを図って、早めに不法投棄などを見つけるために、こういう電子マニフェスト化を個々に導入も図るけれども、国もそれをうまく活用するというふうな施策を挙げていないと、これではここの意味というのは、ただ単にソフトを買いなさいみたいなだけでしかないかなと思いましたので、ちょっとご検討いただきたいと。特に国の役割として、国全体の循環型社会形成に関する取組を総合的に進めると最初にうたっていますので、その具体的な策としての重点項目としてそれを書いていただけたらいいのではないかと思います。
もう一つが、資料1の温暖化に関する取組の14ページの中ほどで、「バイオマスなどの導入、安定供給が図れ、地域づくりとも密接に関係する地熱・バイオマス・中小水力の普及拡大を支援し着実に推進していくとともに」と、この文章が切れがなく長い。「何とかとともに、何とかを進めつつ、見込まれる技術を分析し克服する」と、あっちへいったりこっちへいったりで長い状況で何とも読みにくい感じがしまして。どうせならば、最初の「バイオマスの推進をしていくとともに」のところは、「バイオマスを進めていく。」で、一度「。」で切ってから、「太陽光、風力については」というところに進むべきだと思うのです。
ただ、この中でも懸念するのは、「着実に導入を進めつつ、導入量の増加に応じて段階に発生が見込まれる技術的、経済的課題の分析とそれを克服するための方策の検証を順次行っていく必要がある。」と。これは走りながら考えるということを書いてあるようなのですが、既に経産省などで太陽光の普及に当たっての大量導入に対する技術的、経済的検討をされています。あまり無作為に大量導入しますと、それにかかるコストが何兆円単位になると。それをもう少しきちんと技術的に抑制をかけるような方法、いわゆる技術的に最初からどういう方策で広げていくかということを検討した上で進めていく場合には、億単位の投資額で済むというようなシミュレーションも行われておりますので、歩きながら考えるといいう書き方ではなくて、既に検証されていることを踏まえて、政策的技術や経済的課題の分析は先にやったものを踏まえつつ、大量導入を進めていくというようなことでもいいのではないかと思いますので、ちょっとこの文章を検討いただきたいなと思いました。
以上です。
○鈴木部会長 田中委員。
○田中委員 ありがとうございます。まず1点目は、資料1の温暖化対策についてのことを3点ほど申し上げたいと思います。1つは、先ほど部会長代理の浅野先生からお話がありましたけれども、この報告全体が、書き方と言いますか、報告書としてほかの部会報告とややトーンが違う、例えばかなり前文が載っているとか。この点は最終的に環境基本計画に持っていく段階では少し整理したほうがいいのかなということで、他の分野報告との平仄を合わせると言いますか、その工夫が必要かなというのが一点でございます。
2点目は、できるだけ直近の情報、特にCOP17の状況が大事かと思いますので、そこらあたりをいずれかの形でこれから書き込んでいくということが必要ではないか。これが2点目でございます。
3点目は、温暖化対策といった場合に、いわゆる緩和策と呼ばれる削減策と適応策、その両輪が温暖化対策であると、この概念が少しずつ広がってきておりますので、本文の中で少しそこらあたりは書き分ける。対策といったときにどちらの対策といっているのか。対策といっても実際には緩和策のみを言っている例もありますし、緩和策と適応策両方を言っている例もありますので、そこは少し整理をしてきちんと書き分けたらどうだろうかと思います。
これは一例ですが、こちらの本文でいきますと、例えば5ページに「国際的な対策の枠組」、あるいは、6ページが「国内における対策」とありまして、これは低炭素社会対策といいますか、緩和策を中心に述べているように思うのですね。ところが、10ページにいきますと、「施策の基本的方向」ということで、ここでは「施策」という表現を使っていますが、この施策の中には地球温暖化の防止と温暖化への適応ということで、こういう書き出しになっていて、ここでは一応その両方を意識しているということを書いておりますので、この点の工夫が必要ではないかと思います。この区別をしっかりやっておくことが必要かなと思います。
最後は物質循環のところでございますが、ちょっと気になりましたので、指摘をさせていただきたいと思います。資料3の4ページのところです。「各主体の役割」のところで少し気になったのですが、[2]に「NGO、NPOと大学等」ということで一緒の枠組になっておりまして、NGO、NPOと大学というのは少し役割が違うかなと思います。特に「大学等」と言った場合には、学術研究機関としての役割と教育機関としての役割がありますので、この点は少し分けておいたほうがいいかなと。その場合に、「大学」と言ったほうがいいのか、「研究機関」と言ったほうがいいのか、その点の整理も必要かなと思います。
以上でございます。
○鈴木部会長 冨田委員。
○冨田委員 ありがとうございます。地球温暖化のほうに関わったものとして二点コメントをさせていただきます。
1点目でございますけれども、化学物質のほうで中杉委員から、「他の分野に関わることについて調整をしながらまとめられた」、あるいは、「ここの部分に調整がまだ不十分だ」というご説明がありました。そういう観点で相互の分野について改めてもう一度立ち戻って見る必要がある、いわば相互のレビューというのが必要だろうと感じました。例えば、地球環境のところで言えば、再生可能エネルギーについて生物多様性の問題であるとか、あるいは、風力に関する騒音の問題、そういったところの絡み、そういうところの記述がいいかどうか、あるいは足りないところがあるかどうか、そういうレビューが必要だろうと感じました。
それから、2点目は地球温暖化に関わる固有のことです。冒頭、浅野委員からご説明がありましたけれども、まとめのタイミングという観点です。環境基本計画のほうは来年3月目途ということだと思いますが、エネルギー・環境会議に関してはもう少し時間がかかるかもしれないという中で、環境基本計画をまとめる段階でどこまで進んでいるかというところでございます。今考えることでは決してないのですが、3月に近づいたところでどういうまとめがいいか、エネルギー環境政策のほうは環境基本計画のとりまとめのタイミングを見ながらまとめてはくれないと思いますので、その辺をどういう形でまとめたらいいかというところを考えなくてはいけないなということを強く思っております。
以上でございます。
○鈴木部会長 速水委員。
○速水委員 ありがとうございます。私も参加させていただいていたのですけれども、生物多様性保全の6ページのところで、今ご説明をいただきながら気づいたのですが、[2]の「国民(事業者等)」の下にAとBで、農林漁業者と企業という項目がございます。森林に関して考えてみますと、農林漁業者は農業は農地という一つのくくりがありますし、水産業は水産業という業として企業が参入してくるものがあるのですけれども、双方とも企業が参入すれば活動があります。ところが林地というのは企業が黙って持っているというのがたくさんあるわけです。水産業に入ってくる企業は、当然水産業をやるからAのほうに入るのですけれども、森林を持っているだけの企業というのはどこの範疇にも入らないで、これがかなり面積が広いということがありまして。
例えば北海道だけでも所有がよくわからない企業の持っている森林が4万ヘクタールぐらいカウントできるとか。4万というと所有規模で日本の上位から数えて4番目ぐらいの面積になってしまうんですね。そのぐらい企業が結構大きな面積を持っているのだけれども、あまり活動がないというのかかなり大きな問題としてあるわけです。
そういうところの生物多様性という問題があるので、特出しする必要はないかもしれないのですけれども、例えば企業のところは「土地利用に当たって」というふうに書いてあるのですけれども、土地を利用してないのですね、森林を所有しているだけで。だから、「森林の所有や」というふうなものをそこに文章として入れるとか何かしないと、企業が持っている森林の生物多様性に関しての配慮がどこでも指摘できなくなっているというのが現状ですし、全体的にもそういう問題が起きているということでございます。
以上です。
○鈴木部会長 平松委員。
○平松委員 初めて意見を言わせていただくので、間違っていたらすみません。多分大気環境保全に入ると思うのですが、悪臭の件が全然入っていないのですが、これはここで取り扱うものではないのでしょうか。実はうちの地元では悪臭に困っていて、悪臭を出す企業は最初からあったのですね。私たちは後から引っ越していったものですから、企業としてもそういう強みがあるのでしょうが、保健所とか市の環境課からの市民から苦情をその企業に言っていろいろ改善はしているのですが、例えば煙突からすごい煙が出て、そこから悪臭が出るのですね。
その煙突を高くすれば、近くの人はいいのですが、遠くまで悪臭が臭うようになるとか。薬を入れると悪臭が減るといって、前よりはいいのかもしれないのですが、その薬が高いのでしょっちゅう使えないとかいろいろとあって。悪臭の数値を測る機械というのはないのですよね。感じるものだけなのでしょうか。その辺を、例えばすごくお金がかかることであれば、企業に補助みたいな形で臭わなくするようなこともできないのかと思って。すみません、そんなところです。
○鈴木部会長 では、福井委員。
○福井委員 ありがとうございます。2点、意見です。まず温暖化の関係で、これも5回にわたって議論をされてきたということで、内容について異論があるわけではないのですが、気になったことが一点だけございます。13ページに中期的な国内対策の在り方ということでAからずっと並んでいて、Aが省エネルギーということで、Bが再生可能エネルギー、Cが化石燃料のクリーン化と続いて、地域からの低炭素社会づくりということで、この中で何によって需給のギャップを今後埋めていくかということに関わる部分は、A、B、C、Dと最後の[7]とか、そういうところに書いてあるのだと思います。
一方で、私の記憶では、IEAによると、これから需給ギャップを埋めていく上で、再生可能エネルギーを一生懸命やる、原子力も国によっては一生懸命やっていく、そういう中で省エネルギーに頼らざるを得ない部分が5割以上あるということだと思うのですね。そういったことから考えたときに、このA、B、C、Dに書いてある内容と別に、重点を表す意味でも記述の量のバランスがこれでいいのであろうかと、ちょっとバランスを回復する必要があるのではないかという印象を持ちました。 省エネルギーの観点からはいろいろなところに散りばめてはあるのですが、家庭とかオフィス、企業、物流、いろいろな面で省エネルギーをしていかなければいけないし、それから、HEMSとかBEMSとか、あるいは、いろいろなソリューションとか、蓄電とか、盛り込むことは山ほどあるので、そういったことを盛り込んで、省エネルギーの重要性を示すように、記述量のバランスを回復できないかというのが一点であります。
もう一点は、大気の関係で6ページ、前のところからいうと「政策の基本的方向」と書いてあって、そこで「環境的に持続可能な都市交通システム」とあって、「都市と交通システムが低炭素社会づくりにかかる重要な要素であるという観点が重要である」。これは全くそのとおりで、大変立派な論点を書いていただいていると思います。その割に、後ろの重点的取組事項の中では自動車単体の普及については述べていまして、それはそれで大変結構なのですが、同時に「都市と交通システム」も重要な課題として位置づけることが適当ではないかと思います。 以上2点で、意見ですので、特にお答えは必要ありません。以上です。
○鈴木部会長 藤井委員。
○藤井委員 物質循環で2点、水環境で1点、お願いいたします。物質循環のところは……。その前に、主体のところでは、浅野委員が前回の私の質問に対して非常に的確にお答えいただきまして、ありがとうございます。ただ、今回、田中委員からもまた出たように、主体の項目の立て方はなかなか難しいのだなということを今感じております。
質問は、まず物質循環の4ページの地方公共団体のところです。この間ずっと地域の循環をテーマとする地域づくりのお手伝いをしていく中で、地域が意外に循環の条例をつくっていないことに気づいています。この間、条例をつくっている市町村などのアンケートをとった経緯があったと思うのですが、ここの中に条例づくりを誘導するような項目をどこかに入れられないかというのが一つです。
もう一つは、次の6ページの地域循環圏の形成の点です。ここ以外にもバイオマス系について触れられているところがあちこち出てきますが、環境省も加わっている2001年にスタートしたバイオマス日本総合戦略、そして、バイオマス基本推進法に基づく基本計画、これも2009年に動いているわけですが、そこについて全く触れられずに、地域循環圏の最後の項で「高度化や更なる発展のための戦略的な計画を」というのは地域だけには大変難しくて、まさにバイオマス基本計画に基づく、そこのところを国のところかどこかにバイオマス系が入れられるところがないかというのが物質循環のところです。
それから、水環境については、先ほど大塚委員から海洋環境について第三次と少し違う書きぶりだというお話がありました。そんな中で、10ページの下のところで、東日本大震災についての水環境の復興について記述があります。東日本大震災だけではなく、大気のところとちょっと比較してみたのですが、大気のところでいうと、東アジアからの広域汚染のような被害者性は語られていて確かにそうだなと思いつつ、水環境の海洋で言えば放射性物質についても、下水道が壊れていることについての海洋投棄についても加害者性が続いているわけで、そこのところは水環境の海洋汚染のところで議論があったのかないのか。
先ほど中杉委員から震災についてはまとめて全体で記述するというお話がありました。とすれば、少なくとも東日本全体について記述するのであれば、記述する項目、こんなことが予想されるという項目だけでも挙がっていると、なるほどここはこういうふうにするんだなということが見えるのですが、そこが見えない。物質循環のところは、私も委員の中で議論しましたので、最後のところに項目立てしましたが、全体としてどのようにここのところは扱っていくかということを議論したらどうかと思います。
以上です。
○鈴木部会長 森嶌委員。
○森嶌委員 最初に浅野委員がおっしゃいましたので、繰り返さないというか、繰り返しますが、環境基本計画を策定するために我々は集まっているわけです。ところが、環境基本計画というのは何かということについて共通の理解が必ずしもなされていないのではないかと思いますので、まだ大分時間がありますから、3分を超えて皆さんにレクチャーをしたいと思います。皆さんの前に環境基本計画というのがありますから、これの198ページを開いていただきたいと思います。今からレクチャーをしますから。部会長も含めてレクチャーをいたします。部会長は法律家ではないので。
15条をみますと、環境基本計画と書いてありまして、「政府は」と書いてあります。「政府は」というのは環境大臣を相手にしているわけですけれども、環境保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境保全に関する基本的な計画を定めなければならない。
そして、その環境基本計画は、2項ですけれども、長期的な施策の大綱ということでありまして、施策を決めるわけですね。施策というのは何かということですけれども、6条をみますと、「国は」と。「国は」というのは、環境省は大した役所ではありませんけれども、環境省を含めていろいろな役所全部ですね。地方公共団体ではなく、国は第3条に定めるこれこれの総合的な施策を策定し実施する責務を有するのですね。そこで、第2章以下に施策の策定に関するとありまして、これ以降は国がやる仕事が書いてあるわけです。そして、時たま地方公共団体も出てくるわけです。
つまり、施策というのは行政庁、国がやることなのですね。そこで先ほどの浅野さん、これはこの前私が指摘したのですけれども、環境基本計画というのは国の施策を決める、国の仕事を環境省、環境大臣が決めて、それを内閣に出して閣議で決めるという仕組みになっているわけですから、人さまのことを評論家でやるわけではなくて、国が何をいたしますということ、そういう計画を大綱を示すというのが我々の仕事であります。」皆さん、こういう取組をしてください、ああいう取組をしてください」と言って悪いことではありませんけれども、国はこういうことをしますと、これから5年間こういうことをしますということを、大綱ではありますけれども、書かなくてはいけない。それが書いてない。
これから極めて短い例を水と大気について挙げます。まず環境基本計画というのは、これも講義をすれば1時間ぐらい楽にかかりますけれども、それはやめておいて、国のやること、国がやらなければならないことを我々はここで議論するのだということをまずしっかり頭に入れておいてください。そこで、今日出てきたのを見てみましょう。講義調になるのは私が大学の先生を長くしていたので悪いくせですが、勘弁いただきたいと思います。
水環境に一つサンプルを見てみましょう。これも不満だらけですけれども、例えば9ページを見ますと閉鎖性水域のところがあります。閉鎖性水域の[5]の2段落目、浄化の機能及びこれこれの観点から、湖沼においては湖辺の植生やこれこれの保全を図る。閉鎖性水域においては、失われつつある自然これこれについて適切な保全を図り、干潟これこれに向けた取組を推進すると。また、自然生態系と調和しつつこれこれなどを通じて人の手を適切に加えることにより、高い生産性とこれこれの図られる「里海」の創成を進めると。これは施策でしょうか。何するのでしょうか。一体改善に向けた取組を推進するというのは何でしょうか。
そこで、第三次を見てみましょう。第三次もあまり出来はよくないのですね、さっき浅野さんが自白されたように、私は決して出来はよくないと思うのです。93ページ、湖沼のところ、左側のコラムで、琵琶湖などのこれこれにおいては、下水道これこれ、集落及びこれこれの整備や、これこれの高度化、流出水対策、これこれのことその他の施策を総合的、計画的に推進します。東京湾、これこれについては第6次これこれに基づき、各種規制措置のほか、下水道これこれ、浄化槽のこれこれと書いてあって、有明海、八代海についてはこれこれと書いてあるのですね。
第四次をやるときには、第三次でこういうことを、ホラだったかもしれません、書いて、ここまで書いたけれども、これができたかどうか。我々は何のために集まって環境基本計画をチェックしているかということなのですね。そこで、必ずしも細かいことをやっていませんけれども、環境省としてはここまで言ったわけですから、どこまでやったかということを前のほうで、現状とか何とかいうところで簡単に書いて、第三次で書いたのは概ねでもいいです、35点しかできませんでしたとか、48点までやりましたでもいいです、閉鎖性については三次に書いたことはここまでできましたと。そこでし残したことについて、浄化槽はやりますとか、そういうことを書かないと施策にならないのですね。大綱でもいい。細かいことはいいですけれども、そういうことを書いてはじめて施策と言えるわけですね。それなのに、国民はこういうことをやりましょうなんて、何のために税金をもらってやっているのですか。それはちょっと別にしまして、同じことは至るところに散りばめていますから、今日役所にお帰りになって読んでください。
それから、大気も見てみましょうか。大気は6ページ。これも単なるサンプルです。全部最初からやれば皆さんお帰りになれなくなりますから。6ページ、都市交通、先ほど多くの先生からお話がありました。今後大幅な人口増加とこれこれとありまして、グリーンイノベーションの観点と、都市と交通システムが低炭素社会づくりにかかる重要な要素であるという観点が重要であると。これは評論家ですね、評論なのです。また、大気汚染や騒音に係るこれこれの低減のため、これは1つ書いてありますね、発生源対策、これこれの遮音壁等のばく露側の対策に加え、これこれの緩衝帯として機能する土地利用を行う等の未然防止対策をバランスよく実施することが必要であると書いてあるのですね。やりますと書いてないです、必要であると書いてあるんですね。これはよそさまの話なのですね。
第三次の90ページを見てみます。これもちゃんとやったかどうかあれですけれども、90ページの左のコラムのbというところの下のほうですけれども、カーシェアリングの促進、中長距離これこれと。環境負荷の低減に配慮した公共交通の整備、これもやや漠然としていますけれども、先ほどちょっとお話がありました、公共交通システム(ITS)の整備、信号機や交通管制システムのこれこれと、窒素酸化物等の濃度が局所的に高濃度になっている場所についてはこれこれというようなことが。これがいいかどうか私は知りません、でも書いてあるのですね。ここは評論なのですね、「必要である」と。必要であると言うのはいいけれども、誰がやるのですか。環境省がやるのではないのかもしれません。国土交通省かもしれません。
環境基本法というのは、環境省のあれではなくて、計画は環境省がつくるわけですけれども、国の施策を決めるわけですね。だから、調整はしなければならないかもしれませんけれども、国の責任を決めなければならないので。これは浅野さんにあえていちゃもんをつけますけれども、国の役割などを淡々と書くのではなくて、国はこれをやります、やらなければその次のときにこれはできませんでしたということはちゃんと出さなければいけないわけですね。そして、例えば温暖化の場合は、こういうところは国民の皆さんにやっていただきたいと。スイッチをチョンチョン切ってくださいとか、そういうことをお願いするという筋合いで。
その意味では、私は三次のときにも確か言ったと思うのですけれども、国の取組のほかに、ほかの主体がどう協力するかと。つまり、施策の中でほかの主体がどういうふうに協力してもらうかというのはいいのだけれども、ほかの主体もやらせるというのは、環境基本法を見ても一応責務とは書いてあるけれども、企業はともかくとして、ほかは「協力する」としか書いてないのですね。環境基本法そのものの位置づけ、それぞれの主体の位置づけ、それから、環境基本計画というのはどういうものなのか、我々は何のためにここに集まっているかということを十分お考えいただきたい。
それが何回やっても同じようなことをやっている。浅野さん、もう一度身に沁みて。先ほど1時間で調整なさったとおっしゃったけれども、5時間でも10時間でもかけて、今度お出でになるときは、ぜひとも私ども臨時委員によくわかるように、きちっと再構成していただきたいと思います。存外に短く終わりましたけれども、終わります。
○鈴木部会長 いろいろとご指摘いただき、また、環境基本計画の在り方はもう何回も皆さん講義を受けておられるでしょうから……。
○森嶌委員 それにも関わらずなかなか終わりにならない。
○鈴木部会長 先ほど森嶌委員が比較された部分と、本日準備されている報告とはちょっと場所が違いまして。第三次基本計画ですと、第2章(環境保全施策の体系)というところと重点分野(第1章)というところがございまして、比較されるべき部分は、むしろ重点分野に対応するもの、水に関しましては41ページから始まる部分となりますが、この部分がそれぞれ主担当の方が本日おまとめいただいた報告書に対応すると、こういうふうにご覧いただければいいと思います。
それに基づいて第2章の具体的な環境保全施策の体系を各局においておつくりいただくところになる、こういうふうに理解していただければよろしいかと思います。それはそれといたしまして、いろいろご注意いただいたことをこれから、それぞれの分野の整合性、あるいは、連携をとってどういうふうに進めるのかというようなことを詰めていくことになりますので、これからが大変な作業であると。いわばここに素材があって、これをどういうふうに調理していくかという段階になっていると思います。
いろいろとご意見いただきましたが、この基本計画が、先ほど末吉委員がおっしゃいましたように、新しいデータに基づいて、本来であれば年々バージョンアップされていくぐらいの、今、ウェブの世界でこれがアップデートされることが可能であれば、少なくとも参考にする対象としては新しいものを次々と取り込んでいけるようなものになると思います。 それから、田中委員からご指摘いただきました第1番目の分野に関しましては、田中委員もご承知のように、地球環境部会で8月の時点でまとめた資料がここに示されており、現段階でも詰めにくいのは、冨田委員からもご指摘いただきましたように、エネルギー環境会議ができたり、エネルギー基本計画が来年の中ごろにまとまっていくというような状況の中で、この部分はどう考えていくのかというところがあり、そのぎりぎりのところでどこまで書けるのかということもあろうかと思います。
そういう意味で、来年の中ころにこちらのほうもバージョンアップできるというような仕組みができれば、やり易いかなという感じもいたします。
いろいろとご質問、コメントもいただいたと思いますので、ご質問に関するものは主担当の方からお答えいただくということもあろうかと思います。
その前に、筑紫委員、では簡潔にお願いします。
○筑紫委員 それでは簡潔に申し上げます。この中で私が一番不思議なのは、いろいろな重点分野に対する投資というような意識が何もないというところが大変問題だと思います。ありとあらゆるイノベーションには投資がされなければ絶対に起こらない。私はドイツから帰ってきたばかりなのですが、ドイツははっきりと原発はやめますと、福島のおかげでドイツの法制まで変えてしまったというほどの歴史に残る災害であったと、大変お気の毒ではあるけれども、それでドイツは再生可能エネルギーに重点的に投資をしていって、低炭素社会の世界のモデルになりますと言っています。この第四次の環境基本計画は、これをやることで世界のモデルになるという日本の国家戦略のために使われるということではないかと私は思いますが、そのための投資ということが何も書かれていない。
例えば22ページに簡単に金融のグリーン化というようなことを言っていますけれども、私どもが関わっているSRIという分野で世界中で800兆円ぐらいのお金がそれでいっていますと。環境とか社会的な部分とかガバナンス、そういったもので投資をすると。それで日本のお金が0.06%と、世界第3位の経済規模を誇る日本が環境に投資をするESG、国連のPRIというところが責任のある投資原則というところで、必ずESGという環境、社会的課題、それから、ガバナンスを見て投資をしましょうねという呼びかけに対して0.06%しかやっていないと。世界中がどうやって公的年金、それから、日本だったら1,400兆円の個人金融資産があるわけですけれども、そういったものを動員してグリーンなところに投資をしようと世界中が知恵を絞っているときに、税制のグリーン化はあるけれども、投資のグリーン化というのはないのかと。お金を動かさないで目標を達成できると思っていらっしゃるのか。ここはどうしても投資のグリーン化ということは入れるべきだと。
そういう意味では、一昨年申し上げたかと思いますけれども、一昨年たまりかねたOECDが世界第1位の規模を誇る日本の公的年金103兆円に対してESGを入れなさいと、環境への投資を配慮しなさいということを勧告したではないですか。そういったことも何もここに反映されていないというのは、何を考えているのでしょうか。重点的ということは投資があってはじめて具体化されて、重点的になるのではないでしょうかということで、投資のグリーン化ということをぜひ入れていただきたいと思います。
以上です。
○鈴木部会長 今のところは、前回の横断的3分野の中のグリーンイノベーションの分科会でしょうか、安井先生が主担当になっていただいたところで議論はされているはずですので、どういう形でそれを文章化されるか。
では、森嶌委員。
○森嶌委員 今の部会長ご指摘のページ数で了解いたしました。引用の場所を誤った点はおわびいたします。ただし、それならば何のために前のところにこういう抽象的なのが環境基本計画の中にあるのかということを改めてご質問いたします。つまり、環境基本計画のあれからいうと、これだけではなくて、第1章の重点分野ごとの環境政策の展開というのは、その後の、今私が引用したところとの関係が、しかも分けてあって、それがどういう意図の下でこういうふうになっているのかということはわからない。
第三次の時、私はこれは計画としては出来のよくない計画だと言ってはいたのですけれども、その意味で、今回、これに第三次をフォローしてこういうフォーマットでおつくりになるのでしたら、改めてこのフォーマットについてどういう合理的な、あるいは、積極的な理由があるのかお伺いしたいと思います。
○鈴木部会長 それは私はむしろ前会長の森嶌先生に伺いたいぐらいなのですが。なぜこういう形になっていたのか。
○森嶌委員 前回のときは、これは浅野さんなのですけれども。いや、人のせいにするつもりはありません。先ほどあれしましたようにポーンと出てきたものですから、最後は時間がなくてこういうふうになったのですけれども、そこで改めるものは改めなければということでやりました。前回のときに最大のあれは具体的な指標ができなかったということと、計画として施策の具体性があまりなかったということで反省をしたわけです。
今、私はにわかに覚えていないのですけれども、その意味でこれをフォローするとすれば、積極的な理由を持っていないと、第四次にこれをそのままフォローすることは、三次をつくったときにいろいろ問題があったその一つだと思いますので、先ほど引用が誤ったということを申しましたけれども、施策の総合的、長期的な計画の大綱ということでありますから、その点について前回これをやってみてまずかったなということは言っていたものですから、今にわかにやったときに確かに引用すべきところをちょっと誤りました。その点はおわびいたしますが、そうだとする、三次をやったときにどうもこれは結果的にはまずかったなと言っていたところをまたやるのだとすると、なぜかということを伺いたいと。指標については、指標の委員会をつくって、前回よりはかなり進歩したと思っておりますけれども。
○鈴木部会長 今の全体の構成についてはまた少し検討させていただくことにいたしまして、とりあえずご質問が出ているものを一回り……。
○浅野委員 そうですね。あと15分しかないのであまり丁寧にご説明はできないと思いますが。
総論の部分がまだちゃんとした文章にはなっていないのですけれども、全体をどうするのか、総論でどういうことを書くのかということは既に中間とりまとめのときにここで合意ができておりますので、それを大きく変えることは適当ではないと考えています。その上で、総論があって、総論を受ける形で重点的取組事項ができ、さらに従来どおり最終的には各項目についての施策が並ぶということになるわけです。
前回、森嶌先生も言われましたように、施策の各論の部分を全然議論しないで原課から上がってきたものをそのまますうっと通してしまったという反省があったので、今回はかなりそこに時間をかけるべきだと主張はしたのですが、残念ながらここまでのスケジュールではそこまで至っていないという状況でありますので、今後、3月までのスケジュール調整の中で、各論についてどういう形でみんなで議論できる場をつくれるかということは事務局にも考えていただきたいと思っております。
その上で、ご質問をいただいた点というかご意見をいただいた点でありますが、いちいちお答えすることはできませんので、検討させていただきたいということにとどめておくのがいいかと思いますが、太田先生からご質問のあった点については、ロードマップの検討会で議論していることを一言で縮めるとこうなるということになりますから、先生のおっしゃったこと全部が含まれているということですけれども、確かにわかりにくいというのであれば、さらに表現を考えるということが必要だろうと思います。それから、都市計画との関連についてのご指摘は、入れなければいけないだろうと思いました。
それから、末吉委員からのご指摘は、当然念頭に置いておりまして、既に地球部会は前回、適用について新しいデータで議論していますから、そういうものを反映させることになるだろうと思います。
あと、特にお答えしなければいけない私のほうの分野で言いますと、福井委員からご指摘があった点については、もうちょっと考えさせていただいて検討したいと思います。いずれにせよ温暖化の部分はかなりスタイルを整える必要がありますし、分量調整も必要でありますから、かなり書き直すことになると思います。その中でご意見を反映させるよう努力をいたします。
○鈴木部会長 主担当なさった委員から。こちらから順番に。
○大塚委員 水の分野について申し上げる前に、先ほど議論になっていることについて私なりに一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。先ほど森嶌先生から環境基本法の講義があった15条についてですけれども、非常にインパクトのある重要な示唆に富んだご指摘をしていただいたと思っておりますけれども、15条2項の2号の環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項というのは、必ずしも国、政府だけの方向だけではなくて、自治体とか事業者や国民に期待される取組を定めるというふうに当初から考えられてきたところがございます。特に自治体は機関委任事務がなくなって、国が全部やれるわけではないので、そういうことも含めて期待されることも書くのだというのが一般的な解釈だったと思うのですけれども、先生がおっしゃるように、政府がやることを特に注目すべきだというのは、私もそのとおりだと思っております。ただ、両方入る形で計画にも書いていくということだろうと思います。
2つに分かれていることは、私は新参者のほうですので、もともとの経緯は存じ上げませんが、国民に対する期待とか自治体に対する期待ということを書くのであれば、最初のほうにある程度ソフトに全体像を書くという部分もあっていいのではないかと思いまして、後ろのほうの施策はまさに具体的な個別的な施策を書くという整理は割と合理的かなと思っているところでございます。
水についてのお話ですが、木下委員と藤井委員からご指摘をいただきました。木下委員が指摘してくださった5ページの一番の上の「洪水等による」というのは私もちょっと気になっていまして、「適度な攪乱」というふうに、「適度な」というふうに入れたりしたのは少し工夫させていただいたのですけれども、私などより木下委員のほうがよくご存じだと思いますが、水のほうの分野では、洪水というのは平常時よりも河川が増水する現象を言って、氾濫とは違うというふうに考えているようなので、その言葉を使ったのですけれども、確かにご指摘のように一般国民からみるとそのような理解に必ずしもなるかどうかよくわかりませんので、検討させていただきたいと思います。
それから、10ページの下の藤井委員のご指摘については、加害者性については、恐れ入りますが、議論しておりませんでした。これは全体の東日本大震災との関係というところで議論することになるのだろうと思いますけれども、そういう項目出しをすることはぜひ検討していくべきだと考えております。
以上でございます。
○小澤委員 それでは、大気関係について、太田委員からご指摘のあった件ですけれども、一つは、4ページのところに、今回の書き方としては、単に発生源と、それから、ばく露側の対策だけでは土地利用の観点と入れたのですが、記述が割と狭い範囲のところになっているかと思いますので、もう少し対応を考えていきたい。
そういう関係は、5ページのところにも、「環境的に持続可能な都市・交通システム」として、関係省庁の連携の下、政府全体でという、3回の会議ではその辺のところも出てきましたので、国土交通省関係との連携も考えなければというのでありましたので、少し書きぶりを検討したいと思います。
その件はまた6ページにも土地利用の関係という形で少し記載していますので、そこは書いていきたい。
それからもう一つ、平松委員からありました悪臭については、どう扱うのかが私にはちょっとわからないところがあるので、担当にお願いいたします。
○鈴木部会長 では、武内委員。
○武内委員 佐和委員からの「経済的な手法も含め」というところですけれども、生物多様性分野では、PES(Payment for Ecosystem Services)というのを具体的にどう進めていくのかとか、あるいは、これまではどちらかというと企業活動の中ではCSRという枠の中で、企業のメインの経済活動とは別に生物多様性について、例えば日曜日に里山管理しようみたいな話が中心だったのが、企業の経済活動そのものを生物多様性に親和したような形にすることが経済的な利益につながっていくという形の考え方をとらなければいけないということが今言われていますので、それらについて「経済的手法も含め」というのでは不十分なので、具体的に書き込んで中身がわかるようにしたいと思います。
それから、循環について、善養寺委員からは、電子マニフェストがちょっとカテゴリーが違うのではないかということですが、もちろん今書いている部分の中で、電子マニフェストというのは、ただ単にソフトを買いなさいということだけではなくて、全体をコントロールする仕組みとして重要だということで、ここの中に入っていることそのものはそれほど悪くはないとは思うのですが。ただ、「安全・安心な循環型社会」というのは後出しで、今回の大震災の後に出てきているものですから、そこの中にその話を入れるという形になっていないので、そこはちょっと検討させていただいて、両方に必要だという形にさせていただきたいと思います。
それから、田中委員ご指摘のNGO、NPOと大学との役割について、ややごっちゃに書いているところがありますので、これはそれぞれ2つ書き分けて、かつ、大学のところは「大学・研究機関」というふうにする方向で考えさせていただきたいと思います。
それから、藤井委員の、地方公共団体の役割の中に条例づくり等が進んでいないと。これは藤井委員も循環部会の委員ですので、その部会で言ってほしかったと思いますけれども、入れる方向で検討したいと思います。
○藤井委員 抜けていたのです。すみません。
○武内委員 それから、バイオマス戦略等の記述がないということですが、これも一時バイオマスはすべてうまくいっていなかったというような内閣府の報告があったりして、バイオマスに対して否定的な見方がかなり広がっていたということなのですか、少なくとも震災以降の再生可能エネルギーあるいは資源利用の見直しの中で、バイオマスのとらえ方というのはまた見方が少し変わっていると思いますので、今のような経緯も踏まえて。ただ、昔のバイオマス日本がよかったねみたいな話では駄目だと思いますので、そこは少し考えて工夫して、何らかの格好で、大きなバイオマス戦略の中に今回の循環型が位置づくような格好考えてみたいと思います。
以上です。
○鈴木部会長 では、中杉委員、ありましたら。簡潔にお願いします。
○中杉委員 私のほうは、幸か不幸かというとあれですけれども、皆さん関心があまりなかったのか、出来がよかったのかわかりませんけれども、ご質問、ご意見が一つもなかったので、特段申し上げることはございません。
○鈴木部会長 それでは、事務方のほうから順番に、山本さんのほうからにしましょうか。
○山本大気環境課長 平松委員ご指摘の点ですが、この点については、参考資料2の8月の中間とりまとめの22ページに、明瞭に大気環境保全のポイントとして騒音、振動及び悪臭といった、感覚公害云々が既に書かれておりますので、こちらのほうに先ほどのご指摘を入れる方向での検討をしたいと思います。
○坂川企画課長 廃棄物・リサイクル対策部でございますが、物質循環の9ページの最後の記述、佐和委員からご質問があったところでございまして、東日本大震災への対応の(5)のところです。枠組というのは法制度のことをここでは考えております。と言いますのは、今年8月に特別措置法ができまして、放射性物質によって汚染された廃棄物をどう取り扱うかと、この法制度ができたのですが、これはあくまでも今回の原子力発電所の事故に伴う汚染に限定されております。ですから、今後あまり起こってほしくないのですが、万が一また別の事故が起きて放射性物質による汚染があった場合の法制度はまだないということでございますから、それに備えてという意味でございます。
○土居低炭素社会推進室長 温暖化分野でございます。浅野委員からもご紹介いただきましたように、温暖化の部分につきましては、現在行われておりますエネルギー政策の白紙からの見直しということと表裏一体での検討ということでございますので、中身はまだ検討中のところが大きく、記述が確定していないところがございます。そういった面でいきますと、記述の分量からしても他の分野とは倍以上になっておりますので、今後議論が深められたところでブラッシュアップをしていきたいと考えております。
また、指標につきましても、目標などにつきまして議論がまだ終わっていないというところがございますので、今後の議論の深めと合わせて記述を整えていきたいと考えております。
また、IPCCなどの知見につきましても、現在議論が進んでおりますので、その知見を加えていくということをしていきたいと思っておりますが、どのように反映するのかということにつきましては、ご相談申し上げたいと思います。
そういった面でいきますと、文章の整えが、まだ読みやすさなどの工夫が足りない部分もございますので、そういった工夫もしてまいりたいと思っておりますし、重要性につきまして加味した表現になっているかどうかという観点からも、今一度チェックしていきたいと考えております。
以上でございます。
○鈴木部会長 せっかく名札を立てていただきましたが、委員の方と事務方とお一人ずつ、時間切れでございますので、次の機会にぜひご発言いただきたいと思います。
本日いただきましたご意見につきましては、それぞれの重点分野の検討会にフィードバックするということはできませんが、主担当委員の方にいろいろとご相談させていただきながら、後日お示しする第四次計画の素案に反映させていただくということになろうかと思います。
○善養寺委員 お願いなのですけれども、最後に一言言わせていただきたいのは、目次が……。
○鈴木部会長 それは今申し上げます。
○善養寺委員 ですので、それを何もあれしないうちに書かれると困るなと思って。
○浅野委員 今からご説明いたします。
○鈴木部会長 それから、今日いろいろとご議論いただきましたが、福島の問題、特に原子力災害の問題ですね、放射性物質を化学物質の分野で扱うべきか否かとかいろいろなところで考えて頂いたと思います。これにつきましては、これまでも申し上げておりましたように、環境配慮の視点の重要性であるとか、再生可能エネルギーであるとか、いろいろなものに関連いたしますが、それぞれの分野で個別に取り上げていただいているところもありますけれども、この取扱に関しまして一つの章立てをする、新たな章として特出しをさせていただく、横串のテーマとして考えていただくということもあり得るかと思いますが、そういう形で取り上げさせていただきたいと思います。また、ある意味ではそれぞれの個別の重点分野と重複があっても構わないと思いますが、その場合にはそれぞれが連携がとれた形で記述していくことが必要かなと思います。
それから、環境省に設置される原子力安全庁の問題も含めてまだまだいろいろと動いている面もございます。除染については1月から動き出すわけですが、当面、積雪があってどうなるかわかりません。そういうような状況の中でありますが、ともかく4月以降の5年、6年をこの環境基本計画が担うということになりますので、そこにふさわしい形で環境省のしっかりとした決意、何をするかというようなことも可能な限り具体的に盛り込ませていただく、そういうようなことになろうかと思います。したがって、重点分野という形ではないにしましても、少なくとも重点分野に準ずる形の取扱にさせていただければと思います。
具体的に中身をどうするのか、それは総政局の責任でつくらせていただくということになると思いますが、それぞれの主担当委員の先生方とも必要に応じてご相談をさせていただきたいと思います。そういう形で、全体の目次がどうなるかということの目次案をぜひ次回ご覧いただいて、それに関しましてもご議論いただくというふうに進めさせていただきたいと思います。
大体こちらで予定いたしましたのは以上でございまして、ちょうど予定の時間となりましたので、本日の審議は終了とさせていただきたいと思いますが、事務局のほうからは何か特に。
○矢田環境計画課計画官 次回の予定だけご案内させていただきます。来週、同じく水曜日、12月21日、今度は午前中になりまして10時から12時。部屋はこちら、同じ部屋になります。
今、部会長からお話がございましたが、次回、本日積み残しになりました議論、年内最後の部会となりますので、素案策定に向けて先週と今週と行いました重点分野についてのご発言について、本日ちょっと時間が足りなかった部分についてご意見を頂戴するとともに、今、部会長からお話がございましたとおり四次計画の構成案、構成についても今日いろいろ議論が出ましたけれども、構成案をお諮りさせていただいて、その中で東日本大震災なり放射性物質への対応がどういうところが入るのかということについてもお示しさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○鈴木部会長 それでは、これをもちまして、本日の第64回総合政策部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
午後5時05分 閉会