中央環境審議会総合政策部会(第33回)議事録

開催日時

平成17年11月25日(金)14:00~16:01

開催場所

経済産業省別館9階 944号会議室

出席委員

鈴木基之部会長、大塚直委員、服部拓也委員、山本良一委員、青木保之委員、浅野直人委員、石坂匡身委員、井手久登委員、江頭基子委員、江森孝至委員、川上隆朗委員、武田善行委員、永里善彦委員、馬場久萬男委員、松田美夜子委員、松原純子委員、三橋規宏委員、渡辺修委員

議事

第二次環境基本計画の見直しについて

・重点的分野検討結果報告

(報告分野)
「地球温暖化対策」
「生物多様性の保全のための取組」
「市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」

その他

閉会

配付資料

資料1 第三次環境基本計画における重点的分野
「地球温暖化対策」報告書
資料2 第三次環境基本計画における重点的分野
「生物多様性の保全のための取組」報告書
資料3 第三次環境基本計画における重点的分野
「市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」報告書

参考資料

参考資料1 第三次環境基本計画 重点分野の検討方針について
(第31回総合政策部会資料)
参考資料2 第三次環境基本計画目次
(第31回総合政策部会資料)
参考資料3 中央環境審議会総合政策部会名簿

議事録

午後2時00分開会

○苦瀬計画官 それでは、定刻でございますので、まだお見えになっていない先生方もいらっしゃいますが、間もなくお出でになると思いますので、議事の前の資料確認からさせていただきたいと存じます。
 お手元の議事次第の裏側にいつものように配付資料一覧が記載してございます。資料1が、第三次環境基本計画おける重点分野「地球温暖化対策」報告書、資料2が同じく「生物多様性の保全のための取組」報告書、その後ろに参考として「生物多様性の保全のための取組」分野報告書用語集がついているかと存じます。それから、資料3が第三次環境基本計画における重点分野「市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」報告書。
 その下に参考資料1として、「第三次環境基本計画重点分野の検討方針について」(第30回総合政策部会後版)、参考資料2が「第三次環境基本計画目次」、参考資料3が「中央環境審議会総合政策部会名簿」となってございます。
 もし不足の点などございましたら事務局にお申しつけくださいませ。
 それでは、議事に入っていただきたいと存じます。
 鈴木部会長、お願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、早速ですが、第33回中央環境審議会総合政策部会、開催させていただきたいと思います。
 昨日からこの部会におきまして第二次環境基本計画の見直しについての審議に入っていただいておりますが、昨日に引き続きまして本日も3つの分野につきましてのご報告をいただくことになっております。8月末から主担当の委員を中心にご検討いただいております重点的分野別検討についてということですが、本日はそれぞれにつきましてご報告をいただき、そしてご議論あるいはコメントをいただき、具体的なそれぞれの分野につきましての修文等はこちらの方にお任せいただくという形で進めさせていただきたいと思います。
 まず、本日は「生物多様性の保全のための取組」分野の検討結果の報告がありますご関係がございまして、当該分野の検討会合で座長をお務めいただきました武内先生はまだお見えになっておりませんが、後ほどご出席いただくことになっておりますので、ご承知おきいただければと思います。
 審議の進め方につきまして、まずぞれぞれの分野で約1時間弱ぐらいでご報告とご議論をいただくということにさせていただきますが、15分程度で要点をご説明いただき、その後ご議論いただく、そういうことで進めさせていただきます。
 まず、それでは、本日、「地球温暖化対策」の分野と、それから「生物多様性の保全のための取組」、「市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」、この3つの分野を予定しておりますが、最初に、「地球温暖化対策」分野から始めたいと思います。この主担当は私となっておりますが、司会を仰せつかっております関係もございまして、本分野の報告につきましては検討に加わっていただきました浅野委員の方からご報告をお願いしたいと思います。
 浅野先生、よろしくお願いいたします。

○浅野委員 それでは、浅野でございます。部会長のご指示でございますので、私から説明申し上げます。この分野につきましては、鈴木部会長が主担当の委員になられまして、私が協力者ということになりました。
 平成16年度に地球温暖化対策推進大綱の評価見直しの議論を地球環境部会で十分に行いまして、その報告等を踏まえ、平成17年4月に京都議定書目標達成計画が決定されているということがございましたので、この重点領域のこの分野についてはそれらをもとにまとめざるを得ないという制約もございました。そこで、特に検討チームを設置することなく、鈴木部会長のご指導のもとで私と事務局が一緒になりまして原案をつくり、これを地球環境部会で審議をするという形で本日の報告書をとりまとめております。
 今回の重点的取組分野のプログラムのねらいといいますかこれまでの経過でございますけれども、まず思い出していただきますと、平成2年5月に気候変動枠組条約がつくられました。そして、我が国はいち早く世界にさきがけて平成2年10月に地球温暖化防止行動計画をつくったということでございます。そういうこともございまして、第一次、平成6年につくりました環境基本計画ではこの地球温暖化防止行動計画をほぼトレースする形で計画の中身をつくっておりまして、その中では特に2000年以降の国際的な枠組みづくりが重要であるということを強調していたということでございました。
 第一次計画の実施期間中の平成9年に京都議定書が採択されまして、その後それを受ける形で第二次の計画ができたわけでございますが、第二次の計画は第一次の計画を見直しまして、2002年までに京都議定書をともかく締結をする。要するに批准をし、ポリシーミックスによって対策を推進するといったようなことを中心に中身をまとめております。
 平成14年3月には地球温暖化対策の推進大綱がつくられ、そしてそれを受ける形でいわゆる世間のいうところの我が国政府による議定書の批准が行われました。その後、この大綱を新大綱というふうにも言っておりましたが、それにもとづく対策・施策が進められてまいりましたが、その実施状況の点検をいたしまして、それを踏まえて京都議定書の目標達成計画がつくられたということになったわけでございます。
 今回の第三次基本計画の中でのこの部分の内容は、資料1をごらんいただくとそれが記してございますけれども、まずポイントになる面を申し上げますと、先に2ページをお開けいただきたいのですが。2ページに中長期の目標を設定する必要がある、そのことを策定することが必要であり、我が国としてその検討に早急に取りかかる必要があるということを明示で記しております。
 このことに関連しましては、EU諸国で既に中長期目標が決定されているという事実を脚注の形で記しております。また、4ページをごらんいただきますと、これは実際の取組の方向性という記載でございますけれども、中長期を考えるときに、手法としてバックキャスティングの手法が重要であるということを指摘しております。4ページの(2)のアというところにそのことを記したわけでございます。このバックキャスティング手法というものについては一般の方にはなかなかなじみがないところもございまして、先生方のご指導いただきながら注をつけてその説明を入れているということでございます。
 2つ目の大きなポイントは、2013年以降の国際枠組みに言及をしたということでございまして、この点につきましては5ページをごらんいただきますと、5ページの真ん中あたりのウというところにそのことについて記載をし、我が国としてのリーダーシップを発揮しなければならないということを書き、またさまざまなご意見を踏まえながら米国や途上国の参加の意義についても注の形で記すということにいたしました。
 3番目の大きな特徴は、避けられない影響への適用策の必要性を記述したということでございまして、これまでは温室効果ガスの削減ということをまずは考えなければいけないということでそのことを強調してきた面がございますが、しかし、影響は避けられないという現実を踏まえますと、海面上昇や異常気象や農業生産への影響に対する適応策を考えることが重要である、このことについての国際的な連携のもとでの調査研究や途上国支援、我が国の取組が必要であろうということをここに記したわけでございます。その上で、さらに6%は必ず達成するという決意を表明したということでございます。
 地球環境部会でのご議論でございますけれども、中長期の目標をしっかり設定すべし、バックキャスティングの考え方が重要であるということが多くの委員から指摘されました。
 それから、地球温暖化の影響が大変深刻である、このことについて強い警鐘を鳴らすべきである。今後避けられない影響の適応についても重要な課題になる。影響に関する科学的な知見の充実を図る必要があるといったようなことが多くの委員から指摘され、かつまた、2013年以降の国際的な枠組みに関しては京都議定書を捨ててつくるのではなくて、議定書の経験の上に考える必要がある。米国や中国、インドなどの参加が極めて重要である。国同士の間の条約という伝統的な枠組みだけでなく、それに加えてもっと異なった枠組みも含めたグローバルな取組ということも考える必要がある。こういったようなご指摘をいただき、そのほか温暖化対策は本当に革命というようなことなのだというようなメッセージを強く打ち出すべきであるといったようなご意見もいただいたところでございます。これらのご意見をできる限り計画案に反映したつもりでございますが、全体としての議論は中長期の取組をどう進めるかということが極めて重要であろうということでございます。
 内容について少しご説明を申し上げなくてはいけません。恐縮でございますが、もう一度資料1の1ページにお戻りいただきたいと思います。現状と課題というところでございますが、ここでは地球温暖化が及ぼす影響ということについて大変それが深刻であることが予測されていること。さらに、現在の排出量は吸収量の2倍という状況になっており、今後大幅な排出増加は避けられないので、長期間にわたって抜本的な変革を伴う大幅な削減を全世界的に進める必要があること。国際的にはすでに枠組み条約、京都議定書という枠組みで対策を進められているけれども、京都議定書はただ単に一歩を示したものにすぎない。究極の目標というところからいうと、これですべてではないということをこの部分で述べております。
 さらにまた、国内について、京都議定書の目標はマイナス6%でございますけれども、現在の排出量はプラス8.3%でその差が大変大きい。京都議定書の目標達成計画が定められているけれども、これらの計画を着実に実施していくとともに、中長期的な削減を目指して大幅な改革を進めていく必要があるといったようなことが問題の認識として記されているわけでございます。
 次の2ページをごらんいただきますと、目標でございます。ここでは前回の第二次計画と割合似たようなスタイルになっておりますが、究極の目標は枠組条約である。そして、そこで安定化ということが言われていることを述べる。さらにそれをつなぐものとして、30年から50年タームの中長期の目標を検討し始めなければいけないということを強調しております。そして、当面の目標としては6%を達成することが当然のことという形をとっております。
 さて、それに続きます施策の基本的方向と、それから次の6ページまでいきますと重点的取組事項という項目が出てまいりますが、この部分につきまして実はちょっと悩ましい問題がございますのは、先ほど申しましたように、京都議定書の目標達成計画が既に閣議で決定され、それが動き始めているということがございますので、大宗はその目標達成計画ということに縛られるわけでございまして、環境基本計画が同じことを同じ形で繰り返すということは賢いことではありませんが、全く違うことを言うこともできないというそういう根本的な問題があるわけでございます。そこで、環境基本計画としては京都議定書の目標達成計画を前提としつつも、その先を見てできるだけ言わなければならないことを言っておくというスタンスで書かざるを得ない。そうなりますと、重点的取組事項という形で他の施策のようにいろいろなことを並べるということはなかなかやりづらい面がございまして、必然的に基本的方向というところが少し分厚くなってしまうということになるわけでございます。このあたりにちょっと特殊性があるということでご理解をいただかなければいけない点ではないかと考えております。
 施策の基本的方向でございますけれども、これについて温暖化対策の実施は経済の発展を阻害するものではなく、そこには必ず新しい投資や技術革新を生み出す、企業や国の競争力を高める、環境と経済の好循環を実現することが可能であるという点を強調し、我が国をそのような好循環が成り立つ環境立国にするためにさまざまな社会経済システムの変革を行うことが必要である。また、このようなことがなし遂げられた我が国の技術と経験を国際協力を通じて途上国を含め世界に広げていくことが日本の役割である、こういうことを認識として示しております。
 その上で、3ページの(1)のところでは、先ほど申しましたように、6%削減を確実に実施する。すべての主体が参加し、協力・連携をしなければいけないということが主体別に記されております。
 それから、次の4ページにまいりますと、ここでも多様な政策手段を活用する必要がある。ポリシーミックスが重要である。経済的手法を活用したインセンティブ付与型の施策が重要であるということを記したところでございます。また、見直しのプロセスとしてのPDCAが重視されるべきであるということが出ております。
 次の4ページの下の(2)というところは先ほどから述べておりますように、京都議定書を達成すればそれで終わりということではないわけで、さらに中長期的な対策を考えていく必要がありますから、そこでバックキャスティング手法が重要であるということを記したわけでございまして、今からできることを積み上げていって、それがこうなるだろうという手法ではなくて、これをしなければならないという先を先に設定しておいて、そこからもう一回前に戻ってさまざまなシナリオを書いてみるという手法で中長期のアイデアを整理する必要があるということをここでは記したわけでございます。
 それから、次のところでございますが、5ページでございますけれども、中長期的な国内対策のあり方ということがございまして、ここでは特に地域、都市の構造や交通システムの抜本的な見直し、あるいは社会ストックに関する対策が重要であること。新たな国際的な取組については11月から、来週の月曜日からモントリオールで締約国会議が始まりますけれども、この点は重要な議題になるだろうというふうに聞かされております。我が国といたしましては、アメリカや途上国を含むすべての国が参加できる実行性のある枠組みの成立を目指してリーダーシップを発揮する必要がある、こういうことを記しております。
 それから、避けられない影響に対する適応策についても先ほど申しましたが、これはまだ余り議論されていなかったことでありますけれども、重要であることを方向性の中で示しているということでございます。
 重点的取組事項につきましては、先ほど少し釈明を申し上げましたように、正直言うとどこが重要であるということを目標達成計画の中でつまみ食いしますと、またこれがけんかの種になるものですから、といって全部書くわけにいきませんので大変苦慮したわけでございますが、項目的な形で温室効果ガスの削減の対策・施策ということ、それから横断的な施策が重要であること、基盤的施策が重要であることということを記したわけでございます。
 最後の8ページでございますが、ここには目標が掲げてございまして、これについても、これも言いわけがましくて申しわけございませんが、京都議定書の目標達成計画を前提としない限りどうにもならないということがございますが、多少の工夫をしてみましたのは、目標達成計画が基準年から目標を掲げるものですから、ふやしていいという表示になってしまうんですけれども、これは大変誤解を与えますので、ここては2003年実績を記しておりますけれども、最終的にはこの基本計画ができ上がるときの直近の数値でわかるものを用いて、そこからどの程度下げなければいけないかということを記すということで、多少なりと誤解を少なくしようという努力をしてみました。
 それから、もう1つは、目安として、国全体が何トン、何億トンとか言われてもピンとこない面もあるものですから、やはり1人1人のところでどうかということが何とかわかるようにということで、いろいろこれはご相談をいただいたわけでございますけれども、しかし、なかなか難しい面もございまして、私は正直言うとややこれではまずいなと思いながら、メガジュールなどという大変わかりにくいものが出ていますけれども。結局、エネルギー源がいろいろ違うものを並べて比較するものさしとしてはとりあえずこんなものしかないということで、環境基本計画ベースではこのような書き方でお許しをいただくことにいたしまして、あとこれをもとにそれぞれの自治体なりで市民、県民の皆さんにPRするときにはもっとわかりやすくかみ砕くことがいくらでもできるわけで、地域によって原単位も違いますから、とりあえずオールジャパンではこういう表示でいかざるを得ないかなということで引き下がったような次第でございます。
 というわけで、全体としては業務、民生、家庭のようなところでは電力の原単位の改善を引き続きお願いをすることも含めながら約20%程度の排出削減が必要であるということを強調したいということでございます。
 与えられた時間15分でございます。ちょうど時間になりましたので、これで終わりまして。あと鈴木部会長のご意向を踏まえて記しておりますが、先生何か。

○鈴木部会長 皆様のご意見をお伺いをするようにしたいと思います。
 今、ご報告いただきましたこの地球温暖化対策に関します重点分野のまとめに関しましては、いかがでしょうか。ご意見、ご質問等があろうかと思います。
 では、あちらの方からいきましょう。渡辺委員。

○渡辺委員 大変ご丁寧なご説明ありがとうございました。それから、地球環境部会というもう長いことこの問題を扱っていらっしゃる部会の結論、よく理解をしたつもりですけれども。1点だけ。この地球温暖化に関する科学的知見の末尾にあります「濃度の安定化のためには、社会経済システムの抜本的な変革を伴った」云々。それから、2ページ目に、中長期的な目標というところに、「さらなる長期的・継続的な排出削減に向け、技術革新等を通じて、社会経済のあらゆるシステムを」云々とこうありますけれども。私は今我々に課せられているいろいろな環境問題の克服、とりわけこの地球温暖化問題を克服していく上では技術革新は非常に大事なことですけれども、もう1つの柱が人々の価値観の変換ということだと思いますね。これは非常に難しいことで、具体策として何があるか、これまた答えは難しいです。強制はできませんし、国としての計画に入れるにはなかなかなじまないんですが。きのうこちらで議論された人づくり、地域づくり、あそこに具体的に価値観の転換を図るなんていうことは出てきませんけれども、目指すところはそれなんだと思うんです。技術開発をいろいろして省エネルギー、省資源の対策の中にいっぱい書いてありますけれども、それはいかに進んでも人の価値観、物質的な豊かさ、便利さだけを追い求めるという今の価値観を転換しない限りはいたちごっこ、追いかけごっこでどうしようもないのではないか。という意味で、「技術革新等を通じて」の「等」の中にそれが入っているにしては余りにもさびしいという感じがいたします。
 ありがとうございました。

○鈴木部会長 これにつきましては多分後ほどまた考えさせていただくことになると思います。
 では、川上委員。

○川上委員 ありがとうございます。浅野先生から非常に詳しいご説明をいただきました。私自身も地球環境部会の作業のときに参加しておりまして意見を申し上げて、それも大体取り入れられていますし、全体として非常にトゥーザポイントのいい報告になっているのではないかというふうにまず感じます。
 一、二点、若干のコメントですけれども。1つは、先ほどのご説明でそもそも目標達成計画があって、その上にこれをつくるわけで、その観点から特殊性もあるし、書き込むのは非常に難しいというご説明もありましたし、よくわかります。したがって書き方もいろいろ苦慮されたという点もよくわかるわけですが。それを踏まえた上で、7ページの京都メカニズムの書き方の問題なんですけれども。非常に簡潔でいいんですが、余り簡潔すぎてそれ自体が十分な説明になっているのかと。つまり、国民一般の人が読んだ場合に、これでこの京都メカニズムの意義というものがわかるんだろうかということについて若干疑問があります。CDM、JI、それも書きっ放しで、特に説明もありませんし、何か注でもあればわかるのかもしれません。知ってる人はわかるんですけれども、知らない人は逆にいうとわからないということがあるので。この前もちょっと申し上げましたけれども、もうちょっと一、二行説明がいるような気がいたします。
 それから、特にこれはある意味では細かい話なんですけれども。「削減約束の達成とともに」という後の、「地球規模での温暖化防止と途上国の持続的な開発に寄与する」という意義、これ実は非常に大きな意義だと私は思うんですね。これもさらっと書くと、これこのとおりなんです。全くこのとおりなんですが、いかに地球規模で問題を解決しようとした場合に、先ほどのインドだ、中国だという話があるわけですから、そういう国を巻き込んで大きな絵を描いてやると。そのためには技術移転が私は非常に大事だと。つまり、我々がJIはちょっと違いますけれども、CDMをやるということは途上国に対する技術移転ということを中心にして考えることもできるわけですね、日本のためだけではなくて。例えば中国に対して環境技術を大いに移転するということが地球規模での環境問題にこれからは中長期的に見て明らかに資することになるわけで、そこは「途上国の持続可能な開発に寄与する」というところで読むわけですけれども。
 その辺がCDMのところの説明とともに若干もうちょっとわかるように書き込まれると非常にいいのではないかな、わかりやすいのではないかなと思います。そこが1点です。
 それから、もう1つは、これは今度は逆な話なんですが、5ページのところの「米国や開発途上国の参加の意義」というのが脚注にあるわけですけれども、これも本当は一、二行本文の方に移して書いた方が本文自体がパンチが出てきますし、かつ脚注が減るというメリットもあるのではないか。これはまた同じことをこの前ちょっと申し上げた点で申しわけございませんけれども、そういう気がいたしました。バックキャスティングの手法なんていうのは脚注に非常になじむと思うんですけれども、今のような点はあるいは本文にむしろなじむではないかなという感じがいたします。これは単なる意見として聞き流していただいても結構です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 そのほかにコメント等ございますでしょうか。
 では、今の段階で浅野先生、何か。

○浅野委員 ありがとうございました。渡辺委員からのご指摘については、先ほど主担当の鈴木先生から検討するというコメントがございましたので、そのご指示に従って検討させていただきます。
 それから、川上委員からのコメントですが、技術移転そのものについては実は裸の形で8ページのところに別の項目の中では書いてはいるんですが。それから、もう1つはCDM、JIという言葉については、ほかにも似たような話があるんですが、後ほど井手委員の御報告ではきょう早々と用語集をお出しになって賢いなと思ったんですが、我が方も用語集が出ますので、基本的なところでは用語集ということを考えておりますが。たしかに表面化は少しよくわかってもらう必要があるし、本当言うとここに基盤がやや準備がおくれてと書きたいところですけれども、ちょっとなかなか書きづらいので、意義を少し書けということは少し検討させていただきます。
 技術移転という言葉は後の方に出てまいりますので、ここら辺の今ご指摘の趣旨が生きるような修文を少し事務局に検討させます。

○鈴木部会長 第二次の環境基本計画には後ろの方に用語集というのがついているんですが、この辺のところあるいは今回は京都メカニズムなんかに関してはもう少し詳しく書き込むか、あるいは特に中国のCDMはどこまで書けるかわかりませんが、中国側の問題もありますし、何かその辺で少し用語集といいながら解説的なものを後ろにつけていくというそういうことはあり得るかと思いますので、その段階でまた検討させていただきたい……

○浅野委員 京都メカニズムそのものは本文の中に確かに少し説明的なものがあった方がいいと思いますので、それは検討いたします。

○鈴木部会長 いかがでしょうか。
 山本先生、どうぞ。

○山本委員 1ページなんですけれども、この地球温暖化に関する科学的知見のところなんですが、地球温暖化の原因はと書いてあって、これはやはり私は地球温暖化の主たる原因はとか何かそう入れていただきたいという希望が1つございます。
 それから、2つ目のコメントは、やはり先ほどご説明ありましたように、我々を待ち受ける気候変動に伴う社会的インパクトですね、これがどれほど大きいかというのがどうもこの抽象的な文言ではほとんどわからないのではないかなというところが気になっておりまして。もっと詳細に予測がされていると思いますので、もっと1行か2行でもいいから読んで大変なことが待ち受けているということ、社会的インパクト、予想される気候のリスクが大きいということをわかるように書いた方がよろしいのではないかなという気がいたしました。
 以上でございます。

○鈴木部会長 今の後半の部分は具体的にどの辺をどうというお考えはありますか。

○山本委員 1ページの現状と課題の地球温暖化に関する科学的知見のところですね。

○浅野委員 目標達成計画の中に記されているものをちなみに申し上げますと、高山植物の生育域の減少、昆虫や動物の生息域の変化、桜の開花日やカイロの紅葉日の変化など。それから、豪雨の発生頻度の増加といったようなことが挙がっております。それから、異常気象の増加、生態系の悪影響、マラリアなどの感染症の増加といったようなことが記されております。ご意見に従ってもう少し危機感のあることを探せば書けるだろうと思いますので、考えてみます。
 それから、主たる原因はということにせよというお話ですが、もうちょっとできればご説明をいただけるといいんですが。ある程度私はわかっているつもりではあるんですけれども、京都議定書の目標達成計画でももうこれははなから温室効果ガスでというふうに書ききっちゃっているものですから。これではいかがでしょうか

○山本委員 そこが今いろいろ批判をあびているところでして。やはり地球温暖化の原因はと書いてしまうと、これはまさに原因そのものであるというふうにとられてしまうので、これは科学的というか、IPCCの第三次報告書にもそう書いてないわけですよね。ですから、現在の急速な地球温暖化の50%を超える原因が人為的起源の温暖化効果ガスというのはIPCCの第三次レポートに書いてあるわけで。ですから、IPCCの第三次レポートに従うのであれば地球温暖化の主たる原因はと私は書くべきだと思うんですよね。
 また、この環境基本計画でこういうことを書くとまた批判する人がたくさんあらわれかねないと。一体、山本がその席に出ていて何していたんだと私が批判されることになってしまうということもございまして……

○浅野委員 先生のご所属元に強力な論者がいることは存じ上げておりますが。検討させていただきます。

○鈴木部会長 浅野先生が先程来おっしゃっていますように、やはり京都議定書の目標達成計画がともかく今年の4月に閣議決定されてしまっているものですから、それのいわば1年遅れでどんなことを書くかということ。やはり重要なのはその目標達成計画の後の展望をここの部分でどういうふうに示しておくかというそこだろうと思いますが。ちょっとバックキャスティングなんかはこの脚注はもう少し手を入れた方がいいかもしれませんが、やはり目標をどこかに着地点をどう設定して、そこからバックキャスティングしていくというそういう考え方をここできちんと出しておくということが重要なことの1つだろうと思います。
 この地球温暖化対策に関しましては以上のようなところで、すみません、大塚先生。近くにいるとなかなか見えませんもんですから。

○大塚委員 大変意欲的でよくまとまっていると思っております。特に2ページのところは注にEUの長期目標を引用しながら、我が国において中長期的な目標を検討することが必要になっていますと書いてありますが、私もこのとおりだと思っておりますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 1点だけ、非常に細かいのでもしできたらというだけですけれども。7ページの(2)の横断的施策のところの2行目でございますが、協定手法というのはここの中ではどこに入るかちょっとよくわからないので、自主的手法の中に入っているというご理解でしょうか。協定手法というのも一応あるとは思いますので、もし入れていただけたら幸いでございますけれども、ご検討いただければということでございます。

○浅野委員 今の点についていうと、第二次の計画の中で協定というのがOECDのクライテリアに従って自主的手法の中に実は入り込んでいるものですから、もう当然その中に含まれるという理解でありましたが、別に学術論文を書くわけではありませんから、考えてはみます。

○鈴木部会長 そのほかよろしいでしょうか。幾つかご指摘をいただきまして検討させていただくことになると思いますが。それ以外にお気づきになりましたことがございましたら、FAXあるいはメールで事務局の方にご連絡をいただきたいと思います。なるべく早い方がいいんてすが、今月中ぐらいにご連絡をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 浅野先生の方から特に追加はよろしいですか。

○浅野委員 特にはございません。

○鈴木部会長 それでは、続きまして、「生物多様性の保全のための取組」についてに移らせていただきたいと思いますが。武内先生、お見えになっておられませんが、よろしいですか。

○井手委員 私の方から説明します。

○鈴木部会長 そうですか。それでは、井手先生、お願いいたします。

○井手委員 主担当委員ということで、浅野先生に倣ってこの場で報告させていただきますが。生物多様性の保全に関します検討会は、この分野に大変見識の深い、武内和彦東大教授を座長にお願いいたしましてとりまとめていただきました。きょう多分3時ごろというような話ではございましたが、予定より早く進んでおり、ちょっと間に合わないと思いますので、後ほど詳しくは事務局の方から報告をいただき、ご質問等のときに間に合えばまた参加してもらえればと思っております。
 検討会は合計3回の検討委員会を行いました。また、委員の4名によります作業部会を1回、特に指標についての検討をいたしました。そして、ヒアリング結果等も含めましてとりまとめたわけでございます。検討会には鈴木会長初め、総合政策部会の多くの委員の方々がご参加いただきまして、大変貴重なご意見をいただきましたことを初めに御礼申し上げます。また、事務局としては自然環境局の方々にご苦労をおかけいたしました。
 前回、5年前の生物多様性の検討は、生物多様性条約第5回締約国会議で承認されましたエコシステムアプローチの原則、これはお手元に参考で用語集がございますので、若干触れられておりますのでご参考いただければと思いますが、これは生物多様性の保全と持続的な利用のために有効な自然資源の管理を考える、その考え方を示したものでございますが、それを受けて行われました。
 今回は国連の提唱によりましてとりまとめられましたミレニアム生態系評価、ミレニアムエコシステムアセスメント、略してMAといいますが、これも用語集にございますが。これは生態系が人々に与えます便益、これを生態系サービスという名前で呼んでおりますが、この生態系サービスを取り上げまして、その機能が変化することによって将来人々にどのような影響が生じるか、それをいろいろ評価検討したものでございまして、それをもとに政策決定に役立たせようと、こういう作業でございます。
 このMAの作業等も参考にいたしまして、あえて指標づくりに挑戦いたしました。あえてと申しましたのは、もとより生物多様性の問題につきましてはその多様性を変化させる要因とその結果に関しまして因果関係は大変複雑で解明できていない部分が多々ございます。したがいまして、生物多様性の分野では元来定量的な指標というものにはなじまないということは多くの方々から言われていることでございます。もしこの指標をつくりましたとしても、それが生物多様性の正しい反映になるのかどうか、もともとそういう指標が生物多様性の維持のための一部分の指標にしかすぎないものではないか、あるいはその指標が一人歩きをいたしまして指標を達成すればこと足りるというようなことになっては困る、というようなそういう疑問が多々出されてございます。
 にもかかわらず、あえてこの指標を提示するということに踏み切ったのは、このことによりまして生物多様性に対する一般の認識を高め、その保全について積極的に取り組んでいく、そういうきっかけになってほしいという願いからでございます。
 用いました指標は生物多様性との間にある程度の関係があって、データの把握が現段階で困難でないものということを1つ頭に置いて挙げております。
 以上のことを最初に強調しておきたいわけでございますが、したがいまして、これからお示しいたします指標は現段階でとにかくデータとして把握できるものを取り上げておりますので、生物多様性をはかるに足るものかどうかという批判は必ずや出てくるのではないかというふうには思います。基礎データをさらに十分集めるという作業も必要でありますし、指標そのものも少しずつ改善、改定していくということはもう避けられないことだというふうに思っております。
 ちょっと前置きが長くなりましたが、以上のことを最初にちょっと申し上げまして、中身の説明については本来座長の武内先生が好ましいんですが、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○亀澤生物多様性企画官 私、事務局を務めました自然環境局企画官の亀澤でございます。私から報告書の順番に従って簡単にご説明をさせていただきます。
 まず、現状と課題でございますが、(1)で生物多様性の意義と重要性というものを改めて強調しては、というようなご指摘もございましたので、生物多様性が人間の生存基盤であることや、有用な価値の源泉、豊かな文化の根源であることを書いております。
 続きまして、(2)では、先ほどお話がありましたが、2001年にスタートしました国連主唱のミレニアム生態系評価を引用しまして、この50年間で地球上の生物多様性が大きく失われたこと、種の絶滅に着目すれば現代の「大絶滅期」というのは原因が人間活動にあること。これらにより、生態系が提供するいわゆる生態系サービスが損なわれており、資源の多くを海外に依存する我が国として地球規模での生態系の変化と無縁ではいられないことを書いております。
 続きまして、(3)では我が国の生物多様性の状況として、平成14年3月に生物多様性国家戦略というのを策定いたしましたが、ここで掲げました3つの危機を書いております。第1の危機というのは、人間活動による生息・生育環境の悪化や種の絶滅の恐れの問題、続きまして、2ページですが、第2の危機は、人為の働きかけの減少に伴う里地里山生態系の劣化、そして、第3の危機として、外来生物や化学物質による生態系の攪乱の問題、これらを取り上げております。
 これに加えまして、その下の「また」以下で、多様性の意義や価値に対する一般の理解がまだまだ進んでいないこと、それから、調査データなど基礎的知見がいまだ十分とは言えないこと、さらに地域や分野を超えた横断的な取組が必ずしも進展をしていないこと、そういうことが先ほど申しました3つの危機をより深刻にしているということをつけ加えました。
 続きまして、2の中長期的な目標ですが、これも国家戦略を策定してから3年半ですので、現時点で戦略で掲げた中長期的な目標を変えることはないということで、基本的に戦略の目標を掲げております。
 1つ目は、地域に固有の生態系等をそれぞれの地域に応じて保全し、それを通じて国土レベルにおける生物多様性を維持・回復すること、2番目として、新たに種の絶滅が生じないようにするとともに、現に絶滅の危機に瀕している種については個体数の維持・回復を図ること。3番目として、国土や自然資源は生物多様性の保全と両立する方法で持続的に利用すること、この3つを掲げております。
 続きまして、3番目の基本的方向性ですが、国家戦略では施策の方向として保全の強化と自然再生に新たに着手すべきこと、それに、持続可能な利用の3つを掲げておりますが、その後自然再生につきましては着実に取組が始まっておりますので、ここでは保全と再生をまとめてそれを強化することを(1)として掲げました。続いて、2番目として持続可能な利用を掲げ、3番目で広域的・横断的対応の必要性、4番目として主体ごとの取組を書いております。
 1番目の保全・再生の強化としては、[1]では生態系に着目をして保全の強化と再生の推進、生態系ネットワークの形成と広域的・横断的な視点の必要性を入れております。[2]では、3ページの一番上ですけれども、種に着目をして絶滅回避に触れ、[3]として、ことし6月に施行されました外来生物法に基づく対策の着実な推進を掲げております。そして、[4]として、基礎となる調査データの一層の充実の必要性を書いております。
 (2)の持続可能な利用につきましては、まず、予防的、順応的な態度が必要なことや、さらに、資源の多くを輸入に頼る我が国として国際的視野が必要なこと、そして、農林漁業などの活動や里地里山での生活とのかかわりの中で資源の持続的な利用を図るべきことを書いております。
 (3)の横断的な取組と対応のスケールでは、たとえばの例で、海岸部で藻場の再生をする際には上流で肥料をたくさん投入して行われるお茶の栽培をどうするか、そういうことも考えるべきだというような指摘が検討会の中でありました。こういうことも踏まえまして、流域といった広域的な視点とか、あるいは農業と環境など分野を超えた取組が必要だということを書いております。
 (4)の主体ごとに取り組むべき事項につきましては、[1]で国がみずからやるということ。それから、[2]、[3]では地方、民間に期待するということを書いた上で、4ページ[4]では国・地方・民間が一体となって生物多様性保全に取り組むことが重要なことから、その問題意識を共有し、連携しながら取り組んでいくことを書いております。
 続きまして、4番目の重点的取組事項では、8つの柱を掲げております。それぞれ[1]で現状、課題を簡単に書いた上で、[2]で取り組むべき方向を書いております。国家戦略で主要テーマというのを掲げておりましたが、それを踏まえながらそれを伸ばす方向で書いたつもりでおります。それぞれ[2]を中心に説明をいたしますが、1つ目は、重要地域の保全と生態系ネットワークとして、保護地域制度の活用と奥山から都市、さらには海にいたるまでの連続性が確保された生態系ネットワークの形成を掲げております。
 それから、(2)としては、外来生物対策ですが、ことし6月に施行された外来生物法に基づく規制あるいは防除の着実な実施、ペット問題を含む普及広報の充実のほかに、国内由来の動植物の輸入対策として、まずは国立公園の特別保護地区などで動物を放したり植物の種をまくなどの規制を始めることを書いております。
 続きまして、(3)野生動植物の保護管理と個体数の回復ですが、これにつきましては種の保存法に基づく規制や保護増殖の取組を一層進めることのほか、鳥獣保護法に基づく保護管理計画の策定や、より広域的な取組の推進を書いております。
 4番目の自然再生につきましては、今後とも自然再生推進法の枠組みなどを活用しながら自然再生をより積極的に進めることを書いております。
 5番目は里地里山ですが、これまでも規制的な措置というよりは活用されることによって保全されてきたことから、都市住民が求めるふれあいの場や環境学習の場としての活用や、地域における連携体制、あるいは農業における直接支払、文化的景観としての保全といったさまざまな仕組みを幅広く使いながら、地域における生活や生産活動の中で保全をしていくべきことを書いております。
 それから、(6)ですが、これは海洋を取り上げました。海は島国である我が国の生物多様性を支える重要な環境であるという認識に基づいて項目立てをいたしました。沿岸部での藻場、干潟の保全再生に取り組むほか、魚類が日本人の食生活を支えていることから、漁獲可能量制度等により水産資源の持続可能な利用を進めることなどを入れております。
 それから、7つ目は、国際的取組ですが、国土レベルの生態系ネットワークの形成やサンゴ礁、湿地などの国際的なモニタリング調査に参画するにあたっては、特に東アジアなど関連の深い地域も視野に入れるべきことや資源を輸入に頼る我が国として国際的な観点からの生物多様性保全に貢献していくべきことを書いております。
 それから、8つ目、最後はデータの整理に関してですが、各省でそれぞれデータを持っておりますが、各省に加えて地方や民間も含めて情報の相互利用のための体制を構築すること。それから、モニタリングサイト1000などの取組を進めておりますが、そのほか河川の調査などにおける定点調査の充実、さらにはフィールド調査あるいは分類、生態学などの研究者の養成、海外を含めた大学や地方、民間の研究機関、博物館などのネットワークの強化、そういうものにより情報の共有と公開を一層進め、自然環境データを一層充実していくということを書いております。
 最後、5番目が指標ですが、先ほど井手先生からもお話がありましたように、生物多様性というのは極めて複雑な関係のもとに成り立っておりますので、定量的な指標化というのはそもそもなじみにくいということも書いております。基礎となるデータも毎年更新できているというわけでもありません。しかしながら、いろいろ課題はあるものの、あえて指標化することで多様性保全の取組を進展させる意味もあるだろうと、そういうことで、この際厳密な因果関係などにとらわれず、生態系レベル、種レベル、それぞれで幾つかの指標を位置づけることにいたしました。
 具体的には7ページの下の方にありますが、生態系レベルでは自然環境保全基礎調査で長年使っております植生自然度を使いながら、対策として農業関係では農業用水路の落差解消などを行っております田園自然環境創造事業の数、さらに河川、港湾の事業で取り組んでいる湿地の再生、都市では都市公園とか港湾周辺の緑地、河川などの水面などの状況、「水と緑の公的空間量」といっておりますが、そういうものや国有林における保護林、そういうものを指標としたいと思います。
 続いて、種レベルでは、レッドデータブックでいう絶滅危惧種の割合と、その回復のための計画の数を指標として用いることとしました。さらに、自然再生推進法に基づく協議会が各地で立ち上がっておりますが、それを社会参加という観点から全体的な指標とするということを書いております。
 これらの指標は我が国の生物多様性の状況をあらわし得るのかというような指摘もあるかもしれませんが、まずは使ってみるということだと考えておりまして、今後とも検討は深めていきたいと思っております。その際に、ここにありますように、生物多様性条約など国際的な場でも指標検討の動きがありますので、そうした動きも参考にしていきたいというふうに考えております。
 私からの説明は以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 井手先生、よろしいですか。

○井手委員 以上でございますので、よろしくご検討いただければと思います。

○鈴木部会長 ただいまのご報告に関しまして委員の先生方からいかがでしょうか。
 では、まず浅野先生。

○浅野委員 指標を検討していただいて非常に丁寧にお考えいただいたことをまず感謝申し上げたいと思います。余り真面目に指標を考えてくれなかった担当局とは好対象であるということがはっきり言えると思います。その上で、指標を別途検討しているチームの方では大変悩ましいのは、データがないということです。特にこの分野はデータがないということが非常に大きい制約となっていると思うんです。それで、そういう目で見ますと、このデータというキーワードで出ている記述でやや平板ではないかという気がしてしょうがないわけですが。随所にデータは必要であるとかデータの収集というのが出てくるわけですけれども。
 例えば国家戦略という大変はっきりした我が国の生物多様性についてのものさしというのかマップができ上がっていて、そしてそれに基づいてこの環境基本計画ができていて、この構造的なつながりは非常によくわかるわけです。それで、その次に大事なことは、全くの素人考えなんですが、井手委員にぜひお聞かせいただきたいんですけれども、こういう自然系のデータ収集基本計画めいたものがちゃんと構造的にできあがっていくととてもいいなという気がいたします。そんなようなことなしに何となくデータを集めていたり、あるいは断片的にデータが集まっていて、データの相互関係というのはなかなかはっきりしない。その結果、こういう指標というような話をしようと思うときには極めてその話をしづらくなってしまうという印象があるわけです。そんなようなことは多分チームの中でもご議論になったんだろうと思うんですが、いかがでございましょうか。
 この中でとりわけ私実際やって困っているのは、福岡市などで計画をつくるときにもこの書き方によると地方公共団体の役割、主体として期待されるものとして自然環境に関する情報を収集するための調査への貢献と言われるわけですが、どういう形でどういう情報を集めるべきかということについてはっきりした方針がないものですから、私はいいかげんに、とにかくわかる限り生態系構造を片っ端からあちこちつかまえてそういうものをちゃんと整理しておけばアセスも楽になるからやれといっていいかげんに指示をしてその程度でごまかしているわけですけれども。
 メダカの数を数えるというようなことはすぐ思いつくんですけれども、もっと何か構造的なデータというようなことがわかるようにということを明らかにしておくと、自治体などでも、力のある自治体はもっときちんとデータを揃えてくれるのではないかという気がしてしょうがないものですから、このようなことを申し上げたわけです。

○鈴木部会長 いかがでしょうか。

○井手委員 今ちょうど武内先生こられたのであれですけれども。確かにデータの集め方のシステムなり効率性とかいろいろな点についてはまことにまだ未熟なところが多くて、個別に専門家がデータを持っているということは探し出すと結構あると思うんですね。それをどうやって集めて表に出すかというそこら辺が実は大きな問題としては確かに残っていると思います。もちろん新しくデータをつくらなくてはいけないという面がまたもう一方にあって。議論としても例えば新しい指標として減農薬農地率みたいなのを少し考えてそういうのを積極的にデータとして集めるなんていうようなことを提案してやっていったらどうか、アクションを起こしたらどうかというそういう話もありまして。
 そういう一方ではこういうデータをつくりたいというそういう提示と、もう一方では今隠れているものをどうやって集めるかというこの2つについて実はいろいろ意見はありましたけれども、それを総合的・統括的に何かシステムとしてやるというところまでは残念ながらいたりませんでした。
 何かその辺についてデータの収集のシステム化ということで、武内先生の方で何かございましょうか。

○武内中環審委員 遅くなりまして申しわけございません。本来私が少し説明をするような予定でございましたが、何か議論が先に進んだようでございまして。ちょっと全体としてフォローできておりませんけれども。今恐らく指標にまつわる議論とその前提となるデータについての取り扱い方についての話ではないかと思いますが。
 ご承知のように、自然環境基礎調査というものが環境省の中で長年やられているわけでございますけれども、公害関係あるいはそれ以外の環境政策にまつわる年次的なデータ、例えば廃棄物とかリサイクルとか、これらに比べますと自然環境データというのは5年に一度とかというふうなもので、なかなか環境基本計画全体の指標の議論の中ではなじみにくいというそういう調査にまつわる制約がございます。また、今申し上げましたようなほかの議論だと比較的数値データという形でまとまっているのに対して、自然環境の場合は例えば植物群落とか動物のそれぞれの種ごとの構成であるとかというふうに、これも若干数値目標的なもの、あるいは指標的なものにしづらいというふうな面がございまして、これまで全体としてこの議論は遅れておりました。
 そこで、私どもはそうはいってもやはり今回の環境基本計画の中ではやはり指標という形で大胆に提案するということがどうしても必要で、ある種限界を十分わきまえた上でどのような指標を提案したらいいかということを考えたわけです。そこで、事務局の方では生態系と種と遺伝子とこの3つでいろいろ検討していただいて、ある時期、恐らく種のレベルで絶滅危惧種の構成比みたいなものと、それからそれを何とか食いとめるための保護増殖事業みたいなものしかいろいろな点でご理解いただけるような指標はできないのではないかというところまでいったんですが、私の方でもう少し頑張ってみたらどうかということを申し上げまして、そしてワーキングを開かせていただきました。それで、環境省のみならず農林水産省、林野庁、それから国土交通省等にも参加いただいていろいろ話をした結果、皆さん躊躇はしておられたんですが、やはりこういうものを出すことによってこの分野の政策を推進していこうよということでは皆さんいずれの省庁も同じ思いだったものですから、ちょっと遺伝子レベルというところまではいきませんでしたが、生態系についてはここに書かれているような植生自然度でございますとか、あるいは農業分野でも田園自然環境の創造に着手した地域。先ほど井手先生がおっしゃった農薬を使っていない農地みたいなのも話題にはなったんですが、これも農水省の方で、あれがいいといってこれはだめだとは言えないとか、今サンプルとして挙げられているけれども全数調査はしたのか、というようなことを言われるとちょっと自信がない、というような話で、そのようなものについてはまた今後の課題ということにさせていただくと。
 それから、国交省の方は河川関係では水辺のうちで回復可能な水辺割合とか、あるいは国交省の方で、特に生物多様性は都市の部分についてほとんど今まで目を向けてなかったということに対して、これも頑張ってくれまして、水と緑の公的空間確保量だったら何とか出せるということで提案していただきましたので、ここに出ているようなところまでは今回かなり思い切って、しかもこれは環境基本計画本体の方に書いていただきたいということで各省の合意も得られたということです。
 私はいろいろ問題もご指摘あろうかと思いますが、そこまできたというこのプロセスをぜひ多として、この部分については委員の先生方のご了解をいただければ大変ありがたいというふうに思っております。
 本質的な問題としてはもうちょっと金をかけて自然環境調査をできないのかというこういう指摘がございます。例えば植生についてはリモートセンシングでかなり精緻なデータが集まっております。例えば植生図ベースでも昔はメッシュデータのベースでやっていましたけれども、最近は2万5,000分の1に対応できるような詳細な地図というのを書けるというような状況になっております。例えば動物分布図みたいなことを考えますと、これは本当にちゃんとお金をかけてやらないとなかなかできません。今の動物分布図なんていうのは、大変残念ながら、道路沿いの動物をたくさん発見しておりまして、下手な回帰式を書きますと動物の生息をふやすためには道路をつくればいいなんていうような答えになりかねない、これは冗談ですけれども。
 そういうふうになってしまうようなものでありまして、やはりしらみつぶしに専門家が国土全域にわたって調査するということをしないと、本当の意味で指標にはならないということも十分承知しております。けれども、まだそこにいくまでは随分道は遠かろうと思いまして、とりあえずここまでできた現時点ではここまできたというふうに評価せざるを得ないのではないかというのが担当した者の実感でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 第二次の計画と比べていただくといかに中身が充実してきたかがわかります。これはここだけに限らないかもしれませんが、特にこの生物多様性というのは新しい概念でもありますし、それを一体オールジャパンといいますか、日本国としてどうやって受けるのか、先ほどの浅野先生のご質問も、一体どこに何があるのか研究調査といいながら全体としてまとめる体制も、環境省のもちろん自然局の方は頑張っておやりになるとして、あるいは生物多様性センターというのもありますし、国環研もあるんですが、といってもそれだけでは手薄くて、アセスをするといわれても、さっきのお話のようにメダカを数えるかトンボを追いかけるかぐらいしかなくて、本当はその辺をどういう体制をつくるかという、全体の国としての生物多様性に対する認識と体制づくりのその辺の話をもっとあるいは打ち上げてもいいのかもしれないとも思いますが。
 それはそれといたしまして、今お話がありましたように、ともかく生態系レベルでの、あるいは景観も含むことになるんでしょうか、そういうレベルでの指標と種レベルでの指標、そしてもう1つ社会参画という非常におもしろい、これは自然再生推進法にも絡んでいるのかもしれませんが、そういうような協議会の数なんていうのも考えていただいている、非常に意欲的なところではないかと思います。
 いかがでしょう、ここの部分につきまして。大塚先生。

○大塚委員 私自身、水のところで大変苦労しているので、今回非常によくまとめていただいていることがよくわかりまして、意見を申し上げるのはちょっと控えたいところもないではないんですが、ちょっと一言だけ。最後の指標のところで、これは聞き流していただいても結構ですけれども。7ページの下から2行目、3行目あたりで「失われた湿地や干潟のうち、回復可能な湿地も干潟の中で再生されたものの割合」というものを出しておられるんですけれども、これはこれでもう非常に意欲的な試みだということはよく認識しておりますのでそれで結構なところもあるんですけれども。本当は、例えばアメリカのノーネットロスのようなことを、非常に先のことかもしれませんが、考えるとすると、ある1年のタームの中でその再生したものと失われたものとの差がどうなのかということが多分本当は指標にしていただきたい、これは希望ですけれども、ものではあると思いますので。多分その手前の第一歩ということになるんだと思うんですけれども、遠い将来にはそういうこともご検討いただくと大変ありがたいということを一言だけ申し上げて。

○武内中環審委員 よろしいですか。簡単に。

○鈴木部会長 そうですね。

○武内中環審委員 ご指摘のようなことも含めて、より本質的にはこちらの方がいいだろうということはいろいろ議論がございました。しかし、これから調査を開始するというわけにはいかないわけですね、環境基本計画に書き込むわけですから。これから調べていいデータを出します、5年後にどうぞお待ちくださいということが言えればそういうことも言えるんですが、今ある手持ちのデータの中で、しかも各省が責任を持ってこれならお出しできるというふうな限定つきで探すとどうしてもこうならざるを得ないと。これは今現在これに基づいて過去のトレンドがどうであったのかというのも追っていただいております。恐らくこれは参考資料の中に入ってくるだろうと思いますので、そのようなものとして今の段階では、大塚先生おっしゃったように、現時点ではこれでやむを得ないということでご理解いただければと思います。

○鈴木部会長 重点的分野の水の部分でも湿地あるいは水辺検討しておられるので、そういう意味でこちらはちょうどオーバーラップするところと。

○大塚委員 そうですね。

○鈴木部会長 ですから、両方から攻めていただくと国土交通省の方もいろいろと書きやすいかもしれません。
 大変意欲的におまとめいただいたと思います。いかがでしょうか。
 自然再生推進法なんかがこの基本計画の枠内できちんと動いていくようにというそういうところも埋め込んであるわけですね。
 よろしいでしょうか。井手先生、何か追加は。よろしいですか。
 武内先生、何か補足されることがありましたら。時間がありますから。せっかくお出でいただいたので。よろしいでしょうか。

○武内中環審委員 私前々から主張していることなんですけれども、こういうふうにして生物多様性というふうになると生物多様性、温暖化となれば温暖化となる、そこいらあたりの議論のクロスといいますか、そこがややもすると欠けてくる面があって、例えばこれ将来でいうと温暖化の生物多様性影響とかというふうなところまで視野を広げていくということは、今回書いておりませんけれども、やはり行政的には視野の中に当然入れておく必要があるということです。余りそれぞれの担当者の間で持ち分的にやらないで、そこは相互に乗り入れてやっていただきたいというのが私の希望でございます。

○鈴木部会長 今回それぞれの重点分野をまとめる、あるいはそれの具体的な施策の段階でインターリンケージというんでしょうか、そういう意味でのつながりを忘れないようにというか、それをきちんと意識しながら書くということになっておりますので、その辺は期待していきたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、生物多様性の保全のための取組に関しましては以上にさせていただきます。
 また、この点につきまして後ほどコメント等々ございましたら、FAX、メールで事務局の方にお送りいただければと思います。
 ありがとうございました。
 それでは、途中休憩、20分に再開させていただきたいと思います。

(休憩)

○鈴木部会長 それでは、時間になりましたので再開させていただきたいと思います。
 最後の報告分野となりますのは、「市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」ということで、ご報告は主担当の山本委員の方からお願いいたします。

○山本委員 主担当を命じられました山本でございます。
 この分野は将来的にも日本の国際競争力を決める重要な分野だとそういう認識のもとに、たくさんの委員にご出席いただきまして活発な議論をしていただきました。特に佐和委員、三橋委員、環境経済ご専門のお二人の先生からはたくさん知恵を授けていただいたところでございます。
 これまでの経緯を申し上げますと、9月22日に各種団体との意見交換会を行いました。5団体が参加されまして生活協同組合コープこうべ、日本公認会計士協会、日本損害保険協会、サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク、グリーン購入ネットワークの5団体でございます。第1回、第2回、第3回の検討会を行いまして、きょうは事務局からバランスのとれた案を作って、今日提出しております。
 それで、皆様ご存じのように、リオのサミットで持続可能な開発をやらなければいけないと。そのためには環境と経済の両立、あるいは環境と経済の好循環を達成する必要があるわけでございます。それで、この13年か14年間の議論の推移を見ても、我々が何をやらなければいけないかはもう明瞭になってきたと思います。これはまさに環境と経済の両立を達成するためには循環経済あるいは脱物質化されたサービス経済等々さまざまなそういう新しい概念で提起されるような経済社会に変わっていかざるを得ない。そのためには今回の市場において環境の価値が積極的に評価されて経済と環境の好循環をつくっていかなければいけないということになるわけでございます。
 幸いにして、日本はこの分野においては若干欧米に先んじているところがございます。例えばISO14001も1万8,000事業所を超えて導入されるとか、我が国のグリーン購入法は201品目を調達品目にしているとか、グリーン購入運動も世界のリーダーシップをとっているとか、あるいはエコプロダクションの展示会も世界最大規模に今なりつつあるとか。
 問題は、これを社会の中でちゃんとしたフレームワーク、社会的制度に組み込んでさらに技術革新を促していこうと、これが今回の第三次環境基本計画の我々に課された使命というかタスクであるとそういうふうに出席した委員はみんな認識したわけでございます。
 そこでやるべきことは明確でありますので、それにしたがって中長期的な目標、その取組を促進する政府の役割等について、今お手元にある資料3に報告としてまとめて今日は提出させていただいているわけでございます。
 詳細につきましては事務局の方からご説明申し上げます。

○鎌形環境経済課長 それでは、事務局の方から説明させていただきます。
 今、山本先生からお話になったところ、現状と課題のところを基本的に今お話になったような内容かと思いますので、2ページ目の中長期的な目標、ここから事務局よりご説明することにさせていただきたいと思います。
 今世紀の第1四半期を見通した中期的な観点から、2つの状態を想定しているということでございます。2ページ目の下に2つ○ございますけれども、より少ない物質投入・廃棄から、より多くの「価値」が生み出されることということで、3Rなどの推進で徹底的にむだを省いて、またサービス化というものも推進されていく、こういうような状態が1つの望ましい状態。
 そしてもう1つは、下の○でございます、自然のシステム、生態系を尊重しながら、経済的価値を生み出す、こういうことがなされている状態。農林水産業の営みなどが典型として掲げられますけれども。次のページへまいりますが、自然の力を活用してその恵みを最大化する、そういうような活動、こういったものが目指すべき姿ということでございます。
 そういった中で、具体的に重視すべき事項として掲げてございますけれども、環境への影響、こういったのは正の影響、負の影響それぞれございますが、そういったものが市場での評価の対象となって、良いものが選択されていく、こういうようなことが重要だということ。それから、そういった中で環境をストックの面でとらえて、ストックとしての環境の価値、こういうものが反映されていくのが重要であるということ。
 そして、そういったものを進めていくために、3ページの真ん中あたりでございますけれども、政府の役割としてはさまざまな政策手法を導入していく中で基本的なルールを形成していく。こういうことが政府の役割だ、こういう基本認識を示してございます。
 それから、(2)で、市場が変わるために何が必要かという取組でございますけれども、ここで3点掲げてございます。ポツで書いてあるところでございますが。1点目は、環境が市場で高く評価される価値観が形づくられ、各経済主体の取組能力が向上するということの必要性でございます。こうした価値観をもとにさまざまな各種の経済主体がその経済行為の中で環境配慮を組み込んでいく、こういったことの重要性でございます。
 2点目が、製品や企業の環境面から見た情報がわかりやすく提供され、市場に参加する関係者の間に普及していくということでございます。さまざまな価値の判断材料としてこういったものがしっかりと提供されていくということの重要性ということでございます。
 次にまいりまして、4ページでございますが、環境への負荷の少ない技術、ビジネスモデルの革新(イノベーション)が促進される環境が整備されるということでございます。やはりイノベーションというものがキーになるわけでございますけれども、技術や製品の開発が進むということとともに、これが市場に提供して消費者に届くというような1つのビジネスモデルとして確立していく、こういうことが重要であるということでございます。
 こういった重要な点を踏まえまして、3の施策の基本的方向でございます。ここでは5点掲げてございます。1点目が、まず環境に関する情報共有コミュニケーションの促進という方向性でございます。環境ラベルや環境報告書などの手段がございますけれども、こういった取組を進めていくこと。そういった中で環境のストックに関する情報の重要性、あるいはステークホルダーミーティングなど双方向のコミュニケーションの重要性、そしてITなどの技術を使って進めていくことの重要性を掲げてございます。
 2点目、[2]でございますが、企業の環境マネジメントを促進していくということでございます。広範に広げていく、中小企業にも含めて広げていくということでございます。そういった中で、例えばマネジメントシステムが例えば契約などの局面で評価されるなどといったことも必要ですし、あるいは実際に企業が進めていく中で社員教育ということを掲げてございますけれども、そういった組織的に環境に取り組むとこういった意識づくり、こういったものの重要性を掲げてございます。
 3番目に、環境分野でのイノベーションの促進が必要ということでございます。そういう中で環境投資が進み、さらにグリーン購入の拡大、あるいはビジネスを担う人材の育成などの取組の推進ということでございます。
 4番目が、環境を重視する経済主体としての意識改革ということで環境教育の重要性を掲げてございます。
 それから、[5]番目でございますけれども、長期的な観点で環境と共存する経済活動の新しい姿、こういったものを打ち出していく必要があるということで、別途2050年ごろを見通しました超長期の展望の研究を行うということが別の分科会でも議論されていると思いますけれども、そういった研究において環境への危機を招かない経済のあり方、こういったものも検討していく必要があるだろう。
 こういった5点の基本的方向を掲げてございます。
 5ページ目にまいりまして、そういった基本的方向に進んでいく上での各主体の役割分担を掲げてございます。国、地方公共団体、そして企業、消費者、投資家、NPO、研究者ということで3点にわたって掲げてございます。
 国の役割としては、まず市場では供給されない公共的な財やサービスを安定的に供給する。ルールの設定でありますとか科学的知見、基礎的な技術基盤の整備、そして政府調達などにおける取組、こういったものが国の役割として掲げられます。
 地方公共団体においては、特に地域の中で重要な役割ということで、地域での調達の問題、あるいは地域における各主体間の調整・連携促進といったことを求めております。
 企業、消費者、投資家の役割といたしまして、それぞれございますが、企業は事業活動に伴って環境負荷低減に取り組む、消費者は環境に配慮された商品を選択していく、投資家はその投資活動を通じて環境保全を進めていく、こういったそれぞれの役割がございます。
 NPO、研究者などについてはさまざまな企業、消費者などの行動者に対して情報提示あるいは取組の提言といったことが期待されるということでございます。
 以上のような基本的な方向、役割を踏まえまして、重点的な取組事項として(4)ということでございます。まず、5ページの一番下、市場における環境に関する情報の共有ということでございます。6ページ目にわたりますけれども、大きく2つ、消費者、企業の関係で分類して掲げてございます。
 1つ目、消費者への商品・サービスについての環境に関する情報の提供ということで、エコマーク、環境ラベルなど購入者に対する情報をどうやって提供していくかということでしっかりした適切な商品選択ができるような情報提供の方法の構築。あるいは既にグリーン購入ネットワークなどの民間団体の取組がございますが、そういったものとも協力しながら情報提供の推進を図っていくということ。
 それから、2番目のポツでございますが、ちょっと個別の分野にわたりますが、化学品の分野においては、ここにございますGHSというような情報提供のシステム、こういったものについても検討を進める。
 さらに、次のポツでございますが、ライフサイクルアセスメントの整備を進めてラベリング制度などに反映を進める。
 それから、次の下2つのポツでございますけれども、流通・サービスの分野についての問題が重要だということでございます。この流通・サービス分野での情報提供を進めていくということでございますけれども、流通・サービス分野の環境配慮の評価、さまざまな環境面での影響効果が多岐、広範にわたるということから従来のやり方などではなかなかカバーできない部分があるので、総合的な環境配慮の評価方法の検討などを進めるということでございます。例えば、サービス分野でいえばホテルとかエコツアーとかさまざまな取組が出てまいります。こういったものをどういうふうに評価していくかということでまだ確たるものはございません。製品1つ1つを評価していくというのとはちょっと違った観点からの評価手法の検討が必要ということでございます。
 それから、[2]番は企業の環境配慮の取組状況について情報開示ということでございます。まず、環境配慮促進法で環境報告書の作成、公表の普及を図っていくということでございます。中小企業などに対してもその取組を促進していくということでございます。
 それから、そういった環境報告書を作成していく上での環境パフォーマンスをどうやって上げていくかという指標についての検討も進めてガイドラインをさらに見直してブラッシュアップしていくということでございます。
 それから、環境報告書に関しては、双方向のコミュニケーションが大切ということで、最近企業においてステークホルダーミーティングなど行われてございますけれども、そういった双方向コミュニケーションを促していくということでございます。
 それから、環境報告書の受け手の側としては、むしろ消費者等により多くの利用者に読まれるということが必要ですので、そういった情報を整理して比較検討可能になるような仕組みを構築していくことが必要であろうということでございます。
 さらに、環境報告書の信頼性の確保ということも進めていくということでございます。
 それから、(2)が環境の視点からの経済的インセンティブの付与ということでございます。価格に環境コストを適正に反映させるという意味で、税あるいは排出量取引、補助金などの経済的手法がございます。こういったものは経済的インセンティブを付与して、商品選択において環境によい行動を選択していく、こういったものをねらいとするというものでございます。この手法につきましては、各方面での検討が行われて、既に実際の導入の試みというものもあるわけでございますけれども、この経済的手法につきましては手法の効果とか国民経済の影響を踏まえながら各主体の理解と協力を得るように努めながらその適切な活用について総合的に検討していくと、こういうスタンスを掲げてございます。
 (3)企業、消費者などの環境に取り組む能力を向上させていくという点でございます。1つは、企業の取組能力向上のための仕組みをつくるということでございます。まず、事業者の環境配慮の体制、環境マネジメントシステムということでございますけれども、特に大企業もしっかりやっていただくのはもちろんでございますけれども、中小企業向けのシステムの普及促進というものが重要な課題ということでございます。
 それから、環境パフォーマンス評価に関しましては、先ほどとも重複になりますけれども、ガイドラインの見直しにつなげていくということ。その中で自然・人工資産の環境面での価値とか環境の質といったもの、ストックの評価ということについての研究、活用を進めていくということでございます。
 それから、環境会計を進めていくということでございます。この面でもストック面の問題についてこれから手法を検討していくということでございます。それから、環境会計につきましては国際的な議論にも参画していくということでございます。
 それから、次の○でございます、企業の環境教育の推進ということで、従業員の教育というものの支援を行っていく必要があるということでございます。
 それから、7ページ下の[2]番、環境に配慮した選択を行う消費行動の推進ということでございまして、環境教育を進めていく中で負荷の少ない製品・サービスの選択というものを促していくということでございます。そういった中で、「我が家の環境大臣」などの事業を進めてございますけれども、そういったものを含めてエコツーリズムなども重視していくということでございます。
 それから、[3]で環境への負荷の少ない事業や、それを実施する企業への投資行動を促進していくということでございます。投資行動促進にあたりまして、環境情報が公開されていくということが必要ですが、環境報告書に加えて企業の業績評価とリンクしてこういった環境に関する情報提供をしていくということの検討が必要だということ。それから、投資に関して意欲の高い層に焦点を当てた環境投資の拡大というものの重要性を示してございます。
 それから、環境の視点からのイノベーションの促進ということでございます。[1]番、技術革新など民間投資の促進ということでございます。この民間投資を促進していくというために環境情報を活用した、例えば低利融資制度を普及していくとか、そういった資金調達が円滑化するような枠組み。そしてさらに、環境に関わる情報をもとに安心して投資できるような、どういったものが環境にいいのかというようなスクリーニング手法、こういったものも推進していこうということでございます。
 それから、政府による取組ということでございます。政府でもさまざまな投資、支出の活用があります。こういう中でできる限り環境負荷の低減を図っていくということ。それから、もう1つ大きな役割として、科学的知見あるいは長期的視点から政府が技術の研究開発を進めていくということが政府の役割として重要だということでございます。
 それから、調達の場面に移りますけれども、例えば建築物の建設管理とかそういったものに関しての環境に配慮した工事施行の提案を採用するとか、あるいはグリーン購入をしっかりと進めていくというようなこと。あるいは契約の中で事業者を選ぶ際に環境マネジメントへの取組などが評価される、そういったような仕組みづくりを進めていくということを掲げてございます。
 9ページ目にまいりまして、「ビジネスモデル」の革新ということでございます。環境負荷の少ない製品、技術、サービス、これには実際にそういったサービス、技術、製品があっても市場に普及していくということが必要です。それを普及させる、あるいは市場に出していくビジネスというものが必要になる。そういったようなビジネスモデルを構築していくということが必要でありまして、そのための方策として下に2つポツで掲げてございますけれども、ビジネスモデルをつくる能力、あるいはビジネススキルとしてそういったようなものを研修プログラムとしてモデル的に普及していく。あるいはそういった発案と企業、実際のビジネスを行う企業と結びつけるコーディネーターを適正に活用していく、こういったことに取り組んでいくということでございます。
 (5)国際市場を視野に入れた取組ということでございます。まず、環境ラベル、各国でさまざまな取組がございますけれども、相互認証あるいは基準をハーモナイズするとかそういったような各国のラベルが相互に活用できるような枠組みの形成を進めていくということ。それから、グリーン購入に関しても各国取組がございますけれども、国際的なネットワーク、今IGPNという形で立ち上がってございますけれども、そういったものを推進していくこと。それから、さまざまな国際規格についてはしっかりと我が国からも参加して情報交流を促進していくということ。あるいは自由貿易協定、経済連携協定などの場での環境影響評価などにも取り組んでいく。こういった国際市場を視野に入れた取組ということにも取り組むということでございます。
 それから、(6)新しい環境と経済のあり方についてのビジョンづくりということでございます。これ非常に簡単に書いてございますけれども、他の部分の分科会において主としてお取り決めのあるということで簡単な記述にさせていただいてございますけれども、先ほども触れました、2050年といった超長期を見通した展望、その中で持続可能な環境と経済の具体的な姿についての検討をその中で行っていくということでございます。
 最後に、指標の点でございます。10ページ目、この分野では4つの分類に分けて指標を提示させていただいてございます。まず1番目が、総合的にこの市場において環境の価値が評価される仕組みというものを示す指標として、環境誘発型ビジネスの市場規模、雇用人数というのを掲げてございます。結局、市場において環境の価値が評価されれば、こういったものが拡大していくであろうと、これが1つの指標ということでございます。
 それから、(2)、(3)、(4)がそれぞれの分野ごとの指標ということになります。(2)はまず環境に配慮した製品、サービスが十分に提供されているかということ。そして、それが実際の行動に結びついているかということで、主要な環境ラベルの対象品目があるか、実際に市場にどれだけのものが提供されているかということです。それから、グリーン購入の実施率ということで、どれだけそういった環境配慮の取組が購入の場面で行われているかということでございます。
 それから、(3)企業の取組ということでございます。ここでは主要企業の環境目的投資がどれだけの割合であるかという指標。あるいはそうした企業の取組を支えるという意味でエコファンド、SRIファンドの設定数、あるいはその資産残高、割合といったことを指標として掲げました。
 それから、(4)でございます。企業における環境配慮の体制ということ、あるいは情報交流という面の指標でございます。1つは、企業の取組ということで、ISO14001あるいはエコアクション21、中小企業対象でございますが、こういったものの登録事業者数、どれだけの事業者の方々が取り組んでいるかという指標。それから、実際に環境報告書を作成、公表している企業、そして環境会計を実施している企業、こういった企業の指標というものを掲げさせていただきました。
 以上、事務局からのご報告とさせていただきます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり、この報告書案につきましてご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 これ大変詳細にいろいろ掲げていただいていますけれども、後ろの方の具体的な施策のところとはかなりダブってくる面がありませんか。この辺のすみ分けは大丈夫なのかな。むしろ余りこれをちゃんと打てるところがないんですかね。

○佐野環境計画課長 部会長のおっしゃっておられるのは目次の中の裏側の第2部の第2章環境保全施策の体系のところであろうかと存じますけれども。現行計画と違いまして、第三次計画ではこのこちらの関係のものを戦略プログラムで強く挙げましたことによりまして、こちらの環境保全施策の体系の方の第2節のところはそれほどこういった分野の環境経済的な施策を余り挙げない、むしろ……

○浅野委員 今のご説明について、よろしいですか、部会長。

○鈴木部会長 はい、どうぞ。

○浅野委員 今の部会長のご指摘は、この資料3の中のことをおっしゃっているんだと思うんです。つまり、資料3の文章全体がちょっと長いので、例えば中長期的な目標というのが掲げてあって、それでわかるんですけれども、1で○が2つ並んでいて、その後に随分長いコメントがついているんですね。そして2があって、2は割合コンパクトにまとまっています。それで、その施策の基本的方向というところ、これ長いのは一向に構わないんですけれども、ちょっとやはり目標と言われたときにその目標というのが、温暖化の方も似たようなことやっているから余り大きなこと言えないんだけれども、ちょっとそこに結局書かれていることをよくよく読むと、また後の方にも同じことが出てくるんじゃないですか、少しその辺の整理はどうですかという趣旨のご発言だったと思うんですが。

○鎌形環境経済課長 この資料の中身でしたら私事務局の方からお答えいたします。確かに基本的方向を並べて、目標があり、基本的方向があり、具体的施策がありということで、連続させると似たような表現が出てくると、ご指摘のとおりだと思います。実際に計画のばらつきを調整するときにそこはしっかりと整理をしたいと思いますけれども。申しわけございません、その流れを忠実に追うために割と重複が多くなってしまいました。ということで申しわけございません。

○浅野委員 とりあえず思考プロセスがよくわかるので、説得力はあるのですが。またいずれにせよ最終的には少し修文をして切込みを刈り込むと、部会長のご指示もあるということで、そういう理解でいいんですね。

○鎌形環境経済課長 実際に報告はこうさせていただいたけれども、次のドラフティングの段階でということでよろしゅうございましょうか。

○浅野委員 はい。

○山本委員 重点的取組事項のところはぜひボリュームをちゃんと維持していただきたい。

○鈴木部会長 三橋委員、どうぞ。

○三橋委員 よくまとめていただいていると思いますけれども、ちょっとここの検討会の後ちょっと取材して気がついたことがあるので、それをできたら入れてもらった方がいいかなということなんですけれどもね。それは何かというと、金融面でのやはりいろいろな評価のことで、これはエコファンドとか投資の話が書かれていますよね。しかし、どうも例えば3メガバンクですか、ああいうところでは最近は環境融資の枠を、例えば1,000億円は環境融資向けにつくるとか、そういう形でようやく不良債権処理から脱皮した大手が結構環境融資に力を入れてきているわけですよ。例えば赤道原則だったかな、熱帯林の伐採なんかについて非常に問題があるようなところには融資しないとか、結構銀行そのものが融資を通して環境に配慮した企業をサポートしていこうという動きがこのところ競うような形で出ているんですよね。だから、例えばそういうようなことをちょっと触れていただくとともに。
 場合によっては一番最後の指標ですよね、エコファンド、SRIファンドの設定数あるいは純資産残高の割合なんて書いてあるでしょう、こういうところにやはり、例えばビッグ3に分けてしまっていいのかどうかというのはちょっとご検討いただくとしても、そういうかなりのお金が環境関連の企業に投資というよりも融資という形で銀行の本来活動の中でやっていこうという動きが相当この1ヶ月ぐらいの間で強く出ているんですよね。そんなようなことが若干入れられると本格的な流れとしてもいいのかなというふうに思いますね。ご参考までに。

○鈴木部会長 むしろ銀行に対してある種のインセンティブというか、皆さんのあれでしょうかね、バックアップを与えるような意味があるという。

○三橋委員 そうですね。大手の銀行というのは本当に環境問題に対して何もしないで世界的にも批判されているんですよね、普通の欧米の銀行と比べて。しかし、いよいよここで彼らもそれがビジネスチャンスというふうに考えてきたのか、世間の風圧もあるでしょうしね、大分変わってきたような感じがあるので。そこのところをちょっと入れておくといいと思いますね。

○鈴木部会長 どうぞ。

○鎌形環境経済課長 事務局からお答えいたします。ご指摘のとおり、金融の場面で少しずつ取組が進展しているということは私どもも把握してございます。特に実は小さな金融機関の方が先行的にいろいろなおもしろい取組をやっていただいて、なかなか大きなところは後から追っかけているという構図はございましたけれども、だんだん大きなところも少しお取り組みいただいているということもご指摘のとおりだと思います。
 確かにこの中で若干投資・金融という面では大体少し書き込んでおるんですけれども、今のようなご指摘も踏まえまして、次の計画のドラフティングの段階でどこまで書き込めるか検討していきたいと思います。

○鈴木部会長 いかがでしょう。

○浅野委員 この重点的取組分野のプログラムは前にこの部会で決めました環境と経済の好循環ビジョンの前半部分のかなり重要な部分をトレースしていただくということが目的でまさにプログラムができているわけで。その意味では大変よく整理をしていただいていて、ビジョンの方で少しワーッと書いている部分がきちっと整理されているという気がしますし。特に評価できる点は、例えば情報というようなものについての位置付けがやや前回の環境基本計画でも情報的手法という表現も何となくふわっとしていたんですけれども、これで割合によく整理がついたなと感じられます。やはりこれで二次計画から三次計画に変わってきて、特に企業関連の情報というものの2つの側面が極めて明瞭に6ページの方で整理をしていただけたと言えるので大きく評価できるのではないかと思います。
 ただ、さっきの鎌形課長が最終的にドラフトのときには少し整理をするとおっしゃっていたので、そこはよろしくお願いします。ややちょっと読むのに多少きついなという部分がなきにしもあらずということです。書いていること1つ1つは非常に重要だと思います。
 それから、これは全体を統合するときにどうするかという問題はあるんですが、私はこれはやむを得ない、今回はこれでいいというふうに言わざるを得ないと思っておりますけれども、主体の役割をどの項に入れるのかという点がプログラムによって違うんですが、無理にどこかにここで入れるというふうに強引に整理をしてしまうとかえってぎくしゃくするかな。主体の挙げ方が違うことはやむを得ないと考えているんですが、そこはどうかということですね。佐野課長どういうお考えか、今まで幾つか出そろってきたので、大分姿が見えてきたんですが、確かにここで書いているというのはそれぞれやはり必然性があって、方向のところで書く、重点的取組のところで書くというのは何となく必然性が見えるんですよね。だから、無理に統一しないということで割り切るかどうかですね。どうしたらいいだろうということです。

○佐野環境計画課長 事務局の方、実は私のところはそれぞれの担当にこれをつくっていただくにあたって、各主体の役割というのはとにかくそういう項を設けて明示をしてほしいと、お題目ではなくてこれは必ずそういう情報を上げてほしいというのがこの基本ルールの趣旨であるというのを一生懸命言って回りまして、何とかやってもらったというのが正直なところであります。
 というのは、恐らくそこの整理をすると現行計画でふわふわと書いていたところの切り分けを迫られるという効果があるので、やはりことがらの性質でどのレベルで切り分けるのがいいかというのは、こうやってつくってみると今、浅野先生がおっしゃったように、確かに必然性があってやっているというのも理解できるところがございますので、余りに規則的整合性を追求するのも私も正直言って限界かなと、ただちょっと後刻でき上がった計画を見たときに何か整理悪いなとおっしゃられたらどうしようかなと正直言って今思っているところでございます。

○鈴木部会長 それぞれの重点分野の発展段階によってやはりそれはしょうがないんじゃないかなと。むしろ言葉をちょっと使い分けるぐらいの、あるいはタイトルを使い分けるとか何かそんなことでやっていくことになるんでしょうかね。10点出そろってからあるいは考えてみる必要があるかもしれません。
 大塚先生、どうぞ。

○大塚委員 今、浅野先生が言われたこと私もちょっと気になっていたんですけれども。恐らく段階によって違うという今の部会長のご整理なんだろうなと思っていますけれども、確認ですが。その5ページの下の役割についても、例えば水のところはむしろ流域の住民から書いて地方を書いて国が最後というそういう書き方をするようにむしろ私は指導されてしまいましたが。というところがあって、私は国の役割も結構重要だと思っていますので、内心じくじたるものがないわけじゃなかったんですけれども。今回のこれはやはりまだルールも設定が十分にされていないから、国とか自治体というのを最初に書くんだというそういうご趣旨だというふうにお考えになっているということでよろしいんですね。ちょっとこれは確認としてお伺いしたいんですが。

○佐野環境計画課長 確かにどういうふうに、いろいろなプレーヤーをどういうふうに切り分けるのかの次はどの順番で並べるのかというのがあるんですが、これはそれぞれつくっていただいたところに、正直言って、ルールを決めていません。恐らくこれも事柄の性質で、例えば国民1人1人の方の行動が大事で、そがために自治体は何をするか、国はどうするかという順番で論じるべき項目と、例えばやはり技術開発なんていうところみたいに一般国民の役割というのはそれほどなくて、国の役割があって大学の役割があってというふうに言わざるを得ないところがやはりありまして。この順番は、やはりこれもそれぞれの課題でどういった主体が重要であるかということによらざるを得ないのではないかと思っております。
 確かに検討会のこれまでの意見の中で、いや、国民が常に一番大事なんだから国民から書くべきだというご意見をおっしゃっていただいたところも私ずっと出ていてあるんですけれども、10個全部にそれが貫徹できるかというとちょっとできそうもないと正直言って思っております。

○鈴木部会長 やはり大事なのは、ただこの基本計画はあくまでも国がこれをしますという決意表明なんで、そこだけは国民がかくすべきというのではなくて、そこのところを明確にするということですね。
 よろしいでしょうか。こういう議論しだすとまたおもしろそうではあるんですが。
 よろしいですか。もしこの場でご意見がないようでしたら、大分予定の時間を残しておりますけれども、これで3つ目の「市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり」、これのご報告をいただいたことにさせていただきたいと思います。
 繰り返し申し上げますが、この後でまたいろいろとコメント等ございましたら事務局の方にFAXもしくはメールでご提出いただければと、そんなふうに思っております。
 どうも、それでは、ありがとうございました。

○佐野環境計画課長 大変ありがとうございました。ちょっと進行の不手際がありまして、こちらの方の人もパタパタと走って来ましたりして申しわけございませんでした。
 まず、休憩の時間に新聞の切り抜きを席に置かせていただいておりますが、これは江森委員から昨日の議論の際にお話になりました田舎暮らしの志向というところで、これ拝見しますと連合ともご協力をされてやっておられるというようなことでございして、ご提供いただきました。
 それから、次回でございますが、次回は少し間が空きまして、来週の木曜日12月1日、この回だけ時間午前中で10時から12時まで、会場はこの部屋でございます。次回は都市の大気環境と国際的枠組みルール形成、時間2時間しかございませんので、2本をお諮りをさせていただきます。
 それから、その次、4回目がまた1週間おきました再来週の金曜日、12月9日、またこれはこの時間は今回と同じ14時から17時、会場もこの部屋でございます。ここでは残り2つ、物質循環と科学技術手法、情報等。それから、これの上に乗っかります総論の部分、お手元の目次ですと第2章の「今後の展開の方向」というところ、これは基本的には中間とりまとめが下敷きになるわけでございますが、項目が中間とりまとめと同じなのがお気づきになると思いますが、中間とりまとめが下敷きになるわけでございますが、ここの部分をお諮りをさせていただければと思っております。大変ありがとうございました。

○鈴木部会長 それでは、以上をもちまして本日の総合政策部会、終了させていただきます。
 ありがとうございました。

午後4時01分閉会