中央環境審議会総合政策部会(第24回)議事録

開催日時

平成17年2月14日(月) 15:04~17:09

開催場所

虎ノ門パストラル新館4Fプリムローズ

出席委員

(25名)

鈴木 基之 委員 安原  正 委員 大塚  直 委員 山本 良一 委員 和気 洋子 委員 青木 保之 委員  浅野 直人 委員 飯田 浩史 委員 井手 久登 委員 川上 隆朗 委員 久保田泰雄 委員 猿渡 辰彦 委員 善養寺幸子 委員 武田 善行 委員 田中  充 委員 筑紫みずえ 委員 永里 善彦 委員 中野 璋代 委員 中村 紀子 委員 萩原なつ子 委員 馬場久萬男 委員 松田美夜子 委員 松原 純子 委員 三橋 規宏 委員 横山 裕道 委員

議事

  1. (1)総合政策部会の運営について
  2. (2)第二次環境基本計画の見直しについて(諮問)

閉会

配付資料

資料1   中央環境審議会総合政策部会名簿
資料2   中央環境審議会関係法令等
資料3   総合政策部会の小委員会について
資料4   環境基本計画について(諮問)
資料5   第二次環境基本計画の見直しについて
資料6   第二次環境基本計画の見直しスケジュール(案)
資料7   第二次環境基本計画策定後の環境行政の展開
資料8   環境の状況の推移
資料9   社会経済の状況について
資料1  
参考資料 第二次環境基本計画のフォローアップの総括について

議事録

午後3時04分開会

○小林総務課長 お待たせいたしました。ただいまから第24回中央環境審議会総合政策部会を開催させていただきます。
 私は、環境省の総合環境政策局総務課長をしております小林でございます。しばらくの間進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、会議に先立ちまして総合環境政策局長田村よりごあいさつを申し上げます。

○田村総政局長 環境省の総合環境政策局長の田村でございます。平成17年の第1回目でございます中央環境審議会総合政策部会の開催に当たりまして一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
 本日はお忙しい中こうしてお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、常日ごろから私ども環境行政推進全般にわたりまして格別のご理解、ご協力を賜っております。重ねて厚く御礼申し上げたいと思います。
 ここ数年の環境行政全体を振り返りますと、地球温暖化対策、あるいは廃棄物リサイクル対策、生物の多様性保全対策など、それぞれの分野におきまして多くの進展が見られたところでございますけれども、これらの対策にもかかわらず、ご承知のように、地球温暖化問題を初めとした今日の環境問題は依然として深刻な状況にございます。いわゆる持続可能な社会の構築に向けまして、さらなる対策・施策の推進に積極的に取り組んでいかなければなりません。私ども総合環境政策局におきましては、こうした課題に対しまして、環境政策分野における基本的な政策の企画・立案、その推進という観点からさまざまな対策・施策の推進に務めているところでございます。
 幾つかご紹介いたしますと、まず本日の議題でございますが、環境基本計画についてでございます。この環境基本計画は、環境基本法第15条に基づきまして、政府全体の環境の保全に関します総合的かつ長期的な施策の大綱を定めているものでございます。最初の計画におきましては、循環、共生、参加及び国際的取組という4つの長期的目標を掲げまして、平成6年に策定されました。その後、さらに計画の実施状況を踏まえまして、11の戦略的プログラムを織り込みまして、平成12年の12月に現在動いております第二次の基本計画を策定いたしたわけでございます。この第二次の基本計画が策定されてからもう既にことしで5年目を迎えているわけでございまして、取り巻く環境の状況あるいは内外の世界経済の状況は大きく変化しているわけでございますので、環境省といたしましては、今後こうした状況に適切に対処するために、中央環境審議会に今後の環境基本計画のあり方につき諮問させていただき、本部会でご議論をいただきたいと考えているわけでございます。
 また、環境税の検討でございますけれども、昨年本部会と地球環境部会合同で設置いたしました施策総合企画小委員会において活発なご議論をいただきまして、昨年末にはその内容を整理いたしまして、「温暖化対策税制とこれに関連する施策に関する論点についての取りまとめ」が公表されたところでございます。環境省といたしましては、昨年の政府税制調査会答申あるいは与党の税制改正大綱をしっかりと受けとめまして、また中央環境審議会で行われましたこの昨年の取りまとめを踏まえまして、環境税につきましても検討を進めていきたいと存じております。
 また、本年4月に施行を予定いたしております環境配慮促進法を円滑に実施していくこと、あるいはグリーン購入を推進していくこと、あるいは昨年完全施行されておりますいわゆる環境教育推進法を実施していく、特に家庭や学校に焦点を当てました環境教育の推進、各主体のパートナーシップの促進などの施策を積極的に展開していくといったことも重要な課題でございます。また、環境研究・環境技術のより一層の普及・促進、さらにはいわゆるアセスメントと申しておりますけれども、環境影響評価の充実等につきまして、世の中のニーズを踏まえながら、しっかりと積極的に対応していく必要があると考えているところでございます。
 いろいろ申し上げましたが、委員各位におかれましても、こうした課題に対しまして環境行政の一層の推進を図るために、今後ともご支援、ご理解を賜りますようお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○小林総務課長 それでは、議事に入ります前に、お手元の配付資料の確認をお願い申し上げます。
 資料1が部会の名簿でございます。資料2、中央環境審議会関係法令等。資料3、総合政策部会の小委員会について。資料4が、環境基本計画について(諮問)の文書でございます。資料5が、第二次環境基本計画の見直しについて。資料6が、第二次環境基本計画の見直しスケジュール(案)でございます。資料7、分厚いものでございますが、第二次環境基本計画策定後の環境行政の展開。資料8が、環境の状況の推移。資料9、社会経済の状況についてでございます。最後に参考資料として、第二次環境基本計画のフォローアップの総括についてというものをつけてあります。もしお手元に欠けているものがございましたら、お申しつけください。
 それから、今回はこれにつけ加えまして、環境省のパンフレットですとか、あるいは総合化環境政策局で最近発表した資料などもご参考に置かせていただいております。よろしゅうございましょうか。
 それでは、本日の部会は、1月に中央環境審議会委員の改選がございまして最初の総合政策部会の開催ということでございます。この部会にご所属いただいております委員・臨時委員につきましては、資料1に名簿がございまして、このような形で会長から指名をいただいたところでございます。委員としてあるいは臨時委員としてこれまでもご参画いただいておりました委員の方々には、引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。また、新たにお加わりいただきました臨時委員として、名簿をちょっと見ていただきながら、猿渡辰彦委員、善養寺幸子委員、中村紀子委員、馬場久萬男委員にご参画いただいているところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。そのほかの方々は従来どおりということでございます。名簿をもってご紹介にかえさせていただきたいと思います。
 続きまして事務局でございます。これも従来どおりのメンバーでお世話になりたいと思いますが、先ほどごあいさついたしました田村総合環境政策局長の隣、総合環境政策担当の大臣官房審議官桜井でございます。よろしくお願いします。それから、私の反対側の方にいます、この後の議題になります環境基本計画の担当で環境計画課長の佐野、それから計画官の苦瀬でございます。あと、我が局の担当課長、室長、また省内の各局・各部からも出席しておりますが、お手元に座席表を用意してございます。これをごらんいただくことで、あとははしょらせていただきたいと思います。
 ちょっと順序が逆になりまして恐縮でございます。先ほど中央環境審議会の当部会の委員をご紹介したところでございますが、部会長には中央環境審議会会長でいらっしゃいます鈴木基之委員にご就任いただいているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でご紹介を終わらせていただきまして、議事に入らせていただきたいと思います。
 今後の進行は鈴木部会長にお願い申し上げます。

審議事項
 総合政策部会の運営について

○鈴木部会長 総合政策部会長を務めさせていただくことになりました鈴木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ちょっと風邪を引いておりまして、大変お聞き苦しいところがあろうかと思いますが、どうぞご容赦いただければと思います。
 この総合政策部会というのは、名前のとおり、環境省に関します各種の環境政策を総合的にいろいろ目を光らせていただき、そしてそこから具体的な提案を出していこうという趣旨の部会と理解しております。先ほどもご紹介がありましたように、委員の先生方はほとんどがもう大ベテランでいらっしゃいますので、いろいろとご意見を賜りながら進めさせていただきたいと思いますが、この部会の委員あるいは臨時委員でいらっしゃるということは、個人の資格で、高い見地から環境政策をどのようにかじを取るかということをお考えいただくということになっていると思いますので、ぜひどうぞよろしく、また活発なご議論をお願いできればと思います。
 部会長としての最初の仕事になりますが、部会長代理を指名するということとなっております。これは中央環境審議会令の第6条第5項によるものであります。つきましては前の部会から部会長代理をお務めいただいておりました安原委員に本部会の部会長代理をお引き受けいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日の議題は2つございます。ごらんいただくとおりですが、総合政策部会の運営について、そして第二次環境基本計画の見直しについてということでございますので、まず第1の議題、総合政策部会の運営についてに関しまして、事務局の方から説明をお願いいたします。

○小林総務課長 それでは、資料2を用いましてご説明させていただきます。
 資料2は、中央審議会の関係法令等で、法律から始まりまして、審議会でお決めいただいております議事運営規則、また運営の方針などをそこにつけているところでございます。これにつきましては、1月6日に開催されました中央環境審議会の総会で、議事運営規則、また中央環境審議会の運営方針に従って行うということにされているところでございます。
 7ページに運営方針というものがございます。これをちょっとごらんいただきながらでございますが、ここに総会、また部会も同様な形でやるといったことが書かれておりますが、基本的には一定の場合を除きまして原則公開の形で進めるということ、あるいは会議録の公開などにつきまして基本的なルールをお決めいただいているところでございます。
 それから、部会の下に小委員会あるいは専門委員会を置くことができることになっております。それにつきましても、10ページになりますが、総合政策部会長によりまして運営の方針が定められているところでございます。今後設置されました場合は、これに従って行われていくということになるわけでございます。
 簡単ではございますが、以上、基本的なルールのご紹介でございます。

○鈴木部会長 続きまして、事務局の方から、現在設置しております専門委員会及び小委員会について説明をお願いいたします。

○小林総務課長 資料3でございます。従来から必要に応じまして部会で小委員会あるいは専門委員会を設置していただくことができることになっておりますが、今般引き続き設置していただくものとして、1つは公害防止計画の関係の公害防止計画小委員会がございます。また、昨年来環境税などもろもろのご審議をいただきました施策総合企画小委員会、この2つの小委員会につきましては引き続き設置をお願いしたいと思っているところでございます。これらの小委員会の今後の進め方につきましては、適宜その開催の時期に合わせまして、またご報告、ご相談をしながらやってまいりたいと思っているところでございます。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 ただいまの説明、そしてこの前のいろいろな規則に関する説明も含めまして、先生方の方から何かご質問あるいはご討論のようなことがございますでしょうか。
 最初の部分で、委員会の議事録等を公開するという点につきましては、これまでもそのようにされてまいりましたし、特に問題はなかろうかと思いますが、よろしいでしょうか。
 小委員会は、設置されて目的を達した段階で廃止するということになっているのでしょうか。

○小林総務課長 基本的に、小委員会・専門委員会は、特定の審議事項がございまして、その都度設置するということでございますので、基本的にはその審議事項が終わった段階で廃止していくということでございます。そういう意味で、今回も切りかえの時期でございますので、例えば環境と経済の好循環専門委員会とか、幾つかの専門委員会を設けさせていただいておりましたが、そのようなものは廃止させていただきまして、先ほど申し上げました2つの小委員会が引き続き活動していただくことになるということでございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 また何か必要に応じて小委員会の設置が求められる場合もあろうかと思いますが、それはそのときにご相談させていただくことになろうかと思います。よろしいでしょうか。

審議事項
 第二次環境基本計画の見直しについて(諮問)

○鈴木部会長 それでは、本日の第2の議題に移らせていただきたいと思います。第二次環境基本計画の見直しについての諮問、この諮問の趣旨につきまして、事務局の方からご説明をお願いいたします。

○佐野環境計画課長 それでは、これからご審議いただきます基本計画に関します諮問につきましてご説明をさせていただきます。
 資料4でございますが、本日付で私どもの小池環境大臣より中央環境審議会あて諮問がなされております。環境基本計画についていろいろと長く書いてございますが、どういう意味かと申しますと、この環境基本計画は、現行の環境基本法に基づきまして平成6年に最初のものが策定されております。それで、その後平成12年12月に現行の計画ができているわけでございますが、これは基本法の整理で言えば最初につくった計画の変更ということになるわけでございます。したがいまして、その後また社会経済の変化あるいは環境問題の変化がいろいろ起こっているわけでございますので、そういったものも踏まえまして基本計画はどのようなものであるべきかという諮問をさせていただいたわけでございます。ただ、これですと、ただどうしましょうと申しているだけで、何も方向がありませんので、私ども環境省としての考え方というか、前提と申しますか、それにつきまして資料5をつけてございます。これは、諮問をいたす私ども環境省といたしまして、こういった枠組みでお考えいただけないであろうかということを整理したものでございますが、実はこれは、昨年までこの部会でご議論いただきました現行環境基本計画のフォローアップでご指摘をいただき、それをまとめましたものをほとんど掘り返したような格好のものになっております。
 最初の見直しの趣旨ということで、今申しましたように、現行基本計画でもおおむね5年後程度を目途に見直しという記述があるわけでございまして、これに基づいて考えますと、基本計画策定後、いろいろ環境行政の進展も見られたわけでございますが、一方、環境問題にはなお深刻な状況がございます。また、現行の環境基本計画は、よくできたかということに加えまして、計画自体の限界のようなものも指摘されているところでございます。一方、社会経済の状況等についてもいろいろ変化が見られるということです。
 裏返していただきまして、これが昨年までの現行計画のフォローアップで主にご指摘をいただいたものをそのまま、ではこれを踏まえてお願いできないでしょうかと書いてあるようなものでございます。まず、目指すべき今後の社会への道筋としては、「環境と経済の好循環」、昨年の5月に答申をいただきましたような考え方があるのではないだろうか。あるいは数量的目標・指標というものを導入すべきときに来ているのではないか。それから、今日の環境問題の状況に照らせば、国民のみならず、家庭、学校、地域社会、事業者といったそれぞれの主体の役割が非常に重要であるので、これらの役割を明らかにして、これらの参加を促すようなものであるべきではないだろうか。それから、この資料の中でも出てまいりますが、環境面あるいは社会経済面での国際性というものが非常に上がってまいっておりますので、こういったものを踏まえた国際的な環境問題への積極的な貢献が必要ではないだろうか。それから、現行計画にございました戦略プログラムの考え方をどうしたらよいだろうか。こういったところを念頭に置いてご審議を賜れれば幸いと私どもでは考えているところでございます。
 それで、審議のおおむねのスケジュールでございますが、資料6に非常にあらあらまとめてございます。今後は、基本計画を取り巻く状況、最初は社会経済の動きみたいなものであろうかと思いますが、環境政策を取り巻く諸要因のご検討をいただき、その後その基本的な論点の方向性みたいなものをご検討いただいて、半年後、6月いっぱいというところをめどに、ある一つの基本的な方向性、言ってみれば骨組みか、間取りか、何かそのようなものを取りまとめていただければと思っております。そういたしますと、いろいろな各主体との意見交換等も必要でございますし、当然その骨組みに沿った肉の部分の検討も必要になってございます。そういったものも進めていただきまして、年内には原案といったもの、これもその後パブリックコメント等々が必要でございますので、それを踏まえまして、18年になるのか、年頭になるのか、なるべく早くに閣議決定までまいりたいと思っております。こんな格好でご審議を賜れれば幸いでございます。

○鈴木部会長 ただいまの事務局からの説明につきまして、ご意見等ございますでしょうか。
6月いっぱいぐらいで取りまとめを行うということになりますと、今が2月ですから、月に1回として3月、4月、5月、6月、あと4回あるいは5回ぐらいでこの環境基本計画という机の上にあります分厚いものができ上がっていくということになるのでしょうか。

○佐野環境計画課長 現行計画は大変厚いものでございまして、本当にこれと同じものをまたつくるのかということもあるわけでございますが、めくっていただきますと、この厚い部分の相当の部分をいわゆる各論、個別政策の方向のようなものが占めてございます。テーブルの上のものを斜めにしていただきますと黒く帯が入っているんですけれども、3番目の第3部というところが非常に厚いのにお気づきになられると思いますが、ここがいわゆる個別的事項の、環境行政はあれをやります、これをやりますというのがずっと書いてあるわけでございます。ページで申しますと40ページぐらいから始まりまして130ページぐらいまではずっと第3部で占められているわけです。それまでの現状認識とか基本的な考え方とかというところが1部、2部で、最初の方の40ページほどでございます。これも40ページのものをつくるかどうかは別にしまして、私どもが今考えておりますのは、特に2部に当たる基本的な考え方の枠組みと、3部の要は個別事項のどういったものをどういう骨組みで取り上げるかといったところではないかと思っている次第でございます。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。はい、どうぞ。

○猿渡委員 小委員の猿渡と申します。環境をこれから守っていこうという場合には、数値目標というのは絶対掲げなければならないと思うんです。僕らの行動というのは数字をもってしか判断できませんので、数値目標は絶対に設けるべしと思うんですけれども、こちらの資料5の裏のページにも書いてございますが、環境と経済の好循環というのがなければ、これはどちらが先にいってもいけないと思います。今のスケジュールの中で、具体的に環境と経済が両立できるような数値目標というのをどの時点で策定して、そしてそれが守れる範囲なのかどうか、それが夢物語ではなく、実行に落とせるような科学的根拠を持った数字であるかどうか、これから検証しながら決めていかなければいけないと思うんです。それだけの時間がこの数カ月の間にとれるのかどうか、どうやってそれを検証していくのかというのはちょっと疑問を感じるんですけれども、この辺をご説明いただければありがたいんですが。

○佐野環境計画課長 おっしゃるとおり、新しい試みでもありますし、今申しました、例えば環境と経済の好循環といった切り口からの、これはしたがって目標というべきなのか、指標というべきなのか、どういったものがいいのかというのはいろいろこれから検討する必要があろうかと存じます。それで、現在私どもはそういった本当に専門家、実務グループ検討等もやっているのですが、従いまして、例えば6月のまとめでは、そういったものの例えば本当にインデックスをこれにして何年後の目標は幾つということまでいくかどうか。あるいはそうではなくて、例えばそういったものの設定の考え方のようなものをお示しいただいて、では具体的にどのように設定するかは個別議論の中でということになるか。確かに、6月までに何が何でも経済関係の目標をいつまでに幾らと決めるというものではないと思っております。

○猿渡委員 動きながらまた確認させていただきたいと思います。

○鈴木部会長 目標・指標と一言でいいましても、多様ないろいろな指標・目標が検討されていると思いますし、多分今お話があった小委員会の検討結果もいずれこちらの方に出していただいて議論させていただくという機会があろうかと思いますので、またその折にぜひよろしくお願いいたします。

○猿渡委員 わかりました。ありがとうございます。

○鈴木部会長 いかがでしょうか。浅野委員。

○浅野委員 このスケジュールについてですが、誤解される委員があるかもしれないと心配されます。6月までに計画の素案をつくってしまうというところまではまずいかないと考えた方がいいと思います。従来も、計画の見直しはほとんど1年ぐらいかけているわけです。相当に突っ込んだ議論もやるものですから、6月にほとんどでき上がって、あとは形式的にパブコメなどをかけてというものでもないだろうと思います。先ほど事務局のご説明では、従来以上に慎重にやるというニュアンスのご説明であるような気がいたします。従来は大体12月に閣議決定で決めてしまっているのですが、今のお話ですと閣議決定は18年または18年度と言っておられますから、それからすると従来よりも3カ月ぐらいゆとりがあるという印象を受けます。ですから、6月までに今までの第二次計画とどういう点をどう変えるのかということは少なくともはっきりさせておかないと、いろいろな団体からのご意見を伺ったり、それから後の詰めの議論をしていくということができませんから、そこまでが6月を目途の仕事だと考えておく必要があるのではないかと思います。
 それから、指標についても、前の期のこの部会でもぜひ新しい基本計画に入れるべきだというところまでは意見が一致していますが、ではどういう項目について指標をつくるのかということに関しては、まだまだこれから議論しなければいけないところです。これも人によって考え方はいろいろありますから、全部をまとめて一つの指標をつくって、それを目標とするという考え方もあるでしょうし、個々のプログラムごとに目標をつくるという考え方もあるかもしれません。仮にプログラムごとに目標をつくるということになりますと、これは関係するいろいろな方々がいらっしゃいますから、そこでどういう数字を入れるのかという議論は大変むずかしい議論になっていくという可能性もありますので、その辺の、全体を見ながら、どの部分をどういう形ではっきり目標化するかという議論がこの部会の議論になる。その準備作業は、事務局の方も今しておられると思うんですが、恐らく夏ぐらい、6月ぐらいまでにはある程度こういうことだったら可能性があるのではないかという答えが出てくるだろうと期待しております。
 ただ、目標をつくるといっても、その前提としての指標は、ちゃんと数字を獲得できるものを中身にしていないと、幾ら指標をつくってみても、データがとれなければそれが動きませんから、どういうものならデータでちゃんと中を埋めることができるかということを見きわめながら考える必要があります。
 さらに、経済政策のような場合とちょっと違いまして、環境というのは非常に多様で、いろいろなところにかかわりがありますから、単一に目標をポンと決めて、それで環境政策の目標とするということになかなかいきません。例えば、ごみ減量ぐらいでしたら、比較的単純に何トン下げますと言えるんですけれども、それと同じような発想で議論することができる部分とできない部分があるということはよくご認識いただく必要があるのではないかと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 環境基本計画というのは一体何なのかという、その辺のところも含めて多分、今回は資料を準備していただいていますが、環境の状況、それから内外の社会経済の状況についてご説明をいただき、次回以降いろいろ環境政策のこれまでの進化であるとか、いろいろな主体ごとの活動状況であるとか、あるいは場合によりましては外国における取り組みの例であるとか、いろいろなものを考えながら、今のお話ですと、大体6月ぐらいに中間取りまとめの方向が出ればいいという感じですね。そんな感じと考えてよろしいんでしょか。何回かかけていろいろなご議論をこれから始めていただこうというわけでございます。もちろん、これまでに第1期の見直しをしていただいた部分につきましても、十分に勉強させていただいて進めなくてはいけないと思っております。いかがでしょうか。
 ではよろしければ、早速、基本計画の見直しについての具体的な審議というところで、最初に、環境基本計画の見直しに当たって踏まえるべき環境政策を取り巻く諸要因で、きょうは環境の状況の推移、それから社会経済の状況、この2つにつきまして、事務局に整理していただいていますので、資料に基づいてご説明をお願いしたいと思います。

○佐野環境計画課長 それでは、今、部会長におっしゃっていただきましたとおり、まず基本計画を考えていく上の背景と申しますか前提としまして、環境の状況あるいは社会経済の状況というのが大づかみでどうなっているのかというところをご説明させていただきたいと思います。先生方におかれては既によくご存じの図表もいっぱい出てまいりまして、おさらいということでご理解いただければと思います。資料8が環境の状況、それから資料9が社会経済の状況の資料でございまして、資料8の方から入らせていただきます。
 この項目は現行の基本計画の施策の整理になっておりまして、最初が地球温暖化を中心とします地球規模の大気環境という分野でございます。これはもう皆様よくご存じのとおり、温室効果ガスの排出量が基準年に比べまだじりじりと増加しておりまして、直近年、確定でいきますと2002年まで出ておりますが、これですと7.6%ふえてきている。
 これを部門ごとに見てまいりますと、産業ですと、これは若干上がったり下がったりしまして、現在、直近ですと1.7%減、ほかは運輸が20%の増、業務が36%の増加、家庭が28%の増とふえてしまっているわけでございます。
 これをめくっていただきまして、2ページのように、要するにおうちと会社と大きく分けますと、実はこの凸凹が結構ならされてまいりまして、家庭関連の方が基準年に比べて約33%ほど増加している。一方、おうちではなく会社の方も、実は増加してきて7.5%の増になっている。したがいまして、むしろ産業活動のサービス化の進展みたいなものがこの間に大分進んでいるということも言えようかと思います。現時点の断面で見ますと、2ページの下の表のように、おおむね8割が会社、勤め先の方、2割がおうちの方という格好になっているわけでございます。
 それから、オゾン層について見てまいりますと、近年のオゾンホールの面積というのはやはりトレンドとしてはまだ大きくなっておりまして、2003年では過去2番目であった。2002年に一たんちょっと縮んだのですが、これはどうも気象条件によるものと思われるということのようであります。
 日本上空におきましても、札幌と筑波と鹿児島ではかっております。鹿児島の線が色の関係で薄くなっておりますが、那覇と筑波の間の線でございます。やはり長期的な減少傾向が見られ、札幌で一番大きく減っているというありようでございます。
 それから、我が国の大気汚染の問題について見てまいりますと、これはまたいろいろ変化がございます。従前一番中心的な問題となっておりました二酸化窒素による大気汚染、これは実は濃度としては一般局ではおおむね横ばい、自動車排出ガスの特定局では緩やかな改善傾向ということで、この一般局で達成していないのは、直近15年度のデータだと、とうとう東京都に限られる。それも、15年度の方を見ますと1,454局中1,453局で達成ということになっていますので、15年度は1局だけが非達成というところまで来ている。それから、自動車排出ガス測定局の達成率も年々上がってきております。ただ、都府県としては、千葉県から始まって埼玉県、東京、神奈川、愛知、三重、大阪、兵庫、これに加えて静岡、岡山、広島、山口、福岡と、要するにほぼ東海道・山陽線の沿線の県に限られるという状況まで来ております。
 それから、浮遊粒子状物質につきましても、おおむね横ばいから緩やかな改善傾向が見られます。下の図で見ますと、直近の平成15年度は、急に達成率もよくなりまして、一般局で9割、自排局で8割になりつつあります。これは、担当局に聞いてみましたら、気象要因が大きいとは申しておりますが、ほかにNOx・PM法の効果等々も徐々に出ているのではないかと申しておりました。
 このNOx・PM法につきまして、6ページでございますけれども、特に今申しました窒素酸化物・粒子状物質による大気汚染の深刻な地域において、自動車の代替を促すということで、平成22年度――2010年までにこれらの環境基準をおおむね達成するという目標で規制をかけておりまして、現在、対象者のうち約3分の1が適用になって入れかわったはずだと。その後、2004年度の分、2005年度、2006年度と順次使用期限が来て、ここに当たった車については買いかえるなりしていただくという規制が適用されるということで順次強化されてまいると、平成22年で窒素酸化物が約半減、粒子状物質が8割減になると見込まれております。
 一方、低公害車の普及でございますが、ここで7ページの上の低公害車、これはいわゆる低公害車の4車種、電気、メタノール、天然ガスとそのハイブリッド、これに加えて旧基準の3つ星以上という基準でとってみますと、2003年度の下半期、ちょうど1年前になりますが、これで新車出荷の約3分の2が低公害車と言われるものになり、普及割合ですとおおむね15%ほど、これは大型車などは除いているようでございますが、乗用車と乗用車ぐらいの大きさの貨物車という中での大体15%というところまで普及率が上がってきているということのようでございます。
 もう一つの大気汚染の問題であります光化学オキシダントについては、逆に漸増、上昇傾向が見られるということになっております。
 それで、近年の問題としてもう一つ着目すべきヒートアイランド現象につきまして、下のチャートを見ましても明らかに高温の延べ時間が拡大しているわけでございますが、平均気温でとってみますと、中小都市でありますと、この100年間でおおむね1度、これはやはり温暖化であろうと言われている気温の上昇があるわけでございますが、大都市だけをとってみますと、平均で2.5度、特に冬3度、夏2度という気温上昇が見られる。この差の分というのがヒートアイランドなのではないかと言われているようでございます。
 次に水環境の方を見てまいりますと、我が国におきましては、健康項目の環境基準はほとんど達成しているわけでございますが、10ページ、11ページを見ますと、湖沼等々の閉鎖性海域の達成率が依然として低い。特にこれを傾向で見ますと、ちょうど10年前の環境基準の達成率と比べてみますと、11ページに非常に特徴的にございますように、河川では改善している水域の方が多い。4分の3は改善、4分の1が悪化していて、改善している水域が多いわけでございますが、湖沼ではほぼ同じぐらい、それから海域になりますと悪化している水域の方が2対1ぐらいで多いという傾向を示しております。
 湖沼につきまして、12ページへまいりますと、汚濁負荷自体は各種規制等あるいは下水道の普及等ありまして減少していると見込まれているわけでございますが、あるいは13ページにまいりますと、総量規制制度等もありまして、CODあるいは窒素や燐の流入します負荷量自体は減少しているとはじかれているわけでございますが、それが水質の改善効果としてはまだあらわれていないという傾向がうかがわれます。
 14ページにまいります。東京湾における夏季の溶存酸素濃度は、ちょうど東京都のお台場あたりの埋立地から千葉県側へ向かって特に溶存酸素の非常に少ない水域が出現しているという状況が見てとれるわけでございます。
 それから、地下水も近年問題となっております事情なわけでございますが、はかりますと、15ページの下の四角の注釈にございますように、年によって同じ井戸をはかっているわけではないということでございますが、はかったところの数%で硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の環境基準超過が認められる。そのほか、揮発性有機化合物、有機溶剤のたぐいといった汚染も見られるというところでございます。
 我が国の水循環につきましては、この分析も近年大分進んでまいりまして、これは国土交通省さんの資料でございますが、16ページは我が国の水の循環を見るチャートのようでございます。これを見ますと、大体日本人が水資源として利用しているのが、平均の水資源は年間4,200億トンほどと囲みのところに書いてございますが、これに対して約2割、800数十億トンを人間が引いてきて使っているということです。一番多いのが上の欄の右側の農業用水のところで、表流水で川から535億トン取っている。それから、工業用水と発電所の冷却水等で96億、生活用水に126億トンをくんでおりまして、それからその下の方で地下水からくみ上げているのが108億トンあるということで、おおむね先ほどの4,200億トンの約2割ほどを毎年人間が使ってはまた流しているということになっているようでございます。
 それから、土壌汚染も近年問題になってまいりまして、これも法律が施行されまして順次そのはかる件数自体がふえているということがございますが、それに伴いまして土壌汚染が判明する事例もふえている。ただ、14年度ではかる件数が大きくふえておりますけれども、比例して超過事例がふえているというわけでもないということで、だんだん広くはかって、出なかったというところも出てきているというところのようでございますが、このうちの約3分の2が重金属の超過事例であるという傾向がございます。それから、地盤沈下につきましても、下の[11]というところでまとめております。
 それから資源の循環、廃棄物・リサイクル分野につきましては、これも大分我が国の物質フローと、今度は水ではなくて物の方がどのように動いているかという状況もまとまってきております。これで見ますと、平成13年度と14年度にやってみましたものを比較しますと、若干5%ほどでありますが、一番下でぐるっと回っております循環利用に回る分がふえてきているということが見てとれます。
 こういったことを背景にしまして、資源生産性、GDPを得るのにどれだけの天然資源を使って得ているかという資源効率が昨年から数%増加している。それから、先ほどのぐるっと回して使っている循環利用率も増加しているという傾向が見られます。
 こういったものを背景にしまして、20ページへまいりまして、最終的に土壌の中などで処分される量も、13年度から14年度で約5%ほど減少ということで、近年減少傾向が見られるということでございます。
 一方、私どもの家庭から出ているごみにつきましては、12年度をピークにしましてやや、わずかずつぐらい減少傾向にあるというのが近年の傾向のようでございます。出てきたものの処理でございますが、8割弱ほどを要するに焼却している。あとの2割強を何らかの中間処理をする、あるいは再資源化をするといったことでございまして、焼却して廃棄してから処分いたしますので、直近ですと、20ページの下の表で、1人大体1キロ強、1,100グラムぐらい排出して、そのうちの190グラムぐらいがほかの方法がなくて処分に回るという傾向で、また処分に回る分がだんだん減ってきているという傾向がうかがえます。
 一方、22ページにまいりまして、産業廃棄物でございますが、この排出総量も、わずかではございますが、平成12年ぐらいをピークにして減少傾向にある。それから、産業廃棄物については、全体の約46%、半分弱ぐらいのところが何らかの方法で再生利用されており、1割ぐらいが最終処分に回るという状況になっております。それから、不法投棄の事例というのはやはり見られるということでございます。
 それから、化学物質について見てまいりますと、主要な化学製品の生産量は我が国におきましても世界におきましても近年増加を続けておりまして、特にアジア地域において生産量が増加している。上の図で見ますと、■のアジアという線が下の方からずっとほかの線を何本か追い抜いて上がってきているのが見てとれるかと思います。
 それを受けまして、24ページへまいりますと、アジア諸国との間の化学製品の貿易額が近年急増しておりまして、日本を含めますアジア諸国間で輸出も輸入もふえているわけでありまして、化学物質を国境を越えてやったり取ったりしているということが非常に拡大しているということが見てとれるかと思います。
 それから、PRTR制度が施行されまして、環境中に放出される化学物質量というものがある程度つかめるようになり、年間約88万トンという数字が出ておりますが、こういったものの推計ができるようになってまいりました。届出対象の工場から排出されているものが大体3分の1、そのほか、届出対象規模以下の中小工場、あるいは農業、建設業等、あるいは自動車といったところから、ここにもございますような割合で排出されている。物質ごとに見ますと、トルエン、キシレンという有機溶剤が非常に大きな割合を占めているということのようでございます。
 従前からあります化審法に基づく新規化学物質の届出状況。年間おおむね300件程度の新化学物質、これは試験を経まして、今度こういう物質が新たに開発されて、問題ないから使えますという届出がされているわけでございます。一方で、製造輸入量が少ない年間1トン以下で届出をすればいいという届出の量が急増しているということで、大量に使われる新規化学物質というのは300点程度で安定しているわけでございますが、少量だけというものの種類が急増しているという傾向が見てとれます。
 その辺の関係の主要な問題でございますダイオキシンにつきましては、排出量、それから大気・水質のモニタリングともに低下の傾向を見せておりまして、この排出量というのも一種推計が伴うわけでございますので、この成果が上がっているのかというモニタリングを引き続き続けてまいる必要があります。
 それから、有機錫化合物、あるいは29ページにまいりましてPCBといったものも、数値は下がってはきているものの、いまだに検出されるという状況が続いております。
 30ページ以降は、自然関係の情報が並んでおります。我が国の絶滅のおそれのある野生生物、動物で669、植物で1994と上がっておりまして、これは動物と高等植物の約2割程度が絶滅のおそれがある。ではどういう原因で危機に瀕しているかと、植物についてとりましたものが30ページの右側のグラフでございますが、上からずっと、森林伐採からダム建設ぐらいのところまでは、その開発で減っている。それから、水質汚濁、農薬汚染ということで環境が汚染されて減っている。それから、その下3つぐらいは要するに人間がとってしまって減っているというもの、逆に、管理放棄とか自然遷移ということで、人間が手を加えないことによって減っているものというものに分かれるようでございます。
 それから、植生の自然度、どういった植生に国土が覆われているかということで見ますと、ここの植生の分類の9と10というのがおおむね自然のままの植生ということになるわけでございますが、これが国土のおおむね2割を切ってしまったということが言えようかと存じます。
 それから、近年、里山の重要性ということが言われているわけでございます。里山と言われるようなもの、32ページでございますが、大体地方によって、ミズナラの林になるか、コナラの林なるか、アカマツの林になるか、シイ・カシの林になるかということです。ミズナラ林ですと、東北や中部。それからコナラも、東北、関東、中部、中国地方まで。アカマツ林になるのは中国地方が非常に多い。それから、シイ・カシ林になっている里山なのが四国と九州といった傾向があるのが見てとれるかと存じます。
 それから、干潟、藻場といったものの減少が見られる。
 35ページにまいりまして、では一体そういうところの保護がどうなっているのかといいますと、どういった植生を国立公園等々の保護地域でカバーしているかということで、いわゆる高山植物があるようなところ、それから高山界の植生といったところですと8割とか4割とか保護しているわけでございますが、低地にある、例えばこの下のグラフで言うと、ブナ林であるというところ、あるいはヤブツバキクラスと書いてあるようなところ、こういったところの自然の植生というのは左側に比べて余り保護地域がかぶっていない。あるいは里地・里山・干潟といったところに法の網がかぶっていないという傾向が見られるわけでございます。
 少し急ぎまして、資料9で、今度は社会経済の状況について、これからの環境政策を考えます上でどういった点を念頭に置く必要があるかと、私どもなりに見ましたものを整理させていただいております。
 最初に世界について見ますと、まず人口でございます。これはもちろん増加を続けていて、2030年の予測ですと81億人。その増分のほとんどがアジア・アフリカであると言われております。人口増加率は当初の見込みよりやや鈍化する。やはり出生率の低下、それから特にアフリカでエイズの影響といったものが人口増加を押し下げているということが言われております。
 それから、先進国と途上国とで見れば、先進国についてはおおむね横ばいで推移、途上国で増加してまいるということ、これはもちろん言われていることでございます。一方、特にこれから考えています貧困人口というのは、減少傾向ではありますが、(1)(2)のどちらで見ましても、この10年間で中国が例えば絶対貧困者ですとおおむね半分に減らした、あるいは南アジアでかなり、25%、4分の1ぐらい減らしたという成果が上がりながら、サハラ以南アフリカであるとか、あるいは欧州・中央アジアというのは旧社会主義経済国でありましょうが、そのようなところで増加が見られるといったばらつきが出ております。
 それから、世界経済は成長を続けているわけでございますが、途上国の成長率は先進国より高い成長率を保っていますが、人口増加に食われてしまって、1人当たりGNPの格差は経済規模が伸びていくほど縮小しないという状況が見られるわけであります。地域別に将来の予測ということを見ますと、どのくらいの見積もりか。低成長、高成長と、それぞれ予測がされているわけでありますが、要するに中国を中心とする途上国がどのぐらい伸びるかというところにかかっているということが見てとれるわけでございます。
 経済の点で押さえておくべき非常に重要なことは、国際性というものが非常に増加しているということで、指数で見ますと、実質GDPの伸び率を非常に大きく上回るペースで貿易数量が伸びている。要するに、経済が大きくなるよりかなり早いペースで国際貿易が大きくなっている。この右側のチャートにございますように、近年、各地域ごとに地域貿易協定、FTA、日本もメキシコとできましたとか、シンガポールとできましたと、そのようなものを結ばせようとしているわけでございますが、この中にも環境関係の協定が取り込まれるといった動きも出てきてまいりまして、注目すべきものかと思います。
 次のページへまいりまして、国際貿易について見ますと、東アジア地域内、特に機械・電気製品の東アジア地域の貿易が非常に拡大しているというのは注目すべき状況であろうかと思います。
 もう一つ、次にエネルギーについて見てまいりますと、世界のエネルギー消費というのは、どれもが地球温暖化に密接に関連するわけでございまして、ここに世界の努力がかかっているわけでございますが、とりあえず現行政策が大きく変化しないレファレンス・シナリオというもので見てまいりますと、世界の一次エネルギー需要はさらに今後30年間で6割ほどの増加が見込まれている。その需要拡大の大半のところがアジア・アフリカ・中東地域であろうと。また、エネルギー資源で見ますと、引き続き石油なりガス・石炭というものが大きな役割を担い続けるであろうという予測がされているわけでございます。
 一方、世界の環境を見てまいりますと、次に食料について見てまいりますが、食料需要も今後、年率1.5%、あるいは途上国のように2%と増加する。それも、世界の1人当たりの食料消費についてこのように拡大が見られる。それは、当然豊かになってきますとおいしいものが食べやすくなるということで、食肉の消費あるいは漁業生産がさらに増加していくであろう。特に漁業については増加分の相当程度を中国が担うのではないかという予測がされております。
 一方では、先ほどの貧困化からの脱出というのと同じように、栄養不足からの脱出というのは見込まれておりまして、2030年には現在の約半分、これも東アジアで約半減、南アジアで約3分の1にと、アジアの方では成果を上げると予測されております。一方では、アフリカの方の栄養不足人口は余り減らないという予測がされているわけであります。
 翻って我が国についてもう少し見ますと、これはよく報道されておりますように、我が国はいよいよ人口減に直面する。ことしから来年ぐらいがおおむねピークであり、これはもうピークをつけたのではないかというデータが出たようですが、減少が始まるということで、総人口は2050年までの見通しでも10%ほどの減でございますが、特に真ん中の15歳~64歳という生産年齢人口のところが大きく減って、2050年で54%、ほぼ半減するという予測がされているわけでございます。
 一方、13ページに飛びますが、世帯数自体は、要するにこれは世帯の家族の人数がどんどん減り、単身の世帯がふえるということで、世帯数自体は引き続き増加を続けまして、ピークをつけて減少するのは大分先になる。これは、環境負荷の面から考えますと、家庭からの環境負荷というのは世帯ごと、大体冷蔵庫でも何でも一家に1台ですので、世帯数に比例する部分がかなりありますので、人口減と言われているけれども、家庭からの環境負荷はそうそう比例して減らないのではないかというおそれもあるわけでございます。
 それから、人口構成は、過疎地域で特に先行する格好で高齢化が進む、人口減少が進むということが言われるわけでございますが、自然環境の管理といった点から見れば、重要な問題であろうかと考えられます。
 一方、我が国の経済・財政という観点から見ますと、経済成長率は、長期で見れば低下してきておりまして、15ページへまいりますと、伸びてはいますが、伸び率は大分低下してきている。それから、今後の見通しを考えますと、やはり出生率の低下で、この図でいきますと0.3%ぐらい押し下げるという効果が出ているわけでございます。一方、財政は厳しさを増しておりまして、これも我が国の自然環境の管理、あるいは社会資本の整備みたいなものに影響を及ぼさざるを得ないということであろうかと思っています。
 経済活動について見ますと、国際化の進展というのは我が国もまた例外でないわけでございまして、17ページを見ますと、世界の状況と並行しまして、輸出入どちらにおきましてもGDPに占める割合が増加している。それから、相手先については、これも大きく報道されましたように、東アジア地域が非常に拡大しておりまして、国別の貿易相手国も、2004年データですと、中国がアメリカを抜いて最大の相手国となったといった傾向。それから、その内容を見ますと、機械機器類の割合が増している。19ページにまいりますと、かつ、海外生産の比率が非常に増している。一言で申せば、東アジア地域を中心に工業製品を、それもその原料・製品を複雑に国境をまたいでやったりとったりしているという傾向が見られると言えるのではないかと思われます。
 それから、産業別の構成を見ますと、これはほかの先進国と同じように、サービス産業化の進展が見られるということも押さえておく必要があろうかと思います。
 21ページからは国民生活の状況でございますが、インターネットに代表されますIT化、あるいは24時間営業の店舗というのがこの10年で見ましても3倍ぐらいに増大しているという傾向が見られます。それから、耐久消費財で見ますと、もちろんテレビや洗濯機、冷蔵庫というのは100%張りついているわけでございますが、パソコンがこの10年で過半数を超えて6割へいったとか、温水暖房便座が半分までいったというところで、新たな製品が出てきているということであろうかと思います。
 一方では、23ページへ飛んでまいりますと、例えば単体でのエアコンの消費電力というものは、この10年で約6割ぐらいまで減少している。あるいはNPO活動といったものの進展が見られるという要素もあるわけでございます。
 それから、これは非常に有名な調査ですが、物質的豊かさと心の豊かさとどっちをとるかという質問をいろいろな調査でしますと、「心の豊かさだ」と答える方がふえるのですけれども、例えば有給休暇の取得率を見ますと、バブル崩壊後ボーンと落ちておりまして、世の中はやっぱり世知辛くなっているということなのかもしれません。
 最後の何ページかがエネルギーについてでございます。エネルギー消費、これは98年、2001年とマイナスの年も出ているわけでありますが、それを除きまして、依然として増加を続けている。ただ、増加率は、特に経済成長率と比べても低くなっている。それから、全体の動向を見ますと、家計部門のエネルギー消費というのは個人消費とほとんど軌を一にしてふえており、その中でも世帯数がふえているという影響がある。人口が減るとエネルギー消費は減るかということでございますが、これも、現状趨勢シナリオ、成り行きシナリオで考えていきますと、2001年ぐらいに頭を打って減少に転ずるのではないかという予測がされているということのようでございます。
 以下、エネルギー構成については、これも少なくとも成り行きシナリオにおいてはそんなに大きな変化はないであろうとか、食料自給率が引き続き低下している。あるいは国土の改変についても、近年、農林業的な農地・林地から都市的土地利用への転換の面積自体は減っているという傾向が見てとれるわけでございます。
 非常に総花でございまして、いや、むしろこういったところにもっと着目すべきだといったこともあろうかと存じますので、ご指摘を賜れれば幸いでございます。以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 大変な量の、環境の状況の推移と、それから社会経済の状況についてご説明をいただいたわけですが、これはあくまでも出発点といいますか、こういうものが背景にあって、ここからどういう情報を読み取って、それに付加価値をつけていくかという、そこが多分この基本計画を考える上で重要なことではないかと思うんですが、いかがでしょうか。ご質問あるいは……。はい、どうぞ。

○山本委員 私は、この環境基本計画を考える上で大事なのはどのくらいのタイムスパンで考えるかだと思うんですが、5年くらいのタイムスパンではなくて、できれば21世紀前半、少なくとも2050年くらいまでを視野に入れて、基本計画について議論することが重要だと考えます。それで、今ご説明いただいたのですが、私にとって大変不思議に思ったのは、気候変動の問題についてほとんど説明がないというか、温室効果ガスの総排出量の推移等の説明があっただけでございまして、これは非常に理解に苦しむわけでございます。と申しますのは、今、世界は京都議定書の発効を受けて、さらにその後ポスト京都議定書でどう地球の気候変動を最低限に抑え込むかという議論をもう始めているわけでございまして、特にこの数年はさまざまな科学的な成果が蓄積されてきたわけでございます。したがって、私が要請したいのは、この環境基本計画を作成するに当たっては、この数年の最新の科学的成果をぜひ反映させていただきたい。
 一例をご紹介いたしますと、例えばこの2、3日、NASAのゴダードセンターからアナウンスがありましたように、ことしは恐らく史上最高温度になるだろうということが予想されているわけです。このペーパーを見ますと、1890年以来の過去の地球の平均気温の最高温度を記録したのは、1番が1998年、2番が2002年、3番が2003年、4番が2004年なんです。何とこの上位4位のうち3つまでが21世紀に入ってからであるということで、これはドクターハンセンの予想でございますけれども、ことしは最高温度に達するだろうということがもう予想されている。さらには、皆さんご存じのように、今アメリカの上院では、マケイン=リーバーマン法が提案されているわけで、これは可決されるかもしれないということになっているわけです。2月10日のマケイン上院議員の議会における演説を読みますと、この演説では、まさに北極の周りの8つの国の合同の調査報告書、例のACIAでありますが、これは1,800ページの報告書でありまして、そこで得られた科学的成果をもとにして、直ちに行動を起こさなければいけないということをマケイン上院議員は議会で証言しているわけです。
 さらに、この1月28日のダボス会議でイギリスのブレア首相が演説しまして、例のG8では、まさに地球温暖化問題と、もう一つはアフリカの問題を取り上げたと言っているわけでありますが、ダボスのブレア演説は何をもとにしているかというと、まさにこの数年の温暖化Climate Changeの科学的成果をもとにして言っているわけです。この演説を読むと、イギリスのハドレー気候システムセンターの膨大な研究成果を引用して彼は主張を展開している。ハドレー・センターのレポートはここにありますけれども、このレポートは、今月2月1日か3日、これはロンドンのハドレー・センターで行われた200人が参加された会議でありますけれども、大気中の温暖化効果ガスをどのくらいのレベルで安定化させるかという議論を展開しているわけです。最近の研究によれば、緩やかな温暖化が突発的にさまざまなDangerous Climate Changeを引き起こすという可能性があるということは、これはほぼ相当の確信をもってそういうことがあり得るということが言えるということが、膨大な計算機シミュレーションによって明らかにされてきているわけです。そういうバックグラウンドがあるものですから、政治家がそういう科学的成果をバックにした政策を提言する、あるいはそういう政治的行動を起こしているということだと私は理解しております。
 そういう観点で見て、例えば今回の今ご説明いただいた中を見ますと、全くそういうことが一行も出てこない。例えば生物多様性の問題にしても、昨年「ネイチャー」に載った論文によれば、温暖化によって2050年までに全生物種の4分の1が絶滅する危険があるということが書かれているわけです。これは非常に高く評価されている論文ですが、こういう研究を一体我々はどう受けとめるか。まさに科学的研究に基づいて環境基本計画を立案しなければ、これはまさに我々が後世に対して責任を問われるということだと私は深く信じているわけでございます。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 私も、環境基本計画、これは先ほど6年ごとに見直しという話であったかと思いますが、やはり長期的なきちんとした着地点のようなもののビジョンを見据えた上で、そこに向かうためには6年間で何を計画していくか、そのような基本計画であってほしいと思っているわけですが、いかがでしょうか。今、環境の状況の推移あるいは社会経済の状況について、当面いろいろ厳しい問題がある、あるいは当面このように改善されたといったご説明が資料8、資料9であったかと思います。いかがでしょうか。きょうはまず第1回目ですので、これからいろいろご討議いただく上でも、基本的なご意見をいただければと思いますが。どうぞ。

○横山委員 少し細かい話から大きな話に移りたいと思います。
 細かい話というのは、きょうの説明にはなかったのですが、生物多様性の保全という観点で一つ質問と意見を述べたいと思います。外来種、移入種、外国から入ってくる生物の問題で、資料7にもあるように、去年の5月に特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律というものが成立して、これは生態系関連の学者などには大変画期的なものだという評価を受けたわけです。ところが、その後どういうものを指定するかという段階になって、オオクチバスとか、そういうものについて少し指定をおくらせるとか、要するに関連業界からの強い要望、ありていに言えば圧力によってその指定がおくれるような見通しになった。そういうときに大臣の鶴の一声でもとに戻すということが固まったわけで、その辺どうなっているのかというのを少し説明していただければと思います。
 なぜこの問題を持ち出したかというと、今も話題になった地球温暖化問題に関して、京都議定書も発効するというのに、実施の段階というか、そこでやっぱりいろいろな省庁、いろいろな業界の反対もあって、なかなかうまく進まない状況なんです。私は、次元は違うけれども、温暖化の問題をとっても、あるいは今の外来種の問題をとっても、同じような問題を抱えていると思うんです。せっかくいろいろないいものができても、どこかの省庁、どこかの業界が反対することによって、それから一切進展しないというわけです。今後、環境基本計画をつくるに当たっても、格好いいことを言っても結局はその問題に突き当たると思うんです。例えば、資料5の第二次環境基本計画の見直しについてというのでも、2の計画見直しの基本的方向の(3)に多様な主体の参加を促す計画と、これは非常にいいことを言っているけれども、結局、例えば環境省と経産省の対立とかということになると、いろいろな主体が参加しても、そこでもう滞ってしまうわけです。ですから、今後環境政策を実行に移すときに、そういう関連業界からの圧力によって、せっかくのものがだめになってしまうとか、あるいは実施が非常におくれる。その問題を議論しないで、こんな方向でやりましょう、こんな第二次環境基本計画をつくりましょうと言っても、余り意味はないのではないかと思います。ただし、環境基本計画の中にそういうことをどのように書くかというのは大変難しい問題で、それで1項目設けるなどということはできないかもわかりませんけれども、今のままで見ていくと、繰り返しになりますが、地球温暖化の問題、あるいは外来種の問題をとっても、さまざまな問題を抱えていて、第二次環境基本計画をまとめるに当たっても、そういう問題に少し何か方向性を与えないと、非常にむなしい基本計画になってしまうのではないかと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 大変大事なところであろうと思います。環境基本計画というのは、実際には委員の間でいろいろな意見の分布があり、具体的なところではいろいろなコンフリクトがあったとしても、きちんとした理念に基づいて、例えば次の次の世代ぐらいがこれを見直したときに、うちのおじいさんが委員としてこんな発言をしていたんだというところで恥ずかしく思われないような基本計画をつくらなければいけないと思うんです。そのようなところを、ここはここでどうでしょうか。少し具体的な問題でいろいろなところといろいろと調整が必要になるということは承知の上で、あるべき姿みたいなものをきちんと考えておく。ただ、それは基本法のレベルの問題と、基本計画のレベルの問題と、いろいろ差別化しなければいけない面はあるかもしれませんが、その辺も含めてぜひご議論いただければと思います。いかがでしょう。札を立てていただいていますので、筑紫さん、どうぞ。

○筑紫委員 こちらの社会経済の状況について、例えば24ページにありますように、国民の生活・活動様式というところで、心の豊かさを求めていくような傾向にあるというのが出ながら、25ページで、例えば民需におけるエネルギー消費がふえているといったものを見ると、大変ショックではあるんです。ただ、私の実感ですと、ちょっとにわかに信じがたいというところもあって、この国民の意識というときに、かなりジェンダーの――余り何でもそう言ってしまうとあれがあるかもしれませんけれども、年齢別にとか、それから女性と男性でとか、もっと細かくその意識というものを分析しまして、やはり意識がアクションにつながるわけですから、そしてそのときにいわば環境問題の意識の一番高いところに、選択と集中ではありませんけれども、さらに広報をしていき、その人たちが周りの人の意識を変えていって、アクションを変えていくといったことが大事ではないかなと思ったんですけれども、もう少しそういう意味で、これを分析されるときに細かく分析していただきたいし、そういった状況がいただければと思いました。
 以上です。

○鈴木部会長 これは、地球環境部会などではもう少し詳しいデータを持っておられるのでしょうか。

○佐野環境計画課長 はい。世論調査もございますが、これから順次私どもの方の出し物の中に、例えば国民意識の動向みたいなものも整理してみたいと考えておりまして、そういったところの分析の中では、筑紫委員にご指摘いただきましたような観点も含めて分析集計をやってみたいと思います。

○鈴木部会長 国民意識というのは、次の基本計画の中でもきちんと何らかの形で位置づけていくということになろうかと思います。
 武田委員、どうぞ。

○武田委員 今お話がありました国民の生活・活動様式の22・23ページの関連でお伺いしたいんです。その前にもご説明がございましたが、民生運輸というか、民生乗用車といいますか、この分野が非常に増加しているということでございまして、資料5の基本的方向というところが(1)~(5)とありますが、この中でも特に(3)の多様な主体の参加を促す計画というところが非常に重要だと思うんです。国民の皆様というか、環境については、一部の人は非常に熱心でございますけれども、かなり多くの人は、意識はあるけれども、なかなか行動に結びついていないというのが実態だろうと思うんです。ところが、省エネ危機のところの資料にも、エアコンであれば6割、40%の削減になるということがございますように、国民全体で言えば、削減ポテンシャルというのは大変大きなものなんです。年間数千億トンあるんです。これをどうやって行動に結びつけるのかということが、今回といいますか、これからの実効ある計画にできるかということになるわけでございます。
 例えば、資料9の22ページの自動車の資料を見ますと、7,700万台あって、乗用車が7割、ただこれだけの区分なんです。私は、皆さんもそうだと思いますけれども、最近非常に小型、コンパクトな車、軽が非常に売れているということでございまして、金銭的な問題はありますけれども、国民の意識の中にも、小さい車、エネルギー効率のいい車を買おうという意識があると思うんです。これは何も数値目標を新たにどうのこうのと言わなくても、統計は当然とれると思うんですが、なぜここにそういう傾向、国民がそういう行動をとっているというデータがないのか、非常に不思議なんです。
 それから、23ページにおいても、エアコンに限らず、電化製品については、技術の進歩によって非常に省エネが進んでいるわけです。これをいかに省エネ機器にかえていただくかというのがこれからのポイントになるわけですけれども、それについては資料がとれるのかとれないのかわかりませんが、少なくともそういうデータがなかなかない。若干不満な感じもするんですが、その辺のデータがあるのかないのか。どういう状況なのか。どう進めるかというのはこれからですけれども、現状の認識自体はその辺にポイントを置いてやってもらいたいし、もしデータがあったら教えてもらいたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 はい。

○佐野環境計画課長 今ご指摘の点に絞りますと、実はたまたま昨年の環境白書で分析をやっているのですが、乗用車だけをとりますと、皆さん、何のかんの言いながら大きい方へ買いかえられるので、これだけ単体の燃費がよくなっているにもかかわらず、トータルで見たときの燃費は実は悪化を続けていた。ここ1、2年で下げどまったというのがデータに出てまいったところでございます。ですので、今、委員がご指摘になった、多分軽が売れ出したというのは非常に最近の状況なんであろうと思いますけれども、いずれにせよ、ご説明が悪くて申しわけなかったんですが、これがまず世の中の状況でございますが、今度、国民意識であるとか、そういうそれぞれの主体の環境に対する動向みたいなもの、それから山本委員からもご指摘がございましたけれども、環境政策の動向、あるいは研究の動向みたいなものを順次ご説明してまいりたいと思います。その辺の切り方がちょっと悪くて、ここのかたまりでやっておくべきような情報ももしかしたらあったのかもしれませんけれども、それはご指摘でございますので、次からまいります便にぜひ載せまして、ご説明をさせていただきたいと思っております。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。
 あと、いかがでしょうか。久保田委員ですか。

○久保田委員 細かいことですが、2つ、質問と、ちょっと意見だけ申し上げたいと思います。
 まず、これは別に一般に出す資料ではないとは思うんですが、それぞれの部会を横断的にしているメンバーからすると、専門用語がちょっと多いので、やはり丁寧にちょっと解説するとか何とかということはした方がいいんじゃないかと。特に環境問題は割とそういうのが多いので、普通の国民のサラリーマンやその奥さんがわかるという表現にできるだけすべきではないかと思います。
 それから、これはこの総合政策部会で聞くことが適当なのかどうかちょっとわかりませんが、本来は地球環境部会かもしれません。2ページ、[4]でしょうか、先ほどのCO2、温室効果ガスの配分で2対8ということなんですが、公共部門と企業で8の中を分ければ、公共部門というのは一体どれぐらいになるのか、数字がもしわかっていたら教えていただきたいと思います。
 それから、意見ですが、私も、環境と経済の両立というか、あるいは環境と経済の好循環みたいなものを本当に日本の国として腰の座った状況で国家戦略なり、どこまでそういうことをできるのかということは、非常に大事だと思います。それは、この環境基本計画を策定するに当たっても、また、先ほどご意見がありましたが、その前の足元の問題として、7月にロンドンであるときに小泉首相が一体どういう見識とあれで環境問題を表現し、しかもある種のポスト京都、ビヨンド京都についても一定の見識なりリーダーシップを持ってやっていただきたいと思うんですが、そういうことをお持ちなのかどうかということの肉声が全く聞こえてきません。しかしこれは、私どもは労働組合の立場なんですが、実は環境問題だけではないんだと思います。社会保障の問題や、税との関係や、そういうことを含めて、本当にどういう社会を我々は選択していくのかと。一方で人口が非常に減少するとか、成熟社会とか、それは中国や東アジアがここまで来たときに、日本の国内の雇用問題というのはそう簡単ではないという実感を我々労働組合としても持っています。ただ、そういうことの中で、一定の戦略とそのことが可能なのかどうかということも含めて考えていくべきだと思いますし、そのときに、環境問題もそうでしょうが、一人一人の国民も、きれいごとばかりではない。それから、ふわふわっとしたイメージだけで言っている、あるいはどうせやるのは私ではない、だれかがやってくれるではなくて、みずからそういう生活を選択する、あるいはそういうことについて自分はそれでオーケーとするのかどうかといったことについて、一人一人が自分のこととして引きつけて考えて、国の方向性の結論を出すという作業があらゆるところで、実は憲法問題などもそうなのかもしれませんけれども、必要ではないかと思っていますので、環境基本計画がそういうことをやることなのかどうかはよくわかりませんけれども、国民1人1人への問題の突きつけ方といいますか、そういうことについても、そういうデータやあるいは選択肢や、そう甘くないということも入れ込んだ上での選択肢をそれぞれが考えていくという時代に来ているのではないかなとも思っていますので、我々が目指す社会のあり方そのものの議論ということはごまかさずにやっていかないと、すぐお先が見えてしまうのではないかという感じがいたします。
 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 それぞれの国民の方々の意識をどのようにというのは、この第三次の基本計画を考える上で非常に重要な部分だろうと、これは先ほどからご指摘をいただいているところであります。
 それでは、三橋委員。

○三橋委員 経済と環境の好循環という問題について言えば、今、経済と環境が好循環ではなくて、むしろトレードオフの関係にあるので、経済と環境の好循環というものが議論されているわけですけれども、環境基本計画については、経済と環境の好循環の中身を、非常に痛みを伴うかもわからないけれども、しっかりと議論しておく必要があると思うんです。例えば、先ほどの図で言えば、24時間営業する店がふえていますと。これは、これから京都議定書などが発効する中で、省エネを進めていかないといけないときに、24時間営業するということは企業の自由ということで認められていいものかどうか。あるいは、自動販売機が今ほかの国と比べて日本は非常に多いです。自動販売機は相当エネルギーを使うわけです。そういうのを便利だからといって今のような状態で放置しておいていいのか。あるいは、テレビ番組も、若者の間では深夜放送が人気があるというので、24時間やっているかどうかはわかりませんけれども、そういうのがいいのかどうか。そのように、便利だけれども、エネルギー多消費につながってしまって、温暖化に非常に大きな問題を起こすといったこととつながる場合に、経済と環境というものを考える場合にどうしたらいいのかということでしっかりと議論しないと、抽象的に経済と環境の好循環と言ったところで、中身に踏み込むと、例えば自動販売機の業者が反対するからしようがないみたいな形で、本質はちっとも解決できないようだと、ぐあいが悪いと思うんです。
 私は、この際、市場経済のもとでも一定のルールというものを議論しておく必要があると思うんです。そうしないと、京都議定書の8プラス6で14%削減するなどというのは、生半可なことではできるはずがないんです。今の経済、特にエネルギー多消費につながるような部分に相当切り込んでいかなくてはいけないわけです。だから、市場経済での競争という場合でも一定のルールがあるんだといったことを、むしろこの環境基本計画を考えていく場合には、もっと踏み込んで議論する必要があると思うんです。特に、これでつくる第三次環境基本計画は、京都議定書の発効で、その目標に向けて日本経済社会全体が動き出しているときにつくるわけですから、そのような問題も含めて、経済と環境の好循環、エネルギー多消費型の今の便利な生活で、どの程度まで痛みを私たちは受け入れていくのか、そういう問題に対してもきちんと切り込んでいく必要があると思うんです。それで、今、例えば私が申し上げましたようなことは、今までやっていることに対して歯どめをかけるということで、石油ショックの時代みたいな暗いイメージをお持ちになるかもわかりませんけれども、それにかわる新しいビジネスというものは必ず出てくるんです。そういうものを育てていくということで経済の活力を失うことなく、エネルギー多消費型、あるいは24時間の営業などというばかなことをやめるといったことまで考えていく時代に今来ているんじゃないかということを私の問題意識として提起させていただきたいと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 はい。

○田村総政局長 地球温暖化対策について、多くの委員からご意見をいただきまして、資料が不十分であるというご批判もいただきました。私どもは、地球温暖化対策、逆に言えば脱温暖化社会を構築していくことというのは、環境行政の最も大切な課題であると思っておりますし、この基本計画の見直しの中でも、当然その地球温暖化対策をどのように進めていくかというのは非常に大きな視点であろうと思います。本日の資料は、環境問題、あるいはそれを取り巻く経済、人口、社会、いろいろな問題について、ともかく全容を見ていただこうということでいろいろな資料を用意いたしました。不十分な点が多々あるのはご承知おき願いたいと思います。これから部分部分、いろいろなご質問のあった部分を含めて、これから詳細な資料をそれぞれ出していきたいと思います。
 それから、先ほどの外来生物のことについてまだお答えしていませんので、自然環境局の方からちょっと答えたいと思います。

○伊藤自然環境局総務課長 自然環境局の総務課長でございます。特定外来生物の件でご質問がございました。この法律自身は、昨年の通常国会で成立いたしまして、6月2日に公布されてございます。1年以内に施行するということでございますので、ことしの6月1日までに施行しなければならないといったことで作業を進めているわけでございます。この法律に基づいて特定外来生物を指定する場合には、専門家の意見を聞きなさいといったことが法律上定められておりまして、そういったことで特定外来生物専門家会合というのを開いていただき、さらに親委員会のもとでいろいろな分科会等も設けていただいて議論してきたわけでございます。1月31日にこの特定外来生物専門家会合で、第1次の指定について専門家としての結論をいただきました。その中では、オオクチバスを含む37種類の特定外来生物を指定対象とすることが適切であるといった専門家からのご意見をちょうだいしたわけでございます。これを踏まえまして、現在この37種でいいのかどうかといったことでパブリックコメントをやっております。パブリックコメント自身は、2月3日から3月2日の1カ月間をかけて、現在募集しているところでございます。このパブコメの意見をさらに勘案した上、6月1日の外来生物法の施行に間に合うように特定外来生物の指定を行いたい。大体4月の下旬ごろに行いたいと考えておりますが、今そういったスケジュールで進んでいるわけでございます。
 あくまで、いろいろオオクチバスを含めてさまざまなご議論がございましたけれども、1月30日の特定外来生物専門家会合の結論を踏まえて、今パブリックコメントをしている最中でございまして、またその意見も踏まえて指定したい。
 それから、今回37種ということで、一応専門家からのそういう指摘を受けたわけですけれども、第2次、第3次の指定についてもぜひ早急にやりたいということで、これは知見が必ずしも十分ではないといったことでちょっと後回しにされたものもたくさんございますし、そういった第2次、第3次の指定に向けても精力的に取り組んでいきたいと考えている次第でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 今、自然環境局の方からお話があったんですが、この基本計画には余り自然環境局関連というのはきちんと位置づけられていないというのはどうしてなんでしょうね。生物多様性などという概念を国民がそれぞれきちんと理解して、いかに重要であるかを認識した上で、先ほど山本委員からもご指摘がありましたが、温暖化によって今1,000万種と言われている種が50年で500万に減っていくとか、いろいろな推定がされているわけで、こういうものは日本は関係ないんだというわけにはいかないと思うんです。

○佐野環境計画課長 現行計画でも、11の戦略的プログラムの1つが生物多様性の保全ですので、拾っていないことはないつもりなんですが、もちろんこれからつくる話ですので、十分考えてまいりたいと思います。

○鈴木部会長 浅野委員。

○浅野委員 まず、この資料について、先ほど久保田委員がコメントが必要とおっしゃったんですが、それは確かにそのとおりだと思います。きょうはとりあえず頭出しで、何となく倉庫の中からいろいろ探してきて上げたという印象が強いし、特に環境の状況推移ということで、環境省の各局が持っているデータでこれをつくっているだけですから、これが環境全体だということにはならないだろうという点には十分留意する必要があると思います。この資料の中で、例えば72ページをあけてみると、産業廃棄物の不法投棄の状況という項目がありますけれども、これなどはかなり説明がおかしいように思われます。というのは、ここには不法投棄が発見された年度ごとにそのときに発見された量が載っていますから、これは例えば平成15年に74トン不法投棄されたのではなくて、過去分がこのときに発見されたということだと思われます。こういうことは、かつて地下水の汚染とか土壌汚染についても、その年に汚染されているかのような報告ぶりだったので、おかしいと指摘しまして、それは直ったんですけれども、不法投棄についても、要するに過去分がそのときに発見されたということでしかない。だから、これで毎年ふえているとか減っているとかという議論は余り意味がないんです。そういうところがこういう資料の出し方だと誤解を与えてしまうという気がいたします。
 これはこれからさらに改善されるということですからいいかと思いますが、山本委員のご指摘は前の中央環境審議会のこの部会でも言われてきたことで、5年ごとに基本計画を見直すということは、第一次の環境基本計画をつくったときに既に、1回つくったらつくりっ放しということになってはいけないから、5年をめどに見直ししましょう、そしてこのままでいいということになったらそのままやりましょうということがあって、第二次計画では大幅改定になったわけです。それで、今度は第三次計画も恐らく大幅改定になるだろうと思うんですけれども、これで何となく5年ごとに改定していくという印象が定着してしまっていますけれども、もともと法律には環境基本計画では長期の見通しを示せと書いてあるわけですから、長期の見通しをもっとちゃんと持たなければいけないことは当然のことでありまして、これは前からそのことが指摘されていますから、長期のビジョンをしっかり持った上で、5年ごとの見直しで必要なことも書いていくということが、今度の基本計画ではないかと思います。
 とりわけ、戦略プログラムとして11上げたのですが、これは前から言われていることですが、第二次計画の段階では特にそのうちの前半の6つについては、重みづけというか、全体の階層構造のようなことを余り考えないで、これがとりあえず問題だからと書いたようなきらいがあるわけです。そのために、先ほど部会長もおっしゃいまして、山本委員もおっしゃったんですけれども、生物多様性と温暖化がどう結びつくのかといった視点が欠けてしまっていますし、あるいは、水循環という言い方をして森林の話はするのですが、それがほかとどう結びつくのかということが欠けてしまっているわけです。ですから、ここで出ているプログラムそれ自体は今さらこれを捨てていいというものもなくて、プログラムはちゃんと残すべきだろうと思いますけれども、全体の構造化というのはしっかりやって、特にそこを重点的に、一番上位構造になる部分で、ここで収れんされるものはこうなんだということをはっきり示すような計画にしていかなければいけない。その点は、山本委員がおっしゃるとおりだろうと思います。
 そして、特に温暖化の方は、もう今週から京都議定書が効力を発生いたしますと、京都議定書の達成ということが、とりあえず重点になるわけです。しかし京都議定書の達成ということは、第1約束期間の5年間に6%削減をいかに達成するかということに全力を挙げるということになりかねないわけです。もともとの枠組み条約で安定化と言っていることを受けて京都議定書なんですから、本当は安定化という大きな目標を、山本委員がおっしゃっているようなことをちゃんと考えて、その前提のもとでの議定書だという位置づけにしなければいけないのに、ともすれば、ともかく5年間だけしのげばいい。極論すれば、足りなければ外国から買ってくればいいんだみたいな話になってしまっています。その先のことについて、ポスト京都のことはまた別の話だということになってしまう。これは非常に困ります。それから、技術的にブレークスルーして何とかできればそれでいいんだという発想が先に立ち過ぎてしまうという危険性もあるわけです。例えば、その典型例が、原単位でものを言いましょう。しかし、活動量もちゃんと見て、そのマネジメントをやっていかなければ、原単位だけではどうにもならない部分があるのに、全部技術的に押さえられるところだけでやっていこうということになってしまう。それをどこかで突破していくというか、それを超える大きな視野を示すのが環境基本計画ですから、おっしゃるとおり、本当にちゃんと長期的な見通しを示して、その上でという議論をしなければいけないだろうと思います。
 それから、武田委員がおっしゃった点については、私も、思いは多少違うかもしれないんですが、どうやってこれを、例えば省エネ機器をどうやって普及するのかということを抜きに、省エネ機器でこれだけ下がるはずですと言ったってしようがないという点は、おっしゃるとおりです。だから、どう実現するのかということが大事です。これまでの基本計画にやや欠けているのは、ここに書いてあるプログラムはどのように実現するのかという政策実現手法について十分に示していない。第二次計画では、一箇所にまとめて教科書風に書いてしまっていて、一つ一つのプログラムがどういう政策実現手法にうまくなじむのかという点が欠けています。これは恐らく目的達成計画でも同じような問題点があるんですが、そこはなかなかいわく言いがたし、難しい面があるかもしれないけれども、今度の環境基本計画の中では、政策実現手法を個々のプログラムにしっかり結びつけられるような形で書いていかなければいけないというご指摘であったという意味では、武田委員のご発言は大変適切なご指摘ではないかと思います。
 あと、活動量のマネジメント、それをルール化するということを考えないで議論してもしようがないというのは、三橋委員がおっしゃったことを私も同じようなことを考えながら今繰り返して発言したわけですけれども、きょうの今までのご議論で、まだご発言のない方はいらっしゃいますけれども、これから先の議論を進めていく上で本日は貴重なご意見が出たのではないかと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 あと、時間も限られてまいりましたが、永里委員、中野委員、中村委員、それから松田委員、ではその順番でお願いいたします。

○永里委員 環境と経済の好循環という響きは非常にいいんですけれども、そう簡単ではないと思います。環境をよくするということは、ある種の規制を伴うことであり、あるいは痛みを伴うことでありますから、そういう社会を目指すんだということを国民に明示すべきだと思います。そういう意味では、人口減少の日本の将来において、子々孫々の日本のあるべき姿ということを示して、環境基本計画は示すべきではないか。あえて言えば、どちらかというと社会主義的なEU的な国を目指すのか、あるいは若々しいアメリカ的な資本主義的な社会を目指すのか。そういうことについて、ある程度国の形を議論しつつ、長期的な見通しに当たって環境基本計画はあるべきではないか。そういうことなしに環境基本計画というのはあり得ないんじゃないかと私は思います。

○鈴木部会長 中野委員。

○中野委員 身近なことなんですけれども、この中でいろいろな資料を出していただいて本当にうれしく思っておりますし、身近なデータなどが多く、大変参考にさせていただきました。そうした中で、ごみの排出量がだんだん減ってきたということ、これも国民1人1人の創意工夫の努力のたまものだと思います。そうしたことを受けまして、今世界でも栄養不足の人口が多いということがここに書いてありますけれども、その中で、ここまで書いていただきましたら、できましたら、今日本のレストランでたくさんの残飯が多く捨てられ、そしてまたそれがいろいろな面でエネルギーのマイナス面になっていると思います。そうしたことで、ここも1日にどれぐらいの残飯が私たちの周りから食料としてではなくて排出されているということも書けたら書いていただいた方が、もっと国民は身近に感じていただけるのではないかなと思いました。
 ありがとうございます。

○中村委員 環境対策というのは、一つにいいますと、少子化対策と非常に似ているなということをきょうは感じております。何かをしなければいけない、今後日本は大変なことになると言いつつも、これといった手段が見当たらないのが今の少子化なんですけれども、環境対策も、余りその痛みを現在感じていないところから、なかなか有効な行動計画を、一応出しても、それが実行されないでいるという感じがいたします。まず私は、これは小学校、中学校、高校、こういうところにもう授業の一環といたしましてきちんと環境の教育を入れていく。いわゆるイベント的な、あるいは講座的な形で地方自治体に任せたり、いろいろなNPOさんのご協力に頼るということではなくて、授業の一環として入れるんだというぐらいの強い意思がそろそろ必要なのではないかと思います。
 それから、経済の発展と環境ということを調和させていくということですが、これは当然やらなければいけないことでありますが、はっきり言って、代替エネルギー、それから新技術の開発、この2つによってやっていかなければいけないんじゃないかと思います。ニューヨークであの9.11の後グラウンドゼロになったところに新しいビルが今度建つということですが、あそこは今まで世界で一番高いビルを建てるんですが、すべて風力発電、いわゆる高い高層ビルのところにはものすごい強い風が巻き起こるということで、この風を使って全部ビルで必要なエネルギーを賄う。あるいは雨水で必要な水を自分たちでコントロールできるようにする。したがって、今、東京は再開発ブームになっておりまして、高層ビルがどんどん建っております。この30階、40階という高層で、驚くべきことにほとんどが電気を使っています。中が全部電気です。一つの家で約100アンペアを入れないとだめ。要するに床暖房、クーラー、電気冷蔵庫、それから洗濯機、食器洗い機、こういったものが全部電気で、今再開発中の高層のアパートにはそういう形で入ってきています。今、ますます民需の中でエネルギーが高まっていこうとしているところを、何の待ったもかけていない状況になっているんです。したがいまして、この一つのビルを建てたり、一つの家の中で風力であり、太陽光熱であり、いろいろなものでセルフコントロールができるような新技術を開発していくところに大きく目を向けていければといった方向性をこの計画の中にぜひ持っていただけたらと思っております。

○鈴木部会長 松田委員。

○松田委員 私がこのごろ疑問に思っていて、自分なりに解決法が見えにくくなっていますので、データとしてお教えいただきたいと思うことがあるんです。それは、環境というのは災害を予防するためにある、環境を守るということは予防原則だと思っているんです。そうすると、この前の新潟の地震だとか台風だとかで被害が出ましたけれども、あの被害の修復するためのお金というのが去年1年でどれくらいかかったのだろうか。そのお金をかけるぐらいだったら、予防的な政策措置というところにお金をかけていった方がずっと効果的ではないかと思いまして、防災と環境というのをこれからセットで考えていく政策立案というのが必要なのではないかな。環境だけで物事を考える時代というのではなくて、次の世代の持続可能な社会というものをもっと国民にわかりやすく伝えることが必要なんだろうと思い始めました。そのためには、つらい選択だけれども、本当にこの環境と経済の好循環という口当たりのいいもので次の5年間をいけるかというと、決してそうではないだろうと思い始めています。もっと、経済社会というものが持続的にずっと可能なのかというと、恐らくそうじゃないかもしれない。だったら、国民としては、日本の国の国益というのをきちんと守っていくために国民がすべきことは何なのかというふうに、先ほど何人かの委員の方がおっしゃいましたけれども、現実をきちんと見つめていきながら考え方をトレーニングにしていくような、そういう施策の見せ方というのが必要なのではないかなと思っています。そういう議論をこれから1年間やっていって、怖がらずに日本の政策の方向性を国民に見せていく。産業界にも考えていただく。みんなで知恵を出していくというふうにしていきたいな、これは抱負なんですけれども、そういう視点で私は参加していきたいと思っています。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 では、最後になりますが、安原委員。

○安原委員 ありがとうございます。今後の計画見直しの基本的方向というのは、資料5に5点示されておりますが、まさにこのとおりだろうと思います。いずれも重要でございますが、特にきょう議論がありました1番の「環境と経済の好循環」の提示、これは非常に難しい問題だろうと思います。昨年来この検討が検討小委員会の場で行われて、総合政策部会の方に提案されて、それはビジョンしか示しておりません。そのビジョンを実現するための施策・方策については、ぜひ総合政策部会で検討してほしいということになっておりますので、ここで皆さんの英知を集めて、それが実現できるような道筋を明確に示していただけるように期待したいと思います。
 いろいろな施策があると思いますが、ここにも書いてございますが、きょうも皆さんが言及なさいましたが、重要な柱はエネルギー対策ではないかと思います。温暖化対策の関係等でこれまでもいろいろな検討がされておりますが、省エネルギー、エネルギー利用をできるだけ減らしていくという方策については、非常に検討が進んで、いい内容が出てきていると思うんですが、いかんせんエネルギー供給のサイドの検討というのは、私が見たところ、まだまだ不十分ではないかなという感じがしております。今も言及がございましたが、一番広く言えば新エネルギーでしょうし、自然エネルギー、あるいは再生可能エネルギー、これをできるだけ使っていくという方策を編み出す必要がある。いずれもまだウエート的には小さいものですから、なかなかそれに大きく依存して経済を引っ張っていけないという感じがあるのですが、それは、そこに大きな将来性があるのではないかと。ヨーロッパなどは、非常に大きな努力目標を設定して、そのための具体的な検討をどんどん進めております。日本でのエネルギー供給サイドでの新エネルギーの利用の目標というのは、いかんせん小さい過ぎるのではないか。もっと思い切った目標を立てて、それに近づいていくための社会的な仕組みをつくっていかなくてはいけないのではないかなと思います。システムづくり、ここに書かれております社会経済システムの構築をやらなければいけない。その場合に、政府の内部でエネルギー担当省庁と、それから環境省との関係で十分協議・検討を進めて、いい方向を出していっていただきたい。それを強く期待したいと思います。
 ありがとうございました。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 きょうは、我が国における環境の状況、そして社会経済的な状況につきまして、資料をもとに概要をご説明いただきました。資料に関しましてはいろいろとご指摘もありましたように、まだこれは出発点ということで、個別にもう少し掘り下げたいろいろな検討がこれから進められていくことになるのではないかと思います。そしてまた、エネルギーに関しては、皆様が非常にそういう意味での重要性を認識されているわけですが、地球部会といいますか、温暖化に関しましては、京都議定書の目標を達成するための計画というものがこれから動いていくことになりますので、そういう計画とこちら側の基本計画をどのように整合させながら、なおかつこの基本計画はもう少し、ある意味では二酸化炭素やオゾンだけではなくて、長期的な将来像を描きながら、そちらに向かうためにはどうするか。私も、50年先のビジョンをきちんとかいてみる、そしてそこに向かってバックキャストによって将来への施策を考えていくといった、思い切った新しいパラダイムを提案できるような基本計画になればと思うわけですが、いかんせん時間も限られていることもありますし、どこまでどういけるかわかりませんが、ぜひ委員の方々のご協力をいただいて、おもしろいものにできれば、そしてそれが国民にあるいは社会に対してインパクトを与えられるようなものになっていけばと考えております。そういうものがないと、指標あるいは目標値というものも出てこないでしょうから、まずそちらの方をいろいろ議論することができればと思っております。最初に申し上げましたように、これから大体月に1回ぐらいこの会を持たせていただいて、6月ぐらいには中間取りまとめの骨子というか、方針が出る、そのようなところで進めさせていただく予定になっております。
 きょうはお忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。
 何か事務局の方から。

○佐野環境計画課長 今、部会長にまとめていただきましたように、これから順次、いろいろな切り口からの資料も用意いたしましてご審議に供したいと思っております。その中で、今ご指摘のございましたものも極力織り込んでまいりたいと思います。
 ちょっと今緊急に調べていただきましたが、CO2の排出について、企業部門と家庭部門に分けたものはあるけれども、公務部門を分けたのはあるかというお尋ねがございましたが、これはどうもやっていないみたいでございます。もうちょっとこれから新しい制度等々ができてきてデータがとれるようになれば、またできるかもしれませんけれども。あと、例えば食品廃棄物のところなどは、そういう制度もできましたから、何かあるんじゃないかと思いますが、そういったところも含めまして、次回はむしろそういう政策面のデータのようなものを、今回そういった部分がないではないかというのはおっしゃるとおりなので、そういった部分のデータを中心にお諮りさせていただく予定でございます。
 次回、先生方にはご日程のご相談をさせていただいておりますが、3月17日午前中が今のところ一番ご都合がよろしいというご回答をお送りいただいておりますので、ご予定いただければ幸いでございます。

○鈴木部会長 それでは、これで本日の審議を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

午後5時09分閉会