中央環境審議会総合政策部会(第7回)議事録
開催日時
平成14年9月20日(金)10:00~11:43
開催場所
経済産業省別館1028会議室
出席委員
森嶌 昭夫 廣野 良吉 安原 正 青木 保之 天野 明弘 飯田 浩史 井手 久登 上野 征夫 江頭 基子 河野 正男 佐和 隆光 塩田 澄夫 杉浦 正行 瀬田 重敏 筑紫 みずえ 鳥井 弘之 波多野 敬 雄 福川 伸次 藤田 正憲 細田 衛士 松川 隆志 三橋 規宏 村上 忠行 横山 裕道 渡辺 修 |
部会長 専門委員長 部会長代理 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 |
議題
- (1) ヨハネスブルクサミットの結果について
- (2) 環境保全活動の活性化方策について
- (3) その他
配付資料
資料1 | 持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルク・サミット)(概要と評価) | |
資料2 | 地域環境力創造戦略(案)について | |
資料3 | 環境保全活動活性化方策の検討スケジュール(案) | |
参考資料1 | ヨハネスブルクサミット関連資料 | |
参考資料2 | 環境保全活動に関わる人材の制度の現状 |
議事録
午前10時00分開会
○事務局 定刻になりましたので、まだ一部ご出席されてない委員もございますけれども、部会を開催させていただきたいと思います。
まず、本日の出席者でございますけれども、部会の委員に加えまして、この部会の中で設置いたしました環境保全活動活性化専門委員会の委員長をお願いしております成蹊大学名誉教授の廣野先生にもご出席いただいておりますのでご紹介申し上げたいと思います。
また、私ども環境省側の方でございますが、先日人事異動がございまして一部メンバーが交代しておりますのでご紹介申し上げます。
新しく総合環境政策局担当になりました小林審議官でございます。
○小林審議官 小林でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 また、従来の当局担当でございました山田審議官につきましては、地球環境局担当に異動しておりますので、あわせてご紹介申し上げます。山田審議官は、一部環境に関する科学研究技術の開発ということで、引き続き当局も担当してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元の配布資料でございますが、議事次第に続きまして、資料の1ということでサミット関連の資料がございます。またその後でございますが、資料2ということで、地域環境力創造戦略(案)という資料がございます。また、資料の3ということで、1枚紙でございますけれども、スケジュールの関係がございます。
さらに、その後でございますけれども、参考資料の1と2ということで、サミット関係の資料、さらには人材に関する資料等がつけてございます。
また、ご出席の委員の方には、それ以外に今後の予定と出欠の伺いの1枚紙を用意してございます。よろしくお願いいたします。
また、資料番号がダブって恐縮でございますけれども、7月に出されました活性化方策のあり方についての中間的取りまとめ、これもあわせて参考までにお配りしてございます。
以上が資料でございまして、もしも足りない資料等がございましたら事務局の方へお申し出いただければと思います。
それでは、会の進行につきましては森嶌部会長にお願いいたしますので、よろしくお願い申し上げます。
○森嶌部会長 皆さんおはようございます。お忙しいところをご出席いただきましてありがとうございます。
それでは、ただいまから第7回総合政策部会を開催させていただきます。
本日は、まず第1に、9月4日まで開催されておりましたヨハネスブルグサミットの結果につきまして事務局からご報告いただきたいというふうに思っております。ヨハネスブルグの成果は、私どもが現在議論しております環境保全活動の活性化にも大きな影響を持つものというふうに考えます。
次に、第2に、前回の総合政策部会の、これは部会として成立しませんで懇談会ということになりましたが、でのご議論を受けまして、事務局におきまして環境保全活動の活性化に向けて地域環境力創造戦略という大変立派な名前の案を作成いたしましたので、事務局からこの案につきまして説明をいただきまして、皆様からご意見をいただきたいというふうに思っております。
終了は私の都合がございまして、大変申しわけございませんが、11時45分を予定しておりますので、よろしくお願いをいたします。
それでは、早速事務局から、議事の1のヨハネスブルグのサミットについてご報告をいただきます。山田審議官どうぞよろしくお願いします。
○山田審議官 それでは、資料1に基づきましてご説明申させていただきます。
ヨハネスブルグには森嶌部会長、安原代理あるいは廣野先生には、政府交渉団の顧問として参加していただきまして、またそのほかにもこの場にいらっしゃいます多数の方にご参加いただきまして大変ありがとうございました。
資料の1の概要でございますけれども、8月26日から9月4日まで、南アフリカの商業都市ヨハネスブルグにおきまして開催されました。首脳会合は9月2日から4日までの3日間でございました。
何が行われたかといいますと、5つぐらいございまして、1番目は首脳のステートメント、それから3つの種類の文書の採択、それからそれぞれの各国が自分たちの考え方をでモンストレートするという意味でのサイドイベント、この5つがあったと思います。
小泉総理は、演説の中で人づくりということを大変強調されておりまして、ここに下線が引いてございますが、日本は資源がない貧しい国だったのだけれども、 100年前も50年前も、親がどんなに貧しくても全員が初等教育を受けられる、こういう人づくりに先行投資をして今日を築いた。こういうことをご自身の言葉で力強く訴えられまして、その後のリーダーたちが数多くこれを引用する、こういう場面がございました。
なお、このステートメント以外に、日本の支援という意味で小泉構想というものが発表されておりまして、例えば5年間で2, 500億円を人づくりに注ぐというようなことが含まれておりますが、これはこの資料の19ぺージから21ぺージまでに載っておりますので、後ほどご参照いただきたいと思います。
それから、3つ文書が採択されておるわけでございますけれども、その中の中核となります実施計画、プラン・オブ・インプリメンテーションと言われる文書が、過去1年間、ちょうど国連のリージョナルな会合が北京でございまして、その後プノンペンでの準備会合、あるいはニューヨーク、それから5月のインドネシア・バリの閣僚レベルでの会合を経まして、ヨハネスブルグでようやくまとまった、こういうものでございます。
(1)にございますように、バリでの閣僚レベルの合意をブロックした最大の課題であります手段と言っておりますが、民族インプリメンテーションの問題でございますが、資金と貿易はドーハ、モントレーを超えないというポリティカル・アグリーメントが7月の17日にニューヨークでできておりまして、これをベースに非常に順調に進んだということで、何とか合意にこぎつけられた、こういうことでございます。
各論といたしまして、1ぺージの(3)のイのところでございますが、京都議定書につきましては議長国側から大木大臣が取りまとめを要請されまして、批准した国がまだ批准していない国に対し、タイムリーな締結をストロングリーにファージする、こういう文案で米国あるいは未批准の途上国を含めて合意をすることができた、こういうことでございます。この件につきましては後ほどもう一度戻りたいと思います。
それから、2ぺージ目にまいりまして3でございますが、持続可能に関するヨハネスブルグ宣言、これがリーダーレベルでの合意でございまして、3つの文書の2つ目の文書ということでございます。これにつきましては通しぺージの5ぺージをごらんいただきたいと思います。パラグラフが34、それから、この四角で囲っております項目が6項目。比較的短い政治宣言ということで、ヨハネスブルグ・デクラレーションをサスティナブル・デベロップメントということでまとまったものでございます。
これは実は実施計画に非常に時間をとられまして、実質最後の9月2日の未明に原案が配布され、これは非常に想像を超えるような長いもので、実は会場外では各国にとって非常に不評でございまして、長過ぎるとかトラッド過ぎるとかディスクリプティブだとか、実施計画とのリプリケーションがあるとか、あるいは実施計画とのミスマッチがある等々のこともあったわけでございますが、逆に議長国側が自分でここまでまとめてきたのだからということで、何とか例えば議長ステートメントというような、モダリティーを下げるということなく、全員が合意するという形でここまで来たというもので、半分以下、3分の1ぐらいの短いものになりましたけれども、「人類が発祥したこのアフリカ大陸から21世紀を展望した将来へ」から始まりまして、最後に「ことを起こせ」、文言だけじゃなくて行動を起こすのだ、こういうことで結んでおります。
なお、この5ぺージの下から2番目の四角に「多国間主義に将来がある」マルティラテラリズム・イズ・ア・フューチャーということで、この実施計画その他のフォローアップも国連の場を使った討議、持続可能開発委員会のCSDを使ってやっていくということを示唆する文言がこのパラグラフの29、30に盛り込まれているということでございます。
それで、恐縮ですがもう一度2ぺージ目に戻っていただきまして、見出しの4「我が国の対応」ということでございますが、(1)「タイプ2」(パートナーシップ)と書いてございますが、これが合意された文書の3つ目、約束文書と言われるもので、このサミットを特色づける1つの文書で、各国が交渉するのではなく、社会契約的に一方的に宣言して国連に登録するというもので、日本は水から森林、エネルギー、それから生物多様性というような広範な分野にわたりまして30のプロジェクトを登録いたしました。実はその締め切りは8月28日で、その時点では世界全体で173 ということでございましたが、実は各国とも偉い大臣、リーダーたちが来ますと、その場でふやせということでものすごくふえまして、最終的に幾つになったかという数字は国連からまだ発表になっておりません。230 とか300 とか、いやもう少し多いという、そういう話になっておりまして、日本も若干現場で1~2追加があったということでございます。
それから、行われました最後の(2)、5つ目のことでございますが、サイドイベントということで、日本は元総理2人を含む30人、超党派の国会議員の参加、あるいは地方自治体、それからNGOの方も大変大勢参加していただきまして、国としては最大の参加になった。ですから全体としては政府交渉団、NGOを含めて2万人規模の史上最大の参加になったということでございまして、連日日本館には、これはNGO等も含めてですが、 1日1,000 人、合計で 1万5, 000人の来訪者を記録したということで、関係の皆様には大変ご尽力いただいたことをご報告させていただきます。
それから、通しぺージの3ぺージ目に、先ほど少し触れました実施計画の注目点でございますが、実はこれはヨハネスブルグで決まったものを中心に政府交渉団がまとめておりますが、先ほど申しましたように既にバリまでに75%ぐらいが決まっておりまして、残りの25%ぐらいをここに書いてある、こういうことでございます。各項目、これはパラグラフでは150 ぐらい、10章立ての中から、必ずしもその順序にとらわれない引き出し方をしているものでございます。
リオ原則の「共通だが差異のある責任」ですとか、「予防的原則」は、これは捨てまして、「予防的アプローチ」という文言を採用したわけでございますが、これをどの事項に適用するか、こういうことでいろんな交渉があったわけでございますけれども、「共通だが差異のある責任」を、これをガバナンスであるとか開発までに拡大するということは避けまして、リオでの合意を100 %実施する、こういう合意がなされまして、まだ「予防的アプローチ」に関しましては、化学物質であるとか科学に基づく政策の箇所にこれを忠実に記録するということで合意がはっきり出ました。
それから、この(2)の再生エネルギー、(3)の「衛生」、それから実は(5)の「京都議定書」、それから次の4ぺージでございますが、(10)の生物多様性、(11)の化学物質、これらの5項目はいずれもその達成期限と数値目標を含んだ事項として一括して閣僚レベルで議論がなされました。
それから、その過程で合理的な根拠のあるもの、あるいはこれまでの実績のあるものについては、多くの国の支持によりまして、京都議定書に関しましては先ほどご報告させていただいたような内容。それから衛生につきましては、基礎的衛生にアクセスできない人の割合を2015年までに2分の1、半減させるというような合意。それから生物多様性、化学物質につきましても、それぞれ2010年あるいは2020年という達成期限の中で諸般の措置を講ずるということをしました。
しかし、この(2)の再生エネルギーにつきましては、提案国のEU以外は、主として途上国の賛同が得られませんで、途上国も内容よりもとにかくエネルギーへのアクセスがないことが問題とする多くの国、あるいは産油国を中心とする伝統的な立場、あるいはラテンアメリカのように自主的なリージョナルな取り組み、これはバイオマスを念頭に置いた主張等がございまして、むしろ数字は入らなかったものの、表現としてはウイズ・ザ・・センス・オブ・アーリアンスで、世界的なシエアを十分に増大させるという、文言としてはEUの主張に歩み寄った形で決着したということでございます。
それから、実はヨハネスブルグでは余り触れられなくて、既にバリで合意していた内容が議題に非常に関係しますパートナーシップの問題でございまして、すこし資料が飛びますが、22ぺージの参考資料の方をちょっとごらんいただきたいと思います。
ここで実施計画の中のパートナーシップの関係のパラグラフを抜粋してございます。英文と日本文ございますが、パラグラフの3は第1章の導入のところにございます。ここでパートナーシップの重要性を強調しておりまして、中身としまして、南北間の政府のパートナーシップと、他方では政府とメジャーグループとの間におきますパートナーシップが大事だ、こういうことでパートナーシップの定義づけといいますか、これをしております。
それからパラグラフの 121から153 まで、数カ所のパラグラフがございますが、これは実施計画の最後の章、第10章でございます。バリ会合まではガバナンスと呼ばれていたものなんですが、ヨハネスブルグではこれを制度的な枠組み、インスティチューショナルなフレームワーク、こういうふうに表現を変えまして、国内、国際ガバナンスあるいはメジャーグループの参加という見出しのもとに整理してございます。
ざっと日本語の方を斜め読みしていただきますとわかりますが、なぜパートナーシップが必要かというのは、これは持続可能な開発を実現するために不可欠であるというようなこと、あるいはパラグラフの 143、これはぺージ24になりますが、(b)で経験の共有、それからグッド・プラクティスを含めた共有でありますとか、あるいは 146のbisでございますが、情報アクセスも含めました市民参加、それから政策の立案、実施についてのフル・パーティシペーション、完全な市民参加、それから女性の平等な参加、こういう大変力強い表現をしております。
それから24ぺージの一番下でございますが、パラグラフの149 、地方自治体及び利害関係者の役割と能力の強化も明記してございます。
それから、ぺージ25でございますが、これは制度的枠組みの小見出しになるわけでございますが、メジャーグループの参加ということで、パラグラフの 150、プログラムと行動について、政府とすべてのメジャーグループ、ボランティアグループを含む非政府関係者間のパートナーシップの強化、それから 153、最後になりますが、地域の青少年の評議会あるいはこれに相当する組織を支援するという、こういう表現がまとめられております。
振り返ってみますと、この実施計画では、やはりこういうパートナーシップの問題あるいはガバナンス、あるいはグローバリゼーション、あるいはリオ原則の今日的な適用という非常に基礎的な、根幹的な議論について、 100人前後のリーダーを含む高いレベルの人体が、非常にいいディスカッション、決して新聞のヘッドラインを飾るようなサトライティングはなかったわけでございますが、いい議論ができたのではないか、こういうふうに思っております。
すこし長くなりましたが、以上でございます。
○森嶌部会長 ありがとうございました。
何かご質問ございましょうか。どうぞ波多野委員。
○波多野委員 ご説明ありがとうございました。
今一番最後におっしゃった最も基本的な問題について各国のトップレベルの人が、新聞のヘッドラインにはならなかったけれども、いい議論をした、それは事実なんだと思うのですけれども、「エコノミスト」なんかはエブリシング・イズ・ナッシングということを書いているのですけれども、いまおっしゃったいい議論をなされた結果どういう具体的な成果が出たとお思いですか。
○山田審議官 これは首脳レベルも3日間あったわけでございますが、一方的なスピーチに終わらせずに、これは確か6つのグループだったと思いますが、各首脳を6つのグループに分けまして、それぞれのラウンドテーブル、大体1グループ30人とか、それを超える規模になってしまいましたが、そこでディスカッションが行われまして、小泉総理はあのステートメントと同じ内容の人づくりの重要性を議論されまして、そういう議論を抽出して、エッセンスとしていきますと、先ほど言いましたようなリオ原則のアプライの問題ですとか、パートナーシップの極めて重要なこと、それからグローバリゼーションを途上国も含めて初めて国連レベルで合意したとか、非常に基本的な考え方の整理がなされたのではないかと、こういうふうに思っております。
それから、これはリーダーレベルではなくて閣僚レベルの議論になりますが、プラン・オブ・インプリメンテーション、実施計画の議論におきましても、各国の閣僚がまさに自分の言葉で達成目標、達成期限あるいは実施目標についての考え方をそれぞれ各国の国情も踏まえながら議論した。みんなランゲージバトルで言葉だけではなくて、やはり何らかの実施をしていこうということで、行動志向の文書をつくったと、こういう理解がされております。
それから、最後のステートメントでは、これはEUの議長国のデンマークも含めてでございますが、幾つかの少なくない国から、やはりこういうものをこれだけの大人数、2万人を超えるようなやり方でいいのか、少しリフレクションも必要だという若干のコメントも非常に記憶に残っております。
○三橋委員 今度のサミットではブッシュが欠席しましたね。アメリカに対する全体的な評判とか評価とか、そういうのはどういうようにお感じになったのですか。やはりアメリカ抜きだと物事が進まないなというような感じをお持ちになったのか。あるいは例えばパウエル国務長官の話なんかは、私が聞いている感じでは、途中でブーイングが起こって演説を一時中断せざるを得なくなったとか、相当アメリカに対する厳しい声というものがあったような感じも聞いているのですけれども、NGO、NPOの間でアメリカ批判が強いのはわかるわけだけれども、政府ベースでどうだったのかな。つまりアメリカに対して全体的にヨハネスブルグサミットではどういうような位置づけというか評判だったかというようなこと等をちょっと教えていただきたいのですけれども。
○山田審議官 もう質問された方が答えの方を言われていると思うのですけれども、まさにそういう感じでございまして、どちらかというと交渉のレベルでは余りシングルアウトしてアメリカがという議論は余りなかったのではないか。むしろ意識しなかったという感じがしておりまして、アメリカも衛生の問題は定義もはっきりしないし、一体アメリカに幾ら請求書が回ってくるかわからないということで、ミレニュームで合意されましたドリンキングウオーターの目標とリンクするのは最後まで実は非常に抵抗も強かったわけでございますけれども、これもホワイトハウスのアグリーメントをとって工夫したとか、それから京都議定書の文言も、結構アメリカにとるとなかなかのみにくい文案だったかもしれませんけれども、これものんだということで、アメリカがシングルアウトされて孤立するという場面は、少なくともヨハネスブルグについては余りなかったのではないかと、こういうふうに思っております。
それから、ブッシュ大統領の不参加の問題も、ヨハネスでは余り議論にもう既になっておりませんで、アメリカに言わせますとロシアも中国も韓国も来てないとか、それからアメリカはもともと9月の2日から再開される米国議会があるので、この日程では困難なので、むしろリーダーズセッションを8月の26日の冒頭に持ってくるようにということをずっと国連と交渉していたのだけれども、それが聞き入れられなかったというのが、彼らの我々に対する大統領の不参加の説明でございました。
それからご指摘になったようなパウエルが立ち往生したのは3つぐらい場面がありまして、いずれも内容は京都議定書の問題ですとか、大体想像できるような案件であったと思います。
○森嶌部会長 時間もございますので、よろしゅうございましょうか。
○廣野専門委員長 ムベキ大統領、これは南アフリカの大統領ですが、彼が議長をやったのですが、これを総括した後、実は新聞の報道が出まして、その新聞報道でちょっと出たことを点数だけ申し上げます。今回のサミットに関する点数ですね。水問題については5点、5点というのは最高点です。5点から1点までありますが、それから農業、水産については5点、環境については4点、ポバティー、貧困については3点、それと保健、ヘルスの方ですが、それについては3点、それからエネルギーについては2点、これがある程度ムベキ大統領の意向を酌んだ上での、南アフリカの報道におけるところの彼らの採点の点数だったということ、以上です。
○森嶌部会長 どうもありがとうございました。
それでは先ほどパートナーシップのところでご紹介がありましたけれども、環境保全活動の活性化というところで、メジャーグループとのパートナーシップということが触れられておりますので、議題の2に移らせていただきます。
それでは事務局から地域環境力創造戦略についてご説明いただきます。
○浅野環境教育推進室長 それでは私の方から説明させていただきますが、資料の2をお願いしたいと思います。
まずこの地域環境力創造戦略でございますけれども、前回ご欠席の委員もございますので簡単に背景をご説明申し上げたいと思いますが、今のお話にもございましたとおりに、地域からの環境の取り組みを一層活性化させていくことが必要だということでございまして、環境保全活動の活性化方策のあり方についてということで本年4月に当審議会の方に諮問をいたしまして、その後、専門委員会を設置いたしまして議論をお願いしておりましたが、それが別途お配りしてございます中間的取りまとめということで、7月にその具体的な構想をまとめていただいたわけでございます。時間的な制約もございまして細かい施策の逐一の内容まではご提言をまとめることができなかったということで、その後当部会の方におきまして具体的な施策の展開について引き続き検討していただいているという状況でございます。
そこで、前回8月には、この中間的取りまとめについて先生方にご議論いただきましたが、それらも踏まえまして事務局の方でその具体的な施策について今回そのたたき台を用意するということをお約束しておりまして、今回それを仮称でございますけれども、地域環境力創造戦略という名前でお出ししたいということで、今回用意したものでございます。
それが資料の2ございますが、10ぺージでございまして、ここに文章でこの戦略の(案)ということで、基本的な考え方、それから次の括弧でございますけれども、地域環境力基盤の整備、さらに11ぺージの方でございますが、地域における協働の促進ということで、大きく3つのパートを掲げてございます。
これが文章の方でまとめたものでございますが、その後の12ぺージ、13ぺージの方に、ポンチ絵といいましょうか、こんな形でまとめてございますので、本日はこちらの方で説明させていただきたいと思います。
まず12ぺージの方でございますが、上の方にこの戦略を作成する背景とか今後の方向についての概略をまとめてございます。既に中間取りまとめにもありましたように、まずこれからの方向でございますけれども、ご承知のとおり温暖化の防止等、環境問題に関しましてはいろいろな課題が山積している状況でございます。また一方で、右側の四角でございますが、ただいまお話がございましたとおりに、ヨハネスブルグサミットでの合意、このような中でパートナーシップの推進、こういったところについては大変大きく取り上げられたところでございます。また小泉構想の中では、環境問題には人づくりが重要だと言われておりますけれども、これは何も海外における人づくりのみではなくて、それを支えるためにはやはり国内での人づくりも含めた環境の基盤づくりが重要である、こういった中でNPO等の主体的な参画が非常に望まれている、こういう状況でございます。
その上で、この環境保全活動の活性化を進めていくためには、やはり足元からの取り組みが必要である、またNPO等の民間団体の方、住民等の方々と一体となった取り組みが必要であるということでございますけれども、それが現状では不足しておりますという認識がございます。
その上で、大きな3本柱を考えているわけでございますけれども、まず左、1番目としては、活動を担う人材、また人々の意識、能力の向上が必要である。2番目としては、NPO活動の活性化等、かなり活性化が進んでいるわけでございますけれども、またその数の増加、一層の活性化、これがまだ必要である。さらには3番目といたしましては、住民、民間団体と行政との連携の強化、パートナーシップの強化がやはり必要である、こういうことが背景として考えられることでございます、このため、二重括弧で囲んだところでございますが、あらゆる主体が自発的、積極的に地域の環境問題に対応する基盤・ポテンシャル、これを地域環境力と今回名づけたわけでございますけれども、これを総合的、戦略的に創造、強化する。また各主体の協力、連携も推進する、これが必要だということで整理をいたしております。
その上で私どもといたしましては、必要な予算措置、さらには環境保全活動法、仮称でございますけれども、こういった法律の制定も考えながら施策の展開を図っていきたいということでございます。
その際には、特に基本的な考え方ということで4つの点をここに挙げてございますけれども、活動の促進に当たりましては、自発性の尊重、透明性の確保、それからそういった民間活動の持続性、長続きするということに対する配慮、また幅広いパートナーシップの形成促進、こういった基本的な考え方を踏まえた上で施策を展開していきたいということで、基本的な4つの原則を改めて考えてきておるところでございます。
その上で、これらを推進する施策といたしましては、2つの大きな枠組みを用意してございます。12ぺージの方が全体的なレベルアップ、さらに、次の13ぺージの方が地域における協働の促進ということで、自発的な活動を促進する方策を考えたということでございまして、大きな2つの枠組みがございます。
まず、12ぺージの方でございますけれども、何よりも人づくり等を含めた地域の環境力をレベルアップさせていくためには、全体的な環境に関するいろんな取り組みのレベルアップが必要であるということでございまして、5つの点につきまして重点的に措置を実施するということを考えてございます。具体的には、人材、拠点、情報、資金、ネットワーク、この5つの点を重点的に考えたいということでございます。
まず人材でございますけれども、これまでも環境省においては環境カウンセラーでございますとか、またそれ以外にも地球温暖化関係、また自然公園関係のいろんな人材の制度がございます。また地方公共団体におきましても、環境アドバイザー制度とか、独自の制度がございますけれども、現況を見ますとこれが必ずしも体系的に行われていない。言うならばそれぞれの施策が国、自治体ばらばらに行われているという現況でございますので、これらを体系的にここで整理して、さらに総合的な人材の育成等のシステムをここで再度構築していきたい。
また、あわせまして研修システムを充実強化することを考えてございます。また、それらの人材につきましては、行政による委嘱、登録等のシステムを新たに考えたいという点を考えているところでございます。
またあわせまして、子どもたちに対するプログラムの整備等環境教育の推進ということも重要でございますが、特にその中では、学校教育、社会教育等の連携を改めて図ってまいりたい、充実強化してまいりたいということでございまして、環境保全活動のリーダーの計画的な養成、こういったものにつきまして計画を作成する等を行いまして人材の育成を図っていきたいというのが1点目でございます。
それから、2点目でございますが、拠点ということでございまして、これが活動を活性していくためにやはりその基盤となるような拠点が必要だということで、これはいろいろな団体からのヒアリング等でも要望が寄せられてきているところでございます。
既に幾つかの自治体におきましてはこういった拠点も整備されているところでございますけれども、やはりこれを全国的に体系的に展開していくことが必要だというふうに考えておりまして、できれば市町村ごとに、また都道府県ごとにこういった活動の拠点となります、情報交換なりNGOの方々等がそこで集まっていろんな交流ですとか相談等が図れる拠点、こういったものを全国的に展開していくことが必要だと考えております。
ただ、これは箱物をつくるということでは決してございませんで、現在整備されております例えば公民館ですとかいったような施設を活用するですとか、そういったものを利用して拠点を整備するということで、場合によりましてはその施設を利用して看板をそこに掲げていただいて、そういった拠点にして活用していくといったことも考えておるところでございます。
また、私ども環境省といたしましては、環境パートナーシッププラザ、これを東京の青山に設置してございますが、また昨年の10月には地方環境対策調査官事務所、私ども環境省もこれまで地方に出先がなかったということでございますけれども、ようやく環境省になりまして、1年前にそういった出先ができましたので、こういったものの充実、活用も図ってまいりたいと考えておりまして、地域環境保全活動センター、これも仮称でございますが、こういったものを全国的に整備してまいりたいということでございます。
さらに、活動のためには情報が重要でございますが、これもいろんなところで現在データベースが整備されておりますが、まだまだそれが不十分でありますとともに、そのネットワーク化が十分図られてないということで、その強化を図ってまいりたい。
また、資金につきましては地球環境基金による助成が現在も行われておりますけれども、それの重点化なり拡充を図ってまいりたい。またNPO法人に対します税制上の優遇措置の拡充、これを図ることによりまして、こういった環境保全活動に対する資金的なバックアップも行っていきたいということでございます。
さらに、こういった地域的な取り組みに加えまして、全国的な国民運動にもこれを盛り上げていくことも必要であろうということで、全国評議会の設立等も考えてまいりたい。さらには、国内だけではなくて海外とのネットワークの構築も図ってまいりたいということで、ネットワークということも重要な視点だと思っておる状況でございます。
続きまして、裏のぺージをお願いしたいと思いますが、今説明申し上げましたのが、全国的といいますか、地域での活動を支えるそれぞれの観点からのレベルアップを図りまして、我が国のこういった活動の全体的なレベルアップを図りたいという点でございます。
さらにそれにつけ加えまして、特に話題になっておりますパートナーシップを促進するためにもう1つの施策を展開したいということでございます。これは、先ほども4つの原則に掲げましたとおりに、基本的にはNGO等の活動につきましては自発的な活動を期待するわけでございますけれども、行政としてはそれを手助けするための受け皿を幾つかのパターンに応じまして用意しまして、そういった活動を促進したいというのが基本的な考え方でございます。
今回ご提示申し上げましたのは、活動のパターンに応じまして一応3つのパターンを、上から下にかけまして、下の方に行きますとよりパートナーシップが強化されるという枠組みでございますが、それにあわせまして行政の支援措置も拡大していくということで整理しておりますけれども、3つの枠組みを考えたところでございます。
まず1点目が協働のきっかけ、広がりの機会の提供ということでございまして、パートナーシップによる活動をこれから始めたい、また既に始めている方々につきましての支援ということでございまして、それぞれの方々、団体等、みずからホームぺージ等によりまして広報活動も展開されているわけでございますけれども、なかなかそれでは不十分ということもございますので、例えば地域の先ほど申し上げました拠点でございますセンターに掲示板等を設置いたしまして、そこにそうした活動につきまして掲載していただく、その掲示板を利用していただくことによりまして、センターが活動の呼びかけ、紹介等をあわせて協力することによりまして、新たなこの活動を広げていくという支援をまず1段階目としてしたいというのが1点目でございます。
それから2番目といたしまして、さらにそういった取り組みを進めて、NPOと自治体また企業の方々と具体的なパートナーシップの例ができた場合に進んだ段階で、これをセンター等に報告して登録していただく。そうしますと、センターの方でこの個々の取り組みを一括して公表する、こういった仕組みを考えたいということでございます。そうすることによりまして、個々にそういった内容を公表することに加えまして、センター等が一括して個人の方ですとかいろんな方に公表することによりまして、一層の参加がふえてくる。あわせましてそういった活動に対しまして、活動の認知度の向上ですとか説明責任の達成にも資する、またこの活動の場の確保等にも通じるということでございます。
またあわせまして、この活動を広報することに加えまして、自治体、企業等による活動の場の提供にもインセンティブを与える。また地球環境基金等によります活動費の助成につきましても、こういったところに登録していただいた事業につきましては、より重点的に実施することを考える、こういった形での支援を考えてまいりたいというのが2点目でございます。
それから3点目でございますけれども、自立的な協働活動実施のための組織体ということで、これはさらにパートナーシップが進んだ段階につきまして支援を図る枠組みを用意したいということでございます。これは仮称として環境創造リーグ何々、例えば多摩ですとか阿蘇ですとか志摩ですとか、そういった名称がここに入るのかと思いますけれども、これは前回の部会で簡単にご説明申し上げましたけれども、イギリスのグラウンドワークという取り組みがございまして、この例を参考にこういった取り組みを展開したらよろしいのではないかということでご提案申し上げるものでございます。
これは具体的には協働のパートナーシップで地域におきます関係の主体、行政も入りますし、民間団体の方々、さらには企業の方々、多くの主体が参加して協働活動を、それらの参加主体の合議制等の公平なルールによりまして参加していただく、そういった取り組みがこの場合非常に効果的であるということでございますが、その際特に私どもでは、こういった活動を永続的にしていただくことが大事だと考えております。この場合には、この計画を実施する、また企画する、これを担うきちんとした専任スタッフを抱えた事務局の存在が不可欠ではないかというふうに考えているところでございまして、そういった枠組みにつきまして一定の要件を備えた組織体、こういったものにつきまして、具体的な内容につきましては国としては注文をつけるということではなくて、一定の枠組みに一定の要件に合うそういった取り組みにつきましては、さらなる行政としての支援を行っていきたいということでございます。
具体的には立ち上がり期の運営費助成、これが現実的にはなかなか難しいということをお聞きしておりますので、特にこの立ち上がり期の事務局に対します事務的な経費、これに対しての運営費の助成を考えたいということでございます。
さらには、活動費の助成、事業の委託、また税制上の優遇措置、これらの活動に参加するNPOに対します税制上の優遇措置もあわせて講じまして、これは全体的な話でも、前のぺージでもそういったことをご説明申し上げましたけれども、この枠組みに参加していただくNPOについてはさらにその優遇措置の深堀りをするというような形で考えておりますけれども、そういった形での枠組みを考えたいということでございます。
これによりまして、こうした協働によります活動がしっかりとした組織を持ち、自立的、それから継続的に展開されるというような形で事業の枠組みを用意したということでございます。
それで、これらの3つの仕組みでございますけれども、これは順を追って発展していくということでは決してございませんで、市民の皆さんの活動に応じて、ニーズに応じて一番よいものを選択していただく。決して全部こういった枠組みに乗せていくということではございませんで、自発的な活動に対して行政としてはその受け皿を用意して、そこでそれらの皆様方のニーズに応じまして、1番目でもよい、2番目でもよい、もちろんそれでも結構でございまして、それらのニーズに合わせた活動を展開していくために、これら3つの枠組みを行政としても用意して支援を申し上げたい、こういうことでございます。
さらに、一番下には、土地、建物等の提供、維持管理に関わるいろいろなNPO等が行う活動の推進というのがございますが、これは、これらに加えまして、例えば静岡県の柿田川等で、自然環境の豊かな土地等の保全活動が進められておりますので、それらもあわせまして、施策の1つとして具体的なこれに対する支援措置も検討することが適当ではないか、こういう点もございますので、詳細な点の検討についてはまだでございますけれども、あわせて掲げさせていただいたところでございます。
以上がこの戦略の概要でございますが、あわせまして資料の方につきまして、14ぺージ以下につきましては、今申し上げました人材の育成、それから地域における協働の促進についてということで、具体的な内容につきましてもう少し詳しく文章の方でまとめたところででございますので、お目通しいただきたいと思います。
それから、あとあわせまして参考資料をおつけしてございますけれども、18ぺージにつきましては、これはこれにも関連しますけれども、ヨハネスブルグ関係の資料でございます。
それから参考資料2でございますが、人材の制度について、これは前回の部会でも申し上げましたけれども、さらにもう少し詳しい人材の制度の現況等につきまして、これは環境省関係の人材の資料でございますけれども、整理した上でお示ししているところでございますので、説明は省かせていただきますけれども、お目通しいただければと思います。
また、その裏でございますが、前回地球温暖化防止活動推進センターの点につきましてご質問がございましたので、その状況につきまして資料をお示ししてございます。
現在13の都道府県でこのセンターが設置されているということでございます。またこのセンターにつきましては、先ほど説明しました私どもが考えておりますこの活動の拠点とは少し性格を異にしておりまして、これらの温暖化防止のための広報等を行う活動を推進するために民法34条の法人でございますとか、今回法改正してNPO法人もその対象につけ加えられましたが、そういった法人をこのセンターとして指定するという制度でございまして、物理的な場所をセンターということではなくて、活動を推進する組織をセンターとして指定する、こういう制度でございまして、もちろんその温暖化防止につきましても今回の戦略にもちろん含まれるものでございまして、その枠組みで温暖化防止も推進していただいてももちろん一向に構わないものでございますけれども、温暖化防止センターの方につきましてはこういう性格を持っているということでございますので、ご参照いただきたいと思います。
以上でございます。
○森嶌部会長 どうもありがとうございました。きょうのところは地域環境力創造戦略のたたき台でございますので、むしろアイデアあるいはその中に盛られている個々のアイデアにつきましてご自由にご意見を伺いたい。どうぞ、どなたからでも結構です。
○筑紫委員 大変にすばらしいことだと思いますが、環境保全活動と言ったときに、ちょっとここの中で、私は以前から言っているようにグリーン投資というような金融の仕組みを通した環境保全というものの発想というものが全然ないと思いますが、これはぜひ加えて、そういったものが今後は日本でも出てくる可能性、そしてそれはどういうことかということを基本的なところから皆さんにわかっていただくような、そういう部分、ちょっとそこは新しい観点でつけ加えていただければと思います。
○森嶌部会長 ありがとうございました。ほかに、どうぞ。杉浦委員。
○杉浦委員 5月、 6月に地方でヒアリングを行いましたね。私どもも2カ所、仙台その他、廣野先生もご一緒だったのですが、このときに人材の育成確保あるいはまたこれからの活用方法、こういった点についていろいろ議論がございました。これは今お話のようにまだまだ全国的な制度としてプロットされておりません。これから自然発生的に、今の段階ではまだアイデアですが、性格が非常に強いものです。
そこで、実はもう少しこの制度といいますか、資格等もきちっとされて、そして環境アドバイザーなりカウンセラーなり、名称は別にいたしましても、ある程度信頼される全国統一的な人材育成ということが極めて必要な道ではないか。そしてその人が中心になって都道府県あるいは市町村がいろいろな形で場所、範囲を拡大して、あるいはそれからまた新たな人材を養成するようなシステムができて、そして一般の市民の方々も、その人にアドバイスを受けたり、あるいはまたいろんな企画の中で協働してその事業が展開できるように、システムをやはりつくらないと、今のままですと非常に地域の方もばらばらですので、せっかくこのような提案がありましたし、地方を回って統一的にするようなドスウ化もいたしましたので、ある程度資格といいますか、全国統一的なそういった資格制度とか、あるいはまたその権威を高めていって、そしてその活動拠点にはアドバイザーとして常時いろんな指導を受けられる、あるいは活動拠点としていわば人材適用ができるというふうな形で環境面に対します一線の活動経験ができればこの効果は非常に上がるだろうということを考えて、私どもも地方自治体でもそのような取り組みを今からしてまいりますけれども、ぜひ環境省のご指導の中で、ある程度全国的な1つのルールができてくれば非常にそれらが推進がしやすいのではないかというふうなことを感じておりますので、もしその点でご見解が、先ほどの資料に基づく提案があれば少しまたお話を伺いたい。
○森嶌部会長 とりあえずといいますか、皆さんのご意見を伺って事務局から一括して何かお答えがあればしていただくことにします。
それじゃ青木委員。
○青木委員 ありがとうございます。私は実践家ではありませんので、観念論でありますので、実際上どうかということはまたいろいろご議論いただければありがたいのですが、地球温暖化を始め自然との共生を実現するため、全国民を挙げて協働していく必要性を痛感するわけですが、こういった仕組みをやっていくのに当たって、やはり先人の叡知にいろいろ学ぶところがあるのではないかと思うわけでございます。
戦後荒廃した社会の中で、お互いに皆助け合って共同社会をつくっていこうということで共同募金が始まりました。これが社会福祉協議会と共同募金という2つの輪で現在の社会福祉活動を全国的に展開されているわけでございますけれども、これができてきたわけで、非常な苦労をしながら先人が叡知を傾けてこういう制度をつくってきたと思います。
それで多くの人々が参加意識を持って循環型社会をつくっていくというためには、行動で参加するということはもちろん大事ですけれども、自分の力の範囲内で資金の協力をしていくということも非常に大切じゃないかというふうに思うわけですが、共同募金を調べて見ましたら、社会福祉法で定められておりまして、平成13年度、歳末助け合いを含めて 243億の金を集めておりますけれども、これは都道府県共同委員会が中心になりまして、配分もその委員会が、委員会を設けまして公正に行うように法定されているわけでございます。
ところが、先般いただいた資料でいいますと、地球環境基金、平成13年度で民間出捐金というのは1, 800万円ですか、ということで、共同募金と比較するのはあれですけれども、いかにも民間からの協力というのは少ないし、地元の方、地域の方も、そんな多額の寄付はできないけれども、自分の力の範囲内で協力していきたいという方々がたくさんおられると思いますので、そういった方々はそういうものを寄付し、これは輪づくりバッジでもリサイクルバッジでも羽でもいいのですけれども、そういったものをつけるということで一緒に参加しているという、そういう意識を持つのではないかというふうに思うわけです。
共同募金は、大臣が定める一定の期間にあまねく行われる寄付金の募集というふうに法律に書いてございますけれども、全国でそういうふうな募金活動を展開するということも、もちろん地域が中心になってということになりますけれども、地域で集めたお金は地域で公正に配分していくということになりますが、そういった仕掛けも、別に共同募金をまねしなければならないということはもちろんないわけですけれども、そういったような資金の集め方と申しますか、地方でそういう金を集められる、民間の金を集められるという、そういう仕掛けも少し勉強してみる必要があるのではないかというような気がいたします。
それから、もう1つの輪でございます社会福祉協議会、これは市町村、都道府県にあって、それが全体的に全国的な組織を形成しているわけですけれども、これがやはり地方、地域の中心になって、これも社会福祉もいろいろなあらゆる分野があるわけですけれども、そういったいろんな活動を束ね、情報を集めたり人材の育成をしたり、いろいろやっているわけでございますけれども、こちらのこれからの地球温暖化とかこういった問題に対するボランティアの活動というのはまだ揺籃期でございますから、そういうことをこれから形成されていくのだと思いますけれども、そういった組織が形成されやすくするような仕掛け、これはいろいろご検討いただきたいと思いますけれども、やはり必要があれば法律でそういった組織ができるような手助けもしていくというようなことが必要ではないかというふうに感じております。
以上でございます。
○森嶌部会長 ありがとうございます。
それでは天野委員。
○天野委員 ありがとうございます。環境問題というのはみんなの共有の資産といいますか、それをどういうふうに管理するかということで、どういう範囲を考えるかということで、いろいろな環境問題というのがあり得るわけですが、13ぺージに合議体で意思決定をする、イギリスのグラウンドワークの例を挙げられましたけれども、これは例えばコミュニティーとか、ある程度小さい地域でその環境を守るにはどうすればいいかというので、非常にいいやり方ですから、そういうものが日本の各地にできるということは大変いいことだと思いますが、冒頭に書いてありますような温暖化の防止とか循環型社会形成というのはこれとちょっと違うような気がするわけですね。地球全体の環境に対してどういう意思決定をするかという、そういうことに参加するのに地域でこういう合議体をつくってどういう役割が期待できるのか。ですから問題によっていろんなアプローチが違うと思いますので、それを全部ひっくるめて環境保全活動に対して自発的に参加することはどうかという、問題の立て方がちょっと私はおかしいのじゃないかなという気がいたします。
いろんな主体の協力を求めるというふうな言い方をしますと、環境保全活動というのはまず何かあって、それに対していろんな人の協力を受けたいというふうにとらえるんですけれども、環境問題というのはどういう点について意思決定をするかということが一番大事なんですから、その意思決定をどういうふうに参加を求めて行うのかというところがやはり原点ですね。そこで決まったことをどういうふうに実施するか。その実施に際して各人に参加をどう求めるかというのは2番目か3番目の問題じゃないかなというふうに思うわけです。
ですから、こういう話をするときには、まずその意思決定に対して参加できるのかできないのか。多分非常に必要なことは環境というのはすべての人の資産ですから、そのすべての人の資産の管理を決めるのはやはりすべての人だということですね。そういうすべての人の参加できるような状況というのは、例えばだれを呼んできてもすぐにその意思決定に参加できるわけじゃありませんので、十分な情報を持っていないと的確な意思決定はできないですから、まずその意思決定のための情報を十分に与える、そういう仕事をするのが政府の役割じゃないか。
この中で情報というのが出てきますけれども、例えば活動事例であるとか助成であるとかということであって、これは実施をするときに必要な情報ですね。意思決定をするときに必要な情報をどうやってどの程度ふんだんに与えるかということがまず私は必要なんじゃないかなというふうに思います。
ですから、まずどういう環境に対してどういうアプローチをするのかという、地球環境問題、地域環境問題、コミュニティーの環境問題、それぞれについて考えて、その意思決定をするのはだれか。今は例えば地方自治体であるとか国であるとか、そういうところが大きな決定をしているわけで、いろんなNPOとかコミュニティーの参加というのは乏しいわけですね。それを拡充していくにはどういうものが求められるのか、そのためにはどういう情報を提供しなければいけないのか。今ある程度の収集している情報でまだ十分に共有されていない情報というものもたくさんあるわけですから、そういうものを広範に共有化して、人々の自発的な活動ということも大事ですけれども、まだ政府が承知をしていない情報だけれども、そういう情報があることによって環境保全活動が進むというものを積極的に政府が集めて、共有化するということも必要だと思いますね。そういうことが余り情報のところで書かれておりませんので、何のために協力を求めるのか。私は意思決定をもっと広範な人々の間で行うことが大事だというふうに思っていますし、それをするには何が必要かというときに、もちろん人材の育成とか教育とかが必要ですけれども、例えば温暖化の話を先へ進めるにはどういう情報をみんなが共有しなければいけないかということをやはり考えていただきたい。
それと、最後のぺージにありましたような合議体をつくって地域地域でその環境をよくする。例えば流域全体で何かを管理をするにはどういう合議体が必要かというふうなことは、それはまた別個におやりいただくことが大事であって、それは国として、あるいは地方自治体として、あるいはコミュニティーとして、それぞれのレベルについていろいろお考えいただくという、こっちが必要かなというふうに思いました。
どうもありがとうございました。
○森嶌部会長 大変なお話があったので、要旨としては、天野先生がおっしゃったのは、国なり地方公共団体なり、あるいは広範なところでいろんな政策的な決定をする、そこへ参画をするという、意思決定への参画を中心に考えておられる。その場合に、何について意思決定をするかというのは環境の問題によって違うという、それがポイントで、ただここではそのこともありますけれども、むしろ、それぞれの個人なりあるいは団体、NGOが自分で活動をする、その場を政府として、環境省として、あるいは地方公共団体として提供していくというところにありましたので、それだけでは足らないというのを、政策決定に参画できるような、そういう場をつくれというご趣旨というように承ってよろしいですか。
○天野委員 政策決定というのはいろんな政策があるわけです。
○森嶌部会長 ええ、先ほど申し上げたことです。
○天野委員 ですからそのいろんなレベルの政策について参加できる。
○森嶌部会長 ええ、先ほど申し上げた。
○天野委員 国の政策だけではない。
○森嶌部会長 ええ、もちろんそうだと思いますが。
はい、それでは河野委員。
○河野委員 2つあります。1つはこの地域環境力創造戦略というのは、環境保全活動の活性化方策のあり方から出てきたもので、その中に取り込まれるのか。あるいはこれは独立して1つの戦略としてというか、報告として出していくのかということなんです。これが1つ。
それから、この創造戦略そのものにつきましては、内容は非常に立派なものだというふうに理解されますが、多分戦略ですから中長期の計画なんだろうと思うのですね。そういうことで見てまいりますと、現状認識があって、それで次にやるべきことが書いてありますが、できたら、難しいこともあるかもしれませんが、具体的な目標数値が入れば良いと思います。例えば人数でいえば、人材のところでは、環境省でいうと環境カウンセラーを将来どれぐらいにふやすのかというようなことですか、そうすると将来というのはどれぐらいなのか、つまり時間を考える必要がある。戦略の時間的尺度といいますか、これが書いてないようです。環境問題ですから無限にやる必要があるのかもわかりませんが、やはりそれなりに5年、10年とかというようなことが念頭にあるのだろうと思いますが、何かそういうことが見えるように書き込まれたらいいのではないかというふうに思います。
以上です。
○森嶌部会長 この間伺ったところでは10万人というのがありまして、さらにいつだというのは、いつで10万人でしたかね、一応こことは別にそういうことがこの間は出ておりました。今おっしゃったことは当然のことですので考えたいと思いますし、それからこの戦略は別に今までの環境保全活動の施策と別に出てきているのではなくて、その中の一環だという意味に私は理解しております。
それでは瀬田委員どうぞ。その後、廣野委員長。
○瀬田委員 全体的に非常にきれいにまとめられていると思います。1つご提案申し上げたいと思いますのは、育成されるべき人材の層ということなんですけれども、年代的な連続性というものがやはり必要だろうということがまず1つです。
今の年代的な連続性という意味からいいますと、私もいろんな場に出まして、中学生とか高校生とかあるいは大学生、それぞれみんな環境という問題に対しては今非常に関心が高くなってきております。したがいまして、そういった年齢層に応じた育成というのが1つ必要なんだろうなということが1点。
それから2つ目は、60歳以上の人がだんだんふえてまいりまして、そういった人たち、経験のある人たちをどう活用するかという点があります。したがいまして、そういった60歳以上の人たちの活用というのが第2点としてあると思います。
3点目は、ゼネレーションギャップの調整の仕組み、年寄りがのさばると余り動かなくなるということもございますので、したがってそういったゼネレーションに合わせてそういった教育の仕組みというか、あるいは育成の仕組みというのをつくっていくと、今度はその人たちの発言あるいは考え方というものをそれぞれにうまく反映していくような、そういう仕組みが要るだろうという気がいたします。そういうこと等を少しお考えいただきたいと思います。
○森嶌部会長 ありがとうございました。
それでは廣野委員長、それからその後、鳥井委員にお願いします。
○廣野専門委員長 どうもありがとうございました。今いろんなご意見を拝聴いたしまして、いろいろ考えるところがございます。ありがとうございました。
実は、このプログラム、これはもちろんこちらの方の部会の方から出た宿題で私たちはやってきたわけですけれども、基本的な考え方としては、世界共通の考え方に立っているなというのをまず第1に指摘したいと思います。
すなわち、どういうことかと申しますと、今この前のWSSDで、ヨハネスブルグでも非常に問題になった点ですが、世界にはいわゆる地域の環境をどうやって保全していくかという点で、少なくとも4つの大きな原則というものが、この前WSSDでも皆さん方各首脳から合意されました。
1つは何といってもオーナーシップの問題、やはりその地域地域におけるオーナーシップがなくちゃいけないという問題。2番目にはキャパシティービルディングと一般に言われています能力形成という問題。この能力形成というのは2つありまして、1つは人づくりの問題、もう1つは制度づくり、仕組みをつくるという問題、こういうのがありました。
それから3番目は参加という、きょうもいろいろ議論がありましたけれども、参加ということであって、特にこれは先進国、途上国含めて、いわゆる市民社会の形成ということが非常に強く言われ、民主化というような議論も行われておりますので、そういう中でのガバナンスの問題も含め、それから同時に、何といってもリーダーシップがなければこういうものは一切できないということで、リーダーシップの必要性も参加の中で言われておりました。
それから最後に、パートナーシップ、何といってもこれからの社会というのは、そういういろんなパートナーが一緒になってやらないと、知見とか経験の共有、あるいは相乗効果が認められないということで、この4つ、オーナーシップと能力形成、キャパシティービルディング、それから参加、それからパートナーシップ、この4つが世界共通の原理原則としてこの前WSSDで議論されました。
実はこういうような考え方が私たちこの議論をしている中で、ある意味では自然と同じような考え方が出てきたわけであって、この4つの考え方に基づいて、じゃ一体我が国におけるところの地域の環境保全というものをどう考えていくのかということで、先ほど天野先生がおっしゃいましたけれども、私たちはできるだけコミュニティーレベルにおける地域の、この地域というのはコミュニティーという意味ですが、コミュニティーレベルのこういうような環境保全活動に対してどういうふうな仕組みを提供していったら、より言ってみれば、我が国で相変わらずまだ弱いと言われているところのNGOとかNPOとか、こういうものの育成にお役に立つことができるかということでいろいろ議論されました。
そういう意味では地球環境問題というようなことにつなげますと、これは地域のそういう環境保全ということと関連する範囲内においては当然出てくる問題であって、少なくとも基本のところはコミュニティーの環境保全というところが中心だということです。
それから、第2番目に申し上げたい点は、先ほど目標数値というようなことがありました。環境カウンセラーをどのぐらいにしたらいいかということを議論ありましたけれども、私たちの委員会で出た議論の中では、これは官製の何らかのものであってはならないのじゃないか。すなわち、できるだけ下から生まれてくる、ボトムアップですね、ボトムアップのものを我々が大切にしていくということで、仮に環境カウンセラーとかあるいは地球温暖化、ここに地球温暖化推進員と書いてある、これは推進員じゃなくて地球温暖化防止推進員でございますけれども、そういうようないろんな現在制度の中にあるもろもろの仕組みを大いに利用させてもらうということで考えるわけですけれども、基本的にはやはりボトムアップのやり方というものをもっともっとこれから大切にしていくことが重要で、ボトムアップをより活性化するために、あるいは強化するために、じゃ我が国としては何ができるかということを我々は考えていきたいということで、ある意味ではかなりNGO、NPOを支援するような方向での議論が中心になったということです。
そういう意味では、環境カウンセラーとか、いわゆる官製のそういうものを余り強化する強化するということになると、何だこれは環境省は自分の仕事をふやすためにやっているのかというふうにとられるのではないかということで、かなり中ではいろんな議論が出まして、基本的にはあくまでもボトムアップをできるだけ支援するというのが今回の私たちの議論の中心ではなかったかと思います。
それから、3番目には、今最後に出た点ですが、それはどういうことかというと、60歳以上、特に定年でおやめになった方々、実はものすごいすばらしい経験とか知識を持っているわけであって、こういう方は地域にたくさん住んでいるわけですから、例えば私の武蔵野の場合にはついに16%になりましたけれども、こういういろんなところですばらしい人たちがたくさんいる。こういう方々を何とかして地域の環境保全のために協力してもらうということはどうやったらいいだろうかということもありますので、そういうところも私たちはかなり注目しまして、もちろんそのときに大学生とか、あるいは中学生とか、そういう方とご一緒のいろんな活動もあるわけでございます。そういう意味では当然年代別のいろんなことを考えなくちゃいけませんが、こういうことでできるだけ私たちはそのコミュニティーレベルにおけるところの環境保全に対して、我が国政府としてはどういう格好で先ほど申しましたオーナーシップ、キャパシティービルディング、パーティシペーション、パートナーシップ、全世界的に認められてているところのこの4つの原則をできるだけ、どういうやっていったら実際に具体化できるかというところを中心にやろうということで議論いたしましたので、もちろんきょうのご意見を参考にしながら、これからまだいろいろ検討させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○森嶌部会長 それでは鳥井委員、それから安原委員、それから波多野委員、松川委員ということで。
○鳥井委員 2点について申し上げたいと思います。
1点目は、地域における協働の促進ということ、3番目のレベルとして自主的な協働活動ということが入っておるわけですが、この自主的なということの意味というのは、ある程度自主的に経済力があってということが条件だろうという気がするのですね。ということは、何か経済価値を生まなくちゃいけないということだと思うのですけれども、これは本当にどういうイメージがあり得るのかということはしっかり考えておかないと、いつまでもどこかの支援に頼るという、もちろん支援に頼っていいのですけれども、行くべき方向はやはり自主的にというところだろう。その姿というのはちょっとイメージしておかないといかぬなという感じがする。
それから2番目で、これも類似の話なんですが、例えば地球環境基金でいくとたくさんかかりますよ、こういうことだけれども、これはボトムアップ型ということを考えますと、提案公募で競争的に配るというようなことになるかと思いますけれども、環境への取り組みというのは継続的に取り組まなくちゃいけないわけですね。ことしは受かりました、ことしは落ちましたという、これでは支援にならないのだと思うのですね。それから逆に、じゃ継続的にこことここにあげますよといってずっとあげれば、今度は慢性的に何か変なことになりかねない。
日本の国というのはお金の配り方が非常に下手くそというところがあるのですね。例えば環境問題を科学研究費みたいな格好で配っていいかというと少し違うなという感じもするわけですね。じゃ財団法人みたいに支援するみたいに配っていいかというと、これもちょっと違う。だからお金の配り方の知恵というのをどういうふうに引き出してくるかということを少し集中的に検討しないと、例えば枠だけ配って、費用進行型でチェックしながら行くというような手もあるかなという気はしている。そんな意見ですけれども。
○安原委員 全体としていい案を提言していただいていると思います。個別の問題でございますが、今鳥井委員も述べられましたが、やはり活動を組織している者とすれば資金の問題に現実の問題としてぶつかります。この資金運用をどうできるようにするかということは非常に重要なテーマであると思います。
それで、ここでNPO法人に対する認定要件の問題等について具体的に触れてあります。もう1つ、NPO法人だけの問題でいいのか、もっと基本的にはベースに公益法人制度があるわけですね。今伺っておるところでは、公益法人、社団法人あるいは財団法人の制度のあり方について全面的な見直し作業が行われていると伺っておりますので、その一環で寄付金制度についても検討が進められるかどうかわかりませんが、いずれにしましてもNPO法人だけではなくて、それとのバランスを十分考えて、社団法人あるいは財団法人の公益法人に対する寄付金の優遇制度が今のままでいいのかどうか、これは非常に大きな課題で難しい問題だろうとは思いますが、検討していただいたらどうか。
社団法人なんかの活動にかかわっておりまして思いますのは、その対象になります特定公益増進法人の認定を受けます場合に、要件として対象事業が限定列挙されているのですね。環境に関係する事業としては、具体的な自然保護なんかは1つあるのですけれども、例えば研究ですと、自然科学の研究は入るのですけれども、社会科学の研究は対象に入らないとか、あるいは国際協力は広く対象に入って、したがって環境保全にかかわる国際協力も入るのですが、環境保全という、NPO法人は環境保全となっているわけですけれども、環境保全だったらそれじゃ特定公益増進法人になるかというと、今言いました3つの事項のどれかに該当するということでないと対象にはならないのですね。
したがって、環境を対象とする範囲が非常に限られてくるというような問題も見られます。これは1つの具体的な例ですけれども、したがって私の言いたいのは、NPO法人について検討するのであれば、そのもっと基本にある公益増進法人の税制の優遇についてもあわせてバランスをとって検討するようにメンションしていただいたらどうかということでございます。
それからあと1点は、参考2で、前回地球温暖化防止活動推進センターに言及しましたところ、現状を整理した資料を提出していただきましてありがとうございました。これで見ると少しは県レベルのセンターがふえてはきているのですが、もう何年もたつのにまだこの程度でございますね。今度の法律改正で公益法人でなくても、NPO法人でも指定できるということになって、弾みがつくとは思うのですが、できるだけ全県にこのセンターができますようにプッシュしていただきたい。これは総合政策局というよりは地球環境局ですが、ほかの局のことだということでなしに、一体として取り組んでいただきたい。それからその活動ももっと、こういう制度になったということが聞こえてくる程度に成果を上げていただきたい。そしてこのセンターの活動も、今回の対象にきちっと加えていただいて、パートナーシップを組んで連係プレーができるように、これは温暖化対策が問題のテーマに挙がっているわけですから、一体的に活用され、そして実践活動を推進する役割をきちっと果たしていくようになるように、できるだけの配慮をお願いしたいということでございます。
○森嶌部会長 それじゃ波多野委員どうぞ。それから松川委員にいきまして、藤田委員にいきまして、横山委員ということでお願いします。
○波多野委員 今廣野先生のお話を伺って感じたのですけれども、やはりコミュニティーレベルの話と国際協力レベルの話は分けて考えないといけないのじゃないか。コミュニティーレベルで考えるときにはオーナーシップがあってのパートナーシップ、だからオーナーシップを助けるためのパートナーシップという方程式が成立するのだと思いますけれども、国際レベルの場合にはオーナーシップがない、オーナーシップがないところへどう助けるか。これをパートナーシップと呼んでいいのかどうか、それはわからないのですけれども、オーナーシップがないという前提で考えないと、今度も先進国はもうオーナーシップの点だけは譲れないというので頑張っちゃったのですけれども、これじゃ僕は全然将来改善しないし、道は開けないと思いますね。
○松川委員 グラウンドワークスの考えをベースにしているというお話で、大変結構だと思います。私はナショナルトラストとかああいうものを日本にぜひ展開してほしいと思っております。
それで、グラウンドワークスの場合には助成は立ち上がり期、たしか5~6年ですよ。だからそこからどうやって自立させていくかというところを、かなりNPOのマネージメント、ここを相当しっかりキャパシティービルディングしていかないといけないのじゃないかというふうに思います。そうしないと、いまさっきご指摘がありましたように、ずっと補助金を出し続けるスタイルになっていくのじゃないか。
我々もいろいろNPOの方々から融資を含めて相談を受けるのですけれども、会計とか税務とか、あるいはディスクロージャーとか、そういう基本的なところで余り十分でない、そもそも融資するベースがないという案件が多くて、むしろその場合には我々、テクニカルアシスタンスを相当やって、自立できるような形態をするように指導しているのですけれども、ぜひそういう面をちょっと。
それから、この第3番目の範疇というのは、僕はいいと思いますのは、たしかグラウンドワークスの創立者の人の講演を1回聞いたことがあるのですけれども、結局ブランドだと言うのですね。民間企業からお金を集めるときに、それは数限りないNPOがあるのだけれども、やはり非常に持続的な活動をしているとか、あるいは非常に相対的に立派な成果を上げているというようなことで、グランドワークスの案件だったら大丈夫だろうということで企業が寄付をするということですので、やはり日本もある意味でそういう安心して寄付できる環境のナショナルブランドみたいなのをつくることを考えるべきでないかなというふうに思います。
それから、環境教育は私は非常に大切だと思うのですけれども、私は実は租税教育を昔国税庁にいるときに推進したのですけれども、あれは本当にものすごく副読本というのは各分野から、例えば水の安全性とかいろんな分野のものがございまして、現場では競争なんですね。だから環境教育を取り上げてもらおうと思ったら、まずその学校に行って、カリキュラムをつくる1学期の前の春休みからネゴしなければいかぬ。場合によってはモデルプレーイングのためのだれか人を派遣して、先生方の前でやったり、あるいは子どもの前でやったり、そういうことをする。そうすると、やはり信頼できる人じゃないとだめなんですね。何かどこの人だろうというのでは相手にしてくれませんので、やはりある意味の、これも人材の面もしっかりした資格と言ってはおかしいのですけれども、信頼できる、学校の先生方がこの人だったら環境教育を一緒にやっていいだろうというような、ある意味のプレステージを持った形にしないとなかなか現場では進まないと思います。文部省に幾ら声をかけても、やはり教育現場というのは必ずしもそれで動くものではありませんので、相当粘り強い努力が必要じゃないかというふうに思います。
○藤田委員 ちょうど前に松川委員が発言されたので、その後ろの方がほとんど同じなんですけれども、全体に枠組みの話をされておりまして、これは私も非常に理解できると思います。
それで、その人材育成のところでも、実は課題のところでいろんなレベルの問題とか指摘されていますので、当然だなというふうな気はします。
1点は、実は教育プログラムの、前回にもお話をしたのですけれども、やはりある程度育成した人材に応じたプログラムというのは当然つくっていく必要があるだろうということは今痛切に感じております。
それともう1点、これは非常に中身の問題になってきますので、このフレームの話ではないのですけれども、いわゆる理科教育といいますか、環境教育の場合に、社会科学的な面というのが非常に大きいと思いますが、もう一方で実は自然科学と、ある意味で産業活動も含めた、これを工学ともし言わせていただければ工学的な面、この辺のところも上手に組み込んでいかないと、ただ単に、非常に悪い言い方をすれば何となく観念論だけの環境教育になりかねない。その辺のところはぜひきちっとプログラムしてつくっていただければというふうに思います。
そうしますと、ちょっと波多野委員とは意見が違うのですけれども、地域の問題でも、地域環境の問題も地球環境の問題もやはり1つに当然なってくるというふうに思っております。
○森嶌部会長 横山委員。
○横山委員 廣野委員長のもとで専門委員会の議論に加わって私が感じたのは、環境保全活動に当たっては、やはり政府とか国が余り前面に出ないで、縁の下の力持ちに徹する。あとはNGOとかNPOとか自治体とか企業がパートナーシップを組んで自由にやるのを陰で支援するという形が最善ではないかなということを強く感じました。
それで、今度のものも地域環境力創造戦略といって、余り国の関与はないのかなって読むと、やはりそうっじゃないのですね。例えば14ぺージの(3)の[1]なんか見ても、環境保全活動推進員を委嘱すると、やはりここでも国が全面的に出る。その後を読むと、「その育成を図るため、定期的に研修を行う。」と、国がやはり研修までやって見るのだというふうなのが、どうも私はちょっと、地域環境の創造戦略と言いながら、あくまで政府・環境省が前面に出ますよという意識がまだまだ残っているのじゃないかなというふうに感じます。
それから、12ぺージの最後のネットワークのところを読んでも、「国民運動の推進」と言って、「政府への政策提言等を行う全国評議会の設立」と、要するに最後は政府がやるのですよ、あなた方はアイデアを出しなさいというふうにも、ちょっと深読みだと言われると頭を下げざるを得ないのですが、まだ専門委員会でやった、できるだけ地域に任せようというのがそういうところで何か否定されているような感じがして、もう少し表現なりやり方を変えていただきたいなというふうにも思います。
○森嶌部会長 この点は、先ほど逆に、人材について資格の認定というようなお話がありまして、少なくとも事務局の意図としては、今横山委員がおっしゃったのは、私の感じでもやや深読みではないかな。ジャーナリストですから、そう深読みするのは当たり前という感じがいたしますけれども、むしろそういう自発的に下からボトムアップをやっていくだけの力をつける、それに対して国が支援をするということですけれども、今横山委員がおっしゃったように、書き方によってはやはり国が鼻づらをつかまえて引きずり回すのかなというふうに読まれる可能性もありますので、この点は今後の文章化を十分気をつけてもらうようにいたしますが、少なくとも意図的にはそういうことではないということは申し上げておきたい。
どうぞ渡辺委員。
○渡辺委員 この12ぺージの冒頭の、課題が山積している、足元からの取り組みが必要だ、民間団体や住民の活動、あるいはみんなが協力して取り組む、これが不足している、と書かれています。確かに、私は横浜に住んでいますけれども、一住民として何か活動したいなというときに、情報もない、どこへ行ったらよいのかわからない、といった実情を痛感をしております。
この12、13、2つのぺージを見ておりまして、人材育成のところは現状がこんなになっている、このままでいいのだろうかということが極めて具体的にわかりますが、13ぺージのところ、理屈としてはよくわかるような気がいたします。地域環境保全活動センターというものがいろいろ呼びかけをするとか、2番目、協働による活動実施の促進とかあります。それから、何か環境創造リーグといった仮称のそういう組織体を育成すると書かれていますが、しかし、その地域環境保全活動センターというのはどのくらいの単位に置かれたらいいのか、あるいはこの環境創造リーグというのはどういう地域をカバーするものがいいのか、具体的なイメージがもうひとつわかないのです。これは今白紙に絵を描くわけでありませんで、地域地域で具体的な活動が本当に数限りないNPOとかいろいろな団体、グループがあって、現に活動をしているのじゃないかと思います。
それでお願いなんですけれども、少なくとも都道府県と、指定都市12あるのでしょうか。だから59団体ぐらいには、それぞれの地域の中でのこの辺の実情がどうなっているかというのをあらかじめ聞いていただいて、その上でかつ、この案についての59自治体のご意見を聞いてもらうということが効率的に事を進める上で非常にいいのじゃないか。何か10月下旬にNPO、NGO、自治体、企業とヒアリングとありますけれども、ここに1~2の自治体が出てきておっしゃっても私は不十分のような気がします。そうかといって三千何百というわけにもいかないと思いますから、59の主な自治体に、横浜市なら市に聞けば、横浜市の中でこんな活動が行われているかというのはある程度わかるわけですから、そういう実情を聞いて、かつこのフレームワークについて横浜市はどう考えるというようなことを聞いていただいて、それをまとめていただくと、私は具体的なイメージがわいてくるのかなという気がいたします。
これはお願いでございます。よろしくお願いします。
○森嶌部会長 今までのご意見で、例えば自主的、自発的ということのイメージが1つ必ずしもはっきりしない、あるいはもっと根本的に環境保全活動の環境保全というのは地域ではどういうことをイメージしているのか。委員のご発言でも、ある人は地球環境を考え、ある人はその地域の全くの個別の問題をお考えというようなこともありますので、それから今渡辺委員からご指摘がありました現実にそれぞれの地域で今どういうふうに動いているのかということについてのイメージ等、次回までに非常に宿題は多いわけですけれども、できるだけその辺のところを詰めていただきたいと思いますし、それから先ほど横山委員の話もありましたけれども、何となく、例えば人材を育成をする、そして資格を与えるということは、何か国によってコントロールをするというようなイメージも場合によっては受けかねないというときに、人材を育成するための人材でしょうか、そういう者の育成についてどういうイメージを持っているのか、この辺なかなか、私はお前やってみろというとなかなか難しいなという感じはしますけれども、配慮して次回にそれについて対応いただきたいと思います。
きょうは事務局の方からお答えをいただく時間はありませんでしたけれども、むしろ次回にさらに案をリファインしたものを出す段階で事務局としての見解も伺えるというふうに思います。
時間の関係もございますので、ああ、それでは最後に江頭委員どうぞ。
○江頭委員 何か時間がないようで済みません。
地域からということで、私いつも1人1人の生活、ライフスタイルを変えるということを言われていながら、なかなか変わらない。だからいろんな問題がどんどんふえていくということで、地域または市町村のレベルに何かできないかなと思うわけですね。地域はかなり部分的に、ごみの問題とか空気の問題とか、そういうことで部分的に活動している、緑をよくしようとか、ふやそうとか、でもそれが断片的なんですね。だからそういうことをまとめていく上でも、今度のこの計画は大変いいなと思いました。ボトムアップということは私も大変大賛成であります。そして、その今のをまとめていくという上で、とりあえずはどうやればいいかということは地域で、それこそ区市町村の人々はまだその行動の仕方も十分じゃないので、とりあえずは行政がリーダーシップをとるということも必要かなと思いますので、政府で、横山さんおっしゃって反対意見じゃないのですが、やはりこういうリーダーシップをとって今後進めていったらいいかなと思いますので、大変いい案だなと思いました。
○森嶌部会長 ありがとうございました。
それでは、急いで申しわけありません、自分の都合もあって申しわけありませんが、それではその他としまして、検討スケジュールについて事務局の方から説明してください。
○浅野環境教育推進室長 資料の3をごらんになっていただきたいと思いますが、今後のスケジュールでございますけれども、本日、9月20日に行いまして、次回でございますが、10月下旬にそれぞれの関係の団体等の方々からのヒアリングを実施したい。これはいろんな方々のご意見を踏まえてこれをさらに議論を深めていきたいという趣旨でございます。ヒアリングを実施したいと考えておりまして、その上で11月の初旬に部会をまた開催したいというふうに考えてございますが、ただ、部会長とその後ご相談いたしまして、部会長も大変お忙しいものでございまして、ヒアリングにつきましては10月24日の午後に設定させていただきたい。また、次の部会につきましては11月5日の午後か6日の午前中、どちらかでありますと部会長の都合がよろしいということですので、そこで設定させていただきたいと考えております。委員の方のお手元には恐縮ですが出欠表を出させていただいておりますので、ぜひご出席いただくようにスケジュールの調整をお願いしたいと思いますが、出欠表にご記入いただきまして机の上にでも残しておいていただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
その後、部会の方として中間答申案をまとめた上で、パブリックコメント、その上で最終的な取りまとめと考えておりますが、ただここで中間答申案と書いてございますのは、この保全活動活性化につきましては、本日ご議論いただいたような理念に限らず、いろんなまだまだ幅広い分野でご議論いただく課題もあるということで、そういう意味で中間答申案ということで、今回お示しした内容について年内に取りまとめていただくという形で、中間答申ということで書いておるものでございます。
以上でございます。
○森嶌部会長 それではそのような段取りで進めさせていただきたいと思いますけれども、皆様よろしくお願いをいたします。
それでは本日の総合政策部会を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
午前11時43分閉会