中央環境審議会総合政策部会(第7回)議事要旨

日時

平成14年 9月20日 10:00~12:00

場所

経済産業省別館1028会議室

議事次第

  1. 1. 開会
  2. 2. 議事

    1.   (1)ヨハネスブルクサミットの結果について
    2.   (2)環境保全活動の活性化方策について
    3.   (3)その他
  3. 3. 閉会

配付資料

資料1   持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスフ゛ルク・サミット)(概要と評価)[PDF47KB]
資料2 地域環境力創造戦略(案)について[PDF44KB]
資料3 環境保全活動活性化方策の検討スケジュール(案)[PDF6KB]
参考資料1 ヨハネスブルクサミット関連資料[PDF32KB]
参考資料2 環境保全活動に関わる人材の制度の現状[PDF21KB]

議事

(1)ヨハネスブルグサミットの結果について

  • エコノミストからはサミットの成果はEverything is Nothingと言われている。議論の結果、どういう具体的な成果があったのか?
     
  • 各国のリーダーが30人ぐらい集まったラウンドテーブルで議論をしており、パートナーシップ、グローバリズムといった基本的な考え方の整理ができた。閣僚レベルでは、実施計画について達成期限、目標等を踏まえて言葉だけでなく実施のための議論をした。最後のステートメントではEU等から2万人を超える人数よりももっと絞ってよいのではとのコメントもあった。
     
  • ブッシュ大統領は来なかったが、アメリカに対する評価は?アメリカなしでは進まないとの批判やパウエル長官の演説に対するブーイングなどがあったと聞いている。NGO・NPOでは批判が多いが、政府レベルではどうか?
     
  • 交渉の中でアメリカがという議論はなく、意識してはなかった。衛生の問題ではアメリカがいくら払えばよいのか分からないとの抵抗もあったが最終的には合意した。京都議定書についての記述についても合意した。アメリカが抵抗したため合意できなかった事項はヨハネスブルクサミットではなかった。大統領が来なかったことについては、アメリカに言わせると、ロシア、中国、韓国も来ていないし、議会の日程と重なるためヨハネスブルクサミットの日程を変更して欲しいと要望したが受け入られなかったことを理由としている。

  • 南アフリカの新聞による評価では、5点満点で、水が5点、農業と水産業が5点、環境保全が4点、貧困が3点、保健が3点、エネルギーが2点となっている。

(2)環境保全活動の活性化方策について

  • グリーン投資といった金融の仕組みについても付け加えてほしい。
     
  • 様々存在している資格等の整理をきちんとして、全国統一的に信頼される人材を育成すべき。環境省が基盤的なルール、仕組みを作り、徐々に色々な人材を育成していくのがよい。
     
  • 共同参加は大切。共同募金や社会福祉協議会など先人の知恵に学ぶべき。共同募金については社会福祉法で定められた仕組みがあり多額の寄付が集まるが、地球環境基金の民間出えん金は1800万円程度しかない。社会福祉協議会のような協働体の結成を促すため法律による手助けが必要。募金者にバッチを配るなどして一緒に参加する意識を育てることも必要。

  • 合議体、グラウンドワークをコミュニティーでやるために、この枠組みはよい。一方、温暖化防止、循環型社会の構築等の地球全体に関わることはアプローチが違うのではないか。まず、様々な人々が意思決定に参画することが大切だが、その仕組みが用意されていない。環境はすべての人にとって共通の資産であり、これに関わる意思決定には参画が必要。意思決定に必要な情報を与える枠組みが必要。

  • 「地域環境力創造戦略」(以下「戦略」とする)はこれまでの活性化方策の中に含まれるものなのか。また、戦略である以上、中長期的なものであるべきで、人数など数値目標と達成期間の明示が必要だと思う。

  • 戦略は活性化方策と一体化したものと考える。数値目標等については、ご指摘を踏まえて検討したい。

  • 人材育成については世代的な連続性が必要であり、年代に応じた育成が必要。特に、中高学生への対応やシルバー層の活用。ジェネレーションギャップの解消について考えるべき。
     
  • 世界では、地域の活動を活性化させるためのポイントとして、[1]オーナーシップ、[2]キャパシティービルディング(人材と仕組み)、[3]参加(市民社会の形成、ガバナンス、リーダーシップを含む)、[4]パートナーシップの4点が言われている。目標については、官製でないボトムアップで設定すべき。シルバー層はコミュニティに住んでいる人々であり、活用も大切。

  • 自立的活動ということが強調されているが、経済的に自立しうる活動のイメージがないといつまでたっても官に頼ることになる。地球環境基金による助成の拡充とあるが、助成は単発でも長期過ぎても良くない。金の配り方についても検討すべき。枠として渡して、進み具合を見てというやり方もあり得るのではないか。

  • 資金確保が重要。税制についてはNPO法人の認定要件があるが、NPO法人と公益法人のバランスを考えるべき。例えば、特増法人の認定要件が環境分野は狭く認定されにくいことなどがあり、公益法人等の税制見直しを検討すべき。地球温暖化防止推進センターの設置について、何年も経つがまだ少ない。全県にできるようにプッシュすべき。この度の法改正でさらに充実すると思われるので、センターの利用も活性化方策の中に加え、両者協力して一体的に活用するよう考えるべき。

  • コミュニティへの支援と国際協力は分けて考えるべき。国際レベルではオーナーシップがないところをどう助けるのか。オーナーシップがないことを前提にすべき。
     
  • イギリスのグラウンドワークをベースにしているようだが、ナショナルトラストも含めぜひ広げていってほしい。助成は5~6年程度とし、その後どうやって自立させていくかが重要。NPOにはディスクロージャー、財務などの知識が不十分であり、テクニカルアシスタントが必要。グランドワークの創設者の話では、グランドワークは持続的な活動、相対的に効果を上げ、1つのブランドとなっており、安心して寄付できる。日本でもトラスト化を図るべき。

  • 環境教育は大事だが、学校現場にはいろいろな分野の副読本が配られており、他の分野との競争になるので、信頼できる人を学校へ派遣するなど、ねばり強くお願いすることが必要。
     
  • 枠組みを作る必要性は実感している。環境教育は、社会科学的なものに加え、自然科学、産業、工学的な教育を組み込むべき。社会科学だけでは観念論になりかねない。
     
  • 地域レベルと地球レベルも一つのものと考えている。
     
  • 専門委員会でも議論されたとおり、行政は縁の下の力持ち的存在で、あくまでもNPOを支援する立場であるべき。人材育成において国が委嘱したり研修を行ったりというのは、国が表に出すぎではないか。全国評議会についてもNPOは提言だけで最後は国という感じを強く受ける。
     
  • 人材については信頼できる資格が必要との意見もある。事務局側にはそのような思いはないが、記載(表現)の仕方は検討しなおすべき。ボトムアップをするだけの力をつけるための支援は必要。
     
  • センターやリーグの具体的なイメージが浮かばない。都道府県・政令都市に対し、現に協働で活動しているNPO等の実情を調査し、さらに「戦略」に対する意見を聞くべき。そうすればイメージが具体化すると思う。

  • 今回の事務局の案は良いと思う。ボトムアップは必要だし大賛成であるが、とりあえず行政がリーダーシップをとることも必要である。

  • 本日は、いろいろと意見を出していただいた。事務局としての考え方については、次回まとめて報告してほしい。


  • (了)