中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度小委員会(第12回)・風力発電 に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会(第8回)合同会議 議事録
日時
令和7年2月3日(月)15:00~18:00
場所
AP日本橋Gルーム
開催方式
オンライン併用
議事次第
1.開会
2.議事
(1)今後の環境影響評価制度の在り方について(案)
(2)その他(今後の進め方等について)
3.閉会
配付資料
【資料】
資料1 中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度小委員会(第11回)・風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会(第7回)合同会議における委員意見の概要
資料2 「今後の環境影響評価制度の在り方について(答申)及び風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(二次答申)(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果について(概要)
資料3-1 【修正(修正履歴有り)】今後の環境影響評価制度の在り方について(答申)及び風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(二次答申)(案)
資料3-2 【修正(修正履歴無し)】今後の環境影響評価制度の在り方について(答申)及び風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(二次答申)(案)
資料4 「今後の環境影響評価制度の在り方について(答申)及び風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(二次答申)(案)」を踏まえた各対応事項の進め方(案)について
【参考資料】
参考資料1 中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度小委員会 委員名簿
参考資料2 中央環境審議会総合政策部会風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会 委員名簿
参考資料3 中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度小委員会(第11回)・風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会(第7回)合同会議 議事録
参考資料4 「今後の環境影響評価制度の在り方について(答申)及び風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(二次答申)(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果について
議事
○加藤環境影響審査室長 定刻となりましたので、これより、中央環境審議会総合政策部会第12回環境影響評価制度小委員会・第8回風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会合同会議を開催します。
私は、環境省大臣官房環境影響評価環境影響審査室長の加藤です。本日もよろしくお願いいたします。委員の皆様におかれましては、年度末が近づく御多忙にもかかわらず、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
会場の報道関係者の皆様への御案内です。冒頭の撮影は、議事を開始するまでの間、可能となっていますので、御承知おきください。
本日は、対面とオンラインのハイブリッド方式での開催となります。環境省大臣官房環境影響評価課チャンネルにてライブ配信を行っています。なお、本配信は議事録公開までの間、同チャンネルでアーカイブ配信を行う予定です。
オンライン参加の皆様におかれましては、何点か御協力をお願いします。御発言の際以外はカメラ及びマイクをオフとし、御発言の際にオンにしてください。また、御発言を希望される場合には、挙手ボタンをクリックしていただきますようお願いいたします。通信トラブル等何かあれば、事務局までお申し付けください。
本日の委員の出席状況です。環境影響評価制度小委員会及び風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会において、それぞれ委員総数の過半数以上の委員に御参画いただいています。定足数の要件を満たしていることから、小委員会として成立したことを報告いたします。また、吉田委員、荒井委員は都合により、本日は御欠席となります。
続いて、お手元の資料を確認します。本日の資料は、現在画面に表示している資料一覧のとおりです。不足等あれば、事務局までお申し付けください。
会場の報道機関の皆様におかれましては、冒頭の撮影はここまでとし、以降は傍聴のみとなります。
これより先の議事進行を大塚委員長にお願いしたく存じます。大塚委員長、お願いいたします。
○大塚委員長 それでは、議事に入ります。
本日は、議事次第にあるとおり、(1)今後の環境影響評価制度の在り方について(案)、(2)その他(今後の進め方等について)の2件になります。議事(1)では、前回の合同会議における委員からの御意見、パブリックコメントでいただいた御意見を踏まえ、修正作業を行った答申案について、議事(2)では、答申案に記載された各対応事項の進め方などについて議論を行います。各委員の皆様におかれましては、答申案の記載内容の修正に関わるものは議事(1)、答申案を踏まえた今後の対応に関わるものや、環境省に期待したいことなどは議事(2)において、それぞれ御意見をいただきたく存じます。
まず、議事(1)「今後の環境影響評価制度の在り方について(案)」になります。事務局から、資料1から資料3-1に沿って御説明いただきます。
○澁谷環境影響評価課長補佐 環境省環境影響評価課課長補佐の澁谷から、資料1と資料2に関して説明します。
資料1の2ページ目を御覧ください。昨年12月12日に開催した合同会議では、委員の先生方に答申案の内容を御議論いただき、様々な御意見等を頂戴しました。その御意見の概要について、答申案の構成に沿い、本資料にて説明します。
3ページを御覧ください。「Ⅱ.前回法改正事項の点検」になります。「1.配慮書手続の在り方」の項目について、配慮書手続の制度趣旨をより高度に実現していく観点から、多くの御指摘をいただきました。例えば、適切な事業実施想定区域の範囲の目安等の提示についてガイドラインの整備等を行い、より適切な制度運営を図っていく点について様々な御意見をいただいています。また、配慮書における検討内容を方法書手続以降の検討に適切に活用すること、あるいは、配慮書の適正性確保のための有識者による審査の必要性等についても御意見がありました。そして、国が環境保全上重要な区域を提示すること等については、風力に限らず全ての事業種を対象にすべきこと、適切な事業実施想定区域の範囲の目安に関しては事業種ごとに異なるのではないかといったことのように、風力以外の事業についても御指摘をいただいたところです。
次に、「2.報告書手続の在り方」の項目になります。国が発電所に係る報告書を取得するための制度上の仕組みを早期に構築すること、事後調査等の実施結果を国が一元的に管理・分析することについて、様々な観点からその実現が重要であると御指摘いただきました。また、事後調査の実施の在り方、報告書の提出の時期等に関する考え方、データ取得の考え方の整理についても様々なコメントがありました。
4ページを御覧ください。「Ⅲ.環境配慮が確保された陸上風力発電事業の最大限の導入促進」になります。全体として、陸上風力に関する3コースの振り分け案については、前向きかつ早急な検討が必要である。また、その際に諸外国における判定の行い方、あるいは国際的なガイドライン等も踏まえ、基準や判定についての検討を進めるべきとの御意見をいただいています。それから、「1.適切な立地環境への誘導による導入促進」については、ゾーニングに係る他制度とアセス制度の連携強化に関して前向きに検討すべきとのこと、具体的に環境配慮が確保されているエリアで実施されている事業についてはアセス手続の合理化を図ること、ゾーニングに係る他制度とアセス制度の連携強化に関する記載においては趣旨の明確化をすべきとのこと、または、促進区域制度に基づく事業認定のプロセスとアセス手続の時系列や関係性を整理すべきといった御指摘になります。そして、「2.法対象規模を下回る事業に係る効果的かつ効率的な環境配慮の確保」においては、「環境保全上重要なエリアの考え方」と「風力の第二種事業に係る新基準の内容」の関係性の明確化、第二種事業に係る判定基準については最新の科学的知見等に基づき随時見直しを図るべきとのこと、あるいは、風力発電による環境影響について、鳥類や景観だけでなく、コウモリ類、生態系や景観への影響といった記載が適切との御指摘をいただきました。
5ページを御覧ください。「3.リプレース事業に係る環境影響評価手続の合理化」になります。こちらの現行の配慮書に代わる書類については、事後調査等の結果を記載することで、より効果的な環境配慮の確保ができる。また、配慮書手続の合理化に当たっては手続に要する負担、期間の短縮が図られること、早期段階から地域とのコミュニケーションを確保することが重要、そして、風力発電以外の事業についても具体的な要件をよく検討してほしいとのことでした。また、新設時と周辺環境等の条件が違う点では、累積的環境影響を考慮する視点も重要であること、元の答申案に記載していた既設事業に係る適正な環境配慮の確保のための取組が行われていると判断するための考え方に関して、抽象的で分かりにくい点を御指摘いただきました。その他、合理化のガイドラインに関しては、制度見直しの状況も踏まえて見直すべきとのこと、合理化のための技術的な考え方は地方の審査関係者にも共有すべきであり、スコーピングの強化に当たっては、供用時の事後調査等の結果を活用することが有効との御指摘もありました。
次に、「Ⅳ.現行制度の課題等への対応」になります。まず、「アセス図書の継続的な公表又は公開」については環境省がしっかり進めるべきとのこと、また、これにより環境影響の知見が蓄積され、事業サイドにもメリットがある旨を記載すべきとの御指摘でした。
6ページを御覧ください。「2.戦略的環境影響評価の実現」になります。重要な区域を国が提示することなどにより立地誘導を図っていくことはSEAにつながり得る。他方、配慮書手続をSEAと言ってよいか否かについては検討が必要となる。また、SEAの実現に当たっては、持続可能性アセスを視野に入れて検討すべきである。SEAの実現に関する記載は、より前向きな表現に修正すべきとの御指摘をいただきました。「3.累積的環境影響への対応」に関しては、考え方の検討にとどまらず、ガイドラインや指針等を策定すべきとのこと、また、絶滅危惧種等の秘匿情報についても事業者が必要に応じて情報を取得できる運用上の工夫が必要である。そして、地域的な計画との連携の重要性についても御指摘がありました。「4.環境影響評価に係る技術の向上と環境情報基盤の充実化」は、生態系アセスについては国際的な動向を注視しつつ、考え方の見直しが必要ではないかとのことです。また、生物多様性オフセットについては、定量性を提示できない場合、十分な環境配慮が確保されない懸念もあるとの御指摘、あるいは「ノーネットロス」、「ネットゲイン」を目指すことが重要であるとのことでした。そして、人材育成の方針について内容を具体的に書いてはどうかとの御指摘もいただいています。
次に、「5.環境影響評価法の対象とすべき新たな事業に関する検討」になります。CCS事業に係る対応について、特に輸送に関する環境影響にも留意すべきとの御指摘もありました。また、事業が本格的に進んでいく状況の中、より前向きな表現に修正すべきではないかといった御指摘もいただきました。
7ページを御覧ください。引き続き、「その他の課題への対応」になります。「(1)国と地方公共団体における情報交流の推進」については、地方公共団体間の情報交流を促進していくべきと御指摘いただきました。「(2)スコーピングの強化による環境評価の合理化」では、全体を通してスコーピングの意味を明確かつ適正化すべきとのことです。また、合理化が図られない理由として、過度に精緻な予測評価が求められる点があります。そうしたことについては、順応的取組の推進により合理化が図られる部分もある。そして、環境影響の懸念が小さく、不確実性が大きい項目については、精緻な予測評価は不要である一方、事前調査は適切に実施すべきとの御指摘もありました。「(3)小規模事業に係る簡易な環境影響評価の推進」に関しては、過去のガイドラインに基づき、小規模事業の自主アセスが適正に機能しているか否かの検証が必要との御指摘をいただいています。「(4)環境影響評価に係る事業の「一連性」の考え方の周知」については、付帯設備の整備について本枠組みの中では対応が難しい面もあるものの、環境配慮を促していくことは重要とのことでした。「(5)長期的な手続未着手案件への対応」に関しては、アセス終了後、長期間が経過すると周囲の自然環境は変化するため、許認可を実施する際にはそのような変化を考慮する必要がある。また、本パートについての順序等の適正化を検討すべきとの御指摘でした。「(6)手続途中段階の風車の機種変更」に関しては、準備書手続から評価書手続に至る段階において、基本的には環境配慮の観点から事業計画の見直しをすべきであり、機種変更の理由による事業計画の変更を認められるべきではないといった原則的なことは記載すべきとの御指摘がありました。そして、複数案を設定してアセスを実施することが効率化とは逆行するとの御指摘もいただいています。
8ページを御覧ください。引き続き、「その他の課題への対応」になります。「(7)環境影響評価書に基づく事業の許認可等を行った際の審査結果の理由の公表」について、「他制度において類似の事例が少ないこと」は理由にならないとの御指摘をいただきました。また、「(9)公聴会の開催」については、市民参画を推進する観点からしっかり検討すべきとされ、「(10)環境影響評価手続に係る不服申立・争訟手続」については、「オーフス条約(環境に関する、情報へのアクセス、政策決定への市民参加及び司法へのアクセスに関する条約)」を批准していないことを明記してはどうかとの御指摘をいただいています。そして、最後の「Ⅴ.おわりに」では、フォローアップのタイミングについて可能であれば、5年程度などと具体的に記載すべきとされ、全般的な事項としては、各対応事項の優先順位について明確化すべきとの御指摘でした。
続いて、資料2の御説明に移ります。今回の答申案に対するパブリックコメントの主な意見の概要です。
令和6年12月25日から今年1月23日にかけて意見募集を実施したところ、71通が寄せられ、意見の数としては合計239件いただいています。その意見と、それに対する事務局の考え方については参考資料4にまとめています。ここでは、答申案に関する主な御意見について、答申の構成に沿って簡単に申し上げます。
まず、「Ⅰ.はじめに」になります。ネット・ゼロとネイチャーポジティブの意味を明確化すべきであり、再エネ導入による自然環境の破壊を止めてほしいとの御意見です。
次に、「Ⅱ.前回法改正事項の点検」になります。「1.配慮書手続の在り方」について様々な御意見をいただく中、ガイドライン整備の必要性に関しては御賛同いただいています。また、みなし複数案は配慮書段階の複数案として認められないという意見がある一方、風力発電の事業特性を考慮して一律に禁止することは避けてほしいとの御意見もありました。そして、ゼロ・オプションの検討を義務付けるべきこと、あるいはゾーニング等の取組で適切な立地誘導を進めてほしいとのことです。配慮書手続段階における意見聴取の義務化をすべきとのことに加え、他方、国による審査期間を長期化しないようにしてほしい。あるいは配慮書段階における検討結果を適切に方法書以降に反映してもらいたいといった様々な御意見をいただきました。
2ページ目を御覧ください。「2.報告書手続の在り方」に関して、環境省が発電所に係る報告書を取得することができる仕組みに賛同するとのコメントをいただいたほか、電気事業法の特例を廃止してほしいとのコメントもありました。また、国が事後調査等の実施結果を広く一元的に管理・分析し、その結果を地域に公開してほしい。報告書にも一般からの意見提出手続を設けてほしいといった御意見をいただきました。「Ⅲ.陸上風力発電を最大限導入促進するために必要となる環境配慮の確保」に関しては、「1.立地誘導による導入促進」において、事業の立地誘導を実現させる仕組みの構築が必要である。また、アセス手続を3段階に振り分ける制度案も含め、早期にそのような制度構築を行うべきとのこと、ゾーニングに係る他制度とアセス制度の連携強化には賛同するとの御意見もありました。他方、アセス手続の取扱いの変更については慎重にという声、あるいは反対といった声、またはゾーニング等に関する地域の合意形成とアセス手続に係る意見聴取の機会の連携を図ることについては、丁寧な検討が必要との御意見もありました。そして、環境保全上配慮すべき重要な区域の設定に当たっては、過度に保守的に設定されることがないよう考え方を明確化すべきであり、再エネの立地誘導に当たっては累積的環境影響の対応が必要とのことでした。「2.法対象規模を下回る事業に係る効果的かつ効率的な環境配慮の確保」については、第二種事業の規模要件の引下げについては賛同するとのコメントや、引下げに関しては適切な立地検討がなされる仕組みの検討も必要とのコメントもいただきました。他方、第一種事業の規模要件を引き上げたばかりであるため、第二種事業の規模要件の引下げには反対するとのコメントもありました。また、環境配慮型風力発電機を導入する場合には簡易アセスが認められるような仕組みを検討してほしいとのことです。「3.建替事業に係る効果的かつ効率的な環境影響評価手続の実施」に関して、建替事業に関する手続を見直す方向に賛同するとのコメントをいただきました。事後調査等の実施によって、既設発電所の環境影響の程度が大きくないことが確認された場合には合理化を図ることが可能とし、配慮書手続の見直しに当たっては、手続期間が最大限短縮されるよう検討してほしいとの御指摘でした。
3ページ目を御覧ください。引き続き、建替事業に関するものとなります。現在の風力発電所の中にはアセスが実施されていないことや事後調査が十分でない事業もあるため、慎重に適用除外を検討すべきとのことです。また、既設発電所に係る適正な環境配慮の確保のための取組をどのように判断するのか。あるいは、地域とのコミュニケーションの機会を確保すべきという点でのコメントをいただきました。そして、アセス項目の絞り込みに関する技術的な考え方を整理し、事業者、審査関係者に考え方を周知していくべきであり、建替事業のアセス合理化については風力以外も対象として検討を進めるべきとの御意見でした。
次に、「Ⅳ.現行制度の課題等への対応」になります。「1.環境省による環境影響評価図書の継続的な公開」については、多数の賛成意見をいただきました。他方、著作権法等への留意が必要という御意見もありました。「2.戦略的環境影響評価の実現」に関しては、早期に実現すべきであり、持続可能性アセスメントの実現に向けた検討も進めるべきとの御意見、配慮書手続は戦略的アセスとは言えないとの御意見もいただきました。「3.累積的な環境影響への対応」に関しては、こちらもガイドラインを整備してほしい。他方、事業者の過剰な負担、事業者間の対立が発生することがないような検討、地域の主体的な関与が必要との御意見がありました。「4.環境影響評価に係る技術の向上と環境情報基盤の充実化に関しては、生物多様性オフセットの仕組みを導入してネットゲインを目指すべきであり、技術的な人材だけでなく、地域の情報交流に携わるファシリテーターの育成も重要との御意見でした。「5.環境影響評価法の対象とすべき新たな事業に関する検討」に関しては、早期に方針を示してもらいたい。また、新たな事業だけでなく、既設事業の付帯設備等に係るアセスの対象範囲の見直しも必要との御意見でした。
4ページ目を御覧ください。「6.その他の課題への対応」としてまとめています。効果的・効率的なアセス審査が実施されるよう国と地方公共団体の情報交流の推進に関して、双方向の情報交流を図っていくことが必要との御意見がありました。また、小規模事業の対応については、それらの事業も簡易な手続を導入すべきとのことです。そして、一連性の観点や手続途中での事業変更の観点について、手続の途中段階において、アセス逃れを目的とせず、事業規模の拡大が必要となった場合には、手続の手戻りが課せられないような制度設計を検討してほしい。また、発電所の設備容量に着目し、アセスの対象規模を判断することは問題だと思う。再エネ事業だけでなく、他の事業においても恣意的な事業分割によるアセス逃れを防ぐことが必要。アセス手続の途中段階において、風車の機種が変更される場合には、事業性の観点から現実に即した柔軟な対応をしてほしいという一方、このような場合、アセス手続のやり直しを義務付けるべきとの御意見もありました。それから、評価書に基づく事業の許認可等を行った際、審査結果の理由の公表については、これを公表すべきとの御意見でした。また、長期的に手続が進められていない未着手案件については、環境の変化も踏まえてアセスをやり直すべき、かつ、その基準が必要との一方で、事業の状況を事業者に聞き取り、丁寧に考え方の整理を進めるべきとの御意見もありました。公聴会の開催の規定については、進めるべきという御意見がある一方、地域の負担や混乱を生じる可能性がある点に留意すべきとのことです。また、不服申立・争訟手続に係る仕組みを設けるべきとの一方で、これについては定量的な基準等が必要。あるいは、こうした仕組みを設けることは難しいとの御意見もありました。最後に、制度の見直しは10年ごとではなく、5年程度ごとに実施すべきとのことでした。駆け足になりましたが、説明は以上です。
○川越環境影響評価課長 続いて、環境省 環境影響評価課の川越から答申案に関して説明します。資料は二つ用意していますが、資料3-1は、今回のパブリックコメントを踏まえて修正した箇所の履歴を残した資料であり、資料3-2は、それらの履歴を反映した資料となります。本日は、資料3-1に基づいて説明させていただきます。また、前回12月12日に合同会議を開催し、その中でいただいた意見を澁谷から御説明しましたが、どの部分を反映したかという点も、可能な限り御説明させてただきます。
1ページ目を御覧ください。まず、「Ⅰ.はじめに」として、今次諮問の経緯、背景となる部分を記載しています。5行目の2パラ部分に関しては、前回改正法の完全施行から10年が経過し、附則に基づいて施行状況の検討を踏まえ、制度の在り方について総合的な検討が必要であること。さらに、2024年10月に今後の環境影響評価制度の在り方について中環審に諮問を行った旨を記載しています。25行目からは、ネット・ゼロとネイチャーポジティブを達成するための統合的な取組が求められている状況で、環境影響評価制度が果たす役割は極めて大きいこと。29行目からは、2023年9月に風力発電に係る環境影響評価の在り方について諮問をし、洋上風力については2024年3月に一次答申がなされ、陸上風力を含めた風力全体のアセス制度の在り方に関する検討がまだ残っている点、そして次ページに移りますが、これらを背景とし、アセス小委、風力小委で審議を進めてきた旨を記載しています。
なお、先ほど1ページにおいて、ネット・ゼロ、ネイチャーポジティブという言葉について若干触れましたが、パブリックコメントにおいて、これら用語の意味を明確にすべきとの意見があったことから、1ページの中で定義付けを行っています。
続いて、2ページ後段、21行目になります。これは7ページの見出しにおいて出てくるものですが、以前、「環境配慮が確保された陸上風力発電事業の最大限の導入促進」と記載していた点を、パブリックコメントにて、ネット・ゼロが強調された「環境配慮が確保された陸上風力発電事業の最大限の導入促進」というタイトルではなく、より両立を目指していくことが伝わる中立的なタイトルにすべきとの意見があったことから、「陸上風力発電の導入促進に当たって必要となる環境配慮の確保」という形に若干修正しています。
3ページ目を御覧ください。「Ⅱ.前回法改正事項の点検」になります。12行目から「配慮書手続の在り方」についての記載となっています。まず15行目から16行目に関して、配慮書手続は今後も引き続き制度として維持していくことが適当である旨を記載した上で、21行目以降にあるとおり、審議会でも多くの御意見をいただいた、みなし複数案の設定に関して整理し、記載を行いました。
4ページ目を御覧ください。4行目から5行目について、以前、勢一委員から御意見のあった国が環境保全上重要な区域を提示し、当該区域を配慮書手続段階で考慮する仕組みの検討は、風力に限らず全ての事業を対象とすることが望ましいという点を踏まえ、記載を修正しています。6行目からは今後の取組として、配慮書手続段階において複数案の考え方、適切な事業実施想定区域の範囲の目安、さらには環境保全上配慮すべき重要な区域の考え方、環境影響を回避・低減するための方針等を早期に検討すること。その結果を配慮書に記載させるための方策等について事業者の意見も聞きながら検討を進め、関係法令等の見直し、ガイドラインの整備を進めていく必要がある旨を記載しています。16行目から、前回、関島委員から御意見をいただいたところですが、配慮書の適正性を客観的に判断するためには有識者による審査も必要という点を踏まえ、修正しています。18行目から19行目は、阿部委員、関島委員からの御意見ですが、配慮書手続の課題として、配慮書手続段階における検討結果が、方法書以降の手続に活用されていない側面があるとの御意見を踏まえて修正しています。また、脚注1ですが、こちらは村山委員からの御意見ですが、事業種ごとに事業実施想定区域の範囲の目安が異なる点を追記しています。
5ページ目を御覧ください。8行目から、「2.報告書手続の在り方」になります。11行目には、報告書手続は今後も引き続き制度として維持していくことが適当である旨を記載しています。18行目からは、荒井委員、原田委員、崎田委員から御意見をいただいた部分です。報告書を国が取得する制度上の仕組みについては早急に構築するべきとの御意見を踏まえ、しっかりと明記を行った部分になります。21行目からは、白山委員から御意見があった点です。発電所事業以外の事業種についても報告書を国へ提示させることが重要とのことから、その点も明記しています。
6ページ目を御覧ください。1行目からのパラグラフになりますが、この部分はパブリックコメントにおいて、国が事業調査等の実施結果を一元的に管理・分析した結果を広く地域にも公開してほしいとの御意見から、2行目にあるとおり、科学的知見の充実を図るとともに、その内容を共有すること。また、4行目に地域やステークホルダーの理解醸成を促進していくと修正しています。8行目からのパラグラフは、白山委員、関島委員からいただいた御意見を基に、まず陸上風力発電を中心にデータの取得に係る考え方を整理することが必要と記載しています。脚注9は白山委員、脚注10は原田委員、脚注11は村山委員からいただいた御意見を基に、それぞれ前回以降、追記を行った部分です。
7ページを御覧ください。「Ⅲ.陸上風力発電の導入促進に当たって必要となる環境配慮の確保」になります。見出しの部分は、パブリックコメントを踏まえて修正を行いました。17行目以降に記載があるとおり、環境省において小規模な事業も含め、立地によって想定される環境影響の程度に応じ、必要な環境影響評価手続について国が3段階に振り分けを行う制度案について検討してきた旨、21行目以降に、更に検討を深めていく旨を記載しています。脚注12については、村山委員、関島委員からの御意見を基に、海外ではそうした判定においてエキスパートジャッジを取り入れている旨について追記しました。
8ページ目を御覧ください。5行目から「1.立地誘導による導入促進」についての記載になります。11行目以降、同制度案(振り分け制度案)の検討を進めてきた趣旨や、これまでの検討結果を十分に踏まえ、陸上風力発電の導入促進と適正な環境配慮、地域共生を両立させるゾーニングの在り方について、他の既存制度と環境影響評価制度の連携を図る検討について迅速に進める旨の記載になります。15行目以降のパラグラフについては、奥委員、勢一委員から御意見をいただいた点です。ゾーニングに関わる他制度とアセス制度の連携強化に関する記載について趣旨の明確化をしてほしいということで、全体的に少し修正を施し、パブリックコメントにもかけた部分となります。
9ページ目を御覧ください。7行目からは、「2.法対象規模を下回る事業に係る効果的かつ効率的な環境配慮の確保」になります。12行目からのパラグラフにあるように、風力発電事業については風車を設置する場所の環境によって環境影響の程度が大きく左右されると記載した上で、18行目以降のパラグラフで国が積極的に関与していくことが求められること。具体的な措置として、例えば、法に基づく風力発電事業に係る第二種事業の規模要件を引き下げ、既に電気事業法に基づき実施されている簡易な方法による環境影響評価の実施を課し、スクリーニングを通じて環境影響程度が著しいものとなるおそれがあるものを法に基づく環境影響評価手続の対象とすることが想定されると記載しています。26行目以降では、そうした第二種事業の規模を見直す場合、スクリーニング基準について立地に注目した新基準の整備、スクリーニング時の簡易アセス方法の検討が必要であると記載しています。また、29行目からは阿部委員の御意見を基に、鳥類に加えてコウモリ類と生態系を追加している点が変更点になります。
10ページ目を御覧ください。14行目から、「3.建替事業に係る効果的かつ効率的な環境影響評価手続の実施」になりますが、パートを大きく二つに分けています。
11ページ目の1行目から、建替事業における「(1)配慮書手続の見直し」に関する記載になります。6行目以降のパラグラフですが、吉田委員、阿部委員からの御意見を基に、現行の配慮書に代わる書類にはこれまで実施した事後調査等の実施結果を記載することで、より効果的な環境配慮の確保ができる点を踏まえ、その趣旨が明確になるよう修正しました。また、13行目の「配慮書手続は適用除外」を「配慮書手続を見直し」と修正しています。この部分は、パブリックコメントで配慮書手続の適用除外は慎重に検討すべきとの御意見があったものの、今回、必ずしも手続を適用除外にするのではなく、建替事業の事業特性も踏まえ、作成する図書の内容等を見直していく趣旨で明確化できるように、このように見直しをしたく考えています。配慮書に関する15行目から17行目において、建替事業は風力以外も含めて手続を見直すことが適当である。さらに、18行目以降で事後調査等の実施結果を踏まえ、環境配慮の方針等について記載した簡潔な書類作成を行う。そして、24行目からは、平石委員の御意見を基に、手続に要する期間を可能な限り短縮することと、事業者の実質的な負担軽減を図ることが可能になる点に期待できると記載しました。また、32行目から次ページにかけて、奥委員の御指摘を基に、建替事業の実施に当たっても早期段階から地域とのコミュニケーションを確保することは重要との点から、その旨を記載しています。
12ページ目を御覧ください。10行目からは、「(2)評価項目の絞り込み等による環境影響評価の合理化」になります。13行目は、村山委員の御指摘を基に、建替えに係るスコーピングの強化に当たっては、供用時の事後調査等の結果を活用していくことが有効である点について明確化すべきとのことから、その旨を記載しています。また、23行目から24行目の記載については、阿部委員の御意見を基に、リプレースに係るアセスの合理化に係る技術的な考え方を地方の審査関係者にも共有していくことが重要とのことから、新たに記載しています。
13ページ目以降は、「Ⅳ.現行制度の課題等への対応」になります。11行目からは、「1.環境省による環境影響評価図書の継続的な公開」について記載しています。15行目以降、アセス図書は様々な公益が見込まれる旨を記載しました。また、脚注の方にも阿部委員から別途御意見をいただいたものとして、図書の公開により環境影響の知見が蓄積され、事業者サイドにも合理化のメリットがあるという点を踏まえ、その旨を記載しています。
14ページ目に移りますが、先ほど申し上げたような様々な公益に資するよう環境省が当該図書を継続的に公開することが可能となるような制度上の仕組みを早急に確立すべきである点について記載しました。14行目からは、「2.戦略的環境影響評価の実現」になります。この部分については、まず脚注になりますが、村山委員から配慮書手続はあくまで個別の事業計画を対象としたものであるため、SEAと言ってよいのかとの御発言がありました。実は、パブリックコメントでも同様の意見があり、脚注21の方にその旨を記載しました。
15ページ目を御覧ください。4行目から戦略的環境アセスメントについて記載しています。勢一委員から前回御意見をいただきましたが、重要な区域を国が提示すること等により、立地誘導を図っていくことはSEAにもつながり得る点について踏まえ、明確化する記載を行いました。さらには、9行目からは錦澤委員の御意見を踏まえ、SEAの実現に当たって持続可能性アセスメントも視野に入れて検討を進めていくことが重要とのことから、その旨を記載しました。13行目からは、「3.累積的な環境影響への対応」になります。18行目から20行目は、阿部委員、山口委員からの累積的環境影響評価については考え方を検討するだけでなく、ガイドラインや指針等の策定も進めていくべきとの御意見を踏まえ、その旨を記載しています。また、24行目からは、村山委員から累積的な環境影響に対する観点において、地域計画との連携も重要との御意見をいただき、その旨を明記しています。さらに、脚注22では、吉田委員、阿部委員からアセス図書に掲載されない絶滅危惧種等の秘匿情報に関しても累積的環境影響評価を実施する観点から、必要に応じて事業者が当該情報を取得できる運用上の工夫の検討について記載しています。
16ページ目を御覧ください。「4.環境影響評価に係る技術の向上と環境情報基盤の充実化」になります。2行目から、気候変動対策及び生物多様性保全等を始めとする環境政策上の重要課題が多様化、複雑化し、社会状況も大きく変化している中において、引き続き適正な環境配慮を確保していくためには、時代に即した技術を活用した適切かつ効率化的な環境影響評価を推進していくこと。そうした記載をした上で、6行目から、海外の先進事例を含む科学的知見の収集・整理に努め、技術的な観点も含め、必要なガイドライン等の整備を進めていくこと。さらには、ネイチャーポジティブの実現に向け、生態系への影響評価に係る技術的な手法の考え方、生物多様性オフセットに係る技術動向について情報の整理・検討を早急に進めていくことが必要と記載しています。また、13行目からは、気候変動を踏まえた予測評価の考え方、気候変動への適応をどのように考慮していくかについても技術的な検討の実施が望まれると記載しました。
なお、生物多様性オフセットに関して、前回、関島委員から生物多様性オフセットについては代償行為に係る定量性を提示できない場合、十分でないオフセットの実施を理由に環境配慮が確保されない懸念もあるため、慎重な検討が必要との御意見がありました。また、吉田委員からは生物多様性オフセットの検討に当たっては、ノーネットロス、ネットゲインを目指すことが重要と是非追記してほしいとの御意見があり、その旨を脚注23に記載しました。そして、15行目からは人材育成に関する記載になります。こちらは、崎田委員からの人材育成の方針について内容を具体的に記載してはどうかとの御意見を踏まえ、記載しています。15行目から、まず技術者の育成に関する旨を追記しています。そして19行目から22行目において、パブリックコメントから技術的な人材育成だけではなく、地域の情報交流に携わるファシリテーターのような育成も重要との御意見を踏まえ、その部分を追記しています。
17ページを御覧ください。1行目から、「5.環境影響評価法の対象とすべき新たな事業に関する検討」になります。2行目にあるように、海洋における新たな海底資源の採掘事業等を始め、将来的にその実施が見込まれる大規模な新規事業については、あらかじめ事業動向を注視し、科学的知見の収集を図っていくことが必要と記載しました。その中でも、6行目以降のCCS事業に関して、当該事業の動向を注視し、二酸化炭素の分離・回収、輸送、貯留の段階ごとにそれぞれ想定される環境影響の知見を収集の上、CCS事業を環境影響評価法の対象とする必要の有無など、そうした必要な対応について検討を深めていくと記載しています。17行目から、「6.その他の課題等への対応」になります。18行目から、「(1)国と地方公共団体における情報交流の推進」に関する記載となります。21行目から23行目にかけて、奥委員からの御意見を基に、地方公共団体間の情報交流を促進していくことも重要であると追記しています。また、25行目から27行目において、こちらはパブリックコメントで、国から地方公共団体の一方的な情報提供ではなく、国と地方公共団体の双方の情報交流を図っていくことが重要との意見があり、記載を修正しました。
18ページを御覧ください。1行目からは、「(2)環境影響評価の合理化を図るため技術的な検討の推進」になります。12行目以降、これまで蓄積されてきた知見、事例等を踏まえ、立地特性や事業特性に応じて適切に評価項目の絞り込み等がなされ、環境影響評価の合理化を図るための方策について、技術的な観点から検討を進めていくことが望ましいと記載しています。19行目からは、「(3)小規模事業に係る簡易な環境影響評価の推進」になります。23行目以降、環境省において、これまで小規模な太陽光発電を対象として自主的な環境配慮を促すためのガイドラインを策定してきていますが、これまでに策定したガイドラインの効果を検証していくことが適当であることに加え、環境影響評価法における対象事業と一連性を有さない付帯設備の整備について、法に基づく環境影響評価の対象外と整理される一方、必要に応じて事業者に対して自主的な環境配慮を促していくことが望ましいことを記載しています。この点は、関島委員から御意見をいただいた部分になりますが、その旨を記載しています。
19ページ目を御覧ください。8行目から、「(4)環境影響評価に係る事業の一連性の考え方の周知」になります。14行目から、環境省と経済産業省にて環境影響評価における事業の一連性の考え方に係る通知を既に発出しているため、こうした内容を広く周知し、適正に手続が課せられるよう取り組んでいくと記載しました。19行目からは、「(5)手続途中段階の風車の機種変更」になります。20行目から21行目については、村山委員から準備書手続から評価書手続に至る段階において聴取した意見を踏まえ、環境配慮の観点から事業の見直しがなされることが一般的であり、本来この段階での機種変更による変更は認められるべきではないとのことから、その点を記載しています。
20ページに移ります。そうした課題に対応するため、例えば事業者に対して、あらかじめ風車の機種や配置が変更され得ることを前提とした調査、予測及び評価の実施を求めるなど運用上柔軟に対応することも含め、適切な環境影響評価がなされる方策を検討する必要があると記載しました。6行目から、「(6)発電設備等を撤去又は廃棄する際の環境影響評価」になります。9行目から、あらかじめ事業の実施前に発電設備等の撤去又は廃棄が予定されている場合、現行制度の下、環境影響評価の実施に当たり、発電設備の撤去又は廃止する際の影響要因の整理が必要である旨を既に記載しているため、そうしたものの徹底を図っていくという考えとなります。13行目からは、「(7)評価書に基づく事業の許認可を行った際の審査結果の理由の公表」になります。14行目以降、現行の法第33条にある横断条項に関する記載を行った上で、16行目以降、行政機関は事業の許認可等を行う際には評価書の内容をどのように考慮したかを公表する仕組みを設けるべきとの意見があること。くわえて、その一方で評価書に基づく審査結果の理由について公表する仕組みを設ける点では、環境影響評価法ではなく、他の個別の法律において検討すべきとの考え方もあること。その両方の考え方を記載した上で、22行目にあるように、関係省庁等とも慎重に調整を進める必要があるとしています。
21ページ目を御覧ください。1行目から、「(8)長期的な手続未着手案件への対応」になります。こちらについては、6行目から、社会状況及び自然環境の変化を踏まえた適正な環境配慮の確保に支障を来している場合があるとの指摘への対応について、考え方の整理を進めていくことが望ましいといった形で記載しています。脚注32については、前回の委員会で吉田委員から御意見のあった事例を追記しています。11行目からは、「(9)公聴会の開催」になります。こちらについても、先ほどパブリックコメントで両論の意見があったと御説明しましたが、19行目から、各地方公共団体の意見も聴き、条例に基づく実績や効果も整理・検証の上、再度検討を進めることも考えられるという形で記載しました。22行目からは、「(10)環境影響評価手続に係る不服申立・争訟手続」になります。環境影響評価制度において不服申立・争訟手続を構築することについて検討すべきとの意見について記載した上で、次ページに移ります。
22ページ、6行目からはオーフス条約の関係の記載、10行目からは環境影響評価法という個別法において取り扱うべきか否かを法体系の観点からも慎重な検討が必要としています。14行目からは、環境影響評価手続に係る不服申立・争訟手続について、こうした課題等にも十分に留意し、今後の課題として検討していく必要がある旨を記載しました。脚注34にオーフス条約の締結状況について記載していますが、この点は、森田委員から日本はオーフス条約を批准していない旨について明記してはどうかとの御意見を踏まえたものとなります。17行目からは「(11)迅速な復旧・復興と環境配慮の確保の両立」になります。2011年の東日本大震災の発災時の対応状況を踏まえて18行目から記載しています。
23ページに移ります。こうした対応事例も参考とし、今後大規模な災害が発生した場合に備えて考え方の整理を進めていくことが望ましいと記載しました。
24ページを御覧ください。「Ⅴ.おわりに」になります。まず7行目において、今まで説明した内容について、環境省で各対応事項について順次速やかに対応が進められることを期待する点、9行目以降、崎田委員から御意見のあった答申のフォローアップのタイミングについては、可能であれば5年程度と具体的に記載してほしいとのことから、5年程度をめどにと記載しました。さらに、10行目以降において、社会状況等の変化を踏まえ、随時新たな課題への対応を迅速に図っていくことが求められる点は、勢一委員から最初の方の委員会にて御意見をいただいたと思います。そうした趣旨をこちらに記載しています。説明は以上です。
○大塚委員長 御説明ありがとうございました。
それでは議論に移ります。記載内容を修正すべき点など、何か御意見あればお受けします。また、幾つか御意見を伺ってから、環境省から御回答いただきます。
皆様いかがでしょうか。関島委員、お願いします。
○関島委員 これまでの中環審の意見交換やパブリックコメントの意見を通して、非常にしっかりとまとめ上げられていると思います。その上で、記載内容の修正ではありませんが、7ページの振り分け案と立地誘導による導入促進に関してコメントさせていただきます。17行目に、事業の立地誘導を図っていくため、国が環境影響の大きさに応じて3つの振り分けを行う制度案の検討が書かれています。そして8ページ目12行目から、陸上風力発電の導入促進と適正な環境配慮を目指し、ゾーニングを積極的に進めていくという内容が記述されていますが、この関係が分かりにくいと思いました。7ページに書かれている三つの振り分け案は、導入促進を図るための1手法であり、それぞれの事業内容や事業地の特性を鑑みて、環境配慮の観点からアセス手続きを変えるという仕組みです。すなわち、現時点では必ずしも導入される方向で考えられているわけではないものの、この考えは、アセス手続の早期において、環境影響の大きさに応じてアセス手続きを変えるという画期的な仕組みと考えます。以降に記載されている配慮書段階でのゾーニングとの関係について、両方ともアセスの手続として考えていくようなイメージなのか。そうした点が、こちらの文章からは読みにくいと感じました。今のままでも理解できるとのことであれば結構ですが、二つの仕組みの関係性について、もう少し説明が必要と思いました。
もう一点は、17ページ目に挙げられている、その他の課題等への対応になります。国と地方公共団体における情報交流の推進として、21行目に、各地方公共団体間の審査関係者との情報交流を図っていくと書かれています。この情報交流というものが一体何なのかが見えてきません。これまで課題となっていることの一つに、国の審査の考え方と地方自治体の審査の考え方がかみ合っていない点があります。両者に整合性が取られていないことも多く、事業者が混乱しているとの話も伺っています。そのほかにもあるのかもしれませんが、単に情報交流を図るだけでは恐らく解決しません。何のために情報交流が必要なのかをどこかに明記しないと、言葉だけで終わってしまい、結局は何も進まないという印象を持ちました。以上です。
○大塚委員長 それでは、崎田委員、お願いします。
○崎田委員 今回、非常に多くのパブリックコメントをいただき、事務局においてそれらの意見をしっかりと精査されたものと思います。ありがとうございました。パブリックコメントの全体が載っている参考資料を拝見し、全国の多くの方がそれぞれの地域の環境配慮の促進と様々な開発事業の両立を考えて、環境アセス制度について非常に関心を持っていると強く感じました。そうした中で、パブリックコメントの御意見を踏まえて大きく2点ほど修正していると受け留めます。一つは見出しになりますが、風力発電に関して見直しを図られています。考えてみると、風力発電がしっかりと定着する際において、環境配慮と事業促進とのバランスを考えていくといった基本が非常に大事な部分であり、その点の見直しは非常によかったと思います。
もう一点は、人材育成に関してです。私もその重要さは様々な場面で話を伺います。そして、どういう視点についてこれから見直すのかという具体的な視点について、まずは技術的な点に関して非常にしっかりとした人材育成という点で書いていただきました。今回のパブリックコメントの中では、それだけではなく、コミュニケーションの分野でもファシリテートができる人材育成という観点で御意見があり、それを付け加えていただいた点は丁寧な対応と感じます。
それから、11ページの建替えに関して、私は議論の中で、これまでの取組が優良で問題ないものであれば、建替えの際に配慮書を免除するという方向性に賛成したものの、免除と明確にし過ぎずに見直していくために、どのようにそれまでの事業を適切に評価していくのか。そうした点を考えパブコメのご意見を踏まえ、ワンクッション入れた形で言葉を少し変えていただいてます。結果として、今までのプロジェクトの建て直しに際してこれまで環境に配慮していた点がどのように評価されるのか。そうした積極的な話合いが様々起こることに期待します。以上です。
○大塚委員長 それでは、勢一委員、お願いします。
○勢一委員 短期間で内容が充実した答申を取りまとめていただきました。その尽力に改めて感謝を申し上げます。また、次回の見直しに向けた宿題も多数記載されており、意欲的な答申になったと感じます。
1点、13ページ、14ページの図書の公開部分について申し上げます。どうして図書の公開が必要かにおいて、科学的視点に立脚し作成された成果物である点、そして様々な公益に資すると記載されています。恐らく含意されていると思うのですが、アセス図書というものは事業の許認可の根拠になる文書の一つでもあります。そういう意味でも皆が閲覧できる公共性もあると私は認識しています。また、そうした事情から通常の著作権とは異なる部分があるとこれまで議論を行ってきました。その認識が共有されているとは思うものの、今の点について確認させてください。
それから、14ページの3行目から、「一方」でという留意点があります。確かに著作権法も留意されると思いますが、アセス図書の中には機微な情報が含まれる可能性もあります。例えば、事業の機密情報や希少種の生息情報などというものは適切に被覆をして提供する必要が生じます。適正な情報保護を図るという点も、ここの留意点に上がると思うため、御検討ください。以上です。
○大塚委員長 今の御指摘は大事な点となるため、入れていただければと思います。それでは、錦澤委員、お願いします。
○錦澤委員 今回の答申案は非常に充実した内容になっていると思います。大筋としては全く異存ありません。その上で3点申し上げます。1点目は、6ページの報告書に関する話です。パブリックコメントを受けて修正された点があります。4行目において、地域やステークホルダーの理解醸成等を促進していくと書いてありますが、パブリックコメントでは、一般意見の提出機会というより踏み込んだ内容だったと思います。今回はそこまで書けないと思うものの、報告書で公開を行い、それで意見提出というものを入れると、更にしっかりとした報告書につながる点もあります。特に、再エネ事業に関しては非常に不確実性の高い事業が技術革新等々でなってきているため、将来的にはそうした意見提出手続も視野に入れる点は、私もそのとおりだと感じました。例えば、「理解醸成のための情報交流の充実化を進めていく」など、意見提出のようなものを視野に入れた表現にする点について御検討いただきたいです。
あと2点は細かい部分になります。7ページのスクリーニングに関して、諸外国として特に欧州について申し上げたところです。脚注12になりますが、「専門家のエキスパートジャッジが取り入れられており、行政裁量が」という記載について、学識者のような人がジャッジをしているようにも読めてしまいます。私が知る限りでは、少なくとも欧州ではそうしたことを特段されていないと思います。基本的にはチェックリストを事業者が提出し、行政の担当部局がジャッジをするとなっています。そのため、先ほど申し上げた箇所の表現は考えた方がよいと思いました。
最後は8ページになります。ゾーニングとの連携については非常に重要な点です。これも表現をより分かりやすく修正されたと思うのですが、若干分かりにくいと感じるのが18行目からの部分です。一定程度環境配慮が確保されているエリアというものは、恐らくゾーニングで区分を行った際の調整エリア、促進エリアを指しているのだと思いますが、19行目の「ゾーニングに当たっての配慮事項を環境影響評価の項目等の」という表現が気になります。ここは「ゾーニング策定に当たって抽出した配慮事項」という表現の方が理解しやすいと思います。以上です。
○大塚委員長 文章表現にしっかりと目を通していただきありがとうございます。それでは、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 多岐にわたって委員会やパブリックコメント等の意見を集約かつ修正していただきまして、ありがとうございます。多くの部分が分かりやすくなり、意見を取り上げていただき改善されたと思います。その上で、前回11ページの事後調査について意見を申し上げ、議事録等も確認し、どのような意見を言ったかという主旨を再確認しています。配慮書の見直しを行う代わりに事業概要を記載した簡潔な書類を作成する点について、風力発電事業では、バードストライク、バッドストライクについては少なくとも事後調査をほぼ全ての事業が行っています。恐らく吉田委員の発言趣旨もそうだと思いますが、その結果を記載することが望ましく、そうすることにより、実際に鳥が当たっているところが多い風車は移設するといった部分の変更手続が見えやすくなります。方法書の段階において、事業概要書で書いたものを入れていただければ、その後の手続もスムーズになるといった趣旨で意見をいたしました。その点は18行目から26行目辺りに書いてありますが、11ページの6行目から9行目辺りで修正された箇所を改めて読むと、「当初から建替事業は事業規模や位置に大きな変更がない事業であり」という冒頭のところはよいですが、「事後調査等の実施結果を基に環境影響の程度を把握できている」と書かれてしまうと、既に事業を行う前に環境影響評価と同じようなことが分かっているとも読めてしまいます。事後調査は、事前の影響予測で不確実だったもの、環境保全措置や予測の不確実性の程度が高かったものについて行っています。そのため、全ての項目でやっているわけではありません。この表現ではそれらが把握できている、必要性があると読めてしまいます。そうなると、アセスを今後行うにもかかわらず、事前にそれが分かってしまうというのも奇妙に感じます。
また、リプレースであっても方法書以降ではしっかりと環境影響の予測評価を行い、その上で様々な環境保全措置、環境配慮を行うと思います。もともと配慮書で行っていた、そもそもの位置・規模など、どの場所につくるかという点を比較検討していただくことは、方法書以降の段階ではなかなかできません。そうした点で、配慮書の制度があり、そこでは位置・規模を検討するというのが趣旨です。その趣旨を考えると、建替事業であれば、位置が決まっているため方法書以降から検討する内容が多く、そういう意味では建替事業で配慮書の省略というのも妥当であると私は認識しています。そうすると事業規模や位置に大きな変更がない。これは前提条件だと思いますが、そのほか重大な影響が生じない、重大な影響を把握するというのも配慮書の趣旨だと思います。そうしたことがなければ配慮書の量略は可能であると私は考えます。事前に影響の程度を把握できているか否かというのは、非常に難しいという印象であり、少し御検討いただければと思います。以上です。
○大塚委員長 それでは、村山委員、お願いします。
○村山委員 多くの情報と意見を手際よくまとめられています。ありがとうございます。その上で少しコメントいたします。まず、資料2のパブリックコメントと参考資料4の各コメント内容に関する細かい点になります。参考資料4の15ページ、50番のコメントですが、こちらに対し、個別の事業については回答しないとの回答をされています。確かに個別事業について意見を言える場ではないという点はそのとおりですが、一方、内容的には、付帯設備・付帯施設の扱いをどうするかとの意見だと思います。その意味では、一連性の考え方としても今回の答申に含まれています。既に回答されているのであれば仕方ないですが、「個別事業の意見ではあるものの、一連性の考え方に関しては参考にさせていただく」という回答にしてはいかがでしょうか。
くわえて、参考資料4でカテゴリー分けについて少し検討いただいた方がよいと思われるコメントが二つあります。一つは、43ページの小規模事業に係る簡易のアセスの推進になります。162番のコメントについて、内容的には、南西諸島における軍事施設の問題が扱われており、どちらかと言えばアセス逃れに関する御意見だと思います。その意味では、(4)の一連性の考え方に入れた方がよいように思いました。それと同様に、56ページの224番がその他の意見というカテゴリーになっていますが、こちらも(4)に当たる考え方に含まれると思います。
それに関係して、資料2では、現行制度の課題等への対応について一連性の考え方が出てきません。今のような形で少しカテゴリー分けを変更すると、比較的意見が出ているように思うため、一連性の考え方についてもこちらの資料に加えてもよいように思いました。
それから、資料3-1の答申案について、まず5ページから6ページにおいて、報告書の手続の在り方についてまとめられています。基本的な方向性としては特に大きな問題はないものの、5ページ23行目に後続事業全体に係る環境影響評価の最適化を図っていくとあり、その最適化という言葉について少しコメントします。6ページでも5行目や脚注8に同様の言葉が出てきますが、意味合いとして伝わりにくさを感じます。これまでもこのような使い方をされていたのかもしれませんが、ストレートに「手法の向上」という言葉にされた方が、より分かりやすいように思います。最適化とすると、場合によってはやり過ぎの面もあるため、その点を少し変更するといった意味合いも出てくる気がいたします。この点について、一度、御検討をいただいた方がよいように思います。
それから、7ページの脚注12です。先ほど錦澤委員からも指摘のあった箇所ですが、この書き方では、専門家が決めるという印象を受けます。専門家の意見も取り入れながら決めている場合があるといった趣旨であれば、北米ではそうした例もあると思われるので、少し表現を緩めていただく方がよいと思います。本来ならば事実関係を確認すべきですが、例があるという程度であれば、よいと思います。
最後に、14ページの14行目から記載されている「戦略的環境影響評価の実現」になります。17行目から18行目で、諸外国において導入が進められているというのは正しい表現だと思います。ただし、10年前の見直しであればこの程度でよいのですが、現在は特に先進国と呼ばれるところで多くが戦略的環境影響評価を進めています。オランダの環境アセスメント委員会(NCEA)が、昨年SEAに関するレポートをまとめており、そこに出てくる世界地図では、残念ながら日本はまだSEAを行っていない少数の国の一つになっています。その点について、あまり本文で書く必要はないかもしれませんが、脚注で先進国又はOECD加盟国では、多くの国で導入されているといった旨を加えておく必要があると感じました。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。6ページ5行目の最適化に関して、その後はコスト低減、期間短縮の話になるため、村山委員の言われた問題を扱っているとも考えます。その点は、後ほど事務局より見解を伺います。
それでは、奥委員、お願いします。
○奥委員 資料3-1の7ページ、8ページにある3段階への言及について、それがどのような段階であるかという説明が資料にありません。そのため、脚注で令和4年度検討会報告書を明記していただくか、または3段階がどのようなものかについて説明を載せるべきだと思います。また、資料1で、これまで出された意見も整理されていますが、この3段階に関連して、特に三つ目の段階、環境影響のおそれが大きくないことが確認されたものは条例アセスの対象からも外すといった整理については、反対の意見を表明してきました。その旨は資料1には反映されていませんが、資料3-1の7ページにおいて、法と条例における適切な役割の考え方と書かれていますのでこちらで受け止めていただいているという理解です。条例アセスの対象とするか否かについては、今後も検討されていくということで、現段階の表現としては致し方ないと感じています。一方、法アセスの対象外になったものを拾うか否かは、基本的には自治体の裁量に委ねられるべきだと考えます。以上です。
○大塚委員長 それでは、森田委員、お願いします。
○森田委員 コメント等のまとめ及び資料に反映いただきまして、ありがとうございます。まず、1ページの気候変動とネット・ゼロ、ネイチャーポジティブの関係を明記してほしいとのコメントもありました。25行目にネット・ゼロとネイチャーポジティブを達成するための統合的な取組が求められているという点で、この取組がどの程度のものかは分からないものの、気候変動と生物多様性が両立するために、よりポジティブな効果を出す対策自体はまだ限られている状況です。今回の再エネは、どちらかと言えば生物多様性とのトレードオフになりがちな点で悪影響を抑える必要があるものであり、気候変動と生物多様性を両立するような社会を考える必要がある中で、ポジティブとまではいかないものの、可能な限りよい形で再エネを実施するという意味で受け止めました。最近、IPBESネクサスアセスメントも出ましたが、この気候変動と生物多様性との関係性の議論の下、この再エネの位置付けは、トレードオフの可能性があるものとして議論されています。統合的な取組がそのものの対策だとすれば、例えば生態系ベースの緩和策やネイチャーベースドソリューション(NbS、自然を基盤とした解決策)をイメージします。そうした観点から、ここの文章は再考いただきたいです。
今の点と関連して、16ページになります。こちらでも生物多様性に関して様々書かれていますが、生物多様性において本当にネイチャーポジティブにするための対策について、どのような対策・政策がよいのかは、陸・海で、様々な分野で明確に分かっていない点も多い状況です。そうした中で、できるだけ外の情報を収集することも大事ですが、以前申し上げたように、他の委員会でも種々議論を行っているものとのつながりとして、例えば環境省の生物多様性関係の様々な委員会などでの議論を連携していくことも、必要と思います。そこで出てきたよりよい対策、ネット・ゼロとネイチャーポジティブを両立するための他の委員会での検討における情報も、こちらの環境アセスの中で踏まえていく。さらには、逆に今度データがない中で議論を行っているところに対しては、環境アセスのデータが非常に重要となり、活用できると思います。再エネと環境アセスのみで終わらせずに、今の生物多様性、ネイチャーポジティブの議論につなげていく部分も少しあると、大枠ではネット・ゼロとネイチャーポジティブの両方に貢献できると言えるように思います。以上です。
○大塚委員長 それでは、西本委員、お願いします。
○西本委員 今回の答申案について、非常にバランスのよい形で充実したものにまとめていただきまして、ありがとうございます。その上で、細かい点になりますが少しコメントいたします。まず14ページの14行目から始まる戦略的環境影響評価の部分です。22行目に、配慮書手続の導入がSEAの趣旨に資するものであると記載されています。こちらは前回も議論があったと承知しており、パブリックコメントでも提起されていた点かと思いますが、私も少し違和感があります。SEAというのは、15行目から書いてあるように、個別事業の計画実施に枠組みを与える上位の計画や政策の検討段階を対象としたものと一般的に理解されていると思います。配慮書手続自体がSEAの一部であるとか、SEAとして位置付けられるとは必ずしも書かれていませんので、その趣旨に資するものとして記載されているという点は理解するものの、SEAの制度趣旨に資するものとして個別のEIAの中での配慮書手続が評価できること自体、分かりにくいと思います。前回の議事録も確認し、この点は少し整理を行った上で対応をするとの御回答があったと思います。脚注21でも注記はされていますが、何か整理の前提として理解等あれば教えていただきたいです。以上になります。
○大塚委員長 それでは私からも伺います。先ほどの御説明を伺っていて気になった点になります。4ページの5行目辺りは、3ページの意見を受けて書かれており、この答申としての考え方を示されていると思います。先ほどの全ての対象事業種に対してというのは、第一種と第二種は少なくとも入ると思いますが、特に配慮書手続において設定すべき複数案の考え方又は関係法令等の見直しガイドラインというものがその後に出てきます。これを後ろの方で受けていることになるのかという点が気になりました。これだと、第二種事業に関しても複数案の考え方を示すといった方向性に進むと思います。私としては、それ自体は非常によい方向と考えますが、今回の検討では、配慮書手続に関する見直しなどの検討も行っているものの、別に第一種と第二種に分けて、後者に関しても配慮書手続を行うと提案しているわけではありません。11ページの下になりますが、前後関係や全体の流れが分かりにくく、読者が戸惑う印象もあり、今の点は少し御説明いただけると助かります。
それでは、これまでいただいた意見について、環境省から回答をお願いします。
○川越環境影響評価課長 ありがとうございます。まず、関島委員から3コースの振り分け及び8ページの12行目、立地誘導による導入促進の関係性が分かりにくいという御意見をいただきました。7ページの3コースの振り分けについては、今で言うと、配慮書段階で事業概要書を作成し、そこで三つに振り分けてどうするかを決めていくというものであり、そのときの課題が幾つかあることから、その辺りを深く追及していきたいと書いています。8ページについては、そうした趣旨を踏まえということですが、いずれにしても、ゾーニングは、事業の場所・立地を考えていくことと回避・低減を図っていく上でという点で両方にとって大事な部分です。そうした点で、あらかじめ整理していく際においては、多分両方に関わることだと思います。こちらの立地誘導は、そのうちのゾーニングに関して、例えば重要な区域という話も記載しましたが、そういったものを早めに整理し、配慮書などでも使っていけるようにするという趣旨になりますが、分かりにくいという御指摘を踏まえ、その点は少し考えたいと思います。
それから、17ページ21行目の情報交流が何なのかという点です。こちらは、まだ具体的に記載できていませんが、環境アセスメント学会様から「審査会関係者との情報交流を図っていくべき」との提言をいただきました。小委でもそのようなお話をしたかもしれませんが、審査会の委員の方々を対象とした講習会や委員同士の意見交換を行っていければということを内々で検討中です。その点、自治体様との調整がついていないことから具体的には示せていないものの、まずはそのような形で始めていくことを想定し、情報交流と書いています。
次に、崎田委員から人材育成において、コミュニケーションの部分での追記を始め、11ページの部分で優良である部分を免除した箇所がこちらに当たることに対し、御意見をいただきました。
次に、勢一委員から図書の公開に関して、13ページから14ページ目について御意見をいただきました。アセス図書は事業の許認可の根拠となる文書であることが含意されているかを確認したいとのことですが、我々も当然そのように考えているものの、文章から見えてこない点は、伝わりやすくなるように修正を考えていきたいと思います。また、希少種等の機微な情報が含まれる可能性という点については、今も任意的に提供いただいている図書についてはそうした取扱いを行っています。当然、引き続き同様の取扱いをしていくため、適正な情報公開という観点で記載いたします。
次に、錦澤委員から報告書の関係で御意見をいただきました。まず6ページの4行目に関して、パブリックコメントの意見で出された報告書に対しても意見を言える機会の導入について、将来的にはあり得るとの考えを述べていただきました。この点は、アセス手続は事業着手前が基本だという話をしている中で、どこまでをアセス法で縛るかという議論にも関わってくるところです。ここは慎重に検討していく必要があると思いますが、趣旨については十分理解いたしました。記載については、少し考えさせてください。また、7ページの脚注12については、村山委員からも同様の意見をいただきました。表現については、本日いただいた内容を踏まえ、精査いたします。それから8ページの18行目辺りに関して、記載事項のところを少しゾーニング策定に当たり抽出した配慮事項とする方が分かりやすいという点は、見直しを行います。
次に、阿部委員からは11ページ目の事業概要書について、バードストライク、バットストライクの記載が望ましく、以降の手続にもつながっていくとの話をいただきました。また、7行目の事後調査はあくまで不確実性が伴うものについて行ったものであり、全部の影響は把握していない。この段階で環境影響の程度の把握はできていないと思うとの御意見をいただきました。当然ながら、我々も決してこの段階で全てを分かっているとは考えていません。環境影響の程度と記載していることが具体的過ぎるのかもしれませんが、どのような環境影響が生じているのかという程度なら分かるようにも思います。そのため、この段階でどの程度まで求められるのかを考え、記載の見直しを図ります。
次に、村山委員からパブリックコメントのカテゴリー分け、意見への回答について御意見をいただきました。その内容を踏まえ、見直していきます。まだシステムの方にアップをしていないため、修正は可能な状況です。そして、5ページの最適化という言葉に関しては、先ほど大塚委員長からも少し補足をいただきました。村山委員からは、技術手法の向上という話もありましたが、環境保全措置の中身を良くしていくことも含めて最適化という言葉を使いました。そこが分かりにくいのであれば、ほかにも使っている箇所があるため、それらの関係性も見ながら整理を行います。また、SEAに関して、OECD加盟国の多くが実施されているとの点は、状況も確認し、修正等の必要があれば直していきます。
次に、奥委員からは3コースの振り分けについて、それが何かを分かるように説明すべきとの御意見をいただきました。この点は対応いたします。そして、条例アセスから外す部分については、先ほどおっしゃられたように、法と条例における適切な役割分担の考え方を整理するという記載としています。これまでの審議会の御意見を踏まえると、条例アセスをそのまま外すというのは賛同が得られなかったと我々も理解しており、どのような方法が可能かは引き続き検討いたします。
次に、森田委員からはネット・ゼロとネイチャーポジティブの関係性について御意見をいただきました。特に1ページ目のそれぞれを達成するための統合的な取組に対し違和感があるとの趣旨で理解いたしました。どのように記載できるかを今すぐに回答はできませんが、確かにアセスの場合、あまりポジティブには向かっていかないと考えるため、少し検討いたします。そして、技術的な検討の部分で、ネイチャーポジティブに関して、例えば自然環境局が想定されますが、そうした部局の検討と連携が必要という点は、当然ながら今も行っていますが、文章からはそこが見えていないという御指摘だと思います。ほかとも連携を取りながら、共にという在り方が分かるような記載にできればと思います。
次に、西本委員からはSEAに関して、14ページの22行目、配慮書の部分での御意見をいただきました。注意書きにも載せましたが、整理の前提については、平成23年改正の際も、SEAを導入できないかということで検討を行ってきました。しかし、計画段階でのSEAの導入には至らず、そのときは事業の立案段階における検討というものを、SEAに代わって配慮書手続を導入した経緯があります。そうした我々の名残が22行目の記載になっています。ただし、前回も多くの委員から御意見をいただき、本日も西本委員から御意見があったように、残しておいて混乱が生じるのでは正しくないといった御意見が多数であれば、決して書くことに固執はしませんので、より皆様に分かりやすいように削除することも再度検討します。
最後に、大塚委員長から御意見をいただきました4ページの5行目以降について、基本的に配慮書であるため、第一種事業を対象としたものになると考えます。ただし、8行目以降にある環境保全上配慮すべき重要な区域の考え方と書いてしまうと、委員長の言われるとおり、第二種事業も含めて使えるものになってしまいます。記述として、第一種事業に限定したものと第二種事業も含めたものが混在している点は、御指摘を受けて理解いたしました。関係法令等の見直しは、配慮書の部分であれば当然第一種事業が主になり、基本的事項や主務省令に関わる見直しになります。一方、ガイドラインになると、例えば重要な区域は第二種事業も含まれるというように、こちらも混在が生じています。その辺りは、間違いがないように記載を改めたいと思います。ありがとうございます。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございました。時間は限られますが、今の回答に対して何か御意見があればお受けします。関島委員、お願いします。
○関島委員 御回答ありがとうございました。三つの振り分けと配慮書におけるゾーニングの話に関しては、どちらも適正な立地に向けたスクリーニング案だと思います。文章として極力残していくとなると、7ページに書かれているように、環境省としてはスクリーニングの一案として三つの振り分けを検討してきたものの、これを進めていくにはまだ検討の余地がある。その上で8ページ目に移動するわけですが、そのような検討の余地があり、まだ時間もかかる状況下、速やかにスクリーニングを進めるには現行制度を極力活かした形で、配慮書の中で適正な立地スクリーニングする1手法としてゾーニングを組み込んでいく。そうした論理的な流れが必要ではないかと思います。現行の文章では、その辺りが見えてきません。三つの振り分け案が述べられた後、突然、ゾーニングが導入促進に向けた環境配慮の一つの方法として組み込まれています。そこで、三つの振り分けとの整合性及び関係が非常に不明瞭な印象を受けました。この点について思うところは、次の議事とも関連しているので、そちらの方でコメントさせていただきます。
○大塚委員長 多分、環境省としては8ページの3段階を取りあえず横に置いて考えており、あまり連関させて考えていないように推測いたします。私の言い過ぎかもしれませんが、ほかにいかがでしょうか。
今の議論において、極めて方向性に関する異論はないものと理解していますが、本答申について様々な御意見をいただきました。委員の皆様から、大方の賛成を得たものと思います。今般、事務局において各委員から頂戴した御意見を踏まえ、内容の修正作業を進めていただきます。その修正内容については各委員にも照会の上、委員長一任の形を取りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、そのように進めていきます。なお、小委員会の決議は部会長の同意を得て総合政策部会の決議とできると定められています。本答申案については、私が確認した後、事務局において内容を部会長にも報告するようお願いいたします。
ここで、10分休憩を取ります。16時55分から再開いたします。
(休憩)
○大塚委員長 それでは、議事(2)「その他(今後の進め方等について)」に入ります。
今後の進め方について、環境省から御説明をお願いします。
○川越環境影響評価課長 それでは、資料4に基づき、答申案を踏まえた今後の各対応事項の進め方(案)について御説明します。今回の合同小委の中でも、どれをどのような速さで行うのかが分かりにくいとの御意見を、原田委員を含め、複数の委員からいただきました。現状ではまだ細かい整理までは行えていませんが、このような考えを持っているということで御説明いたします。
2ページ目を御覧ください。まず表の構造ですが、左列において、先ほど御説明した答申案において対応が求められている事項を記載しています。その右側に、直ちに制度的な措置を講ずべき事項を二重丸で示し、さらに、進め方に係るスケジュールになります。一つは速やかに対応していくことが必要な事項であり、3年程度以内に頑張って行いたいと考えているものです。その次に、順次対応していくことが必要な事項であり、目安は5年程度以内です。次に、中長期的な検討を要する事項であり、10年程度をめどに進めていくものという整理です。中身に入ります。「1.配慮書手続の在り方」について、基本的に3年程度以内に速やかに対応できればと思っています。1ポツの適切な複数案の考え方等については、事業者の意見も伺いながら関係法令等の見直し、ガイドラインの整備を進めていきます。3ポツの第二種事業における適切な立地検討に係る仕組み等の検討ですが、こちらは、例えばという形で答申案を書いていますが、第二種事業の規模要件をどうするか。さらには、スクリーニング時の判定基準の検討に係る検討についても併せて行うことを考えています。「2.報告書手続の在り方」ですが、1ポツの発電所に係る報告書を環境省が取得するための仕組みの構築は法改正も必要であり、速やかに法改正に向けた作業を進めていきます。その後、当然公開するものであることから、公開の仕組みとして、例えばウェブでの公開方法が考えられます。先ほどもお話をいただいたように、そうしたルールの整備を速やかに進めていく考えです。2ポツ目以降、事後調査等の一元的な管理・分析によるアセス全体の最適化、データの取得に係る考え方についても速やかに開始し、5年程度内に一定程度の整備ができればと考えています。具体的には、管理・分析の目的に応じた手法の検討やデータ取得の考え方の整理、そして、可能であれば管理分析も実施し、分析結果の共有及び技術開発向上、ガイドラインの整備につなげるといった内容になります。
次に、「Ⅲ.陸上風力発電の導入に当たって必要となる環境配慮の確保」です。「1.立地誘導による導入促進」では、先ほどの3コース振り分けに端を発するものですが、3コース振り分けの考え方を踏まえたゾーニングの考え方、重要な区域の考え方、さらには温対法の促進区域などと連携した取組についての検討も速やかに進めていく所存です。「2.法対象規模を下回る事業に係る効果的かつ効率的な環境配慮の確保」は、特に陸上風力の関係になりますが、第二種事業の規模要件も含め、小規模な事業の取扱いに関する考え方の整理です。政令や基本的事項の主務省令等も含まれるため、そうしたものの改正も要すれば必要であり、これらを念頭に作業を速やかに進めていくものとなります。
3ページを御覧ください。「3.建替事業に係る効果的・効率的な環境影響評価手続の実施」になります。「(1)配慮書手続の見直し」として、建替えの場合は位置の複数案の検討が不要といった話になります。配慮書の記載事項が変わることから、法改正が必要となる点で対応を直ちに行いたいと考えています。その後、法改正を行えた場合、政省令等を規定していく必要があるため、そちらの作業を速やかに進めていきます。「(2)評価項目の絞り込み等による環境影響評価の合理化」についても基本的事項等と関連しますが、速やかにセットで進めていくものとして、3年程度以内としています。
次に、「Ⅳ.現行制度の課題等」になります。「1.環境省による環境影響評価図書の継続的な公開」として、こちらの法改正について直ちに措置を講ずべき事項として取り組んでいく所存です。その後、公開の仕組み、ルール等の整備については先ほど申し上げたとおりです。「2.戦略的環境影響評価の実現」について、1ポツ目は他制度に基づくゾーニング制度との連携や重要な区域の考え方の整理とセットで進めていきます。2ポツ目の「持続可能性アセスも視野に入れた戦略的環境影響評価アセスの実現に向けた検討」は、審議会でも御意見をいただいたとおり、海外事例の収集をしっかりと行い、個別の政策や計画を例に見通しを立てていきます。即座に答えを出せる自信がなく10年程度まで線を引っ張っていますが、検討は速やかに開始します。「3.累積的な環境影響への対応」は、既に今年度から情報収集を始めています。1ポツ目にあるような累積的な環境影響評価に係る技術的検討は速やかに進めていき、その後、それらを踏まえ、累積的な環境影響の回避・低減に係る検討において、技術的検討を深めていく形で考えています。3ポツ目は図書の公開として先ほど申し上げたとおりです。
4ページを御覧ください。「Ⅳ.現行制度での課題等への対応」になります。答申案において求められる事項、「4.環境影響評価に係る技術の向上と環境情報基盤の充実化」として、1ポツ目の海外における先進事例の収集整理やガイドライン等の整備に関して、特に今回、生物多様性の関係で多く御意見をいただきましたが、技術検討とセットで実施していきたいと思っています。2ポツ目として、具体的には注目種によるアセスの課題等も踏まえて技術的検討を進め、生態系機能の部分で見ていく点も検討を進めることを想定しています。3ポツ目のアセスに係る人材育成についても、先ほど少し触れた部分もありますが、既に行っている研修や審査会等との連携もこちらに含まれてくる部分があると思いますので、速やかに行っていきます。4ポツ目の環境情報基盤の充実化については、EADAS(環境アセスメントデータベース)を始め、既に運用しているシステムがあるところで、情報の充実、利便性の向上を図っていく考えです。「5.環境影響評価法の対象とすべき新たな事業に関する検討」は、まず1ポツ目の海洋における新たな海底資源の採掘事業等に係る知見の収集として、引き続き情報収集を行いますが、2ポツ目にあるCCS事業以外となれば、5年程度からになると考え、バーが後ろになっています。CCSについては、速やかにアセス法の要件にも照らし、対象の要否を検討していく考えです。「6.その他の課題等への対応」は、「(1)国と地方公共団体における情報交流の推進」として、こちらも先ほど申し上げた自治体審査会との連携を速やかに進めていく考えです。「(2)環境影響評価の合理化を図るための技術的な検討を推進」は、実際に合理化のガイドラインがあるところで、その見直しなどについても速やかに進めていきます。「(3)小規模事業に係る簡易な環境影響評価の推進」については、環境省の方で既に作成している太陽光発電の環境配慮ガイドラインがあるため、そちらの効果検証については速やかに進めていく考えです。「(4)環境影響評価に係る事業の「一連性」の考え方の周知」は、こちらも通知が出ているため、周知を迅速に図っていきます。「(5)手続途中段階の風車の機種変更」についても、考え方の整理、みなし複数案の検討とセットで早めに進めていきます。「(6)発電設備等を撤去又は廃棄する際の環境影響評価(考え方の周知)」は、既に整理されている部分があるため、こちらも速やかな周知徹底を図ります。「(7)評価書に基づく事業の許認可等を行った際の審査結果の理由の公表」は、先ほどの答申案において御説明したとおり、法第33条で横断条項が書かれています。許認可は個別法に基づく点も踏まえて検討していくことから、少しハードルが高い課題として捉えているものの、5年程度から10年程度というスパンでどのように進めていくかを考えていくことで整理しています。「(8)長期的な手続未着手案件への対応」についても少し後半にずれていますが、実態の把握、考え方の整理において、前者はそれほど時間をかけずに開始できると考えています。「(9)公聴会の開催」についても、まずは条例の方で多く実績があるため、その実績効果の整理・検証は速やかに行っていきます。「(10)環境影響評価手続に係る不服申立・争訟手続(仕組みの検討)」は、条約を批准していないといったこともあるため、即座に行うことは難しいと思うものの、中・長期的な課題として検討していきます。「(11)迅速な復旧・復興と環境配慮の確保の両立」は、東日本大震災の例を基に考え方の整理を速やかに進め、震災等が起きないことを願うものの、万一、大規模な震災等が起きた場合にこちらとしても速やかに対応できる準備をしていきたいと考えています。これらの検討について、物によっては専門的な知見を有する方々による検討会を開催させていただき、検討していくというものもあれば、風力の関係で小委で御検討いただく場面があると思います。その点は、また改めて整理の上、御相談いたします。説明は以上です。
〇大塚委員長 御説明ありがとうございました。それでは、只今の内容及び答申案を踏まえ、今後の対応に関する御意見、環境省に期待したい点を伺います。関島委員、お願いします。
〇関島委員 非常に多岐にわたる整理をされた上で、今後のロードマップが明確に示されている点が高く評価できます。項目を見ると、スケジュール感として速やかに対応すべき事項がかなり多くあることが理解できます。一方、下線が引かれているにもかかわらず、直ちに制度的な措置を講ずるべき事項に入っていない項目もあります。これらの間で、どのように差別化が図られているかが分かりにくいと感じました。
また、今回の中環審の議論において、幾つか大きなポイントがあったと思います。私がこだわっているかもしれませんが、その一つが適正な立地に向けたスクリーニング方法です。そのことは、1番目に挙げられている配慮書手続の在り方の冒頭の部分、適切な複数案の考え方云々といったところ述べられています。この点は環境省の方でも検討を行っていただいているところで、今回の中環審の中ではアイデア自体が収束できなかったと考えています。今後はこの考え方を整理して絞っていくプロセスが必要です。項目としては今後3年の中で考えていくとしていますが、アイデアを整理していくためにはそれなりの時間を要すると思いますので、早急に取り組むべき事案と思います。私の理解としては、本事項は制度的な措置に直接関わっていないことから丸がつけられていないのではないかと推察します。環境省としては、配慮書手続の在り方に関して、中環審の答申案を提出した後、速やかに検討を進めていくことを期待したいです。
2点目は、現行制度の課題等への対応として、戦略アセスのことが書かれています。戦略アセスに関しては、本日の委員会の中でも、既に多くの国々が戦略アセスを進めていく中で、日本の立ち位置は戦略アセス後進国であり、現時点ではその対応ができていないとの話がありました。先進国の中でも取り組みが遅れている数少ない国として位置付けられるようになってしまいましたが、前回の洋上風力の際に議論された海洋空間計画に関しても答申案には盛り込めず、今回の陸上風力においても、戦略アセスとしての発想をどうにか組み込みたいという期待がスクリーニングのアイデアだったと思います。これについては今後5年程度の期間で考えていくとのことですが、戦略アセスを本当に進めようとしているのか、その辺りの本気度が全く分かりません。戦略アセスに関わる議論は、単なるガス抜きになっていないでしょうか。何をもって戦略アセスが進まない状況になっているのか、国は全く考えようとしていないのか。それとも、重要と分かっているものの、何かが弊害になって戦略アセスに一歩足を踏み出せずにいるのか。この空気感が読めないことで、有識者の皆様には多分非常にストレスがかかっていると思います。今申し上げた点に関し、環境省アセス課の立場から御説明いただけることがあれば、是非伺いたい。何でも申し上げてよいとの趣旨から、踏み込んだコメントをいたしましたが、よろしくお願いします。
〇大塚委員長 それでは、原田委員、お願いします。
〇原田委員 スケジュールをしっかり示していただきたいという点は、私が強くお願いしたものとなります。このような形で記載いただき大変ありがとうございます。こちらのスケジュールの区切り方について、直ちに3年、5年、10年となっていますが、答申の中で5年程度をめどに継続的にフォローアップすると実際に本文に書かれ、順次対応していくことが必要な事項5年程度という箇所、ここまでは何らかの結論又は方向性が5年後に示されるといった仕切りになるでしょうか。具体的な数字が出されている点で、今申し上げた考え方がよいと思い、その確認を一つお願いします。
それから、人材育成に関するところです。この点、官と言うべきか、公と民の両方が非常に重要だと思います。まず公の部分については、自治体と国との連携等の情報交流について書かれているものと理解します。今のアセスも含め、地方の様々な制度の問題点として、究極的には本当に人材がいないことが挙げられます。これはアセスだけの問題ではありませんが、非常に大きな問題です。場合によっては、本当に必要な人を増やしていくこと又は仕組みとして国・県と基礎自治体がある意味共同で何かを行っていく仕組みが必要と思います。そういう意味では、今の内閣の「地方創生2.0」と上手に絡めて制度をつくれるとよいと考えます。
次に民の部分です。ファシリテーターについても書き込まれており、これは非常に重要だと思います。一方、実際にファシリテーター人材を育てていくために何をするのか。この点において、現状の考えを伺いたいです。様々な団体の資格はあるものの、そういうものを意識されているのか。または、教育制度の中で、例えば大学・大学院等の中で研究分野を増やすことなのか。そして、ファシリテーターというポジションをつくった際、その人に対して誰がどのように維持するのか。これは、民(市民側)になるのか、事業者になるのか。その場合に誰が費用を払うのか。ファシリテーターは様々な捉え方ができるため、これらの点について教えてください。以上です。
〇大塚委員長 それでは、阿部委員、お願いします。
〇阿部委員 今後のロードマップとして進め方を整理いただきありがとうございます。黄色で二重丸がつけられた箇所は直ちに行うということで、答申案が出たら迅速な対応をお願いいたします。また、隣の速やかに対応していくことが必要な事項について、特に3年程度のみに引かれているものは順次検討が進められていくと思います。非常に多岐にわたる内容であり大変だと思いますが、よろしくお願いします。
それから、国の風力アセスの審査に携わっている立場から、少し優先的に取り組んでいただきたいものを2点申し上げます。1点目は、今回議論になったのは第二種事業の引下げであり、今後その制度的検討を進めることになります。引下げをするか否かにかかわらず、今、第二種事業について配慮書のない段階で出てきており、その中で種々検討をしていく状況になっています。スクリーニングについては、現行ではほとんど機能していないことから、法アセスの対象事業である第二種事業の全てが、審査にかかっている状況を御説明したと思います。やはり、何らかの形で第二種事業であってもこのような大きい影響がある、影響が小さいというものを方法書段階で示していくことで、審査も非常に効率化すると考えます。そうしたことから、スクリーニング新基準の整備、スクリーニング手法の検討は第二種事業の引下げにかかわらず、先行して御検討いただきたいです。今の第二種事業のスクリーニング基準は、火力発電所の時代につくられたものであり、風力には合わない内容も多いため、この点は非常に優先度が高いと考えます。
それから2点目は、累積的な影響です。累積的な環境影響の技術的な詳細や回避・低減に係る検討は慎重に進めていただく必要があると思います。一方、現状で出されているアセスの対象事業において累積的な環境影響をどこまで捉えるか。既設のものだけでよいのか、準備書段階のものを含めるのか。それとも、方法書、配慮書段階のものも含めるのか。こうした考えに少しばらつきがあります。直近では、準備書段階のものはある程度確定しているため、それを含めて影響予測をするという図書を審査しましたが、その考え方を本当に他事業にも求めてよいものかという点は、悩ましいところです。まず、そこの基準だけは早急に決めていただきたいという点が、私からのお願いになります。
優先的に進めていただきたいのは今の2点になりますが、その他として、私が少し申し上げたアセスの技術的検討における生態系アセスなどは、現行の制度としては既に定着しています。今後の検討は必要ですが、逆に時間をかけて取り組んでいただいて良いと思う点です。それから長期的なところでは、例えば戦略アセスのようなものが様々議論になっていると思います。少し検討を望むのは、パブリックコメントでも配慮書でゼロ・オプションを求める意見もありましたが、一方、今の事業アセスの環境影響の手続の中で、事業を行うか否かと言えば、行う事業は絶対に環境影響が発生し、行わない事業はゼロであり、後者の方がよいとなってしまいます。将来的に再エネの促進を考えた場合、社会経済的な評価も含め、これだけ地域にメリットがある。一方、環境もこれだけ配慮されているため進めさせてくださいといった姿勢が必要になってくると、今の環境影響評価制度の枠組みから外れるとは思うものの、そうした社会経済的影響も含めた制度検討は長期にわたっても検討事項として考えていただきたいです。以上になります。
〇大塚委員長 ありがとうございます。最後の点は、2011年改正前から議論があり、引き続き議論になっていくものと考えます。それでは、勢一委員、お願いします。
〇勢一委員 ロードマップを明確化されたことは非常によいと思います。従前は、答申の行間から読み取るものになっており、そうした意味でも現代的なスタイルだと感じます。私からは3点申し上げます。1点目は先ほど議論があったように、風力発電に対する環境配慮の在り方です。答申案の内容及びここでの書き方でも、直近では第二種事業の規模要件を検討する方向性になっています。いずれも3年程度とのことですが、非常に重要な時期であるため、是非速やかにお願いいたします。しかし、これまでの会議の中でも発言したように、現行の環境影響評価法における枠組みの制約があります。具体的には、1条の法目的、規模が大きく環境影響のおそれがある事業という制約です。それから、第二種事業についても、2条3項で第一種事業に準ずる規模のものといった制約があります。そのため、この法の立て付けをどの程度の解釈で越えられるのか。越えられなかった場合には、どのような対応ができるのか。この点は、改めて御検討いただくことをお願い申し上げます。
また、答申案の中では、第ニ種事業の規模要件の引下げは例示になりますが、そのほか対応できるものがあれば、立地スクリーニングの検討は行われると思います。この辺りも幅広い御検討をお願いします。その際に、第二種事業の規模要件は条例アセスの制度設計と運用に大きく関わる点もあります。制度改正に向けては、自治体と丁寧な議論をすべきです。答申案の中にもある3段階の振り分け制度案を議論した際には、風力発電の導入加速を進める政治的背景の下で、国のセントラル方式に寄った案になったと記憶しています。そのときには、条例アセスとの整合の議論がほぼ落ちていた形であり、そこはもう一度丁寧に法アセスと条例アセスの役割分担の議論をお願いしたいです。
2点目は人材育成になります。先ほど、原田委員から丁寧な御示唆もありましたが、ファシリテーターの役割を果たす人材は重要であるものの、そう簡単にはおりませんし、育成もできないと思います。特に今、人口減少で専門人材が不足しており、環境の分野だけでも、このような役割を担える人は生物多様性の分野でも必要であり、地域脱炭素や資源循環の分野でも不可欠となります。くわえて、地方創生の分野、デジタル対応においても本当に人材育成が大事だと求める中で、そのような人材がいないことで悩んでいます。そこに対する解はありませんが、既存の人材を活用していくことも一つの方法だと思います。最近では、文科省などもリスキリングの取組を非常に推しています。地方公共団体や大学と連携し、他の分野のプロフェッショナル人材に隣の分野にも足を伸ばしてもらうことを考えるのも一つです。この辺りは、是非地に足付いた取組をお願いいたします。
最後の3点目は、迅速な復旧・復興と環境配慮の確保の両立です。これも順次対応として5年程度になっている点で、あまり先送りにされないことを期待します。最近は激甚災害が増えており、防災・減災の取組を頑張っているものの、いつ起こるか分かりません。能登地震もありました。また、南海トラフも発生する可能性が高いと言われています。当然ながら国にもお願いしますが、地方公共団体の方でも準備は必要です。復旧・復興と地域の環境配慮の両立は、地方公共団体にとっても非常に関心が高いはずであり、ここも幅広に連携を取っていただきたいです。国も環境省は内閣府や国交省と連携が必要ですが、地方公共団体との制度の議論も、是非お願いいたします。以上です。
〇大塚委員長 それでは、崎田委員、お願いします。
〇崎田委員 3点ほど申し上げます。皆様からも発言があったように、今回の話合い後にどのように実際に進めるかにおいて非常に明快な表を示していただき、大いに意欲を感じました。是非、このように進めていただきたいです。また、黄色い二重丸の箇所については、法改正などが必要であることから即座に取り組んで実施していくものと考えて伺っていましたが、この点はまた御説明いただけると助かります。
まず1点目は、5年程度の意味合いについて再度確認をさせてください。今回の「おわりに」の箇所に、今後は5年程度をめどに継続的にフォローアップし、その結果を審議会に報告するとのコメントを入れていただきました。これは大変重いと言うべきか、感謝しますが、現在どのような形で進捗しているかといったフォローアップを5年程度でまとめ、それを5年でここまで進んでいる、ここが課題であり、この点は順調に進んでいるといった状況を言っていただく形が、表の5年程度の終わり頃に示していただくのが大事だと思います。そうした進め方の確認として伺います。
2点目は、そのようなことを考えた際に、具体的に進めていくときの現行制度の課題への対応において、戦略的環境影響評価の実現があります。これが、ちょうど1年目から10年目までの全体に線が引いてあるため、10年程度のスパンで真剣に本気で考えるという意思表示だと理解いたしました。その上で、5年の段階においてどの程度の検討が進み、課題が明確になったなど、そうしたところはしっかりと進めていただければありがたいです。私は10年前にもこの議論に参加しましたが、今回は、前回新しい制度を入れた配慮書手続が適切に機能しているか否かという点から議論を始めたいとのことで、それには賛成をし、このように参加しています。やはり、根本的な戦略的環境影響評価を多くの方と少し時間をかけて真剣に話していくことが大事だと思います。特にその方法として、今関心を持って様々取り組んでいる方、研究者の方、実践家の方など多くおられます。社会との対話のような形で何日か機会をつくっていただき、多くの方がどのように考えているのかをヒアリングできるといいですね。対話であるため、聞くだけでなく、皆様の考えも逆にぶつけていただいて構わないと思います。何かそうしたコミュニケーションの機会をしっかりつくることもよいと思いました。是非、10年間をよい形で使いながら話を進めていただきたいです。
また、先日、環境アセスに非常に関心のある皆様の勉強会に参加いたしました。その際に様々な御意見があり、非常に印象に残っているものが戦略的なアセスの検討と、ここにある持続可能性の視点をアセスにしっかり入れる点、そして不服申立の手続を入れてはどうかといった三つです。本気で議論を行い、時間をかけなくてはいけない内容だからこそ印象に残ったという気がいたします。是非、この辺りもしっかり考えていければと思います。
最後に、人材育成になります。ファシリテーター等の明確化の話が様々ありました。私も、放射線リスクコミュニケーションや化学物質のリスクコミュニケーションなど、リスクがあって対話が難しい分野に携わっていますが、最近、基本的にコミュニケーションを大学時代に真剣に学ばれた方が、その後、自分の関心分野に種々取り組まれている方も多い印象です。様々な分野、リスクある分野との対話の中で連携を図ることも一つあると思いました。よろしくお願いいたします。
〇大塚委員長 それでは、錦澤委員、お願いします。
〇錦澤委員 私から大きく1点申し上げます。3ページの主に戦略アセスに関係する部分です。先ほど、関島委員からSEA後進国との厳しい御指摘がありました。私は、戦略アセスには定義が非常に幅広くあることから、もう少し楽観的に見ているところもあります。それというのは、いわゆるアセス法制度の中ではないもののゾーニングを進めてきており、ここにもゾーニングとの連携を強化するという形になっています。ゾーニングは計画段階・立地段階での環境配慮ですから、このゾーニングとアセス法の連携をしっかりとひも付け、明確に整理をしていくことで、再エネに関しては戦略アセスを進めているとはっきり言う点は全く問題ないと考えます。諸外国の中で日本は全く戦略アセスをやっていないと解釈されてしまうのは、それはそれで少し事実と異なると思います。確かに、答申案を読むと戦略アセスについては諦めモードのようにも読めますが、ゾーニング等を努力して取り組んできていることは、しっかりと戦略アセスだと言える形にしていくことが非常に大事だと思います。
そして、記載がある累積的影響は非常に関係する話です。これは村山委員が言われたと思いますが、累積的影響を考えていく上で、他計画との関係を考えていく必要があります。具体的には、例えば再エネビジョンやエネルギービジョンを自治体で策定しているところがあり、そこで再エネの導入目標などを決めていると思います。そこがどの程度導入をするか、累積的影響を評価する段階でどの程度導入するかは、ある種の一つの累積的影響の基準になっていくと思います。それを行うために、ゾーニングにおいて促進エリアでこの程度入る、そして調整エリアの扱いをどうするかを考える際に、再エネのビジョン、累積的影響、ゾーニングの三つをしっかり連動させることが非常に大事です。今の点を3ページにもう少し入れていただくと、今後どのような方向でゾーニングあるいは累積的影響を扱っていけばよいのかが明確になると思います。是非御検討ください。
〇大塚委員長 錦澤委員、先ほどの答申の14ページ、24行目辺りに関して何か修正すべきとの趣旨になりますか。
〇錦澤委員 おっしゃるとおり、先ほどの御意見もありますが、14ページ目の1ポツ、配慮書の話に関して、これが最初に来るのはあまりよろしくないと思いました。また、2点目として、読む人が読めば分かるとは思うものの、ゾーニングという戦略アセス的な取組をこれまで行ってきた点が、もっと簡潔に分かるような形で表現された方がよいと感じました。
〇大塚委員長 ありがとうございました。これは積極的な意見となるため、参考にしていただければと思います。それでは、飯田委員、お願いします。
〇飯田委員 ロードマップとして適切に整理をいただきありがとうございます。私からは3点になります。1点目は継続的な公開です。この目的としては二つあると思っています。答申案などでも書かれているとおり、今後のアセスに活用するにおいて、環境省が事業に利用していくものと地域との理解醸成の二つを考えるところで、どちらかと言えば前者は、事業者も含めて理解しやすいものと思います。一方、地元の理解醸成など広く一般に見せていく点が様々な面でハードルが高いと感じています。そこは、上手に二つに分けてあげられるとよいと思います。
2点目は人材育成です。これまで委員の方々が御議論のとおり、評価・調査等のアセスに関わる人材も大事だと思いますが、この事業を行う人たちにおいて、適切にリスクを減らす配慮として考えていく点が重要だと思います。かつ、事業者が地域対応の人材などをしっかり確保する点について考えていくと、そのような人材が適切にリスクを減らすためにはどのようなことを考えていくべきかといった部分も非常に活用する余地があると考えます。
3点目はコメントです。6.(6)の撤去又は廃棄に関する環境影響評価の考え方の周知について、国内ではそれで問題ないと思いますが、風力の方では、現在廃棄に関する部分の標準化文書づくりの議論が進んでいます。標準化までには数年かかると思いますが、その文書の中では、各国の制度を引用する形で文書化が進んでいることを念頭に置くと、国内で整備が必要なものであれば、その点は気に掛けた方がよいと思いました。以上です。ありがとうございました。
〇大塚委員長 それでは、村山委員、お願いします。
〇村山委員 このような形でスケジュール案を整理していただき、大変ありがとうございました。あくまで三つの区分ということですが、検討には相当時間を要したと推察します。少し表の見方を確認したいのですが、3年程度、5年程度、10年程度、そして3年程度だけ線があるもの、5年まで引っ張られているもの、10年まで全て線が引かれているものがあります。ほかの例では5年程度から10年程度で線が始まるというものもありますが、3年程度で線があるものに関しては、何らかの形で取組が始まると考えてよいでしょうか。その場合、メリハリをつけるのは難しいと思いますが、結構な項目が並んでいる印象も受けます。可能ならば、もう少しメリハリがあるとよい気もしますが、難しい点も理解するところです。
それから、国に期待することを一言だけ申し上げます。様々な項目で外国の事例整理又は調査が入ってきていると思います。日本で取り組んでいるものもありますが、外国の事例として、特に最近ではアジアでも日本で行っていないことを進められている例もあります。これらについては、国の環境アセスメント情報支援ネットワークの方でも、IGES(地球環境戦略研究機関)を中心に様々な報告書が紹介されていると思います。もう少しそのようなものを活用しつつ、情報整理を行っていくことが重要だと考えます。場合によっては、具体的な追加調査も必要だと思います。
一方、国内の事例でも関連するものがあります。累積的な環境影響でも、参考資料4のパブリックコメントで出されている130番にあるとおり、関西国際空港に関しては、大阪府が地域環境管理計画を策定しており、その連携といった話が入っています。具体的にどのように実行されているかは存じ上げないものの、このような例も参考になるように思います。外国とともに、もう少し国内事例を調べていくと参考になるものがあると考えます。以上です。
〇大塚委員長 それでは、鷲谷委員、お願いします。
○鷲谷委員 パブリックコメントでは、アセスの実態に即した御意見が多く出されており、それらは傾聴に値するものが多いと思いました。答申案にその趣旨が簡潔な表現で取り入れられていますが、今後の対応における検討のプロセスでも更に御意見が反映されると思います。また、アセス図書の公開に賛同する御意見が多く出されており、その重要性を改めて認識した次第です。科学面でも社会面でもコミュニケーションとしてのアセスの質を向上させる上で、このような情報公開は非常に重要です。研究者や市民がデータ、分析手法、記述論理の検証にも参加できるようになると思います。そうすると、参加型の科学としてもアセスが発展する道が開けると考えます。
それから、若干危惧される点に触れさせていただければ、不確実性があれば順応的管理だと安易に語られているような印象を受けます。順応的管理によって正当化をするには、どのようなデータに基づき、どのような予測手法を用いて、どの程度の不確実性を示されたかについて明らかにする必要があると思います。また、順応的管理はモニタリング手法と結果を多様な主体が情報共有して進める生態系の管理プロセスですのでその仕組みをどのようにつくるかにおける検討が、前提になると思います。以上です。ありがとうございました。
〇大塚委員長 それでは、森田委員、お願いします。
〇森田委員 全般的な部分に関連しますが、特に4ページ目の環境影響評価に係る技術の向上と環境情報基盤の充実化について、これまでの見直しと比べても非常にネット・ゼロに向けて、相当な規模量の再エネを次々に入れていく段階の中で、完璧なものが出てくるのを待つのではなく、本当に分かってきたところからその情報を反映させるような仕組みが必要だと思います。先ほど順応的管理の話もありましたが、アダプティブガバナンスの研究も生態系の文脈の中でも非常に進んでおり、欧米の研究者との議論でもそのような状況が伺えます。そうした、様々実施した中で出てくるような経験、反省を生かして前に進むようなプロセスが必要です。また、科学も必要な情報が今すぐに全部集まるわけではなく、自然科学のほか社会科学の研究も次々と進んでいるところです。それらを取り込みながら、この3年、5年を待たずとも積極的に情報を出していき、それを反映できる仕組みが必要だと考えます。
人材育成に関しても、本当に多くの分野において必要とされています。特に、科学の面でも、自然科学はまだしも、社会科学的な側面から生態系を見ている研究者は日本で少ないです。そういう人たちが、本当は実務の関係者と組み、もう少しガバナンスの観点等を共に議論できるとよいと思います。その中で足りない部分については、海外にいる研究者ともっと連携することも必要で、ここでスケジュールを示した点は非常に大事であるものの、完璧なものを目指しているようにも見えてしまいます。そうではなく、今すぐ始める中で、それぞれも関連し合っていることや、ある程度情報が集まった時点で開示していく仕組みが必要だと思った次第です。以上になります。
〇大塚委員長 ありがとうございました。それでは、環境省より回答をお願いします。
○川越環境影響評価課長 承知しました。まず、関島委員を始め、ほかの委員からも2ページの黄色い二重丸の意味について御指摘をいただきました。「直ちに制度的な措置を講ずるべき」と書いており少し分かりにくいのですが、具体的には法改正を行っていくべき事項との意味になります。法改正のほか、政令、省令、基本的事項、ガイドライン等でも対応していく部分がありますが、そちらは二重丸に含まれず、3年程度の中に含まれます。2点目として、SEAがこれまでできていない理由及びガス抜きなのかという御意見をいただきました。この点、決してガス抜きではありません。私も二十数年前にアセス課におり、SEAの議論をしていたことは十分承知しています。今までも、常々申し上げている部分ですが、計画レベルとなると環境省が所掌している事項ではなく、ほかの省庁が所掌している事項にも係るため、我々として手を出せていない点が一番の原因だと考えます。一方、持続可能性アセスメントの話になると、頭の体操としては、環境省の中でも実はそうした政策を複数持っています。個人的には、そうしたところでもできるものがあるかもしれないといったことも考える次第です。そのような切り口がないのかという点も含め、検討を進めていければと思います。真剣に取り組んでいく所存ですので、是非御理解ください。
次に、原田委員から5年目のフォローアップに関して、結論が示されるのかとの御意見をいただきました。先ほど、森田委員からも完璧なものを目指している印象があると言われましたが、できれば結論を示したいと思うものの、恐らく結論までは示せず、着手のみにとどまるものもあると思います。しかしながら、完成に向けて頑張っていくという姿勢となります。開始ができたもの、結論を得るものにおいて、先ほどもう少し濃淡がほしいとの話もいただきました。そこを表現できていないものの、両方の部分が含まれる中、できる限り結論を導けるようにそれぞれ頑張って取り組んでいきます。それから、人材育成について、人がいないのはこの分野に限らないことから、内閣官房等を含めて連携すべきとの御意見をいただきましたが、是非そうした話も含めて連携をしていきたいと思います。また、ファシリテーターを育てる際にどのようなことを行っていくのかという点で、資格制度、大学教育の中でといったお話がありました。資格制度であれば、環境アセスメント士のほか、実際にファシリテーターを担うといった者を調べてみると、技術士を持っている方が技術士事務所で行っている例もあります。そうした方々と何か連携できるのかを考えることに加え、民間分野でも様々な人材育成に関する取組が進められているため、そうした部分を少し勉強しながら、どのようなことが可能かを具体的に考えていきます。それから費用負担に関しては、公共事業の、例えば道路等であれば、割と事業主体である実施者がファシリテーターを雇うことをされていますが、発電所のような民間の場合では、事情が少し違う気もいたします。御意見をいただいた負担については、今後話を詰めていきたいと思います。
次に、阿部委員から優先して検討する点として、第二種事業のスクリーニング新基準と累積的影響の部分について挙げられました。是非プライオリティーを高めにして行っていきたいと思います。そして、ゼロ・オプションを求める御意見に関しては、社会経済的な部分を将来含めるところは、こちらは持続可能性アセスメントとも非常に連携する話だと思います。そのような中で検討できればと考えますが、おっしゃるとおり、環境アセスの範囲を大きく超えるため、我々の方でどこまで検討できるのかという点は、御相談を行いながら進めていきたいと思います。
次に、勢一委員から風力関係での環境配慮について、規模が大きい事業を対象とするところが法律でも規定されている点への対応について御意見をいただきました。この部分は、今回、我々も小規模なものへの対応を考える中で、法目的の変更も含め、検討いたしました。その上で、当面は政令で対応できる部分が多いとの考えから、政令以下で対応することを考えています。しかしながら、当然、条例では規模が大きいものという要件を除いた規定の下、様々な事業種を対象にしているものもあるため、そうした検討も必要とは思っています。一方、法目的から変えるとなれば、法そのものがまた違うつくりになると考えています。ここは、今後、風力関係の検討を進める中で、我々としてもさらに議論を深めていきたく思います。そして、自治体との丁寧な議論に関しては、3コースの振り分けでも、後の方で自治体から御意見を伺うと、このような御意見が出てきたというものもあります。その繰り返しとならないように、早い段階から御意見を伺いつつ進めていく点に十分留意をして行っていきます。それから、人材育成に係るリスキリング等についても、御意見を踏まえ、どのようなものが可能かを幅広く考えていきます。迅速な復旧・復興に関しても、5年程度では遅いという点について、いつ起こるか分からないものの、参考となる事例は既にあることから、早めに進めていきます。くわえて、地方公共団体との連携及び国との連携に関する御意見は、しっかりと受け止めた次第です。
次に、崎田委員から5年の意味に関するお話をいただきました。端的に言えば、今このようなスケジュール案を出しましたが、中間的な評価を5年目には行いたいという気持ちで書いています。そして、SEAについても5年程度でどこまで進むかが分かるようにという点は、申し訳ありませんが、曖昧に書いている点は先ほどの御説明で申し上げたとおりです。しかしながら、作業を進める中ではもう少しタイムラインを切って行っていきたいと思います。また、勉強会の中で持続可能性アセスや不服申立の手続について御意見があり、印象に残ったという点は、我々としても今後参考にしながら進めていきたいと思いました。それから、人材育成の関係で化学物質のコミュニケーションを学んだ方が他の分野でも活躍されている点は、先ほどから様々いただいている人材育成に関する御意見の中で、どのような方々がどういったことを行っているのかについて、情報収集も行いながら、連携及び活用についての検討を図っていきます。
次に、錦澤委員からSEAに関して御意見をいただきました。再エネに関してゾーニングを進めている点は問題ない、海外で全く行っていないと理解されないようにすべきとの点はしっかりと受け止めていきます。また、累積的影響に関して他計画との関係で考えていくことも重要とのことで、促進区域の関係も当然、温対計画に基づく促進区域という形で連携しています。そのような点について、まだ連携が不十分との御意見として捉え、我々としても他の部局と連携しながら進めていく所存です。
次に、飯田委員から図書の継続的公開に関して、環境省が活用していくものと地域の理解醸成を図っていく二通りがあるとの御意見をいただきました。後者は難易度が高いことから分けていく方が良いとの点については、少し整理を行いながら進めていきます。また、人材育成に関しても、事業者において適切にリスクを減らすために活用されることが重要という点は、我々としても気に留めながら進めていきます。そして、撤去に関して各国制度の引用も念頭に置いていくことは、是非、そのようにしていきます。
次に、村山委員からは3年程度に関して取組が始まると考えておいてよいかとの御意見をいただきました。当然ながら取組を始めるに当たり、その中でも最後までいけるものと、いけないものの両方があるものの、まずは始めるという趣旨で線を引いています。そして、国に期待するものとして、アジアの事例も参考になるほか、IGESも様々情報収集をされているとの御助言をいただきました。我々もそのようなものを参考にしていきたく思いますし、国内事例も収集しながら進めていきます。
次に、鷲谷委員からはパブリックコメントでは実態に即した意見も多かったというお話や、アセス図書の公開を基に参加型アセス等も進められる可能性についてお話をいただきました。それから、不確実性があれば順応的管理に安易に流れているとの点で、順応的管理の仕組みづくりが前提との御意見もありました。このような点についても、技術的検討なども含めてしっかり進めていきます。
次に、森田委員からは完璧なものが出てくることを待つのではなく、分かってきた段階で順次対応していくといったアダプティブガバナンスの観点での御意見をいただきました。我々としても、リリースできるものは早めに出し、バージョン1やバージョン2という形でアップデートするようなものとして社会への情報共有を進めていく所存です。今後とも御指導いただければ幸いです。以上になります。
〇大塚委員長 ありがとうございました。御回答をいただきましたが、そのほか御意見等ありますか。関島委員、お願いします。
〇関島委員 皆様の話を伺う中で、人材育成の話について一言だけコメントさせてください。現在、大学に所属しており、研究教育の改善に向けて、大学でもしばしば改組が行われています。時代のトレンドに合わせて必要な人材を育成しようという目的からです。しかし、今回の再エネに関わる議論を聞いていると、どのような人材を育成していくべきかにおいて、大学は見当違いな改組や人材育成を行っていのではないかという印象を強く持ちます。すなわち、社会の要請に合う形でアカデミアが人材育成をできていないのではないか。大学教員が関わるごく限られた分野の中でしか、人材育成をできていないのではないか。私は、今回のような課題を担当している組織・部署から、明確なメッセージをアカデミア及び社会に発信していくことも必要と考えます。そうでなければ、アカデミアはいつまでもその要求を受け止めることができないでしょう。自然発生的に期待する人材育成を待っていても、いつまでたっても適切な人材は現れません。そのような意味では、今回のような話題に関し、例えば環境省がどのような人材を必要としているかについて、国としてメッセージを出していくことが、私たちの要求に応えられる人材育成につながっていくものと考えます。
〇大塚委員長 ありがとうございました。今の関島委員の御意見について、環境省から何かありますか。
○川越環境影響評価課長 ありがとうございます。我々としても、是非そのようなものを発信していければと思います。また、私が以前関わっていた野生動物の管理分野では、大学の先生方とも連携し、そのようなカリキュラム作成を進めていたこともあります。そのようなものをアセスでできるかは別ですが、我々の考えを知っていただけるように、あらゆる機会を尽くして努力をしていきます。
〇大塚委員長 私からも一言申し上げます。先ほど錦澤委員がおっしゃられた話に戻ります。資料3-1の14ページにおいて、温対法の2021年改正との関係について、ゾーニングを含めて書いた方がよいとの話でしたが、阿部委員がおっしゃられた社会的評価、経済的評価も入れるかという話は、ここにまさに入っています。アセスであるものの、戦略的アセス的な面が入っているとも言える一方、アメリカではEIAもそれを行っているため、本当は戦略アセスだけの問題ではありません。しかし、日本での対応について言えば、環境の要素だけでなく社会や経済の評価も入れている点は非常に大きなことです。その点も是非書いていただけるとよいと思います。あまりにも戦略アセス後進国と言われてしまうと見栄えが悪いです。確かにそういう面もあると思うものの、行っていることはしっかり言うことが大切です。
そのほか、何かありますか。崎田委員、お願いします。
〇崎田委員 今の話を伺い、私からも1点申し上げます。先ほど14ページにある地球温暖化の上、配慮書手続に関しての記述を残すか否かを環境省で考えるとの御回答をいただきました。私の意見としては、事情をはっきりと追記した上で残しておいてはどうかと考えます。10年前に戦略的なアセスの検討というものの入口に立った際、戦略アセス全体に関する議論が決着する状況ではない段階で、入口として配慮書の話をまとめ上げた経過があったと思います。そのため、全く別ものだからここを削るというよりは、例えば「戦略的なアセスの検討過程において、平成21年の見直し段階において導入したものとしては」といった一言を入れてしまってもよいと感じました。よろしくお願いいたします。
〇大塚委員長 ありがとうございました。環境省で検討いただけると思うものの、恐縮ながら学問的な話を少しいたします。世界での戦略アセスは行政庁がやるものであり、そうした意味では戦略アセスにはこれも入らないのです。ただ、環境省が平成21年に非常に頑張っていただいており、それをどのような評価するかという問題になります。その辺りも含め、またチェックをお願いできればと思います。崎田委員はいつも大変熱心に御議論をされているのに対し、言葉を挟んでしまい失礼いたしました。そのほか、よろしいでしょうか。
それでは、本日予定していた議事は全て終了となります。進行を事務局にお返しします。
○加藤環境影響審査室長 大塚委員長、ありがとうございました。
本日も、熱心かつ濃密な御議論をいただきまして、大変ありがとうございました。また本日の議事録について事務局で案を作成し、委員の皆様に御確認いただいた後、ホームページで公表する予定となります。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、最後に、秦総合環境政策統括官より御挨拶を申し上げます。
〇秦総合環境政策統括官 秦と申します。委員の皆様、昨年の秋から複数回にわたりまして、真摯な御議論を賜っております。また、本日の答申案においても、3時間にもわたる御議論をいただきました。ありがとうございます。
答申案にいただいた中身のうち、とりわけ先ほどの表で示された黄色い二重丸、制度的対応が必要なものは、現在、通常国会に向けて政策的対応の準備を進めています。なるべく早く成案を得て、国会の方に提出できるよう引き続き準備を進めていく所存です。そのほか多岐にわたる項目についての御議論も、政省令に反映させていくもの、ガイドラインで整理していくもの、少し中・長期的に引き続き御議論をいただくものもあります。引き続き、先生方の御指導を仰ぎながら検討を進めていきたいと思います。
本日は、大塚委員長を始め、委員の皆様から建設的な御議論を賜りまして誠にありがとうございました。感謝を申し上げ、閉会の挨拶といたします。改めまして、誠にありがとうございました。
○加藤環境影響審査室長 以上をもちまして、中央環境審議会総合政策部会第12回環境影響評価制度小委員会・第8回風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会合同会議を終了いたします。
皆様、年度末が近づく御多忙の中、長時間にわたり活発な御議論を賜りまして誠にありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。