中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度小委員会(第11回)・風力発電 に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会(第7回)合同会議 議事録
日時
令和6年12月12日(木)15:00~18:00
場所
AP新橋Eルーム
開催方式
オンライン併用
議事次第
1.開会
2.議事
今後の環境影響評価制度の在り方について(案)
3.閉会
配付資料
【資料】
資料1 今後の環境影響評価制度の在り方について(答申)・風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(二次答申)(案)
資料2 中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度小委員会(第10 回)及び風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会(第6回)における委員意見の概要
【参考資料】
参考資料1 中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度小委員会 委員名簿
参考資料2 中央環境審議会総合政策部会風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会 委員名簿
参考資料3 中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度小委員会(第10 回) 議事録
参考資料4 中央環境審議会総合政策部会風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会(第6回) 議事録
議事
○加藤環境影響審査室長 定刻となりましたので、これより、中央環境審議会総合政策部会第11回環境影響評価制度小委員会、第7回風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会合同会議を開催いたします。
私は、環境省大臣官房環境影響評価課環境影響審査室長の加藤です。本日もよろしくお願いいたします。本日は、年末の御多忙にも関わらず、現地又はオンラインでの御参画を賜り、誠にありがとうございます。
報道関係者の皆様への御案内です。冒頭の撮影については、議事を開始するまでの間において可能となっておりますので、御承知おきください。
本日は、対面とオンラインのハイブリッド方式での開催とさせていただいており、「環境省大臣官房環境影響評価課チャンネル」にてライブ配信を行っております。なお、本配信は議事録公開までの間、同チャンネルでアーカイブ配信を行う予定です。オンライン参加の皆様におかれましては、何点か御協力をお願いいたします。御発言の際以外は、カメラ及びマイクをオフにし、御発言の際にはオンにしていただきますようお願いいたします。そして、御発言を希望される場合には、挙手ボタンをクリックしていただきますようお願いいたします。通信トラブル等何かございましたら、事務局までお申し付けください。
本日の委員の出席状況でございますが、環境影響評価制度小委員会及び風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会について、それぞれ委員総数の過半数以上の委員の方に御参画をいただいているため、定足数の要件を満たしており、小委員会として成立していることを報告いたします。また、御都合により、飯田委員におかれましては途中からの御参加、西本委員におかれましては途中での御退席、鷲谷委員、荒井委員、森田委員におかれましては、本日御欠席と承っております。
続いて、お手元の資料の確認をさせていただきます。本日の資料については、現在画面に表示している資料一覧のとおりです。過不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。
報道機関の皆様におかれましては、冒頭の撮影はここまでとさせていただき、以降は傍聴のみとさせていただきます。また、これより先の議事進行については、委員長にお願いをいたしたく存じます。
それでは、大塚委員長、よろしくお願いいたします。
○大塚委員長 それでは、議事に移ります。本日は、11月18日に開催した風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会、11月21日に開催した環境影響評価制度小委員会における委員からの意見の結果を踏まえ、今後の環境影響評価制度の在り方に関する答申案に係る議論を行います。
なお、答申案は、「前回法改正事項の点検」、「環境配慮が確保された風力発電の最大限の導入促進」、「現行制度の課題への対応」という3つのパートで構成されております。事務局から一通り説明をいただいた後、パートごとに質疑の時間を設けたいと思います。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○川越環境影響評価課長 環境省環境影響評価の川越より御説明いたします。
資料1については、今後答申案をまとめる際のドラフトとなる資料として作成したものになります。また、資料2はこれまでに頂戴した御意見の概要を項目ごとに整理したものとなります。本日、時間も限られていることから、資料1について御説明いたしますが、必要に応じて資料2も御覧いただきながら、後ほど御議論、御意見を頂戴できればと考えております。
では、資料1の表紙の裏にある目次を御覧ください。5つの項目に分かれていますが、「Ⅰ.はじめに」は、今回の検討経緯を記載しています。ⅡからⅣまでは、先ほど委員長からお話があったように、これまでの小委員会、合同小委での議論と同様に、「前回法改正事項の点検」、「環境配慮が確保された陸上風力発電事業の最大限の導入促進」、「現行制度の課題等への対応」という3つの柱に沿って記載しております。そして最後に、「Ⅴ.おわりに」といった記載になっております。
それでは、パートごとに御説明いたします。1ページを御覧ください。まず、「Ⅰ.はじめに」です。こちらの7行目より、改正法の施行から10年以上が経過したことから、当該附則に基づく見直しに向けた検討が必要な時期を迎えた。14行目におきましては、2024年10月に環境大臣から中央環境審議会に対し、今後の環境影響評価制度の在り方について諮問がなされた。25行目以降ですが、ネット・ゼロとネイチャーポジティブを達成するための統合的な取組が求められる状況において、自然環境の保全に支障を来すことなく、適正な環境配慮と地域との共生を図りながら、再生可能エネルギーを最大限導入していくために、環境影響評価制度が果たす役割は極めて大きい。そして30行目からは、このうち、風力発電に関して2023年9月に環境大臣から中央環境審議会に対し風力発電事業に係る環境影響評価の在り方についても諮問がなされたことを記載しております。
33行目以降、次のページにまたがりまして、2024年3月に洋上風力発電事業に係る環境配慮の在り方が一次答申として取りまとめられること、加えて3行目からですが、陸上風力発電事業に関しても、立地に応じ地域の環境特性を踏まえた、効果的かつ効率的な環境配慮の確保の仕組みについて検討を進める必要性がある旨の指摘がなされているとの記載をしています。6行目からはタスクフォース関係の話ですが、風力発電事業についてはタスクフォースからの指摘等を受け、まず第一種事業の規模要件の引き上げがなされている。加えて11行目ですが、効果的・効率的なアセスメントに係る制度的対応の在り方についても検討を進めていくことが必要とされている。このような経緯を書かせていただきました。そして18行目ですが、本答申はそれら経緯を踏まえ、両小委員会における審議の結果を踏まえ、陸上風力発電事業に係る環境影響評価制度を含む今後の環境影響評価制度全体の在り方を示すという形で整理をさせていただきました。
続いて、「Ⅱ.前回法改正事項の点検」のパートについて御説明いたします。3ページを御覧ください。8行目では、配慮書手続及び報告書手続について、適正な環境配慮を確保する観点から点検を行った結果を提示ということを書かせていただいており、12行目から配慮書手続の在り方を整理させていただきました。15行目になりますが、配慮書手続は今後も引き続き制度として維持していくことが適当である。ただし、19行目ですが、いわゆる位置・規模のみなし複数案の設定が主流となっている。この点に関しては、21行目の1ポツ目となりますが、適切に区域の絞り込みがなされているのであれば、効果的な環境配慮の確保に資する側面もあるのではないか。2ポツ目として、一方、配慮書手続の趣旨にのっとり、厳格な位置・規模等の複数案を設定するべきではないか。28行目の3ポツ目として、場合によっては、地域とのコミュニケーションが十分に図られない環境保全上重要な区域が含まれることにより地域の不信感につながることなどの課題が生じ得るのではないかといった両方の意見を書かせていただいています。
4ページ目に移ります。3行目以降、こういったことがありますけれども、配慮書手続をより効果的に機能させる観点から、4行目、1ポツ目に配慮書手続段階において設定すべき適切な複数案の考え方や、適切な事業実施想定区域の範囲の目安、2ポツ目として、あらかじめ国が環境保全上配慮すべき重要な区域の考え方を提示した上で、事業者において当該重要な区域が含まれる場合には環境影響を回避・低減するための方針を早期に検討し、その検討結果を配慮書に記載させる。そのようなことの検討を進め、11行目以降、必要に応じて関係法令等の見直し、ガイドラインの整備を進めていくことが重要であるということを記載させていただきました。16行目からは、配慮書手続の実施が任意となる第二種事業について、事業計画の立案段階において環境配慮の観点から適切な立地検討等がなされていない場合があるとの指摘があるといった点に関して、19行目以降、1ポツに発電所に係る事業では、電気事業法に基づき、スクリーニング時に簡易な環境影響評価の実施が必要とされているが、このような簡易な環境影響評価を実施する段階や、その後の方法書手続段階において、事業者に対し適切な立地検討を求めていくための仕組み、2ポツ目として、ゾーニングに係る他制度と、環境影響評価法に基づく環境影響評価制度の連携を強化することについて、検討を進めていくことが重要であると記載しております。
続いて、5ページ目ですが、「2.報告書手続の在り方」について記載をしております。5行目となりますが、報告書手続は今後も引き続き制度として維持していくことが適当である。7行目以降ですが、一方、発電所に係る事業については、電気事業法の特例により事後調査等の実施結果が国に集約されていない状況となっている。そのため、今後は発電所に係る事業についても、国が報告書を取得することができる制度上の仕組みを構築し、事後調査等の実施結果を一元的に管理分析することにより、後続事業全体に係る環境影響評価の最適化を図っていくことが期待される。13行目からは、具体的に事後調査の実施結果の管理分析を進め、科学的知見の充実を図ることにより、ガイドライン等の整備や、環境保全措置に係る技術開発、事後調査等の実施結果に応じた順応的な管理等を促進していくことが望まれる。また16行目の後半からですが、調査に要する期間の短縮、コストの低減、環境影響に関する予見性の向上等にも資すると考えられるため、事業者のインセンティブにもつながり得ることが期待されるといった点も記載をしております。また、20行目以降ですが、併せてデータの標準化に係る考え方を整理することも必要である。加えて、過年度に環境省が策定したガイドラインに沿って、事業者に対して適切な時期に報告書を作成、公表するように求めていくことも重要であるということで、データの標準化、データの公表時期について記載しております。
6ページを御覧ください。続いて、「Ⅲ.環境配慮が確保された陸上風力発電事業の最大限の導入促進」について、10行目以降を簡潔に御説明します。陸上風力発電事業では、環境影響の程度は一般に風車の立地場所や配置によるところが大きい。13行目以降、陸上風力発電事業を最大限導入していくためには、環境影響の懸念が小さいことが想定される立地環境へ、事業を誘導していく仕組みを構築することが重要である。16行目からは、こうした適切な立地環境へ誘導を図っていくため、環境省において制度案の検討が進められてきたということを記載しています。20行目以降ですが、まず1ポツ目として、地域事情も考慮の上、必要な手続を3段階に区分する明確な基準、指標等を設定する上での技術的な課題、2ポツ目として、環境影響に係る予測の不確実性が大きいため、メリハリのある環境影響評価の実施につながらない可能性がある。3ポツ目として、法と条例における適切な役割分担の考え方、これらについて今後も更に検討を深めていくことが必要であるとの記載をいたしました。この点は、これまでの小委員会で、現状としては今の制度に組み込むことが容易でないという旨を書かせていただいておりましたが、小委員会で御意見をいただき、引き続きこのような形で進めていきたいということで記載させていただいた次第です。
続いて、7ページ目の「1.適切な立地環境への誘導による導入促進」ということで、4行目中段からになりますが、適切な環境配慮と地域との共生を図りながら、陸上風力発電事業を最大限導入促進していくためには、環境影響評価制度の枠組みにとどまらず、事業の立地誘導を実現させる制度上の仕組みを早期に確立していくことが必要である。11行目以降ですが、具体的には温対法に基づく促進区域制度を始めとしたゾーニングに係る他制度と環境影響評価法に基づく環境影響評価制度の連携を強化し、例えば、地域事情や地域の意見を踏まえたゾーニングによって、一定程度環境配慮をされているエリアで実施される事業については、必要となる環境影響評価手続の取扱いを柔軟に変更すること等により、効果的な立地誘導を進めていくことが期待される。併せて、ゾーニングに必要となる環境情報の整備や、地域事情を踏まえた配慮事項の考え方を整理していくことも重要である。また、19行目以降、適切な立地環境への誘導を図っていくためには、現行制度における配慮書手続を有効に活用していくことも重要であるということで、先ほどの配慮書の部分と重複しますが、国が環境保全上配慮すべき重要な区域の考え方を提示し、そういった重要な区域が含まれる場合には、環境影響を回避・低減するための方針を配慮書に記載させる。さらに、国が提示する環境保全上で配慮すべき重要な区域の考え方については、社会状況等の変化に応じて継続的に見直しを行うと記載させていただいております。
29行目からが、「2.法対象規模を下回る事業に係る効果的かつ効率的な環境配慮の確保」に関するものです。次のページ、3行目以降ですが、風力発電事業については、事業の規模(出力)の大小ではなく、風車を設置する場所の立地環境によって、環境影響の程度が大きく左右される。風力発電事業では、環境影響評価法の対象規模未満(3.75万キロワット未満)の事業であっても、立地環境によって環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあることは課題である。9行目から10行目ですが、法に基づく環境影響評価手続を通し、国が積極的に関与していくことが求められる。具体的には、例えば、法に基づく風力発電事業に係る第二種事業の規模要件を引き下げ、既に電気事業法で実施されているような簡易な方法による環境影響評価の実施を課し、スクリーニングを通じ、立地環境による環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるものを法に基づく環境影響評価手続の対象とすることが想定される。17行目以降は、新たに3.75万キロワットを下回る陸上風力発電事業を法に基づくスクリーニング対象とする場合には、これまでの第二種事業に係る既存のスクリーニング基準とは異なり、1ポツ目となりますが、風力発電事業の特性を踏まえ、立地環境に着目し、明確かつ適切にスクリーニングするための新基準の整備と、スクリーニングに必要となる鳥類の生息分布情報等に係る環境情報の整備拡充、2ポツ目として、新基準に基づきスクリーニングを実施するに当たって必要となる簡易な環境影響評価の具体的な手法の検討も進めていくことが必要であると記載させていただいています。27行目については、加えて、法と条例の役割分担にも留意の上、第二種事業に係る事業規模の下限値の設定に向けた検討を進める必要があるという点、また、第二種事業については配慮書手続の実施が任意となることを踏まえ、早期に環境配慮の観点から適切な立地検討がなされるための仕組みを検討していくことも重要であると記載しております。また、31行目については、スクーリングを通じて法に基づく環境影響評価手続は不要と判定された事業は、条例に基づく環境影響評価手続の対象となる場合もございますが、そういった場合は、法に基づく簡易な環境影響評価の実施結果、スクリーニングの判定理由を踏まえることにより、効果的に環境影響評価項目のスコーピングを図っていくことも期待されるのではないかとの記載を行っています。
続いて9ページは、「3.リプレース事業に係る環境影響評価手続の合理化」です。2行目からになりますが、環境影響評価法の施行から四半世紀、30年弱が経過しております。同法の対象事業において、リプレースの時期を迎える事業が出てきており、その中でも手続の9割を占める発電所に係る事業においても、そういったリプレース案件が増加しています。風力については、2000年代以降に導入が加速化していきましたが、約20年程度で設備の更新時期を迎えると言われているため、今後リプレースの件数が増加していくことが予想されます。一方、11行目ですが、現行制度ではリプレース事業について新設と同様の環境影響評価手続の実施を求めており、当該手続の実施に長期の時間を要していることが課題となります。15行目からですが、風力発電所に係るリプレース事業の一般的な特性として、あらかじめ事業実施区域や事業規模が特定されていることを踏まえ、事業実施区域や事業規模等に大きな変更がないリプレース事業であって、既設事業に係る適正な環境配慮の確保のための取組が行われていると判断されるものについては、区域や規模等に関して既存文献等の情報を基に検討を行うとしている配慮書手続を改めて課す必要性は乏しく、配慮書手続を適用除外とすることが合理的であるとさせていただきました。その際、リプレース事業に係る配慮書手続を適用除外とすることについては、風力発電所事業以外の他の事業種においてもそれぞれの事業特性を考慮し、対象となり得る制度とすることが適当である。一方、25行目以降ですが、配慮書手続は、地域住民等が事業の存在について早期の段階で知ることができる意義も存在するということがあるため、事業者は配慮書の作成に代わり、簡潔な事業の概要を作成し、その内容を国に届けるとともに、当該概要を公表するような仕組みを設けることが必要ではないかと記載しています。
また、29行目からですが、地域とのコミュニケーションの機会が減少すること、現に環境への影響が懸念される地域に立地する既設の発電所等があること、リプレース後は風車の大型化が見込まれるといった点に留意すれば、リプレース事業であっても、次ページとなりますが、2行目以降既設事業による環境影響を踏まえ、リプレース事業に係る環境保全措置の方針というものは記載させることが必要である。そして、それに対して、4行目ですが、国が意見を述べることができる仕組みを設けることが適当である。また、5行目以降、配慮書手続が適用除外となった場合であっても、8行目にあるように、十全な環境保全措置を講じていくことが当然求められる点も記載しています。また、10行目からですが、リプレース事業に係る環境影響評価を実施する際には、12行目の1ポツにあるように、事後調査等の結果を効果的に活用すること、13行目の2ポツとして、リプレースに当たって考慮すべき環境影響を、設備等を更新した際に追加的に生じるものに限定することにより、幅広い項目を対象にスコーピングを図ることが可能ではないか。17行目以降、環境省のほうで既に作成しているリプレース事業に係るガイドラインについて、見直しも視野に技術的な考え方の整理を進めることが求められると記載をさせていただきました。
続いて、11ページ以降が「Ⅳ.現行制度の課題等への対応」になります。「1.環境影響評価図書の継続的な公表又は公開」です。14行目にあるように、当該図書が継続的に広く公表又は公開されることにより、15行目から18行目、1ポツ、2ポツにあるような様々な公益が見込まれる。そして、25行目になりますが、環境影響評価図書が科学的視点に立脚し作成された成果物である点も考慮の上、様々な公益に資するよう、制度的に当該図書を継続的に公表又は公開する仕組みについて検討を進めるべきであるとしています。
その際には、12ページの2行目以降ですが、「公衆送信権」を有する点にも留意し、図書の公表又は公開主体、内容を公表又は公開する対象範囲、公表又は公開する期間等を検討していくことが望ましいとしています。また、8行目の最後からですが、図書を通じて関係者との適切なコミュニケーションが促進されるよう、科学的かつ分かりやすい図書の作成を推進していく取組が求められるという点も記載しております。12行目からが、「2.戦略的環境影響評価の実現」になります。17行目以降、戦略的環境影響評価の趣旨に資するものとして、1ポツから3ポツ目に書いてあるような取組が進められたところですが、27行目にあるように、十全な戦略的環境影響評価制度の実現には至っていないと記載しています。
30行目からですが、まずは陸上風力発電事業を対象に、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく促進区域制度を始めとしたゾーニングに係る制度と環境影響評価法に基づくアセス制度の連携を強化していくという点と、13ページ目の1行目になりますが、その他の事業についても、引き続き個別事業の上位の計画や政策の検討段階を対象とする戦略的環境影響評価の実現に向けた検討を進めていくことが重要であると記載しています。「3.累積的な環境影響への対応」ということで、10行目となりますが、諸外国における参考事例等を整理の上、我が国における累積的な環境影響評価に係る技術的な考え方、累積的な環境影響の責任分担の考え方等について検討を行っている。13行目ですが、複数の事業による環境影響が累積することにより、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある場合には、地域特性や事業特性も踏まえ、特定の区域内で実施される事業数を適切に設定するなど、ゾーニングに係る制度を効果的に活用していくことについても検討を進めると記載しています。「4.環境影響評価に係る技術の向上と環境情報基盤の充実化」に関して、25行目の後段で、今後も海外の先進事例を含む科学的知見の収集、整理に努め、必要なガイドライン等の整備を進めるとともに、環境影響評価に係る技術的な人材育成を推進していくとしています。
そして、29行目から次のページにまたがりますが、ネイチャーポジティブの実現に向け、生物多様性保全の重要性が高まっている状況に鑑み、生態系への影響評価に係る技術的な手法や考え方、生物多様性オフセットに係る技術動向等についても、情報の整理や検討を進めていくことが必要である。それに加え、気候変動による地球環境の変化が懸念され、背景情報が変化し得る状況にあることも踏まえ、環境影響評価において、気候変動を踏まえた予測・評価の考え方や、気候変動への適応をどのように考慮していくかについても、技術的な検討の実施が望まれると記載をしています。「5.環境影響評価法の対象とすべき新たな事業に関する検討」として、14行目より、海洋における新たな海底資源の採掘事業等を始め、大規模な新規事業については、環境影響評価法の対象とすべきか否かについて迅速に検討が実施できるよう、あらかじめ事業動向を注視し、科学的知見の収集を図っていくことが必要である。そして今回、小委員会でもいただいたCCS事業について、21行目からCCS事業を環境影響評価法の対象とする必要があるか否かについては、今後の事業の動向を注視し、CCS事業の実施による環境影響の知見を収集の上、検討を深めていくことが望ましい。なお、24行目ですが、既に環境影響評価法の対象となっている発電所に二酸化炭素の分離・回収設備が導入される場合の取扱いについても、併せて考え方の整理を進めていくことが重要と記載いたしました。
続いて、15ページの「6.その他の課題等への対応」になります。「(1)国と地方公共団体における情報交流の推進」ですが、5行目の途中より、引き続き、今後も国と各地方公共団体の審査関係者との情報交流の推進を図っていく。また、8行目ですが、国から地方公共団体の審査関係者の皆様に対し、スコーピングを始めとする技術的な考え方や各分野の専門家等に係る情報等を提供していくことも重要と記載をしています。「(2)スコーピングの強化による環境影響評価の合理化」ということで、15行目の最後からになりますが、適切なスコーピングがなされていない事例が散見される、こうした背景としては、18行目以降、2ポツにまとめたような理由が挙げられるとしていますが、23行目より、今後はこれまで蓄積されてきた知見や事例等を踏まえ、技術的な観点から検討を進めていくことが望ましいということで記載しております。
続いて、16ページの「(3)小規模事業に係る簡易な環境影響評価の推進」です。法や条例に基づく環境影響評価の対象とならない小規模な事業の実施に当たっても、簡易な方法により自主的な環境影響評価を実施し、適正な環境配慮の確保を図っていくことが望ましいと記載させていただいています。環境省においては、例えば小規模な太陽光発電を対象にガイドラインを策定しておりますので、今後も、事業者に対して、こうした自主的な簡易な方法による環境影響評価の実施を促していく取組を進めていくことが適当であると記載しております。「(4)環境影響評価に係る事業の『一連性』の考え方の周知」です。12行目にありますが、いわゆるアセス逃れを図っている場合があるとの指摘があるということですが、16行目以降、環境省と経済産業省において、環境影響評価における事業の一連性の考え方に係る通知というものを2021年に発出しているところです。そのため、引き続きその当該通知の内容を広く周知の上、規模要件を上回る一連性のある事業に対して適正に手続が課せられるように取り組んでいく必要があります。「(5)長期的な手続未着手案件への対応」として、環境影響評価手続が実施されている事業の中には、長期的にその後の手続が進められていないものが一部存在しており、地域の不信感につながっている場合があるという指摘があります。今後は、こうした指摘への対応についても考え方の整理を進めていくことが望ましいとしておりますが、この点はまた議論をいただけるかと思います。
次のページは、「(6)手続途中段階の風車の機種変更」です。こちらは、前回の小委員会で少しお示しをしましたが、準備書から環境影響評価書に至る段階において、風車の配置や1基当たりの出力が大きく変更される場合があるという点への対応になります。9行目から、こうした課題に対応するため、事業者に対してあらかじめ風車の機種や配置が変更され得ることを前提とした調査、予測及び評価を実施しておくことを求めるなど、運用上柔軟に対応することも含め、適切な環境影響評価がなされる方策というものの検討をする必要があるとしています。「(7)発電設備等を撤去又は廃棄する際の環境影響評価」ですが、17行目にあるように、あらかじめ事業の実施前に発電設備等の撤去又は廃棄が予定されている場合には、現行制度の下、環境影響評価の実施に当たり、発電設備の撤去又は廃棄する際の影響要因の整理が必要と考えられます。「(8)環境影響評価書に基づく事業の許認可等を行った際の審査結果の理由の公表」ですが、環境影響評価法においては、他の法律に基づく事業の許認可等が行われる際、環境影響評価書の内容に基づく審査が行われる仕組みが設けられており、後段に記載しています。
次のページに移りまして、この点、行政機関は、事業の許認可等を行った際に環境影響評価書の内容をどのように考慮したかを公表する仕組みを設けるべきという意見がある一方、5行目となりますが、他制度において類似の事例が少ないこと、環境影響評価法ではなく他の個別の法律において検討すべきという考え方もあるといった点を踏まえ、関係省庁とも慎重に調整を進める必要があると考えます。「(9)公聴会の開催」については、17行目になりますが、2010年に取りまとめられた中央環境審議会の答申において、公聴会の開催に関し、法での新たな義務付けは不要であると結論を示されているところですが、公聴会の開催を法に規定する必要があるか否かについて、地方公共団体の意見も聞き、再度検討を進めることも考えられると記載させていただきました。
「(10)環境影響評価手続に係る不服申立・争訟手続」に関しては、環境影響評価制度において、不服申立や争訟手続を構築することについて検討すべきとの意見があるとして、具体的には以降の記載にあるものとなりますが、19ページ目の10行目に飛びまして、環境影響評価手続に係る不服申立・争訟訴訟手続については、こうした課題等にも十分に留意し、今後の課題として検討していくことが必要であるとしております。「(11)迅速な復旧・復興と環境配慮の確保の両立」については、21行目にあるとおり、東日本大震災の際の対応も参考として、今後大規模災害が発生した場合に備え、公共土木施設等の緊急的な災害復旧等を妨げないことを前提としつつ、迅速な復旧・復興と環境配慮の確保を両立させるための方策について、考え方の整理を進めておくことが望ましいとさせていただいております。
そして、最後の20ページとなります。「Ⅴ.おわりに」ということで、5行目からとなりますが、今まで御説明した内容については、直ちに制度的な措置を講ずべき事項から、中長期的な検討を要する事項まで、様々な性質のものが含まれています。本答申を踏まえ、より一層効果的な環境影響評価制度の実現が図られるよう、環境省において、各対応事項について順次速やかに対応が進められることを期待したいとしています。9行目ですが、加えて、今後は継続的に本答申で提示した対応事項のフォローアップの結果を当審議会に報告するとともに、社会状況等の変化を踏まえ、随時新たな課題への対応を迅速に図っていくことが求められる旨を付言するとしています。最後の部分は、10年を待たず状況についても御報告をさせていただき、何かあれば、そのときに10年を待たずに行うという趣旨になります。
説明は以上ですが、今回、御欠席の荒井委員より署名意見を頂戴しているため、ここで御説明をさせていただきます。委員の皆様には、机上にも紙をお配りしております。概要としては、「本答申案には大筋同意する。優先順位をつけて進めていく方針にも賛成である。先延ばしにし続けている課題もあるため、実現性を高める方策の検討が必要である」。以下、答申案に賛同する点についての記述ということで、4ページの配慮書手続の在り方については、「環境影響を回避・低減するための方策を早期に検討し、その結果を配慮書に記載することは重要であるため、是非検討を進めていただきたい」。5ページ目の報告書手続の在り方についても、「国の報告書取得に対する制度上の仕組み構築は、なるべく早く実施するべきである。今後ますます増加することが想定される累積的影響の対応としても迅速な対応をお願いしたい」。9ページのリプレース事業に係る環境影響評価手続の合理化に関しては、「事業者が配慮書の作成に代わる簡潔な事業概要を作成し、公表する仕組みの設置は、地域とのコミュニケーションの上で効果的。ガイドラインの見直しは検討いただきたい」。13ページの累積的な環境影響等への対応については、「ゾーニングに係る制度の効果的な活用の検討は是非進めていただきたい。そして、図書の継続公開の実行は必須である」。最後に、公聴会については、「公聴会の開催は意義がある。これまでの知見を基に検討をしていただきたい」との御意見を頂戴いたしました。以上、御紹介となります。
○大塚委員長 ありがとうございました。それでは、ただいま事務局から説明のあった内容について、まずパート1の「前回法改正事項の点検について」、これより最大16時15分頃まで質疑の時間を設けます。
それでは、阿部委員、お願いいたします。
○阿部委員 御説明ありがとうございました。これまで議論してきた内容を酌み取っていろいろと書いていただいているため、基本的にはこの答申案の文面について賛同をいたします。
その上で、これまで議論をされてきたことではないのですが、追加のコメントとして申し上げます。答申案に特に追加するかどうかはまた検討をお願いしたいところですが、配慮書の議論において、最初に配慮書が導入された際に、ティアリングというものがあり、方法書手続でそれを活用するという内容があったと思います。それが実際のアセスの手続の中では、あまりよい形で機能をしていないと感じる案件が幾つか見られましたので、その辺りは今後少し検証が必要になるのではないかと日頃考えております。そうした観点もあるということは、御認識いただければ幸いです。
それから、報告書においても基本的に内容は問題ないと思う一方、細かいところで恐縮ですが、5ページの「2.報告書手続の在り方」の下にある補足説明、2番にある今後重要なところとして、最も重要なバードストライクを書いていただいていると思います。バードストライクは確かに重要ですが、ある程度、鳥類についてはデータもありますし、ある程度知見もたまってきていると考えます。今は、コウモリ類の知見が非常に少ないということで、審査でも根本的な分布や生態でこういったところにはいないだろうと思われていたような種が想定をしていなかったようなところで出てきまして、事後調査で見ていくと、結構衝突をしているような事例もあります。そうした上で、コウモリが重要だという認識を持っていただく点では、ここに限らず、後のパートも同様に、バードストライクとバットストライクであるとか、鳥類とコウモリというものはセットで少し考えていただきたいと思いました。私からは以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。それでは、関島委員、お願いいたします。
○関島委員 1回目から3回目までの議論を受け、非常に練られた文案になっていると感じます。その上で、少し確認をさせていただきたい点があります。これまで、陸上風力に関しての立地の適正の判断として、以前、環境省が提案された3つの振り分け案に関しては今後も検討をしていくといった紹介がありました。私も、あの案を全てそのまま適用をしていくのはハードルが高いのではないかと思うところでしたが、考え方としては非常にすばらしいものが含まれているため、是非そういったところも今後継続して検討していただき、よりよい案を目指していただきたいと思います。
そうした中で、今回、配慮書手続の在り方に関して、今後も配慮書手続は継続していくべきということで纏められています。私も基本的な考えはそれでよいと考えますが、配慮書手続の中で立地の適正を判断していく場合でも、または3つの振り分け案で立地の適正を判断していく場合でも、いずれにしても立地の適正化というのが、陸上風力に関しては規模よりも重要と考えられているため、どのような手法でスクリーニングをアセスの中に組み込むかということが今後大事になるかと思います。その際、4ページの上段にあるポツの2つ目ですが、「環境影響を回避・低減するための方針を早期に検討し、その検討結果を配慮書に記載させることの必要性」とあり、この点が非常に重要と考えます。さらに、次の文章の中では、「事業者に意見を発出する際の国の審査において、適正な配慮書を作成されているかを確認していくことも重要」とあり、このプロセスが配慮書手続を活かしていく上で大事だと思うものの、この確認作業は誰が行い、その妥当性をどのように判断するのか、これらの手続を具体的に実質化することが大事だと考えます。現在、経産省環境審査顧問会では、方法書手続から顧問による審査が行われています。配慮書手続として立地の適性の検討がなされた上で大臣意見が出され、方法書手続に進んでいるという現行手続中において、この「適正な配慮書が作成されているかを確認していく」といった手続が、どの程度機能しているのかあまり見えてこない。経産省で適性化の判断が行われていると思うのですが、立地の適性を、誰が、どのように判断しているのかという点が私には見えません。場合によっては、顧問会を拡大するのがよいのかもしれませんが、配慮書手続において、有識者による立地の適正を判断する仕組みが入り込むことが、配慮書の機能化・実質化につながるものと思った次第です。
それともう一点、4ページの最後のほうにあるポツについてですが、2つ目の「後述するように」において、「ゾーニングに係る他制度と、環境影響評価法に基づく環境影響評価制度の連携を強化する」という記述があります。これまでもネイチャーポジティブの視点から自然共生サイトを設定する動きや、改正温対法に基づき促進区域を設定していくゾーニング案が他制度の中で取り組まれてきました。それらとの整合性や、そういったゾーニングを活用して適正な立地に事業を誘導していくという考えはよいものの、これは第二種事業だけに限る話ではなく、第一種事業の配慮書の中にもこうした取組を活かせるのではないかと考えます。後のほうでも、その必要性及び重要性が記載されていますが、あえて第二種事業のところに記載する必要性があるのかどうか。立地の適正化を考えるときには、このようなゾーニング案を活かしていくというのが基本的な考え方なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。以上です。
○大塚委員長 全ての御意見を聞いてから回答をいただく形を考えていましたが、今の点は質問であるため、先に回答をいただいたほうがよいと思います。環境省より、お願いいたします。
○川越環境影響評価課長 1点目の配慮書については、環境大臣も審査を行っており、その段階では言えるものと思っています。経産省の審査会を使うかどうかというのは、先日も同様の御質問を頂戴したところですが、申し訳ございませんが、その点は、我々のほうでは何とも言えないところがあります。また、4ページの24行目のゾーニングに関わるところは、関島委員のおっしゃるように、必ずしも第二種事業に係るところではないものの、「第二種事業についても」ということで、ここにも記載をしている趣旨となります。決して第二種だけということではありません。以上です。
○大塚委員長 2つ目については、「第一種も関係をする」という点をどこか中間にでも記載いただけると分かりやすくなると思います。一つ目は経済産業省にも関わるものであり、環境省としては答えにくい点もあると理解いたします。
それでは、原田委員、お願いいたします。
○原田委員 ありがとうございます。私のほうから1点だけお願いといいますか、コメントになります。これは荒井委員からの指摘とも少し関連すると思いますが、今後やっていくタイムラインというものが、あまり文章から見えません。早急にやるのか、最優先でやるのか、それとも検討を始めるのか。微妙に書き分けをされている工夫は垣間見えるものの、その辺りはもう少しメリハリのある書き方にされると、よりよいと感じました。
その点で、特に報告書手続について、荒井委員も書かれていますが、私としては、なるべく早く実施するべきだと思います。その他の何か激しく事業者に負担を強いるなど、自治体に負担がこれから積み重なっていくといったものは調整が必要であるものの、報告書手続というのは、むしろ皆様に書いていただき、それを一定標準化とし、知識として国がナレッジとしてためていくというものですから、特にこれについては早期の実施のようなニュアンスが見えるような書き方がよいと思います。「図っていくことが期待される」というものではなく、もう少し強めに書いてもよいと感じた次第です。以上になります。
○大塚委員長 ありがとうございました。それでは、崎田委員、お願いいたします。
○崎田委員 今回、答申案を出していただきましたが、これまでの検討過程を非常に明確にし、それぞれの委員が関心のある課題に関して、どのような意見があったかをしっかりと多様な意見を明示していただいております。その上でこういう方向が考えられるといったように、今回話合いに参加した私たちを始め、今後これを見てくださる社会の方も非常に納得感のあるようなまとめ方にしていただいていることは、事務局が努力をしてくださっている結果だと思い、大変ありがたく感じました。
その上で、3ページの配慮書において、例えばみなし複数案等で適正に場所を指示できているのかどうかといった点で、いろいろな考え方があると提示されていますが、特に私は29行目にある「地域とのコミュニケーションが十分に図られているかどうか」という視点を大事にしたいと思っています。そういう視点として、実際の事例でどういうところで非常にうまくいっているのか、うまくいっていないのかを適切に検討していただいた上で、今後ガイドライン等において、しっかりと配慮書の中での複数案などを有効に活用して行っていただくことを進めていただければありがたいです。
もう一点は、5ページの報告書手続の在り方です。しっかりと報告書が、全ての国のアセスの場合、それがきちんと国に集約されるような制度設計に早めにしていただいてよいと思っています。その上で、「そういうものをきちんと管理分析を進めて、今後にも役立たせるような場をつくっていってはどうか」という意見交換がありましたが、それをしっかりと予算措置も含めて検討し、今後の検討課題として入れ込んでいただければと思います。これを読ませていただいたときに、10行目から18行目辺りを読むと、それを今後やっていただくという趣旨がこの中に入っているという理解でよろしいでしょうか。この点について伺います。よろしくお願いいたします。
○大塚委員長 ありがとうございました。それでは、村山委員、お願いいたします。
○村山委員 まず4ページの配慮書の点での質問になります。4行目から5行目において、適切な複数の考え方、適切な事業実施、想定区域の範囲の目安ということで今後の方向が書かれており、それは正しい方向とは思う一方、そう簡単ではないとも思うところです。割と事業種によって変わってくるのではないかと考えますが、その点はいかがでしょうか。
それから、5ページの報告書については意見になります。これまでに申し上げていますが、22行目のところで事業者に対して適切な時期に報告書を作成ということで、この点はよいと思いますが、適切な時期というのはいつなのかをもう少し明確にできないものかと思います。すなわち、これまでも申し上げているように、「供用時を含めて」といった言葉を是非入れていただけないかと思っています。これは、基本的事項の中で、必ずしも供用時が明確に示されていないという点があり、事業によっては供用段階でも報告いただいているところもありますが、その点あまり明確になってないというところで、是非お願いできればと思います。
それから、6ページの陸上風力の点になります。20行目、必要な手続を3段階に区分する明確な基準指標等となっていますが、明確な基準指標があれば、それはそれでよいという感じもいたします。国内のスクリーニングは規模要件が明確であるため、その考え方からいくとこういう話になると思うのですが、外国の事例を見ていると、必ずしも明確ではない形でカテゴリー分けがされていると思います。そういう意味で、これまで国内でやってきたスクリーニングの考え方をこちらにも適用していくのか。あるいは、もう少し考え方を変えて3区分を進めていくのか。この辺りは、もう少し議論があってもよいと思います。脚注にあるように、その辺りを少し曖昧にすると、行政裁量範囲が拡大するというのはおっしゃるとおりだと思う一方、そうであるからこそ、行政裁量をしっかりと責任を持ってやっていく。そこに、場合によっては専門家も入っていくといった形で、必ずしも明確にせずとも、そういった経験を積んでいくことにより、徐々にカテゴリーの妥当性が築き上げられるといった考え方もあるのではないでしょうか。この点、もし可能であれば御議論をいただきたく思います。
最後に、10ページのリプレースに関する点です。12行目で事後調査等の結果を効果的に活用するとなっています。これも先ほど申し上げた点に関連しますが、恐らく事後調査は供用段階を前提とされていると思いますが、その点を是非明確にしていただき、こちらにも書き込んでいただけるとよいと思います。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございました。それでは、オンラインの方々に移ります。山口委員、お願いいたします。
○山口委員 前回までに申し上げました意見について、おおむね答申案に反映いただきましてありがとうございます。全体として大きな異論はございませんが、配慮書手続について2点申し上げたいと思います。
4ページの5行目にある「事業実施想定区域の広さの目安」については、地域との十分なコミュニケーションの確保の観点から必要なものと考えますので、是非御検討をお願いいたします。また、次のポツの10行目、最後のところに「記載させることの必要性」とありますが、記載することは必要と考えるため、「必要性の検討」ではなく、その先の「記載させる仕組みを検討する」としたほうが適当ではないかと思います。以上です。よろしくお願いいたします。
○大塚委員長 ありがとうございました。それでは、飯田委員、お願いいたします。
○飯田委員 これまでの議論を適切にまとめていただきまして、本当にありがとうございます。私も基本的な内容については賛同したいと思います。その上で、幾つかコメントを申し上げます。
まず、配慮書については、住民の皆様の心配を低減するためにも、可能性があるというものをしっかりと網羅され、抜け漏れのないことが重要だと思います。あとは、手続の目的と事業特性というものは考慮した位置付けがよいと思うため、この記載で結構かと思います。また、これまでの知見に関して、議論もありましたが、ガイドライン等々で必ず入る項目についてはしっかりと入れていくことで、事業に関わる皆様の理解が深まりますし、手続の合理化が進むのではないかと感じております。
それから、5ページの15行目、18行目になります。これまで報告の話について、皆様の報告が出てこない、そして、ずっと置いておけないのがよろしくないといった話がありましたけれども、こういう記載で、何をどういう目的で報告書を活用していくのかということが加わった点はよいことだと思います。事業者も含め、今後、事業効率性が上がっていくという意味においてもしっかりと伝わると考えますので、この記載で結構かと思いました。
それから、9ページのリプレースの件になります。リプレースを考えていったときに緩和していく一つの考え方として申し上げます。
○大塚委員長 飯田委員、今はパート1に対するところの議論になるため、その点は次のパート2でお願いできればと思います。
○飯田委員 分かりました。それでは、以上で大丈夫です。失礼いたしました。
○大塚委員長 ありがとうございました。それでは、白山委員、お願いいたします。
○白山委員 環境省のほうで、今までの議論を非常にコンパクトかつ、きれいにまとめていただきまして、ありがとうございました。私のほうで、非常に細かいことが一つと、全般的に気になることを一つコメントさせていただきたいと思います。
まず大きいほうとして、5ページの報告書手続の件になります。電気事業法の特例で、報告書が発電所に関して特例になっており、それがなかなか出てこないという話は指摘されているものの、ほかの事業については報告書が出てきており、それに関して、このようにいいことがあったというような報告書の価値に関するものがどこかに一言入っていると、発電所に関わるものもしっかりと報告書を出してくださいということに関する重要なバックグラウンドになるのではないかと思います。そのことが、ここにあまり明示的には書かれていないため、少し検討していただくとよいと考えます。一方、逆に言うと、データの標準化というのは、報告書が非常に多様な事業に対して出されるとすると、そう簡単にできる話ではないような気もいたします。発電に関わるもの、あるいは風力発電に関わるものだけを特定して何か標準化をするのならばよろしいと思いますが、全体を標準化するというのは、「言うは易し行うは難し」ではないかという印象を持つため、全体の書きぶりを御検討いただくとよいと思います。
それから、15行目に「順応的管理」というキーワードが入っており、これはとてもよいと思っております。一方、この順応的管理の前には、何らかの順応的な管理をしなければいけない前提があるわけです。そこのところを事後調査が行われてから初めて順応的管理をできるものの、この項目に関しては順応的な管理を行いましょうという何らかのスコーピングはあってもよいはずだと思っており、そこの整理がもう少しできるとよいと考えます。
そして、一つだけ言葉に関して、5ページの1行目に「事業着手後に講じられた事後調査」と書いてありますが、「講じられた事後調査」という言葉に何となく違和感があり、これは事後調査を実施するだけではないかと思います。非常に細かい言葉の指摘で申し訳ありませんが、御検討ください。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございました。それでは、勢一委員、お願いいたします。
○勢一委員 これまでの議論を落とすところなく、丁寧にまとめてくださいましてありがとうございます。当然、直近でやるべきところと、少々先にならなければできないところが全て混ざっているというのはそのとおりだと思います。先ほど原田委員も言われたように、お役所用語で書き分けられている点は理解するのですが、国民の皆様に初めに読んでいただくときに、どの程度のタイムスケジュールかが分かるような書き分け、あるいは、それを示すことも必要と思いますので、御検討ください。
また、1点確認をいたします。4ページの配慮書手続に関して、先ほど関島委員が質問された6行目からになりますが、これは、あらかじめ国が環境保全上配慮すべき重要な区域の考え方を提示することをこれから行うという趣旨と理解してよいのでしょうか。また、それをするといった場合、恐らくこれは立地選定の検討に資することだと思うのですが、次のパートのところで、7ページの20行目からにおいて、配慮書手続をより効果的に機能させるために「前述のように」ということで、これは4ページのことを指していると理解しています。規模よりも立地だというもので、立地環境を早い段階でしっかりと考慮して事業を選定するということで、風力関連で出てきた議論だと思うのですが、4ページに書かれているということは、これは風力に限らず、あらゆる事業に対してこれを求めて、配慮書手続の段階で立地選定をしっかりと行うという趣旨として理解してよいのかどうか。それが望ましいとは思うものの、確認をさせてください。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございました。それでは、環境省より回答をお願いいたします。
○川越環境影響評価課長 ありがとうございます。まず、阿部委員からいただいたティアリングとバットストライクのところですが、バットストライクは当然セットであるものの、ティアリングのところも確かにうまくいっていないと思います。特に方法書に活かされていないという点は、以前にも委員会で御指摘をいただいたと思いますので、少し書けるかどうかを検討いたします。
次に、原田委員と勢一委員から、タイムラインが見えないという御意見をいただきました。どこまでできるかというのはありますが、強い意志を示すような語尾を工夫させていただき、もう少し分かりやすく記載したいと思います。
次に、崎田委員から、5ページの管理・分析においてしっかりとやっていくことかという御意見でしたが、ここも多分語尾に関わる点だと思われます。もう少し我々がやっていくということに関する記載を検討してまいります。
次に、村山委員から、4ページの4行目等において、事業種によってそういった考え方は違うのではないかというのは、確かにおっしゃるとおりです。ただし、まずは少し陸上風力を念頭に検討を進めていくものと考えております。そして、報告書のタイミングですが、この辺りは私がうまく御意見の趣旨をつかめていないようにも思いますが、あくまで今は、事後調査というものは不確実性が残ることについて実施していくことが法の建て付けになっていると思うのですが、アセス法の範囲を超えてというのは変ですが、そういった部分において、例えば今、条例等では供用後の報告書を定期的に求めているような例があるところで、そういった趣旨になるでしょうか。もし私が理解できていなければ、また御教示いただければと思います。仮にそういったものであると、法の範囲を少し超えてくる部分になると思うので、答申として書くかというのは、是非御議論をいただきたいところです。それから、6ページの明確な基準において、必ずしもそうではないといった点は、確かに海外では非常に定性的にジャッジをしていることを承知しております。この点についても、「明確な」というものが必要か否かについては、また皆様からも御意見をいただけると助かります。
次に、山口委員等からいただいた意見について、直すべきところは少し検討をさせていただければと思います。
次に、白山委員からはデータの標準化の部分の御意見でしたが、私自身も、全部の事業種で同じようにというのは、やはりアセスでも調査項目も違えば、場所も違うといったところを考えれば、非常に難しいと思っております。例えば、緯度・経度といったもののように基本的に押さえられるものと、多分押さえにくいものがあると思います。その辺りの整理は、今後、別途検討していく必要があると思うものの、また少し御教示を是非いただけたらと思います。あと、順応的管理も、当然、環境保全措置を最初に検討する段階で、ここは事後調査等も行いながら、順応的に行っていくといった検討の場面は、多分アセスの準備書、評価書を作る段階で出てくるかと思います。少しその辺りの表現をどのようにできるかは検討いたします。
次に、勢一委員から立地選定のところで、風力に限らず行うのか否かといった点ですが、立地に関しては風力が非常に大きく影響するという面がある一方、他事業であっても、立地は重要な視点であるため、基本的な考え方は他事業も含めて整理をしていくのではないかと思っております。ただし、風力に特化して考えるべき立地といったものもあるのかもしれません。その辺りは、まだ具体的にどのような形で整理をしていくのかまでは検討を詰められていないものの、基本的には、立地といった場合は全事業種が対象になり得るものとして、この答申案のほうは記載をさせていただいております。以上です。
○大塚委員長 それでは、引き続き御意見を伺います。また、先ほど私が錦澤委員の挙手を見落としてしまったようで恐縮です。それでは、錦澤委員、お願いいたします。
○錦澤委員 私も、内容について大筋は賛同をいたします。その上で2点申し上げます。まず1点目は、配慮書に関する話です。3ページに、みなし複数案について書かれています。下段のほうに3つの意見が記載されており、みなし複数案が環境配慮の確保に一定の効果があるといった意見があったこと、そして、そういった情報が提供されたことを認識しています。しかしながら、事業実施想定区域が非常に広いものから、そうではないものまで幅があります。非常に広いものについて何か肯定するような意見及び説明はなかったものと理解しています。そのため、1ポツの「広大な事業実施想定区域から適切に区域の絞り込みがなされているのであれば、効果的な環境配慮に資する側面もあるのではないか」というものは、「広大な」と入れてしまうと誤ったメッセージになってしまうのではないかという懸念があります。この点について、削除されたほうがよいのではないかと感じるため、御検討をいただければと思います。
それから2点目ですが、7ページは今コメントをしても大丈夫でしょうか。
〇大塚委員長 特段、関連するものでなければ、次のパートでお願いいたします。
〇錦澤委員 分かりました。それでは、以上です。
〇大塚委員長 それでは、西本委員お願いいたします。
〇西本委員 これまでの議論を的確にまとめていただきまして、ありがとうございました。答申案の内容については、ほかの委員と同様に基本的に賛成いたします。ただ、原田委員から御指摘の点は、私もおっしゃるとおりと思っております
なお、大変申し訳ありませんが、本日これ以降、途中で退席をいたします。基本的には、賛同であるという点は他のパートについても同様であるため、その点を申し上げたく思います。その上で、細かい表現に関して少し意見を述べたい点があるため、もしお許しいただければ、御参考までに後ほど事務局にお送りいたしたく存じます。以上です。
〇大塚委員長 それでは、関島委員、お願いいたします。
〇関島委員 確認になります。先ほど、川越課長より回答のあった白山委員からのデータの標準化に関して、少し理解し切れていない点がありましたので、質問させていただきます。データの標準化というのは、5ページ目20行目に書かれているように、立地が与える様々な影響は大きいものであり、そうしたものを見るためにデータセットをそろえていく、それにより、立地による影響の比較が可能なデータセットをそろえていくということだと認識しています。川越課長の回答では十分理解できなかったのですが、ここで述べている標準化とは、調査手法や調査項目を統一することや、実施時期を揃えることを意味しているのではないのでしょうか。例えば、供用直後、5年後、10年後に事後モニタリングを行った場合、各環境のインパクトは全く違う結果になると考えます。事後モニタリングについて、供用後何年目に行うのかなど、データセットを揃えていくという理解で合っているでしょうか。その点が、回答からは読み取れなかったので、今一度確認させてください。
また、洋上に関しても、現在、別の場で同様の議論がされていますので、回答をお願いします。
〇川越環境影響評価課長 必ずしも全てがそうとは言えません。委員長、回答を申し上げてもよろしいでしょうか。
〇大塚委員長 お願いいたします。
〇川越環境影響評価課長 私が言葉足らずでした。恐らく、その事業によって実施時期や精度が違ってくるものはあると思います。特に事業種によっては異なってくると考えます。そこを全てそのようにするというのは、画一的なアセスになるという点で難しいところもあるのではないかと思います。ただし、可能な部分も当然あると思うため、そこは全ての調査において必ず1年後までに全部をやっていただくというところまでいけるかどうかは、検討をしていく必要があると考えます。また、調査頻度についても、目的によってどの程度の頻度で取るかというも変わり得るため、その辺りも本当に全事業で統一して設定ができるかどうかというのは、検討が必要な事項であると思います。
〇関島委員 例えば、風力の中でということではなく、ほかの高速道路やダムも含めてといった理解でしょうか。
〇川越環境影響評価課長 おっしゃるとおりです。
〇関島委員 ですから、こうしたところを比較するためには、種目ごとにそろえていかないと、それは意味がないと思います。こういう書き方をするのであれば、「種目ごとにデータセットをそろえていく」といった表現が適切ではないでしょうか。
〇川越環境影響評価課長 その辺りは、本当に種目ごとにそろえていくべきかというのは、少し御議論をいただけたらと思います。我々のほうも専門家ではないため、必ずしもこうだというものが分かりません。
〇大塚委員長 今の点は、データの標準化というよりも、データのセットの仕方の標準化の話になりますか。データの標準化とすると、何か違う意味に取られる可能性がある気もいたします。
〇川越環境影響評価課長 データの標準化になると、多分、精度管理の話になると思います。
〇大塚委員長 そこの表現は御検討ください。あと、勢一委員の質問に対する御回答ですが、重要な区域かどうかに関しては、当然ながら促進区域等も関係しますが、自然保護関係の自然公園、自然環境関係の区域かどうかというのも関わると思います。そういう今まであるものを想定していらっしゃるという趣旨で合っていますか。そこは、何か新しく行うのかどうかという質問だったように思います。
〇川越環境影響評価課長 基本的には、まず国や地方公共団体で明らかにしている部分があります。保護地域であるとか、そうしたものを基本に整理すべきではないかと思っています。今、温対法の都道府県基準や国の基準において既に出されているものもあるため、そういったものを参考とし、かつ、そういったエリアであれば、どういった配慮が望まれるか。そのような形のものを整理していくことが最初に考えられると思っています。
〇大塚委員長 分かりました。それでは、ほかに何かございますか。村山委員、お願いいたします。
〇村山委員 先ほど、川越課長の回答の中で御質問のあった点を申し上げます。報告書の適切な時期に関して、私としては供用段階を考えるところであり、既に工事が終わり、施設が使われている時期に報告書を作っていただきたいという趣旨になります。もし、それに対して法改正が必要ということであればそのとおりであるものの、その点に関しては、把握できておりません。
〇大塚委員長 この点は、もともとは錦澤委員の意見として、「あまり遅くなることが問題だ」といった趣旨に対する点を書かれています。村山委員が今言われた点はまた別の観点で、供用時かどうかといったものになるため、環境省よりコメントをお願いいたします。
〇川越環境影響評価課長 今の事後調査として、基本的事項では「工事が完了した段階を基本としつつ」となっているところで、それは基本としてよいものの、工事終了以降も事後調査を行っている限りは、しっかり報告をすべきという趣旨になるでしょうか。
恐らく、事後調査の不確実性がある部分について実施しているため、その不確実性を把握した際には当然報告をしなければいけません。また、事業完了後供用時も、供用時に完了するというものであれば、報告のタイミングというのは当然必要と思っていますが、その辺りが分かりにくいという形であれば、ここは少し修正をさせていただくか、工夫をさせていただきたく思います。以上です。
〇大塚委員長 皆様、このパートは以上でよろしいでしょうか。
それでは、続きましてパート2の「環境配慮が確保された陸上風力発電事業の最大限の導入促進」について、最大17時頃まで質疑の時間にいたします。
吉田委員、お願いいたします。
〇吉田委員 6ページの3段階に区分する案、明確な基準等をつくることが難しいといった問題について発言いたします。前回、制度化の小委員会において、生物多様性条約の下、生物多様性に配慮した環境影響評価に関する決議が出ていると申し上げました。それについて、英文は誰でもダウンロードできるものの、和文が必要であれば提供するということで、お手元に「吉田委員提供資料」という形で配付いたしました。これは、風力発電だけではなく、全てのものについて書かれているものです。参考になる部分として、4ページに、生物多様性に配慮したスクリーニングを行うときのものがあります。4ページの項目11のところで5つに分けています。これは、6ページに3つに分ける案が載っているものと非常に似ており、「EIAが必要である」というカテゴリーA、「限られた環境への影響ということで、限られた環境調査で十分」というカテゴリーB、「プロジェクトはEIAを必要としない」というものをカテゴリーCとして、その3つにプラスして、「致命的な欠陥があるため、進めないほうがよい」という段階のものを(a)、それから、「現段階では、EIAが必要かどうかは確実に分からないため、初期的な調査を行って判断すべきである」という(d)を加えたものであるため、非常に似ていると思います。これは2008年に採択されたものですが、「自主的ガイドライン」と書いてあるように、必ず加盟国がしなくてはいけないというわけではなく、この中から各国で適切と思うものを使って導入してくださいというものになりますので、非常に参考になると思います。そして、今議論されている3段階のものと非常に似ていると思います。
これに関係して、AとBに分類すべきものは、16ページに付録1として、国レベルで詳細化すべきスクリーニング基準というもので、カテゴリーA、「必ずフルの環境影響評価をやるべきものは保護地域における事業」、「保護地域外であるものの、危機的な生態系における事業」、「絶滅危惧種の生息生育地である」といったものが書かれています。二次答申案の6ページの一番下の書き方だと、結構難しいといった後ろ向きの書き方がされているのですが、むしろ国の実情に合わせて決めていけば、決められるものだと思います。いきなり100点のものはできないかもしれませんが、付録1のスクリーニング基準で言えば、国立公園、国定公園、県立自然公園といった保護地域をどこまで入れるのか。保安林については全て入れるのか。あるいは、非常に重要な農水大臣の決裁が必要な保安林に絞るのかなどといった議論は様々必要だと思いますが、そういった議論をした上で、Aランクにすべきものはどれであるという判断は可能です。絶滅危惧種の分布についても、環境影響評価法ができた頃はまだデータの蓄積が不十分でしたが、現段階では国の生物多様性センターのほうで絶滅危惧種の生息生育地を把握しています。もちろん絶滅危惧種の分布であるため、一般には公開されていませんが、そういったものも利用可能であると思います。このようなものを使えば、大きく3つに分けていくための基準、指標等をつくっていくことは不可能ではないと考えます。ですから、「この案は難しい」と言ってしまわずに、今後も基準づくりを検討いただければと思います。以上です。
〇大塚委員長 ありがとうございます。それでは、崎田委員、お願いいたします。
〇崎田委員 ありがとうございます。全体的にはしっかりと書き込んでいただいており、私も賛成したいと思うのですが、9ページのリプレースに関してだけ、一言コメントを申し上げます。リプレースに関して、現在問題ないところにおいて配慮書を免除するという流れは、今、風力をしっかりと活用していかなければいけないという時代の中で賛成したいと思うものの、9ページの11行目から12行目の表現に関して、まず「現行制度では、新設と同様の環境配慮手続の実施を求めており、当該手続の実施に長期の時間を要している」となっており、そして18行目、19行目に「適正な環境配慮の確保のための取組が既に行われていると判断されるものについては」と書かれています。その点について、しっかりと今やっているため環境配慮書は免除してよいといった判断を誰が行うのか。この点が問題になってくるのではないかと思います。その点に関して現在あまり制度的な言及はありません。ただし、地域とのコミュニケーションがなくなると困るため、事業計画を出していただき、それに対し、国が意見を述べることができる仕組みを設けるとのこと。流れとしてはそこで担保するということで、しっかりとできているのでよいと考えますが、これが本当にうまく回るのかどうかというのを、できるだけ早い段階からフォローアップをしていくという体制が必要ではないかと考える次第です。よろしくお願いいたます。
〇大塚委員長 非常によい質問をありがとうございます。それでは、関島委員、お願いいたします。
〇関島委員 何点か申し上げます。まず6ページになりますが、先ほど吉田委員より、3つの振り分け案に関して、考え方は今後も検討項目として残していくべきだという話として、海外の事例が紹介されました。一方、前回の委員会では、この案を進めていくのは難しいということに落ち着きそうだったので、今回、改めて「今後更に検討を深めていくことが必要」といった前向きな文案になったことを非常に高く評価したいと思います。これについては、先ほど原田委員と荒井委員からも指摘されていたように、いつ頃までにこの考え方を具体的に詰めるのかを現時点で考えていくことが必要と考えます。これを先送りにしていると、今後10年、20年で急速に陸上風力が自然度の高いところに拡大していくことを想定した場合、スクリーニング自体が意味をなさなくなってしまいます。スクリーニングの考え方として、3つの振り分けにするのか、先ほど説明があった配慮書手続の中に組み込むのか。こうした点も含め、スクリーニングのアイデアをどのようにアセスの中に組み込んでいくのかについて、早急な検討が必要だと思っております。そういった意味で、振り分けに関して、先ほどの村山委員が述べられた「それほど明瞭なスタンダードは設けられないのではないか」という点において、ここにはエキスパートジャッジが入ってもよいのではないかと思います。あまり明瞭でない基準であっても、有識者の考え等を反映させていきながら判断していくというプロセスがあってもよいのではないかと考える次第です。是非、これからの環境省の取組に期待いたします。
次に、9ページのリプレースに関してです。21行目に「配慮したときは適用除外とすることは合理的である」とありますが、リプレース事業の中には、事業が進んだときにそれなりに大きい環境インパクトを引き起こしている例も、供用後に存在しています。そうしたことを踏まえると、リプレースについて、一律に適用除外という判断は難しいのではないかと考えます。10ページの3行目4行目に、影響の大きいところに関しては、「必要に応じ、当該概要に対し、国が意見を述べることができる仕組みを設けることが適当であると言える」と書かれています。これは、事前レクで「一律に配慮書を適用除外したとしても、影響が大きいところに関しては、それに対して国が意見していくことが大事なのではないか」とコメントを申し上げたこともあり、それが反映されているものと理解いたします。ただし、その場合、どのような情報に基づいて大臣意見を出すのかがよく分からない。配慮書が出ていれば、配慮書に対して国が意見できる。そういったものが免除されているときに、国は何をもって影響が大きいと判断し、意見するのかという点が明瞭ではないので、この点に対して回答をお願いしたい。以上、よろしくお願いいたします。
〇大塚委員長 ありがとうございました。それでは、阿部委員、お願いいたします。
○阿部委員 まず、6ページの3段階の振り分けについては、今後も更に検討を深めていくことが必要と考えられるということで、容易ではないところもあると思いますが、今後も検討を進めていただく方向性でよいと考え、私も基本的には賛同いたします。
それから、第二種事業についても、一応、方向性としては引下げを行い、そこでアセスを実施するか、しないかを検討することになるかと思います。スクリーニングについて、風力事業というのは、現行の簡易な環境影響評価の手続によって判定をするところにあまり基準が反映されていないわけであり、新しい基準を検討することについても基本的には賛成いたします。その上で、一つは現行の第二種事業で鳥類、景観、騒音以外にも、自然性の高い立地に計画されることで非常に地元からも意見が出るといった問題も生じています。少し、そうした点についても基準の中には取り込んで組んでいただきたく思います。
それから、新基準をつくる際に、できるだけ明瞭なものという点もありますが、先ほど述べたコウモリ等といった知見の少ないものもあります。今後、報告書手続も含め、事後調査のデータを活用していただくこともあると思い、新たな知見が得られてくることも考えられます。そういったところを基準にできるようなフィードバックを行い、常に見直していくような仕組みが必要ではないかと思います。場合によっては、当初、不確実性が高くてよく分からない項目については、例えば様々な基準に照らし、あまりアセスを行わなくてもよいと思われるようなところでも、少なくともバードストライク、バットストライクについては事後調査を促すような形で、事前・事後の調査を実施していただき、ほかの項目についても簡略化をする。これは例えになりますが、そのように思い切った制度を今後検討していっていただいたほうがよいとも感じており、御検討いただければと思います。
それから、リプレース事業ですが、私もリプレースは非常に様々なものを見てきています。物によるという点もあると思いますが、判定基準として何をリプレースと考えるか。これを事業種ごとにしっかりと考えていただき、その上で、配慮書の省略について届出を出される上で行っていただくという制度自体は賛成いたします。さらに、恐らく3つの振り分けで「特急コース」というものがあったと思います。その中で、「リプレースは特急コースに入るのではないか」といった議論があったと記憶しています。そこは、様々な場所によって違うという点もあると思うものの、現状のリプレースで、あまり影響がないような土地であるから、アセスの中で思い切った簡略化をやって構わないかというと、事業者がいろいろと出してきても、「こういった項目もやってください」といった意見が出てくることも審査の中では多々あります。そういう意味では、国がしっかりとガイドラインをつくり、それをオーソライズしていき、地方も含めて審査関係者に周知していただくといったことも今後必要になってくると考えます。こういったリプレースの合理化の制度は、今後いろいろと検討され、制度が改正されてくると、現行の風力や火力のリプレース合理化ガイドラインというものは配慮書を前提でつくられているため、恐らく改定が必要になってくると思います。そのため、そういった観点も少し含めて今後検討いただければと思っております。よろしくお願いいたします。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございました。阿部委員が言われたように、8ページの18行目辺りから記載のあるスクリーニング基準は、今までのスクリーニング基準と違うもので、ある種スクリーニング2.0のようなものになるため、これが認められた場合には、これ自体についての議論をしっかり行う必要があるため、是非その辺りも御議論をいただけるとありがたいと思います。
それでは、原田委員、お願いいたします。
○原田委員 少し事実関係の確認をいたします。9ページ目の25行以降の「配慮書手続は」という点ですが、地域住民に伝えるという意味で、「簡潔な事業の概要を作成し、その内容を国に届け出るとともに公表する」といった点での「公表」と、29行目以降に続く適用除外するに当たって国が意見を述べることのできる仕組みに足る公表文書というのは同じものと考えればよろしいのか、または、リプレースをするということだけは簡単にお知らせをし、必要に応じて、何らかのリプレースにより一定の付加的影響のできるものだけがこういった意見を述べる仕組みとしてお考えなのか。そのどちらになるかを教えていただければと思います。
○大塚委員長 御質問になるため、回答をお願いいたします。
○川越環境影響評価課長 28行目で書いている「公表」と、私たちが意見を言う際にいただくものは同じものとして考えています。また、先ほどの「何に対して意見を言うのか」という点ですが、まだ詰め切れていない部分もあるものの、この概要においては、事業者がリプレースを行うに当たって想定される環境保全措置の方針、回避・低減、もしくは代償というものを想定されるものについては、あらかじめこの部分で出していただき、それに対して大臣等が意見を述べる。そのような形を考えている次第です。以上になります。
○大塚委員長 ありがとうございます。環境保全措置の方針というのは、この概要の中に入っているものでしょうか。
○川越環境影響評価課長 おっしゃるとおりです。
○大塚委員長 それでは、オンラインの方々に移ります。奥委員、お願いいたします。
○奥委員 3点申し上げます。一つは6ページになりますが、14行目辺りから「立地環境」という言葉があり、これ以降8ページ辺りにかけて複数回出てきますが、この「立地環境」という言葉の意味するところが非常に分かりにくい印象です。新しい用語として、ここで突如出てきています。そして、6ページの11行目を見ると、最後のほうに「一般に、風車の立地場所や配置によるところが大きい」とあります。恐らく立地場所や配置を「立地環境」という言葉で、それ以降は表現をされているものと推察するものの、この言葉自体を使うことが適切か否かも含め、むしろ事業の立地場所やその配置を意味するのであれば、そのように表現していただいたほうが正確な意味、内容が伝わるように思います。この点は少し御検討をいただきたいところです。
それから、7ページの15行目から16行目にかかる部分ですが、こちらは、この段落では「温対法の促進区域を始めとしたゾーニング制度とアセスの制度との連携強化であり、例えば地域の意見等を踏まえたゾーニングがなされているようなエリアでその事業が行われる場合については、アセス手続の取扱いを柔軟に変更すること等により」となっています。この「手続の取扱いを柔軟に変更する」というものは、実際にどのようなものを想定されているのか。誰がその柔軟な変更を意思決定できるのか。それを、例えばアセス法のほうで制度的に担保をしようされているのか。少しこの文章の意味するところがイメージできずにおります。現行においても、温対法の促進区域で実施される地域脱炭素化促進事業の認定を受けた事業については、配慮書手続がアセス法の下で免除されるという扱いになっていますが、そのほかに何か柔軟に変更できるようにするといった趣旨なのか。その辺りを確認させてください。
それから、9ページから10ページにかかるリプレースの話です。既に御指摘が複数の方からもありましたように、29行目より、「適用除外に当たっては、地域とのコミュニケーションの機会が減少すること云々」とあり、それに留意する必要があるということですが、地域とのコミュニケーションの機会がある意味失われてしまうといった観点からすると、10ページの前半にある既存事業に対しての地域の受け止め方なども踏まえて国が意見を述べるといった仕組みを設けたとしても、地域のコミュニケーションの機会の創出を穴埋めすることにはつながらないのではないかと懸念するところです。既存事業の受け止め方はある程度押さえることができるとしても、リプレース事業そのものに対しての地域の受け止め方、懸念を国がどのように把握して意見を述べるのか。ここでは、その答えが表現されているとは思わないため、御見解を伺います。以上です。
○大塚委員長 非常によい観点だと思います。それでは、山口委員、お願いいたします。
○山口委員 7ページの適切な立地環境への誘導について、特に11行目に記載のある「促進区域制度を始めとしたゾーニングに関わる他制度と、環境影響評価制度との連携強化」という点を是非実現していただきたいと考えております。さらに、一定程度環境配慮が確保されているエリアで実施される事業については、評価手続の合理化など、事業者へのインセンティブとなるような立地誘導の仕組みを検討いただければと思います。以上です。
○大塚委員長 それでは、飯田委員、お願いいたします。
○飯田委員 9ページ目のリプレースについて、現在も既に進んでいますが、数年でリプレースが増えていくのは確実であるため、早期の実現を期待いたします。先ほども少しありましたが、そのような中で、今の既存事業が適切に環境配慮をなされているのかどうかという点は、住民の方々が既設の事業に対し、適切に理解をされていることが前提で重要だと思います。加えて申し上げると、事業者が何をどこまでやっておくと緩和されるのか。その点が、この文章では十分に読み解けないところがあるため、引き続き御検討をいただき、具体的に示していただけるとよいと思います。以上です。
○大塚委員長 それでは、平石委員、お願いいたします。
○平石委員 本答申案について、これまでの議論の内容を踏まえ、様々な論点を分かりやすく整理し取りまとめていただきまして、ありがとうございます。基本的に私も本答申案に賛同いたします。その上で2点ほどコメントをいたします。
まず、今回リプレース事業に係るアセス手続の合理化についても答申案に織り込まれましたが、今後、各種の発電事業の特性に応じて、配慮書手続の適用除外の対象要件に関する具体的な議論を進めていただければと考えております。
次に、配慮書に代わり、簡潔な事業の概要を作成して国へ届出を行い、公表をする仕組みについて申し上げます。リプレース事業の配慮手続の適用除外については、現行制度でリプレース事業も新設と同様の環境影響評価手続の実施を求められていることから、長期の時間を要していることが課題となっているということで検討されてきたところです。こうした中、今回、配慮書に代わる新たな仕組みが、仮に配慮書と同様の準備期間、手続期間を要することになってしまっては、合理化の趣旨に逆行することにもなります。そのため、新たな仕組みは、適正な環境配慮を確保するという観点に加え、配慮書の適用除外により手続期間を最大限短縮するという観点にも留意して検討することが重要であると考えております。こうした観点も併せて今後検討を深めていただければと思います。以上です。
○大塚委員長 それでは、白山委員、お願いいたします。
○白山委員 1点申し上げます。8ページで初めて出てくる言葉として「スコーピング」というものがあります。その後も「スコーピング」と何度も出てくるのですが、何となく言葉の意味が少し揺れている印象を受けます。そのため、この文章の中ではスコーピングをどのような意味合いで使うかをどこかに明示的に記載いただくことをお願いしたいです。吉田委員の資料の中にも、「スコーピング」の言葉に関して非常に細かい説明が、6ページから先にあります。この文章の中でのスコーピングが、必ずしも一つの単語で一つの意味を示していないと思いますし、多分このような意味合いだろうといった受け止め方をしております。また、私の思っているスコーピングのイメージと少し違うような印象もあるため、御説明いただけるとありがたいです。以上になります。
○大塚委員長 それでは、勢一委員、お願いいたします。
○勢一委員 先ほど奥委員が御指摘になった7ページの中段になります。温対法のゾーニングの制度とアセスの制度の連携強化は非常に大事だと思っており、これが戦略アセスに近い機能を果たすものとして期待をするものの、文言として、「必要となる環境影響評価手続の取扱いを柔軟に変更」という点が、私も言葉として気になりました。恐らく、趣旨としては連携した制度の内容に応じてどのようなアセスの手続をどの段階から求めるか、どのようなレベルを求めるかといった区分けを行って決めていき、その場に応じて、事例ごとに個別というものではないと理解をしています。制度的な仕分けだと思いますが、これでは、読み手側がどのように受け取るかが定かではない表現であり、懸念をいたします。この点は工夫をお願いしたいです。
もう一点は、先ほどの配慮書手続のところで「環境保全上配慮すべき重要な区域の考え方を示していく」と言われましたが、これは必ずしも配慮書のみに響く話ではなく、立地として適正な場所かどうかを見ることにおいての一つの基準になるわけです。国が示す考え方と第二種事業のスクリーニングの基準の関係性について、どのような整理になっているのかが分かりにくいと感じており、御説明をお願いできればと思います。以上です。
○大塚委員長 それでは、吉田委員、お願いいたします。
○吉田委員 リプレース事業について申し上げます。現行で書かれているところでは、リプレース事業については原則として配慮書手続を削除する、その代わりに事業の概要を作成及び公表をするというものですが、事業者は供用開始からリプレースを検討するまでの間にモニタリングをしているわけです。私としては、リプレースをするのであれば、供用中の影響、とりわけ鳥類、コウモリ類に対する影響をしっかりとまとめていただき、それを公表していただく。そうすれば、その位置で問題がなかったのか、あるいは位置が問題あるため、何基目の風車の設置をここではやめたほうがよいといったものも出てくると思います。供用中のモニタリング結果の反映というものを、是非ここに入れていただきたいと思います。
それから、先ほど白山委員が取り上げられたスコーピングの定義に関する話です。この点は、現行の環境影響評価法で実施されている方法書手続と、世界の環境影響評価で実施されているスコーピングに関する幅広の定義を区別して書かなければいけないと思います。例えば、私が翻訳したものでは、スコーピングは「より詳細に調査する必要がある項目を特定する」と書かれており、基本的に環境影響評価法の方法書手続と変わらないのですが、「有望な代替案を特定する、環境緩和策をその中に含めていく」など、我々が環境影響評価法の方法書で考えている以上のことも書いてあります。そのため、「スコーピング」という言葉が揺らいでいると感じられるのは確かだと思います。ですから、広義のスコーピングと、環境影響評価法の方法書におけるスコーピングが区別されるように括弧書きで「スコーピング(方法書)」と書いたほうがよいかもしれません。以上になります。
○大塚委員長 それでは、錦澤委員、お願いいたします。
○錦澤委員 7ページになります。先ほど奥委員と勢一委員から指摘のあった適切な立地誘導というものをアセス制度だけではなく、他制度において、具体的には温対法の促進区域の仕組みと連携をさせていくことは私も大事だと思います。促進区域で事業を進める場合の取扱いで、「アセスの手続の取扱いを柔軟に変更する」という部分ですが、一つは、私の理解であれば、情報交流のプロセスの合理化といいますか、2つの仕組みを上手にマッチングさせていくということです。温対法の促進区域のプロセスでは協議会が前提になり、法定の協議会を立ち上げ、最終的な事業を認定する段階でも関与します。例えば温対法の事業認定の段階で準備書を一緒に出すといった形にすれば、準備書の説明会というものは協議会を公開にして行えば、説明会と同一のものとしてみなすといったことも多分できると思います。今の仕組みにおいて、アセスの手続と温対法の事業認定の手続がどこでどのように連結するのか。この点が明確になっていません。恐らく、具体的には事業認定の段階で事業の位置を決めておかなければいけないため、アセスの手続がある程度先行して進んでいくというのが実態になっていると思います。そういう意味では、配慮書を省略するというものがほとんど機能していません。事業認定の段階ですから、既にアセスがおおよそ終わってしまっていると思います。私は、事業認定の段階で準備書ぐらいを出すというものが最も現実的だと思っているものの、その2つの手続をしっかりと整理し、その上で、情報交流の仕組みを適切に合理化していくといった整理が必要と考えます。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。それでは、阿部委員、お願いいたします。
○阿部委員 先ほど1点言い忘れたのですが、タイミングよく吉田委員から非常によいコメントが出されました。ほぼ同様の内容ですが、現状、リプレースのアセスにおいて、例えばオジロワシが当たりやすい風車に関して、海の海岸線のところでそういう1基をリプレースの際に思い切って陸側に後退していただき、バードストライクのリスクを減らしているといった事例もあります。リプレースの際に、方法書でそうした資料を盛り込んでいただき、それにより、こういったリプレースを行うと示していただいているのですが、そういうものを早期に検討していただくことが非常に重要になると思います。現行の配慮書手続では、また広大な既存資料を頭からやり直すことになるので、むしろそういうプロセスを外す代わりに、恐らく事業概要書を作っていただくものと考えます。これは風力の話にはなるものの、あまり時間がかかってもしょうがないですが、モニタリングというのは事後調査もあるのですけれども、事業者が今、自主的にもモニタリングをされています。
一方、行われていない事業者でも、風車の点検の際に死骸の確認を行い、必ず重要種が確認された場合には国や県に報告することになっています。そういうものを全て事業概要書に盛り込んでいただき、その中で、事業者としてはこのような面を改善リプレースといいますか、これまでの環境影響をこれだけ低減させていくといったものを盛り込んで国に示すことにより、手続が非常にスムーズになってくるものと考えます。配慮書に換えて事業概要書を作っていくことは迅速化の観点もあれば、環境影響の低減という観点もあると思います。そうしたものを盛り込み、このような図書をこれから様々検討されると思いますので、こういった内容を検討し、それを方法書以降に行う。配慮書のティアリングではありませんが、スムーズに方法書は審査されますから、その内容を方法書に盛り込んでいくといった形で運用をされると非常に迅速化が進むのではないでしょうか。この点は、是非一つ検討をいただければと思います。以上です。
○大塚委員長 それでは、関島委員、お願いいたします。
○関島委員 私も、今の部分に関連して申し上げます。先ほど吉田委員が言われたように、事後の供用後のモニタリングで明らかとなった環境影響をどのようにリプレースのアセス手続に組み込むのかが重要と考えます。そして、先ほどの話を伺っていると、配慮書の作成に代わり、簡潔な事業の概要書を作成して公表する、そこに組み込むもうとしていることが理解できました。今も阿部委員より、事後モニタリングの影響をその部分に組み込むことにより、方法書の段階でそれらを含めて審査をしていくという話がありました。確認になるのですが、10ページの4行目に「必要に応じ、当該概要に対し、国が意見を述べることができる仕組みを設ける」とありますが、整合性を考えたとき、事業概要が公開されたところで必要に応じて大臣意見等が出されるべきなのか。それとも、方法書の中にそういった情報が組み込まれ大臣意見が発出されるのか。現行の手続では、方法書の段階で大臣意見が出される手続にはなっていません。教えていただきたいことは、国が意見を述べるのは、どのタイミングなのかということになります。
○大塚委員長 それでは、環境省より回答をお願いいたします。
○川越環境影響評価課長 まず、吉田委員から基準づくりはできるのではないかという御意見がありました。当然、保護地域や既存情報で十分できる基準と、スクリーニングの段階は既存情報を基にするという点を考えると、実は我々も検討を行ったのですが、例えば猛禽類の営巣地との距離となれば、既存情報では厳しいというところで、実はスタックしたという経緯があります。その点について、先ほど少しありましたが、やはり分からないものは、後ほどモニタリング等をするといった考え方も取り入れていけるのであれば、恐らくメリハリの効いたアセスというものはあり得ると思います。その辺りは、引き続き御意見をいただきながら、検討を深めていきたいと思います。
次に、崎田委員からは9ページの12行目、リプレースの対象となる事業を誰がどのように判断するのかということで、判断する基準としては、どのようなものが該当するかは分かるようにしていかなければいけません。そこは、まだ今後どういった形で規定をしていくかということになりますが、例えば法令等で分かるように規定していくなどといったことは必要になってくると考えます。
次に、関島委員からは、いつ頃までに基準づくり等を検討していくのかということでした。申し訳ありませんが、来年からできるかというのは定かではないものの、先ほどタイムラインのお話がありましたように、その中で、我々としてもいつ頃にできるかといった気持ちを示せるように努力していきたいと思います。ただし、予算上の都合等もあるため、何年とまでは書けないかもしれませんが、我々の意思は表せるようにしていきたく思います。そして、21行目辺りで、どういった情報を基に意見を出すのかといった点ですが、先ほどから事後調査の活用等も出ていますが、配慮書に代わり、こういった概要書を出していただくため、あまり配慮書と同じようなボリュームを求めるのはよろしくないと思うものの、今いただいたような事後調査、実施している環境監視から考えられる、もしくは、既に生じている環境影響については示していただく。それに加えて、新たにリプレース事業によって想定される影響も出していただく。それに対し、どのような環境保全措置が想定されるのかといった考えを出していただく。それらをセットにした事業概要書というものを公表、届出をしていただき、それに対して大臣が意見を言えるような仕組みになるかと思います。事業概要でどこまでを書くかという点をあまり書き込めていないため、このような御意見をいただいたかと思いますが、一応そういった考えを持っています。
次に、阿部議員からも基準づくりに取り組んでいく点と、リプレースガイドラインもしっかりと行い、周知を図っていくという点で御意見をいただきましたので、それらの点も行っていきたく思います。
次に、奥委員から立地環境の言葉において不明瞭との御意見をいただきましたので、用語の適正化を図ってまいります。7ページの後、15行目、16行目で「取扱いを柔軟に」という点では一体どのようなことを考えているのかがイメージできないという御指摘ですけれども、この点は少しほかのグループとも調整をしていく必要があるということで、このような書き方になっております。一つは、例えば配慮事項等が促進区域では示されているため、そういった点をもとにスコーピングをより効かせていくことができるのではないかと考えています。
次に、錦澤委員からの御指摘として、説明会や各種手続で並行し、協議会の場を使ってできるものはあるのではないかということですが、その点については考えております。そうしたマッチングに関しては、取扱いを柔軟にという面で考えていきたいと思います。一方、それ以上に制度を変えてもう少しできるのかという点は、まだ検討を深められておりません。この辺りは、今後詰めていきたく思います。
次に、奥委員から、9ページの29行目で地元の意見をどうやって取り込んでいくのかという点です。現行の配慮書では、地元の意見聴取が努力義務規定という形になっているため、もしこの事業概要でも位置付けるとすれば、それと同程度の形になると思います。また、事業概要を作成していただく際に、そうしたものをしっかりと聞いて書くようにするといった方法もあるのではないかと思います。この点はまだ詰め切れていないものの、いずれにしても、そういった御意見を重々理解の上で、どのような形で進めていくべきかというのは検討させていただきます。
次に、山口委員から他制度との連携等について進めてほしいということでしたが、是非この点も前向きにしっかりと行っていきます。
次に、飯田委員からもリプレースの合理化及び早期の実施に関して御意見をいただきました。また、事業者が何を示せばよいのかという点ですが、この辺りも事業概要の段階でどういったことを求めるのかは、今後詰めて考えていきたいと思います。その中で、それを見れば大体このようなことまでを行えばよいといったものが少し伝わるような形として考えております。
次に、平石委員からの御意見ですが、合理化という点での手続に今回のものはなると思います。配慮書と同様に、ボリュームが増える、期間がかかるということでは本末転倒ですから、工夫を図れる点を検討していきたいと思います。
次に、白山委員からスコーピングをどういった意味で使っているのかを明示的に書いてほしいとのことですが、今、我々の中で少し揺れているというのは事実ですが、基本的には「評価項目の絞り込み」という点で使っていきたいと考えています。揺れている点については修正を行っていきます。
次に、勢一委員からゾーニングのところで御意見がありました。先ほど奥委員のところでも申し上げましたが、そういった形で考えている次第です。そして、環境保全上配慮すべき重要な区域というのは、必ずしも配慮書だけでなく、第二種のスクリーニングや準備書にもかかると思います。パートごとに書き分けているため、少し分離をしていますが、当然ながら立地は配慮書段階でまず必要なものだというものは基本になると思います。その後の複数案を立てて考えていくときにも当然立地というものは大きく関わるため、以降の手続においても大事な要素であると理解をしています。
次に、吉田委員から事後調査等の御意見がありましたけれども、先ほど申し上げたとおりです。
次に、錦澤委員からの情報交流の仕組みに関しても、先ほど少し申し上げましたが、頂戴した御意見を踏まえ、合理化及びマッチングを行い、手続がそれぞれではなく一緒にできるような形を考えていく所存です。
次に、阿部委員からも事後調査に関して御意見をいただきましたが、先ほど申し上げたとおりです。
最後に、関島委員から配慮書に代わる事業概要書に対する大臣意見のタイミングに関して御意見をいただきました。これについては、基本的には方法書の前の段階になります。今でも配慮書段階で事業概要書を出していただくことを想定しているため、方法書の前であり、今で言う配慮書の段階として考えております。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございました。特にゾーニングとアセスの連携については、有益な意見が多く出てきており、大変よかったと思います。7ページ等に関しては、そういった趣旨であると理解いたしました。このパートは以上にいたしますが、よろしいでしょうか。
それでは、次に移ります。続いて、パート3の「現行制度の課題等への対応」に関して、最大17時50分までを質疑の時間といたします。その後、もし時間があれば全体を通しての意見もお受けしたいと思います。
阿部委員、お願いいたします。
○阿部委員 現行制度の課題への対応も様々書き込んでいただきました。今後重要になること、あるいは、早急に対応が必要なこともあると思いますので、その点も含め、少しメリハリは必要と思うものの、この文案で基本的には賛成いたします。
その上で、少し気になる点について述べます。まず、図書の公開です。図書が公開されると、今回は配慮書が効果的だったのか、方法書が効果的だったのかというものの検証を行っていますが、こういった作業を、例えば第三者の研究者の方がいろいろと参照し、制度の有効性を議論することも可能になると思います。そうした点で、図書の公開自体は非常に効果的だということで私も賛同いたします。一方、難しいのは、これを生物多様性の保全に用いていくことです。基本的には、国や自治体のポリシーで絶滅危惧種については公表できないとなっております。また一般的に公告縦覧されるような図書にも、公開版ではこういった情報が全て削られております。そのため、生物多様性に関しては図書を公開するというだけでは不十分であり、国がそういったデータをお持ちですから、そういった情報をできるだけ集約し、分析できるような仕組みを考えていただかないと、ゾーニングやどのような立地でリスクが高いのかといった点が明示できないと思います。その辺りの検討において、アセス図書からどういったファクトデータを活用していくかという点も今後図書の公開のみならず、それに加えて御検討いただきたいです。
それから、累積的な影響については、13ページの「我が国における累積的な環境評価に係る技術的な考え方を検討していく」という書かれ方をされているため、恐らくここに入っているものと思いますが、重ねて、申し上げているように国のつくるガイドラインが必要になってくると思いますから、是非そこは御検討ください。
あとは、この答申案の議論の趣旨に若干外れるかもしれませんが、私が非常に重要と思っているのは、13ページの一番下に記載されている「生態系への影響評価に係る技術的な手法や考え方」に係る検討です。この点は今後必要になってくるものと考えます。特に現行の生態系の項目については、配慮書段階で重要な自然環境のまとまりの場について評価をすることになっており、事業者に自然林等を避けていただいています。一方、方法書はアセス法のできた当初から注目種による評価ということで、どちらかと言えば一般種のような種を中心に評価しています。そうしますと、例えば風力発電等であれば、稜線部に建てられるため、本来そこにブナ林や自然林のようなものがあり、そこは避けていただくということで配慮書段階において検討をするといったものが生態系の項目で書かれています。方法書以降の例えば準備書になると、里山の例えばタヌキ等を取り上げ、風車とは離れた位置に出てきますから、影響はないといった結論に至るのですが、そこに非常にギャップを感じるわけです。配慮書と方法書の引継ぎにおいて、一貫して事業者としてどういう環境保全措置を取るかというところと、評価の内容が合っていないような事例もあるため、そこは少し改善をしていただきたく思っております。
それから、生態系に関しては、新しい概念として、先ほど御紹介いただいたような生態系サービスといったものも書かれています。また、これは情報提供になりますが、この答申案の冒頭にも、「昆明・モントリオールの生物多様性枠組」との連携について記載があります。今、モントリオール枠組のヘッドライン指標というものがあり、そのトップに生態系のレッドリストが入ってきました。これは、IUCNがグローバルレベルで、生態系のレッドリストの評価に関して、マングローブやサンゴ礁を行っているはずです。こういったものが実は日本では全く検討されていません。自治体によっては、これとは少し違うものをやられていることもありますが、IUCNのグローバルレッドリストは、種のレッドリストと同様にカテゴリー分けをきちんと行い、VU等に相当するようなものもしっかりと見ていただいています。少し、こういったグローバルな動きを環境省のほうでも把握し、アセス制度とも非常に関連すると考えるため、どのように取り込めるかといった新しい課題についても今後是非検討を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございました。それでは、関島委員、お願いいたします。
○関島委員 何点か申し上げます。まず一点目は、二番目の戦略的環境影響評価の実現に関してです。本日、スクリーニングに関し、三つの振り分け案や配慮書手続の実質化といった議論が交わされましたが、そうしたものと絡めて、適地に事業を誘導していくことをどのようにアセスの中で実現していくか。これは早急に、仕組みづくりを検討いただきたいと考えており、今後の対応を非常に期待しております。
次は、累積的な環境影響に対する対応です。この項目に関しては、検討しなければいけないこととして、まず累積的な環境影響をどのように評価するのかの指標の検討です。次に、影響が出てきた場合を想定して、どのような対応をすべきなのか。それに関して、15行目の「特定の区域内で実施される事業性を適切に設定する」というものは、非常に踏み込んだ文言であり、ある意味、地域ごとの導入量に関し、国が介在するということになります。ここでは、ゾーニング案と絡め、文言を曖昧にしています。「ゾーニングに係る制度を効果的に活用していくことについても、検討を進める」とありますが、どこまで国は踏み込めるのか。現行でも、特定の地域に風車が集中しているのが実情ですが、どこまで国が介在をしながら、適正な導入量に抑制していくのか。これは、法律も絡んでくるように思いますが、どのような形で対応策を考えていくのか、今後も検討を進めていただきたいと思います。
次に四番目のところで、阿部委員が言われたように、生態系への影響に係る技術的な手法について、配慮書と方法書での取扱いが全く異なるものになっている点は是非改善していただきたいと思っております。それから、生物多様性のオフセットに関しては、これまでにない考え方ではあるものの、オフセットに係る技術的な動向等についても情報の整理及び検討が必要であると思います。生物多様性オフセットに関しては、安易にそのまま進めてしまうと、これを免罪符にしながら、ますます自然度の高いところに事業が進められ、事業者としては「このようなオフセットを考えている」ということで受け入れざるを得ない状況が生み出される可能性も否めません。オフセットというからには、その代替地が量的にも質的にもしっかりと担保されているような環境なのかどうかを評価できるような仕組みと、評価基準を整備する必要があります。実際にそういったミチゲーションは、これまでもダムや沖縄のサンゴ等においても行われており、有効な策になっていないという報告もなされています。そういった意味からも、オフセットの導入を検討していくには、その辺りも整理しながら、有効なオフセットとなる仕組みをつくっていただきたい。
最後に、16ページ目の小規模事業に係る簡易な環境影響評価の推進になります。6行目に太陽光を例に、「自主的な環境配慮を促すためのガイドラインが策定されている」とあります。今後も、風力も含め、事業者に対してこのような自主的な簡易な方法による環境影響評価を実現していただきたいという形の提案がされており、自主アセスを推進されていますし、実際、風力も法アセスになる前は自主アセスが行われていました。しかし、自主アセスのときのデータは、評価に耐えられないものが多い。その意味では、小規模の太陽光発電に関してガイドラインを設けている場合にも、内容を精査してはどうか。自主アセスを促していくのであれば、それが本当に機能しているかどうかを確かめないことには、これを提案しても絵に描いた餅に終わってしまう。小規模事業に対する自主アセスを推奨するからには、既存事業に対する自主アセスの取組についても、整理・検証することが必要ではないでしょうか。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございます。それでは、錦澤委員、お願いいたします。
○錦澤委員 まず11ページの図書の継続公表又は公開になります。これまで、公表と公開で何が違うのかというのを深く理解をせずに聞いていたところがありますが、大塚委員長に教えていただきました。十分に理解できているか分からないのですが、事業者がオープンにするのが公表で、国や公共セクターが一元的に情報を管理してオープンにするものが公開である。そういう観点で言うと、公開というものが極めて重要と思います。事業者に任せて情報を公表するとなると、情報が様々なところに飛んでしまい、しっかりとアクセスができないというおそれもあります。もちろん著作権の侵害の程度等で、実際にできるかできないかというのは難しい問題があるとは思うものの、公開することが望ましいといったメッセージをこの中に書いていただいたほうがよいと思います。
それから、12ページの戦略アセスになります。戦略アセスを進めていくことは引き続き重要だと思います。一方、諸外国の動向を見ると、戦略アセスは数十年前から欧州等で法律もつくられて進めているといった背景もあります。戦略的環境アセスメントというよりも、最近は「持続可能性アセスメント」というようなことが言われているわけです。その意図は、環境だけではなく、最適な意思決定、よりよい意思決定を実現していくためにアセスメントを使っていくという方向になります。これは環境影響評価であるため、そこの所掌する範囲との関係で難しい面はありますが、持続可能性アセスメントを視野に入れながら、その一つのステップとして戦略アセスの実現を目指していく。戦略アセスだけを強調して書くというのは、今の諸外国の動向等も踏まえると、少し片手落ちな印象があるため、持続可能性アセスメントを視野に入れるといったものも一言入れておいたほうがよいと考えます。
最後に15ページの細かい点になりますが、13の脚注の内容を理解し切れていません。以前のバージョンでは、「不確実性が大きい場合には事後の対応をするため、事前の調査は対象としない」と書いてあるのですが、不確実性が大きいというのが、「例えば」の後の文章に変わったというところはどのような意図であるかを教えていただきたいです。そして、13の脚注の2行目にある「事前の調査をせず」というのは、言い過ぎではないかと懸念いたします。いずれにしても、調査というものは必要ではないかと考えます。例えば「精緻な予測評価は必要ない」といった表現であれば違和感はありませんが、そこが気になりました。以上です。
○大塚委員長 ありがとうございました。それでは、原田委員、お願いいたします。
○原田委員 私も公表・公開のところが不勉強であり、初めてそうしたものだと知りました。そういう使い分けであれば、私も公開が重要だと思います。1の公表・公開と、13ページの累積的な環境影響への対応は相当リンクをしていると考えます。近隣地域、隣接地域でのしっかりした図書が公開されているからこそ、累積的な環境評価が可能になってくると考えます。その意味でも、先ほどの難しい点は理解するものの、一定の標準化がないと、何をどのように累積したのかという点も分析ができなくなるため、そこにも関係をしてくると思っております。
そして、14ページの新たな事業に関する検討において、こちらでCCSについて記載されていますが、前回か前々回にCCSに関しては、それほど付加的な環境影響はないのではないかといったトーンで議論が進んでいたように記憶をしております。その後、今の先進的CCS事業の概要が少し発表されはじめ、幾つかの事業では、非常に長距離のパイプラインで高圧の二酸化炭素を運ぶといったプランも含まれているものもあります。製造、貯留と分離のところでそれほど大きな影響はないといった議論になっていましたが、パイプラインはしっかり検討する必要があると考えます。以上です。
○大塚委員長 それでは、崎田委員、お願いいたします。
○崎田委員 何点か申し上げます。特に13ページ、14ページ辺りの技術の向上と環境情報の基盤整備において、環境アセスで取り組んでおられる方にとって人材育成が、今の状態よりもしっかりと進めたほうがよいといった声がありますが、もう少し具体的に書かれたほうがよいのではないかと思い、そうした点で先日申し上げた次第です。「技術の向上に向かって取り組むことが重要」とは書いてあるものの、人材育成という視点で具体的にどうするかというものがあまり見えていない印象です。逆に、このような形で進めたほうが様々なところでの取組が広がるのか。その辺りの様子を伺いたいです。
次に、18ページの公聴会の開催になります。10年前は、公聴会に関して、地方公共団体もしっかりやっているため、あえて公聴会を位置付ける必要はないといった判断の話になっていますが、市民参画を長らく進めてきた立場からは、物を決める際には、最低限公聴会を入れておいたほうがよいと考えます。ただし、公聴会を入れたからといって、それで収まる話ではないものも多々あるため、どのような仕組みを入れておくとよいのかは少し考えるところです。特に、公聴会だけでは地域との適切なコミュニケーションにはなりません。提供した情報に対してどのような意見かを伺うことはできるものの、その後のコミュニケーションが成り立たないと信頼関係は生まれていきません。18ページの下に「法対象事業でも51の地方公共団体では公聴会の実施に対する規定を設けている」とあるため、現実には開かれているものと理解いたします。取りあえず、公聴会をしっかりと位置付けることには賛成ですが、その辺りの信頼関係づくりが、アセス制度の下、一度この何年かの間でうまく回ってきている事例と、そうではない事例との様子を見て、検討テーマにしていただくとよいのではないかと思っております。
最後に、20ページになります。後段3行において、フォローアップをしっかり行っていくと書かれていますが、これは大事だと思っております。以前、「10年で法律を見直すのでは長過ぎる。例えば5年でPDCAを回すぐらいのことを入れるべきではないか」といった議論がありました。今回、残念ながら5年という数字は出ていませんが、一応しっかりとフォローをしていくと書いていただいている点は理解をいたします。できれば「5年、10年の見直しの中間年辺りでフォローアップをしっかりと行っていく」と書いていただくとうれしいですが、この変化する時代の中に適応するシステムにしていくためのフォローアップというのは重要と思っております。よろしくお願いいたします。
○大塚委員長 それでは、勢一委員、お願いいたします。
○勢一委員 私も何点かコメントを申し上げます。まず、戦略アセスに関して、これより前のところで御紹介をいただいた配慮書手続の立地の配慮の考え方やスリーコースプランを考えていく際のコース配分の基準等というのは、ここの戦略アセスに一歩近づくような仕組みではないかと思います。こういうところを前の記述と少しつなげていただいてもよいと考えます。また、私自身、環境保全上で配慮すべき重要な区域の考え方が、どのようなものをつくるかを想定しているのかが分からないものの、場合によっては、こうした考え方やスリーコースの配分の基準自体も、上位の環境配慮としてアセス的な検討もあり得るのではないかと思った次第です。
二点目は、累積的影響になります。これもアセス図書の公開などが進んでいくと今まで考慮できなかった部分が考慮できるようになるということで期待が大きいものの、そうすると、前のところであったリプレース事業についても、最初にできたときにはそれしかなかったけれども、周りに多く事業が立ってしまった後であれば、本当に同じような形でリプレースをしてよいのかという問題は出てくるような気がいたします。これは長期的な議論になると思いますが、そういうところも大事だと考えます。
それから、CCS事業について先ほど原田委員から御指摘されましたが、私も同様の懸念を持っています。今回の報告書の答申案では、今後の事業動向を注視し、今後の事業の実施による影響の知見をということで、まずは事業が行われるのを見て、それにより影響があるようならばというように非常に引いた形になっております。これは、環境アセスの考え方や事業に対するアプローチの仕方としては非常に後ろ向きではないかと感じます。せめて、「今後の動向を注視して必要な対応を取る」ぐらいにしていただきたいです。
最後に、審査結果の理由の公表について、これは表現の印象から難易度が相当高く、進まないように感じる文面になっています。ここで挙がっている理由の一つとして、「他制度において類似の事例が少ない」とありますが、これは行政法学者の目線としては、制度の理由にならないのではないかと思います。アセス自体が特殊な制度であり、横断条項等を持っているような仕組みになっているため、他制度で同じようものがないからできないというのは理屈が苦しいです。この点は再考いただければと思います。以上です。
〇大塚委員長 ありがとうございました。それでは、白山委員、お願いいたします。
〇白山委員 私は、スコーピングにこだわりたいと思います。先ほど「スコーピングとは、評価項目の絞り込みである」という御説明がありました。15ページで「スコーピングの強化による環境影響評価の合理化」と書いてある点では、できるだけ評価項目を減らすことがスコーピングの強化ということだと思います。一方、私のイメージとしては、むしろ脚注13のような、「事前の調査対象とせず」ということを入れるのは少し問題があるという錦澤委員の御発言も確かにそのとおりだと思うものの、当該懸念が小さいけれども、ないことを説明することが技術的に困難であるような項目について、事後調査の順応的な管理ができることをより推進することがスコーピングの強化ではないかという感じがいたします。つまり、項目の選定においてマル・バツ、あるいは黒と白だけでなく、灰色を足すようなイメージを少し考えるのがスコーピングの強化ではないかという意見です。そういう意味で、ここのスコーピングの強化という言葉をお使いいただけるとよいと思っております。少し御検討をいただければと思います。
〇大塚委員長 ありがとうございました。それでは、村山委員、お願いいたします。
〇村山委員 三点申し上げます。まず、戦略的環境影響評価の実現ですが、こちらについて、何をもって戦略的な環境影響評価と表すのかという点についてあまり議論をされていなかったように思います。この中で、趣旨に資するものとして三点挙げられています。勢一委員のおっしゃるように、配慮書手続の導入というのは確かに一歩と言えば一歩ですが、これをもって戦略的環境影響評価と言ってよいかどうかは、一度確認させていただきたいと思います。ここの文の最初の行に「上位の計画や政策の検討段階を対象」となっているわけですが、それと配慮書がどのような関係なのか。具体的な検討会という意味では、ほぼ20年間開かれていないと思うので、過去の資料も確認をしていただき、配慮書をもってSEAに資すると呼んでよいかどうかは一度御確認ください。
それから、29行目から33行目において今後の方針について書かれています。少し前の部分とも関わりますが、「促進区域制度を始めとしたゾーニングに係る制度」となっている点で、ゾーニングに係る制度というのは一体何を指しているのか。この点があまり明確にはなっていないように思います。確かに、促進区域はゾーニングが一つのオプションになっていますが、あくまでも一つのオプションです。さらに、促進区域以外に何かゾーニングに係る制度があるかというと、あまり思い浮かびません。この点について確認をお願いします。
それから、最後の行で「目指していくことが望ましい」となっていますが、いかにも弱いという印象を受けます。錦澤委員のおっしゃるように、ほかの国が先に進んでいる段階で、我が国ではまだほとんど実現されていない。少なくとも「求められる」など、その辺りの表現にならないかと考えるところです。この点は、13ページの最初の2行目にもあるように、「検討を進めていくこと」というよりは、もう少し前に出す表現になるように、是非御検討ください。
二点目は累積的な環境影響になります。きれいにまとめていただいていると思いますが、前回も申し上げたように、累積的な影響への「対応」となると、恐らく個別の事業だけではいかないものと思います。確かに、15行目に「ゾーニングに係る制度」というものも書かれていますが、もう少し地域的な計画との連携を深めていかないと、累積的な影響が発生しているという点は様々な報告書が公開されることによって分かると思うものの、それによってどのように対応するのかという話になると、地域的な計画との連携が必要になってくると思います。その点をもう少し書き込んでいただく必要があるのではないでしょうか。
最後に、三点目は、17ページの手続途中の段階の風車の機種変更になります。これを一つの項目として取り上げていただくことは大事だと思います。ただ、改めて考えてみると、準備書から評価書に至る段階でこういった事態が起きているというわけですが、準備書から評価書のプロセスの中では、関係住民あるいは関係自治体からの意見が入ってきて、それによる対応が評価書の中で反映されるべきです。それ以外の対応がこの中で入ってくるというのは、本来の趣旨に沿っていないのではないかと考えます。その点は一つ明確にした上で、今後の方針として機種の変更が考えられるのであれば、それについて対応するということはあってよいと思うものの、趣旨からすると、関係住民や団体からの意見以外のことについて対応するのは本来あるべきものかと考えるため、その点少し表現を加えていただけるかどうかを御検討ください。以上です。
〇大塚委員長 ありがとうございます。それでは、吉田委員、お願いします。
〇吉田委員 大きく分けて二点、生物多様性・生態系の視点からのコメントと、制度的なものに対するコメントを申し上げます。まず、環境影響評価図書の継続的な公表・公開においては、私も大賛成です。ただ、先ほどの累積的な環境影響評価にも関係しますが、これが継続公開されたとしても、絶滅危惧種などを含めた非公開情報については見ることができません。累積的影響を判断しようと思っても、隣接した事業で行われたデータを見ることができないという状態は変わらないわけです。これについて、何らかの工夫をしていく必要があるのではないか。どの県においても、生物多様性を扱っている部署と、環境影響評価をする部署は違うのですが、例えば千葉県等の場合、環境影響評価に関して、県内で行われたものについては、絶滅危惧種の情報を県の生物多様性センターでGISに入れています。ですから、問合せを行えば、別のアセスメントで分かってきた絶滅危惧種がいるということが分かるという状態になっています。問合せを行う必要はあるものの、そういった工夫を少し取っていく必要があるのではないかと考えます。これは、国の生物多様性センターのほうでそういった情報をGISに入れていくことができているのかどうかは分かりませんが、そういった連携が必要になると思います。また、それでEADASよりもう少し詳細なデータを実際に行うとした場合、それを見て評価が可能になるといった状態に持っていくことも必要と考えます。
それから、四番目の環境影響評価の技術の向上と環境情報基盤の部分ですが、先ほど阿部委員より生態系レッドリストの話がありました。それには同感いたしますが、全くできていないというわけではなく、国の生物多様性センターのほうは植物群落に関して「特定植物群落」というものがGISに入っています。また、動物等についても非常に多数の種が密集して生息している場所のホットスポットは、国の生物多様性センターのほうで探そうと思えば探せるわけです。そういった情報が、簡単には公表できないとは思うものの、種の保存法を管轄している野生生物課のほうでも今、種の保存法の検討をしているため、「是非ホットスポットを生息地と保護区に指定できるようにしていただきたい」と申し上げている次第です。そういったホットスポットのような場所で開発されないようにするといった方法も必要になってくると考えます。
生態系レッドリストに関しては、日本自然保護協会が1996年に植物群落のレッドリストを作っています。その後、福岡県は県のレッドリストの中に植物群落のリストを入れています。県によってはそういう対応をしているところもあります。ですから、こういった群落レベル、あるいは生態系レベルで対応をしている県のやり方をもっと広げていく必要もある。一方、国の生物センターでも、そういった対応をしていく必要があると思いました。
それから、生物多様性オフセットについて、関島委員からコメントがありました。私も免罪符のような使われ方をするのではよろしくありませんが、今のやり方では、環境保全措置を取っても100の物が50に減るだけで、100に保たれることはほぼないわけです。それでは、ネイチャーポジティブにはならないため、少し言葉を足していただい、「ノー・ネット・ロス(ネットゲインを目指した生物多様性オフセット)」という形で、少なくとも、事業を行ったら減るのではなく、事業を行った後に以前と同様、あるいはそれより豊かにするといった方向性を目指していくことがこれから必要ではないかと思います。
それから、先ほどの典型性の問題でタヌキ等が扱われるという問題がありました。今、生態系に関しては、指標種を上位性・特殊性・典型性で選ぶことになっており、それにより仕方なくタヌキ等を選んでいます。生態系の調査に関して、上位性・特殊性・典型性で行うという点は、もう少し考え直したほうがよいのではないかと思っています。上位性や特殊性の土地は必要だと思うものの、典型性の部分は生態系サービスの調査に変えても私はよいと思います。確かに、私が提供した資料の付録2、付録3に生態系サービスや生態系のプロセスが様々書いてあり、これを調べるのは非常に大変だとは思いますが、仕方なしに普通種を入れるよりは、生態系サービスに影響ないかどうかを調べてもらったほうがよいと考えます。以上が生態系生物多様性に関する部分となります。
制度的な部分では、6の(5)、(8)、16ページと17ページになります。長期的な未着手案件と、その事業の許認可を行った際の審査結果の理由という点で一つだけ事例を申し上げます。北陸新幹線と福井県の中池見湿地の事例で、2002年に環境影響評価書が完了し、2012年に許可が行われてから10年がたちました。その間に、ラムサール条約の登録湿地になり、指定を拡張して国定公園になったわけです。しかしながら、その直後に、それを無視するように、ラムサール条約の登録湿地のほうに200メートルずらすような形で認可が下りた例があります。事業者は「知らなかった」とのことですが、知らなかったはずがありません。10年もたってしまえば、地域の保全の社会的条件であるとか、場合によっては猛禽類の営巣地が新たにできるといったように、自然的条件等も変わってくる可能性があります。そこを、長期的な未着手案件の場合には、本来、長く時間がたっていれば環境影響評価をやり直しにしてもらったほうがよいと思うものの、少なくとも10年間なら10年間で自然的条件、社会的条件がどのように変わっているのかという点をしっかりとプラスアルファで発表してもらう。その上で、認可を受けるとしてもらわないと、まるで10年前の状況の判断でよいといった形で、今現在新たに加わった保護地域を無視して認可が行われるという状態では困ります。(5)と(8)は離れていますが、是非くっつけていただき、そうしたものが生じないように判断をしていただく方向性で御検討をいただければと思います。以上です。
〇大塚委員長 私の不手際で申し訳ございません。少し時間が押し迫ってきておりますが、山口委員、お願いいたします。
〇山口委員 ありがとうございます。13ページの累積的な環境影響への対応について、ゾーニング等により適切な立地環境への誘導が図られた場合には、そこに立地が集中する可能性もあると考えます。そのため、累積的影響の評価の重要度は更に増してくるものと思いますので、評価手法も含めたガイドラインの策定等をお願いしたいと思います。
次に、17ページ、(6)の手続途中段階の風車の機種変更については、9行目の「あらかじめ変更されることを前提とした調査等を実施しておく」という点において、スコーピングの課題と同様に手続の手戻りを防止する観点から、必要以上に網羅的に調査せざるを得なくなるなど、効率化と逆行してしまうおそれもあるのではないかと思います。また、他律的要因が含まれている以上、前提調査にも限界があると考えます。変更されることを前提とした調査だけではなく、手続の再実施を要しない修正の要件の見直しと併せて、手続を再実施する場合の調査・評価等の簡略化などの対応が必要ではないかと思います。
次に、20ページの「Ⅴ.おわりに」の4行目からですが、先ほども御意見が出ていたように、この答申に提示されている対応事項について、直ちに措置するもの、あるいは中長期的な検討事項等が分かるように可能な範囲で時期を記載いただけると、先を見通すことができてよいと感じました。
最後に、知事会としては、今後も国と地方の適切な役割分担を維持しながら、また、国と情報を共有しながら、更に効果的・効率的に環境影響評価を実施していけるように努めてまいりたいと考えております。地方への技術的な支援について、引き続きよろしくお願いしたいと思います。以上です。ありがとうございました。
〇大塚委員長 ありがとうございました。それでは、奥委員、お願いいたします。
〇奥委員 簡単に一点だけ追記をお願いできればと思う点を申し上げます。15ページの6(1)国と地方公共団体における情報交流の推進については、是非行っていただきたく思います。あわせて、地方公共団体間における情報交流、情報共有を促進、支援するような国の関わり方についても記述をしていただければという点で、要望になります。既に実際はやっていただいているかと思いますが、こちらの文章の中にも「自治体間における情報共有・情報交流を促進していく」といった点を記述いただければと思います。以上です。
〇大塚委員長 それでは、関島委員、お願いいたします。申し訳ありませんが、簡潔にお願いできれば幸いです。
〇関島委員 先ほどの原田委員からの御意見、14ページのCCSの話を伺っていて思い出した点を申し上げます。CCSの場合は二酸化炭素の分離回収設備だけではなく、移送システム設備に関しても環境評価が出てくるため、そういった問題の取扱いが意見されましたが、附帯設備については、これまでもいろいろと問題になってきました。例えば、風力、道路、ダムのいずれにおいても、事業で発生した土砂の土捨て場に関して環境影響が発生します。最近でも、リニアのトンネル工事で発生した土砂を埋め立てるといった事案があり、環境に対する負荷が非常に大きという意見がありました。また、国立公園の中に設置される地熱発電等においても、地熱発電の設備自体よりも、むしろ送電線による景観阻害の影響が非常に大きな問題になる場合もあります。そういった意味では、附帯設備自体、環境負荷が非常に大きいケースもある。アセス法の中で取り扱うのは非常に難しいかもしれませんが、附帯設備に対する対応を考えていくことも必要と考えます。そのほかの課題等への対応として、附帯設備に対する考え方について一言触れたほうがよいのではないでしょうか。以上です。
〇大塚委員長 よろしいでしょうか。それでは、環境省より回答をお願いいたします。
〇川越環境影響評価課長 まず、阿部委員から図書の公開と、特に生物多様性関連のデータを国が集約という点で御意見をいただきました。今、図書の公開のところは「公表又は公開」と書かせていただいていますが、法律上でどのように位置付けられるかというところを実は調整しているところです。本日いただいた意見としては、「国がしっかりと集めて公開をすべき」といった趣旨と理解をしており、その点は是非頑張って行っていきたいと思います。それから、IUCNの生態系レッドリストのようなものも反映をさせていくべきだという点ですが、そのほかにも、幾つか生態系アセスの点でも御意見をいただきました。そういった中で、このようなものをどう取り入れていくのかという点を含めて検討をしていくことになると思いますので、今後参考にしながら、しっかりとやっていきたいと思います。
次に、関島委員から、3コースをしっかり行っていただきたいという御意見と、累積的影響において、国が介入しながらゾーニングと絡めて制度をどう効果的に活用するかの検討が必要という点ですが、この辺りは、具体的にどのようにしていくかは、別途行うべきものと考えており、いただいた意見を基にしっかり検討をさせていただきたく思います。
次に、オフセットの関係については、吉田委員からも御意見をいただきました。確か、20年ほど前にアメリカから専門家を呼び、定量評価の話のシンポジウムを行っていただいたことがあります。その後も少し情報を集めていますが、まだ進んでいないという点はあります。そこは、今も御意見いただいたように、「代償措置のほうに皆逃げてしまうのではないか」といった意見もあったように思います。引き続き情報を集め、文章として「ノー・ネット・ロス(ネットゲイン)」といった観点もありましたが、それらを踏まえ、少し記述を検討いたします。そして、自主アセスの関係も、今、太陽光の関係では、チェックリストがガイドラインの中にあり、それを基にやってくださいといった形になっています。それが本当に活かされているのかという点は少し調べていく必要があるということで、検討させていただきたいと思います。
次に、錦澤委員からも、公開又は公表の話に関して御意見をいただきましたが、先ほど述べた事情があります。公開に関して、御意見を踏まえ、こちらとしては頑張っていきたいと思います。また、SEAに関して持続可能性アセスメントの話がありました。その点は、記述を改めて見直をしていきたいと思います。
次に、原田委員からは、図書に関して、公開の話で累積的影響の関係により一定の基準が必要ということでした。そして、CCS関係でパイプラインの話をいただきました。アセス法で土地の改変であるとか、工作物の大きさ、供用時影響を見ていくことになっているため、パイプラインというものがどういった大きさのものになり得るのかという点も含めて検討を行っていきたく思います。また、今後の動向においても御意見を別途いただきました。当然、既にパイロット的に行っている事業もあるため、そういったものを見ながらという趣旨で書いていますが、悠長なことを考えている場合ではないという点は修正してまいります。
次に、崎田委員から、人材育成のところで御意見をいただきました。この前も少し申し上げましたが、必ずしもしっかりと書けていない部分もあるかと思います。現状では研修やガイドライン作成がメインであると思うものの、それに加え、何か例示であっても記載すべきという点があれば、後ほど構いませんので、御意見を頂戴できればと思います。そして、公聴会の話について、県のほうでやっている点と、国としてそういった利害関係者も呼んで判断をする必要があるのかという点は、引き続き御意見を頂戴しながら検討をさせていただきたく思います。
次に、崎田委員からフォローアップに関しての御意見をいただきました。5年といったものは書いていませんが、気持ちとしては、恐らく真ん中ではやらなければならないと考えています。もう少し強くということであれば、また御意見を頂戴いたしたく存じます。
次に、勢一委員から、配慮書手続の考え方を参考にするにおいてSEAに近づくものといった御意見をいただきました。一方、村山委員からは配慮書はSEAとは違うのではないかといった御意見をいただきました。我々としても、あくまでも配慮書はその趣旨に少しのっとったものではあるかと思うものの、SEAとは別物としての認識を持っているところです。その上で、以前の表現に関しては確認をさせていただきたいと思います。それから、累積的影響をリプレースと併せて考える点、状況が変わっていればという点も考慮をしてまいります。そして、審査結果の公表に関して、事業の認可をする著社において、しっかりとそこを行ってくれるかといった点は他省庁の部分に大分踏み込んでいくことになるため、その辺りは御意見があったように難易度は高いということから、こういった記載になっております。答申としては、いただいた御意見として残していきたいと思い、このような形を取った次第です。
次に、白山委員から、スコーピングの御意見をいただきました。小職の理解が及んでいなければ恐縮ですが、必ずしも分からないことであっても、事後調査やモニタリング等で対応をしていくのであれば、そこはアセス項目として設定しなくてもよい。順応的な部分も含めてという趣旨で理解をいたしました。その点が世の中的には許されない風潮というものがあるので悩ましいところですが、どのような対応ができるかは、持ち帰って検討をいたしたく存じます。
次に、村山委員からSEA、配慮書はそのように言ってよいのかという点は、もう一度確認をさせていただきます。そして、促進区域のほかのゾーニング制度とは何を指しているのかという点では、ポジティブゾーニングといったイメージで、特に再エネで考えていくと、やはり温対法の促進区域ぐらいではないかという気がいたします。一方、ポジティブではないゾーニング制度として、保護地域に係る制度等が幾つかあると思います。例えば、自然公園等でも地域区分ごとに審査指針のようなものがあります。そうした中で、「尾根のスカイラインを切ってはいけない」といったような点が記載をされています。そのように、配慮事項が結構書かれており、第二種特別地域以下であれば条件によっては設置可能というものもあるため、少しそれらの仕組みと組み合わせていくことはあるかもしれないといったイメージで書かせていただきました。しかしながら、まだ詰め切れていない点は、もう少し詰めていきたく思います。
次に、村山委員から累積的影響において、地域的な計画と連携という点で御意見をいただきました。その点は、どのような記述ができるかを考えたく思います。また、風車の機種変更に関して、住民や自治体の方の意見への対応を行うものであり、それ以外に対応することは本来の趣旨ではないという御意見だったと思います。その辺りは、うまく伝わるように書き方を工夫いたします。
次に、吉田委員からは、重要種の情報に関して御意見をいただきました。当然ウェブ上で公開するとなれば、ほかの情報もそうですが、非公開にされています。そこにアクセスできる方法、そして利用する際のルールというものは当然決めていかなければなりません。その辺りは、データの一元化の中に含めていくものと考えます。そして、特定植物群落及び動物のホットスポットの話もいただきました。私も、実は生物多様性センターにいたことがあるのですが、動物のホットスポットはあまり地図化をされていなかったような気もするのですが、少し確認をいたします。
○吉田委員 メッシュレベルではあったように思います。
○川越環境影響評価課長 分布図はあるのですが、密度や生態系といいますか、ほかの種も含めたホットスポットというのは、もしかすると評価を行っていなかった気がいたします。その点の記憶が定かではないため、確認をさせていただきます。また、オフセットの際の「ノー・ネット・ロス(ネットゲイン)」は、先ほど申し上げたとおりです。
次に、阿部委員、吉田委員をはじめ、ほかの委員からもいただいた上位性・典型性の部分ですが、その点は、答申というよりも生態系アセスの見直しの中で、そういった視点もあるべきという趣旨だと思います。また、当然本来見るべき典型性において見るべきものを見ていないといった点も、手法を改めて検討する中において、そういった問題に対してどう対応していくか。そして、生態系サービスについても、本日御欠席であられる鷲谷委員からも、確か御意見をいただいたと思います。そういった生態系アセスの中で、生態系サービスという視点を入れていくのかは、別途の検討で課題として行いたく思います。
次に、山口委員から、累積的影響でガイドラインを作成してほしいという点で御意見をいただきました。この辺りは、取りまとめ次第、そういった方向での検討をさせていただくことになると思います。また、機種変更の話ですが、手戻り規定の見直し、再実施をする場合の調査の簡略化等の対応においては、今、「こういった条件であれば、やり直しをしなければいけない」といった規定はしているものの、それ以上にほかの部分で行うかどうかという点は、また少し難易度が高い部分が出てきます。どういった対応ができるかということは検討したいと思いますが、いただいた意見も含め、どう対応するかというのは広く検討していくということで整理をさせていただければと思います。それから、対応事項のタイムラインは冒頭のほうでも出ておりましたが、この中でタイムラインを5年、10年のスパンで書くのは難しいのですが、なるべく早くやるものという点が分かるような形で示していきたいと思います。
次に、奥委員から、地方公共団体間の交流の促進といった観点をいただきましたが、その点は追記いたしたく存じます。今、アセス学会からも、地方公共団体の審査会間の連携といった話をいただいており、その辺りの検討も進めている状況です。
次に、関島委員から附帯施設の話がありました。同一目的であれば、附帯施設も当然アセスの対象になるというのは一般論であるものの、整理をしております。その点については、少し整理をしていくところがあれば、是非行っていくということで考えさせていただければと思います。以上です。
〇大塚委員長 村山委員が言われた戦略アセスに関して求められるようにしてほしいといった話は、いかがでしょうか。
〇川越環境影響評価課長 失礼いたしました。その語尾については直します。意図的に飛ばしたわけではなく、そこは直す前提でおりました。
〇大塚委員長 それから、吉田委員からの長期未実施案件に関して、自然的、社会的条件が変わったところについて検討するというのは、重要な案だと思いました。もちろんすぐには難しいと思いますが、どういった御見解でしょうか。
〇川越環境影響評価課長 何年ならよいのか、何年なら変わったと判断するのかというのは難しいと感じています。実は、考え方の整理ということで、非常に定性的に大まかに書いているのですが、趣旨については当然我々も理解をしております。ここの答申の中において、今の観点を具体的に書くのは厳しいところがある一方、課題としては十分理解をしております。
〇加藤環境影響審査室長 補足になります。錦澤委員から、15ページの脚注についてのお話がありました。事前に委員に御説明をした中で、環境影響の小さいといったところで調査対象にするのかどうかという御指摘があったため、今回このような記述になっております。委員のおっしゃるとおり、「精緻な予測評価は必要ない」といった趣旨が分かるように記載の仕方は改めたいと思います。
〇大塚委員長 ありがとうございました。今の再実施の話は、何かガイドライン等といった形はあり得るでしょうか。そこも難しいですか。
○川越環境影響評価課長 まず、どのような場合にそうするかという考え方を整理し、そこが進んでくれば、ガイドラインというのはあるかもしれません。これだとあまりにもあっさりしているといった御意見だと受け止めました。
〇大塚委員長 大きな例として中池見湿地について挙げられましたが、あまり多くはない状況でしょうか。
○川越環境影響評価課長 配慮書で止まっている、もしくは、ほか止まっているものもありますが、要は、地元の方と調整しているような案件もあれば、全くやる気がない案件というものに多分分かれていきますので、そういったものの見極めが非常に難しいところです。
〇大塚委員長 分かりました。
それでは、皆様、活発な御議論をどうもありがとうございました。私の不手際で、少し時間を過ぎてしまい本当に申し訳ございません。全体の意見をお伺いする時間がなくなってしまいましたが、一応、本日予定していた議事はこれで終了とし、一度、進行を事務局にお返しいたします。
〇加藤環境影響審査室長 本日も活発な御意見、御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。事務局といたしましては、本日の委員の皆様からいただいた御意見を踏まえ、内容を修正させていただき、再度年明けに合同会議を開催し、改めて修正した答申案について御議論をいただきたいと考えております。
次回の合同会議を開催する前に、今後の審議の参考とするため、本日いただいた委員の意見を反映したものについて、パブリックコメントを実施させていただけないかと考えております。なお、パブリックコメントをさせていただく場合の時間の制約上、西本委員からも話がありましたが、本日御発言できなかったものがあれば、恐縮ですが12月16日、月曜日17時までにメールにて追加の御意見を事務局にお送りいただきたく思います。
今後の進め方について、大塚委員長を始め、委員の皆様に御検討をお願いいたします。
〇大塚委員長 事務局から、次回の合同会議の開催までにパブリックコメントを実施したいという旨の御提案がありました。本日、様々な御意見をいただきましたが、本答申案に関して、大きな方向性としては委員の皆様に御賛同をいただけたのではないかと考えております。
今後、事務局において、各委員から頂戴した御意見を踏まえ、内容の修正作業を進めていただくということですが、その修正内容について各委員にも御照会をし、その上で委員長一任とさせていただき、パブリックコメントを実施するという方向で考えていきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
○一同 異議なし。
○大塚委員長 ありがとうございます。それでは、異議なしということで、そのように進めてまいります。再度、進行を事務局にお返しいたします。
〇加藤環境影響審査室長 大塚委員長、ありがとうございました。
本日、各委員から頂戴した御意見を踏まえ、答申案の修正作業を進めさせていただきます。その上で、内容について委員の皆様にも御確認をいただくようにいたします。
また、本日の議事録については事務局で案を作成し、委員の皆様に御確認いただいた後ホームページで公表をする予定としておりますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
次回の合同会議の日程については、年明け2月頃の開催を予定しておりますが、改めて事務局より詳細について連絡を差し上げます。以上をもちまして、中央環境審議会総合政策部会第11回環境影響評価制度小委員会、第7回風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会合同会議を終了いたします。皆様、御多忙の折、長時間にわたり活発な御議論を賜りまして、誠にありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。