中央環境審議会総合政策部会 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第21回) 会議録
日時
令和6年4月25日(木)11:00~13:00
場所
合同庁舎5号館22階第1会議室
(Web会議システム/Cisco Webex)
議事次第
1.開会
2.議事
(1)新たな「環境研究・環境技術開発の推進戦略」の策定について
(2)今後の予定
3.閉会
配付資料一覧
【資料】
資料1-1 新たな「環境研究・環境技術開発の推進戦略」の策定について
資料1-2 環境研究・環境技術開発の推進戦略(案)の策定方針と骨子案
資料1-3 環境研究総合推進費の実施概要について
資料2 今後の予定について
【参考資料】
参考資料1 中央環境審議会総合政策部会環境研究・技術開発推進戦略専門委員会
参考資料2 環境研究・環境技術開発の推進戦略(令和元年5月21日環境大臣)
参考資料3 第六次環境基本計画(案)
出席者
委員:森俊介委員、浅見真理委員、古米弘明委員、小野田弘士委員
竹ケ原啓介委員、秋澤 淳委員、伊藤裕子委員、笠井康子委員
環境省:鑓水総合環境政策統括官、小笠原総合政策課長、奥村環境研究技術室室長、永森環境研究技術室室長補佐、
相澤環境研究技術室室長補佐、山本環境研究技術室係員、原田環境研究技術室係員
議事
【奥村室長】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、中央環境審議会総合政策部会第21回環境研究・技術開発推進戦略専門委員会を開会いたします。
申し遅れましたが、私は、環境省大臣官房総合政策課環境研究技術室、室長の奥村と申します。よろしくお願いいたします。
まず、委員総数12名のところ、7名の委員にご出席いただいております。残り1名、後からご出席と承っております。定足数の要件を満たし、専門委員会として成立していることをご報告いたします。
本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいておりますので、環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行ってございます。
本日はWeb会議システムとのハイブリッド開催とさせていただいております。Webより参加の委員におかれましては、各自発言時のみ、ライブカメラの映像とマイク機能をオンにしていただきますよう、お願いいたします。
また、会場の声が聞こえにくい等がございましたら、チャット機能でお知らせください。
会議資料につきましては、議事次第の下、配付資料一覧に記載のとおりでございますので、ご確認いただきまして、もし不足している資料等がございましたら事務局までお申しつけいただきますようお願いいたします。
それでは、はじめに、総合環境政策統括官の鑓水より、ご挨拶を申し上げます。
【鑓水統括官】 ご紹介いただきました鑓水でございます。
先生方におかれましては、大変ご多用の中、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。
環境研究・環境技術開発推進戦略でございますが、これは長期的な視点であるべき持続可能な社会の姿をにらみながら、今後5年間で取り組むべき環境分野の研究・技術開発の重点課題、それから、その効果的な推進方策を提示しているものです。
現行の戦略は、今から5年前の令和元年に第五次環境基本計画に基づくものとして取りまとめられまして、これまでの戦略に基づいて取組を進めてきているところです。
現在、第六次環境基本計画の策定作業中でございますが、この小委員会におきましては、新たな基本計画に基づく推進戦略の策定をお願いしたいと考えてございます。
第六次環境基本計画は、自然資本、言わば、環境が経済・社会活動の基盤であるという基本的な考え方に立って、現在、検討が進められてございます。
したがいまして、今後、5年程度の間で環境研究総合推進費の活用ですとか、それから、環境研究の中核機関でございます国立環境研究所の機能強化、さらには、科学技術・イノベーションの社会実装につながる行政の推進方策などを通じまして、環境研究が経済・社会の諸課題の解決にどのように貢献できるのか、環境・経済・社会の統合的向上による持続可能な社会の実現につなげていくのか、そういった論点を踏まえまして、ぜひご議論いただきたいというふうに思っております。
他方でございますが、本戦略の議論につきましては、今年度の環境研究総合推進費の公募スケジュールなどもありますことから、誠に恐縮でございますけれども、7月頃を目途にまとめていただければ大変ありがたいというふうに思ってございます。
本日は、新たな推進戦略策定のキックオフの会議でございます。策定の方向性につきまして、ぜひ忌憚のないご意見を頂戴できればというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【奥村室長】 ありがとうございました。
続きまして、参考資料1に本専門委員会の名簿がございますが、これに従いまして、委員の皆様をご紹介させていただきたいと思います。
まず、委員長を務めていただきます森委員でございます。
【森委員長】 どうもおはようございます。東京理科大学の森と申します。
これ、大変に重要な会議であること、今、ご紹介いただきましたとおりでございます。どうか皆様のご協力を得て、今後5年間の環境技術の方向、また、過去から状況がいろいろと変わってきておりますので、それを踏まえた上で、よりよい研究開発・技術開発の方向性をご提示いただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
【奥村室長】 ありがとうございました。
続きまして、浅見委員でございます。
【浅見委員】 浅見でございます。よろしくお願いいたします。
【奥村室長】 続きまして、亀山委員、酒井委員でございますけれども、両委員におかれましては、本日ご欠席となります。
続きまして、古米委員でございます。
【古米委員】 中央大学の古米と申します。
現在、環境省では、有明海・八代海等総合調査評価委員会と、水環境・土壌農薬部会で仕事をさせていただいています。よろしくお願いいたします。
【奥村室長】 よろしくお願いいたします。
続きまして小野田委員でございます。
【小野田委員】 小野田でございます。よろしくお願いします。
【奥村室長】 ありがとうございます。
続きまして、竹ケ原委員でございます。
【竹ケ原委員】 日本政策投資銀行の竹ケ原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【奥村室長】 続く、広井委員におかれましては、本日ご欠席となります。
続きまして、秋澤委員でございます。
【秋澤委員】 東京農工大学の秋澤です。よろしくお願いいたします。
【奥村室長】 よろしくお願いいたします。
続きまして、伊藤委員でございます。
【伊藤委員】 文部科学省科学技術・学術政策研究所の伊藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【奥村室長】 よろしくお願いいたします。
続きまして、笠井委員でございますけれども、この後、遅れてのご出席という予定になってございます。
また、続く森田委員におかれましては、本日、ご欠席となります。
また、オブザーバーとして独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)、国立研究開発法人国立環境研究所、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)及び環境研究総合推進費プログラムディレクターにオブザーバーとしてご参加いただいております。
続きまして、事務局の環境省をご紹介させていただきます。
先ほどご挨拶いたしました総合環境政策統括官の鑓水です。
【鑓水統括官】 よろしくお願いいたします。
【奥村室長】 続きまして、総合政策課長の小笠原です。
【小笠原課長】 小笠原です。
【奥村室長】 続きまして、環境研究技術室長補佐の永森です。
【永森補佐】 永森です。よろしくお願いいたします。
【奥村室長】 同じく、相澤です。
【相澤補佐】 相澤です。よろしくお願いします。
【奥村室長】 会場の報道機関の皆様におかれましては、冒頭の撮影はここまでとさせていただきまして、以降は傍聴のみとさせていただきます。
それでは、今後の進行は森委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【森委員長】 それでは、早速、議事に入りたいと思います。
お手元に資料1-1~1-3及び資料2、このほか参考資料が1、2、3と3件ございますけれども、まず資料1-1に基づきまして、新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略の策定につきまして、まず事務局よりご説明をいただき、その後、意見交換を頂戴したいと思います。
それでは、事務局から資料のご説明をお願いいたします。資料は、資料1-1、1-2、1-3と3部ありますので、まず前半として資料1-1につきましてご説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【奥村室長】 それでは、資料1-1、新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略の策定についてご説明いたします。
まず1ページ目でございます。こちらは、現在、中央環境審議会総合政策部会にて審議中の第六次環境基本計画において記述されております環境研究・環境技術開発の推進戦略の位置づけになります。
こちらでは、新たな成長を支える科学技術・イノベーションの開発・実証と社会実装に向けて、科学技術・イノベーション基本計画等の最新動向を踏まえつつ、環境基本計画に基づいて新たに策定されることとしております。
この推進戦略を受けまして、環境研究の中核機関としての国立研究開発法人国立環境研究所の中長期目標について改定を行うですとか、環境研究総合推進費においては、当該推進戦略において設定する今後5年程度の間で重点的に取り組むべき研究・技術開発の課題、いわゆる重点課題の解決に資する環境行政のニーズを提示することを通じて、環境研究・技術開発を着実に実施すること。
さらに、統合イノベーション戦略推進会議等の政府全体の動向を踏まえまして、環境分野の研究・技術開発、実証、実装を戦略的に実施していくこととしてございます。
こちらを受けまして、次ページにて推進戦略の策定プロセスについて具体的にご説明させていただきます。
まず2ページ、こちらを説明いたします。まず、左上に記載の現行の環境研究・環境技術開発の推進戦略になります。こちらは、第五次の環境基本計画並びに第五期の科学技術基本計画を受けて策定されたものになります。
下に行きまして、これについて、まず下部に記載の推進戦略のフォローアップ及び推進費等の振り返りを実施してございます。令和4年に実施してございます。この中の結果報告の一例を記載してございますけれども、例えば、環境研究における共通的課題としまして、重点課題に設定をしております統合領域では、国際・国内の課題に統合的に取り組む研究ですとか、各領域にまたがるような研究提案が排除されないような配慮が必要といった提言がなされております。
他方で、紙面右側になりますけれども、最新の動向・新規知見の取り込みとして、以下のことを実施してございます。
一つ目は、最新の上位計画の踏襲でございまして、こちらは先ほども述べました現在審議中の第六次環境基本計画ですとか、令和3年3月に閣議決定されております第六期の科学技術・イノベーション基本計画、これらの内容を踏まえることとなります。
二つ目としまして、令和6年2月に中央環境審議会の総合政策部会に付議いただきましたことを受けまして、以下のことを実施してございます。具体的には、今回の専門委員会の委員でもあります外部有識者12名の方々、並びに右にあります関係機関の方にヒアリングを行ってございます。
さらには、外部機関として、国際関係についてIGES、スタートアップ支援等につきましてCIC Japan合同会社様、さらに、科学技術の推進戦略等についてCRDS様にも意見ヒアリングを行っております。
これらを受けまして、今回、本専門委員会にて新たな環境研究・技術開発の推進戦略を審議いただきたいというふうに思ってございます。次のページお願いいたします。
3ページ目で、この推進戦略の方針や内容について、4ページ目と併せてご説明いたします。
まず、このページでは最新の上位計画の内容を受けた位置づけについてになります。左側が六次の環境基本計画ですけれども、ここにあります目的、方針を受けまして、環境・経済・社会の課題を統合的に解決するような横断的な六つの戦略が示されておりますが、この中で特に5番目の新たな成長を支える科学技術・イノベーションの開発・実証と社会実装の項目であるこれらの中身、記載内容を踏まえてまいります。
また中央の第六期科学技術・イノベーション基本計画については、具体的に実行計画として位置づけられております年次戦略である統合イノベーション戦略2023の内容を踏まえてまいります。ここでは特に科学技術・イノベーション政策の三つの基軸として、先端技術の戦略的な推進ですとか、知の基盤、イノベーション・エコシステムの形成などが示されております。
これを受けまして一番右側にありますけれども、今回の戦略としましては以下の二つを軸に進めてまいります。
一つは、科学的知見に基づく基盤となるような研究開発等の推進です。ここでいう科学技術的知見につきましては、自然科学のみならず、人文・社会科学の分野を広く含むというふうに解釈してございます。
二つ目として、新たな成長を支える環境技術等の開発・実証と社会実装になります。
次ページにて具体的な構造とポイントについてお示しいたします。4ページ目をお願いいたします。
左側に先ほどご説明しました推進戦略のフォローアップですとか、最新動向、知見の取り込み、それから本推進戦略の軸について示しております。
これらを踏まえまして、右側に新たな推進戦略の概要と構造(案)を示しました。基本的な4章の構造としましては、現行の推進戦略を踏襲しており、第1章で環境をめぐる政策動向や社会の現況を、さらに第2章で目指すべき社会像と環境分野の研究・技術の在り方として、中長期的に目指すべき社会像や、環境分野で具体的に行っていく国及び各主体の役割と施策展開等について触れ、これらを受けまして、3章で重点的に取り組むべき環境分野の研究・技術開発及び社会実装に係る課題を設定いたしまして、4章で課題解決に向けた施策展開の方策を提示するということになってございます。
この中で、具体的にさきの背景を踏まえまして重点課題の設定でありますとか、第4章での環境スタートアップの支援の在り方、また、国際標準化の推進の方策、それから、国立環境研究所の役割強化として実施してまいりたいと考えております環境研究の共創拠点構想などを柱として方策を示してまいりたいというふうに思います。
これらの具体的な内容については、この後の資料1-2でご説明したいというふうに思います。
資料1-1の説明としては以上になります。
【森委員長】 どうもありがとうございます。
それでは、この資料1-1につきまして、委員の皆様からご質問、ご意見をいただければと思います。
意見交換に入るに当たりまして、ご発言を希望される場合には、会場参加の皆様には名札を立てて発言の意思表示をお願いいたします。またWeb参加の委員の皆様はご自身の名前横にある挙手アイコンを押すか、またはチャット機能で発言の希望がある旨、お知らせいただきたいと思います。私から指名をさせていただきますが、指名を受けましたら、マイクをオンにしてご発言を頂戴したいと思います。
それでは、いかがでございましょうか。この資料1-1につきまして、基本方針が今ご説明いただきました。いかがでございましょう。
どなたからでも結構でございますが、この資料には幾つも重要なキーワードが強調されております。例えば人材育成という観点、それから学際性、人文科学・社会科学と自然科学などの統合化、広範囲な統合化、それから、そのような統合的視点から取り組む研究の重要さ、このようにこれまで度々指摘されておりました重要な課題、キーワードがこの中には盛り込まれていると思いますし、さらに出口としてイノベーションエコシステムの形成という出口まで、この中には明記されております。さらに、このほかに何かお気づきの点、ご質問等がございましたら、よろしくお願い申し上げます。
特に世の中の状況はどんどん変わってきて、不確実性が非常に高くなっておりますのでそのような基本的な流れと、さらに不確実的な、不確実性のある事象に対して対応できるような、この環境研究・環境技術開発の推進戦略の在り方につきまして、いろいろとご提言をいただければと思う次第です。どうぞ、いかがでございましょうか。
では、竹ケ原様、お願いいたします。
【竹ケ原委員】 口火を切らせていただきます。
今、委員長がおっしゃられたとおり、私は本来、こういう分野が畑違いの人間なんですが、今回加えていただいていることが、まさに学際といいますか、人文・社会科学も含めた統合的なアプローチが必要であることと、実装を重視されていること、の現れと理解しました。
その観点から申せば、第六次基本計画の議論には参加させていただいており、そこで議論された新しい方向性をこの推進戦略の中にきちんと組み込んでいただいていると感じます。
特に、この後、各論の議論になると思いますが、では実際に学際的に人文・社会科学の知見をどうやって研究開発の分野に接続していくかとなると、一見縁遠く聞こえるかもしれませんが、金融をどう組み込んでいくかは大事な視点だと思ってます。
今、多くの金融機関は、いわゆる気候テックなど環境分野のスタートアップの可能性に着目をしつつ、実は技術がなかなか理解できなくて、実際の投融資に結び付けるのに苦労しています。力のある銀行は、自前でエンジニアリングのバックグラウンドを持った人材を集めて、自分で評価するなど独自の取り組みを進めていますが、そうでない金融機関もたくさんあり、むしろ地域におけるイノベーションの社会実装を考えると、そういう金融関係者をどう巻き込むかという話が重要になってくるような気がいたします。
その意味で、ここで書いていただいているようなイノベーションの開発・実証と社会実装、これをどう進めていくのか、各論としてのスタートアップの支援、こういう章立てを作っていただきますと、金融という要素をうまくビルトインできるかなと思いました。単なる感想です。
以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
非常に重要なご指摘と思います。IPCCでもファイナンスに関しましては、特に章を設けたりして非常に注目が高まっております。ぜひとも、実装に当たっては、このファイナンス、資金的な裏づけを一体どこから持ってくるんだという議論、これも研究テーマとして非常に大きな課題になりますし、制度だとか、いろいろな技術と制度、また、様々なインセンティブなど、いろんなものが絡んでまいりますので、ぜひともそこはきちんと重要性が含まれることを期待したいと思います。ありがとうございました。
ほかに何か、ほかにいかがでございましょうか。
浅見様ですね。では、浅見様、お願いいたします。
【浅見委員】 ありがとうございます。詳細なご説明をいただきまして、非常に大きな話に参加させていただきまして光栄に存じております。
今もお話がございましたが、今回のポイントの一つが社会実装が非常に重要だというのは、同意をいたすところです。
3ページのところを中心に拝見させていただいており、第六次の環境基本計画の中でも特にイノベーションが、今回の委員会のミッションとお伺いをしておりますのと、あと、科学技術・イノベーション基本計画で出口としてイノベーションエコシステムの形成がありますので、これをさらに組み入れ、どうやって実現するかが推進戦略に関わってくるのかと思います。
今も竹ケ原委員からご指摘がございましたが、経済もそうですし、私どものところは特に安全確保に近い分野で、地方行政がどのようにこういった施策を組み入れていくことができるのかが非常に重要だと思っており、地方行政の方々が取り入れやすい仕組みや、知見を分かりやすく伝えていただけることと、あと、もう一つ、モニタリングというのがございまして、環境のデータや、水道のデータですとか、今度、水道が移管になって、人々の直接飲まれるところにも関わるということもございますので、そういったデータをちゃんと収集をして、フィードバックをかけるというところのサイクルがうまく回るようにできるといいと思っております。
その中でもウェルビーイングも関しまして、いろんなところで触れられておりますけれども、この実際の中身のところで安全な生活というところも変わりなく重要だと思いますので、そういった点を意識して引き続きつなげていただければと思います。
よろしくお願いいたします。
【森委員長】 ありがとうございます。
地域での実装となった場合の地方行政との関わり、ウェルビーイングとの関係、ここで、一番目的とするものは何かという点で、これを実現するにはどうすればいいか、非常に重要なことをご指摘かと思います。
これは、今の意見のご指摘、ちょっとメモしておかなければなりません。
ほかにいかがでございましょうか。
どうしても範囲が広くなってくることに重要性が指摘されますが、同時に個別課題を深掘りすると申しますか、どのような技術が今後も望まれているかとか、あるいは、現行どういう課題があるかという点についても、各委員の皆様からご知見を何か賜ればと思いますが、何か重要な点はございませんでしょうか。
強調されたい点があれば、よろしくお願いいたします。
では、古米様、お願いいたします。
【古米委員】 古米です。せっかくの機会ですので。
全体像についても説明をいただいて、要は環境の課題に対して、要は新しい技術なり、あるいは研究調査結果が出てきて、社会に実際に貢献できるところがポイントだということで、実際に環境研究総合推進費の中でも、そういった実務にたけた方が参画されているとか、あるいは、フォローアップをして、実際にどれだけ実践されているのかということは行われていると思うんですけれども、やはり、4章のところにあるように、国立環境研究所が中核になりながら、共創拠点なんだけども、実際は現場でやっていることが多いので、企業なり、あるいは、地方自治体みたいなものがサブ拠点ではないんでしょうけれども、ネットワーク化しておかないと、頭はしっかりやっているんだけども、じゃあ実際に実践しようといったときに、なかなかうまくレビューが反映されないままのケースも今後起き得るのではないかなと思いますので、そういった、要は、環境問題を扱う、あるいは研究開発するグループのコラボレーションというんですかね。さらに言うならば、共創なんでしょうけれども、そのネットワーキングを支援するようなことも含めて、ただ研究をして成果を出して実装するのではなくて、それをうまくつなげるような支援組織というんですかね、そういったものも加わると、今回の研究の戦略の中で実際、実装する上に役立つのではないかなと思います。
以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
これもあくまで研究と申しながら、最終的には現場に生かさなければならないので、その実装の手段も含めて在り方を考えるべきであるという、非常に重要なご指摘かと思います。
では、秋澤委員、お願いいたします。
【秋澤委員】 ご説明、ありがとうございました。
冒頭、委員長も触れられましたけれども、人材育成という点でいろんなフェーズがあると理解しております。
今回、イノベーションを強調されておりますが、イノベーションを生み出すような人材育成もありますけれど、先ほどのご意見とも関係しますが、社会実装という意味でいきますと、イノベーティブな技術を現場に下ろして活用していく、そういうスキルを持った人材というのがやっぱり必要だと思っています。それは、民間の場合もあるかと思いますが、地方行政を担う自治体の方も含めて、現場で実際に動かしていく人材育成、そういう観点も重要かなと思っております。
以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
これも最初の竹ケ原委員のご指摘とも重なる話でございまして、実装のためには間を結ぶ人間が必要で、これをどうやって育てていくかと。答えはすぐに出るわけではないかと思いますが、重要課題としてこの政策の方針の中に反映されていって育っていけばいいかなという、育てなければいけないということですね。ありがとうございます。
では、伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】 この位置づけの構造は、構造と概要について非常にきれいに整理されていて、何かを付け加えるところはないかなと思っていたのですが、今のいろいろな議論のほうでは社会実装という部分が強めに出ております。けれども、例えば経済とかに活かすなど、そういうものを社会実装して使った先の国際的な競争力ということを考えると、先端的な科学技術の部分をどのぐらい強くプッシュできるかというところも、やっぱりここは見過ごすことはできない。という形で、両輪で。難しいということは私どもも経験で分かっているのですけれども、先端的なものを推しつつ、さらにそれを地域とかにも使えるような形に実装という方面も推していくという形で。縦と横というのか、そういうところをバランスよく組み合わせていかなくてはいけないのかなと思いましたので、そのあたりのところを申し上げたいと思いました。
以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
先端的なものを追わなければならない、また競争力も必要だということは、これは研究する上では当然のことではあるんですけれども、これも範囲を先端方向と、足許を実装という非常に現場に近い方向の間、それから、両方の分野で研究の方向性が必要という、簡単ではない命題ではありますが、これはやはりうたっておかないと入ってまいりませんので、これも重要課題になってくると。そう言いますと、全てが重要課題ということでございますけども、忘れてはならない方向性なので、これ、ちゃんとメモしておかなきゃなりませんし、この後、研究課題の採択に至る際も、偏りのないような、そういう視点が必要になってくるということかと思います。
では、小野田委員、お願いいたします。
【小野田委員】 ありがとうございます。今ご説明いただいた内容はぜひ進めていただければというところなんですが、ちょっと今画面に出てるスライドで二、三コメントをさせていただきたいと思います。
まず、下のほうに、第4章のところですかね。環境スタートアップという表現があってちょっと私も幾つか関与をさせていただいているんですけれども、その言葉の定義ですよね。どういうものをスタートアップというのか、例えば自然資本とか、そういう話になってくると、結構、他省庁での取組とか、そういったところもリンクしていくので、それはちゃんと連携していただければというところがあるんですが、その辺でどういうものが環境スタートアップなのかというところというのは、少しずつ具現化していくことが望ましいかなというふうに思っています。
あと、2点目は、社会実装の点なんですけども、今、実際、環境省のほうでも、例えば脱炭素先行地域ですとか、そういう地域主導型の取組を支援する施策みたいなところが動いていると思うんですが、ちょっと細かい話は省略しますが、結構、数年前に専門家の間で議論されていて、ある程度、まとまった知見になっているみたいなものが、実は数年たってやっと現場がその重要性に気づいてやろうとしているんですが、そこの課題感が把握されてないということが結構、出会ったり、要は、だから専門家の間なら研究とかでまとまった知見みたいなところから、現場にうまく引き渡されてないみたいなところが幾つか見受けられるところがあるので、そこら辺の、恐らくこれは、先ほど来、発言されている先生方と同じことを別の表現で申し上げているだけなんですが、その地の利点ですよね。その部分をどうやってやっていくかというところは、いろいろ強化が必要かなというふうに思っております。
あと、3点目、最後なんですけども、左上にハイライトしていただいて、学際とか、超学際の研究、これは進めるべきなんですけども、例えば、今まで環境分野をやっていた人がほか分野と連携するという話と、これ、データサイエンスなんかだとイメージしやすいと思うんですけども、もうちょっと情報側をやっていた人が、環境に取り組むみたいなアプローチみたいなところ、両方あると思うんですけども、ちょっと後者のほうのアプローチというのをもう少し本気で考えていかないと、なかなかレベルアップというか、そういう異分野の人の知見をもっと取り込むというところがもっとあったほうが、新しい発想がいろいろ出てくるのではないかなというふうにちょっと感じておりますので、コメントさせていただきました。感想で恐縮です。
私からは以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
研究採択に対してどういう視点でもって、それを拾ってくるかという点で今のご指摘は大変方向性の上で重要なポイントではないかと思います。
恐らく、この環境分野よりも、ほかの例えば生物学だとか、医療関係とか、情報系との接点が増えた部分はたくさんあろうかと思いますので、それを横目で見るというのはまた変ですけれども、これを、そちらのほうの進歩がこちらに反映される必要というものがいっぱい出てくるかと思います。既に天候の予測とか、災害予測だとか、いろんな分野で入っておりますが、これがもっと広がっていく必要がありますし、こちらも、こちらもというのは変ですが、環境研究の側も、現在どこまでできているのかということは理解しなきゃならない点かというふうに思います。
そういう意味でも、この最初にありました分野横断性、ここが重要になるわけでございます。
結局、現場サイド、実装に際しましても、これはある意味ではやはり分野横断性ですけれども、このためには、ある程度、両方の言葉がちゃんと通じなければいけませんし、両方をちゃんと理解をただしているだけでは駄目で、コミュニケーションが取れないといけませんので、それも重要なテーマになろうかと思います。
さて、ほかはいかがでしょうか。
ちょっとこれだけで幾らでも時間がかかってしまいますけれども、またこの後、議題もございますので、一回、次に移りたいと思いますが、その前に、ちょっと事務局から、ただいま各委員のご質問に対して、何かご回答をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
何かご回答、コメントに対して、こんなふうにというようなご意見があれば頂戴できればと思いますが、何かございますでしょうか。
【奥村室長】 環境研究技術室、奥村です。
委員の先生方におかれましては、貴重なご意見を数多くいただきまして、ありがとうございます。
いずれの委員の先生方におかれましても、主には社会実装を具体的に進めるに当たって異分野とどうそこをつなぐか、現場とどうつなぐか、それから、その中で各主体の意見をどう取り込んでいくかというところがポイントというふうに理解をいたしました。
先ほど述べました環境研究の共創拠点構想みたいなものですね。そこが、どう現場の意見を反映して、現場の方々が使いやすいもの、それから、先端の方々ともどうつなぐか、こういったところを意識しながら、どういったアウトプット、アウトカムになるのかということ、ここにどう折り込むかというところをしっかりこの後、議論させていただきながら折り込んでいきたいというふうに思います。
ありがとうございました。
【森委員長】 よろしいでしょうか。
何か追加のご質問、コメントはございませんでしょうか。
では、よろしければ、議題1の後半として、資料1-2と1-3につきまして、続けて事務局よりご説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【永森補佐】 それでは、資料1-2について説明させていただきます。
環境研究・環境技術開発の推進戦略の策定方針と骨子案としておりまして、こちらは先ほど説明いたしました資料1-1をもとに、その構造を基に骨子案を示したものというものとなっています。
1ページのところですけれども、資料の構成といたしましては、各章それぞれの項ごとに策定方針が来ておりまして、その下に骨子の案というところで提示させていただいております。
第1章のところですけれども、環境をめぐる政策動向や社会の状況というところで、過去5年間、環境を取り巻く大きな動向の変化というところを今審議中の第六次環境基本計画であったり、令和3年の科学技術・イノベーション基本計画などを踏まえながら、現況を整理していくということを考えております。
続きまして2ページになりますが、第2章というところで目指すべき社会像と環境分野の研究・技術の在り方というところで2050年頃、中長期的な目指すべき社会像、これを示しまして、それに向けてどう取り組んでいくのかというところの考えを示したいと考えております。
ここでも環境基本計画の案であったり、循環社会形成推進基本計画の案、こちらを参考に社会像を整理していくということを考えております。
全般と領域ごとに分けておりまして、2ページですと例示といたしまして、例えばウェルビーイング/高い生活の質につながる社会経済システムが実現しているとか、そういったものを記載させていただいております。
3ページになります。こちら、領域別というところで、統合領域、気候変動領域、資源循環領域、自然共生領域、安全確保領域、それぞれについて将来の社会像を示したいというふうに考えておりまして、例えば気候変動領域であれば、パリ協定に基づく長期戦略であったり、資源循環領域であれば、今議論されている循環社会形成推進基本計画、こういったものをベースに作っていければなというふうに考えております。現時点で例示をさせていただいております。
続きまして、4ページのところで2章の国と各主体の役割、そういったものを記載しております。
例えば、第六次環境基本計画案に書いてありますが、国は環境価値の高い製品サービスを積極的に選択できるなど、環境に配慮して実践できるよう、専門的な情報や付加価値、環境価値に関する適切な評価を分かりやすく情報提供するなど、こういったものを記載していくことを考えております。
また、その下のポツにありますが、地域課題の解決に向けては、サスティナブル・ファイナンスなど、そういった取組を通じていろいろな主体が取り組む必要があるということを記載させていただいております。
下の(2)につきましては、どういう考え方で施策を展開するかというところ、大きなものを示しておりますが、具体のところについては3章、4章で説明させていただきたいと思っております。
続きまして、3章のところで、今後5年程度で重点的に取り組むべき環境分野の研究・技術開発に関する課題というところで、3章で課題を示して、4章で具体的な方策を示すという構想を考えております。
一つの核となってきますのが、5ページの真ん中のところにあります環境基本計画案でも示されておりますが、競争的資金であります環境研究総合推進費、この役割というものをまず書いております。
5ページの下のほうに実際の重点課題の設定というものを示しておりまして、6ページに今回の推進戦略の一つの柱となってくるのが、競争的資金の推進費の取組ということとなってきますけれども、6ページのところにありますように、重点課題というのを16を案として示させていただいております。こちらは競争的資金の推進費の課題と合致するものとなります。
現行のものとどう変わるかという変更点の案として説明させていただきますと、5のところでグローバルな課題の解決及び国際協調に貢献する研究・技術開発を、新たに仮として入れさせていただいております。
また、15と16のところ、これは事務的なところではあるのですが、行政からの推薦テーマの種類が多いところがありまして、もともと大気と水土壌の一つの項目だったんですけども、15と16に分けて、ガイダンスをそれぞれ丁寧に書くために分けているという形となっております。
続きまして、7ページのところとなりまして、こちら、3章の2と4章の2のところで先端の環境技術等の開発・実証と社会実装のためにどういう研究・技術開発をしていくべきかというところを記載していきたいというふうに考えております。
3章の2では、背景について主に書いておりますので、4章のところで説明を厚めにさせていただきたいというふうに思っております。
続きまして、8ページのところに第3章の国立環境研究所と地域の環境研究拠点というところにおける課題というものを示しております。
こちら、国立環境研究所の役割というところと地環研の役割というところを、現状等を主に現行の推進戦略を基に記載しております。
これを受けてどうするかについては、4章のところで説明させていただきたいと思います。
9ページからは4章という形で具体的な方策をどうするかというところを示してございます。
こちらは、環境研究総合推進費ということで、環境省の競争的資金の効果的な実践というところで、9ページの真ん中のところに記載しておりますのは、各領域の重点課題をどう具体的にやっていくのか、対応していくのかというところをさらに、粒度を細かく示したものとなります。こちらはあくまで案として、それぞれの領域ごとの例示とさせていただいております。
今、総合領域と資源循環領域と、自然共生領域を書いておりますが、気候変動、安全確保についても記載していく案を提示していきたいというふうに、ご意見をいただきながら案を提示していきたいというふうに考えております。
続きまして10ページです。10ページ、11ページは、推進費の効果的な実践というところで推進費の制度の改善というところを示しております。主に競争的研究費制度の改善というところで運用しておりますERCAさんのヒアリングなども踏まえまして記載しております。
どういうことが書いてあるかというところは、具体的に申し上げますと11ページになってくるんですけれども、運営体制の強化というところと、あと、人材育成という話が先ほどもございましたが、下のところで若手研究者の育成支援を書いていければというふうに考えております。
続きまして、12ページのところで第4章の2で科学技術・イノベーションの開発・実証と社会実装の方策というところで、ここでは最先端の環境技術等の開発・実証と社会実装を進めていくためにどうやっていくのかというところを示していければなというふうに考えております。
一つ目のポツのところで環境研究、環境技術開発を通じて地域・社会にどうやって役に立っていくのかという、こういった観点での環境研究・技術開発に関する具体的な方策、例えば、窒化ガリウムの新材料、地域のモビリティ、再エネ水素のサプライチェーンであったり、フェーズフリーの技術等、地域課題解決にも資する技術開発と社会実装により、地域の方々であったり、人々の生活の豊かさに向けたようなものを書いていくというのが一つの案としてあるのかなというふうに考えております。
また、その具体的なツールとして真ん中辺りに書いておりますが、環境スタートアップの支援の方向というところで、環境スタートアップを進めていくというのが一つの方向性としてあるのかなというふうに考えております。
これまで環境省での環境スタートアップ支援を実施しておりますが、フェーズフリー技術への貢献というのが実績としてありまして、例えば能登被災地で避難している住民の方々の生活を支えた、スタートアップ企業というのもございます。こういったフェーズフリーへ貢献をする企業様の実績も踏まえながら、方向性を書くのも一つの案としてあるのかなというふうに考えております。
また、こういった科学技術・イノベーション開発・実証と社会実装を進めていく上で国際標準化の推進というところを下のほうに記載しております。
我が国が、優位な専門性を生かしていくと、技術であったり研究であったり仕組みであったり、そういったものを国際ルールづくりに主導的に入っていき、この研究・技術開発、社会実装、データを含めた強みある分野をさらに展開していくというところを記載しております。
もう少し具体的な内容といたしましては、例えばパリ協定6条市場メカニズムについて二国間クレジット制度、JCMという仕組みを世界に展開して、日本政府がこの市場メカニズムのルールづくりを主導してきたという実績があります。
また、EUのELV規則案対応というところで省庁横断の内閣府SIPによる取組、そういったものをここで記載していきながら方向性を、ご意見をいただきながら書いていくのかなというふうに考えております。
続きまして、13ページになります。こちらは、先ほどから紹介がありましたけれども、国立環境研究所の役割強化というところで、これの具体的な方策というふうに示しております。
策定方針のところにありますけれども、環境研究・環境技術開発の情報基盤を確立するための構想について示していければというふうに考えております。
(1)のところにありますように、環境研究のハブとしての役割を果たしていくというところであったり、その下にありますように、外部による環境データの利用を支援・促進していくというところで、こちらは科学技術・イノベーション基本戦略の文脈にも沿った内容かと思います。
このように地域の方々であったり、企業・自治体様がデータを豊富に使えるというものとして一つの目的としても考えられるかというふうに考えております。
14ページですけれども、こちらは、国立環境研究所の関係に引き続きなりますけれども、社会実装につながる研究開発の推進と、外部機関との研究開発成果のアウトリーチであったり、国際的な連携の推進というものを記載しております。
15ページになりますが、こちらは地域の環境研究拠点の連携強化というところになります。地域の多様な主体が参画した研究活動というのが進められ、地域の取組の連携強化のきっかけになるのではないかというふうに考えております。
あと、フォローアップの実施ということで本戦略のフォローアップを行うということを記載しております。
ということで、方策については、柱となってくるのは推進費を使った重点課題への取組というところが一つ。二つ目といたしましては、イノベーション・環境技術の開発・実証と社会実装のためにどういうことをしていくかというところで、環境スタートアップ支援と国際標準化というところが軸になっていくのではないかと。三つ目といたしましては、国立環境研究所の環境情報の基盤整備、そのデータをさまざまなかたに使っていただくための仕組みというところになってくるのではないかということで案をお示しさせていただきました。
以上となります。
【相澤補佐】 それでは、続きまして、そのまま資料1-3について、相澤よりご説明せさせていただきます。
資料1-3につきましては、A4縦ですね。こちら、環境研究総合推進費の実施概要についてご説明いたします。
まず、環境研究総合推進費、こちらは環境省所管の競争的研究費でございまして、配分業務自体は独立行政法人の環境再生保全機構が実施しております。
研究開発により、環境政策の推進に寄与するというところを目的としておりまして、環境政策貢献型の競争的研究費という特徴がございます。
こちらの資料では、まずは、新規課題の公募の応募数、採択数、それから予算の規模感などをちょっと知っていただきたいという趣旨でご説明してまいります。
まず、一つ目に過去5年間の応募・採択状況でございますが、こちら、5年間といいますのは令和元年に策定された推進戦略に基づいて実施された5年間ということでございます。
令和2年~令和6年までお示ししておりますが、表の白いところの1行目、申請件数としましてはおよそ300件超のところを申請いただいております。採択の件数としては、大体50~60件程度、採択率としては20%弱となっております。こちら、いろんな課題の区分がありますが、それを全てひっくるめたものでございまして、内訳としましては、その下の段になりまして、問題対応型研究などといいまして、少し予算規模の大きいもの、4,000万円~2,000万円程度というところのものがございます。そこが採択率としましては、倍率としましては大体6~8倍程度の倍率で採択をしております。
それとは別に、若手研究者向けの枠がございまして、こちらの採択率は大体3割程度の採択率で実施しております。
次に、下の段の(2)のところに戦略的研究開発というものの応募・採択状況を示しておりますが、こちらは、先ほどお示ししました表はボトムアップ型の研究提案をいただいて実施するものなんですけど、こちらは、環境省がこういった内容をすることが必要だということをトップダウン的にテーマを提示して実施するものでして、採択の状況としましては、それぞれこの表にお示ししたとおりでございます。
めくっていただきまして2ページ目、こちらが、研究課題の実施状況をこの後ご説明していきます。
まず(1)としまして、各年度の制度としての予算の規模感を円グラフでお示ししております。こちら、年度が新しいものから、後ろに行くほど古いものになっていっております。
令和6年度はまだちょっと集計ができておりませんので、令和5年度が最新情報として載せておりますが、円グラフの一番左ですね。こちらが各領域ごとの予算を示した円グラフですけれども、総額としては、毎年50億弱、大体48億円程度で実施をしております。
3ページ目の真ん中から実際に実施している研究の事例を毎年作成しておりますパンフレットからピックアップして載せております。今回、個別にこの資料のご説明はしませんが、こういったものを実施しておりますという事例として、各領域1課題を目安に載せさせていただいております。
6ページに少し飛んでいただきまして、6ページには、各研究課題から出されたプレスリリースを研究成果の事例紹介として載せさせていただいております。こちらもページ6、ページ7と載せております。こちらも個別の説明は割愛いたしますが、こういった内容がプレスリリースされております。
最後のページです。8ページ目です。こちらが、各重点課題ごとに出される環境省から提示している行政要請研究テーマの数を令和2年~6年の5年間分をカウントしまして、各重点課題ごとに棒グラフにしたものです。
行政要請研究テーマ、複数の重点課題に関連するものは、そこはダブルカウントしてこちら、お示ししております。
統合領域の重点課題、気候変動領域の重点課題、資源循環領域、自然共生領域、安全確保領域と示しておりますが、ご覧いただきますように、一番下の安全確保領域の重点課題16のところの行政要請研究テーマがかなり多く出ているという状況でございます。これは事実としてこういったところがありますというご紹介でございました。
資料1-3としては以上でございます。
【森委員長】 ありがとうございます。
それでは、ただいまご紹介いただきました、ご説明いただきました環境研究・環境技術開発の推進戦略の策定につきまして、後半の二つの資料、これにつきましてご意見、ご質問をいただければと思います。先ほどの1-1の戦略からだんだん詳細な策につきましてのご説明をいただきました。
では、意見交換に入りますので、ご発言を希望される方は、会場参加の委員の方は名札を立て、Web参加の委員の皆様は、挙手アイコンを押していただくか、チャット機能で発言のご希望の旨、こちらにお知らせください。
それではいかがでございましょうか。
かなり具体的なお話をいただきました。
では、竹ケ原様、お願いいたします。
【竹ケ原委員】 専門家でないほうが手を挙げやすいと思うので、最初に立てつけについて教えていただきたいと思います。
4ページで、この戦略は、環境分野における研究・技術開発の大きな方向性を示すんだということで位置づけられているんです。先ほど伊藤委員のご指摘にあったように、先端分野の基礎研究も含めて置いていかれないようにやっていくという分野の話と、割と実装を意識してやっていく部分、先ほど古米先生が言われたネットワークの強化も含めて、そういうことをやっていく分野の話と、大きく分けると二つのテーマがあると思います。
そうすると、あまたある技術分野の中で、この分野は前者で、この分野は後者といった仕分け、すなわち、日本が強くて実装に近いところにある分野だから、ここは重点的に実装をやっていこうとか、ここは、実は弱いんだけれども、先端から取り残されちゃうと厳しいので、歯を食いしばってでもやっていこうみたいな話、分かれると思います。これは、技術そのものの仕分けの話ですが、今回は、統合領域から気候、資源、自然、安全と、まず分野論での整理が重視されています。
恐らく、分野毎に今申し上げたような二つを選んでいく際に、基礎研究で歯を食いしばって頑張っていく領域と、実装を頑張る領域に分けたときに、国環研や今ご説明いただいた予算の役割分担というものはどう考えればよいでしょうか。の辺が若干見えにくかったように感じましたので、後でどういう感じで考えていらっしゃるのか、教えていただければなということであります。
以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
これは、何かすぐご回答といいますか、何かレスポンス、コメントなど、ございますでしょうか。
【奥村室長】 まず、最初に、先生、コメントをいただきましてありがとうございます。
まず、それぞれの5個の領域がありますし、例えば気候変動とか資源循環と、それぞれの中に、またそれぞれの分野があって、まず、もしそういったところを突き詰めていくとそれぞれの分類の中でそれぞれ類型化していく必要がちょっとあるという部分はあるかと思います。それの中で先端で強い部分というところと、実装をフォーカスしていくかというところがあるかと思いますので、そこはもう少しご意見をいただきながら、書き得るところと、もちろん、どういうふうに書いていくかというところもありますけれども、そこはご相談させていただくといいましょうか、委員の先生方とか、いろいろコメントをいただきながら、整理できるところを整理していきたいというふうに考えております。
【竹ケ原委員】 資料を拝見していての思い付きで恐縮ですが、例えば、タイヤの磨耗の粉じんのご研究があって、すごく良い基礎研究だなと思うのと同時に、今後EV化が進展して車重が増え、恐らくこの粉塵が増えてくるとすると、脱炭素化で電動モビリティにシフトしていくことに伴う汚染の管理という環境政策の話にも結びついてきます。基礎研究であると同時に実装の話にも近いテーマ設定だと感じました
そういう切り口を沢山持っていらっしゃるので、仮にこれを国環研が担うとしたら、実際にどういう感じで関与をされるのかとか、国環研がそこの粒子の挙動を分析されたとして、その成果を個々の自治体レベルの環境政策に反映するにあたって、誰がどう動くのかとか、その辺の話までこの戦略で扱われるのか、そうじゃなくて、基本的にはまず大きな方向性と役割分担、技術の仕分けといったフレームワークを示すことに力点があるのか、この辺の理解が追いついてなくて、申し訳ないですが、コメントさせていただいたという趣旨です。
【森委員長】 何かレスポンスはございますか。
これは、私もこういういろんな研究の審査とかアドバイザリーなんかに入りますと、個別の課題ごとにいろいろと重点の置き方が違っていたり、もっとそのためにアウトリーチの際にさきの行政に関わるところまでご発言をというか、提言をいただきたいというようなこともいろいろとあろうかと思います。ですから、今のご指摘は、個別の研究テーマというよりも、その研究計画の策定に関しまして、そういう実装段階をどの程度、実施者が意識しておられるかというところを、ちゃんと書いてもらえるかどうかというあたりが鍵になるかなという気もいたします。
【竹ケ原委員】 私の属性ですと、つい実装のほうに関心が向かってしまい、、先ほど伊藤委員がおっしゃったように、本来、研究という領域でもっと頑張らなきゃいけない話が、どうも劣後になってしまう傾向があります。
恐らくそういう意図で作ってらっしゃらないんだとすると、今回、重点として挙がったような国環研と予算でありますけど、これ、もう両方やるという前提なんでしょうけど、少し。
【森委員長】 そうですね。何かあるとよろしいですね。
【竹ケ原委員】 ええ。めり張りをつけてもいいのかなと思ったということです。
【森委員長】 はい。どうぞ、古米さん、お願いします。
【古米委員】 古米です。
今日の資料1-3で、毎年50億円が環境研究総合推進費の枠として確保されていることがわかります。じゃあ50億円でいいのかを改めて考えようとした途端に、文科省の予算枠でもいわゆるサイエンティフィックな環境研究もやっているし、JST予算枠もある。さらにはNEDO枠であれば、エネルギー関連の実装を意識した研究をやっている。
改めて、環境研究・環境技術開発に、我が国においてどれぐらいの研究費が使われていて、どういう分野でどういう投資がなされているのか。その枠組みがわかった上で、じゃあ環境省枠が50億円でいいのか。60か70億円などもっと必要なのかどうかは分かりませんけれども、年50億円、5年間250億円で、どこまで進めていくのかというと、私の感覚では、やはり環境省行政の中で、将来に向けた課題に対していち早く手をつけておかないといけないテーマとか、現在問題になっていることに対処するためにすぐに実践に移したいというテーマに重点があると考えています。かなり社会実装を意識した、問題解決オリエンテッドのテーマです。また、5年先、10年先に向けて、先端技術の開発やイノベーティブな研究の枠も必要で、実際選ばれているものもあると思うんですよね。戦略研究も含めてそうだと思いますけども、何か50億円ですよという話じゃなくて、もう少し環境研究・環境技術開発の全体像がこうで、じゃあ環境省としては戦略的にこの50億円、5年250億円をこう使っていきたいんだというのを示しておくことは大事なのかなと感じました。
【森委員長】 今のご指摘は、研究者としては全くそのとおりだというふうに思います。
そもそも環境政策は一省庁だけの管轄問題じゃないということが、大きな問題、ご提案になるかと思うんですね。
浅見様から挙手をいただいておりますので、まず浅見様のお話を伺いたいと思いますが。
【浅見委員】 すみません、ありがとうございます。
今の先生方のご議論、本当に重要だと思いまして、こういった研究をどのように生かしていくのかというところも踏まえて、議論を行うというのは非常に重要と思っております。
もっと狭い話で恐縮なんですけれども、資料2のページ6のところで、各分野の課題を出していただいたのですが、ここでざっくりというところでは思うんですけれども、ちょっと幾つか表現で変わったところがあるなと思いますのが、特に安全確保のところでございまして、環境改善のための対策技術の高度化というのがここに入っていて、ちょっとほかにはあまりないのかなと思うんですけれども、環境の対策というのは必ずしも高度化するだけではなくて、安価なものですとか、ちゃんと入りやすいものとか、そういったものというのも、多分、全般的なところも入るかなと思いますので、そういうことが分かるような表現にしていただいたほうがいいのではないかなと思ったところでございます。
それから、12ページのところで、全体的な施策につなげていくところですけれども、太陽光発電ですとか、風力発電ですとか、今、ネット・ゼロのためにいろいろなことが行われておりますが、それの環境への負荷ですとか、実際どういったところにはどういったものを入れればいいのかというような具体的な提案を、地方行政のレベルでどうすればいいんだろうと悩まれているところが多いと思いますので、そういう悩みに寄り添っていただけるような展開の仕方というのを考えていけるといいと思いました。
それは、国環研なのか、それとも別の機会にそういった通訳的なところが入るのかと思いますが、ご研究を生かしていくところをうまくつなげていただけるといいと思いました。
それは、1-3の資料におきましても、行政の施策と関連したところ等が入ると思うんですが、一番最後のページ8のところで、私どものほうで関与をさせていただいたので見ますと、安全確保領域、すごく行政の要請が多くて、ほとんど、その中での採択がかなわないものが結構あったというような状況かと思います。今回、課題の記述をする際、行政のニーズが高いものに関しては環境推進として本質的な部分だと思いますので、ぜひ採択ができるように評価の点数のつけ方や、やり方というところも踏まえて考えながら、行政に生かしていただけるような課題が優先できる形を考えていただければと思っております。
以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
採択の方針に関して大変に重要なご指摘をいただいたかと思います。この最初の高度化だけでなくて普及は大事だということはそのとおりかと思います。
これを私の知っている範囲でいきますと、環境浄化のための貴金属を用いた高度な触媒がだんだん安くなってくるとか、非金属でもできるようになるとか、こういう話になってくると普及のほうに役立つんですが、材料開発は大変な手間がかかって、まさに基礎研究になるわけで、そのようなテーマはたくさんほかにもあるかと思います。
そういう意味では、採択の際に目的は普及であっても、それは高度な基礎研究の裏づけがあって初めてできるというものはたくさんあろうかと思いますので、またそれはほかの分野、ほかの省庁での開発成果を活用させていただくというのは、そういう視点が評価の中に取り入れられていくことが重要ポイントになろうかと思います。
そのような採択方針に関しましては、まだ今回の推進戦略策定方針の中では、そういうような課題が拾えるようにすることという、そういう文言になりましょうか。ちょっと何か。
【永森補佐】 資料1-2の10ページのところの最初のポツのところで行政ニーズで喫緊性があるものであったり、そういった緊急性を有するものについての採択に一種優先度を高く扱うことは考えられるというところを案として示させていただいております。
【森委員長】 補足のコメント等は、浅見先生、ございますか。
【浅見委員】 すみません、ありがとうございます。
このように書いていただいて、これだと、また物すごく喫緊のものという感じもするところもございますけれども、できるだけ、環境推進なので、ほかの科学的な科研費等と性質が違うところをもっと読み取っていただけるように記述いただきたいと思います。ありがとうございます。
【森委員長】 ありがとうございます。
ほかにご意見とかコメント、ございませんでしょうか。
秋澤委員、挙手をいただいております。お願いいたします。
【秋澤委員】 ありがとうございます。
6点目のところなんですけれど、領域別に重点課題が挙げられてまして、冒頭、領域をまたがる、そういう研究を妨げないというようなご説明がありましたけれど、私、エネルギーの分野なんですが、エネルギーと廃棄物の燃焼熱とか、そういうものの利用というのは非常に密接に関係がありまして、どっちにも関わるようなまさにテーマになっています。
再生可能エネルギーの利用も、まさにいろいろな多面的な価値を持っているものをいかにうまく引き出すかというようなところがありますので、妨げないというよりは、より積極的にこういう領域横断的なものをむしろ推進するほうが好ましいのではないかと思いました。
以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
どれも、どの方向も重要性は高いわけで、特に今回は学際性と申しますか、領域間統合ということが割と表に出てきているわけです。そのためには、先ほど申しましたコミュニケーションの取れる言葉が分かる人材育成も鍵になってまいります。
ほかにご意見等はございませんでしょうか。
では、伊藤様、お願いいたします。
【伊藤委員】 資料1-2の12ページの上から二つ目のICTを活用した云々のところですけれども、この、環境問題を自分事化させて自発的な意識変革や行動変容を促進する、は非常に重要なところと思いました。割と埋もれているような感じがしたという部分と、これは、ある意味で言うと、今後の環境分野の研究者を誘導するような教育の部分も含まれると思いますので、もう少し強調してもよいのかなと思います。また、冒頭がICTを活用した情報発信手法となっていますが、発信するだけでなく受けるという、その両方向性があってもよいのかなと思いました。
以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
ICTの活用の在り方については、まだ議論が尽きているわけでありませんし、いろんな可能性が提案されていくのは大変重要かと思います。その辺も書きぶりをもうちょっと強調されていくと確かにいいかと思います。
ちょっと私、1点、今のと少し関わるんですけども、9ページ目のところの、ちょっと気になりましたのが、シナジー創出、トレードオフの回避、トレードオフの回避というのは言葉として分かるんですけども、私として、この関係で一番問題なのは、部分的にいいこと、部分的最適を積み上げても全体最適にならないことがしばしば起こるのが、社会科学の領域でもございますので、その意味では、ここはトレードオフの回避というよりは、合成の誤謬の回避ということのほうが、より本質的な問題ではないかというふうに思います。全体と、それから、部分的な行動がちゃんと整合的にいいものを導くようにする考え方というものが、これまで個別のエンドオブパイプから全体的な効率性に導くには、この合成の誤謬の回避にちゃんとこれは研究テーマで上がってくるということを、私としては望みたいと思っております。
ここは12ページにも関わることでして、今のICTの活用もそういうところがあって、自分だけよければいいということを幾ら追求しても全体はよくならないということがまま起こりますので、それがナッジにしてもICTにしても、何かいい方向に行ければいい。
ただし、なかなかこの部分は、こうすれば全体的にいいものになるという保証はなかなか得られないという、ちょっと難しさもございますですね。
何かこのあたりについて書きぶり、その他、例についてお話、ご意見、コメントはございませんでしょうか。
それから、資料1-3のほうでは様々な研究事例のご紹介もいただきました。大変にここに挙がっているのはどうしてもかなり先端的な分野の研究テーマ、その成果が挙げられております。
どうぞ、お願いいたします。古米様。
【古米委員】 先ほど伊藤委員が言われたICTの活用のところのお話を聞いていて思いついたことを申し上げます。先ほどあったように、データサイエンスやAIをやっている方、要は情報系の先生方を取り込んだ形でブレークスルーする研究が求められているんだけれども、情報系のリーダーのもとに、環境専門の人が集まってやるという枠組みは、今のところあまり発想ができるような状況ではないと思います。ここのイノベーション開発・実証のところで、もう少しデータサイエンスだとか、情報系の方々が環境研究に興味を持っていただけるような書きぶりをしていただくといいのではないかなと思います。
データ駆動型という言葉はありますし、大学でもデータサイエンスの学科ができているとか、そういった人材が日本では求められていることですから、そういう方々と何かうまく積極的に動けるような雰囲気をここに書いていただくと、環境研究をやっている方々も積極的にコラボレーションを考えるのではないかなと思いました。
以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
バイオインフォマティクスとか、既に確立してくるとやりやすくなるわけなんですね。環境のほうでも、そういう何とかインフォマティックスがだんだん確立してくればいいですが、それを待っていたんでは間に合わないことも多分あろうかと思いますので、そのきっかけに、ここでそういうテーマというものも一ついただけるとよろしいかと思います。
また、そうなってまいりますと、非常に地域で個別の課題解決に見えましても、実際には世界のあちこちに適用可能な広がりを持つような研究成果もいろいろ出てこようかということも期待できるかと思います。
このあたりについて、何か強調したいところ、何かほかのご意見をいただけませんでしょうか。
浅見委員、お願いいたします。挙手いただいたと思います。
【浅見委員】 恐縮です。今のご提案に関しまして、やはりインフォメーションをうまく活用して資源循環ですとか、水循環のことを理解していく、またその次の段階に進めていくということは非常に重要と思っております。
Society5.0に関しても触れられていますが、それを本当に具体的にどのように活用するというところは、確かにご指摘のようにバイオインフォマティクスみたいな形ではまだ実現し切れてないかなというふうに感じておりますので、そこの具体的な理想の姿や、何とかインフォマティクスというような名前または、何とかエックスになるのか分かりませんが、循環ですとか、気象ですとか、環境に関連する情報をうまく活用するということは、非常にポテンシャルがあると思いますので、そういったことも入れる方向性があると思いました。
せっかく情報系の先生方もいらっしゃるので、何かそういったのをご提案いただけると入れやすいのかなと思ったところでございました。
ありがとうございます
【森委員長】 ありがとうございます。
そのような意味でいきますと、この1-2の6ページ目のこの分野でいきますと、統合の2番とか、3番、4番、このあたりに情報技術の利活用という言葉をキーワードに入れる手はあるかもしれませんですね。
既にご指摘の中でも、データベースをモニタリングしたデータベースの統合化とか利活用に関する点も上がっておりますので、当然、そこはICTの出番でもありますし、さらにそこから先を見据えた利活用は、このあたりのテーマの中にあってもおかしくないという気がいたします。
そのほか、いかがでございましょうか。様々な可能性をご示唆いただければと思います。
小野田先生、お願いいたします。
【小野田委員】 ありがとうございます。
11ページのところなんですけども、骨子案のポツでいうと三つ目、四つ目あたりのところですかね。特に三つ目なんですけれども、社会実装の一層の強化のため、研究者のインセンティブを高める評価、これ、言いたいことは分かるんですけれども、ちょっとおっしゃりたいことが伝わるかなというのが若干気になっていて、だから、一番最初の文と最後の文を読むと分かるんですけども、要は技術をやっている人がもうちょっと継続性を持った形で支援するメニューが必要だということかと思うんですが、逆に社会実装とか、実用化という言葉を強調しちゃうがために、萎縮させちゃうということもちょっと気をつけなきゃいけないと思うんですね。
むしろ、だから環境分野だからこそ、中長期にやらなきゃいけないというお話、それが基礎研究という言葉で整理されるのか、ちょっといろいろあると思うんですけども、そういう意味で、多分、社会実装という言葉の表現はいろいろ、単純に技術の話じゃなくて、政策的なところも含めますよということは別のところで書いていただいているのでよく読み込めば分かると思うんですけれども、ちょっと社会実装とか、短期で実用化できるというイメージがつながり過ぎちゃうと、ちょっとまたいろんなアイデアを持っている研究者が萎縮しちゃうみたいなところはちょっと避けるというか、配慮するような表現にはしていただいたほうがいいかなというふうに思いました。
ちょっと要約しちゃっているんで、そういうふうに見えちゃったのかもしれませんが、念のため、コメントをさせていただきました。
以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
研究者が萎縮しないというキーワード、かなり実は難しくて、かつ、重要なポイントになってまいりますが、ここは趣旨としては、すぐに成果が出ないから駄目だというような、そういう評価をしちゃいけないと、そういうご趣旨ですよね。技術開発、時間がかかることも承知の、ある程度、評価する側が承知しておかなくちゃいけないと。
ただ、これ、具体的にどのような方法が取れるかについては、まだこの具体策は何か、アイデアようなものは、事務局、環境省としてお持ちでしょうか。
【永森補佐】 ここは、評価の中間評価であったり、最終評価での評価の仕方について、できるかどうかというところかなと思っております。
【森委員長】 この辺がビジネスと研究評価、ちょっと違うところが出てくるんじゃないかと思うんですね。
これは、もうばっさりと割り切ることはなかなか難しいと思いますので、評価に際して、まずはこういう社会実装のために時間がかかる研究テーマに関しての重要さをある程度念頭に置いて評価すること。ただし、無限の時間をかけていいということでもございませんので、そのあたりのバランスは、今後ちゃんと、むしろ評価者のほうが共有しなければいけない課題になりましょうね。
この場ですぐ、こうすればいいという結論が出る課題ではないと思いますが、これ、研究の募集が行われ、採択が行われ、評価が行われるという段階で、この社会実装への取組をどんなふうに意識して行っているかということはフィードバックをしておかなければならないかと思います。
このほかに何かご発言、ご指摘、コメント、ご質問等はございませんでしょうか。
では、このあたりまでで、一旦、ご質問、コメントに関して、何かございましたら。
【竹ケ原委員】 ごめんなさい、もう蛇足。
【森委員長】 いえ、大丈夫です。まだ。
【竹ケ原委員】 7ページのやっぱり4ポツ目、骨子案で書いていただいている点がすごく個人的には重要だなと思っていまして、先ほど古米先生から、やっぱり国環研が中核に置かれるとして、現場とのネットワークをどうやって生かしていくかと、共同ネットワークのサポートが必要だという話があったと思うんですけど、今、地域の金融機関って、本当に2050年カーボンニュートラルに進んでいく中で、自分の取引先のいわゆる大手企業のサプライチェーンの遥か上流に属しているような人たちの将来、事業承継、こういうことをどうするかと、一生懸命考えているんですけど、情報はやっぱりいかにも足りないんです、下流の企業から情報も来ないんで。
仮説されているんですけど、そこでイノベーションの方向はどっちに向かうか、今考えているような水素が本当にこのタイミングで手に入るのか、それともほかの代替の手段があるのか、こういう情報がしっかり入ると、多分、取引先に対しての提案力というかが変わってくると思うんです。
そういう意味で、国環研がいらっしゃって環境研究の共創拠点が整備されて、地域のそういう情報がうまく共有されるようになってくると、そこで得た情報が取引先への提案になっていって、結局、実装を地域の金融機関が、いわゆる産業構造の転換、ジャストトランジションという形で促す形になって、そこでうまくいった、いかないというのがちゃんとフィードバックでもし返ってくるんだとすると、先ほど先生のおっしゃったネットワークの機能というのが、少し末端の地域の金融機関を絡めることで、国環研を発射台としてつながっていくような気がして、そこに示唆されているんで、7ページの4ポツ目というのは、かなり強調してもいいのかなというのが感想としてありました。
以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
地域への実装段階でこの4ポツが主役になることは確かでございますね。
そういう意味で申しますと、間を埋めるものとして、例えばコストエンジニアリングのように、技術の開発から実装の間に、当然コストの問題が入ってまいりますから、そこをきちんと評価できて情報が共有されていくという体制も重要な研究テーマのどこかにあるといいかと思います。
ほか、いかがでしょうか。笠井様ですね。笠井様、何かご意見、ご発言、ございませんでしょうか。
【笠井委員】 笠井でございます。
興味深く、皆さんのご意見を伺っております。いまは発言に慎重になっている状況です。
以上です。
【森委員長】 はい。どうぞ、古米さん。
【古米委員】 今の竹ケ原さんのご発言のところに関連して。正直申し上げて、15ページの第4章の4と5の記述がちょっと弱い感じがします。策定方針も2行ですし、下に書いてある内容も、前回の戦略の内容を踏襲しているだけのようです。したがって、新しく国環研を中心にした環境共創拠点ができることに対応して、国環研と地方の研究拠点をどのようにつないでいくのかということなど、そういうところにしっかり書き込むとよいと思います。今まで議論していたネットワーキングの強化とか、新しい知見の普及だとか、今後の方向性が現場に反映されていくというような情報の提供、場合によっては、地域で把握されている問題が吸い上げられて上部に伝わっていくというような、双方的というんですかね。お互いがインタラクティブな形の拠点を作っていく必要があると思います。そういったことが重要だと、ここに書き込めそうかなと思いましたので発言させていただきます。
以上です。
【森委員長】 ありがとうございます。
このあたりにつきまして、事務局のほうから何かこういう書きぶりはどうかとか、いろいろ工夫の書き方をどういうふうに仕上げていくかについて、何かコメントとか、レスポンスはございますでしょうか。
【永森補佐】 今、古米委員からご指摘いただいたとおり、地域の企業であったり、自治体であったり、研究機関がいろいろ活用できるような情報を提供していくというところが大きな一つの目的となっておりますので、書き込んでいきたいというふうに思っております。
【森委員長】 ありがとうございます。
特に第4章は、研究対象として、また、環境政策・技術を実装するに当たって、ここに重点が入るという、そういうご指摘かというふうに思いますし、具体的にどういう考え方があり得るかということについて、具体的にお書きいただければと思う次第でございます。
ほかに何かご質問、コメント、ございませんでしょうか、ご意見とかですね。
本日、ここまで、この新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略策定について、委員の皆様には示唆に富んだご意見を多数いただくことができました。本日いただいたご意見を踏まえて、今この場で全て反映させるということはちょっとできませんけれども、この後、事務局のほうでこのご意見を踏まえて、必要な修正をしていただき、次回、本文の素案を提示していただくと、そのような流れで進めていくことになるかというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
これを踏まえまして、次、議題2の今後の予定につきまして、事務局からご説明をいただきたいと思います。それでは、今後、これをどう進めていくか、ご説明をお願いいたします。
【奥村室長】 環境省からご説明させていただきます。資料2をご覧ください。
今、森委員長のほうから言及いただきましたけれども、本日、第21回の専門委員会でのご議論内容を踏まえまして、この後、本文の素案というものを作成いたしましてご提示させていただきたいというふうに思います。
これを用いながら、次回、第22回の専門委員会にて、この本文素案の内容を取りまとめ、実施していく、そういった予定にさせていただきます。
また、その後、この取りまとめがなされましたら、パブコメを実施し、その後の専門委員会のほうで報告書として取りまとめていただけたらというふうに存じます。
また、最後、中央環境審議会での答申を踏まえて、大臣決定というふうに進めていければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
概略的なところではございましたが、今後の説明については以上になります。
【森委員長】 ありがとうございます。
次回の専門委員会は、5月末を予定しております。ただ、間にゴールデンウィークが入るんで、そう時間がたくさんあるわけではございませんので、十分に少し前倒しでご検討をいただければと思う次第でございます。
それでは、この予定につきまして何かご質問、コメント等はございますでしょうか。
はい、どうぞ、お願いします。
【古米委員】 古米です。素案取りまとめの後にパブコメがあるようですけれども、パブコメのやり方としては、いわゆるホームページ上に出て、皆さんから受け取るというのが一般的です。今回の場合、例えば、国環研にダイレクトにしっかりとご意見をいただくような、パブコメとは言えないのかも分からないけども。また、アンケートでもないんでしょうけれども、新しく国環研が中核の共創拠点になりますよと、ついては地方で研究調査を担っている地環研に直接にヒアリングするようなこともあるといいのではないかなと思います。作業が増えるので大変だという場合には、何か幾つかの地環研だけ聞くというような簡略化もあってもいいのかなと思います。全てに聞くというのは、また大変でしょうから。人材のそろっている大きな組織の地環研にお聞きすると、面白いかなと思って発言させていただきました。すみません。
【森委員長】 何かご計画はおありでしょうか。
【奥村室長】 古米先生、ありがとうございます。
そうですね。全ての地方といっても、定義が様々ございますし、全ての関係者とのコミュニケーションというところはありますけれども、今ご提案いただきました関係者ヒアリングというような形で、地方の中でも中核的なところにご意見をいただく機会が設けられないかというところは、ちょっと別途、検討させていただきたいというふうに思います。
【古米委員】 ありがとうございます。
【森委員長】 本日はオブザーバーとして幾つかの研究機関の方からもご参加いただいておりますけれども、もしも、ちょっとオブザーバーの皆様、ご意見をいただきたいんですが、もしもパブコメを直接求められたら、応答いただけるかどうか、ちょっとその感触だけでも教えていただけませんでしょうか。
オブザーバーで参加いただいている各機関の皆様、一言で結構ですが、何かありましたらお願いいたします。
では、国環研から、挙手が挙がっているようです。
【国環研】 国立環境研究所の企画部長の東と申します。
今日は、先生方からいろいろ貴重なご意見いただきましてありがとうございました。
最後のほうでご指摘がありました、国環研と環境省で提案している環境研究共創拠点について、地方からの意見も吸い上げるのが有意義だということにつきましては、当然、我々もそう考えておるんですけども、ただ、今、地方の環境研究所というのは体力がしっかりしているところもあれば、体力の弱いところもあるということで、地環研の実情については、先ほどご提案がありましたとおり、幾つか有力なところをターゲットにして、考え方についてヒアリングするのもいいのかなと思っております。
できるだけ、良い推進戦略になるよう、我々も協力したいと思いますので、今後とも引き続き、ご指導、よろしくお願いいたします。
【森委員長】 ありがとうございます。
ほか、よろしいですか。
手が挙がりました。挙手いただいておりますか。IGES様からですね。どうぞ、お願いいたします。
【IGES】 IGESの大塚と申します。戦略マネジメントオフィスでナレッジ・コミュニケーションディレクターをさせていただいております。
本日のご議論、興味深く拝聴させていただきました。いろいろご意見をいただいた、方向性をご議論いただいた中で、世界に伍して日本初のルールメーキングとか、チャレンジしていくというお話がありました。我々が普段から、UNFCCCやCBDのCOPであったり、それから、現在はプラスチックの新しい条約の交渉の現場であったり、そういうところから得ている情報等も今後の研究のほうにしっかり生かして、国内の研究活動に貢献していきたいというふうに考えております。
直接的にお話のあったパブコメと並行してヒアリングということであれば、もちろん私どものほうでもしっかりとご回答させていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【森委員長】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
あと、ERCA様からですか。はい、お願いいたします。
【ERCA】 ERCAの冨永でございます。本日は誠にありがとうございます。
環境研究総合推進費の配分業務を行っております。社会実装につながる研究成果をしっかり上げていくために、配分機関としてこの推進戦略の掲げられている課題を一つ一つ解決してまいりたいというふうに考えております。
引き続きパブコメも含めて、よりよい推進戦略となるよう、協力をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【森委員長】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
挙手は今のところ、ないですね。
それでは、大体様々なご意見をいただきました。
委員の皆様をはじめ、非常に示唆に富むご意見をいただきましたので、これをさらに事務局のほうで合わせて練り上げ、素案から文案への提示にして。次回、お示ししたいというふうに思います。
では、よろしいでしょうか。
それでは、本日の審議事項はこれで全て終了といたします。以上をもちまして本日の審議は終了といたしたいと思います。
事務局から何かご連絡事項はございますでしょうか。
【奥村室長】 ありがとうございます。
委員長をはじめとしまして、皆様、長い時間にわたりご参加いただきましてどうもありがとうございました。
本日の議事録につきましては、事務局のほうで取りまとめを行いまして、委員の皆様にご確認いただきました後に、環境省ホームページに掲載させていただきます。
また、次回の専門委員会でございますが、5月下旬を予定してございます。詳細につきましては、決まり次第、ご連絡をさせていただきます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【森委員長】 では、以上をもちまして、第21回環境研究・技術開発推進戦略専門委員会を終了とさせていただきます。
本日はどうもありがとうございました。