中央環境審議会総合政策部会風力発電に係る環境影響評価制度の 在り方に関する小委員会(第2回)議事録

日時

 令和6年1月16日(火)14:00~16:00

場所

 銀座ユニーク7丁目 N201会議室

議事次第

1.開会

2.議事

  風力発電事業に係る環境影響評価の在り方(一次答申)(案)について

3.閉会

配付資料一覧

【資料】

資料1   「風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(一次答申)(案)」に関する意見の募集(パブリックコメント)の結果について(概要)

資料2-1 【修正(修正履歴有り)】風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(一次答申)(案)

資料2-2 【修正(修正履歴無し)】風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(一次答申)(案)

資料3    現行制度と新たな制度のイメージ図(案)

【参考資料】

参考資料1 中央環境審議会総合政策部会風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会 委員名簿

参考資料2 中央環境審議会総合政策部会風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会(第1回)議事録

参考資料3 「風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(一次答申)(案)」に関する意見の募集(パブリックコメント)の結果について

議事

【環境省(加藤)】皆様、本日は御多忙にもかかわらず御参集いただきまして誠にありがとうございます。私は、本日の事務局を担当する環境省環境影響評価課 環境影響審査室長の加藤と申します。また、会場の報道関係の皆様への御案内となります。冒頭の撮影につきましては、議事を開始するまでの間のみ可能となっておりますので御承知おきください。
本委員会は、対面とオンラインのハイブリッド方式での開催となっており、「環境省大臣官房環境影響評価課チャンネル」にてライブ配信が行われております。加えまして、オンライン参加の皆様に何点か御協力をお願いいたします。御発言をされるとき以外はカメラ及びマイクをオフにしていただきまして、御発言時のみオンにしていただきますことをお願いいたします。御発言を希望される場合には挙手ボタンを押していただければと思います。その際に何か通信トラブル等ございましたら、チャットの欄に御記入いただきまして事務局までその旨お知らせください。
本日は、委員総数の過半数の先生方に御参加をいただいております。定足数の要件を満たしていることから、小委員会として成立していることを御報告申し上げます。なお、御都合により、飯田委員におかれましては御欠席との連絡をいただいております。そして、審議官の堀上につきましては、所用により15時頃からの参加となります。
続いて、お手元の資料の確認をいたします。資料は画面に表示している資料一覧のとおりです。過不足等ございましたら事務局までお知らせください。それでは、会場の報道機関の皆様、冒頭の撮影はここまでといたします。以降は傍聴のみでお願いいたします。
これより先の議事進行につきましては、委員長にお願いしたいと思います。大塚委員長よろしくお願いいたします。
【大塚座長】それでは、始めさせていただきます。本日は、第1回小委員会における委員の皆様からの御意見、パブリックコメントの結果を踏まえて事務局において修正された一次答申案の内容について、改めて委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。ただし、関係省庁における検討状況を踏まえ、EEZにおける適正な環境配慮の確保に関するパートに関しては次回の小委員会で意見をお聞きすることとし、本日はそれ以外の部分についての一定の取りまとめができればと考えております。
それでは、議事に移ります。「風力発電事業に係る環境影響評価の在り方(一次答申)(案)について」事務局から説明をお願いいたします。
【環境省(大倉)】環境影響評価課長の大倉でございます。ただいま大塚委員長からお話があったとおりですが、スケジュール感について簡単に御説明いたします。まず、お手元の答申案です。11月6日の第1回小委員会において御議論していただきましたが、それについて11月9日から12月8日までの30日間パブリックコメントを実施いたしました。そうしたところで、先生方の御意見とパブリックコメントの結果を基に今回の案を提示しております。それから、大塚委員長から説明のあったとおり、EEZにおける環境配慮の部分については関係省庁と足並みをそろえて議論をしていきますので、改めて2月13日の第3回委員会にて御議論をお願いしたいと思います。
それでは、中身の説明に入ります。まず資料1を御覧ください。パブリックコメントの結果でございます。11月9日から12月8日までホームページ等で掲載し御意見をいただいてございます。2ポツにあるように31通116件の御意見をいただいてございます。全部の意見については参考資料3を御参照ください。時間の都合により、こちらでは4ポツ以降より概要を説明いたします。
最初の「Ⅲ.1(1)調査方法書の作成」ですが、2つ目のポツにあるように、「地元の混乱を防ぐため、環境省が開催する説明会において、事業者の選定後に選定事業者が環境影響評価手続を引き継ぐことを明確に伝えてほしい」等の御意見をいただいてございます。
続きまして、「Ⅲ.1(2)環境省による現地調査の実施及び取りまとめ結果の公表」ですが、3つ目、4つ目にあるように、「環境省が実施した現地調査の結果は、事業計画の立案にも必要となるため、可能な限り早く公表してほしい」であるとか、「取りまとめに当たっては、第三者機関による審査が必要ではないか」という御意見をいただきました。この点については、前回の議事にもあった内容と思っております。
続きまして、裏面です。「Ⅲ.2選定事業者による環境影響評価手続」になります。1つ目のポツですが、「環境影響評価手続の一部を適用除外とする趣旨が不明確である」、「環境影響評価図書の制度的な継続公開を検討すべきである」といった御意見をいただいております。
次に、「Ⅲ.3現地調査等の実施に要した費用負担の考え方」ですが、「選定事業者が負担すべきである」、「調査費用が過度なものにならないように留意すべき」といった御意見をいただいております。
次に、「Ⅲ.4環境影響に関するモニタリングの実施」ですが、1つ目、2つ目のポツにあるように、「あらかじめできる限りの環境保全措置を講ずることが重要である」という御意見がある一方、「順応的な取組方法については、過度な取組とならないようにしてほしい」といった御意見もいただきました。
最後のポツでは、「モニタリングに係るガイドラインは、新制度施行までに公表してほしい」というような御意見も頂戴しております。
次に、「Ⅲ.5 EEZにおける適正な環境配慮の確保」ですが、「その方向性を示してほしい」ということでございます。
次に、「Ⅳ.今後の課題」ですが、「モニタリングデータの公開については、事業者が有する著作権や今後検討される費用負担の考え方を踏まえた慎重議論が必要である」といった御意見のほか、「環境省が一元的に管理し、モニタリングデータなどを公開すべきである」という御意見も頂戴しております。
そして「その他」ですが、「分かりやすい手続のフローチャートをつくってほしい」等の御意見を多々いただいてございます。
こういった御意見を踏まえ、お手元の資料2-1を御覧ください。前回の委員の皆様方の御意見及びパブリックコメントの結果を踏まえて修正版を提示しております。資料2-2に修正履歴を反映させたものを作っておりますので両方を見ていただければと思いますが、説明の都合上2-1を用いて御説明いたします。修正箇所として赤字で履歴が残っておりますが御容赦ください。表記の修正等の細かな点もございますが、中身に関わる主な修正点について御説明いたします。
それでは、3ページ目を御覧ください。20行目から33行目にかけて大きく修正してございます。これは経産省、国交省のほうで「促進区域指定のガイドライン」を定めておりますが、それが新しくなったため、その記載内容にそろえて書き直してございます。同じく3ページ目の21行目ですが、奥委員から案件形成のスタートとして「都道府県からの情報提供であることを明記する必要あるのではないか」という御意見をいただいたことを踏まえ、具体的な促進区域の指定のプロセスが都道府県からの情報提供を含む様々な既知情報の収集であることを明記してございます。
続きまして、4ページ目になります。12行目から15行目にかけて修正してございます。勢一委員からの「再エネ海域利用法と関係影響評価法の接続がないことが大きな課題だ」という御意見を踏まえ、それぞれ独立した制度となっているために両制度が並行して適用されることによる複数の課題が生じているといった趣旨を出してございます。
続きまして、6ページ目になります。28行目から29行目になりますが、荒井委員の御意見やアセス協会様、また先ほどのパブリックコメントにおいても「調査報告書の作成に当たって第三者委員会の助言をもらうべきだ」という御示唆をいただいておりました。その点から、調査方法書案の作成等に当たって知見を有する有識者から客観的な助言を求める仕組みの整備する旨について明記してございます。同じく6ページ目の29行目から31行目に当たります。西本委員、原田委員、錦澤委員から「国際的な水準の環境配慮の確保」等について御意見をいただきました。IFC基準のお話も出ていたと思いますが、そういったことを踏まえ、海外において実施されている調査内容や考え方などを参考として国際的な水準の環境配慮を確保できるよう調査報告書を作成する旨について明記いたしました。
続きまして、7ページ目になります。「環境省による現地調査の実施及び取りまとめの結果の公表」に係るところですが、勢一委員から「省庁の所管によって手続が分断されるのではなく、環境調査から促進区域の指定まで一連の手続として制度的に担保されることが重要である」。また、原田委員から「環境配慮のクオリティーの担保の責任主体が誰であるかをきちんとすべきだ」といった御意見がございましたので、現地調査の結果を踏まえて適正な環境配慮を確保するために、環境省が促進区域の指定の際に考慮が必要な事項について選定事業者に求める措置等が示された取りまとめ結果を公表し、それに基づいて一連の手続として促進区域の指定がなされることが分かるように明記してございます。
同じく7ページ目の13行目から15行目ですが、こちらも「第三者機関からの助言、設置が重要だ」という御意見を踏まえ、調査方法書の案の作成時と同様に調査結果の分析及び取りまとめに当たって知見を有する有識者から客観的な助言を求める仕組みを整備する旨を明記いたしました。
少しこのページは多いのですが、続いて、同じく7ページ目の16行目から23行目になります。白山委員、森田委員から「既存データの活用もしっかりすべきではないか」という御意見をいただきました。そのため、現地調査の実施に先立ち、有望区域の選定前の環境配慮に関わる検討では既存文献情報を活用していく旨を明記してございます。
また、7ページ目の23行目から25行目になりますが、有望区域の選定時に実施した環境配慮の検討結果の公表に係るものとして、阿部委員やメインパブリックコメント等々から御意見をいただいてございます。それを踏まえて、有望区域の選定時に環境省が整理した環境配慮の検討結果を調査方法書に記載し公表する旨を明記してございます。同じく27行目ですが、先ほど御紹介したパブリックコメントの意見、「選定事業者による環境影響評価手続の一部を適用除外とする旨が不明確だ」という意見をいただいていましたので、適用除外となる選定事業者の環境影響評価手続とその理由について具体的に明記させていただきました。
続いて、8ページ目になります。阿部委員からの「環境省が実施した調査結果を選定事業者にしっかり引き継ぐことが重要だ」という意見を踏まえ、促進区域の指定の段階と一貫した関係配慮がなされるよう、選定事業者は環境省が実施した現地調査の結果等を考慮して環境影響評価手続を実施する旨を明記させていただきました。同じく8ページ目ですが、下に脚注を大きく書いてございます。白山委員、奥委員、原田委員から「事業廃止時の影響も環境影響評価の対象にすべきではないか」という御意見をいただいていましたので、その必要性について明記いたしました。
続いて、9ページ目になります。2行目から4行目にかけて、環境影響評価図書の継続公開に係る記述を足しております。飯田委員の御意見で「環境影響評価図書の継続公開の目的を明確にすべき」という御意見を踏まえて、後続事業の適正な環境配慮を確保する観点から情報資産としての効果的な活用を期待される旨について明記してございます。
同じく9ページ目の3ポツですが、現地調査等の実施に要した費用負担の考え方として、パブリックコメントからも御意見をいただいておりましたけれども、今回、内閣法制局等も含めた行政内部の整理で、環境省が実施する現地調査はセントラル方式の一環として、ある種、広い意味での洋上風力促進に係る空間計画のようなものという整理をいたしまして、国が促進区域を指定する際に責任を持って適正な環境配慮を確保するために講じる措置だという趣旨と考えてございます。こうした前提を踏まえ、費用負担の考え方を整理する必要がある旨について明記いたしました。
他方、飯田委員やパブリックコメントでの御意見がありましたように、いずれにしても誰が負担しようとも最終的には国民の負担に跳ね返っていきますので、調査費用が過度なものとならないよう調査報告書の作成に当たっては調査内容の必要性及び客観性を担保することが重要である旨について明記してございます。
続いて、11ページ目になります。16行目から21行目に当たりますが、飯田委員から「順応的な取組方法の実施や事業者の予見性を確保することが重要だ」という御意見をいただいておりました。それを踏まえ、環境影響評価手続を通じて必要と考える順応的な取組方法に関する事業者としての考え方を準備書に記載の上、意見聴取手続等を経て評価書においてその内容を決定していくという旨を明記してございます。
続いて、12ページ目になります。先ほども申し上げましたが、「5.EEZにおける適正な環境配慮の確保」に関して足してございます。関係省庁との議論の進捗等を見て、次回において御議論させていただきたいと思います。
続いて、13ページ目になります。6行目から7行目でモニタリングデータの分析による総合的な評価の実施に関するところがございます。荒井委員からの御意見を踏まえ、モニタリングデータを分析し、広域的な影響を含む環境影響に関わる総合的な評価を実施する旨について明記してございます。
最後に、14ページ目になります。6行目から13行目以降ですが、アセス図書の継続公開に係る内容となります。西本委員からの「国際条約の義務を踏まえてアセス図書の継続公開を検討すべきである」といった御意見や、荒井委員、勢一委員、パブリックコメントから、「アセス図書の継続公開の制度化を検討すべき」との御意見を同様にいただいておりましたので、今後の課題として、環境影響評価図書の継続公開の制度化、アセス図書の継続公開の制度化を明記してございます。一応「望ましい」という形にさせていただいております。あくまでも洋上風力に係る答申であり、アセス図書の継続公開となるとアセス制度全体にも関わりますから、若干、答申の責任範囲をはみ出しかねませんので、そのような形で記載しております。
これが修正の中身となりますが、別途、資料3に今の答申の中身を分かりやすくしたイメージ図がございます。領海及び内水の現行制度に関して新たな制度と今の制度との比較図を参考までに書かせていただいてございます。パブリックコメントでの御意見も踏まえ、分かりやすい観点で図式化をしたものです。中身は、委員の先生方も御案内のとおりだと思います。以上、事務局からの説明となります。
【大塚座長】ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの御説明に対する質疑応答に移ります。
まず、本日は欠席であられますが、飯田委員から事前に意見が出されているようですので、事務局からよろしくお願いいたします。
【環境省(加藤)】それでは、飯田委員より事前に書面にて頂戴したコメントを代読させていただきます。
「本日は、委員会の参加がかなわず、文書にてコメントを申し上げること御容赦ください。再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電導入が広がりを見せる中、環境影響評価制度の適切な在り方が検討されることは大変重要で、風力発電事業者をはじめ、関係者の皆様の関心の高い案件であると考えております。ここまでの委員会での各種コメントを検討いただき多くの委員コメントの取りまとめ、一時答申案の作成をありがとうございます。本案につきまして、全体の基本的方向性は賛同いたします。幾つかのコメントを以下のとおり記載させていただきますので、ご査収ください。
新たな制度においては、環境省が調査方法書、現地調査の実施をすること自体は現在複数事業者による手続の混雑を緩和する意味で画期的なことだと賛成いたします。ただし、詳細が定まらない段階での調査となることは不必要な調査も実施される可能性が高いと思われます。実施項目ごとの精査を検討課題としておくべきだと思いました。公募による事業者選定後、環境省が行った現地調査結果により、事業者が準備書、評価書の手続を行うという大枠は理解しますが、調査の内容に不足がないようにしないと手戻りや不十分な環境影響評価になってしまうと思います。事業者にも適切な責任を負っていただくための工夫はどのようにお考えでしょうか。
9ページ目の脚注に撤去廃棄に係る記載がありますが、環境汚染防止法やリサイクル法など各種関連法令があると思いますので、どの法律でカバーするのか、また、それぞれの関係性と矛盾ないよう整理をご検討ください。10ページ目の17行目から19行目、モニタリングと順応的な取組について記載がありますが、かねてより申し上げているとおり、事業者の予見可能性を確保する点と環境省の現地調査内容に依存する部分も多い点を考慮すると追加保全措置については想定される内容を事前に検討、記載しておくことが重要だと思います。どのような運用を考えているのかアイデアがあればご教示ください。
14ページ目、(4)継続公開の制度化について、同意を得られない事業者についての事情も理解できます。目的は図書の公開というよりは2次利用が可能になることだと思いますので、2次利用のルールやガイドラインを整えることが重要だと思います。
最後に、適切な環境配慮がなされ、風力発電事業の予見性が適切に確保されることを強く望みます」。
以上となります。
【大塚座長】ありがとうございました。こちらにつきましては、ほかの委員の方々からの御発言に対する回答とともにお願いできればと思います。
委員の先生方、ほかにいかがでしょうか。関島委員お願いします。
【関島委員】それでは3点ほど質問いたします。まず3ページ目の具体的な促進区域の指定のプロセスです。「経済産業省及び国土交通省は」という書き出しで1から4までの記述が続きますが、1の部分で「都道府県からの情報提供」というのは恐らく案件形成の話だと思いますけれども、その次に続く「様々な既知情報を収集した上で」というのは具体的にどのような既知情報を指しているかが見えてきません。経産省と国土交通省が当該手続に入る際に、都道府県から出される案件形成のほか、どのような情報がそこで参照されるのかといった点を、もう少し具体的に明記されたほうがよいのではないかと思います。また、環境省の介在が、この文章の中には入ってきておりません。これまで再エネ海域利用法とアセス法の整合性に関し議論が進められてきたわけであり、この文章の中にも恐らく環境省の関わりが入るはずですが、どのような理由で記述されていないのでしょうか。
2点目は、7ページになります。「(2)環境省による現地調査の実施及び取りまとめ結果の公表」というセクションですが、中ほどに「なお、環境省による現地調査結果の分析」の書き出しで始まるパラグラフがあり、パブリックコメントの意見等々を参考にしながら、この部分に「有識者への客観的な助言を求める仕組みを整備する」という文章が入っています。環境省の現地調査結果の分析及び取りまとめに関して有識者の助言をいただくというのはよいですが、この後に公募が行われ、環境省が取りまとめた結果を事業者において準備書の作成をしていく手順になります。本来は、事業者がどのように取りまとめ結果を事業計画に反映させていくのかという点に対し、第三者意見が必要になってくると思うのです。今、手続のフロー図が手元にないため分からないのですが、環境省のデータを取りまとめていくところに一旦有識者の意見が入り、さらに、公募の後で準備書が提出された時点で有識者の意見を求めるという、二段構えの手続になってくるのかどうかを確認させてください。
3点目は13ページになります。ここでは、今後の課題について記述されていますが、コメントは、(1)モニタリングデータの取扱いに関わるところです。おそらく(1)が最も該当すると考えますが、(1)から(3)のいずれにおいても関わると考えます。この中で、「広域的な影響を含む風力発電事業の環境影響に係る総合的な評価を実施」と書かれているのですが、ここで、必要に応じて有識者の客観的な助言を求める手続が必要になってくると思うのです。しかし、ここには、その文章は記述されておりません。パブリックコメントの中にも、モニタリングデータの分析について、「有識者の助言が必要」と書かれていましたので、この点についても確認させてください。
【大塚座長】それでは、御回答をよろしくお願いいたします。
【環境省(大倉)】まず、飯田委員からの御指摘について回答いたします。最初の2つのポツに対しては、現地調査の実施に当たって必要性が担保された適正な調査が実施されるよう必要な意見聴取手続等を実施し、調査報告書を作成することが重要だと考えてございます。その2つ目のポツに対応するものとして、選定事業者において環境省が作成実施した調査方法書及び現地調査の結果を考慮して事業者の責任において個別の具体的な事業計画を踏まえ、準備評価書を策定していただく必要があると思っております。
続きまして、9ページ目の撤去・廃棄に係る記述について、飯田委員の御指摘のとおりですが、実際に発電設備を撤去または廃棄する際には、海洋法や廃棄物処理法等の関係法令に基づき、事業者において適正に対応することが必要なのは当然のことです。その上で、今回の答申案では前回の小委員会の御意見を踏まえ、事業の特性を踏まえて事前に環境影響評価手続の中で撤去または廃棄に係る影響要因の整理が必要であることを加筆させていただきました。
続きまして、10ページ目の17行目から19行目のモニタリングですが、これも御指摘のとおりであり、個別事業に関わる順応的な取組方法については生物多様性基本法に規定された考え方であることも念頭に置きつつ、事業者の事業実施や事業継続に係る要件に予見可能性を確保した上で実施されることが重要だと思っており、この答申案では、モニタリングによって重大な環境影響が明らかになった場合の順応的な取組方法に関する考え方は環境影響評価手続を通して決定したことが適当である旨について追記いたしました。今後は、新たな制度が施行するまでの間に順応的な取組方法等の基本的な考え方に関するガイドラインなどの公表をしていきたいと思ってございます。
それから14ページ、アセス図書の継続公開の制度化に係るところですが、法的な課題の整理も併せて御指摘の点を含め、今後検討していきたいと思っております。
そして、関島委員の質問については、まず1点目の3ページ目の内容ですが、現在書いている記述は現行の指定の仕組みを大枠として書いている形になっておりますので、当然制度改正をすると先ほど見せたフロー図において関係者の関与が加わることになります。関わりについては7ページ目の13行目あたりにもございますが、フロー図のようなところを文章上で反映できるかは今後の記述で工夫を図っていきたいと思います。
次に、有識者の助言についての御質問ですが、選定された事業がアセス手続について準備書手続・評価書手続を実施することになると思いますが、こちらで有識者の意見はどうなのかという点では、現行の制度もそうですが、経産大臣の意見を出すに当たって顧問会として有識者意見を聞くことになっていますので、それと同様のことが想定されるものと思ってございます。
【関島委員】今のご回答に関し十分理解できなかったのですが、現行では、経産省環境審査顧問会で調査方法書の検討・審査を行っています。7ページに書かれている「調査方法書の作成時と同様に、必要に応じて有識者への客観的な助言を求める云々」と書かれている文章に関しては、準備書相当のものを指しているのではないかと読み取ることもできます。そうなると、要はこの後の公募で事業者が決まり、引き続き準備書の審査が入ってくることを踏まえると、分析及び取りまとめに当たり、まだ公募で事業者が決まらない段階で第三者委員会が関わり有識者の確認・意見を求めることに違和感を感じました。その点について補足いただけますと幸いです。
【環境省(大倉)】趣旨を理解し切れていないかもしれませんが、環境省が調査報告書を作るときには当然有識者の意見を聞くものとなっております。どのような形になるのかは今後考えるところですが、それを踏まえたものを事業者が見て準備書・評価手続書を作っていくということで、多分そこで有識者の意見が聞かれたものが事業者のほうにまず流れていきまして、そこで最終的に顧問会の御意見を聞くという形になるものと思っております。
【大塚座長】資料3を御覧になられながらお話しいただくとよいと思います。準備書・評価手続書のところは今までと基本的に変わらないものと理解していますが、その上で御質問があればお願いいたします。
【関島委員】これは新制度の話になりますよね。
【大塚座長】新制度でも、基本的に準備書・評価手続書に関しては変わりません。
【関島委員】承知いたしました。いま一度その点を含め頭の中を整理し、また不明な点があれば質問をさせていただきます。
【大塚座長】資料3が見やすいと思いますので御覧ください。また、関島委員から「最後のモニタリングのところも有識者が要るのではないか」という質問がありましたが、その点はいかがでしょうか。
【環境省(大倉)】その点は御指摘のとおりです。こちらも有識者の御助言を踏まえ、総合的な評価の実施が必要だと思いますので、記述のほうも考えてまいります。
【大塚座長】ありがとうございました。今の最後のところで、電気事業法との関係を考えると「有識者」と言い切ってしまってもよろしいのでしょうか。
【環境省(大倉)】どのような形かは今後考えるところですが、何らかの有識者の意見は聞かなくてはいけないと思っております。
【大塚座長】承知いたしました。どうもありがとうございました。
ほかに御意見ございますか。阿部委員お願いします。
【阿部委員】先ほどの関島委員の話とも多少関連するところが1点、それともう一つ別な観点からの質問とコメントをいたします。まず、今回イメージ図を作っていただいたことで、これまでの環境影響評価法の流れと今回新たに導入する制度との関係が全体として非常に分かりやすくなっておりますし、細かなことは別として、基本的にはこの答申案でよくまとまっていると思います。
その上で、現行の制度では配慮書がまず出る、その後に方法書が出る、そして準備書を出していくという形でこれは全て事業者が行う。そして今回の調査方法書のほうに配慮書の内容は入ってくるということで、その有望区域の整理の段階で検討された結果が適切にそこに反映されてくる。これが恐らくその後の準備書を審査する専門家のほうにも紹介され、内容の妥当性を検討されるという流れになると思います。そこは担保されているということで非常に分かりやすいと思いますが、やはり準備書の段階で事業者が影響予測を行っていく上で手戻りは極力避けたいわけです。事業者サイドの視点では、例えば国がこういった形で調査を行い、促進区域を設定しているのだからこれに従ってやったのだと言えば、それはある意味お墨つきを得たというのもありますし、悪い言い方をすれば、あまり何も考えずにそれをやってしまっても「それでオーケーだ」と主張できてしまい、多分そうしてしまうと思うのです。
一方、そこに対して、そもそも促進区域を指定した現地調査結果のプロセスがよく分からないとなると、その準備書の審査段階で様々な意見がまた出てしまう。事業者が国の政策に従って影響予測をやったにもかかわらず、何か追加の意見が出てしまうというのは望ましくないと考えます。それを考えると、やはり現地調査を行い、それに基づいて促進区域を指定したというプロセスを何らかの形で、都道府県なのか国になるのかは種々あると思いますが、少なくとも審査関係者にはその点を周知しておく必要があると思います。このフロー図の中には公表という手続がございまして、「当事者のほうにも公表」と書かれているのですが、そのあたりの審査を行う主体との関係がどうなっているのかを明確にしていただきたいと感じた次第です。それは恐らく関島委員が懸念を持っている点とも重複することではないかと思います。
それから、これは別な視点になりますが、今後の課題は非常に重要です。今回の環境影響評価制度を導入していく上で、モニタリングや順応的管理が主眼になっていることから、「広域的な影響を含む風力発電事業の環境影響に係る総合的な評価」という文言が入ってきており、これは望ましいことであると思うのですが、先ほど大倉課長から「空間計画」という言葉を出していただきましたけれども、それを考えていく上では、環境影響評価制度の個別の促進区域に対する影響評価だけでは不十分な点があると思うのです。今、生物多様性条約のほうで海域についても保護区をつくられるといった動きがあると思いますし、今回の趣旨は再エネ海域利用法と環境影響評価法の手続を調和させるという意義があったと思うのですけれども、もう少し広い視点から見ますと、再エネ海域利用法で国がセントラルで促進区域を指定していくというプロセスの中にも、そういった環境配慮の空間計画のプロセスがきちんと入っている、そして生物多様性条約にあるような海洋のもほうもしっかりとなされているのだということを国が国民に周知し、そのことによって風力発電事業が促進されていくというプロセスをつくっていく必要があると思うのです。そうしたところでの国の役割も重要ではないか、それを今後の課題として考えておりますので、ぜひご検討いただければと思います。以上です。
【大塚座長】ありがとうございます。それでは、奥委員お願いします。
【奥委員】3点伺います。1点目は非常に細かい点ですが、4ページの23行目に「より適切な環境配慮」という表現があります。ここは「より適切な」となっているのですが、ここ以降に出てくる表現が全て「より適正な環境配慮」となっておりますので、そこは統一されたほうがよいと思いました。後者に合わせるのであれば、「より適正な環境配慮」と直していただくとページ全体の表現が一致すると思います。
2点目は8ページになります。前回の意見も踏まえていただいて、8ページの8行目と脚注において発電設備の撤去または廃棄についても影響評価のスコープとして含めてもらうことが重要だということで、その趣旨が反映された修正になってはいるのですが、6行目から8行目にかけては、調査方法書と現地調査は環境省がやるのでそれ以降の手続については事業者がやることが必要だと言っているだけであり、その「必要」に対して脚注がついて下に環境影響評価のスコープのところまで書いてはあるものの、現地調査以降の手続を事業者がやることの必要性の話と、事業者がやる際にどこまでをスコープとして含めるべきかという話は違う内容です。できれば、この脚注にある2つ目の文章「再エネ海域利用法に基づき」を本文の8行目「必要である」以降に「その際、再エネ海域利用法に基づき」といった形にしていただく。その後に脚注をつけて、今ある脚注の1文目を生かしていただくと文章としてつながるのではないかと思います。
最後に、9ページ目の22行目です。費用負担の考え方として、最初の文章の趣旨は本制度を国が先導していく、ある意味、国策としてやっていくことを踏まえ、国が負担していく方向性であり、事業者に負担させることではない方向性を検討するといった含みを持たせた文章であると理解しました。また、2つ目の文章の「なお」ですが、ここは調査費用が過度な負担にならないようにすることは重要であるため、このように書いていただくのはよいですが、「調査方法書の作成に当たっては、適正な外部手続を実施することにより」の外部手続は何を念頭に置いているのでしょうか。その必要性とともに教えていただけたらと思います。いずれにしても、調査費用が過度にならないよう調査内容の必要性・客観性をしっかりと担保していくことが重要だと思っております。以上です。
【大塚座長】それでは、御回答をお願いいたします。
【環境省(大倉)】貴重な御意見をありがとうございます。まずは阿部委員の1つ目の内容になります。調査方法書の作成プロセスにおいて後々の事業者に手戻りのない形でどのように見える化をするかですが、それはおっしゃるとおりだと思います。こちらの答申案には書いていませんが、8月の検討会の取りまとめの段階では、県や経産省にも御意見を聞くという話を書いていましたので、そういったことは当然考えております。そういった意味で、全体として合意形成をしっかりしていきたいと思ってございます。
2番目のモニタリングに係る話と促進区域指定のプロセスに当たっての大きな環境配慮の仕組みですが、それも最もな点でございます。まさに先ほどの奥委員から9ページ目の指摘になりますが、今回なぜ国がここまで出ていくのかという趣旨を今回しっかり整理したほうがよいと思っています。環境影響評価法の措置というのは、環境基本法上だと環境基本法第20条に相当するところになりますが、今回の促進区域指定に係る環境調査であるとか、そういうプロセスというのは国の環境配慮ということで、環境基本法19条の世界にも該当するところであります。そういったものがどういう意味を持つのかを我々も整理したいと思っているところです。こういった記述がどう今後変わるのかというのをここで即答はできませんが、阿部委員がおっしゃった趣旨のことは我々もそのように認識している次第です。
そして、奥委員からの御指摘があった表現に関しては後で整理をさせていただきます。続きまして脚注に関するところですが、現行制度にも関わる話であり、どこまで本文に書くのかは持ち帰りまして検討させていただけたらと思います。最後に9ページ目の費用調査のところですが、21行目の適正な外部手続においては、これは先ほども話題になりましたが、調査方法書の作成に当たって第三者の有識者に聞く仕組みをつくるであるとか、パブリックコメントを経るといったものを含めた表現となっております。以上です。
【大塚座長】阿部委員、よろしいでしょうか。
【阿部委員】調査方法書ではなく、現地調査結果の公表のところでその情報を専門家等にも周知いただく、あるいは、そこでの環境配慮といった趣旨になります。まず現地調査が行われないと分からないと思います。それを恐らく事業者に引き継ぐことになると思いますから、そこが国のオーソライズの一番重要なところです。そこの情報をここでは「公表」と書いてありますから答申案としては問題ないと思うのですが、その具体的な中身・プロセスがあまり見えてきておりませんし、現行制度にはないところです。方法書の審査や準備書の審査とは異なるので、そこの具体的な中身を明確にしていただきと思っております。これは今お答えをいただけなくても構いませんので、今後ご検討いただければ幸いです。
【環境省(大倉)】失礼いたしました。現地調査の結果の公表に当たってどういったプロセスを経るかというのは御指摘を踏まえまして、少し我々のほうでも考えたいと思います。
【関島委員】私からもよろしいでしょうか。
【大塚座長】関島委員、どうぞ。
【関島委員】先ほどの私の質問もその点でございました。要は、阿部委員が言われたように、環境省の取りまとめの結果を第三者に助言いただくといったところに関し、ここで有識者に求めているのは、促進区域の設定の妥当性についてご助言をいただくという理解でよろしいでしょうかということです。現行の文章では、7ページに書かれている「環境省による現地調査結果の分析及び取りまとめた結果」を何のために有識者に委ねているのかが見えてきません。阿部委員がおっしゃられたのは、ここで書かれている手続は現行においてはないものではないかといった点で、私も同様に感じました。
【大塚座長】ただいまの内容についていかがでしょうか。
【環境省(大倉)】関島委員のおっしゃるとおりで、今回の我々のミッションは一応制度上の立てつけになると思いますけれども、促進区域の指定に当たって適正な環境配慮が担保されることでございます。そのために必要な調査をして公表する、調査報告書を作成するというのが直接的なプロセスになりますが、それが実態上、事業者が今までやってきていたような配慮書であるとか方法書手続と事実上重複するということで、制度的にそこが抜けていくという形になります。ある種、制度的な目的としては促進区域指定のための環境配慮をどう担保するかというのは直接的な制度設計としての視点になります。
【関島委員】そうであれば、その点がもう少し分かりやすくなるよう、文章において具体的な記述をなされたほうがよいと思います。そこが現答申案では抜け落ちているために、有識者に何の助言を求めているのかが見えてこなかった、というのが私の意見です。恐らく阿部委員も同じように思われたのではないかと考えます。
【環境省(大倉)】承知いたしました。表現については我々も考えまして、また次回提示したいと思います。ありがとうございました。
【大塚座長】ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
それでは、原田委員お願いします。
【原田委員】前回の委員会の議論をはじめ、パブリックコメントもある程度細かく拾っていただいており適切に反映されていますから、答申はこれでよいと思いますが、表現について2点と1点質問をいたします。まず、広域調査において阿部委員から御指摘があったような問題意識は私も同感です。この答申案は再エネ海域利用法の下での手続であるため、これはこういう書き方になると思うのですが、御承知のように今EEZの枠組みを議論している中では、より広い海域に網をかけて指定し、その中で事業者が自分のやりたいエリアを選択していくという仕組みが議論されております。私も個人的にはそのアプローチが様々な意味でふさわしいと思っており意見を述べているところでした。ただ、今のEEZと今回のよう領海ということで非常に白か黒かということで切られているわけで、何か12海里を超えたらリスクが変わってくるとか、環境に線を引くというのは論理的ではないような気もいたします。そういう点において12ページの5ポツのところで「領海とEEZの一般的な違い(海域の規模、離岸距離等)」と書いておりますが、12海里を超えれば離岸距離で議論をするという話では本来ないはずです。少しこの書き方では制度上とリスクにおいて途切れているような見え方にもなるため少し工夫が必要と思います。
2点目は、事後の評価図書の継続公開の制度化に踏み込んで書いていただいており、非常にすばらしいと思っております。こちらに「後続事業の適正な環境評価を確保する観点から」といったところで、継続公開については、より様々な意味での意義があると思います。例えば、とある一つの地域において自分たちの地域におけるアセスというものが他と比べて過不足がないか、不足であればどういうものかということをより広いステークホルダーの人、それは必ずしも専門家ではない方においても理解できるということもありますし、また継続の公開によって、事前・事後、それから長期的にモニタリングしていく上でもこういうものは非常に重要だということで、ここはもう少し書き込んでもよいと感じます。
最後に1点質問ですが、パブリックコメントの54番と55番にもございますが、既にアセスが始まっているような地域において「経過措置を適切にします」というお答えですけれども、具体的にはどのような形かつタイミングで、どういった場で議論をされていくのかを教えていただければと思います。以上です。
【大塚座長】ありがとうございます。続いて、荒井委員お願いします。
【荒井委員】御説明ありがとうございました。質問と意見が一つずつとなります。最初に質問ですが、今も触れられていました14ページの図書の継続公開についての部分になります。書かれている内容は2つに分かれており、「今後は」という後の部分に関して、他のアセスに関わることなので「望ましい」という表現にとどめるという御説明でした。ただ、今回の答申案を読ませていただき、9ページの15行目から19行目に国の費用負担に関して書かれており、国が費用負担をした上で調査したものを扱い、その流れの中でやっていくというようなものが今までのアセスの環境影響評価の在り方と違うように思います。先ほどもお話がありましたが、ある意味税金を使ってそれをやっていくという流れの中で考えると、今回ここで扱っている環境影響評価図書というものはぜひ継続公開する点をより強めに書いていただけないかという思いがございます。また、先ほど来から御指摘のあるように、後続事業の適正な環境確立を確保する目的という点もより理解しやすい形で書いていただいて、今までのアセスとまた違った側面から継続公開を進める旨をもう少し強く書いていただきたいところであり、それが難しいのかどうかを伺います。
もう一点は意見になります。関島委員、阿部委員からも出ていましたが、6ページの調査報告書の部分と11ページのモニタリングになります。この調査報告書の部分とモニタリングに関してはフローを見ると分かりやすいとは思いますが、今までの流れとはまた別の観点から出てきている部分だと思っております。調査告書の部分で6ページの28行目で「客観的な助言を有識者に求める仕組み」と書かれていますし、それからモニタリングのほうは有識者からの助言や第三者というものが先ほどまでの御回答の中にも種々あったと思います。これを、実際に答申が通って進めていくときに非常に具体的に行っていく部分において、より急いで進めていく必要がある、事業を進めていく上では相当スピード感を持ってガイドライン化を進めなければいけないと思いますので、その調査報告書のところとモニタリングのところをどのように精度を高めていくのか。この部分に関しては人的資源のこともあると思いますから、なるべく早急に検討を始めていただき、より有意義に使えるものをつくっていただきたいと思っています。以上です。
【大塚座長】それでは、御回答をお願いいたします。
【環境省(大倉)】ありがとうございます。まず原田委員の最初の内容になります。EEZに係る記述ですが、御承知のとおり、今、経産省、国交省で検討されている制度を踏まえてこちらの記述を行っていくことになりますが、御指摘及び両省の検討を踏まえて書き換えの工夫を図っていきたいと思います。また、図書の継続公開の意義について新しい視点をいただきましたので、この点も文章のほうを考えていきたいと思います。それから3番目の経過措置の話ですが、非常に重要な御指摘であるとともに、実は我々も検討している最中でございます。このEEZの件を含め、次回具体的なものを出せればお示ししたいと思います。
続きまして、荒井委員の1点目、図書の継続公開の観点になります。14ページ目においては、先ほど申し上げたとおり洋上風力に限らないアセス図書全体の話になりますが、洋上風力について「国のお金が入って行うものである」といった趣旨はそのとおりだと思ってございます。その点については9ページ目の2行目から、より積極的に公開をしてくださいといった趣旨のことを書いてございます。また、2つ目の有識者の意見を聞くことについての全体スケジュール、スピード感を持ち早く検討すべきというのは、御指摘を踏まえ、我々も頑張っていきたいと思います。以上です。
【大塚座長】ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。錦澤委員お願いします。
【錦澤委員】私も内容の大まかな点で異論はございません。その上で2点伺いますが、1点目に関しては7ページの2ポツの前の部分で、有望な区域の選定の段階で運用的にやられている環境配慮についての段落の最後で、環境配慮の内容について「調査方法書に記載し、公表されることが適切である」という文章を加えていただいた点はよかったと思っております。ここの最後の文章で「なお、当該手続において環境省が整理した環境配慮の検討結果については」ということで、これを記載し公表するとなっているのですけれども、この表現が少し分かりにくく感じます。環境省がこういう環境配慮が必要だという内容について公表するということなのか、それとも、そういったことでやり取りをした検討結果、例えば有望区域をこのように変更したといったことも含めた内容なのでしょうか。趣旨としては、これをより早い段階で環境配慮をして、必要であれば有望区域の選定に反映させていくことを運用的にやっているということですから、できればそこは、こういった環境配慮が必要だと反映した場合にはそれも含めて記載して公表されることが適切だと思います。つきましては、例えば「環境省が整理した」という部分を削り、「環境配慮の検討結果について記載し公表する」という表現も考えられますので、ご検討いただければと思います。
もう一点は、これは既にほかの委員のからも指摘がありましたが、何か所か「適正な外部手続を実施する」という表現が使われていまして、確かにこれはどのような内容を含んでいるのかが少し分かりにくい点でした。以前より使われている表現ではありましたが、これは参加手続であるとか、あるいは有識者の助言であるとか、そういったことも含むのかどうか。この点は注記か何かで内容を抜粋していただいたほうがよいのではないかと思いました。以上です。
【大塚座長】1つ目の趣旨としては、「環境省が整理した」を削ったほうがよいといった理解になりますか。
【錦澤委員】一つの修正の方向としてあり得るのではないかといった趣旨で提案させていただきました。
【大塚座長】承知いたしました。後ほどお答えをいただきたいと思います。
それでは、森田委員お願いします。
【森田委員】こちらの答申案の中身に関しては本当に賛同するところが多いのですが、少し気候変動と生物多様性との関係で申し上げます。先ほど阿部委員からもお話があったとおり、国際的な政策的議論や金融の観点でも気候変動だけではなく生物多様性に配慮しなくてはならなくなっています。再エネと生物多様性の関係といった気候変動と生物多様性の中でトレードオフの事例として大きく上げられるこの観点も、そうではなく両立するものなのだということをしっかり説明していくことが非常に重要であると思います。
先ほど「有識者の助言」という話もありましたが、モニタリングにおいても有識者の助言であるとか科学的な知見のアップデートの反映等あるのですが、1回目の会議において議論を聞いてみても、環境影響などまだ分からないことが非常に多い印象でした。例えば生物多様性の影響というのも再エネと生物多様性の関係性を分かる有識者というのがどの程度いるのだろうかというのが素朴な疑問です。アカデミアの中にいるとそれを語れる人が多くいませんので、個人的にはこのプロセスの中で人材育成的なことも必要なのではないかと思います。生物多様性だけを見ている人の感覚では、新たな洋上風力発電の設置がどれも生態系によくないという結論で終わってしまうかもしれませんし、そこで全くコンセンサスが取られないままに終わってしまうおそれもあります。そういった意味で、それぞれの分野を何か理解し合えるような人材育成の場であるとか、そういった有識者、もしくは、こういった人たちが関わっているということの見える化が少しされていくと再エネの取組も生物多様性を配慮していることが伝わるのではないかと思います。そうした点を少し配慮していただければ幸いです。
【大塚座長】それでは、御回答をお願いいたします。
【環境省(大倉)】ありがとうございます。まず錦澤委員の最初の内容ですが、想定している中身自体は促進区域の前段階の有望区域の選定に当たって、環境省が各省に提出した環境配慮の検討結果等も含まれるものになります。表現をどうすべきかについては少し考えさせていただきたく思います。続きまして2点目の「適正な外部手続」ですが、先ほど申し上げたように中身としては有識者の助言やパブリックコメントという話ではありますが、誤解のないようにもう少しよい表現があるかどうかも含め少し検討してまいります。
続きまして、森田委員の御指摘でございます。まさに気候変動と生物多様性の両立という話はもっともと思います。また分からないことが多いというのも、まさにそういう問題意識を持ってスタートしているところでもありますので、「順応的管理」という言葉に代表されるように、モニタリングもそうですが、知見も着々とためていかなければいけない。またそれを後続事業に生かすといったところが非常に今回の制度の大事なコンセプトの一つだと思ってございます。今、貴重な御意見をいただきましたので、そういった趣旨を踏まえながら記述のほうも少し工夫できないか考えたいと思います。ありがとうございました。
【大塚座長】ありがとうございます。今の点で、外部手続というのは外部委託も入るのでしょうか。
【環境省(大倉)】委託といった形は考えておりません。
【大塚座長】承知いたしました。それでは、勢一委員お願いします。
【勢一委員】多数のパブリックコメントの意見及び委員会での様々な指摘を丁寧に取りまとめていただきましてありがとうございました。なかなか難しい制度設計になりますので御苦労が多かったかと思いますし、恐らくこの先も苦労が続くのではないかと思っているところですが、私からは大きく2点についてコメントと質問をいたします。まず1つは現地調査の費用負担の部分です。既に御指摘があったところですが、前回の案から大きく記載が変更されていると思います。9ページのところで、確かにセントラル方式として国が適正な環境配慮を確保するために講じる措置である点を明確に示されていますから、この流れで整理をしますと「国の負担」として読めてしまいます。ただ、セントラル方式を採ったとしても、比較法的に事業者負担は制度設計としてあり得るところでもありますし、パブリックコメントでもそのような意見が多数出ていると承知しています。環境アセスメントの制度的な意義としては、環境負荷を伴う事業計画で、その環境負荷を内部化するところがそもそも期待されていたところで、日本の制度はそれによっていると思います。これがアセスを事業者が担う法的根拠の一つではあるところですから、こうした現行制度との接続、比較法的な観点でいきますと、入札により選定された事業者が一定の負担を負うというのは一定の合理性があるのだろうと思います。ですから、今回の報告書でそのような検討の余地を残す記載がなくなっている部分については本当にこれでよいのだろうかと法律家として若干心配をしております。
確かに、調査費用が過度なものにならないようにと国が調査をするため、国側のコントロールといった観点も当然重要ですが、仮に今後促進区域を増やしていくといった流れの中、区域によっては現地調査の難易度が高く、調査費用が高くならざるを得ない可能性も出てきます。そういう意味では、公費で賄うというよりも事業計画に反映できるほうが持続可能になるという見方もありますし、そのような現地調査のコストが高くなったような区域について費用が見合わないと判断した事業者は入札に参加しないというのが市場経済原理になろうかと思います。セントラル方式は入札制度を伴う仕組みとして組まれていますので、市場経済原理が働くということでコストが下がるという期待がある仕組みになりますから、こういう点では費用負担を求めたとしても合理性はあると言える部分も残るかと思います。これは私のコメントとして申し上げた次第です。
それから、関連して質問いたします。今後エネルギー基本計画等に基づいて導入する容量が想定されています。これを進めていくことから推計してどれだけの費用が見込まれるのかを今の時点で換算されているでしょうか。もし考えておられるのなら、少し規模感を教えていただけるとありがたいです。制度改正の検討に先立ちまして、どの程度費用を要するかというのは制度のコストパフォーマンスとして重要だと思いますし、またそれをどのように回収するかというのも手当の選択として重要ではないかと思ったところになります。そして2点目としては図書の継続公開です。こちらについては、今後の課題として制度化を明記していただきまして、その点は非常にありがたいと思いますし、今後のアセス制度全体の底上げにもつながると思います。そして、洋上風力については9ページでその特殊性を指摘していただいており、積極的に継続公開への協力を求めるという記載になっています。つまり、制度化自体は現段階では先送りとして今後の課題の方に移るという理解になるのでしょうか。その場合には、本当に先送りをして導入の迅速化拡大につながる環境が担保できるのかというところで懸念が残るところです。この部分について、「洋上風力に関するところでの制度化を先行して検討する」というような要請を書くことはできないのでしょうか。また「図書」という表現も、先ほど飯田委員が指摘されたように、今後はデータとしての活用といったところでデジタル標準が必要になっていきます。でそういう意味では、先行して制度化しつつ、その中でデータ活用にGE利用のルール化も組み込んでいくというのがむしろ洋上にとって今後の加速につながってよいのではないかと思いました。可能であれば、少し制度化のところを厚くしていただけるとありがたいです。以上になります。
【大塚座長】様々お考えいただきましてありがとうございます。それでは、御回答をお願いいたします。
【環境省(大倉)】重要な御指摘をありがとうございます。まず費用負担ですが、先ほどの関島委員との議論の中でも申し上げたように、今回の制度は促進区域として、少し広い意味で「空間計画」という表現も使っていますが、促進区域の指定に当たり国が行うべき環境配慮を実施する。そのための費用をどうするかという部分になってございます。そういったことをやる過程において、結果として今まで事業者がやっているアセス手続の一部が重複してしまうことになっているのですけれども、一義的には国の仕事としてやることについて誰が負担をするのかというところがスタートになっておりますので、そういった趣旨を踏まえた記述になっております。
それから2つ目の質問に対して、全体としての費用がどうなのかというのは、まさにEEZの制度設計にも関わる話になりまして、恐らく多くの部分がEEZのほうに立地することになります。それを踏まえると、正直に申し上げますが今時点で全体像をつかむことはできておりません。その上で、次回の議論となりますが、領海とEEZの制度が若干違ってくる可能性もございます。まさにEEZになれば多分国の責任範囲も多少縮んでくることもありますので、勢一委員がおっしゃったように、事実上、事業者が今までやっていたことのある種の重複部分というのはEEZになると多少減ってくるところもございます。そういったことを踏まえながら、国としてやるべき仕事をやった結果、誰に費用を求めるのかという整理は行っていきたいと思います。
続きましてアセス図書の制度化ですが、御指摘のとおり、他のアセス図書と比べて今回の洋上風力に係る図書のある種の公開の重要性・必要性・特殊性はあると思っていますので、そういう趣旨のことを書かせていただいてございます。ただ、法規的な話も多分ありまして、今回の促進区域指定に当たっての環境配慮手続と同じタイミングで制度化をすることは難しいところで、この点についても引き続きの宿題にしたいと思ってございます。その上で、他の制度、他の事業のアセス図書と風力との優先順位づけをどうするかという話もあるかもしれませんが、「やるのであれば全部一緒にしたほうがよい」といった御意見も考え、広い意味で今後の課題として捉えさせていただきたく思います。洋上風力図書の公開の重要性がある点はそのとおりだと考えますので、そういった趣旨として補強できることがあれば行いたいと思います。以上です。
【大塚座長】勢一委員、よろしいでしょうか。
【勢一委員】ありがとうございます。恐らく環境省のみで制度設計をする話ではないところがありますので、ここで様々な質問やコメントをするだけでは足りないことは認識しております。ただ、費用負担についてはEEZの議論ともつながってくるところで、国が全て担うことになると図書の公開のほうともリンクしてくる部分があると思います。つまり、国民の税金で調査データをつくったものを事業者が利用して利益を得るスキームになりますから、何らかの還元の仕組みを考えることのほうが持続的ではないかと思った次第です。その全体の制度設計としてベターなものを考えていただけたらと思います。
【大塚座長】先ほど、大倉課長から「EEZとの関係で減ってくる」というお話がございましたが、その部分がよく理解できておりません。どのような理解となるでしょうか。
【環境省(大倉)】申し訳ありません。少し先走って言い過ぎてしまったかもしれませんが、次回しっかりと議論をしていただく対象になると思います。「領海の手続とEEZの手続はなるべく一緒のほうがよい」というのは、先ほど原田委員からも御指摘がございましたし、こちらにも記載しておりますが、実態上の距離や範囲といったものが全く違っていきますので、多分やるべきことも変わってくる。もしかすると国がやる調査の範囲もずれるかもしれない。そういった意味で、領海に比べると、ある種、国がやるべき仕事の中の全体比率として減る可能性があるといった趣旨で申し上げました。
【大塚座長】業界のやるべきところが減ってくるという理解でしょうか。
【環境省(大倉)】そうではなく、領海に比べてEEZのほうが分担としては減ってくる。事業者が行うことがEEZのほうで増える可能性があるという趣旨になります。
【大塚座長】EEZのほうが減るわけですね。
【環境省(大倉)】そうです。次回の議論になりますが、まさに今、経産省と国交省が行われている制度設計に関わるところです。
【大塚座長】了解いたしました。ありがとうございます。それでは、西本委員お願いします。
【西本委員】今、議論に上げられていた環境影響評価図書の部分について私も前回コメントをいたしましたので、その観点で若干述べたく思います。この点につきましては14ページの記載自体は御説明いただいたと思いますから、私としては、これから申し上げることを踏まえて特に修正が必要といった趣旨では全くありません。その上で1点、国連海洋法条約206条の下で環境影響評価の実施義務がございますが、実施だけではなく、その結果についての報告を公表することも条約上の義務とされてございます。これは洋上における活動にのみ国際法上で追加としてこういうものを図っているところです。この条約で言う「環境影響評価の結果についての報告」というのは、ここで言う図書の公開である必要性は必ずしもないと思いますので、その条約上の義務をどう受けるのかというのは種々やり方があると考えます。ただ、洋上についてはそこが条約上の義務のかかっている部分があるということを少し念頭に置いて今後の議論をしていただく必要があると思っております。全体については、既にほかの委員の先生方からも同じような御発言があったかと思いますが、前回の指摘とパブリックコメントについても非常に的確に反映されている文章になっているのではないかと思っています。以上です。
【大塚座長】ほかにございますか。阿部委員お願いします。
【阿部委員】追加でお願いいたします。先ほどから環境影響評価図書の継続公開の話が出ており、また費用負担のところは前回と変わったという事情もあります。先ほどコメントしたことの繰返しになる点もありますが、まず環境影響評価書図書の継続公開の制度化の部分は前回の検討会とパブリックコメントを受けてこういった形で記載していただいたということで、ここに異論があるというわけではございません。ただ、今回の検討に当たっては風力発電事業に係る環境影響評価の在り方ですから、これは風力発電事業に係る環境影響評価の在り方としての風力発電事業の適正な環境配慮のための継続公開であるのか、それともアセス制度の中で以前より議論がされているアセス図書自体を他事業の環境影響評価も含めて環境影響評価法の枠組みの中で公開すべきといったアセス制度全般に関わる議論なのか、その部分が少し不明瞭に思いました。アセス全体になっていくと、恐らく風力の関係者だけで議論することにはならないと思いますし、もっと広い制度的な議論として法改正等にもつながってくる話になると考えます。そのあたりの御見解を伺いたいです。
また、それを前提として、環境影響評価図書で継続公開される内容は、恐らく事業者が作成する準備書もしくは評価書のことを指されていると思いますが、事業者が作成する準備書や評価書は、あくまでも自分たちが実施する観点で適正な環境配慮をするために影響予測の結果や、あるいは、そのためにどういった環境保全措置を取ったかを記載していただく内容だと思います。それは、当然内容としては後続事業に受け渡されるものですが、今回の法制度の趣旨として促進区域指定のために環境配慮を行ったということがあると思います。そうすると、その促進区域指定のために現地調査をもって、どういった環境配慮を国が行ったのかという点はアセス図書とは切り離し、継続的に促進区域においてどういった環境配慮をしたのかという結果を国民に対して継続公開していく必要があるのではないでしょうか。これまでの再エネ海域利用法でも、恐らく環境省のほうで既存情報に基づいて環境配慮に対して有望区域の設定、あるいは促進区域の設定に対して意見出しはされてきたと思いますが、その内容は今のところ公開されていないと認識しております。この答申案の中には有望区域の整理結果について調査方法書の中に書いて公表していくことが書かれているのですけれども、先ほど来言っているように促進区域指定の現地調査に基づいて行ったプロセス、あるいは事業者がそれを引き継ぐわけですが、そこのところでどういった環境配慮が必要かを国が判断した点は、これはまさに国のほうで継続的に一元的に集約して情報発信していただきたいと思っております。少し繰返しになりましたが、以上です。
【大塚座長】ありがとうございました。白山委員は何か御意見ございますか。
【白山委員】御指名いただきましてありがとうございます。私としては全体としてよくできていると思い感心しておりました。環境省の方々の御努力に強く敬意を表したいと思います。その上で最も懸念を抱くのはEEZと領海との違いをどのように扱うかという点です。これは次回に具体的な手続が出てくるということですから、それまでに慎重に様々なことを考えていただきたいと思います。それは法律的な問題だけでなく、例えば技術的に非常に長い距離の電力を送らなくてはならないことに対する点や、あるいは実際に電力を直接送るのではなく、例えば水素等のエネルギーに変えて送るかもしれませんし、どういうことを想定するかは非常に前広に検討していただく必要があると思います。そのあたりをよく考えていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
【大塚座長】ほかにございますか。関島委員お願いします。
【関島委員】今回の答申内容に直接関わるものではありませんが、今後関係してくる話として申し上げます。今回、EEZも含めて再エネを大量導入していくための考え方が整理されたところです。少し遡りますが、環境省では、アセス法と再エネ海域利用法の整合性を解消する議論がなされてきました。なぜ、そのような議論が必要になったかというと、海域利用に関しては再エネ海域利用法の枠組みが先行して動いたことにより、アセス法と再エネ海域利用法との間に一部整合性が取れない部分が生じたためと理解しています。また、これまでの議論の中でも、今後の洋上風力を進めていく上でSEAに基づいた考え方が重要という意見が度々出され、EU指令等を参考にしながら、早急に領海及びEEZの海域空間利用を考えていくべきという話にもなっていたと思います。今回、洋上風力の導入については、EEZも含めた海域空間利用の第一歩を踏み出したと思うのですが、これは再エネ推進という目線だけで考えていくべき話ではないと考えます。それだけで進めていくと、冒頭で申し上げた再エネ解析利用法とアセス法の例のように、例えば、国防や漁業等との間に整合性が取れなくなってしまう可能性もあります。そのような観点からすると、今回の洋上風力に係る海域空間利用を手始めに、海域空間利用に関わる他分野及び省庁も関わる形で、海域空間利用計画を一刻も早く国として整理していく必要があると思いました。これは、本小委で検討される話ではないでしょうが、必要と思いコメントをさせていただきました。
【大塚座長】ありがとうございます。空間利用計画については非常に大きな課題であると思います。それでは、御回答をお願いします。
【環境省(大倉)】皆様、本当にありがとうございます。まず西本委員の国際法上の実施義務ですが、本当に我々としても重い課題だと受け止めております。図書に直結するかどうかという話は先生もおっしゃられていましたが、国として履行しなくてはならないという前提に全体の制度設計をしていきたいと思ってございます。
それとも関連することで、阿部委員の2点目の内容として図書の継続公開になります。14ページ目に書いてあることは、おっしゃるとおりアセス制度全体に関わる話でございます。そのため、冒頭に申し上げたとおり「望ましい」と書いているところですが、この洋上風力の委員会だけでも決められない話ですので、アセス全体の中での宿題として考えていきたいと思っております。
それから、国が行った環境調査なり様々なプロセスを公開すべきだという御指摘ですが、これこそ先ほどの西本委員の話ともつながってくると思いますので、透明性を持って国の作業自体を公開していくことをどのようにやるべきか、少し制度運用を考える中で具体的に考えていきたいと思います。有識者とのやり取りも見える形にしたほうがよいと思いますので、それらを含めてやっていきたいと思います。
最後に白山委員の内容ですが、まさにEEZの話を次回しっかりと議論させていただきたいと思いますし、関島委員の内容は環境省の話を越えるところですから、政府全体の中の検討でどう生かせるかを考えていきたく思います。以上になります。
【大塚座長】ありがとうございました。EEZにおける適正な環境配慮の確保のパートを除き、委員の皆様から十分に御意見をお伺いできたものと思います。事務局におかれましては、次回の小委員会までに委員の御意見を踏まえて、答申案の修正について検討するようお願いいたします。
それでは、本日予定していた議事はこれで終了となります。進行を事務局にお返しいたします。
【環境省(加藤)】本日は、活発な御議論をいただきまして誠にありがとうございました。本日いただきました委員の先生方の御意見を踏まえ、事務局において次回の小委員会までに答申案の内容について改めて検討するようにいたします。
本日の議事録につきましては、事務局で案を作成し委員の皆様に御確認をいただいた後、ホームページで公表する予定としておりますので御協力のほどよろしくお願いいたします。次回の「第3回小委員会」の日程については2月13日火曜日午後の開催を予定しております。時間と場所の詳細につきましては後日改めて連絡を差し上げたいと思います。
それでは、以上をもちまして、「風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会(第2回)」を終了いたします。皆様、御多忙の中、長時間にわたり御議論いただきまして誠にありがとうございました。