中央環境審議会総合政策部会風力発電に係る環境影響評価制度の 在り方に関する小委員会(第1回)議事録
日時
令和5年11月6日(月)15:00~17:00
場所
銀座ユニーク7丁目N201
議事次第
1.開会
2.議事
(1)洋上風力発電事業に係る環境影響評価の在り方に関するこれまでの検討経緯と今後の予定について(報告)
(2)関係団体からのヒアリング
(3)風力発電事業に係る環境影響評価の在り方(一次答申)(案)について
3.閉会
配付資料一覧
【資料】
資料1 洋上風力発電事業に係る環境影響評価の在り方に関するこれまでの検討経緯と今後の予定
資料2-1 公益財団法人 日本自然保護協会 発表資料
資料2-2 公益財団法人 日本野鳥の会 発表資料
資料2-3 一般社団法人 再生可能エネルギー長期安定電源推進協会 発表資料
資料2-4 一般社団法人 日本環境アセスメント協会 発表資料
資料3 風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(一次答申)(案)
【参考資料】
参考資料1 風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(諮問)
参考資料2 風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(付議)
参考資料3 中央環境審議会総合政策部会の小委員会の設置について
参考資料4 中央環境審議会総合政策部会風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会 委員名簿
参考資料5 令和4年度洋上風力発電の環境影響評価制度の諸課題に関する検討会報告書
参考資料6 令和5年度洋上風力発電の環境影響評価制度の最適な在り方に関する検討会報告書
参考資料7 洋上風力発電所に係る環境影響評価手法の技術ガイド(案)
議事
【環境省(加藤)】定刻となりましたので、これより「第1回 中央環境審議会総合政策部会風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会」を開催いたします。私は、環境省環境影響評価課環境影響審査室長の加藤でございます。本日は、御多忙にも関わらず、御参集いただきまして誠にありがとうございます。会場の報道関係者の皆様への御案内です。冒頭の撮影につきましては、議事を開始するまでの間可能となっております。御承知おきください。
本日は、対面とオンラインのハイブリッド方式での開催とさせていただいており、環境省大臣官房環境影響評価課チャンネルにてライブ配信を行っております。オンライン参加の皆様におかれましては、何点か御協力をお願いいたします。御発言の際以外は、カメラ及びマイクをオフにしていただき、御発言の際にはオンにしていただきますようお願いいたします。御発言を希望される場合には、恐縮ですが、挙手ボタンをクリックしていただければと思います。通信トラブル等何かございましたら、チャットの欄に御記入いただき、事務局までお知らせください。
続いて、本小委員会に御参画いただく委員の先生方を御紹介させていただきます。時間の都合上、順番に参考資料4にございます名簿に従いましてお名前のみ御紹介させていただきます。
まず、委員長を務めていただきます大塚委員でございます。
【大塚座長】大塚です。よろしくお願いいたします。
【環境省(加藤)】次の勢一委員につきましては、遅れて御参加ということで聞いております。
続いて、オンラインの御参加で奥委員でございます。
【奥委員】奥でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【環境省(加藤)】お願いいたします。続きまして、阿部委員でございます。
【阿部委員】阿部でございます。よろしくお願いいたします。
【環境省(加藤)】続きまして、オンラインでの御参加で、荒井委員でございます。
【荒井委員】荒井でございます。よろしくお願いいたします。
【環境省(加藤)】よろしくお願いいたします。続きまして、飯田委員でございます。
【飯田委員】飯田です。よろしくお願いいたします。
【環境省(加藤)】お願いします。続きまして、オンラインでの御参加で、白山委員でございます。
【白山委員】白山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【環境省(加藤)】お願いします。続きまして、関島委員でございます。
【関島委員】関島です。よろしくお願いいたします。
【環境省(加藤)】お願いいたします。続きまして、錦澤委員でございます。
【錦澤委員】錦澤です。よろしくお願いいたします。
【環境省(加藤)】お願いいたします。西本委員におかれましては、本日御欠席でございます。
続きまして、原田委員でございます。
【原田委員】原田でございます。よろしくお願いいたします。
【環境省(加藤)】ありがとうございます。最後に、森田委員でございます。
【森田委員】森田です。よろしくお願いいたします。
【環境省(加藤)】ありがとうございます。そのほか、関係省庁等といたしましては参考資料4に書いております経済産業省様、資源エネルギー庁様、国土交通省港湾局様、全国知事会事務局様に御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
本小委員会の委員長につきましては、総合政策部会の部会長指名により、大塚先生にお願いしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、委員総数の過半数以上の先生方に御参加いただいておりますので、定足数の要件を満たしており、小委員会として成立していることを御報告いたします。先ほど申し上げたとおり、勢一委員におかれましては途中からの御参加、西本委員におかれましては本日御欠席となっております。
続いて、お手元の資料を確認させていただきます。議事次第にございますとおり、資料1、資料2-1、2-2、2-3、2-4、資料3とございまして、参考資料のほうは参考資料1から7までございます。もしお手元に乱丁、落丁等ございましたら事務局までお申し付けいただくようお願いいたします。
それでは、議事に先立ちまして、鑓水総合環境政策統括官より御挨拶を申し上げます。
【環境省(鑓水)】環境省総合環境政策統括官の鑓水でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は、大変御多用の中、「風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会」へ御参加いただきまして誠にありがとうございます。また、今般、新たな小委員会の立ち上げに際しまして、御理解御協力いただきましたこと誠に感謝申し上げたいと思います。
本日は第1回ということでございますが、まず本小委員会の立ち上げの背景について申し上げます。2050年カーボンニュートラルの実現に向けた気候変動対策の推進と同時に、生物多様性及び自然資本を守りつつ、持続可能な形で活用することが求められております。こうした中にありまして、再生可能エネルギーに関しましては、環境への適正な配慮を確保しつつ、地域との共生を図りながら、最大限の導入を図る必要があると考えております。
こうした状況を踏まえまして、本年9月21日に、環境大臣から中央環境審議会に対しまして、再生可能エネルギーの中でも、さらなる導入拡大が期待される風力発電に係る環境影響評価の在り方につきまして、意見を求める旨の諮問が行われました。この諮問を受けまして、環境影響評価制度や風力発電の環境影響等に関して、専門的な知見を有しておられる先生方に議論を行っていただくことで、大変有意義な御答申をいただくことができると考えまして、この小委員会を立ち上げさせていただいた次第でございます。
本日、第1回の会合では、風力発電の中でも、再生可能エネルギーの主力電源化の切り札として期待される洋上風力発電につきまして、適正な環境配慮を確保するための制度の在り方を御議論いただきたいと考えております。委員の皆様方におかれましては、忌憚のない御意見をいただきますようお願い申し上げる次第でございます。以上で私の御挨拶とさせていただきます。本日どうぞよろしくお願い申し上げます。
【環境省(加藤)】大変恐縮ですが、所要により、統括官の鑓水のほうはここで退席させていただきます。また、審議官の堀上におきましては、16時過ぎに途中退席させていただきたいと思います。御了承ください。
会場の報道機関の皆様におかれましては、冒頭の撮影はここまでとさせていただき、以降は傍聴のみとさせていただきます。
これより先の議事進行については、大塚委員長にお願いしたいと思います。それでは、大塚委員長よろしくお願いいたします。
【大塚座長】委員長を拝命いたしました大塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。一言だけ挨拶をさせていただきます。洋上風力発電につきましては、第6次エネルギー基本計画で2030年間までに2,000万kW、2040年までに3,000万kWから4,500万kWの案件を形成することが目標とされており、迅速な導入が必須になっております。そうした中で、現在の再エネ海域利用法においては、アセスメントのプロセスが必ずしも導入されていないということがあり、早急な導入が必要ではないかということ、さらにセントラル方式を導入して政府が関与することによって迅速な導入を図っていく必要があるということ、そうした中、環境に対しては様々な不確実性がこの洋上海洋に関してはございますので、それに対して十分な配慮をする必要があること、また、EEZの中で洋上風力を実施していくための特別な法的な問題、こういうものを検討する必要があるということでございます。既に、今まで検討が一部なされており、それについては報告書も出されているところでございますが、それを踏まえて、この委員会を立ち上げていただいたということでございまして、皆様の活発な御議論をお願いしたいと思います。私の挨拶はこれで終わらせていただきます。
それでは議事に移ります。まず議事1、「洋上風力発電事業に係る環境影響評価の在り方に関するこれまでの検討経緯と今後の予定」につきまして、報告事項として事務局から説明をお願いいたします。
【環境省(大倉)】環境影響評価課長の大倉でございます。本日は、よろしくお願いいたします。
資料1を御覧ください。今、大塚委員長から御案内があったとおり、洋上風力発電事業に係る環境影響評価の在り方に関するこれまでの検討経緯と今後の予定というものでございます。
まず、1ページ目に今回の検討の経緯を簡単にまとめさせていただいてございます。洋上風力推進の仕組み、再エネ海域利用法がございます。これは2019年4月に施行されているわけでございますが、環境影響評価制度との関係について2021年に地域脱炭素ロードマップ、地球温暖化対策計画、2022年に規制改革実施計画と、政府レベルのいわゆる決定において、規制改革実施計画の灰色のところを読み上げますと、「環境影響評価制度について、立地や環境影響などの洋上風力発電の特性を踏まえた最適な在り方を、関係府省、地方公共団体、事業者等の連携の下検討し、速やかに結論を得る」と言われてございます。
それを受けまして、先ほど委員長からもございましたとおり、環境省のほうで関係省庁と連携して検討会を立ち上げてきたと、最初は洋上風力発電の環境影響評価制度の将来に関する検討会ということで、その取りまとめは本日の参考資料5に当たります。
それを受けまして、完全公開の形で検討会を開きまして、「洋上風力発電の環境影響評価制度の最適な在り方に関する検討会」ということでございまして、それがまとまって参考資料6になります。
その概要について、この資料の3ページ目につけさせていただいてございます。こういった一連の検討を踏まえまして、いよいよ審議会のほうで御議論いただくということになるわけでございます。下から2つ目の段に当たる最初の青い箇所、2023年9月21日に、中央環境審議会のほうに風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について、伊藤大臣のほうから中央環境審議会の高村会長に諮問がありました。それが参考資料1になります。総合政策部会に付議をされ、今回はその小委の設置と至ってございます。それが参考資料3に当たります。参考資料1の通り、洋上風力発電事業に係る環境影響評価全般に関わる話になっており、今回は洋上風力を中心に御議論いただきますが、陸上も含めた小委員会になってございます。そのため、後に説明する答申のほうも一次答申という形で洋上風力に限った形とさせていただくことになります。
次に、今後の予定でございます。第1回の小委員会の開催は若干イレギュラーな形となりますが、終了後間を置かずにパブリックコメントのほうをかけさせていただきます。通常は、委員の先生方の御意見を反映して実施いたしますが、作業時間の関係上、そのようにさせていただきたいと思います。委員の先生方の御意見、パブリックコメントの意見を踏まえ修正した形のものを1月16日の小委のほうにまた提示させていただき、再度御議論いただきたいと考えてございます。以上でございます。
【大塚座長】ありがとうございました。続きまして、議事2の関係団体からのヒアリングに移りたいと思います。
本日は、洋上風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について4つの団体からヒアリングを行います。各団体の発表時間は10分といたしまして、最後にまとめて委員の皆様から質問をお受けしたいと思います。
それでは、まず公益財団法人日本自然保護協会様から発表をお願いいたします。
【日本自然保護協会 若松氏】日本自然保護協会の若松と申します。本日は、このような場で時間をいただきありがとうございます。私のほうからは、「洋上風力発電において環境確保すべき自然環境事項について」ということで、資料2-1になりますが、お話しさせていただきたいと思います。
洋上風力発電による環境影響の明確化に関してですが、国内では、先ほどの御挨拶にもあったように、エネルギー分野の脱炭素化のための再生可能エネルギー導入が急速に進んでおります。再エネの推進に関しては、我々の団体としても非常に重要な課題であって、地球温暖化を抑制し気候変動による甚大化している災害の軽減だけでなく、生態系の保全という点でもぜひ迅速な導入を図っていただきたいと考えております。しかし、現在、各地で大規模太陽光発電であるとか、陸上風力発電などを中心に再エネの導入によって、実は生態系の直接的な損失という問題が顕在化しているという状態になります。これまでは、洋上風力発電は、それに比べると導入がやや遅れているという状態ですけれども、陸上風力発電であるとか、そういった太陽光発電に比べると生態系への影響、環境面での影響ですけれども、相対的に小さいものということが予測されます。ただし、導入によってどのような環境影響が懸念されるかに関しては不確実性が高いという部分でもあると考えております。先ほど述べたように、きちんと迅速に導入を図っていくという点でも、早急にどのような環境影響がどの程度あるのかを整理していくことが必要だと考えております。それから、そのためにはそういった知見の積み上げが不可欠であると考えております。
次のページに移ります。実際に、洋上風力発電による環境への影響として考えられるものを列記してみました。まず大気環境に関しまして、粉塵とか騒音とか振動とか、そういったものも含めたものという形です。水環境に関しては、水質ないしはケーブルによる電磁界への影響、波浪、流向・流速といった点になります。地形地質に関しては、海浜・海底地形、風車の影、照明といった点になります。動物に関しては、コウモリ類、鳥類といったような水面よりも上の動物、それから水面下の動物、海生哺乳類、ウミガメ類、魚類、底生生物など、プランクトンも含めます。植物に関しては、海の中だと海藻草類などが代表的であり、場合によっては当然ケーブルの陸揚げポイントの海浜植生にも影響が出てくると考えております。全体としては、生態系といった大きな枠組みで考えると、地域を特徴づける生態系や、藻場・干潟、それからサンゴ礁などが影響を受ける可能性があると考えております。景観に関しては、主要な眺望点及び景観資源並びに主要な眺望景観といったところになります。最後に残土などでは、産業廃棄物、残土、それから建設時の二酸化炭素の排出も考えられます。
次のページに移ります。列記しておりますが、その中でも洋上風力による影響が特に懸念される事項をさらに絞り込んで見ると、大気環境では騒音・振動、水環境では水質・底質・水中音、それから地形地質などでは海浜・海底地形、動物では先ほど挙げたもの全てになります。植物、生態系も同じかと思います。こちらが建設中の影響で、さらに風力発電の場合は特殊事情として、稼働時にも影響し続けるところがほかの再生可能エネルギーとは少し違う事情であると考えております。1つ目が大気環境で、騒音・振動。この振動は低周波も含めての騒音です。それから地形地質などです。それから動物・景観に関しても同じような形で、建設中と同じような項目を挙げてみました。建設中に影響があり、稼働後に新たな影響がない項目も、実際に稼働し始めた後にそれが回復していくのかというところも見ていくことも実は大事と考えております。
次のページに移ります。具体的に、我々は自然環境団体ですので、特に動物に関して今回少し整理というか事例を紹介してみたいと思います。まず鳥類に関しては、次の野鳥の会様が詳しく御説明されると思いますけれども、直接的な影響であると、タービンブレードへの衝突、いわゆるバードストライクといったところです。種類によって影響は異なっていることが知見として海外では出ています。特に猛禽類は風車に近づきにくい傾向にあるとか、特にセンシティブな影響があると言われています。また、設置場所やタービンの配置によって衝突率が変わるということも指摘が海外ではされています。季節や気象条件により高度や数にかなりの変動があって、かなり不確実性、それから地域性が違うということがあって、正確な分析が非常に難しいことも指摘されています。特に海岸に近ければ近いほどこういった影響を受けやすいといった傾向も指摘されています。これは直接的な影響ですけれども、間接的な影響としては、そもそも風車ができることによって生息地が、そこをやめてほかに移動してしまう。ないしは、採餌などの移動の際の障害になるといったケースもあります。また、ほかの生物種の分布変化に伴って生息地が影響を受けるというケースもありますし、タービンや目印用のブイをねぐらなどに利用するといった逆にポジティブな影響も指摘されています。こういったことも含めて広く「影響」と言っております。次のページに移ります。続いて、海生哺乳類への影響に関してですが、こちらは海外の事例ですと、工事の騒音や振動の影響を強く受けることが指摘されています。特に海生哺乳類などは工事現場の80㎞以上先のノイズを検知するという可能性があって、周辺では個体数が急減することが指摘されています。特にアザラシやイルカといったものは強い影響を受けやすいということがあります。
一方で、工事が終わった後、稼動後に関しては、アザラシなどはあっという間に元の生息地に戻るといったことも指摘されています。むしろ、魚類が増えて増加をするというような研究結果も出ている形になります。また、イルカに関しても、ここで右側のグラフを見ると、元の個体数には戻らないにしても徐々に戻っているという形ですので、どのぐらいでこれが戻るかというところも気にはなるところかと思います。このように、工事の影響と稼働後の戻りというところがセットできちんとモニタリングをしていくことが非常に重要ではないかと言えると思います。
次のページに移ります。続いて魚類に関しまして、直接的な影響と間接的な影響をこちらも整理しておりますけれども、タービン周辺ではタラなど大型捕食者が増加し、小型の遠洋性魚種が減少するといったような、魚の種類が変化することが指摘されています。魚類そのものではないですけれども、底生の動物相とかそういったものも含めて、魚類が全体としてそこが禁漁になるということの影響として増加をするといったポジティブな影響も言われています。また、間接的な影響としては、先ほどのような動物種がそれを取りに来るということでの影響とかそういった影響も指摘されています。
次のページに移ります。続いて、洋上風力による環境影響の不確実性に関してですが、今後こういったものが増えていくという中で、一方では、これらはかなり不確実性が高いということで、その一番の理由というのは諸外国に比べて基礎データが圧倒的に不足をしています。ですから、さらなる拡大が見込まれる中で、こういった基礎データをきちんと示していくということも大事です。また右側の表ですが、題名を抜かしてしまって申し訳ないのですけれども、動物の種類、ないしは地域によって、その影響の範囲というのがかなり変わるというところで、そういったような地域ごとにデータを取得することも必要だと思います。
次のページに移ります。そのためには、こういったデータの蓄積を図っていく必要がありますけれども、アセス図書の公開、それから共有が本来は重要なのですが、下のグラフはアセス図書の現在の縦覧後、現在の公開状況を示しています。洋上に関して、御覧になって分かるように10%から20%程度しか常時公開されていない、つまり、データそのものが共有できない状態になっているという状態です。陸上はもう少し高いという形です。つまり、事業者のアセスメント調査は原則非公開になっていますけれども、残念ながら、これまでの仕組みでは厳しいという点では、次のページのまとめになりますけれども、こういったような蓄積がきちんとできるような仕組みそのものが必要という中で、最初に環境省がそういったことを行って、その後どうするかということも含めて議論をしていくことが、こういった基礎データの充実、それから適正な風力発電の導入につながっていけばと思います。リードタイムが欧米に比べて長いというのは、圧倒的に基礎データが日本の場合は不足しているというのが一番の原因ではないかと思いますので、そこの改善にもつながると考えております。私からは以上です。
【大塚座長】ありがとうございました。続きまして、公益財団法人日本野鳥の会様から発表をお願いいたします。
【日本野鳥の会 浦氏】日本野鳥の会の浦でございます。本日は、このような機会をいただきましてありがとうございます。私からは、資料2-2にあります「洋上風力発電が鳥類に与える影響とその評価」について発表をさせていただきます。
次のページに移ります。まず、これがイギリスのTeesside offshore wind farmというもので、矢印がついている風車が離岸距離では一番近く、海岸線から1.5㎞ぐらいですので、これから日本で建設されていく洋上風力発電施設は離岸距離1~5kmの海域に建つことが多いので、大よそこのウインドファームのような景観で建っていくのではないかと考えます。
次のページに移ります。これはイギリスのLincs offshore wind farmで、離岸距離で言うと大体15㎞から20㎞ぐらいのところに建っています。これよりもう少し小さく見える感じになると、大体12海里以遠ぐらいの洋上風力発電のイメージになるかと思います。
次のページに移ります。洋上風力発電が鳥類に与える影響についてですが、影響はバードストライク、風車が建ったことで鳥が生息できなくなってしまう生息地放棄、渡りや日常的な移動ルートが変わってしまう障壁影響が主なものですが、生息地の破壊や消失というものもあります。洋上では鳥類に生じる影響は観測が可能ですが、哺乳類など主に海水面の下で生息する動物の観測は難しいです。鳥は目視や機械により分布や行動の調査が可能なので、海外では鳥類に生じる影響を適切に把握することが、洋上風力発電が海洋生物に与える影響について理解する第一歩であると考えられています。鳥に何か影響が出れば、ほかの生物にも影響が出ている可能性が高いと言われています。
次のページに移ります。これがベルギーのZeebrugge沿岸ウインドファームということで、沖合型の洋上ウインドファームではないのですが、右下の地図にあるように、海岸から2kmほど沖合に伸びている防波堤の上に建っている風車です。ここでは風車建設後、アジサシ類で多くのバードストライクが起きていまして、例えば赤枠で囲んだアジサシ、普通のアジサシなのですけれども、それが最初の5年ぐらいは多くバードストライクが起きていたことが分かっております。ほかにも、ヨーロッパの事例ではアジサシ以外にカモメの仲間やカツオドリなどでもバードストライクが発生しています。
次のページに移ります。障壁影響について、これはデンマークのウインドファームでホンケワタガモという渡り鳥の渡りルート上に洋上風力が出来たときに、このように風車を避けて飛ぶようになったことを示しています。渡り鳥の飛行距離が50㎞延びると体重の1%が余計に減少する、また、毎日移動に使う飛行ルート例えば、ねぐらと餌場の間にウインドファームが建ってしまい、そのウインドファームを毎日10㎞迂回することで、その日1日で使うエネルギーが20%余計に消費されるという計算がされています。
次のページに移ります。生息地放棄についてですが、地図にある赤い色がついているところに、もともとコオリガモが多く生息していました。そこに、黒い丸とか四角で囲まれているところにウインドファームが建ち、そして青色の場所にコオリガモの分布が移動したという図です。このような生息地放棄については目視で調査が可能なので、事前と事後で比べて、どの鳥がどのぐらい移動したかというテーマは、ヨーロッパではかなり研究されています。このように大規模な生息地放棄や移動が起きると、下に書いているように、ゆくゆくは繁殖に影響するとか、個体群の存続性に影響する可能性もあることが指摘されています。
次のページに移ります。これは経済産業省が福島県沖に建てた実証実験用の洋上風車の建設時のアセスの結果です。ここで分かるのは、季節によって鳥の種類がかなり違うということです。特に左上にある冬季の状況なのですが船舶調査した4本の測線について、離岸距離が近い方で鳥が多い、または遠い方で鳥が多い測線もあるなど、測線によって鳥の多い場所が違うことがわかります。例えば、右上の春季〈5月〉ですと、恐らくミズナギドリ類の採餌海域になっていること、また、1か所にまとまって分布していることを示しているのですが、鳥の種数は非常に少ないという状況であることが分かります。それが右下の7月になると、これも恐らくミズナギドリ類だと思うのですけれども、海域全体で多くなっており、これも採餌をしに来ているのだと思います。このように、季節でも鳥の種類や分布場所などはかなり違います。海というのは一様に見えるのですけれども、鳥の分布は季節によってもかなり変わるということです。
次のページに移ります。これは岩手県の久慈市沖で、これも環境省のモデル調査事業で調査した結果です。例えば上の3枚の図を見ると、ウミスズメという比較的小さな海鳥は離岸距離が近いところに多く見られます。オオミズナギドリという大きな海鳥は、これは調査エリアに広く分布しており、アホウドリというかなり大きな海鳥は沖のほうに多いなど、鳥の種類によっても分布場所がかなり違うことが分かります。下の図にはガン類・アビ類・ヒレアシシギ類とありますが、ガン類は海の上を渡るのですが離岸距離は近いところを飛んでおり、アビ類は離岸距離が比較的近いところに広く分布しているのですが、ヒレアシシギ類は、これは恐らく移動をしていたのだと思いますが、沖合域に分布しています。このように鳥によって使う利用海域が違うということを示しています。
次のページに移ります。これはイギリスで航空機を使ってクロガモの分布について調査をした結果です。ヨーロッパの国ではこのようなデータを積み重ね、事前の立地選定などに活かしています。なお、クロガモというのは洋上風力発電の建設で生息地放棄を起こしやすいと言われています。
次のページに移ります。これはイギリスの事例ですが、洋上風力発電のためのゾーニングで、洋上風力発電の建設可能エリア、日本で言う促進区域を指定しているものです。ラウンド1や2などは離岸距離が近いのですが、ラウンド4や5だと40㎞沖ぐらいになってきています。ただ、このゾーニングの議論をするのでも、右にある3つのような海洋生物や鳥類に関する専門委員会をつくってゾーニングのあり方について議論するなど、科学的・生態学的にみて立地可能な場所を判断していくということをやっています。
次のページに移ります。鳥類調査の考え方です。事前・事後調査の重要性についてですが、洋上風力発電においては、風車を建てる前と後に調査をして比較するというのは非常に重要なことだと考えます。事前が予防原則に基づいた立地選定のために、事後は順応的な取組の実施や事前の調査結果との比較を行うために調査すべきと考えます。ただ、その際には、風車建設で発生する種や個体群の絶滅リスクを予測・評価するには、自然環境の変動と事業実施の影響を区別する必要がありますので、その方法について、BACIと呼ばれる事前・事後影響比較法やBAGデザインと呼ばれる前後影響傾斜評価の実施が必要となります。
次のページに移ります。ここに詳しく書いてあるのですけれども、時間がないので、詳しくは資料をお読みください。
次のページに移ります。これはイギリスのScroby Sands洋上風力発電所です。ここに写真がありますが、洋上風力発電が出来た後に、砂州のようなものが出来たのですが、ただ、この砂州が出来たのは洋上風力が建ったせいかどうかは分かりません。何故なら、事前にそれと分かるようなデータを取っていないからです。水の流れと土砂の堆積や滞留など水流や底質のデータを事前に取っていないので、事前・事後の影響比較ができていません。風車の影響か否かは分かりませんが、現象としては、このような砂の島ができてアザラシが生息するようになったということです。このようなこともあるので、事前にどういう調査を行うかというのは、こういった海外の事例等を参考にしながら考える必要があるのではないかと思います。
次のページに移ります。これは洋上風車の計画エリア内で事前に調査を行ったら、影響が高そうな場所というのが出てきたので、少し計画を縮小した、いわゆるMicro Siting、小さなゾーニングの事例です。例えば事前調査をちゃんと行うことによって、日本の有望区域の中だけでもこのようなゾーニングができるということです。
次のページに移ります。事後調査についてです。これまでは、とても画角が狭いカメラを使っていたり、TSDSと呼ばれる動物の熱を感知して撮影するようなカメラで事後調査を行ってきたのですが、最近はこういったレーダーが有効ですが、写真にあるロビンレーダーという3次元レーダーで鳥の飛翔を把握している事例が欧州で増えています。
次のページに移ります。これは、探索用と補足用の2種類のレーダーに高性能なカメラやAIを組み合わせて、風車周辺を飛ぶ鳥を撮影ができるというシステムです。今、ヨーロッパではこのようなシステムを使って事後調査やっていますので、日本でもぜひこういったものを使って調査すべきかと思います。
最後に、これは渡り鳥の話なのですけれども、違う国で繁殖している鳥が隣の国で越冬をするようなことがあるのですが、こういうことも洋上風力で考えておかないといけないのですが、これは累積的影響評価を行う必要があるといことと、国際的な渡り鳥の保護というものを検討する必要があるかと考えます。以上です。
【大塚座長】どうもありがとうございました。続きまして、一般社団法人再生可能エネルギー長期安定電源推進協会様から発表をお願いいたします。
【REASP 笹野氏】一般社団法人再生可能エネルギー長期安定電源推進協会の笹野と申します。本日は弊協会にヒアリングの機会をいただき大変ありがとうございます。
まずは2ページを御覧ください。こちらが本日の御説明内容となります。
最初に弊協会の御紹介をさせていただいた後、洋上風力発電に係る環境影響評価制度の在り方について意見を述べさせていただきます。
3ページをお願いいたします。弊協会は、日本における主力電源としての再エネ発電を長期安定的な電源として普及することを目的に、2019年12月に設立された事業者団体です。協会の目的を踏まえ、「再生可能エネルギー長期安定電源推進協会」という非常に長い名称ではございますが、タイトルの括弧内にありますとおり、英語表記の略称で「REASP」とお呼びいただければと存じます。REASPの特色としては、特定の再エネ電源には特化していない点にございます。
そのため、次のページで御説明させていただきますが、弊協会として再エネ電源、横断的な活動を行っております。2023年11月時点での会員数は114社、右側の円グラフにありますとおり、発電事業者だけでなく、金融機関、機器メーカー、EPC、O&M、法律事務所、コンサルなど再エネ発電所の開発に係る様々なステークホルダーの方々に参画いただいており、これにより、発電事業者だけでは取り組めない論点を取り扱えることも特徴であると考えております。
4ページをお願いいたします。こちらがREASPの具体的な活動内容となります。先ほど御説明させていただいたとおり、REASPは、電源横断的に課題解決に取り組んでおり、長期電源開発委員会、電源安定化委員会、電源活用委員会において再エネ全体に係る検討を行っております。また、REASPとしても、将来のカーボンニュートラル実現のためには、洋上風力が重要な役割を果たすと考えており、2050年時点で、着床式洋上風力を2,300万kW、浮体式洋上風力を1億kW程度導入する必要があると試算しております。こうした背景も踏まえ、再エネ電源横断の業界団体ではあるものの、左上にあります洋上風力に特化した洋上風力委員会を立ち上げた経緯にございます。REASPについて御紹介させていただきましたが、次ページ以降で、洋上風力発電に係る環境影響評価制度の在り方について意見を述べさせていただきます。
次のページをお願いいたします。最初に、新制度に対するREASPとしてのスタンスを御説明させていただきます。本ヒアリングに向けまして、REASP会員企業にアンケートを実施しております。事業者が選定されるまでの間、国主導で現地調査を含む環境影響評価を実施することに対し、おおむね好意的に受け止めております。国主導での実施により、複数の事業者による同一海域での環境影響評価手続が実施されなくなり、地元関係者、地元自治体等への御負担が減るものと思慮しております。
一方、制度の具体的内容は今後の検討課題であることは十分認識しているものの、現時点においてその詳細が分からないことから、今後の制度設計において御検討いただきたい点も含めまして、意見を述べさせていただければと考えております。
6ページをお願いいたします。REASP会員企業のアンケートにおいて、「事業の予見性の確保が重要」との点が最も多く上がった意見でございます。今後の制度設計において具体化されていくものと考えておりますが、現時点で分からない点も多く、そのため、「新制度には期待しているものの、現時点でのスタンスが中立」との意見を持つ会員企業もおりました。
現行制度における環境影響評価手続でも同様ですが、手続完了の時間軸が状況に応じて変化することから、ある程度の想定を置いて、事業スケジュールを策定する必要がございます。もちろん海域利用に係る調整や設計、認証、資材調達施工など、ほかにもスケジュールに影響する要因が多々ある中、それらを全て勘案しながら、事業者としては事業スケジュールを策定しますので、環境影響評価手続は、変動要因の一つとしての位置づけです。
1ポツ目の矢印以下で記載のとおり、今後の具体化に係る検討に際し、国主導で現地調査まで行うことで特に審査に要する期間の短縮が図れないか、事業者が実施する工数より増大することがないか、また、促進区域指定前に現地調査を完了させるフローであることから、再エネ海域利用法との具体的な連携も併せて整理いただきたいと考えております。
また2ポツ目のとおり、事業者が事業計画案を策定する前に、国主導で想定される事業形態の概略を設計し現地調査の設計を行うことになるため、設計書案の検討に際し、風車諸元や風車配置などについて後続プロセスで手戻りが発生しないよう設計することが重要と考えております。
7ページをお願いいたします。次は地域との連携についてです。環境影響評価の関係自治体と法定協議会に参加する自治体の範囲対象が一致しないことも想定されます。一般的には環境影響評価の関係自治体は、法定協議会の構成自治体よりも広く、法定協議会の構成員以外の自治体が入る場合も想定されます。国主導で行われる現地調査に基づき、環境影響が懸念される項目を選別し対応方針を決定、その内容が法定協議会での議論に反映されますので、関係者間での情報共有をしっかり行っていただきたいと考えております。
また、5で記載している経過措置については、8月の取りまとめにおいて、整理すべき論点として既に御認識いただいているところです。新制度を導入する時点において、既に事業者が環境影響評価に着手している海域をどのように取り扱うのか、今後、制度を具体化するに当たり明確に定めていただきたいと考えております。
8ページをお願いします。新制度においては、国主導で現地調査を実施し選定された事業者が、国が収集した情報を引き継ぎ、準備書以降の手続を進めていくこととなります。
そのため、1ポツ目のとおり、生データ等を含む現地調査結果や、それを踏まえた事業リスクなど国が把握した全データを引き継ぐ仕組みが必要であると考えております。また、モニタリング結果の一元的管理についてですが、8月公表の取りまとめにも記載いただいているとおり、モニタリングデータには事業固有の企業秘密情報が含まれる可能性もあることから、情報管理体制を構築することが必要と考えております。さらに国が集約したデータのうち、どのようなデータを誰に開示するのか、こうした点を整理していくことが重要と考えております。
9ページをお願いいたします。新制度の実施体制についてです。今後、洋上風力発電の導入が増加した場合、環境影響評価に係る人材を確保していくことが重要となります。また、新制度において、これまで事業者が実施していた現地調査等を国が担うことから、国においても相応の体制整備が必須になるものと考えます。資料に記載のとおり、環境影響評価に係る実務者の人員確保や技術の向上が不可欠であり、また現行制度においては、現地調査の実施に必要な地元調整を事業者が担っているものの、新制度ではこのような調整の役割も国が担うこととなりますので、調整に係る人材を国としても確保する必要がございます。加えて、今後、環境影響評価に係る人材が不足し、環境影響評価手続に要する期間の長期化も懸念されますので、人材育成を着実に進めていくことが重要と考えております。
10ページをお願いします。こちらが最後のページとなりますが、IFC基準との整合についてコメントさせていただきます。IFC基準とは、世界銀行グループである国際金融公社IFCが貸出し条件として、顧客に遵守を求めるパフォーマンススタンダードです。このパフォーマンススタンダードの一つに、環境社会に対するリスクと影響の評価管理が挙げられております。日本での事業においてアセス手続がIFC基準に基づいてなされているか、事業への資金拠出を検討する金融機関等から確認を求められる場合もあり、仮に基づいていないと判断された場合には、事業を進めるに当たり、不足分の調査事業者が実施することとなります。EEZでの洋上風力発電の実施に向けて、UNCLOS等との整合を図る方針となっておりますが、この先、詳細な制度設計を検討するに当たり、IFC基準との整合についても御確認いただければと考えているところです。REASPからの説明は以上となりますが、新制度により、再エネ海域利用法と環境影響評価制度の運用上の課題の整理や、モニタリング内容、順応的な取組が整理され、洋上風力発電の導入が進むことを期待しております。REASPからは以上となります。
【大塚座長】どうもありがとうございました。続きまして、一般社団法人日本環境アセメント協会様から発表をお願いいたします。
【JEAS 島田氏】日本環境アセスメント協会の島田と申します。本日は、このようなお時間をいただきましてありがとうございます。
まず資料のほうでございますが、2ページを御覧ください。最初に若干、協会の御説明をさせていただきます。主な活動内容のところにありますように、環境アセスメントに関しまして技術、情報、研修、それからアセスメント士という資格認定と、そういったような事業をしている組織になります。
次のページに移ります。活動の中で、特にセミナーとか研修会、アセスメントに関わる技術者の育成に特に力を入れて活動してきております。
4ページをお願いいたします。その中で、環境アセスメント士という認定資格制度、こちらの運営を行っております。アセスメント士につきましては、中段の網かけ部分にありますように、実務的なところ、専門的な技術・技能を有しているのはもちろんなのですが、「倫理観を持って実務を行える者」ということで資格のほうは位置づけ、定義をしております。
5ページをお願いいたします。現時点で、表の一番右端に登録者数、下のほうの表を御覧いただきますと「712」という数字がございますが、今年8月末現在において全国で712名の登録者がいるという状況でございます。
それでは、次のページから意見を若干述べさせていただきます。
7ページをお願いいたします。まず1点目、新たな環境影響評価制度についてということでございます。今回のセントラル方式の中の環境配慮手続、これは今までのアセスにはない戦略的なアセス制度の概念を含むと認識しております。これは大変重要な手続であると考えておりますので、その機能を十分に果たすということが大事と考えております。
下のほうに意見と書いておりますが、2つ目のポツのところに書いてございます。3行目あたりからですが、「環境の見地から意見を有する者等からの意見聴取の結果をどのように反映するかが非常に重要」ということになると思います。「その手続における意見と判断の客観性、透明性に特段の留意が行われる」ということが必要であると考えています。報告書の取りまとめのほうにも書かれていますが、この環境配慮プロセスの公表、意見聴取ができるだけ早い段階でオープンにされて事業計画に反映されることを望みます。
次の8ページをお願いいたします。こちらは、新たな調査方法の開発と適用の推進ということでございます。今回、海域における様々な生物を中心にした調査というのは陸域ですとか沿岸域、従来アセスで行われてきたような方法では十分ではないということが想定されます。衛星情報を活用するとか航空機、それから設置型のカメラ、センサー、ロボット、画像解析、音響解析、それから水中を含むデータの送信技術などを組み合わせていくと、新しい技術を使っていく必要があると考えています。
意見のほうの1つ目にございますが、報告書において、必要な技術検証研究プログラムの実施について言及されておりますが、洋上風力発電事業の開発スピードに合っていかないといけないと考えています。
2つ目ですが、こういった新しい技術、先行事例がない、あるいは有効性が明らかでないという理由で、事業者のほうで採用することは難しいと考えるものもあるかと思いますが、こういったものの導入を進めていくことが必要と考えております。例えば環境省のほうで作成するアセス設計書、調査方法書において、有効性検証を目的に含めて国が実施するということを前提に取り入れるとか、現在、動いている先行事業者の協力を得て、そういった技術開発、検証を行うことを期待いたします。
次の9ページをお願いいたします。3番目、モニタリングデータの総合的な評価でございます。現地調査、モニタリングデータ、これは重要な情報でございますが、鳥であるとか水生生物、こういった生息のスケール、行動スケールを考えますと、単一の事業エリアよりも広いエリアで総合的な評価が必要となることも想定されると考えております。
1つ目の意見でございますが、様々な複数の事業者様によるデータを一元的に集約し、広域での評価を含めた総合的な解析評価を遅滞なく行うことが大事と考えます。同様に、報告書の中で「国が長期的視野に立って環境情報の調査」についても記載をされていますが、これも先ほど申したように、洋上風力発電の開発スピードに合うように進めることが必要です。こういった知見から、個々の事業による影響並びに広域での事業影響の可能性について検討評価する仕組みを整えることが重要と考えています。こういった検討の手続においては、客観性、透明性、それから科学的な判断ということを考えますと、セントラル方式、それからアセス制度、洋上風力による環境影響の知見のある有識者、こういった方々により構成された第三者組織というものの設置活用も有効と考えております。
10ページをお願いいたします。モニタリングにおきまして、事業による著しい環境影響が疑われるという情報が得られた場合に、どのように追加的調査を実施するのか、保全措置を検討、実施するのかという考え方の整理も重要と考えております。先ほどの広域的な影響に関連いたしますが、こういった調査、原因究明が事業者の判断で実施できる範疇であれば問題ないと考えますが、広域的な情報を基に判断すべき場合ということも想定されますので、そういった場合は事業者単独で検討や対策実施には限界があることも想定されるかと思います。国も環境アセス手続を実施する主体として柔軟にこういった原因究明の追加調査、保全措置の検討において一定の役割を果たすことも想定しておくことが必要と考えます。
11ページをお願いします。有識者の意見聴取について、各段階におきまして必要な場合に有識者の意見を聴取するとされておりますが、この意見聴取というのは、手続においてかなり重要な要素と考えます。それを客観性、透明性をもって行うことを考えると。それから事業者のほうでも同様に、そういった意見聴取というのも重要になると考えられます。
4つ目のポツにありますように、セントラル方式、アセス制度、洋上風力、そういったものに総合的な知見を有する有識者も少ないと想定されますので、そういったところを考慮する必要があると考えます。
12ページをお願いします。その上での意見ですが、そういったところで地域固有の問題は地域に精通した有識者での意見で、ただ、共通する問題については共通した判断が必要ということで、第三者的な立場から助言、アドバイスを行うような組織をあらかじめ準備することも重要ではないかと考えております。
13ページをお願いします。環境省の組織・体制の構築です。環境省が事業実施を行う主体、それから環境保全の見地から意見を述べる主体の二面性を有することになりますので、そこを分かりやすく組織体制を整備することが大事と考えます。
14ページをお願いします。アセス情報に係る集約・蓄積・共有として、現地調査、モニタリングデータを含むそういった情報というものが累積的にも大きくなっていくと考えられますし、新しい方法の採用などでデータの種類も変わってきます。こういったところで一貫性、継続性を持って集約管理、分析評価を実施する組織制度を整える必要があるのではないかと考えます。
15ページをお願いします。自治体におけるアセス審査会等への情報提供です。特に現段階では自治体の担当の方、自治体審査会におけるそういった洋上風力に対しての知見というのは少ないと考えられますので、今後丁寧に国から説明をしていただく必要があると考えます。
16ページをお願いします。技術者の育成ですが、現段階では洋上風力が行われるような海域でのアセスというのは、これまであまり事例がありませんので、そういったところに対応する技術者というのを育成が必要と。海域に関する技術者、それからアセス制度の技術者、こういった技術者を軸に、セミナーとか研修とか、当協会でもそういったところは進めていきたいと思いますが、国におかれましても、そういった研修プログラムであるとか、学生向けの教育といったことの御検討をいただければと考えます。以上でございます。
【大塚座長】ありがとうございました。それでは、関係団体の皆様からの発表内容につきまして、これから最大16時35分頃まで質疑の時間を設けます。質問のある委員の方は挙手を、オンラインの方は挙手ボタンをお願いします。
それでは、森田委員お願いします。
【森田委員】御発表ありがとうございました。今回、初めて風力発電関係の委員会に出るため、基本的なことを質問してしまうかもしれませんが、3点ほど質問させていただきたいと思います。
1点目は、日本自然保護協会の若松様になりますが、生態系に関して、鳥だけでなく、いろいろな生態系に関連する項目において考えられる洋上風力発電の影響があるということでした。大気環境など洋上風力発電による影響が懸念されるいろいろな環境項目がある中で、それらが何か連鎖的な影響をもたらすのでしょうか。その後の日本野鳥の会の浦様のほうでも、「鳥と海の魚とに関係がある」といったお話があり、何か連鎖的な影響が出てくることがあったのだと思います。それらの関係について、一つ一つの種への影響に関しては見ていく人がいるというのは想像できるのですが、連鎖的に影響が起きてくるというところに関しては、そもそも基礎データが全然ないということでしたが、何かシミュレーションをしていろいろな影響を示すような議論はあるのでしょうか。それとも、まだ全然そういうレベルではないのでしょうか。
2点目は、日本野鳥の会の浦様になります。ゾーニングの話が出てきたのですが、洋上風力とか発電を考えるところでは、地域レベルで何か最適化を考えるのだろうかと思っていたのですが、ゾーニングとの関係ということで見てみると、風力発電もいっぱい設置しなくてはいけないという中で、ある程度集中して一つの地域に設置することが、その国全体、さらに他国にもまたがって、鳥も含めた全体の生態系にとっても最適な解であるということを検討した結果、ゾーニングがよいとなっているのでしょうか。その趣旨としては、地域レベルのアセスを超えて、もっと生態系の広い範囲として、国もしくは他国との関係といったレベルの生態系も踏まえた最適化といったところまで検討する必要があるのかを知りたくお伺いいたします。
最後の質問は、日本環境アセスメント協会の島田様になりますが、洋上風力の発電の設置に関してまだいろいろな影響・不確実性があるということでした。現時点で分かっている影響に対する評価だけでなく、発電所を設置した後に何か思いもよらなかった影響が出てきたときの、そのような設置後に出てきた生態系の影響に関してフィードバックするような方法は、例えばセントラル方式等のアセスの仕組みの中では、入れていくことができるのでしょうか。今後風力発電を設置するときにおいて、そういった新たな生態系の影響の観点も配慮するとか、技術的なところではいろいろなモニタリングをもっとできるような方法を探るなどが考えられます。以上、3点についてよろしくお願いいたします。
【大塚座長】ありがとうございます。質問を幾つか伺ってから回答をいただきたいと思いますので、ほかに何かあれば、よろしくお願いいたします。それでは、原田委員お願いします。
【原田委員】アセスの生態系の影響について1点お伺いいたします。私のほうも、台湾で雲林であるとかまた台中に近いところでも投資をさせていただいておりまして、その際に環境アセスの書類が中国語しかなくて大変苦労してもいるのですが、洋上風力または沿海開発をやられているという点では、東アジアにおいて台湾が先行事例になるでしょうし、韓国や、それから場合によっては中国もかなり洋上風力をやっていますので、欧州の事例という意味と、それが同じ経度帯にある東アジアの事例というのが他国との連携がどの程度参考になるとお考えでしょうか。
また、何か既に東アジアで先行しているといいますか、同様に検討している地域との連携といったものの情報というのはかなり取れるような状況なのかを教えていただければと思います。
【大塚座長】錦澤委員、お願いします。
【錦澤委員】2点、REASPの方にお伺いします。まず1点目は、7ページの地域との連携の話で、再エネ海域利用法の法定協議会とアセスの関係の主体というのが変わってくるということで一致しないということと、そもそもアセス法のアセスと再エネ海域利用法の流れというのをどうやって情報共有なり連結をさせるのか。これは先のセントラル方式の議論を行う中でも交わされていたところになりますが、「範囲(対象)が一致しない」といった点で、何か具体的に事業者の方の観点から、「こういった問題が起こるのではないか」といった具体的な懸念があるのでしたら教えてください。
それから2点目はEEZについて、これは今の洋上風力の開発状況を考えるとそれほど長い先の話ではないと思います。確かにIFC基準で国際金融機関、今、世銀(世界銀行)等でやっているような基準といったものが求められるというのは確かに考えられると思うのですが、具体的にこういった観点で国内のアセスでは十分ではなく、後で事業者として追加してくださいといった観点で何か具体的な項目であるとか、そういったものがもしあれば伺いたく思います。よろしくお願いいたします。
【大塚座長】奥委員、お願いします。
【奥委員】3点お伺いします。まず1点目は、日本自然保護協会様になります。冒頭のほうで、「洋上風力に伴う環境影響は、陸上風力に比べて相対的に小さい」といったことをおっしゃられていたかと思います。それは何か根拠としてそのように言い切れるものなのかどうかを教えてください。
それから2点目は、日本自然保護協会様と日本野鳥の会様の両者になります。お話しいただいた洋上風力に伴う環境影響は、建設費と操業時を念頭に置いたものだったかと思いますけれども、イギリスにおいては、施設の立地に対してライセンスを与えるに当たっては、廃止時における環境影響というものもあらかじめ予測した上で、そこに対してのミティゲーションであるとか環境保全措置も検討するということをEIAが義務づけていると理解しております。そういったことを考えると、廃止時についての風力発電施設による自然や動植物等に対しての影響というものについてはどのようにお考えなのをお伺いいたします。
最後に、REASP様になります。情報管理について資料の8ページでお話しいただきましたが、ここに書かれているのは、情報データ管理体制の構築というのはモニタリングデータについて言及されていますけれども、モニタリングデータだけではなく、むしろ事業者の方に担っていただく環境影響評価に係るアセス図書であるとか、アセス関連のデータの公開やデータ蓄積、共有についてはどのような御見解なのかを伺います。以上3点、よろしくお願いいたします。
【大塚座長】それでは、私からも1点伺います。REASP様に対しまして、6ページにおいて、事業の予見可能性に影響があるというところですが、セントラル方式で国がやる場合に、事業者が実施するよりも工数が増大しないように留意いただきたいということでしたが、このために例えばどういう御要望があるかといった点を教えてください。
質問が多くなりまして恐縮ですが、まずは自然保護協会様から御回答をよろしくお願いいたします。
【日本自然保護協会 若松氏】まず、森田委員の御質問に回答いたします。プランクトンや底生動物を通して魚が影響を受け、さらに鳥が影響を受けるといった連鎖的な影響が当然考えられるという中で、当然シミュレーションをしていくといった形にはなると思うのですが、実際に現状とすると、基礎データそのものがないという状態なので、シミュレーションをかけるにしても、元データがなければ当然シミュレーションはできないわけです。実際にどういったような生物がどういった分布で今生息しているのかといった基礎データが非常に陸上と比べ、海の中のデータが欠けている状態です。そのため、まずはそこをきちんと取得する必要がありますし、実際に建てた後にどういった変化があったのかというところを変数としてきちんと取得をさらに行い、シミュレーションをかけないといけないわけです。しかしながら、その事例もないわけですから、今現在この状態でシミュレーションをするというのは、かなり不確実性が高いデータしか出てこないというのが現状だと思います。その事例を増やしていけば、かなり現状でこういった影響が考えられるというのがシステマティックに出ていくような時代といいますか、そういったことは先々考えられると私は思っております。
次に原田委員の質問に対しまして、台湾、中国、韓国の事例に関して私はすごく詳しいわけではないのですが、現在我々としては、サシバという渡り鳥の中継地である台湾の団体との意見交換を今始めた段階になります。洋上風力に関しては、保全や調査の事例というのは、日本同様にまだ少ない状態です。そういった点では、欧米に比べ、東アジアの諸国はそういったデータそのものがまだ取得できていないというような形かと考えます。ヨーロッパよりは参考になりそうだという御指摘はまさにそのとおりですので、その辺は台湾、韓国、中国といった諸国と情報交換をしていくことは有効だと思っております。ありがとうございました。
次に奥委員の質問に対しまして、洋上と陸上を比べてという話ですが、一つの大きい点は、洋上のほうが海の中に建てるという点では、当然陸上ではないため動物は回避しやすく、また陸上の場合は植物にも影響はありますが、洋上は植物そのものが当然生えていないため影響は当然ありません。つまり一次生産者への影響は非常に少ないというところです。それから土地形状の変更がそこまで行われないということですので、土地形状の変更が行われることによって、基盤である地形とか、そういったところの変化に伴う、例えば土砂崩れが起きやすくなるといったこともないという点では、陸上に比べれば相対的に洋上のほうが自然環境へ影響を受ける項目ないしは範囲が狭くなる。ただし、洋上と陸上、今現在、風車の大きさを比べると洋上のほうが大きい状態になっていますから、当然大きく影響を受けやすい項目というのは別途出てきているというのはそういう状態ですけれども、総合的に見るとそういった判断になると思います。
また、少し最後の質問において聞き取りにくいところがあったのですが、廃止時にどういったようなことがといった理解で合っているでしょうか。
【奥委員】その御理解で合っております。施設の廃止時について、それに伴う影響も考える必要があるのではないかと思うのですけれども、まだそこまでいっている事例がそもそもないということはあるかもしれませんが、どういった御見解か伺えればと思い伺った次第です。
【日本自然保護協会 若松氏】その点は、おっしゃるように今後きちんと考えていく必要があるとは思います。ただ、現在どのようにといったところでは、私たちのほうで何か見解を持っているといった状態ではございません。申し訳ありません。
【大塚座長】どうもありがとうございました。続いて、日本野鳥の会様からお願いいたします。
【日本野鳥の会 浦氏】それでは、最初の森田委員の御質問に回答いたします。鳥と魚の関係、また鳥と他の動物等との関係といったところですが、まずは関係があるものとして、例えば洋上風力が出来て魚がいなくなれば、魚食性の鳥はそれに伴って減少する可能性が考えられます。そして、特に海面に近い魚が戻ってくれば、また鳥も戻ってくる、もしくは集まる可能性があります。しかし鳥の種類によっては戻ってきません。何故なら魚が集まってきたことよりも、風車が操業しているため物が動いているとか、メンテナンス等で今まで船があまり走っていなかったところにたくさん船が来るようになるなどにより、建てた後も戻ってこないということがあります。そのため様々な関係は単純なものではないといった点が一つございます。
また、そういったものの基礎データに関しては、ちょうど9月に風力発電が野生生物に与える影響に関する国際学会がありまして行ってきたのですが、分類群ごとに鳥であるとか哺乳類というもので、洋上風力であれば、事前・事後の比較をやっているのですけれども、おっしゃられたような生態系の評価といったところまでは、なかなか海外でもできていないといった状況でした。
そして、ゾーニングに関しましては国際間連携の御質問になるでしょうか。
【森田委員】
風力発電を多く投入する上でのコストエフェクティブネスの関連や生態系とのバランスなどを見ていく中で、その地域だけでなく、国全体として、もっとスケールアップして考えた上での最適解を考えたところ、やはりゾーニングを行うことが生態系への影響もミニマムにしてうまくいくといった議論が行われていたのかどうかと思い伺った次第です。
【日本野鳥の会 浦氏】国の中であれば、先ほどのイギリスの例もそうですが、何も計画がない状態のところから最低限なるべく環境影響の低い場所を見つけてゾーニングしていくというものがあります。恐らく、それはドイツでもオランダでもやっていると思います。そのほかにMicro Sitingといったものを、ある程度、国が「この辺であれば、それほど環境影響はないでしょう」というエリアを決めて、その後、そのエリアの中で事業者がより詳細にアセスメントをやり、さらに絞り込みを行うとこともやられています。
しかし、それが国際的にという話になれば、累積影響評価みたいな話にもなってくるので、先ほど最後のスライドで説明したように、鳥であれば、鳥は国境なく移動するため、それに対する影響、国境をまたいだ影響をどうするかといった議論は最近始まったところで、まだ「こうすべきだ」という答えは出ていないといった状況として理解しております。
次に原田委員の質問に対しまして、台湾の事例はあまり詳しく分からないのですが、ただ、状況からすれば、おそらく、台湾海峡で洋上風力が建っているところは水深が割と浅いところだと思います。平均で50mぐらいでしょうか。航路になっているようなところは20mぐらいだと思うので、そういう意味では水深という面に加え、台湾海峡は渡り鳥も多く飛んでいますので、そういう面では鳥に関してはある程度参考になるところがあると考えます。そうしたところでは、台湾で先行事例があるのならば、日本の洋上風力において台湾の事例を一つ参考にしていくというのも必要ではないかと思います。
また、先ほどサシバの話もあったと思いますが、結局、日本にいる渡り鳥がそのまま台湾にも行きますから、国際間の渡り鳥の保護といった話にもなってくるでしょう。そうなると、今度は累積影響評価をどうするかという先ほどの森田委員からの話につながっていきます。そういう意味では、台湾との連携というのも今後必要になってくるのかもしれません。
次に奥委員の質問に対しまして、廃棄時、終わったときのアセスをどうするかといった事例を存じ上げておらず、特段言えることは無いのですが、ライフサイクルアセスメントいった点では、海外で事例があるかどうかをこれからぜひどなたかが収集していただきたいなと思います。少なくとも鳥に関しては運用後20年後、30年後の廃棄時に云々という話は知りません。以上です。
【大塚座長】どうもありがとうございました。それでは、REASP様からお願いいたします。
【REASP 笹野氏】まず、錦澤委員の御質問に回答いたします。資料7ページ目のアセスと海域利用法で、対象の自治体が一致しない場合といったところで、事業者の観点からしますと、当然、促進区域の指定といったところは法定協議会で決まります。その一方で、そこに情報を入れる環境アセス側では、それより広い範囲の自治体にお声がけがなされる場合があるといったところで、そういった自治体の方がもしその事業に対して御反対の立場といった場合には、なかなか事業が進まないといったことも想定されますので、そういうところを懸念ではありませんが、発生し得るものとしてコメントさせていただきました。
それから2点目のEEZの話、IFC基準のところですが、どちらかと言えばIFC基準のほうが広く浅くということで、陸側のところでもアセスをするようなことを要求といいますか、そういった金融機関から求められる場合もございますので、具体例としては陸側であるとか、もしくは撤去といったところで求められる場合があるのではないかといったところです。
次に奥委員の質問に対しまして、情報管理において、8ページ目のアセス図書、データの公開といったところですが、こちらは正直まだREASPとしての見解を持ち合わせていないところで大変恐縮ではあるのですけれども、これまでと違いまして、事前調査・現地調査を国が行うということで、これまでのアセスとは全く違うやり方になりますから、そういった点も含め、事業者の方々とも意見交換をしながら整理していきたいと考えているところです。
次に、大塚座長からの質問に対しまして、工数の増大が時間軸のところでどうかというところでありますが、実際にモニタリングで何をするであるとか、諸々の対応によって変わってくるところもありますけれども、より多くの調査をするだとか、時間もより長くやっていこうということで、どんどん増えていってしまうところを事業者側としては懸念として考えているところになりますので、そういった点からコメントをさせていただいた次第です。REASPからは以上となります。
【大塚座長】どうもありがとうございました。それでは、日本環境アセスメント協会様からお願いいたします。
【JEAS 島田氏】まず、森田委員の御質問に回答いたします。事前に想定できなかった影響についてどう対応するのかといったお話ですが、アセスの段階で事前に環境影響評価をした上で、それを踏まえ、モニタリング事後調査というのを計画されると思うのですが、そこで何らかの影響が出た場合は、その影響を踏まえて必要な保全措置をやっていくという流れになると思います。ただ、そこでも想定されていなかったような問題がもしあった場合ですが、そういったケースは具体的に現状想定しづらく、仮にといったところでは、その後の事業に生かせるようにということで、今アセス図書であるとか、データの一元的な集約、検討評価が重要というお話と、それからもう少し広い範囲での広域的な環境データが必要であろうと考えられ、そのあたりで抑えていくことも大事なのではないかと思います。以上です。
【大塚座長】それは、手戻りは絶対にしないということでしょうか。
【JEAS 島田氏】手戻りを絶対にしないというよりも、できるだけリスクを減らすような体制を取る必要があるといった趣旨になります。
【大塚座長】どうもありがとうございます。そのほか御質問等があれば、お願いいたします。
それでは、関島委員お願いします。
【関島委員】日本野鳥の会の浦様に伺います。これは日本環境アセスメント協会様にも関連するのですが、資料12ページの「事前は予防原則に、事後は順応的運用にもとづき影響回避が推奨」といったこの部分が、アセスメント協会様のほうは「客観性・透明性を確保し、科学的な判断を行う」、そして「洋上風力による環境影響に知見のある有識者により構成された第三者組織の設置・活用も有効と考えます」と言われています。今、陸上風力において手戻りというか、供用後に大きな影響が出そうな案件に関しては、大臣勧告を通し、協議会等を開催して事後の運用を検討していくような協議会の設置が求められ、実際に幾つかの案件では協議会が設置され、供用後の対応が検討されています。そういった中で、アセスメント協会様の御提案のように、それを第三者が担っていく組織をつくるとなったときに、野鳥の会様としては体制をどうしていくのか、また、モニタリング期間をどの程度設けるのが適当なのか、このあたりの御見解を伺えればと思います。
次に2点目は、モニタリング体制に関し、13ページにBACI法とBAGデザインのことが書かれています。特に、BAGデザインのほうで、12ページにおいては、対象事業区域よりもはるかに広い面積で実施しないと有効ではないといった中で、さまざまな鳥の生態を考えたときに、どれぐらいの範囲を設ければよいのかといったところで何か御見解があれば教えてください。
次に3点目は、18ページで、渡り鳥においては非常に広い範囲を生息圏としており、国を超えて渡ると述べられています。私たちも以前調査を行ったときに、伊豆諸島にコロニーを形成するオオミズナギドリが、繁殖期の採餌海域として、北海道襟裳岬沖まで広く飛翔していくといったところがGPS追跡の結果からわかりました。例えば、北海道周辺の海域で事業が計画されたときに、北海道周辺だけではなく、かなり遠方に位置するコロニーからも飛来してくるわけです。そういったときに、ある海域を利用している鳥類はどこにコロニーが形成されているのかを把握するためには、かなり広域な調査が必要になってくると思います。この点を踏まえ、具体的な調査方法を考えていくときに、対象事業実施区域の影響に留まらない影響をどのように評価していくべきなのかについて、お考えがあればお聞かせいただければ幸いです。
あと2点、REASP様に伺います。1点目は、6ページ目の環境影響評価に要する期間の短縮を図る方策について、もし具体的なお考えがあれば、御説明願います。これは事業者の方にとっては非常に重要な部分だと思うのですが、現在でも陸上では前倒し調査のような形で、配慮書の前に環境調査が始まるような調査が行われています。例えば、今回のセントラル方式を想定した場合、具体的にどういった部分が短縮できるのかについて、もしお考えがあればお聞かせください。
次に2点目は、9ページ目で、「今後、環境影響評価に係る人材が不足し」といったところですが、今後風力発電の大量導入が想定される中、事業案件が増えることにより人材が不足していくとお考えなのか、それともまた別の要因により人材が不足すると想定されているのか、この点について御教示願います。よろしくお願いいたします。
【大塚座長】飯田委員、お願いします。
【飯田委員】まず、日本野鳥の会の浦様に伺います。資料12ページ目につい、今、関島委員からもお話のあったところで、「広い面積で」と書いてあるところをどのぐらいの面積かというのを具体的に教えていただけたらと思います。
次にREASP様になりますが、資料で10ページ目のIFC基準について言及されていますけれども、こちらのIFCの方ではモニタリングについて言及されているのかどうかという点だけ確認させていただきたいです。以上です。
【大塚座長】それでは、御回答のほうをよろしくお願いいたします。
【日本野鳥の会 浦氏】まず、関島委員の御質問に回答いたします。1点目の客観性と事前調査等といったところで、なかなか事前調査に客観性を求めようと思うと、海洋環境は変動が非常に激しいですから、その年や時期によっても全然環境の様子が違うので、科学的に判断をしようと思うとものすごい量の調査を行う必要があります。特に事前のデータベースみたいなものが日本にないため事前調査がものすごく必要といったところもございまして、ある程度の調査データから影響が出そうな場所を予測するのに、予防原則的な、例えば海外でものすごく洋上風力で何か影響が出ている鳥種がたくさんいるといったことがある程度の事前調査で分かれば、そういう場所を避けるというのはまず必要と。そういうものを判断するのに、やはり第三者組織みたいなものも必要と考えます。実際に資料11ページにおいて、イギリスの第三者機関の事例を示していますけれども、COWRIE、SOSS、ORJIPと書いていますが、何かこういった海洋生物専門の第三者組織みたいのものを環境省あたりで持っておいて、「予防原則で判断したものは妥当かどうか」という判断もすることによって、ある程度の科学性といいますか、専門性みたいな確保ができるのではないかと思うので、そういうものも組み合わせて判断する必要があるのではないかと考えます。
【関島委員】事後のほうは、いかがでしょうか。
【日本野鳥の会 浦氏】事後も同様でして、特に事後調査においても、実際にこの影響が生じた場合にどういう影響を取り除いて影響回避及び低減をさせていくかという判断が必要になると思うため、それもなるべく本当は第三者組織みたいなものがあって、事業者が提案してくる回避策はどうかといった議論するような場があるのが適切ではないかと思います。
【関島委員】分かりました。
【日本野鳥の会 浦氏】次に、関島委員の3つ目の質問と飯田委員の内容が、モニタリングの調査範囲といったところで同じでしたが、今日本でどのぐらいが妥当かというのはなかなか出せないのですが、ただ、海外の事例では「計画地に対し、3,000平方km程度で調査をする」というのがドイツの事例になります。また、イギリスであれば「計画面積の6倍程度の範囲で調査をする」といったものがあるので、大体それが参考になるのではないかと考えます。
例えば今、海域利用法で有望区域が決まってきたところで、そこだけで調査をしていると、事業を行って何か影響出たときに、それが事業による影響かどうかというのが分からなくなってしまうので、ある程度事業区域の外側も調査し、そこでは何か環境変化が起こっていないかというのを比較する必要があるため、少なくとも海外の事例を参考にしてモニタリングを事前・事後で行う必要があると考えます。
最後に、広域で利用する鳥についてです。伊豆と北海道の事例について、これを船や飛行機で調査するのは大変ですから、衛星電波発信機等を鳥につけます。イギリスでも海鳥、特に洋上風力発電で問題になりそうな鳥に、10年かけて3,000羽に発信機をつけることを英国の環境省で行いました。それによって、どの範囲をよく移動するというのが分かってくるため、できれば本当はそういう調査を日本でも行いたいと思います。
【関島委員】例えば、事業自体があるコロニーの近傍とかに位置していれば、その辺の目途はつくと思うのですが、事業海域から遠く離れたコロニーから飛来してくるとなると、その辺は読めないのではないかという懸念を少し持ちました。
【日本野鳥の会 浦氏】おっしゃるように、なかなか読めないことは多いと思いますが、今言ったような調査を重ねることで、多少見えてくるところもあるのではないかと思います。
【関島委員】分かりました。多分また別の場でそういったことが検討されていくことに期待したいと思います。
【日本野鳥の会 浦氏】以上です。
【大塚座長】ありがとうございます。第三者組織の話は、野鳥の会様はされなくてもよろしいですか。
【関島委員】アセスメント協会様のほうにお願いします。
透明性を担保するために第三者的な体制を整えるべきだというところで、具体的にそれを、事業案件ごとに設置するとお考えなのか、それとも、例えば電源アセスに関しては経産省に設置されている環境審査顧問会がありますが、例えば、そのような検討組織を環境省に設け、一括して全てを取り扱うような体制をお考えなのか、その辺をお聞かせ願います。
【日本環境アセスメント協会 島田氏】資料に記載させていただいたイメージは、今でも大規模事業等を行う場合に事業者様がそれぞれ有識者の委員会をつくり、内部で意見をいただきながら事業計画に反映するだとか、そういうことをされていますけれども、そういうようなイメージで、環境省様が今回事業の立場になられるので、それを助言及びアドバイスしていくといった組織が必要ではないかと思います。自ずとそれは複数の事業に対しても環境省様が全て前段をやりますので、それであれば、統一的なメンバーで助言をいただきながらということで、モニタリングのほうも事業者様、それから国で分担をしてやられると思うのですが、その評価についても基本的なところはそういった有識者のメンバーの御意見をいただくと。ただ、判断するのは最終的には国であり事業者でありというところ、そこは変わらないというイメージでおります。そこは事業を実施する立場として、実行可能な最大限がどの範囲なのかという観点も含めて、そういった有識者のメンバーの皆様の御意見も踏まえて判断していくというイメージで記載しています。
【大塚座長】それでは、REASP様からお願いいたします。
【REASP 笹野氏】それでは、関島委員からの2点の御質問に回答いたします。まず1点目、弊協会資料6ページ目の期間短縮について、これまでは基本的に事業者が主体になって国が審査する立場ではありましたけれども、新しい制度においては国が実施者という立場にもなりますので、そうした情報の連携も含め、今規定されている審査期間より短縮するといったことが期待できないかということでコメントさせていただいた次第です。
次に2点目、9ページ目の人材に関して、これが案件数の増加なのかといったところですが、御指摘のとおり案件数もございますが、一方で新しい技術といいますか、色々なモニタリングするに当たって新しい技術等が出てくれば、そういった技術者を育てていくという面でも、また人材確保をしていく必要があると考えているところです。
それから、飯田委員の質問について、IFCのところでモニタリングが含まれるかどうかといった点ですが、事後調査といったところが記載されておりますので、モニタリングも含まれているものと捉えております。REASPからは以上です。
【大塚座長】ありがとうございました。時間は来ておりますが、荒井委員が挙手をされていますので、お受けいたします。荒井委員、お願いします。
【荒井委員】ありがとうございます。2点あったのですけれども、1点については、先ほどJEAS様の第三者の有識者組織に関するところで既に御回答が含まれていましたので、2点目の質問だけお願いいたします。
REASP様に伺いますが、9ページで環境ファシリテーターの必要性というのを提示されていて、先ほどの御回答において、技術者の育成といったところも言われていましたが、JEAS様の15ページ、16ページで「意見交換が非常に重要になるのではないか」と書かれていましたので、その部分での必要性といいますか、今回の制度においてコミュニケーションとしてそのようなファシリテーターが大変必要になるのではないかと思いまして、もう少し具体的にどのような見解を持たれているかを伺いたく思います。よろしくお願いいたします。
【大塚座長】それでは、REASP様お願いいたします。
【REASP 笹野氏】ファシリテーターといいますか、地元への御理解を得るというところで、今、事業者が地元に入り込む形で普段からコミュニケーションして、膝詰めで議論をして事業についての理解を深めていただくというプロセスを取っております。また、事業者の方でこういった方を雇っているというのは、それは事業者の中にいる人間がそうした役割を担っているという状況でございます。そうしたところで、今後その役割を国が担うに当たって、そういった方をどういった形で確保していくのか、そういったところが重要になるのではないかと考えております。
【大塚座長】ありがとうございました。
それではヒアリングは以上とし、ここで10分間の休憩に入ります。再開は48分になります。
≪ 休憩 ≫
【大塚座長】それでは、時間となりましたので議事を再開します。
議事3、「風力発電事業に係る環境影響評価の在り方(一次次答申)(案)について」事務局から説明をお願いいたします。
【環境省(大倉)】それでは、資料3を御覧ください。
「風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(一次答申)(案)」になります。先ほど資料1で御説明したとおり、本日の意見を踏まえて、修正したものを1月16日に出そうと思っておりますが、同時並行で関係省庁の検討も進んでおりまして、連動するところは、それも併せて修正していくことになると思います。先ほど言い忘れてしまったため、ここで補足をいたします。
まず目次から、Ⅱが「洋上風力発電事業の現状と課題」、Ⅲが「現状の課題を踏まえた適正な環境配慮の確保の在り方」、Ⅳが「今後の課題」、Ⅴが「おわり」といった構成になってございます。
1ページ目、「はじめに」ですが、今日も東京は夏日であり、今年の夏の異常さは世界的にも問題があったようですが、御案内のとおり気候危機がございます。また2段目に書いていますが、生物多様性の損失も危機的状況でございます。これはG7の広島サミットのコミュニケでも書かれていることでございます。
そういった意味で、19行目になりますが、気候変動問題ついては「2050年カーボンニュートラル」と、そういう大方針の下で進んでおります。先日閣議決定されました「生物多様性国家戦略」にも書いてございますが、26行目に「2030年ネイチャーポジティブ」とございます。そういう気候変動と生物多様性に関する二大目標の下で政策を進めていくということになりますけれども、この洋上風力に関して言えば、再生可能エネルギーに関して言えば31行目からになりますが、再生可能エネルギーに関しては、自然環境の保全に支障を来す形での導入を防ぎつつ、環境への適正な配慮と地域との共生を図りながら最大限の導入を図るということが必要となってございます。
そういった観点から、先ほど御説明したとおり、2ページ目になりますけれども、環境大臣から中央環境審議会のほうに諮問がなされて、今回、洋上風力に関して、特に再エネ海域利用法との関係に関して革新的なアセス制度の在り方についての答申をいただくという形になってございます。
中身に入りまして、3ページ目でございます。Ⅱ「洋上風力発電事業の現状と課題」ということでございまして、1ポツ、洋上風力発電事業の概要ということです。(1)国内における位置づけということでございますが、風力発電を主力にしたいということでございまして、閣議決定レベルでは第4期の海洋基本計画において2030年までに1,000万kW、2040年までに浮体式も含む3,000万kWから4,500万kWの案件形成を目標としてございます。
そういった意味で、現行の制度がどうなっているかでございますが、(2)再エネ海域利用法における事業の促進ということになってございます。再エネ海域利用法に基づいて、12行目になりますが、経産省及び国交省が領海内において発電事業が実施可能な海域を促進区域と指定し、公募により事業者を選定した上で当該事業者に海域を長期占用させることを可能とする仕組みが導入されてございます。この促進区域の指定に当たっては、経産省及び国交省は関係省庁との協議を実施することになっているということでございまして、環境大臣も環境保全の観点から協議を受けてございます。
(3)25行目でございます。事業の実施による環境影響の特徴ということでございますが、先ほどからのヒアリングでも出てきていましたけれども、洋上風力発電事業の実施に当たっては、一般に鳥類、海生生物、景観等への影響は指摘されてございます。一般論として、29行目になりますが、風車の立地場所や風車の配置によるところが環境影響に大きいということになりますので、そういったところを配慮しなくてはいけないということになります。
4ページ目でございます。そういった現状を踏まえて、課題のほうでございます。洋上風力発電事業における環境配慮の確保等に関する課題ということでございまして、今申し上げた再エネ海域利用法と環境アセス制度を法律化しています環境影響評価法等の提供に関する課題として、3つ課題を挙げさせていただいてございます。今、両方の法律上の接続はない状態でございます。
そういった観点で課題があるということでございますが、7行目(1)促進区域指定におけるより適切な環境配慮ということでございます。11行目になりますけれども、国が発電事業を実施する海域を促進区域として設定する際に、現行の環境配慮の仕組み、先ほど申し上げた環境省への協議に加えて、より適切な環境配慮を行うことが必要ではないかということでございます。その際、現状において、先ほどの話にもいろいろありました全国の海域における基礎的な環境情報が網羅的に整備されていないと。その上、海洋の環境は海域ごとに異なるということですので、適切な環境配慮の確保のためには現地調査が必要ではないかと記述してございます。
(2)でございます。複数事業者による環境影響評価手続の実施ということになってございまして、現行制度上、事業者が選定された後に環境影響評価手続をするということになりますけれども、実際は選定された後の運転開始までのリードタイムを短縮する等を目的に、21行目になりますけれども、複数の事業者によって選定前に計画段階環境配慮書及び環境影響評価方法書に係る手続が開始されております。検討会の参考資料にも書いていますけれども、1海域で6つとか7つとか9つといった事業者様が一気に入っているという状況になっていまして、そういう地域における大きな混乱、負担及び行政コストの増大につながってございます。
(3)でございます。27行目です。事業の実施区域の環境配慮に係る制度的重複ということでございますが、先ほど申し上げたとおり、環境省は、経産省と国交省から協議を受けることになりまして、その協議を受けるに当たって一定の文献調査等を行ってございます。今申し上げたとおり、同時並行で事業者様が配慮手続をやっているということで、5ページ目になりますが、いわゆる環境影響評価法、再エネ海域利用法双方の制度において、区域選定に係る検討内容の制度的重複が起きているという状況になってございます。
こういった現状と課題を踏まえて、どういった制度の在り方がいいのかということを6ページ目以降に書いてございます。
Ⅲでございます。洋上風力発電事業の適切な環境配慮の確保ということで、1が促進区域指定前の環境省による現地調査の実施ということでございます。
4行目から書いてございますが、促進区域が指定される前の段階において、環境省自らが詳細な環境情報を取得するための現地調査を実施して、当該調査の結果を踏まえた適正な関係の配慮の内容及びそのために必要な措置を環境省が示した上で、経産省及び国交省において促進区域の指定がなされることが必要ではないかと書いてございまして、具体的な手続の考え方について(1)、(2)で書かせていただいてございます。
(1)が調査方法書の作成ということでございまして、環境省の現地調査の実施に当たって、幅広い情報収集を行い適正な環境配慮を確保すること、少し飛びまして、及び調査の客観性を担保する観点から、環境省があらかじめ調査の項目や手法等を取りまとめた調査方法書を作成するということがいいのではないかと書いてございます。
先ほども少しお話がいろいろありましたけれども、環境省が調査方法書を作成するに当たって、経産省をはじめとするいろいろなステークホルダーの方の意見を聞く必要があると思ってございます。有識者の意見を聞くことが有効ではないかと書いてございます。
(2)でございます。28行目、環境省による現地調査の実施及び取りまとめ結果の公表、この調査方法書に基づいて詳細な環境情報を取得するための現地調査を実施していくということでございまして、この調査情報を基に、次の7ページ目に移ります。環境省が事業の実施による環境影響を分析して適正な環境配慮の確保の在り方が示された取りまとめ結果を公表します。それに基づいた情報を経産省、国交省のほうにお渡しするということで、それに基づいて両省が促進区域を指定するということで、適正な環境配慮の確保が可能になるのではないかと考えてございます。
少し駆け足で恐縮ですけれども、7ページ目の下の17行目の2ポツのところであります。環境省の調査踏まえた促進区域の指定の後に、選定事業者による環境影響評価手続というものが始まるわけでございますが、21行目から書いてございますが、適正な手続を経て公表された調査報告書に基づき、環境省が現地調査を実施し、その結果を踏まえて経産省及び国交省によって促進区域が指定されることとなれば、選定事業者が実施する環境影響評価手続の一部と重複する内容になると考えられます。そのため、事業者によって実施される環境影響評価手続については、制度の合理性の観点から、一部の環境影響評価手続を適用除外とした上で、調査方法書及び環境省が実施した現地調査の結果等を踏まえて、具体的な事業計画に基づき、残りの手続が実施されることは適当ではないかと書かせていただいてございます。
こういったことをすることで、先ほどいろいろな事業者様が同じ海域に入り込むといったような課題の解消にもつながるということを29行目以降に書かせていただいてございます。
次に8ページ、4行目のほうに、環境影響評価法等に基づき作成される図書についての記述もございます。現状、事業者様の同意が得られたものについて環境省のほうで公開を行ってございますけれども、8行目以降になりますが、新たな制度においては、環境省による外部手続を経て作成された調査方法書及び環境省が行った現地調査を踏まえて、選定事業者が環境影響評価図書を作成する特殊性も踏まえて、事業者の協力の下に環境省が当該図書を継続公開することも検討すべきではないかと考えております。
12行目でございます。現地調査の実施等に応じた費用負担の考え方ということでございます。14行目に書いてございますが、本来であれば当該調査は環境影響評価法に基づき事業者に実施義務が課せられる内容に相当するものが含まれてございます。そういったことを考えると、環境省による調査方法書の作成段階を含めて現地調査の実施のために要した費用負担の考え方について今後検討する必要があるのではないかと考えてございます。
次に4ポツです。工事中及び稼働中の環境影響に関するモニタリングの実施ということでございます。(1)、モニタリングの目的及び必要性でございます。先ほどのヒアリングのときにもいろいろ御意見やお話がありましたけれども、23行目のほうにありますが、そもそも海域の状況、特に中長期的にはかなり変動する特性がございます。かつ、26行目になりますけれども、そもそも環境影響に係る知見の蓄積が十分ではないということが考えられますので、あらかじめ環境影響の予測評価を従前に実施することは難しく、環境保全措置の効果の不確実性が高いということが考えられます。
そのため、30行目以降になりますが、事業者様の予見可能性を確保しつつ、工事中及び稼働中における実際の環境及び影響を把握するためのモニタリングを実施し、仮に重大な環境影響が確認された場合には、9ページ目に移りまして、生物多様性基本法にも書いてございますが、順応的な取組方法の考え方に従って、環境影響を回避・低減するための追加的な環境保全措置を検討することが重要と考えてございます。ある種、予防的な取組方法と順応的な取組方法を兼ね合わせることによって、5行目になりますが、将来にわたって我が国全体における洋上風力事業における総体的な環境負荷の低減と、事業実施の際に必要となる環境保全措置の最適化を図ることによって、長期的に見て必要な再生可能エネルギーがしっかり入っていくような仕組みにしていきたいと思ってございます。
(2)9行目、モニタリングの実施に係る役割分担ということでございます。10行目の「追加的な環境保全を講ずるかどうかの判断を可能とするために必要な調査」ですが、これは現行法に基づく事後調査に相当するものですが、これは事業者様自身がやることが適当ではないかと思われます。
他方、「科学的知見の拡充等のために環境の状況等を継続的に把握するための調査」については、環境省と選定事業者が適切な役割分担に基づいて実施するのがいいのではないかと書いてございます。
続きまして、10ページ目でございます。(3)モニタリング等の内容の検討及び決定方法ということでございます。5行目ぐらいから、その際の事業の実施における環境影響を適切に把握するためには、事業の実施前後における環境状況を比較することが有効であり、そのような意味で、環境省が実施した現地調査の結果等を考慮することが重要です。その上で、選定事業者様が必要と考えるモニタリングの内容を環境影響評価準備書に記載の上、意見聴取、手続等を経て、環境影響評価書においてその内容を決定していくことが適切ではないかと思ってございます。
(4)モニタリング及び順応的な取組方法の考え方の整理ということでございます。16行目になりますが、モニタリング内容及び順応的な取組方法等に関する基本的な考え方については、新たな制度が施行されるまでに海外の先進事例を含めて最新の科学的知見を収集することが有効ではないかと考えております。
29行目でございます。EEZにおける適正な環境配慮の確保ということです。これは、現在関係省庁のほうで適切な制度の在り方を検討されておりますので、そちらの制度の検討状況を見ながら、次回1月にアップデートをした情報を出す可能性がございます。
11ページ目でございます。今後の課題ということで、(1)モニタリングデータの取扱ということでございますが、先ほども少しお話が出ていましたけれども、科学的知見の拡充、充実、より適正な後続事業の環境配慮を確保するという意味では、環境省と選定事業者が連携してモニタリングデータを収集して、当該データを環境省が一元的に管理する仕組みを構築すること、環境省が当該データを分析していくことが有効ではないかと考えてございます。そういったデータ収集に関しては、財産権等の観点もありますので、それも留意しながら適切な仕組みを考えていきたいと思ってございます。
13行目、(2)モニタリング結果の公開でございます。モニタリング結果の効果に関しましても、選定事業者が有するデータの財産権等の利益保護とその公表によりもたらされる国民的利益の比較衡量において、さらなる検討を行うことが想定されますが、国際法上の要請もありますので、そういったことも踏まえて検討していく必要があるかと思ってございます。
次に12ページ目、(3)モニタリング及び順応的な取組方法の実効性の担保ということでございます。選定事業者によって実施されるモニタリングや順応的な取組方法については、その実効性を担保することが必要ですので、国が適切に関与する仕組みを検討していく必要があるのではないかと書いてございます。
最後、13ページ目の「おわりに」でございます。以上、風力発電事業のうち、再生可能エネルギーの主力電源化の切り札として推進していくことが期待される洋上風力発電事業について、本一次答申を踏まえて新たな制度の早期実現に向けた取組を速やかに進めるべきと書かせていただいてございます。
並行して、新たな制度を適正かつ効果的・効率的に施行できるように、必要な技術的知見や実施体制の整備等についても、より詳細な検討を行う必要があるのではないかと書かせていただいてございます。
また、「なお」と書いてございますが、最初の冒頭にも御説明したとおりで、本小委員会は、洋上風力のみならず陸上風力も検討の範疇に入っていますので、そちらについての検討も進める必要があるのではないかと書かせていただいてございます。駆け足になりましたが、以上でございます。
【大塚座長】ありがとうございます。ただいま事務局から説明がございましたけれども、その内容につきまして、御質問、御意見ございましたら挙手をお願いします。
最初に、本日御欠席の西本委員からの意見を事務局より代読していただければと思います。よろしくお願いいたします。
【環境省(加藤)】それでは、西本委員のコメントにつきまして代読をさせていただきます。
本日はどうしても都合がつかず、欠席となりまして申し訳ございません。特に関係団体の皆様からの御意見をお伺いすることができず、大変申し訳なく思っております。
一次答申案につきましては、適切な環境配慮を確保しながら、洋上風力発電事業を促進するという観点から、全体として適切なものとなっているのではないかと思っておりますが、2点コメントさせていただければ幸いです。
第1に、6ページから7ページに記載の環境省による現地調査の実施に当たって必要となる手続や考え方ということで、6ページの9行目以降から記載部分につきましてはほとんど手続面からの記載となっているように思いますが、内容面での基本的な考え方も盛り込んではよいのではないかと思いました。検討会報告書では、新たな制度の基本的な視点として、国際的に求められる水準の環境配慮という意味での環境配慮の質の担保などの考え方も示されていたように思います。
第2に、8ページ4行目から記載されております新制度の下では、アセス図書の継続公開を検討すべきという点につきまして、環境影響評価の結果についての報告の公表、または国際機関への提供が国連海洋法条約第206条で義務とされていることもその検討に当たって踏まえるべきであると思います。コメントは以上です。
【大塚座長】これについての事務局の御回答も後でまとめてお話しいただければと思います。
それでは、委員の方々から何かございませんか。阿部委員、お願いします。
【阿部委員】質問というよりもコメントになります。まず6ページ目に、今まで検討会で「設計書」と呼んでいたものが「調査方法書」になったということで、その方法書の中身について書かれております。この答申案の全体を読んでいただくと、恐らく今回の制度の骨子として、やはり再エネ海域利用法の中で、有望区域、促進区域を決めていく中での環境配慮を全面的にアセスのプロセスとして実施するというのがあったと思います。方法書の作成のところは、どちらかというと方法の中身について詳しく述べるということが書かれていて、それに対して意見聴取をすると書いてあるのですけれども、ここで非常に重要になるのは、区域選定における環境配慮をどのようにしてきたかということを明示的に示していきながらコミュニケーションを取っていくという、ポンチ絵にあるようなところが重要なのではないかと思っております。
現行のアセスですと、やはり配慮書、方法書、準備書があって、その段階ごとに再エネ等であれば、かなり広い範囲で対象事業実施区域を取っていたものを、いろいろ配慮して、最終的にはこういう形で持っていきましたと、こういうことがアセス図書の冒頭のほうで入ってくると非常に事業者の環境配慮というのが分かりやすくなっているのです。今回セントラルということで、それを国が実施するということですので、区域選定のところで有望区域をどのように取っていって、最終的にどこを促進区域とし、環境配慮をどういう形でやっていったらよいというのを事業者様にどう渡したのかという姿が、選定事業者のほうで行う準備書の段階で分かりやすく示せるような形で情報をつないでいってほしいと思います。そのことが恐らく円滑な導入につながるのではないかと考えますので、そこのところが分かりやすいような形で運用をしていただければと思っております。
それから2点目ですが、今回の重要な制度の骨子としてモニタリングというものがあると思います。8ページ目には、そのモニタリングの目的及び必要性を書いてございます。後続の事業に生かすということであれば、もうすぐにでもモニタリングのデータというのは取っていったほうがいいと思うのですけれども、ただ、やはり今回制度を入れていくという中で、経過措置というのを取っていくことになると思います。例えば配慮書が新しい制度として入ってきたということであれば、それはある段階から追加で入れていくという経過措置の取り方というのは分かりやすいのですけれども、モニタリングですと、下手をすると現行で既にアセスが終わってしまっている事業にも求めること自体はできると思うのです。そのため、モニタリングの有効性を担保しつつ、やはり事業者様側には経過措置としてどの段階から実施していくのかというプロセスを分かりやすく今後提示していただきたいと思いますので、そのあたりについて、どの段階からどういった事業についてリードタイムをどのぐらい取ってやるのかといったことをプロセスとして明示していっていただきたいと思います。私からのお願いは以上2点です。
【大塚座長】大事な御指摘をどうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
それでは、関島委員お願いします。
【関島委員】今の阿部委員の有望区域から促進区域に絞り込んでいくプロセスを明記していただきたいというのは非常に重要な点だと思いました。これはコメントですが、4ページ目の(1)の促進区域指定におけるより適切な環境配慮の2つ目のパラグラフのところで、最後の記述が文言として結構曖昧ではないかと思いました。ここでは、「適切な環境配慮の確保のためには現地調査を行うことが必要である」と書かれていますが、現地調査が具体的にどのようなもののかがイメージできません。例えば、「区域選定に向けた広域の現地調査である」等の文言を挿入することで、広い有望区域から、より狭い範囲の促進区域に絞り込んでいくことがイメージできる文言が入ったほうがいいのではないかと思った次第です。今の文章ですと、現地調査が、具体的にどの程度の範囲の海域をイメージされているのかが判断できないところがございます。
もう一点は11ページになりますが、モニタリングデータの取扱いを含め、モニタリングをどうしていくのかについて、環境省と選定事業者が連携してモニタリングデータを収集し、一緒にやっていくことが望ましいといったことが書かれています。本当に全ての事業者がこのような、私は事業者の方々がどのような考えをお持ちなのかは分かりませんが、もしかすると一部の海外事業者では、「何も環境省の言われるとおりに全部やる必要はない。項目自体は、より選定して限定した形で費用負担を少なくしていきたい」というようなお考えの事業者もいらっしゃるのではないかと思いました。
そういったことを想定したときに、環境省と選定事業者の間でこのようなモニタリング項目をやっていくことが必要ということが共有され、公募要領の中に具体的に明記されていくことが重要なのではないかと思いました。それ以外の方法もあるかもしれないですが、一次答申案を見たときに、モニタリングに関して環境省と選定事業者が連携して進めていく点をどのように担保していくのかという記述がないため、反故にされことはないかと懸念した次第です。もし、お考えがあれば教えていただけますと幸いです。
【大塚座長】特に、2点目において、環境省は許認可権者ではないですから、確かに少し気をつけたほうがよいところでしょうか。
それでは、白山委員お願いします。
【白山委員】非常に駆け足ではありましたが、明快な御説明をありがとうございました。コメントになると思いますが、全体を通して「データがない」ということは非常に強調されているのですが、ゼロではないわけです。既存のデータをどう活用するかというのも重要で、これは特に事業が始まった後のモニタリングについても、既存のデータを活用すれば項目が減ってコストが下がるといった好循環が起きると思います。特にMDAのように、あるいは日本版で言えば「海しる」があるということですが、そういうことをもう少し意識して、ゼロベースで新しく全部データを集めなくてはいけないというものではないといったことを明確にスタンスとして示していただけないものかというのが一つコメントです。
それからもう一つのコメントは、前半の議論でも出てきましたが、終了時のアセスメントに関して今のところ明示的に何も書いていないのですけれども、つくって、動き出して、モニタリングするところまでしかないので、終了時に関する何らかのスタンスをここでしっかり示したほうがいいのではないかといったところが2点目のコメントになります。以上です。
【大塚座長】終了時について、例えばどのようなことを書き込むべきかといった点で少し補足をいただけるでしょうか。
【白山委員】例えばですが、終了時に後で鉄塔は多分全部撤去をするとは思いますけれども、海底基礎をそのまま残すのではないかと思うので、それなりにその影響というのは評価しておく必要があるのではないかと思います。
【大塚座長】分かりました。廃止のときのお話ですね。ありがとうございます。
それでは、奥委員お願いします。
【奥委員】2点ございます。まず1点目ですが、現地調査対象海域の選定に関わる話で、6ページの促進区域指定前のところに、方法書手続は環境省のほうでやるというのはそれでよいのですけれども、現地調査対象海域をそもそもどのように選定するのかというと、それについては再エネ海域利用法のほうで今、都道府県による情報提供を受けて案件形成がなされて、そこを対象に現地調査をやると。そこを有望海域として現地調査をやるという話だと思いますが、そもそも現地調査対象海域をどう設定するのかという前の段階についての説明がこの文章にはないので、再エネ海域利用法と、そこはある意味接続して都道府県のほうで手を挙げてもらった上でということなので、そこがいわゆる日本版セントラル方式なのだろうと思うのですが、その記述も少し入れておいていただいたほうがいいのではないかと思いました。その点は、そもそも有望海域を国のほうでしっかりと見極めていくということも本来はあってしかるべきと思った次第です。
それから2点目は、白山委員が指摘してくださった点と重複しますが、やはり事業者による準備書手続以降の作業というのは、これは現行のアセス法の手続を前提に考えております。そのため、施設の廃止時、英語では「Decommissioning」という言葉が使われていますが、そこまではスコープとして考えていないということにはなっていますが、やはり風力発電施設の場合は、もう30年なら30年と終わりが決まっているので、そこで基本的には廃止、撤去ということが前提であるということから考えますと、基本的には建設時とほぼ同じ環境項目についての影響評価をするということになるのかもしれませんが、あとは、その施設をどこの部分をどの程度残すのか、ケーブルをどうするのかということは多分プラスアルファで評価すべき項目として入ってくるかもしれませんけれども、いずれにしても廃止時も事業者による環境影響評価のスコープに入れるというのが望ましいやり方ではないかと私自身は思っているところです。以上2点でございます。
【大塚座長】荒井委員で5名になりますの、そこで一旦質問を切らせていただきます。
それでは、荒井委員お願いします。
【荒井委員】2点ございます。8ページ、先ほど西本先生のほうからのコメントにもございましたけれども、環境影響評価図書に関して、今まで公開に至っているものが少ないという中で、この新制度になったときに、「環境省は該当図書を継続的に公開することも検討すべき」と書いてありますが、ぜひこれは継続的に公開を目指していただきたいと思います。
それから2点目は、今後の課題のところのモニタリングデータについて、先ほどJEAS様の御発表にもございましたけれども、総合的な評価まで踏まえまして、今現在の書き口としては、意見を聞きながら調整を行う必要といったところで止められていますが、パブリックコメント等も求めた後で、先ほど「第三者の組織の設置」といった御意見もございましたので、よりもう少し具体的な書き込みができればいいのではないかと思いました。よろしくお願いいたします。
【大塚座長】西本委員からのコメントも合わせますと6名になりましたが、環境省様のほうからお願いいたします。
【環境省(大倉)】ありがとうございます。まず西本委員のコメントにお答えいたします。環境配慮の質の担保といった点の記述は大変重要な御指摘と思いました。我々ある意味当たり前と思い書いていたのですが、何らかの対応をしたいと思います。
また、国際法上の要請等もあるといった指摘も重要ですので、認識をしっかり持っていきたいと思います。
それで、阿部委員からも非常に重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。経過措置についてのお話もいただきましたが、今回あまり書けてございませんけれども、モニタリングの話も含めてREASP様のほうからもお話がありましたが、全般的に経過措置の整理が必要だと思っていますので、制度検討に当たってしっかりと検討していきたいと思ってございます。
それから関島委員からの有望区域、促進区域の絞り込みのところになります。私が説明のほうを端折ってしまいましたが、現行でも有望区域の段階に当たって、環境省のほうから必要な情報提供をしていますので、そういったことを含めながらしっかりと適切な環境配慮を早い段階からやっていくようにしたいと思ってございます。
続きまして、白山委員の既存データの活用になりますが、非常に重要な御指摘と思ってございます。多分、環境省が持っているもの以外のデータもあるのではないかという御指摘だと思いますが、どういったものがあるのか、あとデータの目的外使用ができるかといった問題もあるとは思いますが、そういう既存データの活用の重要性についても我々検討をしていきたいと思ってございます。
あと、奥委員からもありました廃棄時、終了時のところです。再エネ海域利用法上、30年の占有ということで動いていますので、その30年後の状況を、技術革新などもありますので、ある意味正確に把握できていないということもあり、現行の大臣意見では扱ってはいませんけれども、今後の課題として認識をさせていただきたいと思ってございます。
そして、荒井委員の図書公開のお話も重要だと思ってございます。これで、以上になるでしょうか。
【大塚座長】関島委員の2点目のモニタリングのところで連携をするといっても、事業者は環境省さんの言うことをどのぐらい聞くだろうかといったところは結構大事だと思いますが、いかがでしょうか。
【環境省(大倉)】答申案のほうにも書かせていただいていますけれども、基本的にモニタリングをどうしていくかというのは、評価書のほうにしっかりと書き込んでいただきたいと思ってございます。そのときに、環境省も大臣意見で述べていくと思いますので、まずはそこのほうでしっかりと事業者様とコミュニケーションをしっかりしてすり合わせをしていきたいと思ってございます。
【大塚座長】ありがとうございました。それでは、質問の時間を再開いたします。飯田委員、お願いします。
【飯田委員】事業者が混在していて非常に混雑している状況の中で、環境省様が中心となって、国が中心となって取組を進めていくことは非常に画期的なことで、ありがたいと感じております。他方、風力発電事業者はかなりの苦労をしてリスクやコストを低減する努力をしてきている観点も御考慮いただきたいと感じております。
その観点で少しお話をさせていただくと、8ページ目の後半に、先ほどの環境影響評価図書の公開については私も基本的に賛成ですが、やはりある程度目的を明確にしていただくなどの利用のルールを決めていただかないと、「利用のされ方が心配だ」と伺っているケースも間々ありますので、そのあたりは御配慮いただけたらと思います。
また3ポツ目の費用負担についても、先ほどのコストの話等で、例えば広い範囲で環境影響評価調査とかをやらなくてはいけなくなったときに、実事業で使う範囲と影響が出る範囲という非常に大きな範囲になってくると、過度な負担になる可能性もあるので、その点は十分に考えて検討する必要があるのではないかと考えています。
それから4ポツ目のモニタリングの部分ですが、こちらは、検討会のときにも強くコメントをさせていただいて、予見可能性というのはかなり重要なポイントになると考えています。事業者の予見可能性を担保するという観点で、8ページ目の29行目以降から次のページの8行目のところに書いてあるところが、いささかモニタリングをして順応的管理をやるというものが、誰がどこでどのように実施していくのかという手続がよく分からないところがあります。例えば9ページ目の回避・低減するために追加的な環境保全を検討するというよりは、先ほど課長からもお話のあった事業者が計画に基づいてやるというような、検討するというよりも事業者の計画に基づいて実施するとか、そういった記載にしていただいたほうが明確になるのではないかと思いました。
それと、11ページ目の今後の課題のモニタリングデータの取扱いについては、やはり責任範囲の明確化が重要ではないかと感じております。結局そのデータを誰が継続し、どういうデータでどういう質の担保をするのかという部分も含めて、そのあたりの責任にもつながるところになるので、そういった点も議論が必要ではないかと考えております。
そして、11ページの(2)のところですが、EEZをはじめとする取組については、先ほど前半のほうで御質問をさせていただいたIFCの話もあるので、そちらも少し念頭に調べていただくとよいのではないかと感じております。
最後に、「なお書き」で陸上風車にもという話だったのですが、やはりモニタリングとか陸上風力のほうに後出しでこうやっていかれるとかなり負担になるのではないかということも感じておりますので、そのあたりは、答申としての一貫性は結構かと思うのですけれども、実際の運用のところは適切に配慮いただけるとよいのではないかと思っております。以上です。
【大塚座長】1点確認をさせてください。「検討するというのをやめて」という話は、9ページでしたか。
【飯田委員】9ページの2行目になります。「環境保全措置を検討することが重要である」というのを、そこは実施することにするとしてはどうかといった趣旨になります。
【大塚座長】ありがとうございました。それでは、森田委員お願いします。
【森田委員】2点コメントをさせていただきます。1点目が、6ページにあるような、先ほども既にコメントがあったように、現地調査等をする上でのデータですが、環境省がメインで現地調査をされるといったニュアンスで書かれてありますが、例えば海のデータがあまりないということでしたけれども、水産庁は魚のデータなどを多く持っていると以前伺ったことがございます。ですので、そういった他の省庁などのデータも活用した方がよいと思います。あとは、環境省の自然環境局などが見る生態系などのポイントと、産業などでサステナブルな漁業みたいなことをやろうとしている人たちが持っているデータなどでも違いますし、産業などへの影響も含めて考えないといけないのではないかと思いましたので一つコメントをさせていただきます。
それから2点目ですが、先ほど質問したところとも関係するのですけれども、思わぬ影響がないかというところで、やはり発電所を1か所に多く設置するなどすると、思っていたこととは違うような影響が出てくるのではないかと思います。先ほどの漁業などの産業への影響もあるかもしれないですし、陸上のほうがより影響があるかとは思うのですが、気候変動も既にいろいろと起きている中で、陸上であれば非常に土砂災害が起きやすい地域が出てきます。海も何か、その当時はあらゆるリスクを考えたと思っていたものの、気候変動などの影響で何か思わぬ影響がもしかしたら出るかもしれないと思っております。環境アセスもすごく長い歴史がありますが、いろいろな可能性を踏まえて、後からでも項目を追加できるような何か柔軟性というものも必要があるのではないかと思いました。以上です。
【大塚座長】それでは、原田委員お願いします。
【原田委員】私も日本版セントラル方式に向けて、この制度で準備段階における事業者間の重複は避けられるようになったこと、また、再エネ海域利用法との連携、関係性が整理されるということは大変意義があると思います。
その上で、REASP様の事業者アンケートでも拝見しましたけれども、やはり事業者様は手戻りというのを非常に気にされていると。これは、私どもDBJとしても様々な機会で申し上げてきたことであって、すなわち、ほかでもない環境省様が作成した方法書に基づいて、方式に従って事業者がプロセスを進めたのに、事後また外部からの意見で「不足している」と言われて手戻りが生じるというリスクは、最小限にしていただきたいという視点でございます。
年単位で遅れが生じるということになれば、調達部材のコストの変動とか、そもそもタービンを調達できるのかとか、建設会社や港の作業スペースはそれに応じて確保されているということを考えても、プロジェクトの実現性とコストに多大な影響を与えるということになります。
そういう意味で2点目のポイントとして、環境省様がこれを作成するということは非常に大きな意味があるということで、日本環境アセスメント協会様の御指摘にもありましたが、これまで環境者様は意見を述べるといった主体から実施をする主体になっていくという点が重要だと思います。そのクオリティーの担保のために第三者機関というお話もありましたけれども、専門家や海外の事例も含めて、しっかりそのクオリティーを改めて担保していただきたいと思っております。
これは、事業者の予見性の観点のみならず、日本版セントラル方式はどうなるのだろうかと海外からも非常に注目されておりますし、また、海域という面では日本国内に影響がとどまるものでもないということ、また、海外の開発事業者が日本のプロジェクトに参加をするという点からも日本のレピュテーションというものが非常に重要だと思います。
それで、この点で1点気になるのが、7ページ目の上段の記載で、「促進区域指定の際に考慮が必要な事項や……」といった部分、「環境省が整理した上で、経済産業省及び国土交通省において指定がなされることで、適正な環境配慮の確保が可能になる」といった書きぶちですが、これは読みようによってはクオリティーの担保が両省にも、経産省、国交省にも及ぶように見えます。要するに、誰が最終的な責任を取るのかということで、その点が気になっております。
それから費用の取扱いについて、事業者負担も含めて考えるという意味で書いていらっしゃるところだと思いますけれども、これは私も合理的だと思います。これを事業者様が仮に事後的に負担することになったとしても、入札制度においては、それを前提とした競争になりますので、何か公平性がどうこうなるということはなく、事業者間は公平であるということ。それから、これは言わば税金で回収するのか、電力料金で回収するのかといったところで、いずれにせよ電力を使わない人はいませんので、利用者負担になるのかと思います。こういったことで個々の事業者様がそれぞれの手法でこれまで取り込んでいらっしゃいましたけれども、政府が仕切ることによって、効率化・統一化されるということで、トータルの意味でコストが低減するということは一番大きなポイントかと思います。
少し長くなりまして恐縮ですけれども、モニタリングに関するところになります。重要性については、今回のヒアリングでも改めて確認させていただいたところです。その際のモニタリングの実施者につきまして、「追加的な環境保護措置を講ずるべきかどうかの判断に必要な調査というのは実施者だ」と明記されていますが、これもある意味手戻りと言えば手戻りであって、予見可能性に非常に大きな関係があるということです。言わば、環境省様の前半のアセスの設計では見通すことができなかった事項というのが、これが一切出てこないってことは難しいと思いますが、事業者が本当にやるべきかどうかを調査できることの範囲を超えるような広域なものなどは、やはり環境省様が一定の役割を果たすことを想定しておくべきではないかと思います。どういうものを事業者負担にするのかは、この案の中で詳細に書くのは難しいかもしれませんが、何らかをお示しいただきたいと思います。
環境省様が幅広に関与されるということは、後段にありますモニタリングデータを誰に帰属するのかということであり、データを環境省が一元的に管理する仕組みというのは、これは私も公益の観点から賛同いたしますし、それとも関与したからこそオーナーシップがあるということで整合性があるのではないかと思います。
最後に、ポイントとしてIFCのパフォーマンススタンダードの件が何度か今回も出てきておりますけれども、これは国外だけではなく、メガバンクや私どもを含めた国内の主要銀行は、ほぼ赤道原則に参加しております。このため、一定金額を超えるプロジェクトファイナンスの拠出時には必ず確認を求めるということになっており、これは国内の領海の領域でも同様でございます。このパフォーマンススタンダードは開発段階からプロジェクトの物理的終了時、すなわちデコミッション、撤去までも含むというのが明記されてありますが、洋上は特に撤去というのが非常に重要なポイントになりますので、このパフォーマンススタンダードに準拠しているということは大前提になると金融の立場からも思っております。以上です。
【大塚座長】最後の点は、国としてもしっかり考えておかないといけないといったところをおっしゃってくださったと理解いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、勢一委員お願いします。
【勢一委員】私も幾つかコメントをいたします。まず全体的な部分としては、今回提示されている新たな環境制度と、現行のアセス制度との関係性の整理は非常に重要な部分だと思うのですけれども、このレベルでは書かないということなのかもしれませんが、少し意識をして整理をする必要があるように感じました。
例えば、再エネ海域利用法の法定協議会とアセスの関係自治体の範囲がずれることは恐らくあり得ることで、そうすると自治体としては、アセスの審査会を回してみなければ専門的な検討はできないわけですから、そのずれをどうするのかという議論をどこでするのかは考える必要があると思います。「おわりに」のところで、「詳細な検討をする」という記述がありますので、そちらかもしれませんが、法制度として再エネ海域利用法側で整合を取るべき部分もあると思いますので、省庁横断的に整理をすることをここでは考えていただきたい。恐らくこれは事業監督とモニタリングとの関係、位置づけの整理のほうも兼ねてくると思いますので、今後検討をお願いしたいと思います。
また、少し個別な点になりますが、現状と課題について4ページのところで書いていただいているのですけれども、やはり現行アセス法との接続がないというところが洋上風力については大きな課題ですので、ぜひ現行法の下では、促進区域指定時における環境配慮が制度的に担保されていないという点は指摘をしておいていただきたいと思います。事実上の配慮はしていることを書いていただいていると思うのですけれども、それでは足りないというところで、だからこそ今回こういう議論をしているということだと思います。
その点が、さらに6ページのところにも関わってくるのですけれども、ここでは先ほど原田委員より御指摘があったところと重なるのですが、これは環境省が調査をして環境配慮措置を示して国交省、経産省がとなっているのですけれども、それは当然ばらばらに行われるわけではなく、環境省が示した調査の結果等を適切に考慮した上で、その後の視点に進むはずなので、ここは環境調査から区域指定まで一連の手続として制度的に担保されることが必要だと思います。それぞれの所管で手続を分断しているようなイメージで私は読めてしまいましたので、制度利用者目線で一体的に手続を国の責任でも担保していただきたいというところを御検討いただければと思います。
次の点なのですけれども、これはここで申し上げるべきか悩ましいところなのですが、6ページのところで、環境省による新たな環境配慮のための調査や結果の分析、取りまとめと、かなりたくさんの作業を新たにしていただくことになっています。それ自体は重要なことだと思うのですけれども、この新たな制度に応え得る組織体制について特段言及がないところです。ここのミッションではないということかもしれませんが、国としての導入目標とそれを達成するためのスケジュール感を想定し推計して、どの程度の人員や体制の増強が必要になるのかというようなことで、ヒアリングでもあったようですけれども、アセスの専門人材が不足するような中で、実際に実施可能なのか、体制が持続可能なのか、これは制度の実効性担保につながりますので、このあたりは御検討いただく必要があるのではないかと思います。既に御検討されているかもしれませんが、気になりましたのでコメントいたします。
長くなってすみませんが、図書の公開の部分で、私は洋上風力において非常に重要なところだと考えています。これまでのアセスでは、事業者の協力を得てという形になっていましたけれども、新たなアセスの手続の特殊性、特に公金を投入して、もちろん国全体のため、国民全体ためですけれども、特殊な調査をしていく手続を取っていくところ、また洋上風力の不確実性への対応、そうした図書の公開によって出されたデータが今後の事業の効率化につながるところもありますので、事業者の理解は不可欠だと思いますけれども、制度上、何らかの担保、規定をしていただくことが公平に適い必要ではないかなと思いました。
最後に、費用負担の考え方のところです。正直申し上げて、あまりこの時点では書き込まれていません。恐らく今後議論だと思うのですが、EEZとの整合も必要ですから、制度手続の設計が明確にならないと議論ができないところだろうとは思います。ただ、パブリックコメントにかけるにおいて、この部分の記載があまり充実してない段階で国民等の意見の反映というような手続になります。行政手続法の趣旨に添った任意の手続だと思いますけれども、こういう重要な部分がパブリックコメントにならないこととしては、行政法学者としては、少し御留意いただきたいというところです。以上になります。
【大塚座長】重要な御指摘をどうもありがとうございました。
それでは、錦澤委員お願いします。また、こちらで一旦質問を切らせていただきます。
【錦澤委員】2点申し上げたいと思いますが、その前に、全体の内容としてはポイントが抑えられていて、それを大きく変更するということではないのですけれども、1点目に関してはセントラル化で重要なポイントは、国がやる現地調査と、それからその後の事業者がやるアセスを円滑につなぐというのが極めて重要だと考えています。
その観点で、6ページの調査方法書の作成、あるいは国がやる現地調査ですけれども、いろいろな主体に意見聴取を実施するということで、住民とか環境保全とか自治体等と書いてあるのですけれども、やはり事業者から話を聞くというのがすごく大事です。あるいは業界団体になりますが、その方々に話を聞くというのは、これまでの議論を聞いていてすごく大事だと思っております。
それというのは、配置・レイアウトをある程度想定した現地調査というのができないかと思っています。それは、現地調査を本当に区域全体で細かくやるというのは現実的ではありませんから、ある程度どういう配置・レイアウトがあり得るのかというのを事前に情報聴取し、そこをターゲットにして少し詳しく調査するとか、そういった観点がすごく大事になると思います。
恐らく、その後の事業者がやるアセスで予測評価をするということで、昨年から検討されてきた洋上風力の技術ガイドでは、評価の仕方ですとか予測の仕方からバックキャスティングで現地調査をどうやって行うかを考えていく。そういう考え方で整理をされていますので、予測評価をどうやっていくかということも踏まえて、事業者の観点からの情報を事前に把握した上で、方法書を作成するという視点が大事だと思いましたので、その点を少し書き加えていただいたほうがよいのではないでしょうか。
それからもう一点は、これは今後の展開の話ですが、先ほど出ていたIFC基準、今後国際的なそういう環境社会配慮の仕組みにある程度近づけたアセスにしていくという観点がやはり大事だと思っています。私自身はIFC基準にそれほど詳しくはないですが、JICAに関わっている関係で、JICAの場合は世銀のESF(Environmental and Social Framework)で、これが6年程前に改定されて、多分IFCよりもさらに幅広い、例えば異議申立制度みたいな話も入っていて、事業を実施された後の苦情処理のメカニズムですが、そういった話も入っています。あるいは、労働環境ですとか、それからリスクの話で災害であるとか、そういったことも入っていて非常に幅広いので、それをいきなり入れるということはもちろん現実的ではないですけれども、将来的にどのようにアセスを国際基準のほうに近づけていくかということで、今の段階から情報収集しておくことは、今回の答申に入れるということではなく、そういった情報をある程度収集しておくことは必要ではないかと思いました。これはコメントになりますが、以上です。
【大塚座長】それでは、これまでの御質問に対しまして、事務局から御回答のほうをよろしくお願いいたします。
【環境省(大倉)】ありがとうございます。まず飯田委員と原田委員のほうから多々御指摘をいただいた点に対しまして総論的なことを申し上げると、「はじめに」のほうに書かせていただいていますけれども、やはり気候危機に対応するというのが我々のミッションでありまして、加えて生物多様性の配慮というのは当然必要でありますけれども、必要な洋上風力についてしっかりした形で入れていくというのが大前提の制度でございます。
そういう意味で、事業者様に対して過度な負担をかけること、手戻りが発生するようなものは極力回避をするというのが基本的なスタンスですし、そのあたりを再度我々としても強調しておきたいところです。その上で、細部についてどう書くかというのは検討をさせていただきたいと思います。
また、飯田委員からありました「追加的環境保全措置を実施する」と書いたほうがいいのではないかというお話ですが、少し中で検討したいと思いますけれども、「実施する」と書き切ってしまうと、必ず実施するようなことにも見えてしまうので、このあたりのバランス感は考えながら記述をしていきたいと思います。
それと、森田委員からの後から追加できるような柔軟性といったデータのお話ですが、先ほどの白山委員の観点とも重なるところもあるかもしれませんが、我々何が使えるかというのを改めて勉強していきたいと思いますし、後から追加的な柔軟性といったところでは、先ほど少し申し上げましたが、予防の観点と順応的取組の観点とのバランスが多分あると思いますので、そのバランスをいかに取っていくかが大事だと考えている次第です。
そして、原田委員からお話のあったクオリティーの担保ですが、それは総論としてしっかりとやっていきたいと思っています。勢一委員の御指摘にも絡むところかと思いますが、環境保全に関して言えば、経産省様、国交省様が最終的に促進区域の指定という手続はされますけれども、ある種、環境保全をどう担保するかといったところは環境省が責任を持つという制度設計にするように関係省庁の皆様とも議論していきたいですし、現行法でも最終的に環境大臣が協議を受けるという形になっていますので、そういったところで最終的な担保がなされるものと思いますけれども、御指摘を踏まえたところは、もともと念頭に置いております。
それから大きな話で言うと、実施体制になりますが、そういった点も我々まだまだ詳細なところに検討が至ってございません。実際にどれだけ本当に入れていくのかというところをはじめ、把握はできていませんが、それなりの強化は必要だと思っています。この答申に書くべきことも含め、検討をしていきたいと思ってございます。
また、錦澤委員、飯田委員、原田委員のお話に絡むところですが、先ほど申し上げたとおり、2050年カーボンニュートラルに向け、適切に洋上風力を入れていくというところの観点で、事業者様とは綿密にコミュニケーションを取っていきたいと。そのためには何をすべきかを改めて考えていきたいと思ってございます。
また、IFC基準について複数の委員から御指摘をいただきました。ヒアリングでもいただいていますが、これも内部でまた検討して、IFCという記述を直接するかどうかは別として、国際的なものにどう近づけるかといったところがあると思いますので、検討していきたいと思ってございます。
そして勢一委員の費用負担のところですが、記述が希薄ではないかといった点は我々としても自覚はしてございます。先ほどの御指摘を重々認識し、また作業を進めたいと思います。以上で回答できていますでしょうか。
【大塚座長】ありがとうございました。様々な意見が出てきましたが、今回のセントラル方式はとにかく鳴り物入りで入れるといったところで、皆様すごく期待しているわけですけれども、他方で、環境省が頑張るということですから、環境省がきちんと環境配慮もしながら、かつ迅速にやるということを求められていると。これは、なかなか大変なことを引き受けられるということで、皆様の心配もそれなりにあって、いろいろ御議論が出てきているのだと思います。
日本環境アセスメント協会様が最初のほうでおっしゃられたように、環境省は第三者機関的な役割を果たしている一方で、今回の事業もすると2つの役割をされることになりますので、そこのところの組織の関係においては少し気をつける必要があるという御指摘がありました。やはり、その点は気をつけていかなくてはいけないと思いますし、国と事業者の役割分担の関係というのも常にいろいろな形で発生しますので、そのあたりは気をつけていきたいと思います。
それでは、本日予定していた議事はこれで終了となります。進行を事務局のほうにお返しいたします。
【環境省(加藤)】大塚委員長、ありがとうございました。
本日の議事録につきましては、事務局で案を作成し、委員の皆様及び関係団体の皆様に御確認いただいた後、ホームページで公表する予定としておりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
次回、第2回小委員会の日程につきましては、1月16日火曜日、午後の開催を予定しております。時間と場所の詳細のほうは、後日改めて連絡を差し上げたいと思います。
また、第2回小委員会の開催までの間に、一次答申案に関するパブリックコメントを実施いたします。第2回小委員会では、本日の第1回小委員会で頂戴した委員の皆様の御意見、関係団体の皆様からの御発表の内容や質疑応答の内容、パブリックコメントで提出された御意見、関係省庁等における並行した制度等の検討状況等を踏まえ、事務局が修正させていただいた一次答申案の改定案を御審議いただく予定でございます。
以上をもちまして、「風力発電に係る環境影響評価制度の在り方に関する小委員会」を終了いたします。皆様、御多忙の中、長時間にわたり御議論いただきまして誠にありがとうございました。