中央環境審議会総合政策部会 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第18回) 会議録

日時

 平成30年10月12日(金)10:00~12:00

場所

 三田共用会議所 D,E会議室

議事次第

1.開会

2.議事

(1)「環境研究・環境技術開発の推進戦略」の見直しについて

(2)今後の予定

3.閉会

配付資料一覧

【資料】

資料1   「環境研究・環境技術開発の推進戦略」の見直しについて[PDF 99KB]

資料2   新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略に関する論点(素案)[PDF 135KB]

資料3   新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略の策定に向けた今後の予定(案)[PDF 46KB]

【参考資料:机上配付】

参考資料1 中央環境審議会総合政策部会環境研究・技術開発推進戦略専門委員会委員名簿[PDF 69KB]

参考資料2 環境研究・環境技術開発の推進戦略について(平成27年8月20日中央環境審議会答申)[PDF 953KB]

参考資料3 「環境研究・環境技術開発の推進戦略について(答申)」の概要[PDF 746KB]

参考資料4 第5次環境基本計画(平成30年4月17日閣議決定)[PDF 1,444KB]

参考資料5 第5次環境基本計画(平成30年4月17日閣議決定)の概要[PDF 2,278KB]

参考資料6 環境研究・環境技術開発の推進戦略 平成29年度フォローアップ結果[PDF 745KB]

参考資料7 環境研究・環境技術開発の推進戦略 平成28年度フォローアップ結果[PDF 895KB]

参考資料8 新たな推進戦略のイメージ(案)[PDF 459KB]

出席者

 委員:安井至委員長、岡田光正委員、白石寛明委員、高村典子委員、荻本和彦()()委員、指宿尭嗣委員、

    甲斐沼美紀子委員、塚原正徳委員、森本幸裕委員、山口耕二委員

 オブザーバー:一般社団法人国際環境研究協会 安岡研究主監

 環境省:中井総合環境政策統括官、角倉総合政策課長、上田環境研究技術室長、事務局

議事

【上田室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会総合政策部会第18回環境研究・技術開発推進戦略専門委員会を開会いたします。

 開会に当たりまして、中井総合政策統括官より一言ご挨拶申し上げます。

【中井統括官】 おはようございます。環境省の総合環境政策統括官をしております中井でございます。

 専門委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。

 平成27年8月に推進戦略を取りまとめていただきまして、これまで、これに基づいて環境分野の研究・技術開発の取組を進めてまいったところですけれども、本年の4月に閣議決定されました第5次環境基本計画におきまして、この推進戦略が基本計画に基づくものとして位置づけられました。第5次環境基本計画では、来るべき持続可能な社会のあり方といたしまして、地域循環共生圏のコンセプトを強く打ち出しました。この実現のために科学技術が果たす役割は非常に大きいと考えております。また、戦略策定後3年の間には、パリ協定やSGDsなど大きな社会情勢の変化があったことも踏まえまして、これを機会に推進戦略の見直しを行うこととさせていただきました。この後には、国立環境研究所の次期中長期目標の検討や、内閣府総合科学技術イノベーション会議への打ち込み等も控えておりますことから、大変恐縮でございますけれども、年度内を目途に答申をまとめていただければ大変ありがたいと考えております。

 本日は、戦略見直しのキックオフの会議ということで、見直しの方向性につきまして、忌憚のないご意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【上田室長】 それでは、前回の委員会から1年半近く経過をしておりますので、委員は、実は変更なしということなんですけれども、改めて委員の皆様、それから事務局のほうのご紹介をさせていただきます。

 まず、参考資料1に従いまして、委員の皆様の、すみません、お名前のみで恐縮ですが、ご紹介させていただきます。

 まず、安井委員長でございます。それから、岡田委員でございます。白石委員、高村委員。大塚委員はご欠席でございまして、荻本委員。それから指宿委員、甲斐沼委員、塚原委員、森本委員、山口委員。

 大塚委員と谷口委員、それから松藤委員がご欠席で、3名ご欠席でございますが、13名中10名出席ということで、この委員会は成立していることをご報告申し上げます。

 それから、事務局側でございますが、先ほどご挨拶させていただきました統括官の中井。それから、総合政策課長角倉。申し遅れました、私、上田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それから、辻川と多田でございます。

 それから、オブザーバーといたしまして、環境省の競争的資金のプログラムディレクターである、一般社団法人国際環境研究協会、安岡研究主監に出席をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、議事に入ります前に、本日の配付資料の確認をさせていただきます。まず議事次第がございまして、資料1、戦略の見直しについてという1枚紙。それから、資料2として、推進戦略に関する論点(素案)というのが2枚物でございます。それから、資料3が今後の予定(案)ということでございます。

 本資料は以上でございまして、参考資料に、参考資料1が先ほどの委員名簿、参考資料2は、すみません、資料番号をつけておりませんが、推進戦略答申そのものの冊子でございます。それから、参考資料3がその概要版、A4横のパワーポイントのものでございます。それから、参考資料4が環境基本計画でございます。参考資料5が、その基本計画の概要版。参考資料6と7が、推進戦略のフォローアップ結果、29年度と28年度、二つでございます。それから、一番最後に、参考資料8として、新たな推進戦略のイメージ(案)ということで、ちょっと分厚いものがございます。

 資料は以上でございますが、不足等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、本日、マスコミも来ていただいていますが、カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただけばと存じます。

 それでは、これ以降の進行につきましては、安井先生にお願いできればと存じます。

【安井委員長】 皆様、おはようございます。それでは、議事に入らせていただきたいと思います。

 先ほど来のお話のとおり、1年半ぶりで、ご無沙汰しておりました。これは、これから本年度中に何とか見直しをさせていただきたいと思います。

 5年を待たずに見直しということのご説明がございましたが、実は私、昨日までICEFという国際会議、これはNEDOが主催のものでございますけれども、椿山荘でやっておりまして、2日間。やはり日本はどちらかというと、やはり国際的に見るとのったりしていますね、まだ。そんな印象が非常に強いですね。特に欧米のビジネス界は、非常にやはり動きが早くて、これをやらないと、もう完全にビジネスから置いていかれるという危機感がめちゃくちゃ強いという感覚でございます。日本は、実を言うと、いろんな企業の発言などを聞いておりますと、やはりだからといって、しかし、コストの問題もあるし、できないものがいっぱいありますという言い訳が割と多いですね。何かそんな感じを受けております。これで本当にいいんだろうかと。もっとも、海外から来るのと、日本から招致されるのでは、ちょっと立場は違うのかもしれません。というような感想でございまして、見直しは、ある意味で必須かなというふうに思う次第でございます。

 それでは、経緯のご説明から、まずお願いいたします。

【事務局】 それでは、経緯等について、「環境研究・環境技術開発推進戦略」の見直しについてという資料1に基づいて説明させていただきます。

 まず、経緯でございますけども、中井統括官からの説明にありましたとおり、本推進戦略は5年間の戦略となっているところなんですけども、二つ大きな出来事がございまして、5年間を待たずに見直しを行うということでございます。大きな理由の一つ目としましては、本推進戦略が第5次環境基本計画に基づくものとして位置づけられたということでございます。今までは基本計画に基づくものではなく、推進戦略単独であったものなんですけども、今回、基本計画に基づくものとして位置づけられましたので、その内容に沿ったものにするということでございます。もう一つが、政策動向や社会情勢が大きく変化したということでございます。この推進戦略、平成27年8月に答申されておりまして、SDGsやパリ協定の前のものとなっております。SDGsやパリ協定ができたことによりまして、政策動向や社会情勢が大きく変化しました。そのことによりまして、考え方を大きく転換しまして、パラダイムシフトしていく必要があるということになっております。その中で、環境研究や環境技術開発に求められる役割も大きく変化しておりまして、推進戦略もそれらの内容に沿ったものに修正するということでございます。こういった状況を踏まえまして、5年間を待たずに修正させていただきたいと考えているところでございます。

 策定の方針でございますけども、新たに作成する推進戦略に関しましては、現行の推進戦略から構成は大きく変化させずに、内容のほうを新たに修正するという、修正といいますか、ふさわしいものにしていくということを考えております。

 3ポツの審議の方針に関しましては、こちらは総政部会と本専門委員会のほうで審議をしていきたいと思っております。総政部会のほうには、7月31日に開催された際に、この推進戦略の見直しをするということをご報告させていただきました。これから専門委員会のほうで数回審議をさせていただきまして、その後、総政部会に報告するということを予定させていただいております。

 裏面へ行っていただきまして、スケジュールでございます。基本計画の点検と国環研の第5期中長期目標や計画の検討を踏まえまして、答申のほうは本年度中に取りまとめていただければと思っております。具体的なスケジュールに関しましては、次の議題でご報告させていただきますが、専門委員会に関しては3回程度を予定しております。

 以上でございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 というご説明でございまして、先ほどのようなご説明の、ある意味繰り返しというか、さらなる詳しい説明だったと思います。

 続きまして、戦略に関する論点について議論していただきたいと思いますので、事務局から、またご発表をお願いいたします。

【事務局】 それでは、資料2に基づきまして説明させていただきます。

 まず初めに、ⅠとⅡポツの章について説明させていただきます。こちらの論点ペーパーは、これからどういうことを審議していくべきかということをまとめたペーパーになっております。

 Ⅰポツの環境を巡る政策動向や社会の現況でございますけども、現行のものに関しましては、平成22年から平成27年の出来事がメーンで書かれておりますので、本推進戦略は、策定した後に発生した政策動向や社会動向の変化について記載していきたいと思っております。具体的には、パリ協定であったり、SDGs、あとは最近話題になりました海洋プラスチック憲章、あと、今年の6月に改正されました海岸漂着物処理推進法、あと、8月に検討を開始しましたプラスチック資源循環戦略、あと気候変動適応法、あと、8月に総理主導のもと金融界や経済界、学界の有識者に集まっていただき、検討会を開始しました長期戦略、あとは第5次環境基本計画、第四次循環基本計画、あとは6月に閣議決定しました統合イノベーション戦略というものを想定しております。

 これら以外にも盛り込むべき事項がありましたら、この後、ご発言いただければ幸いでございます。

 また、本推進戦略に関しましては、平成28年と平成29年にフォローアップを行っておりまして、その結果を反映させていきたいと考えているところでございます。

 次、Ⅱポツの環境研究・技術開発の戦略的な推進に向けたポイントでございます。こちらは、中長期的に目指すべき社会像と国の役割であったり、政策展開の在り方について記載しております。

 まず、中長期的に目指すべき社会像でございますけども、2050年ごろを想定しております長期的な社会像に関しましては、基本的に現行の推進戦略を踏襲するということを予定しております。ただし、低炭素領域に関しましては、長期低炭素ビジョン、あとは長期戦略といったものを、内容を踏まえて修正していきたいと考えているところでございます。

 次に、2025年から2030年ごろを想定しております中期的な社会像に関しましては、SDGsがまさにそれになりますので、SDGsをもとに、新たに記述をしていきたいと思っているところでございます。

 次に、2ポツの国の役割と施策展開の在り方でございますけども、こちらはあまり修正する必要がないかと思いますので、基本的には現行の記述を踏襲していきたいと考えております。ただし、人材育成については、本推進戦略に記述がありませんので、そこの部分について記述を強化していきたいと考えているところでございます。

 事務局からの説明は以上でございます。

【上田室長】 もう一点、すみません、事務局から少し補足をさせていただきます。

 まず一つは、今、全然これは書けていないんですが、ホットトピックスとして、先週土曜日、10月8日にIPCCの1.5℃特別報告書が採択をされたということでございまして、これはパリ協定から続く一連の流れの中の最新の動きということで、当然、これは踏まえていくということになるかと思っております。

 それから、参考資料8をご覧いただきますと、参考資料8というのは、資料2、メーンの資料を踏まえまして、参考資料8のほうを1枚おめくりいただきますと、左側に現行の推進戦略の記述、右側に新たな推進戦略のイメージといって、どういうふうに修正するかということを、イメージを書いていると。資料2を受けて、どういうふうに具体的に落としていくかということを今のところのイメージで書いておるものでございますけれども、その中で、今ご説明した中で、ちょっとだけ補足させていただきますと、参考資料8の8ページでございますけれども、右側で2050年に目指すべき社会像とあって、その右側の丸印が二つありまして、その下に※が一つございます。後述する「(2)中期的に目指すべき社会像」、つまり2030年ぐらいまでの社会像については、SDGsをもとに修正するということになりますので、長期的社会像も、その辺を踏まえて少し修正が必要な部分は、少し留意するというところで書いております。補足的に書いております。

 それから、13ページをちょっとご覧いただきまして、13ページでありますけれども、右側の丸で、プラネタリー・バウンダリーと。これはSDGsの科学的背景の重要な要素であるプラネタリー・バウンダリーも留意するということで、これも資料2、本体のほうには書いてありませんが、留意するものとして考えております。

 以上です。

【安井委員長】 ご説明ありがとうございました。

 昨日までのICEFでも、例の8日のIPCCの新しい1.5℃シナリオというのは、すごくやはりインパクトがありまして、それで、しかし、本当に非現実的にまで厳しいので、そこを本当にどうするんだろうというような対応と、何はともあれ、やらなきゃしようがいんじゃないのという、そんな対応に分かれていましたね、大体。まあ、そんなものかなというような気もいたしますが。というわけでございます。

 はい。というわけでございまして、今までのところで何かご意見やご質問をいただければと思いますけど、いかがでございましょうか。

【荻本委員】 今までのところと言われて、これからの展開がわからないで、適切なタイミングかどうかわかりませんけれども、委員長が言われたように、日本が今、この環境の分野に関してどんなことをやっているのかというのを、特にやっぱり海外に行って見てみると、やっぱり大分、同じようなこともやっているんですけれども、よりビジネスに近いところがほとんど欠落しているんですね。

 私の世界に近いところで例を申し上げますと、やっぱりPVと風力というところに、世界的にもう金が投入されていて、それによるひずみが出てきているので、いろんなもので需給調整をしていくために、需要とかを考えて、さらに電気だけでやってもしようがないので、従来の電気だけでやってもやっぱり足らないので、電化という言葉が再定義されているんですね。これは環境省の戦略にもしっかり入れてはいただいているんですけれども、とても古い言葉なんですけれども、再定義されて、どんどんやられていると。電化はするだけでは、残ったところをどうするんだという、またエネルギー全体の話もやると。そういうところで、非常に近いところから、中期的にビジネスにつながるようなところの活動が非常に多いんですけれども、それが今もちょっと後ろの参考資料をぱらぱらとタイトルだけ見せていただいたんですけど、あまりないというより全くないと。だから、やっぱり、ここって日本が得意でないところなんですね。得意でないところというのは、ややもすると研究者が不足している、またはシニアな研究者もあまりいないので、こういうところが重要だという声が届かないところのような気がします。

 ということで、何をというのはこれからの議論であるとして、やはりいろんな最初のご説明にもあった戦略が変わったとか、いろいろありますけれども、いよいよ環境問題をビジネスの領域でどうやって回していくのかというところに来たときに、それに日本の力となるような中期的な研究、また長期的な研究は何なんだということを、もう一回、考え直さないといけないのかなというのが最初に申し上げたいことです。

 以上です。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 また感想を述べさせていただきます。そのとおりなんですけど、なかなか難しいのは、昨日あたりでも、実を言いますと、コンカレントセッションといって、幾つかのセッションに分かれてやっていまして、一番人気は山地先生のおやりになっている、そういう関係のところなんですね。やっぱりそこに日本人はわーっと集まってくるんですが、やはり今までまさに電力会社にお任せしてきちゃったところなので、結局、一般の研究者がほとんどいないんじゃないかなと私も思うんですね。その辺りのところをどういうふうにするのかというか、まさに人材育成というのがあったんですけど、だからといって、そう簡単にできるようなものでもないので、本当にどうしたものかなというような感じはいたします。

 とにかく歩みが遅いことは間違いないんですね。まだ東京は全部スマートメーターは入っていませんし、そんな国、先進国の中で幾つあるのか知りませんけど、とにかくほかの国に比べると圧倒的に遅れているというのが事実で、それをやらないと、やはり新しい商売、スマートメーターができてこないと、幾らブロックチェーンを使って取引するといったって、その根拠になるようなデータがないわけですから、取引もできないという、その辺を、しかし、ここの問題として書くと、難しいのなんて。荻本先生辺り、何かここの問題として書ける、うまいネタみたいなものがあればいいんだけれども、その辺、何かいいアイデアを出していただかないと、どう書いたらいいか本当によくわからないですね。

 はい、どうぞ。

【上田室長】 ご意見ありがとうございます。

 次のⅢ章の議題のところで補足しようかと思っていたんですけども、先にご意見をいただきまして、ありがとうございます。

 ここに、今論点にちゃんと書けていないことではあるんですけれども、新しい環境基本計画で、地域循環共生圏という新しい考え方を打ち出しておりまして、これはいわばSDGsの日本版といいますか、日本全体を持続可能な社会にしていくために、地域それぞれが活性化をして、地域の資源を活用して活性化をしていって、分散&ネットワークで持続可能な、しかし、活性化した社会を全体としてつくり上げていくということを目指そうということが環境基本計画で定められております。

 それに当たっては、さっき安井委員長がおっしゃったような、先端的なICTも使って、うまくエネルギー管理をするとか、マネジメントもするとか、あらゆる分野にわたって、そういった最適化・効率化・高度化をしていくということが恐らく必要なんだろうと思っていまして、そういう意味で、地域循環共生圏と科学技術基本計画で出されているSociety5.0と、これは一体的に実現をしていくということは、非常に重要になってくるんだろうと思っております。

 事務局内でも、そういう議論を今始めておりまして、ちょっとすみません、論点にまだそれが反映できていないんですけれども、そういったことで、中期的・長期的に目指していくべき社会はきっとそこで、そこに当たって、地域循環共生圏なりSociety5.0を支えていく技術は何かというところを書き込めればいいのかなと思っていまして、そういう意味で、最先端の先端的なICTに関しては、そういう要素を少し色濃く次の段階では書き込みができればいいなというふうに思っております。というのが一つ。それがお答えになるかどうかわかりませんが、それが一つ。

 もう一つは、これはすみません、何といいましょうか、すごく一般的な話ですけれども、統合イノベーション戦略、今年の6月に閣議決定されたものでは、社会実装の強化ということが非常に強くうたわれておりまして、基礎研究から、まさに実用化開発、製品開発の一歩手前ぐらいまでの一気通貫で強化していくということがうたわれておりますので、環境省に関しては、最後の製品化のところが弱かったというのは、これは反省ですけれども、そこは少し、今回の戦略の中では、あちこちで強みに書いていくのかなというふうには思っております。

 とりあえずのお答えです。

【安井委員長】 どうぞ、甲斐沼委員。

【甲斐沼委員】 先ほどのご発言と関連しますが、きちんとは把握しているわけではないですが、やはり日本のほうが、地域循環共生圏の実現に向けての企業の投資戦略について、ちょっと弱い面があるのではないかなというふうに感じています。統合を進めていくという中で、環境・経済・社会の統合の中で、社会実装システムをどう進めていったらようかといったこととあわせて、やはり投資を持続可能な社会の実現のほうに動かしていくために必要な経済的なシステムについても、少し重点を置いていっていただけるといいかなと思いました。

【上田室長】 ありがとうございます。大変重要なご指摘をありがとうございます。

 ちょっと、誠に縦割りな話になってしまうんですけども、ESG投資といいますか、そこの辺りは、ちょっと、同じ局内でといいますか、同じ統括官グループの中で別の課が担当しておりまして、そちらのほうで評価していきますけれども、すみません。

 いずれにしても、ここにも今既にESG投資の動きを含むということが書いてありますし、当然、それを実用化のところへ結びつけていくということで、視野には当然入ってございます。ありがとうございます。

【安井委員長】 何か、もしご意見があれば。

【中井統括官】 今、ご指摘とコメントがありましたけども、確かに産業の出口の動きとかは、もう世界はすごい動きになっていまして、要するに社会のあるべき像があって、ここにその技術がどう生きるかというときに、どういう産業セクターがどういうお金の調達のもとにどうなっていくかって、もう全部トータルでつながっている話なので、もちろん、これは技術の選択ですけども、そういう動きをきっちりと取り込むほうがいいと思いますね。そういう意味では、うちのグループ全体、環境経済課というところで金融もやっていますし税制もやっていますし、隣で基本計画本体や地域循環共生圏のイメージを、もっと緻密なのをつくっていますので、そういうのも含めてお出しさせていただいて、一応技術に特化したところでまとめていただくにせよ、全体の社会をこっちからこういうふうに変わっていくんだというイメージを持っていただきながら、そこに技術が刺さるというところの感じを共有しながらやっていただけるようにしたいと思います。

【上田室長】 もう一点だけ。

 ESG投資につきましては、この論点でも少し書いておりますが、後のⅣ章でもまた出てまいりますので、そこでもまた議論いただければと思います。

【安井委員長】 何かございましたら。

 何か安岡先生はこっちをにらんでいるので、いかがですか。

【安岡研究主監】 皆さんからご意見が出たように、やはりビジネス界にいかにつなげていくかというのはとても重要ですし、ヨーロッパなんかはすごく進んでいると思います。

 ただ、注意しないといけないのは、ヨーロッパはビジネスを進めるというところの前に、この社会はいかにあるべきかという議論をした上で、ここに持っていくためにはどうしないといけないのか、そのためには世界標準をどうつくっていかなきゃいけないのかという、そういう議論から起こしています。一番上というのか下というか、そこのビジネスの部分だけで議論する前に、理念みたいなものをどこかで書き込んでおかないと、やっぱりビジネスだけが浮いちゃうという、やや日本が陥りがちなものになってしまいます。今、統括官もおっしゃったようにトータルで、どこと勝負してもできるようなものをぜひつくり上げていっていただければなという気がいたします。

 以上です。

【安井委員長】 はい、どうぞ。

【荻本委員】 まさにそのとおりなんですね。例としてすぐ挙げられるのが、太陽光発電と風力発電、こういうものは新しい比較的小さい電源なので、こういう機能を持っていないといけないという、グリッドコードまたは連携規定というのがどんどん進化しています。日本は、邪魔しないでねという規定があるだけで、積極的にこうしてくださいねという部分がもうないまま10年ぐらい遅れているんですね。

 ただ、風力について例で言えば、これ、外国の品物をやむなく買っているので、最新の機能を持っています。なんですけれども、最新の機能を全然使っていないまま何年も来たので、経産省側の委員会ですけど、大量導入委員会でグリッドコードを定めて、日本として使うようにするというのも方針として出しましたし、一昨日の検討WGでも、やはり北海道のブラックアウトでなぜ使えなかったのかということが随分言われるんですけど、それはこんなものじゃ使い道ないでしょうという話をちゃんと丁寧にして、それをルール化していくということもやろうとしています。

 ですから、まさに今言われたところで、ヨーロッパにめちゃくちゃ負けているんですね。アメリカは、再エネに関して言えば、カリフォルニアとかハワイで、ごり押しでやっていると。ヨーロッパはちょっと力が足らないので、世界を巻き込んで楽しくやっていると。日本は、彼らは大西洋をまたいで話しているので、日本は話に入れないと。こんな話ですから。はい。

【安井委員長】 ただ、中国のほうがどうも先に行っちゃいそうな気もしないでもないという感覚が強いですよね。

【荻本委員】 だから、乱入したやつもいるという、そういう恐ろしい状態です。

【安井委員長】 それだけではなく、例えばプラスチック問題なんかだと、ISOをつくろうなんていう動きもないわけではなくて、それができると、多分、日本はそんな発想を持っていないので、あっという間に苦慮に入るとか、そういうようなお話は十分にケアしておかないといけなくて、ただ、そういう情報を少し組織的にやっぱり集めていただいて、それを出していただくのがかなり重要かなと思っていて、だから、割合と、やっぱりさすが島国だけあって、何となく世界のトレンドをちょっと遅れていても平気みたいな感じがあるものですから、そこを何とかしないと。少なくとも一番問題なのは、やる側の意識の改革なので、そこを何とかしなきゃいけないなといつも思いますね。

 ほかに何かございませんか。

 どうぞ、山口委員。よろしいですか。

【森本委員】 お話、本当にそうだと思うんですけど、社会実装とかということがターゲットに入ってくると、いわゆる狭い意味での技術だけじゃなくて、社会の制度設計というか、その辺がかなり重要な意味を持ってくる可能性があると思うので、いろいろな組み合わせがあると思うんですけども、そういうものを変えたときに、どういう具合に実際アウトカムが出てくるかというような、シミュレーションなんかも大事になってくるだろうと思うんです。それはちょっとソフトな技術だと思うんですよね。そういった視点というのは、今の中井さんですが、お話しになったことをちょっと聞いていて、進めていくためには、ぜひ要るのかなと感じた次第でございます。

【安井委員長】 どうぞ、山口委員。

【山口委員】 2点ほどお話しさせてもらいたいと思うんですけど、1点目は、安井先生のおっしゃいました、欧米に比べてビジネス界のSDGsとかESG等々も含めた対応が遅いぞというお話もありまして、確かにそれは事実なんですけども、国内で考えると、ドメスティックな市場が大きい産業と、あとグローバルな市場が大きい産業、例えばグローバルですと、自動車とかというのがまさにそうなんですけど、では、かなり対応が実は違っておりまして、特にグローバルな市場が大きい企業はかなり焦っているというのも事実です。やはりかなり遅れているなと。これはどうにかしなくちゃいけないと。

 それと、もう一つは、大企業と中小企業の問題。皆さんご存じのように、日本の産業というのは、会社数でいくと97%は中小企業。中規模を含めてですね。それから、雇用にしても、6割ぐらいは中小企業と。ですから、ビジネス界の問題を説くときも、やはり大企業と中小企業をある程度峻別していかないと問題だと。それと、私は今現在中小企業におりまして、過去は大企業にいたんですけども、中小企業は全く人材がない。人材がない、情報が入らない。この辺をですね、この委員会が適切かどうかはわからないですけども、やはり環境技術が打ち上げられたときに、中小企業でもインプリメンテーションに参加できるような仕掛けづくりというのがやはりないと、技術が、テクノロジーが太ってしまって、実際のインプリメンテーションが遅れてしまうということになるのかなと。そのような気がいたしました。

 それから、二つ目は、これも日本固有の問題、これも私が言うまでもないんですけども、最近の災害の被害というのはすさまじいですね。そこのところで、やはり電力問題。ですから、私は災害と電力というのをどういう形でこの中に取り込むのか。電力問題は、先ほど来、皆さんのご意見がございますけども、日本は島国なので、外部からの系統がつなげないという。まさか中国とか韓国から電力をもらうわけにいかないわけでございますから、島国、要するに他の国から電力が供給できない国であるということと、それと、あまりに広域のネットワークが大き過ぎて、もっともっと分散型にしていかないといけないと。すると、分散型のエネルギーをつくろうと思うと、再生可能エネルギーなんかもかなり有益で、ただ、再生可能エネルギーは災害に強いかどうかというのは、若干の疑問はあることはあるんですけども、やっぱり分散型のエネルギーをどうするかとか、そういうことを考える必要があると。すると、今、私が申しました話というのは、テクノロジーの問題ではなくて、社会実装、先ほど事務局のほうから社会実装が弱いというお話がありましたけども、むしろ、環境技術というのは、テクノロジーの問題よりも社会システムとしてどういうふうに浸透させるか、そのためには、IoTとかAIとかを使う必要があるのかとか、そういう固有のテクノロジー問題をちょっと超えた形の議論が、もちろん今までもされておりますけども、加速して行う必要があるのかなと。このように思った次第でございます。

 以上です。

【安井委員長】 ありがとうございました。確かにおっしゃるとおりのことかと思います。森本先生の制度設計もおっしゃるとおりですし。

 ただ、今、本当に一番怖いのは、やっぱりその企業がどのぐらいCOを出しているのというデータを問われてしまうと、それでもって、まさにグローバルマーケットから締め出しを食らうという可能性ではないかと私は個人的に思っておりまして、イビデンさんなんかは、Apple用の部品は全部再生可能エネルギーでつくっているんですね。だから、そういうことをやらないと、もうやっていられない時代になっちゃっているんですね。だから、結局、確かに島国だからどうこうという話もあるんですけど、そんなこと言っていられないですよね。それで、もし何もやらなければ何が起きるかというと、結局、イビデンのApple部門は海外に出ていくということになるんですね。こういうシュリンクのシナリオで本当にいいのかというのを、やはりちゃんと知らせなきゃいけない。そんな気がいたしまして、これはまさに制度設計なのか、そうじゃなくて、はっきり言ってしまえば、電力会社にそういう意識がないんだな、まだ。ですから、本当にCOの低い電源を供給するということが、もう電力事業者にとって、今、もう義務になっているのに、そこに向かってのスピードが非常に遅い。この辺に関しては、もう、ここでぶつぶつ言ってもしようがないですね。

 そんな気もいたしますが、何かあれば。

【上田室長】 ご意見いろいろありがとうございます。

 大変大きな意見で、なかなかお答えしにくいところもありますが、この推進戦略に翻訳して、とりあえず事務局的に申し上げますと、社会設計とか社会実装ができるような制度設計とか、そういったところはもちろん大変重要でございますが、そこって、結局、研究開発に落としていくと、例えば統合領域でいろんな分野にまたがる問題がある中で、どうやって社会を設計していくかみたいなところの研究になってくるんだろうと思っています。日本は、自然科学的な研究は比較的やっていても、社会科学的な研究が弱いとかというお話もございますので、そこは何か統合領域内のところで少し扱えるようになっていけばいいんじゃないかなというふうに一つは思っておりますのと、それから、先ほど来申し上げています、これは中小企業問題も、あるいは系統連携、分散型ネットワークというところのお話も、これは含めでございますけども、地域循環共生圏というのは、まさにそれらの答えになるのかなと思っていまして、最初に申し上げましたとおり、地域版のというか、日本版のSDGsで、地域がそれぞれの細胞になって、その細胞が活性化をすると。それ全体、日本をつないでいくと。まさに分散型、ネットワーク型というか、そういう形で、しかも、地域の資源をしっかり生かして活性化をしていくと。これは中小企業にも当然波及する話だと思いますけれども、そういうことをもう少し色濃く書いていけば、少しお答えになるのかなというふうには思っております。

【安井委員長】 何かご意見ございましたら。

 はい、どうぞ。

【高村委員】 地域資源を生かしていくという方向性が大事ということと、やはり災害が非常に大きくなっていて、今年も台風21号で琵琶湖南湖の水草が全部なくなっちゃったんですね。水位が1メートル下がって、全部なくなっちゃったとか。だから、そういうふうな災害の生態系への影響評価も従来のものと異なるし、河川なんかでも頻繁に災害が起こっているんですが、リスク評価をして、どういうところに人間が住むべきか住むべきではないとか、もとに戻すのも、本当に前のとおりに戻す必要があるのかどうかとか、住み方を変えれば、そこは自然が豊かな生態系に再生していくようなことも可能になるんじゃないかなというような視点もあります。

 防災というのは地域を守ることで、田舎のほうですと、人間が減ってきていますので、地域間でどうやってコミュニケーションをしていくかというふうなことが大事なんですが、防災の観点というのは、割とまとまりやすいんですよね。すぐ逃げなさいとか、そういうふうな伝達とかで、普段からよくいろんなことを話し合っているような地域というのは、割といいようです。そういうふうなところが地域循環共生の考え方とも、つながるように思います。

 地方のほうを見ていますと、情報が入っていない。街は街、田舎は田舎で、自分たちがどういうふうに暮らすのが最適かとか、快適かとかというふうなことをよく考えて、地域の中でお金を回しましょうとか、そういうふうな取組とかというのは比較的やっているんですけれども、ちょっとクローズかなと。世界の動向とか、今おっしゃったようなビジネスのことをもっと入れる視点からは、ちょっと遠いなと思います。それはやっぱりそれらを導入する人材というか、専門家みたいな者が、やはりそこの中に入って議論をしていくというようなことが少し欠けていて、例えば、年寄りばかりが多くなりますと、年寄りが幸せな世界観ができて、若い人の伸びしろがなくなってしまうと非常に困るので、人材育成というか、そのところら辺が大事だというふうに思います。

【上田室長】 ありがとうございます。

 だんだん、どのコメントも、大体、地域循環共生圏ばかりでお答えするのは大変恐縮ですが、でも、だんだん、事務局としては、どのコメントも地域循環共生圏につながるということで、だんだん元気が出てまいりましたけれども、今のコメントもまさに地域循環共生圏で、地域ごとにそれぞれ活性化をして、それぞれの地域が元気になって、若い人も入って、コミュニケーションもできるようになって。コミュニケーションに当たっても、当然、地域だけ、地方だけの中でのコミュニケーションではなくて、地方と都市の間のコミュニケーションとか、それも先端ICT技術を使って、バーチャルコミュニティみたいな考え方もあり得ると思いますし、そういったことで、地域循環共生圏プラスSociety5.0で何か糸口があるんじゃないかなというふうに考えましたのが1点。

 それから、最初に災害のお話がありまして、そこを適応で、かなり適応については強化していくと。これはもう適応法も制定されましたし、今年の12月から施行されますので、国立環境研究所に中核機関となっていただいて、地方ごとに、しっかり、地域ごとの当然最適な適応の仕方があります。最もダメージを受けるのは何か、最もダメージを抑えられるのは何かという、プライオリティーづけを地域ごとにしっかりしていって、しかも、コミュニケーションをしっかり地域の中でとって、適応に最適化していくということは、これから進めてまいりますので、それも、今後、それでお答えになっていくのかなというふうに思っております。

【安井委員長】 ちょっと、何でもかんでも地域循環に落とされても困るので、ちょっと一言だけ申し上げますけど、今、高村先生がおっしゃったことで、多分、一番重要なことをかなりおっしゃっていただいたんですけど、そこで、それをさらに言えば、要するに先ほど自然科学・社会科学の話があったんですけども、一般社会にどういう情報を伝えるべきかということを専門に研究している人がいない。要するに、環境情報なんて結構そこが重要なのに、それをどうやって伝えたらいいのかとか、そういうことをちゃんと研究している人がいない。コミュニケーションができていない社会と研究者と、そこは非常に大きいと思いますね。

 どうやってコミュニケーションをやるのか、本当に難しいんだけれど、まずはどういう情報を伝えるべきかからやるべきだと思うんだけれども、そういうことって、学者としては、やっぱり何か、本当に上級なポジショニングをとれそうもないんだよね。なかなか人が難しいんだけど、それこそ、ある程度年を超したらば、それをやらなきゃいけないんじゃないかなという気がするな。だから、社会に伝えるべき情報をまとめるって、それをどこかがやはりちゃんと組織的に情報を伝達していくという、そういう体制がない限り、やっぱり地域に全部落とすわけにいかないので、やっぱり全部そういうものをまとめて、これは地域向けとか、これは日本向けとか、何かいろんな情報をやはりちゃんと整理して、伝えるべき情報をまとめるというのもすごく重要な仕事だと思うんですけどね。

【山口委員】 まさに今、先生がおっしゃったことなんですけども、今の情報は、6割から7割はスマホとかで入手できるんです。ただ、その情報だと、アクションにはつながらないんですね。したがって、大事なことは、特にこういうテクノロジーとか、ちょっとレベルの高い複雑なものは、スマホでは伝わらないような情報をいかにして伝えるか。これが、まさに今、安井先生のおっしゃった伝え方だと思うんですよ。ですから、ITでスマホに載っければいいよというものでは全くないというふうに強く感じました。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 それでは、お待たせしました。荻本委員。

【荻本委員】 地域循環という話なんですけど、地域というのは、さっきおっしゃったように都市も含むということで、いろいろなくくりがあると。再エネに関しては、どうしても見える範囲からやろうとすると、まちとかというところから始まるんですけども、風力を利用しようとすると、とてもとてもそこでは使えないし、風の吹くところには普通需要はないので、やっぱり広い視野が要ると。ですので、地域にはいろんなくくりがあるということをぜひ強調していただかないと、何か、ちょっと言葉は悪いんですけれども、ちまちました地域循環ばかり。これね、研究しやすいんですよね。だから、それはそれでいいんですけれども、本当に、最初どなたか言われたグランドデザインがないじゃないかというところが落ちてしまいますので、ぜひ、そういう視点も入れていただければと思います。

【森本委員】 少し関連した話で、高村先生のお話と地域循環の話を考え合わせると、土地利用の最適化をどうしていくかということが、かなり重要かと思います。そのときに、例えばEco-DRRとかで、暴露を避けるというので、危ないところから撤退という話はすぐ出てくるんですけど、実際に、そういうことがなかなか進まない。社会実装が難しいという、そういう課題がありますね。そういう技術としてどう対応していくのかというのは、非常に難しい。

 リスクコミュニケーションでハザードマップを配るというところまで行っていますけど、この前の災害でも、すごい水害で困ったところ、呉市辺り、岡山ですか、あれはもうハザードマップでは予測されるところだったわけですよね。実際、そういうEco-DRRなんで、実際に社会実装するための方法論というのが、どこでどうやるのかなというのがわからないんですけど、ここでやるのか、どこでやるのか、こういうのは全然別のところに任せる。

【安井委員長】 後でアイデアを少しまとめていただいて、文章化をしていただかないと、誰もやらないかもしれませんですね。

【上田室長】 すみません。大変、大所高所からのご意見をいただき過ぎて、事務局もやや混乱しておりますけれども。

 まず、地域循環共生圏には、いろんな地域のくくりがあるというのは、それはもうまさにおっしゃるとおりで、一番小さくは多分コミュニティレベルですし、しかし、コミュニティレベルばかりでは地域循環共生圏なんかできるわけがないので、当然、それは市町村レベルも含みますし、市町村間のレベルも、県のレベルも、下手をすると、もう少し、関東とか、少し大きなレベルも含め、それは循環の媒体を何にとるかとか、そういったことによっても、循環の地域のとり方はかなり変わってくると思いますので、それは最適な地域の区分をチョイスをして、地域循環共生圏を構築していくということだというふうに思っています。そこら辺の定義については、次の章でまたもう少しご説明しようかなと思っていたんですけれども、ありがとうございます。とりあえず、そういうことかなと思っています。

 それから、土地利用の最適化のお話がございまして、これは大変お答えしにくいんですけれども、やはり今、この推進戦略のコンテクストの中ですと、適応の中で出てくる話なのかなと思っています。

 適応に関しては、まさに国立環境研究所が適応情報の中核機関となるということが法律で定められましたので、今、国立環境研究所に情報プラットフォームというのを立ち上げようとしておりますけども、そこで今後提供していく情報というのは、当然、GISとかと結びついて、どれだけどこに洪水のリスクがあるとか、そういった情報も含めて出していって、それは防災とか、そういったところにもどんどん反映して役立てていくと。災害、少しでもダメージを軽減するように生かしていくということだというふうには思っております。それは、すみません、ある意味、適応の中のやや細かい話なので、ここの戦略にどこまで書き込めるかというのはありますが、そういった方向になっていくんだろうというふうには思っております。とりあえず。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 時間配分を私、考えなくちゃいけないんですけど、まだ大丈夫そうだな。

 今ご議論いただいているのは、全体像でございまして、この目次のⅠとⅡ辺りでございます。できるだけ広いところから始めているという感じでございますが。

 どうぞ。はい。

【指宿委員】 地域の話ばかり出ていたので、少し国際的な観点で。

 今年、ちょっと感じたのですけれど、私、大分前からISOの大気関係の測定方法、例えば固定発生源からどれだけCOが出るかとか、SOがどれだけ、そういうようなことを標準化する技術委員会に出ているのですが、それをやっているサブコミッティ(SC)、分科会のセクレタリーを今までオランダがやってきたのです。オランダが何か都合があってやめたいと言い出して、日本は次にどうだという話もあったのですが、ちょっと考えているうちにどうなったかというと、インドが手を挙げたのですね。これにはオランダのほうもびっくりしたし、この技術委員会のメンバー国みんなが驚きました。インドがそういう環境関係の測定という具体的なところのセクレタリーをやりたいと手を挙げたのです。これはやっぱりインドで大気環境の問題は非常に深刻ですし、一方で、同じSCで、COの測定もするとか、そういうことがあるので、多分、インドとしては、そういうことが非常に自分の国にとって重要だという認識があって出てきたのだと思います。今まで途上国の中で環境にそれほど積極でなかったところが、かなり積極的に出てきているというのは大きな流れだと思います。

 日本は、今まで一生懸命そういう環境技術の開発をして、国内を整備して、それから東南アジアですとか、そういうところにもいろんな技術協力をして、やってきたのですが、もう少し大きな目で、インドですとか、新たな大きな流れに適応するように日本として努力していく、それが一つの環境ビジネスになるんじゃないかなと思います。こうした切り口もやはりどこかに入れておくといいのではないかと思います。

【安井委員長】 大変重要なお話なんですけど、やっぱり最終的に英語力が問題になったりするからね、これ。

【指宿委員】 そうですね。いや、冗談なんですけれどね。

【安井委員長】 ええ、本当にどうするか。

【指宿委員】 インドがセクレタリーになると英語が通じないんじゃないかと、みんな心配していたのですけど。

【安井委員長】 いや、やっぱり専門分野はわかるけど、それを超して、そういう別の分野に入ったときに英語がわかるかと言われると、全然だめだね、やっぱり。なかなか。

 よろしいでしょうか。

【甲斐沼委員】 少し、補足させて頂きますと、先ほどのインドの話について。今回、IPCCのワーキンググループ3の共同議長が、イギリスのジム・スキーさんとインドのシュクラさんになられました。今までどちらかというと、先進国に事務局があって、先進国が中心となって、会議などをオーガナイズしてきましたが、今回は、インドとイギリスの、両方に事務局を置いて、インドでも積極的に活動されています。

【安井委員長】 インドの英語は変ですけど、とにかくべらべらしゃべりますからね。やっぱり日本人はべらべら下手な英語でしゃべってもいいんだけど、ちょっと躊躇しちゃうじゃないですか。そこで負けるので。

【上田室長】 ありがとうございます。

 国際標準というか、標準化の話は、実は第Ⅳ章に書いてありまして、そこで議論をお願いしたいと思っていますが、先にちょっとだけ申し上げますと、今、すごく小さな話で書いていまして、環境技術実証にひっかけてISO化されているので、国際標準がという話は、もう非常に一般論で書いています。

【安井委員長】

 あと、ほかに何かございませんか。大体、ⅠとⅡのご議論、全体的なご議論をいただいておりまして、あとは個別に入りますが、個別に入ってから戻るのも不可能じゃございませんので、少し、それじゃあ、個別の話題に移らせていただきたいと思います。

 というわけで、それではⅢ、さっきの資料ですと、資料で言うのがいいのか、本文と言うのがいいかわかりませんが、要するにⅢの今後5年間で重点的に取り組むべき環境研究・技術開発に関しましてご説明をいただいて、ご議論いただきたいと思います。

【事務局】 それでは、資料2に基づいて、引き続き説明させていただきます。

 Ⅲポツの今後5年間で重点的に取り組むべき環境研究・技術開発ということでございます。

 1番目に関しましては、課題の設定に関する基本的な考え方をお記ししております。

 今回、第5次環境基本計画の下に基づけられましたので、それを踏まえた領域区分の考え方や概要等を書いていきたいと思っております。それに加えまして、ICTであったりバイオといった最新の技術、加えて環境研究や技術開発に横断的に必要とされるような技術というものの考え方を書いていきたいと思っております。また、先ほどから議論になっております地域循環共生圏であったり、SDGsといった考え方を書いていきたいと思っております。

 地域循環共生圏に関しましては、参考資料5の4ページ目に概要を記載しております。各地域が地域資源を生かして、自立・分散型の社会を形成すると。そして、地域の特性に応じて補完し支え合う社会の地域循環共生圏と。荻本委員からもありましたけども、都市を含んだ地域という考え方でございますので、この考え方が伝わるような記述をしていきたいと考えております。

 次に、領域区分に関しましては、現行の推進戦略の領域を基本的には踏襲していきたいと考えております。ただし、低炭素領域に関しましては、適応の重要性が高まっておりますので、気候変動領域という名前に変えていきたいと考えているところでございます。

 次に、資料2のⅢの2ポツ、重点的に取り組むべき課題の具体的な内容でございます。

 今回、大きく変えなければいけない領域、検討しなければいけない領域としましては、主に二つあると考えております。

 一つ目が統合領域でございます。この領域では、地域循環共生圏の構築に関する重点課題を入れる必要があるかなと。適切に設定する必要があるかなと考えているところでございます。具体的には、現在、低炭素領域に入っております重点課題⑤の課題を統合領域に移しまして、地域循環共生圏の構築に必要な都市計画であったり、地域循環共生圏の評価手法の開発等といった、技術開発の具体例を入れていきたいと考えているところでございます。

 裏面、2ページ目に進んでいただければと思います。二つ目に考えているのが、資源循環領域でございます。この領域に関しましては、今年の6月に第四次循環基本計画というものができましたので、それを踏まえた内容にする必要があると考えているところでございます。

 加えまして、環境基本計画や統合イノベーション戦略に記載があって、現行の推進戦略には記載のない分野というものを新たに加えていきたいと考えているところでございます。具体的には海洋プラスチックなどを想定しております。

 丸の四つ目に、その他、陳腐化した表現の修正を行うということでございますけども、今回、増やすだけではなくて、スクラップ・アンド・ビルドという形にしていきたいと思っておりますので、この推進戦略から削除したほうがいいと、そういった内容がありましたら、ご意見をいただけますと幸いでございます。

 事務局からの説明は以上でございます。

【上田室長】 1点だけ補足をさせていただきます。

 地域循環共生圏を色濃く打ち出していくというのは、さっきご説明したとおりで、ここのところも当然、地域循環共生圏掛けるSociety5.0のところは、少し強目に書いていくことになるかというふうに思っております。

 それから、もう一点、海洋プラ、少しだけ書いてありますけれども、海洋プラに関しましては、来年、日本で開催いたしますG20で海洋プラの問題も取り上げると総理からも発言しているところでありますので、当然、それに沿って、こちらでも取り上げるということになっているかと思っております。

 申し訳ありません。もう一点だけ。この5領域を維持、つまり統合に始まる5領域ですね、統合、低炭素、資源循環、自然共生、安全確保という、この五つの領域を維持するということに関しまして、すみません、1点補足させていただきます。

 これは参考資料8で少しご覧いただきたいんですが、参考資料8の22ページから23ページにかけてですが、参考資料8、22ページの一番下の辺りの右側の欄で、下から3行目に※で「なお」と書いてありますけれども、ここについてご説明しますけれども、新しい環境基本計画ですと、環境政策を六つの柱に実は分類しておりまして、要するに震災復興・災害対応というのは特出しをされたというふうになっております。これに合わせて、こちらの推進戦略でも六つの柱にするという考え方もあり得るんですが、事務局内で議論をしておりまして、いや、やはり統合は統合のままで残しておいたほうがいいんじゃないかと今事務局としては考えているところでございます。

 その理由は、ここに書いてあります。23ページにかけてありますけれども、現行推進戦略、つまり3年前に定めていただいた推進戦略で初めて統合領域というのを設定していただきましたけれども、これで、この統合領域において、統合とか連携による効果がだんだん徐々に効果を表しつつあるというふうに考えておりますので、ここで改めて震災とか災害を独立させるのではなくて、統合は統合のまま、今は維持したほうがいいんじゃないかというふうに考えているところでございます。

 以上です。

【安井委員長】 いろいろご意見あるかと思いますが、よろしくお願いします。どなたか。

 はい、どうぞ。

【荻本委員】 先ほどと基本的には同じことなんですけれども、やっぱり循環させるもののイメージとして、例えば熱があるとすると、熱はどこまで運べるからというようなイメージがあると。それから、バイオマスだとすると、バイオマスもトラックに積んでどこまで持っていくんだというようなイメージがあります。電気は送電線がつながっていれば、どこまでも持っていけると。なんですけども、これ、小さくするほうは幾らでも小さくできるんですね。電気を家1軒で使うというモデルもつくれるし、バイオマスを家1軒で使うモデルもつくれると。だから、恐らく注意しないといけないことは、どう広く使えるのかというふうに持っていかないといけないことに一つの価値があるはずだと。それが全てだとは全然申しません。

 ここに出てくる、4ページ目の絵が出てくる、参考資料5ですね。電気屋としてすごく気になるのは、「自立」と書いてあって、自分で立つと書いてあるんですね。これをイメージすると、電気に関しては全く間違ったイメージが出てきます。だから、これはかなり気をつけないと。残念ながら、エネ庁も同じ字を使っているんですけどね。私は、昔から、自分で立つのではなくて、自分で律するというのは全然問題ないんですけれども、自分で立つというのは、こんな危険なことはないので、もう無駄の固まりを大量生産するようなものなんです。

 だから、ここはこれでいいんですけど、正しく伝わるようにしないと、どんどん検討しやすい、場合によっては研究室で取り組みやすい、大学の中の最適化とかね。それを将来に向けてやるのはいいんですけど、それ自体には意味がないということをある程度わかってやらないといけないかなと思います。

 ちょっとヨーロッパのイメージで言うと、アイルランドって、あれは北海道と全く同じくらいの大きさなんですね、いろんな意味で。もしかすると、イギリスって、東北と同じ大きさです。ヨーロッパ大陸は、本州と同じとは言いませんが、そんなイメージを持ってあの世界を見ていただくと、彼らはめちゃめちゃつないでどうしようかということを考えつつ、昔のドイツの田舎のユーティリティー供給のところでは、そういう自律的なセルも持っていると。ですから、自分で律することは全然構わないんですけど、自分で立つということは普通やらない。自分で立つということは、電気の場合は線を切るということなので、そこは絶対に間違わないようにしていただかないと、これを打ち出して、これが世の中に大量に広まると全滅ですから、将来。

【安井委員長】 もしあれば。

【上田室長】 電気のことまで考えて書いたかというと、確かにちょっとあれがありますが、分散掛けるネットワークというのは、地域循環共生圏のあれに非常に大事なキーワードだと思っていますので、そういう意味で、おっしゃる自分を律するほうの自律、電力に関してはですね、というので合致するかなと思っています。ここに書いてある地域循環共生圏を、地域循環共生圏だけで電力自立、自分で立たせるつもりをここで書いているつもりはないので、そこはすみません、ちょっと誤解のないようにしなければ。

【中井統括官】 補足すると、グリッドの関係で言うと、要するにハイブリッドが前提という感じなんですよね。

【荻本委員】 前提とまでは言わないですけど、そういう可能性は十分あります。

【中井統括官】 いや、ハイブリッド的なイメージ、要するに自家消費で、自分のところで終わる世界で、小さいところがあっていいんだけども、要するにいろんなことを考えると、系統とちゃんとつながっているというのと二つ共存するようなイメージを持っているんですけどね。

【荻本委員】 ですから、今、そのキーワードもそうなんですけど、電力にとって、自家消費って極めて危険な言葉なんですよ。自家消費は、結果、自家消費は全然構わないんです。でも、自家消費を目的にしたら間違いなんですね。それは明らかに自家消費と言った瞬間に風力を使わないぞと言っているのと同じ話になるので。はい。だから、電気だけは、これ、特性がいいんですよね。どこまでも運べるといういい特性を持っていて、時々ブラックアウトとか起こしますけど、それは裏腹の現象ではあるんですけれども、技術的には。ただ、普通はとてもいい特性を持っているものを利用しないと、再エネは入りません。PVも風力も導入できませんということが、やっぱり一般の人、NGOレベルの人には、なかなか理解していただけない。

【安井委員長】 確かに、それはさっきちょっと申し上げた話なんだけど、結局、しかし、やっぱりそういう情報が伝わっていないんだね。

【荻本委員】 役所でも、文書に書いてありますからね。自立、自分で立つとか、自家消費って書いちゃっているので。

【安井委員長】 なるほど。そうなんだな。

【荻本委員】 ずっと私は申し上げるんだけれども、戻らないんですよ。

【安井委員長】 戻らない。

【荻本委員】 結果、自家消費なんですよね。

【安井委員長】 まあ、そうですね。自分の家だけで電気をつくって、自分の家だけで使うというのは、多分あり得ないな。

【荻本委員】 あるんですけどね。

【安井委員長】 よっぽど電池を使えばね。

【荻本委員】 アメリカは、ハリケーンで田舎に延びた配電線が何回も何回もやられて、復旧に1週間かかるので、あなたのところは切りますと。そのかわり、PVとバッテリーを置くから、電気料金も同じにするから許してといって、今、切り離しをやっています。でも、それは恐らく日本ではない。そんな2050年の予想はあるかもしれませんけれども、今からやるような話ではない。

【安井委員長】 とんでもない、今やったらとんでもないお金がかかりますよね。相当、1週間分ぐらいの電気をためなきゃいけないじゃないですか。

【荻本委員】 だから、そこはぜひ、これを押し出すのであれば、そこをはっきり書いておかないと、もう既にたくさん間違っているので、世の中。

【安井委員長】 なるほど。いや、本当の話、電力に対して何が正しい知識かというのをちゃんと議論しなきゃいけないですよね。なかなか、皆さん、まさに研究者によって言うことが違うので。今の日本のグリッドはすばらしいとおっしゃる研究者もおられれば、全然だめだと言う方もおられれば、まさにいろいろですから。

 はい、どうぞ。

【白石委員】 今のいろいろお話を伺っていて、地域循環共生圏の絵なんですけど、これ、1個だけ描いてあるんですけど、これは何か幾つかあるわけですよね。それが何か、幾つ想定されるのかよくわからないんですけど、いろんな規模のレベルがあって、地域循環共生圏を打ち出していくというときに、今の電気のお話がありましたけども、それぞれここの絵の一番下に「地域の特性に応じて補完し、支え合う」という部分が、この絵には描かれていない。日本全体として、地域循環共生圏が幾つかあって、それがグリッドを形成して、どうするのかというような形の、全体のグランドデザインみたいなものを少し示していただくと、今の話は少しまとまっていくのかなという気がしました。

【上田室長】 ありがとうございます。

 そういう意味では、ここに描いてあるポンチ絵では、細胞1個だけを取り出していますので、そうなっていますが、細胞同士のネットワークをしていったらどうなるかというのを今、うちの省内でもちょっと絵を描き始めているところですので、それをまたそのうち。

【安井委員長】 細胞1個では、栄養が行かないしね。やっぱり血管と神経は要るよね。

【甲斐沼委員】 ちょっと関連しているところで、我々のところでシナリオをつくる際に、もちろん幾つか作りますが、規模の大小や配置について、様々な仮定をおいて、都市間の連携について考えます。ここでも、全体の連携を示すポンチ絵があると、わかりやすいかなとおもいました。

 さきほどのグリッドの話で、先週、中国の方と話していたら、もちろん、中国は広域のグリッドをつくっていますが、だけど、広域のグリッドで50%ぐらい賄って、あとは地域の中で自立的なエネルギーを使うような計画だというようなことを言われていました。

【荻本委員】 重要なことは、つながっているということですよね。だから、結果として50%というふうになるものは自由にやっていると。

【甲斐沼委員】 だから、広域なグリッドは積極的につくっているというか、かなりのスピードで進めていて、かなりへんぴなところまでというか……。

【荻本委員】 嘘みたいに使っていますよ。

【甲斐沼委員】 そうですよね。

【荻本委員】 嘘みたいに使っている。

【安井委員長】 あと、ほかに一般的なお話で、何かこの項、ございませんでしょうか。

 特段の意見はないので、事務局案でいければ――どうぞ。

【森本委員】 じゃあ、5年間で重点的に取り組むべきという観点から、例えばSDGsが取り上げられているんですけど、その方向に向いていますよということだけではなくて、具体的にどれだけうまくいっているかという指標をつくって、それの評価の手法をちゃんと確立するというのは、すごく重要な話で、そこにこれの成否の根幹がかかっているような面があると思うんですね。なので、指標というのを、単に指標じゃなくて、もうちょっと何かインテグレートするようなのが必要なのかなと思ったりもします。

 昔、コミヤマ先生などもおっしゃっていたし、生態系サービスのコスタンドラも言っていたんですけど、GDPは危険で、むしろプログレスというか、別の指標ですね、GPIのほうがいいとかという話があって、しばらく、昔、地域でそういうので評価されていたところがあるみたいなんですけど、そういう流れの意味での、いわゆる経済のGDPなんかと比較できるような流れのフローの面と、あとストックの面があって、ストックの面でも、いろいろこれまでいわゆる自然保護関係の指標というのが提案されていて、評価されたりしていますけども、あれを、あれでいいのか、それとも、もっとちゃんとイノベーションしないといかんのかとかですね。本当は、指標というのはいっぱいあり過ぎて、GDPだけは何か確立されちゃっているんだけど、じゃあ、それはGDPだけでだめだとしたら、じゃあ、環境を考えたときに、本当は一体何がという話を議論としては全然収れんしていないように僕は思うんですよね。この辺、本当はちゃんと開発して、何かオーソライズしていかないと、日本初の例えばスタンダード、グローバルスタンダードをつくるとかという話にもならないので、何かうまくその辺が書けたらなと思うんですけども。

【安井委員長】 確かに指標はないですね、今のところは。それはおっしゃるとおりなんですけど、経済指標は確かにあります。それ以上のものはないんですけど、例えばSDGsを、それじゃあ、何か達成したら、それでもって、それを達成率でやるのかというと、私は、そういうことはできないという主義者で、それで、なぜかというと、やっぱりSDGsというのは、国連の合意文書を読めばすぐおわかりになりますけど、Transforming our worldという、そういうことで、いかに世界を変えたかが指標なんですね。こんな指標ないですよね。だから、個々の指標を集めてそうなるかというと、そうならないんですよ。やっぱり考え方みたいなのをどう変わったとか、そういう非常に哲学的なやつを指標にしないといけないんだと思いますね、SDGsは。今まで自分の会社の利益ばかり考えていたけど、そうでもない会社ができたら、それは偉いんですよ。そういうものが多分成果なので。ですから、そういう指標化をすることが、うまく例えばSDGs全体の枠組みを本当に反映しているのかという議論をやり出すと、本当に難しいですよ。だから、その辺を考えると、そうだな、一つの研究で、趣味的な研究を一発走らせるぐらいは可能だけど、それからなかなか行けないような気がしますけどね。結構、例えばそれを採択した地方自治体の数とかなんとかというのを指標にするというのもちょっとあるけど、それはちょっとななんていう気がしますけどね。何かいいアイデアがあればと思いますね。やっぱり個人の意識及び組織の意識がどれほど変わったかというのが、SDGsの最大の指標だと思っているんですよ。

 ほかに何か。

【安岡研究主監】 昨日の午前中にやった外務省の科学技術外交推進会議でも話が出ましたけれど、SDGsと各国の政策をどう絡めるかというような話があったときに、SDGsというのは国連がグローバルにスタートしましたけれど、基本的には、各国がそのクライテリアをつくってカスタマイズしていくということが重要です。これは比較的、皆さん、あまり意識されていないんですけど、日本がSDGsをやろうといったときに、日本は首相のもとでSDGsをこういうふうにつくりますというのを決めています。ほかの国は、インドはインドで決めます。これはローカライズしていく、カスタマイズしていくことなんですね。日本で言うと、その一番おりたところに、多分、地域循環共生圏みたいなものが来る。逆に、地域循環共生圏というのは、すごく僕はいい概念だと思うのは、この地域でやったことを例えばインドで適用してくださいといったときに、何をしなきゃいけないか、を示せるということだと思うんですね。それは、日本のここでやった研究を、そこにカスタマイズした部分と、一般化したコモナイズした部分が必ずあって、インドに持っていったら、カスタマイズした部分はこう変えなきゃいけない、だけど、コモナイズした部分は共通に使えますと。

 地域というところとSDGsを、グローバルをつなぐような考え方というのは絶対あるはずで、それをやっていかなければいけないわけです。今、推進費を私お世話させていただいていますが、推進費の研究って、結構、ある地域でやるローカルな研究が多いわけです。でも、それをほかの地域に展開するにはどうしたらいいですかを考えてください、と皆さんにお話ししていて、特に海外でどうしたらいいですかというお話をしています。そうすると、カスタマイズする部分とコモナイズする部分がセットで出てくるわけで、セットがないと横展開できないんですよね。そこの部分をきちっとやれば、多分地域循環共生圏が最終的にSDGsにつながるような話にできるわけです。ちょっと話が大きくなり過ぎて、それをどう書くかというと、また事務局が困るかもしれませんけど、文章にどう落とすかは別として、そういう考え方をベースに持った上で、環境研究をやっていかないと、やっぱりひとりよがりになってしまう可能性があります。そこの部分は、プログラムディレクターとしても注意しながら進めていきたいと思っています。

 ちょっとずれたかもしれませんけども。

【安井委員長】 事務局に対しては、若干の救いですけど。

 何かほかにご意見ございますか。

 それでは、もしよろしければ、次のⅣ番目に行きますか。何か一声かけていただいて、議論を少し進めさせて。

【事務局】 それでは、資料2の2ページ目、Ⅳの環境研究・技術開発の効果的な推進方策について説明させていただきます。こちらは重点課題の研究を支えるための推進方策について述べているものでございます。

 1番目の施策の考え方ということで、2番目以降の項目に関する基本的な考え方が書いております。ここは基本的に現行の記述を踏襲させていただきたいと思っております。ただ、人材育成については、記述の強化を検討しております。

 2ポツ目の推進費の改善というところでございます。こちらに関しましては、環境省がやっていた業務の一部を環境再生保全機構に移行しましたので、それに関する記述をつけ加えたいと思っております。そして、統合イノベーション戦略で記載のあります社会実装の強化であったり、若手研究者への支援に関する考え方というものを盛り込んでいきたいと考えております。また、この推進費に関しましては、社会実装につなげるということが大事でございますので、推進費の中にあります行政ニーズというものは、具体的にどういったものなのか、しっかりと定義を明確化していきたいと考えております。

 次に、3ポツの国立環境研究の役割でございますけども、社会情勢の変化を踏まえまして、三つ記述をつけ加えたいと考えております。一つ目が、気候変動適応法関連で、国環研の業務に適応関連が追加されたということで、それに関して記述を加えたいと思っております。あとは、気候変動適応法や統合イノベーション戦略の方向性等を踏まえまして、今後、国環研が環境研究を牽引していくために、基盤的研究や人材の育成に取り組んでいく必要があることや、あと、国際拠点として機能していくことを目指すことが重要である、そういったことを記載していきたいと考えております。また、福島支部であったり、琵琶湖分室が新しくできましたので、その設立の経緯や期待する役割について書いていきたいと思っております。

 4ポツの地域の環境研究拠点の役割強化でございますけども、こちらは地方環境研究所が気候変動適応法に基づく地域適応センターの役割を積極的に担っていくことが大事だといった、そういったことを書いていきたいと思っております。

 5ポツの社会実装や国際展開に資する施策の推進でございますけども、こちらは前半の議論でありましたとおり、社会実装に関する考え方を書いていくんですけども、制度設計を含めたような記述をしていきたいと考えております。あとは、ISO化に関しましては、先ほど室長のほうから説明がありましたが、ETVと言われます環境技術実証、それを例に挙げまして、環境技術の社会実装・国際展開における考え方というものを追記していきたいと考えているところでございます。

 6番目の技術開発や政策立案に貢献する基盤的な情報の整備ということでございますけども、こちらは統合イノベーション戦略に記載のありますオープンサイエンス、その考え方を反映していきたいと考えているところでございます。

 7番目の国民へのアウトリーチの強化、こちらも少しご議論いただきましたけども、環境に関する社会との対話やリスクコミュニケーション、あとは情報の伝え方、そういったことについて記載していきたいと考えているところでございます。

 8番目、推進戦略の実施状況に関するフォローアップの実施でございますけども、現行の推進戦略では、5年を待たずに必要に応じて修正するということが書かれていますけども、それに加えまして、今回は、環境基本計画の点検と一体化して、推進戦略のフォローアップを行っていくという、そういったことを書いていきたいと考えているところでございます。

 説明は以上でございます。

【安井委員長】 ありがとうございました。

 ということでございますが、何かご意見ございましたらお願いします。

 じゃあ、ちょっと時間つなぎ。

 行政ニーズの定義の明確化って大賛成なんですけど、名前が悪いんだな、考えてみると。要するに行政ニーズというのは、基本的に社会ニーズなんですよね。本当はね。行政にニーズがあるわけないんだよ。

【上田室長】 ありがとうございます。

 行政ニーズという名前が悪いというのは、実は方々から聞いておりまして、大変、事務局としても反省しているところで、変えるなら、ひょっとしたら今かもと思いながらなんですけれども、そこは安岡PDのご意見を伺ってもいいのかもしれませんが、正確に言うならば――そもそも、すみません、推進費にあまり関わっていない方のために申し上げますと、まず推進費は、この推進戦略で定めた重点課題を基本的には推進していくというふうになっていますので、ここに定めている重点課題のどれかにひっかかっているものは、少しプライオリティーを上げるような形で採択をしているということでありますけれども、その中で、さらに今年は特にこの分野、こういう研究課題というふうに、いわば環境省なり、あるいは地方自治体も含むんですけども、環境政策、環境行政からのこういう研究をぜひやってほしいというニーズを提示するというのが一つの特徴になっております。それを称して行政ニーズと言っているんですけども、その行政ニーズというのを非常に短い言葉に凝集しちゃって、なかなか意味がわかりにくくなっているのかもしれませんが、正確に言うのだとすると、恐らく環境政策からの研究ニーズという感じなんでしょうけども、長いので、多分縮めちゃっているということだと思います。名前が悪いというご批判は甘んじて受けますし、ご意見をいただければ、それはありがたいです。

【安井委員長】 何かご注文があるようですけれども。

【安岡研究主監】 推進戦略は、ある意味で日本全体がこういう研究をすべきということを定義するものなんですね。日本全体が環境研究をやるというときに、環境省だけがやっているわけではなくて、文部科学省もあり、ほかの省庁もいっぱいあるわけです。環境に関係することは。先ほど安井先生が言われた社会ニーズというのは、非常に大きい、オールジャパンとしてどう考えていかなきゃいけないかというニーズを規定することにもなりますが、その中でも、特に環境省の行政施策に役に立つ研究というのはやっぱり要ると。科研費だけでは決して環境行政はできないということを踏まえた上で、だんだん落とし込んでいく。さっきのカスタマイズというところになってきますが、そういう部分で多分、行政ニーズという言葉を使ったんだろうと。私が就任する前に、この言葉はもう決まっていましたので、多分、そういうふうに私は理解して使っています。ある意味で、行政政策ニーズと言ったほうがいいのかもしれません。環境政策ニーズでもいいのかもしれませんけど。行政ニーズというと、行政が持つニーズみたいに、一般名詞のようにも使われる場合もあるので、確かにちょっと誤解を受けるかなと思います。少し考え直す時期ではあるかもしれません。先ほど室長もおっしゃいましたけど、ずっとこの議論はあるみたいですので、少し考えてみたいというふうにも思います。ただ、社会ニーズから下におりていって行政ニーズというものがあるということはご理解いただければと思います。

【安井委員長】 いろいろと実務に携わっておられる安岡先生は、ちょっと遠慮ぎみにおっしゃいましたけど、ちょっとやっぱりどうしたってこれは行政部局のニーズでしかないなという、そういうものが出てくるので、そこを少し何か言葉も変えたほうがいいのかなみたいな感じですね。部局ニーズみたいなものを行政ニーズだと思っている人が多い。

 ほかに何かございませんでしょうか。

 追加すれば、そこの行政ニーズのあるところの文章は、そのとおりで、社会実装の強化、若手研究者の支援に云々というやつが重要だとして、だから、そういう方向に来ればいいんですけどね。中身がそうなっていないやつが時々あるというのが問題かなと思います。

 評価をずっとやってこられた岡田先生辺りも、いろいろとあるんじゃないかなと思うんですけど、黙っていますね、今日。

【岡田委員】 今日は、今までの仕事の立場上、あまり申し上げたくないというところがあるんですが、今までの先生方のご議論を伺っていると、この推進戦略、もしくは推進戦略の実行条件に対するご批判というのが、推進戦略で今三つ、四つくらい枠があって、最初に総論があって、その後、重点課題があって、最後のところに環境分野の研究技術開発の効果的な推進方策という、今、Ⅳのところでご議論いただいたところに、ほとんどのご意見が集中していると。

 冷静に考えてみますと、ここから先、本当は言いたくないんですが、Ⅳの推進方策のところをきちんとフォローアップしたことは今まであまりない。フォローアップはしているんですが、やったことをここにまとめているだけであって、本来、どこまですべきかという議論があって、それに対して推進方策をやったと。だから、戦略と言っているけど、実は戦略になっていないと。だから、これはあまり言い出すと、後でまた自分が叱られるから、言いたくないのでずっと黙っていたんですが、ここまで来たらやっぱり申し上げたほうがいいと思うので。

 これを具体的にどうするかって、極めて難しいことはわかっています。わかっているんですが、少しこの段階で修正していくことも必要ではないかと。もっと言いますと、例えば具体的な研究、各領域の研究は、ある程度重点テーマを与えて進めています。ただし、それをどこまで達成したかというところで、要するに環境省の研究については、フォローアップできるし、コントロールできるんですが、文部科学省とかその他については、なかなかコントロールできないところを含めた上でやっているところに、非常に、常に隔靴掻痒のところがありまして、もっと言えば、こちらからほかの省庁にこういう研究をもっとやるべきか、あなたの研究はこの辺がおかしいと、これが日本国の推進戦略ということになっていますからと言える仕組みがあると、誰がどう言うかというのはなかなか難しいと。安岡先生にやっていただくか。ちょっと余計なことですみません。いうことも必要かなというふうにいつも思いながらやっているんですが、ちょっと個別のところはまあまあしようがないにしても、特に全体のところをどうやって、まさに推進戦略として、我々はどういうふうに達成していくかという方策が、個別はあるんですよね、いいんですけど、なかなかそこが見えないというところを、ぜひ、この際、少しでも進歩させていただければありがたいというふうに思います。

 以上です。

【上田室長】 ご意見ありがとうございます。

 非常にこれは事務局は答えにくいんですけれども、そもそも、今までの推進戦略が非常に宙ぶらりんで、基本計画にぶら下がっているものでもなかったものですから、ある意味、環境省が中環審にお願いして、ある意味、環境省が独自につくっていたというところがございました。それで、ある意味、それは事務局の反省なんですけども。なので、各省に、これをもってこうしたらどうですかと言いにくいというところがございました。

 それで、今回、環境基本計画で、新しい環境基本計画で、この推進戦略が一応位置づけられたということで、つまり環境基本計画は政府計画ですので、政府全体として合意をしてつくった計画でございますと。それに位置づけられた戦略は、本来、政府全体の戦略であるべきですということなんですけれども、ちょっと、ここからが事務局がだんだん申し上げにくくなるところだったんですけれども、奥歯に物が挟まったことしか言いにくくなるところなんですけども、今回は、最初にもちょっと申し上げましたが、例えば国環研の中期目標が、検討がもう来年度から始まるとか、あるいはCSTI(総合科学技術・イノベーション会議)のほうへのインプットが比較的目の前に迫っているということもありますので、今回は、すみません、ちょっとこれまでのやり方を踏襲して、各省を巻き込もうという暇がないものですから、今回は、とりあえず環境省として同じように戦略を定めさせていただきますけども、これをCSTIの――CSTIというのは、もちろん政府全体を巻き込んでいますので、そこへしっかりインプットして、何らか形でロックインするというか、あちらに何らかの旗印を立てられれば、この戦略を持っていって、あちらの戦略の、あちらの科学技術基本計画から始まる体系の中で何らかの旗印を立てられればと今思っております。

 その上で、さらに、これは環境基本計画に基づいて議論していただいたものでございますので、環境基本計画の点検の中では、当然、各省を巻き込んで、この戦略も脇に置きつつ、各省と一緒に点検をしていくということになろうかというふうに思っております。

 ちょっとすみません、正面からお答えしていないですけれども、ただ単に環境省が単独でつくっているというものではなく、徐々に政府全体を巻き込んでいきたいというふうに考えております。

【安井委員長】 荻本委員、お待たせしていまして、すみません。どうぞ。

【荻本委員】 ここで申し上げたいなと思ったのは、若手研究者というキーワードがあって、それはとても大切だなと思います。なんですけれども、やはり手間の問題があって、どうしても大き目のものはそれなりの手間をかけてやるんですけど、私は、どちらかというとエネ庁とかNEDOのほうが見知る機会は多いんですけれども、大きいやつはそれなりに考えるんだけども、結構無駄なやつにがばっと予算がついて、成功裏に二度と使われないようなものがあると。その反対側に小まめの予算があるんですけれども、小まめの予算は、何となく話ができているやつがどんどん上がってきていて、採用されるだけで戦略性がないと。なので、今言われているように、若手のどの分野に、もっと伸びてほしいんだというものがあるとすれば、どうやって小さい粒のやつをちゃんとハンドリングしていくのかというのがとても重要なんだと思うんですね。もう大きいやつって、もう将来のない人が責任者をやりますから、それでどうしたということはない。小さいほうは、本当に今から伸びる人たちがやるところなので、そういうところにどうやって、手間はかけにくいんですけれども、政策としてみんなが考えていることを流し込んでいくんだということを、今回、もしかすると、ちょっと私よくわかっていないですけれども、何とか機構に持っていったということもある中で、そういう趣旨をどうやったら完結できるのかということは考えどころかなと思うんですけども。

【安岡研究主監】 これは推進戦略ですから、推進費だけではなくてもっと広い範囲で考えるわけですが、推進費という、環境省が持っているファンディングの中で若手をどう考えているかということだけ説明させていただきます。

 推進費は、非常に大きな戦略研究というものから若手枠というものまであります。若手枠をできるだけとりたいということもあって、評価委員の方々も、若手枠をとり上げるように評価しています。若手枠は額も小さいですが、さっきからお話がある行政ニーズに必ずしも合致しなくてもいいということにしています。額は600万というような小額になりますが。ともかく、小さいけれど、小粒でもいいから、ともかくやりたいことをやってくださいと。それが将来的に環境をよくすることにつながっていけばいいということです。これも、そういう意味では、そういう枠組みは持っていますということで、それをとり上げようにしています。

 正直な話をしますと、評価をしますと、若手枠の提案力が弱いと感じます。やっぱり人材育成をしないといけない、日本全体として人材育成しないといけなという、非常に大きな問題ですね。ほかのものと横並びで見たときに、どうしても弱いのです。これは日本が抱えている非常に大きな問題だと思います。多少時間はかかるかもしれませんけれど、人材育成ということで、今回、わざわざ入れていただきましたので、それを少なくとも環境省の中では生かしていくような努力はさせていただきたいと思っています。

 以上です。

【上田室長】 ありがとうございます。

 今の続きで、すみません、若手向けの人材育成という直接のツールが、私ども、実は推進費しかないので、推進費でとりあえずお話をさせていただきますが、推進費で若手枠を今設けているんですけれども、推進費の若手枠は、額の枠を決められておりません、今のところ。それは推進費全体の額が非常に限られていて、なかなか応募も非常に多い中で、さっきおっしゃっていた若手の提案力が弱い中で、どうできるかという問題があって、なかなか泳げなくて枠というのは、若手枠の幾らという額を設けられていないという状態があります。

 これは、ちょっと環境省としても非常に問題だと思っていまして、今の若手の採択率、たしか数%ぐらいしかないはずですけれども、これはちょっとよくないと思っていまして、統合イノベーション戦略会議でも、やっぱりイノベーションエコシステムということを言われていますので、若手も含め、いろんなイノベーションの芽をどんどん伸ばすべきだと、イノベーションの生態系をつくるべきだというふうに言われていますので、そういう意味で、若手の方、小粒のものも含め、伸びていけるような何か枠を確保できればいいなと思っているところであります。【安井委員長】 大変重要な問題なんですけど、やっぱり最近、大学側はインパクトファクター病にかかっていて、それで、この間、実を言うと八ヶ岳のところでJSTの俯瞰ワークショップというのに呼び出されたんですよ。それで、材料系なんですけど、そこでいろいろ議論をしてあるんですけど、結局、やっぱり材料も理学系、もちろん環境も理学系があれなんですけど、材料も理学系がやっぱりあって、かなりベテランの先生が、我々はって、女性だったんですけど、やっぱり社会貢献って必要なんでしょうかということから来るんだな。これって、なかなか難しいんですよね、答えるのは。ですけど、少なくとも今の時流から言うと、例えば材料研究で金を取ろうと思ったら、CO削減にも貢献しますよって一言入れたほうがいいよというのが私のリコメンテーションなんですけど。

 ただ、本当の話、何のために研究するかというと、やっぱり今だと大勢はインパクトファクターを、自分のインパクトファクターを高めたいということみたいですね。これは文科省のやっぱり完全にポリシーの、もう総合イノベーション戦略にはインパクトファクターという言葉は出てこないんですけども、同じものが別の言語では使われていますけど、やっぱり、これはある種の大学支配の戦略なので、それで、これをやめさせたいんだけど、なかなか難しいですね。そんな状況ですね。

 実情どうよって教授連中なんかに聞いてみると、全くインパクトファクター的に見ると優秀でない人材を採用することすら、ちょっと今だとはばかられる。何であんなの選んだんだと言われちゃうと。そこまで来ていますね。したがって、若手はインパクトファクターが高い研究をやらないと、俺たちの未来はないと思ってやっていると。

 インパクトファクターというのは、とにかく、しかし、中国みたいな人口の大きいところに絶対かなわない仕組みなので、しかも、彼らは戦略を練っていて、この研究グループと対立する研究グループでも、インパクトファクターに関しては共通で、とにかくこっちが出したら、こっちは必ず引用すると。別に悪い論文だといって引用したっていいわけですからね。そういうようなことをやっていると、やっぱり日本は、人口的に、もう研究者の数はかなわないですよね。どうしてそんな世界的に絶対かなわないのを指標として使っているのか、よくわからないんだけど。そんな状況ですね。

 というわけで、なかなか若手はね、今、ちょっとインパクトファクター病から解放してあげないと難しい。もっとも、環境屋さんは、もともとインパクトファクターはあまりないので、あまり病気の程度は深くない。森本先生が何とおっしゃるか知らないけど。

 森本先生の領域も、やっぱり理学ですよね、どっちかといえば。インパクトファクターは、やっぱり重要なんですか。

【森本委員】 全然なくて困っている偉い先生がいてというふうな領域でもありますけど、それで困るから、国際集を10年ほど前に新しくつくったりとかですね、必死に。一応、病気は、かかっていることはかかっていますね。

 応用領域で、私らの班は、いわゆる理学の原理追求型ではなくて、もう現場がメーンのところで、そういうところ、なかなか共通の言語で見られるところがなかったというのが問題で、私の場合は、アジアの場合で六つほど学会を束ねてつくったりとかですね。韓国とか台湾とか。そんな苦労をしてインパクトファクターの時流に対応していたというか、そんなところがありますね。別の何か社会実装のところの何か評価指標、先ほどの指標の話になりますけど、うまく進めていくための指標のとり方みたいな形で、逆に大事かもしれませんね。社会実装を考えると、そういうことになるかもしれませんね。

【安井委員長】 おっしゃるとおりで、私も同じような考えでいて、例えば先ほどのSDGsも難しんですけど、やっぱり社会実装みたいなものが起きない限り、この世の中は変わりませんからね。ですから、やっぱりインパクトファクターというのは、雑誌の引用数であるというのはおかしいので、別のインパクトをやっぱり入れなきゃいけないというふうに思いますけどね。何かその辺も、だから、一応予算がある強みはあるので、金を配るという、そういうところがあると、そこは変えると若干変わるかもしれないので、文科省に対抗して、環境インパクトファクターというのは社会実装まで入っています、やるといいかもしれない。

 ほかに何かございませんでしょうか。何か手ごろな時間にはなっているんですけどね。でも、ぜひ、結構重要な問題でございますので、ぜひご注文をいろいろいただいて、事務局を苦しめていただいたほうがいいかと思いますが。

【上田室長】 じゃあ、1点、苦しむことを。

【安井委員長】 自分で苦しむことを言う。はいはい、どうぞ。

【上田室長】 事務局の悩みというか、個人的悩みに近いんですけれども、一つ戻ります、Ⅲ章の話ですけども、統合領域という領域が3年前から、この推進戦略で定めていただきました。これ、もともとは、分野横断的なものと、それから分野共通的なものをひっくるめて統合領域というふうに定めていただいたということがあります。それで、推進費の中で、統合領域のいろいろ研究課題をやっていただいている中で、委員の方々からよく出るコメントがあるんですね。私、まだ来てから浅いですけれども、統合領域といっても、単に二つ以上の分野にまたがっているだけだったら、それは統合領域とは言わないんじゃないかというご議論があったりして、単にまたがっているだけだったら、別にどっちかを軸足にしてどっちかの領域でいいはずであって、統合領域というからには、何か連携して付加価値がつくとかということがあるべきじゃないかみたいな議論がございまして、個人的には確かにそうだなと思いつつ、それをどうしたらいいんだろうと。こういう推進戦略みたいなところで書いたほうがいいのかどうかというのをちょっと悩んでいるところなんですけども、もしご意見がありましたら、いただければと。

【安井委員長】 多分、誰も答えはないんだよね。ただ、おっしゃるとおりだと思うな。

 何かございます。はい。

【荻本委員】 今のともちょっと関係するかもしれないんですけど、電池というものをイメージしていただいて、電池の電極というのは部材から始まって、電池が100万台置かれて、日本でシステムを構成するという、そこまでいくわけなんですよね。私がやっている領域に結構相談が過去数年はいっぱいあって、それは世界一の名だたる電池メーカー、電池をつくった会社の方が、物すごくいい電池ができたと。できたんだけど、これをどうやって使ったらいいですかという質問が結構来るんですよ。それは、電池って、何となく余ったものをためて足りないときに出すというイメージはあるんですけど、実際は、時間領域が秒オーダーでそういうニーズがあるときもあるし、下手すると、季節間でやりたい領域もあると。だから、いろんな電池の特性を見たときに、季節間なんて無理ですけれども、どこの領域に当てはめると、その電池が一番価値が出るかというのは、案外わからないんですね。特に電池をつくっている方はよくわからないということになって、すみません、私はそれで商売をさせていただいているようなものなんですけれども、やっぱり若手というところに戻ってしまうんですけれども、やっぱり少しだけで、私、本当にいいと思うんですけども、それも工学的なセンスなのかもしれませんけれども、何かをやったものがずっと社会実装されたときに、どんな価値を生むのかということを何か思いをいたせるようなことが必要かな。

 今おっしゃったような統合領域というのは、まさにそういうことが一つの重要な役割で、例えば1時間の貯蔵容量がある電池で、周波数は短時間の周波数を安定化すると、これだけの価値がある。または5時間PVの電気が余ったものを夕方に持っていくと、これだけの価値がある。こういう例なんですけれども、そういうことが、バッテリー屋さんが少しだけで私はいいと思うんですけれども、思いをいたせるような能力ということなのかもしれないし、逆に統合の研究からそういうことが出てくればいい。ですから、さっきおっしゃったように、二つくっついていたらいいのかって、そういうことではなくて、なかなか、一つの分野ではわからない価値というものが、いろんなものがくっついたときに違ったものが見えてくる、そういうものを一つとっていただくというのはありなのかなと思いました。

 以上です。

【安井委員長】 今のお話を伺っていて、やっぱり統合領域よりもSDGsのTransforming our world領域みたいなやつが本当は重要なのかもしれませんね。社会をどれだけ変えましたというような感じですかね。なかなか難しいな。ハードルばかり上げて、誰も来なかったりして。

 というわけでございまして、大体本日の予定、事務局から見て、終わっていますかね、大体。これから今後の予定をしゃべってもらうんですけど、それをお願いします。

【事務局】 それでは、今後の予定について、資料3に基づいて説明させていただきます。

 本日の専門委員会をキックオフとさせていただきまして、専門委員会は計3回開催する予定でございます。

 今回ご議論いただきました話を事務局のほうで、ちょっと大変だとは思うんですけども、何とか集約いたしまして、パブリックコメントの案を作成いたします。そのパブリックコメント案を12月の中旬に開催予定の専門委員会でご議論いただければと思っております。その後、パブリックコメントをかけまして、2月の上旬に開催予定の専門委員会のほうで答申案のほうを審議していただければと思っております。専門委員会で審議いただいた答申案のほうを総政部会のほうに報告しまして、新たな推進戦略ということで策定したいと思っております。

 また、下のほうに※で書いてあるんですけども、ICTに関しましては、別途検討が必要だろうということを考えておりまして、環境分野の有識者と、あとは情報通信技術の有識者の両方にヒアリングを行って、どういった分野であればICTを活用できるのかということを検討していきたいと考えているところでございます。その結果をパブリックコメント案に反映していきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

【安井委員長】 ちょっとよくわからないんだけど、先にパブリックコメント案だけ出るという発想がよくわからないんだよな。

【上田室長】 ですから、今回は論点という形で、どういうふうに変えますという方針だけ示させていただきましたけども、ご議論いただきましたので、これを踏まえて、もう実際に書き直しちゃうという作業をこれからしてしまいます。ですので、パブリックコメントにかけるための案を、次回、もうご覧いただくと。

【安井委員長】 パブリックコメント用の案が出るのね。本文がじゃあ、パブリックコメントというと、そのまま出すんだけど、それをもう少し細かい話で、どういうふうに相手とやるつもりかなみたいなのが出てくるんだと思ったけど、そうじゃないんだね。やっぱりこんな程度ね。なら、いいや。

【上田室長】 それと、次の、つまり2カ月ぐらい後には、もうそういうことで書き下してしまいますので、ご意見が、今日言い足りなかった、相当いろいろいただきましたけども、言い足りなかったご意見があれば、それはまたぜひいただければと。

 特に事務局といたしましては、今日は、重点領域とか重点課題のそれぞれのところについて、細かいご意見は、なかなかこの場では、今日おっしゃれなかったと思いますので、そういうところについて、ぜひ何か、ここはこう変えたほうがいいとか、あるいは、これはもう廃止してもいいという意見をぜひいただきたいんですけども、そういうものをぜひご意見いただけばなと思っております。そういうのを、できれば今日から1~2週間ぐらいでいただけると大変ありがたいので、その辺も含め、ぜひよろしくお願いいたします。

【安井委員長】 事務局、忙しいでしょうけど、やっぱり直に会ってお話を伺うというのも、あったほうが本当はいいんだけどね。それはできないかもしれないね、時間的にね。

 いや、ICTの話なんかもそうなんだけど、ICTといったって、なかなか事務局の立場でもってしゃべってくれる人はいないよ。本当に。

 実を言うと、ICEFで何をやっていたかというと、IoTをやっていたんですけど、IoTなんかでCO Reductionをどうやるかなんていう話、語れる人はいないよ。そんな状況ですよね。なかなか、ICTも専門家ばかりで、こうなっているから、難しいです。

 あと4分ほどで終わりでございますが。

【荻本委員】 すみません、お願い……。

【安井委員長】 どうぞ。

【荻本委員】 これが最終的な今の議論の対象になるということでよろしいんですよね。参考資料8。

【上田室長】 まさに参考資料8は、今、方針だけそれぞれ書いてありますが、これをもう書き下したものを次回お示しするということになります。

【荻本委員】 コメントするに当たって、これ、ワード版でいただくとやりやすいんですけれど。

【上田室長】 かしこまりました。

【荻本委員】 といって、ちゃんとやるかどうかはあれですけども。

【安井委員長】 ちょっと長いですよね。

 というわけで、それではご要望を。やってくださるようですから、ぜひ。

【事務局】 メールのほうで送信させていただきます。

【安井委員長】 なかなか、やっぱり予算を配るに際して、やっぱりこれは重要な作業でございますので、ぜひご協力をお願いしたいと思います。

 あと何かありますか。いいですか。

 大体、次のスケジュール、いつごろ決まりそうですか。

【事務局】 日程調整のほう、すぐに始めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

【安井委員長】 ということで、ひとつよろしくお願いいたします。

 終わっていいですか。中井さん、何か。いいですか。

 それでは、私が閉めちゃっていいの。それとも閉めてください、それじゃあ。

【上田室長】 本日は、貴重なご意見ありがとうございました。いただいたご意見を踏まえて、推進戦略の策定作業を進めてまいります。引き続き、ご指導をお願いいたします。特に追加のご意見をお待ちしておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 本日の議事録につきましては、委員の皆様にご確認いただきました後で、ホームページで公開いたしますので、よろしくお願いいたします。

【安井委員長】 ありがとうございます。

 終了させていただきます。ありがとうございました。