中央環境審議会 総合政策部会(第96回)議事録

第96回 中央環境審議会 総合政策部会

平成30年7月31日(火)15:00~16:59

TKP赤坂駅カンフェレンスセンター ホール14A

議事次第

1.開 会

2.議 事

  (1)第五次環境基本計画の進捗状況に関するヒアリングについて

    ・ 意見交換

       埼玉県鴻巣市

         原口 和久 市長

       ヤマト運輸株式会社

         関根 豊 社長室プロジェクトマネージャー

  (2)その他

    ・ 環境研究・環境技術開発の推進戦略の見直しについて

    ・ カーボンプライシングの検討について

    ・ 第四次循環型社会形成推進基本計画の閣議決定について

    ・ プラスチック資源循環戦略の検討について

3.閉 会

配付資料一覧

【資料】

 資料1-1  河川を機軸とした生態系ネットワークの取組

 資料1-2  埼玉県鴻巣市発表資料

 資料2    ヤマト運輸株式会社発表資料

 資料3    「環境研究・環境技術開発の推進戦略」の見直しについて

 資料4-1  カーボンプライシングについて(諮問)

 資料4-2  カーボンプライシングについて(付議)

 資料4-3  カーボンプライシングの活用に関する小委員会の設置について

 資料4-4  カーボンプライシングの活用に関する小委員会委員名簿

 資料5    第四次循環型社会形成推進基本計画の概要

 資料6    プラスチック資源循環戦略小委員会の設置について

【参考資料】

 参考資料1   中央環境審議会総合政策部会名簿

 参考資料2   中央環境審議会第95回総合政策部会議事録

 参考資料3   第五次環境基本計画の概要

 参考資料4   第五次環境基本計画(平成30年4月17日閣議決定)

 参考資料5-1 物流分野における低炭素化の取組について

 参考資料5-2 環境基本計画及び地球温暖化対策計画における物流に関する記載

 参考資料6   第四次循環型社会形成推進基本計画の概要(18ページ)

午後 3時00分 開会

○山田計画官 定刻になりましたので、ご出席ご予定の委員の皆様、まだ全員そろっておりませんが、ただいまから中央環境審議会第96回総合政策部会を開会いたします。

 議事に入ります前に、資料のご確認をお願いいたします。資料につきましては、環境負荷削減の観点から、審議会等のペーパーレス化の取組を推進するため、委員のお手元にございますタブレット端末の中に入っております。資料の不足やタブレット端末の不具合のある方がおられましたら、事務局の者にお申しつけください。傍聴される方につきましては、本日の資料を環境省ホームページの報道発表資料のところにアップロードしておりますので、ペーパーレス化に何とぞご理解、ご協力をいただきますようお願いいたします。

 本日は、委員総数28名のところ、過半数の委員にご出席していただいており、定足数の要件を満たし、部会として設立していることをご報告いたします。

 また、事務局に人事異動がございましたので、ご紹介させていただきます。

 大臣官房総合政策課長、角倉一郎でございます。

○角倉総合政策課長 角倉でございます。どうかよろしくお願いいたします。

○山田計画官 大臣官房総合政策課環境研究技術室長、上田健二でございます。

○上田環境研究技術室長 上田でございます。よろしくお願いいたします。

○山田計画官 大臣官房環境計画課長、川又孝太郎でございます。

○川又環境計画課長 川又です。よろしくお願いいたします。

○山田計画官 大臣官房環境経済課環境教育推進室長、河野通治でございます。

○河野環境教育推進室長 河野でございます。よろしくお願いいたします。

○山田計画官 なお、大臣官房政策立案総括審議官の和田篤也及び大臣官房環境影響評価課環境影響審査室長の坂口芳輝もこの7月に異動し、着任しましたが、本日は西日本豪雨の対応等のため欠席させていただきますので、ご承知おきいただければと思います。また、同じく大臣官房環境経済課長の西村治彦も、この7月に異動し着任しましたが、他の公務の関係上遅れて出席いたしますので、ご承知おきいただければと思います。

 カメラ撮影については、ここまででお願いしたいと思います。

 それでは今後の司会進行は 武内部会長にお願いしたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○武内部会長 大変お暑い中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 4月9日に開催された前回の総合政策部会におきまして、第五次環境基本計画の答申(案)について皆様方にご決定をいただきました。その後答申に沿って4月17日に第五次環境基本計画が閣議決定されたところでございます。この間の一連の議論に大変熱心にご参加いただきまして、どうもありがとうございます。大変意義深い第五次環境基本計画ができたのではないかというふうに考えております。

 また、前回の総合政策部会におきましては、第五次環境基本計画の点検において、各主体からのヒアリングを活用するということについても大変ご議論をいただきました。早速でございますが、本日は前回の議論を踏まえまして、第五次環境基本計画の点検の一環として、まず二つの団体からヒアリングを行いたいと考えております。

 ご意見を伺う団体は議事次第に記載のとおり、埼玉県鴻巣市様及びヤマト運輸株式会社様です。このことについて事務局から補足説明をお願いいたします。

○山田計画官 説明いたします。部会長からご説明のあったとおり、本日は二つの団体からヒアリングを行い、環境・経済・社会の統合的向上という環境基本計画の中心的な考え方が各主体によってどの程度実践されているのかについて確認したいと思います。

 埼玉県鴻巣市からは「コウノトリと共生するまちづくり」についてご紹介いただきます。これは国土交通省の生態系ネットワークという事業に基づくまちづくりであり、環境面からも十分応援できる取組であることから、本日は国土交通省のご担当者から事業についてご説明いただき、その上でそれを実践している地方公共団体の現場からの声をお聞きいただければと思います。

 ヤマト運輸株式会社からは、物流業界の課題、社会的な課題、環境面の課題を同時に解決できるような取組についてご紹介いただこうと思います。ヤマト運輸からのご紹介に先立ち、物流における低炭素化に関する基本的な情報を私からお伝えしますので、一企業の事例にとどまらず、物流という脱炭素化に向けたポイントとなる業界全体についてお考えいただく機会にしていただければと考えています。

○武内部会長 それでは、本日の進行につきましては、まず国土交通省からの説明を5分程度、その後鴻巣市様からの発表を15分程度、その後質疑応答を15~20分程度とさせていただき、次に物流における低炭素化等の取組を事務局から、その後ヤマト運輸様の発表を15分程度、さらにその後質疑応答という流れで、1団体ごとに順次入れかえを行い、意見交換を実施したいと思います。

 大変盛りだくさんの内容でございますので、2時間で全ての議論が終了できるよう、時間管理にご協力をよろしくお願いいたします。

 それではまず、鴻巣市様からの発表に先立ち、国土交通省水管理・国土保全局河川環境課の舟橋調整官から説明をお願いいたします。

○舟橋調整官(国土交通省) ただいまご紹介いただきました国土交通省河川環境課の舟橋でございます。

タブレット端末の資料1-1、河川を基軸とした生態系ネットワークの取組をお開きください。具体的な地域の取組につきましては、鴻巣市長様から後ほどご説明がございますので、私のほうからは河川を基軸とした生態系ネットワークの取組について関連施策としてご説明させていただきます。

まず1ページ、次のページをご覧ください。河川を基軸とした生態系ネットワークはどういったものかということでございますが、川というのは森林とか農地とか都市、そういった空間を結びつける生態系ネットワークの基軸となるものでございまして、また、流域の中で、川そのものが広さを持って、また水域あるいは川の横の陸域、そういったものを持つ自然環境豊かな空間でもございます。

国土交通省においては、流域における多様な主体と連携しまして、川だけの施策ではなく、川から外、流域側の河川を基軸とした生態系ネットワーク形成ということに視点を拡大しまして、流域で取り組まれております農地や緑地などにおける施策とも連携しながら、魅力ある活力ある地域づくりを支援していくということに取り組んでおります。

また、次のページをご覧ください。少し細かい字になっておりますけれども、この取組によってどういった効果が期待できるか、あるいは具体的にどういった取組を行っているかというものを説明したものでございます。

まず期待される効果、オレンジ色になっているところでございますけれども、こちらちょうどど真ん中、パワーポイントの水辺の生物多様性の向上、やはりこの生態系ということに関して多様性を向上させる、そういった効果が期待できるものと考えてございます。また、オレンジ色の右の上のほうから順次見てまいりますと、例えば美しい里山空間の再生であったり、その下にございますエコツーリズムの促進であったり、またその下にあります環境教育だとか、環境学習の機会、そういったものの提供というものもございます。また、今度左のほうにいきますと、産物であるとか加工品のブランド化、そういった効果も期待できるというものがございます。また一番下にありますオレンジ色、住環境への向上、そういったものも期待できると考えてございます。

そして、では具体的にはどんなことを取り組んでいるのかということでございます。こちらのほうは水色になっているものが川での取組、その下にございます黄緑色になっているのが堤内地、これは川を除く陸側の部分、こちらのほうの取組でございまして、川は河川管理者が取り組んでおりますが、堤内地側、こちらのほうは例えば自治体であったり、農業関係者であったり、NPO、学校、企業、さまざまな団体、関係者の方々が取り組まれているというものでございます。

この字が細かいので、詳しくはご説明しませんが、例えば川の中の取組で言えば、堰があったりして連続性が閉ざされるというような場合には魚道を整備することがあったり、あるいは湿地であるとかワンドであるとか、もともとあったものを再生するような取組を行ってございます。また、川と農業、田んぼの水路をつないでいる水路が堤防で途切れているような場合に樋門などがございます。そういったものの改築、こういったことにも取り組んでございます。

また、緑色になっています堤内地での取組ということでございますけれども、例えば真ん中のほうにございますように、水田魚道の設置であるとか、冬水湛水の設置、そういったものが取り組まれております。またほかにも例えば右のほうにございますように、有機あるいは減農薬による農作物の耕作、そういったものも取り組まれているということでございます。

具体的な例を挙げますと次のページご覧ください。こちらのほうは兵庫県を流れてございます円山川水系での取組の例でございます。こちら、もともとあった湿地環境を再生させるという取組でございまして、左側、整備前の環境を右、これは整備中でございますので、少し写真的にはごちゃごちゃしてしまってございますが、このような閉鎖性の水域であったり、あるいは開放性の水域であったり、さまざまな湿地環境というのをつくるということに取り組んでございます。

その効果でございますけれども、次のページをご覧ください。整備後の状況ということでございまして、こういった整備が行われることによってこの写真にございますように、コウノトリが飛来してそこで餌となる生き物を食べるというような環境を整わせていただいております。

そしてこういった生き物に関する取組もございますけれども、次のページをご覧ください。こういったことに取り組みますと、下にございますように例えば農作物のブランド化ということで、下の例ではコウノトリれんこんであるとか、コウノトリを呼び戻す農法米、そういったものの農作物のブランド化ということで、地域も盛り上げていくというようなことに取り組んでいます。また、隣にございますように、野鳥観察会のツアーということで、こういったことで人を呼び込むということにも効果を上げるというような取組でもございます。

次のページでございます。このような取組、今順次全国で取り組まれているというような状況でございまして、赤で囲っているところが流域ごとの単位で示させていただいてございますけれども、さまざまな協議会などが立ち上がりまして、こういったものを流域の関係者の皆様、また、河川管理者と一緒になって取り組んでいるというような状況でございます。

最後のページになりますけども、このような取組がほかのいろんな取組、そういったものを参考にしていただきながら、全国のいろんなところで同じような取組を行っていただき、生物あるいは地域を盛り上げるということに役立てていくようなことに取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

以上でございます。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

 それでは次に、埼玉県鴻巣市の原口和久市長から、コウノトリと共生するまちづくりの取組などについて、15分程度でご発表をお願いしたいと思います。

○原口市長 皆さんこんにちは。ご紹介いただきました鴻巣市長の原口でございます。本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私、7月に市長選挙がございまして、それで無事に当選をさせていただきまして、今日はお邪魔ができたというのは大変うれしく思っております。明日、8月1日からの第5期目のスタートをさせていただくのですけれども、この4期目の最終日にこのような機会をいただいたというのは大変うれしく、また皆さんにも鴻巣市の状況というのをご理解いただければと、そのように思っております。

 こちらのほうの画面を見ていただければと思います。私、今関東地域、関東地方でコウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラムの代表理事を務めておりまして、コウノトリを題材にしながら今後、関東地域でやはり自然環境の保全、これをしっかり進めていこうという、そんな取組をさせていただいております。

その中で鴻巣市の状況を少し概要を説明させていただきますけれども、今、人口11万8,974人、これ4月1日ですけれども、7月1日では11万9,025人で、少々増えております。鴻巣市も若干年々人口が減少しておる、そんな状況でございますけれども、鴻巣市の状況でございますが、都心から約50kmの地域でございまして、JR高崎線三つの駅を有しておる、そんな鴻巣でございます。面積が67.44kmはございますけれども、大体田畑と宅地、これが半々ぐらいでございまして、水田が主に特産になって、お米の生産というものをしっかり農業生産が多い地域でもございます。

 鴻巣でございますけれども、今、ひな人形と花、これをテーマに、キャッチフレーズに鴻巣市は進めておりまして、ひな人形につきましては江戸時代前半、約380年の伝統のあるひな人形生産でございまして、現在こういう大きなピラミッド型のひな壇の飾りつけをさせていただいておりまして、これがピラミッドの日本一高いひな壇でございまして、2月、3月でございますけれども、メディア等でいろいろ紹介をしていただいておりますので、ぜひ鴻巣市においでをいただければと、そのように思っております。

 今申し上げたとおり、鴻巣市の状況、田畑が非常に多い、半分ぐらいの田畑でもございます。そういう中で鴻巣市の全景というか、中心市街地でございますけれども、こんな状況でございます。水田が非常に多い、そういう地域でもございます。当然自然環境というものをしっかり守っていく、これが今現在の取組でございまして、そして鴻巣市、水田に適しているというのはやはり川が重要でございまして、鴻巣市は荒川、それから元荒川、そして野通川、三つの大きな河川がございまして、そのうちの荒川でございますけれども、これは都内にも流れ込んでおるわけでございますが、国土交通省さんのほうで認定をしていただいております。荒川の土手から土手まで川幅が日本一、2,537mある、そんな荒川でございまして、これが大雨、大きな水が流れるときにはここが遊水地になっておりまして、都内のほうの冠水を防ぐ、そんな役割を果たしておる荒川でもございます。

 これは荒川の河川敷を利用いたしまして、ポピー畑を栽培しております。このポピー畑でございますけれども、約12.5haの栽培面積を誇っておりまして、これは日本一の栽培面積を誇っております。

このポピー畑をなぜこのようにしたかといいますと、荒川河川敷の不法投棄の対策の一環として進めてまいりました。平成10年ごろでございますけれども、この事業を取り組んだところでございますが、その前は非常に多くの不法投棄がございまして、どうしたらこの不法投棄を排除できるか、そういう中で、鴻巣市は先ほども申し上げましたように花の町でもございまして、花をテーマに、少し花をしっかり植えつけをしながら、そうすれば不法投棄がなくなるだろうということで、平成10年から始めたところでございまして、現在は非常に激減をしておる、そんな状況でございます。このポピー畑も非常に見ごたえのあるところでもございます。

これは日本一の水菅橋ということで、コスモス畑から見る、やはり秋にはコスモスというものも咲き誇る、そんな鴻巣市でございまして、ここも荒川の河川敷でございます。

 川幅日本一ということでございますので、今、花火、花火大会を毎年実施しておりますけれども、鴻巣市正四尺玉の花火を打ち上げております。これは、昨年まではギネスで登録をされておりまして、世界一の四尺玉ということでありましたけれども、ドバイのほうに抜かれてしまいまして、今、第二位ということでございます。これは見ごたえがございますので、今年は10月13日でございます。ぜひ委員の先生方にもこちらのほうにおいでをいただければ、そのように思っております。

 また先ほど鴻巣市の状況、コウノトリの里づくりということでございますけれども、鴻巣、もともと地名も鴻巣からこうのとり伝説というのがございまして、そこから鴻巣という地名が出たのではないかという、そういう伝承もございまして、そこに鴻巣市内に古刹でございます鴻神社という神社がございます。この鴻神社、今コウノトリと連携をしながら内外に発信をしております。

非常に多くの皆さんにもご参加をして、コウノトリ、もちろん幸せを運ぶ鳥でございますけれども、赤ちゃんを運ぶということでございまして、安産や子授け、そういうお守りを今全国からこちらのほうにもおいでをいただいております。「こうのとり」、JAXAのほうでございますけれども、「こうのとり」という宇宙船を飛ばしております。この「こうのとり」を一番最初に飛ばしたときにこの神社に来まして、コウノトリにあやかりまして、成功を祈ったということも、そういうことも伺っております。

 こういうこうのとりの伝説、いろいろお守り等もございます。こういうコウノトリを今市民の皆さんにも認知をしていただく、そういう取組をしながら、鴻巣市、これからまだまだ途についたばかりでございますけれども、コウノトリの里づくり、これをしっかり進めていければ、そのように思っております。これは、町の中でこうのとり伝説ということで、コウノトリが大蛇を退治するという、そういう伝説の行事でございます。いろいろ本市には、こういうコウノトリをモチーフにいたしました、さまざまな取組をさせていただいております。

 鴻巣市のシンボルでございますけれども、平成17年に合併をいたしました。その中で「ひなちゃん」これはコウノトリのひなのことをイメージさせていただいておりますし、またシンボルマークの「K」、鴻巣の「K」でございますけれども、コウノトリがはばたいている、そして、鴻巣市もあわせて発展をしていこうというKマークでもございます。

今後でございます。今これからコウノトリの里づくり、ご説明をさせていただきますけれども、コウノトリを題材にしながら、今後「持続可能な都市」これをしっかりと実現をすること、これをテーマに今進めておるところでございまして、今後の大きな課題等にもチャレンジをしていかなくてはいけないなというふうに思っています。当然自然環境、地域活性化、そして子育て支援、定住促進、これらをあわせて進めていきたい、そのように思っております。

 今、シンボルとしてのコウノトリということを申し上げましたけれども、やはりコウノトリが象徴するもの、これは多様で豊かな生態系、やはり人にも生き物にも優しい、そんな自然環境の保全をしていく、あるいはコウノトリを題材にしながら、後ほどお話をさせていただきますけれども、地域の活性化に大きく寄与できるような、そして自然と共生する暮らし、こういうものをテーマに進めて、基本計画の策定をさせていただいたところでもございます。

 この「人にも生きものにもやさしいコウノトリの里」、これは非常に重要ではないかなというふうに思っております。環境を大切にすること、そして人が生き生きと元気にお暮らしをしていただくこと、こういうものをしっかり今後の大きな柱として、今後飼育をしていければ、そのように思っております。

これは鴻巣の特産米でございます、「こうのとり伝説米」を農家の皆さんにご協力をいただいてつくっております。こういう伝説米、これは減農薬でございまして、埼玉県の特産米にも指定をしていただいておりまして、こういうものをつくりながら、経済の活性化というものも進めていく。また子どもたちにこれを給食で活用させていただいておりまして、今、月に1回、この「こうのとり伝説米」を食していただいて、環境、あるいは食に優しいということでテーマにしながら、子どもたちにも喜んでいただきながらの給食を提供しておるところでございます。この伝説米、3歳児の健診のときにプレゼントさせていただいておりまして、この年代からお母さん、お父さん、若い皆さんにもこういう取組をしているのだということをしっかりと周知をしている、そんな取組でございます。先ほど国交省の方からもお話がございました。鴻巣市も冬に冬水田んぼ、湛水をしておる、そんな取組をしておりまして、今後こういう形で自然に優しい、そんな農業生産物というものを進めていければ。また魚道等も作成をしながら、生き物が安心して生きられるような、そんな取組をしております。

その効果といいますと、埼玉県にはオオハクチョウというのはなかなか来ない鳥でございまして、もう2年連続オオハクチョウが鴻巣市に飛来をして、約2カ月間ぐらいこちらのほうに生息をしておる、そんな状況でございまして、やはりこういう自然環境というものを大切にしますと、こんな鳥も訪れてくれるのではないかな、そんな思いでもございます。

コウノトリにはいろいろ鴻巣もこういうスイーツ等も開発をしながら、活性化に地元の製菓店の皆さんも協力をしていただいて、鴻巣のコウノトリということでいろいろとPRをしていただいておるところでございます。

先ほど言いましたようにこうのとり伝説米、JAさいたまのほうでもしっかりと販売をしていただいておる、そんな状況でもございます。

これは先ほども申し上げました。こうのとり伝説パレード、「おおとりまつり」という秋祭りでございますけれども、こういう少し大蛇もカラフルな大蛇でございますけれども、この大蛇にコウノトリの卵、これは食べられるという、そんな状況の中でコウノトリのご夫婦が大蛇を退治して、鴻巣が明るくそして幸せな町になったという伝説でございますけれども、こういうことを年に1回、中山道の中で催しをさせていただいております。

コウノトリのこれからの子どもたちにもいろいろと知ってもらうこと、これは何より重要でございまして、こういう親子見学会、コウノトリを肌で実感をしてもらう、あるいは埼玉県のこども動物自然公園の中での副園長にも来ていただいて、コウノトリの生態系というものも子どもたちにしっかりと教えていただいて、コウノトリの効果というものを子どもたちにも教えていただいておる。また、これは鴻巣市役所の玄関先でございますけれども、こういうモニュメントも作成をしながら、鴻巣のこれからのコウノトリというものを、市民の皆さんにも周知をしながら、今後ご理解をいただき、皆さんで環境というものも守っていこう、そんな取組をしております。

これは市民団体の皆さんも一生懸命環境保護ということをしておりますし、また「手づくり郷土賞」、国土交通大臣賞というものをいただきまして、地域の市民団体の皆さんが進めておる取組、この大臣賞をいただいたところでもございます。

いろいろ自然の部分というものもしっかりと守りながら、保全をしながら多くの皆さん、鴻巣市民にも理解をいただく、これが重要でございます。

また市民だけでなく企業との連携、これも今進めておりまして、コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社の協定をすることによりまして、寄附をいただいておる。この自販機でございますけれども、この売り上げの一部をコウノトリの里づくり基金というところに入れていただきます。今この売り上げの一部、約40万円ぐらいあるのですけれども、こういうものもしっかりと連携をしながら、事業の皆さんにもお力をいただく。

これは大宮駅西口にデジタルサイネージということで、鴻巣市のPRをさせていただいております。

当然先ほど国交省さんのほうからもお話がありました荒川流域、鴻巣の地域の中でしっかりと河川を軸にした担い手の連携ということで今進めておりまして、荒川の河川をしっかり守っていく、保全をしていく、そんな取組を今、進めております。

今後におきましても持続可能な都市の実現に向けまして、しっかりと進めてまいりたい、そのように考えておりますけれども、それには、やはり今後コウノトリの飼育、これをしっかり実現をすること、そしてシティプロモーション、これはもっともっと活発的に内外に発信をさせていただきながら、コウノトリを題材にしながら、この鴻巣のみならず、地域、本当に多くのエリアにおきまして環境というものを守っていくこと、こういうことを今後取り組んでいければ、そのように思っております。

少し時間をオーバーいたしましたけれども、以上で鴻巣市の取組とさせていただきます。ご清聴いただきまして、ありがとうございました。

(拍 手)

○武内部会長 どうもありがとうございました。それではただいまのご説明、ご発表に関しましてご質問、それからご意見のある方は名札を立てて、私に見えるようにしていただきたいと思います。時間が限られておりますので、恐縮ですが手短にお願いしたいと思います。

 では、崎田委員、お願いします。

○崎田委員 ありがとうございます。すばらしいご発表を伺ったのですが、こういう地域がこれから日本に増えていくためにということで質問させていただきたいのですけれども、鴻巣市が生き物と共生するまちづくりをこういうふうにしっかりと広げてくることができた要因は何か、やはりきっと最初の計画をしっかり立てたり、多くの方との連携がうまくできたということだと思うのですが、市長さんの視点からお話をいただければありがたいというふうに思いました。

 あと国土交通省さんからは、全国でこういう生態系ネットワークの取組の支援をやるときに最初の選定理由は、どういう条件で今やっておられるのか、何年ぐらい支援しておられるのか、その辺を教えていただければありがたいと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。

 豊岡委員、お願いいたします。

○豊岡委員 私からは質問というよりも地域側の要望ということで、国土交通省さんにお願いというか、昨今、環境を河川を中心に流域でやっていただくという、こういう広域な取組ということに非常にありがたく、今日もお話を聞かせていただいて、私ども徳島から参りました。吉野川なのですけれども、ラムサールも含めていろいろと頑張っております。

 それと生活に密着していて、治水の部分が雨のふり方も災害が地域で非常に変わってきているということで、ぜひ治水のほうも森林とか流域全体でもう一度治水の見直しというものを、それと流域のネットワーク化、これを基礎自治体とも綿密にとっていただいて、流域治水というものを、もう一度森林から河口までを含めた遊水地も含めた、運用も含めた流域治水というものを、吉野川でもぜひ見直していただきたいというか、河川整備計画の中でダムの運用だけではなかなか治水が厳しくなっている現状が地域の中でございまして、いろんなところで治水に対して要望がございます。

 そして環境でこれだけネットワークができて、いろんな基礎自治体の方々と環境を含め、NPOさんも含め、市も含め、これだけ大きな取組になっているということで、非常に期待しておりますので、これ要望でございますので、よろしくお願いいたします。

○武内部会長 ありがとうございました。

 井田委員、お願いします。

○井田委員 ありがとうございます。手短に国交省の方にも鴻巣市の方にもお伺いしたいのですが、非常にいい取組だと思うのですが、これがまだ主流になっていないように、特に河川に関しては思うのですけども、これが本当に短時間の間に、短期間の間に主流になっていくのかとしていくべきだと思うのですけれども、そこら辺をどう考えていらっしゃるのかというのを伺いたいと思います。

 市長さんにも、冬水田んぼとか水路とつながっている田んぼとか、非常にコウノトリにとっては不可欠だと思うのですけど、これ今、市の中にどれぐらいあって、これからどういうふうに広げていくかというようなことを伺えればと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。

 小林委員、お願いします。

○小林委員 ご説明、ありがとうございました。

国交省にご質問させていただきます。河川の上流から下流まで、さまざまな流域において近隣との連携をとりながら取り組んでいらっしゃるというご説明は十分理解できたのですが、環境省におかれましても、「つなげよう、支えよう森里川海」という、同じように川を基軸にした取組があります。各省庁によって担当の範囲の問題もあろうかと思いますけれども、今回の取組について連携あるいは協調されている部分があるのかということと、もし両者のコンセプトに違いがあるとすればそれは何かということだとか、また連携できないのであればその理由は何かというのをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○武内部会長 それでは末吉委員、お願いします。

○末吉委員 まずは5期目の当選、おめでとうございました。

 地域社会との連携・協力ということで1点お尋ねします。

 実は先週金曜日に環境省の中井統括官のご指導のもとで、ESG金融懇談会というのを提言いたしました。この中で、地域循環共生圏をつくっていく、その重要性をうたっているのですけども、その地域循環共生圏をつくる上で地元金融機関、地域金融機関との連携といいますか、金融機関の果たすべき役割というのが強くうたわれておりますけれども、原口市長のところでは、地域金融機関との連携とか理解とか、それをどういう具合にされているのか、お話いただければと思います。

○武内部会長 それでは、高間委員、お願いいたします。

○高間委員 ありがとうございます。国交省の方と市長にそれぞれ。

 一つは、国交省の方には、経済的な配慮というのが、経済的な環境的な配慮は環境的にいいことを生むということだけではなくて、付加価値をきちっと生んで、経済的に自立的に拡充できるのかという可能性を検討するということは非常に重要だと思っているので、その辺りの分析、または湿地の再生と、先ほど話が出ましたけど、治水対策の相互の関係というものはどのように分析されているのかということがあれば、教えていただきたいです。

 それと、市長に飼育の実現という単語があったのですけど、その場合には繁殖とか放鳥というのは、どういうふうに考えられているのかという点をお聞きさせていただければと。

○武内部会長 ありがとうございます。

 林委員、お願いします。

○林委員 まず、国交省が河川を基軸にした生態系ネットワーク形成というのを全面に打ち出してこられたことに対しては、評価したいと思います。

 それで、国土計画に国土軸という概念が随分前から出ていますけども、そのときに交通などネットワークなど経済軸と生態系ネットワークなど自然軸を対等にきちんと描いていくということは重要だと思います。一つ例を挙げますと、ドイツ・バイエルン州でミュンヘン新空港というのが92年にできましたが、反対運動があり38年もの長きに亘る係争の後でき上がったものです。成田・中部・関空を3つ合わせた1,500ha程の大空港の建設に際して、生態系ネットワークがどうも切れてか、それをミチゲート(代償的復元)しながら経済のための交通のネットワークと両立させるかという議論が、真正面からできたわけです。これをぜひこの段階で国交省の所轄の国土計画にきっちり盛り込んでいただいて、環境省の計画とリンクしていただければありがたいと思います。鴻巣市の市長さんにも、ぜひ両方のネットワークを同時に描くような、そういうスタンスで進んでいただければありがたいと思います。

 以上です。

○武内部会長 どうもありがとうございました。それでは国交省さんとそれから鴻巣市さんそれぞれ、ただいまの質問についてコメントをいただければ大変ありがたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○舟橋調整官(国土交通省) 国土交通省でございます。さまざまなご意見、ご質問、ありがとうございました。

 まず最初にいただいたご質問です。国土交通省で協議会の説明につきまして、全国でどういった選定する場合の選定理由であるとか、いつぐらいから取り組んでいるものかというようなご質問でございました。これにつきましては、協議会は流域で河川管理者あるいは流域側のさまざまな関係者の方々と話し合って立ち上げていくものでございますので、何かこういう基準を満たしていないとだめだというものではなくて、地域の方々の中でそういった声が上がったものに対して対応しているというような状況でございます。

 そして生態系ネットワークの取組につきまして、いつから始まったかというのは、過去からそういった海外での取組について日本でも取り入れられないかということで取り組んでまいりました。最近またここ2年ぐらい運動といいますか、いろんな自治体の首長様方とか、そういった方々とお話をしながら、もう一回生態系ネットワークというのをしっかり考えて盛り上げていこうということで、また新たに取組をしているというような状況でございます。

 次にいただきました、これはご意見ということでございましたが、環境の取組も大事ですけれども、流域における治水というのが非常に大事だというような意見をいただきました。今、我々河川行政を進める上で基本となりますのが河川法という法律でございまして、河川法の中には、河川法の目的としまして、治水・利水・環境、こういった三つのものを目的として取り組むということになってございまして、どれか一つではなくてこういったものを相互にやっていくということでございます。

また、気候変動等で非常に大規模な災害等が起こりやすくなっているという状況もございますので、河川だけの取組でなかなか対応できない部分、それもハードだけでもできないというところをソフトで対応したり、あるいは、もとより河川の計画を立てるときには森林の効果といいますか、そういったものも見た上でやっていますけれども、さまざまなそういった自然現象に対する対応だけではなくて、情報を取り入れて逃げるということに結びつけるとか、総合的に治水というのはしっかり考えて取り組んでいくというのは非常に大事ですので、ご意見を踏まえていろいろ取り組んでいければというふうに考えてございます。

 また、今回ご説明させていただいたことについて、なかなか主流になっていないというようなご意見もいただいたところでございますが、先ほど申し上げましたように、治水・利水・環境という中で、当然人の命に関わる治水、大事でございますが、環境も大事だというふうに考えてございます。こういった取組を我々としましてもしっかりと、何を主流、何をもって主流じゃないということではなくて、しっかりと引き続き取り組んでいければというふうに考えてございます。

 また、省庁の連携ということでご意見もいただいてございます。こちら、例えば具体的には環境省さんと連携しているかというような話もございましたが、こういった生態系ネットワークの取組においては、環境省さんあるいは農水省さんと一緒にいろんなお話をしながら取り組んでいくということが大事ですので、本省レベルでは意見交換をしっかりやりながらやっていますので、そういった取組が地域でもしっかり関係する機関が連携しているというのを見ていただきながら、進められればなというふうに考えてございます。役割の違いはそれぞれの省によっていろいろあると思います。例えば国土交通省で言えば、いわゆる直轄の事務所を持っていて、実際に河川の現場で、あるいはこの河川の整備を行うということができるということがございますので、そういった中で力を発揮できればというふうに考えてございます。

 また、そのほかに、これも同じようなご意見でございました、湿地の再生、治水の対策、そういったことをどういうふうに考えてやっていくのかということでございます。こちらのほう、何か河川の現場で事業を行っていく場合には、治水上であればこういう目標を持って当然やっておりますし、環境についてもなかなか数字的な目標を出すというのは難しいところでございますが、例えばかつての自然の姿を、昭和何年代の自然の姿を取り戻すというようなことを目標にして取り組むということをやってございまして、こちら治水だけでも、あるいは環境だけでもなく、治水・環境あるいは利水、そういったものを総合的に考えながら、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

 また、最後のご意見ということで経済のネットワーク、あるいは生態系ネットワーク、そういったものをしっかりと考えながら取り組んでいってほしいというような、こちらご意見もいただきました。それにつきましては、国土交通省にはさまざまな部局がございます。今回、我々がご説明いたしましたのは河川のお話でございますが、そのほかにも例えば道路であるとか、ほかの事業など行っている部署もございます。そういったところを総合的に、我々国土交通省で取り組めることをしっかりと総合的にいろいろ連携しながら取り組んでいければというふうに考えてございます。

 以上だと思っておりますが、よろしいでしょうか。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

 それでは鴻巣市の原口市長、よろしくお願いします。

○原口市長 それでは鴻巣の取組、あるいはなぜそんな頑張ってきたのかというお話でございますけれども、まず先ほども申し上げましたように、鴻巣市、コウノトリから来ている鴻巣でございまして、何とか鴻巣の本当に市民の皆さんが念願をしておるコウノトリというものを飼育したいという、そんな思い、これは多くの皆さんの願いでもございます。例えば市民団体の署名活動がございまして、鴻巣市は約12万人弱の都市でございますけれども、2万3,000人からの署名活動がございまして、コウノトリを飼育してほしい、そんな市民の願いがございました。これらを私もしっかりと受け止めまして、コウノトリをこれから飼育、あるいは放鳥していく、そんな思いというものを強く思っているところでございます。

 それと、次に飼育のほうのことでございますけれども、飼育につきましては、現在平成30年度、31年度で域外保全実施計画、すなわち飼育の計画を今つくっておりまして、30年度、31年度にしっかりこの計画づくりをさせていただきたい、そのように思っております。当然環境省さんのいろんなご支援もいただかなくては、飼育の実現は可能ではございません。これらについても委員の皆さんにもご協力をいただければ、そのように思っております。

ただ一番の重要な課題でございますけれども、生き物が少しでも多く生息できるような環境、すなわち国交省さんにもいろいろとご支援をいただいておりますけれども、先ほど来申し上げております荒川河川敷、ここにビオトープ、湿地の再生というものを進めてもらいたいということで、ご要望をさせていただいております。このことによりまして、やはりコウノトリにつきましては生き物を餌にするわけでございますので、それらを鴻巣だけでなく、本当に地域あるいは先ほど申し上げました関東自治体フォーラムという、関東地方で今、27の団体でこういうことを進めていこうという取組もしておりまして、鴻巣市だけではなかなか難しい部分はございます。多くの自治体の皆さんのご協力、当然環境については、どうしても財源的に非常に厳しい部分もございます。そんな中でしっかりとご支援をいただけるような制度というものをつくっていただければ、非常にこれからもっともっと自然の再生というのができていくのではないかというふうに思っておりまして、これらについても私のほうでもお願いしたいなというふうに思っております。

 それから、金融機関との連携ということでございます。当然金融機関とも今、鴻巣市内にも多くの金融機関がございまして、幾つかの金融機関と連携をしております。まちづくり協定、地方創生の観点からの協定というものも結ばさせていただいておりまして、ある金融機関では、このコウノトリにつきましても基金に100万円の寄附をしていただいている。一緒になってコウノトリを飼育していく、そんな活動にもご支援をいただいておる、そんな状況でございます。

 それから、やはり経済、生態系、これはなかなか難しいところもございます。ただ、鴻巣市、私といたしましても経済の活性化というのも、これは当然重要でございまして、それにあわせて河川の改修等というものは非常に重要でございます。ただ、今さまざま豪雨等で河川の氾濫というのもございます。これは非常に難しい部分はあろうかなというふうに思っておりますけれども、自然環境というものを大事にしながら、経済というものをしっかり進めていければ、私のほうではコウノトリというものを一つの題材といたしまして、コウノトリと一緒になってこの地域の農業、あるいは自然というものの中での経済性というものを発揮ができれば、そんな取組を今後していければ、そのように思っておるところであります。

 それから冬水田んぼでございますけれども、これは当初約2,000mの冬水田んぼを実施いたしました。現在約5倍になりまして、1万mになっておりますけれども、今後、農業生産者のご理解をいただきながら、なかなか冬に水を張るというのは大変なご苦労があるわけでございますけれども、しっかりと市といたしましても支援をさせていただきながら、そういう田んぼを増やしていく、そして生き物に優しい環境づくりというものをしていければ、そのように思っております。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

 もう時間が大分過ぎておりますので、これで第1番目のヒアリングを終了とさせていただきたいと思います。

 国交省さんと鴻巣市、原口市長様、どうもありがとうございました。

(拍 手)

○武内部会長 それでは引き続きまして、ヤマト運輸株式会社様からのご発表に先立ち、事務局から物流における低炭素化等の政府の取組に関する説明を簡単にお願いいたします。

○山田計画官 それでは事務局から説明させていただきます。

 参考資料5-1をご覧いただければと思います。こちらの資料、まず1ページ目ですけれど、総合物流施策大綱というものです。昨年の7月に閣議決定されたものでして、社会状況の変化ですとか、新たな課題に対応できる強い物流を構築するために、物流の生産性向上に向けた六つの視点からの取組を推進ということになってございます。

 その一つに、備えるというのが、このページの右下にございますけど、「災害等のリスク・地球環境問題に対応するサステイナブルな物流の構築」というタイトルになってございます。大綱の本体はこちらに載せておりませんが、「我が国の温室効果ガス削減目標の達成等に向け、物流分野においてもサプライチェーン全体への環境負荷の低減の観点から、再配達など非効率となっている部分の削減、物流の効率化、モーダルシフトの推進や自動車の単体対策、鉄道・船舶・航空物流施設における低炭素化の促進等を通じて貢献する。このほか大気汚染等による環境負荷の低減にも取り組んでいく。」となってございます。

 次のページをご覧いただければと思います。環境省と国土交通省の連携事業といたしまして、物流分野におけるCO削減対策促進事業というものがございます。資料にもありますとおり、運輸部門のCO排出量の3分の1以上を占める物流分野におけるCO削減は極めて重要というふうになってございまして、このような認識のもと、環境省は国土交通省と連携しながら事業を進めてございます。

具体的には効率的かつ低炭素な輸送モードへの転換ということで、トラック輸送の高効率化に資する車両等の導入などがございます。また、事業者連携による低炭素な配送システムの構築ということで、IoTを活用いたしました物流低炭素型輸送システムの構築、バス、鉄道等における貨客混載への取組等を支援する。また、宅配便の再配達削減のためのガイドライン策定等を行うとなってございます。

 参考資料5-2は一応ご紹介だけさせていただきますが、第五次環境基本計画及び地球温暖化対策計画にも物流に関する取組が記載されている部分がございますので、ご紹介だけさせていただこうと思います。

 私から以上でございます。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、次に、ヤマト運輸株式会社社長室の関根豊プロジェクトマネージャー様から、物流業界の課題、社会課題、環境の課題への取組について、約15分程度で発表をお願いし、その後意見交換を行いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○関根プロジェクトマネージャー ただいまご紹介いただきましたヤマト運輸の関根と申します。本日はこのような機会をいただき、誠にありがとうございます。これから弊社の取組についてご説明させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 まずタイトルでございますが、環境の取組ということではございますが、我々の思いを含めて、「地域で一番身近で愛される企業へ」というタイトルをつけさせてもらいました。これは弊社の中で、経営目標として第一線の社員がわかりやすいような言葉で伝えようとしたときに、こんな言葉がわかりやすいかなということで選んでいます。意味合いとしては、地域の皆様にご愛顧いただくということはもちろんなのですが、その基盤として社会的責任を果たしていく、その中にはもちろん環境という要素も入っているというふうに考えております。そういった意味で、環境ですとか社会的責任を果たしつつ、地域にご愛顧いただく会社になりたいと、それによって「地域で一番身近で愛される企業」になりたいと、こんな思いを経営目標として掲げておりますので、それが社員の皆さんに、難しい言葉ではなかなか全員に伝わらないので、伝わりやすい言葉で伝えております。これをタイトルにさせていただきました。

 次のページをご覧ください。企業紹介に移りたいと思いますので、もう一枚お願いします。弊社でございますが、1919年に創業しております。計算していただくとわかりますが、実は、来年100周年を迎える会社になります。1919年に全国で言うと200台ぐらいのトラックがあった時代なのですけど、そのうちの4台で始めております。まさにある意味、今で言うとベンチャー企業といってもいいかもしれません。当時はそんな言葉はないのかもしれないのですけども、トラックを使ったベンチャー企業で、写真を見ていただくと、パイロットみたいな制服を着ていまして、いわゆる高級な家具だとか、そんなものを運ぶビジネスから始めていますので、ちょっとハイソサエティなビジネスで始まっておりました。

 まず第1のイノベーションということで、区域輸送から路線輸送に変わっております。1929年でございますので、10年間区域事業をやっていて、そこから路線事業に転換しています。その後、最初は東京~横浜間でスタートしたのですけども、徐々に路線区域を広げていったと。基本的には関東圏中心にやっていたというふうに聞いておりまして、この時代から宅急便が始まるまでに47年ございますので、実は宅急便を始めて43年でございますので、うちの歴史で言うと、路線の時代が一番長くて、もうじき抜かすかなと、こんな経緯でございます。第2のイノベーションと書いてある1976年に宅急便を始めていると、このような状況でございます。全国ネットワークができたのが平成9年でございますので、そこに行き着くまでに21年かかっているという状況でございます。

 次のページをご覧ください。これが宅急便を始めてからの簡単な年表でございます。始めたのは、1975年1月20日です。扱い個数でいいますと1日11個で、年間個数で170万個でございます。現在はといいますと、年間で18億個で、1日の数が500万個でございますので、当時1年間で集まった数よりも圧倒的に現在の1日の方が多くなってしまっているという状況になっております。これもまさにいろんなお客様にご愛顧をいただき続けた結果と考えております。例えば産直ですとかお取り寄せですとか、こういったものについては、宅急便というシステムをいろいろお客様が工夫してお使いいただきながら展開していったというところでございますし、近年で言うとE-コマースといったものが増えてきておりまして、結果この様な形で扱い量が増え続けているというような状況になっております。

 では次のページをご覧ください。そんな中で、では弊社の環境の取組ということでございます。弊社でございますが、やっぱりトラック輸送が中心の会社でございますので、冒頭申し上げたように環境という基盤、社会的責任を果たす中でも非常に重要なファクターだというふうに考えております。その中で、2003年に環境保護宣言というのを制定しております。その後に2012年に「ネコロジー」と、こんなネーミングをつけまして理念を制定しております。お察しのとおりなのですけれども、クロネコヤマトの「ネコ」とエコロジーの「ロジー」をつけて、「ネコロジー」というネーミングで、これも社内的に皆さんがわかりやすいような言葉で、キャッチフレーズみたいな形で使わせていただいている言葉でございます。

 その中で、2014年に「環境保護宣言」を改定しておりまして、その中のキーワードが四つございます。一つは輸送のエコ、もう一つが施設のエコ、もう一つが商品のエコ、もう一つが地域とのエコということで、四つの軸がございまして、輸送のエコは後ほどもうちょっと詳しくご説明します。

 施設のエコにつきまして言うと、一つは羽田クロノゲートという弊社の象徴的な旗艦店がございまして、そこについては環境に配慮した太陽光ですとか、設備環境を含めて、そういう設計の建物をつくっております。またグリーン購入についても83%だとか、そんな取組をしております。

 商品のエコにつきまして、弊社で言いますと「機密文書リサイクル」という商品がございます。これは何かというと、企業から出る紙媒体のものを弊社が回収しまして、リサイクルをするところに運ぶことによってリサイクルを促すような商品を提供したいと、こんな商品をつくっております。

 地域とのエコというのですと、弊社の第一線の社員が環境教室というのを開いておりまして、そこで地域の方と環境について対話をする、こんな取組を進めておりまして、年間で言うと128回ぐらい開催しております。

 次のページをご覧ください。次に輸送のエコ、先ほど申し上げたネコロジーの中で、輸送のエコ、弊社ですと輸送等でトラックを使っているという部分が大きくございますので、その中でCOを減らすための考え方として三つの軸、使わない、使うならエコ、使い方という考え方で取り組んでおります。

使わないというのは、ここに書いてあります、リアカーを電気アシストつき自転車で牽引する。こういったものを使って、車ではない、要はCOを排出しない媒体を使って輸送するという手段を使っております。弊社でいいますと台車つきの自転車が5,200台導入している状況でございます。

 使うならエコにつきまして、EVばかりじゃなくてハイブリッド車ですとか、その他もろもろ、いわゆる環境に優しい車につきまして、約2万台導入しておりまして、導入率で言うと55.9%という形になっております。

 使い方というところでは、セールスドライバーというふうに言っているんですけども、この人たちが運転の仕方につきまして、急ハンドルだとか急加速だとか、そういった運転をすると安全面ももちろんよろしくないのですが、環境にもよろしくない運転でございますので、そういったのをデジタルで検証する、フィードバックする仕組みがございます。それを使いながら「今日は何点だったね」みたいな会話をしながら、環境に優しい運転が今日はできたなという話を運行管理者とするというシーンがございまして、この機械を約3万2,000台、弊社の車に入れている状況でございます。

 では、次のページをご覧ください。今までは、環境に特化した我々の取組でございました。ここからはどちらかというと、我々のビジネスを通じて環境に関係がありそうな取組、さきほど山田計画官からもお話があったとおり、事業を通じてというところも非常に大事かなというふうに思っていますので、そういった部分の話を幾つかさせていただければというふうに思っております。

 では、次のページをご覧ください。まず弊社ばかりじゃなくて、世の中の変化で、もう皆さんご承知おきのとおりかと思いますが、いわゆるE-コマースの拡大ですとか、労働力人口の逼迫ですとか、ICT・AIの進化だとか、物流のボーダレス化ということで、企業間の物流だとか国境を越えた小口多頻度化だとか、こんな世の中の変化が起こっております。こういったものをチャンスと捉える部分もあるし、ピンチと捉える部分もありますが、そういうようなものをどうやって乗り越えていこうかという中で、我々がいろんなパートナー様と一緒になって取り組んでいる内容を幾つかご紹介できればというふうに思います。

 では、次のページをご覧ください。これは弊社の第一線のSDさんが持っていますポータルブルポスという機械がございます。その機械の中に、出荷予定データですとか、法人の顧客データですとか、過去に実際に訪問した履歴ですとか、あとコールセンターにお電話いただいた履歴ですとか、そういうデータベースを整理整頓して、最終的にはこういう順番で回ったら最適だよねということを、今、検証しています。

今のところで言うと、ベテランさんにはあまり効果がないようですが、新人さんには結構効果があるよねというのが、今の実情でございます。逆にベテランさんは入力が大変なので、ちょっと嫌がられちゃったりするシーンもあるのですけど、ただ、ベテランさんのノウハウが新人さんもある程度共有できるというところで今進めておりまして、要は、最適なルートを組んでいきますので、不在が減ってきたりだとか、また無駄な動きがなくなったりだとかということになりますので、結果的にCOの排出量に貢献できるのではなかろうかと、こんなふうに思っています。まだまだ進めている段階で、途中でございますが、どんどんこれを進化していきたいというふうに考えております。

 次のページをご覧ください。これはいわゆる不在対策という領域でございますが、ITを使ってプッシュ型のメールですとか、あとLINEもAIを使ってお客様と対話をするという手段を使いながら、受取場所だとか受取時間をご指定いただけます。弊社の歴史でいいますと、時間帯お届けサービスというのを料金付加なしで提供しました。実は、あれはもともと不在を減らせるかなというふうに思っていたのですが、どうも出し人さんは受取人さんの状態を知らないのだということがわかりまして、受取人さんがどうなっているかというよりは、ちょっとでも早く着けばいいという感覚で、非常に午前中指定が多いという実態があります。実際は指定どおりに行ってもなかなかいないなという話も多くございます。こういう仕組みを使いながら、受取時間だとか受取場所を受取人様にお聞きするということをすることによって、これは間違いなく不在率が減っていくという形で取り組んでおります。受取場所も、今まではご自宅というのが我々の基本的なところでございましたが、弊社の営業所でしたり、コンビニエンスストアでしたり、ロッカーということを使いながら、受け取りチャンネルを多様化させるといった取組も進めております。

 次のページをご覧ください。その中で、受け取りチャネルの一つのロッカーでございます。このPUDOというロッカーを弊社と関係している会社、ちょっと微妙なのですけども、実際はフランスのネオポストシッピング社という会社が51%株を持っておりまして、弊社49%でございます。なので、直接連結子会社ではない、「関係している会社」という言い方になったのですけども、ここがこのPUDOというロッカーを提供しています。

なぜそうしたかというと、狙いはここに書いてあるとおりオープン型にしたかったからです。ここにネコマークがついてしまうと、同業他社が使いづらいよねという話がございまして、オープン型でやることによって公益性が高まるというふうに思っております。それで結果的に書いたとおり佐川急便様もこれ使っていただいたりしております。そういうことによって効率性も上がっていますし、弊社が出すCOばかりじゃなくて、同業他社のCOもこういったことで削減できるのかなというふうに思っています。弊社としては、こういうプラットホームをつくることによって世の中に貢献していくという流れをつくっていきたいというふうに考えております。

 台数的には、ここに書いてあるとおり、2022年に5,000台を目標にしております。2018年4月で、始めて2年でございますが、急激に数は増やしておりまして、基本的には都市部中心にやっているという状況でございます。

 次のページをご覧ください。これが未来型の話でございまして、「ロボネコヤマト」という名前がついておりまして、DeNA様と一緒に検証しておりました仕組みです。

「自動運転」と書いてあるのですけども、うちはメーカーさんではございませんので、自動運転という車をつくるという話は全然ございません。何をチャレンジしたのかというと、受け取りニーズ、我々の文化で言うと、対面で、いいサービスで、笑顔でお客様のところにお届けするということが一番いいことだというふうに思っています。今でもそう思っているのですけど、一方で会わずに受け取れるとか、そういったニーズがどうだろうねということを検証してみましょうという話です。

ここで書いてあるとおり、スマホアプリで指定した場所にこの車がブーンと来まして、ロッカーがこの車についておりますので、それをバーコードであける。時間指定も10分単位でできます。そのかわり売り切れがございまして、その時間はもう先約がありますみたいな話になっていて、自分の希望の時間にこれが来ると。1日だけですけど、自動運転で走らせた日もございましたが、基本的には検証としてはそういう受け取り方が世の中に認められるのかどうなのかということを調べました。

 検証の結果で、まだ概略でございますけれども、不在率というか再配達率という言い方がいいかもしれませんが、一般的には全国平均で15.5%ぐらい、これは弊社だけじゃなくて同業他社も含めてなんですけども、こういう統計が出ております。今回検証したのは藤沢市でございますので、地区でいうと都市郊外というエリアかなと思います。そこで言うと14.7%が一般的でございます。この実験の結果の再配達率が、なんと0.53%でございまして、ほぼ一度でお届けできたということ、10分に1回ということと、ちゃんと場所も指定できるということで非常に好評を得たというふうに分析はしております。

 ちなみに、利用者なのですが、圧倒的に30代~40代の方が多く、なおかつ女性が多いという結果が出ておりまして、なかなかこういう仕組みなので、スマホを活用したので、本当は高齢者だとかそういう方にもご利用いただければいいのかもしれないのですけど、いわゆる子育て世代の方にすごくご愛顧いただけた仕組みでしたというのが検証結果でございました。結構反響はよかったので、ぜひこういったものも今後も進めていきたいなということで、今現在、検討している最中でございます。

 では、次のページをご覧ください。地域との連携による新たな共創価値ということで、次のページをお願いします。藤沢のSSTでございます。藤沢でパナソニックさんを中心にそういう地域を我々でやらせていただいているのですが、次のページをご覧ください。いわゆる一括配送でございます。その地域については弊社以外の配送業者が入っていかずに、しかも、こういう台車ですとか、さっき言ったリアカーつきの自転車でやっていますので、その地域内では車が若干走っている部分もあるのですけど、いわゆる路線業者ですとか、宅配業者については走っていない状況になっておりまして、共創による配送ができている状況になっております。

 次のページをご覧ください。これが、この写真は宮崎県の例でございますが、平成27年に国際交通安全学会賞をいただきまして、これは最初に始めた岩手のときの案件でございます。客貨混載でございまして、この写真は冷蔵庫をつけて客貨混載を行っている例でございます。

 次のページをご覧ください。これにつきまして、弊社だけが客貨混載をやっているわけじゃなくて、郵便局さんの荷物を積んだりですとか、また、地域の生産者さんがつくった西米良サーモンというサーモンなのですけど、それを海外に向けて運ぶルートに使ったりということをしています。バス路線維持をしていくというために、弊社の荷物を乗せているだけでは多分なかなか難しいというふうに思っておりまして、弊社だけじゃなくていろんな業者さんが、みんなで同じバスを使うということにすることによってより効率的にもなるし、COという観点でも、複数の車が行くよりは1台の車で行ったほうがいいよねという話になるのかなというふうに思っております。

 ということで、最後駆け足になってしまいましたが、皆様に少しでもご理解いただければと思います。本日はどうもありがとうございました。

(拍 手)

○武内部会長 どうもありがとうございました。

 それでは質疑応答に入りたいと思いますので、ご質問、ご意見がある方は札を立てていただきたいと思います。

 それでは、崎田委員からまいります。

○崎田委員 ありがとうございます。今伺いながら、やはり昨今こういう宅配便への期待がすごく大きいのと、高齢社会とか地域過疎化など、社会的な課題が顕在化する状況の中で期待されていることがどんどん増えてくるという状況だと思います。そういう中で、COをはっきり減らしながら要領よく事業を進めていかなきゃいけない。この両方の視点をやるためにいろんな工夫をしておられますけれども、今後、そういうふうなやり方をやっていくときに、社会にもっと一緒になって考えてほしいとか、そういうことで突破口が出てくるのかなという感じも実はしました。皆さんの業界から社会に呼びかけるような、そういう視点はないのだろうか。そういう議論が内部であったら、ぜひ教えていただければありがたいなというふうに思いました。よろしくお願いします。

○武内部会長 ありがとうございます。

 髙橋委員、お願いします。

○髙橋委員 髙橋でございます。オープン型宅配便ロッカーって非常に関心を持っているのですが、どのような場所に置かれているのが多いのか、そして設置主体がどういうところが多いのか、設置のコストはどんなふうなお金がかかるのかということと、これはクール宅急便とか、そういうものにも対応しているのか。それから、このボックスが一杯だった場合、配達した人はこれが置けないのかどうか、その辺の基本的な仕組みを教えていただければありがたいと思います。

○武内部会長 それでは、山極委員、お願いします。

○山極委員 大変多角的な取組をしていただいて、すごく明るい未来が見えてくるような気がします。

ただ、例えば過疎の地域については、コストと消費者のニーズというのが合わない可能性があるなと思ったのです。未来を考えると、もう地上の輸送は終わりなんじゃないかと僕は思うんです。空中輸送、ドローンを使った輸送とかというのを考えてもいいのかなと思うのですが、その辺りの未来予想図というのは何をどういうふうに考えておられるのか、お聞きしたいです。

○武内部会長 それでは、石田委員、お願いします。

○石田委員 今日は物流の環境問題、非常に総合的にご紹介いただきまして、熱心に取り組まれていることがよくわかりました。ありがとうございます。

例えばご説明の中に不在配達の削減等で無駄がなくなって、COの排出削減、同時に収益性の向上にもつながるというふうにご説明いただきました。第五次環境基本計画では、環境と経済と社会の統合的向上というような部分を掲げています。したがいまして、こういった好事例をいかにほかの主体とか他分野に広めていくかという点についても、こういった好事例からの気づきですとか、一般化し得るような視点を得ていくということが大変重要かなというふうに思っております。

したがいまして、ちょっとお聞きしたいのは、こういった取組、どういったところに成功の要因があったのかとか、今後取組を一層推進するに当たっての課題等々があれば、ご教示いただければというふうに思います。

 以上でございます。

○武内部会長 それでは、井田委員、お願いします。

○井田委員 ありがとうございます。非常にさまざまな取組をやっていらっしゃるということが印象的だったのですが、やはり企業は目標を持つことが大事じゃないかと私は思っておりまして、例えば使い捨てプラスチックの削減とかCOであるとか、低公害車、無排出車の導入目標とか、もしそういうものをお持ちだったら伺いたいし、今後どういうようなものを持っていくお考えかというの、もしなければどういうものを考えていらっしゃるかというようなことを伺いたいです。

○武内部会長 それでは、岸上委員、お願いします。

○岸上委員 岸上でございます。興味深いお話をどうもありがとうございました。2点、お伺いしたいと思います。

 今回はCOの削減ということに焦点を絞ってご説明いただいたと思いますが、お話を聞いた感じでは、企業の経営の立場から、外部環境の非常に大きな変化の一つとして、CO削減にどう取り組んでいくかという課題があり、ほかの外部環境要因等と総合的にお考えになられて、経営戦略を立て、さまざまな取組をされていると理解いたしましたが、その理解で正しいのかということです。もう一つは、下世話なお話かもしれませんが、先ほど説明のあった参考資料5-1の、物流分野におけるCO削減対策の促進事業との関係でございます。

この適用は受けていらっしゃるのかどうなのかということ、また、もしこれがない場合にでも御社では取組をされるのか、端的には、事業の一環として、収益も考えながら取り組んでおられるのかを少しお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○武内部会長 ありがとうございました。

 末吉委員、お願いします。

○末吉委員 目の覚めるようなイノバティブな取組を教えていただいて、本当にありがとうございました。

実は昨年12月にCOP23の折、ドイツのボンに行ったときに、ドイツポストTHLを訪ねたのですけども、非常に驚いたのは、堂々といいますか、はっきりとゼロエミションを掲げているのです。実際は2050年なのですけども。いろんなお話を伺ったのが全部ゼロに向かうお取組なので、いっそのことゼロエミションをうたわれたほうがいいのではないかと、そのほうが、多分御社の中でも求心力が増していきますし、と同時にあのクロネコヤマトがゼロを目指しているのかと、町を走るごとにゼロが走っているというような、社会のインパクトが私は非常に大きいものがあるような気がするのですけど、いかがでしょうか。

○武内部会長 林委員、お願いします。

○林委員 私のほうは具体的な質問です。長距離の物流輸送が日本では圧倒的に道路が多くて、もう鉄道がほとんどだめになってしまった。アメリカは逆に旅客では鉄道はだめだけど、長距離の物流は鉄道が圧倒的に優位です。そのときに、今これ距離帯別に、例えば東京から九州の場合に鉄道比率はどのぐらいなのか?また、非常に付加価値の高いものは航空輸送の場合もあると思います。それらを鉄道ともっとうまく組み合わせるために、どういうインセンティブがあると、鉄道のほうに乗り移る可能性があるというようなことを教えていただければありがたいと思います。

○武内部会長 それでは、榮委員、お願いします。

○榮委員 オープン化の話、大変興味深く聞かせていただきました。環境負荷を極限まで下げる、あるいは企業としてのコストを極限まで下げるという観点から、これは不可欠だと思っているのですが、例えばこの配達ステーションだけじゃなくて、これを徹底していくと車両の共有化だとか、あるいは場合によっては電気ステーションの共有化とか、オープン化というのはどんどん進められるはずなのですが、その場合にどうなのでしょう、独禁当局との関係で何らかの制約があるのか、ないのか、この辺の感触をお聞かせいただきたいと思います。

○武内部会長 それでは、豊岡委員、お願いします。

○豊岡委員 すみません。過疎地の輸送についてですが、山極委員からもドローンというお話ありましたが、客貨混載については拡大の予定ということがありますが、路線バスの廃止が相次いでいる中で、どういうふうにこれを拡大されていくおつもりで、そして拡大の条件というようなものがあれば教えていただきたいのと、それがないところはどういう輸送をこれから展望を抱いていられるのか、過疎地について効率の悪いところはどうするのかというところを教えていただければありがたいです。

○武内部会長 よろしいですか。

それでは、今ございました質問や意見もあったように思いますけれども、それについてのコメントをいただければと思いますが。よろしくお願いいたします。

○関根プロジェクトマネージャー ご質問、ありがとうございます。では一つ一つお答えさせていただきたいというふうに思います。

 最初に社会に対する呼びかけという話がございました。弊社としましては、そもそもいろんな社会課題ですとかCOの削減も含めてなのですけども、我々1社で何とかならないというふうに思っております。なので、例えば地域行政ですとか、そういうところの皆様方に客貨混載なんかは、結局――ちなみに先ほど説明しなかったのですけど、一般的には、貨客混載というふうに呼ばれていますが、弊社では客貨混載と呼んでいまして、それはお客様が先だろうという弊社の考え方で、客貨混載というふうに呼びますので、今日はあえて客貨混載というふうに言わせていただきますが、そういったものも含めて、例えば地域の路線を維持していくというのが行政様としても非常に大きな課題だというふうに認識しておりまして、その中でパートナー様では、先ほど申しましたように我々が言ったのではなかなか乗ってくれない、同業他社ですとか、JA様ですとか、そういう以外にもいろんな納品をされている、物流は当然弊社だけではございません。

だけど、その地域にアクセスする人たちはたくさんいるので、それをどれだけ集められるかというのが結構大事だと思うので、我々が言うといけないけど、行政様から言われれば、まあそうかなという話にもなりやすいというシーンもあるかなというふうに思いますので、そういう協力関係を持ちながらやっていきたいなというふうに思っているというのが、まず一つでございます。

 二つ目のお話でございますが、宅配ボックスの設置の主体、場所、料金その他もろもろでございますが、まず設置場所につきましては、基本的にはライバルは自動販売機でございます。自動販売機が設置しているような場所に置かさせていただいているのですけれども、利用状況からすると駅前だとか、そういった場所の利用率が高いという評価が出ていますので、まずはそういういわゆる人の動線上にあるような場所に、設置を重点的にやっていきたいなというのが、今のところの取組でございます。設置主体としましては、基本的には先ほど申し上げたパックシティ社が主体を握っておりまして、そこで弊社はそれに対して利用料を払っていると、こんな状況になっております。クールは残念ながら対応しておりません。あと一杯だったらというのは、基本的には宅配ボックスを指定する段階で一杯だと指定できなくなっておりますので、そういった形では、行く前にないということはわかる状態になっております。

 あと、次が、ご質問いただいたドローンです。ドローンの空中輸送についてですが、弊社というよりは私どものグループに、持ち株会社でヤマトホールディングスがあるんですが、そこにヤマトデジタルイノベーション推進室というところがございます。そこでいろいろドローンについて活用性を検討しております。ただ、今のところドローンという領域で見えていることで言うと、まず一つは、ドローンの運べる量ではなかなかうちの物量をこなすことは難しいだろうというふうには思っております。ただし、例えば山の向こうに家があって、片道30分ぐらいかかるぞというシーンであれば、それはありかもしれないし、もしくは離島みたいなところだとか、そういう本当に1軒1軒が遠いような世界ではあるかもしれないなということは考えております。逆に都市部だとか、そういうところはなかなか難しいだろうなというのが、今のところ想定している世界でございます。そもそも人の頭の上を飛ぶこと自体に、ご了解をいただくのが難しいのかなというのも思っていますので、そこら辺も踏まえながら、どんな形で進めていくのかということが大事かなというふうに思っています。

 あと、成功の要因というお話があったかと思いますが、正直言うと、実は成功しているとはまだまだ思っていないというのが現実でございます。なぜならば、取り組んでいるものについて、いわゆるCSVというふうに思っておりますので、弊社だけでは解決し切れない。先ほど客貨混載の例も申し上げましたが、1社が何かやったから本当に根本的にその課題が解決できるかというと、そんなことはできるとはとてもじゃないけどおこがましいというふうに思っていまして、やっぱりきちっとやっていくためには、先ほど申し上げたようにパートナーをどんどん増やしていって、一緒になってやったときに、初めて真の意味での課題解決ができるというふうに思っております。そういった意味ではまだ途中でありますので、成功の秘訣はともし言われるのであれば、逆に言うといろんなパートナーさんにご理解いただいて、一緒になってやれるシーンができたときに、初めて成功できるのではないかなというふうに思いながら進めているというのが、今の実情でございます。

 車導入の目標というお話がございましたが――ちょっと飛ばしましてすみません。あと、連結トラック等々とトラック輸送の効率化については、弊社も検討しておりまして、弊社のゲートウエイ構想というのをやっております。旗艦となる店を関東圏と中部圏と関西圏にそれぞれ置いていまして、そこをぐるぐる回そうという構想を持っておりまして、そこをまさに連結トラックみたいな道具を使うことによって、しかも、さっきのお話じゃないですけど、オープン化したらいいなというふうに思っております。弊社だけじゃなくて、他社の荷物も含めてぐるぐる回すような、五月雨式の輸送ができたらいいなということをちょっと考えているということはございます。

 ゼロエミションについてですが、なかなかこれは、経営として判断しなきゃいけないところなので、全社的にそれをやるというのは、この場で回答はなかなか難しいところでございます。現在の取組でいいますと、先ほども申しました羽田につきましては、不要物の100%リサイクル、ゼロエミションということはやっておりますので、そういったことに関心がないわけではないということでございまして、今後どうしていくかというのは、ちょっと社内的に検討が必要というふうにご理解いただければと思います。

 長距離比率はというお話がございましたが、すみません、数字を押さえておりませんが、正直、やはり少ないです。ただし、長距離ドライバーの雇用問題等々がございまして、短距離化して、先ほど言ったゲートウエイみたいな話で、短距離を回転させながら長距離を運ぶというやり方に変えていったりだとか、またそのゲートウエイから鉄道輸送に変えたりだとかというやり方を、工夫はし始めてはいるものの、多分数字的にはお察しのとおり、そんなに高くはないというふうに思っています。正確な数字は、申し訳ございません、把握できてございませんという状況です。

 低公害車の今後の導入目標数値につきましては、外向きには発表はしていません。参考として、現状では2万8,000台の導入実績があります。

 オープン化に対する独禁法についてですが、今のところそれほど我々が独占しているという状態にはなっていないので、特段意識はしていないのですが、これが進んでくると意識しなきゃいけないというふうには思いますので、そこから検討という形で、今のところはまだそこまで行けていないという状況でございます。

 路線バスがなくなってきているというお話がございまして、その中でどうやって客貨混載とか、そういう維持をしていくのだという話でございますが、先ほど言ったように、まず一つはパートナーを増やしていくという手段が一つと、あと地域の方々が自ら運営されている会社さんが、これは岡山県の津山市の中の阿波町というところなのですけども、そういったところで検証中ではあるのですが、弊社が幹線は持っていき、地域の配送、ラストワンマイルをそこの地域の運営会社が取り組まれているというシーンもございますので、そういった意味でいくと、単純に運送会社だけではなくて、いろんなパートナーさんと連携をしながら解決をしていくということを考えていくという手段しかないのかなというふうに思うし、そういう面もちょっと出始めているという動きはあるというふうに認識しております。

 ということで、一通りお答えしたつもりですが、大丈夫でしょうか。

○武内部会長 どうもありがとうございました。

 それでは時間でもありますので、どうもヤマト運輸株式会社様、ありがとうございました。

(拍 手)

○武内部会長 私も実はフリークエントユーザーで、大変いつもお世話になっておりますが、家庭内の連絡が悪くて何度も来ていただいて、大変ご迷惑をおかけしております。

 それでは、続きまして、中央環境審議会に関する動きを幾つかご報告をお願いしたいと思います。

 初めに、「環境研究・環境技術開発の推進戦略」の見直しについて、事務局から説明をお願いいたします。

○上田環境研究技術室長 それでは、環境研究技術室長の上田でございます。

 お手元資料3をお開きいただけますでしょうか。資料3、「環境研究・環境技術開発の推進戦略」の見直しについてというものでございます。これに基づきまして簡潔にご説明をさせていただきます。

 まず1.経緯でございますけれども、環境省では、この推進戦略、「環境研究・環境技術開発の推進戦略」というものを4回ぐらい、5年ごとに見直しをしてまいりまして、現行の推進戦略は平成27年8月に答申をいただいたものでございますが、これにつきまして、本年4月に閣議決定されました第五次の環境基本計画において、推進戦略は基本計画に基づくものということで明確に位置づけていただきました。

これまではやや宙ぶらりんなものだったわけですけれども、そこで基本計画に基づくものとして位置づけていただいたということが、まず一つ大きなものでございまして、それで、この推進戦略につきましては、策定後約3年がたっておりますけれども、その間にSDGsの採択ですとかパリ協定の発効ですとか、あるいは気候変動適応法の成立といったことで、かなり情勢は大きく変化をしておりますし、こと、例えば脱炭素社会という大きな転換点という観点からいたしますと、もう大きく考え方を転換しなければいけない。パラダイムシフトが求められるということで、そうしたことには、当然ながらイノベーションなり技術に求められる役割が非常に大きいといったようなこともございます。

そういった状況もございますので、実はこの推進戦略は一応5年ぐらいの期間で定めておりまして、その途中ではございますけれども、一旦ここで新たな推進戦略として策定し直すということとさせていただきたいと考えております。

 それで2ポツでございますけれども、まだ期間中ということもございますので、新たなとは申しましたが、構成はあまり大きく変更せずにマイナーチェンジで、情勢変化を踏まえた修正にとどめるということで考えております。ただし、推進戦略の対象期間としましては、今までの環境基本計画とそういう意味では期間がずれておりましたので、そこをここで合わせるという意味もありまして、策定後5年ということで、ここで合わせるということにさせていただければと考えております。

 3ポツで、審議会における審議の方針でございますけれども、本部会の下に環境研究・技術開発推進戦略専門委員会というものが既にございます。専門委員長は安井先生でございますけれども、ここで審議をお願いしたいというふうに考えております。なお、諮問は新たにするということではなくて、26年に行いました諮問の継続審議ということで、二次答申という形でいただければというふうに考えております。

 次のページ、4ポツでございますけれども、スケジュールでございますが、そういったマイナーチェンジでもございますので、来年早々にも専門委員会で議論を取りまとめていただきまして、部会に報告させていただきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

○武内部会長 ありがとうございました。

 それでは次に、カーボンプライシングの検討について、事務局から説明をお願いいたします。

○西村環境経済課長 今月から環境経済課長を拝命しました西村でございます。本日は遅れて到着いたしまして大変申し訳ございませんでした。それでは座ってご説明をさせていただきます。

 資料4というシリーズが細切れについておりまして、大変申し訳ありません。資料4-1というのでまとめてご説明をさせていただきたいと思いますので、開いていただければと思います。

 先月、6月15日付でございますけれども、中川環境大臣のほうから武内中環審会長のほうにカーボンプライシングについての諮問をさせていただいております。

諮問の内容をスクロールしていただきますと、諮問理由というところがございますけれども、第1段落のところで現在のさまざまな情勢について書かせていただいた上で、2段落目のところでございますけれども、「本諮問は、今後、あらゆる主体に対して、脱炭素社会に向けた資金を含むあらゆる資源の戦略的な配分を促し、新たな経済成長につなげていくドライバーとしてのカーボンプライシングの可能性について、貴審議会の意見を求めるものである。」ということで、中環審にご検討をお願いした次第でございます。これを受けまして同日、安井地球環境部会長のほうに武内会長のほうから付議をいただきまして、その上で地球環境部会の中にカーボンプライシングの活用に関する小委員会というものを設置いただきました。浅野先生に小委員長をお引き受けいただいてございます。

 ちょうど昨日、この第1回の会合を開催していただきまして、1回目の議論のキックオフということで慎重なご意見、あるいは積極的なご意見、さまざまなご意見を賜ったところでございますけれども、今後、浅野小委員長とご相談をしながら議論を深めてまいりたいというふうに考えてございます。

 以上です。

○武内部会長 ありがとうございました。

 次に、第四次循環型社会形成推進基本計画、いわゆる循環基本計画でございますが、これについての閣議決定及びプラスチック資源循環戦略の検討について、事務局から説明をお願いいたします。

○小笠原リサイクル推進室長 環境再生資源循環局循環室長リサイクル推進の小笠原でございます。よろしくお願いします。

それでは資料5をお開きいただけますでしょうか。第四次循環型社会形成推進基本計画の概要でございます。6月に閣議決定をしております。環境基本計画を後追いするような形で、環境基本計画を踏まえながら審議をしてきて、閣議決定をしたものでございます。

まず、循環基本計画につきましては将来像を、持続可能な社会づくりの統合的な取組から地域循環共生圏、それから、ライフサイクル全体での徹底的な資源循環、適正処理の推進と環境再生、災害廃棄物処理体制、それから、国際資源循環、基盤整備といった、この七つの分野に応じて将来像を描いております。この持続可能な社会づくりとの統合的な取組であるとか、地域循環共生圏といった辺りは、環境基本計画と歩調を合わせて柱としているものでございます。その上で、目標値として資源生産性、循環利用率、最終処分量について、2025年度を目標とした数値を定めております。

こうしたものを達成するための国の取組というのを、先ほどの7分野ごとに記載をしております。例えば持続可能な社会づくりとの統合的な取組では、環境と福祉の統合的な取組ということで、家庭系の食ロスを2030年に向けて半減するぞといった目標を入れたり、それから、高齢化社会に対応した廃棄物処理体制をどう構築していくかといった、そういったことを書いております。

地域循環共生圏形成による地域活性化というところでは、地域循環共生圏の形成に向けた課題の掘りおこしやフィージビリティ・スタディへの支援といったこと、それから、ライフサイクル全体での徹底的な資源循環というところでは、これまでいろんなリサイクルをリサイクル法別に進めてきているわけでございますけども、それを素材別に見たらまた新しい視野で何か見えてくるのではないかということで、素材別に取組を進めていこう。特にプラスチックについては、プラスチック戦略というのを資源循環戦略と結んで取り組んでいこうといったこと、金属で言うと都市鉱山の活用を進めていこうといったこと。それから新たなリサイクルということで太陽光発電設備のリサイクルであるとか、おむつのリサイクルを進めていこうと、そういったことを記載しております。

適正処理のところでは、これは廃棄物処理の基本でございますので、きっちりとした処理体制を構築していくといったこと。それから環境再生、それから東日本大震災からの環境再生をしっかりやっていくといったこと。

それから、災害処理廃棄物の処理体制の構築ということでは、現在、豪雨の災害廃棄物が発生して、まさにリアルタイムで処理に取り組んでおりますけども、循環基本計画においてもこの災害廃棄物処理体制の構築というのを、普段から重層的な処理体制を構築していくということを記載しております。

それから国際的な資源循環についても、どんどん進めていくといったようなことを記載しております。

今後これに基づいて、具体的な施策の実施に取り組んでまいるところでございます。

続いて、その具体的な施策として資料6をお開きいただけますでしょうか。資料6においてプラスチック資源循環戦略小委員会の設置についてという資料をつけております。こういった小委員会を設置して、ここでプラスチック資源循環戦略というのを議論していくということを、先日、循環部会で決定をしております。

設置の趣旨としては、この紙の冒頭に書いてありますとおり、循環計画においていろんな廃棄物資源制約、海洋ごみ、地球温暖化対策等の幅広い課題に対応しつつ、中国による禁輸措置に対応した国内資源循環体制を構築して、持続可能社会を実現し、再生不可能な資源への依存度を減らしつつ、3Rを進めていくための戦略、プラスチック資源循環戦略を策定して、それに基づく施策を進めていくと。

具体的には、まず使い捨て容器包装等のリデュース、それから未利用プラスチックを初めとする徹底的な、かつ効率的なリサイクル、それからバイオプラスチックの実用性向上と拡大といったことを内容としつつ、策定するということが記載をされています。

こうしたことに加えまして、昨今、我が国が海洋プラスチック憲章に署名をしなかったことについてはさまざまなご批判を受けているところでございますけれども、そういったことを踏まえて、この海洋プラスチック憲章に、G7にはならなかったですけれども、海洋プラスチック憲章に掲げられた数値目標であるとか、それから海ごみ対策そのものの話、それから海洋ごみを多く出している途上国への廃棄物処理体制の支援による実効的な海ごみの流出防止対策といったことも含めて検討をしてまいりたいというふうに思います。その上で、来年開催のG20に向けて、海洋プラスチック問題の解決のために、世界のプラスチック対策をリードしていくことが重要である。

このためにこの小委員会で議論を行い、8月から審議を進めて、月1回ペースで議論をして、平成30年度中に結論を得るべく検討を進め、そしてG20の前には資源循環戦略をつくるといったことを予定しております。

私からは以上でございます。

○山田計画官 このほか、中央環境審議会の動きではございませんが、先ほど末吉委員から言及もございましたとおり、環境省ではESG金融懇談会を開催し、この度、同懇談会は提言を取りまとめました。口頭で説明させていただきます。

 パリ協定とSDGsが目指す脱炭素社会、持続可能な社会に向けた戦略的なシフトこそ、我が国の競争力と新たな成長力の源泉であるとの認識のもと、直接金融において先行して加速しつつあるESG投資を、さらに社会的インパクトの大きいものへと育むとともに、間接金融においても地域金融機関と地方自治体等の協働と、グローバルな潮流を踏まえた金融機関の対応により、ESG融資を実現する必要があることを確認した。そのために、自らがおのおのの役割を果たすと同時に、国も必要な施策を講ずるよう提言する、となっておりますので、ご紹介させていただきます。

○武内部会長 ただいま、事務局から一連の最近の動きについて報告がございましたが、特段のご質問、もしございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 崎田委員、どうぞ。

○崎田委員 質問というよりもコメントということなのですけれども、環境研究とかカーボンプライシングのところでぜひお願いをしたいのは、やはりここのところの異常気象の様子などを見ても、気候変動の影響が顕在化していると痛感します。私たちは、この審議会は環境分野のところですので、そこが大変だと思うからこそ、みなさんとこういうところで話し合っているのですが、IPCCの次に発表される報告書の素案の報道を見ていると、私たちが思っていたよりも影響が早く出てくるであろうという、そういうような情報が出ています。

ぜひ、やはりできるだけ効果のある施策をしっかりつくるとか、いま一度、そこをしっかりと取り組んでいただければありがたいなというふうに思います。よろしくお願いします。

○武内部会長 ありがとうございました。

 じゃあ、高村典子委員、お願いします。

○高村(典)委員 第四次循環型社会形成推進基本計画の概要の中に、環境再生の項目として空き家・空き店舗対策というのが出されているんですが、具体的にどういうふうなことを目標にして、どんな取組をやろうということにしているのかを教えていただければと思います。

○武内部会長 ありがとうございました。

 井田委員、お願いします。

○井田委員 プラスチックの話をすると長くなるので、もう時間も時間なので簡単に済ませたいのですが、これ本当に使い捨てのプラスチックを減らすものになるんでしょうか。現状6割近く燃やしている、リサイクルが進んでいないというような状況があって、サインができなかったわけですよね。私は、プラスチックに関しては、今までのやり方の抜本的な改革の必要があると思うのですけど、短期間でこういうことをやるというふうなお覚悟のある小委員会だと思っていていいのでしょうか。

それで、環境省だけでできるものなのですか、経産省は経産省でそれなりに検討会などをつくってやっていると聞いていますけれども、これ最終的にはG20までにどういう形でまとめられるというようなお考えなのでしょうか。

○武内部会長 ありがとうございました。

 岸上委員、お願いします。

○岸上委員 ありがとうございます。資料3の環境研究・環境技術開発の推進戦略をマイナーチェンジで見直すということの主旨を確認させていただきたいと思っています。といいますのは、非常に大きく外部環境が動いているから見直すということと、マイナーチェンジにしますということが整合しないように思いましたので、環境基本計画と時期を合わせるということが本音なのか、本音の主旨を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○武内部会長 ありがとうございます。

 小林委員、お願いします。

○小林委員 ありがとうございます。お願いでございます。今回ご報告されたいずれの項目についての今後の検討なのですけども、「環境・経済・社会の統合的向上」の考え方と整合する形でぜひとも進めていただくようにお願いいたします。

 その中で、昨日から始められましたカーボンプライシングについては、エネルギー政策と非常に密接な関係にあるということもありまして、エネルギー基本計画にある「S+3E」の考え方とも十分に整合性を図るとともに、世界の潮流だけではなくて、日本国内の事情も丁寧に見ていただくことによって、慎重にご検討をお願いしたいと思います。

 以上です。

○武内部会長 それでは、末吉委員。

○末吉委員 ありがとうございます。リサイクルについてなんですけども、もうご如才もないことだとは思っておりますけれども、私の限られた知識ではこれは単純にプラスチックの廃棄物の話ではなくて、例えばヨーロッパ、サーキュラー・エコノミーをつくるという、非常に大きな構えの中でのプラスチックの廃棄だと僕は理解しておりますので、そういった構えをしっかり大きくしていただきたいのが1点と、それから、これに関連しては、コカ・コーラとか、マクドナルドとか、スターバックスとか、エビアンとか、世界的なそうそうたる企業が真正面から取組を始めております。このことは、毎日何億人の消費者がこの問題に触れることになりますので、私はこの消費者が大きく転換する、その波が日本にも本当に押し寄せてくるのだと、そうしたこともぜひぜひ頭の片隅に入れて、ご議論していただければと思います。

○武内部会長 それでは、環境省のほうから、それぞれ手短に今の、特にご意見に対してのお答えをお願いいたしたいと思います。

○上田環境研究技術室長 それでは資料3の環境研究・技術開発推進戦略の関係でお答えいたします。

 まず、できるだけ効果ある施策をというご指摘は、おっしゃるとおりでございまして、特に適応の関係につきましては、適応法のほうも成立をいたしましたので、そこも含めてしっかりそこに入れ込んでいきたいと思っておりますので、そういう意味でも、実効性のあるものにしていきたいというふうに考えております。

 それからマイナーチェンジというのは実質的にどういうことかと、すみません、マイナーチェンジという言葉は口が滑ったかもしれませんけれども、当然ながらこういう情勢変化は大きいですので、そこをしっかり踏まえて意味のあるものにしていきたいと思っています。そういう意味では中身はマイナーチェンジではなく、構造は変わらないと、そういう意味でご理解いただければと思っております。

○西村環境経済課長 カーボンプライシングにつきましては、崎田先生のほうから効果のある政策の検討をよろしくというお話、それから小林先生のほうから慎重な検討をというご意見いただきましたので、いずれもしっかり踏まえさせていただきまして、今後検討を進めてまいりたいと思います。

○小笠原リサイクル推進室長 続きまして、高村委員のほうから空き家・空き店舗についてのご質問をいただきました。

これは既存ストックの活用・再生という観点から入れているものでございます。中身的には、いかに空き家を減らしていくか、それと空き家・空き店舗をどのように活用していくかという中身でございます。具体的な実施につきましては、国交省さんとか経産省さんによる部分が、実施については大きいものと考えております。

 それから、井田委員からプラスチックを抜本的に減らすような戦略になるのかというご質問をいただきました。我々、井田委員のご期待に沿えるようなものにできるかどうかというところについては、今後の努力ですということではございますけれども、リデュースをどのように図っていくのかということは重要な検討項目でございますので、しっかりと検討していきたいというふうに考えております。

 この小委員会を設置するに当たっては、経済産業省さん、農水省さん関係省庁ともお話をした上で、中央環境審議会にプラスチック循環資源小委員会を設置して、そこで議論していくということで、関係省庁とも合意をした上で設定をしておりますので、関係省庁ともよく話をしながら進めていく予定でございます。

 それから、末吉委員のおっしゃいますとおり、欧州はサーキュラー・エコノミーの計画、パッケージに基づくものとして、プラスチック戦略をつくっております。日本も循環型社会推進計画に基づくものとして、サーキュラー・エコノミーのほうがやや経済活性化への力点が多いものというふうに認識をしています。取り組んでいる内容自体は、循環型社会というのとサーキュラー・エコノミーというものは同じようなものだと思いますけど。日本においては、循環型社会形成推進計画に基づくプラスチック資源循環戦略に基づいて、しっかりと策定してまいりたいと思います。

おっしゃるとおり今、非常にプラスチックに関する企業の個別の取組も進んでおりますし、非常にニュースも多いところでございまして、こういう機会を捉えてライフスタイル、行動の変革をどうしていくかというのは、非常に大事な転換期になると思いますので、こういった機を捉えて対策の推進に取り組んでまいりたいと思います。

 以上でございます。

○井田委員 すみません、1点だけ。こういう場なので、またうるさいことを言っているなと言われるんですけど、次回から、私の机の上にはこれは不要です。事務局に。

○武内部会長 それでは、予定しておりました議題が全て終了いたしましたので、本日の審議を終了とさせていただきます。

 事務局から連絡事項をお願いします。

○山田計画官 本日はありがとうございました。

 本日の議事録につきましては事務局で取りまとめを行い、委員の皆様にご確認いただきました後、環境省ホームページに掲載させていただきます。

 最後に、今後の総合政策部会の予定でございますが、正式な日程等が決まりましたらご連絡させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○武内部会長 それでは、これにて散会とさせていただきます。どうもご苦労さまでございました。ありがとうございました。

 午後 4時59分 閉会