中央環境審議会 総合政策部会(第120回)議事録

第120回 中央環境審議会 総合政策部会

 

令和7年7月14日(月)10:01~12:08

日比谷国際ビルコンファレンススクエア8D
(Web会議システム併用)

 

議 事 次 第
1.開会
2.議事
  (1)第六次環境基本計画の進捗状況の点検について
  (2)その他
3.閉会
 
配付資料一覧
 
 資料1 第118回総合政策部会における委員のご発言について
 資料2 第六次環境基本計画の点検・モニタリングについて
 
 参考資料1 中央環境審議会総合政策部会名簿
 参考資料2 諸外国及び我が国のウェルビーイング指標について

午前10時01分開会

○黒部室長 お待たせいたしました。定刻になりましたので、ただいまから、中央環境審議会第120回総合政策部会を開会いたします。
 大臣官房総合政策課環境計画室長を務めております黒部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、冒頭、委員総数29名のところ19名の委員にご出席いただいておりまして、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告いたします。
 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいております。環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行っているところでございます。
 本日はWeb会議システムとのハイブリッド開催とさせていただいております。Webよりご参加の委員におかれましては、皆様、ご発言のときのみ、ライブカメラの映像とマイク機能をオンにしていただきますよう、いつもながらのお願いでございますが、よろしくお願いいたします。また、今の時点でも会場の声が聞き取りづらい等ございましたら、チャット機能でお知らせいただければと思います。よろしいでしょうか。
 会議資料につきましては、議事次第のところ、資料一覧に記載のとおりでございます。ご確認いただきまして、もし、お手元、不足している資料等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。
 また、本日の資料は、環境省ホームページ、総合政策部会のページにアップロードしてございます。
 まず、冒頭、委員の交代がございますので、報告をさせていただきます。
 小屋かをり委員のご後任といたしまして、山本智美委員にご就任いただいております。
 委員の交代の報告は以上でございます。
 次に、今回、事務局に人事異動がございましたので、報告をさせていただきます。
 まず、私のお隣からでございます。総合環境政策統括官、白石隆夫でございます。
 また、オンライン参加でございますけれども、大臣官房環境影響評価課長、山本麻衣でございます。
○山本課長 よろしくお願いします。
○黒部室長 山本さん、ありがとうございます。
 続きまして、大臣官房環境影響評価課環境影響審査室長、伊藤史雄でございます。
○伊藤室長 伊藤でございます。
○黒部室長 また、本日、別の公務等で欠席をさせていただいておりますが、事務局の異動といたしまして、
 大臣官房企画評価・政策プロモーション室長、一井里映。
 大臣官房地域政策課長・大臣官房地域脱炭素事業推進課長、冨安健一郎。
 大臣官房総合政策課民間活動支援室長・大臣官房地域政策課地域循環共生圏推進室長、植竹朋子。
 大臣官房地域脱炭素政策調整担当参事官、浜島直子が、それぞれ7月に着任しておりますことをご報告申し上げます。
 事務局の異動に関しましては、以上でございます。
 ここで、総合環境政策統括官の白石より、まず就任のご挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。
○白石統括官 着座にて失礼いたします。改めまして、7月1日付けで総合環境政策統括官を拝命いたしました白石でございます。ちょうど3年前に総合環境政策担当の審議官をしておりましたので、3年ぶりにまた戻ってまいりました。引き続きよろしくお願いいたします。
 総合政策部会の委員の皆様におかれましては、日頃から環境政策の推進にご理解とご協力をいただきまして、誠にありがとうございます。
 昨年5月に閣議決定いたしました第六次環境基本計画におきまして、環境政策の最上位の目的として掲げました「現在及び将来の国民一人一人のウェルビーイング/高い生活の質」の実現に向けまして、環境社会、環境経済、社会問題の同時解決に取り組むことが重要であるというふうにされております。そのため、環境省におきましても、ネットゼロ、循環経済、ネイチャーポジティブ等の環境政策を統合的に推進いたしまして、経済社会の構造的な課題を解決し、地方創生に貢献するとともに新たな成長に結びつけるということで、政府一体となって取り組んでいきたいと考えております。
 こうした施策の実現に当たりまして、第六次環境基本計画で打ち出しました「ウェルビーイング/高い生活の質」の実現に向けまして、どのような手法で進捗状況を把握するかという観点が重要になってくると考えております。加えまして、本計画に掲げます政策を着実に実行するため、本部会を中心に中央環境審議会に設置された各部会の協力をいただきながら、計画的に政府全体の施策の進捗を点検していく必要があるとされております。
 委員各位におかれましては、ぜひとも専門的観点から忌憚のないご意見を頂戴できればと考えております。
 今後とも環境行政につきまして、ご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、私からの冒頭の挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いします。
○黒部室長 それでは、今後の進行は大塚部会長にお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 大塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。
 最初に、審議事項として、第六次環境基本計画の進捗状況の点検につきまして、事務局から説明をいたします。その後で意見交換をしたいと思います。
 それでは、第六次環境基本計画の進捗状況の点検について、事務局からご説明をお願いいたします。
○黒部室長 それでは、お手元の資料のご説明に入らせていただきたいと思います。
 資料1、前回の総合政策部会、3月にございましたけれども、その部会におきまして各委員の皆様からご発言いただいた内容について、まず資料1として取りまとめさせていただいております。この中身からご説明を申し上げます。
 次のページ、お願いいたします。モニタリングの枠組みと委員のご発言、項目1から7まで、それぞれウェルビーイングとは何なのかと、あるいは点検のモニタリングをどうしていくのかと、こういったことについてご質疑、ご意見をいただきましたので、項目別にまとめてございます。
 次、お願いいたします。まず、点検・モニタリングの中で、ウェルビーイングが何であって、環境政策を通じてどうウェルビーイングの実現に目指していくのか、将来世代まで含めた質の高い生活を目指していくのか、非常に全体像が複雑であるということでございますので、まず、全体像を明らかにする必要があるのではないかというご指摘をいただいたかと思います。
 また、非常に野心的な取組であるけれども、非常に難しいということも、各委員の皆様からいただいておりまして、試行錯誤で進めるべきではないかということでございますので、事務局一同、その気構えで進めてまいりたいと思います。
 また、昨今の環境の状況、非常に危機的でございますということを含めて、SDGsのウェディングケーキ、あるいはTransformative Change、こういったものも意識しながら進めていく必要があるのではないかと、こういうご発言もいただいたところでございます。
 次、お願いいたします。まず、ウェルビーイングが何かということでございます。この後もご説明申し上げますけれども、政府内でも今時点でウェルビーイングという言葉、各省庁ごとにそれぞれ様々な発言、あるいは定義づけがあるところでございまして、政府内としても一体としてウェルビーイングがまだ核としてこれであるということを申し上げられるようなところまで整理が進んでいない部分もございますが、政府内でも、例えば2地域間居住、あるいは子どもの孤独、こういったところをそれぞれの役所の部署に応じてウェルビーイングの中身の説明があるわけでございますけれども、少なくとも将来世代、未来も含めたウェルビーイングの実現ということについて言及している官庁ということで言うと、環境省以外、現時点ではなくて、こういったものも、今日後半のご説明の中で申し上げたいと思っております。
 具体的に、このウェルビーイングをどのように計測するかということでございます。そこについても非常に工夫が必要である、あるいは数値化、こういったものも検討するべきということでございました。
 また、主観的な幸福度、これを計測することは科学的には進んでおり、既存の研究成果等の活用、更には国際的に用いられている指標の活用、こういったものも重要であろうということでご示唆をいただいたところでございます。
 続きまして、5ページでございます。ロジックモデルをきちんと作った上で、環境政策を通じてどのように現役あるいは将来世代のウェルビーイングにつながっていくのかということの整理が必要であろうというところでございます。何がボトルネック、何が問題であるのかもしっかり洗い出してほしいということだったかと思います。
 また、環境政策がウェルビーイングに貢献するメカニズム、これもロジックモデルのところでございますけれども、うまく点検・評価ができるようなものを作っていくべきだということだったかと思います。
 また、柔軟に対応できるスキーム、こういったものも鋭意検討するべきではないかということでございまして、また、指標同士のトレードオフが生じる場合もあるでしょうし、状況の変化にもうまく対応していく必要があるということかと思ってございます。
 次、お願いいたします。また、指標の具体化、これは総合政策部会でも引き続き議論をしてまいりたいと思います。
 また、ウェルビーイングの経路、なかなか非常に複雑でございまして、単一国内だけに収まるものではないのではないかと。海外あるいは企業の皆さんもグローバルサプライチェーンということもございますので、海外をどうしていくかということについては、大きな課題かなと思っているところでございます。
 次、項目5でございます。地球温暖化対策計画、ここについては、実際に日本は世界の中でも非常に遅れていると言われる部分もあるんですけれども、世界ではパリ協定の目標を達成していない国もあるという中で、日本の位置付け、こういったものもはっきりさせていくべきではないかと、頑張っているのではないかというご示唆もあったところでございます。
 環境省主導で、適用も含めて再生可能エネルギーの成功パターン、こういったものの普及にも取り組んでいただきたいと。
 さらには、生物多様性国家戦略との連携。生物多様性の指標を現在自然環境部会でも議論が進んでいるところでございますが、なかなか難しいということはあるんですけれども、これもリーズナブルかつ実効的な指標を見つけていく必要があるということかと思います。
 次、お願いいたします。国全体の一体感というところで、国全体の取組をリードするようなものになることを期待するというところと、リーダーシップをきちんと発揮していただきたいというところ。
 さらには、他省庁からの情報提供。環境省のみの計画ではございませんので、また環境省だけで全ての経済社会のウェルビーイングをカバーできるというわけでもございませんので、関係省庁との交流、あるいは関係省庁との共有、こういったものも積極的に進めていくべきであろうというところでございました。
 項目の7、地域の視点でございます。地方ではウェルビーイングを支えるための経済基盤、社会構造が非常に劣化している状況であり、本来の目標との乖離、こういったものもあるのではないか、地域の事情にも目配せをしていただけないかということだったかと思います。
 企業の視点として、日本の産業界、企業としても貢献したいというコメントも頂戴いたしました。また、企業の中でも財務と非財務をつなげられ、企業が成果の進捗を追いやすい簡単な指標ということになるものを期待するというご発言もあったかと思います。
 非常に多岐にわたりご指摘をいただいたところでございまして、本日の中でも、どのくらい指摘に答えられているかということがございますけれども、まずは、資料2の中でこのモニタリングのスケジュール、さらには、前回もご指摘いただいた海外の事情、これがどうなっているのかということについて調べてまいりました。これを踏まえて、本日皆様にご議論をいただきたい点を2点ほど論点を設定してございますので、それについて資料2に沿ってご説明を差し上げます。
 資料2の中段ですね、諸外国と我が国のウェルビーイング指標について、海外の事情をまとめたパートがございますが、より詳細にまとめたものは参考資料2ということで、皆様のお手元に配付をさせていただいております。
 それでは、資料2をおめくりいただきまして、点検・モニタリングの全体スケジュールでございます。
 モニタリングの全体スケジュールについては、前回もご議論いただいたので多少重複する部分もありますので、割愛もいたしながらしゃべりますが、4ページ、環境基本計画は6年1セットでございまして、次回の計画が2029年ということになってございます。その間、前半戦の3年、後半戦の3年というところで見直しを進めてまいりたいと。現在、各部会においても、自然環境部会、あるいは循環型の部会においても、循環型社会形成推進基本計画、あるいは生物多様性の国家戦略、こういった個別の戦略の点検プロセスは現状のまま3年目まで、現在、中間の1回目のレビューを行っているところでございます。
 こういった個別の施策に対して、ちょっと我々も今すぐウェルビーイングの評価のフレームワークを提供するということが難しいので、3年目に関しては、まず個別の部会から現状の点検状況をフィードバックしていただいて、我々も本日の議論を含めて3年目までにウェルビーイングと環境政策の基本的な点検のフレームというものをまとめていきたいと思っております。
 前半で、我々としても点検のフレームをまとめつつ、各部会から中間の報告を一旦お戻しいただきながら、4年目、5年目、6年目という形で、個別の施策とウェルビーイングの関係性について更に掘り下げていきたいと。この辺りの関係性は6ページにまとめてございます。
 こういった中で、総合政策部会の中でも中間報告も皆様にも聞いていただきながら、各部会にこういった指標、もう少しウェルビーイングとの関係性から点検するべきではないか、掘り下げるべきではないか、あるいはこういった指標も要るのではないかということも含めてですね、我々のほうと各部会の中で少しインタラクティブに3年目は議論を進めていきたいと、このように考えているところでございます。
 具体的に7ページ以降、「点検・モニタリングの手法について」でございます。
 まず、8ページでございますが、「諸外国及び我が国のウェルビーイング指標のレビュー」ということでございます。
 まず、そもそもウェルビーイングは何なのかということでございます。ウェルビーイングが何かということについては、日本を含め、いわゆるG8の中でも様々なウェルビーイングの定義、あるいはそういったものの可視化への取組といったようなものがございます。
 その中で、OECD、さらにはイギリス、ドイツ、ウェールズ、ニュージーランド、オランダ、アイスランド、内閣府、デジタル庁という形で次のページまでいくわけでございますけれども、まず、ウェルビーイングが何かということに関して、一つよくイメージとして上がってきますのは主観指標、「あなたは幸せですか」という形でインタビューを取って、それに対して、「はい、私は幸せです」と答えた人の割合がどのくらいだったかという。これは恐らく誰でも最初にこのウェルビーイングを図ろうとするときに気がつく指標だと思いますが、これについての主観的指標を採用している国とそうでない国、11ページのほうに少しまとめさせていただいておりますけれども、まず、この主観的満足度を採用している国と採用していない国がございます。
 主観的満足度を採用している中で、我々が見ていく中で、一番積極的に主観的満足度を採用して見える化を図っているのが、デジタル庁さんがやっておられるデジタル田園都市の中の地域幸福度指標、移動でありますとか、住居の状況でありますとか、収益の仕事の状況でありますとか、こういうところについて、それぞれ大体10万サンプルぐらいのインタビューをやっていただいて、それについて満足しているという指標と、自治体とのその政策の進捗というものを対比して見えるようにしているというところもございますし、各国の中でも、例えばイギリス、さらにはオランダ、こういった国は主観的満足度を取った上でウェルビーイングの見える化ということに一定進めているというところはございます。
 ただ、必ずしも現役世代の主観的ウェルビーイングだけがウェルビーイングなのかと言われると、環境省としても将来世代も含めた質の高い生活ということを申し上げておりますし、将来世代にインタビューできるわけではございません。または現役世代が感じているウェルビーイングというものが全てのウェルビーイングなのかと言われると、そうでもないという部分の中で、我々も調べてちょっと意外だったんですけれども、客観的指標が割と組合せの中で、ウェルビーイングの指標として各国でも採用されているというところかなと思ってございます。
 主観的指標と客観的指標、この客観的指標の取り方については、すみません、個別には参考資料2のほうになってしまうんですけれども、それぞれ客観的指標と組み合わせてウェルビーイングのその数値を取っているというところになってございます。
 多少、環境の指標も含めて、ウェルビーイングの指標というところで少し興味深いところを参考資料2のほうに飛んでしまいますけれども、そこをご紹介すると、例えば、33ページ、34ページのところをご覧いただければと思うんですけれども、例えばウェールズでは、33ページにありますように将来世代委員会というものを設けて、その将来委員会のメンバーたちが、将来世代のウェルビーイングというものを考えて、これも客観的指標に追及、追加をするというような議論を国内的にやっておられたりということもございますし、例えば、日本ですぐに採用できるわけではございませんが、36ページ、38ページにかけて環境系の指標ということで言うと、各国に比べるとウェールズは非常に環境系の指標が多く設定されている。例えば土壌中の炭素と有機物の濃度でありますとか、さらには38ページでございますけれども、ウェールズに健全な生態系の面積。これは衛星の画像で上から当てて、緑で覆われているエリアと反自然のエリアを見ていくといったことで見ているようでございますけれども、環境の指標を組んで見ているというようなところがございます。
 個別には、お手元資料をまたご覧いただいて、もしご質問あればお受けできればと思っております。
 本体の資料に戻らせていただきます。本体の資料の中で、各国のウェルビーイングの表現の仕方ということでございますけれども、ウェルビーイングが何か特定の1個の指標に合成をされているということはなくて、ウェルビーイングは基本的に幾つかの指標群という形で、今、それぞれの国がウェルビーイングの表現というものに取り組んでいるところでございます。
 その指標群も、例えば住居だったり、仕事だったり、自然環境であったり、交通であったり、教育であったり、健康であったり、こういうことに関する指標群というものを設定して、この指標群のレーダーチャート、割と平べったいレーダーチャートがギザギザしているところが、大きくなっているか小さくなっているかというところをそれぞれの国が表現を入っているというところでございます。
 こういった現状を踏まえて、我々としてどういったフレームワークでウェルビーイングを把握していければよいかなというところが本日の次の論点でございまして、12ページでございます。ウェルビーイングの指標及び基本計画における重点戦略の指標の構造化ということでございまして、13ページでございます。
 前回もご指摘あったように、ウェルビーイング指標群として平らな平面で捉えるということは一つの方法かなと思っておりますが、将来世代まで含めたときに、環境あるいは自然資本、社会資本も非常に重要でございますので大事だと思ってございますが、やっぱり将来世代まで含めたこのタイムスケールをうまく指標の反映の中で捉えていく必要があるかなと思っておりまして、ウェディングケーキの構造は、やっぱり自然資本が一番下にあって、社会資本がその上で、経済資本がその上で、その上に我々としてもやっぱりウェルビーイングが非常に私たちの生活の接地面積が大きい部分で言えば経済でございますので、その上にウェルビーイングがあるだろうというふうに思ってございます。
 ウェルビーイングが、我が国経済も含めた社会経済の状況に非常に左右されるのは言うまでもないことでございますけれども、将来世代まで含めて、これが掛けるnの世代で、効用が増えていくというようなことを考えたときに、単一の平面の指標としてのレーダーチャートではなくて、ある程度、3段のその構造化をした中で、自然資本に関する指標が3段目の基礎の部分にあり、社会の資本がその上の中段の部分にあり、経済の指標がその上にありという形で、将来の世代まで含めた効用の大きくなり方みたいなところも多少そのイメージに入れた上で、ウェルビーイングというものを立体的に捉えてはどうかというふうなことを考えているということでございます。
 14ページでございます。具体的な指標については、今後また検討のテーブルに載せさせていただきたいと思っておりますが、我が国の中でも、先ほどご紹介した内閣府さん、あるいはデジタル田園都市の指標の中で、経済、社会については、幾つかの指標がもう既にセットインされているというところでございますが、こういった中で、「ウェルビーイング/高い生活の質」の満足度を一番上に掲げながら、「経済」、「社会」、そしてまた「環境」の指標というものを段組みをつけて整理をしていくということが一つあり得るかなというふうに思っているところでございます。
 そうはいっても、環境の指標の中でも個別に重点戦略で描いたトリプルクライシスと言えば、気候変動、生物多様性、汚染、これが三つの危機でございますが、サーキュラーエコノミーなんかを一つ取っても、気候変動の実現のためにはサーキュラーエコノミーが必要不可欠であり、また、生物多様性の回復のためにもサーキュラーエコノミーが必要不可欠であるというところで、いろんな戦略が横に影響する部分もありますし、複数の戦略に効いていく部分もあるというようなところで、多少この辺りは複雑な分類があろうかなというふうに考えておりますが、非常にざっくりまとめさせていただきますと、試案としてまとめさせていただいたのが15ページでございます。
 ウェルビーイングの指標及び重点戦略の指標の表示の仕方、反映の仕方として、自然資本を回復させる資本及びシステム、この中には、例えばグリーンリストとして、環境によいサービス、あるいは物品、こういったものを政策としていかにプロモートしていけるか。さらには人的資本、そういったものも含めて、環境のリジェネラティブと申しましょうか、自然資本の回復に貢献するようなサービス、資本、システムというものも増やしていって、それによって自然資本あるいは社会資本を、社会をよくしていく中で、それを経済、個人の満足度というものに反映をさせていくと、こういったロジックモデルが考えられるのではないかなということでございます。
 16ページ、17ページでございます。
 17ページのロジックモデル自体は、環境基本計画の中でも書かせていただいております資本ストックの拡充、「自然資本」は人類の存続のための基盤であり、その上に経済と社会が成り立っている。そして、また、この回復をさせるシステムを「将来にわたって健全に保ち、その価値向上に寄与する」。重点戦略の中でこういった資本ストックの拡充を進めていくということが書かれていたかと思います。
 こうしたものの拡充を通じて、環境、経済、社会の統合的な向上というようなものに取り組んでいきたい。その中で、市場的価値、非市場的価値を高め、また新しい成長を生み出していくというようなことが基本計画の中に書かれていたかと思ってございます。この地域において取り組む場が「地域循環共生圏」ということだったかと思ってございます。
 18ページでございます。18ページ、環境資本を通じて、先ほどの図を多少細かく描かせていただいたわけでございますけれども、環境資本、自然資本を維持・回復させるシステムを通じて、現役世代のウェルビーイングだけではなくて、将来世代まで含めたこの自然資本を含めたウェルビーイングを拡充していくために、我々としては自然資本、社会資本によい影響をもたらす、この②の部分を、戦略を通じてプロモートしていくというところをメカニズムという形で視野に置きながら、今後また指標、個別の政策との関係性というものをこの6年で可能な限り整理をしていきたいと思っております。
 また、これに先立ちまして、政府部内の各ウェルビーイングの担当部門、例えばデジタル庁さんでありますとか、内閣府さんとかとまた意見交換も実施しておりまして、こういった議論を通じて、政府部内の中でも将来世代を含めたウェルビーイングというものの重要性であったり、あるいはまた今後、SDGsの次の議論というものも国際的に始まってまいりますので、こういった部分の打ち込みというところも含めて、委員の皆様からのご提言を踏まえて、関係部署との連携をより一層強めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 19ページ以降は、環境基本計画、前回の議論の中で今回使った部分を基本計画の中にもあったということで、提示をさせていただいております。
 26ページになりますが、本日ご議論いただきたい事項は主に2点でございまして、ウェルビーイングと指標と重点戦略。世界の標準で言えば、レーダーチャート的に平べったく扱って、環境もそのワン・オブ・ゼムという形で扱われるケースが非常に多うございますが、我々としては、ウェディングケーキもイメージしながら3段で自然資本というものも位置づけていければなと思っておりますが、こういった捉え方についてよろしいかということが1点目。
 2点目としては、ロジックモデルとして18ページに書かせていただいたように、図について、更に考慮すべき点があれば、ぜひご教示いただければと思ってございます。
 冒頭、私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 ありがとうございました。
 それでは、事務局からご説明がございました第六次環境基本計画の進捗状況の点検につきまして、議論を進めていきたいと思います。
 ご発言を希望される方は、会場参加の委員は、名札を立ててください。Web参加の委員におかれましては、ご自身のお名前の横にある挙手アイコンを押していただくか、チャット機能でご発言の希望がある旨をお知らせください。私から指名を受けた委員は、マイクをオンにしてご発言をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。
 では、まず、馬奈木議員お願いします。
○馬奈木委員 馬奈木です。ありがとうございます。聞こえますでしょうか。
○大塚部会長 ちょっと声が小さいですけど、聞こえます。
○馬奈木委員 ありがとうございます。
 現役世代に対しては、主観的な幸福度や満足度などで、ウェルビーイングを判断するというのはすばらしいと思います。また、将来への世代に対しては、同じようにするのではなく、計測不能なので実質的に自然資本など、新国富指標などの国連的な指標を使うことが望ましいと思います。
 環境省の政策においては、それは自然資本に関連するところなので、サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルとネイチャーポジティブに関連するところだと思います。そういうふうに分けて、各関連指標と主観的な指標の両方を目指すというのがいいと思います。
 なお、使い方に関しましては、レーダーチャートはデジタル庁など多くで使われはするんですけども、実質的に各地方行政からすると、それで何かを言えるわけでもないので、相対的に他の自治体との優位性しか見えないので、どちらかというと、効果を社会インパクトで測るなどのツールのほうが使いやすいと思います。そういうものが見えると、自分たちの行政の予算を投じながら、どういう効果があるか、また他の企業体などと連携するかなどが分かるのでいいのかと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。何人かご意見、ご質問をいただいてからご回答をお願いしたいと思いますけども。
 では、竹ケ原委員、お願いします。
○竹ケ原委員 ありがとうございます。
 ご説明をありがとうございました。
 まず、主観的な満足度ではなく、客観的にウェルビーイングを見ていこうという課題認識だと思います。そうすると、各国がそうであるように、一定の基盤とかフレームワークを用意して、そこに乗っかっている人が、現役世代であれ、将来世代であれ、満足度を上げていけるかを示すことになり、自ずとダッシュボード的に色々な政策の効果を並列して見ていかざるを得ないことになると思います。
 そこにあえて構造的にウェディングケーキモデルを入れて、全ての活動が基盤である自然資本の上で展開され、新たな成長を通じてウェルビーイングにつながるというのが六次計画のエッセンスだと思います。そうすると、点検としてどこを見るべきか。例えば18ページのメカニズムでロジックモデルとしては十分に描かれていると思うのですが、あえて構造化した趣旨に鑑みれば、18ページの一番下にある資本ストック(シン・自然資本)の囲いに関して、内部の①環境と②システムの関係性、あるいは②のシステムと社会・経済との接続が重要になっていると思います。特に社会の領域では、各省の政策と重なる部分も多く、この六次計画を介して総合政策部会を全部見るということではなく、各省や各部会の議論を踏まえて検討していくことになると思いますが、そうすると、全てを同じ重み付けするのかが気になります。
 階層化する以上、自然資本が維持された効果が、この多様な④の経路で波及していく過程、成果がどこにどう跳ねるのかという図の縦のパスの関係性をみていく必要があるわけですが、これが個別・均等に見られないのだとすれば、私個人的には、今回の計画で打ち出された「新たな成長」という軸で総合的に見ていくこともありではないかと考えます。「新たな成長」は、六次基本計画のエッセンスだと思いますので。
 各省の成果も含めて、ある程度ダッシュボード的に見ていくにしても、この検討の場での議論の中心は、まず自然資本がちゃんと維持されているという前提に基づき、それが新たな成長、まさに経済のグリーン化とか産業のグリーン化に寄与しているか。それが最終的には社会に裨益し、個々のウェルビーイングにもつながっていくか、という方向で、新たな成長にかなり比重を置いて、力点を置いて評価をしていくと、このロジックモデル全体を、所掌の制約を超えて、環境省固有の領域として見ていけて面白いのではないかなという気がしました。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、三好委員、お願いします。
○三好委員 ありがとうございます。
 私もちょっとうまく説明できるか分からないんですけれども、このロジックモデル、こういうふうに構造化していただいたので、ちょっと全体で考えたときに、私も主観指標と客観指標、両方必要かなというふうに思うのですが、国の政策として、ウェルビーイングを推進していくときに、これが最終的な目標であるということを今明記して、個々の施策がそこに向かっているんだということ、個々の施策がそこにつながっているんだという評価をするための分かりやすい指標というのが出てくると、今後、進めやすいのかなというふうに思います。
 特に、次の世代、その先の世代のことのウェルビーイングも踏まえてということであれば、今、もう既にシミュレーション等で、もうこのまま行くとよくないという科学的データが出ているので、データを基につくっている情報を元に何をどういうふうに改善していけば、次の世代のウェルビーイングにつながるかという、関連性がわかる指標にすることがいいかなと思います。
 特に、先ほど竹ケ原委員もおっしゃられていましたけど、主観指標はやっぱり“自分が幸せになる”、“幸せと感じる能力”みたいなのも必要で、それのベースになる幸福度がかなり高い水準であったとしても、不幸と感じたら不幸と感じることもあるんです。それはやはりちょっと違うところでカバーしないといけないものなので、公共として最低限取り組むべきものを政策として取り組むときに、その政策が発揮できているかどうかということを点検する道具としてのウェルビーイング指標という点に少し特化というか、この場合は注力していくことが今後使いやすい形になるのかなというふうに思いました。
 ちょっと分かりにくかったらすみません。以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 河口委員、お願いします。
○河口委員 ありがとうございます。
 今、お二人の委員の質問にもかぶるところがあるんですけれども、私たちがやるのはどの範囲なんでしょうかということがよく分からない。これを全部やるんですかと。先ほどの説明で、各省庁がつくっていると、環境省版もあって、経産省版とつくるのと。それはもう国民的に税金の無駄遣いなのでやめていただきたい。
 でも、みんな混乱するだけですからね。厚労省的ウェルビーイング的にはオーケーだけど、環境的にはNGとかと言って、何をやればいいんですかという話になるので。やるとしたら、国で全部まとめるのが筋ではないかなと。第六次基本計画を見たときに、何か変だなと思ったんです、できてから。その前に言えなくて申し訳なかったんですが。
 となると、国として、やっぱり経済と環境の好循環ということは言ってもいいんですけど、環境省が経済の好循環とは何ですかと。国として、環境省というのは地球環境というものがステークホルダーなので、そこの最大限のステークホルダーの利害を尊重する立場で、経産省が経済のことをやって、国としてそれを足して2で割って環境と経済の好循環と言っていいと思うんですけど、環境省のほうから引いちゃって、経済とかと言っちゃったらば、何かものを値切るときに、7割が落としどころだというときに、最初は5割まで削減しろとか言って、結果として7割に落ち着くというのに、最初から落としどころの7割を環境省が言っちゃっていいんですかということもあるし、これは、じゃあ、環境省としてどこまでやるんですかと。
 今のご説明で、18ページの①、②、③、④というのは環境省の管轄だと思うんですけど、それ以外はほかの役所がやるような話ではなかろうかなと思うので、そこも我々が環境省バージョンでやるんですかと。どう考えても、それはよその部署に、省庁に蹴散らされそうなんですけど、それをやるのかと。それはもうかなり無駄になるんではなかろうかと思うので、いかにこの基盤のところをほかの省庁の人たちに説得できるようなものをつくっていくというのが我々の役割ではないかというのがまず一つの質問であり、意見です。なので、余計なことはやらない。
 それから、何か人々のウェルビーイング/高い生活の質となると、人間中心主義になるので、やっぱりそれでいいんでしょうかということも問いたい。ほかの省庁は人間社会のことをやっているから、人間のためのことを考えて、貧困問題とかいろいろとやって、それでいいと思うんですけど、環境省というのは自然を相手にしているので、それは人間がそれが評価できる、できないということで、人間の評価できる能力を指標としちゃっていいのかなと。
 例えば、最近、水田でカエルがうるさいとか言って、農家に文句言う人とか、一方で、カエルの声を聞いて田園に来たというふうに思う人もいると思うので。だから、例えば自然環境に対しての需要度が高まるかみたいな部分は、環境省的な主観的指標として入っていいと思うんですけど、じゃあ、カエルが嫌いな人のウェルビーイングのために、田んぼに農薬を撒くんですかみたいな、そういう変な議論になりかねないので、この辺りは、環境省としてどこまでウェルビーイングというのかということを、今日の議論とかを踏まえてきちんと決めていただきたいなと思います。
 以上です。
 それで、もう一つ追加で、あと、自然の価値を評価できる教育みたいなのもぜひ指標に、その中で入れていただければと思います。
○大塚部会長 第五次環境基本計画以来の議論についての根本的なところを指摘していただいたと思います。
 カエルの騒音に関しては、実はドイツで最高裁まで行った判決がありまして、絶滅に瀕しているカエルに関しての判決がありまして、面白いご指摘をいただいたと思います。
 では、井田委員、お願いします。
○井田委員 ありがとうございます。
 ちょっと抽象的なことから申し上げると、これは点検というのは今から始まるものなんだと認識するんですけども、僕はそれでは駄目だと思うんです。
 この議論が一番最初に始まったときに、30年の過ちによる振り返りをきちんとしなさいと申し上げたんです。それをやらないといけない。漁業資源の言葉でシフティング・ベースライン・シンドロームというのがあって、基準が動くと、それからのことに誤解が生じると。シフティング・ベースライン・シンドロームに陥るから、1990年から一生懸命やっているEUが、最近はやっていなくて、日本はちゃんとやっていますという議論になるんですよね。
 点検をやるにしても、点検の本体じゃないにしても、過去の過ちというのまで振り返ってやらないといけないと思うので、過去はどうなったか、じゃあ、これからこういうふうな世界、社会をつくって、こういうのを描いていきますという過去の過ちの振り返りというのも多少はやらなければ、この全く新しい社会をつくろうという心、それをつくって評価していこうという試みなので、それをやることが重要だと。これは抽象的なお話ですけども、ぜひ昔からの、ちょっと前のことから回ってきて、なぜこれをやることになったのかというロジックづけが必要かなというふうに思います。抽象的なお話なんですが。
 もう一つ、抽象的なお話なんですけど、私が申し上げるまでもないけども、環境問題というのは地域間の不公平という、地域間の不正義というのと世代間の不正義というのが、これが常について回る。そして、ウェルビーイングの環境、自然資本を基本として、どうウェルビーイングを高めていくかということを考えたら、これ、ちゃんと今日の資料を見る限り受け止めていただいているとは思うし、私も前に言ったことなんですけども、我々の暮らしと今の暮らしが、海外の人々のウェルビーイングの低下にどれだけ寄与してしまっているかという中で、逆に言えば、これから海外の人々のウェルビーイングをどう上げていっていくようになるのかというような、これは難しいんですけども、やっぱりそれを評価に組み込んでいかなければならないというのが1点。
 あと、世代間の不公平、不正義というのも、今お話がありました、三好さんもおっしゃいましたけども、これ、先を描くことは結構可能なんですよね。いろんな議論があって、プロジェクションはいっぱいあるので、将来の世代がここにいないからといって全然議論できません、評価ができませんということにはならないと思うので、様々な先を予見的なデータなどを見て、ちゃんと将来世代のウェルビーイングという視点を入れるということが重要だと思うし、それをおっしゃったというのは非常に重要だと思います。
 ウェディングケーキなんですが、これは、私は第五次のときから関わっているので、そのときに一番最初に申し上げたのが、このウェディングケーキのことを考えなければならないと申し上げて、ようやくここまで来たかというとちょっと傲慢な言い方になりますけども、これはもうこれからの社会をつくっていく上での基本なので、レーダーチャートのような二次元的なものではなくて、やっぱり構造的に自然資本から始まって経済社会というふうに行くというようなモデルでやるというのは大賛成だし、逆にこれをやらないと、きちんとした評価には、環境基本計画のレビューというものにはならないと思うので、ぜひこの考え方は、これも難しいにしてもこのまま進めていっていただきたいと思います。
 あと、環境省は下だけをやって、河口さん、そうおっしゃったとは理解しないんですけれども、環境省は下だけをやっていいかというのは間違いだと思うので、これもいろいろデータがあるので、他省庁の経済とか社会の分野に手を突っ込むということも恐れずにやっていくべきだと思います。
 すみません、以上、抽象的な考え方なんですが、私からの意見でございます。
○大塚部会長 どうもありがとうございます。
 では、石田委員、お願いします。
○石田委員 私も、省庁が複数のウェルビーイングを策定することには懸念をもっていますが、今回、日本のウェルビーイングは環境省版だという意気込みがあり、それ自体は評価できると思います。
 また、このウェルビーイングを評価指標に組み込んで、政策の方向性を決めるという試みは非常に意義深く、特に「自然資本がウェルビーイングの基盤となる」という考え方にも強く共感します。
 自然資本の健全性は、人間の生活の質や安全性に直結しており、その改善がウェルビーイングの向上を維持するということは理論的に明快で、指標としてよく構築されていると感じます。
 ただし、現在の自然資本の状況を見ると、気候変動の影響を強く受けており、平均気温の上昇に伴い、災害リスクや熱中症などの健康被害の拡大を招いています。
 このような状況では、自然資本はむしろウェルビーイングの低下をもたらしている要因になっている可能性もあり、現時点で自然資本の評価をウェルビーイングの向上と直接結びつけることは、慎重さが必要だと考えます。
 気候変動の主要因は、過去数十年にわたるGHGの累積排出量に比例しており、現在の炭素削減活動によるGHG排出削減の成果が顕在化するのは10年から20年のタイムラグがあります。
 このため、直近の活動を点検し、その成果をウェルビーイングに反映しようとすると、むしろ脱炭素の取組を進めると気温が上昇して、ウェルビーイングを低下させることに見えてしまう懸念があります。実際にはそうではないものの、タイムラグを考慮しない評価は、気候変動対策の進捗がウェルビーイングの現状評価を悪化させるという逆効果を生む可能性があります。したがって、政策効果とか社会的評価にそのまま反映するには注意が必要です。
このため、定量的、長期的な評価軸と短期的な社会的影響は切り離して考えるべきかもしれません。あるいは、ウェルビーイング全体ではなく、それを構成する要素として、先ほど河口委員の発言とは逆かもしれませんが、脱炭素活動の評価は経済や社会の貢献を重視する方が適している可能性もあると感じています。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、船越委員、お願いします。
○船越委員 ご指名、ありがとうございます。
 この環境経済社会の統合的向上の実現によって、国民のウェルビーイングを実現していくという理念、それを落とし込んだ指標設定なり、レビューの進め方については、当然賛同するところであります。
 その上で、2点コメントをしたいと思います。
 1点目は、統合的向上はとても重要でありますけども、これが同時に進むかどうかという問題は、よく認識しておかないといけないと思います。ウェディングケーキモデルであるように、環境が軸というふうに考えることはベースであるということであると、一旦はトレードオフの関係にある、経済をある程度というか、一旦はトランジションとしてちょっと犠牲にする状況が発生するということ、即ち、同時に全てがよくなるというふうにあまり思わないほうがいいという認識を持つべきという点です。
 例えば、手前みそで恐縮ですけども、我々鉄鋼業界も、製造過程におけるCO排出量を削減するということでプロセス転換を図っていくわけですけども、これは同じ品質の鉄を作るために、あえてコストの高い作り方をするということですので、じゃあ、どうしてやるんだっけというと、それはやっぱり環境を軸に考えていくという中で、そういった判断をしていっております。最終的には、品質が変わらないものを高く買うという、そういう意識が伴ってくるということが将来醸成されていくということを前提にしているわけですが、やっぱり当然時間軸というか、トランジション的なものの発想が必要で、これらは同時に進むんだよというのでは、なかなか国民の理解を得られないんじゃないかなと思います。こうした状況は鉄に限らず、SAFの議論にしても、サーキュラーエコノミーの問題にしても、要するにコストがかかるという面は多分にあるわけですので、それに対するトランジションとしての認識を全員が持つ中で、当然環境が軸にある中で、結果としての共進化を進めていくという、そういうタイムラインを入れたような概念整理が必要ではないかなと思います。
 2点目は、この共進化は、多分人口が増えていく世の中で言えば、経済のパイが増えていくので、そうは心配ないと思いますけども、それこそ1年間に生まれてくる出生者が70万人を切るみたいなことになり、これがおそらく更にどんどん減っていかざるを得ないと考えられる中で、5,000万人ぐらいの国でやっていかなきゃいけないという時代が来るという想定をし、どう共進化を進めていくかという議論が必要ではという点です。
 そうすると、世の中全体が合理化というか、効率的に進むような仕組みになっていかないと、ウェルビーイングが達成されないという気がしています。じゃあ、生産性を上げるためにどうするかというと、多分いろんな観点があるんでしょうけど、私が思うのは二つです。一つはよく言われるAI化とかロボット化とか、仕事をなるだけそういったものに置き換えていくという話。そうすると、世の中全体で電力消費量が上がっていくということは間違いない中で、そこに環境を軸ということで考えると、第七次エネルギー基本計画が言っているように、原発も再生可能エネルギーも両方推進し、それが電力量消費が上がっていく中での安定、安価な電力供給につながるという概念整理になります。したがって、第七次エネルギー基本計画がしっかり進んでいくということを見ていくことも、多分ウェルビーイングとしては重要だろうという気がしています。
 2点目は、国全体の仕掛けとか仕組みの合理化が必要という話です。以前、道州制みたいな議論がされましたけども、これも何かその後、さっぱり沙汰闇になりましたが、例えば自治体の統合とか、地方政治の在り方とか、そもそも衆議院とか参議院は両方要るんだっけみたいなことも含めたような、そういう国全体の仕組みを考えていくみたいなことも、ウェルビーイングの議論の範疇に入っていくべきと思います。
 要するに、環境省発の環境を軸とするウェルビーイングをいろんな施策の局面でフォローしていくことが重要だろうと思っていまして、ここで問われている、どういう指標でやっていくのかという問いへの直接的な解になっていなくて恐縮ですけども、ウェルビーイングを軸とするという中で言うと、タイムライン的にも施策的にも広がりを持つものとしてしっかり見据えていく、それのオリジンのベースの考え方になるのがウェルビーイングだみたいな、そういう引っ張り方なのではないかなという気がしています。
 以上です。
○大塚部会長 人口減少の視点、重要ですので、ありがとうございます。
 では、豊岡委員、お願いします。
○豊岡委員 ありがとうございます。
 3点、申し上げます。
 環境省型でいいのかということを今議論されていると思うんですけれども、私は、環境省だからこそ、他省庁に言える論点があると思っていて、それがやっぱり資本ストックの部分だと思うんですよね。ここをやってくれるところはないわけですし、逆に言うと、ウェディングケーキのベースがなければ上は乗らないという議論をさんざんしていて、それを他省庁さんにもっと言っていいのではないかというふうに思います。
 そして、それは、満足は意味の多様性がすごくあります。人によっても違うし、指標が難しい。けれど、不幸は割と似ているんですよね。苦痛がない状況であったり、健康であったりとか、経済的に貧困でないとか。不幸は割と指標が簡単とすれば、資本ストックが損なわれれば、その上には何も乗らないのだから、環境省はここのところを減点では駄目ですよねというふうにきっちりと言っていけるぐらいのしっかりとしたリーダーシップを取っていただきたいというのが1点です。
 2点目が、これ、そしてこの指標は今の論点ですよね。将来世代も生物多様性もというふうに、これも環境省ならではでいくと思うんですけれども、ちゃんと予見的データをここに、気象データも、それとインフレも、それと食料供給もです。そういう予見的データを出したときに、どうしなければならないかというところを入れないと、これは間違っていってしまうというふうに思います。特に、今、非常に国際的にも気候的にもどんどん加速をしている状況。少子高齢化も含めて予測より早く進んでいる状況においては、この予見的データを入れた対策というのが必要と思うので、これ、プラス予見的な指標モデルというふうにしていただきたいというのが2点目です。
 それと、環境省の施策が対応しているかどうかというところもちゃんと点検をしていかないと、これも間違うと思います。先月、スペインとかスコットランドとかへ行ってきて、再エネ100%ぐらいで回しているというようなところ、電力会社も含めて、政府も含めて、自治体も含めて回ってきましたけれども、リーダーシップをしっかり取っていて、合理的な対応をしているし、合理的に予算を使っているなというところが非常に違うなと思っていて、便益と効果をしっかりともたらせるかどうかというようなそういうリーダーシップ、法律もです。きちんとこの資本ストックを守るために、再エネを進めるために、そしてウェルビーイングを達成するためのちゃんとした予算、法律になっているかどうかというところも、ぜひ視点に入れていただきたいなというふうに思います。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、田中里沙委員、お願いします。
○田中委員 田中です。
 まずは、各国、各省庁のウェルビーイングに関する指標を丁寧にまとめていただきまして、大変参考になりました。ありがとうございます。
 事前の宿題的に今日の議論のテーマでいただいてきたものが14、15ページにありますが、考慮すべき要素として見たときに、この表から推察して、例えば時間的な資源、時間の公平性や、あとデジタル包摂とかAIの影響は多分あるだろうと思います。また、生きがい、孤独、孤立の課題も、貧困格差のところにまとまってはいると思いますけれども、そのような言葉もあったほうがわかりやすいのではないか。文化歴史の部分においては、地域の文化参加を重視したいです。これは他国の事例にもありましたけれども、参加を通じて、伝統文化の継承とか地域文化活動への参加率向上など、人生の意味づけが変わってくるかと感じます。
 今日の会場での先生方の問題意識から、スケール感に触れて、また新たに思ったことが、15ページ及び18ページの表に関して、各項目から矢印が伸びていて、いろんな色で連関が表現されているところで、どのぐらいの意味合いを強く込められたかどうかはちょっと分からないのですけども、この矢印にこそ、環境省の役割や存在意義があるのではないかと思います。
 先日、東京大学で森林のCO吸収を研究している先生が主役の、地方テレビ局制作の番組を見ました。なぜ先生は森林の研究を続けるのかという問いに対して、「貧困をなくすためですよ」と。裕福ではなかった子ども時代の経験から現在に至るまでの人生の中で、貧困の格差をなくすためには、自然環境ですよと。森からやらなきゃいけないということと、先人たちがやってきた研究の、巨人の肩に乗って、これを継承していくんだというお話に感銘を受けました。教授に影響受けて研究に没頭する学生さんや、一度民間企業で働いてから戻ってきた大学院生がいたり、今日も明日もすぐに成果は出ないけれども、一生懸命研究に取り組み続けているというのを見て、これはすごいことだなと思い、この矢印の意味を改めて感じたところです。
 ウェルビーイングで、現代人の指標を、この状況でモニタリングして点検してということはできると思うのですけれども、そもそも私たちはコモンズと共に生きていて、コモンズを守りながら活用してきた先人がいて、現代人、私たちがいて、これをどういう形で受け渡していくのというところが問われているわけです。物を人に渡すときは、私たちの誰もがちょっと配慮したりとか、人に何かを差し上げるときもきれいにしたり、思いを込めたりしますので、そういうふうなことが、今ある資源を使って未来への知を生み出していくという活動になりますし、それこそが、実はどんな状態にある人でも、精神的な生きがいとか、人間としての尊厳とか、あと、孤独を超えて希望感とか、そういうことになってくるのかなというふうに思います。
 私は、社会人向け大学院で事業開発やイノベーションを考える研究をしているのですけども、それは新しい事業をつくってスケールして、お金を得ようということだけではなくて、やっぱり今の生活をよりよくしようとか、人々の暮らしを豊かにしたいとか、少しでも改善をして雇用を増やそうとか、そういうふうに取り組むことなので、この活動こそがウェルビーイングではないかと思いますし、このことをやることでウェディングケーキも仕上がるのではないかとイメージができます。民意のことも重視される中、政策や施策について民意を一つ一つ得ていくという、何かこちらから受け渡して民意を得るというふうなアプローチではなくて、全体の理想に向けたアクションプランとして、行動指針として理解をしてもらって、ここに参加をしてもらうことをやらねばなと思いました。
 次世代を生きる若い世代の未来社会に、私たちはまだ知見はありませんので、将来世代の人が、どういう未来にしたいかと思っていることを尊重して、そこに私たちがそのレガシーをどう受け渡していくかとか、そういうふうなことを考えるということ自体に、思いをシフトしたほうがよいのかなと思います。よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 あと会場の方、お二人にご発言いただいてから、オンラインのほうに移りますので、オンラインの先生、遅くなってすみません。
 では、堅達委員、お願いします。
○堅達委員 外国の事例とかいろいろご紹介いただいてありがとうございます。
 私も、イギリスでは、例えば2021年にダスグプタ・レビューができたときに、この「包括的な富」という指標を全政策に活かすと、財務省が打ち出しているということも聞いていますので、今回の資料には出てきませんが、そういう政策の隅々に、この理念を行き渡らせるという、その具体的なところが一番大事なのではないかなと思います。
 つまり、測る、今、測り方を議論しているんですけど、測っても、実際によくならなかったら意味がないんですね。測るだけ測って、時間がかかったけど、すごく測って、結果として下がっていましたということだけが分かってもしようがないので、ウェルビーイングを上げた人が得をする仕組み、これを構築できるかどうか併せて考えなきゃいけないし、これは環境省的に言ったら、その土台となっている自然資本を増やした人、豊かにした人が得をする仕組みをちゃんと併せて構築していくということをやらなければいけないと考えております。
 もう一つは、どこまでやるのかと。環境省がそこまで全ての所轄を持っていないことは存じ上げておりますけれども、でも、声を大きくして、政策全体の優先順位をどう上げるかということが一番大事で、これ、ウェルビーイングという言葉、ここでは今議論していますけど、今回の選挙で、聞いていますか?何か全然、一般の人から見てウェルビーイングとは、何なの、それ?というぐらいのレベルで、今、日本の国がこれを本当に優先順位を高くして、国民の皆さん、ウェルビーイングなんですよと、本当にみんな言っているのかといったら、残念ながら言っている方もいらっしゃるとは思いますけれども、あまり聞かれていない。このレベルをどう上げていくのかというのは、ここ数年の一番大きな課題ではないかなと思います。
 特に、まちづくり、インフラ。これ、一旦造ったら、もう本当に長年使うものだから、ここを造るときに、どう、それがこの指標によってチェック機能が果たされて、いい方向へと向かっていくのか。あるいは、農林水産業。これは本当に今、米農家と消費者、どっちのウェルビーイングを(見ているのか)、トレードオフの部分もあるのは事実なんですね。そこをちゃんと全体が最適化できるような理念をちゃんと打ち出せるのかとか、あるいは教育の世界でも、このウェルビーイングが大事なんだということがちゃんと伝わっていますでしょうか。そういうときに環境省として、もちろんやれる所轄は限られているかもしれないけど、これがやっぱり大事な理念なんだということを、もっとアピールしていけるようにしていただきたいというのが1点です。
 もう一点は、やはり、今、気候の状況が非常にまずいと。もうこれ下手すると手後れになってしまうということなので、スピード感をちゃんと持つということが大事です。6月に梅雨が明けちゃう。この間の東京のゲリラ豪雨、1時間に100ミリ以上で、渋谷駅から雨漏りしちゃう。
 原子力発電のお話がありましたけど、今、欧州では、ヨーロッパでは、暑過ぎて冷却水として原発を冷やせないとか、からからに乾いて取水できないとかという事態が現実に起きている。
 こういったことを考えると、やっぱり私たちは、もうちょっとスピード感を持ってやらなければいけないし、ちょうど6月30日から7月の上旬に、イギリスのエクセター大学でグローバル・ティッピング・ポイントサミットというのが開かれたんですが、AMOCという循環とか、あるいは氷の溶け方とか、アマゾンとかが、相当もうティッピングポイントのエッジに来ているということを、世界の科学者は懸念しています。
 それどころか、今、トランプ政権の逆風というのは半端ない状況で風が吹いていますので、私たちがこの指標を考えるときに、やっぱりぶれない、科学に基づいてちゃんとやるんですということを、日本としてはしっかりと打ち出すということが私は一番大事だと思います、観測をしっかり強化するということも含めて。
 それで、最後に申し上げたいのは、田中委員もおっしゃっておりましたけれども、これは将来世代のウェルビーイングも考えるのであれば、測る際にも、若い世代の参画、これが絶対に必要だと思います。今日、平均年齢は何歳ですか。全然、はっきり言って未来を生きていく20歳代の人とか、もう入っていないわけですよね。何らかの形でしっかりと、この測るところに若い世代の参画がちゃんと担保される仕組みというのも、この将来世代のウェルビーイングを言うのであれば、ぜひ考えていただきたいということを申し上げたいと思います。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、男澤委員、お願いします。
○男澤委員 ありがとうございます。
 各国のウェルビーイングの指標の取りまとめ、大変参考になりました。ありがとうございます。また、このロジック、整理していただきまして、ありがとうございます。
 私からは、1点、質問なのでございますが、17ページの(1)の※の注のところでございます。この「自然資本を維持・回復・充実させるための資本およびシステム」の全体像は、現時点では取得可能な指標では捉えることができないということでございますが、もし、現時点で何か想定していることがございましたら、ご教示いただければと思います。
 何かここで総合的な指標の設定等を、もし考えられているといったときに、この複雑な資本の関係を少数の指標等で把握することが適切であるかどうかについては、慎重な検討が必要ではないかと思ったからでございます。
 例えば、図にもありますとおり、こうした複数の資本の間では、短期的にはトレードオフの関係が生じることが十分想定されてまいります。そうした中で、資本間のバランス等も考慮しながら意思決定を行うことが重要な場面が、想定されるところです。そうしたときに、何か算定式に基づく統合的指標の結果が、意図しない結果をもたらすような可能性については、十分留意していく必要があると思った次第です。 
私からは以上です。
○大塚部会長 では、オンラインの委員のほうに移りたいと思います。
 末吉委員、お願いします。
○末吉委員 ご指名、どうもありがとうございます。ネット環境が弱いので、マイクのみで失礼いたします。
 私からは、まず全体について一つ意見を申し上げて、その後具体的なことを数点、言わせていただきます。
 まず、冒頭でご説明いただいていましたけれども、改めて申し上げたいのが、国民一人一人の生活の質を高めるという政策目標は、国家が総動員して取り組むべき非常に大きな目標であると思っているので、日本政府全体で参加する総合的な政策がなければ実現しないと思っております。
 この政策において、最も大事なステークホルダーは誰かといえば、やはり地球と、それから人間ならざる者、さらに、将来世代も含めた国民一人一人であると思っています。よって、国民一人一人が理解して参画できる政策決定、または実施プロセスが必須だと思っています。国民一人一人が理解して参加するためには、一人一人のリテラシーを高め、情報を届け、学びを提供していく必要があると思っております。
 今、学校教育の中でも、SDGsやエシカル消費については教えられていますけれども、ウェルビーイングという言葉はほとんど使われていないですし、教えられていないと思います。大人も含めて、ウェルビーイングをちゃんと理解している国民が一体どのくらいいるのかと。非常に難しい考え方なので、ウェルビーイングが一体何なのか、丁寧に説明していく必要があると考えます。環境計画の議論も、それにマッチした議論にしていくべきだと思います。専門家だけが理解できる中身ではなくて、ごく普通の人たちが理解できる言葉で、理解できる内容で、政策目標ですとか実行の在り方を議論すべきではないかと感じています。
 ここから少し具体的なことになるんですけれども、資料2の14ページに重点戦略の指標の分類を出していただいておりますが、先ほどトリプルクライシスとおっしゃっていた気候変動、生物多様性、汚染の三つ挙げてくださっていますけれども、そもそも環境のウェルビーイング指標がなぜこの三つだけになったのかよく分からないので、ご説明いただけたらと思います。
 我が国の2025年、26年に抱えている環境起因のウェルビーイングの深刻な欠損例を、もっと具体的に挙げてみてからでないと、重点戦略を議論することはできないのではないかと感じています。例えば、ウェルビーイングでの観点で気候変動という課題があるとすると、住む場所が減る、食べ物が取れなくなる、人々に栄養が行き渡らない、熱帯病のリスクが広がる、熱中症リスク、子どもがスポーツができなくなる、異常気象で災害のリスクが高まる、高齢者や障害者、子ども、病気を抱えていらっしゃる方など立場の弱い人たちにも影響があるですとか、多様な方々の生活にどう影響があるのかまでを落とし込む必要があるのではないかと思います。
 なので、まずは課題が何なのかを、過去を振り返りつつ、もっと具体的に掘り下げていかない限り、戦略について議論できないのではないかなと思います。第六次ですので、今フォーカスしてやらなければいけないこと、また、この先、もっとシビアになっていく課題をしっかりと入れていくべきだと思います。一般市民や企業、あとは一次産業に携わっていらっしゃる方々など、多くの人たちから、環境の視点で困っていることを、もっとリサーチをして声を拾い上げていくことで、深刻な課題というものも見えてくるのではないかと思っています。
 それから、参考資料2についてですけれども、海外の様々な指標を出してくださって、私も非常に勉強になりました。35、36、38ページ辺りに、我が国の環境につながるウェルビーイングの指標には、「環境」と赤字で書いてくださっています。
 ただ、環境と一見関係のないような指標が、実は環境起因の課題とつながっているという場合もたくさんあると思います。例えば、38ページの週3回以上スポーツ活動に参加する人の割合というのも、温暖化で暑くてスポーツができなくなっていくかもしれない、ということにも関係しているのではないかと思うので、「環境」とマークをつけているところだけではなく、しっかりと見ていく必要もあるのではないかなと思っています。
 最後に、先ほど堅達さんがおっしゃっていましたけれども、やはり将来世代のことも含めて考えていく必要があるので、先ほどウェールズの事例で将来世代委員会というものをつくっていらっしゃるということでしたけれども、こうした趣旨の委員会を開催し、そこに若い人たちにも入ってもらい、意見をもらうということが非常に重要であると考えています。
 以上となります。ありがとうございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、山戸委員、お願いします。
○山戸委員 ありがとうございます。
 前回も申し上げましたとおり、産業界といたしましても、第六次環境基本計画で示された「環境、経済、社会の統合的向上を通じて、将来世代も含めて国民のウェルビーイング、高い生活を実現する」ことに貢献してまいりたいと考えております。
 指標についてでございますけれども、本日のご説明で、将来世代も含めたウェルビーイングの定義や評価指標については、大変幅広い議論があることをお伺いいたしました。私どもも従業員のウェルビーイングを一つの目標に掲げて、グローバルでビジネスを行っておりますが、ウェルビーイングの捉え方は世界の地域ごとに異なっており、多様であることを実感しております。
 今後、日本が目指すウェルビーイングの指標について、具体的な検討を進めていただけるとのことですが、日本が将来世代も視野に置いてしっかりと取り組んでいくことを海外でも共感いただけるような、そんな指標についても幾つか考えていただければと思っております。
 自然資本からウェルビーイングへのメカニズムについてでございますけれども、今回、事務局からお示しいただいた「自然資本からウェルビーイングに至るメカニズム」につきましては、今回の資料1の6ページで記載されているとおり、「我が国は、海外の自然資本にも大きく依存している」と考えております。グローバルにビジネスを行っている産業界といたしましては、ネイチャーポジティブに加え、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーについても、日本だけでなく、グローバルで統合的に対応していく必要があると認識しております。
 現在、欧州など海外において、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブに関連して、各種の規制、情報開示などのルールが施行あるいは検討されています。日本政府におかれましても、日本の産業界の真摯な取組が、日本だけでなく各国の政府、投資家、お客様にも適切に評価いただけるように、このような分野の規制やルールについても国際的な調和が図られるように、一層ご尽力いただければと考えております。ぜひ幅広いご議論を、引き続きよろしくお願いいたします。
 以上です。
○大塚部会長 非常に具体的な話もしていただいたと思います。
 棚橋委員、お願いします。
○棚橋委員 ありがとうございます。
 2点、お話しさせてください。
 一つは、今ちょうど画面に出ている18ページの自然資本から質の高い生活に至るメカニズムという、この図ですけども。
 あまりにきれい過ぎて、何か非常に違和感があります。14ページのところの重点戦略の指標のイメージの中には、ウェルビーイングの中に気候変動、生物多様性、それから廃棄物の問題、こういったものが示されているわけですけども、この三つは、ウェルビーイングを阻むものですから、18ページの高い生活の質に至るメカニズムの中に、阻むものを何とか解決をしていくということがきちんと示されてこそ、環境省ならではのウェルビーイングというふうに感じます。
 先ほどどなたかがおっしゃいましたけども、日本全体でこれをやるわけですけども、そこで、環境省ならではの主張、見方、視点といったものが明確に出てくることがやはり大事かなと思います。
 2点目ですけども、将来世代を含めたウェルビーイングという話が出てきました。教育に関わることだと思いますが、教育は、あまり今、こちらのほうを向いていません。環境の問題とか、気候変動とか。今年の3月にある財団が取った18歳の意識調査では、18歳に至るまでの間に、環境教育とか、ESD(Education for Sustainable Development)とかを体験した子たちは、非常に心配している率が高いのですが、そういった経験のない子どもたちは、そのほとんどが心配していない。また、何を言っているかよく分からないというような答えをしている子どもたちの割合が非常に高いのです。
 日本全体を考えたときに、環境教育やESDをしっかりやっているという学校がそんなに多いわけじゃありません。そうすると、将来世代のことを考える。将来世代を担っていく子どもたちの教育をどうするんだということも、しっかりと捉える必要があるかなと思います。教育については文部科学省の範疇かもしれませんけども、環境教育やESDについては環境省としてしっかりと指摘をしていただくということが必要かなと感じました。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。後で、18ページのところについてはお答えいただけると思います。
 では、山本智美委員、お願いします。
○山本委員 電波が悪いため、マイクのみで失礼させていただきます。
 まず、ウェルビーイングについて、いろいろな資料や調査結果を提示していただき、ありがとうございました。大変勉強になりました。産業界においても、この第六次基本計画を、市場価値と環境価値の両側面から、しっかりと進めていかなければならないと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 その上で3点コメントさせていただきます。
 1点目が、ウェルビーイングへの共通認識づくりについてです。これから、環境政策がウェルビーイングにどのようにつながるのか、道筋を整理していくことになると思いますが、事務局からもご説明があったとおり、ウェルビーイングについては、世界各国のみならず我が国においても、定義や指標が統一化されてないという状況です。したがいまして、点検のための指標に組み込もうとする中では、議論の前に、まずはウェルビーイングという言葉に対する定義をそろえ、共通の認識づくり、目線合わせを行うことが重要ではないかと考えております。
 2点目は、市場価値と環境価値のバランスです。指標や要素については、足元の経済活動や、将来世代への影響、これを常に考えていくということが必要だと思いますが、この非常に難しい課題に対して、時間軸を捉えながら、市場価値と環境価値、これを両方見ながらバランスを取っていくということが重要だと考えます。
 3点目が指標の分かりやすさです。政策の実効性を高めていくためには、分かりやすさや取り組みやすさ、この観点も重要ではないかと考えます。そのためには既存の指標、世界共通のフレームワーク、これを活用することも検討していければと思いますし、これによって実務面でもスピード感を持って進めることができ、効果的な指標になると考えます。
 また、それを進めていく上では、中小企業に過度な負担がかかることなく推進する仕組みづくりも重要になると思いますので、ぜひ議論していただきたいと思います。
 今後とも、幅広いご議論、ご検討をよろしくお願いいたします。
 以上です。
○大塚部会長 指標の作り方に関してのご示唆もいただきまして、ありがとうございます。
 では、諸富委員、お願いします。
○諸富委員 ありがとうございます。
 2点、申し上げさせていただきたいと思います。スライドの18についてであります。
 左のほうから、①と書いてあるところから上のほうへ矢印が緑色で出ていまして、⑤の非市場的価値向上から、さらに⑥へ上がっていくんですね。これ、重要なルートなんですけれども、一方で、①、つまり自然資本の保全がダイレクトに⑥ウェルビーイングの向上につながるというルートが書かれていないのが少し不思議に思いました。環境省として、いろんな研究もありまして、自然資本の向上がやっぱり直接自然資本に触れる。人間、精神的にも肉体的にも非常に回復させ向上させるという意味で、直接効果としてプラスなんだということを示す研究がたくさん出ておりまして、①から⑥に矢印が伸びてもおかしくはないなと思いました。
 とはいえ、⑤を通じた⑥への影響も非常に大事なルートではありまして、ここは、まさに田中委員ですかね、コモンズという言葉、キーワードが出てきましたけれども、やっぱりコミュニティとか、コモンズとか、エリア1とか、こういった組織が自然、そういった人間の営みですよね。それを媒介にして自然や生態系が保全されてきた歴史がありますし、現にされていますし、研究では、里山研究として非常にいろんな先生方が実績を積み上げてきたわけで、そういう意味では、問題をアップすると非市場的価値とは何かが、今日の資料ではあまりはっきりと書かれていなくて、コミュニティしか書かれていなかったですね。事例としてコミュニティとだけ書かれていたわけで、一体それが何なのかとか、どうやって生み出すのか、誰が生み出すのかということについて、もう少し検討を深めていく必要がある。それがちょっと課題かなというふうに思いました。
 それから、二つ目なんですけれども、右のほう、①から④に上がり、④から⑤へ至り、市場的価値ですね、⑤から⑥へ至るルートですね。これは本当に第五次環境基本計画以来、非常に重要になっている論点の一つだというふうに思います。今回、第六次においてもそうだというふうに思います。
 これも環境政策の重要性が高まってきて、それだけ環境政策が経済や産業の在り方に対して大きな影響を及ぼすようになったことが背景にあるわけでして、この論点をやはり避けることはできないなというふうに思います。むしろ、環境省の役割としては、積極的に経済や産業システムを、エコロジー化とも言うべき方向性に向けてどうやって進めるのか。それから、時間軸を伴った戦略立案ですね。それが今求められている役割ではないかというふうに思います。
 そういう意味で、恐らく船越委員がご発言になっていたようなトランジションという考え方、移行期ですね。この考え方も、やはり取り入れていく必要があるんじゃないか。つまり、戦略立案するということは、明日すぐにぱっとそこへ変われるわけではないですから、一定の時間を伴いながら、産業、経済の形を変えていくわけですよね。そこに様々な支援、その他の政策も入るわけですけれども、この図の18のスライドは、ちょっと時間軸がないですよね。
 ですから、この図は、これで非常によく作られたすばらしいものだというふうに思いますし、今までの議論を集約したものだと思いますけれども、時間軸を入れたらどうなるのか、トランジションという問題。トランジションを円滑化する、そういった政策の在り方を考えるための図がもう一つ何か必要かなと、今日、思いました。いわゆる公正な移行というテーマもそこに入ってくるかなというふうに思います。
 以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、山野委員、お願いします。
○山野委員 ご指名、ありがとうございます。
 全体的には、ウェディングケーキも踏まえて構造化といいますか、メカニズム、ロジックまで考えた構造にしていただいて、非常にいいと思います。その上で3点、申し上げます。
 一つは、ここの指標のところなんですけど、指標のところが、例えばウェルビーイングのところになると、その下の社会からも矢印があるわけですけど、いきなりといいますか、総合満足度になってしまって、これらのつながりが、せっかくつながりを示したにもかかわらず、指標のところで、そこでちょっと乖離が出てきているような気がしまして、例えば、総合満足度を構成するものとして、例えば健康、身体的・精神的とか、社会的つながりと。そういった、ここで言うと⑤のところなのかもしれないですけど、そういったものも途中を経る形にして、このロジックは、しっかり成り立っていると。指標からも、そういったものが見えるようにしていただけると、なおいいのかなと思いました。
 2点目は、先ほども時系列のお話もありましたけど、それぞれの指標において、これを将来世代にも効いてくるもの、あるいは、これは現在の状況を示すものみたいな感じで、幾つか特性があるんじゃないかと思います。そういった特性も、ラベルといいますか、属性をつけるような形で指標を見ていくと、将来世代への示唆も得られるんじゃないかと思いました。あと、指標においては、トレードオフ、シナジーをもたらす、それぞれ指標があると思いますので、できれば時系列的な位置と、あと、その関係性まで含めた形で、幾つかラベルといいますか、属性をつけていただくと分かりやすくなるような気がいたしました。
 それで、最後は、Transformative Changeというのをウェディングケーキで示すというのは非常にいいと思うんですけど、ウェディングケーキの図は、やはり、ある意味で静的といいますか、それぞれの位置関係を示しているんですけど、どうやればTransformative Changeかというのが、あれだけではなかなか分かりにくいと思うんですね。それで、一つは、やはり最終的に社会変革が行われること、あるいは行動変容が行われることだと思いますので、18ページのロジック図のところには、やはり幾つかフィードバックするような矢印が書かれていますけど、この中に、例えば⑥から①にある保全行動みたいなのは、直接行くのもありますし、消費行動というのが含まれていますけど、行動変容、あるいは社会変革にどうつながっていくのか、そこも示していただけると、よりTransformative Changeというのが見やすくなるのではないかと思いました。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、高村委員、お願いします。
○高村委員 申し訳ありません。アクセスするのが遅くなってしまいました。
 今まで議論がございましたけれども、私は、改めて何のための指標なのかというところをしっかり確認をしたほうがいいと思っています。もちろんウェルビーイングをどう図るかというのは、おっしゃる学術的にも大変大きな議論があり、今日も資料がありますけれども、各国での様々な取組もあると思いますけれども、まず、ここで議論をしっかりしていく必要があると思いますのは、第六次環境基本計画が目指しているところの、現在及び将来の一人一人のウェルビーイングの向上と、目指すところがどれだけ達成されたのか。逆に、達成、進捗がうまくいっていないのかということがしっかり分かるメトリック、あるいは点検のための手法が必要だということだと思います。
 一例を取ると、今回のロジックモデルにもありますけど、当然、国民のウェルビーイングの中の例えば賃金拡大とか、もちろん非常に重要なんですけれども、これは恐らく第六次環境基本計画だけで、当然、達成することはできませんし、これが直接、環境政策が進捗しているかという評価に、なかなかロジック的につなげていくのは難しいと思っています。
 必要な、こういう指標があったらいいというのは、本当に私も思いますけれども、同時に、あまりに多くの指標があることによって、全体としてのこの環境基本計画、環境政策の進捗達成度がうまく図れないという、そもそものやはりこの指標の議論、あるいは、この点検の議論のそこが目的ではないと思っています。
 これは環境省の所管だけに絞れということではなくて、当然、第六次環境基本計画は閣議決定をした政府の文章ですので、かつ、ほかの省庁と連携した施策も、重点課題、重点戦略の中にもたくさん盛り込まれていると思います。典型的なのは、例えば地域共生型の再エネ導入という、重点戦略の幾つかの中に入っているわけです。
 むしろ、環境省事務局のところで、これからぜひお願いしたいのは、今日、非常に貴重な意見を先生方にいただいた中で、特に、やはり日本の現状において、日本が直面している課題に照らして、最もしっかりその進捗が期待をされ、言い方を変えると、そこが最も大きなボトルネックなり課題になっているところは何なのかということを意識して、むしろ指標を厳選していくという勇気を持った絞り込みをお願いできないかなと思っております。
 と言いつつ、今日の議論を聞いて、やはりこの辺りは、ぜひ入れてほしいなというところもあります。
 一つは、ロジックモデルの中にもありますけど、まさに自然資本が一番基盤になっている。しかも、ここは環境省が最も責任を持って政策が打てるところで、自然資本、そのエレメントがしっかりプラスの方向に向上しているかということを科学的にしっかり表す。
 さらに、委員の先生方から指摘があったように、これは単に上向きですというだけでなく、科学に基づいて、将来目指すところとの関係で、どれだけの進捗があるのかということをしっかり示すことが、まさに将来世代のウェルビーイングの向上に向かっているのかということを図ることになろうかと思います。
 二つ目、ぜひ検討いただきたいのが、やはり人的資本、社会関係資本に関わるところだと思うんですが、多くの先生方から、やっぱり実際にその政策を決めていく、あるいは様々な取組への国民・市民の参加、それから行動変容、認識の向上、あるいは認識の変化、こうした点をしっかり見ていくことが必要だというご指摘は、非常に重要なところだと思います。これは環境教育も含めてですね。そして、海外への影響というところも、これ、井田委員ほかからご指摘があったと思いますけれども、しっかり見ていく必要があると思います。
 最後は、考えていただきたいのは、人口減少社会というのは、やはり日本が置かれているこれからの非常に大きな課題で、それが実際に自然資本や、あるいは、このロジックモデルに、日本の環境政策にどういう影響を与えているかと、与えるのかという観点から、その対処についての進捗というのを図るものを何か検討できないか。
 これ、人口減少社会、地方の活性化の問題、恐らく地方の自然を、ネイチャーを守っていく上でも非常に重要な要素になると思っていまして、一つの例ですけれども、今、こうした日本が抱える課題の中から、これはやっぱりこの進捗をしっかり全体として見ていく必要がある指標という観点で、くどいですけども、勇気を持った絞り込みをお願いできないかなと思います。
 最後ですが、いずれにしても、多分、最初から完全無欠の指標とか点検の方法はできないと思いますので、ある意味で試行的にやりながら、追加的にやっぱり必要な指標、あるいは修正をしていったほうがいいものが見えてくるかと思います。その意味でも、勇気を持って始めていただきたいと思います。
 以上です。
○大塚部会長 重要なご指摘をありがとうございます。
 人口減少社会との関係で、自然資本のほうが、社会から自然資本のほうに向かっていく矢印との関係で、おかしくなっていくようなところがございます。これは日本特有な話なので、SDGsといっても日本特有の話と言ってもいいようなところがございますので、ぜひこの辺は重点を置いていただくとよろしいかと思います。
 では、中村委員、お願いします。
○中村委員 ありがとうございます。
 ちょうどSIPのスマートインフラで検討している内容が、未来の社会の中で、最終的な街の在り方がやっぱりウェルビーイングを高めるということだったので、大変勉強になりました。資料も、皆さんの意見も大変参考になりました。ありがとうございます。
 私は、課題的なコメントになるんですが、まずは、主観的な指標と客観的な指標ということで議論があったと思うんですが、スマートインフラで議論していたときも、必ずしも主観的な指標と客観的な指標はうまく関係性を持っていないときがある。もちろん持っているときもあるんですが。やはり現状では、客観的な指標を中心にやっていくのはやむを得ないとは思うんですが、これが本当に主観的なウェルビーイングにつながっているのかということは、どこかできちんとやらなければいけないんだろうなという感じがしています。
 それから、いろんな方がおっしゃられたように、今、この18ページの図は大変よくできていると私も思うんですが、将来世代を含めて考えるというこの重要な視点が、どういう形で反映されていくのかなというのが、まだ見えていない感じがしました。
 それから、また階層的な議論、これも大事で、平面的なレーダーチャートではないというのは賛同するんですが、やはりこれも、じゃあ、どこまで今回のこの総合政策部会でやっていくのかというのがまだ見えていないので、やはり全体を通して、今、三つぐらい出した視点、課題の「材料と方法」みたいなものを整理していただけると理解が進むと思いました。材料と方法というのは、仮に指標をつくっていく場合に、それをきちんと示せるようなデータがあるのかとか、それも含めた上での決定が必要だと思うので、その辺、スコーピング的な、そういう作業が必要なんじゃないかと思いました。
 最後に、各部会でも議論すべきというのは最初のほうにあったと思うんですよね。私、自然環境部会の部会長なんですが、今後どういう形で、総合政策部会と各部会がつながりながら、よい指標を目指して、この施策の進捗状況をチェックしていくのかという、その役割分担的なところも教えていただけたらありがたいです。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。ぜひ自然環境部会とのつながりも非常に重視していきたいと思います。
 では、奥委員、お願いします。
○奥委員 ありがとうございます。
 まず、指標についてですけれども、スライドの15だけを見ますと、多少分かりにくいなという印象がありまして、まず、スライドの14を見ると、大分理解ができるところかなと思います。
 スライドの14では、右側の上の図ですけれども、②のところ、ウェルビーイングの指標として、こちらは主観指標が位置づけられていて、そして、右側の③、これは環境(自然指標の状態)ということで、これは客観指標になるのだろうと思います。そして、これを下の重点戦略との関連で落とし込んだ図というのがありまして、重点戦略の図も、基本的には客観指標を組み合わせていくということで、自然資本の状態にそれがどうつながっているかということを見ていこうというそういう整理で、それをスライド15でまとめていただいているということなんだろうと思うのですが。
 そして、その間に社会と経済が入っているということで、まず、確認になるんですけれども、先ほど来、様々なご意見が出ていますけれども、ある意味、当然、こういったその自然資本、環境の分野、重点戦略が、社会経済と密接に関連していまして、どこの分野まで、どの領域まで広げて指標を位置づけるべきなのかというところは、一概に整理できるものではありませんけれども、やはり先ほど勇気を持って絞り込みをというようなお話もありましたが、ここでは赤い部分とそれから環境の緑の部分、そして一番下の黄色の部分ですか、まずはここを主要指標として位置づけた上で、それらとの関連の深い、重要な社会や経済の分野の指標については、ある意味、参考指標なり、サブ指標なりで把握していくというような整理というのが必要なのかなと思いました。
 それから、主観指標と客観指標、これを両方位置づけるというのは、私は賛成です。特に主観指標については、客観指標との密接な、もしくは直接的な関連性が、必ずしもなかなか見えないというのは、往々にしてあるんですけれども、ただ、私は、この主観指標を位置づけるということの教育的な効果というのが、期待できるのではないかなと思っているところです。
 満足度を聞くのか、もしくは何らかの意識レベルを聞くのか、いろいろその聞き方はあるかとは思いますけれども、基本的には、何らかの形でアンケートを実施するということによって、そもそもウェルビーイングという概念自体、あまり認知されていないとか、それがどういったことがウェルビーイングの向上につながるのかというようなことも、まだ十分に理解されていないという状況があるのだとしたら、そのアンケート等をきっかけにして、それを知っていただく。そして、考えていただくというような、やはり政策的な教育上の効果というものも期待できるので、ぜひ主観指標についてのところも、しっかりと検討して充実させていく必要があるのかなと思いまして、お願いしたいと思っています。
 それから、ロジックモデルの18のスライドですが、こちらも、非常に複雑な要素をうまく落とし込んでいただいているかと思いますが、1点だけ確認させていただきたいのは、数字が①から⑥まで入っていますが、これは必ずしも優先順位を表しているものでもないようですし、時系列を整理しているものでもないようなので、ちょっと数字が意味するところというのは、説明が必要かなと思ったところです。
 私からは以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。
 遅参いたしましたので、既にご発言されている委員と内容が重なった場合は、ご容赦をいただければと存じます。
 私からは、3点、申し上げます。
 1点目ですが、ウェルビーイングと連合の取組との関連性について意見を申し上げます。
 私ども連合は、働くことを軸とする安心社会を目指して活動しています。働くことに最も重要な価値を置き、誰もが公正な労働条件の下、多様な働き方を通じて社会に参画ができ、社会的、経済的に自立することを軸とし、それを相互に支え合い、自己実現に挑戦できるセーフティーネットが組み込まれている、活力あふれる参加型社会です。加えて、持続可能性と包摂を規定におき、年齢、性別、国籍の違い、障害の有無などにかかわらず、多様性を受け入れ、互いに認め支え合い、誰一人取り残されることのない社会です。
 今回ご提案いただいております自然資本からウェルビーイングに至るメカニズムに照らし合わせると、社会において、人々が置かれた様々な状況においても働くことが保障されることは、究極的には、現在及び将来の国民一人一人のウェルビーイング向上に資するものと言えると思います。
 また、ウェルビーイングの向上のためには、公正な移行を実現し、環境、経済、社会の統合的向上につなげていくことが重要であると考えます。先ほど、諸富委員からも公正な移行についてご発言がありましたが、第六次環境基本計画でも言及もしていただいておりますけれども、質の高い雇用の創出や、失業なき労働移動のための重層的なセーフティーネットの構築などという観点も考慮するべきであると思っております。
 2点目は、点検・モニタリング結果の扱いについてです。今回ご議論されています点検・モニタリングは、次期環境基本計画や、それに向けた議論に反映されるものと承知をしています。その上で、点検・モニタリングの結果を次の環境基本計画だけでなく、ぜひ、個々の政策へ反映をしていただきたいと思っております。
 環境基本計画は、ウェルビーイングを向上させるための政策の基となるものであり、本計画から得られた知見を各政策へ反映することで、政策の効果をより高めることになるのではないかと考えます。
 3点目は、ウェルビーイング指標を政府横断的なものにしてはどうかということです。先ほどから各省の取組、ウェルビーイングに関するそれぞれの取組が、委員からご発言がありましたけれども、こういう様々な各省のウェルビーイング指標、あるいはウェルビーイング施策や指標について、内閣府の政策統括官が横串を刺すべく、関係府省庁の取りまとめを行っているかと思います。参考資料2で諸外国の状況も示していただきましたが、日本もこのような取組を加速させ、省庁横断的にウェルビーイングに関する指標をまとめ、国として一つのパッケージとして発信するということもあるのではないかと思いますが、今回、提起いただいた環境基本計画におけるウェルビーイング指標が、この内閣府の取組では、どういう位置に位置付けられるのか、もし現段階でご説明できることがあれば、ご教示いただければと思っております。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
 では、髙橋委員、お願いします。
○髙橋委員 髙橋でございます。
 前回の会議で、全国市長会からの意見として申し上げましたが、その意見等を取り上げていただきましてありがとうございました。
 今日、この18ページの図に、様々な複雑なことを全部まとめて、分かりやすく整理をしていただいたことをありがたく思っております。
 私からは1点ですが、やはり国民生活、あるいは企業活動、あるいは政府、地方公共団体の政策、その全てに環境問題というのは内包されて、それが横連携をし、横串を刺して、全体として解決をしていかなければいけない問題だと思っております。そのような意味では、今日の主要な論点というのは、指標について様々なご意見がありましたが、やはりどのような活動、あるいは政策、あるいは生活が環境問題の解決に関与しているのかというのは、なかなか見えないところもあると思いますので、ぜひ、様々な角度から、指標を吟味していただいて、定量化できないものについては定性化でも構いませんが、評価をしていただければ、逆に、自分のやっていることがどう環境に影響があるのかということが分かってくるのではないかと思っております。
 その意味で、最終的に1点ですが、ウェルビーイングという言葉自体が、なかなか言葉の定義とともに、国民の間に浸透しているとは言い難いと思っております。各指標を整理する上でも、ぜひとも、この環境問題について言っているところのウェルビーイングがどういったことを意味するのかというのは、全国民に分かりやすいような何か定義づけをつくっていただいて、できればウェルビーイングという言葉よりは、分かりやすい略称のようなものを、日本語で表現されたほうがいいのではないかと、これは私の意見です。
 以上です。
○大塚部会長 ありがとうございました。
 皆様から非常に活発にご意見をいただきまして、ありがとうございます。
 私も、3点ほど申し上げておきたいと思いますけど、一つは、環境省が行うべきウェルビーイングを考えるべきだというご意見もある一方で、環境政策がほかの政策と大いに関連してきているところから、必ずしもそこに限定すべきでないというご意見もかなりいただいていたと思います。
 この点は、第五次環境基本計画以来の議論でありまして、議論としては残っていると思いますけども、今回、ウェルビーイングに関しては、先ほど来、ご議論をいただいている13ページのウェルビーイング指標の構造のところ辺りを前提にしつつ、環境との関係で社会、経済との関係も含めて考えていくということになってきていると思います。
 それから、第2点として、高村委員のほうから、指標に関して多過ぎると、何を目的にするかが必ずしもはっきりしていかなくなるというご指摘があり、それはそのとおりのところがあるかと思いまして、ぜひ環境政策との関連を含めた指標というのを立てていただく必要があるのだろうと思います。
 再エネとか地域循環共生圏というのは、環境政策だけではなくて、社会、経済とも大いに関連させる。あと、地方創生とか、最終的には人口減少などとも関係するようなテーマですけれども、この辺は、多分ウェルビーイングへの指標を考えるときにもそれなりに重点が置かれるべきものではないかと思います。
 それから、堅達委員のほうから、測るだけ測っても、よくならなければ意味がないというご指摘があり、これもそのとおりだと思いますが、実効的な手段のことも考えつつ、あと、指標を立てた上で、どういうふうに実効的に解決していくかということも踏まえて、ぜひご検討いただけるとよいと思います。
 最後に、これも高村委員が言われたことですけども、指標に関して完璧なものがすぐにできるわけではないので、試行錯誤していく、将来的に追加していくということもあり得るということとか、あと、ほかの部会との連携も非常に重要になってきますので、そこは気をつけて進めていきたいと思います。
 では、ただいまのご意見、あるいはご質問に対して、環境省のほうからご回答、ご説明をお願いいたします。
○黒部室長 大変お疲れさまでございます。ありがとうございます。
 多方面にわたりまして、非常に貴重なご指摘をいただきまして、ありがとうございます。いつも、私も大変刺激をいただいております。途方に暮れるところから質問が始まるんですけれども。
 皆様のご指摘も踏まえて、我々としても、まず、短期的に、今日この場で、ああです、こうですというよりかは、しっかりと一つ一つのご指摘を受け止めた上で、また次の議論に備えていきたいというふうには感じております。
 なので、本日申し上げることは、次回以降の方向性というよりも私個人の意見として、皆様からいただいたコメントについて、まず、論点の整理的なところで思ったことということで、聞いていただければと思ってございます。
 まず、最初のほうのご指摘の中で、主観のウェルビーイングなのか、客観のウェルビーイングなのか、主観は取り入れないのかということについてお話があったかと思います。複数の委員からご指摘があったかと思います。
 まず、この部分について、主観を取り入れないと申し上げているわけではなくて、既にデジタル庁さんも、10万人規模の主観のウェルビーイングの調査手法を既に取っておられますし、こういった主観のアンケートは、非常に皆さんの今の幸福感というものを取る上で貴重なデータかと思っておりますので、それだけに寄ることは、必ずしも正しくないと思っておりますけれども、取扱いについては、皆さんの今日のコメントも踏まえてどう取り扱うかということについては、よく検討を進めてまいりたいと思います。
 一方で、では、客観のウェルビーイングとのバランスをどうするのかということについてでございます。ここについては、それこそ、ほかの役所とも、ウェルビーイングの担当部署とも意見交換をしている中で出てきたことでございますけれども、私も、地域の地方自治体に、もっと言うと福井県庁に3年半出向して、地域の公共政策に関わった中で、あなたにとって主観的なウェルビーイングな生活、どういう政策を、生活をお望みですかと聞くと、大体、車でドア・ツー・ドアとか、あるいは、駅近のタワーマンションに住みたいとかというようなところが、主観的なウェルビーイングだけからすると出てきますが、では、地域の中長期的な、まさにコモンズとしての、地域の公共財としての公共スペースだったりとか、あるいはコンパクトシティだったり、行政自治体としての管理コスト。それこそ、やはり社会の中で、なるべくみんなで無駄をなくしていこうと、持続可能な都市にしていこうということで言うと、そことはやはり、当然バッティングが出てくる。
 主観的なウェルビーイングだけを聞いて、そのウェルビーイングに基づいたまちづくりを進めてしまうと、当然、環境指標だけじゃなくて、社会の指標も悪くなっていってしまうという関係にあるので、ここはある程度、未来世代も含めた客観指標というもの、これも非常に難易度が高うございますけれども、うまく描いて、整合をつけていくという必要があるかなと思ってございます。
 もう一点、聞きながら感じたのは、非常に社会的な指標とか、環境的な指標とか、主観としてどうお思いですかというと、あまり高い評価がつかないという現状もございます。やはり失われてみて、初めてものすごく暑いねと。
 私は、ある日夜に不安になって、生成AIと対応して、エアコンの外気温の温度は何度まで大丈夫ですかというのを一人で調べていたんですけど、どうもJIS規格によると43度まで大丈夫なんですけど、43度を超えると保証できないということらしいんです。実際に外気温もどんどん上がってきている中で、ある日、エアコンが使えなくなったら、ウェルビーイングのダメージがそこでものすごく顕在化をしますが、実際に、それが今、世の中に広く意識されているかというと、意識されていない。そういうような状況にある中で、では、皆さんが気づいていない、ある日、いきなり水道管の更新が遅れて破裂して、水道が全く出なくなったという状況の中で、ただ、毎日水が出るのは当たり前ですし、そこに美しい山が存在しているのは、私たちにとっては当たり前なので、あまりそこが現役世代の主観のウェルビーイングだけでヒアリングを取っていると、強く出てこない。けれども、やはり失われたときに初めてという意味での、中長期的な社会での広域的なウェルビーイングというのは非常に多くある中で、こういったものをどう反映させていくのかというところは、ある程度やっぱり主観におもねるだけの議論としては難しいのかなという気もしておりまして、環境だけではないと思います。
 社会、先ほどの教育だったりとか、あるいは社会的なインフラの維持とか、あるいは災害が来たときに、きちんとした質の、耐震建築の基準の鉄なり、基礎くいを打っていて、これがもつとか、そういうことも含めての防災という意味での価値もあるのかなと思っているところでございます。
 あと、エネルギーの安定供給も、当たり前といえば当たり前なんですけれども、やはり失われると非常にウェルビーイングに大きなインパクトが出てくるという範囲かなと思っておりまして、その辺りを含めて、なかなかちょっと主観だけで掘り下げるということではなくて、うまく捉えるような工夫が必要かなと思っております。
 河口委員をはじめとして、環境省はどこまでやり切れるのかというご指摘を本日いただいたところでございまして、もちろん環境省一つの役所でやり切れるものではないというふうに思う一方で、やるべきことは、言うべきことはちゃんと言っていかなければいけないと思っております。
 政府部内のウェルビーイングの議論に関しましても、現在、いろんな役所がいろんなウェルビーイングのお話をされていて、これがまだまとまっていない状況。ただ、やはりいろんな部署のお話を聞くと、将来世代も含めたウェルビーイングというところを、今のところはっきりと口に出しているのは、この環境基本計画だけという状況であるならば、政府の議論にきちんと基本計画のこういった皆さんとの議論の結果を踏まえて、インプットをしていく。
 さらには、2027年以降、SDGsの国連の2030ターゲットの次の議論も、国際的に始まるという話も聞こえてきておりますので、国際的な議論への打ち込みのタイミングもあるのであれば、こういった議論もしっかり打ち込んで、グローバルに活躍されている企業さんともうまく連携をしながら、こういう議論が展開されることは一つの望ましい方向性なのではないかなと思っておりまして、各省庁、あるいは国際との議論も引き続き打ち込んでまいりたいということは考えてございます。
 また、本日お話の中にあった未来世代の、将来世代の意見をどう反映するかという中で、実は私がウェールズのウェルビーイングの未来社会世代のお話を紹介したときに、ページを見てもらえば、ウェルビーイングの将来世代委員会もあまり若者は入っていないんですね。ちょっとそこのところも下心的にご紹介したかったので、あえてウェルビーイングのところも触れたんですけれども。
 当然、やはりもう若い世代ではない世代が、将来世代の話ばかりしているのは健全ではないのではないかというご指摘についてはそのとおりでございますので、それについても、我々は重く受け止める必要があるのではないかなと思っているところでございます。
 また、末吉委員のお話にありましたトリプルクライシスを含めて、14ページの部分でございますが、G8で描かれたトリプルクライシスは、気候変動の危機、生物多様性の損失、あと、これが汚染ということであったので、そこを書かせていただきましたが、もちろん、これ以外にも環境のインパクトというものは様々あるかと思っておりますので、まず、代表的なものだけ書かせていただきましたけれども、もちろん掘り下げていく必要はあると思っているところでございます。
 また、18ページの環境のロジックモデルに関しても、これが全てを説明できているものではなくて、あと、またご指摘いただいた中で、やっぱりタイムラインというか、時間軸的なものをどう表現するのかということについて、これは大変難しい宿題をいただいたなと思ってございます。やはり、じわじわと市場の価値として中長期的に効いてくるものもあれば、短期的に経済構成を損なうものもあるのではないかというところで、全てが同じ時間軸の上で発生するわけではないということについては、ご指摘のとおりかと思っておりまして、この辺り、どう表現をするのかというところについては、引き続き皆様とも議論を深めていきたいと思います。
 個人的な所感でございますけれども、やっぱり環境価値の織り込みみたいなものに関しても、例えば不動産、インフラ建設のように足の長いものに環境価値を織り込むという話と、短期的に目の前の食品とか、ジュースが10円上がります、20円上がります、あるいは洋服とか、足の長い、1年くらいで廃棄されるようなものに環境価値を織り込むという話は、多少温度の濃淡があるかなと思っております。2050年断面で言えば、さすがに耐熱といいますか、耐熱性能が低いものは、住宅としてはリセールしづらいし、ここはもうきちんと今から環境価値を織り込んでいこうといって、取引市場の中で取引されているケースは承知する一方で、短期的に小売の方と意見交換をすると、なかなか環境価値は小売価格にマークアップしづらい、値上げに反映させづらいんだよねというお話もいただくところで、一概に、環境価値が市場的な価値の向上につながるかと言われれば、やはりそこもタイムライン的な濃淡というのは、あるのかなと思っているところでございます。
 あと、また指標の絞り込みは勇気を持ってというところでございまして、指標に関しても、様々な議論をいただきました。その指標の部分に関しましては、大きく分けて状況を表現する指標と、あと行動の進捗を評価する指標。例えば、生物多様性の観点で申し上げれば、我が国の生物多様性の状況がどうなっているのかという状況をアウトルックする指標と、あと、30by30、自然中の保全といったようなものが、今、陸域何%まで来ていて、海域何%まで来ている、この行動状況を保全する指標と両方の指標が必要なんだろうと思っております。個別の指標の議論を深めていく中で、ストックとしてのその状況、ステータスをどのように表現するかという話と、行動としてのインプット、アウトプットが十分に行っているかというところの評価。さらに、欲張るならば、アウトプットがうまくいって、状況の指標が改善していくことが一番望ましいということであると思うんですが、この辺りは、各部会とさらに議論を深めてまいりたいと思っております。
 また、中村部会長からご示唆をいただきました、各部会との役割分担の方向性ということでございますけれども、自然部会の事務方とも、我々も意見交換をしておりまして、3年目まで各部会、現状の点検プロセスを進めていただきつつ、ウェルビーイングとの関係性を各部会でいきなり議論をせよというのもハードルが高いかと思っておりまして、点検の状況を踏まえて、また総政部会とご議論をいただくと。そのときに、事務的な報告という形になるのかどうなるか、また部会長を含めて少しご相談をさせていただければと思ってございます。
 具体的には、生物多様性の方向でも、今後、ジャパン・バイオダイバーシティ・アウトルック、JBOが、今年の秋ぐらいに出てくるという話も聞いておりまして、また、そういったものの成果等も踏まえて議論をさらに進捗させていきたい。
 すみません。なので、一月、二月で生物多様性の指標が出来上がるかといいますと、今、各部会も非常に精力的に議論をしていただいている状況でございまして、実はこれ、もしかすると、今回の6年終わりぐらいに、ようやく出てくるかもしれないというような、結構長いタイムラインで生物多様性とかネイチャーポジティブの指標も、今、議論をしているということだけ、ちょっとこの場で補足を申し上げたいと思います。
 また、奥委員からご指摘ありましたナンバリングはということなんですけど、すみません、ちょっと深い意味はございませんでしたので、事務局でどういう番号のつけ方がいいのかは、今後よく精査をしたいと考えてございます。
 すみません、本日いただいた指摘に全く全てお答えできていないかと思いますけれども、深く受け止めて、引き続き議論を進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○大塚部会長 ほかによろしいですか。
(なし)
○大塚部会長 司会の不手際で時間を延長しまして、誠に申し訳ございませんでした。
 では、以上をもちまして、本日の審議は終了となります。
 最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○黒部室長 皆様、長い時間にわたりご参画いただきまして、どうもありがとうございました。
 本日の議事録につきましては、事務局で取りまとめを行わせていただき、委員の皆様にご確認いただきました後、ホームページに掲載をさせていただきたいと思います。
 最後に、今後の総合政策部会の予定でございますが、正式な日程等が決まりましたら、改めてご連絡させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○大塚部会長 
 以上をもちまして、本日の総合政策部会を終わります。本日はありがとうございました。

午後12時08分 閉会