中央環境審議会 総合政策部会(第118回)議事録
第118回 中央環境審議会 総合政策部会
令和7年3月13日(木)10:00~12:05
AP東京丸の内EFGルーム
(Web会議システム併用)
議 事 次 第
1.開会
2.議事
(1)第六次環境基本計画の進捗状況の点検について
(2)再エネ海域利用法の一部を改正する法律案及び環境影響評価法の一部を改正する法
律案について(報告)
(3)その他
3.閉会
配付資料一覧
資料1-1 中央環境審議会による第六次環境基本計画の点検の進め方について(案)
資料1-2 第六次環境基本計画の点検・モニタリングの枠組みについて
資料2-1 再エネ海域利用法の一部を改正する法律案について
資料2-2 環境影響評価法の一部を改正する法律案について
参考資料1 中央環境審議会総合政策部会名簿
午前10時00分開会
○黒部室長 皆様、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会第118回総合政策部会を開催いたしたいと思います。
大臣官房総合政策課環境計画室長を昨年7月から務めております、私、黒部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、委員総数29名のところ、本日21名の委員にご出席をいただいております。定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告いたします。
本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいております。環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行ってございます。
本日は、Web会議システムとのハイブリッド開催とさせていただいております。Webよりご参加の委員におかれましては、各自発言時のみ、ライブカメラの映像とマイク機能をオンにしていただきますようお願いいたします。また、現時点でも、もし会場の声が聞こえにくい等ございましたら、挙手、あるいはチャット等でお知らせをいただければと思います。
会議資料につきましては、議事次第の下、資料一覧に記載のとおりでございますが、ご確認いただきまして、もし過不足等資料がございましたら、事務局までこれもお申しつけいただければと思ってございます。
また、本日の資料は、環境省ホームページ、総合政策部会のページにアップロードをさせていただいております。
それでは、最初の議題でございます。本日の総合政策部会は、中央環境審議会委員及び臨時委員の改選後、最初の部会となってございます。本部会にご所属いただく委員、臨時委員につきましては、お手元配付の名簿のとおりとなってございます。
就任の2名の委員につきましては、私から僣越ではございますが、お名前を紹介させていただきます。
まず、末吉里花委員。
続きまして、山野博哉委員でございますが、本日はご欠席でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
部会長には、中央環境審議会会長の指名によりまして、大塚直委員にご就任をいただいております。よろしくお願いします。
また、お時間空いてしまいましたが、昨年の7月以降、事務局に人事異動がございましたので、私より報告をさせていただきます。
まず、総合環境政策統括官、秦康之でございますが、本日、国会対応が重なっておりまして、欠席とさせていただいております。
続きまして、大臣官房審議官、飯田博文。
大臣官房総合政策課長、井上和也。
大臣官房環境影響評価課長、川越久史。
大臣官房地域脱炭素政策調整担当参事官、大倉紀彰。
また、本日は別の公務等で欠席とさせていただいておりますが、他の事務局の異動といたしまして、大臣官房企画評価・政策プロモーション室長に平塚二郎が、大臣官房総合政策課民間活動支援室長・大臣官房地域政策課地域循環共生圏推進室長に石川拓哉が、大臣官房地域政策課長に近藤貴幸が、大臣官房地域脱炭素事業推進課長に冨安健一郎が、それぞれ着任していることをご報告申し上げます。
ここで、事務局を代表いたしまして、大臣官房審議官の飯田よりご挨拶を申し上げたいと思います。
○飯田審議官 おはようございます。改めまして、環境省大臣官房審議官の飯田でございます。総合政策部会の開催に当たりまして、一言ご挨拶させていただきます。
総合政策部会の委員の皆様におかれましては、日頃から環境行政の推進にご理解とご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。昨年5月に閣議決定された第六次環境基本計画では、環境保全を通じた、現在及び将来の国民一人一人の「ウェルビーイング/高い生活の質」を向上させることを環境政策の最上位の目的に据えました。本計画を着実に実行するためにも、進捗状況の点検、モニタリングを実施していくことが必要不可欠ですが、本計画で打ち出した「ウェルビーイング/高い生活の質」の実現をどのような方法で把握していくかというモニタリングの枠組みを検討する必要がございます。ぜひとも専門的な視点から、モニタリングの枠組みやスケジュール等につきまして、ご意見を頂戴できればと考えています。
また、本日は、先般閣議決定した再エネ海域利用法改正法案及び環境影響評価法改正法案につきましてもご報告申し上げます。
今後とも、環境行政につきまして、ご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、私からのご挨拶とさせていただきます。
○黒部室長 それでは、今後の進行は大塚部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 総合政策部会長を務めます大塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。一言挨拶申し上げます。
前任者の高村部会長を受けまして、第六次環境基本計画の推進に努めていきたいと考えております。総会でも申し上げましたけれども、第六次環境基本計画に関しては、3点ほど指摘しておきたいことがございます。
第1に、ウェルビーイングがこの計画において一番頂点に立っているところがございますけども、現在の国民のウェルビーイングだけじゃなくて、将来の国民のウェルビーイングも含むものであるということが一つでございます。
二つ目は、カーボンニュートラル、最近はネット・ゼロと言うことのほうが多くなっていますが、あとサーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブが重要な三つの要素ですけども、さらに汚染対策も環境省の原点として重要な対策であるということでございます。
三つ目は、「環境・経済・社会の統合的向上」というのが重要でございますけども、その際に、シナジーに着目することが重要であるだけでなく、トレードオフの調整も場合によっては必要となるということも申し上げておきたいと思います。
委員の方々の、忌憚のない活発なご議論を賜ることをお願いいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
最初に審議事項として、第六次環境基本計画の進捗状況の点検について、事務局からご説明をお願いいたします。その後で意見交換をしたいと思います。
昨年5月に第六次環境基本計画の閣議決定がされましたけれども、今後は政府が本計画に基づいて施策を着実に実行していくことが重要でございます。
中央環境審議会としては、本計画のフォローアップ、点検を行うことで、計画が進んでいるかどうかを確認するとともに、今後の政策の方向性について報告することになります。
そこで、今後の第六次環境基本計画の点検の進め方について議論を行いたいと思います。その後で、報告事項として、再エネ海域利用法の一部を改正する法律案及び環境影響評価法の一部を改正する法律案につきまして、環境省大臣官房環境影響評価課からご説明をいたします。
最後に、部会長代理の指名を行いまして、本日の会議は終了となります。
それでは、第六次環境基本計画の進捗状況の点検につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
○黒部室長 大塚部会長、ありがとうございます。
それでは、皆様のお手元の資料をご確認いただければと思ってございます。
本日、点検の進め方として皆様にご審議いただきたいと思っておりますのは、資料1-1、中央環境審議会による第六次環境基本計画の点検の進め方についてという書類でございます。この書類の中身及び、この書類の中身をパワーポイントに落としたものが資料1-2ということでつけてございますので、冒頭、資料1-1について説明を申し上げた後、1-2を使って具体的に説明を申し上げたいと思ってございます。
1-1の冒頭でございます。今、大塚部会長からもご指摘がありましたように、現在及び将来の国民一人一人の生活の質、幸福度、ウェルビーイング、経済厚生の向上、こういったものの実現を目指して、環境負荷の総量削減、私たちの生活の基本となっております自然資本のこれ以上の毀損を防止し、自然資本を充実させるとともに、環境価値を活用して経済全体の高付加価値化を図るということで、環境を軸として環境・経済・社会の統合的向上の高度化を図り、将来にわたって質の高い生活をもたらす新たな成長の実現というものを目指していくということが第六次環境基本計画に定められておりまして、こういった政策の進捗状況について、まず点検の枠組みを今回に関してはつくるところから議論を進めてまいりたいと、このように考えてございます。
まず、点検の体制についてでございます。
各部会、個別分野担当といたしまして、総合政策、循環型社会、環境保健、地球環境、大気・騒音振動、水環境・土壌農薬、自然環境、動物愛護、各部会がございまして、その中で政策の範囲について点検を行いまして、結果を総合政策部会に報告していただきたいと、このように思っております。
また、気候変動、資源循環、生物多様性の各分野においては、個別の計画、地球温暖化対策計画、生物多様性の国家戦略、循環型社会形成推進の国家計画がございますので、この計画の中での点検結果を可能な限り、個別分野においては点検を進めて活用していきたいというふうに考えてございます。
この中で、私たち総合政策部会は全体の取りまとめを行っていきたいというふうに思っております。各部会からの報告及び総合政策部会が独自に行うヒアリング等を踏まえまして、今後の環境政策が果たすべき役割である「環境負荷の総量削減」「自然資本の維持、回復、充実」「環境価値の高付加価値化」「『ウェルビーイング/高い生活の質』の実現」「環境・経済・社会の統合的向上」が、各重点戦略の中でいかに進捗したかについて、もともとの進捗管理の指標を設定するところからでございますけれども、こうしたものの把握に力点を置いて、全体の点検を行っていきたいと、このように考えてございます。
次のページをおめくりください。点検のスケジュールでございます。
具体的には、次回の計画の改定まで5年ございまして、今年度に関して、2024年度は点検の準備ということでございます。さらには2年目、各部会による点検。本日の総合政策部会をキックオフとして、各部会での点検も進めていただき、3年目、2026年度に、各部会からの報告もいただきながら、総合政策部会で各部会の議論の状況も踏まえて、また議論を深めてまいりたいと思っております。4年目、5年目とさらに検討を深めてまいりまして、次の計画の改定というものにつなげてまいりたいというふうに思っております。
点検の範囲及び点検を行う分野ということでございますが、基本計画の中に書いております第2部第2章「重点戦略ごとの環境政策の展開」、第2部第3章「個別分野の重点的施策の展開」、第3部「環境保全施策の体系」と三つございます。
具体的に、全ての政策の点検ということになりますと、なかなか及ばない部分もございますので、サンプル調査、さらには2年目、3年目の中でどのような点検対象としていくかは、各部会の事務局、さらには総合政策部会の議論の状況を踏まえて、令和7年夏頃に決定をしてまいりたいと、このように進めてございます。
進め方について、少しパワーポイント資料を使って補足をさしあげたいと思ってございます。パワーポイント資料のほうの、具体的には、今説明いたしました内容は4ページに挙げてございます。
4ページに挙げた内容をさらに整理したものが、次の5ページに書いてございますので、5ページをご覧いただければと思います。具体的に、3段に分かれてございます。
5ページの1番の下の①の部分、計画に掲げられた個別施策の進捗状況に関する点検、これは、各部会において、まず進めていただきたいというふうに思ってございます。「地球温暖化対策計画」「気候変動適応計画」「循環型社会形成推進基本計画」「生物多様性国家戦略」の点検結果も活用しながら、各部会においてご議論を進めていただく。具体的に、総合政策部会では、上二つ、「ウェルビーイング/高い生活の質」、現役世代、将来世代も含めた「ウェルビーイング/高い生活の質」とは、これは一体何を示すのか、どのように定義をするものなのかという議論と、あと真ん中の部分、重点戦略ということで、六つ書かせていただいております。
「新たな成長」を導く持続可能な生産と消費を実現するグリーンな経済システムの構築、自然資本を基盤とした国土のストックとしての価値の向上、環境・経済・社会の統合的向上の実践・実装の場としての地域づくり、「ウェルビーイング/高い生活の質」を実現できる安全・安心、かつ、健康で心豊かな暮らしの実現、「新たな成長」を支える科学技術・イノベーションの開発・実証と社会実装、環境を軸とした戦略的な国際協調の推進による国益と人類の福祉への貢献、こういった重点戦略を設定させていただいておりますので、この重点戦略の進捗と、この重点戦略を推進することによって、どのように、今、前段で出てきた上のウェルビーイング、現在及び将来世代のウェルビーイングがよくなっていくのかということについて、総合政策部会の中でも、これをロードパスというのでしょうか、メカニズムというのでしょうか、何かしら、どういう経路を通じてウェルビーイングに反映していくのかということについて、来年度以降、議論を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
次のページをお願いいたします。先ほども少し申し上げましたが、議論のタイムラインについてでございます。
総合政策部会の中でも、先ほど申し上げたように、ウェルビーイングとは何なのか、個別の重点戦略とウェルビーイングとの関係性はどんなものなのかという議論を、2年目、3年目と進めます。その一方で、各部会の点検結果、3年目に、2026年度に報告・点検をお戻ししていただいて、総合政策部会の中でも議論をさせていただいて、さらに4年目、5年目という形で掘り下げてまいりたいというふうに思ってございます。
ほかの部会、様々な委員の皆様とも議論させていただく中で、例えば、自然資本、ネイチャーポジティブ、こういったものは一般にどのような指標で議論をするのか、その見える化の議論もなかなか追いついていない中で、ウェルビーイングとの議論も大変難しいのではないかというご指摘もいただいておるところでございますが、我々としては、他部会のその議論の状況もよく見ながら、その中でウェルビーイングとの接続がどのようになっていくのかということについて、可能な限り議論を、まず3年目までを一つの目処として進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
本日、点検の進め方ということで、皆様にご審議いただきたい内容としては以上でございます。この後、第六次環境基本計画の抜粋ということで、資料を幾つかつけてございます。ここについては、お手元でまたご確認をいただければと思います。
事務局からは以上でございます。よろしくお願いします。
○大塚部会長 黒部室長、ありがとうございました。
それでは、事務局から説明がございました第六次環境基本計画の進捗状況の点検につきまして、議論を進めたいと思います。ご発言を希望される方、会場参加の委員は、名札を立ててください。Web参加の委員は、ご自身のお名前の横にある挙手アイコンを押していただくか、チャット機能でご発言の希望がある旨をお知らせください。私から指名を受けた委員は、マイクをオンにしてご発言をお願いいたします。
では、諸富委員、お願いします。
○諸富委員 すみません。10時半で失礼いたしますので、冒頭にご指名いただきましてありがとうございます。
ご説明いただいたとおり、ウェルビーイングというのが最上位目標に掲げられたという意味で、今回の基本計画は画期的であり、極めて野心的だと思います。ただ、それをどう評価・点検していくかというのは大変チャレンジングな課題であります。その際に、環境政策の前進を図ることが、二つのルートを通じてウェルビーイングに貢献していくということを踏まえていくことが大事かなというふうに思います。
一つは、もういろんな実証研究で明らかなのですが、やはり環境がよくなるということは、ウェルビーイングを向上させるということが、非常に多くの、私もサーベイした限りで見ても、研究によって実証されているということですね。環境政策自体はウェルビーイングに貢献する。
もう一つは、やっぱりここに、今回の基本計画がそうであるように、経済・社会をよくすることにつながっていくということですね。環境省がずっとやられている地域の共生の中で環境政策を進めていく試みというのは、地域社会をいろんな意味でよくする。それがウェルビーイングを改善していく。脱炭素先行地域の、これはまさにそうですけれども、そういった地域の再生や経済、地域経済の成長につながっていく、環境を進めていくことがですね、それがウェルビーイングにつながっていくという、間接ルートといいますか、環境からダイレクトにウェルビーイング、それから二つ目は、環境から経済・社会がよくなることで、間接的にウェルビーイングにつながっていく。この二つのルートをうまく捉えて、評価指標を作っていかれることを期待したいというふうに思います。
また、今、黒部さんのご説明であった5枚目が非常に象徴的ですけども、環境の評価・点検について、5ページ目の一番ボトムは、これまでの従来の基本計画、計画に沿った点検・評価だと思います。生物多様性だとか、循環だとか、気候変動だとかですね。従来、これでもって環境政策の評価が行われていたと思うのですが、今回非常に新しいのは、この②ということで、その上にありますように、様々な経済・社会上の目標といいますか、あるべき経済・社会の姿に環境政策の前進がつながっていき、最上位にウェルビーイングという非常に分かりやすい形で今回示していただいています。これは、環境政策概念が非常に拡張されたといいますか、経済・社会の中に環境が深く入り込んでいって、環境政策概念が広がったということを示しているというふうに思います。逆に言うと、ちょっと守備範囲が広がり過ぎて、どこまでその点検・評価をやるかというのが非常に難しいなというふうな感想も一方で持つわけですね。
ですので、恐らく今回、黒部さんから3年間を目処にということですが、私、3年間で完璧なものができないかもしれないということも、いや、それはネガティブな意味で言っているんじゃなくて、ポジティブな意味でチャレンジングは非常にいいと思いますので、ただ、3年間で何か完璧にできなかったからといって、我々委員は環境省を責め立てないようにしないといけないなというふうに思います。
今回、チャレンジングなことをやっていただく、その姿勢を高く評価して、試行錯誤をしていくことを許容する姿勢で審議に臨みたいなというふうに思っております。ほかの皆様にも、どうぞ、お願いしたいところでございます。
私からの発言は、以上でございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、豊岡委員、お願いします。
○豊岡委員 ご発言の後で大変言いにくいのでございますけども、要望がてんこ盛りでございまして、今年はモニタリングの準備ということで、ぜひ地域側というか、今までの重点施策、または脱炭素先行地域加速化事業、いろいろ本当に応援をいただいておりますけれども、それも含めて、しっかりと失敗から学ぶというところ、何が悪かったのだろうかというところを、非常に明らかにしていただきたいというのが、もう私どものところにも、毎日のように、できないという相談が来ます。そして、できない理由が、今、諸富先生がおっしゃったように、今までは環境政策だけでよかったものが、経済とか、それとか社会、ウェルビーイングとか、本当に守備範囲が広いのに、そこに現場も追いついていない。さらに言えば、現場はもっと疲弊して、人も少なくなっていて、情報があるのはいいのですけれども、それに対して手当てができないという現状がございます。
道路の陥没のこととかインフラのこともあったり、病院が、今日のニュースでも、6割以上が地方では赤字ということで、ウェルビーイングを支えるための経済基盤とか社会の構造が非常に劣化している状況で、この目標の中では「新たな成長」という、大変乖離した目標、高い目標を掲げている。そうあってほしいと私も心から願っています。
ただ、今までの応援の方法であれば、逆に足を引っ張ってしまうかのような応援も散見されます。というのが、やっぱり環境省として、事業とか経済に関しての、失礼ながら知見が非常に低いのではないかということで、補助金を取ったはいいけれども、実現するノウハウが全くないところをやってしまって、道に迷ってしまっているというところが地方には散見されますので、ここでしっかり点検されるのであれば、どこで道に迷っているのか、何が問題であるのか、それとも準備、計画、申請の段階で、もっとしっかりとしたフィージビリティ調査なり、いろいろな、大塚先生からも、トレードオフのこともちゃんと検討しないと、トレードオフが出てきて、初めてそこで社会問題になったりということのないように、何が問題なのか、何がボトルネックになるであろうかというような洗い出しをぜひ行っていただきたい。なるべく責めることはしたくないのですけれども、応援をしたいという意味で、しっかりと応援をしていただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、末吉委員、お願いします。
○末吉委員 ご指名どうもありがとうございます。今回から委員を務めさせていただきます末吉里花と申します。よろしくお願いいたします。
まず、最初に私から申し上げたいのは、最上位の目的に、次世代も含めた国民の「ウェルビーイング/高い生活の質」ということが掲げられたということは、昨今のアメリカの動きもある中で、大きな意義があると考えておりますので、先ほど諸富委員がおっしゃいましたけれども、チャレンジングで、大きな目的に向けて、私たちはトライ・アンド・エラーを繰り返しながら前進をしていくしかないのだと改めて感じました。
この「ウェルビーイング/高い生活の質」を、どうモニタリング・点検していくのかというところが、本当に難しいことだと思っておりまして、世界で言うと、例えばOECDであれば、より良い暮らし指標とか、ウェルビーイング指標、グリーン成長指標など、世界銀行、世界経済フォーラムですと、グローバル競争力指数とか、人的資本指数とか、いろいろありますけれども、ここで日本独自の指標を開発していくこと自体が、現時点での政策目標にはならないようにも思いますし、環境基本計画の中の政策を基盤に、これら世界の指標を参考にすることを一つのターゲットにすること自体は、必ずしも間違ってはいないかなとは思います。
他方、これらの結果指標のみを追おうとするのもよくないのかなと思っておりまして、私たちとしては、今こそ我が国のウェルビーイング、生活の質のイシューアイデンティフィケーションを改めて議論していく必要があると感じています。
結果指標の内数たる原因指標の分解に加えて、全ての人が希望を持てる、生活の質が良くなっていると感じられる感覚みたいなものも大事にしていきたいと思っています。
それから、かなり漠然としたものになってしまい恐縮ですが、一つ質問もさせていただきます。ちょうど最近デンマークで郵便配達を廃止するという発表がありましたけれども、新たな社会に移行するために、国民的議論が必要なような変革を起こしていく場合、誰一人取り残さないということは難しく、誰かは置き去りにされてしまう可能性があると思っています。これから先、環境に配慮しながら新たな経済成長も目指し、国民一人ひとりのウェルビーイングを達成するという大変難しい目標の中で社会の大転換を起こしていかなければいけない時、国として、誰一人取り残さない、という観点をどのように捉えていらっしゃるのか、ぜひお聞かせいただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。個別施策の進捗状況を点検するに当たって、留意すべきではないかと考える点について意見を申し上げたいと思います。
基本計画が国民のウェルビーイング向上に資するものである以上、国民がその結果を享受している、すなわち自分たちの生活が向上しているという実感を持てることが必要なので、こうした数値で見える化、あるいは納得感に通ずるものであることは必須であると考えます。
他方で、全てが直ちに数値化できるわけではないということにも留意が必要で、満足度や幸福感はそれ自体が数値となるわけではないので、アンケートなどを通じて測定することも必要ではないかと考えます。
加えて、表面的なものにとらわれない、つまり、数字の裏側で起こっていることにも注意を向けた上での、数値を評価するべきであるということです。例えば、産業構造の転換によって働く者への影響が出る可能性があります。そうしたときに、単に雇用の数が増えたということをもって、その施策に効果があったと評価をすることは拙速かもしれません。気候変動施策によって事業所が閉鎖となり、別の職場や企業、産業へ移ることを余儀なくされた労働者の雇用、処遇条件などが従前のものより劣化したものであるならば、その施策によってウェルビーイングは向上したとは必ずしも言えないのではないかと思います。
また、別の例を挙げるとすれば、再生可能エネルギーの導入もあるかもしれません。太陽光パネルの導入によって再エネ比率は上がりますが、その結果、景観を損ねる、土壌が流出しているという指摘もあります。実際、私の妹、Iターンで福島の南会津におります。とても川がきれいなところなのですが、そこに太陽光パネルが導入されました。ずっとそこに、地元に住んでいるおじいさんが、これでもうヤマメがいなくなっちゃうねということを言っていたというのを実際に聞きました。そうすると、その地域に暮らす人々のウェルビーイングが向上したとは言い難く、そのような負の結果は数値には表れてこないのではないかというふうに思います。
そのため、直接的な数値の裏側にあるものも加味した上で数値の評価を行うべきだと考えています。また、測定するに当たっては、時間軸や空間についても視点を設けていただきたいと考えます。時間をかけて効果が出てくる施策もあるかと思います。その意味では、先ほど諸富委員から、3年後、批判をしないというか、応援していこうというお話がありましたが、長い目で見るということも必要かと思います。
さらに、地域事情への視点も取り入れていただきたいというふうに思っています。例えば、ごみに関して、現在進められている処理施設の集約化があります。連合には、自治体の職員で構成されている自治労という組合があるのですけれども、そこの組合員から、ごみ処理施設を集約化したことで、確かに効率的にはなってはいるものの、災害時に集約化あるいは大規模化した処理施設が被災をしたことで、代替する処理施設がないという実情があるという報告も寄せられております。これも、数値の裏側にあるということに意を用いるべきという事例でもありますので、そういうことも含めて、今後点検をしていく必要があると考えております。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、井田委員、お願いします。
○井田委員 ありがとうございます。いつも長くしゃべるんですが、簡単に申し上げますけど、しかも、諸富先生の後にこういうことを申し上げるのは何なんですけども、この枠組みとか、頂いた資料も見て、一番気に入らないのはトランスフォーマティブ・チェンジという言葉がないということなんですよね。たしか、私も申し上げたし、計画づくりの中で申し上げたし、これは単なるチェンジじゃなくて、トランスフォーメーションだと。それを目指すのが今回の環境基本計画の大きなポイントだと私は思っておりまして、何でそこに一言も、トランスフォーマティブ・チェンジを目指すんだという、その結果としての、これまでの経済成長と別の枠組みを、ウェルビーイングの向上というのがあったと思うんですけども、SDGsのウェディングケーキモデルは書いてありますけども、これこそトランスフォーマティブ・チェンジだと思います。
それで、我々が忘れてはいけないのは、これ、懸念されるのは、これまでの指標はいろいろあると。やっていけば、チェンジは見えてくるんですよね。オントラックですとか、オントラックでないとかという議論をするんだけども、そうじゃなくて、我々が目指すのは、今までとは違う、今までのチェンジとは違うトランスフォーメーションだということをやっぱり頭に置いておかなければならないと。ちょっと抽象的な言い方で申し訳ないんですけれども、やっぱり今度の点検の重要な視点は、それぞれの試みとか政策とか、それがトランスフォーマティブ・チェンジにつながっているのか、つながっていないのかというのが最大のメルクマールになると私は考えておりまして、そういう視点をぜひ取り入れてほしいというふうに思っております。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
堅達委員、お願いします。
○堅達委員 引き続きよろしくお願いをいたします。私はやっぱり、今回、ウェルビーイングという言葉が最上位概念に来ていますけれども、ウェルビーイングって何と言ったとき、やっぱり普通に命がちゃんとまず守られるというところ、ここが一番大事なポイントだと思うんですね。といいますのも、もう気候変動の加速が著しくて、例えばロサンゼルスの火災、ハリウッドのセレブ俳優ですら自然の脅威から逃げることはできない。大船渡、まさか日本でこれだけ大規模な山火事が起きるとは誰も思っていなかった。あるいは能登、地震と線状降水帯による大雨の複合災害が起きる。こういう事態にいるときに、私たちは、ウェルビーイングとか、楽しいとか、そういうことを目指す以前のレベルをまず確保していかなきゃいけないし、お話が出ましたとおり、インフラの劣化、この間の埼玉の陥没などもある、そういう中で、じゃあどこを、ポイントを決めて測っていくのかというときに、やっぱりプライオリティを決める必要があると思うんですね。優先してこのポイントは測るというところ。そこはやっぱり、阪神淡路から30年で東日本からは14年ですが、いまだに、こういう何か気象災害が起きても、我々は断熱も効いていないぼろぼろの体育館で雑魚寝をするしかないような、温かい食料もトイレカーもないみたいな、こういうことが蔓延している世の中でウェルビーイングとか言っても、国民の心には響かないと思うんですね。だから、絶対、この環境基本計画においても、何からまずしっかりするのか、数値を、ここ、逆に言うとこの数字は絶対に達成するんだみたいな、しっかりそういうポイントを決めてやっていくというのが、私は一つ言いたいことです。
あともう一個は、測ることが非常に難しいことを今やろうとしていますよね。例えば生物多様性にしても、ついこの間(ひとつの基準が)出ましたけど、どう測るかというのは世界的にも議論になっていて、生態系の規模、面積とか、それから生態系の状態、質とか種の状態、絶滅リスクとか、じゃあこういう項目で測りましょうとか、その世界の何がしか出てきた、先ほどから出ているような指標をうまく取り込みながらやっていくのがいいとは思いますが、煩雑さというものがあって、何か測るために測っているみたいな、測っていることの自己満足とかではいけない。サステナビリティ指標も、屋上屋があったりするということを、皆さん、企業でも自治体でも苦労しておられると思うんですが、ただでさえ少ないマンパワーで、測るための指標をつくって、またそれを記入して何とかするためだけに貴重なエネルギーが取られてしまうのは本末転倒だと思うので、その辺は、我々、この委員会の使命としても、リーズナブルで実効的な指標をやっぱり見つけていかないといけないし、そのことも含めて、悠長にはやっていられない。非常にスピード感を持ってやっていかなきゃいけないという意味でも、シンプルで、かつ分かりやすい指標をこれから探していかなきゃいけないなと思っております。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、竹ケ原委員、お願いします。
○竹ケ原委員 ありがとうございます。今回は、点検とモニタリングの枠組みという議論ですので、その観点からみて、先ほどの5ページの図はよくできているなと思いました。
これのゴールをどうするかなんですけど、ウェルビーイングは確かに最上位概念に加わったので、ウェルビーイングをどう測っていくかみたいな指標の検討を最初にやってしまうと、恐らくさっき末吉委員もおっしゃったように、既存のものもたくさんある中で、日本独自のものを仕立てるのか、どれを使うのかみたいな、結構抽象度の高い議論に陥ってしまいそうな気がします。5年あるからいいと言えばいいのかもしれないんですけど。
この図でも、よく見ると、さっき諸富先生もおっしゃっていましたけど、従前だと①で評価していたと、政策評価。だけど、そこの上に②を立てて、最終的に、その結果としてのウェルビーイングという構成になっているということなんですけど、この図を金融屋が見ますと、インパクトファイナンスの絵に見えるんですよ。だから非常に、そういう意味でよくできていて、①はアウトプットとしての結果でアウトカムがあって、そのアウトカムが短期、中期、長期で変化していったその最後の姿がインパクトだということなんですけど、そう考えていくと、①で従前の政策評価があって、その各政策の結果、②で六つ設定されていますけど、それぞれアウトカムが生じる。多分、その合成ベクトルみたいなものがウェルビーイングなんだということを考えると、無理やり今の段階でウェルビーイングを定義しなくても、この①から⑥のアウトカムの合成で、もっと測っていくというアプローチもできるかなと。
そう考えるとなんですけど、大体インパクトファイナンスをやるときってロジックモデルを作るわけなんですよ。こういうインプットをやって、こういうアウトプットがあって、そのアウトプットがこういうアウトカムにつながって、最終的にインパクトにつながっていくんだと。
もし、5ページの図の解像度を上げていって、この施策がこの①新たな成長を導く持続可能な生産と消費みたいなものがあるんだとすると、それを測る指標とは何だろうかと。これ、だから、末吉さんがおっしゃったように、既存にいろんな、もう既にKPIがあるわけで、それを共通KPIとして取れるものはもう採用してしまって、むしろ国際的な議論からずれない形でこのアウトカムを測っていく。最後、決めの問題として、その合成するときの重みづけをどうするかというのは、多分この場の議論になると思うんですけど、それが、この総政部会が考えるウェルビーイングなのだという答えがあってもいいような気がします。
最初にウェルビーイングから発射して、分解していくアプローチもあり得るんですけど、どっちかというと、金融の実務化の観点から考えると、そうやってロジックモデルを作って、少なくとも、こういう風が吹けばおけ屋がもうかる式のロジックをちゃんと立てた上で、そのとおりにいっているかどうかを、アウトカムの達成度合いを経年的に把握してチェックしていく。こういうやり方もあるかなというのは、ちょっとお話を聞いていて思いました。
1点、私からのコメントは以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。モニタリング・点検の仕方に関して、論理的に説明をいただいたような感じがいたします。ありがとうございます。
山口委員、お願いします。
○山口委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
この第六次環境基本計画に書かれていることは、大変すばらしい内容だと思うんですけれども、やっぱりそれが、意識高い系の話だというふうに軽く流されてしまわないように、具体的に民意を得ることがすごく大事なんじゃないかと思っています。
つまり、書かれていることはとてもすばらしいのですが、それがきれいごとだと思われないような施策が必要なんじゃないかなと思っていまして、その意味で、このウェルビーイングについて、この資料1-2の9ページ目のところ、これ具体的に分析されているんですけれども、その中の一番下に書かれている一極集中の是正、自立分散型システムの導入、それからその上のコミュニティの再生、その右手に書かれている地域循環共生圏ですよね。こういうところって意外に測りやすいんじゃないかという気が私はしております。
例えば、東京一極集中は、私、前に取材したんですけど、5年前は7都県が人口増でした。しかし、現在、人口増は東京都だけになってしまいました。一極集中が急速に進んでいます。もちろん人口の自然減は簡単には止められません。しかし、一つでも社会増を実現する自治体が増えるような、そういうところの指標というのは見ていけるんじゃないかと思っております。例えば、地域循環共生圏にしても、地域脱炭素先行地域の中で、どういう人口動態の変化が起きているのか、地域経済にどんな変化がおきているのかということも、指標として出していけるのではないでしょうか。
それから、今、世界の変化を見ていかないといけないと私は思っております。アメリカではトランプ政権が誕生しました。トランプさんが訴えたのは、やっぱり忘れられた人々への配慮、今、インフレで生活が苦しい、これは世界中で起きていることだと思います。そこからの緊急避難ということが一定の支持を得たということが言えると思うのですが、これを日本に当てはめますと、まさにこの人口減少で苦しんでいる地方の声を聞いて、どうやって、東京だけが豊かになっている社会から、地方も豊かになっていく社会に転換していくのかということだと思うんですね。まさに石破総理も、日米首脳会談でトランプさんにそれをお伝えしましたよね。それがまさに、地方創生です。
その中で、私は取材を通して、やっぱり、とてもそれ一つでは解決できませんが、一つの成功の鍵は地域と共生する再エネの導入だと思います。再エネには、いい再エネも悪い再エネもあります。先ほど委員の方からもありました、太陽光パネルが地域の土砂流出につながるという悪い事例もたくさんあります。それは絶対改めなくてはいけません。
しかし一方で、地域と共生する再エネ、地域が主体になって取り組む再エネ、地域裨益型の再エネ、こういうものをどれだけ広げられるかということだと思います。
さらに具体的に申し上げます。やっぱり鍵になるのは、地産地消の実現、それから安い再エネの実現、この2点だと私は思っています。最近のアグリゲーターの仕組みを導入して、地産地消で、一般の大手電力会社から買う電気よりも安い電気を供給するという地域新電力も、まだ少数ですが出てきています。
つまり、やればできるということなので、この地産地消で安い再エネという成功パターンを、ぜひ環境省主導で、もっと一般の人に広めていただきたいんですね。こうやればできますよというのを、もう仕組み次第で、今、それができるようになっていますので、それをぜひ広めていただきたいと思います。
それからもう一点、今日、この後、議題になるということだと思いますが、洋上風力について、今、本当に日本が危機的な状況にあるんだと思います。アメリカはこのままですと、洋上風力の開発が一旦止まってしまいます。日本の場合には海洋国家でポテンシャルが非常に大きいので、私は、やめるという選択肢はあり得ないと思います。日本が洋上風力を止めたら、温対計画も実行できないと思います。実際、計画通りにCO2を減らすことはできないですよね。まさに、今後の再エネの主力になる分野の一つでもありますので、その意味で、本来は、セントラル方式をもっと早く行政主導で、国主導でやっていくべきだったと思うんですが、それを、やっぱり今からでも早く、一刻も早くやるべきだと思います。去年閣議決定してから1年たって、また今これからやるということだと思うんですけれども、しっかり今国会で通していただいて、洋上風力の導入拡大は、分散型社会の実現に大きくつながります。
それから洋上風力のメリットはもう一つ、海の温暖化対策にもなります。私も取材を通して実感したのですが、長崎の五島では、浮体式洋上風力の海中部分にサンゴが生い茂って、魚が集まっています。そういう効果を踏まえて、漁協が洋上風力の誘致に協力しています。そういう自治体も、もっともっと増やせると思います。これもやっぱり、成功パターンをどれだけ国主導で広められるかということだと思います。セントラル方式をもっと幅広く、国主導でやっていただきたいと思うんですね。イギリスは、国主導で電力会社をつくりましたよね。グレート・ブリティッシュ・エナジーです。
そういうふうに、もっと国が環境と経済の好循環に向けてリーダーシップを発揮できるんじゃないかと思いますし、私は、そういう行政であれば、諸富先生からのお話もありましたけど、ぜひ応援してお伝えしたいと思っておりますので、頑張っていただきたいと思います。
すみません、長くなりました。ありがとうございます。
○大塚部会長 どうもありがとうございます。
では、田中委員、お願いします。
○田中委員 田中です。ご説明ありがとうございました。
今回のテーマの「ウェルビーイング/高い生活の質」には共感や理解が集まるところと感じますが、これを環境省が全部、背負う印象の資料になっているようで、これは大変なこと、少し、しんどいのではないかと思いながら拝見しました。これまで企業も自治体も大分頑張ってきた歴史があって、環境と経済の両輪で考えてきています。しかし、世論は、環境にいいことには賛同ながら、選択をして購入する場合は価格が高く、手が出ないことがあるとか、エコ住宅を選択するには価格がネックになるところ、健康に良いとのメッセージが出ると、住宅でも食品でも売れるという経験もありました。そこで、このウェルビーイングの枠組みの中に、今回も最初から、国民、住民、市民、全員を巻き込んでいく、企業も巻き込んでいく組み方で活動をしながらモニタリングもできればよいと感じています。
気候変動、少子高齢化は、社会全体、全ての人の共通問題であり、様々な取り組みも検討されていますが、それは自然資本、環境資本がベースにあると思います。
先ほど、山口委員からもお話がありましたけど、私も、ウェルビーイングと地方創生という文脈で、いろんなところでお話を聞きますと、まず重要なのが地域資源、自然資源の発見と活用、そして、地域の人たちの幸せだと意見が重なります。
そこで、環境省が全部やっていくのは大変だなと思いながらいろいろ考えていたところ、8ページのところに方針で、「変え方を変える」六つの視点において、この辺りというのは、近年の実績、手応え、成果が出ているものが結構ありまして、企業の統合報告書や大学のESGレポート、自治体もSDGs未来都市に選ばれたときに、こんな成長をつくり出しましたとか、このような成果が出せましたという具体例が、たくさん出されています。それが点在しているので、大きなインパクトになっていないかもしれませんし、もしかすると、そこへの何かインセンティブとかメリットみたいなものも、当事者たちがまだ考えられていないかもしれません。完成や達成まで行っていなくても、やっていること、やってきたことは正しいよという後押しが示されたり、成果が自分自身でも実感できるような点検とかモニタリングができるべきだろうと思います。
モニタリングというのは、気づきを得て行動を変えていくために行うもので、中には成果が出にくいものとか、見えにくいこととか、分かりにくいものというのも多々あるわけなんですけども、そこでやめてしまったり、ちょっと温度感が下がってしまったりということがあるものを、それこそ環境省の、この枠組みの中で応援モードをつくるとか、こういうことは成果になるんですよということを評価していくなど、そういう動きを取ることが重要ではないかなと思います。AIを活用してラーニングの情報に入れれば、全部、分析がすぐできるかと思いますので、点在している統合報告書が何とかならないかなということを、ちょっと思う次第です。
企業も、Scope1、Scope2と来て、環境配慮と、無駄や無理をなくして経済効果を出そうということで、少し出てきたわけなのですけれども、そこがさらに、竹ケ原委員のような方に評価をしてもらうためには、何が足りないのかとか、例えば金融業界の視点からのインセンティブを見える化しながら、今回、サンプルとかを取っていくときには、注力ができればと思います。
そのときに、サンプルやモニタリングを出す根拠、分析において、他社にはどう参考になるのか、知見になるのかということも示せると良いと期待をします。よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、石田委員、お願いします。
○石田委員 ありがとうございます。
毎回、点検というときに、何をやったらいいのか悩むのですけれども、一般的に成果を検証するというときには、KPIを明確にして現在の進捗状況を把握していくのだと思うのですが、あまり明確なKPIがなくて、上向きとか下向きというような表現が多いのではないかと思います。
さらに、今回はウェルビーイングなので、もっと難しくなるのだろうと思います。これをどうしていくかは、先ほどの竹ケ原委員のお話にもあったように、まずは、把握できる数値目標を明確にして、それを達成したときに、ウェルビーイングにつながっているかを検証する必要があるように思います。
また、今、企業は2050年、あるいはもっと前の年を目標にして、サプライチェーン全体で脱炭素を実現すると宣言しています。しかし、サプライヤーから購入する部材のCO2をどう評価するかが大きな課題で、これは簡単ではなく、企業は皆さん苦労しています。このため、簡単に評価ができて、企業の目標にどう貢献しているかが分かる評価法として、進捗と成果を把握することが重要だと思います。難しい方法では、特に中小のサプライヤーは、リソースがないので無理ですので、簡単な指標で評価できるようにしていただきたいと思います。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございました。
では、オンラインのほうに移りたいと思います。
山戸委員、お願いします。
○山戸委員 ありがとうございます。第六次環境基本計画は、中環審などでしっかりとご議論いただき、先ほどご説明がありましたとおり、現在だけでなく、将来の国民一人一人の生活の質、幸福度、ウェルビーイング、経済厚生の向上を目指して策定されたと認識しております。日本の産業界、企業といたしましても、この計画の実行、実現に向け、ぜひとも貢献してまいりたいと考えております。ここにおられる各界の皆様方から、アドバイスやご協力を頂戴したいとも考えておりますので、よろしくお願いいたします。
今後のこの基本計画の点検につきましては、国民一人一人にとって進捗を分かりやすい形で示していくために、単純な指標だけでなく、環境・経済・社会の統合的向上という共通した上位の目的の関係でも見ていくことが必要ではないかと思います。ともすると、指標同士の間でトレードオフの関係性が生じてしまうことも危惧されます。
いろいろご議論がありましたが、例えば、私どもが考えますには、製品のグリーン化はコストアップを伴いますため、グリーンな豊かさと経済的な豊かさは、必ずしも、ある段階では成立しない時期もあるというような可能性もあると見ております。
また、ウェルビーイングに関しましても、様々な取組の結果を受けて改善が見えてくることも考えられるため、状況の改善悪化がすぐ現れる指標も見つつ、柔軟に対策を見直しながら取組を進めていく、そんなスキームも必要ではないかと思います。あわせて、中長期的な視点を持ちながら、フェーズを分けて段階的に指標を設定し増やしていくとか、そういった見直しも柔軟にご検討いただけるようになるといいなと思っております。
以上です。よろしくお願いいたします。
○大塚部会長 ありがとうございました。
では、馬奈木議員、お願いします。
○馬奈木委員 ありがとうございます。馬奈木です。私は専門がウェルビーイングと自然資本の計測なので、その観点から申し上げさせていただきます。
恐らく多くの方が、現実的にウェルビーイングの計測が難しいとか、自然資本の計測が難しいというのは、理想を考えられている方は思っています。理想というのは、本来あるべき認知もされていない生態系サービスであるとか、本当の読み取れないウェルビーイングであることまで踏まえられているのかなと思っています。ただ、一方で、サイエンスのほうでは、主観的な幸福度をもってウェルビーイングで、まず、第一として考えようという取組が進んでおります。それ以上に深い、例えば脳科学などは進んではいるんですけども、使えるようになるまでは、まだ10年程度かかると思っています。なので、現実的なオプションとして、主観的な幸福度をもって、個人のアンケートの表明、それをもって、第一にウェルビーイングを数値化して使うと。その構成要因で、コミュニティや自然の項目などありますので、それを同時に上げるような項目を推進していけばいいんじゃないかなと思います。
我々、または、このほかの多くのグループの研究でも、例えば都市における公園であるとか地方における緑地、そういう土地利用が、その方の主観的な幸福度にポジティブな影響を与えるなどの研究があります。それは特定の地域だけでなく、日本全国でも同様に出ております。そういう意味で、自然資本がウェルビーイングに数値化をもって貢献できるというのは言えていると思います。
また、環境教育への示唆もあるんですね。それは何かというと、アンケートを活用することの良さなんですけども、子どもの頃にそういう触れ合いがあった人は、その価値観が高いという数値化でも表明できています。そういう使い方をしながら、実際に今後のこの施策として、どういう土地利用をすればいいかということにはつながっていくんだろうなと思います。
もう一つ、多くの方がおっしゃっていた点が、東京一極集中または複数の首都圏への集中のことかなと思います。我々の研究でも、程々の都市化と程々の地方、田舎のほうはウェルビーイングが高いですね。ウェルビーイングが低いのは、過度な都市化と過度な田舎のほうです。そこは悪いんですね。そういう意味で、程々な分散というのがウェルビーイングの数値化の点からも言えるかなと思いますので、そういう取組をぜひ行政としても進めていく方向がいいのかなと思っています。
それを実際に各地方でどう進めているかということなんですけども、JAXAまたはアメリカのNASAなどの連携で、衛星画像を活用できる仕組みをつくっております。それは何かといいますと、例えば日本全国を500mのメッシュで区切り、その地方ごとの自然性の度合い、その地域ごとのウェルビーイングの度合いが分かります。そういう取組を分析していることから、どの地域でより自然を残すのか、またはその自然と都市化の融合を図るのかという取組が、ウェルビーイングに貢献しているかということにもつながります。
そういう面で、各基礎自治体に負荷を負ってもらい、個々の個別のデータを集めるというのではなく、そういう使えるデータを活用できるようなものにしていけばいいのかなというふうに思っております。そういう面で、ウェルビーイングと自然資本の数値化というのはぜひ使っていただきたいと思います。
もう一つ、モノやコト消費などの議論がスライド上にございました。我々の分析でも、アンケートでの消費行動の分析から、モノだけじゃなく、現在では、日本ではコトのウェルビーイング向上のほうが大きいというふうな数値化でも出したりしていますので、そういう科学的な研究成果をもって、現実的にこの議論を進めるのがいいかなと思います。
最後に一つ、これは私たちの分析ではないんですけども、最近出たNatureの論文のことを言って終わりたいと思います。国際的な衛星画像の活用と最終的な生物多様性の議論で、日本が特にトピックとして挙げられて、Scope3で多くのものを輸入に頼っているので、海外に、特に途上国ですね、原材料を取っているから、生物多様性の負荷を負わせて、自然資本をマイナスにして、日本は自然資本の劣化がそこまでないのは、結果的に貿易依存に既存する日本などの国などであるというふうな論文が出たんですね。
こういうのは、サプライチェーンでの議論が今後、自然資本、これは生物多様性を含めた議論で出てくると思いますので、単純な日本国内の自然資本でなく、他国のサプライチェーンも含めた議論での理解というのを進めていく必要があると思います。
以上です。ありがとうございます。
○大塚部会長 どうも、大変興味深い話をありがとうございます。
三好委員、お願いします。
○三好委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。聞こえますでしょうか。
○大塚部会長 聞こえています。ありがとうございます。
○三好委員 ありがとうございます。私のほうから2点、点検の方法についてご意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、個別について、今、委員の皆様からもたくさんご意見が出ていたと思うんですけれども、KPIなどはこれから評価軸を定めていく時に、なるべく複合的な視点で、例えばウェルビーイング等々を測るにしても、いろんな視点で見ていくということが大事かなと思います。今、馬奈木委員もおっしゃいましたけれども、いろんなデータを使って評価をしていく、それをなるべく複合的な視点でしていくということが大事かなと思います。
真にトランスフォーマティブなチェンジをつくり出していくためには、これからは多面的で多角的な評価をしていくことで、そのことが実現できると思っているので、個別に関してはそのような視点を持っていただけたらなと思います。
もう一つは、ちょっと読み込み切れていないかもしれないのですけれども、計画を総合的に点検するというのは、非常に重要だなと思っております。計画の向かう先にウェルビーイングがあるということで、今、環境省さんが担当されてこの環境基本計画をつくっているのですけれども、国の施策全てに関わることだと理解しております。特にウェルビーイング、国民の立場からすると、本当に全ての皆さんの、全てのことに関わってくるので、この環境基本計画が全ての施策において、それは例えば農業政策も、教育についても、経済についても、文化についても関わってくる。総合化するということが大事なんだろうというふうに思われるので、今ここには環境省の中での施策を総合的に評価する点検ということについて書かれていると思うのですけれども、それ以外の省庁、例えば農水省さんで、みどりの食料システム法というのがありまして、そこで例えば脱炭素とか地方創生とか、そういうことは強く前に出しているのですけれども、生物多様性だとか、そういうことがまだまだ薄いなというふうに思っています。加えて、ウェルビーイング等が入ってきたときに、どこまで環境基本計画の影響が、ほかの施策、政策に影響を与えられているのかなというのを見られるといいなと。総合的視点で情報を集めて、この点検の場の中に入れていって評価するという作業がプラスされるとよりいいかなと思います。
それは、まず国レベルでそういう総合化をするという第一歩をしていただかない限り、地方の現場に政策が落ちてきたときに、例えば地域循環共生圏をやると、もう本当に全ての政策が、これは環境省だけど、これは経産省だけどと言って、地方へ落ちてきたら、やっぱり現場は一緒なんですよね。
そのときに、現場に入り組むようになったときに、やっぱり総合されていないとやりにくかったり、差が出たりということが起こってきます。もちろん担当されていて、環境省の皆さん、役割を担ってやってくださっているんですけど、結局、この国にいて、この地球にいて、我々国民が地球に住む人間として変えていかなきゃいけないというところなので、その現場に落ちてきたときの政策の影響というか、横のつながりを持ったようにできるように、その視点を点検に入れていく、総合化のもう一つの広いところから点検をするという視点を入れていただけたらいいのではないかなと思いました。
以上です。ありがとうございます。
○大塚部会長 はい。今のご指摘は、他省庁の環境に関する政策についてもレビューしたいというご趣旨も入っていたかと思いますけども。はい、どうもありがとうございます。
では、河口委員、お願いします。
○河口委員 ありがとうございます。かなり多くの視点についていろいろとお話があった上で、ウェルビーイングという言葉を目的として、それに向かって、単なる施策ではなくて、最終目的はそれを評価するというような、その枠組みは非常によいなということは、ほかの委員もおっしゃったのと同じことなんですけれども、これを見て感じたのは、何人かの委員もおっしゃいましたが、三好委員とか田中委員もおっしゃいましたが、これは環境省だけですかというので、私、これは国の施策ではないのというふうに思いまして、国の施策の中の、環境省としては環境の部分をやるのではないかと。
資料の1-2を見ても、環境に関連する言葉が少なくて、国民とか人的資本とか、何かそうじゃない言葉だらけなんですよ。そうじゃない言葉だらけだなと思う中で、本当にその、これは、全部やるのは国として大事なんですけど、環境省が本当に全部やり切るのかと。環境省というのは、例えばこのページの11なんですけれども、この図、ウェルビーイングのメカニズムという図があって、これは国としてこうなんだろうなと思うんですけど、これを環境省が言うんじゃなくて、環境省はこの資本ストックのところが守備範囲なんだよねと私とかは思うんですが、これをやると、何か環境省って、経済のフローとか国民のウェルビーイングとか、そっちも一生懸命、計画のやつをやらなきゃいけないとなると、ただでさえ小さい省庁なのに、本当にやらなきゃいけない資本ストックのところにちゃんとしたリソースが行くのかしらという懸念が残ります。ですので、ほかの省庁との連携というようなことで、こういう図の中での環境省の守備範囲は、主にこの1番目の下だよねというようなコンセンサスはあるやなしやと。
次の12ページのところも見ていただきたいんですけれども、これも何か9割ぐらい、社会と環境と経済の話があって、環境に関しては、一番下の自然資本という緑のところだけなんですよね。本当、環境省がやるんだったら、ここが半分ぐらい厚くなければいけないんじゃないかなというふうに思うので、環境省のこれにおける立ち位置、どのぐらい本当に環境のことをやるのかなと。
それから、ページ5の矢印のところなんですけれども、これは非常にいいねということは、竹ケ原委員なんかからも、インパクトファイナンスを考える上でいいということもあって、これ自体はいいんですけれども、逆にトップダウンというのがないと、1をやって2をやって3をやると、逆に方向性がばらけるリスクもあるので、トップダウンで、一番上から、目的はこれだと。そうすると、②で計画として何をするべきかと、そして具体的な戦略という。こっちの軸というのもぜひ考えていただければいいのではないのかなというふうに思います。
それから3番目に、ウェルビーイングという言葉、これはいきなり来て、みんな何にも、深く議論することもなく、便利な言葉で使っちゃって、ここの目標にまで入ってきちゃっているんですけど、このウェルビーイングは何かと。馬奈木先生からも、いろいろな見方があるよというお話もあったわけですけれども、みんなの中でしっくりきた共通言語としてこれが育っているのかどうかよく分からないなと思いつつも聞いていたんですけれども、それの評価をする際に、その評価軸、評価の方向性、どんな時間軸で考えるのかと。ウェルビーイングということになりますと、国民の生活と質ということになりますよね。
非常に至近な例なんですけれども、私の家族が南会津に住んでいて、豪雪地帯なんですね。冬になると道路を運転するのがすごい大変で、雪で道がぼこぼこしているからと。最近、融雪剤をまいているので、道路が乾いていて、非常に運転しやすくなって、事故も減るし、これは非常によいことなのでウェルビーイングなんですが、融雪剤って、塩化カリウムとか、そういう塩化ナトリウムとかなので、塩分ですよね。それをばんばんまいて、周りは畑とか田んぼとかなので、そこにまいちゃってもいいのかなと。
生態系に影響がないのかと、環境省にこの間、訊いたんですね。昨日返事が来て、今のところ人体に影響はないから、これは別に規制物質ではないですと。今まである研究結果だったらば、大した土壌への影響はないでしょうということだから問題ないですという話なのですけれども、そういう軸で、人間で考えると、人間のウェルビーイング的には融雪剤はいいんだけれども、それを10年、20年やっていて本当にいいのかなと。
フロンだって、あれが誕生したときには最高のウェルビーイングの素材だったんですけど、全然違うところで、オゾン層を破壊するから駄目というふうになったりしているので。それで、ウェルビーイングという視点ですと、その環境の観点から、本当に土壌に水に、これにいいのという声がだんだん小さくなるリスクがあるのではないかなということもありますので、どういう視点でウェルビーイングを測るのかということ。
それから、馬奈木先生のお話で、ほどほどの都市が実はウェルビーイングが高いというお話があったんですね。ここで提案したいのは、常に最高とか最低とか最小とか最大とかという価値観ではなくて、何が最適か、要するにほどほど。こういった価値軸というものを持っていただきたいなということ。
それから、もう一点、堅達委員もおっしゃいましたが、これだけ見ると、本当にプラスプラスで世の中幸せになるじゃないかという方向で、これだけ見るといいんですけど、足元は、本当に災害とかで、プラスどころか、失ったものをどう回復するのかという非常に大変な思いをされている方がいる中で、ちょっとばら色ではなくて、足元のリスクをどう減らしていくのかという、マイナスをゼロにする、そういう視点も入れていただければなと思います。ありがとうございました。
○大塚部会長 ありがとうございました。融雪剤の話は、最初、私が申し上げた、ウェルビーイングが現在の国民だけじゃなくて将来の国民もということとも関連したお話だったと思います。
では、髙橋(勝)委員、お願いします。
○髙橋(勝)委員 稲城市長の髙橋です。よろしくお願いします。
私からは2点ですが、今回、総会、総合政策部会あるいは各部会で、それぞれ今後5年間かけて、第六次環境基本計画の点検・モニタリングをやって、次の計画を策定するに当たって、生かしていこうということだと思っております。
今日は、点検・モニタリングの枠組みのスタート、キックオフだと思いますが、その中で一つお願いというか提案ですが、毎度、各部会等で議論になりますと、どうしても個別の案件になってしまう。個々の案件になってしまって全体像が見えにくいということがありますので、今日の1-2の資料の4ページ、5ページ、6ページ辺りですが、非常にうまくまとまっていて、これからの枠組み、それからスケジュール感、こういったものがありますが、各部会での議論のときに、今後議論する全体の工程表になると思いますので、ぜひこれを1枚のペーパーなどにまとめていただいて、各部会で議論するときに、今日はこういう位置づけでやっているということを共通認識の上でご議論いただけたらありがたいと思っております。
どうしても個別の意見になってしまいまして、行政批判、あるいは環境省批判が中心になっているわけですけど、やっぱり環境問題というのは、企業活動、国民生活あるいは行政、それぞれが協力し合って解決をしていかなければいけない問題だと思いますので、どこかを批判するのではなくて、みんなでその解決について考えていく、そのためのモニタリング、あるいは点検にしていっていただけたら良いと思っております。
それから、もう一点ですが、日本人というのは几帳面なので、立てた計画について、KPI含めて、その検証をする、非常に緻密にやっていくのはいいと思いますが、一方で、世界の立ち位置として、日本が進んでいるのか遅れているのか。報道等を見ると、自虐的に、日本は遅れている、悪いということばかりが言われているようでありますが、先日、2月25日付の日経新聞の記事を見て驚いたのは、パリ協定の締約国に5年ごとに義務づけられている排出削減目標、これが、世界の国の9割が未提出と。よく、日本は環境対策が遅れているとか悪く言われているわけですけども、実際には、パリ協定なんかの中では、日本は数値目標が低い、遅れているというようなことが言われている一方で、諸外国を見ると、口先だけで実際には何もやっていないということが、こういうので分かるわけでありますけども、ぜひ、日本の環境対策というものが、世界的に見るとどの辺の位置で今いるのかということも、意識をしながら今後の点検・モニタリングをやっていただければと思っております。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、小屋委員、お願いします。
○小屋委員 聞こえていますでしょうか。
○大塚部会長 はい、聞こえています。
○小屋委員 ご説明ありがとうございました。本日ご説明いただきました、このモニタリングの枠組みをお聞きしまして、まさに企業が日々取り組んでいるサステナ経営のモニタリングそのものと感じておりました。実施している中で、気候変動、こういったものは比較的定量化しやすい一方で、私どもも、ウェルビーイングはどう指標化するか日々悩んでいる状況でございます。
今回は、皆様と重複した部分もございますが、私が感じている課題感、モニタリングにおける課題感を少しお話ししたいと思っております。
一つ目、やはりこういったウェルビーイング等の高い生活の質については、やはり何を示しているのか、皆様からもありましたが、明確にしていくべきと思っております。その中で、一つお話も出ておりましたが、安全性について、インフラの堅実性もその一つになるかと思いますが、そういったものを明確に幾つか示した上で進めていくべきと考えております。
二つ目、本当に環境と経済の好循環、そして財務と非財務をつなげていくという意味で、なるべく定量化していくというのは大変重要だと思っております。しかし、やはり定量化が目的になってしまうと、その数字そのものが意味あるものかどうかということもありますので、これは仮説も含め、優先順位をつけ、効率的に実施していくことが重要だと思っております。
また、これも、スピード感も非常に重要で、企業におきましては、1年間指標をつくり、見直していくと。やはり効果的なものを残し、課題があるものは改善していくという流れもありますので、スピード感も重要視していただければと感じております。
全般的に、このような仕組みがつくられると、企業の取り組みともつながってまいりますので、国全体で一体感を持って進められていく枠組みにもなるのではないかという期待も大きいということもお伝えしておきたいと思っております。
以上です。
○大塚部会長 ありがとうございます。
では、高村委員、お願いします。
○高村委員 ありがとうございます。3点ほど申し上げたいと思います。
一つは、今回の、まさに第六次の環境基本計画の点検とモニタリング、今回の第六次環境基本計画、皆様からもありましたように、現在そして将来の国民のウェルビーイングの向上という非常に高次の目標を目指している環境基本計画だと思います。
何人かの委員からも、そのような趣旨のご指摘がありましたが、もちろん国民一般のウェルビーイングを測るということは非常に重要だと思うんですけれども、しかし、この文脈でいくと、その環境政策がいかに現在及び将来の国民のウェルビーイングに貢献をしているのか、あるいは貢献できる環境政策になっているのかということをしっかり点検するということが重要だと思います。
海外、国際的な評価手法、指標などをしっかり見ていただきたいと思うんですが、しかし、必ずしもそういう目的でつくられた評価手法、あるいは指標ではないものもあると思っていまして、むしろそれを選んでいく、今使われている手法や評価の指標を選んでいく、選択していく上でも、これ、竹ケ原委員がおっしゃった言葉で言うとロジックモデルということだと思うんですけれども、環境政策のどういう進捗を見たいのかということをしっかり私たちのところで、そのストーリーといいましょうか、見るべきポイントを押さえるということが重要かなというふうに思います。
もう既に、環境基本計画の中でもよい環境、それから経済社会の統合的向上といった方向性は出していると思いますし、同時に、これは井田委員がおっしゃいましたけれども、一過性のものではなくて、やっぱり社会・経済の構造を、本質的な構造転換を生み出すような変化が生み出せているかといったようなことは、今回の、第六次環境基本計画のやはり根底にあるものだと思います。
恐らくロジックモデルの一つの手がかりになるのは、重点戦略としてまとめている六つのところは、そういう意味では、基本計画をつくっていく過程で、やはりこれらが重要な、目指す高次の目標を達成する上での重要な戦略として挙げているものだと思いますので、こうしたものを手がかりにして、今申し上げました環境政策として国民のウェルビーイングの向上に資するものになっているか、あるいは、そういう環境政策として、何が足りていて足りていないのかということが分かる点検・評価の仕組みというものを検討いただきたいと思います。
河口委員がおっしゃったところは、私、非常に重要だと思っていまして、私もその趣旨で先ほど申し上げたんですけれども、環境政策としてどのように貢献できるのかというところにやはりフォーカスをつける必要があるという点、全く同意であります。これは、ほかの省庁に関わるものを排除するという趣旨ではありませんで、この文書自身は基本、計画自身は閣議決定をした政策文書ですので、むしろ必要であれば、しっかりその点検、政策がそういう方向を向いているかを点検するのに必要であれば、関係省庁から点検に情報を出してもらう、そして点検に加わっていただくということもまた検討いただきたいというふうに思います。
こうした総合的な政策の進捗を評価・点検するというのは、なかなか新しいチャレンジだと思っていまして、ぜひ検討は急いでいただきたい。しかし、諸富委員先生がおっしゃいましたけど、すぐには包括的、完璧なものにはならないかもしれないと。しかし、そういうものだからこそ検討は急いでいただくということが必要かというふうに思います。
2点目は、各計画、例えば温対計画ですとか適応計画ですとか循環計画、あるいは生物多様性の国家戦略との関係です。これらの計画は、それぞれ施策の点検、あるいは、そのための指標というのは検討され、盛り込まれているというふうに思いますけれども、必ずしも環境基本計画で目指している「ウェルビーイング/高い生活の質」の向上、経済・社会・環境の統合的向上といったような観点からの点検ないしはその点検のための指標とはなっていない、盛り込まれていない可能性もあると思っています。
この点検・評価というのは、ある意味では、施策がそういうふうに評価されるので、そのような施策を立案していく、実施していくという形でのシグナルを与えるものでもあると思っていまして、各分野のこうした計画、戦略について、先ほどから議論があったような、高次の環境基本計画の目指すべき目標に照らしたときに、全体としてそれがどう貢献しているのかということが、しっかり確認をして情報を上げていただくということを工夫していただきたいというふうに思います。
あと、最後ですけれども、総合政策部会が所管をしている環境政策の特に総合的・横断的な分野の施策があるというふうに思います。環境・経済・金融あるいは環境教育などは本当に典型的ですけれども、これらの施策の進捗の点検・指標というのは、もう少し具体化をする必要があるのではないかと思っていまして、これは環境基本計画全体を点検・評価するという総合政策部会の役割と同時に、並んで必要な点検・評価だと思いますので、こちらはまた別、別途といいましょうか、もう一つの課題として取り組んでいただきたいというふうに思います。
以上です。
○大塚部会長 大変重要な点を幾つか指摘していただいたと思います。ありがとうございます。
では、男澤委員、お願いします。
○男澤委員 ありがとうございます。ご説明ありがとうございました。今回は点検の進め方ということでお話をいただいたところでございます。
非常に、ウェルビーイングということで、ハイレベルな目的が上位に来ておりますので、この点検に当たってはいろいろと工夫も必要になってくるのかなというふうに思ったところです。
この目的を達成するための、これから様々な施策が展開されていくということかと思いますけれども、まずは、それぞれの施策の実施状況、アウトプットのところ、これは比較的シンプルに、また、それがどれだけ実施されたのか、どういう進捗状況かというところで見ていけるのかなと思いますけれども、じゃあそのアウトプットが実際に、目的への達成度合い、アウトカムとして、短期的なものと長期的なものとあろうかと思いますけれども、どう効果が発現していくのか、それをどう測定していくのかということに関しては、やはり、どういう指標を持ってくることによってその達成度合いを測ることができるのか、これから工夫が必要だなと、改めて考えた次第でございます。
いろいろ、その施策によって効果の発現の仕方も様々であろうと思いますし、指標と申しましたときも、単独ではなくてシナジー的なものを見ていくということも必要になってくるかと思います。この辺りは、既存の指標等を効果的に利用しつつも工夫が必要なのかなと思いました。ほかの委員の先生方からのご指摘もありましたとおり、やっぱりそのプロセス、発現の仕方ということで、先ほど申し上げましたけれども、そういったものを丁寧に見ていくような局面も必要になるのかなと考えた次第でございます。
私からは以上となります。
○大塚部会長 委員の方々のご発言は以上だと思いますが、よろしいですか。
私からも一言だけ申し上げさせていただきますが、二つの側面で、特に大まかなところとしては重要だと思って伺っていました。
一つは、環境政策がウェルビーイングにどういうふうに貢献するかということとの関係で、必ずしも環境省の環境政策だけではなく、他省庁の環境政策も大いに関連しているのではないかという、三好委員とか高村委員のご指摘もございまして、これは私が前から申し上げていることで恐縮ですが、環境基本計画の最後の部分には他省庁との関係についても触れられていますので、ぜひそのようなヒアリングの機会とかもつくっていただいて、レビューができればと思っておりました。これは私からもお願いということでございます。
それから、もう一つの点は足元のほうで、総合政策部会の中での横断的な問題として、金融の問題に関しては、ちょっと特化して考えていく必要があるということで、様々な開示の問題とかも既に出てきていますので、サステナビリティについては取組の開示の問題とかも出てきていますので、ぜひこの点も、特に特化した形で点検ができればいいのではないかと、高村委員がおっしゃってくださったことですけども、思いました。
では、事務局のほうから、ただいまの各委員のご質問に対するご回答、ご説明をお願いいたします。
○黒部室長 計画室、黒部でございます。ありがとうございます。
非常に多岐にわたるご指摘をいただきました。すみません、一点一点のコメントは、よく我々としても本日の議事録を精査させていただいて、また次回以降の検討に生かしていければというふうに思ってございますが、まず、ウェルビーイングの検討の中で、非常に今回、ウェルビーイングが何なのかということを、オープンクエスチョンというか、はっきり定義しないまま委員の皆様にご議論いただいたので、その点に関しては少し事務局としても準備が不足していたかもしれません。申し訳ないと思って聞いておりました。
その上で、各省ごとのカラーといいますか、ウェルビーイングに関して、各省さんでも様々な捉え方がされておりまして、その中で環境省、総合政策部会、環境基本計画として、その果たすべき役割、どんなところにそのポジションラインを取っていくのかということについては、非常に重要な論点かなと思っております。
例えば、昨日もウェルビーイングの担当者と、それぞれの各省と議論をする機会、ミーティングする場面があったんですけれども、内閣府さんであれば、例えば孤独対策とか、こういうところでウェルビーイングに反映させていくとか、あるいは国交省さんであれば2地域居住、こういうものを進めていく中でウェルビーイングというようなことをお話しされていたりという状況もございます。
その中にあっても、我が国の省庁の中で、将来世代も含めたウェルビーイングというところをはっきり提案しているのは、恐らくこの環境基本計画だけかというふうに思っておりまして、環境省としては、将来世代にわたって、先ほど井田委員からトランスフォーマティブ・チェンジというお話もいただきましたけれども、そこも含めたウェルビーイングの議論を展開していくことに、非常に大きな意義があるのではないかというふうに思っているところでございます。
そうした議論を進めていく中で、今日、参考資料にありますので少し説明を割愛してしまったんですけれども、参考資料の13ページ目にございます。皆様も、ご案内のとおりのSDGsのウェディングケーキでございますけれども、やはり、将来世代も含めた中長期的な豊かな生活の質を守っていくという観点では、やはりこのウェディングケーキモデルを我々は念頭に、施策の点検、あるいはその指標としての重みづけを議論していく必要があるのかなというふうには思ってございます。これは、今日の皆様の議論もよく踏まえて、また今後の議論に生かしてまいりたいというふうに思っております。
また、冒頭、末吉委員をはじめ、幾つかの、何人かの委員からご指摘をいただきました、No One Behind、こぼれ落ちる部分もあるのではないかということに関しては、各国の今、OECDでありますとかデジタル庁さんが出されているウェルビーイングの地域指標なんかにおいては、レーダーチャート的に幾つかのパラメータを出すような形になっておりまして、GDPとか、あるいはそれらを一つに合成して、ウェルビーイングが上がった、下がった、というような示し方をされている国は、現状、我々が調べているところはあまり見つかっておりません。レーダーチャート式が主かなというふうに思っておりまして、これを分かりやすくしようと思えば、合成していくということになるんですけれども、そうすると当然、こぼれ落ちてくる指標、あるいはそこの指標に反映されない部分も出てまいりますので、その辺り、どのくらい細かく拾い上げていくのかということについては、まさに今年、来年度以降の、本体の議論のところでぜひ議論をさせていただければと思ってございます。
また、No One Behind、置いていかれる方に、あるいはそういった指標の個別の部分をどのように拾い上げていくのかということについては、環境政策、これまでも、公害の克服も含めて取り組んできた部分でもあります。裾切りといいますか、これは絶対下回ってはいけないという指標を設けるのか、そうでないのかというところも含めて、また構造の部分で議論を進めさせていただければと思っております。
また、議論について、非常に難易度が高い部分もありまして、必ずしも全ての指標に手が行き渡って必ず設定できるかと言われると、そこは難しさもあるのかなと思っておりまして、指標としては、なかなか具体の数字を出せないけれども、こういうことは中長期的にやっぱり指標を何か設定する努力、あるいは見える化の努力が必要な部分ではないかということで、オープン指標といいますか、現時点では数字はないけれども、何かしら見える化の努力が必要だという項目が設定されているような事例は、海外の国でも幾つかの事例を確認できておりまして、幅広く今回スタンスを取って議論していく中では、そういったものもオプションとしてはあり得るのかなというふうに思っているところでございます。
また、各省との連携協力については非常に今回ご指摘いただきましたので、またさらに議論をしながら、各省とも連携をよく取って進めてまいりたいと、このように思ってございます。
私からは以上でございます。よろしくお願いします。
○大塚部会長 では、非常にたくさんのご意見、ご示唆をありがとうございました。ただいま頂戴いたしましたご意見、ご質問について、お話しいただいたということでございます。
では、次に、報告事項に移ります。
再エネ海域利用法の一部を改正する法律案及び環境影響評価法の一部を改正する法律案につきまして、環境省大臣官房環境影響評価課の川越課長から概要をご説明いただきます。
それでは、川越課長、よろしくお願いいたします。
○川越環境影響評価課長 ありがとうございます。環境影響評価課の川越です。
資料2-1に基づきまして、まず、再エネ海域利用法の一部を改正する法律案について、ご説明をさせていただきます。
おめくりいただいて、1ページ目でございますが、先ほど山口委員からもお話がありましたが、再エネ海域利用法は、昨年、内閣府、経済産業省、国交省、あと環境省、4府省共同で国会へ提出をさせていただきました。衆議院では全会一致で通過しましたが、参議院での審議に至らず、衆議院の解散に伴って廃案になってしまい、改めて今年度、再提出ということでさせていただきました。3月7日に閣議決定をしていただきましたので、改めて早期成立を目指して作業していきたいということで、考えているところでございます。
おめくりいただきまして、2ページ目ですが、現状、再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電の導入促進の状況でございます。
促進区域というところが、実際にもう案件形成を図っているところでございますが、計10区域で、これまで第3回の公募を行いまして、事業者が今、決まってきているところでございます。今、促進区域並びに港湾区域も含めて510万kW、案件形成が進んでいるところですが、2030年の1,000万kW、2040年には3,000から4,500万kW、案件形成を目指していくということで、今後やはりEEZも含めて洋上風力というものの案件形成を進めていく必要があるというふうにされているところでございます。
3ページ目をご覧ください。今回の改正内容の概要となります。前回国会に提出させていただいたものから内容は変わってございませんが、赤枠で囲んだ部分が今回の改正部分となります。
まず、右側のほうですが、先ほど申し上げましたように、今後EEZで洋上風力の案件形成を進めていくための仕組みづくりということで、今回、制度を設計しております。EEZにつきましては、募集区域というものを国が指定します。その指定に当たっては、環境大臣が調査をしてということになりますが、その上で、募集区域内で事業者がこの部分で事業をしたいという部分を提案していただきまして、特に問題なければ事業者に対して仮の地位の付与、仮許可と申していますが、仮許可を与えることとなります。その後、経産大臣、国交大臣、農水大臣、あと関係事業者等を含めてということになりますが、法定協議会というところで詳細を詰めまして、詳細が決まりましたらば、正式な設置許可ということで、EEZにおいて洋上風力が整備できるというような形の制度設計を考えているというのが1点目でございます。
もう一つ、領海・内水、EEZともにですが、今回、区域指定に先立ちまして、環境大臣による海洋環境調査を実施するという規定を新たに設けさせていただきたいと思っています。
こちらにつきまして、実は領海のほうでは、今、事業者として正式に決まる前に、複数の事業者が類似の調査を同じ海域でどんどんやっていて、地元も混乱しているというようなことがあります。あと、アセス手続、実はそういった事業者として正式に決まっていなくても手続自体は開始できるものですから、まだ事業者として決まる前の方がアセス手続を複数開始して、それについても実は審査を行っているのですが、そういった点で合理化ができればということで、今回改正させていただくものでございます。
環境大臣が環境調査を行う際には、環境影響評価で行うような、いわゆる方法書に相当するものを作成した上で同等の調査を行うということを考えておりますので、アセス手続についても一部省略をしていくというようなことを制度として考えているところでございます。
4ページをご覧ください。今申し上げました、特にアセス制度との関係のフロー図を整理したものでございます。
一番上の領海の場合というのが、今、現行制度でありますが、先ほど申し上げたように、アセスのところで黄色の枠で囲ってございますが、複数事業者がアセス開始で地元混乱というふうに書いてございますが、この部分を環境省のほうで、中段になりますが、調査方法書というものを作成して、皆さんの意見も聞いた上で実際に調査をするということになります。その調査の結果については公表し、促進区域の指定に当たっては、必要な意見も述べさせていただき、当然、環境配慮された区域としていくための意見も述べさせていただき、促進区域を指定するというような形で、より環境に配慮した形での手続となるよう今回改めていくものとなります。
その際、区域を定めるところまで、環境省のほうでかなり調査しておりますので、配慮書という手続と方法書という手続については、重複するものですから、事業者に課すことはせず、準備書、評価書以降の手続をしっかりやってくださいという形にしたいというものになります。
一方、EEZの場合につきましては、その募集区域の指定に当たって、環境大臣のほうで調査を実施しますが、実際、募集区域が指定されましたらば、その中で、募集区域のうち、この部分で事業者として事業を実施したいという場所を提案していただきまして、それに対して仮許可、許可を与えていきますので、事業実施区域と募集区域というのが必ずしもニアリーイコールではないものですから、配慮書手続については適用除外としますが、以降の手続となる方法書以降の手続は、その事業者さんがやりたいという実施区域に対して方法書を作成していただき、準備書、評価書という手続をやっていただくというような形での適用除外というふうになります。
こちらの法律は、先ほど申し上げました3月7日に閣議決定させていただきまして、できれば公布した後1年以内ということで施行を目指しておりますので、引き続き頑張っていきたいと考えているところでございます。
続きまして、資料2-2、環境影響評価法の一部を改正する法律案についてご説明をいたします。
1ページ目をご覧ください。こちらのほうは、今回、改正案を検討するに先立ちまして、中央環境審議会においてご審議をいただいてきたところでございます。
検討経緯として、まず、環境影響評価制度全体の在り方に関する検討の必要性とございますが、環境影響評価法につきましては、1997年(平成9年)に成立しまして、その後、2011年(平成23年)に改正をされまして、その2年後、2013年に改正法が完全施行されております。
改正法の附則におきまして、この法律の施行後十年を経過した場合におきまして、施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるというふうにされておりますことから、昨年の10月に中央環境審議会に対して諮問をさせていただき、検討を進めてきたというところでございます。
二つ目として、陸上風力発電事業に係る環境影響評価制度の在り方に関する検討の必要性ということで、風力発電事業、環境影響評価手続の全体件数の中で、大体、今、7割ぐらいを占めるようになってございますが、それに加えて、先ほど申し上げたような洋上風力など、今後もさらなる導入拡大が期待されるということで、2023年9月に中央環境審議会のほうに、「風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について」ということで諮問をさせていただいております。2024年3月には、洋上風力発電に関して一次答申として取りまとめていただきまして、その結果を、先ほどご説明した再エネ海域利用法の改正につなげさせていただいております。
一方で、陸上風力に関しましては、引き続き課題として残されているものですから、それについて、今回、先ほどのアセス制度に係る審議会と一緒に、アセス小委及び風力小委合同という形になりますが、昨年の11月から計6回になりますが、開催させていただきまして、3月9日、先週の木曜日に答申としてまとめていただき、金曜日に公表させていただいたということになります。
次ページをご覧ください。字が小さくて恐縮ですが、中央審議会における審議及び答申の概要ということで、簡単にご紹介をさせていただきます。
まず、前回法改正事項の点検ということで、一つ目、配慮書手続の在り方ということでございます。前回改正におきまして、事業の計画段階におきまして、事業の位置等を決定する手続として、配慮書手続というものが新たに盛り込まれましたが、その制度については維持していくことが適当であるというご意見をいただく一方で、特に、風力発電に関してですが、広大な事業実施想定区域を設定し、その後、手続を経るごとに区域を絞り込んでいくような、いわゆるみなし複数案というふうに呼ばれているのですが、そういったことが一般的になっているのですが、やはり複数案というものをちゃんと設定した上でやっていくべきだというようなご意見もありまして、そういった点について、今後ガイドラインの整備等を進めていくことが必要だというご意見をいただきました。
また、報告書というものは、事後調査ですとか、あと、環境保全措置を実施した場合に、事業着手後にそういったものを取りまとめて報告しなさいということが新たに規定されておりまして、制度として維持していくことは適当とされたところですが、実は、発電所事業に関しましては、電事法の規定に基づきまして、報告書が環境大臣等に送付されない、実はそういったことになっておりますので、それを入手できる仕組みというものを早急に構築していくべきだというようなご意見いただきました。
2番目として、陸上風力発電の導入促進に当たって必要となる環境配慮の確保ということで、1点目として、立地誘導による導入促進ということで、やはり陸上風力発電に関しましては、その立地場所によって、例えばバードストライク、景観等もそうですが、影響が生じるということから、立地誘導というものが非常に重要だというご意見をいただきました。そういった点で、環境影響の懸念が小さい適地への事業を誘導するための仕組みの検討が必要ということで、例えば温対法に基づく促進区域制度をはじめとしたゾーニング制度とうまく連携していくようなこと、そういったご意見をいただいたところでございます。
2点目として、現行の法対象規模を下回る事業に係る効果的、効率的な環境配慮の確保ということで、現行風力発電事業につきましては、第一種事業が5万kW以上、第二種事業というアセスの要否を判断する規模が3.75万kW以上というふうにされているのですが、実はその3.75万kW未満であっても、立地によっては非常に影響が大きいものがあるというご指摘をいただいておりまして、そういったものへの対応として、第二種事業の規模要件を引き下げ、立地による環境影響の程度が著しいものに対して、法対象としてちゃんと対処していくべきではないかというようなお話もいただいたところです。
3点目として、建替事業に係る効果的、効率的な環境影響評価手続の実施ということで、実は、アセス法では、新規の土地改変を伴うようなものを主に念頭として制度設計されておるのですが、最近、風力発電ですとか火力発電も含みますが、結構建替えのような事業が出てきてございます。ただし、建替えのような、例えば、同じ場所で同じようなものを造る場合であっても、新規と同様に事業地を新しく検討しなさいというような、そういった規定があるものですから、そういった点は、環境配慮は確保しつつ合理化する部分はあるだろうということで、そういった制度というのを見直していくべきだというご意見をいただいたところでございます。
3番目として、現行制度の課題等への対応ということで、1点目が、環境省による環境影響評価図書の継続的な公開ということでございます。環境影響評価手続の中で、先ほどから出てきております配慮書、報告書をはじめ、評価書等、実は五つの手続がありまして、それぞれ数百ページにわたる図書というものが作成されておりますが、概ねそれぞれ1か月程度公開されましたらば、その後はもう閉じられて見られないという状況になっているものですから、そういったものを継続的に公開できるような制度上の仕組みを早急に確立すべきという点をご意見いただきました。
また、戦略的環境影響評価の実現ということで、政策・計画段階でのアセスにつきましては戦略的環境影響評価というふうに呼ばれておりますが、それについても、環境のみならず、社会・経済、そういった持続可能性も視野に入れました持続可能性アセスメントというものも含めて検討を進めていくべきではないかというような答申をいただいたところです。
また、累積的な環境影響への対応ということで、最近、風力発電で顕著でございますけども、一つの事業だけでは環境影響が生じていないのですが、複数の事業が同じような場所で実施されることによって環境影響が発現する。そういった場合に対して、技術的な考え方の検討を行う、さらには、そういったものをガイドラインとしてまとめて策定していくことが必要ではないかという点となります。
環境影響評価に係る技術の向上と環境情報基盤の充実化ということで、特に生物多様性などにつきましては、そういったものの機能やサービス、そういった面も含めて、やはり技術的な向上を図っていくべきではないか。さらには、人材育成、環境情報基盤の充実化についても取り組んでいくことが必要といったご意見をいただきました。
最後になりますが、環境影響評価法の対象とすべき新たな事業に関する検討ということで、例えばCCS事業などが審議会ではご意見としていただきましたが、海洋等において将来的に実施が見込まれる、そういった大規模新規事業についても、事業の動向を注視し、科学的知見の収集を図っていくことが必要といったような答申をいただいたところでございます。
次ページをご覧ください。そのような答申をいただきまして、まず、法改正事項として今回提出させていただいた法案の概要となります。
背景のところは先ほどと重複しますが、特に建替えについてはそういった規定がないというところ、また図書については概ね公表期間が1か月程度に限られているといったことを含めまして、1点目として、主な改正内容のところになりますが、建替事業を対象としたアセス手続の見直しを行いたいということです。
建替事業に係る配慮書として、位置が大きく変わらず、同じような規模の工作物を造るようなものに関しましては、事業実施想定区域に係る周囲の概況などの調査を不要とする。つまり、事業実施区域を検討する際に周囲も含めて調査してくださいというふうに、今は規定をしているのですが、事業場所が同じなものですから、そこについては調査は不要とします。ただし、既存事業が既にあることを踏まえますと、既に環境影響が発現している可能性というのは非常に高いというふうに考えれば、そのような環境影響を基に新設する工作物についてどのような環境配慮をするのか、もうこの時点で明らかにしてくださいと、そういったことを求めていくということを考えてございます。例えば、風力発電なんかでいきますと、例えばバードストライクが発生しているとするのであれば、そのバードストライクを回避するために配置を見直す、そういったものはこの段階で検討してください、ということを新たに求めていきたいというふうに考えてございます。
また、環境大臣につきましては、既存事業に伴う懸念事項も含めて、この建替配慮書に対する意見を述べることで、確実にそういった環境配慮を確保していくということに取り組んでいきたいと考えているところでございます。
2点目として、アセス図書の継続公開でございますが、今回、環境大臣のほうでアセス図書を入手した上でインターネットにより継続公開をすることで、住民の方も含めて、誰もがアセス図書というものを一定期間見られるようにしていきたいということを法律で規定するということでございます。
最後、施行期日でございますが、公布の日から2年以内ということで、政令で定めたいと考えてございますが、図書の公開につきましては、環境省のほうで公開するだけですので、1年以内で、前倒しで施行ということで考えているというところでございます。
私からのご報告は以上となります。
○大塚部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの報告につきまして、コメントがございましたらお願いいたします。
では、豊岡委員。
○豊岡委員 ありがとうございます。大規模な法律の改正で、早く進むということについて期待をしたいんですが、ちょっとお伺いしたいのが、地域の今までの、今まで本当にこの配慮書、方法書のときに、地域が混乱するということは非常にありまして、地域側のほうとしては、ゾーニングをして、業者側としっかりした意思を示すみたいなことを努力してきたわけですけれども、地域側は、これから募集区域の指定において、何らかの意思を示すことができるのかどうか。また、仮付与の、もう付与をしてしまわれると、どんな事業でどのような、ここに対しての要望とか地域のコミットする余地があるのかどうかのような、そのような、どの部分でどのようなコミットができるのかというのが、ちょっと地域側としては見えないんですけれども、そこはどういうふうに設定されているのか教えていただけますでしょうか。
○大塚部会長 井田委員、お願いします。
○井田委員 ありがとうございます。豊岡さんと大抵意見は合うんですけど、私、これ大規模だと全然思っていなくて、個人的な意見ですけど、今の環境アセスって非常に大きな問題を抱えていると認識しています。知床の基地局を見ても、各地で昭和型の大プロジェクトが出てきて、その中で十分にアセスは機能していないと思っています。
これ、今日のお話を聞いていて一番感じるのは、すばらしい提言があったんですよね。アセス小委なんか、風力小委とか小委員会でもすごくいろんな議論をして、これだけの意見が出てきて、それでやることが、言われていた継続公開だけかいというふうに私は思ってしまいます。
戦略アセス、今の配慮書段階云々というのは、私は十分だと思っていないし、代替案とか複数案とか、立地誘導とか、非常に重要な指摘があったんだけども、市民参加、豊岡さんが今おっしゃったように、市民参加のチャンネルというのも議論はあったはずなんですけども、それはどこへ行ってしまったのか。
サステナブルアセスメントというのがあって、環境影響のおそれがある事業まで全部スコープを拡大していこうというような議論もあったように認識しているんですけども、じゃあそれはどうなってしまったのか。
10年に1回の改正といって、どんなものになるかと期待していたんですけども、それで、失礼な言い方ですけども、図書の継続公開だけかいと、私、どうしても思ってしまいます。様々な指摘があって、環境アセスって、これから私、非常に重要だと思っていて、トランプ政権のNEPAとCEQの骨抜きみたいなのもあって、環境アセスというのは非常に重要、国際的にも重要だと思います。海に関して言えば、30by30とかと言っている一方で、深海資源開発がばんばん起こってくると。BBNJというのを日本としてどう貢献するかという意味もあって、こともあって、今の環境アセスメントで、今回の改正をしたからといって、検討会とか小委員会とか中環審の議論の中で指摘された問題が、どれだけの間、積み残されてしまうのかなというような懸念を持っているんですが、改正案、法律が出て成立しない前からこういう議論を、こういう質問をするのは何なんですけども、今後の大改正というのに関してはどういうふうなお考えを持っているのかというのを、ぜひ環境省から伺いたいと思います。
あともう一個、これも戦略アセスに関係するんですけど、洋上風力も、配慮書がなくなるというのは良い、プロセスとしては良いかと思うんですけども、これで戦略アセスとかという点が弱くなってしまわないかなという懸念に関しては、どういうふうなお考えを持っているかというのも併せて伺いたいと思います。
○大塚部会長 ありがとうございます。
オンラインのほうで、河口委員、お願いします。
○河口委員 ありがとうございます。
○大塚部会長 聞こえていますよ。
○河口委員 はい。ありがとうございます。すごく素朴な疑問なのですけれども、これ、風力発電では、この大規模なことで改正をするということなのですが、今、世の中で問題になっている、山を切り崩しているソーラー発電事業に関しては、これは、網はかかっていないのか、もう既にこの網がかかっているけれども、網がかかる前にあんなにたくさんできちゃったのか、また、今後入れる話なのかというのが、本当に素人でよく分からないんですけれども、そこをちょっと教えていただければと思います。
それから、生物多様性の取組ということも、一方で、また進んできている中で、生物多様性で、いろんな事業会社も、いろいろと自分たちの向上だとか取組アセスを評価するというような動きが出てくる中で、その中で、この環境アセスメント法案というのは結構重要なポイントなのかなと思うのですが、そことの関連性というか融合性というか整合性というのは、どのように取られているのかなという点について、2点お聞かせいただければ幸いです。
以上です。
○大塚部会長 中村委員、お願いします。
○中村委員 大変ありがとうございます。たくさんの答申に、中央環境審議会からこの見直しに関して、改正に対して意見が出されていますよね。例えば風力の立地誘導による導入促進とか。特に、環境に影響が大きい場所から小さい場所に誘導していくようなこととか。私も、北海道の議論の中で、累積的な環境影響をどうやって評価するかとか、具体的な手法も分からないままやられているので、今回の改正で、なぜこういった案に対しての対応ができなかったのか、そこを教えていただきたいというのが一つです。
それからもう一つ。この改正の部分なのですけれども、建て替えする場合に、既存事業の影響を踏まえて新設する工作物に対する環境配慮の内容を明らかにすると書いてあるのですが、この既存事業の環境影響というのは、この事業者がやると考えていいのかどうか。特に、そもそもの最初の事業を起こしてから、どんな影響があったかということをきちんとモニタリングして、それを公開する仕組みがないとできないと思うんですけれども、そういった仕組みがきちんとあった上でこの内容が実施されるのか、そこを教えてください。
以上です。
○大塚部会長 馬奈木委員、お願いします。
○馬奈木委員 ありがとうございます。今回やられている背景としては、洋上風力、そもそも日本のシェアがほぼないということと、風力であってもないということ。そして一番の問題は、海外のシーメンス、ヴェスタスなど主要企業がある中で、日本の企業が今後も大きくサプライチェーンの中に入ってはいけないという前提があるから、何とか早めようという簡易化だと認識しています。その上で、簡易化しながらしっかり精度を高める、自然評価をするというのは大事だと思うんですね。それを進めるようなプロセスを、例えばうまく自然資本の情報を活用すればAI化できると思うんですね。
そういうふうな方向に行くならばいいと思うんですけども、そうじゃない、ステップだけの提言だと、コストが削減にはつながるとは思いますけど、事後的な問題も生じ得るので、そういう意味で、この改正の方法は変える取組のほうが本来はいいのかなと思います。
ただ、それをやったとしても、国内で洋上風力のサプライチェーンが、仕組みが回って、かつ自然環境もうまくいくかというと、現実ではまだ程遠いので、そういう意味で、それでも促すようなものにするならば、もう少し、精度の高さとプロセスを早めるような仕組みを大きく変えない限りは、かなり小さな影響しかないと思います。
以上です。コメントです。ありがとうございます。
○大塚部会長 ありがとうございます。コメントをいただきました。
もしご回答いただけるものがあれば、お願いします。時間がなくなってきているので、誤解を解くこととかも含めて、回答していただいたほうがいいかなと思いましたけれども。
○川越環境影響評価課長 分かりました。まず、豊岡委員から、地域が、どのような関与ができるのかというお話をいただいたところですが、ちょっと領海とEEZで少し仕組みが異なるかと思うのですが、まず環境省が調査をしますが、調査方法書の段階でまず意見を頂戴するというところは、意見を皆さんからいただくことになっていきます。また、領海の場合、協議会、関係者ということになりますが、地域の関係者につきましては、そういった場に入ってご協議をいただくというところで、関与できるものではないかというふうに考えてございます。
一方で、EEZの場合、県境とかはなくなってくるので、関係団体という方々には協議会の場に入っていただくのですが、個別の住民という方はなかなか特定できないというところで、当然、いろいろな内容については公表されていくと思うのですが、ちょっとその辺は、どういった場になるのかというのは、領海とは異なってくる仕組みになってくるというふうに考えてございます。
井田委員からお話がありましたけれども、あと中村委員からもお話しいただきましたが、答申の内容と今回の法改正の内容は大分違うのではないかという点ですが、実は、今回答申いただいた内容のうち、法改正で対応すべきものと、政省令等で対応すべきもの、あと法律に基づく基本的事項で対応すべきもの、さらには、それ以外の検討として技術的に深めていくもの、それぞれ幾つかのパートがあるというふうに考えてございまして、法律に関しては、先ほどご説明した二つを考えてございます。それ以外、風力の関係では、幾つかの視点については、主に今後、政令等で対応していくということで、法律の後、順次、次年度以降やっていくということで考えております。それぞれをやらないというわけではないのですが、法律事項として今回の改正でやるべきものはどれかといったときに、今回の二つになったということでございます。
SEAにつきましても、これまでSEAを、他の事業種も含めて横断的にという部分は、なかなかできていないところでございますが、例えば、温対法の促進区域、あと今回の再エネ海域利用法に基づく区域指定等も、実は計画段階での環境配慮の仕組みになりますので、ある意味SEAに資するものだということで、審議会でもご議論いただいたところでございます。
そういった点も踏まえて、今後、持続可能性アセスメントというところも視野にということでございますが、こういった特に個別施策、とりわけ再エネとの関係で、やはり、かなり今、地域での問題等も生じていると思っておりますので、そういったところにターゲットを絞ってSEAのような取組を進めていくべきではないかということで、今、考えているというところになります。
あと、大改正はどうなるのかということですが、今申し上げたように、まず今次改正においてはその二つですが、今後、必ずしも10年待って見直すものではないのではないか、という点も審議会でご意見をいただいておりまして、中間年度でも評価もしますし、それ以外でも、恐らく毎年のように審議会をお願いしてやっていくような形になると思いますので、そういったものにつきましては、順次課題として出てくれば、法改正も含めて検討していきたいというふうに考えているところでございます。
あと、河口委員からお話、ご質問がありましたソーラーに関しましては、既に2020年から法対象事業としてはなってございます。ただし、近年問題となっているのは、法対象事業等にもならず、あと条例対象ともならない、それより小さいようなソーラーというものが、かなり地域で混乱を起こしているというふうに承知しております。そういったものにつきましても、やはりゾーニング制度というものとかなり深く関わってくると思いますので、そういった点では、大事な場所をあらかじめ示すというようなことも先般の答申でいただきましたが、そういったことを作業することによって、地域環境に配慮した再エネの導入促進というものに我々としても貢献していければというふうに考えているところでございます。
あと、中村委員から、答申への対応は先ほど申し上げたとおりですが、既存事業による影響というものは誰がということでございます。基本的には、事業者が今現在行っている事後調査やモニタリング、そういった結果を活用していただくということを基本としつつも、やはり分からない部分につきましては、周りの住民等にも意見を聴取して拾っていただく。そういったことも含めてやっていただき、足りない部分については環境大臣が意見を申し上げ、方法書以降でしっかりと調査をしていただく。そういった設計を考えていきたいというふうに考えてございます。
あと、馬奈木委員からも、幾つかコメントということでいただきましたが、洋上に関しましては、実は別途、検討をしておりまして、事後モニタリングというものもガイドラインを作成してフォローしていくというようなことで、環境保全に配慮したものにしていけるよう努力したいと考えているところでございます。
私からは以上です。
○大塚部会長 すみません。私の不手際でちょっと時間が延びてしまって、誠に申し訳ありません。
○井田委員 すみません。その上で、不規則発言で本当に恐縮なのですが、井田ですが。
○大塚部会長 どうぞ。
○井田委員 これ、本当に急がないといけない。これだけの答申があって、これだけの意見、いい意見があって議論したものですから、10年待つというのは冗談じゃないので、早急に、大改正に向けた議論というのを、どういう形でかはともかく、進めていくべきだと思っているということを申し上げて、すみません、時間がなくなる中、失礼いたしました。
○大塚部会長 ありがとうございました。ご意見を承っておきたいと思います。
では、最後に、部会長代理の指名を行いたいと思います。中央環境審議会令第6条第5項によって、部会長はあらかじめ部会長代理を指名することになっております。
つきましては、部会長代理を亀山康子委員にお願いしたいと思います。
亀山委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○亀山委員 はい。皆さん、初めまして。今日は遅くなって、途中から入って申し訳ございませんでした。皆様の非常に真剣なご議論を拝聴しておりまして、どのような役割が果たせるのだろうかと思いながら聞いておりましたけれども、尽力したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○大塚部会長 では、予定していた議題が終わりましたので、本日の審議は終了となります。
最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○黒部室長 皆様、長い時間にわたりまして、ご参加いただきまして、ありがとうございます。
本日の議事録につきましては、事務局で取りまとめを行い、委員の皆様にご確認いただきました後、ホームページにて掲載をさせていただきます。
最後に、今後の総合政策部会の予定でございますが、正式な日程等が決まりましたら、追ってまたご連絡をさしあげたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○大塚部会長 以上をもちまして、本日の総合政策部会を終わります。本日はどうもありがとうございました。
午後12時05分閉会