中央環境審議会 総合政策部会(第116回)議事録
第116回 中央環境審議会 総合政策部会
令和6年5月9日(木)14:00~16:33
環境省 第1会議室
(Web会議システム併用)
議 事 次 第
1.開会
2.議事
(1)第六次環境基本計画(答申案)について
(2)中央環境審議会による第六次環境基本計画の点検の進め方について
(3)風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(一次答申)及び再エネ海域利用法改正法案について(報告)
(4)その他
3.閉会
配付資料一覧
【資料】
資料1-1 第六次環境基本計画(案)に対する意見募集の結果について(概要)
資料1ー2 第六次環境基本計画(案)に対する意見募集の結果について
資料2ー1 第六次環境基本計画(答申案)
資料2ー2 第六次環境基本計画(答申案)(意見募集対応の見え消し版)
資料3-1 中央環境審議会による第六次環境基本計画の点検の進め方について(案)
資料3-2 第六次環境基本計画の進捗状況等を評価するための指標(案)
資料4 風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(一次答申)及び再エネ海域利用法改正法案について
【事前意見】
事前意見
【参考資料】
参考資料1 中央環境審議会総合政策部会名簿
参考資料2 第六次環境基本計画(案)の概要
参考資料3 参考資料
参考資料4 風力発電事業に係る環境影響評価の在り方について(一次答申)
午後 2時00分 開会
○東岡室長 それでは定刻になりましたので、ただいまから、中央環境審議会第116回総合政策部会を開催いたします。
まず、委員総数31名のところ、25名の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告いたします。
本日の会議は中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただいておりますので、環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行っております。
本日は、ウェブ会議システムとのハイブリッド開催とさせていただいております。ウェブよりご参加の委員におきましては、各自、発言時のみ、ライブカメラの映像とマイク機能をオンにしていただきますようお願いいたします。また、会場の声が聞こえにくいなどがございましたら、チャット機能などでお知らせください。
会議資料につきましては、議事次第の下、資料一覧に記載のとおりでございますので、ご確認いただき、もし不足している資料などがございましたら事務局までお申しつけいただきますようお願いいたします。
なお、今回、本日ご欠席の井上委員から事前意見をいただいておりますので、併せて配付させていただいております。
本日の資料は、環境省ホームページ、総合政策部会のページにアップロードしております。
それでは、今後の進行は高村部会長にお願いいたします。
○高村部会長 それでは、ただいまから議事に入ってまいります。
2月26日、前回開催いたしました総合政策部会におきまして、第六次環境基本計画の案について、ご議論をいただきました。その際に委員の皆様からいただいた多くの意見、こちらを反映した形で3月12日に第六次環境基本計画案を公表して、それについての意見募集を行ってまいりました。
本日は、意見募集で皆様からいただきました意見などを踏まえて、それをさらに案に反映した形で修正したものを第六次環境基本計画の答申案としてお示ししております。
まず、意見募集の様子といいましょうか、結果と、それから前回、2月の部会でお示しした後の計画案からの変更点を中心に、事務局から、まずご説明いただきたいと思います。その上で、総合政策部会の委員の皆様から答申案についての審議ということをお願いしたいと思います。
それでは、資料1-1、続いて資料2-2まで、一連のたくさんの資料について、事務局からご説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○大倉課長 今、高村部会長からご紹介があったとおりでございますけれども、2月26日の総合政策部会でいただいたご意見を反映した上で、3月12日から30日間、パブリックコメントを行いまして、それに基づいて修正を施したものがお手元の答申案ということになってございます。
まず、資料1-1でございますけれども、パブリックコメントの概要ということでございます。資料1-2のほうに、いただいたご意見を全て、一覧表にまとめてございまして、それに対する個別の回答も記しておりますが、ちょっと時間の関係で資料1-1のほうで進めさせていただきます。
いただいたご意見の総数ですけど386件、関係ない意見が3件ございましたけれども、これは第五次環境基本計画のときよりも、およそ4倍ぐらいのご意見をいただいてございます。
主な意見をご紹介いたしますと、まず内容の充実を求めるご意見ということで、幾つか項目を挙げてございます。
例えば、ロシアによるウクライナ侵略を記述するのであれば、イスラエルによるガザの侵攻も記載すべきというご意見とか。
あと、TNFDに関する記述の充実とか。
戦略アセスについても、もっと具体的に書きましょうとか。
気候変動訴訟についても、国外だけじゃなくて、国内でも起きているということをちゃんと書いてくださいとか。
国民参加も今回の大きなテーマだと我々は思ってございますけれども、その記述に対してより一層の記述、いわゆる仕組みづくりのところも書いてくださいというご意見もあったりいたしました。政策決定過程への国民参画の一層の推進というふうに記述を追加したりしておりますけれども、ご意見にあった個別の仕組みづくりは各政策で考えるということですので、そちらのほうで考えるというような回答をしてございます。
裏面へ行きまして、個別の修正に関わるご意見ではないですが、これも施策の参考というところになるご意見でございますが、環境人材の育成、人的資本投資、これも今回の大きなテーマの一つでございますが、それに対するご意見もございました。
あと、カーボンプライシングであるとか、石炭火力。第五次計画のときからの論点ではありますけれども、そういったものに対するご意見も幾つかございました。
また、再生可能エネルギー関連のご意見でございますけれども、従来どおり、もっと増やすべしというご意見もございましたが、最近問題になっているとおり、今回も新しく次世代戦略の中でパラグラフを立ててございますが、特に生物多様性、自然共生との、いわゆるトレードオフの回避といったところのご意見も幾つかあったのは今回特徴的だったかなと思ってございます。
加えて、化学物質管理に関してのご意見が件数的にはかなりございまして、いわゆる日常生活に関わる化学物質の管理に関するご意見、例えば香害に関するご意見が多数ありました。
こういったところを個別にご説明するのは非常に難しいと思ってございますが、資料2-2で見え消しのほうを記載してございます。ぱらぱらとめくっていただけるとお分かりのとおり、ある種の修正にとどまっていまして、計画の核心的な部分といいますか、今回のウェルビーイング、高い生活の質を最上位に置いた、国民一人一人のウェルビーイングなどをちゃんと向上させることを最上位に置いた環境危機への対処、新たな文明の構築、社会変革を果たすといったような大きなストーリーに関するご意見といいますか、そういったところに対する修正はなかったということになってございます。
修正したところについては、今ご紹介したところ以外については別途、同時に循環部会のほうで進行しています循環型社会形成推進協議計画との表現の統一であるとか、数字的な修正であるとか、前回、武内委員からご指摘のあった脚注の精査というところを中心に修正しておりまして、今申し上げたとおり、2月26日にご議論いただいて、その結果を反映したものから、重要な核心的なところといいますか、全体のストーリーに関わるところの修正はなかったということになってございます。
それを反映したものが資料2-1のほうでありまして、今回、答申案という形でご提示させていただいてございます。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございました。
今ご紹介がありましたように、意見募集を受けて、さらに計画案について反映いただいた点、それから意見募集の中の特徴的なご意見もご紹介いただきました。
それでは、事務局から今ご説明いただきました、前回以降の意見募集等を踏まえた答申案の内容について、部会の皆様からご意見をいただきたいと思います。ただ、今回、できれば答申という形でまとめていきたいというふうに思っておりますけれども、これまで、まさに1年近くにわたって議論いただいてまいりましたので、この計画をある意味では早くまとめて、実際の実践に移していくことが非常に重要かというふうに個人的には思っております。そういう意味では、ぜひ委員の皆様には第六次環境基本計画の案、今お手元にあるものですけれども、どういうふうに実施していくか、実践していくか、その上で留意すべきことなど、ぜひご意見いただきたいというふうに思っております。
先ほど冒頭にもありましたけど、今回はほぼ全員の委員にご出席いただいておりまして、ご欠席の井上委員からも事前にご意見をいただいております。議論を始めるに当たって、ご欠席の井上委員からいただきましたご意見、書面の意見を事務局からご紹介いただければと思います。
○東岡室長 それでは、井上委員の事前意見につきましては資料で配付させていただいておりますが、読み上げさせていただきます。
「第六次環境基本計画の策定にあたり、幾度の総合政策部会、その他の部会を通じて様々な意見をくみ上げ、広く盛り込むという、部会長の采配や委員各位の貢献、そして事務局の皆さまの多大なるご苦労に敬意を表します。その成果として、内容も非常に充実していると認識しています。
第五次環境基本計画が策定されてからおよそ6年が経過しました。この間、世界各地では人権が侵害され、絶え間ない戦争・紛争、エネルギーや地政学的なリスクの高まり、新型コロナウイルスによる社会の変容、脱炭素の動きの一層の加速など、国内外の情勢は大きく変化しています。こうした社会の変容を目の当たりにし、これまでにないほど人々の間に今の生活や将来の不安が高まっているのではないでしょうか。
2024年春期生活闘争では、連合が賃上げに改めて取り組んだ2014闘争以降で最高となる賃上げが実現し、新たな経済社会へのステージ転換へと向かっています。
今回の計画はその目的にウェルビーイングや生活の質の向上を掲げていますが、ウェルビーイングや生活の質の向上は、こうした社会情勢や人々の不安、思いに応えるものだと言えるのではないでしょうか。
前述のとおり国際的な情勢を受け、日本国内でも脱炭素に対する関心がひときわ高まっています。各種政策とそれを実行に移すための法律整備も進み、脱炭素実現に向けた官民の取り組みが加速しています。
環境省含む複数の省庁が一致団結して取り組んでいるGX(グリーン・トランスフォーメーション)にまつわる各種施策は、経済や産業構造の変化をもたらすものです。他方で、経済・産業の構造変化に際して、その影響をもっとも強く受けるのは労働者であり、労働者に対する負の影響を最小限にするためには「公正な移行」が欠かせません。
「失業なき労働移動」を担保する重層的なセーフティネットの構築や地域経済への対応などが必要であり、そのためには環境省のほか、各省庁や地方自治体との連携のもとで推進をお願いするとともに、その過程においては、労働組合を含む様々なステークホルダーとの社会対話も行っていただきたいと思います。
今計画作成のプロセスの中では、委員の皆さまや事務局とも議論することができ、「公正な移行」に関する理解が深まったものと認識しています。
今後、計画に掲げられた戦略を着実に実行に移していくことが必要ですが、そのためには、この新しい環境基本計画が広く国民に対し、分かりやすく発信していただきたいと思います。その結果、政府や地方自治体任せにするのではなく、国民一人一人も自分事として主体的に取り組んでいくことが重要だと考えます。
こうした取り組みは、「今」の便利のために「将来」を犠牲にしないための現代世帯の責務でもあります。希望が持てる30年、さらにその先の礎となるような計画となることを期待しています。」
以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございました。
今、井上委員からいただいたご意見の中にもありましたけれども、いかに計画に基づいて実行していくか、その中で特に公正な移行というのを重視した様々な取組が必要ではないかというご意見をいただいたかと思います。発信の重要性についても、ご指摘いただきました。
それでは、ここから、ご出席の委員の皆様からご意見をいただいていきたいと思っております。ぜひ計画に基づいてどのように実践していくか、留意すべき点はどこか、こうした点についてご意見をいただきたいと思っております。
ちなみに、点検・進捗評価については次の議題に置いておりますので、そこで点検・進捗評価についてはご意見をいただければというふうに思っております。
ある意味で、この計画の本当に最終段階でありますので、できれば全ての委員にご発言いただきたいと思っておりますけれども、無理強いはできないだろうと事務局とお話をしまして、ご発言を希望される方は従来どおり、お手を挙げて教えていただければと思います。会場参加の皆様は名札を立ててお知らせください。それから、オンラインでご出席の委員の皆様はWebexの挙手機能を使っていただくか、あるいはチャット機能でお知らせいただければというふうに思っております。時間の制約をお願いして恐縮でありますけれども、お一人2分以内でのご発言をお願いできればというふうに思っております。今日はタイマーがうまく機能しないということですので、申し訳ありませんけれども、ぜひご協力を自発的にお願いできればと思います。
それでは早速ですけれども、ご発言をお願いしてまいりたいと思います。まずは会場からお願いしようと思いますけれども、崎田委員、その後に武内委員、田中委員と、お願いできればと思います。
崎田委員、よろしくお願いいたします。
○崎田委員 ありがとうございます。
まず、前回、私は幾つか発言させていただいたんですけれども、それに関しては、全員参加型のパートナーシップとか食品ロスに関しても少し丁寧に書き込んでほしい、福島の除去土壌の減容とか再生利用のことも少し明記をというようなことでお話ししました。それに関して非常に最後の段階で丁寧に修正していただきましてありがとうございます。
そして、今回拝見して特徴的なのは、やはりパブリックコメントをこれだけ、400件近い方からいただいたということは大変すばらしいというふうに思っています。検討過程の中で、たしか26ぐらいの団体から発表いただいて、意見交換会を何度も実施するような形で今回取りまとめてきましたけれども、やはり多くの人の声を集めるという参加型の政策形成過程があったからこそ、これだけ多くの方に関心を持っていただけたというふうに思っています。
どういうふうに内容を実践していくかということに対しても、私は多くの方に実際に実践していただいて、その声を集めていくという、同じようなスタンスを取っていくことが大事なのではないかというふうに感じております。そういう意味で、例えば全国各地の大学あるいは高校とか、そういう次世代の皆さんにしっかりとこの内容をお伝えしながら、その方たちが自分たちの学校、地域、そういうところで地域の環境経済や社会の課題とか考え、その中での暮らし方、文明・文化、こういうところを合わせて、課題をどう克服するかということにチャレンジしていただく、そのような動きをつくっていきながら情報を集めていく、そしてすばらしい取組、あるいは課題を共有しながら次のステップに行く、そういう流れをつくっていくことが大変重要なのではないかというふうに思います。本当に環境的には危機的な状況から一歩、みんなで進みながら、次の社会をつくっていくという大事な、これからの10年の基本方針を一緒に皆さんで実現していきたいというふうに思います。
ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、続きまして武内委員、お願いいたします。
○武内委員 武内です。私と崎田さんは定年延長になっていますので、もう今日これが最後ということになってしまいます。ということで、少し過去を振り返って、言い残しておきたいことがあるんですが。
実は、この前の環境基本計画は私がリードしたんですけれども、そのときの趣旨は、三つの社会像ですね、これを統合的に捉えていこうというふうにして、いわゆる安倍さんの21世紀環境立国戦略でまとめたんですけれども、結局、省内でばらばらになっちゃって、ご承知のように省内でばらばらになってうまくいかなかった、それを何とかしたいというので、地域だったら統合できるだろうということで、地域循環共生圏という概念を出して、それを推進していくことによって現実の場で統合ができるというふうに考えたというのが前回の趣旨なんですね。
今現在、この計画は何を言っているかというと、循環共生型社会を目指すと言っているわけです。逆に言うと、今までの地域に限定していたものから環境政策そのものが地域循環型社会を目指すものになっていくことが必要だということです。別の言い方をすると、従来のいわゆる局ごとの縦割りをどうやって超えていくことができるかということに対する、いわゆる課題の解決が今問われているというふうに考えていいのではないかというふうに思うんですね。本当にそういうことができるのかどうかというのをやっぱりちゃんと考えないと、言っただけの絵に描いた餅になってしまうということを一つ申し上げたい。
それからもう一つは、この間、シナジーという議論が出てきました。これのきっかけは、国連社会経済局と国連気候変動枠組条約が一緒になってやった、気候変動とSDGsのシナジーに関する国際会議、これが最初のきっかけです。それ以来、我々もずっと関与してきたんですが、大変ありがたいことに、日本がこれをずっとリードしてきたという経緯があります。最近も国連大学で専門家会合を主催したというふうなことがあって、このことはぜひ積極的に国際社会に対して、何となく外でつくられた概念を日本に持ち込んで、それを展開していくというような考え方ではなくて、それもいいんですけれども、もう少し積極的にプロアクティブに国際社会に貢献していくということがあったらいいんじゃないかと思うんですね。
前回のUNEA、ナイロビで会合がありましたけれども、その会合の中では、環境省のほうからシナジーの有効性というのを訴えてUNEAの決議に入ったということ、しかもそれをほかの国が支持したということは極めて大きかったと思うので、できればそういうこともフットノートか何かに書いていただいて、少し我々の主体的な国際社会への取組ということで、今後ともそれを推進していくという方向にぜひ挑戦していただければと思います。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、田中委員、お願いいたします。
○田中委員 田中里沙です。
今回の環境基本計画案については、網羅的でありながら、各項目のポイントとメッセージ性が浮き上がるような、多様な対象者にとって役立つ内容になっていると思います。また、パブコメの意見も丁寧にくみ取って反映をいただき、感謝を申し上げます。特にウェルビーイングの表記については、良好な環境があってこそであり、その維持管理、創出については誰もが参加することが明記されて、環境省主導の、みなが志向するような社会の在り方、環境インフラ的な考え方になることがはっきり書かれました。ぜひこの動きを背景とともに皆様に感じていただきたいと思うところです。
また、本計画を実現していくにはあらゆる組織や人材の参加と協力が欠かせませんので、企業等が事業計画を立てるときや、地域や団体が取組や活動を考える際にぜひ参照されて、活用されるように望みます。例えば、脱炭素に向かう新事業やスタートアップやイノベーションに際しては、環境の理念や哲学も踏まえた上で事業を考えていくべきであり、基本計画のどの部分をどんなふうに見るとよいか、メッセージしていきたいと思います。また、特に上場企業では非財務情報の中に温室効果ガス排出削減や事業廃棄物削減が書かれますけれども、非財務だけではなくて、これが財務にも効いてくるという紐つけや数値目標の明確化、関係者間におけるその意味合いの理解も強化されたいと思います。委員として私もPRには注力、参画したいと思いますし、機運情勢に向けて動いていきたいと思います。よろしくお願いします。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、豊岡委員、お願いいたします。
○豊岡委員 本当に丁寧に書いていただき、そしてやっぱり関心の高さ、皆さんの巻き込みが非常に進んできているのかなというふうに思います。
ただ、ちょっと不満を挙げさせていただくと、国民参加という文言も非常に入ったんですけれども、一方、消滅自治体が非常に懸念されている状況の改善へのアプローチが見られない、再エネへの踏み込みが足りないことと、金融経済にどのようにアプローチするのか、具体的にどのように地域をつくっていくのかという具体案、やはり非常に、これからだとは思うんですけれども、重要になってまいりますけれども、それができていないなというふうに思います。
特に風力とかメガソーラーとか、大きなインパクトを与えるものへの地域での関わり方というようなことをしっかりと間違えないようにしないと、ともすれば対立のみで終わって、地域の財源になっていかないというような懸念材料が本当に多いところになかなか踏み込めていない。再エネになかなか踏み込めないんだろうなとは思いながら、2年先行になってしまうのは非常に懸念いたします。なので、せっかく踏み込んだというか、すばらしい計画、丁寧な計画ができたので、これからそこをしっかりとつくっていっていただけるような後押しをお願いしたいというふうに、ぜひお願いいたします。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、淡路委員、お願いいたします。
○淡路委員 千葉銀行の淡路です。
地域金融機関として初めて参加いたしまして、あまりに、世界全体を把握していくような大きな話でしたが、私の役目はやはり地域を面で、カーボンニュートラル、脱炭素に向かっていくことの役割が地域金融機関にもあるということで呼んでいただいたのではないかと思って、参加しておりました。
この計画書案の中にも地域金融機関の位置づけをきちんと書いていただきまして、自治体との連携ですとか、知見を事業者と共有していく、あるいは課題の解決に経済価値をつなげていくというような記述がございます。まさに私どもが今始めた活動が、ここに描かれているような、脱炭素に向かっていく状況を評価した上で、サステナブルファイナンスという目標を立ててファイナンスするというのを、多くの中小、中堅企業の方にご利用いただいていますが、計画以上に伸びておりまして、どれだけ地域の事業者さんの意識が高いかということが表れているのだというふうに感じております。
また、計画案の中にはDXとGXの施策間の連携というようなことも記述がありまして、私ども、実は地域まるごとGX、地域まるごとDXというふうに勝手にうたっておりますが、地域全体で動きを進めていこうということを表している取組でございます。
また、地域金融機関の強み、これはほかの地域金融機関もあると思いますが、指定金融機関であるということです。イコール、自治体とのパイプが非常に強くあります。DXのお話、GXのお話などもしていけるのではないかと思っております。これらの話は大きな話、大企業の話が中心になることが多いんですけれども、地域への関心や貢献意識がどれだけ地域事業者は高いかということを、いま一度、意識していただいて施策を進めていただきたいですし、私どももそこに貢献していければと思っています。脱炭素アドバイザーの認定も全行を挙げて取得に動いておりますので、そういった意味でもお役に立ちたいと思っております。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、石田委員、お願いいたします。
○石田委員 石田です。ありがとうございます。
最終的に、委員の発言やパブコメを踏まえて、様々な意見を反映いただいたので、基本計画自体が膨大なものになっています。国民に分かりやすく説明していただくことが、今後の国民参加のためには非常に重要なことではないかと思います。
少し残念なのは、参考資料2の第六次環境基本計画の概要に、今までたくさん意見が出されてきた、危機感の記述があまりないのではないかという点です。
また、これから検討されるNDCやエネルギー基本計画といった個別政策は、環境基本計画で決まった原則に基づいて適切に策定、実施されることを期待しています。基本計画にもありますように、科学的知見やデータに基づいた政策決定をぜひともしていただきたいと思います。
加えて、2030年にかけて、時間がないので、今回第六次環境基本計画に明記された「スピードとスケール」が非常に重要なのだと思います。どのようにスピードやスケールを実現していくのか、PDCAでいかに確認しながら進めていくかをしっかり検討していただきたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、井田委員、お願いいたします。
○井田委員 ありがとうございます。
ちょっと私も振り返りをさせていただきたいんですけれども、6年前の五次計画の策定にも参加させていただいて、そのとき、最初にも申し上げましたけれども、(SDGsの)ウェディングケーキであるとか、カーボンバジェットとか、プラネタリー・バウンダリーとか、地球の制約というのをきちんと書けと言ったら、一部の産業界の方から激しい批判と反対の声がありまして、あそこにはきちんと明記されなかった。私、非常に個人的に悔やむべきことなんですけれども、6年たってようやく、先ほどの参考資料を見ても、地球の環境収容力の中で我々は生きていくしかなくて、そのためにはTransformative Changeが早急に必要なんだ、守るために環境政策というのが全ての軸になるんだということが、曖昧ではありながら、きちんと明記されたというのは非常によかったかなというふうに思います。
ただ、30年間の振り返りをしたわけですけれども、これも最初に申し上げましたとおり、30年間で日本の環境政策というのは、グローバルスタンダードからはとんでもなくかけ離れて遅れてしまったものになっている。データを見てもそうなんですね。ようやく今回、90年よりも排出量が減った、過去最低といって喜んでいるんですけれども、欧州は多分、私の記憶に間違いがなければ、2013年ぐらいまでで90年から15%減っているんですよね。日本は逆に15%増えています。2030年までにこの遅れを取り戻すということは、本当に大変なことなんだという覚悟をもって、基本計画の実施、具現化に取り組んで、既得権益と戦うんだということを、ぜひ皆さん、心にとめておいてほしいと思います。そのためのツールとアイデアと武器というのは、ここにいろいろ書かれてあると思います。
最後に、多分時間を超えてしまうんですけれども、マイクを切られないということを期待して、お話させていただきますけれども、私は昨日、暴挙と書いたんですけど、あれはもう本当にあってはいけないことだと思います。今回のことだけではなくて、私は環境省の方と長い間、付き合っていますけれども、水俣が原点ですよね、ああいうようなことを二度と繰り返してはいけない。最も環境破壊や環境問題で大きな被害を受ける弱者であるとか、社会的弱者であるとか、病気の方とか、そういう方の声を真剣に聞いてこそ、環境行政ができるという意識が、ひょっとして最近の環境省の中で薄れてきているのではないかという懸念を抱かざるを得ません。これは一時、謝って済めばいいという問題ではなくて、ひょっとして環境省の構造的な問題ではないかというぐらい、私は思っています。
計画の中に、脆弱な人々への配慮や世代間公平性を重視する環境正義、気候正義の重要性が高まっていると書いてありますよね。ぜひ環境行政に関わる人、環境行政だけじゃなく全ての行政に関わる人なんですけれども、環境問題がもたらす不公平と不正義というものに目を向けて、それを正す環境正義というものを意識して、最も脆弱な被害者であるとか弱者の声に真剣に耳を傾けて、彼らの暮らしと命を守るんだという覚悟を持つことが重要だし、皆さん、もう一度、少なくとも環境省の方々はそれを自問してほしいと思います。
かなり市民の信頼というのは私は失われたと思うんですけれども、それを回復しない限り、まともな環境行政はできないだろうし、環境基本計画というのは、それをやらないと、紙の上だけのものに終わってしまうというふうに思います。ぜひ覚悟をもって、短期間でのTransformative Changeを実現するために巨大な既得権益と戦うんだという覚悟をもって、この計画の具現化に取り組んでいただきたいというふうに思います。
ちょっと長くなったと思いますが、私からは以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、奥委員、お願いいたします。
○奥委員 ありがとうございます。
これまでずっとWeb参加でしたけれども、答申の取りまとめということで、最後だけでも対面でと思いまして、出てまいりました。
これまで申し上げてきました意見をほぼそのとおりに反映していただいて、大変感謝しております。特に数十年にわたって変更されることのなかった環境政策の原則に関わる記述の部分、順番も入れ替えていただきましたし、内容的にも修正を加えていただいて、非常によいものになったと思っております。それからリスクコミュニケーションの在り方についても、しっかりと適切な表現にしていただいたというふうに思っております。
その上でなんですけれども、一つ、パブコメの中で戦略アセスについてのご意見が出ておりまして、資料1-1、先ほどご紹介がありました上から三つ目の丸ですけれども、上位の政策も含めるべきというご意見に対して、施策・計画段階からというふうに修正するということで、施策という言葉が、資料2-2ですと129ページ、赤字で入れていただいております。政策というのは、施策・計画だけではなくて、様々な取組やいろいろな方向性、全体を指す言葉なので、施策・計画だけで政策全体が表されているわけではないんですね。そういうふうに考えますと、もう現段階で言葉をいじるのが難しいことは理解しておりますが、あえて申し上げますと、やはりここは、持続可能な社会の実現に向けて政策形成過程のより早期の段階で環境配慮がしっかりと組み込まれるようにしていくというような、政策決定過程の早期の段階という、そういう表現のほうが適切だったかなというふうに私は思いましたというのが1点です。
それから、今、井田委員が最後におっしゃったことを、私もぜひ機会があれば少し申し上げたいというふうに思って、この場に出てきたんですけれども、環境省がどちらを向いて、どの方向を向いて仕事をされているのか、非常に疑問に感じるような、今回の出来事でした。私も憤りを覚えましたけれども、そういった事案が、そういったことがあった上で、第六次環境基本計画が公表されたならば、やはり水俣病に関連する記述の部分を確認される方が多いのではないかと思うんですね。どういうふうに今回の事態を踏まえて環境省が臨んでいこうとしているのか、環境省だけではないですね、国が臨んでいこうとしているのか、そこは非常に注目されるところだと思います。そうしますと、128ページ、アセスの隣のページですが、従来と変わらない表現、文章が書いてあるだけ、ほんの数行、書いてあるだけです。また、具体的な施策について書いてある第3部のほうですけれども、第3部のほうを見ますと、178ページですが、第2部のほうの記述を参照とだけ書いてあって、中身すら書いていない。気持ちを入れ替えて、真摯に、それこそ環境汚染、公害対策の原点であるこの問題を解決していこうという、そういう姿勢が疑われるような、真摯に取り組んでいくつもりなのかということが本当に疑われてしまうのではないかと危惧いたしまして、なので、このタイミングで出すからには、そこを少し改めて考えていただいたほうがよろしいかなというふうに思いました。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
第3部のところは、ご存じのとおり議論の中で、できるだけコンサイスにしていくということをどういうふうに反映させるか、両立する中で、重複を避ける形でこういう記載をしていると思います。その点だけは、これまでの議論を踏まえてお答えしておきたいと。
○奥委員 これまでもそうだったと思うんですけれども、ただ、今回は本当にこれでいいのかというところを改めて問いたいということです。
○高村部会長 それでは、お願いいたします。
○大倉課長 すみません。事務局です。
各論に関わる話なので。今、奥委員がおっしゃったとおり、第2部、第3部の記述については、確かにそのとおりでございますけれども、五次計画と比べて、第六次計画案については水俣に関する記述は5倍ぐらいになっています、全体として。最初の「はじめに」から書いていますし、8ページ目の環境・経済社会の現状と課題認識でも、過去の教訓の代表として水俣を出していますし、あと今回初めてですけれども、地域づくりのところで水俣・福島、そういった環境被害を受けたところの再生が本当に大事だというところを、新たにパラグラフをかなり起こして書いたりしております。私自身、水俣の担当を丸3年やったりしていますので、思い入れをもって策定にも関わりましたけれども、そういった意味で、今回の件は環境省として非常に反省するべきではありますけれども、今回の案について、水俣についての記述は事務局としてはそれなりに分厚く書いたつもりでございます。
○高村部会長 よろしいですか。
いずれにしても、他の委員も感じていらっしゃるかもしれませんけれども、書かれている内容を踏まえて、実際の政策なり実践が行われているかをお問いになっているというふうに思っています。そういう意味で、その観点からぜひご意見をいただければと思います。
それでは、河口委員、お願いできますでしょうか。
○河口委員 遅れて申し訳ありませんでした。
若干ずれているかもしれないんですけれども、これだけ多くの人から多くの、360度、いろいろな批判というか、指摘を真摯に受け止めていただいた、事務局の非常に真摯なお仕事ぶりに関しては敬意を表したいと思います。大変だっただろうなということは十分に理解しております。
もうここまで来てしまったので、細かいことはちょっと言えないと思うんですけれども、やはりこの段階に来たら転換させるのは並大抵のことではないということで、国民運動が大事だというふうなこともおっしゃっているんですが、いろいろなところを見ると、各項目のところで主体としてまず企業があって、金融とかがあって、最後に国民とか、最後に消費者というふうになっていて、これで本当に主体になれるのかしらと。エネルギー消費量だって、6割は生活由来のものということになっているので、企業は頑張れ、金融機関は頑張れ、自治体は頑張れもそうだけれども、一番これから訴えかけなければいけないのは、国民一人一人がどう態度を変えていくかというところであり、国民運動と言われるからには、このトーンだと、国民が、消費者であったり、生活者であったり、いろいろな位置づけなんですけど、ちょっと付け足し的なところなんですね。なので、もうこれはこれでできてしまっているんですけれども、今後これを使うときに国民を主体にすると。
私も大学の授業で学生から、国民一人一人が自主的に参加しなきゃいけないんですよねというようなことを言われたんですが、国がやってくれるんじゃないか、企業がやってくれるんじゃないかという立てつけになっているので、そこの意識を変えるような工夫というのをぜひしていただきたいなと思います。
ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、堅達委員、お願いいたします。
○堅達委員 今回いろいろと、環境負荷の総量削減とか、ウェルビーイングとか、若者の参画とか、すごく大事な概念も盛り込まれて、非常に、何というか、網羅的なものになったことに対しては皆さんのご努力を本当に評価したいと思います。
私も、何回も何回も危機感とか、スピードとスケールということを言い続けてきたんですけれども、まさにこれから実践していくところで本当にスピードとスケールが問われているなと。一旦、パブコメも終わった後に、G7の気候エネルギー環境大臣会合でついに、2035年に石炭火力をもうやめましょうという話が合意されたりしている、まさにアップデートしている状況の中で、しかも今は海水温の上昇がとんでもなく平均値よりずれているというのが続いて、ティッピングポイントが本当に近づいているんじゃないか。国連のほうでも、6年が勝負じゃなくて、この2年が勝負だというようなことを言っている、この危機感をやっぱりしっかりと受け止めていただきたいというのが一つと。
これまで数人の委員からあったとおり、COPなどに行くとよく聞く、MAPAという言葉があります。Most Affected People and Areasという言葉があって、水俣病もそうなんですが、本当に弱い立場の人、脆弱な人、その人たちに向けての計画になっているのかということを改めて今回、やっぱり真摯に受け止めないといけないと思いますし、そうじゃなければ、よく言いますが、「仏つくって魂入れず」ということになります。今から文章をどうこうというのはなかなか難しいかもしれないけれど、実践は本気でやっていただきたい、魂から本当にやっていただきたいと思いますし、まずはエネルギー基本計画の見直しがあるわけですから、ここに環境基本計画の精神がしっかりと活かされるような、そういうところを、ぜひみんなで気持ちを一つにして今の危機的な状況に立ち向かっていける、そのよすがになる計画であるというふうに信じておりますので、期待しております。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、髙橋委員、お願いいたします。
○髙橋(清)委員 髙橋でございます。
今回の計画案に関しては、皆さんのご意見のとおり、これだけの多大な意見をまとめていただいて、本当にどうもありがとうございました。感謝しております。
また個人的にも、私は土木の出身なので、まさにグレーインフラの者なんですけど、今回、皆様の意見を聞きながら、グリーンインフラ、さらにはウェルビーイング等々、本当に刺激的な議論に参加させていただきまして、個人的にも感謝しております。どうもありがとうございます。
また、先ほど武内先生からお話がありましたとおり、第五次環境基本計画から第六次環境基本計画の根本的なところを今お話しいただいたので、それを含めて、もう一度この計画を読んでみたいなという気になりました。第六次環境基本計画というのは、まさに議論の中にもありましたとおり、環境は制約条件じゃなくて前提条件で、それで社会システムを変えていく、変わった社会システムで高い生活の質を実現させる、このメッセージはぜひしっかり伝えるための発信をしっかりしていただきたいと思います。
第六次環境基本計画に関しては、先ほどもお話がありましたように、指針とか憲法ですので、具体的な戦略を実施するためには各部局の計画、戦略によるところが大きいわけですが、やはりポイントは、お話がありましたとおり、省庁の垣根をどう超えて実施していくのかというところだと思いますので、ぜひ各染み出し部分をしっかり戦っていただきたいなというのが期待です。
もう一つは、やはり自治体がどうやっていくのか。第五次環境基本計画のとき、政策を統合的に実施できるのが自治体だというお話がありました。まさに実施の最前線は自治体だということに異論ありません。だからこそ自治体が本計画の方向性と合っているのかどうかを確認できるような、仕組みをしっかりつくっていただきたいと思います。
もう一つ、やはりメッセージをどう伝えるかということです。これから動画も作られるでしょうし、概要版とかシンポジウムとか、学校等で出前授業みたいなこともあると思います。是非積極的に、押しかけてでも周知をやっていく、攻めの周知が必要だと思います。
一方、どう伝わっているのかということはぜひ確認していただきたいと思います。各団体における社会的な対話というのが今後ますます必要だと思いますし、それが国民参加の基本になってくるだろうと思います。
ぜひウェルビーイング、あとネイチャーポジティブ、いい言葉なんですけど、それがうまく伝わっているかどうかというところを確認しながら、環境を専門にしている方たちには当たり前のことかと思いますが、一般の方たちはなじみがないところもありますので、ぜひ分かりやすい説明を実行とともに行っていただければと期待しております。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、竹ケ原委員、お願いいたします。
○竹ケ原委員 ありがとうございます。
まずは、取りまとめ、大変お疲れさまでございました。この1年ほど、この議論に参加させていただいた感想として、非常に民主的というか、オープンに取り組んでいただいたなというのが率直な印象です。
例えば、再三にわたり出また危機感が足りないという点。これは各委員から厳しいご指摘がありましたけれども、最終的にそれが本文の中に織り込まれ、危機感の高まりというか、危機感が環境と経済の関係性の認識を大きく変えたという記述が16ページに盛り込まれています。危機意識とフレームワークの転換は表裏一体であるという形で、うまく、この間の議論を取り込んでいただきました。その過程で、同期するとか共進化というキーワードを作り、その先にあるゴールとしてウェルビーイング/高い生活の質を据える新しい体系を打ち出していただいた。そういうパラダイムの変化に金融の変化がちゃんと寄与しているとして、従来はバイプレーヤーみたいな位置づけだった金融についても環境施策の変化に織り込んでいただいたのは、ありがたいと思います。
このように、この間に議論を通じて、新しい変化というんでしょうか、要素をきちんと取り込んで作られている一方で、先ほど来お話がありましたように新たな成長や統合という考え方は、過去の環境基本計画で打ち出されたコンセプトの承継であることもちゃんと書かれていますから、いわゆる連続性も意識されているということだと思います。
この議論の最初の段階で、「変え方を変える」という話があったと記憶しています。まさしく変え方を変えているんだけど、これまでとの連続性もきちんと意識して新たな方向性が打ち出された、そういう取りまとめだなと理解しました。
具体的に、例えば金融に関していうと、大きな役割に留まらず、具体的に何をやるかまで記載されています。例えば71ページでは、金融は頑張っていると評価する一方で、グリーンウォッシュへの懸念が高まっているという課題もしっかり指摘され、結果的にグリーンボンドガイドラインでより明確に規定されたグリーン性に配慮するとか、インパクト評価のレベルを上げるとか、こういう対応をちゃんとやっていかなければならないと書かれている。
非常に重要な指摘ですが、これだけ大部の資料になりますので、例えば金融の人間が読んで、この計画、戦略の中で押さえておくべきポイント、要諦が何かを知るためには、ある意味で拾い読みが必要になってくると思います。一般の市民もそうですし、おそらくアクターによって、この計画のどこを読んでいくかについて指南が必要だと思います。もちろん通読して全部を理解するのが理想なんですけど、なかなか難しいとすると、これからまさにこれを説明されるに当たっては、読み手ごとに、どこに重点項目があるのかという辺り、この辺を意識してご説明いただくと、より理解が深まるかなという気はいたしております。
以上です。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、馬奈木委員、お願いいたします。
○馬奈木委員 ありがとうございます。
今回の内容を踏まえまして380も意見が出て、個人の化学物質、生活物質に関係するものから、ネイチャーポジティブ経営とか、真新しい言葉に関係するもの、そして金融と企業のESGの枠組み、連関に関してなど、非常に幅広い専門的なコメントから、生活レベルで気にするところまで、多くのコメントがあったのが、この内容に興味を持たれた印だと思うんですね。そういう意味では、私は非常によかったと思っています。
その一方で、次のステップで、これをどう活用するかのときに、非常に難しいんですけれども、きちんと定量的なKPIを、どんどんデータというのは進展していますので、それをやることによって、今ちょうどおっしゃったような、読み手が、少なくとも何を最低限、まずやればいいか、分かることが大事なのかなと思います。
それができることによって、把握しにくい定性的なこと、例えば今回、いい内容の一つが自然資本、ネイチャーポジティブをカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーと同列できちんと書いたことなんですけど、それがウェルビーイングにつながることまで書いてあるというのは非常にいいことだと思うんですね。ウェルビーイングも、よく取れば、計測できますけど、それに納得しない人もいるので、定性的なことまで含めた、幅を持たせた、それでもKPIと呼べるものを網羅していって、各自治体、各企業、各ステークホルダーがちゃんと、自分が何をすればいいんだろうと思うようにすればいいのかなと思います。
一般論で、よく若者の環境意識が低いというんですけれども、普通にアンケートを取ると、若者世代ほど高いんですね。どの国でもそうです、日本でもそうです。ただ、自分事で考えますか、行動しますかとなると、低いんですね。そこのギャップが大きいだけなんですね。そこのギャップを生まないようにするための仕組みづくりで、今回はいいきっかけだと思いますので、ぜひ次、どう進めるかにつながればいいかなと思います。
以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
今、会場ご出席の委員、山口委員、それから有村委員にご発言いただきます。その後、オンラインでご出席の委員にご発言いただこうと思います。現在、亀山委員、船越委員、そして大塚委員から手を挙げていただいておりますけれども、もしオンラインでご出席の委員でご発言をご希望の委員がございましたら、お手を挙げて、あるいはチャットでお知らせいただければと思います。
それでは、山口委員、よろしくお願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。
まずは、この取りまとめは大変だったと思うんですね、膨大な量になっておりますが、本当にこの場で議論されたことが網羅されておりまして、大変すばらしい内容になっていると思っております。
私の場合には、地域共生型の再生可能エネルギーというのをずっと申し上げさせていただきまして、それが随所に入れられていて、本当によかったなというふうに実感しております。
改めて自分が取材してきた内容で振り返ってみますと、日本の人口減少が進む中で、地域の方々が、言わば強烈な郷土愛に基づいて行動し、地域にある自然資源を生かして再生可能エネルギーを生んで、雇用を生んで、地域が元気になっているという、新しい社会形態が生まれていると思うんですね。私たちメディアや視聴者が引きつけられるのは、そこに人がいるからです、情熱があるからなんですね。人間の勢い、熱ですよね、それを今後うまく表現することによって、第六次環境基本計画案をより広く社会の方々に自分事にしていただけるような取組をやっていただけないかというふうに思っております。
先日、企業のサステナ担当の方々、メディア関係者と懇談会をする機会があったんですが、皆さん、やっぱり環境に対してやることというのは、社会正義としては正しいんですけれども、例えば負担が多かったり、購読数が伸びないとか、いろんなことで皆さんが悩んでいらっしゃいます。だからこそ、正しいことをやることが社会を変えていくんだという後押しをするような行政であっていただきたいと思うんですね。
脱炭素先行地域は本当にすばらしいと思うんですけれども、あれはこれからの話ですよね、そこに予算をつけて今後バックアップしていくということだと思います。
今現在、頑張っている人に対する表彰制度を考えるのはいかがでしょうか?この環境基本計画に紐づけるのが難しいかもしれませんが、環境省がバックアップするという新しい表彰制度があれば、誰もがもらってやっぱりうれしいと思うんですよ、それで困る人はいませんし、それで背中を押されて前向きに頑張ろうという人も増えてくると思うんですね。この環境基本計画に絡めて新しい表彰制度を作るなど、社会を前に進める、ポジティブに進めるような仕掛けづくりというのを今後やっていただければというふうに思いました。
以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、有村委員、お願いいたします。
○有村委員 ありがとうございます。
今回、一時帰国していまして参加させていただきました。
まず最初に、事務局のご努力並びに委員のご協力によって、すばらしい計画が完成したと思っております。また、パブコメでかつてない数のコメントがあったということは、社会全体としての関心、重要性が認識されているということだと思いますので、環境政策にとって大きなチャンスだというふうに考えることができると思いますので、ぜひそれを活かしていただければと思います。
あとは、環境省をはじめ、各省庁でこれをしっかり進めていただければと思いますが、中でも4点ほど、私が思ったことを申し上げたいと思います。
一つは、市場や企業の活力を生かして、ぜひこれを進めていただきたいというところです。資料の中でも何度も、国民、市場というのが出てきますけれども、かつては確かに市場と環境保全が対立するところもあったかと思いますが、今では、田中委員や淡路委員のご指摘にあったように、金融市場を活用したりして、あるいは環境政策の誘導で、企業がイノベーションを通じて環境保全に貢献できるような時代になってきたと思うので、その活力をぜひ生かしていただきたい。
二つ目は、世代間衡平性の問題です。気候変動に関わる人間、ネイチャーポジティブに関わる方々も、皆さん、世代間公平を当たり前のことだと思って、取り組まれていると思うんですが、いろんな政府の施策を見ていくと、本当に将来世代のことを考えてやっているのか、気になることがすごく多いので、ぜひ環境並びに社会経済も含めた世代間衡平性、将来世代に負担を残さないような施策をお願いしたいと思います。
それから三つ目は、髙橋(清)委員からご指摘のあったことで非常に納得するところですが、省庁の垣根を越えて、ぜひいろんな取組をしてほしい。効率よく政策を実施するためには省庁の垣根を破ることも非常に重要になってくるだろうと。
最後は、竹ケ原委員のご指摘にすごく納得するところがあります。すごくいいメッセージが出ても、大部で分かりにくいということで、ステークホルダー別に、こういうステークホルダーはここを読んでくださいとか、このステークホルダーはここを見てくださいというものがあれば、情報がすごく伝わりやすくなって、いろんな人を巻き込んでやっていけるのかなと思いました。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
今、会場ご出席の皆様には全てご発言いただいたと思います。お待たせして申し訳ありません、オンラインでご出席の委員のご発言をこれからいただきます。
それでは、最初に亀山委員、その後に船越委員、大塚委員、お願いいたします。大変恐縮ですけれども、2分のお時間でお願いできればと思います。よろしくお願いします。
申し訳ありません、亀山委員、音が。こちらの問題でしょうか。亀山委員のマイクの認識というか、マイクは反応しているので、こちらかもしれないですね。
すみません。こちら、会場を調整していますので、しばらくお待ちください。
(機材調整)
○高村部会長 亀山委員、私の声が聞こえますか。
○亀山委員 ちょっと遠くなりましたが、聞こえます。
○高村部会長 ありがとうございます。
では、事務局で苦労して調整していただいていると思いますが、私たちのところには、よくお声が聞こえていますので、ご発言をお願いできますでしょうか。
○亀山委員 承知いたしました。それでは発言させていただきます。
この度の計画の取りまとめ、事務局に敬意を表したいと思います。
今後の計画の社会実装に向けて、申し上げたいと思います。今回の計画は、これまでの計画と比べまして二つの概念に重きを置かれていると思いました。一つは自然資本、もう一つは安全保障です。
自然資本という概念は、単なるきれいな環境ということではなくて、経済活動を維持していくために不可欠な資本として、維持管理していかないと経済そのものが回らなくなってしまうというメッセージを明らかにするために重要な概念と理解しております。
二つ目の安全保障については、今回、経済安全保障、エネルギー安全保障、食料安全保障に加えて気候安全保障とも書かれています。安全保障は、まさに我が国の存在そのものを維持するために必要な概念であります。
今回、複数の委員の方々が府省の垣根を超える必要性について言及されていますが、私もそれが重要だと思っていまして、その際、今申し上げた自然資本あるいは安全保障の概念を表に出すことによって垣根を越えていくことが有意義ではないかというふうに感じます。
また、垣根を超えるべきは、府省だけではありません。私自身、今、大学の教育、それから研究に携わっているわけでありますけれども、私たちが共育する際に、今申し上げたような新しい概念を使いながら、環境保全の重要性を次世代に向けて普及していく、そういった活動に私自身も今後従事していきたいと改めて感じて、考えている次第でございます。
環境省様におかれましても、今後この基本計画を活用して、この概念を広めていただけるとありがたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。すみません、お待たせして本当に申し訳ありませんでした。
それでは、続きまして船越委員、聞こえますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○船越委員 聞こえておりますでしょうか。
○高村部会長 はい。聞こえております。
○船越委員 すみません。ありがとうございます。
何人かの方がおっしゃっていますけれども、非常に幅広い意見、価値観がある中で、それをまとめられた事務局の努力にまず敬意を表したいと思います。
私は今回初めて参加しましたけれども、先ほど竹ケ原委員がおっしゃっておられましたが、参加してみて、オープンな議論の中で、連続性も意識する中での新しい体系といったことについては、全く同感に感じたところであります。
そういう中で、新しい体系ということについて、特に私の立場で申し上げますと、見え消し版の62ページ辺り、ウェルビーイングの中で改善した環境価値・性能を付加価値に転化するという概念がありますけれども、CO2をたくさん排出する産業として覚悟をもって脱炭素に取り組む中で、まさに改善した環境価値・性能を付加価値に転化する、この問題は非常に重要と思っておりまして、これを正面から捉えていただいて、脚注になりますけれども、注136で、そういったことの負担に関して、バリューチェーン全体を通じた取組が必要だ、そういったものがないと環境価値・性能の適切な評価にはつながらない、引いてはこういった取組が実を結ばないというのはまさにおっしゃるとおりだと思いますので、この辺を書いていただいたことについては大変ありがたいと思っています。
これを進めていく中で、72~73ページ辺りに出てきますけれども、製造コストが高い等で活用が広がらないといったものについては、やはり政府の実行計画なりグリーン購入法で国が率先して、ある種、最初のドライビングフォースをかけていくといった辺りも非常に力強いコメントだというふうに思います。
また先ほど来、省庁間の垣根という話がございましたけれども、政府実行計画なり、グリーン購入法といったものについても、例えば国交省等を含めて、多岐にわたる省庁が関係してくると思いますので、ぜひこういった社会実装の普及の取組を後押しするといったことについて、全省庁を挙げて取り組んでいただければと思ってございます。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、続きまして大塚委員、お願いできますでしょうか。
○大塚委員 どうも恐れ入ります。聞こえますでしょうか。
○高村部会長 はい。聞こえております。
○大塚委員 私も、今回このように幅広い観点から計画をまとめていただいた努力に、敬意を表したいと思います。
国民の関心もそれなりにあるということは大変よかったと思っています。今回の第六次環境基本計画は、大分前になってしまいますけれども、省庁再編前の経済企画庁のようなものが今は政府にございませんので、中環審が正に政府の指令塔のように、元の経済企画庁のようなことも考えながら政策統合の在り方を示したということになると思っておりまして、そういう意味でも画期的なことだったというふうに考えております。
従来型の産業構造の体制から、国民の本質的ニーズに根差した社会への移行を示すということをやろうとしたということで、先ほどご議論もありましたけど、気候変動に関する公正な移行とかなり重複しているところでございまして、この計画の実施によって、同時に公正な移行を円滑に実施していくことをぜひ推進していただければと思っています。
2点ほど、これからのことについて、申し上げておきたいと思いますけれども。
一つは、先ほど来ご議論がありますように、今回のウェルビーイングの実施とか実現とか、自然資本を共進化するとかということをしていくためには国民の意識改革と参加が重要になりますけれども、そのために環境省としても何か施策を打っていくことが必要だと思いますし、あと国民のほうに自発的にそういう状況が出てくるようにしていくことが結構重要になってくると思います。
それからもう一つは、これも先ほど来ご議論がありましたが、関係省庁との関係でして、第4部のところに入っていると思いますけど、関係省庁の環境配慮について書かれていますが、これをどういうふうに実施していくかということが結構大事になってくると思いますし、環境省の相互調整権限をぜひ活用していただくようなこともお考えいただきたいと思っているところでございます。
以上なのですけど、今日は最後までいられないので、退出しなくちゃいけないので、一言だけ、指標について申し上げさせていただきたいのですけど、すみません。
四つの危機についての指標が重要になってまいりますけど、ウェルビーイングに関して、かなり工夫していただいていると思います。ウェルビーイングについては、高い生活の質を実感できる安全安心かつ健康で心豊かな暮らしの実現ということで考えていただいて、工夫していただいていると思いますけれども、この要素だけでウェルビーイングを満たすことができるかどうか、議論はあると思うんですが、ウェルビーイング自体についていろんな考え方があるので、統合的な指標というのはなかなか難しいと思います。しかし、ウェルビーイングは前提にしつつ、心豊かな暮らしの実現とか、こういう指標を作ることは可能ですし、こういう工夫をすることが結構大事だと思います。ウェルビーイング自体は憲法の幸福の自由との関係も含めて、いろんな議論があり得ると思いますけれども、それ自体を見るよりも、それを具体化するものを考えて、それについて指標をつくるというのが大事だと思いましたので、一言申し上げました。
すみません。どうも恐れ入ります。失礼します。
○高村部会長 ありがとうございます。今、次の議題についても先駆けてご発言いただきました。ありがとうございます。
それでは、小屋委員、お願いできますでしょうか。
○小屋委員 聞こえていますでしょうか。
○高村部会長 はい。聞こえております。よろしくお願いします。
○小屋委員 重複する点はありますが、発言させていただきます。
まずは、1年間にわたり、様々な意見を体系的にまとめていただき、事務局の皆様には感謝申し上げます。
今回示された答申案には、中小企業等の企業価値向上につながるスキームづくりや支援についても記載されており、これまでの議論が十分丁寧に反映されているものと認識しています。
今後、計画の実行段階に入りますが、確実に実効性のあるものにするために、参考資料2にも記載されている、「国民、政府、民間の共進化」が必要不可欠です。その上で、特に国民の環境価値意識の向上が重要と考えます。この点については、政府が主導しながら具体的な推進、モニタリングを進めていただきたいと思います。
また、産業経済界と各主体における取組の一層の推進も必要と考えます。商工会議所においても、参考資料2を基に、本計画を中小企業等に浸透させますので、環境省におかれても各省と連携いただき、引き続き後押し、ご支援のほど、よろしくお願いします。
以上です。
○高村部会長 どうもありがとうございます。
それでは、続きまして三好委員、お願いできますでしょうか。
三好委員、聞こえますか。
○三好委員 聞こえますでしょうか。
○高村部会長 はい。今聞こえました。よろしくお願いします。
○三好委員 すみません。ありがとうございます。
私からも、委員の皆様がおっしゃっているように、本当によくまとめてくださいましてどうもありがとうございます、感謝いたします。
パブコメの数の多さにもあるように、すごく関心が高まって、私も国際NGOとして、うちのNGOは50年以上やっているのですけれども、本当に世界全体で環境というものが全てのステークホルダーのど真ん中のアジェンダに来ているなというふうに感じています。
反省も含めてなんですけれども、それぞれの視点、それぞれの興味、があって、そこから入ってくるというのは特に問題ないんですけれども、それより広い視座になかなか行かないという課題が市民団体にもあるし、企業にもあるし、行政の皆さんにもあるかなというふうに感じています。
基本計画を進めるに当たって、ほかの委員の皆様も指摘されていましたけれども、これは環境省だけじゃなくて、ほかの全ての省庁の基になる基本計画だと理解していますので、そこを徹底していただきたい。
実際に、私の住んでいる千葉県木更津市では地域循環共生圏を進めていますけれども、自治体に落ちてきたときに、やっぱりまた一つに戻るんですよね、いろんな省庁からの方向性や施策が、また地域で一つに落ちてくるということなので、そこも意識して、誤差がないように、国全体として同じ方向を見て、同じスピード感をもって、危機感をもって進められるように、ぜひ調整をお願いしたいというふうに思います。
ほかの委員の皆様から出ていましたけど、ステークホルダー別に、どこを見たらいいのかというような見せ方というか、伝え方をするというのは、私も大事だと思いますが、一つ、全体を見る、どういうふうにつながっているのか、どういう影響がお互いにあるのかを俯瞰できるような見せ方も、必ずいつもみんなでこれを見ましょう、方向を見ましょうという、分かりやすいものが必要かなというふうに思いましたので、付け加えさせていただきます。
以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、続きまして諸富委員、お願いいたします。
○諸富委員 ご指名ありがとうございます。諸富でございます。
今回、本当に取りまとめ、ご苦労さまでございました。大変すばらしい内容のものに仕上がったというふうに受け止めております。第五次環境基本計画を引き継いで始まった議論ですけれども、第六次は結果的に非常に第五次の議論の範疇を超えて、大きく踏み込んだ内容になったのを見て、大変、長足の進歩を遂げたんじゃないかというのが感想です。
第五次は環境問題と経済社会課題の同時解決というふうにうたっていたんですね。ところが今回は、まさに亀山委員のおっしゃったとおりですけれども、自然資本を全ての基盤に置いて、長期に自然資本を保持していくということを全ての基本に置いたことが非常に大きなことでして、その上に立ってこそ、環境の土台に立って経済社会を構築していかなければ元も子もないという哲学が打ち出されたことで、環境の視点から経済社会のあらゆる課題に対してきちんと議論していく、哲学的基盤がつくられたというふうに受け止めています。
特に大事な概念として、究極の環境施策の目的をウェルビーイングに置いたということは、多くの委員の皆様が指摘されたところだと思います。環境保全は環境の伝統的な課題なんですけれども、その究極目的は結局はウェルビーイングであるとしたことで、環境政策そのものが再定義される効果を持ったなというふうに思っています。もう環境VS経済とか、環境対社会といったような単純構造を越えて、環境政策が我々の社会の発展に非常にポジティブな役割を持っていたということ。
それから、環境保全が非常に広い意味を政策課題、じゃあ、我々の経済社会に現状意味を与えられていて、多くの委員のご指摘のとおりですけど、ここからマクロ経済政策の在り方、産業政策の在り方、国土政策の在り方、あるいはコミュニティ政策の在り方について、非常にオルタナティブな提言を行える、そういう視座が確保されたなというふうに思っております。
そういう意味では、新たな成長というキーワードが書き込まれているんですけれども、まさに新たな経済政策の指針がこの中に示されたというふうに、実は環境保全を語っているんですけれども、実は新しい経済政策の指針が示されたんじゃないかなと思います。そういう意味では、非常に環境政策のアスペクトを広げてもらったと思いますし、環境行政のイノベーションになるんだなというふうに思います。ぜひ、これを土台に、しっかりした環境行政を構築していただきたいというふうに思います。
以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、山戸委員、続いてお願いできますでしょうか。その後、男澤委員、棚橋委員とお願いいたします。
山戸委員、よろしくお願いいたします。
○山戸委員 ありがとうございます。この総合政策部会の場だけではなく、様々な立場の委員の皆様のご意見を丁寧に聞いて、これからの環境政策が目指すべきことを具体的に取りまとめていただいたと思っております。
今回の議論に参加させていただき、認識を一層強くした点といたしまして、環境に関する危機の国は、個々の企業が自社だけでなく、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、そしてネイチャーポジティブに向けて積極的に取り組んでいくことが必要であるということです。このことは国際的な競争の中で、世界のお客様や投資家の皆様からお選びいただける条件であるとも考えております。
また、経済界全体といたしましても、一例を挙げれば、地球温暖化に対する主体的取組である経団連カーボンニュートラル行動計画に基づいて、2050年にカーボンニュートラルの実現に向けて、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。
こうした民間の取組が促進されるように、政府として情報基盤の整備や再エネの一層の導入拡大、また規制、基準、情報開示ルールなどの具体的な調和を進めていただくことが、今回の基本計画案に明記されました。これも大変ありがたいと思っております。
以上が、私からの意見となります。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございました。
それでは、続いて男澤委員、お願いいたします。
○男澤委員 ありがとうございます。大変様々な意見を丁寧に取り込み、このような形でしっかりとお取りまとめいただきましたことに感謝申し上げます。私の立場から意見を述べさせていただきますが、サステナビリティ情報開示の促進については、具体的な施策についてもご記載をいただきました。ありがとうございます。企業が環境に適切な対応策を講じることは、持続可能性やホルダーからの信頼など、ビジネスの基盤を将来にわたってレジリエントなものとすることにつながり、企業の持続可能性を考える上で必要不可欠な取組となっており、これを適切に情報開示していただくことが、具体的に求められております。
事業活動における取組として、環境に適切な目標設定、情報開示を行うことで、企業の価値向上を図るとともに、こういった情報開示の促進が、環境負荷の低減のみならず、ネイチャーポジティブな経営を行う企業への投資を呼び込むこと、我が国の企業の国際競争力を強化すること、そして国民の皆様の意識、行動変容へと広く波及していくことを期待しております。どうもありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、続きまして棚橋委員、お願いいたします。その後、オンラインでご出席の稲城市長の髙橋委員、お願いいたします。
それでは、棚橋委員お願いいたします。
○棚橋委員 聞こえますか。
○高村部会長 はい。聞こえております。
○棚橋委員 ありがとうございました。様々な意見を求めたり、それから他の省庁とのすり合わせなど、会長や環境省の方々には大変ご苦労があったかと思います。また、幾つかの意見も反映させていただきましたし、ご専門の委員の皆様の意見をお伺いして、大変勉強になりました。ありがとうございました。
私は、学校教育の立場で意見を言わせていただいていたわけですけれども、2030年、今の中学生が成人を迎える、そういう時代に、世代間の公平性を保てたのかというところが一番気になっていたところです。特に心もとなく感じたところは、気候変動の扱いです。初回に、気候変動を柱に据えてという話をちょっとさせていただきました。計画書の「はじめに」というところに「本計画は強い『危機感』に基づいている」と書かれていましたけども、その危機感をぜひ、皆さんで共有していただいて、実際の計画に基づいた社会実装を進めていただけたらなと思っています。私の立場では、学校教育の視点から、いろいろな活動を今後も見守っていきたいなと思っております。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、高橋委員、お願いできればと思います。ほかには、手を挙げていただいているオンラインご出席の委員、いらっしゃいませんけれども、高橋委員でご発言、ほかにご希望ないということでよろしいでしょうか。
(なし)
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、お待たせいたしました。髙橋市長、よろしくお願いいたします。
○髙橋(勝)委員 稲城市長の髙橋でございます。発言の機会をいただきましてありがとうございました。
まず、高村先生、そして環境省の事務方の皆様方、大変多くの委員が参加し、いろいろな意見がある中で、ここまでまとめていただいたことを大変ありがたく思っております。
私は、全国市長会の環境対策特別委員会の委員長という立場で、今まで発言をさせていただきました。もちろん計画についての意見も言わせてもらいましたが、我々も市町村の市として、行政でございますので、計画が出来上がったら、それを実施していく、計画内容を社会的実装していく立場であります。計画に対して意見を言いながら、環境省さん、ないしは中央官庁とともに、環境に対して手を入れていく同じ行政の立場でありますので、一緒に、対立をせずに、先へ進んでいかなければいけないなという意味では、今後、これを実施するに当たってどうしたらいいのかを、積極的に考えていかなければいけないと思っております。
私も市のほうで環境基本計画書の見直しをしております。非常に範囲が広く、いろいろな課題がありますが、今回の第五次、第六次環境基本計画の中心課題は温暖化対策、あるいはカーボンニュートラル、脱炭素であると思いますが、この課題については、解決は非常に難しい問題があると思います。脱炭素、カーボンニュートラルについて第一はエネルギー問題ではないかと思っております。また、製造業でのカーボン、炭素の排出量を減らすことが中心課題でありますが、我々の行政分野で言うと、国民生活、あるいは市民生活の中での脱炭素、カーボンニュートラルを進めていかなければなりません。ただ、それに対しては、市が必ずしも何か財源、あるいは権限を有しているわけではなくて、直接的なものよりは、むしろ補助行政や間接的な誘導が中心になるわけでありますが、ぜひ市のみに負荷がかかることがなく、ステークホルダー、関係する人みんなが参加できるように、全体的にどういう方向で進めていったら良いのかなど、指針を環境省中心に国からもお示しいただきたいと思っております。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
以上で、ご発言ご希望の委員を一巡、ご発言をいただきました。今日お話を改めて委員の皆様から伺って、基本的にポジティブな評価をいただきつつ、事務局の努力も含めてですね。他方でネバーパーフェクトじゃないんですけど、完全なものはどうしても難しいのかなというふうにも思わざるを得ない感情を持っております。
どうしても私の理解では、30年に向けてのやはり5年、6年の環境基本計画という性格もあって、大きなやっぱり方向性、考え方のところを書いていくんですが、とりわけ特に具体的なところになると、やはり十分書き切れない。あるいは、場合によっては、当然、それは実践の中で、それを具体的な場面、課題に直面しながらやっていくという、そういう文書の性格もあるのかなというふうに思っております。皆様方が、やはり、これからさらに実行し実践するということを、委員の皆さんが共通してご指摘になったのは、そういうご趣旨かなというふうに思って伺っておりました。
もう委員の皆様からご指摘ありましたように、今回の環境基本計画の、やはり非常に重要な鍵というのは、これは井田委員などからもありましたけれども、環境容量の範囲内で、これは具体的に言うと、まさに自然資本を基盤にした経済社会システムというものが必要であって、それこそが国民のウェルビーイングの向上につながっていく鍵であるということを、明確に示しているということだというふうに思っています。
同時に、これも多くの委員からありましたけれども、環境政策ではあるんですが、地域が直面している課題の解決、場合によっては新しい産業や、ビジネスをつくっていく、あるいは産業の転換を図っていく。しかも、それがウェルビーイング、しかも有村委員などからもありましたけど、やはり将来の、現在だけじゃなくて将来の国民一人一人のウェルビーイングを向上させるというところに結びつく環境政策という、ある意味で非常に大きなチャレンジを、それに向かって進んでいくという決意とともに示している環境基本計画だというふうにも思います。
先ほど水俣の記載のところで少し議論がありましたし、多くの委員、何人かの委員からもご指摘ありましたけれども、こうした考え方に立つ環境基本計画、つまり現在を将来の国民一人一人のウェルビーイングを、高い生活の質の向上をつくっていく環境政策というときに、本当にこの環境の破壊によって、社会的に大きな不利益を被った人たちのことをどういうふうに対処していくのかということで、おそらく皆さん、委員の皆さんからご指摘があった点だと思います。
私これ、記載ぶりもさることながら、こういう実践の中でしか、多分、答えていけないというふうに思っていまして、そういう意味で、幾つかその実践に向けてのご示唆や、お取組についてもご指摘をいただいた、大変重要だというふうに思っております。
そういう意味で、この委員の皆様多くが、実際に地域で、あるいは、いろんな団体で、立場で実践をされている委員の皆様だと思いますので、ご協力をさらにお願いをしつつ、同時に環境政策の様々な場面にも参加をしていただいていると思いますので、具体的な施策と実践のところで、ぜひ具体化にご協力を、引き続きお願いをしたいというふうに思っております。
すみません。少し発言をさせていただきましたけれども、本日いただきました委員の皆様のご意見を踏まえまして、この答申案について、基本的にご同意をいただけるかどうか、議決を行いたいというふうに思っております。
総合政策部会としては、本案、令和5年5月29日付の諮問第589号環境基本計画について、この諮問に対する答申案として、本日お示しをしております案を、答申案として議決をしたいと思っております。
今日いただきましたご指摘については、これは周知の資料、あるいは、これからの取組の中に反映するように、事務局のところでしっかり受け止めていただきたいというふうに思っております。
先ほど、今ご提案申し上げましたけれども、本案をもちまして環境基本計画についての諮問について、答申案とすることについて、ご異議のある委員はいらっしゃいますでしょうか。
よろしいでしょうか。
(異議なし)
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、この本案をもちまして、しかし同時に今日いただきました大変貴重な意見を、いかに実際の環境政策に反映していくかということをこちらで確認をした上で、この諮問の答申案としたいというふうに思っています。ありがとうございます。
それでは、この答申案の「案」を取って、中央環境審議会の答申とするということになりますけれども、それについては、中央環境審議会で条例規則第6条の規定によって、会長の同意が必要ということであります。これ、会長を私、兼ねさせていただいておりますので、この場でもって、この中央環境審議会から環境大臣に対する答申とするということとさせていただきたいというふうに思っております。
それでは、改めまして第六次環境基本計画の策定について、委員の皆様に多大なご協力をいただいたこと、改めてお礼を申し上げたいというふうに思っております。おそらく環境省のほうからもコメントをいただくところをお願いしようと思うんですが、まず鑓水統括官から、ぜひ一言ご挨拶いただければと思います。
○鑓水統括官 ただいま環境基本計画の答申を取りまとめていただきましたので、一言ご挨拶させていただきます。
昨年5月に、環境基本計画の見直しにつきまして、環境大臣から諮問申し上げました。それ以降、約1年にわたりまして、7回の総合政策部会や、各種団体との意見交換におきまして、大変大局的な観点から精力的にご審議をいただきました。心から御礼を申し上げます。
今回の環境基本計画におきましては、ウェルビーイング、高い生活の質の向上、これを環境政策の最上位の目標として掲げ、現在及び将来の国民一人一人に寄り添う姿勢を明確化していただきました。
現在、私たちが直面している気候変動、生物多様性の損失、汚染という地球の三つの危機に対して、早急に経済、社会システムの変革を図り、環境収容力を守り、環境の質を上げることによりまして、経済、社会が成長、発展できる循環共生型の社会、その実現をまた打ち出していただいたところです。
さらに、第一次計画以来の参加の概念を尊重し、政府、市場、国民の共進化の考え方を、環境政策の展開の基本的考え方に沿いまして、国民一人一人、市民社会それから地域コミュニティに一層着目して、エンパワーしていただく姿勢の必要性、これに取り組んでいただいたところです。
環境省といたしましては、ただいまいただきました答申を尊重いたしまして、政府全体としての計画とすべく、早期の閣議決定を目指してまいります。また、その上で、本日、数多くの委員からご指摘いただきましたけれども、この計画の内容が幅広い方々に浸透していくように、発信の仕方にも工夫を凝らしてまいりたいと思います。
さらに関係省庁などと連携し、省庁の垣根を越えて、計画を着実に実践、実行、これを図ってまいりたいと思います。その上でお願いになりますけれども、社会的発信力のある委員の方々、皆様におかれましても、ぜひ様々な場面で本計画の発信にもお力添えをいただければありがたく存じます。
最後になりますけれども、今後とも環境行政につきまして、ご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、私からのご挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。
○高村部会長 鑓水統括官、どうもありがとうございました。
少し時間が押しておりますけれども、16時を少し超える可能性があることをあらかじめお伝えをさせていただきます。申し訳ありません。
それでは、次の議題に入ってまいります。ただいまの第六次環境基本計画の答申について決定をいただきましたけれども、先ほど統括官からもありましたように、今後、この計画に基づいて具体的な施策を着実に実行していくと。成果、効果を上げていくということが重要になってまいります。
中央環境審議会として、この計画の点検、フォローアップをしっかり行っていくということが、既に委員からご指摘もいただいていますけれども、計画がしっかり進捗をしているのかどうかということを確認するとともに、今後のやはり政策の課題や方向性について、政府が確認をして取組をしていくということになります。そこで、早速ですけれども、まず今後の第六次環境基本計画の点検の進め方について、最初の意見交換を行わせていただきたいというふうに思っております。
それでは、資料の3-1、3-2に基づきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
○東岡室長 それでは、資料3-1をご覧ください。なお、オンラインで参加の先生におきましては、機材の関係で、映像が映っていないと聞いておりますが、大変申し訳ございません、音声のみで資料をダウンロードしてご覧いただければと思います。
こちらの資料につきましては、今後も総政部会で再度ご審議させていただきたいと思っておりますので、本日、お気づきの点がございましたら、ご意見、ご助言いただき、また会議が終わった後でも、事務局のほうにご意見をいただければと思っております。
点検の目的としては、施策の進捗状況の確認ということで、第六次環境基本計画で今回位置づけております重要な概念、コンセプトであります今回の計画の目的である、国民のウェルビーイングの向上、そういった観点ですとか、環境負荷の総量削減、自然資本のこれ以上の毀損を防止し、自然資本を充実させるという観点、また、環境価値を活用して経済全体の高付加価値化を図る観点、そういった観点につきまして、総合的な点検ができればと考えております。そうしたことを踏まえて、第七次環境基本計画の策定などに向けた課題の抽出を行いたいと考えております。
点検の体制でございますが、各部会におきましては、それぞれが対象とする範囲の施策について点検を行うということでございまして、例えば総合政策部会では、環境教育ですとか、環境アセスなど、そういった、それぞれが所掌していく部署の内容について点検を行いまして、それぞれの各部会の点検結果を、また総合政策部会に報告をしていただくということを考えております。
なお、気候変動ですとか、資源循環、生物多様性の各分野におきましては、二度手間を防ぐという観点から、個別計画に基づく点検結果を可能な限り活用したいと考えております。
また、全体の取りまとめとしても、総合政策部会におきましては各部会からの報告、またヒアリング、あと、この後、ご説明する指標などを踏まえて、総合的な点検を行いたいと考えております。
次のページをご覧ください。
スケジュールでございますけども、1年目には、本年度答申をいただいた後、点検の準備、また総合的な点検方法の検討をしたいと思っております。2年目におきましては、各部会による各分野の点検、3年目が、こちらの点検結果を報告していただいて全体的な点検。この後ご説明する総合的な点検をしたいと思っております。
4年目、5年目が、2年目、3年目のワンサイクルと同じことを繰り返して、各部会の点検と、全体的な点検を行って、それら5年目の最終的な点検で、第七次環境基本計画に向けた課題抽出を行いたいと思っております。
点検を行う際の観点でございますが、「重点戦略」に位置づけられたものにつきましては、環境政策間のシナジー、ネット・ゼロで、循環型で、ネイチャーポジティブな経済に転換していくということで、そういったシナジーですとか、あと環境的側面、経済的側面、社会的側面のシナジーということも活用していくことが重要と考えております。
そうした観点でも、今回の第六次環境基本計画で位置づけている施策横断的な観点、先ほど冒頭申し上げたとおり、環境・経済・社会の統合的向上ですとか、ウェルビーイングの実現、環境負荷の総量削減、自然資本の維持、回復、充実、環境価値の活用による経済全体の包括化などの観点から貢献できているかという点につきまして、総合的な検討をしたいと思っております。これらの手法につきましては、今後、開催される総政部会でご意見をいただきたいと思っております。
例えば、第五次環境基本計画におきましては、施策の点検の個票の様式の中で、第五次のときは地域循環共生圏というものが大きな概念でございましたけども、地域循環共生圏への貢献ができたかどうかというのを各個票の記載用紙の中に、そういった項目欄を設けておりましたが、例えば今回であれば、ウェルビーイングの実現ですとか、環境、経済、社会の統合的向上ですとか、そういう欄を設けて、個別施策の中でそういった観点の貢献を記載していただくということもあろうかと思っておりますし、次のページで書いてあるような、好事例となるような自治体のヒアリングですとか、点検に当たって指標の活用ということも考えたいと思っております。
資料3-2で、重点戦略や各分野ごとの指標群というものを記載させていただいております。こちらは第五次環境基本計画のときも、この六つの重点戦略の指標群というものを策定していたものを、今回、各部局で内容をリバイスしたものというもので、今回、参考としてお示しさせていただきました。
こういった重点戦略や各環境分野ごとの指標というものも重要だと考えておりますし、先程申し上げた、第六次のキーコンセプトである横断的な観点であるウェルビーイングの実現ですとか、自然資本の維持、回復、充実とか、そういった指標についても、指標群もしくは総合的な指標が可能かどうかという観点で検討させていただいて、活用可能なものは、できるだけ活用したいと考えております。
特に、重点戦略の進捗は指標だけでは図れないとも思っておりますので、全体として重点戦略が進捗したかどうか、定性的・定量的な両面から評価したいと考えております。こちらについても、今後、総政部会でご意見をいただきたいと思っております。
個別分野の重点的施策につきましては、気候変動対策、循環型社会の形成、生物多様性の保全という、それぞれの分野で個別計画の中で指標が既に位置づけられておりますので、そういった指標を活用したいと思っております。
以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございました。先ほど事務局、今、東岡さんからもありましたけれども、今後、総合政策部会で引き続き議論をしてまいりますが、今、事務局からお示しをいただきました点検の進め方の、今、最初の頭出しについてご意見があればいただきたいと思っております。既にご発言ご希望をオンラインのところでいただいておりますので、そちらから先にお願いできればと思います。中村委員、そして山戸委員の順番にお願いできますでしょうか。
お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
○中村委員 ありがとうございます。聞こえますでしょうか。
○高村部会長 はい。聞こえております。
○中村委員 時間もないので。資料3-2なんですけれども、まずは「自然資本を基盤とした国土のストックとしての価値の向上」のところで書いてある事例が、ほとんど面積とか、蓄積などの量に関する指標がほとんどで、いわゆるそこのクオリティについては何も書かれていないのが気になりました。
また、その生態系ごとにきちんとそういったストックが確保されるのかということも気になるので、例えば森林だけではなく、ほかの生態系に関しても、そういった質の問題を考えていただきたいというのが1点目です。
それから、こうやって指標それぞれが独立してしまうと、あたかも数字だけが独り歩きするんですが、私が、その基本計画のときにも述べたように、再生可能エネルギーの導入が必ずしも自然資本の保全とか、環境の保全につながらないケースも、既に多々あると思うんですね。ということで、この指標間のつながりをきちんとチェックできるような、そういう体制を組んでいただきたいと思っています。
それから、点検はこれによってできるのかもしれないんですが、実際には各部署から上がってきた段階で、その指標が達成できていないとか、そういったものが出てくると思うんですね。その場合に、実際になぜ達成できない状況が起こってしまったのかとか、それを、達成できるようにするにはどうしたらいいかとか、対策はどんなものが考えられるのかといったようなPDCAをしっかり回せるような、そんな体制を組んでいただきたいと思いました。
以上です。
○高村部会長 中村委員、ありがとうございました。
それでは、続いて山戸委員お願いできますでしょうか。
○山戸委員 ありがとうございます。環境基本計画の点検の体制として、中環審の各部会で対象とする範囲の施策について点検を行い、その結果を踏まえ、総合政策部会で環境基本計画全体について総合的に点検する、こういう方向性を示していただきました。
点検につきましては、地球温暖化対策計画など、個別分野の計画ごとに指標を用いた進捗確認やヒアリングなどが行われております。環境基本計画全体の点検でも、これらの結果を適切に活用するなど、効率的、効果的な実施をお願いしたいと思います。
なお、この基本計画に基づいて、企業だけでなく全ての国民の皆様が、環境問題への対応を自分事として考え、行動いただくことも重要だと思っております。このため、計画の進捗状況について、国民の皆様に対しても分かりやすく、かつ広く知っていただける広報活動をしていただくことも必要と考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございます。終了の時刻が近づいております。多くの委員、ご発言のご希望がございます。できるだけ発言を簡潔にお願いできればというふうに思いますけれども。オンラインでご出席の委員で、もしご発言ご希望の方がいらっしゃいましたら、同じように手を挙げて、お知らせいただければというふうに思います。
それでは、会場の委員からご発言いただきます。こちらからですが、崎田委員、お願いできますでしょうか。
○崎田委員 ありがとうございます。先ほど武内委員が、ちょっと卒業延期で居残りをしているメンバーだという自己紹介がありまして、きちんと発言しておかないといけないと思って手を挙げました。
私自身は、参加と協働、参加とパートナーシップを大事にしながら持続可能な地域づくりをしていくということを重視し、中心に取り組んでまいりましたし、具体的な分野としてはゼロカーボンとか循環型社会を地域で実現する。それをどういうふうにつくっていくのか、そういうことに関心を持ってきました。例えば今回の点検のスケジュールなどを拝見して、今回いろいろ皆さんのご意見の中で、分野横断的な取組をしっかりやっていくということで、それをやるために省庁連携をしっかりというような話がありました。
ということを考えると、例えば2年目、3年目辺りに、地域をキーワードにしながら、そういうところがどう実現しているのかというのを、例えば地方環境事務所、環境省の地方環境事務所は、今、七つですか。例えば、それぞれのところで、それぞれの地域に根差しながら、省庁連携とか分野横断で優良事例に取り組んでいる、あるいは課題を抱えているものをちゃんと話し合って、見える化していくという事を提案したい。そういう取組を一度、地方環境事務所にしっかりと機能していただいて、やってみるというのも、今回の内容は具体化していかなければいけないという大事な10年ですので、そういう視点を入れてやってはどうかなということを大変強く感じました。よろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、武内委員お願いいたします。
○武内委員 環境指標について、私、度々発言しているんですけれども、あんまりちゃんと受け止めていただいていないようで、改めて申し上げたいと思うんですね。一つは、指標をばらばらに扱うんじゃなくて、やっぱり指標間の関係性をきちっと議論していく。今回はウェルビーイング辺りは、そういうふうなことで、これは新しい項目なので、ちゃんとしているんですけども、地球温暖化、循環型社会、生物多様性を見ると、これはそれぞれの計画によって評価するとなっているんですね。そうすると、それらの間の関係性についての評価はどうなったのかということになるので、これは私が申し上げているように、そこのところを環境基本計画で点検していくということが重要なので、そういうことの観点がなくて、それぞれの、まさに局に任せるというやり方になっているというのは非常に大きな問題なので、ここはちょっと、直してくれるかどうか分かりませんけれども、一応、意見として申し上げておきたいと思います。
それからもう一つ、これも既に申し上げたことですけれども、SDGsには、インディケーター(指標)というのがあって、これが割と先進国には適用できないような内容を含んだ、非常に問題をはらんだインディケーターになっているんですね。これは日本の社会の中で使うということになると、やはり日本なりに整理されたSDGsの指標の在り方というのを議論すべきじゃないかと。これはほかの省庁はやってくれませんので、そういう意味で環境基本計画の中でSDGsを入れ込むというふうに言っているわけですから、言っているとすれば、それを具体的に追跡していくのがこの指標じゃないかというふうに思いますので、その点もですね。特に今、そもそも国連ではポストSDGsの話が始まっていますから、そこをむしろ先導していくというのは、意気込みも含めてやっていただけると大変ありがたいと思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは田中委員、お願いいたします。
○田中委員 田中です。
今回新たに指標づくり、評価をさらに総合的にやっていこうというふうな方針の下ですので、これまでが点検のための点検とは思いませんけれども、点検にとどまらず、やはり個々の目標を明確にして、この中で得られた知見も共有されていくような、そういう水平展開ができるような思いを持って取り組むことができればと思います。
また、これは環境省だけでやってもらう指標ではありませんので、パートナーシップとか競争のお話も出ましたけれども、企業がやっぱり、例えば温室効果ガス30%とか、数字も出して皆さん、目標を掲げたりですとか、あと、ここの中にある交流人口とか環境においても、自らの持つ森の中での修学旅行生の受入れとか、あと、環境教育をやりましたみたいなこともなさるので、そういうものが、この基本計画とも連動して、整合性があるものだとか、自分たちが個別にやっていてちょっと手探りで分からなくて、ESG投資とかグリーンボンドとかにつながったというだけではなくて、本当に国の動きと共にあるみたいなことが実感できるような、指標の開示の仕方ということができればというふうに思っておりまして、私もまだ、これからもうちょっとリサーチしないと分からないところもあるんですけども、こういう方針が示されましたので、そういう切り口とかきっかけを皆さんが考えられるような、そういうことも鑑みながら推進して、指標もって評価をしながら成長していけると、改善していけるというふうなところに持っていけるといいかなと思っております。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
馬奈木委員が、間もなく退席というふうに伺っております。馬奈木委員、よろしくお願いいたします。
○馬奈木委員 ありがとうございます。ウェルビーイングとそれ以外の多くの指標というつながりがしっかり見えるというのは、ものすごく大事だと思うんですね。議論は多様にやりながらも、少なくとも世界幸福度報告書とかですね、国連の。そのデータの基はギャロップというアメリカの会社ですけど、世界中でデータを180か国で取ったりしています。
私、ギャロップのアカデミックアドバイザーをやっているんですね。そういう多様な取組が既にありますので、ウェルビーイングの主観的な幸福度というのは、問題があるにせよ科学的にいっぱい使われています。それは、まずそれも一つとして必ず入れていきたいですし、それで異論があったとしても、例えば土地利用で緑の面積が多いとか、まちにアクセス上はそこに近いとか、その多様性が高いとか、カーボンニュートラルがしっかりしている自治体ほど、そこに立地する企業はしっかりESG対策ができているとか、いろんなエビデンスがありますので、そういう外から生活を含めて取れるデータと、主観的にアンケートを取らざるを得ない両方を両立していただいて、ほかから取れるのにわざわざ自治体に聞いて、その事務作業で膨大なやりとりが発生して、足し算したら合計に合わないとか、そういうことがないようにできると思うんですね。
その両面でぜひ、最終的なアウトプットとしてそれが国民全体にとっていいのか、ステークホルダーの目線と、地域にとっていいという市全体の目線と、あと関係する企業にとっていいというその三つ、誰に対してのKPIを見ているのか、その指標を最終的に出すことが、明確にこれは自分に跳ね返ってくるねと思いながら、位置づけをしていただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、豊岡委員、お願いいたします。
○豊岡委員 変え方を変えていかないと、今までの点検では、実際の数字につながっていかないというふうに思います。ちょっとこの見たところで、指標はあるんですけれども、じゃあ環境統計データによる進捗確認をして、それができていなかったらどうするのというようなところが見えてこないという。それで、環境省だけでこれができるわけではなかったら、他省庁へ効果的と思われる働きかけなどをできるように、具体案をここで導き出して要望をするとか、そういう具体的な行動が伴わないと、全然結果につながっていかないなというふうに思います。
部会からの報告とか、各自治体からのヒアリング、今までもたくさん聞いてきて、いい、ものすごくまじめな取組をされていたんですけれども、そして脱炭素先行地域なんかも、スケールがやっぱり小さ過ぎて、すごく効いてきていないということと、それと環境省が行っている施策が、本当にこれ、効いているのかどうかというような検証ですね。
よく皆さん、過去は振り返らないというようなことを言われますけれども、本当にこれを効果的に効いているのかどうかという反省の下に点検をしていかないと、やり直したり、他省庁へも働きかけたりを具体的にしていかないと、とてもじゃないけど届かないなというふうに思います。
今、自治体さんからもいろいろな脱炭素先行地域、駆け込みみたいにやりたいという声をいっぱい聞いて、いっぱいプランを見せていただくんですけれども、本当にスケールが小さいけれども、新規性とか審査基準を言われるので、非常に何かマニアックなことをやろうとしたりですね。これはとても経済的な効果が出ないなというようなことを、新しいからといって奇をてらったような取組を見受けたりいたしますので、もう、ぜひとも本当にちゃんと関係性の評価ですね。これを関係性がちゃんとなされているかどうか、他省庁も含めてしっかりと働きかけができるような点検にしていただきたいというふうに思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは淡路委員、お願いいたします。
○淡路委員 私からは、シンプルに質問なんですけれども、まずこの指標が表されていますけれども、これは目標のような目安の指標が置かれるのか。それから、国民が自分事として捉えるということの指標になるものが入っているのか。それから、他省庁との連携、皆様のご指摘、私もそのとおりだと思いますが、他省庁との連携が進んだということが分かる指標が入っているのか。この三つの質問です。
○高村部会長 ありがとうございます。こちら、最後に事務局からお答えお願いします。
それでは、石田委員お願いいたします。
○石田委員 これまでも点検に参加させていただいて、具体的な数値目標がなくて、点検の仕方がよく理解できないことが多かったのですが、今回は資料3-2にあるような指標で、数値目標が明確になったのは良かったと思います。
しかし、具体的な指標が、例えばCO2排出量の削減にどのように結びついているのかがわからないといった問題があるように思います。エネルギー消費量自体の数値目標がないことも問題ではないかと思います。炭素生産性やエネルギー生産性といった指標で対応しているという考え方なのかもしれませんが、分かりにくいのではないかと。CO2排出削減量やエネルギー消費の削減量のように、直接的で分かりやすいKPIのほうが、どのぐらいの成果が出たのかが分かるので、国民にとっても良いのではないかと思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは井田委員、お願いいたします。
○井田委員 ありがとうございます。くどいようなんですけども、経済と社会を環境容量の中に収めていくということが重要だと。というのもあったし、「も」というのは新しく書いた以上、それが分かるような指標があるし、指標だし、点検が必要だと。ということは、今の環境容量がどれぐらいあるのかということ、しかも環境負荷の総量削減と書いたわけですよね。環境負荷というのがどれぐらいあるかというのを両方把握して、今どれぐらいオーバーしているかですね、それがどれぐらい減ったかというのを毎年チェックしていくような作業が必要ではないかと思います。
これ例えば、Global Footprint Networkや、WWFがやっているLiving Planet Reportとかが、日本人の暮らしだと2.8個の地球が必要ですというような、既に先行の試みがいっぱいあるので、そういうものも参考にしながら、我々が、環境収容力をどれだけ日本の経済と社会がオーバーしているのかというのが分かるような点検、指標というのが必要ではないかと思います。
このとき重要になるのは、国内だけ見ているだけじゃなくて、輸入品の関連フットプリントとか、環境負荷であるとか、日本の企業が海外でやっていることによって引き起こされる環境インパクトというのも、きちんと評価できるような仕組みが必要であるというふうに思います。これも結構、日本の消費活動が海外の森林活動、森林破壊にどれだけ影響を与えるかとか、Endangered Species(絶滅危惧種)にどういう影響を与えるかというような研究もいろいろあるので、それも参考にしても、やっぱり全体の環境負荷と環境容量、日本人がどこにいるのかというのが分かるような指標をつくって、点検していくということが重要だというふうに思って。せっかくあるこういう基本計画をつくった以上、それがここでできないかというふうに思っている次第です。
もう一つ重要な、それとも関わるんですけども、ネイチャーポジティブであるとか、ナチュラルキャピタルと書いたわけですから、今、みんなが気にしているネイチャーポジティブ、ネイチャーポジティブと言いながら、これをグリーンウォッシュに終わらせないようにはどういうふうにするかということで、ネイチャーポジティブをどうVerifiable(証明可能)にして、それをチェックしていくかというのが大きな課題になっていると、私が申し上げるまでもないんですけども。
やっぱりこの環境基本計画の点検の中でも、それも既にIUCNとか、WWFとか、ほかの海外の研究機関も、研究も進んでいるし、取組もあるので、そういうものを参考にしながら、ネイチャーポジティブを口先だけに終わらせないような指標というのが、やっぱりこの計画を見ていて、チェックしていく上では必要ではないかというふうに思います。このときも、やっぱり海外のインパクトというのが、日本経済、社会が与える海外の環境へのインパクトというのを把握することが重要ではないかと思っておりまして、それをできるような仕組みを、この中でつくれないかなと。
もちろん自然保護局とかって現場の仕事にもなるとは思うし、国全体の仕事になると思うんですけども、それをこの計画の点検に合わせてやっていかれないかというふうに思っている次第であります。
どうもありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、奥委員お願いいたします。
○奥委員 指標につきましては、これから詳細を詰めていくということだろうと思いますけれども、現時点で気づいた点を2点申し上げます。
この資料3-2の重点戦略二つ目ですけれども、自然資本を基盤とした国土のストックとしての価値の向上。この中に、下から4番目に立地適正化計画の策定自治体数というのがあるんですけれども、これは立地適正化計画は、都市計画区域内のみが対象になっているので、いわゆる都市部だけが対象で、いかにコンパクト化を図っていって、環境負荷を都市構造の中で提言していくかということには資するかと思いますけれども、非都市部は、こちらではカバーできないので、そういう意味では、事例なんかを見てみますと、国土利用計画法に基づく国土利用計画の地域版を、いわゆる都市計画区域を要していない自治体は、ある意味、都市計画に代わるもの、都市マスに代わるものとして策定しているような地域があるようなんですね。
ですので、都市域、都市部だけではなくて、非都市部における自然資本がいかに保全され、もしくは活用されているのかということを、ちゃんと全体を見渡せるようにするためには、ちょっとそういった国土利用計画の策定状況だとか、そういったところも併せて見ていかないと、ちょっと立地適正化計画だけだと、あまりにも狭過ぎるというふうに思いました。ちょっとこれはまた今後、議論していく必要があるかなというところです。
それと、もう一つは、その次のページのウェルビーイングの指標として上から五つ目ですが、都市と農山漁村の交流人口、これは今までも位置づけられてきた指標ですけれども、最近は交流人口というよりは関係人口をいかに増やしていくかと。単にそこに観光に行くというだけではなくて、その後もしっかりと関わって、その地域づくりであったり、様々なその活動に関与していくと。
ただ、観光以上移住未満で、必ずしもそこに移住するわけではないというような、そういった関係性を、これも都市部、非都市部で連携して構築していこうとしている事例がたくさん出てきていますので、交流人口というよりは、むしろ関係人口というふうに、今後は変えていったほうがいいかなというふうに思いました。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは河口委員、お願いいたします。
○河口委員 ありがとうございます。これから詳細は詰めるということだと理解しているんですけれども、やはりこの出ているデータというのは、その市場規模、大きいほうがいいのかとか、割り算になっていて、生産性みたいなものとか、かなり混在をしているということと、やはり環境ビジネスは、ただでかければいいのかということでもないと思うので、これ、井田委員もおっしゃっていることですけれども、環境容量というお尻を決めて、それに対してどうしているんだというふうにしないと、何か増えているからいいのとか、判断しようがないというところがあります。
既にビジネス界ですとSBTⅰだとか、もうお尻が決まっていて、目標は決まっていて、それに対してどうなっているのかというような、そういう流れで判断するような仕組みになっていますので、できればこういった産業のところも、お尻をどう決めるのかというところで指標をつくっていただくといいのかなと。
特にウェルビーイングのところは、1人の消費者というところに立って、それがどのぐらいの環境負荷を出していて、どのぐらいの豊かさを享受しているのかなというような部分では、もうちょっと工夫が要るんではないかと。
それから、水資源ということで考えますと、汚水処理というのはあるとか、水質汚濁というのはあるんですが、これからのテーマとして、水資源という観点が非常に重要になってくると思うので、これもどこか自然ストックのところでしょうか。
それから生物多様性の観点というのが、先ほどもご指摘があったように、この自然資本というのだと、単なる面積だけということなので、多様性という質の部分が欠けているので、これに関しては適切な手法をつくっていただきたいと思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございました。
それでは、堅達委員お願いいたします。
○堅達委員 私も、細かいところはこれから決めていくんだと思うんですけれども、大きなことで言うと、やっぱりスピードとスケールが求められているときに、この点検の結果を6年先まででまったりやるというよりは、ちゃんと適切に国民に分かりやすく発信して、その都度ブラッシュアップしていくということが、今、とても大事になっていると。点検の項目とかは、我々委員のお仕事になってくるんですけど、これ、じゃあ点検を身内だけでしていていいのかと。それぞれの業界を代表していたりすることはあるんですけど、この中に、肝心な次世代の若者がやっぱり委員に入っていないというこの厳しい現実がある中で、せめて点検に関しては、次世代の声を聞くんだと、厳しくチェックしてもらうんだというぐらいの、そういう新しさがなければ、変え方を変えるとか格好いいこと言っているけれども、正直言ってウォッシュになってしまうんではないかと。
あと、何人もの方がおっしゃられているとおり、指標が細か過ぎて分からなかったりして、それこそ国民に伝わらないという観点で言いますと、カーボンニュートラルだったら、もう、1.5度目標にちゃんと整合しているのかどうかという、大きなざくっとした物差しだったり、ネイチャーポジティブであれば、はい、回復軌道に乗っているんですか本当にという、ざくっとした物差しだったり、ウェルビーイングであれば、幸福度の何か指標が上向いているんですかとか、ぱっとやっぱり伝わる、そういう指標もしっかりこれから見つめていく必要があるんではないかなと思いました。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
今、あとご発言ご希望が3人いらっしゃると思います。もし、どうしても発言の追加でも発言があれば、手を挙げて教えていただければと思います。
髙橋委員、そして山口委員、そしてオンラインでご出席の三好委員、今この3人で、基本的に止めようと思っていますけれども、もし、どうしてもというご発言のご希望があれば教えてください。
では髙橋委員、お願いいたします。
○髙橋(清)委員 ありがとうございます。短く3点ほど。まず一つは、後で多分、事務局のほうよりお答えいただけると思いますけど、やはり指標があって目標がないというところだと思いますので、しっかり目標を立て、指標を立てていただきたいのが1点です。
2点目は、指標の持つ意味をもう少し検討すべきかなと思います。これに関しては、今後、詰めていくということになりますけれども、先ほどどなたかおっしゃった、例えば立地適正化計画。これは計画を策定しただけでは全然駄目で、実際にどこまでどう進んでいるのかというところまで見ないと、この計画の本当の意味はないと思います。基本は、その大きな国の方向と、地方の方向が合っているという、指標にはなりますけど、じゃあ実際にどうなっているんだというところのその指標の内容について、しっかり検討していただきたいのが2点目です。
最後は、当然、指標はマクロ的な指標になるかもしれませんけど、やっぱりマクロとミクロ両方大事で、地域におけるミクロな情報をどうやって集めていくのか、さらには、いろいろな地域における施策が、統合的に、総合的になったときに、どういう、生活も含めて、豊かさも含めて変わってきたのか。やはりこの辺りをしっかり見ないと、ただマクロの指標で上がっている、下がっているということではないのかなと思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、山口委員お願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。私、短く1点だけ。この指標の中で、再生可能エネルギーの導入量というのが2か所出てきているんですけれども、先ほどほかの委員の方からもあったように、今その再エネに関して、良い再エネと悪い再エネで非常に見方が分かれていて、特に太陽光パネルの導入で森林を切り開いて、強引なメガソーラーの建設で住民と対立するという構図が、世論の中の印象として悪い面で持たれています。実際に、そうした事例がいくつもあります。
ですから、導入量だけではなくて、その質の部分をしっかり定量化して点検していくということは物すごく大事なところで、そこを抜きにすると、逆に再生可能エネルギーに対する反対の意見が増えてしまって、進むものも進まなくなってしまうと思うんですね。ですので、悪いものはちゃんと止めてもらう、直してもらうということをやりながら、地域裨益型、地域共生型の再生可能エネルギーを広めるということを、しっかり目標として打ち出していただければと思いました。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、最後になりますけれども、オンラインでご出席の三好委員、お願いいたします。
○三好委員 ありがとうございます。点検指標ですけれども、評価をするときの指標になるのはそうなんですけど、もう一つ役割としては、やはり変えていくべき点のスタンダード(基準)というかガイダンスにもなると思いますので、そういう視点も入れて作り込んでいけたらなというふうに思います。
先ほど、どなたかおっしゃられていましたけれども、点検の指標はあれど、ゴールがないというか、幾つか計画や、生物多様性国家戦略とかですね。ゴールが見えているものもあるんですけれども、このようなゴールがなくして、点検の指標だけがあるということが見受けられますので、ゴールを設置するということをまずしないといけないのかなというふうに感じました。
幾人か中村先生とか武内先生とかがおっしゃられていたんですけれども、全体的なバランスとか関係性を見るという指標が必要かと。それぞれの指標はあるんですけれども、では、指標同士、もしくは、指標と政策の関係性とか、そういうところが、今回、これから見ていかなきゃいけない重要なポイントだと思いますので。
先ほど再エネの話もありましたけれども、例えば私の近所の工場で、地下水を利用するのを規制されていると。ですけれども、最近では、水の量を使うというよりは、熱源としての水、地下水の使い方なので、違う使い方をしているわけですね。水は戻すということで、熱だけ取るという場合に、新しく使える技術、それが商品力にも競争力にも環境にもよい技術にもかかわらず、古い規制でそれが使えないという現実があります。そういうことがないように、総合的に見て、環境にいいのかどうか。一方を少し譲っても、結果全体によければいいというような視点、評価の仕方にしていかなければ、前に進めないし、スピードが遅くなるなというふうに感じていますので、システム思考で考えるような、考えられているような指標をそれぞれ、それから指標同士のバランスを見る関係性を見るということもしていかなくてはいけないんではないかなというふうに思います。
あと、その中でもクオリティですね。何人かおっしゃられていましたけども、質を見ていくということも非常に重要かと思いました。
以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。大変貴重な、特に本日決定いただきました計画の中身に照らして、その進捗をどう測るかという観点で、指標について、連携の仕方についてご意見をいただきました。
私、1点だけ、他の、重複がないことでお願いをしたい点は、点検に当たって本日も、省庁を超えて、それから環境省の中でも、環境省の中の部局を超えた取組というのが非常に重要だというご指摘をいただいていると思います。これは点検の中でも、そういう意味では、環境基本計画は閣議決定をする文章だと思いますので、関わる、やはりほかの省庁も一緒になって連携をする仕組みというのは、ぜひ検討いただきたいというのが一つ。
もう一つは、環境省の中でも、各部局のところで計画戦略等を作っていただいていて、指標等についても、連携についても議論いただいていると思います。先ほど山戸委員から、効率的な、効果的な点検ということがありましたけど、ここの相互のやはり、全体としてこの環境基本計画が目指している環境、経済、社会の統合的向上、ウェルビーイングの向上に向かっているというのを、どういうふうに整合的に点検をしていくかというところ、これは環境省の中の内部の部局を超えた、統合的な政策運営、点検という点でも検討いただきたいというふうに考えております。
すみません。それでは、事務局にご質問が幾つか出ておりましたので、こちら事務局からお答えいただいて、お願いをしたいと思います。よろしくお願いします。
○東岡室長 多くのご意見、大変ありがとうございました。指標ですとか点検の仕方につきまして、今後、指標の専門家にも個別にヒアリングをし、また、今回ご意見をいただいた先生方にも、個別にご意見を聞いて進めたいと思っております。また、各省庁、各部局ともご相談をして進めていきたいと思っております。
特に、指標につきましては、質の問題ですとか、指標間のつながりの問題ですとか、あと、施策間のつながりですとか、他省庁との連携、そういった観点での指標が必要ではないかというご指摘をいただきましたので、そういった観点も含めて、検討していきたいと思っております。
環境省でも、これまで指標については長年検討してきて、それらでうまくまとまったものが、今は各個別計画の中で使われているというような実態とも思っておりますので、今後1年間かけて、どういった指標が使えるかどうかというものを、先生方、また指標の専門家ともご相談しながら、実用可能なものは使っていきたいと思いますし、また、すぐに結論が出ないものについては、今後の課題として、第五次環境基本計画でもやったように、個別の施策の中でそういった視点で定性的に記述して評価していただくものもあると考えています。
また、今回、評価の仕方についても、地方環境事務所の優良事例をちゃんと具体化していったほうがいいですとか、あと、その他省庁にどういうふうに巻き込んでいくかという観点で、点検の際に他省庁にもしっかりと入っていただいて、そういった観点で点検をするというのは、我々としてもしっかり取り組んでいきたいと思っております。
個別でいろいろご質問をいただいたところがあるんですが、まだ我々としても具体的になっていないところもございますので、指標の専門家ですとか、そういった方々と情報収集をしてから今回ご指摘いただいた点も含めて、個別にご相談をさせていただいたり、次回の総合政策部会の中で回答させていただいたりしていきたいと考えております。
○高村部会長 ありがとうございました。今、事務局からありましたように、本日、大変貴重なご意見をいただきましたので、今ありましたように、さらに事務局で検討していただいて、効果的な点検、フォローアップの在り方について、改めて総務政策部会でご議論をいただければと思います。
すみません。本当に時間が延びて申し訳ございませんけど、最後に報告事項に移ってまいります。報告事項は、風力発電事業に関わる環境影響評価の在り方について、一次答申及び再エネ海域利用法改正法案について、環境省大臣官房の環境影響評価課の大倉課長から、概要をご説明いただきます。よろしくお願いします。
○大倉課長 ご説明させていただきます。
資料4と参考資料4になりまして、先ほど中村委員や山口委員のほうからもご指摘あった、悪い再エネをなくしていいものを動かすという、そういった観点で、この運用化スケジュールについて、風力発電事業に係る関係で影響評価の在り方についての小委員会を、総政部会の下で設置をさせていただいて、3月に答申をいただきました。大塚小委員長の下、多くの委員に参画いただいて議論していただいてございまして、その答申に基づいて内閣府、経産省、国交省、あと我々環境省、4省合同で、いわゆる再エネ海域利用法の改正案をこの国会に提出しております。
その改正案の中身について、簡単にちょっとご報告させていただきます。
資料4の左側、背景・必要性とあります。いわゆる風力発電、カーボンニュートラルの切り札というふうになってございますけれども、現在の政府目標を2040年までに3,000万から4,500万kW形成しないといけないというふうになっていますが、現行の再エネ海域利用法ですね。領海及び内水に一応限られておりまして、それをEEZまで拡張するというのが、改正事項の一つになります。
加えて、まさに先ほど申し上げた悪い再エネをなくして、いい再エネを伸ばすという観点の適正な環境運営の影響評価の在り方を、その法律の中に組み込むということもひとつありまして、それがもう一つの改正事項になっています。それについては、ちょっと裏面になりますけども、これが環境面の改正事項の概要というか、ポンチ絵でございます。領海とEEZほか二パターンあって、一番上の段が領海の現行制度、2段目が領海の改正、EEZは新設されるものでございますが、その中段と下段を見ていただければと思いますけれども。
いずれにしましても、今回の再エネ海域利用法の仕組みでございますが、洋上風力を設置できるエリアですね。それを領海であれば促進区域、EEZであれば募集区域というふうに、このような設置をいたします。いわゆるゾーニングをするということでありますが。それに当たりまして、環境大臣が必要な調査を行って、その区域指定をする経産大臣及び国交大臣に対して必要な情報をインプットして、その情報を基に規定すると、そういった仕組みを導入するということになってございます。いわゆる空間計画を策定するに当たって、あらかじめ環境配慮を行うということなので、先ほど奥委員からもお話がありましたけども、戦略アセスの一つじゃないかというようなお話もありました。
結局は、環境大臣の調査をあらかじめできたらインプットするということでございますけれども、結果として、事業者が今まで行っていた環境影響評価法に基づく手続の一部が、結果的に重複するということになりますので、それを適用除外すると、そういう規定を置きます。それは領海とEEZでちょっと適用除外の範囲が違いますけれども、基本的には同じ思想でやっていくということでございます。
駆け足でございますが、以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。ただいまの報告について、もう時間がかなり押しておりますので、もし、どうしてもというコメント、ご質問があれば、基本的に報告事項でございますので、どうしてもというご質問、ご意見があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。おそらく新聞報道等でも既にご存じの方もいると思いますので、ご了承といいますか、ご報告を承っていただいたということでお願いできればと思います。
大変、時間を越えてしまいまして申し訳ありませんでした。予定していた議題、以上で終了となります。最後に、事務局から連絡事項をお願いしたいと思います。
○東岡室長 皆様、長時間にわたりましてご参加、ご審議いただきまして大変ありがとうございました。事務局といたしましては、本日お取りまとめいただきました第六次環境基本計画の答申を尊重し、政府全体の計画とすべく、早期の閣議決定を目指してまいりたいと思っております。
また、本日の議事録につきましては、事務局で取りまとめを行わせていただきまして、委員の皆様にご確認いただいた後、ホームページに掲載をさせていただきます。
最後に、今後の総合政策部会の予定でございますが、正式な日程などが決まりましたら、随時ご連絡をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございました。本日は、環境基本計画、ご決定をいただいたことを改めてお礼を申し上げたいと思います。今回、G7の気候エネルギー環境大臣会合ではいろんな議論がありましたけども、決定的に重要な10年に加えて、今年、この1年が極めて重要だというメッセージも中に入っていました。そういう意味では、この環境基本計画も、これからこの1年で、これを本当に実践をしていく準備と、実際の施策というのが進んでいくことを期待しております。
では、以上をもちまして、本日の総合政策部会を終了したいと思います。
どうもすみません、時間を越えて申し訳ありませんでした。どうもありがとうございました。
午後4時33分閉会