中央環境審議会 総合政策部会(第113回)議事録

第113回 中央環境審議会 総合政策部会

 

令和6年1月29日(月)9:30~11:56
ビジョンセンター東京駅前705会議室
(Web会議システム併用)

 
議 事 次 第
1.開会
2.議事
  (1)第五次環境基本計画の見直しについて
       ・第六次環境基本計画(素案)について
  (2)その他
3.閉会
 
配付資料一覧
【資料】
 資料1     第六次環境基本計画(素案)
 
【参考資料】
 参考資料1   中央環境審議会総合政策部会名簿
 参考資料2   第五次環境基本計画の見直しスケジュール(案)
 参考資料3   第4回中央環境審議会総合政策部会と各種団体との意見交換会議事録
 参考資料4   第六次環境基本計画について(中央環境審議会第31回総会資料の修正版)

午前 9時30分 開会

○東岡計画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会第113回総合政策部会を開催いたします。
 まず、委員総数31名のところ、21名の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告いたします。
 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいておりますので、環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行っております。
 本日は、ウェブ会議システムとのハイブリッド開催とさせていただいております。ウェブよりご参加の委員におきましては、各自発言時のみライブカメラの映像とマイク機能をオンにしていただきますようお願いいたします。また、会場の声が聞こえにくいなどございましたら、チャット機能でお知らせください。
 会議資料につきましては、議事次第の下の資料一覧に記載のとおりでございます。また、事前意見として、崎田委員、中村委員、石田委員、竹ケ原委員、井田委員の5名の委員から意見をいただいておりますのでご覧ください。また、ホームページ上は作業が間に合わず4名の委員になっておりますが、作業が完了次第、全ての委員の事前意見を掲載いたします。これらの意見については、資料番号をつけずに配付しております。また、参考資料3につきましては大部となりますので、ホームページへの掲載のみとさせていただいております。もし、不足している資料等がございましたら、事務局までお申しつけください。また、本日の資料は環境省ホームページ総合政策部会のページにアップロードしております。
 それでは、今後の進行は高村部会長にお願いいたします。
○高村部会長 皆様、遅ればせながら、今年もよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事に入ってまいります。昨年12月20日に、前回の総合政策部会を開催いたしました。その折に、中間取りまとめに対する意見、それから各種団体との意見交換会で出された意見、中央環境審議会第31回の総会、それから意見広場の結果並びに第六次環境基本計画の構成案について、委員の皆様から様々なご意見をいただいたところです。
 これらを踏まえまして、事務局で第六次環境基本計画の素案を作成していただいております。こちらは本日、この素案についてご議論いただきますけれども、本日ご審議をいただきたいのは、第2部第2章までの予定でございます。第2部第3章以下につきましては、それを含めて計画案全体についての審議ということで、次回の第115回の総合政策部会でご審議をいただく予定にしております。
 それでは、早速ですけれども、第六次環境基本計画(素案)につきまして、事務局から資料1を使ってご説明お願いできればと思います。よろしくお願いします。
○大倉環境影響評価課長 おはようございます。事務局の大倉でございます。
 ただいま高村部会長からご紹介があったとおり、今日の議論の対象は資料1ということになりますけども、何分100ページぐらいの大部なものになってしまっていますので、概要的なものを最初に5分ほどご説明した後に、本体資料のご説明をしたいと思います。
 参考資料4をまず開いていただきたいのですが、これは昨年、中央環境審議会総会でご説明させていただいた資料を本文の内容に即してアップデートしたものでございます。
 最初、2ページ目でございますが、環境基本計画についてということでございますが、一番上に、「環境基本計画は、環境基本法第15条に基づき、環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱等を定める。」ということになってございます。このほかにも、前回も申し上げたかもしれませんが、個別分野の計画として、地球温暖化対策計画であるとか、今、同時に循環部会で議論させていただいている循環型社会形成推進基本計画とか、昨年、閣議決定された生物多様性国家戦略、気候変動適応計画等々ありますけども、それらのある種上位といいますか、取りまとめになる計画でありまして、より抽象度が高いということになろうかと思います。例えば、2030年に向けて46%、50%の高みを目指した温暖化対策全体の体系というのは地球温暖化対策計画に書かれると、そういう役割分担になろうかと思います。
 次、3ページ目でございます。
 主に資料1の第1部に相当するものの構成を書いたものでございまして、一番上の灰色の部分、「環境危機、様々な経済・社会的課題への対処の必要性」という枠があります。これは第1部の第1章に相当するところでございまして、後ほどまたご説明しますが、環境危機等が書いてございます。
 そういう現状と課題認識を踏まえて、どういったビジョンなり政策の方向性なりを示すのかというのが第2章になりますけども、赤色で囲っている枠ですね。「現在及び将来の国民一人一人の生活の質、幸福度、ウェルビーイング、経済厚生の向上」「人類の福祉への貢献」という、ある種環境基本法第1条に基づく環境行政のミッションを書いているところでありまして、これは第1部第2章の冒頭に当たるものになりまして、まずこういったミッションを踏まえて、どういった持続可能な社会を目指すのかということで、「循環共生型社会」ということで、これはある意味で第一次計画以来の基本コンセプトを維持・発展をしてきたものであります。
 今回「循環」と「共生」で特記すべきものを最初に書いていますけども、黄色くマーカーしていますが、一つは地下資源依存から「地上資源基調」へと、あと環境負荷の総量削減、良好な環境の創出というものがキーワードかと思ってございます。
 他方、共生のほうですね、いわゆる哲学的な概念を述べるところでございますけども、キーワード的なことで申し上げると、人と地球の健康の一体化(プラネタリー・ヘルス)であるとか、個々の主体の取組と、地球・国・地球レベルの取組が同心円であるといったようなことを書いてございます。ほかのキーワードもありますが、それはまた後ほどご紹介します。
 こういったビジョンを実現するために、環境行政のいわゆる基本的な役割というか方針というものが、今回新たな成長という形で提示させていただいてございます。最上位の概念が、先ほど申し上げたウェルビーイング/高い生活の質、これは市場的価値、非市場的価値を合算したものですが、それを実現するために「変え方を変える」というようなキーワードも出しておりますが、大事な六つの視点、本質的なニーズの重視みたいなところを呈してございまして、そういった六つの視点に基づいて、ストックである自然資本が基盤であると、それを充実させることがある種投資を促して、市場的価値を促すと。加えて無形資産である「環境価値」を活用した経済全体の高付加価値化みたいなところを書いてございます。それで、絶対的なデカップリングを達成するというようなことにもなろうかと思っています。
 そういう大本旨の下で、具体的な政策展開をどうするかの、いわゆる大原則を書いているところが第1部第2章の最後になりますけども、四つほど挙げてございまして、科学に基づく取組のスピードとスケールの確保、「勝負の2030年」であるとか、ネット・ゼロ、循環経済、ネイチャーポジティブ等の施策の統合・シナジー、あと政府、市場、国民の共進化、加えて地域循環共生圏といったところになってございます。
 こういった大きな第1部の流れに沿って、次の4ページ目になりますけども、本日ご議論していただく重点戦略、6本柱で構成されますが、個々個別の政策が書いてございます。
 5ページは、第五次計画からの比較というところで、今最初に申し上げたキーワードを第五次計画との比較において書いたものでございます。
 7ページ目以降は参考でございますが、例えば8ページ目、9ページ目辺りは、先ほど申し上げた新たな成長を概念図として設けたものであり、最後の10ページ目には政府と市場と国民の共進化という概念がどういうものなのかというイメージを書いています。
 これが概要でございまして、続きまして、本体の資料1のほうに行きます。
 先ほど部会長からお伝えしていただいたとおり、本日は第2部の第2章までということで、3ページ目の目次に書いてございますが、残りについては、次回の総政部会でご議論いただくということになってございます。
 最初に、全体の注意事項を申し上げますと、データ系のファクトに関わるようなところは、閣議決定のぎりぎりまで、時間が許す限りアップデートしたいなと思ってございます。加えて、先ほど申し上げたとおり、循環型社会形成推進基本計画のほうは、循環部会で議論をしているとこもありますので、ちょっと両者の、この総政部会と循環部会の整合性を取るために、その関連の記述は次回の部会で出させていただきたいと思ってございます。
 それでは本文のほう、これ残り20分弱ぐらいで、ざっとキーワードをなぞるような形になるかもしれませんが、ご説明させていただきます。
 4ページ目です。第1部の第1章、環境・経済・社会の現状と課題認識ということで、最初の1ですね。1の(1)深刻化する環境危機ということでございます。
 これまで、この総政部会においても多々ご意見をいただきまして、4ページ目から7ページ目ぐらいにかけて、気候変動、生物多様性、循環経済とか汚染とか、そういうことに関わる全般の危機的な状況について記述させていただいてございます。気候変動でいえば、地球沸騰化というグテーレス国連事務総長のお言葉であるとか、ティッピングポイントとかイベント・アトリビューションとか、新しい表現を今回の計画に盛り込もうとしてございます。
 あと昨年、2023年は非常に暑い年でありましたけども、およそ1.5℃に近づく状態だというふうに言われてございますが、4ページ目の27行目のパラに書いてございますけども、1.5℃に首尾よく抑えたとしても、去年のような、ある種特異な状況がずっと続いてしまうと、それで危機感を持たなきゃいけないというようなことも書いてございます。
 それで、7ページ目からは、そういう危機を踏まえてどういったことが必要かというところで、これもご議論があったところです。そもそも現代文明が地球的限界を迎えている、文明の転換が要ると、社会変革(Transformative Change)が必要だと、2030年までにやらなきゃいけないということが書いてございまして、カーボンバジェット等のキーワードとともに、8ページ目、9ページ目にかけて、そういう大変革が必要だというところも書いてございます。
 そのような大変革については、9ページ目の10行目辺りになりますけども、今後30年の間にやらなければいけないと、かつ、勝負の10年ではないですが、この計画の計画期間である2030年までの施策の実施が非常に大事だというところを9ページ目の下のほうにかけて書いてございます。
 その9ページ目の下、34行目から、(3)環境先進国に向けた正念場というところでございまして、過去の反省が必要だというところをご意見いただいてございましたけども、10ページ目にかけて、11行目になりますけども、炭素生産性、資源生産性については世界のトップレベルから大きく乖離している等々の記述を書いてございます。
 11ページ目からです。これはこの部会のご意見とかパブコメのご意見を踏まえて、環境、経済、社会に関わる複合的な危機や課題というところで、経済・社会的課題のほうを前に持ってきてございます。人口減少であったり、地域の疲弊の問題であったりといったところを11ページのほうに書いておりまして、12ページ目のほうに経済を書いてございます。GDPが4位に落ちるとかというような話も出ておりますけども、基本国内における投資の不足であったり、人件費の抑制というところ、また13ページ目に書いていますが、環境価値とも関係してくるところではございますが、いわゆる無形資産投資、とりわけ人への投資みたいなところが諸外国に比べて低いといった課題、21行目になりますけども、かつ化石燃料の輸入額は、直近の数字では30兆円を超えているなどが書いてございます。
 26行目からが国際関係でございまして、今、本当にウクライナ危機等が深刻な状況になっていますけども、そもそも民主主義国家と非民主主義国家が分断している状況であるとか、14ページ目のほうになりますけども、我が国がエネルギーとか食料を、水を含めて海外に大きく依存してしまっているといった状況の中で、環境は以前にも増して安全保障上の課題と位置づけられるようになってきているということが、22行目辺りに書いてございます。
 いずれにしても、15ページ目の最初のほうに書いてございますが、第一次環境基本計画を策定した当時から比べると、我が国の国際的地位というのはちょっと下がってきているところがありますので、そういうのを踏まえた、どういった国際戦略が必要かということの問題意識を書いてございます。
 15ページ目から、3番目で、現状と課題認識のある種総括的事項でございます。現在及び将来の国民が明日に希望を持てる環境・経済・社会の統合的向上の次なるステップ・高度化に向けてということでございまして、(1)のところでございますが、これ主に第五次環境基本計画策定以降に起きたことが多く書いてございますが、環境が主流化してきたと。いわゆる環境危機が顕在化したことによって主流化してきたということになりますけども、14行目のほうに書いていますが、SDGsのウエディングケーキの図とか、社会経済活動が自然資本(環境)の基盤の上に成立しているというような概念が世界的に定着しつつある、あと28行目、プラネタリー・ヘルスの議論が活発化しているというような、ある種環境が本当に基盤ですよといったところは世界全体で浸透し、かつ16ページ目のほうですけども、環境を含めた社会課題の解決が成長なりそういったもの、ビジネスの世界を大きく規定すると、それを促進するといったような側面の記述も書いてございます。
 一つキーワードですけども、16ページのほうから17ページに書いていますけども、ある種企業活動等、バリューチェーン全体で環境負荷の低減をしていかなければいけないというのが大きなトピックになってきていると思ってございます。17ページの下のほうですが、環境と人権問題との関わりも最近進展しているというような記述も書いてございます。
 18ページ目でございます。これが本当の現状と課題認識の絞めみたいなところでありますが、こういった環境危機を源流とした環境が主流化してきたということを踏まえると、どういったことが必要かということでございますが、そもそもこの第一次環境基本計画以来の振り返りを見ると、国民の多数が希望を持ち続けることができなかったという総括を最初にしております。そういったものが解決できるように、環境を梃子にした、牽引役とした経済・社会的課題の同時解決が求められるというふうに18ページ目では書いています。その点、28行目から書いていますが、第一次基本計画の冒頭で記述されている「物質的豊かさの追求に重きを置くこれまで考え方、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動や生活様式は問い直されるべきである。」という問いかけが、ある種環境・経済・社会の統合的向上の高度化を実現する上での本質を突いていると。これが環境・経済・社会の共通的な問題意識ではないですかと。関連して、脚注の54で、2000年の経済白書の記述も書いてございます。規格大量生産型の工業社会が、ある種人類文明の流れに沿わなくなったということも書いていて、同じような問題意識を抱えていると思ってございます。
 そういった文明を転換するために、19ページに書いていますが、いわゆる質的な向上を目指すと、14行目に書いていますけども、「線形・規格大量生産型の経済社会システムから、地上資源基調の、無形の価値、心の豊かさも重視した循環・高付加価値型の経済社会システム」へ転換が必要であり、22行目ですけども、環境収容力を守り、環境の質を上げることによって経済社会が成長・発展できる文明の転換をしていくと。環境と経済は対立、矛盾する関係ではなくて、「同期」「共進化」をしていく関係だといった環境と経済との関係性の変化を書いてございます。
 20ページ目の冒頭ですけども、最初の行です。第六次環境基本計画は、環境を軸として、環境・経済・社会の統合的向上の高度化を図ると。こういった環境を軸としてというのも、この六次計画の素案で初めて盛り込んだ言葉でございます。
 20ページ目以降は、一次計画からちょうど30年の節目ということでございますので、主にこの30年の環境・行政の主なトピックを上げたものでございます。ちょっと個々に説明していると時間がないので、見出しだけで申し上げますと、最初に(1)ですね、持続可能な開発の概念の確立と国際枠組みの整備、21ページ目、顕在化した地球環境の危機とSDGs、パリ協定等の採択、この中に、昨年のG7であるとかCOP28の結論等も書いてございます。昆明・モントリオール生物多様性枠組についても書いてございます。
 24ページの(3)が、天然資源の採取と加工に係る課題。25ページ、(4)が国土自然環境の変遷というところでございまして、我が国の国土構造の歴史等を書いてございます。その中で、再エネと生物多様性とのトレードオフをどう図って、共生を図っていくかというような問題意識も書いてございます。
 (5)が、引き続き課題が残る環境汚染及び化学物質管理、これ27ページで、28ページ目に、個別環境行政等の統合・シナジーの流れと。個別、縦割れではなくて、シナジーの流れ。あとは29ページですけども、7番目に、重要な役割を果たしてきた科学的知見、8番目、国民意識の変遷と課題で、9番目、30ページになりますけども、東日本大震災・原発事故といったところになります。
 これが第1章でありまして、この第1章を踏まえて第2章、目指すべき持続可能な社会の姿ということになります。残り時間が僅かなので、急いで参ります。
 32ページ目で、先ほどPowerPointのほうでご説明したとおり、最初に環境行政のミッションということで、環境基本法第1条の規定から導かれる「ウェルビーイング/高い生活の質」が大事だということを書かせていただいておりまして、33ページ目から、循環と共生の説明をしております。先ほど申し上げたとおり、「地上資源基調」という言葉が、今回の新しいキーワードかと思ってございます。共生については「プラネタリー・ヘルス」「同心円」というのが新しいキーワードかなと思ってございます。
 34ページ目、35ページ目でございます。こういったビジョンを達成するために環境行政が果たすべき役割ということで、第五次計画で掲げた新たな成長というものをより具体化した記述になってございます。先ほどPowerPointでもご説明したとおりでございますが、35ページ目のほうですね。15行目からでございますが、先ほどご説明した第一次基本計画の、大量生産・大量消費・大量廃棄型社会を変えましょうという、そういう問題提起をどうするかということの処方箋を書いてございますが、経済・社会の課題を同時にカップリングして解決しようと、そのためには変え方を変えていくという姿勢も求められるということで、最上位の概念に「ウェルビーイング/高い生活の質」を置いて、そこから導かれる①から⑥にかけての大切な視点、今回の計画の全体を貫くような大切な思想が列記されてございます。
 続いて、36ページ目の20行目からですが、自然資本が「新たな成長」の基盤であり、その維持・回復・充実を図るということがある種の大事な政策の目的だという趣旨を書いてございます。37ページになりますけども、そのためには多大な投資が必要になりますし、あと無形資産である環境価値を付加価値に転じていくということで、いわゆる市場的価値の向上も目指すということになります。ただ、20行目から書いていますけども、こういったことはトランジションの視点が欠かせないと。決して道筋も容易でないので、全員参加型の議論を通じてやろうといったところも書いてございます。
 37ページ目からですね、まさに環境政策の展開の基本的考え方ということでございます。
 38ページでございますけども、この環境危機を踏まえて、冒頭ですけども、現在進行形で高まっている環境危機に対応するため、利用可能な最新の科学的知見に基づき、「勝負の2030年」にも対応するため、取組の十全性(スピードとスケール)の確保を図るというところを、1番目に持ってきてございます。
 その他、バリューチェーンの取組が必要だということも書いてございまして、39ページ目のほう、先ほど申し上げましたけども、政策の統合、シナジーが大事だといったところを書いてございます。
 40ページ目の(3)でございます。一次計画以来の4本柱でありますけども、「参加」の促進ということで、政府、市場、国民(市民社会、地域コミュニティーを含むもの)の共進化というものを目指そうというところを書いてございます。
 (4)が、「地域循環共生圏」の創造というところになってございます。地域循環共生圏の循環というのは、お金の巡りとか、人の巡りとか、地域経済の活性化の概念も入っているということを、41ページ目の26ページ目のパラに書いてございます。
 あとは42、43ページにかけて、地域循環共生圏の話を書いてございます。
 あと44ページ目、第3章、環境政策の原則・手法というところでございます。第二次計画以降大切にしてきたところでございますが、今回新たなキーワードとして、44ページの(1)環境効率性の中に「絶対的デカップリング」という言葉を入れたのと、(2)のリスク評価と未然防止、予防的な取組方法の考え方と書いてございますが、もともと環境基本法に入っていた未然防止原則というものを、これまで書いていませんでしたので、全体の整理として記述を足してございます。
 46ページ、47ページにかけての手法論については、第五次環境基本計画から大きく変わってございません。
 第2部の環境政策の具体的な展開というところで、いよいよこれが重点戦略の中身になります。
 6本柱ということを申し上げましたけども、50ページ目から第1の柱が、「新たな成長」を導くグリーンな経済システムの構築というところでございます。先ほど申し上げた第一次計画の問題意識を抜本的に変えるためにどういうものが必要かといったところを、「旧来の経済システムから脱却する必要がある。」というふうに11行目に書いてございますが、そのための施策を書いてございます。
 大きくは51ページ、(1)自然資本及び自然資本を維持・回復・充実させる有形・無形の資本に対する投資の拡大という投資グループであります。52ページですね。その中には、再生可能エネルギー、2050年ネット・ゼロに必要な量の確保とか、我が国の立地競争力を強化すべく、他の先進国と比べて遜色ない水準への向上等の施策を書いてございます。
 あと、トレードオフの回避が必要だというのが53ページ、あとはその他ですね、公共施設等への再エネの導入とかネイチャーポジティブとか、消費者の意識・行動変容のための経済的競争能力、無形資産投資についても多々書いてございます。
 56ページ目に、公正な移行についての投資も必要だと、人への投資が必要だということを書いています。
 57ページ目以降が、そういう投資を支えるグリーンな経済システムの構築ということで、製品単位での環境負荷の低減と見える化であるとか公共調達とか、そういったもの下支えをする基盤をつくるとか、あと58ページ目以降が金融、あと59ページ目、第五次環境基本計画にも書いていますけれども税制、あと(3)からバリューチェーンについて書いてございます。
 ちょっと駆け足で恐縮ですけども、61ページ目から、国土のストックとしての向上というところになりまして、ここは大きく四つのカテゴリーになります。
 62ページ目からですけども、自然資本を維持・回復・充実させるための国土利用と、30by30みたいなところも書いてございます。関係省庁の施策も並べています。
 63、64と行きまして、65ページのほうは、いわゆる国土構造の問題、自立・分散型が必要ですというところを書いてございます。その中でも再エネ等に触れてございます。
 それで、そういった国土構造の中で、(3)各地域が魅力的になるウェルビーイングを高めるためにするにはどうしたらいいかというところ、それが国土構造の分散化にもつながるわけですけども、67ページ目、コンパクト・プラス・ネットワーク等、中山間地域とか景観とか、そういった住宅建築物、そういったところの施策を書いています。
 69ページ目の最後のパラグラフは、温暖化、コンパクト・プラス・ネットワークとか適応とか産業構造変化とか30by30とか、そういった大きな政策を一緒に考える土地利用の在り方の検討が必要だということも書いてございます。
 3番目が地域づくりでございまして、前回もご議論をいただいていますけども、地域の経済循環を拡大し、地域の活性化に結びつけていくというような思想が71ページなどに書いてございます。
 具体的な施策として、72ページ目以降になりますけども、地域の環境課題と経済・社会的課題の同時解決というところで、地域脱炭素の推進、73ページがネイチャーポジティブの達成、続きまして、地域を支える無形資産の充実等々の施策を書いてございます。
 74ページ、(3)ですが、地域金融や地域の中堅・中小企業のさらなるグリーン化、あと(4)ですね、75ページですが、こちらのほうにも地域循環共生圏のアプローチを通じた公正な移行というものを書いてございます。
 (5)は、水俣、福島等のかつて被害に遭った地域の再生を書いてございます。
 4番目が、「ウェルビーイング/高い生活の質」を実感できる安心・安全かつ健康で心豊かな暮らしというところでございまして、伝統的環境行政が詰まっている大事なところでもあります。大きくは、ここも3段構成になっていまして、78ページ目から(1)です。人の命と環境を守る基盤的な取組ということで、環境保全上の支障の防止を図るための様々な施策を書いてございます。
 80ページ目になりまして、(2)です。環境保全上の支障の防止にとどまらず、良好な環境の創出につながる施策を書いてございます。
 81ページ目の(3)が、個人の行動変容に着目したところでございまして、心豊かな暮らしを目指すライフスタイルの変革のグループを書いてございます。
 5番目、83ページです。「新たな成長」を支える科学技術・イノベーションの開発・実装と社会実装というところでございまして、基本的な考え方ということでございますが、先ほどご説明した新たな成長の六つの重要な視点というのを申し上げましたけども、その中で本質的なニーズをつかみましょうというところを書いていますけども、それを受けた技術等が書いてございます。
 具体的には、85ページ目以降になりますが、グリーンイノベーションを理解・評価・活用する国民の意識向上と行動変容の促進による需要の創出というようなカテゴリーをつくってございまして、85ページの一番下ですね。(2)本質的なニーズ主導での技術的ブレイクスルー、86ページの(3)ですが、科学的知見に基づく政策決定の基盤となる研究開発等の推進、87ページ目、最先端技術ですね。88ページになりますが、この第五次環境基本計画から書いてございますけども、「環境・生命技術」というものを(5)で書いてございます。
 次、89ページ、(6)ですけども、スタートアップの記述を今回初めて大きく書きました。
 最後に90ページ目でございますけども、環境を軸とした戦略的な国際協調の推進による国益と人類の福祉への貢献というところでございまして、先ほど問題意識のところで申し上げましたけども、分断した世界の中で、環境を軸として国際協調を発展させるという思想の下で書いてございます。人類の福祉への貢献という環境基本法の思想も体現しようというところで、大きく四つくらい分かれていますけども、91ページに国際的なルール作りへの貢献、93ページ、環境分野における途上国支援というところで、94ページ目、これは新しい概念、カテゴリーになりますけども、(3)経済安全保障への対応、(4)我が国の優れた取組の海外展開という構成になってございます。
 すみません、ちょっと時間が超過してしまいましたけども、駆け足ですみませんが、以上でございます。
○高村部会長 ご説明ありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局からご説明いただきました第六次環境基本計画(素案)について、ご意見をいただきたいと思っております。
 前回、前々回でご協力いただきましたけれども、本日もご発言をできるだけ多くの委員にいただいて、さらにそれを踏まえてご発言をいただく、インタラクティブに議論をしたいというふうに思っておりまして、発言の時間についてですけれども、お一人様3分を遵守していただくようお願いしたいと思います。会場にいらっしゃる委員は、今ご覧になられているかと思いますけれども会場のモニターに、それからオンライン参加をしていただいている委員につきましては、画面上に残り時間を表示いたしますので、3分以内のご発言についてご協力お願いできればと思います。
 それでは、ご発言をご希望の委員は、会場にいらっしゃる皆様は名札を通例どおり立てていただければと思います。オンラインで参加の委員の皆様は、これも通例ですけれども、挙手機能をお使いいただけるとありがたく思います。もし、挙手機能がうまく機能しない場合にはチャットを使っていただいて、発言のご希望をお知らせいただけますでしょうか。私のほうで発言をしていただく委員のお名前をお呼びいたしますので、ご発言をお願いしたいというふうに思っております。重ねて、お一人様3分でお願いしたいというふうに思っております。
 それでは、ご発言をご希望の委員、ありがとうございます。札を上げていただいておりますので、まず会場からご発言をお願いしようと思っております。
 もし、差し支えありませんでしたら、井上委員、よろしいでしょうか、ありがとうございます。
○井上委員 連合の井上です。よろしくお願いいたします。
 環境基本計画案の作成のご尽力、敬意を表したいと思います。これまで、前任の石上からずっと連合が申し上げてきました公正な移行の考え方が随所に反映されておりまして、記載いただき本当にありがとうございます。これまで申し上げてきたこと及び、記載された内容を補足する形で発言をさせていただきます。
 今ほど第1部のところでも説明がありましたけれど、現在の産業構造が規格大量生産型工業社会を下敷きに築かれたものとあり、これから循環共生型社会の構築に向けていろんなことを変えていかなければいけませんが、新たな経済システムが構築される場合には、労働者への負の影響を与えることも懸念されるかと思います。産業構造の変化による失業や労働条件の低下など、労働者や雇用への負の影響が不可避である場合、こうした労働者への負の影響に対しては、教育や訓練、リスキリングのみで対応できるものではないと思っております。公正な移行の考え方の根幹には、社会対話を通じて変化による負の影響を予測し、最小化するというものがあります。公正な移行の具現化に当たりましては、グリーンな雇用創出、失業なき労働移動の円滑な実現のための多様な働き方に中立な社会保障制度、学び直しに必要な生活保障など、重層的なセーフティーネットの構築が必要です。
 また、産業構造の転換と一口に言っても、今、述べましたような具体的な影響は地域経済に大きく現れると考えております。公正な移行には地域の脱炭素化が必要ですが、地域産業への影響が大きいことから、国だけでなく地域や産業の各レベルでも政・労・使が加わる社会対話が必要であると考えます。
 さらに、公正な移行に資する人的投資の拡大、56ページ以降にもありますが、これに当たりましては、付加価値が高く、グリーンでディーセントな雇用創出につながるものが要件とされるべきであると考えます。
 それとちょっと記述で気になったところが、41ページの5行目なのですが、「気候変動施策を始め、環境政策における女性の参加をより一層」とあるのですが、政策なので、参加よりは参画ではないかというふうに思いましたので、少しご検討いただければと思います。
 以上です。
○高村部会長 井上委員、どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして崎田委員、そして武内委員とお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○崎田委員 ありがとうございます。全体を読ませていただいて、本当にしっかりと重層的に書き込んでいただいているというふうに感じます。特に私は気候変動と生物多様性の削減、そして汚染という、この三つの地球の危機を踏まえて、どういうふうに取り組んでいくかという辺りがしっかりと書き込まれているということが大事だというふうに思っています。
 ただし、最後の汚染というところに関して、後で化学物質などのことが書いてあるからという理由なのか、ほかの最初の二つに比べて、ちょっと入り口として書き込みが浅いような、そんな印象がありますので、もう少し最初のところの総論の辺り、汚染の書き込み方というのをしっかりと入れていただいてもいいのではないかなというふうな印象を持ちました。
 なお、このような課題を解決していくために地域で取り組むというのが、私も大事にしているところなのですが、そういう意味で、地域でのことも踏まえて、パートナーシップという視点が大変重要で、今後書き込んでいくと但し書きされていますが、昔から言われているパートナーシップですが、やはり政府の省庁がうまく連携してくださることで、自治体の多様な分野もしっかりとつながれていくという、もう当たり前のところなのですが、分野横断的な取り組みが非常に増えてきておりますので、もう一回しっかりと書き込んでいただいてもいいのではないかというふうな感じがいたします。
 なお、最後の1点なのですが、私はそういう地域社会の流れをつくるために、リスクコミュニケーションとかコミュニケーションはすごく大事なところだと思いますので、その辺の書き込みにかなり気を遣って読んでいました。一つ気になったのは、福島の未来志向の取組のところなど、今、復興に向けた様々な動きが進んできているんですけれども、実は私は事故の直後から今も、多くのコミュニケーションの現場のお手伝いとかに積極的に入っており、昨日も遅くまで浜通りにいまして、朝戻ってきたんですけれども。地域の中で、最初の頃は国の責任でしっかり頑張って取り組んでくださいという厳しい声が多かったんですが、今はそこを踏まえて、自分たちが一緒になって、どういうふうに復興に関わるかと、地域の方の思いが変化する時代に来ているというふうな感じがしています。今、国の様々な、中間貯蔵施設の除去土壌の対応とかいろんなことがありますが、政策・施策の実現に向けて、市民を巻き込み、一緒になってどう取り組んでいくかという、そういう国の責任の徹底から市民の参画、市民の責任と一緒になって取り組むというふうにチェンジする時代なのではないかと考えていくのも重要ではないかと感じました。よろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、武内委員、その後、豊岡委員、お願いいたします。
○武内委員 幾つか申し上げたいと思います。
 まず前提認識として、世界の大きな動きと日本の動きというのが、軌を一にして進んでいるという状況認識というのは、もうちょっとあってもいいのではないか。特に温暖化の場合は、世界全体でネット・ゼロを2050年までに目指すというのと、日本において同じような目標を出すということが、お互いにシンクロナイズしているというふうなところを、もう少し強調したほうがいいのではないか。これ、今までの環境政策というと、国ごとに目標があって、それをどう達成するかというようなことが中心だったと思うのですが、世界の目標の中で日本の目標を考えていくという、こういうスタンスが極めて特徴的ではないかと思います。
 それから2番目として、食料なんかで書いているのですが、もうちょっと国内と国際のダイナミズムみたいなものですね。前からちょっと、第一次環境基本計画の時のように国際的な取組というふうに切り離すような状況ではなくなっているということは申し上げたと思うのですけども、そのことがもうちょっと具体的に展開されるような記述というのは、あるといいのかなというふうに思ったということでございます。
 それから三つ目ですけど地上資源の話、これはとても重要なのですけど、地上自然の重要性というのは、もともとから考えると、我々社会は地上資源で暮らしていたわけですよね。バイオマスに依存した社会だとか、そういうふうなものに対する新しい回帰というふうなものが、地方の活性化、地方経済とどうやってうまくつながるのかというような観点も非常に重要ではないかと思うんですね。そういう意味で、海外に流出していたお金が国内の地方に戻ってくるというふうな、そういう観点ももうちょっと強調して書いていただくといいのかなと思いました。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、豊岡委員、その後、石田委員にお願いいたします。
 豊岡委員、お願いいたします。
○豊岡委員 ありがとうございます。6点あるので、急いで参ります。
 16ページの12行目ですね。「「環境対策はコストである」という認識が根強く残っていたが」というところについて、注釈も書いていただいております。トレードオフのみならずということなのですけども、それだけではなくて、既に事例として太陽光と蓄電池で電力会社より安い電力で提供しているというような日本の事例も出てきておりまして、このように再エネは高くて不安定という現状認識をやめていくというような注釈を入れてはいかがかなと思っております。
 2番目でございます。34ページですね。33行目から、「健全で恵み豊かな環境を基盤として、その上で経済社会が存在していることを前提に」とございます。能登の地震でも明らかになったように、安全で快適なはずの避難所が生命を維持し難いほどの状態であるということで、これ、全体ウェルビーイングのことと非常に乖離している状況があるという現状認識を、もう少し書き込んでいただきたい。地方は基盤が衰退していて、消滅の危機にあるのだというような現状認識を、もう少ししっかりと書いていただきたいなと思いました。
 次は3番目、53ページでございます。32行目から、再エネの種類を縷々書いていただいております。再エネを地方で入れる場合にものすごく感じることが、先端技術と適正技術の差でございます。これを同列に書くと実際は迷走してしまって、持続性とかコストとかを度外視して入れてしまうというようなことが散見されます。また、コンサルさんによってはミスリードをしてしまうというようなことがあります。それが結局お荷物になるというような、負のスパイラルにもなりかねないことから、再エネはコストや持続可能性をより優先して導入することが望ましいというような概念を入れていただきたいと思います。
 さらに4番目でございます、53ページです。トレードオフとシナジー発揮による再生可能エネルギーの導入でございます。16行目、地域の持続可能な発展に資する再生可能エネルギー事業をさらに促進する仕組みづくりとありますが、促進する仕組みのみならず、「地域の参画がかなう形で」という文言を入れていただきたいと思います。裨益だけでは経済循環が回るということがございませんので、やはり地域の参画ということが必要になってまいります。
 続いて5番目、54ページ、公共施設の建築物を活用した再生可能エネルギーの積極導入ですけれども、積極的な推進ではもう既に遅くて、これを横断的に入れるのは難しいことから義務化が必要であると思っています。それと42ページと73ページにもあります中間支援の在り方でございます。特に73ページ目の37行目、既存の中間支援団体を活用してみたいな文言がございますけれども、既存の中間支援では物足りなくて、事業化や経済的視点を加えたマネジメントが全然行われていないことが問題になっています。これが行われるような中間支援というものをぜひ地域にしていただけるように望みます。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは石田委員、その後、井田委員、お願いいたします。
○石田委員 ありがとうございます。既に書面で意見を出しておりますので、簡単にご説明させていただきます。
 はじめに、これまで危機感が足りないという発言をさせていただいたことに対して、様々な工夫をしていただいてありがとうございました。ただ、国民にとっては、分かりやすさが重要だと思います。文章だけの表現だと分かりにくいので、これを国民に発表する際には、分かりやすい図表等を入れて説明していただければ幸いです。
 次に、13ページの日本のエネルギー自給率および食料自給率に関する記述について、このままでは国民生活や経済活動への影響が甚大となり得るという点をもう少し分かりやすく表現していただくことが危機感の表現として必要だと思います。
 17ページに、日本の再生可能エネルギーの導入量は、世界第6位だとか、太陽光発電の導入量が世界第3位といった記述がありますが、これでは再エネの導入量が十分であるかのような誤解を与える懸念があります。現状に満足してしまってはいけないので、もう少し今後の予想や、勝負の年である2030年に目標を達成できるのかという分析も踏まえた説明が必要だと思います。
 次に、19ページ。科学的な知見を用いてスピード感を持ってというお願いをしてきましたが、これもきちんと書いていただいてありがとうございます。JCLPとしてはずっと訴えてきた点なのですが、このまま行くと、日本がバリューチェーンから外されかねないという懸念があります。企業の競争力が失われないようにしっかり対策を進めていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございました。
 それでは、井田委員、お願いいたします。
○井田委員 ありがとうございます。ぎりぎりになったのですが、意見書を出してあるので、ちょっとページ数がずれているのですけど、それをご参照いただければと思うのですが。
 私、一度ダボス会議に行ってきて、やっぱりそこでCOP28の結果を受けてどうするかというのが、非常に大きな議論になっているんですね。これはCOP28の受け止め方をきちんと書けと、前回申し上げたはずなのですが、この表現ではまだちょっと不十分だと。国際的にはじゃあ、3倍どうするのかということで、アメリカのケリー特使が出てきて、ずっと縷々議論したりとか、じゃあ、Transitionだけじゃなくて、Awayをどうするのかという議論が、本当にCOP28の結果を受けて深刻に進んでいると。
 一方、意外と知られているなと思って驚いたのですけども、日本は再生可能エネルギー3倍におよび腰だよねとか、Awayを忘れているのではないかとか、トランジションでいいと言っている人たちがいっぱいいるよねというようなことが意外と知られていて、これ、ちょっと嫌だなというふうに思って帰ってきたんです。
 それで考えるとやっぱり、自慢するわけではないですけど、私、気候変動枠組条約の交渉会議からずっと見ている人間なのですけども、やっぱりCOP28というのは、ある意味Transformative Changeが決まった場所だったと。化石燃料から脱却するのだというのが初めて明記されたりとか、TransitionだけでなくてTransition Awayがついたというのは、やっぱりもっと明確に書くべきだというのが最初の意見であります。ちょっとこれだとやっぱり日本ちゃんと受け止めていないのではないのかと言われかねないです。少なくともTransition Awayという言葉をこの計画の中に入れるということは、私、Transformative Changeが重要だと申し上げましたけども、やっぱりそれも重要だと。日本がTransition Awayを「移行」と訳しているというのが見えるということもあって、ぜひ入れていただきたいというふうに思います。
 それで、もう一つ気になるのは、相変わらず省エネの部分が今日になっても出てこないということなのですけども、ここはおかしなことだと思うんですよね。我々はずっと事務局が作っていただいた紙を基に議論して、ヒアリングもやったものが、なぜこういう形になるのかと。閣議決定なので、各省庁と協議するというのは当たり前なのですけども、省エネは経産省のエネ庁の省エネ課だけがやっている話でもないし、なぜ1省庁の1課が、さして正当性のないと言うとちょっと言い過ぎかもしれないですが、意見を言って、これが黄色になって、いまだに出てこないということになるというやり方は、私はちょっと受け入れ難いものだと思います。どうせだったらここへ出てきていただいて、我々みんなで議論するということもあってもいいと思うのですけども、今後のこともあるので、ちょっとそれは考え直すべきでないかなというふうに思います。
○高村部会長 それでは河口委員、その後、髙橋委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○河口委員 ありがとうございます。
 今回、事前に打合せもしまして、いろいろと事情も伺う中で、改めてこれを読みますと、各委員の先生方の意見を本当に丁寧に入れ込んだがために、これをぱっと見た人には訳が分からないものになってしまっているなというところがあって、もう本当にご苦労かけたなと思いつつも、論文を作成するという立場からすると、読んでいただく立場からすると、これを一回もう少し本当はスリムダウンしたほうがいいのであろうなということを思っております。事務局のこれまでの我々の意見を真摯に取り入れようというご努力は感謝いたします。いろいろと問題があるというお話もありましたけれども。
 なので、もうあんまり追加的なことは言わないと決めたのですけれども、ものの言い方として、例えば32ページから環境政策の展開とか、目指すべき持続可能な社会の姿とか、それから34ページに新たな成長の実現、この言い方は変えろと前から言っていたのですけど。ここで縷々書いてあることなのですが、もはや経済活動というのは環境制約の前提でないと成り立たないということを丁寧にいろいろと言っているのですけど、明確にもう地球環境の制約を考えない経済というのはないという表現をちょっと強めに、キーワードとしてタイトル的なところに入れていただくだけで、随分印象が違うのではないかなということと、分量は増やさなくていいのかなと。
 それから、あと55ページなのですけれども、消費者の意識行動の変容というようなお話があって、ここもいろいろ書いてあるのですが、もうちょっと分かりやすい表現としては、日本だと生協がやっている産直みたいな活動があって、それは単に消費者が好きな物だけ買えばいいやというのではなくて、生産者とつながって不作の場合のリスクなんかも取りつつ一緒にサポートするという、ある意味、今から考える生産と消費をつなげる理想的な姿というのを日本は戦後やっているという実績があるので、こういった消費者行動みたいなことも重要で、ネット・ゼロとかデコ活とか新しいものばっかりだと、また新しいのが来てしまったという話になるので、日本は前からやっていたよねというところで、少しこういうところをクローズアップして伝えていただくと、消費者への変容ということが分かるかなと思いました。以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、会場でご参加の髙橋清委員、お願いいたします。その後、竹ケ原委員お願いいたします。
○髙橋(清)委員 ありがとうございます。
 今、河口委員がおっしゃったとおり、今までの私たちの意見をしっかり取り入れていただいたがために、大変膨大な資料になったのかなというのはありますが、やはりこの文章は分かりやすさと、メッセージ性が重要と思っています。分かりやすさは、平たんな文章で、かつ、ロジックがしっかりしているかどうかというところだと思いますので、その辺りをもう一度見直していただければと思います。また、あとはやっぱり数字、これはアップデートされて後ほどというお話がありましたけれども、それをしっかり入れていただければなと思っています。
 あとメッセージ性に関しては、これは最終的な議論終わった後で、この基本計画におけるサブタイトルのようなものが出てくるとは思います。新たな成長とか、地域循環共生圏とかいうキーワードと思いますが、それをしっかり書くことが国民におけるメッセージ性になるのではないかなと思います。また、読み手ということを考えると、基本は行政の方になると思いますが、ほかの委員からもご意見がありましたとおり、やっぱり海外に対して、日本がこういう環境の政策を打っているのだということをしっかりメッセージを出さなければいけないということでありますので、やはりこれは海外に対しても読み手があるということを十分認識していただければなと思います。それがまず1点です。
 あと2点目は、先ほどもどなたかの委員がおっしゃっていましたが、「参加」か「参画」のどっちかという話ですが、やっぱり基本は参画だと思います。参画の中には貢献というのがしっかり入っていなければいけなくて、ただ参加するだけでは駄目で、いろいろなステークホルダーの方たちが、この環境基本計画に対して貢献していくという、そのスタンスをしっかり入れていただきたいと思いました。
 あと地域循環共生圏の話になると、最前線はやはり自治体ということになると思います。この自治体がこの計画を見て、この計画をよりどころとした法律ができ、それと他省庁との連携し、何をどう一歩踏み出していくのかということが、自治体としてより明確になるような書きぶりであってほしいなと思いました。
 最後になりますけど、これは少し細かい点ですが、私の専門の交通に関して、ページの61ページ辺りから国土のストック、価値向上、それに交通都市、コンパクトアンドネットワーク等があります。この中の交通手段の中に自転車というのが全く抜けていているように思います。現在パリでは、自転車で大改造することを実行しており、これはもしかすると、19世紀のオスマンが本当にパリを改造したときと同じぐらいの重要なポイントかなというふうに思うぐらいです。やはり日本もそういう意味で、他省庁との連携になりますけども、ぜひ「自転車」を認識して頂き、文言として入れていただければと思います。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、竹ケ原委員、お願いいたします。
 すみません、申し訳ございません。この後、会場でご参加の委員の発言からオンラインでご参加の委員のほうに発言をお願いしてまいります。船越委員が早くご退席と伺っておりますので、まず船越委員、その後、堅達委員にご発言をいただいていこうというふうに思っております。
 申し訳ありません、竹ケ原委員お願いいたします。
○竹ケ原委員 ありがとうございます。事前の意見で、先ほど来出ている読みやすさについては構成の点をコメントしていますので、これについては、後ほどご議論いただければありがたいなと思っています。
 まず全体として、18ページから19ページ、20ページにかけて、明確なメッセージをきちんと危機感を踏まえて整理いただいているという印象を強く持ちました。環境を重視しているというか、環境が起点であること、自然資本が全てのベースになっていることと、それを踏まえて環境と経済が同期していくのだという視点が、特に19ページの20から24行目に強調されています。先ほど河口さんがおっしゃった点に鑑みると、きっとこの部分のメッセージをどう目立たせるのかという話かなという気がします。加えて、少しお願いというか、2点ほど少しコメントしたい点があります。74ページで地域金融のESG化について書いていただいており、これは非常にありがたいのですが、地域金融がより高度に、より広範にESG金融に取り組むことの重要性が強調されています。確かに、重要な指摘なのですが、地域金融がESGを自分事化すれば、自分のエリアとか、自分の取引先をしっかり守らなくてはいけないという視点が出てます。結果、産業構造が変化する中で、取引先をどう守るかという観点から、先ほど井上委員がおっしゃったように、地域経済のJust Transition(公正な移行)の担い手としての地域金融機関の役割がクローズアップされてきます。こうした機能についても記載していただければというのが1点目です。
 もう1点がイノベーションのところで、これ非常に充実した記載になっているのですけど、かがみのところで、「本質的ニーズを踏まえた」という書き方がなされていたと思うのですが、結構読んでいくと、AIとか、何とかドリブンとか、シーズとか最先端のイノベーションのような話が沢山記載されており、「本質的なニーズを踏まえた」というニュアンスがあんまりくみ取れなかった印象があります。シーズ中心の記載になっている印象があるという意味です。先ほども議論になっていたトランジションもそうなのですけど、今やれること、省エネもそうだと思います。しっかりやって、かつイノベーションにつないでいくというのが大事だと思いますし、釈迦に説法ですが、破壊的イノベーションのような話になってくると、イノベーションのジレンマの話というのは、むしろ高度化するニーズを追いかけすぎた結果、足元に穴が空いて、そこに後発が入ってきて抜かれてしまうという意味でのイノベーションもあるわけですから、もう少し既存の技術の応用であるとか、その点についても書いていただけると、より深みが出るかなという気がしました。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございました。
 それでは、オンラインでご出席の委員にご発言をお願いしたいと思います。
 それでは、まず最初に船越委員、いかがでしょうか。
○船越委員 よろしいですか。ありがとうございます。
 全体的には、皆様おっしゃられているように、いろんな意見がある中で大変苦労されて、非常に書き込まれた内容になっていると思います。その中で、個別にちょっと3点コメントをさせていただきたいと思います。
 1点目は、44ページから48ページで今回新たにこの環境政策の原則と手法という記載がある中で、45ページのところに利用可能な最良の技術(BAT)も踏まえたトランジションの視点など中長期の時間軸を持った議論も必要だということを書いていただいています。これについては、特に気候変動問題のように一朝一夕ではなかなか解決できないということで、革新的技術がいつ実装できるかという課題もございます。そういったところも踏まえて書いていただいているということで、大変重要な記載だろうと思っています。これは、37ページ目にあります、共進化の過程でトランジションの視点が欠かせないといった表現とも平仄が取れた内容でございますので、ぜひ重要な点として一つコメントさせていただきました。
 2点目が、いろんなところに出てきている「環境価値」という言葉についてです。修正バージョンのほうで見ていますが、特に57ページ目の2行目辺りから、「財・サービスが持つ環境価値・性能を付加価値に転化できるよう」という表現が出てまいります。ほかにもこの環境価値という言葉はいろんなところに出てくるわけですけども、その意味は明確にしておく必要があるのではないかと思います。非常に広い概念ということでありますが、やはり外してはならないのは、現状より環境を高い状態に変化させるということ、要するに削減が進むということが環境価値だと、そういうことだということを一つ、もちろん環境価値はそれ以外の価値もあるわけですけども、やっぱり現状から下げるということ自身が求められているということについて、少し記載をしていただくといいのかなと思っています。
 そういう中で、59ページに出てくる、ややちょっと個別の話になりますけども、COでいいますと、カーボンフットプリントという絶対値の指標のみならず、COの削減量、いわゆるデルタCOといったところに焦点を当てるべきという議論になると思っております。そこに方法としてのマスバランス云々という記載をしていただいているわけですけども、その背景にはやはりCOを減らすということの重要性、それが環境価値であるということです。それを表象する方法としてのマスバランスということでございますので、是非に、その根っこの環境価値の中にやっぱり削減の重要性ということについて、少し記載していただくといいのかなと思います。
 3点目、(2)の投資を支えるグリーンな経済システムの構築ということについて、丹念に記載をしていただいていると思います。ややESG金融等ファイナンスの話が少し重視される傾向があると思っておりますけども、まずは製品単位での環境負荷の見える化とその低減、それを進めていくに当たっての公共調達を中心とする市場・需要の創出といったところが、まず最初に来るべきというふうに思っておりますので、そういった記述になっているということについて、非常に工夫がされているなと感じております。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、堅達委員、ご発言お願いできますでしょうか。
○堅達委員 聞こえますでしょうか。
○高村部会長 はい、聞こえております。
○堅達委員 全般的には、このスピードとスケールとか、私も何度も言ってきたことも盛り込んでいただいて書いていただいていると思うのですけれども、世の中がさらにそれを上回るスピードで気候変動が進んでいて、実際に去年、WMOの発表で、単年度で見れば1.45度上昇しているという中で、この新しい環境基本計画が出されるということを考えますと、やはり1.5度に整合する計画なのか、そして井田委員もおっしゃられたように、化石燃料からの脱却というものを本当にこの10年で加速するということが、ちゃんと国民にストレートに伝わるのかというところを、まずはしっかり書き込んでいただきたいなと思うのが1点と、もう1点は、やはりこの1月1日の能登の地震です。私、福井に帰省していて揺れも感じましたし、母の実家が能登の七尾なもので人的被害はなかったものの被害は出たのですけれども、これは本当によく、自然との共生とか地域循環共生圏とか今申していますが、もしかするとこの自然というのはそんな優しいものではなくて、こういう荒ぶる、4メートルも地盤が隆起するなどという、我々が思いもしなかったような現象を見せつけるすさまじい力をやっぱり持っているということに対して、私たちはもっと謙虚にならなければならないというふうに痛感した地震でございます。正直能登には、動いてはいませんでしたが志賀原発がございましたし、珠洲にも計画があったのが本当なくてよかったという話になっているのですけれども、今回寸断されてしまって、何か事故があったら本当に避難もできないということが露呈したわけです。
 こうしたことも冷静に考えますと、この基本計画でお伝えしているウェルビーイングとか、安心安全な、あるいは私たちの環境権、生存権というものを本気で考えていくと、やっぱり私たちはある程度覚悟を持って再エネの転換を加速していくということが、しっかりと国民の目標として伝わっていかないと、この地震大国、地震の巣の上で暮らしている私たちとしてはできないなということを改めて思った次第です。
 そのことは、レジリエンスを高めたり、分散型社会を構築したりしていくという意味でも重要なポイントだと思いますので、この文章を練ったのは12月なので、こんな能登の地震が起きるとは夢にも思わなかったと思いますけれども、まだしばらくお時間ありますので、ぜひこの能登の自然が私たちに教えてくれていることも取り入れて、よりよい環境基本計画をつくっていっていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、大変お待たせいたしました。オンラインでご出席の先生方にご発言をお願いしたいと思います。最初に馬奈木委員、お願いいたします。その後、山戸委員、小屋委員とお願いしたいと思います。
 それでは馬奈木委員、お願いいたします。
○馬奈木委員 ありがとうございます。私は33、4ページ程度のGDPでなくストック社会に、どのような処方箋をというところに対するコメントです。
 一般的に多くの前段で、日本の環境だけではなくて経済状況も悪いというのが書かれているのですね。ただ、あんまり悪い面ばかりを書くことに対するもののトーンというのは、マイナスもあります。それは日本の状況が駄目であることを言い過ぎると、やる気をなくして社会もうまくいかないと、子どもも生まないと、そういうふうになるからです。
 そういう意味では、日本の現状の経済で、今よく言われていることを一つ申し上げます。
 この一人当たりのGDPで見るからこそ、日本は成長率が低くなっているのですね。しかし、一般的に言われていることですけど、雇用者の一人当たりでのGDPの伸び率で見ると、日本はアメリカよりも上です。つまり日本の良い面の状況、これはインフラが適切にできていること、低い失業率、犯罪率、比較的悪くはない市民意識とも言われていますが、そういう中で、働いている状況においては、日本はそんなに本当は悪くないんですね。今の定義での成長率は、日本はアメリカ以上です。じゃあ、今後どうすればいいかという、先ほどのページでの処方箋に関することですけど、今回多めに出ている自然資本を活用することでよりよくしていこうというロジックを、先ほどのインフラ及び雇用に結びつけて書けばいいのかなとは思っています。インフラというのは、自然資本を活用することによるインフラ、その場所というのは地方創生の話がありますので、より地域循環共生圏を加味した上での地方と都心部との連携です。失業率は既に低いですけども、さらに雇用を促すという意味では、自然資本絡みというのは労働集約的です。通常のインフラというのは、どちらかというと、データセンターを含めて、AIも進んでいますので、雇用集約的にはそんなにならないのですね。そういう意味で、自然資本地域活用型で雇用を促し、自然資本ベースのインフラをすることで地域も発展してというストーリーにしたほうがよりいいですし、日本が駄目という話でなく、増やしていくことがいいと思います。
 これが今日申し上げたいところであります。以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして山戸委員、お願いいたします。
○山戸委員 はい、お願いします。
 私のほうからは、まず初めに、気候変動の危機的状況をファクトベースでまとめていただけたと思います。企業としても危機意識を持って取組を行っていますが、本日の原案を通じて、国民の皆様にも地域の企業の製品をすごく適切に評価いただけるようになればありがたいと考えております。
 グローバルなバリューチェーン、再生可能エネルギーの導入拡大を含め、バリューチェーン全体で環境負荷を低減させ、分かりやすく開示していくことが、企業が国際競争に必要不可欠と考え、取組を進めております。この点について、競争力のある再エネの一層の拡大や、バリューチェーン全体に関する情報開示の支援や情報基盤の整備などを盛り込んでいただきました。ぜひともこれらの実施をお願いしたいと思っております。
 また、規制、基準の国際調和につきまして、ネット・ゼロ、循環経済、ネイチャーポジティブなど、同時実現において、欧米などでも各種の規制や情報開示ルールも進んでおります。国際的に事業を行う日本企業として、こうした規制、ルールの調和やトレーサビリティの確保に向けた各国・地域の政府のご支援がぜひとも必要であります。今回の案では、分かりやすく適切な開示の在り方を国内において広く周知いただくと認識しておりますが、こうした考えで各国・地域のルールづくりにおいても国際調和に貢献いただければありがたいと思います。
 最後に、科学的な充実についてですけれども、原案にもありますとおり、最良の科学的知見に基づく政策決定が重要であると思っております。原案では、環境研究、モニタリング、トレーサビリティ技術、人材育成、データベース構築、オープンデータ化などの科学的知見を充実させる、様々な施策をお示しいただきました。こうして得られた大量の科学的知見を日本での政策に生かすとともに、ネット・ゼロ、循環経済、ネイチャーポジティブに関する国際的な議論において積極的に発信いただくこともお願いしたいと存じます。以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして小屋委員、お願いいたします。小屋委員の後に諸富委員、奥委員、三好委員とご発言をお願いいたします。
 それでは小屋委員、お願いいたします。
○小屋委員 今回示された内容は、目指すべき方向性や施策が網羅されており、クロージングに向けて整理されてきたと認識しています。
 また、中小企業の現状や課題をご理解いただいた上で、企業価値向上につながる仕組みづくりや支援について丁寧に記載いただき、ありがとうございました。
 なお、今後、具体的な施策は、それぞれの関連の法令、計画で示されると理解していますが、個々の環境政策が本基本計画と十分整合されるよう、引き続き関係省庁間で連携を取りながら、具体的な施策を講じていただくようお願します。
 その上で1点、55ページの環境教育や環境人材育成に関して意見を申し上げます。
 東京ガスでもここ数年、環境省のご支援の下で省エネナッジ教育に注力してまいりました。2050年に大人になる世代にとって、省エネを含め環境に配慮した行動が社会規範となる必要があり、学校教育での気候変動に関わる教育の継続的かつ体系的な導入が肝要と考えます。現行の学習指導要領では、前文の中で、持続可能な社会の創り手の育成について記載されていますが、まだまだ概念的であり、現場ごとに温度差があるのも実情です。海外では、気候変動を一つの教科にすることを検討している国もあると認識しています。ぜひ引き続き、文部科学省と連携して、民間企業の巻き込みなど、多方面からCO削減に寄与する実効性のある環境育成の強化をお願いします。
 また、本計画の中では「あらゆる主体に対する」という表現がありますが、教育対象がやや狭い印象を受けます。小・中学校も含めて、より若い世代の教育にもフォーカスして、CO削減に資する環境教育の実効性の強化と民間企業の連携についての記載の検討をお願いします。
 以上です。
○高村部会長 小屋委員、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、諸富委員、お願いいたします。
○諸富委員 ありがとうございます。
 私は、今回文章を読ませていただいて、環境の視点からの成長戦略と言ってもいい意義を持つものではないかなというふうに思いました。環境と経済の関係について、断片的ながらしっかりした筋の通った構図を描けていて、その点では、環境と経済に関する哲学的、認識論的な基礎を据える、そういう意義を持つ文章ではないかなというふうに高く評価をしております。
 12ページでは、経済の長期停滞に関する指摘があった後、18ページから20ページでは、環境と経済の従来のトレードオフ論を打破しなければいけないということが明確に指摘されていて、過去30年間の停滞を打破していく上で、環境の主流化の中で成長を目指していくのだという方向性がはっきり出ていて、その結果、そのプロセスといえば産業構造転換とイノベーションが引き起こされていき、新たな成長につながっていくというストーリーが描かれている点は非常に明快だというふうに思いますね。あえて1点付け加えるとすると、既に岸田政権におけるカーボンニュートラル宣言以降、日本企業も相当変わりましたし、様々な脱炭素化へ向けた胎動が起き始めていますので、その点、もう少し日本企業の新しい動向をポジティブに書き込んで強調してもいいかなというふうに思います。
 それから34から37ページにおいては、やはり究極目的としてのウェルビーイング、それから高い生活の質ということが強調されていて、ストックとしての自然資本の重要性が強調されている点も非常に意義深いと思います。単に成長すればよいというわけでなくて、ストックとしての自然資本を守っていくために何をすべきかという視点から、環境政策を説明できる論拠といいますか、論理体系が構築されているというふうに思います。前の部分と突き合わせますと、新たな成長で稼いだ富で自然資本に投資をしていくんだという方向性を示したとも言えます。望むらくは、これは記述が分断されておりまして、それが少し残念だなというふうに思います。これらの記述が1か所にまとめられて、もし体系的に書かれていれば、もう少しインパクトが大きかっただろうなというふうに思います。
 以上、私自身は、今回の記述は高く評価し、若干強めに書いてもいいのではないかなということでコメントとさせていただきます。
 以上でございます。
○高村部会長 諸富委員、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、奥委員にご発言いただきます。
 これまで、委員の先生方のご協力で順調に進行しております。この後もぜひ3分以内のご発言をお願いしたいと思います。あわせて、第1回目でご発言を残された、あるいはほかの先生方の発言を受けてご発言の希望がありましたら、ぜひセカンドラウンドをしたいと思っておりますので、ご準備いただければと思っております。
 それでは奥委員、よろしくお願いいたします。
○奥委員 分かりました。
 第1部の第3章、環境政策の原則・手法の中の1ですね。環境政策における原則等というところで、前回、私のほうからは、ここはまずは環境政策に係る原則を、現在、各法律諸法の中に散らばっているものを環境基本計画の中で全て網羅的にカバーすべきではないか、押さえるべきではないかということを申し上げました。それを受けて事務局のほうでも工夫をしてくださって、44ページですね。1の(2)のところに「未然防止原則」というのを加えていただいて、そして、(ア)で未然防止原則を一つ、項として起こしていただいたというところ、これは対応していただいて感謝申し上げます。異論のないところです。
 あと「予防原則」という言葉を明記すべきではないかというところについては、なかなか難しい状況もあるようで、「予防的取組方法」という言葉に統一されたと。予防的アプローチではなく取組方法に統一されたというところですね。こちらも了解いたしました。「予防的な取組方法」と、「な」が入っている場合と入っていない場合がちょっと混在しているようなので、そこは統一が必要かなと思います。
 それと45ページですけれども、今見え消しバージョンを私は見ているのですが、14行目から東日本大震災以降云々ということで、この段落の最後のほうに「「環境リスク」や「予防的な取組方法」の考え方を活用し」という「活用」という表現がございます。同様に、(3)の汚染者負担の原則等のところでも、2行目ですけれども、34行目になりますかね。ここでも「「汚染者負担の原則」を活用し」という言葉があります。次のページにも、「また」で始まっている文章がありまして、環境政策の実施の手法の前の段落なのですが、「「源流対策の原則」なども活用し」というふうに、活用という言葉が原則やこの考え方の後にくっついているのですが、むしろこういった基本的な考え方や原則というのは、活用するというよりは、それを踏まえるべきものですし、それを具現化していく、具体化していくべきものなので、活用という表現は、これは第五次のときからこのような表現になっていたようですけれども、しっかり踏まえる、もしくは具体化するというような言葉に替えていただければありがたいなというふうに思っております。
 最後に、環境効率性というのが最初にあるのですけれども、これ、環境効率性というのは指標であって原則ではないというふうに前回申し上げました。ぜひこの考え方や原則の話を前に出していただいて、これらを踏まえて環境政策を実現していくことで環境効率性の向上につながっていくのだ、デカップリングにつながっていくのだというふうに、環境効率性で最後はここの説を締めくくっていただくと、ストーリーとしても非常によいものになるかなというふうに思いました。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして三好委員、ご発言をお願いいたします。三好委員の後ですけれども、田中里沙委員、鈴木委員、大塚委員とお願いをしたいと思います。
 それでは、三好委員、よろしくお願いします。
○三好委員 ありがとうございます。
 まとめていただきましてありがとうございます。今までのいろんな議論が反映されているなという印象を受けました。感謝いたします。
 私からは数点ですけれども、まず全体として、今後この第六次基本計画が5年、6年ということで実施されていく中で、例えば今の第五次環境基本計画で地域循環共生圏の構想が出されて、それが今、やっと地域の自治体の中で進められているというくらいのギャップがあるといいますか、タイムギャップが当然出てくると思います。その点を踏まえると、少し先を見据えて、先ほどどなたかもおっしゃっていたのですけれども、これからより注力しなきゃいけないようなこと、化学物質の点ですとか、それをもう少し認識していくべきではないかなというのは少し思いました。
 ネイチャーポジティブという言葉がたくさん出てきて、その中に意味を持たせているのだとは思うのですけれども、すみません、私も見え消し版を見ていますが、例えば66ページのところで、河川で「再生」とか「創出」というのを付け加えていただいていて、私は全体的にもう少し再生していくのだ、例えば省エネとか、今止めるのだということだけではなくて、環境をよりよくしていくのだ、ポジティブにしていくのだというメッセージをもう少し強めたほうがいいだろうというふうに思いますので、ほかのところ、例えばみどりの食料システム戦略とか、環境と調和した食料システムとありますが、これはやはり調和し、再生していくというふうに書いたほうがよりメッセージが伝わるし、危機感も伝わるかなというふうに思います。
 以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは田中里沙委員、お願いできますでしょうか。
○田中委員 田中里沙です。発言の機会をありがとうございます。
 第六次環境計画の概要の4ページに六つの戦略が描かれていますけれども、これが真に横断的に動いて、特にリーダーシップを取る方々の間で有機的に動くようにという思いで、二つの切り口で意見をさせていただければと思います。
 まず地域の視点について、地域から新事業を起こしていこうというスタートアップの方々と意見交換をする機会が多いのですけれども、世代を問わず多くの方が自然資本を基盤とした新しい成長を志向されています。海を守る、干潟を守る、被災地域の漁業や林業を復活させるなどです。アイデアを出して地元の共感を得て、またその先に資金調達が動いていく流れの中で、ボトルネックになっているのが、地域の未来を標榜しているけれども、例えば環境政策との整合性があるのかとか、エビデンスや化学的・環境的根拠の不足がないかですとか、専門的な視点やデータ分析と見解などが大丈夫かというふうな声がよく出ています。よって、環境の知見という情報が円滑に回ると、今やる気を持って立ち上がった人たちの後押しになるところです。
 この動きは、この文案の中にもありました、大量生産、大量消費とは異なる地域循環経済を実現するものですし、この大量生産、大量消費、大量廃棄による不利益というのは、プラスチックごみや、食品ロスや、労働環境の悪化や、それに加えて自然の恵みといった地域資源を活かした、特に一次産業を衰退させてしまった、里山等が失われたというふうなところもありますので、今は小さいけれども、ここを変えようという地域の環境にとって、とても大切なイノベーションというのが動き出すように新たな戦略を導く、成長を導く環境の知恵と最先端の知見ということが地域にしっかり届くような動きが、横断的なこの六つの戦略の中で実感されるようにできたらと思うところです。
 もう1点は、パートナーシップの視点から、ここはこれから記述が整理されるところですけれども、多くの企業や自治体が環境への取組に力を入れて、2030年目標を掲げてコミットメント、明確化もしてありますし、バリューチェーン全体、グループ全体、環境と人権もしっかりやっていこうとしていく中で、同時に、これが今正しいのかとか、目標に向けて動いているけれども、社会からどう評価されるのかというふうな不安もあるようですので、今日お話のあったグローバルの視点からの状況や、自分たちの立ち位置や見ている方向がはっきりするようなディレクションが出せればよいなと期待をしております。
 以上、よろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして鈴木委員、お願いしたいと思います。鈴木委員の後に大塚委員、稲城市長の髙橋委員、それから白石委員とお願いいたします。男澤委員も手を挙げていただきました。まだ発言をされていない、手を挙げていらっしゃらない委員は、この機会に手を挙げていただければと思います。ありがとうございます。
 それでは、鈴木委員、よろしくお願いいたします。
○鈴木委員 よろしくお願いいたします。
 30ページに、東日本の大震災に関する汚染、放射能のことが書いてあるのですけれども、ここは本当に東日本の方たちがまだまだ大変ご苦労なさっているということは承知しておりますが、ただ、東日本大震災のことで福島県の方だけが苦労しているということではなく、震災の関係では林業関係、特にキノコ業界ですけれども、ここは原材料である木が皆、セシウムという放射能の関係で駄目になってしまって、原材料であるおがが手に入らないというような状況が続いています。そんな中で廃業をされる方、また生産が大変になっているという生産者の方がたくさんいるということで、やはりもう少し放射能とか汚染というところの書き込みがあったらいいかなと思っております。
 それで、あと化学物質による生態系のリスクの最小化とか、汚染の防止、また森林の整備・保全、森林・林業・木材産業によるグリーン成長というふうなことが書かれています。このことは大変いいことだと思うのですけれども、このことと生産者が今、セシウムの放射能の関係で抱えている課題というのとはまた別なことかなと思いますので、そういった生産者の方の、放射能で大変だというようなことも皆さんに承知していただけるとありがたいかなって思っております。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして大塚委員、お願いいたします。大塚委員の後に、稲城市長の髙橋委員、白石委員、男澤委員、髙村典子委員と続きます。
 大塚委員、よろしくお願いいたします。
○大塚委員 最初に全体として、明確な軸は今の状況において出していただいたということになると思いました。様々な先生方の意見を入れながら、明確な軸を出していただいたと思いまして、大変結構なことだと、全体的には思っております。
 細かいことをちょっと4点ほど申し上げていきたいと思いますけども、一つは公正な移行の関係で、56ページ辺りが関係しますが、あと労働関係でも書いてあったと思いますけれども、最初に井上委員がおっしゃったように、公正な移行の中には負の影響を予測して最小化するということも入っていますので、一人も取り残さないでということはもちろん大事なのですけど、日本の場合、その前に効率的な移行をすること自体に関しても、様々な利害関係の方の意見を踏まえつつ、かつ将来世代に負の影響を残さないような形での公正な移行が大事になってくると思いますので、そういう観点ももし入れていただけたらありがたいなというふうに思っております。
 それから第2点ですけども、38ページのところの地域性でございますが、先ほど石田委員がおっしゃったことはそのとおりでございまして、7行目、8行目の辺りですけど、この表現の中に私も入っているかなというふうに思っていますが、バリューチェーンで環境負荷を減らしていくことや強靱性を高めることが、結果として企業競争力を高めるというのは、RE100の関係とかも含め、さらにほかのところにも書いてあった、人権と環境のデュー・デリジェンスが今EUで義務化ができつつありますので、それとの関係でも非常に重要なことですので、この表現の中に私も入っていると思いますけども、もし足りないのであれば、日本の企業が維持・発展していくために重要だということだと思いますので、もし表現を追加する必要があれば、そういう問題状況かなというふうには思います。
 それから、アセスに関して2点ございますけれども、一つは53ページのところですけども、28行目から始まっている陸上風力の話ですが、以前、規模要件を引き上げることがございましたが、そのときの宿題として、風力に関しては、アセスについて、立地とモニタリングのところが重要だと、規模よりも立地とモニタリングのほうがより重要だという話が報告書のほうで出ておりますので、まだ宿題として残っていますので、ここはぜひ新たな制度の検討というのが必要だということを、これはこのとおりでいいのですけども、強調しておきたいと思います。
 それからアセスに関してもう一つ、56ページのところの12行目、13行目の辺りですけども、14行目ですかね、アセス図書の継続的な公開の制度化でございます。これはアセスに関しては法的な課題があるのですけども、他方で、国民共有の財産として、将来新しくアセスをする人たちが前のアセス図書を活用していくということが、国民全体として非常に重要でございますので、このような課題を踏まえつつ検討して、継続的な公開をしていくことが重要だということを申し上げておきたいと思います。
 あと最後に、奥委員がおっしゃった環境に関する基本原則についての活用の点ですが、私はあんまり気にしていませんけれども、具体化というのがあるかもしれないとは、ちょっと思っています。ちょっと言葉のニュアンスの問題があるので、学門的には具体化のほうが正しいと私も思いますが、どうするかは事務局のほうで、さらに慎重にご検討いただけるとありがたいと思います。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、髙橋勝浩市長、お願いできますでしょうか。
○髙橋(勝)委員 こんにちは。稲城市長の髙橋でございます。
 今回の第2部第2章では重点戦略ごとの環境政策の展開というのを取り上げてもらいました。私ども自治体については、地域循環共生圏の構築が最重要課題だと思っておりますが、その中でもやはりエネルギー分野での施策が最重要だと考えております。
 再生可能エネルギーの最大限の導入拡大や公共施設等の建築物を活用した再生可能エネルギーの積極導入などについて言及していただいているのですが、私どもは今、PPA事業に取り組んでおりまして、基本的には公共施設の屋根に全て太陽光パネルを設置しようと考えておりますが、実際にはこれを系統電力に接続するための手続で、現時点では12か月ぐらいを要しております。仮に自家消費だけで接続をしないとしても、その申請に3か月かかるということで、再生可能エネルギーの設備を設置しても、その生産設備をタイムリーに十分活用することができない現状があります。ぜひとも設備の導入だけを推進するのではなく、こうした送電網、あるいは系統電力への接続を含めた手続についても積極的な支援を進めるような形もお願いしたいと思います。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、白石委員、お願いいたします。
○白石委員 白石です。ご発言の機会をどうもありがとうございます。
 私からは1点だけなのですが、化学物質に関してなのですが。第1部第1章、引き続き課題が残る環境汚染、化学物質の管理とか、第2章の重点戦略ごとの環境政策の展開で化学物質の関係のことを掲げられておるのですけども、崎田委員がおっしゃったように、全体として問題意識の緊迫度が薄いのではないかというふうな印象も私も受けておりまして、その点に関してでございます。
 7ページを見ますと、本文の7ページですが、現代文明の地球的限界と文明の転換、社会変革に向けた2030年の重要性というところで、脚注12番なのですけども、その他の例ではということで、種の絶滅、窒素・リンの循環、あるいは気候変動も書かれていますけど、土地利用変化、新規化学物質、この新規化学物質の言い方、日本の新規化学物質とは違うと思いますけども、新規化学物質の不確実性の領域を超えて高リスクの領域にあると脚注に落とされているのですけども、これを本文のほうに記述できないかという提案でございます。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、男澤委員、お願いできますでしょうか。
○男澤委員 ありがとうございます。
 この取りまとめ、ありがとうございます。これまでの議論を網羅的に反映していただいているように思います。
 私からは1点、コメントをさせていただきます。環境保全や良好な環境の創出に果たす民間企業の役割を今後、サステナビリティ情報を通じて、企業が長期的な視点で成長していくことを示すことがますます求められていくものと考えております。こうした中での開示の仕組み、ファイナンス、バリューチェーン全体での環境負荷の低減等に関して記述いただいたことを感謝申し上げます。こうして民間企業のことが、情報開示等を通じて企業価値や持続可能性の向上につながるよう、国際的なルール決定・・・省庁としてのリーダーシップの発揮とともに、引き続き必要な施策のピックお願いできればと思います。こうした動きの中、情報開示の質を担保する保障等の動きも国際的に加速しておりますので、こうした点も引き続き、政策の深度を含めてご検討いただければと思います。
 私からは以上となります。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、髙村典子委員、お願いいたします。
○髙村委員 ありがとうございます。
 私のほうは、劣化が非常に著しい淡水域の生物種の保全についての記載のお願いでございます。現在の自然資本の向上のところ、62ページ、63ページで、広域的生態系ネットワークの形成と、あと河川環境・水環境の保全のところで書き込んでいただいておりますが、淡水の生物種の分布特性、すなわち本来分布が局所的であり、それが潰されて、絶滅危惧種が多いという現状を考えますと、「湖沼、湿地等」と書かれていますが、ため池や小規模な湿地、さらに開発だけでなく放棄されたところの保全・再生なども必要に思いますので、その辺をちょっと工夫していただいて、「里地里山など身近な自然環境を含めた」と書いてあるので、それの枕言葉に入れるとか、少し工夫をしていただいて、書いていただければありがたいと思います。
 以上です。よろしくお願いします。
○高村部会長 ありがとうございます。今、ご発言ご希望の委員には一巡ご発言をいただきました。
 私も発言させていただこうと思っておりますが、重複しない形でと思っておりますけれども、一つは、これは河口委員ほか、既に委員からご指摘があった点ですが、全体としてこれまでの意見をうまく反映をしてくださっているという評価をいただいていると思います。そういう意味で、事務局に頑張っていただいたということかと思うですが。他方で、どうしても本当に伝えたいメッセージをうまく伝えるためにどうするかということをご示唆いただいたと思います。
 説明資料というのもあるのではないか、あるいはもう少しスリム化できないかというのもありましたが、これは河口委員からだったと思いますけれども、幾つかやっぱり見出しをうまく、それをうまく伝えていくのに使っていくというのは大事かなというふうに私も思いまして、これはぜひ検討いただきたいと思います。どうしても統合とか相乗効果といったのは、いろんなところに連関性をどうやってうまく表すかというと、どうしてもやっぱり書くことが多くなって分かりにくくなっているのを、事務局は苦労されていると思うので、今日いただいた意見を踏まえて考えていただければと思います。
 それから二つ目は、これは絶賛調整中なのだと思いますけど、井田委員がおっしゃった点です。省エネと言わなくても、エネルギー効率をどう改善するかというのは、気候変動対策上は最も極めて重要な施策で、COP28のところでも、再エネ3倍はもちろん大事なのですが、エネルギー効率の改善率を今の水準から2倍に上げるというのは、かなり重要な対策だと思います。しかし、これは多分日本にとっても極めて重要。これはなぜ重要かというのは、もちろん気候変動対策としてもそうですが、企業のエネルギーコストを下げて、しかも、日本の企業が持っている非常にエネルギー効率の高い技術をしっかりやはり打ち出していくという意味でも、まさにこの環境基本計画の中で重要な項目なので、絶賛調整中だと思いますけれども、ぜひここのところは今後の議論のためにもお願いをしたいというふうに思います。
 三つ目が化学物質についてです。これも複数の委員からご指摘があったところだと思いますけれども、あるいは汚染について。これも三重の危機の一つの重要なところでもあると思うのですが、これは後半のところに若干書かれていると思っているのですけれども、今まさにウェルビーイングの向上を軸に、これをまさに目指すべき大きな目標としてつくっている環境基本計画だとすると、これまでの公害の経験も踏まえて、まさに国民の健康と命を中長期的に守っていくという意味で、本質的に、極めて本質的な重要な分野だと思っていまして、ここはウェルビーイングとの関係で明確にその重要性を書いていただくという記載があるといいのではないかと思います。
 最後ですけれども、全体として国際関係のところの記載を少し充実させていただくといいなと思っています。典型的なのは、国際関係も大きな変化の中で環境政策があるということもそうなのですが、もうこれまで、ここでは釈迦に説法ですけれども、国際的に起こる様々な活動や排出というのが、日本の国民、日本の環境に影響を与えている。そういう意味では、国際協調の下で環境政策を取っていくということが日本の国益というふうには、文章に書いてくださっているのですけど、日本の国民のウェルビーイングの向上にとって極めて重要だということはやはり、環境基本法の根本にもあると思いますけど、そこの記載が、関係性が後半のところでは必ずしも明確ではない、記載されていないように思いましたので、検討いただければという点です。
 それぞれの委員から、時間を守っていただきましたので、もう一回ご発言いただく機会あるのですけど、この時点で事務局からご回答はございますか。
○大倉環境影響評価課長 まとめてで大丈夫です。
○高村部会長 では、まとめてお答えしようと思います。確かに具体的なご質問という形ではなかったというふうに思いますので。
 それでは、今、各委員からご発言をいただいたものを踏まえて、改めてご発言ご希望の委員、落としていた論点、あるいは改めて追加したいコメントがありましたらお願いしようと思います。
 それでは、最初に札を上げていただきました河口委員、その後、井田委員にお願いしたいと思います。
○河口委員 2回目の発言の機会をありがとうございます。
 各委員のご意見を伺って、ちょっと触発された部分もあるのですけれども、私、タイトルをもう少しぴっとしたというか、衝撃的な、それが省庁間の調整で言えないのかもしれないのですけれども、もうそういうことを言っている世界的な状況ではないので、ちょっとみんなが、ばっと、ぴっとなるような表現をぜひ選んでいただきたいなと。
 となりますと、例えば7ページ目のところで、やっぱりこの現代文明の地球的限界云々って、これ正しいのですけど、基本的に要するに脱石油文明だよということを世界は志向しているのですと。読めば分かるけど、キーワードとして、ちょっとそういう言い方をしていただきたいなと。これ、エネルギーだけではなくて化学物質のところでも、プラスチックですとか基本的な合成化学物質は化石燃料由来なので、そっちも作らなくなるということも含めて、ここの対応ということは大事であるというのはぜひ言っていただきたいなというか、今あるやつを短くして、そっちに置き換えるというほうがいいと思うのですけれども。
 それから、15ページに環境の主流化ということもありますが、これも先ほど申し上げたのですけど、環境が主流化するのではなくて、経済のところに環境制約がわあっと押しかけてきていて、もうそんなわがままは許されないのだよねというトーンに、そういうことを書いてあるのですけど、あんまり気がつかない人には気がつかないということなので、この制約を考えない経済活動はないんだくらいのトーンにしていただければいいのかなと思います。
 それから、教育に関しては49ページ以降でこれから書くというお話なのですけれども、ぜひお願いしたいのは、これも先ほどちょっと申し上げましたけれども、生協の産直みたいな、昔から日本にあった表現と。私自身がWWFと一緒に、日本文化と生物多様性ということで、俳句とか茶道だとか、神道と生物多様性ということで、一般の市民向けの講座なんかをやると、それとこれが結びついているんだみたいな、すごくびっくりされますけど、やはり非常に親しみを持って思われるということがありまして、日本文化に根差す、日本の文化というのは生物多様性の上に成り立っていると言っても過言ではないので、そういった身近な生活習慣とか、日本文化の中にもこういうのが眠っているのだというものをちりばめていただかないと、「デコ活」とか片仮名用語ばかりで来ると、やはりなかなか頭に入らなくなると思うので、特に教育のところは、そういった元から日本にあった伝統をどう大事にするかということ、それから堅達委員がおっしゃった自然に対する畏れみたいなこととか感謝という気持ちは日本人はずっと持ってきたと思うんですけれども、そういったメッセージもぜひ教育のところで、自然を使ってやるのだ、ではなくて、生かしていただいて、使わせていただいているという、そういったトーンのメッセージもぜひ入れていただければなと思います。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
 井田委員、それではお願いいたします。その後、豊岡委員、崎田委員とお願いします。
○井田委員 ありがとうございます。
 この会議が始まる最初に申し上げたのですけども、前回の第五次環境基本計画のときではきちんと受け止められなかったウエディングケーキであるとか、カーボンバジェットであるとか、プラネタリー・バウンダリーとか、地球の制約の中でも経済社会を動かしていくしかないんだ、それは環境が軸というふうに書いていただいたんです。私は基盤としたほうがよかったと思うのですけど、それがTransformative Changeだというのはあちこちに見られて、これは一つ売りになるかなと思ったんですが。
 あとは高村先生も河口委員もおっしゃるように、見出しなり説明資料でこの考えをきちんと打ち出していくことが重要だというのは、私も賛同するところであります。それが1点目。
 あと、奥先生のおっしゃるように、私はSDGsは活用するものでは達成するものだと言ったんですけども、原則もやっぱり活用するというのはすごくおかしいので、準拠するとか、則るとかいう言葉にするべきだと思うし、奥先生のおっしゃるように環境効率というのは原則ではないので、ちょっと順番を考えたほうがいいというのはおっしゃるとおりだと思います。
 あと、これも提出したので、詳しいことは申し上げないんですが、税制のグリーン化、今日いただいたやつでは59ページなのですが、これはCP、カーボンプライシングのことをいろいろ書いてあるのですけども、今、河口さんもおっしゃいましたけど、やっぱりプラとかネイチャーポジティブとか土地利用とか全部そういうのを考えたら、もっとグリーン税制、グリーン化じゃなくて、これもやっぱりTransformative Changeをしなければならないのだというような考えが必要だと思うし、それを見ると、頭のところの2行、3行ですけど、ネイチャーポジティブの観点から云々というのはちょっと弱過ぎるというふうに思うので、ここら辺の書き方はもっと充実させるべきだというふうに思います。有害な免税措置とか補助金まで含めて、これもTransformative Changeが必要だというのを税制において、ここはもっときちんとした書き方をしたほうがいいというふうに思います。
 あと三好さんがおっしゃった、中村先生のご意見にもあったのですが、全体としてネイチャーポジティブという、これ、税制も含めてなんですけども、そこら辺の書き方がまだちょっと不十分かなというようなところが散見されるので、ここは三好さんのおっしゃるとおりかなと思いました。
 あと30秒で細かい話なのですが、最後にあるフロン、日本の強みというのは、これは日本強みでも何でもなくて、回収率が悪くて、どんどん用途が広がっているというのが強みであるとは思えないので、私は「日本の経験を活かし」というふうに修文すべきではないかというふうに思います。
 あと80ページですが、アンモニア利用の環境への窒素の負荷というのを書いていただいて、これは非常に重要だと思うのですが、これ、負荷は窒素酸化物だけではないので、環境への窒素の負荷とか、アンモニアを使うことにより環境への窒素の負荷を減らすというような書き方のほうが正しいのではないかというふうに思います。
 すみません、時間を踏み越えて恐縮なのですけど、あと21ページにあった経済フォーラムの長期リスクなのですけれども、これ、10年後のリスクのほうは四つが環境リスクなもので、資料を見ると緑が四つになっているので、これ、四つとするほうが正しいのではないかなというふうに思いました。
 以上、細かいことですが、ちょっと時間超過して恐縮です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、豊岡委員、その後、崎田委員、お願いいたします。崎田委員の後に、もしご発言のご希望がなければですけれども、オンラインでご出席の委員にご発言をいただきます。まだご発言でない亀山委員に、先にご発言をいただこうと思います。
 それでは豊岡委員、お願いいたします。
○豊岡委員 ありがとうございます。
 すごく頑張って書いていただいて、取り入れていただいて、感謝申し上げます。
 そして、それなのに、この何か嫌な気分は何だろうかと振り返っていたのですけれども、私、現場で委員をしておりますと、現場とあまりにも感覚の違いというか、乖離が大き過ぎて、これが本当に書いても実現できるのだろうかという、すごく嫌な気分になります。
 例えば今出ている委員会、先日あった委員会ですけれども、ある県で、これから建築予定の建物に対しても再エネを乗せる予定はないであるとか、ある大学です、削減目標は2030年に1%です、であるとか、そういう言葉が平気で出てきます。それに対して、全く環境が上位概念になっていないと、ウエディングケーキが決して、国民とかいろんな組織の上位概念になっていないなという非常に悔しい思いをいたします。なので、分かりやすいように、本当にこの計画、たくさん真剣に書いてくださっていると思うと、本当に皆さんおっしゃるように、上位概念である1.5度に整合性がちゃんとあるかと、化石燃料からの確固たる脱却があるかどうか、そしてレジリエンスに対してちゃんとした計画で両立するのであるというような、誰にとっても納得がいって、かわすことができないような本当に強い見出しで書いていただくことを望みます。
 そして私は、本当は環境こそが一番上位概念にあるべきだというふうに思っておりますので、これが現場になかなか浸透しないというのは絶望しております。なので、もう少し厳しく現場を義務化する。先ほども申し上げましたけれども、ルールをもう少し厳しく明確に縛っていかないと、意識改革などでは現場は変わりません。なので、ここをしっかり私どもの正念場と捉えて、ちゃんと見出しで分かりやすく、諦めがつく、そしてやらなければならないということが分かるような表現にしていただくと本当にありがたいです。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、崎田委員、お願いいたします。
○崎田委員 ありがとうございます。
 先ほどの発言で、汚染のところは部会長も受け止めていただきまして、ありがとうございます。それで、実はパートナーシップについて発言をしたときに、非常にはしょって、省庁の取組、しっかりと連携してみたいな話だけに集約して発言をしたのですけれども、もう少し詳しく説明させてください。
 実は今回、様々な状況を、環境・社会・経済を統合して、ウェルビーイングをしっかり目指すというようなところが今回の大きな柱なのですけれども、それをどう実現するかというときに必要になってくる、そこの鍵になるのがパートナーシップだというふうに私は考えています。ですから今、パートナーシップについてだけ今後記載していきますというふうに書いてあるのは、非常に大事なところで、今検討していただいているのだと思いますが、そこをいかに強く書いて今回の計画を実現に向けた動きにしていただくというところが大事なのではないかなというふうに感じています。
 先ほど来、ウエディングケーキモデルというようなご発言が何人もありますけれども、私もやっぱりイメージとしては、SDGsのウエディングケーキモデルのように環境・社会・経済、そういう層をしっかりときちんと構築し、それを動かすのがパートナーシップだというあのイメージでしっかりと描いていただくことがいいのではないかと思います。そのときに現場を動かすためにも、それに関わる自治体の分野が大事でありますし、そこを動かすためにも、国の省庁連携が明確に重要になってくるというふうに感じて、先ほどかなりはしょって発言をいたしました。
 よく食品ロスなどに関しては、こういういろんなSDGsモデルの連携を動かすときの話に出てきますけれども、食品ロスなども、食料の生産者とか流通、消費、教育とか、福祉とか全部つながっている話ですし、人材育成とか教育のところなども、学校教育、企業の取組、自治体、そして次世代とかそういう世代間を取り入れるとか、いろんな側面を持っています。
 あともう一点、ここのところちょっと動いていないなと思うのが、気候変動対策の森林整備です。実は経済界のカーボンニュートラル計画の第三者評価委員を長年やっていて、いろんな業界の方の取り組み見を伺うのですが、やっぱり国内パルプ、国内森林をしっかりと活用するというところが、なかなか企業だけの取組だと道路整備とか難しいんですよ、みたいな10年前と同じようなお答えが返ってくるのですね。やっぱりそういうところをしっかりと、環境省もしっかり旗を振って、つないでいただければありがたいというふうに思います。よろしくお願いします。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、オンラインでご出席の委員に移ってまいります。
 亀山委員、お願いできますでしょうか。その後、馬奈木、三好委員、大塚委員とお願いいたします。
○亀山委員 亀山です。ありがとうございます。
 これまでの委員の皆様方のご発言に賛同しておりまして、これまで発言を求めませんでしたが、時間があるということで、1点だけ発言させていただきたいと思います。
 気候変動をはじめとする環境リスクをどうやったら人々に正しく伝えられるのか、誰がどのように伝えるべきなのかという点が非常に重要だと思っていまして、それに関する発言となります。
 教育に関して、既に複数の委員が発言されておりまして、賛同するところではございますけれども、学校教育だけでは全くリスクを正しく伝えられないというふうに考えております。二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスで地球が暖かくなるということは、知識としては学校教育に伝わっておりますけれども、自分事として、自分の身に降りかかるリスクとして意識しているかというと、そういうことではないというふうに思います。
 若い人たちにどういうふうに情報を受け取っているのかと聞きますと、最近の若い人は新聞も読まない、テレビも見ないということで、今までとは違った情報の伝え方ということが非常に重要だと思っております。今のドラフトの55ページ、56ページ辺りに、より記載があるというふうに思っております。情報を伝える言葉を検索すると非常に多くの回数出てきます。情報という言葉はたくさん出てくるのですけれども、情報開示であったり、情報非開示であったり、だけど、その情報をどのような形で誰に伝えるのかということを書き込んでいただけるとありがたいというふうに思いました。研究者、あるいは大学の教員としても、今までの情報の出し方だけではない新しい伝え方ということを模索するような努力ができるようなプラットホームが次の計画に書き込んであるといいというふうに思いました。
 以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、オンラインでご出席の馬奈木委員、お願いいたします。
○馬奈木委員 ありがとうございます。
 私、経済界との連携が、すごく実質的に進めることが大事だと思います。
 まず1点目、58ページですね。ここでESG、グリーンファイナンスの点で、TCFD、TNFDを述べられています。もし可能でしたら、もう一単語、不平等と社会問題、社会関連の財務開示、タスクフォースであるTISFDをコンマで入れていただけますといいかなと思います。それは先ほど申し上げた地域での活用を促進するために、結果的に今回のような環境に関する政策というのは不平等と社会関係にもつながるので、環境のみならず、他の地方創生上もいいかと思うからであります。
 二つ目は、59ページのバリューチェーンに関連する環境負荷のところであります。日本のESGの特徴というのは、他の世界的にGDPの大きな2か国に比べると、比較的バリューチェーンが閉じている、サプライチェーンが閉じているということなんですね。そうするどうなるかといいますと、人権のリスクでありますとか他のリスクが、ほかの国々よりは多いわけです。経産省におきましても、人権のサプライチェーンのリスクを加味したガイドラインの話などがありますし、こういうのは欧州目線で出ているだけでなくて、日本発信で、サプライチェーン全体を考えたESGのEの項目を推進するということがあればいいかと思います。
 最後に49ページ、企業とのパートナーシップに関してであります。よくパートナーシップの議論で、特定の地域と企業との連携を補助金などで支援されていると思います。ぜひ一般性を持って成功するモデル構築を推進していただきたいです。たまたま大きな資本の企業が補助を出すとか、たまたま森林が多いとか、そういう事例ですと他の地域の参考にはあまりなりません。そうでなく、他の地域にも参照になって、その仕組みづくりが役立つようなところをメッセージ性で出していただけたらと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、三好委員、お願いいたします。
○三好委員 2回目ですけれども、ありがとうございます。
 私から1点付け加えさせていただきたいなという点は、新しい成長ということで、環境に寄り添った、よりよくしていく商品やプロダクツ、サービスなどが付加価値を持っていくという表現をされていると思いますけれども、ちょっと付加価値という言葉が私はまだ引っかかるところがありまして、少し説明をさせていただきたいなと思います。
 サプライチェーン全体で脱炭素をしたりだとか、人権を配慮したりだとか、そのようなことがもちろん重要になってきますけれども、出てきたプロダクツやサービスだけがより価格が高くなるということではなくて、サプライチェーン、それから何名かおっしゃっていただいたんですけれども、消費者、消費というよりも生活者ですね。それを購入される方、企業等とも含めてリスク、責任をシェアしながら全体で整っていく、ビジネスでいうとキャッシュポイントが多くなっていく。例えばフードロスの話もそうですけれども、ただごみを再利用するということではなくて、そこでまた価値をつけていくという全体で整えるという視点がもう少し説明されて、そこが一つのトランジションのポイントだと思うので、そのことをもう少し表現していただけたほうがいいかもと思いました。
 今だとプラスチックもそうですけれども、やはりどうしてもワンウエイ利用で終わる。それからモノポライズを目指して企業が競争していく。そのような概念というか考え方、スキームにのっとったのが慣行のビジネスなんですけども、多様性とか多面的であるというようなビジネスのモデルに変わっていくという視点もまた一つ必要なのかなと思いましたので、ちょっと付け加えさせていただきました。
 ちょっと消費者という言葉は私も好きではないのですけれども、生活者、それからビジネス、地方、そういったところがエンパワーされるような消費や商品に変わっていく、サービスに変わっていく、ということがウェルビーイングにつながっていくのかなと思いますので、その点も付け加えさせていただきます。
 以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、大塚委員、お願いいたします。大塚委員の後、堅達委員、諸富委員とご発言をお願いいたします。
 それでは、大塚委員、よろしくお願いします。
○大塚委員 どうもありがとうございます。
 2点申し上げますが、化学物質については、高村部会長もおっしゃってくださったように、より充実した記述にしていただければ大変ありがたいと思っています。今回そういう意見がたくさん出てきていて、私はとてもうれしく思っていますが、77ページのところで、ウェルビーイングとの関係で、化学物質は3行目のところに出てきてはいるのですけども、それはそれとして、より充実した記載をしていただきたいと思いますし、前の意見として申し上げたことがありますが、公害対策は環境政策としての原点なので、もしそういう言葉も入れていただけたら大変ありがたいなというふうには思っております。
 それから関連して、58ページの25行目のところで、ESGとの関係で気候変動等とがございますが、化学物質に関しても実はESGは世界的にも始まっているので、日本もそれをどうしようかということを今、環境省でお考えになっているとは思いますが、この様々な分野のところには化学物質も入るということは、メンションはしておきたいと思います。ここの表現を化学物質までここで入れる状態に今あるかどうかというのはちょっとご検討いただければと思いますが、化学物質も実はここに入るということも申し上げておきたいと思います。
 あと環境の原則の話ですけど、井田委員がおっしゃったのは、則りというのが結構いいかなというふうに思いました。学問的にも則りであればいいので、あんまりニュアンスが弱くなるのはどうかなと思いますけど、則りであれば学問的にもいいかなと思います。以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、堅達委員、お願いいたします。
○堅達委員 追加で申し上げたいのは、この環境基本計画の理念はどこへ向かうべきかというのは、実はもう世界が共通の課題の中で向かう方向は分かっていると思うのですけど、いかにそのスピードとスケールを上げるために実装していくか、ちゃんとボトルネックを排除しながら前へ進んでいけるかというところが大事なのではないかなと感じております。そうしますと、なかなか再生可能エネルギーを導入していくということを一つ取っても、国民の間には、いや、あれはなかなか、土砂崩れが起きてとか、風景が台なしになってとか、やっぱりいまだにネガティブに捉える方もたくさんいる中で、むしろ陸上風力にしてもしっかりゾーニングするとか、ソーラーシェアリングとかもいろんな規制を緻密にいいように進行していくとか、送電網とか様々なこともそうですし、このルールメイキングを加速していくという視点、ここがとても重要なのではないかなと思います。
 元を正せば、カーボンプライシングという重要なルールメイキングも加速していく必要があるわけですけれども、とにかく理念だけ言っている時代ではなくて、実装するために何が必要なのかというところをぜひ少し強調して書いていただくと、切迫して、今すぐ行動に移さなければならないというところが、国民の皆様にもより一層響くようになるのではないかと思いました。よろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、諸富委員にご発言いただこうと思いますけど、会場、オンライン通して、ほかにご発言をご希望の委員がいらっしゃいましたら手を挙げて、あるいは札を立ててお知らせください。
 それでは、諸富委員、よろしくお願いいたします。
○諸富委員 ありがとうございます。
 54ページのネイチャーポジティブの実現に資する投資の拡大と書かれているのですけれども、ここは大事だなというふうに思います。まさに自然資本というコンセプトと、それへの投資という考え方が適用されるところなんですけれども、投資といいますと財源をどうするのかなということがあります。
 以下のページでは、どうやって民間資金を動かすかということに関しての記述がありまして、企業に行動変容を促す。情報開示も求められていますので、ネイチャーポジティブに向けて、企業が自然資本に対して投資を促していくような仕組みづくり。あと直接金融や間接金融への動員についてもしっかり書かれてありまして、こういった民間資金は非常に大事でありますが、同時に、59ページに、税制全体のグリーン化の中で、ネイチャーポジティブの視点からも環境関連税制等による検討ということで、これまでは気候変動を念頭に税源問題としてのカーボンプライシングを議論してきたわけですけれども、やはりネイチャーポジティブ、そして、自然資本を保全していくということに関するプライオリティーをこれから上げていかないといけないのではないか。それにはやはり投資が必要ということでいくと、やはり税制のグリーン化の中で公的にもどう資金調達をしていくか。GXでも炭素賦課金を入れつつ、20兆円、公的に支援して、15兆円の民間投資を呼び込むという立てつけになっているように、自然資本でもやはり何らかの形の公的支援、その財源を考える中で民間資金もやはり動かしていくというような構想をつくっていく必要があるのなのかなというふうに思いました。
 以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、今ご発言のご希望、奥委員が手を挙げていただいておりますけれども、ほかによろしいでしょうか。もしよろしければ、奥委員で最後のご発言としたいと思います。
 それでは奥委員、よろしくお願いします。
○奥委員 ありがとうございます。
 人権・環境デュー・デリジェンスについてなんですが、こちらを明記していただいて大変よいと思います。この「人権・環境デュー・デリジェンス」という言葉が、見え消し版で17ページと、それから38ページに出てきているのですが、いわゆる「人権・環境デュー・デリジェンス」というふうに書いてありまして、その意味するところについての説明文が、17ページにも38ページにもないんですね。ぜひここ、脚注なのか、もう少し中身が分かるように説明文を入れていただいたほうがいいかなと思います。
 63ページのほうに行きますと、持続可能なバリューチェーンの構築の中に、「ビジネスと人権に関する取組の一環として、従来の人権・環境デュー・デリジェンス」ということと、それに加えて「環境問題に対するリスクマネジメントである環境デュー・デリジェンス」という、ここまで行くと、ちょっと説明文的なものがようやく出てくるのですが、その前の2か所において、最初のところですね。17ページのところでちゃんと説明をしておいていただければというふうに思います。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、ご発言のご希望がもしなければ、事務局のほうにお返ししたいと思います。
○大倉環境影響評価課長 いいですか。
○高村部会長 申し訳ない。私のほうから。
 今いただいた点で、2点ほど、私、申し上げておきたい。ちょっと細かなところはまた事務局に申し上げようと思うんですが。
 一つ、河口委員、豊岡委員はじめおっしゃって、やはりこれ、かなりいいものができてきているけど、どうやって実施するのかということをかなり今提起いただいているかと思います。例えば、第2部第2章の重点戦略のところでも、三つの統合ですね、環境・経済・社会の統合を実際に実践し、実装する地域ということを重点戦略の中に入れていますので、そういう意味では、決してこの中で書いていないということではないかとは思うのですけれども、やはり本当に現実にそれをどう実現するかというのを考える必要があるというご提起だと思います。
 これは次回だと思いますけれども、第4部のところに効果的実施についての部門を準備いただくというふうに思いますので、これはぜひ次回のところでも引き続き議論をいただくといいのではないかと思います。これは私自身も、中に書かれているのですけれども、環境政策課、あるいはほかの省庁が所管していらっしゃる政策ともどうやってうまく統合的に決めて実施するかというのが、本当に課題になっているというふうに思うものですから、これは、先ほどあった化学物質と循環経済の政策というのもこの中に記載されていますけれども、中に必要な記載はしていくとして、やはりこれ、特に意識して効果的実施のところで議論ができるといいのではないかというふうに思っております。
 それと、あと細かなところで恐縮、決して細かくないのですが。80ページ目のところの、先ほどどなたか、井田委員でしたでしょうか。ご指摘になったところです。ちょっとこれ、言葉の整合性をつけたほうがいいのではないかと思っているところがありまして、これ、環境上も重要な窒素の文脈、80ページのところです。特に水素キャリア等の用途でのアンモニアの利用についてのところですけど、ここはG7の広島サミットの成果文書の中で、実際に一酸化二窒素、あるいは窒素酸化物についての排出について回避するという表現ぶりになっていたと思います。この技術の活用ではなくて、実際にそういうことを目標として、条件として定めてやっぱり水素、アンモニアを開発していきましょうという合意になっていたと思いますので、G7の広島サミットの成果文書を、できれば整合させたほうがいいのではないかなというふうに思っております。すみません、文言の話で恐縮でしたけれども。
 それでは、もしほかにご発言ご希望がなければ、環境省のほうから、事務局のほうからお答えいただこうと思います。
○大倉環境影響評価課長 すみません、ご熱心な議論を本当にありがとうございました。
 全てのご意見にお答えすることはできませんが、具体的な表現ぶりについてのご指摘のところについては、後でちょっと議事録なんかもしっかり確認しつつ、なるべく反映するように、ちょっと関係省庁とも相談が要りますけども、やっていきたいなと思ってございます。
 井田委員から、ちょっと最初にご指摘があった、調整未了のところがあるではないかというところでございますけども、先ほど能登の地震の話もありましたが、政府全体で今ちょっと地震対応とかをやっている中で、関係省庁に非常にご協力をいただいて、環境省自身もやっていますけど、結構いわゆる地震対応で人が割かれる中、短時間で協議をやってもらったという経緯もありますので、我々としては大変感謝していると。なので、そういった状況の中で調整がそんなにつかなかったところは、ごく数か所しかなったということ自体は、我々としてはよくこれで済んだなという気がしますので、2月に向けて、また関係省庁にちょっと無理を言うところもあるかもしれませんが、しっかりと最終的な成果文書を作っていきたいと思ってございます。
 それで、あと化学物質のところですね。ちょっとこれは大きな論点として上げますけども、また担当部局のほうと調整して、書き足せるところがないかというのはちゃんと吟味したいと思いますし、今日ちょっとお示しできておりませんが、いわゆるこの計画で重点的な戦略というところは、今回お示しした重点戦略に書かれる横断的事項と、あと2部3章に書かれる個別分野の重点的事項というのもありますので、そちらの中でも化学物質はちゃんと記述したいと思いますので、全体と併せて次回確認いただけたらなと思ってございます。
 それで、すみません、読みやすさの点とか構成の点とか多々ご意見いただきました。我々の筆の力の問題もあるのかなと思ってございますけども、今回、第1部の1章ですね。第一次環境基本計画から30年目の節目というところで、30年の振り返りの部分をちょっと入れた関係で、かなり大部になってしまってございます。諸富委員からも、ちょっと全体としてストーリーが分断されているというお話もありましたが、まさにこの部分が肝と、いわゆるビジョンを示す肝になる2章と1章の分断みたいになってしまっているので、実際に計画ができて、国民の皆さんにご説明するときには工夫していきたいなと、説明資料をちゃんとすべしという石田委員のご意見もありましたけども、そういったことを工夫していきたいと思っています。
 そういう意味で、河口委員とか堅達委員からも、あとほかの先生からも結構指摘をいただいてございますが、1部の第2章がこの計画のいわゆる心臓部に当たるかなと思ってございますけども、河口委員のおっしゃる、いわゆる環境制約があるからというところでございますが、例えば32ページの16行目、17行目にかけて、「環境収容力の範囲内で経済社会活動が営まれ」というような言葉もちょっと入れていたりしますし、今回はちょっと、武内委員からもご発言がありましたけども、地上資源ということを一応キーワードにして、脱石油なんかの概念も含めた概念で売り出そうと思っていますので、そういったところもちょっとご留意いただけたらなと思ってございます。
 あと日本の文化みたいな話もございましたけども、それはまさに33ページ目の25行目、26行目辺りですけども、いわゆる日本人の伝統的自然観みたいなのも、いわゆる共生のところの肝のところに書かせていただいています。本当に今回の能登の地震もそうですけども、「時として脅威となる荒々しい自然を克服・支配する発想ではなく、自然に対する畏敬の念を持ちながら」というような記述も入れていますので、先ほど教育の話もございましたが、特別の政策とのつながりみたいなものをもうちょっと工夫できないかもちょっと検討していきたいと思ってございます。
 あと見出しについても、ちょっとどこまでできるか、まさに政府部内で調整かもしれませんが、全体としてもうちょっと分かりやすさの観点を追求していくというのをやっていきたいと思いますし、冒頭に申し上げたとおり、個別の指摘についてはちょっと真摯に対応すべくしていきたいと思ってございます。
 次回は残りの部分を併せてご議論いただきますけども、引き続きよろしくお願いします。今日はありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございました。
 事務局はかなり苦労して、いただいた意見をできるだけ反映をしようとされていると思うのですけれども、次回議論いたします後半も含めた全体の議論を委員の先生方、またよろしくお願いできればというふうに思います。
 全体通して、ご発言のご希望はございますでしょうか。会場、あるいはオンラインでご出席の委員から、もしご発言のご希望がありましたら、お知らせいただければと思います。よろしいでしょうか。
(なし)
○高村部会長 それでは、本日予定していた議題は審議を尽くしましたので、これで本日の審議は終了としたいと思います。
 もう既に事務局から表明いただきましたけれども、本日いただいたご意見を踏まえて、もう一度検討していただいて、次回の部会で計画の素案全体について、ご議論を継続したいと思います。
 それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いできればと思います。
○東岡計画官 皆様、本日は長時間にわたりましてご審議ご参加いただきまして、誠にありがとうございました。
 本日の議事録につきましては、事務局で取りまとめを行いまして、委員の皆様にご確認いただきました後、環境省ホームページに掲載させていただきます。
 また、次回の総合政策部会につきましては、第114回ということで2月26日でございます。詳細につきましては、決まり次第、またご連絡させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございます。
 大変インテンシブに、先生方のお時間をいただいて議論しておりますけれども、引き続きお願いしたいと思います。
 それでは、以上をもちまして、本日、第113回の総合政策部会は閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。
午前11時56分閉会