中央環境審議会 総合政策部会(第112回)議事録
第112回 中央環境審議会 総合政策部会
令和5年12月20日(水)14:00~16:35
ビジョンセンター東京駅前707会議室
(Web会議システム併用)
議 事 次 第
1.開会
2.議事
(1)第五次環境基本計画の見直しについて
(2)その他
3.閉会
配付資料一覧
【資料】
資料1 第六次環境基本計画に向けた中間取りまとめに対する意見募集の結果について
資料2 中央環境審議会総合政策部会と各種団体等との意見交換会の結果について
資料3 中央環境審議会第31回総会における主な意見について
資料4 いけんひろば報告資料
資料5 第六次環境基本計画の構成について(事務局素案)
【参考資料】
参考資料1 中央環境審議会総合政策部会名簿
参考資料2 計画見直しスケジュール(案)
参考資料3 第六次環境基本計画に向けた中間取りまとめ
参考資料4 第六次環境基本計画に向けた中間取りまとめに対する意見一覧
参考資料5-1 第1~4回中央環境審議会総合政策部会と各種団体等との意見交換会発表資料
参考資料5-2 第1~3回中央環境審議会総合政策部会と各種団体等との意見交換会議事録
参考資料6 第六次環境基本計画について(中央環境審議会第31 回総会資料)
参考資料7 国連気候変動枠組条約COP28報告資料
午後 2時00分 開会
○東岡計画官 それでは定刻になりましたので、ただいまから、中央環境審議会第112回総合政策部会を開催いたします。
まず、委員総数31名のところ26名の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告いたします。
本日の会議は中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただいておりますので、環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行っております。本日はウェブ会議システムのハイブリッド開催とさせていただいております。ウェブよりご参加の委員におきましては、各自発言時のみ、ライブカメラの映像とマイク機能をオンにしていただきますようお願いいたします。また、会場の声が聞こえにくいなどございましたらチャット機能でお知らせください。
会議資料につきましては、議事次第の下に、「資料一覧」の記載のとおりでございますので、ご確認いただければと思います。もし不足等ございましたら事務局までお申しつけください。また、事前にいただいた大塚委員、崎田委員、石田委員の3名のご意見については事前意見として、資料を配付させていただいております。また、参考資料7につきましては、11月30日からアラブ首長国連邦で開催され、12月13日に閉幕をいたしましたCOP28の結果概要でございます。こちらについては議事では触れませんが、ご参考として配付をさせていただいております。また大部となることから、資料の5-1、5-2につきましては机上配付しておりませんので、ホームページ上のみの公開とさせていただいております。また、環境基本計画に係るデータ集につきましては、作成途上ということもございますので参考資料として委員のみ机上配付をさせていただいておりますので、ご承知おきください。また、本日の資料は環境省ホームページ、総合政策部会のページにアップロードしております。
なお、委員の交代がございますので報告をさせていただきます。石上千博委員の後任として井上久美枝委員のご就任をいただいております、本日はオンラインでご参加いただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。委員の交代は以上でございます。
それでは、今後の進行は高村部会長にお願いいたします。
○高村部会長 皆様どうもご参集いただきまして、ありがとうございます。
本日の議事に入ってまいります。
前回8月30日に行われました総合政策部会では、第六次環境基本計画の中間取りまとめについてご議論をいただきました。その際に委員の皆様からいただいた意見を踏まえ、10月3日の日に「第六次環境基本計画に向けた中間取りまとめ」を公表し、同時に意見募集を開始いたしました。あわせて総合政策部会の委員の皆様にご協力をいただきまして、10月から4回にわたって、部会の委員と各種団体等の意見交換会を開催してまいりました。これは皆様ご存じのとおりであります。21団体、5名の有識者の方と意見交換を実施しております。さらに、11月21日に行われました中央環境審議会の第31回総会においても、環境省全体で、まさに取り組むべき計画として、これは総会のご意見を踏まえて、各部会長、そしてその総会の委員の方々にもご議論をいただいております。そのほかに、10月から11月にかけて、こども家庭庁のスキームを活用して、若者の意見を吸い上げる「いけんひろば」を通じてアンケート、そしてオンラインによる意見交換を実施しております。
本日は、まず中間取りまとめに対する意見募集、それから各種団体等との意見交換会、先ほど申し上げました中環審の第31回総会、そしていけんひろばの結果報告についてご報告をした上で、第六次環境基本計画の構成について議論を行いたいというふうに思っております。
それでは、まず事務局から資料1から資料5についてご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○東岡計画官 それでは資料1をご覧ください。こちら10月3日に公表いたしました第六次環境基本計画中間取りまとめにつきまして、11月2日までの1か月間、広く国民への意見募集をいたしました。その結果、総数23通、164件のご意見をいただいております。本計画の関連のない意見を除きまして、全ての意見は参考資料4に掲載しておりますが、かなり量もございますので、主な意見のみ、資料1でご紹介をさせていただきます。これらのご意見につきましては、今後の中央環境審議会総合政策部会の審議に参考とさせていただきます。それでは2ページをご覧ください。
まず上から二つ目のところ、「危機的な状況に係る記述が薄く抽象的」。例えば「1.5℃の影響と2℃の影響の違い」、本質的な違いなどを国民に分かりやすく訴えることが必要というご意見。また四つ目の丸のところ、気候変動の影響が「最も脆弱な人々/コミュニティ/地域への影響についても記載する必要がある」。また、五つ目の丸のところ、「PFAS他の難分解性、高蓄積性の化学物質の対応について明記すべき」というご意見。こういった危機的な状況をより明確に記載すべきだという意見をいただいております。
次、3ページに行きまして、(2)の下の丸でございます。経済社会システムの変革を進めるに当たって、誰一人取り残さない、公正かつ包摂的であることを確保することが必要というご意見、またその下の丸のところ、エネルギーの確保、安定供給は国民生活、社会・経済活動の根幹であるということ。また、エネルギー供給源の多様化の観点も重要、そういうようなご意見もいただいております。(2)の四つ目から六つ目の意見というのは、主に中小企業の社会的存在価値ですとか、役割をきちんと記述すべきだというご意見をいただきました。同じ3ページの下から三つ目と二つ目の意見は、市民参加が最重要課題だというようなご意見ですとか、多様なステークホルダーの意思決定の関与、意味のある参加を推進する必要があるというようなご意見をいただいております。
次、4ページに行きまして、(3)環境政策の原則・手法というところで、一つ目の丸ですが、科学的知見に基づく意思決定ということで、最新・最良の科学の尊重、将来世代への影響ですとか、あと世代間・世代内倫理の視点を原則について明記すべきだというご意見をいただきました。その下、(4)重点戦略の環境政策の展開への意見でございますが、まず一つ目の丸ですが、企業の環境情報開示に係る取組の支援・促進策として、例えば①サステナビリティ情報開示ですとか、温室効果ガス排出量算定・公表制度との連結性とか、整合性を確保する必要があるのではないかと、そういうご意見をいただいております。その下の丸ですが、サプライチェーン上流の情報、下流の企業、最終的には消費者まで提供するということは、個々の企業努力だけでは難しいということで、政策の検討が不可欠であるということ。また中小企業の情報開示には支援が必要だというご意見をいただきました。
次、5ページに行きまして、最初の5ページの一つ目と二つ目の意見というのは、公共交通ですとか、モーダルシフトの重要性の指摘でございまして、それらを明記すべきだというご意見をいただいております。その下の三つ目から六つ目までの意見というのは、主に環境教育、ESDの重要性を記述すべきだというご意見をいただいております。
資料1は以上でございます。
続きまして、資料2をご覧ください。こちら総合政策部会で関係団体や地方公共団体、事業者、有識者などからご意見をいただくために、21団体、5名の有識者に対して、計4回に分けて、この表に記載をされている皆様にヒアリングを行った結果をまとめたものになります。その中にはユース3団体も含めております。
それでは2ページをご覧ください。
最初の一丸目ですけども、脱炭素、資源循環、生物多様性という三つの軸の重要性が書かれているけども、それらのコンフクリトですとか、シナジーとか、そういうものをもう少し具体的に書いていただきたいというご意見。上から三つ目ですが、企業競争力の観点で危機的状況にあると。そのためにはスピードが大切であるというのが三つ目、四つ目のご意見でございます。同じページの下から二つ目ですけども、EVシフトによる大手工場の撤退などが大きな問題となっているということで、「環境・経済・社会の統合的向上」について、具体的な方向性を示してほしいというご意見。最後のところですが、気候変動への対応による産業の変化を、脅威ではなく機会として捉え直すことが重要だというご意見。
次、3ページ行きまして、最初の一丸目ですが、「衡平性」ですとか、「包摂性」の原則を遵守して、とりわけ若者の参加機会を確保することの重要性を明記すべきだというご意見。その下ですけども、環境課題におけるシナジーですとか、トレードオフについて統合的な施策の展開をする必要があると。三つ目も同じようなご意見でして、例えば多様性ですとか、気候変動ですとか、その両者の同時解決の視点が重要であるというようなご意見をいただいております。あと、このページの一番最後でございますが、環境保全のための革新技術の実装にはコストアップが必要となるので、社会全体で負担するコンセンサスの形成が必要であるというご意見。
続きまして4ページでございますが、一つ目が環境対策にはコストがかかるので、広く社会全体で公平に負担する仕組みが必要というご意見。
二つ目の丸は「化石燃料依存の低下」は推進したほうがよい、安定して安価な電力を供給することは安全保障上も重要であるということで、化石燃料に依存するのはよくないというようなご意見でございます。
五つ目のひし形のところですが、こちらは市民をいかに巻き込むかという側面にフォーカスを当てて支援をしたりとか、意見交換会の場をもっと多く設けたりしてほしいと。それを定着させる広報戦略などを、ぜひ企業などと連携して推進してほしいというようなご意見がございました。
次、5ページ目の多くの意見はユースの方のご意見でございまして、若者の参加が形骸化しているので、若者の声をどう政策に反映させるかと、そういうことについてのご意見が多くございました。また若者を起点として、次の世代の消費活動をどんどん変えていくということを計画に盛り込んでほしいというようなご意見をいただいております。
その下側の(3)のご意見の一つ目ですが、システムチェンジは1社ではできないので、カーボンプライシングのような段階的な義務化が必要というご意見。
次、6ページ目へ行きまして、こちらも同様の意見で、カーボンプライシングで国産グリーン水素などが進展する形に、より明確なシグナルを発信することが重要だというご意見。その下、脱炭素に関して、削減貢献に対する評価ですとか、透明性のあるルールづくりの開発が必要だというご意見。二つ目、三つ目も同様のご意見でございまして、これは鉄鋼の関係ですが、製品を作る際に環境保全の革新技術を導入するに当たって、省CO2効果、環境価値を可視化するということがグリーン市場の確立に必要だというご意見。その下ですが、脱炭素・価値向上には追加的コストの内部化、見える化、見せる化の努力が必要で、市場が環境価値を享受するような需要創出政策に期待をしているというご意見。その下が再エネの主力電源化の政策を期待するというご意見。五つ目のひし形と六つ目のひし形は、よく似たご意見でございまして、都市と地方のシナジーを創出するには中間支援組織に対する支援体制の強化というご意見ですとか、六つ目のところは地域の人と対話し、資金のニーズを見極め、様々なセクターと連携するという中間支援が重要ではないかというご意見。
次に7ページ目、一つ目ですが、都市交通計画「SUMP」を全国に広げることの重要性、公共交通への重要性を明記すべきだというご意見。二つ目から、このページ全体についてはネイチャーポジティブに関する意見を多くいただいておりまして、経済的インセンティブの付与ですとか、自然資本のさらなる評価指標の開発、あと持続可能性が担保された木材へシフトしていくことが必要だというようなご意見をいただいております。
次、8ページ目、上から二つ目でございますが、公正な移行に資するような政策をきちんと打っていくことが必要。
三つ目についても同様のご意見でございまして、公正な移行を課題とする地域を優遇するための補助金などの支援が必要だというご意見。下から三つ目の黒い四角でございますが、これはスタートアップへのご意見でございまして、リスクを取っているスタートアップにより有効な支援を期待するというご意見。一番下のところにつきましては、技術開発支援について先行して取り組む企業へのインセンティブを検討してほしいというご意見。
次、9ページ目、一つ目がケミカルリサイクルに対する支援を要望するご意見。あと真ん中の(4)から重点戦略を支える環境政策の展開ということで、展開に関するご意見ということで一つ目の丸が、反応性窒素、リンについてマテリアルフローを一体的に管理する体制の構築と対策の必要性について、物質循環の実現に関するご意見。その下、多様な主体の持つ環境データの相互利用を促進する仕組みづくりが必要であるというご意見。最後のところが、デジタル技術・ソリューションのスピード感ある社会実装、社会的受容のギャップを埋めていくような政策に期待というようなご意見。
次、10ページ目でございまして、最初の黒いひし形のところが、幅広い国民や若者が意見を持って議論に参画したくなるような広報戦略、教育の施策が必要というご意見。三つ目のひし形のところですが、これも環境教育に関するご意見で、中間支援組織のコーディネーターによる外部人材、地域の非営利団体、環境団体などの活用ですとか、リカレント教育の推進ですとか、自然体験による休暇制度など、政府主導ではなくて企業が主導し政府がバックアップするような体制を構築することが重要であるというようなご意見をいただきました。
資料2としては以上でございます。
続きまして、資料3をご覧ください。こちらは11月21日に開催をいたしました中央環境審議会第31回総会における主なご意見でございます。こちら全体的に記述や方向性に賛同するご意見を多くいただいております。まず一つ目の「勝負の2030年」という記述については重要な機会に直面しているというような認識はいいんではないかというご意見ですとか、あとこの1ページ目の下から二つ目、自然資本、ウェルビーイング、「新たな成長」といった新たな概念で次の環境を考えるというのが明確に打ち出されていてありがたいというご意見。また、その下、環境・経済・社会の課題を統合的、横断的に六つの戦略がうまくバランスよく示されている、「新たな成長」や「ウェルビーイング」とか、分かりやすいキーワードが設定されている、というような方向性について賛同いただくご意見をいただきました。その一方で、その上から二つ目ですが、非常にスピード感が足りないですとか、具体的にクリティカルな10年でやるべきことに言及するべきというご意見。その下、人口減少に伴って2050年には20%が無居住地域になるので、中長期的な土地利用のマネジメントを行う問題提起が必要というご意見。そのほか自然資本の状態の指標を求めるようなご意見もいただきました。
次に2ページ目に行きまして、こちらに2ページ目は主に「ウェルビーイング」に関するご意見を多くいただきました。上から五つ目のところですが、ウェルビーイングが最重要項目になっているのは賛同すると、今後指標をつくることを検討するに当たっては多様性、多面性というような要素を図れるようにするべきというご意見。その下ですが、現在世代のウェルビーイングだけではなく、将来世代のウェルビーイングも考えるということであり、将来世代の公平性を考慮すべきというご意見。下から三つ目ですが、全体として違和感なく賛同すると。だけども絶対的デカップリングが達成しているか、モニタリングをするべきだというご意見。
次、3ページ行きまして、冒頭でございますが、シナジーは重要だがトレードオフの考え方も盛り込むべきということで、トレードオフを回避するためには、政策決定のかなり早い段階で検討が行われるような仕組みを入れる必要があるのではないかというご意見。真ん中の五つ目の丸ですが、政府・市場・国民の共進化について、国民の意識醸成が先ではなくて、政策で誘導するという点をしっかり書くべきだというご意見。下から三つ目が環境NGO、環境団体の役割が大きい、そうした位置づけを明確にすべき。下から二つ目が民間企業が重要なプレーヤーであるというような位置づけをしっかり書くべきというご意見。一番下が国民の目線でチェックして、国民も参画するということで、それぞれ下のほうの三つは主体の役割をしっかり書くべきだというご意見をいただきました。
次、4ページ目、真ん中の(4)の重点戦略の展開の二つ目のご意見ですが、脱炭素の大きな鍵は基幹エネルギーだと、再生可能な発電に切り替えていくことに加え、広域での基幹発電や送配電についても進められるような十分な投資をお願いしたいというご意見。下から三つ目ですが、行動変容を起こす情報提供、環境教育の重要性を明確に位置づけるべきというご意見。下から二つ目については、地域の再エネの参画を促すような国土利用や法制化をお願いしたいというご意見。一番最後につきましては、9月に採択されたGFC(Global flamework on Chemicals)は化学物質管理の考え方ということで、取り入れていくほうがいいというご意見をいただきました。
資料3としては以上でございます。
続きまして、資料4をご覧ください。こちら、こども家庭庁で実施をしていただきました、子どもや若者へのアンケート、オンラインでのヒアリングに関する意見をまとめたものになります。なおアンケートについては小学生、中学生、高校、大学生と割と満遍なく聞いていただいたものになりまして、結果としては7ページをご覧ください。
こちら、例えば30年後の世界の環境はどのようになっていると思いますかということで、6ページによくなっている、変わらないというところがあるんですが、そちらは少なくて、悪くなっているというところの意見が多くなっておりまして、地球温暖化が進行し悪くなっているというご意見で、例えばどういうご意見があるかというと、悪くなっているの上から二つ目ですが、私たちの世代が将来の世代に、なぜ何も行動を起こさなかったのかと責められつつ、過酷な地球環境の中で知恵を絞りながら生活しているというのが現実的かなというようなご意見ですとか、気候変動やプラスチックのごみなどの問題は悪化していくばかり、今未来のことを考えるのが怖いですとか、悪い未来しか想像できないということで、多くの子ども、若者について明るい展望を持てていないというような意見も出ております。次、8ページ目で、こちらグラフで、次の環境問題について、どれが生活を脅かすと思いますかということで、気候変動、汚染について9割が、それらが脅威となるという回答をされております。その下でございますが、日本の環境問題に対する取組について、あまり進んでいると思わない、全くそう思わないが、4分の3を占めておりまして、政策に対して否定的なご意見が多いという状況でございます。
以上でございます。
○大倉課長 続きまして、資料5をお願いいたします。第六次環境基本計画の構成についてということでございます。
中間取りまとめでいろいろご議論いただきましたけれども、今回この構成案、それにぶら下がる政策についてご意見をいただいた後、次回の総合政策部会で案文を示したいと思ってございます。そのための土台になるものと思って見ていただければと思います。大きくは4部構成になっておりまして、第1部は、まさに中間まとめでご議論いただいた現状・課題認識とビジョン、第2部が向こう6年、特に2030年までに資すべき重点的な政策分をまとめたと。第3部は、その重点的な政策も含めてになりますが、基本計画でまとめるべき環境行政、環境政策の全体系を包括的にまとめるもの。第4部が進捗管理というものになります。
順に1ページ目からお話ししますけども、第1部ですね。これは先ほど申し上げたとおり、中間取りまとめでご議論していただくことが中心になってございます。先ほど計画官のほうから申し上げたとおり、中環審の総会等でも、非常にサポーティブなご意見が多かったので、大きく変えるところはないかなと思ってございます。第1章のところ、1の(1)ですね。これは非常に総合政策部会でもご意見いただいていますけども、現状の危機感についてはしっかり書き込もうと思ってございます。2です。環境、経済、社会に関わる複合的な危機や課題ということでありますが、この部会でもパブコメでも経済、社会、課題を先に書いたほうが読みやすいというご意見がありましたので、それを前に持ってきてございます。それと連動して、4番目の30年の環境行政の振り返りというところは、読みやすさの観点から後ろにまとめて書くことにしております。
第2章、1ページの下のほうです。これはまさに思想、哲学、ビジョンに相当するところでございますが、中間取りまとめでご議論いただいた1の目指すべき持続可能な社会の姿、循環共生型の社会というところでありますが、2の「新たな成長」というところは、基本的に中間まとめの構成に沿うのかなと思ってございます。めくっていただきまして、2ページ目、今後の環境政策の展開の基本的考え方というところでありますが、こちらのほうも基本的中間まとめのほうです。基本的に踏襲する形にしたいと思ってございますが、最初の環境危機との連動を踏まえて、(1)のほうに、環境危機を踏まえた原則理念的な対応というのを最初に持ってこようかなと。その次に統合とシナジーの話かなと思ってございます。
第3章、これ中間取りまとめはではちょっと具体的に書いてございませんでしたが、多分第二次計画以降、脈々と多分書いている原則とか、大事な手法であるところは第六次環境計画でも踏襲、発展させていくのかなと思ってございます。
続きまして、第2部でございます。環境政策の具体的な展開ということでございますが、先ほど申し上げたとおり、向こう5年6年ぐらいで重点的にやるべきところということでありまして、中間取りまとめです。第2章は重点戦略ごとの環境政策の展開でありますが、そちらの基本的考え方まではご議論いただきました。この第2章、まさに横断的事項、経済社会的な課題みたいなところを横断的に対応しようとするところでございますが、そういったところの具体的な政策分の項目リストを今回初めてお示ししております。2ページ目から3ページにかけてでございますが、最初の1の「新たな成長」を導くグリーンな経済システムの構築というところでありますが、(1)から(3)までございます。(1)が、まさに自然資本及び自然資本を維持・回復・充実させる有形・無形の資本に対する投資の拡大というところです。ちょっと誤植があって、の創造というのは消していただいたほうがいいと思います。(2)が、そういう投資を拡大するためのシステムをどうすべきか。金融等から公共調達、そこに公正な移行も入れてございます。(3)が、今回の計画の一つの重要なところになってくると思いますが、バリューチェーンの話を書いてございます。
大きな 2が、自然資本を基盤とした国土のストックとしての価値の向上ということでございまして、(1)が、国土の自然資本をいかによくするかというところの部分の政策を並べてございまして、めくっていただきまして4ページ目、(2)は、国土構造でございます。自立・分散型の国土構造を進めていくと。(3)が、そういった構造の下で、おのおのの地域がどうあるべきかというところを書いてございまして、例えばコンパクトシティ、コンパクト・プラス・ネットワークみたいなところが書いてございます。(4)は、これ共通的事項でございますが、いわゆる国土に関わる情報基盤の整備を進めていこうと。今回人材とか国土は全分野にわたって共通するところと思っていまして、それぞれ書き込んでいくのかなというイメージを持ってございます。
大きな3番、地域づくりでございます。(1)、まさに現在進行形で進んでいる地域脱炭素をはじめ、経済・社会的課題の同時解決を目指す政策を書くと。
(2)が、地域循環共生圏を支える無形資産、人とかコミュニティとか、そういったところの充実策を書くところにしております。
(3)が、これ五次計画以降、進んだところでございますけども、地域金融、その対象である中堅・中小企業のグリーン化というところを書き込もうと思ってございます。
(4)が、地域の視点での公正な移行というところを考えてございます。
(5)5ページ目になります。震災復興であるとか、水俣のような、いわゆる被災地域の振興ところも書き込んでいこうと考えてございます。
大きな4番、「ウェルビーイング/高い生活の質」を実感できる安全・安心、かつ、健康で心豊かな暮らし、というところでありまして、これは個人に着目したところでございますが、(1)が、これは伝統的な環境行政がぎゅっと詰まったところであるとは思います。いわゆる環境保全上の必要な防止を図るところでございまして、(2)が、それにとどまらない良好な環境の保全を書こうと思ってございます。(3)が、個人の行動変容を目指すところでございまして、今環境省で進めておりますデコ活のようなところも、こちらに書き込んでいくと思ってございます。
大きな5番です。「新たな成長」を支える科学技術・イノベーションの開発・実証と社会実装、というところでございますが、新たな成長のところでもニーズ主導というところを打ち出してございますけども、(1)(2)は、まさに需要側、ニーズ側に着目したイノベーションを進めていこうというところを書いてございます。(3)は、6ページ目になりますけども、科学的知見に基づく政策決定の基盤となる研究開発等の推進ということで、大事な科学的知見の集積とか、基礎研究、モニタリング等も入ってくると思いますが、そういったところを書こうと思ってございます。(4)が、最先端技術、そういったところの社会実装を進めていく。(5)は、五次計画から書いてございますが、「環境・生命技術」、バイオミミクリーの技術が入ってございますが、そういったところのカテゴリーでございます。
(6)が、これは政府全体の動きと共通していると思いますけども、スタートアップの支援というところを考えてございます。
大きな6が、国際関係でございまして、分断から協調というところを基本的な考え方でも書いてございますが、大事なルールづくりへの貢献というのが(1)でございます。(2)が、いわゆる環境協力の分野になりまして、途上国支援が書いてございます。(3)ですが、先ほど申し上げたようにバリューチェーンみたいなところが、今回の計画のキーワードかなと思ってございますが、経済安全保障の対応というのを書いてございます。(4)が、環境教育に限らない海外の市場獲得なども含めた、海外展開のような政策を書こうとしてございます。
ここまでがさっき申し上げたとおり、いわゆる横断的事項といいますか、各個別環境行政がまさに統合シナジーを発揮してやるべきだというところのことで、第3章でございますが、これは個別分野の重点分野というところでございまして、伝統的な気候変動であるとか、あと7ページになりますが、循環型社会の形成であるとか、生物多様性という、そういう個別イシューごとに書き分けるところでございまして、1、2、3は気候循環型社会、生物多様性については、個別の閣議決定計画がございますので、それを踏まえた形の計画になるのかなと。事細かに書くということはならないということでございます。
4の環境リスク管理です。化学物質管理とか、水・大気・土壌行政みたいなところは、個別計画がありませんので、それなりに詳しく書いていくところだと思ってございます。
5でございます。各種施策の基盤となる施策ということでございまして、環境行政の中でも、ある種の基盤的施策というものがありますので、環境影響評価であるとか、研究開発、環境教育、環境情報の整備というところを書いています。8ページに移ってございます。
6番目でございますが、東日本大震災からの復興・創生、今後の大規模災害発生時の対応というところで、ここも大事なところですので、ちゃんと書き込んでいこうと思ってございます。
第3部になりますけども、今申し上げた重点的なところ以外にも、計画に書き込むべき体系的な施策、文をちゃんとまとめないといけないと思っていますので、これはまさに網羅的に環境行政を整理していくと、こういったものをベースにして毎年の白書なんかも構成していくことになろうかと思ってございます。
最後、9ページ目のところ第4部でございますが、計画の効果的実施というところでございまして、いわゆるPDCAサイクルを書くところでございます。次の見直し時期をどうするかというところも書いていくところになろうかと思います。
ちょっと駆け足でございますが、以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございます。聞こえますか。大丈夫でしょうか。
ただいまの事務局からご説明をいただいた様々な意見、この間、意見募集、意見交換会、中環審総会での意見、いけんひろばで出された様々な意見ですね。これに加えて、先ほど最後に大倉課長のほうから第六次環境基本計画の構成について、ご紹介、ご提案がありました。これをまとめて意見の内容を踏まえて、特に第六次環境基本計画の構成案について、ご意見をいただきたいというふうに思っております。
毎回、大変恐縮ですけれども、できるだけ多くの委員にインタラクティブにできれば複数回ご発言いただきたいというふうに思っておりますので、発言時間は1回3分でご協力をお願いできればというふうに思います。
事務局のほうで準備をいただいて、会場にいらっしゃる委員にも見えるように、タイムスタンプが機能しますので、オンラインの参加の委員ももちろんのことですけれども、3分というご発言の時間にご協力をお願いしたいと思います。
それでは意見交換、ご発言をご希望の委員、会場の参加の委員は通例のように名札を立ててお知らせください。オンラインでご参加の委員は、お名前の横にある挙手機能の挙手アイコンを押していただくか、チャット機能でご発言の希望を教えていただければと思います。
それでは会場からお願いをしようと思いますけれども、大塚委員からお願いしてよろしいでしょうか。
○大塚委員 3分ということですので、ささっとお話ししたいと思いますけども、構成に関しては、今まで議論が多少あったんじゃないかと思いますけれども、第2部と第3部の関係が、こういうふうになっているのは、私はとてもいいと思っておりまして、第五次環境基本計画はとてもよく練れた計画だったと思っている一方で、ちょっと重点戦略を支える戦略ということで、従来環境行政としてやっていた、環境政策としてやっていたものが、ちょっと後ろのほうに固められてしまったような感じになっていたので、今回、第2部、第3部という形で、特に第3部という形で、これが明確に表に出てきているのは、環境省の政策としては大変大事なことだというふうに思っております。
ちょっと、それとの関係で一言言っておくとすると、公害が環境政策にとって不変の原点であるというのは、官房長とかもおっしゃっていることではあると思いますけれども、私はその言葉が結構好きなので、どこかに入れていただけると大変ありがたいかなというふうには思いました。
それから、その原則との関係で、一つか二つぐらいあるので申し上げておきますと、2ページの第1部、第3章のところですけども、未然防止原則との関係で、未然防止原則という法的な予防的取組方法の違いという話とかというのは、この中に出てくると思うんですけれども、未然防止原則との関係で気候変動は、長らく予防的取組方法の問題だったわけですが、その中で少しずつ取組が進んできたことは、とても、ある意味よかったし、遅れているということでもあるんですけども、今や、その未然防止原則の問題になった、つまり、危険性が人為的な原因で発生していることが明らかになったということが、IPCCの第六次評価報告書などで出てきていますので、そういう横的なアプローチと未然防止原則の違いプラス、その気候変動の位置づけの変化というのは、あちこちで既に言われていることだと思いますけども、ぜひ入れていただけるといいなと思いました。
それから、ちょっと事前に意見を出したので、あまり細かいことはもう言うのを止めようかと思いますけど、市民参加に関して根拠を出せみたいなことを、どなたかがパブリックコメントの意見でおっしゃっていたと思いますけど、環境法のほうでそういう議論はありますので、一応出しておきました。
例えば、気候変動とか廃棄物問題のように現代型の環境問題では、市民の日常的な環境負荷の低減が必要になるというところから始まって、幾つかの理由がございますので、ちょっとそちら今、細かいので言いません。けれどもご参照いただければと思います。
それから、将来世代との衡平の話も結構大事ですけども、これは国際法のほうの話で、高村先生がお詳しいと思いますが、将来世代の権利との関係で今年、マーストリヒト・プリンシプルズが出ていますので、そんなに権威のあるプリンシプルと言えるかどうか、ちょっと分かりませんが、一応今年それが採択されていますので、どこかで引用していただけるといいかなと思いました。
それから気候変動との関係では、先ほどおっしゃっていただいたように、温暖化の計画のほうが基本的には使われることになると思いますけども、これはちょっと私は地球環境部会長としては言っていいのかどうかちょっとよく分かりませんが、2℃目標とか1.5℃目標を達成するためのカーボンバジェットについての考え方を入れることについて、もし何か記載ができるといいなと思いつつ、ちょっとなかなか大変かもしれませんので、期待していることぐらいのことを、ちょっと申し上げておきます。
それから、公正な移行に関しても既に随分意見が出ていて、それもとても大事だと、もちろん思っておりますが、さらにちょっと私が時々言っているのは賢明な移行というのが必要かなと思っていまして、日本全体との関係で将来生活の環境を含めた、どういう対応をしていくことが必要かということ、例えばある産業だけを温存するための政策はあまり行き過ぎると、ちょっといろんな問題が発生しますので、というようなことも、賢明な移行ということもぜひ必要だなというふうにはちょっと思っております。
さらに法律家を巻き込んで、どういうふうに対応していくことかについて、例えばある種の話合いみたいなことを企業でなさることは、認めざるを得ないような気がしますので、独禁法との関係の問題とか出てくると思いますけども、そういう問題もぜひ早く考えないと、先延ばしをしていられないんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。
○高村部会長
大塚委員、ありがとうございました。
早くご退席の予定のある委員がいらっしゃいますので、そちらの委員から先にまず、ご発言をお願いしようというふうに思っております。
まず、井田委員、その後、オンラインでご出席の井上委員、そして、オンラインで同様にご出席の田中委員に、ご発言をお願いしようと思います。
それでは、井田委員、お願いいたします。
○井田委員 大丈夫でしょうか。聞こえている。大丈夫ですか。
ありがとうございます。すみません、立つ鳥跡を濁していってしまうので、ちょっと今日は早めに退席、戻ってくるかもしれないんですが、退席させていただこうかと思っておりまして。
COP28がありました。多分気候変動の危機のところ、最初の危機のところには当然言及されるべきだと思うんです。パリ協定以降、最大の成果だとか言われた、私、必ずしもそうも思わないんですけど、言われたものであったというので、これはやっぱり環境基本計画の中できちんと位置づけなければならない。
最大の課題は、もめにもめた言葉遣いのトランジション・アウェイという言葉なんですが、我々これ脱却と書きました。勝手に書いたわけではなく、いろんな人の意見を聞いて脱却という言葉を選んだんですけども、今日の環境省の資料を見ると移行と書いてあると。メディアは脱却と書いて、移行なのにけしからんとおっしゃっていた方もいらしたと。脱却でなくて移行であるとか、世界で30%なんだから日本でやらなくていいという方もいらっしゃる。35から60%というのも世界であるんだから、日本とは無関係だというようなことをおっしゃる方もいらっしゃる。それは事実だと思います。そういうふうにも読めるものが今回の決定だったと思うんです。ただ、私これはリトマス試験紙だと思っておりまして、脱却じゃなくて、移行だからとか、これ世界でやればいいんだからとかいって、次世代への責任というのを放棄するような行動を取るのか、あるいは子どもたちのアンケート、私は非常にショッキングだったんですけど、もう既に私たちの責任で、将来の子どもたちにこんな社会を残そうとしてしまっているという責任をきちんと受け止めて、気候変動枠組条約のプレスリリースのタイトルはCOPがシグナルを出したと。何のシグナルかというと、化石燃料時代の終わりというシグナルを明確に出したんだというリリースのタイトルだったんですけども、それを深刻に受け止めて、将来世代の責任をきちんと受け止めて、エネルギートランジションに、もうこれまでなかったようなペースで取り組むのかという姿勢が問われているのだということを、ぜひ認識した上でCOP28の記述を書いていただきたいと。我々国際社会において名誉ある地位を占めるとしたら、私はやっぱり次世代への責任というのを、きちんとこの結果を受けて果たすんですという書き方をしなければならないというふうに思います。
あと30秒あるので、細かいことをお話しさせていただきますけども、30年の振り返り、最初申し上げたとおり、失敗の歴史というのもきちんと明確に、我々はどこで間違ったかというのを書くべきだと。
あと原則のところなんですけど、これは汚染者負担の原則等と書いてあるので、当然書かれると思うんですけど、今、大塚先生がおっしゃったような予防原則のこととか、放射性廃棄物のこととか、福島のことを考えたらPPPとちょっと違うので、排出者責任という原則を書かなければならないし、プラごみのことを考えたらEPRという原則も書かなければならないというふうに思います。
あと、これは私フロンのことをさんざん申し上げたんですけども、我が国の優れた取組が脱フロン化の推進だとは私は思わないので、これに関してはちょっと意見を、これをここに書くことに関しては留保させていただきたいと思います。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインでご出席の井上委員、お願いできますでしょうか。
○井上委員 ありがとうございました。連合の井上です。声、大丈夫でしょうか。
○高村部会長 聞こえております。
○井上委員 よろしくお願いいたします。石上の後任で今回から出席させていただいております。よろしくお願いいたします。
私も今回COPに参加をしたのですが、まず3点申し上げたいと思います。
1点目は、公正な移行の実現についてです。今回のCOPでは、公正な移行に関する作業計画について、雇用、エネルギー、社会経済等の要素を含むこと、作業を2026年まで継続し、その時点で効果や効率性について評価を行い、継続を検討することなどが、決定をされております。今回の計画の中に公正な移行を入れていただいたことについては、感謝を申し上げます。その上で、事務局の素案では、第2部第2章の1番、グリーンな経済システムの構築、第2部第2章の3番、地域づくり内の(4)と、第3章5番、各種施策の基盤内の(3)環境教育・ESDの推進、④の3か所に公正な移行の記載があります。地域経済への影響やリ・スキングの対策はもちろん重要ですが、公正な移行は産業構造等の転換により生じる負の影響を予測し、最小化する、より幅広い考え方の基です。公正な移行を実現するためには、質の高い雇用の創出や、失業なき労働移動に加え、失業なき労働移動のための重層的なセーフティーネットを構築することや、様々な分野横断的な課題に取り組むこと、そのためには、国、地域、産業の各レベルで政労使を含む関係者が参加する社会対応が必要だと思っております。今回、この基本計画に含まれたことが重要な点であることは強調しておきたいと思います。
2点目は、環境負荷低減の付加価値化です。第2部、第2章、1番(3)において、バリューチェーン全体での環境負荷の見える化とありますが、見える化だけでなく、付加価値化まで含めた記載をお願いしたいと思います。環境政策の推進による便益は、広く国民が享受するものであります。環境に配慮した製品のコスト増加分についても、国民全体で広く負担すべきと考えますが、その際に単なる負担として認識をされるのではなく、環境に配慮しているという付加価値として認識されるよう、消費者の意識変容とも連動した記載をお願いしたいと思います。
3点目はジェンダー平等の観点です。今回COPのNGOのイベントの中で、気候エンパワーメントのための行動計画とジェンダー行動計画を通じて、全ての利害関係者が気候変動対策に参加できるようにすることというのが、極めて重要だというのが強調されました。ぜひ、今回の基本計画で強調されているウェルビーイングには、ジェンダー平等や多様性や包摂の観点が一層重要であるということを特に述べておきたいと思います。
以上です。
○高村部会長 どうもありがとうございます。時間も守っていただいてありがとうございます。
それでは、田中里沙委員にお願いしてもよろしいでしょうか。
○田中委員 田中です。発言の機会をいただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。
直面する課題と未来への展望の中で、確実に皆が危機感を持ってそれを共有する意識から、明確な記述がポイント的に入れられていて、多様な方々に対応できるところと感じております。同時に、今こそ本気度を高める、本気で取り組むという、ここが重要な点でありタイミングになりますので、これも既に様々な成果を出されて、リーダーシップを取っていらっしゃる企業や、NPO、組織、地域が、活動を数値でさらに見える化して、コミットメントが明確になるようにしたいです。また、創出した成果をさらに高めていけるように、例えばですけども、今回の資料にもあるカーボンクレジット、オフセットのところのグリーンカーボン、ブルーカーボンといろいろな内容がある中で、その仕組みや取引をさらに活性化させるような仕組みの強化が問われるところです。効果が実際に出ているのかどうか、公正な評価として活用できるのかといったことが、よく投資家の観点でも言われることがありますので、社会の共通認識となるエビデンスや資料をさらにそろえていって、使いやすくするということが有効と考え、ここは強調して入れることができればなと思っております。
また、今回多様なインセンティブについての記述もありますが、インセンティブは企業規模や業種によって捉え方や効果が異なりますし、スタートアップ支援もシームレスなというふうに書いていただいているんですけれども、このシームレスに加えて、優先順位や強弱のつけ方や、サポートの仕方というのも、すごく多様ですので、ここを、情報共有がしっかりなされるようになると良いかと思いました。グリーンボンドやESG投資の内容も進化していますので、その情報や中身がタイムリーに共有されて、国際的な動向が日本国内、地域にもスムーズに広がるような流れが担保されたらいいなというふうに思いますし、IRからFR、フューチャー・ジェネレーションへのリレーションということも今言われ始めましたので、ここが重視されるのだと思います。
もう一点は、こども庁のアンケートもありがとうございました。資料では未来にエコ不安を持っている若者がいるというふうなことも書かれていますけれども、最新のデータもかなり入っていますので、ここの中で特にやはり世論形成において重視していただきたいところというのを、適切にまとめることができればと願っております。
以上、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは会場に戻って、崎田委員、お願いしてよろしいでしょうか。
○崎田委員 ありがとうございます。それでは、私も事前に意見を出させていただきましたので、その中で特徴的なところだけ幾つか発言させていただきたいのですけれども、今回のパブリックコメントを拝見した中で、中小企業の社会的存在とか、地域循環の中での中小企業の重要性とか、地域の活動への貢献とか、支援の重要性など、随分そういうご意見が多いと感じます。実は私も都市型の環境対策の中での地域や中小企業の取組には関心を持って、いろいろやってきたんですけれども、今回の新しい計画の中でも、ぜひこの地方都市など含め、中小企業の役割というのは大変重要だというふうに考えています。
脱炭素化が大変課題にはなっているのですけれども、設備投資などを自らするというのは大変難しい状況ですので、金融機関と連携した事業評価とか、脱炭素化支援の連携の場づくりとか、そういう取組が今広がっていますけれども、そういうところもぜひ言及していただければありがたいというふうに思いました。実はCOP28、ドバイに行ってまいりました。そこでもジャパンパビリオンのセミナーで、日本の中小企業の脱炭素化に向けた東京23区の取組の発信をしてきたんですけれども、やはり全国的な機運醸成を考えて、しっかりと入れていただくことは大事だと思っております。
もう一点お話をしたいのですけれども、この基本計画の構成の中で循環型社会の形成が、3章の個別分野の重点的施策の展開というところで出てきます。今、循環型社会部会の第五次循環基本計画の検討にも参加をしているのですけれども、かなり脱炭素化とつながっている内容ですので、今回、ここできっちり分けるというよりも、その前の地域の環境・経済・社会の横断的な取組というところ、今も一応それのようなタイトルも出ていますけれども、あまり切り分けずにしっかりと内容を入れてくような形で、地域経営における脱炭素化においての循環型社会づくり、あるいは循環経済への取組みとか、そういうものの大事さに関しては、かなりしっかりと書き込んでいただいたほうがいいかなというふうに思っております。
ほぼ時間になりました。環境教育など、そういうところはまた第二ラウンドがあればしっかりお話をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは武内委員、お願いいたします。
○武内委員 すみません。多分これが最後の機会だと思って、もう一度同じことを申し上げるんですが、やっぱり今回の環境基本計画は、気候危機を深く認識すると同時に、それをエネルギー転換につなげ、かつそのエネルギー転換が地域社会の新たな豊かさの創造につながるという、この文脈をに大きな柱として、出していただきたいと思うんですね。
エネルギー政策というのは環境政策と、どうなるのかという辺りの話が多分気にされていることだと思うんですけれども、例えば、COPの議論を見たって、エネルギー政策と全く無関係な環境政策というのはあり得ないので、そういう意味の書き方というのが必要なんじゃないかなと思うんですね。特に海外に巨額の富が今のところ流出しているわけですね。それを脱炭素にすることによって、かつ再生可能エネルギーを国内で開発、展開することによって、そうしたものを大きく食い止めることができる。そして、そのお金を、言わば地方創生につなげるということを通して、これからの新しい日本の地域社会の在り方、それが環境基本計画の非常に大きな新しい意義ではないかというふうなことを、もうちょっと大きく打ち出して書けないのかなと思うんですけれども、これ私、今日の段階で見ても、そこまでいっていないという、言ってみると非常に残念な状況になっていると思います。
地域循環共生圏も、これを残していただくということ自体は大変ありがたいと思いますけれども、それが今のような文脈の中で、脱炭素だけじゃなくて、再生可能エネルギーをはじめとしたエネルギー転換をもたらすような地域の主体、ローカライゼーションというふうな話になっていくという形で、ドイツ型のシュタットベルケみたいな話にもつながるような話として展開されていくと、非常に流れがスムーズになるんじゃないかというふうに思いますので、もう一度、考え直していただきたいというふうに思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは豊岡委員、お願いいたします。
○豊岡委員 ありがとうございます。武内先生がすごく私の代弁のように、本当に言ってくださって、ありがたく思っています。それができないと、逆に計画はできないと思います。前回、山口委員がマネタイズはどうなっているんだというようなことをおっしゃって、意見交換の中でも、それが足りないがゆえに若者の活動も、藻場の再生もいろいろなものが滞っているにもかかわらず、そのことが、同じことを繰り返しても、また過去のようにやっぱり進まないというふうに、地域もやっぱり豊かにならないということで、本当にマネタイズとファイナンスとそれと利潤を生み出す手法ですね。そこをしっかり具体策としてやっていかないと、いつまでたっても会議と、それとパートナーシップという何ていうか、美しい言葉で、私もたくさんの会議とか、地方の会議から始まっていろんなところに呼ばれて、会議には参加しますけれども、そして主体はたくさんそこには参加をされているけれども、それを動かすエンジンである経済がない、お金を生み出せないがために動いていかない、持続しないという現実があるということに、もうそろそろ目を覚まさないと、何回いいことを書いても、いい計画を立てても、美しい言葉で飾っても、エンジンがない飛行機は飛ばないように、それができないと動いていかないと、私も強く思います。そして時間がないので、ここのところを、それがどうやったらできるのかというようなことも織り込んだ計画にしていかないと、今までのようにウェルビーイングというか、幸せになるんだというようなことを、正しいんだけれども、具体的にならないというようなことを、やってはいけないというか、私たちのこの子どものアンケートからも悪くなっているとしか思えないみたいなことを子どもに言わせてしまうようなことは、もうしてはいけないというふうに思います。なので、ここでしっかりと勇気を持って、踏み込んでいくということを、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、石田委員、お願いいたします。
○石田委員 私も事前にスピード感について、環境政策について、NDCに向けてという三点について意見を記載しました。今日は時間がないので、このうちの環境政策とNDCについてお話します。
環境政策において、気候変動は、人為的温室効果ガスの排出と因果関係がはっきりしたことで、予防的取組から未然防止の取組に移っているとのことですので、「国が積極的に対策を行う義務を負う」段階に入ったものと理解しています。従ってその義務を適切に遂行していかなければいけないと思います。主要な排出源となる主体について、脱炭素を宣言しただけで終わっていないかとか、1.5℃に不整合な対策を推進しているのではないかとか、裏で気候変動政策を後退させる行為をしていないかを国がモニタリングする必要があると思います。第六次環境基本計画の中でも、能動的かつ効果的に国の政策のサイクルを示すとともに、企業の対策についても支援をしていただきたいと思います。
次に、次期NDCに向けて何が必要なのかですが、足元で温暖化効果ガスの排出量が減っている結果を見て安心している場合ではないと思います。他国はもっとずっと速いスピードで行動しています。再エネの導入についても、平地面積当たりの導入量を強調して、他国と比較して日本の再エネ導入が進んでいますとか、これ以上限界だといった意見がありますが、これはミスリーディングだと思います。建物の上とか荒れ地とかEEZとか、まだ再エネの設置の余地がたくさんあります。これに対してどうやって環境負荷を抑えて導入できるのか、導入されればどのようなメリットが国民にあるのかを説明することに注力していただきたい。第六次環境基本計画の期間中に日本は次の温暖化ガス排出量削減目標、NDCを出すことになると思うのですが、ぜひともバックキャストで、いつまでにどの分野で何をすればどのぐらいの排出削減ができるのか、それによって日本のエネルギーコストがどのぐらいになって、エネルギー需給率がどこまで上がるのかについての分析が、最新の科学的知見を踏まえて客観性を持って行われること、そして、その結果を政府の中で共有するだけではなくて、国民、企業、自治体、国会、司法と共有されることを目指して、環境省にはリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、続いて河口委員、お願いいたします。
○河口委員 ありがとうございます。今の武内委員がおっしゃったことで、これに対するもやもやがそうだったのかということで、かなりクリアになりました。それで、やはり長期的にどういうビジョンとシナリオがあるのかなという、それが明文化されていなくても、そのバックボーンとしてそういうものがシェアされていないような気がするので、こういう政策があってこういうルールが決まったからこれをやっていますみたいな書き方になっているので、それ自体は悪くはないんだけど、要するにどういうことかというのが見えてこないところがあるのかなと。それでいろいろと、現状認識とずれているなと。例えば、環境先進国としてとかというのがページ5にありますけど、先ほどの若者の意見からいっても、日本は遅れているよねみたいな。それって60代以上ぐらいの人が持っている昔ばなしみたいな感じではなかろうかとか、あとページ24に勝負の30年とか書いているんですけど、この二つを見て何をいきっているのだと。国際的に見ても日本はどうなのというようなことですとか、あと国際社会に貢献する、これはすばらしいんですけれども、貢献する前にいろいろと世界の状況から遅れているという認識もないままに、貢献するというと、すごい何か裸の王様的なトーンになっているなということを危惧します。昔はそうだった、90年代はそうだったかもしれないというのを引きずって、書いているような気がするので、そこはちょっと書きぶりということを見直していただいたほうがいいのかなと。そこで課題になるのは、全般的に書いているのがやはり経済ということなので、その環境先進国としての理由づけが特許の数とかで、それはそれで事実かもしれないけれども、後ろのほうにもありますが、国民の認識というのが世界的に見ても出遅れているですとか、そういうこともちゃんと書いてあるんですよね。であれば、もう事ここに及んで、もっと国民の意識を変えなきゃいけないということと、それから全体のトーンとして、環境対策は昔はコストだったけど、メリットになります、マネタイズします、それもあるんだけれども、今や、やらないことが大変なことになるリスクだという瀬戸際まで来ている。これがCOP28でもSDGsの最新の情報でも、もうちょっとこれ以上やらないとやばいというトーンになっているにもかかわらず、そこがまだちょっとのんびりしていて、やたらマネタイズ、いいんだけど、何かいいことやろうよみたいなトーンになっているところが、国民にものすごく誤解を与えるというふうに思いますし、私もいろんなところで、いろんな方に最近エシカル消費ということでお話しすると、今の環境の状況とか、全て目からうろこ、要するに、環境省さんが出されていたことはほとんどみんなの頭に入っていないと。そこで皆さんにやっぱり危機感を持って取り組んでいただかなきゃいけないということになりますと、新しい成長もいいんだけれども、新しい経済社会というのがどうあるべきなのか、国民はやはりその生活を全部、いろんな形で見直さなきゃいけない。ウェルビーイングというのは今のようにたくさん服が買える時代がいいのか、環境省のサイトでもすごいたくさん服を買っているとありますけど、じゃないウェルビーイング、リフォームして着る喜びとか、そういうふうに質も変えなきゃいけないというメッセージを、ぜひ入れていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、堅達委員、お願いいたします。
○堅達委員 私もこれまで言ってきたことをもう一度言うかもしれませんが、やはり危機感が足りないということは、本当に今回改めて思いました。
先ほども井田委員からもあったとおり、COP28で、化石燃料からの脱却、10年でそれを加速するんだという相当強いメッセージが出たんですけれども、それがやっぱり感じられない。さすが4年連続化石賞受賞、今回は会期中に2回も受賞するという、この辺りのやっぱりずれ、自分たちは環境先進国だと思っているけれども、世間からはそう見られていないということは、もう一回肝に銘じていただきたいし、やっぱりIPCCの統合報告書以降も非常にこの夏の暑さもそうですけれども、悪い科学的データがいっぱい出ているんです。気候感度はもしかしたら上振れのほうに、より反応が強まるほうへ行っちゃうんじゃないかという新しい研究が出たり、西南極の氷の溶け方が本当にティッピング(ポイント)、もしかしたら近づいているんじゃないかとそういう研究が出たり、それに伴う今度は海面上昇とかも、適応の問題も、日本も他人事ではないわけですね。だから、この基本計画中に1.5℃を恐らく超えてしまうのではないかという、それくらいのスピードで進んで、オーバーシュートを少しでも少なくするというくらいのことを言われているときに出す計画だということを、もう一回見直してほしいというところが一点と、じゃあ、それで何をするのかというのがストレートに伝わらない。それはやっぱり、武内委員もおっしゃったとおり、これからの時代の新しい物差しというのが見えていないからだと思うんですね。それは、もう価値観の転換でもあるんですけれども、やっぱりこれだけの分厚い書類の中に、カーボンプライシングとか、カーボンバジェットという言葉が探さないと、というか書いてないんじゃないか疑惑もあるような、そういうことでは、やっぱりもうマーケットが動かない、本当にマーケットベースで動いていかないということが起きます。このままだと先に取り組んだ人が損をする、中長期的な道標がないというまま、今後のまた数年過ごしてしまうというのは、私はもったいないと思います。昨日たまたまのIGESの1.5℃ロードマップという、実は日本もちゃんと1.5℃に整合する道筋でエネルギー転換をしていくことができるんだという、そういう発表もあったわけですけれども、ぜひ、その最新の報告書の成果とかも取り入れて、国民に分かりやすい基本計画、メッセージが伝わるように、もう一度再考していただければと思います。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、小屋委員お願いいたします。
○小屋委員 構成について、今回、環境、経済、社会の統合的向上の視点であることと、基本計画のゴールのイメージを十分記載していただいていると感じています。今後、より一層、社会全体で取組を加速させる機運を高めるためには、やはり危機感に加えて、やらされ感ではなく、変革のチャンス、ビジネスチャンスと前向きに捉えられるようなメッセージを入れていただきたいと思います。
また、多くの若者からの意見にもありましたが、現状の悪い状況からよくなる気がしないという意見については、やはりトランジション期において、その移行期の具体的な中身の記載がかなり不足しているのではないかと思います。トランジションという言葉だけを聞くと、あまりいい印象がないかもしれませんが、これは賢明な移行であり、その移行の加速をすることが重要だと思っており、加速するための視点で2点、意見させていただきます。
1点目としましては、そのトランジション期におけるリアリティのある具体的なプロセスや、ステップの明示が必要不可欠だと思います。現在の記載では、ゴールは示されておりますが、そこに向かう道筋の明確化が不足しているように感じます。一足飛びでゴールに行ける策は全くありませんので、経済、環境、社会の統合的向上を図りながら、着実に変革を進めていくためには、途中のステップを示すことで、仮にスタートしたものの、離脱してしまう企業が第2歩、第3歩を踏み出しやすくなるのではないかなと思っており、変革を止めることなく、スピードアップにつながるのではないかと考えています。また、業態や規模によって多様かつ複数のゴールへの道筋があることを踏まえたリアリティのある具体策の明示をお願いします。
2点目は、中小企業も含めて、全員が参加できる計画の策定のお願いです。繰り返しとなりますが、環境とエネルギー政策が大きく変わる中、中小企業の中には抜本的なビジネス変革が必要になる企業がたくさん出てくると思います。企業の持続的な社会、生活を維持するためには、現行の事業と新たな事業変革を並行して進めていくことになります。このような企業を淘汰することではなく、変革を応援して後押しすることが、産業経済面では重要だと考えます。具体的な対策と支援をセットで検討し、併せてモニタリングや定期的な進捗点検もより丁寧に行っていただくようお願いいたします。
最後になりますが、現時点で具体例を明示するのは限界もあると思います。今後の追加策や変更など、柔軟に対応していく旨の記載も併せてお願いしたいと思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございました。
それでは、髙橋委員、お願いいたします。
○髙橋委員 ありがとうございます。今回の構成に関しては、特段よろしいかなと思うんですが、確かに根底に流れる思想的なものが少し物足りないなというふうに思って見ておりました。それに関しては武内先生のほうから、まさにストーリーがあるので、あのストーリーは私も全く納得するところだと思いますので、その辺りをもう少ししっかり心に留めながら書いていただければなというふうに思います。今回いろいろほかの調査をしていただいて、確かに子どもたちのこのアンケートの結果というのは、少し私たちも危機感を持ってちゃんと見なきゃいけないなというふうに思っております。特に北海道は、ここにあるように、もう既に夏が暑くて、夏休みのウエートを少し変えなきゃいけないと、休校もあって、そういうところもありますので、世界全体の認識もありますけど、局地的ではありますけれども、地域における気候変動の認識もしっかりしていただきたいなと思います。
先ほど武内先生のおっしゃっていた気候変動、エネルギー、地域の豊かさというようなストーリーからいくと、やはり地域の豊かさ的なものをしっかり書き加えないと、今回の環境基本計画というのは、やっぱり外に出ていかないですし、地域の皆さんの同意は得られないんじゃないかな、共感を得られないんじゃないかなと思います。その中で、やはりこの構成の3ページ目にありますとおり、国土のストックの価値向上、これしっかり書いていただきたいんですが、この国土のストックの価値のほとんどは、やはり地域が持っているというところがありますので、この価値を創造するために、特にここにあるような社会資本も含めて、その環境、河川環境、水環境の保全というようなところをしっかり書いていただきたいなというふうに思います。特に水環境、河川環境でいくと、河川環境の整備はNPOさんがやってくれるんですけど、河川の保全よりもコントロールに関しては、国土交通省の担当という形になってきます。先ほどのエネルギーと同じように、やはり国土交通省のところに、やっぱり少し踏み込んだ形で、国土の保全みたいなものを考えていく必要があるんだろうなというふうに思いますので、その辺りはしっかり環境省さんにリーダーシップを取っていただきたいですし、多少の染み出しは、ぜひ勇気を持って書いていただきたいと。
あと4ページ目の「ウェルビーイング/高い生活の質」のところにも、都市、地域の実現というふうにありまして、まさにコンパクト・プラス・ネットワークですとか、公共交通のリ・デザインというようなところもあります。この辺りも含めて、国土交通省とかなりバッティングするところもありますが、やはり国土交通省さん的にいくと、私もその審議会に出ているんですけど、やっぱり環境という言葉に対してちょっとまだ、一歩踏み出せないところがあるのかなと思いますので、ぜひ環境省としては、この公共交通も含めて、地域におけるその豊かさを、担保するための政策を、ぜひ環境面からしっかり書いていただきたいなというふうに思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、竹ケ原委員、お願いいたします。
○竹ケ原委員 どうもありがとうございました。お話を聞いて、ミッション、ビジョン、バリューとか、パーパス・ドリブン経営とかあって、この環境基本計画はどれに当たるんだというのがちょっと分からなくなってきまして、これは多分環境基本法があって、それに基づいて政府全体の環境政策の長期的な方向を定めるのが環境基本計画だと理解しているので、そうすると、ここで全てを決められる性格のものでもないような気はしているんです。だから、ちょっとその辺りは、後でちょっと補足をいただけるとうれしいなと思うんですけど。そういう意味で今回の本題は多分章立てだと思うので、章立てに関してコメントさせていただきますと、確かに大部になっているのでいろいろ新しい切り口が埋没している面はあるにしても、新しい考え方を示そうというところは、特に第2部の第2章のところの構成を見ても、やっぱり新しい成長とか基盤としてちゃんと自然資本を位置づけるとか、国土のゾーニングの話と地域の活用、最後ウェルビーイングと。いろんなコンセプトを次々と重ねていかれているところは、そういうことなんだろうなというのはよく分かります。そういう意味で章立てには異論がないという前提で、あとは細かいところをちょっと幾つかコメントさせてください。
1点目は3ページ、自然資本及び自然資本を維持・回復・充実させるための有形無形の投資を拡大する、これはすごく大賛成で、やっぱり投資は何であれ、やっていかなきゃいけない、それが多分経済との一体化ということだと思うんですけど、細かく見ていくと、なぜか資源循環関連施設の有形資産投資の拡充とか、有形無形と言っておきながら、何か特定の分野だけ有形にこだわっているような章立てに見えるんです。多分そういうことじゃないと思うので、ちょっとこの辺りは後で教えてください。
あと4ページの地域金融のところ、これ多分実際にハンズオンでやらせていただいての実感なんですけど、第五次環境基本計画で最も進捗があった分野の一つが、ESG地域金融に代表される地域金融機関の意識の涵養だと思うんです。ここはかなり大きな地銀に、まだ限定されていますけど、かなり進んでいて、これをいかに今度は信金深層まで広げていくかという、テーマは残っているんですけど、多くの地域金融機関はまさに再エネも含めて地域のポテンシャルを特定して、これをいかに循環させながらマネタイズしていくかという意識を非常に強く持ってやってくれていますので、これが結局地域のジャストトランジションの担い手である中小企業の業態転換とか、新しい成長を支えるような構図に、いかに持っていくのか、これまでの成果も含めてレビューしていただくといいかなと。
あと表題として、地域金融や地域の中堅・中小企業のグリーン化と書かれちゃうと、多分今はブラウンなので、これらをグリーンにしなきゃいけないみたいに響くものですから、ちょっとこの辺りはご検討いただけたらなと思います。
あと最後、OECMを書いていただいているので、これをやっぱり恒久化していくためには、やっぱり長期的な安定性がすごく大事ですので、少し制度化、例えば所有者が変わったときの承継権とか、いろんなことを多分制度化していく必要あるんで、この辺りもご検討ください。
すみません、オーバーしちゃって失礼しました。以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、続きまして棚橋委員、お願いいたします。
○棚橋委員 ありがとうございます。武内委員をはじめとして、いろんな委員の方々がおっしゃっていたように、私も脱炭素のことについてお話をしたいと思います。COP28があったときに、段階的な削減というのが、うまく合意形成ができなかったのもショックでしたが、同時にそのときに、イギリスの学者がティッピング・ポイントを迎えてしまったかもしれないという論文を出されたという、そういう報道がありました。それだけ非常にせっぱ詰まった状態にあるということだと思います。
私は教育現場におりましたので、教育の場で言えば、例えばフィンランドの小・中学校は、全ての学年、全ての教科で気候変動を必ず教えることが学習指導要領に示されています。それだけ、みんなでやらなきゃいけないよねという状況になる中で、今回の事務局案を見せていただくと、やはり脱炭素という記述があまりに少ないなというふうに思います。脱炭素という言葉は4ページ目の地域脱炭素の推進とありました。地域だけでできるわけがないです。国が旗を振って初めて地域が十分に動けるんですよね。国のどこが旗を振るかといえば環境省じゃないんですか。そういった意味で、ここは見直しをしっかりしていただきたいなというふうに思います。
いろいろな専門家の方々からの意見を聴取した中に、こういう言葉がありましたね。国民の意識醸成が先ではなく、政策で誘導するという点をしっかり書くべきだって。まさにこういうことだと思うんですね。今の小中学生は一人1台パソコンを持っていますから、簡単にこういった環境基本計画とか調べられます。中学生でも十分調べられます。ですから、それを読んだときに子どもたちが納得できるなと、そう思うような内容にしていただけたらなと思います。その意味でも脱炭素の記述があまりに少ないです。
ありがとうございました。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、馬奈木委員、お願いできますでしょうか。
○馬奈木委員 ありがとうございます。私は基本的に十分説明されているとは思うんですね。ただその一方で、コメントをいろんなステークホルダーの方に聞かれたら、伝わっていないというのが問題だと思うんですよね。文脈には書いているけども、今読んだ後、読まれていないのかもしれませんけど、あまり、それが反映されたようなコメントがなかったと思うんですよ。それを支えるような、この資料であるようなスライドの図のようなものがあればいいのかなと思います。または、その図を説明するようなものが、イントロに文字としてきっちりキュウシされればいいのかなと思います。それがあれば、今日皆さんが今、ご議論でおっしゃっているような懸念事項が解決できると思います。それは何かといいますと、大きく一つは自然資本だと思うんですね。前の基本計画では数度、自然資本という言葉がありましたし、その1個前では、たしか一度、二度あるだけで、生物多様性の矮小化した言葉だったんですね。それが各主要国と同じように足並みそろえて今、大きくやり始めたのがいい点だと思います。自然資本というのはネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミー、カーボンニュートラルという言葉にそれぞれつながりますし、海外の資源の依存ではなく、内部に地域循環共生圏を通じて、きっちり資源を保ちながら、雇用にも生かすという意味で、雇用も促し産業も育てるということにもつながるわけですよね。そうすると産業界からもプラスにも見えますし、結果として新しく入った言葉のウェルビーイングにも通じると思います。ウェルビーイングの議論では、コメントで、将来の世代に対するものがないとありましたけど、将来の世代を担保するアンケートで聞けないわけですから、子どもたちは。それは何かというと自然資本、人的資本、人口資本となるわけですから、そこら辺が分かるような文面ですね。今の世代はある資源でウェルビーイングを上げようと、それが自然、ネイチャーポジティブなどであります。将来世代に関しては、この蓄積されるストックの自然資本で上げていこうと。こういうものが図とともに最初の表現にあれば、誤解を生まないような考え方で伝わるのではないかと思います。
以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、山口委員、お願いいたします。
○山口委員 よろしくお願いします。皆様の今意見を伺っていまして、武内先生とそれから豊岡委員がおっしゃられたことは、私も完全に同意であります。まさに私がずっと取材してきたことを皆様がおっしゃられていて、やっぱり今、日本の地方でそういう新しい芽が生まれてきているんだと思うんですね。それはどういうことかというと、その地域、手元足元にある自然資源を地域の方が主体となって、自然を破壊せずに共生する形で生かしていけば、地域が元気になるということであります。
例えば秋田県は、今既に全世帯分の発電能力がある風力発電を地域の方が中心になって作っています。洋上風力が稼働する2030年には、県全体で、これは工業分野も含めて、再エネ100%になって、それ以降は、今までは農業などが主体でしたけれども、今度はエネルギーも地方が県外に輸出ができるようになります。ということで、非常に秋田県全体が元気になっております。私はこういう実例があるということは、すごく日本全体が勇気づけられるんだと思うんですね。
井田委員がおっしゃっていましたけれども、COP28というのはやっぱりいろんな国の方々が、明確なメッセージを打ち出されました。この10年で化石燃料からの脱却を加速するということと、2030年世界で再エネ3倍ですよね。このときに、やっぱり私は逃げちゃいけないと思うんですね。日本こそ、これを問われていて、日本こそチャンスが来たんじゃないかなと思っております。というのは、これまさに環境省さんが出されているわけですけれども、日本の再エネポテンシャルを出されていますよね。事業性を考慮しても、全電力の2倍あると。明記されております。こういうことを、この中に書き込めないものでしょうか。多分、多くの知らない人は、日本は再エネ資源がないんですよねとか、再エネは高いんですよねと言って諦めちゃうんです。そうじゃなくて、今自分たちが生かせる資源を有効に生かせるチャンスが来ているわけで、しかも高くない、リーズナブルに。今回の洋上風力の入札でも3円/kWhという下限価格での落札になりました。実態はコーポレートPPAだと思われますが、企業が長期で再エネを買ってくれるという時代が来ています。ですから、改めて申し上げたいんですが、この中にやっぱり、先生方がおっしゃるようにストーリー性が欠けていて、明確なメッセージを国が出すべきだと思います。COP28がやっぱり心に響いたのは、世界で再エネ3倍とか、日本もそこはできないかもしれませんが、そこを目指すとか、そこをうまく資源エネルギー庁さんと連携して、エネ庁さんもGXで150兆円、再エネと系統の整備に31兆円と出されているわけですから、官民の投資ですね。こことうまく連携して、環境省もぜひそこを補強するようなメッセージをここに書き込めないのかなと思いました。
私からは以上です。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
今、会場でご発言をご希望の皆様には今一巡、ご発言をいただきました。
それでは、オンラインでご出席の委員からご発言お願いをしたいと思います。
まず、淡路委員、その後、三好委員、山戸委員とお願いをしたいと思います。
それでは、淡路委員、よろしくお願いいたします。
○淡路委員 ありがとうございます。地域金融機関の千葉銀行の淡路でございます。
2点ほど申し上げたいと思います。まず、私も収集された意見を拝見して、中小企業についての発言が、指摘が多いなという印象です。崎田委員だったと思いますが、随分おっしゃっていただいて、私も重ねて、そこは強調したいと思います。地域の脱炭素の取組を支えるのは、地域の事業者であるというところについて、言及すべきだというふうに考えます。実際、私どもでは脱炭素につながるような、ファイナンスを推進しているところでございますが、その利用が昨年に比べて倍近く増えています。確実に中小企業の経営者の皆さんの関心が集まっておりますし、前向きに積極的に取り組んでおられるというふうに思います。意識も高まっていると思います。そして、私ども地域金融機関はそれを後押しする役目だと思っております。私どもで言えば、千葉の全体のグリーントランスフォーメーションを進めることに、お役に立ちたいという気持ちで進めているところです。その辺り、おそらく竹ケ原委員がご指摘くださったと思いますが、地域金融機関と地域の事業者とが力を合わせて進める地域の脱炭素というところに、どこかで触れていただけたらというふうに思います。
もう一点は、構成のところですけれども、意見の中で指標について、議論をこれから深めていくべきではないかという意見が資料の3にあったと思います。地域の方たちだけではなくて、関係する人たちが、どれだけ自分たちが脱炭素に関わって成果が得られたのか、それを表せるのは、目標じゃないかと思います。数字で表されると一番分かりやすいと思うのですけれども、その効果があったのか、なかったのか、どのぐらい成果があったのかということを実感することで、またさらにその活動に勢いが増してくる、そういう繰り返しではないか。こんなにいろいろやっているのに一体日本のCO2はどれだけ減ったのかよく分からないというような状況では、国全体のムードも高まらないのではないか。そういった、指標が、この計画の中のどの辺に、どのように入れられていくのかということがポイントではないかなというふうに思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、三好委員、お願いいたします。
○三好委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。私からは大きく三つお伝えしたいと思います。まず、いろんな意見を入れ込んでいただいてありがたいなと思います。第3部、第4部についてちょっと気になったところをお伝えしたいんですけれども、第3部の第1章1のところで、地球環境の保全と書いてありますが、これはあくまでも人間の生きる環境ということを、プラネタリーヘルスの考えを入れ込んで、できるだけ自分事にしていく必要があるなと思っていますので、そういう趣旨というか、そういうメッセージを入れ込んでいただきたいなというふうに思います。
たくさんの委員の方たちも、髙橋委員もおっしゃっていましたけれども、パートナーシップも非常に大事ですけれども、今この半年、1年くらいでも状況が大きく変わっている中で、リーダーシップが非常に必要だなというふうに感じております。環境省のリーダーシップもそうだし、国、地方自治体、NGOもそうですし、企業、中小企業もそうですし、それぞれのリーダーシップの発揮ということが重要になってくるということなので、そのことを全体的なメッセージとして書いていただきたいなというふうに思いました。政策として、大きな方向性だとかメッセージを強く書いていくということが、非常に重要だなと思っていますのでお願いいたします。
それから、その下にあります2番、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組ということで、ちょっと細かな内容までは分からないんですけれども、ちょっと私、この言葉遣いが若干腑に落ちませんで、今トランスフォーメーションとか全体的なシステムの転換をしなくてはいけないということが、総意だと思います。そのシステム転換、何から何へというと、やっぱりモノカルチャー、単一化、モノポリー、モノポライズするというカルチャーから、多面化、多極化、多様化、そういう方向に、それをベースとして、それを視点として、組み立てるシステムに変えていくということなんだと私は理解しています。そのことに、先ほど井上委員や皆さんがおっしゃられていましたけど、例えばジェンダーの話だとか、若者とか、少数民族だとか、中小企業も入ってくると思うんですよね。それぞれの役割があって、すみ分けをして、勝ち負けではなくて、発展していく。ジェンダーの問題は、男性優位から女性優位に変わりますねということではなくて、男性も女性もそのほかのジェンダーも、ということですよね。それがシステムの変換だと思いますので、ちょっとこの視点を、多様化する視点という、やっぱりその上に生物多様性も私はあると思っていますので、一方で利用という言葉もあるのかもしれないんですけれども、少し、ちょっと言葉を変えていただきたいということと、この全体的にシステムを多用、多面化、多角化するということに変えていくんだというメッセージが見えるように、そして、その視点を入れ込んでいきましょうということが見えてくるといいのかなということを思いました。武内委員もおっしゃられてました、エネルギー政策を打ち出していく必要があるということで、私も賛成しますが、そのエネルギーの中に石油や熱だけではなくて食も、人間にとって非常に大事なエネルギーですので、ちょっとその視点も入れていただきたいなというのがありました。
最後に第4部で計画の効果的な実施ということで、書いていただいて、多分これから細かく書かれていくと思いますが、ぜひ計画の実施のために戦略を立てる、どうしたら実施できるのかという戦略を立てて、それは当然見える化をして、点検をしながら実施する、どうしたらできるのかという戦略も入れ込んでいただけたらなと思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それではこの後、山戸委員、お願いいたします。その後、船越職員、奥委員と続けてお願いしたいと思います。
それでは、山戸委員、よろしくお願いいたします。
○山戸委員 ありがとうございます。今回、丁寧にいろんな方のご意見を取りまとめていただきましたことに改めて感謝申し上げます。
資料1ですが、第六次環境基本計画中間取りまとめに対する意見募集の結果の4頁の(3)で、「最新の科学的知見に基づく意思決定の重要性」が触れられています。環境政策に対する国民の共感、納得感を得る上で、科学的知見の最大限の活用が重要だと思っております。総論部分に明記いただけるように改めてお願いしたいと思います。
それから資料2、中央環境審議会総合政策部会と各種団体等との意見交換の結果についての、(3)重点戦略ごとの環境政策の展開の6ページにございました電機・電子4団体環境戦略連絡会の方からのご意見で、「削減貢献に対する評価が重要。政府体系への取込みも期待する。」という記載がございました。こういったご意見について私も賛成させていただきたいと思っております。こうした企業努力が環境政策の中で適切に評価され、後押しいただく仕組みを設けていただきたいと考えております。
それから資料5、構成案の3頁の1、(3)にございました、「バリューチェーン全体での環境負荷の低減と競争優位性の実現」について、2点申し上げたいと思います。
私どもはグローバルバリューチェーン全体での環境負荷低減が企業や製品の価値を左右すると考え、全力で取組を進めております。このため、1点目といたしましては、政府の皆様には、ソフト、ハードを含めた情報基盤の整備や、リサイクル、再生材の利用を含めたライフサイクルの考え方などを整理いただくことなど、全員が同じ考え方で環境負荷低減に取り組めるようにリードしていただければありがたいと考えております。
2点目は、資料5の1(1)にも書かれていますが、「再生可能エネルギーの最大限の導入」です。EUでは、製品のCO2排出をLCAで評価し、規制や優遇策に反映しようとする動きが始まっております。私どもは、日本のバリューチェーン全体でカーボンフットプリントを下げていく競争に直面しております。IEAのデータでは、2022年の再エネ率は日本で21.2%、EUでは38.8%と、日本のものづくりを海外で正当に評価いただく上で、大きな課題となっております。他方、産業競争力維持には、エネルギーの安価・安定供給も必要です。我が国において、再エネの適地が限られ、発電コストが諸外国と比べても高い点も留意する必要がございます。電力コストの低減を含めて、再エネの主力電源化に向けて強力な取組をお願いしたいと考えております。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは続きまして、船越委員お願いいたします。
○船越委員 すみません、手短に。脱炭素の件について、もう少し記載をすべきだということについては私も同感です。それは一つの最大のテーマだということですので、もう少し書かれるということについては賛成です。書かれるに当たって、やはりデータから入るべきで、実際のところ今の実績は、諸外国と比べても例えばドイツとフランスよりは、日本のほうが、オントラックで進んでいるわけですので、現状は進んでいるんだ、諸外国と比べて進んでいるんだという客観的な事実の記載から入るべきだと思います。その認識に立ったうえで、さらに今後進めていく上では、もちろん政策誘導が先か国民の意識変容が先かという問題はありますけれども、いずれにしてもそこで示されている問題は、脱炭素を進めるにはコストがかかるということですので、これを支援する政策誘導が必要で、そのときにどこに政策誘導するのが一番国民経済的に負担が少なくて済むのかといった、議論が必要だということを指摘欲しいと思います。即ち、脱炭素を進めるに当たっては、特に今後進めるに当たっては、コストがかかるということをしっかり述べて、従って効果的な政策誘導なりが要るんだといった章立てというか流れで、ぜひ書かれることをお願いしたいと思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、船越委員に続いて、奥委員にお願いいたします。奥委員の後に中村委員、白石委員と続けてお願いしたいと思います。
それでは奥委員、よろしくお願いします。
○奥委員 ありがとうございます。資料5を出していただけるとありがたいのですが。私から3点ございまして、資料5の2ページ、第1部第3章の原則のところですね。資料5、原則の部分ですけれども、こちら、環境政策の原則・手法というふうに第3章のところを書いていただいておりまして、そして1として、原則等というふうになっていますけれども、ここでは原則を明確に、日本が環境政策を展開していく上で寄って立つべき基本的な原則、考え方というものを明確にするということをここでしようとしているのであれば、例えば環境効率性というのは原則というよりはこれは指標ですよね。環境政策の進捗状況を把握する上での一つの指標なので、原則ではないのではないかというふうに思います。
それからリスク評価の考え方というふうにありますけど、これはリスク評価をした上でしっかりと対策を科学的な知見に基づいて講じていこうということであれば、それは未然防止原則に則った対応ということになりますし、リスク評価の結果を待つまでもなくリスクが顕然化する、顕在化してしまうおそれがある場合には対策を未然に、予防的に講じていこうということであれば予防原則の考え方になりますし、なので多分(2)のところでは現行の第五次環境基本計画を見ますと、未然防止の話と予防の原則の話、両方入っているんですね。なので、そこは原則を明確にするという意味では未然防止原則と、それから予防的な取組方法というふうに今まで言ってきていますけれども、私は予防原則というふうに明確に書いていくべきだと、日本もそれを原則とするんだということを、この環境基本計画で明らかにしていただきたいと思います。ほかの方もおっしゃいましたけれども、(3)の汚染者負担の原則、これはそれでいいんですけれども、そこから派生したものとしての拡大生産者責任の原則もありますのでそれも明確にしていただきたいというのがまず一点目です。ちょっとここは原則等という「等」がついていて、何かおかしな整理になってしまっているので、もう原則をここではもう明確にしっかりと全て打ち出すということでお願いしたいというのが、1点目です。
2点目は3ページのほうに行きまして第2部第2章のところで、3ページですね。ここですね。自然資本を基盤とした国土のストックとしての価値の向上、これに関わる内容は、既に今年の7月に閣議決定されています、国交省で所管している国土形成計画のほうでも、ほぼ同様の中身といいますか、同じ問題意識でもう計画の中に盛り込まれているところかと思います。国交省の国土形成計画を見てみますと、自然資本という言葉も28回ぐらい出てきたり、地域循環共生圏についても言及が6か所ぐらいあるんですね。なのでそこで書かれている内容と整合も図りつつ、そこからはみ出ると言いますか、そこで十分に抑えられていない内容をこの環境基本計画で何をどこまで書くのか、そこはちょっとしっかり整理していただければというふうに思っています。
最後に、ちょっとすみません時間が過ぎていますが、3点目は7ページなんですが第2部第3章、4の(2)、これ化学物質管理のところで、②情報に基づく意思決定と行動を支援する知識・データの作成云々というふうにあるんですが、これ化学物質管理だけではなくて、環境政策、特に生物多様性ですとか、環境アセスですとか、そういったことにも共通する考え方だと思うので、化学物質のところだけに押し込めるのではなくて、もう少し全体に通じる話として、共通部分に書いていただけるとありがたいというふうに思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは中村委員、お願いいたします。
○中村委員 ありがとうございます。再生エネルギーの導入、脱炭素について異論はないんですが、この委員会で過去に言ったと思うんですが、現実には国土計画上は、再生エネルギーの導入と生物多様性の問題は、非常に多くのところでバッティングというか、矛盾が生じていると思います。脱炭素とか再生可能エネルギーの導入を考える際には、同時に生物多様性の保全を達成するような形の議論をきちんと明記していただきたいなと思います。北海道でも、太陽光パネルだったり、風車であったり、生物多様性に対して多くの問題をつくっている事例が多くあります。
それから、NbSについては書かれてあるんですが、ぜひSIPでもグリーンインフラが今サブ課題として取り上げられていて、環境省のほうでも言わば政策を協力してやっていくという形になっているので、グリーンインフラであったり-Eco-DRRの議論を書いていただければなと思いました。
それから、30by30は書いてあるんですが、30by30だけでは、基本、ネイチャーポジティブにはならないと思うんですね。現状の良い生態系を認定するシステムですので。そういう意味ではもう一つ、劣化した生態系を、その30%を再生するというのを昆明モントリオール条約の中で採択していると思いますので、ぜひ劣化した生態系の再生についても、書いていただけるといいかなと思いました。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは白石委員、お願いいたします。その後、男澤委員お願いいたします。白石委員、よろしくお願いします。
○白石委員 どうもありがとうございます。
私、化学物質のところで若干コメントさせていただきたいと思います。既にコメントがあるところなんですけども、現状認識のところで、資料5の4番、(5)のところに引き続き課題が残る環境汚染、化学物質管理と挙げていただいているんですけども、最近、ICCM5、第5回国際科学物質管理会議、9月にGlobal flamework on Chemicalsというものが採択されておりますので、それはここに取り入れていただきたいと思うんですが、その部分を少しアップデートしたものを提示していただきたいというお願いです。それを基に、全体後半を変えていけばいいのかなと思いますが、3章、個別分野の重点的施策の展開というところで、化学物質管理のところを今ご指摘がありましたけれども、1から5番まで、能力、制度、整備云々、意思決定プロセスへの統合、この五つはそのGFCの五つの戦略がそのまま書かれているということで、ここが取り組まれているということもありますので、一番初めのストーリー的にはそういった構成にしていただきたいと思います。
私、1点だけ若干気になるのが第2章、重点戦略ごとの環境政策の展開のところで、化学物質が書かれているんですが、多分これは引き続き課題が残る環境汚染及び化学物質の管理を多分対応するものじゃなかろうかと思いますけれども、化学物質による生態系へのリスクの最小化・汚染の防止ということで、かなり生態系への汚染だけに特化されているということで、人の健康、いわゆる大気汚染とか、環境汚染問題を含めて、そのリスクの最小化・汚染防止ということではなくてもう一歩踏み込んで、今回の環境基本計画の基本的な理念だと思いますが、自然との共生とか、そういったものを含めたようなタイトルにしていただけたらありがたいなというふうに思いました。
あと1点、これは「プラネタリー・ヘルス」の概念を踏まえた化学物質対策というふうなことで多分やられていると思うんですけども、多分初めて載せられると思うんですが、これを加えられたというのは非常に感謝しているということです。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは男澤委員、お願いいたします。
○男澤委員 ありがとうございます。
本当に様々な意見を取り入れていただきまして、どうもありがとうございます。
その中で第2部第2章、重点戦略ごとの環境政策の展開という項では、財務情報の開示の仕組みについても触れていただいているところです。この観点から1点意見を申し上げます。
ご承知のとおり、サステナビリティに関する投資家からの情報ニーズ、非常に高まっておりまして、この2023年6月には国際サステナビリティ基準審議会が、サステナビリティ開示に関するグローバルベースラインとなるIFRSサステナビリティ開示基準を公表したところでございます。また我が国においても、財務会計基準機構の下に設置されたサステナビリティ基準委員会による基準開発が進められているところです。こうした動きとともに、我が国の制度開示書類である有価証券報告書において、サステナビリティ情報の開示が義務付けられるなど、企業グループ単位でのサステナビリティ情報の年次報告が求められるようになってきております。このように、企業の情報開示やそれに伴う取組は拡大しております。今後の環境保全に関する施策を進めていく上では、こうした企業の取組を支援し、効果的かつ効率的な環境情報開示を可能とするための政策を進めることが非常に重要であると考えます。それを具体的な環境政策の展開ということに落とし込んだ場合、既に環境省では、気候変動に関する企業の取組を支援するために、例えば、シナリオ分析のサポートですとか、CO2排出量の測定、削減に関する検討等を進めていただいているところでございます。こうした支援を今後も継続拡大していくことで、民間資金、民間活動を通じた面的な対応が可能になると考えられます。
また2023年9月には、自然関連財務情報開示タスクフォース、TNFDですね、このフレームワークの最終提言も公表をされております。これを踏まえますと、今後は気候変動だけではなく、自然全般についての開示と具体的な対応が広く広がっていくことが予想されます。多くの企業においては、自然や生物多様性の評価に関するノウハウがまだ蓄積されているとは言えませんので、こうした取組を支援していくことで、企業の対応を加速化することが可能であると考えられます。例えばスコープ2、3に関する排出係数情報の環境整備ですとか、気候変動のシナリオ分析や生物多様性インパクト評価等のサポート、こうした政策に関しても少し踏み込んでご検討いただければと思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。今、会場そしてオンラインでご発言希望の委員には全てご発言をいただきました。
まだご発言されていない委員で、ご発言希望の委員がいらっしゃいましたら、教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
皆様のご協力で、おそらくもう一回ご発言いただく機会が、全員とはいかないかと思いますけど、あると思いますけれども、よろしいでしょうか。
それではまず一度事務局にいただいた意見について、何かコメント、お返しがあればと思います。
○大倉課長 最後に。
○高村部会長 竹ケ原委員からの質問があったと思いますけれど、よろしいですか。
○大倉課長 多分全体に共通するような。
○高村部会長 分かりました。了解しました。
それではもう一回オープンすることができそうですので、先ほどのご発言で、追加でご発言ご希望あるいはほかの委員のご意見を伺われて、発言をご希望の委員ございましたら、会場はもう立てていただいていますけれども、名札を立てて、オンラインの皆様は手上げ機能を使って教えていただければと思います。
それでは、よろしいでしょうか。大塚委員からお願いいたします。
○大塚委員 今、最後のほうで言われた財務情報の開示の件との関係というのは、排出係数情報等の指標とか測り方に関して、企業は特に生物多様性との関係ではお困りになっていらっしゃると思いますので、環境省がそれがどのぐらいできるかというのはなかなか難しいかと思うのですが、それはちょっと、今回計画に書けるかどうか分かりませんが、ぜひ対処していただきたいと思います。できたら書いていただきたいですけど、ちょっとどのぐらいできるかという問題があるかもしれませんが。
それから先ほど来、この地域循環共生圏的な地域を豊かにするということとの関係で、方向性を出すというのは、ご意見は結構多数を占めたと思いますが、私も大賛成ですが、ちょっと今これどこのあれだったか分からないですけど、スライドで第6次環境基本計画の骨格というのがどこかにあったんだと思うんですけど、その一番下に書いてある地域循環共生圏の構築の話がその話と非常にリンクしているので、それをもうちょっと大々的に書くということかもしれませんけども、今回の計画は地域循環共生圏自体は第5次に既に出していたので、それにプラスして政策統合というところが結構今回は大きいのと、あと全体の目標として現在の将来の国民一人一人についてのウェルビーイングいうのを目標にしたというところが結構今回大きかったところだと思っていますが、この政策統合との関係では、この数年間の間にESGが非常に広がり、さらに、これはEU発ではありますけれども、タクソノミーとか、さらに再生材の活用に関して新しく製品を作るときに再生材を一定%使わなくちゃいけないという義務付けの話とかが出てきたり、そういうサーキュラーエコノミーの話とか、あと人権・環境デューディリジェンスの話とか、そういうのが出てきて、市場において環境政策を取らざるを得なくなっているということで、経済産業省をはじめとして、ほかの省も一生懸命環境政策をとらざるを得なくなったということもあるかもしれませんが、お取りになるようになったので、そこの政策統合の話が結構出てきたのが今回実は大きいわけです。第五次のところとちょっと違ってきている話。それが結構強調されているんですけど、ちょっとそれがあまり伝わっていないのかなという。私は大倉さんに頑張っていただいて、環境省は頑張っていただいていると思いますけども、そこはちょっとまだ伝わっていないのかなという感じでちょっと受け取りました。その政策統合との関係では、私ちょっと一つ付け加えていただきたいのは、グリーントランスフォーメーションはまさにその政策統合の一種なんですけども、産業政策と環境政策が統合していると思いますけども、そのときにその環境政策が埋没しないように、ほかの政策に埋没しないようにちょっと気を付けるという話はどこかに書いておいていただきたいなという気はいたしました。
あと、ウェルビーイングの話は、全体の目標との関係での話で、将来のというのも実は既に入れていただいているので、これ議論しているときに、ウェルビーイングの指標とかの話をし出したときに、どうしても現在のウェルビーイングのことだけを考えて議論が進む可能性があるので、ちょっと気をつけなければいけないということで、さっき馬奈木先生が言ってくださったことはまさにその話で、自然資本とも関係する話でございます。それが一つです。すみません。
二つ目ですけども、奥先生が言ってくださった話は、私もちょっと似たところにいますので、全て共感しますが、一言だけ言っておくと、これは後で大倉さんがお話しになるかもしれませんが、資料5の2ページの第3章のこの1の枠組みは、第二次環境基本計画ぐらいからか、変わっていないので、いろいろご異論あると思いますが、原則等とですけど、考え方自体がそんなに計画ごとに変わっていくわけでは必ずしもないと思うので、変えちゃっていいかどうかというのは、政策的な判断があると思いますので、ちょっとそれは一言だけ申し上げておきたいと思います。
7ページの4の(2)のところは先ほど中村先生にご指摘いただいたように、これはGFCの枠組みをそのまま書いてあるので、情報はここだけの問題ではもちろんなく、参加のところで書かないといけない話でもあると思います。既に多少書いていただいていると思いますけども、それをここで入れているということじゃないかと思います。
三つ目ですけども、環境影響評価に関しては、これは未然防止原則とも関係している話だしちょっとここ書けるかどうか分かりませんけど、諫早のような問題は結構大問題になってしまい、訴訟も起きて農民と漁民に分かれて対立が生まれてしまいましたけど、あれは要するに環境影響評価をちゃんとやらなかったからああいうことが起きているので、ちゃんとそういうことも書いていただくと、環境影響評価がいかに大事かということが分かるかなという気はします。なかなかちょっといろんなことを考えると、書けるかどうか分からないですけど。
新しくこれからプロジェクトをやっていくときに、環境影響評価が重要ですし、海洋との関係だと国連海洋法条約との関係でも必要になってきますので、未然防止原則の一環でもあるわけですけども、国際環境条約ではさらに先進的なこともいろいろ対応してきていますので、環境影響評価との関係では、本当はそういう問題もありますが、ちょっとどこまで書けるか分からないですけど、そういう問題はあることもあるということはちょっと指摘しておきたいと思います。
取りあえず、以上です。
○高村部会長 それでは続いて崎田委員、お願いいたします。
○崎田委員 ありがとうございます。
環境教育とかESD教育のことが8ページに出ていますけれども、ぜひ詳しく書くときに考えていただきたいところをお話ししたいと思います。
これから2030年から2050年に向けて、スピード感を持って真剣に社会の出来事に対応していく中心世代は、今の小学校、中学校、高校生たちの皆さんだというふうに思っていますので、やはりそういう皆さんにきちんとした情報や場を提供して、自分で考えていただくような形に持っていくことが重要です。今まで公設の環境学習施設を、20年ぐらいNPOで指定管理者として運営していますけれども、地域の環境学習施設の多くは小中学生の年代を対象にしながら、企業や環境団体と連携して出前授業をやったり、子どもたちの環境学習の支援は、かなりいろいろ進んできていると思います。けれども、高校生世代の探究学習とか、そういう方たちが、地域課題を解決するための積極的なプロジェクトを作るという取組は、まだまだ非常にケースが少ないというふうに思いますので、そういう高校生ぐらいの年代の皆さんへの対応というのもしっかり書いていただいたほうがいいんじゃないかなというふうに思います。
もう一点ですけれども、大人の学び直しというと、ちょっと広くなるんですけれども、今の環境学習施設で、大人向けの講座をウィークデーの午後に設定をすると、主婦の方かシニア世代の方が多くなるんですけれども、夕方に講座を設定すると、今仕事をしている現役世代の方が非常に増えてくるということを最近感じます。環境のことを学びたいという人が増えているのですが、一様に感じるのは、エネルギーについてとても難しいという感想をおっしゃる方が多いんですね。考えると、今まで電気はスイッチを入れるとつくので、ごみ問題は自分ごととして考えるけど電気のことはあまり考えたことはないという方が多いわけです。ここ10年ぐらい急に、電力の自由化が進み、どういう発電をした電気かとかそういうことをみんなが考えるようになったという時代ですので、そういう時代の変化にきちんと対応しながら、大人の世代の方に対するエネルギー、省エネだけではなく今の創エネルギー、例えば再エネをどういうふうに入れていくかみたいな話を、丁寧に伝えていくのも大事かなというふうに思います。
そういう、少し幅広に考えていただくのが重要と思います。よろしくお願いします。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは豊岡委員、お願いいたします。
○豊岡委員 先ほどの続きなんですけれども、今さらですけれども環境政策の第2部の、具体的な展開の中の環境政策の重点的な展開の中に、ここが入っていないということが先ほど言っていた再生可能エネルギーの目標値ですとか、どうやってそれを実現するのかということの手法が入っていないところがやっぱり大きな問題かと思います。ほかに入れるところもないですし、重点的な展開の中にないというのは、もうこれはやっぱりあり得ないというか、じゃあどうするのというところがなくて、これが実現できるということがないわけですので、そこをそういうお金のこととかそういうのはとても苦手なのか、それとも何か分からないですけれども、ほとんど入ってこないというのはちょっと問題かと思います。
そして、やっぱり再生可能エネルギーが最大の国益だというような、大きな理念がドイツのようにないというところが一番の原因かと思います。これがメリットになっていくんだというような、本当に大上段のそもそも理論がないところが、それで何となくごまかしてしまっているような書きぶりに見えてしまうということかと思われますというのが第二点目。
それと、家庭の66%の削減、省エネでも再エネでも、何でもいいんですけれども、こういうのを聞いても、できる気がしないんですよね、全く。何でやるのかというような道筋が見えてこない。これを少しでも見えるような、具体的な、そうか、そうやればいいんだというような、目標達成のための道筋、手順というものが、共同でやるんだとか、みんなで考えるんだみたいな話ではなくて、具体的手法がもう少し見えるようなせめて書きぶりがないと、できる気がしない計画になってしまうと思われます。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは石田委員、お願いいたします。
○石田委員 ありがとうございます。
先ほど山口委員が、国のメッセージが必要だと言われましたが、これについて実例を一つお話ししたいと思います。
水素転換について企業に意見を聞くと、燃焼系に関して水素に転換する計画が多のですが、この理由を聞くと、水素でなければできないということではなく、水素転換はバーナーを変えることでできるので、水素は高いけれども、設備投資のリスクが少ない。電化は、電化のためには技術革新が必要で、かつ、安い再エネの供給ができるか分からないことがボトルネックになっていて、電化転換は難しいとのことです。しかし世界が今、電化に向かっているわけですから、燃焼系の製造プロセスを電化する技術革新ができれば、日本が強みを発揮でき、そこにビジネスチャンスがあるはずですが、国が安い再エネ供給をするという明確なビジョンを出さないと、安心して企業はそこに踏み込めません。今必要なのは、国が将来、どの程度の再エネなり脱炭素の電力を供給するかを明確に示すことだと思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、河口委員、お願いいたします。
○河口委員 ありがとうございます。
大きく2点申し上げたいんですが、脱炭素ということでは、先ほどからご意見があるんですけれども、これは裏メニューとしてはエネルギーだけ、エネルギーの議論なんですが、裏メニューとしては脱化石ということになると、プラスチックですとか化学肥料ですとか、こういうものもフェーズアウトしていかなきゃいけないと。でも実際にリジェネレーティブ農業ですとか、そのプラスチック脱プラスチックというのは進んでいますので、これは個別の話ではなくって、化石から脱化石という大きな枠組みの中にあって、その中のエネルギーでありというふうなことを明示しなくても、そういうことを前提に理解しておいていただいて、総合的に進めるというのがすごく大事かなと思います。
それから、もう次の自然資本というか生物多様性のところなんですけれども、資料の5の1ページ目の辺りにありますが、日本の国土の保全ですとか、1-1の4かな、(4)とか(5)とかにあるんだと思うんですけれど、参考資料にあるこの間出した文章によると、いきなり国土のところで日本の国土全国総合計画みたいなところから入っているんですが、そもそも生物多様性ということで、例えば日本というのは生物多様性ではホットスポットになっているですとか、それから国土は狭いけど、海洋の海岸線は世界で6番目に大きいですとか、それからこれからの森林というのが非常に大きな問題になって森林破壊が駄目だと言われている中で、日本は森林被覆率が67%で先進国で2番目に多いですとか、こういったその日本の国土の現状ということをもっと国民に知らしめるようなものがあって、さらにこの生物多様性ということをよく多くの人に親しんでもらおうと思っていろいろな活動をしているんですけれども、例えば日本文化、茶道にしても俳句にしても、俳句の季語なんてまさに生物多様性がベースになっていて、日本の多くの我々が誇る文化とかというものは、実はいろいろな豊かな生物多様性の上に成り立っているんだよみたいな話をすると、何かどこか遠い話ではなくて、それが崩されたらどうなるんですかみたいなことになるので、ここに関しては日本の豊かな、今まであった生態系、自然というものがどれだけ私たちに恩恵をもたらしていたのかなみたいな、そういった記載もぜひお願いしたいと思います。そうしないと国土何とか計画から来ちゃうと、なんか他人事ってなるので、そういうようなものが必要だと。
あと、すみません追加であともう一つ。ウェルビーイングのところで先ほどもちょっと申し上げたんですが、コンセプトとしてはいいんですけれども、これはだから今のある価値観において、よりたくさんのものが買えて消費できるとより幸せになるということではなくて、本当にその古いものだけれども、最近の若い人たちは古民家をリフォームして、古い、おばあちゃんたちが着ていたようなものを、またリノベしてそういうものをリフォームしたり、リノベして、そういうものを使って暮らすことにすごく幸せを感じていたりする人たちが増えてきているので、物質によってもたらされる幸せじゃなくて、今までのありようとか文化だとかそういう価値観も含めて、トータルでのウェルビーイング向上を目指しましょうねみたいな、そうしないと、環境を増やさないとウェルビーイングが増えないというか、資源を増やさないとってなるので、そういったことも考えていただきたいと思います。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは堅達委員、お願いいたします。
○堅達委員 冒頭、武内先生がおっしゃられたようなトータルの基本計画のメッセージの中で、今やっぱり河口委員もおっしゃられたように、日本というものの文化、あるいはレゾンデートルとか、四季が今もうなくなっちゃって、だんだん秋とか春とか一番美しいそういう季節が、もうなんか亜熱帯化しているこの現状とか、お魚が美味しい国だったのに、海水温の上昇で、漁業とかそれから農業も今本当にダメージを受けているという、この現状認識に立ったときに、思い切った脱炭素、それからエネルギー転換をしながら、地域の豊かさをちゃんとしっかり守っていくんだと、これはある意味生存権でもあり人権の問題でもあり、そういう何ていうか、大きなメッセージがもう少し明確に伝わるといいなというふうに感じています。
すごく日本の農業、林業、水産業、森もそれからまさに化学肥料の問題も、漁業も本当に瀬戸際、これは高齢化の問題とも関わって、まさに地域のありよう自体が変わる瀬戸際にあるかなと。この間NHKスペシャルでもやっていたんですけれども、農業人口とか高齢化の問題とかを考えると、この基本計画が出ている5年、6年というのが、極めて日本にとってクリティカルな5年、6年になると思います。そういう意味では先ほどから、ほかの省庁のテリトリーに勇気を持って踏み込んでほしいというお話がありましたけど、防災とか適応という観点では国土交通省との連携も必要でしょうし、食料システムって言葉が2回ぐらい出てくるんですけれども、ぜひとも、農林水産省との連携も、もう一歩踏み込んでやっていただく。ここは国民の機運醸成にとっても、実はインパクトがある分野で、やっぱりお寿司食べられなくなるとか、あるいは新潟のお米が今年、あれだけのダメージを思ったより早く受けてしまっているとか、北海道の酪農や畜産がこれだけのダメージを受けているとか、いろんな身の周りに、非常にこの問題を考える上で、親しみを持ちかつ危機感をちゃんと感じられるテリトリーでもあるので、そこの分野を、ぜひしっかりと書き込んでいただければと思います。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは竹ケ原委員、お願いいたします。
○竹ケ原委員 一点だけなんですが、イノベーションのところ、もう少し強調してもいいかなという気がしています。具体的には5ページの5番のところに書いてあるんですけど、先ほど来から出ているいろんな話を考えるに、やっぱりこの次の計画期間中にいわゆる今非連続と言われているイノベーションを実装していかないと、結局、トランジションの戦略もイノベーションまでのつなぎという位置づけで考えれば、ここにかかっていますので、そこをしっかりやっていく必要がある。そうすると、3ページのいろんな投資の拡大を創造しますという話の中に、研究開発投資というのが、入っていなかったりするんですけど、やっぱりこの辺りのサポートというのも十分スコープに入れていいかなという気がします。
申し上げたかったことは以上で、あとちょっと言い足りなかったんで、さっきのところOECMをしっかり1回約束した以上、長期に持ってもらわないと、5年たったら再エネになっていましたというわけいかないので、そこはしっかりモニタリングして、財政支援するんであればしっかり支えるような仕組みをちゃんと法制化する必要があるなという気がしております。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは山口委員、お願いいたします。その後、井田委員、それからオンラインでご出席の三好委員にご発言いただきます。よろしくお願いします。
○山口委員 ありがとうございます。さきほどの追加なんですけれども、今年が異常に暑かったというのが、おそらく気候変動対策へ世論の関心が向く、重要なタイミングだと思うんですね。1.4℃上昇って言われていますよね、今年が。ということは1.5℃に近づいていると、ああいうレベルなんだと。で、あれよりももっとひどくなるんだと。1.5℃でさえあれよりもひどいんだということは、広く認識していただいたほうがいいんじゃないかと思います。
改めてなんですが、この中に出てきていますけれども、1.5℃との整合性どうするんだというときに、2035年に19年比で温室効果ガス60%削減ですよね。そこは書いていただいているんですが、じゃあどうやってそれを達成するんだという道筋が曖昧なんじゃないかなと思うんですね。
一つはCO2の最大排出減は発電分野ですから、そうすると電気代ということを捉えると、1年間の総電気代って19兆円だそうですよね。月々払っている全ての合計です。それをもう一回皆さんが自分ごととして月々払っている額が、実は所得税に匹敵する額なんだということを認識していただくことも大事かなと思いました。
化石燃料購入代金は22年度で見ると35兆円です。うち、発電用の燃料が12.5兆円だそうです。例えば、これを半分減らして化石を半分にして、再エネに振り向ければ、6兆円、地方に回るということになりますよね。
先ほどから皆さんから出ているように、もちろんこの環境省の委員会でございますので、自然を破壊しないということはすごく大事だと思うんですが、今問われているのは、人間が破壊してしまった自然を、人間が手を入れることによって再生させるということだと思います。その意味では、まさに環境省さんがやられていることなんですけれども、五島の浮体式洋上風力は、あれやっぱり地元の方々が誘致したんですよね。魚礁効果があるということで、漁業者の方が歓迎をされました。そういうふうに、地域や自然と共生できる再エネというのは幾らでもあると思います。
そういう事例をもっともっと、本当はこういう中に書き込んでいけば、これから読み物としても、もっと生き生きしてくるんじゃないかなと思うんですよね。
大事なことは、東京一極集中で東京だけ成長しても日本は成長できません。もともと日本は江戸時代を振り返れば分散型社会だったわけで、電力も昭和35年ぐらいまでは、水力が主力でした。再生可能エネルギーです。再エネ主力電源化ができないということはないはずですし、またそういうチャンスが来たということだと思いますので、そういう文脈もぜひ入れていただいて、日本人が皆さんもう一回エネルギーに向き合う、それが環境を主体に向き合うというチャンスにしていただければと思います。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
井田委員、三好委員、今、奥委員の3人が手を挙げていただいております。もう時間的に今かなりぎりぎりになってきておりますけれども、どうしてもご発言を希望の方はいらっしゃいますでしょうか。
(なし)
○高村部会長 よろしければ、そのお三方で今日の議論は一度、まとめたいと思います。それでは、井田委員お願いいたします。
○井田委員 中座して戻ってまいりまして、もう一回発言の機会いただきましてありがとうございます。
これ最初に言ったことなんですけども、プラネタリー・バウンダリーとか今回COP28の決定の中で初めてカーボンバジェットという考え方が入ったと。プラネタリー・バウンダリーも新しくなって、さらに厳しい状況になっているんですよ。これ、第五次環境基本計画策定のときに私かなり申し上げたんですけども、それがきちんと位置づけられたかというと必ずしもそうでないので、もう我々の行動は地球の制約を大幅に上回っていて、ここに現代文明の地球的限界って書いてあるんですけども、これむしろ制約と呼ぶべきであって、その中でやるしかない。それのためのトランスフォーマティブ・チェンジだというのがきちんと読めるような形にぜひしていただきたいというふうに思います。
その上で、やはりウェディングケーキモデルの重要性というのが見えてくるという、そういう社会にきちんとしたメッセージを出すべきだと頭のところで、武内先生のおっしゃったことにも通じるんですけども、というふうに思うというのが一つです。
あとコスト、議論はあるんですけども、これ明らかにコストではなくて未来に対する我々が犯してしまった罪を償い、未来のための投資をするんだという、コストがかかるというものの裏返しでそういうもので、将来に向けた投資であるということもきちんと明記するべきであるというふうに思います。
あと、足りないなと思っているのは、やっぱり河口さんからもご意見ありましたけど、農業とか土地利用の部分、これが非常に欠けているというふうに印象を持っておりまして、たとえ今ゼロにしても農業がこのままだと1.5℃目標計達成できないんだというような研究もあるぐらいなので、これは国際的にもそうですし、国際的なことを考えれば、バリューチェーンをどうきれいにしていくかということにもあるし、国内の農業、土地利用にも関わるので、何か食べ物を、それはもう消費生活にも関わることなので、食品ロスの削減というだけではなくて、フードシステムもトランスフォーマティブのチェンジをしなければならないんだというのが一般というメッセージがきちんと見えてくればいいなというのが、二つ目になります。
これも前申し上げたことなんですけども、やっぱりそういうことを考えると、どこに書くかというのは、ちょっと考えてしまうところなんですけども、ランドスケープとかという議論をするときに、やっぱりシースケープ、海が長いというようなことをおっしゃいましたけど、海まで含めた国土利用のグランドデザインというものを誰かが書かなきゃならないと思っておりまして、そういう視点もぜひ盛り込んでいただきたいというふうに思います。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインでご出席の三好委員お願いいたします。
○三好委員 ありがとうございます。2点ほど申し上げます。
一つは先ほど言えなかったので、まず国際的な貢献をしていきたいということで書かれているんですけれども、もちろん、日本が貢献すべきこともたくさんあるし、実際はプラスにも貢献しているし、ネガティブにも貢献していると思いますので、地球規模で日本人としてプラス、地球に住んでいる一地球人としての視点というところで、コメントを書いていただけたらなというのが一点目です。
もう一つ今、農業のことおっしゃってくださった委員さんたちがいらっしゃいましたけども、私もいつもそれをやっているもので、ぜひ付け加えていただきたいなということと、やっぱり今、持続可能性を考えるときに、もう既に我々は同じことをやっていてはいけなくて、どんどん良い方向に再生していかなくてはいけないという、これからすべきことはそのことであるということは明確にそういうポジションで書いていただきたいなということが一つです。
それは、例えば水、空気、土、森、生態系、生物多様性、そういうことが全体的に再生していく事ですけれども、今フードシステムという話がありまして、まさに最近では農林水産省も下水の堆肥化だとか、それは化石肥料を使わないということもあるし、それに使われているエネルギーを使わないということもありますし、実際に土をよくしていくということもありますし、非常に多面的な効果があるわけですよね。そういう多面的な効果があること、逆に言うと例えば森を切り開いて太陽光をやるというのは非常に多面的な視点が抜けているので、評価をするときに常にそういう多面的なところに気を配るというか、評価視点を持っていくということが非常に大事だと思いますので、そういうことをしていっていただきたいということと、あとこの下水の話に戻りますけれども、下水の堆肥化をするときに、いろんな懸念点が挙がってくるんですね。基本的には、根本的には人が出して自然の一部として出したものが還ってくる。それがまた食料生産につながるということは非常に大事なことだと思うんですけれども、人間こそいろいろな化学物質とかを摂取して流しているわけですよね。そのことを、その循環ということにきちんと視点を抑えて、では化学物質を減らしましょうですとか、あとは堆肥化の基準、無害化するだとか、重金属が入っていないかとか、そういうことはやっぱり国できちんとお金をかけて安全性を高めていくということが非常に大事になってくると思います。
ここは、一つには安全であるということ、それから人がつながっているということ、それを確実にしていく。それを国民にきちんと理解していただいて、サポートしていただくということが必要なのかなというふうに思っています。
以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
それでは、奥委員よろしくお願いします。
○奥委員 ありがとうございます。
環境政策における原則等について、先ほど大塚先生からおっしゃっていただいたとおり、第二次環境基本計画から記述が変わっていないということこそ問題だというふうに思っておりまして、ぜひ今回を機に変えていただきたいという、そういう趣旨で発言させていただいております。
何を原則として日本が考えているのかというのが、あの文章では分からないといいますか、これ、国際的に見てもちょっと恥ずかしい状況だなというふうに思っておりまして、例えばEUですと、もうEU条約、EU機能条約の中に環境政策に係る基本原則が明記されているので、いいんですけれども、日本の場合は限定的な費用負担に関する原則が環境基本法にあったり、汚染者負担原則については個別法に、公害健康被害補償法ですとか、公害犯罪処罰法に落とし込まれていると言えば落とし込まれたりしていますけれども。それから、EPRは循環型社会形成推進基本法、あと環境基本法にも根拠があるというふうに言えるかと思います。あとは予防原則は生物多様性基本法、そういうふうに複数の法律にばらばらと原則が分散して規定されてしまっているのを、やはり環境基本計画の中に、日本の環境政策というのは、こういった基本的な考え方、原則によっているんだというところ、全体を見えるようにしっかりと網羅的に記述していただきたいという、そういう趣旨での発言ですので、一応改めて申し上げます。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。大変重要な論点だと思うんですけど、大塚先生から一言ご発言ご希望なので。
○大塚委員 私は、奥先生と基本的に同じ発想なので、全然ここで対立するつもりは全くないです。ただ、私たちと違う考えの方もいらっしゃるので、そういう方たちとの関係だとちょっといろいろ考えなくちゃいけないことがあるということだけです。どうもありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
今日皆様にご協力いただきまして、二巡できたのは大変よかったと言いましょうか、やったという、うれしい思いがいたしますけれども、多くのご意見いただいておりますので、事務局のほうから、全ての意見にお答えするというよりは、全体、基本的には踏まえて作成をしていただくということを前提に事務局からご回答いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大倉課長 多数の熱心なご議論ありがとうございます。基本的には、ちょっと議事録も熟読し直してしっかりと反映作業をしたいと思います。
竹ケ原委員と馬奈木委員の話にもちょっと対応するんですが、参考資料6を見ていただきたいと思うんですけども、分厚い、多分クリップしているほうですが、3ページ目になりますが、竹ケ原委員から、環境基本計画はそもそもどういうものなのかというお話をいただきましたけども、それは非常に大事な点でございまして、本日、脱炭素が大事だというお話をたくさんいただきましたけども、先ほどもちょっと申し上げましたが、脱炭素は地球温暖化対策計画、サーキュラーエコノミーは循環型社会形成推進基本計画、今同時並行で作成しています。生物多様性については生物多様性国家戦略という、個別の閣議決定計画でありまして、例えばまさに2030年目標をどう達成するか、実現するかというのは地球温暖化対策計画のほうで積み上げて、各種政策を網羅的にやるということになりますので、環境基本計画はそこまで細かく書くものではないという前提にはなりますと。
やらなきゃいけないのが、このページの上のほうの灰色のところに書いておりますけれども、三つの危機とありますけれども、気候変動、生物多様性の損失、汚染ということがG7で三つの危機がありますというふうになっていますが、その三つの危機に対処するためのある種共通哲学みたいなところを、まず書かなきゃいけないということになりますと。
そういう意味で、脱炭素固有の表現がなかなか消えて見えにくいということはありますが、例えばカーボンバジェットの話で言うと、左側にありますが、環境収容力という言葉があって、これは環境行政共通ですけど、今回、中間まとめでも環境収容力の一つの例示としてバジェットという言葉を書かせていただいてございます。環境収容力を守らないとやっぱり人類が滅亡するという、そういう危機感の下で書かせていただいておりますし、あと、先ほど井田委員からも化石燃料時代の終わりの始まりみたいな話もいただきましたけど、それは右側の一番上、第六次環境基本計画と書いてあるすぐ下に書いてありますけれども、鍵は地下資源から地上資源への転換というふうに書いています。これは地下資源の例示として化石燃料というのを書いていますし、先ほどまさに河口委員がおっしゃっていただきましたけれども、もうエネルギーだけじゃないんですね。やっぱりプラ資源をどうするかという全ての概念を包括するとしたら、地下資源から地上資源へと。その地上資源の典型例が再エネです。そういう趣旨で書いてございます。
そういった、さっき馬奈木委員からもおっしゃっていただきましたけども、そもそもの土台は自然資本であると今回強調して書かせていただいていまして、自然資本イコール環境収容力というか、環境と捉えていただいてよくて、自然資本の臨界的水準を下回ることは決していけない、それは環境収容力を超してしまうといけないという趣旨で書いていますので、脱炭素ということがちょっと見えにくいかもしれませんが、全ての環境行政に共通するところの哲学を今回書かせていただいていまして、こういった大方針に沿って個別計画を策定してくださいねというふうになります。そういった前提の下にあるということを再度ちょっとご理解いただけたらなと思ってございます。
あと武内委員からも、エネルギー転換、それが地域のためだというところ。私もちょっとこういうところで個人的な話をしていいのか分かりませんが、環境省で地域経済循環方式というのをやっていまして、水俣でございます。水俣の経済を調べたときに、エネルギー代金、これは電気代、ガス代、ガソリン代全部含めてですけれども、地域経済が1兆円ぐらいしかないところで、86億円出ていましたという事実をもって、地域で再エネとか頑張りましょうというところがあって、それが実は地域循環共生圏に結びついているというところになりますので、そういった発想の下で、地域循環共生圏今回も引き続いていきますし、かつ、今回目次で申し上げますと、2ページ目の3の(4)、一番上の(4)に書かせていただいていますが、環境政策の展開の基本的考え方ということで、全環境行政共通のものとして地域循環共生圏というものを目標格に位置づけておりますので、我々の筆の力の問題があったかもしれませんが、武内委員、その他の豊岡委員、山口委員をはじめ、いただいたご意見についてはしっかりとメッセージが伝わるように書いていきたいかなと思ってございます。
いずれにしても、馬奈木委員の指摘にもありましたけれども、構成案だけ見ていると、今画面上に出ている参考資料6にあるようなキーワードが少し落ちてしまっていたので、そういった点で多少誤解はあったかなと思ってございますが、今日いただいたご意見を踏まえまして、あと関係省庁もちゃんと協力、農業の話とか国土の話とか、今、農水省さん国交省さんをはじめ、関係省庁ともいろいろ相談していますので、関係省庁さんとも協力をして、次の部会までにはご意見を踏まえた形の素案を提示したいなと思っています。
その他、化学物質とか個別のご意見もいただいていますが、今多分原局のほうも聞いていると思いますが、わざわざここで答えるということはなくていいですよね。個別の政策の話もいろいろいただいております。それを今回ちょっとオンラインのほうで担当部局のほうも聞いていますので、彼らと相談して原案のほうに反映してきたいと思います。
いずれにしましても2時間半の長丁場、本当に多岐にわたって熱心なご議論いただきまして、ありがとうございます。再度申し上げますが、議事録も再度見直して、我々も反映作業をしていきたいと思います。ありがとうございます。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。今、事務局のほうからありましたように、本日いただいた意見を踏まえて改めて貴重な意見を随分いただいていると思います。今回の事務局の素案、構成について、それを深く検討し、さらに肉付けをしたものを見ていただくということを目指して次の部会に向けて、事務局のほうで検討をお願いしたいと思います。
予定していた議題は以上となります。本日の審議終了とさせていただきたいと思います。
最後に事務局から連絡事項がありましたら、お願いできればと思います。
○東岡計画官 皆様、長時間にわたりまして、ご参加いただきまして誠にありがとうございました。本日の議事録につきましては事務局で取りまとめを行って、委員の皆様にご確認をいただきました後、環境省ホームページで掲載をさせていただきます。
また、次回の総合政策部会につきましては第113回になりますが、令和6年1月29日ということですので、次回については環境基本計画の全体像をお示しして審議をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○高村部会長 それでは、以上をもちまして、本日の総合政策部会は終了としたいと思います。大変熱心なご議論いただきましたこと、改めてお礼申し上げます。本日はどうもありがとうございました。終了といたします。
午後4時35分 閉会