中央環境審議会 総合政策部会(第108回)議事録

 

第108回 中央環境審議会 総合政策部会

 

令和5年6月30日(金)9:30~12:18
神田カンファレンス・ルーム
(Web会議システム併用)

 
議 事 次 第
1.開会
2.議事
  (1)有識者からのヒアリング
  (2)第五次環境基本計画の見直しについて
3.閉会
 
配付資料一覧
【有識者提出資料】
       有識者提出資料 安宅先生

【資料】
 資料1   第五次環境基本計画の見直しに向けた論点整理
 資料2   第107回総合政策部会の意見の概要
 資料3   補足資料 

【事前意見】
 事前意見
 
【参考資料】
 参考資料1   中央環境審議会総合政策部会名簿

午前 9時30分 開会
○河村計画官 ただいまから、中央環境審議会第108回総合政策部会を開催いたします。まず、委員総数31名のところ、現在23名の委員にご出席いただいており、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告いたします。本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいております。環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行っております。本日はWEB会議システムとのハイブリッド開催とさせていただいております。
 WEBよりご参加の委員にお知らせいたします。会議中、音声が聞き取りにくいなどの不具合がございましたら、事務局までお電話いただくか、またはWEB会議のチャット機能にてお知らせください。また、通信環境の負荷低減の観点から、ライブカメラの映像は各自ご発言時のみといたします。あらかじめご了承ください。現時点ではカメラ機能もオフにしていただきますようお願いいたします。マイク機能もミュートに設定していただきますようお願いいたします。最後に、WEB会議システムからご発言される際は、お名前の横にある挙手アイコンをクリックしてください。挙手アイコンが反応しないなどの不具合がある場合は、チャット機能にてお知らせください。挙手アイコンは、1度押していただくと挙手した状態が続きます。ご発言の意思はこの挙手の状態を確認して行います。また、部会長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、ご発言いただきますようお願いいたします。そしてご発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックして、挙手を下げていただきますようお願いいたします。挙手アイコンは事務局でオンオフを操作できないため、ご協力、よろしくお願いいたします。また、通信環境によっては音声が聞き取りづらい場合がございます。ご発言の際は、いつもより大きめの声でよろしくお願いいたします。
 議事に入る前に、事前にメールでご案内した資料のご確認をお願いいたします。まず、議事次第がございます。それから事務局から資料1、資料2、資料3がございます。それから参考資料1の総合政策部会の名簿、それから、委員の先生から事前意見をいただいてございます。事前意見を提出いただいた委員は、名簿順にご紹介いたします。まず、有村委員、それから亀山委員、崎田委員、武内委員、豊岡委員、中村委員、石田委員、山戸委員、髙橋委員から別途いただいてございます。
 なお、昨日、委員の先生に事前に配付した際に髙橋委員の資料が抜けておりました。大変失礼いたしました。今、差し替えておりますので、よろしくお願いいたします。本日の資料は環境省ホームページの総合政策部会のページにもアップロードしているところでございます。
 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。
◯高村部会長 皆さん、おはようございます。
 本日の議事に入ってまいりますけれども、本日は大きく議事が二つございます。
 初めに、前半ですけれども、有識者からのヒアリングとして、本日、慶應義塾大学環境情報学部教授の安宅和人先生にご報告をいただく予定になっております。その後、先生のご報告をいただいた後に意見交換を行ってまいります。
 続いて後半ですけれども、第五次環境基本計画の見直しについて事務局からご説明をいただいて、その後、意見交換をしてまいります。
 本日は10時半頃に奥委員がご退室と聞いておりますので、安宅先生のご報告の後に先生のご質問、コメントも含めて一度ご発言をいただこうと思います。繰り返し、いつもお願いしておりますけれども、できるだけ多くの委員にご発言いただきたいというふうに思っておりますので、ご発言については簡潔にお願いできればと思っております。
 それでは、早速ですけれども、前半の議事、一つ目の議事でございます。有識者からのヒアリングということでございますけれども、本日、繰り返しでございますけれども、慶應義塾大学の安宅和人先生にお越しいただいております。
 先生、ご報告のほど、よろしくお願いいたします。
○安宅教授 こんにちは、安宅です。
 慶應のSFCにいるのと、Z HOLDINGSというインターネットコングロマリットにずっといますのと、データ人材をつくるデータサイエンティスト協会、あと風の谷という疎空間に未来を創るという運動をやっています。
 非常に、いろいろ言いたいことは多々あるんですけれども、簡潔にポイントだけを言うと、今、非常に大きい地球との対立から来るサバイバル局面だと思っています。今回のCOVIDもそうですし、20年ぐらい前まではテロが脅威だったんですが、COVIDも温暖化の話も基本的に地球との対立問題から来ていると思っていまして、一番大きな背景は、これがCOVIDに関してはあると思っています。地球上の哺乳類の96%が人間か家畜であるという、こうなので、ここから無限にやってくる。実際に森を開くたびに、パンデミックが次々と来るような状態が続いているということと、あと人間の活動がこれの一つですけれども、同じような話で、こういう温暖化の話となるのは、ここにいらっしゃる先生方のご案内のとおりで、炭疽菌がまき散らされたりしている、村とかも発生しているというような話で、この同じ原因によって、こういう話だとか、実際に環境省さんからも90mの台風が来るとかという発表になっていますし、あおっているのをやめてくださいと、僕、環境省の人に会って聞いたら、これはホラーシナリオじゃないと、はっきり言われましたので、若干、受け入れています。実際70m以上、90m以上こうなるということなので、東京も強いけれども、毎年、水没してもおかしくないですし、中央防災会議が言っているとおり、水没してもおかしくない。
 あと、僕がよく見ているのは、疎空間は出水の理由で一番のリスクが高いところに人間が住んでいますので、こういうところで果てしなく繰り返される可能性もあり、非常にパンデミックやディザスターに対して非常に強い空間づくりというのがとても重要だと思われ環境政策にパンデミックとディザスターに対する体制というのは、相当入れる必要があるんじゃないかと思っています。
 パンデミックの問題は、結局、密閉が出る高密度のところに生きていることから起きているので、我々は非常に強い密空間で生き続けてきたわけですけれども、これは変えられないと思いますが、都市空間のままで開放を掛け合わせるような開疎な空間づくりをする必要があると、僕は思っています。この話は、長期的にはパンデミックは何回でも来ますので、この話が一つ。
 もう1個、ディザスターの話は、僕は内閣府でデジタル防災の検討の未来構想チームの座長をやっていたんですけど、このとき、いろいろ勉強しましたけれども、今、やられていることの多くは、あまり正しくないという見解で、例えば、すごい津波が来た気仙沼に行くと、こういう物すごい防潮堤ができていますが、日本の防災の大将といってもいい河田先生の話にもあるとおり、堤防が近ければ高いほど被害は増える。しかも、ここに来た津波は15m以上あったのにもかかわらず、七、八メートルのこれだと、実は被害が増えるだけなのに、こういうことをやっているという、そもそも間違った空間づくりが行われている。これは環境マネジメントとしては正しくないと思っています。
 しかも、人命とか、OSが落ちないとかというようなここの下に下りていくような視点で考える人が実はいなくて、ここは消防とか、自衛隊の話で、ここはむしろ自治体の話みたくなっていて、ここは自衛隊の話みたく、ぐしゃぐしゃなんですね。通しでレジリエンスな環境をつくるという議論を、環境省ではされていると信じたいですけれども、本当のところ、極限状態を前提として問題を考えることは極めて重要で、これはすごく大きい話だと思っています。この話が一つ。
 あと、こういうことを考えると、これは結局、主語は日本でないですよね。これは世界であり、地球そのものの話をしていて、根本的には、そういう話だと思います。
 ですから、環境基本計画を考えるに当たっても、地球という主語で日本からのイニシアチブなのか、取組が世界をアップデートするという議論にしていかないと、あまり意味がないんじゃないかなかと思うところです。それが一つ。
 あと、ポイント的にこの話をしました。これも詳しい先生方のお集まりなので、僕が言う必要があるのか、いまいち分かりませんが、僕がよく見ている疎空間とかは、本当にくちゃくちゃになって硬い土木をして放置されているものは多々あり、インフラ網が物すごい景観を破壊しているというのは普通に行われていますし、擁壁もめちゃくちゃあって、美しくないだけじゃなくて、水と空気の循環がぐちゃぐちゃに切断されています。しかも、硬いインフラが生態系を破壊することは、基本的には、科学的には自明に近いわけですけれども、こういう硬いインフラがまき散らされているというものを、どのように止めるかが、むしろ問われていて、町なかは仕方ないと思いますけれども、疎な空間でこのようなものをつくるというのを、いかにほぐして、水と空気の循環を保つかというのは、めちゃくちゃ重大だと思います。
 私もいろいろ教えていただいて、高田さんの空中環境の話みたいなのがありますけれども、基本的に水と空気の循環を徹底的に担保するような空間づくりをちゃんとやらないと、何度でもこういう熱海の悲劇みたいなものが繰り返されるという認識です。
 あとは、これは先ほどの生物体のペーパーに出てくる話で、結構衝撃的なんですけど、地球の生命体のほとんどは地上にあるということで、海はほとんど空っぽであり、しかも、海の栄養値を支えているのはほぼ陸上の植物であることは自明であると。450対5ですから、なので、森がめちゃくちゃ重要なわけです、論理的に言ってもですね。
 実際、森の育成でカキの育成とかをやっている人がいますが、ここの海と森をセットにして考えるというような視点というのは森林大国である日本としては当然考えるべきだと思うんですが、そのための議論が、もしあまりされていないのであれば、めちゃくちゃ重要だと思います。
 土というのは火星とか月には1グラムも存在しないわけですよね。これは生命がないと土はできない。生命がいないと粘土すらできないということで、土というものを大切にするというような視点というのは、この森の話と表裏一体であって、森の価値というのは、一見、林業の議論しかされないですけれども、林業は、僕が調べている限り、日本中どこへ行っても、アウトプットの10倍以上の金がかかっていますので、全く接していないです。むしろ、森の価値は、ほぼ空間維持機能であるにもかかわらず、全く違う議論になって、林業のみの追求になっているかというのは、これは環境問題のど真ん中なんですけれども、土地の7割近くが森なわけですから、我々の国の場合。極端に高いわけです。ブラジルよりも10%以上も森が多いという、先進国でも異常値といっていいレベルで森がある日本国における森のマネジメントは全くもって残念な状況だなと思っています。という水と空気の循環の話が、一つ重要だなと思っています。硬い土木もほぐしたほういいと思うということです。
 さらに私が、国家的な話だということで投げ込みたいなと思っているのは、アルベドの話です。水と空気のこれに加えてですね。真鍋先生の話をよく見ると、これは一体何なのだろうということなんですけれども、真鍋モデル、ぐっと見ると、結局、降り注いでくる太陽からのエネルギーは、人間の消費するエネルギーの1万倍ぐらいあるわけで、ほとんどが反射しているけど、ほんのちょっとだけ残りやすくなっているというだけの問題で、ほとんどここの対流を引き起こしてしまうガスの問題であると、我々は議論しているわけです。それで、ほとんどが化石燃料由来だということで、内燃機関の時代は終わろうとしていると思いますが、これをよく見ると、カーボンサイクルをぐっと見ると、結局、人間が生み出している問題よりも、土壌から生み出されているやつのほうがよほど大きい。緑地化のほうが重大で、日本は緑地化しちゃっているわけですけど、世界の緑地化を加速するようなのは結構重大な話で、日本の産業の一種にもなると思いますし、結構重大だと思うということと、もう一個は、これはかなりの部分が反射の問題なので、ほとんど反射して宇宙に戻っているという話がどうなるかということであれば、アルベド、放射されてきたものの反射率をどうコントロールするかが非常に重大だと考えます。
 例えば、東京の場合、土地の2割以上が道なわけですけれども、これは黒いと。道とかを白くできないのかと思いますし、ビルの上は全部白くしろと思いますし、考え方によって、やれることはもうちょっとあると思います。森林のアルベドは極めて低いわけです。これは若干しようがないと思うんですけど、ここについては、どう考えるかというのは、一つのイシューだと思うということと、もう一個、私が非常に気になっているのは、こういう発表が最近されているということです。温暖化に伴ってCOの排出源として森が生まれ変わろうとしているという、本当は生まれ変わっているわけじゃないんですけど、生体活性値が上がってしまって排出源になるということで、この我々が誇る森そのものが負の遺産になりかねないということで、アルベドのコントロールと森のCO吸収の見直しというか、この話は、今から考えないと、いざというときには間に合わないというふうに思っています。という話がここの話です。
 それと、その上で、僕は経済人でもあるわけですが、結局、投資よりも多くのリターンさえ返ってくれば、人間というのは加速度的にやるわけです。exponentialにやる。このことを考えると、交付金がどうこうというより、お金を入れただけのリターンがあるように、リターンがあるようにさえしていけば、勝手に好循環が起こるはずです。産業創出ができない限りは、これは止められなくて、交付金なんかで動かせるような代物ではないということだと推定され、これをどのように引き起こすかが、結局のところ、環境政策における最大のポイントになる可能性が高いと思います。そうしないと、多分10年後も全く同じ問題を議論することになります。
 ただ、希望は、サステナブルエネルギーの未来を創るんだということを掲げるテスラが、例えば、あっという間に世界最大の企業価値を持つ車メーカーになったように、実際によりよい未来に貢献できていると、お金が流れ込むという世界が、今できていますし、これは世界でも本当に3本4本の指に入るようなエンダウメントを持っているイェールの運用資金を見ても、このNatural Resourceとかの投資は、実はアメリカ国内の株とかよりも大きかったりするような状況で、本当に流れ込みやすい瞬間を我々はすごく見ていて、基本的には産業創出の視点で仕掛ける。環境負荷が下がるような未来、産業創出をどんどんできるかどうかが問われていて、これを加速するというのは、今までの環境省のアジェンダには入っていなかったかもしれないですけれども、めちゃくちゃ重大だと思います。なのでサステナブルで、なおかつバイオロジカルなダイバーシティが高く、レジリエントであるというようなことを加速するような産業にしていく、産業になるようにするということに、ものすごく注目する必要があると思いますし、全く新しい指標がいると思うんですね。
 なので、今までreturn on equityという、突っ込んだ株というか、投資額に対するリターンを見ていたんですが、むしろreturn on carbonであるとか、カーボンそのものはネガティブに向かっていくことを考えたら、carbon on returnみたいな全く違うタイプの指標がいるんじゃないかということを、先日、元BCGの代表である御立さんと対談したときに言っていたんですが、この話のような日本発で世界に訴えるような指標をつくるというのは、本当に考える価値はあるんじゃないかなというふうに思っています。
 あと、景観価値ですね。これも結構、私は若干、困惑しているんですけど、最近、国交省の全総みたいなやつの議論のやつも、三、四時間していたことがあるんですが、今、多くの景観は非常に美しくないんですね。そうすると、疎な空間というのは、経済が回らなくなるんですね。美しくないと、そもそも人にとってうざいだけの空間になってしまうということで、十分に美しい空間をつくらなきゃいけないんですが、そうすると、ちゃんと経済的に回り始めるというところがあるんですが、今のところ、景観価値的な指標があまり国家的に考えられている、世界に対して訴えられているという視点で見ると、どうなのかなというところはすごくあります。十分に開けていて美しいということをちゃんと担保するような空間づくりみたいなのは、今まで環境の議論で、そこまで明確になっていないと思います。ただ、でも、実際に環境省が動かないと、多分そのための議論がちゃんとできないということで、景観価値の議論はめちゃくちゃ重大だと思います。
 アメリカで例えば一番美しい小さな町と言われているウッドストックは、実は税収の内かなりが固定資産税なんですけれども、こういう本当に価値のある空間ですね。すごくイギリスの誇りみたいに言われて、実際問題とても美しい湖水地方なんかでも、本当に日本だったら、田舎の農家って、ただ同然、もしくはマイナスに近い価値だと思いますが、本当に普通の農家が何億円とかで売っていたりします。こういうような十分に価値のある土地をつくっていくというのが、めちゃくちゃ重大で、これの視点は、ここで入れないと、うまくいかないんじゃないかなと思います。
 こういう空間をつくると、人間にとってもとても幸せになると推定され、最近見た論文で、とても衝撃的におもしろいのは、家の家計収入よりも、いろんな鳥が鳴いていたほうが人間は幸せになるという恐ろしいデータというか、面白過ぎるデータなんですけれども、こういう森林多様性というんですかね、豊かさみたいなものは、景観価値というのは見た目だけではなくて、こういったこともセットであって、昔のサイレントスプリングの世界でもありますけれども、本当に多くの鳥や虫とかがいろいろいるというのは、めちゃくちゃ重大だと思っています。という話がこの話です。
 あと、もう一つお伝えしたい話は、デジタル化です。僕は経産省や経団連のSociety5.0やAI戦略とかを描いてきた人間の一人ですけれども、その立場で申し上げるので、言いたくないけど言いますけれども、デジタルを幾らやっても環境は、デジタルは手段なので、よくならないんですね、実は。あくまでデジタルは手段であるというのが結構重大で、実際問題、どこにチャート入れてきたか分からなくて見つけられないんですけど、Society5.0の延長みたいなように言われているスマートシティ系の実験は世界中で行われましたが、これもご案内の人も何人もいらっしゃると思いますが、基本的には何一つ成功していないです。全部失敗したと言ったほうが多分正しくて、撤退。もっと根本的にレジリエンス、サステナブルな空間づくりみたいなビジョンを入れなきゃいけないんですけれども、そういうのが全くないまま今に至っているという意味で、非常にまずいと思っています。
 デジタル田園都市とかも、その視点をうまく入れられないと、基本的には破綻すると思いますし、成功例がないので、根本的にデジタルを入れれば何かうまくいくということは、まずないということで、デジタルというのは手段で、あくまでもサステナブルで、ちゃんと後から見たときに価値のある空間をつくるんだという視点がとても重要じゃないかなと思っています。
 最後、Commonsの話、これで終わりにしますけれども、結局これというのはみんなで持っている土地の議論で、Commonsと言うべきものだと思うんですが、日本の土地利用に関して、とりわけ私が思っていることは、自分の土地だったら何をやってもいいというような思想があって、だから、こういうものができちゃうわけですよね。
 なので、Commons、もしくは自分の所有地だったら何やってもいいというような思想を捨てる必要があって、プライベート空間であってもCommonsだし、Commonsと言われているやつだったら、ごみを好きに捨ててもいいという話でもなく、両方側がちゃんとある程度、空間価値に寄与するようにして持っていくという視点がめちゃくちゃ重要で、そのような視点をうまく持たない限り、ちゃんとした未来の空間づくりはできないんじゃないかなと思っていまして、こういった七つぐらいのポイントを投げ込ませていただきます。
 一旦、以上です。ありがとうございます。
◯高村部会長 先生、どうもありがとうございました。
 それでは、先ほど、ちょっと申し上げましたけれども、奥委員が10時半頃に先にご退席と聞いておりますので、安宅先生のご報告へのご質問、ご意見、それから、その後、事務局の資料についても併せてご発言をお願いできればというふうに思います。3分程度でお願いできればと思います。
◯奥委員 ありがとうございます。3分もかからないかと思います。
 非常にはっとさせられるといいますか、示唆に富む話で、しかも全てデータやしっかりとした根拠に基づいて、それもお示しいただいた上でのお話なので、説得力があるなというふうに思って伺っておりました。
 水と空気の循環が重要だというお話、ここは森里川海という概念で、今の環境基本計画の中にも一応盛り込まれてはいます。それ以外の点で特に硬い土木をほぐすとか、美しい価値ある空間を残していく、それがまた支持されて、経済的な効果を生むような、そういったよりよい未来に貢献する活動に経済価値が見いだされるような視点が必要だということ・・・というふうに思って伺っておりました。
 そうしますと、なかなか環境省だけでは難しい話で、特に硬い土木をほぐすなんていったときには、国交省もその気になってやってくれなければいけませんし、省庁間の連携というのがまさに本当に求められる、地球を主語にして、日本が主語ではなく地球が主語ですけれども、また、役所も同じような意識を持って共通の方向に向いてやっていただかなければいけないなと思った次第です。これは感想なんですけれども。
 お伺いしたいのは、硬い土木、擁壁が固められてしまったような、非常に見た目もよろしくない、ああいった状況がつくられて、災害に対してのレジリエンスをそれが高めるんだという意識でやってきているわけですけれども、レジリエンスもしっかりと担保しながら、硬い土木をほぐしていくというのは、具体的にはどういうやり方があるのか。私は法律が専門なので、その辺の具体策というところを、もう少しお伺いしたいなという質問でございます。
 あと、もう一点、第五次環境基本計画の見直しの方向性についても、よろしいですか。高村先生。
◯高村部会長 あわせてお願いします。
◯奥委員 ありがとうございます。
 私、環境省の地域循環共生圏づくりプラットフォーム事業の外部有識者をやらせていただいておりまして、今年の公開プロセスの対象、環境で地方を元気にする地域循環共生圏づくりプラットフォーム事業というのが公開プロセス上に載ったんですね。この事業は、令和元年から今年度を最終年度としてずっと続けられてきた事業で、それぞれの自立した地域、つまり地域資源を持続的に活用していって、SDGs事業を創出して、生み出し続ける地域プラットフォームをしっかりつくっていくんだということで、環境省が伴奏支援をしながら、その地域のステークホルダーのネットワークもつくって、そうした自立的な事業をつくっていこうというものなのですけれども、それを5年間やってきて、その成果として、地域循環共生圏とイメージとしては分かるんですけれども、具体的な中身がなかなか今までは明確な概念として共有できていなかったというところもある中で、具体的ないろいろ地域のモデル的な取組が生み出されてきて、それを通して地域循環共生圏の概念が大分この事業として明確化されてきたということがあります。あと、モデル的な取組も生み出されてきていまして、情報発信もウェブサイトや事例集等で今なされているということなので、ぜひ、この事業の成果を次の第六次環境基本計画の中で、おそらく地域循環共生圏の概念というのは、私は継承されていくだろうといいますか、いくべきだというふうに思っておりますので、その際に、概念の中身、具体的内容のところを、今、ご紹介した事業を通して明確化された部分を、ぜひ生かしていっていただきたいという、これは要望でございます。
 すみません、以上でございます。
◯高村部会長 奥委員、ありがとうございました。
 それでは、ここから安宅先生のご報告を踏まえた質疑、意見交換を行ってまいりたいと思います。
 先ほど奥委員からありましたご質問、ご意見は、また後で安宅先生から、もしお答えいただければと思いますけれども、それでは、ご発言をご希望の先生、会場にいらっしゃる先生方は名札を立てて教えていただければと思います。既に手を挙げていただいておりますけれども、オンラインでご参加の委員は、挙手アイコンを使っていただくか、チャットでお知らせいただければと思います。
 安宅先生からは、本日のご報告の要点をもう一度改めて、今回、Webexのチャット機能でお知らせいただいております。会場の方は右手のこちら側ですけれども、オンラインの参加の方はチャットをご覧いただければと思います。
 それでは、安宅先生にいていただける時間は限られておりますので、ご質問を幾つかまとめて先生にお返しをするような形で進めてまいりたいと思います。
 会場でご質問ご希望の方、お一人今、挙がっていますけれども、ありがとうございます。会場からお願いいたしたいと思います。
 それでは、まず、豊岡委員、その後、竹ケ原委員、お願いいたします。
 すみません、できるだけご質問は簡潔にお願いいたします。
◯豊岡委員 ありがとうございます。大変感激いたしました。
 まさに私も地方から来ておりますが、ありがちな疎空間と、それと、ありがちな硬い土木の固まりでして、地域に全く魅力がないと。国土が壊れてしまっていると言ってもいいぐらい、私は地域は被害者だと思っております。これは国策が、それで経済成長してきた今までの側面があって、それがここまで来てしまった。山は人工林だらけ、そして、インフラはたくさん造ったけれども、放ったらかしが始まっていて、全く美しくない。田舎に行っても全く美しくないし、癒やされないというような田舎が山積して、今になって慌てていて、人口減少が始まって、何とかどこか美しいところをつくって、人を呼ぼうとしているというような状況でございます。
 私は、環境省さんにも、本当に環境が前面に出てくる時代になって、今が突破口として進めていただきたいというような発言とか、省庁間の壁を破っていただかないと、こういうことができないわけですので、こういう壁を破るための突破口をどうやってつくっていくのかというのが、今の一番悩ましい、どうやったら、このことが届くのかということとか、今、国がばらばらでやっているほとんどの戦略会議が、とても成功しているようには見えなくて、とても解決策になるように見えないので、そこをぜひ何かコメントがあったら教えていただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
◯高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、竹ケ原委員、お願いいたします。
◯竹ケ原委員 ご説明ありがとうございました。
 私は、金融界からの参加なので、ご説明の中で言及された、交付金では全然足りないので、民間の投資をいかに誘導するかという点に関してコメントしたいと思います。これは、いわゆる「サステナブルファイナンス」の議論です。 投資という観点からは、価値創造とか企業価値の増加につなげる必要がありますから、ESGの文脈では、なるべく企業価値の創造と環境価値の創造を同期させようとします。そうすると、ではその価値をどう計測するかいうところが、まだまだ課題で、無形資産をいかに可視化するかみたいなところで、やや堂々巡りになっていると思っています。
 ご質問は、先生が最後に言われたCommonsの悲劇のですが、私も全く同感でありまして、日本の私権絶対の文脈では、どうしてもパブリックドメインという発想が入ってこない。そこで、どうするかですが、例えば、現在、望ましい都市構造の将来像としてウォーカビリティというコンセプトが語られているわけですが、そこに持っていくためには、建設誘導というか、都市計画レベルでの一定の強制力をもったコントロールが必要な気がします。日本の制度ではなかなか難しいとは思いますが、基礎自治体の都市計画決定権限等を強化するなどの方向性が是認されるのかどうか、先生のお考えをぜひ聞かせていただければと思います。
 以上です。
◯高村部会長 ありがとうございます。
 今、オンラインでお二人、手を挙げてくださっておりますので、オンラインでのご発言をいただいた後に、一度、安宅先生にお戻ししたいと思います。
 それでは、本日、オンラインでご出席の馬奈木委員、お願いいたします。
◯馬奈木委員 馬奈木です。ありがとうございました。
 デジタルに関して1点コメントと、1点、質問です。
 最後のほうでおっしゃられたEcological Economicsに出た論文で、森林の多様性、鳥のよさなどが収入より大きくWell-beingに価値があるというのは、まさにおっしゃるとおりで、我々がJournal of Happiness Studiesなどに出しているのも、地域のコミュニティの価値とか環境の価値、健康の価値のほうがそれ以外の収入、資産よりも大きくWell-beingに出るというので、今、非常にデジタルで価値化をすることがすごく大事だというふうに言われているんですね。それは今回の発表でおっしゃっている景観価値の資産化とか、デジタルを価値につなげるというので、非常に大事だと思いました。
 質問なんですけれども、サイドワークの失敗を含めたデジタルは手段であって目的ではないので、このまま行くと、デジタル田園都市もうまくいかないということに関しまして、私自身は、ESGの関連で、例えば、サプライチェーンを通すことで、今、経産省でも議論のサプライチェーンの最後まで人権の責任をメインとなる企業が負うなど、非常に欧州中心に、どちらかというと、情報を共有することによって、その後に法律が動くようなものが今、中心になっています。
 その一方で、現実に、カーボンタックスをすればいいとか、排出権取引を倍にすればいいというふうな税制でのデータを通した価値化というのもあります。私は前者のほうの、情報を中心にしながら各企業が行くほうが現実かと思いますけれども、そういうのは、今回、税金制度まで含めてデジタルに価値化を入れたほうがいいのか、あくまで情報のみんなの共有によるものがいいのかというのが、どのように考えていらっしゃるかが質問です。
 以上です。ありがとうございます。
◯高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、鈴木委員、お願いいたします。この後、安宅先生に一度お返しします。
 鈴木委員、よろしくお願いします。
◯鈴木委員 安宅先生の話は大変分かりやすくて、田舎に住んでいる私にとっては本当に悩みの話でもありまして、本当によかったと思っています。
 それで、やはり田舎に住んでいますと、一番の課題は森林の荒廃です。森林の持ち主がいないということで、森林は本当に荒れ放題になっていますし、鳥獣害の被害もすごくて、私の家のところでもサルもイノシシもクマもシカもたくさん出てきて、畑もみんな荒らされてしまっているというような状況の中で、やはり災害という心配もあります。そして、先ほど先生が言ったように、景観はきれいではありません。本当に木も草もぼうぼうと生えていますので、こういったところをどういうふうにしていかなければならないのかなというような悩みもあります。
 そして、土地自体に価値があるというように先生がおっしゃっていたんですけれども、なかなか土地を持っているものにしても、土地に価値が見いだせないというような状況があります。ですから、相続といっても、あまり土地は誰も欲しがらないというようなことで、やはり、土地に価値があるというようにしていかなければならないんだろうなと思っています。
 コンパクトシティというようなことも叫ばれているんですけれども、田舎で山や土地を守り、また、お墓を守っていくものにしてみると、なかなかコンパクトシティというのも夢であり、そうなれればいいなというようなこともありますので、どういうふうにしていけばいいのかなというのが毎日の悩みであります。
 そんな中で、森林の荒廃とか、そういったところに、どういうふうに行政とかと取り組んでいければいいのかなというようなことも教えていただければありがたいです。
 以上です。
◯高村部会長 ありがとうございます。
 それでは一度ここで安宅先生にお返ししたいと思います。
 安宅先生、よろしくお願いいたします。
◯安宅教授 たくさんの先生方、ありがとうございました。
 答えられない部分も多々ありますが、答えられるところを答えたいと思います。
 まず、奥先生からあった硬い土木はレジリエンスとの兼ね合い的にどうなのこれみたいな話ですけれども、これは種類によるんですけれども、特に河川みたいなのは、僕の風の会の活動で、国交省のグリーンインフラの人たちとも随分やっていますけれど、実際、硬い土木というより、グリーン系のほぐしたインフラのほうが災害が少ないという話は多々あって、本来、人間が道を通すべきところじゃないところに道を通して、無理やり擁壁で固めているところは、多分ほぐすと本当に崩れ落ちると思うんですけど、河川等に関しては、かなりの部分は相当いけると思いますし、昔からある霞堤みたいな、うまい逃し方みたいなやつもうまく混ぜ込んでおくと、レジリエントというか、洪水とかでも被害をむしろ下げることができるみたいなのがあって、あれは別に固い擁壁とか、そんなものは関係ないわけですね。なので、本来的に人間が通すべきところじゃないところに通している道問題以外は、結構ほぐし得るという見解です。
 あと、道も硬い道というのは、我々の調べでは、新しい新設道路は1㎞当たり最低でも5億とかかかっちゃう。国道レベルのスペックだと20から70億、1,000m敷くためにかかってしまうと。県道でその半分で、市町村でその半分ぐらいなので、こんなに金をかけておくと、実は最終的には自治体の財布に打撃をくらって全く維持できなくなって、先ほどお見せしたとおりの荒れたものになるので、本来的に道に通る車が達していないところは、むしろ無舗装道で固めるという、ローマ時代からの道のつくり方みたいなものがあるわけですけど、トスカーナとかに行くと、実際にはほとんど太い道以外は舗装されていません。あれでちゃんと世界遺産的な空間維持がされているということで、都市スペックで道を敷き過ぎたようなところは本当はほぐすべきだというふうに考えています。
 例えば、今、探し出したんですけれども、ピエンツァ、これは世界遺産の町です。これとかは完全に無舗装ですけれども、こんなので十分です。道を傷めるのは、とにかくでかい車なので、道に対する負荷は車の重量の4乗に比例すると聞いています。ですから、でかい車が通らないところは、大した道を敷く必要がないということで、道の見直しがいると思っています。これが一つ目。
 次に、豊岡先生からあった省庁間の壁を破らなきゃいけないのにどうしたらいいんだろうかという、非常に若干ぎみに難しめのお話なんですけど、それで多分、僕がいろんな省庁に呼び出されるのかなと思うんですけど。
 一つは、環境とか空間とかがよくなることで文句を言う人というのは実はいないわけです。ほとんどの人にとっては非常にうれしいことであって、それが単純に評価されるという空間の評価システムを本当は入れてしまうというのは、結構重要だと思います。これは後ほど、ご質問いただいた、鈴木先生のお話ともつながると思うんですけど、森であろうと、疎な空間であろうと、美しい度合いのレーティングを入れてしまうというのは、結構すごくシンプルに効くと思います。
 もともとすごく美しいところなのにもかかわらず、高圧線網が走り抜けているところとかとがめちゃ多くて、本当に信じられないほどぶち壊しになっていたりします。僕の田舎は富山なんですけど、世界遺産の五箇山とかでも、世界遺産地区のところはいいんですけど、角度を変えて見ると鉄塔とかが走りまくっていたりして、ぶち壊しなんですね。だから、そこの真ん中のところはSクラスかもしれないけれども、その裏側はABCDEならEかDぐらいの空間というのは結構ごろごろしています。ああいうものを500m区画とかで全部レーティングをかけてしまうというような仕組みを勝手に入れてしまうと、土地が暴落し始める可能性がありますけど、いいところは逆に評価されますので、それはすごくあると思います。
 僕の学生が今、いろいろ景観を研究していますけれども、鉄塔が近いと地価は下がっちゃうんですよ、実は。本当に。まだ発表していないので不確定的なところはありますけれども、明らかに景観は地価に影響しています、恐らく。そういうところがありまして、発表してしまうというのを、日本はそういうのは超絶得意なので、細かく切って出すというのは。それは一つあるんじゃないかなと思うところです。
 さらに、竹ケ原先生からあったCommonsの悲劇の話から始まる建設誘導のお話があったんですけれども、すみません、僕、都市計画決定前提というお話がちょっと不勉強でよく分からないんですけれど、全ての土地は、ある種、パブリックドメインなんであるというような思想を、多分、埋め込む必要があって、私有地であろうと。誰が住んでいようとみんなの土地なんだというようなやつを埋め込めるようなトリックが多分あり、そういうものを実験的にどこかで何か所かでやって、うまく回るというやつをつくり、そこから学ぶというのを繰り返していくと、いいんじゃないかなというふうに思います。そう考えないような土地は、基本的にはあまりよくならないと。
 比較的、最近、お金持ちの友人とかが無限に軽井沢に移住しちゃっているんですけれど、本当に多くて、何十人も移住しちゃって困っているんですが、それは一つはパブリックドメイン的な意識がすごく強いからだと思いますね、私有地に至るまで。みたいなところがあり、それができるところはちゃんと土地の価値が上がるというような話を、ちゃんと明示化していくことが非常に重要だと思われ、これはアシストできると思います。そういうことができているところは環境省としてはナイスですというような話をお墨つきを、一見、本来、仲がいいはずだけど、あまり会話していないかもしれない国交省の皆さんとかも、随分この系の議論していますので、ちょうど今、全国国土開発計画か何かが見直しされているんですね、たった今。あのところと連携して一緒に埋め込むとか、僕は可能だと思います。そっち側もサポートさせていただいているので、そっち側でも言いますけど、そう思っているところです。
 さらに、馬奈木先生からお話があった、サプライチェーンとそこで情報側からやるのか、カーボンタックスなどの税制等から、どっちからやっていくんですかみたいな話、私の立場は、僕は経済人でもあるので、半分、効くものは全部やれとか、何もかもやると。そしてうまくいかないものはやめるという感じが多分正しくて、税制も誘導するものはもちろん誘導すればいいと思うんですけど、税制ほどは効かないと思いますけれども、レコグニションというか、先ほど言った話とつながりますけれども、褒めたたえるというのが実は非常に効く可能性が高く、美しい村50選みたいなやつがありますけれども、それ以外にもここのこういうのはいいんだみたいなやつを次々とクリアにしていって、そのような土地なのか、取組をスターにするような仕組みというのは、同じレベルで効くんじゃないかなというふうに思います。
 カーボンタックスは不可からずやるべしだという見解です。僕は。当然ですね、これは。当たり前でやるべきであるというふうに思います。そうしないと、疎空間にあれだけ金が突っ込まれていることを全くジャスティファイできないと思うわけです。そこはめちゃくちゃ重要ではないかなと思っています。疎空間のエコノミクスは長らく随分見ていますけれども、本当に悪いんですね。県レベルで見ると分からないんですけれど、疎な空間になると、本当に信じられないほどの金を入れないと回らない状態で、そうなればなるほど死ぬほど金がかかり、女川町とか一人当たり850万円ぐらい毎年金が突っ込まれていますし、飯舘村に至っては1,250万円とかなんですよね。3人家族で三千七、八百万とか、2年ぐらいお金をもらったら、かなり立派な家が結構都市部で建つんじゃないかぐらいの金が突っ込まれて、やっと回っているというのは、そうではないと。単なるエコノミクスではなくて、空間そのものがすごく価値を生み出しているんだというような視点を持たないと、多分回らないということもありますし、実際問題、維持できなくなるし、維持するロジックが通らなくなると思われ、そのための議論はめちゃくちゃいるんじゃないかと思っています。
 最後に、鈴木先生からお話があった森林の荒廃をどのように行政として取り組んでいけばいいのかの話、これは本当にすばらしく大事なポイントだと思います。本当に僕も心を痛めていまして、日本の森の六、七割を人工林が占め、そのうちの7割がスギかヒノキしか生えていないという、このとんでもない状況ですね。
 はげ山より100倍いいということはとりあえず言った上で、100倍とか万倍いいんですけれども、はげ山の時代を潰してくださった先輩方には非常に心から感謝、スギかヒノキしかないというのは本当に残念ですというのも同じく思うということで、本当に広重の絵を見てもはげ山ですし、昭和初期もはげ山、これは消えたので、これよりはいいと。
 基本は間引きまくるということと、間引いたものをどうやって利活用するかということのセットだと思うんです。それで間引いたところに何か植えるということで、間引く、利活用する、そして別のものを植えるというこの三つをやれば、きれいになっていくというふうに思います。間引くについては、僕はエネルギー系のことも結構いろんな仲間でやっているんですけれども、エネルギー需要で、とにかく今、とてつもなくいるのは冬場ですよね、実は。電気は昔はピークは夏でしたけど、今は冬で、あれは暖房です。暖房は正直、森林にある木を燃やせれば完全にニュートラルなわけですが、また何か植えればいいだけなので。そういう木質ペレットなり、材木を燃やして温める系のやつをひたすらやるということを、しばらく頑張って何十年かやっていたら、かなりは間引けると思います。だから、抜いてきて燃やすというサイクルは、抜いてくることさえできれば、切ってくるというか、回る。問題は切り出せないということと植林ができないのところに、実はボトルネックというのが私の関わっているプロジェクトで感じていることで、それは、今、木を切ってくるときにかかるお金が1本500円とか1,000円のスギの木とかになっちゃっているので、切り出し費用のほうが高いという問題です。これをいかにロボティクスとかを使いながら、ばんばん倒して引き出してくるかという馬搬のようなものを昔やっていたわけですけれども、人間じゃなくても引き出せるような仕組みというのは、実はこれは環境省マターとして、切り出し開発というのは本当はやったほうがよくて、そこのところに植林するようなロボットとかも、本当はあるといいと思います。それがないと、エコノミクスが合わないというだけの理由で、全然いつまでたってもできないということで、伐採と植林ロボットが斜面でもできるかどうかが、実はここの鍵を担っている可能性が高いんじゃないかなと。切り出しできれば、とにかく燃やすか、CLTにするかみたいなことで、やりようが幾らでもあるので、今のところ切り出すエコノミクスがない、あと植える方法がないということで、これをどうにかしないと進まないんじゃないかなというふうに思っています。
 ということで、すみません。一気にたくさんのご質問に答えて、今の私の基本見解を述べさせていただきました。ありがとうございます。
◯高村部会長 どうもありがとうございます。
 ほかに委員からご質問はございますでしょうか。オンラインのご参加の皆様もよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 安宅先生、すみません。朝早い時間から大変参加していただいてご報告、どうもありがとうございました。
◯安宅教授 とんでもないです。お声がけいただき光栄です。
◯高村部会長 もしよろしければ、もうしばらくお付き合いください。
◯安宅教授 まだ二、三十分は大丈夫です。
◯高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、後半の二つ目の議事に移ってまいりたいと思います。審議事項であります第五次環境基本計画の見直しについてということで、まず、事務局からご説明をいただいて、委員のほうから質疑、あるいはご意見をいただきたいというふうに思っております。
 それでは、事務局からご説明のほど、よろしくお願いいたします。
○河村計画官 事務局から説明させていただきます。
 それでは、本日、事務局からお配りしている資料1、資料2、資料3につきまして趣旨を説明させていただきます。
 資料1は、前回107回の総合政策部会資料でお配りした論点整理の資料と同じものでございます。これに対しまして第107回の総合政策部会で委員の先生方から多数ご意見を頂戴いたしました。それを資料2でまとめてございます。別途議事録のほうも確認いただいているところでございますけれども、こちらの資料2におきましては、いただいたご意見を第五次環境基本計画の目次に沿って整理したというところでございます。
 この中で特に、まだ事務局からの論点整理というか、情報提供が不十分であったというところが資料2の3ページ目、「新たな成長」の基本考え方、それから、国民への社会の姿の共有化というところでございます。これにつきまして、資料3、補足資料を本日ご用意させていただいたという次第でございます。ですので、資料3に基づきましてご説明をさせていただきます。
 まず、1枚おめくりいただきますと、中扉ありますので、さらに次、3ページ目のところでございます。
 将来にわたって質の高い生活をもたらす「新たな成長」、これが第五次環境基本計画のところに登場した文言でございますけれども、そのイメージについて、前回107回の総合政策部会でお示ししたところでございます。
 次のページをご覧ください。
 その「新たな成長」を実現する上で主体別に求められる行動について整理した4ページ目の資料の中で、今回、補足するべきポイントにつきまして水色の四角で囲んでございます。
 今回、補足いたしますのは、企業から民間投資で行われ、それによる資本蓄積、労働資本の高度化が起こり、それがイノベーションを引き起こして生産性の向上をもたらし、GDP等の成長につながっていくというような、この経路につきまして、そのメカニズムとそれと現状とのギャップ、それから求められる姿について資料でまとめてございます。
 5ページに移ります。
 環境価値を活用した高付加価値化がどのようにして起こるかというメカニズムを解説したものでございまして、こちらは平成28年2月の環境省の気候変動長期戦略懇談会の資料を一部加筆したものでございます。
 環境科学導入以前の価値と価格の関係について図示をしておりますけれども、この中には内部化されていない外部不経済も存在するということを注記してございます。
 ここで環境対策が導入されますと、その分コストの部分が上乗せになるわけでございますけれども、これに伴って省エネ等のプロセスイノベーションが起こりますと、生産コストの一部削減ができるということになります。また、環境対策の投資によりまして、新たな需要が創出されるということにもなります。
 こうして生み出された新たな製品でございますけれども、環境価値に加えて、その他の社会経済的価値も付加される、新たな価値も付加されるプロダクトイノベーションが起こるということでございまして、非価格競争力が上昇しますと、全体の高付加価値化が実現すると。そして、利潤や賃金の分配も増えて、経済全体にプラスになるというところでございます。
 そして、環境対策に伴う投資による事業、自然資本を維持・回復・充実させる各種の資本システム、それから各種の自然資本に対する需要も一層拡大するというようなことにつながってまいります。
 次のページをご覧ください。
 このように環境対策というのは、外部不経済を是正することを目的に導入されるものでございまして、現在及び将来の国民全体の経済構造の向上を図るものでございます。
 この外部不経済の内部化の措置、様々な措置がございますが、これらの導入を含めて、環境負荷が下がり、経済が成長するというデカップリングに貢献するような経済社会システムの再構築が必要だということが言えます。
 ところが今、現状がどうなっているかと申しますと、こうした環境対策費が販売価格への転嫁がなかなか受け入れられないという、そういう経済社会システムとなっておりまして、例えば、消費者は最終消費財・サービスを低価格で提供されることを望み、最終消費財に素材や原材料を提供する中間財・サービスの供給者に対しましても、最終消費財の供給者が販売価格の上昇を容認しないというような状況でございます。
 したがいまして、これらの供給者につきましては、環境対策費を自社で吸収し、コストを削り込んで利益を捻出すると、そして株主に還元するというようなところが、今、現状かというふうに思います。
 あるべき姿、ありたい姿といいますのは、こうした販売価格への転嫁が受け入れられる経済社会システムでございまして、先ほど出てまいりましたイノベーションが大胆に推進されまして、経済社会システムのバージョンアップが成し遂げられた姿であるということになります。コストカットで競争するのではなくて、付加価値をつけていく、マークアップの確保を通じた付加価値の創造の競争をしていくということになってまいります。
 そうした中での消費者は、Well beingや高い生活の質の実現に向けて、環境配慮製品などを欲していくというような形でマインドが変化していくということでございます。
 そして企業は、そのような変化した国民のニーズを把握して、その発掘を受けて、高付加価値の製品開発、そして供給を行っているような社会でございます。
 それに必要な企業によるリスキリングなどなど、人への投資を含む経済的競争能力投資が強化されているという状況でございまして、これによって成長と賃金上昇の好循環が起こるということでございます。ESG投資の潮流によりまして、長期的視点でこういうようなリスクと機会が検討されるなど企業も変わりつつあるということは前回の論点整理での資料でもお示ししたところでございます。
 このような社会におきましては、消費者もより付加価値の高い商品を望み、それに合わせて最終消費財の供給者もそのような消費財を供給いたします。
 そのために素材、原材料を供給する者につきましても、そのような付加価値がついた原材料・サービス、このようなものを供給していくということで、これらの3者が共に進化していく、共進化していくというのがあるべき姿、ありたい姿かということかと思います。
 ところがその現実との関係でございます。7ページのほうに行きますと、経済的競争能力投資というのは、無形資産の3分類のうちの一つでございまして、ブランドの形成、市場調査によるニーズの掘り起こし、それから労働者のスキルアップ、経営や組織の見直しなどに関する無形資産、これらが経済的競争能力投資と言われるものでございます。
 この経済的競争能力投資のGDP比というのを諸外国と比べてみますと、主要国と比べて日本のGDP比は非常に低い水準であるということでございます。日本で無形資産投資は活発に行われておりますけれども、主に革新的資産、研究開発、特許などに関する投資が多く、これらについては世界でも高水準でございますが、経済的競争能力投資を取ってみますと、日本の水準が低いというようなことが見てとれます。
 そして、この経済的競争能力の比率というものが一人当たりGDPの伸び、炭素生産性、資源生産性の伸び、それからプロダクトイノベーション実現割合と相関関係が観察できるということでございまして、その中でも日本の水準が低いということがこれらのグラフからお分かりいただけると思います。
 8ページをお開きください。
 そして、時価総額に占める有形・無形資産というものも、日本はほかの国と比べますと、無形資産の割合が低いということでございまして、中国や韓国と比べても日本の割合の低さが目立つというところでございます。
 さらに、製造業だけ取り出して経済的競争能力投資の比率と製造業GDPの伸びを比べてみますと、やはり一定の相関が見られますところ、日本の水準は両者とも低いということになります。
 そして、革新的投資の水準が高いということで、日本の特許出願率は世界でもかなり高い水準にありますが、商標出願数とのアンバランスがあるということは、前回の論点整理でもお示ししたところでございます。
 さらに、プロダクトイノベーションの実現割合とマークアップ率、開廃業率を比べてみたところ、いずれも日本は低水準ということになりますし、これで経済的競争能力投資の比率をドイツ並みにしようと思うと年間11兆円の投資、アメリカ並みにしようと思うと年間28兆円のギャップがあるというような試算もお示ししてございます。
 ここまでが供給者サイドのお話でございまして、9ページからは消費者サイドでございます。
 消費者のマインドにつきましては、1980年代頃から物の豊かさよりも心の豊かさを重視する方向に転じているというところでございます。そして2015年のアンケート調査によりますと、商品の背景、ストーリーや社会貢献を重視するというふうに答えられる割合が過半数を占めているというところでございます。
 それから、2000年から2021年までのそれぞれの定点でアンケートを取ってまいりますと、製品にこだわりなく、安ければよいというふうにお答えになる消費者の割合は減っておりまして、対象的に購入する際に安さよりも利便性を重視したい、あるいは自分が気に入った付加価値には対価を支払いたいと答える消費者の割合が増えているというところでございます。
 それから、エシカル消費のニーズにつきましても、大体4割の方が将来的に行っていきたいというふうに答えているところでございます。
 ただし、気候変動対策は生活の質を脅かすというふうに答える市民の割合というものが日本は世界全体と対照的に多いという結果がありますし、また、気候変動を懸念している割合が諸外国では2015年から2021年にかけて増えておりますけれども、日本とアメリでは減っているというようなことも見てとれます。
 そして、このような原因が、こちらは事務局としてもなかなか判明しづらいところ、試しに経済的競争能力投資の比率と相関を取ってみたというのが10ページでございまして、経済的競争能力投資の比率をG7各国で比べてみたところ、これらの比率が高い国につきましては、環境保護企業からの購入割合、エコ商品の購入割合、持続可能な製品に対する支払い価格、高めに出るというようなグラフが描けます。
 それから、先ほど、デジタル化はあくまで手段であるという話が安宅先生の発表の中でありましたけれども、日本におきましては、とりわけ生産性向上とかデータ分析活用についてデジタル化を進めようというようなことが示されておりますが、商品の差別化ですとか、顧客体験ですとか、そういうところにあまり向かっていないということ、それからDXの取組をされているのが専任部署、現場の担当部署でございまして、対照的に欧米では経営層がDXを主導しているということが見てとれます。
 このようなこともありまして、11ページでございます。
 炭素生産性と労働生産性の相関関係がどんどん1990年から2019年にかけて強まっていっているというようなことをお示ししておりますが、欧米では環境に適合するように経済の構造を変化させているということでございますが、日本の立ち位置をご覧いただけるというふうに思います。
 そして、公害防止のところにつきましては、かつて日本は公害防止設備の割合が全設備投資の17%を占めていたというような時期もありましたし、今後は脱炭素、デジタル化、レジリエンス強化が投資を牽引するのではないかという話があるわけでございますけれども、今現状のギャップをお示ししたところでございます。
 続きまして12ページ、技術分散型社会に関する補足資料でございます。
 トランスフォームをすることによって、どのような社会に向かっていくのかということにつきまして、幾つか資料をご用意してございます。
 まず、日本のエネルギー自給率は諸外国と比較して低水準であるということでございまして、特に化石燃料の純輸入額、最近は自動車、一般機械、鉄鋼の純輸出額を上回るほどの負担額が生じているというようなことでございます。
 それから他方、人口分布につきましては非常に太平洋ベルト地域に集中しているというような現状もございますけれども、再生可能エネルギーのポテンシャル、実は地方に多く分散しているということでございまして、脱炭素化で最大限の再エネが求められる、あるいは投資が求められるという中で、再エネ事業は地方にとって大きなビジネスチャンスとなり、自立分散型の実現につながる可能性があるというのが、このグラフから読み取れるかというふうに思います。
 さらに14ページ以降につきましては、自然資本と自然資本を維持・回復・充実させる資本システムがどのようにWell beingや生活の質を向上するかということに関しましての補足資料でございます。
 15ページは、ZEB・ZEHでございまして、光熱費の削減、災害時の安心・安全の向上に加えまして、様々な健康上のベネフィット、利益があるというようなことがこの15ページで示されている事例でございます。
 続きまして、16ページ、コンパクトシティでございます。
 コンパクトシティにおきましては、先ほど疎空間の問題が指摘されたところでございますけれども、人口密度が多くてコンパクトな形にしていくと、例えば商店街の活性化、労働生産性の向上、財政支出の減少、医療費の削減などの経済社会的メリットが期待されるというような資料でございます。
 17ページ、公共交通でございます。
 高齢者の外出機会の増加ですとか、混雑の緩和のほか、様々なまちづくりについてプラスの面があるというようなことの紹介が各種の資料でなされているところでございます。
 18ページ、コミュニティでございます。
 自然資本を維持・回復・充実させる資本・システムの中にはコミュニティも含まれていたわけでございまして、このコミュニティがしっかりしているところにおきましては、幸福感の向上、健康の増進、介護費用の削減、満足度の向上などの社会的なベネフィットが得られているというようなことが分かってございます。
 さらには自然資本でございます。
 景観に関しまして重視すべきという前半のご発表があったところでございますけれども、よい景観は高付加価値が既についているということで、老舗のホテルチェーンがその辺は押さえているという話が6番でご紹介しているところでございます。
 このほか自然資本を活用して様々な地域課題が解決できるのではないかということを環境省の30by30ロードマップというところでお示ししているわけでございまして、農作物被害の削減ですとか、国立公園による観光消費の増加とか、そういうところをお示ししているところでございますけれども、さらには森林浴によって健康が増進するというような調査もございますし、さらには公害対策によりまして水質を改善した河川において、自然資本としての価値が回復・増進しているというような事例を二つご紹介しております。多摩川ではアユの遡上を確認されて、近年ではたくさんのアユが遡上する河川になっております。
 ニューヨークでもハドソン川の有害化学物質の汚染がありましたけれども、これを浄化したところ、イルカや鯨が戻ってきていて、ホエールウォッチングもできるようになっているというようなことも指摘されているところでございます。
 このようにトランスフォームした上で、様々な社会経済的メリット、環境メリットももちろんのこと、そういうことが起こり得るということは、各種の資料でご紹介されているというところでございます。
 以上、事務局からの補足資料の説明でございます。
◯高村部会長 ご説明どうもありがとうございました。
 それでは、事務局からご説明いただいた資料を基に質疑、意見交換をしてまいりたいと思います。
 ご発言を希望される方は、先ほどと同じですけれども、会場参加の方は名札を立ててお知らせをいただき、オンラインのご出席の委員は手挙げ機能をお使いいただければと思います。
 最初に、馬奈木委員が本日11時頃までのご出席と伺っておりますので、オンラインでご出席の馬奈木委員からご発言をお願いいたします。できるだけ一巡だけでない形で相互に議論したいと思っておりますので、簡潔にご発言をお願いできればと思います。
 それでは馬奈木委員、お願いいたします。
◯馬奈木委員 ありがとうございます。
 三つコメントです。
 まず最初に、4ページの図はすばらしいと思うんです。資本のストックをきちんと上げていくことによって、経済フローにつながり、最後に国民のWell beingというものがあります。一つ注文なんですけれども、そこで社会関係資本という用語が入っています。これはどういう言葉かといいますと、国交省でインフラをよくすることを社会資本と呼んでいるんですね。それに関連するもので、それ以外の文化的自然の価値ということで社会関係資本というのができた。でも実際は国交省のインフラは人工資本、物的資本のことですので、用語の使い方が本当は正しくないんですね。一般的にこういうことは社会資本という言葉を使います。それはソーシャルキャピタルと同じようなもので、ここは社会資本に直していただきたいと思います。
 それを派生した上で、その後、11ページで炭素生産性などの議論をされて、その相関が高くなっているというのは、すばらしい説明の仕方かと思います。
 そこで、どのように炭素生産性を上げるかということで、プロダクトイノベーションの話がございました。どうやって今後プロダクトイノベーションを進めていくかとなりますと、どこで何をつくるかを精緻化して、きちんとやっていくことが大事になるんですね。そうすると、炭素だけの話ではなくて、地域の自然資本を生かすとか、ローカルな場所での人権を維持するとか、コミュニティの価値を生かすかということになります。こういうときにサプライチェーンが大事であるから、そういう議論をやって、その上での国内回帰、海外での生産、そういう議論のサプライチェーンということが環境にも大事だということをここで触れていただきたいというのが1点目です。
 2点目は、日本のいろんな国際ランクが低いというのは、示す必要はそんなになくて、むしろ、日本の多様な取組が複数出されていますけど、地域だけでなくて、産業界の取組もぜひ触れていただきたいと思います。
 例えば、自然資本を上げようという取組で、ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム、NCCCというのがございますけれども、こういう産業界の取組が実際に進んでいくことで、経済の価値にまでつなげようということを言っていただきたいと思います。
 次に、最後です。9ページに消費者の動向でエシカル投資が進んでいるというのがあるんですけれども、現状でその一方で、日本の消費者の気候変動の意識は低いなどの議論もございました。我々も消費者意識の分析をしたところ、消費者の環境意識が低いわけではなくて、総じていろんなラベリングなので、複雑過ぎて割引があるとか、そういうふうな、かなりごちゃごちゃし過ぎるから結果的に消費者はロゴを見ないというのが現状なんですね。なので、商品を見せる際に、分かりやすくやることで、環境にいいということを示すのが、まず大事で、そのときに、例えば、何のcertificateのクレジットでもいいかというと、そうではなくて、日本の水産は乱獲漁業をしているので、結果的に魚が取れなくなったんですけれども、申請すれば誰でも取れるようなラベルではなくて、きちんと国際的に認証されたものを推進するなど、どれならいい、どれなら悪いという認識を役所としても見せながら、その上でシンプルなものをやれば、きちんと消費者に通じますよという意識づけというか、言葉を出していくのが大事だと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
◯高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、まず最初に会場でご出席の委員からご発言をお願いしようと思います。もちろん自由にご発言いただければと思うんですけれども、今日は安宅先生のお話を聞いて、安宅先生からも、例えば空間管理の在り方の課題ですとか、持続可能性のためのデジタルの重要性、逆にデジタルをどう使って持続可能性を確保し向上する社会をつくっていくのかという問題提起をいただいていると思っております。
 私自身の期待ですけれども、ここにそれを具体的に進めるために、どういう政策が必要で、特に環境政策は何の役割を果たせるのかと、もし、委員からお話を伺えると私自身も大変参考になります。
 それでは、名前の順番になって恐縮ですけれども、石上委員からお願いをしていきたいと思います。
 石上委員、よろしくお願いいたします。
◯石上委員 前回の委員の主な意見というものを今日はお配りいただきました。よくまとめていただいたというふうに思っています。
 この中でも申し上げているんですけど、社会対話の重要性、特に環境省が言っている地域環境循環共生圏をどうつくっていくのかという意味でも、社会対話、様々な人たちが政策や方向性の立案に関わっていく、そして共通のイメージを抱いて、そして実行にも関わっていくという、そういう形をつくっていけるのかという、その一つのヒントというか、その条件が社会対話なんだろうと思っています。
 最近もニュースなどで風力発電や太陽光、地元で反対運動が起きて、実現しないというようなことが起きております。そういった意味では、全体でどう議論していくのか、そして地域をどうつくっていくのかという共通認識に立たなければ実現しないことがたくさんあるというふうに思いますので、そういった取組は大事だと思っています。
 それと、今日の資料でいただいた4ページのこの表なんですけど、全体はよく理解できたんですが、一方で、こういうことを実現していくためには、民間だけじゃなくて、公的人材の育成、公共インフラ、公共財、公共サービス、公的セクターに対する投資も必要なんじゃないかなと。そういった意味では、ここも人材をどう育てるのかという意味でいけば、公的人材というのも入るのではないかなと思っておりまして、市場メカニズムと別なところで実現しなきゃならない、そういった方策も必要なのではないかなというふうに思いました。
 以上です。
◯高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、崎田委員、お願いいたします。
◯崎田委員 ありがとうございます。
 前回もいろいろ発言させていただきましたが、今回、皆様の意見を基にしたまとめの資料として、一番最初のところに、「新たな成長」の補足資料として経済の問題がしっかりと描かれているという、ここを大変力強く感じました。
 どうしてかというと、2000年頃から環境と経済の好循環というキーワードを環境政策の中でも本当に積極的に使ってきました。私もかなりいろいろな関連する委員会なり取組に関わってきたのですけれども、そのときには環境の取組が社会で評価されるような社会システムをどう具体的に入れていくのかと真剣に考え、特に環境対策コストを経済に内部化していくという、そういうことでこそ環境と経済の好循環が社会に定着していくと、その頃からみんなの思いの中であったわけですけれども、今回の新たな環境基本計画に向けた環境政策づくりの検討中でそこが明確に出てきたというのは、今回、大変重要なことだと思っています。
 それをどう実現するのかというときに、メーカーなど経済界の方はもちろんですが、流通の方、そして消費者と、全員で、社会全体で関心を持って取り組んでいくということを明確に打ち出すことが重要なのではないかというふうに思います。特に、当初はコストが少し高くなるけれども、最終的には全体のWell beingにつながると、そういうことをしっかりと伝えていくということが大事なのだと思っています。
 なお、いわゆる物の値段だけではなくて、今、循環経済に向けたリース・レンタルとか、サブスクなどの販売システムとか、そういうのも変わってきていますので、ビジネス上の社会システムのコストの内部化なども踏まえて、本格的な環境や持続可能性の価値を内部化する社会に変えていくんだということを、今回、最初にしっかり打ち出すことが重要なのではないかなというふうに思いました。
 なお、そういうような変化が、経済的にとても厳しい社会に向かうんじゃないかというふうに思いがちなのが日本の今の状況というデータが、海外の意識調査との違いとして出てきているわけですけれども、そこがつらいのではなくて、生活の質を高めることにつながるんだということも明確に伝えていくという、それが今回の方向性として重要なのではないかと感じました。
 また、前回も発言しましたけれども、これまで環境・経済・社会の統合的な向上を目指して、前回の環境基本計画以来強調して取組みましたが、そこに例えば文化という言葉で、環境、経済・社会・文化の統合的な向上と明記することで、これまでと違って、私たちの暮らしをよくしていくという話につながるんじゃないかと、社会全体で共有できるのではないかと考えます。もちろん文化はアートとか音楽というだけではなくて、伝統文化であったり、ライフスタイルとか、ビジネススタイルとか、広く統合するような概念だというふうに思っています。その辺の変革時期だということを明確に示すことが大事だと思っています。
 簡単に、もう一、二点、お話ししたいんですが、資料の中に低い環境意識という言葉があったのが、すごく気になっています。特にその結果、消費選択のときに問題が起こるという指摘がありますが、ここ20年ぐらいは、環境教育がかなり明確に行われてきましたので、いわゆる次世代と言われる世代の多くは、かなり環境学習、環境教育を受けてきているわけですので、消費選択など行動する際にどうしたらいいかという情報がきちんと的確に提供されれば、エシカル消費など実際の動きは、かなり進んでいくのではないかなと思っています。
 また、消費選択などだけでなく、次世代の若い学生も積極的に取り組めるような、例えば、企業や団体の環境貢献に関するインターン制度とか、そういう取組みを評価されるような形で明確にしていくとか、若者がしっかりと環境への学びから仕事に移っていく間を支えるような、そういう制度化というのも必要なのではないかと思いました。
 なお、新しいことで一つだけ申し上げておきたいのですが、先ほど社会対話という言葉が出ていたのですが、私は、環境教育だけではなくて、リスクコミュ二ケーションという視点を明確に入れていくのも大事なのではないかなと思っています。化学物質と暮らしとか、自然放射線と暮らしとか、熱中症と暮らしとか、光化学オキシダントと暮らしとか、紫外線と暮らしとか、日常には多くのリスクがあるのですけれど、例えば化学物質を活用して生活に非常に便利な製品を作っているわけですので、そういう暮らしに係わるリスクをみんなで減らしながら、ゼロにならないリスクとどう付き合っていくのかということを、みんながきちんと考えていくような社会にしていくのが大事なのではないかと思います。そのために、リスクコミュニケーションこそが、これからもっと必要なんではないかということを感じました。
 細かいことは事前意見に書いておきましたので、これで終わりますけれども、私は2025年の大阪・関西万博の持続可能性に少し協力をしていますが、未来社会をデザインするときに、運営自体も持続可能にしないといけないし、万博をきっかけに脱炭素に取組んで欲しいということで、EXPOグリーンチャレンジなどいろいろな取組がありますので、ぜひ、そういう機会を活用して学生のインターン制度を試すとか、様々な取組の試行をするということが大事なんではないかなと感じました。
 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
◯高村部会長 ありがとうございます。
 それでは武内委員、お願いしたいと思います。
 今、安宅先生も手を挙げていただいていますので、武内委員の後に安宅先生、お願いいたします。
 では、武内委員、お願いいたします。
◯武内委員 ありがとうございます。
 私も簡単に資料を提供させていただいたんですが、要点だけ少しこの場で申し上げさせていただきたいと思います。
 環境基本計画というのは、第一次から循環、共生、参加、国際的取組というような形でずっと進められてきて、この基本的な構想は私は変わっていないというふうに思うんですが、そのうちの最初の三つはいいんですけれども、四つ目の国際的取組というのが、やや切り離されて、国際協力的な話として展開されてきているという、この状況は、ぜひ、これから変えるべきだというふうに思います。
 それはなぜかというと、今、気候変動の問題、それから生物多様性の問題、それがさらに食糧だとか森林の輸出入の問題、それに伴う様々な環境負荷だとか、原産地における環境破壊の問題だとか、人権の阻害の問題とか、いろいろなことが起こっているわけで、つまり、世界というレベルから国というレベルへ落としてきて、そこで国で議論して、それ以外に国際的取組というのを考えるという枠組みから、むしろ世界が同時並行的にかなり様相を違えて展開されていると。そのことに思いをはせながら、我が国の環境政策の立ち位置を考えていくというふうな、そういうダイナミックな物の見方へと転換していかないといけないと思うんです。
 例えば、今日、森林の話がありましたけれども、これも日本の森林が経済的に成り立たないというのは、違法伐採を含む海外からの大量の木材輸入が、結果として日本の林業再生を難しくしているという問題が生じているという、こういう面は考えていく必要があると思うんですね。
 同じように食料の問題でも、日本における食料の生産というものが必ずしもこれまで同様には進んでこなかったと、むしろ後退しているという問題があって、これを日本の国内の農業政策だけで議論するというだけでは、やっていけないという状況ですよね。そのときに、例えば再生可能エネルギーで海外に出ていた化石燃料依存の経済構造が地域に、あるいは農村に流れていく、そのことがどういう効果をもたらすかということと同じような話というのは、いろいろなところで出てきてしかるべきだと。そういうことによって、少し日本の社会について、もう一度、在り方を世界の視点から見て、そして逆に、同じような考え方がほかの地域でも展開できるというふうな形の国際的な視野における情報の交流というふうなものを進めていくというような、そういう新しい環境基本計画の方向性が打ち出されると大変いいんじゃないかなというふうに思いまして、今の段階だったら、そういう方向に軌道修正できると思いますので、申し上げました。
 以上です。
◯高村部会長 ありがとうございます。
 安宅先生、すみません、お待たせいたしました。先生のほうからご発言いただけると、インプットいただけると、大変ありがたいです。よろしくお願いします。
◯安宅教授 人手の話がとても気になっていまして、今、こうやって少子化対策とかをやっていますけれども、これはものすごく構造な問題で、豊かになったせいで起きているところがとても強いわけですね。世界的に普通に起きて、インドなんて6から2.1を割るところまでいっちゃったので、ただずっと起きるということで、これも仕方ないという問題が8割ぐらいだと僕は思っています。
 とすると、結局、これまでのように人手がいない前提で、どうやって環境を維持、発展を行うかという問題が超絶クリアに間もなく発生し、もう発生していると思うんですけど、この問題意識を環境基本計画のどこかに初めから入れておいて、なるべく人手がかからなくてやれるようにするというトリックを埋め込んでおかないと、多分5年後とかには取り返しがつかないほど状況が悪化すると推定され、どこかに入れておいていただけたら、とてもうれしいなと思いますというのが私の最後の発言になります。
 すみません。これで出なきゃいけないので、本当に貴重な機会をいただいてありがとうございました。
 では、失礼いたします。以上です。ありがとうございます。
◯高村部会長 ありがとうございます。
 こちらの基本計画についても具体的なポイントをインプットいただいて、大変ありがとうございます。
 どうもありがとうございました。本日はお忙しい中。
◯安宅教授 いえ、失礼いたします。ありがとうございます。
◯高村部会長 ありがとうございます。
 それでは続きまして、会場のほうに戻ってまいります。
 豊岡委員、お願いいたします。
◯豊岡委員 ありがとうございます。たくさん本当に示唆に満ちたご発言いただきまして、ますます発言を頑張りたいと思います。
 事前にも出しましたけれども、これを簡潔に言わせていただくと、15ページの我が国の環境行政の成果というところから、まず、お願いがありますけれども、成果というと、あたかも日本の目標が非常に頑張って高い目標を掲げているかというような、ここがそもそも誤解を生んでいるのではないかというふうに思いまして、先ほど、国際的な視点をもう少し入れるべきということで、国内的には頑張ってくださっていると思います。ただ、これは国内だけの問題ではなくて、本当にやっているほかの国もあって、急には難しいという後ろの事情とかもいろいろ分かりますけれども、ここをですね、視点を切り替えていかないと、大胆な改革にはならないので、これを成果とするのには、あまりにも私は、これが誤解を生んで、日本の脱炭素はちゃんとやっているんだというようなアナウンスになっているのではないかというような印象を受けました。
 ということで、資料の中には日本の遅れているところ、ちゃんとできているところ、いろいろな分析をしてくださっていて、本当にすばらしいと思います。なので、遅れているところ、もっと頑張れるところというのを出していかないといけない。そして、なぜ頑張れないかというところにも恐れずに向き合わないと、省庁の壁も破れないし、何度も言いますけれども、引き上げていかないと、意識改革が自然に行われるわけではないので、こういうところを、痛いところに向き合わないと進んでいかないというふうに思います。本当に国際的視野に立てば、非常に遅れを取っているということとか、先ほど申し上げていただいた、人手が減っているわけですから、人手がなくてもできるというような夢のようなWell-beingとか、すばらしい福祉的な環境と福祉の価値というような概念はいいんですけれども、実現するためにはどうするかというところに踏み込まないと、これは本当に絵に描いたもちに終わってしまうということを言いたいです。
 ここで一番の問題は、国土利用のところで顕著であると思っておりまして、国土利用の事例があまりにも踏み込み方が少なくて、国土の利用が、あたかもコンパクトシティとかウォーカブルシティとかランドスケープアプローチとか、そういう美しいところに視点を置いて、それがすばらしい未来があるのかのような書き方、書きぶりというのは、非常に問題があると思っています。
 コストがこれをするにもかかっていたり、意識改革であったり、いろんなものを乗り越えて、事例をつくっている方々もやっているんですけれども、これが同じようにお金がかけられるかというと、とても疑問に思います。
 じゃあ、どうするのかというところで、公正な移行、30ページですね、に入っていくんだと思います。公正な移行ができていない、公正な移行の意識改革ができていないところが一番の問題だと思っていて、SDGs金融も地方に呼び込めていない原因は、先ほど安宅先生もおっしゃったように、リターンが多ければ、自然に誰でもやるということで、ポテンシャルは田舎にあるのに、そのポテンシャルからリターンを得るようにできていなというところが一番の問題で、そこを誘導してあげない限り、理念や、やりたくても人手がない、やりたくても知恵がない、やりたくても資金がない状態から抜け出すことはありません。
 なので、リターンが多い、ポテンシャルをリターンに生かすような取組を誘導しない限りは、これは実現をしないと思いますので、ちゃんとリターンが多くなるような事例をもっと見せていっていただきたい。
 そして、それともう一つ規則があったらみんな従うというので、厳しい規則、タックスも含めて、かけて両方でいかないと、これを実現していく、本当に後ろ向きなデータばかりの中で、これを実現していくというのは無理だと思っております。
 なので、国土利用は再エネのポテンシャルから逃げずに、これをどうやって解決していくのか、公正な移行もGDPの4割をエネルギー多消費産業が占めているような地域もあって、ここが大きくがっつりへこむところを、早期に移行しないといけないということは、これをリターンが取れるようにしないといけない。そこの部分を助けてあげるというピンポイントをしっかりと意識しないと、概念だけで進んでも計画倒れに終わってしまうと思います。
 企業だけにそこを押しつけても無理なので、ここをしっかりと補完できるような誘導策、計画にしていただきたいと強く思います。
 もう一つ、国際関係ですけれども、本当に再エネが海外では最大の公益というところなのに、日本では脱炭素を進めると生活が脅かされるというのは、本当に皆さん半分ぐらいの方がおっしゃるような状況です。なので、やっぱりここの乖離を埋めるということも含めて、ちゃんとリターンが出るようなことにできるんだというように、施策をぜひ、計画をぜひつくっていただきたいと思っております。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは続きまして、船越委員、お願いいたします。
○船越委員 環境と経済の好循環ということについて申し上げたいと思います。今回、そういう観点から、Well-beingの追求ということを目指されているということについて、非常にそのとおりだと思いますし、今回、環境価値と経済価値の絵解きをしようということで、提示された資料の4ページから5ページでそれを示されていると認識しますが、非常にチャレンジングなあるべきアプローチだと思います。
 その中で、5ページ目の辺りになりますけれども、商品価値というところの中で、当然、環境価値があって、かつ経済的にも価値がある、例えば電気自動車とかですね、そういうのは非常に分かりやすい。
 例えば、我々の我田引水ですけれど、鉄も、例えば、安宅先生のプレゼンの中で出た、テスラの電気自動車のモーターには、我々の非常に高性能で省エネの鍵になるような特殊な鉄板が使用されていますが、この辺は黙っていても環境価値と経済価値の両方で引っ張り合いしていくものですから、全く苦労はなく大変判り易い話です。
一方で、プロセス的なところは非常に分かりづらい。
 具体的には、先ほど、安宅先生の話で、間伐材の話がありましたけれども、同じ電力を生む、電力という価値は全く変わらない、だけど、電力をつくるのに間伐材だと高くなってしまいますと、こういう話です。それをイノベーションするのに、さっきおっしゃったようなロボティクスとかにはなるわけですけれども、一旦は、電力という製品の価値が変わらないので、そこは環境価値のみを追求するために間伐材を使いましょう、だけどその分、一旦、電力代は高くなるという辺りの認識から入らないと、なかなか難しいと思っています。こうしたプロセスの話は、さきほどの安宅先生の例もそうですし、我々の鉄の部分も、先ほどの特殊な鉄の話とは異なり、水素で還元しますという話になると、商品を製品にするのに品質は変わらない、だけどつくり方が残念ながら、今の水素の価格、電気代だとコストが上がってしまうという話になると、鉄をつくるときのCOは莫大に減らせますので、環境価値はある、だけど、実現されるのは環境価値だけで、環境価値を実現するためのコストはかかるんだけれども、製品の機能は変わらないという悩ましい課題に向き合う必要があります。
 この辺をどうするかという辺りが非常にポイントで、一旦そこは、タイムラグの問題もあるので、一旦値段が上がるということを是認するということが必要だと思います。そういうことに一旦持っていった上で、値段が上がると、先ほどのロボティクスなんかもそうですけれども、イノベーションを生む、この値段だったら、このコストだったら、別の方法があるので、エコノミクスが成り立つというステップが重要だと思います。即ち、一旦10円かかったものを8円にする方法があれば、根っこからすれば8円上がっているけれども、10円を8円にするということについてはエコノミクスが成り立つので進んでいく、次に8円から6円へと進んでいくことになりますので、そのために一旦は10円上がりますというものを持ち出すということです。
これを電力代に当てはめると、個人の家庭においても大いに関係する話です。例えば、再エネ賦課金は、環境価値のみを実現するためのコストがここだけかかりますということが表になった上で、イノベーションを生んでいくということですので、上記と同様の例として理解すべきと思います。
 長くなりましたが総括すると、プロダクトのイノベーションとプロセスのイノベーションとでは、かなりアプローチが違う部分があるので、プロセスのイノベーションの辺りのところに精力的な知恵の絞り方があるのではないかと思いました。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは続きまして、石田委員、お願いいたします。
○石田委員 既に事前意見を出していますので、簡単にご説明をさせていただくと、一つ目は、前回、資料の環境面の現状と課題認識に危機感が弱いとの話がありましたが、これはやはり予測シナリオに沿って、対策をしなければこんなひどい世の中になり、対策をすればこれを回避できるというイメージできないからだと思います。
 国民のアンケートでも、「気候変動対策が生活の質を脅かす」というのは認識の誤りで、気候変動が生活を脅かす危機なのであって、気候変動への対策が生活を脅かすわけではないと思います。このため、気候変動対策をすることによって、生活を脅かす危機がなくなることがきちんと伝わる発信をされたほうが良いのが一つ目です。対策をしないとこうなるということを分かり易く表現して欲しいということです。
 もう一つが、例えば今回の資料3のP5の右側にあるように、対策というのが幾つも挙げられているわけですが、現在、自主性に基づいて進められていますが、自主性にはやはり限界があるので、ここでは規制義務化の議論をしたほうが良いというのが、事前にお出しした意見です。
 さらに、今日の意見でもありましたが、資料3のP5で環境にいいものは値段が上がると表現されていますが、これを改善する仕組みが必要で、例えばカーボンプライシングの導入だと思います。社会は経済で回っているとすれば、この表現では、国民の自主性に基づいて環境にいいが高いものを買ってもらおうという方針ですが、これはうまくいかないと思います。ですから、カーボンプライシングを導入して、P6にあるように外部不経済の内部化をして、環境に良いものが安くならなければいけないということです。
 先ほど意見があった、鉄は製品をつくるときに、水素を使うとすごく価格が上がってしまう。しかし、鉄は鉄だと。これをどうするのか、値段が上がっても購入してくれるのかとの話ですが、これをCO排出にコストがかかることにすれば、脱炭素製品のほうが安くなります。全体的には値段は上がるかもしれませんが、結局、最後は脱炭素製品が安くなる仕組みとしてカーボンプライシングの導入も必要です。安宅先生も言われているように、できることはみんなやるということではないかと思います。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 今、ご発言をご希望の方が11名いらっしゃいます。時間との関係を計算していただくとよく分かるんですが、お一人3分をリジットに守っていただくことをぜひお願いしたいと思います。
 それでは、井田委員、お願いいたします
○井田委員 3分で間に合わないと思うんですけれども、急ぎます。
 この前、プラの入れ物をやめなさいといってなくしていただいたのはいいんですけど、今日申し上げたいことは、冷房をガンガンというのは非常に問題だと思っていまして、危機感がないことの表れだと思うんですよね。どうせだったら気候変動の危機感を感じるんだったら、冷房を入れないで炎天下でやれば、こういう議論をすればいいと思っているので、次回こういうことは決してないようにしていただきたいというふうに思います。
 それは会議の進め方なんですけれども、無形資産投資とか、経済的競争能力投資で海外と差がついたということなんですけれども、なぜ起こったかというと、前回にも申し上げたように、環境政策が駄目だったからなんですよね。経済的手法も規制的手法もなかったという、放っておいて変化が起こるわけではなくて、規制がなくて経済的手法もなかったからこういうことになったんだと思っています。
 人権についてもそうで、海外でも森林デュー・ディリジェンスの法とか人権デュー・ディリジェンスの法とかできているんですよね。だから脱炭素化が進むのであって、やっぱり30年の、さっき豊岡先生からもいいことばかりじゃなくて遅れているところを見ろというご指摘、まさにそのとおりで、最終処分の量は減ったかもしれないけど、焼却炉は馬鹿増えしているんですよね。そういうところを、きちんと見て、いかに我々30年うまくやってこなかったか、経済的手法も規制的手法も駄目だったじゃないかというところからスタートしなければならないというふうに思います。
 Commonsの悲劇の話がありましたけれども、これは私が申し上げるまでもないんですけれども、Commonsの悲劇を防止するには、適切な資源管理をやって、場合によっては規制を入れなければならないと。
 ドイツなんて私有地で、自分の家に生えている木でも一定の高さになると切れないんですよね。
 そういう私有財産の規制が入っているんです。そういうことだったら、神宮外苑の木を切るなんていうことは日本では起こらないと思うんですけれども、私有財産の規制を含めて、厳しい政策をやらないと、トランスフォーマティブ・チェンジというのは実現しないんだということを、環境基本計画の議論の中でも、計画の中にも明確に位置づけるべきだというふうに思います。
 これも前回申し上げたことなんですけど、そのとき重要なのはウェディングケーキの考え方とプラネタリー・バウンダリーの考え方であって、白書の中に書いたのはいいんですけれども、やっぱり単なる紹介だったんですよね。
 紹介にとどめるんじゃなくて、やっぱりそれを政策の中に、今度の基本計画の中に明確に政策として位置づけるべきだというふうに思います。
 一番最初に自然資本と、一番基本に自然資本というのがあって、その上に社会関係資本というのがあって、財務資本とか人的資本というのはその上に乗っているとバイオスフィアが全ての基礎、それを守るのは環境政策ですよね。環境政策の全ての基礎にならなければならないというぐらいの重要なものに、次期の環境基本計画はしなければならない。
 重要なことは、我々はどんな活動も自然の制約の中でしかやることができないんだ。それに対して、こういう政策を打っていきますというのが、環境基本計画であるべきだというふうに思います。すみません、長くなって恐縮なんですけど、具体的なことを言うんだったら、GDP信仰みたいなのをやめましょうとかですね。
 先ほど、陸上哺乳類のバイオマス、野生生物6%になってしまいましたというイスラエルの研究のご紹介があったんですけれども、それをやれるんだったらやっぱり牛肉消費を減らさなきゃならないんですよね。プラも減らさなきゃならない。
 嫌だけれども減らさなきゃならない、生産を減らさなきゃならないものがあるということも認識しなければいけないし、価格が上がると言いましたけれども、上がるんだったらそれを経済的手法でキャンセルするような手法が必要ですよね。当たり前のことができていないという、30年間できていなかったというのを、きちんと心に留めなければいけないというふうに思います。
 もう一つ、人権で言えば990円のジーンズがどんどん入ってくる国でいいのか。海外で、違法伐採だとか違法密漁だといってはじかれたような木材や水産物が日本にばんばん入ってきてしまうような状況で、生物多様性の保全なんて進まないですよね。
 そういう状況だったら、やっぱり税とか、輸入品に関しても税とか課徴金とか輸入規制とかというのはやらなければならないんだという、そういうことをやらなきゃならないところまで来てしまったという危機感を持って、根本的な政策と政策の枠組みのトランスフォーマティブなチェンジをするんだという基本計画にしていくべきだというふうに思います。
 すみません、長くなりました。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、堅達委員、お願いいたします。
○堅達委員 私も、何人かの委員がおっしゃられましたけれども、外部不経済の内部化というものを本気でこの基本計画で捉えていく必要があって、そのためには、やはりルールメイキング、こちらはルールを強化するという、それが現在、迫られているんだと思います。
 石田委員も自主性には限界があるということをおっしゃいましたが、どうしても今のGXも含めて、ボランタリーな制度の中で解決しようとしているんですけれども、それでは全く2030年までにCOを半減しようとか、30by30とか、今、世界で求められている変革には対応できないと思います。
 かつて日本も公害のときには、規制を強化することでイノベーションが生まれるなど、カリフォルニアのマスキー法もそうですけれども、思い切って規制をもう一度強化する時代にこれから向かっていくべきではないかと強く感じています。
 これは何もカーボンニュートラルに限らず、循環経済、それからネイチャーポジティブをどう達成するかということにも関係すると思うんですけれども、一つ例を挙げると、プラスチック、日本はまだまだアメニティ削減とかがホテルでも努力義務なわけですよね。
 そうしたら、あるプラスチックの歯ブラシメーカーさんが、実はああいう制度になって入り口に大量に置くようになったんだけど、減っているかというと実は増えているんだというんですよね。どうしてですかといったら、せこいがめつい人がいて、二人分とか三人分とか、今、景気が悪いので、5本取っていっちゃったりする人とかがやっぱりいるというんですよね。
 だからやっぱり、結果として大事なのは、ちゃんと法律に定めて、義務化する。当たり前ですけど、人間ボランタリーに善意では動かないということなのです。逆にフランスなんかは、極めて厳しいいろんな法律をどんどん出して、今はマクドナルドでも本当に使い捨てのプラスチックも紙もファストフードで駄目だというようなルールができているなど、ご承知のとおり、衣服の廃棄禁止令とか、食品廃棄禁止法とか、短距離航空便の廃止法案とか、やっぱり知恵を出し合ってどんどんルールをしっかりつくる。そのときには、公正で明確なルールで得た資金の分配の方法も考えていかなきゃいけないとは思いますけれども、とにかくこの気候と生物多様性に対応する危機、これを解決する、そのスピードアップのためには、ボランタリーでやっている暇はないということをしっかりと申し上げておきたいと思います。
 そのためには、やはり物差しも変える必要があるということも、GDPだけではもはや測れないということを改めて基本計画で打ち出していくべきです。
 あともう一点だけ、メディアの立場から申し上げたいのは、ページ9の消費者の意識が変わらないのはなぜかということなんですけれども、本当は実は、科学的な知識の欠如ということもある、これはメディアの責任もあるんです。IPCCの報道量の少なさとか、そういうことも含めて、非常に我々にも責任があるんですが、JCLPさんが提出されたイベントアトリビューション、これが日本にその研究とか報道が欠けているんじゃないかというところでも、欧米では異常気象に関連した記事のうち気候変動に言及しているものの割合が19.6%あるのに、日本は3.3%しかないとか、こういう状態ではなかなか国民の意識醸成が進まないので、中長期的に見て環境・気候変動教育の強化、サステナビリティのリテラシーの強化ということをこれからやっていくということも、この基本計画で打ち出していくべきだと思います。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは続いて、竹ケ原委員、お願いいたします
○竹ケ原委員 この資料の着眼点ということで、論点は非常にクリアにしていただいたような気がします。5ページのところでお示しいただいたように、環境対策に投資を行えば、これは一部プロセスイノベーションということでコストの低減をもたらすのだけれど、最終的にはプロダクトイノベーションが価格に反映されない限り、実現性は乏しい。
 それを6ページの図で見てみると、左側が現状で、実際にはプロセスイノベーションでコストはちょっと下がる、何とかあとはそれを企業は飲み込んで、価格に反映されないまま一生懸命頑張っているんだけど、この先2050年カーボンニュートラルになると、多分その費用がぽんと増えて、とても従前のやり方では対応できないから、いよいよ価格に反映しなきゃいけないという風に読めます。
 つまり、5ページの資料でいう③のパスがやっぱりうまくいかない、あるいは今後うまくいかさなきゃいけないんだけどどうするか、という点が、多分今日の主題かなと思うんですね。
 これは多分両面あって、まず企業のほうが価格に反映し切れないというところ。環境価値を、まさに企業価値というか、そこにうまくつなげていけないところをどうするかというお話なんでしょうし、恐らくそれがブランド形成であったり、市場調査であったりという経済的競争能力投資の不足、これが一つの原因である。この整理でいくと、企業側がうまく自分たちのやっている環境対応をブランド価値に展開できないという話は、今まさにESGの世界でいう価値創造シナリオのあり方につながってくるので、今、今日的に議論されている議論とこの論点がうまくつながっているなという気がします。
 ただ、一般論としてそう言えるとして、さきほど船越さんもおっしゃっていたんですけが、バリューチェーンやサプライチェーンで見たときに、B to Cで顧客に対面している業態は、おそらくこの絵面は相対的には容易にクリアに出ると思うんですけど、では、B to Bの世界を考えたときに、ブランド力、最終的な完成品の価格のところがきちんと上流にまで及ぶのかどうかという話は大きな論点の一つです。
 もう一つ、今、企業が転換できないから価格が上がらないという話でしたけど、既に皆さんが再三議論されているとおり、むしろ買う側の話で、その価値が全く理解できていない、理解できてないという話が、環境教育の不足によるものなのか、それとも先ほども出ていたように、いろんなむしろラベリングはいっぱいあるんだけど、あり過ぎてわけ分からなくなっているのか、という問題です。マインドをどう変えていくかという話はこれまでの議論の中でいろいろ出ているので、繰り返しませんが、一つあるのは、この30年ずっとデフレだった影響も大きい気がするんです。
 結局、賃金が上がらない、そういう中で、価値を分かっているんだけど、そこに高いお金は払えないみたいな。ただ、今ようやく冷戦が終わった後のデフレ環境がガラっと変わって、賃上げも含めてインフレに局面が展開しているというところも、もうちょっと環境政策と離れた意味で、ユーザーサイドのいわゆる環境価値に対する支払い能力の改善という影響が出てきているでしょうから、そういったバックグラウンドを入れながら考えていく、環境政策だけで全てを語ろうと思っても絶対無理なので、そこはちょっと見たほうがいいのかなという気はしました。
 いずれにしても論点は非常にクリアにしていただいたので、両面、企業側と消費者が両方やっぱりこの問題を議論しないと駄目だなというのはよく分かりました。
 ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、三好委員、お願いいたします。
○三好委員 ありがとうございます。本当に分かりやすくまとめていただいてありがとうございます。
 私からは、まず、先ほどからありますけど、環境政策が果たせることという意味で、環境基本計画は、環境省だけのものではないと理解していますけど、環境という定義が時代を経てちょっと変わってきていて、今はよりWell-beingとか人の生活とか、そういうことを含めた、それをよくする環境というのがすごく前面に出てきた、もともとあったと思うんですけど、前面に出てきているように思うんですね。
 政策としてできることは、時代のこの方向性をリードしていくということが非常に大きいと思いますので、もっと積極的に高い目標を持ってというのは、私もすごく賛成で、高い目標を持ってそれができなかったとしても、やっぱり後の経験値として役に立つと思いますので、日本人は比較的そういうところは目標を低くしてちゃんとやるという性格なんですけど、私はいろんな政策を見ていて、積極的に、行けるのかどうなのかというくらい行っちゃっていいんじゃないかなというのがちょっとあります。
 今回、環境ということが、先ほど安宅先生もおっしゃっていて、すごく納得したんですけど、言っていただいてよかったなということは、パンデミックも平和も環境問題、人間問題から来ている。環境問題、気候危機、全てつながっているんだというメッセージが、意外と薄いかなというふうに私は感じているんですね。
 先ほど言ったような環境、人間問題だということが本当に明示されていって、これからそっちの方向に行くんですということが、国内にもそうだし国際的にも肩を並べていけるような強いメッセージになるんじゃないかなと思いますので、この基本計画に書くときは、強い言葉でというか、明確な言葉で書いていったらいいんじゃないかなというのが一つ。
 あとそれを、どうコミュニケーションしていくか、メディアの方もいっぱいいらっしゃいますけど、例えば今日も真夏日ですねとかというんですけど、気候危機とあまり関係ないふうに、熱中症とかと言われていて、これは明らかにその結果ですよねというのがあまり語られてないのはちょっと私は違和感があって、地震と違うわけですね、地震は来る前提で準備するしかないんですけど、台風とか、それは何かの結果で起こっていることなので、そのようなコミュニケーションの仕方は大事じゃないかなというのが一つとですね。
 あと、メッセージの発し方について、私はずっとオーガニックのことをしているんですけど、例えば有機も日本では安心安全、体にいいですよというメッセージが多かったんです。それだけではなく、生物多様性にもいいですよとか、環境にもいいですよというのが、ほかの国とか我々NGOは言ってきているんですけど、そういうコミュニケーションの仕方にマーケティング的にもきちんと変えていくということ、そもそもある価値をきちんと分かりやすいように伝えていくということが一つ大事なのかなというふうに思っています。
 それから、ちょっと細かいことなんですけど、4ページの図が分かりやすいんですけど、政府があって企業があって、私はNGO、NPOの立場なのですけれども、若干、我々の活動はいつも外部経済的な形で言われるんですが、書いていただいてもいいんじゃないかなというのはちょっと思っているところで、例えば環境のこととか、みんないいことをやっているんです。小さい規模で本当にボランティアのようなものって、経済的にお金として出なかったりもするんですけれども、そこで蓄えられてきた経験値とかノウハウとか、実際にやっていることのインパクトというのは大きいかなというふうに自負しておりますし、武内先生からもありましたけれども、例えばうちだと本当にほぼ全世界の国から、北朝鮮とかも含めて全世界からの会員がいて、同じような思いで情報交換しながらやっているんですね。そういうことですら役に立つような気がするので、企業の横にも企業以外の形態も載せてもらったらいいんじゃないかなというのを、ちょっととんちんかんかもしれないんですけど、また違う視点、GDPだけじゃない視点、本当に外部経済を内部化していく一つの例として、ちょっと入れてもらったらいいかなということを一つお伝えしたいと思います。
 あと、15ページのところで、前回も申し上げたんですけれども、ZEHはいいことなんですけれども、もうちょっと地域循環共生圏とかになったときに、森の活用とか、木質バイオマスとか、そういうことが非常に有効になってくるので、あと、例えば電気、私も今、ちょっとオフグリッドをやっているんですけれども、電気は結構大丈夫なんですよ。だけど熱源にしようと思うと、ほかのもののほうが効率がかなりよくて、例えば熱をそのまま吸収するとか、電気を創エネするだけじゃなくて、省エネと、あと熱の利用とか、そういうことも補助の中にもう少し強く加えていただけたら、より地域はいい方向になるし、使いやすいんじゃないかなというふうに感じているのは、ここで申し上げたいと思います。
 以上です。
○高村部会長 時間管理の観点から、大変恐縮なんですけれども、発言を簡潔にお願いをできればと思います。
 よろしいでしょうか、三好委員。
○三好委員 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは山口委員、お願いいたします。オンラインで既に先ほど申し上げましたけれども、8名の方がお待ちいただいているので、よろしくお願いいたします。
○山口委員 
 安宅先生から発言があった、環境負荷を下げる経済成長、非常に重要な言葉だと思いました。それこそが、新たな成長を今ここで議論する、一つの目標になるのではないかと思っております。
 環境行政がこれほど重要になったのは、これまでないのではないでしょうか。気候変動が大変なことになってきていて、IPCCの第六次評価報告書が、気候変動は人間活動によるものだということを断定しましたので、我々も明確に気候変動対策の重要性を言える時代になりました。 
 そういう中で、資料の9ページ目、日本では気候変動対策は生活の質を脅かすとか、気候変動を懸念している割合が日本で減少しているというのは、大きな問題だと思います。
 気候変動対策の大切さについて、社会へのアピールが圧倒的に足りていないのではないでしょうか。これはメディアの反省も含めてですが、そこをしっかりとやらないと、大変なことになるのでは、と思っています。
 その上で、資料13ページ目です。エネルギー自給と自立分散型社会、私もずっと再エネの取材をしておりまして、地方には再エネポテンシャルがたくさんあります。
 一方で、左側の人口分布の変化を見ると、この100年の化石燃料など集中型電源によって、もともと豊かだった地方から人がどんどん流出してしまったのです。しかし、右側の6を見れば、地方には、多くの人を養え、若い人が集まってくるような再エネポテンシャルがあります。それを活かすように、今、各地で個人が頑張っていますが、個人では限界もあります。
 再エネはコストが高いという人もいると思いますが、それは、恐らく目先のことで言っているのではないでしょうか。10年後、20年後を見ていかないと、日本の行く末を誤ると思います。例えば、太陽光パネル、2000年代初期は日本勢が世界をリードしていましたが、今は中国勢に席巻されました。蓄電池も2010年代初頭は日本勢が世界を牽引していましたが、今は中韓にシェアを取られています。EVも然りです。風力発電も日本は大型風車の国産メーカーが撤退してしまいました。
 なぜだったのでしょうか。取材したところ、市場がなかったからだというんですね。例えば、2019年に再エネ海域利用法がようやく整備されて、洋上風力に道が開けたわけですが、その3年前に長崎県五島市では、浮体式洋上風力が完成して商用化できていました。結局、待たされたのです。こうした間にヨーロッパは進んでしまいました。
 再エネを成長分野と捉えて、需要を喚起して投資をする社会にしていかないと、日本の経済は遅れてしまうのではないでしょうか。ここでいう成長というのは、決して悪いイメージではなく、経済と環境の好循環が生まれ、自然に優しい形で、分散型社会として地域を豊かにし、地域の自然を破壊することもなく、地域の自然を適度に利用し共生する、まさに、再エネが基盤になる社会だと思います。
 先ほどバイオマスの話がありました。確かにバイオマス発電はコストが高いです。しかし、地域の雇用や経済効果を考えると、非常に大きなポテンシャルを秘めています。しかも森林資源を生かし、森が再生され、切って植えてという循環をつくっているところがたくさん生まれています。
 つまり一つの目線のコストだけで考えるのではなく、もっと広い視野、長期的なスパンを見て考えていかないと、日本経済は先に進めないと思います。
今この場にいらっしゃる中に、若い人がいないのも問題ではないかと思います。環境問題というのは10年後、20年後、30年後を測るわけで、そこに若い人の意見を入れるのはものすごく大事なことだと思います。環境行政も若い人も含め世の中の人を惹きつけて、社会を動かしていくということが必要だと思います。
 2007年の頃、チームマイナス6%をやって、クールビズをやり、世の中を惹きつけました。気候変動が大変な時代になってきた今こそ、動いていただきたいと思います。そうすることが日本をよくすると思います。ぜひ環境省の皆さんには自信を持って動いていただきたいと思いますし、メディアもそれを応援したいと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、大変お待たせいたしました。オンラインでご出席の委員から、ご発言いただきたいと思います。
 大変恐縮ですけれども、ご発言の時間について減少いただけると大変ありがたく思います。
 それでは、河口委員、お願いいたします。
○河口委員 ありがとうございます。時間が限られているので、4点簡単に申し上げたいと思います。
 繰り返しになりますが、全体のトーンとして危機感が足りないと、今もメールで西日本のほうで線状降水帯が発生したとかとすごい危機的なニュースが流れている中で、随分のんびりしている感じがします。
 後から見たら、2023年にこんなにのんびりとしたあるべき姿とか語っているのかと、書いている内容はそれでいいんですけど、もっと危機感のトーンということを全体的に入れなければいけないということ。
 それから、前回も申し上げたのと同じなんですけれども、成長という名詞というのは非常にGDP偏重型になると、ほかの委員も言われていましたけれども、GDP偏重に聞こえてしまうので、中身はいろいろと読んでみると違うことを書いてあるんですが、なかなかそこまで発想が及ばないと思いますので、豊かさであるですとか、発展ですとか、もう少しここはワードを考えたほうがいいのではないかというふうに思います。
 それから、9ページ目の消費者のマインドのところなんですけれども、まず一つは使われているデータがかなり古いですよね。2010年とか15年とか。それからかなり認識が変わっているという部分も多いので、このちょっと古いデータでモノを言うのはどうかなと。
 2000年と2011年の比較とかありましたが、2011年は3.11があったので、かなり皆さんが社会貢献マインドが増えていた年ということもありますので、少しこれはミスリーディングだなと思う反面、それ以降も消費者のマインドが変わっていってよくなっていると。エシカル商品も将来は買いたいと言っている人が多いということをポジティブなサインだと思っているんですけど、将来は買いたいと言っている人は永遠に将来は買いたいといって現実は買っていません。
 私も何で買わないんだろうと調べてみると、やはり消費というのは環境のためにやっているわけではないというようなことで、消費者が変わればどうにかなるとブラックボックス的にあるべき姿もそこに期待を入れているんですが、そこはそう簡単に変わらないので、ブラックボックスにするのではなくて、そこをどうやったら変えられるのかということをもっと細かく踏み込む必要があると思います。
 消費行動自体をどう分析するかと、いかに環境に大変いいんですよなんて情報を出したって、消費者はそんなことでは買わないという現実に基づいた分析というのをこれからやっていかなければいけないと思います。
 そういう観点で言いますと、環境情報というのをよりもっと広く人々に定着させる必要があると。私も今、社会人大学院で教えているんですが、環境の問題、暮らしの中での環境の活用みたいなことのイロハを言っても知らない人があまりにも多いので、びっくりしています。
 なので、いわゆるここの専門家の人たちでは当たり前のような環境情報をいかに定着させるかということが重要かと。そういう意味では、環境省のサステナブルファッションのサイトというのは、これが環境省がつくったのかと思われるぐらい非常におしゃれなつくりになっていて、かつ情報もたくさんあり、こういった形で一般の人の親しめるような工夫というのは、これからやっていかれるといいのではないかなと。
 それから、ESG投資というようなことで気分は盛り上がっているんですけど、ESGで何を買えばいいんだというところが、いま一つよく分かっていないと。
 それから、特に土壌と森林の価値、これは安宅先生も言われていましたけれども、土中環境の本ですとか、それから森林がお互いに木同士で共生し合っているマザーツリーの話ですとか、こういった新しい知見というのが、土壌ですとか森林には日々出てきているところなので、こういった新しい価値というのは逆に一般の人に非常に受けるというか、親しみを持ってもらえるので、こういった価値をよりもっと広く伝えるということも必要だと思いますし、それから、文化との融合ということも、ほかの委員がおっしゃっておられましたが、私の試みとして、生物多様性と和歌と俳句とお茶とか、住吉大社で恩田の田植えから見る生物多様性とか、そういうイベントをやったんですけれども、環境問題と関係なさそうな和の文化というのが実はものすごくつながっているんだということで、環境問題に関心がないんだけど、お茶とか俳句に関心があると、そういう方にも非常に喜んでもらえたというか、びっくりしたというか、驚きを持って迎えられたので、こういった文化との融合という観点も情報発信の点ではいいかと。
 それから、都会の人はあまりにも土がないように暮らしているので、なるべく都市農園、空いているスペースは誰でも採ってもいいような野菜を植えるとか、そういった取組で都会の人も自然に親しめるような、そんな取組があったらいいかなと思いました。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは続きまして、淡路委員、お願いいたします。
○淡路委員 ありがとうございます。
 趣旨は、先ほど竹ケ原委員がおっしゃっていたことと、申し上げたいことは共通しているかもしれません。いただいた資料の5ページですね。私もコストを上乗せしてから、3番に移動していくところに非常に大きな乖離があるんじゃないかというふうに思います。
 全体の内容を、中小企業の経営者が見たらどういうふうに見るのかなというような気持ちで見ておりました。
 やっぱり、コストのところは非常に中小企業は悩ましいところで、人件費を削ってまで収益を出さなくてはいけないというような場面もあったりすると思っています。ですので、先ほどの5ページは大変よい図なんですが、むしろ厳しい環境に置かれている企業にとってはバラ色過ぎるように映るような気もいたします。
 ただ、経営者が環境意識が低いというわけではなくて、自分の思いを実現できないじくじたる思いを持っている人が多いんじゃないかなというふうに思います。
 また、最近デフレが長く続いたせいもあると思うんですが、無借金経営をうたっている企業が一定数いて、一時期増えたというふうな記憶をしておりますが、イコール、企業の中に利益を留保して、ため込んで借金はしない。そして、必要な投資ももしかすると躊躇しているのではないかなというふうに思います。
 図で今、示していただいている7ページの真ん中の無形資産投資の内訳を見ると、日本は革新的資産は投資するけれども、それ以外は大変少ない。
 というのは、やはり目先の収益に直結するところには投資するけれども、長期的な視点を持って投資するというところまで、なかなか行っていないんじゃないか。ですから、人への投資というのも、躊躇しているかもしれません。これは長期的な投資になりますので。
 デフレが長く続いたことによって、投資したことによる成功体験というのがとても少なくなってしまっているんじゃないか。投資したことによってリターンを得た経験がとても少なくなっているような気がいたします。
 では、その経営者のマインドをどういうふうに変えていったらいいのかというところですが、資料の10ページのところのDX関連の右下の6番のところです。取組の主導者は誰か。DXというのは大変新しい取組で、そこを誰が中心として進めているのかというところですが、日本の特徴としては社長・CIO・CDOなど役員の関与が少ないということと、もう一つは、外部コンサルタントやパートナー企業との連携が少ないということが見えると思います。
 もしかすると、環境対策のようなジャンルも、コンサルのような外部の意見を積極的に取り入れることによって、経営者の長期的な目線を呼び起こして、そしてそこに投資していくという気持ちにもなっていくのではないかというふうに思います。
 私ども、金融サービスを通してアドバイザリー業務というのも併せて行っております。これはコンサルティングのようなものですけれども、最初は例えば目先の規定をつくりたいとか、コストが高くなってしまっているところを減らしたい、給与の規定をつくりたいみたいなところから始まりますが、だんだんその企業の課題を一緒に掘り下げて考えていきますと、長期的な目線でよりよい組織体制にするというようなご相談をいただくようになってまいります。
 ですから、外部コンサルタントや、そういった外部の目を、新しい分野に取り組む際に導入することが有益ではないかというふうに私は感じているところです。
 ですので、企業の経営者のマインドを変える、あるいは、もともと持っていらっしゃる長期的な目線で投資を進めていくというところで、外部のコンサルタントが使いやすいような、そこに刺激を与えられるような政策があるといいのではないかというふうに感じています。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 予定の終了時刻との関係で、あと10分ほどですけれども、ご発言をご希望の委員が6名いらっしゃいますので、大変恐縮ですけれども、ご発言は簡潔にお願いできればと思います。
 それでは、小屋委員、お願いいたします。
○小屋委員 ほかの委員の意見と重複する点もありますが、二点申し上げさせていただきます。
 一つ目は、環境・経済・社会の三つの側面についてです。
 人口減少や経済の低迷が続いている中で、資料で示されている三つの側面について、統合的な「新たな成長」を実現するためには、企業のみならず国民の意識、考え方が変わることが不可欠だと認識しています。
 企業の立場から申し上げますと、いかに環境フレンドリーな製品を製造、販売しても、その環境価値を消費者が理解し、購買行動に移さなければ、ここで描いた未来は実現しないと思います。時間が限られている中で、国民が環境価値を自分事、かつプラスに捉えるような政策、強いインセンティブを継続的に発信していただきたいと思います。
 あわせて、この検討に当たっては、今までの延長ではなく、我が国の構造が人口・労働力の低減等に直面していることを前提に関係省庁と連携協力をし、進めていただきたいと思います。
 また、気候変動対策を含め、環境政策を進める上では、エネルギー安定供給やレジリエンス性、経済性を踏まえた既存の社会インフラ活用の観点も併せて政策を進めていただくようお願いします。
 二つ目に、中小企業を取り巻く環境は非常に厳しい状況です。環境に配慮した取組を進める必要性は理解しているものの、賃金等の問題もあり、なかなか進められない事業者も相当数あります。これまでも多数支援をいただいておりますが、環境と経済の好循環のためには、先ほど安宅先生もおっしゃっていたように、環境負荷を下げる経済成長が必要だと思います。
 企業価値の向上に資する、現実的に取り組める仕組みづくりや企画、それらの支援策をお願いいたします。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは続きまして、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 安全保障面の現状と課題という中から、お願いをしたいところでございます。
 食料自給率の推移が、日本は38%という大変低い状況の中で、やはり環境に配慮して生産された農畜産物の積極的な購入を強く打ち出していただきたいと思います。
 そして、地産地消を実践して、外国産と比べて輸送時に生じるCOの排出量が少ないという地産地消の農産物を意識して購入するということが環境保全にもつながっていきますし、環境保全に貢献することだと思います。
 そして、温暖化の抑制へ実践するということが、またそういった消費者が増えていくということが、量よりも質というようなアンケートの結果も出ていますけれども、なお一層、皆さんがよいものを手に取っていただけるというふうなことになっていくかと思いますので、そういったところを少し書き添えていただけるとありがたいと思います。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは続きまして、棚橋委員、お願いいたします。
○棚橋委員 ありがとうございます。手短に申し上げます。
 専門的なお話を伺って大変勉強になっているんですけれども、その一方で、今回、前回の話合いは、大きな柱というものは一体何だろうかという、そういう疑問を持ちます。
 私は、やはり気候変動対策というものをもっと前面に出すべきだと思うんですね。そのバックボーンになるのはIPCCのAR6だと思いますけれども、資料の中には勝負の年だとか、それから次期環境基本計画は2030年まで関わるんだということが書かれている一方で、気候変動対策はどうするんだということが明記されていない。大きな章を立ててやるべきでないかなというふうに思います。
 その中には、緩和と適応ということで、CO2の削減のこととか、石炭火力を含めた化石燃料の削減とか再エネの利用とか、そういうことを明記すべきだと思うんですね。それが1点です。
 もう一点は、気候変動対策をすると生活の質を脅かすと、こんなことを言われちゃ困りますよね、大変ですよねと。そうじゃないと思うです。そうじゃなくするのが環境省の仕事だと僕は思います。
 この感覚の基の一つになっているのは、日本は環境立国だという、昔々の話をいまだに引きずっているという方が多いというふうに感じています。
 ですから、例えばリサイクルにしたって国際比較すれば27位とかですね、低いわけですから、そういったことをきちんと示した上で、今後のために、今こうしなきゃいけないよということを環境省として明示すべきかなというふうに思います。
 その中の一つとして、環境教育が大変充実しているというご意見もありましたが、それは全くの誤解です。多分、全国の小・中・高等学校の中で8割近くは環境教育をやっていません。残りの2割の中の多くは1人1台、手にしているタブレットとかパソコンを使って調べてまとめて発表して終わりと、座学になっているような環境教育になっていて、現場を見に行くとか、インタビューをするとかという、そういう実質的な探求的な学びになっていないということが言えるんじゃないかなというふうに思っています。現場の感覚は、かなり危機的です。
 そういったことも、ぜひ切り込んでいただいて、国民全体で何とかしようよというふうに持っていっていただくのが環境省の大きなお仕事ではないでしょうか。
以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、大塚委員、お願いいたします。
○大塚委員 どうも恐れ入ります。7点ほどあるんですけど、一つ10秒ぐらいでいこうと思います。すみません、聞こえていますよね。
○高村部会長 大丈夫です。
○大塚委員 第1点ですけれども、この10年で特にESGをきっかけにして産業界は大きく変えられたというふうに環境対策に関して思っていますが、国民の意識のほうはあまり変わっていないというか、むしろ後退している面すらあるということが、先ほどの資料の中で分かってきたということは、特に強調しておきたいと思いますが、それについて、きっちり原因を考えて対策を練るべきだという意見が先ほどから、多くの先生方からあって、私もそのとおりだと思っています。
 一つは、マスコミ以外のネットでの報道的なものにおいて、温暖化に関してかなり実際には起きていないとかいろんなことを言うネガティブな意見とかが結構飛び交っているところがあるので、ああいうのが一つ影響しているかなと思いますが、だから、表現の自由もあるのでどうするかというのはちょっとあるんですけれども、原因としてはそれが一つあるかなと思います。
 対策としては、先ほどからいろんな方がいろんなことをおっしゃっていて、それもそのとおりだと思いますし、国民が温暖化対策を自分事としていく必要があるというふうに思っていまして、そういう意味では若者の参加ということもありましたが、この審議会への参加だけじゃなくて、いろんな形での参加とかを認めていくことは、かなり重要なポイントになるかなと思います。
 関連して、外部経済内部化というのも、ぜひ私も出していただければと思いますし、規制の重要性ということも出していただければと思いますけれども、EUは、いろんなことをやってきて今日の状況に至っているので、これも井田さんとか特におっしゃっていただきましたが、ここ30年、日本はあまり何もやってこなかったということがあり、だからこそのEU初のESGに席巻されているような状況があって、それで環境によければいいことではあるんですけど、必ずしも主体的な対応ではないので、EU発のものに関してどういうふうに日本で、それを活用していくかということを考えていくような状況があるかなと思います。
 さらに、さっきも出てきた人権環境のデュー・ディリジェンスは、また大きな影響を世界的に日本を含めて与えると思いますし、先ほど出てきたサステナブルでない森林の木材については、輸入が制限されるような方向がEUのほうでは出てきていますので、そういうことも今後大きな影響を与えていくと思われますが、そういうEU発の仕組みについて、日本にも大きな影響を与えているのに関してどういうふうに対処していくかというのは、若干、EUの保護主義的なところもあるので、気をつけないといけないところもあるんですけれども、どう対処していくかというのが結構大きな問題になってきているんだろうと思います。
 もちろん炭素税とか、エミッショントレーディングとかそういうものが背景にあるから、今のEUの政策が出てきているし、テスラが最初、資金を得られたのは、EUの排出量取引のせいというかおかげなので、まさに制度が大きな影響を与えているということだと思います。
 それから三つ目ですけれども、経済的な競争能力投資という話は非常に重要で、今、私が話したようなことは経済的な競争能力投資をしていただくためにどういう仕組みが必要かということを考える必要があるという観点から、ESGとかデュー・ディリジェンスとか、今、検討はされて法律は制定されましたけれども、税とかエミッショントレーディングだというのはそういうものと関係してくるということだし、参加の話もそれと関連してくるということだと思います。
 それから、ばたばた言ってすみませんが、地域循環共生圏の話も非常に重要ですけれども、そういう事業でやっていくという話と、それからルールとか規制でやっていくというのと両方やっていかなくちゃいけないところがあって、どっちかに偏らないように気をつけたほうがいいかなということを申し上げておきたいと思います。
 それから第4点ですけど、他省庁に対してどういうふうにお願いするかという話が出てきましたけど、一つの方法として環境基本計画も第五次のものにもありますけど、第三部の1-2のところで、他省庁に対してチェックするようなことも環境基本計画には定められていますので、これは第六次でも続いていくと思いますけれども、ぜひ他省庁の政策に対する点検のようなことを通じて、他省庁にも影響を及ぼしていただければと思います。
 それから第5点ですけれども、各国の環境政策の順位のようなものをSDGs全体については結構出てきていますが、環境政策としての順位というのは、それぞれのところではあるんだと思うんですけど、あまり出てきていない、明確な形では出てきていないような気がするので、こういうものも環境省のほうでちょっとぜひ検討されて、環境省は自分が言われるほうなのでお嫌かもしれませんが、検討していただくといいかなということをちょっと申し上げておきます。
 それから、最後に一つだけ、社会関係資本の話をさっき馬奈木さんがしていただいて、これは別に間違っているわけではなくて、社会資本はもちろん書いていただいていいんですけれども、社会関係資本が充実してないとルールをつくったときにですね、言うことを聞いていただけないものですから、これ社会関係資本自体、また高齢化によって例えばごみ出しの問題一つをとっても、これから、むしろ日本は社会関係資本は今までよかったんですけど、悪くなっていく可能性が高いので、気をつけないといけないという問題はありますので、ここに書くのが適当かどうか分かりませんけど、なくしてもらっていいものではないということをちょっと申し上げておきます。
 すみません、ちょっと喉が変になっちゃった。失礼しました。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、髙村委員、お願いできますでしょうか。
○髙村委員 ありがとうございます。
 安宅先生は、自然資本に関する観点をたくさんお話になったと思います。景観価値を明らかに高めるという点では、哺乳類の管理の課題が鍵になっていると思います。シカの食害やイノシシの獣害の問題点は非常に深刻で、それが植物種の絶滅リスクを非常に高めているという問題、アライグマ、クリハラリス、ハクビシンなどの特定外来哺乳類がダニを媒介にして人畜共通感染症を引き起こす、そういうふうな問題と、あとは家猫ですね、家猫が希少動物、絶滅危惧動物を食べてしまうような問題とか、そういうふうな問題があります。生物多様性の保全の重要性については多くの先生方が大事だというふうに最近言及してくださるようになったんですが、健全な生態系の中身とか、回復への具体的手法はとても分かりにくいかもしれません。
 資料1の15ページですが、環境行政の成果に国家戦略を新しくしたとか、そういうのは出ていますが、日本の生態系の回復状況について、具体的に分かるような何らかの成果を書き入れていただきたいなと思います。
 シカの食害の問題やアライグマなどの特定外来生物の駆除に関する課題は、よりエフォートをかければ確実にできて、植物相が回復するなど明らかに景観価値を高めることができます。それで何がネックになっているのかというと、一つには予算が少ないということだと思います。
 私は、推進費の自然共生部会の委員をさせていただいているんですが、この部会は行政推薦課題が非常に多くなっております。良い提案課題や保全に不可欠な課題が予算の関係で通らないような状況になっています。
 生物多様性保全の具体的な話というのは、都会で暮らす一般の方には感じにくいかもしれないし、専門外の人には分かりにくいことも多くて、専門家の協力が非常に重要になってくるわけですが、上手くやればできることが多々あります。新しい計画にどういうふうに反映させていただくのが良いのか分からないんですが、生物多様性の問題は、より実践を重視して6期の計画に入れていただくのがいいかなというふうに思います。
 以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、最後ですけれども、お待たせしました。田中委員、お願いいたします。
○田中委員 田中です。発言の機会をありがとうございます。短くコメントさせてください。
 まず、直近、多くの企業で株主総会が開催されるタイミングでしたので、その際、内容を見ますとサステナビリティと経営の統合というのが強く問われています。コーポレートガバナンスコードですとか、TCFD対応、サステナビリティ戦略に関する株主提案等も出ていまして、企業も先進的なところもあれば、手探りでチャレンジをしているところもあるなと見ます。
 経済的競争力投資を加速せねばというタイミングですので、本日の議論や専門家の先生方の視点や観点というのは、本当にそれを考えるヒントになると感じています。
 新たな成長で、24ページのニーズの主導というのはとても大切なところですけれども、企業には顧客がありますので、その上で企業内に存在する様々な技術や知財を生かして、例えば土壌の改良や水の有効利用など、ネイチャーポジティブのスキームの上でできるようなイノベーションにつながっている例というのも出ています。
 スピンオフで、企業環境配慮型の特別な対応の企業というのも出ています。一次産業の効率化とか、省力化など、一見つながりがなかったものが、企業の知見から生まれて、そこからGX人材も事業とともに育つという兆しが伺えるというのもポイントとして見ておきたいということと思います。
 また、先日、大阪関西万博で海の課題をビジネスで解決するブルーオーシャンイニシアチブがパビリオンの企画をしているのを伺って、日本の地域にある優れた伝統技術と、そこに最先端のフィルム技術を組み合わせることで、お互いこれまでに縁がなく、関係性がなかったのですが、循環型の建築が実現するというお話もされていました。
 皆さん、持続可能な経営をするには、地球環境の理解とか、気候変動への対応がセットであるということは認識しつつも、このように試行錯誤をしながら、独自で模索、あるいは共創や協業という縁のある企業との出会いから、具体的な取組が生まれている現状も否めませんので、第五次、第六次環境基本計画方針のこの枠組み、この流れに沿うと加速できるといった理解と確信を得てもらうような工夫と努力が必要かなというふうに思いましたし、そうしていかないと意味がないのかなというふうに思っています。
 ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
 すみません、時間の采配が悪くて既に超過しておりますけれども、あと5分ほど、お時間いただければと思います。
 基本的にご質問というよりはご意見だったと思いますので、これをいかに今後の議論に反映していただくかということですが、この後、事務局にお返ししますが、私から申し訳ない、3点ほど申し上げたいと思います。
 何か新しいものというよりは、今日の議論を伺って非常にやはり重要だと思いました。事務局の資料のスライド6枚目のところにある図、これは多くの委員から言及がありました。船越委員、あるいは石田委員をはじめ多くの委員からご指摘ありましたけれども、やはり環境価値をいかにやはり経済価値と同等にしていくかというご表現をされましたが、あるいは市場にどう組み込んでいくか、これが非常に重要で、この仕組みをどういうふうに上手くつくっていくかということをご提起いただいていると思います。
 これは逆に言うと、どうやってうまく社会の意向をつくっていくか。これは恐らく、自然発生的には生じないというふうに皆さん感じていらっしゃると思っていまして、したがって、政策の役割は極めて重要なんだと思います。それは、同時に今日も事務局資料を出していただいていますけれども、市場や社会需要家が求めているものも変わってきている、そこにどう応えるかというチャレンジの中に、この仕組みといいましょうか、この図を実現するような、こうした政策が取られないと、日本の産業、企業も成り立たないという、そういうことをおっしゃっているというふうに思います。
 言い方を変えると、コストをどういうふうに配分していくかという話でもあるというふうに思います。
 この図も一つ重要だと思うのは、石上委員がいつもご指摘いただいて、今日もお話しいただいたところですけれども、やはり人的資本の重要性だと思っていまして、これは人材ということでご指摘が、ほかの委員からもあったところです。ここにしっかり、やはり同じように投資、あるいは同じように政策を導入していくという意識が、これは社会づくりの観点からも重要だというご指摘だったかと思います。
 何を申し上げたいかということ、政策がやはりこれぐらい重要な局面がないというふうに思っていまして、この回、エネルギー政策の中でも、規制と支援の抱き合わせというのはかなり強調されていると思います。ここは環境省の環境政策の中でもその観点は非常に重要じゃないかと思います。
 最後、3点目ですけれども、今日はもう一つ、棚橋先生などからもおっしゃられた点ですが、やはり危機感という話がございました。社会の仕組みをこういうふうに移行していくという、スライド6のところのような仕組みを実現していくときに、それが本当に環境危機なり気候危機の速度感に合っているかということが、一番恐らく環境行政にとって試されているというふうに思っていまして、今、すみません、あえて申し上げるのは、環境基本計画の大きな柱をつくっていくときに、ぜひ今日いただいた議論は非常に重要だと思いますので、ぜひ、うまく反映していただきたいと思います。
 すみません、私がしゃべって時間を取ってはいけないんですけれども、では、事務局にお戻しします。よろしくお願いします。
○河村計画官 本日もお時間を超過する中で、たくさんのご意見、ご示唆いただきました。ありがとうございます。
 ご発言いただいた意見、それから書面で提出いただいた意見、いずれも事務局のほうで整理いたしまして、論点整理に対する委員の意見、さらに充実したものになったというふうに思ってございます。
 今後の取り運びでございますけれども、この論点整理は環境基本計画の第一部、総論部分に相当する現状と課題認識、目指すべき持続可能な社会の姿ですとか、今後の環境政策の役割ですとか、環境政策の原則、手法、それから重点戦略の基本的な考え方、この辺りについてご意見を賜っていたという状況でございます。
 一旦こちら、事務局のほうでも整理いたしまして、次回の議論に向けて資料を準備したいというふうに思っております。
 今回のご意見につきましては、コンセプトを考える上で、個別具体の様々な政策、エリア、あるいは政策手段についても多数のご意見を頂戴いたしました。これらにつきましては、環境基本計画の中では、第二部の重点戦略の具体的な中身ですとか、あるいは第三部以降の各論の部分で記載される分でございますけれども、これらにつきましても、しっかりとテイクノートしつつ、今年度後半の議論に生かしていきたいというふうに思っております。
 まずは、前半部分につきまして整理した上で、次回の議論に向けた資料を事務局のほうで準備させていただきたいというふうに思っております。
 よろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、以上をもちまして、本日のご報告と審議は終了としたいと思います。今お話ありましたように、今日の議論、今後の施策、この基本計画の議論、立案に生かしていただきたいと思います。
 最後に、環境省のほうから締めくくりのご挨拶をお願いしたいと思いますけれども、順番からいくと、河村さんはいいですか。
 上田統括官、お願いします。
○上田統括官 手短にということですけど、とりあえず、今まで本当に多様な意見をいただいたのかなと。また、従来の前回の第五次計画に比べて、今の日本のおかれている環境政策、またそれを取り巻く状況というのは大きく変わっているので、議論の範囲というのはかなり広がっていると思います。そうしたものは、やはり社会の要請でもあるのかなと思うので、次回、先ほど室長のほうからお話がありましたけれども、これまでに皆さんからいただいた意見と、我々のたたき台を併せて少しコンセプトを整理したものを見ていただいて、それに対して具体的にまた意見をいただいていくと、コンセプトがクリアになるかなと思うので、少し次回、締めの会議になるかもしれませんが、我々のほうもしっかりと整理をして、なるべく早い段階で事前に見ていただいて、意見交換をした上で、次の会議に臨みたいと思います。頑張ります。
 よろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○河村計画官 本日の議事録につきましては、事務局で取りまとめを行いまして、ご確認いただいた後に、環境省ホームページに掲載させていただきます。
 また、先ほど事務局のほうで次回の議論を準備してお出しすると申し上げた、今後の総合政策部会の予定でございますが、第109回は8月2日、第110回は8月30日というふうに決定してございます。詳細につきましては、また事務局からご連絡をさせていただきます。次回は8月2日、次の次が8月30日ということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございます。
 すみません、時間超過して申し訳ありませんでした。以上をもちまして、第108回の総合政策部会を終了としたいと思います。本日もどうもありがとうございました。
午後12時18分 閉会