中央環境審議会 総合政策部会(第107回)議事録

 

第107回 中央環境審議会 総合政策部会

 

令和5年5月29日(月)13:00~15:34
TKP東京駅大手町カンファレンスセンター
(Web会議システム併用)

 
議 事 次 第
1.開会
2.議事
  (1)第五次環境基本計画の見直し(諮問)について
  (2)その他
3.閉会
 
配付資料一覧
【資料】
 資料1   諮問文
 資料2   第五次環境基本計画見直しについて
 資料3   第五次環境基本計画の見直しに向けた論点整理
 資料4   脱炭素先行地域の選定(第3回)について
 資料5   風力発電に係る環境影響評価制度の検討状況について
 
【事前意見】
 事前意見
 
【参考資料】
 参考資料1   中央環境審議会総合政策部会名簿
 参考資料2   計画見直しスケジュール
 参考資料3-1 「基本的事項」取りまとめ本文
 参考資料3-2 「基本的事項」巻末資料①②
 参考資料4-1 「新たな成長」取りまとめ本文
 参考資料4-2 「新たな成長」巻末資料①②
 参考資料5-1 G7広島首脳コミュニケ(仮訳)
 参考資料5-2 G7広島首脳コミュニケ(原文)

午後 1時00分 開会
○河村計画官 それでは定刻になりましたので、ただいまから、中央環境審議会第107回総合政策部会を開会いたします。
 冒頭カメラ撮りが入ります。
 まず、委員総数31名のところ、現在21名の委員にご出席いただいておりまして、定足数の要件を満たし、部会として成立していることをご報告いたします。
 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいておりますので、環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行っております。
 本日は、WEB会議システムとのハイブリッド開催とさせていただいております。そこで、WEBよりご参加の委員の皆様にお知らせいたします。会議中、音声が聞き取りにくいなどの不具合がございましたら、事務局までお電話、またはWEB会議のチャット機能にてお知らせください。また、通信環境の負荷低減の観点から、ライブカメラの映像は各自ご発言時のみといたしますので、あらかじめご了承ください。現時点ではカメラ機能をオフにしていただきますようお願いいたします。それから、マイク機能もミュートに設定していただきますようお願いいたします。それから、WEB会議システムからご発言される際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。挙手アイコンが反応しないなどの不具合がある場合は、チャット機能にてご発言する旨を、参加者全員に向けてお知らせください。挙手アイコンは、1度押していただくと挙手した状態になります。ご発言の意思は、この挙手した状態を確認して行います。部会長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただいて、ご発言いただきますようお願いいたします。それから、ご発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックして、挙手を下げていただきますようお願いいたします。挙手アイコンは事務局でオンオフを操作できないため、ご協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に、メールでお知らせした資料のご確認をお願いいたします。資料は、まず議事次第がございまして、資料1、2、3、それから資料の5までございます。それから、委員の先生から事前にご提出いただきました事前意見がございます。会場には2パートに分かれているかと思います。それから、参考資料でございますけれども、参考資料も1から5-2までございます。それから、一部の資料につきまして、会場にご参加の委員におかれましては、第六次環境基本計画に向けた検討会取りまとめという冊子を会場での閲覧用に置いておりますので、そちらを適宜ご参照いただければと思います。これらを含めまして、本日の資料は環境省ホームページの総合政策部会のページにアップロードしてございます。
 カメラ撮りはここまでとなります。
 では、最初に、委員の新任と交代がございますので、ご報告させていただきます。まず、新任の委員といたしまして、お名前のみの紹介とさせていただきます。有村俊秀委員、奥真美委員にご就任いただいております。続いて交代ですが、山極壽一委員の後任として中村太士委員、右田彰雄委員の後任として船越弘文委員、小和田祐子委員の後任として小屋かをり委員、林由香里委員の後任として鈴木春美委員にご就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。委員の新任・交代のご報告は、以上でございます。
 それでは、今後の進行は、高村部会長にお願いいたします。
○高村部会長 皆様、どうもお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。総合政策部会長を務めております高村でございます。本日の議事に、早速ですが入ってまいります。最初に審議事項として、第五次環境基本計画の見直し(諮問)についてということで、事務局からご説明をお願いしたいと思います。その後、意見交換を行います。本日ですけれども、続いて報告事項として2点、脱炭素先行地域の選定(第3回)についてと、それから、風力発電に係る環境影響評価制度の検討状況について、それぞれ環境省の担当課よりご説明をお願いしております。本日もできるだけ多くの委員にご発言をしていただきたいと思っておりますので、ご発言につきまして、時間管理、ご協力をお願いできればと思います。
 それでは、本日一番大きなと言っていいでしょうか、主たる議題でございますけれども、第五次環境基本計画の見直し(諮問)について、事務局からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○河村計画官 環境省総合政策課計画官の河村と申します。
 それでは、事務局より説明させていただきますが、ちょっと間を置かせていただきまして、今、統括官が到着いたしましたので、ちょっと早速で恐縮ですけれども、冒頭のご挨拶だけお願いしてよろしいでしょうか。
○上田総合環境政策統括官 はい。遅参して申し訳ございません。総合環境政策統括官の上田でございます。中環審の総合政策部会の開催に当たりまして、一言ご挨拶をさせていただきます。
 今回の議論のテーマは、次の環境基本計画の中身について皆さんにご議論いただくということになっております。前回というか、今の現行の環境基本計画でございますけれども、特に、地域循環共生圏という形で、環境政策だけでなくて、経済と社会も合わせてみて、持続可能な社会づくりという視点で施策を進めていこうというのが基本的なコンセプトであったかと思います。そうした考え方の下で、環境省はもとより各省が施策を進めていく中、これからの環境基本計画、今の第五次の基本計画の考え方に加えてないしは改めて、どうしたコンセプトで進めていいのかというのを幅広くご議論いただいて、短い期間ではございますが、1年かけてしっかりと新しい方向を定めていきたいと思っております。
 この計画、最終的には閣議決定ということで、政府全体で共有のものとして、5年ないし6年の施策の道しるべとなるものでございます。大いにご議論いただければと思いますし、今回キックオフという形で活発なご議論をいただくことになりますが、この1年間よろしくお願いいたします。冒頭、簡単ではございますが、私からのご挨拶とさせていただきます。
○河村計画官 それでは、引き続きまして、改めまして総合政策課計画官の河村でございます。資料の説明をさせていただきます。
 まず、資料1がですね、環境基本計画について(諮問)ということでございまして、本日、環境基本法の規定に基づきまして、環境大臣から中央環境審議会に対しまして、「環境の保全に関する基本的な計画(環境基本計画)は、平成30年4月17日閣議決定による変更後の国内外の経済社会の変化を踏まえ、いかにあるべきか。」ということで諮問がなされているところでございます。裏面におきまして、それが総合政策部会に付議されたということでございます。
 資料2は、環境基本計画の見直しについての概要と背景を簡単にまとめてございます。後ほど、論点整理、資料3でも繰り返しになりますので、ここでは説明を省略させていただきます。また、スケジュール(予定)となっていることに関連いたしまして、参考資料2で、スケジュールの大まかな年間スケジュールの案をお示ししてございますが、実際には、適宜、先生方と調整させていただいて、日程をセットさせていただければと思います。
 先ほど統括官からありましたように、ほぼ1年がかりの作業ということを想定しているところでございます。
 それでは、資料3、論点整理をご紹介したいと思います。正確には、論点整理の現時点での案ということでございまして、まず1ページ目をご覧ください。
 論点整理案のスコープでございます。今の第五次の環境基本計画におきましては、4部構成となっておりまして、第1部で環境・経済・社会の状況と環境政策の展開の方向、第2部で環境政策の具体的な展開、第3部で計画の効果的実施、第4部で環境保全施策の体系について示しているところでございます。おおよそ第1部と第2部が総論ないしは重点戦略ということで、第3部、第4部が各論とそれの体系化というような形になってございます。
 第六次環境基本計画は、計画期間、2024年から2030年を想定しておりますが、第一次環境基本計画から30年目の節目で策定されるものということで、30年の振り返りをして今後30年を構想するということで、基本的事項検討会と新たな成長検討会という二つの検討会で議論した以下の内容を中心に論点整理の案を策定したという次第でございます。主に、先ほどお示しした第1部と第2部、この辺りにつきまして、論点整理を試みたというところでございます。その中身につきましては、会場の皆様には、お配りの冊子のほうにまとめてございます。
 また、東日本の復興に関する事項につきましては、この二つの検討会では議論しておらず、今後、整理をしておく予定であることを申し添えます。
 次のページでございます。環境基本計画の振り返りでございます。第一次環境基本計画のときに、環境基本計画の目指す社会といたしまして、物質的豊かさの追求に重きを置くこれまでの考え方、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会活動や生活様式は問い直されるべきであるということ。それから、「循環」、「共生」、「参加」、「国際的取組」を環境政策の長期的な目標とすることを規定されたわけでございます。以降、類似の環境基本計画の見直しにおきまして、この概念を発展、継承していったということでございまして、第五次では循環共生型社会、それを実現するための地域循環共生圏というような形で今、示しているところでございます。
 次のページに参ります。環境と経済の関係の振り返りというのも、この間、大きなテーマとなってございます。60年前の公害対策基本法におきましては、この二つは別個のものであり、トレードオフの関係であったということでございますが、30年たちまして、第一次環境基本計画の頃には、この対立からの転換が図られたということでございます。それ以降、経済白書でも、第一次環境基本計画の記述に沿った記述がなされるなど、この両者は、同時解決・好循環、国際競争というキーワードで語られるようになったということでございます。そして、最近では2020年、菅総理の所信表明演説におきまして、温暖化への対応は大きな成長につながるとか、岸田総理の施政方針演説では、炭素中立型の経済社会に向けた変革の全体像を共有して、新しい時代の成長を生み出すエンジンとしていくというようなことをおっしゃっていただけるようになっているということでございます。
 次のページに参ります。この間の国際情勢の変化でございます。60年前頃に、レイチェル・カーソン「沈黙の春」、ローマクラブ「成長の限界」ということで環境問題が顕在化し、30年前は、リオ地球サミットにおきまして、気候変動枠組条約、生物多様性条約などが署名開始されるなど、国際枠組が確立されてまいりました。それから10年たって、環境問題というのは、G8サミット、洞爺湖サミットを含め、外交の表舞台で必ず議論される話題となり、さらに10年たった2010年代には、CDPをはじめとする様々なビジネスサイドでのイニシアティブが現れ、そしてそれが普及していき、ビジネスでも主流化が進んでいったと。ただし、問題は解決しておらず、今「勝負の10年」と言われているのが、現在の2020年代ということになります。
 次のページで環境面での課題を述べておりますが、エコロジカル・フットプリント、プラネタリー・バウンダリーを見ても、地球は様々な面で限界を迎えていると。あるいは元の許容量を大きく上回って負荷がかかっているということが分かってございます。最近では、それに社会的基礎の考え方を加えた、ソーシャル・バウンダリーの考え方も提唱されているところでございます。
 次の6ページでございます。気候変動、生物多様性、循環経済ということでまとめてございますけれども、いずれにしましても、人為的な影響が明確化して、危機は増大し続けているということで、様々な国際イニシアティブの議論がなされているということでございます。
 次のページに参ります。7ページでは、公害対策についても言及しておりまして、水・大気環境は全体的に改善傾向であるが、課題が残っているという状態。あるいは、PFAS等の新たな課題も発生しているという状態でございます。また、環境意識について述べますと、世界の市民の60%が、気候変動対策は「生活の質を高める」と回答しているのですが、日本の市民の60%は、気候変動対策は「生活の質を脅かす」と回答しています。2015年、平成27年のアンケート調査でございます。また、PEW Research Centerの調査によりますと、2015年から2021年にかけて「気候変動が自身に与える影響について非常に懸念している」と回答した割合、諸外国ではこの6年間増えているんですが、アメリカと日本では逆に減っておりまして、アメリカの減り幅よりも日本の減り幅のほうが大きいというところで、国民の環境意識が、世界的な傾向と乖離があるという点が指摘されてございます。
 次の8ページ目に参ります。環境問題に関する科学的知見が集積されて、国際枠組の議論につながり、それが解決につながりつつあるというのがオゾンホールということでございまして、今は気候変動につきましても知見が蓄積されて、今や疑う余地がないというところまで来ているというご紹介でございます。
 次のページに参ります。社会面での現状と課題をご紹介してございます。まず、日本は人口減少局面になっておりまして、しかも明治時代と比べて太平洋ベルトに非常に人口が集中し、経済のシェアも集中しているということでございます。そして、過疎の問題というものは、いわゆる社会的コミュニティが維持できないという問題もあることに加えまして、耕作放棄地の増大、森林の荒廃、獣害・病虫害の発生など、森林生態系や農地生態系などに係る問題が顕在化しているという状況でもございます。
 次のページでございますが、社会面での現状につきましては、最近の格差の拡大ですとか、所得が低いところにおきまして、栄養素摂取量、それから高校卒業後の進路、肥満など、様々な面で格差が見られるというようなご紹介でございます。
 次のページが経済面での現状と課題の整理でございます。「失われた30年」ということで、日本の経済は長期停滞にあるというふうに言われてございますけれども、とりわけ生産性の観点から見ますと、労働生産性が、90年代は世界でも先進国でも比較的上位にあったところが、今どんどん他国に抜かれていっているということでございます。同じような動きを示しているのが炭素生産性というところでございます。資源生産性は、比較的上位を保っているというふうに言えるかと思います。
 続きまして、12ページでございます。内閣府の分析を紹介してございます。売上高が、ここ30年間、企業の売上高はあまり変わっていないんですけれども、経常利益が増えていると。すなわち、売上げが伸びない中で収益を確保しているのですが、これは国内投資と人件費を抑制していると、これに起因するところが大きいということでございます。それぞれの企業につきましては、短期的な収益が高まっているということで、合理的な行動になるんですけども、マクロ経済的にはかえって悪影響があり、国民の生活の改善に結びついていない「合成の誤謬」が発生しているという分析がございます。その他、無形資産の保有状況、特許と商標のバランス、それからイノベーションと経済競争能力も全体的に低水準にとどまっているというところ、この辺りを紹介してございます。
 その次、13ページが、安全保障面での課題でございます。日本の食料自給率、諸外国と比較して低いということ。さらには消費のための水利用、いわゆるバーチャルウォーターにつきましても、日本は突出して他国よりも高いということで、食料、水ともに我が国は海外に大きく依存しているということがあります。それから、これは金属資源についても同様でございまして、今後、カーボンニュートラル実現のために様々なベースメタルが必要であるということになってきますと、この経済安全保障の観点からも、国内における金属資源循環を強化していくことが必要であるということが言えるかと思います。また、最近では、気候変動と安全保障の関係につきましても国際的に議論が高まっておりまして、昨年12月に策定された、いわゆる防衛3文書におきましても、気候変動と安全保障との関係が記載されているという状況でございます。
 続きまして、第五次環境基本計画以降の大きな変化といたしまして、まず、国際的な変化でございます。
 第五次環境基本計画のフォローアップのときにご紹介いたしました、コロナ禍で顕在化した課題と社会の変化。それから、ウクライナ危機を受けて様々な国が動き出していると。専ら気候変動対策は加速する方向で、それでエネルギーの安全保障を高めようとしていると。そのようなご紹介をしたところでございますけれども、さらには、ESG市場は拡大しており、加えて、サプライチェーン全般にわたって環境と人権に配慮しようという環境・人権デューデリジェンスの動きも国際的な広がりを見せております。日本におきましても、これを踏まえて様々なガイドラインが、経済産業省、環境省からも出ているというご紹介でございます。
 それから、もう一つ、我が国の環境行政の成果について、15ページでご紹介しております。2050年カーボンニュートラル、それから、新たな生物多様性国家戦略、それから、廃棄物の最終処分量がここ20年間で減少をしているというご紹介でございます。
 これらの現状を踏まえまして、環境行政の目的を改めて議論したというのが16ページでございまして、環境基本法第1条の規定を今の文脈に落とし込んだところ、現在及び将来の国民一人一人の生活の質、幸福度、well-being、経済厚生の向上、それから人類の福祉への貢献というのが環境政策の目指すところではないかというふうに考えられます。
 そして、17ページにおきまして、環境は人類存続の基盤であるという環境基本法の規定にも考慮しつつ、まさしくSDGsのウエディングケーキが、環境の上に社会と経済が乗っかっており、これらを統合的に改善していく必要があるということを紹介してございます。それは、マイナス、悪い状態から保全の状態に行くまでにとどまらず、そこからさらに良好な状態に持っていくことも含まれてございます。
 18ページが、その辺りを図式化したものでございまして、地球はこのまま放っておくと赤い方向に行って環境収容力も限界を迎えてしまうというところを、何とか緑の方向に転換させていく。ネットポジティブ、ネイチャー・ポジティブ、そのようなプラスの方向に持っていくことによりまして、プラネタリーヘルス、人類のwell-beingを実現していく。このような方向性ではないかというふうに整理してございます。
 このようなことを、19ページにおきましては、第五次環境基本計画で掲げた循環共生型社会の概念をさらに進化させるという方向で整理してございます。とりわけ循環について触れますと、今、このような環境汚染あるいは環境負荷の増大というのは、自然界の様々な物質循環が乱れることにより生じているということでございまして、環境負荷の総量を減らしていく観点、これが重要であるということでございます。そのために、いわゆる資源循環にとどまらず、COなど様々な循環、包括的に検討する必要があるということでございます。さらに共生の概念を踏まえまして、環境政策同士の統合、環境政策と他の政策分野との統合が必要であるというふうにまとめてございます。
 このような統合的アプローチの例として、次の20ページにありますとおり、国連環境計画の報告書ですとか、IPBES-IPCC合同ワークショップ報告書などで、このような統合的な向上に関する科学的知見の整理などが行われているというご紹介でございます。
 これらを踏まえまして、21ページ以降、「新たな成長」についてまとめてございます。「新たな成長」というのは第五次環境基本計画で掲げられた概念でございますけれども、その中身が詳細を論じていなかったということで、この検討会で改めて議論したもののご紹介でございます。まず、諸課題の解決には、今までの延長線上ではなく、「変え方を変える」新たな視点が必要ということで、その「変え方を変える」ための具体的な視点として、ストックを重視すると。それから、長期的視点に立った形で考えていく。それから、シーズのみならずニーズへの対応をしていく。そのために最良の科学の要請に応えていく。そして、物の拡大だけではなくて、環境価値を含めた高付加価値化で稼いでいく。そのための無形資産投資を進める。そして、社会資本、人的資本などなどについても投資をしていくということを述べてございます。
 それをイメージ図で表しておりますのが22ページでございまして、あるべき姿、ありたい状態を目指していくわけでございますが、ありたい状態を目指すストックというのは、自然資本と、自然資本を維持・回復・充実させる資本・システムに、大体、大きく二つに分けて整理してございます。
 自然資本の充実というのは、まさしく環境負荷の総量を削減することに加えて、良好な環境を創出していく。アメニティやネイチャー・ポジティブ、様々なものを創出していくということになりますが、それを維持・回復・充実させるための資本・システムといたしましては、再エネと省エネ、ZEB・ZEHのような、脱炭素投資、資源循環の関連の投資、それから分散型国土、集約型都市などの、様々な人間サイドのインフラの充実も必要になってくる。人間サイドのインフラは、物の充実だけではなくて、無形資産、社会関係資本、コミュニティも含めて充実させていく必要があるということでございまして、それが正しく評価されるような制度、システムについて例示をしているということでございます。
 23ページはそれを主体別にまとめておりまして、政府は諸政策、そして企業は民間投資を拡大することによって、この自然資本を維持・回復・充実させる資本・システムを増やしていく、蓄積していくと。これが、労働資本の高度化を通じてイノベーション、GDP、そして市場的な価値を通じたwell-being等の向上ということにつながってまいります。それから、これらによって自然資本が充実することによって、非市場的なルートを通じてwell-beingなどが向上していくということも言えるかというふうに思います。
 24ページは、このためのニーズ主導のイノベーションの概念でございまして、アウトカムを重視して、技術的ブレイクスルー、必要なブレイクスルーとは何かを考えていくというような整理でございます。
 25ページにおきましては、環境政策の原則・手法ということで、第五次環境基本計画に定められた環境効率性、未然防止原則・予防的アプローチ。
 次の26ページでは、汚染者負担原則、参加・パートナーシップについてまとめてございます。それぞれ第五次環境基本計画に書かれていた事項を今の文脈に補足して解釈し直すとどうなるかということで、未然防止原則、それから汚染者負担原則について、最近の気候変動関連政策に則した解釈がなされているというところでございます。
 続きまして、27ページでございます。第五次環境基本計画で掲げた地域循環共生圏につきまして、今や187の団体が取り組んでおり、また脱炭素に目を転じますと、脱炭素先行地域という形で地域レベルからの取組の底上げというものも行われておりまして、今100を目指しているところ、62の提案の選定まで終わっているということのご紹介でございます。
 28ページに参ります。今後の発展の方向性といたしましては、多様な主体の共同ということで、今、図にありますとおり、自治体企業、それから地域金融機関の連携・対話が行われるのがあるべき姿と書いておりますが、このあるべき姿というのが十分ではないと。それから、オーナーシップとパートナーシップが地域で欠かせないところ、それで、地域の人々が自分事として参加型で取り組むような、そのような仕掛けがまだまだ足りていないというような指摘でございます。さらには、重層的多極集中ということで、今までの地域循環共生圏のイメージが、どちらかというと農山村に近いということで、地方都市や大都市圏も含めた形での深掘り、明確化が必要であるという指摘がありました。さらには、地域を巻き込んでいくということで、スポーツや文化の力も活用すべきではないかという意見もあったところでございます。
 続きまして、29ページでございます。地域循環共生圏を進めていく中で、プロジェクト型、取組もそうなんですけれども、必要でございますが、さらに国土利用・土地利用ということで、その在り方の見直しも必要であろうということで、コンパクト・プラス・ネットワークとランドスケープアプローチの、大きな二つの事項について紹介してございます。それぞれ、これらをまとめまして、このスライドの下に書いてありますとおり、気候変動の緩和と適応、生物多様性、資源循環、公正な移行等を一括した総合的な土地利用や交通施策が必要ではないかという問題提起を頂戴しているところでございます。
 さらには、その公正な移行につきましては、あと二つのスライドがありまして、30ページでございます。カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーなどによって、経済・産業構造が大きく変容して、地域経済も移行が必要になってくるというところで、そうなりますとエネルギー多消費産業に依存している地域経済がダメージを受ける可能性があるということ。それから、就職氷河期世代の非正規雇用の割合が高く、日本におきまして、職業訓練等の人的資本投資が特に必要ではないかというような現状が挙げられます。
 それに関して、検討会におきましては、解決策が見いだされたわけではないんですが、31ページにありますとおり、この移行に当たって国内の移行経験を踏まえて検討する必要があるんじゃないかということ。さらには、欧州の公正な移行基金制度。これは、既にダメージを受けそうな地域について計画を策定させて補助金を投入するというものなんですが、パフォーマンスが達成できない場合には補助金を減額するということを踏まえて、合わせての制度ということになっており、こういうのも参考になるんじゃないかというような問題提起でございました。
 最後、国際関係で2枚スライドがございます。環境における外交ということで、内外の取組を一体化させていくことが、今後ますます重要になるんじゃないかという指摘。それから、外交における環境の役割ということで、いろいろな地域間対立がある中で、国家間での対話を維持していく場として環境を戦略的に活用していくべきではないかというような整理をしてございます。
 それから、33ページにありますとおり、今後の取組の方向性といたしましては様々なものがありますが、大きく、リーダーシップとパートナーシップに分けてございます。国際的なルール形成、1.5℃目標の達成、環境的魅力の向上などにおいてリーダーシップを発揮すべきという分野、それから様々なインフラ展開、それから公正なエネルギー移行パートナーシップなど、様々な分野で国同士のパートナーシップを活用していく必要があるということ。さらには、ルール形成の場では非政府組織、企業等も大きな役割を果たしているという状況でございまして、これらとのパートナーシップも必要であるということ。総合いたしまして、環境を軸とした国際戦略が今後必要になってくるんじゃないかということを指摘されているところでございます。
 駆け足でございますが、説明は以上でございます。
○高村部会長 どうもありがとうございました。
 今、事務局から、河村さんからお話がありましたけれども、西村環境大臣から、先ほどご紹介がありましたように、資料1にありますように、第五次環境基本計画閣議決定後の変化を踏まえて環境基本計画はいかにあるべきかという諮問をいただいております。こちらは総合政策部会に付議をしておりますけれども、まさにこの総合政策部会の場で、第五次環境基本計画閣議決定後の変化を見据えて、進捗あるいはあるべき方向を議論いただいて、場合によっては新たな環境基本計画の策定に向けた議論となるのではないかと思っております。そういう意味では、非常に重要な議論のキックオフの会議ということで、本日、久しぶりに対面で、会場にも11名、12名の方が予定されていますけど、現在11名の皆様に参加いただいておりますけれども、オンライン参加の皆様と合わせて闊達なご議論をいただければと思います。
 それでは、通例でございますけれども、ご発言を希望される方につきましては、会場参加の委員は名札を立ててお知らせいただければと思います。WEBでご参加の、オンラインでご参加の皆様につきましては、Webexの手挙げ機能をお使いいただいてお知らせいただければと思います。もし、うまく機能しない場合、あるいはトラブルがある場合には、チャットでお知らせいただければと思います。それでは、武内委員からお願いしてもよろしいでしょうか。
○武内委員 どうもありがとうございます。二つ申し上げたいと思います。
 一つは、プラネタリーヘルスと言われている、新しく国際的に注目されるようになった概念についてであります。このまま第六次の環境基本計画という方向に進んでいくとすると、この概念をどうやって咀嚼し計画の中に位置づけるかということが重要になります。最近のこの分野では、長崎大学が一番突出しておりまして、長崎大学にはプラネタリーヘルスについての研究組織が出ております。私も最近、長崎大学が開催したシンポジウムで講演をさせていただいたりしていますし、国際的な取組についても、ある程度知っているつもりであります。
 これについて、一つはプラネタリー・バウンダリーとの関係、これをきちっと整理しているということは不可欠だと思っておりまして、その点については明記されていると思うんですが、もう一つの側面として、いわゆるグローバル・ヘルスからの発展系ということについて、もう少し議論をしたほうがいいのではないかというふうに思っております。
 グローバル・ヘルスというのは、つまり国際的な疾病のようなものがですね、世界的な広がりを見せているという状況を、やはりきちっと対応していかなきゃいけないと。そういうローカルな問題じゃなくて、グローバルな問題を、健康という面から考えていく必要があると。
 それに対して、気候変動とか生物多様性の危機とかという、いわゆるプラネタリー・クライシスの問題があったために、この概念をその方向に発展させていくということが必要なんだということを、専門家の間でもかなり明確に言っていることなんですね。ですから、そういうふうな大きな流れを、やはりこの議論の中でも理解した上で、この言葉を使い、そして計画の中に反映させていくということが必要だというふうに思います。ですから、従来のヘルスの概念とはちょっと違うということを、やはり、もう少し深いところも理解してということが必要なんじゃないかというふうに思っております。
 ちなみに、Tony Caponという方がおりまして、この人は今モナッシュ大学の教授ですけれども、かつて国連大学で私の同僚だった人で、これが、『ランセット』という学術誌を使いながら、世界にこの概念を広めていった者の1人ということになっておりまして、もしオンラインでインタビューというようなことをするというようなことをお考えであれば、私のほうで間を取り次ぐことは十分可能だということでございます。
 それから、もう一つは、地域循環共生圏にまつわるいろんな議論についてでございますが、ちょっと私が今見たところ、地域循環共生圏についてのモデル事業と、それから脱炭素先行地域についての事業が、それはそれ、これはこれになっている感じがするんですね。もちろん、だから、環境省の中でも担当部局が違うということがあるのかもしれませんけれども、しかし、その状況は極めてもったいないと思うんですね。ですから、今やっていることを再編成するというようなところまでは言いませんけれども、脱炭素をやっているところに、地域循環共生圏もどうですかと。そして、地域循環共生圏をやっているところで、脱炭素もどうですかというような形で、つながりを持つような形にしていくことによって、これは何度も言っていますけれども、地域循環共生圏を提唱した一つの大きな理由は、それぞれの環境政策が、脱炭素と資源循環と自然共生がばらばらになっていると、これはまずいのではないかというところからの発想でありますので、そこのところにもう一度戻って考えを進めていくということが必要で、これも、次期基本計画があれば、その中で、より強調していただきたいというふうに思っております。
 それから、地域循環共生圏で、もう一つは国際展開。これは、第一次の環境基本計画は、循環共生、それから参加、そして国際的な取組という、この大きな枠というのは今日も私は有効であるというふうに思っておりますけれども、そういう意味で、地域循環共生圏を世界的に広げていくという、そういう考え方をもう少し持ってもいいのではないかと。
 実際、私の所属しておりますIGESでは、東南アジアとか南アジアの都市関連圏という枠組の中で、海外の都市においてもこのような考え方を展開していくことが話題になっておりまして、今、一生懸命やっているところですけれども、もう少し環境省として積極的にそういう方向を出していただけるといいんじゃないかなというふうに思っております。以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、崎田委員、お願いいたします。
○崎田委員 ありがとうございます。それでは、私も大きく言うと2点ほどお話をさせていただきたいと思います。
 今回の環境基本計画見直しに向けた論点整理の最初の部分で、地球の限界を明確に考えながら、しっかりと政策を考えていくという視点が強調されたということは、大変重要なことだと思います。けれども、その中で、いかにポジティブに将来をみんなが考えていかなければいけないかというときに、資料の7ページにあるように、JSTの世界市民会議の資料では、気候変動対策が「生活の質を脅かす」というように考える日本人が60%いるのに対して、世界全体では27%という数字とは大きな乖離があります。やはりこの辺の、国民みんなのマインドが前向きになるようきちんと考えていくところに、しっかりとした施策を打っていくのがとても大事なのではないかなというふうに感じました。
 それと関連するのですが、同じページの内閣府の世論調査で、将来について「希望がある」と答えた若者が約60%で、欧米諸国の調査などでは80%から90%という状況と日本の場合と非常に差があります。やはり次世代と一緒に暮らしていく社会を、きちんと暮らしや学校、社会の側面で、明確に次世代と共に考える参加の仕組みを入れていかないといけないのではないかと、ここもすごく感じました。
 そういう意味で、今、環境教育に関しては、環境教育基本法できちんと取り組んでいただいていますけれども、学校教育だけではない、人を育てるという意味での社会での実体験を増やすとか、社会変革につながるような視点でしっかりと考えていくことも、今回の見直しで取組むことが必要なのではないかなと強く感じました。それが1点目です。
 2点目に関しては、前回の見直しでは、環境・経済・社会の統合的発展という新しい流れができたのですが、今回はwell-beingとか共生社会というキーワードが出てきています。これとも関りますが、私はこの5年間、環境・経済・社会・文化というイメージで、自分の中では次の時代を作っていこうと考えていました。そのときの文化というのは、アートとか音楽、スポーツだけではなくて、地域の古くからの文化とか伝承とか、ライフスタイルをしっかりと自然共生していくとか、くらしや地域の思いが全部つながる意味でそういうふうに考えてきました。その辺を入れると心豊かになり非常に頭が柔らかくなるというか、将来が見えやすくなるのではないかなという気持ちがあります。28ページには、スポーツや文化なども重要という意見もあったと、割に短く、さっぱり書いてありますけれども、意外にこの辺を強調してもいいんじゃないかなと思いました。
 最後に、小さく1点ですが、先ほど武内委員が、地域循環共生圏とゼロカーボンシティの施策をもう少し融合させては、とおっしゃったご発言は私も同じように感じました。例えば、そういうときに、ではどうしたらうまくいくのかというときに、脱炭素型エネルギーの地産地消というキーワードを入れていくと、政策が融合しやすいのではないかなと考えましたので、一言、発言させていただきます。よろしくお願いします。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、石上委員、お願いいたします。
○石上委員 今日お示しいただいた、この第六次環境基本計画に向けた検討会取りまとめとしては、環境・経済・社会の統合的向上が示されておりますので、今後の議論や取組に示唆を与えてくれるものだと拝聴いたしました。
 その上で、3点申し上げます。
 まず、地域においては環境分野にとどまらない横断的対応が必要となりますので、それに応じた推進体制の構築を期待したいというふうに思います。
 二つ目に、公正な移行に対してですが、今回、本国会で成立しましたGX推進法にも公正な移行が位置づけられました。非常によかったというふうに思っております。
 また、この取りまとめの中でも、ステークホルダーの参加と多様な重要性が指摘をされているというふうに読みました。やはり、国民の中で、GXを進めていくことがどういう影響を与えるのかということが、まだ共有されていないのではないか。その中で、どうしても議論が起きていないというふうに思います。我々としては、このGXを進めていくことは、多くの労働者や多くの地域、自治体に、社会全体に大きな影響を与えるものだというふうに思っておりまして、やはり日本が今後目指していくべき社会の姿というものを、どう国民全体で共有できるのかというのが重要なんじゃないかというふうに思っております。
 その上で、制度づくりや個別事案の議論、検討では、社会対話がやはり重要だということを、いま一度、指摘しておきたいというふうに思います。
 三つ目ですが、地域循環共生圏の関係で言えば、各主体の役割、誰がイニシアティブをとるのかによって、そのイメージができるような内容にできればというふうに思います。地域の動きは、経済、社会のGX、そして、ネイチャー・ベースド・ソリューションを進める原点だと、基本だというふうに思います。地域ごとの特性や取組の中身は様々ですので、イニシアティブをとる主体も変わってくる。そういった自治体や研究機関、そして金融、様々な主体がどういうふうにイニシアティブを取っていくのかというのが重要だと。そして、参加主体の多様さや広がりは、コーディネーター役の体力や力量に依存をしているというのが実態だと思います。地域、自治体レベルで考えて、多様な主体の参加によって自立的に進めていくことができるように、後押しができることを期待したいというふうに思います。以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、山口委員、お願いできますでしょうか。
○山口委員 よろしくお願いいたします。
 この第五次環境基本計画の見直しに向けた論点整理、非常によくまとまっていると思いました。その上で申し上げます。
 私は、気候変動とか再生可能エネルギーの導入現場、ずっと取材を続けております。そうすると、今、日本は気候危機、エネルギー危機、人口減少、この三つの大きな危機に直面しているのだと思うんですね。それを乗り越える上で大事なのは、日本にある再生可能エネルギーを地域や自然と共生する形で適切に利用していくことだというふうに思っております。特に、再エネは地方に多く眠っておりますので、それをうまく利用できれば、地域は、農業だけではなくてエネルギーも輸出できるようになって、地域が元気になります。そうすれば、東京一極集中から分散型社会への移行につながっていくと思います。
 今、問題になっているのは、都会の業者が住民の頭越しにメガソーラーなどを開発して、野山を切り開いてしまうトラブルが相次いでおります。これは、あってはならないと思うんですね。再エネの導入の際の大きなポイントは、地域の方が主体になって取り組むこと。地域に愛される再エネを広げていくことだというふうに感じております。
 例えば、秋田県の風力、長崎県五島市の浮体式洋上風力、福島県土湯温泉の地熱、岡山県真庭市の木質バイオマス、岐阜県石徹白の小水力発電、千葉県匝瑳市のソーラーシェアリングなど、地域が主体となる取組が増えてきております。
 こういう取組を、しっかりと成功事例だということで、もっと多くの国民の方に認知していただくことが大事なのではないでしょうか。つまり、再エネというのは、うまく利用すれば私たちの暮らしを豊かにするものなんだと、そういう認識を社会全体で共有すること、その努力が、実はもう少し必要なんじゃないかなと思うんですよね。
 例えば、それを実践しているのがドイツだと思います。ドイツのシュタットベルケと言われる地域主導の仕組みが、地域に愛される再エネを広げております。世論調査でも、再エネを増やすことに賛成だという意見が、最新のデータでも86%に上っております。それから、メディエーターという仲介者の存在も、かなり活きているということですね。つまり、これは再エネと自然保護の観点から訓練を受けた、おおよそ50人ほどいるそうですが、そういう方々が中立の立場で、州政府などからの支援を受けて、地域住民とかステークホルダーの間に入って、適切に合意を取り付けて再エネを広げていく。そういう過程を作っていくことも私は大事ではないかというふうに思っております。それから、もう一つ別の視点で、再エネというのは成長分野でもあります。
 例えば、浮体式洋上風力やペロブスカイト太陽電池、今、日本は世界の最先端グループの一角にありますが、国際競争が非常に激しいので、しっかり国を挙げて応援していかないと、恐らくトップグループから取り残されてしまいます。また、これは、産業の成長分野を日本が失ってしまうということを繰り返すことにつながるわけですね。ですから、そういう分野でもバックアップが必要だと思います。
 最後に、今日、会場にもいらっしゃっていますが、JCLPさんですとかJCIさんですとか、多くの企業が再エネをもっと増やしてほしい、脱炭素を進めてほしいと思っていると思います。それから、それを支持する若い世代を中心にした世論も大きいと思うんですね。
 ところが、それがばらばらになっていて、大きなうねりには全然なっていないんです。残念ながら。かつて、環境省が中心になって、例えばクールビズってやりましたね。あれは社会変革を起こしました。つまり、何かやっぱりそういう仕掛け、多くのステークホルダーが一つにまとまれるような仕組みを、この第六次環境基本計画でつくっていくような、私はそのぐらいの意気込みを持ってやっていただきたいと思いますし、そうすれば、環境省を中心に、恐らく社会が持続可能な方向で前へ進むんじゃないかというふうに思っております。以上です。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、竹ケ原委員、お願いいたします。
○竹ケ原委員 ご説明ありがとうございました。第六次環境基本計画を議論するのに先立ち、第一次から俯瞰的に振り返っていただいたことで体系がよく分かりました。お礼を申し上げます。
 一貫して、環境保全と経済成長が二項対立する構図の中でその関係をどうするかと議論されてきたということがよく分かりましたし、途中から対立は終わったんだと言われながらも、やはり放っておくと両者が完全にデカップリングすることはなく、常に緊張関係にありましたので、いかにそこのバランスをとるかとについて、調和、同時解決、共生などのコンセプトを打ち出しながら第五次まで進んでこられた。皆様のこれまでのご発言にもありましたが、いよいよ成長と環境保全とを完全に同期させる方向を次は打ち出すことになるのだろうというのが、統合という言葉から得られる印象です。
 例えば、資料にウエディングケーキモデルが明示されているということ自体が、その象徴だと思いますが、21ページに「変え方を変える」というメッセージの下に、いろんなキーワードをちりばめていただいています。
 まず、ストックで考えるというご指摘がありました。もちろん、自然資本から生態系サービスが生まれて、という意味でのストックとフローの関係は、昔から環境政策上の議論としてよく知られていましたが、この発想は、現状、経済界が直面している非財務情報、無形資産投資での要請に相通じるところがあります。人件費や研究開発費を単なる支出・費用として捉える限り、減らすほうが、利益が上がっていいという話になりますが、現在は、そうではなく、知的資本や人的資本というストックとして捉え、その投資効率を追求する企業が長期的には資本市場から評価されて生き残れるんだという発想に産業界が変わってきています。
 こうした変化の背景にあるのが、ご指摘にもあった、ESG投資のメインストリーム化だと思います。長期投資家の影響力をもう少し増やしていこうという流れのなかで、ビジネスモデル・稼ぐ力の長期的な持続可能性が重視されるようになり、リスクと機会の両面で考えるなど、ESG投資家を味方につけるべく、産業界の意識が変わってきています。この文脈に照らせば、21ページで打ち出されている新しい第六次環境基本計画に向けた方向性は、経済界と議論する上でも非常に整合的ではないかという気がいたしました。つまり、この方向で議論していくと、狙いどおり、二項対立とは異なる次元の話に持っていけそうだなというのが感想です。
 その観点からは、先ほど武内先生からご指摘がありましたが、地域循環共生圏と脱炭素先行地域のシナジーが不十分という点について、確かにそうした面もあるなとは思いつつ、ESGによる変化が地域レベルで生じさせている変化にも目を向ける必要があると思いました。地域の金融機関や自治体の中には、2050年カーボンニュートラルという非連続な変化の中で、地域経済をどうやってジャストトランジションさせていくか、基幹産業をどうやって生き残らせて、所得の域内循環といいますか、地域の公正をいかに維持するか、を真剣に考え、取り組みを進めているところが出てきています。これは、文字通り成長と環境保全の同期に向けたプロセスだと思うので、この第六次環境基本計画が議論されている方向に向かうのであれば、先ほどご指摘のあった政策同士の統合みたいな部分もかなり解消されてくるんじゃないかなという気がいたしました。感想めいた話で恐縮ですが以上です。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、堅達委員、お願いいたします。
○堅達委員 今回の、この論点整理、非常に、well-beingとか人権の観点とかも感じられまして、基本的には、非常に網羅的にいろんなテーマが入っていると思うんですけれども、ちょっと一つ欠けているなと思いますのが危機感ですね。IPCCが、この10年に行う選択と行動が、今後、数千年にわたって影響するとまで言い切った。その数千年にわたる影響を及ぼす10年を、その計画を今つくっているという危機感が、残念ながら感じられないというのが、私が拝読した印象でございます。
 そこは、なぜかというと、やっぱり1.5℃目標との整合性といったことが明確にここには書かれていないというところだと思います。最後の33ページに、1.5℃目標の達成に向けて日本はリーダーシップを主導していくというふうに言われておりますが、実際は、G7でもむしろ日本が足を引っ張っているというか、石炭火力からの脱出、脱却に向けても、むしろ先送りしているといったような状況で、このままでは残念ながら環境先進国と呼べなくなってしまうのではないか。
 30年を振り返っておられましたけれども、確かに、公害対策をやっていた時代には、日本は環境先進国と誇れた部分も、乗り越えてきた歴史とかもあると思うんですが、このままだと環境先進国と言えなくなってしまうのではないかという、そういう危機感をもう少し強く打ち出さないと。実はここに、いっぱい、データでは、失われた30年の日本産業がいかに駄目になっているかというデータがいっぱい出ていますけど、今、この気候変動対策とか脱炭素は、何も地球環境を守るだけではなくて、ビジネスチャンスとして、あるいは日本の産業の起死回生にとっても勝負どころであり分かれ目でございますので、残念ながら化石燃料に依存を続ける体制を示し続けていると、今のEVシフトにも乗り遅れて、日本の産業自体が滅びていくという、そういう危機感も踏まえて、この危機感の欠落を何とかしてほしい。
 つまり、目指す方向性は何となく分かるんですけど、スピードとスケールに欠けていると。この分野、ここの部分をしっかり押さえていただきたいというのが1点です。
 あともう一点は、じゃあそれを作るための仕組みづくり、それをどのようにしたらいいのかというところですね。そのときに、私はとてもいいと思いましたのは、環境負荷の総量を減らすんだと。PM2.5とかも、化石燃料絡みの政策を続けていると実は健康影響とかも出てくるわけですけれども、こうしたことも含めた、しっかりと環境の負荷の総量を減らすんだという決意、こちらを今回の新しい基本計画にしっかり載せていただくということが重要ではないかなというふうに感じますのと、やっぱり仕組みといえば、一番大事なのは、やはりカーボンプライシング、こちらを、今、ボランタリーな制度は出来つつあるとは言っても、はっきり言って、全く1.5℃目標に整合していかないというのは取材をしておりましても遺憾でございますので、こちらをもう少し、ちゃんと明確に、それが伝わるように書いていくというのが大事かなと思います。
 GDPが増えれば、結局、環境負荷は増えてしまうというのが、今のGDPだけの物差しで計るとそうなるんですけど、イギリスがダスグプタ・レビューを物差しにしようというふうにしているのと同じで、もう少し我々も、せっかく地域循環共生圏という自然との共生をベースにした哲学というか概念を打ち出していくのなら、このネイチャー・ポジティブとか、農業、漁業、自然資本、そういったものにもう少し物差しとしての価値を置くような、そういうことを環境基本計画でも打ち出していけたらいいと思いますし、それこそがサーキュラーエコノミーにもつながっていくのではないかと思います。
 最後に、これを決めていく過程で、若者という当事者世代がどのように参画していくのかというのが非常に気になっておりまして、ぜひステークホルダーとして彼らを何らか参画させるというやり方も模索していただければと思います。以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、河口委員、お願いいたします。
○河口委員 ありがとうございます。今の堅達委員の意見にかなり賛成するところがあって、この資料は、非常に網羅的にしていただいて、ある意味、教科書的に、ここ30年間でやってきたことというのが全部入っているよということではとてもいいんですけれども、例えば2ページ目に、環境基本計画の振り返りとあって、確かにそうなんだよなと思いつつ、第一次環境基本計画ができたときの目指す社会ということで、物質的豊かさ云々、大量生産云々と書いてあって、高らかにそういうことを謳っていて、まさにそうなんだよと思いつつも、実態はさらに、現状はこれが悪化していると。全てのマテリアルフローだとか、そういうことを見ると、全て、基本的にほとんど全部、環境負荷は悪化して、日本国内では改善しているのがあるかもしれないですけど、世界レベルで見ると悪化していると。
 それで、二酸化炭素排出量も史上最高量を更新中みたいな情けないことになっているという現状がありますと。ここのページにある世界観だけすると、すばらしく、うまくきちっとできていて、進捗しているような世界観なんですけど、ここから1歩出ると、地球環境は悪化していて、今日の天気もこんな変だしという、何か最近の天気、変だよねということで、実態とこの政策のレベルでの実は乖離があるよということを、まず認識していただいて、何ができるといったら、こういう政策をつくっていくことだというのもあるかもしれないんですけど、政策は立派でも実態が乖離してしまっては悪化してしまっているねという反省に至っていただいて、立派に作ったんだけど、これの課題って、せっかく作ったんだけど何で実態と乖離しているのかなみたいな、そこをもう一回、検討、何というか、きっちり検証していただくというようなことも必要ではないのかなと思います。
 それで、これからの、次の環境基本計画を作るということですけれども、目標年度が2030年なんですが、2030年はSDGsのゴールの2030年であり、30by30のゴールの2030年であるというところとこれが重なるのでありますから、そことリンクするような形で、そこの30年に向かってこっちからはどう行けるのかというような、そういう発想も必要ではないのかなと思います。
 それから、いろいろと日本経済の問題点とか、本当にたくさん書いていただいて、その中で環境と経済がだんだん融合してきたというのはいいとは言いつつも、やっぱり21ページから「新たな成長」と書いているんですけど、幾ら「新た」といって書いている中身が従来の成長と違っても、成長というラベルを使っちゃったら、あの成長ねというふうになってしまうので、例えば、「新たな発展の仕組み」とか、ちょっと名前を変えるだけでも、その中身に対するインパクトが随分変わってくるのではないかと。
 実は、今日の午前中、証券業協会のSDGs委員会というのが本当に何年かぶりにあって、そこでいろいろと、公正な移行の話ですとかグリーンボンドの話とかもされていたんですけれども、グローバルに見ると、グリーンをどう定義するのかと、タクソノミーの話なんかもありますが、非常に、そこに対してヨーロッパの人たちは厳しくなってきていると。それで、何か結構いいかげんなのがグリーンとなることで、あれもこれもと。
 今日の資料でも、ESG投資が広がっていますというのはいいんですけど、そのグリーンの中身は何かというと、これは外したほうがいいんじゃないのみたいなのはいっぱいあって、ヨーロッパなんかでも、ESG投資の市場が小さくなっているというのがあって、それは、より厳格にしたら、みんな落ちちゃうよねと。それで、今の落ちちゃうよねというのは、そんなの下手にやるとグリーンウオッシングになるでしょということになって、そんな面倒くさいことになるんだったらグリーンとか言わないほうがいいよということを、投資家も発行する企業の側も言い始めているという事情があるので、このお金がいかに、グリーンという名前のお金が増えたということがあっても、あんまりいいインディケーターにはなり得ないと。じゃあ具体的な中身がどうであるのかということを通っていかなきゃいけないよという状況になっていますので、これの考え方もきっちりしていただかないといけないと。
 逆に、環境省としては、そこで何かグリーンじゃないものもグリーンと言いくるめているようなものに関しては、厳しくそこは、グリーンじゃないものを進めても環境負荷が増えちゃうんだから、マイナスであると。
 一方で投資家は、環境省がいいと言ったんだから、これをやっていれば環境にいいんだよねというふうに善意で思い込むわけです。ですので、だからそこはすごく大事なんですよ。本当にグリーンじゃないものを、いいですよ、これグリーンというラベルをつけても何て言っちゃったら、やはり環境省に対する世の中の信頼感ってすごく高いので、よく分からないけど、それでグリーンと言っているからいいんだねということになってしまいかねないですから、そうすると、下手すると環境省のほうがグリーンウオッシングを主導しているというふうに見られかねない事態も生じないとも言い切れないというところですので、この辺りは、継続的に金額が増えればいいのか、質的な問題がなきゃいけないのか、その結果によって本当に環境がよくなってなきゃいけないのかというところまで踏み込むような政策をぜひ考えていただきたいなと思います。
 それから、あとちょっと2点なんですけれども、文化と日本の自然観というので、崎田委員からも、ちょっとさらっと行き過ぎているんじゃないと、ここは強調してもいいんじゃないかというのは、私もまさに同じことを思っていて、特に生物多様性というのは日本の文化に根差しているのではないかと。生物多様性の勉強会、井田さんと一緒にWWFでやっていたりするんですけど、単に生物多様性は大事ですというだけでは多分広がらないと思ったので、去年は、茶道と俳句と生物多様性と。俳句って、季語がないといけないので、これは生物多様性がなきゃいけないよねみたいな話とか、茶事も四季折々のいろいろなことにちなんでやっているというので、実は生物多様性の上に日本の文化は成り立っているよねというお話をしたんですね。
 それで、今年の6月17日に、今度は住吉大社と一緒に、田んぼと生物多様性というようなテーマで、やおよろずの神様から考える生物多様性と。いわゆる、日本の古来の文化とか生活の中にある中に、生物多様性はある。それで、やおよろずの神様というのは、実は生物多様性を昔の人が別名で言ったんじゃないかなというのが私の仮説なんですけれども、そういう意味で、皆の心の中にある生物多様性と結びついていない、あれは、実は今言う生物多様性なんだというような意識を啓発していただくような活動をしていただいて、身近にそういうものがあるよね、朝顔を植えるのも生物多様性だよね、といったところで国民の人々の意識を変えていくと。そういう意味で言えば、脱炭素というところで日本はいろいろな産業ベースで出遅れていて、20年出遅れまくっているわけなんですけれども、逆に、もう逆転の発想で、中途半端な変なことをやらずに、江戸時代の循環型社会に学ぶ、あのときは、脱炭素というか、炭素がないまま循環型で、鎖国しながらもほぼほぼ人口も増やしてきたという実績があるので、その江戸時代の循環型から学ぶ新たな脱炭素の発展ということも考えられるのではないかと。
 最後に、意識づけというところに重なるんですけれども、武内先生もおっしゃっていましたが、プラネタリーヘルスという考え方で、例えば気候変動で、気候が暑過ぎるとみんな熱射病になりやすいだとかということもありますし、それからプラスチックのごみですね。プラごみ、マイクロプラスチックのごみとかがすごく体に悪いと。いろいろな有害物質があって、女性に特に非常によろしくない、体に、身につけていたりするとよくない何ていう研究結果も出てきていますので、大学でその話をしたら、みんなプラスチックをやめようという話になる。それを見ると、本当にこう着ているものとかに付いていて、すごくよくないよみたいな話を読んだら、それを読んだらみんなやめようという気になるんですよ。
 だけど、レジ袋をやめましょうみたいな、亀が飲んじゃいますみたいな話をしていても、あんまりみんなぴんと来ない。だから、何を言ったらぴんと来るかということで言うと、プラネタリーヘルスというのもありますけれども、最終的に一人一人の体にも影響するんだよみたいな話の展開というか、そういうプロモーションの仕方ということも考えていただいて、本当に地球と人間のヘルスは一体化だということと、あと、去年、国連で決議されましたけれども、良好な環境権は人権であるというふうに定義されていますので、そういう意味でも、そこも交えて、さらに社会と環境が結びついているというようなメッセージも入れていただければと思います。以上です。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、井田委員、お願いします。
すみません、申し訳ない。オンラインでもかなりの方、手を挙げて待ってくださっていますので、ご発言はできるだけ簡潔にお願いいたします。
○井田委員 いつも長くしゃべっちゃうもので、資料をお配りしたので、基本的にはこれを読んでいただければいいと思うんですが、35年以上なんですけども、環境行動に関わってきた者としてこの場にいるので、ちょっと意見を言わせていただければというふうに思います。
 最初、重要な視点と書きましたけど、「決定的な10年」であるというのは資料に書いてあるとおりで、これは私の重要なキーワードだなと思います。
 その次、私なりに重要だと思う視点というのを書いておりまして、これも今回頂いた資料の中にきちんと書いてあったことなんですけれども、過去30年の総括がやっぱり必要であろうというふうに思います。現状認識としては、これは堅達さんから、危機感があまりないよというようなことをおっしゃったんですけども、私もちょっとそれを考えておりまして、気候危機と生物多様性の危機と汚染という、プラスチック汚染に代表される危機がここまで深刻化してしまったということを、やっぱり30年の間に深刻化してしまったということを、どこかで明確に危機感を表明しておかなければいけないというふうに思います。第五次基本計画以降、新型コロナのパンデミックが深刻化したとか、マルチラテラリズムが危機であるというのは、皆さんご存じのことであるし、この報告書にも書いてあった、今回頂いた資料にも書いてあったとおりだと。
 その次なんですが、じゃあ何でこんなことになってしまったかということなんですけども、今いろいろあったように、環境と経済の好循環とか、統合などと言いながら、やっぱり経済を重視して環境をおろそかにしてきたがために、こういうことになってしまった、それで危機が深化して、人の健康であるとか地球の未来を脅かすまでになってしまったと。科学者の予測も楽観的過ぎたと思います。私は、こういう現状認識はやっぱり、計画を話し合う上できちんとしておかなければいけない。
 これは、恨み言みたいになるんですが、私、実は第五次環境基本計画の最初に、このウエディングケーキの図というのが大事だと、議事録を見ていただければ分かるんですけども、申し上げました。環境がなければ経済も社会も成り立たないから、環境政策が全ての基本であるとか、そして環境保全がないと経済、社会が成り立たないじゃないかと、このウエディングケーキという図が重要ですと言ったんですけども、当時は、プラネタリー・バウンダリーを含めて産業界の方から非常に激しい抵抗があって、批判もあって、結局これは生かされなかった。この図は、第五次環境基本計画には入っていないと思います。あのとき入れておけばよかったと思うんですけども、今回は、ここまで来たので、絶対これを基本原則として頭の中に置いていくべきだというふうに思います。
 その次、過去30年の総括として、いろいろ日本にとって頭の痛いようなグラフを並べております。これは皆さんご存じのことなので、見ていただければいいんですが、私、92年から95年、環境基本計画とか環境基本法とかをつくっていたときに記者クラブにおりまして、そのとき河口さんからもご紹介があったですけども、大量生産・大量消費・大量廃棄、実はここ、大量リサイクルというのが日本にくっついてくるんですけども、これでもう世の中変わるかなと思ったんですよね。でも、リオのサミットもあり、全然変わらなかったと。それで、過去30年間で日本の対策は全然進んでいなくて、堅達さんがこのままでは環境先進国と呼べなくなってしまうとおっしゃったんですけども、私はもう呼べなくなっていると思います。まず、リサイクルを見てもそうだし、ずっと繰っていただければいいんですけども、1人当たりの排出量にしても、日本の電気、全然きれいになっていないと。もうG7の中で一番汚いのが日本の電力です。それで、炭素生産性の話がありましたけれども、GDPをワンユニット上げるのにどれだけのエネルギーを消費しているのかでも全然よくなっていないし、相変わらず1人当たり温室効果ガスの排出量というのが地球の平均を大きく上回っているというような状況にあるというのが、皆さんよくご存じのことと思うんですけども、グラフを並べてお見せしました。
 過去30年間の総括については、私、一つは重要な原則の話がありました。PPPとか排出者責任とか、EPRとか予防原則とかありましたけれども、やっぱり30年を振り返ると、この重大な原則、リオで言われたような原則、あるいはEPRなんて1972年にOECDが言った原則ですよね。それが全く重視されてきていなかったと、全くとは言いませんけども、これをおろそかにしてきてしまったということが30年の失敗を招いたものだというのを30年に当たってきちんと頭の中に置いておかなければならないと思います。包装容器ごみのEPR、海外に比べたら全く不十分ですよね。高レベル放射性廃棄物とかF1の汚染水とかあるんですけども、私は、あれは何で、原子力事業者だけがPPPの原則が徹底されないで国がここまで面倒を見てあげるのかと思いますし、予防原則についても、IPCCが最初に、慎重な表現ながら、人間が気候変動を起こしているかもしれないと言ったのが1995年のことですよね。フッ素の原稿、私、大阪の、フッ素汚染で大きな問題になっているという原稿を書いたのが2007年のことであります。今になって、PFOS・PFOAとか言っていますけども、実はずっと前からあったんです。予防原則が、どれだけ徹底していたでしょうかというふうに思います。
 その次なんですけども、残念ながら、そういう原則もおろそかにしてきたこともあって、やってきたことといえば企業の自主的取組中心、偏重な環境政策だったがために、日本の産業、30年間というのが、こんなに遅れてしまったんだと思います。重要なことは、やっぱり特に上流の規制というのが欠けていたというのは、我々はきちんと認識しなければならない。経済的手法と規制というのは両輪になるべきだったんですけども、どっちも不十分だと思います。上流のオゾン層が成功例だと資料の中にあったんですけど、あれが成功したのは、上流の総量規制と厳しい排出規制があったからです。逆に失敗例というのは、上流の排出総量規制とか用途規制というのがなくて、end of pipeだけで回収をしましょうといった日本のHFC回収というのが大失敗だと思います。ペットボトルもそうですけども、回収してリサイクルしましょうと、90%回収したというのは、これは涙ぐましい努力だと思うんですけども、総量が234億本なので、23.4億本が未回収ということです。やっぱり上流をきちんと縛るというようなことをやらなければならないというのが、「重要な視点 個人的意見」とその次に書いてありますけれども、これは私が頂いた資料について思った、欠けている、不十分と思うところの視点であります。お話ししたように、ウエディングケーキの視点も環境政策の中でやらなきゃならなくて、武内先生からご指摘があったように、プラネタリーヘルスというのは全ての基本だと、その中で、環境制約の中での経済と社会だというのをきちんと環境基本計画の中に入れる。
 もう一つ、このTransformative changeという言葉が、あまり今回頂いた資料の中に出てこなかったというのがちょっと気になっておりまして、これはSDGsの基本政策でもあるんですよ。2030年までにつくらなきゃいけない、までを視野に置いた環境基本計画だったら、Transformative changeを残り10年、場合によっては8年ぐらいでやらなきゃならないんだと、それだけの危機感、それだけ重要なタイミングに直面している中での環境基本計画だというのをきちんと議論しましょうというふうに思います。それで、時間がなくて、企業の自主的取組でゆるゆるやっていてもいいんですけども、もう既に時間がないので、繰り返しお話ししますけども、上流の総量規制というのが全て、非常に重要だというのを、30年の失敗の上からここで確認しておきたいと私は思います。その上で重要なのは、お話ししましたけども、汚染者負担の原則であるとかEPRとか予防原則というのを改めて確認して、その上で上流の規制をしましょうというふうに思います。
 最後のページは「成長」を問う必要と書きましたけども、河口さんがおっしゃったように、この鍵括弧をつけたのは、成長でいいかという思いを込めて「成長」と書いたんですけれども、環境負荷の総量を減らすというお話がありました。ただ、それをやるんだったら、やっぱり何度も言いますけども、上流で減らさなければ環境負荷というのはなくならない、上流でなくすということだったら、これは成長と言いつつ、削減であるとか縮小であるとか、例えば肉食とか使い捨てプラと書きましたけども、そこまで考えなければならないところに来ているというふうに思います。
 あとは読んでいただければいいんですが、申し上げたいことは、堅達さんからもお話がありましたけど、この場に、単なるヒアリングでなくて、やっぱり若い世代の声というのを聞くような仕組みを、小泉前環境、前の前の環境大臣は、若者を審議会に入れてもいいんじゃないかというようなことをお話しになっていたと思うんですけれども、単なるヒアリングでなくて、もっときちんと若者、次世代の声を聞く仕組みというのが環境政策の中で必要だと思うし、基本計画をつくる上でも必要だと思います。
 これも、最後になりますけども、私、これまで総合政策部会の中で何度か申し上げてきたんですけれども、未来を描くという意味では国土利用のグランドデザインというものをもう一回考えて合意を得るべきで、そこからバックキャストして、どういう国土利用をしていくかというようなことを考えなければならなくて、それをどこもやらないんですけども、環境基本計画の中でそれをやってもいいかなというふうに思う、こういう次第でありまして、すみません、資料を配って短くすると言いながら、長くしゃべってしまいまして失礼いたしました。
 私から申し上げたいことは、今日のところは以上であります。
○高村部会長 ありがとうございます。
 すみません。石田委員、お願いいたします。
○石田委員 ありがとうございます。
大きく分けて二つあります。一つは、脱炭素が生活の質の向上につながることの理解を深めるべきだということ、もう一つは行政の気候変動、財務情報開示をするべきだということです。私は事前に意見書を出させていただいたので、細かいことはそこに書いてありますが、国民の環境意識が世界と乖離している点が気になります。日本の国民は気候変動対策を「生活の質を脅かす」と、本来の意味とは逆のことを回答しています。今回の計画でも、全体としてはwell-beingとか生活の質を向上すると言っていますが、それが伝わっていません。これをもう少し明確に伝えて、国民運動になるように同意を得ることが非常に重要だと思います。  例えば、ZEHは、ゼロエネルギーハウスですから、名前どおりに聞くとエネルギーを減らす住まいと思われがちですが、室内環境を改善するほうが大きな目標です。春・秋が一番快適ですが何故かというと、エネルギーを使わないからです。冬や夏にもエネルギーを使わない家を建てられれば実は快適になります。WHOは健康影響を理由に室温18度以上を強く勧告していますが、今の日本の家は多くがそれを満たしていません。ZEHにより快適になるとこれを改善できるようになり、光熱費も安くなるしCO排出も少なくなり、さらに健康にもなるわけです。健康になると、医療費が削減できるし、もっと違うよいこともたくさんあります。
 コンパクトシティの話も出ていますが、地方だとお年寄りが単独で住んでいることが結構ありますが、その場合には、買物難民であったり、病院に行くのにどうしようかとか、周りにお友達が少なくなって寂しいとか、いろいろ問題があります。さらに、行政的には、ごみの回収、上下水道の整備、道路整備など、低密度で行政コストがすごくかかりますが、コンパクトシティでは、買物難民や病院難民もなくなるし、集まって楽しく住んで行政コストも安くなります。今後、労働人口の減少に伴い税収が減っていく中で、財政を維持していくことが絶対に必要で、かつ、住民の皆さんの目的は、省エネではなく楽しい暮らしですから、コンパクトシティは楽しい暮らしになりますとアピールしたほうがよいと思います。
 生活の質の向上の中に、最良の科学の要請に応えることが重要だと書かれています。最良の科学の要請は1.5度目標だと思いますが、1.5度目標は2050年脱炭素ではありません。さきほど堅達さんも言われたように、1.5度目標は削減経路が重要であり、総排出量の削減カーブをどのようにするかが問題です。そこを明確にしたほうが良いと思います。1.5度=2050年脱炭素、2040年から2050年にかけて削減すればよいと思われている方が多いと思います。
 2050年脱炭素宣言をしている多くの地方自治体で、恐らく将来人口減に伴い税収が減ると予想されます。企業であれば、売上げを上げるという手がありますが、地方行政は税収を増やすのは難しいので、いかにして脱炭素を実現しながら財政を維持するのか大きな課題です。企業は今、気候変動対策関係の財務情報の開示を求められていますから、地方行政も気候変動対策関係の財務情報を開示することが必要でしょう。そうしていく中で、脱炭素の仕組み、例えば公共事業の入札において脱炭素を条件にしていくとか、入札の加点にしていくとか、いろいろな仕組みが考えられ、自然と脱炭素に向かう仕組みができていくと思います。以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。オンラインでご出席の皆さんも含めて、あと10人いらっしゃいますので、誠に申し訳ありませんが、ご発言はできるだけ簡潔にお願いできればと思います。それでは、豊岡委員、お願いいたします。
○豊岡委員 言いたいことはほとんど言ってくださったので、簡潔に頑張ります。
 堅達委員がおっしゃったように、足りないのは危機感だと思っています。私は、自治体の委員とか、自治体で一緒に計画をつくったりとか、企業と一緒に事業をつくったり、やっています。個人ともやっています。金融機関ももちろん地域の中で一緒に事業をつくっているわけですけれども、皆さんにないのはですね、宣言をしています、皆さん、やらなければならないと全員おっしゃいます。けれども、やれることがあるのにやっていません。それは、やらなくても済まされているという現状がございます。残念ながら、宣言をするというのを、右に倣えで宣言はするんです。けれども、やらなければならないというふうになっていないので、みんながまだやらないうちはやらない、リスクを取ってまでやらないというのが、自治体も企業も個人もというような現状で、金融機関もそこにリスクを取ってお金をつけるということは全然できておりません。これが現状です。なので、足りないのは、やらなければならないという圧力とメリットがないからです。これはもう明確に、今まで、やらなくてもいいのならばやらないという状況ですので、これは、やらなければならなくするしか解決の方法はございません。幾ら待ってもそうはならない。やっぱり、しっかりと、圧力と、それとルールをしっかり政策に生かしていって、つくって、規制もかけて、やらなければ済まされないという状況にしない限りは、これは幾ら国民運動できれいごとを言っても、意識は回っていっても、これが適切な、先ほど山口委員がおっしゃってくださった、地域が、ポテンシャルがある地域がそれを適切に利用できて、これが事業にできて、いいことであるという認識で、本当にできれば、かなり地域はまだまだ産業として生きるすべもあります。けれども、このままではそうはならないということで、しっかりと圧力とメリットのルールをつくっていっていただきたいと。その中では、脱炭素の、地域循環共生圏と脱炭素がつながっていないということと、再エネ促進区域もですけれども、全然義務化になっていないんですね。なので、やればメリットがあるよ程度では、これは全然進まず、再エネ促進区域も、しっかりと自分たちの持っているものぐらいは脱炭素しろというふうに圧力をかけないと、いつまでたってもこれはやらない。
 環境省にぜひお願いしたいのは、自治体間は分断があります。自治体の中でも、その一つの基礎自治体の中でも課によっての分断がございます。そして、ご存じのとおりの省庁の分断がございます。これを、分断があるのでは、このままでは全然進んでいきません。なので、この分断を越えていく、国土利用ということをやっていくにおいては、この分断を越えなければ国土利用ができないわけですので、分断をぜひ解消するような覚悟を持ってやっていただきたい。もう、イニシアティブを取ってしっかりとやらない限りは、これ、今までの30年間全く、理屈は積み上がってきたけれども進まなかったというところは、これが解消できなかった危機感のなさ、分断を解消できないということ、それと、やらなければならないというルールがなかったというこの3点に尽きると思いますので、10年、本気でやるのであれば、それを難しいと言っていてはできないと思いますので、ぜひここをしっかりと、第六次環境基本計画では覚悟を持ってやっていただきたい。以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、大塚委員、お願いいたします。
○大塚委員 すみません。どうも恐れ入ります。大きい点が2点で、あと、細かい点をちょっとお話しします。すみません。
 大きい点が2点で、一つは、公正な移行のところは非常に重要だと思っていますし、これ自体、大変重要ですが、さらにこの賢明な移行ということも多分大事だと思うので、世界的には公正な移行がまさに大事なんですけど、日本の場合、時間が限られた中で効率的な移行をするということに関して、必ずしも本当にそうやっていただけるかどうかに関して若干心配があり、具体的に言うと、例えば手戻りが少ないようにするという、アセスメントみたいな話に似ているかもしれませんけれども、このままいくと失敗するかもしれないようなことを、必ずしも十分検討がなされないうちにやろうとするとか、いろんなことがあり得るので、賢明な移行ということも同時にぜひやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つ、第2ですけども、参加とか、その環境情報を聞くとか、それから公表するとかという話に関しては、22ページとかの制度化が大事になってきていますが、これはこの間も別のところで申し上げましたが、日本は公害法が早くから成立してしまったために、ヨーロッパとかのように、90年代に環境情報に関しての指令ができて対応したところと違って、日本はもう70年代辺りに公害法が確立してしまっていたので、環境情報とか、その参加のところの規定が弱いんですよね。それが、公害の盛んだった時期も過ぎてしまって、今、そこら辺の制度化が進まないままに、公害自身は前よりは減っていて、そうした環境省の部局も縮小していくようなところが出てくるので、そうした参加が進んでいないと、新しい問題が発生したときに対する対応というのが弱くなるというようなことが出てくるのではないかと心配をしています。
 アジアの国が、環境公益訴訟を実は入れているところが結構多いんですけども、参加だけじゃなくて環境公益訴訟も入れているところが実は結構多いんですけども、実は、NGOは公害のためにも活躍をしているという、別に、公害に対してだったら、個人の権利が侵害されているので個人が訴訟を起こせばいいはずなんですけど、実はNGOが活躍しているというようなことがあって、それは経緯を説明しているだけなんですけど、要するに申し上げておきたいことは、環境情報の公表とか参加の仕組みが日本は弱いので、そこの制度化をしていないと、先ほども、例えば気候変動に対してとか環境に対しての意識が必ずしも高くないという話が出てきていますが、これは高くないだけではなく、行政に対して信頼し切っているところが多分あって、だから行政があまりうまくいかないと非常にバッシングをされることが出てくるとかという、行政に対する期待が物すごく高いけれども、しかし、逆に言うと任せ切っているというようなところが多分あるので、自分が参加して決めることと思われていないようなところが若干ありますので、そういうのを何とか改革していかないと、まずいんじゃないかなという気はします。
 取りあえずのところでは、先ほど堅達委員からもお話があったように、この環境基本計画に対して若者の参加というのは結構大事だと思うので、ぜひやっていく必要があると思いますけれども、行く行くはそういう参加に関しての制度化というのも結構大事になってくるんじゃないかなということを申し上げておきたいと思います。
 以上2点が大きいんですけど、簡単に、あとちょっとだけ、武内先生がおっしゃった地域循環共生圏と脱炭素の先行地域の連携というのを一緒に考えていく必要があると思います。これは、高村さんと昨日ご一緒した研究会で出ていましたが、農水省のほうも農村のRMOというのをやっているので、環境省が地域循環共生圏と一緒にやりましょうと言って農水省が協力してくれるかどうか知りませんけども、ほかの省も似たようなことをやっているので、そことも連携ができたら大変いいかなと。環境省さんだけでできる連携かどうか分からないので、もしできなかったら申し訳ありません。
 それから、河口さんがおっしゃった、グリーンウオッシングとか、タクソノミーとかと関係するような話は、結構大事な話ではあるので、ここで、環境基本計画との関係でどのぐらい大々的に扱うかはちょっと分かりませんが、トランジションの技術の話とかも関係するので、もし検討できるんだったらしていただければいいんじゃないかなと思います。
 それから、井田委員がおっしゃった話は、大事な話ですけど、一言だけ。原則は原則なので、原則と書いただけですぐにルール化するわけではないので、ちょっと警戒する人もいるかもしれないので一言だけ申し上げておきますと、原則は方向性を示すのですから、個別の規定が置かれなければ、それだけでは実施されませんので、ただ原則としては大事だということです。ルールではないです。
 あともう一つだけ。これは武内先生が前からおっしゃっていることで、私が気にしているのは、ここにも出てきている環境収容力の中での成長という、私は成長は残してもいいと思っているほうですけど、成長の限界ではなくて、限界の中での成長みたいなことをどこかで打ち出せるかというのは、ぜひご議論いただきたいところでございます。
 すみません。長くなりまして申し訳ありません。
○高村部会長 ありがとうございます。すみません。オンラインでご出席の委員の皆様、お待たせいたしました。12、ちょっと人数が増えていると思いますけれども、最初に、早くご退席予定と伺っています奥委員からお願いできますでしょうか。
○奥委員 ありがとうございます。今回から参加させていただきます奥でございます。環境法の分野を専門にしております。
 3点、大きく申し上げたいと思いますが、まずスライドの14に書いてありますデューデリジェンスについてなのですけれども、恐らく今、大塚先生からもお話のあったスライド26のPPPとか環境情報とも関連する話だと思いますが、ぜひ、特にそのバリューチェーンを通じた企業等によるデューデリジェンスの確保、その重要性を次期環境基本計画の中にしっかりと位置づけていただいて、いかにその環境や人権に係るリスクをしっかりと特定した上で対策を講じるということに仕向けていくか、それに係る情報提供、透明性の確保ということを担保していくかということの重要性、そこをぜひ押さえていただきたいなというふうに思っております。ご存じのように、EUも企業のデューデリジェンス確保に向けた指令案を出しておりますし、ヨーロッパでは、フランスやドイツは既に立法化していますし、ほかにも複数のヨーロッパ諸国において立法化の検討がもう具体的に進んでいるという状況の中で、日本においても、そういった法整備も含めて対応を検討していくような、そういった道筋を示すという意味で、次期環境基本計画の中に一つ柱として位置づけていただくといいのではないかというふうに考えています。
 2点目なんですけれども、スライドの25でしょうか、予防的アプローチについてまとめていただいておりまして、取りまとめの文章の中にも、31ページにありますけれども、こちらについては、引き続き予防的アプローチも重要であるというふうに、取りまとめのほうには書いてあるのですが、むしろPFASの問題もそうですし、やはり科学的な不確実性を伴う非常に複雑化・多様化している環境問題に対応していく上で、まさに今後、予防的アプローチが重要だというふうに認識しております。そういう意味では、原則は原則でしかないかもしれませんけれども、予防原則という、今まで日本は環境基本計画では、第五次の中では「予防的な取組方法」という言葉を使っていますし、こちらの資料では「予防的アプローチ」というふうになっていますが、果たしてこれが原則なのかどうか、非常にそこが曖昧な用語法を今まで用いてきたというような気がいたします。ぜひ予防原則という、その原則であるということを明確化していただきたいというのが2点目です。
 3点目は、スライドの29のところですけれども、総合的移行を可能とする土地利用についてまとめてくださっているかと思いますが、特に、地球温暖化対策推進法に基づいて、実行計画、区域施策編を自治体がつくるときに、再エネの促進地域を位置づけてもらって、そこに特に再エネ事業等を誘導していくというような、そういう仕組みが一応法的には規定されているのですが、それを実現していくためには、やはり土地利用関連の法令ですとか、それに基づく土地利用に関わる様々なマスタープラン等の中に、しっかりと脱炭素に資するような土地利用であったり、そこへの事業の誘導であったりということが落とし込まれて、初めて具体的に進んでいくということになるので、これは縦割りの体系ではありますし、所管も違うということがあったとしても、ぜひ、やはり土地利用の中に、いかに環境配慮ですとか脱炭素につながるような取組をしっかりと組み込んでいくのかという視点、そこも少し強調して示していく必要があるかなというふうに思っております。
 環境基本計画は、もちろんその目指すべき将来像をしっかりと踏まえた上で、バックキャスティングで、50年程度でやるべきことを描いていくということがありますけれども、具体的な立法であったり法改正であったり制度の構築であったりということに対して道筋をしっかりと示すという役割も担っているというふうに考えておりますので、特に今申し上げました3点について発言させていただきました。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。報告事項を少し残しておりますので、大変恐縮ですけれども、ご発言のほう、簡潔にご協力をお願いできればと思います。それでは、小屋委員、お願いいたします。
○小屋委員 今回から参加させていただきます東京ガスの小屋と申します。よろしくお願いいたします。
 ご説明いただきました内容については、基本的に賛同しており、産業界も共に取り組んでいくスタンスです。産業界としては経済性を両立し実現する視点で、特に具体的なイメージ、取組、仕組みづくりが非常に重要だと思います。その上で、3点お話しさせていただきます。
 まず、21ページの新たな成長に向けて、国民も含めて「変え方を変える」という、新しい視点は重要と認識いたしました。ただ、失われた30年を背景にしますと、なかなか具体的なイメージをするのは難しいと感じます。この実現に向けては、国民と自治体、企業、各ステークホルダーが、生み出される環境価値やプラスのイメージを具体的に持ち、それぞれが主体的に行動できることが不可欠だと思います。この点については、今後、部会でより丁寧なご説明をお願いします。
 二つ目、特に中小企業におきましては、環境に配慮した取組を進める必要性は十分理解していますが、経営環境が厳しくなかなか取組を進められない事業者も相当数おります。商工会議所の調査においても、原料価格の高止まりやエネルギー価格の高騰等によってコスト負担が増えており、人手不足、またコスト増に見合う価格転嫁も十分に追いついていない中、行き先への不安が根強く厳しい状況にあると分析しています。ほかの委員の方もおっしゃっておりましたが、どのようなアクションが求められて、どの程度コストを負担するのか、できる限りクリアな道筋を示して予見可能性を高めていくこと、これに加え、自主的かつ前向きな取組により企業価値の向上につながる仕組みづくり、有益な支援策についても期待しています。
 また、大きな変革ですので、移行期の進め方が重要だと思います。30ページ、31ページの公正な移行については特にご配慮いただきたいと存じます。私たち事業者としても、経済、雇用の面で地域を支えていきながら各主体と連携し、環境、社会課題の解決に向けて関わっていきたいと考えています。地域経済が大きなダメージを受けることなく産業の発展と地域の魅力向上につながるよう、幅広い観点から包括的支援の検討をお願いいたします。
 最後になりますが、環境面の課題の一つでもあります生物多様性の分野は気候変動や循環経済に比べて中小企業にとってなじみが薄く、業界や規模によっても関わり方に違いがあります。この結びつきについて、丁寧な落とし込みをしていく必要があると認識しています。商工会議所では、中小企業に対して、節電、省エネ、カーボンニュートラルの浸透に当たり、「知る・測る・減らす」というキーワードの下、取組を支援しています。このようなキャッチフレーズの発信のように、企業が生物多様性を自分事として捉えるような仕掛けも必要でないかと考えます。私どもも地域活性化への貢献を考えていますので、生物多様性など、地域の自然を活用した事業の可能性についても後押しいただけるような施策をお願いしたいと思います。以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、続きまして、髙橋清委員、お願いできますでしょうか。
○髙橋(清)委員 私も数回、部会に出られなかったものですから、皆様の議事録を拝見させていただいて、その議事録を含めて確認して、今回の資料、大変よく出来上がっているなというふうに思います。
 先ほどご挨拶にもありましたとおり、地域循環共生圏の深化というのが次の計画として中心になるだろうなというお話をいただきましたが、私もまさにそうだろうなと思っております。その地域循環共生圏、具体的にどのようなものをイメージしたらいいのかという形でいろいろ調べましたら、今回の論点整理の中には入っていませんでしたけど、3月に和田次官が北海道に来て講演していただきました際、地域循環共生圏の1枚の絵を出していただきました。これが、珍しく役所が作った図にしては分かりづらいというようなことをおっしゃっていましたが、いわゆるこれが地域循環共生圏のビッグピクチャーだと思います。これだけのことが関連していることが、今回の地域循環共生圏だろうと捉えております。
 この地域循環共生圏に関して言えば、先ほど武内先生や何名かの先生もお話しいただいていましたけども、脱炭素の先行地域と、じゃあ、これとどういうふうに関係しているのか、また、共生圏づくりの一環として脱炭素の取組も含め、今後さらにこれを次期の計画の中にも入れていっていただければというふうに思います。そのときの一つのポイントとしては、やはり、これをやるための地域のインセンティブがどのようなものなのかとか、また、その成果がどのようなものなのか、それも含めて情報公開というのが恐らく重要だろうなと思っています。さらには、一自治体ではなかなかできないところも、今後は複数の自治体も含めて提案されることによって、例えば脱炭素と気候変動を伴う地域のレジリエンスの強化のため、マルチベネフィットをしっかり提示することができれば、協働的にできるんじゃないかなと考えます。それが1点目です。
 二つ目は、ページ数でいくと28ページです。この共生圏の今後の発展の方向性というところで大変興味を持ちました。特に重層的多極集中という言葉が出ておりまして、まさにグローバル、ナショナル、ローカル、この三層をどのように構想して明確化し、その中でこの環境というものを取り込んでいくのかというのは大変重要な課題だと認識しております。特に、私のように都市計画、国土計画を専門としている者に関しましては、いろいろ省庁でもこのような議論をさせていただいていますが、まさにこの多層の国土づくり、地域づくり、グランドデザインを環境面からどのように考えていかなければいけないのか、一つはサービスと、あとはそのコスト、さらには環境負荷、ライフスタイル、このようなことを同時に考えなければいけない時期がもう来ているんじゃないかなというふうに思います。国でできなければ、地方自治体、まさにこれが脱炭素の最前線だと私も思っていますので、その辺りで、協働的な、統一化されたような考え方ができればなというふうに思っています。
 最後です。これも皆さんおっしゃっていたように、今後の発展方法として、やはり対話というのが、まさに多様なステークホルダーの合意形成には必要だというふうに思います。今の世代、私は大学にいますので、大学を卒業した学生さんは、2050年だけではなく、それから先のことも考えなければいけないと。これはあくまでも2050年からバックキャストしているかもしれませんが、それから先の50年も考えたときに、ぜひ今の若い世代の対話の仕組みを制度化することによって、意見を収集し、計画に反映していくことが重要かなというふうに思ってございます。以上でございます。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、三好委員、お願いできますでしょうか。
○三好委員 国際有機農業運動連盟、三好と申します。
 まず初めに、取りまとめ、どうもありがとうございます。グローバルな視点、それからプラネタリーヘルスという目指す方向、概念に賛成しております。その上で、ほかの先生たちとも重なりますけれども、3点コメントをさせていただきます。
 まず、このwell-being、社会の成熟という意味なのかなというふうに思っていて、well-being、目指す方向として、とてもいいと思っているんですけれども、そういう意味で、私もこの「新たな成長」という言葉が、少し違和感があるというか、そうなんですけれども、やっぱり発展とか成熟とか、そういう言葉のほうがもしかしたらいいのかなというふうには、ほかの先生もおっしゃっていましたけど、思いましたので、少し議論が必要なのかなというふうに思いました。やっぱりここで、方向性を示していくに当たって重要なのは、この社会のシステムを転換していく、トランスフォームしていくというメッセージが非常に重要だと思いますので、その言葉遣いというか、使う言葉というのは非常に重要なのかなと。また、変革していくんだということを明確に分かるようにして言ったら良いのではないかなというふうに思いました。その大きな方向性が、国民一人一人の手に触れて、目に見えて体感できるようなところまで落とし込むことが非常に、広がりを見せる上ではとても重要で、例えばZEHだと、太陽光だけじゃなくてバイオマスとか、本当に具体的なもの、食だとローカル、有機にするとか、そういう政策、そういうことをサポートする価値づけ、施策が必要だなというふうに思いました。
 また、皆さんもおっしゃっていましたけれども、経済と環境ということだけじゃなくて、人権とか社会の視点が(持続可能な社会を創るために)非常に重要になってきますので、そのことも含めてトランスフォームしていくということを明確に書いておいていただきたいなと思います。
 2点目は、我々、市民運動をしている立場から、市民社会の立場からなんですけれども、パートナーシップは非常に重要で、若い世代ももちろん含まれますけれども、地域間とか、国を越えた地域間、自治体間、それから異業種、例えば生産者と消費者とか、大企業、中小企業と、そういうところのパートナーシップも非常に重要だということを、分断を越えて、明言していただきたいな、強調していただきたいなというふうに思いました。うちの団体でも、アジアの中で、自治体でサステナビリティ、有機農業を進めている自治体同士のネットワークをしているんですけれども、やっぱりその中で、国同士が違う中でもインスパイアされたり、例えばツーリズムとか教育とか、そういうところに環境問題、社会問題が及んできますので、具体的な解決策がそのネットワークで起こっていますので、そのようなパートナーシップがより活発になるようなプラットフォームなりサポートなりということが出てくるといいんじゃないかなと思います。
 また、大企業だけではなくて、地域ではやっぱり中小企業が非常にメインアクターですので、ESG投資がありましたけど、融資のほうも基本的には地方は銀行のお金で回っていますので、ESG融資等も視野に入れてサポートしていっていただけたらなというふうに思います。
 3点目、最後ですけれども、地域循環共生圏のお話が出まして、これを国際的にPRするという話があって、私も本当に賛成しております。日本のこういうすばらしい政策だとか技術だとか、そういうことが、非常に発信力が弱いなというふうに思っているので、ちょっと環境後進国になりつつある日本からも発信をすることによって、日本の中でも興味を持つ方もいらっしゃると思いますし、海外の先進的なことをされている方からも興味を持ってもらって一緒に解決できていったらいいんじゃないかなというふうに思います。
 また、国土利用に関してですけれども、今、農地ですとか森林が海外から買われてしまっているというのが非常に問題になっていて、私も非常に懸念をしています。やっぱり日本の国土を守るという意味でも、全体的にどうなったら、よりレジリエンスのあるデザインができるのかという視点からも、それはやっぱり国がしなくてはいけないと思いますので、一つの国としての地域循環共生圏というデザインも、国として、少し広範囲で持っていく必要があるのかなというふうに思います。今、地域循環共生圏、ベースは自治体で行われていることが多いと思うんですけれども、少し広域、流域とか、森里川海の視点とか、そういうことも環境省としてはリードしていくことがもう少し必要ではないかなというふうに思っているところです。簡潔に、以上になります。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。続きまして、船越委員、お願いいたします。大変恐縮でございますけれども、時間に協力いただければと思います。では、船越委員、お願いいたします。
○船越委員 すみません。今回から参加しております日本製鉄の船越と申します。よろしくお願いします。
 1点だけ、21ページ目の、上位概念の再設定というところについて、ちょっとコメントさせていただきます。
 赤く2行で書かれているところですけども、生活の質、well-being、経済厚生の向上といったことを目的概念に置いて、結果として、これが経済成長の早道という概念を設定しようじゃないかということだと理解しますが、その実現のために、いろんな具体的な視点なり取組がその後のページに、21ページ目の後半も含めて記されていると理解します。その中で、ちょっと初歩的な言い方で恐縮ですけども、重要な視点として一つ、脱炭素、カーボンニュートラルを例に取ると、環境価値を生み出す、それはもちろん大事なわけですが、それを生み出すには、やはり、ある程度、経済的負担が伴う、コストがかかるといったようなことについて、共通の認識を持つことが大前提ではなかろうかと思います。
 若干、我田引水的で恐縮ですけども、我々鉄鋼業についていうと、これはスコープ1、即ち自らの生産プロセスの中でCOが出ているということで、スコープ2の会社とは違う形で、多排出産業として、カーボンニュートラルに向かって、技術開発から、さらにそれを実装化していくということで、まさしく覚悟を持って具体的に取り組んでいるわけですが、製造プロセスを抜本的に転換して二酸化炭素を下げるということをやっていきます。一方で、この製造プロセスの転換は、鉄の製品の機能が変わるわけではないので、製品価値は全く変わらずコストのみがかかるということになります。これは何も鉄だけに限った話ではなくて、電力も、発電方法が、あるいは燃料が変わって、できる電気は変わらないんだけどもコストが上がるということですので、やはり、グリーンというものに対して、この価値をもたらすためのコスト負担をしっかり認識していくことが非常に重要ではないかと思っています。水素の値差保証の議論も値差を支援してということですけども、これを税金でやっても、最終的には国民の負担ということになりますので、税金でやっていることも含めて、基本はやっぱりそういったことに対してお金がかかっていくというような認識を国民全体として持つということが非常に重要だと思います。グリーンに対してコストがかかるということの認識が、逆に結果として経済成長につながるというふうにも思います。そういうコストがかかる中で、より安いコストでやるにはどうしていったらいいのかという新たなイノベーションが出てくるわけでして、そういう観点からも、私が今言ったようなことが重要ではないかと思っています。すみません。手短でしたけども、以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、お待たせしました、有村委員、お願いいたします。
○有村委員 ありがとうございます。今回より委員になった早稲田大学の有村です。環境経済学を専門としていまして、これまでカーボンプライシングの委員をしていましたが、今年から中央環境審議会の委員になりました。よろしくお願いします。
 今、フランスのパリ・スクール・オブ・エコノミクスにいまして、ちょっと今年度はオンラインで参加になると思います。
 資料のほうを、事務局、検討会委員の皆様、取りまとめありがとうございました。私のほうから4点申し上げたいと思います。
 1点目は、外交、国際面での環境の重要性という視点です。現在、国際情勢で様々な対立があるわけです。気候変動でも確かに、先進国と途上国、新興国の対立があります。ただし、ほかの問題に比べますと、環境というのはやはり協調しやすい分野だと思うので、今後その国際協調を行う場としての環境というのはますます重要性が増していくのではないかと思いました。これが1点目です。
 2点目は、国民の環境意識に関してです。先ほど崎田委員からもありましたが、他国に比べて日本では意識が低いというようなご指摘がありました。これは私も、いろいろな複数の調査でそのような結果が出ているというのを拝見しています。今、私のいるフランスは、OECDの調査を見るとヨーロッパの中でも高めに出ているところなんですけれども、実際スーパーとかコーヒーショップに行くと、サステナビリティに関するラベルがすごく多くて、そういった差があるのかなという気は、ちょっと思うところがあります。なぜ日本でこうなってしまったのかといったことに関しては、今後調査していくというようなことが必要なのかなというふうに思っております。
 3点目は、地方の脱炭素におけることに関してです。先ほど地方金融の役割というようなことに関しての指摘がありましたが、それについて申し上げたいと思います。
 昨年度、いろいろな地方自治体に関して脱炭素に関するヒアリングを行わせていただいたのですけれども、割と地方自治体は、脱炭素というのは霞が関とか東京の大企業がやるものであまり地方は関係ないよねというような雰囲気を持っている感覚のところがまだ多い、という印象を持ちました。あと、先ほどどなたかの委員からもありましたが、地方の自治体でも縦割りの弊害があって、脱炭素をやるところと経済を動かすところがちょっと違っていたり、そういったことがあります。そういった中で、地域経済の中心的存在である地方銀行の役割というのは今後大きくなっていくのではないかなと。そこをうまく活用して、地方を脱炭素に巻き込んでいくというところが大事なのかなと思いました。
 4点目は移行についてです。先ほどから移行というのも話題になっていて、脱炭素にはどうしても地域の公正な移行というのが必要になってくるというふうに理解しています。欧米での先行事例というのもとても大事だと思うのですけれども、日本でも過去に石炭産業なんかで移行してきたといったようなことがありますので、そこの知見というのを掘り下げて、しっかりと分析していって、日本に合う形の公正な移行というのも考えていくのが現実的には重要かなと思っています。
 それに関連しまして、就職氷河期世代のこともここで議論されていて、これもとても大事だなと思いました。気候変動というのは世代間公平性の問題という側面もあって、そういった視点から言いますと、特定の世代、日本において、また新たな負担がかかってしまうというのは非常に問題だと思いますので、その辺に配慮したことというのもやっていくということが必要だなというふうに思いました。以上です。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございました。それでは、淡路委員、お願いいたします。
○淡路委員 千葉銀行の淡路でございます。私から2点、申し上げたいと思います。
 まさに今、有村委員がご指摘くださった地域金融機関の役割ですけど、全く同様の考えを持っております。28ページの左下の図を拝見しますと、ややファイナンスあってこその地域金融機関の立ち位置というような印象をどうしても、ちょっとうがった見方かもしれませんが感じてしまいます。銀行業は規制業種ですけれども、銀行法が改正されて、いろいろな仕事ができるようになってきております。どなたかの委員もおっしゃってくださった地域のコーディネーターという役割が重要ということですが、まさにその役割を地域金融機関が担えるというふうに考えております。地域の課題を解決することが私どもの存在価値というのは、千葉銀行だけではなくて地域金融機関共通の目指すところであるというふうに感じております。そこに触れていただければと思います。
 もう一つは、19ページの下のほうの、環境政策と他の政策の統合というところに注目しております。今まで、やや経済優先であったのではないかというご指摘の委員がありましたけれども、都市計画やまちづくりにおいて、その色合いが濃かったんじゃないかなと私は感じています。特に、都市部の空間利用においては強く感じるところでございます。この環境政策とまちづくりがいかに融合できるかということが今後のポイントになるんじゃないかと思います。地域においては、環境政策、総論は賛成ですが各論反対ということがよく起きますが、そこが、まちづくりに落とし込むと、そういう考え方にたどり着くのではないかなと感じるところがあります。以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、鈴木委員、お願いできますでしょうか。
○鈴木委員 今回初めて臨時委員ということでお世話になることになりました鈴木春美です。私には、あまり難しいことは言えないし、分からないんですけれども、ちょっと自己紹介を兼ねて、私はこんなところに住んでいますということでお話しさせていただきたいと思います。
 本当に、私の住んでいる町は人口減少による過疎地になっています。また、後継者不足による耕作放棄地が増えていますし、毎日のように、クマやサルや、イノシシやシカなどによる鳥獣害もあります。また、空き家の増加というようなこと。また、持ち主不明による森林の荒廃というようなことで、本当に社会面の現状と課題そのものの中に私は生活しているというように今回の資料を読んで思いました。
 そして、もう20年ぐらい前から優良農地という形で基盤整備をされた農地があるんですけれども、この基盤整備をされた農地がなかなか有効活用されないわけなんです。この基盤整備をされた土地というのは、もうそこで農業をするしかないということなんですけれども、後継者不足で耕作放棄地になってしまっていて、本当に有効活用がされない土地がたくさん出てきています。持続可能な国土、土地利用の在り方ということについて考えてみれば、やはりもう少し柔軟な取組をしてほしいなというふうに感じています。先ほど先生方の中から省庁の分断というような話がありましたが、確かに、この基盤整備をされた土地のことに関しては、環境省ではないかもしれませんけれども、やはり有効な土地利用をするということでも、もう少しこういった農地にも目を向けてもらって、取組ができる、そんなふうにしていただければいいかなと思っています。
 いろいろな町や県と行政と一緒に、様々な活動に取り組ませていただいていますけれども、幸福度向上に向けてどのような解決策があるのかということで、今回この委員会に出席をさせていただいて勉強させていただき、いろいろなところでまた皆さんと話合いが進んでいけたらいいかなと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。以上です。
○高村部会長 ありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。それでは、男澤委員、お願いいたします。
○男澤委員 ありがとうございます。日本公認会計士協会の男澤でございます。1点のみ、手短に申し上げます。
 丁寧な振り返りとともに、網羅的に論点を挙げていただいたと思っております。特に、33ページ目にございます国際関係の今後の取組の方向性、この辺り、ご指摘のとおりと思っております。1.5℃目標の達成に向けたリーダーシップということを挙げていただいておりますけれども、海外へのインフラ展開の推進ですとか国際的なルール形成の積極的関与等、やはりスピード感を持ってファーストムーバーとなっていくことが、大事かと思います。事業者、また事業需要家も含めてですけれども、自分事として捉えていただき、正しくインセンティブを与えていくためにも、重要なポイントになってくることがあるように思っております。このような観点から、環境を軸とした国際戦略の必要性について、今後、丁寧な議論が必要かと思っているところです。以上です。ありがとうございます。
○高村部会長 ありがとうございます。それでは、最後だと思いますけれども、馬奈木委員、お願いいたします。
○馬奈木委員 ありがとうございます。高村委員長及び事務局、大変な資料、ありがとうございました。
 今回の資料で打ち出すべき方向性として、まず過去の大きな公害に始まり、現在となっては、制約が大きい中でいかに成長し続けるかという大事な話が丁寧にされていると理解しています。この中で大事な点は、今後のインプットとアウトプットをどのように位置づけるかということで自然資本などの言葉が入っているのは非常にいいかと思います。その中で環境資本という言葉も出てきまして、これは人的資本、物的資本を含めた上での、この自然資本をいかに活用するかというところに注目されており、ここもすごくいいかと思います。
 その中で、ぜひ検討いただきたい点が、今のJクレジットに始まるものだけじゃなく、ネイチャー・ポジティブ、生態系保存まで含めた全体での自然資本活用が今後の経済成長につながるという施策をぜひお願いできればと思います。その際に大事なのは、自分たちだけの、いかに環境への排出をするかというだけでなく、サプライチェーンを通した流れが大事になると思います。そこで、例えば健康や人権といった、こういうものも今では人権の一部に入っております。こういう流れで、いかにサプライチェーンを通して全体の排出を削減していき、それが成長につながるかということの絵を描いていただければと思います。以上です。ありがとうございました。
○高村部会長 ありがとうございます。
 今、一応ですね、ご発言ご希望の意思を示していただいた先生方にご発言をいただきました。後から入られた先生もいらっしゃると伺っておりまして、もし、まだご発言でない委員で、ご発言をご希望の委員がいらっしゃいましたら教えていただければと思います。会場はないと思いますけれども、オンラインでご出席の委員でいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。諸富委員以外、よろしいでしょうか。それでは、すみません、諸富先生、お願いいたします。
○諸富委員 すみません。ちょっと私、会議と会議の合間で、30分だけのオンライン出席ということで、申し訳ございません。
 資料を拝見していまして思いますのは、この間に、前回の環境基本計画策定から今回の環境基本計画策定までの間にかなり大きな変化があったこと。それと、安全保障関係や国際関係の変化になると思うんですね。一つはアメリカと中国の関係が非常に厳しくなってきたことと、それからやっぱりロシアのウクライナ侵攻で、今、先生方からもちょっと言及のありました経済安全保障とかサプライチェーンの問題が出てきたということですね。環境省としても、これまで循環型社会ということで、廃棄物のリサイクルや資源循環については日本を引っ張って取り組んでこられて、リサイクルも含めて、かなりの程度、循環とかサーキュラーエコノミーと今言われているようなことについて、実質かなりのことを既に先導的にやってきたというふうに思うんですけれども、他方で、この問題に対してかなり新たな側面から検討を要することが多々起きてきていて、環境省としても、やはり省庁の壁を越えて、経済安全保障は主として別の省だと、所掌は別の大臣だということだとは思うんですけれども、ただ、この循環型とかサーキュラーエコノミーにはかなり新しい意味が付与されてきていて、先ほど馬奈木先生がおっしゃったサプライチェーンにしても、サプライチェーン全体を通じて情報把握をし、環境負荷を下げるというのはもちろんなんですけれども、これが、一方で資源確保ですよね。安全保障の面から、一つは資源確保の面でサプライチェーンをどういうふうに組んでいくか、日本がこれから例えば製造業も含めて脱炭素産業、脱炭素技術というものを振興していくならば、それに必要な重要物資や資源を確保していかなきゃいけないと。それが、ある特定の国を挙げるのはよろしくないですが、例えば中国に依存していると、その確保に大変な苦労をする可能性があるといったところから、環境にいいという視点から、もちろん、循環、サーキュラーにしていくということと同時に、安全保障の面からもサーキュラーにしていくという必要が出てきているという。それから、どういうサプライチェーンを組んでいくかという問題がやっぱり出てきていて、環境省の側面では、環境についてそういった議論をしていくだけでなく、やっぱりそういった議論にかんでいく必要があるんじゃないのかなというふうに、それは脱炭素産業の振興という点でも、ちょっと避けて通れない論点になってきている。これは、例えば数年前と比べて、今日と比べて随分違う環境の変化で、論点としてはかなり急速に浮上してきている問題かなというふうに思います。あまり安全保障という問題は、こういう環境の中では議論対象となっていなかったかもしれないんですけれども、それとの関連、あとサプライチェーンの問題、やっぱり先ほど馬奈木先生もちょっとおっしゃった人権という問題ですよね。これも、企業がESG投資、投資家の皆さんもそうですけども、する場合に、やはり人権というものが、Sといいますか、ソーシャルな課題として非常に重要であると、それは自社だけじゃなくサプライチェーンに至るまで関係してくるというところについても、サプライチェーンと社会、環境というものが入ってくるので、これらを総合的にどう戦略をつくっていくかという論点が、新たに環境省の環境基本計画の議論の中にうまく取り込まれて、各省庁間でそのテーマについて連携していける、そして環境省のやっている仕事なしには多分その仕事は完結できないと思うんですね。ですので、どういうスタンスで臨むかということを議論していく必要があるかなというふうに思います。以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございます。以上で、ご発言をご希望の先生方、全てご発言いただいたと思います。キックオフの会合ということで、それぞれ委員の皆様に一巡ご議論いただきました。特に、具体的なご質問というのはなかったとは思いますけれども、もし、事務局から、いただいた意見について、基本的には受け止めて検討するということだと思いますけれども、何かありましたらお願いいたします。
○河村計画官 総合政策課計画官の河村でございます。
 非常に広範にご意見を頂戴いたしましてありがとうございます。いただいたご意見を踏まえまして、今の論点整理案を見直していくわけでございますけれども、代表的なところをちょっとかいつまんでコメントさせていただきますと、まず、非常にご意見が多かったのが、最初の、事務局としての現状認識が手ぬるいというようなことだったかと思います。危機感、それからスピード感、スケール感、こういうところについての切り込みが不足していると、科学的知見に基づいてしっかり書き込むという方向で検討したいというふうに思います。
 それから、幾つか具体的な施策に関するコメントも頂戴しておりますが、とりわけやはり統合という観点から言いますと、脱炭素先行地域と地域循環共生圏、あるいは再エネの取組と、ほかの土地利用の取組、様々な取組のところで連携が不足しているなどというご指摘も頂戴しているところでございまして、この辺りもちょっと整理してお伝えすべきところかなというふうに思います。
 さらには、成長についても様々なコメントをいただいております。「新たな成長」というふうに書いたので、新しくゼロから成長の概念を生み出したかのような、ちょっとそういうような雰囲気のご意見も見えたんですけれども、この「新たな成長」といいますのは、第五次環境基本計画に書かれておりました「環境政策による様々なイノベーションと社会経済課題の同時解決を実現することにより、将来にわたって質の高い生活をもたらす新たな成長につなげていく」と、そういうところで、「新たな成長」の前にいろいろ枕言葉がついている、そういう既に第五次環境基本計画で1回提示された「新たな成長」の中身というのを詰めていったらこのような整理になったというところでございます。
 それから、この成長の在り方につきましてもるるご意見を頂戴しておりまして、GDP至上主義ということで、その成長の在り方から見直すべきではないかというご意見もございましたが、検討会でのご意見を1点だけご紹介いたしますと、温室効果ガスを削減してGDPの成長も同時に実現してデカップリングを実現している多くの国ではしっかりGDPが成長しているというところでございまして、それも含めて、先ほど何人かの委員のご意見からもありましたけれども、環境に配慮している、あるいは脱炭素などの環境の改善、あるいは総量削減に資するような様々な製品、サービス、こういうものの価値がこの成長の中でどうやって認識されていくべきかというようなところを含めてちょっと整理を試みたいというふうに思っているところでございます。
 それから、その整理をする上で、世界の環境意識と日本の環境意識の乖離につきましてもご意見をいただきました。これにつきましても、やはり、その環境価値も含めてどのように共通認識を醸成していくかというところで、それは実感できる共通認識もあれば、製品レベルでは認識できない共通認識もあるということ、製品レベルでは認識できないのでさらに何らかの措置が必要な、それで初めて認識されるような価値もあるというようなご指摘も頂戴いたしましたので、この辺りも含めて成長の在り方を整理していくということかなというふうに思っております。
 それから、今のご発言の中では、ご質問は具体的にはなかったんですけれども、淡路委員から文書で質問をいただいておりましたので、この際ちょっと軽くお答えできればというふうに思います。
 まず、現時点で具体的に統合の方向にある政策はどのような政策かということでございましたけれども、お配りした参考資料の中にG7の首脳コミュニケがございます。その中でも気候変動、生物多様性、海洋プラスチック汚染の3分野について非常に危機感を持って進めていこうと、こういう分野では、UNEPやIPBES、IPCCのようなところにおきましても、統合的な議論が始まっているというふうに承知してございます。
 それから、新たに効果の高い統合すべき施策群とは何かというようなご質問がございました。これにつきましては、UNEPの報告書が環境負荷の削減とwell-beingの経済パフォーマンスを非常に包括的に捉えておりますけども、この検討会報告書の中でも、大気汚染の原因にもなり温暖化への影響も指摘されるSLCFという物質がございます。こういう意味では、化学物質管理とか公害問題とか、そういうものも統合の対象になり得るのではないかというふうなことが言えるかと思います。
 さらに、統合を難しくしている要因についてご質問をいただいております。これにつきましては、今のお示しいただいた意見の中ではありましたけども、縦割りも含めて、各施策間のシナジーやトレードオフの特定ですとか、トレードオフを最小化してシナジーを最大化するような議論がまだ十分ではないというようなことが挙げられるかと思います。政策の枠、省庁を越えた連携の必要性、検討会の中でもご指摘いただいたところでございまして、今もるるご指摘いただいたとおりだというふうに思いますので、この辺を踏まえてさらに論点整理の取りまとめを進めたいというふうに思います。ありがとうございます。
○上田総合環境政策統括官 すみません。私からも一言。
 細かい話は全部、計画官のほうで言われたので、私のほうからは、このゴールなんですけれども、これは環境基本計画ということで、環境省の計画ではなくて政府全体の閣議決定をする計画であるということです。これから数年、2030年ですから、6年程度を見越して、それぞれのステークホルダーがこれでやっていこうという形で最終的に進める道しるべになるものかと思いますので、様々、今日意見をいただきましたけれども、これは全部、そうか、そういう視点もあるなといって、我々としてはテイクノートしながら、これから議論していかないといけないと思いますけども、最終的には、リアリティがあって各ステークホルダーが納得できる、ああ、なるほどと、そうしたものを我々としても、議論の中で提示をしながらまとめていきたいなと思いますので、これからの第2回目以降のご議論、ご協力をいただければと思います。長丁場になりますが、よろしくお願いいたします。
○高村部会長 事務局、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 すみません。時間が押しておりますけれども、報告事項が二つございます。
 まず、脱炭素先行地域の第3回の選定について、環境省の地域脱炭素事業推進課の犬丸課長から概要のご説明をいただければと思います。
 続いて、先ほどありました、風力発電に係る環境影響評価制度の検討、見直し状況について、こちらにいらっしゃいますけれども、環境影響評価課の大倉課長からご説明をいただければと思います。
 すみません。大変時間が限られておりますので、短い時間の簡潔なご報告をご協力いただければと思います。
 それでは、犬丸課長、お願いいたします。
○犬丸地域脱炭素事業推進課長 それでは、資料4に沿ってご説明いたします。
 では、次のページをお願いいたします。
 脱炭素先行地域ですけれども、2025年度までに少なくとも100か所を選定し、その定めた一定のエリアについては2030年度までに民生部門の電力需要を脱炭素化するという取組です。4月28日に第3回目の選定を行いました。その結果のご報告です。
 では、次のページをお願いいたします。今回、第3回目の募集において、大きく二つの点を変更しております。
 一つ目が、提案は主に市町村が行うわけですが、民間事業者等を共同提案者として含めるということを必須といたしました。
 もう一つは、「重点選定モデル」というものを定めました。四つございまして、一つは施策間連携、複数の施策を組み合わせて相乗効果を出すと。もう一つは地域間連携ということで、例えば電力需要の大きい都市部と再エネポテンシャルの大きい地方とで連携して取り組むと。三つ目が、地域版GX、こういったようなものを重点選定モデルとして定めております。
 3ページ目でございますが、今回、全国から58件ご提案いただきまして、評価委員会における評価を踏まえて16件を選定しております。
 では、4ページをお願いいたします。そのうち主なものをご紹介いたします。
 先ほど申し上げたとおり、今回、重点選定モデルというものを設けておりまして、その一つが施策間連携モデルです。五つ選んでおります。例えば、青森県佐井村では、海ごみの回収をして、そこから樹脂ペレットをつくって漁協のボイラーの燃料にするということで、海ごみ回収、漁業振興と脱炭素化を組み合わせて相乗効果を出すと。岩手県紫波町では、生ごみ、廃棄リンゴ等からメタン発酵でバイオガス発電をして、その消化液を畑で使っていくというようなことをやっております。このほか、デジタルと脱炭素、コンパクトシティと脱炭素といったような複数の施策で取り組んでおります。今後は資源循環に限らず、生物多様性、ネイチャー・ポジティブと脱炭素の取組といったようなものも選定していきたいというふうに考えております。
 次のページですけれども、もう一つ、地域版GXモデルということで、長野県生坂村、高知県須崎市・日高村、2件を選定しております。
 次のページですけれども、6ページ目は関係の予算をご紹介しております。
 7ページ目は、これまで第3回で62提案選定されたということを、ご参考に示しております。今後は、本日のご指摘も踏まえまして、地域循環共生圏との関係について統合的な取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございます。ご協力ありがとうございました。
 それでは、続いて、大倉課長からお願いいたします。
○大倉環境影響評価課長 風力発電に係る環境影響評価制度の検討状況について、大倉から説明します。
 2枚目、次の1ページ目をおめくりください。
 地球温暖化対策計画などの様々な閣議決定文書で、洋上風力、陸上風力、それぞれについて、環境影響評価制度のある種の見直し的なところを指摘されておりまして、それに基づいて、枠に囲ってあるとおり、洋上については環境省がアセスの一部を実施するセントラル方式の導入、陸上についてはより適正な立地、手続の合理化を図る観点での制度設計というものについて、今、検討を進めているところでございます。
 具体的には、次のページになりますけども、上側が洋上風力でございます。セントラル方式の確立と書いてございますが、ちょっと色の付いた枠に書いておりますけども、昨年度、経産省さん、国交省さん、内閣府さんとともに検討会を立ち上げて、セントラル方式の検討を非公開で行い、一応その報告をまとめておりまして、それに基づいて今年度5月に公開の検討会を立ち上げて議論を進めてございます。第2回が6月1日実施予定です。
 下のほう、陸上風力でございますが、規制改革実施計画において、新たな陸上の制度も考えるべしというような宿題をいただいておりまして、枠のほうに書いてございますけれども、これについても昨年度、経産省さんとともに、非公開ですけども検討会を立ち上げて、様々勉強し、つい先日、取りまとめを公表してございます。今年度は、この昨年度の検討会に基づいて、制度の詳細設計のための議論を速やかに実施するという予定になってございます。
 以上でございます。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、今二つのご報告をいただきましたけれども、ご質問、ご意見がございましたらいただこうと思いますが、できるだけ簡潔に、バーニングクエスチョン、コメントだけにとどめていただけると大変ありがたいと思いますが、いかがでしょうか。
 オンラインでご出席の方、もしご発言をご希望でしたら、手挙げ機能でお願いできればと思いますが。
 皆さん協力的ですけれども、よろしいでしょうか。
○堅達委員 では1点だけ。
○高村部会長 お願いいたします。簡潔に協力で、お願いいたします。
○堅達委員 洋上風力のことでお尋ねします。やはり今、世界がロシアからの天然ガスの脱却を図るため、特にヨーロッパでは浮体式も含めた洋上風力発電をもうスピードアップをしてどんどん造る、そうすることによってものすごい数ができるということになっている関係で、ちゃんとしたアセスメントも大事なんですけども、スピードアップしたアセスメントができないと風車が調達できないというくらい沸騰していると思うんですけど、この辺は、このアセスメント、環境影響評価制度、意識をされてやっておられるのかどうか、ぜひお話しいただければと思います。
○大倉環境影響評価課長 ありがとうございます。重要なご指摘だと思います。
 そもそもの大目的として、2050年カーボンニュートラルに向けて必要な風車を入れていくというところがございまして、それに向けて環境影響評価制度としてもできることをやると、地域の重要性を高めるとか、そういったことをやっております。特に、洋上風力については、今申し上げたとおり、セントラル方式ということで、国が一部のアセスを、ある種、代行的なことをすることによって、ちょっと制度の詳細はこれからになりますけども、結果的には事業者さんがやるアセスについてはそれなりの短縮がなされるかなと思っています。そういった意味で、風車の迅速な導入にも貢献できるかなと思ってございます。いずれにしてもこれから制度の詳細を詰めてまいります。
 以上です。
○高村部会長 ほかによろしいでしょうか。
 はい。簡潔にお願いいたします。
○豊岡委員 同じく陸上風力なんですけれども、地域のコミットについて、何らかのアセス、アセスとはまた別かとは思いますけれども、何らかのルール化みたいなものはあるんでしょうか。お願いします。
○大倉環境影響評価課長 すみません。ありがとうございます。
 私のほうからお答えしていいか、ちょっと分かりませんけども、環境省全体として、地域共生型の再エネを進めていくという大前提の下、温暖化対策のほうはそちらのほうの制度で、アセスについてはまさにちょっと検討中でありますけれども、陸上風力の特性に応じた環境影響評価制度の導入を目指して、今、関係省庁と議論をしているということであります。いついつまでに何かをということにはなりませんけども、委員ご指摘の案といいますか、カーボンニュートラルに向けた、洋上だけじゃなくて陸上の円滑な導入ということも、しっかりと検討を進めていきたいと思ってございます。
○井田委員 すみません、いいですか。
○高村部会長 はい。
○井田委員 非常に簡単な質問で、絶滅危惧鳥類なんか、ガイドラインレベルなんですけど、あまりやられていない、きちんとやられていないというような認識を持っておりまして、やっぱりもうちょっと義務化をするとか、手法の統一というのも必要かと思うんですけども、今のガイドライン任せでいいのか、陸上風力、陸上アセス、特に絶滅危惧鳥類とか非常に問題になっている。これから北海道で増えていくと思うので。
○大倉環境影響評価課長 すみません。ありがとうございます。
 なかなかちょっと一言で申し上げるのも難しいところがありますけども、そういった希少種対応も含めて、陸上風力に起因する影響を低減していくために、ある意味、立地誘導的なことをちょっとやろうと思っていまして、そのための制度検討を今やっております。そのために必要な基礎情報のデータ整備なんかも同時にやっていこうと思っておりますが、ご指摘を踏まえたような形で、添うように、我々としてもちょっと努力をしていきたいと思ってございます。
○高村部会長 ほかにご発言、ご質問、ご意見はございますでしょうか。
○崎田委員 1点よろしいでしょうか。
○高村部会長 はい、お願いいたします。
○崎田委員 脱炭素先行地域の選定について一言コメントさせてください。
 全国がこういうふうに脱炭素に取り組むのは大変重要ですが、先ほどの意見交換の中でも、こういう脱炭素の取組と地域循環共生圏づくりの連携は非常に大事なテーマと言ってまいりました。私はそのときに、脱炭素電源の地産地消というか、地域でしっかり活用していくことでエネルギー収支を改善し、地域が強くなるということも大事と考えて発言をいたしました。これからいろいろな技術革新で、新しい水素、燃料電池とか、様々なエネルギー源がもっと使いやすくなる中で、どういうふうに地域がより強くなっていくのかというのは、様々な選択肢が出てくると思いますので、できるだけ柔軟に考えながら、様々な取組を積極的に活用するような形で、この事業を進めていただければありがたいなというふうに思いました。よろしくお願いします。
○高村部会長 ありがとうございます。
 犬丸課長、何かございますでしょうか。
○犬丸地域脱炭素事業推進課長 ご指摘ありがとうございます。まさに、先行地域においては、脱炭素電源の地産地消というものを進めていきたいというふうに、そういうコンセプトも掲げておりますので、ご指摘も踏まえて対応してまいりたいと思います。
○高村部会長 ありがとうございます。
○井田委員 すみません。余計なことなんですけど。
○高村部会長 はい。
○井田委員 毎回これ(配付資料)、プラ(クリアファイル)に入れて配るというのはやめたほうがいいです。
○高村部会長 事務局へのご要望といいましょうか、リクエストだと思います。
 ほかに、この報告事項二つについて、よろしいでしょうか。
 この地域脱炭素の地域の選定もそうですし、これは先ほど崎田委員からもありましたように、本日の議論の中でも随分議論がございました。それから、環境影響評価のところ、特に風力について、陸上もそうですけれども、洋上のセントラル方式がどれぐらい早く入るかが、恐らく大規模な再エネの拡大にとって極めて重要だと思っていまして、したがって、丁寧でかつ迅速な検討をしていただけるとありがたいなというふうに思います。
 それでは、以上、報告事項についての議論は終了としたいと思います。先ほどいただいた議論も含めて、今後の検討に生かしていただきたいというふうに思います。
 それでは、上田統括官から、全体を通して、もし何か一言ございましたら。
○上田総合環境政策統括官 いや、もう先ほどのコメントで十分です。
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、以上で予定をしていた議事は終わりますけれども、全体を通してよろしいでしょうか。
(了承)
○高村部会長 ありがとうございます。
 それでは、最後に、事務局のほうから連絡事項がございましたらお願いいたします。
○河村計画官 委員の皆様、長い時間にわたりご参加いただきましてありがとうございました。
 本日の議事録につきましては、事務局で取りまとめを行いまして、委員の皆様にご確認いただきました後に、環境省ホームページに掲載をさせていただきます。
 それから、今後の総合政策部会の予定でございますが、参考2にありましたとおり、今後、月1回のペースで、できれば開かせていただければと思っておりますが、正式な日程等を調整させていただきまして、改めてご連絡させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○高村部会長 ありがとうございます。
 いよいよ次の環境基本計画に向けて、議論をこれから本格的に進めてまいりますので、総合政策部会の皆様、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の総合政策部会は以上としたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。
午後 3時34分 閉会