中央環境審議会総合政策部会 環境研究・技術開発推進戦略専門委員会(第22回) 会議録

開催日時

令和6年5月30日(木)14:01~15:37

開催場所

環境省 第1会議室

議事次第

1.開会
2.議事
(1)新たな「環境研究・環境技術開発の推進戦略」の策定について
(2)今後の予定
3.閉会

配付資料一覧

資料1-1 前回専門委員会における主な指摘事項
資料1-2 新たな「環境研究・環境技術開発の推進戦略(案)」の概要
資料1-3 環境研究・環境技術開発の推進戦略(文章素案)
資料2   新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略の策定に向けた今後の予定(案)

出席者

委員:浅見真理委員、酒井伸一委員、竹ケ原啓介委員、亀山康子委員
   古米弘明委員、小野田弘士委員、広井良典委員、伊藤裕子委員
   笠井康子委員、森田香菜子委員

環境省:鑓水総合環境政策統括官、堀上大臣官房審議官、小笠原総合政策課長、奥村環境研究技術室室長、
    永森環境研究技術室室長補佐、相澤環境研究技術室室長補佐、山本環境研究技術室係員、
    宇都木環境研究技術室係員、原田環境研究技術室係員

議事

【奥村室長】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、中央環境審議会総合政策部会第22回環境研究・技術開発推進戦略専門委員会を開会いたします。
 私は、本日の事務局を担当いたします環境省大臣官房総合政策課環境研究技術室長の奥村でございます。よろしくお願いいたします。
 皆様、本日は、ご多忙にもかかわらず、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 委員総数12名のところ、9名の委員にご出席いただいておりまして、定足数の要件を満たし、専門委員会として成立していることをご報告いたします。
 なお、ご都合により、森委員長、秋澤委員におかれましては、ご欠席とのご連絡を頂戴しております。そして、小野田委員につきましては、所用により15時頃からの参加という連絡をいただいております。また、笠井委員及び統括官の鑓水につきましては、所用により途中退席させていただきます。
 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づきまして、公開とさせていただいておりますので、環境省公式動画チャンネルのサブチャンネルでライブ配信を行っております。また、本日は、ウェブ会議システムとのハイブリッド開催とさせていただいております。ウェブよりご参加の委員におかれましては、各自、発言時のみライブカメラの映像とマイク機能をオンにしていただきますよう、お願いいたします。また、会場の声が聞きにくい等がございましたら、チャット機能でお知らせください。
 会議資料につきましては、議事次第の下、配付資料一覧に記載のとおりでございます。ご確認をいただきまして、もし不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただけますよう、お願いいたします。
 それでは、初めに、総合環境政策統括官の鑓水よりご挨拶申し上げます。
【鑓水統括官】 統括官の鑓水でございます。
 専門委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中ご出席賜り、誠にどうもありがとうございます。
 本日、ご議論いただきます新たな推進戦略、このベースとなります第六次環境基本計画でございますけれども、先週5月21日に閣議決定されたところです。前回、この専門委員会でご議論いただきました、今申し上げました第六次の環境基本計画の内容を踏まえた新たな環境研究、環境技術開発戦略、この骨子案についてご議論いただいたところでございますが、その際、皆様方からたくさんのご意見をいただいたところです。本日は、そういったご議論も踏まえまして、戦略の案となるものをお示しさせていただきますので、これに対しまして、ぜひ忌憚のないご意見を賜ればというふうに思います。
 本日、ご議論いただいた後、パブリックコメントに付しまして、幅広く意見を頂戴する予定となっております。その後、7月頃を目途に、専門委員会をまた開催していただきまして、案についてご議論いただければというふうに思っているところでございます。
 本日、他の用務のため、途中退席させていただきますけれども、ぜひ、ご活発なご議論をよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
【奥村室長】 ありがとうございました。
 それでは、早速、議題に入らせていただきたいというふうに思います。
 会場の報道機関の皆様におかれましては、冒頭の撮影はここまでとさせていただきまして、以降は傍聴のみとさせていただきます。
 なお、先ほどご案内しました、本日ご欠席の森委員長より、議事進行を座長代理としまして、竹ケ原委員にお願いするよう事前に承っておりますので、ご了承いただきたいというふうに思います。
 それでは、進行を竹ケ原委員代理にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【竹ケ原委員長代理】 それでは、お預かりさせていただきます竹ケ原と申します。よろしくお願いいたします。森委員長がご欠席ということですので、議事進行を代行させていただきます。力不足ではございますが、円滑な進行にご協力を賜れれば幸いでございます。
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。
 前回の専門委員会で事務局からご説明いただいた骨子案を基に、先生方からご審議をいただいたところです。今回、いただいたご意見を踏まえて、事務局から具体的な文章の素案をご提示いただくことになっております。
 今、統括官からのお話にもありましたとおり、今回の議論の後、パブリックコメントにかかって、最終的にはフィックスしていくということになりますので、本格的な議論ができるのは、恐らく今回が最後ということですので、ぜひ、忌憚のないご意見を賜れればと思っております。
 審議事項として、新たな、では、環境研究・環境技術開発の推進戦略の素案について、事務局よりご説明をお願いいたします。その後、意見交換を行いたいと思います。
 では、事務局から資料の1-1、1-2ですか、に基づいて、ご説明をお願いいたします。
【奥村室長】 ありがとうございます。
 それでは、事務局よりご説明いたします。資料の順番が前後して大変恐縮でございますけれども、資料1-2をご覧ください。
 新たな「環境研究・環境技術開発の推進戦略(案)」の概要についてでございます。
 おめくりいただきまして、1ページ目でございますけれども、こちらは、新たな環境研究・環境技術開発の推進戦略(案)の概要と構造として、主要なポイントとその背景を示しております。前回の専門委員会でお示ししましたものから、表現等の修正を行ってございますけれども、紙面左側の背景と右側の概要及び構造は大きくは変わっておりません。これを基に、この後、ご説明いたします本文素案の目次について、2ページ目に記載をしてございます。
 2ページ目をお願いいたします。ⅠからⅣでお示ししております新たな推進戦略での主要なポイントとその背景を中心に、この後、説明してまいりますけれども、初めに、この資料で、まず、ローマ数字Ⅰに当たります重点的に取り組むべき研究・技術開発課題(重点課題)の設定について、現行の推進戦略からの主要な変更点の概略をご説明させていただきます。
 3ページ目をご覧ください。新たな「推進戦略」における重点課題の主要なポイント、変更ポイントでございますけれども、1)の統合領域及び次ページ、5)の安全確保領域になります。統合領域におきましては、現行の重点課題①から③を統合し、第六次の基本計画のビジョン・理念を提示及び実現していくことを目的とした新たな重点課題①ですとか、地域循環共生圏の実現に向けて、人文・社会科学をも含む総合知の活用による環境・経済・社会の統合的向上を具体化する、それを目的とした研究・技術開発としての新重点課題②、さらには、ネット・ゼロ、循環経済、ネイチャーポジティブ等といった複数の課題の同時解決であったり、課題間のトレードオフを解決するための研究・技術開発として新重点課題③を設置。そして、現行の重点課題⑥から海洋プラスチックごみ問題以外も含めた国際的な枠組みへの貢献ですとか、国際ルール形成の対象領域の拡張等を目的として、新重点課題⑤の設定を提案してございます。
 次ページ、4になりますけれども、安全確保領域、一番下にございますけれども、現行の重点課題⑯ですが、これが他の領域よりも行政要請研究テーマ、いわゆる行政ニーズというものの提示数が非常に多くなってございます。研究シーズとこういった行政ニーズとのマッチングをより明確にするために、今回、新重点課題⑮、⑯に分割することを提案しております。
 新規重点課題(案)の概要説明は以上となります。
 続きまして、本文素案の説明を行いたいというふうに思います。
【永森室長補佐】 続きまして、資料の1-3、戦略の文章素案というふうになります。
 資料1-1で、前回、専門委員会でご指摘いただいたコメント踏まえ、作成しております。
 素案について説明いたします。まず、3ページですけれども、「はじめに」というところで、気候変動、生物多様性の損失、汚染という三つの地球規模の危機に直面しているというところから始まりまして、次のパラグラフで、国際関係、次に震災関係の現状を記載させていただいておりまして、その後、循環共生型社会を目指していくというところを記載しております。
 2ページ目に、第6期の科技・イノベ基本計画、こちらで目指していくというふうになっておりますSociety5.0の未来像についての紹介をしております。その後、第六次環境基本計画における新たな成長を支える科技・イノベの開発・実証と社会実装に向けて科技・イノベ基本計画等の最新動向を踏まえながら、基本計画に基づく推進戦略を策定するということをここで紹介しております。
 続きまして、1章で環境を巡る政策動向や社会の現況というところで、ここでは、基本計画のほか、生物多様性国家戦略、今現在、議論していただいております循環基本計画ですね、こちらの議論の概要であったり、科技・イノベ基本計画であったり、最近の政策の動向というものを記載しております。
 続きまして、2章の目指すべき社会像と環境分野の研究・技術開発の在り方というところで、中長期的に目指す社会像というところで、この戦略の構成として、中長期、2050年頃を目指して、その社会像に対して取り組んでいくという内容としております。
 (1)の全般、統合領域と同じになりますけれども、ここで、例えば、環境を軸とした環境・経済・社会の統合向上への高度化を図っていって、環境収容力を守り、環境の質を上げることによって、経済社会が成長・発展できる文明を実現しているというように、2050年の姿、社会像というものを記載しております。(2)で気候変動領域というところで、世界全体でネット・ゼロが実現しているというところであったり、(3)ですけれども、こちらは資源循環計画から抜粋させていただいております。(4)自然共生領域というところで、こちらは生物多様性戦略の中から抜粋させていただいております。(5)は安全確保領域というところで、過去の関連の答申から引用しているというものとなりまして、こちらで2050年の社会像を設定しているというところとなります。目標となる姿を記しているということとなります。
 続きまして、9ページになりますけれども、基本法などを引用しておりますけれども、ここで、主に国の役割というところを記載しております。
 特に、次の10ページの「そういったなか」というところがありますけれども、国は各国政府・国際機関等、自治体・企業など、様々なレベルでの連携を推進していくというところと、国際ルールを指導していき、国際競争力の強化を図るというところを記載をしております。
 続きまして、12ページ、3章です。3章では、環境分野の研究・技術開発及び実証・実装に係る課題というところで、3章が課題、4章がそれに対する方策というところを記載しております。
 最初に、目指すべき社会像が大きく変化しておりまして、多様な問題があると。例えば、欧米と比較して、学際といったそういった横断的な知見が少ないというところであったり、人文・社会科学など、そういったさまざまな専門分野の専門家を巻き込んだ取組というのが環境における分野での対策として必要になってくるということを記載しております。また、次のパラグラフに世界にインパクトを与える研究を増やしていくことが重要であるというところを記載しております。
 続きまして、それぞれの重点課題の16の分野について記載しています。
 統合領域につきましては、①から⑤までが統合領域というふうになっておりまして、例えば、重点課題の①では、持続可能な社会の実現に向けたビジョン・理念の提示、その実現というところで、ウェルビーイングの実現に向けての取組のところが重要であるということを記載しております。
 重点課題②については、地域循環共生圏、プラネタリー・ヘルスの考え方が重要だというところを記載しております。
 ③がネット・ゼロ、循環経済、ネイチャーポジティブの同時解決というところで、個別のそれぞれの環境の政策を総合的に実施していくというところを記載しております。②が環境を超えた経済・社会の取組というところで、重点課題③につきましては、それぞれの環境に関する問題の取組、そういった中でのシナジーを発揮させていくというところを記載しているというところとなります。
 重点課題⑤が新しいところでして、国際というところで、様々な気候変動等のグローバルアジェンダに対する取組と、それら、シナジーについての課題というところを重要視して記載しております。また、国際ルールの形成、そういったアプローチについても含有するような記載としております。
 (2)気候変動領域というところで、こちらは、⑥が緩和、⑦が適応、⑧解明・予測・対策評価といったところとなっております。
 (3)の資源循環領域につきましては、循環計画から引用させていただいております。⑨の地域循環共生圏に資する廃棄物処理システムの構築、⑩ライフサイクル全体での徹底的な資源循環、⑪で社会構造の変化に対応した持続可能な廃棄物の適正処理の確保というふうにしております。
 (4)自然共生領域というところで、⑫で生物多様性の保全に関する科学的知見の充実や対策手法の技術開発、⑬に生態系サービスの持続的な利用やシステム解明となっております。
 (5)安全確保領域⑭から⑯となりますけれども、こちらは、⑭の化学物質のリスク評価・管理の推進で、⑮、⑯は、前回もちょっと触れさせていただきましたが、大気と水・土壌等が一体的になっておりましたけれども、行政ニーズの増加から二つに分けて、ガイダンスを丁寧にしているということになります。
 続きまして、21ページですけれども、こちらからは、科学技術・イノベーションの開発ということで、先ほどの重点課題16は分野ごとの課題、こちらは社会実装までのプロセスの課題というところを記載しております。
 こちら、これまで議論がありましたように、我が国の強み、弱み、そういったものを意識した上で、グローバルに優位に立つ技術、そういったものをさらに強化していく視点が重要である、さらに、それを国際ルールづくりに主導していく、また、それを使って、国際ルールづくりを主導していくことで、競争力の強化を図るというところを、冒頭、1パラグラフ目に書いております。
 続きまして、23ページになりますが、こちらは地域での地環研等の取組、地方大学、そういったところの取組というのも非常に重要であるというところを記載しております。
 続きまして、24ページですが、国立環境研究所の取り組む課題というところで、現在の課題を記載しております。特に真ん中のところで、新しい時代の要請には応えつつ、公害対応、水・大気の汚染対策、環境保健など、不変の原点への対応を継続していくことも重要というところがポイントとなってくるかと思っております。
 続きまして、第4章のところとなります。
【相澤室長補佐】 第4章、ちょっと説明を代わりまして、相澤より説明させていただきます。
 第4章は、第3章で示した課題などについて、具体的な施策を示しております。
 まず、26ページでございます。一つ目に、環境研究・技術開発の核となる環境省が所管する競争的研究費であります環境研究総合推進費の効果的な実践というところを示しております。
 (1)のところで、重点課題を解決するための具体的な施策例ということで、それぞれ具体的に研究技術開発例を、別紙1として、この資料ですと、37ページに一度飛んでいただけますでしょうか。そこから、37ページからそれぞれの重点課題に対応する技術開発の例として示しております。これは、一応、例でございますので、それぞれ適宜見直しをして、実際に推進費の公募をするときには、その時々に合ったものにアップデートをしていくというものでございます。
 また、【特】と【SIP/BRIDGE】とつけております。こちらについては、推進費には限らず、エネルギー特別会計であったり、内閣府のSIPであったりで実施するものについても分かりやすいようにということで、並列して書いております。
 それでは、26ページに戻っていただきまして、(1)の最後のパラグラフですけれども、環境分野の社会課題は、分野、省庁、産学官の枠を超えるものが多いことから、そういった課題については、研究開発から社会実装まで一気通貫の取組であるSIP・BRIDGEの積極的な活用も視野に入れるということを明示しております。
 次に、(2)に行きまして、推進費の制度改善について触れております。
 まず、推進費、環境行政のニーズを提示して公募をするというところが特徴でございますので、こういったところをより実施できるように、ニーズに適合する課題を的確に取っていくために、必要な改善を示しております。それから、社会実装をより推進するために、学際的な研究も重視するということも明示しております。また、最後のパラグラフにおいて、応用研究の分野においては、国立研究開発法人や大学などにおける学術研究と民間企業などの実用化研究とを融合させたコンソーシアム型の研究というのが地域主体との連携によって成り立っていくというところを示しております。
 それから、2)の運営体制の強化というところでございます。環境研究総合推進費は、一部の業務、配分のところを独立行政法人環境再生保全機構が運営しておりまして、環境省は制度全体の統括と環境政策の関与を担うという業務分担をしております。こういった中で、運営体制について、2点、一層向上を図る必要があるというふうに示しております。まず一つ目が、より専門性の高い運営体制。現行の推進戦略でも示しておりましたが、引き続き、さらに運営体制をより専門性の高いものにしていくということを示しております。
 28ページに行っていただきまして、社会実装の一層の強化のために、研究者のインセンティブを高める評価方法の改善などが望まれるということを示しております。
 また、3)で、多様な環境分野の人材を育成して、活躍を促進するということを記載しております。現在、若手研究者に向けた枠というので、40歳未満と、それから、博士号を取得した8年未満の研究者を対象とした枠を設けておりますが、この枠について、さらにより環境分野の研究をする若手研究者を増やすために、応募しやすい制度に改善を進めていきます。また、競争的研究費の統一ルールなどでも示されているように、研究のダイバーシティ確保やジェンダード・イノベーション創出に向けて、女性活躍の機会といったところの視点を入れるように記載しております。また、他の競争的研究費との連携などについても、視野に入れていきます。
【永森室長補佐】 引き続き、29ページになります。科学技術・イノベーションの開発・実証と社会実装の方策というところで、社会実装までのプロセスでどういったところをやっていくかというところを主に記載しております。
 一つ目、(1)のところで、環境情報の整備というところで、科学的知見の集積というところで、環境政策の推進にとってはベースとなる知見、科学的知見というのが重要であるというところで、そういった知見の集積であったり、情報の整備というところを取り組むというところを記載しております。具体的には、後ほどの国立環境研究所の役割強化のところでご説明させていただきます。
 真ん中のところで、戦略的な国際ルール形成の推進というところで、今後、今まさに環境関係の国際ルールづくりが非常に注目を浴びておりまして、気候変動、サーキュラーエコノミー、生物多様性・自然資本の回復(ネイチャーポジティブ)、こういったものに代表されるように、環境分野での国際ルールというのがグローバル社会での価値観に大きく関わってくるというところで、非常に重要だというところの記載で、これを強みある分野をさらに展開していくというところの記載をしております。
 また、続きまして、横断的取組というところがありますので、今後、内閣府が実施しておりますSIP/BRIDGE、こういったところで、関係省庁であったり、産業界、または、学識経験者との一体的な取組というところも進めていきたいというふうに考えております。
 また、技術に関しましてですが、「地域」「くらし」に密着した社会実装というところで、具体的な代表的な技術というところで、一つは窒化ガリウムの新材料、二つ目で革新的触媒技術の開発・実証、三つ目で地域課題の解決にも資する脱炭素型モビリティ技術、四つ目のところで再エネ水素サプライチェーン構築、五つ目のところで「フェーズフリー」の技術への支援というところで、五つの技術を代表的に記載いたしまして、そういった地域、暮らしに密着したものを進めていくという記述としております。
 また、31ページの真ん中に、行動科学の知見(ナッジ等)の活用というところで、前回でも重要性についてご指摘いただいておりますけれども、ナッジを進めていくというところを記載しております。
 続きまして、32ページとなります。イノベーションの担い手としての環境スタートアップの支援方策というところで、環境分野におけるスタートアップの特徴を真ん中の10行目辺りから特徴として記載しております。また、環境スタートアップ、ここ数年、取り組んでおりますけれども、一番最後のところでありますように、地域レベルの環境スタートアップ支援というものを進めていくことであったり、カーボンニュートラルを目指す多様な事業への投融資を行っておりますJICNとの連携であったり、オープンイノベーション、こういったものを進めていくというところを記載しております。
 続きまして、33ページで、地域拠点の役割強化というところで、地域の課題を解決するものに当たりましては、地方環境研究所が起点となる、ハブとなるというところが重要だというところを、ワンストップ窓口になることが望ましいというふうに記載をしております。実際、今、地域の脱炭素化に向けては、事務所が各地域の強み・課題・ニーズ、そういったものを吸い上げて、自治体様と一緒に取り組んでいたり、また、地域の金融機関、そういったところと一緒に進めているというところがありまして、国立環境研究所であったり、地域の研究機関、そういったものに知見を共有したりとか、そうすることによって、地域の目利き力を強化できるようになれば、地域課題に対する有効なソリューションとなり得るというふうに記載しております。
 また、この33ページの最後に、前回、専門委員会でのご指摘がありましたように、都市であったり、地方大学、企業等が優れた技術ポテンシャルを新たな産業、社会変化につながるイノベーションにつなげていくために、大学などを中核としたスタートアップ・エコシステム、こういったものを視野に入れていくという記載をしております。
 34ページになります。こちらは環境研究の中核機関としての国立環境研究所の役割強化というふうに記載させていただきまして、前回もちょっと紹介させていただきましたけれども、高度なIT基盤を支えとして、国内大型計算機群であったり、データアーカイブと連携して、データ流通の受皿となることで、環境研究のハブとしての役割を果たすであったり、13行目辺りにありますけれども、外部による環境研究・環境データ利用の支援を促進するというところで、データの集約、さらには、データを使っていただくためのプラットフォーム、そういったところの取組をこれから進めていくというところを記載しております。
 (2)が社会実装につながる研究開発の推進であったり、続きまして、35ページで外部機関との連携・協働、研究開発成果のアウトリーチ、(4)で国際的な連携の推進というところを記載させていただいております。
 5のところで、推進戦略、この戦略のフォローアップの記載というところを記載しておりまして、この推進戦略をつくられた後に、実際、どのように実施されたかという点検を環境基本計画の点検と一体的に実施するということの記載をしております。
 資料の説明につきましては、以上となります。
【竹ケ原委員長代理】 ありがとうございました。
 それでは、今、事務局からご説明いただきました素案についてのご意見、ご質問をいただければと思います。
 先ほども申し上げましたとおり、今回、パブコメ前の最後のディスカッションになりますので、ぜひ全委員からご意見を賜りたいと思っております。
 それでは、ご発言をご希望される方は、会場の方は名札を立てていただく、挙手いただいても十分ですけども、オンラインでご参加の方は、チャット機能等で、ご発言の希望がある旨お知らせいただけますでしょうか。指名を受けた委員からマイクをオンにしてご発言をお願いいたします。
 先ほどご説明がありましたが、15時に中座されるということでしたので、もしよろしければ、笠井先生からまずご発言いただくことはできますでしょうか。
【笠井委員】 ありがとうございます。
 すみません。マイクが少し途切れ途切れなのですけれども、聞こえておりますでしょうか。
【竹ケ原委員長代理】 先生の声はよく聞こえております。
【笠井委員】 ありがとうございます。
 まずは、一番初めに申し上げたいことは、委員の先生方もですけれども、環境省の皆様、それから、サポートされている企業の方々、ここまで取りまとめ、大変お疲れさまでした。すばらしい力作が出来上がったと思います。一般的な話になってしまいますけれども、新たな方向性ですとか、そういうところもすごく分かりやすく明確に書いてあって、とてもよいものができたと思いました。
 また気がついたところがありましたら、後で発言させていただきます。
【竹ケ原委員長代理】 ありがとうございました。
 それでは、ほかご発言、ご意見がおありになる方、挙手ないしチャットでお知らせくださいませ。
 では、まず、会場にいらっしゃる委員の方から順番にご発言をいただければと思います。勝手ながら、浅見先生からお願いしてもよろしいですか。
【浅見委員】 ありがとうございます。保健医療科学院の浅見でございます。
 大変大部な文案をつくっていただきまして、ありがとうございます。前身となるいろいろご検討からここまでまとめられて、フォローアップ等もされて、このようにつくっていただいて、かなり先進的なものになったんではないかと思っております。
 ちょっと何点かなんですけれども、3点、まず、申し上げられればと思うんですが、14ページの重点課題のところで、ネット・ゼロと循環経済とネイチャーポジティブというのが非常に時代を捉えたようなCNとCEとNPということで、重要なところだと思うんですけれども、これが絶対同時解決というのが課題になりますと、結構厳しいんじゃないかなと思うところがございます。たしか、この重点課題の③のところに出てくる課題が少ないという記憶がございまして、統合的解決とか、用語をもう少し包含的にしていただくと、申請をしようかとなるのではないかと思ったところでございます。
 ただ出てくるものを待っていても、これを全部解決できる人といって、手を挙げていただくのは結構厳しいのではないかなと思いますので、例えば、学会ですとか、少しまとまりのあるところで手を挙げていただけるような、何らか広告といいますか、力を入れることをしたほうがいいのかもしれないと思ったところでございます。
 2番目の28ページの多様な環境研究分野人材の育成のところで、若手の方々にというのを出していただきまして、若手枠とか、8年未満の研究者の方々というのは、とても一生懸命研究されているように拝見しております。少ない金額ですが、本当にこんな研究を頑張ってやっていらっしゃるんだというのがありまして、ぜひ、ここはさらに推進をしていただきたいと思います。逆に、普通の枠のほうが結構1件当たりの金額が大きいので、そこまで行かなくても、もう少し小さい単位でも出せる枠というのは、ミディアムとかつくってはいただいているんですけれども、少しずつやりやすい形にしていただけるといいなと思っております。
 3番目に関しましては、ページ32のところで、SBIRですとか、ほかの事業と組み合わせてということで、一層、環境省さんとうまく組んで、実際に社会実装につながるような技術で、全体を通じて、改善する技術に関して推進しているという感じが必要と思います。ウェルビーイングと技術というのは今回のキーだと思うんですけれども、そこに持っていく内容を、本当に推進したいと見えるようにしていただけるといいなと思ったところでございます。
 多分、パワーポイントとか、今後、この戦略を外にご発表になるときに、その辺がすごく重点なんだというところを重点的にご説明いただけるとと思ったところです。
 すみません。以上です。
【竹ケ原委員長代理】 具体的なご指摘ありがとうございました。
 それでは、酒井先生、お願いしてもよろしいでしょうか。
【酒井委員】 ありがとうございます。
 この時期の研究・技術開発戦略等策定というのは、極めて重要な策定かと思いますので、ぜひ、この後の社会とのやり取りを含めて、よりいい形に出来上がっていくことをまず期待しているということを、ちょっと冒頭で申し上げたいと思います。
 その上でなんですが、今回の推進方策のところをちょっと中心に、第4章の推進方策のところをちょっと中心に質問と希望を申し上げたいと思います。
 まず最初に、環境総合推進費の効果的な実践ということで、まとめていただいているんですが、この中でいきますと、やはり26ページの一番冒頭で書いていただいている環境政策への貢献・反映、ここはまだ現時点でも決定的に重要なポイントというふうに思っております。ここをよりまたどう評価するか、あるいは、どう効果的に実施するかというところは一番のポイントというふうに思っています。特に政策貢献を何で図るかというのは、結構、ここは難しい話でして、学術貢献、学術成果というのは、比較的、この学術コミュニティーの中で、いわゆる、原著論文、オリジナルな論文ということで、総合評価するシステムが社会全体に根づいているわけですが、政策貢献は一体何がいい研究であったかということを整理することは、結構難しい話だと思います。ただ、ここを地道にでもやっぱり続けていかねばならない。よりいいシステムとして、研究者のほうに提示できることというのをぜひ共に考えさせていただきたいというふうに思います。
 あと、推進費の関係で、27ページで、学術研究と民間企業との実用化研究との融合という、こういう立てつけを書いていただいているんですが、ここはちょっと質問です。推進費の今後の展開の中で、こういう構想が明示的に出つつあるのかどうかということは、ちょっと後でよろしければご回答いただければと思います。私の見立ては、ここの融合コンソーシアムというのは、これはその次の4章の2ですかね、開発・実証と社会実装の方策というところで、もう少し本気で書くべき話かなというようには思っています。今、ここは、ある意味では、やはりこの分野は総力を挙げて、今のこの形をどうつくるかというところだと思いますので、推進費の一つの課題ということはもちろんあっていいと思うんですけれども、より大きく捉えたほうがいいというふうな点を意見として申し上げておきたいと思います。
 それから、その後の4章の2節のところの社会実装の方策というところで、結構うまくポイントを挙げて整理をいただいているんですが、この中で、ちょうど32ページのところで環境スタートアップの支援と、それから、33ページのところで、地域拠点の役割強化ということで書いていただいているんですが、ここは、恐らくは連続的にやっぱり多分つながる話としてうまく運用しないと、地域が実施していくことというのは簡単でなかろうというふうに思っています。だから、やはり、ここの32、33ページこそが相乗性を念頭に置いて、うまく全体をデザインする。特に、今日、委員長代理を務められていますが、竹ケ原委員が常にご主張されている、いわゆる金融機能、金融機関の役割ですね、ここの部分は、地域に行けば、より重要なプレーヤーというか、オーガナイザーということかと思いますので、いろんな基金活用から融資とかという、そういう機能も含めて、そういうキーとなる役割をやはりここに少しずつ入れていったほうがいいかな。既に関係者も相当金融のところは力を入れてやっておられると思いますので、この環境スタートアップとか、あるいは、地域展開とかというところで、それをどう使うのか、具体的に、というところを少しデザインを始めるということをしていただければなというふうに思いました。
 取りあえず、この2点にさせていただきます。
【竹ケ原委員長代理】 どうもありがとうございました。
 いかがしましょう。政策貢献をどう図るかとか、かなり具体的なご質問もいただいているのですが、最後にまとめてご回答いただくのがいいか、この段階で、一度、回答可能なところがあれば、ご回答いただくのがいいか。
【永森室長補佐】 一旦、ここで、まず回答できればと。
【竹ケ原委員長代理】 では、今、コメントいただけるところはお願いいたします。
【相澤室長補佐】 それでは、いただいた中で、まず、政策貢献をどのように図るかというところは、大変、おっしゃるとおり、難しいところではあるんですけど、現時点では、追跡評価を各課題にしておりまして、終了後3年後の研究課題に対して、追跡評価をして、ヒアリングとかアンケートを取って、政策に反映されたかどうかというところで図っておるところでございます。ただ、その質的なところというのは、なかなかまだちょっとこれからしていかなければいけないので、そこもより一層検討していかなければいけないところではございます。
 それから、もう一個、27ページのところでご指摘いただいたコンソーシアム型の研究のところなんですけど、こちらについては、具体的にメニューで、公募のメニューでというところですと、大きな動きとしてはまだ示せていないんですけども、実際には技術実証型とか、次世代事業型といって、項目としては準備をして、用意はあります。それから、下から3行目のところにある橋渡しというところで、今、力を入れておりまして、出てきた研究成果を企業とマッチングしたり、橋渡しというところでつなげようとしているところではあります。
【竹ケ原委員長代理】 ありがとうございます。
 酒井先生、今のコメントに関してはいかがですか。よろしいですか。
【酒井委員】 努力されていることはよく分かりました。
【竹ケ原委員長代理】 ありがとうございます。
 1回、ちょっと進めさせていただいて、続きまして、森田先生、お願いできますでしょうか。
【森田委員】 ありがとうございます。聞こえますでしょうか。
【竹ケ原委員長代理】 聞こえております。
【森田委員】 ありがとうございました。
 今回、本当に大変な取りまとめだったと思いますけれども、とても重要な日本の環境研究で必要なものが盛り込まれていると思っております。
 2点ほどコメントさせていただければと思います。一つが、13ページ以降の重点課題のところです。今後、いろいろ問題を統合的に解決しなくてはいけない、いろいろな課題が増えてきている中で、統合領域の課題が今後増えてくると思うのですが、ここの統合領域だけの問題でいろいろ統合的に見るのでは、もう間に合わない部分もあるのではないかと思っております。⑥以降の気候変動以下の各問題においても、できるだけほかの問題との連携も考えていくということが必要なのではないかと思っています。ただ、その一つの研究プロジェクトでいろいろ統合的に見ていくというのは大変だと思いますので、研究プロジェクト間の連携というのも今後必要だと思っております。
 日本の学会を見てみても、まだまだ学会もかなり縦割りの部分があるのではないかと思っておりますので、こういった環境研究の戦略が学会間の連携なども促すような方向になるといいなと思っております。
 2点目が、途上国に関しても少しこの中でも含まれてはいるのですけれども、あくまでも日本が良い技術開発をして、それを、例えば、途上国に教えてあげるといった、何か途上国を支援してあげるといった視点が今はメインになっているのではないかなと思います。しかし、今、この中でも書かれているTCFDとかTNFDの流れでも、日本などの先進国のいろいろなモノやサービスなどの流れが途上国の環境にとても影響を与えているということが、すごく厳しい目で見られているということがあるのではないかと思っております。そういった観点からも、日本国内に閉じた環境の問題だけではなく、この途上国との関係性、日本が途上国の環境の問題にもいろいろ影響を与えているといったところの視点から、とても日本と関係してくる部分でありますので、そういった部分も研究の範囲としてやっていく必要があるのではないかと思っております。
 どうしてこのようにスコープを広げる必要があるかというのは、若手の育成の話にもつながるのですが、若手の研究者でも、環境問題を国内だけでなく、グローバルに見ていくこと、こういった広い視点で国際的にみていくことがとても必要だと思います。それは、国際的な環境政策の文脈でも、そういった場でも意見できるような若手の環境研究者というのを増やすという観点であったり、それから、IPCCとかIPBESだったり、そういった国際的な科学的アセスメントに関わる上でも非常に重要だと思いますので、何かそういった視点というものも含めていただければと思っております。
 以上です。
【竹ケ原委員長代理】 ありがとうございました。
 どうしましょうか。非常に重要なご示唆をいただいたと思います。人材育成というのは一つの大きなテーマであり、前回も、各先生からその視点を強化するようにというご指摘を頂いています。海外との関わりでいえば、日本のノウハウ・経験をアジアに展開していくという記載は随所にあるが、これに加えて、もう少し双方向性に関する話をしていくとすると、そこに人材育成につながる要素もあるだろうという、かなり重要なご示唆と感じましたが、この辺については、どうですか。今、何かコメントを返していただくというよりは、後でまとめてお返しいただく形のほうが進めやすいですか。
【奥村室長】 はい。
【竹ケ原委員長代理】 分かりました。じゃあ、森田先生のコメントについては、後ほどいただくとしまして。
 続きまして、亀山先生、お願いいたします。
【亀山委員】 亀山でございます。
 非常に丁寧な取りまとめをされていて、事務局のご苦労に敬意を表したいと思います。
 発言したかったことは3点ありまして、そのうちの一つは、先ほど森田委員がおっしゃってくださったこととほぼ同じですので、簡単に終わりにしたいと思いますけども、やっぱり国際的な視点ということで、人材育成もさることながら、日本の企業も海外とサプライチェーンなどの観点で、日本だけで回っているわけではありません。ですので、やはり日本の外に視線を向けるような書きぶりというものを、ぜひ、気に留めていただきたいなというふうに思いました。これは1点目です。
 2点目は、これまた幾つかの場所で、人文・社会科学系の研究者の巻き込みということに触れてくださっています。それは、この推進費に限らず、文部科学省でも推奨はされていることなんですけれども、残念ながら、なかなかそれが有機的に実現できている研究プロジェクトって、あまりないと思うんですよね。
 それで、今のこの書きぶりを見ても、一応、言葉としては入っているんだけれども、恐らく環境省様も具体的に人文・社会科学系の研究者がどのようにここに関われるのかというイメージを持つことができずに書いていらっしゃるように読めたんですよ。唯一、重点課題の⑬だけは非常にクリアに書かれていて、できれば、ほかの重点課題の中でも、特にここは人文社会科系の研究者に入ってもらったほうがいい研究ができそうだなと思うものについては、具体的にどういうふうに関わってもらいたいのかということが分かるように記載されたらいいかなというふうに思いました。
 具体的には、例えば、気候変動の緩和策なんかもそうですけれども、やっぱり人々が地球温暖化について知識はあるんだけれども、それを意識しないとか、意識しないから、それが消費者行動に移らないとか、あるいは、行動経済学なんていう学問が今はやっていますけれども、やっぱりどういう政策を取ったら、人々の行動が変容するのか。それはナッジ以上の多分ものだと思うんですよね。その辺りをもう少し複数の重点課題に書き込んでいただけるといいのかなというふうに思いました。
 最後に3点目ですけども、SDGsが2030年がゴールで、それで、やっぱり国際的には既にポストSDGsの話が始まりかけているときに、今ある文書の中、多分、統合領域、1番目の重点課題になると思いますけども、そこにポストSDGsへのインプットを日本からしていくというようなことを明示しておいたほうがいいんじゃないかなというふうに思ったんですけれども、そちらについては、もし、お考えがあれば伺いたいと思います。
 以上でございます。
【竹ケ原委員長代理】 ありがとうございました。
 これも非常に重要なご指摘だと思います。人文科学系のところをどう巻き込むかという、これは私もそちら側の人間なので、非常に難しいのはよく分かります。ただ、例えば、デコ活の「暮らしの10年ロードマップ」を拝見すると、技術自体がよくても、その意義をちゃんと消費者が理解して、かつ、長期的にペイバックできるんいう経済性の視点を持たないと、普及していかないんだということが書かれています。結局、技術をつくり出す研究開発の話と並んで、それを実装させていく上での、まさにナッジという言葉を使っていらっしゃいましたけど、いわゆる行動変容につなげるところの話は、どちらかというと、人文社会系の役割かなという気もします。確かに各分野ともに、今、先生がおっしゃったような要素を入れる余地はあるかなという気はいたしましたけど、いかがでしょうか。こちらも、後ほど、またコメントを返していただく形でよろしいですか。それとも何か今コメントいただくことはできますか。
 じゃあ、また後ほどいただくということで。ありがとうございます。
 では、続きまして、古米先生、お願いいたします。
【古米委員】 どうもありがとうございます。
【竹ケ原委員長代理】 よろしくお願いいたします。
【古米委員】 前回の委員会の内容を踏まえて、全体がうまく整理されたかなと思いました。
 私のほうからは、三つ申し上げたいと思っています。
 まず、3章の13ページのところです。先ほども幾つか議論が出ましたけど、統合領域の上から数行目のところに、データあるいはAI、要は、デジタル技術の活用が重要であるとか、人文・社会科学領域を含め、分野横断的なことも重要であるということが書いてあります。この議論は実は統合領域だけではなくて、ほかの領域でも同じようにやっていただかなくてはいけないので、書いていることはいいんですけれども、書いている位置を一つ前の全体のところにしていただき、さらに統合領域の中で特に追加記載するという形のほうがバランスが取れるのではないかなというのが1点目です。
 2点目は、今回の取りまとめで分かりやすいなと思っているのは、第3章で課題が明示されていて、その課題に対応する形で、4章で推進方策が連携した形で書いてあることです。きっとそれが非常に読みやすいものになっているというふうに私は理解しました。
 その点で見ると、23ページに地域での環境分野の研究や課題解決における課題というところが、33ページの環境研究・課題解決における地域拠点の役割強化が受けた形だと思います。課題の認識に対して、どう解決策として方策を出すのか、そのためには、地域拠点を役割強化するんだということが書かれていると思います。対応がほぼ取れているように思います。3章では、地方大学、地環研であっても、そういうところの機能をうまくしないといけないとか、あるいは、気候変動適応センターとか、地域金融の話も出ております。しかし、よく見るとここに書いていないのに、4章の33ページに書いてあるような環境データプラットフォームであるとか、あるいは、そういった情報の共有であるとか、アクセスであるとか、スタートアップ・エコシステムみたいなことなど、重要なキーワードが方策のほうに書いてあるようです。3章でこれらの課題認識があまり書いていないので、対応がうまく取れていないのではないかなと思います。方策は出てはおりますので、何かうまく表現の整合性を取るなり、調整をいただくと、よりよくなるのではないかなと思いました。
 最後、3点目です。3点目は、24ページの国立環境研究所の取り組むべき課題に対して同じように、34ページのところで役割強化ということが対応しています。ここは、課題認識もしっかりされていて、方策としての役割強化もサブ項目が四つ出て、ちゃんと書かれているように思うんです。思うんですけれども、若干気になるのは、24ページの16行目から19行目のところで、要は、気候変動であるとか、新たな問題点に対して、イノベーティブな研究をしないといけないし、リーダーシップを取るんだけれども、一方で、公害対応だとか、水・大気という不変の原点というキーワードが環境省にはあります。それに対して、何ら役割強化の中で項目を立てる必要はないと思いますが、それがどう扱われるのかというのは、やはり24ページの記載内容と34ページ以下の記載内容との対応は非常に重要ではないかなと。特に、不変の原点は、環境省としては大事なので、新しいこととともに、ずっとやってきたものを継承しながら、さらに研究を進めていくというところがとても重要ではないかなと感じました。
 以上です。
【竹ケ原委員長代理】 ありがとうございました。
 恐らく課題認識とそれに対する対策をきちんと書き分けられた事務局のご努力をご評価いただいて、かつ、それだけに、両者の対応関係をもう少ししっかりするようにというご指摘だったと理解いたしました。
 ありがとうございます。
 これについても、後ほどいただく形でよろしいですか。
 それでは、続きまして、広井先生、お願いいたします。
【広井委員】 ありがとうございます。
 全体としては、皆様言われていますように、非常に充実した内容のものがまとまっていると思います。3点ほどコメントさせていただければと思います。
 1点目は、ちょっと私が見落としているところもあるかもしれないのですが、文化ということに何らかの言及をいただければという点です。先ほど出ました文理融合ということとも関連しますが、趣旨としましては、SDGs、あるいは、ポストSDGsの中でも、文化というのが重要だという議論がなされつつあると思いますし、あるいは、自然との共生とか保全を図っていくに当たって、やはり地域への愛着とか、それから、私はちょっとプロジェクトもやったりしているんですが、鎮守の森といったような自然観、そういった文化的な要因が一つ重要なモチベーションになる場合が多いと思います。ですので、例えばですけど、研究テーマ例のところで、日本における自然観や伝統文化が生態系の保全にとって有する意義に関する研究とか、何らかの文化という点を入れてはどうかというのが1点目です。
 それから、2点目は、ちょっと見落としているかもしれませんが、まちづくりとか、都市交通システム、これがやはり一つ重要な研究になるかと思っています。例えば、国交省辺りが最近言うようになっていますけど、ウォーカブルシティー、歩いて楽しめるまちにしていくことが脱炭素にも資するし、ウェルビーイングにも資するというようなまちづくりや都市交通システム関連についての言及を、今少し出ていますね。これは入れていただいているようですので、こういった形で、ありがたく思います。
 それから、3点目が新たな成長の指標ということで、中環審でも最終的に新たな成長、それから、ウェルビーイングの最終目標として提起されていますけど、環境、いわゆる環境・経済・社会、それから、ウェルビーイングも統合したような指標、これが、今出ているのがそれに。もし、今出ているやつが該当するとすれば、私、ちょっと事前にコメントさせていただいているのが反映されているということになるかと思いますので、もうそれでオーケーなんですけど。
 以上3点、コメントとして発言させていただきました。どうもありがとうございます。
【竹ケ原委員長代理】 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、伊藤先生、お願いいたします。
【伊藤委員】 伊藤でございます。
 非常にバランスの取れた素案であり、さらに先進的なこともかなり盛り込まれていると思っていまして、皆様のご努力のたまものというふうに思っております。
 一つだけコメントさせていただきたいところがありまして、26ページの行政ニーズに対応した研究課題という部分です。私どもも割と行政に近いところで研究活動をしておりまして、そこで非常に感じますのは、やはり、行政側の文化といったらいいのか、言葉と……。
【竹ケ原委員長代理】 伊藤先生、ちょっとお声が断続的に切れてしまいまして、ちょっと前からリピートしていただいてもよろしいでしょうか。
【伊藤委員】 そうですか。分かりました。
 26ページの行政ニーズに応える研究課題という部分のところに、一つコメントがあります。行政ニーズという点です。私どもも、行政に非常に近いところで、研究活動をしており、大学の先生方とも共同研究をしている中で、行政の側の言葉と研究のサイドの言葉というのが微妙に擦れ違うところがあると感じております。行政ニーズを行政側から情報発信をされた場合に、それをそのままそっくり研究開発の中で取り入れるよりも、実は、行政の方とよく話し合った中で、「それであるならば、こういう取組のほうが課題解決できますよ」とか、そういう意見交換をすることによって、新たな研究とか、さらには行政ニーズに対応したような新たな課題解決というのができるという経験が多々ございます。これは、本文に入れていただくか、実行したときにその観点を考えていただくかというところは、お任せいたしますけれども、研究サイドと行政ニーズに関して、十分に意見交換ができるような場を設定していただけたらと思っております。
 コメントとしては以上でございます。
【竹ケ原委員長代理】 ありがとうございました。
 先ほど、酒井先生からご指摘のあった政策貢献をどう考えるべきかというお話にもつながるご指摘をいただいたかと思います。ありがとうございました。これも、後ほどご回答いただければと思います。
 続きまして、小野田先生はお入りでございましょうか。
 先生、今までちょっとご議論を聞いていただけなかったと思うんですが、ドラフトをご覧いただいて、何かコメント、ご意見等いただくことできますでしょうか。
【小野田委員】 ありがとうございます。小野田でございますけど、聞こえますでしょうか。
【竹ケ原委員長代理】 聞こえております。
【小野田委員】 ありがとうございます。
 大きなところでは、うまくまとめていただいているかなというふうに思います。今、改めて拝見して、ちょっと気になったのが、22ページになると思うんですけども、科学技術・イノベーションを社会実装していく上での課題というところが、項目としては非常に重要だと思うんですけれども、例えばの後に掲載されている事例が、この問題はもちろん重要なんですけれども、上に掲げられているお題目からすると、何かすごく一部の例を取り上げているなという印象がありましたので、もし何か加筆するのであれば、もう少し、いろんな例を入れたほうがバランスがいいのではないかなというふうに思いました。
 取りあえず、気づいたところは以上でございます。
【竹ケ原委員長代理】 どうもありがとうございました。
 これでご出席いただいている委員の方から一通りコメントを賜りましたので、私のほうも、すみません、参加委員として、幾つか申し上げたいと思います。
 とはいえ、先生方のこれまでのご指摘でほぼ出ておりました点の確認になります。冒頭、浅見先生からあった同時解決の点は、ちょっと私も引っかかったところで、かなり踏み込まれたなという感じがあります。統合的にアプローチしましょうという話からさらに踏み込んでいらっしゃるんだとすれば、ですが、、たしか、前回、事例でEVといいますか、電動車が増えてきて、車重が重くなると、タイヤの磨耗が増えて、公害といいますか、別の問題を惹起するといったご指摘があったと思います金融の世界では、インパクトファイナンスという文脈で、ポジティブ・インパクトを追求すると同時に、不可避的に発生するネガティブ・インパクトもきちんと管理していくことが要件になっています。先ほどの資料ですと、3大テーマの「同時解決」となっていますが、いわゆる公害といいますか、環境負荷の増加みたいなことも含めて考えると、やっぱりもろもろのテーマの統合的なアプローチみたいな書き方のほうがいいのかなというふうに感じたところです。
 あと、もう一つは、酒井先生のご指摘にあったところのスタートアップとか、地域のお話です。地域の拠点がワンストップ機能を発揮して、いろんな知識を集約し、地域課題の解決につないでいくという絵が描かれていてます。その肝がご指摘にもあった地域金融であり、、地域にある資源を何とかちゃんと特定して、地域課題に投入して結びつけていこうという意識を持つ金融機関が増えているのは確かなのですが、いかんせん問題なのが、ポテンシャルとしてある地域にある知的資本といいますか、技術的なポテンシャルをどうやって見ていったらいいのかとか、評価していったらいいのかという視点が不足している点というか、どうしても銀行員では限界があります。そこを埋めるという趣旨で書かれていると思うんですが、この辺り、もう少し書き込んでいただいてもいいのかなと感じたのが1点。
 あと、最後、もう一点です。29ページですが、冒頭のところで、環境政策の推進にとって科学的知見は必要不可欠だと、基盤となる研究開発の投資や、それを支える人的資本投資が重要であるという記載があります。この文章を読むと、まず、知見の集積の話があって、その後、研究開発投資とか人的投資、まさに人材の話に展開されてくるのかな、と期待しってしまうのですが、読み進めて行くと、まず、科学的知見の集積、この基盤が重要だという議論が展開されて、そこから、その各論のほうに議論が流れていってしまって、研究開発投資とか人的投資の話というのは、ここではあまり取り上げられない構成になっているんですね。ここは、重点が科学的知見の集積にあるんだとすると、むしろ、最初の文章の書き方を少し修正するか、あるいは、本当に各先生方のご指摘にもあったように、人の話はすごく大事だというお話もありましたので、もう少し、その辺りを、前段にある若手枠の話なんかも含めて、こちらで書いていただくか。そういう工夫もあってもいいのかなと思いました。
 すみません。勝手ながら、委員としてコメントさせていただくと、以上の点になります。
 これで、一旦、まず、先生方からの一通りのコメントをいただきました。ちょっと拾い切れていない点が多々あったと思うんですが、事務局からまたご回答ないしコメント返し、お願いできますでしょうか。
【永森室長補佐】 ありがとうございます。
 一つは、ポストSDGsの話、確かに事務局のほうで気づくべきところではあったかと思っております。今回、別紙1という形で、具体的にそれぞれの重点課題に対して、こういった施策例があり得るのではないかというところで、事例を入れておりますので、本題の3章のほうの重点課題のところで、ポストSDGsの話もありますし、別紙1の具体的なところでの反映というところも考えていきたいというふうに思います。
 また、三つの同時解決というご指摘に関しましては、ご指摘のとおりでして、実態上はやはり気候変動と生物多様性、気候変動とサーキュラーエコノミーの関係、そういったところの社会課題が課題としてよく取り上げられるところではございますので、そういったところを意識した表現を3章に入れつつ、この重点、別紙1のところでの部分で、実際、研究者の方々が手を挙げやすいといいましょうか、イメージしやすいものにしていきたいなというふうに思っております。
 亀山先生の人文・社会科学のところは、やはり、我々としても、どういった形でインセンティブを与えるような仕組みがいいのかというところは悩ましいところでして、ぜひ、アドバイスいただきたいなと思いますし、⑬のところについては、良い書きぶりだというご指摘がありましたので、それぞれの課題ごとについて、イメージできやすいような形にしていくというところは意識していきたいというふうに思います。
 また、あと、情報に関するご指摘ありましたとおり、それぞれの領域ごとに書くのではなく、頭のところに書くようにしているところになるかと思いますので、その辺り、科技・イノベの基本計画とかを踏まえながら、ICT技術、そういったものの活用の方法について、頭のところに書いていきたい、そういうふうに思います。
【相澤室長補佐】 それから、伊藤委員からいただきました行政ニーズに対応するというところで、行政側の言葉と研究者側の言葉のずれを埋める動きにつきまして、現在の制度で、プログラムアドバイザーが行政側にアドバイスをして、この研究開発の実績のある方がプログラムアドバイザーをしていまして、そこのそういう研究者に伝わりやすい言葉という意見交換はしているんですけれども、実際、その分野の研究者との意見交換というのは現在していないところですので、より研究者に伝わるための動きという中で、そういった取組は改善していきたい、そういうふうにインプットしていきたいというふうに思います。ご指摘ありがとうございます。
【竹ケ原委員長代理】 海外のところはいかがでしょうか。アジアへの展開みたいなことは書いてある一方で、もう少し、実際には本文を読むと、IPCCへの貢献だったり、IPBESとの連携だったりと、そういった水平的な連携の話も書かれているんですけど、むしろ、その辺りが人材育成にもつながるから、もうちょっと強調してもいいんじゃないかというご指摘をいただいたような気がするんですが。
【永森室長補佐】 ありがとうございます。国際の関係での双方向の学習というところで、そこは書きぶりを工夫させていただきたいなというふうに思っております。また、森田委員からありました、日本側の話になりますけれども、若手の人材育成については、やはり先端性を持たすために、国際会議の場に若い方に出ていただくとか、そういったアイデアもあるかと思いますので、その辺り、反映していきたいなというふうに思います。
【竹ケ原委員長代理】 ありがとうございます。
 事務局から一旦お返しいただけるコメントとしては、以上でしょうか。
 だとすると、もうちょっとまだ時間がありますので、今、拾い切れていない点とか、そもそもしたコメントはそういう趣旨じゃないんだというご意見もあるかもしれません。追加でコメントいただける先生方いらっしゃいましたら、ぜひ、ご発言をお願いできればと思います。
 じゃあ、酒井先生、お願いいたします。
【酒井委員】 途中で、亀山先生のほうからあった人文・社会系の研究者との進め方というところですけれども、先ほど、行政側の文化、言葉、それから研究側の文化、言葉と指摘があった伊藤先生の指摘とも関係してくるところかと思っているんですが、まず、環境研究・環境政策に関しては、この両者の差は日々埋める努力を、私はされているんじゃないかなというふうに思っているんです。といいますのが、いわゆる、新たな政策を考えるとか、新たな制度を考えるとかというときには、やはり法学の関係、経済学の関係、社会学の関係が関与される中で、官僚の皆さんは日々議論をされているという、こういう認識でおりますので、そこは、そういう実績を持っておられる。じゃあ、そういう実績を持った上で、今後、人文・科学系研究をどうあるべきかということを、やはりもう少しやっぱりデザインをしないといけないんじゃないかなと。活用せよということだけでは、次の一手がなかなか見えないんじゃないかなという気がしています。
 そういった意味では、先ほどの政策効果のはかり方というのも、やはり新制度とか、あるいは制度改正とか、そういうところにどう具体的にどう反映されたかというのは、今はどちらかというと、研究者側の自己評価的なやり方になっていると思うんですね。これをやはり皆さんもう少しドライに、政策担当のほうから、ここまではありがたかったけれども、ここから先は不満であるとかというような、そういうことのキャッチボールがあっていいんじゃないかなというふうに思います。その点がどうしても研究者側で制度政策に関わる人間が限定的になっていく中で、横の展開が見えないというところがあると思いますので、これは、研究側、それから政策側、両方、やはりちょっと1回考えていくべき話だろうなとも思いますが、結構やっておられるというのが私の正直な印象なんですが、やってもらえる上で、どうするかということでいいんじゃないかというふうに思います。
 それと、もう一つ、ちょっとここまで出ていない話で、先ほど私も言い忘れた話が一つありまして、29ページの戦略的な国際ルール形成の推進というところなんです。ここで、この1パラグラフ、この国際ルール形成ということが入っているということ自身は結構だと思うんですが、ある意味では、やっぱり必要性を訴えているというところの記述で、悪く言えば、とどまっているという感じがありますので、具体的にどうするか、特に研究と技術開発の側面から何ができるかというのはちょっと踏み込んだほうがいいかなというふうに思っています。そういった意味で、環境省の中にも、具体の次のピンポイント的な展開の兆しもあると思いますので、そういったところを少し紹介しながら、ポイントはやはり国内、日本に人材と知見がどこにあるか。その人材の知見でもって、ルール展開まで野心を抱けるところがどうあるかというところの目利きが極めて重要な分野だなというふうに思っております。
 そういった意味で、期待をしたいので、ぜひ、このさらに踏み込み方をまた一緒に考えさせていただければと思うということで、発言させてもらいます。
 以上です。
【竹ケ原委員長代理】 ありがとうございました。
 それでは、冒頭、ご発言いただいたきりになっているので、今までのご議論を聞いていただいた上で、浅見先生、何か追加のコメントや何か補足いただければと思うんですが、いかがでしょうか。
【浅見委員】 恐れ入ります。今、皆様方のお話をお伺いしまして、やはり文化的なことですとか、政策的なこととの融合というのは、非常に重要だなというふうに改めて感じておりました。この推進戦略が研究と技術開発の推進戦略なので、多分、政策的なことをここで提案しようというのを思いついていただくのは、少し工夫が必要かなと思いながら考えておったところです。
 実は、一昨日、環境工学連合という環境工学の関連の学会が20学会ほど集まって、環境に役立つ技術開発ですとか、社会の強靱で、かつ、環境負荷も低い社会をどういうふうに解決していくかというのを、色々な学会が色々なアイデアを出す会合があったのですが、その中で、化学工学の松方先生が、ビジョンというのがやはり非常に重要で、そこに向けて統合して、どういう方向に向かっていくのかということを示しながら、それに向かって実現していくことをバックキャストしながら計画をするというのは、日本であまりそういうことが得意じゃない分野ではないかというようなご指摘をいただきました。確かに個別の技術に関してはそういったロードマップ的なものもあるんですけれども、環境計画全体でどうやっていくのかというところが、数字的にはいろんなのが出ているんですけれども、どうやって具体的なステップを踏んでいくのかというのはすごく難しいなと思いながら、非常にそういうビジョンを持ちながら行くのは重要と思ったところでございました。
 今、改めて、先生方のご意見を伺いながら、この文章を見ていて、科学技術・イノベーション基本計画に関しては、キャッチフレーズがあって、未来社会像を、「持続可能性と強靱性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会」というのを目指しましょうというのをキャッチフレーズにされたのかなと思うんですけれども、今回の推進戦略で、この辺が肝ですよというところをピックアップして分かるようにしていただくと、皆さん、そっちに向いくことが、分かりやすくなるかなと。すみません、漠然と考えていたところにご指名をいただきまして、ちょっと咀嚼不十分な発言で、申し訳ないですが、そのように思いました。
【竹ケ原委員長代理】 ありがとうございました。
 それでは、亀山先生、お待たせいたしました。お願いいたします。
【亀山委員】 二度目で申し訳ありません。ちょっと具体的なところで、コメントさせていただきたいんですが、ページ31の上から1行目から5行目まで、水素の話が書かれているんですね。それで、水素に関する技術開発は、主なところは、経産省さんがやられるんだと思うんです。それで、ここの文章はあくまで地域脱炭素という文脈の中での水素なんですよね。ですので、もう少し、環境省に寄せた書き方ができないかなということを考えながら、私のほうでも改めて水素基本戦略の文章を、もう一回、眺めました。それで、幾つか修文のご提案をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、この31ページ目の上からいきますと、「この際、水素基本戦略の基本方針:3E+S」と書いてあるんですけれども、基本戦略、ちょっと全部は見ていないんですけども、少なくとも1か所は「S+3E」という順番で書いてあるんですよ。何を申し上げたいかというと、特に地域でこういった技術を実装していくに当たって、安全性って、環境省におかれては第一で考えたほうがいいんじゃないかなと思いながら、水素基本戦略を見たら、戦略の中でもSが最初に来ていたので、それは順番を変えたほうがいいんじゃないかなと思いました。これが1点です。
 さらに続けますと、「にある通り、具体的な方向性は安定的、安価、低炭素」って、三つしか書いていなくて、つまり、3Eしか書いていないんですよね。ですので、ここのところに、もう一回、安全性を一番最初に入れたほうがいいかなと思って、具体的な方向性は安全性を最初に入れる。
 さらに、その次なんですけども、安定的と書いてありますよね。この安定的という言葉が、恐らく、エネルギー安全保障とイコールであるというふうに解釈して、安定的と書かれたんだろうなと思うんですけども、実際に、水素基本戦略のほうを見てみますと、エネルギー安全保障の説明としては、国内製造が可能、かつ、供給源も多角化され得るという点で、エネルギー安全保障の強化に資すると書いてあって、国内製造が可能ということをまず最初に書いてあるんですよ。恐らく、この地域脱炭素の文脈からいっても、安定的に供給されるというよりかは、むしろ、国内製造ができることによって、エネルギーの自給率が高まることのほうが重要なんじゃないかなと思いますので、安定的という言葉ではなくて、地域での、国内生産ですか、国内生産を目指すということを、むしろ、ここで書いたほうがいいんじゃないかなと思いました。
 さらに読み進めていきますと、これに対する課題を解決するために、再生可能エネルギー等の安価な調達というのはいるのかもしれないですけど、効率的な水素製造、わざわざ四つの評価項目の中で、効率性をここに入れるのかなというのは、ちょっと引っかかりまして、やっぱり、むしろここでもう一回、地域全体が安全であることを確認しながら、水素を利活用できるような技術やシステムの開発・実証を行っていくというふうに書いたほうが、環境研究・環境技術開発という文脈としてはふさわしいんじゃないかなというふうに感じましたので、ここで、発言を求めました。
 以上でございます。
【竹ケ原委員長代理】 具体的なご指摘をどうもありがとうございました。
 それでは、今いただいた各先生方のコメントについて、事務局のほうからご回答いただけるものはご回答お願いできますでしょうか。
【奥村室長】 一番最後のところから。
【竹ケ原委員長代理】 特に水素は、これは室長からぜひ。
【奥村室長】 ありがとうございます、ご指摘いただきまして。まず、安全を、やはり環境という側面からして、安全性が担保されていて初めて環境技術として生きるということ、ご指摘はごもっともだと思いますので、すみません、私としましても、もう一度、基本戦略のほうを読み直して、どういった技術がこの環境省の基本戦略としてふさわしいかというところを吟味させていただきたいというふうに思います。
 その後にご指導いただきました環境省として、「地域」「くらし」という側面から、この水素なりをどう捉えるかというところだというご指摘、そこに対しましては、やはり法律というところが先に来るのかというところも、そういった個別の議論も確かにありますけれども、環境省として、地域の再エネ、これをうまく活用しながら、これを地域の水素ネットワークにどうつなげるか、エネルギーネットワークにどうつなげるか、マネジメントにつなげるかという、そういった、一つ、環境省として、経産省と違う視点での水素戦略というのも役割というのがあると思いますので、そこをしっかり環境省としてどうしていくのかというところが書けるようにしていきたいというふうに思います。
 回答になっていますでしょうか。
【竹ケ原委員長代理】 今のは、どちらかというと、あれですか、亀山先生のご指摘に対してのご回答。
【奥村室長】 そうですね。亀山先生に。
【亀山委員】 ありがとうございます。よろしくお願いします。
【永森室長補佐】 浅見先生からのコメントでありました、やっぱりビジョンをというところで、基本計画でウェルビーイングというところであったり、循環共生型社会というところで、そこが一つのビジョンというふうに、この推進戦略自体が基本計画の下で、新しく策定するということになっておりますので、そこがキーワードになってくるかと思います。また、そこに対して、どうアプローチしていくかという段階で、やっぱり人文・社会科学の先生方が巻き込めるかどうかというところも関わってくるのかなというふうに思っておりまして、そこをどう具体的にイメージできるようにしていくか、それぞれの重点課題について書いていくかというところについては、アドバイスいただきながら工夫していきたいというふうに思います。
【竹ケ原委員長代理】 以上でよろしいでしょうか。
【永森室長補佐】 古米委員からご指摘ありました課題と方策のところの対につきましては、本当にご指摘いただきまして、ありがとうございます。国環研の不変の原点というところと、そういう、もう一つの、地域のところですね、そこにつきまして、対応できているように記載していきたいと思います。
 あと、酒井先生からご指摘ありました国際ルールの形成のところで、もう少し踏み込んだ記載をすべきではないかというところです。実際、少し課題、前段の部分のところでELV規則案に対する対応というところも、今回、追記いたしまして、具体的な課題についてのアプローチがまず一つあるのかなと思っております。そして、どこにどういった人材がいて、そこから、実際、国際ルールまでリーチできるのかというところは、大きな課題というふうに思っております。そこの部分についても、書きぶりを工夫していきたいというふうに思います。
【竹ケ原委員長代理】 よろしいでしょうか。ほかは、何かまだ追加はございますか。
 一つ、1点、私もちょっと気がついたんですが、先ほど広井先生からご指摘があって、ウォーカビリティとか、都市の対応というのも大事だよが、本文だけ見ているとなかなかそこが浮かび上がらないというご指摘。実は、最後のところの技術開発例のところに悉皆的にいろんなものを書き込んでおられますが、ただ、これは例示という扱いになってしまっているので、せっかく最後のところの別紙1ということで、いろんな技術にちゃんと目配りしているのに、本文でそれが伝わらないのももったいない気がしました。もし、せっかく例として挙げられたものが、少なくとも抽象的にはここに書いてありますみたいな対応関係というんでしょうかね、少し工夫されたら、よりよくなるかなというのはちょっと感じました。
 ありがとうございます。
 それでは、ほかにご意見いただける先生方はいらっしゃいますか。
 よろしいですかね。
 では、ちょっとお時間もありますので、ここまでにさせていただきまして、本日いただいたご意見を踏まえまして、本戦略素案を修正いただくことになります。修正案は、冒頭申し上げましたとおり、パブリックコメントにかけることになります。したがって、本案の取りまとめは、この場で一旦お預かりすることになるんですが、これを、本日ご欠席でありますが、森委員長のほうにご一任いただくということで進めたいと思うんですが、先生方、いかがでしょうか。
(異議なし)
【竹ケ原委員長代理】 ありがとうございます。それでは、その方向で修正のほうをお願いいたします。
 それでは続きまして、議題の(2)今後の予定についてに移りたいと思います。
 事務局からご説明お願いできますでしょうか。
【奥村室長】 ありがとうございます。
 それでは、今後の予定について、ご説明させていただきたいというふうに思います。
 今、画面に出ておりますけれども、資料2でございます。本日の第22回の環境研究・技術開発推進戦略専門委員会で頂戴しましたたくさんのご意見、これを踏まえまして、事務局のほうでパブリックコメント案を作成して、これをパブリックコメントにかけていきたいというふうに考えております。このパブリックコメントでさらにいただいたご意見を取りまとめ、修正案を事務局のほうで作成いたしまして、次回、令和6年6月から7月頃を予定しておりますけれども、次回の専門委員会にて、この推進戦略の報告書案として取りまとめていただきたいというふうに考えてございます。これをその後に令和6年7月頃と書いておりますけれども、中央環境審議会の総合政策部会にて、答申案として審議いただきまして、これを答申として進めてまいりたいというふうに考えてございます。
 今後ともよろしくお願いいたします。
 進め方案は以上でございます。
【竹ケ原委員長代理】 どうもありがとうございました。
 それでは、今いただいた今後の進め方について、何かご質問等おありになる先生方がいらっしゃれば、お願いいたします。
【古米委員】 古米ですけれど、よろしいでしょうか。
【竹ケ原委員長代理】 お願いいたします。
【古米委員】 ありがとうございます。古米です。
 パブリックコメントに関してお聞きしたいんですけれども、きっと環境省等のホームページに出て、ご意見をいただく形になろうかと思います。特に環境研究や技術開発なので、例えば、日本学術会議等を通じて環境の関連学会にパブリックコメントが求められていますよというようなアプローチをするのは可能でしょうか。通常のパブリックコメントとしてはあまり行われないのかも分かりませんけれども、そういった方法でいろいろなところから情報を得ることは可能なんでしょうか。
【永森室長補佐】 古米先生、一つ確認させていただきたいのですが、手続的には、パブリックコメントの案をホームページ、e-Govとか、政府共通のサイトに掲載する形となります。先生のご質問は、学術界から積極的に意見をいただくような形にしたほうがいいというご趣旨でしょうか。
【古米委員】 そうです。プッシュ型というんですかね。環境研究や技術開発なので、そういった学会には関係者も多くおられるので積極的にお声がけをするようなことです。通常のパブリックコメントの方式から逸脱するのかも分かりませんけれども。幅広く意見聴取する方法としてはあるのかなと思います。本来、この種のパブコメではやってはいけないのか、そこら辺、自信はないんですけれども。日本学術会議の中に環境関連の学協会連合があると思うので、そういったところを活用すると、幅広く意見収集ができるのではないかなと思って、質問をさせていただきました。
【永森室長補佐】 コメントいただきまして、ありがとうございます。先生ご指摘のとおり、幅広く専門の方々から意見をいただく非常に貴重な場かと思いますので、そういったところにアプローチ、ご案内できるようなやり方はもちろん問題ないということになりますので、少し、どこにご相談するかというところも含めて、考えていきたいというふうに思います。
【古米委員】 どうもありがとうございます。
【竹ケ原委員長代理】 古米先生、ありがとうございました。
 それでは、ほかにご意見、ご質問がある方がいらっしゃれば、お願いいたします。
 どうもありがとうございました。
 それでは、ご質問、ご意見等、特段ございませんようですので、以上をもちまして、本日の審議のほうは終了とさせていただければと思います。
 最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
【奥村室長】 事務局でございます。
 皆様、長い時間にわたりまして、また、大変貴重なご意見をたくさん頂戴しまして、どうもありがとうございました。
 本日の議事録につきましては、事務局のほうで取りまとめを行いまして、委員の皆様方にご確認いただきました後に、環境省ホームページに掲載させていただきたいというふうに思います。
 また、次回の専門委員会については、先ほどご説明しました資料2のとおり予定しておりますが、詳細につきましては、決まり次第、ご連絡をさせていただきたいというふうに思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【竹ケ原委員長代理】 では、よろしいですか。
 以上をもちまして、第22回環境研究・環境技術開発推進戦略専門委員会を終了とさせていただきます。
 本日は、先生方、どうもありがとうございました。