第23回環境省国立研究開発法人審議会 会議録
開催日時
令和5年7月13日(木) 10:00~12:00
開催場所
WEB開催
出席者
・委員
中村太士会長、大久保規子委員、小野田弘士委員、郡山千早委員、佐藤薫委員、高橋隆行委員、山室真澄委員
・環境省
大臣官房
鑓水統括官
総合政策課
奥村環境研究技術室長
・国立環境研究所
木本理事長
森口理事
高澤理事
東企画部長兼環境情報部長
岩崎連携推進部長
今井総務部長
中村太士会長、大久保規子委員、小野田弘士委員、郡山千早委員、佐藤薫委員、高橋隆行委員、山室真澄委員
・環境省
大臣官房
鑓水統括官
総合政策課
奥村環境研究技術室長
・国立環境研究所
木本理事長
森口理事
高澤理事
東企画部長兼環境情報部長
岩崎連携推進部長
今井総務部長
議題
(1)令和4年度業務実績年度評価書(素案)について
(2)その他
(2)その他
資料
【資料0①】第23回 環境省国立研究開発法人審議会 議事次第[PDF 90KB]
【資料0②】R5_今年度の審議事項[PDF 448KB]
【資料0③】環境省所管独立行政法人の業務実績評価基準(抜粋)[PDF 103KB]
【資料1】国立環境研究所の概要[PDF 2.5MB]
【資料2】国立環境研究所令和4年度業務実績等報告[PDF 11.2MB]
【資料3】令和4年度 業務実績等報告書[PDF 13.2MB]
【資料4】令和4年度 業務実績等報告書(資料編)[PDF 20.5MB]
【資料5】令和4年度 決算関係書類[PDF 11.2MB]
【資料6】令和4年度 監査報告書[PDF 2.7MB]
【資料7-1】令和4年度に係る年度評価(素案)項目別評定総括表[PDF 258KB]
【資料7-2】令和4年度に係る年度評価書(素案)(抜粋)[PDF 1002KB]
【資料8】令和4年度に係る年度評価書に対する意見シート[PDF 175KB]
【資料9】令和3年度業務実績評価書(令和4年8月30日 )における指摘事項への対応状況[PDF 203KB]
【資料10】今後の予定[PDF 90KB]
参考資料
【参考資料1】環境省国立研究開発法人審議会委員名簿[PDF 75KB]
【参考資料2】環境省国立研究開発法人審議会審議会運営規則[PDF 137KB]
【参考資料3】独立行政法人通則法[PDF 1.3MB]
【参考資料4】国立研究開発法人国立環境研究所法 [PDF 220KB]
【参考資料5】国立研究開発法人審議会令[PDF 106KB]
【参考資料6】独立行政法人の評価に関する指針[PDF 690KB]
【参考資料7】環境省所管独立行政法人の業務実績評価基準[PDF 399KB]
【参考資料8】令和3年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等に係る点検結果等について[PDF 535KB]
【参考資料9】国立環境研究所第5期中長期計画(R3-R7)(中長期目標を含む)[PDF 2.4MB]
【参考資料10】令和4年度国立環境研究所年度計画[PDF 1.1MB]
【参考資料11】令和4年度国立研究開発法人国立環境研究所調達等合理化計画[PDF 289KB]
議事録
【加藤環境研究技術室長】 既に定刻になりましたので、第23回環境省国立研究開発法人審議会を開催します。まず、本日は審議会の先生方7名、全員ご出席となってございます。したがいまして定足数を満たしてございますので、審議会は成立してございます。 また、本日の審議会は公開で実施してございますので、傍聴希望の方もWebで接続してございます。さて、本日は昨年度同様にウェブ開催となってございまして、開催に際して何点かご協力を賜りたいことがございます。環境省側の回線容量に問題がございまして、基本としましてカメラ接続は切りますが、資料は適宜、画面共有します。また、ハウリングや発言者が不明になることを防ぐために、発言者のみ、カメラ・マイクをつなぎ、発言の冒頭にご氏名を名乗ってからご発言ください。なお、状況によりましては、事務局側でマイク等の操作を実施しますので、ご了承ください。また、ご発言を希望される場合は、マイク・カメラをつなぎ、ご自身の氏名の右側にございます挙手ボタンで発言したい旨を表示してください。基本はこの挙手ボタンでの確認対応となりますが、挙手ボタンが上手に作動しない等の可能性ございますので、カメラ・マイクを使って発言したい旨を展開されても問題ございません。さて本日は、委員改選後、初めての審議会でございます。花木会長が退任され、今期から小野田先生がご就任になりました。この機会にご挨拶を頂戴できますと幸いでございます。小野田先生、よろしくお願いいたします。
【小野田委員】 早稲田大学の小野田と申します。国環研の先生方には多方面でお世話になっております。私自身はもともと専門は機械工学で、その中の熱工学をやっておりまして、分野としては、廃棄物処理資源循環エネルギーですね、といったところを取り扱っています。また、環境研究技術室さんとの関係では、環境スタートアップの話ですとか、オープンイノベーション的な活動もしていることから、お声がけいただいたというふうに認識しております。お役に立てる範囲で参加させていただければと思います。よろしくお願いします。私からは以上でございます。
【加藤環境研究技術室長】 ありがとうございました。また、7月1日付けの環境省の人事に関する内容を展開します。総合環境政策統括官として、上田の後任で鑓水が着任してございます。また、本日は業務により欠席ですけれども、総合環境政策グループ担当の大臣官房審議官の小森の後任に堀上が、総合政策課長の西村の後任に小笠原が着任してございます。それでは、総合環境政策統括官の鑓水よりご挨拶申し上げます。
【鑓水環境政策統括官】 7月1日付で、総合環境政策統括官を拝命いたしました、鑓水でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 本日はご多用の中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。審議会の開会に当たりまして、一言ご挨拶させていただきます。 昨年度は、令和3年度の実績評価に対しまして、大変ご多用の中、委員の皆様方から貴重なご意見を賜りましたこと、まずは心より御礼申し上げたいと思います。 今回及び8月の審議会におきましては、第5期中長目標期間の2年度目に当たる令和4年度の業務実績についてご説明させていただき、評価の素案についてご意見をいただきたいと考えております。 国立環境研究所は、昭和49年、国立公害研究所といたしまして設立されて以来、我が国の環境科学の中核的研究機関として幅広い研究を推進しており、第5期中長期目標期間中の来年には、発足から50年を迎えることになります。 今の環境行政は、持続可能な経済社会の構築に向け、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブ、これを一体的に推進して、経済・社会全体を変革することが必要であると認識しております。 国立環境研究所は、我が国の環境科学分野を牽引する役割を担い続ける中で、それらの社会課題に対して、国の政策と密接に連携して取り組んでおります。扱う課題が複雑化、多様化する中で、その研究成果を最大限に活用し、国立環境研究所と環境省が相乗効果を生んで、課題解決に取り組んでまいりたいと思います。 こうした状況を踏まえまして、本日は国立環境研究所が研究成果の最大化に向けて、着実に成果を上げられているか、また、適正、効果的かつ効率的な業務運営ができているかどうかなどにつきまして、ご審議いただきたいと思っております。どうぞ忌憚のないご意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
【加藤環境研究技術室長】 ありがとうございました。なお、統括官は用務のため途中退席となりますこと、ご了承ください。 続きまして資料を確認します。電子媒体で資料を送付してございます。資料の目途として、議事次第、今年度の審議事項、環境省所管独立行政法人の業務実績評価基準の三つの資料と、議事次第に記載しましたとおり、10種類の資料と参考資料がございます。資料に過不足等ございましたら、事務局にご連絡ください。メール等で対応するようにします。 さて本日、改選後の最初の審議会となりますので、会長の選任までは、事務局にて議事を進行します。 それでは早速、会長の選出に入ります。 環境省国立研究開発法人審議令第4条第1項の規定により、審議会に会長を置き、委員のうち、委員が選挙をするとされてございます。どなたか立候補もしくは候補者についてのご意見ございますでしょうか。 大久保先生。
【大久保委員】 大久保でございます。中村委員を推薦させていただきます。中村委員は、これまで極めて真摯に国環研の業績評価に従事してこられましたので、適任だと思いますが、いかがでしょうか。
【加藤環境研究技術室長】 ご推薦ありがとうございます。そのほかご意見ございませんでしょうか。
(なし)
【加藤環境研究技術室長】 ご意見ございませんので、中村先生を会長に選出したいというふうに存じますけれども、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【加藤環境研究技術室長】 ありがとうございます。それでは、これからの議事進行は中村会長にお願いいたします。
【中村会長】 皆さん、おはようございます。今ご指名いただきましたので、会長をお引き受けいたしたいと思います。 私自身は、川や森の生態系についてやってきて、国環研の特に自然環境関係の皆さんと様々なプロジェクトもご一緒させていただきました。何分、花木前会長のようにうまくいかないと思いますので、皆さんのお力を借りて運営できればと思っています。よろしくお願いいたします。 それでは時間も限られていますので、早速ですが、議事に入らせていただきたいと思いますが、その前に、まず手続に入らせていただきたいと思います。 環境省国立研究開発法人審議会令第4条第3項に「会長に事故があるときは、委員のうちから会長があらかじめ指名する者がその職務を代理する」と規定されています。会長代理につきましては、私のほうから、大久保委員にお願いしたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
【大久保会長代理】 承知いたしました。よろしくお願いいたします。
【中村会長】 ありがとうございます。 それでは議事に入ります前に、本日の審議事項と審議の進め方について、事務局からご説明をお願いいたします。
【加藤環境研究技術室長】 環境省の加藤でございます。それでは議事を進めるに際しまして、本日の審議事項と、審議の進め方について事務局からご説明します。 資料0‐②の資料をご覧ください。こちら審議事項に関する資料となってございます。 本年度は、本日、7月13日と8月23日の2回の審議会を予定してございます。 本年度は、このスライド右下の助言対象の中の②にございます業務実績の評価の中で、点線で囲んだ部分の令和4年度の年度評価が対象となってございます。 年度評価ですが、研究開発成果の最大化等が目的でございまして、国立環境研究所の自己評価結果、外部評価結果等を踏まえまして、中長期計画の実施状況に留意しつつ、業務の実績の全体について総合的な評価を実施することになります。Bを標準とした5段階での評定となります。 なお、ここに記載されてございませんが、評価に際しては、もう一個前のページがいいかもしれません。申し訳ございません。 ここには記載してございませんが、評価に対しては難易度と重要度も加味する必要がございます。難易度高く設定した目標に限りましては、評点を一つ高くすることについて考慮することになります。また、重要度が高い業務とされた項目につきましては、総合評点をつける際に十分考慮するというふうにされてございます。 さて、令和4年度は、第5期中長期目標の2年目となってございまして、ここに示すような構成となってございます。点線で囲みました第3から第6の内容が、業務の中身に該当することになりまして、これらを評価することになります。 第3は、研究成果の最大化、その他の業務の質の向上に関する事項でして、研究に関する評価等になります。 第4から第6は、効率化や財務内容の改善、その他ということでして、業務のマネジメントに関する内容になります。 本日は研究に関わる第3の前半部分、一つ目のポツの(4)までの部分と、第3の残り2、3とマネジメントに関わる第4から第6の部分、二つに分けて議論を進めたいというふうに考えてございます。 審議の進め方ですけれども、本日7月13日は、国立環境研究所から業務実績等報告・自己評価の説明を頂戴し、その後、環境省から評価素案をご説明します。この評価素案は、先ほどの5段階評価を素案として付けたものでございます。 その後、監事の方々にもコメントを頂戴した後、質疑に入りたいというふうに考えてございます。 そして、8月23日の2回目の審議会までに、審議会の先生方と事務局にてやり取りを進めまして、8月23日と2回目の審議会で評価書について審議し、決定することになります。 審議事項の進め方については以上になります。何かご質問ございますでしょうか。
【中村会長】 皆さんのほうから何かご質問ありますか。よろしいですか。
(なし)
【中村会長】 それでは、途中でご質問いただいても結構ですので、ひとまず先に進めさせていただきます。 議事に入りたいと思います。議題は、令和4年度に関わる業務実績等報告及び評価書素案についてです。 初めに国立研究所の説明がありますが、国立研究所の概要等の説明からお願いいたします。
【木本理事長】 ありがとうございます。国立環境研理事長をしております木本でございます。中村先生には会長をお引き受けいただきまして、ありがとうございます。 私の話は、国立環境研の概要ではございますが、新任の小野田先生を除いては、昨年、委員の先生方には概略を説明しておりますし、小野田先生にも別途時間を取っていただきまして、簡単ではございますが、先日説明したところではございますので、やや簡潔に要点を絞ってお話ししたいと思います。 国立環境研究所、環境省に続きまして、まもなく発足から50年、半世紀を迎えます。来年の3月15日ですけれども、環境省の方々の国会のスケジュールも考慮いたしまして、6月頃にイベントをやりたいと思っていますので、ここにご列席の皆さんもぜひご出席いただきたいなと思っております。 公害研究所として発足いたしまして、環境問題が広がるにつれて、国立環境研究所と名前を変え、21世紀に入ってからは法人として5期にわたり、5年間の中長期計画、今回は第5回目と、第5期ということでございます。その2年目の評価を本日していただくことになりました。 これは我々のモットーでございますが、国民と環境省のために働きたい。そしてそれに誇りを持っているということを毎日忘れないようにリピートしておるわけでございます。 概要をお伝えします。予算はおおよそ200億をいただいております。そのうち2割弱を受託収入として稼いでというか、賄わせていただいております。 この表の数値は補正予算を含んだり、含まなかったりということで若干上下しておりますが、これにはさほどの意味はございませんで、概略200億のお金を使って任務を遂行していると。それを、おおよそ総勢900名弱で任務を執行しております。そのうちの約300名弱ですね、これが正規の職員でございまして、研究職員が220名強、それから残りは各支援部門ということでございますが、研究系のほうは契約のポスドクであるとか、特別研究員、そういう方もいらっしゃいますので、研究を約350名弱で遂行し、それを500名以上の方々に支援していただいているという形になっております。 組織の体制でございますが、八つの基礎・基盤的な部門がございまして、この研究実施部門の下にぶら下げて描いてあるてるところでございますが、ここに環境に関わるいろいろな専門分野がございまして、研究職員はこれのうちのどれかに所属し、そして課題を決めて、プロジェクト的に行わなければいけないものは、この領域も超えてやると。右側のほうは企画支援部門でございまして、第5期は企画支援部門の強化にも取り組んでおります。まず、デジタル庁やDX関連で、ポートフォリオマネジメント、PMOをしっかりしなさいということで、セキュリティーも含め、その体制を強化し、あるいは外部資金、あるいは外部の研究機関との協働、ともに働くところを支援するシステム、組織も強化いたしまして、あとは国民の皆さんに研究の成果をお届けする広報にも力を入れております。 というわけで、今少し話をいたしましたが、中長期の中では、いろいろなことに力を入れておりますが、国内外機関との連携及び社会実装の推進を外部資金室や、連連携推進部というのは第5期に新設したものですが、その中に外部資金室という特別の室を設けまして、外部資金に関する情報の統括を図る。それから研究者が研究プロジェクトなどを立ち上げたり、あるいは外部との連携をしやすいように、研究連携支援室を設けたり、さらにシニアの方、あるいは若い方もいらっしゃいますが、6名ほどの産学連携コーディネーターと、そういう役割を持った者も充てております。 これは先ほどのご説明と少しかぶりますが、八つの基礎・基盤的な領域、そして第5中長期は、この基礎・基盤的なところを、ぜひとも皆さん委員の方々のご意見を聞きたいということで、ここを強調しております。そこだけではなくて、領域から領域をまたいで、5年の目標を決めて行う戦略的研究プログラム、今のような中長期期間に限らず、国からの要請に応じて、中長期期間の枠を超えて実施する事業、これはエコチルと呼ばれるコホート調査、それとGOSATと呼ばれる地球観測衛星、温室効果ガスの観測衛星、それから気候変動適応法、法律によって定められました気候変動適応に関する業務、国民の皆さんが適応策を立てるのにサポートしなさいと、そういう業務も行っております。 その中で、研究業務について、第5中長期においては、基礎・基盤的なところに力を入れて評価していただきたいとお願いして、外部研究評価委員会というのを12月に実施しております。今回も大部の資料が先生方にお届けされているとは思います。外部研究評価委員会でも、申し訳ないのですが、先生方には大部の資料を見ていただいて、多数のご意見をいただいております。 第5期の1年目では、かなりといいますか、びっくりするほど高い評価を頂きまして、この先、5年間大丈夫だろうかと思っておりましたら、2年目は少し落ち着いた感じですが、相変わらず高い評価を頂いております。 そのほか、個別のことではなくて、全体に対してもご意見ございませんかと外部評価委員会の先生方にお聞きしたのですが、ほぼ絶賛に近い好意的なコメントをいただきまして、私としては大変うれしく思ったところでございます。 それから、2年目の総括ということですが、広報関連の組織を統合して、より効率的に広報事業が進められるようにした。それから気候変動適応業務について学際的な研究を推進して、それから地域において研究成果を社会実装するという、これから福島だけではなくて、九州でも中国地方でも、地域の皆さんと一緒に研究成果の実装に取り組んでおります。 それから業務運営面についても、情報のデジタル化、効率化や、それから50年経って、建物がかなり古くなって、かなりの不具合も出てきておりますので、環境省の方々にもお願いして、建て替えを少しずつやりましょうということで、昨年度はかなり大きく進んだところでございます。 ちょっと冗長になった部分もあるかもしれませんが、概略の紹介は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
【中村会長】 ありがとうございました。概要についてのご質問については、この後の質疑応答においてお尋ねいただければというふうに思います。 それでは、次の第5期中長期計画の項目に従って審議をしてまいります。進め方としましては、まず、国立環境研究所から、令和4年度の実績報告書等についてご説明いただいた後に、事務局から評価書案についてご説明いただき、その後で、委員の皆さんからの質疑応答を受けたいという、そういった流れでまいりたいと思います。 一方で、評価対象が広い部分にわたりますので、先ほど加藤室長よりご説明がありましたとおり、二つに分けて行いたいと思います。 初めに、第5期中期計画の第3、研究開発の成果の最大化、その他の業務の質の向上に関する事項。1、環境研究に関する業務について、国立環境研究所から業務実績報告等の説明をいただいた後、事務局よりこの部分の評価素案について説明を受けて、最後に質疑に入らせていただきます。それでは、まず資料2からお願いいたします。
【森口理事】 会長、ありがとうございます。研究担当理事5年目を務めております森口でございます。資料に沿って、業務実績等報告の前半部分説明いたします。限られた時間枠で駆け足になりますけれども、よろしくお願いいたします。 例年示しております研究の進捗管理の全体像でございます。外部研究評価委員会における評点等は、この後の説明の中でもお示しいたします。このほか、所内での研究評価、海外専門家による助言の仕組みを持っております。 中長期目標の構成に対応して、評価項目は15項目からが構成されておりまして、この第3の項目の区分構成1、2、3は、国立環境研究所法に定められた業務の構成と対応しております。 こちら、青字の環境情報、それから気候変動適応につきましては、第4以降も併せまして、後半で企画総務担当の高澤理事から報告することとし、私からは第3の1、環境研究についてご説明を申し上げます。 先に自己評価の総括をお示ししておきます。(1)~(4)で、全て自己評価はAとしております。 これ理事長から先ほどお示ししましたけれども、例年お示しております全体像で、第3の全体像、このブルーの部分でございます。以後、この図に戻って、どこを説明しているかを参照しながらご説明申し上げます。 では項目(1)~(4)まで、令和4年度分の成果について順次ご報告をいたします。 最初の区分は(1)重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進ということで、具体的には戦略的研究プログラムというタイトルをつけております。ちょっとこの区分名が長いため、以後、戦略的研究プログラムいうタイトルのもとでご説明をいたします。 八つのプログラムがありますけれども、気候変動関係につきましてはプログラム間の連携をより強く意識して、気候危機対応研究イニシアチブを組織しております。評価軸はここに示したとおりです。番号順に順次成果をご報告いたしますけれども、⑧の気候変動適応研究プログラムにつきましては、適応に関する支援業務と併せまして、まとめて後半で高澤理事からご報告いたします。 昨年同様、各プログラム2枚1組のスライドを用意し、1枚目で全体の概要、2枚目で特筆すべき成果の一つに絞ってご紹介いたします。一つしかご紹介できないのですが、外部評価では1プログラム20分ぐらい割り当てまして非常に丁寧に評価をいただいております。 それでは最初のプログラムですけれども、気候変動大気室研究プログラム、これは温室効果ガスとともに、短寿命気候汚染物質SLCFも重視しまして、自然科学、社会科学にまたがる3プロジェクトから構成しております。 特筆すべき成果といたしましては、降水量変化の将来予測における不確実性の低減ということで、従来モデル間のばらつきが非常に大きかったわけですけれども、67の気候モデルの結果を観測と比較し、気温の再現性が整合的できていないモデルを比較することで、降水量変化の不確実性を低減することに成功しております。 2番目は物質フロー革新プログラムで、こちらも三つのプロジェクトから構成され、それぞれのプロジェクトの目標とする成果、さらには目指す社会的帰結をこちらに掲げております。 昨年は非実験系のPJ1の成果を紹介いたしましたけれども、今回、小野田先生のご専門に近いということもございまして、PJ3の技術開発の成果の一端をご紹介いたします。 バイオマス有機性廃棄物処理の脱炭素化に向けまして、熱分解温度の制御、カリウムの添加、燃焼灰とCO2の循環利用など、エネルギー回収量の増大と、バイオ炭の高機能化の条件を特定いたしました。 三つ目は包括環境リスクです。影響の行き着く先として人間の健康への有害性、生態系への有害性の両面を捉え、曝露計測、環境動態モデルなど、手法面のプロジェクトが支えながら包括的なリスク評価指標を目指すというゴールを掲げております。 PJ4、環境動態の成果をご紹介しておきます。世界で製造される化成品について、製造量の分布と、それから、製造量ごとに応じた排出係数の回帰モデルを作成いたしまして包括的に排出量を推定するという検討を進めまして、これをもって、生態リスク指標の開発が進展いたしました。 四つ目は自然共生プログラムです。三つの劣化要因ごとに対処と保全計画を提示するプロジェクト、それから生態系を活用した持続的利用に関するプロジェクト、そして保全と利用の両面からの統合的アプローチ、計五つのプロジェクトから構成されております。赤字でそれぞれの成果の要点も付記しております。 PJ1、2にまたがりますが、絶滅危惧種ヤンバルクイナを対象とした域内・域外の統合的保全に関する成果です。域内保全に関しては捕食者の検出や、細胞を用いた感受性評価系の構築を進めました。域外保全については、環境収容力を高めても個体数の減少傾向が続くことが示唆されましたので、種の存続可能性の担保には、飼育個体群の維持が必要と考え、タイムカプセル等の保存細胞の活用も検討をしております。 五つ目は、脱炭素・持続化の社会プログラムです。脱炭素、カーボンニュートラルという言葉が頻繁に聞かれるようになりましたけれども、持続可能な社会というより大きな問題との同時達成が必要でございます。地球規模、日本、アジア諸国の国レベル、そして将来世代との公平性の考慮ということにフォーカスした三つのプロジェクトから構成されております。 そのうち世界レベル、PJ1のモデル開発の成果でありまして、世界全域の2050年脱炭素シナリオ、特に農業、土地利用分野の脱炭素戦略を進めることにより、飢餓リスクへの影響がどうであるかということを、温室効果ガス削減費用の増加、それからバイオエネルギー作物の生産拡大、そして大規模植林の三つの要因の寄与を評価いたしました。これの中では大規模植林が最も影響を与える可能性があるということを明らかにしております。 一つ前のプログラムが、国から国際スケールであるのに対し、持続可能地域共創プログラムでは国内の地域、自治体レベルでのローカルな取組に主眼を置いております。事例研究の対象地域、地域に適した技術、地域診断ツール、そして社会実装の課題解決を切り口とする4プロジェクトから構成されております。 今回紹介するのはこのPJ2の技術に関する成果でありまして、化学コンビナートにリサイクル困難な可燃廃棄物を集積し、エネルギーだけではなく、化学原料も供給する仕組みの事業化の検討を進めております。 廃棄物焼却熱の産業利用については、海外では事例が徐々に増えつつあります。CO2の排出削減効果や経済性について科学的に示した上で、実現に向けた産官学の連携体制の構築が進展しつつございます。 災害環境研究プログラムも地域に密着した課題で、大震災以降、非常に注力してきたものでございます。第4期には、災害環境研究プログラム3課題を実施しておりましたけれども、これらを1課題に再編いたしました。放射性物質汚染を含め、環境影響・修復を扱う二つのプロジェクト、災害からの復興・環境創生に関する二つのプロジェクト、そして災害廃棄物・災害時の有害物のマネジメントを扱う二つのプロジェクトの計六つのプロジェクトの主な内容をこのスライドで示しております。これらにより、将来の災害に備えた地域の災害環境レジリエンスの向上に貢献するということを目的としております。 代表的な成果一つだけ示しておきます。避難指示で人が住まなくなったことによる野生生物、具体的には野鳥の分布への影響を解析いたしました。避難指示の前後、ビフォーアフターと指示区域の内か外かということの両方を考慮したモデルを用いて、野鳥がどのぐらいの頻度で観察されるかということの評価を行いました。 従来のモデルは避難指示の影響、やや過大評価していたということが分かってまいりまして、真に避難指示の影響を受ける里地・里山の地域の指標となる鳥は何かということを抽出することができました。 戦略的研究プログラムのうち、気候変動に関する課題を一体的に推進するのが気候危機イニシアチブです。直接関連する4課題に加えまして、自然共生プログラムとの間では、昨年度の指摘事項への対応として、資料9にも明記しておりますけれども、太陽光発電と自然保護の両立という問題を取り上げ、また、物質フロー革新プログラムとの間では、先ほど資源循環廃棄物分野のプログラムとしてご紹介しましたけれども、そういった脱炭素といったことを取り上げております。 また地元つくば市や国環研自身の脱炭素についても、このイニシアチブの中で取り上げてきております。イニシアチブでは、社会の関心に即した知見の創出と発信にも注力しております。IPCCの三つのワーキングそれぞれで用いられるシナリオに関して、国際研究機関IIASAで開催されたScenarios Forumでの議論の内容を紹介するウェビナーを配信しております。 こちらが戦略的研究プログラム、気候変動適応につきましては後ほどご紹介しますけれども、8課題全体の外部研究評価の5点満点での評点でございます。多少ばらつきもございますし、昨年比で上がったり下がったり、ほぼ同じ、いろいろございますけれども、全体平均としては昨年に続き4点を超える高い点をいただいております。複数のプログラムにおいて、プログラムを構成するプロジェクト間で連携した取組が実施されているということを評価いただいております。 以上、第1の項目、戦略的研究プログラムにつきましては、難易度の高い課題において、年度計画に沿って順調な成果を上げるとともに、重要性の高い研究において、環境問題の課題解決につながる成果の創出が認められたと考えまして、項目別の自己評定につきましては、Aとしております。 プログラムごとの成果をこのスライドと、次のスライドに書いておりますけれども、時間限られておりますので、ここの内容の読み上げは割愛させていただきます。 続いて項目No.2、理事長から再三申し上げておりますように、特に重視、重要であるということを改めて位置づけております環境研究の各分野における科学的知見の創出の推進にまいります。 全体概要では、この赤の点線部分で、八つの分野ごとに、基礎・基盤的な取組を三つの区分で進めてまいりました。三つと申しますのは、(ア)が先見的・先端的な基礎研究、(イ)政策対応研究、そして(ウ)が知的研究基盤で、それぞれの性質に応じた評価軸を設定しております。 基礎・基盤的取組の全体像を図で示したのがこちらで、アの基礎研究の蓄積があってこそ、イの政策対応研究が行えるという考え方を図化したもので、環境研究、技術開発の推進戦略の5領域との対応関係も意識しております。 一方、ウの知的研究基盤には、研究機関ならでは、長期にわたって継続的に取り組むことができる国内外の、あるいは所内外の環境研究を下支えする業務を位置づけております。推進戦略のこの色分けも意識しつつ、8分野の主な研究対象をこちらに示しております。 では成果について、順次ご説明いたします。まず、アの先見的・先端的な基礎研究は基礎研究ゆえに、なかなかまとまりを示すのは難しいのですが、観測から予測、対策に至るまでの研究フェーズをカバーしております。成果の上がった主要な課題をキーワードでまとめておりまして、このうち四角で囲った五つの研究事例をこの後ごく簡単にご紹介いたします。 私ども所内公募研究という制度を持っておりまして、これはそのうち一番大規模な3年計画の所内公募Aという区分で実施したものです。オキシダント生成に関連する多層反応に関する研究の成果でありまして、チャンバー実験の結果に基づきまして、水酸化ラジカルの取込み過程を大気モデルのほうに組み込みまして、その結果、オゾン濃度にそのラジカルが非常に大きく効いているということを明らかにいたしました。 これは昨年も触れました資源循環分野でのナノプラスチックの標準試料の作成ですけれども、その後さらに進展いたしまして、従来法の10倍の速度で安定してナノプラスチックの標準試料が作れる。これをもって、毒性試験にも活用できるという目処が立っております。 これと呼応する形で、リスク健康領域では、微小プラ粒子のエアロゾル化、そして計測、気液界面暴露装置による細胞レベルでの毒性評価、さらには実際には、プラスチック粒子は劣化いたしますので、模擬劣化といったこともやっておりまして、これで大気中微小プラスチック粒子の毒性評価試験系が構築できた、準備できたと考えております。 社会システム分野では、所内の電力消費量データを収集、解析しておりまして、所内あるいはひいてはつくばの脱炭素、先ほど少しお話ししました。昨今、光熱費が非常に高騰しておりまして、これの対応にも活用する成果が得られつつございます。 生物多様性分野では、AI技術を用いた生態系因果ネットワークの推定手法を、霞ヶ浦長期観測データに適用いたしました。水温、栄養塩、プランクトン間の相互作用などの関係を解明いたしまして、アオコの発生予測に結びつく可能性が示唆されております。 (イ)の政策対応研究に移ります。基礎・基盤を担う国立環境研究所の八つの研究分野、これは環境省の推進戦略の5領域、さらには環境省のさらに区分した政策体系と結びついておりまして、これらによって随時生じる環境政策上の必要性の高い課題に対応する体制が整っております。 特筆すべき成果は、スライド2枚だけ示しておきます。これもAIの活用例で、位相差顕微鏡画像中のアスベストの繊維の識別精度が向上いたしまして、迅速な判定、現場利用につながる成果が得られております。 そして半分は災害環境の研究でありまして、災害後の環境回復から復興へとフェーズが移る中、福島県での復興政策、あるいは脱炭素政策の支援のための基盤を構築しております。 (イ)の2枚目は、いずれも琵琶湖分室の成果であります。 水質につきましては琵琶湖北湖の底泥酸素消費量について、微生物活動以外が酸素消費量の5割から7割程度を占めている可能性が示唆されております。 生物のほうでは、北東岸・水田地域の人工護岸の水路・河川におけるコイ科魚類の産卵基質について調査をいたしまして、植物、石、礫など、産卵場の保全のための知見を提供しております。 2枚のスライドで紹介した四つの具体例以外にも、多少加筆しておりますけれども、推進戦略の5領域全般について、政策支援に直接つながる成果を提供しております。 基礎・基盤的取組の最後、三つ目の区分が知的研究基盤整備です。 これは、第4期には環境研究の基盤整備という区分を実施しておりました。これを継承するもので、所内外の研究者に研究基盤を提供するものです。 日本の南西端、沖縄の波照間島、東の端、北海道落石岬などでの温室効果ガスの長期観測は、この区分の代表的成果で、2021年は、CO2濃度増加率は鈍化傾向であったのに対し、メタン濃度のほうにつきましては、過去最大の増加率となりました。 下のほうですけれども、藻類など環境微生物の収集系統保存・提供も長期間続けてきた代表的な事業でございます。3,000株余りを公開し、年間1,000件程度の提供実績がございます。 今のスライドで示した二つの具体的事例も含め、モニタリング、データベース、情報提供、計測標準化、そして資料保存提供という四つの類型ごとの主要な成果をスライドにまとめております。 外部研究評価では、この3区分、ア、イ、ウごとに評点をいただく形になっておりまして、いずれも4.5前後の非常に高い評点をいただいております。 理事長から申し上げたとおり、昨年は我々の想定を大きく超えるさらに高い点をいただきまして、それに比べると多少下がっておりますけれども、国研としてのこの項目の適切さ、重要さゆえに、初年度に高い評価いただいたものと考えておりまして、今年度の成果が見劣りするというふうには考えておりません。 委員からの意見では、環境問題を非常に幅広くカバーし、主要な現在の環境問題、将来の環境問題の解明・解決に資する研究が行われている。政策提言、社会実装促進機関の役割を果たしているなど、国立研究開発法人としての適切な役割を果たしていることを評価いただいたものと考えております。 以上のことから、この項目No.2につきましても、自己評定はAとしております。 区分(ア)、(イ)、(ウ)ごとの主要意見も改めてこちらにまとめております。 私から説明する4区分のうち、3番目の区分、国の計画に基づき中長期計画期間を超えて実施する事業にまいります。全体像のこの赤枠部分で衛星観測、エコチル調査の2事業を位置づけております。 こちら中長期計画とは別に、それぞれの事業計画が示されておりますので、その計画に沿って主導的に実施されているかという明快な評価軸が示されております。 一つ目の温室効果ガスの衛星観測、いわゆるGOSATで、環境省、JAXAとの3機関の合同事業の大型事業でございます。 2009年に打ち上げた1号機、引き続き健在で運用を続けておりまして、2018年打ち上げの2号機も定常運用中でございます。3号機、正式名はGOSAT-GWと申し上げますけれども、打ち上げ予定、2024年に延期されましたけれども、そのことも含めましてフェーズの異なる3期全てに対応するために、担当部門が日夜奮闘しているという状況でございます。 地上から上空までの鉛直のカラムの平均濃度が主要なプロダクトですけれども、この衛星観測の結果と、全球25か所ある地上観測サイトにつきまして、衛星に搭載された分光器の特性が変動するということを加味した、新たなアルゴリズムを適用した結果、従来に比べまして誤差がかなり小さくなった。精度が改善されております。また、全球2.5度メッシュでの月別吸収排出量の推定結果の提供準備も進めております。 こうした実務を着実に進めつつ、プレスリリースなども交えながら、GOSATデータから得られた成果を公開しております。 メタンの濃度増加が過去最高であったということにつきましては、先ほどの日本での地上観測だけではなく、全球の衛星観測でも同様でございます。メタンの排出源は多様でありまして、何がメタン濃度を押し上げているのか、よく質問されるわけでありますが、この解析結果、この地域、中国北東部に絞りますと、天然ガスの採掘輸送の漏えいが疑われるということを明らかにした事例でございます。 この区分のもう一つ事業がエコチル調査で、ロードマップをこちらに示しております。世界的にもあまり例のない大規模なコホート調査で、着手から既に10年余りたっております。当初、胎児期から13歳までとして計画されておりましたが、さらに長期にわたる追跡ということが、既に環境省のほうで決定されております。 事業の主要な項目はこちらに示しておりまして、約10万組を対象とした全体調査、数千人規模の詳細調査を実施するとともに、継続的に調査に参加いただくためのコミュニケーション、資料やデータの保存・管理、そして調査結果に基づく研究成果の発信などに取り組んでおります。 先ほど申しましたとおり、13歳以降も調査が継続されることになりましたので、参加意思確認のためのウェブ調査などの業務が新たに加わっております。 調査データに基づく研究成果、1例だけ示しておきます。妊婦の血液中鉛濃度が高くなることで男児の出生割合が大きくなるということの関連が示されております。性比の影響については他の要因ですとか、父親の血中鉛濃度の影響など、まだまだ解明しなきゃいけない点がございますけれども、調査結果からこのような有意な差が現れております。 これら2事業につきましては、定量的なモニタリング指標が設定されております。GOSATのプロダクトのユーザー数、1号機も依然として、4期の中長期計画期間に比べまして増加しておりますし、2018年打ち上げのGOSAT-2につきましては、大幅に増加をしております。 エコチル調査の追跡率につきましては、コロナの影響もありまして制約が加わる中ではございますけれども、引き続き93%という高い参加率を維持しております。 外部研究評価では、二つの事業いずれにつきましても、第4期とほぼ同水準ないしそれ以上の評点をいただきました。個別意見の中でも国主導の事業を国立環境研究所が実務を主導する形で実施することの意義を評価いただいております。 以上、踏まえまして、項目3の区分につきましても自己評定Aとしております。ご説明した主要な成果はこちらに再掲しております。 私からの説明の最後の評価区分(4)でございます。これは国内外機関との連携及び政策貢献を含む社会実装の推進です。 全体像では、この赤枠で、これまでご説明した個々の項目に共通する横断的な取組でございます。この項目は中核的研究機関としての連携の組織的推進、国内外機関及び関係主体との連携・協働、そして成果の社会実装の3項目からなっておりまして、それぞれの評価軸が設定されております。 ①の中核的研究機関としての連携の組織的推進につきましては、先ほどの理事長からの概要説明の中で連携推進部の組織の増強についてご説明したところでございます。 様々な主体との連携という点では、第4期に福島支部という名称で設けておりました支部、第5期には福島地域共同研究拠点、地域とともに働くという名称に改めました。連携協定を含む自治体行政の支援、若年層の人材育成といった活動にも取り組んでおります。 一方、コロナ以降、海外機関との連携はかなり厳しい状況が続いておりましたけれども、マレーシアの大学と連携協定を締結し、大気汚染の曝露の健康影響をテーマで、現地での共同研究会議、これも久しぶりに開催をいたしました。 地方自治体の環境研究機関は、我々は地環研と略称しておりますけれども、こことの連携も長年続けてきた非常に重要な活動でございます。特に全国の複数、多くの機関が参画するⅡ型という共同研究の課題数は4期に比べまして増加しておりますし、地方の環境研究所の延べの参加数でいいますと、さらに大幅に増加をしております。 海洋プラスチック問題が関心を集める中、河川のプラスチックごみの実態把握は自治体のニーズの高い課題でございまして、環境省の調査ガイドラインの動画マニュアルの作成、公開も進めております。 多様な相手方との連携・協働に関するモニタリング指標を参考値の第4期平均とともにまとめた集計表でございます。昨年、ご質問ありました、国の他の研究機関との共同研究課題数が多少減っている一方で、共同研究契約の機関数の総数、かなり増えております。特に企業との共同研究の数が増えている状況でございます。中核的研究機関としての役割、様々な主体との連携・協働の両方に関わりますけれども、主な国際的活動をこちらに列記しております。 MOU等の定常的な活動と、それから毎年実施しているものを含めまして、主要な会合をこちらに列記しております。エジプトでのCOP27につきましても、現地パビリオンでのセミナー開催という形で参加しております。気候変動だけではなく生物多様性関係含め、他の分野での国際活動にも積極的に参加しております。 成果の社会実装先は多岐にわたりますけれども、環境政策の貢献がその第一であることはいうまでもございません。IPCC AR6への貢献は既に昨年も報告しておりますけれども、最後の統合報告書も公表され、引き続き解説動画の配信など知見の普及に努めております。 国内と国際の接点でありますけれども、外来生物問題、特にヒアリ対策は、専門家による環境支援の典型例であります。こういった非常によく知られている貢献に加えまして、多数の研究者が非常に地道に政策貢献を果たしております。貢献事例の数をカウントした結果をここに示しておりまして、代表的な案件名、ここに触れておりますけれども、業務実績報告書資料編110ページからの資料26-2で、25ページを割いて、分野ごとに表でまとめております。 多少前後いたしますけれども、言うまでもなく研究成果を学術的にきちんと形にしておくということは重要でございます。こちらに論文や口頭発表の件数をまとめております。 数とともに論文の質についても調査しておりまして、他機関の国際共著率が高いこと、また論文の相対被引用度も世界標準を大きく上回っているということを確認しております。 学術論文以外の様々なアウトプットをこちらに表にしております。コロナの影響で前年を下回っている項目もございますけれども、例えば、受賞数が大幅に増加しておりまして、ここでも質の高い成果を上げているということが表れているかと思います。こちらに政策貢献、社会実装の主な成果をまとめております。この項目につきましても、十分な成果が上がったと考えておりまして、自己評価をAとしております。 以上、私から項目1の1から4についてご説明をいたしました。これら4項目をまとめた全体の評価につきましてもAとしております。 冒頭にも申し上げましたように、評価項目数としましては、後半の高澤理事からの説明分のほうがかなり多いわけですが、環境研究に関する部分について、例年時間をかけて説明させていただいております。今回も約27分頂戴いたしました。長丁場お付き合いいただきまして、ありがとうございました。 私からの説明は以上でございます。
【中村会長】 丁寧な説明、しかもコンパクトにご苦労さまでした。 それでは次に、事務局のほうから、評価素案についてのご説明をお願いいたします。
【加藤環境研究技術室長】 はい、環境省の加藤でございます。 それでは、評価素案の説明の前に評定の考え方をまずご説明したいと思います。資料0-③の資料になります。現在共有されているものでございます。 先ほど森口理事より研究に関する業務実績等のご説明を頂戴しましたが、少し順番が前後して申し訳ないのですけれども、先に研究ではない部分の評定区分からご説明させてください。 スライド中段にございますが、評定Bが、目標数字を満たしているものになりまして、これが標準となります。難易度を高く設定した目標、もしくは成果水準が120%を超えると評定が一つ高くなり、さらに質的に顕著な成果が見られる場合は、さらに評定が一つ高くなり、最高評定になります。一方、目標水準を満たしてないと、CやDといったところの評点になります。 こちらが研究開発に関わる評定でございます。基本的には先ほどと同様ですが、数字で表現するところが難しいところございまして、数字を明示したものはなく、成果の創出や、将来的な成果の創出の期待等が認められるものをBとし、それに加え、顕著な成果の創出や将来的な成果の創出の期待が認める場合に評定が一つ高くなり、さらに特に顕著な成果の創出や将来に特別な成果と創出の期待等が認められるものが最高評定となります。ここにはCとDといったところは記載してございませんが、改善が期待される場合がC、抜本的な見直しを含め、特段の工夫、改善等を求める場合がDとなります。 なお、本日の最初のほうでもご説明しましたが、評価に対しては、難易度と重要度も考慮する必要が出てまいります。これらを踏まえまして、資料7の二つの資料をご覧ください。 まず資料7の一つ目になります。現在共有されているものになります。 こちらは、令和4年度に係る業務実績評価書の素案の項目別評定総括表になります。左の部分が該当します。右半分は2年前に実施しました、令和2年度第4期中長期目標期間に係る業務実績評価項目別評定総括表になりますが、令和3年度から第5期の中長期目標期間になり、評価項目の内容が変わっているところがございますので、ご注意ください。 左の表の中で、第3の部分の(4)のところまでが、先ほど森口理事が説明された部分に該当しまして、(1)の一つ目のように、重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進。(2)の環境研究の各分野におけるパーツ的知見の創出等の推進。(3)の国の計画に基づき、中長期目標期間を超えて実施する事業の着実な推進。(4)の国内外機関との連携や政策貢献を含む社会実装の推進。これら四つにつきまして素案を考えたところでございます。 結論を申しますと、国立環境研究所の自己評価と環境省の評価素案は同様となってございます。 これらの論拠を記載したものが資料7-2になります。 こちらの資料、資料自体がかなりのページ数ですので、一つ一つ説明を始めてしまいますと時間が長くかかりますので、資料の見方をご説明するということとさせてください。先ほどの総括表の左側の項目が並んでございまして、このような項目の評定をつけることになります。 2ページ目ですが、重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進に関して記載してございますが、上段に中長期目標計画が何なのかを記載し、続いて、下段に我々の評価軸、評価ごとの指標を記載してございます。 続いて3ページ目ですけれども、年度評価のポイント等、項目別評定の判断根拠となる重要な事例を、我々が考えるものを記載するというような構成になってございます。この項目では、主要な事例が3ページ目、続いて4ページ目、続いて5ページ目という形でなってございます。6ページ目から先ですけれども、こちらに関しましては、その他の項目を同様に整理したものでございます。このような論拠をもちまして、先ほど示した総括表としてまとめてございます。 環境省からの説明は以上になります。
【中村会長】 ありがとうございました。それでは、大体15分から18分ぐらい時間があるようですが、委員の皆様からご質問、ご意見あれば、挙手ボタンですね、それを押していただければと思います。よろしくお願いいたします。 山室委員どうぞ。
【山室委員】 はい、ありがとうございます。資料1と2が説明されたと思うのですけど、まず資料1からと考えていいですか。
【中村会長】 はい、どうぞ。
【山室委員】 資料1の3ページのところに、予算と人員規模という円グラフがあって、契約職員構成というところに、フェローから始まってシニアスタッフまでの分類があります。ここで私が注目しているのは、資料2でもサンプルを保存するとか、かなり高度な技能を要することが成果として紹介されていたのですが、ここにある高度技能専門員というのが、契約職員の中の研究系の中に入っていないように見えるので、どういう位置づけで、どういう待遇で、そういう高度な技能を持った方々を確保して、将来的に維持しようとしているのかについて、ちょっとここからは読み取れなかったので教えていただきたいと思います。
【木本理事長】 ありがとうございます。理事長の木本でございます。契約職員の中にも研究員と呼んでいる方と、それから高度技能専門員やアシスタントと呼ばれる方がおります。研究員と呼んでいる方々は、基本は研究をして論文を書く、やわらかく言うとそういう方。高度技能専門員という方は必ずしも論文を書くわけではないが、資料を収集したり、サンプル、サンプルというか、例えばラットの飼育をしたりとか、通常の方ではできない高度な技能を持った支援スタッフというふうに位置づけております。本来でしたら、そういう方々も正規職員としてお雇いしたいところではございますが、国から頂ける人件費には限りがございますので、研究費のほうから賃金を捻出して、高度な技能の方々を確保するように努めておるわけでございます。こういう説明でよろしいでしょうか。
【山室委員】 ありがとうございます。私の前の職場の地質調査所だと、岩石を薄く削って薄片にするというのが非常に重要な部分で、そこの方々というのはもう本当に神技なので、私の記憶だと正規職員だった記憶があります。なので、そういう高度な技術を持った人というのが、安定して国立環境研究所で活躍できるような体制も今後ちょっと目指していただけるといいのかなと思いました。 以上です。
【森口理事】 ありがとうございます。研究担当理事森口から、若干の補足をさせていただきます。 グラフの中で研究系と集計をしているのは、これ研究職といいますか、ポスドクと正規の研究職ですけれども、先生ご指摘のように、高度技能専門員がいなくては研究が立ち行かないというのがございますので、また、アシスタントスタッフの中にも実験を補助するスタッフがおりますので、より広い意味での研究系のスタッフ数を参考に示すなどして、より工夫をしたいと思います。 それから高度技能専門員の方、無期雇用に転換しておられる方もたくさんおられますので、やはり長期にわたって我々の研究を支えていただくという体制については、我々のほうとしても、できる限り進めているところでございます。 以上、私からの補足でございます。
【山室委員】 ありがとうございました。資料2についても、ちょっと2点ぐらいあるのですけれども、ここで一旦切った方がいいですか。
【中村会長】 いえ、どうぞ続けてください。
【山室委員】 ありがとうございます。ちょっと資料2で、今までご説明あったところで、まず一つは16ページの包括環境リスク研究プログラムで、化学品由来の全化学物質の包括的な排出量の推定と生態リスク指標の開発ということが説明されています。左下のグラフに、製造量Qと水域への排出係数eWの回帰分析というのが書かれていて、これはだから化学物質が最終的に水域に出ていくという過程で、その生態的な影響リスクを調べているのか。それともその化学物質を、例えば陸上でも私たちが吸うなど、昆虫とか陸生の生き物も、やっぱり生態系としては、特に私たちは地上に生きているので、水の中よりは地上の生態系のほうが影響というのはより感じると思う。ですので、これ多分1枚に示すためにこうなったのだと思うので、一体これ何をされた研究なのかっていうのをもう少し教えていただきたいというのが1点です。 それから73ページに、広報についてご説明があって、それで最近の特に若者は動画しか見ないというのがあって、研究所のYouTubeチャンネルで一番下のポチですね、IPCCの6次評価書報告の解説動画は7件公開と書いてあるのですけれども、これ7件で2万回弱しか再生されてないというのは、余り見られているほうじゃないような気がするのですけれども、これを書いたというのは、こんなに見られたと思っているのか。というのが、ちょっと不安に思ったので、つまり7で割ると3,000、4,000とか、それぐらいになりますよね。1,000オーダーで見られているというふうになるのかというのがちょっと疑問に思いまして、私だったら今後もっとアクセスされるように努力するとか、一言添えたいと思うのですが、その点どうかということと、その2点です。ありがとうございました。 【森口理事】 ありがとうございます。2点目につきましては、後半の環境情報業務も若干関係するところございますけれども、今、このIPCC関係につきましては、後ほど三枝領域長のほうからお答えする形にしたいと思います。 1問目の後16枚目のスライドにつきましては、オンラインで、山本プログラムリーダー、回答可能でしょうか。
【山本プログラムリーダー】 包括環境リスク研究プログラムの総括をしています山本です。山室先生、ありがとうございます。ご回答させていただきます。 このグラフの左下のこのものなのですが、全化成品ということなので、化学物質全体を捉えようというところにまず重点を置いておりまして、その中で当然、水域以外にも大気であったりだとか、土壌であったりだとか、そういったところに排出するものがありますが、現在、野生生物への影響というのは、基本的に水域を通じての水系での影響を捉えるというところに重点を置いてやらせていただいたところですので、これ陸上、大気を通じての陸上への影響というのはヒト健康の影響のところで一定程度考えられているということで、ここでの生態リスクというのは、あくまでも化学物質全体の水域に行った際の生態への影響という、水生態系の影響というものを大まかに捉えようというところに重点を置いた研究になります。お答えなりましたでしょうか。 以上です。
【山室委員】 ありがとうございました。そういうことだということですね。理解いたしました。
【森口理事】 それでは2番目につきましては、直接関わっている江守が今日は出席していないようですので、簡単にここで答えられることを地球システム領域長からお答え申し上げます。
【三枝地球システム領域長】 地球システム領域の三枝と申します。この動画については、まだまだこれからアクセス数を伸ばしていかなければならない数字だと思っております。なお、ご参考までに申し上げますと、ワーキンググループ1報告書が発表されたときに公開されました最初のものは、今、名前が出ました、対話オフィスのリーダーでもある江守が作ったものですが、こちらは1件で6.6万ということで、そのくらいいくものもあれば、最近のIPCC解説ですと数千件とか、開設から間もないこともあり、そのくらいになっているものもあり、これから伸ばしていきたいというところです。 以上です。
【山室委員】 ありがとうございました。承知いたしました。
【中村会長】 ありがとうございました。ひょっとすると、そういったプログラムがYouTubeで流れていることを知らない方々も多いと思うので、そのコンテンツそれだけではなくて、どうやってその情報、こういったものがYouTubeで解説されているということを皆さんにお知らせする、その辺も大事かなというふうに思いました。ありがとうございます。 それでは何人かの委員から手が挙がっていますので、順番に、高橋委員、佐藤委員、大久保委員の順番でお願いいたします。 まず高橋委員お願いいたします。
【高橋委員】 ありがとうございます。聞こえますでしょうか。
【中村会長】 大丈夫です。
【高橋委員】 資料2の業務実績について、ちょっと一つだけ質問させていただきたいと思います。全体としてすばらしい研究成果が多数出ているというのはよく分かりました。研究の外部評価で高い評価が得られるというのも納得できるなというふうに感じたところでございます。 その中で一つだけ単純に、ちょっとした疑問ですけれども、教えていただきたいなというのがございました。20ページですが、この研究成果の中で、大規模植林の影響という部分ですね。これ要するに、ちょっと私は素人ということもあって、この大規模植林と目標とする飢餓リスクの関係がちょっと分かりにくくて、もし可能でしたら、教えていただけるとありがたいなと思ったのですが、いかがでございましょうか。
【森口理事】 ありがとうございます。では、担当の高橋副領域長からお答えいたします。
【高橋副領域長】 今、よろしいですか。こちらの声、聞こえますか。
【森口理事】 大丈夫です。
【高橋副領域長】 どうもありがとうございます。これは将来的に炭素を吸収する、固定するというふうなものについて価値がつくわけですけれども、その結果として、植林地を広げることによって、そこでペイする。何らかの形で収入を得ることができるというふうなことが期待されます。そうすると、こちらの植林側に土地が割かれるということで、農地のほう、食料を生産するために使う農地のほうが小さくなってしまう。あるいは価格が高くなってしまって、結果的に作物価格が国際的に高くなる。結果的に貧しい国の貧しい所得層の人たちで食料消費の量が減ってしまって、飢餓リスクが高まるというふうなメカニズムが表現されている結果となります。 以上です。 【高橋委員】 分かりました。昨今はいわゆるウッドショックというものが、ちょっと騒がれていますが、そういった木材価格の高騰のような、そういう経済、エコノミカルな問題というのが複雑に絡んでいるという、そういう理解でよろしいでしょうか。
【高橋副領域長】 はい、そうです。木材の資源としてではなくて、炭素を将来的に大規模に吸収しなければならないことで価格がつくので、ちょっと今と状況、また変わるところあるかと思いますけれども、そのような経済的なメカニズムが関与しているというふうなご理解で、大丈夫かと思います。どうもありがとうございます。
【高橋委員】 ありがとうございました。よく分かりました。 以上でございます。
【中村会長】 ありがとうございます。それでは佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 東京大学の佐藤薫です。よろしくお願いします。大変簡潔で分かりやすいご説明をどうもありがとうございました。私のほうからは3点、ちょっと多いのですけれども、質問させていただきたいと思います。 まず1点目ですけれども、資料3の67ページの辺りのご説明で、中核的研究機関としての連携の組織的推進というところで、これまでと比べて一般企業との連携が増えているというようなご説明があったかと思います。その理由についてお伺いしたいと思うのですが、これは環境研で進められてきた脱炭素などの研究の社会実装のフェーズに徐々に入りつつあるということを反映しているのか、ちょっと具体的にその辺りを教えていただけるとありがたいです。まず、この1点目で、お答えいただければと思います。
【森口理事】 森口から簡潔にご報告いたします。私からの説明は直接申し上げませんでしたけれども、理事長から申し上げましたように、連携推進部を第4期に設置いたしました。公害研というルーツもありますので、正直申し上げまして、民間企業との連携というのは必ずしも得意ではなかった。それから制度的な準備も十分できていなかったのですが、連携推進部を設けまして、民間企業との共同研究体制がやりやすくなった。それから共同研究でも企業さんから資金を提供いただく。つまり一部の研究費を分担いただくような形の制度もつくりまして、そういった意味で、支援制度がしっかりできたと。それから共同研究の締結などの支援の体制もやったということで、これまでは研究者自身がその辺りもやらなきゃいけなかったのを、ちゃんとその支援組織をつくったということが形になりつつあるというふうに考えております。
【佐藤委員】 分かりました。どうもありがとうございます。 では2番目ですけれども、論文の評価に関して指標が共著者の数とか、引用数というのを挙げていらっしゃったかと思うのですけれども、ちょっと表面的な評価の指標だなという印象があります。そういう指標ですと、共著者を増やそうとか、あまり関係ないけど、ほかの仲間の論文を引用してあげようとか、そういうあんまりよくない方向にいきそうな気がいたしますが、もう少しそういう表面的な数字だけではなくて評価をするという取組はなされる予定はないのでしょうか。
【森口理事】 ありがとうございます。これは、この指標を抜いてきたということが、必ずしも適切ではなかったかということかもしれません。いいかどうかというよりは、一つの特徴だと思っておりまして、国立環境研究所だけでやっているというよりは、特に国際的な共著も含めて、そういったことの中でやっていることでございます。次年度以降、工夫をしたいと思いますけれども、論文の質に関わる調査、ウェブオブサイエンスの解析を毎年外注でやっておりまして、相対的引用度だけではなくて、ジャーナルの平均的なインパクトファクターに対して国環研の論文の引用状況がどうであるかとか、かなり精緻な分析をやっておりますが、何分限られた時間の中で示そうと思いますと、とても示せないものですから、こういうややミスリーディングな指標を示してしまったかなと思います。やたら共著率を増やすことがよくはない。つまり、多数の共著、一人に入っているだけで、こんな指標が上がってしまうということであれば、本来の目的と合わないかと思いますので、より適切な指標を抜き出すように工夫をしたいと思います。ちょっとこれは指標の選択の問題かということでご理解いただければ。
【佐藤委員】 分かりました。ただ、引用数だけも、必ずしもよい評価の指標ではなくて、レビュアーの当たり外れもあるのですけれども、レビュアーの評価というのは実は著者に返されたりするジャーナルも多いので、そういうところで、これはすごい論文だと言われるような、そういう論文は高く評価するとか、そういうふうにしないと、ちょっと心配しておりますのは、若手研究者が論文を書くということに対して、数をとにかく書くとか、共著者を増やすとか、そういうところにいってしまうと、本当に研究者として成長できない気がするんですね。その辺り考慮していただいて、若手研究者の育成にも取り組んでいただきたいと思います。
【森口理事】 全くおっしゃるとおりだと思っておりまして、機関の評価として、集計可能なものとして、こういうふうに出しております。決してこれを示して、若手研究者に指標をこうしているから、これを高めなさいというような指導は行っておりませんので、そこは安心いただければと思いますけれども。いずれにしても、インパクトファクターの問題も、いろいろな国からの論文採択のバランスなんかも変わってくる中で、ジャーナルインパクトファクターも、どの分野のどういう著者の引用が多いかということによって左右されるということもあると思いますので、その辺りも毎年外注する中で、どうやれば本当にいい論文の評価ができるのか。この指標の件、毎年ご指摘いただいておりますので、限られた予算の中でありますけれども、改善に努めておりますので、少しでも、来年いい指標が示せるように努力してまいります。
【佐藤委員】 その指標は過度に気にして研究しなくてもよいという、若手研究者へのメッセージのほうが大事なような気がいたします。 続いて3番目ですけれども、今の若手研究者の育成と関係するのですけれども、やはりポスドクの研究者の方々の数が多いというのが、どの研究所でもそうかもしれないんですけれども、日本全体でそうなのかもしれないですけれども、あって、この方々は非常に不安定な状況で、しかしながら結婚とか出産とか、そういう非常に人生の中で最も重要なポイントでもあってという、そういうときに不安定な雇用形態というと、なかなか国全体の少子化の問題なども解決できないのではないかと思われます。 それで、やはり若手研究者の処遇の安定化というのを、これは環境研だけではないと思うのですけれども、取り組んでいかないといけないというのが、新聞などでも非常に強く取り上げられています。 例えば、いきなり大学や大学院での成果だけでパーマネントな職というふうにするのは、環境研さんとしてもちょっと不安が残るかもしれないし、あと多少はいろいろな分野を研究してから落ち着いて研究者として育っていくという、そういうものもありますけれども、できればトラックみたいな、最初は試用期間といいますか、期間を限って雇用するけれども、十分に実績が上がれば、パーマネントの職に雇用するとか、そういう若者が安心して頑張れるような、そういう人事制度の仕組みを充実させていただきたいなと思っているので、その辺りのご計画について、何かあれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【森口理事】 限られた時間の中で、その辺り資料は含めておりませんけれども、私ども正規の研究員の採用は全てテニュアトラック型任期付研究員、最低限、テニュアトラック付きの、テニュアトラック型の任期付研究員です。中には最初からパーマネント採用ということもあり得るという公募もかけておりますので、基本的に任期付、従来は研究テーマ型任期付研究員と呼んでいたのですが、より明確にするために、テニュアトラック型任期付研究員と名を改めました。また、収入が分かりにくいので、年俸制も導入しております。 年俸制の方はポスドクなのですが、ポスドクにつきましてはおっしゃるとおりなのですが、ただ、対数でいいますと、私ども正規の研究員が200名を超えている中で、ポスドク約100名ということで、比率としては大学などに比べてむしろポスドク比率は低いと思います。一時期ポスドクの数150名ぐらいに達していたんですけれども、やはりその中から安定した職員に移行できる数というのも限られてまいりますので、むやみにポスドクが増えないような形の中で、残れる比率をむしろ高めているような運用になっているというふうにご理解いただければと思います。
【佐藤委員】 その辺りも意識して運用されているということでよく分かりました。ありがとうございました。
【中村会長】 大事な問題、いろいろな形で指摘していただきまして、ありがとうございます。ちょっと時間がタイトになってきたので、以降、できればコンパクトに質問をしていただけるとありがたいです。1問1答ではなくて、全て言っていただいて、事務局からまたコンパクトに回答をお願いいたします。 それでは大久保委員、お願いいたします。
【大久保委員】 ありがとうございます。森口理事のご説明、大変コンパクトで、まだ膨大な資料を精査しきれておりませんが、今の範囲内での質問させていただきます。 ポイントは、組織内、組織間連携の二つです。まず組織内連携について、27ページで外部評価委員から、プログラム間連携が大変高く評価されていますけれども、1点目としまして、連携で特に上がった成果、それから2点目といたしまして、その連携を進めるために、どのような工夫をして、何が有効であるかという点。3点目といたしまして、まだ2年目ではありますが、そうした連携によって、現在進めているプログラムではなくて、新たなプログラムのシーズが生まれそうなものがあるかというのが組織内連携に関する質問です。 二つ目が、今度は67ページに行きまして、他機関との組織間連携ですけれども、ここで独法が最初に挙がっていますけれども、この中で独法との連携がどれぐらい進んでいるのかというのは、ちょっと数値としては見えにくい。独法は13というふうになっていますけれども、この独法との連携、恐らく情報のオープンデータ化のためのデータ統合とも関係してくると思うのですけれども、組織間連携の課題、あるいは組織間連携で効果が上がっていることがありましたら教えていただきたいと思います。 以上大きく2点です。
【森口理事】 ありがとうございます。組織内連携につきまして、ちょっとプロジェクトの個別のもの、細部を今すぐにお答えできないところもありますが、今日スライドでご説明しましたように、気候変動関係につきましてはイニシアティブということで、複数のプログラム間の連携を明示的に出ております。もし各プログラムの中で、プロジェクト間連携ということで、特に補足説明できるものがあれば、もし時間があれば、後ほどプログラムリーダーの方から補足をさせていただければと思います。 それから、機関間の連携については、独法間ということでご指摘をいただいた点、これちょっとその数を増やすかどうかという点では、後半で説明いたします、気候変動の適応に関しましては、この個別の共同研究以外に、約20機関との間で気候変動適応関係の連携の仕組みを別途持っておりますし、それから環境研究機関の間での連携仕組みなどを持っておりまして、これちょっと個別の何らかの仕組みを持っているもの、あるいは共著などの関係ということで集計をしております。 つくば研究学園都市にも、多数の研究機関に立地しておりまして、全体の数を増やすというよりは、特に我々として密接に連携するべき機関と、1対1での連携を深めることも非常に重要だと思いまして、ごく最近では、令和4年度ではなくて5年度分として、来年ご報告すべきことですけれども、つい最近、防災科学技術研究所との連携協定を結ぶなどしておりまして、やはりターゲットをしっかり絞って、こういったところと一緒にやっていくことが、特に双方の成果を高めるというところを探しつつやっているということを1点ご紹介しておきたいと思います。 私からの回答は以上でございます。 【中村会長】 ほかの方からの回答はありますか。
【森口理事】 プログラムリーダーのほうから、何かプロジェクト間の連携について答えることありますでしょうか。 それでは、増井領域長のほうから、脱炭素・持続可能社会プログラムについてお答えいたします。
【増井領域長】 脱炭素・持続可能社会研究プログラムの総括をしています増井です。 今年度から生態系サービスの評価と脱炭素の連携した課題ということで、FSも含めますと昨年度から実施しておりまして、こういった課題は、自然共生研究プログラムとのまさに連携ということで進めているところです。 以上です。
【中村会長】 ありがとうございました。また足りないところもあるかもしれませんけど、とりあえずちょっと先に進めさせていただきます。 郡山委員、お願いいたします。
【郡山委員】 ありがとうございます。私のほうから2点ございます。 まず1点目は、ちょっと細かいところからですけれども、資料2の56ページ、エコチル調査のロードマップのところで、実際には、当初の追跡予定からさらに延長して、この調査が続くということで、大変私としてもうれしいご判断だと思っております。そうなると、今度は子供たちが成長していって、今度思春期に入っていきます。そうするとアウトカムとしての指標を既にご検討されているのかなとは思うのですけれども、どの程度進んでいるのかというのが、まず1点目です。 それから2点目ですけれども、これは少し全体にかかるかもしれませんが、今日はもう本当に時間が限られている中で、特筆すべき研究成果のみがご説明上がったわけですけれども、このほかにも多くのプロジェクトがあると認識しております。特に昨年度、特筆すべきということで、ちょっと着目していた内容が、今回はご発表の中になかったりして、それがどうなったのかというところは、ちょっと資料が膨大過ぎて、どこを見ればいいのかよく分からないので、それをちょっと教えていただければと思います。 以上です。 【森口理事】 2点目につきまして、業務実績報告書という資料の番号でいいますと、資料の3でしょうか、というのがついておりまして、それでも、私ども外部研究評価でかけた主要な成果だけを網羅しておりますので、先生ご関心のものが抜けている部分等あるかもしれません。別途、私どもの研究活動全般につきましては、それ以外の出版物等も公開をしておりますので、別途、特に昨年度のこの成果についてのことでございましたら、お問い合わせをいただければ。今日の資料の範囲内では、スライド資料2に含めていないものも含めまして、資料3のほうに文書で書いてございますので、ご参照いただければと思います。 1点目のエコチル調査、13歳以降につきましては、エコチル調査、コアセンターの山崎センター長のほうからお答え申し上げます。
【山崎センター長】 エコチル調査、コアセンター、山崎でございます。フォローアップの、13歳以降のアウトカム把握の検討状況でございますが、国立成育医療研究センターがメディカルサポートセンターとして、エコチル調査のほうを支援いただいております。この先生方と一緒に、メディカルサポートセンターのほうでも関連の専門家の先生方と協議をして、13歳以降のフォローアップ、どのようなアウトカムを測定していくのかということを協議して決めております。 つい先日、6月に入りまして、エコチル調査の意思決定機関であります運営委員会のほうで、このフォローアップ計画、18歳に達するまでの計画のほうを決定しておりまして、検討状況につきましてはそのような形で進めております。主に思春期に入りますと、やはりお子さんの精神神経発達関係の指標について、主に大きく着目していきたいというところもございますので、そういった指標を中心にアレルギーほか、アウトカムの測定計画を決定しております。以上でございます。
【中村会長】 ありがとうございます。 小野田委員、お願いいたします。
【小野田委員】 ありがとうございます。大変分かりやすい説明で、全体像がよく理解できました。ありがとうございました。 2点だけ、簡単なコメント兼質問をさせていただければと思います。 まず、先ほどもあった若手研究者というキーワードが出てきたと思うのですけれども、この環境分野は、結構いろいろな政策の議論でも、人材育成が必要だという文言がいろんなところで出てくるのですが、そうであったとしてもあまり進んでないみたいな実態がなきにしもあらずと思っているのですけれども、そういう意味で、国環研さんがこの分野の研究者の育成という面で果たしている役割みたいなのも大きいのかなというふうに思ったのですが、ちょっとその点の言及があまりなかったなという印象でしたので、もし何かあればコメントいただければというのが1点目です。 あと2点目は、先ほど来出てきている外部との連携のところで、先ほども森口先生のほうからコメントがありましたけど、企業との共同研究の話ですとかというところがあったと思うのですが、やはりこれは、例えば大学なんかも一緒で、外部資金の導入を増やそうという流れがある中で、それが例えば、いろいろあるわけですよね。企業とやるとやっぱり短期的な成果が求められるみたいな話ですとか、そういう中で、いわゆる大学みたいな研究機関が抱えている課題と同じような問題意識なのか、あるいは国立の研究所として何か特有のアプローチというか、戦略みたいなところがあれば、少しコメントいただければと思った次第です。 私からは以上です。ありがとうございました。
【森口理事】 ありがとうと思います。1点目につきましては、なかなかこういう場で、まとまってご説明ができていない。ご説明ができてない背景には、外部研究評価の中でなかなかその辺りの話ができていないってこともあるけれども、外部研究評価の委員の先生方もほとんど大学の先生ですので、人材育成ということについてたびたびご指摘をいただいております。中長期計画の中に、我々は大学と違って研究機関なので、教育、人材育成ということは表向き直接その中には書きにくいところもありますけれども、連携大学院という制度がございます。ご存じかと思います。幾つもの大学と連携大学院の協定を結びまして、私どもが院生を指導する、あるいは博士論文の主査になるというようなことも制度としてございますし、実際にそこで学位を取得した者を我々の研究所のテニュアトラックの任期付研究員として採用している事例も最近複数ございます。 ということで、一つの直接お答えとしては、連携大学院活動をより適切なものにしていくということがございます。これも連携推進部をつくる中で、連携大学院担当を置いておりますので、そういったことの中で応えております。 2番目は、なかなか我々も特に企業との連携が、まだまだ手探りのところございますし、連携推進部をつくるに当たっては、大学のいわゆるURAですね、University Research Administratorの方にも実際にお話を伺いながら、いろいろ参考としてつくっております。ちょっとまだまだ大学とどこが似ていて、どこが違うのかという分析まで至っていないところがございますので、これは宿題とさせていただいて、また大学の先生方とその辺り情報交換をさせていただければと思います。
【小野田委員】 ありがとうございました。 【中村会長】 皆さんどうもありがとうございました。まだあるとは思うのですが、次にも大事な議題がありますので、引き続きの説明を事務局からお願いしたいと思います。 第3、研究開発の成果の最大化、その他の業務の質の向上に関する事項の2、環境情報の収集、整理及び提供に関する業務、3、気候変動適応に関する業務及び第4、業務運営の効率化に関する事項、第5、財務内容の改善に関する事項、第6、その他の業務運営に関する事項と決算に関する報告及び監査報告書について。国立環境研究所のほうから説明をお願いいたします。
【高澤理事】 それでは企画総務担当理事、高澤でございます。私のほうから資料2の後半部分についてご説明をさせていただきます。 それでは、次のページ、77ページでございます。環境情報の収集、整理及び提供についてでございます。 評価軸は、ここに書いてありますとおり、情報の分かりやすい提供、研究成果の適切な発信、公開シンポジウム等、イベント等への取組といったところになっております。 環境展望台という国環研のWebサイトを通じまして、ここに書いてあります掲載コンテンツ、ニュース、イベント、環境GIS等々、様々な研究技術情報を提供しているところでございます。 特に右に環境GIS+という図をつけていますけれども、こちらについては、新たに開発し、公開したものでございまして、GIS地図情報にデータ等重ね合わせができるように、より使いやすいような工夫をしているところでございます。 環境展望台につきましては、使い勝手をよくするために、さらにレスポンシブ化でありますとか、スマホ、タブレットの専用ページの公開でありますとか、環境GISにつきましては、ArcGISを利用した形式に順次改修するなどの工夫を行っております。 また情報の充実といたしまして、環境GISにつきましては、21件のコンテンツの整備、メタデータについては3,421件の整備ということで、いずれも年度目標を上回っているところでございます。 プレスリリース件数、マスメディアの掲載記事数、ホームページアクセス件数につきましても、表に数字を示しておりますが、第4期平均いずれも上回る数字となっております。 また、YouTubeチャンネル登録者数、まだ1万7,600人ということで、もっともっと数を増やさなければならないというところでございますが、昨年に比べては十分増加をしているというところでございます。 令和4年度の一般公開につきましては、コロナの影響がございまして、オンラインでの開催となりましたけれども、3,000回を超える視聴をいただいているところでございます。各種イベントの参加、講師派遣等についてもオンラインを活用することによりまして、その実施に努めたというところでございます。 自己評価についてはA評価ということでさせていただいております。 続きまして気候変動適応に関する業務でございます。評価軸につきましては、施策の総合的、計画的な推進、また地方自治体等への技術的援助、科学的情報の収集、整理、分析、提供となっております。 こちらのほう、気候変動適応センターの活動の全体像を示しております。真ん中のほうに適応センターございまして、特にこのA-PLATという情報プラットフォームから各種の情報を関係者に対して発信をしているところでございます。 右のほう、地域との関係でございますけれども、地方公共団体、各地域の適応センターと連携ということで、技術的助言、あるいは情報交換などを進めておりますところでございまして、また全国7ブロックの広域協議会にも参画をしていると。国との関係では、令和4年度にマニュアルの改訂、地域の計画策定マニュアル改訂等ございましたので、そこへの委員派遣、知見提供を通じて、国の施策の検討にも貢献しているというところでございます。 地方公共団体の技術的援助につきましては、研修、意見交換会等の参加者が延べ約7,600名と。また、地域の検討会への参画等も300件以上と、事業者への支援といたしましては、産官学連携ネットワークの活動推進などを行ったというところでございます。情報基盤の整備につきましては、A-PLATによる情報提供で、約162万PVというような数字となっております。 AP-PLATは、アジア太平洋のプラットフォームにつきましては、途上国の支援ということで情報コンテンツ等の拡充を行ったところでございます。 また、国の研究機関との連携ということで、こういった21機関が参画するような研究会等も開催いたしまして、連携を進めているところでございます。 こちらのほう、地域の適応計画の策定、地域センターの設置数についての状況でございます。目標は47都道府県、20政令市全てで策定、設置ということでございます。左の地域計画の策定数につきましては、全都道府県が計画策定済みとなっております。また、20政令市のうち19政令市ということで、あと一つですけれども、地域計画策定というところまできております。地域センター数につきましては、計画の策定数よりは少なくなっておりますけれども、徐々に伸びているというところでございます。 気候変動適応研究につきましてでございますが、研究プログラム、三つ動いております。影響の定量変化と気候解明。二つ目が将来の影響評価研究。また三つ目が適応戦略ということの三つでございます。 基礎研究、基盤整備につきましても、データベースの作成、将来シナリオの検討でございますとか、そういったことを進めているところでございます。 特筆すべき研究成果の一つといたしまして、地域適応計画作成を進めていただくということがございますので、そのためのツールを開発いたしました。こちらのほうは、各地方公共団体に併せて、統計データ等を計画のひな型として自動で出力することが可能となるようなものでございまして、3月に環境省のほうから地方公共団体に通知されておりますので、今後、こういったものを活用して計画の策定が進むということを期待しているところでございます。 以上、説明してまいりました気候変動適応に関する業務でございますけれども、まとめが、こちらに今説明したものを書いてありますけれども、関係者への技術的援助でありますとか、適応研究を総合的に実施しましたということで、こちらの重要度、難易度とも、いずれも高いという項目と設定いただいております。また外部研究評価も高いということで評価についてはA評価とさせていただいております。 続きまして、業務改善の取組に関する事項でございます。92ページでございます。 こちらは、予算の範囲内において経費の節減、効率的な執行に努めているところでございます。 3.の調達等の合理化ということで、特に三つ目のポツで、会計検査院からのご指摘を受けましたということで書いております。こちらのほう、業務の中で膨大な数の試料の分析、化学物質等の試料を分析するような業務がございまして、そちらのほうが、実際の契約よりも実際の分析の数が少なくなるような状況のときに、より適正に契約を変更して、手続の適正化を進めるといったようなご指摘でございましたが、それの対応といたしまして、契約変更を行う場合の基準等を策定いたしまして、それを所内に周知して研修を進めるといったことを行いまして、そういった適正な手続の執行に今後努めてまいりたいと思っております。自己評価はB評価でございます。 続きまして業務の電子化に関する事項でございます。こちらのほうは様々な努力しておるところでございますが、1点、上から四つ目の、電子決済機能を有する文書管理システムの導入ということで、今年度から運用を開始しておるところでございますので、そういったことで進めているというところでございます。自己評価はB評価でございます。 続きまして財務内容の改善に関する事項ということで、令和4年度の自己収入につきましては、全体の獲得額は40億9,400万円ということで、このうち競争的外部資金等につきましては15億300万円ということでございまして、いずれも第4期の年平均額を上回っているところでございます。 保有財産の処分等につきましても議論を進めているところでございますが、令和4年度においては処分の対象とした固定資産はなかったという状況でございます。自己評価はBでございます。 96ページは飛ばさせていただきまして、続きまして、その他の業務運営に関する事項ということでございます。 98ページ、内部統制の推進についてでございます。こちらは全職員との意見交換の場となる運営協議会を原則毎月開催しまして、広く業務改善の提案等を受け付けて対応するということを進めております。 コンプライアンスの推進に関しましては、関係の規定の改正等を行うといったこと。また研修も実施いたしまして、受講率100%ということでございます。自己評価はB評価とさせていただいております。 続きまして、人事の最適化ということで、こちらのほう、クロスアポイントメントの推進でありますとか、あとポスドクの方やフェローの方への年俸制の適用、またポスドクの方については裁量労働制の適用の拡大も工夫しているところでございます。 また、ダイバーシティについての取組を進めております。下の表に研究系職員の女性職員を占める割合について、参考までに載せております。ちなみに令和4年度の女性職員の採用者数については15名中3名ということで、20%ということになっております。自己評価はB評価でございます。 続きまして情報セキュリティー対策の推進ということで、こちらのほうもセキュリティー対策を進めているところでございますけれども、特にセキュリティーログの監視の強化ということで、パソコンなどのエンドポイントの外部監視の強化を進めたというところでございますし、情報セキュリティー教育といたしまして、研究訓練なども実施をしているところでございます。自己評価はB評価でございます。 続きまして、施設・設備の整備及び管理運用等についてでございます。 国環研は、来年50周年を迎えるということで老朽化が進んできておりますけれども、中央制御監視システムにつきましては、省エネ化の整備工事に着手をいたしているところでございます。 また、研究本館新築に向けまして、こちらについてはZEB化を考慮しまして、基本計画書を策定したところでございます。今年度、基本設計に進むということで、現在、設計の公募をしておりますけれども、よい提案が来ることを期待しているところでございます。自己評価はB評価となっております。 続きまして、安全衛生管理の充実についてでございます。こちら、新型コロナウイルス対応ということで、昨年度に引き続きまして、相談窓口を運用しまして、集団感染の発生防止に努めているところでございます。 また、ストレスチェックテストでありますとか、地震、火災総合訓練等の実施も行っているところでございます。自己評価はB評価でございます。 続きまして、環境配慮等につきましてでございます。省エネルギー対策の推進につきましては、2013年度比でエネルギー消費量を83.1%まで削減していると。またCO2排出量については、同じく2013年度比でございますが、26.6%までということで大幅に削減をしております。右にグラフを載せております。 また生物多様性に配慮した管理ということで、構内緑地の環境省自然共生サイトの登録手続を進めているところでございます。自己評価はB評価でございます。 以上、早足で説明してまいりましたけれども、自己評価、総括につきましては、2.の環境情報、3.の気候変動適応に関してはA評価、第4以下につきましてはB評価とさせていただきました。 資料3の説明以上でございますけれども、資料5のほうに、決算関係書類として財務諸表等をつけております。こちらは6月28日付で環境大臣に提出されまして、7月3日付で承認が得られたというところでございます。 また、資料6に監査報告書をつけておりますが、監事による監査報告、監査法人の報告書のいずれも適正に実施しているとの評価をいただきまして、特段のご指摘がございませんでした。 私の説明は以上でございます。
【中村会長】 ありがとうございました。続きまして、事務局のほうから資料7-1、7-2の評価素案と併せて、資料9の第4期中期目標期間業務実績評価書及び令和2年度業務実績評価書における指摘事項について、対応状況の説明をお願いいたします。
【加藤環境研究技術室長】 環境省の加藤でございます。それでは、資料7の総括表と、年度評価期間実績評価書をご覧ください。画面共有してございます。 先ほど高澤理事に説明を頂戴した、第3-2-3、並びに第4、第5、第6の部分に関しましても、国立環境研究所の自己評価同様の想定を、環境省の素案として作成してございます。 なお、資料7-2の20ページ目から先が、その内容の論拠を記載したものでございます。 加えまして、資料72の最後のページに、年度評価全体の評定も記載してございますので、こちらもご確認ください。資料7を説明は以上になります。 引き続きまして資料9、令和3年度業務実績評価書におけます指摘事項への対応状況というところの説明に入ります。 こちらですけれども、昨年度の実績評価書に対して、環境大臣からのご指摘を頂戴してございます。これに対して、国立環境研究所でこうした内容を記載し、整理したものになります。 細かい説明は割愛しますけれども、第2の総合評定では、研究開発成果の最大化が図られるように、連携支援機能の強化に関する内容が出てございます。第3の研究開発の成果の最大化、その他の業務の質の向上に関する事項に関しましては、野生生物感染症に関するモニタリング手法の共同化について、システムとして社会実装できることへの期待が記載されてございます。 第4の効率化に関する事項では、引き続き適切な予算執行、管理体制を継続してほしいという話が、第5の財務内容の改善に関する事項では、研究施設や高額な研究機器の計画的、効率的な利活用の議論に関する内容が出てございます。 そして、第6のその他のところでは、情報セキュリティーや老朽化対策に関する記載がございます。これら指摘に対しまして、国立環境研究所にて適切な措置が講じられているというふうに理解してございます。 環境省からの説明は以上になります。
【中村会長】 ありがとうございました。次に研究に関する部分も含めた法人の運営状況全体について、国立環境研究所監事からのコメントをお願いいたします。
【小田部監事】 昨年度より非常勤ではありますが、監事を務めさせていただいている小田部と申します。よろしくお願いします。 私はまず研究部門について述べさせていただきますが、我々年に1回のヒアリングで運営状況も含めて聞かせていただいております。概ね問題はないと考えております。特に国立研究所ならではの長期的な活動をしっかりやられておられて、エコチル、GOSATとか、各種データの蓄積など、非常に有効なデータを集められていると思います。 また、戦略的研究プログラムについても、外部評価委員会からの評価も高くて、とてもよい内容になっているのだろうと思っています。また、基礎・基盤的研究という比較的成果が予測しにくいエリアからもきちんとよい結果が出ているようですので、やっぱり組織の実力を示しているかなと思っています。 要は、全般的に言うと非常によく運営されていて、比較的少ない人数の研究所でありながら、高い成果を出しているというふうに考えておりますけれども、その実力というか、その成果をより明示的に示せるよう、また具体的に地球環境の維持ということに対して、どのように貢献できているのかというのが、より分かりやすく説明できるように、ちょっと難しいことをお願いしておりまして、実施した内容、あるいは実施する内容がどんな成果をもたらすのかというのはあらかじめ想定して、その結果どういうふうになったかということを、今後説明できないかということをお願いしております。 私のほうから以上となります。
【矢野監事】 監事の矢野でございます。研究等につきましては、小田部監事のほうからコメントがあったとおりなのですが、私のほうから、監事監査報告書のとおり、内部統制システムに関する整備と運用、それから役員の職務の執行に関しても、不正な行為や法令等に違反するような事実は認められませんということ。 それからあと、会計監査人の監査の方法等につきましても相当であり、妥当であるというふうに認めております。 またコンプライアンスその他、業務執行の観点からも、指摘すべき重要な事項はないということをコメントさせていただきたいと思います。 あえて申し上げますと、現在でも組織横串の企画支援部門の業務として、研究所全体の研究に物すごく推進をさせるために支えておられるというのは認められるのですが、さらにこれらの研究成果を社会に発信し続けていくために、更なる目標を明確にすると。先ほど小田部監事のほうから、研究ユニットの方でも評価の成果の表し方をということがあったのですが、企画支援部門のほうでも成果や目標を明確にして、戦略的に業務を推進させていけるような、そういう経営基盤というものをさらに強化させていかれるということがよろしいのではないかというふうに希望しております。 私のほうからは以上です。
【中村会長】 お二人の監事、ありがとうございました。 それでは、これまでの後半の説明に関して、ご意見、ご質問等を委員の皆さんから伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。 山室委員、お願いいたします。
【山室委員】 ありがとうございます。資料2の後半のところで、92ページに、ラスパイレス指数というのが出てきます。これは資料7-2の30ページにも出てきています。国家公務員と比べた給与水準の状況を比較するための指標というふうに、ネットで調べると書いてあって、国の行政職俸給表の1に適用するお給料、それに比べて高いか低いかというのを比べているのですけれども、資料の7-2で書いてあることとか、資料2の73ページに書いてあるのを見ると、何かこれが100上回ってしまっているのがいけないようなニュアンスが読み取れるのですが、国立環境研究所のように専門性が高いところとか、先ほどの技術職員のように長年にわたって働いている方がおられると、どうしてもお給料っていうのは高めになるのはやむを得ないのではないかというふうに私は思っていて、その辺このラスパイレス指数について、高くなっているのを今後是正するようにしたいという意味でこれを書かれているのか、それともこれは仕方のないことだよという意味で書かれているのかというところをちょっと読み取れなかったので、教えていただければと思います。 以上です。
【高澤理事】ありがとうございます。企画部高澤でございます。 92ページの注で書かせていただいたのですけれども、そもそもラスパイレス指数、国環研で高くなっているのは、まだ事務系職員の、いわゆるプロパー職員の採用を開始してから10年ぐらいしかたっていないということで、実態を申しますと環境省のほうから出向している職員が半数以上を占めていると。かなりのシニア層の方も出向していただいているので、単純にラスパイレス指数を計算すると高くなっているという状況でございます。先生おっしゃるとおりですので、かなりどうしても高い技術の方を雇っているので、そういった給料が高目になるというのはやむを得ないという部分はあるというふうにも認識しております。その中で改善すべきというか、できる限りのところは対応していきたいと考えております。 以上でございます。 【山室委員】 ありがとうございます。つまり、特に冒頭で事務系職員の何々と書いてあるところが言いたかったことで、研究職として、もしくは技術職としてこの指数が高くなる人というのは仕方ないけれども、そうじゃないものはなるべく見直して低くしたいという思いを込めた文章っていうことですね。
【高澤理事】 そのようなご理解で、お願いいたしたいと思います。
【山室委員】 承知いたしました。ありがとうございました。
【中村会長】 ありがとうございました。 大久保委員、お願いいたします。
【大久保委員】 ありがとうございます。2点ございまして、1点目は、101ページの基本計画書と103ページの省エネ関係です。50周年に向けて、ようやく新棟建設に向けた基本計画書の策定にまでこぎ着けたというのは大変喜ばしいことだと思っております。それに当たりまして、先ほど資料2の39ページでは、社会システム部門の研究所内のエネルギーの各種の調査が行われてきた旨ありましたが、それは103ページの既存建築物の省エネにのみ生かされているのか、あるいは基本計画の策定等に向けても生かされているのかという辺りが、もし生かされているのであれば、研究と実践をつなぐところとして、少し書き込んだほうがいいのかなと思いますので、質問をさせていただきます。 ちなみに私の本日の背景はご存じの方も多いかもしれませんけれども、ドイツの連邦環境庁なのですけれども、この建物の隣にもZEB化の建物が建設企画中ということで、ぜひ日本でもモデルとなるようなものが建設されることを願っております。 それから2点目は、先ほども質問させていただきました組織間連携の話です。先ほど資料9でも共通感染症へのさらなる貢献と期待といったような指摘がございましたけれども、先ほどの紙の資料2でいきますと、86ページで連絡会議がございまして、ここで様々な国の機関があるわけですけれども、共通感染症に関して言えば、感染症予防法では、獣医師、医師のサーベイランス、それから畜産に関してはきちんとした法のスキームがあるのに対しまして、野生生物や、あるいはペットに関しましては、狂犬病予防法を除くと、そもそもそういうサーベイランスの仕組みがないなどの課題があるわけですが、この連携を進めていく連絡会議の中で、こうした課題というようなものが、何か政策提言として出ていくような、特にデータの整備等に関して出ていって、そうしたものが感染症予防、あるいはグリーンインフラ、ネイチャーポジティブといったような施策に生かされるようなそういうスキームがあるのかどうかというのが2点目の質問です。特にこういう業務評価は、その後の予算獲得にもきちんとつながっていくことが重要と考えておりますので、その文脈でお聞きしたいと思います。
【森口理事】 1点目、2点目、少し研究に係るところもございますので、森口から先に、簡単にコメントした後、高澤理事のほうからお答えいたします。 まずエネルギーに関して、資料3の39ページで、社会システム分野の電力事業の実態調査と省エネ対策の効果をご説明いたしました。これは基本的には既存建物の研究ですけれども、これを担当しているものを、かなり異例なのですが、企画室と施設課にも兼務をかけておりまして、そういった形で実務のほうにも、新本館の設計などにもこういった研究成果を直にインプットするようにというような、そういったことまでやっておりまして、ちょうど昨日も、お隣さん、産総研西事業所のZEBの見学、あるいは大学での電力消費の計測状況などもやっておりまして、そういったことも調べておりまして、現在の既存建物に関する状況把握ということを新棟建設に向けて知見をインプットするということについては進めております。 それから、2点目のご質問については、今、担当の研究者がこちらにおりませんので詳しいことはお答えできないのですけれども、人畜共通感染症、あるいは人獣共通感染症といったところにつきましては、農水省あるいは厚労省等、所管がかなり境界領域にあるところもございまして、そういったところも含めて検討が進められているというふうに承知をしておりますので、必要に応じまして、また書面でのお答えなどさせていただければと思います。 私からは以上です。
【中村会長】 ほかの方からの何かコメントありますか。
【森口理事】 私のほうから若干踏み込んで答えてしまいましたので、以上でございます。
【中村会長】 分かりました。ありがとうございます。
【大久保委員】 ありがとうございます。連携に関しては、補足ですけれども、ワンヘルスに特化したことを伺いたいというよりも、組織間で連携して、新たな政策提言をする仕組みがあるといいなと思ったので、その観点から、もちろんワンヘルスに関しても興味関心がありますので、お答えいただければいいですけれども、その観点からの質問でございました。 1点目のほうは分かりましたけれども、特にこんな点が生かされているということを一つでも例として、資料に書いてあれば、社会システム部門の実績がこう生かされていますよというのが分かりやすいかなと思ったものですから、質問させていただきました。すみません。追加で。
【森口理事】 ありがとうございます。1点目につきましては、新本館、まだ基本計画で、今年、基本設計という段階でございます。まだ具体のこういうことに生かされていますということまでご報告するのは、やや早いのかもしれませんけれども、来年度少し工夫をしたいと思います。 それから、ワンヘルスだけでなくという話につきましては、先ほど、国研同士の連携というような話のご質問もいただいていて、高澤理事からのご説明の中で、私も触れました適応については、21機関のものがあるという話を申し上げました。それから国立研究開発法人間の協議会もございますし、環境研究機関の連携の会議とか、幾つかございますので、そういった場で、私の説明の中でお答えしたことと重複いたしますけれども、必要な分野にフォーカスいたしまして、共同での提言等、防災科研との連携なんかそういったところに該当し得ると思いますけれども、今日のご助言を生かしてまいりたいと思います。
【中村会長】 ありがとうございました。 それでは、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 東京大学の佐藤です。2点簡潔に質問させていただきます。 一つは、人事の最適化というところで、ダイバーシティの推進を適切にしていらっしゃるということと、それから特別研究員の裁量労働制の適用ということで、若者に対するエンカレッジもしているということでしたけれども、女性のポスドクがライフイベントに当たった場合、例えば出産とかが起こった場合に、産休、育休というのはどのような仕組みになっているのかということを質問させてください。 それから2番目として、昨今、非常に電気代が高騰しておりまして、電気の使用量は下がっていたとしても電気代がすごく上がっているので、経営的には厳しくなっているというので、大学でも大変問題になっています。環境研さんのほうではどのように対応されているのかというのを教えていただければと思います。 以上です。
【木本理事長】 理事長の木本でございます。まず2番目の電気代の件ですが、ものすごく困っております。今年は見込みで、前の年よりかなり増えそうなので、環境省や国立研究開発法人協議会で、内閣府なんかにも、すみません、助けてくださいというお願いを出したのですが、頑張れと言われています。今のところ、環境研では研究費を削って値上げが見込まれる電気代、エネルギー費に充てようとしております。それしかやりようがございません。これがこのまま続くと大変なことになりますが、現場ではありとあらゆる工夫をしていただいて、何とかミッションを損なわずにやれないかというのが今年度の状況でございます。
【森口理事】 1点目の研究職といいますか、ポスドクの件ですけれども、契約系の職員につきましても、フルタイムの契約職員、育児休業も含めて制度ございますので、具体的にはポスドクの研究者でも育児休業を取ることができます。
【佐藤委員】 なるほど。その場合には、研究期間というのは、育児休業期間を除いて確保されているという。そういうことでしょうか。例えば5年の契約だったら、育休を間1年取ったとして、そうするとトータルで6年間、環境研にいられるというような仕組みになっていらっしゃいますか。
【森口理事】 先ほどテニュアトラック型の任期付研究につきましては、5年のテニュアトラックの間に育休を取った場合には、評価の時期を遅らせることができる形にしておりまして、実際にそれを適用した例がございます。 契約系は、人事課のほうで今分かりますでしょうか。事例があったかどうかですか。ちょっと具体的な事例があったかどうか、確認をいたしますけれども、私が以前、現役のユニット長をしていたときにはその制度がまだなくて、それができなかったことがあります。ただ、契約職員と正規職員の待遇を同一にするということにつきましては、前々企画総務担当理事のときに、かなり尽力しておりましたので、ちょっとその辺り確認をさせていただきたいと思います。
【大久保委員】 よろしくお願いします。ありがとうございました。
【中村会長】 ありがとうございました。それでは、今回の委員より頂いた意見、及び後日提出していただく意見シートのご意見については事務局で整理していただいて、それらを踏まえた報告書(案)を作成して、次回の審議会で審議させていただきます。 意見シートの記載方法について、事務局より説明をお願いいたします。
【五反田環境研究技術室室長補佐】 ありがとうございます。意見シートにつきましては、今、共有させていただいておりますが、こちらの様式について、7月31日までにご質問ですとか、こういった部分についてはこういうふうに書いたほうがいいのではないかと、そういったご意見を自由に記載いただければというふうに思っております。こちらを事務局のほうで取りまとめをさせていただき、国立環境研究所や環境省内の関係部署と確認をいたしまして、評価書の案のほうに反映させていただきたいと思っております。 現在、委員の方々にお送りさせていただいているのはPDFファイルをお送りさせていただいているところではございますが、この後、メールでWordファイルを改めてお送りさせていただきたいと思いますので、お忙しいところ大変恐縮ですが、ご協力のほどよろしくお願いしたいと思っております。 以上になります。
【中村会長】 ありがとうございます。今の説明に関してご質問、委員の方からありますでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
【中村会長】 私も聞きたいこともあったのですが、皆さん活発にいろいろな形で重要な点を指摘いただいて、ほぼ理解はできているのですが、ところどころで、この評価する上でいろいろ情報不足の点が出てくるかもしれません。それに対しては事務局に聞いていただいて、その情報を得た上で、この評価の記載をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 最後にその他ですが、事務局から説明ありますでしょうか。
【五反田環境研究技術室室長補佐】 その他といいますか、次回の日程をご紹介させていただきます。次回24回目の審議会、8月23日水曜日、10時から2時間程度を予定しております。今回同様、Web会議での開催とさせていただきたいと思います。ご多忙の中、大変恐縮ではございますが、何とぞご出席いただきますようお願い申し上げます。 以上です。
【中村会長】 ありがとうございます。時間はちょっと超過しちゃっているんですが、全体を通じて、何かご質問ありましたら、いかがでしょうか。よろしいですか。
(なし)
【中村会長】 それでは、本日の議事はこれで全て終了しました。 以上をもちまして、第23回環境省国立研究開発法人審議会を閉会したいと思います。 本日は長い間どうもありがとうございました。
【小野田委員】 早稲田大学の小野田と申します。国環研の先生方には多方面でお世話になっております。私自身はもともと専門は機械工学で、その中の熱工学をやっておりまして、分野としては、廃棄物処理資源循環エネルギーですね、といったところを取り扱っています。また、環境研究技術室さんとの関係では、環境スタートアップの話ですとか、オープンイノベーション的な活動もしていることから、お声がけいただいたというふうに認識しております。お役に立てる範囲で参加させていただければと思います。よろしくお願いします。私からは以上でございます。
【加藤環境研究技術室長】 ありがとうございました。また、7月1日付けの環境省の人事に関する内容を展開します。総合環境政策統括官として、上田の後任で鑓水が着任してございます。また、本日は業務により欠席ですけれども、総合環境政策グループ担当の大臣官房審議官の小森の後任に堀上が、総合政策課長の西村の後任に小笠原が着任してございます。それでは、総合環境政策統括官の鑓水よりご挨拶申し上げます。
【鑓水環境政策統括官】 7月1日付で、総合環境政策統括官を拝命いたしました、鑓水でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 本日はご多用の中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。審議会の開会に当たりまして、一言ご挨拶させていただきます。 昨年度は、令和3年度の実績評価に対しまして、大変ご多用の中、委員の皆様方から貴重なご意見を賜りましたこと、まずは心より御礼申し上げたいと思います。 今回及び8月の審議会におきましては、第5期中長目標期間の2年度目に当たる令和4年度の業務実績についてご説明させていただき、評価の素案についてご意見をいただきたいと考えております。 国立環境研究所は、昭和49年、国立公害研究所といたしまして設立されて以来、我が国の環境科学の中核的研究機関として幅広い研究を推進しており、第5期中長期目標期間中の来年には、発足から50年を迎えることになります。 今の環境行政は、持続可能な経済社会の構築に向け、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブ、これを一体的に推進して、経済・社会全体を変革することが必要であると認識しております。 国立環境研究所は、我が国の環境科学分野を牽引する役割を担い続ける中で、それらの社会課題に対して、国の政策と密接に連携して取り組んでおります。扱う課題が複雑化、多様化する中で、その研究成果を最大限に活用し、国立環境研究所と環境省が相乗効果を生んで、課題解決に取り組んでまいりたいと思います。 こうした状況を踏まえまして、本日は国立環境研究所が研究成果の最大化に向けて、着実に成果を上げられているか、また、適正、効果的かつ効率的な業務運営ができているかどうかなどにつきまして、ご審議いただきたいと思っております。どうぞ忌憚のないご意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
【加藤環境研究技術室長】 ありがとうございました。なお、統括官は用務のため途中退席となりますこと、ご了承ください。 続きまして資料を確認します。電子媒体で資料を送付してございます。資料の目途として、議事次第、今年度の審議事項、環境省所管独立行政法人の業務実績評価基準の三つの資料と、議事次第に記載しましたとおり、10種類の資料と参考資料がございます。資料に過不足等ございましたら、事務局にご連絡ください。メール等で対応するようにします。 さて本日、改選後の最初の審議会となりますので、会長の選任までは、事務局にて議事を進行します。 それでは早速、会長の選出に入ります。 環境省国立研究開発法人審議令第4条第1項の規定により、審議会に会長を置き、委員のうち、委員が選挙をするとされてございます。どなたか立候補もしくは候補者についてのご意見ございますでしょうか。 大久保先生。
【大久保委員】 大久保でございます。中村委員を推薦させていただきます。中村委員は、これまで極めて真摯に国環研の業績評価に従事してこられましたので、適任だと思いますが、いかがでしょうか。
【加藤環境研究技術室長】 ご推薦ありがとうございます。そのほかご意見ございませんでしょうか。
(なし)
【加藤環境研究技術室長】 ご意見ございませんので、中村先生を会長に選出したいというふうに存じますけれども、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【加藤環境研究技術室長】 ありがとうございます。それでは、これからの議事進行は中村会長にお願いいたします。
【中村会長】 皆さん、おはようございます。今ご指名いただきましたので、会長をお引き受けいたしたいと思います。 私自身は、川や森の生態系についてやってきて、国環研の特に自然環境関係の皆さんと様々なプロジェクトもご一緒させていただきました。何分、花木前会長のようにうまくいかないと思いますので、皆さんのお力を借りて運営できればと思っています。よろしくお願いいたします。 それでは時間も限られていますので、早速ですが、議事に入らせていただきたいと思いますが、その前に、まず手続に入らせていただきたいと思います。 環境省国立研究開発法人審議会令第4条第3項に「会長に事故があるときは、委員のうちから会長があらかじめ指名する者がその職務を代理する」と規定されています。会長代理につきましては、私のほうから、大久保委員にお願いしたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
【大久保会長代理】 承知いたしました。よろしくお願いいたします。
【中村会長】 ありがとうございます。 それでは議事に入ります前に、本日の審議事項と審議の進め方について、事務局からご説明をお願いいたします。
【加藤環境研究技術室長】 環境省の加藤でございます。それでは議事を進めるに際しまして、本日の審議事項と、審議の進め方について事務局からご説明します。 資料0‐②の資料をご覧ください。こちら審議事項に関する資料となってございます。 本年度は、本日、7月13日と8月23日の2回の審議会を予定してございます。 本年度は、このスライド右下の助言対象の中の②にございます業務実績の評価の中で、点線で囲んだ部分の令和4年度の年度評価が対象となってございます。 年度評価ですが、研究開発成果の最大化等が目的でございまして、国立環境研究所の自己評価結果、外部評価結果等を踏まえまして、中長期計画の実施状況に留意しつつ、業務の実績の全体について総合的な評価を実施することになります。Bを標準とした5段階での評定となります。 なお、ここに記載されてございませんが、評価に際しては、もう一個前のページがいいかもしれません。申し訳ございません。 ここには記載してございませんが、評価に対しては難易度と重要度も加味する必要がございます。難易度高く設定した目標に限りましては、評点を一つ高くすることについて考慮することになります。また、重要度が高い業務とされた項目につきましては、総合評点をつける際に十分考慮するというふうにされてございます。 さて、令和4年度は、第5期中長期目標の2年目となってございまして、ここに示すような構成となってございます。点線で囲みました第3から第6の内容が、業務の中身に該当することになりまして、これらを評価することになります。 第3は、研究成果の最大化、その他の業務の質の向上に関する事項でして、研究に関する評価等になります。 第4から第6は、効率化や財務内容の改善、その他ということでして、業務のマネジメントに関する内容になります。 本日は研究に関わる第3の前半部分、一つ目のポツの(4)までの部分と、第3の残り2、3とマネジメントに関わる第4から第6の部分、二つに分けて議論を進めたいというふうに考えてございます。 審議の進め方ですけれども、本日7月13日は、国立環境研究所から業務実績等報告・自己評価の説明を頂戴し、その後、環境省から評価素案をご説明します。この評価素案は、先ほどの5段階評価を素案として付けたものでございます。 その後、監事の方々にもコメントを頂戴した後、質疑に入りたいというふうに考えてございます。 そして、8月23日の2回目の審議会までに、審議会の先生方と事務局にてやり取りを進めまして、8月23日と2回目の審議会で評価書について審議し、決定することになります。 審議事項の進め方については以上になります。何かご質問ございますでしょうか。
【中村会長】 皆さんのほうから何かご質問ありますか。よろしいですか。
(なし)
【中村会長】 それでは、途中でご質問いただいても結構ですので、ひとまず先に進めさせていただきます。 議事に入りたいと思います。議題は、令和4年度に関わる業務実績等報告及び評価書素案についてです。 初めに国立研究所の説明がありますが、国立研究所の概要等の説明からお願いいたします。
【木本理事長】 ありがとうございます。国立環境研理事長をしております木本でございます。中村先生には会長をお引き受けいただきまして、ありがとうございます。 私の話は、国立環境研の概要ではございますが、新任の小野田先生を除いては、昨年、委員の先生方には概略を説明しておりますし、小野田先生にも別途時間を取っていただきまして、簡単ではございますが、先日説明したところではございますので、やや簡潔に要点を絞ってお話ししたいと思います。 国立環境研究所、環境省に続きまして、まもなく発足から50年、半世紀を迎えます。来年の3月15日ですけれども、環境省の方々の国会のスケジュールも考慮いたしまして、6月頃にイベントをやりたいと思っていますので、ここにご列席の皆さんもぜひご出席いただきたいなと思っております。 公害研究所として発足いたしまして、環境問題が広がるにつれて、国立環境研究所と名前を変え、21世紀に入ってからは法人として5期にわたり、5年間の中長期計画、今回は第5回目と、第5期ということでございます。その2年目の評価を本日していただくことになりました。 これは我々のモットーでございますが、国民と環境省のために働きたい。そしてそれに誇りを持っているということを毎日忘れないようにリピートしておるわけでございます。 概要をお伝えします。予算はおおよそ200億をいただいております。そのうち2割弱を受託収入として稼いでというか、賄わせていただいております。 この表の数値は補正予算を含んだり、含まなかったりということで若干上下しておりますが、これにはさほどの意味はございませんで、概略200億のお金を使って任務を遂行していると。それを、おおよそ総勢900名弱で任務を執行しております。そのうちの約300名弱ですね、これが正規の職員でございまして、研究職員が220名強、それから残りは各支援部門ということでございますが、研究系のほうは契約のポスドクであるとか、特別研究員、そういう方もいらっしゃいますので、研究を約350名弱で遂行し、それを500名以上の方々に支援していただいているという形になっております。 組織の体制でございますが、八つの基礎・基盤的な部門がございまして、この研究実施部門の下にぶら下げて描いてあるてるところでございますが、ここに環境に関わるいろいろな専門分野がございまして、研究職員はこれのうちのどれかに所属し、そして課題を決めて、プロジェクト的に行わなければいけないものは、この領域も超えてやると。右側のほうは企画支援部門でございまして、第5期は企画支援部門の強化にも取り組んでおります。まず、デジタル庁やDX関連で、ポートフォリオマネジメント、PMOをしっかりしなさいということで、セキュリティーも含め、その体制を強化し、あるいは外部資金、あるいは外部の研究機関との協働、ともに働くところを支援するシステム、組織も強化いたしまして、あとは国民の皆さんに研究の成果をお届けする広報にも力を入れております。 というわけで、今少し話をいたしましたが、中長期の中では、いろいろなことに力を入れておりますが、国内外機関との連携及び社会実装の推進を外部資金室や、連連携推進部というのは第5期に新設したものですが、その中に外部資金室という特別の室を設けまして、外部資金に関する情報の統括を図る。それから研究者が研究プロジェクトなどを立ち上げたり、あるいは外部との連携をしやすいように、研究連携支援室を設けたり、さらにシニアの方、あるいは若い方もいらっしゃいますが、6名ほどの産学連携コーディネーターと、そういう役割を持った者も充てております。 これは先ほどのご説明と少しかぶりますが、八つの基礎・基盤的な領域、そして第5中長期は、この基礎・基盤的なところを、ぜひとも皆さん委員の方々のご意見を聞きたいということで、ここを強調しております。そこだけではなくて、領域から領域をまたいで、5年の目標を決めて行う戦略的研究プログラム、今のような中長期期間に限らず、国からの要請に応じて、中長期期間の枠を超えて実施する事業、これはエコチルと呼ばれるコホート調査、それとGOSATと呼ばれる地球観測衛星、温室効果ガスの観測衛星、それから気候変動適応法、法律によって定められました気候変動適応に関する業務、国民の皆さんが適応策を立てるのにサポートしなさいと、そういう業務も行っております。 その中で、研究業務について、第5中長期においては、基礎・基盤的なところに力を入れて評価していただきたいとお願いして、外部研究評価委員会というのを12月に実施しております。今回も大部の資料が先生方にお届けされているとは思います。外部研究評価委員会でも、申し訳ないのですが、先生方には大部の資料を見ていただいて、多数のご意見をいただいております。 第5期の1年目では、かなりといいますか、びっくりするほど高い評価を頂きまして、この先、5年間大丈夫だろうかと思っておりましたら、2年目は少し落ち着いた感じですが、相変わらず高い評価を頂いております。 そのほか、個別のことではなくて、全体に対してもご意見ございませんかと外部評価委員会の先生方にお聞きしたのですが、ほぼ絶賛に近い好意的なコメントをいただきまして、私としては大変うれしく思ったところでございます。 それから、2年目の総括ということですが、広報関連の組織を統合して、より効率的に広報事業が進められるようにした。それから気候変動適応業務について学際的な研究を推進して、それから地域において研究成果を社会実装するという、これから福島だけではなくて、九州でも中国地方でも、地域の皆さんと一緒に研究成果の実装に取り組んでおります。 それから業務運営面についても、情報のデジタル化、効率化や、それから50年経って、建物がかなり古くなって、かなりの不具合も出てきておりますので、環境省の方々にもお願いして、建て替えを少しずつやりましょうということで、昨年度はかなり大きく進んだところでございます。 ちょっと冗長になった部分もあるかもしれませんが、概略の紹介は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
【中村会長】 ありがとうございました。概要についてのご質問については、この後の質疑応答においてお尋ねいただければというふうに思います。 それでは、次の第5期中長期計画の項目に従って審議をしてまいります。進め方としましては、まず、国立環境研究所から、令和4年度の実績報告書等についてご説明いただいた後に、事務局から評価書案についてご説明いただき、その後で、委員の皆さんからの質疑応答を受けたいという、そういった流れでまいりたいと思います。 一方で、評価対象が広い部分にわたりますので、先ほど加藤室長よりご説明がありましたとおり、二つに分けて行いたいと思います。 初めに、第5期中期計画の第3、研究開発の成果の最大化、その他の業務の質の向上に関する事項。1、環境研究に関する業務について、国立環境研究所から業務実績報告等の説明をいただいた後、事務局よりこの部分の評価素案について説明を受けて、最後に質疑に入らせていただきます。それでは、まず資料2からお願いいたします。
【森口理事】 会長、ありがとうございます。研究担当理事5年目を務めております森口でございます。資料に沿って、業務実績等報告の前半部分説明いたします。限られた時間枠で駆け足になりますけれども、よろしくお願いいたします。 例年示しております研究の進捗管理の全体像でございます。外部研究評価委員会における評点等は、この後の説明の中でもお示しいたします。このほか、所内での研究評価、海外専門家による助言の仕組みを持っております。 中長期目標の構成に対応して、評価項目は15項目からが構成されておりまして、この第3の項目の区分構成1、2、3は、国立環境研究所法に定められた業務の構成と対応しております。 こちら、青字の環境情報、それから気候変動適応につきましては、第4以降も併せまして、後半で企画総務担当の高澤理事から報告することとし、私からは第3の1、環境研究についてご説明を申し上げます。 先に自己評価の総括をお示ししておきます。(1)~(4)で、全て自己評価はAとしております。 これ理事長から先ほどお示ししましたけれども、例年お示しております全体像で、第3の全体像、このブルーの部分でございます。以後、この図に戻って、どこを説明しているかを参照しながらご説明申し上げます。 では項目(1)~(4)まで、令和4年度分の成果について順次ご報告をいたします。 最初の区分は(1)重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進ということで、具体的には戦略的研究プログラムというタイトルをつけております。ちょっとこの区分名が長いため、以後、戦略的研究プログラムいうタイトルのもとでご説明をいたします。 八つのプログラムがありますけれども、気候変動関係につきましてはプログラム間の連携をより強く意識して、気候危機対応研究イニシアチブを組織しております。評価軸はここに示したとおりです。番号順に順次成果をご報告いたしますけれども、⑧の気候変動適応研究プログラムにつきましては、適応に関する支援業務と併せまして、まとめて後半で高澤理事からご報告いたします。 昨年同様、各プログラム2枚1組のスライドを用意し、1枚目で全体の概要、2枚目で特筆すべき成果の一つに絞ってご紹介いたします。一つしかご紹介できないのですが、外部評価では1プログラム20分ぐらい割り当てまして非常に丁寧に評価をいただいております。 それでは最初のプログラムですけれども、気候変動大気室研究プログラム、これは温室効果ガスとともに、短寿命気候汚染物質SLCFも重視しまして、自然科学、社会科学にまたがる3プロジェクトから構成しております。 特筆すべき成果といたしましては、降水量変化の将来予測における不確実性の低減ということで、従来モデル間のばらつきが非常に大きかったわけですけれども、67の気候モデルの結果を観測と比較し、気温の再現性が整合的できていないモデルを比較することで、降水量変化の不確実性を低減することに成功しております。 2番目は物質フロー革新プログラムで、こちらも三つのプロジェクトから構成され、それぞれのプロジェクトの目標とする成果、さらには目指す社会的帰結をこちらに掲げております。 昨年は非実験系のPJ1の成果を紹介いたしましたけれども、今回、小野田先生のご専門に近いということもございまして、PJ3の技術開発の成果の一端をご紹介いたします。 バイオマス有機性廃棄物処理の脱炭素化に向けまして、熱分解温度の制御、カリウムの添加、燃焼灰とCO2の循環利用など、エネルギー回収量の増大と、バイオ炭の高機能化の条件を特定いたしました。 三つ目は包括環境リスクです。影響の行き着く先として人間の健康への有害性、生態系への有害性の両面を捉え、曝露計測、環境動態モデルなど、手法面のプロジェクトが支えながら包括的なリスク評価指標を目指すというゴールを掲げております。 PJ4、環境動態の成果をご紹介しておきます。世界で製造される化成品について、製造量の分布と、それから、製造量ごとに応じた排出係数の回帰モデルを作成いたしまして包括的に排出量を推定するという検討を進めまして、これをもって、生態リスク指標の開発が進展いたしました。 四つ目は自然共生プログラムです。三つの劣化要因ごとに対処と保全計画を提示するプロジェクト、それから生態系を活用した持続的利用に関するプロジェクト、そして保全と利用の両面からの統合的アプローチ、計五つのプロジェクトから構成されております。赤字でそれぞれの成果の要点も付記しております。 PJ1、2にまたがりますが、絶滅危惧種ヤンバルクイナを対象とした域内・域外の統合的保全に関する成果です。域内保全に関しては捕食者の検出や、細胞を用いた感受性評価系の構築を進めました。域外保全については、環境収容力を高めても個体数の減少傾向が続くことが示唆されましたので、種の存続可能性の担保には、飼育個体群の維持が必要と考え、タイムカプセル等の保存細胞の活用も検討をしております。 五つ目は、脱炭素・持続化の社会プログラムです。脱炭素、カーボンニュートラルという言葉が頻繁に聞かれるようになりましたけれども、持続可能な社会というより大きな問題との同時達成が必要でございます。地球規模、日本、アジア諸国の国レベル、そして将来世代との公平性の考慮ということにフォーカスした三つのプロジェクトから構成されております。 そのうち世界レベル、PJ1のモデル開発の成果でありまして、世界全域の2050年脱炭素シナリオ、特に農業、土地利用分野の脱炭素戦略を進めることにより、飢餓リスクへの影響がどうであるかということを、温室効果ガス削減費用の増加、それからバイオエネルギー作物の生産拡大、そして大規模植林の三つの要因の寄与を評価いたしました。これの中では大規模植林が最も影響を与える可能性があるということを明らかにしております。 一つ前のプログラムが、国から国際スケールであるのに対し、持続可能地域共創プログラムでは国内の地域、自治体レベルでのローカルな取組に主眼を置いております。事例研究の対象地域、地域に適した技術、地域診断ツール、そして社会実装の課題解決を切り口とする4プロジェクトから構成されております。 今回紹介するのはこのPJ2の技術に関する成果でありまして、化学コンビナートにリサイクル困難な可燃廃棄物を集積し、エネルギーだけではなく、化学原料も供給する仕組みの事業化の検討を進めております。 廃棄物焼却熱の産業利用については、海外では事例が徐々に増えつつあります。CO2の排出削減効果や経済性について科学的に示した上で、実現に向けた産官学の連携体制の構築が進展しつつございます。 災害環境研究プログラムも地域に密着した課題で、大震災以降、非常に注力してきたものでございます。第4期には、災害環境研究プログラム3課題を実施しておりましたけれども、これらを1課題に再編いたしました。放射性物質汚染を含め、環境影響・修復を扱う二つのプロジェクト、災害からの復興・環境創生に関する二つのプロジェクト、そして災害廃棄物・災害時の有害物のマネジメントを扱う二つのプロジェクトの計六つのプロジェクトの主な内容をこのスライドで示しております。これらにより、将来の災害に備えた地域の災害環境レジリエンスの向上に貢献するということを目的としております。 代表的な成果一つだけ示しておきます。避難指示で人が住まなくなったことによる野生生物、具体的には野鳥の分布への影響を解析いたしました。避難指示の前後、ビフォーアフターと指示区域の内か外かということの両方を考慮したモデルを用いて、野鳥がどのぐらいの頻度で観察されるかということの評価を行いました。 従来のモデルは避難指示の影響、やや過大評価していたということが分かってまいりまして、真に避難指示の影響を受ける里地・里山の地域の指標となる鳥は何かということを抽出することができました。 戦略的研究プログラムのうち、気候変動に関する課題を一体的に推進するのが気候危機イニシアチブです。直接関連する4課題に加えまして、自然共生プログラムとの間では、昨年度の指摘事項への対応として、資料9にも明記しておりますけれども、太陽光発電と自然保護の両立という問題を取り上げ、また、物質フロー革新プログラムとの間では、先ほど資源循環廃棄物分野のプログラムとしてご紹介しましたけれども、そういった脱炭素といったことを取り上げております。 また地元つくば市や国環研自身の脱炭素についても、このイニシアチブの中で取り上げてきております。イニシアチブでは、社会の関心に即した知見の創出と発信にも注力しております。IPCCの三つのワーキングそれぞれで用いられるシナリオに関して、国際研究機関IIASAで開催されたScenarios Forumでの議論の内容を紹介するウェビナーを配信しております。 こちらが戦略的研究プログラム、気候変動適応につきましては後ほどご紹介しますけれども、8課題全体の外部研究評価の5点満点での評点でございます。多少ばらつきもございますし、昨年比で上がったり下がったり、ほぼ同じ、いろいろございますけれども、全体平均としては昨年に続き4点を超える高い点をいただいております。複数のプログラムにおいて、プログラムを構成するプロジェクト間で連携した取組が実施されているということを評価いただいております。 以上、第1の項目、戦略的研究プログラムにつきましては、難易度の高い課題において、年度計画に沿って順調な成果を上げるとともに、重要性の高い研究において、環境問題の課題解決につながる成果の創出が認められたと考えまして、項目別の自己評定につきましては、Aとしております。 プログラムごとの成果をこのスライドと、次のスライドに書いておりますけれども、時間限られておりますので、ここの内容の読み上げは割愛させていただきます。 続いて項目No.2、理事長から再三申し上げておりますように、特に重視、重要であるということを改めて位置づけております環境研究の各分野における科学的知見の創出の推進にまいります。 全体概要では、この赤の点線部分で、八つの分野ごとに、基礎・基盤的な取組を三つの区分で進めてまいりました。三つと申しますのは、(ア)が先見的・先端的な基礎研究、(イ)政策対応研究、そして(ウ)が知的研究基盤で、それぞれの性質に応じた評価軸を設定しております。 基礎・基盤的取組の全体像を図で示したのがこちらで、アの基礎研究の蓄積があってこそ、イの政策対応研究が行えるという考え方を図化したもので、環境研究、技術開発の推進戦略の5領域との対応関係も意識しております。 一方、ウの知的研究基盤には、研究機関ならでは、長期にわたって継続的に取り組むことができる国内外の、あるいは所内外の環境研究を下支えする業務を位置づけております。推進戦略のこの色分けも意識しつつ、8分野の主な研究対象をこちらに示しております。 では成果について、順次ご説明いたします。まず、アの先見的・先端的な基礎研究は基礎研究ゆえに、なかなかまとまりを示すのは難しいのですが、観測から予測、対策に至るまでの研究フェーズをカバーしております。成果の上がった主要な課題をキーワードでまとめておりまして、このうち四角で囲った五つの研究事例をこの後ごく簡単にご紹介いたします。 私ども所内公募研究という制度を持っておりまして、これはそのうち一番大規模な3年計画の所内公募Aという区分で実施したものです。オキシダント生成に関連する多層反応に関する研究の成果でありまして、チャンバー実験の結果に基づきまして、水酸化ラジカルの取込み過程を大気モデルのほうに組み込みまして、その結果、オゾン濃度にそのラジカルが非常に大きく効いているということを明らかにいたしました。 これは昨年も触れました資源循環分野でのナノプラスチックの標準試料の作成ですけれども、その後さらに進展いたしまして、従来法の10倍の速度で安定してナノプラスチックの標準試料が作れる。これをもって、毒性試験にも活用できるという目処が立っております。 これと呼応する形で、リスク健康領域では、微小プラ粒子のエアロゾル化、そして計測、気液界面暴露装置による細胞レベルでの毒性評価、さらには実際には、プラスチック粒子は劣化いたしますので、模擬劣化といったこともやっておりまして、これで大気中微小プラスチック粒子の毒性評価試験系が構築できた、準備できたと考えております。 社会システム分野では、所内の電力消費量データを収集、解析しておりまして、所内あるいはひいてはつくばの脱炭素、先ほど少しお話ししました。昨今、光熱費が非常に高騰しておりまして、これの対応にも活用する成果が得られつつございます。 生物多様性分野では、AI技術を用いた生態系因果ネットワークの推定手法を、霞ヶ浦長期観測データに適用いたしました。水温、栄養塩、プランクトン間の相互作用などの関係を解明いたしまして、アオコの発生予測に結びつく可能性が示唆されております。 (イ)の政策対応研究に移ります。基礎・基盤を担う国立環境研究所の八つの研究分野、これは環境省の推進戦略の5領域、さらには環境省のさらに区分した政策体系と結びついておりまして、これらによって随時生じる環境政策上の必要性の高い課題に対応する体制が整っております。 特筆すべき成果は、スライド2枚だけ示しておきます。これもAIの活用例で、位相差顕微鏡画像中のアスベストの繊維の識別精度が向上いたしまして、迅速な判定、現場利用につながる成果が得られております。 そして半分は災害環境の研究でありまして、災害後の環境回復から復興へとフェーズが移る中、福島県での復興政策、あるいは脱炭素政策の支援のための基盤を構築しております。 (イ)の2枚目は、いずれも琵琶湖分室の成果であります。 水質につきましては琵琶湖北湖の底泥酸素消費量について、微生物活動以外が酸素消費量の5割から7割程度を占めている可能性が示唆されております。 生物のほうでは、北東岸・水田地域の人工護岸の水路・河川におけるコイ科魚類の産卵基質について調査をいたしまして、植物、石、礫など、産卵場の保全のための知見を提供しております。 2枚のスライドで紹介した四つの具体例以外にも、多少加筆しておりますけれども、推進戦略の5領域全般について、政策支援に直接つながる成果を提供しております。 基礎・基盤的取組の最後、三つ目の区分が知的研究基盤整備です。 これは、第4期には環境研究の基盤整備という区分を実施しておりました。これを継承するもので、所内外の研究者に研究基盤を提供するものです。 日本の南西端、沖縄の波照間島、東の端、北海道落石岬などでの温室効果ガスの長期観測は、この区分の代表的成果で、2021年は、CO2濃度増加率は鈍化傾向であったのに対し、メタン濃度のほうにつきましては、過去最大の増加率となりました。 下のほうですけれども、藻類など環境微生物の収集系統保存・提供も長期間続けてきた代表的な事業でございます。3,000株余りを公開し、年間1,000件程度の提供実績がございます。 今のスライドで示した二つの具体的事例も含め、モニタリング、データベース、情報提供、計測標準化、そして資料保存提供という四つの類型ごとの主要な成果をスライドにまとめております。 外部研究評価では、この3区分、ア、イ、ウごとに評点をいただく形になっておりまして、いずれも4.5前後の非常に高い評点をいただいております。 理事長から申し上げたとおり、昨年は我々の想定を大きく超えるさらに高い点をいただきまして、それに比べると多少下がっておりますけれども、国研としてのこの項目の適切さ、重要さゆえに、初年度に高い評価いただいたものと考えておりまして、今年度の成果が見劣りするというふうには考えておりません。 委員からの意見では、環境問題を非常に幅広くカバーし、主要な現在の環境問題、将来の環境問題の解明・解決に資する研究が行われている。政策提言、社会実装促進機関の役割を果たしているなど、国立研究開発法人としての適切な役割を果たしていることを評価いただいたものと考えております。 以上のことから、この項目No.2につきましても、自己評定はAとしております。 区分(ア)、(イ)、(ウ)ごとの主要意見も改めてこちらにまとめております。 私から説明する4区分のうち、3番目の区分、国の計画に基づき中長期計画期間を超えて実施する事業にまいります。全体像のこの赤枠部分で衛星観測、エコチル調査の2事業を位置づけております。 こちら中長期計画とは別に、それぞれの事業計画が示されておりますので、その計画に沿って主導的に実施されているかという明快な評価軸が示されております。 一つ目の温室効果ガスの衛星観測、いわゆるGOSATで、環境省、JAXAとの3機関の合同事業の大型事業でございます。 2009年に打ち上げた1号機、引き続き健在で運用を続けておりまして、2018年打ち上げの2号機も定常運用中でございます。3号機、正式名はGOSAT-GWと申し上げますけれども、打ち上げ予定、2024年に延期されましたけれども、そのことも含めましてフェーズの異なる3期全てに対応するために、担当部門が日夜奮闘しているという状況でございます。 地上から上空までの鉛直のカラムの平均濃度が主要なプロダクトですけれども、この衛星観測の結果と、全球25か所ある地上観測サイトにつきまして、衛星に搭載された分光器の特性が変動するということを加味した、新たなアルゴリズムを適用した結果、従来に比べまして誤差がかなり小さくなった。精度が改善されております。また、全球2.5度メッシュでの月別吸収排出量の推定結果の提供準備も進めております。 こうした実務を着実に進めつつ、プレスリリースなども交えながら、GOSATデータから得られた成果を公開しております。 メタンの濃度増加が過去最高であったということにつきましては、先ほどの日本での地上観測だけではなく、全球の衛星観測でも同様でございます。メタンの排出源は多様でありまして、何がメタン濃度を押し上げているのか、よく質問されるわけでありますが、この解析結果、この地域、中国北東部に絞りますと、天然ガスの採掘輸送の漏えいが疑われるということを明らかにした事例でございます。 この区分のもう一つ事業がエコチル調査で、ロードマップをこちらに示しております。世界的にもあまり例のない大規模なコホート調査で、着手から既に10年余りたっております。当初、胎児期から13歳までとして計画されておりましたが、さらに長期にわたる追跡ということが、既に環境省のほうで決定されております。 事業の主要な項目はこちらに示しておりまして、約10万組を対象とした全体調査、数千人規模の詳細調査を実施するとともに、継続的に調査に参加いただくためのコミュニケーション、資料やデータの保存・管理、そして調査結果に基づく研究成果の発信などに取り組んでおります。 先ほど申しましたとおり、13歳以降も調査が継続されることになりましたので、参加意思確認のためのウェブ調査などの業務が新たに加わっております。 調査データに基づく研究成果、1例だけ示しておきます。妊婦の血液中鉛濃度が高くなることで男児の出生割合が大きくなるということの関連が示されております。性比の影響については他の要因ですとか、父親の血中鉛濃度の影響など、まだまだ解明しなきゃいけない点がございますけれども、調査結果からこのような有意な差が現れております。 これら2事業につきましては、定量的なモニタリング指標が設定されております。GOSATのプロダクトのユーザー数、1号機も依然として、4期の中長期計画期間に比べまして増加しておりますし、2018年打ち上げのGOSAT-2につきましては、大幅に増加をしております。 エコチル調査の追跡率につきましては、コロナの影響もありまして制約が加わる中ではございますけれども、引き続き93%という高い参加率を維持しております。 外部研究評価では、二つの事業いずれにつきましても、第4期とほぼ同水準ないしそれ以上の評点をいただきました。個別意見の中でも国主導の事業を国立環境研究所が実務を主導する形で実施することの意義を評価いただいております。 以上、踏まえまして、項目3の区分につきましても自己評定Aとしております。ご説明した主要な成果はこちらに再掲しております。 私からの説明の最後の評価区分(4)でございます。これは国内外機関との連携及び政策貢献を含む社会実装の推進です。 全体像では、この赤枠で、これまでご説明した個々の項目に共通する横断的な取組でございます。この項目は中核的研究機関としての連携の組織的推進、国内外機関及び関係主体との連携・協働、そして成果の社会実装の3項目からなっておりまして、それぞれの評価軸が設定されております。 ①の中核的研究機関としての連携の組織的推進につきましては、先ほどの理事長からの概要説明の中で連携推進部の組織の増強についてご説明したところでございます。 様々な主体との連携という点では、第4期に福島支部という名称で設けておりました支部、第5期には福島地域共同研究拠点、地域とともに働くという名称に改めました。連携協定を含む自治体行政の支援、若年層の人材育成といった活動にも取り組んでおります。 一方、コロナ以降、海外機関との連携はかなり厳しい状況が続いておりましたけれども、マレーシアの大学と連携協定を締結し、大気汚染の曝露の健康影響をテーマで、現地での共同研究会議、これも久しぶりに開催をいたしました。 地方自治体の環境研究機関は、我々は地環研と略称しておりますけれども、こことの連携も長年続けてきた非常に重要な活動でございます。特に全国の複数、多くの機関が参画するⅡ型という共同研究の課題数は4期に比べまして増加しておりますし、地方の環境研究所の延べの参加数でいいますと、さらに大幅に増加をしております。 海洋プラスチック問題が関心を集める中、河川のプラスチックごみの実態把握は自治体のニーズの高い課題でございまして、環境省の調査ガイドラインの動画マニュアルの作成、公開も進めております。 多様な相手方との連携・協働に関するモニタリング指標を参考値の第4期平均とともにまとめた集計表でございます。昨年、ご質問ありました、国の他の研究機関との共同研究課題数が多少減っている一方で、共同研究契約の機関数の総数、かなり増えております。特に企業との共同研究の数が増えている状況でございます。中核的研究機関としての役割、様々な主体との連携・協働の両方に関わりますけれども、主な国際的活動をこちらに列記しております。 MOU等の定常的な活動と、それから毎年実施しているものを含めまして、主要な会合をこちらに列記しております。エジプトでのCOP27につきましても、現地パビリオンでのセミナー開催という形で参加しております。気候変動だけではなく生物多様性関係含め、他の分野での国際活動にも積極的に参加しております。 成果の社会実装先は多岐にわたりますけれども、環境政策の貢献がその第一であることはいうまでもございません。IPCC AR6への貢献は既に昨年も報告しておりますけれども、最後の統合報告書も公表され、引き続き解説動画の配信など知見の普及に努めております。 国内と国際の接点でありますけれども、外来生物問題、特にヒアリ対策は、専門家による環境支援の典型例であります。こういった非常によく知られている貢献に加えまして、多数の研究者が非常に地道に政策貢献を果たしております。貢献事例の数をカウントした結果をここに示しておりまして、代表的な案件名、ここに触れておりますけれども、業務実績報告書資料編110ページからの資料26-2で、25ページを割いて、分野ごとに表でまとめております。 多少前後いたしますけれども、言うまでもなく研究成果を学術的にきちんと形にしておくということは重要でございます。こちらに論文や口頭発表の件数をまとめております。 数とともに論文の質についても調査しておりまして、他機関の国際共著率が高いこと、また論文の相対被引用度も世界標準を大きく上回っているということを確認しております。 学術論文以外の様々なアウトプットをこちらに表にしております。コロナの影響で前年を下回っている項目もございますけれども、例えば、受賞数が大幅に増加しておりまして、ここでも質の高い成果を上げているということが表れているかと思います。こちらに政策貢献、社会実装の主な成果をまとめております。この項目につきましても、十分な成果が上がったと考えておりまして、自己評価をAとしております。 以上、私から項目1の1から4についてご説明をいたしました。これら4項目をまとめた全体の評価につきましてもAとしております。 冒頭にも申し上げましたように、評価項目数としましては、後半の高澤理事からの説明分のほうがかなり多いわけですが、環境研究に関する部分について、例年時間をかけて説明させていただいております。今回も約27分頂戴いたしました。長丁場お付き合いいただきまして、ありがとうございました。 私からの説明は以上でございます。
【中村会長】 丁寧な説明、しかもコンパクトにご苦労さまでした。 それでは次に、事務局のほうから、評価素案についてのご説明をお願いいたします。
【加藤環境研究技術室長】 はい、環境省の加藤でございます。 それでは、評価素案の説明の前に評定の考え方をまずご説明したいと思います。資料0-③の資料になります。現在共有されているものでございます。 先ほど森口理事より研究に関する業務実績等のご説明を頂戴しましたが、少し順番が前後して申し訳ないのですけれども、先に研究ではない部分の評定区分からご説明させてください。 スライド中段にございますが、評定Bが、目標数字を満たしているものになりまして、これが標準となります。難易度を高く設定した目標、もしくは成果水準が120%を超えると評定が一つ高くなり、さらに質的に顕著な成果が見られる場合は、さらに評定が一つ高くなり、最高評定になります。一方、目標水準を満たしてないと、CやDといったところの評点になります。 こちらが研究開発に関わる評定でございます。基本的には先ほどと同様ですが、数字で表現するところが難しいところございまして、数字を明示したものはなく、成果の創出や、将来的な成果の創出の期待等が認められるものをBとし、それに加え、顕著な成果の創出や将来的な成果の創出の期待が認める場合に評定が一つ高くなり、さらに特に顕著な成果の創出や将来に特別な成果と創出の期待等が認められるものが最高評定となります。ここにはCとDといったところは記載してございませんが、改善が期待される場合がC、抜本的な見直しを含め、特段の工夫、改善等を求める場合がDとなります。 なお、本日の最初のほうでもご説明しましたが、評価に対しては、難易度と重要度も考慮する必要が出てまいります。これらを踏まえまして、資料7の二つの資料をご覧ください。 まず資料7の一つ目になります。現在共有されているものになります。 こちらは、令和4年度に係る業務実績評価書の素案の項目別評定総括表になります。左の部分が該当します。右半分は2年前に実施しました、令和2年度第4期中長期目標期間に係る業務実績評価項目別評定総括表になりますが、令和3年度から第5期の中長期目標期間になり、評価項目の内容が変わっているところがございますので、ご注意ください。 左の表の中で、第3の部分の(4)のところまでが、先ほど森口理事が説明された部分に該当しまして、(1)の一つ目のように、重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進。(2)の環境研究の各分野におけるパーツ的知見の創出等の推進。(3)の国の計画に基づき、中長期目標期間を超えて実施する事業の着実な推進。(4)の国内外機関との連携や政策貢献を含む社会実装の推進。これら四つにつきまして素案を考えたところでございます。 結論を申しますと、国立環境研究所の自己評価と環境省の評価素案は同様となってございます。 これらの論拠を記載したものが資料7-2になります。 こちらの資料、資料自体がかなりのページ数ですので、一つ一つ説明を始めてしまいますと時間が長くかかりますので、資料の見方をご説明するということとさせてください。先ほどの総括表の左側の項目が並んでございまして、このような項目の評定をつけることになります。 2ページ目ですが、重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進に関して記載してございますが、上段に中長期目標計画が何なのかを記載し、続いて、下段に我々の評価軸、評価ごとの指標を記載してございます。 続いて3ページ目ですけれども、年度評価のポイント等、項目別評定の判断根拠となる重要な事例を、我々が考えるものを記載するというような構成になってございます。この項目では、主要な事例が3ページ目、続いて4ページ目、続いて5ページ目という形でなってございます。6ページ目から先ですけれども、こちらに関しましては、その他の項目を同様に整理したものでございます。このような論拠をもちまして、先ほど示した総括表としてまとめてございます。 環境省からの説明は以上になります。
【中村会長】 ありがとうございました。それでは、大体15分から18分ぐらい時間があるようですが、委員の皆様からご質問、ご意見あれば、挙手ボタンですね、それを押していただければと思います。よろしくお願いいたします。 山室委員どうぞ。
【山室委員】 はい、ありがとうございます。資料1と2が説明されたと思うのですけど、まず資料1からと考えていいですか。
【中村会長】 はい、どうぞ。
【山室委員】 資料1の3ページのところに、予算と人員規模という円グラフがあって、契約職員構成というところに、フェローから始まってシニアスタッフまでの分類があります。ここで私が注目しているのは、資料2でもサンプルを保存するとか、かなり高度な技能を要することが成果として紹介されていたのですが、ここにある高度技能専門員というのが、契約職員の中の研究系の中に入っていないように見えるので、どういう位置づけで、どういう待遇で、そういう高度な技能を持った方々を確保して、将来的に維持しようとしているのかについて、ちょっとここからは読み取れなかったので教えていただきたいと思います。
【木本理事長】 ありがとうございます。理事長の木本でございます。契約職員の中にも研究員と呼んでいる方と、それから高度技能専門員やアシスタントと呼ばれる方がおります。研究員と呼んでいる方々は、基本は研究をして論文を書く、やわらかく言うとそういう方。高度技能専門員という方は必ずしも論文を書くわけではないが、資料を収集したり、サンプル、サンプルというか、例えばラットの飼育をしたりとか、通常の方ではできない高度な技能を持った支援スタッフというふうに位置づけております。本来でしたら、そういう方々も正規職員としてお雇いしたいところではございますが、国から頂ける人件費には限りがございますので、研究費のほうから賃金を捻出して、高度な技能の方々を確保するように努めておるわけでございます。こういう説明でよろしいでしょうか。
【山室委員】 ありがとうございます。私の前の職場の地質調査所だと、岩石を薄く削って薄片にするというのが非常に重要な部分で、そこの方々というのはもう本当に神技なので、私の記憶だと正規職員だった記憶があります。なので、そういう高度な技術を持った人というのが、安定して国立環境研究所で活躍できるような体制も今後ちょっと目指していただけるといいのかなと思いました。 以上です。
【森口理事】 ありがとうございます。研究担当理事森口から、若干の補足をさせていただきます。 グラフの中で研究系と集計をしているのは、これ研究職といいますか、ポスドクと正規の研究職ですけれども、先生ご指摘のように、高度技能専門員がいなくては研究が立ち行かないというのがございますので、また、アシスタントスタッフの中にも実験を補助するスタッフがおりますので、より広い意味での研究系のスタッフ数を参考に示すなどして、より工夫をしたいと思います。 それから高度技能専門員の方、無期雇用に転換しておられる方もたくさんおられますので、やはり長期にわたって我々の研究を支えていただくという体制については、我々のほうとしても、できる限り進めているところでございます。 以上、私からの補足でございます。
【山室委員】 ありがとうございました。資料2についても、ちょっと2点ぐらいあるのですけれども、ここで一旦切った方がいいですか。
【中村会長】 いえ、どうぞ続けてください。
【山室委員】 ありがとうございます。ちょっと資料2で、今までご説明あったところで、まず一つは16ページの包括環境リスク研究プログラムで、化学品由来の全化学物質の包括的な排出量の推定と生態リスク指標の開発ということが説明されています。左下のグラフに、製造量Qと水域への排出係数eWの回帰分析というのが書かれていて、これはだから化学物質が最終的に水域に出ていくという過程で、その生態的な影響リスクを調べているのか。それともその化学物質を、例えば陸上でも私たちが吸うなど、昆虫とか陸生の生き物も、やっぱり生態系としては、特に私たちは地上に生きているので、水の中よりは地上の生態系のほうが影響というのはより感じると思う。ですので、これ多分1枚に示すためにこうなったのだと思うので、一体これ何をされた研究なのかっていうのをもう少し教えていただきたいというのが1点です。 それから73ページに、広報についてご説明があって、それで最近の特に若者は動画しか見ないというのがあって、研究所のYouTubeチャンネルで一番下のポチですね、IPCCの6次評価書報告の解説動画は7件公開と書いてあるのですけれども、これ7件で2万回弱しか再生されてないというのは、余り見られているほうじゃないような気がするのですけれども、これを書いたというのは、こんなに見られたと思っているのか。というのが、ちょっと不安に思ったので、つまり7で割ると3,000、4,000とか、それぐらいになりますよね。1,000オーダーで見られているというふうになるのかというのがちょっと疑問に思いまして、私だったら今後もっとアクセスされるように努力するとか、一言添えたいと思うのですが、その点どうかということと、その2点です。ありがとうございました。 【森口理事】 ありがとうございます。2点目につきましては、後半の環境情報業務も若干関係するところございますけれども、今、このIPCC関係につきましては、後ほど三枝領域長のほうからお答えする形にしたいと思います。 1問目の後16枚目のスライドにつきましては、オンラインで、山本プログラムリーダー、回答可能でしょうか。
【山本プログラムリーダー】 包括環境リスク研究プログラムの総括をしています山本です。山室先生、ありがとうございます。ご回答させていただきます。 このグラフの左下のこのものなのですが、全化成品ということなので、化学物質全体を捉えようというところにまず重点を置いておりまして、その中で当然、水域以外にも大気であったりだとか、土壌であったりだとか、そういったところに排出するものがありますが、現在、野生生物への影響というのは、基本的に水域を通じての水系での影響を捉えるというところに重点を置いてやらせていただいたところですので、これ陸上、大気を通じての陸上への影響というのはヒト健康の影響のところで一定程度考えられているということで、ここでの生態リスクというのは、あくまでも化学物質全体の水域に行った際の生態への影響という、水生態系の影響というものを大まかに捉えようというところに重点を置いた研究になります。お答えなりましたでしょうか。 以上です。
【山室委員】 ありがとうございました。そういうことだということですね。理解いたしました。
【森口理事】 それでは2番目につきましては、直接関わっている江守が今日は出席していないようですので、簡単にここで答えられることを地球システム領域長からお答え申し上げます。
【三枝地球システム領域長】 地球システム領域の三枝と申します。この動画については、まだまだこれからアクセス数を伸ばしていかなければならない数字だと思っております。なお、ご参考までに申し上げますと、ワーキンググループ1報告書が発表されたときに公開されました最初のものは、今、名前が出ました、対話オフィスのリーダーでもある江守が作ったものですが、こちらは1件で6.6万ということで、そのくらいいくものもあれば、最近のIPCC解説ですと数千件とか、開設から間もないこともあり、そのくらいになっているものもあり、これから伸ばしていきたいというところです。 以上です。
【山室委員】 ありがとうございました。承知いたしました。
【中村会長】 ありがとうございました。ひょっとすると、そういったプログラムがYouTubeで流れていることを知らない方々も多いと思うので、そのコンテンツそれだけではなくて、どうやってその情報、こういったものがYouTubeで解説されているということを皆さんにお知らせする、その辺も大事かなというふうに思いました。ありがとうございます。 それでは何人かの委員から手が挙がっていますので、順番に、高橋委員、佐藤委員、大久保委員の順番でお願いいたします。 まず高橋委員お願いいたします。
【高橋委員】 ありがとうございます。聞こえますでしょうか。
【中村会長】 大丈夫です。
【高橋委員】 資料2の業務実績について、ちょっと一つだけ質問させていただきたいと思います。全体としてすばらしい研究成果が多数出ているというのはよく分かりました。研究の外部評価で高い評価が得られるというのも納得できるなというふうに感じたところでございます。 その中で一つだけ単純に、ちょっとした疑問ですけれども、教えていただきたいなというのがございました。20ページですが、この研究成果の中で、大規模植林の影響という部分ですね。これ要するに、ちょっと私は素人ということもあって、この大規模植林と目標とする飢餓リスクの関係がちょっと分かりにくくて、もし可能でしたら、教えていただけるとありがたいなと思ったのですが、いかがでございましょうか。
【森口理事】 ありがとうございます。では、担当の高橋副領域長からお答えいたします。
【高橋副領域長】 今、よろしいですか。こちらの声、聞こえますか。
【森口理事】 大丈夫です。
【高橋副領域長】 どうもありがとうございます。これは将来的に炭素を吸収する、固定するというふうなものについて価値がつくわけですけれども、その結果として、植林地を広げることによって、そこでペイする。何らかの形で収入を得ることができるというふうなことが期待されます。そうすると、こちらの植林側に土地が割かれるということで、農地のほう、食料を生産するために使う農地のほうが小さくなってしまう。あるいは価格が高くなってしまって、結果的に作物価格が国際的に高くなる。結果的に貧しい国の貧しい所得層の人たちで食料消費の量が減ってしまって、飢餓リスクが高まるというふうなメカニズムが表現されている結果となります。 以上です。 【高橋委員】 分かりました。昨今はいわゆるウッドショックというものが、ちょっと騒がれていますが、そういった木材価格の高騰のような、そういう経済、エコノミカルな問題というのが複雑に絡んでいるという、そういう理解でよろしいでしょうか。
【高橋副領域長】 はい、そうです。木材の資源としてではなくて、炭素を将来的に大規模に吸収しなければならないことで価格がつくので、ちょっと今と状況、また変わるところあるかと思いますけれども、そのような経済的なメカニズムが関与しているというふうなご理解で、大丈夫かと思います。どうもありがとうございます。
【高橋委員】 ありがとうございました。よく分かりました。 以上でございます。
【中村会長】 ありがとうございます。それでは佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 東京大学の佐藤薫です。よろしくお願いします。大変簡潔で分かりやすいご説明をどうもありがとうございました。私のほうからは3点、ちょっと多いのですけれども、質問させていただきたいと思います。 まず1点目ですけれども、資料3の67ページの辺りのご説明で、中核的研究機関としての連携の組織的推進というところで、これまでと比べて一般企業との連携が増えているというようなご説明があったかと思います。その理由についてお伺いしたいと思うのですが、これは環境研で進められてきた脱炭素などの研究の社会実装のフェーズに徐々に入りつつあるということを反映しているのか、ちょっと具体的にその辺りを教えていただけるとありがたいです。まず、この1点目で、お答えいただければと思います。
【森口理事】 森口から簡潔にご報告いたします。私からの説明は直接申し上げませんでしたけれども、理事長から申し上げましたように、連携推進部を第4期に設置いたしました。公害研というルーツもありますので、正直申し上げまして、民間企業との連携というのは必ずしも得意ではなかった。それから制度的な準備も十分できていなかったのですが、連携推進部を設けまして、民間企業との共同研究体制がやりやすくなった。それから共同研究でも企業さんから資金を提供いただく。つまり一部の研究費を分担いただくような形の制度もつくりまして、そういった意味で、支援制度がしっかりできたと。それから共同研究の締結などの支援の体制もやったということで、これまでは研究者自身がその辺りもやらなきゃいけなかったのを、ちゃんとその支援組織をつくったということが形になりつつあるというふうに考えております。
【佐藤委員】 分かりました。どうもありがとうございます。 では2番目ですけれども、論文の評価に関して指標が共著者の数とか、引用数というのを挙げていらっしゃったかと思うのですけれども、ちょっと表面的な評価の指標だなという印象があります。そういう指標ですと、共著者を増やそうとか、あまり関係ないけど、ほかの仲間の論文を引用してあげようとか、そういうあんまりよくない方向にいきそうな気がいたしますが、もう少しそういう表面的な数字だけではなくて評価をするという取組はなされる予定はないのでしょうか。
【森口理事】 ありがとうございます。これは、この指標を抜いてきたということが、必ずしも適切ではなかったかということかもしれません。いいかどうかというよりは、一つの特徴だと思っておりまして、国立環境研究所だけでやっているというよりは、特に国際的な共著も含めて、そういったことの中でやっていることでございます。次年度以降、工夫をしたいと思いますけれども、論文の質に関わる調査、ウェブオブサイエンスの解析を毎年外注でやっておりまして、相対的引用度だけではなくて、ジャーナルの平均的なインパクトファクターに対して国環研の論文の引用状況がどうであるかとか、かなり精緻な分析をやっておりますが、何分限られた時間の中で示そうと思いますと、とても示せないものですから、こういうややミスリーディングな指標を示してしまったかなと思います。やたら共著率を増やすことがよくはない。つまり、多数の共著、一人に入っているだけで、こんな指標が上がってしまうということであれば、本来の目的と合わないかと思いますので、より適切な指標を抜き出すように工夫をしたいと思います。ちょっとこれは指標の選択の問題かということでご理解いただければ。
【佐藤委員】 分かりました。ただ、引用数だけも、必ずしもよい評価の指標ではなくて、レビュアーの当たり外れもあるのですけれども、レビュアーの評価というのは実は著者に返されたりするジャーナルも多いので、そういうところで、これはすごい論文だと言われるような、そういう論文は高く評価するとか、そういうふうにしないと、ちょっと心配しておりますのは、若手研究者が論文を書くということに対して、数をとにかく書くとか、共著者を増やすとか、そういうところにいってしまうと、本当に研究者として成長できない気がするんですね。その辺り考慮していただいて、若手研究者の育成にも取り組んでいただきたいと思います。
【森口理事】 全くおっしゃるとおりだと思っておりまして、機関の評価として、集計可能なものとして、こういうふうに出しております。決してこれを示して、若手研究者に指標をこうしているから、これを高めなさいというような指導は行っておりませんので、そこは安心いただければと思いますけれども。いずれにしても、インパクトファクターの問題も、いろいろな国からの論文採択のバランスなんかも変わってくる中で、ジャーナルインパクトファクターも、どの分野のどういう著者の引用が多いかということによって左右されるということもあると思いますので、その辺りも毎年外注する中で、どうやれば本当にいい論文の評価ができるのか。この指標の件、毎年ご指摘いただいておりますので、限られた予算の中でありますけれども、改善に努めておりますので、少しでも、来年いい指標が示せるように努力してまいります。
【佐藤委員】 その指標は過度に気にして研究しなくてもよいという、若手研究者へのメッセージのほうが大事なような気がいたします。 続いて3番目ですけれども、今の若手研究者の育成と関係するのですけれども、やはりポスドクの研究者の方々の数が多いというのが、どの研究所でもそうかもしれないんですけれども、日本全体でそうなのかもしれないですけれども、あって、この方々は非常に不安定な状況で、しかしながら結婚とか出産とか、そういう非常に人生の中で最も重要なポイントでもあってという、そういうときに不安定な雇用形態というと、なかなか国全体の少子化の問題なども解決できないのではないかと思われます。 それで、やはり若手研究者の処遇の安定化というのを、これは環境研だけではないと思うのですけれども、取り組んでいかないといけないというのが、新聞などでも非常に強く取り上げられています。 例えば、いきなり大学や大学院での成果だけでパーマネントな職というふうにするのは、環境研さんとしてもちょっと不安が残るかもしれないし、あと多少はいろいろな分野を研究してから落ち着いて研究者として育っていくという、そういうものもありますけれども、できればトラックみたいな、最初は試用期間といいますか、期間を限って雇用するけれども、十分に実績が上がれば、パーマネントの職に雇用するとか、そういう若者が安心して頑張れるような、そういう人事制度の仕組みを充実させていただきたいなと思っているので、その辺りのご計画について、何かあれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【森口理事】 限られた時間の中で、その辺り資料は含めておりませんけれども、私ども正規の研究員の採用は全てテニュアトラック型任期付研究員、最低限、テニュアトラック付きの、テニュアトラック型の任期付研究員です。中には最初からパーマネント採用ということもあり得るという公募もかけておりますので、基本的に任期付、従来は研究テーマ型任期付研究員と呼んでいたのですが、より明確にするために、テニュアトラック型任期付研究員と名を改めました。また、収入が分かりにくいので、年俸制も導入しております。 年俸制の方はポスドクなのですが、ポスドクにつきましてはおっしゃるとおりなのですが、ただ、対数でいいますと、私ども正規の研究員が200名を超えている中で、ポスドク約100名ということで、比率としては大学などに比べてむしろポスドク比率は低いと思います。一時期ポスドクの数150名ぐらいに達していたんですけれども、やはりその中から安定した職員に移行できる数というのも限られてまいりますので、むやみにポスドクが増えないような形の中で、残れる比率をむしろ高めているような運用になっているというふうにご理解いただければと思います。
【佐藤委員】 その辺りも意識して運用されているということでよく分かりました。ありがとうございました。
【中村会長】 大事な問題、いろいろな形で指摘していただきまして、ありがとうございます。ちょっと時間がタイトになってきたので、以降、できればコンパクトに質問をしていただけるとありがたいです。1問1答ではなくて、全て言っていただいて、事務局からまたコンパクトに回答をお願いいたします。 それでは大久保委員、お願いいたします。
【大久保委員】 ありがとうございます。森口理事のご説明、大変コンパクトで、まだ膨大な資料を精査しきれておりませんが、今の範囲内での質問させていただきます。 ポイントは、組織内、組織間連携の二つです。まず組織内連携について、27ページで外部評価委員から、プログラム間連携が大変高く評価されていますけれども、1点目としまして、連携で特に上がった成果、それから2点目といたしまして、その連携を進めるために、どのような工夫をして、何が有効であるかという点。3点目といたしまして、まだ2年目ではありますが、そうした連携によって、現在進めているプログラムではなくて、新たなプログラムのシーズが生まれそうなものがあるかというのが組織内連携に関する質問です。 二つ目が、今度は67ページに行きまして、他機関との組織間連携ですけれども、ここで独法が最初に挙がっていますけれども、この中で独法との連携がどれぐらい進んでいるのかというのは、ちょっと数値としては見えにくい。独法は13というふうになっていますけれども、この独法との連携、恐らく情報のオープンデータ化のためのデータ統合とも関係してくると思うのですけれども、組織間連携の課題、あるいは組織間連携で効果が上がっていることがありましたら教えていただきたいと思います。 以上大きく2点です。
【森口理事】 ありがとうございます。組織内連携につきまして、ちょっとプロジェクトの個別のもの、細部を今すぐにお答えできないところもありますが、今日スライドでご説明しましたように、気候変動関係につきましてはイニシアティブということで、複数のプログラム間の連携を明示的に出ております。もし各プログラムの中で、プロジェクト間連携ということで、特に補足説明できるものがあれば、もし時間があれば、後ほどプログラムリーダーの方から補足をさせていただければと思います。 それから、機関間の連携については、独法間ということでご指摘をいただいた点、これちょっとその数を増やすかどうかという点では、後半で説明いたします、気候変動の適応に関しましては、この個別の共同研究以外に、約20機関との間で気候変動適応関係の連携の仕組みを別途持っておりますし、それから環境研究機関の間での連携仕組みなどを持っておりまして、これちょっと個別の何らかの仕組みを持っているもの、あるいは共著などの関係ということで集計をしております。 つくば研究学園都市にも、多数の研究機関に立地しておりまして、全体の数を増やすというよりは、特に我々として密接に連携するべき機関と、1対1での連携を深めることも非常に重要だと思いまして、ごく最近では、令和4年度ではなくて5年度分として、来年ご報告すべきことですけれども、つい最近、防災科学技術研究所との連携協定を結ぶなどしておりまして、やはりターゲットをしっかり絞って、こういったところと一緒にやっていくことが、特に双方の成果を高めるというところを探しつつやっているということを1点ご紹介しておきたいと思います。 私からの回答は以上でございます。 【中村会長】 ほかの方からの回答はありますか。
【森口理事】 プログラムリーダーのほうから、何かプロジェクト間の連携について答えることありますでしょうか。 それでは、増井領域長のほうから、脱炭素・持続可能社会プログラムについてお答えいたします。
【増井領域長】 脱炭素・持続可能社会研究プログラムの総括をしています増井です。 今年度から生態系サービスの評価と脱炭素の連携した課題ということで、FSも含めますと昨年度から実施しておりまして、こういった課題は、自然共生研究プログラムとのまさに連携ということで進めているところです。 以上です。
【中村会長】 ありがとうございました。また足りないところもあるかもしれませんけど、とりあえずちょっと先に進めさせていただきます。 郡山委員、お願いいたします。
【郡山委員】 ありがとうございます。私のほうから2点ございます。 まず1点目は、ちょっと細かいところからですけれども、資料2の56ページ、エコチル調査のロードマップのところで、実際には、当初の追跡予定からさらに延長して、この調査が続くということで、大変私としてもうれしいご判断だと思っております。そうなると、今度は子供たちが成長していって、今度思春期に入っていきます。そうするとアウトカムとしての指標を既にご検討されているのかなとは思うのですけれども、どの程度進んでいるのかというのが、まず1点目です。 それから2点目ですけれども、これは少し全体にかかるかもしれませんが、今日はもう本当に時間が限られている中で、特筆すべき研究成果のみがご説明上がったわけですけれども、このほかにも多くのプロジェクトがあると認識しております。特に昨年度、特筆すべきということで、ちょっと着目していた内容が、今回はご発表の中になかったりして、それがどうなったのかというところは、ちょっと資料が膨大過ぎて、どこを見ればいいのかよく分からないので、それをちょっと教えていただければと思います。 以上です。 【森口理事】 2点目につきまして、業務実績報告書という資料の番号でいいますと、資料の3でしょうか、というのがついておりまして、それでも、私ども外部研究評価でかけた主要な成果だけを網羅しておりますので、先生ご関心のものが抜けている部分等あるかもしれません。別途、私どもの研究活動全般につきましては、それ以外の出版物等も公開をしておりますので、別途、特に昨年度のこの成果についてのことでございましたら、お問い合わせをいただければ。今日の資料の範囲内では、スライド資料2に含めていないものも含めまして、資料3のほうに文書で書いてございますので、ご参照いただければと思います。 1点目のエコチル調査、13歳以降につきましては、エコチル調査、コアセンターの山崎センター長のほうからお答え申し上げます。
【山崎センター長】 エコチル調査、コアセンター、山崎でございます。フォローアップの、13歳以降のアウトカム把握の検討状況でございますが、国立成育医療研究センターがメディカルサポートセンターとして、エコチル調査のほうを支援いただいております。この先生方と一緒に、メディカルサポートセンターのほうでも関連の専門家の先生方と協議をして、13歳以降のフォローアップ、どのようなアウトカムを測定していくのかということを協議して決めております。 つい先日、6月に入りまして、エコチル調査の意思決定機関であります運営委員会のほうで、このフォローアップ計画、18歳に達するまでの計画のほうを決定しておりまして、検討状況につきましてはそのような形で進めております。主に思春期に入りますと、やはりお子さんの精神神経発達関係の指標について、主に大きく着目していきたいというところもございますので、そういった指標を中心にアレルギーほか、アウトカムの測定計画を決定しております。以上でございます。
【中村会長】 ありがとうございます。 小野田委員、お願いいたします。
【小野田委員】 ありがとうございます。大変分かりやすい説明で、全体像がよく理解できました。ありがとうございました。 2点だけ、簡単なコメント兼質問をさせていただければと思います。 まず、先ほどもあった若手研究者というキーワードが出てきたと思うのですけれども、この環境分野は、結構いろいろな政策の議論でも、人材育成が必要だという文言がいろんなところで出てくるのですが、そうであったとしてもあまり進んでないみたいな実態がなきにしもあらずと思っているのですけれども、そういう意味で、国環研さんがこの分野の研究者の育成という面で果たしている役割みたいなのも大きいのかなというふうに思ったのですが、ちょっとその点の言及があまりなかったなという印象でしたので、もし何かあればコメントいただければというのが1点目です。 あと2点目は、先ほど来出てきている外部との連携のところで、先ほども森口先生のほうからコメントがありましたけど、企業との共同研究の話ですとかというところがあったと思うのですが、やはりこれは、例えば大学なんかも一緒で、外部資金の導入を増やそうという流れがある中で、それが例えば、いろいろあるわけですよね。企業とやるとやっぱり短期的な成果が求められるみたいな話ですとか、そういう中で、いわゆる大学みたいな研究機関が抱えている課題と同じような問題意識なのか、あるいは国立の研究所として何か特有のアプローチというか、戦略みたいなところがあれば、少しコメントいただければと思った次第です。 私からは以上です。ありがとうございました。
【森口理事】 ありがとうと思います。1点目につきましては、なかなかこういう場で、まとまってご説明ができていない。ご説明ができてない背景には、外部研究評価の中でなかなかその辺りの話ができていないってこともあるけれども、外部研究評価の委員の先生方もほとんど大学の先生ですので、人材育成ということについてたびたびご指摘をいただいております。中長期計画の中に、我々は大学と違って研究機関なので、教育、人材育成ということは表向き直接その中には書きにくいところもありますけれども、連携大学院という制度がございます。ご存じかと思います。幾つもの大学と連携大学院の協定を結びまして、私どもが院生を指導する、あるいは博士論文の主査になるというようなことも制度としてございますし、実際にそこで学位を取得した者を我々の研究所のテニュアトラックの任期付研究員として採用している事例も最近複数ございます。 ということで、一つの直接お答えとしては、連携大学院活動をより適切なものにしていくということがございます。これも連携推進部をつくる中で、連携大学院担当を置いておりますので、そういったことの中で応えております。 2番目は、なかなか我々も特に企業との連携が、まだまだ手探りのところございますし、連携推進部をつくるに当たっては、大学のいわゆるURAですね、University Research Administratorの方にも実際にお話を伺いながら、いろいろ参考としてつくっております。ちょっとまだまだ大学とどこが似ていて、どこが違うのかという分析まで至っていないところがございますので、これは宿題とさせていただいて、また大学の先生方とその辺り情報交換をさせていただければと思います。
【小野田委員】 ありがとうございました。 【中村会長】 皆さんどうもありがとうございました。まだあるとは思うのですが、次にも大事な議題がありますので、引き続きの説明を事務局からお願いしたいと思います。 第3、研究開発の成果の最大化、その他の業務の質の向上に関する事項の2、環境情報の収集、整理及び提供に関する業務、3、気候変動適応に関する業務及び第4、業務運営の効率化に関する事項、第5、財務内容の改善に関する事項、第6、その他の業務運営に関する事項と決算に関する報告及び監査報告書について。国立環境研究所のほうから説明をお願いいたします。
【高澤理事】 それでは企画総務担当理事、高澤でございます。私のほうから資料2の後半部分についてご説明をさせていただきます。 それでは、次のページ、77ページでございます。環境情報の収集、整理及び提供についてでございます。 評価軸は、ここに書いてありますとおり、情報の分かりやすい提供、研究成果の適切な発信、公開シンポジウム等、イベント等への取組といったところになっております。 環境展望台という国環研のWebサイトを通じまして、ここに書いてあります掲載コンテンツ、ニュース、イベント、環境GIS等々、様々な研究技術情報を提供しているところでございます。 特に右に環境GIS+という図をつけていますけれども、こちらについては、新たに開発し、公開したものでございまして、GIS地図情報にデータ等重ね合わせができるように、より使いやすいような工夫をしているところでございます。 環境展望台につきましては、使い勝手をよくするために、さらにレスポンシブ化でありますとか、スマホ、タブレットの専用ページの公開でありますとか、環境GISにつきましては、ArcGISを利用した形式に順次改修するなどの工夫を行っております。 また情報の充実といたしまして、環境GISにつきましては、21件のコンテンツの整備、メタデータについては3,421件の整備ということで、いずれも年度目標を上回っているところでございます。 プレスリリース件数、マスメディアの掲載記事数、ホームページアクセス件数につきましても、表に数字を示しておりますが、第4期平均いずれも上回る数字となっております。 また、YouTubeチャンネル登録者数、まだ1万7,600人ということで、もっともっと数を増やさなければならないというところでございますが、昨年に比べては十分増加をしているというところでございます。 令和4年度の一般公開につきましては、コロナの影響がございまして、オンラインでの開催となりましたけれども、3,000回を超える視聴をいただいているところでございます。各種イベントの参加、講師派遣等についてもオンラインを活用することによりまして、その実施に努めたというところでございます。 自己評価についてはA評価ということでさせていただいております。 続きまして気候変動適応に関する業務でございます。評価軸につきましては、施策の総合的、計画的な推進、また地方自治体等への技術的援助、科学的情報の収集、整理、分析、提供となっております。 こちらのほう、気候変動適応センターの活動の全体像を示しております。真ん中のほうに適応センターございまして、特にこのA-PLATという情報プラットフォームから各種の情報を関係者に対して発信をしているところでございます。 右のほう、地域との関係でございますけれども、地方公共団体、各地域の適応センターと連携ということで、技術的助言、あるいは情報交換などを進めておりますところでございまして、また全国7ブロックの広域協議会にも参画をしていると。国との関係では、令和4年度にマニュアルの改訂、地域の計画策定マニュアル改訂等ございましたので、そこへの委員派遣、知見提供を通じて、国の施策の検討にも貢献しているというところでございます。 地方公共団体の技術的援助につきましては、研修、意見交換会等の参加者が延べ約7,600名と。また、地域の検討会への参画等も300件以上と、事業者への支援といたしましては、産官学連携ネットワークの活動推進などを行ったというところでございます。情報基盤の整備につきましては、A-PLATによる情報提供で、約162万PVというような数字となっております。 AP-PLATは、アジア太平洋のプラットフォームにつきましては、途上国の支援ということで情報コンテンツ等の拡充を行ったところでございます。 また、国の研究機関との連携ということで、こういった21機関が参画するような研究会等も開催いたしまして、連携を進めているところでございます。 こちらのほう、地域の適応計画の策定、地域センターの設置数についての状況でございます。目標は47都道府県、20政令市全てで策定、設置ということでございます。左の地域計画の策定数につきましては、全都道府県が計画策定済みとなっております。また、20政令市のうち19政令市ということで、あと一つですけれども、地域計画策定というところまできております。地域センター数につきましては、計画の策定数よりは少なくなっておりますけれども、徐々に伸びているというところでございます。 気候変動適応研究につきましてでございますが、研究プログラム、三つ動いております。影響の定量変化と気候解明。二つ目が将来の影響評価研究。また三つ目が適応戦略ということの三つでございます。 基礎研究、基盤整備につきましても、データベースの作成、将来シナリオの検討でございますとか、そういったことを進めているところでございます。 特筆すべき研究成果の一つといたしまして、地域適応計画作成を進めていただくということがございますので、そのためのツールを開発いたしました。こちらのほうは、各地方公共団体に併せて、統計データ等を計画のひな型として自動で出力することが可能となるようなものでございまして、3月に環境省のほうから地方公共団体に通知されておりますので、今後、こういったものを活用して計画の策定が進むということを期待しているところでございます。 以上、説明してまいりました気候変動適応に関する業務でございますけれども、まとめが、こちらに今説明したものを書いてありますけれども、関係者への技術的援助でありますとか、適応研究を総合的に実施しましたということで、こちらの重要度、難易度とも、いずれも高いという項目と設定いただいております。また外部研究評価も高いということで評価についてはA評価とさせていただいております。 続きまして、業務改善の取組に関する事項でございます。92ページでございます。 こちらは、予算の範囲内において経費の節減、効率的な執行に努めているところでございます。 3.の調達等の合理化ということで、特に三つ目のポツで、会計検査院からのご指摘を受けましたということで書いております。こちらのほう、業務の中で膨大な数の試料の分析、化学物質等の試料を分析するような業務がございまして、そちらのほうが、実際の契約よりも実際の分析の数が少なくなるような状況のときに、より適正に契約を変更して、手続の適正化を進めるといったようなご指摘でございましたが、それの対応といたしまして、契約変更を行う場合の基準等を策定いたしまして、それを所内に周知して研修を進めるといったことを行いまして、そういった適正な手続の執行に今後努めてまいりたいと思っております。自己評価はB評価でございます。 続きまして業務の電子化に関する事項でございます。こちらのほうは様々な努力しておるところでございますが、1点、上から四つ目の、電子決済機能を有する文書管理システムの導入ということで、今年度から運用を開始しておるところでございますので、そういったことで進めているというところでございます。自己評価はB評価でございます。 続きまして財務内容の改善に関する事項ということで、令和4年度の自己収入につきましては、全体の獲得額は40億9,400万円ということで、このうち競争的外部資金等につきましては15億300万円ということでございまして、いずれも第4期の年平均額を上回っているところでございます。 保有財産の処分等につきましても議論を進めているところでございますが、令和4年度においては処分の対象とした固定資産はなかったという状況でございます。自己評価はBでございます。 96ページは飛ばさせていただきまして、続きまして、その他の業務運営に関する事項ということでございます。 98ページ、内部統制の推進についてでございます。こちらは全職員との意見交換の場となる運営協議会を原則毎月開催しまして、広く業務改善の提案等を受け付けて対応するということを進めております。 コンプライアンスの推進に関しましては、関係の規定の改正等を行うといったこと。また研修も実施いたしまして、受講率100%ということでございます。自己評価はB評価とさせていただいております。 続きまして、人事の最適化ということで、こちらのほう、クロスアポイントメントの推進でありますとか、あとポスドクの方やフェローの方への年俸制の適用、またポスドクの方については裁量労働制の適用の拡大も工夫しているところでございます。 また、ダイバーシティについての取組を進めております。下の表に研究系職員の女性職員を占める割合について、参考までに載せております。ちなみに令和4年度の女性職員の採用者数については15名中3名ということで、20%ということになっております。自己評価はB評価でございます。 続きまして情報セキュリティー対策の推進ということで、こちらのほうもセキュリティー対策を進めているところでございますけれども、特にセキュリティーログの監視の強化ということで、パソコンなどのエンドポイントの外部監視の強化を進めたというところでございますし、情報セキュリティー教育といたしまして、研究訓練なども実施をしているところでございます。自己評価はB評価でございます。 続きまして、施設・設備の整備及び管理運用等についてでございます。 国環研は、来年50周年を迎えるということで老朽化が進んできておりますけれども、中央制御監視システムにつきましては、省エネ化の整備工事に着手をいたしているところでございます。 また、研究本館新築に向けまして、こちらについてはZEB化を考慮しまして、基本計画書を策定したところでございます。今年度、基本設計に進むということで、現在、設計の公募をしておりますけれども、よい提案が来ることを期待しているところでございます。自己評価はB評価となっております。 続きまして、安全衛生管理の充実についてでございます。こちら、新型コロナウイルス対応ということで、昨年度に引き続きまして、相談窓口を運用しまして、集団感染の発生防止に努めているところでございます。 また、ストレスチェックテストでありますとか、地震、火災総合訓練等の実施も行っているところでございます。自己評価はB評価でございます。 続きまして、環境配慮等につきましてでございます。省エネルギー対策の推進につきましては、2013年度比でエネルギー消費量を83.1%まで削減していると。またCO2排出量については、同じく2013年度比でございますが、26.6%までということで大幅に削減をしております。右にグラフを載せております。 また生物多様性に配慮した管理ということで、構内緑地の環境省自然共生サイトの登録手続を進めているところでございます。自己評価はB評価でございます。 以上、早足で説明してまいりましたけれども、自己評価、総括につきましては、2.の環境情報、3.の気候変動適応に関してはA評価、第4以下につきましてはB評価とさせていただきました。 資料3の説明以上でございますけれども、資料5のほうに、決算関係書類として財務諸表等をつけております。こちらは6月28日付で環境大臣に提出されまして、7月3日付で承認が得られたというところでございます。 また、資料6に監査報告書をつけておりますが、監事による監査報告、監査法人の報告書のいずれも適正に実施しているとの評価をいただきまして、特段のご指摘がございませんでした。 私の説明は以上でございます。
【中村会長】 ありがとうございました。続きまして、事務局のほうから資料7-1、7-2の評価素案と併せて、資料9の第4期中期目標期間業務実績評価書及び令和2年度業務実績評価書における指摘事項について、対応状況の説明をお願いいたします。
【加藤環境研究技術室長】 環境省の加藤でございます。それでは、資料7の総括表と、年度評価期間実績評価書をご覧ください。画面共有してございます。 先ほど高澤理事に説明を頂戴した、第3-2-3、並びに第4、第5、第6の部分に関しましても、国立環境研究所の自己評価同様の想定を、環境省の素案として作成してございます。 なお、資料7-2の20ページ目から先が、その内容の論拠を記載したものでございます。 加えまして、資料72の最後のページに、年度評価全体の評定も記載してございますので、こちらもご確認ください。資料7を説明は以上になります。 引き続きまして資料9、令和3年度業務実績評価書におけます指摘事項への対応状況というところの説明に入ります。 こちらですけれども、昨年度の実績評価書に対して、環境大臣からのご指摘を頂戴してございます。これに対して、国立環境研究所でこうした内容を記載し、整理したものになります。 細かい説明は割愛しますけれども、第2の総合評定では、研究開発成果の最大化が図られるように、連携支援機能の強化に関する内容が出てございます。第3の研究開発の成果の最大化、その他の業務の質の向上に関する事項に関しましては、野生生物感染症に関するモニタリング手法の共同化について、システムとして社会実装できることへの期待が記載されてございます。 第4の効率化に関する事項では、引き続き適切な予算執行、管理体制を継続してほしいという話が、第5の財務内容の改善に関する事項では、研究施設や高額な研究機器の計画的、効率的な利活用の議論に関する内容が出てございます。 そして、第6のその他のところでは、情報セキュリティーや老朽化対策に関する記載がございます。これら指摘に対しまして、国立環境研究所にて適切な措置が講じられているというふうに理解してございます。 環境省からの説明は以上になります。
【中村会長】 ありがとうございました。次に研究に関する部分も含めた法人の運営状況全体について、国立環境研究所監事からのコメントをお願いいたします。
【小田部監事】 昨年度より非常勤ではありますが、監事を務めさせていただいている小田部と申します。よろしくお願いします。 私はまず研究部門について述べさせていただきますが、我々年に1回のヒアリングで運営状況も含めて聞かせていただいております。概ね問題はないと考えております。特に国立研究所ならではの長期的な活動をしっかりやられておられて、エコチル、GOSATとか、各種データの蓄積など、非常に有効なデータを集められていると思います。 また、戦略的研究プログラムについても、外部評価委員会からの評価も高くて、とてもよい内容になっているのだろうと思っています。また、基礎・基盤的研究という比較的成果が予測しにくいエリアからもきちんとよい結果が出ているようですので、やっぱり組織の実力を示しているかなと思っています。 要は、全般的に言うと非常によく運営されていて、比較的少ない人数の研究所でありながら、高い成果を出しているというふうに考えておりますけれども、その実力というか、その成果をより明示的に示せるよう、また具体的に地球環境の維持ということに対して、どのように貢献できているのかというのが、より分かりやすく説明できるように、ちょっと難しいことをお願いしておりまして、実施した内容、あるいは実施する内容がどんな成果をもたらすのかというのはあらかじめ想定して、その結果どういうふうになったかということを、今後説明できないかということをお願いしております。 私のほうから以上となります。
【矢野監事】 監事の矢野でございます。研究等につきましては、小田部監事のほうからコメントがあったとおりなのですが、私のほうから、監事監査報告書のとおり、内部統制システムに関する整備と運用、それから役員の職務の執行に関しても、不正な行為や法令等に違反するような事実は認められませんということ。 それからあと、会計監査人の監査の方法等につきましても相当であり、妥当であるというふうに認めております。 またコンプライアンスその他、業務執行の観点からも、指摘すべき重要な事項はないということをコメントさせていただきたいと思います。 あえて申し上げますと、現在でも組織横串の企画支援部門の業務として、研究所全体の研究に物すごく推進をさせるために支えておられるというのは認められるのですが、さらにこれらの研究成果を社会に発信し続けていくために、更なる目標を明確にすると。先ほど小田部監事のほうから、研究ユニットの方でも評価の成果の表し方をということがあったのですが、企画支援部門のほうでも成果や目標を明確にして、戦略的に業務を推進させていけるような、そういう経営基盤というものをさらに強化させていかれるということがよろしいのではないかというふうに希望しております。 私のほうからは以上です。
【中村会長】 お二人の監事、ありがとうございました。 それでは、これまでの後半の説明に関して、ご意見、ご質問等を委員の皆さんから伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。 山室委員、お願いいたします。
【山室委員】 ありがとうございます。資料2の後半のところで、92ページに、ラスパイレス指数というのが出てきます。これは資料7-2の30ページにも出てきています。国家公務員と比べた給与水準の状況を比較するための指標というふうに、ネットで調べると書いてあって、国の行政職俸給表の1に適用するお給料、それに比べて高いか低いかというのを比べているのですけれども、資料の7-2で書いてあることとか、資料2の73ページに書いてあるのを見ると、何かこれが100上回ってしまっているのがいけないようなニュアンスが読み取れるのですが、国立環境研究所のように専門性が高いところとか、先ほどの技術職員のように長年にわたって働いている方がおられると、どうしてもお給料っていうのは高めになるのはやむを得ないのではないかというふうに私は思っていて、その辺このラスパイレス指数について、高くなっているのを今後是正するようにしたいという意味でこれを書かれているのか、それともこれは仕方のないことだよという意味で書かれているのかというところをちょっと読み取れなかったので、教えていただければと思います。 以上です。
【高澤理事】ありがとうございます。企画部高澤でございます。 92ページの注で書かせていただいたのですけれども、そもそもラスパイレス指数、国環研で高くなっているのは、まだ事務系職員の、いわゆるプロパー職員の採用を開始してから10年ぐらいしかたっていないということで、実態を申しますと環境省のほうから出向している職員が半数以上を占めていると。かなりのシニア層の方も出向していただいているので、単純にラスパイレス指数を計算すると高くなっているという状況でございます。先生おっしゃるとおりですので、かなりどうしても高い技術の方を雇っているので、そういった給料が高目になるというのはやむを得ないという部分はあるというふうにも認識しております。その中で改善すべきというか、できる限りのところは対応していきたいと考えております。 以上でございます。 【山室委員】 ありがとうございます。つまり、特に冒頭で事務系職員の何々と書いてあるところが言いたかったことで、研究職として、もしくは技術職としてこの指数が高くなる人というのは仕方ないけれども、そうじゃないものはなるべく見直して低くしたいという思いを込めた文章っていうことですね。
【高澤理事】 そのようなご理解で、お願いいたしたいと思います。
【山室委員】 承知いたしました。ありがとうございました。
【中村会長】 ありがとうございました。 大久保委員、お願いいたします。
【大久保委員】 ありがとうございます。2点ございまして、1点目は、101ページの基本計画書と103ページの省エネ関係です。50周年に向けて、ようやく新棟建設に向けた基本計画書の策定にまでこぎ着けたというのは大変喜ばしいことだと思っております。それに当たりまして、先ほど資料2の39ページでは、社会システム部門の研究所内のエネルギーの各種の調査が行われてきた旨ありましたが、それは103ページの既存建築物の省エネにのみ生かされているのか、あるいは基本計画の策定等に向けても生かされているのかという辺りが、もし生かされているのであれば、研究と実践をつなぐところとして、少し書き込んだほうがいいのかなと思いますので、質問をさせていただきます。 ちなみに私の本日の背景はご存じの方も多いかもしれませんけれども、ドイツの連邦環境庁なのですけれども、この建物の隣にもZEB化の建物が建設企画中ということで、ぜひ日本でもモデルとなるようなものが建設されることを願っております。 それから2点目は、先ほども質問させていただきました組織間連携の話です。先ほど資料9でも共通感染症へのさらなる貢献と期待といったような指摘がございましたけれども、先ほどの紙の資料2でいきますと、86ページで連絡会議がございまして、ここで様々な国の機関があるわけですけれども、共通感染症に関して言えば、感染症予防法では、獣医師、医師のサーベイランス、それから畜産に関してはきちんとした法のスキームがあるのに対しまして、野生生物や、あるいはペットに関しましては、狂犬病予防法を除くと、そもそもそういうサーベイランスの仕組みがないなどの課題があるわけですが、この連携を進めていく連絡会議の中で、こうした課題というようなものが、何か政策提言として出ていくような、特にデータの整備等に関して出ていって、そうしたものが感染症予防、あるいはグリーンインフラ、ネイチャーポジティブといったような施策に生かされるようなそういうスキームがあるのかどうかというのが2点目の質問です。特にこういう業務評価は、その後の予算獲得にもきちんとつながっていくことが重要と考えておりますので、その文脈でお聞きしたいと思います。
【森口理事】 1点目、2点目、少し研究に係るところもございますので、森口から先に、簡単にコメントした後、高澤理事のほうからお答えいたします。 まずエネルギーに関して、資料3の39ページで、社会システム分野の電力事業の実態調査と省エネ対策の効果をご説明いたしました。これは基本的には既存建物の研究ですけれども、これを担当しているものを、かなり異例なのですが、企画室と施設課にも兼務をかけておりまして、そういった形で実務のほうにも、新本館の設計などにもこういった研究成果を直にインプットするようにというような、そういったことまでやっておりまして、ちょうど昨日も、お隣さん、産総研西事業所のZEBの見学、あるいは大学での電力消費の計測状況などもやっておりまして、そういったことも調べておりまして、現在の既存建物に関する状況把握ということを新棟建設に向けて知見をインプットするということについては進めております。 それから、2点目のご質問については、今、担当の研究者がこちらにおりませんので詳しいことはお答えできないのですけれども、人畜共通感染症、あるいは人獣共通感染症といったところにつきましては、農水省あるいは厚労省等、所管がかなり境界領域にあるところもございまして、そういったところも含めて検討が進められているというふうに承知をしておりますので、必要に応じまして、また書面でのお答えなどさせていただければと思います。 私からは以上です。
【中村会長】 ほかの方からの何かコメントありますか。
【森口理事】 私のほうから若干踏み込んで答えてしまいましたので、以上でございます。
【中村会長】 分かりました。ありがとうございます。
【大久保委員】 ありがとうございます。連携に関しては、補足ですけれども、ワンヘルスに特化したことを伺いたいというよりも、組織間で連携して、新たな政策提言をする仕組みがあるといいなと思ったので、その観点から、もちろんワンヘルスに関しても興味関心がありますので、お答えいただければいいですけれども、その観点からの質問でございました。 1点目のほうは分かりましたけれども、特にこんな点が生かされているということを一つでも例として、資料に書いてあれば、社会システム部門の実績がこう生かされていますよというのが分かりやすいかなと思ったものですから、質問させていただきました。すみません。追加で。
【森口理事】 ありがとうございます。1点目につきましては、新本館、まだ基本計画で、今年、基本設計という段階でございます。まだ具体のこういうことに生かされていますということまでご報告するのは、やや早いのかもしれませんけれども、来年度少し工夫をしたいと思います。 それから、ワンヘルスだけでなくという話につきましては、先ほど、国研同士の連携というような話のご質問もいただいていて、高澤理事からのご説明の中で、私も触れました適応については、21機関のものがあるという話を申し上げました。それから国立研究開発法人間の協議会もございますし、環境研究機関の連携の会議とか、幾つかございますので、そういった場で、私の説明の中でお答えしたことと重複いたしますけれども、必要な分野にフォーカスいたしまして、共同での提言等、防災科研との連携なんかそういったところに該当し得ると思いますけれども、今日のご助言を生かしてまいりたいと思います。
【中村会長】 ありがとうございました。 それでは、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】 東京大学の佐藤です。2点簡潔に質問させていただきます。 一つは、人事の最適化というところで、ダイバーシティの推進を適切にしていらっしゃるということと、それから特別研究員の裁量労働制の適用ということで、若者に対するエンカレッジもしているということでしたけれども、女性のポスドクがライフイベントに当たった場合、例えば出産とかが起こった場合に、産休、育休というのはどのような仕組みになっているのかということを質問させてください。 それから2番目として、昨今、非常に電気代が高騰しておりまして、電気の使用量は下がっていたとしても電気代がすごく上がっているので、経営的には厳しくなっているというので、大学でも大変問題になっています。環境研さんのほうではどのように対応されているのかというのを教えていただければと思います。 以上です。
【木本理事長】 理事長の木本でございます。まず2番目の電気代の件ですが、ものすごく困っております。今年は見込みで、前の年よりかなり増えそうなので、環境省や国立研究開発法人協議会で、内閣府なんかにも、すみません、助けてくださいというお願いを出したのですが、頑張れと言われています。今のところ、環境研では研究費を削って値上げが見込まれる電気代、エネルギー費に充てようとしております。それしかやりようがございません。これがこのまま続くと大変なことになりますが、現場ではありとあらゆる工夫をしていただいて、何とかミッションを損なわずにやれないかというのが今年度の状況でございます。
【森口理事】 1点目の研究職といいますか、ポスドクの件ですけれども、契約系の職員につきましても、フルタイムの契約職員、育児休業も含めて制度ございますので、具体的にはポスドクの研究者でも育児休業を取ることができます。
【佐藤委員】 なるほど。その場合には、研究期間というのは、育児休業期間を除いて確保されているという。そういうことでしょうか。例えば5年の契約だったら、育休を間1年取ったとして、そうするとトータルで6年間、環境研にいられるというような仕組みになっていらっしゃいますか。
【森口理事】 先ほどテニュアトラック型の任期付研究につきましては、5年のテニュアトラックの間に育休を取った場合には、評価の時期を遅らせることができる形にしておりまして、実際にそれを適用した例がございます。 契約系は、人事課のほうで今分かりますでしょうか。事例があったかどうかですか。ちょっと具体的な事例があったかどうか、確認をいたしますけれども、私が以前、現役のユニット長をしていたときにはその制度がまだなくて、それができなかったことがあります。ただ、契約職員と正規職員の待遇を同一にするということにつきましては、前々企画総務担当理事のときに、かなり尽力しておりましたので、ちょっとその辺り確認をさせていただきたいと思います。
【大久保委員】 よろしくお願いします。ありがとうございました。
【中村会長】 ありがとうございました。それでは、今回の委員より頂いた意見、及び後日提出していただく意見シートのご意見については事務局で整理していただいて、それらを踏まえた報告書(案)を作成して、次回の審議会で審議させていただきます。 意見シートの記載方法について、事務局より説明をお願いいたします。
【五反田環境研究技術室室長補佐】 ありがとうございます。意見シートにつきましては、今、共有させていただいておりますが、こちらの様式について、7月31日までにご質問ですとか、こういった部分についてはこういうふうに書いたほうがいいのではないかと、そういったご意見を自由に記載いただければというふうに思っております。こちらを事務局のほうで取りまとめをさせていただき、国立環境研究所や環境省内の関係部署と確認をいたしまして、評価書の案のほうに反映させていただきたいと思っております。 現在、委員の方々にお送りさせていただいているのはPDFファイルをお送りさせていただいているところではございますが、この後、メールでWordファイルを改めてお送りさせていただきたいと思いますので、お忙しいところ大変恐縮ですが、ご協力のほどよろしくお願いしたいと思っております。 以上になります。
【中村会長】 ありがとうございます。今の説明に関してご質問、委員の方からありますでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
【中村会長】 私も聞きたいこともあったのですが、皆さん活発にいろいろな形で重要な点を指摘いただいて、ほぼ理解はできているのですが、ところどころで、この評価する上でいろいろ情報不足の点が出てくるかもしれません。それに対しては事務局に聞いていただいて、その情報を得た上で、この評価の記載をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 最後にその他ですが、事務局から説明ありますでしょうか。
【五反田環境研究技術室室長補佐】 その他といいますか、次回の日程をご紹介させていただきます。次回24回目の審議会、8月23日水曜日、10時から2時間程度を予定しております。今回同様、Web会議での開催とさせていただきたいと思います。ご多忙の中、大変恐縮ではございますが、何とぞご出席いただきますようお願い申し上げます。 以上です。
【中村会長】 ありがとうございます。時間はちょっと超過しちゃっているんですが、全体を通じて、何かご質問ありましたら、いかがでしょうか。よろしいですか。
(なし)
【中村会長】 それでは、本日の議事はこれで全て終了しました。 以上をもちまして、第23回環境省国立研究開発法人審議会を閉会したいと思います。 本日は長い間どうもありがとうございました。