第21回環境省国立研究開発法人審議会 会議録

開催日時

令和4年7月20日(水) 13:30~15:51

開催場所

WEB開催

議題

(1)令和3年度業務実績年度評価書(素案)について
(2)その他

資料

【資料0①】第21回 環境省国立研究開発法人審議会 議事次第.pdf[PDF 91KB]PDFが開きます

【資料0②】R4_今年度の審議事項.pdf[PDF 459KB]PDFが開きます

【資料0③】環境省所管独立行政法人の業務実績評価基準(抜粋).pdf[PDF 105KB]PDFが開きます

【資料1】国立環境研究所の概要.pdf[PDF 1.4MB]PDFが開きます

【資料2】国立環境研究所令和3年度業務実績等報告.pdf[PDF 10.4MB]PDFが開きます

【資料3】令和3年度 業務実績等報告書.pdf[PDF 9.9MB]PDFが開きます

【資料4】令和3年度 業務実績等報告書 資料編.pdf[PDF 8.0MB]PDFが開きます

【資料5】令和3年度 決算関係書類.pdf[PDF 13.7MB]PDFが開きます

【資料6】令和3年度 監査報告書.pdf[PDF 2.6MB]PDFが開きます

【資料7-1】令和3年度に係る年度評価(素案)項目別評定総括表.pdf[PDF 239KB]PDFが開きます

【資料7-2】令和3年度に係る年度評価書(素案)(抜粋).pdf[PDF 825KB]PDFが開きます

【資料8】令和3年度に係る年度評価(素案)に対する意見シート.pdf[PDF 175KB]PDFが開きます

【資料9】第4期中長期目標期間業務実績評価書及び令和2年度業務実績評価書(令和3年8月30日 )における指摘事項への対応状況.pdf[PDF 278KB]PDFが開きます

【資料10】今後の予定.pdf[PDF 89KB]PDFが開きます

参考資料

【参考資料1】環境省国立研究開発法人審議会委員名簿.pdf[PDF 78KB]PDFが開きます

【参考資料2】環境省国立研究開発法人審議会運営規則.pdf[PDF 149KB]PDFが開きます

【参考資料3】独立行政法人通則法.pdf[PDF 715KB]PDFが開きます

【参考資料4】国立研究開発法人国立環境研究所法 .pdf[PDF 220KB]PDFが開きます

【参考資料5】環境省国立研究開発法人審議会令.pdf[PDF 106KB]PDFが開きます

【参考資料6】独立行政法人の評価に関する指針.pdf[PDF 690KB]PDFが開きます

【参考資料7】環境省所管独立行政法人の業務実績評価基準.pdf[PDF 399KB]PDFが開きます

【参考資料8】令和2年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等に係る点検結果等について.pdf[PDF 254KB]PDFが開きます

【参考資料9】国立環境研究所第5期中長期計画(R3-R7)(中長期目標を含む).pdf[PDF 1.9MB]PDFが開きます

【参考資料10】令和3年度国立研究開発法人国立環境研究所年度計画.pdf[PDF 910KB]PDFが開きます

【参考資料11】令和3年度国立研究開発法人国立環境研究所調達等合理化計画.pdf[PDF 322KB]PDFが開きます

議事録

【加藤環境研究技術室長】 定刻になりましたので、第21回環境省国立研究開発法人審議会を開催します。
まず、本日は大久保先生が所用によりご欠席でございまして、まだもう一人の先生、出席予定の方が入室されていませんけれども、出席が済みましたら、審議会の先生方7名中、6名の出席となります。審議会令第5条によりまして、定足数を満たしてございますので、審議会は成立してございます。
また、本日の審議会は公開で開催してございますので、傍聴希望の方もWEB会議室に接続してございます。
さて、本日は昨年度と同様に、WEB開催となってございます。ご理解を頂戴できれば幸いでございます。
なお、WEB開催に際しまして、何点かご協力を賜りたいことがございます。環境省側の回線容量に問題がございまして、基本、カメラの接続は切りますけれども、資料は適宜、画面共有します。また、ハウリングや発言者が不明になることを防ぐため、発言者のみカメラ、マイクをつなぎ、発言の冒頭にご氏名を名のってからご発言ください。
なお、ご発言の前に、ご自身の氏名の右側にございます挙手ボタンで発言したい旨を表示ください。基本、この挙手ボタンでの確認対応となりますけれども、挙手ボタンが上手に作動しない等の可能性もございますので、カメラ並びにマイクを使って発言したい旨を展開されても問題ございません。
なお、状況によりましては、事務局側でマイク等の操作を実施しますので、ご了承ください。
さて、まず7月1日付で環境省に人事に関わる内容を展開させていただきます。総合環境政策統括官として、和田の後任で、上田が着任してございます。また、本日は用務により欠席ですけれども、総合環境政策グループ担当の大臣官房審議官の白石の後任に、小森が着任してございます。加えまして、大臣官房総合政策課長の福島に代わり、西村が着任してございます。
それでは、議事に入ります前に、総合環境政策統括官の上田よりご挨拶申し上げます。統括官、よろしくお願いいたします。
【上田総合環境政策統括官】 はい。ただいまご紹介あずかりました、総合環境政策統括官の上田でございます。
本日は、ご多忙の中ご参集いただき、誠にありがとうございます。第21回、環境省国立研究開発法人審議会の開会に当たり一言、ご挨拶申し上げます。
昨年度は令和2年度の実績評価に加え、第4期の中長期目標期間実績評価に対して、ご多忙の中、委員の皆様から貴重なご意見を賜りましたことを心より御礼申し上げます。
今回及び8月の審議会におきましては、第5期中期、中長期目標期間の初年度に当たる令和3年度、昨年度の業務実績について説明させていただき、評価の素案についてご意見をいただきたいと考えているところであります。
皆様ご承知のように、国立環境研究所は国立公害研究所として昭和49年設立されて以来、我が国の環境科学の中核的研究機関として幅広い研究を推進してきており、第5期中長期目標期間中の令和6年には発足から50年を迎えることとなります。
今日の環境行政は持続可能な経済社会の構築に向けた変革が必要であり、その実現に向けては脱炭素、循環経済、分散自然共生という多角的な切り口で経済社会全体を変革することが必要だと、環境省及び政府全体として認識をしているところでございます。
環境省としては、国立環境研究所は、我が国の環境科学分野において権威的な役割を担い続ける中、それらの社会課題に対して、国の政策と密接に連携して取り組んでいただいているというふうに認識をしております。研究所が扱う課題が複雑化、多様化する中、行政としても研究所の研究成果を最大限に活用し、研究所と環境省が相乗効果を生んで課題の解決に取り組んでいきたい、このように考えております。
こうした状況も踏まえまして、本日は国立環境研究所が評価の指針であります、研究成果の最大化、これに向けて着実に成果を上げられているかどうか、また適正、効果的かつ効率的な業務運営ができているかなどについて、こうした視点からご審議いただき、忌憚のない意見を賜りたいと思っております。本日の審議、皆様よろしくお願いいたします。
簡単ではございますが、私からの冒頭のご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【加藤環境研究技術室長】 統括官、ありがとうございました。
なお、統括官は用務のため、途中退席となりますこと、ご了承ください。よろしくお願いいたします。
続きまして、資料の確認をします。
資料は、電子媒体で送付してございます。まず、資料の0番としまして「議事次第」「今年度の審議事項」「環境省所管独立行政法人の業務実績評価基準(抜粋)」の三つの資料がございます。また、その資料0の一つ目の議事次第に記載しましたとおり、10種類の資料と、参考資料として11の資料がございます。
資料に過不足等ございましたら、事務局にご連絡ください。メール等で対応するようにいたします。よろしくお願いいたします。
それでは、詳細の議事の前に、本日の審議事項と審議の進め方について、こちら、事務局よりご説明します。
資料0番のハイフン2、審議事項に関する資料をご覧ください。こちら、画面でも投影してございます。
本年度は、7月の20日、本日と、8月の26の2回の審議会を、予定してございます。審議会での審議内容ですけども、こちらのスライドの右下の助言対象の中の②にございます、業務実績の評価の中で点線で囲った部分、令和3年度の年度評価というところが今回の対象となってございます。
次のスライドをお願いします。
年度評価ですけれども、研究開発成果の最大化、先ほど統括官も話されていましたけれども、研究開発成果の最大化等が目標でございまして、国立環境研究所の自己評価結果、中長期計画の実施状況等に留意しつつ、業務の実績の全体について総合的な評価を実施することになります。このとき、Bを標準としまして、5段階での評定となります。
なお、ここには記載していませんので、非常に申し訳ないですけれども、評価に際しては難易度と重要度といったところも加味する必要が出てまいります。これ、昨年度も何点か質問ございましたのでここで口頭になりますけれども、ご説明します。難易度に関しましては、この難易度を高く設定した目標に限りましては、評点を一つ高くすることについて考慮することになります。また、重要度が高いとされた項目につきましては、総合評定をつける際に十分に考慮するというふうにされてございます。この2点、難易度と重要度といったところも評点を考慮する際にご注意くださいということになります。
次のスライド、お願いします。
さて、令和3年度は、第5期中長期目標の最初の年度でなってございまして、ここに示すような構成となってございます。点線で囲みました第3から第6の内容が業務の中身に該当することになりますけれども、これらを評価する形になります。第3は研究成果の最大化、その他の業務の質の向上に関する事項で、研究に関する評価等になります。また、4から6は、効率化や財務内容の改善ということになりまして、業務のマネジメントに関する内容になります。
本日は、研究に関わる第3の前半部分、一つ目のポツの(4)までの部分と、第3の残りの2と3並びに第4から6の部分の二つに分けて議論、審議を進めたいというふうに考えてございます。
次、お願いいたします。
審議の進め方ですけれども、本日は国立環境研究所から業務実績等の報告並びに自己評価といったところの説明を頂戴し、その後、環境省から評価素案をご説明します。この評価素案は、先ほどの5段階評価を素案としてつけたものでございます。その後、幹事の方々にもコメントを頂戴した後、質疑に入りたいと考えてございます。そして、8月24日の2回目の審議会までの間に、審議会の先生方と事務局にてやり取りを進めまして、その2回目の審議会で内容を審議し、決定することになります。
審議事項、進め方については以上になりますけれども、何かご質問ございますでしょうか。
(なし)
【加藤環境研究技術室長】 よろしいでしょうか。
それでは、議事に入りたいと思います。ここからの議事進行は花木会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【花木会長】 会長の花木でございます。皆さん、こんにちは。
国立環境研につきましては、第5期中長期目標が始まり、初年度が終わったところでございます。本日はその初年度の成果あるいは進行に関わる業務の進め方について、皆さんのご意見をいただきたいということでございます。
私が言うまでもなく、環境問題につきましては、気候変動問題が非常に急な展開が必要になってきています。具体的には、温室効果ガスを大幅に減らす、また、それぞれの地域で対応を進めるということが必要になっているのは、もう皆さんご存じのとおりですが、国立環境研で行っておられる研究の幅はもっと広いもので、循環型社会もありますし、生態系のこともあるし、様々なことに取り組んでおられます。
そういった幅広い環境に関わる研究の重要度がますます増しているところでありまして、本日はちょうど1年前に決めました中長期計画に基づいて着実に進めておられるか、その状況をご報告いただき、皆さんと一緒に議論してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、それでは早速議事に入りたいと思いますが、本日の議題は一つであります。それはどういう議題かといいますと、昨年度、令和3年度に係る業務実績等報告及び評価書素案についてということでございます。
具体的な業務報告の評価に入る前に、国立環境研究所のご説明を理事長からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【木本国立環境研究所理事長】 はい。花木会長、どうもありがとうございます。
国立環境研究所理事長の木本でございます。私からは手短に国立環境研究所の概要についてお話しさせていただきたいと思います。
スライドショーの画面は見えておりますでしょうか。見えているかな。
【森口国立環境研究所理事】 発表者モードになっておりましたが、今大丈夫です。
【木本国立環境研究所理事長】 はい。スライドになっています。お話ししたいと思います。
国立環境研究所は、先ほども統括官のお話にありましたように、公害問題が大きな問題となった1970年代に環境庁が発足し、環境研究所も国立公害研究所として発足いたしました。
程なく、環境問題は地域の大気や土壌や水の汚染だけではなくて越境汚染からオゾン層の破壊からさらに気候変動と、地球規模に環境問題が広がるとともに、国立公害研究所も国立環境研究所と名前を変え、地球環境研究センター、cgerと呼んでおりますが、このセンターをつくり所掌の幅を広げてきたところでございます。
世紀が変わりまして、独立行政法人へ移行いたしまして、これと同時に、廃棄物研究部と当時は呼んでおりました、今では資源循環領域というふうに呼んでおりますが、これを新設いたしまして、以降、5年ごとに第1期から第4期までの中長期計画を実行し、昨年からは第5期中長期計画に入ったと。今回は、その第5期の1年目、初年度の成果についてご審議いただきたいということでございます。
第4期には、福島や琵琶湖に支部を開設するとともに、法律ができましたので、気候変動適応に対して研究と共に国民の皆さんの適応への対策を支援する業務も増えたところでございます。
これは、国立環境研究所を上から見た写真でございますが、緑の多い大変結構な場所で研究させていただいております。「人びとが健やかに暮らせる環境をまもりはぐくむための研究」をいたしますという憲章を定めておりますが、ここで言いたいのは、この憲章は職員たちが自分たちで考えて私たちはこうやってやっていきましょうというふうにつくったものでございます。事ほど左様に、私も去年、よそから参りましたけれども、環境研究所では、職員一人一人の声が経営のほうにも届くような仕組みをたくさん持っていて、みんなで話し合って納得して仕事を進めるという文化、大変結構な文化を育んできております。
次のスライドは、予算と人員の概要をご説明しております。2021年度、青字で書きましたのは実績でございます。2022年度は予定というか、予算でございます。21年度のほうが多いように見えますが、これ、補正予算や何かも入っております。それから、受託収入についてはまだ来ていない部分もありますので、2022年度は減っているように見えるかもしれませんが、それは並べている数字の性質が少し違うということでございます。総じて、200億を少し超えるぐらいの資金で研究を進めております。
人員のほうは総勢1,000名なんですが、その中で正規職員は約300名、そのうち研究系の職員が226名ということですので、少ないですけれども事務系、企画支援系の職員が一所懸命研究を支えてくれており、それから契約職員の方々の力というのも非常に大きなものがあるということがお分かりいただけるんではないかと思います。
これが第5期の組織体系です。ちょっと見えにくいかもしれませんが、今カーソルが見えておりますでしょうか。この高さにあります八つの、「領域」とついたのが多いと思いますが、ここがセンター、研究拠点、領域と呼んでいないものもありますが、この八つは、研究者がこの八つのユニットのうちのどこかに所属して、その専門分野を研究していくという本籍地といいますか、現住所といいますか、そういう内容になっております。
一つ一つが何を研究しているかは、後ほどご説明いたします。そのほかに、国の事業や何かに対応するセンターを関連の研究領域に設けているということでございます。
それから、研究のほうはこのだいだい色の左半分ですが、右半分が企画支援部門でございまして、企画部とか総務部とか環境情報部とかございますが、第5期で特筆すべきなのはここに連携推進部というのを新しく設けまして、研究の資金獲得であるとかあるいは一般の方々との対話を進めるとかいう辺りの研究者の支援を大々的に推進していこうということで新しい部署を設けたのが、第5期の特徴でございます。
第5期中長期計画の取組についてお話をしたいと思うんですが、これはもうオフィシャルな文章から抜粋したものですが、上の段を見ていただきまして、環境・社会・経済を統合的に扱って、専門分野だけに限るんではなくて、分野横断的な研究を推進しましょう。そして、政策とか国民の皆さん、社会の皆さんのニーズを先読みした創造性、先端性を持った研究をやりたい。そのための基盤的な研究、一見地味かもしれませんが、そこをしっかりやりましょう。この三つのうち、例えば1番上のやつは少しプロジェクト的な、プログラム的な研究でありますが、この2番目、3番目のところにも力を入れましょうというのが中長期計画のミッションというか、メッセージでございます。
脱炭素化とかSDGs達成に貢献する研究をするとか、災害や社会ニーズに対して研究をするのはもちろんでございますし、それから、環境省をはじめとした役所であるとか、地方の研究機関や地方の自治体の皆さんと連携するというのも、これも当然のことでございます。
中長期計画の概要、ここに中期計画を今から、評価というか審議していただく際に、幾つかのプログラムのまとまりについて審議していただくわけですが、そのうちの戦略的プログラムとか、それから基礎・基盤的取組とか、こういう項目ごとにまとめて評価をしていっていただきます。それを、ここでは字で説明しているんですが次の、恐らくスライド、絵を、イメージを見ながら説明したほうが分かりやすいかと思います。
まず、この青いところ、左下のところですね、ここには八つの研究者が所属する専門分野の研究領域というものがございます。研究者はこれらのうちのどれかに所属して、基礎・基盤的な研究を行う。ですが、この領域だけに留まって研究するものではなくて、この第5期で5年間の間にある程度のところまで研究を進めたいんだという幾つかのトピックがございますので、これらを戦略的研究プログラムと呼びまして、領域横断型のプログラムを組んでおります。この中身については、後ほどお知らせします。
これが大きなところなんですが、そのほかに、第5期中長期計画は5年間でございますが、それを超えて、国の方針というか施策に従いまして、環境研究所が引き受けている大事な国の仕事がございまして、二酸化炭素や温室効果気体を測る衛星、GOSATという衛星ですが、これを運用してデータを創出すること、それから10万組のお子さんとお母さんのペアに対して疫学的な調査を実行する、子どもさんが大きくなるにつれてどういうふうに変わっていくかも含めてやる、我々は二大事業と呼んでおりますが、そういう事業がございます。
それから、気候変動に関してはこちらにも書いてございまして、研究はもちろんするんですけども、それと同時に2018年の気候変動対策法にのっとりまして、国民の皆さん、社会の皆さん、地方の皆さん、自治体の皆さんに適応推進の計画を立てていただく技術的な支援をする業務というのも含まれております。
さて、この図は、今のとほとんど同じインフォメーションですのでちょっと割愛させていただきます。
さて、その幾つかの塊に分かれていた戦略的研究プログラムというものの中には、ここに挙げましたようなプログラム、大体読んでいただければどういうことをやるのかなというのは字面でお分かりかと思いますが、これは研究担当理事のほうから一つ一つ内容についてご説明いたします。
特徴的なのは、気候変動に関するプログラムがたくさん、上の四つがそうなんですが、これ、まとめまして、おのおのプログラムごとに閉じるのではなくて、連携を強化しながらやっていこうと。例えば、太陽光発電、メガソーラーを作って土砂崩れは大丈夫かとか、生態系は破壊されないかとか、複数プログラムにまたがるような問題を扱っていこうということで、それを「気候危機対応研究イニシアティブ」と呼んで、この上の四つのプログラムを統括するような形で進める体制としております。
次の、これは先ほど八つの基盤領域。地球の環境、それから地域の環境、それから資源や廃棄物等のライフサイクルを考える、それから気候変動への適応、生物多様性、さらに自然と人間、社会システムの調和を目指す、それから福島中心に、災害からの復興とか回復とかあるいはレジリエントな社会を構築するためにはどうしたらいいか、それからもちろんのことですが、環境物質等に対するリスクあるいは健康影響、ヒトへの影響、生態系への影響などを調べております。
それに加えまして、この八つの研究領域の中では環境を測るという技術がその研究の基盤になっておりますので、この八つの中に基盤計測業務と我々が呼んでおりますそのモニタリングだとか、その標準物質をつくるとか、そういう活動もやっていると。これは4期までは別の八つの領域のうちの一つとして分けていたんですけども、やはり研究と一体となってやったほうがよろしかろうということで、これはこの研究領域の中に埋め込んだ形で第5期は実施することとしております。
次の図は、基礎・基盤的取組、ここを第5期では重視したいわけですが、そのとき、国研審の委員の先生方にはこの(ア)、(イ)、(ウ)、三つの視点からご評価をいただきたい。まずは、先見的・先端的、要するに環境は変わっていくわけですので、人類、社会が未知の領域に入るということは、ここでサイエンスが活躍しなくてどうするんだ、誰も知らなかったようなことを見つけるような研究。それからもちろんそれは政策に寄与しなくてはいけませんので、(イ)の政策対応研究。そしてそれを支える環境試料保存であるとか、モニタリングであるとか、データベースの提供であるとかいう基盤、研究の基盤の整備をやっていきたいということでございます。
ここに少し書いてありますのは、この左は置いておきまして、地環研と書いてありますが、地方自治体にある環境の研究所のことでございます。50近くあるわけですが、この人たちとも協働して、全国、地域の環境研究、環境対策を進めることとしております。
次は、二大事業と呼んでいるものですが、先ほど言いましたが、温室効果気体を測る衛星を上げていただいておりますので、そのデータを処理してプロダクトを出す。それから、子どもの健康調査をやる。これは二大、「大」とついておりますので、予算的にも結構大きい、環境省の方に多くを面倒見ていただいているという意味も含めまして「大事業」と書いております。
次のスライドでございますが、国内外の機関との連携をする。これは当然のことでございます。それから、研究を社会実装していく。それを推進していくために、今回、連携推進部をつくりましたよということは、先ほどもご紹介したところでございます。
この連携推進部、昨年新しくつくったんですが、昨年1年から今年度にかけても大活躍でございまして、寄付金の制度を整えるとか、連携大学院を進めるとか、あるいは、この間は、初めてですが、クラウドファンディング、福島の3Dのマッピングをする、環境情報をマッピングするツールをクラウドファンディングして見事に達成したりとか、いろんなことで連携推進部が大活躍しております。連携推進部の中では、ステークホルダーや若者たちとの対話集会あるいはそれのレポート、あるいは金融界の対話、そういうことも行っております。
ここは、環境情報、研究するに当たってモニタリングしたり、いろんな、あるいは大気汚染の予報、予測情報とか、いろんなプロダクトが出ます。これを国民の皆さんに届けておりますよとそういう業務も大事ですよ、力入れておりますよということです。
この図はちょっと何かいろいろあってうるさくて見えにくいと思います。実は、たくさん情報があり過ぎて、ひょっとしたらユーザーの方々によく見えないんではないかというのを今課題として、ホームページは表側を4月の中頃かな、全取っ替え、刷新したんですが、こういう情報の提供のほうももう少し分かりやすくしたいなというふうに活動しておりますので、あえてちょっと分かりにくいままのスライドをお見せしてしまいました。
それから、気候変動に関する業務、これは企画支援担当理事から詳しいご説明があります。これもうるさいスライドでございます。それだけたくさんのことをやっているという、私なりのメッセージでございます。適応センターの人たちは物すごいテンションで仕事して頂いておりますが、もう少しゆっくりと、と言いますか、サイエンスを考えるゆとりももって進めて頂きたいなと。地方の自治体の支援なんかは、いろんな問合せがあって大変なことらしいですが、聞いたところによりますと、その問合せやコミュニケーションをまとめて地方の適応対策立案にどういう課題があるのかというのを研究論文にして発表、まだ発表には至っていないのかな、論文を書いてくれたなんていうニュースもありまして、業務に留まらず、そこから研究成果も出してくれているということで、大変頼もしく思っております。
最後に、左側、環境省の政策体系、そして右側は国環研の研究体系でございますが、一つ一つはご説明いたしませんが、色分けによって、地球規模、グローバルなもの、それから資源循環、リサイクル等々、政策とほぼ一対一で対応して、環境省とも密な連絡を取りながら研究を進めているということでございます。
少し長くなってしまいましたが、概要説明をこれで終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
【花木会長】 木本理事長、ありがとうございました。
今のご説明に関しまして、委員の方々からご質問ありますでしょうか。
(なし)
【花木会長】 よろしいでしょうか。
個別については、これから業務報告の中で詳しくお伺いするということになっておりますので、そこでまた質問があればと思っております。
ちょっと事務局に一つ質問があるのですが、冒頭に委員の方がまだ一人入っておられないと言っておられましたが、今全員入っておられますか。
【加藤環境研究技術室長】 はい。事務局、加藤でございます。
はい。入室されてございます。
【花木会長】 はい。分かりました。ありがとうございます。
さて、それではこれからいよいよ審議に入りたいと思います。第5期中長期計画に基づいて、その項目に従いまして、令和3年度の実績を評価するということでございます。
進め方につきましては、まず、既にスライドが今出ておりますが、国立環境研のほうから、ご説明いただいて、すぐにそのまま環境省のほうから評価素案についてご説明いただく。そしてその後質疑応答という順に進めます。
それに加えまして、先ほど、加藤室長からお話がありましたが、非常に大量になりますので、全部を二つのパーツに分けて、一つ目について国立環境研で説明、環境省の説明、そして審議、そして二つ目の後半部分というふうに進めてまいりたいと思いますので、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
それでははじめに、第5期中長期計画の第3「研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項」1「環境研究に関する業務」につきまして、国立環境研から業務実績等報告書のご説明をいただき、その後、事務局から評価素案をご説明いただくというようにしたいと思いますので、よろしくお願いします。
もう既に準備が、スライドが出ているようですので、国立環境研のほうでじゃあ、あと、お進めください。
【森口国立環境研究所理事】 花木会長、ありがとうございます。
研究担当理事4年目を務めております、森口でございます。資料3に沿って、業務実績等報告の前半部分を説明いたします。
昨年は、第4期5年分と単年度分の2種類、ご説明いたしました。それに比べますと短いとはいえ、約30分、77枚のスライドにお付き合いいただくことになりますけども、よろしくお願いいたします。
例年お示ししている研究の進捗管理の全体像です。研究業務については、外部研究評価委員会で評価をいただいておりまして、本日もそちらの評点等を示させていただきます。このほか所内での研究評価、海外専門家による助言の仕組み等がございます。
先ほど、環境省加藤室長から説明された資料0の②のスライド3に中長期目標の構成が示されておりましたけども、それに対応しまして、評価の項目はここに示した15項目から構成されております。
第3の研究開発の成果の最大化、その他業務の質の向上に関する事項につきまして、項目の1、2、3は、国立環境研究所法に定められた業務の構成と対応しております。2の環境情報、3の気候変動適応につきましては、第4、業務運営の効率化以降と合わせ、後半で企画・総務担当理事からご報告することとし、私からは第3の1、環境研究についてご報告いたします。
先に、第3の部分の自己評価の総括を示しておきます。私がこれから説明しますのは、1.の(1)から(4)ですけれども、自己評定は全てAとさせていただいております。重要度が高いものは「○」、難易度が高いものを下線で示しております。
こちら、理事長の説明にもありましたけれども、目標の第3の全体を図で示したものでございまして、これからご説明するのはこのブルーの部分、環境研究に関する業務です。これ以降、どの項目をご説明しているか、適宜この図に戻りまして参照いたします。
では、中長期計画の項目に沿って、(1)から(4)まで、順次、事業区分ごとの令和3年度分の成果についてご報告いたします。
最初の区分は(1)、重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進でございます。先ほどお示しした図では、この赤線の部分です。第4期は、ここがさらに課題解決型研究プログラム5課題と、災害環境研究プログラム3課題に分かれ、それぞれが独立の評価項目でしたけれども、第5期は戦略的研究プログラム、8課題に再編いたしました。
第4期と比べて、個々のプログラムは内容をよりシャープに絞り込んだものとしております。特に喫緊の課題である気候変動、気候危機につきましては、プログラム間の連携を強く意識した気候危機対応研究イニシアティブを組織しております。
評価軸はここに示したとおりです。⑧の気候変動適応研究プログラムにつきましては、支援業務などと併せて、適応関係まとめて後ほど後半でご説明いたします。
以下、プログラムごとに概略1枚、それから特筆すべき成果1枚の、2枚ワンセットでご説明いたします。外部研究評価で時間をかけてじっくりと評価いただいておりますので、本日は駆け足で成果の一端のみの紹介とさせていただきます。
最初のプログラムは気候・大気質変動で、観測データ、それから循環・輸送モデル、社会経済シナリオなどを基に排出削減の検証など、政策決定に必要な知見を提供しようとするものでございます。3プロジェクトから構成され、GHG、温室効果ガスと共にSLCF、短寿命気候汚染物質も重視しているのが特徴でございます。
こちらが特筆すべき成果で、都内、代々木でのCO2の実測結果、グラフで日中のフラックスの減少が見えていますけれども、これを基にコロナ緊急事態宣言下での排出量の変化を定量的に解明いたしました。このほか、航空機や貨物船を用いた過去の観測データの再解析、改良した降水スキームを用いたモデルでの衛星観測期間の再現性向上といった成果が得られております。
2番目は、物質フロー革新プログラムで、こちらも3プロジェクトから構成されております。変革の方向性、科学的目標、順応策の提示、そして変革を阻害する要因の同定と除去、変革に順応する技術開発というプロジェクトごとの方向性を明確に掲げております。
成果ですが、気候2℃目標に対応した金属の1人当たり社会蓄積量、これは主に鉄ですけれども、長期目標値として1人当たり7トンに収斂すべきこと、カーボンフットプリントを用いてライフサイクル転換による温室効果ガス削減効果を定量化し公開したこと、そしてこの図ですけども、G20について消費国の責任という考え方でPM2.5による早期死亡者を算定したことが挙げられ、この成果は海外メディアでも取り上げられ、注目を集めました。
三つ目は、包括環境リスクです。エンドポイントとしては、人間の健康への有害性、生態系への有害性を包括的に捉え、曝露計測法、環境動態モデルといった手法面のプロジェクトが支えながら、新規毒性影響や脆弱性集団をも考慮した包括的なリスク評価・リスク指標を目指すという野心的なゴールを掲げております。国内はもとより、SAICM後の国際的な化学物質政策への貢献を出口として意識しております。
成果として、モデルマウスによる研究からビスフェノールSへの曝露が免疫を抑制するサイトカインの血中濃度を増加させ、アレルギー性喘息病態を亢進する可能性、こちらの図に示しております。このほか、福島県沿岸沖合での魚介類調査から、クルマエビ類の成長、生残に至る過程のどこかで何らかの阻害があった可能性を指摘したこと、毒性・影響に関与する共通基本構造を有する同質の懸念物質群の網羅的・包括的分析法を開発したことが挙げられました。
四つ目は自然共生プログラム、これは4期にも同名のプログラムがありましたけれども、それを継承しつつ、生物生態系の環境変化への応答機構を評価しております。主要な劣化要因ごとに対処と保全計画を提示する三つのプロジェクト、そして生態系を積極的に活用した持続的利用に関するプロジェクト、さらに保全と利用の両面からの統合的アプローチ、計五つのプロジェクトから構成されております。
他機関と連携し、広域データの収集体制とデータ統合システムを構築いたしました。具体例としては、イノシシの個体密度指標、それから農作物へのシカの獣害の空間のスケールの解明を進め、人口減少下での鳥獣管理体制につながる成果を得ております。このほか、野生生物感染症については引き続き成果を上げておりますし、都市近郊の草地に着目した研究では宅地化と送粉昆虫、開花植物の機能群の関係を明らかにしております。
五つ目は、脱炭素・持続可能社会プログラムです。脱炭素、カーボンニュートラル、ネットゼロといったキーワードの下の気候変動緩和策が非常に重要な課題ではありますけども、それだけではなく、持続可能な社会という、より大きな課題との同時達成が必要です。その評価のためのモデル開発、シナリオとロードマップ、そこでの将来世代との衡平性の考慮といったことにフォーカスした三つのプロジェクトから構成されております。
成果として、世界技術選択モデルを用いて気候変動対策に伴う水銀の排出の削減傾向、コベネフィットですけども、これの地域偏在性を示したこと、この図に示したとおり、技術選択モデルと電源開発モデルを組み合わせ、日本における2050年脱炭素社会を定量的に示したこと、これ、政府の審議会に報告しております。それから、制度調査から将来世代を考慮した制度並びにショートターミズムを抑制する制度を整理したということが挙げられます。
次は、持続可能・地域共創プログラムです。持続可能というキーワードは、一つ前のプログラムでも含まれておりましたけども、そちらは主に国から国際スケールであったのに対し、こちらは国内の地域、自治体レベルでのローカルな取組に主眼を置いておりまして、具体的な対象地域を軸とするプロジェクトの1、それから地域に適合した技術を軸とするプロジェクトの2、そして地域診断ツールの構築を目指すプロジェクトの3、これらを統合して社会実装の課題解決を扱うプロジェクト4、これら4プロジェクトから構成されております。
人口減少、高齢化が進むと、身近な問題として大人用の紙おむつが焼却ゴミに占める割合がかなり多くなると考えられており、廃棄物処理システムもそれに対応していく必要があります。
一方、グローバルな気候危機に対しても、地域ごとの取組、極めて重要でありまして、脱炭素を市民、消費者と共に進めるということで、川崎市での脱炭素市民会議での開催に重要な貢献を果たしております。
地域に密着したもう一つのプログラムとして、災害環境研究プログラムがあります。これは、東日本大震災を契機に私どもの研究所で新たに注力してきた課題です。第4期に実施した災害環境研究プログラム3課題をベースとしまして、他のプログラムよりやや予算額の大きな1課題に再編しております。放射性物質汚染などの環境影響修復を扱う2プロジェクト、災害からの復興、環境創生を主に扱う2プロジェクト、そして災害廃棄物問題、災害時の有害物質マネジメントを扱う2プロジェクトの計6プロジェクトを実施し、地域社会に実装することで、将来の災害環境問題に対する地域のレジリエンスを高めることを目指しております。
代表的な成果は、これらの三つのくくりごとに1例ずつ示しております。
こちらの図は、福島に新設される発電施設と同じ実機を用いて、通常の木材チップだけを燃やした場合と、バーク、樹皮を70%混合した燃焼、混焼試験によって、灰の融解特性を調べ、混焼しても懸念された灰の低温融解が生じないということを明らかにしております。
このほか、浜通りの復興における太陽光発電とEVの地域エネルギー利活用ポテンシャルの評価、災害時の化学物質汚染を想定した自動同定定量システムの地方の環境研究機関への配備などを進めました。
戦略的研究プログラムのうち、気候変動に関する四つのプログラムを中心に、さらにほかの関連プログラムも交えまして、一体的に推進しているのが気候危機イニシアティブでありまして、プログラム間、関連するプロジェクトでの情報共有と連携を進めてまいりました。
非常に具体的な例としましては、太陽光発電が立地拡大しておりますけれども、生物多様性保全と脱炭素の同時解決が必要であるということです。保護区と再エネ建設地の望ましい配置といった現実的な課題への取組も進めております。
なお、ここにも気候変動適応プログラムも加わっておりますけれども、再三ご説明しておりますように、これは後ほどの適応関係の業務とまとめてご説明申し上げます。
こちらが課題解決型プログラム、8課題、適応プログラムも含めてですけれども、8課題の5点満点での評点でございます。全体としまして、初年度から成果が上がっていること、研究成果を環境問題の解決に結びつけるための取組やプログラム間の連携ができているということから、全般に高い評点をいただきました。個別のコメントから異分野の研究者との連携やステークホルダーとの協働、効果的な成果の発信などについて今後の期待を寄せていただいております。
以上のことから、第1の項目、戦略的研究プログラムにつきましては、プログラム全体を通して難易度の高い課題において年度計画に沿って順調な成果を上げるとともに、重要性の高い研究において環境問題の課題解決につながる成果の創出が認められたと考えておりまして、項目別評定の自己評価はAとしております。
政策貢献、社会実装を意識してプログラムごとの成果をこのスライドと次のスライドで簡潔にまとめておりますけども、時間の制約がございますので、個々の読み上げは省略させていただきます。
続いて、項目ナンバーの2、環境研究の各分野における科学的知見の創出等の推進に参ります。全体概要図では、この赤の点線枠部分で、8本の柱となる分野ごとに基礎基盤的な取組を(ア)、(イ)、(ウ)の三つに区分して進めてまいりました。(ア)が先見的・先端的な基礎研究、(イ)が政策対応研究、(ウ)が知的研究基盤で、それぞれの性質に応じた評価軸を設定しております。
基礎基盤的取組の全体像を図で示したのがこちらの図で、(ア)の先見・先端、創発・独創、萌芽といったキーワードの基礎研究の蓄積があってこそ、(イ)の政策対応研究を行うポテンシャルがあるという考え方を図化したもので、環境研究、技術開発の推進戦略の5領域と研究分野の対応関係もここで図示しております。一方、(ウ)の知的研究基盤は、環境試料の長期保存、それから地球環境モニタリングなど、国立機関ならでは長期にわたって継続的に取り組むことができる国内外の環境研究を下支えする業務を位置づけております。
推進戦略の5領域の色分けを適用し、8分野の主な研究対象、こちら先ほど理事長の概要説明にもございましたけども、こちらに示してございます。環境の計測については8分野それぞれで研究と一体としてやる部分と、それから基礎となる計測の精度管理は基盤計測業務という形で実施しているところでございます。
(ア)の先見的・先端的な基礎研究は、基礎研究という性格ゆえ、まとまりを示すのはなかなか難しいんですけれども、計測、観測から予測、対策に至るまでの研究フェーズをカバーしているということを図示しております。
成果の上がった主要な課題をキーワードでまとめておりまして、ここの四角で囲った五つの研究事例を簡単にご紹介いたします。
地球システム分野では、衛星搭載センサーを模擬した地上ライダーの観測によって、雲の物理特性の評価を高い空間分解能で行うことができるようになりました。今後のエアロゾル、それから雲の衛星観測の精度向上に重要な役割を果たすということが期待できます。
資源循環分野では、ポリエチレンなど6種のポリマーについて、ナノプラスチックの標準試料の作成を確立し、この成果はハイ・インパクトジャーナルに掲載されました。今後、定量分析や毒性試験への活用が期待されます。
温暖化で熱中症発症リスクの増加が想定されておりますけれども、熱中症の搬送情報、それから高解像度の気象データ、AI技術の一つである機械学習を用いて熱中症発症者数を予測するモデルを作成し、従来よりも高精度の予測が可能となりました。これも成果が国際一流紙に掲載されております。
災害環境分野では、森林の137Csの環境動態に関し、6種のモデルにより、スギの部位別のセシウム濃度の将来予測を行いました。葉の初期濃度の再現性は高いものの、平衡の到達点はモデル間の差が大きく、また、幹の濃度推移については濃度の長期傾向やピークアウトの時期のモデル間差異がかなり大きいということが示されましたので、今後とも注視が必要かと思います。
地域環境保全分野では、地域知を応用した福井県久々子湖の渚再生に取り組み、底生動物の生息場としてよりよい形状や環境特性を明らかにできたと。このことは汽水域生態系の保全管理を行っていく上で重要な成果と考えております。
次の区分、(イ)が政策対応研究です。既にご説明したとおり、基礎、基盤を担う国立環境研究所の研究分野は推進戦略の5領域、さらにはそれを細区分した環境省の政策体系とこのように関係づけられておりまして、随時生じる環境政策上の必要性の高い課題に対応する体制が整っております。
特筆すべき成果をスライド、2枚だけお示ししておきます。
上半分は資源循環分野の成果で、焼却炉の火格子からの落ちてくる灰、落じん灰と呼びますが、これを分離回収することで、より多くの金、銅といったものが回収できることを明らかにしました。都市ごみ焼却残渣の資源価値の向上と金属回収の促進に貢献するものと期待されます。
我々の政策貢献先は国内だけではなく、海外も含みます。社会システム分野では、アジア各国における気候変動への長期戦略支援についての裾野を広げる取組としてここに示しました3項目の各種ツールについて、コロナの制約下でもありますのでオンラインでトレーニングワークショップを実施し、アジアはもとより、オセアニアの島しょ国からも多くの参加がありました。
こちらのスライドはいずれも政策のベースとなる情報基盤であります。Webkis-Plus、こちら多様化する化学物質の環境リスクに関連する様々な情報を収集、掲載したもので、継続的に改良と運用を続けております。
生物多様性分野では、統計モデルを用いて、環境DNAメタバーコーディングの新たな解析手法を提案いたしました。効率的な種の検出が可能となり、環境省生物多様性センターの淡水魚類の調査手法の手引きでも活用されております。
2枚のスライドでご紹介した四つの具体例以外にも多少加筆しておりますけども、推進戦略の5領域、全般について政策支援に直接つながる成果を提供しております。
基礎・基盤的取組の最後、三つ目の区分が知的研究基盤整備です。これは、第4期には環境研究の基盤整備という区分で実施していた業務を継承するもので、所内だけではなく、所外の研究者にも研究基盤を提供するものです。
特筆すべき成果として、地球システム、地域環境保全の両分野での大気環境の長期観測の成果をお示ししております。日本列島の西の端、沖縄県波照間島、東の端、北海道落石岬でのメタン濃度の近年の顕著な増加ですとか、長崎県福江島における大陸方面からの粒子のライダー観測の成果を示しております。
こちらは、環境試料に関する二つの例で、長年行ってきた環境標準物質の作成・提供は、基盤計測業務として継承しております。
都市大気粉塵のSr同位体を分析し、複数の方法による分析が誤差範囲で一致することを確認しております。
また、環境試料タイムカプセル棟で凍結保存した猛禽類の肝臓の試料を用いた鉛濃度の実態解明に取り組み、本州以南に分布する猛禽類において鉛汚染が発生しているということを明らかにしました。この成果は、環境省の鉛製銃弾の使用規制にもつながっております。
国立環境研究所自身も再来年で設立50周年を迎えますけども、筑波研究学園都市もこの間に大きな変貌を遂げております。1980年頃から約70地点における景観写真をアーカイブしていましたけども、昨年度、同じ地点の景観写真を追加撮影いたしまして、4時点、約40年間の変化を記録する基盤的情報として更新し、公開いたしました。
災害環境分野では、原発事故後の廃棄物・資源循環に伴う放射性物質のフローを解析し、放射性セシウムの回収状況を試算いたしました。地上の総沈着量に対する回収率は10%以下ですけれども、除染対象となった地域の地上沈着量に対しては、約半分が回収されて、中間貯蔵施設にストックされていると推定され、環境再生事業による効果の俯瞰的な把握ができたと考えております。
外部研究評価では、以上の3区分ごとに評点をいただきました。全体としてこれは我々の想定を大きく超える高い評点なんですけれども、基礎、基盤を重視し、タイプの異なる3類型の業務を分野ごとに着実に実施するという第5期中長期計画のこの項目の構成自身に対して高い評価をいただいたと考えております。
個別意見の中で特に強調しておきたいのは、大学等では実施が容易ではない広域、継続的なモニタリングなど基盤をしっかり整備していると評価いただいたこと、そうした国環研の力が最も発揮できる分野での研究活動を活性化することへの期待を寄せていただいたことでございます。
以上、外部評価結果も踏まえ、項目番号2についても項目別自己評価はAとしておりまして、ご説明した内容の主要なものをこちらに要約しております。
3番目の区分は、国の計画に基づき、中長期計画期間を超えて実施する事業です。全体図のこの赤枠部分で、衛星観測、エコチル調査の2事業を位置づけております。これらは、中長期計画とは別に、それぞれの事業計画が示されておりますので、それらに沿って主導的に実施されているかという明快な評価軸が示されております。
一つ目、温室効果ガスの衛星観測、いわゆるGOSATですが、環境省、JAXAとの3機関合同の大型事業です。2009年に打ち上げられた1号機は既に設計寿命を迎えておりますけども健在で運用を続けておりまして、後継機への移行準備に入っております。2号機は2018年に打ち上げられ、定常運用中でございます。そして3号機、正式名はGOSAT-GWと申しますが、来年の打ち上げが予定されております。フェーズの異なる3基全てに対応するため、担当部門が奮闘している状況でございます。
こちらが各号機の状況と成果概要です。こちら、左側が1号機、右側が2号機、上がCO2、下がメタンで、観測地点の密度も、それから観測範囲も大幅に向上したということが一目瞭然でございます。この結果は、IPCCの第6次評価報告書でも掲載されております。
GOSAT-GWにつきましては、データ処理の基本設計から詳細設計へと移行し、打ち上げに向けた準備が佳境に入りつつあるところでございます。
こうした実務とともに、GOSATデータを用いた研究も進めておりまして、特筆すべき成果としては、南米の亜熱帯域の過去のメタンフラックスを解析し、陸水の貯留量、湿地面積、降水量などとの相関が高く、これらのパラメータが影響している可能性が高いということを突き止めております。南米は地上観測ネットワークが不十分であり、今後も衛星による広域監視のニーズが高い地域でございます。
この区分のもう一つの大型事業、エコチル調査でロードマップ、こちらに示してございます。胎児期から13歳あるいはそれ以降ということもそろそろ議論されつつございますが、世界的にもあまり例のない大規模なコホート調査を実施しており、着手から既に10年余り、対象者は学童期に入っております。
事業の主要項目はこちらに示すとおりで、約10万組を対象とした全体調査、数千人規模の詳細調査を実施するとともに、継続的に参加いただくためのコミュニケーション、資料やデータの保管、管理、調査結果に基づく研究成果の発信などに取り組んでおります。
調査データに基づく研究成果の例です。妊娠中の母親の血中カドミウム濃度と神経発達の関係を解析し、カドミウムによる神経発達の影響を受けやすい集団として男児(男の子)、それから妊娠中の喫煙あり、妊娠糖尿病ありといった因子を見いだしております。それ以外にも、妊娠期の染毛剤の使用がお子さんの気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎の発症に影響する可能性、それから妊娠中の自宅の増改築が喘鳴の発症頻度に影響する可能性を示しております。
英文顕著論文、これ、エコチル調査の実務を担っていただいている地方の医大等のユニットセンターの方が主著者になるものも多いんですけれども、年々増加しておりまして、累積では200を超えております。
これら2事業については、定量的なモニタリング指標が設定されておりまして、GOSATのプロダクトのユーザー数、それから配布件数は第4期中長期計画期間に比べて増加し、特にGOSAT-2で大幅に増加しております。
エコチル調査の追跡率、年々下げられる、下がっていくところが避けられないんですけれども、コロナでもろもろの制約が加わる中でも94%近くを維持しております。
外部研究評価では、二大事業それぞれについて評点いただいておりまして、第5期、初年度の評価は第4期と同水準以上、個別意見の中でも国主導の事業を国立環境研究所が実務を主導する形で実施することの意義を評価いただいております。
以上を踏まえ、項目3の区分につきまして、自己評価をAとしております。ご説明した主要な成果は、こちらに再掲してございます。
私からの説明の最後の項目区分となりますが、国内外の機関との連携及び政策貢献を含む社会実装の推進で、全体図ではこの赤枠部分、これは、ここまでにご説明した個々の項目に共通する横断的な取組でございます。この項目、中核的研究期間としての連携としての組織的推進、それから国内外機関及び関係自治体との連携・協働、成果の社会実装の三つから成りまして、かなり細かく評価軸、評価指標が設定されております。
まず、連携の組織的推進につきましては、理事長からも言及ございましたが、文字どおり連携推進部という組織を第5期のスタートとともに発足させました。研究連携・支援室は大学のいわゆるURAが担当する業務と共通性がありまして、他機関との共同研究、連携大学院、知財の支援、自己収入の拡大、外部資金の獲得支援などになっております。
厳密に言いますと期間外ですけども、今年度に入りましてからは産学連携コーディネーターを各ユニットに配置するなど、企業との連携協働を適切に行うための仕組みづくりにも注力しております。
もう一室が社会対話・協働推進室で、これは第4期に対話オフィスという名称で開始しておりました双方向の対話や、SNSを用いた情報発信などをよりフォーマルな組織として位置づけた形です。
対話につきましては、新たな試みの事例二つ、示しております。
一つは脱炭素を中心とする金融セクターとの対話で、これは和英両方で報告書を公開しております。Future Earthとの共催でございます。一方、持続可能な社会という点では、次世代を担う若い世代、これが重要なステークホルダーであるというふうに考えまして、対話をし、環境研究に望むことなどについてご意見をいただきました。無論、公害研究時代からの重要なパートナーである地方環境研究所の共同研究ですとか、連携講座を含む大学との連携も、引き続き進めております。国内外機関、関係主体との連携・協働に関する定量的なモニタリング指標は、こちらにまとめております。
中核的機関としての役割、そして様々な主体との連携・協働の両方に関わりますが、主な国際的活動をこちらに列記しております。MOU等に基づく定常的な活動、毎年実施しているものを含め、主要な会合をこちらに示しております。コロナのため、大半がオンラインですけれども、グラスゴーでのCOP26につきましては現地パビリオンに参りまして、ハイブリッドでのセミナーも開催しております。
成果の社会実装先、多岐にわたりますが、環境政策への貢献がその第1であることは言うまでもございません。国際的には、昨年から今年にかけてIPCCの第6次評価報告書が公表されましたけれども、執筆者等としての貢献はもとより、公表された報告書の内容を分かりやすく動画で解説して配信しております。
一方、国内ではヒアリなど外来種の侵入が重要な関心事であり、東京港、大阪港での防除などにつきましてはマスメディアでも報道されてきたところです。気候変動、ヒアリといった分野での、言わばスター的な研究者が国民に知られることは国立環境研究所の知名度向上にはプラスになりますけども、それ以外にも多数の研究者が地道に政策貢献を果たしておりまして、瀬戸内海の気候変動の影響評価、災害廃棄物処理などの国内の重要課題も含め、貢献事例をカウントした結果をここに示しております。これらの具体的な内容は、業務実績報告書資料編105ページからの資料26-2で20ページ余りを割いて、表でまとめてございます。
多少前後しますが、言うまでもなく、社会実装以前に研究成果をきちんと学術的に形にしていくことが必要です。こちらに、論文や口頭発表の件数をまとめております。数とともに、論文の質についても調査をしておりまして、他機関との協調率、国際共著率が高いこと、論文の相対比引用度も世界標準をかなり上回っているということを確認しております。
学術論文以外の様々なアウトプットをこちらに表にしております。コロナの影響や、中長期の初年度であることから、前期平均を少し下回っている項目もありますけども、こうした5年のサイクルはこれまでにも見られておりまして、特に活動が低下しているということではないと考えております。
こちらに社会貢献、政策貢献の主な成果をまとめております。この項目につきましても十分な成果が上がったと考えており、自己評価をAとしております。
以上、私から項目(1)から(4)につきまして、説明をいたしました。これら4項目をまとめた評価もするようにということを言われておりまして、これもAとさせていただいております。
評価項目数といたしましては、後半、是澤理事からの説明分のほうがはるかに多いんですが、環境研究に関する部分につきましては例年時間をかけて説明させていただいており、今回も30分頂戴いたしました。ありがとうございました。
【花木会長】 どうもありがとうございます。
それでは、引き続きまして、環境省のほうから評価素案についてご説明いただきますでしょうか。
【加藤環境研究技術室長】 はい。環境省の加藤でございます。
評価素案の説明の前に、評定の考え方をまず、ご説明させていただきたいと思います。
先ほど、森口理事より、研究に関する業務実績等のご説明を頂戴しました。順番がちょっと前後して申し訳ないですけれども、先に研究ではないマネジメント部分を含めた部分の評定区分からご説明させてください。
現在見えているスライドの中段にございますけれども、評定Bが標準になりまして、目標水準を満たしているものに該当します。難易度を高く設定した目標もしくは成果水準が120%を超えると評定が一つ上がります。さらに質的に顕著な成果が見られる場合はさらに評定が一つ上がり、最高評定となります。しかしながら、目標水準を満たしていないと、C並びにDという評定になってまいります。
次のスライド、お願いいたします。
こちらが、研究開発に関わる評定でございます。基本的には先ほどと同様ですけれども、数字で表現することが難しいところもございまして、例えば、先ほどは120%という数字が出ていましたけれども、こちらのほうには数字を明示したものではなく、成果の創出や将来的な成果の創出の期待等が認められるものをBとし、それに加えて顕著な成果の創出や将来的な成果の創出の期待等が認められる場合に評定が一つ上がります。さらに、特に顕著なとか、特別なとか、そういったものが認められる場合が最高評定となってございます。
こちらのスライドには、C並びにDといったところが記載してございませんが、実際には5段階の評価になりますので、CとDは存在します。工夫や改善等が期待される場合がC、並びに抜本的な見直しを含め、特段の工夫、改善等を求める場合がDになります。
なお、最初のほうでもご説明しましたけれども、評価に関しましては、難易度と重要度といったところも考慮する必要がございます。こちらを踏まえまして、資料7の二つの資料をご覧ください。評価素案の内容でございます。
まずは資料7-1になります。こちらは、令和3年度に係る業務実績報告書の素案の項目別評定総括表でございます。今回はこの左半分のものが該当します。右半分は、昨年度実施しました令和2年度並びに第4期中長期目標期間に係る業務実績評価項目別評定総括表になります。
令和3年度から、先ほどのお話に出ていましたけれども、第5期の中長期目標期間になりまして、評価項目の内容が変わっているところがございますので、ご注意ください。左の表の中で、第3の部分の一つ目の(4)のところまでが先ほど森口理事がご説明された部分に該当し、それぞれ重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進、(2)には環境研究の各分野における科学的知見の創出等の推進、(3)には国の計画に基づき中長期目標期間を超えて実施する事業の着実な推進、(4)には国内外機関との連携や政策貢献を含む社会実装の推進といったところがございまして、まずはこれら四つにつきまして素案といったところを考えまして、結論を申しますと、国立環境研究所の自己評価と環境省の評価素案は同様になってございます。
この論拠を示した資料が7-2になります。こちら、7-2の資料は、資料自体がかなりのページ数ですので、一つ一つの説明を始めますと時間が長くかかります。したがいまして、今回は資料の見方をご説明するということとさせてください。
こちらのページには、先ほどの総括表の左側の項目が並んでございまして、このような項目の評定をつけることになります。
続いて、2ページ目をご覧ください。こちらには、3の1.(1)の重点的に取り組むべき課題への統合的な研究の推進に関しての記載でございますけれども、資料の上段に、中長期目標・計画が何なのかを記載し、続いて下段に、我々の評価軸、評価ごとの指標を記載してございます。
これらを踏まえまして、次に3ページ目になりますけれども、年度評価ポイントと項目別評定の判断根拠となる重要な事例として、我々が考えるものを記載するという構成になってございます。この項目では、主要な事例が3から5ページという形になってございます。ここの3ページ目に、先ほどのも含めまして、項目別評定も記載してございます。
6ページ目から先には、その他の項目を同様に整理してございます。
このような論拠をもちまして、先ほど示しました総括表としてまとめてございます。
結論としましては、先ほども話をしましたけれども、国立環境研究所の自己評価と同様の評価素案となってございます。
環境省からの説明は以上でございます。
【花木会長】 ありがとうございました。
これから、委員の方々からご意見いただきたいと思います。
最初に今後の手順の説明がございました。そこにあるように、本日、この審議会でいろんなご意見をいただき、時間の都合で詳細は説明いただけない資料も今見方だけご説明いただきました。その資料を今後、委員の方々は必要に応じてその資料も参照し、意見シートを提出していただくと、そういう順序になっております。
さて、それでは、これから委員の方々からご意見をいただきたいと思います。特にどの項目というように順序を決めませんので、ご意見ある方は挙手ボタンを押していただければと思いますが、いかがでしょうか。
花木ですが、手挙がるまでに私から1点お伺いしますが、研究の外部評価をされて、非常に高い評価があったというご説明がありました。昨年まで、もうそのコロナでなかなか国際的な評価を対面でできないというようなことをおっしゃったんですけど、昨年度については、どういう方々とどういう形で評価されたか、簡単に教えていただけますでしょうか。
【森口国立環境研究所理事】 研究担当理事、森口からお答えいたします。外部研究評価委員会につきましては、従前から第4期にも設けておりましたけれども、メンバーかなり今回入替えをしておりまして、半数以上の方に変わっていただきました。それから、ジェンダーバランスを考慮するということで、女性委員の数を大幅に増やさせていただきました。また、外部研究評価委員会委員の中に、日本語のおできになる外国籍の方、外国人の方にも1名入っていただきました。
国際アドバイザリーボードにつきましては、第4期もかなり苦心して実施をしたんですけども、コロナ禍でもあり、そういったこと、集まっていただくことは大変難しいので、一堂に会して国際アドバイザリーボードを実施するというよりは、様々な海外との交流活動の中でアドバイスをいただくということを軸といたしまして、それに対する予算支援制度を設けたということです。まだ初年度ということもありまして、海外の方から直接意見をいただく場合については令和3年度はまだ実施はしていない状況でございます。
【花木会長】 ありがとうございました。よく分かりました。
さて、いかがでしょうか。
高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 はい。ありがとうございました。高橋でございます。
いろいろ特筆すべき研究成果、たくさん出ていて、大変すばらしい業績になっているかなというふうに思うんですが、多くの説明は文章でよく分かったんですが、ちょっと1点、非常に興味を引いたものがございまして、個別の研究になるんですけどもちょっと教えていただけるとありがたいなと思ってご質問させていただきます。
14ページなんですけども。
【花木会長】 スライドの14番。
【高橋委員】 はい。14で、資料の2です。
【花木会長】 すぐに出ますかね。あるいは口頭で。
【高橋委員】 はい。口頭でも……。
【森口国立環境研究所理事】 すみません。お待ちください。今出します。大変失礼しました。
【高橋委員】 はい。ありがとうございます。
この青枠で囲われた一番上なんですけれども、気候変動とこの鉄、金属の関係というんですか。金属利用可能量という関係。非常に、一見関係なさそうな、あるいは非常に難しい、難しいというか、面白い関係について着目して研究をなされたんだなというのをちょっと感じたんですが、これ、ちょっと概要をもし差し支えなかったら簡単にご説明いただけませんか。非常に興味深い中身かなと思ったんですが。
【森口国立環境研究所理事】 はい。担当のプログラムリーダーの南齋が今日出席しておりませんが、もともと南齋リーダーのこの分野の研究、私が共同研究者としてやり始めたところでございますので、研究担当理事森口が分かる範囲でお答えいたします。
これは、物質フロー・ストック分析という一連の研究の一環なんですけれども、言うまでもなく、鉄は生産時にCO2排出量が非常に多いものでございます。
先進国ですと、日本を含め、大体1人当たりのストック量が10トン、あるいはそれを既に超えております。
今後、その鉄が今後幾ら作れるかという制約を考え、リサイクルすることでより少ないCO2排出量で鉄が作れるわけですが、リサイクルするには一度誰かが鉄鉱石から鉄を作らないことにはリサイクルができません。そういったことも全部含めまして、今後一次の鉄が幾ら作れるのか、リサイクルで鉄をどう回すのかということを先進国と途上国との公平性のようなことも勘案しながら計算すると、全体としては1人当たり7トンぐらいに収斂させていく必要がある。
ということは、先進国は現在ストックしている量をむしろ減らして、それを途上国の経済発展のための鉄源として回すというような、それが国際的に合意できるかどうかということはまた別次元ですけども、数量的に考えると、そのような数字になるということを定量的に導き出したものというふうに理解しております。
【高橋委員】 ありがとうございます。
鉄というのはインフラを構築するために非常に重要な素材だと思いますので、この使用量というんですか、使用量の総量に制限がかかるということはすなわちインフラ整備その他についても一定程度抑制しつつやりなさいという、そういうメッセージになるということなんでしょうか。
【森口国立環境研究所理事】 そういったところは大変難しくて、私自身も国際資源パネルという、国連環境計画の国際科学者パネルに一時期参加しておりましたけれども、気候変動それから生物多様性に関しては条約があるのに対して、こういう物質利用、資源利用に対しては条約がございません。
したがって、世界的な規制といいますか、そういう目標値を定量的に定めていくということの国際交渉というのは大変難しいわけですけども、これは鉄の例を示しておりますが、再生可能エネルギーを今後利用していく、あるいは脱炭素のためには電化、どんどん電気で動くものに転換していくということが望ましいということ、言われておりますけど、そういったことになりますと銅とかそういった金属類の需要も増えてまいります。気候変動対策を進めていく中で実はそれ以外の資源、金属資源等の制約というのもかなり意識をしていかなきゃいけないということで、この物質フロー革新研究プログラムでの重要課題の一つとして捉えているところでございます。
【高橋委員】 分かりました。ありがとうございます。とてもユニークかつ重要な研究だというのがよく分かりました。ありがとうございました。
【花木会長】 ありがとうございます。
いかがでしょうか。はい。中村先生、お願いします。
【中村委員】 はい。ありがとうございます。大変活発に研究されているという様子がよく分かりました。
一つ私も個別のものが、18ページの、その自然共生研究プログラムの鳥獣管理に向けた研究体制の確立というところです。この左側にデータベースみたいなものがあるんですが、個別の研究成果は論文も出ていて進んでいるということが分かったんですが、こういった全国でこの問題、広がっていると思うので、今現状ではどういった全国ベースでのご検討をなされているのか、その辺もうちょっと教えてください。
【森口国立環境研究所理事】 はい。
【中村委員】 それから、59ページ。すみません。取りあえず全部言っちゃいます。
【森口国立環境研究所理事】 では、まとめて質問いただいてから。
【中村委員】 59ページ。ここに、エコチルに関する研究が伸びているということ、よく分かったんですが、この英文原著論文214編というものの意味がちょっとこのスライドから分からなくてお聞きします。私が聞き逃したのかもしれないんですけど、これはこのエコチル調査に関して国立環境研究所のほうでやられた英語の論文がこの折れ線グラフを足すと214編発表されたということなのかどうか、そこをちょっと教えてください。
それから、73ページ。この前も聞いたかもしれないです。これ読んでいてもいま一つよく分かんなかったんですけど、この1.47という相対被引用度というのは、この10年間を基準としてやられているのか、それともそうじゃないのか。10年間の国環研の論文データを分析と書いてあるので、時間がどのくらいで被引用度を他の研究者が一般的にやっているのとの比較を行ったのか、その辺、教えてください。
以上です。
【森口国立環境研究所理事】 ありがとうございます。ちょっと3点、逆順でお答えいたします。
3点目ですけれども、ここに示したものは論文データが過去10年間対象で、これ、恐らく10年分だったと思います。ただ、前回のご指摘もございましたので、今年度実施している、これは、外部の専門機関に発注して実施しておりますけども、今年度は過去20年間、独立行政法人化してから20年間の論文を対象に5年区切りで分析ができるように今改善をしております。ちょっと今回お示しした中ではそれがちょっと間に合っておりませんで、これ、過去の10年分の論文分析、過去10年間に発表された論文について、発表以降、現在に至る引用について集計していると。
これ、例えば昨年度だけの評価、できないのかみたいなご注文もあったかと思いますが、どうしても、論文が出てから引用されるまでにタイムラグがありますので、そういった意味でなかなか短期の評価、こういう年度評価にこういった指標を供するのは、なかなか難しいところがあるかなと思いますけども、それはできる限り工夫をしてまいりたいと思っております。
それから、59枚目につきましては、これ、ちょっと分かりにくいんですけれども、折れ線が累積の本数で、棒グラフのほうがその年度の発表数であったと思います。したがって、年当たりの発表本数も増えているし、それで累積もリニア、線形よりもさらに、何といいますか、下に凸のグラフで加速度的に増えているということです。
【中村委員】 これは、エコチル調査に関する研究成果のみをピックアップして214ということでしょうか。
【森口国立環境研究所理事】 失礼しました。これはエコチル調査だけによるものです。
ただ、少し口頭でもご説明申し上げたんですけども、国立環境研究所の所員が筆頭著者になっているものもございますけども、かなりの割合がユニットセンター、地方の大学の医学部ですとか、医大であるとか、そういったところにご協力いただいておりまして、エコチル調査の実施ですね、それを担う機関の研究者の方に論文の執筆の優先権を調整する仕組みがございまして、そういったことの中で書いていた論文です。
ただ、全ての論文についてエコチル調査の国立環境研究所のコアセンターも責任を持つということでの共著者にはなっておりますけれども、主執筆者につきましてはかなりの割合がパートナーと言いますか、エコチル調査にご協力いただいている他機関の方にご貢献いただいているということでございます。
18番目のところにつきましては、オンラインですけども、担当の領域長の山野が今日参加しておりますので、山野からお答え申し上げます。
【山野国立環境研究所生物多様性領域領域長】 はい。私の声、聞こえていますでしょうか。山野です。
【花木会長】 大丈夫です。
【山野国立環境研究所生物多様性領域領域長】 はい。このデータベースは、基本的には私のこれ、担当しているのが深澤という者なんですが、聞いている話ですと、イノシシとシカを全国の自治体の捕獲のデータを使って、それをデータベース化しているものです。
課題としましては、各県あるいは各自治体でその記録の仕方が様々で、例えば努力量が異なったりとか、そういうことがありますので、その記録も丹念に当たって、全てを標準化する形でデータベースをつくっている。それに結構、準備に時間がかかって、まだ完成途上ではあるそうなんですが、全て標準化する形で全国比較できるような形でそろえていると聞いております。
以上です。
【中村委員】 すばらしいと思うんですけども、フィードバックも将来的には考えておられるんですかね、各自治体のほうに。
【山野国立環境研究所生物多様性領域領域長】 はい。もちろんそうです。
【中村委員】 ありがとうございます。
【花木会長】 ありがとうございます。
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】 東京大学理学系研究科の佐藤と申します。聞こえていますでしょうか。
【花木会長】 はい。聞こえております。
【佐藤委員】 ありがとうございます。
精力的に研究活動をなさり、立派な成果を上げられていることがよく分かりました。
ただ、時間的な制約もあると思いますが、成果そのものの紹介だけではなく、どういう点が難しかったのかとか、どんなふうに克服したのかとか、そういうご説明もあるとよりわかりやすいのにと思いました。
私からの質問は2点あります。1つは先ほどから話題になっておりますエコチル調査の件です。ある要因は子どもの生育にかなり影響する結果が、エラーバーはかなり大きいものの出てきているわけですよね。
これらの結果について、調査の参加者、つまり協力者の方々にフィードバックをされているのかどうかをお伺いいたします。健康に関することなので、フィードバックをしないとなると倫理的な問題が生じますし、一報で、フィードバックをかけないほうがデータとしてはバイアスのかからないものとなるかと思います。その辺り、どのように対応してらっしゃるのか教えて下さい。
2つ目は、最近のロシアの軍事侵攻の影響に関する質問です。これには各国が色々な対応をしているわけですが、それによって宇宙開発もかなり影響が出てきております。GOSAT-GWについて、ご説明では予定どおりの打ち上げに向けて準備をされているということですが、今回のこの国際的な情勢がどのように影響しているのか、あるいは影響していないのかということについて教えていただけますでしょうか?

【森口国立環境研究所理事】 ありがとうございます。
これも前後いたしますが、2点目、私から少しお答えしまして、必要に応じて地球システム領域のほうから補足をいたします。
ロシア、ウクライナに関しましては、GOSAT、衛星もさることながら、衛星データの検証のために私ども、地上での観測、シベリアなどでもやっておりますけども、そういったところに多少影響が出かねないというような状況がございますが、今のところは実施できております。
それから、コロナの関係でなかなか外国人の技術者が入国できないであるとか、海外に発注をして進めてきたものがなかなか予定どおりに進まないということもございまして、コロナ、それからロシア、ウクライナ情勢、両面での影響がないとは言えないところでございまして、今日の発表の中で2023年打ち上げ予定ですということだけでよいのかどうかというのは、ちょっと担当者とも調整をしたんですけども、一方で、そういう状況があってもJAXAさんのほうは極力予定どおり打ち上げるという方針を取っておられるということもあり、私どもから何か、それ以上のことを申し上げることはちょっと控えさせていただいたんですけども、必要に応じまして後ほど、今やりますかね、じゃあ、三枝領域長からちょっと補足させていただきます。
【三枝国立環境研究所地球システム領域領域長】 補足いたします。地球システム領域の三枝です。
幾つか困っているということについては、今日の説明には、表には出てきていないのですが、ただいま森口理事からお話がありましたようにいろいろなところで国際情勢の影響により費用が非常に上がってしまっているというところがあります。米国の企業がウクライナ情勢の影響でウクライナの人手を使えないという状況が様々に波及するなどして、米国での作業にかかる費用が非常に上がっているという話も内々に聞いております。また、ロシアに場所を借りて設置している観測システムがあるのですけれども、そこに共同観測に必要な借料を送金しにくい、そうしたところがあります。
もう一つ困難なのは、東南アジアなどの現地調査を私どもの分野では数多くやっておりますが、それがなかなか再開できない。もう2年ほどほぼストップしており、今年度は再開しようとしているところですが、また感染症拡大などの影響により非常に苦慮しているところです。
実際、困っているところはそんなところです。
以上でした。
【佐藤委員】 どうもありがとうございます。
【森口国立環境研究所理事】 1点目のエコチル調査の件でございます。ちょっとあいにく今日はエコチル調査のコアセンターセンター長も副センター長も、今日都合つきませんで、こちら参加していないんですけども、私が理解している限りでは、今日お示しした学術的な発表とともに、分かりやすくエコチル調査の成果をご紹介するような活動は展開しておりまして、直接、ご参加いただいた方々に対してどういう形でご説明しているか、ちょっと今日は資料ご用意しておりませんので、必要に応じて追加説明、次の機会にさせていただきたいと思います。我々としては、今日も触れましたけども、長くご参加いただく、継続してご参加いただく、関心をつなぎ留めるということが非常に重要事でございまして、これもちょっと今日申し上げるのはややフライングなんですけども、13歳までということで現在設計してきたんですけども、環境省の検討会でそれ以降も含めてこのエコチル調査、さらに長い期間やるべきではないかといった議論もなされているところであり、どうやって長期間同じ方に参加いただき続けていただくかと、これが非常に重要な関心事になっておりますので、そういった文脈も含めまして、調査参加者にどういった形でフィードバックしているかということのちょっと正確なところを追って情報提供させていただきたいと思います。
【佐藤委員】 どうもありがとうございました。
【花木委員】 それではこの後、山室委員、そして郡山委員の順番でお願いします。
【山室委員】 はい。山室です。聞こえていますでしょうか。
【森口国立環境研究所理事】 はい。大丈夫です。
【山室委員】 はい。65番のスライドをお願いできますか。はい。広範な研究をされていて、その成果を施策に反映していくというのは、環境省内ではできているという説明があったんですけれども、例えばさっきのエコチルという健康面ですとかだったら、厚労省の施策にもやっぱり反映されてほしいと思いますし、それから化学物質だったら経産、それから化学物質の中でも農薬でしたら農水にも反映してもらいたいところだと思うんですね。
そんなときに、ここにあるその他機関との共同研究の実施というのが、例えばその厚労省とか経産とか農水とかの研究所ともやっているのかなというのが気になったんですけども、この後の69ページのところに他機関として地方公共団体の環境研究所というのは書かれているんですが、それ以外は分からない。それから、ほかのスライドでも、論文が他機関と共同になっているかどうかというのはあったんですけど、その他機関が大学などだけなのか、それともそういう他省庁の研究所も入っているのかというのが見えにくかったので、そういう観点から、自分がその評価をやろうかなと思ったときにはどういう資料を見ればよろしいでしょうか。
【森口国立環境研究所理事】 ありがとうございます。
ちょっと今具体的にご質問いただきました事項、連携推進部の担当のほうで今ちょっと確認をさせていただきますけども、一般論として幾つか申し上げますと、この後後半部で申し上げます気候変動の適応に関しては、他省庁との、研究機関との共同研究と言いますか、連携体制、かなり明示的にやっております。
一方で、伝統的な、公害研究以来の研究につきましては、ある種の役割分担の中で線が引かれてきたところがあると思っておりますけれども、おっしゃるとおり、健康については厚生労働省、それから特に地域の環境問題につきましては国交省ですとか農水省といったところ、それから様々な技術なんかですと経産省関係ということになってくるかと思います。
ちょっと今具体的にどの役所のどういう機関と共同研究としての実績があるかということについて、必要があれば補足させていただきますし、それからあとは他省の審議会、検討会等への参加状況については業務実績報告書の資料編等に記載しているところでございます。その他機関、他省と研究機関との共同研究、論文発表数というのは、特に現時点ではモニタリングする指標等の中に含めていないということがあって、集計ができておりませんけれども、集計することは可能かなと思いますので、これもちょっと今日直ちにお答え差し上げられないかと思いますが、宿題としてお預かりして、今年度の2回目のときにお答えするということでお許しいただければと思います。
【山室委員】 ありがとうございました。
【花木会長】 よろしいでしょうか。
そうすると、郡山委員、お願いします。
【郡山委員】 鹿児島大学の郡山と申します。声は聞こえておりますでしょうか。
【花木会長】 はい。大丈夫です。
【郡山委員】 私もちょっと先ほど出てきましたエコチルの調査についてなのですけれども、2点ご質問をさせていただきたいと思います。
かなりの高い追跡率というご説明でありましたけれども、これ、実際にコロナ禍の中で学童期に達するような年齢の子どもたちの対面の追跡調査ができている上での数値なのかというのがちょっと気になった点で、結構大変だったのではないかと推察いたします。もし何かそこで苦労された点あるいは工夫した点というのがあれば、教えていただきたいということと、昨今、今回の会議もオンラインですけれども、何かITを使ったツールなどを導入されているのかとか、何か少しすみません、ちょっとかなり細かいところですけれども、そういう工夫点があるのかというのが一つです。
それから2番目は、最近は国内のコホート研究の結果なども実際に主体となってデータを集めた研究者だけが使用するのではなくて、広く公募して、データを開示したり提供したりあるいは生体資料なども公募の課題のテーマが優れていれば提供するというようなそういう利活用をする傾向にありますけれども、エコチルについては現状どうなっているのかというのと、将来の予定をどうお考えであるのかというところをお伺いしたいと思います。
【森口国立環境研究所理事】 ありがとうございます。
2点目につきましては、今お示ししておりますスライド57の6ポツのデータ管理システムの運用整備といったところは、今先生ご指摘のエコチル調査の直接参画者以外もデータを利用できるようにということをにらんで検討に着手しているところでございますけども、これ、本来研究担当理事からお答えするべきところですが、企画総務担当理事がエコチル調査、立ち上げた頃の担当次長でございましたので、是澤理事のほうからお答え申し上げます。
【是澤国立環境研究所理事】 はい。企画総務担当理事の是澤でございます。私が現時点で把握している範囲でお答えをさせていただきます。
まず最初に、対面調査等、コロナ禍でどうしたのかということでございますけれども、ご指摘のとおり、特にコロナの流行した初期においては、学童期の検査、具体的にはこの10万組全員ではなくて、そのうち詳細調査という枠組みで5,000人を対象に詳しいフォローをしていく部分があるんですけども、その詳細調査における医学的検査を一時期は見送っておりました。また、その中に、例えば肺機能検査というような、などが含まれておりまして、それについては中止をしようということで再開後も見送っているという、そんな状態はございます。
しかしながら、状況も落ち着いたこともありまして、現時点では肺機能検査はまだかもしれません、ちょっとあやふやでございますが、ほぼ当初の計画の状況で調査継続しているという状態になってございます。
それからITのツールの活用でございますけれども、これはエコチル調査のいわゆる質問票調査の部分ですけれども、ずっと紙ベースで実施をしております。
しかしながら、これもやはりウェブでの調査のようなものに変えていくことが効率的だということで、現在、その設計であるとか、今検討を進めていると。将来的にはそちらに移行していく考え方で進めております。
それから、データ利活用の部分は今若干ございましたけども、エコチル調査のデータのクリーニング、固定が済んだ後、2年間については、このエコチル調査のグループの間で、まず論文を書くという仕組みになっておりますが、それを経過したものについては積極的に外部に公開していって活用してもらおうとそういう考え方になっておりまして、今まさにその固定されたデータ、幾つか、もう、そろってきておりますので、その発信共有を始めようと準備を進めているところでございます。
近々そういう活動が開始できるようになろうかと思います。
以上です。
【郡山委員】 ご説明ありがとうございました。はい。環境省の中で結構、人を対象とする調査というのはかなりこちらの部分が、唯一かと思われましたので、ちょっとお伺いいたしました。ありがとうございます。
【花木会長】 ありがとうございます。
ほかにご意見、ございますでしょうか。
それでは、ないようですので、後半部分のご説明を是澤理事のほうからお願いいたします。
【是澤国立環境研究所理事】 はい。お待たせをいたしました。企画総務担当理事の是澤でございます。
資料3の後半、78枚目以降のスライドをご説明いたします。
まず、自己評価の総括をしておりますが、第3の2番、環境情報の収集、整理、提供業務をA、気候変動適応業務をA、さらに下から2番目ですが、安全衛生管理の充実をAとしております。その他の事項は全てBということでございます。
まず、環境情報の収集、整理、提供業務についてご説明をいたします。この全体像の図で言いますと、下の部分、黄色い部分でございます。
評価の軸でございますけれども、ここに書いており、大きく二つの要素があるわけですが、それぞれ情報が適切に収集、整理され、分かりやすく提供されているか、あるいは研究成果を適切に発信しているか、公開シンポジウム等に適切に取り組んでいるかという軸になってございます。
まず、環境の状況、研究・技術等に関する様々な情報を整理、提供する業務につきましては、ここにございます環境展望台というウェブサイトを通じて行っております。スライドでは、環境GISとして環境の状況に関する情報を提示する、その画面を示しておりますが、そのほかにもニュース・イベント、研究・技術、政策・法令、様々な情報提供を行っております。
令和3年度の取組といたしましては、この環境展望台のサイトの全面リニューアルを行いました。いわゆるレスポンシブ化という、表示幅が自動調整されるようなもの、あるいはスマホ・タブレット専用ページの公開、あとArcGIS化という標準、スタンダードのソフトへの改修を進めております。
情報の内容につきましても、環境GISでは主な都市の大気汚染の状況であるとか、酸性雨調査結果のライト版というようなもの、合計15件のコンテンツ改修を行いまして、年度目標を上回ってございます。
また、そのほかにも情報源情報の検索キーワード、これを3,229件整備いたしまして、こちらも年度目標を達成しております。
続いて、研究成果の普及に関する事項でございますけれども、まず研究成果に関するプレスリリースは第4期の平均を大幅に上回る92件のリリースを行っております。また、マスメディアへの掲載記事、ホームページへのアクセス件数も大きく増加をしております。国環研のYouTubeチャンネルでございますけれども、こちらの登録者数も1年間で倍増するという結果でございました。
そのほか、一般公開でありますとか、公開シンポジウムにつきましては、オンライン開催といたしました。イベント日以降もコンテンツの提供をしておりました結果、多くの方にご覧いただけたという状況でございます。
見学者の受入れ等はコロナの制約がありまして多く実施することはできませんでしたけれども、オンラインも含めた講師派遣につきましては前年度から倍増をしております。
以上のような状況を踏まえまして、この項目、自己評価をAとしております。
続いて、気候変動適応に関する業務についてご説明をいたします。全体像の図で言いますと、この右側、赤い部分のところでございます。
評価軸といたしましては、適応法に基づく適応施策の総合的かつ計画な推進に貢献しているか、技術的援助が適切になされているか、あるいは科学的情報がニーズを踏まえて収集、整理、分析、提供されているかといった内容になります。
まず、この図が理事長からビジーだという話もございましたが、適応センターの活動の全体像を示しております。適応センターでは、適応に関する情報の収集・整理・分析あるいは調査研究などの活動を実施しておりますが、それによって生まれる科学的知見をA-PLATと呼ばれるこの気候変動適応情報プラットフォームから情報発信をするとともに、自治体などへの技術的支援あるいは国策への貢献に活用をしております。
令和3年度には、ちょうど10月に国の気候変動適応計画が改定されました。適応センターでは、中央環境審議会への委員の派遣あるいは、この計画内容に関する意見の提出などを通じて、議論に大きく貢献できたと考えております。
また、右のほうに広域協議会と書いておりますけれども、国が全国七つの地域、ブロックで開催するもの、あるいはその分科会の活動にも参画して支援しているという状況でございます。
協働体制の確立強化について説明した図でございます。まず、自治体等への技術的援助としましては、新たに地域適応センター等との共同研究の枠組みを構築いたしました。また、適応計画策定に関する初級、中級研修あるいは意見交換会、各種セミナー、講師派遣した講演会などにおける参加者の合計が延べ5,000名という状況でした。検討会への参加等も含めまして、地方公共団体に対する技術的援助は全部で268件実施したという状況でございます。
さらに近年、企業の気候変動リスクへの関心も高まっておりますので、気候関連財務情報開示をテーマとしますシンポジウムを開催するですとか、産官学の連携ネットワークの立ち上げなど、事業者に対する支援も開始いたしました。
右側のほうに、情報基盤の整備について書いてございますが、先ほどもご紹介しましたA-PLATのアクセス数は年間160万ページビューということで、目標の50万ビューを大きく上回りました。
また、途上国の支援を目指したアジア太平洋気候変動機構適応情報プラットフォーム、通称AP-PLATでございますが、こちらでは、気候変動の予測データあるいは影響評価データなど、コンテンツツールの拡充を図りました。
そのほかにCOP26でのセミナーの開催であるとか、海外の気候変動適応情報のプラットフォーマーとの意見交換会なども実施しております。
また、下半分の部分ですが、21機関が参画する気候変動適応に関する研究機関連絡会議におきまして、昨年度は地域適応センターを招いての意見交換会とかシンポジウムあるいは分科会の開催を行うなど、国研間にとどまらず、さらに地域との連携も推進いたしました。
こちらは、地域適応センターの設置状況、それから地域の適応計画の策定状況を示した図であります。昨年閣議決定された適応計画では、2026年時点で都道府県、政令指定都市における計画策定率あるいはセンター設置率を100%にするとの目標が掲げられております。
地域計画につきましては、目標達成まで残り1県、2政令市というところであります。黄色い日本列島の真ん中辺りに、山梨県のところ、白地で抜けておりますが、ここがまだというような状況でございます。
あるいは右側、地域センターにつきましては、こちらはまだ数が足りておりませんけれども、着実に増加はしているということで、適応センターによる情報提供や研修、意見交換の場の創出等の活動もこれに貢献できたと考えております。
また、昨年、地域適応計画の質という面ではどうなんだろうというご指摘をいただきましたが、今回、弊所でも質的な分析を行いまして、それを踏まえて適応策や進捗管理に係る優良事例の展開を行うなどの支援に努めているという状況でございます。
次に、適応に関する研究の部分でございますが、その全体像を示しております。まず、適応研究プログラムとしては三つございまして、一つ目が気候変動影響の検出とメカニズムの解明、二つ目が気候変動影響評価手法の高度化、三つ目が適応戦略についてのプロジェクトということになっております。また、そのほかにも、基礎研究、知的研究基盤の部分では、地域センターとの共同研究活動、体系的なモニタリングネットワークの構築、気候シナリオ影響予測データの公開などなどを行っております。
研究成果として、適応研究プログラムのPJ3、慶良間諸島のサンゴに係る研究をご紹介いたします。気候変動によるサンゴの白化や死亡の影響というのを高解像度の海洋モデルを用いて評価をいたしました。図の赤に近い色のところは、この死亡回数が多い場所、青に近い色のところが少ない場所ということになります。その上で、サンゴを保全しつつ、ダイビングポイントとして利用するのに適した場所というのを選定いたしまして、今後優先的に保全に取り組むべき地域をこのピンクの色の円のところで提示をしたというような研究成果でございます。
もう一つ、知的基盤整備業務の研究成果をご紹介いたします。気候シナリオ配信サーバA-PLAT Proと呼んでいるものですが、そちらから最新の全球気候予測であるCMIP6に準拠した全国気候シナリオの公開を開始しております。統計的ダウンスケーリング手法を用いて、20世紀の初頭から21世紀末までの日単位・全国1kmメッシュの気候予測情報を提供しているものでございまして、地域の適応計画の検討に活用いただいております。
以上、まとめますと、気候変動適応計画の策定の国策への貢献、地方公共団体支援の状況、地域適応計画や適応センターの設立の状況あるいはA-PLATのアクセス数等々、成果を上げておりまして、自己評価をAとしております。
この項目、難易度が高い項目として設定しておりますので、Sでもいいんじゃなかろうかという声もないわけではありませんでしたが、若干控えめに、評価項目の中で実は今期から掲げておりますものに、国民の理解の増進の状況というものもあるわけですが、そちらはウェブアンケート調査をした結果、まだ言葉とか取組両方知っているという割合が低かったという状況もございまして、その分、控えめに評価させていただきました。
続いて、業務改善の取組についてご説明いたします。
まず、経費の合理化、効率化につきましては、これはルールに従って予算の範囲で効率的な執行に努めました。人件費につきまして、恐らく事務系職員のラスパイレス指数が高く見えるところが気になるかと思いますが、昨年もご説明しましたけれども、当研究所、事務系職員の独自採用を開始してからまだ10年程度でございますので、年齢の高い層がほぼ管理職として国から出向している職員で占められているという事情がございまして、その影響で高くなっております。前年度から3.7ポイントの上昇というような数字もありますが、これは制度の変更等を行ったものではございませんで、人事異動の多寡の影響を受けたということでございます。
調達等の合理化につきましても、新たに予定価格500万円以下の物品購入等につきまして、公開見積り競争による契約を可能とする特例随意契約の適用を開始しました。
以上の状況を踏まえて、項目別評価はBとしております。
業務の電子化につきましては、更新したネットワークシステムの本格運用を開始して、高速化と全所無線LANを実現いたしました。また、クラウドストレージサービスであるBOXの利用を開始しまして、所内、所外からのファイル編集や同時作業を容易にするというようなことを実現しております。
項目別評価をBとしております。
財務内容の改善についてでございます。
まず、自己収入でございますけれども、全体の獲得額が44億4,000万円でございました。4期の平均を上回りました。ただし、この中には一部、令和2年度の決算で前受金として計上していたもの、これが6億7,000万円ほどありますので、それを含んでという数字でございます。
自己収入のうち、競争的外部資金につきましては、13億1,000万円ということで、4期の年平均よりは若干低い数字でございました。
保有財産の処分等については、所内に設けた委員会で今後の投資や活用、廃止の方向性等について検討をしております。
次のページに、予算執行状況の全体像整理をしております。令和3年度は中長期の初年度ということもございまして、年度をまたいだ契約の影響等がございます。その関係で執行額が小さくなっております。
一般管理費については近年、業務の電子化のためのシステムの導入の検討と改修が続いておりまして、支出が若干大きくなっております。
財務状況に関わるその他の情報につきましては、資料7に決算関係書類を添付しておりますが、説明は省略させていただきます。
財務内容の改善に関する事項、以上のような状況を踏まえまして、自己評価はBとしております。
その他業務運営に関する事項に移りまして、まず、内部統制の推進でありますが、国環研のミッション、課題の所内共有という体制としましては、理事会、幹部会に加えまして、全職員との意見交換の場となる運営協議会というのを原則、毎月1回開催しております。これは、新しい取組ではないのですが、特徴的なものを今までご紹介しておりませんでしたので、あえて書かせていただきました。
そのほか、所内から広く業務改善の提案を受け付けて、迅速に解決するプロジェクトも開始いたしました。
コンプライアンスにつきましては、文科省のガイドライン改正を踏まえまして、関係規程の改正を行うなど、システム強化に取り組みました。
PDCAサイクルについても徹底を図っているという状況で、項目別評価はBとしております。
人事の最適化につきましては、令和3年度、特に優れた若手研究者の確保を目的としまして、特別研究員、いわゆるポスドクへの年棒制の適用、裁量労働制の適用拡大を決定して、本年4月から実施をしております。
そのほか、クロスアポイントメント制度の活用4名、あと、外部の研究者を連携研究グループ長として委嘱して、所内の研究者と連携共同して研究をする、その実績も昨年度6名ございます。
ダイバーシティに関する取組も例年どおり進めております。研究系職員における女性職員の占める割合約17%という状況です。昨年ご質問がありましたので、参考までにつけさせていただきました。
項目別評価はBでございます。
情報セキュリティにつきましては、令和3年度、最新の政府統一基準に準拠して、次世代セキュリティ対策のソフトの運用を開始したとか、また、非常時の情報システムの継続性を確保するためのBCPの検討を進めて、今年4月に制定をしたという取組がございました。
評価はBとしております。
施設整備の関係でございますけれども、昨年度は令和3年度の補正予算で特別高圧受変電施設の老朽化対策事業、総額17億円ほどのものでございますが、こちらが認められまして、更新に着手をしております。
所全体の施設整備更新につきましては、平成30年度に作成したマスタープランを基本といたしまして、さらにコスト削減とZEB化を図る。そのため、耐用年数が近づいている施設を集約して整備する。図で言いますと、この赤とか紫の部分でございますが、初期に建設された建物、かなり老朽化しておりますので、これらを集約して整備するプランの検討を進めております。
評価はBでございます。
安全衛生管理の充実につきましては、まず、感染症対策本部の下で、新型コロナウイルスに取組みました。夜間、休日を通じて連絡窓口を運用して、迅速かつ丁寧に感染疑い者や濃厚接触者をフォローするという体制を取っております。これまで集団感染はもちろんございませんし、所内での職員から職員への感染が疑われる事例の発生もございません。
ストレスチェック制度につきましては、適切に運用しておりますし、実際にその委託機関による集団分析結果におきましては、当研究所、健康リスクが小さく、非常に良好という評価をいただいております。
さらに、一般健康診断につきましては、受診率100%を達成しておりまして、これらを踏まえて、初期の想定以上に適切な健康管理等が実施できていると考えまして、評価をAとしております。
最後に、業務における環境配慮の取組でございますが、環境配慮憲章等に基づきまして、省エネ、リサイクル、化学物質管理等の取組を実施しております。省エネ対策につきましては、電力消費量の大きい実験施設の統廃合等によりまして、2013年度比でありますが、エネルギーの消費量を90.3%まで削減しております。併せて、再生可能エネルギー由来のグリーン電力の調達によりまして、CO2排出量につきましては、同年度比で31.1%まで大幅に削減しております。
そのほか、所内の緑地管理につきましては、生物多様性に配慮した方法を取るというような取組もしております。
評価はBとしております。
自己評価総括表、同じものです。まとめておりますので、ご参照ください。
説明、以上でございます。
【花木会長】 ありがとうございます。
それでは、環境省のほうからご説明をいただきますが、一つは今国立環境研にご説明いただいたものに関する評価の素案、もう一つは1年前にこの審議会も経て作成しました第4期の、前の中長期計画、それから令和2年度の実績評価書、これに対する指摘事項というのがございまして、その対応状況、それについても併せてご説明をお願いいたします。
【加藤環境研究技術室長】 はい。環境省の加藤でございます。それでは、説明させていただきます。
今スライドに投影されていますけども、資料7の総括表をまず、ご覧ください。先ほど、是澤理事にご説明頂戴した第3の2と3の部分と、第2の4、第5、第6の部分に関しましても、国立環境研究所の自己評価と同様の評定を環境省の素案として作成してございます。
資料7-2にその論拠を示してございますけれども、こちらに関しましては、先ほど見方についてご説明しましたけれども、18ページ目から先に論拠を記載してございます。
加えまして、資料の最後のページになりますけれども、年度評価の全体の評定も記載してございます。こちらのほうもご確認ください。よろしくお願いいたします。詳しい説明は割愛させていただきました。
続きまして、資料9のご説明をします。先ほど、会長より話がございましたけれども、昨年度の実績評価に対しまして、指摘事項がございました。それの対応状況でございます。
環境大臣からご指摘を頂戴しまして、それに対応しまして、国立環境研究所で講じた内容を整理したものでございます。こちらも細かい説明、割愛しますけれども、最初のページには、例えば第3のところには研究開発の成果の最大化、その他の業務の質の向上に関する事項というところの中に、例えばですけども、災害環境研究プログラムに対して分かりやすくするための整理、全体像の明示の要望がございました。
また、2ページ目になりますけれども、コロナの感染症に配慮した調査についての話や、ウェブを活用したシンポジウムの話、情報収集、情報提供に関わる話がございました。
続きまして、3ページ目から先ですけれども、こちら、マネジメントの話になりますけれども、第4の効率化に関する事項では、引き続き適切な予算執行、管理体制を継続してほしいという話、第5の財務内容の改善に関する事項では、競争的資金の獲得と研究の質に関する話、続いて4ページ目の第6、その他のところでは、在宅勤務も含めた情報セキュリティの強化、教育に関する話が記載されてございます。
これらに対して、国立環境研究所にて指摘に対応した適切な措置が講じられていると理解してございます。
環境省の説明は以上になります。
【花木会長】 ありがとうございます。
もう一つ続けてコメントをいただきたい点がございまして、これは、幹事の方からですけれども、研究に関する部分も含めた法人の運営状況全体につきまして、幹事の方からコメントいただけますでしょうか。
【小田部国立環境研究所監事】 はい。国環研の、昨年から就任しました監事の小田部といいます。声、聞こえていますか。
【花木会長】 はい。聞こえております。
【小田部国立環境研究所監事】 はい。監事は2名おりまして、今回、私一人が出席しておりますけれども、2名とも非常勤監事です。我々は毎月理事会へ出席したり、メールのやり取りで情報を共有していただいて、必要な場合、質疑応答して、運営状況とか課題を把握してきています。
監事監査というイベントもございますので、その中では、各組織の長を中心にメンバーからヒアリングを行って、進捗状況や内部統制について確認しております。
研究内容については、先ほど森口理事から説明もございましたけれども、全般的に非常によいのかなと考えております。理由としては、まず一つは対外発信、特にIPCCとか、そういう国際的にも影響力のある報告書に参加していることとか、あとは地環研ですとか、ウェブサイトでの動画発信などで外部への影響を意識した活動をされていると思っています。
また、コロナが思ったよりも長引いていて、活動がやりにくいという点も随分あったようなんですけれども、むしろこの機会をネットを活用するということで、是澤理事の説明にもありましたけれども、ウェブ発信がかなり強化されたのかなと思っています。
あと、最後にその中期計画が今年1年目にもかかわらず、外部研究評価の結果が非常によかったというふうに見ております。この理由として、各研究員の方々が評価委員の先生方に研究結果を正しく理解いただくためにかなり時間をかけて、非常に真摯に対応してご説明したという結果だと聞いております。研究活動をされている方々なんですけれども、年間を通して結構、審議とか監査の機会が多いと思います。なので、この研究の時間と報告の時間、ここの時間のバランスがよく取れることを期待しています。
ほかには、契約監視委員会にも出席しておりまして、契約事務の適正性とか、あと組織運営の状況が適正であるものを確認しております。
最後に、会計監査に関しては、決算資料を会計課の方から説明していただき、かつ会計監査人からの報告も受けておりまして、適正に実施されているというふうに判断しております。
以上です。
【花木会長】 ありがとうございました。
さて、それでは、ここからは、委員の方々からご質問を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
【中村委員】 花木先生、よろしいですか。
【花木会長】 失礼しました。はい。どうぞ、中村先生。はい。失礼しました。
【中村委員】 91ページの気候変動センターの件でちょっとお聞きしたいんですけど。
【花木会長】 91、出ますでしょうか。はい。
【中村委員】 徐々に伸びているのはとてもいいことだと思うんですけど、自治体の数が多分、どうでしょう、今日本で1,700とか、そのぐらいあるんでしたっけ。ということで、まだ10%ぐらいにしかいっていないんですけど、その辺の何か、自治体のヒアリング等でどうして計画に結びついていかないのかといった辺り、何かもし情報があったら教えていただきたいんですけども。
別の委員会で、例えばナショナルレジリエンス、国土強靭化の委員会は、何か理由があると思うんですけど3年ぐらいで100%ぐらいまで地域の強靭化計画みたいなものを策定したことになっているんですよね。なぜそんなに大きな差がついちゃうのかも、もし分かれば。
例えば国土強靭化の議論をしていくときに、適応策が非常に重要だと思いますし、また重なる部分も多いと思うんですけども、うまく連携されているのかなと疑問に思います。先ほど省庁の連携の話もあったんですけど、なぜ、ここはある程度は増えてはいるんですけど、まだちょっとその全体としては遅い感じがするので、理由が分かれば教えてください。
もう1つ。その省庁関連でお願いというか、この前国土審議会があって、私、今委員なんですけど、国土形成計画を検討しているんですが、基本、適応策についてはほぼ何も書かれていないんですね。ちょっと驚いていて、緩和策的なことは書いてあるんですけど、適応策についてほぼ何も書いていないということで、これはここの国環研の問題というよりも、環境省の問題に近いのかもしれないんですけど、どうも今言ったその省庁、特に国土交通省に対してのインプットが薄いんじゃないかなという感じがします。
特に閣議決定するような重要な案については、ぜひともここでの国環研の成果が生きるような形でインプットしていただきたいと思いました。もしその辺も分かることがあれば教えてください。
以上です。
【花木会長】 ありがとうございます。いかがでしょうか。これ、どなたがお答えになりますか。
【是澤国立環境研究所理事】 適応センターの吉川副センター長がおりますので、回答します。
【吉川気候変動適応センター副センター長】 はい。適応センターの吉川と申します。
今ご質問いただいた適応センターの市町村における数が少ない理由という部分、ご指摘のとおり、まだまだ市町村はこれからという段階かなというふうに認識をして、我々もちょうど、まさに今、今日、初級研修という計画のつくり方研修会をやっているんですけれども、メインターゲットを市町村に据えてやらせていただいている次第です。
数が少ない理由の分析というものをまだ十分にできているわけではございませんが、これ、地球温暖化についての計画、温対計画というもの、これの策定率も同様なんですけれども、やはり小さい規模の市町村においてはこういう非常に科学的な根拠、それから様々なセクターにわたる分析を必要とするような計画の策定というのはかなりハードルが高いという面があるというのが一つの背景かなというように理解をしております。そのために、いろいろとサポートの技術的な情報の提供というものを私どもが担っているわけではございますけれども、まだまだ環境に関する担当者も、こういう気候変動に関する分野を扱う担当者がそもそも、非常に小さい規模の市町村ですと少ないあるいはいないというようなところもございますので、その辺が大きなハードルになっていると。
ここについては、私ども、今市町村向けに、使いやすく、いろいろなデータを集めてきて、ある程度自動的に適応計画の策定に必要な情報が集められるようなアプリの開発というものも進めておりますので、ぜひこういったものも活用しながら市町村の取組を支援してまいりたいと考えております。
また、適応策について、国土強靭化計画、それから地域防災計画とか国土計画といった部分に対してどのようなアプローチをしているか、国交省へのインプットが薄いのではないかというお話につきましては、国土交通省のほうは非常に適応について熱心に取り組んでいただいておりまして、特に防災の分野では流域治水という考え方を大きく掲げて、今気候変動を取り込んでのその地域全体となって、一丸として取り組む治水対策、防災対策というものに力を非常に注いでおられると。
ただ、それが今実際に地域の防災計画に反映されているか、あるいは国土計画といった全体的な計画に反映させられているかというのは、まだまだこれからという段階かと認識しております。
まさにこの昨年の10月に閣議決定された気候変動適応計画の目標の中でも、各都道府県がつくる地域防災計画の中にこの気候変動適応の観点を入れていくということが目標として掲げられたという段階でございまして、これから私どもも国土交通省、それから環境省、各省のお力をお借りしながら、こうした適応の主流化と申しますか、そういったところにも尽力をしてまいりたいと考えております。
以上です。
【中村委員】 ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【花木会長】 ありがとうございます。
あと、いかがでしょうか。どなたかございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
【花木会長】 ありがとうございました。
それでは、今日ご議論いただく項目については、ご説明いただいて、コメントいただきました。
今後どうするかということでございますけれども、本日、その委員の方々からご意見をいただきました。
それと加えて、後日、委員の方々には意見シートを提出いただきます。それを踏まえて、事務局のほうで整理をいたしまして、次回の審議会には評価書案を提示、ご説明いただくということになっております。
今、意見シートというのを申し上げましたが、意見シート、昨年も委員の方々は経験されていると思いますけども、事務局から意見シートについてご説明お願いできますか。
【事務局】
意見シートにつきましては、ご覧いただければお分かりになるかと思いますが、各項目につきましてご意見をご自由に記載いただければと思っております。
そちらを事務局のほうで取りまとめをさせていただきまして、国立環境研究所や環境省内の関係部署と確認をいたしまして、評価書の文案のほうに反映させていただきたいと考えております。
記載できるワードファイルでお送りさせていただいておりますので、必要に応じてご活用いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【花木会長】 ありがとうございます。
これについては、多分、皆さんも経験があるのでお分かりだと思いますけども、この意見シートにぜひ書いて、ご提出ください。
今日、時間の都合で全ての資料をご説明いただけなかった面もありますので、必要に応じて詳細をご覧になって、その上でこの意見シートをということでございます。
さて、それでは最後にその他ですけれども、事務局からご説明いただけますでしょうか。
【事務局】 はい。度々ありがとうございます。
その他の議題としてご用意しているものはございません。
次回につきましては、第22回の審議会を8月の24日水曜日10時から2時間程度の予定とさせていただいておりまして、今回同様、ウェブ会議での開催とさせていただければと存じております。ご多忙の中、大変恐縮ではございますが、何とぞご出席いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
【花木会長】 はい。意見シートの締切りは最初におっしゃったんでしたっけ。いつまででしたっけ。
【事務局】 意見シートにつきましては、8月5日までに事務局のほうにメールで送付いただければ幸いです。
【花木会長】 まだ2週間ぐらいありますね。はい。分かりました。
【事務局】 よろしくお願いいたします。
【花木会長】 ありがとうございます。
では、皆さんよろしいでしょうか。
それでは、これにて本日の議事は全て終了いたしました。
以上をもちまして、第21回環境省国立研究開発法人審議会を閉会いたします。
どうも皆さんありがとうございました。ご苦労さまでございました。